小説「とんでもスキルで異世界放浪メシ 13巻」感想・ネタバレ・アニメ化

小説「とんでもスキルで異世界放浪メシ 13巻」感想・ネタバレ・アニメ化

12巻 index 14巻

どんな本?

高校生の異世界転移に巻き込まれたムコーダは、戦闘面では全くの無能だったので戦争に巻き込まれ無いように別の国へ行く。
その道中に、ムコーダの料理に魅入られた伝説の魔獣フェンリルが仲間に加わり、さらに生まれたばかりのスライムも仲間になる。
その後、中身は中年で見た目は可愛いピクシードラゴンもムコーダの作るご飯に釣られて仲間になってしまう。

アニメ化

読んだ本のタイトル

#とんでもスキルで異世界放浪メシ 13 肉団子の甘酢あん×冒険者の流儀
著者:#江口連 氏
イラスト:#雅 氏

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あらすじ・内容

お騒がせっぷり、パワーアップ!?TVアニメ2023年1月10日より放送!
「勇者召喚」に巻き込まれ、現代日本から異世界へとやってきたサラリーマン、ムコーダ。
彼は難関と名高いブリクストのダンジョンの最下層で強大な力を持つ古竜と遭遇するが、やっぱり彼が作る料理に目を付けられて強引に従魔になられてしまう。
そして「ゴン爺」と名付けた古竜に乗って、ムコーダ一行はカレーリナの自宅へ帰還するのだった。
しかし久しぶりの我が家に一息つく間もなく、ゴン爺のことを聞きつけてドラゴン大好きの残念エルフ、エルランドが押し掛けてきてしまう。
「ギルドマスターを辞めてきた」というエルランドにつき纏われ、疲弊していくムコーダ一行(特にゴン爺とドラちゃん)。
そんな思わぬピンチに苦しむムコーダ一行だったが、仕事から逃げ出したエルランドを捕らえるべく苦労人な「あの人」がドランからやってきて……!?
「小説家になろう」11億PV超のとんでも異世界冒険譚、お騒がせ度マシマシの13巻!

とんでもスキルで異世界放浪メシ 13 肉団子の甘酢あん×冒険者の流儀

前巻からのあらすじ

ダンジョンの奥で、でっかい出会い!?
「勇者召喚」に巻き込まれ、現代日本から異世界へとやってきたサラリーマン、ムコーダ。
彼はフェル達に押し切られてブリクストのダンジョンに挑み、前人未到の40階層で一度地上に帰還する。
そして新たなテナント(ドラッグストア)の解放や大量のドロップアイテムの整理、神様達へのお供えや料理の作り置きを終え、再びダンジョンへと突入するのだった。
難関と名高いブリクストのダンジョンを怒涛の勢いで突き進むムコーダ一行。
過酷な環境を乗り越え、強力な魔物の数々を打ち倒し、彼らはついにダンジョンの最下層へと辿り着く。
そこで創造神様が教えてくれたヤバい奴と遭遇するムコーダ一行だが、そいつとフェルの間には浅からぬ因縁があった!
そして強大な力を持つ二つの存在が、ダンジョンの最奥で激突する……!?

とんでもスキルで異世界放浪メシ12 鶏のから揚げ×大いなる古竜

感想

ブリクストの難関ダンジョンの最下層で、エンシェントドラゴンのゴン爺を仲間に加えてムコーダはゴン爺の背に乗ってカレーリナの街に帰還。

そしてギルドに行くとギルドマスターが待ち受けていた。
そしてエンシェントドラゴンを本当に従魔にしたのかと確認される。

そんなムコーダの通り名が史上最強と呼ばれてると言う。

そしてギルドの解体担当のヨハンからエンシェントドラゴンの自然と剥がれた鱗とかないのかと聞かれ、ゴン爺は無いと言う。

そんな雑談からフェルの毛も高価買取されてると聞いてムコーダは驚愕。

櫛で梳いてると取れる埃だらけの毛が、高額素材だと知って微妙な感じになってしまう。

そして、屋敷に帰り奴隷達にゴン爺を紹介して帰りの宴会をして。

そこまでは順調だったのだが、、
ドランからドラゴン大好き残念エルフのエルランドが訪問して来てから、雲行きが急激におかしくなった。

ドランのギルドマスターを辞めて、カレーリナのムコーダの屋敷に住むと言い出した。
それにドン引きなドラちゃんとゴン爺。
そんな2人の拒否反応からエルランドが住むのは無理だと言うが彼は諦めなかった。

そこでムコーダは、カレーリナのギルドマスターの所に急いで行き事情を説明。
あまりの事に頭を抱えながらも、ドランの副ギルドマスターのウゴールに連絡してもらい迎えに来て貰う事にする。
最初はゴン爺の背中に乗せてもらってドランに送ろうと考えていたが、ゴン爺が気持ち悪いから嫌だと言ってウゴールが来るのを待っていたのだが、、
その間はドラちゃんとゴン爺にはストレスフルな日々だった。

そして、ウゴールが到着したらエルランドを拘束するための冒険者も配備しておりアッサリとエルランドを拘束。

このシーンの挿絵が爆笑モノw

ウゴールに拘束されたエルランドはドランにドナドナされて、さらにエルフの監視員を置かれて強制的に仕事をさせられる事に、、
自業自得な気がする、、合掌。

なかなか外に出れなかったドラちゃんとゴン爺のために狩に行くのだが、、
ゴン爺とフェルが嫌がるムコーダを強引に連れ出して秘境の狩場へと行く。

そこで野生のヘビモスが居ると聞かされるムコーダは1人になるのを嫌がったが、フェルとゴン爺が二重でムコーダの周りに結界を張って安心だと言い。

久しぶりの狩にヒャッハーなカルテッドはムコーダを置いて狩に夢中になる。

放置されたムコーダは怖いので料理に集中して肉団子を作っていたら、、
ヘビモスに襲われて作っていた料理を食べられてしまう。

ついでにムコーダ愛用の魔導コンロも破壊されてしまいムコーダも怒り心頭。

急いで戻って来たカルテッドと共にヘビモスを討伐しようとしたが、子供が居たのを見て怒りが下がってしまい討伐は無しにする。

そんな事がありカレーリナに戻ると、、
まずは無断外泊で奴隷達に心配されてコンコンとお願いされて。

空飛ぶゴン爺が多数目撃されて飛んだ方向の冒険者ギルドでは大騒ぎになっていたらしくギルドマスターから大目玉をくらってしまう。

そして今後、ドラゴンで飛び立つ場合は事前に連絡する事を義務付けられる。

壊れた魔導コンロはなかなか修理をするところが見つからず。
むしろ新品を買った方が良いと言われる始末。
でも、ムコーダの要望するコンロはカレーリナには無く。
別の街に行くしかない。

