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Dジェネシス ダンジョンが出来て3年フィクション(Novel)読書感想

小説「Dジェネシス ダンジョンが出来て3年  02」感想・ネタバレ

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Dジェネシス ダンジョンが出来て3年 02の表紙画像(レビュー記事導入用) Dジェネシス ダンジョンが出来て3年

Dジェネシス1巻レビュー
Dジェネシス3巻レビュー

Table of Contents

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  1. どんな本?
  2. 読んだ本のタイトル
  3. あらすじ・内容
  4. 感想
  5. 考察・解説
    1. 深穴教団の活動
      1. 「本物の奇跡」の演出と聖女の利用
      2. 富裕層・権力者をターゲットにしたビジネスモデル
      3. 巧妙な法人運営と資金調達
      4. 奇跡の独占への強い執着
      5. まとめ
    2. ダンジョン探索の準備
      1. 安全なダンジョン内拠点の確保(特注キャンピングカー)
      2. 防具と盾の選定
      3. ステータスを活かした武器の選定(鉄球とトマホーク)
      4. 情報収集と記録体制の構築
      5. 探索ルートと目的の明確化
      6. まとめ
    3. モンスターの経験値測定
      1. 経験値減衰の「種類別」計算
      2. 「100匹目」の法則の発見
      3. 経験値(SP)とアイテムドロップの相関
      4. まとめ
    4. 超回復とスキルオーブ
      1. 真の効果と「深穴教団」への脅威
      2. 芳村のダンジョン探索における戦略的基盤
      3. 他の回復手段(スキル・ポーション)との比較
      4. まとめ
    5. 異界言語理解のドロップ
      1. 「100匹目」の法則の活用
      2. 異常なドロップ率と「ダンジョンの意図」
      3. 三好の的確な助言による「2個」の確保
      4. ドロップが世界に与えた影響
      5. まとめ
    6. 異国諜報機関の暗躍
      1. 各国の監視と妨害の背景
      2. アメリカ諜報部隊による事務所監視と侵入の失敗
      3. 中国斥候チームのダンジョン内での壊滅
      4. ロシアの非合法部隊による強硬手段
      5. 諜報機関同士の交錯と日本の限界
      6. まとめ
    7. 召喚獣による防衛体制
      1. 防衛を担う「アルスルズ」
      2. 駆使する未知の「闇魔法」
      3. 圧倒的な防衛・護衛の実績
      4. 運用上の課題(報酬と過剰防衛の懸念)
      5. まとめ
  6. 登場キャラクター
    1. Dパワーズ
      1. 芳村圭吾
      2. 三好梓
      3. カヴァス
      4. アイスレム
      5. グレイシック
      6. ドゥルトウィン
      7. アルスルズ
    2. 日本ダンジョン協会(JDA)
      1. 鳴瀬美晴
      2. 斎賀
      3. 瑞穂
    3. 日本政府・自衛隊
      1. 井部
      2. 村北
      3. 野河
      4. 寺沢
      5. 田中
      6. 美作
      7. 野呂
      8. 外務省北米局長
      9. 防衛省防衛政策局長
      10. 自衛隊の斥候部隊
    4. アメリカ合衆国関係者
      1. アーロン=エインズワース
      2. カーティス=ピーター=ハサウェイ
      3. サイモン=ガーシュウィン
      4. ジョシュア=リッチ
      5. ナタリー
      6. モニカ=クラーク
      7. トーマス
      8. カーティス
      9. アダムス
      10. ビーツ
      11. デンバー
      12. エクレ
      13. ラリー
      14. カヤマ
      15. レイン
      16. ラット
      17. チャップマン
      18. コリン・アレンビー
      19. 米国の諜報チーム
    5. ロシア連邦関係者
      1. 局長
      2. クルニコフ
      3. イグナート
      4. リーダーの男
      5. SVRイリーガル『防壁』の部隊
    6. 中国の探索チーム
      1. 王偉
      2. 欣妍
      3. 王秀英
      4. 宇航
    7. 深穴教団(アルトゥム・フォラミニス・サクリ・エッセ)
      1. デヴィッド=ジャン・ピエール=ガルシア
      2. マリアンヌ=テレーズ=マルタン
    8. その他の探索者・関係者
      1. 御劔遙
      2. 斎藤涼子
      3. 吉田
      4. 坂井
      5. 当麻
      6. 三代
      7. 翔太
      8. アーメッド
      9. アーシャ
  7. 展開まとめ
    1. 序章プロローグ
    2. 第3章 異界言語理解
    3. 終章エピローグ
  8. 同シリーズ
    1. Dジェネシス ダンジョンができて3年
  9. その他フィクション

どんな本?

Dジェネシス ダンジョンが出来て3年』は、之貫紀 氏による日本のライトノベル。
この物語は、世界各地に「ダンジョン」が出現してから3年後の世界を描いている。

主人公の芳村は、元々は社畜として働いていたが、ある偶然からダンジョン探索者の世界ランキング1位になる。
彼は退職し、ダンジョンに潜ることを決意するが、手に入れた未知のスキルに振り回され、ダンジョン攻略の最前線に関わることになる。

この作品は、投稿小説サイト「小説家になろう」で2019年6月1日から投稿が開始され、その後KADOKAWAのエンターブレインレーベルより2020年2月から刊行されている。
また、『月刊コンプエース』で平未夜 氏の作画により漫画化され、連載が開始されている。

読んだ本のタイトル

Dジェネシス ダンジョンが出来て3年02
著者:之貫紀
イラスト:ttl

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あらすじ・内容

スキルとアイテムを 実験!検証! 理系冒険者のチート攻略独走中!!

2018年。ダンジョン攻略が当たり前になった世界。
元社畜の脱サラリーマン芳村は不幸?な事故によって最強スキルを手に入れる。
のんびり生活を求めて金稼ぎのためにダンジョン探索をするが
気づけば国際レベルの要注意人物に!
憧れのスローライフが遠のくなか、幻のスキル「異界言語理解」採取を依頼され
ついに芳村はダンジョンの深層に潜入。しかし、それが世界にさらなる波紋を生む結果に!?

大人気のSFファンタジー!第二弾

Dジェネシス ダンジョンが出来て3年 02

感想

「Dジェネシス ダンジョンができて3年 2」は、ダンジョン探索という異世界的要素に現代社会を交えたユニークな物語。

主人公、芳村圭吾と三好梓は、ダンジョン探索のためにカスタマイズされたキャンピングカーを使い、モンスターを倒しながらスキルオーブを獲得していく。

彼らのダンジョン探索はただの冒険ではなく、実験と検証を織り交ぜた理論的なアプローチが特徴的。
特に、レアアイテムを売り大金持ちになる展開や、理論的な攻略手法が物語を引き立てる。

一方で、物語の展開はただの冒険物語に留まらず、国際的な政治的要素が加わることでさらに深みを増している。
ロシアが独占している「異界言語理解」スキルオーブを巡る騒動や、国際的な諜報部門の介入など、ダンジョン探索を超えた大規模なスケールで物語が展開する。
このような政治的要素の追加は、前巻には無かった新たな魅力となっていた。

加えて、新キャラであるカヴァスの登場は、物語に新たなモフモフ要素をもたらす。

彼らがいなかったら結構やばい場面もあっただけに、彼らの存在はストーリーに大きな影響を与えていた。、
また、ダンジョン探索から引き上げる資源とそれを取り巻く国際情勢という主題も、非常に興味深い。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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Dジェネシス1巻レビュー
Dジェネシス3巻レビュー

考察・解説

深穴教団の活動

深穴教団(正式名称:アルトゥム・フォラミニス・サクリ・エッセ)は、デヴィッド=ジャン・ピエール=ガルシアによって設立された、ダンジョンを信奉するキリスト教系のカルト教団である。彼らの活動は、一見すると宗教的な救済を目的としているように見えるが、その実態は「奇跡」を利用した高度なビジネスである。本稿では、深穴教団の活動とその実態について解説する。

「本物の奇跡」の演出と聖女の利用

教団の最大の特徴であり、他のカルトと一線を画しているのは、「聖女」マリアンヌ=テレーズ=マルタンが「本物の癒やしの力」を持っている点である。
・デヴィッドはアンドラ公国で、彼女が瀕死の火傷患者を治癒させる奇跡を目撃し、彼女の父親からわずかな金で彼女を買い取った。
・マリアンヌ本人は記憶とDカードを喪失しているが、デヴィッドは彼女の小さな治癒能力にダンジョン産の高位ポーションなどの演出を掛け合わせることで奇跡を過大に見せている。
・これらの手段により、彼女を「偉大な聖女」に仕立て上げている。

富裕層・権力者をターゲットにしたビジネスモデル

デヴィッドは宗教を「原価0%の商材(神の愛)を販売するシステム」と合理的に捉えている。
・国家の指導者や大企業の経営者が神秘主義やオカルトに傾倒しやすい傾向を突き、マリアンヌの美しさと奇跡を武器に、世界の富裕層や政治家を骨抜きにしてパトロンとして抱え込んでいる。
・一例として、インド有数の大富豪アーメッドが重傷を負った娘アーシャを連れてきた際、デヴィッドは自らの力では治療不可能だと判断した。
・しかし、「奇跡を売る教団」としての体面を保ち、将来的な利益を逃さないために、できないとは言わず適当な理由をつけて治療を先延ばしにしていた。

巧妙な法人運営と資金調達

教団はフランスのコンセイユ・デタ(参事院)に届け出を行っている正式な宗教団体(非営利団体)として活動している。
・フランスでは宗教団体への寄付が非課税であり、法人からの寄付も損金扱いになるという税制の優遇を利用している。
・無償の治癒という名目で奇跡を施し、その見返りとして企業や富裕層から多額の「寄付」を受け取っている。
・これにより、節税効果をアピールしつつ巨額の資金を集めるシステムを構築している。

奇跡の独占への強い執着

教団の権力と資金力は「癒やしの奇跡の独占」に依存している。
・アーシャが日本で何らかの魔法(後にDパワーズが提供したスキルオーブ〈超回復〉と判明)によって完治したという報告を受けた際、デヴィッドは強い警戒心と危機感を抱いた。
・教団でも治せない傷を癒やす存在がいることは彼らのビジネスモデルを根底から揺るがす事態となる。
・そのため、デヴィッドは「癒やしの奇跡は、アルトゥム・フォラミニスのものでなければならない」と呟き、奇跡の独占に対する並々ならぬ執着を見せている。

まとめ

深穴教団は、宗教的な外殻を纏いながらも、実態は聖女マリアンヌの治癒能力と巧みな演出を組み合わせた、富裕層向けの高度なビジネス組織である。宗教法人としての非課税制度を利用した巧妙な集金システムを構築し、世界の権力者を取り込んでいる。彼らの影響力と資金力の源泉は「奇跡の独占」にあり、教団外で起きた未知の治癒現象に対しては、自身のビジネスモデルを脅かすものとして強い警戒感と執着心を抱いている。

ダンジョン探索の準備

主人公の芳村圭吾と三好梓は、代々木ダンジョンの本格的な探索(主に十四層のムーンクラン到達と各階層のデータ検証)に向けて、入念かつ特殊な準備を行っている。二人が行った主な準備は以下の通りである。

安全なダンジョン内拠点の確保(特注キャンピングカー)

