物語の概要
■ 作品概要
本作は、学園都市の裏社会「暗部」で生きる少女たちの姿を描いたダークアクションノベルの第6巻である。 とある秋のオフの日、暗部組織「アイテム」の4人は立ち寄った銀行で強盗事件に巻き込まれる。絹旗最愛は、強盗犯の少女が何者かに家族を人質に取られ、無理やり犯行をやらされている一般人であることに気づく。暗部のルールに従い容赦なく強盗を始末しようとするリーダーの麦野沈利からその少女を救うため、絹旗と滝壺理后は麦野を騙して裏切るという禁忌を犯してしまう。 一般人を脅して犯罪を強要する「脅し屋」事件の背後には、「情報屋」と名乗るノルシトロ=シャテルニーが暗躍していた。彼女は常時25万機、最大175万機ものドローンを操る気象操作スウォーム兵器を駆使し、アイテムの前に立ちはだかる。絹旗たちは、ノルシトロの強大な脅威に立ち向かうとともに、裏切りを絶対に許さない麦野の凄惨な制裁から逃れるため、極限の死闘と心理戦に身を投じていく。
■ 主要キャラクター
フレンダ=セイヴェルン:暗部組織「アイテム」に所属する無能力者の爆弾魔。麦野に嘘をつく絹旗と滝壺の行動に巻き込まれる形で、極限の状況に追い込まれる。
麦野沈利:学園都市第四位の超能力者(『原子崩し』)であり、「アイテム」のリーダー。身内の裏切りを何よりも嫌うギャングのサラブレッドであり、自分を騙した者には凄惨な制裁を下す。
滝壺理后:「アイテム」のメンバー。常に無表情なジャージ姿の少女。絹旗を守るために一緒に麦野を裏切る決断を下し、冷静に情報収集と作戦立案を行う。
絹旗最愛:「アイテム」のメンバー。大気中の窒素を超高圧縮する『窒素装甲』を操る。脅されている一般人を助けたいという思いから、仲間である麦野に嘘をついてしまう。
ノルシトロ=シャテルニー:情報を操る「情報屋」。無能力者でありながら、莫大な資金と技術で構築した無数の自爆型ドローンによる気象操作スウォーム兵器を操り、アイテムを圧倒する強敵。
華野超美:『電話の声』を務める人物。自身の地位を取り戻すため、代行していた女を惨殺し、学園都市第六位への復讐を誓う。
■ 物語の特徴
本作の最大の特徴は、強大な敵との物理的な死闘と、身内(麦野)を騙して生き残ろうとするヒリヒリとした心理戦が同時に展開される点である。「裏切り」をテーマに据えており、絹旗と滝壺が一般人を守るために麦野に嘘をつくことから始まる緊迫感あふれる逃走劇が描かれる。 特に、終盤における絹旗の決死の告白と、それに対する麦野の予想外の決断は、残酷な暗部の世界における「アイテム」の絆の強さと複雑な関係性を浮き彫りにしている。また、無能力者でありながら圧倒的な兵量(ドローン群)と気象操作で襲い掛かる敵との絶望的な戦いや、その圧倒的な力学を崩すための論理的な戦術も、読者にとって非常に興味深い読みどころとなっている。
書籍情報
とある暗部の少女共棲(6)
著者:鎌池和馬 氏
イラスト:ニリツ 氏
キャラクターデザイン:はいむら きよたか 氏
出版社:KADOKAWA(電撃文庫)
発売日:2026年2月10日
ISBN:9784049168846
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あらすじ・内容
裏切りはオシオキの始まり!? 絹旗に『暗部』の洗礼が襲い掛かる!
とある秋のオフの日。アイテムの4人は立ち寄った銀行で銀行強盗に巻き込まれていた。『暗部』の人間として、ケンカを売られたも同然の状況に怒り心頭の麦野だが、絹旗は偶然気づいてしまう。強盗犯が、誰かに脅されて犯行をやらざるを得ない一般人であることを。
知ってしまった以上は、一般人に手を出すわけにはいかない。だがスイッチの入った麦野はもう止まらない。一瞬のスキをつき、思わず強盗犯の少女と銀行を抜け出した絹旗だが、これは麦野に対する立派な裏切りになってしまうのでは!?
絹旗最愛の決して失敗できないミッション(物理的に命の危機アリ)が今、始まる……!
感想
銀行強盗という突発的な事件から始まり、「アイテム」の仲間同士による疑念と裏切り、そして命を懸けた赦しへとつながっていく一冊だった。
派手な能力戦や大量の兵器がぶつかり合う場面も見応えがある。
しかし、今回最も印象に残ったのは、誰が誰を信じているのか分からないまま進んでいく、息苦しいほどの心理戦である。
物語の始まりは、麦野沈利の携帯電話の決済機能が使えなくなり、「アイテム」の四人が銀行へ向かうという日常的な出来事だった。
ゲームに負けた麦野が三人へ食事を奢るはずだったという、いつもの騒がしいやり取りから始まる。
ところが、そこへ水着姿にホットドッグ型のマスクを着けた少女が現れ、銀行強盗事件へ巻き込まれてしまう。
見た目だけならかなり奇妙な犯人であり、最初はどこか間の抜けた印象すらあった。
しかし、その少女・巣鳥白湯が家族を人質に取られ、犯罪を強制されている一般人だと判明したことで、物語の空気は一変する。
麦野とフレンダは、彼女を「アイテム」へ敵対した犯罪者として処分しようとしていた。
その攻撃を止めたのが絹旗最愛である。
事情を知ってしまった以上、見て見ぬふりはできない。
自分の意思で暗部へ入った者と、何も知らないまま家族を盾にされ、犯罪へ追い込まれた者は違う。
絹旗がそう感じたことは、彼女自身が研究施設で使い捨ての道具として扱われてきた経験とも、どこか重なっているように思えた。
印象に残ったのは、絹旗がただ正義感だけで動いたわけではないことだ。
自分は正しいことをしていると胸を張れるほど、彼女はきれいな世界に生きていない。
それでも、自分たちの判断ミスで一般人を殺すことだけは避けたい。
その危うい良心が、麦野への最初の裏切りへつながっていく。
そして、その絹旗を一人にはしなかったのが滝壺理后だった。
滝壺は消火器を使って麦野の視界を奪い、巣鳥を銀行の外へ連れ出す。
いつもはぼんやりとしていて、感情もあまり表に出さない滝壺だが、今回は驚くほど決断が早い。
絹旗が危険な選択をしたなら、自分も一緒に背負う。
そんな彼女の静かな覚悟が伝わってきた。
滝壺が守ろうとしたのは、見知らぬ巣鳥だけではない。
むしろ、放っておけば危険な人助けへ一人で突っ込んでしまう絹旗を、見捨てられなかったのだろう。
麦野を裏切る危険性を誰よりも理解しているからこそ、その選択には重みがあった。
巣鳥を家族のもとへ帰すだけでは問題は終わらない。
彼女を脅している組織を潰さなければ、再び犯罪を命じられるか、家族を傷つけられてしまう。
そこで絹旗と滝壺は、「脅し屋」の構造そのものを追い始める。
実行犯だけではなく、監視役や盗品の受取窓口、さらには組織の幹部まで、家族や弱みを握られて働かされていたという仕組みは非常に恐ろしかった。
頂点にいる一人を除いて、全員が被害者であり、同時に加害者でもある。
誰かを捕まえても、その空いた場所へ別の人間が押し込まれる。
この使い捨ての構造には、単純に悪人を倒すだけでは解決しない嫌らしさがあった。
その黒幕として浮かび上がるのが、大企業の経営者である紙喜諒一だった。
莫大な資産を持ち、統括理事の一人へ資金を提供しながら、表の世界から学園都市へ影響を与える人物である。
彼が欲しがっていたのは、単なる金ではない。
必要になった時、命令一つで犯罪を実行させられる大量の人間だった。
家族や生活を守ろうとした一般人を脅し、使い捨ての暴力装置へ変えていく。
その発想からは、他人を人間として見ていない冷たさを感じた。
しかし、この紙喜を追い詰めたのが、事情を何も知らない麦野だったという展開が面白い。
麦野は「電話の声」から受けた仕事として、紙喜の事業を支える工場や倉庫を次々と破壊する。
絹旗と滝壺が秘密裏に追っていた黒幕を、麦野が別方向から徹底的に叩き潰してしまう。
自分たちが必死で進めていた救出計画を、麦野が圧倒的な暴力と脅迫によって解決してしまう流れには、驚きと爽快感があった。
同時に、麦野を騙している絹旗が、何も知らない彼女に救われるという皮肉も印象深い。
紙喜は脅迫に使っていた記録を自ら破壊し、その異常な姿が拡散されたことで社会的な信用まで失っていく。
法律による裁きではなく、表の人間としての立場そのものを崩されていく結末には、暗部らしい容赦のなさを感じた。
巣鳥が両親のもとへ戻り、泣きながら抱きつく場面も心に残る。
滝壺はその光景を見つめながら、そこが自分たちには手に入らない「表」の世界なのだと感じていた。
家族のもとへ戻り、泣いて、許される。
そんな当たり前の居場所を持たない少女たちだからこそ、巣鳥をそこへ帰そうとしたのかもしれない。
だが、事件はこれだけでは終わらない。
紙喜の背後には、犯罪の仕組みそのものを設計していた「情報屋」ノルシトロ=シャテルニーが存在していた。
彼女は紙喜の組織を壊された報復として、「アイテム」へ攻撃を仕掛けてくる。
さらに、絹旗と滝壺が麦野を裏切って巣鳥を救ったことまで把握し、その秘密を利用して絹旗を脅迫する。
ここからの展開は、戦闘というよりも、秘密を抱えた者同士による心理戦だった。
絹旗と滝壺に加え、会話を聞いてしまったフレンダまで巻き込まれる。
その結果、麦野一人に対して、残る三人が隠し事を抱えるという異様な構図が生まれる。
身内の裏切りを何よりも嫌う麦野を騙しながら、普段通りに振る舞わなければならない。
少しでも不自然な行動を取れば、すべてを見抜かれてしまうかもしれない。
読んでいて、こちらまで息を潜めたくなるほどの緊張感があった。
しかし、麦野は三人の異変へまったく気づいていなかったわけではない。
自分以外の三人が揃って消え、不自然な行動を続けている。
仲間を疑いたくない一方で、調べなければならない。
疑うこと自体が裏切りになる可能性まで考えている麦野の姿は、意外なほど繊細に見えた。