さらに屋敷では、風呂を気に入ったゴン爺のために風呂場を改装してたり。
その改装業者のドワーフが、ムコーダが噂の移動酒屋の店主だと気が付いて酒を売って欲しいと懇願したり。

主神デミウルゴスから困ったちゃん認定されているルバノフ教にお灸を据えろと言われ、ちょっと無茶振りと思っていたら。

ルバノフ教の方からちょっかいを出して来たので、ムコーダはルバノフ教の教皇のいる総本山を破壊してあるお方の声を聞かせるという計画を立て、その準備に入って終わる。

次はルバノフ教総本山攻撃か?

オラ、ワクワクして来たぞ!
続きはよ!

最後までお読み頂きありがとうございます。

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12巻 index 14巻

展開まとめ

第一章 ばっちい毛だけど実は相当の価値があった

古竜ゴン爺との再会と帰還

ブリクストの難関ダンジョンを攻略した後、古竜ゴン爺が仲間に加わった。ゴン爺の背に乗り、圧倒的な速度で飛行した結果、予定より早くカレーリナ近郊の平原に到着した。あまりの速さにムコーダは疲弊しつつも、懐かしき拠点であるカレーリナの街を目指した。門番たちは事前連絡により冷静を保っていたが、市民たちは巨大な古竜の姿に騒然となり、ムコーダは「自分の従魔である」と声を張り上げながら街を練り歩くことになった。

ギルドでの報告と古竜の紹介

冒険者ギルドに到着すると、室内は静まり返り、ギルドマスターも驚愕した。ムコーダは改めてゴン爺を従魔として紹介し、ギルドマスターとヨハンに挨拶させた。ゴン爺は礼儀正しく応じ、暴れることはないと明言した。ギルドマスターはムコーダがフェンリルと古竜を従えることに感嘆し、「史上最強の冒険者」と評したが、ムコーダ本人はその称号を恥ずかしがった。既に街ではその噂が広まり、彼は諦め気味に受け入れるしかなかった。

フェルの毛の価値と騒動

その後、ヨハンが古竜の鱗の入手を望むが、ゴン爺は簡単に剥がれるものではないと答えた。代わりにフェンリルの毛が素材として価値が高いと判明し、ヨハンは興奮した。ムコーダはこれまで埃まみれの抜け毛を捨てていたことを明かし、ヨハンに「もったいない」と激しく叱責された。フェルは毛を売られることを嫌がり、風呂で梳かれること自体を拒否すると抗議したが、最終的に「一度だけ」という条件で妥協した。ムコーダはその代わりにフェルの好物を用意することを約束した。

街での注目と今後への影響

こうしてカレーリナに帰還した報告を終えたはずが、フェルの毛の買い取りを約束させられる結果となった。再び「俺の従魔ですから」と声を上げながら帰路につくムコーダの姿は、カレーリナの人々の注目を一身に集めていたのである。

第二章 呼んでいないのにあの人が我が家にやって来た

門番との再会と帰宅準備

ムコーダはカレーリナの自宅に到着し、門番のバルテルとペーターに無事を報告した。古竜ゴン爺の存在に二人は驚愕したが、従魔であると聞いて納得していた。畑の野菜が豊作であると判明し、ムコーダは帰宅宴の献立を思案した。フェルは肉を所望し、ドラちゃんとスイ、ゴン爺も食事談義に加わった。

帰還の宴と調理の段取り

母屋では面々が笑顔で迎え、ムコーダは女性陣に下ごしらえを依頼した。チーズフォンデュ用にジャガイモ、カボチャ、ブロッコリー、ニンジン、プチトマト、パプリカを用意し、肉はソーセージとコカトリスを炒めて添えた。主菜としてダンジョン豚上位種の特殊個体でローストポークを焼き上げ、チーズソースは白ワイン仕立てで濃厚に仕上げた。テレーザの田舎パンも一口大に切り、卓上に並べた。

食卓の賑わいと高級肉への反応

食事が始まると、チーズフォンデュとローストポークは大好評であった。フェルら従魔は瞬く間に肉を平らげ、にんにく醤油の味付けにも満足していた。バルテルらは肉の正体を聞いて一斉に噴き、超高級品であることにたじろいだが、ムコーダは狩猟戦果の蓄えがあるとして気にせず勧めた。ロッテが無心に喜ぶ姿に場は和み、白ワインやビールも進み、皆が食べて飲んで歓談した。

休息の日々と近況報告

宴の終盤に土産を配ると一同は恐縮しつつ喜んだ。翌日以降は休養に入り、ムコーダはランベルトに帰還を報告し土産を渡して感激の抱擁を受けた。数日が過ぎ、従魔たちが狩りへ行きたがる中、ムコーダは近日中に冒険者ギルドへ顔を出すつもりであった。

門前騒動とエルランドの出奔宣言

休息中、門番からエルフの来訪を告げられ、ムコーダが門へ向かうとドランのギルドマスターであるはずのエルランドが現れた。エルランドは転移道具の通知で古竜加入を知り、羨望を滲ませつつ会いに来たと告げた。さらにギルドマスター職は辞めたと笑顔で言い、置き手紙と辞表送付のみで出奔してきた事実が判明した。ムコーダが制止すると、エルランドは泣き崩れて仲間入りを懇願し、門前で取りすがる姿が通行人に誤解を招く事態となったため、ムコーダは屋内で話すことにした。