過酷なダンジョン内で長期間活動するにあたり、テント暮らしでは見張りなどで休息が十分に取れないと考えた二人は、移動拠点としてキャンピングカー(ドリーバーデン)を購入した。
・ダンジョン内での安全性を高めるため、ビルダーに依頼して外装をチタン板で覆い、窓をすべて塞いで内部の光が漏れないように改造している。
・周囲の状況は多数設置された監視カメラの映像を室内のモニターで確認する仕組みである。
・騒音を抑えるために電源には燃料電池(PEFCとDMFCの併用)を採用している。
・食事は芳村の〈保管庫〉から出すため、キッチン設備は簡略化されている。

防具と盾の選定

二層以降のモンスター(ゴブリン、コボルト、ウルフなど)に対抗するための防具を選定した。
・高価な防具でも完全に身を守ることは難しいため、芳村の〈超回復〉とVIT(体力)の高さを信じ、「動きやすさ」を重視することにした。
・他の探索者から目立ちすぎるのを避けるため、あえて安価な「初心者装備」を選んでいる。
・盾については、180キロもある重いブンカーシールドは目立ちすぎるとして却下した。
・とっさの攻撃を防ぐ用途としてLBA社のアラミド繊維製ミニシールド(約3キロ)を用意した。

ステータスを活かした武器の選定(鉄球とトマホーク)

芳村は剣術の経験がなく、魔法主体ではMP切れのリスクがあるため、高いSTR(筋力)とDEX(器用さ)のステータスをそのまま物理的破壊力に変換できる「投擲(とうてき)武器」をメインウェポンに選んだ。
・具体的には、金属球の専門加工会社(F辺精工)に直径8センチ(2キロ)と6センチ(850グラム)の鉄球を大量に注文した。
・さらにブローニングの「ショックン・オーサム・トマホーク(斧)」も多数発注した。
・のちに三好の〈収納庫〉を活用し、数万個単位で鉄球を持ち込むようになる。

情報収集と記録体制の構築

探索中は、ヘルメットに装着したアクションカメラや深度センサーを常時作動させ、ダンジョンの3Dマップを自動作成する体制を整えた。
・これらの機材を長時間運用するための大量のバッテリーも三好が買い込んでいる。
・このような大規模な資材の持ち込みは、芳村の〈保管庫〉や三好の〈収納庫〉という未知スキルがあって初めて可能になる特権的な準備であった。

探索ルートと目的の明確化

事前にモンスターの分布やドロップアイテムについて綿密な仮説を立ててルートを設定している。
・医療に応用できそうな回復系スキルや肉体強化系スキルの取得を目指している。
・九層のコロニアルワームの特性(群体と本体が空間を共有している可能性)などに関する考察も行っている。
・さらに、ダンジョンの生態や環境(病原体や気圧の有無など)に関する考察も行いながら探索に臨んでいる。

まとめ

芳村圭吾と三好梓によるダンジョン探索の準備は、未知スキルである〈保管庫〉や〈収納庫〉の存在を前提とした極めて特異なものである。チタン装甲のキャンピングカーや大量の投擲用鉄球、長時間稼働する記録機材の持ち込みなど、通常の探索者では不可能な物量と工夫が凝らされている。また、ステータス特性を活かした装備選定や、生態に関する事前仮説の構築など、合理的な戦略が随所に見られる。これらの入念な準備が、彼らの未踏階層への挑戦と未知の事象解明を支える重要な基盤となっている。

モンスターの経験値測定

主人公の芳村圭吾と三好梓は、代々木ダンジョンの深い階層を目指す過程で、各階層のモンスターが持つ経験値(SP)の測定とデータ収集を行っている。この測定により、ダンジョン内の隠されたシステムが次々と明らかになった。

経験値減衰の「種類別」計算

二層の過疎エリアでゴブリンの討伐を始めた芳村は、最初のゴブリンから「0.03」のSPを獲得したが、2匹目は「0.015」となり、連続討伐によってSPが減衰していくことを確認した。
・しかし、ゴブリンのSPが「0.003」まで落ちていたタイミングで遭遇したウルフを倒したところ、ウルフから得られたSPは初期値の「0.03」であった。
・この結果から、「連続討伐による経験値の減衰は、モンスターの種類ごとに別々に計算される」という法則が判明した。

「100匹目」の法則の発見

経験値の測定と討伐数の記録を細かく続けていた芳村は、ウルフを9匹、ゴブリンを91匹(合計100匹)倒したタイミングで、スキルオーブの選択ウィンドウが出現したことに気付いた。
・これにより、同種のモンスターを100匹連続で倒さなくても、「これまでの総討伐数の下二桁を『00』に調整した上で、100匹目として狙ったモンスターを倒せば、そのモンスターのスキルオーブを取得できる」という画期的な仕様を発見した。
・芳村たちはこの法則を活かし、十層でボス級の魔物であるバーゲストを100匹目のタイミングで討伐するよう調整し、希少な〈異界言語理解〉や〈闇魔法(VI)〉などのオーブを入手することに成功している。

経験値(SP)とアイテムドロップの相関

さらに、十層でのアンデッド討伐の際、三好は蓄積したデータから「通常アイテムをドロップするモンスターはすべて、SPが0.04を超えている」という共通点を発見した。
・実際にゴブリンやコボルト、スライムといったSPが0.04を下回るモンスターは、通常アイテムを一切ドロップしない。
・代々木ダンジョンの四層までが「アマチュア向けの層」とされ、ダンジョンで生計を立てるプロの探索者が五層以降に潜らなければならない理由は、この「SP0.04以上の壁」によるドロップアイテムの有無が原因であると推測された。

まとめ

地道な経験値測定は単なるステータス上昇の確認にとどまらず、経験値減衰の仕様、スキルオーブ取得の抜け道、そしてアイテムドロップの法則といった、ダンジョン攻略を圧倒的に有利に進めるためのシステムを解き明かす重要な鍵となっている。

超回復とスキルオーブ

本作における「超回復」のスキルオーブは、単なる便利な回復能力にとどまらず、探索者の行動方針を決定づけ、さらには外部の宗教組織のビジネスモデルを脅かす重要な要素として描かれている。本稿では、その影響と詳細について解説する。

真の効果と「深穴教団」への脅威

オークションに出品された〈超回復〉のオーブは、表向きには「疲れにくくなって、小さな怪我であれば、すぐ治る」程度の効果と説明されており、出品者は正体を隠していた。しかし、インドの富豪アーメッドが落札し娘のアーシャに使用した結果、未発見である「ランク8以上」のポーションが必要とされるほどの重大な欠損状態を完全に再生させるという、驚異的な回復をもたらした。
・フランスで「本物の奇跡」を演出し、それを独占することで世界の富裕層を取り込むビジネスを展開していた「深穴教団」のデヴィッドは、この事実を知り驚愕した。
・彼は落札価格に対する効果説明の低さから、意図的に重大な事実が隠されていると直感した。
・教団でも治せない傷を癒やすオーブの存在は彼らのビジネスモデルを根底から揺るがす事態となる。
・そのため、デヴィッドは「癒やしの奇跡は、アルトゥム・フォラミニスのものでなければならない」と呟き、強い危機感と執着を抱くこととなった。

芳村のダンジョン探索における戦略的基盤

芳村圭吾自身もこの〈超回復〉を保有しており、代々木ダンジョンの本格的な探索スタイルに大きな影響を与えている。
・防具の選定:芳村は、いくら高価な防具でも完全に身を守ることは難しいと割り切り、自身の〈超回復〉と高いVIT(体力)のステータスを信じて、防御力よりも「動きやすさ」を重視した安価な初心者装備を選択している。
・疲労と睡眠:驚異的な回復力を持つ一方で、不眠症になるわけではなく、緊張や集中が途切れると自然と眠気が襲ってくるという生理的な仕様になっていることも確認されている。

他の回復手段(スキル・ポーション)との比較

物語が進むにつれ、ダンジョン内で得られる他の回復手段と〈超回復〉の比較もなされている。
・高ランクポーション:ランク5のヒールポーションでも体の半分欠損が元に戻るほどの効果があるが、アーシャの怪我を治すには未発見の「ランク8〜10」が必要とされていた。〈超回復〉はこれをスキル単体で成し遂げている。
・〈自再生〉のオーブ:十一層のレッサー・サラマンドラを討伐した際、芳村は確率2億分の1でドロップする〈自再生〉のオーブ候補を発見した。芳村は、これが失われた部位を再生するスキルであるならば「〈超回復〉にも負けない福音」であると評価している。また、10億分の1であるスライムの〈超回復〉に比べてドロップ確率が高く、クールタイムが短い(入手しやすい)点にも注目している。

まとめ

このように〈超回復〉は、主人公の常識外れな探索を支える強力なパッシブスキルであると同時に、外部世界においては「癒やしの奇跡」の常識を覆し、宗教団体の思惑や市場を刺激する起爆剤として機能している。

異界言語理解のドロップ

代々木ダンジョンにおける〈異界言語理解〉のスキルオーブのドロップは、主人公の芳村圭吾と三好梓の機転と検証、そして幸運が重なった結果としてもたらされ、その後の物語を大きく動かす発端となった。本稿では、ドロップの経緯やその後の影響について解説する。

「100匹目」の法則の活用

芳村と三好は、代々木ダンジョン五層の過疎エリアで、周囲に黒い霧を発生させ、配下のヘルハウンドを召喚して探索者を襲っていたボス級モンスター「バーゲスト(ハウンドオブヘカテ)」に遭遇した。
・芳村はこの戦闘で、直前に二層のゴブリン狩りで発見していた「総討伐数の下二桁を『00』に調整した上で、100匹目として狙ったモンスターを倒せばスキルオーブの選択ウィンドウが出る」という法則を活用した。
・彼は配下のヘルハウンドを倒してカウントを緻密に調整し、バーゲスト自身を丁度100匹目のタイミングで討伐することに成功した。

異常なドロップ率と「ダンジョンの意図」

討伐後に出現したスキルオーブの選択ウィンドウには、〈異界言語理解〉が「1/1,000(千分の一)」という、極めて高い確率で表示された。
・さらに驚くべきことに、戦闘後の通常ドロップアイテムとしても、虹色に輝く〈異界言語理解〉のオーブが出現した。
・この高確率な設定を見た芳村は、ダンジョンの製作者側が意図的に「人類に碑文を読んでくれと言わんばかり」にばらまこうとしているのではないかと推測している。

三好の的確な助言による「2個」の確保

通常ドロップで1個確保できたため、芳村は選択ウィンドウからは別の希少スキルである〈闇魔法(VI)〉を取得しようとした。しかし、三好はこれを強く制止した。
・当時、このオーブはロシアで発見された1個しか存在が確認されていなかった。
・三好は「世界に翻訳者が二人しかいない状態で翻訳内容が食い違った場合、確実に水掛け論になる」と指摘し、第三の証明者としての役割を保つために芳村自身もオーブを取得するべきだと主張した。
・この助言に従い、芳村は選択ウィンドウからも〈異界言語理解〉を取得し、一度の戦闘で計2個のオーブを確保した。

ドロップが世界に与えた影響

このドロップは、ダンジョン探索の枠を超えて国際的なパワーバランスを揺るがす事態に発展した。
・世紀のオークション開催:確保した2個のうち1個は、Dパワーズ主催のオークションに出品された。結果として、アメリカをはじめとする各国の諜報機関や政府が代々木ダンジョン周辺で暗躍し、最終的に4161億円超という天文学的な価格で落札される国家規模の争奪戦を引き起こした。
・「ヒブンリークス」の立ち上げ:残るもう1個は、信頼できるJDA職員の鳴瀬美晴に使用された。彼女が世界で二人目の翻訳者となったことで、Dパワーズは各国の情報隠蔽を防ぐため、匿名でダンジョン碑文の翻訳内容を公開するサイト「ヒブンリークス」を立ち上げるに至った。

