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Y.Aフィクション(Novel)八男って、それはないでしょう!読書感想

小説「八男って、それはないでしょう! 25 」感想・ネタバレ

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Y.A

八男24巻レビュー
まとめ
八男26巻レビュー

Table of Contents

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  1. 物語の概要
    1. ■ 作品概要
    2. ■ 主要キャラクター
  2. 感想
  3. 考察・解説
    1. ストーリー・プロット
      1. 主要な転換点
      2. 主人公を中心とした人物関係の変化
      3. 主人公の認識と周囲の評価
      4. クライマックス
      5. 巻末時点の状況
    2. 旧アルニム領開発 
    3. 古代魔道具修復 
    4. 魔力回復量低下
    5. 王城襲撃事件
    6. ヴェンデリン消息不明 
  4. 登場キャラクター
    1. バウマイスター辺境伯家
      1. ヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスター
      2. エリーゼ・カタリーナ・フォン・ホーエンハイム
      3. イーナ・ズザネ・ヒレンブラント
      4. ルイーゼ・ヨランデ・アウレリア・オーフェルヴェーク
      5. ヴィルマエトル・フォン・アスガハン
      6. カタリーナ・リンダ・フォン・ヴァイゲル
      7. アマーリエ・フォン・マインバッハ
      8. テレーゼ・フォン・フィリップ
      9. エルヴィン・フォン・アルニム
      10. フィリーネ・フォン・ブライヒレーダー
      11. アグネス・フュルスト
      12. シンディ
      13. ベッティ
      14. フリードリヒ・フォン・ベンノ・バウマイスター
      15. カイエン
      16. レオン
      17. ロジーナ
      18. ローデリヒ
      19. ハルカ
      20. レーア
      21. ユーファ
    2. ヘルムート王国(王宮・地方)
      1. ヘルムート王国の国王
      2. ヴァルド・フォン・ヘルムート
      3. クリムト・クリストフ・フォン・アームストロング
      4. アームストロング伯爵
      5. ブランターク・リングスタット
      6. ブレンメルタール侯爵
      7. エドガー軍務卿
      8. ルックナー財務卿
      9. ホーエンハイム枢機卿
      10. ワーレン
      11. プラッテ伯爵
      12. ベッケンバウアー
      13. 爆炎のキンブリー
      14. 爆縮のダンテ
      15. ヴァイツ侯爵
      16. ドワイト子爵
      17. アルフォンス
      18. ニュルンベルク公爵
      19. イシュルバーグ伯爵
      20. レーガー侯爵
      21. アキラ
    3. 旧アルニム騎士爵領
      1. ボイル
      2. ドータン
      3. ハック
      4. アンナ
      5. ローザ
      6. ベッティの兄
      7. サーシャ
      8. リーラ
      9. ケイン
      10. ベッカー
      11. ブレリ
      12. ドルタナ男爵
      13. ホールミア辺境伯
      14. ヨッヘム
      15. ブーン男爵
      16. ナハルト準男爵
      17. サーボイド卿
      18. ベント卿
      19. アドミア卿
      20. リィニム卿
      21. ハンソン子爵
      22. リュース男爵
    4. ゾヌターク共和国(魔族)
      1. オットー・ハインツ
      2. カイツェル
      3. ヨーゼフ
      4. リライ
      5. ミランダ
      6. ミハエル
      7. ダドリー
      8. エリザベート・ホワイル・ゾヌターク九百九十九世
      9. ライラ・ミール・ライラ
    5. 登場集団
      1. ヘルムート王国の捜索隊
      2. アーカート神聖帝国の捜索隊
      3. 世界征服同盟
      4. 魔道具ギルド
      5. 魔導ギルド
      6. 冒険者ギルド
      7. 近衛騎士隊
      8. 魔法使い派遣社
      9. 旧アルニム騎士爵領の領民たち
  5. 展開まとめ
    1. 第一話 エルヴィン・フォン・アルニム苦労譚
    2. 第二話 アームストロング導師とブランターク、敗れる
    3. 三話 最悪の想定
    4. 第四話 捜索よりも漢飯!
    5. 第五話 王城奇襲
    6. 第六話 絶体絶命
  6. 同シリーズ
    1. 八男って、それはないでしょう!シリーズ
    2. 異世界帰りのパラディンは、最強の除霊師となるシリーズ
    3. 異世界帰りの勇者は、ダンジョンが出現した現実世界で、インフルエンサーになって金を稼ぎます!シリーズ
  7. その他フィクション

物語の概要

■ 作品概要

前巻で起きたクーデターの後始末のさなか、旧アルニム騎士爵領で臨時代官を務めていたエルヴィンに、彼を逆恨みするブレンメルタール内務卿が家督を強引に継がせようとする嫌がらせを仕掛けてくる。ヴェンデリンはクラウスの奇策を利用し、旧アルニム領を魔法によって大規模開発して利益を生み出すことで、王都の大貴族たちに新領主として認めさせることに成功した。

しかしその頃、魔族のオットーたちが極北から持ち帰った古代の巨大魔道具を稼働させたことで、世界中のマナが急激に減少し始める。原因を調べに向かったブランタークとアームストロング導師は、魔道具のセキュリティキーを抜き取って隠すものの、魔族の猛攻を受け、急流の川へ飛び込んだまま消息を絶ってしまう。

さらに鍵の行方を追って王都スタットブルクを襲った魔族の影響で、国王は昏睡状態に陥る。代王となったヴァルド王太子の帰還命令を受けて飛行中のヴェンデリンも、内務卿の裏切りによって飛行経路を漏らされ、十人の魔族に待ち伏せされる。激しい魔法攻撃で魔力を使い果たしたヴェンデリンは、炎上する森から一か八かで急流の川へ飛び込み、そのまま溺れて意識を失ってしまう。

国王の昏睡に加え、主要な魔法使いたちが相次いで行方不明となる未曾有の危機の中、王都に集まったエリーゼたち妻一同は、バウマイスター辺境伯家を守り抜く決意を固める。物語は、彼女たちがその覚悟を新たにするところまで描かれる。

■ 主要キャラクター

ヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスター

  • 立場・所属:バウマイスター辺境伯。
  • 主人公との関係:主人公。
  • この巻での主な役割:エルヴィンが家督を継ぐのを阻むため、旧アルニム領の開発を自ら引き受ける。その後はマナ減少に伴うブランタークらの調査にも加わり、炊事班としてカレーや背脂チャーハンを作るなど、後方支援に徹した。ヴァルドの命令を受け、王都へ単独で戻る途中にオットーたちの待ち伏せを受ける。魔力を使い果たした末に放火され、大火災の森から急流の川へ飛び込んで溺れ、意識を失ったまま行方不明となる。

エルヴィン・フォン・アルニム(エル)

  • 立場・所属:バウマイスター辺境伯家家臣。
  • 主人公との関係:ヴェンデリンの親友であり最古参の重臣。
  • この巻での主な役割:実家の改易に伴い、旧アルニム領の臨時代官に任じられる。内務卿の嫌がらせによって領主にされかけるものの、クラウスの奇策でこれを回避した。ボイルを家臣に、ドータンを御用商人として新たに迎え、二人をパウルブルクへ移住させることでアルニム家の体制を整える。代官職を終えてパウルブルクへ戻った後は、ヴェンデリンの捜索に同行し、彼の行方不明を知って王都で待機する。

ブランターク・リングスタット

  • 立場・所属:ブライヒレーダー辺境伯家お抱え魔法使い。
  • 主人公との関係:ヴェンデリンの魔法の師匠の一人、および戦友。
  • この巻での主な役割:マナ減少の原因を調べるため、導師とともにギガントの断裂へ派遣される。そこで巨大魔導具と10人の魔族を発見し、死闘を繰り広げた。戦闘中は意識を失ったふりをしながら、操作盤のセキュリティキーを密かに抜き取り、自身の血だまりが残る地中に埋めて隠す。導師を救出して川へ飛び込んだ後、滝から落下し、行方不明となる。

クリムト・クリストフ・フォン・アームストロング(導師)

  • 立場・所属:ヘルムート王国宮廷筆頭魔導師。
  • 主人公との関係:ヴェンデリンの師匠の一人、陛下の親友。
  • この巻での主な役割:ブランタークとともに原因調査へ向かい、魔族たちと遭遇する。ブランタークの作戦に従って土煙を上げる陽動を担い、極限状態のなかで、自分以外も守れる通常の「魔法障壁」を新たに習得した。ブランタークに抱えられて川へ飛び込み、滝から落下して、ともに行方不明となる。

クラウス

  • 立場・所属:バウマイスター辺境伯領の内政手伝い(元名主)。
  • 主人公との関係:ヴェンデリンの家臣。
  • この巻での主な役割:内務卿の嫌がらせをかわすため、「旧アルニム領を魔法で大規模に開墾し、人口を二千人まで急増させたうえで、王都の大貴族に領地を押し付ける」という計略を提案する。臨時アドバイザーとしてエルヴィンに同行し、ハックとの交渉、ドータンの独立、移住希望の若者の選別を的確に進め、計画を完全に成功させた。

オットー・ハインツ(オットー)

  • 立場・所属:魔族の過激派「世界征服同盟」党首。
  • 主人公との関係:敵対者。
  • この巻での主な役割:極北から強奪した別世界への移転装置(巨大魔導具)を修復し、稼働させる。ブランタークたちを焼き尽くしたと誤認していたが、セキュリティキーを盗まれたことに気づく。人間に変装して王都へ潜入し、ブレンメルタール内務卿を脅して手引きを強要。王城の謁見の間を急襲して天井を破壊し、国王を昏睡させた。その後、内務卿から情報を得て、帰還中のヴェンデリンを待ち伏せする。魔力不足の彼を川へ追い詰め、行方不明にした。

ブレンメルタール内務卿(侯爵)

  • 立場・所属:ヘルムート王国内務卿(侯爵)。
  • 主人公との関係:ヴェンデリンに敵対心を抱く上級貴族。
  • この巻での主な役割:ブレンメ男爵家の一件でヴェンデリンを逆恨みし、エルヴィンを旧アルニム領の正式な領主に据えることで、彼らの力を削ごうと画策する。自身の屋敷を急襲したオットーたちに脅迫されると、これを利用して政敵やバウマイスター辺境伯を排除しようとし、二枚舌で協力した。魔族に家臣の服を与え、王城の謁見の間へ引き入れる。さらに保身のため屋敷に魔族を匿い続け、「鍵はバウマイスター辺境伯が持っている」と偽って、帰還中の彼の飛行ルート情報を魔族へ流し、暗殺を謀る。

ワーレン

  • 立場・所属:ヘルムート王国近衛騎士隊中隊長。
  • 主人公との関係:ヴェンデリンの知己、陛下の護衛。
  • この巻での主な役割:行方不明となった導師らの現場を捜索し、土中に隠されていたセキュリティキーを発見・回収して魔導ギルドへ送る。王城を急襲した10人の魔族に対し、命を賭して陛下を守りながら、土下座の芝居や予備武器の投擲を駆使して援軍が来るまで時間を稼いだ。陛下が昏睡した責任を取ろうとするが、ヴァルドに慰留され、王都周辺の警備・捜索任務に奔走する。

ヴァルド・フォン・ヘルムート(王太子)

  • 立場・所属:ヘルムート王国王太子、代王。
  • 主人公との関係:ヴェンデリンの知己。
  • この巻での主な役割:魔族の襲撃で天井が崩落し、落下した石によって昏睡した国王に代わり、代王として政務を担う。内務卿の意見を無視できず、捜索隊を大幅に縮小。王都の守護神とするため、ヴェンデリンに早急な単独帰還を命じた。ヴェンデリンが行方不明になったとの知らせを受け、自分が急がせたせいだと激しく落ち込む。

書籍情報

八男って、それはないでしょう! 25
著者:Y.A 氏
イラスト:藤ちょこ 氏
出版社:KADOKAWAMFブックス
発売日:2022年4月25日
ISBN:9784046813558

(PR)よろしければ上のサイトから頂けると幸いです。

あらすじ・内容

ブレンメ男爵家の一件ですっかりブレンメルタール内務卿に恨まれてしまったヴェルは、エルにアルニム騎士爵領を相続させようという、いかにも大貴族らしい嫌がらせをされていた。エルを失うわけにはいかないヴェルは、クラウスをエルの補佐として派遣し献策で支えつつ、自らはアルニム騎士爵領の開発を行い、新領主を呼び込むべく尽力するのだった。
一方、オットーたちは北の大陸で発掘した巨大魔道具の修理を完了させ、稼働段階へと移行させていた。その効果は『世界中の魔法使いの魔力回復量が半減する』というもので、各国の開発や経済に多大な停滞と混乱を招く。これに伴い、ただちに導師とブランタークが原因究明に動くも、二人は突如として消息を絶ってしまう。
さらに、そんな彼らの捜索に出たヴェルさえも行方がわからなくなってしまうのだった……。
王国屈指の魔法使いの消失に端を発し、世界はオットーの手に落ちるのか!? 過去最大のピンチ! 万事休すの第二十五幕!