古竜との対面と暴走寸前の熱情

リビングでゴン爺と対面したエルランドは感極まって号泣し、ついにはゴン爺の首に抱きついて鱗へ頬ずりを始めた。ドラちゃんは露骨に嫌悪を示し、フェルとスイは静観した。事情を知らないゴン爺は困惑し、ムコーダは制止を入れた。やがてエルランドは改めて仲間入りの意思を明言し、ムコーダは頭を抱えるしかなかった。

受け入れ是非の協議と当面の方針

ムコーダは従魔たちと念話で協議し、フェルとスイは容認姿勢であったが、ドラちゃんは過去の被害から断固反対であった。ムコーダはウゴールから冒険者ギルドへ連絡が来ている可能性に賭け、対応策を得るためギルドへ急行する決断を下した。留守の間はゴン爺がエルランドの相手を続け、フェルとスイが暴走と逆上の双方を見張ることで合意した。こうしてムコーダはドラちゃんを伴い、事態収拾の糸口を求めて冒険者ギルドへ向かったのである。

冒険者ギルドへの急行と事態の通報

ムコーダはエルランドの暴走を止めるため冒険者ギルドへ駆け込み、ギルドマスターのヴィレムに報告した。ドランのギルドマスター職を放棄し、辞表を送り付けて出奔してきたと聞いたヴィレムは愕然とし、連日ドランから問い合わせが届いていた経緯を明かした。ムコーダの名が本部宛書簡に記されていたことから、ちょうど確認の使いを出そうとしていたところであった。

転移の魔法道具による緊急連絡

ヴィレムの判断で、ムコーダが事情説明の書簡を作成し、転移の魔法道具を使って副ギルドマスターのウゴールへ送信した。返信には「自ら引き取りに向かう。絶対に逃さないでほしい」と怒気をはらんだ文面が記されていた。筆圧の滲みからも怒りが伝わり、ヴィレムもムコーダも恐れを覚えた。ウゴールの到着には十五〜二十日前後かかる見込みであり、それまでの間はエルランドを拘束しておくしかなかった。

帰宅後に判明した暴走と混乱

帰宅したムコーダを迎えた家の中は緊迫していた。フェルの報告によれば、留守中にエルランドがゴン爺へ血の提供を求め、断られると唾液を欲しいと言い出したという。これに激怒したゴン爺は怒鳴り、フェルが制止してエルランドを部屋の隅に追いやり、スイに監視を命じた。スイは「動けば酸弾」と命じられており、フェルの対処が功を奏して静穏が保たれていた。

対応の協議と追放案の提示

ムコーダは呆れ果て、ゴン爺にエルランドを乗せてドランへ送る案を提示したが、ゴン爺は「何をされるか分からん」と拒絶。結果、ウゴール到着まで屋敷で足止めする方針を取ることになった。ムコーダは「宿に泊まるべきだ」と説得したが、エルランドは涙ながらに懇願し、ゴン爺とドラちゃんから離れたくないと泣き崩れた。

元冒険者たちによる収容と一時平穏

困り果てたムコーダは元冒険者組を呼び、事情を説明して協力を求めた。全員がエルランドの行動にドン引きしつつも、最終的に彼を引き取ることで合意した。ムコーダは「敷地内の滞在は許可するが母屋立ち入りは禁止」と念押しし、彼の監視を5人に託した。エルランドはなお号泣していたが、ルークらに連れ出され、ようやく屋敷に平穏が戻った。フェルはなお不安げに呟いたが、ムコーダは「ゴン爺とドラちゃんに二度と会わせないと脅した」として事態の沈静化を願ったのである。

第三章 待ち人来たり

料理準備とスイの協力
ムコーダは気分転換を兼ねて食事の仕込みに着手し、スイが作ったミンサーでダンジョン豚とダンジョン牛のひき肉を大量に作成した。スイはハンドル回しを担当し、今後の常備ストックを確保したのである。

麻婆ナス丼の支度と食卓
アルバンの畑から届いた野菜(ナス、ピーマン等)を活用し、豆板醤・甜麺醤・鶏がらで味をまとめた“ひき肉たっぷり麻婆ナス丼”を調製した。辛味は個別調整され、フェルには追いラー油で強化、スイは控えめ、ドラちゃんとゴン爺は標準で提供された。結果、全員が食欲をそそる辛味と白米の相性に満足した。

エルランドの隔離と敷地内対応
エルランドは敷地外宿泊を拒み、母屋への侵入を狙う素振りを見せたため、ムコーダは「母屋立ち入り禁止・敷地内滞在のみ可」を厳命した。元冒険者組へ監視を委ね、違反時はゴン爺・ドラちゃんとの接触禁止を宣告して牽制した。窓張り付き等の迷惑行為はフェルとスイ、ムコーダが逐次撃退した。

屋内籠城中の娯楽と結束
外出を控える間、リバーシを導入して気分転換を図り、フェル対ゴン爺の対局などで場が和んだ。また、ドラちゃんとゴン爺の精神的負担に配慮し、フェルとスイも狩り要求を控えるなど、一体感が強まった。

献上品の手配と王都への段取り
冒険者ギルドへ赴き、ズラトロクの毛皮とエメラルドの装飾品(指輪・ネックレス・ブローチ)を王への献上品として預託した。ギルド側はウゴール来訪後に王都行きを調整する方針で、ランベルトの王都出立にも連動する段取りとなった。

待機体制と“待ち人”の到着
およそ二週間の屋内待機ののち、門番にウゴールの人相と名を周知して着任を待つ体制を維持。やがて予定より早くウゴールが到着し、ムコーダは安堵のあまり力が抜けた。ここに、長き足止めと厄介事の収束へ向けた第一歩が刻まれたのである。

ウゴールの来訪と謝罪
長い待機の末、ようやくウゴールがカレーリナに到着した。彼は目の下に深い隈を作りながら、エルランドの暴走を詫びて深々と頭を下げた。ムコーダは逆に恐縮し、非は一切ないと慰めたが、ウゴールの背後には明らかに怒気が立ち上っていた。

