物語の概要
本作は異世界ファンタジー作品であり、主人公・岩谷尚文が異世界に召喚され、「盾の勇者」として数々の試練に立ち向かう物語である。 
第16巻では、霊亀事件の真犯人・キョウを追って新たな異世界へと飛び込んだ尚文が、転移の途中でラフタリア、フィーロとはぐれ、リーシアと共にレベル1にリセットされた状態で牢獄に囚われる。脱出を試みる中で、四聖勇者を名乗る謎の少女・絆と出会い、彼女が敵か味方かを見極めながら新たな冒険が始まる。
主要キャラクター
• 岩谷尚文:本作の主人公であり、盾の勇者として異世界に召喚された青年。困難な状況でも冷静に対処し、仲間を守る強い意志を持つ。 
• ラフタリア:尚文が最初に迎え入れた亜人の少女であり、剣の使い手として彼を支える。尚文に対して深い信頼と敬愛を抱いている。 
• フィーロ:フィロリアルと呼ばれる鳥型の魔物で、尚文に懐いている。人間の少女の姿にも変身でき、明るく元気な性格である。
• リーシア:元魔法使いの少女で、尚文の仲間として行動を共にする。知識と魔法の力で彼をサポートする。
物語の特徴
本巻では、主人公がレベル1にリセットされた状態から再び成長していく過程が描かれており、シリーズの中でも新たな展開が始まる重要な巻である。また、異世界間の移動や新たなキャラクターの登場により、物語の世界観がさらに広がりを見せている。
書籍情報
盾の勇者の成り上がり 16
著者:アネコユサギ 氏
イラスト: 弥南せいら 氏
出版社:KADOKAWA
発売日:2017年01月25日
ISBN:9784040690513
関連メディア展開:TVアニメ『盾の勇者の成り上がり』は2019年1月に第1期が放送され、2022年4月に第2期、2023年10月に第3期が放送された。
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あらすじ・内容
七星勇者襲来!! 盾を奪われた尚文は!?
七星勇者に会う為フォーブレイを訪れた尚文は、鞭の勇者タクトと対峙する。人を見下した態度をとる彼は、鳳凰戦でアトラが亡くなる原因を作った人物だった。
尚文は怒りのままに戦おうとするが、固有の武器だと思われていた盾をタクトに奪われてしまう。
防御力の低下により重傷を負った尚文は、意識を失い、不思議な世界を彷徨う。そこで彼を待っていたのは、心強い味方だった。
しかし、そこでも厄介事を背負うはめになった尚文は――。
「本当、面倒な物を背負い過ぎたな……だが、悪い気分じゃない」
異世界成り上がりファンタジー第十六弾、ここに登場!!
感想
鳳凰戦の深い傷と尚文の変調
本巻の冒頭では、鳳凰との死闘の果てに多くの犠牲を出した尚文が、心に大きな痛手を負った姿が印象的であった。村人たちの死やアトラの死を悔い、罪悪感と責任感に苛まれた彼は、次第に精神の均衡を崩していく。誰かに頼られたい、心の空白を埋めたいという感情が暴走し、イミアやフィーロたちに不自然に近づく姿には、見ていて胸が痛んだ。だが、サディナの真摯な諭しにより、彼はようやく自分の姿と向き合うことができた。これは単なる戦いの物語ではなく、喪失と回復、そして自己再生の物語でもあると感じさせられた。
新たな脅威・鞭の勇者タクトの異常性
物語の転機となったのは、フォーブレイでの鞭の勇者タクトとの邂逅である。彼は圧倒的な技術力と権力を背景に、七星武器を奪う能力を持ち、尚文の象徴である盾すらも奪ってしまうという暴挙に出た。この出来事は、尚文から「勇者」の象徴を奪うと同時に、彼の心を再び奈落に突き落とすには十分だった。タクトの支配欲と暴走ぶりは、単なる敵ではなく、「世界そのものの歪み」の具現に思えた。彼の存在が勇者たちを窮地に追いやり、女王の死やラフタリアの離脱など多大な犠牲を伴う展開は、本巻の重厚さを際立たせている。
霊界での再会と精霊たちの導き
意識不明となった尚文が訪れた霊界では、アトラやオストといったかつての仲間たちとの再会が描かれた。彼女たちが盾の精霊の使いとして尚文を導く場面には、かすかな救いと希望があった。「帰ることもできる」という選択肢を提示されながらも、尚文はあえてこの世界に残る決断を下した。これは単なる勇者としての義務感ではなく、自らの意志で再び立ち上がるという決意であり、心を強く打たれた。
クズ王の覚醒と戦略的逆転劇
かつての無能王として描かれていたクズが、亡き女王の遺志を受け継ぎ、驚くべき知略で軍を指揮する展開には目を見張るものがあった。戦術・偽装・情報戦を駆使し、圧倒的兵力を持つフォーブレイ軍を逆転へと追い込んでいく姿は、かつてのイメージを完全に覆す痛快な変貌であった。タクトが油断しきった瞬間に、勇者たちが一斉に仕掛ける奇襲は戦略的にも納得でき、読んでいて手に汗握る緊張感があった。
尚文とタクトの一騎打ちの迫力
