物語の概要
■ 作品概要
本作は、学園都市の裏社会「暗部」で生きる少女たちの姿を描いたダークアクションノベルの第5巻である。学園都市の全学校が合同で行う超大規模な体育祭「大覇星祭」が開催され、街中がお祭り騒ぎに沸く中、暗部組織「アイテム」の面々は裏社会の汚れ仕事に追われていた。
ドーピング検査担当者の不自然な自殺事件をきっかけに、スポーツ賭博組織「インヴェストグラフ」と借金回収業者「グンタイアリ」の抗争、そして偽造金塊の密造者である「DIYガレージ」の非道な兵器開発が明らかになる。さらに、滝壺理后がかつて所属していた非合法研究機関「上級ラボ」の元仲間たち(A子、B子、C子)が現れ、数十万人が集まる花火大会を狙った爆弾テロとアイテムへの復讐を企てる。
アイテムの4人は、巨大な祭典の裏側で、自分たちの居場所と表の世界の平穏を守るために過酷な死闘に身を投じていく。
■ 主要キャラクター
フレンダ=セイヴェルン:暗部組織「アイテム」に所属する無能力者の爆弾魔。大覇星祭に参加する妹フレメアの晴れ舞台を何よりも楽しみにしている。花火大会での爆弾テロを阻止するため、自身の化学知識と爆弾を駆使してC子と対峙する。
麦野沈利:学園都市第四位の超能力者(『原子崩し』)であり、「アイテム」のリーダー。DIYガレージが一般人を改造して作った非道な兵器に激しい怒りを露わにする。A子のクロスカウンターの秘密を見破り、滝壺と共闘して決着をつける。
滝壺理后:「アイテム」のメンバー。常に無気力なジャージ姿の少女だが、今回は自身の過去である『上級ラボ』との因縁を断ち切るため、積極的に情報収集や作戦立案を行う。
絹旗最愛:「アイテム」のメンバー。大気中の窒素を超高圧縮する『窒素装甲』を操る。B子のレーザーと索敵能力に対し、窒素とドライアイスで大気の密度を操作して立ち向かう。
A子、B子、C子:滝壺がかつて所属していた『上級ラボ』の元仲間たちであり大能力者。滝壺を連れ戻して4人組を完成させるため、花火大会で大規模な陽動テロを起こし、アイテムを分断して襲撃する。
初河九作(DIYガレージ):超精巧な偽造金塊「ホロAu77」の密造者。真の目的は自動狙撃モジュールの開発であり、その精度を上げるために一般人を兵器の部品として組み込む狂気の発明家。
■ 物語の特徴
本作の最大の特徴は、表向きは華やかで健全な巨大イベント「大覇星祭」が進行するそのすぐ裏側で、凄惨で残酷な暗部の事件が同時進行しているという強いコントラストである。特に、普段は無気力で感情を表に出さない滝壺理后の過去が深く掘り下げられ、彼女がなぜ「アイテム」に所属し、仲間たちと「共犯」関係を築いているのかが明らかになる点は、読者にとって非常に興味深いポイントとなっている。また、単なる能力同士のぶつかり合いにとどまらず、化学知識を用いたトラップや大気条件の操作など、知略と工夫に満ちた戦闘シーンも本作の魅力である。
書籍情報
とある暗部の少女共棲(5)
著者:鎌池和馬 氏
イラスト:ニリツ 氏
キャラクターデザイン:はいむら きよたか 氏
出版社:KADOKAWA(電撃文庫)
発売日:2025年9月10日
ISBN:9784049165937
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あらすじ・内容
大覇星祭でも暗部のご依頼に休みなし! 無気力少女滝壺はやる気で!?
大覇星祭。学園都市の全学校が合同で行う超大規模な体育祭だ。数少ない一般開放の機会でもあり、多くの人でにぎわう、学園都市一大イベントでもある。
だが、クソッタレ『暗部』にはイベントだろうと関係なく、仕事が舞い込んでくる。大覇星祭に参加する選手をドーピング検査する対策担当の不自然な自殺に関する調査だ。
妹のフレメアの晴れ舞台を余すところなく堪能したいフレンダや、表の明るいイベント時空に、アイテムの面々は仕事へのモチベーションが上がらない中、いつも無気力なジャージ少女・滝壺理后だけが、なぜか張り切っており……!?
感想
華やかな大覇星祭の裏側で繰り広げられる暗部の戦いと、アイテム四人の絆が印象に残る一冊だった。
学園都市では多くの観客が集まる大覇星祭が開催され、街全体が祭りの熱気に包まれている。
しかし、その裏では暗部組織「アイテム」が、人知れず事件の処理に追われている。
表では歓声が響き、裏では命のやり取りが続く。
この対比が非常に『とある』シリーズらしく、平和な日常は誰かの犠牲の上に成り立っていることを改めて感じさせられた。
物語の発端となるのは、ドーピング検査員の不審死と偽造金塊「ホロAu77」を巡る事件である。
スポーツ賭博組織や借金回収業者まで巻き込み、次第に事態が大きくなっていく流れには引き込まれた。
その中でも特に印象に残ったのは、科学者・初河九作の狂気だった。
一般人を兵器の一部として利用し、自動狙撃システムを作り上げる発想には嫌悪感しかない。
人の命を部品のように扱う姿勢は、暗部の中でも異質な恐ろしさがあった。
だからこそ、その兵器を破壊し、巻き込まれた人々を救い出すアイテムの行動が印象深い。
彼女たちも暗部に生きる人間ではある。
決して正義の味方ではない。
それでも、目の前で苦しむ人を見捨てることはしない。
その矛盾を抱えながら戦う姿に、この作品ならではの人間味を感じた。
そして今巻のもう一つの大きな見どころが、滝壺理后の過去である。
普段はどこか気だるげで感情をあまり表に出さない彼女だが、その裏には想像以上に過酷な過去があった。
かつて所属していた非合法研究機関「上級ラボ」から再び利用されそうになる展開は見ていて苦しかった。
特に、元仲間であるA子、B子、C子たちの行動には複雑な気持ちになった。
彼女たちにも事情はあるのだろう。
それでも、自分たちの目的のためなら何万人もの命を危険にさらすことをためらわない。
その考え方には到底共感できず、滝壺が逃れようとした過去の重さを改めて実感した。
終盤では、花火大会を狙った爆弾テロを阻止するため、それぞれが役割を分担して動き出す。
爆弾解除へ向かうフレンダ。
敵を引き受ける麦野と絹旗。
そして、自らの過去と向き合う滝壺。
四人が別々の場所で戦いながらも、一つの目的へ向かって力を合わせている構成が熱かった。
誰か一人だけでは乗り越えられない。
だからこそ、それぞれが自分にできることを全力でやり切る姿に引き込まれた。
滝壺が過去へ決着をつける場面も印象深い。
逃げ続けるのではなく、自分自身の意思で立ち向かう。
その静かな覚悟には、これまでとは違う彼女の強さを感じた。
普段は控えめな滝壺だからこそ、この成長がより心に残る。
激しい戦いの末、爆弾テロは阻止され、多くの人々の日常は守られる。
祭りを楽しむ人たちは、その裏で何が起きていたのかを知らない。
それでも、誰にも知られないまま平和を守り切ったアイテムの四人には素直に拍手を送りたくなった。
最後に四人が互いの存在を認め合い、「共犯」のような関係を改めて確かめ合う場面も良かった。
仲間というには危うく、家族というには歪んでいる。
それでも、命を預けられる相手であることだけは間違いない。
そんな彼女たちの関係性こそ、『とある暗部の少女共棲』最大の魅力なのだと思う。
今巻は、華やかな祭りの裏側で繰り広げられる暗部の現実と、滝壺理后という一人の少女の過去に深く踏み込んだ物語だった。
血なまぐさい世界に生きながらも、それぞれが守りたいもののために戦うアイテムの姿は、これまで以上に頼もしく映った一冊である。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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考察・解説
シリアルキラー対策
シリアルキラー対策の背景とアイテムによる討伐の全貌
『とある暗部の少女共棲(5)』におけるシリアルキラー対策は、学園都市の表の治安維持組織ではなく、裏の組織であるアイテムによって実行された。シリアルキラー「ジョンドゥーム」の概要、暗部が対策を担った理由、アイテムによる討伐作戦、および事後処理についての解説は以下の通りである。
不良電池事故の無罪放免に対する復讐と、中学生の少年による爆殺劇
標的となったシリアルキラーは、独自の背景と危険性を抱えていた。
・ネット上でジョンドゥームと呼ばれる連続殺人犯が標的となった。
・不良リチウムイオンバッテリーの爆発事故で未成年を含む15人の死者を出しながら無罪放免となった「鍋焼精密工業(ナベコー)」の重役たちをターゲットにしていた。
・ジョンドゥームは不良電池そのものを凶器として使い、重役たちを次々と爆殺していた。
・その正体は、まだあどけない中学生くらいの少年であった。
法で裁けぬ悪を討つ正義への感染防止と、清濁併せ呑む暗部への依頼理由
この連続殺人犯の討伐が、警備員(アンチスキル)ではなく暗部のアイテムに依頼されたのには明確な理由が存在していた。
・ジョンドゥームの行動は、法で裁けなかった巨大な悪を討つという正義を体現しているように見えた。
・真面目な警備員が彼と接触すると、その信条や好みに感染してしまい、表の治安維持組織内部に信奉者が増えてしまう危険性があった。
・そのため、その場限りの正義に振り回されず、清濁併せ呑むことができる暗部が汚れ仕事として処理することとなった。
窒素装甲を破る散弾銃への対抗と、自爆型ドローンを用いた追撃の末の決着
アイテムはチームの連携を最大限に活かしてジョンドゥームを追い詰めた。
・麦野がジョンドゥームを路地へと追い立て、そこでフレンダと絹旗が待ち構えた。
・ジョンドゥームは、ゴミやガラス片を弾丸にする特殊な散弾銃(ブランダーパス)を使用し、着弾時の爆発で前衛の絹旗の窒素装甲を破って吹き飛ばした。
・フレンダは事前に基地局の電波が届かない高度に自爆型ドローンを待機させており、増幅器を使ってこれを垂直に落下させ、ジョンドゥームに重傷を負わせた。
