物語の概要
■ 作品概要
『領民0人スタートの辺境領主様 Ⅹ(10) 貴人の風儀』は、広大なファンタジー世界を舞台にした異世界内政・領地経営(タウンビルド)ライトノベルである。 大戦を生き抜き「救国の英雄」と称されながらも、論功行賞で何もない不毛の辺境開拓を命じられた青年領主・ディアスが、多様な亜人や領民たちと理想の領地を築き上げていく姿を描く。 本作(第10巻)では、これまでの地道な開拓が実を結び、領地が「国家規模の物流・行政基盤」へと急速に進化する様子が描かれる。街道の石畳化や巨大な関所の防壁建設が進む中、長年絶滅したと思われていた鬼人族の伝説の薬草「朧雪草(おぼろゆきそう)」が奇跡の復活を遂げる。これを契機に牧畜業が爆発的に拡大し、さらにイルク村の治安維持と領兵たちの結婚問題を同時に解決するため、高度な魔法を操る「鬼人族の女性たちの領民化(移住・お見合い)」という一大プロジェクトが動き出す。
■ 主要キャラクター
- ディアス: 本作の主人公であり、メーアバダル領の辺境領主。元志願兵としての圧倒的な武力と、領民を第一に想う無欲で誠実な人柄を持つ。今巻では村の拡大に伴う治安維持や裁判の仕組みに頭を悩ませつつも、持ち前の誠実さで新たな領民を温かく迎え入れる。
- アルナー: ディアスの妻であり、誇り高き「鬼人族」のまとめ役。今巻では新設された全天候型の洗濯場を大絶賛し、同族である鬼人族の女性たちが村へ移住・結婚する流れを優しく見守り、サポートする。
- ヒューバート: ディアスを支える有能な内政官。街道の視察中に「メーアモドキ」と遭遇し、領民たちの功績への褒美として示唆されたことで、絶滅したはずの「朧雪草」の群生地を最初に入手・発見する功績を挙げる。
- ゴルディア: ディアスの旧友であり、孤児ギルドの長。村の急速な拡大を見据え、ただの飲食の場に留まらない、仕事の斡旋や情報収集、治安維持の行政出張所として機能する「酒場兼宿屋」の建設を提案・統括する。
- モール: 鬼人族の族長。朧雪草の復活に涙を流して喜び、これがきっかけとなって絶滅の危機から脱したヤギなどの牧畜を拡大するため、ディアスに大量の家畜手配を依頼する。
- ジョー: ディアスを慕う元志願兵(領兵)の代表格。鬼人族の女性たちとの過激な「お見合い(馬上での追いかけっこ)」に挑み、長年の戦場で培った無意識の連携を発揮して見事に婚約を取り付ける。
■ 物語の特徴
本作の最大の魅力は、単なるチート能力による無双ではなく、多様な種族(人間、鬼人族、洞人族、森人族など)がそれぞれの専門知識や固有の労働力を出し合い、論理的かつ計画的に領地を発展させていく圧倒的な「内政の説得力」にある。 第10巻では、その内政要素がさらに一段上のスケールへと昇華している。治安維持のための「酒場」と精神的支柱となる「神殿」を対のインフラとして建設する行政的なアプローチや、伝説の薬草復活による「牧畜の拡大」など、経済と生活環境が劇的に変化していくプロセスが非常に細やかに描写されている。 また、実務的な防犯対策(関所の強化)と、領兵たちの結婚(お見合い)という個人的な課題を同時に解決して「鬼人族の女性たちを領民化」していくエピソードは、他作品にはない泥臭くも温かい多種族融和の形として、読者に深い満足感を与えるポイントとなっている。
書籍情報
領民0人スタートの辺境領主様 Ⅹ(10) 貴人の風儀
著者:風楼 氏
イラスト:キンタ 氏
出版社:アース・スターノベル
発売日:2023年9月15日
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あらすじ・内容
ディアス、公爵として貴族のマナーを猛勉強中!?アースドラゴン達の襲来を退けたイルク村に、再びメーアモドキが現れ、ある白い花の存在を教えられる。その花は良い香りの上、様々な薬効があり……。ナルバント達の活躍により、酒場や神殿などの建築が順調に進むイルク村。ゴルディアが運営する出来立ての酒場は早速領民たちで繁盛し……。新たな村人として、ベンの旧知のシスターと、ヒューバートの知人である、王城で礼儀作法を教えていた女性を招くことになり、ディアスは貴族の作法を教えられるが……。さらにディアスに悪意を持つ二人の貴族もイルク村へと向かっていて……。領主として、公爵として領民たちを守るため、ディアス、苦手な礼儀作法と格闘中!!
感想
【未曾有の危機を越えた波及効果】
第10巻は、アースドラゴンの大侵攻という未曾有の危機から見事な勝利を収め、そこから領地が一気に飛躍していく様が描かれており、非常に読み応えがあった。ディアスは他領との迅速な情報共有と、領民たちとの強固な連携によって二体同時の討伐を見事に成し遂げている。この大金星は、イルク村に平和とさらなる発展の契機をもたらしただけでなく、討伐成果が王国全体の経済を潤すほどの大きな波及効果を生み出しており、ディアスの救国の英雄としてのスケールの大きさを改めて実感させられた。
【インフラの急速な進化と自然の恵み】
日常パートや内政面での急激な進化も、本巻の大きな見どころである。新たに定住した洞人族の圧倒的な労働力と各々の専門知識が合わさることで、メーアバダル領は単なる村のインフラという枠組みを完全に超えた。石畳の街道や大防壁とも呼べる西側関所が整備され、国家規模の防衛・物流・行政基盤へと急速に進化を遂げている姿には、読んでいて胸が躍る。
また、メーアモドキの導きによってもたらされた朧雪草の復活は、感慨深い展開だった。単なる薬草の発見に留まらず、鬼人族が諦めかけていた牧畜業を飛躍的に発展させ、他種族間の絆をさらに強固なものとする極めて重要な転換点となっている。
さらに、ゴルディアが主導する酒場やベンが設立を進める神殿の建設は、単なる娯楽や信仰の場には留まらない。これからのメーアバダル領の法秩序と文化的な発展を支える強固な防衛・行政インフラとして機能している点が素晴らしい。加えて、鬼人族の女性たちが正式に領民となったことで、懸念されていた防衛および治安維持体制がより強固なものへと進化しており、領地運営の盤石さに舌を巻いた。
【貴族の風儀と痛快な外交戦】
そして本巻最大の特徴は、公爵となったディアスが直面する「貴族社会」という新たな戦いである。王城から招かれたダレル夫人により、ディアスたちは貴族としての礼儀作法という新たな武器を身につけることになった。武力だけでなく、情報戦と貴族としての威厳を駆使した外交的勝利は、メーアバダル領がさらなる発展を遂げるための盤石な基盤を築く重要な出来事と言えよう。
特に、魂鑑定で真っ赤な悪意を示す貴族たちに対し、堂々たる態度で嘘を見破り、火付け杖を伝説の王笏と誤認させる場面は非常に痛快であった。結果として1人は恐怖のあまり逃亡し、もう1人のエルアー伯爵は悪意の赤から好意の青へと心を入れ替え、完全な好々爺となってしまった展開には思わず笑みがこぼれる。エルアー伯爵がディアスを「かつて大陸を統一した建国王と同等の器だ」と評価して強力な協力者となる流れは、見事なカタルシスを生んでいる。
一方で、貴族社会の陰謀である冤罪への対処法を問われた際、「王城に行って首謀者を殴り飛ばす」と即答するディアスの脳筋ぶりには爆笑させられた。ダレル夫人が白目を剥いて慌てるのも当然だが、かつて第二王子を物理的に更生させた実績を持つ彼ならば、本当に可能な解決方法だと思わせてしまうのが最高に魅力的である。
力と優しさで仲間を増やし続けてきた辺境の村が、知略と威厳を備えた強大な領地へと成長を遂げた。武力、内政、そして見事な外交戦のすべてが噛み合い、さらなる高みへと駆け上がっていくディアスたちのこれからの活躍が、ますます楽しみになる一冊であった。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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考察・解説
辺境領のインフラ開発
『領民0人スタートの辺境領主様』第10巻において、メーアバダル領(イルク村周辺)のインフラ開発は、領民の増加や他国との交流、そして将来的な発展を見据えてさらに大規模かつ本格的に進行している。本レポートでは、確かなソースに基づき、急速に進化を遂げる辺境領の最新インフラ開発状況について詳しく解説する。
東西を繋ぐ街道と関所の本格整備
他領や獣人国との物流、および人の行き来を見据え、交通と防衛の要所が急速に整備されている。具体的な整備内容は以下の通りである。
・石畳の街道
東の隣領であるマーハティ領からイルク村までの街道は仮設が終わり、本格的な石畳の敷設が予定されている。また、イルク村から西の獣人国へ向かう街道は、驚異的な速度で半分ほど石畳が完成しており、雨上がりでも水はけが良く長持ちする頑丈な造りとなっている。
・西側関所の大防壁
獣人国側との国境に造られている関所は、巨大な防壁と管理所を備えた砦のような規模になっている。洞人族達が人力で巨大な石材を投げ上げて噛み合わせるという規格外の工法で建設されており、獣人国側の壁には荒野で採れる瀝青に砂や砕いた石を混ぜて塗り固め、攻城兵器にも耐えうる強度を持たせる予定である。
・東側関所の拡張
森を貫く街道の先にある東側関所も、木杭の壁を拡大して見張り台を増やし、石壁の建造が進められている。旅人が休めるよう、装飾されたユルトも複数建てられている。
・街道沿いの休憩所
街道の途中には、石製の椅子やテーブル、屋根、井戸、厠、簡素な厩舎や竈を備えた休憩所が整備され、行き交う人々や馬が休めるようになっている。
統治と交流の拠点となる酒場の完成
ゴルディアの提案により、街道沿いの村の外れに木造平屋建ての酒場兼宿屋が完成した。この施設には以下のような特徴と役割がある。
・快適な空間設計
ただ飲食を楽しむだけでなく、風を取り込む天窓や、氷で冷やした地下貯蔵庫、調理場、舞台などを備えている。
・行政および防犯インフラとしての機能
ゴルディアの計画では、酒場は人が集まる公共の家として位置づけられている。仕事の斡旋、揉め事の仲裁、領民の不満や余所者の情報収集などを行う場であり、領主の負担を減らし治安を維持するための重要な拠点として機能する。
生活環境の劇的な向上をもたらす洗濯場と神殿
領民の生活環境や文化的価値を高めるための施設も、新たに建設が進められている。
・全天候型の洗濯場と竈場
雨続きで洗濯物が溜まったことをきっかけに、川の側に屋根と床を設けた専用の洗濯場の建設が決定した。冬でもメーア布で覆って石窯で暖を取りながら、湯沸かしや煮洗いができる画期的な施設となり、鬼人族の女性達からも大絶賛されている。
・メーアを祀る神殿
ベン伯父さんの発案により、イルク村の西側にあるメーア達が選んだ特別に美味しい白い草が群生する小高い丘に、石造りの神殿が建設されている。同じ大きさに整えられ磨かれた石材で造られ、入り口には凛々しいメーアの石像が飾られている。将来的には学び舎や炊き出しの場としても拡張される予定である。
未来を見据えた荒野開拓と治水
将来的な人口増や食料問題の解決策として、荒野のさらに南にあるかもしれない海や港を目指す壮大な計画が動き出している。
・長期的な緑化計画
セナイとアイハンが、乾燥に強い雑草に魔力と肥料である葉肥石を与え、荒野に少しずつ植えていく地道な取り組みを始めた。数年がかりで土壌を改良し、植物が育つ環境を作ることを目的としている。
・小川の治水と引水計画
洞人族のサナトが洗濯場造りを機に小川の土手整備を思いつき、水量を安定させて荒野へ川を引き込む計画を立てた。セナイ達が荒野で出会った喋る巨大なトカゲからの助言もあり、川を引くべき場所や地下水脈の目星がついたため、水資源の確保に向けた確かな一歩を踏み出している。
このように、第10巻のメーアバダル領では、洞人族の圧倒的な労働力や各々の専門知識が合わさることで、単なる村のインフラを超えた国家規模の防衛・物流・行政基盤へと急速に進化を遂げている。
朧雪草の復活
『領民0人スタートの辺境領主様』第10巻において、伝説の薬草である朧雪草(おぼろゆきそう)の復活は、メーアバダル領の自然環境の回復を示すだけでなく、長年厳しい生活を強いられてきた鬼人族たちに大きな希望をもたらす重要な出来事として描かれている。確かなソースに基づき、朧雪草が復活を遂げた経緯とその多大なる影響について解説する。
メーアモドキによる恩恵と発見の経緯
朧雪草の復活は、領民たちのこれまでの誠実な取り組みに対する、大いなる自然からの贈り物として幕を開ける。発見に至る流れは以下の通りである。
