世界最強の後衛8レビュー
世界最強の後衛まとめ
世界最強の後衛10レビュー
- 物語の概要
- 書籍情報
- あらすじ・内容
- 感想
- 考察・解説
- 登場キャラクター
- 展開まとめ
- エリーティアの回想
- プロローグ
- 第一章 一時の休息、戦いの報告
- 1 主なき砦
- 2 癒やしの時間
- 3 歓待の宴
- 4 戦果/落ち着かない夜
- 第二章 料理人との約束
- 1 命名/大浴場
- 2 間合い/新たな技能賞
- 3 新たな技能・2/夢うつつの後衛
- 第三章 支援者たちとの打ち合わせ
- 1 荷車工房にて/職業の定義
- 2 旅団の動向/特別参戦
- 3 技能相談と上位職
- 4 再びの迷宮/旅団の別働隊
- 5 旅団の先行/湖畔の戦闘
- 第四章 迷宮深層の波乱 天秤の試練
- 1 夕闇歩きの湖畔 三層
- 2 異変/再びの魔物
- 3 分断の中で
- 4 戦士の咆哮/思わぬ再会
- 5 黒の侵蝕
- 6 現れる使徒
- 7 君臨する愚視
- 8 未来視の見せるもの
- エピローグ
- 書き下ろし番外編 帰りを待つ人々と『後衛』
- 世界最強の後衛 一覧
- その他フィクション
物語の概要
■ 作品概要
『世界最強の後衛 ~迷宮国の新人探索者~ 9』は、不慮の事故で異世界へと転生した元サラリーマンの主人公が、万能支援職「後衛」として仲間たちとともに迷宮攻略を目指す、異世界転生ファンタジー小説の第9巻である。
物語の舞台となる「迷宮国」は、魂が転生し探索者として生きる世界であり、迷宮での貢献度によってランクや生活環境が決まる厳格な社会である。また、一部の探索者は迷宮の神である「秘神」と契約を交わしており、敵対する秘神の契約者同士が戦う「神戦」というシステムが存在する。
本巻では、五番区を支配していた魔王「猿王」をついに討伐し、因縁の囚われ人であったルウリィを救出したアリヒトたちのその後の物語が描かれる。彼らはその功績から四番区への昇格資格を得て、これまでの絆の証としてパーティ名を「銀の車輪」と名乗ることになる。しかし、彼らの前に五番区序列一位であり、エリーティアの兄ヨハンが率いる「白夜旅団」が立ちはだかる。彼らもまた秘神の契約者であり、両者は「神戦」を避けて通れない運命にあった。神戦に備えるため、アリヒトたちは迷宮「夕闇歩きの湖畔」の三層へと足を踏み入れるが、そこで正体不明の強敵「隻眼の愚視」に遭遇する。理不尽な試練である「天秤」や、年齢操作を伴う「不定の転移」によって仲間たちは分断されてしまう。バラバラになったアリヒトたちは、同じく迷宮を探索していた白夜旅団のメンバーたちと一時的に共闘しながら合流を目指し、強大な敵の打破に挑む。
■ 主要キャラクター
- アリヒト:主人公。前例のない支援職「後衛」に就く。直接的な戦闘力は低いが、卓越した支援スキルで仲間の能力を極限まで引き出し、戦況を的確に把握・指揮する「銀の車輪」のリーダーである。
- エリーティア:元「白夜旅団」所属の凄腕の剣士で、パーティのエースアタッカー。親友ルウリィを救うために旅団を抜けた過去を持ち、今巻でついにルウリィとの再会と和解を果たす。
- テレジア:アリヒトが最初に契約した亜人の少女で、職業は「ローグ」。高い索敵能力や回避反撃能力でパーティを支える。呪詛から解放され、新たな技能を習得して活躍する。
- キョウカ(五十嵐鏡花):元の世界でのアリヒトの上司で、職業は「ヴァルキリー」。前衛としてパーティを守りつつ、魔法攻撃もこなす。大人の魅力を持ち、アリヒトを密かに意識している。
- スズナ:職業は「巫女」。回復や浄化、状態異常の解除を得意とし、秘神アリアドネを身に降ろす「霊媒」の役割も担う。
- ミサキ:職業は「ギャンブラー」。パーティのムードメーカー。運に特化した技能でピンチを救い、今巻では「エンターテイナー」の技能を取得して活躍の場を広げる。
- セラフィナ:ギルドセイバーの中尉であり、職業は「機動歩兵」。パーティの強力な盾役として前線を支える真面目でストイックな人物である。
- マリア:視力のほとんどを失った元探索者で、職業は「料理人」。アリヒトの勧誘を受け、正式にパーティの専属支援者となる。彼女の作る料理は特殊な効果を持ち、探索を後押しする。
- アニエス:白夜旅団の副団長。迷宮内でアリヒトと遭遇し、彼と一時的な共闘関係を結ぶ。色銘武器の呪いと戦いながらも誇り高く行動する。
- ヨハン:エリーティアの兄であり、白夜旅団の団長。冷徹で実力主義な態度を見せるが、秘神の「心臓」を神戦の報酬に求めるなど、底知れぬ目的を抱いて迷宮国に留まり続けている。
■物語の特徴
本作の最大の特徴は、主人公が直接攻撃を行わず、「後方から味方を支援・指揮する」ことに特化した「後衛」という独自の職業に就いている点である。第9巻では、強敵の討伐を経て正式にパーティ名を「銀の車輪」と命名し、過酷な死線を潜り抜けてきた仲間たちの絆がさらに深まる姿が描かれる。
また、単なる魔物討伐にとどまらず、他の有力パーティ(白夜旅団)との確執や、秘神同士の代理戦争である「神戦」というシステムが物語に厚みを与えている。さらに、年齢が上下する状態異常や、物理攻撃と魔法攻撃の威力を釣り合わせることで打破する「天秤」など、迷宮の理不尽なギミックを逆手にとったパズル的な戦闘描写も、本作ならではの読者にとって興味深いポイントとなっている。
書籍情報
世界最強の後衛 ~迷宮国の新人探索者~ 9
著者:とーわ 氏
イラスト:風花風花 氏
出版社:KADOKAWA(カドカワBOOKS)
発売日:2025年9月10日
ISBN:9784040759197
(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。
あらすじ・内容
最強の支援職の前に立ちふさがるのは、もう一人の秘神の契約者。
ついに赫灼たる猿侯を倒し、エリーティアの親友を救い出したアリヒトたち。さらにその成果が認められ、テレジアを人間に戻す手段のある四番区へ向かう権利を手に入れる。
しかし、彼らの前に立ち塞がる五番区の序列一位は因縁の深い『白夜旅団』。彼らも秘神と契約した者たちであり、アリヒトはかつてアリアドネから聞いた『我と敵対する秘神に遭遇した時は、無条件に戦わなくてはならない』という言葉の意味――『神戦』の存在を知ることになるのだが……?
感想
読んでまず感じたのは、「ようやく続きを読むことができた」という安堵だった。
前巻から約4年という長い期間が空いていただけに、正直なところ続刊そのものを半ば諦めかけていた部分もある。それだけに、再びアリヒトたちの冒険を追うことができたのは素直に嬉しかった。
本巻では、猿侯との激戦を乗り越え、ルウリィの救出に成功したアリヒトたちが正式に「銀の車輪」を名乗るようになる。
特に印象に残ったのは、パーティとしての結束がこれまで以上に強くなっていることだった。
長い冒険を共に乗り越えてきた仲間たちが、一つの名前のもとに集まる姿には感慨深いものがある。
一方で、物語は決して穏やかな方向へ進まない。
五番区序列一位である白夜旅団の団長ヨハンもまた秘神の契約者であることが判明し、アリヒトたちとの間に新たな緊張感が生まれていく。
読んでいて感じたのは、本巻は新たな神戦へ向けた序章としての意味合いも強いということである。
直接的な敵対関係には至っていないものの、ヨハンの存在からはどこか不穏な空気が漂っていた。
そして本巻最大の見どころは、やはり「夕闇歩きの湖畔」での探索だろう。
この迷宮は相変わらず理不尽である。
パーティが強制的に分断されるだけでなく、年齢が変化するという特殊なペナルティまで用意されている。
読んでいて「また厄介な迷宮が出てきたな」と思わず苦笑してしまった。
しかし、だからこそ攻略過程が面白い。
特に興味深かったのは、白夜旅団との一時的な共闘である。
本来なら将来的に対立する可能性のある相手と協力しながら困難を乗り越えていく流れは非常に熱かった。
昨日の敵は今日の友という王道展開ではあるが、それだけに胸が熱くなるものがある。
また、本巻で最も印象に残ったのは「天秤」の試練だった。
物理攻撃と魔法攻撃の威力を完全に一致させなければならないという仕掛けは非常に面白い。
単純なレベル差や火力で突破できるものではなく、それぞれの能力や役割を理解したうえで解法を見つけなければならない。
読んでいて感じたのは、本作の魅力は単なる強敵との戦闘だけではなく、こうした攻略型の迷宮にあるということである。
仲間たちの能力を活かしながら試練を突破していく流れには大きな爽快感があった。
終盤では、旅団が探し求めていた神獣「流浪のストラダ」の救出にも成功する。
さらにルウリィの治療が始まったことで、ようやく希望が見えてきたようにも感じられた。
しかし、その一方でヨハンの真の目的も明らかになる。
神戦の報酬として「秘神の心臓」を求める彼の考えには、まだ多くの謎が残されている。
敵なのか味方なのかも含めて、その存在感は非常に大きい。
読んでいて感じたのは、本巻は長い停滞を破って再び物語が大きく動き出した巻だったということである。
銀の車輪の結束、新たな迷宮の攻略、白夜旅団との関係、そして神戦へ向けた伏線。
派手な決着の巻というよりは、今後の展開へ向けて重要な駒が並べられた巻という印象を受けた。
だからこそ、この先の物語がどう展開していくのか非常に気になる。
そして何より、今度こそあまり長く待たされずに続巻が読めることを願いたい。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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世界最強の後衛8レビュー
世界最強の後衛まとめ
世界最強の後衛10レビュー
考察・解説
エリーティアの過去
『世界でただ一人の魔物使い』に登場するエリーティア・セントレイルの過去について解説する。
家族と共に迷宮国へ転生したことから始まり、親友の喪失や「死の剣」としての孤独など、数々の過酷な経験に彩られた彼女の歩みは以下の通りである。
1. 家族との転生と白夜旅団
エリーティアは客船の事故により、家族と共に迷宮国へ転生した。
・父は経営者、母は秘書、兄のヨハンは法務官という非戦闘職を選んだ。
・その中でエリーティアだけがフェンシングの経験を活かして剣士を選択する。
・転生当初は穏やかで家族を引っ張っていたヨハンであったが、七番区へ上がった頃から魔物の脅威に焦りを感じ、手段を選ばない冷徹な実力主義者へと変貌した。
・やがてヨハンは強力な探索者を集めて白夜旅団を結成するに及んだ。
2. ルウリィとの出会いと緋の帝剣
旅団のレベルについていけず足手まatoiになっていたエリーティアは、六番区で加入した治癒師の少女ルウリィと出会う。
・ルウリィとの交流を通じて、迷宮国で初めて親友と呼べる存在を得た。
・一方、兄のヨハンからは強大な力を持つ呪いの武器である緋の帝剣を与えられる。
・彼女は旅団に居場所を作り、ルウリィと共にいるためにそれを受け入れた。
・この選択により、彼女の職業はカースブレードへと変化することとなる。
3. ルウリィの喪失と旅団からの離脱
五番区の五つ星迷宮である炎天の紅楼において、旅団は赫灼たる猿侯の奇襲を受ける。
・ルウリィは自身の体力を犠牲にして仲間を階層の入り口へ転移させる士気解放「救いの手」を使用し、身を挺して仲間を逃がした。
・しかし、ルウリィ自身は猿侯に連れ去られ従属させられてしまう。
・ヨハンは、スキルの取得でミスをしていた、と打算的に判断してルウリィを見捨て、救助を禁じた。
・親友を諦めきれないエリーティアは、ルウリィを救出する仲間を探すため、旅団を離脱する決意をした。
4. 死の剣としての孤独と八番区への転落
ルウリィを救うため新たなパーティに入ろうとしたエリーティアであったが、緋の帝剣の副作用が壁となる。
・副作用であるベルセルクが発動すると理性を失って暴走してしまうため、六番区で組んだパーティからは見捨てられ、迷宮に置き去りにされてしまう。
・魔物の返り血に染まって単独で生還するその姿から、探索者たちの間では死の剣と呼ばれて忌避されるようになった。
・これにより、誰も彼女と組もうとはしなくなっていく。
5. アリヒトたちとの出会い
仲間を見つけられず、ついには始まりの街である八番区まで転落したエリーティアであったが、運命の出会いを果たす。
・そこで初心者であるスズナを勧誘したことをきっかけに、後衛職のアリヒトたちと出会った。
・アリヒトが彼女の剣のリスクを的確な支援でカバーし、パーティの頼れる前衛として迎え入れる。
・これによりエリーティアは、ようやく自分の本当の居場所と、ルウリィを救い出すための心強い仲間を得ることになった。
まとめ
エリーティア・セントレイルの過去は、実力主義に狂った兄や呪いの武器に翻弄され、大切な親友を失うという悲劇の連続であった。孤独な死の剣として忌避され、最底辺の八番区まで転落した彼女であったが、アリヒトという理解者を得たことで状況は一変する。自身の呪いを利点へと変えてくれる新たな仲間と共に、彼女は親友ルウリィを救い出すという悲願に向けて、再び前を向いて歩み始めている。
白夜旅団との対峙
『世界最強の後衛 ~迷宮国の新人探索者~』における「白夜旅団との対峙」は、物語の大きな転換点であり、エリーティアの過去や「神戦」の存在に深く関わる重要なテーマである。アリヒトたちと白夜旅団との対峙の全容について解説する。
1. 白夜旅団の非情な方針と因縁
白夜旅団は、エリーティアの実の兄であるヨハン=セントレイルが団長を務める、五番区序列一位の探索者組織である。
・ヨハンは上位区へ進むための力を求め、強大な呪いの武器(色銘の装備)に異常な執着を見せている。
・目的のためには初期からの仲間や肉親の感情すら切り捨てる冷徹な実力至上主義を敷いている。
・かつてエリーティアの親友であるルウリィが赫灼たる猿侯に捕らわれた際も、打算的な計算から救助を放棄した。
2. フォレストダイナーでの遭遇と宣戦布告
第8巻において、アリヒトたちは五番区のフォレストダイナーでヨハン率いる白夜旅団と遭遇する。
・ヨハンは猿侯への挑戦を無謀と断じ、エリーティアに与えた緋の帝剣(アンタレス)を回収しようと要求した。
・しかし、アリヒトと五十嵐キョウカはそれに立ち塞がる。
・エリーティアがかけがえのない仲間であること、そして自分たちでルウリィを救出し猿侯を討伐することを強く宣言した。
・この対峙を通じて、パーティは猿侯討伐への覚悟をより強固なものにした。
3. 夕闇歩きの湖畔での一時的な共闘
第9巻では、次なる迷宮である夕闇歩きの湖畔の三層において、アリヒトたちはアニエスやソウガ、リンファといった白夜旅団のメンバーと再び対峙する。
・理不尽な力を持つ魔物である隻眼の愚視の罠により、両パーティは分断され、年齢が変化するというペナルティを受けてしまう。
・この極限状態を打開するため、アリヒトたちはアニエスたちと一時的な共闘関係を結んだ。
・お互いの力を合わせて困難を乗り越え、無事に合流を果たした。