暴走エルフ再来と捕縛作戦
ゴン爺とドラちゃんの念話で、またもやエルランドが窓から覗いていることが発覚する。ウゴールは「ちょうどいい」とばかりに出撃を宣言し、同行していたSランク冒険者パーティー“深淵の観測者”に合図を送った。直後、屋外から騒ぎと悲鳴が起こり、鎖で雁字搦めにされたエルランドが引きずられて登場した。彼の口には布が詰められ、抗議も叶わぬまま地面に放られた。

捕獲者たちと経緯の説明
ウゴールの助力者である“深淵の観測者”は、ドランのダンジョンを拠点とするSランクパーティーであり、今回の捕縛依頼を受けたとのことだった。フェル、ドラちゃん、ゴン爺らの存在を目にして彼らは唖然としたが、ウゴールの指示で即座に任務完了を報告した。ムコーダも彼らへ礼を述べた。

制裁と監視の宣告
ウゴールは、鎖に縛られたエルランドを踏みつけながら告げた。今回の職場放棄に王都上層部は激怒しており、減俸一年および常時監視の処分が決定したという。監視役は元王都ギルド幹部で堅物のエルフ・モイラ。エルランドが激しく抵抗するも、ウゴールは冷然と「逃げれば全国指名手配」と突き放した。これによりエルランドは観念し、涙ながらに黙り込んだ。

フェル一行の安堵と再始動
鎖に拘束されたエルランドを見たドラちゃんとゴン爺は嘲笑を漏らし、フェルとスイは「ようやく狩りに行ける」と歓声を上げた。ウゴールは改めて謝罪し、速やかにドランへ戻ると述べた。ムコーダは別れの餞として、ウゴールと“深淵の観測者”に牛カツサンドを差し出し、さらに家族への土産として飴菓子を手渡した。

騒動の終息と狩りへの決意
鎖で縛られたまま運ばれていくエルランドを見送り、ムコーダは深い息を吐いた。これにて長き騒動は終息し、屋敷にも平穏が戻った。翌日、フェルたちは久々の狩りに向かうことを決定し、ムコーダも彼らの積もった鬱憤を晴らすため同行を承諾したのである。

第四章 野生のベヒモス

狩りの出発と行き先提案
一行は狩りに出発する朝を迎え、準備を整えていた。ゴン爺が深い森の中で地面がテーブル状に隆起した場所を提案し、頂上が平坦な森で珍しい魔物が多いと述べた。ムコーダは秘境に類する地点であると判断し、移動手段や周囲への影響を理由に却下したのである。

フェルとゴン爺の密談と強行出発
フェルは提案地の特徴を把握しており、湖があることから同一地点と断定して関心を示した。フェルとゴン爺は内密に相談し、ムコーダの反対を押し切って向かう方針を決定した。騒ぎを避けるためにゴン爺は巨大化を抑え、通常のドラゴン程度の大きさで飛行する策を提示した。ムコーダは日帰り不能の懸念と家への連絡不足を理由に抵抗したが、フェルに急かされて搭乗し、ドラちゃんとスイも同行して出発したのである。

秘境到着と狩りの準備
正午頃、一行は頂上の森の中央付近に到着した。鬱蒼たる巨木が連なる原生的な環境で、過去にゴン爺が獲物を追って暴れた名残として空き地が広がっていた。フェル、ゴン爺、ドラちゃん、スイは狩りに意欲を燃やし、ムコーダに結界内で夕食の準備を勧めた。ムコーダは未知の環境に単独で残される不安を表明し、結界の安全性に懸念を示したのである。

ベヒモスの存在判明と一行の反応
ゴン爺が不用意にベヒモスの名を口にしたことで、当該地域に野生のベヒモスが生息すると判明した。フェルは秘匿の意図を示したが、すでに狩場に着いたとして容認した。ムコーダはドランのダンジョン最下層の個体を想起して驚愕した一方、ドラちゃんとスイは再戦を楽しみにし、強敵への高揚を隠さなかった。こうして一行は野生のベヒモスが潜む狩場での行動を開始する構えとなったのである。

翌朝の支度と出発
ムコーダは壊れた魔道コンロの代替としてカセットコンロを使用し、フェルの所望により肉増しの焼き肉丼を調理して一行の朝食とした。腹ごしらえを終えると、ベヒモス討伐のためゴン爺の背に搭乗し、上空からの探索に移行したのである。

上空索敵と洞窟の発見
索敵はフェルが担当し、鬱蒼たる樹海の中に口を開ける洞窟を特定した。ゴン爺は高度を落として洞窟前に着地し、フェルが呼びかけたのち、内部から重い足音とともにベヒモスが出現した。ドラちゃんとスイは先陣を切る構えを見せ、フェルとゴン爺も応戦準備を整えた。

子連れ個体の確認と交戦中止
突入直前、ムコーダはベヒモスの腹下に幼体が二体寄り添っているのを視認し、即座に制止を指示した。フェルとゴン爺は「弱肉強食」の理を示して討伐継続の構えであったが、ムコーダは幼体の生存可能性と後味の問題を理由に撤退を主張した。最終的に一行は交戦を中止し、現地離脱を決定したのである。

撤退判断の代替案と士気の収束
討伐を見送った代替として、ムコーダは帰還後に挽き肉料理のフルコース――ハンバーグ、メンチカツ等――を振る舞う案を提示し、スイの要望でチーズINハンバーグの提供も確約した。これにより食事面の“溜飲”を下げ、一行の不満と高揚は穏当に収束した。

帰還
目的個体との不要な衝突を避けた一行は、ゴン爺の背で速やかに撤収した。ムコーダは結果として討伐より倫理的配慮を優先し、食で仲間の期待を満たすという解決策を採用したのである。

第五章 ムコーダ、ギルドマスターから説教される

帰還と無断外泊の謝罪
一行はカレーリナへ帰還し、ムコーダは門番の双子や屋敷の面々に無断外泊を詫びた。トニやアルバンらは安堵し、ロッテは叱責した。移動先が想定以上に遠方であったこと、発端はフェルとゴン爺の提案にあったことを確認したのである。

