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Y.Aフィクション(Novel)八男って、それはないでしょう!読書感想

小説「八男って、それはないでしょう! 29」感想・ネタバレ

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八男って、 それはないでしょう! 29の表紙画像(レビュー記事導入用) Y.A

八男28巻レビュー
まとめ
八男30巻レビュー

Table of Contents

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  1. 物語の概要
    1. ■ 作品概要
          1. ヴェンデリン(ヴェル):
          2. エリーゼ:
          3. 一宮信吾(高校生):
          4. 赤井榛名:
          5. 江木拓真:
          6. 黒木麻耶:
  2. 書籍情報
  3. あらすじ・内容
  4. 感想
  5. 考察・解説
      1. ストーリー・プロット
          1. 第1幕:日本への転移と現状把握
          2. 第2幕:活動資金の確保
          3. 第3幕:現代日本での探索と犯罪組織の壊滅
          4. 第4幕:一宮信吾との接触と秘匿対話
          5. 第5幕:交流と共同生活の開始
        1. まとめ
      2. 物語における主要な転換点
          1. 転換点1:石碑のガラス玉の発光
          2. 転換点2:電力インフラの破壊を伴う資金強奪
          3. 転換点3:魔法障壁(沈黙)下での信吾との会談
        1. まとめ
      3. 主人公を中心とした人物関係の変化
          1. ヴェンデリンと一宮信吾(高校生)の関係推移
        1. まとめ
      4. 現代日本への潜入と周囲の認識差
          1. ヴェンデリンの自己認識
          2. 日本社会からの評価
          3. 警察およびメディアの混乱
        1. まとめ
      5. クライマックス
          1. 発生原因
          2. 具体的な行動
          3. もたらされた結果
        1. まとめ
      6. 巻末時点の状況
          1. 滞在地点と現在の状況
          2. 解決した事項
          3. 継続する課題
          4. 特記事項(時間的アノマリー)
  6. 登場キャラクター
    1. バウマイスター辺境伯家(リンガイア大陸)
      1. ヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスター
      2. エリーゼ・カタリーナ・フォン・ホーエンハイム
      3. エルヴィン・フォン・アルニム
    2. 日本(佐東市・学生および関係者)
      1. 一宮信吾
      2. 赤井榛名
      3. 黒木麻耶
      4. 江木拓真
      5. 一宮洋司
      6. 信吾の母
      7. 信吾の父
      8. 沢井
      9. 高畑
      10. 石井
      11. 清隆
      12. 裕子
      13. 沢村
      14. 桃井留美
      15. 紫雲加奈
      16. エミリー・保園
      17. 飛騨
      18. グルメ愛好会の部長
    3. 日本(佐東市・裏社会および一般関係者)
      1. 佐東組組長
      2. 佐東組組長の愛人
      3. 佐東組幹部
      4. ヤス
      5. リー
      6. 竜ちゃん
      7. ラブホテルのフロントの老婆
      8. タクシーの運転手
      9. ファストファッション店の女性店員
      10. 牛丼チェーン店の男性店員
    4. 古代魔法文明(異次元)
      1. ユーフェリア・マルクトレス・フォン・イシュルバーグ
    5. 冒険者
      1. ダンテ
      2. ヴェリヤ
      3. ザラット
      4. 冒険者ギルド幹部
      5. 冒険者ギルド受付の若造
      6. 考古学者の魔法使い
    6. 登場集団
      1. 佐東組
      2. レッドクロウ
      3. 佐東市観光協会
      4. グルメ愛好会
      5. ダンテの冒険者パーティ
      6. オプションドラゴン(分身体群)
  7. 備忘録
    1. プロローグ
    2. 第一話 なぜか日本へ
    3. 第二話 異世界二人
    4. 第三話 黒騎士再び
    5. 第四話 ヴェンデリンと信吾
    6. 第五話 ヴェンデリンは一宮信吾のリア充ぶりに嫉妬する(おまいう)
    7. 第六話 謎のドラゴン
    8. 第七話 バケーション、ミスコン、謎の人物、竜
    9. 第八話 イシュルバーグ伯爵、現る
    10. 第九話 イシュルバーグ伯爵の本性
    11. 第十話 イシュルバーグ伯爵は、どこか壊れている
    12. 第十一話 男三人 vs オプションドラゴン
    13. 第十二話 いつもの日々
    14. エピローグ その後の一宮信吾
  8. 同シリーズ
    1. 八男って、それはないでしょう!シリーズ
    2. 異世界帰りのパラディンは、最強の除霊師となるシリーズ
    3. 異世界帰りの勇者は、ダンジョンが出現した現実世界で、インフルエンサーになって金を稼ぎます!シリーズ
  9. その他フィクション

物語の概要

■ 作品概要

地下遺跡の探索中に発生した石碑の発光により、主人公ヴェンデリン(ヴェル)と妻のエリーゼは、ヴェルの前世である一宮信吾の故郷「佐東市」へと転移する。到着した時間軸は信吾が転生する9年前の過去であり、そこには高校生としての一宮信吾が実在していた。


ヴェルは魔法の存在しない非魔導文明圏における活動資金を確保しつつ、元の世界への帰還手段を模索するため、自身の前世にあたる高校生の信吾への接触を試みる。


魔法を駆使した隠密活動と資金の獲得を経て直接対話に成功したヴェルは、互いの特殊な状況を共有した。

物語の結末として、ヴェルとエリーゼは信吾の協力により一宮家への滞在を開始し、共同生活を通じて帰還のための調査を継続していく。

■ 主要キャラクター

ヴェンデリン(ヴェル):

ヘルムート王国の辺境伯。地下遺跡の異変により現代日本へ不法入国状態となった。魔法という技術的優位性を秘匿しながら、犯罪組織から資金を強奪(自己合理化された「浄財」獲得)し、調査を指揮する。

エリーゼ:

ヴェルの正妻。治癒魔法のエキスパートである。現代日本の高度な科学技術に驚嘆しつつも、ヴェルの戦術的判断を全面的に信頼して潜入任務を支える。

一宮信吾(高校生):

ヴェルの前生であり、本来のヴェンデリンの魂が宿る存在。元の身体(ヴェンデリン)には魔法の才能が皆無だったため、魔導師としてではなく、進学校での学業を通じた世俗的な成功(公務員等)を志向している。複数の女子と交友を持つ、いわゆる「リア充」としての地位を確立した。

赤井榛名:

信吾の幼馴染。信吾の世話を甲斐甲斐しく焼き、明確な好意を抱いている。エリーゼの容姿に敏感な反応を示した。

江木拓真:

信吾の幼馴染で、サッカー部のレギュラー。雰囲気や言動がヴェルの友人であるエル(エルヴィン)に酷似しており、ヴェルからの信頼獲得に寄与する。

黒木麻耶:

信吾のクラスメイト。クールな容姿を持つ「高嶺の花」である。信吾に強い興味を抱いており、榛名との間に潜在的な対立関係を形成している。

書籍情報

八男って、それはないでしょう! 29
著者:Y.A 氏
イラスト:藤ちょこ 氏
出版社:KADOKAWAMFブックス
発売日:2024年5月24日
ISBN:9784046836267

(PR)よろしければ上のサイトから頂けると幸いです。

あらすじ・内容

突如日本へ転移させられたヴェルたちの帰還までの冒険譚!
死闘の末、首だけになったブレンメルタール元侯爵を追って入った地下遺跡の最深部で、ヴェルとエリーゼは突如発生した光に取り込まれ意識を失ってしまう。
やがて目が覚めた二人は、地下遺跡とはまったく異なる場所に飛ばされていることに気付き早速探索を始める。だが、ヴェルだけは終始既知感を抱いていた。
『ここって、俺が高校卒業まで住んでいた佐東市だよな?』
そこは、一宮信吾がリンガイア大陸に転生した商社マン時代から遡ること九年ほど前、高校生であった頃に見知った街並みだった。どうして元の世界に飛ばされたのか、しかもなにゆえ高校時代なのか。
とにかく、今の信吾に会えば何かがわかるかもしれないと、ヴェルはエリーゼとともに彼の捜索と接触を試みるのであった……。