4. 秘神の契約者と神戦への発展
白夜旅団との接触の中で、彼らもまた秘神と契約を交わした探索者であることが判明する。
・アリヒトはかつてアリアドネから、敵対する秘神に遭遇した時は無条件に戦わなくてはならない、と告げられていた。
・これにより、両パーティは神戦を避けて通れない運命にあることが明らかになる。
・さらにヨハンは、ギルドや管理部との会談において、神戦に勝利した際の報酬として秘神の心臓(動力となる部位)を求めるという、底知れぬ恐ろしい目的を宣言した。
まとめ
白夜旅団との対峙は、単なる探索者同士の縄張り争いに留まらず、迷宮国の根幹である秘神の秘密や、相容れない信念のぶつかり合いへと発展していく重要な要素となっている。実利のために仲間を切り捨てるヨハンと、絆を重んじて仲間を救おうとするアリヒトの対立は、やがて世界そのものを巻き込む神戦の火蓋を切る形となり、物語の緊迫感をより一層高めている。
赫灼たる猿侯討伐
『世界最強の後衛 ~迷宮国の新人探索者~』における「赫灼たる猿侯(猿王)」の討伐は、物語の大きな転換点であり、アリヒトのパーティが五番区で直面した最大の試練である。この討伐劇は、仲間との絆や協力者たちとの総力戦として描かれている。その背景と討伐への軌跡は以下の通りである。
1. 討伐の背景と因縁
赫灼たる猿侯は、五番区の五つ星迷宮である炎天の紅楼の二層以降を支配するレベル12の魔物である。
・探索者の首に「隷属印」を刻んで自らの眷属として操る「呪詛侵蝕」という悪辣な能力を持つ。
・エリーティアの親友である治癒師ルウリィも長年囚われていた。
・前哨戦で一度撤退を余儀なくされた際、仲間を逃がすために盾となったテレジアが呪詛を受けてしまう。
・完全に支配されるまで約6日という絶望的なタイムリミットを突きつけられたアリヒトたちは、ルウリィの救出とテレジアの呪詛解除という二つの目的のため、限られた時間の中で決戦の準備を進めた。
2. 解呪の絶対条件である「呪詛喰らい」の準備
ただ力押しで猿侯を倒すだけでは呪詛は永久に解けなくなる危険性があった。呪詛を確実に解くには、特殊な呪術具をベースにホーリーストーンを用いて作成される武器「呪詛喰らい」で術者を倒す必要があった。
・アリヒトたちは新たな迷宮である震える山麓でホーリーストーンを採掘する。
・ミストラル工房のセレスの協力を得て、シロネが残したヘブンスティレットを基盤とする★グロリアスティレット+6を完成させた。
・さらに、大型兵器であるクイーンズテイルを搭載した特製の荷車など、万全の装備を整えた。
3. 「第三の矢」作戦と業魔の戦人形との死闘
決戦では、ギルドセイバーのクーゼルカやホスロウたちの班が東西の砦に突入し、猿侯の影武者や操られた探索者を引きつける陽動を行った。
・その隙を突き、アリヒトたちはクイーンズテイルによる砲撃で城壁を破壊する。
・秘神パーツである銀の車輪アルフェッカの力で空を駆けて中央砦へと強行突入する「第三の矢」作戦を展開した。
・中央砦では、猿侯が捕らえた人形遣いの能力を利用して生み出したレベル15の怪物である★業魔の戦人形が立ちはだかった。
・圧倒的な暴力の前に危機に陥るが、エリーティアが格上にも弱点必中クリティカルを放てる瞬星眼を覚醒させる。
・アリヒトの支援連携やセラフィナの防御と組み合わせることで、戦人形を凍結、活動停止に追い込んだ。
4. ☆赫焉たる猿王への進化と決死の総力戦
配下や影武者が敗れたことを悟った猿侯は、彼らの魂魄を吸収して6本腕の☆赫焉たる猿王へと進化を遂げる。
・猿王が必中効果を持つ必殺の炎弾である王技・六獄炎掌を放とうとすると、アリヒトは全体相互支援を発動した。
・エリーティアの装備であるブリーシンガメンの炎熱保護効果をパーティ全体に拡張させてこれを完全に無効化する。
・その後、スズナの沈黙石を組み込んだ角笛でルウリィの回復行動を封じ、別班の仲間も加わった一斉攻撃を集中させた。
・追い詰められた猿王はルウリィたちを盾にして極大ビームである灰燼の閃光を放つ。
・しかし、セラフィナがプロヴォークで攻撃を引き付け、オルタネイトボディとフォギアの防御、さらにミサキがポットリミットでダメージを肩代わりすることで、辛うじて全員の致死を回避した。
5. 呪詛の打破と完全討伐
最後の切り札として、猿王は背信扇動を発動し、呪詛に侵されているテレジアを操って同士討ちさせようとする。
・しかし、決戦前に呪術医リーネがテレジアに施していた精神防壁1が仲間との強い信頼度によって絶対成功し、猿王の洗脳を見事に弾き返した。
・動脳する猿王に対し、アリヒトは支援攻撃3を発動してテレジアとエリーティアの攻撃を連携させる。
・エリーティアの蓄積された残紅の解放とともに、テレジアがグロリアスティレットを叩き込み、ついに呪詛喰らいが発動して猿王の完全討伐を成し遂げた。
・この常識外れの偉業により全ての眷属印が消滅し、ルウリィや操られていた探索者たち、そしてテレジアの呪詛も完全に解除された。
まとめ
赫灼たる猿侯(猿王)の討伐は、アリヒトたちのパーティが周到な準備と固い絆、そして数々の協力者との連携によって成し遂げた一大偉業である。絶望的なタイムリミットや敵の進化という危機を乗り越え、呪詛喰らいによる完全解呪とルウリィの救出に成功した。この劇的な勝利を経て、彼らはギルドから正式に「銀の車輪」の名で告示され、迷宮国における確固たる実力者として次のステージへ進むこととなる。
秘神の神戦予兆
『世界最強の後衛 ~迷宮国の新人探索者~』において、「秘神の神戦」に向けた予兆は、五番区での「白夜旅団」との接触や、迷宮国の上層部の動向を通じて不気味に描かれている。物語がより壮大な国家規模の抗争へとシフトしていく、その重要な予兆について解説する。
1. 避けられない神戦の宿命
アリヒトはかつて契約した秘神アリアドネから、我と敵対する秘神に遭遇した時は無条件に戦わなくてはならない、と告げられていた。
・五番区の序列一位である白夜旅団の団長ヨハンもまた、別の秘神と契約していることが判明する。
・これにより、アリヒトたちの銀の車輪と白夜旅団の間で、秘神の代理戦争ともいえる神戦の勃発が避けられない運命であることが明確になった。
2. 旅団の待ち伏せと審議会の介入
ヨハンは、秘神に選ばれたパーティを見分けるアイテムを所持しており、アリヒトたちが秘神の契約者であることに最初から気づいていた。
・彼が五番区に長期間留まり続けていた理由は、他の契約者パーティが現れるのを待ち構え、神戦の機会をうかがっていたためであることが示唆されている。
・また、この戦いは当人同士の単純な殺し合いではない。
・迷宮国を統括するギルド管理部、旧王室、神殿の代表者からなる最高機関である審議会によって、その内容が討議、決定される特殊な形式となることが告げられた。
・これにより、事件は一探索者同士の枠を超え、国家規模の事態に発展する予兆を見せている。
3. 白夜旅団側の秘神の異常
神戦の予兆の中でも特異なのが、相手側の秘神の不気味な沈黙である。
・通常、敵対する秘神同士が遭遇した際には、開戦前に念話による対話が可能となる。
・しかし、アリアドネからの呼びかけに対し、白夜旅団側の秘神との念話は全く成立しなかった。
・アリアドネはこれについて、相手側の秘神が念話もできないほどに機能を欠損している状態にある、と推測している。
・実際にヨハン自身も、自分たちの信仰する秘神は過去の理不尽な災害による事故によって聖域から動けなくなっている、と審議会で明かした。
4. 報酬としての秘神の心臓の要求
迷宮国の管理部に所属するユカリが、久しぶりの神戦。その時が来るのが待ち遠しいね、と語るなど、上層部もこの戦いを特異なイベントとして楽しむように注視している。
・さらに大きな予兆として、審議会に召喚されたヨハンは、神戦に勝利した際の報奨として秘神の心臓(動力となる部位)を要求した。
・ただの勝利や昇格を望むのではなく、神の心臓そのものを求めるヨハンの底知れぬ執着は、この神戦がこれまでの迷宮探索とは次元の違う波乱を巻き起こすことを強く予感させている。
まとめ
このように、五番区での白夜旅団との接触や審議会への召喚を経て、次なる大戦への布石が着々と打たれている。秘神アリアドネとの宿命、相手側の秘神の異常な欠損状態、そしてヨハンが求める秘神の心臓という不穏な要求は、単なるダンジョン攻略に留まらない、世界の根幹を揺るがす戦いが間近に迫っていることを示している。
銀の車輪の結成
『世界最強の後衛 ~迷宮国の新人探索者~』における「銀の車輪」の結成と命名の経緯は、物語の中でアリヒトたちが数々の試練を乗り越え、確固たる絆を築き上げた証として描かれている。その結成の経緯と影響について解説する。
1. パーティ名「銀の車輪」の決定と由来
五番区において、アリヒトたちのパーティは驚異的な昇格速度を見せていたが、正式なパーティ名を登録していなかった。しかし、赫灼たる猿侯(猿王)との決戦を前にして、ルイーザからの提案もあり、彼らはパーティ名を決めることになる。
・アリヒトが提案した名前が銀の車輪である。
・この名前には、これからずっと前に進んでいく、という意志が込められている。
・さらに、絶体絶命の危機から幾度も彼らを救った秘神アリアドネのパーツ(アーマメント)であり、銀の車輪の化身を名乗るアルフェッカの加護を受けているという意味も含まれている。
・この提案に仲間たちも賛同し、正式に決定された。
2. 猿王の討伐と案内人ユカリの予言
アリヒトたちは、五番区の五つ星迷宮である炎天の紅楼を長年支配していた猿侯を進化させた猿王を死闘の末に討伐する。
・従属させられていたエリーティアの親友ルウリィや他の探索者たちを救出するという偉業を成し遂げた。
・この戦いを密かに見守っていた案内人のユカリは、戦いの終結を見届けると、セレスたち支援者に対して、そろそろパーティの名前を決めたら?、と言い残す。
・彼女は、アリヒトたちが猿侯を倒したことで、五番区においてあの強大な白夜旅団を凌ぐほどの実力と目されるようになると予言していた。
3. 噂の広がりとエリーティアの名誉回復
猿侯が討伐されたという知らせは、文字通り五番区全域を揺るがす大事件となった。
・当初、街では、スーツの男が率いる、死の剣が所属するパーティが猿侯を倒した、という噂として広まっていた。
・事態を受けたギルドは、噂のままにしておくのではなく、直々に正式な発表を行う。
・これは、かつて呪いの武器に操られていたエリーティアの名誉を回復するためのものでもあった。
・ギルドは、エリーティアが完全に呪いから解放されており、無差別攻撃を行う危険人物ではないことを大々的に公表した。
4. 銀の車輪の公式な告示
そしてギルドは、猿王を討伐し、従属させられていた探索者たちを見事に救出したパーティの名前が、アリヒトたち自身によって登録された銀の車輪であると正式に告示する。
・数々の困難を乗り越え、迷宮国の常識を打ち破って仲間たちを救い出したアリヒトのパーティは、この日を境に銀の車輪として、その名を五番区全土に轟かせることになった。
まとめ
パーティ名「銀の車輪」の誕生は、これまでの彼らの歩みと確かな絆の証明であり、次なる区への進出に向けた大いなる飛躍の象徴となっている。秘神の加護と前に進む意志を宿したその名は、猿王討伐という偉業とエリーティアの名誉回復を経て公式に刻まれ、五番区の新たな最高峰として白夜旅団とも肩を並べる存在になったことを世に知らしめる結果となった。
世界最強の後衛8レビュー
世界最強の後衛まとめ
世界最強の後衛10レビュー
登場キャラクター
銀の車輪
アリヒト=アトベ
本作の主人公であり、パーティのリーダーを務める。元の世界では会社員をしていた。仲間たちの能力を極限まで引き出し、戦況を的確に把握して状況をコントロールする。
・所属組織、地位や役職
銀の車輪のリーダー。職業は後衛。
・物語内での具体的な行動や成果
猿侯討伐の指揮を執り、捕らわれていた探索者たちを救い出した。夕闇歩きの湖畔の三層で隻眼の愚視と遭遇し、仲間たちと連携して天秤を破壊することに成功する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
猿王討伐により五番区暫定貢献度ランキングで一位となった。四番区への昇格資格を得ている。
エリーティア・セントレイル
かつて白夜旅団に所属していた剣士で、パーティの主力である。親友のルウリィを救出するために白夜旅団を離脱した過去を持つ。アリヒトや仲間たちに深い信頼を寄せる。
・所属組織、地位や役職
銀の車輪のメンバー。職業はフローレスナイト。
・物語内での具体的な行動や成果
猿王討伐を果たし、ルウリィの救出を成功させた。夕闇歩きの湖畔でシュバルツと手合わせを行い、一本を取る。無慈悲なる葬送者再との戦いでは連続斬撃で敵を圧倒した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
猿侯討伐の噂が広まったことで、呪いの武器に操られていた過去の名誉を回復している。
テレジア
アリヒトが最初に契約した亜人の少女である。言葉を話せないが、身振りや表情で意思を伝える。アリヒトに深く懐いている。
・所属組織、地位や役職
銀の車輪のメンバー。職業はローグ。
・物語内での具体的な行動や成果
猿侯の呪詛から解放され、新たな技能を習得した。夕闇歩きの湖畔の三層では、罠感知を用いてリンファが仕掛けた罠を無効化する。無慈悲なる葬送者再の攻撃を回避し、分身による反撃を成功させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
新しい特殊技能や上位の回避技能を取得し、戦闘での貢献度をさらに高めている。
五十嵐鏡花
元の世界におけるアリヒトの上司である。前衛として戦いながら魔法攻撃も行う。
・所属組織、地位や役職
銀の車輪のメンバー。職業はヴァルキリー。
・物語内での具体的な行動や成果
夕闇歩きの湖畔の三層において、隻眼の愚視が呼び出した天秤を破壊するため、士気解放を用いてパーティ全体を強化した。無慈悲なる葬送者再との戦闘でも魔法で敵を攻撃する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
新しい技能として鳥を使役する鷹匠などを取得できるようになった。
白宮珠洲菜
控えめな性格だが、仲間を助けるために力を尽くす。秘神アリアドネをその身に降ろす役割も担う。
・所属組織、地位や役職
銀の車輪のメンバー。職業は巫女。
・物語内での具体的な行動や成果
水蛇が降らせた雨による状態異常を、水垢離を用いて解除した。霊媒を発動させ、アリアドネの言葉をアリヒトたちに伝える。無慈悲なる葬送者再との戦闘では、揺蕩う時の音で敵の動きを鈍らせた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
新たに式神術などの取得可能な技能が提示されている。
仁藤美咲
明るい性格で、パーティの空気を和ませる役割を持つ。
・所属組織、地位や役職
