モブせか 10巻レビュー
モブせか まとめ
モブせか 12巻レビュー
どんな本?
■ 作品概要
『乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です 11』は、乙女ゲームの世界を舞台にした異世界ファンタジー作品である。
物語の舞台は、剣と魔法が存在する世界である。旧人類が残した高度な科学技術である「ロストアイテム」と、新人類の生体兵器である「魔装」が国家間の争いに利用されている。
本作では、ラーシェル神聖王国が周辺諸国と同盟を結び、ホルファート王国を包囲する。
ラーシェル側は和平の条件として、主人公リオンが所有するロストアイテムの割譲を要求する。
ホルファート王国の王妃ミレーヌは、最強の戦力であるリオンを国境のフレーザー侯爵領へ配置する。
ミレーヌはリオンの存在で敵を牽制し、その間に同盟国を切り崩す計画を立てていた。
しかし、戦争の被害を抑えたいリオンは、自らの判断でラーシェルの首都へ強襲をかける。
リオンは無数の生贄を取り込んで暴走する強大な魔装を破壊し、神聖王を屈服させて戦争を短期で終結させる。
一方で、第三作目の主人公ミアが隠し通路の先で覚醒イベントを迎える。
ミアの病気は完治するが、それに伴い前世の姪であるエリカ王女の病状が急激に悪化し、リオンたちは新たな危機に直面する。
■ 主要キャラクター
リオン・フォウ・バルトファルト:本作の主人公であり、ホルファート王国の公爵である。平和な生活を望む転生者だが、強力なロストアイテム「ルクシオン」を持つため常に争いに巻き込まれる。戦争を短期で終わらせるため、単機で敵国の首都へ乗り込む大胆な行動力を持つ。
ミレーヌ・ラファ・ホルファート:ホルファート王国の王妃である。祖国と王国を守るため、冷徹な政治的決断を下す。リオンから強い好意を寄せられており、彼の手腕を頼りにしている。
エリカ・ラファ・ホルファート:ホルファート王国の第一王女である。リオンの前世の姪であり、マリエの前世の娘である。ゲームの知識から自身の病状が悪化する運命を知っていたが、ミアの治療のために事実を隠して覚醒イベントを見守った。
フィン・ルタ・ヘリング:帝国の留学生ミアを守護する騎士であり、転生者である。前世で病死した妹の面影をミアに重ねており、彼女を過保護に守ろうとする。
神聖王:ラーシェル神聖王国の王である。他国や自国の民を見下す極めて傲慢な性格をしている。首都を攻め込まれた際、自国の兵や民を犠牲にして魔装を暴走させた。
■ 物語の特徴
圧倒的な武力による戦闘と、それに伴う政治的な波紋が描かれている点が特徴である。
主人公の力が強大すぎるため、世界中の国家から警戒され、王宮の権力闘争にも利用される。
また、転生者たちの前世の人間関係が物語に深く関わっている。
前世の兄妹や母娘といった関係性が交錯し、ゲームのシナリオと前世の記憶の間で葛藤するキャラクターたちのドラマが描かれる。
主人公が戦争に勝利する裏で、エリカの病状悪化や帝国でのクーデターなど新たな危機が水面下で進行し、先の読めない展開となっている。
読んだ本のタイトル
kindle unlimited(月額¥980円で読めます)
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あらすじ・内容
「結婚するなら、ミレーヌさんを選びますね」
乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です 11
ラーシェル神聖王国が周辺諸国と手を組みホルファート王国を包囲した。
武力を背景にラーシェルが提示する和平の条件。
それはリオンの持つ全てのロストアイテムを他国へ割譲せよというもの。
そんな王国の窮地に王妃ミレーヌが一計を案じる。
ラーシェルとの前線にリオンを配置し彼の国を抑え込み、
その間に他国との交渉を進めよというのだ。
しかし、ミレーヌにはどこか余裕がない。
複雑な思いを抱えながらもリオンは、
前線――フレーザー侯爵領に向かうのだが……。
感想
『乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です 11』は、これまで積み重ねてきた因縁が一気に噴き出し、物語が最終決戦へ向かって大きく動き始めた一冊だった。国家同士の駆け引きや大規模な戦争が描かれる一方で、本作らしいコミカルなやり取りも健在で、最後まで飽きることなく楽しめた。
物語冒頭で印象的だったのは、ラーシェル神聖王国の神聖王による外交戦略である。
リオンを「外道騎士」として危険視し、周辺諸国を巻き込んで軍事同盟を築き上げる手腕は非常に厄介だった。
さらに、ロストアイテムやノエルの引き渡しを当然のように要求してくる使者の態度には、読んでいて腹が立つほどだった。
そんな理不尽な要求に対して王家や中央貴族は反発するものの、地方領主たちは「不利になれば寝返ればいい」という姿勢を崩さない。
このあたりは、国家が一枚岩ではないことを改めて実感させられる。
そんな地方貴族たちを逆に利用し、あえて彼らへ防衛を任せることで責任を自覚させようとするミレーヌ王妃の判断は実に冷静だった。
感情ではなく政治として国を動かす姿には、改めて王妃としての器の大きさを感じる。
一方で、本巻には重苦しい空気を吹き飛ばすようなコメディも多い。
エリカの嫁ぎ先であるフレーザー侯爵領を訪れた際には、前世で叔父だったリオンと母親のマリエが、婚約者エリヤの欠点探しに必死になる姿が面白かった。
ゲームでは問題児だったはずのエリヤが、エリカによって幼い頃から見事に教育され、理想的な青年へ成長していたという展開には思わず笑ってしまう。
まさかエリカが、攻略対象を育成するような「逆光源氏計画」を実践していたとは予想外だった。
そして、本巻で特に印象に残ったのが、新キャラクターであるカールの存在である。
ミアの「足長おじさん」として登場した彼が帝国皇帝だと見抜き、その場で利用するリオンの行動力には驚かされた。
帝国との関係改善を兼ねてカール本人を戦場へ連れて行き、自分たちの戦いぶりを直接見せるという発想は、いかにもリオンらしい。
ラーシェルの首都へ突撃する戦いでは、アンジェリカの指揮、ノエルの魔力供給、オリヴィアの圧倒的な防御魔法と、三人が見事に役割を分担して戦う姿が非常に頼もしかった。
共和国編を経て、それぞれが確実に成長していることを実感できる戦いだったと思う。
また、五馬鹿たちの活躍も見逃せない。
特にブラッドが住民を救ったことで、ラーシェルの人々から神々しい騎士として崇拝され、本人だけが戸惑っている場面には思わず吹き出してしまった。
以前の彼らを知っているだけに、この扱いには余計に笑ってしまう。
戦争が終わった後の神聖王の往生際の悪さも、本作らしい皮肉が効いていた。
帝国が守ってくれると最後まで強気だった彼が、正体を明かしたカール皇帝を前にして一気に態度を変える様子は実に痛快だった。
そして、ここから始まる「リオンはローランド国王の隠し子説」は本巻最大の笑いどころである。
神聖王の何気ない一言にユリウスが妙な反応を見せたことで、周囲が「確かにあり得る」と納得し始める流れには大爆笑してしまった。
最初はリオンとミレーヌの関係を勘違いし、「ようやく貸しが作れる」と喜んでいたローランドが、話の流れを理解した瞬間に激怒するオチまで含めて、本作らしいテンポの良いギャグだった。
しかし、そんな笑いもエピローグで一気に吹き飛ばされる。
ミアの覚醒をきっかけに魔装たちが一斉に目覚め、新人類の多い帝国で動き始める展開は不気味そのものだった。
さらに、リオンと旧人類・新人類の未来について話し合おうとしていたカール皇帝が暗殺されるという衝撃の結末には言葉を失う。
ようやく理解者になってくれそうだった人物を失ったことで、世界はさらに混迷を深めてしまった。
加えて、旧人類の血を色濃く受け継ぐエリカまで体調を崩し始めるなど、不穏な要素が一気に表面化していく。
ここまで積み重ねられてきた伏線が、いよいよ最終局面へ向かって動き出したことを強く感じさせる締めくくりだった。
国家間の戦争、政治的な駆け引き、仲間たちとの笑える日常、そして迫り来る世界規模の危機。
『モブせか』らしい魅力がすべて詰め込まれた一冊であり、ここから始まる最終決戦がますます楽しみになる内容だった。
モブせか 10巻レビュー
モブせか まとめ
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最後までお読み頂きありがとうございます。
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最後までお読み頂きありがとうございます。
考察・解説
ラーシェル聖王国の策謀
『乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です 11』におけるラーシェル神聖王国の策謀は、周辺国を巻き込んだ軍事同盟と、超大国である帝国の威光を利用してホルファート王国を滅ぼそうとする狡猾な計画として描かれている。
到底受け入れられない和平条件の提示による開戦の口実作り、帝国を巻き込むための首都への引きこもり戦術、自国民を犠牲にした逃亡計画、そしてリオンらの武力と皇帝の登場によって策略が完全崩壊するにいたる全容は以下の通りである。
過激な要求による戦争の口実作り
ラーシェル神聖王国は、ホルファート王国を周辺国との軍事同盟によって完全に包囲した上で、王宮へ使者を送った。
・外道騎士リオンの持つロストアイテムと、婚約者である聖樹の巫女ノエルを割譲せよという、到底受け入れられない和平条件を突きつけた。
・これは最初から交渉を成立させる気はなく、ホルファート王国側が平和的解決を蹴ったと周囲に触れ回るための策略であった。
・これにより、周辺国に対して戦争を始めるための大義名分と口実を作ることに成功した。
首都への引きこもりと帝国参戦の誘発を狙う戦略
ラーシェル側はリオンの圧倒的な武力を極度に警戒しており、正面からまともに交戦する意思を持たなかった。
・同盟国からの度重なる出陣要請も拒否し、全軍を首都白の都に集結させて徹底的な籠城の構えをとった。
・神聖王と宰相の真の狙いは、リオンがラーシェルの首都へ攻め込む状況を作り出すことであった。
・これにより、隣接する超大国ヴォルデノワ神聖魔法帝国に危機感を抱かせ、帝国を戦争に引きずり込もうと画策した。
・帝国さえ動けば、世界中がロストアイテムを持つホルファート王国を敵視すると計算していた。
民の犠牲を厭わない神聖王の亡命計画
神聖王は他国を見下すだけでなく、自国の民や国のために命を懸ける聖騎士すらも使い捨ての駒としか見ていなかった。
・リオンたちが飛行戦艦アインホルンとリコルヌで強襲してきた際、神聖王は残っていた聖騎士や候補生、さらには手頃な民たちまでを湖の底の魔装に生贄として捧げた。
・それらを強制的に暴走させてリオンたちの足止めを図る非情な作戦を展開した。
・その隙に神聖王自身は、財宝と美女を乗せた高速飛行船を使い、秘密の通路から帝国へ亡命する計画を進めていた。
・自分さえ生き残れば後からホルファートからいくらでも搾り取れるという、極めて身勝手な逃亡を実行に移した。
リオンらの圧倒的な武力と皇帝の登場による策謀の崩壊
しかし、彼らが盤石と信じていた策謀は、リオンたちの規格外の力によって瞬く間に瓦解することとなる。
・オリヴィアの魔法による飛行戦艦の制圧や、アロガンツによる暴走魔装の迅速な破壊により、ラーシェルの戦力は完全に壊滅した。
・さらに神聖王の隠密逃亡ルートも事前に読まれており、隠し通路の先で待ち伏せしていたアンジェリカたちによってあっけなく捕縛された。
・戦後処理の会議の場において、神聖王と宰相はなおも帝国の威光を盾にしてホルファート側に賠償金を要求するという往生際の悪さを見せた。
・しかし、その場にお忍びで同行していたカール皇帝本人が正体を現し、帝国を騙って勝手に名を利用した報いを宣告したことで、ラーシェル神聖王国の策謀は根底から完全に打ち砕かれる結果となった。
まとめ
ラーシェル神聖王国が仕掛けた対ホルファート包囲網と帝国誘導の計略は、他国のみならず自国民をも欺く冷徹なものであった。リオンを誘い出して帝国との戦争を誘発させ、自身は富とともに亡命を図るという神聖王の思惑は緻密であったが、リオンらの圧倒的な軍事力による電撃戦の前に逃亡網は破られた。最終的には、後ろ盾として利用しようとしていた帝国のカール皇帝本人にすべての欺瞞を見破られ、自業自得の破滅を迎えるという因果応報の結末を辿った。
ミレーヌ王妃の政略
『乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です 11』におけるミレーヌ王妃の政略は、単なる目前の戦争への対処ではなく、数十年、数百年先を見据えたホルファート王家の盤石化と、国際社会のパワーバランスを計算した非常に冷徹で高度な計画として描かれている。
最強の戦力であるリオンの配置を巡る思惑、あえて完全勝利を避ける国際戦略、政略結婚の頓挫に伴う若者たちへの責任追及、そして為政者の顔の裏に隠された母親としての葛藤にいたる全容は以下の通りである。
ラーシェル封じ込めと領主貴族の切り捨て
