どんな本?
元々は小説の投稿サイトArcadiaで読んでいた小説だった。
大賞を取れたと書かれた後に消されて、書籍化されたら買おうと思い出版されたのが10年前。
もう10年経つんだ、、
その後、コミック化され遂にアニメ化された。
この作品への感情移入感はハンパない。
3巻まで紙の本、Kindle、BOOK⭐︎WALKERでそれぞれ買って保存してる。
それ以降は電子書籍のみのだがKindle、BOOK⭐︎WALKERで購入している。
もちろん、外伝の方も買って読んでいる。
読んだ本のタイトル
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか4
(Is It Wrong to Try to Pick Up Girls in a Dungeon?)
著者:大森藤ノ 氏
イラスト:ヤスダスズヒト 氏
出版社:SBクリエイティブ(GA文庫)
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あらすじ・内容
先のミノタウロス戦での勝利により、Lv.2到達、世界最速兎となったベル。オラリオ中の注目を集めることとなった少年の元には、仲間への勧誘が絶えない。
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 4
そんな折、自身の装備《兎鎧》を創った鍛冶師のヴェルフと仲間を組むことに。しかも、彼は圧倒的な力を誇る《魔剣》唯一の創り手らしいのだが……?
犬人ナァーザ、そして女神ヘスティア、ベルが交わした2つのアナザーエピソードも収録!
前巻からのあらすじ
騙されやすいベルくんを守るリリと組んでダンジョンを順調に攻略していくベルくん。
それを見守る美神フレイヤだったが、彼女には不満があった。
純粋で綺麗なベルくんの魂に翳りが刺している。
その原因はミノタウロス。
ロキ・ファミリアから逃げたミノタウロスに襲われて死にそうな目に遭いトラウマになってしまった。
それを解消するため女神フレイヤは、従者のオッタルにベルくんの魂の翳りを取るようにお願いする。
その結果、、
オッタルは中層からミノタウロスを見繕い修行させ、ベルくんにぶつけてアイズの目の前で決闘する。
感想
小説投稿サイトArcadiaで読んだのはヴェルフが「俺をお前のパーティーに入れてくれ」の台詞まで。
神様達の中二病的なネーミング付けは腹を抱えて笑ったのを覚えていると言うか、今回も笑ったw
神と下界の子供達のネーミングセンスの差が面白い。
そして、何気に後々にベルくんのパーティーになる命もこの時にネーミングされてタケミカヅチが絶叫するのも、、
それを誇らしげに喜ぶ下界の子供達。
それを苦々しく見守る神という図が面白いw
初めてこの4巻を購入した時は続きが読みたくて凄くワクワクしたもんだ。
何年待ったんだろうか?
数年は待ったはず。
そして、結構忘れてるの事を再認識した。
定期的に読み返さないとダメだな。。
さて、話は。
世界最速でレベル2になったベルくんは、突然注目されるようになってしまう。
まずはヘスティア・ファミリアから引き抜きを行おうとする神々。
今まで全く見向きもしなかったベルくんに執拗に粘着質に勧誘をかけて来る。
さらにシル、リューを交えて豊穣の女主人で祝勝会をしていると、自分のパーティーに入れと言ってくる冒険者もいた。
その場ではリューが勧誘して来た冒険者を振り払い、女主人のミアが叩き出した(財布は置いて)から事なきを得たが、、
ベルくんの有名にぶら下がろうとする連中が増えたのは確か。
でも新しいメンバーが欲しいとも思っている。
前衛、中衛、後衛とあと1人は最低でもパーティーメンバーが欲しい。
そう思っているベルくん達だったが、、
寄って来るのはロクな連中じゃない。
そんな状況だが、まずは全壊した装備を再度揃えたいと思いへファイスト・ファミリアの店に行って前回装備していた鎧と同じ鍛治師の鎧を探していたが無い。
それならと店員に聞いてみると、たまたま店員と口論していた鍛治師がベルくんの鎧を作成したヴォルフ・グロッソだった。
ただヴォルフはへファイスト・ファミリアでは鼻つまみ者で原因は、ヴォルフの血族グロッソの特徴にあった。
鍛治貴族と呼ばれていたグロッソ一族は先祖が妖精を助けたが、瀕死になってしまい妖精が同化して助けられた先祖が剣を打つと魔剣になった。
それを利用して先祖は国に取り入り貴族となり栄華を迎えたが、その国が周辺の国に戦争を仕掛け多くの自然を破壊した結果。
グロッソ一族は魔剣を作れなくなった。
それで衰退したのだが、、
何の因果か、ヴォルフは魔剣が打てるようになった。
父親達から魔剣を作れと言われ、それを厭ってヴォルフは家を出奔。
旅に出た途中でへファイストに拾われて、鍛治師となったのだが、、
彼は魔剣は打ちたく無いと言う。
鍛治師の腕を一から鍛えて立派な武具を作りたいが、自身の血は利用したく無い。
へファイストや椿はそんな突っ張っているヴォルフを微笑ましく思っており見守っているが、ヴォルフと同等の鍛治師達はヴォルフの特別な才能に嫉妬してしまう。
それを敢えて使わない嫌な奴という扱いになってしまい、ヴォルフはファミリアの中では鼻つまみ者になってしまった。
そんなヴォルフは、自身の作った鎧を好んで使ってくれるベルくんと専属契約を結ぶ。
ベルくんの全ての装備をヴォルフが作ると言う。
そして変わりにヴォルフはベルくんにお願いをする。
一緒にダンジョンに潜ってくれと、、
どうやら以前は1人でダンジョンに挑んでいたが10階層以上は突破できなかったらしい。
ヴォルフは手始めに、ベルくんが倒したミノタウロスの角を原料にしたナイフを作る。
さらに鎧をベルくんに完全に合わせて装備を整える。
そしてベルくんは、リリと合流してヴォルフと共にダンジョンに行く。
するとヴォルフとの相性はすごく良く、3人パーティーは快進撃を続ける。
ついでにベルくんの新しいスキル、英雄願望がリリの危機を救うために炸裂する。
溜め込んで放つと威力が増すスキルだったらしい。
そんな感じで4巻は新メンバーヴォルフを加えて順調にダンジョンの上層部を攻略して行くが、、
まだまだ中層に行くには早い状態。
次の巻でその辺りの問題が出て来る。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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キャラクター紹介
ベル・クラネル
本作の主人公であり、驚異的な速度で成長を続けるヒューマンの冒険者である。ミノタウロス撃破の功績によりLv.2へ昇格し、周囲からの注目を集める存在となった。心優しく、困っている者を放っておけない性格で、神や仲間との絆を大切にしている。
- 所属組織、地位や役職 【ヘスティア・ファミリア】団長。Lv.2冒険者。二つ名は【リトル・ルーキー(未完の新人)】。
- 物語内での具体的な行動や成果 冒険者登録から一ヶ月半という異例の速さでランクアップを果たした。スキル【英雄願望(アルゴノゥト)】を発現させ、ダンジョン11階層でインファント・ドラゴンを撃破する威力を発揮した。【ミアハ・ファミリア】の負債問題を知り、解決のために素材採取へ協力した。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 発展アビリティとして、希少な能力である『幸運』を選択した。
ヘスティア
ベルの主神であり、彼に対して深い愛情を注ぐ女神である。ベルの成長を喜びつつも、彼が有名になるにつれて遠い存在になることに一抹の寂しさを感じている。眷族を守るためには、他の神に対しても毅然とした態度で立ち向かう強さを持つ。
- 所属組織、地位や役職 【ヘスティア・ファミリア】主神。
- 物語内での具体的な行動や成果 神会(デナトゥス)に出席し、ロキの追及からベルを守ろうと奮闘した。ベルのために【ステイタス】更新を行い、新スキルや魔法の発現を確認した。過去にはアルバイト代を貯め、ベルへのプレゼントや生活費を工面していた。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ベルがLv.2になったことで、神会への出席資格を得た。
ヴェルフ・クロッゾ
【ヘファイストス・ファミリア】に所属する鍛冶師であり、実力はあるものの魔剣作りを拒むため周囲から冷遇されていた青年である。自身の打った武具を選んでくれたベルに興味を持ち、直接契約を持ちかける。飾らない性格で、ベルとは対等な友人としての関係を築いた。
- 所属組織、地位や役職 【ヘファイストス・ファミリア】所属の鍛冶師。ベルの専属鍛冶師兼パーティメンバー。
- 物語内での具体的な行動や成果 ベルに直接契約を申し入れ、パーティの一員としてダンジョン探索に同行した。ミノタウロスの角を用いて、ベル専用の短刀《牛若丸》を鍛造した。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 かつて魔剣を量産し没落した「クロッゾ一族」の末裔であり、一族で彼だけが魔剣を打つ能力を持っている。
リリルカ・アーデ
ベルのサポーターを務める小人族(パルゥム)の少女である。慎重で現実的な考え方を持ち、世間知らずなベルを補佐する役割を担う。金銭や損得に敏いが、それは過去の経験とパーティの利益を守るための処世術でもある。
- 所属組織、地位や役職 ベル・クラネルのサポーター。
- 物語内での具体的な行動や成果 ナァーザからの依頼内容や報酬に不審な点を抱き、彼女がポーションを薄めて販売している事実を見抜いた。ダンジョン探索ではモンスターの知識や戦術を共有し、パーティの司令塔として機能した。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ベル、ヴェルフとの三人体制での連携を確立させた。
エイナ・チュール
ギルドの受付嬢であり、ベルの担当アドバイザーを務めるハーフエルフである。ベルを弟のように案じており、彼の無茶な行動に対しては厳しく指導することもある。豊富な知識で冒険者を支え、適切な助言を与える。
- 所属組織、地位や役職 ギルド職員。
- 物語内での具体的な行動や成果 ベルのLv.2昇格手続きを行い、発展アビリティの選択について助言した。神会での決定事項を確認し、ベルに二つ名が【リトル・ルーキー】に決まったことを伝えた。中層進出にあたり、装備や心構えについて厳格な条件を課した。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ベルの異例の成長速度を危惧し、情報の取り扱いに苦心した。
ミアハ
【ミアハ・ファミリア】の主神であり、ヘスティアとは友神の関係にある。心優しく、眷族の失敗や負債を自らの責任として受け入れる度量の広さを持つ。貧乏神のような生活を送っているが、眷族との絆は強い。
- 所属組織、地位や役職 【ミアハ・ファミリア】主神。
- 物語内での具体的な行動や成果 ナァーザの不正が発覚した際、すべての責任を負って謝罪し、全額返済を約束した。借金返済のため、ベルたちと共にセオロの密林へ素材採取に向かった。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 【ディアンケヒト・ファミリア】に多額の借金があり、ホーム没収の危機に瀕していた。
