どんなラノベ?
『最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い 無能を演じるSSランク皇子は皇位継承戦を影から支配する』は、ファンタジー世界を舞台にした暗躍型の異世界宮廷ファンタジーである。
物語の舞台は、周辺国との軍事的な緊張感や、深刻な内憂外患を抱える強大なアードラー帝国である。主人公のアルノルト・レークス・アードラーは、双子の弟であるレオナルトを帝位につけるため、自らは「出涸らし皇子」と呼ばれる無能な皇子を演じつつ、裏では大陸最高峰の冒険者「シルバー」として驚異的な能力を振るい、壮絶な帝位継承戦を影から支配していく。
基本的な世界観は、魔法や魔導具、古代魔法、禁術が存在する中世風ファンタジーである。大国間での外交政略、領主の腐敗、宮廷内の暗殺疑惑といった複雑な陰謀が絡み合い、武力闘争のみならず、経済戦や高度な知略戦が展開される点が物語の大きな特徴である。
■ 物語の特徴
聖女レティシアの拉致事件でレオナルトが帝都を離れた隙を突き、第三皇子ゴードンが武力反乱を画策する。彼は第二皇女ザンドラや他国と結託し、武闘大会に乗じて帝剣城を制圧し、大結界「天球」による帝都封鎖を目論んでいた。
城内に残されたアルノルトは、皇族や要人たちを救出するため、軍師「グラウ」の姿に扮して暗躍へと乗り出す。フィーネや義賊ミア、若き軍師アロイスらと協力し、敵兵やザンドラが放った凄腕の暗殺者たちが蔓延る城内での決死の逃避行が展開された。その過程において、天球発動の鍵となる国宝「虹天玉」を巡る激しい攻防が繰り広げられることとなる。
一方、城外では皇帝ヨハネスを討とうと迫るゴードンの前に、帝国元帥たる第一皇女リーゼロッテが精鋭を率いて立ちはだかった。父を守るべく急行した彼女は、逆賊となった実弟と壮絶な死闘を演じる。
城内では近衛騎士隊長の裏切りという凶事に見舞われるも、アルノルトの機転により皇族たちは無事に玉座の間へ到達。彼らを秘密の抜け道から逃がした後、アルノルトは最後の虹天玉を探し出すべく、自ら敵兵に変装して敵中へ潜入していくのである。
読んだ本のタイトル
#最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い 8 無能を演じるSSランク皇子は皇位継承戦を影から支配する
著者:タンバ 氏
イラスト:夕薙 氏
出版社:KADOKAWA(スニーカー文庫)
発売日 :2021年12月1日
ISBN : 9784041115046
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あらすじ・内容
王国との共謀による第三皇子ゴードン・第二皇女ザンドラの反乱が実行され戦火に見舞われる帝都。危機にさらされた皇族たちを救い愚かな野望を打ち砕くべく、天才軍師グラウに扮したアルが暗躍を開始する!
最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い8 無能を演じるSSランク皇子は皇位継承戦を影から支配する
感想
いい処で終わった。
皇帝の25周年の式典の最終日。帝位争いから脱落したゴードン、ザンドラが隣国の王国と共謀して帝都でクーデターを起こす。
人質もしくは殺害のターゲットとして狙われるのはアルとレオの関係者、母親ミツバ、異母妹のクリスタ、そして青鴎姫のフィーネ。
そこに一番下の10番目の皇子ルーペルトも助けて欲しいとルーペルトの母親から依頼されると、クリスタの護衛をアルが出来なくなる。
そこに幼女好きな異母兄トラウゴットがクリスタを護衛すると参戦する。
儚げ幼女なクリスタ、元気な幼女リタ。
そして、ロリフ好きなトラウゴットにドストライクで危険な存在、、
エルフの姫ウェンディ。。
危険な組み合わせだが背に腹はかえられぬ。
だが其処は兄妹、、、
クリスタがトラウゴットを冷遇ww
護衛をさせながらも視界に入るなと指示してたようでトラウゴットがタンスの中に入っていた・・・
そのタンスの裏からアルが秘密の通路を通ってタンスに出るとトラウゴットが腕立て伏せをしていた・・・・
それに犯罪臭を感じるアル。
それを冷ややかにトラウゴットを扱うクリスタ。
この兄妹達、危険な状況でも何処か余裕があるな・・・
城の外では東部地区の国境を警戒してたリーゼロッテが皇帝を救助するために式典会場にに突入。
最初はゴードンを討ち取ろうとしていたが、途中で皇帝の護衛に切り替えて皇帝と合流する。
そして、近衛騎士団の隊長にも裏切り者が出て来た。
皇帝が息子のように可愛がっていたラファエルが、オリヴァーを後ろから斬りつけて裏切りが発覚。
目的は全くもって不明。
状況はドンドン混沌として来た。
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考察・解説
ゴードンの反乱
第三皇子ゴードンが首謀者となって引き起こした反乱は、帝国の存亡を揺るがす大規模な軍事クーデターである。武闘大会の熱狂を隠れ蓑にして決行されたこの反乱の全貌と、各陣営の動きは以下の通りである。
反乱の動機と協力者たち
ゴードンは今の帝国には強い皇帝が必要であるという思想を持っており、回りくどい帝位争いという枠組みそのものを否定し、自らの武力で帝位を奪い取ることを決意した。
・背景には、亡き皇太子ヴィルヘルムを失って以降、他国との戦争に消極的になった皇帝ヨハネスを軟弱と見なし、武功による出世を望む軍部の過激派将軍たちの不満があった。
・反乱を成功させるため、ゴードンは長年対立していた第二皇女ザンドラと打算的な同盟を結んだ。
・ペルラン王国、イーグレット連合王国、コルニクス藩国といった外国勢力も、帝国の弱体化や戦争の口実を求めて反乱に加担していた。
・最も皇帝側に衝撃を与えたのが第十近衛騎士隊長ラファエルの裏切りであり、彼の寝返りによって城内の防衛線は大きく崩されることになった。
大結界天球の発動と城の制圧
反乱軍の最大の戦術は、帝剣城を制圧し、帝都全体を覆う巨大な防衛結界である天球を発動させることであった。天球が発動すれば、外部からの援軍や帝都からの脱出が完全に封じられる。
・裏切ったラファエルの手引きもあり、ザンドラは城の地下や宝物庫に隠されていた虹天玉と呼ばれる国宝級の宝玉を3つ集めることに成功した。
・ザンドラが自らの血を流し込んで天球を最低限の出力で発動させたことにより、帝都は完全に隔離され、城内の制圧が本格化した。
皇帝陣営の対抗策
皇帝ヨハネスと宰相フランツは、確証がない段階でゴードンを捕縛すれば軍部の暴発による内乱を招くため、あえて反乱を未然に防ぐことはせず、事前の備えのみを固めていた。
・フランツが用意した最大の切り札は、帝国元帥である第一皇女リーゼロッテの極秘招集であった。
・闘技場で皇帝に剣を向けたゴードンの前にリーゼロッテが精鋭部隊と共に立ちはだかり、ゴードンを足止めする激しい一騎打ちを繰り広げた。
・その隙に、ヨハネスとフランツは一時的に帝都を放棄する決断を下し、リーゼロッテの別動隊が確保した東門へと撤退した。
まとめ
天球の発動を予見していたアルノルトは、あえて外部へは逃げず、城内に留まって暗躍を開始した。
・歴代皇帝が残した罠だらけの隠し通路を駆使し、敵の精鋭や暗殺者であるアッシャーやマリユスなどを退けた。
・第十皇子ルーペルトや皇女クリスタ、妃たちといった人質になり得る非戦闘員を安全な玉座の間へと誘導し救出した。
・敵の手に残りの虹天玉が渡って天球が強化されるのを防ぐため、ダミーの虹天玉を持たせた囮のグループを作って敵の目を逸らし、本物は密かに城外へ持ち出させるという緻密な脱出作戦を実行した。
全員を送り出した後、アルノルト自身は倒れた兵士の軍服を奪って変装し、敵軍の只中で最後の虹天玉の捜索などさらなる単独行動を開始したのである。
帝都結界天球
アードラシア帝国の帝都を守る防衛機構である大結界天球は、作中において帝都の存亡を揺るがす重要な役割を担う。その詳細な設定と作中での扱いは以下の通りである。
大結界天球とは
天球は、帝剣城を中心に帝都全体を覆う巨大な球状の防衛結界である。
・元々は古代魔法に関する書物を元に再現されたものである。
・本来は術者が行使する古代魔法を、巨大建造物である帝剣城と高純度の宝玉で代用して発動させる劣化版の魔法である。
・しかしその効果は絶大であり、発動すれば外部からの侵入も、内部からの脱出も一切不可能になり、外部との連絡や行き来が完全に遮断される。
・最大出力で発動した際には、城から空へ五色の柱が伸びるという特徴がある。
発動条件と虹天玉
天球を発動させるには、虹天玉と呼ばれる国宝級の宝玉が必要である。虹天玉は虹のように複数の色を持ち、凄まじい魔力を内包する最上品質の宝玉である。
