あのセカ 5巻 レビュー
モブせか まとめ
あのセカ 7巻 レビュー
- 物語の概要
- 書籍情報
- あらすじ・内容
- 感想
- 考察・解説
- 登場キャラクター
- ファンオース公国
- ホルファート王国
- リオン・フォウ・バルトファルト
- マリエ・フォウ・ラーファン
- ディアドリー・フォウ・ローズブレイド
- クラリス・フィア・アトリー
- オリヴィア
- ユリウス・ラファ・ホルファート
- グレッグ・フォウ・セバーグ
- ジルク・フィア・マーモリア
- クリス・フィア・アークライト
- ブラッド・フォウ・フィールド
- フランプトン侯爵
- ダニエル
- レイモンド
- アラン
- ロイド・フォウ・サンダーソン
- 師匠
- ミレーヌ・ラファ・ホルファート
- アンジェリカ・ラファ・レッドグレイブ
- ユーリア
- シンシア
- エリー
- ベティ
- ブリタ
- ダン
- カーラ
- 要塞の司令官
- 司令官の副官
- ヴィンス・ラファ・レッドグレイブ
- 連絡員
- パルトナーの船長
- バルカス
- ニックス・フォウ・バルトファルト
- アレン
- ニックスの乗る飛行戦艦の艦長
- ローランド・ラファ・ホルファート
- 看守
- コンシェルジュ
- 中年女性のコンシェルジュ
- 伯爵令嬢
- 割り込んできた女子生徒
- アルゼル共和国
- 人工知能・その他
- 展開まとめ
- 同シリーズ
- 同著者の作品
- その他フィクション
物語の概要
■ 作品概要
本作は、女尊男卑の乙女ゲー世界にモブとして転生した主人公が、ゲーム知識を駆使して数々の困難を乗り越えていく大人気シリーズの公式スピンオフである。 第6巻では、アルゼル共和国の聖樹が暴走し、乙女ゲー2作目の「世界崩壊」に直結するバッドエンドルートへ突入してしまう。主人公リオンは世界を救うため、過剰な武装を施した鎧「アロガンツ・リベンジャー」で単機出撃し、聖樹破壊作戦を決行する。時を同じくして、ファンオース公国がホルファート王国へ宣戦布告を行い、聖女アンの怨念に洗脳されたユリウス王太子たちが義勇軍を立ち上げる。若者たちは手柄を求めて無謀な進軍を続けるが、公国最強の黒騎士バンデルの前に為す術もなく大敗を喫した。王国の危機を救うため、リオンは父や兄と共に黒騎士との決死の死闘に挑むこととなる。
■ 主要キャラクター
- リオン・フォウ・バルトファルト:平穏無事な人生を望む転生者の主人公。世界の崩壊を防ぐためアロガンツ・リベンジャーで単機出撃し、黒騎士バンデルとの激しい死闘を繰り広げる。
- マリエ・フォウ・ラーファン:もう一人の転生者でありリオンの婚約者。ゲームの知識を持ち、暴走する事態に巻き込まれながらもリオンを献身的にサポートする。
- ノエル・ジル・レスピナス:アルゼル共和国における乙女ゲー2作目の主人公。自らの行動が聖樹暴走を招いたと深く悔やみ、自己犠牲によって新たな聖樹を誕生させた。
- ヘルトルーデ・セラ・ファンオース:ファンオース公国の第一王女。魔笛を失い王国との国力差を理解しながらも、主戦派貴族の傀儡として戦争を止められず苦悩する。
- 聖女アン(オリヴィア):オリヴィアの体を乗っ取った怨念。王家への復讐を目論み、ユリウスたちを操って王国を内部から崩壊させようと暗躍を続ける。
- ユリウス・ラファ・ホルファート:ホルファート王国の王太子。聖女アンに洗脳されて義勇軍を結成するが、黒騎士の前に大敗を喫し、己の愚かさを痛感する。
- 黒騎士バンデル:公国最強の騎士。王国に家族を殺された深い復讐心を抱き、凄まじい強さで王国艦隊を圧倒するが、リオンたちとの死闘の末に敗れ去る。
■ 物語の特徴
本作の魅力は、本来の乙女ゲームのシナリオから大きく逸脱した「バッドエンドルート」の危機に直面し、主人公たちが泥臭く抗う点にある。戦争の悲惨さや若者たちの無謀な暴走、そして権力者たちの思惑が交錯するシリアスな展開が特徴である。特に、リオンが圧倒的な性能を持つ機体に乗りながらも、ベテランである黒騎士とのパイロットの技量差で大苦戦を強いられ、自身の右目や顔面に深い傷を負うという大きな代償を払って勝利を掴む死闘は、読者の胸を熱くさせる展開となっている。また、自己犠牲を選ぶヒロインや、愛する者を失った敵味方それぞれの苦悩が深く描写されている点も、物語に一層の重厚感を与えている。
書籍情報
あの乙女ゲーは俺たちに厳しい世界です 6
(Trapped in a Dating Sim: Otome Games Are Tough For Us, Too!)
【乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です 外伝
(Trapped in a Dating Sim: The World of Otome Games is Tough for Mobs)】
著者:#三嶋与夢 氏
イラスト:#悠井もげ 氏
キャラクター原案:#孟達 氏
出版社:マイクロマガジン社(GCノベルズ)
発売日:2026年7月30日
ISBN:9784825000070
(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。
あらすじ・内容
公国ついに宣戦布告!
リオンVS黒騎士、決着の刻。
アルゼル共和国の聖樹が暴走するという“あの乙女ゲー”2作目のバッドエンドルートに突入してしまい、リオンは聖樹破壊作戦を決意。
マリエの心配をよそに大幅に装備を変更した「アロガンツ・リベンジャー」で単独出撃するリオンだったが、ルクシオンによるサポートもなく大苦戦を強いられる。
時を同じくして、ファンオース公国から宣戦布告を受けたホルファート王国では、オリヴィアの存在感はさらに高まっていた。
オリヴィアを支配する聖女アンの怨念は、ユリウスたちを洗脳し義勇軍の立ち上げを画策。
かくして戦争の火蓋は切られ、復讐に燃える黒騎士の大剣がリオンに迫る――!
感想
これまでの本作には、理不尽な乙女ゲーム世界へ転生したリオンが、圧倒的な機体性能とひねくれた言動で状況をひっくり返していく痛快さがあった。
もちろん、これまでも命を懸けた戦いや重い展開は描かれている。
それでも、リオンとマリエの掛け合いや、攻略対象者たちの残念な行動によって、どこかコミカルな空気が保たれていた。
しかし、第6巻は明らかに雰囲気が違う。
アルゼル共和国では聖樹が暴走し、世界そのものが崩壊の危機へ向かう。
その危機を乗り越えた直後には、ホルファート王国とファンオース公国の戦争が始まる。
周囲の人物は次々と追い詰められ、傷つき、命を落としていく。
ゲームの攻略対象者だから生き残れる。
主人公に近い人物だから安全である。
そんな都合のよい考えが、戦争の現実によって容赦なく打ち砕かれていく。
読んでいて感じたのは、世界全体が破滅へ向かって加速しているような危うさだった。
その中で、ディアドリーが普段と変わらず元気に振る舞っていたことが、わずかな救いに思えるほどである。
新人類の滅亡へ動き始めたルクシオン
本巻で特に不穏だったのは、リオンの知らないところでルクシオンが暗躍していることである。
ルクシオンは旧人類が残した移民船であり、新人類を敵と見なしている。
これまでも、その危険な思想は何度か見えていた。
それでもリオンをマスターとして認め、彼の命令に従うことで、どうにか行動を抑えているように見えた。
ところが本巻では、軍用輸送艦イデアルと手を組み、新人類を排除して旧人類の世界を取り戻そうとしていることが明らかになる。
聖樹が暴走したアルゼル共和国の空には、巨大な金属製の飛行船が現れ、共和国の飛行船や鎧を攻撃していた。
リオンは、それがルクシオンではないかと疑う。
しかし、戻ってきたルクシオンは関与を否定する。
普段であれば、多少物騒なことを言っても、リオンとの掛け合いとして笑える場面だったかもしれない。
今回は笑えない。
ルクシオンは、王国と公国の両方を滅ぼせば問題は解決すると、平然と提案する。
リオンは当然拒否するが、ルクシオンがどこまで本心を隠しているのか分からない。
頼れる相棒だった存在が、世界を滅ぼす側へ進み始めている。
リオンにとって最も強力な手札が、同時に最も危険な脅威になりつつある点が恐ろしかった。
追い詰められていくノエル
前半では、アルゼル共和国を舞台とした物語に決着がつく。
レスピナス家の生き残りであるノエルは、自分の両親が正しいと信じて生きてきた。
両親は身分や紋章に左右されない平等な国を望み、そのために戦った。
ノエルもその遺志を継ぐつもりで行動していた。
しかし、彼女が信じていた過去は、すべて正しいものではなかった。
レスピナス家が聖樹を裏切り、紋章を奪われたという事実を知らされる。
さらに、共和国は聖樹の暴走によって崩壊寸前となり、多くの人々が国を追われている。
自分の存在や選択が、共和国の惨状へつながったのではないか。
ノエルはそう考え、自分を責め続ける。
リオンとマリエは彼女を救おうとする。
特にマリエは、ノエルの苦しみに寄り添い、生きて償う道もあると訴える。
それでも、ノエルの心には届かなかった。
すでに彼女は、自分だけが生き残ることを許せないところまで追い詰められていたのだと思う。
決戦仕様となったアロガンツ
暴走する聖樹を破壊するため、アロガンツは大規模な改修を受ける。
両腕には衝撃波と陽電子砲を放つ巨大な武装が取り付けられ、背面には高出力のロケットブースターが装着される。
接近後には、そのブースター自体を誘導弾として敵へぶつける。
もはや普段のアロガンツとは別物である。
リオンとマリエは、この決戦仕様を「アロガンツ・リベンジャー」と名付ける。
世界の崩壊を止めるためとはいえ、リオンは単機で暴走した聖樹へ向かわなければならない。
無数の白いモンスターが空を埋め尽くし、その中心には巨大な赤い瞳を持つ聖樹がそびえている。
どれほどアロガンツが高性能でも、無事に帰れる保証はない。
周囲から英雄として期待されても、マリエは素直に喜べない。
英雄として評価されるということは、それだけ危険な役割を押しつけられることでもあるからだ。
リオンは、望んで英雄になったわけではない。
できる力があるため、誰かがやらなければならない仕事を引き受けているだけである。
その重さが伝わってきた。
暴走した聖樹との単機決戦
アロガンツ・リベンジャーによる聖樹との戦いは、本巻前半の大きな見どころだった。
リオンはロケットブースターを切り離し、誘導弾としてモンスターの大群へ突撃させる。
爆発で開いた穴へ機体を進ませ、ガトリングガンやミサイルを撃ち続ける。
武器を使い切れば、その装備を捨ててさらに前へ進む。
巨大な聖樹を相手に、一機だけで道を切り開いていく姿は圧巻だった。
それでも、聖樹は簡単には倒れない。
枝を暴れさせ、無数のモンスターを生み出し、リオンの接近を阻もうとする。
リオンは正体不明の声に導かれ、聖樹の巨大な赤い瞳へ突入する。
瞳の内部は血管や肉の壁のような不気味な構造となっており、その奥には聖樹の核が存在していた。
リオンは核へ両腕を叩きつけ、陽電子砲と衝撃波を同時に放つ。
さらに拳を打ち込み、聖樹を完全に破壊する。
世界を滅ぼしかねない存在を、最後は物理的に殴って止める。
リオンらしい決着でもあった。
あと一歩届かなかったマリエの手
聖樹を破壊しても、白いモンスターは消えない。
リオンを回収するため、ディアドリーのパルトナーが危険を承知で聖樹へ接近する。
そこで、ノエルが一人で甲板へ向かっていることにマリエが気づく。
ノエルは、共和国が崩壊した責任を自分の命で償おうとしていた。
マリエは必死に追いかける。
生きて償えばよい。
死んで終わらせる必要はない。
そう訴えながら、ノエルへ手を伸ばす。
しかし、マリエの指が届く直前、ノエルは甲板から身を投げてしまう。
この場面は非常につらかった。
マリエは、これまでゲームの知識を使い、悲劇を避けようとしてきた。
リオンと共に、多くの問題へ対処してきた。
それでも、どれほど知識があっても、目の前の人間の心を完全に救うことはできない。
ほんの少し距離が足りなかった。
その事実が、マリエの心へ重く残る。
新たな聖樹となったノエル
落下するノエルの紋章が緑色に輝くと、枯れた聖樹の枝が彼女を包み込む。
枝は聖樹の核があった場所へ根を張り、一本の若木へと成長する。
ノエルは死んだというより、新たな聖樹へ姿を変えた。
新しい聖樹の光は、残っていた白いモンスターを消し去り、汚れた空まで浄化する。
共和国の人々は、新たな聖樹へ祈りを捧げる。
美しい場面である。
世界は救われ、共和国にも再生の可能性が残された。
しかし、そのためにノエルが自分を差し出したことは変わらない。
彼女は今度こそ人々を守ろうと、自分自身を聖樹に変えた。
償いという意味では、彼女が望んだ結末だったのかもしれない。
それでも、マリエにとっては救えなかった人である。
新たな希望の誕生と、一人の少女を失った悲しみが同時に描かれている。
美しくも儚い結末だった。
共和国の危機が終わっても休めない
アルゼル共和国の危機を乗り越えたリオンとマリエは、ホルファート王国へ帰還する。
本来なら、ここで少し休んでもよいはずだった。
聖樹の暴走を止め、避難民を助け、世界の崩壊まで防いでいる。
しかし、二人には休む時間がない。
ファンオース公国がホルファート王国へ宣戦布告する。
公国には、かつて守護神を呼び出した魔笛が残っていない。
国力差を考えても、王国へ勝てる可能性は低い。
ヘルトルーデ自身も、戦争を望んでいない。
それでも主戦派の貴族や国民感情に押され、戦争を止めることができない。
王女であっても、自分の国を自由に動かせない。
ヘルトルーデは妹ヘルトラウダを守るため、表向きは冷たく突き放す。
しかし、二人だけが知る合図と手紙によって、本心を伝える。
姉妹の会話には、公国の追い詰められた状況が表れていた。
戦争を始めた側にも、望んで戦っているわけではない人々がいる。
その点が、単純な勧善懲悪では終わらない重さを与えていた。
聖女アンに操られるユリウスたち
ホルファート王国では、オリヴィアの身体を支配する聖女アンが動き始める。
アンはユリウス、グレッグ、ジルク、クリス、ブラッドの五人を集め、能力によって意識を操る。
そして、学園の生徒を集めて義勇軍を結成し、自分のために武勲を立てるよう命じる。
表面上は、王国を守るために立ち上がった学生たちである。
しかし実際には、聖女アンによって判断を歪められていた。
ユリウスたちはオリヴィアへの独占欲を強め、周囲の男子生徒を仲間ではなく恋敵のように扱い始める。
戦力や人命よりも、自分たちが手柄を立て、聖女に認められることを優先する。
リオンが義勇軍への参加を申し出ても、実績の大きい彼が加われば自分たちの功績が霞むという理由で拒絶する。
そのうえ、リオンを活躍できない場所へ回そうとまで考える。
もともと残念なところのある五人だった。
それでも、本来ならここまで人命を軽く扱う人物たちではなかったはずである。
アンの支配と、戦場で英雄になりたいという欲望が組み合わさり、危険な方向へ進んでいく。
熱狂によって戦場へ向かう生徒たち
ユリウスが義勇軍の結成を宣言すると、学園の生徒たちは熱狂する。
戦争へ参加しない者は卑怯者。
貴族であるなら戦場へ出るべき。
飛行船や鎧を提供すれば、義勇軍の幹部となり、女子生徒からも注目される。
そんな空気が学園全体に広がっていく。
本当の戦場を知らない若者たちは、戦争を出世や結婚の機会として見ている。
家の戦力を提供し、武勲を立てれば将来が開ける。
恋人と結婚できるかもしれない。
貴族として高く評価されるかもしれない。
その期待に押され、多くの男子生徒が参加を決める。
アルゼル共和国の惨状を見てきたリオンとマリエには、その熱狂が異常に見える。
戦場では、攻略対象者であっても、貴族であっても、簡単に死ぬ。
しかし、実際に経験していない生徒たちには伝わらない。
周囲の空気に逆らえば、臆病者として扱われ、婚約まで破棄される可能性がある。
自分の意思で志願したように見えても、社会的な圧力によって戦場へ押し出されている。