普段の傍若無人な振る舞いを考えれば、三人が正直に話せないのも仕方がない。
それでも、仲間から秘密にされ、遠ざけられている麦野の立場を考えると、少し気の毒にも感じた。
麦野の実家である「麦野本家」の存在も印象深い。
裏社会へ強い影響力を持ちながらも、血族や鉄の掟に縛られ、自由には動けない。
圧倒的な力を持っているように見えて、実際には守らなければならない決まりが多い。
その窮屈さは、麦野本人の性格にもどこか影響しているように思えた。
物語後半では、ノルシトロとの戦いが始まる。
彼女は常時二十五万機もの自爆型ドローンを操り、その群れによって風や気圧を変化させ、竜巻、豪雨、雹、落雷まで発生させる。
最初は気象を操る強力な能力者に見えた。
しかし、実際には無能力者であり、すべてを技術と物量によって実現していたという事実には驚かされた。
能力者ではなくても、膨大な資金と知識、準備さえあれば、超能力者すら追い詰めることができる。
学園都市という世界の恐ろしさを改めて感じる敵だった。
ノルシトロは過去に、誰かを犠牲にしなければならない場面で、自分だけが全員から見捨てられた経験を持っている。
だからこそ、今度は自分が他人を見下し、切り捨てる側へ回ろうとした。
その動機には理解できる部分もある。
しかし、過去に見捨てられた苦しみを知っているはずの彼女が、今度は無数の一般人や家族を脅し、使い捨てようとしている。
傷つけられた経験が、他者を傷つけてよい理由にはならないと感じた。
ドローンの猛攻によって、絹旗たちは次第に追い詰められていく。
そこへ麦野が現れる。
ここで絹旗は、麦野にも自分を裏切らせることで、お互いの裏切りを相殺しようと考える。
自ら「窒素装甲」を解除し、ドローンの爆発を受けて重傷を負う。
そして、自分を助けるには危険が大きすぎると思わせ、麦野の口から「見捨てる」という言葉を引き出そうとする。
この選択には、絹旗の恐怖と未熟さが表れていた。
麦野へ本当のことを話す勇気が持てない。
だから自分が傷つき、麦野にも負い目を背負わせることで、無理やり対等な関係に戻そうとする。
あまりにも危険で、歪んだ方法である。
しかし、麦野に裏切りを知られれば殺されるかもしれないと考えていた絹旗にとっては、それしか道が見えなかったのだろう。
ところが、麦野は絹旗を見捨てなかった。
輸血キットが存在する可能性が少しでもあるなら、それを取りに行く。
自分が傷ついても、仲間を守る。
普段は口が悪く、暴力的で、裏切り者を決して許さないと公言している麦野が、瀕死の絹旗を前にして一切迷わない姿には胸を打たれた。
麦野にとって「身内」とは、それほど重い存在なのだろう。
敵や裏切り者には容赦しない。
しかし、一度身内だと認めた相手は、自分の命を懸けてでも守る。
その不器用で極端な情愛こそが、麦野沈利という人物の魅力なのだと感じた。
麦野の優しさを前にして、絹旗はもう嘘を続けられなくなる。
巣鳥を助けるために麦野を騙したこと。
自分を守るため、その後も隠し続けたこと。
仲間を危険へ巻き込んでしまったこと。
すべてを泣きながら告白する。
この場面が、本巻で最も印象に残った。
秘密が暴かれたのではない。
絹旗が自分の意思で、殺される可能性も受け入れたうえで真実を話した。
だからこそ、麦野は彼女を裏切り者とは認めなかった。
損得を捨て、命を懸けて自分から真実を話した時点で、絹旗はまだ身内である。
そう判断し、麦野が絹旗の頭へ手を置く場面には、それまで張り詰めていた緊張が一気にほどけるような感覚があった。
麦野は優しい人物ではないのかもしれない。
しかし、少なくとも絹旗が恐れていたような、何も聞かずに仲間を殺すだけの存在でもなかった。
信じてもらうためには、まず自分から本当のことを話さなければならない。
そんな当たり前で難しいことを、血みどろの戦場でようやく絹旗が実行できた瞬間だった。
その後、麦野たちはノルシトロのドローンがすべて同じ設計であることを逆手に取る。
空気の湿度を急激に変化させ、飛行制御をまとめて狂わせる。
圧倒的に見えた群体兵器が、一つの弱点によって崩壊していく展開には大きなカタルシスがあった。
滝壺が気象操作の仕組みを見抜き、フレンダが兵器の性質を分析し、麦野が圧倒的な火力で道を切り開く。
そこに絹旗も加わり、再び四人で戦えるようになる。
裏切りを隠していた時には分断されていた彼女たちが、真実を共有したことで本来の強さを取り戻す流れが熱かった。
『とある暗部の少女共棲(6)』は、単純に少女たちの友情を描いた物語ではない。
彼女たちは犯罪者であり、互いに嘘をつき、状況次第では殺し合う可能性すらある。
それでも、そんな危うい関係の中にしか存在しない信頼や情愛がある。
絹旗は麦野を裏切った。
滝壺とフレンダも秘密を共有した。
麦野もまた、三人の企みを薄々見抜きながら、すぐに切り捨てることはしなかった。
完全に信じ合っているわけではない。
それでも、最後の一線では仲間を見捨てない。
その不完全で歪んだ「共犯関係」こそが、「アイテム」の絆なのだと感じた。
激しい戦闘や巨大な兵器の迫力だけでなく、裏切りと告白、そして赦しによって少女たちの関係が一段深まっていく。
過酷な暗部の世界だからこそ生まれる、危うくも尊い仲間のつながりに心を揺さぶられる一冊だった。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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考察・解説
アイテム内の裏切り
アイテム内における裏切り騒動の全貌と不器用な仲間愛
『とある暗部の少女共棲(6)』において、「アイテム内の裏切り」は物語を牽引する最大のテーマであり、過酷な裏社会で生きる少女たちの絆の強さを浮き彫りにする重要なエピソードとして描かれている。身内の裏切りを何よりも嫌うというリーダー・麦野沈利に対し、絹旗最愛と滝壺理后が禁忌を犯すところから、緊迫感あふれる心理戦が展開される。裏切りの発端、裏切りを相殺する極秘作戦、麦野の決断と絹旗の告白、および結末と裏切りの定義についての解説は以下の通りである。
一般人救出のための嘘とアイテム内における禁忌の行使
とある秋の日、アイテムの4人は立ち寄った銀行で強盗事件に巻き込まれた。
・麦野は暗部のルールに従い容赦なく強盗犯を始末しようとした。
・絹旗は犯人の少女(巣鳥白湯)が何者かに家族を人質に取られ、無理やり犯行を強要されている一般人であることに気づいた。
・一般人を見殺しにできなかった絹旗は、滝壺の消火器を使った目くらましなどのサポートを受けた。
・麦野を騙して強盗犯の少女を逃がすという裏切りを働いた。
・後にフレンダもこの事実を知り、共犯として巻き込まれることとなった。
処刑回避を狙う見捨てさせ作戦の立案と実行
麦野に嘘がバレれば凄惨な制裁(処刑)が待っているため、絹旗たちは絶体絶命の窮地に立たされた。
・事件の黒幕である情報屋ノルシトロ=シャテルニーとの戦闘を利用することとした。
・麦野に自分たちを裏切らせる(見捨てさせる)ことで裏切りを相殺するという危険な作戦を立案した。
・無数のドローン兵器による苛烈な攻撃の中、絹旗はわざと重傷を負った。
・自分を置いて逃げてほしいと麦野に迫り、彼女に瀕死の仲間を見捨てるという選択をさせようと試みた。
仲間を守る麦野の猛進と絹旗の涙ながらの全自白
絹旗の予想に反し、麦野は仲間を見捨てる選択をしなかった。
・私は絶対に、仲間を置いて逃げたりはしない、と断言した。
・自らの肉体を傷つけながらも絹旗を身を挺して守り抜こうとした。
・この麦野の深く強い仲間想いの姿に直面した絹旗は、保身のために嘘をつき仲間を騙し続けていた自身の行いに耐えきれなくなり作戦を放棄した。
・号泣しながら麦野に嘘をついていたとすべてを自白し、罪を一人で背負おうとした。
見破られていた隠し事と身内を守る絶対的宣言
すべてを知った麦野は、絹旗に制裁を加えることはなかった。
・麦野は事前に実家の老執事・貉山から、完全な裏切り者ではない者は罪悪感から無意識にサインを残す、という助言を受けていた。
・実は滝壺たちの不自然な行動から、最初から彼女たちの嘘や隠し事を見抜いていた。
・麦野は絹旗の頭を撫で、自分からそれが言えた時点で損得抜きで命張って正直に話せた時点でテメェは裏切り者でも何でもない、と彼女を赦した。
・アンタはアイテムだ、私は裏切り者だけは絶対許さないが身内は必ず守る、と宣言した。
まとめ
アイテム内における裏切り騒動を巡る一連の顛末は、一般人を助けようとした絹旗たちの葛藤と嘘から始まり、処分を恐れて仕掛けた作戦の中で仲間を見捨てない麦野の圧倒的な情愛に触れたことで自白に至り、最初からすべてを看破していた麦野によって赦されたことで、理不尽な暗部の掟や制裁の檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な共同体の主権を本音の告白と確固たる絆によって完璧に確立するに至る、殺伐とした裏社会での強固な共犯関係の記録である。一般人救出の裏切りから、相殺作戦の決行、麦野の不退転の救出、そして真実の受容へと繋げたプロセスは、どれほど不条理な世界の構造や過酷な環境の激変によって生の自由が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の行使によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
脅し屋の犯罪組織
脅し屋組織の手口と構造およびアイテムによる壊滅の全貌
