リビルドワールド I〈上〉レビュー
リビルドワールド全巻まとめ
リビルドワールド 2 〈上〉レビュー
物語の概要
■ 作品概要
『リビルドワールドI〈下〉 無理無茶無謀』は、KADOKAWAのレーベル「電撃の新文芸」から刊行されている、ポストアポカリプスSFバトルアクション小説である。本作は電撃《新文芸》スタートアップコンテスト《大賞》受賞作の第2弾にあたる。 旧世界の遺跡で出会った謎の美女アルファの支援によって正式なハンターとなった少年アキラは、着用者に驚異的な身体能力を与える新装備「強化服(ケイロン)」を手に入れ、急速な急成長を遂げていく。 しかし、アキラの前に「クズスハラ街遺跡から大規模なモンスターの群れがクガマヤマ都市へ侵攻中」という緊急事態が発生する。アキラは自身の信念と恩義に従い、躊躇なく自らの命を賭けて、生存率の極めて低い危険な戦場(緊急依頼)へと身を投じていく。
■ 主要キャラクター
- アキラ: 本作の主人公。スラム街出身の駆け出しハンター。 前作で獲得した多額の遺物売却金をすべて注ぎ込んで新たな装備「強化服」を導入し、アルファから課せられた過酷な戦闘訓練に耐え抜いた。 都市防衛の緊急依頼(防衛戦)では、強敵キャノンインセクトの群れを相手に自身の命をチップにした戦いを繰り広げ、規格外の戦績を挙げることとなる。
- アルファ: アキラの脳に直接情報を割り込んでリアルタイムの戦闘支援を提供する、拡張現実(AR)の謎の美女。 アキラの不運を警戒して「過保護」にする方針を決め、強化服の高度な動作補正カスタマイズや徹底的な戦闘訓練を主導した。 アキラを自身の真の目的である「特定の高難度遺跡の極秘攻略」へと導くため、時に不敵に、時に過酷な要求をしながら彼を誘導し続けている。
- シェリル: スラム街の弱小徒党(ギャング)を率いる美少女ボス。 アキラが長期不在の間に後ろ盾のはったりの綻びから焦りと不満に押し潰されかけるが、アキラに不器用に「抱きしめられた」ことを機に、精神をアキラへの絶対的依存を軸にして再構築した。 これまでの恐怖や怯えを克服し、鋭い聡明さと度胸を開花させ、大物シジマとの対等な取引にこぎつけるなど本物のボスへと覚醒していく。
- カツヤ: 巨大ハンター徒党「ドランカム」に所属する、アキラと同年代の若手ハンター。 ドランカムの優遇による高性能装備を自分の「実力」と過信してベテランハンターと衝突する一面があり、緊急依頼へ向かうアキラを羨望と嫉嫉の混ざった複雑な視線で見送るなど、アキラの対比となるライバルとして描かれる。
- キバヤシ: ハンターオフィスの巡回管理職員。 ハンターたちの無謀な生き様に強い興奮と美学を見出す男であり、アキラの緊急依頼への志願を「無理無茶無謀」と大爆笑して称賛し、前払い報酬として荒野仕様の小型バイクを提供した。
- エレナ&サラ: アキラの命の恩人であり、アキラ自身もかつて彼女たちの命を救った女性ハンターのコンビ。 サラの体内の禁輸ナノマシンの補充費を稼ぐため東部に残ってハンターとなった過去や、越境時にパラッドの追跡から互いを守り抜いた絆の原点が、本作の「閑話」にて描かれる。
- ヤナギサワ: 東部統治企業連盟(統企連)の主任。 クズスハラ街遺跡奥部の探索再開や、都市の小金持ちへの脅しなど複数の目的を胸に秘め、過激派テロ組織「アルフォト団」を利用して今回の「モンスターの大襲撃」を裏で意図的に仕組んだ、不気味な底知れなさを漂わせる人物。
■ 物語の特徴
狂人と聡明の狭間で覚醒するスラムの心理戦: 単なるバトル描写にとどまらず、アキラの冷酷な実力(ワタバの射殺やその死体を引きずってのシジマの部屋への突入)と、その爆弾のような後ろ盾を背負うことで完璧な「自信と余裕のはったり」を身につけていくシェリルとの心理的なシナジーが見どころである。 スラムの暴力的な支配構造と、高度な知略交渉が交錯するドラマが非常に濃密に描かれている。
「強化服」の導入による超人戦闘と、肉体への甚大な代償: 本作では、着用者の身体能力を劇的に引き上げる「強化服」がアキラの主力装備となる。 アルファがアキラの意に反して強化服の制御を完全にジャックする挙動は、驚異的な回避や超高速の走りを可能にする一方、着用者の骨を軋ませ筋繊維を千切るほどの激痛と過酷な肉体負荷を伴うという、本作特有の極めてシビアなリアリティが貫かれている。
不器用な「善行」と「恩義」が手繰り寄せる劇的な伏線回収: 前作でアキラが「運を良くするため」にサラたちを救った無償の善意が、今回は、アキラが彼女たちを救うために無謀な戦場(緊急依頼)へ飛び込むという「義理」として動機化される。 アキラ自身の命を賭けたその無茶な「無理無茶無謀」の姿勢は、カツヤを始めとする他のハンターたちに衝撃を与え、自身のハンターとしての名声を決定づけることとなる。
読んだ本のタイトル
リビルドワールド I〈下〉 無理無茶無謀(2)
著者:#ナフセ 氏
イラスト:#わいっしゅ 氏
出版社:KADOKAWA(電撃の新文芸)
発売日:2019年7月17日
ISBN:9784049125191
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あらすじ・内容
銃と瓦礫と科学の世界で巻き起こる、バトルアクション!
電撃《新文芸》スタートアップコンテスト《大賞》受賞作、第2弾!!
リビルドワールドI〈下〉 無理無茶無謀
旧世界の遺跡で出会った謎の美女《アルファ》の助けでようやく正式なハンターとなったアキラ。
アルファのサポートに加え、着用者に驚異的な身体能力を与える新装備《強化服》を手に入れたことで、アキラはハンターとして飛躍的に成長していく。
そんなアキラに新たな試練が待ち受ける。荒野を巡回中の急報――それは遺跡から大規模なモンスターの群れがクガマヤマ都市へ侵攻しているというもので!?
無理無茶無謀が揃った危険な戦場で、アキラは自らの信念に従い躊躇わず己の命を賭ける!
感想
前巻では、まともな装備もないまま拳銃一挺で遺跡へ入っていたアキラ。
それが今では突撃銃を持ち、強化服まで購入し、少しずつハンターらしい装備が揃ってきた。
アルファの訓練も続けているため、そこらのスラム住人やハンター崩れなら簡単には負けない。
最初の頃と比べれば、明らかに強くなっている。
ただ、この世界の基準で見ると、
まだ新人なんだよな……。
そこが恐ろしい。
強くなったと思ったら、もっと強い装備、もっと強いモンスター、もっと上のハンターが次々と見えてくる。
タイトル通り「無理無茶無謀」を繰り返しながら、それでも少しずつ前へ進むアキラが印象に残った一冊だった。
シズカを脅した瞬間に撃つアキラが怖い
スラムでは、アキラがまだ若い新人ハンターに見えるため、相変わらずナメてくる人間が現れる。
今回やって来たのが、シジマの徒党に所属するワタバだった。
本来の要求は縄張りの一部についての交渉だったのだが、ワタバは勝手に話を大きくし、シェリルたちの拠点や縄張りまで全部明け渡せと言い始める。
さらにアキラ本人を脅すため、宿や馴染みの武器屋まで調べていると口にする。
アキラは最初、
取引相手の商人ならカツラギか?
くらいに考えている。
カツラギなら下手に襲っても返り討ちになるだろう。
ところが相手が示唆したのは、
シズカ。
アキラの装備を選び、危険な目に遭うたび心配してくれる武器屋の店主である。
その瞬間、
ワタバ死亡。
早い。
最後まで脅し文句を言わせることすらなく撃ち殺す。
アルファからも、
「殺す必要があったのか?」
と確認されるほどだった。
それでもアキラは必要だったと答える。
ここはアキラの怖さがよく出ていた。
損得だけで判断しているわけではない。
自分の中に、
「ここを越えたら殺す」
という線がある。
その線がどこにあるのか、アルファですらまだ完全には理解できていない。
その後、アキラはワタバの死体まで連れてシジマの拠点へ乗り込む。
いや怖いって。
ただ、そこで判明するのが、ワタバは組織の命令でアキラの全てを奪おうとしていたわけではなかったという事実である。
勝手に交渉条件を広げて暴走していただけだった。
結果として全面抗争は回避されたものの、アキラ側も無傷では済まない。
死人が出ている以上、シジマ側にも面子がある。
最終的には100万オーラムの和解金を支払うことになる。
人を殺せば全部解決、とはならない。
この辺も妙に現実的だった。
カツヤは止められたのに、アキラは一人で行く
後半では、アキラが都市周辺の巡回依頼へ参加する。
比較的安全そうな仕事だったはずなのに、クズスハラ街遺跡方面からモンスターの大群が接近していることが判明。
救援に行くか。
都市へ戻るか。
そこで大手クラン《ドランカム》の若手ハンター、カツヤが、
「俺は一人でも行く」
と言い出す。
それを止めるシカラベ。
さらにユミナは、本当に行くなら脚を撃ってでも止めるとまで言う。
最終的にカツヤは仲間たちに説得され、
準備もなく飛び込むのは無謀だった。
と冷静さを取り戻す。
うん。
普通はそうなる。
ところが、その会話の中でアキラは、
エレナとサラも大襲撃への対応に出ている可能性がある
と知ってしまう。
すると今度はアキラが、
「俺は行く」
と言い出す。
お前も行くのかよ。
しかもアルファは普通に止めている。
エレナたちがいる保証もない。
行っても足手まといになるかもしれない。
危険すぎる。
全部分かっている。
それでもアキラは行く。
以前エレナたちを助けた時には、彼女たちを助けること自体が目的ではなかった。
襲っていた連中を殺す理由として利用した部分もあり、そのことに負い目を感じていた。
だから今度は、
本当に自分の意思で助けたい。
その気持ちが行動へ繋がっている。
無謀なのは間違いない。
でも以前とは少し違う無謀さになっているのが面白かった。
バイクで砲撃部隊へ突っ込むのは無茶すぎる
救援へ向かうアキラに、ハンターオフィスのキバヤシが緊急用の小型バイクを貸してくれる。
しかもアキラには運転経験がない。
大丈夫なのか?
と思ったら、
アルファが操作を補助。
そのまま荒野を爆走。
さらに走行しながら突撃銃を撃ち、次々とモンスターを倒していく。
この時点でも十分おかしい。
だが本番はここからだった。
ハンターたちを一方的に砲撃していたのが《キャノンインセクト》。
多脚の移動装置に大砲を載せたような機械系モンスターである。
しかも遠距離から砲撃。
近付こうにも弾幕が酷い。
そこでアキラがやったのが、
バイクで正面から突撃。
アルファの補助で砲撃を回避しながら距離を詰める。
強化服の無茶な動きで筋肉や骨まで傷める。
回復薬を飲みながらさらに突っ込む。
もう戦い方がおかしい。
そして最後には、さらに巨大な大型キャノンインセクトまで登場。
普通に突撃銃を撃った程度ではどうにもならない。
そこで周囲にいた自走砲弾を利用する。
バイクで突っ込み、
砲弾を蹴り上げ、
自分も跳ぶ。
空中で追いついて、さらに蹴る。
その砲弾を大型機の装填部分へ押し込み、
銃撃して誘爆。
……何やってるんだ、この新人ハンター。
戦闘記録を確認した側からも、
「機器の故障じゃないのか?」
と疑われるほどだった。
本人の技量だけではない。
アルファの索敵。
強化服の操作。
射撃補正。
回避経路の計算。
全部が噛み合った結果である。
だからこそ、派手に活躍していても、
「アキラ本人がそこまで強くなった」
とはまだ言えないところが面白い。
1200万稼いでも「まだ足りない」世界
この大襲撃によって、アキラには最終的に1200万オーラムもの報酬が振り込まれる。
少し前まで、20万オーラムを見て驚いていた少年である。
ものすごい成長だ。
その金で予備のAAH突撃銃。
さらに装甲の硬い機械系モンスターへ対抗するための《CWH対物突撃銃》。
装備はますますハンターらしくなっていく。
スラムでも、
シベアを倒した。
ワタバを撃ち殺した。
シジマの拠点へ乗り込んだ。
大襲撃から生還した。
そんな噂が広まり、以前ならアキラを襲おうとしていた連中が、今では避けて通る。
拳銃しか持っていなかった孤児が、
「下手に触ると危ない奴」
として扱われるところまで来た。
でも、ここで終わらない。
アルファから見れば今の装備でもまだ足りない。
この世界の一流ハンターは、戦車や人型兵器を扱う。
身体を義体化した者もいる。
装備に掛かる金額も桁違い。
そして旧世界製の本当に高性能な品になると、オーラムをいくら積んでも買えないものまで存在する。
強くなった。
金も稼げるようになった。
それでも、
まだまだ先がある。
ここが『リビルドワールド』の面白さだと感じた。
普通なら1200万を稼いで大型モンスターまで倒せば、
「もうかなり強い主人公」
になりそうなのに、この世界ではようやく新人から少し抜け出しかけた程度に見える。
そして一番怖いのは、やっぱりアルファかもしれない
アキラの成長以上に気になるのが、アルファである。
本巻冒頭では、アキラが奇妙な夢を見る。
無表情のアルファが、
失敗。
対象死亡。
依頼破棄。
対象と完全敵対。
そんな記録を延々と読み上げている。
そして、
「499回目。実行中」
と告げる。
……499回目?
アキラ以前にも、アルファと契約した人間が大量にいたのか?