銀の車輪のメンバー。職業はギャンブラー。
・物語内での具体的な行動や成果
水蛇から突進された際、分身を作り出して攻撃を回避し、パーティの危機を救った。アイスレムナントの攻撃を受けた時も同様の技で回避を成功させる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
エンターテイナーという職業に関連する基礎技能を取得し、新しい装備を扱えるようになった。
シオン
アリヒトたちに同行し、前衛として仲間の盾となる。
・所属組織、地位や役職
銀の車輪のメンバー。種族はシルバーハウンド。
・物語内での具体的な行動や成果
三面の呪われし泥巨人再との戦闘で、新しい技能を用いて炎属性の連続攻撃を加えた。ストラダを救出する際にも機動力を活かして前線へ踏み込む。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
レベルが上がり、より強力な多段攻撃技能を使用できるようになった。
セラフィナ・エーデルベルト
ストイックな性格で、真面目に任務に取り組む。パーティの前衛で強力な壁役を務める。
・所属組織、地位や役職
銀の車輪のゲストメンバー。ギルドセイバー中尉。
・物語内での具体的な行動や成果
水蛇の突進を盾で受け止めて受け流した。三面の呪われし泥巨人再の攻撃からソウガを守る。隻眼の愚視が放った光線を反射し、敵へ命中させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
猿王討伐の功績が評価され、ギルドセイバーの大尉へ昇進することが決まった。
メリッサ・ライカートン
フェリスとライカートンの娘にあたる。今回は街に残り、魔物の素材解体を進める道を選んだ。
・所属組織、地位や役職
銀の車輪の待機メンバー。職業は解体屋。
・物語内での具体的な行動や成果
猿侯討伐後、得られた素材や魔物の体を収納する役割を担った。深夜にアリヒトの寝顔を見守るため、静隠の技能を用いて寝室へ侵入する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
レベルが9に上がり、戦闘や解体の能力が向上している。
篠乃木円
内気な性格だが、自分の役割に責任を持つ。
・所属組織、地位や役職
銀の車輪の待機メンバー。職業は商人。
・物語内での具体的な行動や成果
炎天の紅楼での戦闘後、荷車を操作して戦利品の運搬を手配した。マッケインの工房で荷車のメンテナンスと改造についての交渉に参加する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
レベルが7に上がり、新たに魔法薬作成の技能を取得した。
ルイーザ
彼らの功績を高く評価し、事務的な手続きを補佐する。
・所属組織、地位や役職
銀の車輪の待機メンバー。ギルドの受付嬢。
・物語内での具体的な行動や成果
猿侯討伐後の貢献度を集計し、五番区暫定一位となったことをアリヒトたちに伝えた。白夜旅団との会談のためにギルドセイバーへ連絡を取る役目を引き受ける。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アリヒトたちのパーティ名登録を促し、銀の車輪という名前が決まるきっかけを作った。
マリア=ミラーズ
落ち着いた態度で職務を遂行する。アリヒトから勧誘され、正式にパーティの専属となった。
・所属組織、地位や役職
銀の車輪の待機メンバー。職業は料理人。
・物語内での具体的な行動や成果
料理店でアリヒトたちに能力上昇効果を持つコース料理を振る舞った。アリヒトから預かっていた腕輪を返却され、専属支援者としての契約を結ぶ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
銀の車輪の専属料理人として迎え入れられ、日々の食事と能力向上のための料理を提供する立場に就いた。
ルウリィ=リースリング
かつて白夜旅団に所属していたが、魔物に捕らわれていた。エリーティアの親友である。
・所属組織、地位や役職
白夜旅団に籍を残しているが、銀の車輪に保護されている。職業は治癒師。
・物語内での具体的な行動や成果
猿侯討伐によって救出され、医療所で治療を受けた。意識を取り戻した後、重傷を負ったストラダの治療を行う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
呪詛から解放されたが、白夜旅団からの移籍手続きはまだ完了していない。
白夜旅団
ヨハン=セントレイル
冷徹な実力主義者として行動する。五番区に留まり続けている。
・所属組織、地位や役職
白夜旅団の団長。職業は元法務官(現在は詳細不明)。
・物語内での具体的な行動や成果
審議会に召喚され、神戦の報酬として秘神の心臓を要求した。アリヒトが見た未来視の幻の中で、翼を持つ存在に敗北する姿が描かれる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
自身が契約する秘神が事故により聖域から動けない状態にあると明かした。
アニエス=フィーエ
エリーティアとは親しい関係にあった。冷静に状況を判断する。
・所属組織、地位や役職
白夜旅団の副団長。
・物語内での具体的な行動や成果
夕闇歩きの湖畔の二層でアリヒトたちに接触し、白夜旅団が秘神の契約者であることを告げた。三層で仲間と分断された後、アリヒトと共闘してジャガーノート再を討伐する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
紫皇の螺旋杖を使用し、一時的に性格が変化する蠱惑状態に陥ったが、アリヒトの支援で理性を取り戻した。
ソウガ
ヨハンに心酔しており、気が荒い性格を持つ。
・所属組織、地位や役職
白夜旅団のメンバー。
・物語内での具体的な行動や成果
夕闇歩きの湖畔でシュバルツと手合わせを行った。三面の呪われし泥巨人再との戦いでは、拘束を自力で解除し、敵の脚を破壊して討伐に貢献する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
隻眼の愚視の攻撃で激昂状態になったが、ルチアの歌によって回復している。
リンファ
手裏剣などの暗器を扱い、罠を仕掛けることを得意とする。
・所属組織、地位や役職
白夜旅団のメンバー。
・物語内での具体的な行動や成果
夕闇歩きの湖畔の二層に装備脱着装置の罠を仕掛けた。三層では無慈悲なる葬送者再と交戦し、アリヒトたちと合流後は邪妖再の影を消すために特殊な花火を使用する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
天秤への魔法攻撃によって若返りの現象を受けたが、その後に元の姿へ戻った。
カトリーヌ
外見は若々しく保たれている。パーティの指針を決める役割を持つ。
・所属組織、地位や役職
白夜旅団のメンバー。職業は占い師。
・物語内での具体的な行動や成果
三面の呪われし泥巨人再との戦いで雷撃のタロットを使用し、敵を攻撃した。占いによって過去に遭遇した魔物の位置を特定し、アリヒトたちと合流する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
天秤の現象によって若返り、小柄な少女のような姿になった。
ルチア
歌を用いて戦闘を補助する。
・所属組織、地位や役職
白夜旅団のメンバー。
・物語内での具体的な行動や成果
三面の呪われし泥巨人再との戦闘で水属性の歌を放ち、敵の弱点を突いた。隻眼の愚視との戦いでは、歌でソウガとリンファの激昂状態を解除する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ノイマンがオーバーヒート状態に陥った際、清水のせせらぎを発動して過熱を抑制した。
ノイマン
紳士的な態度を取り、防御や格闘術に長けている。
・所属組織、地位や役職
白夜旅団のメンバー。職業はSP。
・物語内での具体的な行動や成果
無慈悲なる葬送者再の攻撃からリンファを守り、装備を破壊されながらも致命傷を防いだ。深き水底の邪妖再に対しては、蓄積したダメージを攻撃力に変換して討伐する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
大技を使用した反動でオーバーヒート状態になったが、ルチアの補助で回復している。
ギルドセイバー
ディラン
アリヒトたちの功績を高く評価している。
・所属組織、地位や役職
ギルドセイバー司令部。三等竜佐。
・物語内での具体的な行動や成果
猿侯討伐の報告を受け、アリヒトたちの功績を保全するよう指示を出した。審議会に参加し、白夜旅団のヨハンから神戦の目的を聞き出す。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
上層部の意図を理解しながらも、自身の力が及ばなかった過去を悔やむ一面を見せた。
ナユタ
軍服をきっちりと着こなし、厳格な態度を持つ。
・所属組織、地位や役職
ギルドセイバー司令部。
・物語内での具体的な行動や成果
ディランに定時報告を行い、アリヒトを自身が見た中で最強の後衛だと評価した。猿侯討伐後には、砦の周辺に規制を敷く役割を担う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ヨハンを審議会の議場へ案内し、彼の真意に対して警戒心を抱いている。
クーゼルカ
ホスロウの上官であり、厳格な軍人として振る舞う。
・所属組織、地位や役職
ギルドセイバー。三等竜尉。
・物語内での具体的な行動や成果
猿侯討伐後、アリヒトたちに対して神戦の討議が行われることを伝えた。テレジアに対し、過去の拘束を謝罪しようとする。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アリヒトたちに仲間意識を持っていることを明かし、柔らかい表情を見せた。
ホスロウ
経験豊富な闘士であり、クーゼルカの部下として行動する。
・所属組織、地位や役職
ギルドセイバー。竜曹。
・物語内での具体的な行動や成果
猿王討伐に参加し、アリヒトの指揮能力を称賛した。白夜旅団が五番区に留まっていた理由について推測を語る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
クーゼルカを「お嬢」と呼び、彼女の態度の変化に驚きを示した。
アデリーヌ
気さくな性格で、冗談を交えた会話を好む。
・所属組織、地位や役職
ギルドセイバー。二等兵。
・物語内での具体的な行動や成果
猿王討伐の作戦に参加し、探索による状況把握に貢献した。貸し切り浴場ではセラフィナに同行し、賑やかな時間を過ごす。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
任務へ戻るようセラフィナに促され、足早に部隊へ帰還した。
ギルド管理部・医療機関
ユカリ
紫色の髪を持ち、神出鬼没な行動を取る。
・所属組織、地位や役職
ギルド管理部。
・物語内での具体的な行動や成果
ギルドセイバー司令部に現れ、白夜旅団と銀の車輪による神戦が行われることをディランに告げた。審議会でヨハンに対して秘神の事故について追及する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
審議会の議事を仕切る立場にあり、神戦の報酬として何が望まれるかを確認した。
ヤクモ
目の下にクマがあるが、鋭い眼光を持つ。日本からの転生者である。
・所属組織、地位や役職
ギルド直轄の医療機関。医師。
・物語内での具体的な行動や成果
救出されたルウリィを診察し、命に別状はないことをエリーティアたちに説明した。自分の名前を漢字で書き、同郷の者たちと交流する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
医療の道を選んだことに誇りを持ち、アリヒトたちの負傷者を治療する役割を果たした。
職人・商人・専属支援者
セレス
幼い外見をしているが、高度な魔法を操る。
・所属組織、地位や役職
魔法鍛冶工房。職業は宝石の魔女。
・物語内での具体的な行動や成果
夕闇歩きの湖畔の三層で、シオンに騎乗して戦闘に参加した。天秤を破壊するため、自ら制約を解除してフィロソフィアへ職業を変化させ、強力な魔法を放つ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
大人の姿へ変化し、同時詠唱回数を増やして魔法の威力を大幅に引き上げた。
シュタイナー
鎧の中に本人が隠れており、恥ずかしがり屋な性格である。
・所属組織、地位や役職
魔法鍛冶工房。職業は錬操術の使い手。
・物語内での具体的な行動や成果
セレスの同行に際してアリヒトへ彼女を頼むと伝えた。浴場では鎧を脱いだ姿を見られることを恐れて隠れる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
迷宮国の原住民であり、一族の秘伝の技術でリビングアーマーを操っていることが判明した。
マッケイン
ゴーグルと作業着を身につけている。
・所属組織、地位や役職
荷車工房の工房主。
・物語内での具体的な行動や成果
アリヒトたちが持ち込んだ荷車のメンテナンスを引き受けた。猿侯から得た灼煉鋼の加工は難しいと説明し、戦利品の剣を荷車の武装に組み込む提案を行う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アリヒトたちの武勇伝を聞いて感動し、荷車の改造に意欲を見せた。
ルカ・コルレオーネ
長身で武闘派の雰囲気を持ちながら、柔和な態度で接する。
・所属組織、地位や役職
ブティック・コルレオーネの店主。
・物語内での具体的な行動や成果
天の乙女の羽衣の素材が夕闇歩きの湖畔で発見されたという情報をアリヒトに提供した。宴の席ではアリヒトに酒を勧め、気さくな会話を交わす。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
銀の車輪のメンバーの衣服をサポートする役割を請け負った。
ファルマ
アリヒトを弟のように気遣う。
・所属組織、地位や役職
箱屋。
・物語内での具体的な行動や成果
アリヒトたちのために料理店『異邦人』を予約した。浴場ではマリアやルイーザに冗談を言いながら、なごやかな時間を過ごす。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
自身の夫であるヴァンダムが四番区にいることを明かし、アリヒトたちとの再会を楽しみにしている。
フェリス
言葉の代わりに鳴き声で意思を伝えるが、周囲にはその意図が伝わっている。
・所属組織、地位や役職
専属支援者。
・物語内での具体的な行動や成果
