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フィクション(Novel)リビルドワールド読書感想

小説「リビルドワールド III(3)〈上〉 埋もれた遺跡(5)」感想・ネタバレ

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フィクション(Novel)

リビルドワールド Ⅱ (2)〈下〉レビュー
リビルドワールド全巻まとめ
リビルドワールド III(3)〈下〉レビュー

Table of Contents

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  1. 物語の概要
    1. ■ 作品概要
    2. ■ 主要キャラクター
    3. ■ 物語の特徴
  2. 読んだ本のタイトル
  3. あらすじ・内容
  4. 感想
  5. 考察・解説
    1. ヨノズカ駅遺跡の探索
    2. アキラの装備と成長
    3. シェリルの徒党運営
    4. カツヤとの確執と協力
    5. 情報屋ヴィオラの暗躍
  6. 登場キャラクター
    1. 旧世界の存在
      1. アルファ
      2. 少女
    2. ハンター
      1. アキラ
      2. エレナ
      3. サラ
      4. デイル
      5. オルソフ
      6. レビン
      7. チャレス
      8. クロサワ
    3. ハンター徒党「ドランカム」
      1. カツヤ
      2. ユミナ
      3. アイリ
      4. ミズハ
    4. スラム街の徒党(シェリルの徒党)
      1. シェリル
      2. エリオ
      3. ルシア
      4. ナーシャ
      5. アリシア
    5. 遺物収集チーム
      1. ギューバ
      2. コルベ
      3. ベガリス
      4. ケニット
    6. 商人・店舗
      1. シズカ
      2. カツラギ
      3. カシェア
      4. セレン
      5. ダリス
    7. 情報屋
      1. ヴィオラ
    8. 建国主義者
      1. ネルゴ
    9. 集団
      1. ドランカム
      2. シェリルの徒党
      3. 集団遺物収集部隊
      4. クロサワの輸送部隊
      5. チャレスのチーム
      6. ドランカムの若手部隊(A班)
      7. ドランカム of 事務派閥
  7. 展開まとめ
    1. 第70話 埋もれた遺跡 
    2. 第71話 遺物売却のノウハウ 
    3. 第72話 遺跡探索のお土産 
    4. 第73話 再探索の成果
    5. 第74話 シェリルの買い物
    6. 第75話 カツヤとシェリル  
    7. 第76話 衝突回避 
    8. 第77話 シェリル達の遺物収集 
    9. 第78話 誰かの企み 
    10. 第79話 シェリルの災難 
    11. 第80話 情報の価値 
    12. 第81話 想定外 
    13. 第82話 遺跡の警備装置 
    14. 第83話 願いの代償 
    15. 第84話 助ける理由とその相手 
    16. 第85話 続く試行 
  8. リビルドワールド 一覧
  9. その他フィクション

物語の概要

■ 作品概要

『リビルドワールド III〈上〉 埋もれた遺跡』は、高度な旧世界文明の遺産を巡るポストアポカリプスSFバトルアクション小説の第5巻(第3シリーズ上巻)である。
前巻での死闘を生き延びた主人公アキラは、新装備と荒野仕様の自前の車両を手に入れ、未発見の遺跡探索を再開する。
そして、これまでに誰も発見していない手付かずの超巨大地下遺跡「ヨノズカ駅遺跡」を発見し、一攫千金を狙って遺物収集に乗り出した。
しかし、その莫大な富の存在は、アキラを支えるスラム街の少女シェリルを巻き込んだ凄惨な拉致拷問事件を引き起こす。
さらに、遺跡の独占や横取りを企むドランカムの若手ハンター・カツヤたちや、他の強欲なハンターたちまでもが遺跡へと押し寄せる。
情報屋ヴィオラや潜入を企むテロリストの思惑が複雑に交錯する中、再起動した旧世界の警備システムとモンスターの群れにより、遺跡は敵味方が入り乱れる凄惨な戦場へと変貌していく。

■ 主要キャラクター

  • アキラ: 本作の主人公。自分を暗殺しに来たハンターの装備を売り払った原資を使い、シズカの店で新装備と荒野仕様の車を整えてハンター稼業を再開する。自力で「ヨノズカ駅遺跡」を発見し、エレナやサラ、そしてシェリルたちを率いて大量の遺物を運び出すことに成功した。シェリルがギューバに拉致された際には、敵の車に自分の車を正面衝突させるという「無理無茶無謀」な突撃を敢行し、アルファの直接サポートなしで敵を圧倒する驚異的な戦闘技術の進化を見せる。
  • アルファ: アキラにしか知覚できない拡張現実(AR)の謎の美女。アキラが通信途絶のリスクがある「ヨノズカ駅遺跡」の奥部へと踏み込む際には地上へ戻るよう強く警告する。アキラが自力で「体感時間操作」を驚異的な速度で習得したことに強い驚きと誤算を覚えつつ、自身の計画を修正しながら彼を見守り続ける。
  • カツヤ: 巨大ハンター徒党「ドランカム」の若手リーダー。ミズハの指示で「ヨノズカ駅遺跡」の出入口を若手だけで占拠する。未契約の旧世界の少女(幽霊)から無意識に念話で干渉・脳内誘導を受け、遺跡の案内立体映像の場所へ向かおうと暴走した。戦闘中に多くの仲間を失う過酷な現実を契機に才能を飛躍させるが、それにより他者との連携が崩壊していく危うさを孕んでいる。
  • ユミナ: ドランカムに所属するハンターであり、カツヤの幼馴染。崩壊した遺跡内で警備機械に追われ、アキラたちに救助された後、カツヤたちを救うためにアキラと同行して遺跡奥部へ向かう。アキラの圧倒的な索敵・戦闘能力を目の当たりにし、以前のルシア事件の対立がどれほど危険であったかを再自覚してアキラに対して高性能な回復薬の借りを背負う。
  • シェリル: スラム街の弱小徒党の少女ボス。アキラから「ヨノズカ駅遺跡」の極秘遺物収集の手伝い(下請け)を依頼され、遺跡の位置を隠蔽するための緻密な偽装工作を施す。遺跡の存在を狙うギューバに拉致され、両手の指を次々と折られる凄惨な拷問にかけられながらも、アキラを裏切ることを拒絶し、最後は駆けつけたアキラに救出された。
  • エレナ: アキラと信頼関係を結ぶ熟練女性ハンター。アキラから未発見遺跡の情報を共有され、サラと共に「ヨノズカ駅遺跡」の再探索を主導する。アキラがこの手付かずの遺跡を発見できた辻褄を合わせる中で、彼が「旧領域接続者」であるという確信を強めるが、信頼する恩人を売るような真似は絶対にしないと、その利欲の誘惑を切り捨てる。
  • サラ: エレナの相棒である身体強化拡張者の女性ハンター。身体能力の維持のために旧世界製の頑丈な下着(衣類系遺物)を必要としており、アキラが持ち帰った土産の下着を喜んで引き受ける。遺跡内で警備機械に追われるユミナの懇願を受け、レビンたちの護衛を引き受けつつアキラをカツヤの救援へ送り出し、のちに崩落した地上から全員を力技で救出した。
  • ギューバ: 多額の借金返済に焦るハンター。アキラたちの遺物収集現場を怪しみ、情報屋ヴィオラから得た情報でアキラが未発見遺跡を見つけたと確信した。シェリルを拉致して別の入口を吐かせようと激しい拷問をかけたが、追撃してきたアキラに車両ごと正面衝突を喰らい、協力者2名(ベガリス、ケニット)とともに射殺される。
  • ヴィオラ: クガマヤマ都市で暗躍する極めて質の悪い享楽的な女性情報屋。ドランカムのミズハや個人ハンターのオルソフなどに「ヨノズカ駅遺跡」の情報を先着順と煽って流し、ハンターたちを動かして大規模なモンスターの誘引による混乱を引き起こし、その凄惨な騒動を事務所から面白がって見守る。
  • ネルゴ: ヨノズカ駅遺跡へ向かうハンター。その正体は、かつてアキラと死闘を繰り広げた遺物強奪チームのケインである。カツヤたち若手ハンターをモンスターから救援して恩を売り、ドランカムへ接触する潜入計画を立てていたが、ヴィオラの情報拡散でモンスターの群れが想定外に膨れ上がったため、今回は作戦を断念して同胞の回収を優先した。

■ 物語の特徴

エレナの葛藤と人間味あふれる「絆」の選択: アキラが「旧領域接続者」であると見抜き、彼の天文学的な価値を利用すれば相棒のサラを救えるかもしれないと一瞬脳裏をよぎるエレナの生々しい心の葛藤が描かれる。しかし、恩人を売る人生など楽しいわけがないとはっきりと邪念を切り捨てるエレナの選択は、荒野の冷酷な世界観の中で際立つ「本物の人間ドラマ」として深く胸に迫る。

「ヨノズカ駅遺跡」を巡る、騙し合いと情報戦の錯綜: 手付かずの遺跡が持つ巨万の富を巡り、ハンター同士が奪い合う凄惨な戦場が描かれる。情報屋ヴィオラによる「急ぐ者には急がせ、慎重な者には到着を遅らせる」という巧妙な作為によって意図的に秩序が崩壊させられた戦場は、読者に息を呑むサスペンスを提供する。

アキラの「無理無茶無謀」な救出劇とアルファなしでの自立: 拉致されたシェリルを救うため、敵の車に正面衝突をかますという常軌を逸したアキラの突撃シーンは本作最大のハイライトである。この戦闘では、アキラ自身が訓練を重ねた「体感時間操作」を自力で駆使し、アルファの直接サポートなしで戦闘を完全制覇する泥臭くも圧倒的な進化が描かれる。

カツヤの「無意識の誘導」と、アキラとのバディ対比: アキラが自らの意志と覚悟で過酷な現実に対峙する一方、ライバルのカツヤは「旧世界の少女(幽霊)」から脳内へ無意識に情報を送り込まれ、自律的な思考を奪われた状態で操り人形のように遺跡へ誘導される。二人のバディ関係が孕む、不穏で不気味な「光と影」の対比構造がさらに強固に描き出されている。

KADOKAWAオフィシャルチャンネル
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読んだ本のタイトル

リビルドワールド III〈上〉 埋もれた遺跡(5)
著者:ナフセ 氏
イラスト:わいっしゅ  氏
出版社:KADOKAWA電撃の新文芸
発売日:2020年5月18日
ISBN:9784049130690

(PR)コチラのサイトから購入して頂けると幸いです。

あらすじ・内容

WEB版より全面改稿! 著者渾身の書籍版オリジナル・エピソード!!

 シズカの店で新装備と荒野仕様の車両を手に入れ、ハンター稼業を再開したアキラ。
 次なる目的は、地下に眠る未発見の遺跡の探索。埋もれた遺跡に大量の遺物が残っていれば一攫千金も夢ではない。
 シェリル達を巻き込んだ遺物収集や、手つかずの遺跡を狙うハンター達が引き起こす騒動。そして、カツヤ達との邂逅――。
 地の底に眠っているのは目が眩むお宝か、それとも……?
 ハンター稼業に戻ったアキラとアルファを新たな困難が待ち受ける!

リビルドワールドIII〈上〉 埋もれた遺跡

感想

前巻の修羅場で装備をほぼすべて失ったアキラだったが、今巻では新しい装備と荒野仕様の車を手に入れ、ようやくハンターとしての活動を再開する。

新しい強化服に突撃銃、対物突撃銃、ミニガン。

さらに自前の車まで手に入れた。

少し前までスラムの路地裏で暮らしていた少年とは思えない装備である。

しかも、その資金の元になっているのが、自分を殺しに来た連中を返り討ちにして得た金というのがアキラらしい。

そして今回、アキラが狙うのはモンスター討伐ではない。

誰にも発見されていない遺跡を見つけて、一攫千金を狙う。

ハンターらしい夢を追い始めた。

ついに発見した、手付かずのヨノズカ駅遺跡

以前から気になっていた瓦礫地帯を調査したアキラは、地中に埋もれた階段を発見する。

そこには、

「ヨノズカ駅クズスハラ方面南口A27」

の文字。

誰も入った形跡がない。

モンスターの痕跡もない。

しかも内部には旧世界の品物が大量に残っている。

完全に大当たりである。

最初の探索では、アキラ一人でリュックを何個も遺物で満杯にして帰還。

その後は経験豊富なエレナとサラにも遺跡の存在を教え、一緒に再探索する。

ここで印象に残ったのは、エレナたちが単純に戦力として優秀なだけではなく、

「遺物をどう持ち帰り、どう売れば未発見遺跡の存在を悟られにくいか」

まで知っていることだった。

アキラは強くなっている。

装備も良くなっている。

それでもハンターとしての経験では、まだまだ知らないことが多い。

アルファの補助だけでは埋められない部分を、エレナやサラから学んでいく。

こういうところを見ると、戦闘力だけではない成長も少しずつ進んでいると感じる。

さらにシェリルの徒党まで使って、大人数で遺物を運び出す。

子供たちが何度も地下を往復し、トレーラーいっぱいに遺物を積む。

未発見遺跡を独占できれば、そりゃ儲かる。

でも、

大量に運び出せば、当然目立つ。

ここから一気に面倒になる。

遺跡より怖いのは、それを狙ってくる人間だった

シェリルたちが大量の遺物を運んでいるところを、借金まみれのハンター、ギューバに見られてしまう。

アキラは遺跡の存在を隠すため、入口近くの廃ビルを崩壊させ、大量の瓦礫で入口そのものを塞いだ。

そこまでやるか。

と思ったが、未発見遺跡の価値を考えれば当然なのかもしれない。

ところが、それで諦めるギューバではなかった。

しかも背後では、情報屋のヴィオラが意図的に情報を流している。

ギューバは、

「アキラたちが未発見の遺跡を隠している」

と確信。

しかし入口は埋められている。

ならば場所を知っていそうな人間から聞き出せばいい。

そこで狙われたのがシェリルだった。

シェリルは誘拐され、遺跡の場所を吐かせるために指まで折られる。

それでも知らないと言い続ける。

そこへエリオから連絡を受けたアキラが救出に向かう。

この場面が今巻で一番印象に残った。

アキラは誘拐犯の車を追跡する。

そして、

シェリルが乗っている車へ、そのまま正面衝突。

人質が乗ってるんですけど?

相変わらず、

無理。

無茶。

無謀。

である。

しかも何も考えていないわけではない。

衝突のタイミングや、シェリルが車外へ投げ出される位置まで計算し、自分も飛び出して空中でシェリルを受け止める。

普通はやらない。

というより、失敗したら人質ごと死ぬ。

でもアキラならやる。

ここまで読んできたせいか、

「まあアキラだしな……」

と妙に納得してしまった。

アルファなしでも戦えるようになってきた

シェリルを救出した後、アキラはギューバたち三人と戦う。

ここで興味深かったのが、

アルファがあえてサポートを減らしていること。

完全に見捨てたわけではなく、本当に危険な時だけ助ける。

それ以外はアキラ自身に戦わせる。

つまり、これまで訓練してきた体感時間操作や強化服の制御を、実戦で試している。

以前なら、

「アルファが動かしてくれたから勝てた」

という戦いが多かった。

今回も危険なところでは助けられているので、まだ完全な独り立ちではない。

それでも自分で敵を確認し、銃を撃ち、動きを読み、戦う。

ケニットを撃破。

さらに重装甲のベガリスにも接近し、以前撃ち込んだ場所へ銃口を押し付けるようにして倒す。

ギューバとの最後の戦いでは再びアルファの全面的な補助が入るが、それまでの戦闘だけでも、

アキラ自身の戦闘力が確実に上がっている

ことが分かる。

シェリル救出そのものより、個人的にはこの部分がかなり面白かった。

アキラ自身はまだ、

「アルファの補助がなければ大したことはない」

と思っている。

実際、それも間違ってはいない。

でも以前なら何もできなかった状況で、少しずつ自分の力だけでも戦えるようになっている。

成長が数字ではなく、戦い方そのものに出てきたように感じた。

未発見遺跡を見つけた結果、周辺が戦場になった

ギューバとの騒動が終わっても、ヨノズカ駅遺跡の問題は終わらない。

むしろここから酷くなる。

ヴィオラによって情報が広められ、ドランカムを含めた多くのハンターが遺跡へ殺到。

カツヤたち若手組も出入口を確保しようと動き始める。

それを面白く思わない個人ハンターたちは、モンスターを誘引する道具を使って妨害する。

一人二人ならともかく、

みんな同じことをやった。

結果、大量のモンスターが遺跡周辺へ集結。

さらに休眠していた遺跡の警備システムまで動き始める。

モンスター。

ハンター。

警備ロボット。

全部入り。

もう遺跡探索どころではない。

その混乱の中で、カツヤは仲間を守るために戦い続ける。

多くの仲間を失ったことで、さらに能力を伸ばしていくのだが、

強くなればなるほど仲間と噛み合わなくなる。

ここがアキラとは違っていて興味深かった。

アキラはアルファの補助によって強くなりながら、それを自分の実力ではないと警戒している。

一方のカツヤは仲間を守ろうとして力を伸ばし、その結果として自分だけが先へ行ってしまう。

しかも彼の周囲には、アルファに似た何かが存在しているようにも見える。

この二人が似ているようで、かなり違う方向へ進んでいるのが不気味である。

最終的には、孤立したユミナがアキラたちと合流。

アキラとユミナがカツヤを回収し、さらに陥没事故でモンスターの巣窟へ落ちたカツヤとユミナを、エレナ、サラ、アキラが救出して騒動はひとまず収まる。

でも、ヨノズカ駅遺跡を見つけた当初は、

「誰も知らない遺跡を独占して大儲け!」

という話だったはず。

それが最後には、

大量のハンターが押し寄せ、

モンスターが集まり、

警備ロボットまで起動し、

死者まで大量に出る。

未発見の遺跡そのものより、

そこに価値があると知った人間たちの方が危険だった。

そんな印象が残った。

そして何より、シェリルを助けるために人質ごと車へ突っ込むアキラ。

普通なら絶対に選ばない方法なのに、本人なりにはちゃんと勝算がある。

さらにその後の戦闘では、アルファのサポートなしでも以前より明らかに戦えるようになっていた。

無理無茶無謀は相変わらず。

でも、その無茶を成功させるだけの力が少しずつ本人にも備わってきた。

アキラの成長が一番分かりやすく見えた巻だった。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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リビルドワールド Ⅱ (2)〈下〉レビュー
リビルドワールド全巻まとめ
リビルドワールド III(3)〈下〉レビュー

考察・解説

ヨノズカ駅遺跡の探索

ヨノズカ駅遺跡の探索と狂乱の全貌

『リビルドワールド III〈上〉 埋もれた遺跡』において繰り広げられる「ヨノズカ駅遺跡の探索」は、単なる未発見遺跡のトレジャーハントにとどまらず、アキラ自身の戦闘者としての飛躍、エレナやサラとの信頼の深化、そして旧世界のシステムと情報屋ヴィオラの悪意が絡み合った、本作の極めて重要な連続エピソードである。ヨノズカ駅遺跡の発見と初期の単独探索、エレナ・サラとの共同再探索と情報の管理、シェリルの徒党を使った大量運搬とギューバの暗躍、遺跡情報の錯綜とドランカムの若手による占拠、ヨノズカ駅の活性化とカツヤの暴走およびアキラの救出劇の各点から解説する。

ヨノズカ駅遺跡の発見と初期の単独探索

アキラはシズカの店で購入した自前の車両と新しい情報収集機器を使用し、未発見遺跡の探索を開始した。

・瓦礫によって旧世界当時の地上が深く埋まっている可能性を考慮し、探索範囲を瓦礫地帯の外縁部へと移した。
・比較的内容の薄い瓦礫の下から地下へ続く階段を発見し、標識の記述に基づきここを「ヨノズカ駅遺跡」と呼ぶこととした。
・地下空間でのアルファとの通信切断リスクに備え、携帯用のDVTSミニガンまで追加した超重武装を整えて単独で突入した。
・地下4階まで下りると清掃・警備装置や他のハンターの痕跡、生物系モンスターの気配は見当たらず、本物の無人店舗跡を発見した。
・梱包された衣服、電子機器、調理器具などの遺物をリュックサック一杯に詰め込んで持ち帰り、出入口の階段を入念に瓦礫で埋めて隠蔽した。

エレナ・サラとの共同再探索と情報の管理

アキラは収集した遺物を売却する一方で、一部のアクセサリーや衣類をお土産としてシズカ、エレナ、サラへ渡した。

・お土産の袋から女性用下着が大量に出てくるアクシデントが発生したが、これを引き取ったサラから未発見遺跡の場所を尋ねられ、情報の提供と同行を承諾した。
・アキラはアルファのサポートを遮断した状態での自力探索訓練を兼ねて再突入した。
・エレナはアキラが自力で未発見遺跡を掘り当てた不自然さから、彼が「旧領域接続者」ではないかと推測したが、不必要な詮索を拒み彼を信頼する道を選んだ。
・遺跡内部で広範囲の地図作成に成功したが、安全で高価な遺物が眠る情報の流出を警戒し、あえて「旧世界製の商品棚(陳列棚)」を大量に持ち帰るカモフラージュ工作を行い、他者の関心を逸らした。

シェリルの徒党を使った大量運搬とギューバの暗躍

アキラは、一人で遺物を何度も運び出すリスクを減らすため、シェリルが率いるスラム徒党の子供たちを動員して一気に遺物を回収する計画を立てた。

・シェリルはナラハガカ都市への物資輸送という名目で輸送車両をレンタルし、公式履歴を偽装した上で深夜の荒野を迂回して遺跡へ向かった。
・子供たちは段ボール箱やリュックいっぱいの遺物を搬出し、トラック半分の大量の遺物回収に成功した。
・しかし、この動向が付近で作業していたハンターのデイルやギューバの注意を引くこととなった。
・作業終了後、アキラはCWH対物突撃銃の射撃と強化服の蹴りで近くのビルを倒壊させ、出入口を完全に埋め戻した。
・だが、ギューバは情報屋ヴィオラから確定情報を購入し、瓦礫の山の下にヨノズカ駅遺跡が存在することを突き止めた。