まとめ

〈異界言語理解〉のドロップは、100匹目の法則の応用という芳村の機転と、千分の一という異常な確率が重なった結果である。さらに三好の的確な判断により2個のオーブを確保したことは、その後の世界的オークションの開催や「ヒブンリークス」の設立へと直結した。この出来事は、Dパワーズの活動を単なるダンジョン探索の枠から、国家間のパワーバランスをも左右する国際的なステージへと引き上げる重要な転換点となった。

異国諜報機関の暗躍

Dパワーズが世界で唯一の〈異界言語理解〉のオーブをオークションに出品したことで、世界のパワーバランスを左右する情報(ダンジョンの碑文)の独占を恐れた各国の政府や諜報機関が、一斉に日本で暗躍を開始した。本稿では、オークションが引き起こした国際的な暗躍と各国の動向について解説する。

各国の監視と妨害の背景

オーブの受け渡し日が12月2日に指定されていたため、各国はDパワーズが前日の12月1日にオーブを取得すると予測した。
・彼らの行動を監視・妨害、あるいはオーブを奪取するために、代々木ダンジョン周辺や彼らの事務所に精鋭の斥候や特殊部隊が送り込まれた。

アメリカ諜報部隊による事務所監視と侵入の失敗

アメリカからは、ダンジョン省(DOD)やダンジョン攻略局(DAD)など複数の組織が関与した。
・カーティス率いる米国の在日諜報チームは、Dパワーズ事務所の裏にあるマンションに監視拠点を設け、レーザー盗聴器や集音器による情報収集を試みたが、三好の万全な対策によってすべて無効化された。
・そのため、工作員のアダムスとビーツが直接庭への侵入を試みた。
・しかし、護衛として配置されていたヘルハウンド(アルスルズ)の闇魔法(シャドウ・ピット)によって、アダムスが突如として痕跡もなく消失(捕縛)した。
・未知の防衛機構に恐れをなした監視チームは混乱し、為す術もなく撤退を余儀なくされた。

中国斥候チームのダンジョン内での壊滅

ダンジョン内でも、各国の斥候部隊がDパワーズを追跡していた。
・中国の斥候チーム(リーダーの王偉ら)は、Dパワーズが夜の十層(アンデッド層)へ向かったと見て、危険を承知で強行突入した。
・しかし、アンデッドの群れに包囲されて弾薬を消耗し、メンバーが重傷を負うなど壊滅的な被害を受けた。
・最終的には自衛隊の斥候部隊に救助されるという惨憺たる結果に終わった。

ロシアの非合法部隊による強硬手段

最も強硬な手段に打って出たのはロシアである。
・当初、FSB(連邦保安庁)のV局と呼ばれる破壊工作の精鋭部隊がダンジョン内に送り込まれたが、彼らはDパワーズに手も足も出ずに気絶させられ、壊滅した。
・これを受けて、ロシア対外情報庁(SVR)の非合法諜報部隊イリーガル『防壁』が地上に投入された。
・彼らはオーブの奪取、あるいはDパワーズのどちらかを暗殺することでオーブの受け渡しを無効化するという冷酷な作戦を実行に移した。
・新宿御苑での武装尾行に加え、靖国通りでは大型トレーラーを横転させてDパワーズの乗るタクシーを事故に巻き込もうとした。
・さらに、JDA本部前のビル屋上にスナイパーを配置し、SR-25Mで三好の頭部を狙撃したが、アルスルズの魔法によって弾丸が完全に防がれた。
・逆にスナイパーは影に引きずり込まれて捕縛された。

諜報機関同士の交錯と日本の限界

これらの暗躍の過程で、他国の諜報部隊同士が交錯する事態も発生した。
・新宿御苑でロシアの部隊が銃を発砲した際、たまたま尾行していたアメリカのサイモンチーム(ナタリーとジョシュア)が彼らを無力化して制圧した。
・その後、日本の内閣情報調査室の田中らが事後処理を行った。
・しかし、都心の公園で外国の特殊部隊が平然と銃器を使用する状況に対し、日本の警備体制と人員の不足が浮き彫りとなった。

まとめ

Dパワーズによるオーブのオークションは、各国の諜報機関や特殊部隊を日本に引き寄せ、地上とダンジョンの双方で激しい情報戦や武力衝突を引き起こした。アメリカの監視網の無力化、中国部隊の壊滅、ロシアによる暗殺未遂など、いずれもDパワーズの未知の防衛力やダンジョンの脅威の前に失敗に終わっている。一方で、これらの事態は外国の特殊部隊が国内で容易に活動できるという日本の安全保障上の脆弱性を明確にし、今後の国家体制に向けた強い危機感を残す結果となった。

召喚獣による防衛体制

Dパワーズにおける召喚獣を利用した防衛体制は、外部の諜報機関や暗殺部隊の脅威を完全に無力化する、常識外れかつ鉄壁のセキュリティとして機能している。本稿では、その防衛体制の実態と実績について解説する。

防衛を担う「アルスルズ」

防衛体制の中核を担うのは、三好梓が〈闇魔法(VI)〉によって召喚した4体の巨大なヘルハウンド(カヴァス、アイスレム、グレイシック、ドゥルトウィン)であり、彼女らは総称して「アルスルズ」と呼ばれている。
・三好から「侵入者を捕まえること」と「自身の護衛」を命じられた彼らは、事務所の敷地内や三好の影の中に潜伏している。
・物理的な壁に頼らず、24時間体制で警備にあたっている。

駆使する未知の「闇魔法」

アルスルズは通常のヘルハウンドとは異なり、主の要求を満たすために自発的に高度な闇魔法を使いこなす。
・ハイディング・シャドー:影の中に身を沈めて完全に姿を隠し、影から影へと渡って移動することができる。これにより、巨大な体軀を隠したまま隠密警備が可能である。
・シャドウ・ピット:対象の足下に黒い穴(闇の牢獄)を開け、異空間へ落下させて捕縛する魔法である。
・シャドウ・バインド:麻痺や睡眠の状態異常を伴う闇のロープで対象を縛り上げる。

圧倒的な防衛・護衛の実績

この防衛体制は、他国のプロの工作員相手に絶大な効果を発揮した。
・米国諜報員の不可視の捕縛:アメリカの諜報員アダムスがDパワーズ事務所の庭に侵入しようとした際、アルスルズはシャドウ・ピットを用いて彼を瞬時に捕縛した。周囲で監視していた他国の諜報チームには、熱も光も音もなく人間が一瞬で消失したようにしか見えず、物理的・電子的手段が一切通用しない未知の防衛機構として深い恐怖と混乱を与えた。芳村はこのトラップのような捕縛劇をゴキブリほいほいと評している。
・ロシアの狙撃手からの防衛:JDA本部前で、ロシアの防壁部隊がビル屋上からライフル(SR-25M)で三好の頭部を狙撃した際、弾丸の軌道上に突如黒い円(穴)を出現させて銃弾を完全に吸い込んだ。さらに、影を伝って移動したアイスレムが狙撃手の背後に現れ、瞬時に意識を刈り取って捕縛空間へ落とすという離れ業をやってのけた。

運用上の課題(報酬と過剰防衛の懸念)

アルスルズはこれらの防衛行動を無償で行っているわけではなく、侵入者を捕縛した際などの報酬(おやつ)として魔結晶を要求する。
・芳村は、彼らが侵入者を容赦なく闇に引きずり込む様子を見て、そのうち普通のセールスマンや宗教の勧誘員などが犠牲になるのではないかと危惧している。
・常識外れの過剰すぎる防衛能力に対して、内心戦々恐々としている。

まとめ

Dパワーズの召喚獣「アルスルズ」による防衛体制は、高度な闇魔法を駆使することで、世界各国の精鋭工作員をも容易く無力化する圧倒的な力を誇っている。姿を見せずに侵入者を捕縛し、遠距離からの狙撃すら防ぐその能力は、物理的・電子的な常識が通用しない鉄壁のセキュリティである。一方で、魔結晶という特殊な報酬を要求する点や、過剰防衛による一般人への被害の懸念など、強大すぎるがゆえの運用上の課題も抱えている。

Dジェネシス1巻レビュー
Dジェネシス3巻レビュー

登場キャラクター

Dパワーズ

芳村圭吾

Dパワーズのメンバーである。三好梓とパーティを組み、代々木ダンジョンで活動する。未知の事象に興味を持ち、探索や検証を積極的に行う。

・所属組織、地位や役職
 Dパワーズ・探索者。
・物語内での具体的な行動や成果
 代々木ダンジョンでバーゲストなどを討伐し、〈異界言語理解〉や〈鑑定〉のスキルオーブを取得した。受け渡しまでの間、他国の斥候部隊をダンジョン内で攪乱した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 世界ランキング一位の「ザ・ファントム」として各国の注目を集めている。

三好梓

Dパワーズのリーダーである。情報収集や論理的な推測に長けており、芳村のサポートを行う。

・所属組織、地位や役職
 Dパワーズ・リーダー。商業ライセンス保持者。
・物語内での具体的な行動や成果
 〈鑑定〉のスキルオーブを使用し、アイテムやステータスの詳細を確認する能力を得た。〈闇魔法(VI)〉を使用して4体のヘルハウンドを召喚した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 商業ライセンスがSランクに昇格した。世界一有名なオーブハンターとして注目を集めている。

カヴァス

三好が〈闇魔法(VI)〉によって召喚したヘルハウンドである。精悍なフォルムと金色の目を持つ。

・所属組織、地位や役職
 三好梓の召喚獣。
・物語内での具体的な行動や成果
 三好の指示でアンデッドを討伐した。トレーラーがタクシーに衝突する直前にコンテナを跳ね上げ、事故を防いだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 影に潜む魔法を使用できる。

アイスレム

三好が召喚したヘルハウンドである。カヴァスと同様に巨大な体軀を持つ。

・所属組織、地位や役職
 三好梓の召喚獣。
・物語内での具体的な行動や成果
 ダンジョン内でアンデッドの討伐を行った。三好を狙撃しようとした襲撃者を影から急襲し、無力化した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 影に潜む魔法を使用できる。

グレイシック

三好が召喚したヘルハウンドである。

・所属組織、地位や役職
 三好梓の召喚獣。
・物語内での具体的な行動や成果
 ダンジョン内でアンデッドの討伐を行った。事務所の警備のため留守番をした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 影に潜む魔法を使用できる。

ドゥルトウィン

三好が召喚したヘルハウンドである。

・所属組織、地位や役職
 三好梓の召喚獣。
・物語内での具体的な行動や成果
 ダンジョン内でアンデッドの討伐を行った。タクシー乗車時に影からアクセルを踏み、危機を回避させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 影に潜む魔法を使用できる。

アルスルズ

三好が召喚した四体のヘルハウンドの総称である。三好の護衛と警備を担う。

・所属組織、地位や役職
 三好梓の召喚獣たち。
・物語内での具体的な行動や成果
 ダンジョン内でアンデッドの群れを討伐し、三好たちを警護した。Dパワーズの事務所の敷地内で警備に就き、侵入者を捕縛した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 魔結晶を好んで食べる。シャドウ・ピットやシャドウ・バインドなどの魔法を使用し始めた。

日本ダンジョン協会(JDA)

