魔導具師ダリヤ 5巻レビュー
まとめ
魔導具師ダリヤ 7巻レビュー
物語の概要
■ 作品概要
魔導具師ダリヤ・ロセッティは、友人の騎士ヴォルフレード(ヴォルフ)・スカルファロットと穏やかな交流を続けていたが、激しい雨の夜、下町からの友人マルチェラが救援を求めて駆け込んできたことで状況は急変した。
妊娠した妻イルマが、マルチェラ自身の秘めていた高い後発魔力(土魔法14)を継承した胎児の影響により「魔力過多症」を発症し、指先の結晶化と重体化が進んで命の危機に瀕してしまう。
ダリヤは師オズヴァルド・ゾーラの指導のもと、母体の過剰魔力を引き出す難関魔導具「吸魔の腕輪」の制作に着手した。
作業過程で互いの魔力波長を合わせるため、元婚約者トビアス・オルランドへ協力を要請する。
一方、ヴォルフは兄グイード・スカルファロットへ相談を持ちかけ、マルチェラをスカルファロット家の騎士として雇用して法的庇護下に置くとともに、神殿の「完全治癒魔法」を手配した。
トビアスとの共同作業や父カルロの遺書を通じ、過去のすれ違いや後悔を「さよなら」の言葉とともに精算したことで、「吸魔の腕輪」は無事に完成に至る。
完成した腕輪と手配された治癒魔法によってイルマは完治を果たし、胎内の子が双子である事実も判明した。
さらに王城財務部長のジルドファン・ディールス侯爵が新たな保証人に就任し、新会員メッツェナ・グリーヴらを迎えたことで、ロセッティ商会は組織基盤を大幅に強化していく。
■ 主要キャラクター
ダリヤ・ロセッティ
- 立場・所属:魔導具師、ロセッティ商会会長、魔物討伐部隊相談役
- 主人公としての主な役割と変化・行動:重体に陥ったイルマを救うため、オズヴァルドの指導とトビアスの協力を得て難関魔導具「吸魔の腕輪」を制作。作業過程で元婚約者トビアスと本音で話し合い、過去の誤解や引け目を払拭して「さよなら」を告げ、関係を完全に精算した。
ヴォルフレード(ヴォルフ)・スカルファロット
- 立場・所属:オルディネ王国騎士団魔物討伐部隊員、スカルファロット伯爵家四男
- 主人公との関係:親しい友人
- 主人公との主な役割と変化・行動:ダリヤの作業を物理的・精神的に支え、限界を超える付与作業の際には身体を保持して助けた。兄グイードに相談してマルチェラをスカルファロット家の護衛騎士として登用する道を開き、ダリヤへの深い信頼と気遣いをより一層強めた。
マルチェラ・ヌヴォラーリ
- 立場・所属:運送ギルド職員(後にスカルファロット家騎士およびロセッティ商会員)
- 主人公との関係:下町からの友人
- 主人公との主な役割と変化・行動:自身が後発魔力(土魔法14)を持つことが判明。妻イルマの命を救うためダリヤを頼り、スカルファロット家に騎士として仕え、ダリヤの護衛兼商会員となる決断を下した。
イルマ・ヌヴォラーリ
- 立場・所属:美容師、マルチェラの妻
- 主人公との関係:下町からの友人(幼馴染み)
- 主人公との主な役割と変化・行動:強い魔力を持つ子の妊娠により「魔力過多症」を発症し、指先が結晶化する重体に陥るが、ダリヤ達の作った「吸魔の腕輪」と神殿の「完全治癒魔法」により全快。お腹の子が双子であることが判明する。
オズヴァルド・ゾーラ
- 立場・所属:ゾーラ商会会長、高級魔導具師、ダリヤの師
- 主人公との関係:魔導具師の師匠
- 主人公との主な役割と変化・行動:高難度の「吸魔の腕輪」制作を主導し、自らの爪を割って血を流しながらも「炎性定着」を完遂。トビアスに魔導具師としての再起を促す背景には、自身の死後、魔導具師を目指す実子ラウルエーレを支える同世代の技術者ネットワークを構築しておくという指導者・父親としての深い意図が存在した。
トビアス・オルランド
- 立場・所属:オルランド商会魔導具師(カルロの弟子)
- 主人公との関係:元婚約者、元・兄弟子
- 主人公との主な役割と変化・行動:ダリヤとの魔力不一致を解決するため呼び出され、魔力出力を調整して一角獣と二角獣の角への同時付与(二重螺旋)を成功させた。カルロの手紙を通じてダリヤと過去のすれ違いや嫉妬について打ち明け合い、正式に「さよなら」を交わした。
グイード・スカルファロット
- 立場・所属:スカルファロット伯爵家当主代理(次期当主)
- 主人公との関係:ヴォルフの兄
- 主人公との主な役割と変化・行動:マルチェラを家臣(騎士)として雇用してロセッティ商会に派遣する枠組みを提示。生まれてくる高魔力の子供をスカルファロット家で将来の雇用として囲い込むことで他貴族からの圧力を防ぎ、副神殿長エラルドによる完全治癒魔法の手配を成功させた。
イヴァーノ・メルカダンテ
- 立場・所属:ロセッティ商会副会長(事務・実務担当)
- 主人公との関係:ビジネスパートナー・部下
- 主人公との主な役割と変化・行動:オルランド商会との提携時に神殿契約(危害を加えない契約)を設定してリスク管理を徹底。ジルドファン・ディールス侯爵を迅速に新たな保証人に据え、孤児であるメッツェナを雇用するなど商会組織を強化した。
読んだ本のタイトル
#魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~ 6
(英語名:Dahlia in Bloom: Crafting a Fresh Start with Magical Tools)
著者:甘岸久弥 氏
イラスト:景 氏
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あらすじ・内容
友の命の危機――魔導具師としてダリヤはどう立ち向かう!?
貴族との取引も増え、ますます活躍の場を広げていく女性魔導具師のダリヤ。
魔導具師ダリヤはうつむかない ~今日から自由な職人ライフ~ 6
そんな彼女のもとを、友人の美容師イルマの夫であるマルチェラが訪れる。イルマが多すぎる魔力を持つ子供をその身に宿したことで「魔力過多症」となり、命の危機にあるのだった。しかし、子供を諦めるという選択をかたくなに拒むイルマを見て、ダリヤは友人として、魔導具師として、必ず二人とも救うと決意する。
築いてきた人脈、魔導具師としての技術、すべてをもってイルマを助けるための魔導具制作に臨むダリヤ。しかし、一筋縄ではいかぬその魔導具制作には、“彼女と似た性質の魔力を持つ”魔導具師の協力が不可欠だった。彼女が思い当たった魔導具師とは――。
魔導具師ダリヤのものづくりストーリー、決別と進歩の第六弾、開幕!