遺跡情報の錯綜、ドランカムの若手による占拠、モンスターの大襲撃

ギューバはシェリルを拷問にかけて情報を吐かせようとしたが、追跡してきたアキラによって返り討ちに遭い射殺された。

・情報屋ヴィオラはミズハら複数のハンターに遺跡情報を先着順と煽って流し、意図的に争奪戦を誘発させた。
・短慮な者と慎重な者で情報伝達を偏らせた結果、余裕のない者たちが先行して殺到する無法地帯が形成された。
・ドランカムの若手ハンターたちが大型重機で出入口を占拠したため、反発した個人ハンター達が敵寄せ機やモンスター誘引装置を設置した。
・競合した敵寄せにより膨大な数のモンスターが一斉に掻き集められ、逃げ場を失ったハンターとモンスターが同時に遺跡内部へとなだれ込んだ。

ヨノズカ駅の活性化とカツヤの暴走、アキラの救出劇

戦闘の拡大により地下深くの巨大トンネル部分で旧世界の管理人格が活性化し、準活性状態としてシステムが再起動した。

・隔壁が開き強力なモンスターが湧き出すとともに、球形の警備機械が人間をも排除対象として攻撃を開始した。
・カツヤは未契約の旧世界の少女(幽霊)から無意識下に脳内誘導を受け、自身の異常な好調さを才能と誤認して単身で激戦のトンネルへ強行突入した。
・乗降場で少女との接続が切れると途端に立ち往生したが、追ってきたアキラがアルファのサポートを駆使して最深部へ突入し、大型獣の頭部を狙撃してカツヤを救出した。
・アキラがミニガンで周囲を制圧する中、ユミナがカツヤを連れ戻し、アキラから譲られた200万オーラム相当の高性能回復薬で傷を治した。
・その後、遺跡北側の激戦区で大規模な地盤崩落が発生し、カツヤ達がモンスターの巣窟へ落下する事態となったが、アキラ、エレナ、サラが急行し、全員を無事に引き上げた。

まとめ

ヨノズカ駅遺跡の探索と狂乱を巡る一連の全貌は、アキラ単独での初期探索と隠蔽から始まり、エレナ・サラとの再探索における商品棚カモフラージュ工作、スラムの子供たちを動員した大量搬出とギューバの影、ヴィオラによる情報操作とドランカムの占拠に伴う敵寄せの暴走、そして地下システムの準活性化とカツヤの暴走、アキラたちによる命懸けの救出劇に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
旧世界の遺産や人間の欲望、情報屋の悪意という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、圧倒的戦闘能力の行使と仲間との深い絆の記録である。
遺跡の発見から、情報の管理、大量回収、情報の錯綜、システムの活性化、そして絶体絶命の救出劇へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

アキラの装備と成長

新装備の導入とアキラの急成長の全貌

アキラが新装備を整えてハンター稼業を再開し、それに伴って遂げた装備の劇的な強化と、実戦や訓練を通じた目覚ましい成長について解説する。前巻までの過酷な死闘を乗り越え、アキラはこれまでにない強力な装備と自前の移動手段を手に入れたことで、ハンターとしての地力を急速に開花させている。8000万オーラムの新装備一式、技術的・肉体的な自立への成長、および精神面の緩やかな成長の各点から解説する。

8000万オーラムの新装備一式

アキラはクズスハラ街遺跡での功績を都市へ売却して得た1億6000万オーラムのうち、実に8000万オーラムを投じてシズカの店から新たな装備一式を購入した。

・荒野仕様四輪駆動車「テロス7式」:多津森重工製の中古車両で、荒野の過酷な道を走破する高い能力を備えている。車体には衝撃に反応して力場装甲(フォースフィールドアーマー)を発生させる装甲タイルが貼られており、後部の荷台には強化服なしでも使用可能なCWH対物突撃銃とDVTSミニガンの銃座が設置されている。自前の車を得たことで、レンタル車の位置情報記録から未発見の遺跡の場所を他者に知られるリスクを完全に排除できるようになった。
・統合型強化服「パワードサイレンス」:ERPS総合情報収集機器統合型強化服であり、アキラにとって最も重要な装備である。人工筋肉の柔らかな布地をベースにしており、全身に設置した複数の小型情報収集端末(正多面体型)を連携させて索敵を行う。かつて有名ハンターが依頼に失敗した原因をこの強化服の不具合のせいにして酷評したために悪評が広まり、相場よりかなり安く在庫処分されていたが、性能自体はワンランク上の本物である。制御ソフトの不具合などは、アルファが裏で完全に書き換えて掌握している。
・重火器と情報端末:携帯用に拡張弾倉を組み込んだDVTSミニガン、改造部品を組み込んだA2D突撃銃、さらにテロス7式と連携して遠隔操作も可能な非常に頑丈な荒野仕様情報端末「フィアランス」2台を導入した。

技術的・肉体的な「自立」への成長

装備の恩恵もさることながら、アキラ自身の戦闘能力と状況判断力は、アルファの計算を大きく狂わせるほどの速度で向上している。

・体感時間操作の自力習得と射撃精度の向上:アキラは意識的に時間の流れを極度に引き延ばす体感時間操作の技術を自力で習得した。アルファのアシストによる精密射撃に慣れてしまったため、アキラ自身は自分の射撃はまだ自力だと大きく外れると落胆しているが、自力との差を冷静に認識できていること自体が著しい成長の証である。
・アルファのサポートなし(接続遮断)での戦闘経験:ヨノズカ駅遺跡の2度目の探索において、アキラはアルファの提案により接続が切れた状況を想定した、アルファのサポート無しでの自力探索訓練を実践した。これによって自分の索敵や動作がどれほど低下するかを身をもって知りつつ、自力で情報収集機器を調整して立ち回る能力を養っている。のちに、荒野での機械系モンスターとの遭遇戦では、体感時間操作と最小限のアシストだけで、CWH対物突撃銃の狙撃を敵の中央レンズに命中させて自力で撃破してみせた。
・シェリル救出時における単独での実戦制覇:シェリルを拉致したギューバたちとの戦闘では、アルファが本当に危険な時以外は手を出さないという方針を取り、アキラはほぼ自力での戦闘を余儀なくされた。過剰な身体能力を引き出すパワードサイレンスの出力に振り回されて動きこそ危うかったものの、体感時間操作を駆使しながらDVTSミニガンの弾幕をばら撒き、CWH対物突撃銃を的確に扱い、ケニットやベガリスという実力あるハンターを自身の目と手で狙い撃ちにして射殺している。これは、アルファの完全補助に頼り切っていた初期のアキラからは考えられない劇的な戦闘者としての自立である。

精神面の緩やかな成長

かつては誰からも信じられず、殺し合うというスラム街の極限の精神から抜け出せずにいたアキラであるが、他者のために命をかけるハンターたちの姿を見て、心のあり様にも変化が生じている。

・特にユミナから投げかけられた、盗んだ方が悪いに決まっているでしょ、というスラムの理不尽な常識を否定する真っ当な肯定の言葉は、アキラの心を路地裏から外の世界へと半歩踏み出させる大きな契機となった。
・ヨノズカ駅遺跡の陥没事故でカツヤやユミナが窮地に陥った際には、自分の利害とは関係なく、エレナやサラの意思を尊重してカツヤの救出や防衛の援護に回り、戦闘中にはカツヤと息の合った精密な連携火力まで披露している。
・アキラの成長は、アルファとの契約を果たすため、そして無意識に望んでいた何かを掴み取るために、彼を荒野の怪物にしていくと同時に、一人の人間としての精神を形作りつつあると言える。

まとめ

新装備の導入とアキラの急成長を巡る一連の全貌は、テロス7式やパワードサイレンスを含む8000万オーラムの装備導入から始まり、体感時間操作の自力体得と接続遮断環境での実戦訓練、シェリル救出戦における自力での実力者撃破に見る戦闘的自立、そしてスラムの価値観からの脱却とユミナの言葉に象徴される精神的変化に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
弱さや依存という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、圧倒的身体能力の獲得と人間的精神の成長の記録である。
新装備の調達から、自力訓練、実戦での自立、他者理解の深まり、そして真の覚醒へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

シェリルの徒党運営

シェリルの徒党における経営戦略と指導力の全貌

シェリルが率いるスラム街の弱小徒党は、アキラという強力なハンターを唯一の後ろ盾に据えることで安全を確保している。アキラとの関係維持を巡る戦略、アキラからの金銭支援と投資への昇華、アキラからの要望事業の徹底継続、ヨノズカ駅遺跡回収依頼における偽装と子供たちの統制、ギューバの凄惨な拷問に対する沈黙と忠誠、および卓越した心理戦と情報統制術の各点から解説する。

アキラとの関係維持を巡る戦略

アキラが8000万オーラムを投じて手に入れた強力な新装備でスラムの拠点に現れた際、シェリルはアキラを大々的に出迎えて周囲にその力をアピールした。

・これはアキラの健在ぶりを他の徒党に見せつけることで、余計な手出しを防ぐための高度な威嚇行為である。
・シェリルはアキラに切り捨てられることを極度に恐れており、彼との関係を維持することを徒党の最優先事項として運営していた。

アキラからの金銭支援と「投資」への昇華

高級衣料品店ラファントーラでの買い物において、アキラはシェリルの靴や、旧世界製の服の仕立て直し代として計250万オーラムもの大金を支払った。

・シェリルはアキラからのこの莫大な金銭支援を、単なる好意ではなく、自身の徒党に対する投資や借りとして受け止めている。
・借り(投資額)が積み重なるほど、アキラ側も投資への見返りを期待するため、自分たちを簡単には見捨てられなくなるという計算がそこにはあった。
・結果として、シェリルは自らさらなる負債(借り)を積極的に受け入れ、アキラとの繋がりをより強固なものに構築する戦略を選んだ。

アキラからの要望事業の徹底継続

アキラへの恩返しとして、シェリルはアキラから頼まれたスラムの子供たちに真っ当な食事を与え、読み書きを教えるという事業を全力で行っている。

・この教育や食事の提供はとにかく資金を消耗する活動であり、回収の見込みがないため、通常の徒党運営としては大きな赤字事業であった。
・さらに、その恵まれた環境を聞きつけた他の孤児たちが次々と徒党に加入し、運営費用はさらに膨んでいく。
・それでもシェリルにとってアキラの要望を満たすことは自らの存在意義であり、アキラとの信頼関係を守るための唯一の貢献策として、この赤字事業を徹底して継続していた。

ヨノズカ駅遺跡回収依頼における偽装と子供たちの統制

アキラからヨノズカ駅遺跡の遺物回収の手伝い(下請け)を求められた際、シェリルは遺跡の存在を隠蔽するため、極めて周到な偽装工作を施した。

・彼女は仕入れ業者とあえて価格交渉で揉め、普通のトレーラーを使ってナラハガカ都市まで往復するよう条件を誘導し、移動ログが残らない一般車両を巧みに調達することに成功する。
・さらに、アキラを輸送の護衛として正式に雇う依頼書を出すことで、ハンターオフィスの個人ページに虚偽の公式履歴を残した。
・現地では、遺跡に入るのを恐れて動かない子供たちに対し、シェリルは「働かないなら全員ここに置き去りにする。装備(アキラからの借り物)を置いていけ。持って帰ればアキラから盗んだとみなす」と言い放ち、アキラの名前を使って子供たちを冷酷に支配・統率している。
・この厳格な統率力により、一晩でトラック半分にも及ぶ大量の遺物を無事に運び出すという偉業を成し遂げた。

ギューバの凄惨な拷問に対する沈黙と忠誠

ヨノズカ駅遺跡を狙うハンターのギューバに拉致され、遺跡の入口を吐かせるために両手の指を7本も歪にへし折られる凄惨な拷問にかけられた際も、シェリルの忠誠心は微塵も揺るがない。

・彼女は激痛と恐怖に耐えながら、ギューバの質問に対してただ知らないと黙秘し続け、アキラを裏切ることを断固として拒絶した。
・シェリルにとって、アキラを裏切って遺跡の情報を漏らすことは、アキラとの繋がりを永久に失うことを意味していたのだ。
・結果として、彼女は肉体的な苦痛よりもアキラに縁を切られる恐怖に打ち勝ち、アキラが救出に現れるまで秘密を守り抜くことに成功した。

卓越した心理戦と情報統制術

シェリルは、スラム街の集団生活で磨き上げた「相手のわずかな反応や無自覚の返答から、相手の本心や望みを探り当てる技術」を用いて、強力な交渉力を発揮する。

・仕立て服の完成を待つ間、彼女はこの会話術をドランカムの若手リーダーであるカツヤに対して実践し、彼の機嫌を巧みに取って彼が気持ちよく話せるようにのめり込ませた。
・また、アキラが自分に服を選んでくれた事実やアキラとの関係性を詮索された際には、巧みに秘密を作り出して煙に巻き、アキラを守るための情報統制を完璧にこなしている。

まとめ

シェリルの徒党における経営戦略と指導力を巡る一連の全貌は、アキラの威光を利用した他勢力への威嚇と後方支援の獲得から始まり、250万オーラムの服飾費を自ら負債(借り)として組み込む絶対的関係性の構築、赤字事業である孤児への食事・教育の徹底継続、ヨノズカ駅遺跡回収時の一般車両ログ偽装とアキラの威光を用いた子供たちの冷酷な統率、ギューバによる指7本骨折拷問への沈黙と救出待ち、そして対人心理術による情報防衛と指導者としての覚醒に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
弱者という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、圧倒的知略の行使と命懸けの忠誠の記録である。
威嚇の演出から、負債の受容、赤字事業の維持、偽装工作、拷問の完耐、そして情報統制への昇華へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

カツヤとの確執と協力

ヨノズカ駅遺跡におけるアキラとカツヤの確執と共闘の全貌

ヨノズカ駅遺跡を舞台にしたアキラとカツヤの確執と協力は、彼らの旧世界に関わる能力の対比と、激しく反発しながらも互いの実力を認めざるを得ない複雑なライバル関係を色濃く描き出している。確執における拭えぬ不信感と和解へのアプローチ、第一の協力である遺跡深部でのカツヤ救出劇、第二の協力である陥没地帯での不気味なほどの精密連携の各点から解説する。

確執:拭えぬ不信感と和解へのアプローチ

アキラとカツヤの間には、以前のスラム街でのルシアを巡るスリ事件や、クズスハラ街遺跡地下街での戦闘による深い不信感が横たわっていた。

・特にカツヤは、地下街での命がけの衝突がドランカムや都市の政治的都合によって何もなかったこと(隠蔽)として処理されたことに強い不満を抱き、アキラへの対抗心を燻らせていた。
・こうした衝突を再び起こさせないため、カツヤの幼馴染であるユミナが仲裁に動いた。ユミナはアキラとカフェで対面し、過去の理不尽なトラブルについて話し合ってお互いに謝罪を交わし、関係の緊張を緩和させた。
・また、アキラを後ろ盾とするスラムの少女シェリルも、高級服を着こなしてアキラより上の立場の取引相手を演じる小芝居を打つことで、カツヤにアキラからシェリルを守る必要はないと判断させ、不要な衝突を未然に回避する立ち回りを見せている。

第一の協力:遺跡深部でのカツヤ救出劇

その後、ヨノズカ駅遺跡の探索において、カツヤは未契約の旧世界の少女(幽霊)から無意識下に脳内誘導を受け、立体映像の女性のもとへ行けばユミナたちを救えるという思い込みに従って、単身で危険な巨大トンネルの乗降場へと突っ走った。

・乗降場に入った瞬間に弱い目眩を覚えて接続が切れると、それまでの絶好調が嘘のように失われ、警備機械とモンスターの群れに囲まれて立ち往生してしまった。
・絶体絶命の危機に陥ったカツヤであったが、ユミナからの懇願を受けてカツヤの捜索と援護を引き受けていたアキラが突入した。アキラはCWH対物突撃銃の専用弾でカツヤを襲おうとした巨大な獣の頭部を一撃で吹き飛ばし、カツヤの命を救った。
・アキラがDVTSミニガンで周囲のモンスターを制圧する中、ユミナがカツヤを引き摺り戻す形で何とか窮地を脱した。この際、負傷したカツヤのためにユミナはアキラから200万オーラム相当の高性能回復薬を要求した。
・プライドから代金を支払うと言い張るカツヤに対し、アキラは代金はいいから、後で同じ物を買って返せと平然と言い放ち、カツヤの反発を封じるという皮肉なやり取りも描かれている。

第二の協力:陥没地帯での不気味なほどの精密連携

彼らの関係が大きく変化するのは、ヨノズカ駅遺跡の北側で発生した地盤陥没事故の際である。

・ユミナとアイリが崩落に巻き込まれて地下のモンスターの巣窟に落下してしまい、カツヤは自分だけでも逃げろという才能(システム)の警告を振り切って、自ら崩落現場へ飛び込んだ。
・この窮地に、アルファから情報を得たアキラがエレナやサラを引き連れて救援に駆けつけた。サラがユミナとアイリを地上へ引き上げる間、アキラとカツヤは地下に残りに背中を合わせて迫り来るモンスターの群れを迎撃することとなった。
・この時、二人は目配せや合図すら一切ないにもかかわらず、気味が悪いほど精密で的確な連携戦闘を展開した。カツヤはアキラの動きを完璧に察知し、アキラが後回しにした敵の処理を補い、頭上から襲いかかる個体を即座に撃ち落とすなど、全体の火力を最大効率化させた。
・自力でアルファのサポートを受けている自分と同等の戦闘判断をこなすカツヤに対し、アキラは何なんだこいつ、凄すぎると驚愕し、カツヤ自身もアキラの実力を認めざるを得なくなる。
・戦いの後、カツヤはこれまでの非礼を詫び、アキラに礼を言おうと試みたが、複雑な過去のせいで口が重くなってしまった。アキラはその様子を戦闘の疲労と誤解し、きついなら休んでていい、ここは俺だけでいいと余計な一言を投げかけたため、カツヤは再び意地になって苛烈に戦い始めるという、どこまでも噛み合わない二人らしい姿が描かれた。
・最終的には、迎えに来たサラに安全のためと強引に密着して抱きつかされた状態で地上に引き上げられ、二人して気恥ずかしそうに顔を赤くしながらエレナの車に乗り込むという、どこか微笑ましい幕引きを迎えている。

まとめ

アキラとカツヤの確執と協力を巡る一連の全貌は、スリ事件や地下街隠蔽に起因する不信感に対し、ユミナの仲裁とシェリルの小芝居による緊張緩和から始まり、旧世界の少女に誘導されたカツヤの遭難とアキラによる対物弾頭部粉砕救援、地盤陥没事故における目配せ無しの気味が悪いほど精密な連携戦闘、そして互いの実力への驚愕と意地の張り合いによる噛み合わなさ、さらにはサラによる抱き上げ回収に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
過去の遺恨や旧世界システムの交錯という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、圧倒的戦闘能力の相互認識と魂の共闘の記録である。
確執の発生から、仲裁の受容、遭難の救援、陥没での共闘、そして気まずい和解へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

情報屋ヴィオラの暗躍

情報屋ヴィオラの暗躍と情報操作の全貌

ヨノズカ駅遺跡を巡る一連の狂乱において、その裏で糸を引いていた「情報屋ヴィオラ」の暗躍は、本作における情報操作の恐ろしさと、彼女の持つ底知れない邪悪さを象徴している。彼女は単なる金銭的利益のために動く情報屋ではない。自身の流した情報によって人々が惑わされ、対立し、時に命を落とす大混乱へと発展していく過程を、安全な特等席から眺めて楽しむ極めて享楽的で質の悪い人物である。ギューバの破滅とシェリル拉致の引き金、作為に満ちた情報操作による秩序の破壊、敵寄せの同時起動による大惨厄の演出、および徹底した責任の回避と冷酷な享楽主義の各点から解説する。

ギューバの破滅とシェリル拉致の引き金

ヴィオラの暗躍は、借金返済に焦るハンター・ギューバに情報を売り込んだことから始まった。

・彼女はアキラがスラムの子供たちを雇って遺物収集を行っている確定情報をギューバに流した。
・「子供でも入れるほど低難度で、人手が欲しくなるほど遺物が眠っている場所がある」という彼女の言葉は、ギューバの物欲を過剰に刺激した。
・ギューバはこれが未発見の遺跡(ヨノズカ駅遺跡)であることを突き止め、一獲千金を狙ってシェリルの拉致拷問事件を引き起こすこととなった。
・結果としてギューバたちはアキラに返り討ちにされて全滅するが、事後に死体回収を行ったハンターのコルベから「アキラの強さを確かめるための差し金だったのではないか」と追及されても、ヴィオラはのらりくらりとはぐらかし、己の関与を絶対に認めなかった。

作為に満ちた「情報操作」による秩序の破壊

ギューバが死亡すると、ヴィオラはさらに大きなゲームを開始した。

・彼女はドランカムのミズハや個人ハンターのオルソフなど、多数のハンターにヨノズカ駅遺跡の情報を先着順と煽り立てて一斉にばらまいた。
・この際、彼女が流した情報は極めて作為的で、受け手の性格や立場に合わせて意図的に偏らされていた。
・短慮で余裕のない者に対しては、早く行かなければ先を越されて全て奪われるから急げ、と煽った。
・慎重で実力のある者に対しては、準備を整えてからでないと危険だから急ぐな、と引き留めた。
・この情報操作により、遺跡へ向かうハンターたちは「先行派(短慮な者)」と「後発派(慎重な者)」に完璧に二分された。
・その結果、実力も余裕もないハンターたちだけが先行して遺跡に殺到し、秩序をもたらす強力な者たちの到着が遅れることで、現地はルール無用の無法地帯へとコントロールされた。