宴の席でメリッサにデザートを食べさせてもらい、照れる様子を見せた。浴場ではマリアやファルマと共に入浴し、アリヒトたちを見守る姿勢を示す。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
猿侯討伐に参戦し、無事に家族のもとへ帰還した。
ライカートン
酒に目がなく、家族を大切にしている。
・所属組織、地位や役職
専属支援者。
・物語内での具体的な行動や成果
宴の席で日本酒の話題に興味を示した。フェリスとメリッサの仲睦まじい姿を見て、感動して目元を拭う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特別な戦闘参加の描写はないが、家族を支える存在として描かれている。
その他の探索者・関係者
イヴリル
礼儀正しく、義理堅い性格を持つ。
・所属組織、地位や役職
探索者。
・物語内での具体的な行動や成果
猿侯討伐において共闘し、かつて厳しい言葉をかけたエリーティアに謝罪して和解した。人形遣いの女性の救出に尽力したアリヒトに深く感謝する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アリヒトたちへの恩返しとして、自分たちの過去についていつか話したいと申し出た。
ヴァイオラ
長い前髪で目を隠しており、無口だが忠誠心が強い。
・所属組織、地位や役職
探索者。
・物語内での具体的な行動や成果
猿王討伐に参加し、優れた鞭さばきで戦闘に貢献した。イヴリルと共にエリーティアとの和解の場に立ち会う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
イヴリルの傍に控える従者として行動を共にした。
人形遣いの女性
意識を失ったまま救出された。
・所属組織、地位や役職
元探索者。職業は人形遣い。
・物語内での具体的な行動や成果
猿侯に従属させられ、戦人形を操らされていた。アリヒトたちによって救出され、医療所へ運び込まれる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
長期にわたる呪詛の影響で回復には時間を要する状態にある。
リーネ
隠遁生活を送りつつ、アリヒトたちに助言を与える。
・所属組織、地位や役職
ウィッチドクター。
・物語内での具体的な行動や成果
夕闇歩きの湖畔の庵でアリヒトたちを迎え入れた。三層で起きる漂流という現象や、白夜旅団の動向について情報を提供する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
遠隔で対話ができる思念石を有償でアリヒトへ譲渡した。
シュバルツ
優れた剣技を持ち、リーネの技能によって動いている。
・所属組織、地位や役職
リーネの使役する傀儡。
・物語内での具体的な行動や成果
白夜旅団のソウガと交戦し、アリヒトの支援を受けて攻撃を防いだ。その後、エリーティアと手合わせを行い、彼女の実力を認めてルーンらしきものを渡す。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
エリーティアとの戦闘を通じて、心のような意志の存在を示唆した。
異邦人の店主夫婦
マリアの修行先であった。
・所属組織、地位や役職
料理店『異邦人』の店主。
・物語内での具体的な行動や成果
アリヒトたちに七大材料を使用したコース料理を提供した。マリアの成長を温かく見守る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アリヒトたちが料理の味に感動する様子を見て喜んだ。
秘神・神獣・使徒
アリアドネ
感情をあまり表に出さないが、契約者を支援する。
・所属組織、地位や役職
百十七番目の秘神。
・物語内での具体的な行動や成果
夕闇歩きの湖畔の三層で、白夜旅団側の秘神と念話が成立しなかったことを伝えた。戦闘の経過によりアルフェッカの召喚を承認する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
廃棄された秘神でありながら、スズナの霊媒を通じてアリヒトたちへ状況の解説を行った。
アルフェッカ
アリアドネのパーツであり、銀の車輪の化身である。
・所属組織、地位や役職
秘神のアーマメント。
・物語内での具体的な行動や成果
アリヒトとアニエスを乗せ、邪妖再の追撃から高速で離脱した。ストラダの救出後、アリヒトたちを乗せて三層の迷路を最速で駆け抜ける。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
アリヒトたちのパーティ名の由来となった。
ストラダ
白夜旅団が探し求めていた神獣である。兎の姿から人型へ変化する。
・所属組織、地位や役職
白夜旅団が信仰する秘神の眷属。
・物語内での具体的な行動や成果
隻眼の愚視に単身で挑んだが、ラザールの反撃を受けて重傷を負った。アリヒトたちの支援と救助を受け、迷宮から運び出されてルウリィの治療を受ける。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
白夜旅団に探されていた存在だが、彼らではなくアリヒトたちのパーティへ懐く様子を見せた。
ラザール
隻眼の愚視によって召喚された騎士である。左腕がないように見えるが、透明な腕と剣を持つ。
・所属組織、地位や役職
護衛の使徒。
・物語内での具体的な行動や成果
ストラダの攻撃を引き付けて無効化し、反撃で彼女に重傷を負わせた。アリヒトたちとの戦闘でも攻撃を防御し、見えない剣でソウガに斬撃を与える。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
血の聖痕を発動して愚視の傷を引き受け、甲冑が砕け散って送還された。
世界最強の後衛8レビュー
世界最強の後衛まとめ
世界最強の後衛10レビュー
展開まとめ
エリーティアの回想
客船の記憶と迷宮国
エリーティアは、客船の甲板でヨハンと話していた記憶を最後に、家族とともに迷宮国へ転生していた。父は経営者、母は秘書、ヨハンは法務官を選び、エリーティアだけが剣士を選んだが、戦いではヨハンが家族を引っ張っていた。
七番区での変化
ヨハンは七番区で魔物の脅威を感じ、一人で他のパーティに参加して経験を積むと告げた。一ヶ月後に戻ったヨハンは別人のように鋭くなり、仲間を増やして上を目指す方針を示したため、エリーティアは必死についていこうとしていた。
白夜旅団とルウリィ
ヨハンは実力者を集め、やがて白夜旅団を率いる団長となった。六番区で加わった治癒師ルウリィは、明るく親しみやすい少女であり、エリーティアにとって迷宮国で初めて親友と呼べる存在になった。
赫灼たる猿侯の罠
白夜旅団は、五番区で赫灼たる猿侯の罠にかかった。猿侯の眷属は治癒能力を持つルウリィを狙い、彼女を連れ去った。エリーティアは緋の帝剣の力を解放したが、魔猿を追い払うことしかできず、仲間も見失って逃げ出していた。
旅団との決別
エリーティアはヨハンにルウリィを助けなかった理由を問い詰めたが、ヨハンは彼女の不運だったと答えた。さらに緋の帝剣のリスクを理由に別行動を求められたため、エリーティアは旅団を離れ、ルウリィを助ける仲間を探すことにした。
死の剣の孤独
エリーティアは仲間を探したが、猿侯の危険性とベルセルクの呪いによって誰とも組めなかった。やがて死の剣と呼ばれるようになり、自分は一人でいるべきだと思いながらも、ルウリィを救うことだけは諦めなかった。
スズナとアリヒトのパーティ
エリーティアはスズナと出会い、彼女を通じてアリヒトたちと出会った。アリヒトはエリーティアの力を生かし、彼女に前衛として戦う意味を理解させた。エリーティアは、アリヒトのパーティを自分の居場所だと思うようになっていた。
猿侯討伐と新たな願い
エリーティアは一人で炎天の紅楼に入り、自分の驕りを思い知らされたが、アリヒトたちは彼女を見捨てなかった。多くの縁が集まり、猿侯を倒してルウリィを救えたことで、エリーティアは次にテレジアを人間に戻すことを大切な願いとして、仲間と共に進もうとしていた。
プロローグ
五番区上位ギルド ギルドセイバー司令部
猿侯討伐の報
五番区のギルドセイバー司令部で、ディラン三等竜佐は、アリヒトたちが炎天の紅楼二層を占拠していた赫灼たる猿侯を討伐したとの報告を受けた。猿侯に捕らえられていた探索者は救出され、猿侯の砦は討伐者の取得物が運び出され次第、解体されることになった。ディランは、アリヒトたちの功績を保全することを優先するよう命じた。
司令官の嫉妬
報告後、ディランはアリヒトたちの成果に驚きつつ、自身が探索者だった頃に同じことができたかを考えていた。そこへナユタが定時報告に訪れ、ディランがアリヒトに嫉妬しているのかと率直に問うた。ディランは半分はそうだと認め、猿侯が魔王化しても上層部は探索者に倒させたがると語った。
最強の後衛
ディランは、助けを求められた時に誰でも救える存在でなくてはならないと思いながら、自分は猿侯に捕らえられた者たちを助けられなかったと悔やんでいた。ナユタは、スタンピード鎮圧と今回の功績を踏まえ、アリヒトを自分が見た中で最強の後衛だと評した。ディランはその評価を受け、改めて妬けると感じた。
紫髪の来訪者
ディランが、アリヒトたちには立て続けに動いてもらうことになると口にしたところで、部屋の隅にユカリが現れた。ナユタは即座に膝をつき、忠誠を示した。ユカリは、白夜旅団とアリヒトたちのパーティが接触し、あれが行われることになったと告げた。
神戦の兆し
ディランはユカリの意図を理解し、鋭い視線を向けた。ユカリは楽しげに、久しぶりの神戦の時が来るのが待ち遠しいと語った。その後、時間はアリヒトたちが猿侯と進化後の赫焉たる猿王を倒した時点へ遡った。
第一章 一時の休息、戦いの報告
1 主なき砦
戦利品の回収
猿王は横たわり、戦人形は凍結して動きを止め、操られていた探索者たちの仮面は自然に外れていた。アリヒトは、戦人形や猿侯の素材、装備をすべて持ち帰るには多くの人手が必要だと考え、マドカは街の運送業者に護衛付きで依頼する必要があると判断した。
マドカへの感謝
マドカは戦闘に参加した後も落ち着いて手配を進めていた。アリヒトは今回本当に助かったと礼を述べ、ホスロウも、厳しい戦いに若いマドカを入れた判断に驚きつつ、その働きに感動していた。
イヴリルたちとの和解
イヴリルとヴァイオラは、猿侯に従属していた人形遣いを救えたことに深く感謝し、イヴリルはアリヒトに膝を突いて恩返しを申し出た。アリヒトは今回の戦いは共闘であり、感謝するのはこちらだと返した。
エリーティアとイヴリルの抱擁
イヴリルは以前エリーティアに厳しい言葉をかけたことを悔いていたが、エリーティアはその言葉が必要だったと受け止めていた。二人は互いの思いを認め合い、イヴリルはエリーティアを抱きしめた。ルウリィを救えたことで、二人の間にあったわだかまりはほどけていた。
ギルドセイバーからの評価
ホスロウとクーゼルカは、アリヒトがギルドセイバーを含む共闘部隊を事実上指揮して猿侯を討伐したことを高く評価した。ナユタも、ギルドがアリヒトの功績を確実に評価すると告げた。アリヒトはまだ新人の感覚を捨てきれず、仲間たちの称賛にも落ち着かない様子であった。
ユカリの来訪
砦の外に出ると、セレスがユカリの来訪を報告した。ユカリはアリヒトたちに今は会う必要はないと言って去っていた。セレスは、ユカリには気を許さないようにとアリヒトへ忠告した。
装備の相談
ルカは、猿侯のような強力な名前つきを倒したことを称賛し、支援者冥利に尽きると語った。ミサキは布を使った装備について相談し、ルカはブティック・コルレオーネにはレディース部門もあるため、いつでも頼んでよいと答えた。
白夜旅団の到着
二層に別のパーティが入ってきたと報告があり、アリヒトが鷹の眼で確認すると、そこには白夜旅団の副団長アニエスと、ソウガ、リンファたちがいた。白夜旅団は猿侯討伐に動かなかったため、アリヒトたちが猿侯を倒したことを受け入れがたい様子であった。
アニエスとの対話
アニエスはエリーティアに、猿侯を討伐したのかと尋ねた。エリーティアはルウリィが無事に生きていたことを伝え、今はそっとしておいてほしいと告げた。アリヒトも、仲間を動揺させる話なら打ち切ると前に出た。
緋の帝剣と秘神
リンファは、エリーティアが緋の帝剣を使いこなせたなら旅団に戻ってもらわなければ困ると語った。アニエスは、色銘武器は呪いを解いた者に特異な力を与える武器であり、白夜旅団も二つ所有していると明かした。さらに白夜旅団が秘神の加護を受ける契約者であることも告げた。
神戦の予兆
アニエスは、ヨハンがアリヒトたちも秘神の契約者であると気づいていたことを明かした。秘神同士は競争関係にあり、遭遇時に神戦が行われる可能性があった。エリーティアは、ヨハンの勝手な都合で自分たちが立ち止まるわけにはいかないと反発した。
ルウリィを巡る対立
アニエスは、ルウリィにはまだ白夜旅団の籍が残っており、契約の期限も切れていないと伝えた。アリヒトは、ルウリィの無事が保証されていなかった以上、彼女を簡単に渡す判断はできないと拒んだ。アニエスは、それが旅団との対立につながる可能性を示した。
エリーティアの宣言
アニエスたちは一度引き下がることになった。エリーティアはアニエスに、ソウガへ自分をエリーと呼んでよいのは仲間だけだと伝えるよう頼み、さらにヨハンへ自分たちは負けないと伝えてほしいと告げた。アニエスは善処すると答え、エリーティアに元気でと別れを告げた。
帰還への準備
ホスロウとクーゼルカは本部への出頭命令を受け、ナユタと共に報告へ向かうことになった。アリヒトたちは、ルウリィや人形遣い、解放された探索者たちを医療所に運ぶことを優先することにした。疲労してふらついたテレジアを支えながら、アリヒトはまず街に戻って休む必要があると考えた。
2 癒やしの時間
無事の帰還
アリヒトたちは『炎天の紅楼』を抜けて迷宮の外へ戻った。外で待っていたルイーザは彼らの無事を喜び、事前に手配していた医療所へ救出者たちを搬送することになった。
協力者たちとの別れ
アデリーヌは任務へ戻ることになり、今回の共闘で役立てたことへの喜びを語った。セラフィナは彼女をたしなめながらも、その働きを認めていた。仲間たちは軽口を交えながら戦いを終えた安堵を分かち合っていた。
ルウリィの診察
ルウリィは医療所へ運ばれ、アリヒトとエリーティアは主治医であるヤクモから説明を受けた。猿侯の呪詛による支配は解除されていたが、長期間意思を奪われていた影響で回復には時間が必要だと告げられた。一方で命に別状はなく、今後の回復も見込めると説明され、エリーティアは安堵した。
ヤクモとの対話
ヤクモは自身も日本からの転生者であることを明かした。そして、この世界でも医師として生きる道を選んだことへの思いを語った。アリヒトは、医療所の存在によって仲間を安心して任せられることへの感謝を伝えた。
ルウリィへの想い
診察後、エリーティアはルウリィの傍にいたい気持ちと、仲間たちと共に戦いたい気持ちの両方を抱えていることを打ち明けた。アリヒトは彼女の勇敢さを称賛し、エリーティアは仲間たちがいるからこそ力を発揮できるのだと答えた。
