小説「ウォルテニア戦記 XXI(21)」ついに飛鳥も合流 感想・ネタバレ

小説「ウォルテニア戦記 XXI(21)」ついに飛鳥も合流 感想・ネタバレ

どんなラノベ?

学校の屋上で弁当を食べようとしていたらいきなり異世界に召喚された高校生の御子柴亮真。
ただ彼はマトモじゃ無かった。

召喚した魔術師を殺し。
逃亡途中で双子姉妹を仲間にして大国の帝国から逃亡。

帝国から逃げれたと思ったら、ローゼリア王国の跡目争いに巻き込まれてしまう。
それにも勝利させて女王ルピスを誕生させ。
そのまま解放されると思ったら。
住民は皆無で、沿岸部に海賊がおり、強力な魔物が跋扈するウォルテニア半島を領地に与えられ貴族にされてしまう。

前巻からのあらすじ

女王ルピスが率いる御子柴討伐軍15万を半島の入り口で受け止め。
討伐軍の補給部隊、集積場所を襲い討伐軍を退却させる。
そして、退却する討伐軍を逆襲して鎧袖一触で討伐軍を敗走させる。
女王ルピスも討ち取れると思ったら。
白き軍神エレナの副官、クリスが立ち塞が亮真と一騎打ちして敗退。
女王ルピスは王都に逃避する事に成功する。

読んだ本のタイトル

#ウォルテニア戦記 XXI 
著者:保利亮太 氏
イラスト:bob 氏

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あらすじ・内容

一目散に撤退するルピス女王の軍を追って、王都ピレウスへと迫る亮真軍。なんとかピレウスにたどり着いたルピスとメルティナはミハイルと今後の対応策を練るが、籠城以外の手段は見つからない。

いっぽう、王都に迫る亮真はローゼリア王国内の光神教団にかつての幼なじみ・飛鳥が囚われていることを知る。これ以上戦力を割けない亮真は、少人数での飛鳥救出を試みるが――。

コミカライズも絶好調の異世界召喚戦記、第21巻!!

ウォルテニア戦記 XXI

プロローグ

ランカード子爵領ドルーゼンは、ローゼリア王国の東部に位置し、危機的な状況に直面している。町の有力者たちが集まり対策を話し合うが、具体的な解決策は見出せない。そんな中、若い男が守備隊の増援が見込めないため降伏を提案する。彼の提案により、ドルーゼンの街は御子柴亮真の支配下に入ることが決まる。

第一章  光を求めて彷徨う者達

北部征伐軍の敗北により、王都ピレウスは大きな衝撃を受ける。エレナとミハイルは戦争の責任を感じながら敗北の原因を振り返り、戦術の選択が誤りであったかどうかを議論する。エレナに対するルピス女王の不信感が内乱と関連し、エレナの立場は不安定である。ルピス・ローゼリアヌス王が北部征伐から帰還後、精神的なダメージを受け自室に引きこもり、王国の将来に不安が広がる。立花源蔵は異世界での行動を検討しながら御子柴亮真との接触を試みる。

第二章  届けられた手紙

御子柴亮真はドルーゼンの街が降服した後、街の供出を求めず市民の負担を増やさない決断を下す。その夜、亮真は忍びから闖入者の存在を知らされる。立花源蔵は亮真と対面し、亮真の提案に応じる決意を固める。リオネは浩一郎が交渉役に選ばれたことに不安を感じつつも、亮真の指示に従う。

第三章  休戦交渉

光神教団と御子柴亮真の軍が交渉を開始し、浩一郎が使者として交渉に臨む。光神教団の影響力が低下する中、御子柴男爵家は教団との戦いを避け、戦略的な選択を行う。ローランド枢機卿は交渉を受け入れ、休戦の調印式の日程が決定される。立花と飛鳥は救出作戦に臨み、地下の坑道を通って脱出するが、聖堂騎士との戦闘が勃発する。亮真が現れ、飛鳥を守りつつ戦闘を避ける決断を下す。