しかも498回目には、最終エリアへ到達した後に対象と完全敵対し、
「処理済み」
となっている。
怖い。
普段は笑顔でアキラを助けてくれる。
訓練してくれる。
危険から守ってくれる。
でも全部、
指定された遺跡を攻略させるため。
その目的だけは最初から変わっていない。
アキラが強くなるほど、
「アルファは最終的に何をさせたいんだ?」
という疑問も大きくなっていく。
拳銃しか持っていなかった少年は、突撃銃と強化服を手に入れた。
大金も稼いだ。
仲間との縁も増えた。
スラムでは恐れられるようにもなった。
それでも強さも、金も、装備もまだ足りない。
そしてアルファの正体も目的も分からない。
まだまだ先は長い。
だからこそ、アキラがどこまで強くなるのかと同時に、
その先でアルファが何を求めてくるのか。
そこが一番気になった『リビルドワールドI〈下〉 無理無茶無謀』だった。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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リビルドワールド I〈上〉レビュー
リビルドワールド全巻まとめ
リビルドワールド 2 〈上〉レビュー
考察・解説
アキラのハンター稼業
強化服の導入と都市防衛戦の全貌
スラム街での抗争を経て、アキラがハンターとして本格的な一歩を踏み出すプロセスについて、装備投資と座学への専念、強化服の導入と過酷な戦闘訓練、初の巡回依頼とカツヤたちとの遭遇、都市防衛の緊急依頼とキャノンインセクトとの死闘、および高額報酬の獲得とCWH対物突撃銃の導入の各点から解説する。
装備投資と「座学」への専念
シベアの徒党の壊滅後、アキラはカツラギに遺物を売却して800万オーラムの大金を手に入れた。
・アキラはアルファの強い勧めに従い、この全額を前金一括でTLT型C式強化服(製品名ケイロン)の注文に注ぎ込んだ。
・さらにアキラは、強化服が届くまでの約2〜3週間、遺跡探索や荒野での実戦訓練を一時的にすべて中止した。これは、アキラの不運を警戒したアルファが「強化服が届くまではアキラを都市から出さない」と決めたためである。
・アキラはこの期間、宿代を節約しながら風呂のない安部屋に籠もり、アルファの構築した高度なAR学習環境を用いて、識字能力の向上などの座学(勉強)にひたすら励んだ。
強化服の導入と過酷な戦闘訓練
注文していた強化服「ケイロン」が納品されたことで、アキラの戦闘訓練はさらに本格的かつ過酷なものへと移行した。
・強化服を起動すると、その自律的な制御によってずっしりとした重量感が消失し、劇的な身体強化がもたらされる。しかし、高出力な強化服は極めて精細な制御が必要となるため、アルファの動作補正サポートがない状態では、アキラはまともに一歩を歩くことすらできず豪快に転倒した。
・射撃訓練では、アキラが大まかな狙いを定めるだけで、アルファが強化服を介して照準を微調整し、発砲時のブレや銃の反動をほぼ完全に吸収する。これにより、アキラは500メートル先の小石に弾丸を必中させるという、神懸かり的な射撃精度を達成した。
・さらに、アキラは特定の条件下で強化服の動作制御を完全にアルファに委ねる(アキラの意志を無視して体を動かしてもらう)許可をアルファに与えた。これは車並みの超高速で荒野を走るなどの超人的な挙動を可能にする一方で、強化服が体を強引に動かすため、アキラの筋肉が千切れ、骨が軋むほどの凄まじい肉体的負荷と痛みを伴うものであった。
・近接戦闘術の訓練では、アキラは「動こうとする前に既に体が動いている」という、強化服の動きを無意識に身体が追認する感覚を掴み始めた。
初の「巡回依頼」とカツヤたちとの遭遇
宿代や強化服のエネルギー代などの必要経費を稼ぐため、アキラはハンターオフィスからクガマヤマ都市周辺の巡回依頼を受託した。
・これは、都市が用意した大型トラックに乗って周辺のモンスターを間引く、比較的低難度で生存率の高い駆け出し向けの依頼である。
・この巡回中、アキラは大手徒党「ドランカム」に所属する若手ハンターのカツヤたちと同じ車両に同乗することになる。高い装備の性能を自身の「実力」と過信し、年齢を理由に軽んじてくる熟練ハンターと不毛な口論を繰り広げるカツヤたちに対し、アキラは風呂付きの部屋に泊まる生活を取り戻すという切実な目的だけを抱き、面倒な人間関係から徹底して距離を置いた。
・実際の戦闘では、アキラはハザワなどの同乗者から足手纏いとみなされていたが、移動中の激しく揺れるトラックの荷台から、アルファのサポートを受けて遠距離のモンスターを的確に仕留め、周囲にその高い戦闘能力を静かに知らしめた。
都市防衛の「緊急依頼」とキャノンインセクトとの死闘
アキラの3回目の巡回中、クズスハラ街遺跡から都市に向かってモンスターの大規模な群れが侵攻しているという緊急事態が発生した。
・巡回中の低ランクハンターたちの多くが都市への即時撤退を選ぶ中、アキラはかつて命を救われ、この群れの進路にいたエレナとサラの身を案じ、単身で緊急依頼の救援へと向かうことを決意した。ハンターオフィスの職員キバヤシはアキラのこの決意を「無理無茶無謀」と賞賛し、前払いの報酬として高性能な荒野仕様の小型バイクを提供する。
・バイクで急行したアキラは、立ち往生してじり貧の耐久戦を強いられていたハンターたちの防衛線に合流し、機械系モンスター「キャノンインセクト」の群れと交戦した。
・AAH突撃銃では有効なダメージを与えられない強固な重装甲を持つ大型キャノンインセクトに対し、アキラはバイクで死線を潜り抜けながら至近距離まで接近。強化服の身体能力を極限まで活用し、周囲に漂う自走式の多脚砲弾を渾身の回し蹴りで大型機の装填口へ強引に叩き込み、それを突撃銃で狙撃して誘爆大破させるという、規格外の荒技で勝利を収めた。
・戦闘完了後、死んだと判定されていた大型獣が突如として息を吹き返しアキラに強襲した際、アキラは銃を手放していたため反応が致命的に遅れた。しかしその瞬間、アルファが着用者の安全制限を無視して強化服の制御装置を乗っ取り、残存エネルギーをすべて使い切ることで一瞬だけ本来の限界を超えた右上段蹴りを放ち、獣の動きを停止させた。アキラはすかさず獣の口内に銃口を押し込んで掃射し、これを完全に撃破して九死に一生を得る。この戦いにより、アキラは右足を骨折し、強化服も故障するほどの甚大なダメージを負った。
高額報酬の獲得と「CWH対物突撃銃」の導入
この凄まじい防衛戦での活躍や、負傷ハンターへの高価な回復薬の譲渡などが高く評価され、アキラには1200万オーラムという想像を絶する超高額の報酬が振り込まれた。
・この報酬を受け取ったアキラは、宿の部屋を風呂付きの広い部屋へとグレードアップし、さらにシズカの店でAAH突撃銃の予備一挺と、重装甲の機械系モンスターを確実に貫通・破壊できる強力なCWH対物突撃銃(および高価な汎用徹甲弾)を購入した。
・シズカから、AAH突撃銃を愛用するあまりに異常な戦闘行動を繰り広げる「AAH愛好家」の存在を聞かされたアキラは、まさに自分がその愛好家と勘違いされるほどの無茶な戦闘を行ったのだと自覚する。
・回復薬の在庫が枯渇し、新たに購入した安物の回復薬では負傷の完治に長い時間がかかるという極めてシビアな現実をアルファから突きつけられたアキラは、さらなる不不運と怪我のリスクを避けるため、クズスハラ街遺跡の探索を一時見合わせ、慎重に他の遺跡も開拓していくことを決意した。
まとめ
強化服の導入と都市防衛戦を巡る一連の全貌は、800万オーラムの全額投資による強化服ケイロンの注文と座学への専念から始まり、アルファの操作介入に伴う超人的動作と肉体的負荷、巡回依頼での静かな戦果の提示、緊急依頼におけるバイク急行とキャノンインセクト誘爆撃破、そして1200万オーラムの報酬獲得とCWH対物突撃銃の導入に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
未熟な能力や不運による死亡リスクという不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、過酷な能力強化と死線における果敢な果断の記録である。
投資の決断から、訓練の受容、巡回の実施、防衛戦の打開、そして重装備の拡充へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
旧領域接続者の謎
旧領域接続者の性質とリスクの全貌
『リビルドワールド』の世界において、最大の謎であり物語の根幹に関わる重要な概念の一つが旧領域接続(旧領域接続者)である。作中でのシズカやエレナたちの会話、そしてアキラ自身の描写から、この能力の驚異的な有効性と背負うべき致命的なリスクが明らかになっている。旧領域接続者の定義、旧領域接続がもたらす劇的な優位性、常に隣り合わせの致命的なリスク、およびアキラと自覚なき接続者の謎の各点から解説する。
旧領域接続者とは
旧領域接続者とは、旧世界時代に構築された高度な情報網であるネットワーク(旧領域)に対し、通常必要となる特殊な接続端末機器を一切使用せず、直接接続できる人間を指す。
・その接続方法は未だ解明されておらず、統治企業の研究班が総力を挙げても完全には解明できていない。
・肉体や脳の特異な送受信機能を通じて、旧世界のインフラシステムと直にリンクする異能の持ち主である。
旧領域接続がもたらす「劇的な優位性」
旧領域に接続できる能力は、ハンター稼業において神がかり的な戦闘力と索敵能力をもたらす。
・「色無しの霧」の克服:東部全域を常に覆い、電波通信や光、音、匂いなどを遮断する色無しの霧による通信障害に、旧領域を介した通信は一切左右されない。
・圧倒的な索敵・位置把握:旧領域からリアルタイムで情報を得ることで、その場の遺跡の構造や、周囲にいる人間、モンスターの正確な位置を完全に把握できる。これにより、他者が色無しの霧で目隠し状態になっている中でも、一人だけすべてが普通に見えているような圧倒的に有利な戦闘が可能になる。
・旧世界の英知へのアクセス:現存する遺跡や正常稼働している旧世界施設を繋ぐ通信網を介して、当時の極めて貴重な技術データベースから直接情報を取得することができる。
常に隣り合わせの「致命的なリスク」
この能力はあまりに強大であるため、接続者本人に肉体的・社会的な破滅をもたらすリスクを孕んでいる。
・脳が情報量に耐えきれず「脳死」する危険:接続は人間の脳を介して直接行われるため、流れ込む膨大な情報量に脳が耐えきれなくなる恐れがある。遺跡で外傷のないハンターが稀に突然死する事例があるが、これは無自覚の旧領域接続者が自覚も制御もできないまま遺跡から膨大な情報を取得してしまい、脳死に至ったためだと考えられている。
・「食い物にされる」社会的危険:その有効性の高さゆえに、常に他者から狙われる運命にある。高精度な地図を売る地図屋が旧領域接続者だと疑われて大企業に攫われるという噂があるほか、裏稼業の連中に捕まれば凄惨な扱いを受けることになる。また、仮に統治企業に確保されたとしても、不自由のない生活と引き換えに、個人の自由は完全に奪われてしまう。
アキラと「自覚なき接続者」の謎
主人公アキラは、脳に特異な形式の情報に対応した無線の送受信機能を持っており、アルファを認識して高度な戦闘サポートを受けていることから、まぎれもなく旧領域接続者としての素質を持っている。
・アキラ本人にはその自覚が全くない。彼は旧領域接続者という言葉自体を知らず、アルファを認識できるのは稀にそういう不思議な能力を持つ者がいて、自分はたまたまその一人なのだ程度にしか考えていない。
・しかし、周囲の鋭い女性たちはアキラの不自然な戦闘能力や、濃い霧の中での救出劇から、その正体に気づきつつある。
・サラとエレナは、アキラが視界不良の霧の中で自分たちの位置を完璧に把握していたことから、彼が旧領域接続者ではないかと推測した。
・シズカも、アキラが強化服を選ぶ際に指定した細かい注文が旧領域接続者の戦力向上に役立つ内容であったことや、彼の規格外の戦績から、彼が接続者である可能性を疑っている。
・しかし、彼女たちはアキラを深く信頼しており、この秘密を詮索して彼を危険にさらしたり、関係をこじらせたりすることを避けるため、不必要な詮索は害悪であるとして、あえてこれ以上追求しないことを決めている。
まとめ
旧領域接続者の性質とリスクを巡る一連の全貌は、特殊端末なしで旧世界ネットワークへ直接アクセスする能力の定義から始まり、色無しの霧の無効化や位置把握による圧倒的戦力優位、過剰情報による脳死や他者・企業からの拘束・搾取という致命的リスク、そしてアキラ自身の無自覚な接続能力とシズカ・エレナ・サラによる不干渉の信頼関係に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
旧領域の呪縛や企業の包囲網という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、奇跡的異能の行使と仲間との絆の記録である。
能力の露呈から、優位性の発揮、リスクの認識、周囲の察知、そして信頼による保護へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
シェリルとスラム徒党
シェリルとスラム徒党の変遷および関係構築の全貌
アキラのハンター稼業としての自立と並行して描かれる「シェリルと彼女が率いるスラム徒党」の物語は、暴力による支配、はったりと依存、精神の再構築といったテーマを内包する非常に濃密な過程である。アキラの長期不在と徒党内に生じたはったりの綻び、生存基盤の構築とカツラギとの取引、外的脅威であるワタバの恫喝とシジマとの死体直談判、精神の崩壊と心の再構築、および本物のボスへの覚醒とシジマすら慄かせる余裕の各点から解説する。
アキラの長期不在と徒党内に生じた「はったりの綻び」
シベアの徒党を壊滅させたアキラを後ろ盾に据え、シェリルはシベアの残党を集めて新たな弱小徒党を結成した。
・アキラは手に入れた大金(800万オーラム)をすべて強化服の購入に充て、納品までの約3週間、アルファの指示で宿に籠もって勉強漬けの日々を送ることとなった。
・アキラが拠点に全く顔を出さない期間が続いたことで、徒党内では「シェリルはアキラのお気に入りだというのはただのはったりではないか」「アキラに既に見捨てられたのではないか」という不満と不信が爆発寸前にまで高まった。
・ようやくアキラが訪れた際、彼は子供たちの前で、俺はシェリル個人に協力するだけで徒党に興味はないし面倒を見る気もない、と言い放った。
・これに絶望し、アキラを弱そうな子供と侮った少年エリオが背後から殴りかかるが、アキラはアルファの先読みサポートによって振り返りもせずにこれを回避。エリオをあっさりと殴り倒し、彼の頭部のすぐ横の床を銃撃して完全に怯え上がらせた。
・アキラは冷酷に、躾はちゃんとしておけ、とシェリルに言い残し、エリオたちを恐怖の底に置き去りにして去っていった。
生存基盤の構築と「カツラギとの取引」
エリオの事件後、アキラはシェリルを連れて武器商人カツラギの移動店舗(大型トレーラー)へ向かった。
・ここでアキラは、自分がカツラギの店で遺物を売る代わりに、シェリルの徒党に便宜(屑鉄や拾い物の適正な仲介)を図ってほしい、という取引を持ちかけた。
・カツラギはアキラの実力を高く評価していたため、損得勘定からこの取引を承諾した。カツラギはスラムの子供を信用していないため、シェリルを強烈に脅して裏切るなと釘を刺したが、最終的に賞味期限間近の食料や売れ残りの武器を譲渡した。
・さらに、アキラを自分との取引に繋ぎ止めるための投資として、本来スラムの子供が使えないような高級な石鹸や化粧品の試供品をシェリルに与えた。
・拠点に戻ったシェリルは、アキラを襲ったエリオを激昂して追放し、カツラギからの支援物資を配分してボスの地位を確立した。彼女はアキラに見限られないために、手段を選ばず徒党の規模を拡大し、利益を上げるための厳しい指導を開始した。
外的脅威:ワタバの恫喝とシジマとの「死体直談判」
徒党の急速な規模拡大と、管理しきれていない広大な縄張りに目をつけたのが、スラム街の中堅徒党を率いる大物「シジマ」であった。
・シジマは、かつてシベアの部下であり、現在はシジマの配下となっていた荒くれ者ワタバらを交渉役に派遣した。しかし、ワタバはシェリル達を男に媚びるだけの少女と、その傀儡の子供と完全に見下し、シジマの意図(一部の縄張りの譲渡交渉)を無視して拠点と縄張りすべての明け渡しを要求した。
・ワタバはさらに増長し、アキラが泊まっている宿や、よく行く武器屋(シズカの店)を調べて危害を加えるような脅迫を行った。これを聞いた瞬間、アキラの脳内でワタバは自分を殺すと言い、大切な居場所を害する、殺される前に殺すべき敵と認識された。アキラは一切の躊躇なくその場でワタバを射殺し、周囲の同行者の足を撃ち抜いて制圧した。
・アキラは驚愕するシェリルを引き連れ、殺されたワタバの死体をそのまま引きずってシジマの拠点へ直談判に向かった。
・シジマの部屋に乗り込んだアキラは、驚きと敵意に満ちた武装護衛たちに囲まれながらも、平然とソファーに座った。シジマが裏で戦闘員を集結させようとした瞬間、アキラはアルファのサポートのもとでそれを察知し、集結する前にこの部屋の者を真っ先に攻撃し、全員を各個撃破する(皆殺しにする)と本気で警告した。
・この子供がはったりではなく、本気で皆殺しを実行できる狂人(地雷)であると見抜いたシジマは、即座に手を引いて穏便な解決を選択した。結果として、シジマの面子を保つための和解金として「100万オーラム」が提示された。即金での支払いが不可能なアキラは前金50万、残りは後払い(自分が稼いだ時)という不条理な妥協案を提示し、シジマはアキラの危険性を考慮してこれを渋々受け入れた。
精神の崩壊と「心の再構築」:アキラへの絶対的依存
シジマの拠点から戻る道中、これまで張り詰めていたシェリルの精神がついに決壊した。
・彼女の心は、シベアの死から路地裏生活、はったりによるボスの就任、エリオの暴走、商人やアキラからの度重なる殺害脅迫、そしてシジマとの殺し合い寸前の死線を経て、限界まで削り取られていた。
・彼女は歩くこともできなくなり、路地裏で俯いて声を上げて泣き出した。