ひき肉料理尽くしの饗応
約束どおりムコーダは肉団子、肉団子スープ、チーズINハンバーグ、ミートローフ、メンチカツ、スコッチエッグ等の挽き肉料理を大量に調理し、フェルらは満足した。フェルとゴン爺は“あの湖の魚”に未練を口にしたが、ムコーダは聞かなかったことにした。

狩猟成果の確認と“ウラノス”産変異種
翌朝、フェルの依頼で唐揚げ用のロックバードとコカトリスをはじめ、狩猟成果を庭で点検したところ、いずれも通常個体より巨大・濃色などの差異が見られた。トロール、オーク、二頭蛇のブラックアナコンダ、迷彩色の巨大虎、巨大蜘蛛クイーンネフィラスパイダー等を鑑定すると、「ウラノス(天空の森)にしか生息しない変異種」と判明した。ムコーダは処理を冒険者ギルドへ一括委託する方針を決めた。

ギルドでの叱責と事情説明
ギルド到着早々、ギルドマスターは“ブラックドラゴン”目撃騒ぎ(実はゴン爺の飛行)で周辺ギルドが混乱した件を糾した。ムコーダは事前連絡を怠った非を認め、「以後、竜で移動する際は必ずギルドへ連絡する」と応じた。フェルとゴン爺は素知らぬ顔で、ムコーダのみが説教の矢面に立つ構図であった。

“ウラノス”の由来と危地評価
解体役ヨハンが獲物の相違に気づき、産地を追及。ムコーダが「天空の森=ウラノス」と明かすと、ギルドマスターは驚愕した。百余年前、高ランク冒険者50余名の遠征で生還は1名のみという記録があり、生存者は「人が立ち入るべきではない地」と述懐したとの伝承が確認された。フェルとゴン爺にとっては過去に狩場として訪れた既知の場所であった。

買い取り判断と運用上の注意
ギルドマスターは「ウラノス産変異種なら商機あり」として全量買い取りを決断し、支払いは翌日の昼過ぎと定めた。可食部は従来どおりムコーダ側へ戻す段取りとなった。ベヒモス遭遇については、幼体連れであった事情と無人地帯である点を勘案し、今回は不問。ただし「人に危害の可能性がある場では同様の判断をするな」と厳重注意がなされた。ギルドマスター不在時の買い取りはヨハンに一任され、ムコーダには「しばし自重」を要請した。

後始末と次行動
買い取り手続き後、一行は魔道具店へ向かい、ベヒモスに破壊された魔道コンロの修理可否を相談し、不可なら同等性能の新調を検討する方針とした。ムコーダは行動規律(事前連絡)と装備復旧の優先度を再確認したのである。

魔道コンロ修理断念と代替入手先の検討
ムコーダは魔道具屋で破損した魔道コンロの修理見積を受け、外装整形と火口の魔法陣刻印に熟練職人が必要で、王都かドラン経由でも最短一年・新規購入より高額になると判明し、修理を断念した。新規入手は王都・ドランのほか、国内ではロンカイネン(治安難・交易都市)、可能性としてエイヴリングが候補と示された。王都は謁見誘発の懸念、ドランはエルランド絡みで回避意向があり、当面は自宅厨房で凌ぎ、家族会議の上で判断する方針としたのである。

夕餉の意趣返し:野菜たっぷり献立
ギルドでの叱責をムコーダだけが受けた理不尽を受け、食事主導権を活用してフェルとゴン爺に“野菜攻勢”を実施した。夕食は具だくさんコンソメスープと野菜多めドライカレー(温泉卵トッピングが好評)で、ドラちゃんとスイは素直に完食、フェルとゴン爺は不満顔ながら黙食した。

朝昼も継続:三食野菜尽くしと音を上げる二巨頭
翌朝は和食の軽め献立(芋玉ねぎ味噌汁、肉そぼろ入り玉子焼き、おにぎり、浅漬け)で“肉極少”。昼は野菜多めガパオライスと生春巻きで追撃した結果、フェルとゴン爺は「すまん」と陥落。ムコーダは罪悪感から夕食の豪勢な肉料理(ダンジョン牛上位種&ギガントミノタウロスのステーキ)を約束し、機嫌は急回復したのである。

買い取り代金の受領と肉の前借り
冒険者ギルドではギルドマスター多忙につきヨハンが対応。可食部の一部をその場で引き渡され、フェルとゴン爺は“生でも可”と言い張るほど禁断症状を見せたが、当夜のステーキに備えて控えめに留めた。希少なジャイアントミミックフロッグ肉はゴン爺の嗜好により持ち帰りとした。

ウラノス産変異種の高値:収入確定
ヨハンの内訳説明ののち、ウラノス産変異種の希少価値が評価され、買い取り総額は金貨換算で白金貨35枚+大金貨1枚(計3610枚相当)と確定した。ムコーダは受領を完了し、ギルドを後にしたのである。

帰路と今後
帰路のフェルとゴン爺は“肉待ち”で落ち着かず、ムコーダは予定を繰り上げて早めの夕餉実施を宣言した。魔道コンロは代替調達を要するが、治安や外交的火種(王都・ドラン)を勘案し、ロンカイネン行き含め時機を見て決断する構えである。

第六章 カレーリナの街でもお布施&寄付

肉尽くしの反動と朝のまったり
前夜はステーキ山脈を完食したフェルとゴン爺が完全復活。今朝も「コカトリス(変異種)で」と注文が入り、ムコーダは照り焼き丼(追いマヨ格子)で応える。一方ムコーダの朝は味噌汁+おにぎり+浅漬けでリセット。食後はほうじ茶で一息、カルテットはサイダー&コーラをおかわり。ゴン爺専用の器が無い問題が浮上し、のちほど食器店を当たる方針に。

お布施&寄付行脚(教会+孤児院)
拠点の街にまだ済ませていなかったため、近い順で巡回。
・土の女神キシャール:白金貨3枚+ダンジョン豚・牛の肉塊。子ども達が歓喜し、司祭も感謝。
・水の女神ルサールカ、風の女神ニンリル、火の女神アグニ:同条件で寄進。Sランク冒険者&巨大従魔持ちの噂は周知で、いずれも歓待。
・戦神ヴァハグン:町外れの“古い家”が実質の教会兼孤児院。元小国群の傭兵夫婦(院長とノエリア)が運営、寄付が途絶え孤児流入で逼迫中。白金貨3枚+肉に二人は涙。
ラングリッジ伯の援助で路上の子は少ないが、各孤児院は常に満床。ムコーダは今後も定期的に続ける決意を固める。