「敵寄せ」の同時起動による大惨厄の演出

ヴィオラの企みのうち、最も悪質で多くの死者を出したのが敵寄せ機を巡る誘導である。

・ドランカムの若手たちが重機を投入して遺跡の出入口を占拠・独占しようとした際、ヴィオラは対抗するオルソフたちに対し、自分で手を下さずにモンスターを誘き寄せてドランカムを撤退させる、という非道な解決策を提示した。
・しかし、ヴィオラはこのドランカムの独占を防ぐための敵寄せのアイデアを、オルソフ以外の複数のハンターたちにも全く同時に流していた。
・他者と繋がっていない情報を自分たちだけが独占していると錯覚したハンターたちは、それぞれが少し多めに呼び寄せようと考え、各自で敵寄せ機を起動して周囲の荒野を駆け回った。
・その結果、全方向から掻き集められたモンスターは、当初の予想を遥かに超える抗いきれないほどの大規模な群れに膨れ上がり、先行したハンターたちやドランカムの若手、さらにはオルソフたち自身をも飲み込んで大破滅させる凄惨な大惨劇を引き起こした。

徹底した責任の回避と冷酷な享楽主義

この大騒動の後、若手ハンター(A班)に多大な被害を出したドランカムの事務派閥管理職ミズハから、ヴィオラは激しい苦情の連絡を受けた。

・しかしヴィオラは、未発見の遺跡は実際に存在したのだから私の情報は正しかった、と平然と反論した。
・その上で、若手だけで成果を独占しようとしたのがあなたの失敗、最初からB班(貧困層出身)も同行させドランカム全体に情報を公開して古参の協力を仰いでいれば防げたはず、と相手の落ち度を理路整然と突きつけ、情報の精度以外の責任は一切負わないと突っぱねた。
・多くの同胞が死んだことに対しても、情報の操作だけでは不確定要素の多い遺跡で思い通りにするのは難しい私もまだまだね、と軽く自嘲するだけで全く悪びれる様子はなかった。
・彼女はミズハとの通信を切るや否や、すでに次の企みに意識を切り替え、美しくも質の悪い笑顔を浮かべていた。
・ヴィオラは、武力を持たない一人の女性でありながら、情報の価値と人間の欲を完璧に掌握し、言葉だけで強大な武装ハンターたちを破滅へと追いやる。
・アキラのような力づくの強さとは全く異なるベクトルで、この荒野の世界を支配する恐るべき怪物の姿が、彼女の暗躍を通じて不気味に描き出されている。

まとめ

情報屋ヴィオラの暗躍と情報操作を巡る一連の全貌は、ギューバへの情報売却に起因するシェリル拉致拷問と返り討ち全滅から始まり、短慮な先行派と慎重な後発派に分断させる偏向情報操作での現地無法地帯化、複数ハンターへの重複敵寄せ提示が招いた大規模モンスター群発生による大惨劇、そしてドランカム管理職ミズハからの追及に対する「情報は真実であった」とする責任回避と自嘲に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
力による支配や正面からの戦闘という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確果たる意志によって完璧に確立するに至る、情報と欲望の操作による人間破壊の記録である。
情報の提示から、分断の誘導、惨劇の引き起こし、責任の追及拒絶、そして次なる暗躍へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

リビルドワールド Ⅱ (2)〈下〉レビュー
リビルドワールド全巻まとめ
リビルドワールド III(3)〈下〉レビュー

登場キャラクター

旧世界の存在

アルファ

アキラにしか知覚できない拡張現実(AR)の女性である。
彼女はアキラを目的の場所へ案内し、戦闘を有利に進めるための強力なサポートを提供する立場にある。
彼女はアキラに自身との契約を全うさせるため、彼が他の人々を救い出すことに過度に執着しないよう注意深く管理する。

・所属組織、地位や役職
 アキラ専用のサポートAI。

・物語内での具体的な行動や成果
 アキラがヨノズカ駅遺跡を発見する契機を間接的に提供する。
 シェリルの服の着こなしをアキラに手伝わせ、アキラのファッションの確認に付き合わせた。
 シェリルの救出時には衝突位置や飛ばされる方向を計算してシェリルを無傷で保護する。
 アキラの新しい強化服を用いてビルを倒壊させ、遺跡の出入口を埋め戻した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アキラが自力で「体感時間操作」を驚異的な速度で習得したことに誤算を覚える。
 真っ白な世界でカツヤの裏にいる「少女」と対話し、アキラをカツヤの問題に巻き込ませないよう苦言を呈した。

少女

カツヤの無意識に干渉して彼を自身の望む方向へと誘導する旧世界の存在である。
彼女はアルファの対抗者としての立場を持ち、自身の選んだ「試行(カツヤ)」を重視している。
彼女はアルファと真っ白な世界で会話し、互いの個体についての状況を確認した。

・所属組織、地位や役職
 旧世界の管理人格、またはそれに準ずるシステム存在。

・物語内での具体的な行動や成果
 カツヤに対して念話で無意識に情報を送り込む。
 カツヤに「立体映像の女性のもとへ行けばユミナたちを救える」と確信させた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 自身の選定したカツヤの制御が難しいことを自覚している。
 アルファに対して「アキラがカツヤを助けたのも確率の結果」と主張した。

ハンター

アキラ

スラム出身の少年ハンターである。
彼は自分の強さがアルファのおかげであることを理解している。
そのため、常に実力不足を感じており、強くなることに固執する。
エレナやサラに対しては深い信頼を寄せており、シェリルを自身の都合で後ろ盾として支えている。

・所属組織、地位や役職
 個人ハンター。

・物語内での具体的な行動や成果
 シズカの店で8000万オーラムの新装備を整える。
 手付かずの「ヨノズカ駅遺跡」を自力で発見した。
 拷問されていたシェリルを助けるため、敵の車に正面衝突を敢行してギューバたちを殺害する。
 遺跡奥部で警備機械とモンスターに囲まれていたカツヤを救出した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 治療によって健康な体を手に入れる。
 戦闘時にアルファの直接サポートなしで、自力で体感時間操作を成功させた。
 ハンターランクが以前よりも大きく上昇している。

エレナ

アキラを気にかけ、信頼を寄せる熟練の女性ハンターである。
彼女は冷静沈着に状況を分析し、アキラに対して適切な助言や情報を提供する。
サラの治療資金を稼ぐために、時には危険な依頼を優先することもある。

・所属組織、地位や役職
 個人ハンター(サラとのチームのリーダー)。

・物語内での具体的な行動や成果
 アキラがヨノズカ駅遺跡を発見した辻褄を合わせる。
 それにより、アキラが「旧領域接続者」であると見抜いた。
 ヨノズカ駅遺跡からあえて陳列棚だけを持ち帰る偽装工作を提案する。
 遺跡内でレビンから5000万オーラムで都市までの護衛依頼を引き受けた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アキラを売り渡してサラの治療費を稼ぐ誘惑に直面したが、恩人を売る行為を拒絶する。
 アキラがチームを分けてカツヤを救出に行くことを認め、自らはレビンたちの護衛を全うした。

サラ

身体強化拡張者の熟練女性ハンターである。
彼女はエレナの相棒であり、アキラとも非常に仲が良い。
彼女はアキラが持ち帰った旧世界製の下着を喜んで引き受け、着用している。

・所属組織、地位や役職
 個人ハンター(エレナとのチームの戦闘要員)。

・物語内での具体的な行動や成果
 アキラの持ち帰ったお土産をきっかけに、彼に未発見遺跡の情報を教えてほしいと頼む。
 遺跡内で警備機械に追われるユミナを助けた。
 陥没事故でモンスターの巣窟に落とされたユミナたちを、強靭な身体能力で地上へと引き上げる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ナノマシン補助による身体能力の維持のために、旧世界製の伸縮性に富む下着を必要としている。
 アキラがカツヤの救出へ向かう際には、アキラの無さを信じて送り出した。

デイル

紹介業者に登録している生身のハンターである。
彼は不条理な仲介で負債を抱えたハンターたちのチームに臨時募集で参加した。
彼はギューバたちがスラムの少女を人質にしたことに強い反感を抱いている。

・所属組織、地位や役職
 個人ハンター。集団遺物収集作業の穴埋め臨時人員。

・物語内での具体的な行動や成果
 アキラたちのトレーラーの不審な挙挙動について、アキラと通信で会話し迂回を促す。
 ギューバがアキラに難癖をつけて100万オーラムを要求した際に、ギューバを激しく非難した。
 アキラたちに車両トラブルの牽引と護衛を提案する。
 アキラから武装解除を求められ、自身の銃を手放してアキラの車に同乗した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アキラがギューバたちを殺害した後は、死体回収部隊に同行し、事件の不穏さを語る。

オルソフ

ギューバの死後に集団遺物収集作業の新しいリーダーに任命されたハンターである。
彼はドランカムの若手たちが遺跡を占拠していることに苛立ちを覚えている。
情報屋ヴィオラから情報を買い、直接手を下さずに遺跡を再占拠する計画を立てた。

・所属組織、地位や役職
 集団遺物収集部隊のリーダー。

・物語内での具体的な行動や成果
 ドランカムの占拠を防ぐため、周囲にモンスター誘引装置(敵寄せ機)を配置した。
 他の多くのハンターたちと同じように敵寄せ機を起動する。
 その結果、想定を遥かに超えるモンスターの群れが殺到した。
 モンスターの大規模な群れから逃走を図る。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 しかし、逃げ切れずにオルソフたちの車両(バス)はモンスターに呑み込まれ、消息を絶った。

レビン

遺跡内で倉庫の扉の中に閉じ込められていたハンターである。
彼は自分のチームの生き残りを最優先する人物だ。
エレナたちに対して、安全に都市まで戻るための交渉を必死に行う。

・所属組織、地位や役職
 遺物収集チームのリーダー。

・物語内での具体的な行動や成果
 モンスターに襲われて他のハンターを見捨て、倉庫に逃げ込んで扉を閉めた。
 戦闘の余波で扉が歪んで開かなくなり、アキラとサラに扉を蹴破ってもらう。
 エレナに対して都市までの護衛を依頼し、最終的に5000万オーラムの報酬支払いを承諾した。
 正式な通信圏外の状況で、ハンターオフィスを介する緊急依頼を申し出る。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 都市に戻った後、支払能力不足を補うためにヨノズカ駅遺跡の現状の情報をクロサワに売却する。

チャレス

ヨノズカ駅遺跡の乗降場付近で旧世界の女性の立体映像に遭遇したハンターである。
彼は実力派であり、冷静な判断を下す。
カツヤに対して、立体映像が本来持つ施設案内機能についての雑談を話した。

・所属組織、地位や役職
 ハンターチームのリーダー。

・物語内での具体的な行動や成果
 遺跡奥部で突如現れた女性の立体映像に対し、即座に銃を突き付けた。
 立体映像がモンスターやハンターを攻撃する警備機械を起動したため、その場から逃走する。
 アキラとユミナに加勢され、カツヤが遺跡奥部へ向かった情報をユミナに伝えた。
 アキラから提供された詳細な地図情報と引き換えに、遺跡奥部のトンネルの場所を示すデータを渡す。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 カツヤに対して、単なる強さとは異なる「カリスマのような何か」を直感している。

クロサワ

都市と遺跡の間で物資やハンターの輸送を請け負うハンターである。
彼は非常に高い信用を得ている実力者だ。
都市への道中でエレナたちからレビンたちを引き取る。

・所属組織、地位や役職
 輸送部隊(運び屋)のリーダー。

・物語内での具体的な行動や成果
 エレナたちの車からレビンたちと回収された遺物を自身の大型トラックに積み込んだ。
 レビンからヨノズカ駅遺跡の現状の情報を高値で買い取る。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 情報が錯綜して価値が高騰していた遺跡内部の現状をいち早く入手した。

ハンター徒党「ドランカム」

カツヤ

ドランカムの若手グループを率いる少年ハンターである。
彼は周囲の仲間を救うことに強い執念を抱いている。
アキラに対しては、ルシアの一件などから拭えない不信感を抱く。
旧世界の少女から無意識に念話干渉を受け、自身の絶好調を才能だと誤認している。

・所属組織、地位や役職
 ハンター徒党「ドランカム」所属の若手ハンター。

・物語内での具体的な行動や成果
 ミズハの指示でヨノズカ駅遺跡の出入口を若手だけで占拠する。
 モンスターの大規模な襲撃の際、自分の指示で多くの若手ハンターを失った。
 ユミナを救うため、警告を無視して警備ロボとモンスターが交戦するトンネルへ単身で突入し、立ち往生する。
 陥没事故でモンスターの巣窟に落とされた際、アキラと背中を合わせて息の合った精密な連携戦闘を展開した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 仲間の死を契機に戦闘才能を飛躍させるが、周囲との連携が崩壊していく。
 アキラに命を救われ、200万オーラム相当の高性能回復薬を借りる形になった。

ユミナ

ドランカムに所属する少女ハンターである。
彼女はカツヤの幼馴染であり、カツヤの無謀な行動を抑制する。
アキラの異常な強さと本質を正確に理解しており、彼との衝突を避けるよう努める。

・所属組織、地位や役職
 ハンター徒党「ドランカム」所属のハンター。

・物語内での具体的な行動や成果
 アキラとカフェで会談し、ルシア事件についての和解を持ちかけた。
 遺跡内で警備機械に追われ、通路が閉鎖されて孤立したが、アキラたちに救助される。
 カツヤを助けるため、アキラに同行を願い出て遺跡奥部へと向かった。
 陥没事故で落下し、アキラとエレナたちの救援で地上へ引き上げられる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アキラから提供された200万オーラム相当の回復薬により、右腕の負傷を完治させる。
 アキラに対して借りを背負い、その返済をカツヤに促した。

アイリ

ドランカムに所属する若手の少女ハンターである。
彼女はカツヤを慕う一方、冷静に組織や状況を分析する。
買い物の際、カツヤをナンパするシェリルの挙動を観察していた。

・所属組織、地位や役職
 ハンター徒党「ドランカム」所属のハンター。

・物語内での具体的な行動や成果
 ヨノズカ駅遺跡の出入口の占拠が、ドランカム全体ではなく若手(事務派閥)の独断であることをアイリは見抜いた。
 捜索に出たカツヤの指示に従い、簡易拠点で他の若手たちが勝手に行動しないよう見張りを行う。
 陥没事故でユミナと共に地下に落下し、押し寄せるモンスターを迎撃した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 サラたちによってロープで地上に引き上げられ、無事に救出される。

ミズハ

ドランカムの幹部で、カツヤの上司である。
彼女はドランカム内部の若手(事務派閥)を強く推す。
情報屋ヴィオラからヨノズカ駅遺跡の情報を買い、若手だけで成果を独占しようと画策した。

・所属組織、地位や役職
 ハンター徒党「ドランカム」の幹部、事務派閥の管理職。

・物語内での具体的な行動や成果
 カツヤたちにヨノズカ駅遺跡の占拠を指示し、大型重機を手配した。
 結果として多数の若手ハンター(A班)を失う大不祥事を引き起こす。
 ヴィオラに対して猛烈な抗議を行うが、自身の不手際を突き付けられて突っぱねられる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 古参幹部に情報を隠して功績を独占しようとしたことで、ドランカム内部の派閥対立を悪化させた。

スラム街の徒党(シェリルの徒党)

シェリル

アキラを後ろ盾とする弱小徒党の少女ボスである。
彼女はアキラから切り捨てられることを極度に恐れている。
そのため、アキラを惹きつけるための努力や、徒党の発展に執念を燃やす。
アキラに対して絶対の信頼と強い好意を抱く。

・所属組織、地位や役職
 シェリルの徒党のボス。

・物語内での具体的な行動や成果
 アキラに連れられ高級店「ラファントーラ」で仕立て直しの高級服を購入してもらう。
 ヨノズカ駅遺跡を隠蔽するための緻密な偽装輸送計画を実行した。
 ギューバに拉致され、両手の指を7本折られる拷問を受けたが、アキラの情報を一切漏らさずに耐える。
 救出後はアキラから与えられた高額な回復薬で完治する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 スラムの弱小徒党のボスを超えて、一流の交渉相手に相応しい気品と知略を開花させた。
 アキラが自分のために250万オーラムもの資金を支払った事実を、強力な投資(繋がり)として捉えている。

エリオ

シェリルの徒党で幹部扱いを受けている少年である。
彼はアキラに喧嘩を売って殺されかけた過去を持つ。
現在はアキラの実力を最もよく理解する見張り役として活動する。
アリシアに対して強い好意を寄せている。

・所属組織、地位や役職
 シェリルの徒党の幹部、武力要員のリーダー。

・物語内での具体的な行動や成果
 ラファントーラで恋人のアリシアのために必死に服を選ぶ。
 シェリルの指示で、ヨノズカ駅遺跡の位置を子供たちに推察させない迂回運転の護衛を行った。
 ギューバたちが拠点に侵入した際、アキラにシェリル拉致の緊急連絡を素早く送る。
 アキラがビルを蹴りで倒壊させた光景を目の当たりにし、アキラの異常な強さに改めて怯えを覚えた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アキラに殺されかけた過去がありながらも、現在は幹部としての自覚を強めている。

ルシア

天性のスリの才能を持つスラム街の少女である。
彼女はかつてアキラから財布を盗んだことが露見し、アキラに命を狙われた。
現在はアキラへの借りを返すため、新入りとして働かされている。

・所属組織、地位や役職
 シェリルの徒党の新入り構成員。

・物語内での具体的な行動や成果
 ナーシャと共に、縄張りの清掃として放置された死体を荒野に捨てる仕事を続ける。
 アキラの車に拾われて拠点へ送られた際、怯えてナーシャの背後に隠れた。
 深夜、ヨノズカ駅遺跡からの大量遺物の搬出作業に、ナーシャに手を引かれて参加する。
 アキラから「借りは返してもらった」と公認された。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 これにより、徒党内での過酷な冷遇から解放され、今後は普通に扱われる地位になる。

ナーシャ

シェリルの徒党で古参に属する少女である。
彼女は親友のルシアを庇ったために自身の地位を落とされた。
ルシアを深く気遣い、彼女を守るためなら自分が犠牲になる覚悟を持つ。

・所属組織、地位や役職
 シェリルの徒党の構成員(のちに幹部に復帰)。

・物語内での具体的な行動や成果
 ルシアと共に過酷な死体運びの仕事を押し付けられていた。
 ヨノズカ駅遺跡の遺物収集時、誰も入ろうとしない遺跡へ、ルシアを連れて最初に足を踏み入れる。
 アキラに対して頭を下げ、今回の働きでルシアの借りを返したことにしてほしいと直訴した。
 かつては幹部手前の地位から死体運びに降格していたが、アキラへの直訴が成功する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アキラの許しを得たことで、ナーシャは徒党の幹部に無事復帰を果たした。

アリシア

シェリルの徒党の幹部格である少女である。
彼女はエリオの恋人であり、彼の行動を支える。
スラム基準ではそれなりに清潔な服を着用している。

・所属組織、地位や役職
 シェリルの徒党の幹部格。

・物語内での具体的な行動や成果
 シェリルやエリオと共に、クガマビルでアキラを待つ。
 高級店ラファントーラで、エリオが選んでくれた服を嬉しそうに着る。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 今後の徒党運営のために、より高級な身嗜みを整える機会をアキラの予算から得た。

遺物収集チーム

ギューバ

多額の負債を抱え、返済に焦るハンターである。
彼はアキラたちの不審な遺物収集現場を監視し、未発見遺跡の存在を察知した。
借金返済のために強欲になり、他者を人質に取ってでも富を独占しようとする冷酷さを持つ。

・所属組織、地位や役職
 集団遺物収集部隊のリーダー。

・物語内での具体的な行動や成果
 アキラが遺跡を完全に塞いだ後、情報屋ヴィオラから確定的情報を買い、ヨノズカ駅遺跡を確信する。
 シェリルの拠点に乗り込んで部下に子供を射殺させ、シェリルを拉致した。
 遺跡の位置や別の入口を吐かせるため、シェリルの指を7本へし折る拷問をかける。
 追撃してきたアキラによって車両ごと正面衝突を喰らう。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 その直後にアキラに襲いかかろうとしたが、ベガリスやケニットと共に射殺された。

コルベ

借金持ちのハンターたちの実質的な監視役を務めるハンターである。
彼はギューバに対して、返済期限が迫っていることを冷酷に警告する。
ギューバがアキラに手を出して全滅した後は、死体の回収と事後処理を冷徹に行った。

・所属組織、地位や役職
 集団遺物収集部隊の監視役(仲介側の責任者)。

・物語内での具体的な行動や成果
 アキラたちの不審な挙動にギューバが気付いた際、次の遺物収集の場所を早く決めるよう指示する。
 ギューバの死後、彼らの死体を回収した。
 情報屋ヴィオラに連絡を取り、ギューバに行動を促した件やアキラの実力を確認させた目的を追求する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ヴィオラの策略に苛立ちながらも、未発見遺跡(ヨノズカ駅遺跡)の価値について自分でも考え込んでしまう。