・アキラは非常に困惑し、以前シズカに抱きしめられて心が落ち着いた経験を思い出して、不器用にシェリルを黙って抱きしめた。
・この瞬間、シェリルの精神は劇的な変容を遂げた。
・砕け散った彼女の精神は、アキラという絶対に揺らがない強力な軸を得て、彼への強烈な依存と安堵、救いをベースにして再構築された。
・翌朝、目を覚ましたシェリルからは昨日の怯えや悲壮感が完全に消え去り、自信と余裕に満ちた妖艶な雰囲気を漂わせるようになった。彼女は自分の聡明さを完全に取り戻し、アキラに対して抱きつくと安心する、動きやすさが減るなら服を脱いでほしい、と巧みな言葉と美貌を用いてスキンシップを要求し、アキラの思考を自分の望む方向へ誘導することに成功する。
本物のボスへの覚醒と、シジマすら慄かせる「余裕」
精神が再構築されたシェリルのボスの手腕は、以前とは比べ物にならないほど冴え渡った。
・彼女は、騒動の夜に怖気づいて徒党から逃げ出した者たちを即座に切り捨て、追放していたエリオをアキラの仲介(遺跡での荷物運びの手伝い)を機に裏切り者が出ないための監視・説得役として再雇用し、組織の統制を劇的に高めた。
・のちに、シジマが和解金の残金(50万オーラム)を受け取るため、そしてアキラが本当に生きているかを探る(死んでいれば徒党を潰すため)に拠点を訪れた際、シェリルは以前の怯えを完全に消し去り、大金を前にしても自然体で不敵な自信と余裕の笑みを見せた。
・アキラが話が長そうだからと途中で帰ってしまった後も、彼女はシジマと堂々と渡り合い、現在の自分たちでは管理しきれない縄張りの半分をシジマに割譲する代わりに、今後の協力関係と100万オーラムの利益を勝ち取る交渉を成立させた。
・シジマは、アキラという爆弾を背後に背負いながら、急激に恐るべき度胸と聡明さを開花させたシェリルの変貌に本能的な不気味さを感じ、不必要な怪物(度胸と知恵を持ったボス)を目覚めさせてしまったかもしれないと強い懸念を抱くのであった。
まとめ
シェリルとスラム徒党の変遷および関係構築を巡る一連の全貌は、アキラの長期不在によるはったりの綻びと反抗したエリオの即座の制圧から始まり、カツラギとの取引による物資確保と組織基盤の確立、脅迫者ワタバの射殺とシジマ拠点での死体同伴直談判、精神決壊からのアキラ抱擁による劇的な精神再構築と絶対的依存、そしてエリオの再雇用とシジマとの縄張り・利益共有交渉を通じた本物のボスとしての覚醒に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
弱肉強食のスラムの過酷な現実や死の恐怖という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、圧倒的威圧の獲得と知略による権力構造再編の記録である。
抗争の激化から、物資の獲得、脅威の排除、精神の刷新、そして安定的対立関係の構築へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
強化服と装備更新
TLT型C式強化服と装備更新の全貌
『リビルドワールド』において、主人公アキラのハンター稼業としての飛躍を支える装備更新と、その裏に潜む過酷な現実について、TLT型C式強化服「ケイロン」の導入とアルファサポートという前提、意志を無視した「完全制御」と凄まじい肉体負荷、「CWH対物突撃銃」と「荒野仕様バイク」への装備更新、および装備の巨大化がもたらす「維持費」の現実の各点から解説する。
TLT型C式強化服「ケイロン」の導入と「アルファサポート」という前提
アキラは、クズスハラ街遺跡でカツラギに遺物を売却して得た「800万オーラム」を、シズカの店で前金一括で支払い、初の強化服を注文した。
・納品されたのはTLT型C式強化服(製品名:ケイロン)という、2世代ほど前のモデルである。
・この強化服は、起動していない時はゴムのように非常に柔らかく着脱が容易だが、腰の起動スイッチを入れると金属繊維や金属骨格が硬化し、ずっしりとしたスーツ自体の重量感を完全に消失させる性能を持っている。
・しかし、急激に身体能力を引き上げるこの強化服は、アルファによる高度な動作補正(サポート)があって初めてまともに稼働する。
・アルファの補正がない状態では、アキラは一歩進むことすらできず、地面の土を過剰に蹴り上げて豪快に転倒してしまう。
・一方で、アルファが動作補正を行うことで、アキラの構えた銃のぶれや反動を完全に吸収し、移動中の揺れるトラックの荷台からでも遠距離の標的に必中させる精密射撃が可能になる。
意志を無視した「完全制御」と凄まじい肉体負荷
さらにアキラは、特定の緊急時において強化服の動作制御を完全にアルファに委ねる(アキラの意志を無視して体を動かす)許可を彼女に与えた。
・アルファが制御をジャックした強化服は、着用者の安全性や関節の限界制限を無視して本来の性能の限界を超えた挙動を可能にし、車並みの超高速で荒野を走るなどの超人的な挙動をアキラに取らせることができる。
・しかし、これは強化服がアキラの肉体を無理やり強引に動かすため、骨が軋んでひび割れ、筋繊維が次々に千切れるほどの凄まじい肉体的負荷と劇的な痛みを伴う。
・そのため、アキラは事前に大量の回復薬(治療用ナノマシン)を服用し、戦闘中に細胞単位での負傷と治癒を猛烈な勢いで繰り返しながら耐え忍ぶ必要があった。
「CWH対物突撃銃」と「荒野仕様バイク」への装備更新
強化服を手に入れたことで、アキラが扱える火器のスケールも劇的に向上した。都市防衛の緊急依頼(防衛戦)を生き延びたアキラは「1200万オーラム」という高額の報酬を手にし、シズカの店で主要な装備更新を行った。
・AAH突撃銃の予備:愛用するAAH突撃銃が急に壊れた場合の保険として、もう一挺追加で購入した。
・CWH対物突撃銃と汎用徹甲弾:キャノンインセクトなどの強固な装甲を持つ機械系モンスターに対抗するため、非常に重いが圧倒的な貫通力を誇る大型銃「CWH対物突撃銃」を導入した。強化服の身体強化機能があるからこそ、この重厚な対物ライフルを背負って荒野を歩き、実戦で運用することが可能になった。
・荒野仕様の小型バイク:緊急依頼の前払い報酬としてキバヤシから支給されたもので、これも情報端末を介してアルファが制御をサポートし、悪路を車並みの速度で駆け抜けながらの精密射撃や、激しい戦闘回避を支える重要な移動手段となった。
装備の巨大化がもたらす「維持費」の現実
一方で、装備更新が進むほど、ハンター稼業を継続するための必要経費は劇的に跳ね上がることになる。
・今やアキラの家計には、銃弾代や宿代のほかに、強化服を稼働させるための高価なエネルギーパックのエネルギー代が常時重くのしかかる。
・さらに、無茶な戦闘で壊れた強化服の修理には最低1か月以上の時間を要するうえ、戦闘での負傷を瞬時に治すための旧世界製の高性能な回復薬は、アキラが購入した安物の回復薬では完治に2週間かかるのに対し、1箱100万オーラムもする富裕層向けの超高級品であるという過酷な現実が立ちはだかる。
・アキラの装備更新は、アルファという最高の演算機と強化服という最悪の肉体負荷を組み合わせることで、駆け出しとは思えない戦闘能力をアキラに与えた。
・しかしそれは、常に莫大な消耗品費と死の危険を天秤にかけ続ける、極めてギリギリの自転車操業の上に成り立っている。
まとめ
TLT型C式強化服と装備更新を巡る一連の全貌は、カツツラギからの遺物売却益800万オーラムによる強化服ケイロンの導入とアルファの動作補正依存から始まり、緊急時における安全制限解除の完全制御と細胞単位の破壊・再生を伴う凄まじい肉体負荷、1200万オーラムの報酬投入によるCWH対物突撃銃やバイクの獲得、そして高額なエネルギー代や修理期間、超高級回復薬の必要性に見る莫大な維持費と自転車操業の現実に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
身体的限界や資金難という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、圧倒的火力獲得と命懸けの維持費運用の記録である。
投資の完了から、完全制御の行使、重装備の拡充、資金圧迫の直面、そして過酷な稼業の継続へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
都市防衛の緊急依頼
都市防衛の緊急依頼(防衛戦)の全貌
クガマヤマ都市の防衛隊が出撃するほどの大規模なモンスターの侵攻に伴って発行された都市防衛の緊急依頼(防衛戦)について、命を賭けた選択におけるアキラとカツヤの対比、急行と第一波の撃退、キャノンインセクトとの壮絶な肉体負荷戦、大型機への回し蹴りによる決戦、九死に一生の不意打ちとその代償、および結果と影響の各点から解説する。
命を賭けた選択:アキラとカツヤの対比
巡回任務の最中に緊急事態が伝達された際、ほとんどの低ランクハンターたちは生存率の低さから即座に都市への帰還を選択した。
・カツヤの挫折:正義感に駆られるカツヤは救援に向かいたいと引率のシカラベと激しく口論した。しかし、あまりに無謀な自殺行為を見かねた幼馴染のユミナからその両脚を撃ち抜いてでも止めると本気で銃を向けられ、アイリの説得もあって撤退を受け入れるしかなかった。
・アキラの無理無茶無謀な決意:一方のアキラは、かつて自分を救ってくれたエレナとサラがこの襲撃に巻き込まれているかもしれないと直感した。彼女たちへの負い目や感謝から、自分を部外者にしたくないという極めて個人的な自己満足のために単身での受諾を表明した。
・ハンターオフィスの職員キバヤシは、このアキラの無謀な決意をこれぞハンター稼業の醍醐味と大爆笑して称賛し、即座に前払い報酬として荒野仕様の小型バイクを支給して彼を戦場へと送り出した。
急行と第一波の撃退
バイクの運転経験が皆無だったアキラであるが、アルファがアキラの強化服を直接操作することで、悪路の荒野を車並みの超高速で爆走することに成功した。
・戦場では、移動不能となった2台のトラックを多数のモンスターが包囲していた。
・アキラはバイクの機動性を活かして敵を引き付けながら、アルファの神がかり的な精密射撃サポートによって次々とモンスターを狙撃した。
・トラックの熟練ハンターたちとの見事な挟み撃ちの陣形を成立させ、まずは周辺の群れを全滅させた。
「キャノンインセクト」との壮絶な肉体負荷戦
一時的な安堵も束の間、トラックを破壊した機械系モンスターであるキャノンインセクトの群れと、それを無限に補給する多脚自走弾倉(補給機)が襲来した。
・有効射程外から戦車砲並みの弾幕を繰り出す敵に対し、アキラは筋繊維が千切れ骨にひびが入るのを承知で、事前に回復薬(治療用ナノマシン)を大量に服用した。
・強化服を介したアルファの限界ギリギリの超機動サポートに身を委ね、細胞単位での負傷と治癒を猛烈な勢いで繰り返しながら弾幕を掻い潜り、補給機を優先的に破壊して敵を追い詰めていった。
規格外の決戦:大型機への「回し蹴り」
さらに、戦闘区域ごとすべてを吹き飛ばす威力を持つ、超巨大な大型キャノンインセクトが増援として出現した。アキラのAAH突撃銃では強固な装甲を一切貫通できない。
・そこでアルファは、アキラを敵の旋回限界である射程の内側(至近距離)へ突入させ、バイクの足払いで随伴していた自走砲弾を空中へ跳ね上げた。
・アキラはバイクから跳躍し、空中でその自走砲弾に対し、強化服の出力を乗せた渾身の回し蹴りを炸裂させた。
・蹴り飛ばした砲弾を大型キャノンインセクトの巨大な砲口(装填口)へ強引に捻じ込み、そこを空中から突撃銃で射撃して誘爆させ、大型機を木っ端微塵に大破させるという、誰も思いつかないような荒技で勝利を収めた。
九死に一生の不意打ちと、その代償
すべてのキャノンインセクトを撃退して安堵が広がったその瞬間、本日最大の不運がアキラを襲った。
・死んだと誤認され、戦場に放置されていた巨大な肉食獣モンスターが突如蘇生し、銃を手放していたアキラに強襲した。
・アキラの反応は致命的に遅れたが、アルファが安全リミッターを完全に解除して強化服を強制起動した。
・残存エネルギーをすべて使い切ることで、一瞬だけ身体能力を本来の性能の限界以上に引き上げ、右上段蹴りで獣の頭部を強打して動きを止めた。
・その隙に突撃銃を拾い直したアキラが、敵の口内に銃口を捩じ込んで全弾掃射し、完全に息の根を止めた。
・この限界突破の代償として、アキラは右足を骨折し、おろしたての強化服も停止・故障するほどの満身創痍となった。
まとめ
都市防衛の緊急依頼(防衛戦)の全貌を巡る一連の全貌は、カツヤの撤退とアキラの自己満足による単身出撃の決定から始まり、バイク急行による第一波包囲網の撃退、回復薬多量服用によるキャノンインセクト弾幕戦の打破、自走砲弾への回し蹴り誘爆による大型機撃破、リミッター解除の右上段蹴りを伴う蘇生肉食獣への九死に一生の対処、そして1200万オーラムの報酬獲得とCWH対物突撃銃の導入に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
生存率の低さや身体能力の限界という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、覚悟の戦場急行と破天荒な超機動戦闘の記録である。
出撃の果断から、包囲の突破、補給の絶ち、大型の粉砕、死線の脱出、そして評価の確立へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。
リビルドワールド I〈上〉レビュー
リビルドワールド全巻まとめ
リビルドワールド 2 〈上〉レビュー
キャラクター紹介
旧世界の存在
アルファ
アキラの脳に直接情報を送り込む拡張現実の存在である。
彼女は自分が指定する高難度遺跡の攻略を目的としている。
アキラを実力のあるハンターに育てるために彼を支援した。
・所属組織、地位や役職
拡張現実。アキラ専用のサポートAI。
・物語内での具体的な行動や成果
夢の中で過去の支援失敗例を記録として読み上げていた。
アキラが不運に対抗できるよう装備更新を強く勧める。
トラックの巡回依頼でアキラの精密射撃をサポートした。
アキラに解像度と勘の鈍さに関する説明を行う。
キャノンインセクト戦でアキラの強化服を操作して戦いを支援した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アキラの不運を警戒して過保護にする方針を決める。
彼に対して様々な衣装を見せて反応を試した。
ハンター
アキラ
スラム街出身の駆け出しハンターである。
彼は理不尽な世界で生き残るために強い執着と覚悟を持つ。
アルファを深く信頼して彼女の指示に従って行動した。
・所属組織、地位や役職
ハンター。
・物語内での具体的な行動や成果
シベアの徒党の壊滅後に得た資金をすべて強化服の購入に充てた。
強化服が届くまでの期間を宿での識字などの勉強に費やす。
トラックでの巡回依頼でアルファの支援を受けてモンスターを撃退した。
エレナたちへの義理を果たすため単身で都市防衛の緊急依頼を受託する。
キャノンインセクトの群れと大型機を激しい痛みに耐えて撃破した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
緊急依頼の達成により1200万オーラムの報酬を得る。
宿を風呂付きの広い部屋にグレードアップさせた。
シズカの店でCWH対物突撃銃を新たに導入する。
ハザワ
トラックでの巡回依頼に同乗したハンターである。
彼は慎重すぎるあまりに危険な遺跡探索から身を引いていた。
アキラがAAH突撃銃を的確に扱って成果を上げる姿を目撃する。
・所属組織、地位や役職
ハンター。
・物語内での具体的な行動や成果
巡回トラックで若手ハンターたちの存在に文句を言った。
装備ばかりが立派なカツヤと激しい口論を展開する。
アキラがトラックの揺れを無視して遠距離狙撃を成功させたことに驚いた。
アキラとの会話を通じて自身の愛銃であるAAH突撃銃を見比べる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アキラの謙虚な態度や見事な射撃に強く刺激を受ける。
かつて成り上がろうとしていた向上心を思い出した。
銃の整備をしっかりと行い再びハンターとしてやり直す決意を固める。
エレナ
状況分析や情報収集を得意とする女性ハンターだ。
彼女はサラとチームを組み彼女を火力役として支える。
アキラを命の恩人として深く感謝し気遣いを見せた。
・所属組織、地位や役職
ハンター。情報収集担当。
・物語内での具体的な行動や成果
カツラギに対して緊急依頼の報酬を厳しく請求した。
統企連からの裏の読めない緊急依頼を受けて念入りに準備を整える。
広場で偶然アキラと再会した際に感謝の言葉を伝えた。
サラとアキラとの思い出や彼の過去への配慮について話し合う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
サラの勧めにより自身の強化服の選定をシズカに一任する。
かつてはファラゲルト都市から東部区画へ越境してハンターとなった。
サラ
身体強化拡張者の女性ハンターだ。
彼女はエレナを信頼できる相棒として行動を共にする。
アキラの負傷を心配し優しく接した。
・所属組織、地位や役職
ハンター。火力担当。身体強化拡張者。
・物語内での具体的な行動や成果
防衛戦での激しい戦いによりナノマシンを激しく消耗した。
アキラに対してエレナたちの自宅で彼の目覚めを優しく待つ。
アキラが自分たちを助けた恩人であることを直接確認した。
カツヤたちの視線を浴びながら弾丸のペンダントを身につけている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
装備を新調したことでハンターとしての稼ぎが順調になる。
昔は難病治療のために投与されたナノマシンにより東部に残る決断をした。
ハンター徒党「ドランカム」
カツヤ
ドランカムに所属する若手ハンターである。
彼は自身の装備や実力を大人たちに認めさせようと焦る。
アキラの圧倒的な精密射撃を見て羨望と嫉妬を抱いた。
・所属組織、地位や役職
ハンター徒党ドランカム。若手組リーダー。
・物語内での具体的な行動や成果
