物語の概要
■ 作品概要
魔族の出現によって情勢が変化するなか、王国はアーカート神聖帝国との外交関係を強化するため、「親善友好団」を新設した。
団長を務めるヴァルド王太子は、個人的に親しいヴェンデリンを団員に指名し、若手貴族を中心とする一行は帝都へ向かう。
当初、この外交使節はヴェンデリンにとって「休暇」のような意味合いが強かった。
しかし、極北の地で発見された古代文明の遺産と、その領有権をめぐる測量競争へと、事態は大きく発展していく。
厳しい環境のもと、王国と帝国が地図作成を競い合う一方で、魔族オットー率いる「世界征服同盟」も、人間支配の足がかりとなる力を求めて極北へ侵攻する。
やがて南方で魔物の活動が活発化したことにより、巨大な「アイスアーマードラゴン」が出現。
王国と帝国は共闘し、ヴェンデリン一行も遊撃部隊として加わってこれを討伐する。
そして最終的に、両国は北方の共同探索体制を築き上げる。
■ 主要キャラクター
- ヴェンデリン: バウマイスター辺境伯。ヴァルドの指名を受け、親善友好団に加わる。家政顧問のローデリヒから出発直前まで過密な仕事を課されていたが、現地では「瞬間移動」を駆使して自由時間を確保する。極北では新型魔導ソリを使った遊撃部隊の主力として活躍し、ドラゴンの氷の鎧を砕くきっかけを作った。
- ヴァルド: ヘルムート王国の王太子で、親善友好団の団長。帝国との外交を成功させる一方、友人であるヴェンデリンとの旅を楽しむことも目的としている。ヴェンデリンの何気ない行動を「深い忠誠と友情」の表れだと受け取り、彼への執着をいっそう強めていく。
- ペーター: アーカート神聖帝国の皇帝。エメラを内縁の妻として迎え、彼女の「毒探知魔法」のおかげで常に温かい料理を口にできるなど、権力者としては珍しいほど強い信頼関係を築いている。極北探索ではヴェンデリンを戦力として活用しながら、帝国の権益確保も狙っている。
- オットー・ハインツ: 「世界征服同盟」の党首。人類支配を目論み、極北の北極点へ不法に侵入する。そこで「巨大な水晶玉を備えた魔道具」の回収に成功する。
- 藤子・ルル: バウマイスター辺境伯家の一員。自分の火魔法(暗黒紅蓮竜・白炎竜)の実力を証明したいという思いから、木箱に身を隠して新型魔導ソリに密航する。クライマックスでは、ドラゴン討伐の決め手となる一撃を放つ。
- 導師(アームストロング): 王宮筆頭魔導師。帝国でのパーティー中も人との交流より食事を優先し、ゴールデンカブトムシに振り落とされても平然と戻ってきて、パンと味噌汁を完食するほどの驚異的な生命力を見せる。ドラゴン戦では、足止め役の中心として奮闘する。
書籍情報
八男って、それはないでしょう! 23
著者:Y.A 氏
イラスト:藤ちょこ 氏
出版社:KADOKAWA(MFブックス)
発売日:2021年8月25日
ISBN:9784046806949
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あらすじ・内容
極北探索! 古代魔法文明の遺産を大発掘!?
王国は魔族との関係性を踏まえ、五年に一度行われる帝国への親善訪問をより短いスパンで、より有意義なものとすべく、新たに親善友好団を創設した。団長にはヴァルド王太子が就き、付き添いの若き大貴族としてヴェルが選ばれ、一行は帝国へ赴く。
だが蓋をあけてみれば、そんな大義名分とは裏腹に、ヴェルへ親善友好団参加という休暇を与え、親密になりたいヴァルドと、ヴェルと昆虫採集に勤しむペーターの姿がそこにあった。
一方、新しい魔族の国を作るべく旅立ったオットーたちは、古代魔法文明の遺産を求め帝国の北、極北の大地へとたどり着いていた。人も魔族も住めないこの手つかずの大地に、世界を統べるための遺産が眠っていると信じて……。
そして親善友好団の日程を終えたヴェルたちもまた、極北の大地へ向かった。王国、帝国、ともにこの地の調査と、氷の下に眠る魔道具の入手が目的だというが、はたして……。
偶然にも名だたる曲者たちが集ってしまったこの極寒の地より、新たな物語が動き出す!
感想
前巻まで南の島を開拓していたと思ったら、今度は一気に北。
舞台はアーカート神聖帝国のさらに北にある、ほぼ北極圏みたいな永久氷河の大陸である。
南国から極寒。
振れ幅が凄いな。
しかも今回は単なる探検ではなく、王国と帝国による地図作成と測量競争。
古代魔法文明の遺産が眠っている可能性もあるため、どちらも相手に独占されたくない。
その一方で、皇帝ペーターと王国のヴァルド王太子は、ヴェンデリンたちのベースキャンプでワカサギを釣りながら普通に密談している。
国家同士は競争中。
トップ同士は天ぷらを食べながら話し合い。
何だかんだで外交できてるじゃん。
そしてヴェンデリンも、
「また政治に利用されてるな」
と分かっているのに普通に受け入れている。
もう慣れたんだろうな。
南の島の次は極北。今度は王国と帝国で地図作成競争か
今回の極北探索で面白かったのは、王国と帝国が完全な敵対関係ではないところである。
帝国は北の大陸の領有権を確保したい。
王国は古代魔法文明の遺産を帝国だけに独占されたくない。
だから両国とも探索隊を出し、地図作成を競う。
でも、
邪魔はしない。
危険な古代兵器の情報は共有する。
必要なら協力する。
ペーターとヴァルドは、かなり現実的な線で話をまとめている。
その話をしている場所が、
ワカサギ釣りのテント。
釣れた魚を天ぷらやアヒージョにして食べながら、領土や古代兵器について話す。
絵面だけ見たら休日のお父さんたちだぞ。
でも話している内容は国家外交。
この温度差が『八男』らしくて面白かった。
しかも、その場にはヴェンデリンがいる。
ペーターからすれば戦力として使える。
ヴァルドからすれば王国側の重要人物。
どちらからも利用価値が高い。
本人もそれに気づいている。
でも、
まあいいか。
という感じで受け入れてしまう。
結果として王国と帝国の橋渡しまでしているのだから、本人の意思とは関係なく外交官みたいになっている。
本人はワカサギ食べたいだけなのにな。
今回は導師が「競う側」。それでも相変わらず非常識なのが笑う
そして今回は、アームストロング導師がヴェンデリンたちと同じチームではない。
王国側の探索隊に入り、
探索競争をする側。
これは結構新鮮だった。
いつもなら、
ヴェンデリン。
導師。
ブランターク。
辺りが同じ側にいて、何かやらかす。
ところが今回は別行動なので、
「導師ならどう進むんだ?」
という感じで見られる。
その結果、
やっぱり導師はおかしい。
極寒。
猛吹雪。
魔物の大群。
普通の魔法使いたちは疲弊している。
それでも導師は戦い続ける。
巨大な白熊の魔物まで普通に倒す。
王国探索隊からすれば、
この人、本当に人間か?
状態だろう。
でもさらに酷いのが、
ヴェンデリンたちのパーティーと並ぶと導師の異常さが薄れること。
これ、何気に凄い。
普通の作品なら導師一人で十分な変人枠である。
ところがこの作品では、
ルイーゼ。
イーナ。
エリーゼ。
ブランターク。
さらに藤子やルル。
みんな普通じゃない。
極寒の大陸を新型魔導ソリで爆走し、魔物を陽動し、最後には巨大竜と戦う。
導師の弟子たち、
育ちすぎでは?
師匠の個性が弟子の集団に埋没するってどういうことだよw
魔物を狩りすぎたらヌシが南下。そりゃ怒るわ
王国と帝国は探索のため、北へ向かいながら魔物をどんどん倒していく。
地図を作る。
道を確保する。
探索隊を進める。
そのためには魔物が邪魔なので仕方ない。
ただ、
狩りすぎた。
結果として魔物の分布が崩れ、領域の主が南下してくる。
出てきたのが、
アイスアーマードラゴン。
全高二百メートル超。
デカすぎる。
しかも全身を分厚い氷で覆い、火魔法で溶かしてもすぐ再生する。
導師や帝国の魔法使いたちでも決め手がない。
完全に、
ヌシが怒って出てきた。
という状況である。
探索隊、
狩りすぎだろ。
でもここからの解決方法が『八男』らしい。
新型魔導ソリが暴走。
止まらない。
そのままアイスアーマードラゴンへ激突。
大爆発。
氷の鎧が吹き飛ぶ。
……兵器じゃないんだぞ、そのソリ。
本来は探索用だろ。
でも結果的に最大の突破口になる。
そこへ導師とルイーゼが尻尾を押さえ込み、イーナの火炎槍へヴェンデリンたちが火魔法を重ねる。
最後は口から後頭部まで貫通。
討伐完了。
事故からの総力戦。
なんともこのパーティーらしい決着だった。
導師が異常なのに、それを普通にしてしまう弟子たちの方が怖い
今回あらためて感じたのは、
導師ってやっぱり相当おかしい。
でもヴェンデリンたちの中では、
「まあ導師だから」
で終わってしまう。
むしろ極北探索では、導師が王国の探索隊にいることで、
今回は導師が競争相手か。
くらいの扱いになっている。
冷静に考えると変である。
王宮筆頭魔導師。
超マッチョ。
極寒でも普通に戦う。
巨大魔物を殴り倒す。
そんな人物なのに、主人公側を見ると、
ヴェンデリンは規格外の魔力。
ルイーゼは導師直系の魔闘流。
妻たちも普通に高火力。
子供たちまで魔法で巨大魔物を倒す。
そりゃ埋没するわ。
というか、
導師の弟子だからこうなったのか?
