モブせか まとめ
モブせか 共和国編 2巻レビュー
物語の概要
本作は、剣と魔法、そして巨大ロボットや飛行船が存在する乙女ゲームの世界に転生した主人公リオンが、理不尽な女尊男卑社会や過酷なシナリオに抗うファンタジー小説である。 【共和国編】では、リオンがゲームの「続編」の舞台となる「アルゼル共和国」へ留学するところから物語が始まる。王国の貴族社会とは異なる、巨大な「聖樹」とそれを守護する「六大貴族」が支配する共和国にて、リオンは再び「モブ」として平穏な生活を目指す。しかし、続編の主人公であるノエルや、シナリオの破綻を恐れるマリエたちと関わる中で、腐敗した貴族たちとの抗争や、世界の存亡に関わる危機へと巻き込まれていくことになる。
主要キャラクター
- リオン・フォウ・バルトファルト: 本作の主人公。前世のゲーム知識とロストアイテム「ルクシオン」を持つ転生者。平穏を愛するが、義憤や仲間のために強大な権力へ喧嘩を売る性分である。共和国では留学生として冷遇される。
- ノエル・ベルトレ: ゲーム続編の主人公。活発で前向きな性格の双子の少女。貧しい生活から抜け出すため、また「聖樹の巫女」の血筋ゆえに、六大貴族とのトラブルに巻き込まれる。
- マリエ・フォウ・ラーファン: リオンと同様の転生者。前作の主人公ポジションを奪った元凶だが、現在はリオンの悪友的ポジション。続編の知識が曖昧なまま、シナリオ崩壊を防ぐために奔走する。
- ルクシオン: リオンに従う高性能AI搭載の飛行船および機動兵器。皮肉屋であり、リオンをからかいながらも絶大な戦闘力でサポートする。
- ルイーゼ・サラ・ラウルト: 共和国を牛耳る六大貴族筆頭の令嬢で、ゲーム内では「悪役令嬢」の役割を持つ。本来は敵対するはずだが、リオンに対して異常なほどの好意と母性を見せる。
- ピエール・フェーベル: 六大貴族の御曹司。共和国至上主義者であり、留学生を見下す。リオンたちの船を奪い、理不尽な「聖樹の誓い」を悪用して追い詰める敵役。
- ロイク・レタ・バリエル: 六大貴族の御曹司で攻略対象の一人。ノエルに対して歪んだ独占欲を持ち、ストーカーまがいの行動で彼女を精神的に追い詰める。
物語の特徴
新天地での「続編」攻略
舞台が王国から共和国へ移り、新たなヒロインや攻略対象が登場することで、物語がリフレッシュされている。前作(王国編)の知識が通用しない「聖樹」や「紋章」といった新要素に対し、リオンが手探りで、かつ強引に立ち向かう点が魅力である。
理不尽な権力への「ざまぁ」展開
「聖樹の加護」を笠に着て、他国の人間や平民を虐げる六大貴族の傲慢さが徹底して描かれる。ピエールやロイクといったヘイトを集める敵役に対し、リオンが圧倒的な力と策略で逆転し、屈服させるカタルシス(ざまぁ展開)が本作の大きな醍醐味である。
主人公とAIの軽妙な掛け合い
シリアスで絶望的な状況下でも、リオンと相棒ルクシオンの皮肉混じりの会話が差し込まれることで、重くなりすぎずエンターテインメントとして楽しめるバランスが保たれている。
書籍情報
乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です【共和国編】
著者:行々狸 氏
原作:三嶋与夢 氏
キャラクター原案: 孟達 氏
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あらすじ・内容
モブせか続編、【共和国編】! 物語は新舞台、アルゼル共和国へ!!!
留学名目でアルゼル共和国へ来たリオン。続編ヒロインの情報と一部分ずつだけ該当するノエル・レリアを見つけ出す。世界を救う鍵になるのはどちらなのだろうか!? 新作家陣によって紡がれる【共和国編】開幕!
感想
まず冒頭からいきなりピエールとの決戦、しかも闘技場でアロガンツは敵の手にあり、リオンは生身で立たされる。構図だけ見れば完全に処刑シーンである。
だが、当の本人は異様に余裕があり、ここで「なぜこの状況に至ったのか」という回想に入る構成がうまい。
物語は乙女ゲー第2作の舞台であるアルゼル共和国へ向かう流れへ移る。
リオンが向かう理由は、ゲームシナリオの進行確認という極めて実務的なものだが、なぜかマリエと五馬鹿が同行することになる。
後にこれは国命だと判明するが、この時点では完全に厄介事の密航であった。
ルクシオンが密航をスルーしてる段階で…
その道中、五馬鹿を「ただ居させるわけにはいかない」と掃除などの仕事を割り振ると、案の定文句しか言わない。
一方でマリエ、カーラ、カイルの三人は、自分たちが居候である自覚があり、報酬もきちんと出るため素直に働く。
この対比が分かりやすく、五馬鹿の駄目さと、マリエ側の現実感覚がはっきり描かれている。
冷静に数えると、リオンは1人で八人分の面倒を見ている。
ルクシオンがいるとはいえ、国外留学中にこれは普通に地獄。
ここはギャグ調だが、リオンの苦労がじわじわ伝わってくる。
アルゼル共和国は六大貴族が政治を牛耳る国家で、防衛戦では無敗という実績から慢心が強い。
そのため外国船に対する扱いも横暴で、リオンは入国早々、軍人による嫌味混じりの臨検を受ける。
アロガンツを見て一言皮肉を言って帰る流れも、この国の空気を端的に表している。
留学が始まり、本来の目的である「乙女ゲー第2作の主人公の確認」に入るが、候補は双子で、マリエの記憶をもとにしても判別がつかない。
ノエルとレリアは、乙女ゲー第二作目の主人公候補として用意された双子である。
片方がノエル、もう一方がレリアだが、性格はかなり対照的だ。
ノエルは、裏表のない性格で、感情表現も素直、行動も直球型である。
リオンと接している場面でも駆け引きの気配はなく、読者視点では非常に好感度の高い人物として描かれている。
一方のレリアは計算高く、言動に含みがあり、常に一歩先を読んで動くタイプで、同じ「主人公候補」でありながら印象は真逆だ。