ベガリス

フルフェイスのヘルメットを着用したハンターである。
彼はギューバの協力者としてシェリル拉致に同行した。
アキラの襲撃時にも無傷で生き残るが、敵対を継続する。

・所属組織、地位や役職
 ギューバの協力者。

・物語内での具体的な行動や成果
 シェリルを拷問するギューバの傍らで、アキラというハンターが遺跡を発見したのかとシェリルを尋問した。
 アキラの突撃後、受け身を取って無傷でアキラの殺害を試みる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アキラによってその場で射殺された。

ケニット

顔の右半分を機械化しているハンターである。
彼はギューバの協力者としてシェリル拉致を実行した。
アキラとの戦闘において、アキラの奇妙な挙動に困惑する。

・所属組織、地位や役職
 ギューバの協力者。

・物語内での具体的な行動や成果
 シェリル拉致の際、抵抗しようとした徒党の少年を容赦なく射殺した。
 アキラの車両が正面衝突を仕掛けてきた際、車外へ飛び出す。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アキラを殺害しようとしたが、返り討ちに遭って射殺された。

商人・店舗

シズカ

アキラを暖かく見守る武器・装備店の女性店主である。
彼女はアキラの命を救うため、高性能な新装備を安価に整えるよう尽力した。
アキラが女性用下着の遺物を持ち込んだアクシデントの際には、少し恥ずかしそうにしていた。

・所属組織、地位や役職
 武器・装備店「静」の店主。

・物語内での具体的な行動や成果
 アキラに荒野仕様車テロス7式と、強化服パワードサイレンスを手配する。
 お土産としてアキラが誤って持ち込んだ女性用下着の処理に慌てた。
 アキラが車両を歪めて修理に持ち込んだ際、無茶な行動を注意しつつ優しく見守る。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アキラに対して特別な感情や心配を抱いており、彼が急激に稼ぐハンターに成り上がる様子を静かに支えている。

カツラギ

大型トレーラーを駆使して活動する武器商人である。
彼はアキラとの高額取引を通じて莫大な利益を得ようとする。
シェリルの交渉技術や商才を高く評価している。

・所属組織、地位や役職
 移動武器店舗の店主。

・物語内での具体的な行動や成果
 ヨノズカ駅遺跡でアキラが収集した遺物の一部を220万オーラムで買い取った。
 シェリルの「ホットサンド販売計画」のために、自身の大型トレーラーの一部を間貸しする。
 シェリルの拠点から彼女が拉致された際、その交渉や説明のために拠点へ駆けつけ、対応に動いた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 シェリルたちとの共同ビジネスを現地で手伝う信頼性の高い取引相手である。

カシェア

クガマヤマ都市の下位区画で高級店を営む女性店主である。
彼女は売上の向上に熱心であり、金払いの一時的なハンターを上客として逃さないよう努める。
アキラの支払能力の高さに驚愕し、彼を極上の顧客として扱った。

・所属組織、地位や役職
 高級衣料品店「ラファントーラ」の店長。

・物語内での具体的な行動や成果
 シェリルの靴選びの予算が100万オーラムを超えそうだと聞き、高価格帯の商品の接客を熱心に行う。
 妹セレンの仕立て直しの腕を自信を持ってお勧めした。
 アキラに対して全額前払いで150万オーラムの仕立て代を請求し、承諾を得る。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アキラの装備一式の価格が8000万オーラムだと聞き、稼ぐハンターの桁違いの金銭感覚に驚愕した。

セレン

カシェアの妹であり、服の仕立て直しを担当する職人である。
彼女は妥協を許さない職人気質であり、元の服の質に釣り合う仕立てを提案する。
シェリルの旧世界製の服のデザインを見抜き、仕立て直しの仕事に興奮を覚えた。

・所属組織、地位や役職
 高級衣料品店「ラファントーラ」の仕立て担当職人。

・物語内での具体的な行動や成果
 シェリルの服が旧世界製の遺物であることに気付き、サイズ調整ではなく本格的な仕立て直しを推奨する。
 アキラが150万オーラムを即決で支払ったため、作業に全力を注いだ。
 アキラが持ち込んだ衣類系遺物の一部をデザイン素材として組み込む提案を行う。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 複数の旧世界製の服を素材にしてシェリル専用の奇跡的な高級仕立て服を完成させた。

ダリス

カツラギの相棒であり、店の店員兼護衛を務める男である。
彼はシェリルたちの無謀とも言える荒野への出発を心配している。
カツラギに頼まれて、シェリルたちの輸送用トレーラーを深夜のスラム街外れまで運んだ。

・所属組織、地位や役職
 カツラギの店の店員兼護衛。

・物語内での具体的な行動や成果
 深夜、シェリルたちにトレーラーを引き渡し、ダリス自身は徒歩で都市の下位区画へ戻った。
 アキラの健在を確認し、彼が護衛に同行することを知って安堵の笑みを浮かべる。
 アキラに対して「トレーラーの荷台は薄いから防御を期待するな」と忠告した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 カツラギとシェリルたちとの共同ビジネスを現地で手伝う信頼性の高い相棒である。

情報屋

ヴィオラ

クガマヤマ都市で暗躍する極めて質の悪い女性情報屋である。
彼女は流した情報が引き起こす大混乱や争奪戦を面白がって楽しむ享楽的な性格を持つ。
多数のハンターにヨノズカ駅遺跡の存在をばらまき、情報の波を作り出した。

・所属組織、地位や役職
 情報屋。

・物語内での具体的な行動や成果
 アキラが遺跡を完全に塞いだ不審な挙動の情報をギューバに流す。
 ドランカムのミズハや、個人ハンターのオルソフにヨノズカ駅遺跡の情報を「先着順」と煽って売り込んだ。
 オルソフたちに「ドランカムの独占を防ぐために敵寄せ機を使う」という解決策を同時に複数箇所へ流す。
 彼女の意図的な情報操作により、遺跡の周辺は全方向からモンスターが殺到する凄惨な戦場へと変貌を遂げた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 若手に多大な被害を出したミズハからの抗議に対し、相手の判断の甘さを冷静に突きつけて責任を回避する。

建国主義者

ネルゴ

ヨノズカ駅遺跡へ向かうハンターの一人である。
その正体は、かつてアキラと死闘を繰り広げた遺物強奪チームの「ケイン」である。
カツヤたちに恩を売ることでドランカム内部へ深く侵入する計画を立てていた。

・所属組織、地位や役職
 建国主義のテロリスト、元遺物強奪チーム。

・物語内での具体的な行動や成果
 若手ハンターたちが遺跡の占拠中にモンスターに襲われたところを救援する予定だった。
 しかし、モンスターの群れが想定を超えて膨れ上がったため、自チームの同胞を回収することに専念する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 今回は計画を断念し、ドランカムへの接触を見送って撤退を最優先した。

集団

ドランカム

クガマヤマ都市の周辺で急速に勢力を拡大しているハンターの巨大徒党である。
内部は古参の「実力派閥」と、ミズハなどの「事務派閥」に分かれ、若手ハンターの報酬配分や処遇を巡って軋轢が絶えない。
ミズハの指示により、ヨノズカ駅遺跡の占拠を若手ハンターたちのみで強行した。

・所属組織、地位や役職
 ハンター徒党。

・物語内での具体的な行動や成果
 ヨノズカ駅遺跡の出入口を大型重機で占拠し、他者への牽制を行う。
 敵寄せ機で呼び寄せられた大量のモンスターの群れに襲撃され、甚大な被害を出した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 若手主力のA班の多くを失う大不祥事に見舞われた。

シェリルの徒党

アキラを唯一の強力な後ろ盾とするスラム街の弱小組織である。
アキラの威光により、他の徒党からの手出しを防いで安全を確保している。
アキラから譲り受けた資金や回復薬、指示された「教育や食事の提供」を最優先で実行している。

・所属組織、地位や役職
 スラム街の徒党。

・物語内での具体的な行動や成果
 深夜、アキラの指導のもとヨノズカ駅遺跡にトラックで突入し、一晩で大量の遺物を運び出した。
 アキラから財布を盗んだルシアとナーシャを、今回の働きをもって普通に扱う決定を下す。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ホットサンドの販売と遺物売却の成功により、スラム内での噂が広がり、加入希望者が急増している。

集団遺物収集部隊

多額の借金返済に焦るハンターたちを合同で動員して組織された部隊である。
ギューバが死亡した後はオルソフが新たなリーダーに任命された。
彼らは何としても高額な遺物を持ち帰り、借金の利息だけでも支払おうと必死に活動している。

・所属組織、地位や役職
 臨時編成の合同ハンター部隊。

・物語内での具体的な行動や成果
 ヨノズカ駅遺跡周辺で遺物収集を狙い、ドランカムの独占に対抗する。
 ヴィオラの情報に乗せられて敵寄せ機を起動した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 オルソフたちの車両(バス)を含め、殺到したモンスターの凄まじい群れに呑み込まれて全滅した。

クロサワの輸送部隊

クロサワが率いる信頼性の高いハンターたちの輸送(運び屋)グループである。
彼らは安全かつ確実に遺跡から都市へとハンターや遺物を届ける。
ヨノズカ駅遺跡の情報をエレナたちから教えてもらったレビンから買い取る。

・所属組織、地位や役職
 輸送専門のハンターチーム。

・物語内での具体的な行動や成果
 大型トラックと護衛車両を駆使し、レビンたちの身柄と遺物を引き取って都市へ輸送した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 情報の混乱していた時期に、貴重な遺跡の現状情報を他者よりも早く入手することに成功する。

チャレスのチーム

チャレスが率いる実力あるハンターのグループである。
彼らはヨノズカ駅遺跡の深部を調査し、巨大な筒状トンネル(ヨノズカ駅の乗降場)に最初に到達した。
そこで遭遇した旧世界の女性の立体映像の現状をカツヤに詳しく話した。

・所属組織、地位や役職
 ハンターチーム。

・物語内での具体的な行動や成果
 乗降場にて起動した球形の警備機械に襲われ、一体を破壊したのち全力で逃走した。
 遺跡内でモンスターと戦っている際にアキラたちに加勢される。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アキラが提供した詳細な地図と引き換えに、遺跡奥部の重要なデータを引き渡した。

ドランカムの若手部隊(A班)

カツヤを中心とし、ドランカムの若手ハンターだけで構成された部隊である。
彼らは装備が良く優秀とされているが、経験不足を古参ハンターから指摘されている。
ミズハの指示により、古参に内緒でヨノズカ駅遺跡の占拠を強行した。

・所属組織、地位や役職
 ハンター徒党「ドランカム」の若手主力部隊。

・物語内での具体的な行動や成果
 大型重機を用いてヨノズカ駅遺跡の瓦礫撤去と占拠を進める。
 敵寄せ機によって周囲を囲むように呼び寄せられた大規模なモンスターの猛攻を受けた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 戦闘の結果、多くの仲間が死亡し、部隊として壊滅的な打撃を受ける。

ドランカム of 事務派閥

ミズハら管理職が主導し、ドランカム内部で若手の育成と地位向上を推し進める派閥である。
彼らは自分たちの権力増大のために、若手に多額の予算や新装備を与えて戦果を急がせている。
ヨノズカ駅遺跡の存在を若手の功績として独占しようと企んだ。

・所属組織、地位や役職
 ハンター徒党「ドランカム」の内部派閥。

・物語内での具体的な行動や成果
 古参派閥に情報を隠してカツヤたちを遺跡の占拠に派遣する。
 不祥事の隠蔽工作や、若手の育成アピールを政治的に活用した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 結果としてカツヤたちA班に甚大な不祥事級の被害を出した。

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展開まとめ

第70話 埋もれた遺跡 

叶えたスラム街の夢

アキラはスラム街から抜け出すためにハンターとなり、クズスハラ街遺跡でアルファと出会った。アルファの依頼を引き受け、その報酬の前払いとして強力なサポートを受けたことで、短期間で都市から名指しの依頼を受けるほどに成長した。

その結果、真面な服を着て、ちゃんとした物を食べ、安全な部屋で眠るという、路地裏で暮らしていた頃の望みを叶えた。しかし精神は長くスラム街に残ったままであり、他者を信じられず、何かあれば自分が悪いとされる世界観から抜け出せていなかった。

それでもハンター稼業を通じて他者のために命を懸ける者達を知り、ユミナから盗んだ方が悪いに決まっていると言われたことで、その精神は初めて路地裏の外へわずかに踏み出した。

一億六千万オーラムの行方

アキラは地下街での戦歴を都市へ売却して1億6000万オーラムを得たが、治療費に6000万、新装備に8000万、高性能な回復薬に1000万を使っていた。

いずれも今後ハンターを続けるために必要な支出だったが、巨額の金を続けて扱ったことで、かつて20万オーラムにも慌てていた金銭感覚は大きく変わっていた。

シズカの店の安心

新装備を受け取るためシズカの店を訪れたアキラは、シズカがカウンターを離れることに盗難の心配をした。シズカは商品が固定され、監視カメラや警備会社、保険まで整っているため問題ないと説明した。

アキラの心配がスラム街での経験から来ていると察したシズカは、アキラを大口の常連予定客として優遇するのも経営判断だと笑った。アキラはその気遣いを受けて心配をやめた。

テロス7式と重火器

倉庫にはアキラの新装備一式と共に、中古の荒野仕様四輪駆動車テロス7式が用意されていた。車体には装甲タイルや索敵兼制御装置が備わり、後部にはCWH対物突撃銃とDVTSミニガンの銃座が設置されていた。

AAH突撃銃とA2D突撃銃用の改造部品、頑丈な荒野仕様情報端末フィアランス2台も揃えられていた。車を含めた全てが8000万オーラムの予算内に収まっており、アキラは自分の車を持てたことを喜んだ。

パワードサイレンス

新しい強化服は、情報収集機器統合型強化服パワードサイレンスだった。小型の情報収集端末を各部へ装着し、連携させて索敵能力を高める構造になっていた。

高性能ながら安価だった理由は、発売直後に有名ハンターが依頼で失敗し、その原因を強化服の不具合として酷評したことで悪評が広がったためだった。その後、ほぼ同型の製品が問題なく売れていることから設計や性能自体には問題がないと考えられていた。

アキラは不当に低く評価された強化服に何となく親近感を抱いた。アルファも、不具合があっても自分がシステムを書き換えると告げたため、アキラは安心して使用を決めた。

新装備へのシズカの思い

アキラはシズカに手伝われてパワードサイレンスを着用し、情報収集機器やプロテクター、表示装置も装着した。シズカから似合っていると認められ、装備一式への満足を伝えた。

シズカは再び荒野へ戻るアキラを抱き締め、十分に気を付けるよう念を押した。アキラが車で去った後、シズカは自分が予想以上にアキラへ入れ込んでいることを自覚した。

今回の商談は8000万オーラムだったが、シズカが可能な限り良い装備を揃えたため利益はわずかだった。それでも今後もアキラが無事に戻り、長く店へ通うことを願っていた。

自前の車での遺跡探し

新装備を受け取って3日後、アキラは各装備の調整と試運転を終え、自前の車で未発見遺跡の探索を再開した。

目指したのは、以前リオンズテイル社の端末設置位置を示す矢印が地下を指していた瓦礫地帯だった。レンタル車両では移動記録から遺跡の場所を知られる恐れがあったが、自分の車ならその心配が減るためだった。

純白のドレス

荒野を進む間、アルファは周囲に似つかわしくない純白のドレス姿で助手席に座っていた。これは自分を認識できる人間がいた場合、確実に反応を引き出すための格好だった。

アキラは気が散ると不満を述べ、メイド服の方がましだと提案した。しかしアルファは、メイド服姿の女性が既に珍しくなくなりつつあり、将来は性能や価格次第でハンターの一般的な装備になる可能性すらあると説明した。

アキラはその仮定を聞き、自分まで含めて全員がメイド服を着た光景を想像して頭を抱えた。

瓦礫地帯の捜索

目的地に着くと、アキラは車を瓦礫の陰へ隠して迷彩シートを被せた。盗難への不安を見せたものの、アルファに促されて探索を始めた。

新しい情報収集機器で地中を探ったが、以前エレナから譲られた機器もかなり高性能だったため、索敵性能そのものには大差がなかった。アキラはその事実を知り、改めてエレナへの恩を意識した。

数時間調べても地下街への入口は見付からず、発見した地下空間も崩落したビルや駐車場ばかりだった。

ヨノズカ駅の入口

アルファから、現在の地面が旧世界では高層建築の上層階ほどの高さまで埋まった可能性を示され、アキラは瓦礫地帯の外縁部へ探索範囲を移した。

さらに1時間ほど調査すると、比較的薄い瓦礫の下から地下へ続く階段を発見した。アキラが新しい強化服の力で瓦礫を次々と退かすと、ヨノズカ駅クズスハラ方面南口A27と記された標識が現れた。

長く埋まっていた階段の奥は完全な闇に沈んでいた。未発見遺跡への期待で高揚していたアキラも、その光景を前に拳銃だけで初めて遺跡へ入った頃のような緊張を覚えた。

アルファとの接続断絶

アキラが遺跡へ入ろうとすると、アルファは自分の姿が突然見えなくなった場合、即座に全力で引き返すよう強く念を押した。

遺跡や地下では通信状態が悪化し、場合によってはアルファとの接続が完全に切れる可能性があった。その場合、アキラは全てのサポートを失うことになる。

アキラはその危険を知って足を竦ませた。アルファは探索をやめて場所の情報だけ売る選択も提示したが、アキラは意志と覚悟は自分の担当だと答えた。以前アルファに告げた言葉を守るためにも恐怖を押し切り、進むことを選んだ。

追加されたDVTSミニガン

覚悟を決めて階段を下り始めたアキラだったが、すぐに地上へ戻った。

そして車からDVTSミニガンを外し、携帯用の拡張弾倉を取り付けて装備した。AAH突撃銃、A2D突撃銃、CWH対物突撃銃に加えてミニガンまで持った重武装で、アキラは改めて地下への入口に立った。

意気込んですぐ戻ったことを自覚していたアキラは、何か言いたそうに微笑むアルファを前に少しばつが悪そうな表情を浮かべていた。

第71話 遺物売却のノウハウ 

未発見遺跡の探索

アキラはアルファの支援で短期間に実力を高め、スラム街で願っていた衣食住を手に入れていた。しかし精神は長く路地裏に残ったままであり、ユミナから盗んだ方が悪いと言われた出来事をきっかけに、その認識がわずかに変わり始めていた。

地下街での戦歴を都市へ売却して得た1億6000万オーラムの大半を治療、新装備、高性能な回復薬へ使ったアキラは、シズカから8000万オーラム分の装備一式を受け取った。

新たな装備一式

新装備には荒野仕様四輪駆動車テロス7式、CWH対物突撃銃、DVTSミニガン、AAH突撃銃とA2D突撃銃用の拡張部品、荒野仕様情報端末フィアランス2台、情報収集機器統合型強化服パワードサイレンスが含まれていた。

パワードサイレンスは発売当初の悪評によって安くなった製品だったが、性能そのものには問題がないとされていた。アルファも制御系に問題があれば自分で書き換えると告げたため、アキラは安心して使用した。

シズカは採算をぎりぎりまで削って良い装備を揃えており、アキラを抱き締めて荒野では十分注意するよう念を押した。

ヨノズカ駅遺跡

新装備を整えたアキラは、自前の車を使って以前から目を付けていた瓦礫地帯を調査した。レンタル車両と違って移動記録から場所を知られる心配が減ったため、未発見遺跡の探索を再開したのである。

数時間の調査でも入口は見付からなかったが、瓦礫によって旧世界当時の地上が深く埋まっている可能性を考え、瓦礫地帯の外縁へ調査範囲を移した。

その結果、地下へ続く階段を発見した。周辺の瓦礫からはヨノズカ駅クズスハラ方面南口A27と記された標識も見付かり、アキラ達はそこをヨノズカ駅遺跡と呼ぶことにした。

地下への覚悟

地下ではアルファとの通信が悪化し、最悪の場合は接続そのものが切れる可能性があった。アルファは自分の姿が見えなくなったら即座に地上へ戻るよう強く警告した。

その危険を知ったアキラは一度怯えたが、意志と覚悟は自分の担当だと決め、探索を続けた。ただし一度階段を下りた後、さらに備えを厚くするため地上へ戻り、DVTSミニガンまで持ち出して重武装で再び地下へ向かった。

地下遺跡の内部

地下へ続く階段は崩落も少なく、長期間埋まっていたとは思えないほど状態が良かった。アルファは情報収集機器の情報を補正し、暗闇でも周囲を明るく見せた。照準器を通せば遠方も鮮明に狙える状態だった。

地下4階ほどまで下りると長い通路へ出た。床には埃が積もっており、機械系の清掃装置や警備装置が動き続けている様子はなく、生物系モンスターや他のハンターの痕跡も見当たらなかった。

アキラは危険が少なく、誰にも発見されていない可能性が高い遺跡だと知って期待を膨らませた。

偽物の遺物

通路でアキラは高価そうな衣服や情報端末などが並ぶショウウィンドーを発見し、大量の遺物だと歓喜した。

しかし入口が見付からず、壁を壊そうとするとアルファに止められた。アルファが視界の補正を変更すると、立体的に見えていた品々から奥行きが消えた。

それらは実物ではなく、旧世界の高度な視覚効果を使った広告だった。アキラは盛大に落胆したが、アルファに促されて探索を続けた。

量販店の遺物

やがて本物の商品が残された無人店舗を発見した。アキラは強化服の力で停止した自動ドアをこじ開け、警報が鳴らないことを確認して中へ入った。

店内には電子機器、筆記用具、ノート、調理器具、刃物、圧縮梱包された衣服、薬品らしき品、アクセサリーや玩具などが大量に残っていた。保存状態の良い物を選び切れないため、アキラは使えるリュックサック全てが満杯になるまで遺物を詰め込んだ。