ミレーヌは、王国最強の戦力であるリオンを、あえてラーシェル神聖王国との国境であるフレーザー侯爵領に固定配置した。
・これにより、リオンを恐れるラーシェル軍を首都に引きこもらせて封じ込めることに成功する。
・しかしこの采配は、手薄になった他の国境を守る地方の領主貴族たちを意図的に見捨てる非情な作戦でもあった。
・建国以来、自分の利益を優先し独立心の強い領主貴族たちは、王国にとって潜在的な敵であった。
・ミレーヌは、あえて彼らを疲弊させたり、寝返らせたりすることで反乱分子をあぶり出し、戦後の国内における敵対勢力を一掃して王家の支配体制を確固たるものにしようと企図していた。
完全勝利の回避と帝国への配慮
ミレーヌは、リオンとルクシオンの力による完全勝利は悪手であると断言している。
・圧倒的な力で容易に勝ちすぎれば、超大国であるヴォルデノワ神聖魔法帝国をはじめとする周辺諸国が危機感を抱き、新たな敵として立ちはだかるリスクがあるためである。
・そのため、あえて王国に被害を出してギリギリの勝利を演出することで他国を安心させ、その上で有利な和平交渉を結ぶというシナリオを描いていた。
ラーシェルの滅亡と祖国への利益
ただし、ミレーヌの祖国であるレパルト連合王国を長年苦しめてきたラーシェル神聖王国だけは例外視されていた。
・ミレーヌの計画では、戦争終結間近にラーシェルに一気に攻勢をかけて滅ぼし、盟主国を失った軍事同盟を崩壊させる手はずであった。
・疲弊したホルファート王国ではなく、レパルト連合王国がラーシェルを吸収して戦後処理を担う想定であったことも示唆されている。
政略結婚の頓挫と若者たちへの責任追及
ミレーヌがここまで自国に被害を強いる強硬策に出た背景には、エリカの婚約問題が絡んでいた。
・ミレーヌは本来、エリカをリオンと結ばせ、二人の間に生まれる子供が将来ルクシオンを引き継ぐことで、王家に新たな力を定着させるという長期的な構想を抱いていた。
・しかし、ユリウスやアンジェたちが政略結婚を拒否して個人の意思を通したため、この計画は頓挫した。
・ミレーヌは若者たちに対し、自分たちの行動の責任は自分たちで取りなさい、と冷たく厳しい言葉を投げかけている。
母としての本音と不器用な謝罪
冷徹な為政者として振る舞う裏で、ミレーヌには国を背負う重圧と娘を思う母としての葛藤が隠されていた。
・エリカがリオンと結ばれることがエリカの幸せだと思い込んでいた、という母親としての本音も存在していた。
・後にミレーヌは、娘の気持ちや政略結婚の中で幸せを掴む可能性を無視し、自分の理想を押し付けていたことを反省し、エリカに対して密かに謝罪している。
まとめ
ミレーヌ王妃の真意は、単なる戦争の勝利にとどまらず、国内外の不穏分子やパワーバランスをコントロールする多面的な国家戦略であった。リオンの戦力を国境に縛り付けることで国内の潜在的な敵である領主貴族を淘汰し、あえて薄氷の勝利を偽装することで大国の介入を防ぎつつ、長年の宿敵であったラーシェルを解体して実家へ利益を誘導するという手腕は極めて冷徹である。政略の前提であったエリカとリオンの婚約頓挫により手段を選ばぬ強硬策へと舵を切らざるを得なかった背景も含め、彼女の動向は国家の命運を担う為政者の業と、娘の幸せを歪に願ってしまった母親の悲哀を同時に浮き彫りにしている。
フィンとミアの絆
『乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です 11』におけるフィン(フィン・ルタ・ヘリング)の正体と、第3作目の主人公ミアとの絆の変遷について解説する。
前世の記憶を持つ転生者としての過去や超大国での重要な立場、そして前世の呪縛から解き放たれて一人の女性としてのミアに向き合うにいたる全容は以下の通りである。
フィン・ルタ・ヘリングの正体と背景
フィンの正体は、リオンやマリエと同じく日本の記憶を持つ転生者であり、帝国の極めて重要な地位にある青年である。
・彼の前世には、重い病気で長期間入院し、学校に通うことを夢見ながら亡くなった妹が存在していた。
・その妹が病室で何度もプレイしていたのが、本作の舞台である乙女ゲームの第3作目であった。
・表向きは帝国からの留学生としてホルファート王国に滞在しているが、その実態はヴォルデノワ神聖魔法帝国の第一席の騎士である。
・彼は帝国が所有する完全な魔装のコアであるブレイブを相棒にしており、リオンのアロガンツと引き分けるほどの強大な戦闘能力を誇る。
カール皇帝との数奇な関係と政治的背景
フィンは、帝国の最高権力者であるカール皇帝と直接的な繋がりを持っている。
・カール皇帝もまた転生者であり、実はミアの実の父親という血縁上の真実が存在していた。
・フィンは皇帝に対して、おっさん、や、爺さん、とタメ口で呼び、気安く悪態をつくなど、通常の主従関係を超えた特殊な関係を築いている。
・帝国がホルファート王国の英雄であるリオンと手を結ぶために、最も信頼できる第一席の騎士であるフィンを王国へ派遣したという政治的な背景も裏に隠されていた。
前世の妹の面影と過保護な愛のすれ違い
転生後、フィンは前世の妹と瓜二つの容姿を持つミアに出会い、元気な彼女の姿に救いを見出す。
・しかし、ミアもまた原因不明の病に苦しんでいることを知り、前世で妹を助けられなかった強い後悔から、あの子のためなら命だってかけていい、と決意し、過保護なまでに彼女を守護するようになった。
・フレーザー侯爵領での滞在中、ミアは意を決してフィンに、ずっと側にいたい、と告白する。
・しかし、フィンはミアを、妹にしか見えない、としてその告白を断ってしまう。
・ミア自身を深く愛してはいるものの、どうしても前世の妹の面影を重ねてしまい、恋愛対象として見ることができなかったためであり、一世一代の告白を断られたミアは自室に引きこもり泣き崩れることとなった。
マリエの痛烈な叱責と一人の女性への向き合い
告白を断ったものの、どうしたらいいかわからない、と頭を抱えるフィンに対し、事情を聞いたマリエは痛烈な説教を浴びせる。
・マリエは、ミアちゃんはあんたの妹じゃない、助けられなかった妹の代わりにミアちゃんを可愛がっているだけでしょ、と、フィンの行動が自身の後悔を晴らすための自己満足に過ぎないことを的確に指摘した。
・この叱責によって、フィンは自分がミア自身の気持ちに正面から向き合っていなかったことに気付かされる。
・目を覚ましたフィンはミアのもとへ向かい、彼女を追い詰めてしまったことを謝罪して強く抱きしめた。
・そして、今すぐに答えは出せないが、いつかお前の気持ちにも向き合うつもりだ。それまで待っていてくれるか、と真摯に告げた。
・ミアも、好きじゃなくてもいいです、でも必ず戻ってきてください、と涙ながらに頷き、フィンが戦いから帰るのを待つことを約束した。
まとめ
フィンの過保護な爱情の裏にあった前世の呪縛が解けかけたことで、二人の絆は過去の幻影を追う関係から、現実のミア自身と向き合うための新たなステージへと踏み出すこととなった。帝国の第一席の騎士という強大な力を持ち、カール皇帝とも特殊な絆で結ばれているフィンであったが、その行動原理は常に前世の妹を救えなかった後悔に縛られていた。マリエからの痛烈な指摘を経て、ミアを妹の代替ではなく一人の独立した女性として認識したことで、彼らの関係はゲームのシナリオを超えた本物の信頼と愛情へと昇華し始めている。
ラーシェル神聖王国の制圧
『乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です 11』における「ラーシェル侵攻」および「ラーシェル神聖王国の制圧」について解説する。
ラーシェル神聖王国による周辺国を巻き込んだ包囲網の形成に対し、リオンたちが敢行した電撃的な首都強襲作戦、および超大国の皇帝の登場によってもたらされた政治的結末の全容は以下の通りである。
周辺国の包囲網形成と帝国参戦を狙う籠城戦略
ラーシェル神聖王国は、ホルファート王国を滅ぼすため、強大な力を持つリオンを外道騎士として危険視させ、周辺国との大規模な軍事同盟を結成した。
・しかし、ラーシェル軍自体はリオンを恐れて首都白の都に全軍を集結させて引きこもり、自らは直接戦おうとはしなかった。
・彼らの真の狙いは、リオンがラーシェルの首都に攻め込むことで超大国であるヴォルデノワ神聖魔法帝国に危機感を抱かせ、帝国を参戦させることにあった。
・帝国さえ動けば、世界中がロストアイテムを持つホルファート王国を敵視すると計算していた。
ミレーヌ王妃の冷徹な防衛戦略とリオンの電撃強襲
この事態に対し、ホルファート王国のミレーヌ王妃は、最強の戦力であるリオンをラーシェルとの国境であるフレーザー侯爵領に固定配置する作戦をとった。
・これにはラーシェル軍を牽制して封じ込めるだけでなく、手薄になった他の国境を守る地方の領主貴族たちを意図的に見捨て、裏切った反乱分子を戦後にあぶり出して王家の支配体制を盤石にするという冷徹な政治的狙いがあった。
・ミレーヌはあえて自国に被害を出してギリギリの勝利を演出しつつ、戦争終結間近にラーシェルを一気に滅ぼして同盟を瓦解させる計画を立てていた。
・しかし、自国の被害を最小限に抑え、短期で戦争を終わらせたいリオンは、ミレーヌの思惑を超えて自らアインホルンとリコルヌの二隻でラーシェルの首都白の都へ強襲をかける決断を下す。
・この作戦では、リコルヌに搭乗したオリヴィア(リビア)が聖域と呼ばれる強力な魔法のフィールドを展開して敵の攻撃を防ぎ、さらに巨大な魔法陣を降下させてラーシェルの飛行戦艦を上から押さえつけるという規格外の力を見せつけた。
・さらに、アンジェリカ(アンジェ)やノエルの支援のもと、リオンや五馬鹿たちも連携して出撃し、ラーシェルの迎撃部隊である魔装モドキを次々と制圧していった。
切りふだである魔装の完全破壊と神聖王の捕縛
圧倒的な力を前に追い詰められた神聖王は、自国の聖騎士や民を手当たり次第に生贄にして湖底に沈めていた巨大な魔装を強制的に暴走させ、自分だけは財宝を乗せた飛行船で帝国へ亡命しようと図った。
・しかし、逃亡ルートを事前に読んでいたアンジェリカたちによって、神聖王は城の地下にある秘密通路の出口であっけなく捕縛される。
・一方のリオンは、水中戦仕様に換装したアロガンツを駆り、農薬を仕込んだ矢やアンカー、魚雷を駆使して暴走した魔装を水面へ引きずり出した。
・アロガンツは遠心力を利用して魔装を白の都の象徴である白亜の城に激突させ、至近距離から衝撃波(インパクト)を打ち込んで内部から完全に破壊した。
・これにより、ラーシェル神聖王国の軍事的な切り札は永遠に失われ、戦力の制圧が完了した。
カール皇帝の登場による完全屈服と隠し子騒動の余波
戦闘終結後、飛行戦艦リコルヌの会議室においてミレーヌ主導による戦後処理の交渉が行われた。
・ミレーヌは軍事同盟の破棄、賠償金の支払い、軍事力制限を要求するが、神聖王と宰相は敗北を認めず、逆に首都が受けた甚大な被害に対する賠償金を要求するという往生際の悪さを見せる。
・彼らは、勝ちすぎれば超大国であるヴォルデノワ神聖魔法帝国が動く、と脅し、帝国の威光を盾にして交渉を有利に進めようと企んだ。
・しかし、その場にはお忍びで王国を訪れていたカール皇帝本人が居合わせていた。
・カールが皇帝としての装束を身にまとって正体を現し、帝国の名前を好き勝手に使った報いを受けさせる、友好の証である魔装を粗雑に扱った意味を理解しているだろうな、と宣告した。
・窓の外には帝国の飛行船も到着しており、帝国の庇護という最後の希望すら絶たれたことで、神聖王と宰相は完全に戦意を喪失してその場にへたり込み、政治的にも完全に制圧される結果となった。
・完全に追い詰められ全ての目論見が崩れた神聖王であったが、負け惜しみからリオンの悪質な手腕や口の悪さを指摘し、リオンはローランド国王の隠し子だ、と勝手な推測を叫び出す。
・この根も葉もないデタラメがラーシェル国内でさも事実であるかのように広まってしまい、結果としてホルファート王宮にまで深刻な混乱をもたらすという、リオンにとって頭の痛い余波を残すことになった。
まとめ
ラーシェル神聖王国の侵攻計画は、リオンたちの圧倒的な武力と、お忍びで同行していた帝国のカール皇帝の政治的介入によって完全に打ち砕かれた。ミレーヌ王妃の長期的な政略や、ラーシェル側の帝国を巻き込む籠城策を飛び越え、リオンが敢行した電撃的な首都強襲とリビアの規格外の魔法は、敵の切り札である魔装を城ごと粉砕する圧倒的な勝利をもたらした。最終的には後ろ盾にしようとした帝国の皇帝直々の宣告によって完全な屈服を強いられたラーシェルであったが、神聖王が最後に放った、リオンは国王の隠し子である、という虚偽の噂が王国内に深刻な混乱を巻き起こすなど、戦後はリオンにとって皮肉な後味を残す結末となった。
リビアの魔法
『乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です 11』におけるリビア(オリヴィア)の魔法は、ラーシェル神聖王国の首都白の都への強襲作戦において、その規格外の威力とスケールがいかんなく発揮されている。
初代乙女ゲームの主人公としての圧倒的な才能、聖樹のエネルギーを背景とした攻防一体の超常的な行使、そして周囲の強者たちに植え付けた驚愕と畏怖の全容は以下の通りである。
鉄壁の防御フィールドである聖域の展開