ナァーザ・エリスイス
【ミアハ・ファミリア】に所属する犬人(キャット・シーならぬ犬人)の薬師である。かつては冒険者であったが、中層での事故により右腕を失い、銀製の義手を装着している。ファミリアの借金を返すために不正に手を染めていたが、根は真面目で仲間思いである。
- 所属組織、地位や役職 【ミアハ・ファミリア】団員。薬師、元冒険者。
- 物語内での具体的な行動や成果 ベルに薄めたポーションを売りつけ、さらに個人的な収集依頼を持ちかけた。セオロの密林では弓を用いてベルを援護し、素材回収に貢献した。二属性回復薬(デュアル・ポーション)を開発し、借金返済の目処を立てた。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ベルに不正を許されたことで改心し、感謝とともに正規の報酬を手渡した。
リュー・リオン
酒場『豊饒の女主人』で働くエルフの店員であり、かつては冒険者として名を馳せた実力者である。ベルに対して好意的であり、的確な助言や手助けを行う。曲がったことを嫌う義理堅い性格をしている。
- 所属組織、地位や役職 酒場『豊饒の女主人』店員。
- 物語内での具体的な行動や成果 酒場でベルたちに絡んできた冒険者を瞬時に制圧し、追い払った。ベルに対し、中層へ進むならばパーティメンバーを増やすべきだと助言した。クロッゾの魔剣がエルフにとって忌避すべき歴史を持つことを説明した。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ベルを「友人」と呼び、彼を守る姿勢を明確にした。
ロキ
【ロキ・ファミリア】の主神であり、神会(デナトゥス)の司会進行役を務めた女神である。鋭い洞察力を持ち、ベルの異常な成長速度に疑問を抱いてヘスティアを追及した。面白いことを好むが、神としての底知れぬ威圧感も備えている。
- 所属組織、地位や役職 【ロキ・ファミリア】主神。神会の司会。
- 物語内での具体的な行動や成果 神会にてベルのランクアップの早さを指摘し、不正がないかヘスティアを問い詰めた。フレイヤの介入により追及をかわされた後、ヘスティアにフレイヤを警戒するよう忠告した。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ベルに対して疑念を持ちつつも、その特異性に注目している。
フレイヤ
「美」を司る女神であり、ベルに対して異常な執着を見せる。神会ではヘスティアが窮地に陥った際に助け舟を出したが、それはベルを自らの手で守り、観察するためでもあった。他者を魅了し、意のままに操る力を持つ。
- 所属組織、地位や役職 【フレイヤ・ファミリア】主神。
- 物語内での具体的な行動や成果 神会でロキに追い詰められたヘスティアに加勢し、場の空気を変えてベルの秘密が露見するのを防いだ。退席際、ベルに「可愛い名前」を付けるよう神々に促した。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ベルを「庇った」という事実が、ロキやヘスティアに警戒心を抱かせる結果となった。
シル・フローヴァ
酒場『豊饒の女主人』の看板娘であり、ベルに好意を寄せる人間の少女である。ベルのランクアップを祝う会を企画するなど、彼を献身的に支えようとする。ベルの装備購入についていこうとするなど、積極的な一面も見せる。
- 所属組織、地位や役職 酒場『豊饒の女主人』店員。
- 物語内での具体的な行動や成果 ベルのLv.2昇格祝いを提案し、店でのパーティーを開催した。ベルの買い物に同行しようとしたが、ミアに阻止された。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ベルに魔導書を渡したことが彼の力になったことを喜んでいる。
出来事一覧
プロローグ 路地裏の最速少年
エイナによる情報の漏洩
- 当事者: エイナ・チュール vs (ギルド本部の冒険者たち)
- 発生理由: ベルからLv.2へのランクアップ報告を受け、エイナが驚愕のあまりロビーに響き渡る大声を上げてしまったため 。
- 結果: ベルのランクアップの事実が周囲の冒険者に知れ渡り、注目を集める原因となった 。
ミノタウロス戦に関する叱責
- 当事者: エイナ・チュール vs ベル・クラネル
- 発生理由: ベルが無謀にも9階層でミノタウロスと遭遇し、撃破していた事実が活動記録の聞き取りで判明したため 。
- 結果: エイナはベルの無茶を叱り、生還を最優先にするよう強く言い聞かせた 。
神会
タケミカヅチへの嘲笑と命名
- 当事者: 神々 vs タケミカヅチ
- 発生理由: 神会での命名式において、タケミカヅチへの嫉妬と揶揄が爆発し、彼を玩具にする流れになったため 。
- 結果: 団員のヤマト・命に対し「絶影」という二つ名が付けられ、タケミカヅチは慟哭した 。
美神同士の応酬
- 当事者: イシュタル vs フレイヤ
- 発生理由: 上位ファミリアの命名の際、イシュタルがフレイヤを挑発したため 。
- 結果: フレイヤは涼しく受け流したが、ミノタウロス事件へのイシュタル派閥の関与が示唆される一幕となった 。
ベルの成長速度に関する追及
- 当事者: ロキ vs ヘスティア
- 発生理由: ベルが一ヶ月半でランクアップしたことに対し、ロキが不正(神の力による改造など)を疑い強く詰問したため 。
- 結果: ヘスティアは追い詰められたが、フレイヤが介入して「因縁の相手との戦いならあり得る」と場を誘導し、追及は収束した 。
変わる環境変わる関係
神々による強引な勧誘
- 当事者: 複数の神々 vs ベル・クラネル
- 発生理由: ランクアップを果たしたベルに神々が群がり、執拗に勧誘や身体検査を迫ったため 。
- 結果: ベルは恐怖を覚え、対話を諦めて全速力で逃走した 。
酔客による絡みと暴行未遂
- 当事者: 酔った冒険者たち vs ベル・クラネル、リュー・リオン、酒場店員
- 発生理由: ベルのパーティに加わりたいと近づいた冒険者たちが、条件としてシルやリリらを「貸せ」と要求し、リューに触れようとしたため 。
- 結果: リューが男の腕を関節技で極め、クロエとアーニャが殴り倒し、最終的にミアが威圧して撃退した。男たちは金を置いて逃げ出した 。
3章 鍛冶師の事情
ヴェルフ加入を巡る叱責
- 当事者: リリルカ・アーデ vs ベル・クラネル
- 発生理由: ベルがリリに相談なくヴェルフをパーティに加える判断をしたため 。
- 結果: リリはベルの甘さを責めたが、ヴェルフの家名が「クロッゾ」だと知ると態度を変えた 。
インファント・ドラゴンの出現
- 当事者: ベル・クラネル、リリルカ・アーデ、ヴェルフ・クロッゾ vs インファント・ドラゴン
- 発生理由: 11階層の休憩中、上層では異例の強力な個体が出現し、リリに向かって突進したため 。
- 結果: ベルがスキル【英雄願望】を発動させ、増幅された【ファイアボルト】で一撃のもとに粉砕した 。
クロッゾ家の魔剣による焦土化(過去の回想)
- 当事者: クロッゾ一族 vs エルフ、精霊
- 発生理由: かつてクロッゾ一族がラキア王国に魔剣を供給し、戦争でエルフの森や精霊の住処を焼き払ったため 。
- 結果: 精霊の呪いにより一族は魔剣を作れなくなり、没落した。また、エルフとの間に深い遺恨を残した 。
クエスト×クエスト
ポーション詐欺の摘発
- 当事者: リリルカ・アーデ vs ナァーザ・エリスイス
- 発生理由: ナァーザがベルに販売していたポーションが、水増しされた粗悪品であるとリリが見抜いたため 。
- 結果: ナァーザは動揺して蒼白になり、リリが交渉の主導権を握った。その後、ミアハが全額返金を約束して謝罪した 。
ディアンケヒトによる借金取り立て
- 当事者: ディアンケヒト vs ミアハ
- 発生理由: ミアハ・ファミリアの借金返済が滞っており、ディアンケヒトがホームの売却を通告しに来たため 。
- 結果: 翌日までの支払いを迫られ、ベルたちは金策のために動くことになった 。
ナァーザの隻腕事故(過去の回想)
- 当事者: ナァーザ・エリスイス vs モンスター(中層)
- 発生理由: 過去の冒険者時代、中層での探索中に事故に遭ったため 。
- 結果: ナァーザは右腕を失い、高額な義手購入がファミリア没落の原因となった 。
ブラッドサウルスとの戦闘
- 当事者: ベル・クラネル vs ブラッドサウルス(複数)
- 発生理由: 卵採取の囮役となったベルに、血肉の匂いに誘われた地上モンスターが襲いかかったため 。
- 結果: ナァーザの援護射撃とベルの反撃により撃破し、その隙に卵の回収に成功した 。
女神のカンパネラ
過剰労働に対する尋問
- 当事者: ヘスティア vs ベル・クラネル
- 発生理由: ベルが連日泥だらけになるまで働き詰めだったため、ヘスティアが隠し事を疑い問い詰めたため 。
- 結果: ベルは動揺して逃げたが、夜に再び尋問を受けた。理由は明かされなかった 。
ギルドでの嫉妬と誤解
- 当事者: ヘスティア vs (ベル・クラネル、エイナ・チュール)
- 発生理由: ギルドでベルがエイナに小箱を渡している場面を目撃し、ヘスティアが「贈り物のために無理をしていた」と誤解して嫉妬したため 。
- 結果: ヘスティアはその場を立ち去り不機嫌になったが、翌朝、小箱が自分へのプレゼントだったことが判明し和解した 。
展開まとめ
プロローグ 路地裏の最速少年
冒険者達で溢れる朝のギルド本部
朝のギルド本部は、情報収集に集まった冒険者達の喧騒に包まれていた。新商品や依頼、未確認モンスターの目撃情報など、命運や大金に直結する情報を求め、種族入り乱れる冒険者達がロビーを埋め尽くしていた。
ミノタウロス上層出現が招く不安
三日前、9階層でミノタウロスが目撃されたという報せが広まり、特にLv.1の冒険者達を動揺させていた。本来中層に出現するはずのモンスターが大きく階層を越えて現れた事実は、迷宮異変の可能性を想起させ、ギルドへの問い合わせが殺到していた。
ベルを案じるエイナの胸中
受付嬢エイナは、ミノタウロスの話題と同時に、最近連絡のないベルの身を案じていた。理性では心配し過ぎと理解しつつも、過去に彼がミノタウロスに敗れかけた記憶が不安を強めていた。
久々の再会と安堵
その時、白髪の少年ベルがロビーを縫って現れ、エイナは大きな安堵を覚えた。元気そうな様子に安心し、二人は和やかに言葉を交わした。
衝撃のランクアップ告白
会話の中でベルは、三日前にLv.2へ昇格した事実を告げた。冒険者歴わずか一ヶ月半という異例の速さに、エイナと同僚ミィシャは言葉を失い、次の瞬間、エイナの驚愕の叫びがギルド本部に響き渡った。
1章 神会
叫びによる情報漏洩と謝罪
エイナはギルド本部ロビーの面談用ボックスでベルと向き合い、先ほどロビーで叫んだせいでベルのランクアップが周囲に知れ渡ったことを謝罪していた。ベルはランクがいずれ公開される以上、気にしていないと告げたが、エイナは到達までの期間が異例である点こそ問題だと内心で痛感していた。神々が「前例のない話」を好むこともあり、ベルが余計に注目される未来を想像してエイナは頭痛を覚えた。
活動記録の聞き取りとミノタウロス撃破の発覚