第四章  御子柴流を知る者

ロドニー・マッケンナは休戦が成立したことを知り、調印の日程が7日後に決定される。亮真と飛鳥は地面の下を通って救出され、ディルフィーナの助けを得て脱出を試みる。予期せぬ聖堂騎士の襲撃を受けるが、亮真が飛鳥を守り、戦闘を避ける。ディック・マクガールが亮真の父親について言及し、亮真はその言葉に疑問を抱く。光神教団の野営地で休戦の調印式が行われるが、亮真の心は疑問で満たされている。

エピローグ

マクマスター子爵家の執務室で、子爵は御子柴男爵家との協力について悩む。娘のロゼッタは決断を促し、勝利をもたらすために御子柴男爵家の誘いに乗るべきだと信じている。ローゼリア王国の王都ピレウスから光神教団の部隊が撤退し、王都の兵士たちに精神的な打撃を与える。フリオ・ゲルハルト子爵は、北部征伐に参加していない貴族家の当主との連携を考え、会談を行うことで戦争に影響を与える可能性を探る。

感想

女王の首を狙って押し寄せた御子柴軍だったがクリスの一騎討ちの申し込みで追撃を断念。

そして、女王ルピスは王都に退却出来たが女王は部屋に引き籠る。

討伐に参加した貴族達は領地に帰還する者。
王都の屋敷に閉じ籠るものなど全く戦意が無い状態。

歴戦の将軍、白き軍神のエレナですら匙を投げてしまう。

それでも軍を立て直さないといけないが敗色は濃厚。

そんな女王軍を撃退した御子柴軍は王都に行く前に教団から飛鳥救出に動き出す。
先ずは教団と和睦を結ぶために教団の上層部と接触。
その裏で飛鳥の脱出への段取りも行う。

半ばヤラセのような脱出劇だったが最後に現れた教団の弓騎士が伏線の爆弾を投げ入れた。

御子柴亮真の父親の名前を知る教団の騎士団の団長、ディック・マクガール。

しかもめっぽう強い。
亮真の操る武芸、御子柴流剣術の事も型を見て言い当てしまうほどの人物。

いったい父親との関係とは何だったのだろうか?
まさか父親が教団に組してるのか?

謎は深まるばかり。

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その他フィクション

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フィクション あいうえお順

備忘録

プロローグ

この文書は、ランカード子爵領ドルーゼンという地域が直面している危機を描いた物語である。
西方大陸の東部に位置するローゼリア王国の一部であるドルーゼンは、かつての繁栄から一転して厳しい状況に立たされている。
町の有力者たちは町長の家で集まり、逼迫する状況に対する対策を話し合っているが、誰も具体的な解決策を提案できずにいる。
町長は、参加者が以前より少なく、多くが逃げ出したり病を理由に欠席していることを嘆いている。
状況を打破するためには行動を起こす必要があるが、町長も含めて誰もがその重責を負いたくないと考えている。
そんな中、若い男が口を開き、守備隊の増援が見込めないため降伏を提案する。
この若い男は、他の有力者とは異なり、有能だが補佐役に適した風貌をしており、町長にはどこか見覚えがあるような気がするが、思い出せない状況である。


ドルーゼンの町長と地元の有力者たちが集まり、街の未来について議論している。
しかし、彼らは解決策を見出せずにいる。
その中で、一人の若い男が御子柴男爵家の降伏勧告を受け入れるべきだと提案する。
この男は銀行の支店長の代理人であり、彼の提案は街の経済的現実を考慮したものである。
議論の中で、ランカード子爵が既に亡くなっている可能性が高いという情報が明かされ、これが事実であれば、街が子爵家から放棄されているという解釈が強まる。
最終的に、町長は御子柴男爵家の降伏勧告を受け入れる決断を下す。
この決断により、ドルーゼンの街は御子柴亮真の支配下に入ることになる。

第一章  光を求めて彷徨う者達

北部征伐軍が敗北し、その惨めな姿が王都ピレウスの住人たちに大きな衝撃を与えた。
戦争の責任を感じつつ、エレナとミハイルは王城で酒を酌み交わしながら、敗北の原因を振り返っている。
彼らは敗戦を予想しておらず、カンナート平原での惨敗に深い悔恨を抱いていた。
特にエレナは、運が良かっただけでなく神の加護でもないことを認め、戦争の重責を感じている。
ミハイルもまた、城塞都市イピロスでの戦術が致命的だったと述べており、戦場での非情な策略について語っている。
二人は戦術の選択が誤りであったかどうかについて議論し、結局のところ貴族の欲望が戦術上の負荷となったことを認めている。
この敗戦がローゼリア王国の貴族にどれほど我儘で傍若無人な人間が多いかを示しているが、エレナのような強者が彼らを抑えることも可能だったかもしれないとミハイルは考えている。

