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フィクション(Novel)世界最強の後衛読書感想

小説「世界最強の後衛 ~迷宮国の新人探索者~ 7」感想・ネタバレ

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世界最強の後衛7の表紙画像(レビュー記事導入用) フィクション(Novel)

世界最強の後衛6レビュー
世界最強の後衛まとめ
世界最強の後衛8レビュー

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  1. 物語の概要
    1. ■ 作品概要
    2. ■ 主要キャラクター
    3. ■ 物語の特徴
  2. 書籍情報
  3. あらすじ・内容
  4. 感想
  5. 考察・解説
    1. 赫灼たる猿侯
    2. 探索者の隷属
    3. テレジアの呪詛
    4. ギルドセイバーの協力
    5. 技能の選定
    6. 秘神の試練
    7. 装備の強化
    8. 五つ星の条件
  6. 登場キャラクター
    1. 銀の車輪
      1. アリヒト=アトベ
      2. エリーティア・セントレイル
      3. テレジア
      4. 五十嵐鏡花
      5. 白宮珠洲菜
      6. 仁藤美咲
      7. シオン
      8. セラフィナ・エーデルベルト
      9. メリッサ・ライカートン
      10. 篠乃木円
      11. ルイーザ
      12. マリア=ミラーズ
      13. ルウリィ=リースリング
    2. 白夜旅団
      1. ヨハン=セントレイル
      2. アニエス=フィーエ
      3. シロネ
    3. ギルドセイバー
      1. クーゼルカ
      2. ジョシュ=ホスロウ
      3. ナユタ
      4. アデリーヌ
      5. ディラン
    4. アイゼンリート
      1. レナード
      2. ナターリヤ
    5. 職人・商人・専属支援者
      1. ファルマ
      2. マッケイン
      3. セレス
      4. シュタイナー(キアラ)
      5. ライカートン
      6. フェリシア(フェリス)
    6. その他の探索者・関係者
      1. イヴリル
      2. ヴァイオラ
      3. リーネ
      4. シュバルツ
      5. 司書の女性
    7. 秘神・パーツ
      1. アリアドネ
      2. ムラクモ
      3. アルフェッカ
      4. フォギア
  7. 展開まとめ
    1. プロローグ 炎天の撤退、そして雪解け
    2. 第一章 新たな出会い、そして再動
      1. 1 共闘再び
      2. 2 立ち入り許可
      3. 3 解呪の手がかり
      4. 4 五つ星の条件
    3. 第の二章 探索報告とスキルミーティング
      1. 1 特任職員
      2. 2 蠍と蝶の装備
      3. 3 技能ミーティング
      4. 4 呪詛の痕跡
      5. 5 思慕
    4. 第三章 五番区の迷宮とその住人
      1. 1 朝の風景/荷車
      2. 2 資料館
      3. 3 夕闇歩きの湖畔一層
      4. 4 髑髏の案山子
      5. 5 湖畔の庵
      6. 6 光明
    5. 第四章 晴れた水辺で花は開く
      1. 1 夕闇歩きの湖畔二層
      2. 2 緋の帝剣
      3. 3 雨上がりの虹
      4. 4 家族
    6. 第五章 契約者の試練
      1. 1 賑やかな食卓/新職の技能
      2. 2 前進
      3. 3 呼び声
      4. 4 峡谷
    7. 書き下ろし番外編 セレスの夢治療
  8. 世界最強の後衛 一覧
  9. その他フィクション

物語の概要

■ 作品概要

異世界「迷宮国」へと転生した元社畜サラリーマンのアリヒトが、万能支援職「後衛」のスキルと現代社会でのマネジメント経験を活かし、個性豊かな仲間たちとともに迷宮の深淵を目指すファンタジー小説の第7巻である。 本作では、五番区の支配者である魔王「赫灼たる猿侯(かくしゃくたるえんこう)」の圧倒的な力の前に一度は撤退を余儀なくされたアリヒトたちの、次なる死闘への準備が描かれる。撤退の際、仲間を護るために敵の背後を取ったテレジアが進行性の呪い「呪詛侵蝕」を受けてしまい、完全に支配されるまで「約6日」という絶望的なタイムリミットを突きつけられる事態となった。アリヒトたちはテレジアの解呪と、猿侯に囚われたエリーティアの親友ルウリィの救出という二つの悲願を果たすため、五番区の資料館で古の民の記録を調査する。特別な呪術具「呪詛喰らい」を完成させるため、新たな迷宮「夕闇歩きの湖畔」や「震える山麓」へと足を進める、緊迫のタイムリミットサスペンスが展開される。

■ 主要キャラクター

  • 後部アリヒト: 本作の主人公であり、パーティのリーダーを務める。直接的な攻撃力は持たないが、仲間のポテンシャルを極限まで引き出す職業「後衛」の能力を極めている。優れた観察眼と現代の組織マネジメント能力により、理不尽な迷宮のルールや敵の弱点を見抜く知将である。
  • エリーティア: パーティの前衛を担う卓越した美少女剣士。かつて所属していた「白夜旅団」の因縁や親友の境遇に深く苦悩していたが、アリヒトの言葉によって救われた。自らを「死の剣」ではなく仲間を護る剣として位置づけ、強い覚悟を胸に再び魔王へと挑む。
  • テレジア: 亜人の少女であり、パーティの中衛「スカウト」として斥候や罠解除、近接戦闘を担う。アリヒトから絶大な信頼を寄せられている。猿侯から仲間を逃がすために呪詛を受けてしまい精神支配の危機に直面するが、不安を見せずアリヒトを気遣う気丈さを見せる。
  • ルウリィ: エリーティアの親友である高レベルの治癒師。かつて「赫灼たる猿侯」に囚われ首元に隷属印を刻まれたことで、現在は自我を奪われ魔王を癒やす眷属として使役されている。

■ 物語の特徴

本作の大きな魅力は、単なる力押しで敵を打ち破るのではなく、迷宮の隠された「法(ルール)」や歴史、魔物の生態を読み解いて攻略に繋げる緻密な知略戦にある。第7巻では、ただ魔王を討伐するだけでは呪詛が解けないという理不尽な縛りに対し、古い文献の調査や特殊な解呪武具「呪詛喰らい」の素材収集など、段階を踏んで戦略を構築していくプロセスが論理的に描かれている。 また、「約6日」という明確な制限時間がもたらすサスペンス性と、過酷な状況下だからこそ浮き彫りになるキャラクターたちの絆が読者を惹きつける。自らを犠牲にしたテレジアの覚悟や、それを絶対に救うと誓うアリヒトのリーダーシップ、誰も切り捨てない相互信頼の物語など、人間ドラマとしての深みも他作品との差別化要素となっている。