感想
今回はかなり重いところから始まった。
ダリヤの幼馴染みであるイルマが妊娠。
本来なら喜ばしい話なのだが、お腹の子供の魔力が強すぎて、イルマの身体が耐えられない。
原因は夫のマルチェラだった。
今まで普通に下町で暮らしていたマルチェラ。
ところが実は、とんでもなく魔力が強かった。
その魔力を受け継いだ子供を、魔力の低いイルマが妊娠してしまったことで命の危機に陥る。
マルチェラは妻を助けるため、子供を諦めてほしいと願う。
しかしイルマは産むことを諦めない。
そこでダリヤが、
「だったら魔導具で何とかする」
と動き出す。
そして最終的に協力を求めることになった相手が――。
ダリヤを捨てた元婚約者トビアス。
ここでお前が必要になるのか。
いろいろあった二人だが、魔導具師として積み重ねてきた時間まで消えたわけではなかった。
イルマの妊娠が命懸けになってしまった
マルチェラが大雨の中、ダリヤのところへ駆け込んでくる。
イルマが妊娠した。
しかし胎児の魔力が強すぎて、母体に異常が起きているという。
イルマの指先は結晶化し始め、身体もかなり衰弱していた。
原因となったのがマルチェラの高すぎる魔力である。
マルチェラの魔力は14。
対してイルマは2。
かなりの差がある。
しかもマルチェラ自身、それまで自分の魔力について積極的に明かしてこなかった。
高い魔力を持つことが知られれば、貴族社会から目を付けられる可能性もある。
だからこそ下町で普通に暮らしてきた。
そんな彼の魔力が、思わぬ形で妻と子供を危険にさらしてしまった。
マルチェラは子供よりイルマを選ぼうとする
ここはかなり辛かった。
マルチェラにとって、もちろん子供も大切である。
それでもイルマを失うくらいなら、子供を諦めてほしい。
神官からも母体を守るために子供を諦める選択肢が示される。
だが、イルマは拒否する。
自分が危険な状態なのを分かったうえで、それでも産みたいと言う。
さらにダリヤへ、
自分に何かあったら、マルチェラと子供を頼む。
そんなことまで言ってしまう。
いや、それをダリヤに言ったら駄目だ。
案の定、ダリヤは拒絶する。
母親を失い、父カルロを失い、婚約者との関係も終わった。
そんなダリヤにとって、昔からの友人であるイルマまで失うことなど受け入れられるはずがない。
だったら別の方法を探す。
母親も子供も助ける。
ここから魔導具師ダリヤの本領発揮である。
「ないなら作る」がダリヤらしい
ダリヤが相談したのは、師匠のオズヴァルド。
そこで母体に流れ込む余分な魔力を吸収するための「吸魔の腕輪」を作ることになる。
ただし、これがとんでもなく難しい。
必要なのは単純に魔力を吸う機能だけではない。
母体を守る。
胎児も守る。
結晶化を防ぐ。
余った魔力を排出する。
複数の機能を一つの腕輪へまとめなければならない。
素材も天狼の牙、一角獣や二角獣の角、バジリスクの爪など、とんでもないものばかり。
完全に高難度魔導具である。
それでもダリヤは作る。
親友とその子供が助かる可能性があるなら、やるしかない。
こういうところは本当にダリヤらしい。
ところが師匠とダリヤでは魔力の相性が悪い
しかし問題が発生する。
ダリヤとオズヴァルドの技術が足りないわけではない。
二人の魔力の性質が合わない。
必要な付与を成功させるには、二人の魔導具師が魔力をきれいに合わせなければならない。
ところが何度やってもうまくいかない。
では、ダリヤと魔力を合わせられる魔導具師は誰なのか。
ここで浮かんできたのが――。
トビアス。
元婚約者。
ダリヤとの婚約中に別の女性を選び、婚約破棄した男である。
よりによってお前か。
親友を救うため、元婚約者に頭を下げる
普通なら頼みたくない。
あれだけ嫌な思いをした相手である。
しかしイルマの命が懸かっている。
ダリヤは自分の感情より、友人を助けることを優先する。
そしてトビアスも、事情を聞くとすぐに協力を受け入れる。
ここが印象に残った。
二人はもう婚約者ではない。
男女としての関係も終わっている。
それでも長い間、一緒に魔導具を作ってきた。
カルロの弟子として学んできた兄弟子と妹弟子でもある。
その積み重ねだけは消えていなかった。
やっぱり魔導具師としては相性がいい二人
実際に作業を始めると、それがよく分かる。
トビアスはダリヤの癖を知っている。
どこで魔力が揺れるのか。
どのように補助すればいいのか。
長年一緒に作業してきたからこそ分かる。
そしてダリヤも初めて気づく。
昔、一緒に魔導具を作っていた頃、トビアスはダリヤが気づかないところで失敗を補っていた。
検品までしていた。
婚約者としては完全にすれ違ってしまった。
しかし魔導具師として見れば、トビアスにはトビアスの技術があった。
ダリヤにはダリヤの発想力がある。
二人は違うからこそ、補い合えていた。
なんとも皮肉である。
ここで二人の関係に本当の決着がついた気がする
さらにカルロが残していた魔導書と手紙によって、ダリヤとトビアスは過去について話すことになる。
トビアスはダリヤの才能に嫉妬していた。
一方のダリヤも、
「捨てられたくない」
という思いから自分を押し殺していた。
トビアスの後ろを歩く妻になろうとしていた。
でも本当は違った。
ダリヤが望んでいたのは、誰かの後ろを歩くことではない。
隣を歩くことだった。
今のダリヤとヴォルフの関係を見ていると、ここはかなり大きな違いだと思う。
ヴォルフはダリヤの仕事を止めようとはしない。
危険なら心配する。
支える。
それでも魔導具師として進もうとするダリヤ自身を否定しない。
トビアスとの失敗があったからこそ、今の関係の良さがより分かる。
そして二人はようやく「さよなら」を交わす。
婚約破棄したときよりも、こちらの方が本当の意味で二人の関係が終わった瞬間だったのかもしれない。
吸魔の腕輪が完成。イルマも助かった
トビアスの協力によって難しい付与に成功。
さらにオズヴァルドが仕上げを行い、ついに吸魔の腕輪が完成する。
イルマへ装着すると余分な魔力が吸収され、結晶化の進行も止まる。
さらに治癒魔法も加わって、イルマは回復。
お腹の子供も無事だった。
よかった。
本当によかった。
しかも、お腹の子は双子。
そりゃ母体への負担も大きい。
イルマが再び美容師としてハサミを握れるまで回復したのは、読んでいてかなり安心した。
そしてマルチェラ、とんでもない人材だった
イルマの問題が解決したところで、今度はマルチェラの扱いである。
魔力14。
庶民としては非常に高い。
身体強化も使える。
土魔法も使える。
しかもダリヤとは昔からの知り合い。
信用できる。
……護衛としてかなり優秀なのでは?
そこでヴォルフの兄グイードが動く。
マルチェラをスカルファロット家の騎士として登録。
そのうえでロセッティ商会へ護衛として派遣する。
これなら高い魔力を持つマルチェラと、その子供を貴族から守ることもできる。
同時にダリヤの護衛まで強化できる。
相変わらずグイード兄様、仕事が早い。
ダリヤの周りに昔馴染みが増えていく
結果としてマルチェラはロセッティ商会へ入ることになる。
しかも、もう一人メーナまで加入。
最初はほとんどダリヤとイヴァーノだけだった商会が、少しずつ大きくなってきた。
その中でもマルチェラの加入は大きい。
イルマとマルチェラは、ダリヤが魔導具師として成功する前から彼女を知っている。
貴族でもない。
大商人でもない。
魔導具師としての才能を見込んで近づいたわけでもない。
昔からの友人である。
ダリヤの周囲に新しい人脈が増えていく一方で、こうして昔から知っている人間まで商会に加わってくるのは少し安心感がある。
6巻は「昔の関係を作り直す」巻だったのかもしれない
読んでいて感じたのは、今回は人間関係が大きく組み替わった巻だったということだ。
イルマとマルチェラは、ただの幼馴染みから、ダリヤが命懸けで守ろうとした大切な友人になった。
マルチェラは友人から護衛騎士兼商会員へ。
そしてトビアスとは、元婚約者という引っかかりをようやく終わらせることができた。
特にトビアスとの共同作業が印象に残った。
正直、婚約破棄の経緯を考えれば、
「もう関わらなくてもいいのでは?」
と思っていた相手である。
しかし、人間関係が壊れたからといって、それまで積み上げてきた技術や時間まですべて偽物になるわけではない。
ダリヤとトビアスは夫婦にはなれなかった。
それでもカルロのもとで一緒に学んだ魔導具師だった。
最後にその技術がイルマと子供を救った。
そして役目を終えたところで、ようやく「さよなら」を言えた。
この終わらせ方はかなり良かったと思う。
それにしても。
婚約者に捨てられて始まったダリヤの物語。
その元婚約者と再び魔導具を作り、親友と子供を救うことになるとは思わなかった。
そして助けた親友の旦那は、そのままダリヤの護衛として加入。
ダリヤ本人が意識しないところで、ロセッティ商会がどんどん強くなっている。
魔導具商会というより、そろそろ人材まで豪華になりすぎでは?