昼は暴力的に旨い焼き肉丼
腹ぺこの一行をいったん帰宅させ、ギガントミノタウロスの焼き肉丼で充填。食後トークは“ダンジョン内臓=ホルモン焼き”のうまさ談義に。未体験のゴン爺も前のめりになり、今夜の献立は屋外ホルモン焼き(虫避け結界はゴン爺担当)に決定。

ランベルト商会で情報収集とお礼
マリーに高級食器店と風呂拡張の工事業者を紹介してもらう。お礼として“オールインワンジェル”を進呈すると、目がきらきらに。気に入れば追加融通の約束も取り付け、店を後に。

食器店で大人買い
紹介の店で選定。
・ゴン爺用:ネイホフ産フィルミーノ工房と同型の深皿(からし色)=即断。
・大皿:新進ルドヴィーク工房の厚みある白磁風プレート×5。
・ほか:深め大皿5、丼型大器5。
合計金貨35枚。輸送・仕入れ分で割高だが満足の品質。購入品はアイテムボックスへ。

締め:帰宅→ホルモン焼き準備へ
外で待ちぼうけのフェル&ドラちゃんが文句を言うも、夕飯が“ジュワ〜ッ”な内臓焼きと聞き即ご機嫌。スイも「ごはん!」で覚醒。ムコーダは結界段取りを確認しつつ、今夜のグリル体制に入るのだった。

豪雨で屋外ホルモン中止→室内で“甘辛味噌ホルモン丼”
土砂降りで炭火会は断念。ムコーダはダンジョン牛のモツを湯通し→味噌・醤油・砂糖・酒・おろしニンニク・豆板醤で絡め炒め、白飯にどさっとのせた“甘辛味噌ホルモン丼”を提供。フェル、ドラちゃん、スイに加え、内臓初体験のゴン爺も大絶賛&おかわり続出。ムコーダはキンキンの辛口ビールで最強タッグを満喫。

入浴事情と家の課題
食後は順番に入浴。フェルの風呂拒否は相変わらずだが、ゴン爺は風呂を気に入り上機嫌。現浴室は大型従魔に狭く、ムコーダは“浴室拡張工事の手配”を翌日の最優先タスクに設定。

月一のお供え準備:神々からのリクエスト
就寝前、ムコーダは神々に呼びかけ、今月分の品をヒアリング。

  • ニンリル様:相変わらず強気の要求。
  • キシャール様:新作コスメを把握する圧巻のリサーチ力で指名買い。
  • アグニ様:ビール在庫が心許なく補充要望。
  • ルカ様:アイス&ケーキ推し。
  • ヘファイストス様&ヴァハグン様:本格ウイスキーに“腹を決めて”挑戦宣言。
    受け渡しは明後日の夜に決定。翌日は工事業者へ出向いたのち、ネットスーパー等で一気に調達する段取りを固めた。

満腹のカルテットは爆睡。ムコーダはカフェオレで一息つきつつ翌日の行動計画を確認して就寝。

第七章 ゴン爺の秘密と困ったお告げ

工事業者との交渉
ムコーダはマリーの紹介を受け、浴室拡張の相談のためドワーフの工事業者を訪問した。受付に現れたのは小柄な女性アニカであり、施工担当はその夫ブルーノであった。多忙のためすぐの対応は難しいとされたが、三日後に下見へ来る約束を取り付けた。同行はフェルとスイのみで、ゴン爺とドラちゃんは留守番を選んだ。

日常作業と今後の準備
帰宅後の昼食を終えると、フェルたちは日向ぼっこに向かい、ムコーダは神々からのリクエスト品を確認した。暇を持て余して地下作業場を手伝い、王都で爆売れ中の人気商品「神薬・毛髪パワー」の詰め替えを行った。増産に伴い人手不足を感じ、奴隷の増員と住居の建設を検討し、次回の下見時に相談する計画を立てた。

月一のお供えと神々のリクエスト
夜、恒例の神々へのお供えが始まった。ニンリルにはホールケーキやどら焼き、キシャールには高級化粧品ST-Ⅲシリーズと入浴剤、アグニには国内外の地ビール各種、ルカにはケーキとアイスを献上した。さらにヘファイストスとヴァハグンには高級国産ウイスキー十二年物を贈り、両神は歓喜した。最後にデミウルゴスへは日本酒の大吟醸五本セット、干物と缶詰、梅酒各種を届けた。神々は寄付への感謝を述べ、ムコーダは今後も可能な範囲で支援を続けると誓った。

古竜の創造とゴン爺の秘密
ムコーダは創造神デミウルゴスに、ゴン爺に加護が無い理由を尋ねた。デミウルゴスは、古竜は自身が抑止力と保険のために創り出した存在であり、強すぎるため加護を与えなかったと語った。古竜は世界最古の生物で寿命は約二万年、ゴン爺はまだ若輩に当たるという。また、古竜には代々一体だけが継承する【究極魔法・古竜の魂】が存在し、世界を終わらせる力を持つと明かした。ただし発動には創造神の許可が必要であり、今代ではゴン爺がその継承者であった。

創造神からの困ったお告げ
デミウルゴスは、ルバノフ神聖王国の人族至上主義の横暴を戒めるようムコーダに求めた。フェンリルと古竜がいるのだから容易いと軽く言い放ち、「成功すれば良いことがある」と告げて通信を断った。ムコーダは不条理な任務に嘆きつつも、報酬の「良いこと」に密かに期待を寄せたまま眠りについたのである。