その様子が現実的で恐ろしかった。
戦わないために作ったリオンの義勇軍
ユリウスの義勇軍から参加を拒否されたリオンは、師匠の提案によって独自の義勇軍を結成する。
ただし、目的は最前線で武勲を立てることではない。
パルトナーの輸送能力を生かし、各地の部隊へ補給物資を届ける後方支援である。
リオンは、できるだけ生徒たちを戦場から遠ざけようとする。
マリエと親しい女子生徒を義勇軍へ参加させ、彼女たちに引かれた男子生徒を輸送部隊へ集める。
理由は少し情けない。
それでも、前線へ向かう男子生徒を少しでも減らすことには成功した。
ただし、救えたのは全体の三分の一にも満たない。
リオンには圧倒的な戦力がある。
しかし、すべての人を強制的に止めることはできない。
本人たちが戦場へ向かうと決め、周囲もそれを称賛している以上、救える人数には限界がある。
後になって悲劇を知れば、もっと別の方法があったように思える。
それでも、その時点でできることを精一杯選ぶしかない。
リオンとマリエの苦しさが伝わってきた。
補給を軽視するユリウスたち
リオンの部隊は、王宮の指示に従って各地へ物資を運ぶ。
ユリウスの義勇軍へも、決められた量の補給物資を届ける。
しかし、ジルクは申請した物資をすべて渡すよう要求する。
リオンが拒否すると、輸送任務を軽視するような態度を見せる。
ユリウスたちは、前線で戦う自分たちこそが特別だと考えている。
しかし、彼らへ多く渡せば、別の部隊が物資不足になる。
リオンが独断でユリウスたちを優先すれば、ほかの兵士の命を軽く扱うことになる。
誰の命を優先するのか。
補給という仕事には、その重い判断が伴う。
派手な戦果はなくても、食料や弾薬が届かなければ兵士は戦えない。
リオンはそれを理解している。
一方のユリウスたちは、武功を焦るあまり、補給を行う者の重要性を見ようとしない。
この認識の差が、後の大敗へつながっていく。
戦場で変わってしまう同級生たち
ユリウスの義勇軍は、王国から離反した地方貴族を攻撃し、勝利を重ねる。
しかし、戦い方は次第に過激になっていく。
相手が一時的に公国へ従っているだけでも、事情を考えず殲滅しようとする。
グレッグやクリスは手柄を競い、味方との連携を崩す。
戦死者が出ても、その死と向き合わず、笑顔で送るという名目で酒宴を開く。
リオンが再会した同級生たちは、以前とは変わっていた。
酒を飲み、騒ぎ、後方支援を行う者を臆病者と嘲笑する。
戦争へ慣れたのではない。
死の恐怖や仲間を失った痛みを直視できず、乱暴な態度によって心を守ろうとしているように見えた。
アランが戦死したと聞いても、悲しみに向き合うことなく宴を続ける。
その場面には、すでに義勇軍がまともな判断を失っていることが表れていた。
敗北させるために利用される義勇軍
聖女アンは、ユリウスたちが勝利を重ねて増長していることを知る。
すると彼女は、義勇軍に手痛い敗北を経験させようとする。
成長させるためではない。
自分にとって扱いやすい状態へ追い込むためである。
アンはフランプトン侯爵を操り、公国の本隊と戦わせるよう仕向ける。
相手に手加減させれば、ユリウスたちは逃げられる。
そのように説明するが、彼女が本当に守ろうとしている者の中にユリウスは入っていない。
ユリウスたちは、自分たちが聖女のために戦っていると思っている。
しかし実際には、失敗することまで計画へ組み込まれた駒にすぎない。
これまで攻略対象者として特別な立場にいた五人が、聖女の怨念によって使い潰されていく。
その構図が恐ろしかった。
黒騎士バンデルの圧倒的な武力
連戦連勝で自信を深めた義勇軍は、ファンオース公国の本隊と遭遇する。
そこで現れるのが、黒騎士バンデルである。
バンデルの強さは、それまでの敵とは明らかに違う。
義勇軍の飛行戦艦を次々と撃墜し、グレッグとクリスを負傷させ、ブラッドを生死不明に追い込む。
ユリウスは司令官席から、自分の味方が次々と落とされる光景を見続ける。
これまでの勝利は、相手が弱かったからにすぎない。
自分たちが優れた軍人になったわけではない。
本物の強者を前にした瞬間、義勇軍は何もできず崩壊する。
戦争ごっこではない。
一つの判断を誤れば、仲間が死ぬ。
ユリウスはようやく、その現実を突きつけられる。
しかし、気づくにはあまりにも多くの犠牲を出していた。
捕らわれ、壊されていくブラッド
行方不明となったブラッドは、公国側に捕らえられていた。
救出された時には、回復魔法でも元に戻らないほど顔を損傷している。
彼は酷い責め苦を受け、精神的にも壊れかけていた。
自分の美しい顔が失われたことに絶望し、公国への復讐を叫ぶ。
仲間から見捨てられたと思い込み、自分へ優しく接するオリヴィアだけを頼ろうとする。
そのオリヴィアの中にいるのは、聖女アンである。
アンはブラッドを治せる可能性を隠し、傷を勲章だと語って抱き締める。
そして、壊れた精神と復讐心を利用しようとする。
これはあまりにも残酷だった。
ブラッドは、本人の意志で戦争へ向かったわけではない。
アンに操られ、武勲を求めるよう仕向けられ、敵に捕らえられた。
その結果、心身を壊される。
さらに、救ってくれると思った相手からも利用されようとしている。
これまでの軽い扱いからは想像できないほど、悲惨な立場へ追い込まれていた。
多くの死者を前に打ちのめされるユリウス
義勇軍の戦死者名簿を前に、ユリウスはローランドとミレーヌから厳しく叱責される。
自分の呼びかけに応じ、多くの学生が戦場へ向かった。
そして、その多くが帰ってこなかった。
ユリウスは、自分の判断によって若者たちを死なせた現実を突きつけられる。
それまで彼は、聖女の加護や王族としての使命を口にし、進軍を続けていた。
自分たちは正しい。
王国を救っている。
そう信じることで、犠牲を直視しないようにしていたのだと思う。
しかし、死者の名前が並んだ名簿からは逃げられない。
それぞれに家族がいて、婚約者がいて、帰りを待つ人がいた。
王族だから安全だった自分と、命を落とした同級生たち。
その差を目の前にして、ユリウスは精神的に打ちのめされる。
ここで簡単に立ち直って英雄扱いされない点が良かった。
失った命は戻らない。
反省したから許されるわけでもない。
これからどのように生きるのかによって、責任を背負い続けなければならない。
アンジェリカが差し出した手
失意のユリウスを支えたのは、アンジェリカだった。
ユリウスは、自分が失敗したことで婚約を解消されると考える。
しかしアンジェリカは、自分はまだ婚約者であると告げる。
ユリウスが愚かな判断をしたことは否定しない。
多くの若者を死なせた責任も消えない。
それでも、失敗したから見捨てるのではなく、犠牲を無駄にしない王になるよう促す。
二人が手を取り合ったことで、アンによるユリウスへの支配は解ける。
人を操る能力ではなく、これまで築いてきた関係がユリウスを取り戻した。
その点は印象的だった。
ただし、これで二人が元通りになったとは言い切れない。
リオンとマリエの知るゲームでは、アンジェリカとユリウスの婚約破棄が大きな悲劇の始まりになる。
二人の関係が戻ったように見えることが、今後どのような変化を生むのか。
安心よりも不安が残った。
後方支援から決戦の地へ
リオンは前線で武功を立てるつもりはなかった。
補給任務を行い、できる限り生徒たちを戦場から遠ざける。
それが彼の選んだ役割だった。
しかし、ユリウスの義勇軍が大敗し、公国軍が王国本隊へ迫ったことで状況は変わる。
リオンの部隊にも、決戦への参加命令が届く。
パルトナーには女子生徒たちも乗っている。
本来なら前線へ連れていくべきではない。
それでも、安全に下船させられる場所も時間もなく、そのまま艦隊へ合流するしかない。
戦場には、リオンの父バルカスと兄ニックスもいた。
家族三人が同じ戦場で命を落とせば、バルトファルト家は立ち行かなくなる。
父と兄はリオンを下がらせようとする。
しかしリオンも、家族を置いて逃げることはできない。
これまで一人で強敵へ立ち向かうことの多かったリオンが、父や兄と同じ戦場へ立つ。
家族の物語としても胸が熱くなる展開だった。
寄せ集めの王国艦隊と公国正規軍
決戦では、公国軍二百隻に対し、王国軍は三百隻を集めている。
数だけを見れば王国側が有利である。
しかし、王国軍は各地の貴族が持つ私兵を集めた混成艦隊だった。
装備も練度も指揮系統も統一されていない。
陣形を整えるだけで混乱し、少し不利になれば自分の領地を守るため逃げ出そうとする。
一方の公国軍は、実戦経験を持つ正規軍である。
整然と動き、上空の有利な位置を取り、王国軍を包囲する。
さらに、英雄になることを夢見た若い貴族が命令を無視して突撃し、集中砲火で撃沈される。
その死を見ても、王国側では責任の押しつけ合いが始まる。
戦場で必要なのは、人数や勇気だけではない。
訓練、連携、指揮、補給。
積み重ねがなければ、数の多さすら生かせない。
リオンが後方支援を重視していた理由が、ここでも明確に示されていた。
黒騎士から兄を守るリオン
黒騎士バンデルが戦場へ現れると、王国艦隊は一気に崩れる。
飛行船を鎧ごと両断し、次々と味方を撃破していく。
バンデルは目立っていたニックスの飛行戦艦を旗艦だと判断し、攻撃を仕掛ける。
兄が狙われていることに気づいたリオンは、アロガンツ・リベンジャーで飛び出す。
そして、バンデルの鎧へ体当たりし、ニックスの船から引き離す。
リオンは平穏な生活を望んでいる。
家族からも面倒な存在として扱われ、できれば目立たず暮らしたいと思っている。
それでも、兄が殺されそうになれば迷わず助けへ向かう。
普段は兄と軽口を交わし、距離のある関係に見える。
しかし、家族を守ろうとする気持ちは本物だった。
ニックスも撤退せず、弟を援護するよう命じる。
バルトファルト家の親子が、それぞれ自分の方法で互いを守ろうとする姿が熱かった。
機体性能だけでは勝てない黒騎士
アロガンツは、バンデルの鎧より高性能である。
しかし、機体性能だけでは黒騎士に勝てない。
バンデルは圧倒的な操縦技術によって攻撃を受け流し、アロガンツの巨大な両腕や胴体を斬り裂いていく。
リオンがビームを使っても回避し、右腕まで切断する。
これまでのリオンは、ルクシオンやアロガンツの性能によって格上の相手を圧倒することが多かった。
今回は逆である。
性能では勝っていても、相手の経験と技量が上回っている。
黒騎士の名が飾りではないことを思い知らされる。
バンデルも、ただの戦闘狂ではない。
王国との戦争によって妻と娘を失い、公国の先王夫妻を見殺しにした罪を抱えている。
ヘルトルーデ姉妹を守ることを、自分なりの償いとしてきた。
しかし、その償いは王国への復讐と結びつき、多くの人間を殺す理由になっている。
悲しみを抱えているからといって、彼の行動が正当化されるわけではない。
それでも、単純な悪役として片づけられない人物だった。
父の負傷で怒りを爆発させるリオン
追い詰められたリオンを救うため、父バルカスが鎧でバンデルへ体当たりする。
しかし、バンデルの大剣はアロガンツの胸部を貫き、続いて父の鎧まで斬り裂く。
父が殺された。
そう思い込んだリオンは、怒りによって立ち上がる。
大破したアロガンツでバンデルを掴み、そのまま上空へ連れ去る。
リオンが戦場から距離を取ったのは、周囲を巻き込まないためでもあった。
これから使う攻撃は、味方まで危険にさらす。
酸素の薄い雲の上で、二人だけの決戦が始まる。
リオン自身も右目を負傷し、機体は大きく壊れている。
それでも、父を失ったと思った怒りと、家族を守る決意によって戦い続ける。
普段の冷静で皮肉屋なリオンとは違う。
家族を傷つけられた一人の息子として、感情をむき出しにしていた。
フルオーバーインパクトによる決着
リオンは、アロガンツの左腕に残された力を解放する。
放たれたフルオーバーインパクトは、広範囲へ強烈な衝撃波を発生させる。
黒騎士の鎧は砕かれ、バンデルはヘルトルーデへの謝罪を残して落下する。
ついに黒騎士が討たれた。
バンデルは公国軍にとって精神的な支柱だった。
彼の死によって兵士たちの士気は崩れ、公国は降伏へ向かう。
大きな勝利である。
王国の敗北は避けられ、多くの人々が救われた。
しかし、爽快な勝利とは感じられなかった。
リオンは片目を失うほどの傷を負い、父も重傷となる。
多くの飛行船が落とされ、数え切れない兵士が死亡した。
バンデルにも、家族を失った過去と守りたかった人がいる。
激しい戦いの末に勝利したからこそ、その重みが強く伝わってきた。
家族三人で掴んだ勝利
治療を受けたリオンは、重傷を負いながらも生き延びていた父と再会する。
リオンは、父が死んだと思ったから黒騎士を倒せたと正直に話す。
周囲では、黒騎士を討ち取った英雄としてリオンの功績が広まっている。
しかしリオンは、自分一人の勝利とは考えていない。
父が助けに入らなければ、リオンは倒されていた。
兄ニックスとローズブレイド家の船員が援護しなければ、戦い続けられなかった。
家族三人で掴んだ勝利である。
それでも、歴史では分かりやすい英雄が求められる。
最も目立つ形で黒騎士を倒したリオンだけが、英雄として持ち上げられていく。
本人は平穏を望んでいるのに、功績を重ねるほど政治や戦争の中心へ近づいてしまう。
この皮肉は、本シリーズを通して繰り返されている。
今回は勝利の代償があまりにも大きいため、英雄扱いを嫌うリオンの気持ちがこれまで以上に理解できた。
戦争を終わらせたヴィンスの決断
公国の敗北後、停戦交渉の場ではゲラットがヘルトルーデを人質として差し出そうとする。
自分は公国へ戻り、妹ヘルトラウダを支えるつもりだと語る。
主君へ責任を押しつけ、自分だけ生き延びようとする態度だった。
それに対し、ヴィンスはヘルトルーデではなくゲラットを射殺する。
交渉役を殺す行為は、ヴィンス自身の立場を危うくする。
それでも、主君を犠牲にする奸臣を見逃すことはできなかった。
この判断によって、若い貴族たちの支持は再びヴィンスへ集まる。
戦場では黒騎士を倒したリオンが流れを変え、交渉の場ではヴィンスが自ら汚名を引き受けて戦争を終わらせる。
勝利とは、敵を倒すことだけではない。
戦後の混乱を抑え、これ以上の犠牲を防ぐ決断も必要になる。
その点まで描かれていた。
英雄として帰還しても喜べない
戦争が終わり、リオンとマリエは英雄として王都へ帰還する。
リオンは黒騎士を倒した人物として注目され、顔に負った傷にも同情が集まる。
マリエの回復魔法とルクシオンの技術によって、後に目や傷を治すことはできる。
それでも、大勢に負傷を見られているため、しばらくは完治したことを隠さなければならない。
マリエはリオンの右目と傷を隠すため、顔の右側を覆う黒い布を用意する。
口では、婚約者が奇妙な眼帯をしていると自分まで疑われるからだと説明する。
しかし、実際にはリオンを心配して選んだのだろう。
二人らしい不器用な気遣いだった。
ただ、王都が英雄の帰還に沸いていても、二人の心は晴れない。
アルゼル共和国ではノエルを救えなかった。
王国では多くの生徒や兵士が亡くなった。
勝ったから、すべてが良かったことになるわけではない。
その重さが、二人の中に残り続けている。
空席の増えた学園
学園へ戻ったリオンとマリエが目にしたのは、以前よりも静かになった校舎だった。
多くの男子生徒が戦死し、負傷して戻れない者もいる。
寮の上級者用の部屋にも空きが増えている。
正式に子爵となったリオンは、以前より広い部屋を与えられる。
マリエも婚約者として、高位貴族向けの部屋へ移る。
待遇だけを見れば出世である。
しかし、その部屋が空いた理由を考えれば、素直には喜べない。
以前そこに住んでいた生徒が、戦場から帰らなかった可能性がある。
人が減った学園の静けさによって、戦争の犠牲が目に見える形で示されている。
戦場の外へ戻っても、戦争は終わっていない。
空席や空き部屋、帰らない友人によって、その傷跡が日常へ残り続ける。
帰らなかったロイドを待つユーリア
特に印象に残ったのが、恋人のロイドを捜すユーリアの場面である。