七星の杖と魔法強化を駆使した尚文の戦闘は、これまでの「防御特化」という枠を越えた新たな戦いの形を見せてくれた。単なる力の応酬ではなく、戦術、読み合い、魔法の反射など、知略を尽くした戦いであった点が印象深い。特に「ラグナロクブラスター」によって戦場を一掃する場面は、怒りと悲しみが込められた尚文の感情が爆発する瞬間であり、感情的にも大きなカタルシスがあった。
処刑描写の苦味と余韻
タクトの敗北後、彼とその一味に下された処刑描写は、正義の断行である一方で、読後に重い余韻を残す展開であった。正当な報いであると頭では理解しながらも、拷問や見世物としての処刑、そして人間の醜さが露わになるシーンには、複雑な感情が湧いた。この作品の魅力は「勧善懲悪」ではなく、「正しさ」にすら苦味を含ませるところにあると改めて感じさせられた。
未来への不安と続く戦い
物語の終盤で明かされる波の尖兵や異世界からの侵略者の存在は、新たな戦いの幕開けを示唆している。尚文が再びラフタリアを追って異世界へ向かう決意を固める場面には、勇者としての責務と人としての絆への想いが同居しており、本作が単なるバトルファンタジーではないことを感じさせた。
総じて、本巻は「立ち直り」と「再起」をテーマにした一冊であり、尚文が真の意味での勇者として再び歩み出す物語であった。圧倒的な戦闘描写と人間ドラマの融合が見事であり、次巻もまた目が離せない展開となるであろう。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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展開まとめ
プロローグ 葬儀
英雄たちの葬送と主人公の苦悩
鳳凰との戦いの後、国家規模の葬儀が行われ、尚文はアトラの棺の前で深い悲しみに沈んでいた。戦いに駆り出した村人たちが命を落としたことに罪悪感を抱き、これ以上彼らを戦場に出すことへの迷いを見せた。一方で、フォウルやキールらは自らの意志で戦う決意を固めており、尚文に覚悟を求めた。
次なる四霊・麒麟と不審な状況
葬儀後、女王との会話の中で、鳳凰討伐直後に麒麟が出現し、七星勇者によって討伐されたことを知らされる。霊亀から鳳凰までは三ヶ月あったのに対し、麒麟は数時間後に現れたという異常な状況に尚文は疑念を抱いた。応竜についての報告はなく、情報の不確かさと不自然さに戸惑いを覚えた。
フォーブレイへの派遣と尚文の静養
尚文は鳳凰戦への介入者を討つために行動を望むが、仲間たちに心身の休息を強く促され、渋々村に戻ることを了承した。その間、フォーブレイへの使者を誰にするかの相談が進められた。
心の混乱と過剰な責任感
村に戻った尚文は喪失感と責任感に苛まれ、自身の好意を寄せてくれる女性たちに次々と「応えよう」とし始める。イミアやフィーロ、サディナに対しても物理的に近づこうとするが、いずれも失敗に終わった。これらの言動は周囲から「様子がおかしい」と指摘され、サディナに真剣に諭されることとなった。
サディナの忠告と自己の見つめ直し
サディナは尚文に対し、衝動的な行動ではなく、想いと責任を持って向き合うことの重要性を説いた。尚文は自身がしてきた行動が、周囲の気持ちに応えるものではなく、ただの迷走だったことを自覚し、後悔と混乱の中で冷静さを取り戻していった。
覚悟と未来への逡巡
復讐心と失った者への想いに揺れる中で、尚文は自分の進むべき道を考え直した。元の世界に戻る意志と、この世界で仲間たちの想いに応えて生きる覚悟との間で揺れ動きながらも、強引な行動を控えることを決意した。
ラフタリアとの再会と静かな夜
ラフタリアが帰還し、尚文は自らの行動を謝罪した。ラフタリアはそのすべてを受け止め、尚文に「今は考えないようにしましょう」と静かに寄り添った。明確な答えを出せないまま、尚文の心は悶々としたまま夜を迎えた。
一話 海底
鳳凰戦後の決意とレベル上げへの本腰
尚文はアトラの死を悔い、自らの力不足を痛感してLv上げに専念する決意を固めた。仲間たちと相談の末、海中での狩りが効率的であると判断し、サディナやシルディナらと共に水中狩りに出発することとなった。
村と隣町での祝祭の提案
メルティは鳳凰討伐の慰霊と祝勝を兼ねた祭りの開催を尚文に提案した。祭りは士気の高揚と資金調達を目的とし、フィロリアルレースやフィーロの歌唱ショーなど多彩な催しが計画された。尚文は複雑な心情ながら了承し、村人たちも準備に意欲を示した。
フォウルの武器と強化法の模索
フォウルが七星武器の小手を得たことが確認されるも、強化法が判明せず、尚文の指示により錬と樹と共に情報探索の旅に出ることとなった。一方、尚文たちは水中でのLv上げに臨むことになる。
海中戦闘での経験と成長
尚文はサディナとシルディナに乗り、ラフタリアと共に深海へと潜った。初めての本格的な水中戦闘では、次々に現れる魔物を連携で撃破し、高い経験値を得ることに成功した。中でもスレートグレイメガロシャークとの激戦では、合唱魔法の失敗を乗り越え、連携と個々の力で打ち倒した。
勇者以外のレベル上限と課題