飛行戦艦リコルヌの艦橋にある円形状の装置の上に立つリビアは、ノエルからの魔力供給(聖樹のエネルギー)を受けながら、飛行戦艦全体を包み込む巨大な球体状のフィールドを展開した。
・クレアーレから神聖な属性の聖域と名付けられたこの魔法は、表面に幾重もの魔法陣の模様が描かれている。
・ラーシェル軍が放つ無数の魔弾や鎧からの攻撃を一切通さず、完全に防ぎ切るという圧倒的な防御力を誇る。
・これを見たジルクも、魔弾を一切通さないのも凶悪ですね、と評価し、敵側は手も足も出ない状態であると語っている。
飛行戦艦群を上空から押さえつける規格外の魔法陣
リビアの魔法は防御にとどまらず、敵艦隊の直接的な制圧においても常識外れの力を見せつけた。
・リコルヌの周囲に全長数十メートルにも及ぶ巨大な魔法陣を数百も出現させた。
・リビアが腕を振り下ろす動作に合わせてそれらを一斉に降下させるという大技を放つ。
・この魔法陣は、迎撃のために上昇してくる何十機ものラーシェルの飛行戦艦に接触してその動きを止めた。
・上空から物理的に押さえつけて強制的に降下させるという、既存の物理法則を無視したような力技を一人で実現した。
周囲の熟練者たちに与えた驚愕と圧倒的な畏怖
この人間離れした魔法の行使は、敵側のみならず味方陣営にさえ深い驚愕と畏怖の念を抱かせることとなった。
・幼少期から王族として高度な魔法教育を受けてきたミレーヌ王妃でさえ、飛行戦艦を魔法陣で押さえつけるという発想と実現力に、そんなの無茶苦茶よ、と冷や汗を流し、その底知れぬ才能に脅威を覚えた。
・回復魔法を血の滲むような努力で習得したマリエも、初代乙女ゲームの主人公としての公式チートの力を目の当たりにした。
・これにより、努力では決して埋められない圧倒的な才能の差に戦慄している。
・ユリウスら五馬鹿たちにいたっては、リビアの桁外れの魔法を見て完全にドン引きしており、戦ったら一方的に負ける、と戦意を喪失するほどの衝撃を受けていた。
まとめ
ラーシェル神聖王国の首都決戦においてリビアが披露した魔法は、単なる個人の武力という枠を完全に超越した、たった一人で国家の主力艦隊を無力化できるほどの戦略兵器級の威力を誇っている。元々のゲームの主人公としての規格外の素質が、火器管制を担うアンジェリカのサポートや、魔力を供給するノエルとの絆によって100%引き出された結果の顕現と言える。この圧倒的な力は、ミレーヌ王妃やマリエ、五馬鹿たちといった実力者たちを恐怖させ、リオン陣営の底底知れぬ軍事力を周辺諸国に改めて見せつける決定的な出来事となった。
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モブせか まとめ
モブせか 12巻レビュー
登場キャラクター紹介
ホルファート王国
リオン・フォウ・バルトファルト
前世の記憶を持つ転生者であり、平和な生活を望んでいる。強力なロストアイテムを持つため、各国の争いに巻き込まれる立場にある。
・所属組織、地位や役職
ホルファート王国の公爵。
・物語内での具体的な行動や成果
ラーシェル神聖王国の首都にアインホルンとリコルヌで強襲をかけた。アロガンツに搭乗して暴走した魔装を湖から引き上げ、これを破壊した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
戦後、国王ローランドから大公の位を与えることが提案された。ラーシェル側からはローランドの隠し子であるという噂が流された。
オリヴィア
リオンの婚約者の一人である。平民出身の特待生として学園に入学した。
・所属組織、地位や役職
ホルファート王国の特待生。
・物語内での具体的な行動や成果
リオンの王宮での謁見前に、儀礼用の騎士服への着替えを手伝った。リコルヌの艦橋で球体状のフィールド「聖域」を展開し、魔法陣を用いて敵の飛行戦艦を押さえつけた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
その卓越した魔法の才能により、ミレーヌから高く評価された。
ローランド・ラファ・ホルファート
ホルファート王国の国王である。政治をミレーヌに任せ、自身は女性関係の噂が絶えない。
・所属組織、地位や役職
ホルファート王国の国王。
・物語内での具体的な行動や成果
リオンの戦功に対し、大公の位を与える提案を謁見の間で行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
リオンが自身の隠し子であるという噂がラーシェル神聖王国で広まっていると報告を受け、激怒した。
ミレーヌ・ラファ・ホルファート
ホルファート王国の王妃である。国を守るためには冷徹な政治的決断を下す。
・所属組織、地位や役職
ホルファート王国の王妃。レパルト連合王国出身。
・物語内での具体的な行動や成果
ラーシェルの動きを牽制するため、リオンをフレーザー侯爵領に配置した。戦後処理の会議に出席し、ラーシェルに賠償金や軍事力制限を要求した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ラーシェルの宰相からは腹黒姫と恐れられている。
ヴィンス
レッドグレイブ公爵家の当主である。リオンとは現在縁を切っている。
・所属組織、地位や役職
レッドグレイブ公爵家当主。
・物語内での具体的な行動や成果
王宮での謁見において、ラーシェルの使者がリオンの婚約者を要求した際、擁護の言葉を発さなかった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
戦後の王宮で、リオンがローランドの隠し子であるという噂についてバーナード大臣と議論した。
マリエ・フォウ・ラーファン
リオンの前世の妹である転生者である。エリカの前世の母親でもある。
・所属組織、地位や役職
ホルファート王国の留学生。
・物語内での具体的な行動や成果
リオンたちのラーシェル神聖王国への出航に、カイルやカーラらとともに同行した。エリカの婚約者であるエリヤの欠点を探ろうとした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
エリカが学園で倒れたと聞き、急いで医務室に駆けつけた。
アンジェリカ・ラファ・レッドグレイブ
リオンの婚約者の一人である。実家であるレッドグレイブ家とは縁を切っている。
・所属組織、地位や役職
ホルファート王国の生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
リコルヌの艦橋で火器管制を担当し、多銃身機銃で敵を威嚇した。戦後処理の会議にミレーヌたちとともに参加した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ミレーヌの強硬な外交方針に対し、リオンの負担を減らすために抗議を行った。
エリカ・ラファ・ホルファート
ホルファート王国の第一王女である。前世はマリエの娘であり、リオンの姪である。
・所属組織、地位や役職
ホルファート王国の第一王女。
・物語内での具体的な行動や成果
ミレーヌの指示に従い、フレーザー侯爵領へ向かった。ミアの覚醒イベントの後に自身の病状が悪化することを知りながら、ミアの治療のためにそれを隠していた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
二学期に入ってから学園で何度も倒れ、クレアーレの診断により数年しか生きられない可能性が示唆された。
ブラッド・フォウ・フィールド
国境を守る辺境伯家の出身である。ナルシストな性格で、マリーとローズという動物を可愛がっている。
・所属組織、地位や役職
フィールド辺境伯家の関係者。リオンの寄子。
・物語内での具体的な行動や成果
ジルクの交渉において、国境の貴族たちとの繋ぎ役を務めた。ラーシェルの城下町では紫色の鎧で降下し、六本のスピアを操って種の化け物を殲滅した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
城下町の民衆から神々しい騎士として崇められ、サインを求められるほど人気を得た。
ユリウス・ラファ・ホルファート
元王太子である。リオンの寄子として振る舞っている。
・所属組織、地位や役職
ホルファート王国の生徒。リオンの寄子。
・物語内での具体的な行動や成果
ラーシェルの首都強襲において、白い鎧に搭乗し仮面の騎士として出撃した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
リオンの隠し子騒動の際、リオンを兄と呼んで周囲の誤解を深めた。
ジルク・フィア・マーモリア
宮廷貴族の出身である。計算高く、交渉事に長けている。
・所属組織、地位や役職
ホルファート王国の生徒。リオンの寄子。
・物語内での具体的な行動や成果
リコルヌと宝珠を用いて、ラーシェル神聖王国の同盟国を切り崩す外交工作を行った。首都強襲時には緑色の鎧で出撃し、魔装モドキを狙撃した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
同盟国を複数離脱させることに成功し、王国への貢献を示した。
グレッグ・フォウ・セバーグ
体を鍛えることに熱心な元貴公子である。
・所属組織、地位や役職
ホルファート王国の生徒。リオンの寄子。
・物語内での具体的な行動や成果
ジルクの護衛として同盟国の切り崩し工作に同行した。首都強襲時には自身の鎧で出撃した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ジルクの過酷な指示に振り回され、帰還時には疲労困憊していた。
クリス・フィア・アークライト
宮廷貴族出身で剣術に優れる。
・所属組織、地位や役職
ホルファート王国の生徒。リオンの寄子。
・物語内での具体的な行動や成果
ジルクの護衛として外交工作に同行した。ラーシェルでの戦闘時には、鎧で出撃し魔装モドキと交戦した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
外交工作の疲労から、帰還直後に風呂を求めるほど精神を消耗していた。
カーラ
マリエに仕える専属使用人である。
・所属組織、地位や役職
マリエの専属使用人。
・物語内での具体的な行動や成果
マリエとともにフレーザー侯爵領へ同行した。リコルヌの艦橋でリビアの戦闘を見守った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
出会いを求めており、男子生徒の冷たい態度に嘆いている。
カイル
マリエに仕えるハーフエルフの専属使用人である。
・所属組織、地位や役職
マリエの専属使用人。
・物語内での具体的な行動や成果
マリエとともにフレーザー侯爵領へ同行した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
旧人類の高度な科学技術がなぜ滅んだのかについて疑問を抱いている。
エリヤ・ラファ・フレーザー
エリカの婚約者である。ぽっちゃりとした体型だが、清潔感がある。
・所属組織、地位や役職
フレーザー侯爵家の嫡男。
・物語内での具体的な行動や成果
リオンとマリエからの詰問を受けた。ラーシェルへの強襲作戦では、リオンからエリカとミアの護衛を命じられ、領地に残った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
エリカの指導により、ゲームの設定とは異なる立派な青年に成長している。
フレーザー侯爵
フレーザー侯爵家の当主である。中庭の手入れを趣味としている。
・所属組織、地位や役職
フレーザー侯爵家当主。
・物語内での具体的な行動や成果
ミレーヌやエリカを領地に歓迎し、レパルト連合王国の外交官との会談を取り仕切った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
リオンが領地に留まることで、自領の安全が確保されたと安堵した。
駐在官
敗北したファンオース公爵家を監視する役目を担う。
・所属組織、地位や役職
ホルファート王国から派遣された駐在官。
・物語内での具体的な行動や成果
ファンオース公爵家の謁見の間でヘルトルーデに退室を命じられ、抗議するも追い出された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ジルクとヘルトルーデの交渉により、戦後に引き揚げさせられる条件が提示された。
クラリス・フィア・アトリー
アトリー家令嬢であり、リオンの学園の先輩である。
・所属組織、地位や役職
アトリー家の令嬢。
・物語内での具体的な行動や成果
フレーザー領の港に自家の飛行船で現れ、リオンに王宮の内情を伝えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
王妃に反発する派閥をまとめる提案をしたが、対価を要求しようとした。
バーナード
クラリスの父親であり、王宮の大臣である。
・所属組織、地位や役職
ホルファート王国の大臣。
・物語内での具体的な行動や成果
王宮でリオンがローランドの隠し子であるという噂についてヴィンスと議論した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