八男って、それはないでしょう!29

感想

アキツシマ島の地下遺跡を調べていたはずのヴェンデリンとエリーゼ。

石碑に埋め込まれていた謎のガラス玉が光り、気がつけば二人だけで知らない場所に飛ばされていた。

周囲に仲間はいない。

魔導携帯通信機も通じない。

とりあえず歩いてみると、ヴェルは妙な既視感を覚え始める。

そして小高い場所から街を見下ろした瞬間、

ここ知ってるぞ。

そこはヴェルが一宮信吾として、高校を卒業するまで暮らしていた日本の佐東市だった。

異世界転生した主人公が、

異世界から元いた日本へ戻ってくる。

しかも妻のエリーゼ付き。

なかなか変な里帰りである。

ところが日本で暮らすには身分証も日本円もない。

そこでヴェルが思いついた金策が、

地元の暴力団から金を奪う。

おい。

帰ってきて早々、何してるんだw

知らない土地かと思ったら前世の故郷。しかも自分が転生するより9年前だった

最初は完全に未知の土地だと思っていたヴェル。

だが歩けば歩くほど、

この山、知ってるような……。

この景色も……。

となっていく。

そして街を見下ろして確信する。

前世の故郷だ。

エリーゼからすれば、ゾヌターク共和国に少し似ているものの、魔力ではなく「電気」で様々なものが動いている謎の国。

ヴェルからすれば懐かしい日本。

ただし、さらに面倒なのが時間までズレていることだった。

新聞の日付を確認すると、ヴェルが一宮信吾として異世界へ飛ばされた時より約9年前。

つまり、

高校生の一宮信吾がまだ存在している。

これは面白い。

自分が暮らしていた街へ戻ってきただけでも変なのに、若い頃の自分までいる可能性がある。

しかも現在のヴェルの中身は一宮信吾。

では、この時代の一宮信吾の中身はどうなっている?

一気にややこしくなってきた。

ただ、そんな重大な問題より先に解決しなければならないことがある。

金がない。

金貨も銀貨もある。

宝石もある。

でも日本円がない。

身分証もない。

金や宝石をいきなり換金したら、

「この外国人、どこから持ってきた?」

となる。

現代日本、異世界より安全なはずなのに身分証がないと逆に動きづらい。

妙に現実的だな。

日本円がない。それなら暴力団から「浄財」を頂こうという発想が酷いw

そこで新聞を読んでいたヴェルが見つけたのが、地元の暴力団「佐東組」とハングレ組織「レッドクロウ」の抗争記事。

そして閃く。

悪党の金なら奪っても心が痛まない。

なるほど。

……なるほど?

エリーゼも最初は、

盗みはよくないのでは?

と当然の反応をする。

でもヴェルは、

一般人には迷惑をかけたくない。

警察に捕まるわけにもいかない。

元の世界へ戻るための活動資金が必要。

だから悪党から頂く。

という謎理論で押し切る。

そして、

「浄財」

と呼び始める。

都合のいい言葉を作ったなw

夜になると、ヴェルは佐東組組長の邸宅へ潜入。

しかも普段ほぼ使わない漆黒の全身鎧を装備して、

黒騎士。

本人は正義の味方のつもりである。

まずライトニングで電気系統を破壊。

屋敷を停電させる。

続いてエリアスタン。

組員全員麻痺。

そして倒れている組員たちの財布を漁る。

正義の黒騎士、

やってることが完全に追い剥ぎなんだが。

麻痺した組員から、

「正義を語って、人の財布を漁るな」

と突っ込まれているのも笑った。

悪党側の方が正論じゃないか。

全身鎧で金庫を破壊。最終的に5000万円以上って取りすぎだろ

当然、組員の財布だけでは大した金額にならない。

そこでヴェルは組長の部屋へ。

秘密の金庫を発見する。

普通ならここで、

暗証番号が分からない。

鍵がない。

となるところだが、

ヴェルには魔法剣がある。

金庫の扉を焼き切る。

物理。

いや魔法だけど物理。

中には表に出せないと思われる現金が大量に入っていた。

さらに途中で戻ってきた組員たちからも金を回収。

結果、

5000万円以上。

初日の活動資金として多すぎるだろ。

本人はあくまで、

悪の組織から回収した浄財。

という認識。

その金で泊まったのが、

身分確認の緩い古いラブホテル。

そこへエリーゼと二人。

異世界の大貴族夫婦が、日本に転移して初日に暴力団から5000万円奪ってラブホテル泊まり。

字面が酷い。

しかもエリーゼは回転ベッドや使い捨て歯ブラシ、テレビに感心している。

本人からすれば全部未知の文明だからな。

ヴェルだけが懐かしさを感じているのも面白かった。

今度はギャングを襲撃。金を奪ったあと犯罪証拠を並べて警察へ通報する黒騎士

ただし5000万円もあれば十分だろうに、ヴェルは、

元の世界へ戻るまでどれだけ時間がかかるか分からない。

もっと資金が欲しい。

となる。

そして次のターゲットがレッドクロウ。

また行くのかよ。

今度は佐東組の幹部を捕まえて、敵対しているレッドクロウの拠点を聞き出す。

すると佐東組側から、

「あいつらは危ないぞ」

と心配される。

昨日5000万円以上奪った暴力団員に心配される黒騎士。

どういう関係なんだ。

レッドクロウの拠点へ乗り込んだ後は、またエリアスタン。

無力化。

現金回収。

ただ今回はそれだけでは終わらない。

違法薬物。

違法風俗。

海外送金。

その他の犯罪証拠。

全部警察に分かりやすいように残す。

そして自分で警察へ電話。

場所まで全部教えて逃走。

翌日の新聞には、

謎の「黒騎士」に襲われたレッドクロウが壊滅。

構成員たちは「黒騎士が稲妻を落とした」と意味不明な供述をしている。

という記事が載る。

そりゃ警察も困るわ。

証拠は揃っている。

犯罪者も全員動けない。

現金だけ消えている。

犯人は黒い全身鎧。

しかも雷を使う。

平成日本にそんな奴がいるなんて誰が信じるんだ。

前巻まで世界規模の魔力不足やクーデターで戦っていたのに、今回はいきなり日本で牛丼を食べたり、服を買ったり、動物園へ行ったり、暴力団から金を奪ったり。

随分と方向性が変わった。

ただ、ヴェルが日本へ戻ってきたことで、

「一宮信吾だった頃の自分」

が急に現実のものとして出てくるのが興味深い。

しかもこの世界には高校生の一宮信吾まで存在している。

そして実際に出会ってみれば、

そっちも中身がおかしい。

二人とも、

自分が相手の人生を奪ってしまったのでは?