鳴瀬美晴

JDAダンジョン管理課の職員である。Dパワーズの専任管理監として彼らと協力関係にある。

・所属組織、地位や役職
 日本ダンジョン協会ダンジョン管理課。Dパワーズの専任管理監。
・物語内での具体的な行動や成果
 Dパワーズの動向を斎賀課長に報告した。芳村から〈異界言語理解〉のオーブを受け取って使用し、碑文の翻訳作業に従事した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 世界で二人目の異界言語翻訳者となった。

斎賀

JDAダンジョン管理課の課長である。鳴瀬の上司にあたる。

・所属組織、地位や役職
 日本ダンジョン協会ダンジョン管理課課長。
・物語内での具体的な行動や成果
 鳴瀬から〈異界言語理解〉の発見見込みの報告を受け、上層部に判断を仰いだ。寺沢とバーで密会し、オーブを大国同士の牽制に利用する考えを語った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

瑞穂

JDAの常務である。

・所属組織、地位や役職
 日本ダンジョン協会常務。
・物語内での具体的な行動や成果
 局長級会議を主導し、オーブを無償または安価で国に提供させる方針に関与した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 その方針がDパワーズをオークションへと向かわせる一因となった。

日本政府・自衛隊

井部

日本の内閣総理大臣である。

・所属組織、地位や役職
 内閣総理大臣。
・物語内での具体的な行動や成果
 日本がオーブの購入権を放棄した経緯を知り、オークションへの対応方針を協議した。米国に落札させることで国際的な均衡を保つ案を検討し、各国との調整を指示した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

村北

内閣情報官である。首相に情報を提供する。

・所属組織、地位や役職
 内閣情報官。
・物語内での具体的な行動や成果
 JDAでの会議の経緯やオークションの状況を井部首相に報告した。アメリカにオーブを落札させることで各国の面子を立てる案を説明した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

野河

防衛省統合幕僚長である。

・所属組織、地位や役職
 防衛省統合幕僚長。
・物語内での具体的な行動や成果
 JDAの会議での発言を知り、個人の財産を不当に要求する姿勢に呆れを示した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

寺沢

自衛隊関係者である。斎賀の真意を探る。

・所属組織、地位や役職
 自衛隊関係者。
・物語内での具体的な行動や成果
 斎賀と密会し、オーブがオークションにかけられる状況を故意に作り出したのではないかと追及した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

田中

内閣情報調査室の関係者である。Dパワーズの周辺で活動する。

・所属組織、地位や役職
 内閣情報調査室関係者。
・物語内での具体的な行動や成果
 芳村からオークション開始の報告を受けた。新宿御苑で拘束された襲撃者を回収し、Dパワーズの事務所で捕縛されたスナイパーも引き取った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

美作

自衛隊斥候部隊の隊長である。

・所属組織、地位や役職
 自衛隊斥候部隊隊長。
・物語内での具体的な行動や成果
 代々木ダンジョン十層へ下りた中国チームの動向を監視した。重傷を負って戻ってきた中国チームを救助し、ポーションで応急処置を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

野呂

自衛隊斥候部隊の隊員である。

・所属組織、地位や役職
 自衛隊斥候部隊隊員。
・物語内での具体的な行動や成果
 〈生命探知〉を用いてダンジョン内を索敵し、他の斥候部隊の存在を確認した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

外務省北米局長

・所属組織、地位や役職
 外務省北米局長。
・物語内での具体的な行動や成果
 オーブのオークションに関するアメリカからの問い合わせを受け、首相官邸を訪れた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

防衛省防衛政策局長

・所属組織、地位や役職
 防衛省防衛政策局長。
・物語内での具体的な行動や成果
 オーブのオークションに関するアメリカからの問い合わせを受け、首相官邸を訪れた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

自衛隊の斥候部隊

・所属組織、地位や役職
 自衛隊。
・物語内での具体的な行動や成果
 Dパワーズの動向を追ってダンジョン内を探索した。夜の十層へ下りることを避けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

アメリカ合衆国関係者

アーロン=エインズワース

ネヴァダのダンジョン研究所所長である。

・所属組織、地位や役職
 USダンジョン研究所所長。
・物語内での具体的な行動や成果
 オークションの情報をダンジョン省長官のカーティスに報告した。対象がオーブの保存技術などを有する特異な存在であると分析した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 カーティスから任務を外された。

カーティス=ピーター=ハサウェイ

ダンジョン省の初代長官である。

・所属組織、地位や役職
 ダンジョン省長官。
・物語内での具体的な行動や成果
 アーロンからの報告を受け、オーブの入札参加を決定した。関係者の拉致や実働部隊の投入も示唆した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

サイモン=ガーシュウィン

アメリカのトップエクスプローラーである。DADに所属している。

・所属組織、地位や役職
 DAD(ダンジョン攻略局)関係者。エクスプローラー。
・物語内での具体的な行動や成果
 Dパワーズから〈異界言語理解〉のオーブを受け取るための護衛として活動した。芳村に、DODのチームがダンジョン内で苦戦したことを伝えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ジョシュア=リッチ

サイモンチームに所属する男である。

・所属組織、地位や役職
 サイモンチームの斥候。
・物語内での具体的な行動や成果
 新宿御苑でナタリーと共に、Dパワーズを追跡していた武装集団を制圧した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ナタリー

サイモンチームに所属する女性である。

・所属組織、地位や役職
 サイモンチーム所属。元DEAの特殊部隊FAST出身。
・物語内での具体的な行動や成果
 新宿御苑で、Dパワーズを狙う武装集団に接近し、銃を叩き落として格闘で制圧した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

モニカ=クラーク

十代の天才少女である。

・所属組織、地位や役職
 DAD管理下の研究者。
・物語内での具体的な行動や成果
 〈異界言語理解〉のオーブを使用し、碑文の翻訳作業に従事することになった。芳村からクリスマスの夜にアクセスするよう秘密のURLを教えられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 14歳目前でPh.D.を取得した経歴を持つ。

トーマス

政府付きの人物である。

・所属組織、地位や役職
 アメリカ政府関係者。
・物語内での具体的な行動や成果
 過去にインド人のアーメッドに同行して日本を訪れた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

カーティス

日本で諜報活動を行うチームのリーダーである。

・所属組織、地位や役職
 米国の諜報チームリーダー。
・物語内での具体的な行動や成果
 マンションの一室からDパワーズの事務所を監視した。アダムスが消失した異常事態を受け、本国への緊急連絡を決断した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

アダムス

諜報チームのメンバーである。

・所属組織、地位や役職
 米国の諜報チーム所属。
・物語内での具体的な行動や成果
 Dパワーズの事務所の居間側に盗聴器を仕掛けようとして庭に侵入した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 建物に接近した瞬間、突然消失して捕縛された。

ビーツ

諜報チームのメンバーである。

・所属組織、地位や役職
 米国の諜報チーム所属。
・物語内での具体的な行動や成果
 アダムスと共に庭へ侵入したが、アダムスが突如消失したのを目撃し、拠点へ撤退して報告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

デンバー

諜報チームのメンバーである。

・所属組織、地位や役職
 米国の諜報チーム所属。
・物語内での具体的な行動や成果
 過去にトーマスについて行ってあしらわれた経験がある。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

エクレ

諜報チームのメンバーである。

・所属組織、地位や役職
 米国の諜報チーム所属。
・物語内での具体的な行動や成果
 過去にトーマスについて行ってあしらわれた経験がある。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ラリー

在日チームのメンバーである。

・所属組織、地位や役職
 米国の在日チーム所属。
・物語内での具体的な行動や成果
 マンションからDパワーズの事務所を監視し、別チームのアダムスが消失するのを確認した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

カヤマ

在日チームのメンバーである。

・所属組織、地位や役職
 米国の在日チーム所属。
・物語内での具体的な行動や成果
 アダムスの消失映像を分析したが、原因を特定できなかった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

レイン

十一層を探索した男である。

・所属組織、地位や役職
 米国のダンジョン探索部隊所属。
・物語内での具体的な行動や成果
 十一層でターゲットを見失い、極炎魔法の跡であるガラス化した大地を発見した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ラット

十一層を探索した男である。

・所属組織、地位や役職
 米国のダンジョン探索部隊所属。
・物語内での具体的な行動や成果
 ターゲットの消失を確認し、撤退に同意した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

チャップマン

十一層を探索した男である。

・所属組織、地位や役職
 米国のダンジョン探索部隊所属。
・物語内での具体的な行動や成果
 フォートブラッグから出向して代々木ダンジョンへ入り、ガラス化した大地を見て撤退を決めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

コリン・アレンビー

デルタフォース出身の男である。

・所属組織、地位や役職
 米国のダンジョン探索部隊所属。
・物語内での具体的な行動や成果
 ガラス化した大地を見て、熱核兵器でも持ち込まないとこうはならないと分析した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

米国の諜報チーム

・所属組織、地位や役職
 米国。
・物語内での具体的な行動や成果
 マンションからDパワーズの事務所を監視した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ロシア連邦関係者

局長

ダンジョン攻略局の局長である。

・所属組織、地位や役職
 ダンジョン攻略局局長。
・物語内での具体的な行動や成果
 Dパワーズへの協力という名目でFSBのV局の派遣を命じ、事故を装った介入を示唆した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

クルニコフ

ダンジョン攻略局の局員である。

・所属組織、地位や役職
 ダンジョン攻略局所属。
・物語内での具体的な行動や成果
 局長からの指示を受け、部隊派遣の手続きを行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

イグナート

ロシアのオーブ使用者である。

・所属組織、地位や役職
 元鉱山労働者のエクスプローラー。
・物語内での具体的な行動や成果
 〈異界言語理解〉を使用させられたが、基礎知識の欠如により翻訳作業が難航している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

リーダーの男

SVRイリーガル『防壁』の部隊のリーダーである。

・所属組織、地位や役職
 SVRイリーガル『防壁』リーダー。
・物語内での具体的な行動や成果
 V局の壊滅を受け、Dパワーズからオーブを奪取するための作戦を立案した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

SVRイリーガル『防壁』の部隊

・所属組織、地位や役職
 SVRイリーガル。
・物語内での具体的な行動や成果
 ドモジェドヴォ空港から日本へ潜入し、新宿などでDパワーズの追跡や妨害工作を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

中国の探索チーム

王偉

中国の斥候チームのリーダーである。老王と呼ばれる。

・所属組織、地位や役職
 中国斥候チームリーダー。
・物語内での具体的な行動や成果
 他国が避ける夜の十層への突入を決断した。アンデッドの群れに苦戦し、グレネードを使って撤退した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

欣妍

チーム唯一の女性である。

・所属組織、地位や役職
 中国斥候チーム所属。
・物語内での具体的な行動や成果
 自動歩槍でアンデッドを撃ち、王秀英に噛みついたゾンビを射撃した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

王秀英

チームで最も若い男である。小王と呼ばれる。

・所属組織、地位や役職
 中国斥候チーム所属。
・物語内での具体的な行動や成果
 十層でゾンビに足を噛みつかれた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

宇航

チームのメンバーである。

・所属組織、地位や役職
 中国斥候チーム所属。
・物語内での具体的な行動や成果
 バヨネットによる肉弾戦でアンデッドと交戦した。欣妍の射撃による跳弾をかすめた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

深穴教団(アルトゥム・フォラミニス・サクリ・エッセ)

デヴィッド=ジャン・ピエール=ガルシア

教団の設立者である。奇跡を商業的に利用する。

・所属組織、地位や役職
 アルトゥム・フォラミニス・サクリ・エッセ設立者。
・物語内での具体的な行動や成果
 マリアンヌの奇跡を利用して教団を立ち上げた。アーメッドの娘が日本で回復したとの報告を受け、癒やしの奇跡の独占に執着した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

