- 物語の概要
- 書籍情報
- あらすじ・内容
- 感想
- 考察・解説
- 登場キャラクター
- 展開まとめ
- 第一話 少女の謎のアルバイト
- 第二話 陛下との謁見
- 第三話 バウマイスター準男爵
- 第四話 エーリッヒ兄さんとの再会
- 第五話 エーリッヒ兄さんの結婚
- 第六話 ヘルムート王国貴族事情
- 第七話 王宮筆頭魔導師クリムト・クリストフ・フォン・アームストロング
- 第八話 つかの間の休日
- 第九話 強制従軍命令と、老属性竜討伐
- 幕間一 バウマイスター準男爵家諸侯軍編成事情
- 第十話 婚約者
- 幕間二 婚約者選定の舞台裏
- 幕間三 竜討伐後のバウマイスター騎士爵領にて
- 第十一話 婚約者のあだ名は聖女
- 第十二話 聖女との初デート
- 幕間四 聖女様の事情
- 第十三話 王都留学
- 第十四話 桃色カバさん
- 第十五話 師匠が増えた話
- 巻末おまけ
- 同シリーズ
- その他フィクション
物語の概要
■ 作品概要
本作は、平凡な若手商社マンから貧乏貴族の八男に転生した一宮信吾(ヴェンデリン)の成り上がりを描く異世界転生ファンタジーの第2巻である。 アンデッド化した古代竜の襲撃を乗り切り、無事に王都へと到着したヴェンデリンは、討伐の功績により国王に謁見し、双竜勲章と第六位準男爵の地位、そして莫大な富を得る。しかし、立身出世を果たしたことで貴族社会の複雑なしがらみに巻き込まれていく。王宮筆頭魔導師アームストロングに目を付けられてパルケニア草原の老地竜(グレードグランド)討伐に強制参加させられたり、教会有力者の孫娘である「ホーエンハイム家の聖女」ことエリーゼと唐突に婚約させられたりと、彼の意に反して怒涛の展開が繰り広げられる。
■ 主要キャラクター
- ヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスター:主人公。古代竜討伐の功績で準男爵となり、実家から独立した新バウマイスター家の当主となる。後に老地竜も討伐して男爵へと陞爵する。卓越した魔法の才能を持つが、貴族の権力争いや面倒事に振り回される。
- エリーゼ・カタリーナ・フォン・ホーエンハイム:ホーエンハイム枢機卿の孫娘。「ホーエンハイム家の聖女」と呼ばれる美少女であり、極めて優れた聖治癒魔法の使い手。国王や祖父の思惑が絡み、ヴェンデリンの婚約者となる。
- クリムト・クリストフ・フォン・アームストロング:王宮筆頭魔導師。身長2メートル超の筋肉質な巨漢で、魔力で物質化した甲冑をまとい、竜を素手で殴り倒す武闘派の魔法使い。ヴェンデリンらと共にグレードグランド討伐で活躍する。
- ブランターク・リングスタット:ブライヒレーダー辺境伯のお抱え魔法使い。王都でのヴェンデリンの保護者・助言者的な立場で共に行動し、グレードグランド討伐にも後方支援として参加する。
- エーリッヒ:ヴェンデリンの五男の兄。王都の下級官吏で、ブラント家に婿入りする。パルケニア草原遠征の際には、ヴェンデリンが率いることになった「バウマイスター準男爵家軍」の副将兼参謀として、面倒な実務や派閥調整を裏から支える。
■ 物語の特徴
本作の特徴は、主人公が強大な魔法の力で成り上がっていく一方で、単なる無双展開にとどまらず、貴族社会特有の「しがらみ」や世知辛い現実が克明に描かれている点である。実家から届かない祝儀の立て替え問題、有力貴族たちによる「寄親」の権利を巡る水面下の争い、諸派閥の思惑が交錯する寄せ集めの諸侯軍編成など、ファンタジー世界でありながら生々しい政治的・経済的な描写が物語に深みを与えている。 また、魔法使いでありながら物理攻撃で戦うアームストロング導師のような強烈な個性のキャラクターが登場し、思わず笑ってしまうようなコメディ要素や、規格外のバトルシーンも読者を引き付ける大きな魅力となっている。
書籍情報
八男って、それはないでしょう!2
著者:Y.A 氏
イラスト:藤ちょこ 氏
出版社:KADOKAWA(MFブックス)
発売日:2014年7月25日
ISBN:9784040669243
(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。
あらすじ・内容
富と名声を一挙に手に入れたヴェンデリン! 冒険の行方は!?
八男って、それはないでしょう! 2
アンデッド化した古代竜の襲撃を乗り切ることに成功した魔導飛行船は、無事王都へと到着する。さっそく兄エーリッヒの家へと向かうヴェンデリンだったが、王の命を受けた使いの馬車により城へと招かれる。
アルテリオの助力のおかげもあり、王との謁見も難なく済むが、莫大なお金に準男爵という地位、そしてドラゴンスレイヤーという名声等々、ヴェンデリンは実に多くのものを手に入れることとなる。そして追い討ちとばかりに筋肉魔導師アームストロングの熱烈な歓迎を受け、ほぼ強制的に竜退治へと駆り出される。
ボッチからは脱したが、貴族社会にどっぷりと浸かっていくヴェンデリン。彼を取り巻く柵(しがらみ)はなおも纏わりつき拡大していく……。
感想
第1巻の終盤、ヴェンデリンは五男のエーリッヒ兄さんの結婚式へ出席するため、仲間たちと魔導飛行船で王都へ向かっていた。
ところが、その道中でアンデッド化した古代竜に遭遇する。
師匠の師匠であるブランタークと協力し、どうにか古代竜を浄化したところで第1巻は終わった。
第2巻は、その功績が一気に政治や貴族社会へ波及していくところから始まる。
王都へ到着した直後に国王から呼び出される。
古代竜の素材を莫大な金額で買い取られる。
二百年以上授与されていなかった双竜勲章を受ける。
さらに、第六位準男爵に任じられ、実家から分離独立する。
まだ十二歳である。
冒険者予備校へ入学したばかりの少年が、一匹の竜を倒しただけで、突然一つの貴族家の当主になってしまう。
第1巻を読み終えた時にも、「まだ1巻なのに成り上がりすぎではないか」と感じた。
しかし第2巻では、その勢いがさらに加速している。
それでも、出世したヴェンデリンが幸せそうには見えない。
地位と財産を得るたびに、仕事、縁談、派閥、家臣、軍役といった新しいしがらみが増えていくからである。
自由な冒険者になるために実家を出たはずが、有名になるほど自由から遠ざかっていく。
その世知辛さが、本巻でも非常に面白かった。
古代竜を倒した直後に国王と謁見する
王都へ到着したヴェンデリンは、エーリッヒ兄さんの屋敷へ向かう暇もなく、近衛騎士団の迎えによって王城へ連れていかれる。
古代竜を討伐した功績は、それほど大きなものだった。
ヴェンデリンたちが倒したのは、全長五十メートルを超えるアンデッド古代竜である。
その骨と巨大な魔石は、これまで市場に出た記録すらないほど希少だった。
しかもヴェンデリンは、古代竜を倒しただけではない。
魔導飛行船と、その乗客たちを救っている。
もし古代竜がそのまま王都へ向かっていれば、さらに大きな被害が出た可能性もある。
十二歳の少年が国王から直接呼び出されるのも当然なのだろう。
しかし本人にとって、国王はあまりにも遠い存在である。
辺境の貧乏騎士爵家で育ち、礼儀作法すらまともに教わっていない。
そのため、国王との謁見を名誉だと喜ぶよりも、失敗しないか心配している。
前世でも社長と会うだけで緊張したのだから、国王にはできれば会いたくない。
その感覚が妙に現代人らしく、親しみを感じた。
国王ヘルムート三十七世は、ヴェンデリンへ古代竜との戦いについて尋ねる。
飛翔、魔法障壁、聖光という複数の魔法を同時に使い、古代竜を浄化したと聞き、その才能を高く評価する。
ヴェンデリン自身は必死すぎて、戦闘中の記憶がほとんど残っていない。
それでも周囲から見れば、伝説級の竜を倒した大魔法使いである。
本人の自己評価と、周囲が期待する姿の差が、どんどん広がっているように感じた。
古代竜の骨と魔石が莫大な財産になる
国王がヴェンデリンを呼んだ理由の一つは、古代竜の骨と魔石を王家へ売ってほしいという依頼だった。
王都の郊外には、古代魔法文明時代に作られた全長四百メートルを超える巨大魔導飛行船が残されている。
しかし、その船を動かせるほど大きな魔晶石がなく、部品や装甲も不足しているため、長い間使われずに放置されていた。
古代竜の巨大な魔石は、飛行船の動力源として利用できる。
さらに、その骨は強度の高い部品や装甲へ加工できる。
国王が提示した買い取り価格は、白金貨千五百枚だった。
財務卿は高すぎると反対する。
しかし国王は、功績を挙げた者へ適正な報酬を支払わなければ、今後王国のために働こうとする者の意欲を失わせると主張する。
市場に出せば、さらに高値になる可能性もある。
それなら、白金貨千五百枚で確実に手に入れた方が、王国にとっても得である。
国王は財務卿の反論を利用し、余った予算の使い道を彼に任せることで話を収める。
この場面では、国王の政治家としての上手さが印象に残った。
ヴェンデリンは強大な魔法を使える。
しかし、王城では魔法よりも、予算や面子、人材の確保といった駆け引きによって物事が動いている。
異世界ファンタジーでありながら、組織の予算調整や功労者への待遇が細かく描かれるところに、本作らしさを感じた。
十二歳で新しいバウマイスター家の当主になる
古代竜の素材を売る話が終わると、今度は功績への褒賞が与えられる。
まず、ヴェンデリンは双竜勲章を受ける。
これは、二百年以上授与された者がいなかった武勲章である。
さらに国王は、ヴェンデリンへ第六位準男爵位を与える。
これによってヴェンデリンは、実家のバウマイスター騎士爵家から正式に分離され、新たなバウマイスター家の当主となった。
領地はない。
役職もない。
それでも毎年年金が支給され、爵位は子どもへ継承できる。
そして何より、父や長男クルトがいる実家とは、法的に別の家になった。
幼い頃から望んでいた独立が、思いがけない形で実現したことになる。
ただし、ヴェンデリンの階位は父の騎士爵よりも上である。
公式の場では、父や兄であってもヴェンデリンを上位の貴族として扱わなければならない。
家族の中では誰にも期待されなかった八男が、十二歳で父親より上の地位へ就く。
成り上がりとしては非常に痛快である。
しかし、ヴェンデリンは単純には喜べない。
最も仲がよかったエーリッヒ兄さんまで、公式の場では自分を上位者として扱う必要があるからだ。
地位を得たことで、家族との距離がさらに遠くなる。
それでも、私的な場ではこれまでどおり接してよいと知り、ヴェンデリンは安堵する。
彼が本当に欲しいのは、偉い立場ではない。
安心して話せる家族や友人との関係なのだと感じた。
エーリッヒ兄さんとの再会
ヴェンデリンは、約七年ぶりにエーリッヒ兄さんと再会する。
エーリッヒは王都で下級官吏となり、上司であるブラント騎士爵家の一人娘ミリヤムと結婚することになっていた。
剣の才能には恵まれなかった。
しかし読み書きと計算ができ、真面目に仕事へ取り組んできた。
その能力と人柄を認められ、婿養子としてブラント家を継ぐ道をつかんでいる。
魔法の才能で一気に成り上がったヴェンデリンとは、まったく違う生き方である。
エーリッヒは、自分にできることを地道に積み重ね、王都で居場所を作っていた。
その堅実な成功が嬉しかった。
一方で、エーリッヒの婚姻にも貴族社会の面倒な事情が絡んでいる。
一人娘しかいない家には、家督を目的とした縁談が大量に持ち込まれる。
本人同士がよい関係を築いていても、親戚や上位貴族から横槍が入る。
エーリッヒが正式に婿として認められるまでに、三年近い時間がかかったのも、その調整が必要だったからである。
ところが、ヴェンデリンが竜殺しの英雄となり、準男爵に任じられたことで、エーリッヒを批判していた者たちは急に態度を変える。
以前は「貧乏騎士爵家の五男」と見下していた。
それが今では、「竜殺しの英雄の兄である優秀な婿」と持ち上げ始める。
あまりにも分かりやすい手のひら返しである。
嫌な話ではあるが、結果としてヴェンデリンの成功が、エーリッヒの立場を守ることにつながった。
幼い頃に自分を気遣ってくれた兄へ、ようやく少し恩返しができたように感じられた。
実家から祝儀が届かない
エーリッヒの結婚披露パーティーでは、バウマイスター家から祝儀が届いていないことが判明する。
エーリッヒはブラント家へ婿入りし、将来家督を継ぐ。
このような婚姻では、婿の実家から相応の祝儀を贈るのが貴族社会の常識だった。
ところが父とクルトは、金がないという理由で何も用意していなかった。
さらに王都で警備隊に勤める三男パウルと四男ヘルムートへ、祝儀を立て替えるよう手紙で要求していた。
二人はすでに継承権を放棄し、独立準備金を受け取って家を出ている。
王都で生活するだけでも余裕がなく、自分たちの結婚資金も貯めなければならない。
その二人へ、実家の面子を守るための大金を出せという。
あまりにも無責任な要求である。
父とクルトは、エーリッヒが騎士爵家の後継者になるとは想定していなかったのだろう。
家を出した次男以下が、外でどのような人生を送っているのかにも関心がない。
自分たちは辺境へ引き籠もっているため、王都で評判が落ちても直接困らない。
その閉鎖的な考え方には呆れてしまった。
第1巻でも、バウマイスター家はヴェンデリンを虐待していたわけではない。
しかし、必要以上に関わろうとしなかった。
今回も同じである。
家を出た息子は、もう自分たちとは関係がない。
最低限の義務さえ果たせば、それ以上は知らない。
その姿勢が、結婚という大切な場面でも変わっていない。
ヴェンデリンが二家分の祝儀を用意する
このままではエーリッヒだけでなく、婿を迎えるブラント家、さらに寄親であるブライヒレーダー辺境伯まで恥をかいてしまう。
そこでヴェンデリンは、新しいバウマイスター家の当主として自分の祝儀を出し、さらに実家が負担すべき分まで立て替える。
金貨だけではない。
自分で作った酒。
塩や砂糖。
米や麦。
熊や鹿の毛皮。
エーリッヒのための弓矢。
ミリヤムへ贈る絹布や、瑪瑙、翡翠の原石。
幼い頃から未開地を探索し、狩猟や採集、食品作りを続けてきた成果が、兄の祝いへ使われる。
食生活を改善するために作っていた酒や調味料が、貴族らしい立派な贈り物になる。
この展開には、少し温かいものを感じた。
ヴェンデリンは、実家の尻拭いをするためだけに動いたわけではない。
一番親しくしてくれたエーリッヒ兄さんを、晴れの日に恥をかかせたくなかった。
兄を祝いたいという気持ちが根底にある。
魔法や財産を、自分の成り上がりだけでなく、大切な人のために使っている点が印象的だった。
貴族になった途端に家臣候補が押し寄せる
準男爵となったヴェンデリンには、すぐに家臣や婚姻相手を求める人々が集まり始める。
王都には、爵位はあっても役職に就けない下級貴族が多い。
年金は出るものの、貴族としての付き合いには金がかかる。
仕官先がないため、副業として冒険者をしている者もいる。
優秀でも、人脈や紹介状がなければ貴族家へ仕えることは難しい。
そこへ、十二歳で準男爵となった新興貴族が現れた。
まだ家臣団もなく、屋敷の使用人すらいない。
職を求める貴族の子弟にとっては、絶好の機会である。
さらに、娘や妹を妻や妾にしてほしいと考える貴族や商人まで現れる可能性がある。
ヴェンデリンは、まだ冒険者予備校へ通う少年である。
それでも周囲は、将来大きく出世する貴族として見ている。
その対策として、エル、イーナ、ルイーゼを形式上の家臣にすることになる。
エルは従士。
イーナとルイーゼは護衛兼メイド。
実際にはこれまでどおり一緒に冒険者を目指す仲間だが、貴族社会では肩書が必要になる。
友人関係まで、主君と家臣という形へ変えなければならない。
立場が変わるだけで、人間関係に名前や制度が付いてくる。
その面倒さに、ヴェンデリンが戸惑うのも当然だろう。
王国に将来を予約されてしまった
国王は、ヴェンデリンへ自由に冒険者を目指すよう告げた。
一見すると、非常に寛大な処置である。
しかし実際には、ヴェンデリンを王国直属の貴族にすることで、将来を確保したとも考えられる。
冒険者として経験を積ませる。
名声と人脈を得させる。
そして引退する頃に、王国の官職へ迎える。
ブライヒレーダー辺境伯がお抱え魔法使いとして雇う可能性があった人材を、国王が先に押さえた形になっている。