巡回トラックでハザワから年齢を理由に馬鹿にされて激怒した。
トラックの射撃で狙撃銃を扱いモンスターを引き寄せる。
都市防衛の緊急依頼への参加を希望してシカラベと激しく口論した。
大襲撃に任意で参加して多くのモンスターを討伐する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
大襲撃で親しい友人3人を失い強い自責の念にかられる。
過度な訓練を重ねる様子をユミナやアイリに心配された。
ユミナ
ドランカムに所属する少女ハンターである。
彼女はカツヤの幼馴染として彼を近くで支える。
カツヤの無謀な行動を厳しく制止する役割を担った。
・所属組織、地位や役職
ハンター徒党ドランカム。
・物語内での具体的な行動や成果
カツヤとハザワの言い争いに割り込みカツヤを殴って口論を止めた。
カツヤが激しい怒りからトラックを降りようとした際に銃を向ける。
カツヤの両脚を撃ち抜いてでも無謀な突撃を阻止する本気を示した。
大襲撃の後にひたすら訓練を続けるカツヤを優しく抱きしめる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
これまではカツヤの意見に賛成していたが最近は反対意見も言う。
カツヤがサラの胸元を見ていたことをからかって遊ぶ。
アイリ
ドランカムに所属する無表情で冷静な少女ハンターである。
彼女はカツヤをリーダーとして信頼し彼の意見に常に従う。
ハザワたちのやっかみを無視して上を目指す強い意志を持った。
・所属組織、地位や役職
ハンター徒党ドランカム。
・物語内での具体的な行動や成果
ハザワとの口論の後にカツヤへ狙撃銃を返すよう求めた。
落ち込むカツヤにやっかみの声が届かない場所へ行こうと励ます。
カツヤが緊急依頼に向かうのを狙って手を握り必死に止めた。
大襲撃の生存後に再び訓練を行うカツヤに寄り添う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
カツヤをからかうユミナの冗談に冷静な真顔で追撃を加えた。
シカラベ
ドランカム所属の熟練したハンターだ。
彼は若手たちの引率や子守を任されている。
カツヤの聞き分けのない態度を明確に軽んじていた。
・所属組織、地位や役職
ハンター徒党ドランカム。指導役。
・物語内での具体的な行動や成果
トラック内の騒ぎに対して強い威圧を放って静めさせた。
緊急依頼への参加を求めるカツヤを一喝して厳しく拒絶する。
カツヤを甘い手段ではなく自ら力尽くで止める覚悟を持っていた。
アラベからカツヤたちのこれまでの生還実績と戦果を伝えられる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
巡回トラックの騒ぎに対する罰として危険な激戦区に配置された。
カツヤたちの子守の役割から外される調整をアラベに依頼する。
アラベ
ドランカムの幹部を務めるハンターである。
彼はシカラベの友人として彼の苦労を理解していた。
カツヤたちの新たな指導者としてエレナたちを推薦する。
・所属組織、地位や役職
ハンター徒党ドランカム。幹部。
・物語内での具体的な行動や成果
大襲撃の後にシカラベを呼び出して指導の件を話し合った。
若手グループの生存率と獲得した戦果を評価する。
シカラベがカツヤたちを強く嫌悪していることを察した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
シカラベの負担を減らすために子守の役割の変更を手配する。
スラム街の徒党(シェリルの徒党)
シェリル
アキラを後ろ盾にする徒党のボスである少女だ。
彼女はアキラの気を引くために自分の容姿を磨く努力を怠らない。
アキラへの強い依存と信頼を心の軸にして精神を保っていた。
・所属組織、地位や役職
シェリルの徒党。ボス。
・物語内での具体的な行動や成果
アキラが宿から姿を現さない期間に焦りと不満を隠していた。
アキラから提供されたカツラギの援助物資を厳格に配分した。
ワタバの恫喝に怯みながらもアキラが彼を射殺する場に立ち会う。
アキラに抱きしめられたことで精神の再構築を果たす。
シジマとの交渉において一歩も引かずに100万オーラムを獲得した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
怯えた少女から度胸と余裕に満ちたボスへと覚醒する。
シジマに不気味な不穏さを覚えさせるほどの影響力を発揮した。
エリオ
シェリルの徒党に所属する少年だ。
彼はアキラに喧嘩を売ったことで一度は徒党を追放された。
アキラの強さを理解し再び徒党に復帰して真面目に働く。
・所属組織、地位や役職
シェリルの徒党。戦闘員、見張り役。
・物語内での具体的な行動や成果
アキラの見栄えの悪さに不信を抱き背後から殴りかかった。
アキラにあっさり回避され銃撃の脅しを受けて怯える。
追放後に遺跡で遺物を得ようとするがモンスターに遭遇した。
アキラに救い出されたことで再びシェリルに懇願して復帰する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アキラの指示に従って遺跡での出来事を他人に話さないと誓う。
逃亡者の処分や新入りの説得を行う組織の武力要員となった。
アリシア
シェリルの徒党に所属する少女である。
彼女はエリオの幼馴染として彼のことを常に気遣う。
エリオが戻ってきたことを心から喜んだ。
・所属組織、地位や役職
シェリルの徒党。
・物語内での具体的な行動や成果
エリオの復帰をシェリルに必死に懇願した。
シェリルから人数が増えるまではエリオを戻せないと却下される。
アキラがエリオを連れて戻ってきたことをシェリルに報告した。
復帰したエリオに徒党の現状や仕事の情報を教える。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
エリオの様子がおかしいことを心配する。
エリオから遺跡の出来事について何も聞かないでほしいと鬼気迫る様子で頼まれて承諾した。
スラム街の徒党(シジマの徒党)
シジマ
スラム街の中堅徒党を率いるボスである。
彼は不必要な対立を避ける計算高さを持つ。
アキラを危険な存在と判断して手を引いた。
・所属組織、地位や役職
シジマの徒党。ボス。
・物語内での具体的な行動や成果
アキラがワタバの死体を引きずって乗り込んできた際に対面した。
アキラから「徹底抗戦なら何人殺せば諦めるか」と問われる。
アキラが戦闘体制に入ったのを察知して即座に和解を提案する。
シェリルとの交渉の残金を受け取るために拠点を訪れた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
シェリルの縄張りの半分を手に入れる代わりに100万オーラムを支払う。
恐るべき知恵と度胸を急激に開花させたシェリルに強い不気味さを感じた。
ワタバ
シベアの元部下であり現在はシジマの配下となった男だ。
彼はシェリルたちを女に媚びる傀儡と完全に見下していた。
アキラの居場所に手を出すと恫喝して彼を怒らせる。
・所属組織、地位や役職
シジマの徒党。構成員。
・物語内での具体的な行動や成果
シェリルの拠点に上がり込み縄張りと拠点の明け渡しを迫った。
アキラを呼び出し彼に対しても傲慢な態度を取る。
アキラの居場所や周囲の人物に危害を加える脅迫を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
敵と認識したアキラによって一切の躊躇なくその場で射殺された。
死体はアキラによってシジマの拠点まで床を引きずられる。
商人・店舗
シズカ
銃弾専門店「カートリッジフリーク」を経営する女性である。
彼女はアキラを大切な常連候補として打算のない気遣いを向ける。
アキラが嘘をついて防衛戦に参加したことを見抜いて心配した。
・所属組織、地位や役職
カートリッジフリーク。店長。
・物語内での具体的な行動や成果
アキラが突然1000万オーラムもの大金を用意したことに驚く。
アキラをカウンターの裏に連れていき強化服を脱がせて怪我がないか確認した。
アキラが激戦を生き延びたことを安堵して彼を優しく抱きしめる。
機械系に有効なCWH対物突撃銃と汎用徹甲弾をアキラに推奨した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アキラが旧領域接続者ではないかという仮説にたどり着く。
不必要な詮索は害悪としてそれ以上の追及を意図的に打ち切った。
カツラギ
最前線から高性能な装備を輸送してきた武器商人である。
彼はエレナから厳しい報酬交渉を受けて焦りを見せた。
アキラとの繋がりを重視してシェリルに便宜を図る。
・所属組織、地位や役職
移動店舗。店主。
・物語内での具体的な行動や成果
エレナたちの救援代金を即金で払えず引き延ばそうと交渉した。
アキラがシェリルを連れてやってきた取引を承諾する。
シェリルに対してアキラに捨てられないよう容姿を磨けと投資を施した。
期限の近い保存食や石鹸などの試供品をシェリルに与える。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アキラを自身のビジネスを発展させる幸運の象徴として期待する。
ダリス
カツラギの移動店舗で相棒を務める護衛の男だ。
彼はアキラに対して同じ死線を潜り抜けた者として気安く接する。
シェリルの礼儀正しい態度に好印象を抱いた。
・所属組織、地位や役職
移動店舗。護衛兼店員。
・物語内での具体的な行動や成果
店舗を訪れたアキラの無事を確認して笑顔を交わす。
アキラの求めに応じてトレーラーからカツラギを呼び出した。
カツラギの土産が詰まった重いバッグをシェリルの拠点の前に運ぶ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
スラムの子供にしては礼儀正しいシェリルに好感を持ち応援する言葉をかけた。
ハンターオフィス
キバヤシ
巡回依頼を管理するハンターオフィスの職員だ。
彼はハンターたちの無謀な生き様に強い興奮とこだわりを持つ。
アキラの無茶な突撃を見て彼を非常に高く評価した。
・所属組織、地位や役職
ハンターオフィス。巡回管理職員。
・物語内での具体的な行動や成果
アキラが緊急依頼を受託すると言い出したことに大いに驚いた。
アキラの決意を認め助手席に常備していた折り畳み式小型バイクを支給する。
アキラの戦歴に妙なデータ(突拍子もない突撃)が混ざっていることを確認した。
アキラが帰路につくのを見送った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アキラを無理を地で行くハンターと称賛する。
戦歴データを機械の故障と疑う部下に対し、データを消さずに自分に送るよう命じた。
東部統治企業連盟(統企連)
ヤナギサワ
クズスハラ街遺跡の奥部探索を目指す主任の男だ。
彼は自らの本当の目的を隠して複数の勢力を裏で操る。
建国主義者を利用して都市にモンスターの群れをぶつけた。
・所属組織、地位や役職
東部統治企業連盟(統企連)。主任。
・物語内での具体的な行動や成果
統企連の黙認を得て、アルフォト団を利用して大襲撃を引き起こした。
大襲撃によりクズスハラ街遺跡奥部のモンスターを間引くことに成功する。
部下に対して今回の作戦が全員に利益をもたらしたと豪語した。
部隊を引き連れてモンスターの減ったクズスハラ街遺跡の奥部へと進む。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
部隊員に対して最新装備「ラグナロック」や「対滅弾頭」を手配した。
真の目的を胸に秘めて行動する。
中央部
パラッド
サラを連れ戻すために検問所に現れた男である。
彼はサラを中央部に戻す命令を受け、彼女を害することも厭わない。
軍用の防護服を着用してエレナたちを圧倒した。
・所属組織、地位や役職
中央部組織。
・物語内での具体的な行動や成果
サラが治療の過程で禁輸指定のナノマシンを投与されたことを指摘した。
サラを生死問わずに連れ帰る命令を実行しようと迫る。
エレナからの銃撃を強固な軍用防護服で完全に無効化した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ナノマシンの効果で身体能力が強化されていたサラの一撃により倒された。
集団
ドランカム
クガマヤマ都市に拠点を置く巨大なハンター徒党である。
この徒党は新規の若手ハンターたちの勧誘と育成に力を入れている。
しかし若手の優遇方針を巡ってベテラン勢との間に強い不満が生じていた。
・所属組織、地位や役職
ハンター徒党。
・物語内での具体的な行動や成果
若手の生還率を高めるために熟練者に指導と護衛を義務付けた。
エレナたちに対して子守を兼ねた高額な別枠の依頼を発行する。
大襲撃に任意で参加した若手たちから3人の死者を出しつつ成果を挙げた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
大襲撃での多大な貢献により徒党としての名声を高める。
シェリルの徒党
崩壊したシベアの徒党を元にして新しく立ち上げられた弱小の集団だ。
彼らはアキラの圧倒的な武力を唯一の後ろ盾としてスラムを生き抜く。
アキラに見捨てられないために手段を選ばず利益を上げようとした。
・所属組織、地位や役職
スラム街の徒党。
・物語内での具体的な行動や成果
アキラがしばらく顔を出さなかったことで後ろ盾のはったりの綻びに焦る。
カツラギから支給された支援物資を分配して生存基盤を確保した。
エリオを組織の規律維持のために再雇用する。
シジマとの交渉により縄張りの半分を譲渡し、100万オーラムを獲得した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アキラの武力という爆弾を背負うことで、シジマから無視できない交渉相手と認められた。
シジマの徒党
スラム街に存在する規模の大きな中堅の集団だ。
彼らはシベアの死によって生まれた空白の縄張りを狙っていた。
しかしアキラという地雷を踏むことを避けて穏便な示談を選択する。
・所属組織、地位や役職
スラム街の徒党。
・物語内での具体的な行動や成果
ワタバたちを交渉役に派遣してシェリルの縄張りを脅し取ろうとした。
ワタバの死体を持って現れたアキラに怯み、即座に手を引く。
アキラへの報復を諦め、彼らとの交渉に応じた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
シェリルの徒党から縄張りの半分を譲り受け、代わりに100万オーラムを支払った。
ヤナギサワの部隊
ヤナギサワ主任の直接の指揮下にある武装集団だ。
彼らは東部の基準を遥かに超える高性能な装備を支給されている。
ヤナギサワ主任の高い能力と手配力を深く信頼して行動した。
・所属組織、地位や役職
統企連ヤナギサワ主任の直属部隊。
・物語内での具体的な行動や成果
ヤナギサワ主任の指示に従ってクズスハラ街遺跡の深部へと進軍した。
主任から支給された最新兵器「ラグナロック」を装備する。
作戦の真意を疑問に思いつつも命令に従って進み続けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
作戦により、危険なモンスターが減少した遺跡の奥部の探索を有利に進める。
アルフォト団
東部で国家建設を目論む過激な建国主義者のテロ組織である。
彼らは使命のためならば自身の命を犠牲にすることも厭わない。
ヤナギサワ主任に利用されて大襲撃の囮として使い捨てられた。
・所属組織、地位や役職
建国主義者グループ。
・物語内での具体的な行動や成果
クズスハラ街遺跡の奥部から都市に向けてモンスターを誘き出す役割を担った。
作戦の途中で誘き出しの囮として全員が死亡する。
統企連から今回の襲撃の主犯として断定され犯行声明を発表した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
統企連から激しい報復措置の対象として名指しされる。
都市の防衛隊
クガマヤマ都市の防衛を担当する私設軍隊である。
彼らは戦車や人型兵器、装甲強化兵などの戦力を有する。
今回のモンスターの大襲撃に対して出撃し、侵攻してきた群れの主力を迎撃した。
・所属組織、地位や役職
都市防衛の私設軍。
・物語内での具体的な行動や成果
クズスハラ街遺跡から都市に向かってきた主力の群れを完全に撃破した。
大襲撃の脅威を退けてクガマヤマ都市の安全を死守する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
防壁の内側の住民に対して自らの存在意義と予算の必要性をアピールした。
モンスターの群れ
クズスハラ街遺跡の奥部から出現した変異生物の集団だ。
彼らは一直線にクガマヤマ都市を目指して大行進を繰り広げた。
強力な個体が数多く交じっており、周辺のハンターたちに多大な被害を与える。
・所属組織、地位や役職
野生モンスター。自律兵器などの混合群。
・物語内での具体的な行動や成果
アルフォト団に誘導されて遺跡の奥部から荒野へと侵攻した。
主戦場を離れた巡回トラックや、アキラのいた救援地点を包囲した。
都市の防衛隊や強力なハンターたちの反撃を受けて殲滅された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
主力の群れの排除により大襲撃は沈静化する。
キャノンインセクトの群れ
背中に巨大な大砲を乗せた機械系モンスターの集団だ。
彼らは旧世界の兵器工場からバグなどで誤って製造され続けていた。
一方的に大砲を放つ射程距離を維持してハンターたちをじり貧に追い詰める。
・所属組織、地位や役職
機械系モンスター。自律兵器。
・物語内での具体的な行動や成果
救援要請地点にいたハンターたちのトラックに砲撃を浴びせた。
トラックの駆動系を破壊して移動不能に追い込む。
随伴する弾薬補給機から砲弾を受け取りつつ一方的な砲撃を継続した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アキラが補給機を最優先で破壊したことで砲撃能力を失う。