持ち帰れる量の限界に達したところで探索を打ち切り、満足して地上へ戻った。

遺跡の再封鎖

地上へ戻ったアキラは、発見した入口を他者に知られないよう再び瓦礫で埋めた。一度掘り返した痕跡までは完全に消せなかったが、これ以上は運に任せるしかないとして都市へ帰還した。

帰宅後、アキラは大量の遺物が高値になることを期待したが、アルファから種類や需要によって価格は大きく変わると釘を刺された。また、一度に大量に売れば未発見遺跡の存在を勘付かれる恐れがあるため、小分けにして売ることにした。

220万オーラムの査定

翌日、アキラはリュックサック一つ分の遺物をカツラギへ持ち込んだ。査定額は220万オーラムだった。

アキラは少し不満を覚えたが、カツラギは遺物には売り先によって価格差があり、自分の販売ルートでは高く買えない品も混じっていると説明した。

電子機器は中小企業などへの販売ルートがあるため高値を付けやすく、調理器具も旧世界製という付加価値で売れる。一方、衣服は流行やデザインの問題で扱いづらく、アクセサリーや玩具も好事家へ売れる可能性はあるものの、カツラギ自身には価値を判断できなかった。

カツラギは自分が高く扱える遺物だけを買い、それ以外はアキラに返す案を提示した。アキラは納得して取引を成立させた。

カツラギとの駆け引き

取引後、カツラギは売れ残った遺物をすぐ処分せず、自分が新しい販売ルートを作るまで寝かせておくよう勧めた。

帰宅したアキラは、カツラギの説明についてアルファに意見を求めた。アルファは嘘は吐いていなかったが、正直者とは言っていないと答えた。

アキラもカツラギが商売人として駆け引きをしていることは理解していた。それでもシェリルの面倒を見てもらっているため、度が過ぎない範囲なら経営努力として受け入れると考えた。

シェリルからの呼び出し

そこへシェリルから連絡が入り、新装備を見せるため拠点へ来てほしいと頼まれた。

シェリルの徒党は人数も増え、ホットサンド販売で金も稼ぐようになったため、他の徒党から狙われる可能性が高まっていた。強力な装備を身に着けたアキラが姿を見せれば、後ろ盾の健在さを示す牽制になると考えたのである。

アキラはすぐ向かうと答えた。そして床に残っていた衣服類やアクセサリー類の遺物を見て、土産にちょうど良いと考え、リュックサックへ詰めてシェリルの拠点へ向かった。

第72話 遺跡探索のお土産 

ルシアとナーシャの死体運び

シェリルの徒党に加入したルシアとナーシャは、縄張りに放置された死体を荒野へ捨てる仕事を続けていた。本来は新入りが交代で行う仕事だったが、アキラの財布を盗んだルシアと、彼女を庇ったナーシャへの処遇として二人に固定されていた。

親友を巻き込んだことを謝るルシアに、ナーシャは二人とも生きているのだから切り替えようと明るく返した。見張り役として同行していたエリオは、なぜルシアがアキラを狙ったのか尋ねた。

アキラを見誤った者達

ルシアはアキラを装備だけ揃えた駆け出しと見て、簡単な獲物だと思ったと答えた。エリオも以前、アキラの実力を見誤って背後から襲い、返り討ちに遭って殺されかけた経験を話した。

自分も同じ失敗をしたと笑うエリオの話でルシアの緊張は和らいだ。エリオは新入りへの注意喚起にルシアの体験を使わせてほしいと頼み、自分もアキラに殺されかけながら今は幹部扱いなのだから大丈夫だと励ました。

休憩中、ナーシャはエリオがルシアに近付く意図を警戒したが、エリオはアリシア一筋だと答えた。さらにナーシャ達が逃げれば殺せと命じられていることを明かし、自分も仲間を撃ちたくないため、追い詰められないよう助けるつもりだと説明した。

アキラとの帰還

死体を捨て終えた三人が拠点へ戻る途中、荒野仕様車両に乗ったアキラと遭遇した。エリオは驚き、ナーシャは緊張し、ルシアは怯えて隠れたが、アキラは三人を車に乗せて拠点まで送った。

シェリルはアキラの新装備を周囲へ見せ、徒党への牽制に使うため大袈裟な出迎えを準備していた。強力な車両、CWH対物突撃銃、DVTSミニガン、新しい強化服を見た他の徒党の者達は、シェリル達を狙う考えを取り下げた。

一方、シェリルはアキラがルシア達を車に乗せてきたことで、その扱いがさらに複雑になると焦った。しかし理由が単に途中で見掛けたからだと知り、アキラは既にルシア達への興味を失いつつあるのではないかと考えた。

一億五千万オーラムの支出

シェリルはアキラの新装備を褒め、価格を尋ねた。アキラが約8000万オーラムだと答えると、シェリルは驚きを隠し切れなかった。

さらに回復薬に1000万オーラム、別件で約6000万オーラムを支払ったと聞き、短期間で合計1億5000万オーラムを使えるほどアキラが成長していたことに衝撃を受けた。100万や200万オーラムを返しても大した意味はないという認識が、改めて強まった。

旧世界製の土産

アキラはヨノズカ駅遺跡から持ち帰った旧世界製の衣服やアクセサリーを土産としてシェリルに渡し、好きな物を選ばせた。高価な品ではないと聞いたシェリルは安心して受け取った。

アキラはハンターとの関係を示す品として活用できるだろうと考えていたが、シェリルは個人的な贈り物ではないことを少し残念に思った。

二つのペンダント

アキラを見送ったシェリルは、今回選んだ旧世界製のペンダントと、以前アキラ自身が選んで贈った安物のペンダントを見比べた。

造形も材質も旧世界製の方が優れていたが、シェリルには以前の安物の方が価値ある物に見えた。アキラ自身が悩んで選んだという事実が、シェリルにとって大きな付加価値になっていた。

旧世界製の衣服

シェリルは土産の圧縮梱包された衣服を開封した。旧世界製の下着は体型に自然に適応し、肌触りや着け心地も優れていた。一方、上着とスカートは大人向けの大きさで、現代の感覚では少しずれたデザインだった。

それでも旧世界製品であることを利用すれば、自分の身分を実際以上に見せる道具になると考えた。アキラが急速に成り上がる中、自分も追い付かなければならないと考え、徒党をさらに発展させる策へ意識を向けた。

そこへ来たエリオは服を微妙だと評したが、アキラからの贈り物だと聞くと即座に評価を変えた。その反応を見て、シェリルはアキラから贈られたという事実そのものに価値があると満足した。

エレナ達の依頼終了

シズカの店では、エレナとサラがクズスハラ街遺跡での仕事を終えたことを話していた。二人は都市から重用され、地下街の調査や遺物収集が一区切りつくまで依頼を続けていた。

サラはモンスターとの戦闘が少なかったことより、見付けた遺物を契約上すべて都市へ渡さなければならなかったことを不満に思っていた。エレナも同じ思いはあったが、報酬の良い仕事として受け入れていた。

女性用下着の遺物

そこへアキラが訪れ、シズカ、エレナ、サラへ遺跡探索の土産としてアクセサリー類と圧縮された衣類を差し出した。

シズカは衣類なら買い取れると説明したが、アキラは世話になっている礼として渡すことを選んだ。中身が分からない衣類については、その場で開封して良い物を選ぶことにした。

しかし最初に開けた袋から女性用下着が出てきた。次も、その次も女性用下着だった。アキラとシズカが気まずくなる中、サラが全て引き取った。

ヨノズカ駅遺跡の秘密

サラは遺物を見付けた場所に興味を持ち、情報料を払うので教えてほしいと頼んだ。アキラは恩のある二人なら構わないと考え、無料で教えようとした。

サラは代わりに次の遺物収集へ同行し、自分達が働くことで返すと提案し、エレナも了承した。そこでアキラはヨノズカ駅遺跡の店舗跡で見付けたと話した。

聞き覚えのない遺跡名にエレナは確認したが、アキラが最近自分で発見した遺跡だと話しかけると、即座に会話を止めた。エレナとサラは店内に他のハンターがいないことを確認し、詳しい話を外で続けないようにした。

エレナはアキラを自宅へ連れていくことを決め、シズカもそれを察して送り出した。アキラは事情を十分理解できないまま、エレナ達の家へ向かった。

第73話 再探索の成果

ヨノズカ駅遺跡の価値

エレナ達の自宅に招かれたアキラは、ヨノズカ駅遺跡が未発見の遺跡だと説明した。エレナはその情報を公共の店内で話したことを危険だと注意したが、アキラが相手を選んで話したと返したため、自分達を信頼してくれていることを嬉しく思った。

エレナは、シズカの店でも他の客や業者に聞かれる可能性がある以上、重要な情報を話す前には周囲を確認すべきだと教えた。アキラは自身の迂闊さを認め、助言に礼を言った。

サラの下着事情

ヨノズカ駅遺跡に大量の遺物が残っていると聞いたサラは、女性用下着にも期待した。アキラが自宅に残っている衣類を持ってこようかと提案すると、エレナはまず遺跡で自分で探すよう促した。

サラは身体強化拡張者で、ナノマシンの状態によって体型が変化するため、普通の下着では対応しにくかった。また身体能力や防護服との摩擦で消耗も激しく、伸縮性と耐久性に優れた旧世界製の下着を必要としていた。最近は遺跡で入手する機会が減り、予備も少なくなっていた。

アキラはサラが土産の下着を既に着用していると知って少し慌てたが、からかうサラから視線を逸らし、話を遺物売却へ戻した。

遺物から露見する未発見遺跡

エレナは、珍しい遺物を大量に買取所へ持ち込めば、その種類や出所から未調査区域や未発見遺跡の存在を推測される可能性があると説明した。サラに直接売れば、その危険をさらに下げられるという話だった。

未発見の遺跡を見付けても、何度も遺物を運び出したり、大量輸送を始めたりすれば、いずれ存在が露見することが多かった。アキラは既にカツラギへ遺物を売り、シェリルにも土産を渡したことを少し気にしたが、エレナ達に気にしすぎても仕方がないと言われて受け入れた。

エレナとサラの服装

作戦会議中、アキラは露出の多いサラと、肌や体の線を隠したエレナを無意識に見比べていた。

エレナは自分の格好が硬すぎてアキラを警戒しているように見えるのではないかと気にし、サラは逆に自分がだらしなく見えるのではないかと考えた。しかし二人とも今更服装を変えれば相手にからかわれると思い、そのまま作戦会議を続けた。

アルファなしの探索

一週間後、アキラはエレナ達とヨノズカ駅遺跡を再探索するため、荒野で合流を待っていた。今回はアルファの提案で、接続が切れた状況を想定し、サポート無しで探索する訓練も兼ねていた。

アルファには、アキラが自分の実力を過度に低く見積もらないようにする意図もあった。アルファが姿を消すと、アキラは強化服の動きや索敵能力が明確に低下したことを感じ、自力で情報収集機器を扱った。

普段なら返ってくるアルファの声が無いことに思った以上の寂しさを感じたアキラは、それをごまかしながらエレナ達との合流を待った。

エレナの疑念

三人は埋め戻していた遺跡の入口を掘り出した。その間、エレナはアキラがこの場所を偶然発見したという説明に疑問を抱いた。

周囲に他の遺跡はなく、普通のハンターが通る場所でもないうえ、入口は地中に埋まっていた。エレナは以前の出来事も踏まえ、アキラが旧領域接続者であり、その能力で未発見の遺跡を見付けたのではないかと考えた。

もしそうならアキラの価値は非常に大きく、自分達への信頼と知識不足を利用すれば利益を得られる可能性もあった。さらにその金があれば、ナノマシンで身体を維持しているサラを根本的に治療できるかもしれなかった。

一時はアキラへの信頼とサラを救う可能性の間で迷ったが、サラとアキラに心配されて我に返った。エレナは恩人を裏切って得る人生など望んでいないと考え、先ほどの思考を切り捨てた。

補助端末による索敵

遺跡へ入る前、エレナは情報収集機器の補助端末を階段の奥と入口付近へ撃ち込んだ。子機から周囲の情報を得ることで、先の状況を調べたり、後から侵入する者を察知したりできた。

アキラはその便利さと費用を知り、普段アルファが無償で担っているサポートの大きさを改めて実感した。三人は黒字を目指そうと笑い合い、遺跡へ入った。

立体画像への勘違い

遺跡内でサラは壁に映る高価そうな遺物を本物だと思い込み、持ち帰ろうとした。しかしエレナから立体画像だと教えられ、項垂れた。

以前まったく同じ勘違いをしたアキラが思わず笑うと、サラも事情を聞いて機嫌を直した。

その会話からエレナは、アキラに画像だと教えた存在について一瞬疑問を抱いた。旧領域接続者だけが認識できる遺跡側の案内が存在する可能性も考えたが、アキラの反応から遺跡は停止していると判断し、それ以上の推察をやめた。

大当たりすぎる遺跡

探索は順調に進み、モンスターも崩落もないまま広い範囲の地図を作成できた。エレナは用意した補助端末を使い切ったところで、入口から離れすぎるのは危険だとして探索を打ち切った。

帰路でエレナは、ヨノズカ駅遺跡は大当たりすぎるため厄介だと説明した。大量の遺物が手付かずで残り、モンスターもいないと知られれば、駆け出しを含む大量のハンターが殺到する可能性があった。

そうなれば遺物を巡る奪い合いが始まり、遺物が尽きるか死体が積み上がるまで殺し合いが続く恐れがあった。

自分がその騒ぎのきっかけになるのではないかと気にするアキラに、サラは誰かがいずれ発見する遺跡だったのだから気にする必要はないと励ました。さらにどうせなら発見者のアキラが先に利益を得ればよいと勧めた。

棚を積んだ帰還

三人は遺物を運び出し、入口を再び瓦礫で埋めた。今回の荷台には、店舗跡に残されていた陳列棚が大量に積まれていた。

エレナは旧世界製の棚には品質保持機能などが備わっている場合があり、壊れていても技術解析用として価値が出る可能性があると説明した。

さらに探索済みの遺跡でも棚だけは残されやすいため、大量の棚を売っても未発見遺跡から持ち帰ったとは疑われにくいという利点もあった。アキラはそこまで考えられなかった自分の知識不足を実感し、エレナに礼を言った。

エレナ達への信頼

都市から離れた場所で、アキラは遺物を積んだ荷台をエレナ達の車へ付け替えた。エレナ達は遠回りや別の遺跡への立ち寄りを行い、出所を隠した上で棚を売却する予定だった。

遺物をそのまま任せることは持ち逃げや売値のごまかしを警戒すべき行為だったが、アキラはエレナ達なら大丈夫だと答えた。二人はその信頼を喜び、責任を持って売却すると約束した。

アルファの帰還

エレナ達と別れたアキラは、急に静かになった車内で空の助手席を見てアルファを呼んだ。するとアルファはすぐに姿を現し、訓練終了を告げた。

寂しかったかと聞かれたアキラは、ごまかし切れずに認めた。アルファは楽しそうに笑い、アキラは不機嫌を装いながら車を走らせた。

第74話 シェリルの買い物

遺物売却の偽装

ヨノズカ駅遺跡の二度目の探索後、アキラは汎用討伐依頼を受けながら荒野を回っていた。その際、以前持ち帰った遺物を車に隠して持ち出し、荒野で目立つ場所へ移してから都市へ戻ることで、別の遺跡で得たように装って売却した。

さらにアルファのサポート無しで戦う訓練も兼ね、モンスター相手に大量の弾薬を使った。偽装の効果は分からなかったが、何もしないよりは良いと考えて続けていた。

シェリルとの買い物

エレナ達との次の探索まで時間があったアキラは、シェリルから買い物への同行を頼まれて引き受けた。

待ち合わせ場所には、アキラから貰った旧世界製の服を工夫して着こなしたシェリルと、エリオ、アリシアが一時間前から待っていた。シェリルは現れたアキラの腕に手を絡め、四人で下位区画の商店街へ向かった。

シェリルは周囲の警備員の反応を観察し、アキラがいなければエリオ達が追い返されそうな高級店を避けながら、自分達だけでも利用できそうな衣料品店ラファントーラを選んだ。

高級店の靴

ラファントーラの店長カシェアは、アキラとシェリルには客として問題がないと判断した一方、エリオとアリシアには場違いな印象を抱いた。しかし四人組だったため追い返さず、シェリルの靴選びを始めた。

シェリルは交渉相手に足元を見られないよう、旧世界製の服に釣り合う靴を求めていた。だが勧められる靴は想定以上に高く、徒党の運営資金も必要なため、どこまで金を使うべきか真剣に悩んだ。

アキラの服装感覚

店内を見ていたアキラは、高級品を見ても価格以外に大きな違いを感じられなかった。アルファが同じ服を着ても印象は変わらず、アキラは自分のファッションセンスを疑った。

アルファは、普段から旧世界基準でも最高級の服を着た自分を見続けているため、アキラの感覚が高級品に慣れ、現代の服では感動しにくくなっていると説明した。アキラは自身の服装感覚が旧世界寄りになっていることに少し不安を覚えた。

百万オーラムの予算

シェリルが価格に悩んでいると察したカシェアは、支払うのはアキラだと思い、予算を尋ねた。

アキラは少し考え、100万オーラムを超えるなら声を掛けてほしいと答えた。カシェアはその金額に驚き、支払能力を確認するためハンター証を預かった後、シェリルに勧める品を一気に高価格帯へ切り替えた。

シェリルは突然高級品ばかりを勧められて困惑し、アキラに事情を確認した。アキラは店側の誤解に合わせただけでなく、必要なら自分が立て替え、取り立ても急かさないと伝えた。徒党運営への協力だと説明されたシェリルは、アキラとの繋がりを強める投資でもあると考え、その申し出を受け入れた。

旧世界製の服の仕立て直し

店の仕立てを担当するカシェアの妹セレンは、シェリルの旧世界製の服が体格に合っていないことに気付き、仕立て直しを提案した。

遺物としての価値が下がる可能性を説明されたが、シェリルは着用する服として使うことを優先した。夕方までに仕立てられると聞き、アキラも待つことを了承したため、シェリルは服を預けた。

セレンは服を詳しく調べ、旧世界製ならではの高度な素材と仕立てを確認した。単なるサイズ調整では元のデザインが崩れるため、現代風に本格的に仕立て直す必要があると考えた。

アキラが選んだ服

仕立てを待つ間、シェリルは様々な服を試着したが、アキラの反応は鈍かった。シェリルは交渉の場で相手に高級感を印象付けられる服を求めており、既に大金を扱うアキラの反応を判断材料にしていた。

そこでカシェアから服を選ぶよう頼まれたアキラは、アルファに選定を任せた。アルファの指示通りに一式を揃え、さらに着こなしまで指定されたため、アキラ自身がシェリルの着替えを手伝った。

着替えたシェリルは清楚さと背伸びした色気を併せ持つ姿となり、カシェアやエリオ達だけでなくアキラも素直に良いと評価した。シェリルも非常に気に入り、すぐに購入を決めた。

百五十万オーラムの仕立て代

一方、セレンは仕立て直しの費用を計算し、サイズ調整だけでも30万オーラム、本格的な仕立て直しなら150万オーラム掛かるとカシェアに伝えた。

サイズだけ合わせればデザインが破綻し、遺物としても服としても価値が落ちるため、セレンは本格的な仕立て直しを望んでいた。カシェアは妹の技術を無駄にしたくないと考え、150万オーラムでも客に確認すると決めた。

事情を聞いたアキラは、先の100万オーラムとは別に150万オーラムを払うと即答し、全額前払いにも応じた。専門家が必要だと判断した金額なら、装備の整備や修理と同じく、値切るより提示額を受け入れるか断るかだと考えたためだった。

八千万オーラムの装備

カシェアがアキラの金銭感覚に興味を持ち、強化服を含む装備の価格を尋ねると、アキラは一式で8000万オーラムだったと答えた。

カシェアはその額に驚きながらも接客態度を崩さず、仕立て直しの開始を伝えるため店の奥へ戻った。そしてセレンに150万オーラムの承諾を得たと報告すると、姉妹は予想外の大仕事に喜び合った。

セレンは自分の腕をそれだけの金額で評価された仕事として全力で仕立てると決意し、カシェアも妹の意気込みを嬉しく受け止めた。

第75話 カツヤとシェリル  

アルファの不自然な勧め

ラファントーラで買い物を続ける中、アルファはアキラに弾薬補給や衣類系遺物の売却を立て続けに勧めた。急ぐ理由もなく、アキラは何度か断ったが、アルファは今度は店に衣類系遺物の買取を尋ねるよう提案した。

アキラがカシェアに確認すると、遺物としてではなく旧世界製のヴィンテージ衣料としてなら品によって買い取れると分かった。さらにアルファから家に遺物を取りに戻るよう勧められたアキラは、その執拗さを訝しみながらも従うことにした。

アルファは自宅への道まで普段とは違う方向へ案内したが、人の流れを理由に押し切ったため、アキラは首を傾げながら店を離れた。

鏡の前のシェリル

アキラがいなくなったシェリルは残念に思いながらも、彼に選んでもらった服を鏡の前で確認した。初めは交渉相手に裕福で力のある人物だと思わせるため、立ち方や表情を研究していた。

しかし次第にアキラから贈られた服を楽しむ気持ちが勝り、嬉しさから表情を緩ませた。鏡に映った自分の顔を見て我に返ると、再び上品な微笑みに戻した。

ラファントーラを訪れたカツヤ達

そこへカツヤ、ユミナ、アイリが来店した。三人は下位区画で買い物を続けており、カツヤは以前ルシアの件で余計な一言を発して騒ぎを悪化させた詫びとして、ユミナ達の買い物に一日付き合っていた。