・街道の視察を行っていた内政官のヒューバートの前に、突如としてメーアモドキが姿を現した。
・メーアモドキはディアス達の働き(度重なるドラゴン討伐や自然への配慮)を高く評価した。
・その褒美として「今回は物を直接渡す形ではない」「周囲をよく観察してみること」と言い残して姿を消した。
・ヒューバートが指示通りに草原を探索すると、見たことのない白い花のような草が咲き乱れる群生地を発見した。
・同行していたメーア(エゼルバルド達)が猛烈な勢いで食いつき、人間が食べても非常に香りが良く美味しい草であることが判明した。
朧雪草の正体と驚異的な効能
セナイとアイハンの両親である森人族の知識により、この草は古くから腹痛草や肺咳草、赤痢草などとも呼ばれる特別な薬草であることが判明した。その効能は非常に多岐にわたる。
・病気に対する優れた治療効果を持つ。
・燻製にすれば虫除けやカビ除けになり、石鹸に混ぜれば病除けにもなる。
・最大の恩恵として、これを食べた家畜はとても元気になって大きく育ち、肉やミルクの味が驚くほど良くなる(臭くて食べられない動物の肉さえ美味しくなる)という独自の特性を持っている。
鬼人族が抱いていた悲願の達成
鬼人族の族長モールは、この草を古い言葉でリンツガートル、あるいは朧雪草と呼んだ。この草の復活は、彼らにとって特別な意味を持っている。
・かつて草原一帯に自生していたものの、どういうわけか減少し、とうの昔に絶滅したと思われていた。
・突如として目の前に復活したのを見て、鬼人族の老人たちは昔の草原が戻ってきたと涙を流して大喜びした。
・この草は滋養がありすぐに生え揃うため、これがあればより多くの家畜を養うことができる。
・絶滅したことで飼育を諦めていたヤギなどの家畜を再び飼えるようになり、食卓が賑やかになって子供は強く育ち、大人は長生きできるようになる。
・鬼人族にとってこの草の復活は、叶うはずがないと諦めていた悲願や宿願の達成を意味していた。
牧畜の拡大と新たな交流への発展
朧雪草の復活を受け、モールはゾルグ達が稼いだ金貨を使い、ヤギや白ギー、ガチョウなどの家畜を大量に手配してほしいとディアスに依頼した。これにより、領内には新たな活気がもたらされる。
・後日、商人のゴルディアが隣領から大量のヤギを連れ帰り、鬼人族の村の側で販売会が開かれることになった。
・このヤギ販売会の場を利用して、イルク村の領兵(ジョー達)と鬼人族の女性たちとの盛大なお見合い(騎馬での追いかけっこ)が開催され、新たな交流と発展のきっかけを生み出した。
・メーアたちにとってもこの草は特別に美味しく、イルク村の西側に建設された神殿は、美味しい朧雪草が群生する小高い丘のすぐ側に建てられ、その一帯はメーアたち専用の食堂のように保護されることになった。
・草原に棲む野生の黒ギーたちもこの草を好んで食べており、草原全体の生態系に豊かな恵みをもたらしている。
このように、朧雪草の復活は単なる薬草の発見に留まらず、メーアバダル領の牧畜業を飛躍的に発展させ、他種族間の絆をさらに強固なものとする極めて重要な転換点となっている。
酒場と神殿の建設
『領民0人スタートの辺境領主様』第10巻において、酒場と神殿の建設は、領民の増加や外部からの来訪者を見据え、イルク村の治安維持と人々の精神的支柱を確立するための重要なインフラ整備として描かれている。確かなソースに基づき、それぞれの施設が持つ役割や建設の経緯について詳しく解説する。
酒場の建設と公共の家としての役割
酒場兼宿屋の建設は、ディアスの旧友であり孤児ギルドの長であるゴルディアの提案によって始まった。彼は、酒場を単なる飲食の場としてではなく、仕事の斡旋、揉め事の仲裁、余所者からの情報収集などを行う公共の家として位置づけている。その具体的な目的や特徴は以下の通りである。
・行政と防犯の出張所としての機能
村や町が大きくなると、領主であるディアスが細かな諍いまで全て裁いていては本来の仕事ができなくなる。そこで、領主の義兄弟であるゴルディアが酒場を管理し、トラブルを未然に防いで治安を維持する狙いがある。
・快適な空間と設備
洞人族のサナトたちの手によって村の外れの街道沿いに短期間で建設された。木造平屋建ての建物には、爽やかな風を取り込む天窓、氷で冷やした地下貯蔵庫、調理場、さらには楽団や踊り子のための舞台などが備わっている。
・完成時の賑わい
建物が完成した際には盛大な酒宴が開かれ、洞人族やアルナー、フランシスたちをはじめとする多くの領民が大いに楽しんだ。
神殿の建設とメーアの聖域
酒場ができることで酒に酔って気が緩み、犯罪を起こす者が増える可能性を危惧したベンの提案により、酒場と対になる気を引き締める場として神殿の建設が決定した。神々が見守り、厳しい目で見張ってくれていると感じることで、領民たちが正しくあろうと心を持てるようにするためである。神殿に関する詳細な情報は以下の通りである。
・立地と保護の目的
神殿の場所は、神の使いとして祀られるメーアたち自身の意見を取り入れ、イルク村の西側にある酒場の近くの小高い丘のすぐ側に選ばれた。ここには特別美味しい白い草である朧雪草が群生しており、神殿を建てることで人が行き来するようになり野生動物が近付かなくなるため、一帯をメーアたち専用の食堂として保護する目的も兼ねている。
・建物の構造
同じ大きさに綺麗に磨かれ整えられた石材を積み上げた石造りであり、入り口の二本の太い石柱には凛々しいメーアの石像が飾られている。
・将来的な拡張計画
当面は祈りの場としての機能のみだが、将来的には子供たちのための学び舎や写本を行う場、炊き出しの場などへの増築が計画されている。
・本格的な運営準備
亜人を排斥する新道派との将来的な衝突を見据え、ベンが信頼する旧道派の神官であるフェンディアや神官兵たちを呼び寄せ、本格的な運営拠点とする準備が進められている。
このように、第10巻における酒場と神殿の建設は、単なる娯楽や信仰の場に留まらず、これからのメーアバダル領の法秩序と文化的な発展を支える強固な防衛・行政インフラとして機能している。
鬼人族の領民化
『領民0人スタートの辺境領主様』第10巻において、鬼人族の領民化は、イルク村の治安維持という実務的な課題と、元志願兵である領兵たちの結婚という個人的な課題を同時に解決する重要なステップとして描かれている。確かなソースに基づき、その経緯と成果について解説する。
エイマの提案と犯罪抑止策
領主として裁判の仕組みや犯罪抑止に悩んでいたディアスに対し、エイマが一つの献策を行った。その内容は以下の通りである。
・魂鑑定や生命感知の魔法を使える鬼人族を数人、領民として迎え入れて東西の関所に駐在させる。
・これにより、悪意を持つ者の侵入を未然に防ぐ防犯体制を確立する。
・同時に、ジョー達領兵のお嫁さん探しという個人的な課題の解決にも繋げる。
お試し雇用とお見合いの実施
この案はイルク村の面々や鬼人族の族長モールからも賛同を得て、結婚話を軸に進められることになった。具体的なプロセスは以下の通りである。
・正式な話がまとまるまでの間、鬼人族の若者たちを試験的に雇い入れ、関所や村の警備仕事を体験してもらい、報酬としてメーア布や金貨を支払った。
・その後、ゴルディアが手配した大量のヤギの販売会に合わせて、ジョー達と鬼人族の女性たちとの間でお見合いが開催された。
・鬼人族の女性は男の男気や狩りの腕、馬の扱いを重視するため、馬上から矢を射掛けて逃げる女性たちを男たちが追いかけるという過激な形式で執り行われた。
・最初は馬の扱いに苦戦した領兵たちであったが、長年の戦場で培った無意識の連携を発揮して女性たちを追い詰め、鬼人族から高い評価を獲得した。
イルク村見学と結婚および移住の決意
結婚に前向きになった11人の女性たちに向け、イルク村での実際の暮らしを知ってもらうための見学会が行われた。彼女たちの反応と決意の理由は以下の通りである。
・関所や街道、神殿に対して好意的な反応を示した。
・特に新設された全天候型の洗濯場と竈場に対して歓喜し、冬でも暖を取りながら洗濯や煮洗いができる設備に大興奮した。
・ガチョウや白ギー、ヤギなどの家畜が多く、肉やチーズが豊富であることを知り、その場の勢いで結婚を決意する者まで現れた。
鬼人族の領民化と関所での活躍
見学会の結果、ジョーとロルカ、さらに5人の領兵の計7人が婚約することになり、イルク村では彼女たちを迎えるための新たなユルトの建設が始まった。
・女性たちは正式な結納を待たずに仕事があるならと前向きに移住を決め、関所での魂鑑定を用いた来訪者確認の役目を担うことになった。
・魔法を対策される可能性も想定し、クラウスの優れた人物眼や犬人族の嗅覚と組み合わせて運用する体制が整えられた。
このように、鬼人族の女性たちが正式に領民となったことで、メーアバダル領の防衛および治安維持体制はより強固なものへと進化を遂げている。
貴族教育と外交準備
『領民0人スタートの辺境領主様』第10巻における「貴族教育と外交準備」は、公爵位を得たディアスたちが、貴族社会の悪意や陰謀から領地と家族を守るための武器として礼儀作法を学び、実際にやってきた悪徳貴族を迎撃する重要なエピソードである。本稿ではその詳細について解説する。
ダレル夫人の招聘と武器としての貴族教育
メーアバダル領には貴族の作法や外交儀礼の知識を持つ者がいなかったため、ヒューバートの提案により王城で教育係を務めていたオリアナ・ダレル夫人が招聘された。
- 貴族社会には、成り上がり貴族の常識の欠如を突き、貴族法を悪用して領地や財産を奪おうとする悪徳貴族が存在する。
- ダレル夫人から、礼儀作法や貴族としての常識は相手を威圧し無用な争いを避けて領民を守るための武器であると説かれ、ディアスたちは真剣に授業を受けることになった。
ディアスに対する王者としての作法
ダレル夫人は当初、一般的な貴族の作法を教えるつもりであった。しかし、早朝から激しい鍛錬を行い、圧倒的な身体能力と自然な指揮官の振る舞いを見せるディアスには、一般的な作法よりも王者としての作法が相応しいと判断した。
- ディアスはただそこに立つだけで相手を圧倒し、恐れと憧れを抱かせるような、厳粛で威厳のある根本的な所作を徹底的に教え込まれた。
- 同時に、アルナーやセナイ、アイハンに対しても、公爵夫人や令嬢として相応しいテーブルマナーや美しい所作の教育が行われた。
悪徳貴族の襲来に備えた外交準備と魂鑑定の連携
マーハティ公エルダンからの手紙により、悪意を持ったエルアー伯爵とアールビー子爵が領地にやってくることが判明し、ディアスたちは関所で彼らを迎撃する準備を整えた。
- 外見による威圧:ディアスは洞人族が作った精巧なオリハルコンの金鎧を正装として身に纏い、剣と、流行の杖に見せかけるため布で包んだ火付け杖を携行した。
- 情報戦のシステム構築:見張り櫓に隠れたアルナーたちが魂鑑定を行い、嘘や悪意の有無を犬笛で木の上の犬人族に伝達する。その情報を受けた犬人族が手信号でディアスに相手の腹の内を知らせるという高度な連携システムが構築された。
実践と建国王の再来への誤認
関所で2人の貴族と対面したディアスは、ダレル夫人の教え通りに堂々とした威厳ある態度で挨拶を行った。
- 友好的な笑みを浮かべながらも腹の中は悪意で真っ赤である伯爵たちに対し、ディアスは犬人族の合図を元に彼らの嘘を次々と正確に看破してみせた。
- 完全に動揺した貴族たちの前で風により布がめくれ、伝説の神器である王笏と誤認された火付け杖が露わになった。
- ダレル夫人の合図で巨大な炎を空へ噴き上げさせると、伯爵たちはディアスを心を読む力を持ち神器を操る建国王の再来であると完全に恐怖し誤認した。
- 結果としてアールビー子爵は逃走し、エルアー伯爵は悪意を失って臣従を誓うという完全な外交的勝利を収めることとなった。
まとめ
このように、ディアスたちは貴族としての礼儀作法という新たな武器を身につけ、領地を狙う悪意ある貴族を見事に撃退した。武力だけでなく、情報戦と貴族としての威厳を駆使したこの外交的勝利は、メーアバダル領がさらなる発展を遂げるための盤石な基盤を築く重要な出来事となったのである。
アースドラゴン討伐
『領民0人スタートの辺境領主様』第10巻における「アースドラゴン討伐」は、前巻(第9巻)で描かれた大侵攻の決着とその後の影響として言及されている。本稿では、第10巻で語られている討伐の成果と波及効果について解説する。
情報共有と二体同時の討伐成功