順調に非常識が継承されている気がする。
そして今回も、ヴェンデリン本人は休暇や観光のつもりだった。
帝国に来た。
遊んだ。
北の大陸へ行った。
ワカサギを釣った。
それなのに最終的には、
王国と帝国の外交に関与。
探索隊の遊撃戦力。
巨大竜討伐。
古代地図発見。
普通に国家級の成果になっている。
休暇とは。
ただ、王国と帝国は最終的に、領有権は帝国、ドラゴン討伐の功績は王国、古代地図は共有という形で落ち着いた。
何だかんだと外交成立。
ヴェンデリンたちが真ん中にいると、喧嘩になりそうでも妙にまとまるんだよな。
そして一番怖いのは、
あれだけ非常識な導師を見ても、
今回そこまで目立ってないな。
と思ってしまったこと。
慣れって怖い。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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考察・解説
ストーリー・プロット
主要な転換点
極秘結婚式の挙行
- それ以前の状況
ペーターとエメラ、そしてヴェンデリンとテレーゼは、政治的な事情から正式な結婚式を挙げられずにいた。 - 出来事
下町のレストランで、親しい仲間だけによるサプライズ結婚式が開かれた。 - 変化
仲間たちの結束はより強まったが、このことを知ったヴァルドは、自分だけがその輪に加われなかったことを悔やむことになった。 - 次への影響
これをきっかけに、ヴァルドはヴェンデリンへの一方的な執着を強め、後の過剰な接近へとつながっていく。
古代大陸地図の発見
- それ以前の状況
帝国と王国は多くの人員を投入し、困難な測量競争を続けていた。 - 出来事
藤子とルルは地下遺構で、詳細な古代大陸の地図を発見し、持ち帰った。 - 変化
それまで集めていた測量データの価値は相対的に下がり、無益な競争を続ける理由もなくなった。 - 次への影響
両国が共同で探索する体制づくりを後押しし、国同士の関心が遺産調査へと移るきっかけになった。
新型魔導ソリの暴走と激突
- それ以前の状況
ドラゴンを覆う氷の鎧は瞬く間に再生し、魔法攻撃が効かないため、戦いは膠着していた。 - 出来事
ルルの操縦ミスによるスロットルの故障でソリが暴走し、物理的な突撃攻撃となった。 - 変化
強烈な物理攻撃によって魔法防御が打ち破られ、ドラゴンの無防備な肉体がさらされた。 - 次への影響
火炎槍を一点に集中させて攻撃できるようになり、強敵だったドラゴンの討伐成功へとつながった。
アマーリエの妊娠発覚と社会的承認
- それ以前の状況
アマーリエは公には侍女長という立場にとどまっており、その扱いは曖昧なままだった。 - 出来事
妊娠が判明した後、アルテリオ商会のパーティーでは、ヴェンデリンの妻として迎えられた。 - 変化
周囲の商人や貴族たちから、実質的にヴェンデリンの妻として確かな社会的承認を得た。 - 次への影響
バウマイスター家の家族関係は安定し、アマーリエを不当に侮辱する親族を遠ざけることにもつながった。
まとめ
一連の出来事は、これまで解消されていなかった人間関係や対立を動かし、各勢力の力関係を大きく組み替える転機となった。結婚や懐妊による立場の安定から、古代地図の発見、魔物討伐を通じた国際情勢の進展まで、これらの変化は今後の展開を左右する確かな土台になっている。
主人公を中心とした人物関係の変化
物語の進展に伴い、主人公ヴェンデリンを取り巻く人間関係には大きな変化が生じている。政治的な思惑や私的な交流を通じて、各人物との距離感や信頼の質がどのように変容したのかを以下に整理する。
ヴェンデリンとヴァルド
- ヴァルドはヴェンデリンとの友情を深めたいと期待している一方、ヴェンデリンはあくまで公務上の関係だと割り切っている。
- しかし、ヴェンデリンの一連の行動はヴァルド側から一方的な忠誠の表れと受け取られ、結果として対外的には両者の信頼関係が強まることになった。
ヴェンデリンとテレーゼ
- 極秘裏に結婚式を挙げたことで、二人はそれぞれ気持ちに一区切りをつけることができた。
- テレーゼはかつての野心を手放し、ヴェンデリンの妻として過ごす日々に確かな幸福を見いだしている。二人の関係も、穏やかで良好なものとして築かれている。
ヴェンデリンとペーター
- キャンプやワカサギ釣りといった私的な交流を重ねるうちに、食へのこだわりも共有する戦友としての信頼が深まっている。
- とりわけ、毒探知魔法に関する情報を共有しているエメラを含め、周囲には明かされない強固な協力関係が築かれている。
公私にわたるさまざまな出来事を経て、ヴェンデリンと周囲の人物たちの関係は、より強固なものへと変化している。感情のすれ違いを抱える関係もあるものの、それぞれとの間に育まれた固有の絆は、今後の行動や陣営の結束を支える重要な土台となっている。
主人公の認識と周囲の評価
物語では、主人公ヴェンデリンが抱く自己像と、周囲の貴族や関係者が彼に寄せる評価との間に、大きな隔たりがある。本人の思惑とは裏腹に、彼への評価が次第に神格化されていく。その実態と、象徴的な場面を整理する。
主人公の認識と周囲の評価
主人公自身の認識
- 家令ローデリヒによる過密な労働から解放された反動で、ただ料理や休暇を心から楽しんでいるにすぎない。
- 移動中に乗り物酔いで意識を失うこともあるなど、本人が望んでいるのは、あくまで平凡な父親としての暮らしである。
周囲からの評価
- 周囲からは、規格外の英雄である導師の再来と見なされている。
- パーティーで黙っているだけでも「相手を品定めする威圧」と受け取られ、戦闘で倒れたことさえ「限界を超えて救援に駆けつけた忠義」と解釈される。その結果、彼は深い思慮を持つ大貴族として畏怖されている。
認識の差が現れた場面
- アイスアーマードラゴンとの戦いへ急行した際、この認識のずれがはっきりと表れた。
- ヴェンデリン本人は、魔導ソリのあまりの速度に耐えられず、酔って意識を失っていただけだった。ところがヴァルド側はそれを、危険を顧みず自分たちの救援へ駆けつけた行動だと受け取り、深く感動する。この出来事をきっかけに、彼の対外的な評価は大きく高まった。
このように、ヴェンデリンの個人的な動機や失態は、周囲の深読みによってことごとく好意的に解釈し直される。本人は平凡でありたいと願っているにもかかわらず、英雄であり大貴族でもある彼の絶対的な権威と名声は、ますます強固なものになっていく。
クライマックス
アイスアーマードラゴンとの戦いは、探索活動による環境の変化をきっかけに突然起きた危機だった。しかし、思いがけない事故を機に総力戦へと発展し、ついに決着を迎えた。ここでは、戦いの発端から各人物の動き、決着、そして戦後の処理までを整理する。
クライマックス
発生原因と当初の状況
- 探索活動によって魔物の数が減少し、周辺の生態系が崩れ始めていた。
- 住処を追われた強力な個体、アイスアーマードラゴンが南へ移動を始めた。
- 導師たちはしんがりを務めて迎撃にあたったが、ドラゴンを覆う氷の鎧は驚くべき再生力を持ち、戦いは苦しいものとなった。
登場人物それぞれの行動
- 導師、ブランターク、サンデスたちは火魔法で足止めを試みたものの、氷の鎧を打ち破る決め手にはならなかった。
- 同行していた若い貴族たちは、巨大な竜の威圧と恐怖に耐えきれず気を失った。
予定外の出来事と危機
- 戦いが膠着するなか、藤子とルルは独断で新型の魔導ソリを発進させた。
- ルルがスロットルを全開にした瞬間、機器が故障し、ソリは制御不能のまま暴走を始めた。
対応と決着
- 暴走したソリはドラゴンの胴体にまともに激突し、大きな爆発を引き起こした。
- その強烈な衝撃で氷の鎧は、魔法による再生が追いつかないほど徹底的に砕かれた。
- この好機を逃さず、導師とルイーゼは竜の巨体を拘束した。
- イーナが放つ火炎槍に対し、ヴェンデリンをはじめとする全員が火魔法を上乗せして威力を極限まで高め、後頭部を貫通させて討伐を完了した。
直後の結果
- アイスアーマードラゴンの死が確認され、得られた素材は分配された。
- 王国はドラゴン討伐という大きな成果を得て、帝国はこの地域の領有権を確保した。こうして、両国の間で合意が成立した。
突発的な魔導ソリの暴走という事故が結果として強固な防御障壁を破壊する突破口となり、間髪を容れぬ連携攻撃によって強敵の撃破が達成された。戦果と領有権の双務的な分配をもって事態は収拾し、両国にとって実利を伴う形で戦闘は幕を閉じた。
巻末時点の状況
巻末時点の状況
過酷な北方探索と強敵との戦いを経て、探索事業と主人公を取り巻く状況は大きな転換点を迎えた。長年の懸案だった脅威の排除や地位の確立が進む一方で、北方には未解明の謎や新たな勢力の台頭など、次の混乱につながりかねない火種も残されている。ここでは、巻末時点での到達点と、今後の展開に関わる重要な要素を整理する。
主人公の状況
- 領地の公務に復帰した。
- アマーリエの妊娠により、私生活でも家族が増えるという大きな変化を迎えている。
解決した問題
- 強敵アイスアーマードラゴンを討伐した。
- 地下遺構で、貴重な古代遺物である大陸地図を手に入れた。
- アマーリエの懐妊をきっかけに、彼女の社会的地位が正式に整理・承認された。
継続している問題
- 北極点にあった古代遺産が消失していることが確認された。現場には巨大な穴だけが残されており、何者かが水晶玉の魔道具を持ち去ったことが明らかになっている。
- 姿を消した魔族オットーたちの行方は、いまだ分かっていない。
今後につながる要素
- 持ち去られた古代遺産によって、魔族側の軍備が強化されるおそれがある。
- 発見された地図を手がかりに、帝国と王国が協力して北方探索を進めていく見込みだ。
まとめ
当面の脅威だったドラゴンを退け、古代地図も確保できたことで、北方探索はひとまず大きな成果を得て区切りを迎えた。私生活でも家族関係が整い、主人公の足場は強まっている。しかし、消えた古代遺産の行方と魔族の動向という未知の脅威は残されたままだ。国家間の共同探索が本格化するなか、物語は新たな局面へ進んでいく。
王国と帝国の外交
『八男って、それはないでしょう! 22』で大津大社での結婚式を終えた後、第23巻では魔族(ゾヌターク共和国)の出現によって世界情勢が大きく揺れ動く。そのなかで、ヘルムート王国とアーカート神聖帝国の外交関係も、これまで以上に重要で複雑な局面を迎える。
第23巻で描かれる両国の外交は、表向きの国家交渉だけにとどまらない。首脳たちの個人的な思惑や、極北の地をめぐる探検競争も絡み合い、何層にもわたる構図になっている。以下、4つのポイントから見ていく。
親善友好団の創設とヴェンデリンへの骨休めという大義名分
王国と帝国はこれまで、5年に一度のペースで親善訪問団を派遣してきた。しかし前回は、帝国内乱(ニュルンベルク公爵の反乱)に巻き込まれ、十分な成果を得られないまま終わっている。
- より短いスパンでの外交強化
魔族という未知の勢力の出現を受け、両国は首脳部や実務者がこれまで以上に頻繁に協議する必要に迫られる。そこで、より短い間隔で交流を深めるため、臨時の親善友好団が組織される。 - 若手育成と大物枠としてのヴェンデリン指名