・麦野と滝壺も合流してアイテムの4人が揃う中、ジョンドゥームは自ら仕掛けたと思われる爆発に巻き込まれて死亡した。
ナベコー本社ビルの倒壊と、大覇星祭を控えた時期特有の雑用としての事後処理
ジョンドゥームの死によって事件は幕を閉じたが、その影響は巨大な倒壊劇へと発展した。
・ジョンドゥームの死の直後、彼が事前に大量の不良電池を仕掛けていたため、55階建てのナベコー本社ビルが倒壊した。
・フレンダは一般社員が巻き込まれたことを気にかけた。
・麦野は、会社が危険性を知りながら黙殺した以上、高い給料をもらって内部告発もしなかった社員に何の罪もないわけではない、と冷徹に切り捨てた。
・アイテムの面々にとって、この対策は大覇星祭という巨大イベントを前にした、駅のゴミ箱を撤去するのと同じような時期特有の雑用に過ぎなかった。
まとめ
シリアルキラー対策を巡る一連の顛末は、法で裁けぬナベコー重役を爆殺する少年ジョンドゥームに対し、表の警察機構の感染を防ぐべく派遣されたアイテムが、散弾銃の威力を凌駕するドローン奇襲と連動によって討伐し、本社ビルの倒壊と会社の責任を冷徹に見極めながら処理を完了させたことで、理不尽な私刑や表層的な正義の罠の檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を命懸けの冷徹なプロフェッショナリズムによって完璧に確立するに至る、暗部における汚れ仕事とサバイバルの記録である。
ジョンドゥームの概要から、暗部への依頼理由、戦闘の決着、そしてビルの倒壊と冷徹な処理へと繋げたプロセスは、どれほど不条理な正義の暴走や過酷な環境の激変によって生の自由が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の割り切りによって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
偽金塊ホロAu7
偽金塊ホロAu77の全貌と暗部抗争への影響
『とある暗部の少女共棲(5)』に登場する偽金塊「ホロAu77」は、作中において複数の暗部組織の抗争を引き起こす引き金となった存在である。名称の由来、製造方法と特徴、製作者とサインの不在、および物語への影響についての解説は以下の通りである。
取り締まり側による命名とホログラムの純金が示す意味
「ホロAu77」という名称は、特定の意図に基づいて付与された通称である。
・製作者自身が命名したものではなく、学園都市の取り締まり側が便宜上つけた通称である。
・ホログラムの純金、すなわちそこにあるのに手に取る事はできない金塊という意味が込められている。
温泉型金鉱床の人工的再現と肉眼による判別の容易さ
ホロAu77は、特殊な製造プロセスを経て作られた金塊である。
・温泉地で金脈が生成される仕組み(温泉型金鉱床)を巨大な加圧装置などを用いて人工的に再現した。
・短期間かつ低コストで合成された代物である。
・本物の純金成分を含有しているため、機械的なセンサーによる鑑定を完全に欺くことができる。
・温泉系の不純物を完全に除去しきれなかったことで、微妙な輝きの違いが生じている。
・肉眼で見ると偽物だと判別できる品質となっており、麦野沈利は一目見ただけで偽物だと見抜いた。
製作者初河九作の異常性と極小サインの欠如
ホロAu77の裏には、製作者の特異な性質が反映されている。
・製作者は第二三学区の格納庫を拠点とする「DIYガレージ」こと初河九作である。
・通常、偽造者は自分が偽物を掴まされないように極小のサイン(目印)を残すが、ホロAu77にはそれが一切存在しない。
・初河自身が自分は金塊で取引をしないと決めているため不要と判断した結果である。
・彼の作品に対するこだわりのなさや、罪悪感および責任感の欠如といった異常な性質を表している。
違法カジノでの発見とグンタイアリの襲撃によるアイテムへの任務下達
偽金塊の流出は、暗部組織同士の凄惨な衝突を引き起こした。
・この偽金塊は、違法カジノ「インヴェストグラフ」の金庫から発見された。
・暗部の借金回収業者「グンタイアリ」は、運び屋として雇われた際、知らずにホロAu77を運ばされていた。
・逮捕のリスクがある無価値な偽物を運ばされたことでプロ意識を傷つけられたグンタイアリは激怒し、インヴェストグラフを襲撃して血みどろの抗争へと発展した。
・実際には、初河九作が特定の組織を狙って罠を仕掛けたわけではなく、無差別に販売した偽金塊が偶然混入して抗争を生み出したに過ぎなかった。
・巷を騒がせる偽金塊の存在を受けて、「電話の声」から「アイテム」に対し、密造者である初河九作を捜索する任務が下されることとなった。
まとめ
偽金塊ホロAu77を巡る一連の顛末は、初河九作が人工的な温泉型金鉱床の再現によって短期間で製造した不純物混入の金塊が、製作者の罪悪感の欠如ゆえに無目的に流出し、プロ意識を汚されたグンタイアリによる違法カジノ襲撃という血みどろの抗争を引き起こし、最終的に「アイテム」への密造者捜索依頼へと発展することで、理不尽な暗部社会の混乱の檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を冷徹な任務遂行によって完璧に確立するに至る、歪んだ技術と暗部抗争の記録である。
名称の由来から、製造の特徴、製作者の異常性、そして組織間抗争の波紋へと繋げたプロセスは、どれほど不条理な偽造物の氾濫や過酷な環境の激変によって生の自由が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の対応によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
ドーピング偽装殺人
ドーピング偽装殺人の真相とインヴェストグラフの壊滅
『とある暗部の少女共棲(5)』における「ドーピング偽装殺人」は、大覇星祭の裏で起きたスポーツ賭博に絡む凄惨な制裁事件である。事件の概要と特異な殺害方法、殺害の真の動機と背景、およびアイテムによる調査と結末についての解説は以下の通りである。
痛覚増幅剤投与による絞首の偽装と通行遮断工作
被害者の松葉差理那が命を落とした事件は、表向きの自殺の陰にきわめて残虐な手法が隠されていた。
・被害者は松葉差理那(29歳)であり、職業は薬剤師で大覇星祭のドーピング検査の対策係としてボランティア参加していた女性である。
・陸橋の下で首を吊った状態で発見され、表向きは自殺として処理された。
・実際にはトリプトファンベースの痛覚刺激剤を投与され、痛覚を常人の350倍に増幅されたうえで首を吊らされていた。
・首の骨が折れての即死ではなく、気管が絞まって窒息するよう調整されており、長時間もがき続け両手の爪が割れるほど凄惨な最期を遂げた。
・犯人グループは目撃者を出さないため、近くで段ボール箱を崩すという小事故を意図的に起こし、人や車の流れを変えて死角を作る偽装工作を行っていた。
違法カジノの八百長操作と信用の毀損に対する見せしめ処刑
松葉差理那が殺害された理由は、エリート校による陰謀などではなく彼女自身の裏切りに起因していた。
・彼女自身が違法なカジノ組織「インヴェストグラフ」の協力者であり、重大な背信行為を働いていた。
・インヴェストグラフは、学校ごとの勝敗や能力開発技術の評価に金を投じて配当を得る、名目を変えたスポーツ賭博を運営していた。
・松葉はドーピング対策係という立場を悪用し、試合後に正常な検体へ薬物を混入させるなどの小細工をして特定の選手を失格に追い込み、競技結果を後出しで操作していた。
・特定の顧客から裏で報酬を受け取って八百長を行っていたが、カジノ側にとっては商取引の公平性と信用を根底から損なう行為であった。
・インヴェストグラフは見せしめとして彼女に念入りな苦痛を与え、制裁として処刑した。
交通トラブル偽装の看破と暗部組織同士の乱戦による討伐
電話の声からの依頼を受けたアイテムは、真相の解明と追い込みを実施した。
・滝壺理后の分析により、不自然な目撃者の不在から交通トラブルを利用した偽装を看破した。
・防犯カメラの映像から見張り役であったチアリーダー姿の女子高生・山崎うりかを特定した。
・フレンダと滝壺は山崎を空包で脅して逃走させ、黒幕の拠点である第三学区の廃ビル地下スタジオへと追い込んだ。
・そこにインヴェストグラフが存在することが判明し、真相が明らかとなった。
・アイテムが彼らを処断する前に、偽金塊ホロAu77の件で騙されて激怒していた暗部の借金回収業者「グンタイアリ」が突入し、激しい銃撃戦が勃発した。
・乱戦に巻き込まれた麦野沈利が原子崩しを放って両組織をまとめて殲滅し、インヴェストグラフが壊滅したことで事件は決着を見た。
まとめ
ドーピング偽装殺人を巡る一連の顛末は、賭博結果の不正操作を行った松葉差理那がインヴェストグラフによって残虐に制裁されるも、アイテムの鋭い分析と追い込み、そして偽金塊の件で乱入したグンタイアリとの抗争を麦野沈利が原子崩しで一掃したことで決着し、理不尽な制裁や暗部組織の不正の檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を冷徹な武力によって完璧に確立するに至る、暗部の不正工作と自滅的抗争の記録である。
偽装工作の看破から、見せしめ殺人の動機解明、アジトの特定、そして両組織の同時壊滅へと繋げたプロセスは、どれほど不条理な組織の制裁や過酷な環境の激変によって生の自由が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる力の行使によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
大覇星祭の裏側
大覇星祭の裏側で繰り広げられた暗部の死闘と陰謀