王国北部や獣王国周辺を含む広範囲に、複数体のアースドラゴンが出現する可能性が高いとの情報がもたらされた。
- ディアスは近隣の勢力へ情報を共有して警戒を促しつつ、自らは領民たちと協力して万全の迎撃体制を整えた。
- 実際に現れた二体のアースドラゴンに対し、領民たちと総力を挙げて戦い、見事に討伐することに成功した。
- この出来事は、ディアスが多くの仲間に支えられながら、領主として領地の防衛と近隣との外交を同時に成し遂げたことを示している。
討伐の祝宴と日常への回帰
二体のアースドラゴン討伐という偉業を成し遂げたイルク村では、それを祝う盛大な宴が開かれた。
- 宴から数日が経つと村はすぐに次の段階へと進み、内政官のヒューバートが完成したばかりの西の関所へと続く街道の視察に出向いた。
- 大いなる脅威を退けたイルク村は、立ち止まることなくさらなるインフラ整備や領地開発へと邁進していくこととなった。
王国全体にもたらした好景気
アースドラゴンの大侵攻は王国全土を巻き込む危機であったが、結果として討伐に成功した地域には大きな恩恵をもたらした。
- 王都の酒場において、情報屋のナリウスが第一王子リチャードの改革による好景気について語る中で、王都や直轄領だけでなくなんとかアースドラゴンを討伐出来た北方領も景気が良いと言及している。
- アースドラゴンの素材などがもたらした莫大な経済効果は、メーアバダル領だけでなく王国全体の景気を押し上げる要因の一つとなった。
まとめ
アースドラゴンの大侵攻という未曾有の危機に対し、ディアスは情報共有と領民との強固な連携によって二体同時の討伐を見事に成し遂げた。この勝利はイルク村に平和とさらなる発展の契機をもたらしただけでなく、その討伐成果が王国全体の経済を潤すほどの大きな波及効果を生み出すこととなったのである。
登場キャラクター
メーアバダル領(イルク村)
ディアス
メーアバダル領の領主であり公爵である。アルナーの夫にあたる。
・所属組織、地位や役職
メーアバダル領・領主。公爵。
・物語内での具体的な行動や成果
二体のアースドラゴンを討伐した。ダレル夫人から王者としての礼儀作法を学び、関所でエルアー伯爵らを威圧して臣従や撤退へと導いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
公爵としての影響力を拡大し、領民や近隣勢力から救国の英雄として深く信頼されている。
アルナー
ディアスの婚約者であり、鬼人族の出身である。自然の摂理を重んじる思想を持つ。
・所属組織、地位や役職
メーアバダル領・領主の婚約者。
・物語内での具体的な行動や成果
スーリオ達に鬼人族の価値観を教え、洗濯場の建設や魂鑑定による来訪者確認に貢献した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ダレル夫人から貴族夫人としての作法を教わり、領主の妻としての役割を深めている。
セナイ
アイハンの双子の姉妹であり、森人族の出身である。
・所属組織、地位や役職
メーアバダル領の領民。ディアスの子。
・物語内での具体的な行動や成果
画期的な養蜂施設を開発した。荒野に乾燥に強い植物を植える計画を提案し、川を引く場所の調査を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ダレル夫人から貴族令嬢としてのテーブルマナーや所作を学んでいる。
アイハン
セナイの双子の姉妹であり、森人族の出身である。
・所属組織、地位や役職
メーアバダル領の領民。ディアスの子。
・物語内での具体的な行動や成果
養蜂施設を開発し、蜂蜜の生産を可能にした。荒野の調査を行い、喋るトカゲから助言を得た。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ダレル夫人から貴族令嬢としての作法を学んでいる。
エイマ
セナイとアイハンの教育係であり、砂漠出身の人物である。
・所属組織、地位や役職
メーアバダル領の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
裁判の練習で魂鑑定魔法を用いた防犯対策を提案した。荒野の調査に同行し、生き物がいない異常性に気づいた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ディアスに的確な助言を行い、領地の治安維持に貢献している。
ヒューバート
メーアバダル領の文官であり、記録や管理を重んじる真面目な性格である。
・所属組織、地位や役職
メーアバダル領・内政官。
・物語内での具体的な行動や成果
西側関所への街道を視察し、メーアモドキと遭遇した。ダレル夫人をメーアバダル領に招き入れた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ディアスや洞人族の細かな記録不足を補い、内政の要として活躍している。
ベン(ベンディア)
ディアスの伯父であり、元神官である。旧道派の思想を持つ。
・所属組織、地位や役職
メーアバダル領の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
イルク村の西側に神殿を建設する計画を進めた。フェンディアをメーアバダル領に呼び寄せた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
聖地巡礼に失敗したとは語っておらず、ヒューバートから畏敬の念を抱かれている。
クラウス
東側の森の関所の責任者である。
・所属組織、地位や役職
メーアバダル領の関所責任者。
・物語内での具体的な行動や成果
森の関所でダレル夫人やエルアー伯爵らの応対を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
人物眼を活かし、来訪者の見極めを担う予定となっている。
ナルバント
洞人族の老人であり、オーミュンの夫である。
・所属組織、地位や役職
メーアバダル領の領民。洞人族の代表格。
・物語内での具体的な行動や成果
鉱山開発や溶鉱炉の建設、街道整備を名乗り出た。建設日程表を作成し、効率的な工事を進めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
一族を呼び寄せ、驚異的な速度で村の開発を進めている。
オーミュン
洞人族の女性であり、サナトの母親である。
・所属組織、地位や役職
メーアバダル領の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
不思議な水瓶や冷却ツボを開発した。アルナー達のために全天候型の洗濯場の建設を提案した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
生活を便利にする道具や施設の考案に貢献している。
サナト
洞人族の青年であり、ナルバントとオーミュンの息子である。
・所属組織、地位や役職
メーアバダル領の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
木造平屋建ての酒場と地下貯蔵庫を完成させた。小川の土手整備など治水工事の設計を考えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
村のインフラ整備において重要な役割を担っている。
ジョー
ディアスの戦友であり、領兵である。
・所属組織、地位や役職
メーアバダル領・領兵。
・物語内での具体的な行動や成果
鬼人族の女性とのお見合いに参加し、乗馬での追いかけっこで連携を見せた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
鬼人族の女性と婚約し、家庭を持つ予定である。
ロルカ
ディアスの戦友であり、領兵である。
・所属組織、地位や役職
メーアバダル領・領兵。
・物語内での具体的な行動や成果
鬼人族の女性とのお見合いに参加し、女性を捕まえることに成功した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
鬼人族の女性と婚約した。
リヤン
ディアスの戦友であり、既婚者の領兵である。
・所属組織、地位や役職
メーアバダル領・領兵。
・物語内での具体的な行動や成果
お見合いに軍馬を連れてきて、ジョー達の様子を観察した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
モント
義足の人物であり、ディアスの仲間である。
・所属組織、地位や役職
メーアバダル領の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
スーリオ、リオード、クレヴェを連れてディアスの元を訪れた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
スーリオ達に様々なことを教えており、慕われている。
ゴルディア
孤児ギルドの長であり、商売や経営に長けている。
・所属組織、地位や役職
孤児ギルド長。酒場の管理者。
・物語内での具体的な行動や成果
隣領から大量のヤギを買い付けた。村の外れに酒場を建設し、公共の家として運営を始めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
領内の治安維持や情報収集の役割も担っている。
アイサ
イーライの妻であり、調理場の手伝いをする。
・所属組織、地位や役職
孤児ギルドの所属。
・物語内での具体的な行動や成果
酒場の完成に伴い、調理場に出入りして手伝いを行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
イーライ
アイサの夫であり、調理場の手伝いをする。
・所属組織、地位や役職
孤児ギルドの所属。
・物語内での具体的な行動や成果
酒場の完成に伴い、調理場に出入りして手伝いを行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
エリー
孤児ギルドの所属であり、商売の指揮を執る。
・所属組織、地位や役職
孤児ギルドの所属。
・物語内での具体的な行動や成果
隣領の市場で氷を使った果実水を販売し、大きな利益を上げた。セキ達にスーリオ達との交流を命じた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
メーアバダル領の交易拡大において中心的な役割を果たしている。
セキ
獣人国出身であり、商売に関わる若者である。
・所属組織、地位や役職
メーアバダル領の領民。行商人見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
隣領の市場で氷を使った飲み物を販売し、利益を上げた。冷却技術を利用した輸送販売の商機に気づいた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
スーリオ達と行動を共にすることになった。
サク
獣人国出身であり、商売に関わる若者である。
・所属組織、地位や役職
メーアバダル領の領民。行商人見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
隣領の市場で氷を使った飲み物を販売し、利益を上げた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
スーリオ達と行動を共にすることになった。
アオイ
獣人国出身であり、商売に関わる若者である。
・所属組織、地位や役職
メーアバダル領の領民。行商人見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
氷の販売において利益を上げた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
スーリオ達と行動を共にすることになった。
マヤ
老婆達のまとめ役である。
・所属組織、地位や役職
メーアバダル領の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
洗濯物の修繕やフォローを行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