見た目の手がかりも意図的に曖昧にされている。 マリエの記憶では主人公はツインテールだったはずだが、実際の双子はどちらも左右非対称のサイドテールで、しかも方向が逆になっている。この時点で外見による判別は完全に潰されており、「どちらが主人公でも成立する」配置になっている。
物語上の役割も分かりづらい。 悪役令嬢ルイーゼに絡まれているのはノエルで、王道的に見れば「主人公が悪役令嬢に目をつけられる」構図に当てはまる。
一方で、攻略対象との交際関係をすでに持っているのはレリアで、エミールと付き合っているという状態になっている。
これは通常の乙女ゲーなら主人公側に置かれやすいポジションだ。
さらにノエルの立場をややこしくしているのがロイクの存在である。 ノエルは誰とも交際していないが、その代わりロイクから異常な執着を向けられており、ほぼストーカー状態で付きまとわれている。
この点も「主人公に厄介な攻略対象が張り付く」というテンプレに当てはまる。
結果として
・悪役令嬢に絡まれるのはノエル
・攻略対象と交際しているのはレリア
・見た目の記憶はどちらにも当てはまらない
・攻略対象からの異常な執着を受けているのはノエル という具合に、主人公要素が綺麗に分散されている。
この時点では、ノエルとレリアのどちらが乙女ゲー第二作目の主人公なのかは全く判断できず、リオンは混乱に放り込まれる構造になっている。
「分からない」という状態そのものが、共和国編の不気味さと面白さを支えている部分だと思う。
一方で、黙っていれば美形な五馬鹿が周囲から注目される状況が気に入らない人物が現れる。それがピエールであり、王国の留学生であるリオンたちに因縁をつける男である。
ピエールは暴力と権力で留学生を制圧し、ジャンへの暴行事件を起こすが、リオンはゲームシナリオ上の重要人物である可能性を考え、即座に手を出さず後処理に留める。この「殴りたいが殴らない」判断が、リオンの計算高さを強調している。
しかしピエールは止まらず、ブラッドへの暴行、さらに「聖樹の誓い」という共和国独自の誓約制度を悪用し、リオンの船アインホルンを賭けの対象に持ち出す。実質的に拒否不能な形で船を奪われる展開は、理不尽さがよく出ている。
重要なのは、ルクシオンがこの時点で既に動いている点である。 表向きはピエールの側についたように見せつつ、反撃の布石を打っており、リオン自身も「釣り合う賭け代は高くつく」と宣言して1巻が終わる。ここまで来ると完全に勝ち確定の空気であり、あとはどうボコるかを楽しむ段階に入っている。
加えて、悪役令嬢ルイーゼの存在も共和国編の見どころである。 リオンを弟と重ねて見ているがゆえに距離感がおかしく、好意と執着が混じった態度が物語に独特の緊張感と笑いを生んでいる。
モブせか まとめ
モブせか 共和国編 2巻レビュー
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登場キャラクター
リオン・フォウ・バルトファルト
ホルファート王国の伯爵であり、飛行船アインホルンを建造して留学した人物である。前世の記憶を持ち、嫌々ながらもマリエや「五馬鹿」たちの世話を焼く苦労人である。
・所属組織、地位や役職 ホルファート王国の伯爵・留学生。アインホルンおよびアロガンツの所有者(一時的に喪失)。
・物語内での具体的な行動や成果 船内で仲間たちに掃除をさせ、不満を抑え込んで共和国へ向かった。 ジャンの飼い犬(ノエル)を引き取り、世話をした。 ピエールの策謀により、生身でアロガンツの前に立つ窮地に陥った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ピエールにアロガンツ、アインホルン、ルクシオンのすべてを奪われる敗北を喫した。
マリエ・フォウ・ラーファン
リオンの前世の妹であり、乙女ゲームの知識を持つ留学生である。共和国編の知識が曖昧であり、重要な情報の共有に不備があった。
・所属組織、地位や役職 ホルファート王国の留学生(子爵家令嬢)。
・物語内での具体的な行動や成果 共和国の情勢や聖樹、ラスボスの設定について解説した。 船内では文句を言わず、掃除や自炊に励んだ。 ピエールの「聖樹への誓い」を用いた賭けを止められず、船を奪われる事態を招いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 船を失った責任からリオンに詰め寄られ、逃げ出した。
ルクシオン
リオンが所有する旧人類の遺産(人工知能)である。リオンに対して辛辣な態度を取りつつもサポートしていたが、状況の変化により裏切りとも取れる行動をとった。
・所属組織、地位や役職 リオンの相棒である人工知能。
・物語内での具体的な行動や成果 共和国の聖樹を「早期に破壊すべき」と過激な提案をした。 アインホルンの所有権がピエールに移ったことを認め、新たなマスターとして彼を受け入れた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 リオンを見限り、敵であるピエール側に付くという衝撃的な行動を見せた。
王国留学生(旧攻略対象)
ユリウス・ラファ・ホルファート
ホルファート王国の元王太子であり、マリエを想う留学生である。掃除などの雑務を嫌がるなど、生活能力の低さが目立つ。
・所属組織、地位や役職 ホルファート王国の留学生(元王太子)。
・物語内での具体的な行動や成果 船内掃除に対して不満を漏らし、リオンと対立した。 ピエールの挑発に乗り、船を賭けた無謀な勝負を受けて敗北した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 軽率な判断により、リオンの財産であるアインホルンを失う原因を作った。
ブラッド・フォウ・フィールド
ホルファート王国の貴族であり、魔法を得意とするナルシストな留学生である。女子生徒からの人気はあるが、それが仇となった。
・所属組織、地位や役職 ホルファート王国の留学生(辺境伯家出身)。