過去にリオンの昇進を後押しした事実がある。
官僚
王宮で働く役人である。
・所属組織、地位や役職
ホルファート王国の官僚。
・物語内での具体的な行動や成果
ラーシェル神聖王国の降伏と軍事同盟破棄をローランドに報告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
リオンがローランドの隠し子であるという現地の噂を報告した。
お袋
リオンの母親である。
・所属組織、地位や役職
バルトファルト男爵家の妻。
・物語内での具体的な行動や成果
湖でのバーベキューに参加し、アンジェたちのビキニ姿に驚いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ドロテアの体調を気遣う様子を見せた。
フィンリー
リオンの妹である。
・所属組織、地位や役職
バルトファルト家の次女。
・物語内での具体的な行動や成果
湖でのバーベキューでワンピースタイプの水着を着用した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
リオンが用意したビキニ姿を見て、趣味が悪いと批判した。
ニックス
リオンの兄である。
・所属組織、地位や役職
バルトファルト家の長男。
・物語内での具体的な行動や成果
湖でのバーベキューで肉を焼く手伝いを行い、リオンにも手伝うよう指示した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ドロテアとの結婚が、ローズブレイド家を通じた実家の防波堤として機能している。
コリン
リオンの弟である。
・所属組織、地位や役職
バルトファルト家の三男。
・物語内での具体的な行動や成果
湖でのバーベキューでドロテアに飲み物を運んだ。ノエルを誘って湖で泳いだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特に変化は描写されていない。
ドロテア
ニックスの妻である。
・所属組織、地位や役職
バルトファルト家の長男の妻。ローズブレイド家出身。
・物語内での具体的な行動や成果
湖でのバーベキューに普段着のワンピース姿で参加し、パラソルの下で休んでいた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
バルトファルト家の家族から気を遣われている様子が描写された。
アルゼル共和国
ノエル・ジル・レスピナス
リオンの婚約者の一人である。アルゼル共和国の聖樹の巫女である。
・所属組織、地位や役職
ホルファート王国の留学生。聖樹の巫女。
・物語内での具体的な行動や成果
リコルヌの艦橋でリビアに魔力供給を行った。戦後処理の会議の場において、横柄な態度を取る神聖王の顔面を殴打した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
肩書きで威張る者を嫌う姿勢を神聖王に見せつけた。
ヴォルデノワ神聖魔法帝国
カール
ヴォルデノワ神聖魔法帝国の皇帝である。転生者であり、ミアの父親である。
・所属組織、地位や役職
ヴォルデノワ神聖魔法帝国の皇帝。
・物語内での具体的な行動や成果
お忍びでフレーザー領を訪れ、ミアの様子を見守った。戦後処理の会議に皇帝の装束で現れ、神聖王を威圧した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
帰国後、皇太子とアルカディアの反逆により暗殺された。
フィン・ルタ・ヘリング
帝国から来た留学生であり、転生者である。ミアを前世の妹と重ね合わせている。
・所属組織、地位や役職
ヴォルデノワ神聖魔法帝国の騎士。ミアの守護騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
ミアからの告白に対し、妹にしか見えないと伝えて断った。ラーシェルでの戦闘では、ブレイブとともに触手を斬り払ってアロガンツを援護した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ミアへの返答を保留し、いつか気持ちに向き合うと約束した。
ミア
乙女ゲーム第3作目の主人公である。カール皇帝の娘である。
・所属組織、地位や役職
ヴォルデノワ神聖魔法帝国の留学生。皇帝の娘。
・物語内での具体的な行動や成果
フィンに告白したが断られ、泣き崩れた。王都のダンジョンで覚醒イベントを発生させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
覚醒によって病気が完治し、魔素を取り込むことで状態が安定するようになった。
皇太子
ヴォルデノワ神聖魔法帝国の次期皇帝候補である。
・所属組織、地位や役職
ヴォルデノワ神聖魔法帝国の皇太子。
・物語内での具体的な行動や成果
武装した兵士とアルカディアを引き連れ、カールの部屋に押し入って暗殺を実行した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
父親殺しの罪悪感に苛まれ、アルカディアに今後の実権を委ねてしまった。
ラーシェル神聖王国
使者
ラーシェル神聖王国から派遣された外交官である。
・所属組織、地位や役職
ラーシェル神聖王国の使者。
・物語内での具体的な行動や成果
ホルファート王宮での謁見で、リオンのロストアイテムと婚約者の割譲を要求した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
要求が通らないことを見越し、交渉決裂を口実に戦争の準備を進めた。
神聖王
ラーシェル神聖王国の国王である。他国を見下す傲慢な性格である。
・所属組織、地位や役職
ラーシェル神聖王国の国王。
・物語内での具体的な行動や成果
戦力を首都に集結させて引きこもる戦略をとった。リコルヌによる強襲を受け、秘密通路から逃亡を図るも捕縛された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
会議の場でカール皇帝の正体を知り、戦意を喪失した。
宰相
神聖王の側近である。
・所属組織、地位や役職
ラーシェル神聖王国の宰相。
・物語内での具体的な行動や成果
神聖王に他国の動向を報告し、帝国の参戦を期待して首都防衛を提案した。戦後会議でホルファート王国に賠償金を要求した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
カール皇帝の登場により、その目論見は完全に崩れ去った。
親衛隊の騎士
神聖王を守る騎士である。
・所属組織、地位や役職
ラーシェル神聖王国の親衛隊。
・物語内での具体的な行動や成果
ホルファート王国の飛行戦艦二隻が首都に接近していることを神聖王に報告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特に変化は描写されていない。
レパルト連合王国
イバン・スーレ・スキーラ
レパルト連合王国から派遣された外交官である。女性好きである。
・所属組織、地位や役職
レパルト連合王国の外交官。
・物語内での具体的な行動や成果
フレーザー侯爵家での会談に出席し、ラーシェルが首都防衛に専念している情報を伝えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ミレーヌとリオンの親密な様子を目撃し、リオンを百戦錬磨の女誑しと評価した。
旧ファンオース公国(ファンオース公爵家)
ヘルトルーデ・セラ・ファンオース
ファンオース公爵代理である。王国への反逆には消極的である。
・所属組織、地位や役職
ファンオース公爵代理。
・物語内での具体的な行動や成果
ジルクとの交渉において、宝珠二つと引き換えにラーシェルに与しないことを約束した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
王国が領主貴族の切り捨てを計画しているという情報を、ジルクを通じてリオンに提供した。
小国
小国の大臣
ラーシェルと同盟を結んだ小国の大臣である。
・所属組織、地位や役職
小国の大臣。
・物語内での具体的な行動や成果
ジルクたちとの会談において、最初は強気な態度をとったが、宝珠の提供と武力による威圧を受けて寝返りを決断した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特に変化は描写されていない。
人工知能・魔装・その他
クレアーレ
旧人類の科学技術で作られた人工知能である。陽気な性格をしている。
・所属組織、地位や役職
リオンをマスターとする人工知能。
・物語内での具体的な行動や成果
リコルヌを操縦し、多銃身機銃を使用して魔装モドキを迎撃した。ミアとエリカの身体をカプセルで検査した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
エリカの旧人類としての特徴に興味を持ち、旧人類復活の研究を進めようとしている。
ルクシオン
リオンの相棒である人工知能である。生真面目で理屈っぽい。
・所属組織、地位や役職
リオンをマスターとする人工知能。
・物語内での具体的な行動や成果
アロガンツの装備を空中で水中戦仕様に換装させた。湖の底で魔装の解析を行い、弱点である農薬を提案した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
エリカの病状悪化に対し、コールドスリープによる延命を提案した。
ブレイブ
フィンの相棒である魔装のコアである。ルクシオンとは仲が悪い。
・所属組織、地位や役職
フィンの相棒。
・物語内での具体的な行動や成果
湖の底から魔装の強い反応を感知し、リオンに報告した。フィンとともに魔装の触手と交戦した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
マリエから気持ち悪いと言われ、ショックで涙を流した。
ローズ
ブラッドが可愛がっている動物(白い鳩)である。
・所属組織、地位や役職
ブラッドのペット。
・物語内での具体的な行動や成果
過酷な外交交渉を終えたブラッドから餌をもらって癒やしを与えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特に変化は描写されていない。
マリー
ブラッドが可愛がっている動物(兎)である。
・所属組織、地位や役職
ブラッドのペット。
・物語内での具体的な行動や成果
外交交渉から帰還したブラッドから餌をもらった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特に変化は描写されていない。
アルカディア
エピローグで目覚めた魔法生物である。ブレイブに似た刺々しい姿をしている。
・所属組織、地位や役職
海底で目覚めた魔法生物。
・物語内での具体的な行動や成果
皇太子を唆してカール皇帝を暗殺させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
皇太子に代わって帝国の実権を掌握しようと目論んでいる。
モブせか 10巻レビュー
モブせか まとめ
モブせか 12巻レビュー
展開まとめ
プロローグ
夏期休暇前の学園とリオンの立場
夏期休暇を前に学園は浮ついた雰囲気に包まれていたが、リオン・フォウ・バルトファルトは学生でありながら公爵位を持つ身として国政に駆り出され、王宮へ向かう準備を進めていた。勲章を付ける手伝いをするリビアと会話を交わしつつ、国王ローランドへの不満を隠さず、重い責務への辟易を見せていた。
リビアとのやり取りと人工知能の介入
身支度を終えたリオンは、リビアとの軽妙なやり取りから一転して親密な雰囲気になるが、人工知能クレアーレの無遠慮な介入により場は騒がしくなる。それでもリビアは気持ちを伝え、二人は互いの想いを確かめ合うに至った。
マリエとルクシオンの状況整理
一方、学園の女子寮ではマリエ・フォウ・ラーファンが、兄リオンが不在のまま情勢が進むことに苛立っていた。相棒ルクシオンは冷静に状況を分析し、ラーシェル神聖王国が盟主となる軍事的圧力が迫っている事実を伝え、緊張感を高めていた。
王宮での謁見と過激な要求
王宮の謁見の間では、ラーシェル神聖王国の使者が現れ、リオンを外道騎士と呼び、ロストアイテムや婚約者の引き渡しを要求した。その傲慢な主張に貴族たちは反発し、場は騒然となった。
対立の構図と戦争の影
王妃ミレーヌは使者の意図を見抜き、交渉が形だけのものであると断じた。ラーシェルを盟主とする包囲網が示される中、国境を守る貴族たちへの負担が問題として浮かび上がった。
ミレーヌの示す新たな策
戦争を避けたいリオンの意向を受け、ミレーヌは周辺情勢と帝国の存在を踏まえた上で、別の解決策を提示する。そして、リオンに自身とエリカを伴いフレーザー侯爵領へ向かうよう命じ、事態は新たな局面へ進もうとしていた。
第1話 「国境へ」
港での合流とカールの目的