書籍情報

世界最強の後衛 ~迷宮国の新人探索者~ 7
著者:とーわ 氏
イラスト:風花風花  氏
出版社:KADOKAWA(カドカワBOOKS)
発売日:2021年3月10日
ISBN:9784040736761

(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。

あらすじ・内容

最強の支援職、仲間にかけられた『呪詛』を解くために奔走――!?
五番区で『赫灼たる猿侯』と対峙し、エリーティアの救出を果たしたアリヒト。しかし、その際に受けた『呪詛侵食』はテレジアを蝕んでいた。仲間たちのため、猿侯を倒すため、アリヒトは新たな力に手を伸ばす――!

世界最強の後衛 ~迷宮国の新人探索者~ 7

感想

前巻から刊行までに1年以上の年月が空き、さらに作中の展開スピードも落ち着いたため、当時は少しモチベーションが下がって読むのを中断していた一冊であった。しかし、アニメ化の報に触れたことをきっかけに、再度アリヒトたちの冒険を追いかけるべく本書を手に取ることとなった。

読み進めていくうちに、かつてこの巻で読書を止めてしまうに至った理由を思い出す。
まさに今巻は、宿敵である「赫灼たる猿侯」を討伐するために、限られた時間の中でひたすら戦力強化に奔走する回であり、期待していた猿侯との直接対決まで物語が届かない。そうだ、そのじれったさが離脱の引き金になっていたのだと、当時の記憶が鮮明に蘇った。しかし、今こうして改めて腰を据えて読むと、その徹底的な準備期間にこそ、本作ならではの緻密な魅力が凝縮されていることに気づかされる。

何よりも物語を緊迫させているのは、仲間であるテレジアを蝕む「猶予はわずか6日」という絶望的なタイムリミットである。猿侯が操る呪詛侵蝕は、パーティの絆を引き裂き、生きた人間を強制的に敵の戦力に変えるという、魔物の非道な生存戦略そのものだ。この理不尽な支配を打ち破り、テレジアや囚われたルウリィを救うため、アリヒトたちは特殊な武具「呪詛喰らい」を完成させるという困難な道のりへ挑むことになる。この厳しい時間制限が、地道な素材集めや探索のプロセスを、一刻の猶予も許されない最高のスリリングなドラマへと昇華させていた。

その過酷な状況下で描かれる、仲間たちとの人間関係の深まりが非常に胸を熱くさせる。宿舎で行われたスキルミーティングにおける一連の選定は、単なる数値上の戦力強化の枠に留まらない。それぞれが果たすべき役割を自覚し、仲間への想いを胸に技能を選んでいく姿は、迫り来る脅威に対してパーティが一丸となって立ち向かうための確かな結束の証であった。さらに、これまでの誠実な戦いが、周囲の協力を引き寄せていく展開も素晴らしい。実力と人柄を高く評価してくれたギルドセイバーの面々は、俺たちで一泡吹かせてやろうと語る心強い同志となり、職人たちも各メンバーの役割に合わせた戦略的な装備強化でアリヒトたちをバックアップする。

また、本巻における戦闘シーンも見応えが十分であった。過去に多くの探索者が命を落としたという「秘神の試練」では、レベル12の強敵である「?意志を持つ鎧」と相対する。アリヒトたちはそれぞれの進化した技能や秘神の力を巧みに組み合わせ、この絶望的な壁を見事に撃破してみせた。新たなパーツである「フォギア」を獲得し、さらなる高みへ進むための強力な戦力を手に入れた瞬間には、確かな高揚感を覚える。さらに、厳しい五番区の昇格条件をクリアすべく向かった「夕闇歩きの湖畔」でも圧倒的な戦果を挙げ、着実に足がかりを固めていく流れには無駄がない。

結果として、今巻では目的の猿侯戦には至らなかったものの、因縁の決戦へ向けた舞台裏の足がかりは確実に固まったといえる。弱点を冷静に見抜き、あらゆる繋がりと連携技能を総動員して戦略を組み立てていくアリヒトたちの軌跡は、次なる探索への大きな前進を感じさせてくれた。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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世界最強の後衛6レビュー
世界最強の後衛まとめ
世界最強の後衛8レビュー

考察・解説

赫灼たる猿侯

迷宮国五番区の五つ星迷宮「炎天の紅楼」に潜むレベル12の名前つき魔物、赫灼たる猿侯。新たに判明したその狡猾な性質や呪詛の仕組み、そして長年にわたり放置されてきた理由について解説する。

異常な知能と引き継がれる記憶

・赫灼たる猿侯は、これまでの個体の中でも生存期間が極めて長い存在である。
・名前つきの魔物は討伐されるたびに前の個体の記憶を引き継ぐ場合があり、この猿侯も過去の個体の弱点を補う立ち回りや技能を身につけている可能性が指摘されている。
・二層に砦を築いて探索者の進行を妨害するだけでなく、組織的な行動や駆け引き、罠を用いて討伐を逃れようとする極めて高い知能を持つ。

探索者を狂わせる呪詛侵蝕とイビルドミネイト

・猿侯の最も恐ろしい能力は、探索者の首に呪印を刻んで従属させる呪詛である。
・テレジアが受けた呪詛侵蝕は、彼女の隷属印を猿侯のものへと上書きする進行性の呪いである。
・この侵蝕が完了すると自動的にイビルドミネイトという技能が習得され、所属パーティから外れて猿侯に完全に服従してしまう。
・アリヒトたちが五番区に滞在できる残り日数と、侵蝕が完了するまでの猶予はほぼ同じであり、時間的な猶予は全くない状態である。

空星の魔物としての特異性

・アリヒトはライセンスの記録から、この魔物が憐憫の幻翅蝶と同じく、名前に空星を冠していることに気づく。
・空星の魔物は、迷宮国のルールそのものに干渉する特殊な性質を持っている。
・憐憫の幻翅蝶がカルマシステムを歪曲したように、猿侯の場合は探索者を自らの牢獄に囚え、強引に従属させるという形でルールに干渉していると推測される。