ヴェンデリン本人は、自由を認められたと受け取っている。
しかし周囲の大人たちは、すでに数年後、数十年後の利用方法まで考えている。
本人が知らない間に、将来の進路が少しずつ決められていく。
強い力を持つ者は、完全に自由ではいられない。
王国が彼を守る代わりに、その力を将来使う権利も確保する。
この関係には、単純な善意だけではない現実味があった。
暑苦しすぎるアームストロング導師
本巻で特に強烈だった新キャラクターが、王宮筆頭魔導師クリムト・クリストフ・フォン・アームストロングである。
高身長。
巨大な筋肉。
強大な魔力。
魔法使いでありながら、身体強化と飛翔を使って敵へ接近し、巨大なハンマーで殴り倒す。
一般的な魔法使いのイメージから、あまりにもかけ離れている。
名前と外見から、『鋼の錬金術師』のアームストロング少佐を思い出してしまった。
ただ、本作のアームストロング導師は、それ以上に野性的で破天荒かもしれない。
討伐した魔獣の肉へ塩を振り、直火で焼いて食べるのを好む。
料理の腕はなく、野営中の食事作りはヴェンデリンへ任せる。
戦闘では巨大な竜を殴り、尻尾をつかんで投げ飛ばす。
魔法使いというより、魔力で強化された怪物に近い。
しかし、単なる暑苦しいコメディキャラクターではない。
彼は国王の幼い頃からの親友であり、政治から距離を取りながらも国王を支えている。
さらに、ヴェンデリンの師匠アルフレッドとは、冒険者予備校時代の親友であり、好敵手だった。
アルフレッドが放出魔法や魔法の多彩さに優れていたのに対し、アームストロングは身体強化と近接戦闘を得意としていた。
いつか本気で戦いたいと考えていたが、アルフレッドは魔の森で命を落としてしまう。
その技術を受け継いだヴェンデリンへ興味を持つのも理解できる。
見た目も言動も強烈だが、国王やアルフレッドへの友情は深い。
知れば知るほど、ただの筋肉魔法使いではないことが分かる人物だった。
王命で老属性竜の討伐へ参加させられる
王都で観光を楽しんでいたヴェンデリンは、突然軍の駐屯地へ連れていかれる。
そこでアームストロング導師から、パルケニア草原を支配する老地竜グレードグランドの討伐へ参加するよう告げられる。
ヴェンデリンは、まだ未成年だと断ろうとする。
しかし彼はすでに準男爵家の当主である。
王命による軍事行動には、年齢に関係なく従わなければならない。
自由な冒険者を目指していた少年が、爵位を得た直後に強制従軍させられる。
出世が自由を奪っていく展開として、これほど分かりやすいものもない。
古代竜討伐の褒賞として爵位を得た。
その爵位が理由となり、次の竜討伐を断れなくなる。
功績を挙げるほど、さらに大きな仕事が回ってくる。
前世の会社員時代に、仕事ができる人へ業務が集中する状況を思わせるところもあった。
十二歳なのだから、もう少し休ませてほしい。
それでも国王やアームストロング導師からすれば、これほど強い魔法使いを遊ばせておくわけにはいかないのだろう。
準男爵家の軍まで編成される
ヴェンデリンは竜討伐に参加するだけではなく、貴族として自分の軍勢まで用意しなければならなくなる。
本人には軍を編成した経験などない。
エル、イーナ、ルイーゼも十二歳前後の子どもである。
そこで実務を担当するのが、エーリッヒ兄さんだった。
エーリッヒは副将兼参謀として、契約、資金、物資、書類、参加者の選別を引き受ける。
さらにパウルとヘルムートも指揮官として加わる。
ブライヒレーダー辺境伯や中央の財務閥からも、人員が送り込まれる。
結果として、ヴェンデリンの準男爵家軍は五百人を超える混成部隊となる。
本人は竜を倒すために前線へ出る。
その裏では、兄たちや貴族たちが派閥を調整し、組織を作っている。
ヴェンデリン一人の魔法だけでは、戦争はできない。
資金を出す者。
兵を集める者。
契約書を作る者。
物資を管理する者。
それぞれの思惑を調整する者。
第1巻では一人で森へ入り、鳥や獣を狩っていた。
それが第2巻では、五百人規模の軍の当主になっている。
あまりの変化に驚かされた。
同時に、魔法の強さだけでは貴族家を運営できないこともよく分かる。
エーリッヒのような実務に強い人物がそばにいなければ、ヴェンデリンは何もできなかっただろう。
兄弟それぞれの能力が、思わぬ形で生かされている点も面白かった。
老地竜グレードグランドとの戦い
老地竜グレードグランドとの戦いでは、アームストロング導師の異常な強さが存分に描かれる。
アームストロングは、魔力を物質化した漆黒の甲冑を身につける。
杖を巨大なハンマーへ変え、身体強化と高速飛翔を使い、地竜へ接近する。
巨大な竜を殴る。
尻尾をつかんで投げ飛ばす。
弱点となる風魔法を使いながら、ヴェンデリンが大魔法を準備する時間を稼ぐ。
高身長で筋肉質な魔法使いが、全長三十メートルの竜と肉弾戦を繰り広げる。
映像を想像するだけで、あまりにも暑苦しい。
ヴェンデリンはその間、地属性の竜に有効な風魔法「カッタートルネード」を準備する。
大量の魔力を集め、アームストロングが離れた瞬間に放つ。
無数の風の刃がグレードグランドの体を切り裂き、傷口から大量の血を奪っていく。
最後には、失血によって老地竜を倒すことに成功する。
ヴェンデリンの圧倒的な魔力量。
アームストロングの近接戦闘能力。
ブランタークの経験と後方支援。
三人の長所を組み合わせた戦いだった。
ヴェンデリン一人がすべてを解決するのではない。
年長者から指示を受け、役割を果たす。
その点では、彼がまだ経験の浅い少年であることも忘れられていなかった。
竜を倒しても仕事は終わらない
グレードグランドを倒せば、すぐに王都へ帰れるわけではない。
支配者を失ったパルケニア草原には、まだ多数の魔物が残っている。
軍と冒険者が掃討を行うものの、犠牲を減らすため、ヴェンデリンたちも引き続き戦わされる。
一週間、草原を駆け回り、魔物を討伐する。
しかも野営中は、料理のできないアームストロングとブランタークに代わって、ヴェンデリンが食事作りまで担当している。
竜を倒せる大魔法使いなのに、年上の男たちの食事まで作らされる。
この落差には思わず笑ってしまった。
ヴェンデリンにとっては、初めての本格的な魔物狩りでもある。
強大な魔法は使える。
それでも、冒険者としての経験はほとんどない。
大量の魔物を相手にし、素材を回収し、野営を続ける。
この経験は、将来冒険者として活動するうえで役立つだろう。
ただし、夏休みの大半が消えてしまったことには同情する。
王都観光を楽しむつもりだった少年が、軍の編成と竜退治と魔物掃討に追われる。
有名人になった代償が、あまりにも大きい。
二匹目の竜を倒して男爵になる
グレードグランド討伐後、ヴェンデリンは再び国王へ成果を報告する。
討伐した竜の素材は莫大な金額で売れ、ヴェンデリン、アームストロング、ブランタークの三人は大金を受け取る。
さらに国王は、三人へ双竜勲章を授与する。
ヴェンデリンにとっては二つ目の双竜勲章である。
そして準男爵になったばかりなのに、今度は男爵へ陞爵する。
十二歳で男爵。
古代竜と老属性竜、二匹の竜を倒している。
第1巻の終わりでも充分に成り上がっていたが、第2巻では完全に別世界の存在になり始めている。
本人は冒険者予備校の生徒であり、夏休みに兄の結婚式へ来ただけだった。
それが王都を離れる頃には、男爵、双竜勲章二つ、莫大な財産、五百人規模の軍を率いた実績まで持っている。
展開の速さに圧倒される。
ただ、地位が上がったからといって、本人の性格はそれほど変わらない。
食事を気にする。
観光できなかったことを残念がる。
面倒な人間関係に頭を抱える。
その庶民的な感覚が残っているからこそ、異常な出世との落差が面白い。
冗談のつもりがエリーゼとの婚約になる
王都滞在の最後に残っていたのが、聖教会本部での本洗礼である。
古代竜を聖魔法で浄化したヴェンデリンは、教会にとっても重要な人物となっていた。
本洗礼を終えた後、ヴェンデリンはホーエンハイム枢機卿の孫娘エリーゼと出会う。
エリーゼはヴェンデリンと同じ十二歳。
優れた治癒魔法を持ち、パルケニア草原でも多くの負傷者を助けていた。
孤児院で子どもたちへ料理や裁縫を教え、貧しい人々への炊き出しにも参加する。
その人柄から「聖女」と呼ばれている少女である。
ホーエンハイム枢機卿から、孫娘には多くの縁談が来ていると聞かされたヴェンデリンは、冗談半分で自分も立候補しようかと口にする。
ところが枢機卿は、その言葉を逃さない。
国王やアームストロング導師も賛成していると告げ、その場で話を進めてしまう。
こうしてヴェンデリンは、十二歳でエリーゼと婚約することになる。
本人の軽口から始まったとはいえ、ほとんど断れる状況ではない。
王国。
聖教会。
中央貴族。
王宮筆頭魔導師。
多くの権力者が、この婚姻を支持している。
ヴェンデリンは、知らないうちに宗教と中央貴族の人脈へ深く取り込まれていた。
ただ、相手がエリーゼだったことは幸運だと思う。
家柄や能力だけではない。
優しく、誠実で、地位を鼻にかけない。
政治的に決められた婚約ではあるが、少なくとも本人同士が不幸になるような縁談には見えなかった。
婚約者がアームストロング導師の姪だった
さらに驚かされたのが、エリーゼがアームストロング導師の姪だったことである。
高位聖職者ホーエンハイム枢機卿の孫娘。
王宮筆頭魔導師アームストロングの姪。
教会と王宮の双方につながる女性である。
ヴェンデリンとエリーゼの婚約によって、新興貴族であるバウマイスター男爵家には、強力な後ろ盾ができる。
ヴェンデリンを守るという意味では、非常に有効な縁談だろう。
一方で、王国や教会が彼を完全に手放すつもりがないことも伝わってくる。
自由に冒険者をしてよいと言われている。
しかし爵位を与えられ、教会で本洗礼を受け、中央貴族の娘と婚約し、王宮筆頭魔導師の親族になる。
ここまで関係を結ばれてしまえば、王国から離れて気ままに暮らすのは難しい。
守られる代わりに、逃げられなくなる。
ヴェンデリンが望んだ自由とは、ずいぶん違う方向へ進んでいる。
辺境伯には年齢の合う娘がいない
ブライヒレーダー辺境伯も、ヴェンデリンを寄子として確保し、一族の娘を正妻にしたいと考えていた。
しかし辺境伯家には、ヴェンデリンと年齢の合う未婚女性がいない。
成人しているのは四十歳を超えた独身の叔母。
あとは、一歳にもならない赤ん坊である。
叔母との形式的な婚姻では、ヴェンデリンへの侮辱になりかねない。
赤ん坊では、さすがに年齢差がありすぎる。
適当な人物を養女にする方法もあるが、中央貴族から攻撃される材料になる可能性がある。
大物貴族であっても、都合よく婚姻候補を用意できるわけではない。
血縁を結びたいのに、適齢の娘がいない。
焦りながらも、無理な縁談を押しつければヴェンデリンとの関係が壊れる。
そのため慎重にならざるを得ない。
政略結婚の舞台裏が、少し滑稽に見えるほど細かく描かれている。
結局、辺境伯が迷っている間に、ホーエンハイム枢機卿が先にエリーゼとの婚約を決めてしまう。
中央貴族に出し抜かれた形である。
辺境伯は正妻を送り込むことを諦める。
しかし、将来ヴェンデリンに生まれる子どもと、自分の一族の娘を結婚させる計画へすぐ切り替える。
数十年先まで見据えて血縁を作ろうとする姿には、貴族家の執念を感じた。
イーナとルイーゼも婚約者のような立場になる
エリーゼが正妻候補となったことで、イーナとルイーゼの立場も変化する。
二人は陪臣の娘である。
男爵となったヴェンデリンの正妻としては、家格が釣り合わないと見なされる。
そのため周囲からは、側室や妾になる女性として扱われるようになる。
まだ全員十二歳前後である。
本格的な恋愛関係が始まっているわけでもない。
それでも貴族社会では、将来の立場を先に決めてしまう。
ルイーゼは比較的前向きである。
ヴェンデリンのそばにいられるなら、側室でも妾でも構わないと考えている。
一方のイーナは、好意を持ちながらも素直に表現できず、自分はつまらない女だと思われているのではないかと悩む。
二人の実家にとっても、ヴェンデリンとの関係には利益がある。
将来彼が領地を持てば、槍術や魔闘流の道場を開ける。
実家の弟子や家臣の就職先も増える。
娘の結婚が、家の将来と直結している。
恋愛感情だけで結婚相手を選べない世界である。
その現実は重い。
ただ、ヴェンデリンは二人を単なる政治の道具として扱っていない。
これまで一緒に戦ってきた仲間であり、友人でもある。
周囲が勝手に妾候補と見なす中で、本人たちがどのような関係を築いていくのか気になった。
力を得るほど周囲の思惑に囲まれていく
第2巻を読んで感じたのは、ヴェンデリンが強くなったからこそ、自分の人生を自分だけでは決められなくなっているということである。
古代竜を倒した。
その結果、国王から爵位を与えられる。
爵位を得たため、王命の竜討伐を断れなくなる。
竜を倒したことで男爵へ昇進する。
男爵になったため、家格に合う正妻が必要になる。
エリーゼと婚約したことで、教会や中央貴族とのつながりができる。
一つの成功が、次の義務を生み出している。
本人は何もかもを望んでいたわけではない。
自由な冒険者として暮らしたかっただけである。
しかし、それほどの力を持つ人間を、国王や大貴族が放っておくはずがない。
ヴェンデリンを利用したい者もいる。
守りたいと考える者もいる。
縁を結びたい者もいる。
それぞれの善意や打算が重なり、彼の周囲に逃げられない人間関係が作られていく。
ただ、完全に不幸というわけでもない。
エーリッヒ兄さんとの再会。
エル、イーナ、ルイーゼとの友情。
新しい婚約者エリーゼ。
アルフレッドを知るアームストロング導師との出会い。
しがらみが増える一方で、信頼できる人や守りたい人も増えている。
自由は減っているかもしれない。
しかし、一人で生きるしかなかった幼少期と比べれば、ヴェンデリンには多くのつながりが生まれている。
その変化を、単純に悪いものとも言い切れないと感じた。
最後に待っていたのは導師の地獄の特訓
王都での騒動を終えたヴェンデリンは、ブライヒブルクへ戻ることになる。
しかし、すでにドラゴンを二匹も倒してしまった。
地元の冒険者予備校では、ヴェンデリンへ教えられる内容がほとんど残っていない。
そこでブライヒレーダー辺境伯から、王都でさらに学ぶよう指示が出される。
王都には、国王、教会、婚約者、アームストロング導師がいる。
ヴェンデリンを中央へ近づけたい人々にとっても、都合のよい話である。
そしてヴェンデリンとルイーゼは、アームストロング導師の弟子になる。
強大な魔法を持つヴェンデリン。
魔闘流を使うルイーゼ。
どちらも身体強化や魔力制御を学ぶ価値がある。
理屈は分かる。
しかし、あの筋肉質で暑苦しい導師から、地獄のような特訓を受けることになる。
竜を倒すよりも大変なのではないかと思ってしまう。
国王や大貴族に振り回され、竜退治へ駆り出され、婚約まで決められた。
その巻末で待っているのが、アームストロング導師の特訓である。
最後までヴェンデリンに安らぎはなかった。
このオチには思わず笑ってしまった。
出世と不自由が同時に増えていく一冊
『八男って、それはないでしょう! 2』では、ヴェンデリンが貴族として急速に出世していく。
準男爵になる。
男爵へ昇進する。
双竜勲章を二つ得る。
莫大な財産を手にする。
五百人規模の軍を編成する。
教会有力者の孫娘と婚約する。
表面的には、非常に華やかな成功である。
しかし、その裏側には常に面倒な現実がある。
爵位を得れば軍役が発生する。
財産を得れば人が集まる。
有名になれば縁談が増える。
家臣を雇えば責任が生まれる。
結婚すれば派閥へ組み込まれる。
何かを得るたび、別の自由を失っていく。
その構造が、本巻でははっきりと描かれていた。
ヴェンデリンは、実家で放置されていた頃よりもはるかに豊かになった。
孤独でもない。
それでも、自分の望むままに生きられるようになったとは言いにくい。
自由になるために身につけた魔法が、彼を国王、大貴族、教会の中心へ押し上げていく。
その皮肉が面白い。
強大な魔法を持ちながら、常に年上の大人たちへ振り回される。
それでもヴェンデリンは、目の前の問題を一つずつ処理していく。
兄の祝儀を用意する。
竜を倒す。
家臣を守る。
婚約を受け入れる。
料理のできない年長者へ食事まで作る。