サーヒィ
鷹人族であり、空からの見張りを担当する。
・所属組織、地位や役職
メーアバダル領の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
荒野の調査や関所での会談時に上空から護衛と案内を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
リーエス
サーヒィの妻である。
・所属組織、地位や役職
メーアバダル領の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
関所のあちこちに降り立ち、護衛の任務に就いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
シェフ
シェップ氏族の長である。
・所属組織、地位や役職
メーアバダル領の領民。シェップ氏族長。
・物語内での具体的な行動や成果
売れ残ったヤギを氏族で引き取ることを提案した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
フランシス
メーアの群れの長であるオスである。
・所属組織、地位や役職
メーアバダル領の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
酒場の舞台で鳴き声を上げ、宴を盛り上げた。セナイ達を背に乗せて草原を駆け抜けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
フランソワ
メーアのメスであり、フランシスの番である。
・所属組織、地位や役職
メーアバダル領の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
酒場の舞台で鳴き声を上げた。セナイ達を背に乗せて草原を走った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
エゼルバルド
メーアの群れの一頭である。
・所属組織、地位や役職
メーアバダル領の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
ヒューバートの視察に同行し、見つけた朧雪草を物凄い勢いで食べた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
ベイヤース
ディアスの愛馬である。
・所属組織、地位や役職
メーアバダル領の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
ディアスを乗せて西側関所や東側関所への移動を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
カーベラン
アルナーの愛馬である赤毛の馬である。
・所属組織、地位や役職
メーアバダル領の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
アルナーを乗せて街道の休憩所を視察した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
シーヤ
セナイの愛馬である。
・所属組織、地位や役職
メーアバダル領の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
セナイを乗せて荒野の調査に向かった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
グリ
アイハンの愛馬である。
・所属組織、地位や役職
メーアバダル領の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
アイハンを乗せて荒野の調査に向かった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
アイーシア
エイマが乗る馬である。
・所属組織、地位や役職
メーアバダル領の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
エイマを乗せて荒野の調査に同行した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
領兵達
イルク村の防衛や治安維持を担う集団である。
・所属組織、地位や役職
メーアバダル領の兵士。
・物語内での具体的な行動や成果
迎賓館の警備や見回りを行った。鬼人族女性とのお見合いに参加し、5人が婚約した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
洞人族達
地下で暮らしていた労働力豊かな種族である。
・所属組織、地位や役職
メーアバダル領の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
関所の建設、街道の石畳敷設、酒場や神殿の建設を驚異的な速度で進めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
村のインフラ整備を一手に担っている。
犬人族達
イルク村で働く獣人の集団である。
・所属組織、地位や役職
メーアバダル領の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
迎賓館や関所で警備任務に就いた。魂鑑定の結果を犬笛で伝達する役割を担った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
センジー氏族
犬人族の一派である。
・所属組織、地位や役職
メーアバダル領の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
ヒューバートの視察に同行し、発見された朧雪草を食べた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
シェップ氏族
犬人族の一派である。
・所属組織、地位や役職
メーアバダル領の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
酒場の調理場で手伝いを行った。荒野の調査に同行し、馬の世話を担当した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
マスティ氏族
犬人族の一派である。
・所属組織、地位や役職
メーアバダル領の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
東側関所で来客の報告を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
鷹人族の女性陣
サーヒィの妻など空を飛ぶ鳥人の集団である。
・所属組織、地位や役職
メーアバダル領の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
ダレル夫人の礼儀作法の授業を見学した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
婦人会の面々
イルク村の女性達の集まりである。
・所属組織、地位や役職
メーアバダル領の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
夕飯の準備や大規模な洗濯作業を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
婆さん達
イルク村の年配女性達である。
・所属組織、地位や役職
メーアバダル領の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
ダレル夫人の授業のためにクッションを用意した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
メーアの六つ子達
フランシス達の子供である。
・所属組織、地位や役職
メーアバダル領の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
神殿建設予定地で仰向けになって眠っていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
新参メーアの群れ
新しく村に加わったメーア達である。
・所属組織、地位や役職
メーアバダル領の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
白い草の群生地で食事をし、休息を取った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
白ギー達
イルク村で飼育される動物である。
・所属組織、地位や役職
メーアバダル領の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
北側の群生地で白い草を食べた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
ガチョウ
イルク村で飼育される鳥類である。
・所属組織、地位や役職
メーアバダル領の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
数が増加し、小川の側を遊び場として過ごした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
ヤギ
ゴルディアが買い付けた家畜である。
・所属組織、地位や役職
メーアバダル領の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
鬼人族の村の側で開催された販売会で引き取られた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
黒ギー
草原に生息する野生動物である。
・所属組織、地位や役職
草原の野生動物。
・物語内での具体的な行動や成果
南側の群生地で白い草を食べ、子供を守るように行動した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
ロバ
イルク村で飼育される動物である。
・所属組織、地位や役職
メーアバダル領の家畜。
・物語内での具体的な行動や成果
北側の群生地で白い草を食べた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
鬼人族
モール
鬼人族の族長であり、経験豊富な老婆である。
・所属組織、地位や役職
鬼人族の族長。
・物語内での具体的な行動や成果
発見された草を「朧雪草」と呼び、ヤギなどの家畜の手配を依頼した。お見合いの場を仕切った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
ゾルグ
アルナーの兄である。
・所属組織、地位や役職
鬼人族の男性。
・物語内での具体的な行動や成果
黒ギーが増えすぎていることをディアスに報告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
過去に稼いだ金で家畜の購入資金を提供した。
鬼人族の女性達
ジョー達とのお見合いに参加した女性達である。
・所属組織、地位や役職
鬼人族の住民。
・物語内での具体的な行動や成果
馬上から矢を放ちながら逃げるお見合いを行い、イルク村の洗濯場などを見学した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
婚約が決まり、イルク村で魂鑑定を用いた関所警備を担う予定である。
マーハティ領
エルダン
マーハティ領の領主であり、ディアスの友人である。
・所属組織、地位や役職
マーハティ領・領主。公爵。
・物語内での具体的な行動や成果
悪意を持つ貴族の接近をディアスに伝えた。オリアナ達を豪華に歓待した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
ネハ
エルダンの母である。
・所属組織、地位や役職
マーハティ領・領主の母。
・物語内での具体的な行動や成果