カツヤは二人を守るため薄手の強化服と銃を身に着けていたが、機能を止めていたため装備の重さで疲れていた。事情を知ったユミナとアイリは呆れながらも、自分達を守ろうとした気持ちを嬉しく思い、カツヤを休ませた。

シェリルに見惚れたカツヤ

休憩のためテーブルへ向かったカツヤは、先に座っていたシェリルに相席を頼んだ。シェリルが上品に微笑むと、カツヤはその美貌と服装、磨かれた立ち振る舞いに見惚れて固まった。

何度も好意的な視線を向けられたシェリルは、アキラならこれほど分かりやすく反応してくれないのにと思った。そして今の服装ならアキラにも通用するのではないかと考え、自分の魅力を試すためカツヤに積極的に話しかけた。

シェリルの会話術

シェリルはカツヤの名を聞き、全力の笑顔を向けながら会話を続けた。カツヤは次第に自分のハンターとしての経験を語り始め、救援活動や戦闘、仲間との出来事まで話していった。

シェリルは喜び、怒り、悲しみ、称賛を相手の望みに合わせて返し、カツヤが気持ち良く話せるよう巧みに誘導した。カツヤはその会話に深くのめり込み、普段なら話さない感情まで次々に口にした。

カツヤへの奇妙な高評価

シェリルは会話が上手くいきすぎていることに違和感を覚えた。相手の望みが、まるで裏から教えられているように容易く分かったからである。

さらにカツヤへの評価にも異常を感じた。理性的には有望な若手ハンター程度の評価なのに、直感だけが不自然なほど高くカツヤを評価し続けていた。その感覚に押されるように、カツヤと親しくなり、腕を組んで食事へ向かう光景まで思い浮かべた。

想像の中のアキラ

その想像の中で、カツヤと親しげに歩くシェリルの前にアキラが現れた。アキラは何も言わず、そのままシェリルとの縁を切って去った。

シェリルは強烈な恐怖に襲われ、現実に戻ると小さな悲鳴を上げた。想像だったと理解しても動悸は収まらず、深呼吸を繰り返した。

その直後、カツヤへの異常な高評価は消えていた。シェリルは目の前の少年を普通の有望な若手ハンターとして見る状態に戻り、心配するカツヤには怖いことを思い出しただけだとごまかした。

ユミナの怒り

カツヤがさらにシェリルを気遣おうとしたところへ、ユミナが現れ、私達を放って別の子をナンパするとは良い度胸だと怒った。

ユミナとアイリはそのまま店を出てしまい、カツヤは慌てて追い掛けた。近くのレストランで合流すると、シェリルとの会話が弾んで席を外せなかっただけだと必死に謝った。

ユミナは自分の苛立ちが、綺麗で高そうな服を着たシェリルと楽しそうに話すカツヤへの嫉妬だと理解した。だが嫉妬深くなりたくないと気持ちを切り替え、反省しているカツヤを許した。その後、カツヤはアイリにも謝り、三人は普段の雰囲気を取り戻した。

シェリルの服への関心

機嫌を直したユミナ達は、これまで服を買わなかった理由がカツヤの反応の薄さにあったと話した。カツヤはシェリルの服を思い出し、あれは確かに良かったと答えた。

ユミナが自分達には手が届かないほどの高級品だと思っていると、カツヤはシェリルからラファントーラで買ったと聞いたことを思い出した。それを知ったアイリがもう一度店へ行くことを提案し、三人は再びラファントーラへ向かうことにした。

第76話 衝突回避 

カツヤとの再会

衣料品類の遺物を持ってラファントーラへ戻ったアキラは、アルファの指示で往復とも大きく遠回りさせられた理由を訝しんだ。アルファは安全のためだとだけ答えたが、直後にカツヤ達が再来店すると、その意図が明らかになった。アルファは以前殺し合い寸前までいった二人を会わせないため、アキラを店から遠ざけようとしていたのである。

険悪な空気が漂うと、アルファは騒ぎを避けるため小芝居を提案した。アキラは事前にシェリルへ口裏を合わせるよう頼み、持ち帰った遺物を例のブツとして渡した。シェリルは即座に意図を察し、アキラより立場が上の取引相手を演じた。それによりカツヤは、シェリルをアキラから守る必要はないと判断した。

アキラとユミナの和解

ユミナは再び揉め事を起こさないため、アキラの向かいに座った。沈黙の後、アキラはルシアの件や地下街での出来事をまとめるように、以前は悪かったと謝った。ユミナも過去の騒動を気にしないと返し、二人の間の緊張は和らいだ。

ユミナがルシアについて尋ねると、アキラは盗まれた金は既に取り返しており、今はルシアがどうなろうと関心はないと答えた。その態度から、ルシアが本当に財布を盗んでいたと察したユミナは複雑な思いを抱いたが、人の物を盗んでよい理由にはならないと話した。さらに赤の他人まで全員救おうとすれば潰れてしまうと語り、アキラも限界はあると同意した。

カツヤを煙に巻くシェリル

シェリルはカツヤに、ユミナを恋人だと思わせるような言葉を重ね、さらに無自覚に異性を口説いているのではないかと指摘した。アイリもそれを肯定し、カツヤは自分の振る舞いを改めて意識させられた。

カツヤがアキラとの関係を尋ねると、シェリルは仕事上の取引だと答え、詳しい内容は秘密にした。秘密にすれば相手が自分を気にするようになると笑いながら語り、カツヤの追及する気を削いだ。アキラから頼まれたごまかしを十分に果たしたと考えたシェリルは、褒めてもらうことを期待してアキラへ視線を向けた。

ユミナへの動揺

シェリルの視線の先では、アキラがユミナとどこか楽しげに話していた。さらに二人が以前かなり揉めた間柄だと知ると、シェリルはなぜアキラがユミナにそれほど心を許しているのか理解できず、強く動揺した。

ユミナが席を立った時には、アキラが残念そうに見えたことで混乱が増した。今の状態でユミナと話せば感情を隠せないと判断したシェリルは、仕事が残っていることを理由に店の奥へ退いた。アキラから預かった遺物を売り、カシェア達と口裏を合わせる必要もあったが、それ以上にまず自分を落ち着かせる必要があった。

ラファントーラでの買い物

ユミナ達はその後改めて服を選び、今度はカツヤからも良い反応を得られる服を購入した。店を出た後、ユミナがシェリルについて尋ねると、アイリは美人で話が上手そうだが、カツヤには好感を持っていないように感じたと答えた。

一方カツヤは、シェリルと長く話したにもかかわらず、名前以外ほとんど何も知らないことに気付いた。秘密を作れば気にしてもらえるというシェリルの言葉通り、彼女のことを考えてしまっている自分に気付き、してやられたのかもしれないと苦笑した。

旧世界製の服を使った仕立て直し

カツヤ達が去った後、アキラが持ち込んだ衣類系遺物を鑑定したセレンは、それら複数の旧世界製の服を素材としてシェリルの服を仕立て直すことを提案した。料金は増えるものの、余った素材を買い取ることで相殺する話となり、アキラもそれを了承した。

シェリルはセレンとデザインを相談するため店の奥に残り、アキラは売り場でヨノズカ駅遺跡について考え始めた。

ヨノズカ駅遺跡への協力者

アキラは、エレナ達の予定を待つか、一人で何度もヨノズカ駅遺跡へ通うか迷っていた。アルファはリスクとリターンの説明はするが、選択まで任せることは許さず、自分で考えて決めるよう促した。

信用できる人員を集める方法を考えたアキラは、戻ってきたシェリルを見て思考を止めた。そしてシェリルには自分という後ろ盾を失いたくない事情があり、他の者より裏切りにくいのではないかと考えた。

アキラが秘密厳守で命懸けの頼み事だと告げると、シェリルは内容を聞く前から引き受けると即答した。さらに事情を詳しく知った上で協力する方を選び、できる限りアキラの役に立とうとした。アキラはその態度を受け、ヨノズカ駅遺跡から遺物を運び出す作業にシェリルの徒党を使うことを考えた。

ドランカムの運営事情

仕立て直しを待つ間、シェリルはカツヤから聞いたドランカムの仕組みをアキラに話した。所属ハンターの成果は一度徒党に集められ、経費を差し引いた上で基本給と成果に応じた報酬として分配されていた。

活動できない時でも収入を得られる利点がある一方、成果の管理に慣れさせる意図や、報酬決定に関わる事務側の権力増大にも繋がっていた。若手には成果を徒党へ渡す比率の変更も認められておらず、古参との軋轢を生む要因にもなっていた。アキラは組織運営の大変さを感じ、シェリルも徒党を率いる立場として強く同意した。

完成した仕立て服

深夜、仕立て直しを終えたシェリルがセレンと共に現れた。複数の旧世界製の服を素材にし、シェリル専用に仕立てられた服は別格の存在感を持ち、アキラも素直に凄く似合っていると称賛した。

シェリルはその言葉に顔を綻ばせた。アキラも150万オーラムを払った価値はあったと認める一方、自分には高価な服の価値を見抜く感覚がないと結論づけ、今後旧世界製の服を見付けても専門家に判断を任せると決めた。

ラファントーラはその日だけで大きな売上を得た。セレン自身も今回の服は様々な条件が噛み合った奇跡的な出来であり、同じものをもう一度作れる自信はないと語った。

未発見の遺跡の秘密

ラファントーラを出た後、アキラはシェリルを拠点まで送ったが、そこで話をせず、一度自宅へ戻って荒野仕様車両を持ち出した。そしてシェリルを乗せ、秘密を漏らされる心配のない荒野へ向かった。

そこでアキラは、未発見の遺跡を見付けており、そこから遺物を運び出すのを手伝ってほしいと明かした。シェリルは、その短い説明に含まれる情報が極めて重要であり、大きな危険と利益を伴うものだと理解して驚いた。

第77話 シェリル達の遺物収集 

深夜の出発

シェリルは再び箝口令を敷き、アキラが人手を必要としているという最低限の情報だけを徒党に伝えて準備を進めた。計画当日の深夜、シェリル、エリオ達の武力要員、ルシア、ナーシャらは荒野近くでアキラを待った。

ルシア達だけはアキラへの借りを返せと告げられており、ナーシャは不安を抱えるルシアを励ました。シェリルは今回を生き延びれば禊は済んだものとして扱い、死んでもアキラが納得する形になると考えていた。

アキラが到着すると、続いてダリスがトレーラーを運んできた。表向きはシェリル達がナラハガカ都市へ向かう計画となっており、アキラはその護衛という扱いであった。ダリスを帰した後、一行はヨノズカ駅遺跡へ向けて出発した。

荷台の不安

深夜の荒野を進む荷台では、外から時折アキラの銃声が響き、子供達は荒野に出ている現実を強く意識していた。ナーシャはルシアを眠らせ、自身も体力を温存しようとした。

徒党の少年達の一部はルシア達が同行していることに不信感を抱いていた。アキラと敵対した二人と一緒にいることで、自分達も捨て駒として扱われるのではないかと恐れていたのである。ナーシャもその不安を理解しながら、ルシアと共に生き残ると決意した。

アキラの狙撃

道中、アキラは暗闇と揺れる車上からモンスターを一撃で仕留めた。シェリルはその腕前を褒めたが、アキラの反応は鈍かった。

実際にはアルファの補正が無ければ着弾は大きく外れており、アキラは自身の射撃精度に落胆していた。アルファは、自力との差を認識できること自体が成長だと励ました。アキラも射撃能力そのものは向上していると受け入れ、気を取り直した。

シェリルの偽装工作

アキラがトレーラーについて尋ねると、シェリルはヨノズカ駅遺跡の存在を隠すために行った工作を説明した。

シェリルは仕入れ業者との価格交渉を意図的に揉めさせ、自力でナラハガカ都市まで輸送できれば条件を見直すという話へ誘導していた。そのため荒野仕様ではないトレーラーを借り、アキラには護衛依頼を正式に出して履歴も残していた。さらにダリス達には、約束を有利に進めるため予定より早く出発したように見せかけていた。

アキラはその周到さに感心すると同時に、自分がいかに無防備に遺跡へ通おうとしていたかを思い知った。

ヨノズカ駅遺跡への到着

一行は部下達にも遺跡の位置を推測されにくいよう大きく遠回りして到着した。トレーラーの運転自体は、アキラの予備端末を介してアルファが補助していた。

アキラが瓦礫を退けて出入口を掘り起こすと、以前エレナが設置した小型端末がまだ稼働しており、アルファはそこから得た情報も使って地下の状況を確認した。モンスターの反応が無いことを確かめた後、アキラは照明を持って遺跡内へ入り、運搬経路を整えた。

遺跡を恐れる子供達

夜明け前、子供達は遺跡の入口に集められた。シェリルは照明に従って奥へ進み、遺物を持って戻るだけだと説明したが、誰も動かなかった。

モンスターはいないと説明されても、ハンターではない子供達にとって遺跡は恐怖の対象だった。シェリルは最後に、働かないなら全員ここに置いて帰ると告げ、装備も徒党の備品として置いていくよう命じた。

そこでナーシャがルシアを連れて先に行くと申し出た。怯えるルシアに、何かあれば自分が身代わりになると伝え、二人は最初に遺跡へ入った。それを見た他の子供達も次々に後へ続いた。

ルシアの借り

最初に戻ってきたのはナーシャとルシアだった。二人は遺物を詰めたリュックサックを運び出し、疲弊しながらも無事に帰還した。

ナーシャはアキラに頭を下げ、これでルシアだけでも何とかならないかと頼んだ。シェリルからアキラへの借りを返せと言われていたと聞き、アキラは財布を盗まれた件を思い出した。そして借りは返してもらったと認め、今後の扱いはシェリルに任せた。

その結果、ナーシャは再び幹部として扱われ、ルシアもその下で普通に扱われることになった。シェリルはその判断にどこかアキラらしくないものを感じ、違和感を残した。

順調な遺物運搬

地上と地下のどちらにもモンスターは現れず、遺物収集は順調に進んだ。子供達は薄暗い通路と長い階段を何度も往復し、生身で重い遺物を運び続けた。

荷台は既に半分ほど埋まり、アキラは人手による効率の良さを実感した。特に、自分が遺跡奥部にいる間に集めた遺物を奪われる心配がないことを喜んだ。

接近する車両

その時、索敵機器が二台の車両の接近を捉えた。アキラはシェリルに知らせ、シェリルは即座に遺跡を隠すための偽装を始めた。

近付いていたのは、大型トレーラーと荒野仕様のバスだった。そこには多額の借金を抱え、返済のため集団で遺物収集を続けるハンター達が乗っていた。

実働部隊を率いるギューバは特に借金が膨らんでおり、返済できなければ身体や人生を切り売りされる状況に追い込まれていた。その焦りから、未発見の遺跡でも見付かれば一発逆転できると考えていた。

ギューバの難癖

アキラは車両トラブルを装い、護衛対象が前方で停車しているとして迂回を求めた。しかしギューバはわざわざ車を停め、アキラに難癖をつけた。

ギューバは道を譲る代わりに金を要求し、100万オーラムを口にした。アキラはそれなら全員を殺した方が安いと冷たく返した。

険悪な空気の中、デイルがギューバを強く非難した。デイルは自分まで強盗まがいの行為に巻き込まれるのを拒絶し、コルベも最終的に迂回を決めた。ギューバは不満を残しながらも従った。

ギューバの疑念

離れていく途中、ギューバは双眼鏡でアキラ達を眺めた。そこには子供ばかりが集まり、輸送車両から積み荷を外へ運び出す不自然な光景があった。

運び出した荷物が途中から見えなくなったことにも気付き、ギューバは怪訝に思った。コルベに次の遺物収集へ意識を向けるよう促されて一度考えるのをやめたが、アキラ達への引っ掛かりは残った。

地下室を装う偽装

アキラが戻ると、シェリルは荷台の遺物を一度遺跡側へ戻していた。段ボール箱を階段の踊り場に積み上げ、地下へ続く奥を隠していたのである。

もし他者が来ても、近くのビルの地下室へ大切な積み荷を一時的に移していると説明できるようにしていた。通路用の箱は空にしてあり、遺物収集そのものは続行可能だった。

アキラはその対策にも感心し、自分では考えが及ばなかったことに再び落ち込んだ。

引き返すギューバ達

一度離れたギューバは、それでもアキラ達が気になり続けた。そして車両トラブルを理由に都市まで牽引し、護衛も引き受けて報酬を得ようと提案した。

コルベは最初こそ拒否したが、ギューバは自分ではなく、先ほど善意を示したデイルや格上のコルベから提案すれば受け入れられる可能性があると説いた。さらに借金返済のため金になる機会を逃したくないと訴えた。

デイルも挑発される形で賛成し、コルベも最終的に提案を受け入れた。こうしてギューバ達は、再びアキラ達のいる場所へ戻ることになった。

第78話 誰かの企み 

遺物収集の終盤

ヨノズカ駅遺跡での遺物収集は大詰めを迎え、出入口近くには大量の遺物を詰めた段ボール箱が積み上がっていた。アキラは成果に満足し、積み込みが終わり次第撤収することを決めた。

作業を進めるシェリルに、アキラは手伝ってくれたことへの感謝を伝えた。シェリルは驚いた後、とても嬉しそうに笑った。アキラ自身は大量の遺物が高値になることを期待していたが、アルファから換金するまで気を緩めないよう釘を刺された。

戻ってきたギューバ達

アルファは先ほど離れたギューバ達の車両が戻ってきたことを察知した。アキラはシェリルに知らせ、再び車で前へ出て接触を防ごうとした。

ギューバ、デイル、コルベは、先ほどの非礼を詫びた上で、故障した輸送車両の牽引や護衛を有料で引き受けると提案した。実際には故障していないため、アキラは雇い主の事情を理由に断ろうとしたが、デイル達は雇い主本人と話すことを求めた。

アキラは武装解除を条件に出せば諦めると思ったが、ギューバとデイルは銃と強化服のエネルギーパックを差し出した。自分で出した条件を撤回できず、アキラは二人をシェリルのもとへ連れていった。

シェリルの拒絶

シェリルは事前に送られた情報から状況を把握し、高級な服を見せる姿で二人を迎えた。そして契約上、外部の助力を受けられないとして丁寧に提案を断った。

デイルは荒野で立ち往生する危険を心配したが、シェリルは他の手配も済んでおり、アキラを誰よりも信頼できる護衛だと答えた。その言葉が本心だと感じたデイルは納得し、引き下がった。

一方、ギューバはほとんど会話に加わらず、周囲や輸送車両の様子を観察していた。

口封じをしない選択

二人を送り返した後、アルファはギューバ達を生かして帰すことで、この場所に興味を持たれ、後にヨノズカ駅遺跡を発見される可能性があると警告した。

アキラは振り返れば無防備な二人を殺せる状況だったが、まだ遺跡を知られたわけではなく、片方は善意で来ただけだとして殺害を選ばなかった。考えが甘いかとアルファに尋ねると、アルファはその基準は人それぞれであり、アキラが決めたなら構わないと答えた。

遺跡を疑われる可能性

アキラが懸念をシェリルに伝えると、シェリルは自分が相手の立場なら、この場所で何か高価で危険な物を運び入れるか運び出していると考えると答えた。例として遺物買取所からの横流し品などを挙げ、遺跡とは別の方向へ疑わせる可能性も示した。

積み込みが完了すると、アキラは出入口を再び隠す方法を考え、近くに残っていた崩れかけのビルへ目を向けた。

崩された廃ビル

アキラはヨノズカ駅遺跡の出入口を完全に塞ぐことを決めた。アルファの解析を受けながらCWH対物突撃銃でビルの脆い部分を撃ち抜き、倒壊しやすい状態まで耐久力を削った。

続いて新しい強化服の出力を上げ、壁へ強烈な蹴りを叩き込んだ。体感時間操作とアルファのサポートも使い、最大威力の一撃を加えると、ビルは完全に倒壊した。

大量の瓦礫がヨノズカ駅遺跡の出入口を覆い、簡単には掘り出せない状態になった。アキラは新しい強化服の性能に満足し、アルファと笑い合った。

アキラの力を見た子供達

シェリルやエリオ達は離れた場所からビルの倒壊を見ていた。エリオはアキラがやったのかと驚き、シェリルは新しい強化服を試したかったのではないかとごまかした。

エリオはその説明に無理を感じながらも、アキラならやりかねないと納得した。他の子供達もアキラの力に驚きながら、同時に怯えを覚えていた。

一行は大量の遺物を積んだトレーラーと共に都市へ戻った。ルシアとナーシャはアキラに許されたことを改めて喜びながら、シェリルと共にアキラの車に乗った。

瓦礫の山を探すギューバ

アキラ達が去った後、ギューバは一人で先ほどの場所へ戻った。しかし目印にしていた薄い廃ビルが消えており、ナビゲーションを頼って周囲を探しても目的地を見付けられなかった。

ギューバはアキラ達が高価な物を隠した地下倉庫を使っているのではないかと疑っていた。中身を奪えば借金返済に使えると考え、独占するため一人で戻ってきたのである。

しかし何度探しても辿り着けず、焦りと苛立ちを募らせた。

女性からの情報

そこへある女性から通話が入り、スラム街の子供達を雇って遺跡から遺物を運ばせたハンターがいるという情報を持ち掛けられた。

女性は、子供でも入れるほど危険度が低く、人手を必要とするほど大量の遺物が残っている場所なのではないかと話した。さらに、そのハンターを追えば未調査の遺跡へ辿り着ける可能性があると示唆した。

その話を聞いたギューバは、先ほどアキラ達の輸送車両から子供達が何かを運んでいた光景を思い出した。そして地下倉庫だと思っていた場所が遺跡なのではないかと考え始めた。