エイナは業務として、ベルの直近の活動記録を大雑把でよいから教えてほしいと依頼し、情報公開を通じて冒険者全体の水準向上と犠牲者低下につなげようとした。聞き取りが三日前に及ぶと、ベルが9階層でミノタウロスと遭遇し撃破したと判明し、エイナは眩暈を覚えた。ギルドに報告が上がっていた目撃情報と条件が一致し、報告者が詳細を濁していた理由も理解した。エイナはベルの無茶を叱りつつも、結果論で断じることは避け、ただ「死んだら何も意味がない」と生還を最優先にするよう強く言い聞かせた。
祝福と次の用件の確認
叱責の後、エイナはベルの努力を認め、Lv.2到達を祝福した。ベルは安堵し、彼が一番欲していた言葉を受け取ったように喜んだ。用件が報告だけかを確認したところ、ベルは発展アビリティの選択について意見を求めた。
発展アビリティの候補整理
エイナは発展アビリティがランクアップ時に発現し得る追加能力であり、候補が複数出ることもあると整理した。ベルは三つの候補として、状態異常を防ぐ耐異常、同種モンスター戦で能力が上がる狩人、そして聞き慣れない幸運を挙げた。エイナは耐異常と狩人は理解できたが、幸運は知識にない項目で、正真正銘のレアアビリティだと受け止めた。
「幸運」への推測と注目回避の配慮
ヘスティアが幸運を「加護に近いかもしれない」と述べたことをベルから聞き、エイナは本人の知らぬところで働く護りの可能性を推測した。確証がない以上、ギルド上層部への即時報告は控え、ベルの注目を増やさない配慮を選んだ。別の可能性として、ドロップアイテムの出現率が上がるのではないかとも考えたが、断定できず、自分だけでは決め手に欠けると認めた。
選択基準の助言とベルの決意
ヘスティアは幸運を推し、ベルは強力で魅力のある狩人も捨てがたいと迷っていた。エイナは結論を誘導しない姿勢を示し、考え方として「目指すもの」で選ぶよう助言した。堅実に攻略したいなら狩人が力になり、さらに高い目標を望むなら実力だけでは届かない局面で運が必要になるかもしれず、幸運も意味を持つと語った。どちらを選んでも間違いではないと背中を押され、ベルは納得した表情で頷いた。
幸運の選択とランクアップの実行
ベルは教会の隠し部屋に帰還し、ヘスティアに発展アビリティとして幸運を選ぶと告げた。ベルは確証はなくとも直感を信じ、前進を選んだと整理していた。ヘスティアは即座にステイタス更新に取りかかり、ベルは緊張しながらランクアップの瞬間を迎えたが、身体感覚として劇的な変化は起きず、実感の薄さに戸惑った。ヘスティアは「器」が高次へ移っただけで、必要な局面では以前より大きく動けると説明し、更新後のステイタスを共通語で書き示した。
スキル発現の朗報と喜び
更新内容には、レベル2への到達と能力値の初期化、幸運1の付与、魔法ファイアボルトが記されていた。さらにヘスティアは「朗報」として、ベルに待望のスキルが発現した事実を告げた。ベルは用紙を確認し、スキル欄に英雄の願いが追加されているのを見て、喜びで顔を輝かせた。
英雄願望の露呈による羞恥と動揺
しかしベルは、スキル名が英雄の願いであることに気付き、自身の内面が名称として露わになったと理解して急速に赤面した。英雄に憧れる気持ちをヘスティアに見抜かれた形となり、ベルは絶叫して取り乱し、部屋の隅で膝を抱え込んで落ち込んだ。ヘスティアは慈愛を含む態度でベルを慰めつつ、その反応を微笑ましく見守った。
スキル効果の不明確さと手探りの結論
ベルは気を取り直し、英雄の願いの効果を確認しようとしたが、説明は能動的行動に対するチャージ実行権と簡潔で要領を得なかった。ヘスティアも断言できず、常時発動ではなく攻撃など意識的な行動に反応して何かが起きるのではないかと推測した。ベルは最終的に、実戦で検証するしかないと受け入れた。
アルゴノゥトの記憶と祖父の言葉
ベルはスキルに関連する語としてアルゴノゥトを思い出し、幼少期に読んだ英雄譚の記憶を辿った。冴えない青年が牛の怪物にさらわれた王女を救いに向かい、どこか道化じみた展開の末に救出を成し遂げる物語であり、当時のベルは格好良くない英雄像に不満を抱いていた。一方で祖父は「まだまだこれから」と笑っており、その言葉もベルの記憶に残っていた。
神会の告知と二つ名への期待
ヘスティアは外出の準備を始め、三ヶ月に一度の神会に出席すると告げた。神会はランクアップ者の二つ名を決める場であり、ベルのレベル2到達によりヘスティアも末席参加を許されたという。ベルは二つ名を得られることに強く興奮し、称号は格好良いものだと期待を膨らませたが、ヘスティアは生温かくも悲しげな笑みを浮かべ、ベルの認識とのズレを匂わせた。
無難な二つ名を得る決意と見送り
ヘスティアは神会に向けて覚悟を固め、どれほど苦労しても無難な二つ名を勝ち取るとベルに誓って出発した。ベルは、その必死さが滲む背中を汗混じりの戸惑いとともに見送った。
神会の成り立ちと現在の役割
神会は、元々は退屈した神々が雑談のために集まった歓談の場にすぎなかった。しかし参加者が増えるにつれて、情報共有や意見交換の場へ拡大し、ギルドと連携して都市全体の催しを企画するまでになった。名目上は諮問機関として一定の影響力を持ち、冒険者へ称号(二つ名)を与える慣習も、その権威の一部として定着した。
会場の異様な荘厳さと、内実のゆるさ
会場は都市中央の摩天楼・地上三十階であり、巨大な円卓と列柱、周囲を取り巻く硝子壁によって「空に浮かぶ神殿」のような雰囲気を作っていた。一方で、場の空気は厳粛とは程遠く、雑談から下世話なネタ、国の軍事情報までが同じテンションで飛び交う無秩序な場として描かれる。司会のロキが一喝すれば静まり返る点だけが、集団としての統制を辛うじて保っていた。
参加神の層と、ヘスティアの立ち位置
円卓に着く神は三十を超え、各自がLV.2以上に相当する上級冒険者を抱える有力ファミリアの主神であることが示された。ヘスティアは隣席のヘファイストスと会話しつつ、周囲からの品のない視線を浴びる。弱小ファミリアが奇跡的に成り上がった「見世物」として歓迎され、彼らは新参を楽しませる意図を隠さない。
ロキが司会となり、神会が「進行」される
司会進行役はロキであり、遠征で団員が不在のため暇つぶしで買って出たと説明された。情報交換パートでは、ソーマの小ネタのような嘲笑系の話題から、王国が再びオラリオへ動くという軍事的な報告までが混在する。ロキは要点をまとめ、ギルド(ウラノス)への共有と、召集の可能性を参加ファミリアへ注意喚起した。
命名式の開始と「痛恨の名」の量産
次の議題として命名式(二つ名の決定)が始まる。神々はここで異様に加熱し、子供側が誇らしげに受け取る一方で、後年になって本人や周囲が悶絶しうる“痛恨の名”が大量生産される場として機能していた。セティへの称号が決まった直後に本人が発狂するなど、神会の残酷な娯楽性が強調された。
ヤマト・命の命名と、神々の悪意
タケミカヅチの団員ヤマト・命の番では、似顔絵を見た神々が一斉に騒ぎ、人物像が気に入られれば悪意ある命名を回避できるという“抜け道”が示される。しかしタケミカヅチ本人への嫉妬と揶揄が爆発し、結局は神々の玩具にされる形で称号が絶影に決まった。タケミカヅチは慟哭し、ヘスティアは同情して酒を奢る決意をする。
上位ファミリアの流れと、美神同士の応酬
中小ファミリアが一巡すると、ヘファイストス、ガネーシャ、イシュタルなど上位ファミリアの命名が続く。ここでイシュタルがフレイヤを挑発し、フレイヤは涼しく受け流す。ミノタウロス事件にイシュタル配下の覆面アマゾネスが絡んだ可能性を示唆する応酬があり、事件の真相は「闇の中」として神々の間で処理される。ヘスティアはベルが巻き込まれた件として気にしつつも、確証がないため追及を控える。
ベルの命名直前、ロキがランクアップ速度を追及
最後に残った資料がベルであり、神々は下品な期待を隠さない。ここでロキが席を立ち、ヘスティアへ「一ヶ月半でランクアップはあり得ない」と強く詰問する。ロキは恩恵が即席の力ではなく、素質が経験値で変容する“自己実現の鍵”であるという理屈を述べ、神の力での改造など不正を疑う方向へ誘導した。ヘスティアは憧憬一途の存在が露見することを恐れ、言い訳も出ず追い詰められる。
フレイヤの介入で追及が止まり、危機が回避される
この局面でフレイヤが割って入り、ファミリア内部事情、とりわけ団員の能力は不干渉であり禁制だとして、ロキの追及に歯止めをかけた。さらにミノタウロス撃破が“因縁の相手”であれば経験値が特別となり、急速なランクアップも起こり得るという推測を提示し、場の空気を「暴く必要はない」という総意へ誘導する。ロキはフレイヤの言葉の運びに警戒しつつも、押し切れず矛を収める形となった。
フレイヤ退席と、ベル命名の再燃
フレイヤは急用を理由に退席するが、その直前にベルへ「可愛い名前を付けてあげて」と微笑み、男神たちは満場一致で同意する。資料が薄く特徴も少ないため、神々は外見(白髪赤眼、兎の印象)から安直な案を出しては却下し、逆に真面目に議論を始める。ヘスティアは“危機は去ったのか”と状況を測りかねる。
ロキの忠告が示す「不穏の核心」
ロキはヘスティアに近づき、「注意しとけ」「目を光らせろ」とだけ告げる。対象はフレイヤであり、ロキは「あの女神が子供を庇った」事実そのものを危険視していた。ヘスティアはその言葉から、フレイヤがベルに何らかの関心を抱いた可能性に思い至りかけるが、円卓側が「決まった」と爆発的に盛り上がり、思考は遮られる。
この場面の要点整理
- 神会は“荘厳な会場”と“下世話で残酷な命名娯楽”が同居する場として描かれた。
- ベルの異例の成長は神々の最大の関心事となり、ロキの追及でヘスティアは情報露見寸前まで追い詰められた。
- フレイヤの介入が、規則と理屈を使って場の総意を形成し、ベルの内情暴露を回避させた。
- ロキの忠告は「フレイヤがベルを庇った=ベルに目を付けた」可能性を示し、今後の火種として残された。
第二事務室に漂う緊張の正体
ギルド本部の第二事務室は、普段の業務音が消え、職員が歩き回り時計を気にする落ち着かない空気に包まれていた。殺気ではなく、神会の結果――冒険者たちの二つ名――が届くのを待つ高揚と焦れが原因であった。
ベルの成長記録は「公開不可」と判断される
エイナはベルのLV.2到達の経緯を要約した報告書を提出していたが、上司(獣人男性)は「LV.1冒険者に死ねと言っているようなもの」と断じ、公開はできないとして「成長模範はお蔵入り」と決定した。ベルの“秘訣”が、単独迷宮探索でキラーアントを狩り続け、最後にミノタウロスを真正面から一対一で撃破する、という極端な内容であったためである。エイナは朝の個人情報を大声で叫んだ件も含め、軽率さを戒められた。
神会提出資料の粗さでミィシャも叱責される
上司は次にミィシャを呼び、神会へ提出した資料の出来が酷い、とくにベル・クラネルの資料が雑だったと指摘した。ベルのランクアップ申請が神会直前の土壇場であり時間がなかったというミィシャの弁明は理解されつつも、神々から苦情が来た場合はミィシャ一人で対応しろ、と突き放される。ミィシャは泣きついてエイナに抱き付くが、エイナは疲れを滲ませる。
神会の結果待ちで職員が浮き立つ
給湯室で紅茶を飲みながら、二人は神会が十五時過ぎには終わっているはずだと見当をつける。神々の称号は“神らしい洗練”としてギルド職員にも人気が高く、結果が届く直前のこの空気は恒例になっていた。エイナも今回は担当冒険者(ベル)がランクアップしたため、いつもより気になっていた。
結果到着、ギルド本部が“二つ名祭り”になる