白夜旅団への不安
二人は白夜旅団との対話を振り返った。エリーティアは、兄ヨハンとアニエスの会話を以前に耳にしたことがあると切り出そうとしたが、その話は途中で中断された。秘神の契約者同士が将来対立する可能性についても不安を抱えていた。
テレジアの治療結果
治療を終えたテレジアは診断書を持って現れた。肋骨などにひびが入る重傷だったものの治療は済んでおり、しばらく安静が必要な状態だった。アリヒトは無理をしないよう言い聞かせ、テレジアを気遣った。
イヴリルの願い
イヴリルは『人形遣い』の治療方針が決まったことを報告した。長期間瘴気にさらされた影響で回復には時間がかかるものの、いずれ目を覚ます見込みであった。イヴリルは、いつか自分たちの過去を話したいと申し出た。アリヒトは、その準備ができた時に聞かせてほしいと応じた。
待合室での休息
待合室では仲間たちが疲労のため眠っていた。アリヒトの支援回復によってテレジアやエリーティアの体力は回復していたが、全員が激戦の疲れを抱えていた。アリヒトはテレジアの回復を優先し、しばらくは自分が支えることを決めた。
夕食への移動
仲間たちは休息を終え、夕食へ向かう準備を始めた。テレジアを抱えているアリヒトの姿を見たルイーザは、後衛でありながら鍛えられた身体に感心していた。戦いを終えた一行は、それぞれの疲労を抱えながらも次の時間へ向かって歩き出した。
3 歓待の宴
料理人との再会
アリヒトたちはファルマが手配した料理店『異邦人』を訪れた。そこでは以前から交流のあったマリアが待っており、自身が修行した店として一行を案内した。店では魔物肉を避けた料理が用意され、シオンにも専用の食事が準備されていた。
至高のスープ
最初に供された『山水五宝のスープ』を口にした一同は、その味に感嘆した。マリアは七大材料のうち五種類を用いていると説明し、皆は普段味わえない料理を堪能した。テレジアも珍しくゆっくりと味わいながら食事を楽しんでいた。
魚料理への感動
続いて五番区で獲れる白身魚のポワレが運ばれた。アデリーヌは料理の美味しさに感激し、セラフィナと会話を交わした。アリヒトたちは次々に運ばれる料理を味わいながら、戦いを終えた安堵を感じていた。
ヘラジカのグリル
三品目として『翻弄のヘラジカ』のグリルが供された。引き締まった肉質でありながら柔らかく調理された料理は、一同をさらに驚かせた。エリーティアやスズナも笑顔を見せ、食事の時間は和やかに進んでいった。
祝宴の酒席
料理に合わせて酒も運ばれ、日本酒『迷宮ノ月』の話題で盛り上がった。杜氏の職業によって作られた酒だと説明され、酒好きの面々は興味を示した。ファルマは四番区にいる夫ヴァンダムについて語り、仲間たちは談笑しながら祝宴を楽しんだ。
デザートの時間
食事の締めくくりとして三種類のデザートが用意された。アリヒトはブランマンジェを選び、テレジアには三種類すべてが提供された。テレジアは嬉しそうにデザートを味わい、仲間たちもそれぞれ甘味を堪能した。
和やかな団らん
デザートを囲む中で、仲間たちは自然と笑顔を見せた。セレスとファルマのやり取りや、フェリスがメリッサにデザートを食べさせる姿に周囲も和み、ライカートンやルカもその光景に心を動かされていた。激戦を終えた一行は、美味しい料理と穏やかな時間を分かち合いながら英気を養った。
4 戦果/落ち着かない夜
討伐成果の確認
宿舎へ戻ったアリヒトたちは、ルイーザに『炎天の紅楼』での探索結果を報告した。『猿侯』や『戦人形』の撃破、探索者の救助、多数のレベル上昇によって莫大な貢献度を獲得し、五番区の暫定貢献度ランキング一位となっていた。ルイーザもその成果に感嘆し、共闘ボーナスが加算されていなくても圧倒的な結果であると評価した。
昇格への道筋
アリヒトは四番区への昇格資格について確認した。ルイーザは十分な資格があると認めつつも、多くの仲間が四番区の適正レベルに達していないことを指摘した。しかし五番区ギルドから正式な活動許可が下りており、審議会も『白夜旅団』が昇格試験を受けずに滞在している現状に疑問を抱いているため、昇格に向けた動きが進む可能性を説明した。
白夜旅団への考察
アリヒトはエリーティアから聞いた話やアニエスの言動を踏まえ、『白夜旅団』と秘神の関係について語った。ルイーザは秘神との契約者には特殊な傾向があり、『白夜旅団』の行動にもその影響があるのではないかと考えた。アリヒトも色銘武器の収集や旅団の行動に秘神が関係している可能性を感じながらも、確証は得られていなかった。
会談への決意
アリヒトは『白夜旅団』と改めて話し合う必要があると考えていた。ルウリィの返還要求やエリーティアの剣の問題について譲歩するつもりはなく、その上で双方が納得できる形を模索していた。ルイーザはギルドセイバーを交えた会談を提案し、アリヒトもその案に賛同したため、ナユタへの連絡を依頼した。
ルイーザの願い
話し合いの途中、ルイーザはアリヒトに一つお願いがあると告げた。しかし内容はまだ明かさず、後日に持ち越した。アリヒトはその真意を測りかねながらも了承した。
パーティ名の提案
続いてルイーザは、五番区まで到達しながらパーティ名を持たないことが珍しいと伝えた。他の有力パーティの例を挙げながら登録を勧めると、アリヒトはアリアドネの言葉やアルフェッカの力を思い返した。そして誰も欠けることなく進み続けたいという思いを胸に、まずは仲間たちと相談して決めることにした。
仲間たちの待つ部屋へ
アリヒトは仲間たちの意見を聞くため寝室へ向かった。部屋の中では休息中だった仲間たちが慌てて応じ、賑やかな声が飛び交った。出迎えたテレジアはアリヒトの顔を見るとすぐに身を引き、どこか以前とは違う様子を見せた。アリヒトはその変化に戸惑いながらも、仲間たちのもとへ足を踏み入れた。
第二章 料理人との約束
1 命名/大浴場
パーティ名の決定
アリヒトは仲間たちにパーティ名を正式に決めたいと相談した。ミサキが冗談交じりの案を出す中、アリヒトはアリアドネの加護と前へ進み続ける意思を込めて『銀の車輪』という名称を提案した。スズナはアルフェッカとアリアドネの関係からその名に賛同し、仲間たちも好意的に受け入れたため、パーティ名は『銀の車輪』に決定した。
入浴の誘い
パーティ名が決まった直後、ルイーザたちが部屋を訪れ、一同は貸し切り浴場へ向かうことになった。フェリスとメリッサのやり取りや雑談で盛り上がる中、女性陣はアリヒトも一緒に入浴する流れを作っていった。貸し切り浴場では湯浴み着の着用は女性のみであり、アリヒトは戸惑いながらも入浴することになった。
浴場での交流
浴場では女性陣が談笑を続け、互いのことを語り合っていた。アリヒトはできるだけ意識しないよう努めていたが、テレジアの姿が見当たらないことに気づく。無意識に技能を発動したことで居場所を把握すると、テレジアは浴槽の中から姿を現し、アリヒトのもとへやって来た。
テレジアの献身
テレジアはアリヒトを洗い場へ座らせ、自ら背中や腕を洗い始めた。女性陣はその様子を見守りながら反応を交わし、テレジアの行動を理解しようとしていた。アリヒトは戸惑いながらも彼女の気持ちを無下にできず、できるだけ落ち着いて応じていた。
仲間たちの参加
テレジアの姿を見ていたミサキ、スズナ、エリーティアも勇気を出してアリヒトのもとへやって来た。三人は背中を流してほしいと頼み、アリヒトはそれに応じた。さらに周囲の仲間たちもそれぞれの思いを語りながら交流を深め、浴場は賑やかな時間となった。
セラフィナたちとの触れ合い
アデリーヌに促されたセラフィナもアリヒトに背中を流してもらうことになった。ルイーザや五十嵐も後に続き、一同は普段の探索では見せない距離感で交流した。アリヒトは戸惑いながらも仲間たちの信頼に応えようとしていた。
マリアとの再会
入浴後、アリヒトは大浴場の外にある公園でマリアと再会した。マリアは自身がかつて探索者だったこと、六番区で限界を迎えて支援者へ転向したことを語った。また、かつての仲間たちとの繋がりを今も大切にしていることを明かした。
専属支援者への勧誘
アリヒトは『猿侯』討伐前に預かっていた腕輪をマリアへ返した。そして以前から伝えていた専属支援者への勧誘を改めて申し出た。マリアは無事に戻った腕輪を受け取って安堵し、アリヒトたちの帰りを待ち続けたいと告げたため、アリヒトは正式に専属になってほしいと頼んだ。マリアはそれを受け入れ、料理人マリア=ミラーズとして今後も共に歩むことになった。
新たな仲間との語らい
その後、仲間たちも公園へ集まり、マリアへ自己紹介を行った。『猿王』や『戦人形』の素材の扱いについて意見を交わし、倉庫の管理や今後の装備作成についても話し合った。また、新たに決まったパーティ名『銀の車輪』の由来をマリアに説明し、一同は今後の活動へ思いを馳せた。
五番区での新たな始まり
『白夜旅団』との会談はまだ先となるものの、五番区でやるべきことは多く残されていた。アリヒトは仲間たちや新たに加わったマリアと共に、一つずつ課題をこなしていこうと考えていた。
2 間合い/新たな技能賞
同室での夜
宿舎へ戻ったアリヒトは、疲労を考慮されて新たな部屋を割り当てられた。ルイーザの手配に感謝していると、専属支援者となったマリアが訪れた。支援者用の部屋が満室だったため同室となり、アリヒトはテレジアと共に彼女を迎え入れた。
新たな技能の出現
マリアが風呂を借りている間、アリヒトはテレジアの技能を確認した。『猿侯』の呪詛が解かれたことで新たな技能が取得可能になっており、テレジアは『アクセルゴースト』と『罠感知2』の取得を勧めた。アリヒトはその意見を受け入れ、二つの技能を習得させた。
支援者の知識
お茶を用意したマリアは、技能選択について相談してほしいと申し出た。アリヒトもまた探索や技能の話題を続け、支援者のレベル維持方法について質問した。マリアは訓練探索や貢献によってレベル低下を防ぐ仕組みを説明し、探索者以外の人々が各区で生活する事情についても語った。
ミサキの技能相談
その後、ミサキとスズナが部屋着姿で訪れた。アリヒトはまずミサキの新たな技能を確認し、『ラッキーセブン2』や『キャリーオーバー』の性能について検討した。特に『エンターテイナー』については対象となる職業が不明だったため、保留してギルドへ相談する方針を決めた。
スズナの技能相談
続いてスズナの技能を確認すると、『霊験』『式神術1』『舞踊の心得1』が新たに選択肢として現れていた。式神術や霊験はいずれも有用そうだったが決め手に欠けたため、舞踊系装備が手に入った場合の可能性も考慮しつつ、こちらも保留とすることになった。
マリアの胸中
一方でマリアは入浴しながら、自身の心境を振り返っていた。かつて探索者として活動していた頃の記憶や、アリヒトたちとの出会いを思い返し、自分が専属支援者になる決断をしたことに戸惑いを覚えていた。それでも無事に帰還した彼らを心から喜び、自分でも気づかぬうちに心が動いていることを自覚していた。
休息を巡るやり取り
技能相談を終えた後、マリアが風呂から戻ってきた。テレジアは彼女の着衣を整えて気遣いを見せたが、アリヒトとマリアは互いに謝り合う形になった。さらにアリヒトが自分はソファで寝るつもりだと告げると、マリアは探索者であるアリヒトこそ休息を優先すべきだと厳しく諭した。アリヒトはその指摘を受け入れ、自らの配慮不足を反省した。
次の確認へ
マリアが身支度を整えている間、テレジアはアリヒトにライセンスを見るよう促した。アリヒトは自分の新しい技能についても確認する必要があると考え、テレジアと共に次の技能確認を始めようとしていた。ちょうどその頃、就寝着に着替えたマリアも戻ってきた。
3 新たな技能・2/夢うつつの後衛
新たな技能の確認
アリヒトはハーブティを飲みながら、自身のライセンスに表示された新たな技能を確認した。詳細不明の特殊技能や強力なスキルが追加されていたが、『猿王』との戦闘中にスキルポイントを消費していたため、現時点では取得できなかった。テレジアも隣で内容を見守りながら、アリヒトと共に技能を確認していた。
素材の活用を相談
技能の話題から、アリヒトは『猿王』の素材についてマリアに相談した。マリアは『王』と名の付く魔物には討伐後に特殊な変化が起きると説明し、メリッサと共に調査したいと申し出た。さらに過去には希少な魔物や果実を用いた料理によってスキルポイントが上昇した記録もあると語り、自身の技術で素材の効果を最大限に引き出すことを約束した。
専属契約の条件
アリヒトは専属支援者となったマリアへの報酬について話し合った。高額な契約金や給料を提示したが、マリアは過度な待遇を望まず、平均的な給与で十分だと答えた。一方で魔道具職人が製作した希少な調理器具に興味を示し、アリヒトはそれが出品された際には協力すると約束した。マリアは恐縮しながらも感謝し、将来的に自身の技能についても相談したいと申し出た。
魔力回復の支援
会話の中でアリヒトはマリアの魔力が減少していることに気づいた。料理技能の使用による消耗だと分かると、『アシストチャージ』を使って魔力を回復させた。マリアは瞬時に回復したことに驚き、感謝を伝えた。
就寝場所の決定
その後、三人は寝床について相談した。アリヒトとマリアは互いにベッドを譲ろうとして譲らず、最終的にアリヒトが即席で作ったあみだ籤によって決着をつけた。結果としてマリアが一人用のベッドを使い、アリヒトは二段ベッドの下段、テレジアは上段で休むことになった。
眠れないマリア
夜になり、マリアはベッドに入ったものの眠れずにいた。アリヒトが同じ部屋にいることを意識しているのではないかと考えながらも、その気持ちを否定しきれなかった。アリヒトの支援回復によって体力が回復していることにも気づかぬまま、眠れない時間を過ごしていた。
深夜の来訪者たち
そこへ気配を消したメリッサが寝室に現れた。さらにミサキ、スズナ、キョウカ、セラフィナ、エリーティアも集まり、眠るアリヒトの様子を見守り始めた。誰もアリヒトを起こそうとはせず、それぞれが彼への感謝や親しみを静かに示していた。
エリーティアの膝枕
やがてエリーティアは静隠の効果を借りてアリヒトの頭を自分の膝に乗せた。アリヒトは目を覚まさず、エリーティアは安らかな表情を浮かべた。その様子を見た仲間たちは微笑み合い、マリアも彼女たちの深い信頼関係を感じ取っていた。
それぞれの想い
キョウカはアリヒトの手を握り、胸元に抱くようにして静かに気持ちを示した。セラフィナは別の形で関わる方が自分らしいと語り、他の仲間たちもそれぞれの距離感でアリヒトへの思いを共有していた。マリアはその光景を見守りながら、彼らが単なる仲間以上の強い絆で結ばれていることを実感していた。
朝の目覚め
翌朝、アリヒトは奇妙な夢から目を覚ました。そして背後に人の気配を感じて振り返ると、テレジアが眠ったまま隣に入り込んでいた。さらにマリアの存在を思い出して慌てたが、彼女は眠っているようだった。
静かな朝のひととき