団長には次期国王であるヴァルド王太子が就き、将来国を担う若手貴族を中心にメンバーが選ばれた。一方で、訪問団としての格を保ち、ペーター皇帝の旧友でもあるヴェンデリンには、大物随伴者としての役割が託される。 - 王太子と家宰の思惑のズレ
ヴァルド王太子は、ヴェンデリンと気ままな外国旅行を楽しみ、友情を深めることを心から期待していた。だが、バウマイスター家の有能すぎる家宰ローデリヒは、ヴェンデリンが不在になる前に工事を前倒しで進めようとする。結果として彼は、出発直前まで食事・入浴・睡眠以外のすべてを仕事に充てるような過密日程を課され、徹底的に働かされることになった。
首脳同士のお忍び友情競争と二組の極秘結婚式
迎賓館での歓迎パーティーのような公式の場では、ヴァルド王太子もペーター皇帝も、かつて非公式に会っていた事実を少しも感じさせない。将来それぞれの国を率いる指導者として厳格に振る舞い、周囲を感心させていた。ところが私的な場に移ると、ヴェンデリンをめぐる微笑ましい張り合いが始まる。
- ゴールデンカブトムシ狩りキャンプ
ペーター皇帝は帝都での公務を終えると、早朝からヴェンデリンを連れ出す。男だけで魔物の領域近くへキャンプに出かけ、1匹1,000万セントのゴールデンカブトムシを捕獲する作戦まで敢行した。二人は立場を忘れ、気楽な時間を存分に楽しむ。 - 二組同時の極秘結婚式
平民出身の内縁の妻エメラのため、公式の結婚式を挙げられないペーター。彼女を思う彼のために、下町のレストランを貸し切った極秘の結婚式が計画される。ヴェンデリンもこれに乗じ、同じく政治的な事情で式を挙げられなかったテレーゼのために、サプライズのウェディングドレスを用意した。アームストロング導師を司祭役に、二組は同時に極秘結婚式を挙げ、仲間としての絆をさらに強めた。 - ヴァルド王太子の猛烈な羨望と嫉妬
密偵シャドウの報告を通じて、男たちの秘密の集まりや極秘結婚式の存在を知ったヴァルド王太子は強く動揺する。高すぎる身分ゆえに、気軽に付き合える同世代の友人がいない孤独も重なり、「なぜ私を誘ってくれないのだ!」と涙を流すほど、羨望と嫉妬を募らせることになる。
極北の大地(北極圏)での探検・測量競争と紳士的密約
物語の中盤になると、外交の舞台は一転して過酷な極北の大地、すなわち氷の大陸へ移る。
- 古代魔法文明遺産(発掘兵器)を巡る猜疑心
帝国内乱で反乱軍が用いた、通信や瞬間移動を阻害する古代兵器。その存在に危機感を抱いた両国は、氷の下に眠る古代魔法文明の遺跡や地図を相手国に独占させまいとする。それぞれが南端にベースキャンプを設け、激しい測量と地図作成、すなわち探検競争を始める。 - 首脳同士のワカサギ釣り密談と秘密協定
現地へ自ら赴いたペーターとヴァルドは、ヴェンデリンを交えて氷上のワカサギ釣りを楽しむ。揚げたての天ぷらやアヒージョを味わいながらも、二人が交わす話し合いは冷静そのものだった。地図作成では無益に対立せず紳士的に競争すること、氷の下に眠る古代兵器や遺産の情報はすべて交換・共有すること――両者は軍事衝突を避けるための合理的な秘密協定を結ぶ。
共通の脅威アイスアーマードラゴン討伐と見事な外交的落としどころ
両国の探索隊が魔物を狩りながら北上し、詳細な地図を作ろうとした結果、生態系の均衡が崩れる。すると、全長200メートルを超える領域のボス、アイスアーマードラゴンが怒って南下を開始し、前線の魔導師たちは危機に陥った。この大危機に際して両国は、見事な外交的判断と現実的な妥協を示す。
- 共闘による竜の討伐
エルの操る(実際は密航していたルルの操縦ミスで暴走した)ベッケンバウアー開発の新型魔導ソリがドラゴンに激突して大爆発し、再生する氷の鎧を粉砕する。その千載一遇の好機を逃さず、王国の導師とルイーゼが竜を拘束し、イーナの火炎槍にヴェンデリンら両国の魔法使いたちが火魔法を上乗せして集中砲火を浴びせ、見事に討伐を成功させた。 - 見事な戦果の二分(妥協の成立)
激闘後、ペーターとヴァルドの交渉により、極めてスマートな取引が成立した。
・土地の領有権は帝国が獲得する(帝国の地政学的優位)。
・ドラゴン討伐の戦果(功績)は王国(ヴァルド王太子)のものとし、王太子の政治的威信・箔付けに利用する。
・竜の素材の売却益は、参加した両国の魔法使い全員で均等に山分けする。 - 合同探索チームの編成
古代遺産については、藤子とルルが地下街から持ち帰った古代の正確な地図を共有しつつ、両国合同の探索チームを編成して共同で当たることとし、抜け駆けを完全に防ぐシステムを構築した。
まとめ
第23巻における王国と帝国の外交は、表向きには国家の威信をかけた探検競争として進む。その一方で、水面下では両国のトップがワカサギ釣りをしながら、兵器の独占を防ぎ、有事には共同で対処するための秘密協定を結んでいる。さらにドラゴン討伐後には、素材、領有権、功績を政治的にきれいに分け合う。実利と妥協を最優先する、老練で大人びた外交サスペンスが本巻最大の魅力だ。
極北の古代遺産
『八男って、それはないでしょう! 23』において、物語を大きく動かす最大の地政学的リスクとなるのが、極北に眠る古代遺産である。帝国と王国は領有権と名誉をかけて苛烈な測量競争を繰り広げるが、その水面下では、魔族急進派も極寒の地に眠る一万年前のロストテクノロジーをめぐる現実的かつ緊迫した争奪戦を展開していた。ここでは、この古代遺産の重要性と、その結末を整理する。
人間領の安全保障を脅かす、発掘兵器への警戒
ヘルムート王国とアーカート神聖帝国が、居住にも農業にも適さない氷の大陸に多大な物資と人員を投入して競い合った真の目的は、単なる新領土の獲得ではなかった。
- 通信・移動を妨げる装置への警戒
帝国内乱の際、反乱軍を率いるニュルンベルク公爵は、飛行・瞬間移動・通信を完全に遮断する強力な古代の発掘兵器を使用した。これにより両国は甚大な被害と混乱に見舞われた。 - 相手国による独占の阻止
同種の発掘兵器が北の永久氷河の下に眠っていると考えられていた。これを相手国に独占されれば、将来的な安全保障の均衡が崩れるおそれがある。そこでペーター皇帝とヴァルド王太子は、表向きには地図作成と友好を掲げながらも、危険な遺産の所在を確かめ、独占を防ぐために自ら極北へ進出した。
規格化された地下都市の発見
遊撃任務中に藤子とルルが発見した地下遺跡は、極北における古代魔法文明の歴史を物語る重要な拠点だった。
- 人工的な拠点の痕跡
瓦礫の奥に広がる地下空間には、プレハブのような簡素な建物が整然と並んでいた。家具や生活用品はいずれも同じ意匠で規格化されており、生活の温かみを感じさせない構造だった。 - 急な放棄と詳細地図の入手
建物内に食料が残されていなかったことから、計画的な撤収が行われたと推察される。一方で、家具は倒れたまま凍結しており、最終的には慌ただしい退避に至った痕跡も見られた。この遺構から持ち帰られた古代の詳細な地図は、両国が長期にわたって進めてきた測量作業の価値を相対化するほど、極めて価値の高い最初の遺産となった。
魔族オットーらによる、北極点の巨大魔道具の奪取
人間側が地図作成やアイスアーマードラゴンとの戦闘に追われている隙を突き、魔王エリザベートとは別行動を取っていた魔族急進派組織「世界征服同盟」の党首オットーらが、遺産の回収を実行した。
- 古文書の解読
オットーは古書店で入手した古代魔族の調査報告書を読み解き、極北の永久氷河の下に重要な遺産が存在することを、あらかじめ把握していた。 - 水晶玉を備えた巨大魔道具の確保
彼らは人間側に魔物への対応を担わせる形で北極点へ到達した。魔法で氷を融解させた地下から、先端に直径3メートルの水晶玉を備えた、高さ30メートルにも及ぶ謎の巨大魔道具を発掘する。そしてそれを魔法の袋に収め、魔族の国へ持ち去った。
残された巨大な空洞と、将来への懸念
ドラゴン討伐後、異変を察知した王国と帝国の精鋭魔導師たちは、飛翔を用いて強行偵察を行った。しかし極点に残されていたのは、巨大な穴と遺物が持ち去られた痕跡だけだった。
- 軍が秘匿した兵器の可能性
魔王エリザベートが資料から突き止め、ヴェンデリンに伝えた情報によれば、その遺産は古代魔法文明時代の主要国の軍隊が、事故による文明崩壊後に極秘裏に隠した特別な兵器だったことが判明している。 - 魔族側の戦力強化リスク
オットーらは過酷な環境下での探索を通じて実戦的な魔法能力を高め、さらに古代兵器まで確保する結果となった。この巨大魔道具の解析や修復が進めば、人間社会にとって重大な脅威となる可能性がある。
まとめ
両国はアイスアーマードラゴン討伐の戦果を分け合い、領有権は帝国、戦果は王国、地図は共有という形で妥協を成立させた。しかし、その裏で最大の懸念だった古代兵器は魔族急進派の手に渡ってしまう。政治的な実利を得て幕を引く一方、将来の国際秩序を揺るがしかねない火種が残される結末となった。
親善友好団の遠征
『八男って、それはないでしょう! 23』で描かれる親善友好団の遠征は、表向きには王国と帝国の関係強化を目的とした公式の外交任務である。だがその裏では、親交を深めたいヴァルド王太子、領主に休暇を与えるつもりのない家政顧問、そして料理と休息を楽しみにする主人公という、それぞれ異なる思惑が交錯する。本稿では、この遠征で起きた主な出来事と、その背景を整理する。
遠征出発前の思惑と過密労働
魔族の出現によって世界情勢が変化したことを受け、王国と帝国は従来の5年周期を前倒しし、新たに親善友好団を派遣することになった。
- ヴァルド王太子の旅行計画
団長を務めるヴァルド王太子は、使節団の格を高めることに加え、ヴェンデリンとの個人的な親交も深めたいと考え、彼を随行者に指名した。船旅の時間を私的な交流に充てるため、自身の公務も急いで片付け、出発の準備を進めていた。 - ローデリヒによる労働スケジュールの構築
バウマイスター家の家政顧問ローデリヒは、領主が長く不在になると知ると、その間に進める予定だった工事を前倒しすることを決めた。出発直前まで、食事と睡眠以外の時間を領地開発に充てる過密な予定を組み、瞬間移動魔法が使えることを理由に、船旅の直前まで働かせた。
帝都歓迎パーティーにおける評価の乖離
帝都で開かれた公式歓迎パーティーでは、ヴェンデリンの何気ない行動が、帝国貴族の間で政治的な意図を持つものとして受け取られた。
- 単独行動の背景
同行者に正妻のエリーゼたちがいなかったため、面識のない貴族とトラブルになるのを避けようと、ヴェンデリンは誰とも交流せず、会場の高級食材やミズホ料理を味わうことに専念していた。 - 帝国側の誤解
黙々と食事を続ける姿を見た帝国の若手貴族たちは、かつて同じような振る舞いを見せたアームストロング導師を思い出した。自らは接触せず料理を楽しみながら、周囲の実力を値踏みしているのだと解釈され、結果として王国の威信を示すことになった。
帝都合流後の私的交流と極秘結婚式
公式行事の合間には、私的な交流や儀式も行われた。
- ゴールデンカブトムシの捕獲作戦
ペーター皇帝の発案で、男性陣だけによるキャンプと、高値で取引されるゴールデンカブトムシの捕獲が試みられた。前世の知識を活用した罠には巨大な個体がかかったが、捕獲には失敗する。それでも通常種を売った利益をもとに、大衆酒場で親交を深める時間が設けられた。 - 二組同時の極秘結婚式