スーリオ達を親善と勉強のためにイルク村へ送った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
ジュウハ
マーハティ領の軍師である。
・所属組織、地位や役職
マーハティ領・軍師。
・物語内での具体的な行動や成果
反乱を防ぐための治安維持策として芸術の館や番所を提案した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
スーリオ
獅子人族であり、学ぶ姿勢を持つ青年である。
・所属組織、地位や役職
マーハティ領の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
アルナーから命への感謝と料理を学んだ。セキ達と交流を始めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
リオード
獅子人族の若者である。
・所属組織、地位や役職
マーハティ領の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
モントから様々なことを学び、好奇心に満ちた態度へと変化した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
クレヴェ
獅子人族の若者である。
・所属組織、地位や役職
マーハティ領の領民。
・物語内での具体的な行動や成果
モントから様々なことを学び、積極的な態度へと変化した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
ゲラント
伝書を担う人物である。
・所属組織、地位や役職
マーハティ領の伝書担当。
・物語内での具体的な行動や成果
ベンが旧知の人物を呼び寄せるための手紙を運ぶ予定となった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
獣王国・ペイジン商会
ヤテン
獣王国の使者である。
・所属組織、地位や役職
獣王国・獣王参議。
・物語内での具体的な行動や成果
イルク村を訪れ、国境や鉱山開発に関する交渉を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
オクタド
ペイジン商会の長である。
・所属組織、地位や役職
ペイジン商会の長。
・物語内での具体的な行動や成果
イルク村を訪れ、ディアスと友誼を結んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
サンセリフェ王国(王都・神殿関係者・その他貴族)
オリアナ・ダレル
元王城の教育係であり、厳格で誇り高い性格である。
・所属組織、地位や役職
王城の元教育係。メーアバダル領の礼儀作法教師。
・物語内での具体的な行動や成果
ディアスに王者としての作法を教え、貴族法の脅威を説明した。関所での貴族対応の指揮を執った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
メーアバダル領の社交と外交の指南役として重要な地位を占める。
フェンディア
旧道派の神官であり、ベンの要請で旅立った女性である。
・所属組織、地位や役職
旧道派の神官。
・物語内での具体的な行動や成果
市場で写本を売っていたところをオリアナと出会い、同行した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
イルク村の神殿運営に関わる予定である。
パトリック
神官兵であり、真面目で敬虔な男である。
・所属組織、地位や役職
神官兵。
・物語内での具体的な行動や成果
ディアスとの模擬戦に挑んだ。犬人族を動物と勘違いし、全力で謝罪した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ディアス達の護衛を担当することになった。
ピエール
神官兵であり、真面目な男である。
・所属組織、地位や役職
神官兵。
・物語内での具体的な行動や成果
アルナーやセナイ達の護衛任務に就いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
プリモ
神官兵であり、真面目な男である。
・所属組織、地位や役職
神官兵。
・物語内での具体的な行動や成果
フェンディアの護衛として旅に同行した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
ポール
神官兵であり、真面目な男である。
・所属組織、地位や役職
神官兵。
・物語内での具体的な行動や成果
フェンディアの護衛として旅に同行した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
ナリウス
王都の酒場で情報収集を行う情報屋である。
・所属組織、地位や役職
情報屋。
・物語内での具体的な行動や成果
王都や北方領の好景気と、領地を失った貴族達の不満について語った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
赤髪の少女
王都で活動する人物である。
・所属組織、地位や役職
ギルド関係者。
・物語内での具体的な行動や成果
ナリウスと酒場で情報を交換し、上等なワインを置いて立ち去った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
リチャード
サンセリフェ王国の第一王子である。
・所属組織、地位や役職
サンセリフェ王国・第一王子。
・物語内での具体的な行動や成果
貴族改革を進め、王都や直轄領の景気を向上させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
神官兵達
パトリック達を含む、神殿を守る武装した集団である。
・所属組織、地位や役職
神殿の護衛部隊。
・物語内での具体的な行動や成果
新道派に反発し、フェンディアの旅に同行してメーアバダル領へやってきた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
サーシュス公爵
エルアー伯爵らを酷使した大貴族である。
・所属組織、地位や役職
サンセリフェ王国の公爵。
・物語内での具体的な行動や成果
エルアー伯爵とアールビー子爵に戦地での復興活動を強制した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
シグルザルソン伯
王国の貴族である。
・所属組織、地位や役職
サンセリフェ王国の伯爵。
・物語内での具体的な行動や成果
過去にメーアバダル領を訪れた人物としてヒューバートの言葉に登場した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
エルアー伯爵領
エルアー伯爵
友好的に振る舞うが、内心で相手を操ろうとする狡猾な人物である。
・所属組織、地位や役職
エルアー伯爵領・領主。伯爵。
・物語内での具体的な行動や成果
ディアスを建国王の再来と誤認し、王都での根回し役として臣従を申し出た。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
悪意を捨て、ディアスの強力な協力者となった。
アールビー子爵領
アールビー子爵
短慮で直情的な性格であり、ディアスを敵視する。
・所属組織、地位や役職
アールビー子爵領・領主。子爵。
・物語内での具体的な行動や成果
ディアスを失脚させようと目論んだが、関所で恐怖を感じて逃走した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
その他・モンスター
アースドラゴン
広範囲に出現したモンスターである。
・所属組織、地位や役職
モンスター。
・物語内での具体的な行動や成果
王国北部や獣王国周辺に出現し、ディアス達によって二体討伐された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
討伐成果が王国全体の経済を潤す要因となった。
メーアモドキ
不思議な力を持つ謎の存在である。
・所属組織、地位や役職
謎の存在。
・物語内での具体的な行動や成果
ヒューバートの前に現れ、ディアスの働きを評価して朧雪草の存在を教えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
大きなトカゲ
荒野を守る存在の使いである。
・所属組織、地位や役職
謎の存在。
・物語内での具体的な行動や成果
荒野でセナイ達の前に現れ、川を引くべき場所を教えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
狼
北の山地に生息する獣である。
・所属組織、地位や役職
野生動物。
・物語内での具体的な行動や成果
黒ギーの存在を恐れて草原に近寄らない可能性が示唆された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記載なし。
展開まとめ
獣王国との交渉
ディアスのもとへ、獣王国からの使者であるヤテンが訪れた。迎賓館では国境管理や鉱山開発に関する交渉が行われ、メーアバダル領と獣王国との関係はさらに深まっていった。
国境に関所を設ける案が話し合われる中、ナルバントが鉱山開発や溶鉱炉建設、さらには街道整備まで自分達が担うと名乗りを上げる。ディアスはその提案を受け入れ、本格的な開発計画が始動することになった。
酒造りと洞人族の増援
ナルバント一族を呼び寄せるため、イルク村では本格的に酒造りが解禁された。その過程で、ディアスが酒を苦手としている理由も明らかになり、周囲は驚かされることになる。
酒造りが軌道に乗ると、広場でナルバント一族を呼び出す儀式が行われた。地面の中から洞人族達が現れるという予想外の光景に、エイマ達は大いに驚かされる。しかし洞人族達は現れた直後から凄まじい働きぶりを見せ、村の開発を一気に進めていった。
養蜂場の完成
セナイとアイハンは、新たな養蜂施設を完成させた。その施設によって純度の高い蜂蜜を安定して生産できるようになり、イルク村に新たな特産品が加わることとなった。
蜂蜜は食料だけでなく、酒造りにも役立つ重要な資源となり、村の発展をさらに後押ししていく。
新たな来訪者達
東からはスーリオに加え、同じ獅子人族の若者であるリオードとクレヴェが訪れ、イルク村へ住むことになった。
一方、西からはペイジン商会の長であるオクタドが来訪する。ディアスはオクタドと友誼を結び、商業面でも新たな繋がりを得ることになった。
外交や交易の繋がりが広がることで、イルク村はさらに多くの人々が集う地へと変化していく。
アースドラゴン討伐
王国北部や獣王国周辺で、複数のアースドラゴンが出現する可能性が高いとの情報がもたらされた。ディアスは周辺勢力へ情報を共有しつつ、領民達と協力して迎撃体制を整える。
そして実際に現れた二体のアースドラゴンに対し、ディアス達は総力を挙げて戦い、見事討伐に成功した。
多くの仲間達に支えられながら、ディアスは領主として外交と防衛の両方を成し遂げていくのだった。
西へと延びる街道をゆっくりと歩きながらヒューバート
ヒューバートによる街道視察
アースドラゴン討伐を祝う宴から数日後、ヒューバートは完成したばかりの西街道を視察していた。東側の街道は本敷設を控え、西側の関所方面も短期間で半分近くが完成しており、その進捗確認や各施設の記録整理が彼の役目となっていた。
ディアスや洞人族達は仕事そのものは真面目に行う一方、細かな記録を後回しにしがちであり、その不足を補うことがヒューバートの重要な役割となっていた。
メーアモドキとの遭遇
視察中、ヒューバート達の前にメーアモドキが姿を現した。メーアによく似た存在は、ディアス達の働きを評価した上で、北と南、それにイルク村周辺をよく観察するよう言い残して姿を消した。
その言葉に従って草原を調べたヒューバートは、白い花のような草が群生している場所を発見する。エゼルバルド達はその草へ夢中で食いつき、人々も食べてみると強い香りと独特の美味しさを持つ草であることが分かった。
ヒューバートは、この草こそ今回の褒美なのではないかと考え始める。
朧雪草の正体
ディアスが鬼人族の村で調査した結果、その草は腹痛草や肺咳草、赤痢草とも呼ばれる特別な薬草であることが判明した。