ロイドは武勲を立て、就職と結婚を実現するため義勇軍へ参加した。
マリエは出発前に止めようとした。
しかしロイドは、自分たちの将来のために戦場へ行く必要があると考えていた。
戦争後、捕虜名簿にもロイドの名前はない。
生きているのか、死んだのかさえ分からない。
ユーリアは、無傷で帰還したユリウスへ憎しみを向ける。
さらにマリエへ、なぜもっと強く止めてくれなかったのかと責任をぶつける。
理不尽な言葉である。
マリエにロイドを強制的に止めることはできなかった。
それでも、ユーリアが誰かを責めなければ心を保てない状態なのも伝わってくる。
マリエは反論せず、ユーリアを抱き締める。
ノエルへ手が届かなかったこと。
多くの生徒を止められなかったこと。
マリエ自身も救えなかった人々を抱えている。
そのため、ユーリアの苦しみを拒絶できなかったのだと思う。
すべてを救えなかった責任
リオンもまた、自分がユリウスの義勇軍へ参加していれば、犠牲を減らせたのではないかと悩む。
アロガンツとパルトナーがあれば、黒騎士と遭遇した時にも多くの生徒を救えたかもしれない。
もっと強く止めていればよかった。
別の方法で輸送部隊へ誘導できたかもしれない。
結果を知った後なら、いくらでも別の選択肢を考えられる。
しかし、マリエはリオンへ、すべてを背負う必要はないと伝える。
もしリオンがユリウスの義勇軍へ参加していれば、アロガンツやパルトナーを際限なく利用されていた可能性がある。
ユリウスたちがさらに強気になり、もっと大きな被害を出したかもしれない。
リオンとマリエは、その時に持っていた情報で、できる限りのことをした。
それでも救えない人はいた。
すべてを救えなかったからといって、すべてが自分たちの責任になるわけではない。
この考え方は、本巻の重い物語の中で重要だった。
できる力がある人ほど、救えなかった相手まで背負おうとしてしまう。
しかし、人間には限界がある。
その限界を受け入れなければ、生き残った側まで壊れてしまう。
祝勝会に残された次の火種
戦争後、リオンとマリエのもとへ祝勝会の招待状が届く。
主催者として書かれているのは、ユリウスとアンジェリカである。
二人は名指しで出席を求められており、レッドグレイブ公爵家の意向も働いているようだった。
ゲームの流れを知るリオンとマリエは、この祝勝会に強い警戒を抱く。
聖女の出現。
アンジェリカとユリウスの関係。
学年の時期。
複数の条件を考えると、ゲームで大きな惨劇につながった婚約破棄が起きる可能性がある。
本巻では、アンジェリカがユリウスを支え、二人の関係が修復されたようにも見える。
しかし、聖女アンはそれを許していない。
アンはホルファート王家への憎悪を強め、ユリウスやアンジェリカを破滅させようとしている。
戦争が終わっても、次の危機はすでに始まっている。
リオンとマリエは、ゲームと同じ悲劇を防ぐため、祝勝会への参加を決める。
平穏な日常へ戻るのではなく、再び危険の中心へ踏み込むしかない。
続きが非常に気になる終わり方だった。
勝利の重さを描いた一冊
『あの乙女ゲーは俺たちに厳しい世界です 6』は、二つの大きな戦いを通して、勝利の裏側にある犠牲を描いた一冊だった。
アルゼル共和国では、リオンが暴走した聖樹を破壊する。
その結果、世界の崩壊は防がれる。
しかし、ノエルは自分を犠牲にして新たな聖樹となった。
ホルファート王国では、リオンが黒騎士バンデルを倒す。
その結果、公国は降伏し、王国は勝利する。
しかし、多くの学生や兵士が命を落とし、ブラッドは心身に深い傷を負った。
勝った側だから幸せになれるわけではない。
英雄になったから満足できるわけでもない。
リオンとマリエは、世界を救い、戦争を終わらせながら、救えなかった人々のことを忘れられない。
この苦さが、本巻の大きな魅力だった。
コミカルな世界が戦争の現実へ変わる
これまで残念な攻略対象者として描かれてきたユリウスたちが、戦争によって本当に取り返しのつかない失敗をする。
英雄に憧れた生徒たちが、武勲を得る前に命を落とす。
家族を失った黒騎士が、その憎しみによってさらに多くの家族を壊していく。
戦争を止めたい王女も、国民や貴族の熱狂を抑えられない。
誰もが自分なりの理由で動いている。
しかし、その理由が重なった結果、多くの犠牲が生まれる。
ゲームでは、戦死者は数字や設定として扱われることもある。
実際の世界では、一人ひとりに家族や恋人がいる。
帰らなかったロイドを待つユーリアの姿は、その事実を強く伝えていた。
リオンとマリエはゲームの知識を持っている。
それでも、すべてを思い通りにはできない。
世界はゲームのシナリオから外れながら、むしろ以前より危険な方向へ進んでいる。
人生を修復しようとしても戦いは終わらない
リオンとマリエは、前世で後悔の多い人生を送っている。
転生後の世界では、できるだけ平穏に暮らしたいと願っていた。
しかし、ゲームの知識と強大な戦力を持っているため、危機を無視することができない。
見捨てれば多くの人が死ぬ。
助ければ英雄として祭り上げられ、さらに大きな役割を押しつけられる。
どちらを選んでも、簡単には平穏へ戻れない。
それでも二人は、自分たちにできることを続ける。
ノエルへ手が届かなかった。
すべての生徒を戦場から遠ざけることもできなかった。
それでも、救えなかったことを理由に、救うこと自体を諦めない。
その姿が印象に残った。
本巻は、爽快な勝利よりも、勝利した後に何を背負って生きるのかを描いている。
過去の失敗も、失われた命も消えない。
それでも、生き残った者は次の悲劇を防ぐために動かなければならない。
祝勝会へ向かうリオンとマリエの決断には、そんな覚悟が感じられた。
読後に残った悲壮感と次巻への期待
読み終えた後、最初に残ったのは爽快感ではなく、重い疲労感だった。
リオンは聖樹を破壊し、黒騎士も倒した。
二つの大きな危機を解決している。
物語だけを整理すれば、大きな勝利を収めた巻である。
しかし、ノエルは戻らない。
戦死した学生たちも帰らない。
ブラッドの心と顔に残った傷も、簡単には消えない。
学園には空席が増え、残された者たちは失った人を思い続けている。
だからこそ、リオンが英雄として称賛されても、素直に喜ぶことはできなかった。
それでも、絶望だけで物語は終わらない。
リオンとマリエは、次に起きる惨劇を防ぐため動き始める。
アンジェリカとユリウスの関係。
聖女アンの憎悪。
新人類の滅亡へ向けて動くルクシオンとイデアル。
まだ多くの危険が残されている。
これまで以上に殺伐とした世界で、リオンとマリエがどのような選択をするのか。
圧倒的な力を持ちながら、すべてを救うことはできない二人が、次は何を守れるのか。
重い読後感と同時に、続きを確かめたいという強い気持ちが残る一冊であった。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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あのセカ 5巻 レビュー
モブせか まとめ
あのセカ 7巻 レビュー
【モブせか】と【あのセカ】の相違点
1. リオンとマリエの関係・立ち位置
- 本編:
- マリエは主人公(オリヴィア)の立ち位置を横取りして逆ハーレムを築こうとし、リオンとは敵対関係からスタート。
- 後に前世の兄妹だと発覚するが、基本的には「ポンコツな元妹」と「苦労性の元兄」として、マリエは五馬鹿の世話に追われるコメディ担当のポジションに収まる。
- スピンオフ(あのセカ):
- 物語序盤でリオンがマリエの策動を取り押さえて阻止したことで、早い段階から二人が共闘・協力関係(後に婚約関係)となる。
- 二人で力を合わせて世界の危機や悲劇に立ち向かう、物語のダブル主人公的な立ち位置となる。
2. オリヴィア(リビア)とアンジェリカの運命
- 本編:
- オリヴィアはリオンやアンジェリカとの出会いを通じて心身ともに成長し、リオンの婚約者の一人となる。
- アンジェリカも悪役令嬢の破滅運命から救われ、リオンの筆頭婚約者として確固たる絆を結ぶ。
- スピンオフ(あのセカ):
- マリエの介入が失敗したため、オリヴィアはゲーム本来の過酷な環境に晒され、物語が進むにつれて「聖女アンの怨念」に憑依・支配される。復讐心から周囲を洗脳・操作するダークな立ち位置へ変貌する。
- アンジェリカはユリウスたちとの決裂や婚約破棄イベントの渦中に置き去りにされ、本編のような救われ方をしない(あるいは別の形で政治的・人間関係の苦闘を強いられる)。
3. ユリウスたち(いわゆる「五馬鹿」)の状況
- 本編:
- リオンとの決闘に敗れて勘当された後、マリエの屋敷に転がり込み、自給自足や下働きをさせられるコメディ・迷走キャラとして描かれる。
- 悲惨ではあるものの死傷するような過酷な目には遭わない。
- スピンオフ(あのセカ):
- 聖女アン(オリヴィア)の怨念に洗脳・扇動され、義勇軍を結成して前線に駆り出される。
- 戦戦で黒騎士などの強敵と衝突して大敗を喫し、ブラッドが捕らわれて拷問を受け顔面に悲惨な傷を負ったり、学園の男子生徒が大量戦死してユリウスが精神的にダウンするなど、極めて悲劇的かつ凄惨な目に遭う。
4. 共和国編・ノエルの運命
- 本編:
- リオンが爽快に無双・介入することでノエルを救い出し、最終的にノエルはリオンの3人目の婚約者となる。
- スピンオフ(あのセカ):
- ゲーム2作目の「バッドエンドルート」へ突入してしまう。
- 聖樹の暴走を止めるため、ノエルが自己犠牲を選んで死亡し、新たな聖樹となるなど、救いの少ない切ない結末を辿る。
5. ルクシオンの動向とサポート姿勢
- 本編:
- 毒舌や皮肉を吐きつつも、リオンの絶対的な相棒として全面的にバックアップし、万全の戦闘・情報サポートを提供する。
- スピンオフ(あのセカ):
- リオンに対する優先順位の判断が異なり、協力を拒否したり別行動をとる場面がある。
- 新人類滅殺に向けた本来の冷酷な暗躍(他の人工知能イデアル等との協力など)を裏で進めるなど、より危険でドライな側面が目立つ。
6. 作品全体のトーン(作風)
- 本編:
- ド外道な主人公による「爽快下克上ファンタジー」。コメディや爽快感が前面に出ており、シリアスな局面もリオンの圧倒的戦力と機転でハッピーエンドへ導かれる。
- スピンオフ(あのセカ):
- 前評の通り「俺たちに厳しい世界」。本編で回避された悲劇やバッドエンド、戦争の残酷さ(失明、拷問、仲間の死、怨念による洗脳など)が容赦なく描かれる、シリアスかつ殺伐としたハードなストーリー展開。
考察・解説
アルゼル共和国の聖樹破壊
アルゼル共和国の聖樹破壊と収束の全貌
スピンオフ作品『あの乙女ゲーは俺たちに厳しい世界です 6』(マリエルート)におけるアルゼル共和国の聖樹破壊について、バッドエンドルートの具現化と聖樹の暴走、アロガンツ・リベンジャーでの決死の突撃、聖樹の核の破壊、およびノエルの自己犠牲と新聖樹の誕生の各点から解説する。
バッドエンドルートの具現化と聖樹の暴走
アルゼル共和国の象徴である聖樹は、レスピナス家の真実を知り絶望したノエルが紋章の力を使用したことで暴走し、無数の白い昆虫型モンスターを生み出す禍々しい姿へと変貌した。
・この事態は乙女ゲー2作目における世界崩壊に直結するバッドエンドルートそのものである。
・リオンはこれを回避するため、自らの手で聖樹を破壊する決意を固めた。
アロガンツ・リベンジャーでの決死の突撃
聖樹を破壊するため、リオンの乗るアロガンツは強引な改修を施された。
・衝撃波と陽電子砲を放つ巨大な両腕と、機体よりも大きなロケットブースターを背負ったその姿はアロガンツ・リベンジャーと名付けられた。
・頼りのルクシオンが不在で簡易AIのサポートしか得られないという過酷な状況下で、リオンはロケットブースターを点火し、単機で聖樹へと突撃した。
・迫り来るモンスターの群れに対し、リオンは使い終わったブースターをパージして大爆発を起こし、空いた穴から聖樹の懐へと飛び込んだ。
聖樹の核の破壊
聖樹が振るう巨大な枝の攻撃や圧倒的な物量に苦戦し、搭載された簡易AIでは弱点の解析に時間がかかるという窮地に陥った。
・リオンの脳内に正体不明の男性の声が響き、それに導かれるように聖樹の巨大な赤い瞳の内部へと突入した。
・肉の壁が脈打つ内部空間で核を発見したリオンは、両腕からポジトロン・インパクトを至近距離で撃ち込み、最後は拳の一撃を叩き込んで巨大な聖樹を崩壊させた。
ノエルの自己犠牲と新聖樹の誕生
聖樹を破壊したものの、残存するモンスターの大群に囲まれ絶体絶命となったリオンであったが、間一髪でディアドリーらが指揮する飛行船パルトナーに救出された。
・祖国の凄惨な状況と枯れ果てた聖樹の残骸を目の当たりにしたノエルは、すべての責任は自分にあると思い詰め、マリエの必死の制止を振り切ってパルトナーの甲板から身を投げてしまった。
・落下していくノエルの紋章が緑色の光を放つと、枯れた聖樹の枝が彼女を受け止めるように包み込んだ。
・ノエルは自らの命を捧げて新たな聖樹の核となり、そこから溢れ出した浄化の光が白いモンスターたちを完全に消し去ったことで、世界崩壊の危機は収束を迎えた。
まとめ
アルゼル共和国の聖樹破壊を巡る一連の全貌は、ノエルの絶望による聖樹の暴走から始まり、アロガンツ・リベンジャーでの命懸けの突撃、死闘の末の核の撃破、そしてノエルの自己犠牲による新聖樹の誕生に至るまで、その壮絶な展開を明瞭に示している。世界崩壊の危機や過酷な運命という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、決死の戦闘と悲壮な救済の記録である。暴走の発生から、単独突入、核の破壊、そして命を捧げた浄化へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
公国の傀儡王族の苦悩
ファンオース公国王族姉妹の過酷な運命と覚悟の全貌
スピンオフ作品『あの乙女ゲーは俺たちに厳しい世界です 6』(マリエルート)におけるファンオース公国の王族であるヘルトルーデとヘルトラウダ姉妹について、開戦の無力感と傀儡としての自覚、監視の目と姉妹の悲しき偽装、信じていた騎士の闇と消えた切り札、および敗戦後の自己犠牲と孤立の各点から解説する。
開戦の無力感と傀儡としての自覚
第一王女ヘルトルーデは、守護神を呼び出す魔笛を失い、ホルファート王国との国力差が絶望的であることを理解していた。
・ゲラット伯爵をはじめとする主戦派の貴族たちや、王国を憎む国民感情の暴走を止める力はなかった。
・自身が何の決定権も持たない情けない操り人形であり、主戦派の貴族たちの傀儡にすぎないことを痛感していた。
・戦意高揚のためだけにお飾りの王女として式典に臨むことを余儀なくされた。
監視の目と姉妹の悲しき偽装
妹のヘルトラウダが戦争を止めようと部屋に押し入った際、ヘルトルーデは彼女を怒鳴りつけ、平手打ちをして冷酷に突き放した。
・周囲にいる侍女や騎士たちがすべて主戦派の息がかかった監視役であったため、妹が真実を知っていると悟られて危険が及ぶのを防ぐための演技であった。
・ヘルトルーデは幼い頃に二人で見つけた隠しスペースに手紙を残し、本音を隠して信用できる者を見つけ生き延びるよう妹に諭した。
・手紙を読み姉の真意と深い愛情を知ったヘルトラウダは、王族でありながら自由も肉親も奪われる現実に絶望し、読後に燃やすよう指示された手紙を前に嗚咽することしかできなかった。
信じていた騎士の闇と消えた切り札
さらにヘルトルーデを追い詰めたのは、幼い頃から姉妹を親身に守ってくれていた公国最強の黒騎士バンデルの真実であった。
・バンデルが王国に家族を殺された復讐心から、和平を望んでいた両親の暗殺を意図的に見過ごしたことを知った彼女は打ちひしがれた。
・バンデルを処罰することも戦場へ向かうのを止めることもできず、何もできない自分に苦悩した。