派手な力と、生活感のある苦労が同時に描かれるからこそ、彼を応援したくなるのだと思う。
次巻では、王都での新しい生活や、アームストロング導師の特訓が本格的に始まる。
男爵となり、婚約者までできたヴェンデリンが、今後どこまで周囲の期待に巻き込まれていくのか。
そして、本人が望んでいた自由な冒険者生活を本当に送れるのか。
成り上がるほど日常が世知辛くなる主人公の今後が、ますます楽しみになる第2巻だった。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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考察・解説
古代竜の討伐
古代竜の討伐と栄達および新たなしがらみの全貌
『八男って、それはないでしょう!』などの物語作品における「主人公ヴェンデリンによる古代竜の討伐とその後の展開」について、アンデッド古代竜の襲来、12歳の少年の決死のデビュー戦、飛翔や魔法障壁および聖光を駆使した空中戦、莫大な戦利品、ならびに栄達と新たなしがらみの各点から解説する。
アンデッド古代竜の襲来
物語の大きな転機となる古代竜の討伐は、主人公ヴェンデリンが五男エーリッヒの結婚式に出席するため王都へと向かう魔導飛行船の中で突如として発生した。
・航路上に全長50メートルを超える、骨だけになったアンデッド古代竜が突如姿を現した。
・古代竜クラスの魔物が人間の領域に姿を見せることは極めて稀であり、遭遇した以上、通常の人間にとっては天災に等しい絶望的な脅威であった。
・飛行船は魔力を消耗する速度で逃走を試みたが、魔力が尽きれば追いつかれるのは時間の問題であった。
12歳の少年の決死のデビュー戦
アンデッド古代竜を倒すための有効打は聖の魔法しかなかったが、同乗していた凄腕の魔法使いブランタークはこれを習得していなかった。
・唯一聖の魔法を使える12歳のヴェンデリンに討伐が託されることとなった。
・これまで熊や狼を倒した程度の彼にとって、魔物との実戦デビュー戦が伝説の古代竜という理不尽な状況であった。
・乗客全員の命と、亡き師匠アルフレッドの弟子としての誇りを守るために戦う決意を固めた。
飛翔や魔法障壁および聖光を駆使した空中戦
作戦は、ブランタークが船全体を魔法障壁で守る間に、ヴェンデリンが飛翔で空中に飛び出して討伐するというものであった。
・古代竜は周囲の植物を一瞬で枯らす黒い霧状の猛毒ブレスを吐き出したが、ヴェンデリンは自らも魔法障壁を展開してそれを防いだ。
・古代竜の手足や尻尾の攻撃を飛翔で巧みにかわしながら至近距離に接近し、高濃度の聖の光を浴びせ続けた。
・激しく抵抗していた骨竜はついに浄化され、活動を停止してバラバラになり落下していった。
莫大な戦利品
ヴェンデリンは落下する骨格一式と、竜の体内から直径2メートルにも及ぶ巨大な魔石を回収した。
・同乗していた大商人アルテリオの見立てによると、この魔石は国家の切り札である魔導飛行船を動かす魔晶石の4倍の大きさを誇る超希少品であった。
・最低でも白金貨1200枚以上の価値があると評価された。
・後にこの魔石と骨は、巨大魔導飛行船を再稼働させたい国王によって白金貨1500枚で買い取られた。
栄達と新たなしがらみ
船を救った英雄となったヴェンデリンたちは、船長からVIP専用の豪華な客室を与えられ、最高級の待遇で王都へ送り届けられた。
・王都到着直後、この功績により国王から直々に謁見を命じられた。
・二百年以上授与者のいなかった双竜勲章と第六位準男爵の地位を授与された。
・圧倒的な武勲と莫大な富を得たことで、彼は貴族社会の複雑なしがらみに巻き込まれることとなった。
・王宮筆頭魔導師アームストロングに目を付けられてパルケニア草原の老地竜討伐に強制参加させられた。
・教会有力者の孫娘であるホーエンハイム家の聖女ことエリーゼと唐突に婚約させられるなど、彼の人生と社会的立場は劇的に変化していった。
まとめ
古代竜の討伐とその後を巡る一連の全貌は、魔導飛行船を襲う巨大な脅威から始まり、聖の魔法を用いた少年の決死の戦闘、空中戦での完全なる浄化、莫大な戦利品の獲得、そして貴族社会での栄達と新たな波乱に至るまで、その歩みを明瞭に示している。未熟さや突発的な天災という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、能力の発露と運命の激変の記録である。遭遇の瞬間から、覚悟の決断、空中戦の制覇、莫大な富の獲得、そして社会的地位の上昇と貴族社会への突入へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
準男爵への叙任
ヴェンデリンの準男爵叙任と社会的立場の変化の全貌
『八男って、それはないでしょう!』などの物語作品における「主人公ヴェンデリン(一宮信吾)の準男爵への叙任と社会的立場の変化」について、叙任の経緯、実家からの独立と新たな身分、貴族社会のしがらみと影響、および防衛策としての家臣任命の各点から解説する。
叙任の経緯
王都へと向かう魔導飛行船の航路上で、ヴェンデリンは天災レベルの脅威であるアンデッド古代竜を討伐し、船と乗客を救った。
・この功績を高く評価した国王ヘルムート三十七世は、彼を王城での謁見に招いた。
・二百年以上授与者のいなかった最高峰の武勲章である双竜勲章を授与した。
・彼を第六位準男爵に叙任した。
実家からの独立と新たな身分
この叙任により、ヴェンデリンは第七位騎士爵である実家のバウマイスター家から籍が抜けた。
・新たにバウマイスター準男爵家を立ち上げて初代当主として完全に独立することとなった。
・領地を持たない法衣貴族としての扱いになるが、年に金貨三十枚という高額な年金が保証される身分となった。
・階位の面では第七位の実家の父や兄たちを上回ってしまい、公式の場では彼らよりも上位の者として扱われることとなった。
貴族社会のしがらみと影響
この異例の出世は、ヴェンデリンに新たな人間関係の波乱をもたらした。
・国王直属の貴族となったことで、彼を自分のお抱え魔法使いにしようと狙っていた寄親のブライヒレーダー辺境伯は、身分上彼を家臣として雇うことができなくなった。
・これは国王が有望な人材を囲い込むための思惑でもあった。
・12歳の若さで莫大な資産と名誉、爵位を手に入れたヴェンデリンの元には、仕官を希望する下級貴族や平民が殺到した。
・自分の娘や妹を正妻や妾として押し込もうとする貴族や大商人たちも殺到することとなった。
防衛策としての家臣任命
有象無象の面会希望者や縁談から身を守るため、ブラント家当主ルートガーの助言を受け、ヴェンデリンはパーティメンバーである友人たちを形式上の家臣として雇う防衛策をとった。
・エルヴィンを従士長に任命した。
・イーナとルイーゼを護衛兼メイドという役職に就かせた。
・すでに家臣や側室の枠は埋まっていると周囲にアピールし、押し寄せる人々を牽制することとなった。
まとめ
ヴェンデリンの準男爵叙任と社会的立場の変化を巡る一連の全貌は、古代竜討伐による栄光の叙任から始まり、実家からの独立と新たな爵位の獲得、貴族社会から殺到する思惑と圧迫、そして友人たちを家臣とする防衛策の講じるに至るまで、その歩みを明瞭に示している。実家の制約や周囲の野心という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、爵位の獲得と貴族社会での生存戦略の記録である。武勲の認定から、爵位の拝受、立場の逆転、周囲の狂乱、そして組織防衛の構築へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
エリーゼとの婚約
ヴェンデリンとエリーゼの婚約と政治的思惑の全貌
『八男って、それはないでしょう!』などの物語作品における「主人公ヴェンデリンとエリーゼ・カタリーナ・フォン・ホーエンハイムとの婚約と背景」について、婚約の経緯と断れない外堀、ホーエンハイム家の聖女エリーゼ、背後に渦巻く政治的思惑と出し抜かれた辺境伯、初デートと婚約指輪に込めた牽制、およびイーナとルイーゼの立ち位置の各点から解説する。
婚約の経緯と断れない外堀
古代竜討伐と準男爵への叙任を果たした直後、ヴェンデリンは教会の有力者であるホーエンハイム枢機卿から招かれ、聖教会本部でセレブ向けの本洗礼を受けた。
・洗礼後の茶会の席で、枢機卿は修道女見習いとして働く自身の孫娘エリーゼを彼に紹介した。
・前世の記憶から社交辞令で俺も立候補してみようかなと口走ってしまった。
・枢機卿はこの言葉を逃さず、すでに国王ヘルムート三十七世からのお墨付きを得ており、伯父のアームストロング導師も大賛成していると明かした。
・国王と教会有力者、そして王宮筆頭魔導師という巨大な権威によって完全に外堀を埋められており、断ることは王国内での立場を失うことを意味していたため、わずか12歳にしてエリーゼと婚約することとなった。
ホーエンハイム家の聖女エリーゼ
婚約者となったエリーゼは、ヴェンデリンと同じ12歳でありながら、並外れた美貌とプロポーションを持つ少女であった。
・聖属性の治癒魔法に極めて優れており、教会での無料治療や孤児院での世話、炊き出しなどに尽力する姿勢から、王都ではホーエンハイム家の聖女と称賛されていた。
・パルケニア草原での過酷な討伐戦でも、救護所で数百人規模の重傷者を献身的に治療する活躍を見せた。
・初デートにおいて、彼女はヴェンデリンを竜殺しの英雄としてではなく普通の少年として優しく扱い、ヴェンデリンも彼女とであれば夫婦として上手くやっていけると確信を抱くようになった。
背後に渦巻く政治的思惑と出し抜かれた辺境伯
この婚約の裏には、複数の大物たちの思惑が交錯していた。
・ホーエンハイム枢機卿は、莫大な資産と圧倒的な魔法の才能を持つ英雄を身内に取り込むという野心と、孫娘にふさわしい夫を与えたいという愛情を持っていた。
・国王ヘルムート三十七世は、年上の王族の娘たちを押し付けようとする貴族たちの嫌がらせを防ぐ意図があり、性格が良く治癒魔法に優れたエリーゼであればヴェンデリンをうまく支えられると判断した。
・ブライヒレーダー辺境伯は、釣り合う年齢の女子がいなかったため準備が遅れ、その隙を突いた枢機卿と国王によって完全に先を越され、出し抜かれる形となった。
初デートと婚約指輪に込めた牽制
婚約後、執事セバスチャンのエスコートのもとで行われた王都での初デートで、ヴェンデリンは高級宝飾店を訪れた。
・中級魔法使い程度の魔力を蓄えることができる特殊な魔晶石の指輪を300万セントで購入し、エリーゼにプレゼントした。
・治癒魔法を使う彼女の魔力タンクとしての実用性だけでなく、ホーエンハイム枢機卿に対する強かな牽制でもあった。
・高価な指輪を贈った自分を見捨てたり梯子を外したりすれば枢機卿の評判が失墜するため、教会の力で守れという無言のプレッシャーを含んでいた。
・枢機卿はその小賢しさを、ただの魔法バカではないと好ましく評価した。
イーナとルイーゼの立ち位置
エリーゼという絶対的な正妻が決まったことで、ヴェンデリンと行動を共にしていた陪臣の娘であるイーナとルイーゼは、身分差から正妻になる目が完全に無くなった。
・彼女たちは絶望することなく、むしろヴェンデリンの寛容さや経済力に惹かれ、彼を支える側室や妾としての立場を受け入れてアプローチを続けていくこととなった。
・ヴェンデリン自身も、成人後にはエリーゼだけでなくイーナとルイーゼも妻として迎え入れる決意を固めた。
まとめ
ヴェンデリンとエリーゼの婚約を巡る一連の全貌は、権威による回避不能な外堀の構築から始まり、聖女エリーゼの資質と信頼の醸成、中央貴族や教会の複雑な政治的思惑、指輪を通じた高度な牽制劇、そして側室たちも含めた新たな関係性の確立に至るまで、その歩みを明瞭に示している。政治的な利用や身分的な制約という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、政略結婚と真摯な絆の記録である。外堀の埋め立てから、真真の好意、政治の暗闘、無言の交渉、そして一団の団結へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
パルケニア草原解放
パルケニア草原解放と大討伐作戦の全貌
『八男って、それはないでしょう!』などの物語作品における「パルケニア草原解放作戦とヴェンデリンの躍進」について、パルケニア草原の重要性と脅威、三人による少数精鋭の討伐作戦、バウマイスター準男爵家軍の編成、老地竜グレードグランドとの激闘、および草原の解放と多大な恩賞の各点から解説する。
パルケニア草原の重要性と脅威
パルケニア草原は王都近郊にある水と土地に恵まれた広大な平原であり、開発されれば大規模な穀倉地帯となる有望な土地であった。
・樹齢五千を超える全長30メートルの老地竜グレードグランドが支配する魔物の領域であった。
・歴代の討伐軍は竜のブレスによって甚大な被害を受けて失敗に終わり、開発は長年不可能とされてきた。
三人による少数精鋭の討伐作戦
国王ヘルムート三十七世は、アンデッド古代竜を討伐したばかりのヴェンデリン、王宮筆頭魔導師であるアームストロング導師、ベテラン魔法使いのブランタークの三人による討伐作戦を立案した。
・未成年のヴェンデリンが魔物の領域に入るのは法で禁じられていたが、準男爵家の当主となったため貴族への従軍命令という法の抜け道を利用して強制的に召集された。
バウマイスター準男爵家軍の編成
貴族として軍事行動に参加する以上、ヴェンデリンも自家の軍勢を出す必要があった。
・五男エーリッヒが副将兼参謀として実務を取り仕切った。
・エルヴィンを名目上の代将として、各派閥からの支援者や戦功を求める陣借り者などを集めた507名の混成部隊であるバウマイスター準男爵家軍が急遽編成された。
・王国軍のパルケニア草原方面派遣軍に合流することとなった。
老地竜グレードグランドとの激闘
作戦は、大軍を投入して無用な犠牲を出すことを避け、まず三人でグレードグランドを倒すというものであった。
・アームストロング導師が魔力を物質化した魔導機動甲冑を纏って肉弾戦で竜を翻弄した。
・ブランタークが魔力補充などの後方支援を行った。
・ヴェンデリンが二分間かけて風の戦略級魔法カッタートルネードを準備して放った。
・土属性の地竜の弱点である風の魔法が炸裂し、竜巻による無数の刃と失血によってグレードグランドは討ち倒された。
草原の解放と多大な恩賞
グレードグランド討伐後も、三人は軍や冒険者たちの犠牲を減らすため、一週間にわたって草原内を駆け巡り強力な魔物を間引き続けた。
・この掃討戦によりパルケニア草原の魔物は大半が駆逐され、ついに有望な穀倉地帯としての開発が可能となった。
・ヴェンデリンたちは竜の素材の売却益として莫大な富を得た。
・国王から武勲章である双竜勲章を授与された。
・ヴェンデリンは男爵へ、アームストロング導師は子爵へと陞爵を果たした。
まとめ
パルケニア草原解放作戦を巡る一連の全貌は、王都近郊の絶対的な脅威であった老地竜の存在から始まり、法制度を突いた少数精鋭による討伐計画、自家の軍勢の急造編成、戦略級魔法による激闘の制覇、そして穀倉地帯の確保と男爵への陞爵に至るまで、その歩みを明瞭に示している。未開の脅威や厳格な軍規という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、国家的な大偉業と地位の更なる上昇の記録である。強制召集の発生から、混成軍の組織、戦略魔法の行使、徹底した掃討、そして男爵位の獲得へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
王都での修行
ヴェンデリンたちの王都での修練と成長の全貌
『八男って、それはないでしょう!』などの物語作品における「ヴェンデリンたちの王都での修行と指導」について、王都留学の決定、仲間たちの新たな師匠、アームストロング導師による魔法格闘術の特訓、および器合わせと圧倒的な魔力の増大の各点から解説する。
王都留学の決定
パルケニア草原での老地竜グレードグランド討伐任務を終えたヴェンデリンたちに対し、寄親であるブライヒレーダー辺境伯から王都留置きの指示が下された。