八男って、それはないでしょう! 25

感想

ここ数巻のマッタリした雰囲気が、完全に吹き飛んだ。

前巻からハグレ魔族による領地紛争やクーデターが増え、少しずつきな臭くなっていたが、25巻ではこれまで裏で動いていた魔族たちがついに表へ出てくる。

しかも最初に起きるのが、

魔法使いの魔力が回復しない。

という地味に見えて致命的な異変。

そこから導師とブランタークが行方不明。

王城が襲撃されて国王まで昏倒。

最後にはヴェルまで十人の魔族に襲われ、魔力切れのまま川へ飛び込んで消息不明になる。

王国のトップが倒れ、王国屈指の魔法使い三人がまとめて消えた。

これ、シリーズ最大級の危機じゃないか?

エルを領主にしてヴェルの利権へ。本人だけが全然その気じゃないのが面白い

序盤は前巻のクーデターの後始末である。

エルの父親と兄たちが反乱側についたため、旧アルニム騎士爵領は改易。唯一参加していなかったエルが、臨時代官として故郷を管理することになった。

ところがホールミア辺境伯たちは、

エルを正式な領主にしてしまおう。

と動き始める。

もちろん、単純にエルの能力を評価しているだけではない。

エルはヴェルの親友であり、バウマイスター辺境伯家の古参重臣。

ならば自分たちの寄子として領主にしておけば、エルを通してヴェルとの関係を強められる。

分かりやすいな。

本人は、

田舎の騎士爵になるよりヴェルの重臣のままがいい。

と思っているのに、周囲だけがエルを利用しようとしている。

さらに妻アンナの実家まで動く。

義父ハックは、これまで領内で独占的に商売してきた既得権を守りたい。ついでにバウマイスター領の特産品まで独占的に扱わせてほしい。

でもエルは代官でしかない。

そんな権限ないよ。

それでも「ヴェルに頼めばいいじゃないか」と迫ってくる。

面倒くさい義父だな……。

結局エルは、故郷を出たがっていた若者たちを家臣や移住者として引き取り、ハックと考えが合わない息子ドータンまで自分の御用商人として連れていく。結果、百人近い若者がバウルブルク方面へ移ることになる。

新領主からすれば、旧体制に不満を持つ若者をまとめて引き取ってくれるので助かる。

エルからすれば人材確保。

移住者からすれば新天地。

何気に全員得してるな。

そして肝心の領地は、ヴェルがわざと開発して価値を高めた結果、大貴族たちによる争奪戦が始まり、別の男爵が継ぐことになる。

領主にされそうなら、

領地の価値を上げて他人に奪わせればいい。

クラウス、相変わらず策がえげつないw

魔力が回復しない。そして調査に行った導師とブランタークが消えた

そんな政治的なゴタゴタの裏で、とんでもない問題が進んでいた。

魔法使いの魔力が回復しない。

最初は一晩で半分。

やがて五分の一ほどしか戻らなくなる。

ヴェルほどの魔力量があっても、使ったら補充できない。

魔導飛行船も動かしづらい。

魔石や魔晶石の価格も上がる。

領地開発も止まる。

魔法に依存している世界だけに、かなり深刻である。

原因は、オットーたちが極北から持ち出した巨大な古代魔道具だった。

世界中のマナを吸い集めて内部に蓄積するため、普通の魔法使いは回復できない。一方、オットーたち十人は装置とつながった指輪から魔力を受け取れる。

周囲は魔力不足。

敵だけほぼ無制限。

ズルくない?

その調査へ向かったのが、

アームストロング導師。

ブランターク。

この二人なら大丈夫だろ。

と思うじゃん。

行方不明になった。

ただしブランタークもタダではやられない。

魔族との戦闘で重傷を負いながら、巨大魔道具の操作盤からセキュリティキーを抜き、自分の血が染みた地面へこっそり埋めていた。

そして後から来たワーレンたちが、その鍵を発見する。

これによってオットーたちは本来の目的である異世界への移転を実行できなくなる。

ブランターク。

行方不明になりながら、かなり重要な嫌がらせしてるな。

鍵を取り返すため王城を襲撃。脅された内務卿が普通に裏切り始めた

鍵が人間側へ渡ったと知ったオットーたちは、今度は王都へ潜入する。

魔族の特徴といえば長く尖った耳。

しかし変装用の指輪で人間に見せれば、それも隠せる。

王城へ直接入るのは難しいので、狙ったのがブレンメルタール内務卿。

最初は家族を人質に取られて脅迫された。

ここまでは被害者とも言える。

問題はここから。

内務卿、

普通に魔族を利用し始める。

ワーレンが邪魔。

導師も嫌い。

ヴェルも気に入らない。

なら魔族に消してもらえばいい。

いやいや。

王国の高位貴族がそれをやったら駄目だろ。

自分の家臣に変装させ、魔族十人を王城へ連れ込んでしまう。

そして謁見の間を襲撃。

ワーレンは国王を守りながら時間を稼ぐが、援軍が来ると魔族たちは天井を破壊して逃走する。

その瓦礫が、

国王に直撃。

治癒魔法で外傷は治ったものの、意識が戻らない。

国王昏睡。

ヴァルド王太子が代王へ。

遂に国のトップまでやられた。

しかも内務卿は懲りない。

魔族を自宅に匿い、

「鍵はヴェルが持っているかもしれない」

と嘘を教える。

さらにヴェルの帰還経路まで流す。

脅迫されて協力したという段階を完全に越えている。

もう普通に裏切り者では?

導師、ブランターク、国王、そしてヴェルまで。これはさすがにヤバい

国王が倒れたことで、王都の防衛を強化する必要が出てくる。

そこでヴェルにも緊急帰還命令。

だが魔導飛行船は魔力不足。

仕方なくヴェル一人で飛んで戻る。

そこへ、

魔族十人が待ち伏せ。

内務卿が経路を教えたからである。

ヴェルはただでさえ魔力が回復していない。

相手は十人。

しかも相手だけ巨大魔道具から魔力を補給し放題。

普段ならヴェルも何とかするんだろうけど、今回は条件が悪すぎる。

魔晶石も使い切る。

飛翔もできない。

魔法障壁も限界。

地上へ逃げても、魔族たちは森ごと焼き払おうとする。

最後に見つけた逃げ道が、

川。

導師とブランタークも川へ飛び込んだよな。

ヴェルもかよ。

しかも今回は完全に魔力切れで、急流に飲まれ、そのまま意識を失う。

25巻終了。

え?

ここで終わるの?

国王は昏睡。

導師は行方不明。

ブランタークも行方不明。

ヴェルまで行方不明。

世界中で魔力が回復しない。

敵の魔族十人だけは大量の魔法を使える。

さらに王国中枢には、そいつらへ情報を流した内務卿までいる。

今までなら、

ヴェルがいるから何とかなる。

導師がいるから何とかなる。

ブランタークなら何とかする。

という安心感があった。

その三人をまとめて盤上から消してしまった。

そこが今回一番怖かった。

しかもヴェルがいなくなった途端、内務卿たちはバウマイスター辺境伯家の今後や利権まで考え始めている。

敵が外だけじゃないんだよな。

エリーゼたちはヴェルの生存を信じ、帰ってくるまで領地と家族を守ると決める。

ここまで一気に追い込まれた巻は、かなり珍しい。

前巻では地方貴族がハグレ魔族を使って騒いでいた。

今回は、

世界規模のマナ減少。

王城襲撃。

国王昏睡。

王国重臣の裏切り。

主人公消息不明。

完全に段階が変わった。

マッタリしていた反動がデカすぎる。

26巻、どうやってここから立て直すんだ?

最後までお読み頂きありがとうございます。

(PR)よろしければ上のサイトから頂けると幸いです。

八男24巻レビュー
まとめ
八男26巻レビュー

考察・解説

ストーリー・プロット

主要な転換点

作中では、未知の古代遺物の起動、政治的陰謀、要人の負傷をきっかけに、世界の魔力環境と国家の統治体制が段階的に危機へと追い込まれていく。ここでは、世界規模のマナ枯渇から要撃戦、そして主人公の行方不明に至るまでの主な転換点を整理する。

古代の巨大魔道具の修復と稼働

  • それ以前の状況
    世界のマナは安定しており、魔法使いたちは一晩眠れば魔力を完全に回復できた。
  • 出来事
    オットーたちは北の大陸から回収した巨大魔道具をギガントの断裂の奥深くに設置し、起動させた。すると装置は世界中のマナを吸収し始めた。
  • 変化
    人間・魔族を問わず、すべての魔法使いの魔力回復速度が従来の五分の一まで落ち込んだ。その結果、魔石の価格は急騰し、各種開発やインフラも停滞するなど、深刻な混乱が広がった。
  • 次への影響
    事態を受け、王国政府は原因究明のためにブランタークとアームストロング導師をギガントの断裂へ派遣する。

ブランタークによるセキュリティキーの奪還と隠蔽

  • それ以前の状況
    巨大魔道具は、セキュリティキー(起動鍵)が差し込まれた状態で正常に稼働していた。
  • 出来事
    十人の魔族との死闘のさなか、ブランタークは戦闘不能を装って操作盤の扉から鍵を抜き取り、自身の血だまりが残る地中に埋めて隠した。
  • 変化
    魔道具の安全装置である鍵が失われたため、マナの吸収は続いたものの、魔族たちが本来目指していた別世界への移転や召喚を制御できなくなった。
  • 次への影響
    この鍵は後に捜索に訪れたワーレンが発見・回収する。これが、魔族たちが鍵を奪い返すために王都へ潜入し、王城とヴェンデリンを襲撃する直接の動機となった。