『とある暗部の少女共棲(5)』における「大覇星祭の裏側」は、華やかな一大イベントの陰で進行していた多様な暗部の陰謀と、それに立ち向かう「アイテム」の過酷な任務の記録である。ドーピング偽装殺人とスポーツ賭博、スタジアムドームでの偽装取引、数十万人を狙った花火大会テロ計画、および表裏のコントラストについての解説は以下の通りである。
スポーツ賭博インヴェストグラフによる検体操作と痛覚増幅剤を用いた見せしめ処刑
大覇星祭の競技結果を利用した違法な賭博行為と、それに伴う凄惨な処刑が行われていた。
・裏社会ではインヴェストグラフという組織がスポーツ賭博(ダークトレード)を運営していた。
・学校ごとの勝敗や能力開発技術の評価に金を投じて配当を得る仕組みを構築していた。
・勝敗を操作するため、ドーピング検査の対策担当であった薬剤師を抱き込み八百長を行っていた。
・試合後に正常な検体へ薬物を混入させ、特定の選手を失格にする工作を実施していた。
・薬剤師が別の顧客から裏報酬を受け取って不正を行ったため、カジノ側は見せしめとして痛覚増幅剤を用いた凄惨な偽装自殺で彼女を処刑した。
5万人の視覚トリックハリボテと蜜蟻愛愉による偽装取引
「アイテム」が潜入したスタジアムドームでは、精巧な罠と陽動作戦が仕掛けられていた。
・機密資料窃盗団「ハニークイーン」が心理掌握(食蜂操祈)と取引を行うという情報を得て潜入した。
・スタジアムでは5万人の観客が存在するように見えたが、実際には視覚トリックによるペラペラのハリボテであった。
・食蜂操祈の正体も変装とハッキング技術を駆使した「蜜蟻愛愉」であった。
・この取引自体が、太刀魚メアリーを最強の超能力者として完成させる本命計画から目を逸らさせるための壮大な囮(陽動)であった。
第八学区上級ラボ残党による殺傷爆弾すり替えと会場での4人再集結
大覇星祭の夜を彩る大規模イベントも、暗部のテロ計画の標的となっていた。
・第七学区の河川敷で開催される数十万人規模の花火大会が、上級ラボの残党(A子、B子、C子)によって狙われた。
・花火を殺傷力の高い爆弾にすり替え、大パニックを引き起こして警備員や風紀委員を麻痺させようと企てていた。
・無法地帯を作り出す狙いを持っていた。
・妹のフレメアも観に行く予定だった花火大会を守るため、分断されていたアイテムの4人は会場に再集結し、テロ阻止のための死闘を繰り広げた。
まとめ
大覇星祭の裏側を巡る一連の顛末は、フレンダが妹フレメアの晴れ舞台を応援しようと奔走する日常の陰で、シリアルキラー「ジョンドゥーム」の討伐や違法カジノの摘発、スタジアムでの偽装取引や花火大会テロ計画といった血みどろの抗争が繰り広げられ、それらを「アイテム」が冷徹かつ泥臭く阻止・排除することで、理不尽な陰謀と過酷な暗部の檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を命懸けの戦いによって完璧に防衛するに至る、華やかな表舞台と過酷な裏社会が強烈に対比された記録である。
賭博の暗躍から、ハリボテの偽装、花火大会のテロ阻止、そして表裏の日常を守り抜く決着へと繋げたプロセスは、どれほど不条理な組織の謀略や過酷な環境の激変によって生の自由が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる連帯の力によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
偽造金塊と兵器
初河九作による偽造金塊の製造と人間を組み込んだ兵器開発の全貌
『とある暗部の少女共棲(5)』において、偽造金塊「ホロAu77」と恐るべき兵器の開発は、「DIYガレージ」こと初河九作という一人の狂気的な発明家によって結びついている。偽造金塊ホロAu77の製造、真の目的である自動狙撃モジュールの開発、人間を組み込んだ狂気の兵器、および兵器の破壊と結末についての解説は以下の通りである。
温泉型金鉱床の人工的再現と不純物混入による出所不明の金塊流出
初河九作は、秘密のラボにおいて低コストで純金らしき塊を製造していた。
・第二三学区の航空宇宙開発用格納庫を秘密のラボとして使用していた。
・温泉地で純金が生成される仕組み(温泉型金鉱床)を人工的に再現した。
・巨大な加圧装置を用いて低コストで製造されたものが偽造金塊「ホロAu77」である。
・機械のセンサーを欺くことはできるものの、不純物を完全に除去できず、肉眼で見れば微妙な輝きの違いで偽物だと分かる代物であった。
・初河は自身の作品に対するこだわりや罪悪感が欠如していたため、偽造品によくあるサイン(目印)を残していなかった。
・出所不明の偽金塊が無差別に流通し、知らずにそれを運ばされたグンタイアリとインヴェストグラフの間に血みどろの抗争を引き起こす原因となった。
高分子化学を応用した鋼鉄を超える合成樹脂とミノムシ型兵器の製造
初河にとって偽造金塊は数ある発明品の一つに過ぎず、別の真の目的が存在していた。
・彼の専門は高分子化学であった。
・真の目的は、機械的に5000メートル必中を実現する自動狙撃モジュールの開発であった。
・鋼鉄を超える強度を持つ合成樹脂(高分子化学の産物)を用いて兵器を製造した。
・巨大なミノムシのような形状の兵器であり、重機関銃や自動擲弾砲を搭載していた。
人間の感覚を組み込む生体照準器と筋肉および神経の機械癒着
初河は、プログラムによる計算だけでは突破できない技術的壁に直面した。
・弾道学や流体力学の数値をどれだけプログラムに組み込んでも必中が実現しない壁に突き当たった。
・狙撃には風や気温、湿度を肌で感じるような、人間の持つ勘や場の流れを読む感覚が不可欠であると結論付けた。
・その不足を補うため、裏社会で買い取った一般人を合成樹脂の兵器に組み込む非道な手段に出た。
・被害者の体を溶かして筋肉、血管、神経を機械部品と完全に癒着させた。
・自力では立てない状態に改造し、生きた照準器や演算装置として消費していた。
救出不能なモジュールの全壊と謎の狙撃による研究の終焉
格納庫に踏み込んだ麦野沈利たちアイテムは、人間を組み込んだ自動狙撃モジュールと交戦することとなった。
・被害者たちは機械と癒着しているため、引き剥がせばショック死してしまう状態であり、救出は不可能であった。
・麦野たちは苦渋の決断として、彼らを苦しみから解放するためにモジュールごと破壊した。
・他人の命をただの部品として浪費した初河に対し、麦野は能力を使わず自らの拳で怒りのままに殴り続けた。
・最終的に、初河九作の頭部は突如施設の外から飛来した謎の狙撃(第一位を装った襲撃者によるもの)によって破壊された。
・これにより、彼の狂った研究は終焉を迎えた。
まとめ
初河九作による一連の不法行為は、偽造金塊ホロAu77の流通によって暗部組織間の抗争を引き起こしたにとどまらず、5000メートル必中の自動狙撃モジュールを完成させるために一般人を機械へ癒着させる非道な兵器開発へと暴走するも、アイテムによる苦渋のモジュール全壊と謎の狙撃による初河の殺害によって決着し、理不尽な人間性の抹消と狂気的な兵器開発の檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を命懸けの武力行使によって完璧に確立するに至る、暗部における狂気の発明と凄惨な決着の記録である。
偽造金塊の製造から、自動狙撃モジュールの開発、生体部品としての改造、そしてアイテムによる全壊と外的な撃破へと繋げたプロセスは、どれほど不条理な狂気の技術や過酷な環境の激変によって生の自由が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
滝壺の過去
滝壺理后の過酷な過去とアイテム加入の真実
『とある暗部の少女共棲』シリーズにおいて描かれる滝壺理后の過去は、彼女がなぜ暗部組織アイテムに所属し、リーダーである麦野沈利に強い信頼を寄せているのかを明らかにする重要なエピソードである。上級ラボでの日々、かつての仲間からの執着、仕組まれた冤罪事件、および麦野沈利による救出とアイテム加入についての解説は以下の通りである。
非合法研究機関での人さらい被害とささやかな夢の断絶
滝壺はかつて、上級ラボと呼ばれる非合法な研究機関(表向きは学校)に所属していた。
・そこは機械や薬品(体晶など)を外付けで用いて、能力者の力を限界以上に引き上げる危険な研究を行う場所であった。
・上級ラボは才能ある生徒の戸籍や名前を抹消し、合法的な人さらいのように被験者を集めていた。
・滝壺自身はそこで見習いの見学のような扱いを受けていた。
・当時は「クイズを作る人」や「何かを説明する人」になりたいというささやかな夢を持っていた。
・暗部同士のパワーバランスに敗れたことで上級ラボは破綻し、被験者たちは散り散りとなった。
・滝壺は生け捕りにされたものの組織の始末が優先された結果、個人の彼女は表の世界へと放り出された。
被験者少女たちの狂信的な連戻企図とD子としての要求
表の世界で普通の人として暮らそうとした滝壺であったが、その生活は長くは続かなかった。
・上級ラボにいた大能力者の少女たち(A子、B子、C子)が、滝壺を連れ戻すために現れた。
・彼女たちは過酷な人体実験の過去を自分たちだけの特別な体験と信じ込み、上級ラボの復帰を望んでいた。
・滝壺を「D子」として迎え入れることで、4人組として完璧に完成すると狂信していた。
ダンプカー突入と見知らぬ死体の配置によるモルモット化工作
A子たちは滝壺を孤立させて身柄を奪うため、緻密な罠を仕掛けた。
・彼女の住む学生寮の1階にダンプカーを突っ込ませて損壊させた。
・部屋の中に「見知らぬ死体」を仕込んだ。
・これにより、滝壺は車の盗難と自宅破壊、さらには殺人の罪を着せられ、警備員(アンチスキル)に追われる身となった。
・滝壺は、自身の稀少な能力追跡(AIMストーカー)を狙うどこかの研究所が、事件のほとぼりが冷めた後に彼女を少年院から連れ去り、モルモットとして扱うための合法的な冤罪だと理解していた。