ホルファート王国の港に到着したカールは、外道騎士と呼ばれるリオンを見定めるために来訪していた。そこへフィンとミアが現れ、手をつないでいたことでカールは不機嫌になったが、ミアの笑顔には即座に態度を整えた。口論になりかけた両者はミアに諫められ、カールはフィンとブレイブに小声で来訪理由は見定めだと告げた。
婚約者たちとの状況整理とフレーザー領への命令
リオンは学生寮に戻り、ノエル・ジル・レスピナス、アンジェリカ・ラファ・レッドグレイブ、リビアに謁見の要求内容が受け入れ難いものであったと共有した後、国からフレーザー領へ向かう正式依頼が来ると伝えた。アンジェリカは国境に最強戦力を置く采配が他国境の不安を招く点や、いざとなればリオンが前線に立つ危険を指摘したが、リオンはミレーヌが攻め込ませる意図はないと述べた。これにアンジェリカは、ラーシェルを憎むミレーヌが滅ぼす好機を避けること自体を不審に感じ、空気が張り詰めた。
ミレーヌの決定とエリカへの輿入れ命令
王宮ではエリカ・ラファ・ホルファートがミレーヌに呼び出され、フレーザー家へ向かい、場合によってはそのまま輿入れするよう命じられた。ミレーヌは、戦争が始まるからこそ王家がフレーザー家を見捨てない姿勢を示す必要があると説明し、移動にはリオンのアインホルン級二隻を用いると断じ、異議を許さなかった。
放課後の決断と同行者の追加
教室でリオンはフィンとミアの検査計画が崩れることを受け、フィンとミアも同行する案を出した。フィンは悩んだ末に同行を決め、さらにミアにとって足長おじさんのような客人も連れて行きたいと告げ、詳細は言えないが迷惑はかからないと思うと曖昧に説明した。
軍港での出航準備とマリエ一行の押しかけ
軍港ではアインホルンとリコルヌに荷物が積み込まれ、軍人は王族の移動に新型飛行船を使うことへ不満を漏らした。そこへマリエ、カーラ、カイル、ブラッド・フォウ・フィールド、ユリウス・ラファ・ホルファート、ジルク・フィア・マーモリア、グレッグ・フォウ・セバーグらが現れ、寄子として同行すると主張して騒がしくなった。マリエはリコルヌへ向かったが騎士に止められ、リオンは二隻でラーシェルを封じ込めるとだけ答え、周囲には不可解さが残った。
エリヤの登場と衝突
出航間際、学園制服のエリヤ・ラファ・フレーザーが駆けつけて同行を申し出た。リオンは名を聞いた直後、エリカの婚約者であることを理由に強く拒絶し、エリヤは困惑して反発し、波乱のまま旅立ちの気配が強まった。
第2話 「フレーザー侯爵家」
出航直後の尋問とエリヤ評価の空振り
アインホルンとリコルヌがフレーザー侯爵領へ向けて出航し、アインホルンの談話室でリオンとマリエはエリヤを呼び出して婚約者としての資質を詰問した。マリエはゲーム知識から「本来のエリヤ像」と現実のエリヤの違いを挙げ、見た目や素行の悪材料が見つからないことに焦りを見せた。エリヤは心配して声をかけるが、リオンとマリエは負け惜しみだけを残して退室し、エリヤは取り残された。
ノエルの指摘とリオンの論点整理
夜、ノエル・ジル・レスピナスはリオンの行動を「本人同士の意思確認が先」と指摘し、エリカとエリヤが納得しているなら外野の介入は迷惑になり得ると釘を刺した。さらに、マリエも含めてエリカの結婚に過敏になっている点を不自然だと述べ、アンジェリカとリビアも気にしていると伝えた。リオンはエリカの本音を引き出す必要を感じつつ、破談が政治に与える影響も理解して葛藤した。
リコルヌ側での対決とミレーヌの“封じ込め”説明
リコルヌの談話室ではアンジェリカがミレーヌに、リオンを国境へ固定配置する采配の意図を問い詰めた。ミレーヌはリオンの精神的負担を持ち出し、フレーザー家を安心させる意味合いが強いと説明し、ラーシェルはリオンがいる限り無闇に攻め込めないと見立てた。ミレーヌは「今回は公爵に負担はかけない」と約束しつつ、勝利の必要性を断言し、アンジェリカは反論の糸口を失った。
フレーザー家の軍港到着と会談の即時開始
フレーザー家の小さな浮島に入港すると、侯爵家兵士たちはアインホルンを好意的に迎え、ルクシオンは補給物資の受け渡し完了を報告した。そこにはフィン、ミア、カールもおり、ルクシオンは魔装関係者への不信を示すが、リオンは敵ではないと退けた。ミレーヌとエリカが下船し、フレーザー侯爵は歓迎を述べる一方、レパルト連合王国の外交官が既に到着していると告げ、会談は前倒しで開始された。
レパルト外交官の登場と“ラーシェルは首都防衛”の報告
会議室にはフレーザー側と、レパルト連合王国の外交官が同席していた。外交官はミレーヌと旧知らしく軽口を交わした後、連合王国はラーシェル盟主の軍事同盟には参加しないと明言し、王国が危機を跳ね返せるかを確認した。ミレーヌは国境に切り札を置いたと述べ、外交官はバルトファルト公爵の配置を察して納得する。さらに外交官は、ラーシェルが飛行戦艦を首都に集結させ「首都の守りを固めている」と報告し、ミレーヌはそれをリオンへの恐れから全戦力で引きこもる動きだと結論づけた。
“封じ込め成功”の空気とミレーヌの作り笑い
フレーザー侯爵はリオンの存在で領地が攻められないと興奮し、ラーシェルを封じ込めれば勝利に終わると楽観した。外交官もミレーヌを称え、レパルトとホルファートの安泰を口にしたが、ミレーヌの笑みは作り物めいて見え、表向きの順調さの裏に別の含みを残した。
第3話 「ミレーヌの陰謀」
応接室での腹合わせと“国境にいる”演出
会談後、ミレーヌは応接室でレパルト連合王国の外交官イバン・スーレ・スキーラと二人で話した。イバンはアインホルン級の三隻目の有無を確認し、ミレーヌは未確認だと即答したうえで、ラーシェルがバルトファルト公爵が国境にいると信じれば十分だと整理した。イバンはリオンがミレーヌに夢中だという噂を持ち出し、ミレーヌは噂だと流しつつ婚約者たちの存在を挙げたが、内心で胸の痛みを覚えた。さらにイバンが他国境の不満を懸念すると、ミレーヌは他国境が苦境に立つ方が王国に都合が良いと断言し、イバンはその冷徹さを評した。
談話室での危機共有と“見捨てられた国境”の連鎖
談話室にはリオン、婚約者三人、マリエ一行、フィンが集まり、ブラッドが今回の配置の危険性を強く訴えた。ブラッドは、リオンが動かないと知れば敵が全力で一斉に攻め込み、増援が回らないと説明したうえで、見捨てられたと思った国境の貴族から裏切り者が出ると断言した。国境貴族が敵国と独自のパイプを持つ話も出て、捕虜交換など交渉上の必要が語られた。ユリウスはミレーヌの判断の意図を問題視し、ジルクは王妃の祖国レパルトの立場を踏まえ、祖国優先で王国の被害を厭わない可能性まで言及し、場の空気を悪化させた。
腹の音で崩壊する会議とジルク拘束
緊迫した議論の最中、マリエの腹の音が響き、場の空気が一気に崩れた。ユリウスは串焼きを作りに飛び出し、ブラッドは菓子を用意しに走り、クリスは風呂を磨きに行き、グレッグも鶏肉を用意しに出て行き、マリエは呆然とした。ジルクも紅茶を入れに行こうとしたが、アンジェリカが襟を掴んで引き留め、平手打ちで床に倒したうえで説明を迫った。最終的にマリエが命令するとジルクは折れ、裏切り回避の方法としてリオンの船と宝珠を交渉材料に使い、ラーシェル以外の国と交渉すると提案した。ジルクは護衛にグレッグとクリス、相談役にブラッドの同行も求め、リオンは準備を引き受け、ルクシオンはリコルヌの発進準備へ動いた。
翌朝の出港で露見した“計画外”とミレーヌの焦り
翌朝、ミレーヌはリコルヌが港を出たという知らせを受け、フレーザー家の城内を急いでアンジェリカのいる部屋へ向かった。ミレーヌは二隻が必要だと事前に伝えていたため激しく責めたが、アンジェリカはリオンの判断であり正しいと考えて止めなかったと述べた。ミレーヌは公爵本人が城にいると確認すると、レパルト外交官とフレーザー侯爵には自分が説明すると言って去り、リオンの甘さを見誤ったと内心で悔いた。
客室でのカールとフィンの応酬
フレーザー家の客室では、カールが使用人向けの部屋を宛てがわれて不満を抱き、フィンがそれをからかった。カールは外道騎士の様子を尋ね、フィンはリオンが戦争回避を図っており、噂ほど悪い人物には思えず友達だと語った。カールは判断は自分の仕事だと述べつつ、ミアの様子を尋ね、ミアは王女たちと観光に出て黒助が側にいると聞いて安堵した。フィンは学園で友達が増えてミアが楽しそうだと話し、王女が転生者であることに驚いたと述べ、カールも手紙で知って驚いたと返した。
第4話 「神聖王の思惑」
白の都の舞台裏と神聖王の素顔
ラーシェル神聖王国の首都「白の郡」では、白亜の城を中心に城下町が密集し、城だけが白く輝いていた。神聖王は肥満体型の白髪白髭の老人で、謁見の間ではホルファート王国の使者の報告を受け、貴族の罵声を制して戦いの準備を宣言した。だが控え室では王冠も衣装も脱ぎ捨て下着姿で美女に世話をさせ、宰相から報告を受ける現実的な態度に切り替えた。
ミレーヌとリオンへの評価と“動かない”戦略
宰相は、ミレーヌがフレーザー領に王女を連れて入り、外道騎士リオンと飛行戦艦二隻を伴っていると報告した。神聖王はミレーヌが短絡的に攻め込ませないと見ており、ローランドの動きが見えない点を不気味がる宰相ともども、注視対象をリオンに置いた。間者はリオンがミレーヌの指示に従って待機していると伝え、噂の恋慕も事実らしいとされた。神聖王と宰相はミレーヌを敵として警戒しつつ、同盟国からの出陣要請は断り、外道騎士を食い止めている体裁を作って首都防衛を続ける方針を確認した。
帝国参戦を誘う算段と“世界を敵にする”発想
神聖王は、ホルファートがラーシェルを正面から攻めれば帝国が動くと読み、ミレーヌがその口実を作らないと“信頼”していた。宰相も、帝国が動けば多くの国がホルファートのロストアイテムを危険視して参戦し得ると見立てた。神聖王は「勝敗を戦争でつける必要はない」とし、リオンが強すぎるなら他国と協力してあらゆる手段で苦しめればよいと語った。魔石輸入などホルファート側の弱点にも触れつつ、ラーシェルは動かず、帝国が動く展開を待つのが最善だと結論づけた。
フレーザー領観光とエリカの“選択”
フレーザー領ではエリヤの案内で湖の観光地を訪れ、上空の小さな浮島が湖水を吸い上げる「水の柱」を一同が見物した。ノエルはボート遊びを提案し、リオンは同意し、アンジェリカとリビアが順番を主張して牽制した。岸ではエリカがマリエに、婚約と結婚は受け入れているので邪魔をしないでほしいと告げた。マリエはエリカに幸せを望んで涙を流すが、エリカは王女として自由が利かない現実を語り、エリヤを「自分好みに育てる」発想も示した。マリエは納得し、エリヤに努力を促して二人の関係を認める方向へ傾いた。
ボート上の告白めいた警告とミレーヌとの対立予感
ボートではアンジェリカが、ミレーヌは祖国・王国、ひいては王家の盤石化のためにリオンを利用していると見立てた。リコルヌ出航へのミレーヌの怒りにも触れ、今後ミレーヌとリオンの目指す場所は違い、いずれ衝突すると警告した。リオンは争いたくないと返し、アンジェリカはミレーヌは手強い相手だと釘を刺し、水をすくってリオンの顔にかけて会話を締めた。
リコルヌの交渉開始とジルクの脅迫外交
その頃リコルヌは一度バルトファルト男爵領で宝珠を回収し、軍事同盟側の小国へ向かった。ジルクはグレッグ、クリス、ブラッドを伴い、まず大臣との事務交渉に入り、相手の侮辱にも笑顔で応対したうえで「開戦すればリオンが最初にこの国を滅ぼす」と脅しを切り出した。続けて宝珠を提示し、それが大量の魔石に等しい魔力を持つと説明し、寝返るなら譲る、拒むなら開戦と同時に攻め込まれると迫った。
成功の後味とクレアーレの不穏な“実験”
交渉後、食堂で四人は成功を確認し、ジルクはアインホルン級の威圧とリオンの名、宝珠という手土産が効いたと種明かしした。宝珠を配るのは最大でも三国までとし、その後は寝返りの事実を流せば連鎖すると見通した。そこへクレアーレが介入し、ジルクを「有能な屑」と評しつつ、交渉成功で実験対象にしなくて済んだと告げたうえ、性転換を試した後の次の実験準備をしていたと語り、ジルクらは青ざめた。
第5話 「ファンオース公爵代理」
ファンオース城での対面と“追い出し”の芝居
ジルク一行はファンオース公爵家の城で、公爵代理ヘルトルーデ・セラ・ファンオースと面会した。ヘルトルーデは玉座だった椅子にだらしなく座り、ジルクの「王国のため」という建前を即座に否定したうえで、駐在官や貴族たちに退室を命じた。駐在官が反発しても、ヘルトルーデは命令を撤回せず、結果として謁見の間にはジルクたちだけが残った。
態度の反転と“協力の値段”の提示
人払いが済むとヘルトルーデは姿勢を正し、来訪を歓迎する態度へ切り替えた。国内には「王国を滅ぼす」と騒ぐ者もいるが、自身はリオンの実力を評価していると語りつつ、協力はタダではないと突きつけた。ラーシェルから同盟参加の誘いが届いており、条件が良いため貴族たちはそちら支持だとも説明した。
無茶な要求で揺さぶり、現実路線で落とす
ヘルトルーデは独立、資金、軍事力、アインホルン級三隻、他の飛行戦艦百隻、補給込みと要求し、ブラッドが「ふっかけすぎ」と反発した。ヘルトルーデは、敵に回せばフィールド辺境伯が張り付き、他戦線の支援が疎かになると示して揺さぶりをかけた。ジルクが「冗談だ」と返すと、ヘルトルーデは部下や国内の強硬論を認めつつ、自身は今更戦っても勝てないなら国内発展を優先したいと述べ、王国との全面衝突には乗り気ではない姿勢を見せた。