エレナに対するルピス女王の不信感が、内乱と関連があることが示されている。
ルピス女王はエレナの実績に引け目を感じており、その劣等感は過去の戦場経験の乏しさにも関連している。
エレナが総指揮官として北部征伐に参戦していたが、彼女はルピス女王の代理であり、王女時代のルピスは親のお飾りとしての役割に不満を抱えていた。
現在、エレナはルピス女王から完全な信任を得ていない状況で、その不信感は他の貴族にも伝わってしまっている。
エレナは指揮官としての義務を果たしているが、ルピス女王の信任が不足しているため、彼女の立場は不安定である。
エレナの行動には最低限の義務は果たしているものの、積極的な行動は見られない。
これは、彼女が本心から忠誠を捧げているとは限らないという状況を反映している。

ルピス・ローゼリアヌス王が北部征伐から帰還後、精神的なダメージを受けて自室に引きこもった。
これにより、彼の政治的な不在が問題となっている。
王国の将来を憂慮するミハイルは、ルピス女王の精神的回復を見守りながら、将来的な対策を模索している。
具体的な行動として、ミハイルは王都ピレウスの防衛に注力し、約十万の兵を集める予定である。
これは、敵である御子柴亮真に対する防御戦の準備として行われる。
一方で、ミハイルは王都での籠城戦略を強化し、逆転の機会を狙っているが、これにはルピス女王の積極的な参加が必要とされている。
現状では、ルピス女王に対する貴族の不信感が高まっており、政治的な不安定さが問題となっている。

立花源蔵は普通のサラリーマンの子として生まれ、学生時代の柔道の成績がきっかけで警察官になった平凡な中年男である。
先祖に武士がいたかもしれないが、基本的には凡庸な家系と考えている。
彼はドラマのような熱血刑事ではなく、現実には忍者のような存在もないと考えている。
立花は刑事部捜査第四課に所属し、組織犯罪の取り締まりを専門としている。
彼は危険な仕事に従事し、密偵のような活動も行ってきた。
現在、彼は異世界での暗闘を避けながら、どのように行動するかを検討している。
彼の選択肢には、戦闘に巻き込まれるリスクや、敵に誤認される可能性も含まれている。
立花は御子柴亮真との接触を試みるが、彼が警察官であることやこの世界に召喚された事実は亮真には知られていない。

暗殺の実行者は、専門の技術を持たない人間と特殊訓練を受けた人間の二通りが存在する。
後者の方が高い確実性を持つが、その訓練には長い時間と高いコストが必要である。
ディルフィーナが知る限り、数日間で百人を超える暗殺者が送り込まれ、全員が殲滅された。
これにより、相手の執念の深さがうかがえる。
ディルフィーナは、忍びに敵を大岩の辺りで迎え撃つよう命令し、その計画に応じて忍びは暗い森の中へ消えた。
ディルフィーナと黒エルフ族は互いに対等な立場で協力しており、人間との付き合いに必要な感覚も理解している。
夜の森で敵を迎え撃ち、多数の敵を殲滅した後、イゾルデに警戒網の再構築を命じる。
この時、ディルフィーナは潜んでいた第三者の存在に気づき、緊急の合図を送る。
そして、立花源蔵はディルフィーナの攻撃を受け、防御するが、彼の隠形が見破られたことで、立花は自己紹介をし、御子柴男爵に届け物があると伝える。
これにより、ディルフィーナの興味を引き、彼女は立花の要求に耳を傾けることになる。