勢いよくドアが開き、神会の結果を持った職員が到着する。事務室の職員たちは仕事を放り出して群がり、羊皮紙が次々と回覧され、讃嘆の声と興奮が広がる。上司まで輪に混ざり、別部署の女性陣も加わって黄色い声が飛ぶほどの騒ぎになる。職員たちは二つ名を「神は俺たちとは違う」と崇めるように受け取っていた。
エイナが気にしたベルの二つ名と、その結末
出遅れたミィシャに引っ張られ、エイナは一覧を受け取る。ベルに“物騒でゴツい称号”(例:鮮血の冒険者のような方向)が付いていたら、次に会う時に言葉選びが難しくなる、と内心で想像していた。しかし一覧の最後の頁でベルの名前を見つけた瞬間、エイナは思わず笑ってしまう。
ベル・クラネルの二つ名
エイナが読み上げたベルの二つ名は、【リトル・ルーキー】であった。
2章 変わる環境変わる関係
ミノタウロス戦後の空白
ベルは教会の隠し部屋で、何もせず天井を見上げて過ごしていた。ミノタウロスとの死闘から三日が経ち、二日間は治療室で眠り続け、神様とリリから叱られた後も半日ずつ休養に充てていた。LV.2到達は素直に嬉しいが、それ以上に「ミノタウロスを倒した」という事実の重みが心に残り、達成感とも喪失感とも言えない余韻に浸っていた。
残された証と決別
ベルは手元に残したドロップアイテム《ミノタウロスの角》を見つめる。砕けた角の内部に残る赤緋の芯は、最後まで自分を襲った敵の象徴であった。咆哮は遠のき、角は静かに「終わり」を告げているように感じられた。ベルは感慨を断ち切り、再び前に進むことを決意する。
祝賀会への出発
今夜は酒場《豊穣の女主人》で、ベルの【ランクアップ】を祝うパーティーが開かれる。シルに報告したことがきっかけで話がまとまり、費用も取られるが、それもこの店らしいと受け入れていた。神様は神会後の付き合いで参加できず、代わりに二つ名【リトル・ルーキー】を伝えてくれた。無難だと喜ぶ神様に、ベルは複雑な気持ちを抱きつつも家を出る。
街での異変
夕暮れのメインストリートに出た瞬間、ベルは複数の神々に取り囲まれる。彼らは待ち伏せしていたと告げ、口々に【ファミリア】への勧誘を始めた。かつて門前払いだった自分が、今や争奪の対象になっている現実にベルは混乱する。
過剰な関心と恐怖
神々は成長速度の正体やスキルの有無を詮索し、無遠慮な言葉を浴びせてくる。ベルが既にヘスティアの【ファミリア】に属していると訴えても聞き入れられない。背中や体にまで興味を向ける視線に、ベルは本能的な恐怖を覚える。
全力の逃走
状況の異常さを悟ったベルは、もはや対話を諦め、全速力でその場から逃走する。
環境が変われば、周囲との関係も一変する――その現実が、ベルの身に鮮烈に刻み込まれた瞬間であった。
祝賀会への到着と遅刻の理由
ベルが酒場『豊饒の女主人』に到着した頃には、空は月夜になっていた。ベルは息を切らし、直前まで神々の勧誘から逃げ回っていたことを思い出す。アーニャとルノアに遅刻を咎められつつ、主役不在では始められないと急かされ、店内へ入った。
席への合流と広がる視線
奥でリリが手を振り、シルとリューも制服姿でベルを迎える。ベルは遅れたことを詫びながら向かうが、店内の一部がざわつき、【ヘスティア・ファミリア】や【リトル・ルーキー】、ミノタウロス討伐の噂が囁かれているのを感じ取る。横目やささやきに居たたまれず、ベルは姿勢を低くして急いで席に着く。
乾杯と祝福の時間
ミアの計らいでシルとリューは仕事を外され、ベル達は乾杯して祝賀会を始める。ベルはエールに挑戦し、シルは果実酒、リリは果汁、リューは水を選ぶ。料理が運ばれるにつれ周囲の注目は薄れ、ベル達はアーニャやクロエのちょっかいをかわしながら食事を楽しむ。リリはリュー達への苦手意識を表に出さず、場は和やかに進む。
シルの距離感とリリの牽制
シルは甲斐甲斐しくベルの世話を焼き、魔導書を渡したことが役に立ったのが嬉しいと熱を帯びた視線を向ける。ベルは照れと戸惑いで顔を引きつらせ、横からリリに強くつねられる。リューもベルを称え、ミノタウロス討伐は壮挙だと真剣に評価し、ベルは褒められることに弱い自分を自覚する。
今後の方針と「仲間を増やせ」という助言
リューはベル達の今後を問い、装備を整えた後に中層へ向かうつもりかを確認する。ベルはまず1階層で調子を確かめ、余裕があれば12階層まで進む予定だと答える。リューは中層は上層と別物で、二人では対応が追いつかない局面が増えるとして、少なくとももう一人仲間を増やすべきだと勧める。三人一組(攻撃・防御・支援)の連携が基本であり、人数増加は個の強化以上に有益だと説く。
買い物同行騒動とミアの介入
翌日の装備購入について、リリは下宿先の仕事で同行できないと告げる。ベルが一人で行く流れになると、シルが同行を申し出るが、リリは「荷物運びにされる」と強く反発する。そこへミアがトレイでシルを叩き、「勝手にサボるな」と一喝し、リューに「明日はシルを見張れ」と命じてこの話を潰す。シルは「慰めて」と甘えるが、リリは即座にベルへ「明日は一人で行け」と押し切る。
酔客のパーティ勧誘と要求の露骨さ
パーティ増員に悩むベルの前に、酒臭い冒険者三人が現れ、「仲間に入れてやる」と持ちかける。だが条件として、シルやリリ(エルフ達)を「貸せ」と要求し、露骨な視線も向ける。ベルは拒絶しようとするが、先にリューが「彼には必要ない」と遮り、男達を退けようとする。
リューの電光石火の制圧
男がリューの肩に触れようとした瞬間、リューはベルのジョッキを掴み、男の手をジョッキの中に収めてひねり上げ、腕を極端な角度に曲げて悲鳴を上げさせる。リューは「我儘だが、彼に貴方達と組んでほしくない」「彼は私の友人だ」と明言し、蔑みも許さない姿勢を示す。男達は激昂し襲いかかろうとするが、状況は一気に逆転する。
店員達の即応と「豊饒の女主人」の支配力
背後からクロエとアーニャが椅子で男達を殴り倒し、ルノアが淡々と「うちのエルフは凶暴」と告げて牽制する。短剣を抜いた男に、店員達は一斉に目を細め、ベルは背筋が凍る。そこへミアがカウンター卓をV字に変形させるほどの一撃で場を制圧し、「騒ぎは外でやれ」「次は店の下に埋める」と脅し、男達を退散させる。男は有り金を置いて逃げ、ミアは「金は払え」と怒号で追い打ちする。
喧騒の回復と再開
冒険者達が消えると、店内は何事もなかったかのように喧騒を取り戻す。ベルは圧倒されて見ていることしかできないが、リリは平然とリューの強さを称え、シルは手拍子で場を仕切り直す。こうして祝賀会は再開され、ベル達は夜遅くまで料理と酒を楽しんだ。
八階休息所での対話
ベルはバベル八階の休息所で、鍛冶師ヴェルフ・クロッゾと向かい合っていた。自分が【リトル・ルーキー】と呼ばれていることに戸惑いながらも、ヴェルフが強い関心を抱いた理由を聞かされる。彼の作品は技量を評価されつつも売れず、返品や冷遇が続いていたという。
鍛冶師としての矜持と苦境
ヴェルフは、自身の武具に確かな自信を持ちながらも、無名ゆえに顧客を得られない現実を語った。下っ端の鍛冶師にとって、冒険者との繋がりは死活問題であり、冒険者が名を上げれば、その装備も脚光を浴びる可能性がある。ベルが二度にわたり自分の防具を選んだことは、彼にとって初めての「認められた」経験だった。
直接契約という提案
ヴェルフはベルに、鍛冶師と冒険者が結ぶ直接契約を持ちかける。ベルがドロップアイテムを提供し、ヴェルフが武具を格安、あるいは特別に打つという持ちつ持たれつの関係である。特定の冒険者のために作られた武具は、より強い力を発揮する――その言葉は、かつてエイナから聞いた話とも重なった。
注目される存在への変化
ヴェルフは、LV.2に到達した冒険者は多くの鍛冶師から狙われる存在になると告げる。実際、周囲の鍛冶師達がベルに視線を送っていた。ヴェルフ自身も、将来有望な冒険者と契約することで箔が付くと率直に語りつつ、何より自分の作品を選んでくれた事実が嬉しかったのだと本音を明かした。
契約の成立
ベルは迷いの末、ヴェルフとの契約を承諾する。握手を交わした二人の間には、未熟者同士が共に成長していくという確かな手応えがあった。周囲の鍛冶師達は、その光景を見て悔しそうに立ち去っていく。
新たな提案
契約成立の直後、ヴェルフはベルの装備一式を無償で新調すると申し出た上で、さらに我儘を口にする。その願いとは――自分をベルのパーティに加えてほしい、というものだった。
3章 鍛冶師の事情
ダンジョン11階層への同行
ベル、リリルカ、ヴェルフはダンジョン11階層の始点に立った。ヴェルフは昨日の契約直後に無茶を頼んだと詫び、ベルは増員を考えていた事情もあり快諾した。目的は、ヴェルフが発展アビリティ『鍛冶』を得るための【ランクアップ】に必要な経験値を稼ぐことにあった。
ヴェルフが抱える派閥内の問題
ヴェルフは【ヘファイストス・ファミリア】内で仲間外れにされ、ダンジョン探索の同行者を得られない状況にあった。鍛冶師にとって『鍛冶』アビリティは一生を左右する重要要素であり、同僚に遅れを取った焦りも強い。身内で組めないため、外部のベル達に協力を求めたのが今回の同行である。
リリの不信とベルへの叱責
リリは、ベルが相談なくヴェルフの編入を決めたことを強く非難した。ヴェルフの参加が「アビリティ獲得までの臨時要員」に過ぎず、離脱後にベルが実質ソロへ戻る危険を指摘し、判断の甘さを責める。ベルは反論できず、リリの怒りが「危なっかしいベルを管理したい」感情にも根差していることを察する。
クロッゾ家名の発覚
ヴェルフの家名「クロッゾ」を聞いたリリは態度を一変させ、没落した鍛冶貴族で「魔剣」を献上して栄えた名門の名だと説明する。世代を通じ数千数万の魔剣を王家に捧げたと伝わるが、ある日を境に信を失い凋落したという。ヴェルフは話題を切り上げ、今はダンジョンでやるべきことに集中すると告げた。
怪物の宴と役割分担
壁が裂け、オークが誕生したのを皮切りに、四方八方からモンスターが連続出現する「怪物の宴」が始まる。霧のない広いルームで退路もあるとリリは冷静に状況整理し、ベルは単独行動、リリはヴェルフ援護という布陣を提案する。ヴェルフはオークを自分が受け持つと宣言し、ベルは自身の力を試す決意を固めて前へ出た。
ベルのランクアップ後の戦闘感覚
ベルはインプの群れに突入し、速度・反応・攻撃の全てが以前と次元違いであることを体感する。敵が遅いのではなく、ベルが反応を許さないほど速くなったのだと理解し、短刀と《神様のナイフ》で一撃ずつ確実に斬り伏せ、群れを瞬時に壊滅させた。アイズ直伝の回し蹴りも決まり、ランクアップの実感が確信へ変わる。
新敵ハード・アーマードへの対処
続けて11階層初出の『ハード・アーマード』二体と対峙する。甲羅は上層最硬で正面突破が困難、腹部が弱点という知識を即座に引き出し、ベルは回転突進を紙一重でいなしつつ、もう一体の死角へ回り込んで甲羅ごと両断する。さらに強化された【ファイアボルト】で突進個体を轟音と爆風で撃破し、魔法威力の増大も確認した。
憧憬への接近と次の局面
戦闘後、ベルは自分が確実に強くなっていること、金色の背中――アイズへ近づいている感覚を掴む。だが直後、オークの雄叫びが響き、視線を向けた先ではヴェルフとオークの戦闘が始まろうとしていた。
ヴェルフ視点の戦況把握
ヴェルフはベルの戦闘を瞥見し、動作・攻撃初動・魔法発動の全てが異常な速さであると認識する。呼び名である「兎」の由来を直感し、リリの皮肉混じりの声を背で受け流しつつ、目前のオークへ意識を集中させた。
オーク二体の処理と連携の立ち上がり