・ブライヒブルクの冒険者予備校の卒業認定を出し、15歳の成人まで王都に留まり冒険者修行を続けるよう命じられた。
・国王や中央貴族たちが竜殺しの英雄であるヴェンデリンに恩を売って派閥に取り込もうとする思惑が存在した。
・すでに同年代を圧倒する実力を持つ彼らにとって、設備や人材が豊富な王都で一流の指導者から学ぶ方が有益であるという妥当な側面もあった。
仲間たちの新たな師匠
王都での修行において、パーティメンバー各自が専門の一流指導者から直接指導を受けることとなった。
・エルヴィンは近衛騎士団の中隊長ワーレンから剣の指導を受けた。
・イーナは同じく近衛騎士団の槍術の達人から槍の指導を受けた。
・ヴェンデリンとルイーゼの二人は軍施設へと呼び出され、王宮筆頭魔導師アームストロングの直接指導を受けることとなった。
アームストロング導師による魔法格闘術の特訓
遠距離魔法を得意とするヴェンデリンは、魔力で肉体を強化して竜を素手で殴り倒すアームストロング導師の魔法格闘術の訓練から逃げようとした。
・導師から、魔力を物質化して身にまとう魔導機動甲冑は魔力循環の訓練として極めて効率が良いと説得された。
・高度な格闘センスがなくても高速飛翔や身体強化を維持した戦闘が可能になると説明された。
・多彩な魔法を使えたアルフレッドも、魔導機動甲冑を習得していれば魔の森で命を落とさなかったかもしれないと告げられ、不測の事態に備えて新たな戦闘術を学ぶことを決意した。
器合わせと圧倒的な魔力の増大
修行の初日、ヴェンデリンはルイーゼやアームストロング導師、その弟子たちと魔力を同調させる器合わせを行った。
・これまで意図的に魔力の成長を抑えていたルイーゼの魔力量は、中級と上級の間にまで急増した。
・40歳近くになっても成長限界を迎えていなかったアームストロング導師の魔力も、規格外であるヴェンデリンと同等にまで引き上げられた。
・導師自身も自身のさらなる強化のためにヴェンデリンとの特訓を熱望していた。
・ヴェンデリンとルイーゼは、底知れない体力を持つアームストロング導師のもとで、過酷な鍛錬へと足を踏み入れていくこととなった。
まとめ
ヴェンデリンたちの王都での修練を巡る一連の全貌は、貴族社会の思惑を含んだ王都留学の決定から始まり、各分野の達人による指導体制の確立、魔導機動甲冑を通じた魔法格闘術の修練、そして器合わせによる魔力量の急増に至るまで、その歩みを明瞭に示している。既存の戦闘スタイルや成長の限界という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、能力の更なる拡張と実力強化の記録である。留学の決定から、師への師事、理論の納得、魔力の同調、そして過酷な鍛錬の開始へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
登場キャラクター
バウマイスター家(パウマイスター家)
ヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスター(一宮信吾)
前世は一宮信吾という日本人である。貧乏貴族の八男として生まれ、卓越した魔法の才能を持つ。エーリッヒを良き理解者として慕っている。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター準男爵家・当主(後に男爵)。冒険者予備校の特待生。
・物語内での具体的な行動や成果
古代竜と老地竜グレードグランドを討伐した。エリーゼと婚約し、彼女に魔晶石の指輪を贈った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
二度の竜討伐の功績により、第六位準男爵から男爵へ陞爵した。双竜勲章を二つ授与され、生涯名誉年金を得ている。
クルト
バウマイスター家の長男であり、次期当主である。閉鎖的な思考を持ち、領地の既存の秩序を守ることを優先している。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター家・長男。
・物語内での具体的な行動や成果
自身の結婚で実家の蓄えを使い果たした。エーリッヒの結婚に際し、祝儀の立て替えを弟のパウルとヘルムートに要求する手紙を送った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
パウル
バウマイスター家の三男である。実家を出る際に継承権を放棄した。
・所属組織、地位や役職
王都警備隊の隊員。
・物語内での具体的な行動や成果
エーリッヒの結婚式に出席し、実家からの理不尽な要求を記した手紙を持参した。バウマイスター準男爵家軍の指揮官としてパルケニア草原方面派遣軍に参加した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
軍務卿の承認を得て休職し、出兵に参加した。
ヘルムート
バウマイスター家の四男である。三男のパウルと共に行動している。
・所属組織、地位や役職
王都警備隊の隊員。
・物語内での具体的な行動や成果
パウルと共にエーリッヒの結婚式に参加した。陣借り者の面接を手伝い、バウマイスター準男爵家軍の指揮官として従軍した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
パウル同様に休職の許可を得て作戦に参加した。
クラウス
バウマイスター領の本村落を管理する名主である。領主へ娘を妾として差し出している。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター家・本村落の名主。
・物語内での具体的な行動や成果
税収業務の全般を取り仕切っている。ヴェンデリンの成功を伝える号外を不気味な笑みを浮かべて見ていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
他の村落の名主からは嫌われている。領内の実質的なナンバー2と認識されている。
ユルゲン
バウマイスター領の開拓村の一つを管理する名主である。クラウスを嫌っている。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター家・村落の名主。
・物語内での具体的な行動や成果
本村落の住民が優秀な弟を危険視している事情をフリッツに説明した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ヴェンデリンの成功により、領地に大きな変化が訪れると予測した。
フリッツ
バウマイスター騎士爵領の開拓村に住む農民である。両親、妻、二人の子供を持つ。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター領・農民。
・物語内での具体的な行動や成果
十四歳の頃から農地の拡張作業に従事した。ヴェンデリンと大豆や獲物の交換を行っていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ホルスト
フリッツの弟である。
・所属組織、地位や役職
農家・婿。
・物語内での具体的な行動や成果
男児のいない隣の村落の農家へ婿入りした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
インゴルフ
フリッツの住む村落の猟師である。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター領・猟師。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に具体的な行動の記載はない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
村で一番の猟師とされており、三日に一羽ホロホロ鳥を獲れれば良い方とされる。
ボリス
フリッツの近所に住んでいた幼馴染である。農家の三男である。
・所属組織、地位や役職
工房の弟子。
・物語内での具体的な行動や成果
十二歳の時に村を出て、ブライヒブルクの工房へ弟子入りした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
従士長
バウマイスター家当主の叔父にあたる人物である。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター家・従士長。
・物語内での具体的な行動や成果
十数年前の魔の森への遠征に参加した。遠征先で戦死した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
従士長の息子たち
従士長の補佐をしていた息子たちである。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター家・従士。
・物語内での具体的な行動や成果
父親と共に魔の森への遠征に参加し、戦死した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
開拓村の農民たち
バウマイスター騎士爵領の三つの村落に住む人々である。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター領・住民。
・物語内での具体的な行動や成果
行商隊から塩や生活用品を購入している。領主の命令で農地拡張の労役に従事した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
遠征の生き残りたち
魔の森への遠征から生還した五名の農民たちである。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター家・領民。
・物語内での具体的な行動や成果
飢えから馬を食べ、負傷した仲間を置き去りにして帰還した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
帰還後も心身に傷を負っており、暗闇や大きな獣を恐れる後遺症に苦しんでいる。
バウマイスター準男爵家諸侯軍
ヴェンデリンの名の下に編成された五百七名の混成部隊である。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター準男爵家軍。
・物語内での具体的な行動や成果
パルケニア草原方面派遣軍に合流し、残存する魔物の掃討戦に参加した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
各派閥からの支援者と陣借り者で構成された寄り合い所帯である。
陣借り者たち
戦功や仕官の機会を求めてバウマイスター準男爵家軍に一時参加した者たちである。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター準男爵家軍・兵士。
・物語内での具体的な行動や成果
パルケニア草原での作戦に参加し、魔物を討伐した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
武具は自前で用意している。
ブラント騎士爵家
エーリッヒ
バウマイスター家の五男であり、ブラント家の婿である。ヴェンデリンの良き理解者である。
・所属組織、地位や役職
ブラント家・次期当主。下級官吏。バウマイスター準男爵家軍・副将兼参謀。
・物語内での具体的な行動や成果
ミリヤムと結婚した。ヴェンデリンに代わって諸侯軍の編成と運営の実務を取り仕切った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
諸侯軍の編成を通じてルックナー侯爵に強い印象を残した。
ルートガー・ヴィレム・フォン・ブラント
ブラント家の現当主である。エーリッヒの義父である。経験豊富な役人である。
・所属組織、地位や役職
ブラント家・当主。
・物語内での具体的な行動や成果
ヴェンデリンに対し、貴族社会の仕組みや対応について助言を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
エーリッヒに家督を譲るため、爵位の継承を意図的に遅らせている。
マーリオン・ヴィレム・フォン・ブラント
ルートガーの妻であり、エーリッヒの義母である。
・所属組織、地位や役職
ブラント家・当主の妻。
・物語内での具体的な行動や成果
ヴェンデリンの誕生日パーティーで料理の手伝いをした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
実家も嫁ぎ先も騎士爵家である。
ミリヤム・ヴィレム・フォン・ブラント
ルートガーの一人娘であり、エーリッヒの妻である。穏やかな性格である。
・所属組織、地位や役職
ブラント家・当主の娘。
・物語内での具体的な行動や成果
王都での買い物や観光にヴェンデリンたちを案内した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
買い物の際にはお買い得品を熱心に探す一面を持つ。
屋敷のメイドたち
ブラント邸で働く使用人たちである。
・所属組織、地位や役職
ブラント家・メイド。
・物語内での具体的な行動や成果
結婚披露パーティーの準備に追われていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ブライヒレーダー辺境伯家
ブライヒレーダー辺境伯
王国南部の取り纏め役である。ヴェンデリンを自らの勢力下に取り込もうと画策している。
・所属組織、地位や役職
ブライヒレーダー家・当主(辺境伯)。
・物語内での具体的な行動や成果
ヴェンデリンとエリーゼの婚約を知り、一族の娘を正妻にすることを断念した。ヴェンデリンたちに王都での修行継続を命じる手紙を送った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
バウマイスター男爵家の将来の跡継ぎに一族の娘を嫁がせる計画へ方針を転換した。
先代ブライヒレーダー辺境伯
ブライヒレーダー辺境伯家の先代当主である。
・所属組織、地位や役職
ブライヒレーダー家・先代当主。
・物語内での具体的な行動や成果
跡取りの病を治す霊薬を求めて魔の森への遠征を強行し、軍を壊滅させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
アニータ
ブライヒレーダー辺境伯の叔母である。四十歳を超えて独身である。
・所属組織、地位や役職
ブライヒレーダー家・一族。
・物語内での具体的な行動や成果
本屋敷で仕事もせずに暮らしている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
家臣からヴェンデリンの婚約者候補として推されたが、当主によって却下された。
ブランターク・リングスタット
ブライヒレーダー辺境伯の家臣である。元一流の冒険者である。
・所属組織、地位や役職
ブライヒレーダー家・お抱え魔法使い。
・物語内での具体的な行動や成果
アームストロングやヴェンデリンと共に老地竜グレードグランドの討伐任務に参加し、後方支援を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
竜討伐の功績で双竜勲章と莫大な金銭報酬を得た。
アルフレッド
故人である。クリムト・クリストフ・フォン・アームストロングの親友かつライバルであった。
・所属組織、地位や役職
元ブライヒレーダー家・お抱え魔法使い。
・物語内での具体的な行動や成果
多彩な魔法を器用に使いこなす天才であった。魔の森への遠征で命を落とした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ヴェンデリンの魔法の師匠である。
王都屋敷の文官たち
ブライヒレーダー辺境伯家の王都屋敷に勤務する者たちである。
・所属組織、地位や役職
ブライヒレーダー家・文官。
・物語内での具体的な行動や成果
バウマイスター準男爵家軍への後方支援要員として派遣された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