戦闘の結果、尚文とラフタリアは成長を実感したが、サディナたちはLv上限に達しており、それ以上の成長ができない状況にあった。限界突破には竜帝の欠片が必要とされるが、手がかりはまだ見つかっていない状態である。
新たな武器と浄化の成果
海での狩りの二日目、武器屋の親父とイミアの叔父、そして元康二号が村を訪れた。元康二号は再び奴隷紋で行動を制限されており、封じられし呪われた剣の浄化結果を持ち帰っていた。その剣は一部使用に制限があり、尚文たちは運用方法を検討する必要に迫られた。
武具開発と今後の準備
浄化された剣はガエリオンに与えられ、情報解析を試みるも進展は乏しかった。今後は武器屋の親父やイミアの叔父と連携し、新たな装備開発に力を注ぐ方針が立てられた。尚文たちはそれぞれの立場で、次なる脅威に備えて行動を始めた。
二話 祝祭
鳳凰討伐祝祭と町の変貌
三日後、鳳凰討伐の祝祭が盛大に開催された。舞台は急成長を遂げた隣町であり、仮設住宅を中心に形成された活気ある都市へと変貌していた。祝祭は町の喝采とともに始まり、フィーロが特設ステージで歌を披露した。彼女の人気は凄まじく、追っかけのファンや吟遊詩人たちの協力で会場はまるでコンサートのような盛り上がりを見せた。
フィーロの圧倒的な歌唱と騒動
フィーロの歌唱力に観衆は魅了されたが、元康のフィロリアル三匹がライバル心を燃やし乱入。フィーロに負けじと元康への愛の歌を披露した。フィーロは旅で学んだ歌を披露し、その「チャーミングボイス」で観客を魅了したが、強力すぎる歌声により危険な状況を引き起こしたため、ラフちゃんの介入により中断された。
屋台や出店の賑わいと村人たちの活躍
祝祭では、村の人々や仲間たちが屋台を出して盛り上げた。キールはクレープ屋を開き、独自の魚入りクレープを販売。セインとイミアは服とアクセサリーの共同店舗を営み、質の良い商品を安価で提供していた。ラフタリアも興味を示したが、勝負下着に戸惑う場面もあった。
フィロリアルレースと繁殖話の混乱
草レース場ではフィロリアルたちが活躍し、ナオフミのフィロリアルたちが勝利を収めた。観客や敗北した調教師たちはナオフミのフィロリアルとの交配を望んだが、当の本人たちは嫌がり後ろに隠れた。ナオフミは彼らの意思を尊重し、試験的な接触のみ許可する妥協案を提示した。観客は新たな伝説の誕生を期待したが、フィロリアルたちは頑なな拒絶姿勢を貫いた。
祭りの終わりとラフ種の謎の舞
夜にはキャンプファイアーが行われ、フィーロと吟遊詩人の歌、そしてクテンロウの人々の演奏が響いた。帰村後、ラフちゃんたちが桜光樹の前で踊りを奉納する光景が見られた。彼らの舞により桜光樹は輝きを増し、翌日には大きな実が一つだけ実っていたが、ラフ種全員による妨害により収穫は見送られた。
フィーロの帰還と祝祭の終幕
フィーロとメルティが祝祭から戻り、ナオフミに元気づけの言葉をかけた。メルティはこの一日が思い出になると語り、フィーロとともに町へ戻っていった。こうして、メルティ主催の祝祭は盛況のうちに幕を閉じた。
三話 天才
謎のラフ種の誕生と保護
鳳凰討伐から約二週間後の朝、尚文たちは桜光樹の実が光とともに形を変える場面に遭遇した。その場に現れたのは見慣れぬラフ種であり、ラフちゃんたちも驚きつつ迎えていた。この新たなラフ種は魔物紋の登録を自ら行い、レベルは95という高水準であったため、尚文は「ラフちゃん二号」と仮名をつけ、保護を決定した。
フォーブレイへの出発と一行の構成
尚文一行は元康と合流し、フォーブレイへ向けて出発した。今回の同行者は多く、尚文、ラフタリア、フィーロ、錬、樹、元康とそのフィロリアル達、ガエリオン、ウィンディア、女王、クズ、エクレール、サディナ、リーシア、さらには変幻無双流のババアまで含まれていた。情緒不安定な尚文を見張る目的もあり、大規模な一団となった。
馬車内での勇者の動向に関する議論
移動中、尚文と錬は他の異世界勇者の動向について推測した。勇者による戦線離脱や使命放棄、あるいはレベル上げに専念する者、責任を押しつける者など様々な可能性が挙げられた。尚文は、鳳凰戦での横槍に強い憤りを抱き、犯人には断固たる処罰を下す覚悟を示していた。
フォーブレイの都市文化と銃器の話題
フォーブレイはメルロマルクよりも文明が進んでおり、スチームパンク風の車や銃器が並ぶ都市であった。銃器は扱いが難しく、ステータスに依存するため使いこなす者が限られていた。樹は武器屋で銃器をコピーし、今後の戦力向上を図った。
亜人差別のなさと宗教施設の違い
尚文はフォーブレイが亜人と人間を平等に扱っている様子を目にし、他国との違いを実感した。また、四聖教会と七星教会のステンドグラスに注目し、七星側に一箇所だけ欠けがあることに疑念を抱いた。会議ではこの欠けの意味も問われる予定であった。
七星勇者とその伝承の偏り
女王の話から、伝承の中で盾と弓の活躍が目立ち、槌・爪・鞭など他の勇者に偏りが見られることが示された。これは世界融合による影響とされ、現在の世界構成に強く関わっていると推測された。