・天球の最大発動にはこの虹天玉が5つ必要であるが、最低3つ揃えば発動自体は可能である。
・城の中央にある空天の間の台座に宝玉をセットし、皇族が自らの血を流し込むことで結界が展開される。
結界の解除と破壊
一度発動した天球を解除するには、台座から虹天玉を取り外す必要があるが、これができるのは皇族のみである。
・外部から物理的・魔法的に破壊することも理論上は可能である。
・エルナの持つ聖剣ほどの規格外の力があれば、宝玉3つで発動した天球なら破壊できるとアルノルトは推測している。
・しかし、宝玉が4つ以上使われて強固になった場合は、聖剣でも破壊は困難になる。
・なお、無理やり結界を破壊した場合、代償として国宝である虹天玉も砕け散ってしまう。
まとめ
武闘大会の裏で起こったゴードンの反乱において、天球は反乱軍の最大の切り札として使用された。
・裏切った近衛騎士隊長ラファエルの手引きもあり、ザンドラはゴードンが独自に用意した1つの虹天玉と、城内で奪取した2つの虹天玉、計3つを空天の間にセットした。
・そしてザンドラが自らの血を捧げたことで、3色の柱が立つ最低限の出力で天球が発動した。
この結界により、帝都は完全に隔離され、皇帝ヨハネスや助けに入った元帥リーゼロッテらは帝都の東門で足止めされ、外部の援軍と合流できない絶体絶命の状況に陥ることになったのである。
皇族の暗躍
第三皇子ゴードンの反乱という大規模な軍事クーデターの裏では、武力衝突だけでなく、複数の皇族たちがそれぞれの思惑を持って知略と策謀を巡らせ、密かに暗躍していた。その主な動きは以下の通りである。
アルノルトの八面六臂の暗躍
アルノルトは天球による帝都封鎖を予見し、城内に留まって人質の救出と天球阻止のための作戦を指揮した。
・騒動が本格化する前にSS級冒険者シルバーとして動き、ドワーフ自治領からエゴールを東部国境へ派遣して皇国の侵攻を牽制した。さらに西部ではクライネルト公爵に反乱と聖女拉致の真実を伝え、いざという時の軍勢を確保した。
・軍師グラウに変装して第十皇子ルーペルトのもとへ向かい、彼を説得して城の罠だらけの隠し通路を駆使して玉座の間へ導いた。また、フィーネを狙うザンドラに対しては幻術をかけて無力化し、足止めに成功している。
・玉座の間では、カミラやルーペルトにダミーの虹天玉を持たせて囮にする脱出作戦を実行した。彼らを城外へ逃がした後、アルノルト自身は倒れた兵士の軍服を奪って変装し、敵軍の只中で最後の虹天玉を見つけ出すための単独潜入を開始した。
ザンドラの影の支配と暗殺者の手引き
軟禁状態にあったザンドラであるが、逃亡した側近であるギュンターなどを使って王国などの外国勢力やゴードンと結託し、今回の反乱の絵を描いた黒幕の一人である。
・ゴードンとは打算的な同盟であり、反乱を成功させ諸外国の侵攻をゴードンに防がせた後、彼を暗殺して帝国の支配権を独占する腹積もりであった。
・氷弾のロア、閃光のマリユス、幻剣のアッシャーといった凄腕の暗殺者を大金で雇い入れ、要人を人質にするため城内に放った。
・裏切った近衛騎士隊長の手引きで虹天玉を集め、自らの血を流し込んで天球を発動させたのも彼女である。
トラウゴットの密かな支援
普段は帝位を狙わず、芸術や幼女を愛好する変人を装っているトラウゴットであるが、アルノルトの頼みに応じて密かに動いた。
・亡き皇太子ヴィルヘルムの側近であったライフアイゼン兄弟に極秘裏に号令を掛け、帝都に集結させてクリスタの護衛に充てた。
・このような目立つ行動をすれば、他の帝位候補者から最大の敵として警戒され、自分の趣味に生きる平穏な生活が失われてしまう。
・それでも彼が動いたのは、弟であるレオナルトに良き皇帝になる可能性を見出し、弟が別の弟であるルーペルトなどを見捨てる状況を見たくなかったためである。
第三妃カミラの不審な動き
第二皇子エリクの母であるカミラは、反乱の混乱の中でいち早く玉座の間に避難していた。
・彼女は武装した侍女程度しか連れていないにもかかわらず、戦闘の痕跡もなく無傷で上層へ到達しており、アルノルトから反乱を事前に察知し、敵と通じているのではないかと強い疑念を抱かれている。
・他の妃であるミツバを囮にする冷酷さを見せたが、その思惑を見抜いたアルノルトから、逆にダミーの虹天玉を持たされて自らが囮役を強要されることになった。
まとめ
ゴードンの反乱という表向きの武力衝突の裏で、アルノルトの迅速な対応やトラウゴットの支援が事態の悪化を防いだ。一方で、ザンドラやカミラのように自らの利益のために暗躍する者もおり、皇族間の知略と策謀が帝国の命運を左右する複雑な状況を生み出しているのである。
アルノルトの暗躍
ゴードンの反乱と大結界である天球による帝都封鎖という絶体絶命の危機において、第七皇子アルノルトは事前の布石から城内での人質救出、脱出作戦の指揮まで、八面六臂の暗躍を見せた。その全貌は以下の通りである。
シルバーとしての事前工作と他国への牽制
騒動が本格化する前、アルノルトはSS級冒険者シルバーとして素早く動き、複数の事前工作を行った。
・東部国境では、皇国の侵攻を牽制するためにドワーフのSS級冒険者エゴールを砦に派遣した。
・西部ではクライネルト公爵の元へ赴き、聖女拉致の真相と反乱の危険性を伝えることで、いざという時に帝都へ向かえる軍勢を確保した。
軍師グラウへの変装とルーペルト救出
反乱が始まり城の制圧が進む中、アルノルトは流れの軍師グラウに変装し、恐怖で部屋に籠もる第十皇子ルーペルトを厳しい言葉で説得して外へ連れ出した。
・道中では、味方を装う敵兵を隠し通路の罠に嵌めて一網打尽にした。
・さらに、立ち塞がった凄腕の暗殺者である幻剣のアッシャーに対しては幻術返しを行って撃破し、無事にルーペルトを最も安全な玉座の間へ送り届けた。
ザンドラの幻術による無力化
第二皇女ザンドラがフィーネを追い詰めた際、アルノルトはグラウの姿で背後から現れた。
・彼はザンドラの禁術で腕や首を斬り飛ばされても瞬時に再生し、光球で塵にされても黒い煙から復活する化物の姿を見せつけ、彼女に圧倒的な恐怖を与えた。
・しかしそれは、背後を取った時点でかけていた強力な幻術であった。
・アルノルトはザンドラを殺せばゴードン側が戦力を統合してしまうと考え、あえて殺さずに彼女を悪夢の中に閉じ込め、敵の指揮系統を混乱させる足止めとして利用した。
巧妙な囮作戦と脱出の指揮
玉座の間に皇族や非戦闘員を集めたアルノルトは、歴代皇帝のみが知る秘密の隠し通路を起動し、城外への脱出作戦を開始した。
・彼は母ミツバを囮にした第三妃カミラに対し、あえてダミーの虹天玉を持たせて先発させることで、実質的な囮として利用した。
・さらに、本物の虹天玉をトラウゴットに託す一方で、精巧なダミーをルーペルトに持たせ、自分こそが本物を持っていると信じ込ませて逃がすことで、敵を深く惑わす作戦を展開した。
まとめ
仲間たちをすべて安全に送り出した後も、アルノルト自身は脱出することなく城内に留まった。
・彼はアリーダが斬り伏せた敵兵の死体から軍服を奪って着用し、一介の帝国兵士に変装した。
・目的は、城内のどこかに隠されている最後の虹天玉を捜索することである。
もし敵の手に渡れば天球が強化されてしまうため、それを阻止すべく、アルノルトはたった一人で敵軍の只中へと潜入していったのである。
他国の介入
アードラシア帝国の皇帝即位二十五周年記念式典と、その裏で引き起こされた第三皇子ゴードンの反乱は、帝国内部の権力闘争にとどまらず、帝国の弱体化を狙う複数の外国勢力が介入する国家規模の危機へと発展している。各国の動向と思惑は以下の通りである。
ペルラン王国、イーグレット連合王国、コルニクス藩国の結託
ゴードンの反乱計画には、ペルラン王国、イーグレット連合王国、コルニクス藩国の三国が加担していると見られている。
・ゴードン単独では複数国家との緻密な連携や調整は不可能であるが、第五妃ズーザンの逃亡した側近であるメイドが暗躍し、王国とゴードンたちを繋ぐ裏工作を行ったと第六妃ミツバは推測している。
・武闘大会において、連合王国と藩国の要人は聖女拉致の重要参考人として部屋に留め置かれた対応への不服を理由に欠席しており、これがゴードンと協力関係にある証拠の一つと宰相フランツに見なされている。
・王国も聖女拉致を陽動として反乱に加わっていると考えられている。
・ゴードンと手を結んだ第二皇女ザンドラは、反乱成功後にこれら諸外国が帝国に侵攻してくることを前提としている。彼女はゴードンにその防衛をやらせた後で彼を暗殺し、帝国の支配権を独占するという恐るべき野望を抱いていた。
ソーカル皇国への牽制とドワーフ王の演技