最後までお読み頂きありがとうございます。
魔導具師ダリヤ 5巻レビュー
まとめ
魔導具師ダリヤ 7巻レビュー
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考察・解説
ストーリー・プロット
第1幕:大鶏ソテーとカルロの書斎整理
- 原因 : レストランで限定メニュー「大鶏ソテー」を楽しみながら近況を語り合う中で、ダリヤが亡き父カルロの部屋の片付けを進められずにいることを知り、ヴォルフが手伝いを申し出る。
- 行動 : 二人でカルロの物置(旧書斎)の掃除を実施し、床一面に散らばっていた麻袋2袋分におよぶ女性の姿絵(カルロの隠した『男の浪漫』)や、トビアス宛ての魔導書、童話『水の魔剣』の画用紙帳、幼いダリヤが縫った拙い刺繍ハンカチを発見する。
- 結果 : ヴォルフは少年時代に母から読み聞かされた『水の魔剣』の思い出や王城の鞘から抜けない魔剣のエピソードを語り、ダリヤの許可を得て刺繍ハンカチを受け取り上着のポケットに収める。
- 次の展開 : カルロの物置部屋の片付けが完了したことでダリヤは父の死という過去に向き合い始め、発見されたトビアス宛ての魔導書が後の再会と過去の関係精算に向けた重要な伏線となる。
第2幕:雨の夜の訪問と「魔力過多症」の発覚
- 原因 : 激しい雨が降る夜、緑の塔にびしょ濡れのマルチェラが駆け込んでくる。
- 行動 : マルチェラは妊娠した妻イルマの体調が急変して神殿に運び込まれたと吐露する。彼自身が「後発魔力」として土魔法14の強い魔力を秘めており、その魔力を継承した胎児の影響で、魔力2のイルマが「魔力過多症」を引き起こしていることが判明する。
- 結果 : イルマの身体は衰弱し、指先は土魔法の影響で薄茶の水晶のように結晶化し始めており、命の危険がある状態であった。ダリヤとヴォルフはマルチェラと共に神殿へ急行し、見舞いにおいてイルマのあきらめと覚悟に直面したダリヤは、友と赤ん坊の双方を救うために全力を尽くすことを誓う。
- 次の展開 : ダリヤとヴォルフは、イルマの命と母子双方の安全を確保するため、魔導具制作と政治的庇護という二方向からの解決策を迅速に模索し始める。
第3幕:友を救うための模索と二つのアプローチ
- 原因 : イルマの生命と赤ん坊の双方を救い出すため、母体の過剰魔力を取り除く魔導具制作と、庶民であるマルチェラ一家を守る法的・政治的防護策が必要となる。
- 行動 : ダリヤは師オズヴァルドのもとを訪れ、ミスリル製腕輪に天狼の牙(余剰魔力吸引)、コカトリスの嘴(結晶化防止)、雌の一角獣の角(母体安定)、雄の二角獣の角(胎児への偽装)、バジリスクの爪(魔力排出)を組み込む難関魔導具「吸魔の腕輪」の制作に着手する。一方、ヴォルフは兄グイードへ相談に赴く。
- 結果 : グイードはマルチェラをスカルファロット家の騎士として雇用し、ロセッティ商会の護衛騎士として派遣する解決策を提示する。併せて、生まれてくる高魔力の子供を将来の雇用者として囲い込むことで他貴族からの介入を防ぐ方針を定め、マルチェラに神殿契約を結ばせた上で「完全治癒魔法」の手配を始める。
- 次の展開 : 法的・政治的基盤が確立される一方で、ダリヤ側の「吸魔の腕輪」制作において、二つの角への同時魔力付与という極めて高い技術的障壁に直面する。
第4幕:魔力の壁とトビアスへの救援要請
- 原因 : 「吸魔の腕輪」の工程において、一角獣と二角獣の角へ同時に魔力を付与する際、カールして揺れるダリヤの魔力と点状に打たれるオズヴァルドの魔力の波長・質が噛み合わず、角が砕けるなどの失敗を繰り返す。
- 行動 : オズヴァルドから魔力波長の合う手伝いの有無を問われたダリヤは、最も依頼したくなかった元婚約者トビアス・オルランドを呼び出す決断を下す。イヴァーノ、ヴォルフと共にオルランド商会を訪れ、正式な仕事として協力要請を行う。
- 結果 : 事態の重さを理解したトビアスは即座に受諾し、夫人のエミリヤを伴ってオズヴァルドの屋敷へ同行する。イヴァーノが事前に設定していた神殿契約(安全確保)のもと、作業場にてダリヤとトビアスによる同時魔力付与作業が開始される。
- 次の展開 : オズヴァルドの作業場において、過去のわだかまりを抱えたまま、友の命を救うための繊細な同時付与作業に入っていく。
第5幕:過去の精算と「吸魔の腕輪」の完成
- 原因 : ダリヤとトビアスは旧知の呼吸を取り戻し、ダリヤが魔力出力を絞り、トビアスがそれに合わせることで、二人の魔力が「美しい虹色の二重螺旋」を描いて角へ吸い込まれ、一角獣と二角獣の角への同時付与に見事成功する。
- 行動 : オズヴァルドは「炎性定着」において赤の魔力底上げ指輪を破壊・消失させ、右手の全爪がひび割れて流血しながらも完璧な手腕でバジリスクの爪の付与を完遂し「吸魔の腕輪」を完成させる。作業後、二人はオズヴァルドの配慮により二人きりとなり、カルロの手紙を読む。
- 結果 : 手紙には二人への温かい願いと「姿絵は息子への遺産として全部やる」という落差のある追伸が書かれていた。二人は婚約時代のすれ違い、トビアスの嫉妬やダリヤの自己卑下について本音を打ち明け合い、互いに許し合って出会ってから一度も口にしていなかった「さよなら」を交わし、過去の関係を完全精算した。
- 次の展開 : 精神的トラウマを完全に払拭したダリヤは、完成した「吸魔の腕輪」を携えてヴォルフと共に神殿のイルマのもとへ急行する。
第6幕:完全治癒と命の芽吹き
- 原因 : ダリヤとヴォルフが神殿にいるイルマへ完成した「吸魔の腕輪」を無事に届ける。
- 行動 : 腕輪を装着したことでイルマの過剰魔力が安定して激しい吐き気が収まり、翌日にはグイードの手配によって駆けつけた副神殿長エラルドによる「完全治癒魔法」が施される。
- 結果 : イルマの指先の結晶化や身体の不調は完全に完治し、身体の動きやすさを取り戻す。さらに神官の鑑定により、お腹の子が「双子」であることが判明する。イルマとダリヤは喜びの涙を流しながら抱き合い、自慢の友人としての強い絆を再確認する。
- 次の展開 : イルマの完治とマルチェラの退職・騎士化に伴い、ロセッティ商会の新たな組織体制構築と保証人交代の実務が進められる。
第7幕:新たな商会体制と仲間の加入
- 原因 : マルチェラがスカルファロット家の騎士および商会員となることで保証人を抜けることになり、代わりとなる新たな保証人の確保が必要となる。
- 行動 : イヴァーノの立ち回りにより、王城財務部長であるジルドファン・ディールス侯爵が電撃的に商業ギルドを訪問し、わずか5分で書類にサインして立ち去る。また、保証人交代の混乱や噂に巻き込まれ運送ギルドを辞めることになった孤児出身のメッツェナ・グリーヴを、マルチェラの保証のもとで新会員として雇用する。
- 結果 : 強大な貴族の後盾を得ると同時に、現場の実務・護衛を担当する信頼できる新会員2名を迎え、ロセッティ商会の社会的信用と組織基盤が大幅に強化される。