魔族たちの王城謁見の間急襲と国王の昏睡

  • それ以前の状況
    王都スタットブルクの警備は機能しており、国王は健在であった。
  • 出来事
    ブレンメルタール内務卿の手引きで王城に侵入したオットーたちが謁見の間でワーレンと衝突し、逃走の際に魔法で天井を破壊した。崩落した石が国王に直撃し、昏睡状態に陥った。
  • 変化
    国王が意識を失ったことで、ヴァルド王太子が代王として政務を担う緊急事態となった。さらに王都の警備が優先され、捜索隊は縮小を余儀なくされた。
  • 次への影響
    ヴェンデリンには王都へただちに戻るよう命令が下され、彼は単独で飛翔しながら南下することになる。

ブレンメルタール内務卿による情報提供と待ち伏せの結託

  • それ以前の状況
    魔族の王都潜伏は徹底的な戒厳令により包囲されつつあり、ヴェンデリンの飛行経路は極秘とされていた。
  • 出来事
    魔族を自邸にかくまっていた内務卿は、自らの裏切りを隠し、ヴェンデリンを排除するため、鍵はバウマイスター辺境伯が持っているという偽情報を魔族に伝えた。さらに、彼の帰還経路も魔族に漏らした。
  • 変化
    魔族たちはヴェンデリンの飛行経路を正確に把握し、河川上空で待ち伏せによる奇襲を仕掛けられるようになった。
  • 次への影響
    ヴェンデリンは魔力を使い果たした末に急流の川へ追い詰められ、溺れて意識を失い、行方不明となる。この出来事が物語のクライマックスへとつながった。

古代装置の稼働による環境の激変から始まった危機は、重要アイテムの隠蔽、要人襲撃、そして内通者の裏切りによる待ち伏せへと連鎖していく。これらの出来事は単なる魔力トラブルにとどまらず、国家中枢の機能不全と主人公の消息不明という未曾有の混乱を招く決定的な要因となった。

主人公を中心とした人物関係の変化

物語が進むにつれ、主人公ヴェンデリンを取り巻く人間関係は大きく変化していく。長年の盟友との絆が深まる一方、政治的な対立者との関係は修復不能な敵対へと発展する。本稿では、主要人物との関係がどのように移り変わったのかを整理する。

主人公とエルヴィン・フォン・アルニム(エル)

  • 開始時の状況
    エルヴィンは、ヴェンデリンにとって最も古くからの親友であり、信頼する家臣でもあった。ただし、旧アルニム騎士爵領の臨時代官を務めていたため、二人の間には物理的な距離があった。
  • 主な出来事
    内務卿がエルヴィンに家督を強制的に継がせようとしたことを阻止するため、ヴェンデリンはクラウスの策を採用。自腹と魔法を駆使して旧アルニム領の外縁部を大規模に開墾した。臨時代官として領地運営に携わったエルヴィンは、領主としてのヴェンデリンの苦労を身をもって知る。その後、自身の家臣や御用商人を集め、バウルブルクへの移住を完了させた。
  • 巻末時の状況
    エルヴィンの強制的な独立や引き抜きは、完全に回避された。彼は代官という重責から解放され、親友としての信頼をさらに深めるとともに、自分のために策を尽くしたヴェンデリンへ深い尊敬と感謝を抱くようになった。

主人公とブレンメルタール内務卿

  • 開始時の状況
    かつてのブレンメ男爵家の没落を恨む内務卿は、エルヴィンを旧アルニム領の新領主に据え、バウマイスター家から引き離そうと画策していた。そのための嫌がらせを、一方的に繰り返していた。
  • 主な出来事
    ヴェンデリンが魔法によって領地を大規模に開発したことで、大貴族たちの間では領地をめぐる争奪戦が起きた。これにより、エルヴィンへの強制継承を狙っていた内務卿の策は破綻する。激怒した内務卿は、自邸に潜んでいた魔族を利用し、ヴェンデリンを暗殺させるために彼の飛行ルートを漏らした。
  • 巻末時の状況
    内務卿はヴェンデリンが死んだと思い込み、バウマイスター辺境伯家の取り潰しや利権の分配を皮算用しながら、水面下でさらなる陰謀を巡らせている。両者の対立は、もはや修復不可能な決定的段階に達している。

旧アルニム領の統治問題をきっかけに、エルヴィンとの主従関係と友情は、これまで以上に強固なものとなった。一方で、内務卿の私怨は国家への反逆や主人公の暗殺未遂にまでエスカレートしており、両陣営の対立は決定的な局面を迎えている。

主人公の認識と周囲の評価

物語が進むにつれ、主人公ヴェンデリンが抱く自己像と、周囲の有力者や領民からの評価との間には、大きな隔たりが生まれている。本人は自分を小市民的な人物だと考えている一方で、規格外の魔力と行動力は国家規模の影響を及ぼし、周囲からは多面的かつ非常に大きな存在として見られている。以下では、その実態と象徴的な場面を整理する。

主人公自身の認識

  • 自分は、運よく大魔法使いとなり辺境伯にまで上り詰めただけの、元サラリーマンの平凡な小市民だと考えている。
  • 旧アルニム領の開発も、親友のエルを引き抜かれないようにするためのボランティア程度に捉えている。探索活動での食事提供についても、皆の士気を保ち、作業を早く進めるための気軽で効率的な後方支援だと考えている。

周囲からの評価

  • 領民や地元の有力者たちは、バウマイスター辺境伯が魔法を使えば、あらゆる開発上の課題が一瞬で解決し、多大な支援をもたらしてくれると考えている。そのため彼は、頼るべき強力な存在であり、守りの要として崇められている。
  • ブレンメルタール内務卿ら保守的な貴族からは、王国の前例や序列を破壊する危険な秩序破壊者と危険視され、国王の寵愛を受けて台頭する脅威として見なされている。
  • ヴァルド王太子からは、危機的な状況でも精神的な安定をもたらし、王国を守るうえで欠かせない筆頭魔導師として、全幅の信頼を寄せられている。

認識の差が現れた場面

  • 旧アルニム騎士爵領の件では、エルを助けるためにヴェンデリンがボランティアとして開発を手伝った場面に、この認識のずれがはっきりと表れている。
  • ヴェンデリン本人にとっては、あくまで無償で手伝っただけのつもりだった。しかし内務卿やほかの閣僚、領民の目には、わずか三日半で人口二千人の男爵領に匹敵する広さを開墾し、大貴族たちの利権争いまで引き起こした、規格外の力として映った。この出来事によって、彼の影響力の大きさが改めて浮き彫りになった。

まとめ

ヴェンデリン本人は、あくまで平穏な暮らしを望む一人の貴族として行動している。しかし、その卓越した魔法力は周囲にもたらす大きな恩恵と同時に、強い警戒心も招いている。この認識の隔たりこそが、彼を本人の意図とは裏腹に、政治や軍事の中心人物へと押し上げていく構図を如実に示している。

クライマックス

内務卿の裏切りと魔族の急襲によって、主人公ヴェンデリンは絶体絶命の危機に陥る。魔力が尽きかけた極限状態で繰り広げられた攻防と、彼が消息を絶つまでの経緯を以下に整理する。

発生原因

ブレンメルタール内務卿の裏切りにより、王都から逃れた魔族オットーたちへ、単独で王都に戻る途中だったヴェンデリンの極秘飛行経路が漏洩したことが原因である。

当初の状況

世界的に魔力の回復量が低下するなか、ヴェンデリンは残された魔力を慎重にやりくりしながら、単身で飛翔魔法を使い王都へ向けて南下していた。一方、エルやベッケンバウアーらは魔導飛行船の出発を待つため、その場に残っていた。

登場人物それぞれの行動

  • オットーたち十名の魔族
    ヴェンデリンの飛行経路にある川の上空で待ち伏せし、ウィンドカッターやファイヤーボールを不意に放って襲いかかった。十人がかりで上空から一斉に魔法を浴びせ、執拗に追い回しながら鍵の所在を問い詰めた。
  • ヴェンデリン
    間一髪で奇襲をかわした。しかし、魔力の回復量は通常の五分の一にまで落ち込み、残っていた魔晶石も使い切ってしまう。尽きかけた魔力で必死に逃げ延び、森に降りて徒歩で仲間との合流を目指した。

予定外の出来事

魔族たちはマナが減少している状況にもかかわらず、巨大な魔道具である指輪から膨大な魔力を得ていた。そのため魔力不足を気にすることなく、強力な魔法を次々と放ち続けた。

危機

ヴェンデリンの魔力は、ほとんど尽きていた。オットーたちに鍵の行方を問い詰められても口を割らず、時間を稼ぐこともできない。魔族たちは彼を焼き殺そうと森一帯に火を放ち、森は瞬く間に炎に包まれた。

対応

炎と煙に追い詰められ、窒息寸前となったヴェンデリンは、上空から見張る魔族の目を欺いて火の手から逃れるため、魔力のないまま一か八かで急流の川へ飛び込んだ。そして、水底近くを泳いで逃げようとした。

決着

しかし、急流の激しい流れにのまれ、ヴェンデリンは身動きが取れなくなって溺れてしまう。息ができず、酸素も足りないなかで意識は次第に薄れていった。エリーゼ、息子のフリードリヒ、そして師匠に心の中で詫びながら、彼はそのまま水底へと沈んでいった。

その直後の結果

ヴェンデリンは消息を絶ち、魔族は彼が炎に焼かれて死んだものと思い込んだ。一方、王都へ小型飛行船で駆けつけたエリーゼたち妻は、夫の生存を信じていた。ヴェンデリンが帰るまで力を合わせ、バウマイスター辺境伯家を守り抜く決意を固める。

まとめ

情報漏洩と敵の尽きることのない魔力によって、ヴェンデリンはかつてない窮地へと追い込まれた。そして急流へ飛び込んだ末に、消息を絶つことになる。当主を失ったバウマイスター辺境伯家は最大の危機を迎えるが、残された妻たちは結束を強め、次の局面へ踏み出そうとしている。

巻末時点の状況

物語は激動の結末を迎えた。ここでは、主人公をはじめとする主要人物の現状、解決した問題、そしてなお残る深刻な課題を整理する。

主人公の現状

激しい戦闘と遭難により、主人公を取り巻く状況は一変した。

  • 主人公の所在
    急流に飛び込んだ末に溺れ、意識を失ったまま水底へ沈んだ。現在も行方不明となっている。
  • 主人公の立場
    生死は依然として分かっていない。

主要人物との関係性

主人公の遭難を受け、味方陣営と敵対者の双方で、それぞれの思惑と反応が交錯している。

  • 妻たちの動向
    夫が生きていると信じ、帰りを待ち続けている。
  • 捜索関係者の対応
    エルヴィンとホーエンハイム枢機卿を中心に、懸命な捜索が続けられている。
  • ヴァルド代王の心情
    自分の要請でヴェンデリンを急がせ、結果として遭難を招いたことを深く後悔している。
  • ブレンメルタール内務卿の策動
    ヴェンデリンは死んだと確信し、バウマイスター家の取り潰しを水面下で画策している。

解決した問題

政治的陰謀に端を発した問題には、すでに決着がついている。

  • 旧アルニム領の統治問題
    エルヴィンに対する強制的な独立や、アルニム家の家督継承を巡る嫌がらせは、ドルタナ男爵が新たな領主に決まり、バウルブルクへの人員移住も完了したことで完全に解決した。

継続している問題

領地内の問題が片付く一方で、国や世界規模の危機はますます深刻になっている。

  • 世界的な環境異変
    世界的にマナの枯渇が進み、すべての魔法使いで魔力の回復量が低下し続けている。
  • 国家最高権力者の麻痺
    国王は今なお昏睡状態から目覚めていない。
  • 主力戦力の消息不明
    アームストロング導師とブランタークは、いまだ行方不明のままである。