鞭の勇者とその妹の問題点
鞭の勇者はフォーブレイの貴族出身であり、幼少期から数々の業績を挙げていた天才であった。しかし、ヴィッチと関係があったことや、妹がLV至上主義でメルティに絡んでいた過去があり、女王や尚文らは不信感を抱いていた。現在は飛行機のような移動手段の開発にも取り組んでいるという。
フォーブレイ王の悪評とヴィッチの因縁
女王はフォーブレイ王の人物像について、極端な加虐嗜好を持ち、処刑代わりに女性を嫁がせる慣習の象徴であると説明した。ヴィッチもかつて縁談が決まっていたが、尚文の仲間になることで免除されていた。この国王は勇者の血筋を保つ目的で多数の女性を手にかけてきたという話が語られ、その残虐さが強調された。
城への到着と七星勇者の情報整理
一行はフォーブレイの城に到着し、重厚な構造に圧倒されながらも謁見の準備を進めた。謁見前の休憩中に、七星勇者の情報を整理し、特に鞭の勇者を警戒対象として認識した。変幻無双流のババアも天才に対する不信感を語り、かつての内部分裂と崩壊の歴史を例に挙げて警鐘を鳴らした。
王の統治と今後の不安
フォーブレイ王は肉欲に溺れる人物であり、女王すら過去に嫁入りを恐れていたほどであった。尚文はそのような人物が大国を治めている事実に懸念を抱き、勇者を巡る血統政策や王族の介入の実態に幻滅していた。この世界の在り方そのものが、次の波以上に危険なのではないかという危機感が彼の中で強まっていった。
謁見直前の不穏な気配
謁見の時間が訪れ、兵士に導かれて王との対面へと進む中、尚文の懐中でエスノバルトから譲られたアクセサリーが微かに揺れた。明確な異変ではなかったものの、不吉な予兆を感じさせる場面で幕が下りた。
四話 奪われた力
タクトとの対峙
ナオフミたちは新たな王、タクトと名乗る鞭の勇者と対面した。王冠を被り玉座に座る彼の態度や言動は傲慢で挑発的であり、ナオフミたちに敵意をむき出しにしていた。タクトは元の国王を殺害したことを明かし、メルロマルクの女王ミレリアにまで敵意を向ける。その発言により場が緊迫し、ナオフミたちは即座に警戒態勢へと移行した。
戦闘の開始と勇者たちの奮戦
タクトは禍々しいツメを用いて攻撃を仕掛け、ナオフミは桜天命石の盾で防御を試みたが、盾が破壊されるという異常事態が発生した。戦闘が激化する中、タクトの部下として現れた亜人の女性やグリフィン、銛を持った水棲種の女が味方の動きを封じる。女王とナオフミはタクトの攻撃で重傷を負い、リーシアたちはスキルを駆使して応戦するも苦戦を強いられた。
タクトの能力と衝撃の真実
タクトは伝説の武器を奪う力を持ち、実際にナオフミの盾も強奪していた。七星勇者たちの失踪の理由が彼によるものであったことが明らかになり、ナオフミたちは深い怒りに駆られる。さらにタクトは戦闘中にヴィッチと通じていたことも発覚し、彼の冷酷さと策略が浮き彫りとなった。
撤退戦と転送妨害
劣勢に追い込まれたナオフミたちは撤退を決意するが、城内には転送を妨害する魔法が張り巡らされていた。ガエリオンとフィーロのサンクチュアリが転送解除を試みるも、グリフィンやドラゴンの妨害によって効果は相殺された。兵士たちによって誘導された一行は行き止まりに追い詰められ、苦しい戦いを強いられる。
勇者たちの反撃とラフタリアの決意
ナオフミが気力を振り絞って放った一撃でタクトを吹き飛ばし、仲間たちに一時的な隙が生まれた。ラフタリアはフォウルにナオフミの保護を託し、自らは囮となる覚悟を決めて残った。転送スキルが発動し、ナオフミ、元康、樹は無事に脱出を果たすが、ラフタリアはその場に取り残される結果となった。
暗転する意識と重い喪失感
転送後、ナオフミは深い傷により意識を失いかけながらも、ラフタリアを救えなかった後悔に苛まれていた。一行の中には瀕死の者も多く、退却したとはいえ、戦いは深刻な損失を伴うものとなった。ラフタリアの犠牲的行動が彼らを救ったものの、その代償はあまりにも大きかった。
五話 精霊
女王ミレリアの最期
重傷を負った尚文と女王ミレリアは治療院へ搬送され、最高度の治療が施された。だが、女王の呪いは深く、回復は叶わなかった。意識を取り戻したミレリアは、国の未来とクズに託した希望を語り、自らの無力さを悔いた上で、最期に微笑みながらクズに未来を託して息を引き取った。
フォーブレイの宣戦布告と世界情勢の激変
女王の死後、フォーブレイが全世界に対して宣戦布告を行ったことが伝えられた。勇者たちは深い怒りを抱き、連合軍会議が開催された。フォーブレイは最新兵器で周辺国を降伏させ、圧倒的な軍事力を誇示していた。さらに、タクトが七星勇者の武器を複数所持し、自らを「神の子」と称して布教活動を進めていた。
連合軍の決起と小手の勇者の誓い
フォウルは小手の勇者として、盾の勇者が救った村を守ると誓い、血筋より信念を重視する姿勢を明示した。その言葉に亜人たちは共鳴し、フォーブレイへの敵意と復讐の意思を固めた。錬や樹らもタクトの出自や能力に疑念を持ちつつ、今後の戦略について議論を進めた。