マリアンヌ=テレーズ=マルタン

教団の聖女である。

・所属組織、地位や役職
 アルトゥム・フォラミニス・サクリ・エッセ聖女。
・物語内での具体的な行動や成果
 過去に重度の火傷を負った女性を完全に治癒させた。デヴィッドによって教団の象徴として利用されている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 記憶とDカードを喪失している。

その他の探索者・関係者

御劔遙

モデルであり、探索者である。

・所属組織、地位や役職
 モデル。探索者。
・物語内での具体的な行動や成果
 芳村との特訓でダンジョン内を高速周回し、スライムを約六時間で三百匹討伐した。弓を使ってゴブリンを討伐し、宝箱からポーションを発見した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

斎藤涼子

俳優であり、御劔とともにダンジョンを探索する。

・所属組織、地位や役職
 俳優。探索者。
・物語内での具体的な行動や成果
 ダンジョン探索の影響で身体能力や記憶力が向上し、仕事が増えた。初めての弓でゴブリンを討伐した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 芳村からコンパウンドボウを譲り受けた。

吉田

二層で芳村たちに声をかけた探索者である。

・所属組織、地位や役職
 探索者。
・物語内での具体的な行動や成果
 芳村たちに初心者の狩り場や五層以降の危険性について教えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

坂井

探索者である。

・所属組織、地位や役職
 探索者。
・物語内での具体的な行動や成果
 ヘルハウンドに遭遇した際、三代と翔太を置いて逃げ出した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

当麻

探索者である。

・所属組織、地位や役職
 探索者。
・物語内での具体的な行動や成果
 ヘルハウンドに遭遇した際、三代と翔太を置いて逃げ出した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

三代

翔太の姉である。

・所属組織、地位や役職
 探索者。
・物語内での具体的な行動や成果
 仲間が逃げた後、弟を守るために弓でヘルハウンドに抵抗した。芳村から提供されたポーションで弟の腕を回復させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

翔太

三代の弟である。

・所属組織、地位や役職
 探索者。
・物語内での具体的な行動や成果
 ヘルハウンドに腕を奪われたが、姉が使用したポーションにより回復した。回復後は芳村に反発した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

アーメッド

ムンバイの富豪である。

・所属組織、地位や役職
 資産家。
・物語内での具体的な行動や成果
 娘のアーシャを治療するため深穴教団を訪れたが先延ばしにされた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 日本で魔法により娘が回復したと報告された。

アーシャ

アーメッドの娘である。

・所属組織、地位や役職
 アーメッドの娘。
・物語内での具体的な行動や成果
 過去に深穴教団を訪れたことがある。日本で何らかの魔法により回復した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

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展開まとめ

序章プロローグ

二〇一八年某月某日

フランス メゾン=アルフォール

デヴィッドによる報告の受領と疑念

デヴィッド=ジャン・ピエール=ガルシアは、フランスのメゾン=アルフォールにて、ムンバイの富豪アーメッドの娘が日本で魔法により回復したという報告を受けた。かつて車いす生活であった女性が回復した可能性に対し、彼は高位ポーションの存在やスキルの関与を疑い、その真偽と教団への影響を検討した。

深穴教団の実態と奇跡の価値認識

アルトゥム・フォラミニス・サクリ・エッセは、ダンジョンを信奉するカルトでありながら、実際に奇跡を体現する存在を抱えている点で他と一線を画していた。デヴィッドは奇跡の真偽そのものよりも、それが本物に見えるという価値を重視し、宗教を無償の神の愛を商品とする商業システムとして捉えていた。

マリアンヌとの邂逅と奇跡の目撃

デヴィッドは過去にアンドラ公国エンカンプでマリアンヌ=テレーズ=マルタンと出会った。共同墓地で彼女が瀕死の火傷患者に手をかざしただけで完全に治癒させる様子を目撃し、その現象に衝撃を受けた。この体験により、彼は自身の人生の転機を確信した。

教団設立と聖女の利用

デヴィッドはマリアンヌの父親に金銭を渡して彼女を引き取り、その奇跡を利用して教団を設立した。ポーションなどの演出を組み合わせることで奇跡を誇張し、彼女を聖女として演出した結果、政治家や富豪を取り込み、教団は勢力を拡大していった。

スキルオーブと新たな脅威の認識

報告の中で、日本においてスキルオーブのオークションが実際に行われたこと、さらに〈超回復〉というスキルが存在する可能性が示された。情報は不明点が多く胡散臭さを伴っていたが、逆に重大な事実を隠している可能性があるとデヴィッドは判断した。教団では扱えない奇跡を持つ存在の出現に対し、彼は強い警戒心を抱いた。

教団の独占意識と決意

デヴィッドは、癒やしの奇跡は自らの教団のものでなければならないと確信し、その独占を維持するために行動する意思を固めた。

第3章 異界言語理解

二〇一八年 十一月二十一日(水)

キャンピングカー導入の決定

三好はダンジョン用キャンピングカーの納車を報告した。車両はチタン板で補強されており公道走行には適さない仕様であったが、芳村たちはダンジョン内拠点として使用する前提で問題視しなかった。

ダンジョン内拠点の必要性認識

芳村と三好は、テント生活では休息や警戒に支障が出ると判断し、安全に滞在できる拠点の必要性を確認した。軍人の野営能力には感心しつつも、自分たちには設備に頼った環境が必要であると結論づけた。

防具と盾の方針決定

二人は実用性を重視し、目立たず動きやすい初心者向け装備を選択する方針を固めた。盾については重量のある装備を避け、軽量なミニシールドを複数用意する判断を下した。

投擲武器と装備の拡充

芳村は近接戦闘への不安から投擲武器を重視し、三好の提案で鉄球を専門業者に発注した。さらにトマホークも購入し、装備は次第に大規模なものとなっていった。

探索対象とスキルの検討

探索ルート上で確認すべきスキルとして、転移や蘇生、回復、肉体強化などが挙げられた。特に回復系スキルは医療用途として価値が高く、取得できれば大きな利益につながると考えられた。

コロニアルワームへの考察

三好は九層のコロニアルワームに着目し、群体と本体が空間的に繋がっている可能性を指摘した。しかしその外見の不気味さから、芳村たちは有効な手段なしに接近することを避けるべきと判断した。

魔法スキルと攻撃手段の発想

三好は魔法スキルを持つ可能性のあるモンスターを挙げ、さらに〈保管庫〉から重量物を落下させる攻撃方法を提案した。芳村はこれを質量兵器として検討し、実用化の可能性を模索した。

異界環境への疑問

ダンジョンが異界と繋がっている場合の環境差や病原体の問題について疑問が提示されたが、明確な答えは得られなかったため、議論は保留された。

キャンピングカーの完成と機能

納車された車両は外部光を遮断する構造で、内部には監視モニターや燃料電池が備えられていた。キッチンは簡素化され、食料は〈保管庫〉に依存する前提の設計となっていた。

冒険前夜の心境

装備と拠点の準備が整い、芳村は本格的なダンジョン探索を目前に控えて期待を抱いていた。

二〇一八年 十一月二十二日(木)

代々木ダンジョンへの本格出発

芳村と三好は、装備と食料を確認して代々木ダンジョンへ向かった。二人は初心者装備に身を包み、十四層のムーンクランを目標にしながら、各階層のモンスター経験値を測定する目的も持っていた。

経験値測定と百匹目の発見

二層の過疎地でゴブリンやコボルトを討伐した芳村は、同種の討伐数によって経験値が減少することを確認した。さらに、スキル候補の出現条件がモンスター種別ではなく総討伐数百匹目であることに気づき、狙ったモンスターのスキルオーブを取得できる可能性を見出した。

生命探知の取得

芳村たちは百匹目に合わせてコボルトを倒し、候補に現れた〈生命探知〉を取得した。効果不明の未登録スキルよりも、探索や安全確保に役立つ実用性を優先した判断であった。

五層での夜営準備

芳村たちは五層へ到達し、人目を避けて小川の先に拠点車ドリーを設置した。三好は監視装置を起動し、二人はダンジョン内でも快適に休息できる環境を整えた。

悲鳴を聞いた芳村の救助行動

芳村はシャワーへ向かおうとした際に悲鳴を聞き、三好の監視装置で状況を確認した。黒い霧の中で探索者たちがヘルハウンドに襲われていると知り、芳村は救助へ向かった。

三代と翔太の危機

霧の中では、三代が負傷した弟の翔太を守っていた。同行していた男たちは二人を見捨てて逃げ、三代は弓で抵抗しながらも死を覚悟する状況に追い込まれていた。

芳村によるヘルハウンド討伐

芳村は三代の前に現れ、襲いかかるヘルハウンドを撃破した。三代と翔太を小川まで逃がし、自身は残ってウォーターランスでヘルハウンドを次々に倒した。

バーゲストとの戦闘と討伐数調整

ヘルハウンドの気配が消えた後、バーゲストが現れ、九頭のヘルハウンドを召喚した。芳村は召喚を利用して討伐数を調整し、百匹目がバーゲストになるよう戦闘を進めた。

異界言語理解の出現

芳村がバーゲストを倒すと、候補に〈異界言語理解〉と〈闇魔法(VI)〉が表示された。さらに通常ドロップとしても〈異界言語理解〉が現れ、芳村たちは世界的に重要なスキルオーブを確保した。

異界言語理解の取得判断

三好は、芳村自身も〈異界言語理解〉を取得すべきだと強く主張した。碑文解読を巡る水掛け論を避けるためには、複数の使用者が必要であると判断したためであった。

翔太へのランク5ヒールポーション使用

芳村は右前腕を大きく失った翔太を救うため、ランク5ヒールポーションを三代に渡した。翔太の腕は完全に回復したが、彼は芳村を疑い、感謝よりも反発を示した。

ポーションの価値と命の選別

芳村は拠点車に戻ってから、ランク5ヒールポーションが一億円を超える品であることを知った。さらにランク7キュアポーションの価値も判明し、ポーションを善意で配ることが命の選別につながる危険性を理解した。

異界言語理解の売却方針

芳村と三好は、〈異界言語理解〉を自分たちで抱え込まず、売却する方向で考えた。バーゲストのドロップ率から、いずれ流通する可能性が高いと見て、価値が高いうちに扱うべきだと判断した。

情報管理への警戒

三好は、今回得た動画、マップ、経験値データが世界的に価値のある情報だと認識した。芳村は危険があれば逃げられるよう、重要資料をすぐ収納できる状態にしておくべきだと考えた。

二〇一八年十一月二十三日(金)

探索の切り上げと地上帰還

翌日の午前遅め、芳村と三好は代々木ダンジョンの探索を切り上げ、地上へ戻ることにした。実質一日だけの探索で第五層までしか潜っていなかったが、目的は達成していたため、二人は十分な成果だと判断した。

鳴瀬への慎重な接触

地上へ戻った芳村は、鳴瀬に連絡を取る方針を三好に伝えた。三好は〈異界言語理解〉を入手したとは言わないよう念を押し、芳村も保存義務などの言質を取られる危険を理解していた。

渋谷での情報共有

芳村は鳴瀬を渋谷駅前に呼び出し、〈異界言語理解〉を入手できる見込みがあると伝えた。盗聴を避けるため、二人は雑踏に紛れて歩きながら話し、芳村は具体的な取得方法やドロップ元を伏せた。