留置場からの奪還と自由の与与に伴う強い信頼
実験動物にされる一歩手前まで追い詰められた滝壺を救ったのは、他ならぬ麦野沈利であった。
・麦野はデータを消すという目的も兼ねて留置場に忍び込み、強引な手段で滝壺を救出した。
・麦野は原子崩しをサポートする盾役が必要だったと建前を語った。
・しかし実際には、滝壺に自分で着る服を選ばせ、好きなものを食べさせ、寝る部屋を与え、何よりも自由と安全を与えた。
・滝壺はこの合理性も効率もない麦野の行動を「本当の優しさ」だと受け取った。
・どれほど麦野が暴君として振る舞おうとも、彼女を深く慕い、自らの寿命を削る体晶を使ってでもサポートし続ける固い絆の理由となっている。
まとめ
滝壺理后の過去を巡る一連の顛末は、上級ラボによる戸籍抹消やかつての仲間たちによる冤罪工作によってモルモットへ落とし込められる危機に瀕するも、留置場へ乗り込んだ麦野沈利によって強引に救出され、衣食住と自由を与えられたことで深固な絆を結び、理不尽な暗部のモルモット化の檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を命懸けの信頼によって完璧に確立するに至る、不条理な過酷な運命と救出の記録である。
非合法ラボの破綻から、元仲間の執着、冤罪事件の勃発、そして麦野による救出と絆の形成へと繋げたプロセスは、どれほど不条理な組織の謀略や過酷な環境の激変によって生の自由が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の選択によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
上級ラボとの決戦
上級ラボとの決戦と滝壺理后の因縁の決着
『とある暗部の少女共棲(5)』における「上級ラボ」との決戦は、滝壺理后の過去の因縁に決着をつける重要なエピソードである。滝壺がかつて所属していた非合法な研究機関「上級ラボ」の元被験者であるA子、B子、C子の3人は、組織の再起と4人組の完成を妄信し、滝壺を連れ戻すために暗躍した。彼女たちとアイテムの激突の経緯についての解説は以下の通りである。
花火大会の爆弾すり替えテロとアイテム4人の役割分担
A子たちは、第七学区の河川敷で開催される数十万人規模の花火大会を標的にした。
・花火を殺傷力の高い爆弾にすり替えて大パニックを引き起こし、警備員や風紀委員を麻痺させて無法地帯を作り出そうとした。
・その上でアイテムを狩ろうと企てていた。
・アイテムは数十万人の観客と妹・フレメアを守るため、二手に分かれて対応した。
・フレンダが爆弾の解除に向かい、麦野沈利、絹旗最愛、滝壺理后の3人が敵の迎撃にあたった。
窒素装甲による匂い遮断と密度差屈折によるレーザー兵器破砕
B子は髪の匂い粒子を起点としたレーダー能力「粒子察知(テリトリーフェロモン)」と、自作のレーザー兵器を組み合わせて絹旗を狙撃した。
・絹旗は窒素装甲で全身を覆って自身の匂いを遮断し、B子の探知を無効化した。
・さらにドライアイスと窒素を利用して大気の密度差を作り出し、レーザー光を屈折させて攻撃を防いだ。
・一気に接近してB子の胴体を粉砕し、撃破した。
成分選択抽出への化学反応とフッ化ナトリウム合成による呼吸困難
C子は物体同士を接着する「万物接合(コンポジット)」や「成分選択抽出」の能力を持っていた。
・鉄骨から炭素を抜いて橋を崩落させ、フレンダを花火の打ち上げ場である中州へと落下させた。
・C子に直接触れられれば体内の水分をすべて抜かれて即死するため、フレンダは爆弾ではなく化学知識で対抗した。
・撥水コートスプレー(フッ化炭素)と調味料(グルタミン酸ナトリウム)を投げつけた。
・C子の分解能力を逆手に取って有毒なフッ化ナトリウムを合成させ、C子を呼吸困難と痙攣に追い込み昏倒させた。
体晶使用によるAIMストーカー強化と環境帯電による視覚・電気刺激妨害
リーダー格のA子は、相手の攻撃力をそのまま上乗せして反撃する「死闘交撃(オールオアナッシング)」の能力者であった。
・オクトパスシャッターという超高速撮影装置を用いて2000万分の一秒単位で相手の動きを捉えた。
・そのデータを皮膚への電気刺激として受け取ることで、百発百中のクロスカウンターを実現していた。
・無傷で麦野を圧倒するA子に対し、滝壺は寿命を削る体晶を使用して能力追跡(AIMストーカー)を限界まで高めた。
・滝壺は麦野に対し、A子以外の場所へ原子崩しを撃ち続けるよう指示した。
・周囲の空気が帯電し、A子は装置からの電気刺激と環境の静電気を区別できなくなり、クロスカウンターの精度を完全に失った。
・最後は麦野と滝壺が同時に死を宣告し、放たれた原子崩しがA子を撃ち抜いて決着がついた。
まとめ
上級ラボとの決戦を巡る一連の顛末は、花火大会を標的にしたA子たちのテロ計画に対し、アイテムのメンバーがそれぞれの専門能力と知識を駆使して各個撃破し、最後は体晶を用いた滝壺のサポートと麦野の原子崩しによってA子を倒したことで、花火大会の惨劇を未然に防ぐとともに、理不尽な過去の呪縛や狂信的な執着の檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を固い連帯と知覚によって完璧に手繰り寄せるに至る、過去の因縁の完全なる払拭と勝利の記録である。
テロの阻止から、個別の死闘、体晶を用いた連携攻撃、そして因縁の撃破へと繋げたプロセスは、どれほど不条理な過去の影や過酷な環境の激変によって生の自由が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる絆の力によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
登場キャラクター
アイテム
フレンダ=セイヴェルン
爆発物の専門家であり、妹のフレメアを大切にしている。誰とでも仲良くなれる特質を備える。
・所属組織、地位や役職
暗部組織「アイテム」のメンバー。無能力者。
・物語内での具体的な行動や成果
ジョンドゥームの討伐や違法カジノの摘発に参加した。花火大会でA子たちによる爆弾テロを阻止するため、中州で爆弾の解除にあたる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
無能力者でありながら、豊富な化学知識と罠を用いて高位能力者とも渡り合う。
麦野沈利
極度の戦闘好きであり、アイテムのリーダーを務めている。仲間想いな一面も持つ。
・所属組織、地位や役職
暗部組織「アイテム」のリーダー。学園都市第四位の超能力者。
・物語内での具体的な行動や成果
ジョンドゥームを路地に追い込み討伐に貢献した。初河九作が開発した自動狙撃兵器を破壊し、被害者を苦しみから解放する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
電子をそのまま撃ち出す能力である「原子崩し」を操る。
滝壺理后
常に無表情でピンクのジャージを着ている少女である。麦野を深く信頼している。
・所属組織、地位や役職
暗部組織「アイテム」のメンバー。大能力者。照準補整担当。
・物語内での具体的な行動や成果
かつて所属していた「上級ラボ」の元仲間たちによる襲撃に直面した。寿命を削る「体晶」を使用し、敵の能力を分析して麦野を支援する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
微弱な力を読み取り追跡する能力である「能力追跡」を備える。
絹旗最愛
小柄な体格であり、防御に特化した能力を操る。映画を好む傾向がある。
・所属組織、地位や役職
暗部組織「アイテム」のメンバー。大能力者。
・物語内での具体的な行動や成果
フレンダとともに違法カジノへ潜入し、情報を収集した。花火大会の会場で、B子のレーザー攻撃を能力で防ぎ撃破する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
大気中の窒素を超高圧縮する「窒素装甲」を使用する。
上級ラボ
A子
黒髪ウェーブの女子高生である。上級ラボへの復帰と4人組の完成に固執している。
・所属組織、地位や役職
上級ラボの元被験者。大能力者。
・物語内での具体的な行動や成果
滝壺を連れ戻すために花火大会の会場に爆弾を仕掛けた。超高速撮影装置を用いて麦野にクロスカウンターを仕掛けるが、滝壺の支援を受けた麦野に敗北する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
敵の攻撃力を上乗せして反撃する「死闘交撃」という能力を持つ。
B子
長い金髪をポニーテールにした少女である。
・所属組織、地位や役職
上級ラボの元被験者。大能力者。
・物語内での具体的な行動や成果
絹旗と交戦し、敗北した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
髪の匂い粒子を起点とするレーダー能力「粒子察知」を使用する。
C子
栗色のショートヘアを持つ少女である。
・所属組織、地位や役職
上級ラボの元被験者。大能力者。
・物語内での具体的な行動や成果
フレンダと交戦し、敗北した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
物体を接着する「万物接合」の能力を備える。
第一位を装った襲撃者
陸莉
三姉妹の長女である。
・所属組織、地位や役職
三姉妹のメンバー。
・物語内での具体的な行動や成果
雨空、海とともに第二三学区の格納庫でアイテムを襲撃した。小型ヘリコプターを使用して現場から逃走する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