起き上がろうとしたアリヒトだったが、寝ぼけたテレジアに服を掴まれた。動きを止めると今度は胸に手を置かれ、安心したように眠り続けた。アリヒトはこの状況をどう収めるべきか悩みながらも、幸せそうに眠るテレジアを見て、しばらくそのままでいることにしたのであった。
第三章 支援者たちとの打ち合わせ
1 荷車工房にて/職業の定義
マリアの朝食と街での予定
マリアは朝になると食事の準備を整え、アリヒトたちや支援者たちの朝食を用意した。その後、アリヒトはマドカと荷車のメンテナンスに向かい、ルカとも話す予定を立てた。ルウリィについては、エリーティアが先に医療所へ行き、状況を確認することになっていた。
マドカが感じた仲間たちの変化
マドカは、朝食の席で仲間たちがそわそわしていたことをアリヒトに話した。アリヒトは誕生日や神戦への緊張を思い浮かべたが、マドカは皆がアリヒトを見る目がいつもより優しいと感じていた。テレジアも普段より距離を取りながらも元気そうで、昨夜の出来事を意識している様子だった。
荷車と灼煉鋼の相談
アリヒトたちはマッケインの工房を訪れ、炎天の紅楼で活躍した荷車のメンテナンスを依頼した。さらに、猿侯が使っていたヘルテクト鋼を見せると、マッケインはそれが灼煉鋼とも呼ばれる高位の金属で、五番区の職人では加工が難しい素材だと説明した。
職人としてのマッケイン
マッケインは、高いレベルの職人ほど高度な技能を得られることを語った。自身は荷車職人として五番区で仕事を請け負っているが、灼煉鋼をすぐ扱えないことを歯痒く思っていた。アリヒトが荷車の出来を称えると、マッケインは感激し、炎天の紅楼での戦いを聞かせてほしいと応じた。
戦人形の剣と荷車の武装案
ルカも工房に現れ、アリヒトたちは戦人形が残した巨大な星付きの剣二本を荷車に活用できないか相談した。マッケインは、弩砲や破城槌のような追加パーツにする案を出し、アリヒトはマドカの安全を考えて遠距離武器として使える形を望んだ。マドカは戦利品の運搬もその場で手配した。
ルカが掴んだ羽衣修復の手がかり
アリヒトたちはルカと店に移り、天の乙女の羽衣の修復について話した。ルカは、猿侯から解放された踊り子の装備に、羽衣と同じ素材が使われていたことを知ったという。その素材は夕闇歩きの湖畔で見つかったものらしく、ルカは手がかりを書いたメモをアリヒトに渡した。
資料館で見つけたミサキの技能候補
アリヒトたちは資料館で調べ物を行い、ミサキの技能エンターテイナーが、歌手や役者、アイドル、演奏家、奇術師などの職業に関わるものだと知った。これにより、ミサキが以前試着をためらっていた装備を扱える可能性が出たため、彼女は報酬として休暇にアリヒトと遊ぶことを希望した。
神戦への不安とミサキの決断
アリヒトたちは白夜旅団との神戦がどのような形になるのか分からず、アリアドネと話す必要を感じた。しかしアリアドネからは反応がなく、アリヒトは彼女が何かに悩んでいるような感覚を覚えた。その中でミサキはエンターテイナーを取得し、マジシャンとして装備を試す覚悟を決めた。
2 旅団の動向/特別参戦
白夜旅団との遭遇
資料館を後にしたアリヒトたちは弁当を持って食事場所を探した。その途中で白夜旅団の一行を見かけ、神戦に向けて待機しているわけではないことを知った。アリヒトは旅団長と会う必要性を感じる一方、神戦自体が必ず行われるものなのか疑問を抱いていた。
弁当を囲むひととき
マリアが用意した弁当を皆で味わった。クロワッサンサンドや調味料の工夫に感心しながら食事を楽しみ、ミサキはピクニックのようだと語った。家族の話題からミサキがアリヒトと仲間たちを家族に例えて場を和ませた。
マドカの技能選択
食事を終えた後、アリヒトたちはマドカの新たな技能について相談した。インベントリー2やマネタイズ、ブラックマーケットなどの技能が候補に挙がる中、装飾品作成の話題からマドカは転生前にアクセサリー作りをしていた思い出を語った。皆に励まされたマドカは装飾品作成を将来の選択肢として残し、魔法薬作成1を取得することに決めた。
工房での訓練後の合流
工房へ戻ると、五十嵐やセラフィナたちが訓練を終えて集まっていた。五十嵐は高レベルの仲間たちとの訓練に苦戦しながらも成果を得ており、アリヒトはアシストチャージで彼女の魔力を回復した。
魔法薬の完成
セレスはマドカが作った最初のマナポーションを持参した。アリヒトがそれを使用すると、自身だけでなくパーティ全体の魔力も回復した。魔法薬作成の有用性が早速証明され、今後の探索に役立つ可能性が示された。
白い箱への期待
その後、シュタイナーがセレスの希望を伝えた。セレスは自身のレベルを上げることで、七番区で発見された白い箱を開けられる可能性があるため、探索への同行を望んでいた。アリヒトは白い箱を長期間放置することの損失を考え、その提案に理解を示した。
次の迷宮への準備
アリヒトは次の探索先として夕闇歩きの湖畔を予定していることを明かした。そこは以前リーネと出会った迷宮でもあり、セレスは同族である彼女との再会を意識した。同行者が増えることで編成の見直しが必要となり、アリヒトたちは今後のパーティ構成を確認することにした。
3 技能相談と上位職
パーティ編成の見直し
アリヒトは現在のパーティ構成を確認し、探索メンバーと待機メンバーを含めると二パーティ規模になっていることを実感した。経験値効率を考慮した編成について意見が交わされたが、アリヒトは仲間たちを単なるゲスト扱いにはしたくないと考えた。
セラフィナは自身を別枠にし、シオンを正式なパーティメンバーにする案を提案した。メリッサは解体作業を優先して街に残ることを選び、マドカも街での仕事を続けることになったため、次回の探索は九人編成となり、一人はアザーアシストで支援する方針が決まった。
探索前の技能会議
探索前にアリヒトたちは宿舎のロビーで技能についての打ち合わせを行った。ルイーザも加わり、和やかな雰囲気の中で各自の新技能を検討することになった。
エリーティアの新技能
エリーティアは新たに取得可能となった技能を確認した。属性攻撃を強化するクリムゾンパレスに注目が集まり、味方の火力支援として有効だと判断されたため取得候補となった。
エリーティアは以前から味方を支援できる技能を望んでいたことを明かし、キョウカの補助能力から学ぶ部分が多いと語った。キョウカは謙遜したものの、仲間たちは彼女の多彩な技能がパーティを支えていると認識していた。
キョウカの技能公開
続いてキョウカの取得可能技能が公開された。戦乙女の吹雪や群狼の強襲といった戦闘技能に加え、鳥を使役できる鷹匠という技能も現れた。
鳥と会話できる可能性や使役対象の範囲について話題になったが、具体的な用途はまだ不明だった。キョウカは状況に応じて自分の判断で技能を取得したいと希望し、アリヒトもそれを尊重した。
セラフィナの転職の兆し
最後にセラフィナの技能を確認したところ、現在の職業では習得できない技能が表示されていた。職業名の前に表示された印から、上位職への転職条件を満たしている可能性が示唆された。
エリーティアの例を踏まえ、セラフィナにも何らかの転職条件が存在すると考えられたが、その詳細は不明のままだった。
訓練技能の検討
セラフィナの技能の中には、訓練施設を作り経験を積めるブートキャンプが含まれていた。支援者や低レベルの仲間たちの育成に役立つ可能性があったものの、戦闘技能を後回しにする危険性も指摘された。
セレスやシュタイナーは訓練の過酷さを懸念し、現段階での取得は慎重に考えるべきだという結論に至った。
技能取得の保留
マインスイーパー2やサウンドプルーフ、射撃武器の心得などについても検討されたが、現時点では必要性が低いと判断された。セラフィナは将来の上位職取得を見据え、スキルポイントを温存する方針を選んだ。
また、セラフィナが教官となって支援者たちを鍛える案も話し合われたが、ブートキャンプの実態が不明であるため保留となった。
4 再びの迷宮/旅団の別働隊
神戦の通達
迷宮へ向かうアリヒトたちの前に、クーゼルカとホスロウが現れた。クーゼルカは、白夜旅団との面談と神戦の内容について、審議会による討議が行われることになったと伝えた。
審議会は管理部、旧王室、神殿の代表者などで構成されており、神戦が迷宮国内で行われる場合、ほぼ全てが神殿によって関知されていた。アリヒトは、秘神と契約していなければ審議会の存在すら知る機会がなかったかもしれないと考えた。
白夜旅団の目的
ホスロウは、白夜旅団が神戦の機会を待ちながら力を蓄えていたのだろうと語った。アリヒトは、旅団が色銘の装備を集めていたことや、エリーティアの剣に執着していることを思い返した。
クーゼルカは、今回の神戦は何かを奪う類いとは違う特殊なものだと説明したが、詳細はまだ明かせないと告げた。アリヒトたちは迷宮から戻った後、審議会に呼ばれる可能性があると伝えられた。
クーゼルカの仲間意識
クーゼルカは、猿王討伐で共に戦ったことにより、自分もアリヒトたちの仲間であるという意識を持っていると打ち明けた。ホスロウはその変化に驚き、ミサキは思わずクーデレカさんと口にした。
五十嵐はクーゼルカに憧れを伝え、握手を交わした。さらにセラフィナには大尉への昇進が示され、彼女は戸惑いながらも辞令を受ける姿勢を見せた。
テレジアへの言葉
クーゼルカは、かつてテレジアを拘束したことに触れようとしたが、テレジアは首を振ってそれを遮った。クーゼルカは個人的な立場からテレジアを応援したいと伝え、テレジアは頷いてその手を握り返した。
その後、アリヒトたちはクーゼルカとホスロウに見送られながら、夕闇歩きの湖畔へ向かった。
白夜旅団の噂
夕闇歩きの湖畔の入口では、白夜旅団がこの迷宮に定期的に潜っているという探索者たちの噂が聞こえてきた。ヨハンが六番区の闘技会で優勝したことも語られており、旅団が注目されていることが分かった。
エリーティアは、ヨハンが群青の礼剣の呪いを解き、旅団で最も強いからこそ団長を務めていると語った。しかし彼女は、今も兄に凌駕されているとは思っていないと告げた。
湖畔への突入
アリヒトたちは、セレスを含む九人で迷宮へ入ることになった。セレスはシオンに乗ることになり、シオンのライドオンウルフを活用できると説明された。
迷宮に入ると、遠くから激しい金属音が聞こえてきた。エリーティアは、それがシュバルツの剣戟の音だと気づき、アリヒトたちは放っておけないと判断して音のする方へ向かった。
ソウガとシュバルツ
湖畔を回り込んだ先では、白夜旅団のソウガがシュバルツと戦っていた。ソウガは旋風斧で攻めたが、シュバルツはウィローウィンドで受け流した。
リンファは不可視の魔針でシュバルツの状態異常耐性を下げ、ソウガはウォークライでスタンを与えた。アリヒトはシュバルツを知人として見捨てられず、アザーアシストで支援し、シュバルツはソウガの攻撃を受け止めた。
リンファとの緊張
リンファは一瞬でアリヒトの前に現れ、彼の行動を面白がるように覗き込んだ。エリーティアは、アリヒトに触れたら許さないと告げてリンファを制した。
リンファは昔のエリーティアを引き合いに出したが、エリーティアは時間が経てば人は変わると返した。アリヒトは、シュバルツが自分たちの知人であることを伝え、挑発をやめるよう求めた。
スズナの訴え
リンファは、エリーティアが強くなったなら旅団に戻ればいいと口にした。エリーティアは、アリヒトたちと出会ったから今ここにいられるのだと答え、旅団にもルウリィにも戻らないと明言した。
ソウガは、ルウリィを助けなかったことを仕方ない判断だったと語った。するとスズナは、エリーティアがずっと一人で戦ってきたこと、自分を誘った時も思い詰めながら一緒に強くなりたいと言ってくれたことを訴えた。
リーネの庵
アニエスは他の旅団員を先に行かせ、リーネとシュバルツに謝罪した。リーネは、シュバルツの巡礼者の双剣を旅団が欲しがったのだろうと見抜いていた。
その後、リーネはアリヒトたちを庵へ案内した。エリーティアはシュバルツとの手合わせを望み、アリヒトは彼女にとって大切なことなら悔いのないようにすべきだと受け入れた。
エリーティアの挑戦
エリーティアはシュバルツと本気の手合わせを始めた。アリヒトたちは庵に移動しながら、金属音と気合いの声を聞いた。
リーネは、短い間にエリーティアが見違えるほど強くなったと語った。アリヒトは、エリーティアがパーティのエースであり、今後も支えたい存在であると考えていた。
思念石の譲渡
リーネは、思念石という対になる石をアリヒトたちに譲った。それは想像したものを念写でき、離れた場所同士でも接続して対話できるものだった。
アリヒトは、パーティが分断された時に役立つと考え、スズナに片方を預けた。スズナは責任を持って預かると答え、リーネから使い方の説明を受けた。
セレスとリーネ
セレスは、シュバルツの装備修理を自分とシュタイナーに任せるようリーネに申し出た。セレスは、自分はリーネに追いつけなかった落伍者だが、だからこそアリヒトたちと出会えたのだと語った。
声にならない思いもリーネには伝わったようで、二人は姉妹のように微笑み合っていた。
三層の漂流
リーネは、夕闇歩きの湖畔の三層では気まぐれな漂流という現象が起こると説明した。それ自体で傷を負うわけではないが、想定していなければ混乱させられるものだった。
さらにリーネは、白夜旅団が以前にもこの迷宮に入り、五番区の全ての迷宮を巡って何かを探しているらしいと語った。今回旅団が三層へ向かったのなら、漂流が起こる場所に何かがあると睨んでいる可能性があった。
5 旅団の先行/湖畔の戦闘
白夜旅団の三層行
アリヒトたちと遭遇した後、アニエスたち六人は夕闇歩きの湖畔の二層を抜け、三層へ入っていた。白夜旅団は、銀の車輪が猿侯を倒した以上、偶然ではなく自分たちと競える存在だと認識していた。
かの者を探す旅団
カトリーヌは、強者の気配を感じて現れる存在について占い、名前つきを倒した後に現れると語った。アニエスたちは、秘神が求めるものを供出できれば、神戦と今後の旅団に利益があるというヨハンの言葉を共有していた。
三層の黄昏
カトリーヌはオラクルカードで進む方向を示し、白夜旅団は霧の立ち込める原野を進んだ。三層は黄昏時のような光に包まれており、ソウガは何が出るのかと不敵に笑いながら先頭を歩いた。
シュバルツからの証
リーネの庵を出たアリヒトたちは、エリーティアがシュバルツとの手合わせを終える場面に出くわした。エリーティアはシュバルツから一本を取り、彼からルーンらしきものを渡された。
新たな魔物との戦闘
アリヒトたちは、アイスレムナント、バインドファズ、フォッグビーストと遭遇した。セレスの炎魔法やセラフィナの盾で応戦し、スズナはアリヒトとエリーティアの武器に神聖属性を付与した。
ミサキとテレジアの新技
ミサキはハットシャッフルで分身を作り、アイスレムナントの攻撃を回避した。さらにテレジアはアクセルゴーストで敵の同時攻撃を無効化し、残像による反撃でバインドファズとフォッグビーストを凍結させた。
セレスの魔法と支援連携
アリヒトは支援魔法を取得し、セレスと五十嵐の魔法を強化して連携を発動した。セレスのカオティックワードと五十嵐のサンダーボルトは敵に大きな打撃を与え、バインドファズとフォッグビーストを討伐した。