『とある暗部の少女共棲(6)』に登場する「脅し屋」の犯罪組織は、学園都市の一般人を脅迫して犯罪の実行犯に仕立て上げる悪質な組織である。脅し屋の手口、特異なピラミッド構造、組織の黒幕と真の目的、アイテムによる壊滅、および犯罪の設計者情報屋についての解説は以下の通りである。
個人情報の掌握と監視役配置による犯罪強要の手口
組織はネットの掲示板やSNSで日雇いで支払いの良い仕事や学生向けのモニターといった架空の募集をかけ、応募者から書庫のIDなどの重要な個人情報を要求する。
・情報を握ると、自宅の放火や家族への危害をほのめかして応募者を脅迫した。
・銀行強盗や宝石店の襲撃といった犯罪を無理やり実行させた。
・実行犯には少額の報酬を支払うことで共犯関係を作り上げ、警備員や警察に助けを求められない加害者の立場へと追い込む手口を使っていた。
・実行犯が指示をためらわないよう、自宅の周辺などには状況を監視する交渉役が配置されていた。
構成員全員が脅迫されている特異なピラミッド構造
この組織の最大の特徴は、ピラミッド構造の頂点の一人を除き、構成員の全員が個人情報を握られて脅されている点にある。
・末端の実行犯だけでなく、戦利品の受取窓口や監視役の幹部に至るまで脅迫を受けていた。
・構成員のすべてが使い捨ての被害者で構成されていた。
紙喜諒一の目的と使い捨てな人材鉱山の構築
脅し屋の頂点に立つ黒幕は、飲食グループの社長であり、学園都市の統括理事の一人に資金を提供するお財布係の紙喜諒一であった。
・目的はお金そのものではなく、恐怖で縛り付けることで、どんな危険な犯罪でも命令通りに実行する安全で使い捨てな人材鉱山を作り上げることだった。
・表の世界にいながら暗部の政治を支配した。
・いざという時のダーティな仕事を任せられる合法的な暴力の構築を目指していた。
アイテムの攻撃と脅迫材料破壊による組織の瓦解
銀行強盗を強要されていた少女(巣鳥白湯)を救うため、絹旗最愛と滝壺理后が組織の全容を突き止めた。
・麦野沈利らアイテムは紙喜の飲食事業を支える食器工場や倉庫を次々と破壊した。
・ペンシル核弾頭をちらつかせて人工地震を起こすなどの苛烈な攻撃を加えた。
・命と財産の危機を感じた紙喜は降伏した。
・脅迫材料を保管していた記憶媒体を自らハンマーで破壊したことで組織は瓦解し、脅されていた実行犯や窓口役たちは解放された。
情報屋ノルシトロ=シャテルニーの介在とアイテムへの報復
紙喜の脅し屋組織の背後にはさらに別の黒幕が存在していた。
・背後にいたのは情報屋ことノルシトロ=シャテルニーであった。
・脅し屋のような知的犯罪の設計図を作って売り込み、その犯罪インフラから得られる利益の数パーセントを使用料として徴収するビジネスを行っていた。
・紙喜の組織が潰されたことで莫大な収入源を失ったノルシトロは激怒した。
・事態を台無しにした絹旗たちアイテムを標的として報復の攻撃を仕掛けてくることとなった。
まとめ
脅し屋組織を巡る一連の顛末は、一般人の個人情報を握って犯罪を強要する悪質なピラミッド構造の構築から始まり、紙喜諒一による暗部支配の道具として利用されるも、被害者救出に動いた絹旗や滝壺の調査とアイテムの苛烈な武力行使によって解体に追い込まれ、真の設計者である情報屋との新たな対立へと発展したことで、理不尽な脅迫や不条理な支配の檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生活の主権を徹底的な破壊と不退転の行動によって完璧に確立するに至る、悪質組織の解体と闇の連鎖の記録である。手口の解明から、構造の暴露、紙喜の降伏、そして情報屋の報復へと繋げたプロセスは、どれほど不条理な犯罪構造や過酷な環境の激変によって生の自由が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
アイテムの日常
アイテムの日常風景とメンバーの個性および生活スタイル
『とある暗部の少女共棲』シリーズにおいて描かれる「アイテム」の日常は、血みどろの過酷な裏社会の任務とは裏腹に、年相応の少女たちらしい賑やかなやり取りに満ちている。拠点事情と生活スタイル、メンバーの個性的な趣味や嗜好、および殺伐とした世界とのギャップについての解説は以下の通りである。
高級マンションと避難生活を往復する拠点環境
彼女たちは過酷な任務の合間、独特の生活スタイルを維持している。
・普段は第15学区の超高級マンションの最上階などを拠点とし、裏の不動産専門業者「黒い不動産」を通じてアジトを手配している。
・仕事の報酬が入ると、ブラックカードを使って高級ブランドショップで服を買い漁ったり、超高級ホテルのスイートルームに滞在したりと、暗部の精鋭ならではの羽振りの良さを見せる。
・敵対組織との抗争でアジトを爆破されることも珍しくなく、その際は新しい部屋が決まるまで、ネット喫茶、スポーツジムの仮眠室、ファミレス、カラオケボックスなどを転々とする生活を余儀なくされる。
趣味嗜好のぶつかり合いと意外な家庭的一面
日常において、各メンバーの強烈な個性が発揮されている。
・フレンダ=セイヴェルンは大のサバ缶好きであり、新しいもの好きで「着ぐるみアウター」や味覚を騙す「擬似ドリンクキット」、さらには「ベランピンググッズ」などを持ち込んでは騒動を起こす。妹のフレメアを何よりも溺愛しており、朝早く起きてキャラ弁を作ったり、大覇星祭で彼女の雄姿を大量にビデオ撮影したりする一面を持つ。
・麦野沈利は気性の荒い暴君であるが、実は家庭的な一面も持ち合わせている。ホットプレートでの焼肉の際には、肉の焼き加減を管理してメンバーの小皿に取り分けてあげる面倒見の良さを見せる。フレンダのサバに対してシャケを好み、鮭弁当のカロリーを気にするなど体型維持にも関心があり、滝壺からボディラインの変化を指摘されてジョギングを急かされる場面もある。
・滝壺理后は年中ジャージ姿で過ごしており、「笹の葉アイス」のような奇妙なスイーツを好む。無表情であるが、暴走しがちな麦野にブレーキをかける重要なストッパー役であり、麦野の健康管理まで行っている。
・絹旗最愛は新入りとして、フレンダや滝壺から着せ替えの洗礼を受けておもちゃにされている。大のB級・C級映画マニアであり、深夜の映画館に入り浸ってはハズレ映画で寝落ちするという生活を送っている。
任務の合間に見せる等身大の女子中高生らしさ
命のやり取りをする任務の合間にも、彼女たちは年相応のやり取りを展開している。
・コインランドリーで洗濯物の回収を誰がやるかで押し付け合う。
・カラオケボックスでのゲームで一人負けした麦野に昼食を奢らせる。
・普通の女子中高生と変わらない時間を過ごしている。
・冷酷な殺人や組織間抗争と、コミカルで温かい日常との強いギャップが存在している。
まとめ
アイテムの日常を巡る一連の様子は、高級マンションでの贅沢な暮らしや爆破に伴う仮眠室等での避難生活を送りながらも、フレンダの妹愛やサバ好き、麦野の家庭的な世話焼きやカロリーへの懸念、滝壺のストッパー役や奇妙なスイーツ選好、絹旗の映画鑑賞といった個性が交錯し、コインランドリーでの押し付け合いや奢らせゲームを楽しむことで、理不尽な暗部における死線や緊張感の檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な少女としての主権を不器用ながらも温かい絆によって完璧に確立するに至る、殺伐とした裏社会での等身大の日常の記録である。アジトの変遷から、各人の個性露呈、面倒見の良さ、そして日常のギャップへと繋げたプロセスは、どれほど不条理な組織の運命や過酷な環境の激変によって生の自由が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の自己表現によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
紙喜諒一の失脚
紙喜諒一の失脚経緯と脅し屋組織瓦解の全貌
『とある暗部の少女共棲(6)』において、大企業の経営者であり統括理事のお財布係でもあった紙喜諒一は、「脅し屋」組織の黒幕として暗躍していたが、『アイテム』の苛烈な攻撃によって完全に失脚することとなった。紙喜の野望と発覚、アイテムによる苛烈な破壊工作、降伏と社会的な失脚、および脅し屋組織の瓦解についての解説は以下の通りである。
使い捨てな人材鉱山の構築狙いと中古ブランド店裏帳簿からの特定
紙喜は、一般人の個人情報を握って脅迫し犯罪を強要する脅し屋のピラミッド組織を利用していた。
・真の目的は、いざという時に危険な仕事を命令通りに実行させることができる使い捨てな人材鉱山を作り上げ、表の世界にいながら合法的な暴力を構築することであった。
・銀行強盗を強要されていた少女・巣鳥白湯を絹旗最愛と滝壺理后が救出した。
・脅し屋の受取窓口であった中古ブランド店の裏帳簿から「紙喜諒一」の名が特定されるに至った。
食器工場や倉庫の破壊とペンシル核爆弾をちらつかせた脅迫
事件の全貌を知った麦野沈利らアイテムは、紙喜に大打撃を与えるための行動を開始した。
・紙喜の飲食事業を支えるエコ素材の食器工場や倉庫を次々と破壊して回った。
・麦野は電話越しに紙喜を脅迫した。
・人工地震を起こしてみせたうえで、カリフォルニウムを利用した超重元素爆弾であるペンシル核爆弾の使用すらちらつかせた。
金槌による記憶媒体の破壊と動画拡散に伴う株価暴落
圧倒的な暴力と財産を失う恐怖に屈した紙喜に対し、麦野は思い当たる悪事の全てから手を引けと要求した。
・命の危機を感じた紙喜は、脅し屋の被害者たちの個人情報を保管していたディスクやストレージを、泣き叫びながら自ら金槌で破壊した。
・その必死な奇行が動画としてネット上に拡散されてしまった。