迷宮が10年以上放置されてきた理由

・猿侯に操られた探索者は、一定期間が経過するとライセンス上は魔物と判定されるため、攻撃して命を奪ってもカルマは上昇しない。
・しかし、魔物ではなく生きた人間を攻撃しなければならないという精神的な苦痛や、仲間を盾にされる卑劣な戦術により、多くの探索者が戦意を喪失してきた。
・加えて、猿侯はスタンピードを起こさず街に直接の脅威を及ぼさないため、誰も命を懸けてまで討伐しようとしなかった。
・その結果、この迷宮は10年以上も放置されることとなった。

呪詛解除の過酷な条件と呪詛喰らい

・単に猿侯を討伐するだけではテレジアたちにかけられた呪詛は解除されず、永遠にそのままになってしまう危険性がある。
・呪詛を解くためには、呪詛喰らいと呼ばれる特殊な呪術具を用いて術者である猿侯を倒さなければならない。
・アリヒトたちはその武器を作り出すため、シロネが残したヘブンスティレットを基盤とし、もう一つの材料であるホーリーストーンを求めて新たな迷宮、震える山麓へと向かうこととなる。

まとめ

赫灼たる猿侯は、過去の記憶を引き継ぐ知能とルールを歪める呪詛を有する、迷宮国でも屈指の異質な強敵である。テレジアの救出には一刻の猶予も許されず、アリヒトたちは特殊な呪術具を完成させるために新たな試練へと挑む。この制限時間内での討伐作戦は、彼らの絆と戦略が試される最大の戦いとなる。

探索者の隷属

迷宮国において探索者の隷属とは、主に五番区の五つ星迷宮「炎天の紅楼」に潜む強大な魔物「赫灼たる猿侯」が行う、探索者を自らの手駒として操る極めて悪辣な能力と、それに伴う絶望的な状況を指す。

隷属のメカニズムと呪詛侵蝕

・赫灼たる猿侯は、標的とした探索者の首にある印に干渉し、自身のものへと上書きする呪詛侵蝕という技能を使用する。
・この呪いの侵蝕が最後まで進行すると、探索者はイビルドミネイトという技能を強制的に自動取得させられる。
・これにより元のパーティから強制的に外され、術者である猿侯に完全に服従し隷属する状態に陥る。
・作中ではアリヒトの仲間であるテレジアがこの呪詛を受け、約6日というタイムリミットが迫る中で解決策を探ることとなる。

ライセンス上の魔物判定

・隷属させられた探索者たちは猿の面をつけられ、魔物側の戦力として砦を守る盾にされる。
・彼らは迷宮のルールにおいて、従属状態が自然解除されないと見なされると、ライセンス上では人間ではなく魔物として判定されるようになる。
・そのため、他の探索者が彼らを倒して装備を奪ったとしても、探索者殺しにはならずカルマが上昇することはない。

人間の盾による精神的苦痛

・システム上はカルマが上がらないとしても、対象は生きた人間であり、かつての仲間かもしれない探索者たちである。
・彼らを盾にされ、全力で襲いかかってくる相手と戦わなければならない状況は、討伐や救出に向かう者に凄まじい精神的苦痛を与え、戦意を喪失させる。
・この狡猾な戦術により、炎天の紅楼は上位探索者でさえ手を出しあぐね、10年以上も放置される結果となった。エリーティアの親友であるルウリィも、この隷属の犠牲者として囚われている。

隷属からの解放条件と呪詛喰らい

・隷属状態を解除するためには術者である猿侯を倒す必要があるが、単に力押しで討伐するだけでは解除条件を満たせず、呪詛が永久に解けなくなる危険性がある。
・呪詛を確実に解くためには、呪文を刻むことができる特殊な呪術具である、シロネが残したヘブンスティレットなどを基盤としなければならない。
・さらにホーリーストーンを組み合わせて作成される、呪詛喰らいという武器で術者を倒すことが絶対条件となる。

まとめ

探索者の隷属は、人間同士を殺し合わせることで迷宮の攻略を物理的・精神的に阻む、魔物の非道な生存戦略である。アリヒトたちはこの理不尽な支配からルウリィとテレジアを救い出すため、限られた時間の中で呪詛喰らいを完成させるという困難な道のりに挑むこととなる。

テレジアの呪詛

五番区の五つ星迷宮「炎天の紅楼」において、強敵「赫灼たる猿侯」から撤退する際、アリヒトたちを逃がすために敵の背後を取ったテレジアは、その代償として凶悪な呪詛を受けてしまった。テレジアにかけられた呪詛の性質と、それを解くための過酷な条件は以下の通りである。

呪詛の正体とイビルドミネイト

・猿侯が放ったのは呪詛侵蝕と呼ばれる技能であり、テレジアの首の後ろにある亜人特有の隷属印を、猿侯のものへと徐々に上書きしていく進行性の呪いである。
・この侵蝕が最後まで進行してしまうと、ライセンス上でイビルドミネイトという技能を強制的に自動取得させられる。
・これが発動すると、テレジアはアリヒトのパーティから強制的に外され、術者である猿侯に完全に服従する眷属へと変えられてしまう。

呪いの進行と絶望的なタイムリミット

・呪いが進行するにつれて、黒かった隷属印は猿侯を象徴する炎のような赤色へと変化し始める。
・テレジアの身体は常に熱を持ち、時折倒れそうになるなどの悪影響が出始める。
・ライセンス上でも呪いの影響により、一部の技能取得に制限がかけられてしまう。
・完全に侵蝕されるまでの猶予はおよそ6日であり、これはアリヒトたちが特例で五番区に滞在することを許された期間とほぼ同じという、極めてシビアなタイムリミットである。

解呪の絶対条件である呪詛喰らい

・セレスや呪術医のリーネの診断により、ただ力押しで猿侯を討伐するだけでは解呪の条件を満たせず、呪いが永久に解けなくなる危険性があることが判明した。
・呪詛を確実に解くためには、呪詛喰らいと呼ばれる特殊な武器を完成させ、それを用いて猿侯を倒さなければならない。
・そのためには、呪文を刻むことができる呪術具(シロネが残したヘブンスティレットが該当)を基盤とし、さらに新たな迷宮「震える山麓」で手に入るホーリーストーンを見つけ出す必要に迫られる。