宝珠・戦艦・駐在官を交渉札にして“最低限の不寝返り”へ
ヘルトルーデは、小国交渉で宝珠を配った話を挙げ、ファンオース家にも用意するよう求めた。さらに国境貴族がファンオース家に接触し、ラーシェルとも交渉しているという情報を示し、タダで味方になれは都合が良すぎると迫った。ジルクは宝珠を用意すると言うが、ヘルトルーデは最低三つ、加えて接収された飛行戦艦の返却、駐在官の引き揚げを要求した。ジルクは宝珠が残り二つであること、戦艦接収は王宮の管轄で勝手に返せないこと、駐在官も自分の権限では動かせないことを告げ、ヘルトルーデは「やはり独断ではない」と突いた。最終的にヘルトルーデは宝珠二つで“寝返らない”と約束し、戦艦と駐在官は戦い後にどうにかするよう条件を残して合意した。
深夜の急報と“王宮が切り捨てる”疑惑
その後、ジルクからリオンへ通信が入り、王宮が国境や地方の貴族を切り捨てるつもりだという情報が伝えられた。内容は「今回の戦いを利用して裏切る領主貴族を滅ぼすつもり」というもので、ジルク自身も想定以上だと受け止めた。情報源はヘルトルーデからの“プレゼント”だとされ、ジルクは裏取りが不十分だが可能性は高いと述べ、ブラッドも否定できないと言った。リオンは同盟切り崩しは予定通り継続させ、自身は王宮側の情報収集を進める方針を取った。
情報網の総動員とルクシオンの現場仕事
リオンはクラリスの実家アトリー家を頼る案を出し、ジルクは対価を懸念しつつも状況的に有効だと認めた。ルクシオンは情報精度の問題を指摘し、ローズブレイド家やドミニク・フォウ・モットレイ伯爵の名も挙げた。ルクシオンはラーシェルの情報収集に加えて、エリカとミアの身体調査もあると述べ、リオンは手紙を出すなどして伝手を総動員する流れになった。
ミアの“お誘い”と湖での急転
翌朝、ミアはフレーザー城の食堂でフィン、ブレイブ、カールと朝食を取り、病気治療が控えていると話した。ミアはフィンを誘い、二人は湖の観光地で天然の噴水を眺め、ボートに乗ることになった。フィンはミアを「お姫様」として扱う発言をし、ブレイブは前の席を希望し、三人でボートへ向かった。遠くからカールは双眼鏡で様子を見張り、そこへリオンが現れて会話を交わしたが、直後にミアが泣きながらボートを降りて走り去り、フィンが立ち尽くし、ブレイブが追いかける状況が発生した。
告白の失恋とエリカの抱擁
城に戻ったミアは部屋にこもり、エリカが訪ねて話を聞いた。ミアはフィンに告白したが、フィンから「妹にしか見えない」と告げられたと泣きながら訴えた。ブレイブはフィンの気持ちを説明しようとして言葉に詰まり、エリカはミアの背中をさすり、自分から告白したことを称えた。ミアはエリカに抱きついて大声で泣き、エリカは抱きしめて慰め続けた。
第6話 「前世の妹」
深夜の談話室での糾弾
深夜、談話室でマリエはフィンを怒鳴りつけ、ミアの告白を断った理由を問い詰めた。フィンは落ち込みつつ「恋人にはなれない」と言い、リオンが“モブだから”説を口にすると否定した。ルクシオンはリオンの外した推測を責め、マリエもリオンの「モブ」こだわりを揶揄し、フィンは自分がミアに相応しくないとしながらも、恋人になれない点だけは譲らなかった。
フィンの理由は“妹”であること
フィンは「ミアは妹だ」と告げ、前世の妹の話を始めた。前世の妹は病気で長く入院しており、青年はバイト代で携帯ゲームのソフトを買って渡していた。妹は学園で男の子と仲良くなる乙女ゲームを何周も遊び、シリーズ新作を望んだ理由として「学校に通った気分になれるから」と口にした。青年は妹の「外に出て遊べるか」「学校に行けるか」という問いに「きっとできる」と言い、希望を持たせた。
発売日に間に合わなかった記憶
フィンは、妹が楽しみにしていたソフトを買って病院へ向かう途中で病院から連絡が入り、急いだが間に合わなかったと語った。ブレイブは涙をこぼし、フィンは苦しそうに胸を掴んだ。フィンはミアが妹によく似ているため、生まれ変わりではないかと感じたこと、出会った頃の元気な姿を見て救われたように思ったことを話し、謎の病気で苦しむ現状を許せないと訴えた。フィンはミアのためなら命も懸けると言いながらも、恋人として見ることはできないと結論づけた。
マリエの断罪と“自己満足”の指摘
マリエはフィンの前世話を「気持ち悪い」と切り捨て、ミアは妹ではないと突きつけた。さらに、検査のためにミアがカプセルに入る予定を知りながら余計な問題を起こしたと責め、「助けられなかった妹の代わりにミアを可愛がっているだけ」と言い放った。フィンは反発しかけるが怒りを抑え、ブレイブがフィンの前に出て庇った。マリエはブレイブに「キモ〜い」と言い、ブレイブは涙を流して床に落ちた。
フィンの決意と兄妹喧嘩
フィンはブレイブを拾い上げ「ミアの所へ行き、ちゃんと話をしたい」と言って部屋を出た。リオンはマリエに言い過ぎだと苦言を呈するが、言い返しの流れでマリエの肘打ちを腹に受け、痛みで床に膝をついた。マリエは「兄を異性として見られない」と言い、リオンも生活費の話を持ち出して応酬した。ルクシオンは二人を見て「成長がない」と評した。
ミレーヌの部屋での対立と国家観
夜、ミレーヌの部屋にアンジェリカ、ユリウス、エリカが現れ、王宮が領主貴族の力を削ごうとしている真意を問うた。ミレーヌはそれを王国の従来方針だと述べ、王族は数十年先を見ろと突き放した。地方領主は利益優先の気質を持ち、王国にとって潜在的な敵であるとし、軍事力を失った今は裏切りの危険が高いと説明した。独立が相次げば戦争が激化し民も徴兵されると述べ、短期被害を容認してでも長期の火種を潰す考えを示した。
“勝ちすぎない”戦争設計とラーシェル壊滅の狙い
ミレーヌは完全勝利は悪手で、勝ちすぎれば注視する国々や帝国が危機感を抱くと語った。被害を出しつつギリギリの勝利を演出し、多国を安心させたうえで交渉優位の和平を目指すと説明した。その一方で、戦争終結間近にラーシェルへ攻勢をかけ滅ぼし、盟主国を失った軍事同盟を崩して個別和平に持ち込む構想を明かした。アンジェリカが「リオンを利用するのか」と詰め寄ると、ミレーヌは貴族としてやり遂げさせると返し、個人感情は国家の前で無意味だと断じた。
エリカ婚約の不成立を“原因”として突きつける
ミレーヌは、エリカがリオンと結婚していればここまでしなかったと述べ、二人の子がルクシオンを継ぎ王家に新しい力を与える未来を想定していたと語った。ユリウスは代案としてリオンとアンジェリカの子を王族に迎える案を口にするが、ミレーヌは「自分たちは我を通したのに子に政略を強いるのか」と嘲笑し、信用できないと切り捨てた。最後にミレーヌは、行動の責任は自分たちで取れ、強すぎる力は世界に影響を持つと公爵にも伝えろと告げた。
第7話 「女誑し」
クラリス来訪と“二人きり”要求
フレーザー領の港にアトリー家の飛行船が到着し、クラリス・フィア・アトリーが甲板からリオンに手を振った。リオンは手紙で近況を尋ねただけのつもりだったが、クラリスは自ら来たと語り、重要な話のため「誰にも邪魔されない場所で二人きり」を求めた。場所はアインホルン船内が選ばれ、ルクシオンも同席する形となった。
王宮の内情と“切り捨て”方針の確認
談話室でクラリスは、王宮が領主貴族の大半を切り捨てる方針で動いていると述べた。父で大臣のバーナードは反対したが王妃ミレーヌに押し切られたとされ、ミレーヌがレパルト出身でラーシェルへの恨みを持つ点も語られた。クラリスは陛下ローランドも反対していたと話し、結果として押し切られた流れが示された。
クラリスの“対価”と婚約者の乱入
クラリスは王宮内の反対派をまとめられると提案し、領主貴族を見捨てずに済む可能性を示したが、そのためには対価が必要だと含みを持たせた。距離を詰めた直後、ルクシオンがアンジェリカの来訪を告げ、アンジェリカが乱暴に扉を開けて踏み込んだ。クラリスは舌打ちして距離を取り、アンジェリカと険悪な応酬を始めた。遅れてリビアとノエルも追い付き、ルクシオンが知らせたことがリオンに明かされた。
王位を狙える状況と寝返り準備の手紙
休憩後、クラリスは王妃への反発が王宮内に存在し、焦って強引に進めたため不満が増えていると説明した。アンジェリカは「潜在的な敵を排除し王家の地位を盤石にする狙い」と推測し、クラリスも王家がリオンに依存する構図が格好悪い点を指摘した。クラリスは「今のリオンは王になりたいと言えば叶う」と述べ、貴族が忠誠を誓い得る状況を示す。ローテーブルにはローズブレイド伯爵家、モットレイ伯爵家などの家紋入りの手紙が並び、アンジェリカが内容を確認すると、戦争が始まれば寝返り領主が敵を案内する準備をしていると語った。リビアは「見捨てられたと思ったのか」と問うが、クラリスは「見捨てたのだ」と言い切った。
実家への接触とローズブレイド家の防波堤
アンジェリカは手紙から、バルトファルト男爵家を通じてリオンの説得を試みる動きがあり、既に使者が来ていると伝えた。ローズブレイド家が間に入って面会を断っていることも語られ、ニックスとドロテアの結婚が結果的に実家の防波堤になっていると評価された。さらに、手紙の差出人がディアドリーであることが示され、アンジェリカはその手紙を握りつぶして投げ捨て、リオンに「見なくていい」と遮断した。
リオンの方針転換とミレーヌへの直談判
ノエルに方針を問われたリオンは、ミレーヌを説得し、フィンにも相談すると決めた。直後、廊下でミレーヌは中庭で女性と楽しげに話す外交官イバンを見て「軽薄」と評し、時の流れを感じて表情を硬くした。そこへリオンが土産を持って現れ、お茶に誘う。ミレーヌは用事を理由に断ろうとするが、ルクシオンが次の予定が三時間後だと指摘し、リオンは悲しげな顔を見せた。ミレーヌは折れて「少しだけ付き合う」と応じ、メイドに休むよう命じた。
“傲慢”を受け入れて押し切る交渉
部屋でミレーヌは、リオンが用件を持って誘ったことを見抜き、リオンは国が荒れるのが嫌で短期間で終わらせたいと切り出した。ミレーヌは帝国の存在や強者への恐れを挙げ、戦うつもりがなくても相手がそうとは限らないと釘を刺した。リオンは同盟の切り崩しが進んでいること、ファンオースが寝返らない約束をしたことを告げ、味方を巻き込むやり方は嫌だと主張した。ミレーヌは「力ある者の傲慢」と評するが、リオンは傲慢で構わないとして、自分のやり方で終わらせると宣言した。ミレーヌは「今の王家は逆らえない」と受け入れ、リオンは他国参戦を避ける意図を示した。
ミレーヌの本音とリオンの“口説き”
ミレーヌは「力があればもっと好きに生きられた」と漏らし、エリカをリオンに嫁がせたかった本心を語った。リオンはエリカではなくミレーヌの方がいいと言い、結婚するならミレーヌを選ぶとまで踏み込んだ。ミレーヌは顔を赤くして動揺し、リオンを「酷い男性」と評した。
イバンの誤読と“女誑し”認定
廊下で待機していたミレーヌ付きのメイドから事情を聞いたイバンは、ミレーヌがリオンを説得する機会だと期待していた。しかし扉が開くと、リオンはミレーヌの片手を両手で握り「全て片付ける」「吉報を待て」と告げ、ミレーヌは頬を赤く染めて視線を合わせられない様子を見せた。女性の機微に聡いイバンは、その空気からミレーヌが籠絡されたと察し、リオンを“百戦錬磨の女誑し”として畏怖し、独り言で「籠絡されたのがミレーヌだったか」と呟いた。
第8話 「殴られる前に殴れ」
エリカの追及とリオンの雑な宣言
朝、エリカはミレーヌが方針変更したことに驚き、廊下でリオンに説得内容を問い詰めた。リオンは「任せてくださいと言っただけ」と繰り返し、マリエは舌打ちして信用しなかった。エリカが戦争終結の方法を問うと、リオンは「ラーシェルに乗り込んで神聖王を一発ぶん殴る」と即答し、エリカは絶句した。マリエは「こういう時の兄貴は解決する」と経験則で受け止め、リオンはルクシオン頼みを公言して押し切った。
ミレーヌの謝罪と“母としての本音”
自室へ戻る途中のエリカは廊下でミレーヌと遭遇し、ぎこちない態度に違和感を覚えた。ミレーヌはメイドを下がらせ、柱の陰でエリカに謝罪した。戦争方針だけでなく、リオンと結ばせることがエリカの幸せだと思い込んでいた点も誤りだったと認め、政略結婚の中でも幸せを掴んでほしかったと本音を語った。エリカは立場の苦労を理解して責めず、ミレーヌは涙を拭いながら、素直で優しい娘に育ったことを喜んだ。
湖畔での“皇帝バレ”と牽制交渉
観光地の湖でリオンはベンチに座るカールに話しかけ、皇帝陛下だと見抜いたと告げたうえで、ラーシェルに殴り込む件を「今回は見逃してほしい」と頼んだ。カールは「一国を滅ぼす力を行使する者は見逃せない」と牽制しつつ、平和的に解決できるなら見逃す余地があると示した。帝国ではリオンが危険視されていたこと、そしてラーシェルに対して帝国側も面倒を押しつけられている不満があることが語られた。リオンは「城が吹き飛んでも国が残ればセーフ」などと線引きを探り、カールは性格の悪さを指摘しつつも、やり過ぎれば帝国が王国を敵認定すると警告した。
ジルク帰還と“苦労の割に無駄感”