- 次の展開 : 一連の大きな危機と実務処理を乗り越え、ダリヤとヴォルフは緑の塔の屋上で祝勝と労いのひとときを過ごす。
第8幕:緑の塔での語らいと「長生き」の約束
- 原因 : イルマの全快と腕輪の完成を祝うため、ダリヤとヴォルフは緑の塔の屋上で食事をとる。
- 行動 : ダリヤはヴォルフの幼少期のトラウマ(母に言われた「お腹で魚が暴れる」)であった銀刀魚(サンマ)を美味しく焼き上げ、ヴォルフはこれを完全に克服する。グイードから贈られた「スカルファロットエルバ」の花蜜酒を飲んだダリヤは悪酔いする。
- 結果 : ダリヤは転生者としての意識から「私の方が中身は年上なんです」と口にしつつ、ヴォルフに「私より長生きしてください」と強く願う。ヴォルフはその約束を受け入れ、ソファーで眠ってしまったダリヤが落ちないようソファー同士を組み合わせてベッドを作り、上着をかけて静かに塔を辞した。
主要な転換点
転換点1:カルロの遺品の整理と魔導書・刺繍ハンカチの発見
- 【それ以前の状況】 : ダリヤは亡くなった父カルロの部屋(物置)の掃除に手をつけることができず、放置された状態が続いていた。
- 【出来事】 : ヴォルフの手伝いによって部屋を掃除し、トビアス宛ての魔導書、画用紙帳、ダリヤが幼少期に手縫いした刺繍ハンカチを発見した。
- 【変化】 : ヴォルフが刺繍ハンカチを受け取って上着のポケットに収め、二人の精神的距離がより近くなった。また、魔導書の存在が後のトビアスとの対話の引き金となった。
- 【次への影響】 : ダリヤが父の死という過去と向き合う契機となり、後のトビアスとの対話および過去のわだかまりの精算に向けた重要な伏線として機能した。
転換点2:マルチェラの来訪と「後発魔力・魔力過多症」の発覚
- 【それ以前の状況】 : ダリヤはイルマ達が仕事の繁忙期を迎えていると思い込み、しばらく直接会っていなかった。
- 【出来事】 : 雨の夜、マルチェラが神殿から駆けつけ、自身の高い後発魔力(土14)と、それによるイルマの魔力過多症(命の危険と指先の結晶化)を告白した。
- 【変化】 : 穏やかな日常が一変し、イルマの命と赤ん坊を救うための緊急事態へ突入した。
- 【次への影響】 : ダリヤによる「吸魔の腕輪」制作、ヴォルフによるグイードへの相談およびスカルファロット家によるマルチェラの騎士雇用の動きへ直結した。
転換点3:スカルファロット家によるマルチェラの家臣(騎士)化と庇護
- 【それ以前の状況】 : マルチェラとイルマは庶民であり、高額な治療費や魔力過多症に対する具体的な解決手段を持たず手詰まりであった。
- 【出来事】 : ヴォルフから相談を受けたグイードが、マルチェラをスカルファロット家の騎士とし、ダリヤの護衛として派遣する枠組みを提案・実行した。また、高魔力の子供を将来の雇用として囲い込み、他貴族の圧力を遮断した。
- 【変化】 : マルチェラ一家は貴族の法的な庇護を受けることとなり、副神殿長エラルドによる完全治癒魔法の手配や将来の子供の安全対策が確立された。
- 【次への影響】 : マルチェラが運送ギルドを辞めてロセッティ商会(およびスカルファロット家)に入ることとなり、商会の保証人交代問題やメッツェナの加入へと繋がった。
転換点4:トビアス・オルランドの作業協力と過去の精算
- 【それ以前の状況】 : ダリヤとトビアスは婚約破棄以来、ギルドや仕事上の最低限の関わりに留まり、気まずい距離感があった。
- 【出来事】 : 「吸魔の腕輪」制作でダリヤとオズヴァルドの魔力が噛み合わず、トビアスを招集して二重螺旋の付与を成功させた後、カルロの手紙を読んで互いの本音(嫉妬、自己卑下、勘違い)を語り合った。
- 【変化】 : 過去のすれ違いや後悔、執着が払拭され、二人は出会って以来初めて「さよなら」を交わして完全に「対等な魔導具師同士(元・兄妹弟子)」の関係に戻った。
- 【次への影響】 : ダリヤの精神的なトラウマや引け目が払拭され、魔導具師としてより一層前向きに歩むこととなった。
転換点5:ディールス侯爵の保証人就任とメッツェナの加入
- 【それ以前の状況】 : マルチェラが商会保証人を抜けることに伴い、新たな保証人の確保が必要となっていた。
- 【出来事】 : イヴァーノの交渉とディールス侯爵の迅速な行動により、ディールス侯爵が商業ギルドを直接訪問してわずか5分で保証人に就任。また、その大騒動に巻き込まれた孤児のメッツェナを新会員として雇い入れた。
- 【変化】 : ロセッティ商会の社会的信用と貴族の後盾が絶大なものとなり、同時に現場の実務・護衛戦力が2名増強された。
- 【次への影響】 : 商会の組織基盤が強固になり、今後のさらなる事業拡大や貴族社会との関わりに対応できる体制が整った。
ダリヤを中心とした人物関係の変化
ヴォルフレード(ヴォルフ)
- 【開始時】 : 気兼ねなく美味しい食事や魔導具の会話を楽しむ「親しい友人」。
- 【主な出来事】 : カルロの部屋の掃除をヴォルフが手伝い、ダリヤの刺繍ハンカチを受け取ってポケットに収めたこと。イルマの危機にヴォルフが自らの立場や人脈を駆使して全面的にダリヤを支えたこと。屋上でダリヤが酔って「私より長生きしてください」と願い、ヴォルフがそれを約束したこと。
- 【巻末時】 : 互いの存在と仕事(魔導具師と騎士)を深く尊重し合い、精神的な深い信頼と「絶対的な安全基地」として固く結ばれた友人関係。
トビアス
- 【開始時】 : 婚約破棄後の気まずさと後悔、元婚約者・元兄弟子という不器用な距離感。
- 【主な出来事】 : 「吸魔の腕輪」の付与作業を協力して成功させ(二重螺旋の付与)、カルロの手紙を共に読んだこと。婚約時代のすれ違いや互いの嫉妬・思い込みを告白し合い、感謝と許しを交わして「さよなら」を告げたこと。
- 【巻末時】 : 過去のわだかまりや未練が完全に消え去り、互いの技術を認め合う「対等な魔導具師同士(元・兄妹弟子)」の関係へ整理された。
マルチェラ
- 【開始時】 : 下町からの気心の知れた友人であり、ロセッティ商会の保証人の一人。
- 【主な出来事】 : 妻イルマの命を救うためダリヤを頼り、ダリヤが全力を尽くしたこと。マルチェラがスカルファロット家の騎士となり、ダリヤの護衛騎士兼商会員となったこと。
- 【巻末時】 : 単なる友人から、「命の恩人」であり「守るべき対象(商会長)とそれを守る護衛騎士」という新たな信頼関係へ変化した。
オズヴァルド
- 【開始時】 : 魔導具師の指導を受ける「師匠と弟子」。
- 【主な出来事】 : 「吸魔の腕輪」制作を通じて、自らの爪を割って血を流しながらも成功させるプロとしての圧倒的な技術と覚悟を示されたこと。トビアスとの対話の場を用意してもらうなど、人間的・政治的な教導を受けたこと。
- 【巻末時】 : 技術の師であると同時に、商会長としての生き方や人間関係の収め方を教える「人生・事業の指導者」としての関係がより強固になった。
主人公の認識と周囲の評価
主人公自身の認識
- 自分は「背中にかばわれるような弱い存在」ではなく、誰かの隣に立って一緒に歩みたいと考えている。