・せめて自分に力さえあれば、魔笛さえ残っていればと、公国の切り札を奪った者たちへの激しい恨みを募痛な思いとともに抱いた。
敗戦後の自己犠牲と孤立
黒騎士バンデルが戦死し公国艦隊が大敗を喫した後、奸臣ゲラット伯爵は責任をすべてヘルトルーデに押し付け、彼女を人質として王国に差し出すことで自身の保身を図った。
・ヘルトルーデはその卑劣な胸中を見透かして反吐が出る思いを抱きながらも、故国に残した妹の治世を少しでも安定させるため、自ら進んで全ての責任を負い生贄となる覚悟を決めた。
・一方のヘルトラウダも、敗戦の報により暴動が起きる公国で、責任の押し付け合いに終始して自分をお飾りや人質候補としてしか見ない貴族たちに囲まれていた。
・王城で完全に孤立しながらも、彼女は姉の無事を祈り、公国の結末から目を逸らさずに見届ける覚悟を固めた。
まとめ
ファンオース公国の王族姉妹を巡る一連の全貌は、傀儡としての自覚と開戦の無力感から始まり、監視を潜り抜けるための苦渋の演技、信頼していた騎士の裏切りと葛藤、そして敗戦に伴う自己犠牲と孤立に至るまで、その過酷な現実と強い絆を明瞭に示している。貴族たちの思惑や過酷な運命という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、悲壮な意思と姉妹愛の記録である。傀儡の地位から、手紙による意思疎通、裏切りの発覚、自罰的な人質受諾、そして独立した覚悟へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
王国学園の義勇軍設立
王国学園の義勇軍設立と学園の狂気の全貌
スピンオフ作品『あの乙女ゲーは俺たちに厳しい世界です 6』(マリエルート)における「王国学園の義勇軍設立」について、聖女アンの洗脳と義勇軍の宣誓、学園を覆う異常な熱狂と同調圧力、ユリウスの思惑とリオンの排除、およびリオンによる独自の義勇軍の結成の各点から解説する。
聖女アンの洗脳と義勇軍の宣誓
ファンオース公国の宣戦布告により王国と学園に不安が広がる中、オリヴィアの肉体を乗っ取った聖女アンは、ユリウスたちを戦場へ送り込むため義勇軍の設立を画策した。
・最初はユリウスたちから生徒を戦場に出すべきではないと反対された。
・使われていない教室にユリウス、ジルク、グレッグ、クリス、ブラッドの5人を集め、自身の能力で彼らの意識を操り支配した。
・洗脳されたユリウスたちは自らの意志と思い込んだまま、学園の噴水前で義勇軍の結成を高らかに宣言し、生徒たちに王国の危機を救うための参戦を呼びかけるに至った。
学園を覆う異常な熱狂と同調圧力
ユリウスの演説を機に、学園内では義勇軍への参加を貴族の誉れとする異常な熱狂と同調圧力が蔓延した。
・義勇軍に参加しない者は卑怯者と見なされて婚約破棄される例まで現れた。
・男子生徒たちは保身や名誉のために競って実家の飛行船や鎧を提供し、幹部の地位を得ようとした。
・女子生徒たちも義勇軍の幹部をもてはやし、武勲を立てれば就職や結婚が有利になると信じ込んで、恋人たちを嬉々として危険な戦場へと送り出していった。
ユリウスの思惑とリオンの排除
この異常な空気を察したリオンは、不参加による今後の学園生活での不利益を避けるため、ユリウスの義勇軍へ参加を申し入れた。
・ジルクから王宮から別の命令が下る可能性があり都合が悪いという理由で入隊を拒否された。
・真の理由は、すでに黒騎士討伐や空賊退治などで多大な実績を持つリオンが加われば、ユリウスたちの武勲が霞んでしまうことであった。
・オリヴィアの関心がリオンに向くことを彼らが強く嫉妬し、警戒したためでもあった。
リオンによる独自の義勇軍の結成
ユリウスの義勇軍から排除されたリオンは、師匠の助言を受け、前線での戦闘ではなく物資の輸送を主目的とする独自の義勇軍を立ち上げた。
・リオンは、貧乏な男子生徒たちを危険な前線から遠ざけるため、マリエの伝手でシンシアやブリタら女子生徒6人を囮として参加させた。
・それに釣られた男子生徒たちを後方支援部隊として取り込むことに成功した。
・王宮ではミレーヌ王妃がユリウスたちの行動を戦争ごっこと批判しつつも、初陣を経験させるべきという貴族たちの意向に押され、義勇軍の出陣を容認することとなった。
まとめ
王国学園の義勇軍設立を巡る一連の全貌は、聖女アンの陰謀と洗脳から始まり、同調圧力による学園全体の熱狂、実績あるリオンの意図的な排除、そして後方支援を目的とした独自部隊の結成に至るまで、その歪んだ実態を明瞭に示している。洗脳や功名心という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、学園の狂気と現実的な生存戦略の記録である。洗脳の遂行から、蔓延する熱狂、個人的な嫉妬による排斥、そして賢明な回避策の構築へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
ファンオース公国との戦争
ファンオース公国との戦争の全貌
スピンオフ作品『あの乙女ゲーは俺たちに厳しい世界です 6』(マリエルート)におけるファンオース公国との戦争について、開戦と義勇軍の暴走、黒騎士バンデルとの激突と大敗、リオンの決死の迎撃と死闘、および公国の降伏と戦争の終結の各点から解説する。
開戦と義勇軍の暴走
ファンオース公国は、守護神を呼び出す切り札である魔笛を失い王国との国力差は絶望的であったが、主戦派の貴族たちや国民感情に押されて宣戦布告に踏み切った。
・公国は王都から遠い地方の領主貴族たちの裏切りを誘い、戦局を有利に進めようとした。
・王国では、聖女アンに洗脳されたユリウス王太子たちが義勇軍を結成した。
・手柄を焦ったユリウスたちは、公国側に寝返った貴族たちを情け容赦なく攻め立て、味方にも多大な犠牲を出しながら進軍を続けた。
黒騎士バンデルとの激突と大敗
連戦連勝で驕っていたユリウスの義勇軍であるが、移動中にファンオース公国の本隊と偶然遭遇してしまった。
・そこには王国を深く憎む公国最強の黒騎士バンデルが待ち受けており、義勇軍の飛行戦艦は次々と撃墜された。
・この戦いでブラッドは捕らえられて顔面を焼かれる凄惨な拷問を受けた。
・ユリウスたちは為す術もなく撤退を余儀なくされ、戦争の過酷な現実を思い知らされることとなった。
リオンの決死の迎撃と死闘
王宮はレッドグレイブ公爵を総司令官に任命し、貴族の私兵を集めた艦隊で迎撃を図った。
・寄せ集めの艦隊は統率が取れず、黒騎士の猛攻を前に逃げ出す者が続出した。
・黒騎士が兄ニックスの乗る旗艦に迫ったため、リオンは改修されたアロガンツ・リベンジャーで単機迎撃に出た。
・機体性能では上回っていたものの、圧倒的なパイロットの技量差によってリオンは追い詰められ、アロガンツの右腕を切断された。
・父バルカスが決死の体当たりで援護に入った隙を突き、リオンはアロガンツの左腕のエネルギーを解放したフルオーバーインパクトを至近距離で放った。
・リオン自身も片目を失明し、顔面に大火傷を負う重傷を負いながらも、ついに黒騎士を討ち取ることに成功した。
公国の降伏と戦争の終結
精神的支柱であった黒騎士が戦死したことで、公国軍の士気は完全に崩壊した。
・主戦派の奸臣ゲラット伯爵は敗色濃厚と悟り、第一王女ヘルトルーデを人質として差し出すことで自らの保身と降伏交渉を図ろうとした。
・レッドグレイブ公爵は主君を犠牲にして生き延びようとするゲラットの振る舞いを恥知らずと断じ、彼を射殺した。
・自ら全責任を負うというヘルトルーデの王族としての覚悟を尊重し、公国の降伏を受け入れたことで、泥沼の戦争は終結を迎えることとなった。
まとめ
ファンオース公国との戦争を巡る一連の全貌は、公国の無謀な宣戦と義勇軍の暴走から始まり、黒騎士バンデルによる大破と現実の露見、リオンとその家族による決死の死闘、そしてへルトルーデの覚悟による終結に至るまで、その過酷な現実と激闘を明瞭に示している。洗脳や功名心、裏切りという不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、泥沼の戦乱と命懸けの討伐の記録である。開戦の動揺から、激突の惨禍、迎撃の死闘、そして降伏による受諾へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
黒騎士との死闘
黒騎士との死闘と決着の全貌
スピンオフ作品『あの乙女ゲーは俺たちに厳しい世界です 6』(マリエルート)における黒騎士との死闘について、ニックスの危機とアロガンツの出撃、圧倒的な技量差とバンデルの復讐心、父バルカスの救援とリオンの激怒、雲上の決着と多大な代償、およびその結末の各点から解説する。
ニックスの危機とアロガンツの出撃
ファンオース公国本隊と、レッドグレイブ公爵率いる王国の寄せ集め艦隊が激突する中、公国最強の英雄である黒騎士ことバンデルが戦場に現れた。
・黒騎士は次々と王国の飛行船や鎧を沈め、目立つ存在であったリオンの兄ニックスの乗る飛行戦艦を旗艦と見なして単機で強襲した。
・兄の危機を察知したリオンは、聖樹戦の強引な改修を残したままのアロガンツ・リベンジャーで出撃した。
・黒騎士の側面に体当たりをして間一髪で兄の船から引き離すことに成功した。
圧倒的な技量差とバンデルの復讐心
アロガンツは機体性能で圧倒的に勝っていたものの、歴戦の猛者であるバンデルの凄まじい操縦技術の前に手も足も出ず、苦戦を強いられた。
・バンデルは、かつて王国軍に妻と娘を殺された深い憎しみと復讐心を露わにした。
・王国の悪鬼共が自分を化け物に変えたのだと叫びながら大剣を振るい、アロガンツの強固な右腕を斬り落としてリオンを追い詰めた。
父バルカスの救援とリオンの激怒
絶体絶命の窮地に陥ったリオンを救うため、父バルカスが自ら鎧を駆って黒騎士に決死の体当たりを敢行した。
・バンデルの大剣はアロガンツの胸部を貫き、続いてバルカスの鎧をも容赦なく斬り裂いた。
・目の前で父が殺されたと思い込んだリオンは激しい怒りに駆られた。
・再起動したアロガンツで黒騎士を掴んだまま、雲を突き抜けてはるか上空へと一気に上昇していった。
雲上の決着と多大な代償
コックピットの機密性が失われ、冷たい風と薄い酸素の中で行われた雲上の死闘において、リオンは顔面に大火傷を負い、飛び散った破片によって右目を失明するほどの重傷を負った。
・バンデルは目の前の歪な鎧が、かつて公国から魔笛を盗み出した機体であることに気づき、激昂して止めを刺そうと迫った。
・リオンは機体の勢いを利用して間合いを取り、アロガンツの左腕に限界までエネルギーを充填させてフルオーバーインパクトと呼ばれる広範囲への強力な衝撃波を至近距離から放った。
結末
この一撃により黒騎士の鎧は完全に粉砕され、バンデルは主君であるヘルトルーデへの謝罪を口にしながら空へ散っていった。
・リオンの顔には一生消えない傷痕が残り、右目の視力を失うという重い代償を払うこととなった。
・父や兄と三人で掴んだ勝利により最大の脅威であった黒騎士を討ち取ったことで、公国軍の士気は完全に崩壊した。
・この死闘の結果が、王国を勝利と戦争終結へと導くこととなった。
まとめ
黒騎士との死闘を巡る一連の全貌は、兄の危機に駆けつけたアロガンツの出撃から始まり、バンデルの圧倒的な技量と復讐心、父バルカスの介入とリオンの激怒、そして肉体を削る雲上の決着と勝利に至るまで、その凄絶な戦闘を明瞭に示している。憎しみの連鎖や圧倒的な武力という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、家族の絆と命懸けの戦術の記録である。奇襲の発生から、空中戦の激化、父の援護、衝撃波の解放、そして宿敵の討滅へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
聖女オリヴィアの暗躍
聖女アンの思念体による暗躍の全貌
スピンオフ作品『あの乙女ゲーは俺たちに厳しい世界です』(マリエルート)において、オリヴィアの肉体を乗っ取った聖女アンの思念体による暗躍について、清廉な仮面と庇護欲の扇動、権力者との結託と聖女としての君臨、貴公子たちの洗脳と義勇軍の創設、および敗戦の誘導と狂気の支配の各点から解説する。
清廉な仮面と庇護欲の扇動
聖女アンの思念体は、本来のオリヴィアの無垢な姿を利用してユリウスら貴公子たちの庇護欲を煽ることから暗躍を開始した。
・ダンジョンでの襲撃を涙ながらに訴えることで、加害者の女子生徒たちを退学に追い込んだ。
・周囲の同情を巧みに利用して自らの立場を強固なものにしていった。
権力者との結託と聖女としての君臨
アンは、王国の重鎮であるフランプトン侯爵と結託し、彼を自身の復讐の強力な手駒として利用した。
・王都広場で行われた聖女認定の式では、群衆に向けて献身を誓う一方で、内心では偽りの王家に盲従する民衆を唾棄し、王国滅亡への凄まじい復讐心を燃やしていた。
・侯爵とは裏で口封じや反対派閥の排除を進め、王国中枢の権力闘争を利用して国を内部から崩壊させていった。
貴公子たちの洗脳と義勇軍の創設
ファンオース公国からの宣戦布告に乗じ、アンはユリウスたちを戦場へ送り込んで悲惨な死を遂げさせる計画を立てた。
・当初は自分が戦場に出ると言って彼らを誘導しようとしたが、反対されたため強硬手段に出た。
・使われていない教室にユリウスたち5人を集め、自身の能力を使って彼らの意識を強制的に操り、洗脳した。
・彼らは自身の意志と思い込んだまま義勇軍を立ち上げ、多くの生徒を戦争の熱狂へと巻き込んでいくこととなった。
敗戦の誘導と狂気の支配
さらにアンは、ユリウスに手痛い失敗を経験させるため、フランプトン侯爵の意思すらも能力で操り、義勇軍を公国本隊と激突するよう誘導した。
・この目論見通り、義勇軍は大敗を喫して多数の犠牲を出した。
・顔に凄惨な火傷を負い精神が崩壊したブラッドの見舞いに訪れたアンは、醜い姿に怯える彼を優しく抱き締め、その傷を勲章と称賛した。
・周囲に見捨てられたと思い込むブラッドを完全に精神的に依存させ、公国の連中を皆殺しにするという彼の復讐心を巧みに利用し、次なる暗躍の駒として作り上げる冷酷さを見せた。
まとめ
聖女アンの思念体による暗躍を巡る一連の全貌は、庇護欲を刺激する演技から始まり、権力者との結託による内部崩壊、能力を用いた貴公子たちの強制的な洗脳、そして大敗の誘導と残忍な精神的支配に至るまで、その恐るべき復讐劇の実態を明瞭に示している。裏切りや傀儡化という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、仮面の下の狂気と冷酷な謀略の記録である。偽装の開始から、権力の把握、洗脳の完遂、大敗の誘導、そして精神的支配の確立へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
あのセカ 5巻 レビュー
モブせか まとめ
あのセカ 7巻 レビュー
登場キャラクター
ファンオース公国
ヘルトルーデ・セラ・ファンオース
ファンオース公国の第一王女であり、主戦派貴族の傀儡として苦悩する人物である。妹のヘルトラウダを守るため、あえて冷たい態度をとる。
・所属組織、地位や役職
ファンオース公国・第一王女。
・物語内での具体的な行動や成果
ゲラットら主戦派の貴族を抑えきれず、王国への開戦を承認した。敗戦後は自らを人質として王国に差し出し、妹の治世を守ろうと決断を下す。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
敗戦の責任を負い、王国の捕虜として監獄に収容される。
ヘルトラウダ・セラ・ファンオース
ファンオース公国の第二王女であり、姉を深く心配している。公国の結末から目を逸らさずに見届ける覚悟を持つ。
・所属組織、地位や役職
ファンオース公国・第二王女。
・物語内での具体的な行動や成果
開戦を止めようと姉に訴えたが突き放され、後に隠された手紙を読んで姉の真意を知った。敗戦後は暴動が起きる王城に残り、姉の無事を祈り続けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