霊界での再会と精霊たちの選択
昏睡状態にあった尚文は、死者の世界に似た場所でアトラとオストに再会した。彼は盾の精霊の導きにより、選択を迫られる。提示された選択肢は、元の世界への帰還、異世界での永住、一時帰還の三つであった。しかし尚文は、自らの意思で「今は帰らず、戦いを終えた後に納得のいく形で戻る」ことを選択した。
新たな力と決意の再構築
尚文は精霊たちの導きにより、盾以外の七星武器を一時的に扱える力を得た。タクトへの直接的な報復を可能とする手段も授けられた。また、ラフタリアは無事に絆の世界へと逃れていたことが判明し、アトラとオストは尚文に心の安寧と未来への希望を託して姿を消した。尚文は世界を救う使命を再び自覚し、現実へと帰還していった。
六話 杖の勇者
目覚めと女王の死
尚文は意識を取り戻し、セインとその使い魔による看病を受けていた。盾と自身の傷を癒していたアクセサリーの存在に気づき、女王の死を知らされる。ラフタリアの安否は不明だったが、周囲の様子からある程度の状況は把握していた。女王の死を悼む葬儀が執り行われ、メルティとフィーロが涙を流す中、尚文も深い悲しみに沈んでいた。
クズとの対峙と奮起
尚文は女王の棺の前でオルトクレイ(クズ)と向き合い、過去の責任と向き合わせるよう激しく問い詰めた。激昂するクズに尚文は敢えて挑発的な言葉をぶつけ、怒りを呼び起こすことで覚悟を促した。最終的にクズは女王の遺志に従う決意をし、再起を誓う。そして杖の精霊に認められ、七星の武器を取り戻した。
作戦会議と情報収集
会議では尚文、錬、元康、樹、そして復活したクズが戦局の情報を交換し、フォーブレイ軍の脅威とその兵器に対抗するための戦略を練った。クズは異世界の知識を執拗に質問し、戦略立案に活かしていく。その姿に、周囲はかつての「英知の賢王」が戻ってきたと確信を強めた。
戦力の共有と新たな強化
尚文はクズから七星の杖を一時的に借り、装備ボーナスや強化方法を確認する。各勇者が共有した強化方法により、戦力の底上げが図られた。フォウルの小手とクズの杖が同じ方式で強化できることが判明し、協力体制が構築された。
村の戦力の確認と選定
尚文はクズを自らの村へと案内し、戦力となり得るラフ種や住民を紹介した。クズは的確に参加可能な者と不適格な者を見極め、尚文とともに説得と選定を行った。ルフトも戦いたいと訴えたが、尚文は彼の未熟さを理由に戦線への参加を断った。
研究者との再会と情報共有
尚文は研究者ラトのもとを訪れ、彼女が持つ錬金術や敵に関する情報を得た。フォーブレイの錬金術師が持つ能力や、戦車や飛行機の運用に関する情報が共有され、クズの戦略に生かされることとなった。
ゼルトブル傭兵との合流
サディナの呼びかけでゼルトブルの傭兵たちが尚文の陣営に加わる。竹林のラーサズサ、地響きの女王エルメロ、そしてセインが紹介され、傭兵たちは金と名声のために協力を表明した。サディナとシャチ姉妹の勢いに押されつつ、彼らは戦への参加を決意する。
決戦への準備と決意
戦争と波の襲来が目前に迫る中、尚文たちは準備を整えた。城へ戻るクズは戦力の再編を開始し、尚文は自らの村の兵とともに戦いに備えた。やるべきことをやり切った彼らは、死者の想いを背負いながら決戦に臨む覚悟を固めた。
七話 英知の賢王
フォーブレイ軍の奇襲と戦争の開始
戦争は当初の予想より数日早く始まり、フォーブレイ軍はメルロマルクへ急襲を仕掛けた。クズの予測では波と同時に侵攻するはずだったが、タクトはその前に動いた。だが、クズの事前準備により迎撃態勢は整っており、勇者たちは戦場とタクト本陣の二手に分かれて動いた。
勇者軍の決起と士気の高揚
尚文は出陣を前に兵士たちに演説を行い、女王の弔い合戦と称して士気を鼓舞した。戦いの意義と敵の非道を訴えることで、軍は一丸となって立ち上がる雰囲気を得た。準備が整い、各自が役割を果たすべく戦場へ向かった。
タクトの油断と奇襲の成功
タクトは陥落させた砦からの報告を受けて勝利を確信していたが、実際は尚文らが伝令に変装して潜入していた。ラフ種の幻影魔法と匂い偽装により欺かれ、タクトは不意を突かれる形で対峙される。空爆と降下作戦に使われた飛行機は、グラウェイク鉱石と魔法によって撃墜されていた。
空戦と降下作戦の失敗
メルロマルク上空に浮かぶグラウェイク鉱石と幻影魔法の隠蔽により、フォーブレイの飛行機は回避できずに墜落し、降下兵は魔法と弓で迎撃された。クズの戦略は戦局を有利に運び、タクトの作戦は裏目に出た。尚文はタクトを挑発し、戦闘に引きずり込むことに成功した。
各戦闘の開戦と対峙
タクトの側近たちが前線に出て、勇者陣営の仲間と個別に戦いを開始する。フォウルはアオタツ種の女ネリシェンと、サディナは種族間の因縁を持つ魚型の女と対決する。フィーロはグリフィンと化したレールディアと、ガエリオンは巨大なドラゴンに変身した女と対峙し、錬と共闘することとなった。
尚文とタクトの一騎打ちの開始