第八章 やっぱり風呂はいいなぁ~

お告げの保留と優先順位の確認
ムコーダはデミウルゴスからの無茶ぶり気味なお告げを当面は保留すると決め、先に山積する作業を片づける方針を取ったのである。

業者到着と拡張目的の共有
約束の下見日に、門番タバサとペーターの取り次ぎで、ドワーフの棟梁ブルーノが手勢二名と来訪した。ムコーダは従魔フェル、ドラちゃん、スイ、ゴン爺の入浴事情を説明し、従魔と入るための風呂拡張が目的であると共有したのである。

工法検討と工期優先の決断
外壁を抜いて増築する案と、隣室の壁を抜いて拡張する案を比較し、ムコーダは工期短縮を優先して隣室側の拡張を選択した。これにより通常四日を見込む工程で進めることになったのである。

浴槽の手配と費用感
浴槽は施主手配が通例であると判明し、ムコーダは以前に世話になったイラリオ商会で特大サイズの陶器風呂を購入した。既存の意匠に近い薄いクリーム地に花模様の品で、代金は金貨540枚とされた。売れ残りであった事情により値引きが効いたため、サイズと意匠の両立が実現したのである。

奴隷住宅増設の打診と更地化の課題
ムコーダは今後のために三〜四棟の奴隷住宅増設も依頼した。ブルーノは建築専門であるため伐採と造成は他業者手配を条件とし、工事開始は二か月後以降と示した。アルバン家の風呂付き住宅を見本として提示した結果、水回りを伴うため費用増と工期長期化が避けられないことが確認されたのである。

“幻の酒店”の露見と酒を介した取引
見送り時、ムコーダが贈ったウイスキーを機に、ブルーノは噂の“幻の酒店”の店主がムコーダであると確信した。弟経由で噂を知っていたブルーノは当地での開店を期待したが、繁忙のため見送りとなった。代替として同銘柄の酒の追加提供を約したところ、ブルーノは工期四日の仕事を二日で仕上げると宣言したのである。

超特急施工と完成検査、支払い
工事は宣言どおり捗り、二日目の終業時に増床が完了した。新旧二つの浴槽が並び、給湯と排水の確認も問題なしと判定された。ムコーダは工事人足十名に配るため大瓶ウイスキーを計二十本供出し、別途工事代金として金貨270枚(白金貨二枚・大金貨七枚)を支払った。酒好きの職人衆は宴会の段取りを進めつつ引き上げたのである。

従魔たちの帰還と入浴準備
工事騒音を避けて庭に退避していた従魔たちは室内に戻り、新風呂の完成を知って喜んだ。フェルは食事優先を主張し、夕食はギガントミノタウロス味噌漬け丼であった。食後、フェル以外の面々が入浴に向かったのである。

洗身の段取りと団欒
まずゴン爺の身体をスイの湯撒きとドラちゃんの手伝い、ムコーダのデッキブラシで隅々まで洗浄した。古竜の要望に応じて力加減を調整する重労働であったが、洗い上げ後は炭酸入り柚子の入浴剤を溶かした湯に皆で浸かった。広くなった浴室と二槽体制の恩恵で、ゴン爺はゆったりと湯に身を委ね、心地よさのあまり眠りに落ちたのである。
ムコーダと従魔たちは、拡張の成果を実感しつつ、やっぱり風呂はいいと実感して一日の締めくくりとしたのである。

第九章 魔剣の正しい使い方

朝の段取りと伐採計画
ムコーダは朝食後、裏手の更地化計画を従魔と家人に共有し、奴隷住宅増設に向けた伐採作業を前倒しで実施する方針を示したのである。フェル、ゴン爺、ドラちゃん、スイは即応を約した。

需要逼迫と体制確認
詰め替え業務の逼迫についてムコーダはコスティから状況を聴取し、ランベルト商会への卸量は「無理のない範囲」で調整するよう指示した。奴隷一同は当面の増産に協力する姿勢を示したのである。

薪利用の合意
テレーザの進言により、切り倒した木材は石窯用の薪として活用する方針に決定した。アルバンも賛同し、端材や枝葉の保管・乾燥・切り出しは彼らの手で進める段取りとなった。

強者ゆえの手加減問題
フェルらが魔法で伐採を申し出たが、威力過多により塀や裏家屋への被害が懸念されたため、ムコーダは従魔の直接関与を制止した。見物に来ていた元冒険者の双子ルークとアーヴィンに大斧を託し、人力伐採を主体とする運用に切り替えたのである。

魔剣投入と作業の革新
自らの手元戦力を再点検したムコーダは、魔剣カラドボルグ、フルンティング、グラム、エッケザックスを取り出し、最適重量と刃長の観点からグラムを選定した。試斬の結果は豆腐を断つが如しで、伐木は安全管理の下で迅速化した。双子が一本を伐る間に、残りはムコーダがほぼ単独処理したのである。

枝払い・根株処理と資源の無駄なき活用
幹は適尺に玉切りし積み上げ、枝葉は乾燥後の燃料化を見越して集積した。根株はフェルとゴン爺が力業で、ドラちゃんが土魔法で、スイが溶解で対応し、ムコーダも土魔法で一点処理に成功した。テレーザは根株も乾燥・清掃後に薪化可能と評価し、廃棄物の最小化が図られた。

労の配分と褒賞
作業完了後、ルークとアーヴィンにはワインとビールを下賜し、従魔の面々には菓子店のケーキを与えた。更地化は計画通りに終結したのである。

小休止と治安判断
魔道コンロ調達はロンカイネンの治安を鑑みて見送り、近場での狩猟を挟みつつ二週間は穏やかに経過した。

不穏の来訪と緊急召集
商店街に出向く算段を立てていた折、門番ペーターが急報をもたらした。王都を拠点とするルバノフ教の一団が来訪し、バルテルが単独で門を押さえているという。ムコーダはタバサ、ルーク、アーヴィンの招集を即断し、フェル、ゴン爺、ドラちゃん、スイと共に門へ急行したのである。

ムコーダはブリクストでの一件を想起し、場合によっては実力排除も辞さぬ構えを示して現場対応へ向かったのである。

門前対峙と挑発の応酬
ルバノフ教の一団が邸宅門前で騒擾を起こし、でっぷりと肥えた司教風の男が用心棒に門扉破壊とバルテル斬殺を命じた。ムコーダは駆け付けて制止し、タバサ・ペーターを待機させる一方、双子(ルーク、アーヴィン)には冒険者ギルドと騎士団への連絡を密かに指示したのである。