という思いを抱えていたというのも印象に残った。

とはいえ、序盤で一番印象に残ったのはやっぱり黒騎士である。

悪党を麻痺させる。

財布を漁る。

金庫を破壊する。

5000万円以上回収。

本人曰く、

浄財。

悪党にまで、

「お前の方が悪党だろ」

と言われる。

ヴェル。

それについては反論できないと思うぞw

最後までお読み頂きありがとうございます。

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八男28巻レビュー
まとめ
八男30巻レビュー

考察・解説

ストーリー・プロット

地下遺跡の石碑から発せられた光により、異世界である現代日本へと転移したヴェンデリンとエリーゼの動向について整理する。活動資金の確保から前世の自分自身との接触、そして共同生活の開始に至るまでの経緯は以下の通りである。

第1幕:日本への転移と現状把握
  • 地下遺跡最深部において、石碑のガラス玉から発生した未知の魔導発光により、ヴェルとエリーゼは迅雷山へと転移した。
  • ヴェルは周囲の地形から前世の故郷であることを特定した。
  • 魔導携帯通信機の機能不全を確認し、エリーゼに対してここが異世界ニホンであることを論理的に説明した。
第2幕:活動資金の確保
  • 非魔導文明圏での活動には日本円が不可欠であり、身分証を持たないヴェルは、心理的・倫理的負荷を最小化する自己合理化メカニズム(浄財)に基づき、犯罪組織「佐東組」を標的に設定した。
  • ヴェルは下賜された漆黒の鎧を纏う黒騎士として隠密侵入した。
  • 外部電気メーターに微弱なライトニングを放ち短絡(ショート)させ、邸宅を停電させて無力化した。
  • 金庫を物理的に切断し、数千万円の活動資金を確保した。
第3幕:現代日本での探索と犯罪組織の壊滅
  • ヴェルは身元確認の必要がない手動管理かつ旧式のラブホテルを潜伏拠点として戦略的に選択した。
  • エリーゼと共に市内を巡り、文明レベルの再確認と情報収集を実施した。
  • 新たな資金源として準暴力団組織「レッドクロウ」の拠点を特定した。
  • 魔法による制圧後、意図的に犯罪の証拠を警察に開示し、組織を壊滅させつつ資金を回収した。
第4幕:一宮信吾との接触と秘匿対話
  • ファストフード店において高校生の一宮信吾一行を捕捉した。
  • ヴェルはトイレ内において沈黙(しずまり)の魔法を展開し、第三者による盗聴を完全に遮断した上で、信吾との直接対話を実施した。
  • 魂の入れ替わりと、9年の時間軸の乖離という時間的アノマリーを認識し、協力関係を構築した。
第5幕:交流と共同生活の開始
  • ヴェル夫妻は信吾一行の水族館グループデートに同行した。
  • 現代日本の若者層における社会関係資本の獲得(リア充化)の現状を観察した。
  • 夕刻、信吾の家族が不在である好機を利用し、一宮家への宿泊を決定した。
  • 前世と現世の自己が共存する状況下で、元の世界への帰還に向けた本格的調査に移行した。
まとめ

異世界転移という突発的な危機に対し、ヴェルは卓越した魔法技術と前世の記憶を活かして迅速に環境へ適応した。非合法組織からの資金調達によって活動基盤を整えつつ、前世の存在である一宮信吾との邂逅を果たしたことで、事態は時間軸の歪みを含む謎の解明と帰還への足がかりを得る段階へと進展した。

物語における主要な転換点

異世界である現代日本へと転移した主人公夫妻は、未知の環境に適応しながら元の世界への帰還を目指して行動を開始する。突発的な世界間移動から活動基盤の構築、そして前世の自己との接触に至るまで、状況を大きく進展させた主要な転換点について以下に整理する。

転換点1:石碑のガラス玉の発光

以前:地下遺跡の探索を行っていた段階である。

事象:未知の魔導技術が突如として起動した。

変化:世界間移動が発生し、現代日本への転移を余儀なくされる。

転換点2:電力インフラの破壊を伴う資金強奪

以前:身分証を持たず、所持金もない無一文の不法滞在状態であった。

事象:犯罪組織の電気メーターへライトニングを放って無力化し、現金を強奪する。

変化:経済的自由を獲得し、本格的な潜入調査や拠点確保の開始が可能となった。

転換点3:魔法障壁(沈黙)下での信吾との会談

以前:遠方や外部からの観察にとどまっていた。

事象:秘密保持魔法である沈黙を展開し、高校生の一宮信吾と直接交渉を行う。

変化:状況認識の共有が成立し、一宮家という安全な拠点の確保につながった。

まとめ

地下遺跡での偶発的な転移から始まった一連の事態は、魔法を用いた迅速な資金調達と前世の存在との接触を経て、安定した活動体制へと移行した。これらの転換点は、単なる異世界滞在にとどまらず、時間軸の乖離を含む謎の解明と帰還計画を具体化させる重要な基盤となっている。

主人公を中心とした人物関係の変化

現代日本への転移を経て、主人公であるヴェンデリンと前世の存在である高校生の一宮信吾との関係性は、単なる観察対象から深い相互理解に基づく特異な結びつきへと変化した。両者の間で生じた認識の推移と関係の変遷について以下に整理する。

ヴェンデリンと一宮信吾(高校生)の関係推移

開始時

前世の自分自身であり、遠方から動向を把握するための観察対象としての位置づけであった。

事象

魔法による秘密保持のもとで直接対話を果たし、魂の入れ替わりや時間軸の乖離という事実を共有した上で、実生活を通じた直接的な交流を深めていく。

巻末時

異なる世界線においてそれぞれ社会関係資本を構築した同志としての関係に至る。中身が入れ替わったことにより、本来は魔法の才能を持たない信吾が日本社会で成功を収め、商社マンであった信吾が異世界で貴族としての地位を確立するという、社会的地位獲得の分岐を互いに客観視し受容する関係となった。

まとめ

前世と現世という奇妙な共存関係から始まった二人の接触は、秘密の共有と相互理解を経て、互いの生き方を肯定し合う対等な同志関係へと発展した。
それぞれの世界で自らの居場所と社会的成功を築き上げた事実を認識したことは、ヴェンデリンにとって自身の過去を清算し、異世界の貴族として歩み続ける覚悟をより強固なものにする契機となっている。

現代日本への潜入と周囲の認識差

未知の魔導技術によって現代日本へ転移したヴェンデリン夫妻は、非魔導文明圏において自らの能力を秘匿しながら活動を展開している。主人公自身の自己認識と、それを取り巻く日本社会や治安機関が下す評価との間には、文明的・常識的な差異に基づく明確なギャップが存在する。それぞれの視点における現状認識について以下に整理する。

ヴェンデリンの自己認識
  • 魔導技術というオーバーテクノロジーを秘匿しつつ、非魔導文明に適応する潜入任務遂行者としての意識を保持している。
  • 自身の行動が引き起こす社会的影響を最小限に抑えつつ、目的達成に向けた合理的な判断を優先している。
日本社会からの評価
  • ヴェンデリンは、流暢な日本語を操る素性不明の外国人観光客として周囲に認識されている。
  • エリーゼは、現代日本の基準においても突出した容姿と身体バランスを持つ人物として、街中で強い衆目を集めている。
警察およびメディアの混乱
  • 黒騎士による組織襲撃事件は、現代の鑑識ロジックでは解明不可能な謎の発光や説明不能な麻痺を伴うため、捜査機関を混乱させている。
  • 現代科学の範疇を超えた高等魔法の痕跡に対し、社会全体がパラダイムシフトを受け入れられず、原因不明の怪事件として処理を試みる事態が生じている。
まとめ

魔法文明の論理で行動する主人公側と、科学文明の枠組みで事象を捉えようとする日本社会との間には、認識の決定的な断絶が生じている。この科学と魔法の衝突は、潜入行動における秘密保持の難度を高めると同時に、現代社会側にも説明不能な異常事態としての動揺を広げる要因となっている。

クライマックス

現代日本潜入における活動基盤の確立と協力体制の構築

異世界である現代日本へと転移したヴェンデリン夫妻は、元の世界への帰還に向けた情報収集と活動基盤の安定化を図るため、段階的な作戦行動を展開した。犯罪組織の制圧による資金と安全の確保から、前世の存在である一宮信吾との接触、滞在拠点の獲得に至る一連の経緯について整理する。