数日後、リコルヌがフレーザー領に戻り、各国を回っていたジルク一行が帰還した。ユリウスは同盟離脱国が増えたと喜び、ジルクはリコルヌと宝珠を用意したリオンの功も挙げた。一方でブラッド、グレッグ、クリスは疲弊しており、ブラッドは鳩と兎に癒やしを求め、グレッグは座り込み、クリスは目のハイライトが消えた状態で風呂を求めた。リオンがジルクを問い詰めると、ジルクは「少し冒険をした」とだけ述べ、詳細は濁した。リオンが「ラーシェルに一発かます」と宣言すると、ジルクは苦労の意味を問い、ブラッドら三人は膝から崩れて泣き出した。リオンはユリウスに留守番を命じ、ユリウスは王子としての立場を理由に受け入れた。
アインホルン作戦室と“殴って交渉”作戦の提示
アインホルンの作戦室では円卓の中央に水晶が浮かび、白の都の立体映像が投影された。参加者はアンジェリカ、リビア、ノエル、マリエらに加え、フィンとカール、そしてミレーヌも招かれた。リオンは白の都の城を指し、城にあるという魔装の破壊を作戦目標として提示した。ルクシオンとクレアーレは魔装破壊に強く賛同し、ブレイブはそれを冷ややかに見た。リオンは神聖王に面会し「拳を叩き込んでから話し合い」と述べ、ルクシオンはそれを脅迫だと突っ込んだ。
権限・戦力・国内事情の壁と“援軍”の確定
ブラッドは交渉には全権委任が必要だと指摘し、グレッグは国境領主が寝返り準備に入っている現実を示した。ユリウスも王子の立場では交渉権がないと述べ、ミレーヌは「その聡明さをもっと早く発揮できなかったのか」と涙を拭った。さらにクリスは飛行船が二隻しかない点、グレッグは魔装や魔装モドキへの対抗を問題視した。ここでカールがフィンに協力を促し、自身も同行を表明した。リオンは戦争回避と被害最小化を明言し、カールはその方針なら手を貸すとした。ミレーヌも同行し、交渉の正当性で王宮の役人を黙らせる役を引き受けた。条件が整ったことで、ルクシオンは作戦実行可能と判断し、リオンは「迷惑なラーシェルをぶん殴りに行く」と宣言した。
第9話「白鯨」
ミレーヌの出発とイバンの抵抗
フレーザー家の城内で、出発準備に追われるミレーヌをイバンが追いすがった。イバンは当初の計画どおりラーシェルを追い詰める約束を持ち出し、ホルファートの被害を無視して滅ぼし、疲弊したホルファートではなくレパルトが戦後処理を担う想定だったと訴えた。ミレーヌはリオンの「短期で被害最小」という方針を受け入れ、ラーシェルの切り札だけは排除すると断言し、理由の詳細は明かさずに本国へ伝達するよう命じた。
フィンとミアの和解未満の約束
フィンはブレイブとカールを伴い、ミアの部屋を訪れた。返事のない扉越しに協力参加と検査予定を伝え、去ろうとしたところでミアが応じた。ミアは「戻ってくれるか」「嫌いになっていないか」と確かめ、フィンは今も一番大事だと断言して抱きしめた。ミアは好意が返らなくてもよいと告げ、フィンは今すぐ答えは出せないが、いつか気持ちに向き合うと約束し、ミアは泣きながら待つと返した。カールは怒りを抱えつつも、ブレイブが口を塞いで二人の時間を守った。
エリヤの志願と“残れ”という任務
軍港でアインホルンとリコルヌに物資が積まれる中、エリヤは戦争参加を申し出た。リオンはフレーザー家嫡男の責任を理由に拒否するが、エリヤはエリカに相応しい男になりたいと訴え、婚約破棄やリオンとの縁談案を恐れてエリカ本人の言葉を聞けない弱さを吐露した。リオンは最終的に、エリカとミアを守る役目をエリヤに与え、かすり傷一つでも許さないと脅しつつ、エリカが認めているから渋々認めると告げた。エリヤは強く頷き、留守を守る覚悟を固めた。
リコルヌ艦橋の同乗者と“戦争を止めに行く”確認
リコルヌ艦橋にはアンジェリカ、リビア、ノエルが同乗していた。リオンは危険を理由に渋るが、ノエルは巫女の紋章を示して支援を宣言し、リビアも事前に役割を話し合ってきたと伝えた。リオンは戦争で人を殺める負担を案じるが、リビアは「リオンは戦いを止めに行く」と指摘し、被害を抑える方針を再確認させた。マリエは艦橋での空気に苛立ち、口喧嘩の流れでノエルが「殴った方がいい」に半分乗り、リオンが追い込まれる構図になった。
神聖王の傲慢と即時撤退の本音
白の都では神聖王が民を見下ろし、聖騎士も民も使い捨ての駒として扱っていた。外道騎士の飛行戦艦が出航した報告を受けると、帝国への使者派遣を命じ、城に残ると見せかけた直後に「逃げる準備をする」と方針を翻した。軍と聖騎士に時間稼ぎをさせ、自分だけ生き残って戦後に搾り取る算段を立てた。
リコルヌの突撃とリビアの“聖域”展開
高高度からリコルヌが先行降下し、敵飛行戦艦と鎧の迎撃を受けた。リオンは盾扱いを止めようとするが、ルクシオンはクレアーレ提案として採用したと淡々と告げた。リコルヌ艦橋ではリビアが淡い光に包まれて球体フィールドを展開し、クレアーレは冗談めかして「聖域」と呼んだ。アンジェリカは威嚇で抑える方針を示し、ガトリングで魔弾級の弾幕を張って敵を制圧した。
飛行戦艦を“上から押さえつける”制圧魔法
リビアは周囲に数百の巨大魔法陣を出現させ、向きを揃えて一斉に降下させた。魔法陣が敵飛行戦艦に接触すると上昇が止まり、ゆっくりと押さえつけられて降下し始めた。ミレーヌは無茶だと震え、アンジェリカは特待生の実力を誇り、ミレーヌは見立ての誤りを認めて三人の連携と絆の価値を説いた。マリエもリビアの才能差を痛感し、敵に回さずに済んだことを内心でリオンに感謝した。
仮面の騎士の再登場と出撃許可
アインホルン格納庫ではブラッド、クリス、グレッグ、ジルクがリビアの戦力に戦慄していた。そこへ仮面の騎士が現れ、ユリウス用の白い鎧を要求した。リオンは興味なさげに「好きにしろ、壊したら弁償」と許可し、仮面の騎士は破壊を避けると誓った。リオンはリビアたちの作った好機を活かし、仕上げに向かうと宣言してアロガンツで出撃した。
聖騎士狩りと対魔装改修の威力
外部マイク越しに聖騎士の叫びを聞きつつ、リオンは聖騎士を終わらせると決めた。アロガンツのライフルは対魔装用に改修され、再生能力を持つ魔装モドキを一撃で砕いた。リオンは蹴り、ミサイル、射撃で次々と撃破し、兄弟の仇討ちに暴走する個体に一瞬の感傷を抱きつつも、戦場では考える暇がないと切り替えた。
湖の下の“魔装”と白鯨の兆候
フィンとブレイブは、魔装の強い反応が城ではなく湖にあると告げた。直後、湖から大量の種が撃ち出され、巨大な蔦とハエトリソウ状の植物が出現して無差別に襲い始めた。種は城下町に落ちて脚と口を持つ化け物となり民を襲撃し、ラーシェル側の混乱が拡大した。
各員の分担とブラッドの制圧戦
リオンは城下町の被害に向かおうとするが、ブラッドが紫の鎧で降り立ち、スピアと光学兵器を使って群体を焼き払った。ブラッドは逃げるよう民に促しつつ、一匹も逃がさないと宣言し、ルクシオンも技量を評価した。ジルクも高性能ライフルで魔装モドキを撃ち落とし、仮面の騎士や他の面々が周辺処理を担当して、リオンは湖の魔装破壊に集中できる形が整った。
水中戦への換装とフィンの援護
湖の植物は斬っても再生と増殖を繰り返し、外側を潰すだけでは意味がないと判明した。ルクシオンは水中戦装備を射出し、空中換装を実行するが、追撃が激しく余裕がない。フィンとブレイブが盾となって触手を斬り払い、リオンは脚部とバックパックを換装して水中銃を装備し、湖へ突入した。
神聖王の脱出失敗と“腹黒姫”の包囲
その頃、神聖王は城地下の秘密通路から高速飛行船で亡命しようとし、宰相を振り払って出航した。だが通路の出口でリコルヌに待ち伏せされ、降伏勧告の声を聞いて相手がアンジェリカだと悟り「腹黒姫」と呟いた。神聖王は膝から崩れ落ち、逃亡計画は頓挫した。
第10話 「水底の街」
水底の沈んだ街と魔装の正体への接近
水中戦仕様に換装したアロガンツは湖底へ到達し、そこに「街」が沈んでいる異様な光景を確認した。ルクシオンは解析の結果、かつての街が沈んだ可能性を示しつつ、敵魔装の解析のためドローンを散開させた。触手の根元付近では砂が舞い上がり視界が悪化し、付近には古いものから新しいものまで潜水艦の残骸が転がっていた。
神聖王の暴走誘発と捕虜としての傲慢
リコルヌ格納庫で拘束された神聖王は、自分の立場を理解しない態度で強弁した。ミレーヌは「湖の魔装を止めろ」と迫るが、神聖王は止められないと嘲笑し、聖騎士や候補、さらに「手頃な者たち」まで魔装に投げ込んで暴走させたと明かした。アンジェは怒りを露わにするが、リビアが制止し、カールは強大な力を持つ側の自制を見極めようとしていた。
ノエルの拳と“肩書き”への拒絶
ノエルは神聖王の前へ進み出ると、挑発と傲慢を叩き潰すように拳を振り下ろした。神聖王が「神聖王」を名乗って威圧しても、ノエルは「ただのノエル」と言い切り、肩書きで命を踏みにじる態度を否定して再び殴打した。アンジェたちはノエルを取り押さえ、カールはその光景を見て内心で評価した。
湖底の“花”と人の顔が浮かぶ魔装
湖底では巨大な花のような構造物の中心に魔装が置かれていた。魔装の周囲には潜水艦が破壊されて散乱し、魔装の表面には無数の苦しむ人の顔が浮かび、蠢くように見えた。ルクシオンは魔装から地面へ根が伸びていると解析し、大量の生贄による暴走状態だと結論づけた。リオンは嫌悪を押し殺し、早期決着を選んだ。
農薬の矢と触手の枯死
リオンは水中銃で特殊な金属矢を撃ち込み、触手に命中させた。矢が刺さった部分は変色し、触手全体へ異常が伝播して暴れ回ったのち枯れて停止した。ルクシオンは処理内容を「農薬」と説明し、植物相手には有効だったと示した。リオンは狙いを捨てて乱射し、短時間で触手群を無力化した。
耐性獲得と力尽くへの移行
触手が止まると、巨大な花が崩れ、魔装本体が膨張して形を変え始めた。矢は魔装本体には効き切らず、ルクシオンは短期間で耐性を得たと判断し、毒の追加は無意味だと切り捨てた。リオンは武器を収納し、いつもの「力尽く」での撃破に切り替えた。
水中での不利とアンカーによる拘束戦
魔装は人魚のように水中へ適応し、速度面でアロガンツを上回った。魚雷も針状の攻撃で迎撃され、有効打を得られなかった。ルクシオンはアンカー使用を提案し、リオンはワイヤー付きアンカーを魔装に刺して拘束した。アロガンツは足裏スパイクで踏ん張り、出力上昇によって主導権を取り戻した。
魚雷連打で弱体化し、水面へ引きずり出す
拘束で動きを抑えた魔装に対して魚雷を多数命中させ、黒い液体が水中に広がった。抵抗が落ちた隙にリオンはアロガンツを急上昇させ、魔装を湖から引き上げた。水中戦の不利を捨て、地上で決着を付ける方針が固まった。
白亜の城への投擲とインパクト決着
リオンはハンマー投げの要領で魔装を回転させ、白の都の象徴である城へ叩き込んだ。城は崩れ、白亜に見えた外観が塗装に過ぎないことも露呈した。魔装は城内で暴れ、アロガンツは装甲で鱗状の反撃を受け止めつつ接近し、掌底からインパクトを叩き込んで内部を破壊した。魔装は膨れ上がったのち破裂し、黒い液体を撒き散らして沈黙した。
勝利後の空虚さと交渉フェーズへの移行
リオンは決着後も後味の悪さを抱え、ルクシオンは「被害を最小限にした」と理屈で支えつつ、あえて煽る言い方で気分転換を図った。周囲には五馬鹿とフィンが集まり、ユリウスは仮面の騎士として称賛を述べた。ブレイブ経由でフィンは「神聖王は政治では手を抜かない」と警告し、リオンは交渉はミレーヌに任せる意向を示した。神聖王確保の報告も入り、戦闘は終息しつつ次は政治決着へ移った。
第11話 「ローランドの秘策」
戦後の制圧と“神々しい鎧”扱いされるブラッド
戦闘終結後、ラーシェル側の飛行戦艦は機関停止させられ湖上に浮かべられ、甲板には鎧が並べられ兵士は退去させられた。ブラッドは鎧に乗り込み空から警戒するが、城下町の人々は紫色の鎧を神々しいものと誤解して祈りを捧げ、当のブラッドは理解できず困惑した。
リコルヌ会議室での戦後交渉開始
リコルヌ会議室には、ホルファート側としてミレーヌ、アンジェ、リオンが座り、遅れてユリウスも到着した。ラーシェル側は拘束を解かれた神聖王と、右手を負傷してアームスリングを付けた宰相が参加した。神聖王はリオンを「外道騎士」と見下し、リオンも挑発で返し、場の空気は早々に険悪になった。
ミレーヌの条件提示とラーシェルの開き直り
ミレーヌは軍事同盟の破棄、賠償金、軍事力制限を次々に提示した。だが宰相は「視野が狭い」と逆に難癖を付け、白の都や白亜の城の損害を理由にホルファート側へ賠償を要求した。神聖王は「勝ちすぎれば大国が動く」と言い出し、ヴォルデノワ神聖魔法帝国の名を盾に態度を強めた。
帝国カードを嘲笑する王国側と“切り札”の入室
アンジェ、ユリウス、ミレーヌは帝国の話に冷笑で応じ、考慮済みだと示した。直後、カールが会議室へ入室し、背後にフィンが護衛として控えた。カールは神聖王の「みすぼらしい男」扱いを受け、フィンが見た目で分かるようにしろと助言すると、カールは杖で床を叩き、一瞬の光とともに豪華な皇帝装束へ変身した。
カール皇帝の正体露見とラーシェル側の崩壊
神聖王と宰相は目をむき、カール皇帝だと気付いて震えた。宰相は偽者の可能性を口にするが、カールは「帝国へ窮状を訴える書状を出せ」と挑発しつつ、帝国名を勝手に使ったこと、贈与された魔装を喪失したことへの報いを宣告した。さらに窓外には帝国紋章の飛行船が接近しており、手回しが現実になったことで神聖王と宰相はへたり込んだ。
“ローランドの隠し子”疑惑が炸裂して会議が崩壊