・紙喜の会社の株価は垂直落下の大暴落を引き起こした。
・会社の経営権も他人の手に移るだろうと推測され、彼は社会的な失脚を余儀なくされた。
脅迫材料の消滅と実行犯たちの完全解放
紙喜の降伏と行動により、組織の支配体制は崩壊した。
・紙喜が自ら脅迫材料を破壊した。
・巣鳥白湯をはじめとする脅し屋の実行犯や窓口役たちは誰かの言いなりになる理由がなくなった。
・脅迫されていた人々は完全な解放を迎えることとなった。
まとめ
紙喜諒一の失脚と脅し屋組織の瓦解を巡る一連の顛末は、個人情報を握って合法的な暴力を構築しようとした紙喜の野望に対し、アイテムが工場破壊や核爆弾を匂わせた脅迫によって追いつめ、自ら金槌で記憶媒体を破壊させて株価暴落と社会的抹殺へ追い込んだことで、理不尽な脅迫や不条理な暗部支配の檻を打ち破り、自分たちの尊厳と被害者たちの平穏な生活の主権を圧倒的な力と決断によって完璧に奪還するに至る、悪質経営者の失脚と組織解体の記録である。野望の特定から、工場破壊、金槌でのデータ破砕、そして被害者の解放へと繋げたプロセスは、どれほど不条理な組織の暴力や過酷な環境の激変によって生の自由が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
スウォーム兵器
スウォーム兵器の全貌と気象操作および陥落の経緯
『とある暗部の少女共棲(6)』に登場するスウォーム兵器は、暗躍する情報屋ノルシトロ=シャテルニーが運用する無数の自爆型ドローン群である。スウォーム兵器の規模と構造、圧倒的な戦闘力、気象操作ツキノウテリムク、および弱点と結末についての解説は以下の通りである。
紙飛行機サイズの漆黒機体と175万機規模の並列処理構造
スウォーム兵器は小型でありながら、膨大な物量と計算能力を備えている。
・ドローン1つ1つは10×20センチほどの紙飛行機サイズ(カナード付きダブルデルタ翼機)の真っ黒な機体である。
・1機が搭載する爆発物の威力は手榴弾程度(殺傷範囲は直径10メートルほど)である。
・常時25万機、最大で175万機という圧倒的な物量を誇る。
・巨大なスーパーコンピュータは用いず、各ドローンに搭載されたCPUを並列に繋ぐことで、群体同士の演算による膨大な処理能力を確保している。
窒素装甲を打破する物量攻撃と核をも凌駕する評価
無数の爆発物が壁のように押し寄せるため、極めて高い攻撃力を示している。
・既存のミサイル防衛や絹旗最愛の防御能力「窒素装甲」でも耐え切ることは不可能である。
・学園都市の強力な無人攻撃ヘリ「六枚羽」の編隊すらも容易く撃墜する威力を保持している。
・ステルス戦闘機などと比較しても核をも凌駕する超兵器と評されている。
ドローンの羽ばたきによる空気攪拌と人工異常気象の発生
ノルシトロ自身は無能力者であるが、このスウォーム兵器を応用することで気象を自在に操る。
・常時25万機のドローンの羽ばたきを巨大な扇のように使って空気を攪拌する。
・気圧の落差を生み出す。
・竜巻、豪雨、巨大な雹、落雷といった異常気象を人工的に発生させることができる。
同種機体の共通欠陥と環境急変に伴う空中分解
最強とも思えるスウォーム兵器であったが、構造上の致命的な欠陥を抱えていた。
・全機が全く同じ種類の機体であるため、1つの弱点が全機に通じてしまう欠陥が存在した。
・麦野沈利は原子崩しで空気を焼き払って極端に乾燥させたり、貯水設備を破壊して大量の水を降らせたりすることで、見かけ上の空気抵抗(空気の粘性)を急激に変化させた。
・特定の天候下での飛行プログラムしか持たなかったドローンの群れは、環境の急変に対応できず飛行制御を狂わせた。
・空中で次々と自壊・空中分解を起こして全滅するに至った。
まとめ
スウォーム兵器を巡る一連の顛末は、最大175万機に及ぶ小型ドローンの並列処理と自爆攻撃、さらには気象操作ツキノウテリムクによる圧倒的な破壊力で威圧するも、全機同型ゆえの弱点を見抜いた麦野沈利の原子崩しと環境変貌策によって制御不能へ追い込まれ全滅したことで、理不尽な超兵器の脅威や絶対的支配の檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を圧倒的な分析と攻勢によって完璧に奪還するに至る、群体兵器の猛威と陥落の記録である。物量構造の解明から、圧倒的戦闘力、気象操作の応用、そして空中分解による全滅へと繋げたプロセスは、どれほど不条理な兵器の構造や過酷な環境の激変によって生の自由が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の行使によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
暗部の少女達
学園都市の暗部に生きる少女達の役割と絆の全貌
『とある暗部の少女共棲』シリーズにおいて描かれる「暗部の少女達」は、学園都市の裏社会で過酷な運命を生き抜く存在である。表向きの平和や科学の発展の裏で、彼女たちの生態や関係性は物語の核心をなしている。暗部における存在意義と役割、最強の精鋭部隊アイテムの構成、殺伐とした世界における独自の絆、および過酷な任務と年相応の日常とのギャップについての解説は以下の通りである。
非合法実験の被験者と表沙汰にできない汚れ仕事の請負
超能力が一般科学として認知された学園都市には、表沙汰にできない汚れ仕事や不穏分子の削除・抹消を請け負う「暗部」組織が存在する。
・暗部に身を置く少女たちの中には、かつて非合法な研究機関で過酷な実験の被験者にされた者が少なくない。
・戸籍や身分を抹消されて表の世界での居場所を失った者も存在する。
・彼女たちは学園都市の上層部や仕事の仲介・斡旋を行う「電話の声」から依頼を受ける。
・多額の報酬と引き換えに命懸けの任務を遂行している。
超能力者や特殊能力を抱える4人のメンバー
物語の中心となるのは、4人の少女で構成される暗部の精鋭部隊「アイテム」である。
・麦野沈利は学園都市で7人しかいない超能力者(レベル5)の第4位であり、電子をそのままの状態で強引に撃ち出す強大な「原子崩し」を操るリーダーである。
・滝壺理后はいつも無表情なジャージ姿の少女で、微弱なAIM拡散力場を読み取りどこまでも標的を追跡する「能力追跡」を持つ大能力者である。
・フレンダ=セイヴェルンは無能力者でありながら爆発物やトラップ、化学知識を駆使し、誰とでも仲良くなれる特質を持つ少女である。
・絹旗最愛は空気中の窒素を超高圧縮して絶大な防御力を誇る「窒素装甲」の大能力者であり、第1位の思考パターンを移植する「暗闇の五月計画」の被験者でもある。
雇い主への制裁と損得抜きの仲間意識
彼女たちは単なる冷酷な殺し屋や上層部の言いなりになる駒ではない。
・自分たちの縄張りを荒らす者や仕事を横取りする競合相手には容赦せず、徹底的な報復を行って殲滅する。
・時には雇い主である「電話の声」の思惑や裏切りすら許さず、自分たちの流儀に従って制裁を加える主体性を持っている。
・暗部の悪党であっても自分で仲間と決めた人は絶対に見捨てないという強い信念を抱いている。
・理不尽な状況に陥っても損得を度外視して仲間を助けようとする不器用な優しさと、互いに罪を背負い合う共犯関係が彼女たちを強く結びつけている。
ブランド品購入と仮眠室避難に見る人間らしさ
血みどろの抗争に身を投じる一方で、任務の合間には普通の少女らしい顔を見せる。
・多額の報酬が入れば高級ブランドで服を買い漁る。
・隠れ家を爆破されればファミレスやカラオケボックスを転々とする家出少女のような生活を送る。
・映画館に入り浸ったり、妹の晴れ舞台を熱心に応援したりするなど、それぞれの趣味や愛着を大切にする姿も描かれている。
まとめ
暗部の少女達を巡る一連の顛末は、戸籍を奪われた過酷な境遇から暗部の精鋭アイテムとして汚れ仕事を遂行しつつも、雇い主の裏切りを許さない主体性と損得抜きの強い仲間意識を持ち、殺伐とした任務と年相応の日常を行き来することで、理不尽な暗部組織の支配や不条理な運命の檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を圧倒的な実力と不退転の絆によって完璧に確立するに至る、泥臭い生存と等身大の人間性の記録である。存在意義の認識から、アイテムの結成、独自の流儀、そして日常とのギャップへと繋げたプロセスは、どれほど不条理な世界の構造や過酷な環境の激変によって生の自由が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
登場キャラクター
アイテム
フレンダ=セイヴェルン
爆発物の専門家であり、妹のフレメアを大切にしている。誰とでも仲良くなれる特質を持つ。
・所属組織、地位や役職
暗部組織「アイテム」のメンバー。無能力者。
・物語内での具体的な行動や成果
絹旗と滝壺の麦野への裏切りを知り、それに巻き込まれた。ノルシトロとの戦いでは高圧電流を受けて動けなくなる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
無能力者でありながら、豊富な化学知識や爆弾を用いて高位能力者とも渡り合う。
麦野沈利
極度の戦闘好きであり、アイテムのリーダーを務めている。身内の裏切りを激しく憎む。
・所属組織、地位や役職
暗部組織「アイテム」のリーダー。学園都市第四位の超能力者。
・物語内での具体的な行動や成果
銀行強盗を容赦なく始末しようとした。ノルシトロとの戦闘では自ら盾となって瀕死の絹旗を守り抜き、真実を告白した彼女を赦す。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