テレジアの気丈さとアリヒトの決意

・自分が最も恐ろしい理不尽な支配を受けようとしている状況下でも、テレジアは不安を見せず、むしろアリヒトを気遣い寝かしつけようとする優しさを見せる。
・限られたスキルポイントを自らを守る防御技能ではなく、猿侯の背後を取って討伐に貢献するための攻撃技能であるリバースグリップなどに割り振るという強い覚悟を示した。
・アリヒトは、自らを犠牲にしてまで仲間を救ってくれたテレジアに深く感謝するとともに、何としてでも時間内にホーリーストーンを見つけ出し、猿侯を倒して彼女を呪縛から救い出すという強い決意を固めている。

まとめ

テレジアを襲った呪詛侵蝕は、パーティの絆を引き裂き、仲間を強制的に敵の戦力へと変える極めて悪質な能力である。猶予はわずか6日という絶望的な状況ではあるが、テレジアの気丈な覚悟とアリヒトの揺るぎない決意、そして職人たちの協力による呪詛喰らいの完成に一縷の望みが託されている。このタイムリミットのなかで繰り広げられる未知の迷宮探索と猿侯との再戦は、パーティの未来を懸けた最大の試練となる。

ギルドセイバーの協力

迷宮国五番区における赫灼たる猿侯討伐に向けた、ギルドセイバーからの協力について解説する。五番区で発生したスタンピードを鎮圧したことで、アリヒトたちはギルドセイバーの幹部たちから組織の枠を超えた強力なバックアップを得ることとなる。

協力背景にある大きな恩義

ギルドセイバーの幹部であるクーゼルカとホスロウは、本来七番区にいるはずのアリヒトたちが五番区のスタンピード鎮圧という過酷な任務に応じ、名前つきのザ・カラミティを討伐して最功労者となったことに深い恩義を感じていた。
・ホスロウはこれを今回のでかい借りを返したいと表現した。
・アリヒトたちが猿侯を討伐して前に進むために、ギルドセイバー側が力を貸すことを決意した。

組織の枠を超えた個人としての支援

ギルドセイバーは本来、スタンピードなどの街への直接的な脅威がない限り、特定の迷宮や魔物への介入を控える立場にある。しかし、クーゼルカはギルドセイバーとしてではなく、一人の個人として協力したいと申し出た。
・彼らは七番区に戻る期日までは自由に動ける遊撃部隊としての任務についた。
・アリヒトたちが猿侯の砦を攻める際に、複数のパーティが必要になった場合の人員確保を請け負った。
・作戦の相談役としても心強い支援を行ってくれた。

セラフィナとアデリーヌの直接的な同行と偵察

幹部たちからの支援に加え、隊員たちも直接作戦に参加している。
・中尉のセラフィナは五番区滞在中のアリヒトたちのパーティに正式に加入し、前衛の盾役として獅子奮迅の活躍を見せる。
・後輩のアデリーヌも同行し、彼女の技能である使い魔の矢を使用した。
・危険な砦に近づくことなく、上空から安全に猿侯の居場所や地形の最新状況を偵察するという、作戦立案に不可欠な役割を担っている。

まとめ

ギルドセイバーからの協力は、アリヒトたちが自らの命を懸けて五番区の人々を救った見返りとして得られたものである。彼らはアリヒトたちの実力と人柄を高く評価し、探索者を従えて魔王を気取っている奴に俺たちで一泡吹かせてやろうと、共に猿侯に立ち向かう心強い同志となっている。

技能の選定

迷宮国五番区における強敵である赫灼たる猿侯の討伐や過酷な迷宮探索に向けて、アリヒトと仲間たちは宿舎でスキルミーティングを開き、限られたスキルポイントでどの技能を取得するかを慎重に選定している。この選定には、パーティ全体の生存率や突破力を高めるための戦略だけでなく、仲間を想うそれぞれの覚悟が表れている。各キャラクターの技能選定の詳細は以下の通りである。

防御・支援能力の拡充

・セラフィナ(機動歩兵)
最前線での盾役として、防御力を底上げする重装の心得2を取得した。さらに、自身が防御を成功させた際に仲間に防壁を付与できるガーディアンタスクを取得し、アリヒトたちと役割を分担しながら戦線を維持する構えを整えた。

・アリヒト(後衛)
パーティに回復専門職がいないという課題を解消するため、支援回復2を取得した。また、射撃行動によって消費した魔力をパーティ全体に再装填して回復させるタクティカルリロードも取得し、戦闘中の魔力枯渇を防ぐ継戦能力を強化している。

・スズナ(巫女)
アリアドネから神託を得るための技能である託宣の取得を希望した。テレジアの呪詛を解く技能がないことを悔やんでいたが、アリヒトから巫女としての役割があると励まされ、自身にできる支援の準備を整えている。

・マドカ(商人)
アリヒトたちに同行して猿侯討伐の役に立ちたいと願い、新調した荷車を戦闘支援に活かすための荷車の熟練1とカスタムキャリア、さらに鑑定術2を取得し、後方支援としての役割を広げている。

攻撃・汎用性の向上

・五十嵐キョウカ(戦乙女)
自身をかばう自己犠牲的な戦い方を危惧するアリヒトの助言を受けつつ、彼が発動する士気解放との相乗効果が高く、集中を乱されずに確実なクリティカルを放てる清眞の構えを取得した。

・ミサキ(ギャンブラー)
仲間の致命傷を肩代わりするポットリミットに注目していたが、自身が危険に晒されることを危惧したアリヒトの勧めで、希少素材の発見率を上げる汎用性の高いピックロトリーを取得した。

・メリッサ(解体屋)
敵の防御技能や装甲を無効化する削ぎ落としが猿侯戦の切り札になると見込んだが、必要な場面が訪れるまでスキルポイントを温存する慎重な方針をとった。

・エリーティア(フローレスナイト)
カースブレードからフローレスナイトへの転職によりスキルポイントが増加した。仲間の体力が減ることで威力が増す高リスクなブレードメイデンは見送り、武器の性能を解放するリベレイション、隙を消す返し刀、そして武勲の名乗りを取得し、純粋なアタッカーとしての能力を磨いている。