学園都市第一位を装ってアイテムを騙そうとした。
海
三姉妹の一員である。
・所属組織、地位や役職
三姉妹のメンバー。
・物語内での具体的な行動や成果
陸莉たちとともに格納庫を襲撃し、ヘリコプターで逃走した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
雨空
三姉妹の一員である。
・所属組織、地位や役職
三姉妹のメンバー。
・物語内での具体的な行動や成果
陸莉たちとともに格納庫を襲撃し、ヘリコプターで現場から撤退する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
インヴェストグラフ
支配人
燕尾服を着た20代後半の青年である。
・所属組織、地位や役職
違法カジノ「インヴェストグラフ」の支配人。
・物語内での具体的な行動や成果
裏切りを働いた松葉差理那に制裁を加えた。アイテムの尋問を受けている最中にグンタイアリの襲撃に巻き込まれる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
麦野の攻撃を受けて命を落とす。
松葉差理那
ドーピング検査の担当者であり、裏で不正を行っていた女性である。
・所属組織、地位や役職
薬剤師。「大覇星祭」のドーピング対策係。
・物語内での具体的な行動や成果
特定の選手を失格にする八百長を行っていた。顧客を裏切った背信行為により、インヴェストグラフから制裁を受ける。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
痛覚を増幅された上で首を吊らされ、偽装自殺として殺害された。
グンタイアリ
女王アリ
小麦色の肌にタトゥーを入れた女性である。
・所属組織、地位や役職
借金回収組織「グンタイアリ」のリーダー。
・物語内での具体的な行動や成果
偽造金塊を運ばされたことに激怒し、インヴェストグラフを襲撃した。地下街でアイテムと遭遇し、情報を渡して取引を試みる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
初河九作に関する情報を提供した。
麦野本家
駱山
片眼鏡に燕尾服を着用する老執事である。麦野沈利に戦い方を教え込んだ人物として知られる。
・所属組織、地位や役職
麦野本家の幹部。筆頭執事。
・物語内での具体的な行動や成果
本巻では麦野の回想や電話越しの会話で登場した。麦野にアドバイスを与えている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
前巻の戦闘で重傷を負い、現在は入院中である。
花貝
火炎瓶を扱うクラシックなメイドである。
・所属組織、地位や役職
麦野本家の幹部。メイド。
・物語内での具体的な行動や成果
麦野が電話で情報収集をしている際に現れた。偽造金塊であるホロAu77の実物を渡す。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
その他の登場人物
ジョンドゥーム
ネット上で注目を集める連続殺人犯である。正体はあどけない少年であった。
・所属組織、地位や役職
中学生ほどの少年。
・物語内での具体的な行動や成果
鍋焼精密工業の重役たちを欠陥電池を用いて次々と爆殺した。アイテムに追い詰められ、自らの仕掛けた爆発に巻き込まれて死亡する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
巨大な悪を討つ正義を体現しているように見えたため、暗部が討伐を担当した。
山崎うりか
チアリーダーの姿をした女子高生である。
・所属組織、地位や役職
インヴェストグラフの協力者。見張り役。
・物語内での具体的な行動や成果
ドーピング偽装殺人の現場周辺で見張りを行っていた。フレンダと滝壺に追い詰められて逃走する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
初河九作
罪悪感が欠如した狂気の発明家である。
・所属組織、地位や役職
通称「DIYガレージ」。高分子化学の専門家。
・物語内での具体的な行動や成果
精巧な偽造金塊「ホロAu77」を無差別に販売した。自動狙撃モジュールの部品として一般人を組み込む非道な兵器開発を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
麦野たちに兵器を破壊され、自身も謎の狙撃によって頭部を破壊されて死亡する。
フレメア=セイヴェルン
フレンダの妹であり、無邪気な少女である。
・所属組織、地位や役職
小学一年生。
・物語内での具体的な行動や成果
大覇星祭の借り物競走に参加した。姉のフレンダと一緒に走って競技を楽しんだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
姉から深く愛されており、事件の裏側を知ることなく日常を過ごしている。
アズミ
フレメアと仲が良い友人である。
・所属組織、地位や役職
小学生。
・物語内での具体的な行動や成果
大覇星祭の花火大会でフレメアと一緒に過ごしていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
華野超美
気弱な態度をとるが、その正体は変装の専門家である。
・所属組織、地位や役職
「電話の声」の一人。暗部の管理者。
・物語内での具体的な行動や成果
アイテムを罠にはめ、組織同士を争わせようと暗躍した。外交官車両を襲撃し、大使館職員を殺害する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
学園都市第六位によって理不尽な空間へ巻き込まれ、始末された。
学園都市第六位
暗部の天敵と呼ばれる存在である。輪郭の定まらない黒い影の姿で現れる。
・所属組織、地位や役職
学園都市第六位の超能力者。
・物語内での具体的な行動や成果
華野超美の前に現れ、彼女を始末した。麦野沈利の前にも姿を現し、彼女の攻撃を無効化して警告を与える。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
麦野の攻撃をあっさりと防ぎ、圧倒的な実力を見せつけた。
大使館職員
外交官車両を運転していた男性である。
・所属組織、地位や役職
大使館職員。運転手。
・物語内での具体的な行動や成果
華野超美による銃撃を受けた。車両から這い出したところを殺害される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
事件とは無関係な一般人であった。
花火職人
花火大会の運営に関わる人物である。
・所属組織、地位や役職
花火職人。
・物語内での具体的な行動や成果
中州で花火の打ち上げ作業を担当していた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
アリサ
花火大会のステージに出演した人物である。
・所属組織、地位や役職
アーティスト。
・物語内での具体的な行動や成果
大覇星祭のナイトパレードを彩る花火大会のステージで紹介された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
クリアランス
花火大会のステージに出演したグループである。
・所属組織、地位や役職
三人組のアイドルユニット。
・物語内での具体的な行動や成果
大覇星祭の花火大会でパフォーマンスを行うために紹介された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
登場集団
アイテム
学園都市の治安維持や不穏分子の排除を担う組織である。
・所属組織、地位や役職
学園都市の暗部組織。
・物語内での具体的な行動や成果
連続殺人犯の討伐や違法カジノの摘発などを行った。大覇星祭の裏でテロ計画を阻止するために奮闘する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
麦野沈利をリーダーとし、過酷な任務を遂行している。
上級ラボ
能力者の力を限界以上に引き上げる危険な研究を行っていた機関である。
・所属組織、地位や役職
非合法な研究機関。
・物語内での具体的な行動や成果
滝壺理后を連れ戻すため、元被験者たちが花火大会で爆弾テロを企てた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
暗部同士のパワーバランスに敗れて破綻している。
インヴェストグラフ
スポーツ賭博を運営する組織である。
・所属組織、地位や役職
違法カジノ組織。
・物語内での具体的な行動や成果
大覇星祭のドーピング検査を悪用して八百長を行った。グンタイアリと抗争になり、アイテムの介入を受けて壊滅する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
グンタイアリ
借金回収を専門とする組織である。
・所属組織、地位や役職
暗部専門の借金回収業者。
・物語内での具体的な行動や成果
偽造金塊を運ばされたことに怒り、インヴェストグラフを襲撃した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
女王アリが組織を率いている。
鍋焼精密工業
リチウムイオンバッテリーを製造している企業である。
・所属組織、地位や役職
一般企業。
・物語内での具体的な行動や成果
不良電池による爆発事故で多数の死傷者を出しながらも、重役たちは無罪放免となった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ジョンドゥームによって重役が殺害され、本社ビルも倒壊する。
麦野本家