第二章  届けられた手紙

深夜二時過ぎ、ドルーゼンの郊外に設けられた野営地で御子柴男爵家の旗が翻っていた。
この野営地は鉄壁のように固められており、中央の天幕内で覇王が独り、今後の方針について思案していた。
ドルーゼンの街が降服し、亮真は街の代表団が戻る様子を思い浮かべながら、今後の行動を計画していた。彼は従来の常識を覆し、降服したドルーゼンの街からの供出を求めず、市民の負担を増やさない決断を下した。
これは、敵から物資を奪う従来の戦略に対する革新的なアプローチであり、その決断は画期的とも評されるだろう。
しかし、敵からの物資奪取に関する孫子の教えもあり、奪取した物資が敵にとってどれほどの打撃かという事実を亮真は理解しているが、奪取した物資の安全性には懸念を抱いている。
また、彼は必要とあらばどんな非道な戦術も躊躇なく実行する覚悟を持っているが、それには人としての資質が問われるとも考えている。
夜更けに一人、これらの複雑な問題を考えながら、亮真は次第に眠りについていった。

ウォルテニア半島の森林で怪物を狩る経験を持つ彼女は、非正規戦において敵する者がいないとされている。
亮真が刺客の処理について問うと、忍びは問題なく処理したが、想定外の闖入者がいたと報告する。
この闖入者の存在に亮真は興味を示す。
忍びは亮真に手紙を渡し、その手紙は亮真に重要な情報をもたらす可能性があるため、戦略を変更する必要があるかもしれないと考え、関係者を呼び集めるよう指示する。
亮真はこの事態にどう対処するか、深く思考にふける。

立花は以前の報告内容があまりにも情報が乏しかったため、その事件に御子柴亮真が関与しているとは考えていなかった。
教師がWebで情報を公開され、ネットリンチに遭い家族が離散した事件と、不良グループが重傷を負う事件があったが、立花はこれらを被害者の自業自得と捉えていた。
立花は警察官としての本能で疑うことはできたが、それを職業病として苦笑いしていた。
この大地世界では、すべてを疑う姿勢が必要であることを彼は理解していた。

立花はディルフィーナから御子柴亮真と会うよう呼ばれ、天幕に入った。
中で亮真と対面した立花は、亮真とその信頼する家臣たちに囲まれ、彼らからの強い視線に圧倒された。
彼は亮真、亮真の祖父、リオネ、そして予想外にも御子柴浩一郎がいるのを認識し、自らの存在と目的を説明した。

亮真は礼を省き、直接的な対話を求め、立花もその要求に応じた。
会話の中で、立花は特に浩一郎と再会したことに意外さを感じつつも、亮真と浩一郎から感謝されると、彼らに対する敬意を新たにした。
この後、亮真は立花に対し、具体的な援助を求めるが、それが他の光神教団メンバーに危険を及ぼす可能性を慎重に考慮するよう話した。
立花はこの要求を受け入れ、すべての決定権が自分にあると確認した後、亮真の提案に同意した。

リオネは、浩一郎が交渉役に選ばれたことに一抹の不安を感じていた。
浩一郎は以前、シグニス・ガルベイラとの一騎打ちでその力量を示し、周囲からも認められた。
しかし、交渉役として必要なのは言葉の力であり、リオネは浩一郎がその役割に適しているか疑問を抱いていた。
さらに、浩一郎の対外的な立ち位置が未定であり、その点もリオネには不安材料だった。ただし、他に適任者がいないため、彼が選ばれたと理解していた。
リオネは、覇王に仕える臣下として、自らの仕事に専念し続ける決意を固めていた。

第三章  休戦交渉

数日前、立花源蔵が御子柴亮真との密談を終えた後、カンナート平原の森林地帯にある光神教団の野営地で、ロドニーとメネアに報告をしていた。
立花は、亮真の軍が三手に分かれて進軍していることや、亮真が采配を振るっている事情を説明した。
ロドニーとメネアは立花の報告を受け、立花の遅延や謝罪を受け入れ、彼を労った。
話は、亮真と浩一郎、そして桐生飛鳥がこの大地世界へ召喚されたことへと移り、その珍しさや法剣の存在についても触れられた。
特に、桜花という法剣がどのようにして浩一郎の手に渡ったのか、その稀有さと意義が語られた。
ロドニーとメネアは、真実を求める覚悟を新たにし、その道を辿る決意を固めた。