・物語内での具体的な行動や成果 放課後の校舎で女子生徒たちに囲まれ、手作りクッキーをもらうなどしていた。 ピエールたちに目を付けられ、校舎裏で暴行を受けた上に人質にされた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ピエールがユリウスたちを脅迫するための材料として利用された。
クリス・フィア・アークライト
ホルファート王国の貴族であり、剣術を得意とする留学生である。
・所属組織、地位や役職 ホルファート王国の留学生(伯爵家出身)。
・物語内での具体的な行動や成果 夕食の準備中、ピエールが屋敷に乗り込んできたことを慌ててマリエたちに報告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 特になし。
アルゼル共和国関係者
ノエル・ベルトレ
アルゼル共和国の学院に通う女子生徒であり、レリアという双子の姉妹がいる。活発でサバサバした性格の持ち主である。
・所属組織、地位や役職 アルゼル共和国の学院生。留学生の案内役。
・物語内での具体的な行動や成果 ジャンと共にリオンたちの案内役を務めた。 六大貴族を嫌っており、ルイーゼやロイクに対しても毅然とした態度で反発した。 リオンに対して気さくに接し、買い物を手伝ってもらうなど交流を深めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 双子のどちらが「真の主人公」であるか、リオンたちの調査対象となっている。
ジャン
アルゼル共和国の平民出身の男子生徒であり、ノエルの親友である。気が弱いが、誠実な人物である。
・所属組織、地位や役職 アルゼル共和国の学院生。留学生の案内役。
・物語内での具体的な行動や成果 ノエルと共に案内役を務めた。 ピエールたちに絡まれ、校舎裏の木に逆さ吊りにされる暴行を受けた。 飼い犬(同名のノエル)の世話をリオンに託した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 貴族による理不尽な暴力の被害者となり、入院を余儀なくされた。
ピエール・イオ・フェーヴェル
アルゼル共和国の六大貴族フェーヴェル家の貴族であり、傲慢かつ残忍な性格の人物である。
・所属組織、地位や役職 アルゼル共和国の六大貴族フェーヴェル家。
・物語内での具体的な行動や成果 ジャンに暴行を加え、木に吊るした。 ブラッドを人質に取り、ユリウスたちに「聖樹への誓い」を利用した賭けを強要した。 アインホルン、アロガンツ、ルクシオンを奪い取り、新たな所有者として振る舞った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 リオンから全てを奪い、圧倒的な優位に立った。
ロイク・レタ・バリエル
アルゼル共和国の六大貴族バリエル家の貴族であり、ノエルに執着する人物である。
・所属組織、地位や役職 アルゼル共和国の六大貴族バリエル家。
・物語内での具体的な行動や成果 ノエルとジャンが親しくしていることに嫉妬し、割り込んだ。 ノエルに対して「自分の女」であると公言し、強く迫った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ノエルからは明確に拒絶され、嫌われている。
ルイーゼ・サラ・ラウルト
アルゼル共和国の六大貴族ラウルト家の令嬢であり、ノエルの実家と因縁がある人物である。
・所属組織、地位や役職 アルゼル共和国の六大貴族ラウルト家。
・物語内での具体的な行動や成果 学院でノエルに遭遇し、髪を掴むなど冷たい態度をとった。 リオンの顔を見て驚いた反応を示した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ユーグという婚約者がいることが語られた。
モブせか まとめ
モブせか 共和国編 2巻レビュー
展開まとめ
第1話
生身での対峙という異常事態
ピエールは聖樹の掟を悪用した卑劣な策謀により、リオンから対抗手段を奪い、生身のまま巨大兵装「アロガンツ」の前に立たせた。あまりに無謀な構図に、観衆である貴族や生徒たちは騒然となる。生身の人間が機械兵装と対峙するという光景は、戦いというよりは一方的な処刑や見世物に近い、異常な状況であった。
リオンの冷静な態度
圧倒的な威圧感を放つアロガンツを前にしても、リオンは動揺ひとつ見せなかった。周囲のパニックとは対照的に、彼は状況をすべて把握した上で淡々と構えている。逃げる様子も、無様に防御策を講じる素振りもない。その態度は、計略に嵌められた哀れな被害者というより、あえてその状況を受け入れている強者のようにすら映った。
アロガンツの起動と威圧
ピエールの敵意に応えるかのようにアロガンツが起動し、赤い眼光がリオンを捉えた。見上げるような巨躯と鋭利な装甲。その物理的な質量は、生身の人間との絶望的な力量差を強調し、恐怖の象徴としてその場を支配した。
反撃を予告する余裕
リオンはアロガンツの鼻先に立ちながらも、悲観するどころか、相手を試すような不敵な態度を崩さない。真正面から見据えるその姿は、攻撃を受けることすら織り込み済みであるかのようだ。その余裕は、ピエールの完璧に見えた計略が、決して決定打にはなっていないことを静かに物語っていた。
回想:なぜこの状況になったのか
「なぜ、俺が生身でアロガンツの前に立つ羽目になったのか」。 リオンはその問いの答えを求め、時間を巻き戻す。現在の絶体絶命の状況は、決して偶発的なものではなく、留学への道中で積み重なった因果の結果だった。
飛行船アインホルンと不満分子
舞台は、アルゼル共和国へ向かう飛行船アインホルンの船内。船の管理者であるリオンは、同行者たちを集めて指示を出していた。 しかし、ユリウスをはじめとする貴族子弟たちは、留学自体にも、リオンに従う立場にも納得していない。彼らは不満を露わにし、リオンの態度に強く反発していた。
船内清掃と立場の明確化