表向きは巨大穀物企業であるが、裏では国際的な犯罪組織である。
・所属組織、地位や役職
国際的な犯罪組織。
・物語内での具体的な行動や成果
麦野沈利の実家であり、多数の幹部や兵力を擁している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
世界中に影響力を持つ強大な組織である。
下部組織
暗部組織をサポートする実務担当の集団である。
・所属組織、地位や役職
暗部の支援要員。
・物語内での具体的な行動や成果
アイテムの指示を受け、情報収集や車両の手配などの実務を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
滝壺の指示には特に従順である。
暗部
学園都市の裏社会で非合法な活動を行う世界である。
・所属組織、地位や役職
学園都市の裏社会。
・物語内での具体的な行動や成果
多数の組織が利害関係で動き、抗争や隠蔽を繰り返している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
独自の過酷なルールが存在する。
電話の声
学園都市の上層部と暗部を繋ぐ仲介役である。
・所属組織、地位や役職
暗部のエージェント。
・物語内での具体的な行動や成果
アイテムに依頼を出し、情報のコントロールを行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
華野超美がその一人として暗躍していた。
警備員(アンチスキル)
学園都市の治安を維持する公的な組織である。
・所属組織、地位や役職
学園都市の治安維持組織。大人によって構成される。
・物語内での具体的な行動や成果
花火大会の会場でタカアシガニを用いて巡回警備を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
風紀委員よりも優先順位が低いという裏事情がある。
風紀委員(ジャッジメント)
生徒によって構成される治安維持組織である。
・所属組織、地位や役職
学園都市の治安維持組織。
・物語内での具体的な行動や成果
表向きは校内の治安維持を行うが、裏では暗部の事件に巻き込まれることもある。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
死亡事件が起きると「ナンバー000」という非常事態が発令される。
消防隊
火災や災害に対応する組織である。
・所属組織、地位や役職
公的な救助機関。
・物語内での具体的な行動や成果
ラボの爆発現場など、事件発生時に事態の収拾にあたる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
レスキュー隊
第二三学区などに配備されている特殊な救助部隊である。
・所属組織、地位や役職
救助機関。
・物語内での具体的な行動や成果
爆発や災害時に出動して対応にあたる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
三姉妹
陸莉、海、雨空の三人で構成された襲撃者の集団である。
・所属組織、地位や役職
暗部の実行部隊。
・物語内での具体的な行動や成果
学園都市第一位を装ってアイテムを罠にはめ、小型ヘリコプターで逃走した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
展開まとめ
序章 Keep Out は前日までに
大覇星祭前夜の連続殺人犯
ジョンドゥーム討伐
フレンダと絹旗は、連続殺人犯ジョンドゥームを始末する任務に向かった。標的は、欠陥リチウム電池の爆発事故で多数の死傷者を出しながら無罪となった鍋焼精密工業の重役達を、不良電池によって次々と爆殺していた少年であった。警備員へ思想が広がる危険を避けるため、アイテムが処理を担当していた。
路地裏の迎撃
麦野がジョンドゥームを路地へ追い込み、フレンダと絹旗が待ち構えた。少年は周囲の廃材を弾丸に変える特殊な散弾銃で絹旗を吹き飛ばしたが、フレンダは上空に待機させていた自爆型ドローンを落とし、少年へ重傷を負わせた。
ジョンドゥームの最期
麦野と滝壺も合流し、アイテムの四人が揃った。少年は女だけの組織を映画のようだと面白がったが、直後に爆発へ巻き込まれて死亡した。巨大な悪を狙っていたものの、正義感ではなく殺人そのものを楽しんでいた連続殺人犯であった。
本社ビルの崩壊
ジョンドゥームの死後、鍋焼精密工業の本社ビルが仕掛けられていた爆発物によって倒壊した。フレンダは一般社員の犠牲を気にしたが、麦野は欠陥を知りながら黙認し、内部から抵抗しなかった者達にも責任があると切り捨てた。
大覇星祭の開幕
アイテムにとって今回の任務は、大覇星祭を前に危険人物を排除する雑用の一つに過ぎなかった。崩壊した街の傍らでは、大覇星祭の開催を告げる広告が流れ、学園都市は巨大な祭典を迎えようとしていた。
第一章 健全なる精神は健全なる身体にナントカ
大覇星祭の偽装自殺
フレメアとの待ち合わせ
九月十八日、フレンダは大覇星祭に参加するフレメアと駅前で待ち合わせた。赤い鉢巻と体操服姿で一等賞を宣言する妹を見て、フレンダは競技以上にフレメアの晴れ姿を喜んだ。
薬剤師の変死
翌日、アイテムは陸橋の下で発見された薬剤師・松葉差理那の死を調べることになった。松葉は大覇星祭のドーピング検査に参加していたが、体内の痛みを大幅に増幅する薬剤を投与されたうえ、長時間苦しむよう調整された首吊り状態で死亡していた。
制裁の可能性
表向きは自殺として処理されていたが、実際には暗部へ向けた儀式的な制裁と考えられた。ドーピング検査によって失格となれば学校の名誉や研究費が大きく損なわれるため、名門校を含む関係者には松葉を排除する動機があった。ただし黒幕は特定されておらず、アイテムは先入観を捨てて調査を始めた。
目撃者の消失
滝壺は、死亡推定時刻が人通りの多い時間帯だったにもかかわらず、松葉を吊るす場面の目撃者がいないことを不審に思った。犯人は周辺で小さな事故を起こし、短時間だけ人と車の流れを変えた可能性があると考えた。
段ボール箱の事故
調査の結果、自販機の商品を積んだ保冷トラックの近くで、通行人が段ボール箱を車道へ崩していたことが分かった。交通と歩行者の流れは一時的に遮られたが、商品がペットボトルだったため大事件にはならず、公的な記録にも残りにくかった。犯人はその隙を利用して松葉を吊るしたとみられた。
山崎うりか
ドライブレコーダーの映像から、事故を起こした人物は十七歳の山崎うりかと判明した。フレンダと滝壺は第一三学区の喫茶店で、派手なチアリーダー姿のまま眠る山崎を発見した。しかし山崎は見張り役程度の下っ端と考えられ、事件を終わらせるには彼女から黒幕まで辿る必要があった。
インヴェストグラフ摘発
山崎うりかの追跡
フレンダと滝壺は、防犯カメラ対策の眼鏡とマスクを装着し、山崎うりかを黒幕の拠点まで泳がせる作戦を始めた。滝壺には空包入りの拳銃を持たせ、山崎を本気で怯えさせながらも殺さないよう追い立てた。
大覇星祭の銃声
二人が山崎の耳元で空包を撃った音は、遠くの競技場にまで届き、フレメア達の五十メートル走を一度中断させた。山崎はチアリーダー姿のまま街中を逃げ回り、フレンダと滝壺は大覇星祭の催しに紛れて追跡を続けた。
ドーピング操作の推測
逃走中、フレンダは殺された松葉差理那が、正常な検体へ後から薬物を混ぜ、競技結果を操作していた可能性を考えた。検査の感度が高いため、選手本人に心当たりがなくても風邪薬や食品添加物の影響だと説明でき、失格を覆すことは難しかった。
電車への逃走
山崎は駅へ飛び込み、発車直前の電車へ乗り込んだ。フレンダ達は絹旗に追跡を引き継ぎ、先回りして合流しようとしたが、山崎は走行中の列車から飛び降りて逃走を続けた。麦野も加わり、四人は再び山崎を追い詰めた。
地下スタジオ
山崎は第三学区の廃ビル地下へ逃げ込んだ。そこは防音設備と高速通信環境を備えた旧動画放送局の地下スタジオであり、出入口が一つしかないため、黒幕の拠点と判断された。アイテムが踏み込もうとすると、内部から痛覚刺激剤を塗った金属矢が壁を貫いて飛来した。
インヴェストグラフ
拠点の内部には、大覇星祭の競技結果を利用した違法な投資組織インヴェストグラフが存在していた。学校ごとの勝敗や能力開発技術の評価に金を投じ、結果に応じて配当を受け取る仕組みは、名目を変えただけのスポーツ賭博であった。
松葉差理那の制裁
松葉はインヴェストグラフの関係者であり、ドーピング検査を不正操作して競技順位を後から変え、特定の顧客から報酬を受け取っていた。組織は顧客の信用を損なう裏切りとして松葉を処刑し、見せしめとして苦痛を増幅させた偽装自殺を実行していた。
グンタイアリの襲撃
麦野が組織を処分しようとしたところへ、暗部の借金回収業者グンタイアリが突入した。彼らは散弾銃でインヴェストグラフを襲い、相手側も痛覚刺激剤を塗ったクロスボウや火炎瓶で応戦した。両勢力は銃撃戦を始め、やがてアイテムも共通の敵として狙われた。
拡散する原子崩し
包囲された麦野は、原子崩しを拡散支援半導体へ撃ち込み、扇状に広がる光で地下空間を一掃した。インヴェストグラフとグンタイアリは全滅し、事情を聞く相手まで失われたが、松葉の事件自体は解明された。
偽造金塊
調査の結果、グンタイアリはインヴェストグラフの配当を届ける運び屋として雇われていたことが分かった。地下金庫には大量の金塊や札束が隠されていたが、金塊は追跡用に作られた精巧な偽物であった。グンタイアリは危険を冒して運んだ品が無価値だったことに激怒し、報復として襲撃したと考えられた。
新たな事件の兆し
松葉差理那の死とインヴェストグラフの真相は解決した。しかし、残された情報には別の事件につながる気配があり、アイテムの調査はまだ終わっていなかった。
第二章 純金大量密造犯
ホロAu77の密造者捜索
新たな任務