ヴェルフは大刀を担いだまま間合いへ踏み込み、横薙ぎを低姿勢で回避して腹を斬り裂く。倒れた個体の頭部を叩き割って仕留め、次の棍棒持ちオークへ移行する。リリは回り込んでハンドボウガンを肩へ命中させ、標的を自分へ逸らして隙を作る。ヴェルフはその瞬間に懐へ入り、右手一本の袈裟斬りで胸部ごと斬り抜いて撃破するが、魔石まで傷つけたことでリリに収入面を責め立てられ、ヴェルフは家名呼びも含めて辟易する。
シルバーバック三体による包囲
直後、オークとは別の強敵『シルバーバック』が二体、さらに枯木から一体が加わり、ヴェルフは三方向から囲まれる。オークと違い能力の偏りが少なく強い相手であり、複数対一の最悪形に、ヴェルフは「10階層でソロ挑戦して死にかけた記憶」を思い出し、撤退可否を含めて追い詰められる。リリもサポーターとして迂闊に動けず、ヴェルフは一点突破の玉砕覚悟で腹を括る。
ベルの介入と瞬間的な反転
シルバーバックが動き出した瞬間、ベルが投槍のような勢いで突入し、強烈な飛び蹴りを横から叩き込んで一体を吹き飛ばす。ベルは即座に《短刀》を投擲し、背後の個体の左眼を潰して動きを止める。ヴェルフはベルの合図を反射的に理解して射線を外し、振り向きざまの大刀で銀の閃撃を叩き込み、目潰しされた個体を確実に撃破する。
戦闘終結とヴェルフの実感
ベルもまた別個体を仕留め、短時間で包囲は崩壊する。ヴェルフはベルの背中を見つめた後、大刀を担ぎ直し、「仲間がいる」ことの価値を噛み締める。ベルも白髪の少年らしい素直な笑みで応え、三人の即席連携が実戦で機能した場面として締まる。
休息中の所感とリリの戦場統制
ベルとヴェルフは11階層始点ルームで小休止に入り、先ほどの戦闘で噛み合った動きを振り返る。ヴェルフは、ベルの突出した戦力が戦闘負担を減らし、結果として動きに余裕が生まれる点を「パーティの利点」として整理する。また、連携の“仲介役”としてリリが戦場全体を見て誘導し、役割被りを避ける援護を入れていたことを評価する。リリはその間、魔石回収を一手に引き受け、横取り防止のため討伐物をまとめるなど、場の管理まで担っていた。
周囲パーティの増加と昼食案
ルームは人通りが多く、他パーティが増えるとモンスターの奪い合い・横取り・揉め事に発展しやすい。ベルは不干渉が暗黙の了解であることを踏まえ、場所移動も視野に入れるが、最終的には「人が多い=警戒負担が減る」利点を利用し、ここで昼食を取る方針にまとまる。ベルは周囲の装備や雰囲気から中層を見据える強者の気配を感じ、自分がLV.2に上がった現実と、目標(アイズ)への距離を再確認する。
【英雄願望】の兆候発現
ベルは自分の新スキル【英雄願望】を思い出し、発動条件が曖昧なまま考え込む。英雄になりたいという強い願いが過去にあったことを辿った直後、右手に異変が起きる。純白の光粒が発生・収束を繰り返し、粉雪が渦巻くように右手を取り巻く。同時に、鐘のような高い音が鳴り、ヴェルフも異常を認識する。
インファント・ドラゴン出現と即時の惨劇
出入口の霧を破って『インファント・ドラゴン』が現れる。上層では事実上の階層主級で、希少種である一方、下級パーティを全滅させうる危険個体でもある。出現直後、近くのエルフ冒険者が尾撃で叩き飛ばされ、壁に激突して致命傷を負う。ルーム全体は悲鳴と混乱に包まれるが、他パーティは垣根を越えて迎撃態勢(魔法詠唱、前衛突撃)へ移行する。
リリへの突進とベルの暴発的発動
リリはルーム奥で回収作業中であり、インファント・ドラゴンがその方向へ突き進む。ヴェルフは「逃げろ」と叫ぶが、リリは立ち尽くし、ベルは反射的に動く。発光を続ける右手を突き出し、【ファイアボルト】を叫んだ瞬間、純白の閃光が爆ぜ、直後に“規模の異常な”炎雷が放たれる。白い光に縁取られた巨大な【ファイアボルト】は小竜を貫通し、壁面へ着弾して大爆発を起こす。
小竜撃破と“視線”の変質
インファント・ドラゴンは鱗が剥がれ落ち、黒煙と残炎に包まれて倒れる。壁面には粉砕と亀裂が刻まれ、場は静寂に沈む。冒険者達の視線がベルに集中し、そこには驚愕・戦慄に加え、敵意も混じる。ベルの右手の光粒は消え、何事もなかったように沈黙するが、ベル自身は発動の手応えと現実の反応の両方に呆然とする。
帰宅後の家事と神様の違和感
ベルは帰宅後にシャワーを浴び、ヘスティアと並んで夕飯の支度に入る。家事は二人でやるのが習慣になっており、生活は以前の極貧状態から明確に持ち直していた。調理中、ヘスティアは「銀髪の女神(フレイヤ)」との面識をベルに探るが、ベルに心当たりはない。神会(デナトゥス)以降、ヘスティアが何かを気にしている様子が示唆される。
ヴェルフ加入を歓迎する理由
食卓でベルはヴェルフの印象を語り、ヘスティアも鍛冶師が加わる利点と三人編成の安全性を肯定する。ベルとリリの二人組が危うい状況になりやすい点を、ヘスティアは強く気にかけており、ヴェルフを「逃がすな」とまで言って後押しする。
クロッゾ家の概要と“個人評”の入手経路
ベルはヴェルフの家名「クロッゾ」についてヘスティアに確認するが、伝承レベルの知識はリリの説明と大差ない。ただしヘスティアは、勤務先がヘファイストス系の店であるため、ヴェルフ個人の評判を探っていた。
ヴェルフの才能と評価の二面性
ヘスティアによれば、ヘファイストスはヴェルフの鍛冶師としての才能を認め、名前を挙げることもある一方で「残念な子」とも評していた。さらに重要な情報として、ヴェルフは正真正銘の“魔剣”を打てるとされ、出来は上級鍛冶師の作品を凌ぐとも噂される。つまり「クロッゾの血統が本物」であることが裏づけられる。
“魔剣を打てるのに打たない”という核心
にもかかわらずヴェルフは魔剣を作ろうとしない。魔剣を一度作れば富と名声が確約されるはずなのに、彼は頑なに拒み、周囲からは「宝の持ち腐れ」「出来損ないのクロッゾ」と陰で誹謗中傷されているという。ベルはこれが疎外の原因(妬み)にもつながっていると理解し、ヴェルフが何かを抱えている可能性を意識する。ヘスティアは「隠し事の一つや二つは受け入れろ」とベルを諭す。
ベルのスキル発動報告と【ステイタス】確認
ベルは11階層で起きた異常な発動――白い光粒が集束し、攻撃が飛躍的に増幅したこと――をヘスティアに説明する。ヘスティアはベルの【ステイタス】を直接確認し、【英雄願望】の文言(アルゴノット)を幻視させるような感覚がベルに生じる。
スキルの定義づけ:逆転の資格=英雄の一撃
ヘスティアはベルのスキルを「逆転の力」と定義する。自分より強大な敵を打ち倒すための可能性であり、窮地を覆す“資格”であると語る。その核心は「その一撃に全てを賭け、力を注ぎ込み、不条理に逆らう」こと――英雄譚の体現としての一撃である。結論として、ベルが得たのは「英雄の一撃」だと告げる。ベルはその言葉と、ヘスティアの遠い慈愛を思わせる微笑に圧倒され、意識を奪われたように立ち尽くす。
深層での乱戦と先陣の暴走
4階層の灼熱地帯で、【ロキ・ファミリア】は岩石系モンスター『フレイムロック』の群れと交戦していた。ベートは特注のメタルブーツで怪物の頭部を粉砕し続け、ティオナとティオネも加わって戦果を独占する勢いで暴れ回っていた。三人の戦いぶりは派閥内の第二級冒険者達を萎縮させ、貴重な【経験値】を奪ってしまう構図になっていた。
ガレスの合流と首脳陣の危惧
後続部隊を率いて合流したドワーフのガレスは、前衛の興奮状態を問題視し、フィンも「止まりそうにない」と渋い反応を示した。若手が育たない、戦場が一部の第一級冒険者に吸い上げられる、という危惧が共有される。
上層で起きた“Lv.1の撃破”の報告
フィンはガレスに、上層(9階層)でミノタウロスが出現し、それをLv.1の冒険者が単独撃破したと説明した。フィンは【ステイタス】を確認する機会があり、リヴェリアの【神聖文字】解読も証言として挙げ、さらにアイズもその背中を見たと補足した。ガレスは話の異常さに驚き、同席していなかったことを惜しむ。
“瀬戸際の眩しさ”と首脳陣の自覚
フィンは、その冒険者の戦いは荒さや拙さもあるが、冒険者だった頃の初心を思い出させるものだったと語った。リヴェリアも、組織を率いる立場になって保身的で堅実な戦いに慣れた自分達にとって、あの瀬戸際の戦いは「眩しかった」と認める。
アイズの問い:限界を超える方法
沈黙していたアイズは、リヴェリアに「アビリティの限界をどうすれば超えられると思う?」と問う。リヴェリアは、各能力には種族や個性に基づく上限があり、Sに極めることはあっても“神の恩恵の限界値”を突破することは不可能だと言い切り、軽率な発想だと戒めた。
火のついた戦姫と少年の残像
しかしアイズは納得しきれず、剣を抜いて戦場へ歩き出す。リヴェリアは「火がついてしまっている」と止めることを諦めた。アイズの内側には、限界を超えたかのように見えた少年(ベル・クラネル)の後ろ姿が焼き付いており、「もっと強くなれる」という執念が彼女を突き動かしていた。
シルの弁当とリューの忠告
早朝、ベルは迷宮探索へ向かう直前に酒場前でシルに引き止められ、弁当の作り直しを待つことになった。そこへリューが現れ、シルの努力を汲んで待ってやってほしいと頼む。会話の流れでベルは臨時のパーティ要員を確保したと伝え、リューは「他派閥の団員が加わるなら問題が変わる」として、信頼性を確認する姿勢を示した。
ヴェルフの家名とエルフが抱える因縁
ベルが鍛冶師ヴェルフ(クロッゾ)を仲間にしたと告げると、リューは「クロッゾ」は一部のエルフにとって無視できない名だと反応した。彼女は、クロッゾ一族がラキア王国に魔剣を大量供給し、魔剣を備えた軍勢が圧倒的火力で戦場を焦土化した過去を語る。その戦火がエルフの森と里にも及び、森ごと焼き払われたため、里を失ったエルフ達が報復に動いた経緯があった。武器を恨むのは筋違いでも割り切れない者がいる、という意味で、クロッゾの名はエルフ社会に禍根を残していると説明された。一方リュー自身は直接の当事者ではなく、過去として距離を置いていると明言した。
遅刻気味の移動とリリの不在
弁当を受け取ったベルは待ち合わせへ急ぐが、道中でヴェルフと遭遇する。ヴェルフはリリの伝言を伝え、下宿先のノーム店主が倒れ看病が必要になったため、リリは今日の探索に同行できない状況だと告げた。ベルはサポーター不在による回収効率低下と、探索中止による空白を天秤にかけて迷う。
ヴェルフの提案:装備の新調
迷っているベルに対し、ヴェルフは「今日一日、時間を貸してくれ」と申し出る。理由は、以前約束した通りベルの装備一式を新調するためであり、探索の代わりに装備更新を優先する流れが提示された。
装備新調への葛藤と受諾
ベルはライトアーマーで十分だと遠慮するが、ヴェルフは鍛冶師の約束として譲らない。冒険者は明日どうなるか分からず、生き残るために最善の準備を整えるべきだと諭され、ベルは好意を受け入れる決断をする。
ヘファイストス・ファミリアの工房と工業区
ヴェルフは自分の工房へベルを案内する。工房はファミリアから与えられた個別の作業場で、技術を他の鍛冶師に見せないための方針でもある。北東の通りは工具店や作業衣の職人が多く、魔石製品の製造が集まる工業区の気配が濃い。路地を抜け、市壁近くの小さな平屋の工房に到着する。
採寸と「専用装備」への提案
ヴェルフは特注に近い形でベル専用の装備を作るため、採寸を始める。装靴(グリーブ)を作る予定だが、盾など希望があれば言えと促す。ベルは具体案が浮かばないまま、工房の棚に立てかけられた大剣に目を奪われる。