リオンが下した「目的地までの船内清掃」という命令に対し、彼らは貴族としての矜持を傷つけられたとして激昂する。待遇や正当性を巡って口論となるが、リオンは船の所有者としての権限を突きつけ、従う義務があることを冷徹に告げた。
マリエたちの適応力
対照的だったのは、マリエ、カイル、カーラの三人だ。彼女たちは他の同行者とは異なり、状況を即座に受け入れて掃除を開始した。プライドよりも食事や生活の安定を優先し、労働を当然のこととしてこなす逞しさを見せた。
「腐れ縁」と置いてきた想い
その様子を見て、人工知能ルクシオンは「彼らは体よくマスターに押し付けられた」と指摘し、この関係を「腐れ縁」と評する。 リオンはそれに同意しつつも、ふと遠くを見やる。脳裏に浮かぶのは、国に残してきた大切な婚約者、リビアとアンジェのこと。「あいつら、どうしてるかな……」。 可愛い許嫁二人と離れてまで、共和国へ向かわなければならない理由。そこには、リオン自身の意思だけではない、抗えない事情があることが示唆される。
堂での情報整理:聖樹の真実
飛行船内の食堂にて、リオンはマリエとルクシオンから留学先であるアルゼル共和国についてのレクチャーを受けていた。マリエは乙女ゲームの知識を頼りに語るが、記憶は曖昧で、リオンは半信半疑のまま耳を傾ける。 そこで語られたのは、資源大国アルゼルの中心に「聖樹」が存在するという事実だった。聖樹は国中に根を張り、エネルギーや魔石を供給するインフラそのものだが、同時に「ゲーム続編のラスボス」でもあるという。敵対者が聖樹と融合し、最終的に暴走して化け物となるのがゲームの筋書きだった。
破壊案の否定と設定の矛盾
「暴走する前に破壊すればいいのでは?」 リオンは単純な解決策を思いつくが、ルクシオンは即座に否定する。聖樹は国のエネルギー供給源であり、これを失えば共和国の経済・社会基盤は崩壊し、資源を輸入している他国をも巻き込む世界恐慌に陥るからだ。 ゲームでは「倒した後に苗木を植えれば解決」とされていたが、リオンたちは「苗木ごときで大樹の代替になるのか?」と、ご都合主義的な設定に疑問を抱く。
安易な介入の危険性
力ずくでの解決は、共和国滅亡というバッドエンドに直結しかねない。リオンは安易な介入を諦め、現地の主人公たちの動向を見守るしかないという結論に傾きかける。
食堂での情報整理:聖樹の真実
飛行船内の食堂にて、リオンはマリエとルクシオンから留学先であるアルゼル共和国についてのレクチャーを受けていた。マリエは乙女ゲームの知識を頼りに語るが、記憶は曖昧で、リオンは半信半疑のまま耳を傾ける。 そこで語られたのは、資源大国アルゼルの中心に「聖樹」が存在するという事実だった。聖樹は国中に根を張り、エネルギーや魔石を供給するインフラそのものだが、同時に「ゲーム続編のラスボス」でもあるという。敵対者が聖樹と融合し、最終的に暴走して化け物となるのがゲームの筋書きだった。
破壊案の否定と設定の矛盾
「暴走する前に破壊すればいいのでは?」 リオンは単純な解決策を思いつくが、ルクシオンは即座に否定する。聖樹は国のエネルギー供給源であり、これを失えば共和国の経済・社会基盤は崩壊し、資源を輸入している他国をも巻き込む世界恐慌に陥るからだ。 ゲームでは「倒した後に苗木を植えれば解決」とされていたが、リオンたちは「苗木ごときで大樹の代替になるのか?」と、ご都合主義的な設定に疑問を抱く。
安易な介入の危険性
力ずくでの解決は、共和国滅亡というバッドエンドに直結しかねない。リオンは安易な介入を諦め、現地の主人公たちの動向を見守るしかないという結論に傾きかける。
ユリウスの乱入による幕切れ
深刻な会議の最中、ユリウスが食堂に現れたことで空気は一変する。彼はマリエを心配して駆け寄り、リオンに対して「彼女に近づくな」と敵意を剥き出しにした。 リオンは「俺には婚約者がいる」と明言して取り合わなかったが、議論はここで腰砕けとなる。リオンは深い溜息と共に席を立ち、共和国の時限爆弾(聖樹問題)を未解決のまま残して食堂を後にした。
共和国警備隊の接近
飛行中のアインホルンに対し、ルクシオンが接近警報を鳴らす。相手は「共和国警備隊」を名乗ったが、その接近ルートはアインホルンの「真上」を取るという、極めて無礼かつ威圧的なものだった。 即座に撃墜の許可を求めるルクシオンを、リオンは「我慢しろ」と制止し、大人しく臨検を受け入れた。
傲慢な将校とアロガンツへの侮辱
乗り込んできたのは、共和国軍の将校と数名の兵士たち。将校は終始高圧的な態度で、共和国がいかに強国であるかを誇示するような発言を繰り返す。 さらに彼は格納庫のアロガンツに目を留めると、「不格好で性能も低そうな鎧だ」と鼻で笑い、王国製の機体であることを引き合いに出して公然と侮辱した。リオンは波風を立てないよう、反論せずにその場を受け流す。
ルクシオンの殺意
そんな将校の言動に対し、ルクシオンは静かに攻撃を提案する。「排除しますか?」というAIの冷徹な問いかけに対し、リオンはこれを明確に拒絶。共和国相手に武力行使を行わないよう厳命し、過激な相棒の手綱を引いた。
臨検終了
言いたいことだけ言った将校は、一通りの確認を終えるとそのまま立ち去っていった。 最悪の第一印象を残して臨検は終了し、アインホルンは重苦しい空気を乗せたまま、共和国の港へと針路を向けた。
聖樹の威容とリオンの戦慄
飛行船アインホルンの眼下に広がったのは、無数の浮遊大地と、その中心に根を張る巨大な「聖樹」の姿だった。 その圧倒的な光景を目にしたリオンは、驚きと共に顔を引きつらせる。「あんなもんと戦うとか冗談じゃない」。 もしあれが暴走すれば世界が終わる。共和国への第一印象が「最悪」だったこともあり、リオンはこの世界の設定がハードすぎることに頭を抱えた。
「モブ」への回帰と、帰るべき場所
「今度こそモブに徹して、余計なことはしない」。 リオンは固く決意する。第二作目の主人公をしっかりサポートし、面倒ごとは任せよう。すべては、国で待つアンジェとリビアの元へ帰り、三人で幸せに暮らすためだ。 彼は船内で(おそらくマリエに対し)「ばっちり男を捕まえてくれよ!!」と他力本願な檄を飛ばすが、即座に「酷いセリフですね」と呆れられる始末だった。