ハンターたちの反撃を受けて残らず鉄屑へと変えられた。
14番車両のハンターたち
アキラやカツヤたちが同乗した大型トラックの巡回グループだ。
この車両には素人からそこそこの実力者まで多様なハンターが乗っていた。
カツヤとハザワの激しい口論やアキラの見事な精密射撃を間近で目撃する。
・所属組織、地位や役職
巡回依頼の編成車両班。
・物語内での具体的な行動や成果
アキラがドランカムの所属ではないことや強化服の事由を聞く。
アキラがトラックの激しい揺れの中でモンスターを必中させた精密さに驚いた。
緊急依頼の選択時にカツヤを除いて全員が都市への帰還を選択する。
アキラが単身で緊急依頼を受けるためにバイクで走り去る姿を見送った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アキラの無謀さと覚悟、あるいは幸運を認めるなど、さまざまな感情を抱いた。
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リビルドワールド I〈上〉レビュー
リビルドワールド全巻まとめ
リビルドワールド 2 〈上〉レビュー
備忘録
第15話 感謝と負い目
白い世界の夢
アキラは何もない真っ白な世界で、無表情のアルファが過去の失敗記録を読み上げる夢を見た。アルファは対象の死亡や依頼破棄による失敗を延々と報告し、498回目では最終エリア到達後に対象と完全敵対して処理したと告げた。最後に499回目は実行中で経緯確認中だと述べると、世界は闇に包まれ、アキラは夢の内容を忘れたまま目を覚ました。
エレナ達の家での目覚め
アキラが目覚めたのは見知らぬ部屋だったが、側にはいつものようにアルファがいた。そこへサラが現れ、ここは自分とエレナの家であり、アキラの荷物や洗った服も預かっていると説明した。
アキラはモンスターの群れとの戦闘後、カツラギのトレーラー内で倒れたことを思い出した。アルファから詳しい説明はサラに聞くよう言われ、戻ってきたサラから服を受け取って着替えた。
三日間の昏睡
サラによると、アキラは倒れてから三日間眠り続けていた。戦闘で負った傷は回復薬によって既に治っていたが、短時間に大量の回復薬を使用したことによる過剰摂取が昏倒の原因と考えられていた。
エレナ達はアキラの呼吸や脈拍に問題がなく、命に別状はないと判断したため、診療所ではなく自宅へ連れ帰って寝かせていた。アキラは世話になったことに礼を述べ、緊急依頼の報酬について心配したが、サラは自分達が勝手に助けたことであり、アキラから金を取るつもりはないと答えた。
サラの疑念
アキラが眠っている間、サラはシズカを訪ね、以前クズスハラ街遺跡で自分達を助けた人物について尋ねていた。サラは汚い字で書かれた紙、弾丸、アキラが持っていた同じ回復薬などから、恩人がアキラではないかと疑っていた。
シズカは誰かの事情や信用を損ねる可能性がある以上、答えは知らないになると返した。そのうえで、サラが本当に知りたいことを整理して本人に誠意を持って尋ねるよう助言した。
旧領域接続者
シズカは参考として、旧世界のネットワークへ特殊な方法で接続できる旧領域接続者の存在をサラに教えた。旧領域接続者なら遺跡の構造や周囲の人間、モンスターの位置を把握できる場合があり、濃い色無しの霧の中でも圧倒的に有利に行動できる可能性があった。
サラはさらにエレナから、旧領域接続者が旧領域へ機器なしで接続できること、その能力が極めて有用である一方、情報量による脳死や企業などに確保される危険もあることを聞いた。その話によって、アキラが自分達を助けられた理由と、それを隠す理由の両方に説明が付くと考えた。
アキラの告白
目覚めたアキラに、サラはクズスハラ街遺跡で自分とエレナを助けたのはアキラなのかと尋ねた。アキラはアルファのことを説明できず戸惑ったが、サラが理由や方法には踏み込まず、ただ恩人が誰なのかだけ知りたいと必死に訴えたため、ついに自分だと認めた。
サラはアキラの手を握り、エレナと自分を助けてくれたことに改めて深く感謝した。アキラも今回自分が助けられたことを挙げ、お互い運が良かったことにしようと答えた。
恩人からの感謝
食事の席で、サラは襲撃者達の所持品を売却したことで資金難を脱し、装備やナノマシンを整え直して以前以上に稼げるようになったと話した。売却金をアキラへ渡そうとしたが、アキラは自分が拾わずに帰った物だからと受け取りを拒んだ。
代わりにアキラは、今回エレナ達に救助された緊急依頼の代金と相殺してほしいと頼み、サラも了承した。二人はその後、ナノマシン系身体拡張者や防護服、モンスターなどについて談笑し、アキラは先輩ハンターであるサラの経験談を興味深く聞いた。
礼を言われる苦しさ
宿へ戻ったアキラは、サラ達との時間が終わって気持ちが落ち着くと、強い罪悪感と負い目に襲われた。アルファに促され、アキラは礼を言われるのが辛いという経験は初めてだったと打ち明けた。
アキラには以前エレナ達を助ける意思はなく、彼女達を襲った男達を殺す口実として利用しただけだった。それにもかかわらず、エレナ達から命を救われ、さらに命の恩人として感謝されたことが心を抉っていた。
アルファは、それなら次は本当にエレナ達を助ければよいと提案した。アキラはその考えを受け入れ、次に備えて彼女達を助けられるほど強くなると決めた。
忘れていたシェリルとの約束
気持ちを立て直したアキラは、何かを忘れていることに気付いた。アルファに指摘され、シェリルから徒党の拠点へ来てほしいと頼まれていたことを思い出した。
モンスターとの戦闘や三日間の昏睡によって約束の日から大幅に遅れていたが、アキラは事情があったのだから仕方ないと考え、今更ながらシェリルの拠点へ向かうことにした。
第16話 後ろ盾のハンター
アキラを待つシェリル
シベアの徒党跡地では、シェリルをボスとする子供達の徒党が活動を再開していた。今のところ他の徒党から妨害を受けておらず、構成員達はアキラという後ろ盾のおかげだと考えていた。
しかしアキラは約束した日を過ぎても拠点に現れず、子供達の間ではシェリルが嘘を吐いている、アキラに弄ばれた、あるいは既に見捨てられたのではないかという疑念が広がっていた。シェリルは焦りを隠すため不機嫌な態度を装っていたが、エリオからアキラが来ないことを追及され、次第に追い詰められていった。
遅れて現れたアキラ
シェリルの立場が限界に近付いた頃、ようやくアキラが拠点を訪れた。シェリルが約束の日に来なかった理由を尋ねると、アキラは同じ日に二度モンスターの群れに襲われ、その後三日間眠り続けていたと説明した。
シェリルは安堵したものの、アキラの平然とした態度から話を誇張しているだけだと考え、本当に死にかけていたとは理解しなかった。その後、徒党の子供達を集め、アキラを正式に紹介した。
エリオへの威嚇
アキラは自分が協力するのはシェリル個人だけであり、徒党に加わるつもりもなく、ボスはシェリルだと明言した。期待していた内容との違いに子供達が戸惑う中、エリオはアキラの態度と見た目に不満を募らせ、本当にシベア達を倒したほど強いのか疑った。
エリオは背後からアキラに殴りかかったが、アキラは攻撃をかわして一撃で殴り倒した。さらに銃口を向け、エリオのすぐ横の床を撃ち抜いて完全に怯ませた。アキラはシェリルに、部下が勝手に自分を襲えばシェリルの命令だと誤解する可能性があるため、部下の躾は自分で行うよう告げた。
カツラギとの取引
アキラはシェリルを連れてカツラギの移動店舗へ向かった。そこで、自分が今後カツラギに遺物を売る代わりに、シェリルの徒党へ便宜を図ってほしいと提案した。
カツラギは、アキラが持ち込む遺物から得られる利益がシェリル達への支援に掛かる手間を上回ると見込み、提案を受け入れた。ただし自分の店はハンターオフィスとの提携店ではないため、遺物を売ってもハンターランクは上がらないと説明した。アキラは当面ランクより金を優先すると答え、商談は成立した。
シェリルへの警告
カツラギはシェリルにも握手を求めたが、その際に強い威圧を加え、裏切らないよう無言で警告した。そこへアキラも、シェリルが迷惑を掛けるようなら殺して荒野へ捨てる程度の処理はすると平然と告げた。
シェリルは二人の言葉に震えながらも取引を受け入れた。アキラはさらにシェリルとの連絡用として安価な情報端末を購入し、何かあれば連絡するよう渡した。ただし定期的に拠点へ顔を出す約束は断り、シェリルから呼び出されても都合と気分が合えば行く程度にすると伝えた。
カツラギからの投資
アキラが帰った後、カツラギはシェリルに、今後アキラとどのような関係になるつもりなのか尋ねた。シェリルはアキラに好かれていると思うと強がったが、カツラギは彼女が体を使って誘い、断られたのではないかと見抜くような言葉を投げた。
さらにカツラギは、稼ぐ女性ハンターは体調管理や高性能な回復薬によって健康的な容姿を保っているため、アキラの美人に対する基準も高くなっている可能性を語った。そのうえで保存食や銃、化粧品や石鹸などをシェリルに渡し、これはアキラとの取引を長く続けるための投資であり、アキラに捨てられないよう努力してほしいと告げた。
シズカの抱擁
シェリルと別れたアキラは弾薬を補充するためシズカの店を訪れた。シズカはアキラを見ると突然抱き締め、エレナ達から三日間昏倒していたことを聞いたと話した。
危険な真似を責める代わりに、そこまでしなければならない状況だったのだろうと理解を示し、無事で良かったと伝えた。アキラはその気遣いを嬉しく思い、心配を掛けたことを謝った。
エレナとの再会
店にはエレナもおり、目を覚ましたアキラを見て安心した。アキラはエレナにも世話になったことを感謝し、三日間ベッドを占領したことを謝った。
エレナは気にする必要はないと笑い、サラが眠っているアキラを抱き枕代わりにしていたと冗談めかして話した。アキラは詳細を確かめず、冗談か勘違いだと思うことにした。
エリオの追放
拠点へ戻ったシェリルは、まだ残っていたエリオを見て怒りを爆発させた。普通の子供に見えたからアキラを疑ったという弁解に対し、武装したハンター崩れを倒せる子供が普通なのかと怒鳴り、他の子供達にエリオを追い出させた。
その後シェリルは、アキラから見切られないためには徒党を早く成長させ、利益を生み出せるようにする必要があると皆に告げた。カツラギから得た食料や武器を援助物資として示し、それもアキラのおかげだと念を押したうえで、今後は人数を増やし、徒党を発展させる方針を示した。
恩人の正体を知ったエレナ
自宅ではサラがエレナに、以前クズスハラ街遺跡で自分達を助けたのはアキラだったと明かした。エレナは既にある程度予想しており、それほど驚かなかった。
サラはアキラと約束したため、事情を詮索せず、他人にも話さないでほしいと真剣に頼んだ。エレナはすぐに了承し、自分も命の恩人に迷惑を掛けるつもりはないと答えた。
エレナはさらに、サラが以前突然旧領域接続者について尋ねてきたことから、その行動も察していたと明かした。最後には、以前サラが想像していた恩人が富豪の御曹司ではなかったことをからかい、サラは照れながら笑った。
第17話 余計なこと
遺物を背負うアキラ
昏倒から回復して休養を挟んだアキラは、再びクズスハラ街遺跡で遺物収集を行った。アルファは先日の二度にわたるモンスターの群れとの遭遇からアキラの不運を警戒し、より良い装備を早急に揃えるため、限界近くまで遺物を持ち帰らせた。その結果、アキラは重いリュックサックに苦しみながら帰路を進んでいた。
アルファとの会話はいつしか彼女の容姿の話に移り、アルファは全裸や扇情的な衣装まで試したが、アキラの反応は鈍かった。アキラは文句を言わず荷物を運ぶと折れ、服を元に戻すよう求めた。
遺跡を逃げるエリオ
その途中、アルファが遺跡を必死に走るエリオを見付けた。シェリルの徒党を追放されたエリオは、復帰の手土産として遺物を得ようとアリシアから銃を借り、一人で遺跡へ入っていた。しかしすぐに犬に似たモンスターと遭遇し、銃弾を使い切って逃げ回っていた。
アキラは当初その無謀さに呆れたが、アルファから昔のアキラに似ていると言われ、アルファと出会わなかった場合の自分をエリオに重ねた。そして幸運の足しにすると決め、モンスターを銃撃してエリオを救った。
命の代わりの荷物運び
助けられたエリオは、見覚えのあるアキラの姿に怯えた。その後、命を助けた見返りとしてアキラの重いリュックサックを背負わされ、遺跡から都市まで運ぶことになった。
道中で現れるモンスターをアキラが次々と倒す姿を見たエリオは、シベア達を一人で返り討ちにした実力をようやく実感し、自分が喧嘩を売ったことを深く後悔した。
変化した遺跡の生態系
帰路では以前見なかった種類のモンスターも現れた。アルファは、カツラギ達を追ってきた群れの一部が周辺に定着し、大量の死体を餌として個体数が増えたことで、遺跡の生態系やモンスターの分布が大きく変わった可能性を示した。
難度が上昇すれば、アルファのサポートがあっても現在のアキラでは遺物収集を続けられなくなる恐れがあった。そのため二人は帰還を急ぎ、エリオも重い荷物を背負ったまま必死に後を追った。
800万オーラムの遺物
都市へ戻ったアキラは、そのままエリオとカツラギの移動店舗へ向かった。持ち帰った大量の遺物を売ろうとすると、カツラギは最初に500万オーラムを提示した。
しかしアルファの助言を受けたアキラは値段交渉をせず、納得できないなら全てハンターオフィスへ持っていくと告げた。駆け引きが通じないと分かったカツラギは800万オーラムまで引き上げ、アキラも了承した。
現金で渡された800万オーラムの札束を、アキラは動揺を隠して平然と受け取った。途方もない大金を前にしても落ち着いて見えるアキラとカツラギを見たエリオは、自分達との大きな隔たりを実感した。
エリオの復帰願い
荷物運びを終えたエリオは、シェリルに頼んで徒党へ戻してほしいとアキラに懇願した。遺跡で助けられ、その後に重い荷物を運んだことで少しは役に立ったはずだと訴えた。
アキラは具体的な返答をせず、そのままエリオを連れてシェリルの拠点へ向かった。
成長するシェリルの徒党
シェリルの徒党は、アキラという後ろ盾とカツラギからの協力を得たことで周囲から新たな縄張り持ちの徒党として認められ、子供達を中心に急速に人数を増やしていた。シェリルはアリシアを纏め役に据え、縄張りの清掃や死体処理などを進めながら組織を整えていた。
アリシアはエリオを戻せないか尋ねたが、シェリルはアキラの目に入れば再び問題になるとして拒否した。アキラがエリオを忘れるまで最低でも一か月は必要だと考えていた。
アキラと戻ったエリオ
その直後、アリシアからエリオがアキラと一緒に来たと知らされ、シェリルは急いで二人のもとへ向かった。アキラはエリオに仕事を手伝ってもらったため、シェリルが嫌でなければ徒党へ戻してほしいと頼んだ。
シェリルはアキラの真意を慎重に探った末、復帰を認めた。アキラはさらに、エリオには余計なことをシェリルへ話さず、シェリルにも余計なことをエリオへ聞かないよう釘を刺して帰った。
エリオへの口止め
アキラが去ると、シェリルはすぐに事情を尋ねた。しかしエリオは、アキラに助けられ、その後仕事を手伝い、最後に復帰の口利きを頼んだとだけ答えた。
詳しく聞かれそうになると、何が余計なことに当たるのか自分にも分からないため、無理に聞き出されればアキラにそう説明すると拒んだ。シェリルも追及を諦め、代わりに同じような馬鹿な行動を取る者が出ないよう、エリオに新入り達の説得と監視を任せた。
遺跡で見たアキラの異常さ
徒党へ戻ったエリオは、アリシアから現状を聞きながら遺跡でのアキラを思い返した。アキラはモンスターの位置を初めから知っているように戦い、時折誰もいない方向を見ていた。
そのことを考えた瞬間、アキラの余計なことを話すなという言葉が脳裏に蘇った。アリシアから遺跡で何があったのか聞かれると、エリオは鬼気迫る様子で何も聞かないでくれと頼んだ。
自分が見たものを話せば、自分や聞いた相手がどうなるのか分からない。そう考えたエリオは恐怖を覚え、遺跡で見たことを絶対に誰にも話さないと決めた。
第18話 強化服の注文
800万オーラムの大金
カツラギに遺物を売って800万オーラムを得たアキラは、宿に戻ると札束を前に喜びを隠せなかった。だがアルファは、その金は翌日中に装備代として使い切ると告げ、最前線の一流ハンターにとっては戦闘一回分の弾薬費にもならない端金だと言い切った。
アキラは自身の金銭感覚との違いに戸惑ったが、指定された遺跡を攻略するには高性能な装備が必要であり、より良い装備で高難度の遺跡へ進み、さらに稼いで装備を更新する必要があると説明され、800万オーラムを装備に注ぎ込むことを受け入れた。
強化服への投資
アルファが次の装備として選んだのは強化服だった。単純に身体能力を高めるだけでなく、アルファのサポートをより効率良く受けられる製品を購入する方針であり、800万オーラムでも最低限のものになる可能性があった。
また高額な買い物に備え、アキラは預金口座を作り、ハンター証にカード払いの機能も追加した。札束を持ち歩く生活から、ハンターとしてより大きな金額を扱う段階へ進み始めていた。
シズカへの相談
翌日、アキラはシズカの店を訪れ、強化服選びの相談を持ち掛けた。専門店の知識もなく、店員に勧められるまま購入することを不安に感じていたため、サラからも装備選びならシズカを頼ればよいと言われていたことを伝えた。
予算が800万オーラムだと聞いたシズカは、アキラが再び危険な遺跡へ無理をして入ったのではないかと心配した。アキラは以前から隠していた遺物をまとめて売っただけであり、今後無理を減らすために良い装備を買うのだと説明した。シズカは不必要な無理をしないよう念を押し、アキラも素直に約束した。
強化服の条件
アキラは、長時間安定して使え、常時平均的に身体能力を向上させられ、着脱や整備も容易な強化服を求めた。さらに制御装置の性能を重視するという、初心者としてはやや専門的な条件も伝えた。
その条件はアルファから教えられたものだったが、アキラは出所を明かせなかった。シズカは聞きかじった知識なのだろうと受け止め、それ以上追及せず、要望に合う製品を自分が選ぶことになった。
800万オーラムの前払い
シズカは商品を選んでから詳細を確認して正式注文する方法も提案したが、アキラは即金なら納期が早まると聞き、800万オーラムをその場で全額支払うと決めた。