今後につながる要素

今後の動乱を予感させる火種は各地に残っており、次の展開へつながる重要な伏線となっている。

  • 魔族勢力の脅威
    オットーたち魔族はセキュリティキーを回収できておらず、今後も暗躍を続けるおそれがある。
  • 内部の裏切りに対する追及
    ブレンメルタール内務卿による情報漏洩と敵対行為について、ホーエンハイム枢機卿が調査を始めている。

まとめ

親友の家督問題が無事に解決し、ひと息つけるかと思われた矢先、内務卿の裏切りと魔族の奇襲によって、主人公は生死不明となる最大の危機に陥った。残された妻たちと味方陣営は結束を固め、捜索と防衛に奔走している。一方で、国家機能の麻痺や古代装置によるマナ枯渇といった、世界を揺るがす深刻な問題は未解決のまま、次の局面へ持ち越されることになった。

旧アルニム領開発 

旧アルニム領開発の概要

『八男って、それはないでしょう! 25』で描かれる旧アルニム領の開発は、バウマイスター辺境伯家の古参家臣であるエルヴィン(エル)を、大貴族の思惑と嫌がらせから守るために行われた大規模な魔法開墾計画である。これは単なる領地開発ではない。複雑に絡み合う中央政界の力関係を巧みに利用し、危機を打開した一連の出来事でもある。ここでは、その経緯と狙いを整理して解説する。

開発の背景:エルの望まない騎士爵継承という罠

エルの実家である旧アルニム騎士爵領は、父親と兄たちがホールミア辺境伯の異母弟ヨッヘムのクーデターに加担したことで改易処分となった。

  • 一族で唯一クーデターに関与していなかったエルは、混乱を避けるため王国から臨時代官に任じられ、現地で統治の後始末を担っていた。
  • 王都ではヴェンデリンを逆恨みするブレンメルタール内務卿と、求心力低下に喘ぐホールミア辺境伯が結託する。
  • 内務卿らはエルにアルニム騎士爵家を無理に継がせ、バウマイスター家から引き離したうえで、西部の復興や辺境伯家との橋渡し役として利用しようと企んだ。
  • 零細貴族の領主になるより、辺境伯家の重臣として働くほうがはるかに得策だと考えていたエルは、この強引な継承を拒んだ。ヴェンデリンも、彼をどう救うべきか頭を悩ませることになる。

クラウスの対抗策:大貴族の強欲を煽る奇策

途方に暮れる二人に活路を示したのは、バウマイスター領で内政を担うクラウスだった。

  • 価値を跳ね上げて争奪戦を起こす方針
    何もない無人の土地を一から開墾する事業は、投資を回収できずに失敗する例も多く、大貴族にとっても簡単ではない。だが、魔法によって開発が進み、人口増加まで見込める優良領地となれば話は別だ。王都には、その権利をぜひ手に入れたいと考える大貴族が大勢いる。
  • 他人の手で内務卿の横紙破りを防ぐ策略
    ヴェンデリンの魔法で旧アルニム領を有望な優良領地へ変貌させ、その情報を王都へ流す。すると有力貴族たちは、一族や寄子を新領主に据えようと権利を奪い合う。こうして有力貴族同士を競わせれば、内務卿といえどもエルを新領主として押し通すのは政治的に難しくなる。これがクラウスの描いた、したたかな筋書きだった。

開発の実行とヴェンデリンたちの休暇

開墾計画を立てたヴェンデリンは、カタリーナ、アグネス、シンディ、ベッティらを連れ、在野の魔法使いを装って旧アルニム領の外縁部へ向かった。

  • 圧倒的な速度でのインフラ整備
    鬱蒼とした森林を魔法で一気に切り開き、肥沃な農地を作り、用水路を整備し、隣接する領地へと繋がる強固な道を瞬く間に作り上げていった。
  • 早期完了による余暇の確保
    家政顧問のローデリヒには、余裕を見て一週間かかる計画書を提出していた。しかし実際には、優れた魔法使いたちの連携によって作業はわずか三日半で完了する。残った日々にはアマーリエやフィリーネたちも密かに合流し、湖畔で料理を楽しみながら穏やかな時間を過ごした。
  • 魔族の簡易住宅の導入
    移住者向けの住宅不足を補うため、魔族の国で人口減少により使われなくなっていた組み立て式簡易住宅(プレハブ)を、魔王エリザベートらの協力で安価に調達した。それを移住してきた大工たちに組み立てさせた。

王都での領地争奪戦とドルタナ男爵領の誕生

開発の成果は、ヴェンデリンの狙いどおり、ホーエンハイム枢機卿と教会の情報網を通じて王都の大貴族たちへ伝えられた。

  • 閣僚会議における態度の急変
    旧アルニム領が一ヵ月後には人口二千人を超える優良領地に発展するという事実が突きつけられると、王都の貴族たちの態度は一変した。
  • 有力貴族による権利の奪い合い
    これほどの規模の土地を実績のない若き騎士に治めさせるのは不都合であるという大義名分のもと、エドガー軍務卿やルックナー財務卿らがこぞって自分の寄子を新領主にするよう主張し、激しい争奪戦が勃発した。
  • ドルタナ男爵領としての再出発
    最終的に、新領主にはエドガー軍務卿の寄子であるドルタナ男爵が任命され、旧アルニム領はドルタナ男爵領として再編された。これにより内務卿の思惑は崩れ、エルをバウマイスター家に残すことにも成功した。

人材獲得とアルニム家の組織化

代官としての任期を終えるにあたり、エルはクラウスの助言を受け、旧アルニム領から人材を迎え入れるとともに、自身の勢力基盤づくりを進めた。

  • 優秀な家臣と御用商人の確保
    実直で実務能力にも優れる、旧従士長家の四男ボイルを正式な家臣として迎えた。さらに、古い独占権に固執する父と対立していたドータンを説得し、資金を融通してアルテリオ商会の傘下でアルニム家御用商人として独立させた。
  • 若者たちの集団移住
    将来に希望を見いだせない農家の三男以下や、望まない結婚を強いられそうになっていた若い女性など、領地を出たがっていた意欲ある若者を約百人、家臣として迎えたり就職を斡旋したりする形でバウルブルクへ移住させた。
  • 新領主との利害の一致
    前領主の影響を強く受け、反発するおそれのあった血気盛んな若者たちをエルが引き取る形になったため、新領主のドルタナ男爵からも深く感謝された。

まとめ

旧アルニム領の開発を通じて、エルは臨時代官としての重責を果たした。そして、ヴェンデリンがこれまで背負ってきた領主としての苦労を身をもって知り、親友としての絆をいっそう深めることになる。実家の領地そのものは他家へ移ったが、エルの采配によって故郷の有望な若者たちは救われ、バウルブルクにはアルニム出身者による強固なコミュニティが築かれた。ヴェンデリンの圧倒的な魔法力、クラウスの鋭い政治眼、そしてエルの実直な人柄。それぞれの強みがかみ合い、誰かを犠牲にすることなく政治的な危機を乗り越えた、印象深いエピソードである。

古代魔道具修復 

『八男って、それはないでしょう! 25』で世界をかつてない混乱へと陥れた最大の要因は、オットー率いるハグレ魔族の過激派が、古代魔道具を修復・稼働させたことにある。本稿では、この超大型魔道具が起動するまでの経緯と、世界にもたらした深刻な影響を整理して解説する。

魔道具の正体と強奪経路

修復された装置は、古代魔法文明期に造られた、別世界への移転・召喚を可能にする魔道具だった。

  • もともとは、人が足を踏み入れることさえ難しい極北の地に眠る遺産だった。
  • 新たな魔族の国を築こうと旅立ったオットーたちは、調査に入った人間側の目を盗み、北極点にあった高さ30メートルほどの水晶球状の巨大装置を丸ごと奪い去った。

ギガントの断裂での修復と稼働

世界征服同盟を名乗るオットーたちは、強奪した装置を人目につかないギガントの断裂の最奥底へと運び込み、密かに修復および調整作業を進めていた。

  • 完全稼働に必要な膨大な魔力を確保するため、装置には大気中のマナを強制的に集め、蓄積する仕組みが備わっていた。
  • 修復を終えたオットーたちが装置を起動した瞬間、世界中の大気に漂うマナが、装置へ一気に吸い寄せられる事態となった。

世界を襲ったマナの枯渇とシステム仕様

この魔道具の稼働により、人間領・魔族領を問わず、リンガイア大陸中の魔法使いたちが深刻な危機に直面することになった。

  • 魔力回復速度の致命的な低下
    大気中のマナが薄くなったことで、魔法使いが消費した魔力を自然に回復させる速度は、通常の半分から五分の一程度まで急落した。一晩眠っても魔力が回復しなくなり、魔晶石などの魔力源は高騰。社会インフラ全体が麻痺しかねない状況を招いた。
  • リンク指輪による魔力供給
    オットーたち10人の魔族は、装置と連動した10個の指輪を身につけており、装置が吸収した膨大なマナから直接魔力を補給できた。周囲が魔力不足に苦しむ一方で、彼らだけは古代魔法を際限なく連発できるという、圧倒的な優位に立っていた。

ブランタークの機転による未完の稼働

オットーたちは装置で別世界への扉を開き、さらなる力を得て世界征服を成し遂げようとしていた。しかし、その野望は思わぬ形で頓挫する。

  • 調査に訪れたアームストロング導師とブランタークの死闘のさなか、負傷したブランタークは意識不明を装った。そして、装置の安全制御を担うセキュリティキーを操作盤から抜き取り、地中へ隠した。
  • 鍵を失った装置は、周囲のマナを吸い込み続ける暴走状態のまま固定された。その結果、別世界との安定した接続や召喚といった制御は不可能になった。
  • この出来事こそが、オットーたちがセキュリティキーの奪還を目的に、王都やヴェンデリンを執拗に襲撃する直接の引き金となった。

まとめ

オットーたちによる古代魔道具の稼働は、世界規模のマナ枯渇という深刻な環境異変を引き起こし、魔法に支えられた文明社会を根底から揺るがした。敵側だけが無尽蔵の魔力を得る絶望的な状況のなか、ブランタークが咄嗟の判断でセキュリティキーを隠した行動は、敵の野望の完全な達成を阻むことになる。同時にそれは、人間社会と魔族勢力の間で鍵をめぐる激しい争奪戦が始まるきっかけにもなった。

魔力回復量低下

『八男って、それはないでしょう! 25』で描かれる魔力回復量の低下、すなわちマナの枯渇は、単に魔法使い個人の戦闘力を削ぐだけの問題ではない。魔法に支えられてきた国家のインフラや経済、さらには軍事的な防衛網までをも揺るがす、きわめて深刻な世界規模の危機として描かれている。ここでは、この現象がもたらした具体的な影響と、登場人物たちが直面した理不尽な状況を整理する。

魔力回復速度の激減

オットーたちが古代魔道具を起動し、空気中に存在する魔力の源・マナを強制的に吸い上げ始めた。その結果、世界各地のマナ濃度は著しく低下した。

  • 魔法使いたちの自然な魔力回復速度は、通常の半分から5分の1程度にまで落ち込んだ。
  • 「一晩眠れば魔力は全快する」という前提は崩れ、大きな魔法を一度使えば、何日も魔力が戻らない状況になった。
  • そのため、すべての魔法使いは精神面・肉体面の両方で、重い制約を強いられることになった。