大剣と「魔剣目的か」の試し
ベルは売れ残りだという大剣を使ってみたいと申し出る。するとヴェルフは、ベルが魔剣を欲しがらない点を意外がり、ヘスティアがヴェルフを調べていた件も把握していると明かす。ヴェルフはベルが「魔剣目当てで近づくか」を気にしており、試すような真似をしたと謝るが、ベルは態度を変えない。
ミノタウロスの角の活用という解決策
ベルは腰に差していたミノタウロスの角を「手放せない」と語る。ヴェルフはそれを素材に武具を作れると提案し、ベルは角を預ける。角から作れるのは短剣一本か短刀二本が現実的で、ベルは支給品の短刀の替え時でもあるため短刀作製を依頼する。余った素材はヴェルフが鍛冶系アビリティ取得後の楽しみに回す方針となる。
鍛冶見学の許可と加工の前提知識
ベルは鍛冶作業を見学したいと願い、邪魔をしない約束の上で許可される。ヴェルフは角を加熱すると告げ、ベルは驚くが、モンスターの角や爪には金属属性を持つものがあり、熱で加工可能だと説明される。さらにダンジョン産の希少鉱物アダマンタイトの話が出て、下層・深層ほど入手例が多いこと、モンスターの器官にも性質が反映されることが語られる。工房の鎧戸と扉を開けて炉を焚くと、室温は急上昇し、炉の赤い光が空間を支配する。
魔剣を打たない理由の核心
ヴェルフは「何でも聞け」とベルに促され、ベルは「なぜ魔剣を作らないのか」と問う。ヴェルフは魔剣が嫌いだと明言し、客の多くが自分の作品ではなく「クロッゾの魔剣」だけを求めて押しかけることに辟易してきたと語る。だが理由はそれだけではないとして、作業の手を止めずにクロッゾ一族の起源を語り始める。
クロッゾの起源:精霊の血と“奇跡”
クロッゾは元々一人の男の名で、古代にモンスターに襲われた「精霊」を助けたことで、精霊の血を分け与えられ瀕死から復活し、魔法と魔剣の才を得たという。以後、精霊の血は子孫に受け継がれ、神々の降臨後に恩恵(ステイタス)を得た代で「魔剣製作のためのスキル」が発現し、多くの一族が同じスキルを手にした。これがクロッゾの繁栄の基礎だった。
堕落と“呪い”:魔剣が奪ったもの
一族は血の由来を忘れ、魔剣の力を私利私欲のために量産し、王国(ラキア)に売り込み、戦争で好き放題に振るった。その結果、自然を焼き払い、エルフの里だけでなく、自然豊かな土地に住む精霊の居場所も奪った。やがて戦場の魔剣が一斉に破砕し、王国軍は惨敗、クロッゾは魔剣を作れなくなり、責任を負わされ没落した。ヴェルフは、これを精霊による呪いだと捉えている。
ヴェルフだけが打てる魔剣と拒絶
現在、なぜかヴェルフだけは魔剣を打てる。しかし家の再興を狙う周囲は「王家に取り入る道具として魔剣を打て」と強要し、ヴェルフはそれを決定的に拒んだ。武器は政治の道具ではなく、使い手の半身であり、鍛冶師は一人の使い手と一心同体の武器を送り出すべきだという信念が示される。魔剣は使い手を残して砕け、力が人を腐らせ、使い手の矜持も鍛冶師の誇りも奪う――だからヴェルフは「魔剣を打たない。打っても売らない」と言い切る。
鍛造開始:信念を叩きつける打撃
赤く熱したミノタウロスの角を鉄床に移し、ヴェルフは激しい打撃音を響かせながら鍛錬を開始する。火花が散り、作業衣としての黒い着流しが赤熱片を弾く。ベルは鉄の匂いすら遠く感じるほど没入し、ヴェルフの鍛冶が技術だけでなく信念の発露であることを目撃する。
鍛造の完了と紅緋色の短刀
宵闇が差し、工房の外が暗くなり始めた頃、ヴェルフの作業はようやく終わる。ヴェルフは浅い箱を卓上に置き、「完成だ」と告げる。箱の中には紅緋色に輝く短刀が収められており、透明感のある鋭い刀身にはミノタウロスの角の面影が宿っていた。長さは《神様のナイフ》よりやや短く、柄も手に馴染むよう調整されている。ベルは出来映えに息を呑み、ヴェルフも「今までの作品で最高の出来」と手応えを口にする。
鞘の未完成と職人の流儀
ヴェルフは鞘を用意する暇がなかったと詫び、翌日中に仕上げると約束する。ベルは無理をしなくていいと言うが、ヴェルフは「こういうのは熱い内に全部やった方がいい」と譲らない。鍛冶師としての流儀が、仕上げの段取りにも表れていた。
命名騒動とベルの制止
ヴェルフは短刀に名を付けようと集中し、「牛若丸……いや、牛短刀」と案を出す。ベルは即座に全力で拒否し、最初の案で良いと押し切る。ヴェルフは残念そうにしつつも、ベルの必死さに折れて了承する。
呼び方の変更と“仲間”としての距離
代用の鞘に収めた短刀を渡そうとするヴェルフは、直前で手を引き上げ、ベルの堅苦しい呼び方をやめようと提案する。信頼を丸ごと預けろとは言わないが、リリのように自分をそれらしく呼んでほしい、と「仲間みたいに」と笑って促す。ベルはそれに応じ、微笑みを滲ませながら「わかった、ヴェルフ」と呼び方を改める。ベルは差し出された短刀を、今度はしっかり受け取る。
エピローグ ネクストステージ
ギルド本部での面談
騒がしいギルド本部の一角、防音の面談室でベルはエイナと向き合っていた。ベルは新たに契約した鍛冶師ヴェルフ・クロッゾについて報告する。クロッゾの名は界隈で知られているが、ヴェルフが魔剣の量産を拒み続けてきたため、その名はオラリオで広まっていないという現実が語られる。魔剣という尺度でしか評価されない状況に、ベルは静かに落ち込む。
ステイタス確認と急成長
話題を切り替え、ベルは自身の【ステイタス】を提示する。レベル2になってわずか十日で、最高評価がIからFへと三段階も上昇していた。異例の成長にエイナは言葉を失う。三人パーティが組める体制であれば、中層進出の基準は満たしていると判断される。
中層進出の条件
エイナは慎重に検討した末、条件付きで中層進出を許可する。条件は、パーティ全員が精霊の護布「サラマンダー・ウール」を装備すること。割引用のクーポンを手渡し、危険時は即撤退するよう強く念を押す。ベルは真剣に頷き、その言葉を胸に刻む。
次なる舞台へ
最後にエイナは穏やかな微笑みでベルを送り出す。ベルはその笑顔を瞳に焼き付け、仲間の待つダンジョンへと向かう。未知の中層という“次の舞台”へ踏み出す決意が、静かに固められたのであった。
中層直前の戦闘と連携
十二階層の濃霧地帯において、ベルは紅の短刀と《ヘスティア・ナイフ》を使い分け、シルバーバックやインプを次々と討伐した。霧を抜けた先には十三階層へ通じる岩壁の大穴があり、中層への入口が姿を現す。ベルは先行して敵集団に奇襲を仕掛け、紅の短刀の破壊力でハード・アーマードを一撃で粉砕した。
武器の特性と役割分担
紅の短刀《牛若丸》は、切れ味に特化した《ヘスティア・ナイフ》とは異なり、衝撃伝播による高い破壊力を発揮する武器であった。ベルは二振りを使い分けながら戦線を切り拓き、ヴェルフは大刀で討ち漏らしを確実に処理する。三人の戦闘は、即席ながら明確な役割意識に支えられていた。
危機と即応
オークとバットパットの連携により、ヴェルフが怪音波で体勢を崩される危機が発生する。ベルは即座に魔法の使用を断念し、最短距離で突入する判断を下した。リリを「鞘」として大剣を抜き放つ即興の連携により、ベルは加速を乗せた一撃でオークの棍棒を粉砕し、直後にヴェルフが止めを刺す。危機は最小限の損耗で収束した。
中層進出前の最終打ち合わせ
ルーム内の敵を一掃した後、三人は隊列を確認する。前衛はヴェルフ、中衛はベル、後衛はリリという布陣である。サポーターが後衛を担う不安定な構成であり、判断ミスが即撤退に直結する危険な編成であることが共有された。それでも三人は前進を選ぶ。
冒険者としての実感
緊張の中で、ベルは仲間と力を合わせて未知へ挑む高揚感を口にする。ヴェルフは豪快に笑い、リリも慎重さを保ちつつ同意を示した。三人はそれぞれの覚悟を確認し合い、冒険者としての醍醐味を再認識する。
中層へ
岩壁の大穴の先には、鈍い燐光と湿った空気が漂っていた。恐怖を抑え、仲間の存在を胸に刻んだベルは、決意を固めて十三階層――中層へと足を踏み入れた。
クエスト×クエスト
街の朝とベルの疲労
快晴が続くオラリオの朝、ベルは西のメインストリートを傷だらけの足取りで進んでいた。アイズとの早朝特訓を始めて三日目であり、ダンジョンでの戦闘以上に鍛錬の蓄積ダメージが重くのしかかっていた。それでも「強くなるため」「師である彼女に追いつくため」と自分に言い聞かせ、リリとの集合場所へ向かった。
ナァーザの直接依頼
通りから路地裏へ繋がる場所で、【ミアハ・ファミリア】の犬人ナァーザがベルを待ち受けていた。彼女は羊皮紙を差し出し、報酬付きの「冒険者依頼」を頼む。内容はメモに書かれた対象から必要物を取ってくるというもので、期限はないが早い方が助かると告げ、ナァーザはそのまま去った。ベルは状況を飲み込みきれないまま、羊皮紙を確認しつつ合流へ向かった。
リリの警戒と依頼内容の確認
中央広場で合流したベルが事情を説明すると、リリは「下級冒険者に直接依頼が来るのは珍しい」と首を傾げる。羊皮紙の依頼はドロップアイテム『ブルー・パピリオの趣』の収集で、達成難度はLV.1相当でも不自然ではないが、報酬未確認の点を問題視した。過去にナァーザから品物を買わされた経験も踏まえ、ベルが利用されている可能性を指摘し、警戒を促した。
冒険者依頼の基礎講義
リリは「今日は冒険者依頼について学ぶ日にする」と提案し、ベルの疲労も考慮して息抜きの機会に変える。冒険者依頼とは、依頼人が報酬を用意し、冒険者が問題解決や資源回収を担う「依頼の総称」であり、ギブアンドテイクの関係であると説明する。二人はギルド本部へ向かい、掲示板の依頼書を確認した。
ギルド掲示板と依頼の偏り
掲示板には中層以深を対象とする依頼が多く、ベルの現状では達成困難なものが並ぶ。リリは、上層は多くのLV.1でも時間をかければ踏破可能であり、到達が難しい中層以降の需要が依頼数の偏りを生むと解説する。また、ギルド掲示の依頼は報酬が確約され信用性が高い一方、ギルド非介在の依頼には危険が伴うと整理した。
非公式依頼の危うさ
リリは、ギルドに載らない依頼は酒場などで集められ、依頼人不明・内容不穏・報酬踏み倒しといった「胡散臭い依頼」が混じると説明する。過去に自分も似た手口を使ったと明かしつつ、ギルドを介さない依頼には基本的に手を出さないのが安全だと強調した。面識のある【ファミリア】からの頼みでも例外ではない、という忠告はナァーザの依頼を念頭に置いたものであった。
本題への移行とリリの策
ベルは依頼対象の『ブルー・パピリオ』が「稀少種」である点を思い出し、見つける手間を不安視する。リリは出現階層が上層で危険度は高くないが、探索は骨が折れると認めたうえで、準備を整えてから挑む策があると断言する。ベルは頼もしさを覚え、リリ主導で依頼を進める流れを受け入れた。
ブルー・パピリオの性質と難度認識
ベルは『ブルー・パピリオ』を、7階層に出現する青い蝶のモンスターとして整理する。透明感ある四枚の翅と淡く光る鱗粉を撒く姿は美しく、同時に遭遇率が極端に低い『稀少種』として知られている。稀少種のドロップは希少価値が高いが、普通に探索していては発見に時間がかかるため、ベルは依頼が一日で終わらない可能性を想定していた。
7階層最奥への迂回と「食料庫」への誘導
場所は7階層。道具屋で準備した後、ベルとリリはリリの指示で正規ルートを外れ、階層の奥へ一時間ほど進む。迷路状の通路は次第に洞窟のように崩れ、天井の燐光も弱まって薄暗くなる。曲がり角の奥から漏れる緑光に導かれる形で、二人は未知の領域へ踏み込んでいった。