ソーカル皇国は式典に重鎮を送っており、第二皇子エリクによって帝国に侵攻しないという言質を取られていた。しかし、アルノルトや軍部は皇国の不穏な動きを警戒し、東部国境で牽制を行っている。
・東部国境では、ドワーフ王マカールが祖国を取り戻すため皇国に攻め込むと宣言して軍を集結させていた。
・しかし、これは帝国元帥リーゼロッテの策であり、東部国境の戦力増強と皇国への圧力を目的とした演技であった。
・アルノルトはSS級冒険者であるドワーフのエゴールを東部国境へ派遣した。エゴールが国境の砦に入ることで、皇国は隙を突いて軽率に動くことができなくなったのである。
その他の勢力の動向
・アルバトロ公国、ロンディネ公国の来賓は武闘大会に予定通り出席しており、ゴードンの反乱には加担していないと見られている。
・ミヅホ仙国の仙姫オリヒメはアルノルトに協力し、帝都の結界修復を行うなど帝国側を支援している。
・彼女は仙国と帝国は友好国であり、帝国の問題は仙国の問題であると語り、闘技場でも皇帝ヨハネスの隣に座ることで民衆の不安を和らげる役割を果たした。
まとめ
かつて強大な軍事力で周辺国を圧倒していたアードラシア帝国であるが、皇帝ヨハネスが他国との戦争に消極的になったことや、帝位争いによる内部の隙を突かれ、他国の介入を許す事態となった。ゴードンの反乱は、帝国を反乱軍との内戦と諸外国との防衛戦争という二正面作戦の危機へと陥れているのである。
リーゼロッテの参戦
第三皇子ゴードンの反乱という帝国の危機において、帝国東部国境守備軍を率いる帝国元帥であり第一皇女のリーゼロッテは、戦局を覆す切り札として帝都に参戦した。彼女の参戦の経緯と作中での動向は以下の通りである。
宰相フランツによる極秘招集と東部国境での偽装工作
軍部の多くがゴードンに加担する危険性を察知した宰相フランツは、完全に信頼できる軍のトップとして、極秘裏にリーゼロッテを帝都の護衛として招集していた。
・情報漏洩を防ぐため、事前のやり取りは手紙一通のみで行われ、皇帝ヨハネスすら彼女が帝都に潜伏していることを知らされていなかった。
・東部国境を離れるにあたり、リーゼロッテはドワーフ王マカールに皇国に攻め込むと宣言させて軍を集結させるという演技を行わせ、皇国への強力な牽制とした。
・その上で、国境防衛の代理をラインフェルト公爵ユルゲンに任せ、自身は精鋭部隊を率いて帝都へと向かったのである。
闘技場での登場とゴードンとの激突
武闘大会の闘技場において、ゴードンが兵を率いて皇帝ヨハネスを包囲した絶体絶命の瞬間、リーゼロッテはフードで顔を隠した部下たちと共に颯爽と現れた。
・彼女がわざわざ国境から出向いた最大の理由は、亡き皇太子を失って心に深い傷を負っている父ヨハネスに、自らの息子であるゴードンを討てと命じさせないためであった。
・リーゼロッテは親不孝の代償はその首で払ってもらうと宣言し、魔剣で身体能力を強化したゴードンと激しい一騎打ちを繰り広げた。
大結界天球の発動と東門への撤退
しかし戦闘の最中、帝都を完全に封鎖する大結界である天球が発動してしまう。
・事態の急変を受け、リーゼロッテはゴードンとの戦闘を中断し、皇帝の護衛を最優先とした。
・そして、別動隊があらかじめ制圧して拠点の準備を整えていた帝都の東門へと、皇帝や宰相たちを連れて撤退する決断を下した。
・撤退の際、リーゼロッテは周囲で混乱し、敵か味方か判断のつかない所属不明の兵士たちに対して、皇帝と民に忠義を尽くす兵士だというならば民を守れと大声で号令をかけた。
・この言葉に心を動かされた多くの兵士たちは、軍服を脱ぎ捨てて民衆の避難誘導や救助に動くことになったのである。
まとめ
天球によって城内に取り残されたクリスタたちを心配するヨハネスに対し、リーゼロッテは弟妹たちは簡単に人質にはならないと断言した。
特に城内で暗躍するアルノルトと、外にいるレオナルトの成長を確信しており、彼らが反撃の準備を整えるまでの時間を稼ぐことを自らの役目と定めているのである。
登場キャラクター
アードラシア帝国(皇族・後宮)
ヨハネス・レークス・アードラー
アードラシア帝国の皇帝であり、情に厚いが皇帝の責務を最優先する人物である。亡き皇太子を失って以来、他国との戦争に消極的になっている。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・皇帝。
・物語内での具体的な行動や成果
武闘大会の闘技場で反乱を起こしたゴードンに対し、首を差し出せと命じた。リーゼロッテの参戦後は彼女の指示で東門へ撤退した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
息子であるゴードンの反乱によってその地位と命を狙われている。
ブリュンヒルト
アードラシア帝国の皇后であり、トラウゴットの生母である。ラウレンツの一件で皇帝ヨハネスとの間に溝ができている。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・皇后。
・物語内での具体的な行動や成果
来賓へ挨拶を終えた後、ヨハネスやオリヒメのいる闘技場の特別席へ戻った。ヨハネスの指示で来賓を招きに部屋を出た。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化はない。
ミツバ
アードラシア帝国の第六妃であり、アルノルトとレオナルトの生母である。自分の価値を冷静に判断し、他者を優先する自己犠牲の精神を持っている。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・第六妃。
・物語内での具体的な行動や成果
後宮で襲撃を受けた際、フィーネたちに自分を置いて逃げるよう命じた。その後、フィーネたちと共に後宮を脱出し、玉座の間へ避難した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化はない。
カミラ
アードラシア帝国の第三妃であり、エリクの生母である。理知的で冷徹な思考を持ち、自らの安全のために他者を囮にすることも厭わない。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・第三妃。
・物語内での具体的な行動や成果
ミツバを囮にして後宮をいち早く脱出し、玉座の間へ到達した。アルノルトからダミーの虹天玉を持って玉座の間から脱出するよう命じられ、囮役を引き受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アルノルトから反乱を事前に察知していたのではないかと強い疑念を抱かれている。
ズーザン
アードラシア帝国の第五妃であり、ザンドラの生母である。自らの特権階級を誇り、ミツバやその息子たちを卑しいと見下している。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・第五妃。
・物語内での具体的な行動や成果
反乱の混乱に乗じて軟禁から解放され、ミツバたちを後宮の通路で待ち伏せした。大量の兵士を出現させて包囲したが、ミアによって天井を崩され逃げられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ゴードンの反乱に加担し、後宮の制圧を試みている。
ジアーナ
アードラシア帝国の第七妃であり、ルーペルトの生母である。皇国からの政略結婚で嫁いできたため、帝国内では常に疑いの目を向けられている。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・第七妃。
・物語内での具体的な行動や成果
アルノルトへ息子ルーペルトの保護を必死に懇願した。その後、ミツバやフィーネと共に後宮を脱出し、玉座の間でルーペルトと再会した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化はない。
ヴィルヘルム・レークス・アードラー
アードラシア帝国の亡き皇太子であり、トラウゴットの兄である。帝位争いを必要としないほど誰もが認める理想の後継者であった。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・元皇太子。
・物語内での具体的な行動や成果
過去に他国との戦争で命を落としており、現在の物語には直接登場しない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
彼の死が現在の帝位争いや軍部の不満に大きな影響を与えている。
リーゼロッテ・レークス・アードラー