シズカは大金を即座に預けるアキラを心配し、もっと慎重になるよう勧めた。だがアキラは、命の恩人に勧められた店すら信用できないなら何も買えなくなると答え、結果が悪ければ自分の運が悪かったと受け入れるつもりだった。
アキラが自分の店を可能な限り信用できる場所として選んだことを理解したシズカは、その信頼に応えると約束した。こうして800万オーラムは口座から一瞬で引き落とされ、アルファの予告通り消えていった。
傷だらけの身体
強化服を注文するため、シズカはアキラを下着姿にして全身を採寸した。その際、アキラの体に残る数多くの傷跡、中でもモンスターの群れとの戦闘で負った大きな傷を目にした。
回復薬を直接投与して無理に塞いだ傷は、真っ当な治療ではなかったことが一目で分かる状態だった。シズカは一時手を止めたが、すぐに普段の態度へ戻り採寸を終えた。強化服は早ければ一週間、遅くても一か月ほどで届く予定となった。
都市に籠もる方針
宿へ戻ったアキラは、強化服が届くまで都市から一切出ないとアルファから告げられた。遺物収集だけでなく荒野での射撃訓練も中止し、宿で座学と情報収集に専念する方針だった。
アルファは一日に二度もモンスターの群れに襲われたアキラの不運を以前より重く見ており、強化服なしで再び都市外へ出す気はなかった。アキラは宿代を稼ぐためにもう一度遺物収集へ行く案を出したが、却下された。
全裸から始まる勉強
都市に籠もる期間は、アキラの読み書きを伸ばす時間に充てられた。アルファは勉強への動機付けとして、成績が良ければ服を一枚ずつ着ていくという方法を思い付き、自ら全裸になった。
アキラはすぐ服を着るよう求めたが、それが有効だと判断したアルファはその条件で勉強を開始した。その後も着る服は露出の多い魅惑的なものばかりで、アキラはアルファを比較的まともな格好へ戻すまで一週間を費やした。
第19話 地雷のような子供
宿での勉強生活
強化服の注文から二週間、アキラはアルファの指示通り宿から一歩も出ず、勉強漬けの日々を送っていた。アルファは拡張視界に電子黒板や教材を表示し、アキラ専用の高度な学習環境を作り上げていたため、アキラの知識は急速に増えていた。
強化服の納品予定日も決まり、アキラは期待から上機嫌になっていた。
シェリルからの呼び出し
勉強中、アルファが情報端末への着信より先にシェリルからの通話を察知した。シェリルは、他の徒党の者がアキラ本人との交渉を求め、断れば宿まで押しかけると言っているため、拠点へ来てほしいと頼んだ。
アキラは長く部屋に籠もっていたこともあり、息抜きも兼ねて向かうことを決めた。アルファは強化服が届くまでは外出を控えるよう求めていたが、荒野へ出るわけではないため、十分に準備することを条件に認めた。
ワタバの要求
シェリルの拠点では、元シベアの徒党員で現在はシジマの徒党に所属するワタバ達が待っていた。ワタバはシェリル達を見下し、アキラが来るまで用件を明かそうとしなかった。
到着したアキラに対し、ワタバは拠点を含む縄張りすべてを明け渡すよう要求した。本来シジマが求めていたのは、管理し切れていない縄張りの一部を譲らせる交渉だったが、ワタバは独断で要求を拡大していた。
アキラは徒党のボスはシェリルであり、自分に聞く話ではないと答えた。しかしワタバはシジマの徒党の規模を盾に脅し、さらにアキラの宿や馴染みの武器屋まで調べていると告げた。
ワタバの死
ワタバが武器屋の女性店主へ危害を加える可能性を示そうとしたことで、アキラの態度は変わった。ワタバが最後まで言い終える前に、アキラは何の警告もなく銃撃して即死させた。
反撃しようとした別の男も脚を撃たれて行動不能となった。残る男達はアキラに命じられて武器を捨てた。
アルファは殺す必要があったのかと尋ねたが、アキラは必要だったと答えた。アルファは無意味に状況を悪化させる殺しは避けてほしいと考えながら、今回もアキラ独自の判断基準が働いたと見て観察を続けた。
シジマの拠点
アキラは生き残った男達に案内させ、シェリルとワタバの死体を伴ってシジマの拠点へ向かった。
シジマは、自分が殺した男の死体を引きずりながら敵地に来ても平然としているアキラを見て警戒を強めた。追加戦力を呼ぼうとしたが、アルファを通じてそれを察知したアキラから各個撃破になると警告され、召集を取りやめた。
アキラはワタバを殺したことへの報復をシジマ達が行うのか、それともワタバ個人の失敗として終わらせるのかを確認しに来たと説明した。
ワタバの独断
シジマが事情を聞くと、アキラはワタバが自分の宿や馴染みの店を利用して脅したため、実行される前に殺したと答えた。さらにシェリルの拠点と縄張りすべてを要求されたことも伝えた。
シェリルもそれを事実だと認めたことで、シジマはワタバが勝手に交渉内容を拡大し、徒党同士の抗争と受け取られても仕方のない発言をしていたと理解した。
そのためシジマも全面抗争を避ける方向へ考えを切り替え、アキラとシェリルも穏便な解決に同意した。
100万オーラムの和解金
ただし死人と負傷者がシジマ側にしか出ていない以上、何も得ずに引けば他の徒党から軽く見られるとして、シジマは100万オーラムの支払いを要求した。
シェリルには支払える額ではなく、アキラも装備費や弾薬費を理由に余裕はないと答えた。交渉の末、アキラが前金50万オーラムを支払い、残り50万オーラムは余裕ができた後に払うことで話がまとまった。
支払い完了までは暫定的な和解とされ、アキラとシェリルは拠点を後にした。
シジマの苛立ち
アキラ達が去ると、シジマはそれまで抑えていた感情を露わにした。アキラを本気で殺し合いを仕掛けてくる危険な相手と認識し、アキラが生きている間はシェリルの徒党と表面上友好的に付き合う方針を決めた。
一方で、今回の騒動を辿ればシベアがアキラを襲ったことから始まり、シェリルもワタバも元はシベアの徒党だったため、シジマはすべてシベアのせいだと怒りを募らせた。
最後にはワタバの死体までシベアの残した厄介事として扱い、部下に捨てさせた。ワタバの死体は、スラム街で判断を誤った者の末路として雑に処理された。
第20話 心の再構築
泣き崩れたシェリル
シジマとの交渉を終えたアキラはシェリルを拠点まで送っていたが、シェリルの足取りは次第に遅くなり、遂には立ち止まって泣き始めた。アキラが戸惑いながら理由を尋ねると、シェリルは声を上げて泣き、助けてほしいと縋った。
対応に困ったアキラは、以前シズカに抱き締められて落ち着いた経験を思い出し、シェリルを宿へ連れ帰って抱き締めた。シェリルも強く抱き返し、泣き疲れるまで離れようとせず、そのまま眠りに就いた。
限界を迎えた心
シェリルは徒党の崩壊から路地裏生活、アキラとの危険な交渉、新たな徒党の運営、部下の暴走、カツラギからの威圧、シジマとの交渉まで、絶え間なく死の恐怖と重圧に晒されていた。
アキラという後ろ盾を得ても身の安全が保証されたわけではなく、協力者であっても完全な味方ではないと思い知らされ続けていた。さらに今後も同じ日々が続くと悟ったことで精神は限界を超え、誰かに縋ることしかできなくなっていた。
意識も曖昧なままアキラに抱き締められたシェリルは、それを頼ってもよいという意思として受け取り、必死にしがみついたまま安心して眠った。
アキラへの依存
目を覚ましたシェリルは、アキラに離れるよう言われると再び泣きそうになり、助けを求めた。アキラが助けると答えると安心し、そのまま再び眠りに就いた。
翌朝には一転して自信と余裕を取り戻し、穏やかで上機嫌な様子を見せた。前日の迷惑を謝った後、アキラに抱き付くと安心すると話し、食事後に抱き締めてもらうことを求めた。
アキラは断り続ければ話が終わらず、強く拒めば再び泣かれるかもしれないと考えて承諾した。シェリルはアキラに抱き付き、背中に手を回して頭を撫でてもらうと幸せそうに安らいだ。アルファは、シェリルがわずかながらアキラの思考を誘導したことを察し、警戒を強めた。
拠点への帰還
シェリルはアキラに拠点まで送ってもらい、特に用事がなくても顔を出してほしいと頼んだ。アキラは暇を見付けて顔を出すと答えた。
帰路でアキラはシェリルの変化を不思議がったが、アルファは塞ぎ込んでいるわけではないため深く気にする必要はないと答えた。一方で今回も危険な騒動になったことから、強化服が届くまでは今度こそ外出させないと念を押した。
徒党の立て直し
一晩戻らなかったアキラとシェリルが殺されたと考え、シェリルの徒党からは既に何人もの子供が逃げ出していた。翌朝戻ったシェリルは、シジマ達とは話が付き、拠点や縄張りを失うこともなく、今後も付き合っていけると落ち着いて説明した。
そのまま逃げた者の確認、持ち出された銃や食料の回収、仕事の再開を次々に指示した。以前とは違う自信と余裕に、エリオ達はわずかな怖さすら感じたが、シェリルをボスとして従った。
再構築されたシェリル
度重なる恐怖と重圧で砕けかけたシェリルの精神は、アキラへの救い、安堵、依存を新たな支えとして再構築されていた。
恐怖に阻まれていた聡明さも発揮され始め、シェリルはこれまでの失敗を振り返って改善策を考え、徒党をさらに成長させようと決意した。それは自身とアキラの双方のためであり、二人の幸せを満たす世界を作り上げることを目指して、シェリルは一人笑みを浮かべた。
第21話 頭部装備と勘とオカルト
待望の強化服
シズカから強化服到着の連絡を受けたアキラは、勉強を即座に切り上げて店へ向かった。そこで注文していたTLT型C式強化服ケイロンと対面し、普段より子供らしい様子で興味深く眺めた。
ケイロンは旧型ながら基本性能は現行品と大差なく、身体データに合わせて自動でサイズを調整できた。アキラが着用して起動すると、それまで感じていた強化服自体の重量が消え、身体の動きを補助する機能が働き始めた。
シズカは急激に強化された身体能力に振り回されないよう注意し、銃器を強く握りすぎて壊さないことや、追加装甲なしでは銃弾やモンスターの攻撃を防げないことなどを説明した。アキラは注意を守ると答え、新しい装備に満足していた。
頭部装備と勘
アキラがヘルメットについて尋ねると、シズカは頭部装備が基本的にオプションであり、あえて着用しないハンターも多いと説明した。その理由の一つとして、高性能なフルフェイス装備を着けると勘が鈍るという話を挙げた。
実際に高性能な頭部装備を部隊全員へ強制した結果、死傷率が上昇した例もあったため、明確な科学的根拠はなくても無視できない現象として扱われていた。シズカ自身にも正解は分からず、最終的には各自の感覚で決めるしかないと話した。
アキラは今は追加装備を買う金もないため、ひとまずヘルメットを使わない方だと割り切った。
遺跡探索の延期
宿へ戻ったアキラは、強化服を得たことで遺物収集へ戻れると期待した。しかしアルファは、しばらく遺跡には行かせないと告げた。アキラの不運を警戒し、以前より過保護にする方針へ変えていたのである。
当面はハンターオフィスの依頼を受けて収入とハンターランクを稼ぎ、荒野仕様の車両を借りられる身分を目指すことになった。モンスターの群れから走って逃げる事態を避けるためであった。
さらに実戦へ出る前に一日かけて強化服へ慣れる訓練を行うことになった。アルファはシズカが済ませた初期設定だけでは不十分だとして、情報端末と接続したうえで、自身の高度な支援に適したアキラ専用の設定を施し始めた。
勘を鈍らせる仕組み
強化服の調整中、アキラはシズカから聞いたヘルメットと勘の話をアルファに尋ねた。アルファはその現象が実際に存在すると答え、頭部装備によって本人が自覚できない情報が遮断される場合があると説明した。
外界を映像や音へ変換して再現しても、実際の景色や感覚と比べれば情報は失われる。その失われた情報に危険の予兆が含まれていれば、本人が意識していなくても使っていた危機察知能力が低下する可能性があった。
さらに人間には通常の五感では説明できない感覚や情報通信能力を持つ可能性があり、それらが頭部を覆うことで妨害される場合もあるとされた。アルファを認識できるアキラも、脳に備わった機能を使ってアルファと情報をやり取りしていた。
アキラは、装備によって普通なら気付けないものをさらに感知できなくなったり、アルファとの通信が妨げられたりする可能性があるのだと理解した。アルファはその認識で十分だと認め、自身の支援を阻害する装備はどれほど高性能でもアキラには使わせないと告げた。
アルファならその問題をすぐに察知できると聞き、アキラは知らないうちに支援を失う危険はないと安心した。一方のアルファは説明を聞くアキラの反応から、これまでと同じように人格や嗜好、その根幹まで観察し続けていた。
第22話 強化服の真価
強化服による歩行訓練
強化服を手に入れた翌日、アキラは荒野で訓練を始めた。アルファの指示通り指定地点まで歩く動作を繰り返したが、強化服の出力を上げた状態でアルファの補助を外されると、アキラは一歩踏み出すだけで地面を強く蹴って転倒し、立ち上がることさえ困難になった。
強化された身体能力では普段と同じ力加減で動けないため、通常は制御装置による細かな動作補正が必要だった。アルファはその補正を代行しており、アキラは改めて支援の大きさを実感した。その後は歩行から全力疾走、急旋回や逆立ちからの跳躍まで、強化服の性能を活かした動作を次々に訓練した。
強化服による射撃補正
午後の射撃訓練では、アキラは百メートル先の小石を連続して撃ち抜き、距離を伸ばしても命中させ続けた。五百メートル先の標的にまで命中したことで不自然さを感じて尋ねると、アルファが強化服を介して照準や姿勢、重心を微調整し、反動まで吸収していたことが分かった。
アキラは射撃訓練が不要になるのではないかと考えたが、アルファは本人の技量が高いほど補正量を減らせるうえ、強化服や支援を使えない状況もあるとして訓練継続を命じた。さらに強化服を利用して効率的な射撃姿勢を身体へ覚え込ませられるため、訓練はむしろ厳しくなると告げた。
身体操作の許可
アルファは強化服を完全に制御すれば、アキラの意思とは無関係に身体を動かせると説明した。これにより死角からの攻撃にも自動で対応でき、熟練者のような動きも可能になる一方、身体が勝手に動く嫌悪感や、強制的な動作による大きな身体負荷が生じる危険があった。
試しにアルファへ制御を任せたアキラは、最初は楽に走れていたが、やがて車並みの速度まで加速され、強化服の動きに身体が追い付かず激痛を覚えた。中止後、アキラは必要な時だけ使用し、可能なら事前に知らせることを条件に許可した。
アルファとの近接戦闘
近接戦闘訓練では、アルファは自身の動きを見やすくするため旧世界製の戦闘服姿となった。実体のないアルファへの攻撃でも、衝突した瞬間に強化服の関節を固定することで接触感覚が再現され、実戦形式の格闘訓練が可能になった。
アルファは拳の握り方から体重移動、防御、回避まで細かく指導し、正しい動きには強化服で補助を加えた。反対にアキラはアルファの攻撃をほとんど防げず、頭部への攻撃を受けるたび死亡扱いとなった。拡張視界にはその都度アキラの死体が残され、周囲には訓練で死亡したアキラの姿が積み重なっていった。
意識より先に動く身体
訓練を続けるうち、アキラは自分が動こうと意識する前に身体が先に動いているような感覚を覚えた。アルファは、強化服の動きを無意識に感じ取って身体を合わせ、その後から意識が動作を認識しているために生じる錯覚ではないかと説明した。
アルファはその感覚を大切にすれば、強化服に設定された熟練者の動きを身体で覚え、いずれ支援なしでも達人に近い動きができる可能性があると話した。アキラはその感覚に従って訓練を続けた。
限界まで続いた訓練
近接戦闘訓練は日暮れ前まで続き、終了時のアキラは自力で歩くことも難しいほど疲弊していた。それでもアルファが強化服を操作したことで宿まで帰還できた。
強化服を得たことでアキラの身体能力とアルファの支援能力は大きく向上した一方、訓練もそれまで以上に効率的で過酷なものとなった。
第23話 若手ハンターの認識
巡回依頼への参加
アキラはハンターランク10でも受けられるクガマヤマ都市周辺の巡回依頼に参加した。都市が用意した車両で荒野を巡回し、周辺のモンスターを間引く仕事であり、基本報酬に討伐実績による追加報酬が加わる依頼だった。情報端末を使った申請はアルファに任せ、アキラは指定された14番車両へ乗り込んだ。
荷台には多数の武装したハンターが乗っており、アキラは一時警戒を強めた。するとアルファは突然きわどい水着姿となり、アキラとのやり取りで緊張を逸らした。
カツヤとハザワの衝突
同乗していたハザワは若いハンターが多いことに不満を漏らし、最近のモンスター分布の変化もあって安全に仕事をしたいと主張した。それにドランカム所属の若手ハンター、カツヤが反発し、年齢ではなく実力で判断しろと食ってかかった。
カツヤはハンターランク11と相応の装備を持っていたが、ハザワはドランカムの支援でランクや装備を得ただけだと決め付けた。言い争いが激しくなると、同行していたユミナがカツヤを殴って止め、口論ではなく実力を見せて黙らせるよう叱った。アイリもカツヤを励まし、最後は引率役のシカラベが騒ぎを打ち切らせた。
風呂付きの生活への決意
巡回が始まると、ハザワは隣のアキラもドランカム所属だと思い込んでいた。アキラが無関係だと説明しても、高価な強化服を着ていることを疑われたため、自分で稼いだ金で旧型品を購入し、そのために宿泊費を削って風呂付きの部屋を諦めたと説明した。
アキラは今回の報酬で風呂付きの生活を取り戻すと強い決意を口にし、その気迫に押されたハザワは誤解を解いた。
カツヤの遠距離射撃
巡回中、モンスターの出現はカツヤ達が担当する側に偏った。カツヤは狙撃銃で遠距離から獲物を狙ったが、揺れる荷台からの射撃では仕留め切れず、接近したモンスターをユミナ達が倒した。
カツヤ達は高性能な装備を活かして戦果を上げ続けたが、その姿は若手を嫌うハザワには、組織の支援を受けて成果を独占しているように映った。アキラは移動する車両からの遠距離射撃が難しいことを指摘し、カツヤは最初から獲物を引き寄せる目的だったのではないかと話した一方、シカラベが面倒を見ると宣言した以上、余計に関わる必要はないとハザワを諭した。
アルファの精密射撃補助
やがてアキラ達の担当方向にも大型の肉食獣が現れた。ハザワから先手を譲られたアキラは、強化服を使ったアルファの支援能力を試すため、可能な限りの補助を頼んだ。