電子をそのまま撃ち出す能力「原子崩し」を操る。
滝壺理后
常に無表情でジャージを着ている少女である。麦野を深く信頼している。
・所属組織、地位や役職
暗部組織「アイテム」のメンバー。大能力者。照準補整担当。
・物語内での具体的な行動や成果
絹旗と共に麦野を騙し、巣鳥白湯を救出して親元へ帰した。ノルシトロの能力の正体がドローン群による気象操作であると見抜く。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
微弱な力を読み取り追跡する能力「能力追跡」を備える。
絹旗最愛
小柄な体格であり、防御に特化した能力を操る。映画を好む傾向がある。
・所属組織、地位や役職
暗部組織「アイテム」のメンバー。大能力者。
・物語内での具体的な行動や成果
銀行強盗の巣鳥白湯が脅されている一般人だと気づき、麦野の目を盗んで逃がした。ノルシトロとの戦いでわざと重傷を負い、麦野に見捨てさせることで裏切りを相殺しようと企むが、最終的にすべてを告白する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
大気中の窒素を超高圧縮する「窒素装甲」を使用する。
脅し屋・情報屋
ノルシトロ=シャテルニー
銀髪褐色の少女である。他者を見下す側へ立つことを望んでいる。
・所属組織、地位や役職
「情報屋」。無能力者。
・物語内での具体的な行動や成果
犯罪の設計図を売りさばき、利益を得ていた。紙喜の組織が潰されたことでアイテムに報復を仕掛けるが、弱点を見抜かれて敗北した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
無数の自爆型ドローンを操り、気象を操作するスウォーム兵器を運用する。
紙喜諒一
飲食グループの社長である。裏の世界で合法的な暴力の構築を目指していた。
・所属組織、地位や役職
大企業の経営者。統括理事の「お財布係」。
・物語内での具体的な行動や成果
脅し屋の組織を運営し、一般人に犯罪を強要していた。アイテムの攻撃を受けて降伏し、脅迫材料を自ら破壊する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
奇行が動画で拡散された結果、株価が暴落して社会的信用を失った。
松沢
ノルシトロの配下である。裏レスキューの男として描かれている。
・所属組織、地位や役職
情報屋の配下。裏レスキュー。
・物語内での具体的な行動や成果
ノルシトロと共に消防訓練施設跡に現れた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
原仲
ノルシトロの配下である。松沢同様に裏レスキューの男である。
・所属組織、地位や役職
情報屋の配下。裏レスキュー。
・物語内での具体的な行動や成果
松沢らと共に消防訓練施設跡でアイテムを待ち伏せた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
麦野本家
麦野本家の当主
イタリア製の高級スーツを着た初老の男である。麦野沈利の祖父にあたる。
・所属組織、地位や役職
麦野本家の当主。
・物語内での具体的な行動や成果
違法な消費者金融の事務所を訪れ、自ら手首を切った老婆の容体を確認した。彼女の借金を解決する方針を示す。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
世界的な穀物生産企業であり、国際ギャングでもある組織を率いている。
貉山
燕尾服に片眼鏡を着用した老執事である。麦野沈利を幼少期から世話してきた。
・所属組織、地位や役職
麦野本家の筆頭執事。
・物語内での具体的な行動や成果
麦野からの電話相談に応じた。裏切り者が残すサインや罪悪感について助言を与える。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
前巻のクーデター事件で負傷し、現在も入院中である。
その他の登場人物
巣鳥白湯
水着姿でホットドッグ型のマスクを被った少女である。家族思いな性格を持つ。
・所属組織、地位や役職
一般人。脅し屋の被害者。
・物語内での具体的な行動や成果
家族を人質に取られ、銀行強盗と盗聴器の設置を強要された。絹旗と滝壺に救出され、無事に両親のもとへ帰還する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
脅し屋の崩壊により、犯罪の強要から解放された。
フレメア=セイヴェルン
フレンダの妹であり、無邪気な少女である。
・所属組織、地位や役職
小学一年生。
・物語内での具体的な行動や成果
フレンダと一緒にハロウィンの衣装を選びに出かけた。サキュバス風の衣装を試着する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
姉から深く愛されている。
華野超美
気弱な態度をとるが、その正体は変装の専門家である。
・所属組織、地位や役職
電話の声。暗部の管理者。
・物語内での具体的な行動や成果
電話の声を代行していた女を殺害し、その首をゴミ箱へ捨てた。木原脳幹と共に学園都市第六位に関する情報を探る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
暗部の天敵である第六位を次の標的に見定めた。
闇医者
非合法な治療を行う医師である。アイテムの依頼を受けている。
・所属組織、地位や役職
暗部の闇医者。
・物語内での具体的な行動や成果
太刀魚メアリーとの戦闘で負傷した絹旗らを治療した。鮎魚女キャロラインの死亡により脳内模様が消去されたとする仮説を立てた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
支店長
第一五学区にある銀行の支店長である。
・所属組織、地位や役職
銀行の支店長。
・物語内での具体的な行動や成果
銀行強盗に押し入った巣鳥白湯に殴られ、現金を要求された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
老婆
アットホーム&ファイナンス社の顧客である。孫のために身を削った。
・所属組織、地位や役職
一般人。
・物語内での具体的な行動や成果
借金のために違法な消費者金融を訪れ、自ら手首を切った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
命を取り留め、麦野本家の当主によって借金を解決されることになった。
巣鳥の父親
会社を経営している男性である。経営難に苦しんでいた。
・所属組織、地位や役職
一般人。会社経営者。
・物語内での具体的な行動や成果
帰還した娘の巣鳥白湯を抱きしめて泣き崩れた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
巣鳥の母親
巣鳥白湯の母親である。自身の書庫IDを娘に渡していた。
・所属組織、地位や役職
一般人。
・物語内での具体的な行動や成果
娘の帰還に立ち会い、無事を喜んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
電話の声を代行していた女
暗部のエージェントとして働いていた女性である。華野超美の代行を務めていた。
・所属組織、地位や役職
電話の声の代行者。
・物語内での具体的な行動や成果
華野超美によって殺害された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
首を切断され、ゴミ箱に捨てられた。
風紀委員の少女
ディスカウントショップの出口付近で監視を行っていた少女である。メガネをかけ、巨乳であると描写されている。
・所属組織、地位や役職
風紀委員(ジャッジメント)。
・物語内での具体的な行動や成果
窃盗犯の少女が万引き防止ブザーを鳴らしたため、そちらへ向かった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
透視能力を持つ可能性があると推測された。
窃盗犯の少女
ディスカウントショップでポニーテールをしていた少女である。シュワシュワ職人の関係者と目されている。
・所属組織、地位や役職
窃盗団「シュワシュワ職人」の関係者。
・物語内での具体的な行動や成果
大量の殺虫剤と漂白剤を購入しようとしていた。フレンダに万引き防止用タグを入れられ、ブザーを鳴らして風紀委員に捕縛される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
エステティシャン
第五学区のエステサロンで働く女性である。女子大生のようなモデル体型をしている。
・所属組織、地位や役職
受付嬢、および施術者。
・物語内での具体的な行動や成果
来店した麦野に対し、水分移動によるボディラインのリメイク施術を行った。体重は減らないと伝えた結果、麦野から濡れタオルを投げつけられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
登場集団
アイテム
学園都市の治安維持や不穏分子の排除を担う組織である。
・所属組織、地位や役職
学園都市の暗部組織。
・物語内での具体的な行動や成果
脅し屋の黒幕を失脚させ、情報屋ノルシトロと交戦して勝利した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
麦野沈利がリーダーを務めている。
脅し屋
一般人を脅迫して犯罪を強要する組織である。
・所属組織、地位や役職