- 自分は特別な天才ではなく「普通の庶民で小心者」であり、精神的にも肉体的にも限界がある(緊張すると胃に来る、体力がないなど)。
- 魔導具師としての腕前は未熟であり、父カルロやオズヴァルド、トビアスの持つ平面付与技術などには及ばないと思っている。
周囲からの評価
- ヴォルフ : ダリヤは強くて、あきらめていた自分を救い上げてくれた存在。自分に無理をしてまで素晴らしい魔導具(眼鏡など)を作ってくれる不可欠なパートナー。
- オズヴァルド : 発想力と粘り強さ、強い想いを魔導具に込める技術を持った「非常にかわいい、期待すべき生徒」。商会長としても急成長していると評価している。
- イルマ・マルチェラ : 自慢の友達であり、自分達と子供の命を救ってくれた凄腕の魔導具師。頼りになる存在。
- イヴァーノ : その発想と技術で商会の核となり、周囲を引き寄せる「絶対に守るべき大切な商会長(ただし無頓着で危なっかしい面がある)」。
認識の差が現れた場面
- 場面1(神殿・作業場での限界突破) : ダリヤ自身は「魔力が足りず足手まとりになっている」と恐縮しながら必死に作業していたが、周囲(ヴォルフやオズヴァルド)は彼女の限界を超えた魔力制御と友を救おうとする強い意志に感嘆し、圧倒されていた。
- 場面2(トビアスとの作業と自己評価) : ダリヤは「自分はトビアスのように平面付与も上手にできず検品も抜けがある」と引け目を感じていたが、トビアス側は「ダリヤの発想力や試作力、凄まじい集中力にずっと嫉妬し、自分の方が劣っていると感じていた」ことが明かされた。
- 場面3(「守られる立場」への違和感) : 父やトビアス、ヴォルフやイヴァーノが自分を「前に立って守ろう」とすることに対し、ダリヤは「私ってそんなに弱いですか?」と不満を抱くが、周囲からは「巨大な利益と影響力を生み出す存在であり、狙われやすいため守られるのが当然」と評価されている。
キャラクター紹介
ダリヤ・ロセッティ
オルディネ王国で活動する魔導具師であり、ロセッティ商会の会長を務める。前世の記憶を持ち、友人のために自身の魔力や技術を尽くすことをいとわない情熱を持っている。
- 所属組織、地位や役職
- ロセッティ商会・会長。
- 魔導具師。
- 物語内での具体的な行動や成果
- イルマと胎児を救うため、オズヴァルドと共に「吸魔の腕輪」の制作に取り組んだ。
- 天狼の牙への魔力注入で限界まで魔力を使い、白銀の結晶体を作り出した。
- 腕輪の制作に行き詰まった際、元婚約者のトビアスに協力を仰ぎ、共に付与作業を行った。
- 父カルロの遺したレインコートを完成させ、その開発秘話を振り返った。
- トビアスと過去の清算を行い、互いに新たな道を歩むことを決めた。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
- 友人を救うために貴族や他商会を巻き込んで行動し、商会長としての決断力と人脈を示した。
ヴォルフレード・スカルファロット
魔物討伐部隊に所属する騎士であり、伯爵家の四男。ダリヤの良き理解者であり、彼女の危機には全力で支援を行う。
- 所属組織、地位や役職
- 王城騎士団・魔物討伐部隊員。
- スカルファロット家・四男。
- 物語内での具体的な行動や成果
- イルマを救うために兄グイードに助言を求め、スカルファロット家の支援を取り付けた。
- マルチェラに対し、スカルファロット家に騎士として仕える契約を提案した。
- ダリヤがトビアスと作業する間、複雑な心境を抱えながらも見守り続けた。
- 亡きカルロから受け継いだ姿絵を隠すため、兄に特別な本棚の用意を依頼した。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
- 友人(マルチェラ)を家の騎士として迎え入れることで、貴族としての権力を行使し、守るべき者を守る姿勢を示した。
オズヴァルド・ゾーラ
熟練の魔導具師であり、ゾーラ商会の会長。ダリヤの師匠として、困難な魔導具制作を指導する。
- 所属組織、地位や役職
- ゾーラ商会・会長。
- 魔導具師。
- 物語内での具体的な行動や成果
- イルマの症状に対し「吸魔の腕輪」の制作を提案し、希少素材と高度な技術を提供した。
- ダリヤとトビアスの付与作業を監督し、自身の魔力を使って補助を行った。
- トビアスの技術を認め、彼に魔導具師としての成長を促す言葉をかけた。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
- ダリヤとの間で相互保証人契約を結び、両商会の連携を強化した。
トビアス・オルランド
ダリヤの元婚約者であり、魔導具師。ダリヤからの急な依頼に応じ、協力して魔導具制作を行う。
- 所属組織、地位や役職
- オルランド商会・魔導具師。
- 物語内での具体的な行動や成果
- ダリヤと共に「吸魔の腕輪」への魔力付与を行い、二人の魔力を合わせて成功させた。
- 父カルロからの最後の手紙を受け取り、ダリヤとの関係や自身の選択について再考した。
- 妻エミリヤとの関係改善を決意し、新たな一歩を踏み出した。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
- ダリヤとのわだかまりを解消し、過去の呪縛から解放された。
マルチェラ
ダリヤの友人であり、運送ギルド職員。妻イルマと胎児を守るために奔走する。
- 所属組織、地位や役職
- 運送ギルド職員(後にロセッティ商会・商会員兼スカルファロット家騎士)。
- 物語内での具体的な行動や成果
- 妻イルマの命を救うため、貴族の血を引く自身の魔力を利用される覚悟でダリヤたちに助けを求めた。
- ヴォルフレードからの提案を受け入れ、スカルファロット家の騎士となる契約を結んだ。
- ロセッティ商会の商会員となり、ダリヤを支える立場となった。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
- 自身の出自(貴族の血筋)と向き合い、家族を守るために新たな身分と職を受け入れた。
イルマ・ヌヴォラーリ
ダリヤの友人。魔力過多症による命の危機に瀕する。
- 所属組織、地位や役職
- 美容師。
- 物語内での具体的な行動や成果
- 妊娠中に魔力過多症が悪化し、母体の命か子供の命かの選択を迫られた。
- ダリヤたちが制作した「吸魔の腕輪」と完全治癒魔法により回復し、双子を無事に出産する準備に入った。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
- 友人たちの尽力により命を救われ、母となる喜びを噛み締めている。
カルロ・ロセッティ
ダリヤの亡き父。魔導具師として優れた技術を持ち、死後もダリヤたちに影響を与え続ける。
- 所属組織、地位や役職
- 元魔導具師。
- 物語内での具体的な行動や成果
- 過去の回想にて、レインコートの開発や王城での危険な任務に従事した姿が描かれた。