発生原因

活動基盤の安定化および滞在時の安全確保が必要となったためである。

また、一宮信吾との接触を通じて、元の世界への帰還に関する情報を探索することが急務であった。

具体的な行動

ハングレ組織「レッドクロウ」の拠点を魔法を用いて制圧し、証拠とともに警察へ通報した。

さらに一宮信吾に対して計画的な接近を試み、秘密保持魔法「沈黙」を展開した密閉空間において、直接的な身元確認と対話を実施する。

もたらされた結果

反社会的勢力の排除に伴い、地域における治安の流動化が発生した。

一宮信吾との間で秘密を共有し、強固な協力体制を確立することに成功する。

外部からの干渉を受けにくい一宮家を、秘匿性の高い滞在拠点として確保した。

まとめ

武力を用いた迅速な脅威排除と、魔法障壁を活用した周到な対人接触により、潜入初期における重大な課題は速やかに解決された。前世の存在である信吾との連携および安全な拠点の確保は、今後の調査活動と帰還計画を具体化させる上で決定的な足がかりとなっている。

巻末時点の状況

未知の魔導発光によって異世界ニホンへと転移したヴェンデリンとエリーゼは、初期の生存戦略および潜入活動を経て、活動基盤を安定させる段階へと到達した。佐東市の一宮信吾宅において夕刻の状況推移を整理し、当面の達成事項と今後の課題を以下のように記録する。

滞在地点と現在の状況

場所:佐東市の一宮信吾宅。

現状:信吾や榛名と共に夕食を囲み、平穏な共同生活を送りながら現地の情勢を観察している。

解決した事項

活動資金の確保:非合法組織からの資金回収により、日本円の確保を完了した。

宿泊拠点の獲得:一宮家への滞在が認められ、秘匿性の高い安全な拠点を確保している。

現地協力者の確保:前世の自己である信吾との対話に成功し、秘密を共有する協力関係を構築した。

継続する課題

リンガイア大陸への具体的な帰還魔導プロトコルの解明が、依然として未達成となっている。

特記事項(時間的アノマリー)

信吾の死および転生が発生する9年前という、過去の時間軸に滞在している。

未だ発生していない転生イベントの成立を保護しつつ、自らの存在を維持するという極めて特異な論理的矛盾(パラドックス)を内包した状態が続く。

当面における滞在基盤の整備と前世の存在との接触は速やかに達成された。今後は時間軸の歪みがもたらすパラドックスを回避しつつ、元の世界へと回帰するための魔導機構の解析および帰還ルートの確立が最重要課題となる。

八男28巻レビュー
まとめ
八男30巻レビュー

登場キャラクター

バウマイスター辺境伯家(リンガイア大陸)

ヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスター

バウマイスター辺境伯家の当主であり、強大な魔力を持つ魔法使いである。かつて日本で商社マンの一宮信吾として生活していた前世の記憶を持つ。妻のエリーゼとともに突然日本へ転移し、元の世界へ戻る手がかりを求めて行動する。

・所属組織、地位や役職
 バウマイスター辺境伯家当主、上級魔法使い。

・物語内での具体的な行動や成果
 佐東組やレッドクロウから現金を回収した。高校生の一宮信吾と遭遇して情報交換を行う。異界島でイシュルバーグ伯爵の実験に巻き込まれ、オプションドラゴンと交戦した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 最後は記憶を消去されてリンガイア大陸のアキツシマ島地下遺跡へ帰還した。

エリーゼ・カタリーナ・フォン・ホーエンハイム

ヴェンデリンの正妻であり、優れた治癒魔法の使い手である。夫への深い愛情と信頼を抱いている。夫とともに日本へ転移し、見知らぬ世界に戸惑いながらも行動を共にする。

・所属組織、地位や役職
 バウマイスター辺境伯家正妻、神官。

・物語内での具体的な行動や成果
 現代日本の衣服や食事文化を体験した。海水浴場のミスコンに参加して準ミスに選出される。異界島では生きた檻に過治癒の魔法をかけ、脱出の糸口を作った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 日本での記憶を消去された後、夫とともに元の世界へ戻った。

エルヴィン・フォン・アルニム

ヴェンデリンの筆頭従士であり、親友でもある騎士である。主君に対して気兼ねなく接する間柄である。

・所属組織、地位や役職
 バウマイスター辺境伯家筆頭従士、騎士。

・物語内での具体的な行動や成果
 アキツシマ島の地下遺跡で、石碑を眺めていたヴェンデリンとエリーゼに声をかけた。別邸へ戻って食事にすることを提案した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 二人が日本へ転移していた間の事情は認識していない。

日本(佐東市・学生および関係者)

一宮信吾

佐東第一高校に通う男子高校生である。五歳までは異世界の貧乏貴族の八男ヴェンデリンであった記憶を保持している。周囲の女子生徒からの好意には全く気づかない性格である。

・所属組織、地位や役職
 高校生、後に大学生。

・物語内での具体的な行動や成果
 夏休みに幼馴染みたちと勉強会や海水浴を行った。別の存在となったヴェンデリンと遭遇し、自宅に泊める。異界島では弓を用いてオプションドラゴンと戦い、赤井榛名を庇って負傷した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 東京の大学に進学し、グルメ愛好会に入会した。

赤井榛名

一宮信吾の幼馴染みであり、同じ高校に通う女子生徒である。小柄で童顔だが胸が大きい体型をしている。幼少期から信吾に明確な好意を抱く。

・所属組織、地位や役職
 高校生、後に大学生。

・物語内での具体的な行動や成果
 毎朝信吾を迎えに行き、夏休みには彼の家で食事を作った。ミスコンに参加して準ミスに選ばれる。異界島では魔道具の槍を使い、信吾たちと協力して檻から脱出した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 信吾と同じ東京の大学へ進学した。

黒木麻耶

一宮信吾のクラスメイトであり、クールな雰囲気を持つ美少女である。成績優秀でスポーツ万能な特技を持つ。信吾に好意を寄せており、榛名と張り合っている。

・所属組織、地位や役職
 高校生、後に大学生。

・物語内での具体的な行動や成果
 信吾の自宅での勉強会に参加し、昼食を作った。ミス佐東海岸コンテストでグランプリを獲得し、異界島の一日貸し切り券を得る。檻の中では槍で壁を攻撃して脱出を図った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 高校卒業後は信吾たちと同じ大学に進学した。

江木拓真

一宮信吾の長年の友人であり、サッカー部に所属する男子生徒である。要領がよく、勉強を怠けて友人の宿題を写そうとする一面がある。

・所属組織、地位や役職
 高校生、後に大学生。

・物語内での具体的な行動や成果
 夏休みに信吾たちと行動を共にした。異界島ではイシュルバーグ伯爵から授かったパワードアーマーと大剣を装備し、前衛として奮戦する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 高校三年次に猛勉強して信吾たちと同じ大学に合格した。

一宮洋司

一宮信吾の弟であり、中学生である。兄に対して遠慮のない物言いをする。

・所属組織、地位や役職
 中学生、バスケットボール部員。

・物語内での具体的な行動や成果
 毎朝榛名が迎えに来る兄をからかった。夏休み期間中は部活動の合宿に参加している。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 兄が異世界人だった過去については何も知らない。

信吾の母

一宮信吾と洋司の母親である。共働きで家計を支えている。

・所属組織、地位や役職
 主婦、会社員。

・物語内での具体的な行動や成果
 料理は大雑把な性格である。親戚の看病のために一時的に家を空けた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 後に黒木麻耶が自宅へ挨拶に来た際、喜んで迎え入れた。

信吾の父

一宮信吾と洋司の父親である。平日は仕事で多忙に過ごしている。

・所属組織、地位や役職
 会社員。

・物語内での具体的な行動や成果
 夏休みの期間中、仕事の出張で不在であった。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 物語の場面において直接の会話場面は描かれていない。