リオンは最善を尽くしただけだと笑顔で返すが、神聖王はその手腕と口の悪さから「ローランドの隠し子」と決めつけた。ユリウスまで真顔で「兄さん」と言い出し、アンジェも可能性を考え、ミレーヌは顔を覆って泣くような反応を見せた。ルクシオンは遺伝子検査を提案し、クレアーレはローランドの反応を見物したがり、リオンは全力で否定しつつ混乱の渦に放り込まれた。
数週間後の王宮で噂が逆流し、ローランドが発狂
ホルファート王宮の謁見の間で戦後報告が行われ、ローランドはリオンの功績を評価しつつ大公位授与まで口にした。官僚は追加報告として、ラーシェルで「バルトファルト公爵は陛下の隠し子」という噂が事実のように広まっていると告げ、さらに神聖王に触れられた際にリオンが激高して殴りかかったとも伝えた。ローランドは激高して神聖王の首を飾ると叫ぶが、貴族たちは逆に「年齢がユリウスと同じ」「隠す理由はある」とざわつき、ヴィンスやバーナード大臣も“あり得る”方向で疑いを強めた。最後にローランドは「余計な噂を広めやがって」とリオンへ絶叫し、謁見の間は混乱で満ちた。
第12話 「運命の二人」
ラーシェル港での皇帝の雑談と“転生者”の答え合わせ
ラーシェル港には帝国の飛行戦艦が停泊し、騎士たちは皇帝の到着を待って整列していたが、カールは離れた場所でリオンと雑談していた。カールは転生が五十年以上前だと語り、リオンの「徹夜で乙女ゲーをやって階段から落ちた」経緯を阿呆扱いして笑い、リオンも反撃しつつ会話が続いた。
カールの前世と“三作目”由来の記憶
カールは妹が遊んでいたのは乙女ゲー三作目の追加版のようなものだと説明し、家庭内ルールでゲームを眺める時間が多かったと回想した。転生後は皇族として後継者争いと命のやり取りに巻き込まれ、弟を処刑した時に「何のために転生したのか」と悩んだと語った。
“運命の人”の惚気とミアの出生
カールはお忍びで出会った町娘と恋に落ち、政略結婚とは別にその町娘と結ばれたと語り、二人の子がミアだと明かした。さらにミアが乙女ゲー三作目の主人公だと気付き、自分が関係人物に転生していたと理解したと述べ、ミアの治療を強く望んだ。
医務室のカプセル検査とミアの“言いかけ”
リコルヌ医務室には緑色に光る液体で満たされたカプセルが二つあり、ミアとエリカが病衣姿で前に立っていた。クレアーレは二人に眠ってもらい不調を調べると告げ、エリカは任せると応じた。ミアは緊張しつつも治療を受ける意思を示し、騎士様に何か言われたと照れながら言いかけたところで場面が切り替わった。
甲板のフィンの迷いと“愛情の重さ”
リコルヌ甲板でフィンは黒助(ブレイブ)に、自分の選択が正しいか揺れていると打ち明けた。ブレイブはフィンのミアへの愛情が重いと指摘し、リオンとマリエの兄妹関係を例に出すが、フィンは二人は悪い関係ではなくリオンは妹を溺愛していると見立てた。
船内のマリエの焦燥と旧人類への疑問
帰還中の談話室ではマリエが落ち着かず歩き回り、カーラとカイルが数日後の結果まで落ち着くよう促した。マリエはクレアーレへの不信を口にし、アーロンを“アーレちゃん”にした件を持ち出して警戒した。会話は旧人類文明の高度さと滅亡理由へ移り、マリエは自分とリオンに旧人類の特徴がある点に疑問を抱きつつ、今はエリカの無事を祈る気持ちを優先した。
隠し子噂の逆効果と“五馬鹿”の平常運転
アインホルン食堂でリオンは、ローランド隠し子説を否定して回ったのに真実味が増したと頭を抱えた。ルクシオンは否定が逆効果だと進言したのに聞かなかったと責任を突き、リビアは身近な人まで噂を信じていると指摘した。別卓では五馬鹿が反省会の体裁でプリンを食べつつ、仮面の騎士の話やブラッドの“紫の騎士様”崇拝自慢を挟みながら、隠し子噂を面白がって語り合った。
冗談の火種とアンジェのからかい
ジルクが噂を話題に出し、ユリウスは王太子候補だとまで言い、アンジェも笑ってからかい、リオンは苛立った。アンジェはムキになるから周囲がからかうのだと言い、ユリウスは最後に冗談だと認めるが、ジルクは信じた側として不満をにじませ、クリスは王宮で冗談を言うなと釘を刺した。
デートの約束と夏期休暇の残量の現実
ノエルはリオンの左腕に抱きつき、王都に戻ったらデートを要求し、リオンは仕事後ならと受け入れた。だが夏期休暇は戦争絡みでほとんど潰れ、残り十二日とルクシオンが告げた。さらに自由に使える休日は三日と算出され、加えて課題消化が一割未満のため毎日八時間の課題処理が必要だと突きつけられた。
“課題やってない公爵”の公開処刑
アンジェは課題未消化に怒り、ノエルはドン引きし、リオンは皆も終わっていないと思い込んでいたと驚いた。アンジェは予定通り進めていると断言し、ノエルも遅れ気味でも間に合うと言い、リビアは休暇序盤で全て終えたと笑顔で止めを刺した。リビアは最後に一緒に手伝うと慰め、リオンは素直に「はい」と返しつつ、公爵なのに宿題に追われる現実に沈んだ。
第13話 「目覚め」
診断結果と“覚醒イベント”の再浮上
王都へ戻ったリオンは学園寮の自室で、クレアーレからミアとエリカの診断結果を聞いた。ミアは「魔素を取り込めば安定する」ことが判明し、定期補給で急な発作が減る見込みとなった。一方で根本治療は未確定で、クレアーレは解析継続を宣言しつつ「覚醒イベントは試す価値がある」と主張した。
旧人類の特徴と人工知能の倫理観の崩壊
クレアーレは、エリカにリオンやマリエ以上の旧人類的特徴が出ていると報告し、旧人類復活の可能性まで語った。クレアーレとルクシオンは交配や遺伝子提供の話を盛り上げるが、リオンは前世の姪と妹に当たる相手だとして激しく拒否した。ルクシオンはフィンとミアを祝福した件を持ち出して論理で殴り返し、クレアーレは「リオンの子供たちを追跡調査する」とまで言い出し、リオンは強制的に話を打ち切った。
エリカの来訪と“秘密の決心”
リオンとルクシオンが去った後、クレアーレの元へエリカが訪ねてきた。エリカはミアの覚醒イベントが本当に必要かを確認し、クレアーレは「完治を目指すなら必要」と認めた。エリカは礼を言い、「決心がついた」と告げるが、その内容は秘密として明かさなかった。
湖の家族行事と“みんなが隠す違和感”
バルトファルト男爵領の湖にリコルヌを浮かべ、リオンの家族とアンジェ、リビア、ノエル、ドロテア、フィンたちが集まった。ミアは浮き輪で元気に泳ぎ、フィンは叱りつつも安堵を見せた。リビアのビキニはリオン指定だったとルクシオンに暴露され、家族は呆れた空気になる。さらにドロテアは水着にならず手伝いもせず、家族が妙に気を遣っている様子が描かれ、ノエルはそれに気付くがリオンには教えない。ルクシオンも「プライバシー」として説明を拒否した。
王宮のエリカの胸中と“言えないこと”
王宮ではエリカがエリヤと茶をし、病気が治りそうだと喜ばれる一方、エリカは内心で謝罪を重ねていた。エリカは「不安はない」と言い切るが、心中では伯父や母に対して言えないことがあると整理していた。
ダンジョン遠征の準備と“ミアの導き”
夏期休暇の残りが少ない中、リオンは五馬鹿を呼びつけてダンジョンへ向かう準備を進め、フィンも同行した。ミアは元気に準備完了を告げ、五馬鹿はミアを理由に奮起する。ダンジョンを進む途中、ミアは「呼んでる」と言って壁を見つめ、揺れが発生する。ミアが触れた壁は裂けて穴となり、隠された通路が出現したため、リオンは覚醒イベントだとして進行を決めた。
モノリスの文字と魔素の急上昇
通路の先には加工された巨大魔石のモノリスがあり、ミアの赤い瞳が輝きを増した。ブレイブは異常に動揺し、モノリス表面には突然文字が浮かぶ。ルクシオンが読み上げた内容は「長き時を耐え…我らの希望…守り手たち…」という呼びかけだったが意味は不明だった。直後、モノリスは強く発光して溶け、魔素濃度が急上昇したため、ルクシオンは「外へ影響が出る」と警告した。
王都の光柱とエリカの発作
同時刻、王都のダンジョンから赤い光の柱が立ち上り、王宮が騒然となった。自室からそれを見たエリカは呼吸が苦しくなり、膝をついて「やっぱりこうなる」と呟いた。エリカは「言えない」秘密を抱えており、リオンとマリエが無茶をするのを恐れて黙っていたと回想する。
エリカの真実と“覚醒後に悪化する病”
エリカは三作目を何度もやり込んだ自分だけが知る情報として、悪役王女エリカの病弱設定が嘘ではなく本物だと整理した。覚醒イベントの後に病が悪化する流れを知っていたが、ミアの完治を優先して止められなかった。エリカは涙を流し、母へ謝罪する言葉を口にしかけた。
海底の巨大物体と“呼応する目覚め”
ミアが覚醒した時、海底に埋もれた黒い巨大物体が赤く点滅し、内部の機器が起動した。そこにはブレイブを巨大化させたような魔法生物がいて、目覚めを喜び「我らの主人たる新人類」を探せと命令した。周囲では同種の魔法生物が次々と生み出され、外へ飛び出して探索に向かった。
エピローグ
医務室での再会とマリエの安堵
マリエはリコルヌ医務室へ駆け込み、ベッドで横になるエリカの無事を確認して安堵した。エリカは笑顔で応じ、疲れが出たと軽く謝った。マリエは床に座り込んで手を握り、心配させるなと訴えた。
学園祭の話題と“二学期の楽しみ”
マリエはクレアーレを藪医者呼ばわりしつつ、結果的に回収してくれた点には触れた。続けて、修学旅行は中止のままだが一日だけ学園祭を行う予定だと話し、エリカと一緒に参加する未来を楽しみにした。エリカは弱々しくも「一緒に行きたい」と応じ、マリエは盛大にすると意気込んだ。
帝国での吉報とカールの“決断”
二学期開始後しばらくして、帝国ではカールがフィンの手紙を読み、ミアの覚醒と完治を知って喜んだ。カールはリオンへの恩返しを決め、王国とより強固な関係を結ぶ意志を固めた。新人類と旧人類の因縁があっても手を取り合えるかを見極める目的があり、秘密裏の会談を計画し、自ら王国へ赴く案まで口にした。
皇太子の襲撃と“アルカディア”の介入
その直後、皇太子が武装兵と騎士を率いてカールの部屋へ踏み込み、異様な空気で「父上」と呼びかけた。カールは事態を察し、なぜ今なのかと問いただすが、皇太子の背後にはブレイブを大型化したような刺々しい魔法生物が現れた。魔法生物は自らをアルカディアと名乗り、カールを裏切り者だと断じて皇太子を煽った。皇太子は「王国の英雄と手を結ぶため第一席の騎士まで派遣した」と疑念を語り、アルカディアはそれを“真実”として後押しした。
カールの最期と皇太子の崩壊
皇太子の命令で銃撃が行われ、カールは床に倒れ込み、杖を握りしめたままミアの本名を胸中で呟いて息絶えた。皇太子は震えながら自問し涙を流すが、アルカディアは「正しい行い」「英雄に相応しい」と甘く肯定し、疲れた皇太子に休むよう促して「後は全て自分が処理する」と告げた。皇太子は父の亡骸にすがり、裏切りを責めて泣き続け、アルカディアは冷めた目でそれを見下ろした。
王国側の新たな危機とエリカの悪化
二学期が始まってしばらく後、ミアは覚醒イベント後も元気に過ごしていたが、エリカが学園で繰り返し倒れる事態が発生した。リオンはクレアーレへ精密検査を再依頼し、治ったはずなのになぜ悪化するのかと詰め寄った。クレアーレは深刻な顔で「前回より病状が悪化している」と報告し、ミアの数値は改善しているのにエリカだけが急激に悪化していると示した。
コールドスリープ提案と“数年”の宣告
リオンはマリエが学園祭を楽しみにしていることを口にし、治せるのかと願い混じりに命令するが、クレアーレは「二学期までは持たせるが、何もしなければ三学期は不可能」と告げた。ルクシオンは隔離かコールドスリープで時間稼ぎを提案する。だがクレアーレは、旧人類が魔素から逃れるためにコールドスリープを選び、ほとんどが魔素の毒で死んだ歴史を語り、エリカを眠らせても残りは数年だと明言した。ルクシオンもデータが事実だと認め、数年で治療法が見つかる可能性は高くないと冷徹に補足した。
リオンの崩落
リオンは笑い出すほど追い詰められ、マリエに告げる未来を思うだけで胸が締め付けられた。最後に「なぜ次々に問題が起きる」と呻き、状況の重さが突き刺さる形で幕が閉じた。
モブせか 10巻レビュー
モブせか まとめ
モブせか 12巻レビュー
乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です 一覧
小説版
王国編

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共和国編

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幕間

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最終章

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小説版 外伝

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同著者の作品
俺は星間国家の悪徳領主! シリーズ

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セブンスシリーズ

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その他フィクション

アニメ
OP
ED
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