アードラシア帝国の第一皇女であり、帝国東部国境守備軍を率いる元帥である。父である皇帝を深く思いやり、弟妹たちの成長を信頼している。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・第一皇女。帝国元帥。
・物語内での具体的な行動や成果
ドワーフ王の侵攻という演技で東部国境を固め、極秘裏に帝都へ帰還した。闘技場でゴードンと激突したが、天球の発動を受けて皇帝を東門へ撤退させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
皇族最強の将軍として皇国から恐れられている。
エリク・レークス・アードラー
アードラシア帝国の第二皇子であり、カミラの息子である。皇国と親しい関係にあるが、他国を自国に介入させるような性格ではないとアルノルトから評価されている。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・第二皇子。外務大臣。
・物語内での具体的な行動や成果
闘技場で皇帝ヨハネスを安全な場所へ移動させるよう進言した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化はない。
ゴードン・レークス・アードラー
アードラシア帝国の第三皇子であり、他者の言葉に耳を貸さず力押しを好む性格である。帝国には強い皇帝が必要であると考え、自らが皇帝になるべきだと信じている。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・第三皇子。将軍。
・物語内での具体的な行動や成果
軍部の過激派やザンドラと結託して武力による反乱を起こした。闘技場で皇帝を包囲したが、リーゼロッテに阻まれ一騎打ちを繰り広げた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
反乱の首謀者として帝国を揺るがす危機を引き起こした。
トラウゴット・レークス・アードラー
アードラシア帝国の第四皇子であり、芸術や幼女を好む気分屋である。レオナルトに良き皇帝になる可能性を見出し、彼を応援することを決めている。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・第四皇子。
・物語内での具体的な行動や成果
クリスタの護衛を引き受け、亡き皇太子の側近であるライフアイゼン兄弟を帝都へ呼び寄せた。玉座の間から脱出する際、本物の虹天玉を託された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
帝位争いに参戦する意思はないが、目立つ行動を取ったことで他陣営から警戒される立場となった。
アルノルト・レークス・アードラー
アードラシア帝国の第七皇子であり、裏ではシルバーやグラウとして暗躍する人物である。双子の弟であるレオナルトを皇帝にするため、常に冷静な分析と計略で事態を動かしている。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・第七皇子。
・物語内での具体的な行動や成果
グラウに変装してルーペルトを救出し、ザンドラを幻術で無力化した。玉座の間に皇族を集めて脱出の指揮を執り、自らは兵士に変装して最後の虹天玉を探すため城内へ潜入した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化はない。
レオナルト・レークス・アードラー
アードラシア帝国の第八皇子であり、アルノルトの双子の弟である。弱者を見捨てない優しさを持ち、周囲から応援される資質を備えている。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・第八皇子。
・物語内での具体的な行動や成果
拉致されたレティシアを救出するため帝都の外へ向かっており、本編の城内の騒動には直接登場していない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
彼が帝都へ帰還することが反乱解決の重要な要素となっている。
ルーペルト・レークス・アードラー
アードラシア帝国の第十皇子であり、ジアーナの息子である。気弱で泣き虫な性格だが、アロイスやアルノルトの説得を受けて少しずつ成長を見せる。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・第十皇子。
・物語内での具体的な行動や成果
グラウやアロイスの護衛を受けて自室から脱出し、玉座の間へ到達した。玉座の間からの脱出時には、自らダミーの虹天玉を持つ囮役を引き受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化はない。
ザンドラ・レークス・アードラー
アードラシア帝国の第二皇女であり、ズーザンの娘である。禁術を操る魔導師であり、ゴードンを反乱の防衛に利用した後に暗殺し、帝国の支配権を独占する野望を抱いている。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・第二皇女。
・物語内での具体的な行動や成果
ゴードンと結託して暗殺者を城内に放ち、自らの血で天球を発動させた。フィーネを追い詰めたが、グラウに変装したアルノルトの幻術によって悪夢の中に閉じ込められた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
反乱の黒幕の一人として暗躍したが、アルノルトによって無力化された。
クリスタ・レークス・アードラー
アードラシア帝国の皇女であり、常に無表情だがウェンディを大切な友人として気遣っている。トラウゴットには容赦のない態度を取る。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・皇女。
・物語内での具体的な行動や成果
ウェンディを自室から連れ出して保護し、トラウゴットの護衛を受けて玉座の間へ避難した。その後、トラウゴットと共に隠し通路から脱出した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化はない。
テレーゼ
アードラシア帝国の皇太子妃であり、アリーダの姉である。家族の情が厚く、弟ラウレンツのために皇帝へ楯突いた過去がある。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・元皇太子妃。
・物語内での具体的な行動や成果
カミラと共に玉座の間へ避難した。アルノルトとアリーダの説得を受け、ダミーの虹天玉を持って脱出する囮役を引き受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化はない。
妃たち
アードラシア帝国の皇帝の妻たちである。第四妃や第五妃は反乱側に回り、第三妃や第六妃などは避難行動を取った。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・妃。
・物語内での具体的な行動や成果
各々が後宮での騒動に巻き込まれ、それぞれの判断で行動した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化はない。
アードラシア帝国(臣下・貴族・関係者)
フランツ
アードラシア帝国の宰相であり、皇帝ヨハネスの命を最優先に行動する。ゴードンの反乱の裏にいる暗躍者を炙り出そうとしたが、被害の拡大を防げなかったことに責任を感じている。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・宰相。
・物語内での具体的な行動や成果
極秘裏にリーゼロッテを帝都へ招集し、暗殺者ロアを高額報酬で雇い入れていた。闘技場で天球が発動された後、皇帝を東門の拠点へ撤退させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
帝国の防衛と事態収拾の実質的な指揮を執っている。
フィーネ・フォン・クライネルト
クライネルト公爵の娘であり、蒼鴎姫と呼ばれる令嬢である。アルノルトの考えを理解し、彼を支えるために自らも危険な役割を引き受ける芯の強さを持つ。
・所属組織、地位や役職
クライネルト公爵家・令嬢。
・物語内での具体的な行動や成果
ミアと共に後宮へ向かい、ミツバたちを救出した。ザンドラに襲撃された際は、自らが囮となってアルノルトの部屋までザンドラを誘導した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化はない。