沢井

一宮信吾たちのクラスメイトである女子生徒である。サッカー部のマネージャーを務めている。

・所属組織、地位や役職
 高校生、サッカー部マネージャー。

・物語内での具体的な行動や成果
 サッカー部の練習日程について榛名に話した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 拓真が部活動の状況を言い訳にした際に名前が言及された。

高畑

一宮信吾のクラスメイトである男子生徒である。学級委員長を務めている。

・所属組織、地位や役職
 高校生、学級委員長。

・物語内での具体的な行動や成果
 真面目で成績優秀な生徒である。黒木麻耶に好意を寄せている。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 信吾の回想の中で人物像が言及された。

石井

江木拓真が過去に映画館でデートをした女子生徒である。

・所属組織、地位や役職
 高校生。

・物語内での具体的な行動や成果
 拓真と一緒に映画を鑑賞していた事実が噂になっていた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 拓真の好みではなかったため、その後の交際には発展しなかった。

清隆

海水浴場を訪れていた一般の若い男性客である。交際相手の女性と一緒に来ていた。

・所属組織、地位や役職
 海水浴客。

・物語内での具体的な行動や成果
 水着姿のエリーゼに見とれていた。同行していた女性から叱責を受ける。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 一般客の一人として描写された。

裕子

ミス佐東海岸コンテストに出場していた女性である。家族が客席から応援していた。

・所属組織、地位や役職
 ミスコン出場者。

・物語内での具体的な行動や成果
 地元のミスコンに出場した。祖父が他の出場者に見とれていたため祖母に叱られている。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 コンテストの参加者の一人として名前が呼ばれた。

沢村

佐東第一高校の保健室に勤務する養護教諭である。新任の教員である。

・所属組織、地位や役職
 高校養護教諭。

・物語内での具体的な行動や成果
 可愛らしい容姿をしている。江木拓真から好意の対象として名前を挙げられた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 拓真の好みの異性として言及された。

桃井留美

一宮信吾が大学の新入生歓迎会で出会った女子新入生である。お団子頭の髪型をしており、小柄で可愛らしい容姿を持つ。食欲が非常に旺盛である。

・所属組織、地位や役職
 大学生、グルメ愛好会会員。

・物語内での具体的な行動や成果
 新入生歓迎会で無言のまま大量の料理を食べ続けた。料理を譲ってくれた信吾に興味を持ち、男子の中で唯一連絡先を交換する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 紫雲加奈とは家が隣同士の幼馴染みである。

紫雲加奈

大学二年生の女子学生であり、グルメ愛好会に所属している。派手な服装と高級品を好む。実家は会社を経営している。

・所属組織、地位や役職
 大学二年生、グルメ愛好会会員。

・物語内での具体的な行動や成果
 歓迎会で誰とも話さず孤立していたところを信吾に声をかけられた。信吾に実家の境遇を語り、連絡先を交換する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 幼馴染みの桃井留美から辛辣な突っ込みを受けた。

エミリー・保園

保園グループ会長の孫娘である女子大学生である。母親がドイツ人であり、金髪と整った容姿を持つ。丁寧で穏やかな物腰である。

・所属組織、地位や役職
 大学一年生、保園グループ会長の孫娘。

・物語内での具体的な行動や成果
 新入生歓迎会でしつこく迫る飛騨に困惑していた。割って入った信吾に救い出され、翌日の講義で彼の隣に座って連絡先を交換する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 学内で周囲から大きな注目を集める存在である。

飛騨

飛騨グループの跡取りを名乗る男子学生である。エミリー・保園に一方的な執着を抱いている。尊大で高圧的な態度を取る。

・所属組織、地位や役職
 大学生、飛騨グループ跡取り。

・物語内での具体的な行動や成果
 他大学の学生でありながら歓迎会に乱入し、エミリーに婚約発表を迫った。信吾に妨害されて憤慨する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 エミリーの祖父からは正式に結婚を断られている。

グルメ愛好会の部長

大学の公認サークルであるグルメ愛好会を統括する四年生の女子学生である。気さくで面倒見の良い気質である。

・所属組織、地位や役職
 大学四年生、グルメ愛好会部長。

・物語内での具体的な行動や成果
 構内で新入生を勧誘し、信吾たちを入会させた。新入生歓迎会では初対面同士が交流できるよう座席を工夫して仕切る。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 新入生たちの交流の場を円滑に運営した。

日本(佐東市・裏社会および一般関係者)

佐東組組長

佐東市を本拠地とする武闘派暴力団の首領である。阿漕な手段で資金を獲得している。

・所属組織、地位や役職
 佐東組組長。

・物語内での具体的な行動や成果
 自室で愛人と過ごしていた際にヴェンデリンの魔法で麻痺させられた。脅迫を受けて本棚裏の隠し金庫の場所を白状する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 多額の資金を奪われた。

佐東組組長の愛人

佐東組組長と行動を共にしていた若い女性である。派手な化粧を施している。

・所属組織、地位や役職
 組長の愛人。

・物語内での具体的な行動や成果
 組長の寝室にいたところ、ヴェンデリンの魔法で全身を麻痺させられた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 黒騎士姿の侵入者に怯える反応を見せた。

佐東組幹部

佐東組の幹部構成員である。歓楽街の木佐貫でショバ代を回収していた。

・所属組織、地位や役職
 佐東組幹部。

・物語内での具体的な行動や成果
 路地裏でヴェンデリンに目くらまし薬を使われ、ビルの屋上へ連行された。尋問を受けて対立組織レッドクロウの拠点を教える。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 過去に組事務所を襲撃されて被害を受けた経験を語った。

ヤス

暴力団の末端構成員である。兄貴分と呼ぶ幹部と行動を共にしていた。

・所属組織、地位や役職
 暴力団構成員。

・物語内での具体的な行動や成果
 異界島の防空壕で麻薬取引の受け取り役を務めていた。洞窟の奥で異形の姿をした竜に遭遇し、捕食されて命を落とす。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 命を落とす結果となった。

リー

佐東市へ麻薬を密輸していた国外密輸組織の幹部である。

・所属組織、地位や役職
 麻薬密輸組織幹部。

・物語内での具体的な行動や成果
 異界島の地下洞窟で麻薬取引を行う予定であった。防空壕の奥に潜んでいたオプションドラゴンに襲撃され、部下と共に殺害される。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 遺体の一部のみが発見された。

竜ちゃん

ハングレ集団レッドクロウに所属する不良青年である。拠点の一室で警備を担当していた。

・所属組織、地位や役職
 レッドクロウ構成員。

・物語内での具体的な行動や成果
 ドアを焼き切って侵入してきたヴェンデリンにメンチを切って威嚇した。他の仲間と共に麻痺魔法を受けて無力化される。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 警察に逮捕される結末を迎えた。

ラブホテルのフロントの老婆

佐東市内にある旧式のラブホテルで受付を務める高齢の女性である。

・所属組織、地位や役職
 ホテル受付係。

・物語内での具体的な行動や成果
 身分証を持たないヴェンデリンとエリーゼに対し、詮索することなく部屋の鍵を渡した。連泊の料金を受け取って宿泊を許可する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 二人の滞在の拠点を提供した。

タクシーの運転手

佐東市内でタクシーを運行していた一般の運転手である。愛想の良い性格である。

・所属組織、地位や役職
 タクシー乗務員。

・物語内での具体的な行動や成果
 夜間に木佐貫近くから乗車したヴェンデリンをホテルまで送り届けた。市内の治安情勢や警察の出動について世間話をする。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 外国人客であるヴェンデリンの流暢な日本語に感心した。

ファストファッション店の女性店員

佐東市内のカジュアル衣料量販店に勤務する店員である。親切で丁寧な接客を行う。

・所属組織、地位や役職
 衣料品店店員。

・物語内での具体的な行動や成果
 来店したエリーゼに下着やジーンズを案内した。エリーゼの容姿を褒め、夫婦であると聞いて驚く。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 二人の衣服調達を補佐した。