呪詛の影響とテレジアの覚悟

最も衝撃的であったのはテレジアのライセンスである。
・猿侯の呪詛侵蝕が進行したことで、強制的にイビルドミネイトが自動取得される寸前となっており、さらに一部の技能には取得不能を示す×印がついていた。
・アリヒトは彼女に身を守る防御技能を取ってほしいと内心願っていたが、テレジアは攻撃こそが最大の防御であるという強い意志を示し、リバースグリップとリバースエンドを取得した。
・これは、再び猿侯の死角へ回り込み、決死の奇襲役を果たすという彼女なりの強い覚悟の表れであった。

まとめ

スキルミーティングにおける一連の選定は、単なる戦力強化の枠に留まらず、迫り来る脅威に対してパーティが一丸となって立ち向かうための結束の証である。それぞれの役割と仲間への想いを胸に、最適化された能力とテレジアの強い覚悟を武器として、一行は宿敵である赫灼たる猿侯との決戦へ挑む。

秘神の試練

『世界最強の後衛』における秘神の試練は、秘神と契約した探索者が新たなパーツを獲得するために乗り越えなければならない、極めて過酷な試練である。作中では、アリヒトたちがザ・カラミティからドロップした黒い箱を開封しようとした際に、この試練が発生した。

試練への強制転移と遺失迷宮

・ファルマが黒い箱の解錠を進めている最中、突如として解錠用の立体迷路が変形し、制御不能に陥った。
・これは箱に仕掛けられた通常の罠ではなく、アリヒトたちが新たなパーツを得る資格を満たしたことによる遺失迷宮への引き込み現象であった。
・アリアドネが他の秘神の接近と試練の開始を告げると同時に、パーティに所属する8人は、ライセンスに登録情報がない断崖の峡谷へと転移させられた。

過去の犠牲者たちを物語る石像

・転移先の峡谷には、男女や職業を問わず、百を超える人間の探索者を象った石像が不規則に立ち並んでいた。
・アリアドネによれば、これらは過去に彼女のもとを訪れ、試練によって選別され、命を落としていった契約者たちの成れの果てである。
・この不気味な光景は、秘神の力を得るための試練がいかに多くの有望な探索者の命を奪ってきた絶望的なものであるかを物語っている。

試練の相手である秘神の機体

・試練でアリヒトたちが相対したのは、台座から浮上したレベル12の?意志を持つ鎧である。
・ムラクモによれば、これは秘神が外界で戦闘を行うために素体の上に纏う専用の鎧、すなわち機体に相当する存在であった。
・この鎧は星天幽幻陣を展開して地形を星天図に変化させ、スターゲイザーによる瞬間転移で攻撃を回避しながらビームウィップやフラッシュパージで苛烈な攻撃を仕掛けてくる。
・さらにアトランダムで出現位置を不確定化し無数の幻影を作り出すなど、圧倒的な機動力と防御力でアリヒトたちを全滅の危機に追い込んだ。

試練の突破と新たな契約

・アリヒトたちはパーティの総力を結集してこの試練に対抗した。
・アリアドネの助力を受けて召喚したアルフェッカが超高速機動で幻影を破壊し、エリーティアが進化した技能である瞬星眼で本体の出現位置を看破した。
・さらに、スズナの矢に括り付けた転移封じのトラップキューブをテレジア submerged ではなく、テレジアが発動させて鎧の転移を封じ、ついに反撃の糸口を掴んだ。
・最後はエリーティアのルミナスフラウによる猛攻と、ミサキの道化師の鬼札で弱点化したところへの全員の支援連携攻撃によって鎧の肩部装甲を破壊し、鎧を屈服させた。
・戦意を喪失し膝をついた鎧に、アリヒトが事前の解体で手に入れていた巨門晶をはめ込むことで、第一銘がフォギアであることが判明した。
・フォギアは秘神を鎧い契約者を守る者であり、死闘の末に試練を乗り越えたアリヒトたちは、アリアドネの新たなパーツにして強力な戦力を仲間に迎えることとなった。

まとめ

秘神の試練は、過去に多くの探索者が命を落とした絶望的な壁である。しかし、アリヒトたちはそれぞれの進化した技能や秘神たちの力を巧みに組み合わせることで、レベル12の強敵である?意志を持つ鎧を撃破した。この試練の突破によって、一行は新たなパーツであるフォギアを獲得し、さらなる高みへと進むための強力な戦力を手に入れる結果となった。

装備の強化

五番区の強敵である赫灼たる猿侯の討伐や、過酷な迷宮探索に向けて、アリヒトのパーティはスタンピード鎮圧やこれまでの探索で得た貴重な魔物素材を活用した。ミストラル工房のセレスとシュタイナーに依頼し、大規模な装備強化を行っている。主な強化の内容と方針は以下の通りである。

ザ・カラミティの素材による防具強化と大型兵器

・非常に硬い甲殻を利用し、エリーティアのハイミスリル・ナイトメイル+7とセラフィナの鏡甲の大盾に全属性軽減1を付加して強化した。エリーティアの鎧は+8となり、強化限界に到達している。
・キョウカの武器であるアンビバレンツには、腕槍を使って貫通攻撃強化2を付加した。
・凍結状態で持ち帰ることで機能停止を免れた熱線機関である女王蠍の残光と九尾を組み合わせ、ザ・カラミティの能力を再現する大型兵器クイーンズテイルの製作を依頼した。これは個人で装備するには重すぎるため、荷車での運用が想定されている。

憐憫の幻翅蝶の素材による炎対策と特殊能力の付加

・猿侯が強力な炎属性の攻撃を使用してくる可能性を警戒し、幻翅蝶の前翅や後翅を使って、テレジアのブーツ、ミサキのマント、セラフィナのグリーブ、シオンのベストなどに炎属性軽減2を付加した。
・触角を弦として使用したスズナの弓は、幻蝕の弓+1へと変化した。
・テレジアの剣には触腕を用いて不可視の斬撃を習得させ、エリーティアの早業のガントレットには鱗粉を使って相手の攻撃をそらすフレアディビジョンの技能を追加した。

デスストーカーの素材による状態異常と拘束の付加

・猿侯に操られている探索者を殺さずに動きを止める手段として、シオンのビースティクロウ+3に鋏の素材を使って拘束攻撃1を付加した。
・接近戦が多いセラフィナの警棒には尻尾の素材で毒攻撃2を、キョウカのグリーブには甲殻で毒耐性2をそれぞれ追加している。