クライネルト公爵
帝国西部の国境守備を担う貴族であり、娘のフィーネを深く愛している。フィーネが信頼するアルノルトのことを、自身も心から信頼している。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・公爵。西部国境守備軍関係者。
・物語内での具体的な行動や成果
王国軍の不穏な動きに備え、深夜に領内の騎士たちを招集した。シルバーから帝都の反乱の危機を聞き、いざという時は帝都へ向かうと即断した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化はない。
ユルゲン・フォン・ラインフェルト
帝国東南部に領地を持つ公爵であり、商才と度量の広さで多くの貴族から一目置かれている。穏やかな性格で、ドワーフ王とも親しく接する。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・公爵。
・物語内での具体的な行動や成果
リーゼロッテの策に協力し、彼女の代理として帝国東部国境のアイゼンヴァント要塞を守る責任を引き受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化はない。
クリューガー公爵
帝国南部に領地を持つ公爵であり、第五妃ズーザンの兄である。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・公爵。
・物語内での具体的な行動や成果
過去に南部で反乱を起こした人物として言及されるが、本編の出来事には直接登場しない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
彼の反乱とズーザンの関係が、今回の事態の背景として語られている。
マルクス・フォン・ライフアイゼン
亡き皇太子ヴィルヘルムの側近であった兄弟の兄であり、精悍な顔立ちの美丈夫である。勇猛な将軍として知られ、皇太子亡き後もトラウゴットに忠義を尽くす。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・元皇太子側近。将軍。
・物語内での具体的な行動や成果
トラウゴットの呼びかけに応じて帝剣城へ潜入し、反乱軍の末端兵士を装って行動した。追手が迫る中、瀕死のオリヴァーから時間稼ぎを託された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化はない。
マヌエル・フォン・ライフアイゼン
亡き皇太子ヴィルヘルムの側近であった兄弟の弟であり、柔和な顔立ちの優秀な参謀である。兄と共にトラウゴットの危機に駆けつける。
・所属組織、地位や役職
アードラシア帝国・元皇太子側近。参謀。
・物語内での具体的な行動や成果
トラウゴットと合流し、城内の反乱軍がザンドラ殿下のためにという合言葉で動いていることをアルノルトたちに報告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化はない。
アロイス
ジンメル伯爵家の若き領主であり、軍師グラウを強く信頼している。大人としての責任感を持ち、怯えるルーペルトを導く。
・所属組織、地位や役職
ジンメル伯爵家・当主。
・物語内での具体的な行動や成果
グラウの指示でルーペルトの護衛を務め、彼を説得して自室から連れ出した。敵の襲撃や暗殺者との遭遇を潜り抜け、ルーペルトを玉座の間へ送り届けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化はない。
マリー
レオナルトに仕えるメイドであり、冷静な判断力で危機に対処する。
・所属組織、地位や役職
第八皇子陣営・メイド。
・物語内での具体的な行動や成果
後宮が襲撃された際、的確に指揮を執ってミツバやジアーナを守った。ミアの登場後は、味方に武器を捨てるよう指示を出した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化はない。
ギュンター
第二皇女ザンドラの側近であり、彼女の指示で裏工作を行う人物である。
・所属組織、地位や役職
第二皇女陣営・側近。
・物語内での具体的な行動や成果
暗殺者たちを城内の別室に待機させ、ザンドラのもとへ案内した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化はない。
メイド長
帝剣城のメイドたちを束ねる人物であり、非常に厳格な性格である。
・所属組織、地位や役職
帝剣城・メイド長。
・物語内での具体的な行動や成果
メイドとして潜入したミアに対し、シーツの乱れや掃除の不備などを細かく指摘し、厳しく指導した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化はない。
帝国軍・騎士団
アリーダ・フォン・ヴァイトリング
近衛騎士団長であり、皇帝ヨハネスへ厚い忠誠を誓う最強の剣士である。弟のラウレンツが死んだことに対して怒りを抱えつつも、皇帝の国を思う姿勢を尊敬している。
・所属組織、地位や役職
近衛騎士団・団長。
・物語内での具体的な行動や成果
玉座の間へ続く扉の前で、襲撃してきた反乱軍の精鋭部隊百名以上を一人で斬り伏せた。アルノルトに生きてほしいと願い、彼に本物の虹天玉を託した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化はない。
エルナ・フォン・アムスベルグ
近衛騎士団の隊長であり、次期団長の筆頭と目される凄腕の騎士である。
・所属組織、地位や役職
近衛騎士団・隊長。アムスベルグ勇爵家。
・物語内での具体的な行動や成果
本編の城内の戦いには直接登場しておらず、レオナルトの元へ向かっていると言及されている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化はない。
オリヴァー・フォン・ロルバッハ
第八近衛騎士隊長であり、経験豊富で皇帝からの信頼も厚い武人である。後輩であるラファエルの裏切りを信じられず、深い絶望を味わう。
・所属組織、地位や役職
近衛騎士団・第八騎士隊長。
・物語内での具体的な行動や成果
城の地下でザンドラたちを制止しようとしたが、ラファエルに背後から斬られ致命傷を負った。最期の力を振り絞ってラファエルの裏切りを伝え、リタにマントを託して反乱軍への時間稼ぎを行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化はない。
ラファエル・ベレント
第十近衛騎士隊長であり、十九歳で隊長に抜擢された天才剣士である。孤児だったところを皇帝に拾われた恩があるにもかかわらず、裏切りに及んだ。
・所属組織、地位や役職
近衛騎士団・第十騎士隊長。
・物語内での具体的な行動や成果
城の地下でオリヴァーを背後から斬り裂き、ザンドラによる虹天玉の奪取と天球の発動を手引きした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
反乱軍に寝返り、帝剣城の防衛網を内側から崩壊させた。
エストマン将軍
帝国軍の老将であり、若い兵士を可愛がる好々爺として評判が良い。
・所属組織、地位や役職
帝国軍・将軍。
・物語内での具体的な行動や成果
比較的穏健派として城の守備に就けられていたが、ゴードンの反乱に加担したと言及されている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
反乱軍側に付いたことで、城内の防衛が敵の手に落ちた。
リタ
クリスタの護衛を務める騎士候補生の少女である。強い正義感を持ち、諦めない姿勢で傷ついたオリヴァーを励ました。
・所属組織、地位や役職
騎士候補生。
・物語内での具体的な行動や成果
クリスタと共に玉座の間を目指して行動し、瀕死のオリヴァーから白い近衛騎士のマントを託された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
オリヴァーから実質的な近衛騎士として認められた。
冒険者・裏社会
シルバー
SS級冒険者であり、その正体はアルノルトである。帝国全体を見渡し、各勢力と交渉して危機に備える。
・所属組織、地位や役職
冒険者ギルド・SS級冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
ドワーフ自治領のエゴールを東部国境へ派遣して皇国を牽制し、クライネルト公爵に反乱の危機を伝えて軍勢の確保を依頼した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化はない。