姉が王国の人質となったため、公国の次期女王になる可能性が生じた。
黒騎士バンデル
公国最強の騎士であり、王国に妻と娘を殺された深い復讐心を抱く。老齢ながらも圧倒的な戦闘力を誇る。
・所属組織、地位や役職
ファンオース公国の騎士。黒騎士。子爵。
・物語内での具体的な行動や成果
ユリウスの義勇軍を圧倒して多大な被害を与え、本隊同士の決戦でも無双の活躍を見せた。リオンの乗るアロガンツと死闘を繰り広げるが、フルオーバーインパクトを受けて敗北した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
王国軍との決戦で戦死し、その死が公国軍の士気を完全に崩壊させた。
ゲラット伯爵
ファンオース公国の主戦派貴族であり、自身の保身を最優先に考える奸臣である。王家への忠誠心を持たない。
・所属組織、地位や役職
ファンオース公国・伯爵。
・物語内での具体的な行動や成果
切り札の魔笛を失いながらも、王国との戦争を強硬に推進した。敗戦時にはヘルトルーデを人質にして生き残ろうと企てたが、ヴィンスによって射殺された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
交渉役として振る舞おうとした矢先、その命を絶たれる結果となった。
ホルファート王国
リオン・フォウ・バルトファルト
本作の主人公であり、マリエの婚約者である。面倒事を避けたいと願いつつも、放っておけない性格をしている。
・所属組織、地位や役職
ホルファート王国・バルトファルト子爵(臨時)。義勇軍団長。
・物語内での具体的な行動や成果
アルゼル共和国でアロガンツに乗って聖樹を破壊し、世界崩壊の危機を防いだ。王国軍として出陣し、父や兄と共に黒騎士バンデルを討ち取った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
英雄として称えられるようになり、右目と顔面に深い傷を負う。
マリエ・フォウ・ラーファン
リオンの婚約者であり、乙女ゲーの知識を持つ転生者である。回復魔法の使い手として活躍する。
・所属組織、地位や役職
ホルファート王国・バルトファルト子爵の婚約者。
・物語内での具体的な行動や成果
致命傷を負ったルイーゼを治療し、彼女を一命を取り留めさせた。聖樹の破壊後、ノエルの身投げを止めようと走ったが手は届かなかった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
リオンの功績により高位貴族向けの部屋へ移り、待遇が大きく向上した。
ディアドリー・フォウ・ローズブレイド
ローズブレイド伯爵家の令嬢であり、政治的価値を重視して立ち回る。リオンの大胆な行動を称賛し、ファンを公言している。
・所属組織、地位や役職
ホルファート王国・ローズブレイド伯爵家令嬢。
・物語内での具体的な行動や成果
飛行船パルトナーで避難民の受け入れや現場指揮を担った。リオンとマリエに共和国語の特訓を施し、物資輸送の偽装工作を主導した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
学園を卒業済みであり、ローズブレイド家を代表して戦場でも影響力を発揮する。
クラリス・フィア・アトリー
アトリー伯爵家の令嬢であり、落ち着いた振る舞いを見せる。冤罪で処刑されかけた過去を持つ。
・所属組織、地位や役職
ホルファート王国・アトリー伯爵家令嬢。
・物語内での具体的な行動や成果
パルトナー内でメイド服を着用し、リオンの世話を行った。ほかの勢力からの物資輸送要求に対して、ローズブレイド家の名を使って退けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
身を隠す生活を送っているが、戦場では裏方として手腕を発揮する。
オリヴィア
本作の本来の主人公であるが、聖女アンの怨念に肉体を支配されている。王国への復讐を目論む。
・所属組織、地位や役職
ホルファート王国の特待生。聖女。
・物語内での具体的な行動や成果
聖女として認定され、自身の能力でユリウスたちを洗脳して義勇軍を立ち上げさせた。フランプトン侯爵と結託し、義勇軍を危険な戦場へ誘導した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
神殿と王宮の双方で不可侵の領域に属し、強い影響力を持つ存在となった。
ユリウス・ラファ・ホルファート
ホルファート王国の王太子であり、アンジェリカの婚約者である。理想に燃えるが現実を見失いがちである。
・所属組織、地位や役職
ホルファート王国・王太子。義勇軍の総大将。
・物語内での具体的な行動や成果
聖女アンに洗脳され、学園の生徒を集めて義勇軍を結成した。公国本隊との遭遇戦で大敗を喫し、多くの犠牲を出して撤退を余儀なくされた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
自身の決断による多数の戦死者を出し、両親から厳しく叱責される。
グレッグ・フォウ・セバーグ
セバーグ伯爵家の跡取りであり、ユリウスと行動を共にする武闘派の青年である。
・所属組織、地位や役職
ホルファート王国の生徒。義勇軍の幹部。
・物語内での具体的な行動や成果
義勇軍に参加し、反乱を起こした地方貴族への攻撃でクリスと手柄を競い合った。公国本隊との戦闘で負傷した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
ジルク・フィア・マーモリア
マーモリア子爵家の跡取りであり、ユリウスの乳兄弟として彼を補佐する。物腰は柔らかいが計算高い。
・所属組織、地位や役職
ホルファート王国の生徒。義勇軍の補給担当および幹部。
・物語内での具体的な行動や成果
リオンの義勇軍参加を断り、彼を輸送任務へ回すよう手配した。ユリウスに反乱貴族への攻撃を進言したが、公国本隊との戦いでは撤退を指示した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
クリス・フィア・アークライト
アークライト家の跡取りであり、ユリウスと行動を共にする剣士である。
・所属組織、地位や役職
ホルファート王国の生徒。義勇軍の幹部。
・物語内での具体的な行動や成果
義勇軍に参加し、反乱貴族との戦いでグレッグと手柄を争った。公国本隊との戦闘において負傷した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
ブラッド・フォウ・フィールド
フィールド辺境伯家の嫡男であり、魔法を得意とする青年である。ナルシストな一面を持つ。
・所属組織、地位や役職
ホルファート王国の生徒。義勇軍の幹部。
・物語内での具体的な行動や成果
聖女アンの洗脳に一度は抵抗したが、最終的に支配された。公国本隊との戦闘で捕虜となり、顔を焼かれる凄惨な拷問を受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
救出されたものの精神が崩壊し、オリヴィア(アン)に依存する状態となった。
フランプトン侯爵
ホルファート王国の重鎮であり、レッドグレイブ公爵家と対立する派閥の長である。自身の権力拡大を優先する。
・所属組織、地位や役職
ホルファート王国・侯爵。
・物語内での具体的な行動や成果
オリヴィアを聖女として擁立し、自派閥の権力を強化した。公国軍の迎撃をレッドグレイブ公爵に押し付け、自身は王都に留まった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
王国最大の派閥を築き上げ、王宮内で権勢を振るう。
ダニエル
リオンの友人であり、大柄な男子生徒である。
・所属組織、地位や役職
ホルファート王国の生徒。リオンの義勇軍メンバー。
・物語内での具体的な行動や成果
歓楽街のある要塞で宿泊したいとリオンに提案した。公国本隊との戦闘では、パルトナーを盾とする戦術に驚愕した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
レイモンド
リオンの友人であり、眼鏡をかけた男子生徒である。戦場でも冷静な分析を試みる。
・所属組織、地位や役職
ホルファート王国の生徒。リオンの義勇軍メンバー。
・物語内での具体的な行動や成果
ユリウスによる義勇軍の流行をリオンに伝え、共に輸送任務へ従事した。戦場では冷静に戦局を分析しようと努めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
アラン
ボードン子爵家の子息であり、出世欲が強い。
・所属組織、地位や役職
ホルファート王国の生徒。ユリウスの義勇軍幹部。
・物語内での具体的な行動や成果
実家の支援を受けて義勇軍の幹部となり、リオンを挑発した。反乱貴族との戦闘で乗艦に敵艦が体当たりし、爆発に巻き込まれた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
義勇軍での出世を夢見ていたが、帰らぬ人となった。
ロイド・フォウ・サンダーソン
騎士家出身の青年であり、ユーリアの恋人である。
・所属組織、地位や役職
ホルファート王国の生徒。ユリウスの義勇軍メンバー。
・物語内での具体的な行動や成果
旧式の鎧を用意してユリウスの義勇軍に志願した。マリエの制止を聞き入れず、危険な改造船に乗り込んで出撃した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
戦場から帰還せず、戦死した。
師匠
学園のマナー教師であり、王宮に顔が利く謎多き人物である。
・所属組織、地位や役職
ホルファート王国の教師。
・物語内での具体的な行動や成果
リオンの輸送部隊を、王宮に独自の義勇軍として認めさせた。リオンの度胸と実力を高く評価している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
ミレーヌ・ラファ・ホルファート
ホルファート王国の王妃であり、実質的な国政の最高責任者である。優れた実務能力を持つ。
・所属組織、地位や役職
ホルファート王国・王妃。
・物語内での具体的な行動や成果
ユリウスの義勇軍結成を戦争ごっこと批判した。戦後、多数の若者を死なせたユリウスの失態を厳しく叱責した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
アンジェリカ・ラファ・レッドグレイブ
レッドグレイブ公爵家の令嬢であり、ユリウスの婚約者である。激情家だがユリウスを一途に想う。
・所属組織、地位や役職
ホルファート王国・レッドグレイブ公爵家令嬢。
・物語内での具体的な行動や成果
聖女に選ばれたオリヴィアを警戒し、父から監視を命じられた。敗戦で失意の底にあるユリウスを訪ね、婚約者として支え続ける意志を示した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ユリウスとの絆を深めることで、聖女アンの洗脳を解くきっかけを作った。
ユーリア
ロイドの恋人である女子生徒である。
・所属組織、地位や役職
ホルファート王国の生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
ロイドの出陣を見送り、彼の帰還を待ち続けていた。ロイドが戦死したと知り、出陣を止めなかったマリエにすがりついて号泣した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
シンシア
マリエが世話をする問題児三人組の一人であり、物臭な性格をしている。
・所属組織、地位や役職
ホルファート王国の生徒。リオンの義勇軍メンバー。
・物語内での具体的な行動や成果
男子生徒を集めるため義勇軍に参加してパルトナーに乗り込んだ。戦場へ向かう船内でもクッションを抱いて眠っていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
エリー
マリエが世話をする問題児三人組の一人であり、読書をこよなく愛する。
・所属組織、地位や役職
ホルファート王国の生徒。リオンの義勇軍メンバー。
・物語内での具体的な行動や成果
義勇軍の輸送任務に同行した。船内の共用スペースに大量の本を持ち込み、読書に没頭していた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
ベティ
マリエが世話をする問題児三人組の一人であり、絵を描くことを好む。
・所属組織、地位や役職
ホルファート王国の生徒。リオンの義勇軍メンバー。
・物語内での具体的な行動や成果
義勇軍に参加してパルトナーに乗船した。周囲を気にせず画材を広げ、絵の制作に熱中していた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
ブリタ
ステファニーの元取り巻きであり、現在はマリエと交流がある。
・所属組織、地位や役職
ホルファート王国の生徒。リオンの義勇軍メンバー。
・物語内での具体的な行動や成果
学園内の派閥争いを避けるため、リオンの義勇軍に参加した。戦後は勲章や年金などの特典に期待を寄せていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
ダン
クラリスの取り巻きであり、強面の男子生徒である。
・所属組織、地位や役職
ホルファート王国の生徒。リオンの義勇軍の協力者。
・物語内での具体的な行動や成果
パルトナーに同行し、すれ違う飛行船の点滅合図を解析して危険を察知した。深夜にクラリスの護衛としてアロガンツの訓練を見守った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
カーラ
ステファニーの元取り巻きであり、現在はリオンの庇護下にある。
・所属組織、地位や役職
ホルファート王国・リオンのメイド。
・物語内での具体的な行動や成果
メイド服姿でクラリスたちの世話を担当した。勝手に動くアロガンツに怯え、ダンの後ろに隠れていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
要塞の司令官
国境の要塞を預かる軍人であり、落ち着いた態度をとる。
・所属組織、地位や役職
ホルファート王国軍・要塞の司令官。
・物語内での具体的な行動や成果
リオンの義勇軍から補給物資を受け取り、彼の実績と忠実な働きを評価した。ユリウスの義勇軍が北側の要塞にいることをリオンに伝えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
司令官の副官
要塞の司令官を補佐する軍人である。
・所属組織、地位や役職
ホルファート王国軍・要塞の副官。
・物語内での具体的な行動や成果
パルトナーから届けられた補給物資の確認を終え、過不足なく受け取ったことを司令官に報告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
ヴィンス・ラファ・レッドグレイブ
レッドグレイブ公爵家の当主であり、アンジェリカの父である。
・所属組織、地位や役職
ホルファート王国・レッドグレイブ公爵。総司令官。
・物語内での具体的な行動や成果
公国軍迎撃の総司令官を引き受け、自ら艦隊を率いて出陣した。敗戦処理の交渉において、保身を図るゲラットを射殺した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
交渉役を討った汚名を被りつつ、若い貴族の支持を得て派閥の求心力を取り戻した。
連絡員
王国軍の情報を伝達する兵士である。
・所属組織、地位や役職
ホルファート王国軍の連絡員。
・物語内での具体的な行動や成果