アルファは車体の揺れに合わせて強化服を精密操作し、銃のぶれや姿勢を補正した。アキラが撃った三発は遠距離を移動するモンスターの同じ弱点へ正確に命中し、最後の一発が頭蓋骨を貫いて仕留めた。ハザワは驚いたが、アキラはアルファが当てたものだと考えていたため平然としていた。その姿は周囲には高度な狙撃を当然のように成功させた実力者として映り、カツヤも強い関心を抱いた。
アキラを意識するカツヤ
帰路でカツヤは何度もアキラを見ていた。ユミナとアイリに問われると、遠距離射撃が気になっただけだと説明した。アイリは偶然や見間違いの可能性を挙げたが、カツヤはアキラが狙って当てたように見えたという感覚を拭えなかった。
カツヤは、自分が見せたかった実力をアキラが一度の射撃で示し、若さを軽んじていたハザワの認識まで変えたことに羨望を抱いていた。一方で、アキラにはそれほどの実力者らしさを感じられず、自身の感覚も射撃そのものはアキラ自身の力ではないと告げていた。その矛盾が、与えられた力を自分の実力だと思い込む者という自分への悪評まで想起させ、素直にアキラを称賛できなくさせていた。
ハザワの再起
ハザワはアキラと同じAAH突撃銃を使っていることから話を続けたが、自分の銃が長く整備されていないことに気付いた。アキラが同じ銃で少ない弾数からモンスターを倒した姿と比べ、自分が危険を恐れて安全な依頼ばかり選びながら、その安全を支える装備の整備すら怠っていたことを自覚した。
かつては遺跡へ向かい、モンスターと戦いながら成り上がろうとしていたハザワだったが、多くの死を見て危険から遠ざかっていた。カツヤの向上心とアキラの実力を目にしたことで過去の自分を思い出し、帰ったら銃を整備し、もう一度成り上がることを決意した。
第24話 統企連の依頼
巡回依頼の完遂
アキラ達を乗せたトラックは広場へ戻り、アキラは無事に巡回を終えたことでようやく警戒を解いた。アルファは生還を喜び、自分のサポートのおかげだと胸を張ったが、車両番号について意味深な態度を続けた。
アキラはハンター証を提示して依頼の完遂処理を済ませ、依頼履歴を確認した。基本報酬は5000オーラムで、討伐したモンスターに応じた追加報酬は算出中だった。今のアキラにとってはランク上昇よりも、風呂付きの部屋に戻れるだけの宿代を稼ぐことの方が重要だった。
エレナからの感謝
次の巡回まで待っていたアキラは、偶然エレナと再会した。強化服が届くまで宿で休んでいたと聞いたエレナは安心し、新しい強化服が似合っていると褒めた。
その後、エレナは改めてサラと自分を助けてくれたことに礼を述べた。そしてサラと同様に余計なことは聞かず、誰にも話さないと約束した。アキラはその誠実な態度に戸惑いながらも受け入れた。
エレナと別れた後、アキラは以前アルファから言われたことを思い出し、次は誰かを殺す理由として助けるのではなく、助けたい相手を助けるために行動できる実力を身に付けようと改めて決意した。
二度目の巡回
次の巡回でも同じ番号の車両を指定され、アルファから縁起の悪い数字だと聞かされたアキラは、自分の運の悪さを連想して納得した。
今回は若手ハンターがアキラだけだったため、当初は足手纏いを見るような視線を向けられた。しかしアルファの補助による精密射撃で何体もモンスターを仕留めると、その視線は消えた。高度な射撃からアキラを義体者だと考える者まで現れた。
巡回は大きな問題もなく終わり、アキラも多くのモンスターを倒した。追加報酬への期待が高まり、風呂付きの部屋へ戻れるかもしれないと喜んだが、アルファから午後の巡回もあるため油断しないよう念を押された。
荷台での仮眠
次の巡回まで時間が空いたため、アルファは疲労を考慮して仮眠を勧めた。アキラは誰もいない荷台の隅で眠りについた。
かつてスラム街で暮らしていた頃なら、武装した者が集まる場所で眠ることなど不可能だった。しかし今のアキラはアルファに起こしてもらえることを当然のように受け入れ、警戒を解いて眠っていた。
エレナ達とカツヤ達の予定
一方、広場ではエレナとサラがカツヤ、ユミナ、アイリと待ち合わせていた。カツヤ達はエレナ達を実力者として慕っており、一緒に仕事をすることを楽しみにしていた。シカラベはドランカムからカツヤ達の世話役を任されていたが、今回の同行をエレナ達に任せるつもりだった。
しかしエレナは、ハンターオフィスを通して別の依頼が割り込んだため、予定していた仕事をキャンセルすると告げた。依頼元が東部統治企業連盟、統企連だったため、シカラベも反発を引っ込めた。
統企連がクガマヤマ都市周辺の巡回という程度の仕事に自らの名義を使った理由は不明であり、シカラベもエレナ達も不審に感じていた。
流れた同行依頼
エレナ達との仕事が流れたことで、カツヤは落胆した。ユミナとアイリはサラの胸元を見ていたことをからかい、サラが身に着けていた弾丸のペンダントについて恋人からの贈り物ではないかと話を広げ、カツヤを困らせた。
その後、シカラベはドランカム側と連絡を取り、カツヤ達にこのまま解散するか、自分と再び巡回依頼を受けるかを選ばせた。シカラベは解散を望んでいたが、カツヤは少しでも早くランクを上げたいと巡回継続を主張した。
ユミナは予定外の事態を理由に反対したが、アイリはリーダーであるカツヤに従うと答えたため、巡回継続が決まった。シカラベは若手育成のために自分達が安い依頼へ付き合わされる現状へ不満を抱きながら、手続きを進めた。
統企連からの依頼
エレナとサラは自宅の車庫で、自前の荒野仕様車両に普段以上の装備と予備を積み込み、統企連からの巡回依頼に備えていた。
二人は、自分達が統企連から直接期待されるほどのハンターではないと考え、同様の依頼が周辺の多数のハンターへ出されている可能性を推測した。一帯のハンターを都市周辺へ戻そうとしているようにも見えたが、その理由までは分からなかった。
それでも二人は最近の稼ぎや装備の充実に手応えを感じていた。以前の不調が好転したきっかけとしてアキラに助けられた出来事を思い返し、その幸運にも感謝しながら、何が起きても対応できるよう念入りに準備を続けた。
第25話 無理無茶無謀
三度目の巡回
巡回用トラックで仮眠していたアキラは、アルファに時間通り起こされた。目覚まし時計のようだと口にしたことでアルファの機嫌を損ねたが、アキラがこれまでの支援への感謝を真面目に伝えると、アルファも態度を和らげた。
その後、アルファは自分の容姿や服装への感想を求めた。アキラは美人で魅力的だとは認めながらも、四六時中一緒にいるため慣れたのだと説明した。アルファは一定の納得を示したが、何かを考えるような様子を見せた。
カツヤの視線
同じトラックにはカツヤ、ユミナ、アイリ、シカラベも乗っていた。カツヤは出発前から仮眠していたアキラを気にしており、このまま起きずに追い出されるのではないかと見ていた。
しかしアキラは出発時刻になると正確に目を覚まし、キバヤシとも普通に応対した。前回見た射撃が偶然だったのか確かめようとしていたカツヤだったが、巡回中はモンスターが全く現れず、その機会は得られなかった。
モンスター大群の接近
巡回中、トラックが突然停止した。管理者のキバヤシは、クズスハラ街遺跡から都市へ向けてモンスターの大規模な群れが侵攻しており、既に都市防衛隊が出撃準備に入ったと説明した。
さらに遺跡付近を巡回していた車両が遅滞戦術を行っており、その救援や支援を目的とした緊急依頼が発行された。キバヤシは緊急依頼を受ける者が多数なら救援へ向かい、少数なら都市へ帰還すると告げた。
アキラは以前モンスターの群れに襲われた経験から、迷わず都市へ戻るつもりだった。
カツヤの無謀な決意
緊急依頼を受けようとしたのはカツヤだけだった。カツヤはドランカムの方針や自分達の実力を理由に救援へ向かうべきだと主張し、止めるシカラベと激しく対立した。
多数決で都市帰還が決まると、カツヤは徒歩でも救援へ向かおうとした。そこでユミナは銃を向け、両脚を撃ち抜いてでも止めると宣言した。カツヤが誰かを助けようとする姿勢を好きだと認めながらも、命と引き換えにする行動は自殺と同じだと訴えた。
アイリもカツヤの手を握って引き止めた。二人の必死な態度を受け、カツヤはようやく冷静さを取り戻し、準備もなく向かうのは無謀だったと認めてユミナに礼を述べた。
アキラの翻意
カツヤ達の会話を聞いていたアキラは、その中からエレナとサラがモンスターの群れへの対応に向かっている可能性を知った。
アルファは危険すぎることや、エレナ達と合流できる保証もなく、アキラが足手纏いになる可能性まで挙げて止めようとした。しかしアキラは、何もしなかった後で自分が行けば何とかなったかもしれないと思う可能性を残したくないと考えた。
エレナ達に助けられ、さらに自分が彼女達を他人を殺す理由として利用したことへの負い目もあり、アキラは自分を完全な部外者にはしないと決めた。
緊急依頼への参加
アキラは荷台を降り、キバヤシに緊急依頼を受ける方法を尋ねた。徒歩で向かうつもりだと聞いたキバヤシは驚いたが、アキラの覚悟を面白がり、緊急時用の折り畳み式小型バイクを貸した。
キバヤシはアキラのハンター証で緊急依頼の手続きを行い、最短距離の戦場を目的地に設定した。小型バイクは報酬の前払いとして扱われた。
アキラはバイクを運転した経験がなかったが、アルファが大丈夫だと告げたため、そのまま跨がって救援地点へ向かった。
遠ざかるアキラ
都市へ帰還するトラックの荷台から、カツヤは逆方向へ走っていくアキラを見続けた。
冷静になったカツヤには、アキラの行動も無謀に見えていた。しかしその姿は、自分がやろうとしてユミナ達に止められた行動そのものでもあった。
前回の射撃も、今回一人で救援へ向かう姿も、アキラは騒がず当然のように実行していた。カツヤは自分が出来なかったことを実行するアキラに、羨望と嫉妬の入り混じった感情を抱きながら、その姿が荒野へ消えるまで見送った。
第26話 救援に来た子供
バイクでの戦場突入
アキラは緊急依頼の戦場へ向け、キバヤシから受け取った荒野仕様の小型バイクを走らせた。運転経験はなかったが、アルファが強化服とバイクの制御装置を操作したことで、高速のまま荒野を進めた。
戦場に近付くと銃声や爆発音が響き、ハンター達と多種多様なモンスターの群れが交戦していた。アキラは強化服を本格的にアルファへ任せることを了承し、体への大きな負担にも耐える覚悟を決めた。
アルファはバイクを全速力で走らせながらアキラの姿勢と照準を補正した。アキラは片手でAAH突撃銃を撃ち、走行中とは思えない精度でモンスターを次々に倒した。アキラは運転と射撃を同時に成立させるアルファの支援能力に改めて驚いた。
立ち往生したハンター達
救援対象の二台のトラックは、多数のモンスターに襲われた末に荒野で動けなくなっていた。機械系モンスターの砲撃が車両の駆動系や制御装置を破壊したため、ハンター達はその場で戦い続けるしかなかった。
遠距離攻撃を行う機械系モンスターは何とか退けていたが、周囲にはまだ多数の敵が残っていた。重傷者もおり、救援要請を行ったハンターオフィスの職員も砲撃で死亡していたため、残った者達は救援を待ちながら消耗していた。
モンスター群への挟撃
戦場に到着したアキラは、トラック周辺に大量の死体や残骸が散乱しているのを見て敵の多さを実感した。アルファは遠距離攻撃を行う厄介な個体が既に倒されていることを確認し、バイクの機動力を使って残敵を片付ける方針を取った。
アキラは敵との距離を保ちながら、鱗の隙間や眉間、関節部、装甲の結合部などを正確に撃ち抜いていった。その攻撃によって一部のモンスターがアキラへ狙いを変えると、トラック側のハンター達も援護射撃を開始した。
アキラを追って遮蔽物から出た敵をハンター達が撃ち、ハンター達へ向かう敵をアキラが背後から撃つ形となった。変則的な挟撃によって残っていたモンスターは次々と倒され、周辺の敵は全滅した。
救援先の負傷者
戦闘後、アキラがトラックへ向かうと、生き残ったハンターから救援への礼を受けた。荷台には複数の重傷者が横たわり、既に五人分の死体袋も置かれていた。
回復薬を求められたアキラは、クズスハラ街遺跡で手に入れて保管していた高価な回復薬を渡した。相手が価格交渉を始めようとすると、アキラは最悪ただでも構わず、助けられる者が助からないのは嫌だと告げて治療を優先させた。
回復薬はすぐに負傷者へ使用され、治療が始められた。
救援の現状
別のハンターから他の救援について尋ねられたアキラは、自分は近場で緊急依頼を受けて来ただけで、他のハンターが派遣されているかは分からないと答えた。
ハンター達は救援がアキラ一人だけだと知っても大きく動揺しなかった。アキラはその精神力に感心した。
さらに事情を聞くと、救援要請を行った職員は砲撃で死亡し、トラックも壊れていたため自力で都市へ戻れないことが分かった。生き残った者達は救援車両に乗せてもらうか、壊れたトラックを牽引してもらうつもりだった。
バイク一台で現れたアキラはその期待には応えられなかったが、走って来るよりはましだったと話した。相手はそれを冗談だと思い、自分達にもまだ運が残っていたと笑った。
第27話 キャノンインセクト
キャノンインセクトの再襲撃
救援対象のハンター達と休憩していたアキラは、緊急依頼が都市防衛の原因を排除するまで続く可能性があるとアルファから聞いた。そこへ索敵装置が新たな反応を捉え、先ほどトラックを破壊した機械系モンスター、キャノンインセクトの群れが再び現れた。
キャノンインセクトは大砲を多脚移動装置に載せた自律兵器で、随伴する補給機から砲弾を受け取っていた。群れはハンター達の銃が届きにくい距離から砲撃を始め、このままでは一方的に攻撃され続ける状況となった。
砲撃下の接近戦
アルファから一人で逃げる意思を確認されたアキラは、自分が最後の一人になるまでは逃げないと答えた。そこで敵へ接近するため、大量の回復薬を事前に飲み、強化服による無理な動きで生じる負傷を治療しながら戦う覚悟を決めた。
アキラはバイクで単独突撃し、敵の攻撃を自分へ引き付けた。アルファは砲撃を避けるために高速で蛇行しながら距離を詰め、アキラの肉体には骨や筋繊維を傷めるほどの負荷が掛かった。回復薬による治療を続けながら、アキラはその激痛に耐えた。
十分に接近すると、アキラは比較的脆い砲弾補給機を優先して撃破した。補給機の弾薬を誘爆させてキャノンインセクトを巻き込み、徒歩で接近したハンター達も攻撃に加わったことで、敵の数は急速に減っていった。
大型キャノンインセクト
勝利が近いと思われたところへ、遠距離から巨大な砲弾が飛来した。その威力は着弾地点のキャノンインセクトを原形も残さず吹き飛ばし、離れたトラックまで揺らすほどだった。
砲撃元は、大型の多脚移動装置に巨大な大砲を載せた大型キャノンインセクトであった。周囲には自走する大型砲弾が多数控えており、自ら大砲へ装填されていた。
逃げないと答えたアキラに対し、アルファは大型機を倒すためバイクを全速力で接近させた。巨大な砲弾と飛散する瓦礫を避けながら射程の内側へ潜り込み、大型機が機体ごと照準を合わせる速度を上回って側面へ回った。
自走砲弾を使った撃破
アキラはアルファの指示で大型機の周囲にいた自走砲弾へ突進し、バイクを利用して脚を破壊した。さらに砲弾を蹴り上げ、自身もバイクから跳躍すると、空中で追い付き渾身の回し蹴りを叩き込んだ。
蹴り飛ばされた砲弾は大型機の装填部へ強引に入り込み、別の砲弾の装填を妨害した。アキラは空中からその砲弾をAAH突撃銃で撃ち、誘爆によって大型キャノンインセクトを大破させた。
残った砲弾も一斉に自爆し、大型機は完全に吹き飛んだ。アキラはアルファが移動させていたバイクへ落下し、そのまま爆発圏から離脱した。
戦闘後の奇襲
他のハンター達も残敵を倒し終え、アキラは自分の装備も実力もアルファの要求水準にはまだ足りないと知らされた。トラックへ戻ると、ハンター達からAAH突撃銃だけで大型機を倒した腕前を称賛された。
その後、負傷者のために追加の回復薬を求められたアキラが銃を置いてリュックサックを開いた瞬間、死亡したと思われていた大型の生物系モンスターが意識を取り戻して襲いかかった。
反応が遅れたアキラは死を覚悟したが、アルファが強化服を強制操作した。限界を超える出力による蹴りで敵の動きを止め、その隙にアキラはAAH突撃銃を拾って口内へ銃口を押し込み、連射して仕留めた。
強化服の限界出力
アルファが強化服を限界以上に動かしたことで、エネルギーはほぼ使い切られ、故障の可能性まで生じていた。アキラ自身も右脚を骨折しており、アルファに骨のずれを直してもらった後、残っていた回復薬を飲んで治療した。
負傷者へ渡す予定だった回復薬も残り少なくなったため、アキラは迷いながら一箱を差し出した。しかし相手は既に一箱受け取っていることと負傷者の状態を理由に返却した。
その後、ハンター達は気絶した敵が残っていないか改めて確認し、アキラもエネルギーパックや弾倉を交換して次の戦闘に備えた。弾薬も回復薬も大幅に減っており、アキラは今回の報酬が十分に支払われることを願った。
緊急依頼の完了
日が落ち始めた頃、ようやく救援部隊が到着した。そこにはキバヤシもおり、アキラが生還していたことを面白がりながら、その無茶な戦いぶりを称賛した。
キバヤシによれば、都市へ向かっていたモンスターの群れは既に防衛隊が排除しており、アキラの緊急依頼も終了していた。負傷者達の救助は別の依頼として処理されるため、アキラはこれ以上残る必要がなくなった。
疲労と弾薬不足から追加の救助依頼を断ったアキラは、バイクで一足先に都市へ帰還した。
異常な戦歴データ
救援部隊では、破壊されたトラックから戦歴評価用データが回収された。その中には、一人のハンターがモンスターの群れへ突入し、大型機へ銃撃せず接近戦を仕掛けたという異常な記録が残されていた。
職員は機器の故障を疑ったが、キバヤシはアキラの行動だと察して笑い、勝手にデータを削除せず事実確認するよう指示した。データ異常を疑われるほど暴れていたアキラを、キバヤシは生きの良いハンターだと喜んだ。
アキラへの観察
都市へ戻る途中、アルファはアキラの行動原理について考え続けていた。アキラはエレナ達を助けたことへの礼に苦しみ、彼女達が関係しているかもしれないというだけで一度断った緊急依頼を引き受け、実際にはエレナ達がいない可能性の高い場所へ向かっていた。