オークション可否の確認

芳村は、仮にオーブを入手できた場合にオークションへ出してよいかを鳴瀬に尋ねた。鳴瀬は即答を避け、組織として判断する必要があるとして持ち帰ることにした。

市ヶ谷橋での緊急報告

鳴瀬から話を受けた美晴は、斎賀を市ヶ谷へ連れ出し、Dパワーズが短期間で成果の目処を立てたことを報告した。斎賀は異例の事態として受け止め、出所が判明すれば各方面から干渉が入ると警戒した。

国家規模案件としての判断困難

美晴は、オーブが十億ドル以上、場合によっては百億ドル規模になる可能性を示し、日本国内で直接取引する方が有利だと考えた。しかし依頼元も発見後の指示も不明であり、現場では判断できない状況だった。

情報秘匿と回答期限

斎賀は、この件を上層部へ持ち込む必要があると判断した。美晴はDパワーズの関与を秘匿するよう求め、斎賀も彼らの協力を失えば機会そのものが失われると理解し、週明け二十六日までに回答すると約束した。

御劔との週末予定

芳村は、探索が早く終わったため御劔へ連絡し、土曜日は特訓、日曜日はGTB探索を行うことにした。御劔はその予定を快諾し、代々木ダンジョンで再会することになった。

三好のドロップ率分析

三好は探索データから、標準ドロップ率や魔結晶の出現率に一定の傾向がありそうだと報告した。ただしサンプル数が少なく、LUC値の影響についても明確な結論には至らなかった。

資産増加と会食の予定

芳村は自分の口座残高が短期間で大きく増えていることに気づき、ダンジョン収益の規模を実感した。その後、三好との軽口を交えながら、日曜日に御劔も含めて『モリーユ』で食事をする予定を入れた。

二〇一八年 十一月二十四日(土)

御劔との再会と特訓開始

土曜日、芳村は代々木ダンジョン内のYDカフェで御劔と合流し、挨拶を済ませるとすぐに特訓へ移行した。二人は無駄を省き、効率を重視した実戦形式の訓練を開始した。

生命探知による効率化

芳村は〈生命探知〉を発動し、人やモンスターの位置を把握した状態で行動していた。この能力によりスライムの発見が容易となり、探索効率は従来より大幅に向上した。

高速周回による討伐記録更新

二人は入り口付近でスライムを討伐しては戻る周回を繰り返した。移動の無駄を排した結果、御劔は一時間あたり五十匹のペースを維持し、約六時間で三百匹を達成した。芳村も百五十五匹を記録し、自己最高を更新した。

特訓成果と疲労の蓄積

御劔は討伐数の増加により確かな成長を実感し、芳村も効率化の効果を確認した。一方で長時間の周回により疲労は蓄積し、訓練の負荷の高さが明確となった。

空腹による休憩判断

特訓に集中した結果、二人は昼食を取らずに行動していた。夕方に御劔の空腹が表面化したことで、芳村は休憩を提案し、YDカフェへ戻ることとなった。

カフェでの休息と翌日の確認

二人はYDカフェで食事を取りながら休息し、翌日のGTB探索の予定を再確認した。その後、それぞれ帰路につき、特訓は終了した。

帰宅後の報告と検証

芳村は帰宅後、三好に特訓の成果を報告した。三好は内容に興味を示しつつ、軽口を交えながら話を受け止めた。

オーブ取得機会の消失

芳村はスライム討伐でオーブ取得の機会に到達したが、クールタイムの影響により選択ウィンドウ自体が表示されず、取得できなかったと説明した。この現象は通常と異なる挙動であり、仕様の一端を示すものとなった。

システム仕様の考察

三好はその結果を、取得制限のあるゲーム的仕様として受け止め、大きな価値はないと評価した。芳村もそれに同意し、検証結果として認識した。

日常的な雑談での締め

会話の中で芳村はYDカフェの食事について無難な味であったと述べ、三好も軽く応じた。特訓と検証を終えた一日は、日常的なやり取りの中で締めくくられた。

二〇一八年 十一月二十五日(日)

御劔と斎藤の合流

日曜日、芳村がYDカフェに到着すると、御劔の隣には斎藤が同席していた。斎藤はダンジョン活動によって身体能力や記憶力が向上し、仕事の機会が増えたと語り、その効果を実感していた。

斎藤の野心とやり取り

斎藤は主役を取りたいという強い意欲を示し、芳村に支援を求めるような軽口を叩いた。芳村はそれを受け流しつつ、主役を獲得した際には祝うと約束し、その姿勢に感心していた。

探索開始と装備の提供

三人はダンジョンへ入り、ゴブリン討伐を兼ねたGTB探索を開始した。芳村は御劔と斎藤にコンパウンドボウを渡し、基本的な使用方法を説明した。

初の弓による討伐成功

〈生命探知〉によってゴブリンの位置を把握した芳村は、安全な距離からの射撃を指示した。御劔と斎藤は初めての弓にもかかわらず正確に射抜き、討伐に成功した。接近した個体は芳村が魔法で処理し、三人の連携は安定していた。

GTBの発見と宝箱の回収

三人はゴブリンの巣に到達し、隠された空間を発見した。芳村が入口の岩を持ち上げると宝箱が現れ、御劔が取り出した中身はランク1ヒールポーションであった。

ポーションの価値と譲渡

芳村はポーションの効果と価値を説明し、それを御劔と斎藤に譲った。単純骨折や腱の損傷を回復できるため、護身用として有用であると判断していた。

探索継続への意欲

宝箱には他にも硬貨や武器が含まれていたが、主な収穫はポーションであった。斎藤はさらなる発見に意欲を見せ、三人は探索を継続することにした。

モリーユでの戦果共有

探索後、四人は代々木八幡の店で食事を取りながら成果を共有した。低層で三本のポーションを得たことは異例の成果として認識されていた。

食事中のやり取りと雰囲気

料理に出された白トリュフの香りに芳村は戸惑いを見せたが、三好は落ち着いて対応した。御劔と斎藤も加わり、軽口を交えながら和やかな時間が流れていた。

斎藤の適応力の評価

斎藤は場の空気に自然に溶け込み、料理を楽しんでいた。芳村はその社交性に、職業的な適性を見出していた。

ポーション加工と贈与

後日、芳村はランク1ヒールポーションをアクセサリーとして使用できる形に加工し、護身用のお守りとして三人に贈った。

装備の譲渡

コンパウンドボウは御劔と斎藤に譲渡された。形式上は貸与であったが、実質的には返却を求めない形であり、二人の今後の成長を見据えた判断であった。

二〇一八年 十一月二十六日(月)

三好強化計画の立案

芳村は三好の生存力向上の必要性を認識し、十層でのスキル取得計画を立てた。三好が回復系能力を持っていても、基礎的な身体能力が低いままでは危険であると判断し、戦闘能力の底上げを目的とした。

狙うスキルの選定

芳村はバーゲストから〈闇魔法(VI)〉、モノアイから〈鑑定〉を取得する方針を示した。特に〈鑑定〉は情報面での優位性をもたらすため、三好は強い関心を示した。

十層攻略の準備

十層にはアンデッドが多く残存している可能性があり、討伐数を稼ぐ環境として適していた。芳村は昼夜で狙う対象を分ける計画を立て、三好も鉄球を準備して物理戦闘に備えていた。

JDAの回答と失望

鳴瀬はJDAの見解として、〈異界言語理解〉を購入する予算がないこと、さらに無償で国家に貢献すべきだという意向が示されたと伝えた。芳村と三好はその姿勢に強い失望を抱いた。

組織への不信の増大

今回の判断が局長級で行われたことや、瑞穂常務の関与が明らかになり、芳村は情報漏洩の可能性を含めて組織全体への不信を強めた。重要案件に対する対応の甘さが露呈した形であった。

オークション出品の決断

芳村は日本側への売却を断念し、〈異界言語理解〉をオークションへ出すよう決定した。外部からの干渉が始まる可能性を考慮し、早期に動く必要があると判断した。

ダンジョンへの退避方針

芳村たちは外部の監視や接触を避けるため、ダンジョン内へ退避する方針を取った。表向きは探索を続ける形を取りつつ、実際には三好の強化と〈鑑定〉取得を進める計画であった。

鳴瀬への勧誘

芳村は、今回の件で立場が悪化した場合に備え、鳴瀬へDパワーズへの参加を提案した。三好も将来の組織運営を見据え、信頼できる人材として評価していたが、鳴瀬は判断を保留した。

オークション日程の確定

当初予定していた感謝祭に合わせる案は修正され、広報期間を考慮して十一月二十八日に開始することが決定された。三好はこの日程に合わせて準備を進めることになった。

受け渡しに伴う危険認識

芳村と三好は、最も危険なのは受け渡し直前および移動中であると認識した。オーブを持つ瞬間が奪取の好機となるためであり、鳴瀬は東京が争奪の舞台となる可能性に不安を示した。

二〇一八年 十一月二十七日(火)

情報公開と世界の即時反応

三好がオークション情報を公開すると、世界は即座に反応し、事務所には問い合わせが殺到した。芳村たちは対応不能と判断し、電話線を抜いて外部との接触を遮断した。

田中への報告と責任の切り分け

芳村は田中へ連絡し、〈異界言語理解〉をオークションに出した経緯を簡潔に報告した。さらに責任は各省庁側にあると示し、事態の危険性を強調したうえで対応を委ねた。

通信遮断による防御行動

芳村は携帯電話の電源を切り〈保管庫〉へ収納することで、追跡や干渉を避ける体制を整えた。外部との接点を断つことで安全確保を優先した。

アメリカでの緊急会議と強硬論

アメリカではオークション情報が広まり、ダンジョン省で緊急会議が開かれた。オーブの戦略的価値が認識され、入札参加が決定されると同時に、拉致などの強硬手段も示唆された。

日本政府の混乱と方針転換

日本では購入権放棄の事実が首相に伝わり、意思決定の不透明さが問題視された。井部総理はオークション中止と買い上げを目指す方針を示し、巨額資金の確保を決断した。

ロシアの工作準備と介入意図

ロシアは既存の優位性喪失を危惧し、諜報機関や工作部隊の投入を決定した。事故を装った介入の可能性も示唆され、国家間競争が一層激化した。

各国勢力の集結と情報戦の激化

代々木ダンジョンには各国の探索チームが集結し、Dパワーズの動向を巡る情報戦が激化した。鳴瀬も監視兼保護対象として配置され、状況は緊迫していった。

ダンジョン再突入と尾行の発覚

芳村と三好はダンジョンへ再突入し、最短経路で進行したが、複数の斥候による尾行を察知した。各国勢力の関与が推測され、監視体制の存在が明らかとなった。

八層拠点と追跡の振り切り

八層の拠点で休息した後、芳村たちは尾行を振り切ったと判断した。しかし実際には斥候が潜伏しており、行動は継続的に報告されていた。

九層突破と十層への突入

二人は他の探索者を避けながら九層を進み、夜間に十層へ突入した。周囲が撤退を選ぶ中での進行は異例であり、行動の危険性が増していた。

十層での拠点構築と戦闘

墓地のような十層でアンデッドを排除し、キャンピングカーを拠点として設置した。三好は〈収納庫〉を用いた遠隔攻撃で効率的に討伐を進めた。

中国斥候チームの壊滅

追跡してきた中国チームはアンデッドに襲われ壊滅的被害を受けた。自衛隊が救助に入ることで、十層の危険性が改めて示された。

バーゲスト討伐と闇魔法取得

芳村は出現したバーゲストを討伐し、〈闇魔法(VI)〉を取得した。スキルの詳細は不明であったため、後の鑑定を前提として保留された。

洋館出現と探索決断

討伐数を重ねた直後、墓地に突如洋館が出現した。条件不明の特殊イベントと判断し、芳村と三好は調査を決断した。

館内戦闘とバロウワイト撃破

館内部で出現したバロウワイトに対し、二人は鉄球による連携攻撃で撃破した。魔法が通じない状況下での戦術的対応が求められた。

碑文断章の入手と崩壊脱出

戦闘後に碑文断章を入手した直後、館は崩壊を開始した。芳村たちは追撃を振り切り、辛くも外へ脱出した。

鑑定取得とスキル解析

脱出後、芳村は〈鑑定〉を取得し三好に使用させた。これによりアイテムやスキルの詳細把握が可能となり、闇魔法がヘルハウンド召喚であることが判明した。

新たな戦力と影潜りの発見

召喚されたヘルハウンドは影に潜む能力を持ち、三好の戦力として機能するようになった。これにより継戦能力がさらに強化された。

断章の正体と未解読問題

入手した碑文は『さまよえるものたちの書』の断章であると判明したが、内容の解読は依然として不可能であった。専門家の協力が必要な課題として残された。

今後の方針と欺瞞戦略

芳村と三好は数日間ダンジョンに留まり、探索を継続する方針を決定した。外部には別の目的を装いながら行動することで、各国勢力を攪乱する戦略を取ることとなった。

二〇一八年 十一月二十八(水)