犯罪組織。
・物語内での具体的な行動や成果
巣鳥白湯に銀行強盗を命じた。アイテムの攻撃によって黒幕の紙喜が降伏し、組織は崩壊する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
構成員の多くが脅された被害者であった。
情報屋
情報の売買や犯罪の設計図を提供する集団である。
・所属組織、地位や役職
犯罪インフラ構築組織。
・物語内での具体的な行動や成果
紙喜の組織を盾として利用していた。アイテムに報復を仕掛けるが敗北した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ノルシトロが率いている。
裏レスキュー
ノルシトロの配下として動く大男たちの集団である。
・所属組織、地位や役職
情報屋の配下。
・物語内での具体的な行動や成果
消防訓練施設跡でアイテムを待ち伏せ、斧やロープ銃などで攻撃を仕掛けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
出張料理人
凶悪犯の逃亡生活を支える食の専門家集団である。
・所属組織、地位や役職
逃亡支援組織。
・物語内での具体的な行動や成果
第四学区を拠点とし、情報屋ノルシトロの元へ料理を届けていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アイテムによって追跡の手がかりとされた。
麦野本家
国際的な影響力を持つ巨大企業であり犯罪組織である。
・所属組織、地位や役職
国際ギャング。
・物語内での具体的な行動や成果
前巻のクーデター事件後の処理を進めており、当主が自ら末端のトラブルに対応した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
当主の鶴の一声で方針が決まる。
電話の声
学園都市上層部と暗部を繋ぐ仲介エージェントである。
・所属組織、地位や役職
暗部の管理者。
・物語内での具体的な行動や成果
アイテムに対して依頼を出し、報酬を支払っている。華野超美が本来の担当者である。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
暗部
学園都市の裏社会で非合法な活動を行う世界である。
・所属組織、地位や役職
学園都市の裏社会。
・物語内での具体的な行動や成果
様々な組織が抗争や取引を繰り広げている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
裏切りや失敗に対しては過酷な制裁が待っている。
下部組織
暗部組織の実務や後始末をサポートする集団である。
・所属組織、地位や役職
暗部の支援要員。
・物語内での具体的な行動や成果
アイテムの指示に従って情報収集や死体の処理などを行う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
警備員(アンチスキル)
学園都市の治安を維持する大人の組織である。
・所属組織、地位や役職
治安維持組織。
・物語内での具体的な行動や成果
銀行強盗未遂事件の後、逃走した巣鳥白湯を追跡した。ディスカウントショップで包囲網を敷く。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
風紀委員(ジャッジメント)
学生によって構成される治安維持組織である。
・所属組織、地位や役職
治安維持組織。
・物語内での具体的な行動や成果
ディスカウントショップで窃盗犯の少女を捕縛した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
消防隊
火災などの災害に対応する公的機関である。
・所属組織、地位や役職
救助機関。
・物語内での具体的な行動や成果
ビル破壊や爆発などの事件発生時に出動する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
アットホーム&ファイナンス社
合法を装って高齢者を搾取する悪質な不動産・金融業者である。
・所属組織、地位や役職
悪徳業者。
・物語内での具体的な行動や成果
リバースモーゲージを悪用して高齢者から家を奪っていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
私営賭博
一般人の死や災害をギャンブルの対象とする組織である。
・所属組織、地位や役職
違法賭博組織。
・物語内での具体的な行動や成果
仮面舞踏会を装ったオークション会場でアイテムの襲撃を受け、白燐弾で処刑された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
シュワシュワ職人
金庫のダイヤルやレバーを溶かして破る窃盗団である。
・所属組織、地位や役職
窃盗団。
・物語内での具体的な行動や成果
殺虫剤と漂白剤を用いた手口で窃盗を繰り返していた。関係者の少女がディスカウントショップで捕縛される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆すべき事項はない。
展開まとめ
序章 裏切りの始まり
銀行強盗と滝壺の裏切り
麦野の支払いトラブル
麦野はゲームに負け、滝壺、フレンダ、絹旗へ昼食を奢ることになった。しかし携帯電話の決済機能が使えなくなり、四人は口座との連携を確認するため第一五学区の銀行を訪れた。
銀行強盗の侵入
順番を待っている最中、派手な水着姿とホットドッグ型のマスクで顔を隠した少女が大型拳銃を手に押し入った。少女は通信を妨害する装置で通報手段を封じ、行員や客を壁際へ集め、支店長を殴って現金を要求した。
盗聴器の設置
フレンダは、少女の本当の目的が現金ではないと見抜いた。少女は高額預金者向けの相談室付近へ盗聴器を仕掛け、企業役員や投資家の会話から株式取引に利用できる情報を得ようとしていた。
アイテムの迎撃準備
銀行内には多数の防犯カメラと一般人がいたため、麦野達は派手な能力を使えなかった。フレンダは証拠の残りにくい弾丸で少女の拳銃を暴発させ、手首ごと破壊する作戦を提案した。麦野は少女が銀行を出て本格的な強盗事件になる前に始末する方針を取った。
強要された犯行
絹旗は、少女が通信相手から予定の遅れを責められ、家族を人質に取られていることを聞いた。少女は専門の犯罪者ではなく、親を守るために銀行強盗と盗聴器の設置を強制された一般人であった。
絹旗の妨害
フレンダが少女を撃とうとすると、絹旗は射線へ入って攻撃を妨げた。少女を暗部の敵として処分すれば、事情を知らずに一般人を殺したことになると判断したためであった。
消火器の煙幕
滝壺は消火器を作動させ、銀行内を白い粉で覆った。麦野の視界まで奪いながら少女の手首を押さえ、絹旗と共に現金搬入口から連れ出した。麦野が無差別に原子崩しを撃てないよう、あえて名前と能力まで大声で叫んだ。
少女の確保
裏口から逃れた少女は混乱し、絹旗へ拳銃を向けた。しかし絹旗は窒素装甲を頼りに動じず、簡単に銃を奪った。滝壺は銀行へ戻れば警備員と麦野達の双方から狙われると説明し、生き残るには犯人側の計画から外れる必要があると告げた。
脅し屋の排除
絹旗は、少女を逃がすだけでは家族を脅される状況が続くと指摘した。滝壺は脅し屋の親玉を倒すと決めたが、少女はすでにアイテムの敵と認識されているため、麦野に知られれば殺される可能性が高かった。
麦野への裏切り
滝壺は、少女を本気で救うには麦野へ隠れて動くしかないと結論づけた。絹旗を見捨てられないため自分も協力すると告げ、二人は銀行強盗の少女を守りながら、麦野に背いて脅し屋を追うことになった。
第一章 2_on_2.
脅し屋からの解放
巣鳥白湯の逃亡
銀行強盗に失敗した巣鳥白湯は、位置情報を十分に遮断していなかったため警備員に追跡されていた。滝壺は捜索側の集中力が途切れる時間を見極め、絹旗と共に非常線を抜けて第八学区の巣鳥家へ向かった。
脅し屋の仕組み
巣鳥は高額な日雇いを装った募集に応じ、母親の書庫IDを渡してしまったことで家族を人質に取られていた。脅し屋は個人情報を握った一般人へ犯罪を命じ、わずかな報酬を与えて共犯者に仕立て、警備員へ助けを求められない状態に追い込んでいた。
家族を救う願い
巣鳥は経営難に苦しむ父親の会社と家族を助けるため、短期間で稼げる仕事へ応募していた。犯罪に加担するとは知らず、自分の行動によって両親を危険へ晒したことを後悔していた。絹旗は、自ら暗部へ踏み込んだ犯罪者とは違うと感じ、巣鳥を見捨てられなかった。
軽トラックの監視役
絹旗は警備ロボットを利用して周辺の通信端末を調べ、巣鳥家の近くで多数のスマートフォンを使用する古紙回収車を発見した。車両へ追跡機器を忍ばせ、滝壺達は脅し屋の受取窓口が使う中古ブランド店へ辿り着いた。
使い捨ての構成員
店の関係者が持つ端末には幼い家族の写真が設定されていた。滝壺は、彼らも暗部の専門家ではなく、巣鳥と同様に家族を盾に取られた被害者だと見抜いた。組織は頂点の一人を除き、実行犯から幹部まで全員を脅して使い捨てる構造であった。
紙喜諒一の正体
絹旗が店員達を殺さずに制圧し、滝壺が裏帳簿を調べると、黒幕は大企業の経営者・紙喜諒一と判明した。紙喜は統括理事の一人へ資金を提供し、表の世界から学園都市の政治へ影響を及ぼす存在であった。脅し屋は金を得るためではなく、必要な時に犯罪を実行させられる大量の使い捨て要員を確保する仕組みであった。
麦野からの召集
麦野は、電話の声から高額報酬の簡単な破壊工作を依頼され、絹旗と滝壺へ集合を命じた。二人が同時に抜ければ疑われるため、滝壺は巣鳥の保護を引き受け、絹旗だけを麦野達のもとへ戻した。