平民出身であるため公式な式を挙げられないエメラを気遣い、ペーターは下町の飲食店を貸し切った結婚式を企画した。ヴェンデリンもこれに協力し、テレーゼへのサプライズとして衣装を用意する。導師の司祭のもと、二組は同時に結婚式を挙げた。この事実を知ったヴァルド王太子は、自分だけがその場に加われなかったことを大いに悔しがった。
極北の大地への移動と秘密協定
遠征の終盤、帝国の探索隊が北方の極地で後退したことを受け、両国の関心は極北の大地へと向かう。
- 古代遺産をめぐる探索競争
帝国内乱で使われた妨害兵器をどちらか一方が独占するのを防ぐため、両国は極北に拠点を設け、測量や地図作成をめぐる競争を始めた。ヴェンデリン一行も即応遊撃部隊として現地へ派遣される。 - ワカサギ釣りと合意形成
極寒の現地で、ヴェンデリンが提案したワカサギ釣りにペーターとヴァルドも加わった。食事を共にするなかで、探索では妨害を行わず紳士的に競争すること、そして発見した古代兵器の情報は完全に共有することを定めた秘密協定が結ばれた。
まとめ
親善友好団の遠征は、国家間の公式な外交使節という枠組みのなかに、領主の過酷な労働、私的な交友関係、そして極北の利権をめぐる現実的な政治的妥協が重なって描かれるエピソードである。表舞台で示される威信と、水面下で交わされる利害が巧みに絡み合い、両国の外交関係に新たな均衡が生まれていく。
巨大竜の討伐
『八男って、それはないでしょう! 23』のクライマックスを飾る、極北の超巨大竜・アイスアーマードラゴン討伐戦を解説する。この戦いは単なる力押しではなく、予想外の事故と両国の精鋭たちの連携が絡み合い、奇跡的に戦死者を出さずに勝利をつかんだ総力戦だった。ここでは、戦闘の経緯を因果関係に沿って整理する。
発生原因とボスの南下
- 王国と帝国の探索隊は、極北の地図作成と古代遺産の調査を進める中で、前線の魔物を討伐しすぎてしまった。
- 生態系のバランスが崩れたことで、その領域の主である全長200メートル超のアイスアーマードラゴンが激怒し、南下を始めた。
- 前線ではアームストロング導師や帝国の副筆頭魔導師サンデスらが足止めを図った。しかし、竜を覆う分厚い氷の鎧は、火魔法で溶かしても極寒の魔力によって瞬く間に再生してしまう。
- 有効打を与えられないまま、魔法使いたちの魔力だけがじわじわと削られていく膠着状態に陥った。
新型魔導ソリの暴走と氷の鎧の粉砕
- 留守番を命じられていた藤子とルルは、自分たちの実力を証明したいという焦りから、新型魔導ソリにこっそり乗り込んだ。
- 戦場で隙を見てソリを発進させた際、操縦ミスによりスロットルが故障し、減速および停止が不能になる事故が発生した。
- 搭乗員は激突の直前に飛翔魔法で脱出したが、最高速度のまま暴走したソリはドラゴンの胴体に突っ込み、大爆発を起こした。
- この爆発で周囲の雑魚魔物が一掃されただけでなく、無敵を誇っていたドラゴンの氷の鎧も広範囲にわたって砕け散った。
全員の魔力を上乗せした火炎槍による決着
- 導師とルイーゼは魔導機動甲冑を展開して竜の背後に回り込み、巨大な尻尾を押さえ込んで動きを封じた。
- 動きを封じられた竜の、唯一無防備な弱点である口内を狙い、イーナがミスリル製の火炎槍を渾身の力で投げ放った。
- 槍の軌道に合わせ、ヴェンデリン、ブランターク、テレーゼ、アグネス、シンディ、ベッティ、藤子、ルルら、両国の魔法使いたちが一斉に火魔法を重ね、威力を引き上げた。
- 熱量と貫通力を極限まで高められた槍は、口内から後頭部までを貫いて脳髄を焼き尽くした。巨大な氷の巨躯は粉々に砕け散り、こうして討伐は完了した。
外交的な決着と戦後処理
- 地図の共有
地下街から持ち帰った古代の詳細地図を両国で共有し、無意味な測量競争に終止符を打った。 - 土地の領有権
北の大大陸の領有権は、地政学的に管理しやすい帝国が得ることになった。 - 政治的戦果
ドラゴン討伐の功績は王国側のヴァルド王太子のものとされ、王太子の政治的な威信を高める結果となった。 - 経済的実利
竜から得られた莫大な素材の売却益は、参加した両国の魔法使いたち全員に均等に分配された。 - 独断専行への処分
勝手に戦場へ乱入してソリを壊した藤子とルル、そして監督責任を問われたエルには、帰還後、大量の計算ドリルを解かされるという罰が科された。
アイスアーマードラゴン討伐戦は、偶発的な事故が結果として難敵の防御を崩す突破口となり、両国の精鋭による高火力の集中攻撃が完全勝利へとつながった戦いだった。戦後も、土地・功績・実利を双方が納得できる形で分配し、国家間の外交的な妥協を見事に成立させた、象徴的な一戦である。
ゴールデンカブトムシ
『八男って、それはないでしょう! 23』第2話では、ゴールデンカブトムシとゴールデンクワガタをめぐる捕獲作戦が描かれる。皇帝であるペーターや領主のヴェンデリンたちが、立場を忘れて夢中になる、どこか微笑ましい騒動だ。ここでは、その経緯と結末を整理する。
高額報酬の緊急依頼と捜索の開始
発端は、帝都の冒険者ギルド本部に出された前代未聞の緊急依頼だった。
- コレクターによる高額報酬の設定
昆虫標本の収集家であるライシャワー伯爵が、帝都の北でごくまれに見つかる、全身が黄金色に輝くゴールデンカブトムシとゴールデンクワガタをどうしても手に入れたがった。そして報酬は、なんと1匹1000万セント(日本円で約10億円相当)にまで跳ね上がった。 - ペーター皇帝の参戦
自由に使える小遣いが欲しかったペーター皇帝は、この依頼に飛びついた。お忍びでキャンプをしていたヴェンデリンたちも巻き込み、さっそく捜索を始める。
前世の知識を活用したバナナトラップの設置
ほかの冒険者たちが手当たり次第に探しては空振りを重ねるなか、ヴェンデリンは前世の知識を生かした方法を提案した。
- 特製トラップの調合
昆虫が発酵した樹液の匂いを好む習性に目をつけ、魔の森のバナナに蒸留酒と砂糖を混ぜて発酵させた特製の餌を用意した。 - 捜索態勢の構築
ペーターの家臣たちがクヌギに似た木々へ餌を塗り、ブランタークとアームストロング導師が周辺の魔物を片づけて安全を確保する。その態勢で、夜の訪れを待った。
巨大な黄金個体の出現と捕獲の失敗
夜になって仕掛けを見回ると、通常種が大量に集まっていた。そして最後の仕掛けで、ついに黄金色に輝く個体を見つける。
- 導師サイズの巨大な体長
木に張りついていたゴールデンカブトムシとゴールデンクワガタは、アームストロング導師に匹敵する、約2メートル級の超巨大サイズだった。標本価値を落とさないため、傷をつけずに生け捕りにしなければならない。 - 魔法の無効化と夜空への逃走
導師は急所を狙って氷魔法〈アイスニードル〉を放ったものの、硬い外殻にはじき返されてしまう。危険を察したカブトムシが飛び立つと、導師は背中にしがみついたが、そのまま夜空の向こうへ連れ去られてしまった。 - 捜索の終了
翌朝に戻った導師は、飛行中に振り落とされたことや、渾身の一撃でも外殻を傷つけられなかったことを語った。こうして、1000万セント獲得の夢は潰えた。
自由市での売却と王太子の反応
本命の捕獲には失敗したが、仕掛けには通常種が大量に残っていた。
- 自由市での露店販売
ヴェンデリンの提案で、一行は変装して帝都南部の自由市に露店を出し、捕まえた通常種を安く売ることにした。大きな昆虫は子どもたちに大好評で、あっという間に売り切れた。 - 庶民的な打ち上げ
わずかな売上を手に、一行は庶民的な居酒屋へ向かった。安酒と料理を楽しみながら、休暇の最後をのんびり過ごした。 - ヴァルド王太子の羨望
密偵から一連の出来事を聞いたヴァルド王太子は、自分もその場にいたかったと強く悔しがった。この一件は、ヴェンデリンへの執着をさらに強めることになる。
まとめ
ゴールデンカブトムシ捕獲作戦は、莫大な報酬に心を躍らせた権力者たちが、まるで子どもに戻ったかのように知識と魔法を総動員して挑んだ騒動だった。本命は逃してしまったが、通常種の販売や居酒屋でのひとときを通して、立場を超えた一行の結びつきはいっそう深まった。
世界征服同盟
『八男って、それはないでしょう! 23』では、一見するとコメディリリーフ的な過激派集団に見えるオットー・ハインツ率いる世界征服同盟が、物語の裏側で人間社会を揺るがしかねない最大級の戦果を手にする。ここでは、彼らが23巻で掲げた思想、採った戦略、そして驚くべき成果を整理する。
組織の概要と十人の精鋭
世界征服同盟の党首オットー・ハインツは、人間との接触を機に、かつての精強な魔族を復活させ、人間を支配下に置くという野望を抱いた。彼はその実現に向け、各地でゲリラ演説やロビー活動を精力的に展開していた。
- 理想と冷酷な現実のギャップ
オットーの魔法訓練運動は若い魔族から好評を得ており、名目上は100人を超えるサポーター会員を抱えていた。だが、人間界への不法出国を決行した当日、港に集まった正規団員はオットーを含めてもわずか10人。寄付金もほとんど集まっていなかった。 - 少数精鋭への開き直り
右腕のカイツェルらが不安を口にするなか、オットーは、烏合の衆を集めても主導権争いで足を引っ張り合うだけだと説いた。歴史上の魔王の蜂起も当初は少人数だったとして、集まった10人こそ能力・意欲・魔力量を兼ね備えた真の精鋭だと仲間を鼓舞し、結束を保った。
平和に慣れた社会への反発と行動動機
オットーたちが世界征服を目指す背景には、ゾヌターク共和国の現代社会への強い不満と、歪んだ種族愛がある。
- 魔道具依存による種族の衰退
オットーは、魔族が便利な魔道具に頼りすぎた結果、本来備えていた強力な生身の魔法能力や戦い方を忘れ、衰退の一途をたどっていると主張する。 - 人間社会への防衛的先制攻撃論
少子高齢化に悩む魔族に対し、人間は爆発的に数を増やしている。オットーは、いずれ人間が魔族の亜大陸を狙うのは避けられないと見ていた。平和に慣れた政治家たちが生ぬるい対応を続ける前に、先制攻撃の手段を確保し、人間を魔族の管理下に置くべきだという論理で彼らは行動している。
古書店で手に入れたロストテクノロジーの情報
彼らが極寒の北の大陸へ不法入国したきっかけは、オットーが町の中古古書店で安価に売られていた、1万年以上前の古代魔法文明跡地に関する調査報告書を見つけ出したことにある。
- 歴史の闇に消えた極秘調査
その資料には、古代魔法文明時代のある国家が、北極点の永久氷河の下に特別な遺産を隠したという記述が残されていた。 - 先行着手の決断
人間側が地理的な認識を誤っている間に、世界が球体であると理解している魔族が先に遺産を発見し、支配の力に変える。その方針のもと、極地への探検が決定された。
狡猾な漁夫の利戦略
不法上陸した彼らを待っていたのは、氷点下40度を下回る酷寒、猛烈な吹雪、そして襲いかかる野生の魔物だった。それでも彼らは、体から熱を放出して寒さをしのぐ技術を駆使し、実戦を重ねるなかで魔法戦闘力を飛躍的に高めていった。
- 人間の進軍を盾にする作戦
道中で魔物の数が急激に減ったことに気づいたオットーは、王国と帝国の探索隊が正面から魔物を討伐しているのだと推測した。 - 消耗戦の回避と直行