屋敷の警備隊長
ブライヒレーダー辺境伯家の王都屋敷の警備責任者である。
・所属組織、地位や役職
ブライヒレーダー家・警備隊長。
・物語内での具体的な行動や成果
部下の警備兵を率いてバウマイスター準男爵家軍に参加した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
警備兵たち
ブライヒレーダー辺境伯家の王都屋敷を警備する兵士たちである。
・所属組織、地位や役職
ブライヒレーダー家・警備兵。
・物語内での具体的な行動や成果
バウマイスター準男爵家軍に参加した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
十五名のベテラン兵士である。
聖教会・ホーエンハイム子爵家
ホーエンハイム枢機卿
聖教会本部の有力者であり、エリーゼの祖父である。教会の影響力拡大を図る老練な政治家である。
・所属組織、地位や役職
聖教会・枢機卿。ホーエンハイム子爵家・当主。
・物語内での具体的な行動や成果
国王の事前の了承を得た上で、ヴェンデリンと孫娘エリーゼの婚約を成立させた。ヴェンデリンの本洗礼を執り行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ヴェンデリンから贈られた魔晶石の指輪を見て、彼の意図を好ましく受け止めた。
エリーゼ・カタリーナ・フォン・ホーエンハイム
ホーエンハイム枢機卿の孫娘であり、アームストロング導師の姪である。「ホーエンハイム家の聖女」と呼ばれる。
・所属組織、地位や役職
ホーエンハイム子爵家・令嬢。修道女見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
パルケニア草原での作戦に従軍し、救護所で多数の負傷者を治療した。ヴェンデリンと婚約し、初デートで彼から魔晶石の指輪を贈られた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
聖属性の治癒魔法に優れ、孤児院での活動なども行っている。
セバスチャン
ホーエンハイム家に仕える老齢の執事である。
・所属組織、地位や役職
ホーエンハイム家・執事。
・物語内での具体的な行動や成果
ヴェンデリンとエリーゼの初デートに同行し、的確な案内と助言を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
エリーゼが生まれる前から仕えている。
老司祭
パルケニア草原への遠征軍に従軍した聖職者である。
・所属組織、地位や役職
教会・司祭。
・物語内での具体的な行動や成果
過去の討伐戦で負傷者を置き去りにした凄惨な経験をエリーゼに語った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
司教たち
聖教会本部でヴェンデリンを出迎えた高位の聖職者たちである。
・所属組織、地位や役職
教会・司教。
・物語内での具体的な行動や成果
特になし。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
高司祭たち
ヴェンデリンの本洗礼で雑用を務めた聖職者たちである。
・所属組織、地位や役職
教会・高司祭。
・物語内での具体的な行動や成果
ホーエンハイム枢機卿からヴェンデリンの寄付金を受け取った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
修道女たち
教会で働く女性たちである。
・所属組織、地位や役職
教会・修道女。
・物語内での具体的な行動や成果
特になし。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
エリーゼも見習いとして働いている。
従軍神官たち
パルケニア草原への遠征軍に治療担当として参加した者たちである。
・所属組織、地位や役職
教会・従軍神官。
・物語内での具体的な行動や成果
救護所で負傷者の治療にあたった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ヘルムート王国・王宮・貴族関係者
ヘルムート三十七世
ヘルムート王国の国王である。有能な魔法使いであるヴェンデリンを重用しようとしている。
・所属組織、地位や役職
ヘルムート王国・国王。
・物語内での具体的な行動や成果
ヴェンデリンに準男爵位と双竜勲章を授けた。パルケニア草原の解放作戦を命じ、成功後にヴェンデリンとアームストロングを陞爵させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アームストロング導師とは幼少期からの親友である。
アンネリーゼ
王族の女性である。三十五歳である。
・所属組織、地位や役職
王族。
・物語内での具体的な行動や成果
特になし。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
浪費家で気性が激しいため、婚姻候補としては避けられている。
ディアーナ
王族の女性である。二十九歳である。
・所属組織、地位や役職
王族。
・物語内での具体的な行動や成果
特になし。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ヘルミーネ
王族の女性である。二十七歳である。
・所属組織、地位や役職
王族。
・物語内での具体的な行動や成果
特になし。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ヒルデガルト
王族の女性である。二十五歳である。
・所属組織、地位や役職
王族。
・物語内での具体的な行動や成果
特になし。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
クリムト・クリストフ・フォン・アームストロング
王宮筆頭魔導師である。巨漢であり、魔導機動甲冑と身体強化を用いた近接戦闘を得意とする。
・所属組織、地位や役職
王宮筆頭魔導師。男爵(後に子爵)。
・物語内での具体的な行動や成果
ヴェンデリンらと共にパルケニア草原へ出撃し、老地竜グレードグランドを討伐した。ヴェンデリンとルイーゼの魔法の訓練を引き受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
竜討伐の功績で子爵へ陞爵し、双竜勲章を授与された。
ルックナー侯爵(ルックナー財務卿)
王国の財務卿を務める有能な政治家である。モンジェラ子爵の寄親である。
・所属組織、地位や役職
財務卿。侯爵。
・物語内での具体的な行動や成果
謁見の場で古代竜素材の買取価格に異議を唱えたが、国王の意図を汲んで引き下がった。バウマイスター準男爵家軍へ財務系の役人を派遣した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
国王からの信頼が厚い。
モンジェラ子爵
ブラント家の寄親である。ルックナー侯爵の寄子である。
・所属組織、地位や役職
子爵。
・物語内での具体的な行動や成果
エーリッヒの結婚披露パーティーで、ヴェンデリンに付きまとう参加者たちを引き離した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
代々官僚を務める家柄の当主である。
エドガー軍務卿
王国の軍務卿である。
・所属組織、地位や役職
軍務卿。
・物語内での具体的な行動や成果
国王からグレードグランド討伐後の掃討作戦と冒険者の募集を命じられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
パウルとヘルムートの休職を承認し、彼らに部下を付けて派遣した。
ブルックナー農務卿
王国の農務卿である。
・所属組織、地位や役職
農務卿。
・物語内での具体的な行動や成果
国王からパルケニア草原の開墾準備と開拓民の募集を命じられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ワーレン
近衛騎士団の中隊長である。エルヴィンの剣の指導役となる。
・所属組織、地位や役職
近衛騎士団・中隊長。
・物語内での具体的な行動や成果
ヴェンデリンを迎えに行き、王城へ案内した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
下級法衣貴族家の三男出身である。ブランタークから魔力制御を学んだ。
ビアホフ将軍
二百年以上前のヘルムート王国の名将である。
・所属組織、地位や役職
王国軍・将軍。
・物語内での具体的な行動や成果
アーカート神聖帝国軍の奇襲を迎撃し、逆奇襲を仕掛けて大勝した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
双竜勲章の受章者である。
ヘクトール・フォン・プリングスハイム
プリングスハイム騎士爵家の三男である。
・所属組織、地位や役職
プリングスハイム騎士爵家・三男。
・物語内での具体的な行動や成果
ブラント邸の前で自身の武勇を語り、ヴェンデリンへの仕官をアピールした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
エルスハイマー男爵
王都の貴族である。
・所属組織、地位や役職
男爵。
・物語内での具体的な行動や成果
自分の妹をヴェンデリンに紹介しようと画策した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
王宮の護衛の騎士たち
王城を警備する騎士たちである。
・所属組織、地位や役職
王城・騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
ヴェンデリンを郊外の軍駐屯地へ連行した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
王宮の兵士たち
王城内で警備と警邏を行う兵士たちである。
・所属組織、地位や役職
王城・兵士。
・物語内での具体的な行動や成果
特になし。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
王宮のメイドたち
王城で働く使用人たちである。
・所属組織、地位や役職
王城・メイド。
・物語内での具体的な行動や成果
洗濯物やお茶を運んでいた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
役人たち
王城で事務を行う者たちである。
・所属組織、地位や役職
王城・役人。
・物語内での具体的な行動や成果
謁見の間でヴェンデリンたちの到着を告げた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
近衛騎士団の槍術の達人
近衛騎士団に所属する槍術家である。
・所属組織、地位や役職
近衛騎士団。
・物語内での具体的な行動や成果
イーナの槍の指導役として紹介された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
見習い魔法使いたち
アームストロング導師が認めた弟子たちである。
・所属組織、地位や役職
見習い魔法使い。
・物語内での具体的な行動や成果
ヴェンデリンと器合わせを行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
器合わせにより魔力酔いを起こした。将来の王宮魔導師候補とされる。
王国軍
パルケニア草原方面派遣軍
グレードグランド討伐後の掃討作戦のために編成された軍勢である。
・所属組織、地位や役職
王国軍。
・物語内での具体的な行動や成果
王都駐留軍の一万人と冒険者約二千人で構成され、パルケニア草原の魔物を討伐した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
王都駐留軍の兵士たち
王都の防衛や訓練を担う兵士たちである。
・所属組織、地位や役職
王国軍。
・物語内での具体的な行動や成果
パルケニア草原の掃討作戦に参加した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
パーティメンバー
エルヴィン
ヴェンデリンのパーティメンバーであり、剣士である。
・所属組織、地位や役職
冒険者予備校の特待生。バウマイスター準男爵家・従士長(代将)。
・物語内での具体的な行動や成果
バウマイスター準男爵家軍の名目上の代将を務めた。王都で新しい剣を購入した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ワーレンから剣の指導を受けることになった。
イーナ・ズザネ・ヒレンブラント
ヴェンデリンのパーティメンバーであり、槍使いである。真面目な性格である。
・所属組織、地位や役職
冒険者予備校の特待生。バウマイスター準男爵家・護衛兼メイド。
・物語内での具体的な行動や成果
バウマイスター準男爵家軍の幹部として従軍した。ヴェンデリンの誕生日に裸リボンの姿で誘惑した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
近衛騎士団の達人から槍術の指導を受けることになった。
ルイーゼ
ヴェンデリンのパーティメンバーであり、魔闘流の使い手である。計算高く世間慣れしている。
・所属組織、地位や役職
冒険者予備校の特待生。バウマイスター準男爵家・護衛兼メイド。
・物語内での具体的な行動や成果
魔導飛行船内で腕相撲による賭けを行い、借金を返済した。ヴェンデリンと共にアームストロング導師の訓練に参加した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アームストロングとの器合わせにより、魔力量が中級と上級の間にまで成長した。
商会・ギルド・街の人々
アルテリオ・マーシェン
王都の有力な商人である。元冒険者である。
・所属組織、地位や役職
商会・当主。
・物語内での具体的な行動や成果
ヴェンデリンの謁見に付き添い、古代竜素材の売却交渉を助けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
冒険者時代はブランタークと同じパーティに所属していた。
エグルマイヤー商会の者
王都の商人である。
・所属組織、地位や役職
エグルマイヤー商会。
・物語内での具体的な行動や成果
自らの娘をメイドとしてヴェンデリンに紹介しようとした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
宝飾店の店主
王都の高級宝飾店を営む恰幅の良い中年男性である。
・所属組織、地位や役職
宝飾店・店主。
・物語内での具体的な行動や成果
ヴェンデリンに魔晶石の指輪を勧め、販売した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
客の正体に気づいていたが、秘密を守ると約束した。
喫茶店のウェイトレス
王都の有名喫茶店で働く女性である。
・所属組織、地位や役職
喫茶店・ウェイトレス。
・物語内での具体的な行動や成果
ヴェンデリンたちにデザートを提供した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
喫茶店の客たち
喫茶店を利用していた人々である。
・所属組織、地位や役職
客。
・物語内での具体的な行動や成果
ヴェンデリンたちの姿を見てヒソヒソと噂話をしていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
冒険者有志たち
パルケニア草原の討伐作戦に参加した冒険者である。
・所属組織、地位や役職
冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
報酬と素材を求めて魔物の掃討戦に参加した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