第8章 鐘の音と深層の異変

八層で広まる鐘の音の噂

八層では、豚串を売る男が九層から戻った探索者の証言として、十層から鐘の音が聞こえたという噂を耳にした。探索者たちは各国の軍関係者を避けるため、危険を承知で階段途中に留まり夜を明かしていた。

九層に集結した各国斥候

九層の十層階段付近には、複数の軍勢力が距離を取りながら野営していた。探索者たちは彼らとの接触を避けつつも、夜間の九層を離れる危険を回避するため、階段付近に留まるしかなかった。

十層から響く異常な鐘

日付が変わる頃、見張りをしていた探索者たちは、教会の鐘のような音を十層の奥から聞いた。既知の構造と一致しない方向からの音であり、特異な現象の発生が疑われたが、夜間突入の危険性から調査は断念された。

鐘の消失と警備部の推測

鐘の音は唐突に消え、余韻も残さなかった。警備部の男は、この現象と各国斥候の集結状況から、Dパワーズが十層にいた可能性と〈異界言語理解〉との関連を推測した。

召喚実験と新戦力の確立

十層では、芳村と三好がヘルハウンドを追加召喚し、アルスルズとして運用を開始した。複数体による殲滅力の向上により、アンデッドの討伐効率は大きく高まった。

召喚獣の性質と未解明の問題

召喚された個体は必ずしも食事を必要としないが嗜好を示すなど、生物的特徴を持っていた。登録や死亡時の扱いなど不明点も多く、今後の検証課題として認識された。

斥候回避と継続的な狩り

芳村は〈生命探知〉で接近する探索者を察知し、拠点車を収納して移動を繰り返した。アルスルズの支援により安全性と討伐効率を維持しながら、十層での狩りを継続した。

不死スキルの危険性判明

スケルトンから得られた〈不死〉は、鑑定によりスケルトン化を伴う危険なスキルであると判明した。二人はこれを封印し、安易な使用が重大なリスクを伴うことを認識した。

各国斥候の探索失敗

各国の斥候チームは十層を捜索したが、芳村たちの位置を特定できなかった。自衛隊や他国勢力は痕跡を追うに留まり、情報収集は難航していた。

回復スキルへの関心

三好は回復魔法の存在可能性として、海外の宗教団体における治癒の噂を挙げた。芳村はそれがダンジョンスキル由来である可能性を考え、次の目標として検討した。

十一層への移動と追跡回避

追跡の気配を察知した二人は、討伐数を調整しながら十一層へ移動し、追跡者を振り切ることに成功した。

レッサー・サラマンドラ討伐と新魔法

十一層で遭遇したレッサー・サラマンドラを討伐し、芳村は〈極炎魔法〉を取得した。これは従来の魔法を大きく上回る攻撃能力を持つものであった。

極炎魔法の圧倒的破壊力

芳村がインフェルノを発動すると、周囲一帯が消失し地面はガラス化した。この威力は制御不能なほど強力であり、芳村は使用を封印すべきと判断した。

米国チームの誤認と撤退

現場に到着した米国チームは、その痕跡を核兵器級の現象と誤認し、Dパワーズが消滅した可能性を含めて判断した結果、撤退を決定した。

官邸での均衡戦略の検討

日本政府では、オーブを巡る国家間対立を抑えるため、アメリカに落札させることで均衡を維持する案が検討された。日本は調整役として各国との交渉を進める方針を取った。

オークション開始と異常価格

オークションが開始されると、開始価格は六百億円という異常な水準であった。〈異界言語理解〉の価値は国家レベルの情報支配に直結すると認識され、入札は急激に加熱した。

国家間競争と市場の異常性

価格は短時間で八百九十億円に達し、オーブ一つが国家規模の資産として扱われる異常な市場が形成された。国家間の利害対立により、協調的な解決は不可能であることが露呈した。

特殊オークション形式の導入

オークションには短時間決着と価格非公開という特殊ルールが導入され、参加者は瞬時の判断を迫られる状況となった。これにより競争はさらに過熱した。

探索者たちの混乱と認識

探索者たちは桁違いの価格と仕組みに混乱しながらも、事態が国家規模の争奪戦へ発展していることを理解した。同時に、国家間の利害が一致しない現実が改めて認識された。

ロシア部隊の出動準備

ロシアでは精鋭部隊がモスクワから出発し、ドモジェドヴォ空港へ向かった。装備は現地で受領する手配がなされており、任務の機密性と重要性が強く示されていた。

二〇一八年 十一月三十日(金)

第9章 オークション決着と諜報戦の激化

オークション終了と帰還

芳村と三好はオークション終了後、各国斥候の追跡を回避しながら移動を続け、監視網をかいくぐって地上へ帰還した。帰還は予定より早く、意図的に監視の目を外した結果であった。

落札価格の判明と衝撃

事務所に戻った芳村は最終落札価格を確認し、四千億円を超える金額に強い衝撃を受けた。三好はその規模を自治体予算に例え、国家レベルの資金であると冷静に分析した。

特殊入札方式と競争の実態

今回のオークションでは短時間決着の仕組みにより、最終局面で巨額の上乗せが発生した。従来方式であればさらに高騰していた可能性が示され、各国の競争意欲の高さが浮き彫りとなった。

落札国と国際調整の影響

落札者はアメリカ系と推測され、同国内の複数機関が競合していた可能性があった。一方で他国は途中離脱しており、水面下での国際調整が進んでいたことが示唆された。

巨額資金への対応検討

芳村は個人で扱うには過大な資金であることに不安を抱き、三好と運用方法を検討した。投資や基金設立が候補に挙がったが、実際の利益や分配を踏まえた現実的な対応が必要と認識された。

警備提案の拒否と独自防衛

JDAは警備派遣を提案したが、三好の召喚したヘルハウンドによる防衛で十分と判断され、外部介入のリスクを避けて辞退された。

ヘルハウンドの進化と警備能力

召喚獣は闇魔法や影移動を駆使し、自律的に侵入者を拘束する能力を見せた。その結果、事務所の防衛能力は従来を大きく上回る水準へと強化された。

諜報チームの監視開始

周辺では各国の諜報部隊が監視拠点を設置し、芳村たちの動向を追跡していた。任務の目的は曖昧であったが、情報収集と能力解明が主目的と見られていた。

侵入作戦と異常現象の発生

夜間に侵入を試みた諜報員は、建物へ接近した瞬間に消失した。監視側は原因を把握できず、通常技術では説明不能な防御機構の存在を認識した。

監視限界と作戦中断判断

映像解析でも消失の原因は特定できず、現場では対応限界と判断された。諜報チームは本国への報告を優先し、独自行動の継続を断念した。

事務所側での侵入者処理

一方で芳村たちは侵入者が即座に捕縛されたことを把握し、防衛機構の有効性を確認した。状況は罠のように処理されており、外部からの侵入は極めて困難であった。

碑文解読と翻訳体制の構築

鳴瀬は来訪後、専門家の協力により碑文を翻訳し、その言語構造が複数言語の混在であることを明らかにした。内容は「さまよえる館」に関するものであり、未知の現象の存在が示された。

館の正体と映像共有

芳村は体験をもとに館の出現条件と消滅特性を説明し、映像によってその異常性を共有した。これにより現象の実在性が客観的に示された。

翻訳公開計画の提示

芳村は匿名サイトによる碑文翻訳公開計画を提示した。公開情報を迅速に翻訳し共有することで、国家による情報独占を防ぐ戦略であった。

異界言語理解の継承

最終的に鳴瀬は〈異界言語理解〉を取得し、世界で二人目の翻訳者となった。これにより碑文解読を巡る状況は新たな段階へと移行した。

二〇一八年 十二月一日(土)

鳴瀬の宿泊と朝の準備

十二月一日朝、芳村が事務所へ下りると、鳴瀬は三好と朝食を取っていた。鳴瀬は前夜から三好の部屋に泊まっており、JDAのロッカーにある着替えを使うため、早めに代々木へ向かう予定であった。

翻訳拠点としての事務所

芳村は鳴瀬に、碑文やグリモアの翻訳は事務所で行う方が安全だと伝えた。特に『The book of wanderers』の断章は、今後の情報公開計画の目玉になる重要資料として、早急な翻訳が必要だと考えられていた。

田中とサイモンの来訪

田中とサイモンが同時に事務所前へ現れた。田中は捕縛した侵入者の件で来訪し、サイモンは落札者側の護衛として様子を見に来ていた。二人は偶然門前で鉢合わせたにすぎず、それぞれ別件で動いていた。

侵入者の引き渡し

芳村は三好に、捕縛した人物を田中へ引き渡すよう指示した。田中は大型ワゴンを裏手に回し、処理を進めた。芳村は捕縛方法を詳しく語らず、油断したところを捕らえたと曖昧に説明した。

サイモンによる護衛宣言

サイモンは、落札者側の上層部から命じられ、受け渡しまで芳村たちを護衛すると告げた。芳村は現時点ではオーブを持っていないと説明したが、サイモンは警戒を崩さず、周辺で行動すると伝えた。

アルスルズと魔結晶問題

芳村と三好は、周囲が各国情報機関だらけに見える状況を警戒した。三好はアルスルズが狙撃にも対応できると笑い、芳村は心強さを感じた一方で、報酬として魔結晶を求められる問題を意識した。

動画公開による反響

JDAの代々ダン情報局に「さまよえる館」の動画が公開され、探索者掲示板は騒然となった。館、ガーゴイル、大鴉、門柱の数字などは、現実の映像というより映画のようだと受け止められた。

十層と鐘の音の推測

掲示板では、墓地の風景から撮影場所が十層ではないかと推測された。また、十一月二十七日深夜に十層から鐘の音を聞いたという証言も投稿され、館の消滅場面と結びつけられた。

出現条件への驚き

さまよえる館の情報ページでは、一日に同一モンスターを三百七十三体倒すことが出現条件とされた。探索者たちは条件の厳しさに驚き、十層のゾンビで達成したとされる点に戦慄した。