魔晶石の暴騰と経済および開発の麻痺

魔力が自然に回復しない状況では、魔法使いたちは魔力を蓄えた使い捨てのエネルギー源、すなわち魔晶石や魔石に頼らざるを得なくなった。

  • 供給が限られている魔石の需要が一夜にして爆発し、魔石の価格は瞬く間に高騰して市場は大混乱に陥った。
  • 魔法に頼る土地開墾や建設、魔導飛行船の運行などの経済活動・領地開発も、魔力回復量の低下によって停滞、あるいは停止を余儀なくされた。

不条理な徒歩捜索と後方支援

魔力回復量の低下は、原因究明のための捜索活動にも厳しい制約を課した。

  • 原因調査のために編成された大規模な捜索隊では、いざという時の魔力を温存するため、飛翔のような移動魔法や探知魔法の使用が厳しく制限された。
  • その結果、高名な魔法使いたちでさえ徒歩で山林を捜索するという、過酷な任務を強いられた。
  • ヴェンデリンも自身の魔力を温存するため、戦闘や開墾の前線には立たなかった。代わりにベッケンバウアーらと協力し、臨時の炊事班として働くことに徹した。
  • 捜索隊の士気が落ちないよう、スタミナ料理を振る舞い、後方から支援する役割を担った。

過激派魔族による無制限の魔力供給

この危機の中で、魔力回復量の低下の影響を受けずに済んだのは、オットーたち世界征服同盟に属する十人の魔族だけだった。

  • 彼らは巨大魔道具のシステムと直結した十個の指輪を装備しており、装置が世界中から吸い上げた膨大なマナから、リアルタイムで無限に魔力の供給を受けていた。
  • 王国側の魔法使いたちが魔力消費を厳密に計算していた一方で、オットーたちは枯渇を気にすることなく、最大火力の古代魔法を連続で行使できた。
  • この圧倒的な資源格差が、王国の精鋭魔法使いたちを次々と窮地へ追い込む大きな要因となった。

ヴェンデリン遭難への経緯

魔力回復量低下の環境は、クライマックスにおけるヴェンデリンの遭難に直結する致命的な原因となった。

  • 国王昏睡という王都の緊急事態を受け、単独帰還を命じられたヴェンデリンは魔力を節約しながら飛翔で南下していたが、内務卿の裏切りによる情報漏洩で魔族十名の待ち伏せに遭った。
  • 通常時であれば十名の魔族に対処あるいは瞬間移動で離脱することが可能であったが、回復速度の低下と魔晶石の枯渇により、魔力が完全に底をつく状態に陥った。
  • 魔法による防御も飛行も不可能となったヴェンデリンは、火災から逃れるために生身で激流の河へ飛び込まざるを得なくなり、そのまま溺れて行方不明となった。

まとめ

魔力回復量の低下は単なる能力制限にとどまらず、敵側のみがエネルギー供給を独占し、主人公を含む防衛戦力が深刻なリソース不足によって消耗させられていくという、極めて緊迫した戦況を生み出す決定的な要因となった。国家の最高戦力が封じられ、当主不在となったバウマイスター辺境伯家において、残された妻たちが結束して家を守る決意を固めるなど、物語は重大な局面を迎えている。

王城襲撃事件

『八男って、それはないでしょう! 25』で描かれる王城襲撃事件は、単なる魔族によるテロではない。人間社会と魔族の技術・政治的思惑、さらに王国貴族の打算が最悪の形で絡み合い、物語の勢力図を一変させ、ヴェンデリンの遭難へとつながった重大な転換点である。ここでは、事件の発端から謁見の間での戦闘、予想外の結末、そしてその後に生じた致命的な連鎖までを整理して解説する。

事件の引き金:隠された鍵の強奪計画

すべての発端は、ギガントの断裂での死闘にさかのぼる。お抱え魔法使いのブランタークは命がけで巨大魔道具からセキュリティキーを抜き取り、自らの血だまりの下の地中へ埋めて隠した。

・オットー率いる世界征服同盟の魔族は、このキーがなければ、魔道具による異世界への移動や召喚を精密に制御できないと悟り、必死に行方を追った。

・しかしキーは、王国軍の近衛騎士ワーレンによってすでに発見・回収され、王城を経由して魔導ギルドへ運ばれていた。

・その事実を知ったオットーたちは、人間に変装できる魔法の指輪を使い、王都スタットブルクへ潜入する。

・王城を正面から突破する危険を避けるため、城内に出入りできる大貴族ブレンメルタール内務卿の邸宅を急襲し、家族を人質にして協力を強要した。

内務卿の打算と裏切りの手引き

家族を人質に取られた内務卿は、ただ脅しに屈したわけではなかった。

・かつてブレンメ男爵家没落の件で自分に恥をかかせたヴェンデリンを恨み、日頃から不快に感じていたアームストロング導師やワーレンにも強い反感を抱いていた。

・強力な魔族を利用して政敵やバウマイスター辺境伯を暗殺・排除できれば、自身の政治的影響力を大きく高められる――そんな歪んだ思惑を抱いていたのである。

・そこで魔族に自邸の家臣の服を着せ、警備の厳しい王城の正門を難なく通過させ、謁見の間まで手引きした。

謁見の間での激突とワーレンの奮戦

謁見の間の入口までたどり着いた魔族たちは、風魔法の衝撃波で門番を気絶させ、魔法で大扉を吹き飛ばして内部へなだれ込んだ。

・その瞬間、国王の前に立ちはだかったのは、近衛騎士隊中隊長のワーレンだった。

・魔力回復量が低下するなか、ワーレンは温存していた魔力をとっさに解放し、飛来した巨大な鉄扉を剣の一撃で真っ二つに斬り裂いて陛下を守った。

・正体を現した10人の魔族は、ギガントの断裂で回収されたキーの行方を、ワーレンに厳しく問いただした。

戦闘経験の差を突いた時間稼ぎ

ワーレンはキーが魔導ギルドへ解析に出されていることを知っていた。しかし時間を稼ぐため、あえて知らないと言い張る。

・装置と連動した指輪から魔力を無尽蔵に供給される魔族たちは、ファイヤーボールやアイスランスなどの高威力魔法を、ためらいなく連射した。

・ワーレンは剣速を極限まで高めた斬撃で魔法を斬り裂き、盾となって防ぎ続けた。だが、10人もの上級魔法使いを相手に防戦一方で耐え抜くには限界があった。

・そこで彼は涙混じりの声を上げ、その場で土下座して命乞いをする芝居に出る。実戦経験が浅く、人を殺すことに慣れていない魔族たちは、屈服したように見える姿に思わず攻撃の手を緩めた。

・オットーに芝居を見抜かれると、ワーレンは魔法の袋から予備の剣やナイフを次々と取り出し、魔力で強化して魔族へ投げつけた。

・近代魔族社会では白兵戦の技術が廃れていたため、刃物が飛んでくる恐怖を知らない彼らは混乱し、必要以上に分厚い魔法障壁を展開して身を固めた。

・その結果、魔族の攻撃魔法は妨げられ、時間稼ぎに成功する。エドガー軍務卿らが率いる増援も、ついに謁見の間へ駆けつけた。

予定外の崩落と国王の昏睡

包囲された魔族たちは不利を悟り、捕らえられる前に撤退を図った。

・彼らは一斉に謁見の間の天井へ高火力の魔法を放ち、堅牢な石造りの天井を破壊する。

・崩れ落ちる無数の石材や上階の備品から兵士たちを守るため、王国側の魔法使いたちは動きを制限された。その隙に魔族たちは、開いた天井から飛翔して夜空へ逃亡した。

・だが天井崩落の最中、大きな石材が国王の頭部を直撃する。

・傷そのものは駆けつけた神官の治癒魔法ですぐに完治したものの、頭部への強い衝撃で国王は意識を失い、目を覚まさない昏睡状態に陥った。

事件がもたらした連鎖的危機

王城襲撃と国王の昏睡は、その後の展開を決定的な混乱へ導いた。

政治の空白と単独帰還命令

国王が目を覚まさないため、ヴァルド王太子が急きょ代王として政務を担うことになる。王都の治安維持と防衛に戦力を集中させるため、ギガントの断裂周辺の捜索隊は大幅に縮小され、王国は防衛の要としてヴェンデリンに王都への単独帰還を命じた。

帰還ルートの制限

マナ枯渇によって魔力回復量が激減していたため、魔導飛行船は動かせない。ヴェンデリンは自身の魔力を厳密に計算・節約しながら、単独飛翔で南下せざるを得なかった。

内務卿による情報漏洩と待ち伏せ

王都の厳しい包囲網を抜けられず、再び自邸へ潜入した魔族たちに対し、内務卿は自身の関与が露見するのを防ぐと同時にヴェンデリンを排除しようとした。彼は「キーはバウマイスター辺境伯が持っている」という偽情報を流し、さらに代王ヴァルドの執務室から得たヴェンデリンの極秘帰還ルートまでオットーたちへ漏らした。

ヴェンデリンの遭難

帰還中のヴェンデリンは、川の上空で10人の魔族による奇襲を受ける。魔力を使い果たした末、火災の森から急流の川へ飛び込み、溺れて意識を失い、行方不明となった。

まとめ

王城襲撃事件は、単なる拠点への襲撃にとどまらない。国王の昏睡、代王によるヴェンデリンの緊急招集、内務卿の裏切りによる飛行経路の漏洩、そして主人公の魔力枯渇による遭難へと、破滅的な連鎖を引き起こした。各勢力の思惑と予期せぬ事故が複雑に絡み合い、王国全体を未曾有の危機へ突き落とした、極めて重要な事件である。

ヴェンデリン消息不明 

『八男って、それはないでしょう! 25』のクライマックスで起きたヴェンデリンの消息不明(遭難)事件は、これまでの彼の無敵に近い立場を一転させ、バウマイスター辺境伯家とヘルムート王国をかつてない暗雲へと突き落とした、25巻最大の悲劇的な事件である。この遭難が起きた直接の因果関係と過酷な状況、そして周囲に与えた影響について整理する。

消息不明に至る直接の引き金:情報漏洩と待ち伏せ

すべての発端は、ブレンメルタール内務卿による致命的な裏切りだった。

  • 王城を襲撃したオットーら魔族に脅された内務卿は、保身を図ると同時に、逆恨みしていたヴェンデリンを排除するため、「起動鍵はバウマイスター辺境伯が持っている」とする虚偽の情報を吹き込んだ。
  • さらに、代王ヴァルドの執務室で得た、ヴェンデリンが単独で王都へ帰還する際の極秘飛行ルートを魔族へ流した。
  • 世界的なマナ枯渇によって魔力の回復量が落ちるなか、ヴェンデリンは魔力を極限まで切り詰めて飛行していた。その最中、河川上空で待ち伏せしていた10人の強力な魔族から不意の襲撃を受ける。

生死を分けた極限の死闘とリソースの枯渇

平時であれば、ヴェンデリンの桁外れの魔力量なら、10人の魔族を相手にしても切り抜けることは難しくなかった。しかし、このときの条件はあまりにも絶望的だった。

  • 終わらない猛攻
    魔族たちは装置と連動した指輪を通じて、世界中から吸い上げたマナを無尽蔵に供給されていた。そのため魔力切れを気にすることなく、最大威力の古代魔法を連発できた。
  • 魔石の枯渇
    一方、魔力の回復が極端に遅いヴェンデリンは、回避と防御魔法の障壁維持に全力を注ぐうち、手持ちの魔晶石をすべて使い切った。ついには自身の魔力も完全に尽きてしまう。
  • 森の大火災から急流の河へ
    飛行も防御も失ったヴェンデリンは森へ降り、生身のまま逃走を試みた。だが魔族たちは鍵のありかを吐かせるため、容赦なく森全体に火を放つ。森は瞬く間に炎と煙に包まれ、焼死と窒息の危機に追い込まれたヴェンデリンは、急流の川へ身を投げ、水底近くを泳いで逃れようとした。
  • 意識の喪失
    激流にのみ込まれたヴェンデリンは、生身では抗えず、完全に溺れて呼吸困難に陥る。エリーゼや生まれたばかりの息子フリードリヒ、そして行方不明の師匠たちに心の中で詫びながら意識を失い、そのまま水底へ流されて消息を絶った。