牛丼チェーン店の男性店員

佐東市内の牛丼チェーン店で勤務していた若い店員である。

・所属組織、地位や役職
 飲食店店員。

・物語内での具体的な行動や成果
 来店した外国人カップルの対応に緊張していた。日本語で会話できると分かって安堵する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 食券の受け取りと料理の配膳を行った。

古代魔法文明(異次元)

ユーフェリア・マルクトレス・フォン・イシュルバーグ

古代魔法文明時代に神童と称された魔導技師であり、貴族である。実験の失敗で肉体を失い、異次元で人工の身体を用いて研究を続けている。極端な知的好奇心を持ち、他人の迷惑を意に介さない性格である。

・所属組織、地位や役職
 古代魔法文明の伯爵、魔導技師、上級魔法使い。

・物語内での具体的な行動や成果
 異界島に現れ、信吾たちに魔道具の武具を与えてオプションドラゴンと戦わせた。エリーゼたちを生きた檻に閉じ込めて戦闘データを収集する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 最後は関わった全員の記憶を消去し、元の世界へ送り返した。

冒険者

ダンテ

『爆縮』の二名を持つ上級魔法使いであり、冒険者パーティのリーダーである。熟練の判断力を持ち、引き際をわきまえている。

・所属組織、地位や役職
 冒険者、上級魔法使い。

・物語内での具体的な行動や成果
 魔物の領域の古代地下遺跡を探索し、分裂する小形の竜と交戦した。広域包囲爆縮陣を用いて危機を脱出し、ギルドへ報告する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ギルドからドラゴンバスターの称号を与えられた。

ヴェリヤ

ダンテのパーティに所属する槍使いの冒険者である。ダンテとは長い付き合いを持つ。

・所属組織、地位や役職
 冒険者、槍使い。

・物語内での具体的な行動や成果
 地下遺跡の小形竜との戦闘で不意を突かれ、重傷を負った。ダンテの治癒魔法によって回復する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 負傷後は戦闘から離脱した。

ザラット

ダンテのパーティに所属する弓使いの冒険者である。古代の歴史や遺跡に関する知識を持つ。

・所属組織、地位や役職
 冒険者、弓使い。

・物語内での具体的な行動や成果
 探索した地下遺跡が二万年以上前のものであるとダンテに進言した。撤退時における危険性を的確に指摘する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 冷静な判断でパーティを補佐した。

冒険者ギルド幹部

王都の冒険者ギルド本部に所属する高齢の幹部職員である。

・所属組織、地位や役職
 冒険者ギルド幹部。

・物語内での具体的な行動や成果
 ダンテから報告を受け、分裂する竜に分裂ドラゴンと仮称をつけた。残骸の回収調査を依頼する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 公式に竜の討伐を発表した。

冒険者ギルド受付の若造

王都の冒険者ギルド本部で窓口業務を担当する若い男性職員である。

・所属組織、地位や役職
 冒険者ギルド受付係。

・物語内での具体的な行動や成果
 ダンテたちが死にかけたと聞いて驚きを示した。小形竜の増殖について繁殖の可能性を口にする。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ダンテから過去の過失を引き合いに出されて叱責された。

考古学者の魔法使い

眼鏡をかけた中級魔法使いであり、古代遺跡を研究する学者である。

・所属組織、地位や役職
 冒険者、中級魔法使い、考古学者。

・物語内での具体的な行動や成果
 再調査のためにダンテのパーティに同行した。地下遺跡が二万年前のものであることや、竜の残骸の痕跡を冷静に分析する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 学術的な見地から遺跡の調査を進めた。

登場集団

佐東組

佐東市を拠点とする武闘派の指定暴力団組織である。阿漕な資金獲得を行っている。

・所属組織、地位や役職
 暴力団組織。

・物語内での具体的な行動や成果
 レッドクロウと縄張り争いを繰り広げていた。黒騎士を名乗るヴェンデリンに本部を襲撃され、多額の現金を奪われる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 組織の活動に打撃を受けた。

レッドクロウ

暴走族出身者を中心に結成された新興のハングレ集団である。木佐貫の歓楽街で急速に勢力を拡大していた。

・所属組織、地位や役職
 犯罪組織、ハングレ集団。

・物語内での具体的な行動や成果
 脱法ドラッグの販売や違法風俗などを運営していた。ヴェンデリンの襲撃を受けて構成員が無力化され、警察に通報されて壊滅する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 主要な拠点を制圧され、摘発された。

佐東市観光協会

佐東市の観光振興を担う地域組織である。

・所属組織、地位や役職
 観光振興団体。

・物語内での具体的な行動や成果
 海水浴場でミス佐東海岸コンテストを企画・運営した。参加者不足を補うためエリーゼたちを勧誘し、大会を進行させる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 優勝賞品として異界島の一日貸し切り券を提供した。

グルメ愛好会

信吾たちが進学した大学に存在する公認サークルである。活動内容が緩やかである。

・所属組織、地位や役職
 大学公認サークル。

・物語内での具体的な行動や成果
 新歓活動で新入生を勧誘した。大規模な新入生歓迎会を開催し、学生同士の交流を促す。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 信吾たちや桃井、紫雲、エミリーらが集う場となった。

ダンテの冒険者パーティ

上級魔法使いダンテが率いる熟練の冒険者集団である。確かな連携能力を持つ。

・所属組織、地位や役職
 冒険者パーティ。

・物語内での具体的な行動や成果
 ギルドからの依頼で未踏の地下遺跡を探索した。未知の小形竜に苦戦しながらも、連携と機転で全員生還を果たす。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 後にドラゴンバスターの栄誉を受けた。

オプションドラゴン(分身体群)

イシュルバーグ伯爵によって飛竜を改造して作られた実験体の魔物である。本体から無数の分身を切り離して操る能力を持つ。

・所属組織、地位や役職
 実験生物、魔物。

・物語内での具体的な行動や成果
 異界島の地下でマナを吸収して増殖した。ヴェンデリンたちの侵入を防ぐために交戦し、最後は自爆や合体を経て灰にされる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 実験終了に伴いすべて消滅した。

八男28巻レビュー
まとめ
八男30巻レビュー

備忘録

プロローグ

一宮信吾の日常

高校一年生の一宮信吾は、幼馴染みの赤井榛名に毎朝迎えられながら、佐東第一高校へ通っていた。成績は良好で、科学技術が発達し身分制度もない日本で、よい大学と就職先を目指す堅実な生活を送っていた。

しかし信吾には、五歳までは異世界の貧乏貴族の八男、ヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスターだったという秘密があった。目覚めると日本の赤ん坊である一宮信吾になっており、それ以来この世界で育っていた。現在の生活には満足していた一方、自分と入れ替わってバウマイスター騎士爵領へ渡ったと思われる本来の一宮信吾を今も案じていた。

榛名と麻耶

信吾は長年一緒にいる榛名を異性として意識しておらず、彼女からマフラーやバレンタインの菓子を贈られても好意には気づいていなかった。中学からの知り合いである黒木麻耶も信吾へ頻繁に近づき、榛名とは張り合うような関係になっていたが、信吾は二人の感情を理解していなかった。

もう一人の幼馴染みである江木拓真は、サッカー部の一年生レギュラーでありながら勉強を怠けがちで、夏休みの宿題も信吾たちを頼るつもりでいた。

夏休みの勉強会

夏休みに入ると麻耶も信吾の家での勉強会へ参加した。理数系が得意な信吾と文系に強い麻耶は互いに教え合い、榛名も信吾に教えてもらおうと張り合った。

昼には麻耶が手際よく炒飯とスープを作り、遅れて現れた拓真も加わった。信吾たちは宿題を進めながら、いつもの友人同士の夏休みを過ごしていた。

第一話 なぜか日本へ

見知らぬ土地への転移

アキツシマ島の地下遺跡で石碑のガラス玉が赤く輝き、ヴェンデリンとエリーゼは意識を失った。目覚めると二人は蒸し暑い屋外におり、仲間たちの姿もなく、魔導携帯電話も繋がらなかった。