アイスレムナントの討伐
残ったアイスレムナントには、エリーティアとテレジアが畳み掛けた。エリーティアの連続斬撃とテレジアのアズールスラッシュが命中し、アイスレムナントは消滅した。
セレスの胸中
セレスは戦闘後、アリヒトに一番強い魔法を使えなかったと小声で告げた。支援者になってレベルが下がり、かつて使えた魔法を使えなくなっていることが、彼女の中で割り切れないものとして残っていた。
リンファの罠
二層では、テレジアが罠感知で装備脱着装置を見つけた。リンファが仕掛けた可能性のある罠は、装備を外すだけで直接の傷は与えないものだったが、魔物に被害を及ぼし、敵対を誘発する危険なものだった。
ラミアーの怒り
罠にかかったディープラミアーは装備を外され、怒り状態になってアリヒトたちを敵視した。アリヒトは自分たちのディープラミアーを召喚し、相手の敵対状態を解除させた。
水蛇の出現
湖から巨大な水蛇が姿を見せた。アリヒトたちは、天の乙女の羽衣の素材である透き通る水膜が水蛇から得られる可能性を考えた。
罠が呼んだ雨
時間経過で発動する罠により警報音が鳴り、雨を呼ぶものが敵対状態で現れた。水蛇は妖雨を降らせ、透過障壁で物理攻撃を無効化しながら、蛇行天舞でアリヒトたちへ飛来した。
セラフィナの受け流し
セラフィナはアリヒトとセレスの支援を受け、水蛇の巨体を盾で受け止めて後方へ受け流した。しかし雨が身体に触れるたびに淡く光り、悪影響があると判断したアリヒトは、全員に三層入口へ走るよう指示した。
ミサキの決死の回避
水蛇はミサキを狙って再び突進した。ミサキはフォーチュンロールとハットシャッフルを組み合わせ、分身を標的にさせて回避した。その結果、アリヒトたちは水蛇と共に三層へ入り、窮地を抜けた。
爛酔と霊媒
三層に入った後、アリヒトたちは水蛇の雨によって爛酔という状態異常にかかっていることに気づいた。二層へ戻ることもできずにいたところ、スズナにアリアドネから霊媒の要請が届き、彼女は皆が見守る中で霊媒を発動した。
第四章 迷宮深層の波乱 天秤の試練
1 夕闇歩きの湖畔 三層
爛酔の解除と霊媒
アリヒトたちは爛酔状態を解除するため、スズナの水垢離を使用した。全員の状態異常は解除され、アリヒトはアシストチャージでスズナの魔力を回復した。セラフィナのストイックも再び発動し、セレスは状態異常を容易に解除できることに感心していた。
アリアドネの説明
スズナの霊媒によってアリアドネが姿を現した。アリアドネは、秘神同士が遭遇すると神戦前に念話による対話が可能になるはずだが、白夜旅団の秘神との念話は成立しなかったと説明した。そして、その原因として自身の不完全さだけでなく、相手側の秘神が念話できないほど機能を欠損している可能性を示した。
旅団の目的への推測
エリーティアは兄ヨハンの旅団名変更時には既に秘神と契約していたかもしれないと語った。アリヒトたちは、白夜旅団が五番区に留まり続けていた理由が秘神に関係しているのではないかと考えたが、旅団が猿侯との戦いより優先した目的については依然として不明のままであった。
隔離された迷宮
アリアドネは、この迷宮では何者かによって外部との隔離が行われていると告げた。帰還の巻物も使えず、脱出するには隔離の原因となっている存在を排除する必要があると説明した。旅団も同じ状況に置かれている可能性が高かった。
水蛇を退けた異形
前方では水蛇が何かと戦っていたが、突如として妖雨が消え、水蛇の巨体は縮小した後に消失した。アリヒトは鷹の眼によってその変化を確認し、その直後に人間ほどの大きさしかない異質な存在を発見した。
隻眼の愚視との遭遇
現れた魔物は隻眼の愚視と表示された。ムラクモは、この魔物が自然発生する存在ではないと進言した。隻眼の愚視はアリヒトたちへ視線を向け、コールエネミーを発動してパーティ全員を別空間へ転移させた。
天秤への総攻撃
転移先で隻眼の愚視は双対のパラドクスを発動し、巨大な天秤を出現させた。アリヒトは危険を察知し、仲間たちと共に全力で天秤を攻撃した。しかしエリーティアたちの猛攻撃でも天秤は破壊できず、支援ダメージのみが隻眼の愚視へ届いていた。
理不尽な能力の発動
天秤の破壊に失敗すると、隻眼の愚視は時紬ぎの糸車を発動した。仲間たちは原因不明の異変に苦しみ、セラフィナだけが変化を受けていないように見えた。アリヒトも自身の身体に異変が起きていることに気づいたが、状況を把握できないまま隻眼の愚視はさらにリロケーションを発動した。
アニエスとの再会
意識を取り戻したアリヒトは、傍らにいたアニエスと再会した。アニエスによれば、アリヒトは若返ったような姿になっていた。アリヒトも自分の身体が迷宮国へ来る前の頃に近い状態へ変化していることを察した。
散り散りになった仲間たち
アニエスは、不定の転移によって仲間たちは各地へ飛ばされたのだろうと説明した。アリヒトは装備や所持品が失われていないことを確認しつつ、離ればなれになった仲間たちの安否を案じた。アニエスもまた自分の仲間と再会できておらず、二人は状況を把握しながら行動を始めようとしていた。
2 異変/再びの魔物
若返りによる異変の確認
アリヒトは自分の技能が失われていないことを確認した一方で、スキルポイント表示に異常があることに気づいた。アニエスも身体能力が年齢相応に若返っていると感じており、二人は身体だけが若返り、技能は維持されている状況について困惑していた。
ジャガーノート再の襲来
状況を確認していた二人の前に、ジャガーノート再が出現した。アニエスはアリヒトを逃がそうとして単独で迎撃に向かったが、アリヒトは過去の戦闘経験から敵の危険な能力を把握しており、バインシュートでブルータルボイスの発動を阻止した。
共闘への転換
アニエスは当初アリヒトと共闘する意思を示していなかったが、アリヒトはバックスタンドと八艘飛びを駆使して彼女を救出した。さらにアザーアシストでディバインフィストを強化し、二連発の魔法攻撃を可能にしたことで、アニエスはアリヒトの支援能力の価値を認識した。
色銘武器の解放
二人は協力して戦う方針を固めた。アニエスは色銘武器である紫皇の螺旋杖を取り出し、パープルラストを発動した。紫色の気をまとったその姿は、エリーティアのベルセルクに似た力を発揮していた。
狂乱した敵との激戦
ジャガーノート再は流血の狂乱によって攻撃力を大幅に高め、ブレイクグラウンドによる激しい突進攻撃を仕掛けた。アリヒトはバックスタンドと八艘飛びを連続使用してアニエスを守りながら回避を続け、鷹の眼によって敵の弱点が額であることを見抜いた。
弱点への決定打
アリヒトはフォースシュート・スタンで敵の動きを止めると、アニエスに弱点攻撃を指示した。アニエスのハイドラブロウが額へ連続命中し、さらにアリヒトの支援攻撃による天地刃が追撃したことで、ジャガーノート再は討伐された。
再現された魔物への警戒
戦闘後、二人はジャガーノート再という名称について話し合った。アリヒトは過去に戦った名前付き魔物との共通点から、隻眼の愚視が過去の強敵を再現している可能性を指摘した。もしそうであれば、これまで遭遇した強敵たちが再び現れる危険があると考えた。
螺旋杖の呪いの発現
アニエスは紫皇の螺旋杖の影響を受けており、普段とは異なる言動を見せ始めた。アリヒトに抱えられたまま距離を縮め、蠱惑された状態で好意的な言葉や行動を取ったため、アリヒトは呪いによる影響を疑った。
士気による蠱惑の軽減
アリヒトは支援高揚を発動してアニエスの士気を上昇させた。アニエスはその士気を消費して蠱惑状態を軽減し、理性を取り戻した。彼女はこの出来事を仲間に話さないよう頼み、アリヒトも了承した。
協力体制の成立
アニエスはこれまでの態度を謝罪し、仲間を探すために協力する意思を示した。アリヒトもその申し出を受け入れ、二人は握手を交わしながら、この危機を共に乗り越えるため行動を開始した。
3 分断の中で
三層での遭遇戦
三層で仲間とはぐれたリンファとノイマンは、再び現れた無慈悲なる葬送者再と戦闘になった。レベルが上昇した強敵を前に、ノイマンは防御技能を駆使して致命的な斬撃を受け止め、後方のリンファを守りながら戦っていた。
リンファを守る決死の防御
葬送者再は素早くリンファへ迫り、心臓を狙う攻撃を繰り出した。ノイマンは瞬進挺身で割り込み、自らが攻撃を受けることでリンファを守った。装備を犠牲にして致命傷を防いだものの、二人は追い詰められていた。
エリーティアたちの救援
リンファが死を覚悟した瞬間、エリーティアが現れて葬送者再へ斬撃を叩き込んだ。さらにキョウカ、スズナ、テレジアも合流し、因縁のある敵との戦いに加わった。エリーティアは強力な連続攻撃で大量の残紅を付与し、敵を圧倒した。
連携による撃破
キョウカの雷撃、スズナの矢、テレジアの回避反撃が続き、葬送者再は反撃を試みた。テレジアは敵の猛攻をすべて捌き、その動きから生み出した分身による反撃を叩き込んだ。さらにスズナが揺蕩う時の音で敵の動きを鈍らせたことで、葬送者再は倒され、討伐に成功した。
変化した姿への驚き
戦闘後、リンファとノイマンはエリーティアたちの姿が以前と大きく変化していることに気づいた。エリーティアとキョウカは年齢を重ねた姿になり、スズナは若返っていた。一方でテレジアとノイマンには変化が見られなかった。
天秤の効果への推論
リンファは隻眼の愚視との戦闘前に出現した天秤について考察を語った。天秤は攻撃の内容を測っており、物理攻撃と魔法攻撃の違いによって順転や逆転が発生し、その結果として若返りや年齢増加の変化が起きたのではないかと推測した。また、亜人にはその効果が適用されていない可能性も示した。
共闘への方針転換
リンファとノイマンはこれまでの非礼を謝罪し、共闘を申し出た。キョウカは全員が合流して隻眼の愚視と戦うことを優先すべきだと判断し、物理攻撃と魔法攻撃を釣り合わせることが攻略の鍵になる可能性を示した。
仲間との再会を目指す探索
パーティが解除されたため仲間の位置は把握できなかったが、一行はまず合流を目指して行動を開始した。三層は巨大な迷路のような構造になっていたが、移動を続ける中で新たな強敵が現れることはなく、六人は仲間を探して進んでいった。
4 戦士の咆哮/思わぬ再会
三層での遭遇
セラフィナ、セレス、シオン、ミサキの四人も仲間たちと分断され、合流を目指して行動していた。その途中で、この迷宮にいるはずのない三面の呪われし泥巨人再と遭遇した。魔物はソウガを追い詰めており、激しい戦闘が繰り広げられていた。
ソウガの窮地
ソウガは泥巨人再の隙を見抜いて戦斧を突き立てたが、敵は装甲を破棄して耐久力を回復した。さらに泥による拘束で動きを封じられ、続けて呪殺の釘打ちを受けそうになるなど危機的状況に陥っていた。
救援による反撃
セラフィナは間一髪で割り込み、盾で呪殺の釘打ちを防いだ。その後、ミサキが炎属性の弱点を付与し、セレスとシオンが炎属性攻撃を集中させて赤い仮面を破壊した。シオンは新たな技能による連続攻撃で大きな戦果を挙げた。
旅団との共闘
残る仮面への対策に苦慮する中、ルチアが水属性の歌を放ち、カトリーヌも雷撃で続いた。弱点属性を変化させながら防御力を低下させたことで攻略の糸口が生まれた。
泥巨人再の討伐
ソウガはオーバーブラッドで拘束を自力で解除すると、達磨落としによる渾身の一撃を放った。その攻撃で泥巨人再の脚を破壊し、巨体は崩れ落ちて動きを止めた。こうして一同は強敵の討伐に成功した。
ヨハンの目的への言及
戦闘後、カトリーヌはヨハンが色銘武器を集めている理由や、猿侯との戦いを避けた理由について語った。戦力維持を優先した判断だったと説明しつつも、ヨハンには五番区に留まり続ける別の理由があることを示唆した。
探し続けた存在の発見
その時、カトリーヌの技能が反応し、一行は遠方に小さな兎のような魔物を発見した。それはかつて遭遇した名前付き魔物に酷似した存在であり、ソウガたちは長く探し続けていた相手だと判明した。
ストラダとの再会
兎の姿をした魔物は近づいてくると、流浪のストラダへと姿を変えた。旅団の面々は人間に近い姿へ変化する様子に驚き、セラフィナたちは再会を受け入れた。ストラダはセラフィナやシオン、ミサキに親しげに接し、その様子は敵意とは程遠いものだった。
束の間の休息
強大な名前付き魔物でありながら懐くような行動を取るストラダを前に、旅団の面々は驚きと感嘆を隠せなかった。思いがけない再会によって場の緊張は和らぎ、一行が再び行動を開始するまでには、もう少し時間が必要であった。
5 黒の侵蝕
仲間探しと天秤の考察
アリヒトとアニエスは仲間を探しながら、年齢変化を引き起こした天秤の効果について考察していた。アニエスは自分が魔法で天秤を攻撃して若返ったこと、ソウガやエリーティアの攻撃時には順転という表示が出ていたことから、近接攻撃と魔法攻撃で異なる結果が生じている可能性を指摘した。
アリヒトは元の姿に戻る方法を考えたが、再び転移させられる危険もあるため慎重になる必要があった。さらに過去に使用した転移封じの道具を思い出し、転移への対抗策を模索し始めた。
旅団への理解
会話の中でアニエスはリンファとシロネの関係や、エリーティアから剣を回収しようとしていた事情を語った。アリヒトは旅団が五番区に留まり続けている理由について、自分なりの考えを述べた。
旅団には先へ進めない事情や果たしていない目的があるのではないかと語るアリヒトに対し、アニエスは返答を控えたまま歩みを止めた。そして何かを言いかけたその時、新たな異変が発生した。
邪妖再の襲撃
突如として黒い球体が空中に現れ、周囲に影が広がった。さらに影の中から巨大な狼の顎が出現し、アニエスへ襲いかかった。
アニエスは法力によって攻撃を遅延させて回避し、反撃を加えた。その敵は過去に遭遇した名前付き魔物、深き水底の邪妖再であった。アニエスは敵の情報を共有し、打撃が効かないことや影を利用した戦法を警告した。
連携による反撃
邪妖再の不意打ちに対し、アリヒトは支援技能を発動した。アニエスの攻撃にはアリヒトが付与した氷属性効果が乗り、敵の動きを鈍らせることに成功した。
続いて邪妖再は黒い霧を吐き出したが、アリヒトは装備の効果によって暗闇を防いだ。その後に放たれたねじり串刺しを回避すると、鷹の眼で弱点を見抜き、スタン効果付きの魔力弾を命中させた。
アルフェッカの召喚
弱点攻撃を受けた邪妖再は苦悶しながら影の中へ逃走した。しかし敵を追うよりも仲間との合流を優先すべき状況であり、アリヒトは移動手段の必要性を痛感した。
その時、アリアドネから戦闘時間の蓄積によってアルフェッカの召喚条件が満たされたと告げられた。アリヒトはアルフェッカを召喚し、驚くアニエスを乗せると、二人は高速でその場を離脱した。
6 現れる使徒
流浪のストラダの帰還
アリヒトとアニエスは邪妖再の追撃を受けたが、アルフェッカの高速移動によって歪曲した空間や黒い球体を回避し、追跡を振り切った。その後まもなく仲間たちとの合流に成功した。
再会した仲間たちは互いの年齢変化に驚きながらも無事を喜び合った。さらに白夜旅団のカトリーヌが占いによって過去に遭遇した魔物の位置を特定していることを説明し、旅団側も協力する姿勢を見せた。