数日後、ローランド枢機卿の野営地近くで御子柴男爵家の軍勢が現れ、その動きに枢機卿は疑問を抱いた。
枢機卿は偵察部隊を派遣し、御子柴男爵家の軍勢の意図を探った。
偵察部隊は、御子柴の軍が戦闘を意図していないことを知り、書状を持ち帰った。
その書状には会談の提案が記されており、枢機卿はこれに驚きながらも慎重に対応を検討した。
枢機卿は、この会談が神の意思かもしれないと考えながら、会談の日程を定める書状を作成した。

二日後、光神教団の野営地では、兵士たちが列を成し、使者を迎えていた。
午後二時を過ぎ、野営地に御子柴男爵家から派遣された使者一団が到着し、ローランド枢機卿が友好的な態度で迎えた。
使者は外見を大きく変えた浩一郎であり、バエンナ卿として振る舞っていた。
彼の姿は、彼が通常持つ日本人の特徴とは異なり、白人風の外見に変わっていた。
この変装は、浩一郎が教団と敵対する組織の一員であることを隠すためのものだ。
光神教団と浩一郎は交渉を開始し、教団が戦後使者を送らなかった理由について議論した。
この会話から、浩一郎は計算高く行動しており、戦略的な観点から光神教団を攻撃しなかったことが示唆されている。

聖都メネスティアから離れるほど光神教団の影響力は低下する。情報伝達手段が限られるため、大陸東部に対する影響力は限定的である。これを理解している御子柴男爵家は、光神教団と戦っても報復が限られると計算していた。御子柴男爵家が光神教団の軍勢との戦いを避けたのは、王都攻略後を見据えた戦略の一環であり、敵の兵数を減らす視点からも合理的な選択だった。光神教団の野営地が森林地帯に孤立していたことも、攻撃を避ける要因の一つとなった。

ローランド枢機卿は交渉の糸口を探しており、浩一郎は御子柴男爵家の意向を伝える役割を担っていた。
彼の登場は、最初はただの使者として迎えられたが、後に全権を委任された大使であることが明かされた。
これにより、ローランド枢機卿の対応は変わり、当初の予定を覆す事態となった。
浩一郎は、御子柴男爵家として光神教団の中立を求め、戦後の過度な干渉を控えることを要求した。
これは、光神教団が御子柴男爵家の領地に干渉することを恐れるための措置である。

ローランド枢機卿はこれを受け入れ、神の御旗を掲げることで御子柴亮真が正当性を主張できるように計画した。
御子柴亮真は強者であり、神の御旗を掲げれば、さらにその正当性を高めることができるだろう。

ローランド枢機卿は王都ピレウスに滞在中、現地の教会ではなく宿屋に泊まることから、教会の設備が貧弱であることが窺える。
このため、ローゼリア王国内の教会を増やす提案が行われた。
提案は、西方大陸東部に光神教団の拠点を確立することで、ある程度の戦力を確保できるかもしれないとされる。
しかし、教会の警備として派遣できる騎士の数には限りがある。
浩一郎は、交渉を速やかに進めるべきと主張し、ローランド枢機卿もこの提案を受け入れ、調印式の日程について協議が行われた。
結果、予想外に早い七日後に調印式を行うことが決定されたが、これには隠された狙いがある可能性が示唆される。

第四章  御子柴流を知る者

ロドニー・マッケンナはローランド枢機卿に呼び出され、休戦が成立したことを共有された。
ローランド枢機卿は喜びを表しつつ、高級な白ワインを飲んだが、当初はディックやロドニーに勧めることはなかった。
しかし、後に彼らにも酒を勧め、乾杯を行った。
調印の日程について尋ねられたローランド枢機卿は、御子柴男爵家からの要望で、休戦の調印が7日後に行われることを伝えた。
これは意外に速い決定であり、ローランド枢機卿は翌日に教皇に報告する計画を述べた。彼は教皇との遠隔通信が可能な術式を用いる予定であるが、この方法はリスクも伴う。
その夜のうちにロドニーは帰宅し、ローランド枢機卿の行動を見守るディックの鋭い視線を感じ取ることなく帰った。
そして、メネアとの会話で、6日後の夜に飛鳥の救出を決行する計画について語り、これが立花と御子柴亮真の間で前もって決められていたことを明かした。