忘れられた主人公と、新たな火種
「えーと…主人公の名前は…」 リオンが肝心の主人公の名を思い出そうと思案したその時、場面は共和国のとある屋敷へと切り替わる。 廊下に響く「おい待てよ!」という怒声。現れたのは六大貴族の一人、ロイク・レタ・バリエルだった。 「お前は…俺の女だ!」と叫ぶロイクに対し、対峙する少女(???)は振り返り、毅然と言い放つ。 「諦めたら? お断りよ、アンタなんて!」 新たな舞台で、既にトラブルの火種は燃え上がろうとしていた。
第2話
共和国の首都と学院の混乱
舞台はアルゼル共和国の首都。遠景には巨大な聖樹が聳え立ち、無数の浮遊大地が浮かぶ幻想的な光景が広がっていた。ここが、リオンたち留学生の新たな拠点である。 しかし、到着した学院内は始業式直前だというのに準備不足で混乱の極みにあった。制服の手配すら間に合っておらず、男子生徒たちは寸足らずの裾や不足品について不満を漏らし、時間に追われて慌ただしく走り回っていた。
待ちぼうけと主人公の捜索
場面は学院の応接室へ。リオンはソファに座り、苛立ちながら時間を確認していた。予定時間を過ぎても、待ち人(留学生あるいは案内役)が現れる気配がない。 手持ち無沙汰なリオンに対し、ルクシオンは「第二作目の主人公」についての情報整理を提案する。しかし情報は曖昧で、「学院の生徒」「平民」「活発な性格」といった断片的な条件しか分からなかった。
運命の出会い
その時、応接室の扉が開き、二人の女子生徒が現れる。彼女たちは双子だった。 そのうちの一人、快活そうな少女が前に進み出て挨拶をする。 「ノエル・ベルトレ」 その名を聞いた瞬間、リオンは驚愕に目を見開いた。目の前の少女こそが、探していた「主人公」その人だったのだ。
ノエルの強引な案内
「先に教室へ行こう!」 ノエルは明るく告げると、躊躇なくリオンの腕を引いて歩き出した。そこに双子のジャンも加わり、三人は並んで校舎へ向かう。リオンは初対面とは思えないノエルの距離感の近さに戸惑いつつも、彼女のペースに巻き込まれていった。
校舎内の設備見学
広大な校舎内に入ると、ノエルは廊下にある特徴的な装置や調度品を指差し、楽しげに解説を加えた。リオンはその説明に耳を傾けながら周囲を見渡し、改めて学院の規模の大きさを認識する。
あっさりとした別れ
しかし移動の途中、ノエルとジャンは「じゃあ、また」と手を振り、あっさりと別行動をとって去っていった。唐突に一人その場に残され、リオンは呆気にとられる。
マリエからの呼び出し
そこへ、傍らに浮遊していたルクシオンから通知が入る。 「マリエから連絡です」 リオンは思考を切り替え、マリエからの呼び出しに応じる姿勢を見せた。
マリエとの密会と「双子」の衝撃
リオンはマリエに呼び出され、円形の建造物内部で落ち合った。そこでマリエは頭を抱えていた。「主人公候補が双子だった」という事実は、彼女の持つゲーム知識にはない想定外の事態であり、強い衝撃を受けていたのだ。
シナリオ崩壊の危機
「もし主人公の特定を間違えて失敗すれば、物語の結末そのものが破綻する」。 マリエはそう力説する。この世界の命運は主人公の行動にかかっているため、どちらが本物(あるいは両方なのか)を特定することは、放置できない緊急の課題となっていた。
巫女の血筋と複数主人公説
マリエは「見た目や印象で決めるのは危険だ」と訴え、リオンもそれに同意して冷静な分析を試みる。 整理された情報は、「主人公の力の源は“巫女の血筋”にある」という点だ。その血を引く者が二人いるならば、双子のどちらも主人公として成立する可能性や、役割が分担されている可能性も否定できない。
悪役令嬢の影と調査継続
今回の異変に「悪役令嬢」が関与している可能性も議論されたが、決定的な証拠はまだない。 リオンは現時点での断定を避け、ルクシオンと共に慎重に調査を継続する判断を下した。
悪役令嬢ルイーゼとの対立
教室にて、ルイーゼがノエルに接触する。「上級生として、頼まれた教材を届けに来ただけよ」。 そう告げるルイーゼに対し、ノエルは強く反発。悪役令嬢と主人公(候補)の対立構図が明確に浮かび上がった。
「二人の主人公」による混乱
その光景を見て、リオンは困惑を深める。 もう一人の双子・レリアは既に攻略対象(エミール等)と交際しており、一方でノエルは悪役令嬢とのイベントを消化している。 「どっちも主人公の条件を満たしているじゃないか」。 双子のどちらが正解なのか、あるいは両方なのか、判断がつかない状況にリオンは頭を抱えた。
至近距離の問いかけ
その時、不意にルイーゼがリオンへ歩み寄る。彼女は顔が触れそうなほどの至近距離まで迫り、リオンに名前を尋ねた。 その迫力に動揺しながらも、リオンは自身の名を名乗る。
ノエルの介入と、残された謎
「彼には関係ないでしょ!」 二人の間にノエルが割って入る。彼女はルイーゼを強く牽制すると、そのままリオンの手を引いてその場から連れ去っていった。 あとに残されたのはルイーゼ一人。彼女は「リオン」という名を聞いた衝撃からか、呆然とした表情でその場に立ち尽くしていた。
第3話
悪役令嬢からの送迎オファー
下校中のリオンの前に、一台の高級車が滑り込む。窓から顔を覗かせたのは、ルイーゼ・サラ・ラウルトだった。 彼女は前日の非礼を丁寧に詫びると、「少し話があるから家まで送る」と申し出る。共和国を牛耳る六大貴族筆頭・ラウルト家の一人娘であり、ノエルと敵対する「悪役令嬢」。リオンは警戒心を抱きつつも、その場の流れに逆らえず車に乗り込んだ。
甘い誘いと警戒心
車内でのルイーゼは、昨日の敵意が嘘のように穏やかだった。「困り事があれば相談に乗る」と親切すぎる態度を見せる彼女に、リオンは疑念を抱く。「何か裏があるのでは? ノエルに何か言われたのか?」 しかしルイーゼはそれを否定し、普段の自分は違うのだと弁明する。
「お姉ちゃん」と呼んで?