装備の新規購入と荷車のチューンナップ

・五番区で流通しているネルゼクス・ガントレットやネルゼクス・グリーブを前衛用に、肌触りが良く強度も高い白羅布麻の巫装や白羅布麻のツナギを後衛用にマドカ経由で購入した。
・重量級の兵器を運用するため、元自動車整備士の職人マッケインに荷車の改造を依頼した。高強度素材であるヘブンスチルの車台に、重量制限を無くす収納石や、移動を補助する加速石、軽化石を組み込んだヘブンスチル・ホイール+3を注文し、商人であるマドカの技能と組み合わせて運用する計画である。

今後の課題であるルーンスロットと真銀の砂

・セレスが所持している転のルーンなどを装備に装着するためには、武具にルーンスロットを付加する必要がある。これには市場で金貨千枚で取引されるほど希少な真銀の砂が必要となる。
・そのため、アリヒトたちは今後の迷宮探索において真銀の砂の採掘可能性も考慮し、ミサキに希少素材の発見率を上げるピックロトリーの技能を取得させている。

まとめ

アリヒトのパーティは、各メンバーの役割や猿侯の特性、引いては操られた探索者を救出するという目的に合わせて、非常に緻密で戦略的な装備強化を行っている。これらの装備を携えて挑む次なる探索は、彼らにとって大きな前進となるだろう。

五つ星の条件

迷宮国五番区において、より上位の迷宮である五つ星迷宮(炎天の紅楼など)へ正式に挑むため、あるいは次の区へ進むための昇格条件として、ギルドは厳しい基準を定めている。ルイーザの説明によれば、具体的には以下の3つの条件を満たさなければならない。

五番区の迷宮二つを三層まで潜る

・五番区にある異なる二つの迷宮を探索の対象とする。
・それぞれの迷宮で三層まで到達し、帰還の巻物などを用いて無事に戻ってくる必要がある。

一度の探索で貢献度三千以上を二度記録する

・五番区の魔物はレベル10前後であり、非常に強力な存在ばかりである。
・一度の探索で三千ポイントを稼ぐには、通常の魔物を数十匹狩り続けるか、さらに強力な名前つきの魔物を討伐しなければならない。
・この条件は、過酷な五番区で生き残り、戦い抜けるだけの実力があることの証明となる。
・アリヒトはこれを聞き、炎天の紅楼でルウリィから装備を奪おうとしていた探索者たちも、この厳しい条件を満たすだけの実力者なのだと推測した。

五番区における累計貢献度二万ポイント以上

・長期的な実績の指標として、累計二万ポイントが要求される。
・ただし、アリヒトたちは五番区のスタンピード鎮圧という大偉業を成し遂げ、特別貢献度として15000ポイントを獲得していた。
・そのため、この条件に関しては特例として大きく緩和され、差し引いて考えることができるという大きなアドバンテージを得ている。

アリヒトたちの進捗

・アリヒトたちは猿侯が待つ五つ星迷宮である炎天の紅楼に全員で挑む資格を得るため、まず夕闇歩きの湖畔の探索に向かった。
・現地ではレベル12の名前つき魔物である★水蛇の崇拝者などを討伐している。
・結果として、一度の探索で5200ポイントという基準を大きく上回る貢献度を獲得した。
・三層への到達も果たしたことで、五つ星迷宮の探索条件達成へ向けて大きな一歩を踏み出すこととなった。

まとめ

五番区の昇格条件および五つ星迷宮への挑戦権獲得には、確かな単独の突破力と長期的な貢献度が求められる。アリヒトたちはスタンピード鎮圧による多大なアドバンテージを活かしつつ、夕闇歩きの湖畔での圧倒的な戦果によって着実に条件をクリアし始めている。因縁の相手である猿侯が待つ炎天の紅楼へ向けて、一行の足がかりは確実に固まりつつあるといえる。

世界最強の後衛6レビュー
世界最強の後衛まとめ
世界最強の後衛8レビュー

登場キャラクター

銀の車輪

アリヒト=アトベ

パーティのリーダーであり、仲間を第一に考えて行動する。会社員時代の上司である五十嵐や仲間たちと信頼関係を築き、迷宮攻略の指揮を執る。

・所属組織、地位や役職
 銀の車輪のリーダー。職業は後衛。

・物語内での具体的な行動や成果
 猿侯から撤退後、仲間と協力してテレジアの呪詛を解く方法を探った。夕闇歩きの湖畔では支援や戦術で霊体魔物を撃破し、意志を持つ鎧との戦闘でも連携攻撃を指示して勝利に貢献している。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 スタンピード鎮圧の功績で特別選抜探索者の称号を得た。新たに支援回復2やタクティカルリロードの技能を取得した。

エリーティア・セントレイル

白夜旅団の元メンバーであり、親友のルウリィを救出するために戦う剣士。呪いの武器の副作用を恐れ孤独を感じていたが、仲間の支えにより共に進む決意を固める。

・所属組織、地位や役職
 銀の車輪のメンバー。

・物語内での具体的な行動や成果
 ルウリィ救出のため単独で炎天の紅楼へ向かい、アリヒトたちに救助された。夕闇歩きの湖畔では水蛇の崇拝者や意志を持つ鎧と戦い、強大な連携攻撃で勝利の決定打を与えている。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 武器を使いこなしたことで職業がカースブレードから上位職のフローレスナイトへ変化した。緋の帝剣の封印が解除され、アンタレスへと進化を遂げた。

テレジア

アリヒトが最初に契約した亜人の少女。言葉は発しないが、仕草や行動でアリヒトたちへの深い親愛を示す。

・所属組織、地位や役職
 銀の車輪のメンバー。職業はローグ。

・物語内での具体的な行動や成果
 炎天の紅楼で猿侯の裏をかいて味方の撤退を助けたが、自身は呪詛を受けてしまった。夕闇歩きの湖畔では罠や隠密行動を駆使して戦闘を支援している。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 猿侯の呪詛侵蝕が進行し、自動的にイビルドミネイトの技能を取得してしまう状態に陥っている。