周囲には魔物の気配がなく、山を下りながら景色を調べたヴェンデリンは、そこが前世で暮らした佐東市の迅雷山付近だと悟った。自分たちは異世界ではなく、かつて一宮信吾として暮らしていた日本へ飛ばされたのである。

日本を知るヴェンデリン

ヴェンデリンは日本について知っていることをエリーゼに隠しながら、人目を引く装備を脱ぎ、街へ向かった。エリーゼは日本人がミズホ人に似ていることや、魔力ではなく電気によって高度な文明を築いていることに驚いた。

新聞から現在の日付を調べると、ヴェンデリンが前世で異世界へ移った時点より約九年前であった。そのため、この時代には本来の一宮信吾が少年として暮らしているはずであり、ヴェンデリンは自分と入れ替わった相手に会える可能性を意識した。

第二話 異世界二人

日本での資金調達

身分証も日本円も持たないヴェンデリンたちは、金や宝石を換金すれば警察に疑われると考えた。そこでヴェンデリンは、一般人を巻き込まず資金を得るため、地元の暴力団である佐東組から金を奪うことにした。

黒い全身鎧を身につけたヴェンデリンは、電気を止めてから魔法で組員たちを無力化し、隠し金庫を含めて約五千万円を奪った。エリーゼは盗みを問題視したものの、帰還方法のわからない非常事態であることから受け入れた。

日本での買い物

二人は身分証を細かく確認されないラブホテルへ宿泊した。エリーゼはテレビ、電気、使い捨て用品など日本の生活文化に感心し、この世界がヴェンデリンの記憶から作られた場所ではないかとも考えた。

翌日は牛丼を食べ、街で衣服や靴、下着を購入した。エリーゼは現代的な服装を楽しみ、ヴェンデリンも久しぶりの日本を懐かしみながら、二人で街を歩いて情報を集めた。

第三話 黒騎士再び

動物園での一日

ヴェンデリンとエリーゼは佐動物園を訪れた。エリーゼは珍しい動物を見たり、ウサギと触れ合ったり、ヤギや羊に餌を与えたりして日本での休日を楽しんだ。

二人はその後ホテルのレストランで食事をしたが、帰還時期がわからない以上、所持金を増やしておく必要があった。

レッドクロウ襲撃

ヴェンデリンは歓楽街の木佐貫へ向かい、佐東組の構成員から若者の犯罪集団レッドクロウの拠点を聞き出した。再び黒騎士姿となり、複数の拠点を襲撃して構成員を魔法で無力化し、現金を回収した。

拠点では薬物などの犯罪も行われていたため、ヴェンデリンは警察へ自ら連絡して場所を教えた。挑発して通報した後は飛翔で逃亡し、途中からタクシーを使ってエリーゼの待つホテルへ戻った。

第四話 ヴェンデリンと信吾

二人の一宮信吾

翌朝、ヴェンデリンとエリーゼが食事に出ると、ヴェンデリンは榛名、拓真、麻耶と一緒にいる少年を見つけた。少年は一宮信吾であり、二人は互いを見ただけで相手の正体を察した。

人目を避けて話すと、現在の信吾は元々ヴェンデリンだった少年であり、現在のヴェンデリンは元々一宮信吾だったことが判明した。ただしヴェンデリン側は二十五歳から五歳の少年へ、信吾側は五歳から赤ん坊へ移っており、単純に同じ時点で身体を交換したわけではなかった。

互いに変わった人生

信吾は、日本で成績優秀な高校生となり、榛名や拓真たちと充実した生活を送っていた。一方、ヴェンデリンは強大な魔法使いとなり、竜を倒してバウマイスター辺境伯となり、多くの妻や子供にも恵まれていた。

信吾にとって元のヴェンデリンには魔法の才能がなかったため、現在のヴェンデリンが大魔法使いになったことは予想外であった。二人は互いに相手の人生が自分より恵まれていると感じつつ、再会できたことを受け入れた。

水族館での交流

二人は正体を仲間たちへ明かさず、ヴェンデリンを外国人のヴェル、エリーゼをその妻として紹介した。一行は水族館へ向かい、エリーゼは魚やイルカ、アシカなどを楽しんだ。

エリーゼは榛名と麻耶がどちらも信吾に好意を抱いていることにすぐ気づいたが、信吾本人はまったく理解していなかった。

第五話 ヴェンデリンは一宮信吾のリア充ぶりに嫉妬する(おまいう)

入れ替わった二人の謝罪

信吾の家で二人きりになったヴェンデリンと信吾は、それぞれ相手の人生を奪ったのではないかと抱えていた罪悪感を打ち明けた。信吾は本来の一宮信吾を貧しい騎士爵家の八男にしてしまったと思い、ヴェンデリンも本来のヴェンデリンの身体で大きな成功を得たことを気にしていた。

しかし入れ替わりは双方の意思によるものではなく、二人とも現在の人生を受け入れていた。

魔法の発現

信吾は元のヴェンデリンには魔法の才能がまったくなかったと明かした。現在のヴェンデリンの魔力は、一宮信吾の魂がヴェンデリンの身体へ入った後に発現したものであった。

二人は互いの人生を比べ、ヴェンデリンは成績優秀で美少女二人に好かれる信吾を羨み、信吾は大貴族となって多くの妻を持つヴェンデリンの方が恵まれていると反論した。

信吾の家での滞在

帰還方法が見つからないため、信吾は家族が不在の自宅へヴェンデリンとエリーゼを泊めることにした。ヴェンデリンは滞在への礼として金や宝石を渡した。

榛名が夕食を作りに来ると、ヴェンデリンには彼女が信吾を好きなのが明白に見えた。しかし信吾は料理を作ってもらえることに感謝するだけで、榛名の気持ちには気づかなかった。

海水浴の準備

拓真の提案から、信吾たちは海水浴とキャンプへ行くことになった。エリーゼ、榛名、麻耶は水着を買いに行き、榛名は信吾を振り向かせようと赤いビキニを選び、麻耶を恋のライバルとして意識した。

エリーゼも日本に合わせて水色のビキニを購入し、一行は海へ出かける準備を整えた。

第六話 謎のドラゴン

小形竜との戦い

かつて冒険者のダンテたちは、古代魔法文明よりさらに古い地下遺跡を探索していた。そこで小形の竜に遭遇したが、その竜は多数の分身体を生み出して一行を襲った。

ダンテたちは分身体を次々と倒したものの、戦いが終わった時には本体の姿が消え、死体も残っていなかった。

石碑のガラス玉

後日、学者を伴って遺跡を再調査したが、残されていたのは中央の石碑と、そこに埋め込まれた小さなガラス玉程度であった。

ダンテは戦いの際にガラス玉がわずかに光り、魔力の反応もあったように感じていたため、小形竜がどこかへ飛ばされた可能性を考えた。しかし調査では普通のガラスと判断され、その説は否定された。やがてダンテも忙しい冒険者生活へ戻り、遺跡と小形竜のことを忘れていった。

第七話 バケーション、ミスコン、謎の人物、竜

佐東海岸の海水浴

ヴェンデリンたちは佐東海岸へ出かけ、海水浴とキャンプを楽しんだ。榛名は信吾に泳ぎを教えてもらおうと近づいたが、麻耶も加わって競い合いとなった。それでも信吾は二人の意図を理解せず、ヴェンデリンはその鈍さに呆れた。