グラウ
流れの軍師であり、その正体はアルノルトである。アロイスから深い信頼を寄せられており、非情な選択も辞さない冷徹な判断力を持つ。
・所属組織、地位や役職
流れの軍師。
・物語内での具体的な行動や成果
ルーペルトを厳しい言葉で説得して部屋から連れ出し、幻術返しで暗殺者アッシャーを撃破した。その後、ザンドラの背後を取り、彼女を幻術に掛けて無力化した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化はない。
ミア
藩国の義賊であり、魔弓を操る少女である。フィーネを慕っており、大勢を相手にする戦闘に長けている。
・所属組織、地位や役職
義賊。フィーネの護衛。
・物語内での具体的な行動や成果
城内へメイドとして潜入し、後宮でフィーネたちを襲う兵士を魔力矢で次々と吹き飛ばした。ズーザンに包囲された際は、天井を崩壊させて退路を確保した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化はない。
氷弾のロア
白髪の男であり、依頼を決してしくじらない最強クラスの暗殺者である。単独行動を好み、かつて死神に命を救われた恩を返すために帝国に協力する。
・所属組織、地位や役職
暗殺者。
・物語内での具体的な行動や成果
ザンドラに雇われて城内に招かれたが、実は宰相フランツに高額で買収されていた。グラウたちを狙うマリユスを殺害し、城内で反乱軍を混乱させるために動いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
反乱軍側から帝国側へと寝返った。
幻剣のアッシャー
小柄な男であり、幻術を用いたナイフ投げを得意とする暗殺者である。自身の力に絶対の自信を持っている。
・所属組織、地位や役職
暗殺者。
・物語内での具体的な行動や成果
ザンドラに雇われて城内に侵入し、階段でグラウたちを待ち伏せした。無数のナイフの幻術で攻撃したが、グラウの幻術返しに遭い、騎士たちに斬り伏せられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
グラウとの戦闘により死亡した。
閃光のマリユス
色白で長身の男であり、超高速の突撃を得意とする暗殺者である。野心家であり、自らの利用価値を高めてザンドラの側近になることを目論む。
・所属組織、地位や役職
暗殺者。
・物語内での具体的な行動や成果
ザンドラに雇われて城内に侵入し、アッシャーが倒された後にグラウたちへ襲い掛かった。魔法による加速で攻撃したがグラウに防がれ、最終的にロアに背後から殺害された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ロアの裏切りにより死亡した。
シャオメイ
栗毛の侍女の姿をした暗殺者である。ラファエルの裏切りを事前に知る黒幕に仕えている。
・所属組織、地位や役職
暗殺者。
・物語内での具体的な行動や成果
ザンドラの傍に控え、城の地下でオリヴァーと交戦した。オリヴァーの攻撃を受けて壁に叩きつけられたが、ラファエルがオリヴァーを刺す隙を作った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化はない。
死神
当代最強とも言われる伝説的な暗殺者である。
・所属組織、地位や役職
暗殺者。
・物語内での具体的な行動や成果
本編には直接登場しないが、過去にロアの命を救ったことで、ロアが帝国に味方する理由を作った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化はない。
ドワーフ自治領
マカール
ドワーフの王であり、豪快に酒を飲むひげ面の男である。祖国を滅ぼした皇国を取り戻す悲願を抱いている。
・所属組織、地位や役職
ドワーフ自治領・王。
・物語内での具体的な行動や成果
皇国に攻め込むという名目で東部国境に軍を集結させたが、実際はリーゼロッテの策に協力し、皇国を牽制するための演技を行っていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化はない。
エゴール
ドワーフの老人であり、SS級冒険者である。迷子の剣聖と呼ばれるほどの極度の方向音痴だが、戦闘力は圧倒的である。
・所属組織、地位や役職
冒険者ギルド・SS級冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
シルバーからの要請を受け、ソニアを連れて東部国境のアイゼンヴァント要塞へ急行した。彼が国境にいることで、皇国の侵攻を物理的に封じ込める役割を果たした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化はない。
ドワーフの戦士たち
ドワーフ自治領を守る精強な戦士たちである。
・所属組織、地位や役職
ドワーフ自治領・戦士。
・物語内での具体的な行動や成果
マカールの指示に従い、皇国を牽制するために東部国境へと出払っていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化はない。
エルフの里
ソニア・ラスペード
エルフの娘であり、エゴールの付き人のような役割をしている。エゴールの迷子癖に呆れつつも彼をサポートする。
・所属組織、地位や役職
エルフの里・エルフ。
・物語内での具体的な行動や成果
エゴールに抱えられて強引な移動を強いられながらも、彼を東部国境の要塞まで案内した。要塞内でドワーフ王の侵攻が演技であることを見抜いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化はない。
ウェンディ
エルフの里の代表者であり、クリスタの大切な友人である。控えめな性格だが、幻術を使って周囲をサポートする。
・所属組織、地位や役職
エルフの里・要人。
・物語内での具体的な行動や成果
クリスタによって部屋から救出され、自身の幻術で帝国軍の目をごまかして一行の安全を確保した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化はない。
ミヅホ仙国
オリヒメ・クオン
ミヅホ仙国の仙姫であり、アルノルトを気に入っている。元気で奔放な性格だが、帝国の危機に際しては自ら進んで協力を申し出る。
・所属組織、地位や役職
ミヅホ仙国・仙姫。
・物語内での具体的な行動や成果
徹夜で玉座の間の結界を修復した後、皇帝の隣に座って民の不安を和らげた。闘技場で呪詛結界が発動した際は、自らの結界で要人たちを保護した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化はない。
他国・その他勢力
レティシア
ペルラン王国の聖女であり、レオナルトが救出に向かっている対象である。
・所属組織、地位や役職
ペルラン王国・聖女。
・物語内での具体的な行動や成果
本編の出来事の前に拉致されており、直接登場はしないが、彼女の不在が各国の動向に影響を与えている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化はない。
ダークエルフ
エルフを襲撃し、レティシアの拉致に関与した存在である。
・所属組織、地位や役職
魔奥公団関係者。
・物語内での具体的な行動や成果
過去の事件で暗躍したことが語られているが、本編には直接登場しない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化はない。
吸血鬼
過去に帝都で事件を起こした存在である。
・所属組織、地位や役職
不明。
・物語内での具体的な行動や成果
過去の事件として言及されるのみで、本編には直接登場しない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化はない。
山賊
過去にアルノルトとレオナルトが初陣で討伐した対象である。
・所属組織、地位や役職
山賊。
・物語内での具体的な行動や成果
過去の出来事として言及されるのみで、本編には直接登場しない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき地位の変化はない。
展開まとめ
第一章 奔走
オリヴァーの奮戦と玉座の間への到達
オリヴァーが兵士たちを食い止めたことで、アルノルトたちは無事に玉座の間へ辿り着いた。
しかし、そこには既に第三妃カミラとテレーゼが到着していた。カミラ テレーゼ