約二千人が招集された。
魔導飛行船の乗客たち
ヴェンデリンたちと同乗していた人々である。
・所属組織、地位や役職
乗客。
・物語内での具体的な行動や成果
アンデッド古代竜の襲撃に遭遇したが、ヴェンデリンの活躍により救われた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
前世(日本)
伊集院静香
一宮信吾の高校時代の同級生である。生徒会長を務める美人である。
・所属組織、地位や役職
県立桜ヶ丘高校・生徒会長。
・物語内での具体的な行動や成果
桃色カバさんの幻術の中で、信吾とキスをする幻として現れた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
水泳部の同級生マネージャー
一宮信吾の中学時代の同級生である。
・所属組織、地位や役職
中学校水泳部・マネージャー。
・物語内での具体的な行動や成果
桃色カバさんの幻術の中で、信吾の前に幻として現れた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
サッカー倶楽部の同級生
一宮信吾の小学生時代の同級生である。
・所属組織、地位や役職
サッカー倶楽部・所属。
・物語内での具体的な行動や成果
桃色カバさんの幻術の中で、信吾の前に幻として現れた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
展開まとめ
第一話 少女の謎のアルバイト
腕相撲の賭け
魔導飛行船に乗った日の夜、ルイーゼはヴェンデリンへ借りていた運賃を銀貨で返した。彼女はラウンジで、参加費を払って自分と腕相撲をし、勝てば金貨一枚を得られる勝負を始めていた。
連勝するルイーゼ
幼く見えるルイーゼを侮った貴族の護衛や腕自慢たちは次々と挑戦したが、魔闘流を使う彼女には勝てなかった。ルイーゼは多くの参加費を集め、半日で自分たち三人分の借金を返せるほど稼いでいた。
計算された敗北
ルイーゼは後の揉め事を避けるため、最後に腕の立つ元冒険者と接戦を演じてわざと負けた。周囲の注目が勝者へ集まった隙に勝負を終え、問題を残さず利益を確保していた。
仲間たちの返済
ルイーゼはエルヴィンとイーナの分までヴェンデリンへ返した。エルヴィンには返済分を荷物運びで働かせるつもりであり、真面目なイーナについては後から必ず返すと信じていた。
頬への口づけ
ルイーゼは借りを残したくないという思いから、利息代わりとしてヴェンデリンの頬へ口づけした。照れながら部屋を去った彼女に、ヴェンデリンは幼いと思いながらも強く動揺していた。
第二話 陛下との謁見
王城への迎え
アンデッド古代竜を討伐したヴェンデリンは、王都到着直後に近衛騎士団中隊長ワーレンの迎えを受けた。同行者たちはエーリッヒへの説明役として港に残され、ヴェンデリンはアルテリオと共に王城へ向かった。
古代竜の価値
馬車の中でアルテリオは、全長五十メートルを超える骨格と巨大な魔石から、討伐した相手が古代竜であることは間違いないと説明した。古代竜の素材は記録にないほど希少であり、国家にとっても極めて重要な価値を持っていた。
国王からの召喚
ヴェンデリンは自分のような零細貴族の八男が国王と会うことに戸惑ったが、今回の謁見は国王自身が望んだものであった。古代竜を倒し、魔導飛行船と乗客を救い、骨と魔石を得た功績に加え、国王にはヴェンデリンへ頼みたいことがあった。
近衛騎士ワーレン
迎えに来たワーレンは下級法衣貴族家の三男であり、実力によって近衛騎士団の中隊長まで昇った人物であった。魔法は使えなかったが、魔力で身体と武器を強化する魔法騎士として優れ、プランタークから魔力制御を学んでいた。
アルフレッドの面影
ワーレンは幼い頃にアルフレッドと会った経験があり、温和な外見の奥に超一流の魔法使いとしての力を感じていた。ヴェンデリンにも同じ雰囲気を覚え、アルテリオから彼の魔力量と出力が既にアルフレッドを超えていると聞いて、国王が直接会おうとした理由を理解した。
王都と王城
馬車は下町や商業街、貴族街などを抜け、巨大な王城へ到着した。城内では兵士、使用人、貴族たちが忙しく行き交い、古代竜討伐の噂を知る者たちは十二歳のヴェンデリンへ好奇の視線を向けていた。
ヘルムート三十七世
ヴェンデリンはアルテリオと共に謁見の間へ入り、玉座の前でひざまずいた。国王ヘルムート三十七世は突然の呼び出しを詫び、ヴェンデリンの若さに驚きながら年齢を尋ねた。ヴェンデリンが十二歳だと答え、国王との謁見が始まった。
第三話 バウマイスター準男爵
古代竜討伐の報告
国王ヘルムート三十七世は、ヴェンデリンからアンデッド古代竜との戦いについて聞いた。飛翔、魔法障壁、聖光を同時に展開して討伐したと知り、その魔法の才能を高く評価した。
本洗礼への招待
ホーエンハイム枢機卿は、大規模な聖魔法を使えるヴェンデリンに、王都の聖教会本部で本洗礼を受けるよう勧めた。本洗礼は限られた有力者のみが受けられるものであり、他宗派からの勧誘を防ぐ意味もあったため、ヴェンデリンは王都滞在中に受けると答えた。
古代竜素材の買い取り
国王は、古代竜の魔石と骨を王家へ売ってほしいと求めた。王都郊外には全長四百メートルを超える古代の巨大魔導飛行船が残されていたが、適切な魔晶石と強度の高い部品が不足し、稼働できない状態であった。
巨大魔導飛行船の再生
古代竜の魔石は飛行船の動力源に、骨は不足する部品や装甲に利用できると見込まれていた。ヴェンデリンは王国との対立を避けるためにも売却を受け入れ、国王は骨と魔石の代金として白金貨千五百枚を提示した。
国王と財務卿
ルックナー財務卿は金額が高すぎると反対したが、アルテリオは市場に出せば白金貨二千五百枚以上まで高騰する可能性があると説明した。国王は適正価格を支払うことで功労者の士気を守り、再稼働予算から余った白金貨七百枚の使途を財務卿に任せることで反論を収めた。
双竜勲章
国王は素材の売買とは別に、古代竜を倒して魔導飛行船と乗客を救った功績へ報いる必要があると告げた。ヴェンデリンは、双子の竜をあしらった双竜勲章を国王自らの手で授けられた。
第六位準男爵
続いて国王は、ヴェンデリンへ第六位準男爵位を授けた。ヴェンデリンはアルテリオの助言を受け、国王と王国、民のために剣を振るうという宣誓を述べ、正式に王国直属の臣となった。
自由な冒険者への道
国王はヴェンデリンを官職で縛らず、兄の結婚式や王都滞在を楽しみ、その後も自由に冒険者を目指すよう告げた。ヴェンデリンは突然の展開に流されながら、莫大な代金、勲章、爵位を一度に得ることとなった。
第四話 エーリッヒ兄さんとの再会
双竜勲章の由来
謁見を終えたヴェンデリンは、アルテリオから双竜勲章が二百年以上授与されていなかった武勲章だと教えられた。最後の受章者は、アーカート神聖帝国軍の奇襲部隊を破り、戦争の流れを変えたビアホフ将軍であった。ヴェンデリンが古代竜から魔導飛行船と乗客を救った功績は、それに並ぶと認められていた。
新たなバウマイスター家
第六位準男爵となったヴェンデリンは、実家から独立した新たなバウマイスター家の当主になっていた。領地や官職はなかったが、毎年金貨三十枚の年金を受け取れ、王都に住む義務もなく、冒険者予備校へ通い続けることが認められていた。
実家を上回る階位
準男爵位は父や将来騎士爵を継ぐエーリッヒよりも一階位高かった。公式の場では父や兄であってもヴェンデリンを上位者として扱う必要があったが、私的な場では従来どおりの関係を続けても問題はなかった。
エーリッヒとの再会
ヴェンデリンは約七年ぶりにエーリッヒと再会した。エーリッヒは爵位を得た弟に過度に畏まらず、これまでと同じように接したため、ヴェンデリンは安堵した。アルテリオは二人との縁を今後の利益につながるものと考え、役目を終えると商会へ戻った。
ブラント家の家族
エーリッヒは、婿入り先であるブラント家の当主ルートガー、その妻マーリオン、婚約者ミリヤムを紹介した。優秀で騎士爵家出身のエーリッヒは、ブラント家の一人娘ミリヤムの婿として迎えられ、将来は家督を継ぐ予定であった。
新しい義姉
ミリヤムは、ヴェンデリンが自分の義弟になることを喜んだ。ヴェンデリンも穏やかな彼女なら良好な関係を築けると感じ、瞬間移動を使えば今後も王都で会えると考えた。
仕官を阻む人脈
エルヴィンはヴェンデリンの従士になることを望んだ。ルートガーは、長く戦争がない現在では武芸の実力より血縁や紹介が優先されるため、優れた剣士でも新たな貴族家へ仕官するのは難しいと説明した。
形式上の家臣
イーナとルイーゼもヴェンデリンに雇われることを望んだ。ルートガーは、三人を形式上だけでも新バウマイスター家の家臣にするよう勧めた。冒険者として共に活動するため報酬は不要であり、三人にとっても将来の立場を守る保険となった。
王国に確保された将来
ヴェンデリンは国王から自由な冒険者活動を認められていたが、それは引退後に王国の官職へ迎えるための先約でもあった。王国貴族となったことで、ブライヒレーダー辺境伯は同じ王国の臣下であるヴェンデリンをお抱え魔法使いとして雇えなくなっていた。
押し寄せる仕官希望者
双竜勲章と準男爵叙任の噂が広まれば、職を求める貴族や平民の子弟、婚姻や妾の縁を求める者たちが殺到すると予想された。既にエルヴィンたちを家臣としている形を整えれば、無理な売り込みを減らせるとルートガーは考えていた。
王都貴族の現実
王都の下級法衣貴族には官職に就けない者が多く、年金だけでは貴族としての交際費を賄えないため、副業を持つ者も珍しくなかった。冒険者として働き、魔物に殺された事実を病死として処理される貴族さえ存在していた。
ルートガーの助言
夕食の席では、ルートガーが突然当主となったヴェンデリンへ、貴族社会の仕組みや今後の対応を詳しく助言した。ヴェンデリンは、王都で長く官職を務めてきたルートガーを、実家の父や兄たちよりもはるかに頼れる人物だと感じた。
第五話 エーリッヒ兄さんの結婚
エーリッヒの披露宴
王都到着から二日後、ブラント邸でエーリッヒとミリヤムの結婚披露パーティーが開かれることになった。エーリッヒは三年間の勤務を通じてルートガーから能力と人柄を認められ、ブラント家の婿と後継者に選ばれていた。
横槍を退けた功績
ブラント家の家督を狙う縁戚や貴族から反発があったが、古代竜を倒して準男爵となったヴェンデリンの存在により、エーリッヒへの批判は収まっていた。以前は貧乏騎士爵家の五男と見下していた者たちも、竜殺しの英雄の兄として評価を変えていた。
プランタークへの分配
披露宴の準備中、ヴェンデリンは古代竜の骨と魔石の売却代金から、プランタークへ一割に当たる白金貨百五十枚を渡した。プランタークは十分な資産を持っていたため半分の分配を断り、自身の働きに見合う額として受け取った。
届かない祝儀
披露宴開始を前に、バウマイスター家から持参金や祝儀が届いていないことが判明した。婿入りによって家督を継ぐ婚姻では、実家が相応の金品を贈るのが慣習であり、このままではエーリッヒだけでなく寄親のブライヒレーダー辺境伯まで恥をかく状況であった。
パウルとヘルムートの困窮
王都の警備隊に勤めるパウルとヘルムートは、実家から届いた手紙を持参した。そこには、クルトの結婚で蓄えを使い果たしたため、二人が祝儀を立て替えるよう求める内容が記されていた。しかし二人は既に継承権を放棄して独立し、王都で暮らすだけでも余裕がなく、支払いは不可能であった。
孤立を選んだ実家
バウマイスター家は山脈に囲まれた土地で自給自足を続け、寄親や中央との関係を重視しない閉鎖的な家であった。先代辺境伯による出兵強要も孤立を深め、評判が落ちても領地に影響しないと考えた父とクルトは、借金をしてまで祝儀を整える意思を持たなかった。
才能ある弟たちへの警戒
バウマイスター家は嫡男継承と既存の秩序を守ることを優先し、領地を発展させる可能性を持つエーリッヒやヴェンデリンを遠ざけていた。ヴェンデリンほどの魔法使いを家族だからという理由で安く雇うことも不可能であり、適切な待遇を用意できない以上、最初から関わらない方を選んでいた。
二家分の祝儀
ヴェンデリンは、新たなバウマイスター家の当主として自分の分を出すとともに、実家が負担すべき祝儀も立て替えた。金貨に加え、自作の酒、塩、砂糖、穀物、毛皮、弓矢、絹布、瑪瑙や翡翠などを並べ、空いていた祝儀の場所を埋めた。
守られたブラント家の面目
ヴェンデリンが金板二枚分に相当する祝儀を用意したことで、エーリッヒとブラント家、ブライヒレーダー辺境伯の面目は保たれた。立て替え分は辺境伯が返すことになり、パウルとヘルムートは形式上、実家へ返済を求める手紙を送ることになった。
第六話 ヘルムート王国貴族事情
結婚披露パーティー
ブラント邸でエーリッヒとミリヤムの結婚披露パーティーが開かれ、二人は同僚や友人たちから祝福を受けた。一方、古代竜を倒したヴェンデリンは参加者たちに囲まれ、家臣や婚姻相手の紹介、投資や借金の相談を次々と持ちかけられた。
モンジェラ子爵の配慮
ブラント家の寄親であるモンジェラ子爵は、ヴェンデリンが主役のようになる事態を避けるため、彼に長く付きまとう者たちを会場から引き離した。ルートガーとプランタークも招待外の面会希望者を断り、披露宴の秩序を守っていた。
寄親を巡る争い
披露宴後、プランタークはヴェンデリンを巡る争奪戦が始まると告げた。領地を持たない準男爵であるヴェンデリンには明確な寄親が決まっておらず、中央や地方の有力貴族が自分の寄子にしようと動く可能性があった。
ブライヒレーダー辺境伯の優先
ヴェンデリンはブライヒレーダー辺境伯領の予備校に通い、卒業後も南部で活動する予定であったため、辺境伯の寄子になるのが自然であった。しかし法衣貴族には地縁による制約がなく、エーリッヒとつながるルックナー侯爵家にも候補とする理由があった。
ルックナー財務卿
エーリッヒは、ブラント家の寄親モンジェラ子爵がルックナー侯爵の寄子であると説明した。ルックナー侯爵は謁見で古代竜素材の価格に異議を唱えた財務卿であったが、それは国王に代わって支出を抑える役割を担ったためであり、私利を求めない有能な政治家として信頼されていた。
辺境伯への帰属
ヴェンデリンは現在の生活と活動拠点を考え、ブライヒレーダー辺境伯の寄子になる意向を示した。エーリッヒも、ルックナー侯爵が南部の辺境伯と争ってまでヴェンデリンを求めることはなく、自身を通じた縁だけで十分だと考えていた。
エーリッヒの将来
今回の婚姻とヴェンデリンの功績によって、エーリッヒはルックナー侯爵に強い印象を残した。プランタークは、頭の切れるエーリッヒが今後重用されれば、ヴェンデリンとの関係を通じて将来さまざまな依頼が持ち込まれる可能性があると見ていた。
王都観光の予定
貴族間の思惑に疲れたヴェンデリンは、残りの夏休みを王都観光や買い物、食事に使うと決めた。エーリッヒも三日間の休暇を取り、ミリヤムと共に案内役を務めることになった。
第七話 王宮筆頭魔導師クリムト・クリストフ・フォン・アームストロング
王宮筆頭魔導師
ヘルムート三十七世は、王宮筆頭魔導師クリムト・クリストフ・フォン・アームストロングと接見した。クリムトは巨体と強大な魔力を持ち、身体強化と飛翔を組み合わせた近接戦闘を得意とする、一個軍団に匹敵する魔法使いであった。
国王の親友
クリムトは国王の幼少期からの親友であり、王となる以前から対等に接してきた人物であった。粗野な魔法使いを装って政治から距離を置きながら、冒険者時代の話で重責を担う国王を支えていた。
パルケニア草原
クリムトは、王都近郊にあるパルケニア草原の偵察結果を報告した。草原は水と平地に恵まれ、大規模な穀倉地帯に適していたが、全長三十メートルの老地竜グレードグランドが支配する魔物の領域であった。
失敗した討伐作戦
歴代の国王は冒険者や軍を送り込んだが、グレードグランドの討伐にはすべて失敗していた。竜を倒せば草原の魔物を掃討し、農地開発と流通路の整備を進められるものの、軍勢ではブレスによる大損害を避けられなかった。
アルフレッドとの友情
クリムトは、冒険者予備校時代からアルフレッドと親友であり、最大の好敵手でもあった。身体強化ではクリムトが、放出魔法や多彩さではアルフレッドが優れており、いつか本気で勝負することを望んでいたが、魔の森遠征で永遠に機会を失っていた。