王国とバウマイスター領に与えた激震

ヴェンデリン遭難・消息不明の報せは、すでに疲弊していたヘルムート王国に致命的な打撃を与えた。

  • 王国史上最大の魔法の空白
    すでに宮廷筆頭魔導師のアームストロング導師、そしてブライヒレーダー辺境伯家お抱えのブランタークが行方不明となっていた。そこに王国最大の切り札であるヴェンデリンまでもが遭難したことで、王国の主要な大魔法使い3名がすべて一時的に失われるという壊滅的な事態に陥った。
  • 代王ヴァルドの深い自責
    王城襲撃で国王が昏睡状態となったため代王として政務を司っていたヴァルド王太子は、王都の防衛を急ぐあまりヴェンデリンに早急な単独帰還命令を出していた。自分が帰還を急がせたせいでヴェンデリンが遭難したと知ったヴァルドは、深い自責の念に駆られることとなった。
  • 内務卿の冷酷な皮算用
    裏切りを主導したブレンメルタール内務卿はヴェンデリンが死んだと確信した。お家取り潰しや、バウマイスター辺境伯領の膨大な利権を他の貴族たちとどう分配するか、水面下で皮算用を始めた。

立ち上がる妻たち:絶望の中での結束

ヴェンデリンが消息を絶った最悪の状況下において、妻たちの行動は力強く結束していた。

  • 小型飛行船で王都へと急行した妻たちは、夫の生存を信じて疑わなかった。
  • 不穏な動きを見せる内務卿ら保守派の貴族たちに対峙し、夫が戻ってくるその日まで力を合わせてバウマイスター辺境伯家、領地、そして子供たちを守り抜くことを固く誓い合った。
  • この新旧の妻たちの強い絆と覚悟をもって、25巻は幕を閉じることとなった。

圧倒的な力で幾度もの窮地を切り抜けてきたヴェンデリンが、魔法を使えないまま自然の猛威にのみ込まれ、消息を絶つ。この展開は物語の大きな転換点であると同時に、残された妻たちが結束し、防衛への覚悟を固める重要な契機にもなっている。

八男24巻レビュー
まとめ
八男26巻レビュー

登場キャラクター

バウマイスター辺境伯家

ヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスター

強大な魔力を持つバウマイスター辺境伯家の当主である。平穏な生活を望む一方で、周囲の事情に巻き込まれやすい。仲間や家族を大切にしており、彼らの危機には労力を惜しまず行動する。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター辺境伯家・当主。
・物語内での具体的な行動や成果
旧アルニム領の大規模開墾を自ら引き受けてエルヴィンの独立を阻止した。捜索隊では炊事班として料理を作り、士気の維持に貢献した。王都への単独帰還中に魔族の待ち伏せを受け、魔力を使い果たして河へ逃れた末に行方不明となった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
急流に呑まれて水底へ沈み、一時的に消息不明となった。

エリーゼ・カタリーナ・フォン・ホーエンハイム

ヴェンデリンの正妻であり、優れた治癒魔法の使い手である。温厚な人柄で周囲を支え、家庭内の調和を保つ。夫の不在時には妻たちをまとめて家を守る強い覚悟を示す。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター辺境伯家・正妻。
・物語内での具体的な行動や成果
夫の消息不明の報せを受けて小型魔導飛行船で王都へ急行した。内務卿らに対して毅然とした態度で応じた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
夫の帰還を信じ、妻たちを率いて家を守り抜く決意を固めた。

イーナ・ズザネ・ヒレンブラント

槍術と魔法を組み合わせた戦闘を得意とする妻である。真面目で常識的な感覚を持ち、仲間たちの暴走をたしなめる。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター辺境伯家・側室。
・物語内での具体的な行動や成果
夫の行方不明の報せを受け、他の妻たちとともに王都へ向かった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

ルイーゼ・ヨランデ・アウレリア・オーフェルヴェーク

魔闘流の達人であり、小柄で活発な妻である。感覚が鋭く、物事の本質を直感的に捉える。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター辺境伯家・側室。
・物語内での具体的な行動や成果
旧アルニム領の外縁部開発の際に護衛役を務めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

ヴィルマエトル・フォン・アスガハン

怪力を持つ狩人出身の妻である。口数は少ないが食欲は旺盛である。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター辺境伯家・側室。
・物語内での具体的な行動や成果
旧アルニム領の開発現場において女性除けの護衛として同行した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

カタリーナ・リンダ・フォン・ヴァイゲル

風魔法を得意とする元中央貴族の妻である。家庭的な作業も熱心にこなす。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター辺境伯家・側室。
・物語内での具体的な行動や成果
旧アルニム領の開発作業に魔法使いとして参加した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

アマーリエ・フォン・マインバッハ

元騎士爵家当主の未亡人であり、実質的な妻となっている女性である。穏やかで家庭的な性格である。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター辺境伯家・侍女長。実質的な側室。
・物語内での具体的な行動や成果
旧アルニム領の湖畔でのピクニックに同行した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
娘のロジーナを育てている。

テレーゼ・フォン・フィリップ

前フィリップ公爵であり、高い政治的見識を持つ妻である。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター辺境伯家・側室(前フィリップ公爵)。
・物語内での具体的な行動や成果
旧アルニム領の開発期間中に合流し、湖畔での食事を楽しんだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

エルヴィン・フォン・アルニム

ヴェンデリンの幼馴染であり、頼れる筆頭家臣である。実家の改易に伴う混乱に巻き込まれながらも、誠実に職務を果たす。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター辺境伯家・筆頭家臣。旧アルニム騎士爵領・臨時代官。
・物語内での具体的な行動や成果
旧アルニム領の臨時代官を務め、領民や義父ハックの無理な要求を拒絶した。ボイルやドータンを迎え入れ、多数の若者を連れてパウルブルクへ戻った。捜索活動ではヴェンデリンの火おこしを手伝った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ドルタナ男爵への領地引き渡し完了に伴い代官職を退任した。

フィリーネ・フォン・ブライヒレーダー

ブライヒレーダー辺境伯の娘であり、素朴な生活を好む妻である。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター辺境伯家・側室。
・物語内での具体的な行動や成果
旧アルニム領の湖畔でアマーリエとともに料理を作った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

アグネス・フュルスト

平民出身の魔法使いであり、真面目な努力家の妻である。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター辺境伯家・側室。
・物語内での具体的な行動や成果
旧アルニム領の未開地開墾作業に参加した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

シンディ

商家の娘らしい現実的な金銭感覚を持つ妻である。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター辺境伯家・側室。
・物語内での具体的な行動や成果
食べられる花を持参し、旧アルニム領でのサラダ作りに貢献した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

ベッティ

料理人の兄を持つ魔法使いの妻である。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター辺境伯家・側室。
・物語内での具体的な行動や成果
旧アルニム領の開発作業を魔法で支援した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

フリードリヒ・フォン・ベンノ・バウマイスター

ヴェンデリンとエリーゼの間に生まれた長男である。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター辺境伯家・嫡男。
・物語内での具体的な行動や成果
自らの足で立ち上がり、「父上」と初めて言葉を発した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

カイエン

ヴェンデリンとカタリーナの間に生まれた息子である。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター辺境伯家・男子。
・物語内での具体的な行動や成果
作中では他の子供たちとともに名前が言及される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

レオン

エルヴィンとハルカの間に生まれた息子である。
・所属組織、地位や役職
アルニム家・男子。
・物語内での具体的な行動や成果
作中ではまだ言葉を話していない様子が語られる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

ロジーナ

ヴェンデリンとアマーリエの間に生まれた長女である。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター辺境伯家・長女(乳児)。
・物語内での具体的な行動や成果
魔力を持って生まれ、魔力吸着装置を装着して過ごしている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

ローデリヒ

バウマイスター辺境伯家の家政全般を管理する有能な家令である。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター辺境伯家・家政顧問。
・物語内での具体的な行動や成果
魔力回復量の低下に伴い、ヴェンデリンの作業を書類仕事へ切り替えさせた。導師らの行方不明を主君へ報告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

ハルカ

ミズホ公爵家の血を引く剣士であり、エルヴィンの妻である。
・所属組織、地位や役職
アルニム家・正妻。
・物語内での具体的な行動や成果
旧アルニム領の代官館で領民からの無理な要求を拒絶した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

レーア

エルヴィンの妻である。
・所属組織、地位や役職
アルニム家・妻。
・物語内での具体的な行動や成果
女性除けの援軍として旧アルニム領の代官館に連れてこられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

ユーファ

ヴェンデリンの屋敷で働くメイドである。
・所属組織、地位や役職
バウマイスター辺境伯家・使用人。
・物語内での具体的な行動や成果
作中では屋敷での日常業務に従事している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

ヘルムート王国(王宮・地方)

ヘルムート王国の国王

ヘルムート王国の最高権力者である。親友の導師を深く案じている。
・所属組織、地位や役職
ヘルムート王国・国王。
・物語内での具体的な行動や成果
導師とブランタークの捜索および巨大魔道具の回収を命じた。王城謁見の間で魔族の襲撃を受け、天井の崩落により頭部を負傷して昏睡状態に陥った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
負傷により政務不能となった。

ヴァルド・フォン・ヘルムート

ヘルムート王国の王太子である。
・所属組織、地位や役職
ヘルムート王国・王太子。代王。
・物語内での具体的な行動や成果
昏睡した国王に代わり代王として政務を掌握した。王都防衛を優先してヴェンデリンへ単独帰還命令を出した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
国王の負傷に伴い代王として全権を握った。

クリムト・クリストフ・フォン・アームストロング

王国最強と称される王宮筆頭魔導師である。
・所属組織、地位や役職
ヘルムート王国・王宮筆頭魔導師。
・物語内での具体的な行動や成果
マナ減少の原因調査のためギガントの断裂へ赴き、魔族たちと交戦した。極限状態で他者を守る通常障壁を習得し、ブランタークとともに河へ飛び込んで滝から落下し行方不明となった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
消息を絶った。

アームストロング伯爵

導師の実兄であり、軍事貴族の重鎮である。
・所属組織、地位や役職
ヘルムート王国・貴族(伯爵)。
・物語内での具体的な行動や成果
閣僚会議でエルヴィンへの領地強制継承案に反対した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

ブランターク・リングスタット

経験豊かなベテラン魔法使いである。
・所属組織、地位や役職
ブライヒレーダー辺境伯家・筆頭魔法使い。
・物語内での具体的な行動や成果
ギガントの断裂で巨大魔道具を発見し、戦闘不能を装って起動キーを抜き取り土中へ隠した。導師を連れて河へ逃走したが滝から落下して行方不明となった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
消息不明となった。

ブレンメルタール侯爵

内務閥を率いる大貴族である。ヴェンデリンを逆恨みしている。
・所属組織、地位や役職
ヘルムート王国・内務卿(侯爵)。
・物語内での具体的な行動や成果
エルヴィンを旧アルニム領主に据えようと画策した。屋敷を襲った魔族に屈して王城へ手引きし、ヴェンデリンの飛行ルートを漏洩させて暗殺を謀った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
保身と私怨から国家への重大な反逆行為に手を染めた。