インヴェストグラフで見つかった金塊は、超精巧な偽物ホロAu77であった。アイテムはその密造者を捜すよう命じられ、偽造金塊がインヴェストグラフ自身の詐欺ではなく、知らずに混入していた可能性も考慮して調査をやり直すことになった。
グンタイアリの利用
滝壺は、偽造金塊を運ばされたグンタイアリが、インヴェストグラフへの報復だけでなく密造者の情報も集めていると推測した。麦野達は女王アリから情報を引き出す方針を立て、相手が逃げる際に最も大切なものを持ち出す性質を利用しようとした。
滝壺の過去
大覇星祭の体験競技を眺めた滝壺に、麦野は表の世界への未練を尋ねた。滝壺は冤罪によって失ったものを抱えながらも、今は暗部の方が自分に合っていると答えた。麦野はその言葉を受け入れ、深く追及しなかった。
フレメアとの一日
フレンダは午後からフレメアの競技を応援し、写真や動画を大量に残した。夜には妹と手を繋いで街を歩き、翌日は花火を見る約束を交わした。フレンダは、この穏やかな時間を決して壊したくないと考えた。
女王アリの根城
深夜、アイテムは街中に残された手製の目印を辿り、グンタイアリの集会場へ到達した。そこには多数の車両やステージトラックが集まり、百人を超える構成員が移動式の拠点を形成していた。
地下への逃走
女王アリはアイテムの接近を察知し、護衛と共に地下通路へ逃げていた。フレンダと絹旗が地上で構成員を引きつける一方、麦野と滝壺は地下で女王アリを追跡した。
滝壺の制止
護衛達が武器を構えると、滝壺は消火器で一人を倒し、麦野が情報を得る前に全員を殺さないよう制止した。さらに女王アリが隠していた刃物や催涙スプレーまで見抜き、抵抗の機会を奪った。
女王アリの執着
女王アリは、死んだ部下達の名前を全身に刻み、群れへの愛情を誇示していた。しかし麦野は、彼女が逃走時に護衛ではなく小さなポーチを強く握っていたことに注目した。そこに女王アリが命より大切にしているものがあると見抜き、偽造金塊の密造者に関する情報を渡すよう迫った。
アリドリの比喩
麦野はグンタイアリと共存する生き物になぞらえ、自分達にも利用価値があると示した。女王アリは、グンタイアリを利用する者もやがて依存して逃れられなくなると返しながら、なお反撃の隙を探り続けた。
ホロAu77の密造者
女王アリとの契約
女王アリは、アイテムがグンタイアリを利用するなら失敗時には徹底して取り立てると警告した。それでも麦野が動じなかったため、女王アリは偽造金塊の密造者がDIYガレージと呼ばれる個人であると明かし、わずかな資料を渡した。
山への相談
麦野は入院中の山へ連絡したが、応対したのは花貝であった。花貝は、偽造職人は自信のなさから自作の凶器や作業場に依存し、追い詰められると逃走より待ち伏せを選びやすいと説明した。さらにホロAu77に製作者の印がないことから、DIYガレージは罪悪感や自己主張に乏しく、一般人を巻き込む高威力の武器もためらわず使うと推測した。
滝壺の情報収集
滝壺は下部組織を使い、DIYガレージと過去に関わった暗部の取引や入金経路を調べた。危険な業者を直接襲わず、被害者側の大物を利用して情報を引き出す安全な方法を選んだため、下部組織から厚い信頼を得ていた。
麦野からの差し入れ
調査中、麦野から燻製料理の差し入れが届いた。滝壺は、無理をせず休めという麦野なりの気遣いを感じ取り、下部組織の者達と分け合って休憩した。滝壺は麦野を守るため、直接的な暴力だけでなく社会や仕組みから生じる危険にも目を配り続けていた。
第二三学区の格納庫
滝壺はDIYガレージの本名が初河九作であり、第二三学区の航空機用整備格納庫を研究施設として使っていると突き止めた。アイテムは巨大な格納庫へ侵入したが、初河は外出中で、ラボや記録はほとんど手つかずのまま残されていた。
人工金塊の製造装置
格納庫には合金加工機や化学設備が並び、ホロAu77を作る巨大な加圧装置も存在した。初河は温泉地で金が生成される仕組みを人工的に再現し、短期間かつ低コストで金を含む塊を生産していた。しかし不純物を完全に除去できず、本物に近い成分を持ちながら見た目では偽物と分かる代物となっていた。
初河九作の帰還
食料を抱えた初河が格納庫へ戻り、侵入者を見ても動揺せず、罠が作動しなかった理由を尋ねた。フレンダが抵抗すれば殺すと告げても、初河は他人事のように悪あがきの許可を求めた。
合成樹脂の兵器
初河は壁を破って巨大な無人兵器を出現させた。兵器は鋼鉄を超える合成樹脂の装甲に覆われ、重機関銃と自動擲弾砲を搭載していた。内部の高分子ゲルによって複雑な計算を行い、初河が研究していた自動狙撃技術を応用していた。
五千メートル必中
初河の本来の研究目的は、人間の天才的な感覚に頼らず、機械だけで五千メートル先へ必ず命中させる自動狙撃装置を作ることであった。しかし数値化できる条件をすべて入力しても命中せず、最後には人間が持つ勘や場の流れを読む感覚が必要だと考えるようになった。絹旗は、その不足を補うために初河が何を利用したのかを察しかけ、強い恐怖を覚えた。
人間狙撃モジュールとの戦い
人間を組み込んだ兵器
DIYガレージは、自動狙撃モジュールの精度を高めるため、買い取った一般人を合成樹脂の兵器へ組み込んでいた。被害者達は脳や感覚器官、筋肉や臓器を部品と癒着させられ、自力で立てない体に改造されながら、五千メートル先への必中を目指す実験材料にされていた。
失踪者の取引記録
格納庫に残されていたブランデーの購入記録は酒ではなく、人間の年齢を示す取引の暗号であった。初河九作は誘拐には関与していないと主張し、売られてきた人間を材料として購入しただけだと淡々と語った。麦野達は、大覇星祭に合わせて撤去された行方不明者の看板を思い出した。
絹旗の動揺
絹旗は、暗部の実験被害者が自分以外にも大勢いる現実を突きつけられた。被害者達を兵器から切り離せないかと訴えたが、初河は生体組織と部品が完全に癒着しており、分離すれば出血や血圧低下によって死亡すると説明した。
必中の銃撃
人間を組み込んだ複数の狙撃モジュールが重機関銃を向け、アイテムへ一斉射撃を始めた。麦野達は旋盤やプレス機の陰へ逃げ込んだが、遮蔽物はいずれ削り切られ、格納庫の外へ逃げても五千メートル必中の狙撃から逃れることはできなかった。
救えない被害者
麦野達が反撃をためらったのは、敵が意思を持つ一般人だったためである。しかし撤退すれば自分達が殺され、被害者達も兵器として利用され続ける。麦野は逃げることを拒み、彼らを苦しみから解放するため、自ら終わらせる覚悟を決めた。
アイテムの決断
麦野は旋盤ごと原子崩しで撃ち抜き、最初の狙撃モジュールを破壊した。その爆発で銃撃が途切れた隙に、フレンダと絹旗も爆弾と窒素装甲で攻撃した。四人は怒りを抱えながら、兵器にされた被害者達を次々と破壊し、戦闘を終わらせた。
初河九作への怒り
全ての狙撃モジュールを失っても、初河は実験結果の感想を求めるだけで、恐怖も後悔も見せなかった。麦野は原子崩しを使わず、他人の命を材料として浪費した初河に、次の命など与えられないと叫びながら拳で殴り続けた。
謎の狙撃
初河の頭部は、突然格納庫の外から飛来した狙撃によって破壊された。直後、麦野が狙撃手へ放った原子崩しは反射され、逆に彼女の顔の近くを通過した。麦野は、屋外に潜む相手が反射の力を持つ存在だと悟った。
第三章 消す犯罪
第一位を装った襲撃者
反射への恐怖
初河九作を狙撃した何者かは、麦野の原子崩しをそのまま跳ね返した。絹旗は学園都市第一位・一方通行の反射だと疑い、高火力の麦野とは最悪の相性になると警告した。戦っても逃げても助からない状況に、アイテムは動きを封じられた。
偽装された第一位
麦野は、第二三学区の地下サイロ式マスドライバーが生み出す巨大な電界を使えば、電子を操る原子崩しの軌道を曲げられると見抜いた。襲撃者達は圧縮した音声で第一位を装い、鉄骨も圧縮空気などの装置で撃ち込んでいた。相手はアイテムをラボに留め、爆破する時間を稼いでいたのである。
三姉妹の撤退
襲撃者達はガトリング砲でラボの出口を封じ、仕掛けた爆弾でアイテムを始末しようとした。フレンダがロケット弾で銃撃を止め、麦野達が外へ出ると、陸莉、雨空、海と呼ばれる三姉妹は小型ヘリで逃走した。麦野は空撮ドローンの不意打ちを受け、撃墜する機会を逃した。
ラボの爆発
三姉妹の撤退直後、格納庫は爆発して瓦礫となった。内部に残った滝壺と絹旗は、絹旗の窒素装甲によって辛うじて生還した。フレンダは兵器にされた人々の遺体を回収するため、後から連絡を入れることを提案した。
透明印刷のチップ
瓦礫の中から、滝壺は透明な塗料で情報を記した小さなチップを発見した。フレンダは薬品によって印刷を劣化させ、肉眼で読める状態に変えた。そこには初河の危険な発明品と取引相手を記録した裏帳簿が残されていた。
偶然の抗争
帳簿から、ホロAu77はインヴェストグラフやグンタイアリを狙って流されたものではなく、初河が無差別に販売した品の一つに過ぎないと分かった。二つの組織が衝突したのは初河の計画ではなく、偶然によって起きた抗争であった。
脱法殺人インフラ
襲撃者達が隠そうとしていた商品として、死体処理設備を小型化した脱法殺人インフラが浮上した。実験動物を焼却する電子炉を人間にも使えるよう改造し、残った灰を強酸で消滅させる装置であった。大電力を必要とするため、電源の確保先から所有者を追跡できると考えられた。
滝壺の旧知
脱法殺人インフラの報酬は、現金ではなく高級車やゴルフ用品を貸しスペースへ置く特殊な方法で支払われていた。滝壺はその手口に覚えがあると告げ、かつていた学校の上級ラボに関わる人物だと明かした。その学校では選ばれた生徒が突然転校扱いとなり、名前や戸籍まで消されていた。
上級ラボの襲撃
滝壺の過去
滝壺は、かつて所属していた学校の上級ラボが、能力者の名前や戸籍を消して実験材料にする組織だったと明かした。正式に移送される前に組織は崩壊したが、四人の候補者は散り散りになり、滝壺だけが捕らえられた後に表の世界へ放り出された。