五十嵐鏡花

元の世界におけるアリヒトの上司。彼に対して特別な感情を抱きつつも、上司としての立場や年齢差に悩むことがある。

・所属組織、地位や役職
 銀の車輪のメンバー。職業はヴァルキリー。

・物語内での具体的な行動や成果
 水蛇の崇拝者との戦闘において、新しく手に入れた銛で攻撃し雷撃を浴びせた。霊体魔物との戦いで霊障状態に陥ったが、夢による治療で回復を果たす。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 新たな技能である清眞の構えを取得した。夢の治療を経てアリヒトに対する意識が変化し、無意識に下の名前で呼ぶようになった。

白宮珠洲菜

控えめな性格だが、仲間を助けるために力を尽くす。秘神アリアドネの言葉を伝える役割を担い、仲間からの信頼も厚い。

・所属組織、地位や役職
 銀の車輪のメンバー。職業は巫女。

・物語内での具体的な行動や成果
 夕闇歩きの湖畔で託宣を使用し、進むべき道を神託によって示した。戦闘では言霊を用いて味方の武器に神聖属性を付加し、霊体魔物への攻撃を可能にしている。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 託宣の技能を取得し、アリアドネから直接の啓示を受け取ることができるようになった。

仁藤美咲

明るい性格で、パーティの空気を和ませる役割を持つ。冗談を言って仲間をからかうこともあるが、仲間への思いやりは深い。

・所属組織、地位や役職
 銀の車輪のメンバー。職業はギャンブラー。

・物語内での具体的な行動や成果
 夕闇歩きの湖畔での戦闘において、道化師の鬼札を用いて敵の弱点属性を変化させ、味方の攻撃を有利に導いた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 希少素材の発見率が上昇するピックロトリーの技能を新たに取得した。

シオン

アリヒトたちに同行する護衛犬。仲間を背に乗せて運ぶなど、移動や防御の面でパーティを支える。

・所属組織、地位や役職
 銀の車輪のメンバー。護衛犬。

・物語内での具体的な行動や成果
 水蛇の崇拝者の激流攻撃で吹き飛ばされたセラフィナを受け止めた。捕獲したディープラミアーを背負って運搬する役割も果たしている。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 デスストーカーの素材を使った加工により、武器のビースティクロウに拘束攻撃の技能が追加された。

セラフィナ・エーデルベルト

禁欲的で真面目な人物。アリヒトたちと共に行動することを望み、最前線で敵の攻撃を受け止める。

・所属組織、地位や役職
 銀の車輪のメンバー。ギルドセイバー中尉。職業は機動歩兵。

・物語内での具体的な行動や成果
 夕闇歩きの湖畔で意志を持つ鎧と交戦し、強力な攻撃を盾で受け止めて仲間を守った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アリヒトたちとの距離が縮まり、彼を下の名前で呼ぶようになった。防御力向上のため重装の心得2などを取得している。

メリッサ・ライカートン

魔物を解体することを好む。口数は少ないが仲間思いであり、五番区にいる母親に会うことよりもパーティの目的を優先しようとする。

・所属組織、地位や役職
 銀の車輪のメンバー。職業は解体屋。

・物語内での具体的な行動や成果
 貯蔵庫で父親のライカートンと共にザ・カラミティの解体作業を行った。意志を持つ鎧との戦闘にも参加し、連携攻撃で敵の装甲を破壊している。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 五番区で母親であるフェリスと再会を果たした。敵の防御を剥がす技能である削ぎ落としの取得を視野に入れている。

篠乃木円

礼儀正しく、パーティの物資調達や運搬を担う。戦闘経験は少ないが、荷車を用いた役割でパーティに貢献したいと考えている。

・所属組織、地位や役職
 銀の車輪のメンバー。職業は商人。

・物語内での具体的な行動や成果
 忍び歩きのポーションなどの希少なアイテムを仕入れ、探索を有利に進める手助けをした。パーマネンスのポーションを使用して経験値を獲得している。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 戦闘に参加していなくても経験値を獲得し、レベル5へと上昇した。荷車の熟練1やカスタムキャリアなどの技能を取得するに至る。

ルイーザ

アリヒトたちの功績を高く評価し、ギルドでの手続きや情報提供を通じて手厚くサポートする。

・所属組織、地位や役職
 ギルドの受付嬢。特任職員。

・物語内での具体的な行動や成果
 炎天の紅楼における探索結果と貢献度を算出し、アリヒトたちに伝えた。五つ星迷宮の探索条件や白夜旅団の動向に関する情報を提供している。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特別選抜探索者の専属職員として、一般職員から特任職員へと昇格した。

マリア=ミラーズ

落ち着いた態度で職務を遂行する料理人。提供する料理で探索者たちを後方から支援する。

・所属組織、地位や役職
 銀の車輪専属支援者。職業は料理人。

・物語内での具体的な行動や成果
 フォレストダイナーやアリヒトたちの宿舎で、能力上昇効果のある料理を提供した。水蛇の崇拝者の素材を使った調理を申し出ている。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 レシピクリエイトの技能を用いて、未知の食材から新しいレシピを開発できる能力を持つ。

ルウリィ=リースリング

魔物に捕らわれてしまった治癒師。エリーティアの親友である。

・所属組織、地位や役職
 白夜旅団のメンバー。職業は治癒師。

・物語内での具体的な行動や成果
 炎天の紅楼にて赫灼たる猿侯に囚われ、眷属として操られている状態にある。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ライセンス上では魔物と判定されており、救出の難易度を高めている。

白夜旅団

ヨハン=セントレイル

エリーティアの実の兄であり、白夜旅団の団長。冷徹な性格で、目的のためには手段を選ばない傾向がある。

・所属組織、地位や役職
 白夜旅団の団長。

・物語内での具体的な行動や成果
 本編での直接的な登場はないが、エリーティアの回想やルイーザの情報提供の中で言及されている。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 五番区の暫定ランキングで序列一位を維持している。色銘の装備の呪いをある程度制御できていると推測される。

アニエス=フィーエ

白夜旅団の副団長。団長であるヨハンの考えを完全には理解できていない部分がある。

・所属組織、地位や役職
 白夜旅団の副団長。

・物語内での具体的な行動や成果
 本編での直接的な登場はないが、ヨハンの考えが分からないことがあるとエリーティアの回想の中で言及されている。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 地図を提供しており、アリヒトたちが猿侯の砦攻略の作戦を立てる際に役立てられた。