ボスクラスの魔物への対応はすべて人間側に任せ、魔物の注意が南側へ引きつけられている隙を突く。彼らは別ルートから飛翔魔法で一気に北極点へ向かう作戦を断行した。
北極点での超巨大魔道具の強奪
人間たちがアイスアーマードラゴンとの死闘を繰り広げるなか、世界征服同盟の10人は北極点に到達した。
- 巨大魔道具の発掘
魔法で氷を溶かし、永久氷河の底から、先端に直径3メートルの巨大な水晶玉を備えた全高30メートル級の未知なる古代魔道具を掘り出した。 - 誰にも知られない撤退
オットーたちは魔道具を魔法の袋に収め、人間側に存在を気づかれることなく魔族の国へ持ち帰ることに成功した。後日、両国の連合軍が現地に到達したときには、そこには巨大な空洞だけが残されていた。
まとめ
世界征服同盟が手に入れた古代兵器は、今後の世界情勢を大きく左右しかねない重大な火種となっている。
- 実戦能力の飛躍的向上
過酷な極地を自らの力で踏破し、魔物を狩り続けたことで、10人の団員は魔族領内でも屈指の戦闘魔導師集団へと成長した。 - 兵器の解析と準備
魔族領内のサポーター会員を動員し、巨大な水晶玉を備えた魔道具の用途を解析するとともに、その運用準備を進めている。
過激派集団と見なされていたオットーたちが古文書を正確に読み解き、極北遠征において唯一かつ最大のロストテクノロジーを奪い去った。この事実は、今後の国際情勢に深刻な脅威をもたらす要因となっている。
登場キャラクター
バウマイスター辺境伯家
ヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスター
元サラリーマンの転生者であり、卓越した魔力を持つバウマイスター辺境伯家の当主である。公務や領地開発の多忙さから逃れて平穏な時間を望む傾向がある。周囲の思惑により意図せず高い政治的評価を受けることが多い。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター辺境伯家・当主。ヘルムート王国・親善友好団大物随伴者。
・物語内での具体的な行動や成果
帝都での歓迎パーティーに出席し、料理を堪能して結果的に王国の威信を示した。ペーターらと魔物の領域でキャンプを行い、特製餌でカブトムシ類を捕獲した。ペーターとエメラ、自身とテレーゼの極秘結婚式を挙行した。極北の大陸でワカサギ釣りを提案し、古代の地下都市調査やアイスアーマードラゴン討伐に参加した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ペーター皇帝やヴァルド王太子との個人的な信頼関係を深め、両国の共同探索体制の構築に貢献した。
エリーゼ・カタリーナ・フォン・ホーエンハイム
ホーエンハイム枢機卿の孫娘であり、優れた治癒魔法の腕前を持つヴェンデリンの正妻である。温厚かつ献身的な性格で、家庭内や対外的な調整を適切にこなす。高速で走る乗り物の操縦を好み、ハンドルを握ると大胆な一面を見せる。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター辺境伯家・正妻。
・物語内での具体的な行動や成果
極秘結婚式に向けてエメラとテレーゼのウェディングドレスの仕立てと調整を担当した。極北の大陸において新型魔導ソリを最高速度で操縦し、前線へ急行した。ドラゴン戦で消耗したヴェンデリンたちに治癒魔法を施した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
イーナ・ズザネ・ヒレンブラント
騎士爵家の出身で、槍術と火魔法を組み合わせた戦闘を得意とするヴェンデリンの妻である。真面目で常識的な思考を持ち、仲間たちの暴走をたしなめる役割を担う。ロマンチックな出来事に対して素直に憧れを抱く一面がある。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター辺境伯家・側室。
・物語内での具体的な行動や成果
極北の大陸の探索隊に選抜され、前線での遊撃任務に参加した。アイスアーマードラゴン戦においてミスリル製の火炎槍を投擲した。魔法使いたちの魔力を上乗せした火炎槍でドラゴンの頭部を貫通させ、討伐に貢献した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ルイーゼ・ヨランデ・アウレリア・オーフェルヴェーク
魔闘流の使い手で、高い身体能力と直感力を誇るヴェンデリンの妻である。明るく行動的な性格で、物事の本質を感覚的に見抜く力に長けている。女性の体格を目測で正確に測定できる特技を持つ。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター辺境伯家・側室。
・物語内での具体的な行動や成果
エメラの体格を目測してウェディングドレスのサイズ調整に貢献した。極北の大陸においてヴェンデリンの世界球体説に理解を示した。アイスアーマードラゴン戦では魔導機動甲冑を展開し、導師とともにドラゴンの尻尾を押さえ込んで動きを封じた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ヴィルマエトル・フォン・アスガハン
英雄アスガハン平民の血を引く怪力無双の狩人であり、ヴェンデリンの妻である。無口だが食欲が極めて旺盛で、美味しい食べ物に対して強い執着を示す。卓越した動体視力と手先の器用さを狩りや釣りに発揮する。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター辺境伯家・側室。
・物語内での具体的な行動や成果
テレーゼの護衛役として帝都で手袋の買い出しに同行した。極北の湖で針外しのコツを瞬時に掴み、大量のワカサギを釣り上げた。釣ったワカサギやオキアミの調理を手伝い、その場で消費した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
カタリーナ・リンダ・フォン・ヴァイゲル
「暴風のカタリーナ」の二つ名を持つ元中央貴族であり、風魔法を得意とするヴェンデリンの妻である。やや見栄っ張りなところがあるが、家事や裁縫を熱心にこなす家庭的な面を持つ。乗り物酔いに弱く、高速移動を苦手としている。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター辺境伯家・側室。
・物語内での具体的な行動や成果
極秘結婚式用のウェディングドレスの微調整を担当した。極寒環境と自身の魔法適性の相性を考慮し、極北での前線探索隊から外れてベースキャンプの留守居役を務めた。宿営地の維持管理を担当した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
アマーリエ・フォン・マインバッハ
元騎士爵家当主クルトの未亡人であり、実質的にヴェンデリンの妻として暮らす女性である。公的には侍女長にとどまるが、聡明かつ温和な性格で屋敷の内部をまとめている。理不尽な親族からの要求に対しても毅然とした態度を貫く。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター辺境伯家・侍女長。実質的な側室。
・物語内での具体的な行動や成果
留守番を嫌がって拗ねていた藤子とルルを優しく諭した。アルテリオ商会のパーティーにヴェンデリンの同伴者として出席し、商人たちから正妻同然の扱いを受けた。無礼な態度をとった従妹サンディの要求を退けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ヴェンデリンとの子供を妊娠したことが判明し、社会的立場が強固なものとなった。
テレーゼ・フォン・フィリップ
前フィリップ公爵であり、帝国の元筆頭選帝侯を務めていた女性である。現在は権力闘争から離れ、ヴェンデリンの妻として穏やかな生活を送っている。優れた政治的洞察力と火魔法の才能を兼ね備えている。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター辺境伯家・側室(前フィリップ公爵)。
・物語内での具体的な行動や成果
帝都の下町レストランにおいて、ヴェンデリンから贈られたウェディングドレスを着て極秘結婚式を挙げた。極北の大陸の探索隊に加わり、為政者の心理についてヴェンデリンに助言を与えた。アイスアーマードラゴン戦において火魔法による援護射撃を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ヴェンデリンとの結婚式を経て、過去の皇帝位への執着を完全に手放した。
エルヴィン・フォン・アルニム
ヴェンデリンの冒険者時代からの親友であり、バウマイスター辺境伯家の筆頭家臣である。軽妙な言動が多いものの、剣術と動体視力に優れている。常識的な視点から周囲の状況を冷静に観察する。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター辺境伯家・筆頭家臣(騎士)。
・物語内での具体的な行動や成果
ベッケンバウアーが製作した新型魔導ソリのテスト走行で操縦士を務めた。密航していた藤子とルルを発見して保護した。極北の探索隊に同行して前線へ向かった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
子供たちの無断出撃を防げなかった監督責任を問われ、帰還後に計算ドリルを課された。
フィリーネ・フォン・アルニム
エルの妻であり、素直で礼儀正しい性格の少女である。周囲の大人たちに対して敬意を払い、熱心に物事を学ぶ姿勢を持つ。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター辺境伯家・家臣の妻。
・物語内での具体的な行動や成果
新型魔導ソリの試験走行に同乗し、その速度を楽しんだ。極北の湖でペンギンに似た鳥を観察し、ヴェンデリンたちとともにワカサギ釣りに挑戦した。釣ったワカサギの天ぷらをヴィルマに振る舞った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ローデリヒ
バウマイスター辺境伯家の家政を一手に担う極めて有能な家令である。領地の発展と主君の利益を最優先に考え、過密な公務スケジュールを徹底的に管理する。仕事に対する妥協を一切許さない実務主義者である。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター辺境伯家・家政顧問(家令)。
・物語内での具体的な行動や成果
親善友好団への参加命令書をヴェンデリンに伝達した。出発直前まで領内開発の工事予定を前倒しで詰め込み、ヴェンデリンを休みなく働かせた。極北から帰還したヴェンデリンに対しても即座に滞っていた公務の消化を求めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
アグネス
平民出身の元魔法学校生徒であり、真面目で素直な性格の少女である。ヴェンデリンに弟子入りした後に実力を伸ばし、妻の一員となった。三人組の連携魔法に優れている。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター辺境伯家・側室。