薬効は極めて高く、腹痛や咳、赤痢などに効くだけでなく、燻製や虫除け、家畜の健康維持にも役立つという。特に家畜に与えると健康状態や肉質、乳の味まで大きく改善される草だった。
モールはその草を古い言葉で「リンツガートル」、あるいは「朧雪草」と呼び、かつて草原一帯に自生していたものが絶滅したと思われていたと語る。鬼人族達にとっては、失われた豊かな時代を象徴する存在だったのである。
鬼人族達の願い
朧雪草の復活によって、鬼人族達は再びヤギや白ギーなど、かつて飼育していた家畜を増やせる可能性を得た。
モールは、この草があることで食卓が豊かになり、子供達は強く育ち、大人達も長生きできるようになると語った。絶滅したと思われていた草の復活は、鬼人族達にとって悲願そのものだったのである。
ディアスはゴルディアを通じてヤギやガチョウなどを手配することを約束し、鬼人族の生活はさらに発展していく兆しを見せ始める。
メーアと鬼人族の関係
ディアスは以前から気になっていた疑問として、鬼人族がメーアの肉を食べることがあるのかをモールへ尋ねた。
モールは、基本的に鬼人族はメーアを食料として扱わず、「メーア食い」という言葉は最大級の侮辱であると説明する。しかし、寿命や病で死んだメーアが自ら望み、飼い主が受け入れた場合のみ、その肉を家族として食べることがあるのだという。
それはメーアが家族と一つになりたいと願った結果であり、鬼人族達にとって非常に尊い行為とされていた。
ゴルディアの酒場構想
イルク村へ戻ったディアスは、街道沿いで縄張りを行うゴルディアと出会う。ゴルディアは酒場兼宿屋を建設する計画を進めていた。
彼は酒場について、単なる飲食の場ではなく、人々の交流や仕事の仲介、喧嘩の仲裁、病人への対応などを担う公共施設であると説明する。地方では役所の代わりとして機能することも多く、領地運営に欠かせない存在だった。
ディアスはその説明に納得し、酒場建設を正式に認めることになる。
神殿建設の提案
酒場によって人々が集まり賑わう一方で、ディアスは人々の心を引き締める場も必要だと考え、ベンへ神殿建設について相談する。
ベンは、新道派との対立を避けるため静観していたが、そろそろ頃合いだと判断し、神殿建設を受け入れた。そして、自分が信頼する旧道派の人物を呼び寄せたいと申し出る。
さらにヒューバートも、礼儀作法や外交儀礼に詳しい元王城勤めの女性を招きたいと提案し、メーアバダル領は統治体制の強化へ向けて新たな人材を迎えようとしていく。
ベンの聖地巡礼
その後、ヒューバートはベンと二人きりになった際、神殿建設について不安を口にする。
しかしベンは、自分は聖地巡礼に失敗したとは一度も言っていないと静かに語った。
その言葉にヒューバートは戦慄する。建国王と聖人ディアが辿り着いたとされる伝説の聖地へ、本当にベンが到達した可能性を感じ取ったからである。
だがベンはそれ以上を語らず、ヒューバートもまた、その真実を無理に問いただすことはしなかった。
暗闇の男
一方その頃、暗闇の中では黒い何かを手にした男が、自らの進むべき道について思案していた。
男は未だ行動を起こしてはいなかったが、自らこそ正統へ続く道を歩んでいると確信しながら、次なる一手を考え続けていた。
竈場へと向かいながら ディアス
アルナーが語る鬼人族の価値観
ディアスが竈場を訪れると、アルナーがスーリオ達へ料理と共に鬼人族の価値観を教えていた。
アルナーは、人間も亜人も自然の一部に過ぎず、奪う側である以上、自分達だけが特別だと思い上がってはならないと説く。必要以上の略奪は自然からの報いとなって返ってくるため、狩りを行う者は命との向き合い方を問い続けなければならないのだという。
そして自ら鳥を捌きながら、奪った命を出来るだけ美味しく料理して余さず食べることこそ、自分なりの感謝と敬意であると語った。
スーリオ達はその迫力に圧倒されながらも、真剣な態度で教えを受け止めていた。
領主としての暇な時間
翌朝、ディアスは広場で朝食を取りながら、自分の役割について考えていた。
犬人族や洞人族達がよく働くようになった結果、以前は自分が担っていた雑務や力仕事が減り、空き時間が増えていたのである。
そこでディアスは、白い草を食い荒らされないよう黒ギー狩りへ向かうことを決める。
ナルバントの工程管理
出発前、ナルバントが建設日程表を持って現れた。
そこには街道、関所、鉱山、酒場、神殿など複数の工事工程が同時進行で組まれており、乾燥待ちや資材待ちの時間を利用して別工事へ人員を回す仕組みになっていた。
ナルバントは、建築には必ず待ち時間が発生するため、一箇所を終えてから次へ進むより効率的なのだと説明する。ディアスは、自分一人では到底管理できない内容だと理解し、今後もナルバントに頼ることを決める。
黒ギーと草原の均衡
ディアスが黒ギー狩りへ向かおうとすると、ナルバントは狩りすぎないよう忠告した。
白い草は神々からの贈り物であり、黒ギーにもそれを食べる権利があるはずだという。さらに黒ギーがいることで北の狼達が近寄らなくなっている可能性もあり、黒ギーにも草原の一員としての役割があるのだと語った。
その言葉を受けたディアスは、必要以上の狩りは避けようと考える。
群生地の見回り
ディアスは犬人族二人を伴い、白い草の群生地を巡回した。
イルク村近くではメーア達が草を食み、北側では馬やロバ、白ギー達が領地境界を守るように行動していた。
南側では黒ギーの群れと遭遇するが、よく見ると多くが子育て中の雌であり、小さな子供達を守るようにしていた。
それを見たディアスは狩りを断念し、静かにその場を離れることにした。
迎賓館の警備
その後ディアスは迎賓館を訪れ、警備にあたる若い犬人族達を労った。
迎賓館には高価な家具などが残されており、隣領から街道工事の人々が来ることもあって、昼夜問わず警備が続けられていた。
この仕事は新人の領兵達に任されており、責任感や連携を学ばせる訓練も兼ねていた。
警備中の犬人族の一人は、すでに結婚して子供も生まれる予定だと語る。犬人族は成人すれば結婚し、余裕があれば子供を作るのが自然なのだという。
その話を聞いたディアスは、将来的な人口増加と食料問題について改めて考え始める。
荒野開拓構想
ディアスは、今後さらに人口が増えれば食料不足になると考え、南の荒野について思案する。
ヒューバートは荒野のさらに南に海が存在する可能性を考えており、もし港を築ければ交易によって大きな利益と食料を得られると語っていた。
しかし荒野を越えるには水や草地の整備が必要であり、多大な時間と労力がかかる。それでも未来への投資として挑戦する価値はあると考えられていた。
セナイとアイハンの提案
荒野開拓について相談した結果、セナイとアイハンは乾燥に強い雑草を少しずつ植えていく案を提案した。
魔力と葉肥石を使いながら少しずつ草を根付かせれば、土が柔らかくなり、虫や植物が増え、やがて荒野そのものが変わっていくという。
結果が出るまで数年かかる可能性もあったが、大きな負担なく始められることから、その計画は正式に採用される。
草原での穏やかな日々
翌日、ディアス達は馬に乗り、サーヒィの案内で荒野へ向かった。
セナイ達は仕事というより遠出を楽しんでいる様子で、広大な空と草原の風景を満喫していた。
アルナーは、鬼人族が馬を愛する理由として、馬が人に広い世界を見せてくれる存在だからだと語る。
こうしてディアス達は、街道や関所、酒場や神殿建設が落ち着くまでの間、荒野開拓と穏やかな日々を繰り返していくことになる。
東隣領の領主達
一方、戦後復興の奉仕活動を終えたエルアー伯爵とアールビー子爵は、それぞれの領地へ帰還していた。
二人は出兵拒否の罰として長期間復興作業を強いられていたが、ようやく自由を取り戻し、久々の社交や宴を楽しんでいた。
しかし彼らは復興地でサーシュス公から嫌がらせを受け続けており、その恨みを募らせていた。
そんな中、ディアスが公爵になったという情報が二人の耳へ届く。
エルアー伯爵は、貴族社会を知らない新参の公爵と友好関係を築けば利益になると考えた。一方アールビー子爵は、平民上がりの公爵など認められないと激怒し、失脚させる機会を狙い始める。
こうしてマーハティ領東隣の二領は、それぞれ全く異なる形でディアスへ関わろうと動き出していくのだった。
よく晴れた日に小川の側で――ディアス
雨上がりの大洗濯
三日続いた雨が終わった朝、アルナーの提案によって洞人族以外の全員で大規模な洗濯を行うことになった。
雨の間は十分に乾燥させることが出来ず、服には臭いやカビが発生してしまうため、溜まっていた洗濯物を一気に片付ける必要があったのである。
洗濯場には大量の洗濯桶や洗濯板に加え、煮洗い用の大鍋まで用意されていた。アルナーは、臭いや汚れの酷い衣類を石鹸や薬草と共に煮込むことで、白さや清潔さを取り戻せるのだと説明する。
ディアスは火付け杖を使えることから煮洗い担当となり、汗だくになりながら洗濯物を煮込み続けた。
洗濯場建設の発案
作業中、ディアスが洗濯専用の場所を作っても良いのではないかと呟くと、アルナーと洞人族のオーミュンが大きく反応した。
雨の日でも洗濯出来る屋根付きの洗濯場を作り、桶や洗濯板も改良すれば日々の負担を減らせると盛り上がる。
さらにサナトは、小川の増水や地盤まで考慮し始め、洗濯場だけでなく土手整備まで含めた大規模な設計を考え始めていた。
ディアスは、仕事が終わったばかりなのに新しい建築構想へ夢中になる洞人族達を苦笑しながら見守るのだった。
酒場の完成と酒宴
その日の昼過ぎ、ついに酒場が完成した。
ゴルディア主催で盛大な酒宴が開かれ、洞人族達やアルナー達が一斉に酒場へ雪崩れ込む。
酒場は木造平屋建てで、風を取り込む天窓や地下貯蔵庫、調理場まで備えた本格的な造りとなっていた。
フランシスとフランソワは舞台へ上がり、歌うような鳴き声で宴を盛り上げる。
洞人族達は酒を飲みながら街道や神殿、洗濯場の話題で熱く語り合い、酒場は単なる飲食の場ではなく、仕事や発想を共有する場として機能していた。
アルナーもまた、自分で料理せずに他人の料理を楽しめる状況を心から満喫していた。
新たな家庭教師の来訪
その頃、王都から一人の女性がマーハティ領へ向かっていた。
琥珀色の眼鏡をかけた五十歳前後のその女性は、厳格で隙のない雰囲気を纏いながらも、内心では大きな期待に胸を躍らせていた。
彼女は、ディアスから社交マナー教師として破格の条件で招かれており、公爵家に相応しい礼儀作法を教える使命を強く感じていた。
表面上は冷静さを崩さないまま、彼女はディアス達を立派な貴族へ育て上げようと決意を固めていた。
エルアー伯爵の思惑
エルアー伯爵は、ディアスについて集めた報告書を読み込みながら考え込んでいた。
ディアスが莫大な金を使いながらも家畜しか購入していないことから、農民的な価値観を未だ強く持っているのではないかと推測する。
さらに荒野開拓へ興味を示しているとの情報を得ると、自領に存在する乾燥地向けの家畜を贈り物にしようと考え始めた。
エルアーは、ディアスとの友好関係を築き、西方商圏復活への足掛かりにしようとしていたのである。
アールビー子爵の敵意
一方アールビー子爵は、ディアスの弱みを探るため多額の金を使って調査を続けていた。
しかし違法行為や醜聞は全く見つからず、その事実に苛立ちを募らせていく。
平民出身の成り上がりが、公爵という高位に就きながら問題を起こしていないはずがないと考え、さらなる調査と揺さぶりを決意する。
アールビーは、ディアスを失脚させることで自らの名誉を高めようと執念を燃やしていた。
ゴルディアとセナイ達の日常
酒場では、昼食後の静かな時間にセナイ達がミルクを飲みに訪れていた。
白ギーのミルクに蜂蜜を混ぜた飲み物は、セナイ達のお気に入りになっていた。
ゴルディアは彼女達の雑談へ耳を傾けながら、荒野開拓やガチョウの増加についての話を聞く。
セナイ達にとって動物達は可愛い存在であると同時に食料でもあり、その価値観は狩猟民族らしいものだった。
その後ゴルディアは、静かな酒場で帳簿仕事を進めていく。
荒野調査と喋るトカゲ
セナイ達は、荒野へ川を引くための調査を続けていた。
乾燥に強い植物を植えつつ、土壌や風、魔力の流れを観察する中で、エイマは荒野に生き物がほとんど存在しない異常性へ気付く。
その直後、大きなトカゲが姿を現し、只人の使いかと問いかけてきた。
セナイ達がディアスのために来ていると認めると、トカゲは荒野が何者かによって守られていたこと、そして川を引くべき場所まで教える。