エドガー軍務卿

軍務閥を統括する重臣である。
・所属組織、地位や役職
ヘルムート王国・軍務卿。
・物語内での具体的な行動や成果
閣僚会議でエルヴィンの引き抜きに異論を唱え、自らの寄子であるドルタナ男爵を旧アルニム領の新領主として推挙した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

ルックナー財務卿

国家の財務を管理する大臣である。
・所属組織、地位や役職
ヘルムート王国・財務卿。
・物語内での具体的な行動や成果
閣僚会議でエルヴィンへの継承に反対し、旧アルニム領の領地争奪戦に参加した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

ホーエンハイム枢機卿

教会勢力を束ねる最高幹部である。
・所属組織、地位や役職
教会・枢機卿。
・物語内での具体的な行動や成果
ヴェンデリンによる旧アルニム領開発の情報を王都へ流し、大貴族たちの争奪戦を誘導した。内務卿の裏切りの調査を開始した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

ワーレン

近衛騎士隊の中隊長を務める武人である。
・所属組織、地位や役職
ヘルムート王国・近衛騎士隊中隊長。
・物語内での具体的な行動や成果
ギガントの断裂で土中に隠されていたセキュリティキーを発見した。王城謁見の間で魔族十名から国王を守り抜いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

プラッテ伯爵

空軍の要職を狙う貴族である。
・所属組織、地位や役職
ヘルムート王国・貴族(伯爵)。
・物語内での具体的な行動や成果
王都へ到着したエリーゼたちに対し、ヴェンデリンの死亡の可能性を持ち出して嫌味を述べた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

ベッケンバウアー

魔導技術の研究者である。
・所属組織、地位や役職
魔導ギルド・幹部。
・物語内での具体的な行動や成果
マナ測定器を用いてマナ濃度の急減を確認した。巨大魔道具の隠し場所としてギガントの断裂を推測した。捜索隊ではヴェンデリンたちとともに炊事班として活動した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

爆炎のキンブリー

火魔法を得意とする上級魔法使いである。
・所属組織、地位や役職
冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
捜索隊においてヴェンデリンたちとともに臨時の炊事班を担当し、料理の腕を振るった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

爆縮のダンテ

高名な実力派魔法使いである。
・所属組織、地位や役職
冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
作中ではギルドからの招集を受け、別動隊としてギガントの断裂周辺の捜索に参加している様子が語られる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

ヴァイツ侯爵

空軍の司令官を務める貴族である。
・所属組織、地位や役職
ヘルムート王国・空軍司令官(侯爵)。
・物語内での具体的な行動や成果
魔石価格の高騰と供給不足への対応に追われた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

ドワイト子爵

王国貴族のひとりである。
・所属組織、地位や役職
ヘルムート王国・貴族(子爵)。
・物語内での具体的な行動や成果
作中では貴族社会の人間関係の中で言及される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

アルフォンス

帝国貴族のひとりである。
・所属組織、地位や役職
アーカート神聖帝国・貴族。
・物語内での具体的な行動や成果
作中では帝国側の情勢において言及される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

ニュルンベルク公爵

帝国内乱を首謀した元大貴族である。
・所属組織、地位や役職
アーカート神聖帝国・元公爵。
・物語内での具体的な行動や成果
過去の内乱において古代魔道具を軍事利用した事例として言及される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
故人である。

イシュルバーグ伯爵

古代魔法文明時代の天才研究者である。
・所属組織、地位や役職
古代魔法文明・研究者(伯爵)。
・物語内での具体的な行動や成果
別世界への移転装置である巨大魔道具を開発した人物として語られる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
故人である。

レーガー侯爵

過去に軍勢を率いた貴族である。
・所属組織、地位や役職
ヘルムート王国・元侯爵。
・物語内での具体的な行動や成果
帝国内乱時に帝国領へ侵攻して大敗した過去の事例として言及される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

アキラ

王都で乾物店を営む商人である。
・所属組織、地位や役職
フジバヤシ乾物店・店主。
・物語内での具体的な行動や成果
ヴェンデリンから福神漬けの再現を依頼されていた人物として言及される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

旧アルニム騎士爵領

ボイル

旧従士長家の四男である。実直で事務能力に優れている。
・所属組織、地位や役職
旧アルニム騎士爵領・従士長家四男。アルニム家・家臣。
・物語内での具体的な行動や成果
臨時代官のエルヴィンを補佐し、人材集めの案内役を務めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
エルヴィンの正式な家臣として登用された。

ドータン

商店の跡取り息子である。新しい商売への意欲を持つ。
・所属組織、地位や役職
アルニム家・御用商人。
・物語内での具体的な行動や成果
古い独占形態に固執する父ハックと対立していたが、エルヴィンの誘いを受けてパウルブルクで独立した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アルテリオ商会の傘下でアルニム家の御用商人に就任した。

ハック

旧アルニム領で唯一の商店を営む商人である。エルヴィンの義父にあたる。
・所属組織、地位や役職
旧アルニム騎士爵領・商店主。
・物語内での具体的な行動や成果
エルヴィンに領主就任を迫り、バウマイスター領の特産品の独占卸を要求したが拒絶された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

アンナ

エルヴィンの妻のひとりである。
・所属組織、地位や役職
アルニム家・妻。
・物語内での具体的な行動や成果
作中では妊娠中のためパウルブルクに残っていることが語られる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

ローザ

ベッティの義姉である。
・所属組織、地位や役職
飲食店経営者。
・物語内での具体的な行動や成果
旧アルニム領に滞在していたヴェンデリンたちへ大量の猪肉の塩漬けを差し入れた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

ベッティの兄

王都で飲食店を営む料理人である。
・所属組織、地位や役職
飲食店経営者。
・物語内での具体的な行動や成果
作中では妹たちの会話の中で言及される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

サーシャ

ハックの長女である。
・所属組織、地位や役職
ハックの商店・親族。
・物語内での具体的な行動や成果
商店の店員を婿に迎えている人物として言及される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

リーラ

ハックの次女である。
・所属組織、地位や役職
旧アルニム領・住民。
・物語内での具体的な行動や成果
反逆者となった夫の不祥事によりひっそりと暮らしていたが、ドータンによってパウルブルクへ連れ出されることとなった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

ケイン

旧アルニム領の名主を務めていた男である。
・所属組織、地位や役職
旧アルニム騎士爵領・元名主。
・物語内での具体的な行動や成果
クーデターに加担したため教会に軟禁された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
失脚した。

ベッカー

ケインの跡取り息子である。
・所属組織、地位や役職
旧アルニム騎士爵領・名主跡取り。
・物語内での具体的な行動や成果
父とともにクーデターに参加して拘束された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
地位を失った。

ブレリ

ケインの三男である。
・所属組織、地位や役職
旧アルニム騎士爵領・名主代行。
・物語内での具体的な行動や成果
父と兄の不在に伴い名主の実務を代行した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

ドルタナ男爵

エドガー軍務卿の寄子である貴族である。
・所属組織、地位や役職
ドルタナ男爵家・当主。
・物語内での具体的な行動や成果
開発により価値の上がった旧アルニム領の新領主として任命された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
旧アルニム領をドルタナ男爵領として統治することとなった。

ホールミア辺境伯

西部を治める有力領主である。
・所属組織、地位や役職
ホールミア辺境伯家・当主。
・物語内での具体的な行動や成果
エルヴィンを旧アルニム領主に据えてバウマイスター家との関係強化を図ろうとした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

ヨッヘム

ホールミア辺境伯の異母弟である。
・所属組織、地位や役職
元クーデター首謀者。
・物語内での具体的な行動や成果
反乱失敗により僻地の教会に軟禁されている様子が語られる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

ブーン男爵

ルックナー財務卿の寄子である貴族である。
・所属組織、地位や役職
ヘルムート王国・貴族(男爵)。
・物語内での具体的な行動や成果
旧アルニム領の新領主候補として名前が挙げられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

ナハルト準男爵

閣僚の親族にあたる貴族である。
・所属組織、地位や役職
ヘルムート王国・貴族(準男爵)。
・物語内での具体的な行動や成果
旧アルニム領の新領主候補として推挙された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

サーボイド卿

領地の下賜リストに載っていた貴族である。
・所属組織、地位や役職
ヘルムート王国・貴族。
・物語内での具体的な行動や成果
旧リューベック騎士爵領の新領主として内務卿から提案された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

ベント卿

内務卿の配下にあたる貴族である。
・所属組織、地位や役職
ヘルムート王国・貴族。
・物語内での具体的な行動や成果
旧ディールス騎士爵領の新領主として名前が挙げられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

アドミア卿

領地待望の貴族のひとりである。
・所属組織、地位や役職
ヘルムート王国・貴族。
・物語内での具体的な行動や成果
旧シリングス騎士爵領の新領主として割り当てられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

リィニム卿

エドガー軍務卿の推挙を受けた貴族である。
・所属組織、地位や役職
ヘルムート王国・貴族。
・物語内での具体的な行動や成果
旧ビューロー騎士爵領の新領主として内務卿の案に盛り込まれた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

ハンソン子爵

北部に領地を持つ貴族である。
・所属組織、地位や役職
ヘルムート王国・貴族(子爵)。
・物語内での具体的な行動や成果
自領の隣に新しいアルニム領を創設するようエルヴィンへ手紙で勧誘した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

リュース男爵

東部に領地を構える貴族である。
・所属組織、地位や役職
ヘルムート王国・貴族(男爵)。
・物語内での具体的な行動や成果
自領の隣にアルニム領を復活させようと持ちかけた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

ゾヌターク共和国(魔族)

オットー・ハインツ

過激派組織「世界征服同盟」の党首である。世界征服の野望を抱く。
・所属組織、地位や役職
世界征服同盟・党首。
・物語内での具体的な行動や成果
巨大魔道具を修復して稼働させた。王都へ潜入して内務卿を脅迫し、王城謁見の間を襲撃した。帰還中のヴェンデリンを待ち伏せして河へ追い詰めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
魔力を無制限に引き出す指輪を用いて優位に立った。

カイツェル

オットーの右腕を務める魔族である。
・所属組織、地位や役職
世界征服同盟・幹部。
・物語内での具体的な行動や成果
オットーを補佐して王都への潜入や王城襲撃に参加した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

ヨーゼフ

世界征服同盟の団員のひとりである。
・所属組織、地位や役職
世界征服同盟・団員。
・物語内での具体的な行動や成果
戦闘現場を調査し、導師らの装備品の残骸を回収した。河岸で捜索隊の足跡を発見した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

リライ

世界征服同盟に加わる魔族である。
・所属組織、地位や役職
世界征服同盟・団員。
・物語内での具体的な行動や成果
王都潜入に際してワーレンからの情報奪取を主張した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

ミランダ

個性的な口調を持つ世界征服同盟の団員である。
・所属組織、地位や役職
世界征服同盟・団員。
・物語内での具体的な行動や成果
ブレンメルタール内務卿を警戒し、口封じの必要性をオットーへ進言した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

ミハエル

世界征服同盟の団員である。
・所属組織、地位や役職
世界征服同盟・団員。
・物語内での具体的な行動や成果
王城への侵入方法についてオットーに懸念を伝えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

ダドリー

世界征服同盟に所属する魔族である。
・所属組織、地位や役職
世界征服同盟・団員。
・物語内での具体的な行動や成果
作中ではオットーたちと行動を共にしている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