・物語内での具体的な行動や成果
シンディやベッティとともに「三重火炎」の連携魔法を習得した。極北の探索隊に選出され、岩山を削って野営用の洞窟を設営した。ドラゴン討伐戦において火魔法による一斉攻撃に加わった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ベッティ
アグネスやシンディと常に行動を共にする魔法使いの少女である。明るく活発な気質を持ち、基礎的な魔法を着実に使いこなす。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター辺境伯家・側室。
・物語内での具体的な行動や成果
極北の大陸においてワカサギ釣り大会に参加した。探索隊の遊撃部隊に加わり、洞窟の掘削や野営の設営を行った。アイスアーマードラゴン戦で火魔法を放ち、火炎槍の威力を高めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
シンディ
アグネスやベッティとともにヴェンデリンに仕える魔法使いの少女である。穏やかな気配りを欠かさず、仲間たちと息の合った動きを見せる。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター辺境伯家・側室。
・物語内での具体的な行動や成果
三人での連携火魔法を極北の大地で実践した。新型魔導ソリに乗って前線へ進出し、寒冷環境下での戦闘を支えた。ドラゴンへの総攻撃に参加して討伐を成功させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
藤子
アキツシマ島出身の幼い少女であり、黒い炎を操る「暗黒紅蓮竜」の魔法を使える。五歳児ながら非常に高い魔力を秘めており、負けず嫌いな性格である。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター辺境伯家・保護対象(将来の妻候補)。
・物語内での具体的な行動や成果
木箱の中に隠れて新型魔導ソリに密航し、極北の探索隊に同行した。地下遺構で古代大陸の詳細な地図を発見した。ルルとともに火魔法「フレイムニードルズ」を放ち、迫り来る巨大白熊の魔物を撃破した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
無断同行の罰として帰還後に大量の計算ドリルを課された。
ルル
藤子と大の仲良しである幼い少女であり、白い炎を操る「白炎竜」の魔法を使える。好奇心旺盛で、困難な状況でも物怖じしない度胸を持つ。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター辺境伯家・保護対象(将来の妻候補)。
・物語内での具体的な行動や成果
藤子とともに木箱へ隠れて新型魔導ソリに乗り込み、前線へ密航した。地下都市で古代地図を見つけ出した。前線で誤ってソリのスロットルを発進させ、結果的にドラゴンの氷の鎧を破壊する突破口を作った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
無断行動の責任により帰還後に計算ドリルを解く処分を受けた。
フリードリヒ・フォン・ベンノ・バウマイスター
ヴェンデリンとエリーゼの間に生まれた長男である。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター辺境伯家・嫡男(乳児)。
・物語内での具体的な行動や成果
本編では屋敷でメイドたちに世話をされながら成長している様子が語られる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ヘルムート王国(王宮・王都)
ヴァルド・フォン・ヘルムート
ヘルムート王国の王太子であり、次期国王としての強い責任感を持つ。聡明な為政者だが、親友を作りたいという願望が強く、ヴェンデリンに対して過剰な好意を寄せる。
・所属組織、地位や役職
ヘルムート王国・王太子。親善友好団・団長。
・物語内での具体的な行動や成果
親善友好団の団長として帝都を訪問し、外交行事を率いた。極北の大陸にベースキャンプを設営して探索隊を指揮した。ペーター皇帝と秘密協定を結び、アイスアーマードラゴン討伐の戦果を獲得した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
北方探索とドラゴン討伐の政治的功績を得て、次期国王としての権威を高めた。
ヘルムート三十七世
ヘルムート王国の現国王であり、現実的な政治判断を下す老練な君主である。息子の成長を見守りつつ、王国の安全保障を統括する。
・所属組織、地位や役職
ヘルムート王国・国王。
・物語内での具体的な行動や成果
親善友好団の派遣を決定し、ヴェンデリンの同行を承認した。極北での探索活動に対して増援部隊の派遣を許可した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
クリムト・クリストフ・フォン・アームストロング
王国最強の魔法使いであり、豪快な武闘派として知られる王宮筆頭魔導師である。驚異的な生命力と突破力を誇り、考えるよりも先に行動する。
・所属組織、地位や役職
ヘルムート王国・王宮筆頭魔導師(伯爵、司祭)。
・物語内での具体的な行動や成果
帝都でお忍びキャンプやゴールデンカブトムシの捕獲作戦に参加した。極秘結婚式で司祭役を務めて式を執り行った。極北の第一王国探索隊を率いて魔物を駆除し、ドラゴン戦では尻尾を押さえ込んで拘束した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
次期王宮筆頭魔導師としてヴェンデリンを強く推挙する意向を固めた。
ブランターク・リングスタット
元冒険者のベテラン魔法使いであり、ブライヒブルク侯爵家の元筆頭魔導師である。経験豊富で警戒怠りなく、ヴェンデリンの良き理解者として支える。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター辺境伯家・魔法指南役(元ブライヒブルク侯爵家筆頭魔導師)。
・物語内での具体的な行動や成果
帝都近郊でのキャンプで導師とともに周辺の魔物を掃討した。テレーゼの買い出しを監視して極秘結婚式の準備を支援した。極北の探索隊に加わり、ドラゴン討伐で火魔法による集中攻撃を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
アシュフォード伯爵公子
王国軍の若手有望株として知られる貴族の跡継ぎである。軍事的な部隊指揮に長けている。
・所属組織、地位や役職
ヘルムート王国軍・軍人。第一王国探索隊・副隊長。
・物語内での具体的な行動や成果
導師が率いる第一王国探索隊において実質的な隊の指揮統制を担当した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
将来の軍務卿候補として期待されている。
スタンレー子爵
ヴァルド王太子の側近を務める若手貴族である。出世欲が強いものの実戦経験に乏しく、自己保身に走りやすい。
・所属組織、地位や役職
ヘルムート王国・貴族(子爵)。
・物語内での具体的な行動や成果
前線で戦う導師に対して戦闘継続を傲慢に要求した。導師から殿を命じられると恐怖で気絶し、魔導ソリで後方へ運ばれた。意識を取り戻した後に安全な場所から再び無謀な追撃命令を主張した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
無能さを露呈したことで、ヴァルドから将来の登用を見限られた。
オーグレー
王宮に仕える若手魔導師のひとりである。高速飛行の魔法を得意とする。
・所属組織、地位や役職
ヘルムート王国・王宮魔導師。
・物語内での具体的な行動や成果
前線で殿を務める導師からの伝令役として、高速飛行を用いてヴァルド王太子の本隊へ急報を届けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
アルテリオ
王都で広く商業を展開するアルテリオ商会の会頭である。ヴェンデリンの商業顧問として親密な関係を築いている。
・所属組織、地位や役職
アルテリオ商会・会頭。
・物語内での具体的な行動や成果
西部でオリーブの木を発見し、最高級オリーブオイルの調達に成功した。王都で商人たちとの顔合わせパーティーを主催し、アマーリエの同伴出席を後押しした。問題を起こしたヴェスター商会との取引停止を即座に決めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ルックナー財務卿
王国の財政を取り仕切る重臣である。
・所属組織、地位や役職
ヘルムート王国・財務卿。
・物語内での具体的な行動や成果
本編では国家財政を統括する要職として名前が挙げられている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
サンディ
アマーリエの従妹にあたる豪商の妻である。虚栄心が強く、他者を見下す言動を繰り返す。
・所属組織、地位や役職
ヴェスター商会次期当主の妻。
・物語内での具体的な行動や成果
アマーリエを侍女に落ちぶれたと見下し、贅沢を自慢する手紙を送り続けた。パーティー会場でアマーリエを公然と侮辱し、娘をヴェンデリンの妻に押し込もうと暴走した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
商会の信用を失墜させた責任を問われ、正妻の座を追われて困窮した。
ハイジ
サンディの娘である。母の言いなりになって貴族への嫁入りを狙う。
・所属組織、地位や役職
ヴェスター商会の娘。
・物語内での具体的な行動や成果
パーティー会場で母に連れられてヴェンデリンへ紹介された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
母の失脚に伴い、望んでいた貴族との婚姻の道を絶たれた。
ヴェスター商会の当主
王都で手広く商売を営む商会の老当主である。分別のない身内の暴走に危機感を抱く。
・所属組織、地位や役職
ヴェスター商会・当主。
・物語内での具体的な行動や成果
パーティー会場で暴走するサンディを必死に制止しようとした。失態を犯した家族を連れて会場から退出し、サンディとその息子を厳しく処分した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アルテリオ商会およびバウマイスター辺境伯家との取引機会を失った。
ヴェスター商会の次期当主
サンディの夫であり、商会の後継者である。
・所属組織、地位や役職
ヴェスター商会・次期当主。
・物語内での具体的な行動や成果
妻サンディの無礼な振る舞いを止められず、顔面蒼白となって立ち尽くした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