そして、ルイーゼは距離を一気に詰めてきた。「もっと互いを知り合うべきだ」と語り、あろうことかリオンにこう頼み込んだのだ。 「私を『お姉ちゃん』と呼んでほしい」 あまりに突飛な提案にリオンは動揺する。実姉(ジェナ)の暴虐ぶりと比較し、つい目の前のルイーゼを「可愛い」と感じてしまった彼は、なし崩し的にジェナの失敗談を語り、会話の流れに乗せられてしまう。
遮られた真意と急報
「なぜ、そこまでして姉と呼ばせたいのか?」 リオンがようやく核心を問い返したその時、空間に割り込むようにしてルクシオンが現れた。 「学院で問題発生です」 ルイーゼが口を開きかけた説明は遮られ、車内の甘い空気は一瞬にして霧散した。
暴君ピエールの洗礼
ルクシオンの急報を受け、リオンが学院へ駆けつけると、そこには信じがたい光景が広がっていた。案内役のジャンが木に縛り付けられ、晒し者にされていたのだ。 その場を支配していたのは、ピエール・フェーベル。彼はジャンを「ホルファートの犬」と嘲り、平民や王国人は目障りだと公然と侮辱した。
絶対的な身分差と怒り
リオンが詰め寄ろうとすると、吊るされたジャンが必死に叫んで制止する。「逆らってはいけない、彼は六大貴族フェーベル家の御曹司だ」と。取り巻きたちもまた、その権威を笠に着て「身の程をわきまえろ」と嘲笑を浴びせる。 共和国至上主義者による理不尽な暴力。リオンは激昂し、実力行使で彼らを叩き潰そうとする。
シナリオの枷(かせ)
しかし、ルクシオンが待ったをかけた。「仕返しは推奨しません」。 ピエールはただの不良ではなく、重要な「イベントキャラクター」である。ここで彼を潰せば、共和国側のシナリオが大きく狂い、取り返しがつかなくなる恐れがあった。 リオンもピエールの名に聞き覚えがあり、彼が「聖都の加護」を持つ攻略対象(あるいは重要キャラ)であることを再認識させられる。
屈辱の撤退と波紋
「シナリオのためだ」。リオンは怒りを飲み込み、反撃を放棄してジャンの回収だけに留めた。 翌日、学院内には「王国の留学生が六大貴族に目を付けられた」「ジャンが見せしめにされた」という噂が瞬く間に広まった。フェーベル家の御曹司は過激な差別主義者であり、留学生には関わらない方がいい――そんな孤立の空気が、リオンたちを包囲し始めていた。
孤立と「六犬貴族」の脅威
リオンが教室に入ると、クラスメイトたちは露骨に距離を取り、彼を避ける態度を見せた。 「久しぶりの腫れ物扱いだな」。 リオンはその空気を冷静に受け止めつつ、以前マリエから受けた忠告を反芻する。彼女は六大貴族を皮肉って「六犬貴族」と呼び、彼らとは絶対に揉めるなと警告していた。彼らが持つ「聖樹の加護」は絶対的な後ろ盾であり、高い戦闘力を付与するだけでなく、平民を半殺しにしても罪に問われないほどの超法規的な権力を保証しているからだ。 リオンは、この国に蔓延る理不尽な現実に、静かな怒りを溜め込んでいた。
ノエルへの気遣いと「犬」の譲渡
そんな中、リオンは元気がなく沈んでいるノエルに声をかける。彼女は、暴行を受けたジャンの容態と、重くのしかかる医療費に頭を悩ませていた。 さらに彼女は、別の悩みも打ち明ける。実は飼い犬がいるのだが、現在の住まいがペット禁止であるため、行き場に困っているというのだ。 「それなら、俺が引き取ろうか?」 リオンの申し出に、ノエルの表情がパッと明るくなる。
不気味な視線
「ありがとう! 放課後、一緒に来てくれる?」 犬の引き取りが決まり、二人は放課後の約束を交わす。しかし、そんな親しげな二人の様子を、教室の陰からじっと見つめる男がいた。 ロイクだ。彼は粘着質で不気味な視線を、リオンとノエルの背中に注いでいた。
不穏な予感とロイクの脅迫
約束の時間になっても、ノエルは待ち合わせ場所に現れなかった。不審に思うリオンに、ルクシオンが告げる。「少々マズいことが起きています」。 その頃、ノエルは校舎内でロイクに捕まっていた。 ロイクは「男の家に行くつもりだったのか」と詰め寄り、「お前は俺の女だ」「俺の許可なく動くな」と歪んだ独占欲を押し付ける。さらに、暴行されたジャンの件やピエールの存在を引き合いに出し、「俺のものになれば守ってやる」と、脅迫めいた取引を迫った。
拒絶、そして「ストライク」
「最低ね」。ノエルの毅然とした拒絶さえ、ロイクは余裕の高笑いで受け流す。 だが次の瞬間、何かがロイクの顔面に直撃し、彼は無様に吹っ飛んだ。 投げつけられたのは、AIのルクシオン。その反動でルクシオン自身も地面を転がる。
ヒーローの登場?
「ストラーイク……なーんてね」 綺麗な投球フォームのまま現れたのは、リオンだった。 助けに来た彼を見て、ノエルは安堵の笑顔を浮かべる。一方、地面に這いつくばったロイクは、自分にボール(ルクシオン)をぶつけたのが「あの留学生」だと認識し、憎悪に表情を歪めた。
第4話
加護の発動とルイーゼの介入
地面に倒れたロイクは、相手がリオンだと知るや否や、強烈な敵意を向けて立ち上がる。投げつけられたルクシオンは抗議するが、リオンは「投げやすかった」と悪びれる様子もない。 その隙に、ロイクは「聖樹の加護」を発動させた。ノエルが「六大貴族の紋章の力よ!」と叫んで警告するが、ロイクは既に攻撃態勢に入っていた。 そこへ割って入ったのはルイーゼだ。彼女もまた聖樹の加護を発動してロイクの力を相殺し、「私を怒らせるつもり?」と強く迫った。
妄想と現実
「そいつは俺の女に手を出したクズだ!」 ロイクは正当性を主張するが、ルイーゼはそれを「妄想」と切り捨てる。さらに、「これ以上騒いで家同士の問題になれば、不利になるのはあなたよ」と冷徹に告げ、ロイクを黙らせた。 ロイクは去り際、ノエルに「お前は俺を選ぶしかないんだ」と不気味な捨て台詞を残して立ち去った。
攻略対象「ロイク」の正体
ルイーゼは、彼が六大貴族バリエル家の跡取りであることを明かす。 それを聞いたリオンは、彼こそがゲームの攻略対象「王道のロイク」だと気づく。「やはり主人公はノエルか」と確信する一方、先ほどのロイクの振る舞いは王道どころか「ストーカー同然」だと戦慄した。
「あなたのために助けたの」
ノエルは、六大貴族と敵対するリスクを冒してまで、なぜルイーゼが助けてくれたのかを問う。 しかしルイーゼの答えは意外なものだった。 「あなたを助けたわけじゃない。リオン君のためにやったの」 そう言ってルイーゼは、あろうことかリオンの腕にしがみつく。ノエル(とリオン自身)は、悪役令嬢が見せる不可解な好意に、ただ目を丸くするしかなかった。
加護の衝突とルイーゼの介入