アキラとヨノズカ駅遺跡

ギューバは周囲を改めて確認し、目印だった廃ビルが瓦礫の山になっていることに気付いた。そして女性が話しているハンターの名前がアキラではないかと尋ねた。

女性がなぜ知っているのかと驚いたことで、ギューバは確信した。アキラ達がいた場所には遺跡があり、自分達に気付かれたためビルを倒壊させて入口を埋めたのだと理解した。

さらに入口を埋めたのは遺物を取り尽くしたからではなく、まだ大量の遺物が残っているからだと考えた。借金返済どころか巨万の富を得られる可能性を見いだしたギューバは、手段を選ばず遺跡を奪う決意を固め、全速力で都市へ戻った。

仕掛けた女性

同じ頃、クガマヤマ都市の下位区画では、ギューバに情報を与えた女性が楽しそうに笑っていた。

女性は別の相手へ通話を繋ぎ、恐らくギューバが動いたので確認してほしいと伝えた。ギューバ自身は情報から真相へ辿り着いたと思っていたが、実際には女性に気付かされ、行動へ誘導されていた。

第79話 シェリルの災難 

シェリルの拉致

ヨノズカ駅遺跡から戻った翌日、アキラは報酬分配の相談のためシェリルの拠点へ向かっていた。その途中、エリオからシェリルが攫われたとの連絡を受けた。

その少し前、シェリルの拠点にはギューバを含む三人のハンターが現れていた。ギューバはシェリルを強引に連れ出そうとし、抵抗しようとした徒党の少年を仲間が銃撃して殺害した。エリオ達も制圧され、シェリルはそのまま車に乗せられて荒野へ連れ去られた。

アルファによる追跡

エリオからは犯人の正体も目的も居場所も分からないと聞かされ、アキラはその情報だけでは探しようがないと考えた。

しかしアルファは別の情報から、シェリルを攫った者達が荒野を車で移動していることを把握していた。居場所が分かれば迷う理由はなく、アキラはすぐに車を反転させて追跡を始めた。

遺跡を求める拷問

ギューバは荒野へ向かう車内でシェリルを荷台へ移し、ヨノズカ駅遺跡の別の入口を尋ねた。シェリルが知らないと答えると、ギューバは右手の指を次々に折っていった。

ギューバは、質問内容を聞き返さずに知らないと答えたシェリルの反応から、遺跡の存在自体は知っていると判断した。さらに、瓦礫で塞いだ入口を迷わず捨てた以上、アキラ達は別の入口を知っているはずだと考えていた。

シェリルは両手の指を折られながらも、質問内容に関係なく知らないとだけ答え続けた。ケニットがそのことに気付き、具体的な情報を引き出すことは困難になった。ギューバ達はシェリルを殺さず、現地で別の入口を探す方針に切り替えた。

正面衝突するアキラ

ギューバ達の車へ高速で迫ったアキラは、相手が進路を変えても追従し、そのまま正面から車両を衝突させた。

ギューバ達は直前に車外へ飛び出したが、シェリルは衝撃で空中へ放り出された。シェリルは助からないと思い、ようやくアキラから信頼を得られたと思った直後に全てが終わることを嘆いた。

そのシェリルを、同じく車外へ飛び出したアキラが空中で抱き止めた。体感時間操作とアルファのサポートを使い、衝突位置やシェリルが飛ばされる方向まで計算した上での救出だった。

シェリルの治療

アキラはシェリルを瓦礫の陰まで運び、負傷を確認した。最初は軽傷だと言ったものの、七本の指が折れているのを見て、自分の負傷に対する感覚がずれていることに気付いた。

アキラは高額な回復薬をシェリルに飲ませ、鎮痛効果が出たところで折れた指を正しい位置へ戻した。治療用ナノマシンが働き始めると、さらに回復薬を渡した。

その後、アキラはシェリルに瓦礫の陰から動かないよう命じ、自分はギューバ達を殺しに向かった。

無傷で残ったギューバ達

ギューバ、ベガリス、ケニットは車外へ飛び出した際に受け身を取り、強化服の性能もあって大きな負傷をしていなかった。

三人はアキラがシェリルを助けに来たと理解したものの、救出のために車両ごと体当たりしてきた行動には困惑した。それでも索敵機器が接近するアキラを捉えると、すぐに殺し合いへ意識を切り替えた。

サポート無しの実戦

アキラはアルファのサポートを切った状態でギューバ達へ向かった。体感時間操作と強化服の性能を自力で扱いながら走ったが、身体能力が高すぎるため動きは危うかった。

アルファは本当に危険な時だけ助けるとして、この戦闘をアキラ自身の実力を確認する訓練にしていた。アキラも不安を抱えながら、その条件を受け入れて戦闘を続けた。

ベガリスとの銃撃戦

アキラはDVTSミニガンで車両周辺へ大量の弾丸を浴びせ、姿を現したベガリスへ集中射撃した。

しかし重装甲型の強化服を着たベガリスには十分な効果がなく、逆にベガリスもミニガンで反撃した。アキラは瓦礫を蹴り上げて一時的な盾にし、その間に射線から逃れた。

アルファから、拡張弾倉の弾は数を優先して単発威力が低いため、ベガリスにはCWH対物突撃銃を使うよう助言された。アキラは弾薬費を抑えた結果が戦闘時の危険につながることを改めて実感した。

擲弾への迎撃

移動中、ギューバとケニットはベガリスの銃撃でアキラの注意を引き、その隙に擲弾を撃ち込んだ。

アキラが気付く前にアルファが身体を動かし、DVTSミニガンを上へ乱射して擲弾を空中で撃ち落とした。アキラはアルファの介入に助けられると、すぐに移動を再開した。

ギューバ達は未調査の遺跡へ挑むため大量の弾薬を用意しており、それを惜しまず投入してアキラを殺そうとしていた。

第80話 情報の価値 

ケニットへの反撃

アキラは榴弾とベガリスの弾幕を避けながら、CWH対物突撃銃でベガリスを狙撃した。しかし徹甲弾では強化服を貫き切れず、何度命中させても致命傷には至らなかった。専用弾を車に置いてきたことを悔やみながら、アキラは自力での戦闘を続けた。

その間にケニットは側面へ回り込み、狙撃の機会を待っていた。しかしアルファから右側を警戒するよう助言されていたアキラは、射線に入った瞬間にケニットを捉えた。互いに発砲した結果、アキラは回避に成功し、ケニットは眉間に徹甲弾を受けて即死した。

ベガリスへの接近戦

ケニットを失ったことでギューバの榴弾攻撃は精度を落とし、爆煙が周囲を覆った。ベガリスも索敵精度を低下させ、アキラの位置を見失った。

アキラはその爆煙を利用して一気に接近し、ベガリスを蹴り倒した。転倒した相手のヘルメットへCWH対物突撃銃を押し付け、以前の着弾箇所に徹甲弾を撃ち込んで貫通させた。これによりベガリスも死亡した。

ギューバの敵寄せ機

仲間二人を失ったギューバは、正面から戦っても勝ち目が薄いと考え、逃走を試みた。しかし衝突した車両は動かなかった。

追い詰められたギューバは、車両から転げ落ちていた敵寄せ機を擲弾発射器で周囲へ撃ち出した。大量のモンスターを誘き寄せ、シェリルを抱えたアキラを乱戦に巻き込むことで勝機を作ろうとしたのである。

追撃より帰還

アキラはギューバが逃げたように見えたため、一度シェリルのもとへ戻った。シェリルは無理に追わず都市へ戻りたいと頼み、自分は死にたくないと率直に告げた。

アキラはその言葉を意外に感じ、自身の感覚がずれていることを改めて自覚した。帰還手段を考えていると、アルファから車が動く可能性を聞かされたが、同時にモンスターの群れが接近していることも知らされた。

加速剤を使ったギューバ

アルファはここから自分もサポートすると告げ、アキラはシェリルを左腕で抱えたまま車へ向かった。

車両の陰にいたギューバは、アキラが近付いた瞬間に加速剤を使用した。強化服の力で車を蹴り上げ、自身も跳躍し、極端に引き延ばされた感覚時間の中でアキラへ銃口を向けた。

しかしアルファはそれ以上に速く対応した。アキラの武器をA2D突撃銃へ持ち替えさせ、ギューバが射線に入る位置を事前に予測して照準を合わせた。銃、腕、喉を順に撃ち抜き、最後に頭部へ強装弾を撃ち込んだ。ギューバはそのまま死亡した。

モンスターの群れからの脱出

アキラの車は前面を損傷していたものの、何とか動いた。アキラはシェリルを後部座席に乗せて逃走を始めたが、激しい揺れでシェリルが車外へ放り出されたため、再び左腕で抱えた。

敵寄せ機に誘われた大量のモンスターが迫る中、アキラはDVTSミニガンを乱射した。獣や爬虫類、虫など様々なモンスターを弾幕で次々に倒し、敵寄せ機の効果範囲を抜けた後に残党も撃破した。

以前は無改造のAAH突撃銃で群れに苦戦したことを思い出したアキラは、今の装備も自身の成長の一つだと受け入れた。

シェリルの帰還

シェリルはアキラに抱き付いたまま、モンスターを粉砕していく姿を頼もしくも恐ろしく感じていた。それでもアキラから離れることの方を強く恐れていた。

二人はその後クガマヤマ都市へ戻り、アキラはシェリルを拠点まで送り届けた。

襲撃後の整理

自宅の風呂で疲れを取るアキラは、シェリルが未発見の遺跡の情報を狙われて攫われたことを振り返った。アルファは、危険を承知で協力した以上、今回の出来事も一定のリスクの範囲だと諭した。

アキラも以前からシェリルを常時護衛するつもりはなく、今回も運が悪かったが助かるだけの運はあったと割り切った。

一方のシェリルは拠点の混乱を収め、カツラギへの説明などを終えた後で一人風呂に浸かった。未発見の遺跡の情報を知っている可能性だけで攫われる危険を実感し、今後はアキラと連絡を取りやすい状態を保つ必要があると考えた。

それでも再びアキラから遺物収集に誘われた場合、断るつもりはなかった。

ギューバの死体回収

コルベは借金持ちのハンター達を連れて現場へ戻り、ギューバ、ベガリス、ケニットの死体を回収した。

その後、コルベは情報屋の女性に連絡し、ギューバへ何らかの情報を流して行動を促したのではないかと追及した。女性ははぐらかしたが、コルベは未発見の遺跡に関する情報を意図的に流した可能性を疑った。

さらにコルベは、女性がアキラの実力を確かめる目的も持っていたのではないかと推測した。

広がる未発見遺跡の情報

女性はその後、別の相手にも未発見の遺跡の可能性を売り込み始めた。

その中にはミズハも含まれており、女性はドランカムの古参に対抗するために若手の実績を稼ぎたいのであれば価値のある情報だと持ち掛けた。

女性は先着順であることを強調しながら、さらに別の相手へ次々に連絡を入れ、未発見の遺跡を巡る情報を広げていった。

第81話 想定外 

ヨノズカ駅遺跡の露見

シェリル達との遺物収集から一週間後、アキラは次の探索を相談するためエレナ達の家を訪れた。エレナからヨノズカ駅遺跡が他のハンターに知られたと告げられ、アキラは自分に原因の心当たりがあると認めた。エレナは遅かれ早かれ露見するものだと慰めたが、遺跡の噂が広まる速度と実際に動いたハンターの多さには不自然さを感じていた。

三日間の様子見

ヨノズカ駅遺跡では多数のハンターが入口を探しており、今後は遺物を巡る殺し合いが起こる可能性も高かった。エレナ達は他のハンターとの交戦を前提とした遺物収集には乗り気ではなかったが、アキラが行くなら約束通り同行すると告げた。

相談の結果、三日間だけ様子を見ながら準備を進め、現地の状況次第でヨノズカ駅遺跡を探索するか、別の遺跡へ向かうかを決めることになった。

若手ハンターによる発掘

ヨノズカ駅遺跡では大型重機による瓦礫の撤去が進められていた。周囲を警戒していたのは約三十人の若手ハンターで、その中にはカツヤ、ユミナ、アイリもいた。

彼らはミズハの指示で動いており、表向きは訓練だったが、カツヤ達だけは未発見の遺跡を探していると知らされていた。ドランカム全体ではなく事務派閥が推す若手だけが動いていることから、アイリは遺跡の存在に確証まではないと考えた。

集まるハンター達

同じ場所を遠方から見ていたオルソフ達も、コルベから得た情報を基に遺跡を探しに来ていた。しかし既にドランカムが重機を投入していたため、オルソフは出遅れたことに苛立った。

さらに周辺には別のハンターチームも次々に集まり始めた。その光景を見たオルソフは未発見の遺跡が本当に存在する可能性を強く意識するようになった。そこへ情報屋ヴィオラから連絡が入り、未発見の遺跡に関する追加情報を持ち掛けられた。

錯綜する遺跡情報

三日後、アキラは修理中の自分の車を使わず、エレナ達の車に同乗してヨノズカ駅遺跡へ向かった。

道中、エレナは遺跡に関する情報が不自然なほど錯綜していると説明した。入口は複数とも一つとも言われ、大量の遺物があるとも無いとも、強力なモンスターがいるとも全くいないとも噂されていた。

エレナは、急いで動く者には急がせ、慎重な者には準備を促して到着を遅らせるような作為を感じていた。その結果、余裕のない者達だけを先に遺跡へ集め、秩序のない争奪戦を起こさせる意図があるように思えた。

荒野での射撃

道中で機械系モンスターに遭遇すると、アキラはCWH対物突撃銃で狙撃した。アルファに最低限の補助だけを頼み、体感時間を操作しながら自力で狙った一発が敵の中央に命中して撃破した。

続いてエレナの照準補助を受けたサラも同種のモンスターを一撃で倒した。ただしエレナは、その種類のモンスターが本来この周辺にいるという情報が無かったことを気に掛けた。

戦場と化した地上部

ヨノズカ駅遺跡付近に到着したアキラ達は、大規模な戦闘跡を目にした。生物系・機械系モンスターの死体や残骸だけでなく、重機、車両、ハンターの死体まで大量に散乱していた。

周囲を調査すると、以前とは異なる場所にも複数の出入口が掘り出されており、巨大な垂直穴まで存在した。サラはクズスハラ街遺跡の奥で見たことのある蜘蛛型のモンスターまで混じっていることに気付き、この周辺には本来いない種類だと警戒した。

露出した旧入口

アキラがビルを倒壊させて埋めた出入口も完全に掘り起こされていた。その周囲には特に多くのハンターとモンスターの死体が散乱し、大破した重機や車両も残っていた。

以前の情報や地図がどこまで通用するか分からない状況となり、アキラ達は探索を続けるか迷った。エレナに一人ならどうするか問われたアキラは、折角来たのだから入ると答えた。

エレナとサラは、アキラが自分達を足手纏い扱いして遠慮する必要はないと告げた。アキラもその気遣いを受け入れ、三人で再探索に踏み切った。

変貌した遺跡内部

以前と同じ階段を下りると、遺跡内部は大きく変わっていた。地下にもかかわらず照明が復活しており、周囲には大量のモンスターの死体と激しい銃撃や爆発の痕跡が残っていた。

エレナは遺跡の機能が再び動き出したと考えた。モンスターが奥まで入り込んだか、ハンターが何かを作動させた可能性があり、一部の通路も閉鎖されていたため、以前作った地図の精度も低下していた。

商店街での迎撃

地図を修正しながら商店街跡へ進むと、エレナが前方から大量のモンスターが迫っていることを察知した。獣、爬虫類、虫、植物、機械部品を持つ生物など、様々な敵が群れとなって殺到した。

エレナが優先目標を選び、サラとアキラがその指示に従って集中砲火した。アキラは強化したDVTSミニガンとCWH対物突撃銃を使い、アルファの全面的な支援を受けて敵を効率よく撃破した。

サラも自動擲弾銃で群れを吹き飛ばし、爆風で飛んできたモンスターをエレナが蹴り返すほどの激戦となったが、三人は余裕を残したまま群れを全滅させた。

遺物収集の再開

戦闘後、アキラは大量に消費した弾薬費を気にした。エレナはその分を取り返すためにも遺物を集めようと笑った。

しかし周囲は以前からの戦闘跡に加え、自分達の砲撃と爆発でさらに荒れていた。商店や遺物まで無事とは限らない状況を見て、三人は苦笑しながら残された遺物の探索を始めた。

第82話 遺跡の警備装置 

商店街跡での遺物収集

アキラ達は戦闘を終えた商店街跡で、瓦礫や死体を退かしながら遺物を探した。戦闘の余波で破損した物も多かったが、予想以上の量が残っていた。

アキラが血で汚れた女性用の下着を捨てようとすると、サラが引き取った。サラは専用業者に修繕を頼めば再利用や売却が可能だと説明し、さらにアキラが遺物保存袋の存在すら知らないことに気付いた。

遺物保存袋の知識

サラは遺物保存袋が遺物の品質を保つための道具であり、振動を防ぐ物から銃撃に耐える高級品まであると教えた。アキラはその知識を初めて知り、購入を考えた。

サラはアキラが他のハンターと遺物収集をする機会に乏しかったため、こうした知識を得られなかったのだと察した。その後はエレナも加わり、二人は先輩としてハンター稼業の細かな知識を教えながら遺物収集を続けた。

更なる探索の決定

一度の戦闘と遺物収集だけで十分な成果を得たものの、三人にはまだ余力が残っていた。エレナは、次に来た時には他のハンターによって遺物が回収されている可能性が高く、今回の機会を逃すのは惜しいと考えた。

アキラは次の商店街跡まで進み、そこでの成果に関係なく帰還する案を出した。持ち帰れる量にも限界があるため、そこで区切るという考えだった。エレナとサラも賛同し、三人はさらに奥へ進んだ。

閉じ込められたレビン達

次の商店街跡でも多数のハンターとモンスターの死体が残っていた。周囲を警戒していたエレナは、歪んだ倉庫の扉の向こうから人の反応を捉えた。

中にいたのはレビンを含む五人のハンターだった。彼らはモンスターに襲われて倉庫へ逃げ込んだものの、戦闘の余波で扉が開かなくなり閉じ込められていた。

エレナは周囲の死体より人数が少ないことを指摘し、レビン達が他のハンターを見捨てて逃げ込んだことを見抜いた。レビンは仲間を守るためだったと弁明したが、エレナは同じ理屈なら自分達が彼らを見捨てても仕方がないと返した。

蹴破られた扉

レビン達が本当に困っていると見たアキラ達は、扉を開ける程度なら助けてもよいと考えた。

サラが扉を蹴ったが、旧世界製の扉は簡単には壊れなかった。そこでアキラも加わり、二人が同時に強烈な蹴りを叩き込むと、既に破損していた扉は耐え切れずに破壊された。

解放されたレビン達は、ひしゃげた扉とアキラ達を見比べながら礼を述べた。

護衛を求めるレビン

エレナはレビン達にすぐ離れるよう求めた。レビン達は残弾も少なく、自力で地上まで戻れる見込みも薄かったため、同行を頼んだが拒否された。

追い詰められたレビンは、その場で緊急依頼を出し、都市までの護衛を頼むと申し出た。地下で通信圏外のため正式な処理はできなかったが、レビンはハンターオフィスを介する依頼として責任を持つ意思を示した。

レビンが三人で三百万オーラムを提示すると、エレナは五人を危険な遺跡から護衛する報酬として五千万オーラムを要求した。モンスターとの遭遇や弾薬費、レビン達の装備不足まで挙げ、安い依頼ではないと畳み掛けた。

接近する人影

交渉中、アルファが走って近付いてくる人間の存在を察知した。アキラは即座に銃を向け、遅れてエレナ達も警戒した。

曲がり角から最初に飛び出したのは、短い光の線のような攻撃だった。それは壁に当たって爆発し、アルファは高エネルギーを利用したレーザー弾だと説明した。

続いて大量のレーザー弾が飛来し、その標的となっていた人物が角を曲がって現れた。

逃げてきたユミナ

現れたのはユミナだった。その背後からは、球形の機械系モンスターが複数追ってきた。

アキラが伏せろと叫ぶと、ユミナはすぐに床へ伏せた。アキラはその頭上を通すようにCWH対物突撃銃を撃ち、背後の機械系モンスターをレーザー発射装置ごと破壊した。

エレナとサラも続いて攻撃し、ユミナが射線から離れると、アキラはDVTSミニガン、サラは自動擲弾銃を使用して残る敵を一掃した。

ユミナの救援要請

アルファは追ってきた機械を、この遺跡の簡易警備装置と見ていた。旧世界基準では非殺傷用の武装だったが、現在の人間には十分危険な威力を持っていた。

戦闘後、ユミナはアキラ達に礼を述べた。エレナがカツヤとアイリの所在を尋ねると、ユミナの表情は悲痛に歪んだ。

ユミナはエレナとサラに深く頭を下げ、二人を助けてほしいと必死に頼み込んだ。

第83話 願いの代償 

照明の残る遺跡

瓦礫からヨノズカ駅遺跡の出入口を掘り出したドランカムの若手ハンター達は、地上の防備に人員を残し、カツヤ、ユミナ、アイリを先行させた。

三人は未発見の遺跡への期待を抱いて階段を下りたが、途中には現代製の照明が既に設置されており、通路にも続いていた。誰かが先に探索していたことを悟ったカツヤは落胆したものの、ユミナとアイリに励まされ、遺物や地図作成の成果を求めて探索を続けた。

地上からの救援要請

一通り探索を終えて戻ろうとした時、カツヤは実際には聞こえていない助けを求める声のようなものを感じ、突然走り出した。

通信圏内まで戻ると、地上の仲間から大量のモンスターに襲われているとの救援要請が届いた。ユミナは状況を確認し、カツヤが加わっても覆せないほど危険だと察すると、地上の防衛を放棄して全員遺跡内へ退避するよう指示した。