妻の不祥事によって商会の信用を大きく落とした。
ジャン(ヴィンセント商会当主)
王都で有力な商会を率いる商人である。
・所属組織、地位や役職
ヴィンセント商会・当主。
・物語内での具体的な行動や成果
アルテリオ商会主催のパーティーに出席し、アマーリエをヴェンデリンの妻として丁重に迎えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ハント(マイルズ商会当主)
王都で手腕を振るう商人である。
・所属組織、地位や役職
マイルズ商会・当主。
・物語内での具体的な行動や成果
パーティーにおいてバウマイスター辺境伯およびアマーリエに高価な贈り物を捧げた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
アーカート神聖帝国
ペーター・アーカート・フォン・アーカート
アーカート神聖帝国の若き皇帝である。内乱を制して即位した知略家で、親しい仲間との絆を大切にする。帝国の実利を確保するため抜け目なく立ち回る。
・所属組織、地位や役職
アーカート神聖帝国・皇帝。
・物語内での具体的な行動や成果
帝都の迎賓館で親善友好団を歓迎した。ヴェンデリンたちとお忍びでゴールデンカブトムシの捕獲を試みた。下町レストランでエメラとの極秘結婚式を挙げた。極北の探索隊を再編して自ら率い、ドラゴン討伐後に北の大陸の領有権を確保した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
内乱後の国内基盤を固め、北方大陸の領有を確定させて皇帝としての権威を強化した。
マルク
ペーターの少年時代からの忠実な家臣であり、剣術に優れた青年貴族である。実務能力と気配りに優れ、主君の私的な幸福を支える。
・所属組織、地位や役職
アーカート神聖帝国・帝国貴族(皇帝側近)。
・物語内での具体的な行動や成果
ペーターとエメラの極秘結婚式を発案し、幹事として会場の手配を進めた。キャンプでの警備や自由市での案内を担当した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
エメラ・フォン・バウマイスター
平民出身の優れた魔法使いであり、ペーターの内縁の妻である。毒探知魔法を使いこなしてペーターの健康を守っている。
・所属組織、地位や役職
アーカート神聖帝国・筆頭魔導師。皇帝の内縁の妻。
・物語内での具体的な行動や成果
公式の場では筆頭魔導師としてペーターの傍らに侍った。下町のレストランでサプライズの結婚式に臨み、ウェディングドレスを着用した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ペーターとの子供を妊娠している。
アルフォンス・フォン・フィリップ
若くして選帝侯となった現フィリップ公爵である。テレーゼの従弟にあたり、ペーター体制を支える重臣として実務に奔走する。
・所属組織、地位や役職
アーカート神聖帝国・フィリップ公爵(選帝侯)。
・物語内での具体的な行動や成果
歓迎パーティーでヴェンデリンに声をかけ、帝国貴族たちの心情を説明した。極秘結婚式に駆けつけ、二組の門出を祝った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ブルドン伯爵
帝国軍において代々測量と地図作成を担ってきた貴族である。過酷な環境下での探索技術に長けている。
・所属組織、地位や役職
アーカート神聖帝国・軍人(伯爵)。北方探索隊・責任者。
・物語内での具体的な行動や成果
北の大陸の南端海岸にベースキャンプを設営した。犬ゾリ部隊を率いて内陸の測量を進めたが、白熊の魔物と遭遇して一時撤退した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ハルト子爵
ブルドン伯爵とともに帝国の地図作成を専門としてきた貴族である。現実的な判断力を持つ実務派である。
・所属組織、地位や役職
アーカート神聖帝国・軍人(子爵)。北方探索隊・責任者。
・物語内での具体的な行動や成果
極北の大地において資源調査とベースキャンプの維持にあたった。魔物の領域の危険性を帝国政府へ迅速に報告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ライシャワー伯爵
昆虫標本の熱心な収集家として知られる帝国貴族である。
・所属組織、地位や役職
アーカート神聖帝国・貴族(伯爵)。
・物語内での具体的な行動や成果
ゴールデンカブトムシとゴールデンクワガタの生け捕りに対し、冒険者ギルドを通じて一匹一千万セントの高額報酬を懸けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
サンデス
若くして高い魔力量を誇る帝国の新鋭魔法使いである。
・所属組織、地位や役職
アーカート神聖帝国・副筆頭魔導師。
・物語内での具体的な行動や成果
帝国の精鋭魔導師隊を率いて前線へ進出し、導師と協力してアイスアーマードラゴンの足止めを行った。火魔法を連続して放ち、皇帝らの撤退を支援した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
実質的な筆頭魔導師代行として前線の指揮を執った。
ゾヌターク共和国(魔族)
エリザベート・ホワイル・ゾヌターク九百九十九世
ゾヌターク共和国の頂点に立つ魔王である。
・所属組織、地位や役職
ゾヌターク共和国・魔王。
・物語内での具体的な行動や成果
北極点に古代文明の主要国が隠した特別な遺産が存在していたという情報をヴェンデリンに伝達した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ライラ・ミール・ライラ
魔族の国からリンガイア大陸へ渡ってきた女性魔法使いである。
・所属組織、地位や役職
ゾヌターク共和国・住人。
・物語内での具体的な行動や成果
魔族の国の廃棄魔導機関を回収し、人間社会へ流通させる仲介を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
キャンディー
高い裁縫技術と幅広い人脈を持つ魔族の仕立て職人である。エリーゼたちに服飾の技術を指導している。
・所属組織、地位や役職
仕立て職人。
・物語内での具体的な行動や成果
エリーゼたちにウェディングドレスの仕立て技術を教えた。シルバーエイプスの毛皮を用いた防寒具を製作した。アマーリエのために豪華なドレスを仕立てた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
オットー・ハインツ
魔族急進派組織「世界征服同盟」の党首である。過激な思想を抱き、人間社会の征服を目論む。古文書を読み解く知識と高い行動力を持つ。
・所属組織、地位や役職
世界征服同盟・党首。
・物語内での具体的な行動や成果
古書店で見つけた調査報告書をもとに、十名の団員を率いて極北の大地へ不法侵入した。人間側の進軍を利用して魔物を避け、北極点から巨大な水晶玉を備えた未知の古代魔道具を発掘して持ち去った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
実戦と極地探索を通じて戦闘魔導師としての実力を飛躍的に高めた。
カイツェル
オットーの右腕を務める熱心な魔族の青年である。
・所属組織、地位や役職
世界征服同盟・正規団員。
・物語内での具体的な行動や成果
オットーの指示に従って極北の過酷な環境を進み、魔物の撃破や野営の設営を行った。北極点での古代遺物発掘作業を補佐した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
アキツシマ島
秋津洲高臣(涼子)
アキツシマ島の前領主であり、現在はヴェンデリンの側室として暮らす女性である。乗り物に酔いやすい体質である。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター辺境伯家・側室(元秋津洲家当主)。
・物語内での具体的な行動や成果
極北の湖で雪とともにワカサギ釣りに参加し、六本針すべてに魚をかける腕前を見せた。乗り物酔いで倒れたヴェンデリンの看病にあたった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
細川藤孝(雪)
アキツシマ島の元代官であり、教養と政治判断力に優れた女性である。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター辺境伯家・側室(元細川家当主)。
・物語内での具体的な行動や成果
極北の湖で手際よく大量のワカサギを釣り上げた。ベースキャンプにおいて古代文明の遺跡や地政学的リスクについてヴェンデリンと意見を交わした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
松永唯
アキツシマ島出身の有能な女性武士である。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター辺境伯家・家臣(元松永家当主)。
・物語内での具体的な行動や成果
涼子や雪が極北観光へ出かけている間、アキツシマ島の留守居役をしっかりと務めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ハルカ・フォン・バウマイスター
ミズホ公爵家の血を引く剣士であり、ヴェンデリンの妻である。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター辺境伯家・側室。
・物語内での具体的な行動や成果
帝都において兄タケオミと再会を果たした。極秘結婚式の準備を手伝い、極北の大陸でのワカサギ釣り大会にも参加した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
登場集団
世界征服同盟の正規団員(十名の精鋭)
オットー・ハインツが率いる魔族の過激派組織である。全員が高い魔力量を持ち、独自の魔法訓練を重ねている。
・所属組織、地位や役職
世界征服同盟・実行部隊。
・物語内での具体的な行動や成果
極寒の氷原を踏破しながら魔物を撃破し、実戦能力を高めた。北極点の永久氷河の下から全高三十メートルの古代魔道具を掘り出し、誰にも知られず持ち去った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
極地での探索と戦闘を通じて魔族内でも有数の精鋭戦闘集団へと成長した。
帝国(アーカート神聖帝国)の北方探索隊
帝国軍の測量部隊や魔法使いたちで構成された探索組織である。
・所属組織、地位や役職
アーカート神聖帝国・軍事探索部隊。
・物語内での具体的な行動や成果
犬ゾリを用いて内陸の測量を進めたが、白熊の魔物により一時後退した。ペーター皇帝自らの指揮下で再編され、アイスアーマードラゴンと対峙する王国軍を支援した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