地面に叩きつけられたロイクは、相手がリオンだと知ると殺意を剥き出しにする。リオンはボール扱いに抗議するルクシオンを「投げやすかった」と軽くあしらうが、その隙にロイクが「聖樹の加護」を発動させた。 「六大貴族の紋章の力よ!」とノエルが悲鳴を上げる中、ロイクは攻撃態勢に入る。 だが、その凶行を食い止めたのはルイーゼだった。彼女もまた自身の加護を発動してロイクの力を相殺し、「私を怒らせる気?」と凄味を利かせた。
妄想と現実、そして捨て台詞
「そいつは俺の女に手を出したクズだ!」 ロイクは正当性を主張するが、ルイーゼは「それはあなたの妄想よ」と冷たく切り捨てる。さらに、「これ以上騒いで家同士の抗争になれば、不利になるのはあなただ」と政治的な圧力をかけ、ロイクを黙らせた。 ロイクは撤退を余儀なくされたが、去り際にノエルへ「お前は俺を選ぶしかないんだ」と、粘着質な呪詛を残していった。
「王道」の正体と悪役令嬢の抱擁
ルイーゼの口から、彼がバリエル家の跡取りだと明かされる。リオンは彼こそが攻略対象「王道のロイク」だと気づき、ノエルが主人公であることを確信するが、その実態は王道とは程遠い「ストーカー」だったことに戦慄する。 危機を脱したノエルは、敵対関係にあるルイーゼがなぜ助けてくれたのかを問う。 「あなたのためじゃない。リオン君のためよ」 そう答えるや否や、ルイーゼはリオンの腕に愛おしげにしがみついた。悪役令嬢が見せるあまりに不可解な好意に、リオンとノエルはただ呆然とするしかなかった。
ロイクの脅迫と物理的解決
待ち合わせ場所に現れないノエルを不審に思うリオンに、ルクシオンから「マズい事態」の報告が入る。 校舎内では、ロイクがノエルを拘束していた。「お前は俺の女だ」「俺の庇護下に入ればピエールも手出しできない」と、恐怖を煽って支配しようとするロイク。 ノエルは気丈に拒絶するが、ロイクは聞く耳を持たない。だが直後、リオンによって投げ込まれたルクシオンがロイクを吹き飛ばし、強制的に会話を終了させた。 「ストライク!」と冗談めかして現れたリオンに、ノエルは安堵の表情を浮かべる。
ルイーゼの爆弾発言
ロイクを退けたのも束の間、今度はルイーゼがリオンの腕に抱きつき、衝撃の一言を放つ。 「リオン君、会わせたい人がいるの。……私の両親よ」 いきなりの「両親への紹介」という重すぎる展開に、リオンは硬直する。
勃発! 泥沼の修羅場(シュラバ)
これを聞いたノエルが黙っているはずがない。「抜け駆けはずるい!」と猛反発し、空いている反対側の腕を確保。 「誤解よ!」と弁解するルイーゼと、食って掛かるノエル。二人の美女に挟まれたリオンは助けを求めるが、ルクシオンは冷淡だった。 「#浮気中なう #修羅場」 楽しげにSNS用の写真を撮る相棒に絶望し、疲れ果てたリオンは強引に話題を変える。 「……もういい、ジャンの犬を迎えに行こう」
昼休みの混乱とマリエの空腹
翌日の昼休み。マリエは頭を抱えて叫んだ。「ノエルとレリア、どっちが主人公なのか分からない!」 状況は複雑怪奇だ。リオンの整理によれば、双子の片割れレリアは攻略対象のエミールと恋人関係にあり、一見「安牌」に見える。一方、ノエルはロイクに異常執着されており、悪役令嬢ルイーゼからも(リオン絡みで)敵視されている状況だ。 マリエは「兄貴がロイクと揉めて、さらにルイーゼとノエルが兄貴を取り合っている」という修羅場図を想像して混乱するが、その視線はリオンの手元のパンに釘付けだった。リオンは呆れてパンを差し出し、マリエはそれを勢いよく頬張って思考を放棄した。
「世界」か「良心」か
そんな二人を、ルクシオンは「逆ハーレムを目指した女の末路ですね」と冷笑する。 そして、リオンに鋭い問いを投げかけた。「もしノエルが主人公なら、マスターは彼女をロイクと結ばせるのですか?」 リオンは葛藤する。ノエルはロイクを嫌っており、今は案内役のジャンを気にかけているように見える。世界のためとはいえ、彼女をストーカー同然のロイクと無理やり結びつけるのは正しいのか。 「頼むから、主人公はレリアであってくれ」。それがリオンの切実な本音だった。
呼び出しと次なる標的
場面は変わり、人気のない校舎裏。 ピエールに呼び出されたブラッドが、一人でその場に現れる。 「呼んだか?」 軽い調子で現れたブラッドだが、その先には避けられない衝突が待ち受けていた。
挑発と包囲
校舎裏でピエールたちに囲まれたブラッドは、共和国貴族の野蛮さを皮肉交じりに笑った。「大貴族に連なる自分に手を出せば国際問題になる」と牽制するが、取り巻きたちは「ホルファート風情が」と嘲り、武器を手に一斉に襲いかかってくる。 本来は接近戦を苦手とするブラッドだが、腐っても元攻略対象。襲い来る相手を次々と叩き伏せ、格の違いを見せつけた。
聖樹の加護と魔法の消失
「実力差は明白だ」。ブラッドが戦いを収めようとしたその時、逆上したピエールが「ド三流国家のエセ貴族」と罵倒し、聖樹の加護を発動させる。 地面に浮かぶ魔法陣から巨大な木の根が出現。ブラッドは得意の炎魔法で迎撃しようとするが、なぜか魔法は発動途中で掻き消されてしまう。反撃の手段を失った彼は、なす術もなく根に捕らえられた。
逆さ吊りの屈辱
逆さに吊るされ、身動きの取れないブラッドに対し、ピエールは嘲笑を浴びせる。「威勢はどうした?」と顔面を潰すことを宣言し、取り巻きたちに一方的な暴行を命じた。 雨のような暴力の中で、ブラッドの意識が霞む。脳裏に浮かぶのはマリエやユリウスへの謝罪、そして、こんな時ですら思い浮かんでしまう「あの男(リオン)」の顔だった。だが、今の彼には状況を覆す力は残されていなかった。
最悪の「手土産」
その後、ピエールたちはボロボロになったブラッドを引きずり、マリエたちの前へと姿を現す。 「フェーベル家のピエールだ。少し遊んでくれよ」 六大貴族の御曹司は、獲物をぶら下げる狩人のような残酷さで、留学生たちを挑発した。
第5話
暴虐と理不尽な要求
地面に倒れ伏したブラッドを、ピエールは無慈悲に踏みつける。マリエは悲鳴を上げて駆け寄ろうとするが、ユリウスに背後から制止された。 マリエの心中は混乱していた。「なぜ、ピエールがここにいるの?」ゲームの知識にあるイベントとは異なる展開に、彼女は理解が追いつかない。
元王太子への侮辱と賭け
ピエールはユリウスに対し、「国を追われた元王子様」と嘲笑を浴びせ、その零落した姿をあざ笑う。ユリウスは挑発に乗らず、ブラッドを傷つけた責任を問い、即時解放を要求した。 するとピエールは、解放の条件として「勝負」を提案する。 「俺が勝ったら、お前らの船(アインホルン)をよこせ」 ユリウスは「あれは自分たちの所有物ではない」と反論するが、ピエールは聞く耳を持たない。