紙喜への破壊工作
麦野、フレンダ、絹旗は、紙喜の飲食事業を支える食器工場や倉庫を次々と破壊した。さらに人工地震まで起こし、紙喜の資産と事業へ継続的な損害を与えられると示した。麦野は金と社会的信用を失わせた後に命も奪うと脅し、思い当たる悪事の全てから手を引くよう要求した。
脅迫記録の破棄
追い詰められた紙喜は条件を受け入れ、脅迫に用いていた記録媒体を自ら破壊した。その姿が動画で広まり、奇行と受け取られたことで株価も暴落した。脅し屋に従わされていた実行犯や窓口役達は、命令に従う必要を失って解放された。
巣鳥家の再会
滝壺は巣鳥を両親のもとへ帰した。巣鳥は緊張から解放され、父母に抱き着いて泣き続けた。滝壺は周囲に紙喜の残党がいないことを確認し、そこを暗部とは切り離された安全な表の世界として残して立ち去った。
第二章 メープルシロップの似合う日
アイテムの休日と新たな気配
虫かごスピーカー
フレンダは、世界各地の虫の鳴き声を再生する虫かご型スピーカーをホテルの部屋へ持ち込んだ。滝壺が脳へ悪影響を与えるコオロギの噂を思い出したため、四人は慌てて収録内容を調べたが、該当する虫は含まれていなかった。
高級街での服選び
報酬を得て暇を持て余した麦野は、四人で服を買いに出かけた。仮想試着システムを試した麦野は、体型への無遠慮な助言に腹を立てた。その後、四人は互いに似合う服を選び、最下位の者が代金を負担するゲームを始めた。
四人の新しい装い
麦野には薄手のドレスと長いコート、滝壺には防寒機能を備えた服、フレンダには楽団員を思わせる白と水色の衣装、絹旗にはスポーツウェアと革のジャケットが選ばれた。遊びとして進めたことで、普段なら迷う服選びも短時間で決まった。
私営賭博の処刑
夜、四人は仮面舞踏会を装った秘密のオークション会場を遠距離から監視した。標的は、一般人の死や災害を賭博に利用していた私営賭博の主催者であり、フレンダの爆弾を盗んで別の場所へ仕掛けようとしていた。
白燐弾の攻撃
フレンダが重機関銃で退路を塞ぎ、滝壺が標的の位置を特定した。麦野は自動擲弾砲から白燐を含む発煙弾を撃ち込み、標的を屋上で追い詰めた。裏切り者への見せしめとして苦痛を長引かせ、倒れるまで攻撃を続けた。
運動を嫌う麦野
翌朝、滝壺は健康アプリの数値を示し、鮭を食べすぎた麦野へジョギングを命じた。麦野は走る代わりに暗部向けのエステへ向かい、体内の水分を移動させて体型を変える施術を受けた。しかし体重そのものは減らないと知らされ、怒って施術者へ濡れたタオルを投げつけた。
耳かきを求めて
フレンダはホテル内で耳かきを見つけられず、我慢できなくなって大型ディスカウントショップへ向かった。麦野達もそれぞれ買い物をするため同行し、広い店内で別行動を始めた。
風紀委員の監視
買い物中、滝壺が警戒を促した。麦野は商品棚の反射を利用して周囲を確認し、出口付近から店内を監視する眼鏡姿の少女を風紀委員だと見抜いた。平穏な買い物の裏で、新たな問題が近づいていた。
行間 一
麦野本家と脅し屋被害
自傷した老婆
麦野本家の当主は、違法な消費者金融の事務所を訪れ、自ら手首を切った老婆の容体を確認した。老婆は命を取り留めたが、ここで金を借りられなければ別の手段を使うしかないと追い詰められていた。
自宅を担保にした契約
老婆は、自宅を担保にして死後の売却を条件に金を借りるリバースモーゲージを利用しようとしていた。アットホーム&ファイナンス社の契約は、契約者が全額を受け取る前に死亡すると、残額が遺族へ一括で支払われる仕組みであった。そのため、自殺によって家族へ金を残すことも可能になっていた。
買い叩かれる自宅
支払われる金額は都心の自宅を手放す対価としては極端に安く、同社は高齢者が通常の銀行から長期融資を受けにくい事情につけ込んでいた。貉山は、契約の穴ではなく、自宅を安価に取得するため意図的に設けられた仕組みだと説明した。
孫を狙う脅迫
老婆が金を必要とした理由は、自分の孫が犯罪へ加担した証拠を握ったと称する者から脅されていたためであった。録音には情報屋を名乗る人物の声が残されており、脅し屋が実行犯だけでなく、その家族にまで金を要求する手口へ発展していることが分かった。
外壁に阻まれた家族
学園都市の外に暮らす保護者は、子供を助けようとしても巨大な外壁に阻まれていた。さらに学園都市は安全な街という印象を守るため、被害の訴えや通報件数さえ隠す可能性があった。本来は子供達を守る仕組みが、家族による救出を妨げていたのである。
合法を装う搾取
アットホーム&ファイナンス社も脅し屋も、表向きは法律の範囲に収まる形を整えていた。そのため、違法な相手なら使える麦野本家の方法では直接手を出しにくかった。正しさを装った仕組みが、違法な消費者金融以上に人を追い詰めていた。
老婆への敬意
当主は、犯罪に関わった孫であっても救うために自宅と命を差し出そうとした老婆に、人間として負けたと認めた。家族でも掟を破れば罰する自分にはできない行動であり、それほど尊敬できる者を惨めなままにはできないと考えた。
ありえない低金利
当主は、まず老婆の借金を解決すると決めた。麦野本家はありえない金利を掲げる消費者金融であり、高金利だけでなく、〇・〇〇%という常識外れの低金利もまたありえない金利になるとして、老婆を救う方針を示した。
第三章 裏で糸を引く
風紀委員の包囲と情報屋の脅迫
ディスカウントショップの包囲
第五学区のディスカウントショップでは、風紀委員と警備員が逃亡犯を捕らえるため、静かに包囲網を築いていた。アイテムが直接狙われているわけではなかったが、素性を調べられれば危険であるため、麦野達は騒ぎに巻き込まれず脱出しようとした。
透視能力への対策
滝壺は、眼鏡をかけた風紀委員が障害物を気にせず監視していることから、透視能力を持つ可能性を指摘した。麦野は、透視にも対象までの遮蔽物の枚数に応じた調整が必要だと見抜き、衣服の棚など複数の障害物を利用して視線を外した。
逃亡犯への誘導
麦野達は、大量の殺虫剤と漂白剤を購入しようとしていた窃盗犯を発見した。フレンダは万引き防止用の警報を作動させ、風紀委員と警備員を犯人へ集中させた。その隙に四人は包囲を抜け、店外へ脱出した。
滝壺の胆力
脱出後、絹旗は滝壺の冷静さに驚いた。麦野は、滝壺が以前、下部組織の中にいた裏切り者をわずか五つの質問で特定したことを明かした。滝壺は戦闘力ではなく、観察と推理によって仲間を救ってきたのである。
残された脅し屋の影
麦野は、逃亡犯が偶然アイテムのいる場所へ現れたとは考えにくいと疑った。誰かが警備員や風紀委員を利用して、間接的にアイテムへ圧力をかけた可能性が浮上した。絹旗は、その構造が以前の脅し屋と酷似していることに気づき、事件がまだ終わっていないと悟った。
フレメアの衣装選び
翌日、フレンダはフレメアとハロウィン衣装を選びに出かけた。フレメアは自分で選ぶと張り切り、店員達の勧めで大人らしく格好良い衣装を選んだ。しかし試着室から現れた姿はサキュバス風であり、フレンダは無邪気な妹へそれを勧めた店員に激怒した。
情報屋からの電話
ホテルのロビーで対策を考えていた絹旗のもとへ、情報屋を名乗る女から電話が入った。女は脅し屋を含む知的犯罪の仕組みを設計し、利用者から利益の一部を得ていた。紙喜の脅し屋組織を潰されたことで収入を失い、その報復としてアイテムへ嫌がらせを始めていた。
麦野への秘密
情報屋は、絹旗と滝壺が麦野へ隠れて巣鳥を救った事実を把握していた。その秘密を麦野へ明かすと脅し、絹旗へ麦野を闇討ちしてアイテムのリーダーになるよう命じた。絹旗は、一度従えば永遠に犯罪へ利用され続けると理解した。
滝壺の牽制
滝壺は、情報屋の行為が電話の声の領域を侵していると指摘した。学園都市上層部の暗部組織と利益が衝突すれば、情報屋自身が狙われると警告したため、女は動揺して通話を切った。滝壺は、その間に情報屋の動きを鈍らせ、居場所を突き止める猶予を得ようとしていた。
フレンダの巻き込み
会話を聞いていたフレンダは逃げようとしたが、滝壺に止められた。絹旗と滝壺は、フレンダも秘密を知った以上、麦野から仲間と見なされると告げて逃げ道を塞いだ。フレンダは激しく抗議しながらも、自分だけ離脱することを諦めた。
裏切りの相殺
絹旗は、情報屋との戦いの中で麦野にも自分達を裏切らせれば、互いの裏切りを相殺できると考えた。麦野に負い目を作り、情報屋を倒した後も四人全員が生き残れる状況を狙ったのである。滝壺はその案を支持したが、フレンダは麦野を罠にかける発想自体が新たな裏切りだと指摘した。
行間 二
情報屋と裏レスキュー
温水プールの拠点
絹旗へ連絡する一時間前、情報屋は温水を循環させた大型ビニールプールの傍で部下達と待機していた。銀髪褐色の少女である情報屋は、電話の声が実在するかではなく、自分達の計画へ介入するかどうかだけを問題としていた。
裏レスキューの戦力
情報屋は、自ら手を汚さずに済むよう裏レスキューを配下へ置いていた。彼らは暗部の火災や爆発現場へ赴き、犯罪者を救出すると同時に証拠を隠滅し、消防隊や警備員が到着する前に撤退させる専門集団であった。
不満につけ込んだ支配
裏レスキューの者達は、危険な仕事に対して報酬が安いことへ不満を抱いていた。情報屋はその不満を利用し、新しい犯罪インフラが完成すれば継続的な大金を得られると持ちかけ、自分の駒として従わせていた。
二枚羽の接近
情報屋は上空の微かな振動を機械で捉え、記録に残らない攻撃ヘリ・二枚羽が接近していると見抜いた。正式採用されなかった機体であるため公式の型番がなく、出撃許可も不要な非公式兵器として運用されていた。
壊された盾