- トビアスに宛てた手紙の中で、ダリヤとトビアスの協力と幸福を願っていた。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
- 彼の遺した技術や手紙が、ダリヤとトビアスの和解や魔導具制作の成功に寄与した。
イヴァーノ・メルカダンテ
ロセッティ商会の商会員。ダリヤの右腕として商会を支える。
- 所属組織、地位や役職
- ロセッティ商会・商会員(後に副会長)。
- 物語内での具体的な行動や成果
- ダリヤの急な行動をサポートし、オルランド商会との提携や神殿契約の確認を行った。
- ダリヤから商会の後継者および副会長に指名され、その重責を引き受けた。
- メッツェナを商会員として迎え入れ、彼の能力を高く評価した。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
- ロセッティ商会の実質的な運営者としての地位を確立し、ダリヤからの信頼に応えている。
グイード・スカルファロット
ヴォルフレードの兄。スカルファロット家の長男として弟を支援する。
- 所属組織、地位や役職
- スカルファロット家・長男。
- 物語内での具体的な行動や成果
- ヴォルフレードからの相談を受け、マルチェラを騎士として雇用することを許可した。
- マルチェラに対し、ブラックワイバーンの手袋を与え、彼の実父に関する情報を提供した。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
- 弟ヴォルフレードの友人たちを守るために、家の力を貸す姿勢を明確にした。
メッツェナ・グリーヴ(メーナ)
運送ギルド職員。マルチェラの同僚であり、後にロセッティ商会に加わる。
- 所属組織、地位や役職
- 運送ギルド職員(後にロセッティ商会・商会員)。
- 物語内での具体的な行動や成果
- ロセッティ商会の商会員となり、高い給与と住居の提供を受けた。
- 裏社会での活動(『雀』)をイヴァーノに黙認され、その能力を商会のために使うことになった。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
- 自身の出自や能力を活かせる場所を得て、商会の一員として新たなスタートを切った。
フェルモ・ガンドルフィ
ガンドルフィ工房の職人。
- 所属組織、地位や役職
- ガンドルフィ工房・職人。
- 物語内での具体的な行動や成果
- ロセッティ商会の懇親会に参加し、ダリヤに感謝と共同事業の提案を行った。
- ダリヤとの対等なパートナーシップを確認し、共に新しい製品開発を進めることになった。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
- ダリヤの支援により工房を立て直し、更なる発展を目指している。
テオ・オルランド
トビアスの父であり、オルランド商会の元商会長。故人。
- 所属組織、地位や役職
- 元オルランド商会・商会長。
- 物語内での具体的な行動や成果
- 過去の回想にて、自身の余命を知り、カルロに息子とダリヤの結婚を託していた。
- 貴族からの不当な圧力を避けるため、二人を逃がす計画まで立てていた。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
- 息子と友人の娘の幸福を願い、最期までそのための策を講じていた。
魔導具師ダリヤ 5巻レビュー
まとめ
魔導具師ダリヤ 7巻レビュー
戦闘 一覧
大恩と護衛の先生
グイードによるヴォルフへの氷魔法防御
- 戦闘者:グイード(兄) vs ヴォルフ(弟)
- 発生理由:ヴォルフの護衛として適任かどうか、あるいは戦闘技術を向上させるための訓練の一環として行われた模擬戦。
- 結果:ヴォルフが模造剣で攻撃したが、グイードの「氷盾」により完全に防がれた。グイードの圧倒的な魔力と余裕が示された。
沼蜘蛛討伐と遠征食
沼蜘蛛(スワンプスパイダー)討伐戦
- 戦闘者:魔物討伐部隊(ヴォルフ含む)、第二騎士団 vs 沼蜘蛛(スワンプスパイダー)
- 発生理由:王都東の湖での討伐任務のため。
- 結果:当初は第二騎士団副団長が指揮したが、予想外の攻撃に苦戦。魔物討伐部隊員の救援もあり、迅速に討伐された。
幕間 黒の革手袋
暴走馬車の事故
- 戦闘者:マルチェラ vs 暴れる馬と馬車
- 発生理由:馬が暴走し、馬車が横転しかけたため。
- 結果:マルチェラが咄嗟に土魔法を発動させ、馬車を持ち上げて事故(圧死)を回避した。
魔導具師ダリヤ 5巻レビュー
まとめ
魔導具師ダリヤ 7巻レビュー
展開まとめ
大鶏ソテーと部屋掃除
大鶏ソテーの昼食
ダリヤとヴォルフは中央区のレストランで、大鶏のソリレスともも肉のソテーを味わった。ヴォルフは兄グイードが幼い頃に好物を譲ってくれたことを思い出し、ダリヤも父カルロと冬祭りに鶏を食べた記憶を語った。
食事中、魔物討伐部隊では遠征用コンロによって温かい食事が増え、兵舎でも仲間達がコンロを囲んで宴会をするようになったとヴォルフは話した。以前より隊員達との距離が縮まっていた。一方、未婚女性のいる家には行かないなど、自身の容姿から生まれる問題を避け続けていた。ヴォルフは噂を気にすることを諦め、ダリヤとおいしい食事ができればいいと口にした。
カルロの書斎
本屋で魔物や魔導具の本を買った二人は緑の塔へ戻った。本棚が一杯になったため、ダリヤはカルロの死後そのままにしていた四階を片付けることにした。
カルロの旧書斎には、彼が男の浪漫と称して集めた大量の女性の姿絵が残されていた。ダリヤが入ることを嫌がったため、ヴォルフが仕分けを引き受けた。姿絵の間には魔導具関係のメモも混ざっており、単純に捨てることはできなかった。
その中から、橙紅榴石のついた魔導書が見つかった。ダリヤには開けられず、紅血設定の状態からトビアスのためにカルロが用意したものだと考えられた。ダリヤは寂しさを感じながらも、父の弟子であるトビアスへ渡すべきだと考えた。
さらに幼いダリヤがカルロへ刺繍した白いハンカチも見つかった。ダリヤは不要だと言ったが、ヴォルフは手拭きにもらうと言って受け取り、実際には使わず大切に上着へしまった。
願う者と願われる者
イルマの魔力過多症
ダリヤとヴォルフが塔で隣国の魔物図鑑を読んでいると、豪雨の中をマルチェラが訪れた。妻イルマが妊娠したものの、胎児の魔力が強すぎたため魔力過多症となり、危険な状態に陥っていた。
マルチェラの魔力は十四、イルマは二であり、大きな魔力差があった。マルチェラは後発魔力の持ち主で、自身の母も彼を早産した直後に亡くなっていた。イルマは胎児から流れ込む土魔法の影響で魔力が八まで上昇し、指先まで結晶化し始めていた。
神官からは母体を守るため子供を諦めることも提案されていたが、イルマは出産する意思を変えなかった。マルチェラはダリヤなら説得できるのではないかと頼んだ。
イルマの決意
ダリヤが神殿でイルマを訪ねると、彼女は痩せ衰え、血の混じった水を吐き、指先を結晶化させながらも出産すると言い切った。さらに、自分にもしものことがあればマルチェラと子供を頼むとダリヤへ告げた。