大空洞と緑水晶の「樹」
到達した先は、深層でも見たことがない広大な大空洞だった。正面には天井まで届く巨大な緑色の石英柱が屹立し、木膚を思わせる歪な結晶面を持つ“水晶の樹木”のように見える。その樹から透明な液体が染み出し、根元には滴りで泉ができている。周囲には『キラーアント』『パープル・モス』『(ド)ル・ラビット』などが集まり、液体を摂取している。
食料庫の正体と狙い
リリはここを「ダンジョンの食料庫(給養の間)」だと説明する。モンスターは空腹になると、ダンジョンが供給する液体を栄養源として摂取する。ベルはここで待ち伏せれば、階層全体を闇雲に探すより、空腹になったブルー・パピリオの方から来る可能性が高いと理解する。狩猟=待ち伏せによる捕獲が、リリの策であった。
隠蔽布による潜伏と危険回避
食料庫には多数の通路が繋がり、モンスターが次々と流入している。見つかれば全モンスターとの戦闘になりかねないため、二人は空洞の隅へ退避する。リリは事前購入した薄緑色の隠蔽布を使い、壁色と同化する形でベルと自分、さらにバックパックまで覆って潜伏する。鼻の利くモンスターがいない階層であるため、静かにしていればこれで気付かれにくいという。
食料庫が「穴場」にならない理由
ベルが「なぜ冒険者がいないのか」を尋ねると、リリは食料庫の位置が階層最奥で到達に時間がかかり、効率が悪いと答える。さらに、立ち回りを誤ればモンスターの物量に押し潰される危険が大きい。食料庫を戦場に選ぶこと自体が、リスクと採算の面で避けられているという整理であった。
幻想的な光景への一瞬の感情
緑光に照らされた水晶の煌めき、泉の輝き、花と白兎、蛾や蟻の群れが作る光景は幻想的で、ベルは凶暴なはずのモンスター達すら美しく見えてしまう。敵であると理解しながらも「この光景は荒らしたくない」と感じるほど、場の静けさと神秘が強かった。
稀少種の出現と追跡方針
リリがベルの意識を引き戻し、食料庫に数匹の『ブルー・パピリオ』が現れたことを示す。群れで宙を泳ぐ青い蝶は、景色に負けない美しさを放つ。ブルー・パピリオは戦闘力が低いが、鱗粉に治癒作用があり、依頼品が回復薬開発に役立つ可能性が示唆される。リリは「ここで暴れない」方針を明確にし、食料庫を出るのを待ってから後を追い、外で確実に仕留める段取りへ移行する。
地上帰還と「稀少種」ドロップの成功
ベルとリリは『ブルー・パピリオ』の群れを追跡し、まとめて討伐して地上へ帰還した。全個体からドロップが発生し、合計五枚の翅を無傷で回収できたため、手間も短縮され、依頼達成としては大きな成果となった。リリは翅をギルドに売れば高値が見込めると興奮気味に見積もり、依頼に回すのが「少しもったいない」と本音を漏らした。
ミアハ・ファミリア訪問とナァーザの喜色
二人は路地裏から【ミアハ・ファミリア】のホームを訪ね、ナァーザに依頼品を提示した。『ブルー・パピリオの翅』を見たナァーザは驚いた後、素直に喜び、ベルを褒めて頭を軽く叩くなど親しげに振る舞う。犬の尻尾も勢いよく揺れ、成果への満足が露骨に表れた。
リリの介入と「報酬を貰うまでが依頼」
ベルが褒め言葉に照れている最中、リリが「品物と報酬の交換」を促して話を進める。さらにリリは、報酬を受け取るまでが冒険者依頼だと釘を刺し、ベルの甘さを牽制した。ここで、リリは最初から報酬面で警戒していたことが明確になる。
提示された報酬とベルの計算
ナァーザが出した報酬は回復薬「ポーション二ダース(24本)」だった。ベルは自分が購入している最低価格の回復薬が1本500ヴァリスであることから、単純計算で1万2000ヴァリス相当だと理解し、初めての「報酬」に嬉しさも混じって依頼品を渡そうとする。
品質鑑定と「薄めたポーション」の暴露
しかしベルが渡そうとした瞬間、リリが手首を掴んで止める。リリは木箱から一本を取り出し、匂い・色を確認し、さらに手の甲に一滴垂らして舐めて品質を見抜く。結果、ポーションは元の溶液が薄められており、効能は半分以下、甘味も調味料で誤魔化していると断言する。リリは「500ヴァリスの価値はなく、せいぜい200ヴァリス程度」と切り捨て、ベルがこれまで相当ぼったくられてきた事実まで突き付けた。
ナァーザの狼狽と交渉の主導権奪取
暴露により、ベルは硬直し、ナァーザは蒼白となって大量の汗を流す。尻尾が不自然に折れ曲がるほど動揺が露わになる。最後にリリは薄く目を開き、小悪魔めいた微笑で「どうやって落とし前をつけるのか」と問いただし、交渉の主導権を完全に握った状態で場面が締まる。謝罪会の始まりとミアハの監督責任
リリの追及を受けた後、【ミアハ・ファミリア】のホームでは派閥ぐるみの謝罪の場が設けられた。ミアハは大声で深く頭を下げ、ナァーザの不正は自分の監督不行き届きだとして、ベルから騙し取っていた金の全額返還を約束した。ベルは慌てて頭を上げるよう促すが、ミアハは沈痛な面持ちで謝罪を繰り返した。
神の評価と「お守り」めいた空気
場にはヘスティアも同席し、リリがベルを守る働きをしていることを評価する。神とリリのやり取りは「ベルの保護」を前提にしたような含みがあり、ベルは知らないところで契約めいた関係が結ばれているかのような違和感を覚える。
ナァーザの動機とミアハの叱責
ミアハに問い詰められたナァーザは、【ファミリア】の帳簿が火の車であり、何も知らない「兎」は都合の良い鴨だったと吐き捨てる。ミアハは「信用と信頼で回る下界」で小金のために信頼を失いかけた愚かさを叱責し、ナァーザは悔しさを滲ませて反発する。ミアハが善意でポーションを配り、女たちに誤解を与えて尻拭いをさせられているという私怨めいた訴えが飛び出し、場の空気が冷える。
借金の露呈とディアンケヒトの乱入
ナァーザは「このままでは借金が増える」と口にし、ベルとヘスティアは初めてその事実を知る。直後、扉を蹴破って現れたのがディアンケヒトである。彼は回復と製薬の【ファミリア】を率いる神で、ミアハに対し借金の取り立てに来たと高笑いし、明日までに支払えなければホームを売り払うと通告する。背後には団員アミッドが控え、礼をして同行する。
ミアハ・ファミリア転落の原因
嵐のようなディアンケヒト退場後、ミアハは天界の頃からの因縁と、下界に降りてからも衝突が続いた事情を語る。そこでナァーザが割り込み、自分が元冒険者で、事故で右腕を失い、銀の義手を得た経緯を明かす。義手は【ディアンケヒト・ファミリア】の治療技術の産物で、ミアハはそれを買うため何度も頭を下げ、借金を負った。その負債に耐えきれず団員が去り、ファミリアは崩壊・没落した。ナァーザは製薬技術で薬師にはなれたが、借金を返せるほど稼げず、自分は役立たずだと淡々と自己断罪する。
解決策の欠落と支援要請の言い出せなさ
ミアハがナァーザの自己罵倒を静かに止めると、重い沈黙が支配する。ヘスティアは「今は明日の支払いが先決だ」と問い、ミアハは答えを濁し、ナァーザは「方法はあるが、自分一人ではできない」と消え入りそうに告げる。助けを乞う言葉を出せないナァーザの苦しさが、沈黙をさらに深くした。
ベルの決断と「もっと依頼を」への切り替え
ベルはヘスティアの視線から「君が決めなさい」という無言の許しを受け取り、場の空気を変えるため拙い演技で「もっと冒険者依頼を受けたい」と持ちかける。リリも意図を汲んで同調し、ヘスティアはミアハに「面倒事から借金返しの協力まで何でもする」と提案する。ミアハは恩を受ける形で礼を述べる。
ナァーザへの返礼と関係の再結合
ナァーザはベルに「いいのか」と問うが、ベルは彼女が以前、窮地で精神力回復薬を譲ってくれたことを挙げ、支え合ってきた相手を見捨てられないと告げる。ナァーザは顔を伏せ、小さく「ごめん、ありがとう」と謝意を返し、深く頭を下げた。
【冒険者依頼】受注と出発準備
ベルは【ミアハ・ファミリア】から「モンスターの卵の採取」を受注し、報酬は新薬の完成品、備考として「一緒に頑張ろう。よろしく」と記されていた。翌朝早く都市を出るため、ベルはアイズとの早朝特訓を普段より早く切り上げ、ミアハ達の準備を手伝った。商人から馬車を借りて荷造りを済ませ、遅れて合流したヘスティアとリリも加わる。二柱の神と眷属三人という異色の一行は、日の出とともにオラリオを出発した。
道中の会話とナァーザの「調合」
馬車の中で、ナァーザは「今日中に金を用意する必要があるため、一発逆転の新薬を作って【ディアンケヒト・ファミリア】へ直接売り込む」と語る。行き先はセオロの密林であり、到着までの時間を利用して交流が進む。
リリの質問をきっかけに、ナァーザが発展アビリティ「調合」を持つことが明かされる。品質向上に直結する専門系アビリティであり、ナァーザはLV.2だった。さらに彼女は中層での凄惨な事故を語り、右腕を失って以来、モンスターを前にすると震えが止まらず戦えなくなったという心傷を吐露する。神々は義手の出来を話題にして空気を切り替え、旅は続いた。
セオロの密林到着と目的確認
一行はアルブ山脈の麓に広がる大森林、セオロの密林へ到着する。樹高も幹も太く、苔や野花が繁茂する「緑の王国」のような景観だった。御者を森の外で待機させ、一行は密林へ入る。目的はダンジョン由来のドロップではなく、地上モンスターが産む「卵」を回収し、それを材料に新薬を作ることだった。
窪地の巣と役割分担
森奥で一行は広い窪地を発見する。ナァーザは即座に指示を出し、ミアハとヘスティアをその場に残し、リリに護衛を任せる。ベルだけがナァーザに同行し、古びた大剣と、何か入りのバックパックを渡される。ナァーザは不穏な言葉を残し、犬耳で気配を探りながら木陰で停止した。
血肉の罠とブラッドサウルス誘導
ナァーザはベルの背中のバックパックを開け、強烈な刺激臭を拡散させる。中身はモンスターを誘き寄せる血肉だった。ナァーザは「ごめん」とだけ言って高速で離脱し、直後ベルの頭上から粘液が落ち、巨大な肉食恐竜が姿を現す。ベルは絶叫しながら逃走を開始する。
ヘスティアとリリは、大型級モンスター(ブラッドサウルス)の出現に動揺するが、ナァーザは「地上モンスターはダンジョンの個体より格段に能力が低い」と冷静に説明し、ベルが誘導している間に窪地で卵を回収する作戦を優先する。
卵の乱獲と地上モンスターの弱体化事情
窪地には数十単位の卵塊が点在し、巣であることが明確だった。ヘスティア達は会話を交わしつつ、卵をバックパックへ詰め込んでいく。ナァーザは、地上モンスターは繁殖を核に「魔石」を子へ分け与える形で種を残してきたため、長い年月で個体の魔石規模が縮小し、先祖より著しく弱体化したと説明する。地上のブラッドサウルスはダンジョンのオークより少し強い程度だという。
一方でベルは、増えた複数のブラッドサウルスに追われ、悲鳴が加速していく。
ナァーザの援護射撃とベルの突撃
卵回収が進む中、ナァーザは長弓を取り出し、義手で弓を保持しつつ矢をつがえる。距離があるため心傷の震えは抑えられ、矢はブラッドサウルスの目を貫き、大絶叫と転倒を引き起こす。ベルは援護を信じて大剣を抜き、迫る個体へ突撃する。ナァーザの追加射撃で相手を怯ませ、ベルの一撃が首を半ばまで斬り裂き、ブラッドサウルスは崩れ落ちた。
ただしベルは大剣を扱い切れず着地に失敗し、ナァーザは笑い声をこぼす。
撤収判断と帰還
ミアハが「もうよい」と声を掛け、作戦終了が告げられる。バックパックをパンパンに膨らませたリリとヘスティアを確認したナァーザは、ベルへ視線を戻す。ベルは大剣を杖代わりに立ち上がり、情けなさそうに大丈夫かと尋ねる。ナァーザは頷き、「帰ろう、ベル」と告げて撤収に入った。