その存在は、かつて草原で遭遇したメーアモドキ達に近いものだと考えられた。
セナイ達は確信を得たまま、急いでイルク村へ帰還する。
裁判の練習とエイマの提案
帰還後、ディアスはシェップ氏族達と裁判の練習を行っていた。
罪人役と被害者役を用意し、討論によって判決を下す訓練だったが、エイマはそこへ疑問を呈する。
イルク村には魂鑑定魔法が存在する以上、王国式の裁判をそのまま真似る必要はなく、真偽確認は簡単に終わるはずだという。
さらにエイマは、鬼人族を数名領内へ迎え入れ、関所や治安維持へ協力してもらう案を提案した。
魂鑑定と生命感知を使える鬼人族が常駐すれば、犯罪抑止に大きく役立つと考えたのである。
ディアスもその案に賛同し、鬼人族との正式な話し合いを進めることを決める。
シェップ氏族達もその決定を喜び、村中へ知らせるため元気に駆け出していくのだった。
数日後、馬にまたがり草原を駆けながらディアス
鬼人族との交流拡大
鬼人族を領民として迎え入れる計画は、イルク村と鬼人族双方の賛同を得て進められることになった。
まずは結婚話を中心に関係を深める方針となり、その準備として鬼人族の若者達を雇用し、関所やイルク村で警備を担当してもらうことになった。報酬にはメーア布や金貨、食料などが用意され、アルナーとベンがその取りまとめを担うこととなる。
ディアスは、アルナーの家族とも交流を深められることを楽しみにしていた。
西側関所の視察
ディアスは完成途中の西側関所を確認するため、ベイヤースに騎乗して現地へ向かった。
街道は広く真っ直ぐに整備されており、ベイヤースも走りやすそうにしていた。到着した関所は巨大な防壁のような構造となっており、特に獣人国側の壁は圧倒的な厚さと長さを誇っていた。
その規模にディアスは完成まで数十年はかかるのではないかと驚愕する。
さらに洞人族達は、巨大な石材を人力で運び、削り、投げて積み上げるという豪快な方法で工事を進めていた。石同士を噛み合わせ、その自重で支える構造であると説明され、ディアスは洞人族の技術力へ改めて感心するのだった。
神殿建設とメーア達
関所視察後、ディアスは建設中の神殿を訪れた。
神殿の場所はメーア達自身が選んだものであり、近くには特別美味しい白い草の群生地が存在していた。メーア達はその草原を守るため、神殿建設を望んでいたのである。
丘ではフランシス達が満腹のまま眠っており、ディアスが近付くと警戒しながらも安心した様子で駆け寄ってくる。
神殿は石造りで整然とした構造となっており、入り口には凛々しいメーア像が据えられていた。内部は未完成ながら、将来的には学び舎や写本所なども増築予定となっていた。
そこへベンが突然現れ、ディアス達を驚かせるのだった。
オリアナの到着と市場の混沌
王都から派遣されたオリアナ・ダレルは、ついにマーハティ領へ到着した。
市場は獣人達や露店で溢れ返り、香辛料の香りや騒がしさに満ちた混沌とした空間となっていた。オリアナは圧倒されながらも歩き続け、静かな一角で写本を売る神官フェンディアと出会う。
フェンディアもまたメーアバダル領へ向かう途中であり、旅費不足から写本を売っていた。事情を聞いたオリアナは、自分と同じ目的地であることを察し、同行を提案する。
二人は意気投合し、共に旅を続けることになった。
マーハティ領での騒動
役所へ向かったオリアナ達は、そこで辺境貴族達による騒動を目撃する。
獣人職員の存在を受け入れられない貴族達が騒ぎを起こしており、オリアナは辺境貴族達の粗暴さへ驚きを覚える。
その後、役所の代官との面会を経て、オリアナ達には豪華な馬車と護衛が用意され、メーアバダル領への旅が始まった。
護衛達は丁寧かつ親切であり、道中では芸術の館や番所など、マーハティ領独自の施設について説明してくれる。
オリアナは、その発想にかつて王宮にいたある男の面影を重ねながらも、これから会うディアスへの不安を募らせていた。
ヤギ販売会と鬼人族のお見合い
鬼人族の村では、大量のヤギを伴った販売会が開かれていた。
ヤギは群れごと購入しなければ病気になるため、大規模な移送となったのである。
その場ではジョー達と鬼人族女性達のお見合いも進められていた。鬼人族側は男達の働きぶりや財産、馬の扱いなどを重視しており、ジョー達は乗馬の腕前を試されることになる。
鬼人族女性達は馬上から矢を放ちながら逃げ、それをジョー達が追いかけるという激しい形のお見合いとなった。
当初ジョー達は苦戦していたが、戦場で培った連携を無意識に発揮し始め、狼の群れのような動きで女性達を追い詰めていく。
その姿に女性達は恐れるどころか好感を深め、モール達も満足そうに頷いていた。
ヒューバートの分析
少し離れた場所では、ヒューバートがその光景を観察していた。
彼はジョー達の規律正しさや誠実さに感心し、ディアスが長年に渡り厳格な選別を続けた結果、精鋭だけが残ったのだろうと考察する。
さらに今後は家族を持つ兵士達への待遇改善や、街道開通による通商拡大を進める必要があると考え始める。
その最中、ヒューバートは撫でていたメーアに物流の講義を求められ、真面目に説明を始めるのだった。
鬼人族女性達のイルク村見学
お見合い後、鬼人族女性達はイルク村を見学することになった。
関所や街道、神殿にも好意的な反応を見せていたが、特に彼女達が歓喜したのは洗濯場と竈場だった。
冬でも暖を取りながら洗濯や煮洗いが出来る設備に感動し、その場の勢いで結婚を決めかける者まで現れる。
さらにガチョウや白ギー、ロバ、そして今後増える予定のヤギまで紹介されると、女性達は肉やチーズの話で大盛り上がりとなった。
一方ジョー達は、元気過ぎる女性達の勢いに圧倒され、複雑な表情を浮かべていた。
エルダンによる歓待
マーハティ領を進むオリアナ達は、途中でマーハティ公エルダン本人から歓待を受けることになった。
オリアナは王都の情報提供を求められる覚悟をしていたが、エルダンはそのような要求を一切せず、ただ純粋に旅の疲れを癒やすための歓待を続けた。
しかも他の辺境貴族達を冷遇しながら、自分達だけを厚遇していることにオリアナは困惑する。
理由も意図も分からぬまま、オリアナは豪華過ぎる歓待を受け続けることになるのだった。
イルク村の広場で ディアス
鬼人族女性達の移住準備
ジョーとロルカ、さらに五人の領兵達が婚約したことで、イルク村では新たなユルトの建設が始まった。
婚約した鬼人族女性達は、正式な結納前にもかかわらず、仕事があるならと前向きに移住を決めていた。彼女達は関所で魂鑑定魔法を用いた来訪者確認の役目を担う予定となっており、報酬も支払われることになっていた。
ただし魂鑑定魔法は万能ではなく、魔力や対抗手段によって防がれる可能性もあるため、犬人族の嗅覚やクラウスの人物眼と併用する方針が取られる。
領主としての責務への自覚
ディアスは、魂鑑定で悪意や虚偽を見抜いた場合、どこまで罰するべきか悩み、アルナーやベン、エイマ、ヒューバート達を集めて相談を行った。
ヒューバートは、判例集を参考にしつつ、今後到着予定のダレル夫人の知識を借りるべきだと提案する。そして最終的には、公爵であるディアス自身が決断を下すしかない場合もあると語った。
領主は必要であれば武力や権力を用いてでも秩序を守らねばならない。その覚悟こそが貴族の義務であると説明され、ディアスはその責任の重さに言葉を失う。
しかし過去に自ら語った「苦しい判断だけ他人任せにはしたくない」という言葉を思い出し、皆を守るために覚悟を決めるのだった。
氷販売による大成功
その後、ディアスは倉庫近くで悩み込むエリー達を見つける。
彼女達はヤギの名付けではなく、想像以上の利益を生んだ氷販売の売上金に驚いていた。エリー達は隣領の市場で、氷で冷やした果実水を販売した結果、大成功を収めていたのである。
高額設定にもかかわらず人気は急上昇し、大量の金貨と銀貨が集まった。
さらにセキ達は、冷却技術を利用した肉や魚の輸送販売という新たな商機にも気付き始めていた。
ディアスは、来年以降はさらに多くの氷を用意出来ることを知り、その可能性へ驚きを隠せなかった。
獣人国出身者と隣領獣人達の対面
そこへモントが、スーリオ、リオード、クレヴェを連れて現れる。
獣人国出身のセキ達と、王国側で暮らしてきたスーリオ達は、互いをどう扱えば良いか分からず、ぎこちない空気を作り出していた。
ディアスは、両者が離れ離れになっていた同族同士のような関係なのだろうと考える。
エリーは、いずれ獣人国と王国側獣人達の交流が本格化すれば、人や物の往来が増え、それに伴う管理や治安維持も必要になると説明した。
関所運営、人員確保、交易管理など、メーアバダル領にはまだ多くの課題が残されているのである。
交流の始まり
セキ達とスーリオ達は、ディアス達の会話を聞いた結果、自分達の交流も急がず段階的に進めようと考えるようになった。
しかしエリーはそれを許さず、両者に共同行動を命じる。
一緒に鍛錬や勉強を行い、食事を共にし、互いを理解し合うよう促したのである。
セキ達は渋々ながらもそれを受け入れ、スーリオ達へ丁寧に挨拶を行う。
そうして獣人国出身者と王国側獣人達による、新たな交流が始まっていくのだった。
馬にまたがり街道を進みながら
街道と休憩所の視察
ディアスは、東西を繋ぐ街道が外部の人々に利用される未来を見据え、問題点を確認するため視察を行った。
同行したのはアルナー、セナイ、アイハンであり、家族での遠乗りも兼ねた旅となっていた。
街道沿いの休憩所には石製の椅子やテーブル、井戸や厠、簡素な厩舎などが整備されていた。盗難や破損を想定した実用的な造りになっており、アルナー達は馬用水場の掃除やゴミ捨て場設置、休憩所への番号付けなどの改善案を提案する。
ディアスは、彼女達の成長を感じながら意見を書き留めていった。
西側迎賓館と冷水文化
西側迎賓館では、見張りの犬人族達が地下倉庫で冷やした水を陶器のコップで楽しんでいた。
ハチミツや薬草を加えた冷水も流行しており、地下倉庫と不思議な水瓶が、夏場の生活を大きく改善していた。
ディアスは、領民達がそれぞれ工夫しながら快適に暮らしている様子を見て、その恩恵の大きさを実感する。
森の街道整備と植林計画
東側へ進んだディアス達は、森の街道沿いに薬草が植えられていることを知る。
セナイとアイハンは、虫除け効果を狙って薬草を植えたと説明し、さらに伐採した木の代わりに新たな木を植える計画も進めていた。
食料や木材資源の確保も兼ねた長期的な構想に、ディアスは感心する。
東側関所での来客
改築中の東側関所へ到着すると、クラウス達が来客対応をしていることが判明する。
やってきたのは、礼儀作法教師オリアナ・ダレル、フェンディア、そして神官兵であるパトリック達四人だった。
一方その頃、馬車内のオリアナは、犬人族達を見て獣人への認識を改めていた。
王国東部で教えられてきた獣人像とは異なり、彼らは知性と理性を持った存在だったのである。
神官兵達の来歴
パトリック達は新道派へ反発していた敬虔な神官兵達であり、フェンディアの旅へ同行していた。
彼らは神殿を守る本来の在り方を重視しており、新道派による暴力的運用を嫌っていた。
しかし性格は真面目すぎるほど単純であり、犬人族を動物と勘違いして肉の話をしたことで、犬人族達から強く警戒されてしまう。
その後、鬼人族女性達による魂鑑定で全員が「青」と判定され、敵意がないことが証明された。
さらにパトリック達は全力で謝罪し、犬人族達も戸惑いながら許すのだった。
オリアナによる礼儀作法教育
オリアナは、ディアス達へ礼儀作法教育を行う必要性を説明した。
マーハティ公エルダンから、悪意を持つ貴族達が将来的にメーアバダル領へやってくる可能性が伝えられていたのである。
オリアナは、礼儀作法や振る舞いは、相手を威圧し、味方を惹きつける武器になると語った。
ディアスは完全には理解出来なかったものの、余計な争いを防げるなら学ぶ価値があると判断し、授業を受けることを決める。
オリアナから見たディアス
翌朝、オリアナは犬人族達をブラッシングしながら、ディアスの鍛錬風景を観察した。
ディアスは、戦場経験によって自然と指揮官らしい立ち居振る舞いを身につけていた。
さらに早朝から激しい鍛錬を続け、その後も休みなく働く姿を見たオリアナは、ディアスには一般的な貴族作法よりも、「王者としての作法」が相応しいと考えるようになる。
礼儀作法の授業開始
礼儀作法の授業では、立ち方、歩き方、目線、座り方など、根本的な所作から教え込まれた。
ダレル夫人の指導は的確で分かりやすく、ディアス達は集中して学んでいく。