カミラは、アリーダがテレーゼを人質に取られれば裏切る可能性を危惧し、先に保護したのだと語る。アリーダ
その一方で、アルノルトの母ミツバは囮として後宮へ置き去りにされていた。ミツバ
アルノルトはカミラのやり方へ強い不快感を抱くが、アリーダは冷静に受け止め、自分が疑われるのも当然だと認めた。
さらにアリーダは、弟ラウレンツの死に対する怒りは抱えているものの、フィーネが笑って生きているなら、それで弟も救われるだろうと語る。ラウレンツ フィーネ・フォン・クライネルト
その言葉を受け、アルノルトは複雑な思いを抱えながらも玉座の間を後にした。
フィーネたちの逃走とザンドラの襲撃
一方、中層ではフィーネ、ミツバ、ジアーナたちがミアの護衛を受けながら逃走していた。ミア ジアーナ
しかし兵士たちの追撃は激しく、後宮からの脱出は想定以上に困難を極める。
そこへザンドラが魔導師部隊を率いて現れた。ザンドラ・レークス・アードラー
ザンドラは禁術を用い、影や触れた物を塵へ変える光球でフィーネたちを追い詰める。
ミアは奮戦するが、フィーネはアルノルトの分析を信じ、自ら囮となる決断を下した。
ザンドラはアルノルトへの憎悪を剥き出しにし、フィーネを殺そうと執拗に追跡する。
フィーネはアルノルトの部屋へ逃げ込み、そこでザンドラを単独行動へ誘導することに成功した。
グラウによる幻術
その直後、ザンドラの背後へグラウが現れる。グラウ
ザンドラは不意打ちを警戒しており、鞭や禁術で反撃した。
グラウは腕や首を斬り飛ばされても平然と再生し、さらに塵となった後も黒煙から復活する。
その異常な姿に、ザンドラは恐怖へ呑み込まれていった。
しかし実際には、ザンドラは既に幻術へ囚われていた。
グラウは、恐怖へ取り憑かれたザンドラを幻覚の中で逃げ回らせ続ける。
兵士たちが駆けつけても、ザンドラには彼らが黒煙に溶かされる怪物へ見えていた。
グラウは、ザンドラを今ここで殺すより、生かしてゴードン側の足並みを乱させたほうが有効だと判断していた。
フィーネは罪人は法によって裁かれるべきだと語り、グラウも最終的な裁きは皇帝へ委ねるべきだと認める。
その後、二人は転移門で玉座の間付近へ移動した。
母子の再会と玉座の間への集結
玉座の間付近では、ミアがフィーネの無事を喜んで抱きついた。
ミツバやジアーナも無事であり、ルーペルトが既に玉座の間へ到着していることを知ったジアーナは涙を流して安堵する。ルーペルト・アードラー
その後、全員は玉座の間へ入り、クリスタやトラウゴットたちとも合流した。クリスタ・アードラー トラウゴット・アードラー
アルノルトは、ラファエルが裏切った以上、この玉座の間も安全ではないと説明する。ラファエル・ベレント
そこで、城外へ脱出するため、皇帝のみが知る隠し通路の存在を明かした。
アリーダは驚愕するが、状況的にそれを使うしかないと認める。
カミラへの疑念と囮作戦
脱出順を決める中で、カミラは自分とテレーゼを最優先で脱出させるよう主張した。
それに対しアルノルトは、テレーゼとカミラに虹天玉のダミーを持たせ、囮役を務めてもらうと提案する。虹天玉
これは、ミツバを囮に使ったカミラへの報復でもあり、同時にカミラが敵側と繋がっているか試す意味もあった。
カミラは反発するが、アリーダとテレーゼが帝国の責務として受け入れたことで、最終的に従うしかなかった。
その後、アルノルトは玉座裏に飾られていた虹天玉がすべてダミーだったことを知る。
本物はアリーダが密かに保持していた。
アルノルトは本物とダミーを託され、それを利用した脱出作戦を開始する。
ルーペルトへの託宣と潜入準備
アルノルトは、本物の虹天玉をトラウゴットへ渡し、ダミーはルーペルトへ託した。
囮として生き残るには、自分が本物を持っていると本気で信じろと教える。
たとえ仲間が危機に陥っても、自分の役目を優先しろと厳命し、ルーペルトも苦悩しながらそれを受け入れた。
その後、クリスタ、トラウゴット、ルーペルト、ミツバ、フィーネたちは順番に隠し通路から脱出していく。
アルノルトだけは最後まで城へ残り、隠された最後の虹天玉を探す決意を固めた。
アリーダもまた、陽動として天球の台座奪取へ向かう覚悟を示す。
そしてアルノルトは、玉座の間前に積み重なった兵士たちの死体から軍服を剥ぎ取り、自ら兵士へ変装した。
敵もまさか皇子が兵士に成りすまして潜入するとは考えない。
そう判断したアルノルトは、隠し通路を進みながら最後の潜入作戦を開始したのだった。
第二章 天球
天球発動前の作戦確認
武闘大会開始直後、アルノルトたちはまだ動く時ではないと判断していた。観客の熱狂が頂点に達し、視線が闘技場へ集中した瞬間こそが暗躍の好機だったからである。
アルノルトは、ゴードン側の狙いが帝剣城制圧と《天球》発動であると説明した。天球の発動には最低三つの虹天玉が必要であり、そのうち二つは玉座の間に保管されていると推測していた。
玉座の間には近衛騎士団長アリーダが配置されており、そこだけは絶対に守り抜けると考えていたが、残る虹天玉は危険な状態にあった。
そこでアルノルトたちは、まず後宮にいる妃や皇族たちを救出し、玉座の間へ合流させる方針を定める。
隠し通路と後宮救出
アルノルトは、帝剣城には歴代皇帝たちが作った大量の隠し通路や隠し部屋が存在すると明かした。
それらの場所は、アルノルトが過去の日記を読み漁って把握していたものであり、侵入者を排除する罠まで設置されていた。
ミアは弓による精密射撃で兵士たちの注意を逸らしながら進軍し、その実力を改めて示した。ミア
その後、アルノルトは幻術でグラウへ変装し、ルーペルトの説得へ向かう。グラウ ルーペルト・アードラー
ルーペルトの決意
ルーペルトは恐怖から部屋へ籠もろうとしていた。
しかしグラウは、皇帝ですら帝国を優先し、価値の低い皇子を切り捨てる可能性があると厳しく突きつける。
さらに、ルーペルトの母ジアーナが必死に懇願したからこそ、アルノルトがルーペルトを優先的に守ろうとしていることも明かした。ジアーナ
その後、アロイスもまた、自身も恐怖を抱えながら戦ってきた過去を語り、母を守りたいなら今こそ動くべきだと説得する。アロイス
その言葉を受け、ルーペルトはようやく逃げずに動く決意を固めた。
闘技場での異変
その頃、闘技場では観客たちに異変が起き始めていた。
人々が次々と体調を崩し始め、オリヒメと皇帝ヨハネスは即座に異常を察知する。オリヒメ ヨハネス・アードラー
オリヒメは来賓を結界内へ集めるよう提案し、ヨハネスもそれを承認した。
その中でヨハネスは、亡き皇太子ヴィルヘルムを失ったことへの後悔を語る。ヴィルヘルム・アードラー
帝位争いによって皇子たちを成長させるつもりだったが、結果として帝国を揺るがす愚か者を生んでしまったのではないかと苦悩していたのである。
呪詛結界とゴードンの反乱
その直後、闘技場地下から巨大な魔力が噴き上がった。
それは観客や兵士たちの戦闘能力を奪う大規模呪詛結界だった。
フランツは、それが魔奥公団によって長期間準備されていたものだと見抜く。フランツ
ヨハネスたちが退避しようとした矢先、出口には完全武装したゴードン率いる反乱軍が待ち構えていた。ゴードン・アードラー
ゴードンは、自分を皇太子へ選ばなかったヨハネスこそが悪いと主張し、自らが新たな皇帝になると宣言する。
それに対しヨハネスは、お前が皇太子に値しなかっただけだと切り捨てた。
リーゼロッテの暗躍
一方、東部国境ではエゴールとソニアがアイゼンヴァント要塞へ到着していた。エゴール ソニア
そこにはドワーフ王マカールとラインフェルト公爵ユルゲンが待機しており、ドワーフ王による皇国侵攻騒動が、実はリーゼロッテの策だったことが判明する。マカール ユルゲン・ラインフェルト
東部国境の守備をユルゲンたちへ任せ、リーゼロッテ本人は密かに帝都へ向かっていたのである。リーゼロッテ・レークス・アードラー
リーゼロッテ参戦
ゴードンが反乱を宣言したその瞬間、帝都へ無数の矢が降り注いだ。
そこへ現れたのは、東部国境守備軍を率いたリーゼロッテだった。
フランツは、軍部で唯一完全に信用できる存在として、密かにリーゼロッテへ協力を依頼していたのである。
ゴードンは、東部国境を守っているはずのリーゼロッテが帝都へ現れたことへ狼狽する。
しかしリーゼロッテは、自分が父を守りに来たことの何が不思議なのかと冷たく返した。
さらに、父へ息子殺しを命じさせた罪は重いと断じ、ゴードンを自ら討つと宣言する。
こうして帝都では、帝国軍同士による本格的な内戦が始まった。
ザンドラによる虹天玉奪取
同時刻、帝剣城地下ではザンドラが虹天玉保管庫へ到達していた。ザンドラ・レークス・アードラー