タクトはプライドから単身で戦うことを選び、尚文との一騎打ちが始まる。尚文はクズの七星の杖を手にし、真っ向からタクトに挑む姿勢を見せた。戦局は勇者側の奇襲と戦略によって有利に展開し、それぞれの戦いが幕を開ける形となった。
八話 Ⅹ
砦での戦闘開始と各戦局の展開
砦のテラスは狭すぎたため、主人公たちは自然と各々の戦場へと散った。ガエリオンと錬は空からの攻撃を担当し、シルディナはフィーロの飛行を魔法で補佐していた。ラフは幻覚魔法を打ち消す働きを見せ、戦況を支援していた。主人公はタクトと対峙し、相手が不正に手に入れた複数の七星・四聖武器に対し、数より使いこなしの技術が重要であることを見抜いていた。
七星の杖と魔法強化による優位性
主人公は七星の杖を駆使し、詠唱短縮と非適性魔法の習得を可能にした。さらに熟練度ポイントを用いたスキルと魔法の強化システムを活用し、「アル・リベレイション・オーラ Ⅹ」によって味方全体の能力を大幅に上昇させた。この強化によって主人公はタクトの攻撃を容易に回避し、反撃を封じるほどの身体能力と反応速度を得ていた。
タクトとの一騎討ちと戦闘の駆け引き
タクトは必殺技や連撃スキルを駆使して攻撃を仕掛けたが、主人公はそれを冷静に見切り、攻撃を逸らすことでダメージを無効化していった。防御は攻撃よりも高度な技術であるとしたうえで、盾の勇者として攻撃を無力化する戦い方を展開した。タクトの攻撃は型通りで、主人公の訓練相手であるアトラやラフタリアには到底及ばなかった。
フォウルとネリシェンの激突
フォウルはアオタツ種族長ネリシェンと対峙し、相手が龍へと変身する中でも冷静に応戦した。ネリシェンの水と雷の魔法攻撃をかわし、力強い打撃を叩き込んで優勢を示した。種族の誇りを懸けた戦いであったが、フォウルの実力はそれを遥かに上回っていた。
サディナとシャテの因縁の戦い
サディナはラフタリアの仇であるシャテと対峙し、援護魔法の恩恵を受けつつ冷静に攻撃を避けた。シャテの渦巻く銛攻撃に対し、サディナは雷の魔法で迎え撃ち、優位を保った。その後、獣化補助を得てシャチの姿へと変身し、戦力をさらに増大させた。
空中戦での錬とガエリオンの活躍
空ではガエリオンと錬が連携し、竜帝レールディアと戦闘を繰り広げていた。ガエリオンの強化された白いブレスに続き、錬が放った「リベレイション・マジックエンチャント Ⅹ」により、レールディアの強力な炎を吸収し、剣に転換した。さらに、錬の「フレイムエッジ Ⅹ」によって、竜帝への反撃が行われた。
フィーロとグリフィンの連携
空中ではフィーロとグリフィンが連携し、華麗な空中戦を展開していた。シルディナの魔法支援により、フィーロは飛行を維持し、複数のスキルを駆使して敵と交戦を続けていた。相手は飛行能力を誤認し、驚愕していたが、戦局は終始フィーロ側に有利に進行していた。
九話 フェンリルフォース
タクトの魔法戦と主人公の無効化
タクトは味方から援護を受け、ドライファ・ファイアストームを詠唱したが、主人公はそれを即座に読み取り、アンチ・ドライファ・ファイアストームで完全に無効化した。タクトは魔法の詠唱速度を上げていたものの、主人公の魔法詠唱や反応速度に及ばず、戦況は圧倒的に主人公有利となった。
フェンリルフォースによる攻撃と巻き添え
主人公はフェンリルフォース Ⅹを放つが、わずかな反動で照準が逸れ、結果としてセインの相手だった女に命中し消滅させた。タクトはこれに激怒し、主人公に対して連続攻撃を仕掛けるが、その動きは単調で容易に回避された。
タクトの逆上と矛盾した怒り
タクトは幼馴染を殺されたことに激昂するが、自らが守らなかったことへの自覚はなく、主人公はその矛盾を指摘した。戦場で大切な者を守る覚悟がなければ死は避けられないという現実を突きつけた。
フロートミラーの活用と魔法反射
主人公はフロートミラーを展開し、自らの魔法を反射してタクトを翻弄した。さらに、魔力ビームによって檻状の攻撃を展開し、タクトを封じ込めるようにして攻撃の余地を奪った。この巧みな戦術によりタクトは混乱し、戦況は主人公の優位に傾いた。
ラフタリアの人質化と欺き
タクトの取り巻きがラフタリアを人質にしたと見せかけたが、実際にはラフタリアではなかった。過去の天命の策略により幻覚が用いられ、タクトは誤って味方を殺してしまった。主人公はこの過ちを突き、敵の士気を大きく低下させた。
魔法とスキルの反射戦術
女たちが放ったライフルや儀式魔法「裁き」すらも主人公はミラーで反射させ、すべてタクトに命中させた。これにより、タクトは自らの仲間の攻撃で追い詰められ、女たちも絶句するしかなかった。
タクトの盾と戦意喪失寸前の姿
タクトはラースシールドを構え、主人公の攻撃に耐えようとしたが、フェンリルフォースの直撃により全身を負傷した。主人公は攻撃を加減しつつも神への反逆効果を駆使し、タクトの盾を逆に弱点に変えた。
戦闘の再開とラグナロクブラスターの発動