アルフレッドの弟子
クリムトは、アルフレッドの魔法を受け継ぎ、アンデッド古代竜を倒したヴェンデリンに強い関心を抱いた。兄の結婚披露宴で会おうとしたが、会場へ人が殺到するのを避けるため見送られており、国王に早く対面させてほしいと求めた。
三人での竜退治
国王は、クリムト一人をグレードグランドと戦わせる危険を避けるため、ヴェンデリンとプランタークを加えた三人での討伐を提案した。クリムトは、自分とヴェンデリンが攻撃し、プランタークが後方支援を担えば勝機があると歓喜した。
草原開発の準備
国王はグレードグランド討伐を決定し、農務卿には開拓民の募集、軍務卿には討伐後の掃討作戦、財務卿には予算の準備を命じた。周囲が成功を疑う中、国王は三人の実力なら勝てると確信していた。
力を持つ者の宿命
国王は、突然準男爵となったヴェンデリンが困惑することを理解しながらも、その力を王国のために生かすことを期待した。同時に、彼を可能な限り庇護し、王城から動けない自分に代わって自由に活躍する姿を楽しみにしていた。
第八話 つかの間の休日
王都の商業街
結婚披露パーティーの翌日、ヴェンデリンたちは休暇を取ったエーリッヒとミリヤムの案内で王都の商業街を訪れた。国内外から人と商品が集まる街はブライヒブルクを大きく上回る規模であったが、物価の高さや人混み、水質の悪さなどの欠点もあった。
パルケニア草原
エーリッヒは、王都近郊のパルケニア草原が首都圏の発展を妨げていると説明した。老地竜グレードグランドが支配する魔物の領域であり、討伐できれば穀倉地帯や道路を整備できるものの、これまでの攻略は失敗していた。
新しい武器
エルヴィンは品質と価格を見極めて新しい剣を購入し、ヴェンデリンは剣の才能がないため新しい弓矢を選んだ。ヴェンデリンは魔力を練る修練を毎日続けており、王都では派手な魔法訓練ができないため、瞑想による鍛錬を行っていた。
女性たちの買い物
イーナ、ルイーゼ、ミリヤムは服や装飾品を求めて何軒もの店を巡った。ミリヤムは祝儀として贈られた瑪瑙と翡翠を加工する店を探しており、エーリッヒは長時間の買い物に付き合った過去から男性陣だけで行動していた。
未開地の宝石
ヴェンデリンが贈った宝石は、バウマイスター領の未開地で採集したものであった。現地は野生動物が多く、徒歩では長期間を要するため、瞬間移動を使えるヴェンデリン以外には採掘が困難であった。実家も資源の存在すら把握しておらず、単独での開発は不可能に近かった。
瞬間移動の価値
瞬間移動は術者が自力で訪れた場所にしか移動できず、運べる人数にも限界があった。それでも少数部隊や密偵の移送、軍の補給には有用であり、王国軍は使い手を確保して国内各地を訪れさせていた。ヴェンデリンも将来の候補として注目される可能性があった。
遠距離通話
ヴェンデリンは、登録した使い手同士で会話できる遠距離通話もアルフレッドから学んでいた。しかし対応する魔法使いと出会わなかったため、これまで使用した経験はなかった。プランタークでさえ扱えない特殊な魔法であった。
王都の新しい服
屋敷へ戻ったイーナとルイーゼは、購入した服をヴェンデリンたちに披露した。二人は王都の流行に魅了され、翌年も買い物をするため狩りで資金を稼ぐと決めていた。
乏しい褒め言葉
ヴェンデリンとエルヴィンは二人の服装を褒めようとしたが、似合うという言葉しか出ず、エルヴィンは買っていない服まで褒めてしまった。二人はイーナとルイーゼから、女性を褒めるセンスが足りないと評された。
第九話 強制従軍命令と、老属性竜討伐
王宮筆頭魔導師との対面
ヴェンデリンは王命によって軍の駐屯地へ連行され、王宮筆頭魔導師クリムト・クリストフ・フォン・アームストロングと対面した。アームストロングは巨体と強大な魔力を持つ武闘派の魔法使いであり、ヴェンデリンとプランタークにパルケニア草原の老地竜グレードグランド討伐を告げた。
貴族への従軍命令
ヴェンデリンは未成年を理由に辞退しようとしたが、準男爵家の当主であるため、王命による軍事行動には年齢に関係なく従う必要があった。プランタークにもブライヒレーダー辺境伯を通じて命令が出され、二人はアームストロングと共に竜退治へ向かうことになった。
パルケニア草原の軍勢
一週間後、王都駐留軍一万人と冒険者約二千人が草原の外に布陣した。グレードグランドが倒れれば、統率を失った魔物を軍と冒険者が各個撃破できるため、対竜戦には三人だけが参加する作戦であった。
準男爵家軍の編成
ヴェンデリンは貴族として自家の軍勢を出す必要があり、エーリッヒに一億セントを預けて編成を任せた。エルヴィン、イーナ、ルイーゼも家臣として参加したが、エルヴィンはヴェンデリンの名代を務めるため前線には出られなかった。
三人の役割
ヴェンデリンは土属性の竜に有効な風魔法カッタートルネードを二分間かけて準備し、アームストロングがその間グレードグランドを引きつけることになった。プランタークは後方で待機し、必要に応じて高効率の魔力補充を行う役目を担った。
魔導機動甲冑
戦闘が始まると、アームストロングは魔力を物質化した漆黒の甲冑をまとい、杖を巨大なハンマーへ変えた。身体強化と高速飛翔を駆使して竜を殴り続け、尻尾をつかんで巨体を投げ飛ばし、さらに弱点となる風魔法で傷を負わせた。
カッタートルネード
必要な魔力を溜め終えたヴェンデリンは、アームストロングの退避を確認してカッタートルネードを放った。無数の風の刃がグレードグランドを切り裂き、竜巻に巻き上げられた血によって竜は出血を続け、最後には血を失って倒れた。
竜素材の回収
ヴェンデリンは散った竜の血を水魔法で集めて凍結し、魔法の袋へ収めた。さらにグレードグランドの巨体も袋に収納し、後で専門家に解体を任せることにした。売却益はヴェンデリン、プランターク、アームストロングの三人で分配されることになった。
草原の魔物狩り
討伐後、アームストロングは残る魔物による軍の犠牲を減らすため、三人も掃討戦へ参加すると決めた。ヴェンデリンは通常の魔物狩りすら未経験であり、プランタークも既に冒険者を引退していたが、三人は一週間にわたって草原を駆け巡り、多数の魔物を討伐した。
幕間一 バウマイスター準男爵家諸侯軍編成事情
相次ぐ竜退治
イーナは、狼から自分たちを救い、アンデッド古代竜を倒して準男爵となったヴェンデリンの急速な出世に驚いていた。さらにヴェンデリンは王命によって、パルケニア草原を支配する属性竜の討伐へ駆り出されていた。
押し寄せる仕官希望者
準男爵となったヴェンデリンのもとには、家臣志望者や婚姻を求める貴族、娘をメイドとして送り込もうとする商人が殺到した。その対策として、エルヴィンは従士長、イーナとルイーゼは護衛兼メイドという立場を与えられ、三人はヴェンデリンの正式な家臣として扱われるようになった。
イーナの迷い
ルイーゼはヴェンデリンの傍にいられるなら側室や妾でも構わないと考えていた。一方、イーナはヴェンデリンの寛容さに甘えながらも素直に接することができず、自分はつまらない女だと思われているのではないかと悩んだ。エーリッヒは、全員がまだ子供であるため、当面は形式だけ整えて従来どおり接すればよいと諭した。
準男爵家軍の必要性
ヴェンデリンが貴族として属性竜討伐に参加する以上、家臣を率いて諸侯軍を編成することも可能であった。他の領地持ち貴族は戦功に応じた領地要求を避けるため招集されなかったが、王命にはヴェンデリンが単身で参加するとは記されていなかった。
陣借りの希望者
戦功や褒賞、将来の仕官に役立つ感状を求める貴族の子弟や浪人たちは、バウマイスター準男爵家軍への一時参加を望んだ。軍を受け入れる側も、武具を自前で用意する陣借り者によって、少ない費用で諸侯軍の人数を揃えられる利点があった。
エーリッヒの後方支援
十二歳のエルヴィンたちだけでは軍を運営できないため、エーリッヒが副将兼参謀として実務を引き受けた。エルヴィンが名目上の代将となり、イーナとルイーゼも幹部に据えられた。エーリッヒは契約交渉、資金や物資の管理、役所へ提出する書類の作成を担当した。
財務閥からの助力
ルックナー財務卿とモンジェラ子爵は、財務関係の貴族子弟やエーリッヒの後輩たちを派遣した。表向きは新興準男爵家の初陣を支えるためであったが、ヴェンデリンへ恩を売り、将来の関係を深める狙いもあった。
辺境伯からの援軍
ブライヒレーダー辺境伯も、ヴェンデリンを確実に寄子とするため、王都の屋敷から文官、警備兵、陣借り者を派遣した。さらにパウルとヘルムートも指揮官として加わり、王都警備隊の部下たちと共に参加希望者の選別を行った。
五百名の混成軍
ヴェンデリンは軍の編成費として一億セントを預けた。各派閥の思惑を調整した結果、バウマイスター準男爵家軍は後方支援要員を含む五百七名の混成部隊となった。十分な予算は陣借り者への褒賞を保証し、彼らの士気を高める材料にもなった。
生き残る役目
エーリッヒは、イーナたちに実務ではお飾りとして振る舞えばよいと伝える一方、自分と兄たち、三人の正式な家臣は決して死んではならないと命じた。危険な役目は戦功を求める陣借り者が先に担うという、戦場の厳しい現実があった。
パルケニア草原への出陣
準備を終えたバウマイスター準男爵家軍は、王国軍のパルケニア草原方面派遣軍へ合流した。魔物を狩って借金を返そうとするエルヴィンをイーナが制止し、三人はエーリッヒ、パウル、ヘルムートの安全を守る役目を負って戦場へ向かった。
第十話 婚約者
パルケニア草原解放の功績
グレードグランド討伐から十日後、ヴェンデリン、アームストロング、ブランタークは国王へ成果を報告した。草原の魔物は大半が駆逐され、約二百名の死傷者が出たものの、国王は遺族への補償を厚くすると表明した。
グレードグランドの売却益
三人はグレードグランドの血や鱗、肉、骨、魔石などを売却し、掃討戦で得た素材も合わせて、一人当たり白金貨四百五十枚と金貨五十枚を受け取っていた。そのため、ヴェンデリンは王国から新たな金銭的褒賞を必要としていなかった。
双竜勲章と陞爵
国王は三人へ双竜勲章を授け、アームストロングを子爵、ヴェンデリンを男爵へ陞爵させた。ブランタークは辺境伯の家臣であるため爵位を受けず、代わりの褒美を辺境伯経由で受け取ることになった。さらに双竜勲章には年金が付き、二つ所持するヴェンデリンには毎年白金貨六枚が支給されることになった。
失われた夏休み
ブラント邸へ戻ったヴェンデリンは、軍の準備、移動、竜退治、魔物の掃討によって夏休みの大半を失ったことを嘆いた。野営中は料理のできないアームストロングとブランタークに代わり、ヴェンデリンが食事作りまで任されていた。
残された三日間
王都滞在は残り三日となり、ヴェンデリンは観光を満喫しようとした。しかし、以前に約束していた聖教会本部での本洗礼が残っていたため、買い物へ向かうエルヴィンたちと別れ、一人で教会へ向かった。
聖教会本部の本洗礼
ヴェンデリンはホーエンハイム枢機卿をはじめとする高位聖職者に迎えられ、短時間で本洗礼を終えた。教会との関係を良好にするため、心付けとして白金貨十枚を寄付した。
エリーゼとの出会い
洗礼後、ヴェンデリンはホーエンハイム枢機卿の孫娘エリーゼと対面した。エリーゼはヴェンデリンと同じ十二歳で、聖属性の治癒魔法に優れ、パルケニア草原でも多数の重傷者を治療していた。
軽口から始まった婚約
ホーエンハイム枢機卿からエリーゼの美貌と縁談について聞かされたヴェンデリンは、冗談半分で自分も立候補すると口にした。しかし枢機卿は即座に話を進め、国王とアームストロングも賛成していると明かした。
エリーゼとの婚約
エリーゼはアームストロングの姪でもあり、ヴェンデリンとの婚姻には国王の承認も得られていた。断れる状況ではなく、ヴェンデリンは成人後の結婚を前提として、十二歳でエリーゼと婚約することになった。
幕間二 婚約者選定の舞台裏
辺境伯家の婚約者探し
ブライヒレーダー辺境伯は、ヴェンデリンの古代竜討伐とパルケニア草原解放によって、先代の敗戦で傷付いた家名が挽回されたと喜んだ。ヴェンデリンを寄子に迎え、一族の娘を正妻にして血縁を結ぼうとしたが、年齢の釣り合う未婚女性は一人もいなかった。
不適切な婚姻案
家臣から四十歳を超える叔母アニータとの形式的な婚姻を提案されたが、辺境伯はヴェンデリンへの侮辱となり、寄親関係を解消されかねないとして退けた。養女を用意する案も中央貴族の攻撃材料になるため、適切な候補を見つけられなかった。
決まっていた正妻
翌日、ブランタークからヴェンデリンとエリーゼの婚約が決まったとの連絡が届いた。エリーゼはホーエンハイム子爵家の令嬢で、年齢、家柄、容姿、人格の全てに不足がなく、国王の許可も得ていたため、辺境伯は正妻を送り込むことを断念した。
次代への婚姻策
辺境伯はヴェンデリンとの縁を諦めず、将来生まれる跡継ぎと年齢の近い一族の娘を用意し、その婚姻を主導しようと考えた。目先の失敗から素早く切り替え、数十年先を見据えて家の繁栄につなげようとしていた。
王族の婚姻候補
同じ夜、国王ヘルムート三十七世とアームストロングは、ヴェンデリンの婚約について話し合った。王族の娘を嫁がせる案も出ていたが、候補はいずれもヴェンデリンより大幅に年上で、浪費家や気性の激しい者が多く、褒美ではなく嫌がらせになるとして国王が退けていた。
エリーゼへの評価
国王とアームストロングは、心根が素直で治癒魔法にも優れたエリーゼなら、家族を頼らず大人びたヴェンデリンに相応しいと考えた。ホーエンハイム枢機卿の思惑を警戒しながらも、婚姻そのものには賛成していた。
将来の領地
国王は、ヴェンデリンが得た莫大な資金を生かし、将来は領地を与えて大規模な開発を任せるつもりであった。ブライヒレーダー辺境伯も、バウマイスター家が放置してきた南部未開地をヴェンデリンに開発させ、利権と南部の発展につなげようとしていると見抜いていた。
未開地の分割
バウマイスター家が百年以上も未開地を放置していたため、王国は開発義務を怠った土地を取り上げることが可能であった。国王はヴェンデリンへの領地分割も選択肢と考えており、本家より分家の領地が大きくなる可能性も想定していた。
十二歳の自由
国王とアームストロングは、ヴェンデリンが力を持つとはいえ、まだ冒険者予備校に通う十二歳の少年であることを確認した。すぐに政治や開発へ縛り付けず、自由な経験を積ませることが将来の厚みにつながると考えた。
三人の師による成長
アームストロングは、アルフレッド、ブランターク、自分という三人の魔法使いから教えを受けるヴェンデリンが、今後どのように成長するのかを楽しみにしていた。国王も、彼を振り回しすぎないよう求めながら、その将来に期待を寄せていた。
幕間三 竜討伐後のバウマイスター騎士爵領にて
南端の開拓村
農民フリッツは、リーグ大山脈の南側にあるバウマイスター騎士爵領で家族と暮らしていた。領内には三つの村落と約八百人の住民しかおらず、店もないため、定期的に訪れる行商隊から塩や生活用品を購入していた。
魔の森遠征の傷痕
フリッツが未成年だった頃、領内から徴集された三十名が魔の森への遠征に参加したが、生還者は五名だけであった。生き残った者たちも心身に傷を負い、働き手を失った村落では農業や生活が苦しくなった。
強行された農地拡張
人口が減った直後にもかかわらず、領主は農地の拡張を命じた。フリッツたちは狩猟や採集の時間まで開墾へ費やし、食事は薄い野菜スープと黒パンだけになった。さらに、戦死者の遺族へ支払われるはずの補償金を領主が一部着服したという噂も広まっていた。
三つの村落の対立
領主の屋敷がある本村落には最初の入植者の子孫が住み、後から入植した二つの村落を見下していた。本村落の名主クラウスは領主へ娘を妾として差し出し、税務も取り仕切っていたため、他の村落の名主たちから嫌われていた。
大豆と獲物の交換
ヴェンデリンは幼い頃からフリッツの村を訪れ、自ら狩ったホロホロ鳥やウサギを大豆と交換していた。さらに、青い大豆を茹でて食べる方法や、畑に大豆を一定間隔で植えると他の作物の成長を助けることも教えていた。
怠け者という噂
本村落の者たちは、ヴェンデリンの魔法は大したことがなく、怠け者なので早く領地を出ると噂していた。しかしフリッツは、熟練の猟師を上回る成果を出す者が怠け者であるはずはないと疑っていた。名主ユルゲンは、本村落がクルトの継承を守るため、優秀な弟を危険視していると説明した。