情報屋は、紙喜の脅し屋組織を自分達の正体を隠す盾として利用していた。しかし絹旗と滝壺がその仕組みを崩し、背後にいる情報屋へ迫り始めたため、二人を最優先の敵と認定した。
情報屋の方針
情報屋は、学園都市で問題となるのは脅し屋までに留め、自分達が犯罪の設計図を売る事業だけは表へ露見させないと決めた。配下へ明確な方針を示しながらも、さらに深い事情は隠したまま、絹旗と滝壺を潰すため第五学区の高級ホテルへ向かった。
第四章 自らの選択、 その代償
情報屋ノルシトロとの対決
麦野との衝突計画
絹旗、滝壺、フレンダは、情報屋を麦野と衝突させる計画を立てた。情報屋との戦いに絹旗が巻き込まれ、麦野から疑われて負傷した形を作れば、麦野にも仲間を裏切った負い目が生まれ、互いの裏切りを相殺できると考えたのである。
ノルシトロの特定
絹旗達は周囲の通信端末を調べ、複数のスマートフォンを持つ人物から情報屋の私用端末を発見した。壁紙と登録名から、情報屋の正体が銀髪褐色の少女ノルシトロ=シャテルニーであると突き止めた。
出張料理人の追跡
ノルシトロが故郷の料理を求めると予測した三人は、逃亡犯へ料理を届ける出張料理人を探した。第四学区の拠点から出たフランス料理担当のトラックを小型ドローンで追跡し、第二学区にある消防訓練施設跡へ辿り着いた。
麦野の疑念
ホテルに一人残された麦野は、滝壺、絹旗、フレンダが揃って姿を消したことを不審に思った。麦野本家の老執事・貉山へ相談すると、仲間を疑う行為も裏切りに等しく、疑いが外れれば調査した側にも責任が生じると忠告された。
開かれたコールセンター
絹旗達は、防犯設備やスプリンクラーが停止した三階の部屋をノルシトロの居場所と判断した。しかし室内に残されていた通信網の脆弱性に関する資料は、三人を誘い込むため意図的に用意された情報であった。
ノルシトロの罠
ノルシトロは裏レスキューの大男達を連れて現れ、自分達が見つけた情報さえ操作できると告げた。直後、無数の小型ドローンが壁を破壊し、絹旗を三階から屋外へ吹き飛ばした。フレンダも高圧電流を受け、体を動かせなくなった。
犯罪インフラの目的
ノルシトロは常時二十五万機、予備を含めて百七十五万機もの自爆型ドローンを運用していた。その目的は学園都市の外にいる保護者を脅し、子供を犯罪へ巻き込むと告げて金を奪う新たな犯罪インフラの構築であった。
三人の脱出
滝壺は動けないフレンダを抱え、砕けた窓から落下防止ネットへ飛び降りた。先に落とされていた絹旗と合流し、三人は訓練施設内でノルシトロの兵器への対策を考えた。
スウォーム兵器
フレンダは、ドローンが爆薬を積んだ自爆型であり、細かな飛行制御は群体同士の演算とAIに任せていると推測した。通信妨害やバッテリー切れも確実な対策にはならず、二十五万機の攻撃を受ければ絹旗の窒素装甲でも耐え切れない状況であった。
気象を操る力
ノルシトロは竜巻、豪雨、巨大な雹、落雷を自在に発生させた。さらに学園都市の攻撃ヘリ・六枚羽までドローン群で破壊し、能力と兵器の双方で三人を圧倒した。
麦野沈利の到着
絹旗達は勝機を見いだせないまま、ノルシトロを今ここで倒さなければ一般人の犠牲が増え続けると覚悟した。その時、別の通用口から麦野が現れた。ノルシトロは余裕を崩さず、現れた相手の名を麦野沈利と呼んだ。
麦野の信頼とノルシトロの正体
盗難防止タグの追跡
麦野は、以前の買い物で衣服に仕込んだ高級ブランド用の盗難防止タグを追跡し、消防訓練施設跡へ辿り着いていた。絹旗達が秘密裏に行動していると疑いながらも、確証を得るまで三人を攻撃せず、ノルシトロと対峙した。
ドローン群への防御
ノルシトロは常時二十五万機の自爆型ドローンを麦野へ殺到させた。麦野は原子崩しを拡散させても全機を迎撃できなかったが、電子線を渦状に展開して光の盾を作り、爆風と破片を押し返した。
絹旗の重傷
麦野を裏切らせる機会だと判断した絹旗は、自ら窒素装甲を解除し、ドローンの爆発を受けた。脇腹を深く負傷して大量に出血し、滝壺とフレンダは、麦野が来る前から戦い続けて能力を使い果たしたという筋書きを作った。
輸血キットの誘導
滝壺は偽装した健康管理アプリの数値を示し、絹旗が輸血なしでは助からないと麦野へ訴えた。フレンダは、裏レスキューなら各血液型に対応した輸血キットを施設内へ保管している可能性があると説明し、麦野を屋内へ向かわせようとした。
撤退の選択
ノルシトロのドローンと裏レスキューの攻撃により、麦野達は休む場所を失った。フレンダと滝壺は、輸血キットの存在も不確かなままでは全滅すると告げ、絹旗を置いて撤退するかどうかを麦野一人に決断させようとした。
絹旗の別れ
絹旗は、自分は研究所から拾われた使い捨てにすぎず、アイテム全体を危険に晒す価値はないと訴えた。麦野達を逃がすため、自分が残って包囲を崩すと告げ、見捨てるという言葉を麦野から引き出そうとした。
麦野の拒絶
麦野は、輸血キットを手に入れられる可能性が僅かでも残っているなら十分だと答えた。絹旗を置いて逃げることを拒み、自分の体が傷ついても仲間を助けると断言した。絹旗を守るため爆発を受け、破片で負傷しても退かなかった。
絹旗の告白
麦野の覚悟を前に、絹旗は計画を続けられなくなった。巣鳥白湯を救うため麦野へ嘘をつき、その後も保身のため欺き続けたことを泣きながら告白した。情報屋に握られていた秘密を自ら明かし、仲間を危険へ巻き込んだ責任を一人で負おうとした。
麦野の赦し
麦野は絹旗へ原子崩しを向けず、その頭に手を置いた。損得を捨て、命を懸けて自分から真実を話した時点で裏切り者ではないと認めた。絹旗はアイテムの身内であり、自分は身内を必ず守ると告げた。
スウォームの弱点
襲来したドローン群が突然空中分解すると、麦野は全機が同一設計であるため、一つの弱点が全てに通じると明かした。原子崩しで空気を乾燥させたり、貯水設備を壊して湿度を上げたりすることで空気抵抗を急変させ、飛行制御を狂わせていた。
気象操作の仕組み
滝壺は、ノルシトロが能力で天候を操っているのではなく、二十五万機のドローン群で大気を動かしていたと見抜いた。群体の飛行によって風や気圧差を生み出し、竜巻、豪雨、雹、落雷を発生させる気象操作スウォームであった。
無能力者ノルシトロ
ノルシトロは能力者ではなく、無能力者であった。過去に犠牲者を選ぶ場面で全員から見捨てられた経験から、誰よりも強くなって他者を見下す側へ立つと決め、膨大な資金と技術でスウォーム兵器を築いていた。
麦野の最終宣告
ノルシトロが原子崩しを落雷で逸らすと、麦野は有効な防御手段がそれ一つしかないと見抜いた。仲間を救うため輸血キットを確保する必要がある麦野にとって、ノルシトロは通過点にすぎなかった。麦野は小細工を捨て、一撃で殺すと宣告した。
終章 解決はしてる?
絹旗の療養と華野超美の復帰
闇医者の病室
絹旗は第七学区のウィークリーマンションで療養していた。屋上には手術室と集中治療設備を備えた大型輸送ヘリが停められ、建物の各室が闇医者の一般病棟として使われていた。
順調な回復
絹旗の傷は肉を削ったものの、主要な臓器や血管には達していなかった。闇医者は三日後に抜糸でき、傷跡も残さないと説明した。輸血による一時的な体調変化はあったが、経過は良好であった。
アイテムへの帰還
闇医者は、退院後に再び殺し合いへ戻る絹旗を案じ、入院期間を延ばすことも提案した。しかし絹旗は断り、仲間のもとへ早く帰りたいと笑った。危険な仕事であるからこそ、自分の盾役としての力が必要だと考えていた。
脆弱性の封鎖
電話の声は、ノルシトロが利用しようとしていた情報検査の脆弱性がすでに塞がれたと報告した。学園都市内外で未確認のデータを自由に送る仕組みは封じられ、同じ方法を試せば即座に検知される状態となっていた。
残党への備え
ホテルではフレンダと滝壺が荷造りを進めていた。ノルシトロの配下や裏レスキューの残党が残っている可能性があるため、隠れ家を移し、旧拠点を襲う者から敵の所在を逆に辿るつもりであった。
残された秘密
絹旗はすべてを告白して麦野から許されていたが、滝壺とフレンダは嘘を隠したままであった。フレンダは自分達もいずれ麦野に殺されるかもしれないと不安を漏らしたが、滝壺は麦野の扱いを最も理解しているとして、冷静さを崩さなかった。
裏切り者の定義
麦野は一人で貉山の言葉を思い返していた。裏切り者の多くは敵味方の間で揺れ、罪悪感から無意識に発見されるための痕跡を残していた。しかし裏切りを繰り返せば罪悪感は薄れ、やがて身内を平然と傷つける完全な裏切り者へ変わると警告されていた。
透けていた企み
麦野は、滝壺達が自分へ隠し事をしていたことをすでに見抜いていた。それでも三人が完全な裏切り者へ変わっていないことも理解しており、全てが見えていると苛立ちながら呟いた。
統括理事への疑念
第三学区の高層ビルでは、電話の声を代行していた女が統括理事へ疑問を向けていた。ノルシトロが技術流出を目的としない人物だったため被害を防げただけであり、上層部が本当に全てを計算していたのかと問い詰めた。
華野超美の奪還
その女は背後から金属バットで頭部を殴られ、即死した。襲ったのは華野超美であり、自分の不在中に奪われていた電話の声の地位を取り戻すため、死体へさらに殴打を重ねた。
第六位への復讐
華野は、自分だけが電話の声を務められると叫び、その役割を守ることで未来へ生き残ろうとしていた。自分を追い詰めた学園都市第六位へ復讐を誓い、今度は相手を追われる側へ転落させると宣言した。運命は固定されておらず、観測によって変化し得るものとして、新たな戦いが始まろうとしていた。
同シリーズ






とあるシリーズ


同著者シリーズ
ヘヴィーオブジェクトシリーズ

その他フィクション

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