主人公はグレイプニルロープでタクトを縛り上げ、長時間チャージしたスキル「ラグナロクブラスター」を放った。これはタクトを空中へ吹き飛ばし、さらには上空で戦う竜帝すら巻き込んで焼き払った。
錬とガエリオンの連携攻撃
ラグナロクブラスターに続き、錬とガエリオンが連携して竜帝に斬撃と突進を加えた。錬の鳳凰烈風剣とガエリオンの炎突撃が合わさり、竜帝に大きな打撃を与えることに成功した。
タクトの反撃失敗と完全な劣勢
タクトは立ち上がりながらもボロボロの状態であり、もはや反撃の手段も乏しかった。回復魔法を受けても疲労が蓄積し、戦意は低下していた。主人公は容赦なく追撃の構えを見せ、なおも戦闘の継続を示唆した。
戦争の代償とタクトへの裁きの決意
主人公はアトラや女王、仲間たちを殺された怒りと悲しみを胸に、タクトへの復讐を決意していた。波を軽視し、勇者を殺し、戦争を拡大させたタクトの罪に対し、主人公は徹底した報復を行う覚悟を固めていた。
ラグナロクブラスターによる決定打
最終的に主人公は、魔力と気を集約して放つ最強スキル「ラグナロクブラスター」によりタクトを直撃させた。この技はタクトを吹き飛ばし、大地に叩きつけた。生死は不明ながら、決定的な一撃となり、戦況は主人公たちの勝利に大きく傾いた。
十話 一般人と最強の七星勇者
タクトへの復讐と戦いの開始
尚文はタクトに対し、杖の勇者の仇討ちとして戦いを挑んだ。タクトは杖を奪い勝利を確信したが、尚文はそれを上回る戦術と武器で応戦し、追い詰めていった。彼は錬から渡された剣を用い、鳳凰素材によって作られたその武器でタクトを圧倒した。
フォウルの参戦とタクトへの怒り
フォウルが現れ、飛び去ろうとした龍を撃墜して戦線に加わった。彼はアトラの仇討ちのため、勇者ではなく一人の人間として戦う決意を見せた。フォウルと尚文は連携し、執念深くタクトを追い詰め、徹底的に打ちのめした。
無力化されたタクトと最終連撃
タクトは七星武器をすべて集めたことで自らを最強と豪語したが、尚文たちはそれを嘲笑し、事実で否定した。最終的に、腐敗魔法を付与した剣と連撃により、タクトを致命的に斬りつけ、彼の肉体を無惨な状態にまで追いやった。
サディナとセインの制圧
サディナは敵女兵らを圧倒し、セインと共に拘束へと動いた。タクト側の取り巻きたちはその様子に戦意を喪失し、抵抗を止めた。サディナの怒りと悲しみもまたアトラへの想いによるものであった。
ガエリオンと錬の竜帝撃破
空中では、錬とガエリオンが竜帝を迎え撃ち、見事に撃破した。ガエリオンは竜帝の欠片を取り込み、錬はその一部始終を見届けた。竜帝の本体からの力を取り込むことで、ガエリオンが更なる力を得る可能性が示唆された。
フィーロとシルディナの連携撃破
フィーロとシルディナは風と雷の連携でグリフィンを撃破した。シルディナの魔法の檻により敵は動きを封じられ、雷と風で肉片となるまで粉砕された。鮮やかな連携が勝利を導いた。
ラフちゃんと過去の天命の戦術
ラフちゃんと過去の天命は連携し、キツネ女を幻影と実体を用いて翻弄し、攻撃を加えた。複雑な術技と見事な連携により、キツネ女を追い詰めた。最終的にラフちゃんは鳳凰剣を用い、過去の天命と共に決め技を繰り出した。
キツネ女の変貌
倒れたかに見えたキツネ女であったが、なおも執念を見せて立ち上がった。その肉体は変貌し、巨大なキツネの怪物と化した。戦いの終結には至らず、さらなる脅威の出現が示された。
十一話 盾の勇者が命じる
タクトの執念とカースシリーズの発動
瀕死の状態にあったタクトは意識を取り戻し、仲間の死を糧に黒いオーラを発しながら再び立ち上がった。彼はまだ戦いを諦めず、四聖武器の奪取を狙って錬に襲いかかろうとしたが、尚文は彼の行動を予見していた。
盾の返還と眷属器の剝奪
尚文は意識を集中し、失われていた盾を召喚した。かつてよりも強力になった盾の力により、タクトの攻撃を完全に無効化し、その上で眷属器を操る権限を剝奪した。七星武器は次々とタクトの手を離れ、新たな所有者の元へと散っていった。
キツネ女の討伐とタクトの敗北
過去の天命はキツネ女を五行の術で封じ、その頭を槌で砕いて討ち取った。一方、タクトは全てを失いながらも尚文に素手で殴りかかるが、反撃されシールドプリズンによって捕縛される。致命傷は避けたが、尚文は尋問のために殺害を控えた。
戦場の終結とガエリオンの報告
尚文は勝利の合図を出し、戦場の様子を確認すると、既にフォーブレイ軍の主力は壊滅していた。ガエリオンは竜帝の欠片を取り込んで記憶を取り戻し、世界人口の三分の二を犠牲にする禁断の方法を告げるが、尚文はそれを否定した。
過去の天命の消耗と戦後の収束
過去の天命は自らの限界に達し、姿を維持できずラフちゃん二号に戻った。尚文は改めてタクトを見つめ、世界を弄んだ罪を問いながら処遇を考えた。その後、砦を制圧し、戦いの終結を迎えた。
村への帰還と新たな勇者の誕生
尚文たちは無事に村へと帰還し、住民たちの無事を確認した。リーシアは新たな七星勇者として選ばれ、周囲から祝福を受けた。彼女の武器は金銭によるオーバーカスタムという特殊な強化方法であり、尚文もその実験を行った。