失われた夢
滝壺は昔、クイズや展示を通じて何かを説明する仕事に憧れていた。しかし上級ラボの元仲間達が復帰を望み、滝壺を連れ戻そうとしたことで平穏な生活は崩れた。学生寮の部屋を破壊され、見知らぬ死体まで仕込まれた結果、滝壺は冤罪で逮捕されかけたが、麦野が留置場へ忍び込んで証拠を消し、彼女を救った。
三人の能力
元仲間の三人は、いずれも大能力者であった。A子は相手の攻撃力を利用して反撃する死闘交撃、B子は匂いの粒子から周囲を把握する粒子察知、C子は物体同士を接着する万物接合を持っていた。さらに上級ラボの外付け技術で能力を強化しており、現在の実力は滝壺にも予測できなかった。
花火大会への陽動
三人は汚れ仕事の前に大規模イベントを襲い、警備員や風紀委員を混乱させて無法地帯を作る手口を使っていた。今回の標的は第七学区の河川敷で開かれる花火大会と推測された。花火を殺傷力の高い爆弾へすり替えれば、爆発だけでなく群衆の避難による圧死まで引き起こす危険があった。
フレメアへの危機
フレンダは、花火大会で待ち合わせる予定のフレメアを思い出して動揺した。麦野は家族を守りたいなら被害を甘く見積もるなと叱り、フレンダは爆薬の構造や殺傷範囲を冷静に計算し直した。アイテムは花火の罠を解除しながら、上級ラボの三人を止めることになった。
脱法殺人インフラの目的
滝壺は、冤罪を作る手段を持つ上級ラボが、なぜ死体を消す装置を必要としたのか疑問を抱いた。直後、電話の声との通信が銃声と共に途絶えた。三人は装置を別の暗部関係者へ渡し、その見返りとして電話の声の居場所を得たと考えられた。
アイテムの分断
電話の声が襲撃された直後、二十トンの大型トレーラーが絹旗を轢き、アイテムは四方へ散開した。後ろ盾と下部組織との繋がりを失った四人は、組織的な刺客から個別に狙われる状況へ追い込まれた。
フレンダの選択
一人になったフレンダは、フレメアだけを連れて逃げる道を考えた。しかし仲間を見捨てることこそ破滅への分岐点だと悟り、逃走を思い直した。麦野、滝壺、絹旗と共に戦うことが、フレメアを守る最善の道だと定め、花火大会へ向かった。
絹旗の覚悟
トレーラーに轢かれながら生き延びた絹旗は、車体へ追跡用の機器を貼りつけていた。道路に落ちた偽装花火を見つけ、一般人を守るために回収へ動いた。表の世界から得たものへの恩を返すため、暗部の処刑人として戦う覚悟を決めた。
滝壺の決着
滝壺は、公園で過去から逃げ続けた結果が現在の襲撃につながったと受け止めた。上級ラボとの因縁を遮断しただけで解決してこなかったことを認め、自ら決着をつける意思を固めた。
麦野の決意
地下鉄のホームで一人になった麦野は、過去は変えられないと呟いた。それでも現在の滝壺はアイテムの仲間であると確かめ、再び三人と合流するために動き出した。
行間 一
花火大会の会場
河川敷の人混み
夕暮れの第七学区では、大覇星祭の花火大会を目当てに大勢の観客が河川敷へ集まっていた。屋台や大型ステージ、臨時中継局が並び、出演者を紹介する放送が大型スピーカーから響いていた。
警備員の巡回
警備員達は、三メートルほどの脚を持つ可動式監視台タカアシガニに乗り、人混みの中を巡回していた。機械の支援によって観客を避けながら進み、混雑した会場を上方から監視していた。
フレメアとアズミ
会場ではアズミが人混みの中からフレメアを捜していた。フレメアは友人へ居場所を知らせ、間もなく姉のフレンダも来ると楽しみに待っていた。
第四章 根っこから絶て 午後六時半だった。
花火大会の攻防
上級ラボの作戦
A子、B子、C子は花火大会を大混乱に陥れ、警備員や風紀委員を麻痺させたうえでアイテムを狩る計画を進めていた。三人はそれぞれ麦野、絹旗、フレンダを担当し、滝壺だけを生かして仲間達の死を見せつけようとしていた。
アイテムの再集結
分断されたアイテムの四人は、河川敷の屋台が並ぶ場所で再び合流した。フレンダは中州の花火発射場で爆弾を解除し、麦野、絹旗、滝壺は妨害に現れるA子達を迎撃する役割を担った。
麦野とA子
麦野はステージ裏でA子の奇襲を受けた。A子は死闘交撃によって相手の攻撃力を上乗せした反撃を行い、麦野が原子崩しを使えば致命的な威力で返す構えを見せた。麦野は小石によるフェイントも試したが、A子は正確にクロスカウンターを合わせてきた。
絹旗とB子
絹旗は中継施設でB子と遭遇した。B子は髪の匂い粒子から相手の位置を把握し、自作レーザーで狙撃していた。しかし絹旗は窒素装甲で全身を覆い、自分の匂いを外へ漏らさなかったため、B子の粒子察知を無効化した。
フレンダとC子
フレンダは橋の鉄骨上でC子と対峙した。C子は万物接合を応用し、空気や水から成分を抜き出して強酸を作り、鉄骨から炭素を奪って強度を失わせた。橋が崩れたことで、フレンダとC子は花火発射場のある中州へ落下した。
成分選択抽出
C子の能力は物体を接着するだけではなく、指定した成分を選択して抽出する力でもあった。鋼鉄を脆くし、人体から水分を奪うことも可能であり、フレンダは手をポンチョで覆って直接接触を防いだことで即死を免れた。
迫る打ち上げ時刻
花火職人達を乗せたボートが中州へ近づき、打ち上げ開始が迫った。爆弾を解除するにはC子を退ける必要があり、フレンダはフレメアを含む数十万人を守るため、中州での戦闘を続けた。
上級ラボとの決着
B子のレーザー対策
絹旗は、窒素装甲とドライアイスによって空気の密度差を作り、B子のレーザーを屈折させた。粒子察知も窒素の壁で匂いを遮断して無効化し、接近戦へ持ち込んでB子の胴体を窒素の圧力で押し潰した。
B子の最後の抵抗
重傷を負ったB子はなおもレーザー兵器を構え、近くの業務用ガスボンベを狙った。絹旗への直接攻撃が通じないと判断し、周囲を爆発させて巻き込もうとしたのである。レーザーはボンベへ命中し、爆発が起きた。
C子への毒
フレンダは、触れた物質を分解するC子に爆弾を無力化され、追い詰められた。しかし撥水剤に含まれるフッ化炭素と調味料の成分を分解させることで、C子の周囲に有毒な物質を生成させた。C子は呼吸困難と痙攣を起こし、意識を失った。
C子の執念
倒れたと思われたC子は再び動き出し、全身でフレンダへ覆い被さろうとした。直接触れられれば体内の水分を奪われて死亡するため、フレンダはなお危機から脱していなかった。
A子の高速撮影
麦野は、A子のクロスカウンターが百発百中である理由を見抜いた。A子はオクトパスシャッターと呼ばれる超高速撮影装置を使い、二千万分の一秒単位で相手の動きを捉えていた。その情報を皮膚への電気刺激として受け取り、攻撃の瞬間を正確に把握していた。
滝壺への執着
A子は麦野達を全員倒したと偽り、滝壺をD子として連れ戻そうとした。B子やC子の生死を顧みず、滝壺さえ加われば四人が完成すると信じ込んでいた。しかし麦野が現れ、フレンダと絹旗もそれぞれ勝利したと告げたことで、A子の思い描いた四人組は完全に崩れた。
体晶の使用
滝壺は体晶を使い、能力追跡を限界まで高めた。そして麦野に対し、A子以外の場所へ原子崩しを撃ち続けるよう指示した。麦野は理由を問わず、滝壺の判断を信じて従った。
オクトパスシャッターの無力化
原子崩しによって周囲の空気が帯電すると、A子は装置から送られる電気刺激と環境中の刺激を区別できなくなった。超高速撮影の情報を正しく受け取れなくなり、クロスカウンターの精度は失われた。
A子の最期
麦野と滝壺は同時にA子の死を宣告し、麦野の原子崩しがA子を撃ち抜いた。直後、夜空には通常の花火が上がり、大規模な爆発は起きなかった。フレンダが仕掛けを解除し、花火大会の観客達は救われたのである。
共犯の二人
戦いを終えた滝壺は、体晶の影響で熱を帯びた体を麦野へ預けた。滝壺がこれで二人は共犯だと笑うと、麦野は最初からそうだったと答えた。
終章 本当の中心
大覇星祭の平穏と暗部の清算
フレメアの借り物競走
大覇星祭の昼、フレンダはサバ入りのクレープを味わいながら、平穏な街を楽しんでいた。借り物競走の途中だったフレメアに大人の女性として選ばれ、妹を一等賞にするため一緒に走り出した。
滝壺の声援
麦野と滝壺は人混みの中からフレンダ達を見つけた。普段は無表情な滝壺が大声で声援を送り、歩道橋から眺めていた絹旗も微笑んだ。四人は自分達が守った表の世界と、少しずつ関わり始めていた。
華野超美の報復
電話の声である華野超美は、上層部の許可を得て、自分を襲わせた者達への報復に動いた。監視や巡回が不自然なく途絶えた住宅街で、脚立に偽装した大型対物銃を取り出し、黒塗りの外交官車両へ連射した。
外交官車両の破壊
超美は五十口径弾の連射で防弾車を破壊し、内部の標的を始末した。車から重傷を負った運転手が這い出すと、学園都市第六位が現れ、彼は事件と無関係な一般人だとして殺害を止めようとした。
無関係な犠牲者
超美は忠告を無視し、運転手の頭部を撃ち抜いた。今回の報復では誰を殺すかを自分だけで決め、傷も知らない外野から指示を受けるつもりはないと宣言した。
第六位の警告
第六位は、過去の出来事が確定した事実だと思い込み、自分が安全だと信じる超美の認識を否定した。電話の声の正体が華野超美である証拠すら存在せず、真実は容易に歪められるため、過去も現在も盾にはならないと告げた。
二枚羽の矛盾
第六位は、麦野が以前から六枚羽という名称を口にしていたはずなのに、二枚羽という別の呼び名が後から現れている矛盾を指摘した。超美には意味を理解できなかったが、自分の知る世界や記憶が外部から改変されている可能性を感じ、強い恐怖を覚えた。
理不尽の歪み
第六位は、能力者が主観によって世界を歪める存在である以上、真実や時系列も絶対ではないと語った。五十口径の銃を前にしても動じず、超美へ掌を向け、理不尽な世界の歪みに巻き込むと告げた。
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