村を去ったヴェンデリン
十二歳になったヴェンデリンは、冒険者予備校へ入学するため領地を離れた。村人たちは獲物と大豆を交換できなくなったことを惜しんだが、本村落の者たちは後継者と比較される存在がいなくなったことに安堵していた。
古代竜討伐の号外
行商隊が持ち込んだ号外により、村人たちはヴェンデリンがアンデッド古代竜を倒し、莫大な富と双竜勲章、準男爵位を得たと知った。怠け者という噂が虚偽だったことが明らかになり、なぜ領主がこれほどの人物を手放したのかと疑問が広がった。
クラウスの笑み
本村落の者たちは号外を不満そうに眺めていたが、クラウスだけは笑みを崩さなかった。その様子にフリッツは不気味さを覚え、ユルゲンもヴェンデリンの成功によって領地に大きな変化が訪れると予測した。
男爵への陞爵
三か月後、再び訪れた行商隊は、ヴェンデリンが二匹目の竜を倒して男爵となり、ホーエンハイム枢機卿の孫娘と婚約したと伝えた。村人たちは領地が豊かになると喜んだが、フリッツはユルゲンの険しい表情を見て、事態が単純に好転するとは思えなかった。
第十一話 婚約者のあだ名は聖女
突然の婚約
本洗礼の場でエリーゼとの婚約が決まったヴェンデリンは、ブランタークとエーリッヒに経緯を説明した。国王の承認まで得た縁談を拒めば王国での立場を失いかねず、相手にも不満はなかったため、婚約を受け入れていた。
出し抜かれた辺境伯
本来は寄親となるブライヒレーダー辺境伯がヴェンデリンの正妻を選ぶはずだったが、ホーエンハイム枢機卿は事前に国王の了承を得て婚約を成立させていた。ブランタークは主人への報告を思い、中央貴族に出し抜かれたことへ頭を抱えた。
喫茶店の果物タルト
ヴェンデリンは決まった婚約を悩み続けても仕方がないと割り切り、喫茶店の果物タルトを楽しんだ。ブランタークとエーリッヒも具体的な対応策を見いだせず、最後にはヴェンデリンと共に店の名物を味わった。
エリーゼの王都案内
翌日、エリーゼは残り少ない滞在中に王都を案内するとブラント邸を訪れた。ヴェンデリンは互いに呼び方を改めようとしたが、エリーゼは未来の夫への礼儀を崩さず、長年ホーエンハイム家に仕える執事セバスチャンを伴って出発した。
ホーエンハイム家の聖女
エリーゼは教会で治療を行うほか、孤児院で裁縫や料理、勉強を教え、貧しい者への炊き出しにも参加していた。傲慢さのない誠実な人柄から聖女と呼ばれ、アームストロングが称賛するヴェンデリンにも純粋な憧れを抱いているようであった。
残された三人
ヴェンデリンがエリーゼと出かけた後、エルヴィンは美しい婚約者を得た友人を羨んだ。イーナとルイーゼは既に周囲からヴェンデリンの将来の妾と見られており、二人も彼の優しさや能力、安定した生活を考えて、その立場を受け入れていた。
ブランタークの愚痴
ブランタークはイーナとルイーゼに、エリーゼとの婚約を阻止できなかったことへの愚痴を漏らした。しかし二人の家格では教会有力者の孫娘と正妻の座を争えず、辺境伯側が適切な候補を用意していなかったことも認めて謝罪した。
二人の将来
イーナとルイーゼの実家にとって、娘がヴェンデリンの妾となれば、将来の領地で槍術や魔闘流の道場を開き、弟子たちの就職先を確保できる利点があった。ルイーゼは積極的に関係を深めると宣言したが、イーナは恥じらいながら努力すると答えた。
婚姻を巡る期待
ブランタークは、急速に出世したヴェンデリンには今後も妻妾が増えると見て、二人へ早めに好意を伝えるよう促した。正式な婚姻までエリーゼとは離れて暮らすため、ブライヒブルクへ戻った後が二人にとって関係を深める機会になると考えていた。
第十二話 聖女との初デート
執事付きの初デート
ヴェンデリンとエリーゼの初デートは、執事セバスチャンが計画していた。二人はまだ十二歳であり、護衛も必要だったため、セバスチャンは普段は姿を隠しながら、必要な場面では的確に二人を助けていた。
エリーゼが選んだ普段着
服装に無頓着なヴェンデリンは、エリーゼの助言を受けて新しい普段着を購入した。その後も食事や観光を楽しみ、素直で優しいエリーゼと過ごす時間によって、王都での政治や竜退治に疲れていた心を癒やされていた。
セバスチャンの助言
セバスチャンは初デートの記念品を贈るようヴェンデリンへ勧め、宝飾店まで自然に案内した。ヴェンデリンはその気配りと有能さに感心し、自分の執事として欲しいとまで思った。
魔晶石の婚約指輪
宝飾店でヴェンデリンは、中級魔法使いほどの魔力を蓄えられる特殊な魔晶石付きの指輪を見つけた。誰が込めた魔力でも装着者が使える高性能な魔道具であり、宝飾品としても優れていたが、価格は三百万セントであった。
治癒魔法への備え
ヴェンデリンは、治癒魔法を使うエリーゼが緊急時にも魔力を確保できるよう、その指輪を購入した。高価すぎると遠慮するエリーゼに、将来夫婦となる自分を助けるためにも必要だと説明し、婚約の記念として贈った。
教会への牽制
指輪には、ホーエンハイム枢機卿へ教会の力で自分を守らせる意図も込められていた。高価な指輪を孫娘へ贈ったヴェンデリンを後から見捨てれば、枢機卿の評判が傷付くと考えたのである。
エメラルド色の輝き
ヴェンデリンが魔力を注ぐと、灰色だった魔晶石はエメラルドのように輝いた。店主は二人の正体に気付いていたが、顧客の秘密を守ると約束した。ヴェンデリンは美しさと実用性を備えた指輪を贈り、エリーゼとの初デートを無事に終えた。
幕間四 聖女様の事情
初デートの報告
エリーゼはヴェンデリンとの初デートを終えて帰宅し、ホーエンハイム枢機卿へ買い物や食事、指輪を贈られたことを報告した。執事セバスチャンは、ヴェンデリンを年齢以上にしっかりしている一方、慎重で臆病な面も持つ人物だと評価した。
魔晶石の指輪
枢機卿は高価な魔晶石の指輪を見て、ヴェンデリンが教会の影響力を理解し、婚約を通じて支援を求めていると見抜いた。その小賢しさを好ましく受け止め、エリーゼも婚約を嫌がっていないことから、自身の判断は間違っていなかったと考えた。
突然の縁談
半月ほど前、エリーゼは枢機卿から、古代竜を倒したヴェンデリンの妻になるよう告げられていた。当時は準男爵であったが、パルケニア草原の討伐後に男爵へ陞爵すると国王から知らされていたため、子爵家との家格の釣り合いにも問題はなかった。
救護所の聖女
パルケニア草原への出兵中、エリーゼは救護所で多数の負傷者を治療した。グレードグランドはヴェンデリンの戦略級魔法によって倒されたが、その後の掃討戦では連日多くの負傷者と死者が運ばれ、エリーゼは凄惨な現場でも聖女として笑顔を保ち続けた。
過去の敗戦
従軍した老司祭は、過去の討伐では地竜のブレスで数千人が死亡し、撤退の時間を稼ぐため重傷者を置き去りにしたと語った。蘇生魔法にも限界があり、限られた魔力でより多くの生存者を救うため、助からない者を諦める必要があった。
英雄と聖女の重圧
初めて会ったヴェンデリンは、エリーゼが想像したような威圧的な人物ではなく、穏やかな少年であった。彼はエリーゼを聖女としてではなく普通の少女として扱い、自身も竜殺しの英雄と呼ばれることに重圧を感じていると話した。その言葉に、エリーゼは初めて自分の気持ちを理解してくれる人物と出会ったと感じた。
正妻としての役割
枢機卿は、成人までの婚約期間も教会の仕事よりヴェンデリンを優先するよう命じた。さらに、彼の周囲にいるイーナとルイーゼを無理に排除せず、将来の側室として管理できる正妻になるよう求めた。
祖父の願い
枢機卿は、家の事情からエリーゼに自由な恋愛結婚をさせられないことを認めながら、ヴェンデリンの妻として幸せに暮らすことを願った。エリーゼは祖父の思いやりに感謝し、普通で優しいヴェンデリンとは夫婦として上手くやっていけると確信した。
第十三話 王都留学
辺境伯からの手紙
エリーゼとの初デートを終えたヴェンデリンは、ブライヒレーダー辺境伯から、予備校の卒業を認定し、十五歳まで王都で修行を続けるよう命じる手紙を受け取った。エルヴィン、イーナ、ルイーゼにも同じ措置が取られていた。
王都での修行
二匹の竜を倒したヴェンデリンには、ブライヒブルクの予備校で学べることがほとんど残っていなかった。エルヴィンたちも同年代を上回る実力を持っていたため、設備や人材が豊富な王都で一流の指導者から学ぶ方が有益だと判断されていた。
新たな師匠たち
エルヴィンは近衛騎士団中隊長ワーレンから剣を学び、イーナには近衛騎士団の槍術の達人が紹介されることになった。ルイーゼにも新たな師匠が用意され、それぞれが専門分野の鍛錬を続ける予定となった。
国王と貴族たちの思惑
王都滞在には国王の意向があり、将来有望なヴェンデリンたちへ早くから恩を売る狙いがあった。ルックナー侯爵やモンジェラ子爵はブラント家への援助や兄たちの将来を通じて関係を築き、国王はエリーゼとの婚約によって王宮筆頭魔導師と教会との縁を結ばせていた。
出し抜かれた辺境伯
ブライヒレーダー辺境伯は寄親の地位を確保したものの、中央の貴族や教会に先手を取られていた。保護役を務めるブランタークも主人から叱責を受けたが、王命が関わる以上、ヴェンデリンたちの王都残留を認めるしかなかった。
成人までの王都生活
ヴェンデリンは権力者たちの思惑に戸惑いながらも、不当な扱いではないため、成人までは国王の支援を受けて勉学と鍛錬に励むことを受け入れた。ブライヒブルクの屋敷には瞬間移動で戻れるため、王都には新しい住居も用意されることになった。
大きく変わった進路
エーリッヒの結婚式と王都観光のために訪れただけだったヴェンデリンは、貴族への叙任、婚約、二度目の竜退治を経て、成人まで王都で暮らすことになった。突然変わり続ける運命に、ヴェンデリンは驚きながらも流れに従っていた。
第十四話 桃色カバさん
桃色カバさんの保護依頼
ヴェンデリンとエルヴィンは、ブランターク、アームストロングと共に王都郊外の森へ向かった。目的は、希少な保護魔物である桃色カバさんと、その卵を保護区へ移すことであった。
不能治療薬の卵殻
桃色カバさんは長命で雌しか存在せず、単独で産んだ卵の殻は不能治療薬の材料となった。そのため王侯貴族から重視されていたが、産卵直後だけは卵を守るために特殊な精神攻撃を行うため、冒険者たちは依頼を拒んでいた。
防げない幻術
四人が泉の近くで卵を守る桃色カバさんへ近付くと、視線を外せなくなり、精神防御も効かないまま意識を失った。ヴェンデリンは前世の高校時代へ戻り、憧れていた伊集院静香と親密になる幻を見た。
アームストロングとの抱擁
幸福な幻から目覚めたヴェンデリンは、実際にはアームストロングと抱き合っていた。桃色カバさんの術は、対象に理想の異性との情景を見せながら、現実では近くにいる者同士を親密にさせるものであり、女性陣を同行させなかった理由もそこにあった。
繰り返された失敗
四人は保護を続けようとしたが、二度目はヴェンデリンとブランターク、三度目はヴェンデリンとエルヴィンが術にかかった。経験豊富なブランタークやアームストロングでも防げず、四人は三度の失敗で任務を断念した。
危険な保護魔物
桃色カバさんの術によって、過去には密猟者や冒険者が望まぬ関係に陥り、その後の人生まで変わった例があった。そのため女性陣やエリーゼを連れてくることはできず、保護対象でありながら接近するだけでも大きな危険を伴っていた。
自主的な移動
任務は失敗したものの、桃色カバさんは卵が孵化すると親子で自ら保護区へ移動した。四人の苦労は結果的に無駄となり、ヴェンデリンには強烈な記憶だけが残った。
一宮信吾との決別
前世の憧れを利用された幻を経験したヴェンデリンは、もう一宮信吾へ戻らなくてもよいと思うようになった。彼は現在の仲間との生活を選び、今回の出来事を早く忘れようとしていた。
第十五話 師匠が増えた話
王都での新たな修行
成人まで王都に滞在することになったヴェンデリンたちは、それぞれ一流の指導者から学ぶことになった。エルヴィンとイーナが近衛騎士団へ向かう一方、ヴェンデリンとルイーゼは軍施設へ呼び出された。
アームストロングの弟子
二人を待っていたのはアームストロングであった。ヴェンデリンは遠距離魔法を得意とし、ルイーゼの魔闘流とも戦い方が異なるため、筋力と魔法で竜を殴るアームストロングの訓練から逃れようとした。
魔導機動甲冑の利点
アームストロングは、魔導機動甲冑が魔力循環の訓練に適しており、高速飛翔や身体強化を維持した戦闘にも役立つと説明した。格闘技の技量に頼らず魔法で肉体を強化するため、ヴェンデリンにも習得できる可能性があった。
アルフレッドへの悔恨
アームストロングは、多彩な魔法を操ったアルフレッドも魔導機動甲冑を身に付けていれば、魔の森で命を落とさなかったかもしれないと語った。ヴェンデリンは未知の技術を最初から否定せず、不意の危険や魔力不足に備える手段として学ぶことを決めた。
王宮筆頭魔導師の立場
アームストロングは有事以外には王宮で仕事が少なく、日常の実務は部下に任せていた。無能なお飾りを装って政治争いから距離を置きながら、国王の親友として必要な時だけ力を振るう立場を保っていた。
器合わせ
最初の訓練では、ヴェンデリンがルイーゼ、アームストロング、その弟子である見習い魔法使いたちと器合わせを行った。器合わせは相手の魔力容量を限界まで引き上げる一方、才能の上限も明らかにするため、信頼関係のある師弟間で行われるものであった。
ルイーゼの魔力成長
器合わせによって、ルイーゼの魔力量は中級と上級の間にまで急増した。ただし、魔闘流以外の魔法を使えるようになったかは不明であり、今後の修行で確かめる必要があった。
同量の魔力
アームストロングは器合わせでも魔力酔いを起こさず、その魔力量がヴェンデリンと同じ段階に達していることが判明した。四十歳近くになっても成長限界を迎えておらず、彼自身もさらなる強化を目的としてヴェンデリンとの訓練を望んでいた。
魔導機動甲冑の修行
器合わせを終えたアームストロングは、すぐに魔導機動甲冑の習得訓練を始めようとした。ヴェンデリンとルイーゼは、その底知れない体力と修行への意欲に圧倒されながら、新たな鍛錬へ踏み出した。
巻末おまけ
盛大な誕生日パーティー
ヴェンデリンの誕生日パーティーはブライヒレーダー辺境伯の王都屋敷で開かれ、閣僚や教会関係者、商人など二百名以上が参加した。ヴェンデリンは多くの挨拶や贈り物への対応に追われ、エリーゼ、イーナ、ルイーゼは彼に近付く女性たちを遠ざけた。
親しい者だけの祝い
形式的な催しだけではヴェンデリンが気の毒だと考えたエリーゼは、親しい者だけでもう一度誕生日を祝うことを提案した。イーナとルイーゼは、他の者に負けない印象的な贈り物を用意しようと相談した。
辺境伯の希少本
ルイーゼはブライヒレーダー辺境伯から、主人を誘惑しようとする二人のメイドを扱った古書を借りていた。内容は衣装や大胆な贈り物で主人の関心を引くものであり、二人は呆れながらも、辺境伯の期待に応えるため最後の方法を試すことにした。
手作りの誕生日会
内輪のパーティーには、エリーゼたちやヴェンデリンの兄たち、ブランターク、アームストロング、アルテリオ、ブラント家の者たちが集まった。エリーゼがケーキを作り、イーナとルイーゼが料理を担当したことで、祝いは終始和やかに進んだ。
二人からの贈り物
パーティー後、イーナとルイーゼは古書を参考にしてヴェンデリンの部屋で待ち構え、自分たちを贈り物として差し出す意志を伝えた。ヴェンデリンは驚きながらも、イーナがルイーゼに勧められたのだと見抜いた。
成人後の約束
ヴェンデリンは二人の行動に心を動かされつつ、無理に大胆なことをしなくても魅力は理解していると伝えた。そして成人後にはエリーゼだけでなく、イーナとルイーゼとも結婚する意思を明かし、二人に衣服を渡して部屋を離れた。
予想外の成功
冷静さを取り戻したイーナとルイーゼは、自分たちの行動を恥じながらも、ヴェンデリンから結婚の約束を得られたため計画は成功だったと考えた。イーナは、ヴェンデリンが想像以上に誠実で頼もしい人物であると感じた。
成人までの自制
ヴェンデリンは二人の誘惑に耐えて部屋を出たものの、強く心を動かされていた。前世の常識に従って成人までは一線を越えないと決める一方、成人後には三人の妻との生活を受け入れる覚悟を固めた。
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