新たな謎の兆し
リーシアの武器から取り外されたストラップに触れた瞬間、それは破裂し、不穏な気配を残した。尚文は未だ終わらぬ陰謀の気配を感じつつ、王であるクズとの面会を約束した。
クズの知略とフォーブレイの壊滅
尚文は圧倒的な勝利の背後にあるクズの知略と指揮力を再評価し、フォーブレイの技術が全く通用しなかった現実を改めて認識した。女王が彼を手放さなかった理由を実感することとなった。
十二話 処刑
タクト敗北後の女達の捕縛
フォーブレイの敗北後、タクトのハーレムに属していた女達がメルロマルクに集められ、幻覚を操っていた狐女の死により洗脳が解けた。だが、ヴィッチは一部の女達を連れて忽然と姿を消し、捕縛には至らなかった。彼女が逃亡前に奴隷紋を解除していたことが明かされ、その解除には王族の血が必要であった。
処刑の演出と処罰内容
タクトとその一味の処刑は、ゼルトブルの闇ギルドが主導する見世物として演出された。タクトは戦闘不能な状態に拘束され、七星武器の奪取方法を白状させるべく、女達を人質に拷問された。しかし彼は沈黙を貫き、女達は処刑されていった。その手段は火刑、水責め、ギロチン、魔法刑など多岐に渡り、処刑人の姉妹サディナとシルディナも自発的に参加していた。
タクトの罪と公衆の怒り
タクトは七星勇者の殺害、フォーブレイ王族の粛清、メルロマルク女王の暗殺など、多くの大罪を犯していた。民衆は激怒し、処刑場では石が投げつけられた。彼は一連の暴挙に対する正当な報いとして、見せしめ的に処刑される立場に置かれた。
妹ナナの暴走と処刑
タクトの妹ナナも処刑場に連行され、兄を助けようと暴れた。彼女は罪を自覚せず、兄を崇拝していたが、処刑人により串刺し刑に処された。彼女の凶行と反省のない態度が命取りとなった。
裏切る女達と偽りの忠誠心
一部のタクトの女達は命惜しさに彼を罵倒し、処刑台で生き残りを図った。その場でタクトに暴力を振るい、罪を彼に押し付けて罵倒した。処刑人の命令で彼の指を折るなどの拷問も行われ、タクトは精神的に崩壊し始めた。
タクトの沈黙と黒幕の存在
処刑が進む中、タクトは何者かによって言葉を封じられていた様子を見せ、白状しかけたところで頭部が破裂し、魂も消滅した。これは黒幕による口封じである可能性が示唆され、タクトの背後にさらなる脅威が存在していることが浮かび上がった。
裏切った女達の末路
一部の女達は処刑への協力を口実に解放を要求したが、直後に魔法と矢の雨によって全員が処刑された。主人公はこの場に見切りをつけ、その場を後にし、タクトの謎と黒幕の正体を探るため、次の行動へと移った。
エピローグ 波の尖兵
作戦会議と波への備え
タクトの処刑後、尚文たちは今後の方針を話し合った。ラフタリアが刀の眷属器により絆たちの異世界に召喚されたことで、彼女を取り戻す必要が生じていた。近く発生する波により、絆の世界とマッチングすれば再会の可能性はあったが、他の異世界と繋がるリスクも否めなかった。また、未回収の七星武器やヴィッチの行方、樹の元配下の動向、セインの宿敵の存在など、懸念事項は多岐にわたっていた。
古文書の解読と異世界の手がかり
クズとリーシアは、女王が残した書物や絆の世界で手に入れた本の解読を開始した。内容の大半は尚文が既に把握していたものだったが、資料の消失や精霊に干渉する存在が敵であるといった新たな示唆も含まれていた。これにより、波の黒幕に関する情報の掘り起こしが急務とされた。
エスノバルトの登場と新たな危機
尚文の村で、人化したウサピルの姿の重傷者が発見され、それがエスノバルトであると判明した。彼はアクセサリーの力により異世界から飛ばされてきたが、波による召喚ではなかったため、時空のズレでラフタリアとはすれ違っていた。絆の世界では、新たな尖兵が出現し、キョウのように国を裏で支配した眷属器の所持者が四聖を殺害、絆も捕縛されるという深刻な事態に陥っていた。
ラフタリアと絆達の救出決意
エスノバルトは裏切り者の攻撃によって傷を負い、尚文への救援要請と情報伝達のために送り込まれていた。彼の言葉により、尚文は絆の世界の危機を理解し、ラフタリアと絆達を救うことを決意する。アクセサリーを通じて一方通行ながら異世界への移動が可能であることが確認され、準備を整えて出発する覚悟を固めた。
異世界への出発と覚悟
尚文は、盾に宿る仲間たちの意志を感じ取りながら、再び異世界へ赴く覚悟を決めた。戦力の編成や装備の選定も視野に入れ、慎重な準備を進めることとした。こうして彼は、タクトのような敵を討ち、ラフタリアと絆を救出するための戦いに向けて、次なる一歩を踏み出した。
盾の勇者の成り上がり
小説版

















漫画版


























その他フィクション

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