従魔の牽制と即時無力化
フェルとゴン爺は「やり過ぎ禁止」を前提に前進し、わずかな殺気のみを放って牽制した。結果、用心棒は剣を取り落として腰砕けとなり、成金一団は白目を剥いて失禁・気絶した。ドラちゃんとスイの出番は不要となったのである。

当局の到着と法的措置
冒険者ギルド職員とラングリッジ伯爵領第三騎士団が到着。事情聴取ののち、一団は「宗教名義の集り」と断じられ、全員が拘束・連行された。騎士団は伯爵家へ、ギルドは王都本部へ即時報告する旨を伝えた。

怒りと方針転換
ムコーダは、邸宅と家人を危険に晒した行為、とりわけ「バルテルを斬れ」という明確な殺意命令に激怒した。これを機に、以前は保留していたデミウルゴスのお告げ(“ちょろっと行ってとっちめてこい”)の実行に重心を移し、私怨ではなく再発防止の観点から本山側に楔を打つ決意を固めたのである。

作戦骨子と歯止めの設定
討つべきは組織の中枢であり、標的はルバノフ教本山の教会と教皇であると整理。一般市民への被害を避けるため「国そのものの壊滅」は明確に否定し、教会機能の破壊と、その隙に“本物の神”からの呼びかけで信者獲得を止める二段構えを構想した。好戦的な従魔らも、この歯止めを条件に同意した。

補給と装備、神意の再確認
長距離行のため、ムコーダは食糧を大量調理し、家人・奴隷へ留守中の手配を施した。冒険者ギルドにはゴン爺騎乗移動の申請のみ伝達し、目的地は「ロンカイネン他」と婉曲に告げた。夜、上等な日本酒・梅酒・缶つまを奉納し、デミウルゴスの快諾を得て作戦の正当性を再確認したのである。

経路検討と寄り道目標
移動手段としてはゴン爺の飛行を前提に二日規模を見積もる一方、野営炊事の要である魔道コンロの代替確保が課題となった。治安難とされる国境都市ロンカイネンに現物がある見込みから、教会破砕後に寄る計画を付加した。従魔らも「美味い飯の確保」を大義として賛同した。

出立
準備を一日で完了し、ムコーダは家人に留守を託して出発を宣言。フェル、ゴン爺、ドラちゃん、スイは上機嫌に応じ、一行はルバノフ神聖王国の本山を目指して邸宅を後にしたのである。

閑話 エルランド、その後・・・・・・

静寂の執務室と“逃亡未遂”
ドラン冒険者ギルドの執務室は異様な静けさに包まれていた。監視役として王都から派遣された大物エルフのモイラの前で、エルランドは半刻ごとに席を立とうとして「トイレ」を口実に逃れようとしたが、即座に看破され座に戻されたのである。

監視役モイラの登場意義
モイラは当初、事前の悪評を半信半疑としていたが、現場観察で確信に至る。ギルドマスターとしての責務を放棄するエルランドの態度に強い憤りを抱き、「エルフ一の恥さらし」と断じ、引退の身ながら長期の矯正に臨む決意を示したのである。

ウゴールの支援と体制確立
副ギルドマスターのウゴールは状況を把握し、モイラに正式な協力を依頼。モイラは「一からみっちり仕込む」と明言し、監督・教育の実働体制が固まった。

エルランドの“生気喪失”と矯正開始
逃げ道を断たれたエルランドは狼狽から絶望へと沈み、以後、活気を失った姿がギルド内で頻繁に目撃される。すなわち、モイラ主導の“再教育プログラム”が本格稼働したのである。

番外編 俺はこういうのでいいの!

昼下がりの台所と漬物作り
ムコーダは昼の空き時間を利用して、アルバンから大量に差し入れられたカブを消費するためキッチンへ向かった。フェルたち用の豪勢な食事とは別に、自分用のあっさりした朝食用漬物を仕込むためである。アルバンの畑の野菜は美味ではあるが量が多く、ムコーダはありがたさと苦笑を半分に感じていた。

塩昆布漬けの仕込み
作るのはカブの塩昆布漬け。洗ったカブを薄切りにし、葉も刻んで一緒に袋へ。塩昆布・砂糖・酢を加えて揉み込み、魔道冷蔵庫で一晩寝かせる。翌朝にはちょうど食べごろとなる計算である。
「よし。明日の朝飯が楽しみだな」と、満足げに作業を終えた。

翌朝の対照的な朝食風景
朝、フェル・ゴン爺・ドラちゃん・スイの従魔カルテットは、朝からコカトリスの照り焼き丼を豪快に食らっていた。肉尽くしの食卓の中、ムコーダはひとり静かに自分用の和食朝食を楽しむ。梅おかかと昆布の佃煮のおにぎり二つ、昨日漬けたカブの塩昆布漬け、そして香ばしいほうじ茶。味噌汁こそ切らしていたが、本人には十分な献立である。

小さな満足と静かな幸福
おにぎりを頬張り、漬物の酸味で口を整え、ほうじ茶をすする。シンプルながらも満ち足りた朝のひととき。ムコーダは「やっぱり朝飯はこれくらいがちょうどいい」としみじみ感じていた。

従魔たちの“過剰な心配”
しかし、フェルが心配そうに声をかける。「そんな貧相な飯で狩りに出て大丈夫なのか?」 続いてゴン爺、ドラちゃん、スイまでもが口々に心配を寄せ、スイに至っては触手から“薬”を生成しようとした。ムコーダは慌てて制止し、苦笑交じりに説明する。
「俺は人間だから、朝から肉なんて無理。あっさりしたのがちょうどいいんだってば」

“俺はこれでいい”という確信
食いしん坊カルテットの“肉こそ正義”な視線に囲まれながらも、ムコーダは自分の食スタイルを貫いた。
「あー、もう。俺はこういうのでいいの!」
その一言には、彼なりの穏やかな日常と幸福への満足が詰まっていたのである。

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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