ダリヤは激しく拒絶した。母や父、友人、婚約者など、自分のそばから大切な者が次々といなくなった記憶を思い返し、イルマまで失いたくないと訴えた。そして貴族なら魔力差の大きな結婚にも対応方法があるはずだとして、母子双方を救う方法を探すことを決めた。
ヴォルフも密かに高価なハイポーションを通常のポーション瓶へ移してイルマへ渡した。ダリヤとヴォルフは治療費も貸すとマルチェラに申し出、それぞれの人脈を使って助ける方法を探すことにした。
オズヴァルドとグイードの策
ダリヤはオズヴァルドへ相談した。妊婦の余剰魔力を吸い出す専用魔導具は存在したが、個人に合わせて制作する必要があり、通常は妊娠前から準備するものだった。
オズヴァルドは危険な貴族の血筋が絡んでいる可能性を警告したが、それでも助けたいというダリヤの願いを受け入れ、共に魔導具を制作すると決めた。
一方、ヴォルフはグイードに相談した。グイードは母体の魔法防御を高める強化魔法と完全治癒魔法を手配する道を示した。ただし、スカルファロット家が庶民へ直接援助するには理由が必要だった。
そこでグイードは、マルチェラをスカルファロット家の騎士として登録し、ロセッティ商会へ護衛として派遣する案を出した。さらに、生まれる子供も将来スカルファロット家で働く予定だと公表すれば、高い魔力を狙う者への抑止力になると考えた。
マルチェラはイルマを助けられるならと即座に了承し、スカルファロット家とダリヤへ危害を加えないという神殿契約も受け入れた。立場が変わってもヴォルフとの友情は変わらないと二人は確認した。
魔導具師の兄弟子と吸魔の腕輪
五重付与の吸魔の腕輪
オズヴァルドとダリヤは、イルマのために吸魔の腕輪を作り始めた。必要な機能は、魔力吸引、結晶化防止、妊婦の安定、胎児の保護、余剰魔力の排出という五つだった。
素材には天狼の牙、コカトリスの嘴、雌の一角獣の角、雄の二角獣の角、バジリスクの爪を使用し、それらをミスリルの腕輪へ組み込むことになった。
天狼の牙への付与では、想定以上に大量の魔力を吸収され、変異種の可能性が浮上した。ダリヤは足が痙攣するほど消耗したが、ヴォルフに身体を支えてもらい、オズヴァルドと共に限界まで魔力を注いだ。二人は牙を結晶化させることに成功した。
倒れかけたダリヤをヴォルフは抱えて休憩室へ運んだ。ヴォルフは本当は止めたいと認めながらも、自分が危険な赤鎧として戦うことをダリヤが止めなかったように、魔導具師としてのダリヤの仕事も止めないと告げた。ただ、生きていてくれればそれでいいと願った。
トビアスへの依頼
一角獣と二角獣の角は、二人の魔導具師が魔力を均等に合わせて付与する必要があった。しかしダリヤとオズヴァルドは魔力の性質が異なり、何度試しても角が割れてしまった。
ダリヤは自分と魔力を合わせられる唯一の魔導具師として、元婚約者で兄弟子でもあるトビアスを思い出した。イルマを助けるためなら過去への感情も自尊心も関係ないと考え、オルランド商会へ直接依頼に向かった。
トビアスは事情を聞くと即座に協力を受け入れた。妻エミリヤも同行し、オズヴァルドの屋敷へ向かった。
兄妹弟子の共同作業
ダリヤとトビアスはまず防水布で魔力を合わせる練習をした。上がったばかりのダリヤの魔力は不安定だったが、トビアスは彼女の姿勢や癖を把握し、細かく補助した。
その作業から、ダリヤは過去の共同制作でもトビアスが自分の失敗を黙って補い、検品まで行っていたことに初めて気づいた。人としての関係は壊れても、魔導具師としての彼の能力と自分への理解は確かなものだった。
失敗を繰り返した末、ダリヤが出力を落とし、トビアスがその揺れる魔力へ合わせる方法を取った。兄弟子に魔力の行方を任せたことで、二人は一角獣と二角獣への均一な付与に成功した。
その後、バジリスクの爪も組み込み、吸魔の腕輪は完成した。
カルロの魔導書
作業後、ダリヤはカルロの書斎から見つけた魔導書をトビアスへ渡した。トビアスが開くと、中からカルロの手紙が現れた。
魔導書はトビアス一人のためではなく、ダリヤとトビアスが共に学ぶためのものだった。カルロは二人がそれぞれ異なる長所を持つ魔導具師として補い合い、腕を伸ばしていくことを願っていた。
手紙をきっかけに、二人は婚約中のことを初めて本音で話した。トビアスはダリヤの才能への嫉妬や、カルロから彼女を守るよう頼まれていたことを明かした。小型魔導コンロの名義を自分にしたことも、ダリヤを表舞台から隠そうとした行動の一つだった。
一方、ダリヤも捨てられることを恐れるあまり、自分の意見を言わず、トビアスに従うだけの妻になろうとしていたことを認めた。本当は彼の後ろではなく、隣を歩きたかったのだと語った。
互いに方法を間違えていたことを理解したダリヤは、トビアスをすべて許すから二度と謝らないでほしいと告げた。そして長く兄弟子と妹弟子として続いてきた関係に、初めてさよならを告げた。
オズヴァルドはトビアスにも魔導具師として教えを与えると約束し、いつか自分と同じ場所まで這い上がり、堂々とカルロ・ロセッティの弟子だと名乗れと励ました。
おやすみなさい、よい夢を
吸魔の腕輪の装着
完成した吸魔の腕輪を持ち、ダリヤとヴォルフは神殿へ急いだ。腕輪をイルマへ装着すると余剰魔力が吸収され始め、結晶化の進行も抑えられた。
グイードの手配による強化魔法や完全治癒魔法も加わり、イルマの体調は急速に改善していった。
長い緊張から解放されたダリヤとヴォルフは塔で飲みながら、トビアスとの共同作業や過去について話した。ダリヤは魔導具師になってよかった、商会があってよかった、ヴォルフと一緒にイルマを助けられてよかったと喜んだ。
疲れと酒で眠ったダリヤを前に、ヴォルフは彼女が自分へ全く警戒していないことを実感した。それを恋愛感情ではなくても、自分への強い信頼だと受け止めた。
自慢の魔導具師
翌日、ダリヤが神殿を訪れると、イルマは顔色を取り戻し、結晶化していた指も治っていた。美容師として再びハサミを握れる状態となり、胎児も無事だった。
イルマはダリヤが自分のために危険な魔導具制作へ挑んだことを知り、泣きながら抱きついた。ダリヤも、自分はまだカルロほどではないが少しはすごい魔導具師になれただろうかと尋ねた。
イルマは、ダリヤは自慢の友達であり、すごい魔導具師だと答えた。
父としての選択
オズヴァルドへの礼
イルマの回復から一週間後、マルチェラはダリヤ、イヴァーノと共にオズヴァルドへ礼を述べた。
オズヴァルドは高額な報酬より、今後の魔導具制作でダリヤが助手を務めることを求めていた。さらに息子ラウルの将来も見据え、ダリヤとの師弟関係を長く続ける考えを持っていた。
マルチェラとトビアス
マルチェラは一人でトビアスにも礼を伝えに行った。だがトビアスは、ダリヤとの件について友人だったマルチェラへ言い訳することを拒んだ。
マルチェラは怒りをぶつけたものの、トビアスが自分から距離を置こうとしている理由も理解した。高い魔力を持つマルチェラの存在が知られれば、イルマや子供まで貴族の争いに巻き込まれる可能性があった。