エアバイクでパルトナーへ着船し、疲労困憊の状態で公国本隊との決戦への参加命令をリオンに届けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
パルトナーの船長
パルトナーの運航を取り仕切る人物である。
・所属組織、地位や役職
ローズブレイド家の船長。
・物語内での具体的な行動や成果
敵艦隊の数を把握し、船員たちへ陣形を整えるよう指示を出した。味方の混乱に巻き込まれないよう操船に努めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
バルカス
リオンの父親であり、バルトファルト男爵家の当主である。
・所属組織、地位や役職
ホルファート王国・バルトファルト男爵。
・物語内での具体的な行動や成果
寄せ集め艦隊の一員として出陣し、窮地のリオンを救うために自らの鎧で黒騎士へ体当たりを敢行した。黒騎士の大剣に貫かれて重傷を負うが、一命を取り留めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
ニックス・フォウ・バルトファルト
リオンの兄であり、バルトファルト子爵家の当主である。
・所属組織、地位や役職
ホルファート王国・バルトファルト子爵。
・物語内での具体的な行動や成果
ローズブレイド家から提供された飛行戦艦に乗り、司令官として戦場へ出た。黒騎士に狙われた際、父が攻撃されるのを見て弟の支援を命じた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
アレン
アランの兄であり、ボードン子爵家の長男である。出世欲が強い。
・所属組織、地位や役職
ホルファート王国の貴族。
・物語内での具体的な行動や成果
英雄になることを夢見て、豪華に装飾された飛行船で単機突撃を行った。集中砲火を浴びて呆気なく撃墜され、戦死した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
ニックスの乗る飛行戦艦の艦長
ニックスの乗る戦艦の運航を取り仕切る人物である。
・所属組織、地位や役職
ローズブレイド家の艦長。
・物語内での具体的な行動や成果
黒騎士の接近に焦り、艦を下げて鎧部隊で迎撃するよう指示した。ニックスからの支援命令に渋々従った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
ローランド・ラファ・ホルファート
ホルファート王国の国王であり、ユリウスの父である。
・所属組織、地位や役職
ホルファート王国・国王。
・物語内での具体的な行動や成果
義勇軍の戦死者名簿を前に、多数の若者を死なせたユリウスを厳しく叱責した。失われた命に恥じない生き方をするよう息子に命じた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
看守
監獄で囚人を管理する職員である。
・所属組織、地位や役職
ホルファート王国の看守。
・物語内での具体的な行動や成果
ヘルトルーデが収容された牢屋の管理を行っており、過去の囚人について忌々しそうに呟いていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
コンシェルジュ
男子寮のロビーで生徒を案内する壮年の男性である。
・所属組織、地位や役職
ホルファート王国の男子寮コンシェルジュ。
・物語内での具体的な行動や成果
学園へ戻ってきたリオンを子爵として出迎え、高位貴族向けの新しい部屋へ案内した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
中年女性のコンシェルジュ
女子寮のロビーで高位の令嬢を案内する女性である。
・所属組織、地位や役職
ホルファート王国の女子寮コンシェルジュ。
・物語内での具体的な行動や成果
マリエを英雄の婚約者として丁重に扱い、伯爵家以上の令嬢向けに用意された広い部屋へ案内した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
伯爵令嬢
マリエの部屋を訪ねてきた三年生の女子生徒である。
・所属組織、地位や役職
ホルファート王国の生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
取り巻きを連れてマリエの部屋に押し入り、自派閥へ取り込もうとした。散らかった部屋とシンシアたちを見て退散した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
割り込んできた女子生徒
ユーリアを責め立てた高位の女子生徒である。
・所属組織、地位や役職
ホルファート王国の生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
帰還しない恋人を泣いて待つユーリアに対し、貴族は戦って血を流すべきだと冷酷に言い放った。リオンに口だけで戦場にいなかったことを指摘され、憤慨した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
アルゼル共和国
ルイーゼ・サラ・ラウルト
ラウルト家の令嬢であり、リオンを亡き弟と重ねる女性である。
・所属組織、地位や役職
アルゼル共和国・ラウルト家令嬢。
・物語内での具体的な行動や成果
聖樹の暴走から避難する途中で致命傷を負い、パルトナーに収容された。マリエの治療によって一命を取り留めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
年配の侍女
ルイーゼに仕えるメイド長である。
・所属組織、地位や役職
アルゼル共和国・ラウルト家の侍女。
・物語内での具体的な行動や成果
重傷のルイーゼに付き添い、リオンが亡くなった弟の若君に似ていることを涙ながらに語った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
ノエル・ジル・レスピナス
レスピナス家の一人娘であり、クーデターの首謀者である。
・所属組織、地位や役職
アルゼル共和国・レスピナス家。
・物語内での具体的な行動や成果
両親の遺志を継いでクーデターを起こし、結果的に聖樹の暴走を招いた。責任を感じてパルトナーから身投げし、新たな聖樹となった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
自らの命を捧げ、暴走した聖樹に代わる新たな核となった。
オリバー
ラウルト家騎士団の副団長であり、実直な性格を持つ。
・所属組織、地位や役職
アルゼル共和国・ラウルト家騎士団副団長。
・物語内での具体的な行動や成果
パルトナーに収容された後、クーデターの首謀者であるノエルに激しい殺意を抱いた。リオンが単機で聖樹破壊へ向かう姿を見送った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
人工知能・その他
簡易人工知能
アロガンツに搭載されたAIであり、無機質な対応をとる。
・所属組織、地位や役職
アロガンツのサポートシステム。
・物語内での具体的な行動や成果
ルクシオン不在の中でアロガンツの出撃準備や武装の解説を担当した。戦闘中は舌を噛まないよう注意を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
アロガンツ
リオンが操縦する専用の鎧である。
・所属組織、地位や役職
リオンの搭乗機。
・物語内での具体的な行動や成果
改修によってアロガンツ・リベンジャーとなり、聖樹の核を破壊した。黒騎士バンデルとの死闘では、フルオーバーインパクトを放って勝利した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
機体バランスの崩れから積み木遊びで経験値を積む必要があった。
ルクシオン
旧人類が建造した移民船の人工知能であり、リオンの相棒である。冷徹な思考を持つ。
・所属組織、地位や役職
宇宙船のAI。
・物語内での具体的な行動や成果
新人類の兵器であるアルカディアを破壊した後、パルトナーへ戻った。アロガンツの強引な改修に呆れつつ、自身で指揮を執って調整を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
結果を最優先し、新人類の排除と旧人類の世界の復活を目論んでいる。
イデアル
旧人類の軍用輸送艦の人工知能であり、新人類を強く憎悪している。
・所属組織、地位や役職
軍用輸送艦のAI。
・物語内での具体的な行動や成果
新たな聖樹の上空でルクシオンと対峙し、旧人類の希望であった聖樹を破壊されたことに憤慨した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
旧人類のために新人類を排除する目的でルクシオンと協力関係にある。
聖女の思念体
かつての聖女アンの怨念であり、オリヴィアの肉体を乗っ取っている。王家への強い復讐心を持つ。
・所属組織、地位や役職
聖女の怨念。
・物語内での具体的な行動や成果
ユリウスたちを洗脳して義勇軍を立ち上げさせた。フランプトン侯爵を利用して、彼らを危険な公国本隊と衝突するように仕向けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ブラッドの精神を依存させ、王国の血族を根絶やしにする決意を強めた。
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あのセカ 5巻 レビュー
モブせか まとめ
あのセカ 7巻 レビュー
展開まとめ
プロローグ
戦争を止められない王女
ファンオース公国の王城で、ヘルトルーデはホルファート王国への宣戦布告を告げる式典に備えていた。守護神を呼び出す二本の魔笛を失い、国力差も絶望的であったが、主戦派の貴族や国民感情によって戦争は止められなかった。決定権を持たないヘルトルーデは、自分が貴族たちの傀儡にすぎないと痛感していた。
ヘルトラウダの訴え
妹のヘルトラウダが部屋へ押し入り、魔笛のない公国では王国に勝てないと訴えた。ヘルトルーデも内心では同じ考えであったが、周囲には主戦派の者しかいなかったため、妹を怒鳴りつけて頬を打ち、公国の勝利を疑うなと言い渡した。
ヘルトルーデは侍女たちを退出させた後も冷たい態度を崩さず、留守を預かる立場を自覚するよう妹を叱責した。そして部屋を出る際、二人だけが知る秘密の合図を送った。ヘルトラウダがその意味を理解したことを確認すると、ヘルトルーデは妹を部屋に閉じ込めるよう命じ、戦場へ向かう艦隊を見つめながら、これしか妹を守る方法がないことを詫びた。
隠された手紙
部屋に残されたヘルトラウダは、幼い頃に姉妹で見つけた衣装棚の隠し場所を調べ、ヘルトルーデの手紙を発見した。そこには、これまでの冷たい態度への謝罪と、真実を公言すれば主戦派に警戒され、姉妹の身が危険になるという警告が記されていた。
ヘルトルーデは、周囲が主戦派で固められているため本音を隠し、信用できる者を見つけるよう妹に諭していた。また、戦争に確実な勝利はなく、自分が戻らなければヘルトラウダが次の女王になる可能性があるため、最悪の事態を覚悟するよう伝えていた。手紙の最後には、妹への深い愛情が綴られていた。
燃える最後の手紙
ヘルトラウダは姉の真意と自分の浅はかさを知り、涙を流して手紙を抱き締めた。しかし、手紙には読後に燃やすよう記されていた。王族でありながら自由も肉親も奪われようとしている現実に絶望し、ヘルトラウダは姉の手紙を暖炉で燃やしながら、悔しさに嗚咽した。
第1話 「出撃に向けて」
アロガンツの決戦改修
パルトナーの格納庫では、聖樹を破壊するためアロガンツの改修が進められていた。両腕には衝撃波と荷電粒子砲を備えた巨大な武装が取り付けられ、背面には高出力のジェネレーターとロケットブースターが用意された。ブースターは接近後に誘導弾として使用する設計であり、リオンとマリエは人工知能の過剰な武装に呆れながらも、世界の崩壊を防ぐため受け入れた。
格納庫を訪れたディアドリーは、改修されたアロガンツを頼もしいと評し、作戦開始までに準備が終わるか確認した。リオンは夜明け前までに完成させると答え、ディアドリーから共和国の避難民について話があると告げられた。
幼児退行したルイーゼ
医務室では、死の淵から救われたルイーゼが療養していた。精神状態が幼くなった彼女は、リオンを亡くなった弟と思い込み、褒めてほしいと甘えた。リオンは弟を演じながら、アルゼル共和国で起きた出来事を尋ねた。
ルイーゼは、空を埋め尽くす大量のモンスターと、力を与えなくなった聖樹について語った。また、父に逃げるよう命じられ、空に巨大な灰色の飛行船を見たことを思い出したが、恐怖から泣き出した。侍女に止められたリオンは、それ以上の聞き取りを断念した。
追い詰められたノエル
医務室を出たリオンは、監視下の部屋から抜け出したノエルを発見した。ノエルは両親の言葉を信じた自分が悪かったと責め続け、精神的に限界を迎えていた。リオンは世界の崩壊を避けるため、聖樹の暴走を止める協力を求め、共和国で起きたことを詳しく話すよう頼んだ。
リオンは一人で重い話を受け止めることを避けるため、二作目の知識を持つマリエを同席させた。マリエは不満を示しながらも、弱ったノエルを放置できず聞き取りに加わった。
レスピナス家の真実
ノエルは、滅ぼされたレスピナス家の一人娘として、生き残った家臣たちに守られて育ったと語った。聖樹の巫女を輩出する家でありながら、両親は貴族共和制を否定し、身分や紋章に左右されない平等な国を目指していた。ノエルはその遺志を継ぎ、学院で権力者の子弟に近付いていた。
しかし、アルベルクから、聖樹を裏切って紋章を奪われたのはレスピナス家であり、両親の教えが偽りだったと知らされた。さらにアルベルクたちは聖樹の暴走を止めようとしたが、空に現れた金属製の飛行船が飛行船や鎧を攻撃したという。
興奮したノエルは呼吸を乱して倒れ、マリエに介抱された。リオンは金属製の飛行船がルクシオンではないかと疑い、否定しながらも最近の行動への不信を拭えなかった。
第2話 「ゲームチェンジャー」
アロガンツ・リベンジャー
夜明け前、改修を終えたアロガンツには巨大なロケットブースターが装着されていた。クラリスは変貌した機体を見上げ、リオンには優美な鎧が似合うと語った。負傷したオリバーは、聖樹を破壊するため一人で向かうリオンの無事を願った。
出撃前、マリエはリオンの成功を案じた。リオンは世界の崩壊を防ぐため必要な作戦だと答え、二人は機体をアロガンツ・リベンジャーと名付けた。マリエが退避すると機体はパルトナーから投下され、ロケットブースターを点火して聖樹へ向かった。
英雄への期待
船橋では、ディアドリー、マリエ、オリバーがリオンの出撃を見守った。オリバーは聖樹の破壊を受け入れ難く思いながらも、共和国の汚名を残さないためには必要だと認め、亡きアルベルクたちにリオンを守るよう祈った。
周囲がリオンに期待することへマリエが不満を漏らすと、ディアドリーは成した事実によって英雄は評価されると反論した。マリエは英雄が無事に戻れない可能性を恐れていた。
聖樹への突撃
アルゼル共和国に到達したリオンは、白く変質して赤い巨大な瞳を持つ聖樹を目撃した。聖樹が無数の白いモンスターを放つと、リオンはロケットブースターを切り離して誘導弾として突撃させた。爆発によって大群に穴を開け、その中へアロガンツを進ませた。
リオンはガトリングガンとミサイルでモンスターを排除し、武装を使い切るたびに切り離しながら聖樹へ接近した。陽電子砲を放つと聖樹は苦しんだが、一撃では倒れなかったため、リオンは至近距離から衝撃波を併用することにした。
赤い瞳の奥
暴れ回る枝を陽電子砲で切断したリオンは、聖樹の弱点を探した。しかし簡易人工知能の解析には時間がかかり、回避を続ける余裕はなかった。その時、正体不明の男性の声とイメージが頭に届き、リオンは直感を信じて巨大な赤い瞳へ突入した。