アルファはその行動を単純な気紛れとは考えず、まだ正確には理解できない何らかの基準があると捉えていた。その思考や行動を推察し、誘導し、制御するため、アルファは今後もアキラを観察し続けようとしていた。
第28話 100億あっても端金
遅れる報酬とバイクの預け先
緊急依頼を終えて広場へ戻ったアキラは、ようやく生還を実感して緊張を解いた。久しぶりに風呂付きの宿で休もうとしたが、参加者の多さから報酬算出が遅れており、まだ金が振り込まれていなかったため断念した。
さらにバイクを安全に保管する場所も必要となり、アキラはシェリルの拠点へ預けることにした。夜遅くに訪れたアキラをシェリルは喜んで迎え、バイクを預かるだけでなく中へ招こうとしたが、疲れ切っていたアキラは宿へ戻った。
シェリルの試み
シェリルはアキラの手を握り、微笑みながら引き留めようとしたが、期待したほどの反応は得られなかった。その後、同じような微笑みを見張りの少年に向けて効果を確かめ、自分の振る舞い自体に問題はなかったと理解した。
アキラには自身の容姿を利用した働きかけが思うように通じないと知ったシェリルは、さらに努力する必要があると考えた。
1200万オーラムの報酬
翌朝、アキラが目を覚ますと、前日の報酬として1200万オーラムが振り込まれていた。緊急依頼の基本報酬、二度の群れの撃退、救助人数による増額、提供した回復薬の代金などから、前払いされたバイク代を差し引いた金額だった。
巨額の報酬に驚くアキラに対し、アルファはオーラムである限り100億あっても端金だと言い、詳しい意味はシズカから企業通貨では買えない装備について聞けば分かると告げた。
シズカに発覚した防衛戦
アキラはシズカの店を訪れ、予備のAAH突撃銃と機械系モンスターに有効な新しい銃を購入しようとした。予算として1000万オーラムを即金で出せると聞いたシズカは、強化服が届いてからわずか三日で稼いだ金の出所を問い詰めた。
アキラが前日の巡回依頼でモンスターの群れと戦ったと説明すると、シズカは防衛戦に参加したことを察した。さらに右脚を負傷したことまで白状させ、強化服を脱がせて身体を確認した。傷が既に治っていると分かると安堵し、アキラを抱き締めて無事なら隠さないよう言い聞かせた。
CWH対物突撃銃
アキラはキャノンインセクトとの戦いを細部を省いて説明し、頑丈な機械系モンスターにも通用する武器を求めた。シズカは射程より威力を重視するアキラに、CWH対物突撃銃と汎用徹甲弾を勧めた。
CWH対物突撃銃は強固な装甲を貫いて内部機構を破壊することに優れ、専用弾ならさらに強力な機械系モンスターにも対応できた。アキラはAAH突撃銃や消耗品と共に購入を決め、シズカから専用弾を他の銃で使わないことや、大物を自分から狙いに行かないことを念押しされた。
旧世界の御守り
シズカが冗談で御守りを勧めると、アキラは予想以上に真剣な関心を示した。店には商品として置いていなかったため、シズカは過去にハンター達から渡された値の付かない遺物を保管した箱から、それらしい品を探し出した。
アキラはアルファが選んだ、縁起の良い数字が刻まれた品を選んだ。アルファによれば、その数字は大金を得ることに結び付く旧世界の賭け事の縁起物と思われた。シズカは品質を保証できないため、御守りをサービスとしてアキラに渡した。
AAH愛好家
アキラからAAH愛好家について尋ねられたシズカは、AAH突撃銃を異常なほど愛用する者達について説明した。彼らの中には銃の性能を示すため、本来なら火力不足となる強敵まで技量で倒す者や、極端な改造を施す者もいた。
派閥も多く、無改造にこだわる者から外見だけAAH突撃銃なら中身は別物でも構わない者まで存在していた。高性能な改造品を通常の商品に混ぜて仲間を増やす者がいるという噂もあり、極めて稀な大当たり品には、企業通貨では買えずコロン払いが必要な性能を持つものまであると言われていた。
企業通貨とコロン
コロンを知らないアキラに、シズカは東部の通貨について説明した。オーラムは五大企業の一つである坂下重工が発行する企業通貨であり、東部には五大企業それぞれの企業通貨が存在していた。
それとは別に、東部全体で絶対的な価値を持つ旧世界の電子通貨がコロンだった。コロンは遺跡から発掘され、全ての企業通貨へ高額なレートで交換できた一方、企業通貨からコロンへの交換には大きな制約があった。
さらにコロンは、現在も稼働する旧世界の工場や管理人工知能との取引に使用できた。力では奪えないほど強力な警備に守られた旧世界製品も、コロンがあれば正規に購入できる場合があり、旧世界製の回復薬や軍事物資など極めて貴重な品の入手にも繋がっていた。
そのため統企連はコロンを重視し、ハンターに収集させるためコロンでしか購入できない高性能装備も提供していた。アキラはこの説明によって、アルファがオーラムをいくら持っていても端金だと言った意味を理解した。
第29話 シジマの評価
風呂を前にした用事
アキラは宿を風呂付きの部屋へ変更し、休養を優先しようとした。しかしアルファから、シェリルに預けたバイクの扱いと、シジマへの和解金の残額を放置すれば面倒事になりかねないと指摘され、先に用事を済ませることにした。
新たに二挺のAAH突撃銃とCWH対物突撃銃を装備したアキラは、強化服の扱いに慣れる訓練も兼ねて自力でスラム街を歩いた。重装備に振り回されながら進む一方、その姿を恐れた周囲の住人たちは自然に道を譲っていた。
50万オーラムの支払い
シェリルは訪れたアキラを自室へ招くと早速抱き付いたが、アキラは先に用事を済ませるよう求めた。アキラはシジマとの和解金の残額50万オーラムを渡し、前日の稼ぎから見れば端金だから問題ないと説明した。
以前なら大金だった50万オーラムを自然に扱えるようになった自分に、アキラは金銭感覚の変化を実感した。また、バイクについても駐輪場代わりに長期間預かってほしいと頼み、シェリルはアキラが頻繁に訪れることが拠点の防犯にもなるとして快諾した。
シェリルの抱擁
用事が終わるとシェリルは再びアキラに抱き付き、強化服が固いから脱いでほしいと頼んだ。アキラは押し切られて上半身だけ強化服を脱ぎ、しばらく好きにさせた。
さらにシェリルは拠点の浴室を勧め、自分も一緒に入って世話をすると誘った。しかしアキラは宿の風呂で休むことを選んだ。シェリルはそれ以上勧めず、アキラからまだ十分な信用を得ていないことを理解しながらも、寂しさから抱き付く力を強めた。
シジマの来訪
そこへシジマ達が訪れ、アキラ、シェリル、シジマが同席した。シジマは大襲撃後のアキラの生死を確かめる意図も込めて様子を探り、シェリルはその意図を理解した上でアキラが無事だと示した。
シェリルが50万オーラムを渡したことで、以前の揉め事は正式に示談となった。シジマは短期間で強化服や大型銃を揃えたアキラを見て実力への警戒を深め、さらに以前とは別人のような自信と余裕を見せるシェリルにも強い関心を抱いた。
縄張りを巡る交渉
シジマが今後の縄張りについて本格的な交渉を始めようとすると、アキラは長話に付き合う必要があるのかと尋ねた。シェリルとシジマの双方が徒党同士の話だとして退席を認めたため、アキラは何かあれば連絡するよう告げて帰った。
その後の交渉で、シェリル達は管理し切れない縄張りの半分をシジマ達へ譲渡し、代わりに100万オーラムを受け取った。さらに両者は一定の協力関係を築くことになった。
シジマは交渉内容自体には満足したが、シェリルの急激な変化への懸念を拭えなかった。アキラ以上に、シェリルの自信と余裕の源を警戒するようになった。
回復薬の不足
宿へ戻ったアキラはようやく風呂に入り、久しぶりの温かな湯を楽しんだ。そこでアルファから、今後は怪我をしたら終わりだと思うほど慎重に行動する必要があると忠告された。
これまで使用していた遺跡産の回復薬は残り少なく、一般に購入した安価な回復薬とは性能が大きく違っていた。以前の薬なら折れた脚でも数分で戦闘可能な程度まで治せたが、安価な品では完治まで二週間ほど必要だった。同等品を購入する場合も一箱100万オーラムほど掛かると聞き、アキラは自分がこれまで大量の高価な薬を使っていたことに驚いた。
クズスハラ街遺跡の危険
アキラは再び遺跡へ回復薬を探しに行く案を出したが、アルファは却下した。先日の大襲撃によってクズスハラ街遺跡のモンスター分布が変化し、本来なら奥部にいる敵が外周部へ出ている可能性があり、現在のアキラではアルファの支援があっても死亡する危険が高かった。
そのため当面はクズスハラ街遺跡の奥での遺物収集を避け、別の遺跡へ向かう機会を増やす方針となった。アキラはバイクがあるため遠方への移動も楽になると考えたが、アルファから強化服を使って走る訓練も提案され、即座に拒否した。
第30話 各々の結果
カツヤの自責と決意
ドランカムの拠点では、カツヤが大襲撃で仲間を救えなかったことを悔やみ、限界を超えて射撃訓練を続けていた。ユミナとアイリに止められると、カツヤは自分がもっと強ければ仲間を助けられたと悔やんだ。
大襲撃ではカツヤ達若手十人が部隊を組んで戦い、七人が生還した一方、三人が死亡していた。死者は全員カツヤの友人であった。ユミナは次は皆を守れるよう一緒に強くなろうと励まし、アイリも協力すると告げた。カツヤは二人に支えられて気持ちを立て直した。
その際、カツヤは一人で緊急依頼へ向かったアキラを思い出した。十分な準備もなく向かった以上、生き残れなかっただろうと考え、これ以上気にしても仕方がないと意識を切り替えた。
シカラベのカツヤ評
シカラベはドランカム幹部のアラベから呼び出され、カツヤ達の今後について話し合った。アラベは大襲撃での戦果からカツヤ達を評価したが、シカラベは三人の犠牲を出したことを重く見ていた。
シカラベはカツヤについて、才能だけなら自分達以上で、十分に鍛えれば確実に大成するほどの素質があると認めた。一方で、自分の力量を見極める能力が欠けており、強くなればその分だけ危険な場所へ進み、周囲を巻き込む恐れがあると考えていた。
そのためシカラベは、カツヤの成長のために自分が犠牲になる気はないとして世話役を降りた。後任候補として、カツヤ達が慕っており実力も十分なエレナとサラを挙げたため、アラベは報酬を上乗せして訓練を依頼することを検討した。
エレナの強化服
シズカの店では、大襲撃を終えたエレナとサラが通常の三倍の補給品を購入していた。迷彩を持つモンスターの存在によりエレナが索敵役を担い、主戦場近くまで出る激戦となったため、二人とも強く疲弊していた。
その話の中で、シズカはエレナがまだ強化服を着ていないことに気付いた。エレナはこれまで自力で身体能力を伸ばすことや金銭面を理由に導入を見送っていたが、大襲撃の報酬で余裕が生まれたこともあり、強化服を購入することにした。
エレナはアキラの強化服を選んだシズカに同じように選定を頼んだ。シズカは専門外だとして断ろうとしたものの、エレナに押し切られ、要望を聞いた上で選ぶことを引き受けた。
アキラの急成長への疑問
シズカは会話の中で、アキラが強化服を手に入れて間もない状態で大襲撃を生き延び、1000万オーラム規模の収入を得たことに疑問を抱いた。強化服は訓練なしで容易に使いこなせるものではなく、AAH突撃銃も機械系モンスターには十分な武器ではなかったからである。
シズカはアキラが旧領域接続者である可能性や、強化服購入時の特殊な要望との関係を考えた。しかし本人に尋ねるべきことではなく、不必要な詮索は関係を損なうと考え、それ以上追究しなかった。
大襲撃への疑念
店内では大襲撃について、統企連が建国主義者によるテロと断定した報道が流れていた。サラは統企連名義の依頼が出た理由に納得したが、エレナはクガマヤマ都市を狙うためにクズスハラ街遺跡奥部の強力なモンスターを誘導する行為には不自然さが残ると考えた。
シズカも報道に嘘はなく辻褄も合っているように感じながら、何か引っかかるものを覚えた。しかし自分達が追究しても仕方がないとして話を切り上げ、エレナも報酬を装備強化に使うことへ意識を戻した。
ヤナギサワの計画
その頃、ヤナギサワ率いる高度に武装した部隊はクズスハラ街遺跡の奥部へ進んでいた。ヤナギサワは今回の大襲撃について、建国主義者のアルフォト団構成員を囮としてモンスターを誘き出したと部下達に明かした。
都市側には防衛隊の存在意義を示す理由があり、都市経営陣にはクズスハラ街遺跡奥部のモンスターを減らして探索を再開したい事情があった。アルフォト団は都市への攻撃を実現でき、ハンター達も大きな報酬を得た。ヤナギサワはそれぞれの利害を組み合わせ、自らの計画を進めていた。
しかし自身の目的だけは明かさず、人類の進歩と発展のためだと述べるに留めた。部隊には最前線向けの最新装備まで用意されており、ヤナギサワは本格的にクズスハラ街遺跡の奥部へ向かった。
再び荒野へ
大襲撃から数日後、十分に休養したアキラは再びハンター稼業を始めた。強化服、AAH突撃銃、CWH対物突撃銃を装備し、次の仕事に必要な機器を持ってシェリルの拠点へ向かった。
途中で食糧配給の列を目にすると昔を思い出したが、今の自分にはもう並ぶ資格はないと考えて先へ進んだ。
シェリルからのバイク返却
アキラが拠点に着くと、寝ていたシェリルは身支度よりもアキラを待たせないことを優先してすぐに現れた。シェリルは自身の容姿やカツラギから貰った化粧品なども利用してアキラの気を引こうとしていたが、アキラはほとんど反応せず、バイクに機器を取り付けて仕事へ向かった。
見送ったシェリルは今の姿でも効果がなかったことを残念に思い、次の手を考え始めた。
強化服とバイクの訓練
荒野に入ったアキラは、訓練を兼ねて自分でバイクを運転した。しかし重い装備と不慣れな強化服の影響で体勢を崩し、転倒しかけたところをアルファに助けられた。
アキラは未熟さを認めながら今後も訓練を続けると答え、アルファも支援を約束した。
アルファと出会ってから、アキラの装備も実力も大きく向上していた。それでもアルファの依頼を果たすにはまだ足りず、アキラはさらなる力を求めて荒野へ進んだ。二人の契約から始まったハンター稼業は、ようやく序盤を終えたところであった。
閑話 境界都市の少女達
ファラゲルト都市と見えない壁
東部と中央部の境界にあるファラゲルト都市は、両地域の物流を結ぶ交易都市であった。周辺の境界線は見えない壁と呼ばれ、実際の壁は存在しないものの、立入禁止区域を越えようとする者は東部と中央部の双方から無警告で攻撃されるため、越境には境界都市を通る必要があった。
都市は中央部区画、半自治混合区画、東部区画に分かれており、混合区画では双方の文化や技術が交わっていた。
サラの治療
混合区画の病院では、エレナが難病を患う親友サラの治療が終わるのを待っていた。サラは余命も少なく、自力で動くことすら困難だったが、エレナが説得して東部の技術による治療を受けさせていた。
治療後のサラは自力で歩き、食事も取れるまで回復していた。投与されたナノマシンが病で傷付いた身体を補強しており、その補給庫として胸部が利用されていた。
しかし病そのものが完治したわけではなく、ナノマシンを除去すればサラは死んでしまう状態であった。さらに体内のナノマシンは禁輸対象だったため、サラは中央部へ戻れなくなった。
エレナの同行
中央部へ戻れないことを知ったサラは、エレナとの別れを覚悟して涙を見せた。だがエレナは当然のように自分も東部に残ると告げた。
サラはエレナまで巻き込むことを拒んだが、エレナは病床のサラを助けるために資産や権利を勝手に処分して旅費や治療費を用意しており、既に戻りにくい状況を作っていた。サラも自分の意思で治療を受けた以上、責任をエレナ一人に負わせることを拒み、二人は共犯としてこれからも一緒に生きることを決めた。
ハンターへの道
ホテルで今後を相談したエレナは、サラのナノマシン補充費を継続して稼ぐため、東部でハンターになることを提案した。
ハンターは旧世界の遺物収集やモンスター討伐で大金を得られる一方、多くの者が命を落とす危険な仕事であった。それでも残った資金で装備を整えれば生き残る可能性はあると考え、二人は翌日に東部区画へ入り、ハンターになることを決めた。
パラッドの追跡
翌朝、検問所へ向かったエレナ達の前に知人のパラッドが現れた。エレナが施した追跡をかわすための工作を見抜き、サラを連れ戻すために待ち伏せしていたのである。
エレナはサラが禁輸対象のナノマシンを体内に持つため中央部には戻せないと説明した。しかしパラッドは、生死を問わずサラを連れ帰るよう命じられており、ナノマシンを抜いてサラが死んでも構わないと告げた。
エレナとパラッドの戦い
激怒したエレナはパラッドに殴りかかった。エレナは人並み外れた筋力を持っていたが、パラッドはそれを予想して軍用防護服を用意していたため、攻撃は通じなかった。
格闘技術でも上回るパラッドに反撃され、エレナは倒されて頭を踏み付けられた。それでもエレナはサラに逃げるよう求めた。
サラの拳
パラッドは、エレナがいなければ何もできないとサラを嘲った。しかしサラは、これからもエレナと共に生きると決めていたため、涙を流しながら自らエレナを助けようと動いた。
サラの拳がパラッドに命中すると、軍用防護服を着た彼の身体は大きく吹き飛んだ。サラはさらに一撃を加え、パラッドを意識不明にした。
その力は治療で投与されたナノマシンに備わっていた身体能力強化機能によるものだった。激しい身体強化によってナノマシンを大量消費したため、サラの胸も小さくなっていた。エレナは命に関わる消費を叱ったが、サラは二人とも助かったのだから良いと言い返し、最後には二人で笑い合った。
東部への越境
エレナとサラは検問所を抜け、都市の東部区画へ入った。貧困層向けの出入口の先にはスラム街が広がっていた。
二人はハンターオフィスで登録し、一定額の資金を持って越境してきたためハンターランク10のハンター証を受け取った。銀行で両替し、併設店舗で装備も揃えた。
パラッドとの戦いで自身の身体能力だけでは足りないと知ったエレナは情報収集機器を揃え、身体能力強化の力を知ったサラは大きめの銃を選んだ。この時、後の二人の戦闘スタイルの方向性が決まった。
エレナとサラは改めて共に頑張ることを誓い、東部でハンターとして歩き始めた。それは二人がクズスハラ街遺跡でアキラと出会う何年も前の出来事であった。
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