王国(ヘルムート王国)の北方探索隊
王宮魔導師や若手貴族の家臣たちで編成された探索部隊である。
・所属組織、地位や役職
ヘルムート王国・公式探索部隊。
・物語内での具体的な行動や成果
魔導ソリを用いて内陸の地図作成を目指したが、魔物の大群に阻まれた。導師の指揮下で撤退戦を展開し、アイスアーマードラゴンの足止めを行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
親善友好団の若手貴族たち
ヴァルド王太子の随伴として帝都を訪れた王国の若い貴族たちである。
・所属組織、地位や役職
ヘルムート王国・親善使節団員。
・物語内での具体的な行動や成果
帝都での歓迎パーティーに参加し、帝国貴族たちと交流した。一部の者はヴェンデリンへの嫉妬からヴァルド王太子へ讒訴を行ったが退けられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
帝都(アーカート神聖帝国)の若手貴族たち
帝国の中枢を担う若い貴族たちである。
・所属組織、地位や役職
アーカート神聖帝国・貴族階層。
・物語内での具体的な行動や成果
迎賓館の立食パーティーに出席し、王国の若手使節団を迎えた。一人で黙々と料理を食べるヴェンデリンの姿を畏怖の眼差しで見守った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
自由市の子供たち
帝都南部の自由市に集まる平民の子供たちである。
・所属組織、地位や役職
帝都・平民層。
・物語内での具体的な行動や成果
変装したヴェンデリンたちが露店で販売した巨大なカブトムシやクワガタを大喜びで購入した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
白い巨大な熊(白熊の魔物たち)
極北の魔物の領域に生息する凶暴な魔物である。
・所属組織、地位や役職
極北の魔物。
・物語内での具体的な行動や成果
探索を進める帝国の第一次探索隊を威圧して撤退に追い込んだ。南下中に藤子とルルの火魔法攻撃を受けて倒された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ペンギンの群れ(ペンギンに似た飛べない鳥の群れ)
極北の大陸の海岸近くに生息する二足歩行の鳥類である。
・所属組織、地位や役職
極北の野生生物。
・物語内での具体的な行動や成果
集団で氷原を歩き回り、散策中の藤子やルルたちの注目を集めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ミズホ公爵家のシノビたち
ミズホ公爵家に仕える隠密集団である。
・所属組織、地位や役職
ミズホ公爵家・隠密部隊。
・物語内での具体的な行動や成果
卓越した変装や潜入技術を用いて情報収集活動にあたっていることが作中で言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
スタンレー子爵の魔導ソリに乗せられた負傷者たち(負傷した魔法使いたち)
魔物との戦闘によって魔力を使い果たし、負傷した魔導師たちである。
・所属組織、地位や役職
第一王国探索隊・負傷要員。
・物語内での具体的な行動や成果
前線から気絶したスタンレー子爵とともに魔導ソリに乗せられ、後方の本隊へと撤退した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
(PR)よろしければ上のサイトから頂けると幸いです。
展開まとめ
プロローグ 極北の大地にて
世界征服同盟の北方進出
オットー率いる世界征服同盟は、古代魔法文明の力を得て人間を支配するため、リンガイア大陸北方の氷の大陸へ向かった。古い調査報告書から北極付近に遺産が眠る可能性を知り、十名の精鋭で探索を開始した。
一方、アーカート神聖帝国もブルドン伯爵とハルト子爵を中心に北方探索を進めていた。極寒と吹雪のため犬ゾリを利用し、帝国領の根拠となる地図作成を優先していた。
親善友好団へのヴェンデリン招集
ヴァルドは帝国への親善友好団に若手貴族を参加させ、人脈形成を進めようとしていた。その格を保つ大物貴族として、ペーターとも親しいヴェンデリンを推薦した。
ヴェンデリンはフリードリヒたちと離れることを嫌がったが、帝国滞在中も瞬間移動で戻れると知って参加を受け入れた。しかしローデリヒに出発直前まで領地開発を詰め込まれ、船旅には参加できなかった。
第一話 親善友好団
帝都での親善行事
ヴェンデリンは瞬間移動で帝都へ入り、ヴァルドやペーターと合流した。歓迎パーティーでは帝国貴族との交流を避け、料理や菓子を楽しむことに専念した。
帝国内乱で自分が倒した者の親族がいる可能性を考えての行動だったが、帝国貴族たちは次期王宮筆頭魔導師候補のヴェンデリンが周囲を値踏みしていると誤解した。結果として、その態度は王国側の威信を示すものとして高く評価された。
第二話 ゴールデンカブトムシ
男たちの休暇
ペーターは親善行事の合間にヴェンデリンたちを誘い、魔物の領域近くでキャンプを楽しんだ。一行は狩りや釣り、料理などをしながら身分を忘れて過ごした。
そこで高額報酬が設定されたゴールデンカブトムシとゴールデンクワガタの捕獲依頼を知り、ヴェンデリンは発酵させたバナナを餌にして夜間捕獲を試みた。
黄金昆虫の逃走
罠には本命の二匹が現れたが、どちらも導師ほどの大きさがある巨大な魔物であった。導師の攻撃も硬い外殻に通じず、ゴールデンカブトムシにしがみついた導師はそのまま夜空へ運ばれた。
捕獲には失敗したものの、一行は普通のカブトムシとクワガタを自由市で売り、その売上で庶民向けの居酒屋を楽しんだ。後に事情を知ったヴァルドは、自分だけ仲間に入れなかったことを強く残念がった。
第三話 極秘結婚式
二組の秘密の結婚式
マルクたちは、政治的事情で正式に結婚できないペーターとエメラのため、仲間だけの極秘結婚式を企画した。ヴェンデリンも協力し、さらに同じく正式な式を挙げられなかったテレーゼへのサプライズとして、自分たちの結婚式も同時に行うことにした。
導師が司祭役を務め、ペーターとエメラ、ヴェンデリンとテレーゼは指輪を交換して夫婦として祝福された。テレーゼは皇帝候補としての人生より、ヴェンデリンの妻として得た幸福を選べたことを喜んだ。
式後は仲間だけで祝宴を楽しんだ。後に詳細を知ったヴァルドは二組の事情と友情に感動し、ますますヴェンデリンとの友人関係を深めたいと望んだ。
第四話 極寒の大陸へ
北方探索の激化
帝国探索隊は巨大な白熊などの魔物と極寒に阻まれ、北上を断念した。ペーターは援軍を送り、自らも北の大陸へ向かった。
ヴァルドも王国側の探索隊を編成し、古代魔法文明の遺産を帝国に独占されないよう探索を開始した。両国は地図作成を競いながらも、危険な遺物については情報を共有する方針を取った。
北の大陸での休暇
ヴェンデリンはエリーゼたちを呼び寄せ、探索競争の後方で氷原観光を楽しんだ。氷に覆われた湖でワカサギに似た魚を発見し、釣りや天ぷらを楽しんだ。
ペーターとヴァルドも加わり、ワカサギ料理を囲みながら探索状況を話し合った。両国の探索隊が魔物の領域を突破できないため、四隊に分かれて北上し、ヴェンデリンたちは遊撃部隊として魔物を引きつける役目を担うことになった。
第五話 新型魔導ソリ
新型魔導ソリの投入
ヴェンデリンたちはベッケンバウアーの新型魔導ソリを試験した。高速走行が可能だったが、絶叫系の乗り物が苦手なヴェンデリンは乗り物酔いに苦しんだ。
探索隊にはエリーゼ、テレーゼ、イーナ、ルイーゼ、アグネスたちが参加した。未成年の藤子とルルは参加を禁じられたものの、後に無断で同行することになった。
第六話 バウマイスター辺境伯家探索隊
藤子とルルの密航
北上中、新型魔導ソリの木箱から藤子とルルが見つかった。二人を送り返すこともできなかったため、ヴェンデリンは無理をせず早期撤退する方針へ切り替えた。
一方、オットーたちは人間側に魔物が集中していると見抜き、一度撤退した後、別方向から北極点を目指す作戦に変更した。
第七話 極寒の大陸
地下街の発見
ヴェンデリンたちは岩山で野営し、翌朝、藤子とルルが瓦礫に塞がれた洞窟を発見した。その奥には古代魔法文明時代の探索拠点と思われる地下街が残されていた。
さらに二人は、北の大陸を詳細に記した地図を発見した。王国と帝国が地図作成を競っているため扱いが難しかったが、ヴェンデリンは迫る危機への対処を優先した。
南下する巨大魔物
北方では魔物の領域のボスと思われる巨大な存在が南下していた。ヴェンデリンは撤退を進言したが、一部の若手貴族が戦闘継続を主張したため、ヴァルドたちを救援するべく北上を再開した。
第八話 アイスアーマードラゴン
巨大属性竜との遭遇
導師たちの前に、全身を厚い氷で覆った巨大なアイスアーマードラゴンが現れた。火魔法で氷を溶かしてもすぐ再生し、両国の魔法使いたちは決め手を欠いた。
ヴェンデリンたちが救援に到着した後も苦戦が続いたが、暴走した新型魔導ソリが竜に激突して爆発し、氷の鎧を大きく破壊した。
アイスアーマードラゴン討伐
導師とルイーゼが尻尾を押さえ、イーナの火炎槍にヴェンデリンたちの火魔法を重ねた結果、槍が竜の頭部を貫通した。アイスアーマードラゴンは絶命し、死者を出さずに討伐が成功した。
その後、北の大陸は帝国領とし、王国側は竜討伐の戦果を得ることで決着した。古代魔法文明の遺産は両国共同で探索することになった。
消失した北極点の遺産
その頃、オットーたちは北極点で巨大な水晶玉を備えた未知の魔道具を発見し、回収してゾヌターク共和国へ戻っていた。
後にヴェンデリンたちが情報を得て北極点を調べた時には、巨大な穴だけが残され、遺産はすでに持ち去られていた。
アマーリエの妊娠
探索後、ヴェンデリンはアマーリエの妊娠を知らされた。古代魔法文明の遺産の行方を気にしながらも、当面は家族と領地を優先し、ローデリヒに促されて領地開発へ戻った。
巻末おまけ アマーリエの憂鬱
サンディの思惑
アマーリエの従妹サンディは、裕福な生活を自慢しながらアマーリエを侍女に落ちた存在だと思い込んでいた。さらに娘ハイジをヴェンデリンの妻にし、自分たちがバウマイスター辺境伯家で影響力を持とうと考えていた。
商人たちのパーティー
アマーリエはアルテリオ商会のパーティーにヴェンデリンの同伴者として出席した。周囲の商人たちは彼女を実質的な妻として扱い、贈り物まで渡した。
そこへサンディが現れ、アマーリエの装いを非難し、さらにハイジをヴェンデリンへ紹介して将来の妻にしようとした。サンディの夫の商会関係者は止めようとしたが、彼女は聞き入れなかった。
ヴェスター商会の失墜
騒動を目撃した商人たちの信用を失い、ヴェスター商会はヴェンデリンやアルテリオとの取引機会を失った。サンディも正妻の立場を失い、息子は跡取りから外された。
後にサンディはアマーリエへ助力を求めたが、アマーリエは再び増長するだけだと考えて応じなかった。その結果、サンディの娘の貴族との結婚も実現せず、本人も困窮した生活を送ることになった。
同シリーズ
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