【ディアンケヒト・ファミリア】との商談成立
星空の下、ディアンケヒトの豪邸前で、ミアハは濃紺の液体が入った試験管を差し出し、新商品の効能を保証した。ディアンケヒトは受け取って確認し、側近のアミッドに鑑定させる。アミッドが試飲して肯定した瞬間、ディアンケヒトは「体力と精神力を回復する二属性回復薬(デュアル・ポーション)」の価値を理解し、悔しさを露わにする。ミアハは二十本を提示し、今月分の支払いに十分届くとして買い取りを迫った。ディアンケヒトの絶叫が塀の外まで響き、ベル達は取引成立を確信した。
新薬完成までの時間戦と外界素材の価値
卵回収後、ベル達は帰還してすぐ「必要量の二属性回復薬を土壇場で完成させる」作業に投入された。ナァーザとミアハが死に物狂いで製薬を進め、ベル達は助手と雑用で支え続け、一日中慌ただしく動き回った。ナァーザは、新薬が成立した理由を「都市の人間がダンジョン外の可能性を見落としている」と語り、モンスターの卵(外界)とブルー・パピリオの翅(迷宮)を組み合わせた点こそが決定打だったと明かした。
ミアハの感謝とナァーザへの肯定
門から戻ったミアハは「話はつけた」と告げ、ホーム喪失の危機が去ったことを示す。改めて一同へ感謝し、最後にナァーザと向き合う。
ミアハは、ナァーザが自分を「役立たず」と評したことを取り上げ、「ただの一度もそう思ったことはない」と断言する。神である自分が何度も救われてきた事実を述べ、貧しい立場に成り下がっても満たされているのはナァーザのおかげだと伝え、「もう決して自分を責めるな」と強く求めた。ナァーザが「命令か」と問うと、ミアハは「懇願だ。子を誰よりも想う神の心からのな」と返し、頭を撫でて慰める。ナァーザは頬を染めて俯き、小さく「鈍感」と呟く。
茶化し合いとベルへの個人的な礼
ミアハの言動をヘスティアがにやつきながら茶化し、リリも面白がって続く。ベルは外から苦笑して見守る。その輪からナァーザが一人抜け出し、ベルへ正面から「ありがとう」と重ねて告げる。
報酬の手渡しとクエスト完了
ナァーザは懐から試験管を取り出し、ベルへ差し出す。それは余分に一本だけ用意できた二属性回復薬であり、「冒険者依頼の報酬」と「お礼」を兼ねたものだった。さらにナァーザは「困ったことがあったら言って。迷惑をかけた分まで助けにいく」と告げ、淡く微笑む。ベルも笑い返し、その報酬を確かに受け取る。こうしてベルの長い冒険者依頼は完了した。
女神のカンパネラ
ゴブリン討伐の報告とすれ違い
昼下がり、【ヘスティア・ファミリア】のホームにベル・クラネルが駆け込み、ゴブリン討伐を誇らしげに報告した。ヘスティアは最弱モンスターを一体倒しただけで帰還した事実に戸惑い、問い返す。その言外の評価にベルは羞恥を覚え、再挑戦を決意して飛び出していった。ヘスティアは意図せぬ叱責を悔やみ、引き留めきれなかった自分を省みる。
ファミリア発足三日目の現実
ヘスティアが街でベルを勧誘してから三日が経過し、ベルは冒険者登録を済ませ、積極的に行動を始めていた。最底辺からの出発ではあるが、日銭の確保を目標に、ささやかな結束を育む段階にあった。ベルは再突入後に無事帰還し、初日の稼ぎ三〇〇ヴァリスで簡素な夕食を囲む。
初ダンジョンの手応え
緊張で探索は進まなかったものの、ベルはゴブリンやコボルトを相手に「戦える」感触を得たと語る。初陣を祝う食卓は控えめながらも温かく、二人の会話は弾んだ。
からかいと価値観の露呈
ヘスティアは冗談交じりに、ベルが女冒険者を追い回していないかを問う。ベルは赤面して否定しつつも、運命的な出会いへの憧れと英雄譚への夢、さらには男の浪漫としてのハーレム観を熱弁する。その言動は純情さと下世話さが同居する、ちぐはぐな在り方を示していた。
祖父の影と少年の本質
ヘスティアは、ベルの人格形成に育ての親である祖父の影響が色濃く及んでいると見抜く。異性への憧れと「運命の出会い」は、祖父が植え付けた美しい幻想であり、物語に夢見る少年の核でもあった。
こうしてヘスティアは、眷属であるベル・クラネルの不思議な純度と未熟さをあらためて理解し、静かに見守る決意を深める。
日銭を稼ぐ女神の現実
ベル・クラネルが【ファミリア】の生計を支えるためダンジョンへ潜る一方、ヘスティアも日中は露店で働いていた。下界に降りて日が浅く、何もかも手探りの彼女にとって、慣れない労働は戸惑いの連続である。それでも天界では味わえなかった刺激が、下界の醍醐味として胸に刻まれていた。
露店の仕事とわずかな稼ぎ
北のメインストリートで販売する『ジャガ丸くん』は繁盛していたが、過去の失敗――調理用発火装置の事故――の補填が報酬から差し引かれ、六時間働いても手元に残るのは一八〇ヴァリスに過ぎない。ベルの負担を軽くするには心許なく、下界の世知辛さを痛感する。
勧誘の空振りと威厳不足
常のごとく【ファミリア】勧誘を試みるも、笑ってかわされる。頭を撫でられ、神として敬われていない現実に溜息をつきながら、ヘスティアは帰路についた。
夕暮れの発見
帰り道、北西のメインストリートでヘスティアは偶然ベルの姿を見かける。白髪の少年は武器商店の陳列窓に張り付き、名残惜しそうに視線を引き剥がして去っていった。彼の関心が武器にあることを察し、主神として贈り物を思い立つ。
届かぬ価格と敗走
狙いを定めた短刀の値札は八〇〇万ヴァリス。全財産をはたいても到底及ばず、ヘスティアは扉をそっと閉じる。店が【ヘファイストス・ファミリア】の超一級鍛冶派閥であると知り、身のほどを思い知らされて退いた。
自分への小さな欲と戒め
帰路の途中、陳列窓に映る自分の姿を見て、ほつれた髪留めに気付く。可愛らしい髪留めに心惹かれるも、神としての自制が勝り、未練を断ち切って裏道へと入った。
見えない視線
深紅の瞳が、その一部始終を静かに見届けていたことを、ヘスティアは知らない。小さな女神の決意と我慢は、誰かの胸に確かに刻まれていた。
過剰な勤勉と違和感
【ヘスティア・ファミリア】発足から一週間。ベル・クラネルは朝から晩までダンジョンに潜り、夜遅くに泥だらけで帰還する日々を続けていた。収入は確実に増えているが、その働き方は明らかに無理を重ねたものだった。ヘスティアは彼の様子に違和感を覚え、何かを隠しているのではないかと疑念を抱く。
問いかけと回避
ヘスティアが真っ直ぐに問いただすと、ベルは動揺を隠せず、曖昧な笑みでかわした末にシャワー室へ逃げ込む。核心に触れられた反応だと確信したヘスティアは、不満と寂しさを募らせる。眷属として、家族として信頼しているからこそ、隠し事が許せなかった。
静かな準備
機嫌を直したように振る舞いながら、ヘスティアは夕食を整え、食後に【ステイタス】更新を提案する。疑いもなく応じるベル。能力値は短期間で大きく伸び、特に敏捷の成長が際立っていた。更新を終えたヘスティアは、静かに“本題”へ踏み出す。
女神の尋問
更新後、ヘスティアは距離を詰め、冗談めかしながらも逃がさぬ態勢で尋問に移る。ベルは激しく動揺し、必死に否定を続ける。信頼と独占欲、庇護と焦燥が入り混じる中、ヘスティアは真実を引き出そうと迫る。
夜に残る余韻
廃れた教会の地下には、笑いとも悲鳴ともつかぬ声が長く響いた。ベルの過剰な努力の理由はまだ明かされないまま、二人の距離だけが確かに近づいた夜であった。
派閥登録と小さな違和感
【ヘスティア・ファミリア】発足から間もないある日、ヘスティアのもとを神友ミアハが訪ねてきた。目的は派閥設立の祝いと回復薬の売り込み、そしてもう一つ――【ファミリア】としてギルドへの正式な登録を済ませているかの確認であった。
迷宮都市オラリオに身を置く以上、派閥はギルドへの届出と登録を義務付けられており、それは都市運営と迷宮管理の一環でもある。ヘスティアはその説明に納得し、ミアハの同行を受けてギルド本部へ向かうことにした。
ギルド本部での登録手続き
白大理石のロビーに多種多様な冒険者が行き交う中、ヘスティアは羊皮紙に必要事項を記入し、【神聖文字】で署名を行う。
ミアハから【ファミリア】等級についても説明を受け、等級が派閥の戦力や信用の指標となること、また商業系派閥である【ミアハ・ファミリア】も最低評価に近い位置からの出発であることを知る。発足直後の【ヘスティア・ファミリア】が最低等級であるのも当然であった。
視界に入った眷属の姿
手続きを進める中、ミアハがふとロビーの一角にいる白髪の少年に気付く。それはベル・クラネルであった。
ベルはギルド職員のハーフエルフの少女を呼び止め、小箱を差し出して何かを贈ろうとしている。少女は中身を確認してから言葉を返し、微笑みながらベルをからかうように応じていた。照れながら慌てるベルの様子は、傍から見れば微笑ましい光景である。
誤解と感情の揺らぎ
その場面を目にしたヘスティアは、ベルが連日無理をしてまでダンジョンで稼いでいた理由を理解した気になる。
――すべては、あの少女への贈り物のためだったのだと。
その瞬間、ヘスティアの胸中に不満と苛立ちが広がる。独占欲にも似た感情が、自分でも制御できない形で湧き上がっていた。
その場からの離脱
ヘスティアはミアハに一言断り、記入を終えた書類を提出すると、ベルに気付かれる前にギルド本部を後にする。
北西のメインストリートを歩きながら、自分が抱いている感情の正体――初めて得た眷属への執着――を否応なく自覚していく。
女神の不機嫌な夜
ホームへ戻ったヘスティアは、感情を整理しきれないままベッドへ潜り込み、毛布に包まれて身を丸めた。
ベルの存在を頭から追い出そうとする一方で、どうしても心が乱されてしまう自分を認めざるを得ず、強く瞼を閉じる。
こうして、女神の胸に残った小さくも厄介な感情は、静かに夜の底へ沈んでいった。
贈り物の朝
静かな食器の音とスープの香りに起こされ、ヘスティアは目を覚ました。薄暗い地下のホームで見えたのは、音を立てないように立ち働くベルの背中であった。疲れて眠り込んでいた自分を気遣い、彼が朝食を用意していたのである。皮肉めいた言葉で照れを隠しつつも、ヘスティアの胸には小さな温もりが広がっていった。
小箱の真意
ベルはためらいがちに小箱を差し出した。中に収められていたのは、蒼い花弁を思わせるリボンと銀色の小鐘が付いた髪飾りであった。
それは、かつてギルドで彼が誰かに渡そうとしていた品であり、ヘスティアは一瞬、誤解していた自分を思い出す。実際には、同性の視点で贈り物として相応しいかを確かめていただけであり、あの日からベルはこの髪飾りのために必死で稼いでいたのだと悟る。
誤解の解消と謝意
自分の早合点と嫉妬を静かに反省しながら、ヘスティアは微笑んだ。ベルが身を削るように迷宮へ通い続けた理由が、自分への贈り物だったと知り、その想いの大きさに胸を打たれる。
「馬鹿だな」と口にしつつも、その言葉は責めではなく愛おしさを帯びていた。
女神の願い
ヘスティアはベルに頼み、髪飾りを自分の手で付けてもらうことを選ぶ。鏡の前で、不器用に髪を結うベルの手つきを感じながら、ヘスティアは穏やかな幸福に身を委ねた。
そして、彼が最初の眷属であることへの喜びと感謝を素直に伝える。ベルもまた、屈託のない笑顔で応えた。
小鐘の音色
結い上げられたツインテールの上で、銀色の小鐘が澄んだ音を鳴らす。その音色とともに、ヘスティアは悟る。
この少年を好きになり、その歩む物語を見守り続けたい――そう願った瞬間であった。
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