二人は以前のように親しく付き合うことをやめた。別れ際、マルチェラはいつか自分に酒を奢らせてくれとだけ告げた。
幕間 姿絵の行方
カルロの遺産
ヴォルフはカルロの大量の姿絵を自室へ持ち帰ったものの、処分に困っていた。カルロの手紙に息子への遺産として渡すと書かれていたため、本来はトビアスのものだと気づいたからである。
最終的に男同士の話として扱われることになり、カルロの趣味について周囲で盛り上がった。
その会話からヨナスの女性の好みに話が移り、ヨナスは見た目以上に内面を重視しているように語った。しかしグイードは、単にヨナスが自分より最低十歳は年上の女性を好むだけだとヴォルフへ教えた。
商会保証人と新商会員
マルチェラとメッツェナの加入
マルチェラがスカルファロット家の騎士となったため、ロセッティ商会の保証人から外れることになった。その影響で、同じ運送ギルドに勤めていたメッツェナ・グリーヴまで周囲からロセッティ商会との仲介を求められるようになり、仕事に支障が出始めた。
メッツェナは運送ギルドを辞める決意をし、再就職の保証人をマルチェラへ頼んだ。話し合いの結果、マルチェラと同時にロセッティ商会へ入ることが決まった。
ほぼダリヤとイヴァーノだけだった商会へ、一気に二人の新商会員が加わることになった。
魔石焼き芋と銀刀魚の塩焼き
秋の味覚
ダリヤとヴォルフは秋の焼き芋を味わい、さらに塔で銀刀魚を塩焼きにした。前世の秋刀魚を思わせる魚にダリヤは懐かしさを覚えた。
脂の乗った銀刀魚と酒を楽しみながら、二人は家族の好物について話した。ヴォルフは兄グイードも銀刀魚や焼きトウモロコシをきっと気に入ると考えた。
ダリヤは屋敷の室内では絶対に銀刀魚を焼かないよう忠告したが、その願いは守られず、後日スカルファロット家から小型魔導コンロと大量の消臭剤、油落とし洗剤が注文された。
新保証人と子狐
オズヴァルドとの相互保証
ロセッティ商会の新たな保証人として、ダリヤとオズヴァルドは互いの商会を保証する契約を結んだ。
その場にはラウルもおり、ダリヤを先輩と呼んで魔導具師として追いつくと宣言した。オズヴァルドは息子の将来を考え、ダリヤにもラウルを助けてもらいたいと考えていた。
一方、ダリヤも自分に何かあった場合に商会員やその家族を守れる仕組みが必要だと考えるようになった。イヴァーノは、いつの間にかダリヤが自分で商会長として考え、決断できる人物へ成長していたことを認めた。
新商会員顔合わせ
広がるロセッティ商会
マルチェラとメッツェナが正式に商会員となり、ダリヤとイヴァーノを含めた新体制が始まった。
マルチェラは護衛騎士として礼儀作法の特訓を受け、ダリヤの護衛を担うことになった。メッツェナはメーナと呼ばれるようになり、荷運びだけでなく商会内の様々な仕事を任されることになった。
メーナには庶民の酒場などから情報を集める雀としての経験もあった。イヴァーノはその人当たり、身体強化、情報収集力を評価し、将来的に商人として育てる価値があると考えた。
沼蜘蛛討伐と遠征食
第二騎士団との合同遠征
魔物討伐部隊は宿場街の水源に現れた巨大な沼蜘蛛を討伐するため、第二騎士団と共に遠征へ向かった。
第二騎士団は魔物討伐部隊の生活を学ぶ目的もあり、以前と同じ遠征食や野営を経験した。一方、魔物討伐部隊は遠征用コンロなどによって環境が大きく改善しており、その差が明確になった。
沼蜘蛛との戦闘では、燃えにくい糸で騎士達が拘束された。ヴォルフ達は魔物との戦いに慣れた動きで対応し、討伐を進めた。第二騎士団は、魔物討伐部隊が日常的に手足を失うほど危険な戦闘を経験していることにも驚かされた。
帰路では岩山蛇がグリゼルダの真上へ落下したが、彼女は一人で即座に討ち取った。ただし怒りのまま魔法を撃ち込み続けたため、残った素材は灰色の牙一本だけとなった。
ロセッティ商会の懇親会
新しい仲間達
ロセッティ商会は港近くの店「黒鍋」で懇親会を開いた。ダリヤ、イヴァーノ、マルチェラ、メーナだけでなく、フェルモやルチア、ヴォルフら関係者も集まった。
新たな商会員の加入や、フェルモの独立によるガンドルフィ商会の誕生を祝い、参加者達は今後の繁栄を願って乾杯した。
商会は急激に大きくなり、借りている部屋では書類や荷物を置ききれなくなっていた。新しい建物を用意する案まで出され、ダリヤはロセッティ商会が小さな個人商会ではなくなりつつあることを実感した。
宴の中でダリヤは、もしヴォルフが魔物討伐部隊を辞めることがあればロセッティ商会へ来ればいいと自然に口にした。ヴォルフは満面の笑顔で、隊を辞めたらぜひお願いしますと答えた。
幕間黒の革手袋
マルチェラの過去
マルチェラは後発魔力を得た日のことを思い返した。若い頃、輸送中の事故で馬車を支えた際、突然強大な身体強化と土魔法が発現した。
育ての父母から、自分が実子ではなく、産みの母が出産翌日に亡くなったことを知らされた。父親については不明だった。
神殿で測定した魔力は十四だったが、マルチェラはその証明書を作らず、魔力を利用して身分を上げる道も選ばなかった。今の家族と下町での暮らしを守ることを選んでいた。
黒の革手袋
スカルファロット家の護衛となったマルチェラへ、グイードはブラックワイバーンの革で作られた黒い手袋を与えた。内部には黒鋼が仕込まれ、身体強化と合わせれば強固な壁すら打ち抜ける魔導具だった。
さらに、マルチェラの血縁者が過去に九頭大蛇を討伐したベルナルディという人物である可能性も示された。
グイードは、ヴォルフとダリヤを守るためにその拳を使ってほしいと頼んだ。マルチェラは迷わず、全力で二人を守ると答えた。
番外編 父と娘の魔導具開発記録 ~レインコート~
レインコートの完成
学院卒業を控えたダリヤは、防水布を使った軽いレインコートを完成させ、カルロへ披露した。カルロは娘の新しい魔導具を喜びながら、その成長を見守っていた。
カルロの危険な付与
カルロは貴族から高度な魔導具制作を依頼され、大量の魔力を必要とする付与へ一人で挑んだ。魔力ポーションを何本も飲みながら作業を続け、身体へ大きな負担をかけた。
その経験からも、カルロが後に魔力量を十二まで増やしていた理由や、無理を重ねていた一端が示された。
二人の弟子への願い
カルロは、ダリヤとトビアスが魔導具師として互いに補い合っている様子を見守っていた。トビアスは付与や移動、雑務を引き受け、気づかれないようダリヤの安全を支えていた。
カルロは娘がトビアスに恋をしているわけではないことを気にしながらも、家族として穏やかに暮らせるならそれも一つの幸せだと考えていた。
そして二人には、助け合い、励まし合い、それぞれ腕のいい魔導具師になってほしいと願った。どのような道を選ぶにせよ、ただ二人がそれぞれ幸福であってほしいと祈りながら、遠ざかる二人の背中を見送った。
魔導具師ダリヤ 5巻レビュー
まとめ
魔導具師ダリヤ 7巻レビュー
魔導具師ダリヤはうつむかない 一覧
その他フィクション

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