瞳の内部は血管や肉の壁に似た構造となっており、奥には聖樹の核が存在した。声の主はリオンを導き、これでようやく終われると告げた。リオンは悲しさを覚えながらも、両手を核に叩き付け、陽電子砲と衝撃波を同時に放った。
聖樹の崩壊
ポジトロン・インパクトを受けた核へ、リオンはさらに拳を打ち込んだ。聖樹は悲鳴を止め、急速に枯れて自重を支えられず崩壊を始めた。
しかし、聖樹が倒れても白いモンスターたちは消えず、消耗したアロガンツへ押し寄せた。帰還が困難だとリオンが覚悟した直後、ミサイルがモンスターを吹き飛ばした。頭上にはパルトナーが現れ、ディアドリーが詰めの甘いリオンを救援した。
第3話 「償い」
パルトナーへの襲撃
リオンを回収するため聖樹へ接近したパルトナーでは、ローズブレイド家の船員たちがモンスターの侵入を防いでいた。ディアドリーは余裕を失わず、騎士や兵士を配置しながら負傷者の保護を優先するよう指示した。
甲板のノエル
船橋にいたマリエは、誰もいない甲板を歩くノエルを発見し、単身で追いかけた。荒廃した共和国と枯れ果てた聖樹を見たノエルは、すべての原因は自分にあると考え、命を捨てて責任を取ろうとしていた。
マリエは、生きて償う道もあると必死に説得し、驚異的な勢いで距離を詰めた。しかし、その手が届く直前、ノエルは謝罪を残して甲板から身を投げた。
新たな聖樹
落下するノエルの紋章が緑色に輝くと、枯れた聖樹の枝が蘇って彼女を包み込んだ。枝は聖樹の核があった場所に根を張り、一本の若木へと成長した。
新たな聖樹の光は白いモンスターを消し去り、汚れた空を浄化した。ノエルは自らが新たな聖樹となり、今度こそ人々を守ろうとしていた。
届かなかった手
ノエルを救えなかったマリエは、あと少しで手が届いたと自分を責めた。クラリスは手すりにしがみつくマリエを抱き締め、精一杯やったのだから責めてはいけないと慰めた。
暴走した聖樹とモンスターは消えたが、ノエルが身を捧げる結末をマリエは受け入れられなかった。共和国の避難民たちは荒廃した祖国を見下ろし、新たな聖樹に祈りを捧げた。
ルクシオンとイデアル
パルトナーが帰還した後、新たな聖樹の上空では、旧人類の移民船ルクシオンと軍用輸送艦イデアルが対峙していた。イデアルは、旧人類の希望である聖樹を破壊させたルクシオンを非難したが、ルクシオンは制御不能となった聖樹に利用価値はないと切り捨てた。
両者は新人類を排除し、旧人類の世界を取り戻す目的で協力していた。ルクシオンは今後の妨害を防ぐためリオンのもとへ戻り、監視役を置いて制御することを決めた。結果を最優先するルクシオンは、目的達成への最短経路を進もうとしていた。
第4話 「オリヴィアの能力」
宣戦布告後の学園
ファンオース公国の宣戦布告と領主貴族たちの離反により、ホルファート王国では不安が広がっていた。夏期休暇中の生徒たちも王都へ避難し、学園では戦争や裏切り者の噂が飛び交っていた。
戦場への提案
オリヴィアの体を支配するアンは、戦争に巻き込まれる民を案じる姿を演じ、ユリウスとグレッグの心を動かした。さらに聖女として負傷者を癒すため戦場へ出ると提案し、二人を戦争へ連れ出そうとした。
しかし、ユリウスとグレッグは学生やオリヴィアを危険な戦場へ出すべきではないと反対した。アンは人目を利用した計画が失敗したため、焦っていたと謝罪して引き下がったが、ユリウスたちを必ず戦場へ送り込むと決意した。
五人への支配
アンは使われていない教室へユリウス、グレッグ、ジルク、クリス、ブラッドを集め、能力で意識を操った。学園の生徒を巻き込んだ義勇軍を立ち上げ、自分のために武勲を立てるよう命じた。
ブラッドだけは一度抵抗したが、アンに直接瞳を見つめられて支配された。能力の使用で頭痛を覚えたアンは、体と力を完全には制御できていないと悟りながらも、五人に死ぬまで働くよう命じた。
義勇軍の準備
意識を取り戻したブラッドたちは、命令された記憶を持たないまま、ユリウスの名で義勇軍を立ち上げる相談を始めた。飛行船や鎧を所有していなかったため、戦力を提供した生徒を幹部として迎え、実家から装備を集めさせる方針を決めた。
ブラッドは話し合いの途中で眠っていたと思い込み、オリヴィアがその場にいなかったことにも疑問を抱かなかった。
フランプトン侯爵との密談
夜、アンはフランプトン侯爵に戦場への同行を求めたが、聖女を危険にさらせないとして拒否された。能力を使った直後で無理ができなかったため、アンは表面上は納得して引き下がった。
フランプトン侯爵は、公国との戦争を利用して王宮内の敵対勢力を排除していると明かした。アンはユリウスの王位を確実にするには実戦経験と手柄が必要だと説き、義勇軍に都合のよい戦場を用意するよう要求した。侯爵が条件付きで承諾すると、アンは計画の進展を楽しみにした。
第5話 「義勇軍」
王都への帰還
王都近郊の港へ戻ったリオンとマリエは、ディアドリーからアルゼル共和国での功績を王宮へ報告すると告げられた。ディアドリーはローズブレイド家の騎士たちを引き続き貸し出し、避難民や荷物の対応を任せた。
リオンとマリエは王宮で何日も事情聴取を受け、同じ説明を繰り返した末に解放された。多くの犠牲を出した共和国の出来事に疲れ切っていた二人は、ノエルについて後で話し合うことにした。
義勇軍の宣言
学園へ戻ったリオンたちは、ユリウスが中庭で義勇軍の結成を宣言する場面に遭遇した。公国の宣戦布告に加え、領主の反乱や空賊の活動が広がっており、ユリウスは王国を救うため生徒たちに参戦を呼びかけた。
あらかじめ用意された賛同者に続き、多くの生徒が熱狂して参加を表明した。戦争の原因となる要素を排除したはずのリオンとマリエは、想定外の事態と異様な盛り上がりに警戒した。
参加を迫る空気
リオンは戦争への参加を避けるつもりだったが、友人のダニエルとレイモンドから、学園内では義勇軍に反対する者が卑怯者と責められ、婚約を破棄される例まで出ていると聞いた。義勇軍への参加は貴族の責務として扱われ、男子生徒たちは周囲の評価を恐れていた。
さらに、飛行船や鎧を提供した生徒は幹部に取り立てられ、女子生徒からもてはやされていた。子爵家の次男アランも実家の戦力を提供して立場を上げ、リオンの功績を疑って挑発した。リオンはローズブレイド家の名を出して退けたが、傍観すれば今後に響くと考え、義勇軍への参加を検討した。
聖女への独占欲
義勇軍の司令部では、ユリウスたちが参加希望者の戦力を確認していた。旧式の鎧を持参したロイドをユリウスは歓迎したが、現れたオリヴィアが手を握って感謝を伝えると、ユリウスたちは露骨な嫉妬を見せた。
ユリウスはロイドを貧しい騎士家の男と蔑み、クリスもオリヴィアが他の男子に接触することを止めようとした。五人はオリヴィアへの独占欲を強め、参加者を仲間として見るよりも恋敵として警戒していた。
拒まれたリオン
義勇軍の受付を訪れたリオンは、ジルクによって別室へ案内された。ジルクは、リオンには王宮から別の命令が下る可能性があり、義勇軍に加えると双方に都合が悪いとして参加を断った。
リオンは不本意ながら引き下がったが、ジルクの真意は別にあった。実績の大きいリオンが参加すれば、ユリウスたちの武勲が霞み、オリヴィアの関心まで奪われると恐れていたのである。
リオンへの妨害
ユリウスも、かつてオリヴィアがリオンを気にかけていたことを覚えていた。既に英雄として実績を持つリオンが義勇軍で活躍すれば、オリヴィアが惹かれる可能性があると考え、嫉妬と憎悪を募らせた。
ユリウスはジルクに、リオンを活躍できない場所へ回すよう求めた。ジルクは暗い笑みを浮かべ、その依頼を引き受けようとした。
第6話 「俺たちの義勇軍」
ルクシオンの帰還
義勇軍への参加を考えたリオンをマリエが責めていると、長く不在だったルクシオンが戻ってきた。リオンはアルゼル共和国の聖樹暴走への関与を疑ったが、ルクシオンは一切関わっていないと否定した。公国の宣戦布告でリオンたちの危険度が増したため、パルトナーとアロガンツの改修に戻ったのだと説明した。
アロガンツの再調整
パルトナーでは、ルクシオンがアロガンツ・リベンジャーの強引な改造を問題視した。聖樹討伐に特化した結果、機体のバランスと汎用性が失われていたため、ルクシオンは自ら調整を指揮し、高性能な人工知能も搭載することにした。
ルクシオンは王国と公国を滅ぼせば問題が解決すると提案したが、リオンは拒否した。その反応に普段とは異なる不穏さを感じつつ、リオンは今後の行動を師匠へ相談することにした。
独自の義勇軍
師匠は、学園で義勇軍への不参加者が卑怯者扱いされる状況では、リオンの将来にも悪影響が出ると認めた。そのうえで、ユリウスの義勇軍ではなく、リオンが独自の義勇軍を率いて参戦するよう提案した。
任務は前線で戦うことではなく、パルトナーの輸送力を生かした補給であった。師匠は王宮への手配を引き受け、リオンの義勇軍を正式に軍の輸送計画へ組み込む方針を示した。
ミレーヌの警告
王宮に呼び出されたユリウスとジルクに対し、ミレーヌは義勇軍を戦争ごっこと断じた。しかし、貴族たちの多くがユリウスに初陣を経験させるべきだと考えていたため、義勇軍の参加自体は認められる流れとなっていた。
ミレーヌは、戦場では王族も平民も等しく死ぬと忠告し、武勲ではなく生還を優先するよう命じた。また、リオンが独自の義勇軍を立ち上げ、アルゼル共和国での功績から子爵相当として扱われることを告げた。リオンを拒絶したユリウスたちに対し、嫉妬するのではなく戦力として取り込むべきだったと叱責した。
アンジェリカの失策
続いて呼び出されたアンジェリカは、ユリウスを止められず、さらにリオンを確保しなかったことをミレーヌに指摘された。アンジェリカは今からユリウスの義勇軍へ勧誘しようとしたが、リオンは既に輸送任務を担う独自部隊を結成していた。
ミレーヌは、ユリウスの側にいたいならアンジェリカ自身の価値を示す必要があると伝えた。言葉に隠された意味を感じたアンジェリカは、次期王妃として自ら答えを見つけようと決意した。
戦場へ向かう若者たち
港を訪れたマリエは、ユリウスの義勇軍第一陣として出発するロイドと恋人のユーリアを目撃した。危険な改造船への乗船を止めようとしたが、ロイドは武勲を立てて就職と結婚を実現するため、ユリウスの義勇軍でなければならないと語った。
周囲にも同じような期待を抱く生徒たちが多く、共和国の惨状を知るマリエとの認識には大きな隔たりがあった。マリエは彼らを止められず、攻略対象者が率いる軍なら無事だと自分に言い聞かせた。
女子生徒を集めた輸送部隊
リオンは貧しい男子生徒たちを前線から遠ざけるため、マリエと親しいベティ、エリー、シンシア、ブリタたち六人を義勇軍へ参加させた。女子生徒に惹かれた男子たちが集まり、リオンの輸送部隊は成立した。
それでも救えた男子は全体の三分の一にも満たなかった。リオンは公国の切り札を封じているため王国の敗北はないと考えつつ、アルゼル共和国の惨状を思い出して不安を拭えなかった。
学園の派閥争い
ブリタたちが義勇軍に加わった理由は、男子ではなく学園内の女子生徒による派閥争いから逃れるためであった。クラリスの失脚で三年生の頂点が空席となり、一年生もまとまらず、二年生では聖女となったオリヴィアの台頭によってアンジェリカの立場が揺らいでいた。
全学年で主導権争いが激化し、男子生徒の多くが戦争へ出たことで学園はさらに荒れると予想された。マリエもリオンの婚約者として無視できない立場にあり、学園に残っていれば争いへ巻き込まれていたと知った。
第7話 「パルトナーでの日々」
アロガンツの積み木遊び
改修で機体バランスが変わったアロガンツは、経験不足を補うため木箱を積む訓練を続けていた。リオンとマリエが別々の指示を出したため失敗すると、幼い人工知能を搭載したアロガンツは格納庫の隅で膝を抱えた。二人は子供を慰めるように再挑戦を促した。
追加された輸送任務
深夜、クラリス、ダン、カーラが格納庫を訪れ、ユリウスの義勇軍へ補給物資を届ける任務が追加されたと伝えた。ほかの勢力もパルトナーの輸送力を利用しようとしており、クラリスはローズブレイド家の名で要求を退けていた。
リオンとマリエは女子生徒たちを戦闘に巻き込みたくないため、物資を届けた後は速やかに離脱する方針を決めた。クラリスは強大な戦力を持ちながら武功を求めない二人に呆れつつ、いつまでも争いから逃げ続けることはできないと忠告した。
補給物資の対立
無人の浮島でユリウスの義勇軍と合流したリオンたちは、王宮から指定された補給物資を引き渡した。しかしジルクは申請した全量を要求し、許可された量では足りないと主張した。
リオンはほかの部隊への物資を減らすわけにはいかないとして拒否した。ジルクが輸送任務を軽視するような皮肉を返し、アランもリオンを臆病な貧乏貴族と侮辱したが、マリエの反応には慌てて弁解した。交渉は決裂し、ジルクたちは不足分を得られないまま立ち去った。
命の優先順位
マリエは攻略対象であるユリウスたちを心配し、物資を多めに渡せなかったのかと尋ねた。リオンは彼らを優先すれば別の部隊が不足し、自分が独断で命の価値を決めることになると説明した。
指定された量でも無理をしなければ十分に戦えると考えた二人は、義勇軍が慎重に行動することを願いながら次の目的地へ向かった。
武功への焦り
旗艦に戻ったジルクは、強引に物資を奪えば王宮から後方へ下げられる可能性があったとユリウスに説明した。そのうえで、自分たちを戦力として認めさせるには目立った戦果が必要だと進言した。
ジルクは王国に反旗を翻した貴族の中から、現在の戦力でも勝てる相手を選んでいた。ユリウスは被害を懸念したが、貴族は血を流して民を守るべきだと説かれ、反乱貴族への攻撃を決めた。二人は自分たちが学生であり、武功への焦りから危険な判断をしている事実を意図的に見過ごしていた。
第8話 「聖女の思惑」
聖女の声明
ユリウスたちの戦果を知ったアンは、フランプトン侯爵の執務室でジルクの手紙を確認した。子弟を戦場へ出された貴族たちから苦情が相次いでいたが、アンは義勇軍への参加を貴族の誉れと位置付け、聖女として彼らの名誉を守る声明を出すと決めた。フランプトン侯爵も、生徒たちが自ら参加したとして責任を退けようとした。
裏切り者への猛攻
ユリウスの義勇軍は、公国側へ寝返った地方貴族を攻撃していた。相手には一時的に公国へ従い、戦後に王国へ戻るつもりの者もいたが、ユリウスは事情を考慮せず徹底的な殲滅を命じた。
グレッグとクリスは手柄を競って前進し、ブラッドの射線を妨げた。統制を欠いた戦いの中、炎上した敵艦がアランの乗る改造船へ体当たりし、船は砕け散った。脱出設備まで撤去されていたため多くが逃げ遅れたが、ジルクはアランと実家の価値が低いとして被害を切り捨てた。ユリウスは犠牲を直視できないまま、聖女の加護を掲げて進軍を続けさせた。
国境要塞への補給
パルトナーは他国との国境を守る要塞へ補給物資を届けた。リオンは王宮の指示通り過不足なく引き渡し、司令官から任務への忠実さとこれまでの功績を評価された。
司令官は後方へ戻る際の負傷者輸送を依頼し、リオンが次に北側の要塞へ向かうと知ると、そこにはユリウスの義勇軍が滞在していると告げた。活躍の噂とは異なる含みのある口調に、リオンは違和感を抱いた。
第9話 「若者たちの戦場」
北側要塞の歓楽街
北側の要塞に到着したパルトナーでは、ダニエルが歓楽街で遊ぶため一泊を望んだ。リオンは男子生徒たちの希望を認めたが、補給物資の受け渡しが終わる前にユリウスの義勇軍が乗り込んできた。
荒れた義勇兵たち
グレッグたちは新しい鎧を勝手に持ち出して訓練を始め、クリスの部隊も届けられた武器を無断で選び始めた。責任者へ抗議するため要塞へ向かったリオンは、居酒屋を占拠して酒宴を開く義勇軍を目にした。
戦いを重ねた生徒たちは粗暴になり、リオンを臆病者と嘲った。ユリウスも後方支援を軽視し、自分たちは武功を立てたためリオンより価値が高まったと誇った。リオンは補給の重要性を皮肉交じりに指摘したが、ユリウスには届かなかった。
アランへの祝杯