ミス佐東海岸

地元観光協会から声をかけられ、エリーゼ、榛名、麻耶は気軽なミスコンへ参加した。既婚者でも参加できる催しであり、エリーゼも面白そうだとして出場を受け入れた。

コンテストでは麻耶が優勝し、賞品として無人島である異界島を一日貸し切ってキャンプできる権利を手に入れた。

異界島への予定

信吾たちはせっかくの賞品を利用し、異界島でもキャンプをすることにした。ヴェンデリンも帰還の手掛かりを探すため、日本ではほとんど反応のなかった探知を続けるつもりでいた。

第八話 イシュルバーグ伯爵、現る

異界島のキャンプ

一行は異界島へ渡り、食事やキャンプの準備を進めた。島には古い施設や地下防空壕が残されており、ヴェンデリンは探索中に日本へ来て初めて魔物らしい反応を感じた。

小形竜の襲撃

地下では多数の小形竜が現れ、分身体を作りながら襲ってきた。仲間を守るため、ヴェンデリンは人前で魔法を使わざるを得なくなり、信吾、拓真、榛名、麻耶にもヴェンデリンとエリーゼが魔法使いであることが知られた。

イシュルバーグ伯爵との遭遇

騒動の中で、ユーフェリア・マルクトレス・フォン・イシュルバーグを名乗る女性が現れた。彼女は魔法使いであり、魔導技師や学者でもあると語った。

ヴェンデリンにとってイシュルバーグ伯爵は古代魔法文明に名を残した人物であり、本人が目の前に現れたことは予想外であった。

第九話 イシュルバーグ伯爵の本性

オプションドラゴン

イシュルバーグ伯爵は、島で増殖している小形竜が自分の作ったオプションドラゴンだと明かした。分身体を生み出す小形竜を改良した実験体であり、日本へ飛ばされたこと自体は偶然であった。

しかし異界島の地下には大量のマナが溜まっており、オプションドラゴンはそれを吸収して急速に強化されていた。

研究を優先するユウ

イシュルバーグ伯爵は、この好条件を利用して自らの生物兵器がどこまで強くなるのか試そうとしていた。ヴェンデリンたちが巻き込まれても、誰も死なないようにし、最後には元の世界へ戻すつもりだと主張した。

だが研究のためなら周囲を利用する姿勢に、ヴェンデリンやエリーゼは強い警戒を抱いた。

第十話 イシュルバーグ伯爵は、どこか壊れている

実戦試験への利用

イシュルバーグ伯爵は、ヴェンデリンだけで戦わせれば簡単に決着する可能性があるため、信吾と拓真を同行させることにした。さらに信吾たちの武器にも手を加え、その性能まで同時に試そうとしていた。

エリーゼは治癒魔法と強固な魔法障壁によってヴェンデリンを支援できるため、戦闘から引き離された。イシュルバーグ伯爵にとって一連の危機は、すべて研究材料であった。

エリーゼたちの拘束

洞窟内の混乱を利用して、イシュルバーグ伯爵はエリーゼたちをヴェンデリンから引き離した。ヴェンデリン、信吾、拓真の三人には、オプションドラゴンと戦えば女性たちを解放するという内容が残された。

ヴェンデリンはイシュルバーグ伯爵を信用せず、エリーゼたちが実験材料にされる前に救い出すため、信吾と拓真を連れて地下深くへ向かった。

第十一話 男三人 vs オプションドラゴン

分身体の突破

ヴェンデリン、信吾、拓真は、オプションドラゴンが放つ多数の分身体を倒しながら最深部へ急いだ。本体は地下に溜まる大量のマナを吸収する時間を稼ぐため、少ない力で作れる弱い分身体を大量に送り込んでいた。

戦闘経験の少ない信吾と拓真を守りながら進む必要があるため、ヴェンデリンも大規模な魔法を自由には使えなかった。

オプションドラゴンへの突撃

三人は本体へ近づき、分身体を作れば作るほど本体自身の力が減ることを利用した。ヴェンデリンが進路を切り開き、拓真が大剣を振るい、信吾も弓で攻撃しながら本体との距離を詰めた。

最後には信吾の矢がオプションドラゴンの急所を捉え、三人は本体と思われた個体を倒した。

地下のマナ溜まり

さらに奥では、濃密なマナが集まる場所に別のオプションドラゴンがいた。しかし多数の分身体を使えるはずなのに周囲には一匹もおらず、信吾たちは不自然さを感じた。

イシュルバーグ伯爵の言葉から、その個体がマナ溜まりへ近づくため地下を掘っていたこともわかったが、ヴェンデリンはなお罠を疑った。

オプションドラゴンの自爆

そこにいた個体は、本体に見せかけた分身体であった。役目を終えた分身体は、蓄えた莫大なエネルギーを使って自爆を始めた。

イシュルバーグ伯爵は爆発の影響が島外へ広がらないよう魔法障壁を張り、エリーゼも信吾たちを守った。ヴェンデリンも自身の障壁を最大限に強化し、属性竜級の力を込めた大爆発に耐えた。

第十二話 いつもの日々

地下遺跡への帰還

ヴェンデリンとエリーゼは、アキツシマ島の地下遺跡で石碑を眺めている状態へ戻っていた。二人にとって何かが起こったような感覚は残っていたが、日本で過ごした記憶は失われていた。

エリーゼの指輪に蓄えていた魔力がなぜか空になっており、二人は不思議に思ったものの理由を思い出せなかった。ヴェンデリンとエリーゼは仲間たちのもとへ戻り、再び日常へ帰っていった。

夏休みへ戻った信吾

日本でも信吾はいつもの夏休みを過ごしていた。海へ遊びに行った記憶はあったが、その間に何か大きな出来事があったような感覚だけが曖昧に残っていた。

麻耶は以前より積極的に信吾へ近づくようになり、新居への引っ越し後には自分の両親へ紹介したいとまで話した。榛名との競争も続いたが、信吾は相変わらず二人の好意に気づかなかった。

もう一人の信吾への思い

信吾は、自分にはヴェンデリンとして暮らした記憶があり、本来の一宮信吾は異世界のヴェンデリンとして生きているのだろうと考えていた。

以前は相手を厳しい境遇へ追いやったことへの罪悪感が強かったが、なぜか最近は、本来の一宮信吾も向こうの世界で上手く暮らしているように感じるようになっていた。自分が日本で幸せに暮らしているように、相手もきっと幸せになっていると信じた。

エピローグ その後の一宮信吾

四人の大学合格

数年後、信吾、榛名、麻耶、拓真は佐東第一高校を卒業し、揃って東京の同じ大学へ合格した。信吾たち三人は余裕を持って合格圏にいたが、高校二年まで勉強を怠けていた拓真は判定が厳しく、それでも一年間必死に勉強して合格を勝ち取った。

大学でも四人は一緒に過ごし、信吾はグルメ愛好会へ入って新しい交友関係を広げていった。

大学での新たな出会い

新入生歓迎会では桃井、紫雲、保園ら新たな女性たちと知り合った。信吾は、望まない婚約者のように振る舞う飛騨に困っていた保園を助け、彼女と連絡先を交換した。

その様子を見た榛名と麻耶は新たな女性の登場を意識したが、信吾自身は自分が好意を向けられていることに相変わらず気づかなかった。拓真は、信吾がいつか自分の状況を理解するだろうと考えていた。

イシュルバーグ伯爵の観察

その後もイシュルバーグ伯爵は、自らの装置を使って信吾たちの様子を観察していた。そして調査を重ねた結果、ヴェンデリンと信吾の魂が入れ替わっていたことを突き止めた。

元ヴェンデリンである信吾も、身体と世界が変わってなお女性との縁や出世につながる運から逃れられないようであった。イシュルバーグ伯爵は二人を興味深い観察対象として捉え、その後の人生にも関心を持ち続けていた。

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