エリザベート・ホワイル・ゾヌターク九百九十九世

ゾヌターク共和国の魔王である。
・所属組織、地位や役職
ゾヌターク共和国・魔王。魔法使い派遣社・会長。
・物語内での具体的な行動や成果
作中では私貿易の推進者として言及される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

ライラ・ミール・ライラ

魔王を補佐する魔族の女性である。
・所属組織、地位や役職
魔王側近。
・物語内での具体的な行動や成果
中古魔道具や魔導飛行船の取引を通じて人間社会との交易を拡大させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

登場集団

ヘルムート王国の捜索隊

マナ減少の原因と行方不明者を追う王国の大規模部隊である。
・所属組織、地位や役職
ヘルムート王国・合同捜索部隊。
・物語内での具体的な行動や成果
ギガントの断裂周辺で徒歩による過酷な捜索を継続した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
王城襲撃事件の発生に伴い規模が大幅に縮小された。

アーカート神聖帝国の捜索隊

ギガントの断裂北部を探索する帝国の部隊である。
・所属組織、地位や役職
アーカート神聖帝国・探索部隊。
・物語内での具体的な行動や成果
王国と連携を取りながら帝国領内の捜索を担当した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

世界征服同盟

オットー・ハインツが率いる魔族の過激派組織である。
・所属組織、地位や役職
魔族過激派集団。
・物語内での具体的な行動や成果
巨大魔道具を起動して世界のマナを吸収させ、王城やヴェンデリンを襲撃した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

魔道具ギルド

魔道具の製造と流通を取り仕切る職人組織である。
・所属組織、地位や役職
ギルド組織。
・物語内での具体的な行動や成果
魔力回復量低下の調査に対して少人数の派遣でお茶を濁した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
国王からの不興を買った。

魔導ギルド

魔導技術の研究と開発を行う専門組織である。
・所属組織、地位や役職
研究機関。
・物語内での具体的な行動や成果
ベッケンバウアーを中心にマナ測定や回収された鍵の解析を進めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

冒険者ギルド

冒険者たちを統括する国際組織である。
・所属組織、地位や役職
冒険者統括機関。
・物語内での具体的な行動や成果
魔石価格の急騰に対応し、魔法使いたちへ捜索任務を斡旋した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

近衛騎士隊

国王と王城の警護を専門に担う精鋭部隊である。
・所属組織、地位や役職
ヘルムート王国・近衛軍。
・物語内での具体的な行動や成果
ワーレンの指揮下でギガントの断裂を捜索し、王城謁見の間では魔族の猛攻を防いだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

魔法使い派遣社

ハグレ魔族を建設的な労働力として派遣する企業組織である。
・所属組織、地位や役職
魔族派遣企業。
・物語内での具体的な行動や成果
作中ではハグレ魔族たちの受け皿として言及される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。

旧アルニム騎士爵領の領民たち

旧アルニム領で暮らしていた住民たちである。
・所属組織、地位や役職
地方領民。
・物語内での具体的な行動や成果
エルヴィンに領主就任を期待したが、約百名がバウルブルクへの移住を選択した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
新領主ドルタナ男爵の統治下に入った。

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まとめ
八男26巻レビュー

展開まとめ

第一話 エルヴィン・フォン・アルニム苦労譚

エルの領主化阻止

旧アルニム騎士爵領の代官となったエルは、領民から新領主として期待されたが、本人はバウマイスター辺境伯家の重臣でいることを望んでいた。王城ではブレンメルタール内務卿とホールミア辺境伯がエルへの領地継承を進めようとしたため、ヴェンデリンとクラウスは対抗策を講じた。

ヴェンデリンが旧領を自費と魔法で大規模開発し、その価値を王都へ広めたことで、大貴族たちが新領主の座を巡って争い始めた。結果としてエドガー軍務卿の寄子であるドルタナ男爵が領地を継ぎ、エルへの継承案は消滅した。

旧領からの人材移住

エルの義父ハックは、エルが領主となって既得権を守ってくれることを期待したが、エルは独占的な商売を認めなかった。領民たちもエルを通じてバウマイスター辺境伯家の恩恵を得ようとしたが、エルとハルカは過剰な要求を退けた。

エルは弟ボイルや若者たちを家臣として迎え、百名近い男女がバウルブルクへ移住した。ハックと対立していた息子ドータンも資金援助を受け、アルテリオ傘下で商店を始めることになった。エルは母の墓も移し、代官職を終えて故郷を離れた。

続く独立への誘い

エルは代官経験を通して領主の苦労を実感したが、その後も各地の貴族から新たなアルニム領を作るよう誘われ続けた。彼らはエルを近くに置けばヴェンデリンの支援を得られると考えており、エルを独立させようとする動きは終わらなかった。

第二話 アームストロング導師とブランターク、敗れる

世界のマナを奪う巨大魔道具

オットーたちは北の大陸から持ち帰った巨大魔道具を修復し、それが世界中のマナを集めて別世界への移転を行う装置だと知った。古代には初号機の暴走が古代魔法文明崩壊の原因となっており、修復された装置も世界中の魔法使いの魔力回復を低下させていた。

同時に発見された十個の指輪を持つオットーたちは、装置に蓄えられた魔力を遠隔で引き出せた。そのため他の魔法使いが魔力不足に陥る中でも、大量の魔法を使い続けることができた。

導師とブランタークの敗走

原因を探ってギガントの断裂へ向かった導師とブランタークは、巨大魔道具とそれを守る十名の魔族を発見した。二人は連携攻撃を受けて追い詰められ、ブランタークは重傷を負った。

ブランタークは操作盤から重要と思われるセキュリティキーを抜き、血痕の残る地面へ隠した。その後、導師を救出して逃走し、最後は自分たちが焼き尽くされたように偽装して河へ飛び込んだ。二人は急流に流され、その先の滝へ落下した。

残されたセキュリティキー

二人が死んだと思ったオットーたちは巨大魔道具を別の森へ移した。捜索に来たワーレンたちは、巨大重量物の跡と血痕、そこに隠されていた鍵を発見した。

一方、装置を再設置したオットーたちはセキュリティキーの消失に気づいた。人間側に回収されたと考えた彼らは、変装用の指輪を使って王都へ潜入し、鍵を奪還することにした。

三話 最悪の想定

導師とブランタークの消息不明

フリードリヒが初めて父上と口にし、ヴェンデリンは大喜びした。しかし世界的な魔力回復量の低下はさらに深刻化しており、そこへ導師とブランタークがギガントの断裂で消息を絶ったとの報告が届いた。

王城でワーレンから説明を受けたヴェンデリンは、北の大陸から消えた巨大な遺産がギガントの断裂へ持ち込まれ、二人がそれを発見して何者かと戦った可能性を知った。

鍵と巨大魔道具の関係

ワーレンが血痕付近で発見した古い鍵をベッケンバウアーへ渡すと、それは巨大魔道具を作動させる重要部品である可能性が高いと推測された。導師かブランタークが意図的に抜き取り、隠したと考えられた。

さらに二人が消息を絶った頃だけ魔力回復量が一時改善しており、その後以前より悪化していた。ベッケンバウアーは、犯人が巨大魔道具を移動させた間だけマナ吸収が止まり、別の場所で再稼働させたと考えた。

古代魔法文明崩壊への懸念

巨大魔道具には膨大な魔力が蓄積されている可能性があり、暴走すれば古代魔法文明崩壊の再来となる危険があった。国王は王国軍や魔法使いを大量投入し、装置と導師、ブランタークの大規模捜索を開始した。

第四話 捜索よりも漢飯!

魔力不足下の捜索

魔法使いの魔力回復量は五分の一まで落ち、魔導飛行船や魔道具の使用も制限された。ヴェンデリンたちは飛翔や探知を控え、ギガントの断裂周辺を徒歩で捜索した。

しかし探知も満足に機能せず、巨大魔道具や二人の手がかりは見つからなかった。

炊事班となったヴェンデリン

ヴェンデリン、エル、ベッケンバウアー、キンブリーは、魔法を使わず焚き火で焼き肉を作った。温かい食事を求めて兵士や魔法使いたちが集まり、その評判から四人は捜索隊の炊事担当を任されることになった。

その後もカレー、背脂チャーハン、肉や卵を載せたガッツリ系の料理を大量に作り、捜索隊の士気と作業効率を支えた。評判が広がりすぎたため、ヴェンデリンは各部隊へレシピや調味料を提供した。

続く捜索

捜索範囲は南へ拡大し、巨木の森などが重点地域となった。しかし日数が経っても巨大魔道具と導師、ブランタークは発見されず、ヴェンデリンは焦りながら後方支援を続けた。

第五話 王城奇襲

ブレンメルタール内務卿の利用

王都へ潜入したオットーたちは、セキュリティキーを探すためブレンメルタール内務卿の屋敷を襲い、家族を人質にして協力を強制した。

内務卿は表向き脅されながらも、彼らを利用して政敵を排除しようと考えた。オットーたちもその思惑を見抜きつつ、彼を王城へ入るための駒として利用した。

王城への襲撃

オットーたちは謁見の間へ強行突入し、陛下を守るワーレンに鍵の所在を尋ねた。ワーレンは知らないと偽り、攻撃を耐えながら援軍到着まで時間を稼いだ。

包囲されたオットーたちは天井を破壊して逃走した。その際、落下物が陛下の頭部に当たり、治療後も昏睡状態となった。ヴァルドは代王として国政を担うことになった。

次の標的となったヴェンデリン

オットーたちは再びブレンメルタール内務卿の屋敷へ逃げ込んだ。内務卿は自身への疑いを逸らし、政敵を排除するため、鍵をヴェンデリンが持っている可能性を示唆した。

オットーたちはその情報を信じ、ギガントの断裂周辺にいるヴェンデリンを次の標的とした。

第六話 絶体絶命

ヴェンデリンへの待ち伏せ

王城襲撃を受け、捜索隊は縮小され、ヴェンデリンには王都への帰還命令が出た。魔導飛行船の魔力が不足していたため、ヴェンデリンは一人で飛翔して王都へ向かった。

その途中、オットーたち十名に待ち伏せされ、セキュリティキーの所在を問い詰められた。ヴェンデリンは彼らが自分の移動経路まで知っていることから、王国側に情報を流す者がいる可能性を考えた。

河へ追い詰められたヴェンデリン

魔力回復量が低下しているヴェンデリンに対し、十名の魔族は大量の攻撃魔法を放ち続けた。ヴェンデリンは予備の魔晶石も使い果たし、森へ降りて徒歩で逃げた。

魔族たちは森全体を火魔法で焼き始めた。追い詰められたヴェンデリンは急流へ飛び込んだが、魔力も体力も尽き、水中で家族を思いながら意識を失った。

ヴェンデリンの消息不明

バウマイスター辺境伯家にはヴェンデリンまで消息不明になったとの報告が届いた。エリーゼたちは死を認めず王都へ向かい、情報収集を始めた。

ブレンメルタール内務卿らは森林火災による死亡の可能性を口にしたが、遺体も遺留品も発見されていなかった。エリーゼたちは彼らの思惑を警戒し、ヴェンデリンが戻るまで家を守ることを決めた。

王国内部への疑念

ホーエンハイム枢機卿は、魔族たちがヴェンデリンの行動を正確に把握していたことから、大物貴族の中に情報提供者がいる可能性を疑った。

陛下は昏睡し、導師、ブランターク、ヴェンデリンまで行方不明となった。魔法と通信も制限される中、王国は深刻な混乱へ陥っていた。

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