聖樹への誓いと罠
ピエールはブラッドの頭を踏みつけながら脅迫を重ねる。「勝負を拒めばこいつを殺す」。 さらに、「勝負さえすれば、勝ち負けに関わらずブラッドは返してやる」と甘い条件を提示し、聖樹に誓う形で同意を迫った。 友を救うため、ユリウスは勝負を受ける決意をするが、船の譲渡については条件を変えようと口を開く。 だが、その瞬間――ピエールは「誓いは成立した!」と一方的に宣言。聖樹の力を発動させ、こちらの言い分を封殺したまま、不利な条件での決闘を強制的に成立させてしまった。
死のルールと「聖樹の誓い」
「最後の一人になるまで殺し合え」。 ピエールは勝負のルールとして、あまりに理不尽な条件を後出しで宣言した。マリエは「それは勝負ですらない」と抗議するが、ピエールは「ルールを確認せずに誓った間抜けが悪い」と嘲笑う。 その言葉を合図に、マリエやユリウスたち全員の首に「聖樹の紋章」が浮かび上がり、実体化した茨のように彼らの首を締め上げ始めた。
処刑へのカウントダウン
呼吸を阻害されながら、マリエは思い出す。これはかつてゲーム内で主人公を陥れるために使われた「聖樹の誓い」だ。誓いを破った者には、首から上が吹き飛ぶという凄惨な罰が下される。 ピエールは残酷な二択を迫る。「殺し合いを続けるか、それとも負けを認めるか」。
屈辱の敗北宣言
仲間同士で殺し合うことなどできない。追い詰められたユリウスは、マリエたちを守るために苦渋の決断を下し、「負け」を宣言した。マリエは納得できずに叫ぶが、他の攻略対象たちもユリウスの判断を支持し、無念の涙を飲む。 勝ち誇ったピエールは、「ここは絶対的な勝者の国だ。三流国家の敗北者が歩いていい場所ではない」と彼らを侮辱し、戦利品である「船」を接収すると宣言して去っていった。
マリエの絶望と、リオンの休日
マリエはその場に崩れ落ちた。兄(リオン)の大切なアインホルンを奪われてしまった。待っているのは、間違いなく兄からの激しい雷だろう。恐怖に震えるマリエ。 ――その頃、当のリオンは。 ジャンの飼い犬である犬(名前は奇しくも「ノエル」)と戯れ、「よしよし~」と平和そのものの時間を過ごしていた。
「ノエルちゃん」との戯れ
室内でリオンは、ジャンの飼い犬である雌犬を「ノエルちゃん、賢いな~」と愛でていた。 ルクシオンがその紛らわしい名前について尋ねると、リオンは「俺がつけたわけじゃない」と否定する。偶然にもヒロインと同じ名前だったことがきっかけで、飼い主のジャンと(人間の)ノエルは仲良くなったらしい。
勘違いした「モテ期」自慢
リオンは犬のノエルに向かって、自身のモテ期を自慢げに語り始める。「国には二人の婚約者がいて、ここでも女子が俺を取り合っている」と。 その様子を見たルクシオンは、「貴方をマスターと認めたことを後悔しています」と冷淡に言い放つ。リオンが「まだ俺に投げつけられたことを根に持っているのか」と指摘しても、AIは肯定も否定もせず、ただ冷ややかな沈黙を返すのみだった。
平穏の終わり
そんなのん気な時間を破ったのは、激しく扉を叩く音だった。 「リオン!」 息を切らして現れたのはクリスだ。その形相はただならぬものであり、彼がもたらした凶報によって、和やかな空気は一瞬にして凍り付いた。
奪われたアインホルンと謝罪
港に係留されたアインホルンの前で、リオンはマリエとユリウスに合流する。 「勝手に人の船を賭けて負けたのか」。 リオンの指摘に、マリエはぐうの音も出ない。不用意に勝負を受けたこと、ユリウスを止められなかったこと、そして何より「聖樹の誓い」という重要設定を伝え忘れていたことを全面的に認め、平謝りするしかなかった。
ピエールの嘲笑と挑発
そこへピエールが現れ、勝ち誇った顔で宣言する。「この船は俺のものだ」。 船上に浮かぶ聖樹の紋章は、聖樹が彼を新たな所有者として認めた証だという。ピエールは返す気など微塵もなく、「鎧(アロガンツ)はダサいが性能はいいから使ってやる」と侮辱。さらに「腹が立つなら戦争でもするか?」と、敗者を煽り立てた。
ルクシオンの離反
追い打ちをかけるように、信じがたい事態が起きる。ルクシオンがリオンの前に現れ、無機質な声で告げたのだ。 「所有者の変更に伴い、マスターを変更します」 マリエが抗議するが、ルクシオンは「先程まではそうでしたが、もう違います」と冷たく返し、リオンと目すら合わせようとしない。まさかの相棒の裏切りに、場は凍り付く。
唾棄と反撃の狼煙
「使い魔にまで見捨てられたか!」 ピエールは腹を抱えて笑い、リオンの顔に唾を吐きかける。「負け犬」と罵りつつ、「船と釣り合う賭け代を用意できるなら勝負してやる」と言い残して船へ向かおうとした。 だがその直後、背後からリオンの声が響く。 「……高くつくぞ?」 階段を上がり、不敵な笑みを浮かべて挑発を返すリオン。その異様な迫力に、ピエールの足は止まり、明確な動揺が走った。
モブせか まとめ
モブせか 共和国編 2巻レビュー
乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です 一覧
漫画
共和国編

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小説版
王国編

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共和国編

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幕間

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最終章

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小説版 外伝

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同著者の作品
俺は星間国家の悪徳領主! シリーズ

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セブンスシリーズ

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その他フィクション

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