運命の夜、立花と飛鳥は待ち合わせの場所に到着し、御子柴亮真の提案した救出作戦の開始を待っていた。
この計画は、地面の下を通って彼らを救出するというもので、映画のような設定だが、実際に行うには相当なリスクを伴っていた。
立花は飛鳥の微かな震えを見逃さないが、表面上は落ち着いて見えた。
やがて、指定された時間に地面が陥没し、作戦が功を奏したことが確認される。

ディルフィーナという女性が穴から現れ、彼女の美しさに飛鳥は驚く。
ディルフィーナは彼らの身元を確認した後、救出作戦が本番であることを告げる。
彼女は穴を塞ぐために魔法を使い、穴が完全に塞がれると同時に、彼らは坑道を通って進むことになる。
立花は、ディルフィーナが彼の勇敢さを褒めると、救出作戦に協力的であることを示す。
その後、彼らは長い坑道を歩き続け、地下の旅が続く。

長い坂道を登った飛鳥は、体力的にも精神的にもかなりの負担を感じていたが、文句一つ言わずに頑張り続けた。
この状況を理解し、飛鳥に好感を持っていたディルフィーナは歩く速度を落として彼女をサポートした。
坂道を登りきった後、ディルフィーナは飛鳥を称え、彼女たちが使っていた坑道は詠唱により消失させられた。
これにより、証拠隠滅が完了し、ディルフィーナは飛鳥に水筒を渡し、休息を促した。

しかし、休息の最中、予期せぬ聖堂騎士が現れた。
彼は一人であり、ディルフィーナたちに襲撃を仕掛けた。ディルフィーナは戦いを挑むも、聖堂騎士の技術は高く、彼女の部下たちは矢により次々と倒された。
ディルフィーナ自身も、多数の矢を防ぐ中で致命的な一撃を受け、その場に倒れ込んだ。
敵の騎士は矢を飛鳥に向けたが、その瞬間、亮真が現れて飛鳥を守り、敵の騎士と対峙することになる。

亮真はディック・マクガールと名乗る男と戦闘を行う中で、御子柴流剣術に関する深い知識を持つことを知り、動揺する。
ディックは飛鳥の身元も知っており、亮真が御子柴流の継承者であることについて詳しい。ディックは第十八聖堂騎士団の指揮官であることを明かし、戦闘を避ける意思を示す。
彼は戦闘の事実を隠す代わりに、ローゼリア王国軍の夜襲として処理すると提案する。
さらに、亮真の父親について言及し、亮真はディックが父の名をどうして知っているのかと驚く。
結局、亮真はディックの提案を受け入れ、戦いを避けることに決める。
その後、光神教団の野営地で休戦の調印式が行われるが、亮真の心はディックからの言葉によって生じた疑問で満たされていた。

エピローグ

青白い月の光の下、マクマスター子爵家の執務室で、マクマスター子爵は御子柴男爵家との協力について悩んでいる。
彼は御子柴家からの支持を受け入れることで大きく発展する可能性があるが、それは同時に自家の名誉を捨てることを意味している。
このジレンマに苛まれる子爵に対して、娘のロゼッタは断固たる決断を促す。
彼女は、勝敗が既に決まっていると考えており、御子柴男爵家の誘いに乗るべきだと信じている。
ロゼッタは、勝利をもたらすだけでは貴族達の支持を得るには不十分であると見ている。
彼女はまた、この戦後の選択が家族の運命を左右すると強く感じており、父が決断することを切望している。

ローゼリア王国の王都ピレウスから光神教団の部隊がウィンザー伯爵領ガラチアへ向かう様子が描かれている。
この部隊は、ローランド枢機卿が残していた予備戦力で、国外への撤退が急遽決定された。
その撤退は、光神教団がルピス女王を切り捨てる動きとして解釈され、王都の兵士達には精神的な打撃を与えている。

この中で、フリオ・ゲルハルト子爵は、かつての力を取り戻すためにさまざまな計画を立てており、光神教団の撤退を見て、その策略に変更が必要になると感じている。
彼は適当な同盟者を探しており、北部征伐に参加していない貴族家の当主を候補としている。
この当主は事故で怪我を負い戦場に出なかったが、王都に兵力を持ち武将としての能力を持つ。
ゲルハルト子爵はこの男との連携を考え、彼の邸宅へと向かう。
この会談は、ルピス・ローゼリアヌスと御子柴亮真の間で続いている戦争に影響を与える可能性がある。

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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