九層への偽装探索

芳村と三好は、〈異界言語理解〉を当日取得したように見せるため、代々木ダンジョンへ入った。あえて追跡者を引き連れたまま進み、九層で目的を達成したように見せかける方針であった。

八層での襲撃と制圧

八層で六人組の追跡者が接近し、芳村たちを包囲しようとした。しかしカヴァスとアイスレムが先に動き、襲撃者たちは姿も気配も捉えられないまま次々と無力化された。

捕縛者の処理と偽装完了

芳村たちは気絶した六人の処理に困り、アルスルズに八層出口付近の安全な場所へ運ばせた。その後、九層のコロニアルワーム多発エリアをうろつき、追跡者に九層が目的地だったと思わせて地上へ戻った。

断章翻訳によるパーティ情報の発見

事務所に戻ると、鳴瀬は『さまよえるものたちの書』の断章にパーティの組み方が記されていたと報告した。Dカード同士を触れ合わせ、リーダーがアドミットと念じることで正式なパーティが組める仕組みであった。

念話と経験値分配の確認

芳村、三好、鳴瀬は実際にパーティを組み、念話やメンバー感知が使えることを確認した。Dカード裏面にはメンバー一覧と経験値分配割合が表示され、リーダーが配分を設定できることも判明した。

パーティ階層とクランの可能性

さらに、パーティメンバーが別のパーティを持つことも可能であると分かった。Dカードには階層関係らしき表示が現れ、将来的にクランのような大規模組織を作れる可能性が示された。

ヒブンリークスへの活用判断

鳴瀬は即時報告を考えたが、芳村はそれを止めた。この情報は誰でも検証できる未知情報であるため、ヒブンリークスの信憑性を証明する材料として使うべきだと判断された。

ロシア非合法部隊の作戦準備

新宿のホテルでは、ロシアの非合法諜報部隊がV局壊滅の報告を受けていた。部隊は尾行、事故偽装、バックアップに分かれ、市ヶ谷への移動中にオーブ奪取またはターゲット排除を実行する計画を立てた。

二〇一八年 十二月二日(日)

思考時間: 4s

終章 オーブ受け渡しと襲撃の終結

電車移動による受け渡し開始

十二月二日、芳村と三好は〈異界言語理解〉の受け渡しのため、代々木八幡駅へ向かった。二人は車ではなく電車を選び、人の多い場所の方が襲撃されにくいと判断した。さらに、用意していたダミーの箱をコインロッカーから回収し、受け渡し場所を誤認させる行動を取った。

新宿での警戒と総武線の選択

新宿到着後、芳村は地下鉄を避け、地上を走る総武線を選んだ。地下では逃げ場がなく、爆破や挟撃に弱いと考えたためであった。周囲には観光客らしくない外国人グループが存在し、芳村は追跡者の存在を確信していた。

千駄ヶ谷での緊急下車

芳村は追跡者が車両を詰めてきたことから、外濠公園付近で挟み込まれると判断した。そこで千駄ヶ谷駅で急遽下車し、三好を抱えて改札を抜け、新宿御苑方面へ逃げ込んだ。

新宿御苑での追跡者制圧

芳村たちは新宿御苑へ強行侵入し、追跡者を引き離そうとした。後を追った武装集団は、背後から現れたジョシュアとナタリーに発砲したが、二人は銃撃をかわして接近し、相手を殺さずに制圧した。

御苑からの脱出とタクシー移動

芳村と三好は、大木戸門で三好の機転により自然に外へ出た。二人は客待ちのタクシーを避け、流しのタクシーを拾ってJDA市ヶ谷本部へ向かった。

トレーラー事故による襲撃

靖国通りで、対向車線のトレーラーが横転し、コンテナがタクシーへ滑ってきた。芳村は運転手に直進を指示し、三好はカヴァスを使ってコンテナを跳ね上げさせた。その結果、タクシーはコンテナの下を通過し、二人は難を逃れた。

JDA目前での狙撃

JDA入口へ向かう途中、屋上の狙撃手が三好を撃った。しかし弾丸は三好の前に現れた黒い円に吸い込まれ、彼女には傷ひとつ付かなかった。三好がアイスレムを呼ぶと、狙撃手は影から襲われて意識を失った。

JDA到着とモニカとの対面

芳村と三好はJDA本部に到着し、鳴瀬に迎えられた。そこで芳村は、〈異界言語理解〉の使用者となる少女モニカ・クラークと対面した。モニカは十四歳目前で博士号を取得した天才であり、DAD側が選んだ使用者であった。

モニカへの助言

芳村は、モニカが組織に縛られる可能性を案じ、自分の意思でオーブを使うのか確認した。モニカが覚悟を示すと、芳村は彼女が大人になる頃にはもっと自由になれると告げ、クリスマスの夜に見るよう秘密のURLを教えた。

サイモンとの会話と九層の混乱

サイモンは、芳村たちが九層で各国チームをコロニアルワーム地帯へ誘導した件に触れた。DODのチームは弾を撃ち尽くすほど混乱しており、芳村たちの行動は各国を大きく振り回していた。

襲撃者と狙撃手の回収

新宿御苑では田中たちが、ジョシュアとナタリーに制圧された襲撃者を回収していた。さらに三好から狙撃手捕縛の連絡を受け、田中は国内での警備体制と人員不足を痛感した。

オーブ取引の完了

DAD側はモニカに〈異界言語理解〉のオーブを使わせ、資料を読ませて効果を確認した。取引は無事に完了し、三好の商業ライセンスはJDAへの多額の貢献によりSランクへ昇格した。

モニカとの別れと騒動の終結

芳村はモニカに、苦しくなった時は命じられたことだけでなく、禁じられていないことを自分で選べばよいと助言した。モニカは笑顔で去り、サイモンも芳村をお節介だが良い人間だと評した。芳村と三好は取引の完了に安堵し、冬の始まりを感じながら彼女たちを見送った。

二〇一八年 十二月五日(水)

鳴瀬による翻訳作業の加速

〈異界言語理解〉の騒動から三日後、鳴瀬はDパワーズの事務所にこもり、公開済みの碑文を猛烈な勢いで翻訳していた。異界の言語を理解できても、それを地球の言語へ適切に置き換えるにはダンジョン知識が不可欠であり、その点でJDA職員である鳴瀬は高い適性を発揮していた。自由裁量勤務のもと、昼夜を問わず作業を続ける姿は鬼気迫るものであった。

ヒブンリークス公開に向けた準備

翻訳された内容は三好が用意したサイトへ順次登録されていった。形式は碑文写真、碑文ID、翻訳文を並べるものであり、公開日はクリスマスに設定されていた。翻訳が進むにつれ、碑文はダンジョン解説書である『The book of wanderers』と、それ以外の歴史的断片に分類されるようになった。

鉱物資源に関する碑文の発見

鳴瀬が提示したロシア発見の碑文RU2-0012には、ダンジョン二十層から七十九層に無限の鉱物資源が存在し、五十層には金が配置されていると記されていた。ただし鉱物を得るには〈マイニング〉スキルが必要であり、保持者が四十九人を超えたフロアでは、誰でも鉱物をドロップさせられる仕組みであった。

〈マイニング〉取得候補の検討

芳村たちは〈マイニング〉を取得するため、土に関係するモンスターを検討した。代々木ではグレートデスマーナやゲノーモスが候補に挙がり、特に十八層のゲノーモスは条件に合致する可能性が高いと考えられた。これにより、より深層への探索が視野に入った。

食料資源に関する碑文の衝撃

さらに鳴瀬は、ブルキナファソで発見された碑文BF260-0003を提示した。そこには、二層から二十層に食料資源が存在し、探索者数が五億人を超えると食料がドロップするようになると記されていた。この情報は飢餓問題の解決のみならず、世界規模の食料供給や人口問題に影響を及ぼす可能性を持っていた。

情報公開の慎重な判断

三好は、ダンジョン産食品に能力向上の効果がある可能性から、食料が高付加価値商品として流通し、既存市場へ大きな影響を与えると指摘した。芳村たちは、この情報を即時公開しても信用を得られないと判断し、まずはパーティ情報の公開によってヒブンリークスの信頼性を確立する方針を取った。

世界変化の予感

碑文から明らかになる内容の重大さにより、世界が大きく変化する兆しが示された。芳村は地底旅行のような内容まで現れそうだと冗談を述べたが、鳴瀬は実際にスナイフェルスヨークトルにダンジョンが存在すると指摘した。碑文と現実が結びつき始めている状況に、芳村は強い驚きを覚えていた。

終章エピローグ

後日譚
ワシントンD.C.

ワシントンでの研究生活

モニカはアメリカのDAD管理下の施設で、生活空間と研究室が隣接した環境に置かれ、碑文の翻訳作業に没頭していた。〈異界言語理解〉によって得られる情報は学術的にも興味深く、ダンジョンの向こう側にいる存在との接触に備える意味でも、彼女にとって重要な役割であった。

科学と政治の乖離

しかし、研究者としての立場と政治的な管理体制との間には、わずかながらも齟齬が生じ始めていた。モニカは、自身が与えられた立場の価値を理解しつつも、その環境にどこか窮屈さを感じていた。

芳村の言葉の回想

モニカは日本で出会った芳村の言葉を思い出していた。命じられたことに縛られず、自分の意思で選ぶことの大切さを説いた彼の姿は、これまで出会った大人たちとは異なり、自然と納得できるものだった。将来はより自由になれるという言葉も、彼の言葉であるからこそ信じられるものとなっていた。

クリスマスへの期待

モニカは芳村から渡されたURLの紙を取り出し、それを何度も見返していた。クリスマスにその意味が明かされることを心待ちにしながら、彼女は久しぶりに子供らしい期待に満ちた表情を浮かべていた。

千駄ヶ谷の地理的特徴

千駄ヶ谷は新宿から中央・総武線で二駅の場所に位置し、新宿御苑に隣接する地域である。住所は一丁目から五丁目まで存在するが、実際には御苑南半分にあたる六丁目も存在していた。この六丁目は面積こそ広いものの世帯数は極めて少なく、行政区分として特異な構造を持っていた。さらに御苑内には渋谷区と新宿区の境界が複雑に入り組んでおり、地域の成り立ちの特異性が際立っていた。

新宿御苑の環境と特徴

新宿御苑は広大な景式庭園であり、都心にありながら四季折々の自然が楽しめる空間であった。園内には多様な植物が植えられ、季節ごとに花や果実が見られる特徴を持っていた。一方で観光地としての人気も高く、人の多さが利用者の体験に影響を与える側面もあった。

新宿一丁目交差点の立地

新宿一丁目交差点は複数の町域の境界に位置し、周辺の区画構成は独特であった。この地域には飲食店が多く集まり、都市機能と生活圏が混在する特徴的なエリアとなっていた。

靖国通りの歴史と役割

靖国通りは新宿駅北側から東へ伸びる幹線道路であり、関東大震災後の復興事業として整備された歴史を持っていた。交通量の多い主要道路である一方、中央分離帯の構造は簡素であり、事故時の防護能力には限界があった。

防衛省周辺の環境

防衛省は2000年に市ヶ谷へ移転し、その周辺には関連施設や公共機関が集まっていた。一般利用可能な施設も存在するが、利用には一定の手続きが必要であり、外部からのアクセスには制約があった。

JDAのモデルとなる建物

JDAのモデルとなった建物は靖国通り沿いに位置し、外観は高層ビルでありながら内部構造は独特であった。各階の移動は水平よりも上下移動が中心となり、一般的なオフィスビルとは異なる設計が特徴であった。

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