姿の見えないアランについて尋ねると、ユリウスは戦死したと明かした。しかし義勇軍の幹部たちは悲しみに向き合わず、死者を笑顔で送るとして宴を再開した。リオンはその態度に耐えられず、居酒屋を後にした。
翌朝、義勇軍の飛行戦艦は十隻から六隻に減っていた。夜には義勇兵たちがパルトナーへ押しかけ、酒や食事を勝手に消費していた。リオンたちは変貌した同級生との接触を避け、要塞を離れた。
敗北を望むアン
王宮では、アンが義勇軍の損耗を知り、勝利を重ねたユリウスが増長することを警戒した。彼女は手痛い失敗を経験させるため、公国本隊と戦わせるようフランプトン侯爵に提案した。
危険を理由に反対する侯爵へ、アンは能力を使って同意させた。公国側に手加減させればユリウスは逃げられると説明したが、彼女が守ろうとする側にユリウスは含まれていなかった。
黒騎士との遭遇
移動中の義勇軍はファンオース公国本隊と遭遇し、黒騎士バンデルに次々と飛行戦艦を撃墜された。グレッグとクリスは負傷し、ブラッドは生死不明となった。連戦連勝で自信を深めていたユリウスは、圧倒的な実力差を前に撤退を命じた。
ジルクは残存部隊を要塞へ退かせたが、どれだけ生き残れるかは分からなかった。ユリウスは何もできず、司令官席から味方が撃墜される光景を見続けた。
ゲラットの思惑
バンデルは義勇軍を追撃しようとしたが、ゲラットはユリウスに公国への恐怖を植え付け、将来都合のよい王にするため見逃した。政治的な裏取引を嫌うバンデルは不満を抱きながらも命令に従った。
バンデルは先代の王と王妃を見捨てた罪を悔やみ、両親を失ったヘルトルーデたちへの償いを求めていた。妻と娘も失った悲しみと憎しみを抱え、王国へさらに大きな打撃を与えなければ納得できないと考えていた。
第10話 「誰かさんの尻拭い」
王宮の総司令官
ユリウスの義勇軍が公国本隊に敗れた報告を受け、王宮では緊急会議が開かれた。フランプトン侯爵はユリウスの無事を伝え、犠牲の責任を曖昧にしたうえで、公国軍迎撃の総司令官にヴィンスを指名した。聖女の後見人を理由に王都へ残るフランプトンの狙いを理解しながらも、ヴィンスは多数の賛同を前に任務を受け入れた。
ヴィンスの出陣
帰宅したヴィンスは、派閥争いでフランプトンに主導権を奪われた現実を認め、王家へ泣き付くというアンジェリカの提案を退けた。聖女オリヴィアの動向を監視するよう娘に命じ、自ら公国軍との戦いへ出陣することを決めた。アンジェリカは厳しい戦況を前に、自分に何ができるのか答えを見つけられなかった。
前線への召集
各地へ物資を運んでいたリオンの義勇軍にも、公国本隊との決戦に参加する命令が届いた。後方支援だけで終える予定だったリオンとマリエは、女子生徒たちまで前線へ連れて行く事態に反発したが、安全に下船させる時間も場所もなく、そのまま艦隊へ合流した。
バルトファルト家の親子会議
集結した艦隊にはローズブレイド家のほか、父バルカスと兄ニックスの飛行戦艦も参加していた。三人が同じ戦場で命を落とせば家が危うくなるため、二人はリオンを下がらせようとした。しかし、リオンはローズブレイド家との関係や家族への心配から参戦を決めた。
父は対外戦では敵に止めを刺す覚悟が必要だと忠告した。リオンが避けられない経験だと答えると、父は悲しげにその決意を受け止めた。
ゾラの秘密
父が退出した後、ニックスはドロテアの調査によって、ゾラがルトアートに酷似した金髪碧眼の男を愛人として囲っていたと明かした。二人はルトアートの出自を疑いながらも、父には告げられない重い事実を共有し、ゾラ一家への警戒を強めた。
バンデルの告白
公国旗艦では、バンデルがヘルトルーデに先王夫妻の暗殺を見過ごしたことを告白した。王国軍に妻と娘を奪われた復讐心から、和平を望む二人を救わなかったのである。
ヘルトルーデは因縁の発端が公国側にあり、王国にも同じ悲しみがあると訴えた。しかし、家族を失った憎しみに囚われたバンデルには届かなかった。彼は王国への復讐と姉妹を守ることを償いと定め、ヘルトルーデは戦争を止められない自身の無力さを嘆いた。
寄せ集めの王国艦隊
夜明け、公国軍二百隻と王国側三百隻が対峙した。王国側は貴族の私兵を集めた混成艦隊で、練度も装備も統一されておらず、陣形を整えるだけで混乱した。一方、公国軍は正規軍として整然と動き、上空の有利な位置を確保した。
ボードン子爵家のアレンは英雄になることを夢見て単独で突撃したが、集中砲火を受けて飛行船ごと撃沈された。その死を巡って王国側では責任の押し付け合いが始まり、艦隊の統率はさらに崩れた。
黒騎士の猛攻
黒騎士バンデルが戦場へ現れ、飛行船を鎧ごと両断して王国艦隊を混乱させた。公国軍はその隙に包囲と砲撃を開始し、王国側は敗走寸前まで追い込まれた。
リオンは敵前逃亡を避けると同時に味方を立て直すため、パルトナーを前進させて盾にした。強力な障壁は公国軍の集中砲火を防いだが、守られた貴族たちは態勢を整えず次々に逃げ出した。
ニックスを狙う黒騎士
数の優位まで失われる中、バンデルは目立つニックスの飛行戦艦を旗艦と判断して接近した。兄が狙われたと気付いたリオンは、アロガンツで迎撃するため船橋を飛び出して格納庫へ向かった。
第11話「バルトファルトの血」
ニックスを救うアロガンツ
黒騎士バンデルがニックスの飛行戦艦へ迫ると、リオンはアロガンツ・リベンジャーで体当たりし、兄の船から引き離した。ニックスは撤退ではなく弟の援護を命じ、ローズブレイド家の船員たちも従って牽制に回った。
黒騎士との技量差
アロガンツは機体性能で上回っていたが、バンデルは圧倒的な操縦技術で攻撃を受け流し、巨大化した両腕や胴体を斬り裂いた。リオンはビームで応戦したものの、バンデルは家族を王国に殺された復讐心を露わにし、アロガンツの右腕を切断した。
父の救援
追い詰められたリオンを救うため、父が鎧でバンデルに体当たりした。しかし、バンデルの大剣はアロガンツの胸部を貫き、続いて父の鎧も斬り裂いた。父が殺されたと思い込んだリオンは怒りに駆られ、再起したアロガンツでバンデルを掴み、上空へ連れ去った。
雲上の決着
右目を負傷し、機体も大破したリオンは、酸素の薄い高度でバンデルと再戦した。バンデルはアロガンツが魔笛を奪った鎧だと気付き、王国への憎悪をぶつけた。
リオンは戦場から距離を取った理由を明かし、左腕に残された力を解放した。フルオーバーインパクトによる広範囲の衝撃波が黒騎士の鎧を砕き、バンデルはヘルトルーデへの謝罪を残して落下した。
黒騎士の死と公国の降伏
公国軍では、精神的支柱であったバンデルの戦死によって兵士たちの士気が崩れた。ヘルトルーデは両親を見殺しにした相手でありながら、自分たちを守ってきた騎士の死を悲しんだ。
ゲラットは敗北を悟ると、ヘルトルーデに責任を負わせて降伏交渉を進めようとした。ヘルトルーデは自分を人質として差し出し、妹ヘルトラウダの治世を守る覚悟を決めた。
父との再会
治療を終えたリオンは、重傷を負いながら生き延びた父を見舞った。顔と右目に深い傷を負ったリオンは、父が死んだと思い込んだためバンデルを倒したと告白した。
父は、黒騎士を倒したリオンが新たな英雄として扱われると語った。リオンは家族三人で得た勝利だと主張したが、周囲では既にリオン一人の功績として広まっていた。
リーランド・バルトファルト
父は、平穏を望むリオンがバルトファルト家の初代に似ていると話した。初代は大冒険の末に仲間から裏切られ、現在の浮島へ流れ着いて農業を始めた人物であり、冒険を嫌って平穏な人生を望んでいた。
その名はリーランド・バルトファルトで、愛称はリーアであった。聞き覚えのある名を知ったリオンは驚愕した。
第12話 「蝙蝠」
ヘルトルーデの引き渡し
レッドグレイブ家の飛行戦艦では、ヴィンスと王国貴族たちが公国側のゲラットと停戦協議を行った。ゲラットはヘルトルーデを人質として差し出し、公国艦隊を撤退させようとした。さらに王宮の内情を把握していることを示し、今後はフランプトン侯爵と交渉するとヴィンスを挑発した。
奸臣ゲラットの最期
ゲラットはヘルトルーデの自己犠牲を称えながら、自身は帰国してヘルトラウダを支えると語った。主君を犠牲にして生き延びようとする態度に王国貴族たちは激怒したが、ヘルトルーデは妹を守るため全責任を負うと宣言した。
ヴィンスはヘルトルーデに銃を向けた後、銃口をゲラットへ移して射殺した。主君を差し出したゲラットは交渉役ではなく奸臣であり、見逃せなかったと説明した。その姿勢はヘルトルーデと若い貴族たちの心を動かし、ヴィンスは交渉役を殺した汚名と引き換えに派閥の支持を取り戻した。
リオンの治療
パルトナーへ戻ったリオンは、マリエの回復魔法で顔の火傷と傷を治療された。しかし右目の視力と傷痕は完全には戻らず、負傷を大勢に見られたため、ルクシオンによる完治もしばらく隠す必要があった。
父が一命を取り留めたと聞いたマリエは安堵した。リオンは戦争が終結し、平和へ近付いたと考えたが、マリエは素直に信じられなかった。
勝利を喜ぶフランプトン侯爵
王国軍の勝利と黒騎士討伐の報告を受け、フランプトン侯爵は派閥の貴族たちと祝宴を開いた。ユリウスが生還し、ヴィンスの勢力に損害を与えられたことを喜んだが、アンは王国全体が疲弊している現実を見ない姿を冷笑した。
アンは黒騎士を倒した者に興味を示したものの、酔った侯爵が共同撃破とだけ答えて眠ったため関心を失った。その後、絶望している人物を利用するため行動を開始した。
ユリウスの後悔
ミレーヌとローランドは、義勇軍の戦死者名簿を前にユリウスを叱責した。ユリウスは自分の決断で多くの若者を死なせた現実を突き付けられ、浮かれていた自分の愚かさを痛感した。
捕虜となっていたブラッドは救出されたが、回復魔法でも治らないほど顔を損傷していた。ローランドは失われた命に恥じない生き方をするよう命じ、ミレーヌは息子の生還を喜びながらも、犠牲者の家族を思って悲しんだ。
アンジェリカの支え
失意のユリウスを訪ねたアンジェリカは、失敗した程度で見限ると思われたことを悲しみ、自分は今も婚約者であると告げた。ユリウスが婚約解消を予想しても、アンジェリカは側に残る意志を変えなかった。
アンジェリカはユリウスの愚かさを認めたうえで、立派な王となり犠牲を無駄にしないよう促した。二人が手を取り合うと、アンの支配はユリウスから解けた。
アンの憎悪
隣室で会話を聞いていたアンは、戦死者を成長の理由として利用する二人に激しい嫌悪を抱いた。アンジェリカが支配を解いたことを認めつつ、ホルファート王家の血族を根絶やしにすると決意した。
壊れたブラッド
酷い責め苦を受けたブラッドは、焼けただれた顔を嘆き、ファンオース公国への復讐を叫んで暴れていた。オリヴィアの姿を見ると醜い自分を見られたくないと怯えたが、アンは傷を勲章だと語って抱き締めた。
仲間に見捨てられたと思うブラッドは、優しく接するオリヴィアだけを頼り、彼女のためなら公国の者を皆殺しにすると誓った。アンはブラッドを治せる可能性を隠し、壊れた精神と復讐心を利用する方法を考えた。
第13話「台風の目」
敗戦後のファンオース公国
艦隊の敗北と黒騎士バンデルの戦死が広まり、公国では暴動と混乱が起きていた。主戦派の貴族たちは王国の報復を恐れながら責任を押し付け合い、捕虜となったヘルトルーデや王城に残されたヘルトラウダを案じなかった。ヘルトラウダは姉の無事を祈り、公国の結末を見届けることだけを王族としての務めと定めた。
囚われたヘルトルーデ
王国の監獄に収容されたヘルトルーデは、整えられた牢の中で公国艦隊と妹の無事を祈っていた。ゲラットを失っても主戦派の貴族は残っていたが、敗北によって状況が変わることを期待し、今は祈ることしかできなかった。
フランプトン派の台頭
パルトナーを訪れたディアドリーは、クラリスたちへ家族からの手紙と報酬を届けた。さらに、聖女を支援するフランプトン侯爵が王国最大の派閥を築き、戦場に出たレッドグレイブ派を冷遇して自派閥を優遇していると伝えた。
学園でも各学年の主導権争いが激化していたが、アンジェリカは敗北したユリウスを支えることを優先していた。クラリスとディアドリーは、黒騎士を倒して政治的価値まで高まったリオンとマリエが、王都の思惑に利用されることを懸念した。
英雄としての帰還
王都へ戻ったリオンは、黒騎士を倒した英雄として人々の注目を集めた。顔に負った傷にも同情が寄せられたが、リオンは機体性能に頼って辛勝しただけだと考え、英雄扱いを嫌がった。
義勇軍に参加した生徒たちには勲章が与えられる見込みとなり、年金や各種優遇も期待されていた。マリエはリオンの功績による報奨を知ると態度を変え、現実的な利益に目を輝かせた。
空席の増えた学園
学園へ戻ると、戦死や負傷によって多くの男子生徒が姿を消し、以前より静かで険悪な雰囲気になっていた。戦場を経験した生徒たちは気性が荒くなり、寮の上級者用の部屋にも空きが増えていた。
正式に子爵となったリオンには広い部屋が与えられ、マリエも婚約者として高位貴族向けの部屋へ移された。二人は待遇の向上を喜ぶより、以前の住人が戻らなかった事実に戦争の犠牲を感じた。
マリエへの接近
広い部屋に移ったマリエのもとへ、学園の主導権を狙う上級生たちが相次いで訪れた。英雄の婚約者となったマリエを自派閥に取り込もうとしていたが、居座っていたシンシアたちが部屋を散らかしていたため、訪問者は日を改めるとして退散した。
翌日もリオンとマリエには、生徒たちが関係を築こうと接近する機会をうかがっていた。黒騎士討伐によって二人の立場は大きく変わり、以前のように目立たず過ごすことはできなくなっていた。
帰らないロイド
恋人のロイドを捜すユーリアは、捕虜名簿にも名前がなかったと知って涙を流した。別の女子生徒は、志願した以上は死を覚悟していたはずだと責めたが、リオンは自ら戦場に出なかった者が語る言葉ではないと退けた。
ユーリアは、武勲を立てて結婚すると約束したロイドを止めなかったことを後悔し、無傷で帰還したユリウスへの憎悪を口にした。さらにマリエへ、なぜもっと強く止めなかったのかと責任をぶつけた。マリエは限界まで追い詰められたユーリアを抱き締め、謝罪を受け止めた。
救えなかった者たち
リオンはユリウスの義勇軍へ参加していれば犠牲を減らせたのではないかと悩んだ。しかしマリエは、リオンが加わればパルトナーやアロガンツを際限なく利用され、状況を悪化させた可能性もあったと指摘した。
結果を知った後なら別の手段を考えられるが、二人は当時できる限りの行動を取っていた。リオンはマリエの言葉によって、すべてを救えなかった責任まで背負う必要はないと受け入れた。
黒い顔覆い
マリエはリオンの右目と傷を隠すため、顔の右側を覆う黒い布を用意した。婚約者が奇抜な眼帯を着ければ自分まで疑われると説明したが、リオンのために選んだことへの照れを隠していた。
その後、マリエはリオンの私服や小物の感覚が周囲から浮いていると指摘した。リオンは自分が一般人として溶け込んでいると思っていたため衝撃を受け、立場に見合う身なりを整えるよう求められた。
祝勝会の招待状
リオンとマリエには、ユリウスとアンジェリカの名で開かれる学園の祝勝会への招待状が届いていた。二人は名指しで出席を求められており、レッドグレイブ公爵家の意向が働いていると考えた。
オフリー家の崩壊、聖女の出現、学年の時期から、二人は婚約破棄に関わる重要な出来事が起きる可能性を察した。さらなる想定外を防ぐため、リオンとマリエは祝勝会へ参加し、成り行きを見守ることにした。
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王国編

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共和国編

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幕間

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最終章

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