モンスターの奔流

カツヤ達が階段付近まで戻ると、仲間達は既に遺跡へ逃げ込み始めていた。最後まで援護していた二人のもとへカツヤが駆け付けた直後、階段から押し寄せたモンスターの群れが三人を呑み込んだ。

アイリが援護する中、カツヤはモンスターの山を蹴破って脱出し、気絶した仲間一人をアイリに託した。そして自分が群れを食い止めるから先に逃げるよう命じたため、アイリは苦悩しながらも仲間を抱えて離脱した。

極限の中のカツヤ

群れに呑み込まれた瞬間、カツヤは自分では助からないと悟った。しかし仲間まで死なせたくないという思いから、自身の才能を今ここで目覚めさせることを強く願った。

極限の集中の中でカツヤの動きは急激に冴え、普段ならできない鋭い蹴りや回避を行い、仲間一人を救出した。だがもう一人を助けようとした時、体は逆に包囲から離脱し、その仲間は目の前でモンスターに食い殺された。

カツヤは急激に強くなった自分が仲間を切り捨てたように感じ、激しい苦悩を抱えながらも一人で群れを食い止めた。敵の動きも弾道も明確に捉えられるほど戦闘能力は向上していたが、その力への高揚はなく、助けられなかった仲間への後悔だけが残った。

オルソフ達の敵寄せ機

一方、オルソフ達はヴィオラから得た情報を基に、ドランカムが遺跡の出入口を占拠し続けられないよう、モンスターを誘き寄せる計画を実行していた。

直接ドランカムを攻撃すれば報復を受けるため、モンスターに襲わせて若手を撤退させ、出入口の占有を崩そうとしたのである。オルソフは敵寄せ機を周辺に配置し、出入口が開通すると起動した。

しかし索敵機器に現れたモンスターの数は想定を遥かに超えていた。オルソフ達は逃走を試みたものの、進む先々から群れが押し寄せ、最後にはバスごと呑み込まれた。

重なった誘導

大量発生の原因は、敵寄せ機を使った者がオルソフ達だけではなかったことにあった。

遺跡をドランカムに独占させたくない複数のハンター達が似た情報を得て、それぞれ同じようにモンスターを誘導していた。中には敵寄せ機を起動したまま車で群れを引き連れてきた者までいた。

その結果、広範囲から膨大な数のモンスターが集まり、地上にいたハンター達は抗い切れず、ドランカムの若手を含めて遺跡内部へ逃げ込んだ。モンスター達もその後を追い、遺跡は多数のハンターとモンスターを飲み込んだ。

ユミナとカツヤの再会

簡易拠点を作らせたユミナはすぐにカツヤの援護へ戻り、途中で仲間を運ぶアイリと合流した。カツヤを残してきた事情を察すると、アイリに仲間を拠点へ運んだ後すぐ戻るよう促し、自身は先へ急いだ。

ユミナがカツヤを見付けると、彼は涙の跡を残し、酷く傷付いた表情で立ち止まった。ユミナは事情を聞かずに手を握り、皆のところへ戻ろうと笑って引いた。

カツヤはその手に導かれて再び歩き出し、仲間達と合流した。皆から感謝と称賛を受けたが、悲しげに笑うのが精一杯であり、心身ともに限界だったため、そのまま休息に入った。

遺跡内部の探索再開

地上から流れ込んだモンスターは、狭い通路で動きを制限されたことでハンター達に撃退されていった。生き残った者達も一時的に協力し、遺跡内は次第に落ち着きを取り戻した。

危機を乗り越えたハンター達は、豊富に残る遺物を前に再び探索を始めた。争うより先へ進んだ方が利益になる状況だったため、大きな衝突も起こらず、探索範囲は奥へ広がっていった。

巨大なトンネル

チャレス達のチームは、内径約三十メートルの巨大な筒状トンネルと、その内部に浮くように設置された乗降場へ辿り着いた。

奥は巨大な隔壁で閉じられており、周囲に遺物らしい物も見当たらなかった。そこへ旧世界風の制服を着た女性の立体映像が現れ、ヨノズカ駅が非活性状態であることとエラーコードを繰り返し告げた。

チャレス達が立ち去ろうとすると一帯が急に明るくなり、女性の案内は活性準備状態へ変わった。続いて巨大な隔壁が開き始め、その向こうからモンスターが現れた。

動き始めたヨノズカ駅

隔壁の向こうからモンスターが続々と現れる一方、トンネルの壁から球形の警備機械も出現し、レーザー弾で迎撃を始めた。

しかし警備機械はチャレス達も排除対象として攻撃した。チャレス達は一体を破壊するとすぐに撤退した。

その間にもモンスターと警備機械の数は増え続け、立体映像の女性はヨノズカ駅が準活性状態になったことを告げながら、エラーコードを繰り返していた。

隔壁に阻まれたユミナ

簡易拠点周辺の状況を調べていたユミナは、遺跡全体が突然明るくなったため仲間二人と戻ろうとした。

しかし簡易拠点へ続く通路が隔壁で閉鎖され、直後に球形の警備機械が襲ってきた。ユミナ達は銃撃で損傷を与えたが止め切れず、ユミナが強化服の力で殴り飛ばした。その代償として右手を負傷し、銃をまともに扱うことが難しくなった。

地上を目指すユミナ

簡易拠点へ戻れる保証もなく、警備機械まで動き始めたことで、ユミナは地上へ向かいドランカムに救援を求めることを決めた。

同行していた二人は簡易拠点への帰還を望んだため、ユミナは無理に連れていかず、カツヤを無理させないよう頼んで別れた。

地上から入り込んだモンスターが一度撃退された遺跡では、今度は地下側から現れるモンスターと警備機械が新たな脅威となり、隔壁によって通路構造まで変化していた。ユミナは大きく迂回しながら単独で地上を目指し、その途中でモンスターに追われ、後にアキラ達と遭遇することになった。

第84話 助ける理由とその相手 

ユミナの救援要請

警備機械に追われていたユミナを助けたアキラ達は、カツヤ達が遺跡内に取り残されていると聞いた。エレナは力になりたいと考えたが、都市までの護衛を求めるレビン達との緊急依頼の交渉中でもあり、判断に迷った。

レビンは自分達の安全を優先させるため、五人で五千万オーラムを支払う条件を受け入れた。一方のユミナはカツヤ達の救援を求めたものの、それに見合う報酬を提示できず、苦悩した。

アキラの選択

アキラは当初、カツヤ達をわざわざ助ける理由はないと考えていた。しかしアルファから、判断をエレナに任せるのではなく自分でも選ぶよう促された。

アルファは、ユミナが地上へ戻っても再びカツヤ達を助けに遺跡へ入る可能性が高く、その場合は死ぬ恐れがあると説明した。またアキラが救援に向かえば、エレナ達の負担や罪悪感を減らし、カツヤへの貸しにもなると話した。

アキラはそれを踏まえ、カツヤ達の捜索と援護を自分が引き受け、エレナ達にはレビン達を任せると決めた。ただし依頼として受けるわけではなく、危険になれば逃げるとユミナに明言した。

二手に分かれた一行

アキラとユミナは弾薬を整えて遺跡の奥へ向かい、エレナとサラはレビン達を護衛して地上へ戻ることになった。ユミナは一度地上へ出る時間を惜しみ、アキラとカツヤ達を探す道を選んだ。

エレナ達もアキラ達を見送った後、仕事を早く終えて応援に戻るため、急いで地上を目指した。

アキラへの再評価

遺跡内ではアキラが索敵を担い、接近するモンスターをユミナが反応するより早く察知して撃破した。

その能力を間近で見たユミナは、以前シオリがアキラとの衝突を極端に警戒した理由を理解した。自分達がルシアの件で殺し合い寸前まで進んだことを改めて危険だったと感じ、カツヤと再会した際には再び揉めないよう仲裁する覚悟を決めた。

ユミナの右手

ユミナは隔壁や逃走の影響で簡易拠点への道を正確には覚えておらず、エレナから受け取った地図を頼りにアキラと進んだ。

その途中、アキラはユミナの右手の負傷に気付き、自分の高性能な回復薬を渡した。薬はすぐに効き、ユミナの右腕は問題なく動くまで回復した。

代金を申し出たユミナに、アキラは仕事として受けたわけではないので請求しないと答え、代わりに借りをエレナ達へ返してほしいと頼んだ。

レビン達の引き渡し

エレナ達は小規模なモンスターを退けながら無事に地上へ戻り、レビン達との緊急依頼を正式に処理した。

都市への途中でクロサワ達の輸送部隊と合流すると、レビン達と遺物を引き渡した。護衛人数が減った分の値下げを求めたレビンに、エレナは後半の護衛が豪勢になった分で相殺すると返し、遺跡の情報をクロサワへ売って補填するよう勧めた。

その後、エレナとサラはアキラ達を援護するためヨノズカ駅遺跡へ引き返した。

チャレス達との遭遇

アキラとユミナは途中でモンスターと戦うチャレス達に加勢した。チャレスはユミナの名を聞くと、少し前に仲間を探していたカツヤと出会ったことを明かした。

カツヤはチャレス達と別れ、さらに遺跡の奥へ向かっていた。ユミナはすぐ追おうとしたが、アキラに落ち着いて情報を集める方が発見しやすいと止められ、冷静さを取り戻した。

旧世界の立体映像

チャレス達は、巨大なトンネルで旧世界の女性の立体映像を見付けたことを話した。その場所では地下側からモンスターが現れ、警備機械もハンターを攻撃していた。

彼らはカツヤに、立体映像が本来は施設案内などを行う機能なら、正常に動けば迷子の位置を調べられる可能性があると雑談で話していた。ユミナはその話を聞き、カツヤなら自分を探すために危険なトンネルへ向かった可能性が高いと考えた。

地図情報の交換

ユミナはトンネルの場所を教えてほしいと頼んだが、チャレス達にとって遺跡内の移動記録は価値の高い情報だったため、無償では渡せなかった。

そこでアキラは、自分達が持つ詳細な地図情報との交換を提案した。ユミナはその価値を理解して戸惑ったが、アキラは後でエレナ達へ借りを返してほしいと告げた。

場所を知ったユミナは、危険を承知でカツヤを助けに行くと改めて頼んだ。アキラはあっさり承諾し、二人は目的地をトンネルへ変更した。

カツヤへの奇妙な評価

アキラ達を見送ったチャレス達は、カツヤには単なる強さとは違う何かがあると話し合った。彼らはその感覚を正確には説明できなかったが、カリスマのようなものだと捉え、カツヤを高く評価していた。

ユミナを探すカツヤ

簡易拠点で眠っていたカツヤは、助けを求める無数の声を感じる悪夢から目覚めた。アイリからユミナが約六時間戻っていないと聞くと、状況を確認して一人で捜索に出ると決めた。

アイリは同行を望んだが、カツヤは仲間達を守ってほしいと頼み、自分もユミナも戻ると励ました。アイリはその願いを受け入れ、残った若手達にも拠点から出ないよう厳しく命じた。

単独行動のカツヤ

カツヤは遺跡内を一人で進み、遭遇したモンスターを次々に倒した。自身でも怖いほど調子が良く、敵の位置や動きを自然に察し、銃撃も正確に命中していた。

カツヤは以前から単独行動の方が調子が良いことに薄々気付いており、それもアイリを連れてこなかった理由の一つだった。

助けを求める声

カツヤには助けを求める誰かの位置や方向が何となく分かり、その感覚を頼りに遺跡を走り回った。何人ものハンターを救ったが、その中にユミナはいなかった。

途中でチャレス達とも出会い、彼らから旧世界の女性の立体映像と危険なトンネルについて聞いた。

ユミナはカツヤに助けを求めているのではなく、カツヤを助けようとしていたため、カツヤが感じる声の先にはいなかった。しかしカツヤはそのことに気付かず、焦りを強めた。

やがてカツヤは、自分が立体映像の場所へ行けば全て解決すると無意識に信じるようになった。その理由を考えることもなく、唯一の解決策だと確信して危険なトンネルへ向かって駆け出した。

第85話 続く試行 

トンネルへ向かったカツヤ

巨大なトンネルの乗降場では、警備機械とモンスターの群れが激戦を続けていた。カツヤは立体映像の女性を発見すると、今の自分なら突破できると判断して単身乗降場へ向かった。

渡り廊下ではモンスターを素早く撃破して進んだが、乗降場へ入った瞬間に弱い目眩を覚え、それまでの絶好調が突然失われた。動きも射撃精度も大きく落ちたものの、カツヤは引き返さず、襲い来る敵を倒しながら女性の前まで辿り着いた。

反応しない立体映像

カツヤは女性に、ユミナの居場所の確認、隔壁の開放、トンネルの封鎖、警備機械によるモンスター対処の優先を要求した。しかし女性はエラーを繰り返すだけで、何の反応も示さなかった。

そこでカツヤは、なぜ自分がここへ来れば全て解決すると確信していたのか分からなくなった。周囲にはモンスターが集まり、調子も落ちた状態では戻れないと悟ったところへ巨大な獣が襲いかかった。

ユミナとアキラの到着

獣の頭部がアキラの狙撃で吹き飛び、別の渡り廊下からユミナとアキラが現れた。

二人はカツヤを探して遺跡を急いでおり、索敵と敵の排除をほぼアキラが担っていた。アキラはアルファの強いサポートで高速移動と戦闘を続けたため身体への負荷が大きく、回復薬を使いながら進んでいた。

トンネルへ到着すると、アキラは事前に専用弾へ交換していたCWH対物突撃銃でカツヤを襲う獣を撃破した。

カツヤの救出

アキラはDVTSミニガンで乗降場と渡り廊下のモンスターを押さえ、ユミナにカツヤを連れ戻すよう頼んだ。

ユミナはアキラの援護を信じ、周囲を飛び交う銃弾にも構わずカツヤまで走った。カツヤを見付けると怒鳴りつけ、動けるか確認する間も惜しんで引き摺るように連れ戻そうとした。

その途中で巨大なトンネルが閉まり始めた。カツヤ自身にも理由は分からなかった。

アルファと立体映像

トンネルが閉じる直前、これまで誰にも反応しなかった立体映像の女性は、センサー上にだけ存在するアルファへ反応していた。

アルファはアキラにも知覚できない状態で女性に何かを告げ、その後トンネルが閉じ始めた。

回復薬の借り

合流後、カツヤはアキラになぜ助けたのか尋ねたが、アキラはカツヤを助けたつもりはないと答えた。険悪になりかけた二人をユミナが止め、カツヤの状態確認を優先した。

カツヤは疲労しながらも戦えると答えたため、ユミナはアキラから高性能な回復薬を受け取り、カツヤに使わせた。

即効性に驚いたカツヤは代金を払うと言い張ったが、一箱二百万オーラムと聞いてたじろいだ。それでも引けなくなり、アキラから箱ごと受け取って同じ物を後で返すことになった。

簡易拠点の安定

カツヤ達が簡易拠点へ戻ると、カツヤが助けたハンター達やチャレス達も加わって防衛戦力が増えていた。

さらに地上へ戻ったエレナ達が通信を中継し、ドランカムとの連絡も確立していた。増援が到着すると知らされた若手達は落ち着きを取り戻した。

カツヤ達からトンネルが閉じ、通路を塞いでいた隔壁も開いたと知らされると、拠点内では歓声が上がった。アキラやカツヤ達は遺物収集を続けず、地上へ戻ることを選んだ。

遺跡からの帰還

地上ではエレナとサラがアキラを迎えた。アキラは疲労を隠せず、追加の遺物収集を勧められても即座に断った。

カツヤ達も地上へ戻り、ドランカムの増援を待つことになった。しかしカツヤだけは休まず周囲を探索していた。助けられなかった仲間への悔恨が強く、何もせず休んでいることに耐えられなかったためである。

崩落した地上

離れすぎたカツヤを心配したユミナは戻るよう求めたが、カツヤは断った。ユミナは自分から迎えに行くと決め、アイリと共に向かった。

二人が近付いた時、突然地面が大きく崩落し、ユミナとアイリが地下へ落下した。

カツヤには自分だけ逃げるべきだという感覚が働いたが、それを拒絶した。仲間を見殺しにすることが最善だと告げるような力なら不要だと考え、崩落する地面へ自ら飛び込んだ。

崩落地帯の三人

地下では大量のモンスターと警備機械の戦闘で構造物が崩壊していた。トンネル封鎖によって北側にモンスターが偏り、そこへ警備機械も集まったことが激戦を拡大させていた。

落下したカツヤ、ユミナ、アイリはアキラから受け取った回復薬を三等分して負傷を治し、地上で補充していた重火器でモンスターを迎撃した。

しかし敵は多く、やがてユミナとアイリの弾薬が尽きた。二人は格闘戦まで覚悟したが、その直前に上から銃撃と榴弾が降り注ぎ、周囲のモンスターが吹き飛ばされた。

アキラ達の救援

アルファから崩落とユミナ達の状況を知らされたアキラは、エレナ達に現場確認を頼んでいた。

エレナ達は車で崩落地点へ向かい、ロープを使って救助を開始した。アキラとサラが地下へ下り、ユミナとアイリを先に地上へ引き上げることになった。

アキラは自分が残って援護すると申し出、カツヤも残った。二人はモンスターの群れを相手に並んで戦い始めた。

アキラとカツヤの連携

アキラはDVTSミニガンで群れを押し返し、強力な個体をCWH対物突撃銃で狙った。しかし標的にした敵をカツヤが先に撃破することが続いた。

アルファはカツヤも最適な敵を選んでいると判断し、アキラへのサポートを強めて二人全体での効率を優先した。

するとカツヤは合図もないままアキラの動きに合わせ、互いの武装や位置まで考慮した精密な連携を成立させた。アキラは、アルファのサポートを受けている自分に匹敵するような動きを自力で行うカツヤに驚愕した。

カツヤの強さへの疑問

地上から戦況を見ていたエレナも、カツヤの強さに違和感を覚えた。戦闘薬の使用をユミナに確認したが、使っていないと聞いてさらに疑問を深めた。

ユミナは、最近のカツヤが単独行動で強さを増していたことから、自分達が足を引っ張っていたのかもしれないと考えた。

一方のカツヤもアキラの実力を掴み切れずにいた。目の前では明らかに強いのに、感覚的にはそこまで強く感じられないという不一致に困惑していた。

サラによる引き上げ

アキラとカツヤは戦いながら互いに余計な一言を交わし、再び険悪になりかけた。

そこへサラが迎えに下りてきて、二人をまとめて引き上げた。アキラとカツヤはサラに密着して運ばれることを躊躇したが、安全のためだと強く言われて従った。

全員が地上へ戻ると、エレナはすぐに車を発進させた。その後、崩落地帯のモンスターは新たに到着したハンター達によって処理された。

アキラの休息

ドランカムへカツヤ達を引き渡した後、エレナ達は帰路に就いた。

アキラは緊張が解けた途端に強い疲労を感じた。遺物の換金、弾薬や回復薬の補充、車両の受け取り、装備更新、シェリルとの遺物分配など仕事は残っていたが、アルファに勧められて眠ることにした。

アキラにとって、ヨノズカ駅遺跡を発見してから続いた一連の騒動は、そこでひとまず一区切りとなった。

ヴィオラの思惑

ヴィオラはミズハからの苦情に対し、未発見の遺跡が実在した以上、自分の情報は正しかったと反論した。ドランカムが若手だけを動かし成果を独占しようとしたことが失敗の原因だとして、責任を退けた。

ヴィオラは遺跡の独占を防ぐ方法を複数のハンターに流していたが、それだけでモンスターの群れが想定以上の規模になるとは考えていなかった。

多くの死者が出たことにも深く拘泥せず、自分の情報操作が十分ではなかったという程度に受け止め、次の企みに意識を移していた。

ネルゴ達の目的

ヨノズカ駅遺跡へ向かうネルゴ達も、別の目的で動いていた。

彼らはドランカムの若手がモンスターに襲われたところを偶然救援した形にして恩を売る予定だった。しかし別の者達も同様の情報を流していたため、モンスターの群れが想定を超え、仲間が巻き込まれて計画は失敗した。

ネルゴはドランカムへの接触より、まず仲間の回収を優先するよう指示を受けた。

アルファと少女の試行

真っ白な世界でアルファは少女に、カツヤの問題へアキラを何度も巻き込ませないよう苦言を呈した。

少女は、カツヤが未契約で制御が難しく、今回の出来事も確率の結果だと答えた。アルファもアキラにカツヤ救援を強制しておらず、アキラ自身の選択によって結果的に助ける形になったため、どちらの不手際でもないと主張した。

カツヤへの無意識の干渉

少女は念話を利用し、カツヤが知覚できない大量の情報を無意識へ送り込んでいた。

その影響でカツヤは、ヨノズカ駅の立体映像の女性の場所へ行けば全て解決すると、思案や疑問を挟まずに確信していた。

乗降場に入って少女との通信が途切れた後も、その思い込みは残った。しかし立体映像が要求に応じなかったことで、ようやく自身の行動の不自然さに気付いた。

通信が維持されていれば、少女はカツヤを介して遺跡のシステムに働き掛け、ユミナの位置確認、隔壁の開放、トンネル封鎖、警備機械の優先対象変更を実行させるつもりだった。

契約と制約

アルファにも同様の無意識への干渉は技術的には可能だったが、アキラと正式な契約を結んでいるため規約上使用できなかった。

少女は未契約の個体だからこそ可能な干渉方法を、今後の試行や自分達の存在を外部に悟られない手段として重要視していた。

アルファは制約の隙を突く行為が存在そのものの同一性を損なう危険を指摘したが、少女はそれも確率の問題だと返した。

両者は最後まで立場を変えず、試行は継続された。

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