邪妖再の討伐
リンファは特殊な花火を使用して周囲の影を消し去り、邪妖再の隠れ場所を暴いた。光に紛れて接近したノイマンは蓄積した力を解放し、強力な一撃を弱点へ叩き込んだ。
その攻撃によって邪妖再は討伐され、ルチアの支援によって過熱したノイマンも回復した。旅団の面々はアリヒトたちに協力する意思を示し、以後は共闘体制を取ることになった。
天秤攻略作戦
アニエスはジャガーノート再との戦闘を踏まえ、アリヒトに指揮を任せることを提案した。アリヒトは年齢変化の原因となった天秤について説明し、最初に行った攻撃とは異なる属性の攻撃を天秤へ与えることで状況を打開する案を示した。
物理攻撃を行った者は魔法攻撃を、魔法攻撃を行った者は物理攻撃を担当する方針が決まり、一同は隻眼の愚視との再戦に備えた。
ストラダの正体と秘神の介入
その最中、ストラダの話題が持ち上がった。旅団は長くストラダを探しており、その存在が先へ進むための鍵になっていることが明らかになった。
さらにアリアドネは、自分とは異なる秘神の介入が起きていると警告した。アニエスはストラダが旅団の秘神の眷属である可能性を語り、その存在が迷宮脱出に関わっているのではないかと推測した。
隻眼の愚視との再会
カトリーヌが隻眼の愚視の位置を探ろうとした直後、その反応が消失した。そして空中から傷だらけのストラダが落下してくる。
ストラダは単身で隻眼の愚視へ挑んでいたが、愚視は護衛として片腕の使徒ラザールを召喚し、ストラダの攻撃を無効化した。ラザールは反撃を行い、ストラダを追い詰めた。
救出と決戦への覚悟
アリヒトは支援防御によってストラダを援護した。続いてシオンとセレスが危険を承知で突入し、ストラダの救出に成功した。
しかしストラダは深手を負っており、アリヒトの回復支援も十分な効果を発揮できなかった。仲間たちは脱出のためには隻眼の愚視とラザールを倒すしかないと判断し、総力戦に臨む覚悟を固めた。
7 君臨する愚視
見えぬ剣との攻防
アリヒトたちはラザールの透明な左腕と見えない剣に警戒しながら対峙した。隻眼の愚視は罪過の嘲弄を発動し、ソウガとリンファを激昂状態に陥らせたため、二人は冷静さを失って愚視へ攻撃を仕掛けた。
しかし攻撃はラザールの能力によって引き寄せられ、すべて防がれた。さらにラザールはソウガへ斬撃を浴びせたが、アリヒトとセラフィナの支援によって被害は軽減された。その後、ルチアの歌によってソウガとリンファの激昂は解除された。
ラザールへの反撃
エリーティアは瞬星眼によって見えない剣を視認し、範囲攻撃を用いてラザールへ攻撃を仕掛けた。ラザールは一部を相殺したものの、攻撃を完全には防ぎ切れず斬撃を受けた。
アリヒトはラザールへの有効打を模索していたが、その最中に愚視が新たな攻撃を開始した。
愚視が呼び出した災厄
愚視は空間を歪め、かつて遭遇した蠍の女王ザ・カラミティの尾を再現した。アニエスはその危険性を理解し、仲間たちへ離れるよう叫んだ。
ノイマンは攻撃を引き受けようとしたが、アニエスたちは以前その攻撃を受けた経験から迎撃を選択した。アリヒトはキョウカやセラフィナと連携し、防御能力を極限まで高めて光線を受け止める準備を整えた。
光線の反射と愚視への命中
ラザールはアリヒトを狙って背後から襲いかかったが、テレジアが割って入り攻撃を阻止した。その直後、アリヒトとセラフィナは放たれた九本の光線をすべて反射した。
反射された光線は愚視を避けるように飛んだが、最後の一本だけが愚視の身体を貫いた。しかしラザールが血の聖痕を発動したことで傷はラザールへ移され、愚視自身は無傷の状態へ戻った。
天秤への総攻撃
愚視はラザールを送還し、再び双対のパラドクスと時紬ぎの糸車を発動した。一同は事前に立てた作戦どおり、最初とは逆の属性攻撃を天秤へ集中させた。
アリヒトの支援のもと、ソウガ、ミサキ、シオン、エリーティア、セレス、カトリーヌ、ルチア、キョウカ、テレジア、スズナ、アニエス、リンファらが次々に攻撃を加えた。しかし天秤はわずかに偏ったままとなり、破壊には失敗した。
転移封じの成功
天秤破壊には失敗したものの、年齢変化は元の状態へ戻った。さらにアリヒトとテレジアは転移封じの罠を発動し、愚視の転移能力を無効化した。
仲間たちはようやく正面から戦える状況を作り出したが、アリヒトはなお違和感を覚えていた。愚視の表情から愉悦が消えていたためである。
閉眼の未来視への変貌
愚視は自ら仮面を剥ぎ取り、新たな姿へ変貌した。現れたのは翼を持つ人型の存在であり、その名は閉眼の未来視と表示された。
敵対ではなく中立と表示されていたものの、その意味は誰にも分からなかった。カトリーヌやアニエスはその存在について何かを知っている様子だったが、説明する暇はなかった。
告知の福音
閉眼の未来視は告知の福音を発動した。響き渡る音と降り注ぐ光によって、一同は抗うことができず意識を奪われていった。
アリヒトも膝をつきながら意識を失いかける中、最後まで動いていたのはセラフィナだけであった。彼女はアリヒトへ駆け寄り何かを叫んでいたが、その言葉を聞き取る前にアリヒトの意識は途絶えた。
8 未来視の見せるもの
未来視が見せた喪失
アリヒトは別の場所にいるような感覚の中で、迷宮の光景を俯瞰していた。そこではヨハンが青い剣を持ち、翼を持つ存在と相対していたが、白夜旅団の仲間たちは致命傷を負って倒れていた。
アニエスはヨハンだけでも逃げるよう告げたが、ヨハンは逃げても何も残らないと答えた。その直後、光がアニエスの胸を貫き、振り返ろうとしたヨハンも胸を射抜かれて倒れた。翼を持つ存在は白夜旅団の痕跡すら焼き尽くそうとし、視界のすべてが光に包まれた。
五十嵐を失う幻
次にアリヒトは、倒れた五十嵐を抱き起こしている光景を見せられた。五十嵐は血を流しながら、テレジアを元の姿に戻してあげてほしいと告げた。
アリヒトは五十嵐に死なないよう呼びかけたが、五十嵐は自分たちがアリヒトに内緒にしていたことを話そうとしたまま力を失った。アリヒトは彼女の名を叫んだが、その叫びは声にならなかった。
雨と水垢離による覚醒
アリヒトが見せられていた光景は途切れ、代わりに雨音が聞こえてきた。雨を呼ぶものが小雨を降らせ、スズナは思念石を握って霊媒を行い、アリアドネを下ろしていた。
スズナは雨を利用して手水と水垢離を発動し、パーティ全員の混濁状態を解除した。アリアドネは、水蛇もまた同じ敵と戦う相手であるため、その力を借りたのだと伝えた。
天秤破壊への決意
目を覚ましたアリヒトは、未来視が止めを刺さずにいることを確認した。彼は再び天秤が現れたら、物理と魔法のダメージを完全に釣り合わせ、限界まで威力を高めたうえで破壊すると決めた。
アリヒトは共闘相手を含めて士気を高め、仲間たちに指示を出した。五十嵐は士気解放を使う覚悟を示し、ミサキやルチア、カトリーヌもそれぞれの役割で協力することになった。
セレスの覚悟
セレスは自分がこの場にいることを場違いかもしれないと語ったが、アリヒトは彼女がいてくれて良かったと返した。セレスはその言葉に動かされ、生命のアブサンを飲み、能力を高めて制約を解除した。
さらにセレスは本来の姿を現し、職業をフィロソフィアへ変化させた。彼女は恥ずかしがりながらも、天秤破壊のために強力な魔法を放つ準備を整えた。
士気解放と全体相互支援
五十嵐は士気解放のソウルブリンクを発動し、パーティ全員に戦霊を付加した。アリヒトも全体相互支援を発動し、仲間たちの強化技能を全体へ広げた。
エリーティアはアルティメイタムとスターパレードを発動し、アリヒトの支援を受けながらルミナスフラウで天秤へ連撃を叩き込んだ。続いてソウガ、アニエス、テレジア、キョウカ、ミサキ、セラフィナ、シオンが攻撃を重ねた。
音の妨害を越えた合奏
閉眼の未来視は鎮魂の鐘を発動して妨害したが、セラフィナのサウンドプルーフが効果を軽減した。ルチアは開戦のベルで対抗したが押され、スズナが揺蕩う時の音を重ねたことで、鎮魂の鐘は相殺された。
妨害を越えたことで、アリヒトたちは連携を継続できた。セレスはカトリーヌの補助とエリーティアの紅陣、アリヒトの支援を受け、マギウスフレアを天秤へ撃ち込んだ。
戦霊の追撃
本体による連携技を叩き込んでも天秤は壊れず、防御結界に亀裂が入るだけだった。しかしエリーティアはまだ終わっていないと告げた。
アリヒトは八人分の戦霊を支援し、再び連携技を発動させた。戦霊たちは本体の攻撃を再現し、天秤へ追撃を重ねたが、それでも完全な均衡には届かなかった。
隼の眼と天秤の破壊
アリヒトは未来視に見せられた光景を、ただの夢ではなく、時間を進められたことで得たものだと考えた。その結果、スキルポイント異常によって隼の眼を取得し、閉眼の未来視の弱点を看破した。
アリヒトは魔法銃でダークネスバレットを撃ち込み、さらにオーバータイムによって短時間で複数回行動した。魔法攻撃で天秤の傾きを調整した後、最後に魔石の力を使わない鉄の弾をスリングショットで放ち、物理と魔法の差を埋めた。
その一撃によって天秤は均衡し、防御結界とともに崩れ去った。エクスシアの天秤は破壊され、双対のパラドクスは発動に失敗した。
未来視の消失
天秤が破壊されると、閉眼の未来視の存在強度は低下し、閉じられた目から血の涙が流れた。未来視は何かを語っているようだったが、その声は誰にも届かなかった。
やがて未来視は天へ両手を広げ、そのまま消失した。アリヒトたちは危機を切り抜けたが、ストラダの命はなお危険な状態にあった。
ストラダを連れた脱出
アリアドネは階層の隔絶が解消されたことを伝えたが、帰還の巻物は使えなかったため、アルフェッカでストラダを乗せて脱出することになった。アリヒトはアニエスたちに先に出ることを告げ、ストラダを連れて移動した。
アリヒトは未来視に見せられた白夜旅団の未来を伝えるか迷ったが、今はストラダの救命が優先だった。エリーティア、テレジア、キョウカと共にアルフェッカに乗り、三層を最速で抜けた。
ルウリィとの再会
二層に出たアリヒトたちは、クーゼルカ、ホスロウ、リーネたちと遭遇した。そこには医療所で眠っていたはずのルウリィもいた。
エリーティアはルウリィの姿を見るなり駆け寄り、謝りたかったと涙を流した。ルウリィは謝るのは自分の方だと返し、それ以上にありがとうと言いたかったと告げた。
ルウリィの治療
ルウリィはアリヒトたちを見て、エリーティアが優しそうな仲間たちに出会えたことを喜んだ。アリヒトは傷だらけのストラダを抱え、治療を急がなければならないと伝えた。
ルウリィはストラダを寝かせるよう指示し、頬の血を拭ってから治療を始めた。彼女の手のひらは温かな光に包まれ、アリヒトたちはストラダの命が繋がることを祈るしかなかった。
エピローグ
地下の扉へ向かうヨハン
ヨハンはヴェールで顔を覆った人物とナユタに導かれ、五番区上位ギルドの地下へ向かった。階段の先には、九つの星が埋め込まれた黒壇の扉があり、ヨハンは探索者を続けても自分たちがギルドや扉の意味を十分に理解していないと語った。
ナユタは迷宮国が探索者の貢献で保たれていると述べたが、ヨハンの穏やかな表情の奥にある感情は穏やかではないと感じていた。
円卓の議場
ナユタが鍵で扉を開くと、その先には円卓の置かれた部屋があった。そこには管理部のユカリと、五番区ギルドセイバー司令官のディランが座っていた。
ユカリは、白夜旅団が長く一位に居座りながら銀の車輪に暫定的に抜かれたことを話題にした。ヨハンは、銀の車輪がそこまでやるとは思っていなかったが、むしろ喜んでいると答えた。
白夜旅団が五番区に留まる理由
ディランは、白夜旅団がなぜ五番区に留まり続けているのか、神戦後にその状況が変わるのかをヨハンに問うた。ヨハンは、神戦に勝つというより勝利条件を満たすつもりだと答えた。
ディランは、今回の神戦が探索者同士の命のやり取りとは限らないことを知っていたのかと尋ねた。ヨハンは、銀の車輪には知り合いがいるため、命のやり取りは避けたいと思っていたと述べた。
秘神の事故
ユカリは、白夜旅団と契約している秘神の活動記録が七番区までしか残っていないことを指摘した。その瞬間、ヨハンの笑みは消えかけ、瞳に冷たい怒りが宿った。
ヨハンは、自分たちが信仰する秘神には過去に事故があり、今は聖域から動けないだけだと語った。さらに、その原因を作ったのは迷宮がもたらす理不尽な災害であり、自分は秘神の信仰者として果たすべきことをしているのだと述べた。
神戦の授与品
ユカリは、白夜旅団に神戦の報奨としてどのパーツを望むのかを尋ねた。ヨハンは一度目を伏せ、胸に手を当てて祈るように呟いた。
その後、ヨハンは顔を上げ、白夜旅団が神戦の授与品として望むパーツは、秘神の動力となる心臓であると答えた。
書き下ろし番外編 帰りを待つ人々と『後衛』
市場での買い物
マリアは五番区の市場で食材を仕入れていた。肉屋や青果店の店主たちは彼女に親しげに接し、品物について説明したりおまけを付けたりしていた。マリアは必要な食材を選びながら買い物を続けたが、何気ないやり取りだけで周囲の男性たちが特別な反応を示していた。
市場の人々はマリアが料理人として高く評価されていることを語り、彼女はその話を聞きながらも訂正せず市場を後にした。
帰りを待つ夕食の時間
アリヒトたちは夕食までに帰ると伝えていたが、夜になっても戻らなかった。マリアは用意していた料理をルイーザを通じて周辺住民に振る舞った。
その後、マリアはファルマ、ルイーザ、フェリスとともに入浴しながら会話を交わした。料理の話題から始まり、ルイーザやフェリスの恋愛感情の話題へと移り、マリアも会話に巻き込まれていった。
アリヒトを巡る会話
ファルマたちはアリヒトとルイーザたちの関係について語り合った。マリアは当初アリヒトを真面目な男性だと思っていたが、自分を勧誘した時の頼もしさも思い出していた。
ファルマにアリヒトのことを考えていたのではないかと指摘されると、マリアは専属料理人としての立場を強調した。しかし周囲は彼女の反応から別の感情を感じ取っていた。
会話が続く中、マリアはのぼせそうになり、アリヒトたちに早く帰ってきてほしいと強く思いながら先に湯船を上がった。
昔の制服の試着
その夜、マリアは料理店で働いていた頃の制服を取り出して確認した。接客も重視すべきだと考え、保管していた制服を試着してみた。
しかし、かつて着ていたメイド服は胸元がきつくなっており、ファスナーが最後まで上がらなかった。別の服もサイズが合わず、三着目でようやく着用できた。
マリアは接客に使えそうだと判断し、アリヒトの要望次第では活用できると考えた。
夜の呼び出し
試着を終えたマリアのもとに、ルイーザからリビングで話をしないかという連絡が届いた。
マリアはルームウェアに着替え、制服を畳んで寝室を後にした。ベッドの上に置かれたペンギンのぬいぐるみを残し、新しい生活の中での日常を続けていった。
世界最強の後衛8レビュー
世界最強の後衛まとめ
世界最強の後衛10レビュー
世界最強の後衛 一覧









その他フィクション

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