さらに午後には、アルナーやセナイ達への貴族作法教育も始まった。
ダレル夫人は、礼儀作法は領民を守るために必要な武器であり、貴族社会で生き抜くために不可欠だと説明する。
貴族法と悪意ある貴族達
ダレル夫人は、貴族法を利用して成り上がり貴族を追い落とそうとする悪徳貴族達の存在について語った。
礼儀作法や常識を知らなければ、乱心や失格を理由に実権を奪われる危険があるのである。
ディアスとアルナーは、悪意を持って奪いに来るなら殴って追い返すと即答するが、ダレル夫人は頭を抱えつつも、まずは争いを起こさず相手を制する方法を学ぶべきだと説いた。
そして数日後、ダレル夫人の予言通り、問題を抱えた貴族達が東側関所へ現れることになるのだった。
身支度を整えて関所へ向かい
貴族対応の準備
ディアスは、礼儀作法だけでなく、会話に必要な教養や最新の情勢知識、さらに貴族に相応しい服装まで求められることを知った。
しかし衣装については、以前サーシュス公爵と会った際に着用したアートワー商会製の貴族服や、洞人族達が作り上げた金鎧が既に高く評価されており、ダレル夫人からも問題ないと判断される。
特に鎧は、武功貴族であるディアスには相応しい正装とされ、敵意を持つ貴族達への威圧にも適していると助言された。
一方で戦斧の携行は敵対宣言と受け取られかねないため却下され、代わりに貴族の流行である火付け杖を布で包み、必要時のみ見せるよう指示される。
隣領貴族達の情報
ダレル夫人は、来訪予定のエルアー伯爵とアールビー子爵について説明した。
エルアー伯爵は、友好的な態度を取りながら他者を操ろうとする狡猾な人物であり、アールビー子爵は短慮で攻撃的な性格をしていた。
本来なら相性の悪い二人だったが、道中で意気投合し、共同でメーアバダル領へ乗り込んできたのである。
その報告を受けたディアスは、鎧と剣を装備し、火付け杖を携えて森の関所へ向かった。
同行したのはダレル夫人、ヒューバート、フェンディア、ベン達であり、アルナーやサーヒィ達も周囲で警戒に当たっていた。
関所での対面
関所へ現れたディアスを見たエルアー伯爵とアールビー子爵は、大きく動揺した。
堂々とした佇まい、精巧な金鎧、そして訓練されたベイヤースの姿が、彼らの想定を超えていたのである。
ディアスは、ダレル夫人に教わった通り、落ち着いた態度で名乗りと挨拶を行った。
すると二人は態度を一変させ、友好的な笑みを浮かべながら贈り物を差し出してくる。
エルアー伯爵はラクダ三頭を、アールビー子爵は宝石類を献上した。
その返礼としてディアス側は、メーア布と岩塩を贈る。
サーシュス公爵やマーハティ公爵も認めた名産品だと知った伯爵達は、表面上は大喜びを見せた。
しかし関所の見張り櫓では、アルナー達が魂鑑定を行っており、犬人族達が合図によって真偽を伝えていた。
その結果、伯爵達の言葉の大半が嘘であり、悪意に満ちていることが判明していた。
嘘を見抜くディアス
エルアー伯爵達は、世間話や王都情勢を語りながらディアスの本心を探ろうとしていた。
しかし魂鑑定の結果を知っているディアスは、次第にその虚偽に辟易していく。
やがてエルダンの悪口まで語り始めた伯爵に対し、ディアスは思わず、それは嘘だなと口にしてしまった。
さらに次々と飛び出す虚言に対し、それも嘘、これは本当だ、と淡々と反応し続ける。
するとエルアー伯爵とアールビー子爵は、顔面蒼白となって震え始めた。
彼らは、ディアスが建国王と同じく心を読む力を持っていると誤解したのである。
建国王伝説への恐怖
さらに風によって火付け杖を覆っていた布がめくれ上がり、杖の全貌が露わになる。
伯爵達は、それを建国王の神器「王笏」だと誤認した。
彼らは、建国王伝説に語られる「心を読む力」「神器を操る力」がディアスに宿っていると確信し始める。
その直後、ダレル夫人の合図を受けたディアスが火付け杖を天へ掲げると、凄まじい炎が空へ噴き上がった。
それを見た二人は完全に恐怖し、一人は臣従を、一人は逃走を決意する。
アールビー子爵の撤退
先に動いたのはアールビー子爵だった。
同行者の体調不良を理由に、挨拶だけ済ませて撤退したいと申し出る。
その言葉は嘘だったが、ディアスが沈黙したことで了承と受け取られ、子爵一行は逃げるように関所を後にした。
エルアー伯爵の変化
一方のエルアー伯爵は、態度を完全に変えていた。
魂鑑定でも悪意が消え、鮮やかな青へ変化していたのである。
エイマは、急激な心変わりには警戒が必要だとしつつも、ラクダの存在や砂漠知識を考慮し、友好的関係を築く価値はあると助言した。
その後ディアスは、エルアー伯爵を関所へ招き、休憩しながら対話を行う。
伯爵は、ディアスの理想や政治観、王位への興味などを質問し続けた。
ディアスは、村や領地を発展させ、人々の生活を豊かにしたいだけであり、王位やさらなる出世には興味がないと率直に語る。
その返答を聞いた伯爵は、ディアスが危険な野心家ではないと確信した。
エルアー伯爵の臣従
エルアー伯爵は、自ら王都で根回し役を務めたいと申し出る。
王都の貴族達へディアスの人柄を伝え、誤解を防ぎ、味方を増やしたいというのである。
彼は、自身は軍事的には無能だが、社交と根回しに関しては一流だと自負していた。
ディアスは即答を避け、皆と相談して返事をすると答えた。
その後、ベン達が伯爵と別途会話を行い、ディアスはサーヒィ達と交流する。
エルアー伯爵の確信
帰路の馬車で、エルアー伯爵は従者へ本心を語った。
彼はディアスを建国王の再来だと確信していた。
獣人や鳥人族を従え、神器を操り、人々から慕われるディアスに従えば必ず勝てると信じたのである。
さらに伯爵家には獣人の血が混じっている秘密があり、新道派から排斥される危険を抱えていた。
だからこそ、旧道派であり獣人にも寛容なディアスへ強く惹かれていたのである。
ダレル夫人の策略
関所では、ヒューバートがあそこまで見せて良かったのかと不安を漏らしていた。
しかしダレル夫人は、ディアスが既に公爵であり、多少の噂程度では揺らがない立場だと説明する。
むしろ接触してきた貴族達へディアスの人柄を示す良い機会であり、人材確保にも繋がると考えていた。
武力偏重だったメーアバダル領に、社交と政治の基盤を整えることこそが、彼女の狙いだったのである。
王都の不穏な空気
数週間後、王都では第一王子リチャードによる改革によって景気が改善していた。
しかし領地を失った旧貴族達の不満は蓄積しており、ナリウスは、いずれ反発が噴き出す危険性を危惧していた。
その一方で、ギルド側も西方へ力を入れ始めており、王都では新たな動乱の気配が静かに広がっていくのだった。
書き下ろし 貴人の風儀
ダレル夫人の授業
ある日、薪運びを終えて竈場へ向かったディアスは、婦人会の集まる休憩所からダレル夫人の授業の声を耳にした。
その日はセナイとアイハンへ向けて、過去の貴族令嬢達が巻き込まれた貴族社会の陰謀や、その対処法を教える授業が行われていた。
犬人族や鷹人族の女性達、鬼人族や年配の女性達までが集まり、茶や菓子を楽しみながら熱心に耳を傾けていた。
セナイとアイハンは必死に内容を書き取り、エイマが誤字脱字を確認していた。
ダレル夫人からの問い
力仕事を終えたディアスは、ダレル夫人に呼び止められる。
セナイ達へ出している課題について、ディアスならどう答えるのか知りたいというのである。
その問いは、王城の有力者から冤罪をかけられた場合、どう解決するのが正しいかという内容だった。
ディアスはほとんど迷わず、王城へ行って首謀者を殴り飛ばし、白状させれば良いと答える。
陰謀を企む者は、相手が自分達の戦場で戦うことを望んでいるのだから、その思惑を無視して直接叩き潰すのが最も効果的だという考えだった。
さらに、場合によっては首を落とした方が早いかもしれないとまで口にする。
周囲の反応
その答えに、ダレル夫人は以前と同じように頬を引きつらせて黙り込み、セナイとアイハンは感心した様子で声を上げた。
犬人族達はディアスらしいと盛り上がり、婆さん達は大笑いする。
ダレル夫人は慌てて、それはディアスだから可能な特例であり、決して真似してはいけないと訂正を始めた。
しかしディアスは、自分のやり方はジュウハにも急所を突く一撃だと評価されたと説明する。
権力による陰謀への対抗策が難しいように、止められない暴力への対策も困難であり、首謀者を直接叩き潰せば加担者達も一気に離れていくのだという。
エルダンとジュウハの会話
同じ頃、隣領ではエルダンとジュウハも偶然同じ話題を語っていた。
ジュウハは、陰謀というものは資金や根回し、買収など多くの悪事を伴うため、首謀者が突然暴力によって叩き潰されれば、一気に崩壊しかねないと説明する。
さらに貴族社会では、弱った者を助けるより、そこから利益を得ようとする者の方が多いとも語った。
ディアスは利益に執着せず、ただ相手をぶん殴ることだけを目的にするからこそ厄介であり、だからこそ敵対するより味方になった方が良い存在なのだとジュウハは評する。
エルダンもまた、その話を聞きながら、ディアスと敵対した者達へ少しだけ同情するのだった。
ダレル夫人の修正授業
一方竈場では、ダレル夫人が必死に授業を修正していた。
公爵家であれば、王宮裁判など正式な制度を使った解決法が存在しており、セナイ達はそちらを学ぶべきだと説く。
貴族制度を作った建国王自身が貴族間の陰謀を懸念していたため、法律や制度による対策はかなり整備されているらしい。
ディアスが戦争中に陰謀へ巻き込まれたのは、当時平民だったからであり、今の公爵という立場なら状況は全く違うのである。
それでもセナイ達が完全に納得するまでには時間がかかり、ダレル夫人は疲弊しきっていた。
その様子を見たディアスは、給料をもっと増やした方が良いかもしれないと考えながら、相談のためエリーとヒューバートのいる倉庫へ向かうのだった。
特別書き下ろし。セナイとアイハンと フランシス達の遠駆け
セナイとアイハンの待ち時間
ある日のこと、洞人族達が厩舎の側で蹄鉄の交換作業をしている中、セナイとアイハンは木箱に腰掛けながら作業が終わるのを待っていた。
劣化した蹄鉄を新しいものへ交換するため、イルク村の馬達は全て使用できなくなっており、大好きな乗馬を出来ない二人は落ち着かない様子で身を捩らせていた。
洞人族達はすぐ終わると言っていたが、大人の感覚と子供の感覚は違い、セナイ達には待ち時間が長く感じられていたのである。
フランシス達の提案
そこへ六つ子を連れたフランシスとフランソワが現れ、事情を聞いた後、表情と仕草で自分達に乗れば良いと提案してくる。
メーアは本来、人を乗せる体格ではなかったが、小柄なセナイとアイハン程度なら問題なく乗せて走ることが出来た。
大喜びした二人が背に跨ると、フランシス達は元気よく駆け出し、いつもより低い視点から流れる景色にセナイ達は大はしゃぎする。
周囲では護衛の犬人族や六つ子達も一緒に駆け回り、一団全体が楽しげな声を響かせながら草原を走り抜けていった。
白い草の群生地
目的もなく走り続けた一行は、やがて白い草の群生地へ辿り着く。
そこには新参メーア達の群れと護衛の犬人族、さらに世話役のフェンディアやパトリック達がいた。
フェンディアは笑顔でセナイ達へ話しかけ、どんな散歩だったのか聞かせて欲しいと誘う。
セナイ達はフランシス達へ礼を言ってからフェンディアのもとへ駆け寄り、絨毯の上で楽しそうに話し始めた。
フランシス達への気遣い
その一方で、フランシスとフランソワは小さくため息を吐いていた。
セナイ達を乗せて走ること自体は可能だったが、当然負担も大きく、二頭はかなり疲れていたのである。
フェンディアはそのことを察しており、セナイ達を会話へ引き込むことでフランシス達を休ませようとしていた。
さらにパトリック達へ水を用意させるなど、細やかな配慮まで行っていた。
フランシス達はその気遣いを理解し、水を飲みながら静かに休息を取る。
帰路の時間
フェンディアの巧みな話術によって、セナイ達は飽きることなく会話を楽しみ続ける。
やがて日が傾き始め、メーア達の食事とブラッシングも終わり、帰る時間がやって来た。
そこへ犬人族達に連れられたセナイ達の愛馬が駆けてくる。
二人は嬉しそうに名前を呼びながら駆け寄り、愛馬へ跨った。
そしてフランシス達や六つ子達を伴いながら、元気いっぱいの声を響かせてイルク村へ帰っていくのだった。
同シリーズ
領民0人スタートの辺境領主様















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