そこへ立ちはだかったのは、第八騎士隊長オリヴァーと第十騎士隊長ラファエルだった。オリヴァー・フォン・ロルバッハ ラファエル・ベレント
オリヴァーはザンドラの裏切りへ驚愕するが、ラファエルは冷淡に剣を抜く。
そして戦闘中、ラファエルは背後からオリヴァーを刺し、裏切りを明らかにした。
致命傷を負ったオリヴァーは、それでも最後の力でラファエルへ剣を投げつけ、騎士団長へ裏切りを伝えるため逃走する。
その後、ザンドラは三つの虹天玉を揃え、《空天の間》で自らの血を用いて天球を発動させた。
帝都全体は巨大結界によって完全封鎖される。
天球発動後の決意
天球発動を見たルーペルトは激しく動揺する。
しかしアルノルトは、護衛の近衛騎士隊長たちが短時間で突破された以上、内部に裏切り者がいると推測した。アルノルト・アードラー
ルーペルトは、父が任命した近衛騎士が裏切るなど信じられないと怒りを露わにする。
アルノルトは、近衛騎士の誓いは皇帝だけでなく帝国と民全体への誓いであり、だからこそ裏切りは許されないと断言した。
その言葉を受け、ルーペルトは初めて自分の意志で怒りを抱き、アロイスたちを信じる決意を固める。
そしてアルノルトたちは、天球発動後の帝剣城を進みながら、玉座の間を目指して動き始めたのだった。
第三章 逃避行
ザンドラによる暗殺者投入
天球を発動させたザンドラは、帝剣城制圧を急ぐため、ギュンターの人脈で集めた暗殺者たちを投入した。氷弾のロアを含む三人の暗殺者へ、逃走中の要人を捕らえ、必要なら殺害しても構わないと命じる。
ザンドラの狙いは人質による近衛騎士団長への圧力だったが、本命は軍を掌握した上での城制圧にあった。さらに彼女は、反乱後にはゴードンすら始末し、最終的に全てを自分のものにする野望を抱いていた。
玉座の間を目指すグラウたち
グラウたちは城上層を進んでいたが、人の気配が全くない異常な状況に違和感を覚えていた。グラウは、既に敵精鋭が先行している可能性を指摘し、急ぐ必要があると判断する。
その後、帝国兵を名乗る一団と遭遇する。しかしグラウは、彼らが皇族であるルーペルトに反応を示さず、返り血を浴びていたことから敵兵だと見抜いた。グラウは即座に撤退を指示し、部屋へ逃げ込んだ上で隠し通路を利用し、追ってきた兵士たちを罠だらけの通路へ閉じ込めた。
人を死に追いやった可能性に震えるルーペルトへ、グラウは命を狙われた以上、自分たちには抵抗する権利があると諭した。
幻剣アッシャーとの戦い
玉座の間へ向かう途中、グラウたちは暗殺者「幻剣のアッシャー」に待ち伏せされる。
アッシャーは幻術で攻撃を仕掛けるが、グラウは「幻術返し」によって逆に混乱させ、その隙を突いて騎士たちがアッシャーを斬り伏せた。
閃光マリユスと氷弾ロアの襲撃
続いて「閃光のマリユス」が現れ、超高速の突撃でアロイスを狙う。グラウはわずかに体を引いて致命傷を避けさせたが、さらに後方から「氷弾のロア」も現れ、状況は一気に悪化する。
グラウは撤退を選び、近くの部屋へ逃げ込む。しかしロアはあえて攻撃を外しており、実は宰相フランツ側についていたことを明かした。ロアは、かつて「死神」に命を救われた恩返しとして帝国へ協力していると語り、そのまま姿を消す。
グラウは、宰相が最悪の事態をある程度想定していたことを理解しつつも、皇帝以外は切り捨てられる可能性を危惧し、自分が皇族たちを守らなければならないと決意した。
玉座の間を守るアリーダ
グラウが玉座の間へ到達すると、アリーダがたった一人で百人近い敵精鋭を殲滅していた。
最後に残った指揮官は、弟を殺されたのになぜ皇帝へ忠誠を尽くせるのか問いかける。しかしアリーダは、弟は自らの罪を命で償っただけだと断言し、国と民のために尽くし続ける皇帝ヨハネスこそ守るべき存在だと告げて敵将を討ち取った。
その後、アリーダはグラウへ、近衛騎士団長として動けない自分に代わり、皇族たちを守ってほしいと頼む。グラウもまた、裏切りによって成り立つ反乱を強く嫌悪しており、その末路を思い知らせる必要があると答えた。
クリスタたちとの合流
アルノルトは転移門を用い、クリスタたちが潜む部屋へ移動した。
そこではウェンディの幻術によって敵の目を欺きながら、クリスタやリタたちが待機していた。一方トラウゴットは、非常時にも関わらず奇行を繰り返しており、アルノルトに呆れられる。
やがて“皇太子の両翼”と呼ばれたライフアイゼン兄弟が合流する。彼らは亡き皇太子への忠誠からトラウゴットへ協力していた。
さらに重傷を負ったオリヴァーが現れ、第十近衛騎士隊長ラファエルの裏切りを伝える。オリヴァーは最後の時間稼ぎを引き受け、迫る兵士たちへ突撃していった。
リーゼの撤退判断
天球発動後、リーゼはゴードンとの戦いを中断し、皇帝ヨハネスの護衛を優先した。
宰相フランツは、軍部の離反規模が想定以上であり、ゴードンやザンドラ以外にも黒幕がいると確信する。しかし、その正体までは掴めていなかった。
ヨハネスは、自分がここで討たれれば「反乱は成功する」という前例を残してしまうと語り、絶対に生き延びる覚悟を示す。
リーゼは兵士たちへ、民を守ることこそ忠義だと叫び、多くの兵士が救助と避難誘導へ動き始めた。
さらにリーゼは、アルノルトとレオナルトの成長を高く評価し、自分たち弟妹は簡単には人質にならないと断言した。
後宮への侵入
天球発動前、フィーネとミアは後宮へ侵入していた。
フィーネは、敵兵の狙いがズーザンとザンドラの解放だと見抜き、まずミツバ救出を優先する。フィーネは、自分の思考法がアルノルトの模倣だと認めつつ、人を支えたいと思わせる者こそ皇帝に相応しいという彼の思想を理解していた。
ミツバ救出後、ズーザンが立ちはだかる。ズーザンはアルたちを侮辱し、自分たちが軟禁された責任を押し付けた。それに対しフィーネは、貴族とは責務ある立場であり、特権を誇るためのものではないと断言する。
その後、ミアは呪いの罠を破壊し、天井を崩落させることで追撃路を封鎖し、一行は城内への脱出に成功した。
ザンドラとの対決
城内へ入ったフィーネたちは、ザンドラ率いる魔導師部隊の襲撃を受ける。
ザンドラは禁術を用いて影や塵化の光球を操り、フィーネへ激しい憎悪をぶつけた。フィーネがアルやレオへ協力したことで、自分が苦汁を舐めたのだと怒り狂う。
ミアが配下の魔導師たちと交戦する中、フィーネは単独で逃走し、アルノルトの部屋へザンドラを誘導した。
グラウによるザンドラ制圧
フィーネの誘導により、アルノルトはグラウとしてザンドラの背後へ回り込む。
ザンドラは風刃でグラウの腕や首を斬り飛ばすが、グラウは平然と再生し続けた。さらに禁術で塵へ変えられても、黒煙となって再生する姿を見せつけ、ザンドラへ圧倒的恐怖を与える。
だが、それらは全て幻術だった。ザンドラは現実ではその場に立ち尽くし、悪夢の中で逃げ惑っていただけだったのである。
グラウは、今ザンドラを殺せばゴードン側がまとまってしまうと判断し、幻術に閉じ込めたまま放置することを選んだ。
玉座の間への帰還
アルノルトとフィーネが玉座の間へ戻ると、既に多くの皇族や要人が集まっていた。
しかしラファエル裏切りの影響で、玉座の間も安全ではない。そこでアルノルトは、皇帝から教えられていた秘密通路を使い、全員を脱出させることを決断する。
その中でアルノルトは、ミツバを囮にしたカミラへの報復として、虹天玉のダミーを持たせて先行脱出させる策を打ち出した。
虹天玉を巡る駆け引き
アルノルトは、ラファエルが敵に回った以上、玉座の間へ籠るのは危険だと分析する。
さらにテレーゼを囮役へ指名し、敵に本物の虹天玉を持っていると思わせる策を取った。アリーダも、ヴァイトリング家の汚名は働きで返すしかないと語り、テレーゼを説得する。
その後、隠されていた虹天玉を取り出すが、それすらダミーだった。本物はアリーダ自身が所持しており、彼女はアルノルトへ全てを委ねた。
ルーペルトへの託宣
アルノルトは、本物の虹天玉をトラウゴットへ、ダミーをルーペルトへ託した。
ルーペルトは、自分も戦わなければ卑怯だと語り、囮役を引き受ける。
アルノルトは、囮に最も重要なのは「自分こそ本物だと思い込むこと」だと教え、仲間が危険に陥っても助けるなと厳命した。ルーペルトは苦悩しながらも、その覚悟を受け入れる。
アルノルトの潜入開始
各グループが秘密通路を通って脱出した後、アルノルトだけは城へ残る。
目的は、最後に隠された虹天玉を探し出すことだった。
アルノルトは敵兵の死体から軍服を剥ぎ取り、魔法で汚れを消して完全に兵士へ変装する。
そして、敵もまさか皇子が兵士に成りすますとは思うまいと笑いながら、隠し通路を進み始めた。
最強出涸らし皇子 シリーズ











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