シロネ

かつて双剣士として活動していたが、呪符使いへと転職した。

・所属組織、地位や役職
 白夜旅団の元メンバー。職業は呪符使い。

・物語内での具体的な行動や成果
 本編での直接的な登場はないが、彼女が残したブラッドサッカーとヘブンスティレットの二本の剣がアリヒトたちの手に渡っている。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ヘブンスティレットが呪文を刻むことのできる呪術具であることが判明し、テレジアの解呪に不可欠な呪詛喰らいの基となる武器として活用されることになった。

ギルドセイバー

クーゼルカ

厳格な軍人だが、アリヒトたちの活躍を認め、好意的に支援を申し出る。

・所属組織、地位や役職
 ギルドセイバー。三等竜尉。

・物語内での具体的な行動や成果
 スタンピード鎮圧後の炎天の紅楼から撤退したアリヒトたちを出迎え、今後の作戦における協力を約束した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 五番区に滞在している間は、遊撃部隊として動きながらアリヒトたちのために人員確保を行う手筈を整えている。

ジョシュ=ホスロウ

経験豊富な戦士であり、クーゼルカの部下として行動する。ディラン司令官のかつての教官でもある。

・所属組織、地位や役職
 ギルドセイバー。竜曹。

・物語内での具体的な行動や成果
 迷宮前広場でアリヒトたちと合流し、猿侯の狡猾さや五番区の魔物の危険性について助言を与えた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ギルドセイバーの枠を超え、一人の探索者としてアリヒトたちと再び共に戦いたいという意思を表明する。

ナユタ

五番区の防衛を担う部隊に所属する人物。

・所属組織、地位や役職
 ギルドセイバー。

・物語内での具体的な行動や成果
 プロローグにて、スタンピード鎮圧の際にアリヒトたちへ協力したことが語られている。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 本編内での大きな行動の変化は描かれていない。

アデリーヌ

セラフィナの部下であり、偵察などの支援任務を得意とする。

・所属組織、地位や役職
 ギルドセイバー。

・物語内での具体的な行動や成果
 炎天の紅楼において使い魔の矢を使用し、上空からの偵察でエリーティアの居場所を特定するなどの支援を行った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 レベルの問題で前線での直接戦闘は難しいが、事前準備の偵察役として引き続き協力を求められている。

ディラン

五番区の防衛を統括する人物。ホスロウのかつての教え子でもある。

・所属組織、地位や役職
 ギルドセイバーの司令官。三等竜佐。

・物語内での具体的な行動や成果
 本編での直接的な登場はないが、ホスロウとの関係性の中で言及されている。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 五番区の防衛の要として司令官の地位にある。

アイゼンリート

レナード

格闘術を用いて戦う中性的な容姿の少年。丁寧な態度でアリヒトたちに接する。

・所属組織、地位や役職
 アイゼンリートのメンバー。

・物語内での具体的な行動や成果
 夕闇歩きの湖畔の二層で水蛇の崇拝者に追い詰められていたところをアリヒトたちに救助された。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アリヒトたちから帰還の巻物を譲り受け、無事に迷宮から脱出する。

ナターリヤ

ライフルに似た銃を使用する女性の探索者。

・所属組織、地位や役職
 アイゼンリートのメンバー。

・物語内での具体的な行動や成果
 夕闇歩きの湖畔の二層で遠距離から水蛇の崇拝者を狙撃したが、他の魔物に妨害された。アリヒトたちに救助された後、感謝を伝えて撤退した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 迷宮国では珍しい銃器を扱う手練れとして描かれている。

職人・商人・専属支援者

ファルマ

アリヒトたちを温かく見守る存在であり、箱の解錠などを担当する。

・所属組織、地位や役職
 箱屋の店主。専属支援者。

・物語内での具体的な行動や成果
 赤い箱に仕掛けられた転移封じの罠を解除した。黒い箱の解錠を試みたが、遺失迷宮の罠によって解錠を阻まれた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アリヒトのことを弟のように思っており、今まで通りの関係性で接することを希望している。

マッケイン

荷車工房の二代目であり、元は自動車整備士の転生者。魔石による荷車の改造に情熱を燃やしている。

・所属組織、地位や役職
 荷車工房の工房主。

・物語内での具体的な行動や成果
 アリヒトたちの依頼を受け、大型兵器の運搬を目的とした魔石搭載の特製荷車ヘブンスチル・ホイールの製作を引き受けた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 短期間での製作依頼にも快く応じ、高い技術力でアリヒトたちの作戦準備を支えている。

セレス

ミストラル工房の職人であり、少女の姿をした翡翠の民。豊富な知識でアリヒトたちを支援する。

・所属組織、地位や役職
 魔法鍛冶工房の職人。ルーンメーカー。

・物語内での具体的な行動や成果
 テレジアの呪詛を解くため、呪詛喰らいという解呪武器の存在とその作成方法を教えた。また、五十嵐の霊障を治すための夢治療を提案している。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 旧知の仲である呪術医リーネを紹介し、アリヒトたちが解呪の手がかりを得る大きな助けとなった。

シュタイナー(キアラ)

全身鎧を操る職人で、その正体は小柄な十七歳の少女である。

・所属組織、地位や役職
 魔法鍛冶工房の職人。ブラックスミス。

・物語内での具体的な行動や成果
 ザ・カラミティや憐憫の幻翅蝶の素材を用いて、アリヒトたちの装備を強化する加工を担当した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 客に子供扱いされないために鎧へ入って仕事をしているという事実が、浴場での会話を通じて明かされる。

ライカートン

魔物の解体や魔道具の知識に長けた職人。アリヒトに深く感謝し、尊敬の念を抱いている。

・所属組織、地位や役職
 専属支援者。

・物語内での具体的な行動や成果
 貯蔵庫でメリッサと共にザ・カラミティの解体を行い、熱線器官の摘出や巨門晶の発見に貢献した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 五番区で妻のフェリスと再会し、家族三人での時間を過ごすことができた。

フェリシア(フェリス)

猫系の亜人であり、メリッサの母親。言葉は発しないが、家族や仲間を大切に思っている。

・所属組織、地位や役職
 別のパーティに所属する探索者。職業はキャットファイター。

・物語内での具体的な行動や成果
 五番区でメリッサやライカートンと再会し、アリヒトたちと一緒に夕食を囲んだ。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 夫のライカートンを通じて、アリヒトたちのパーティに協力したいという意思を示している。

その他の探索者・関係者

イヴリル

礼儀正しく洗練された所作を持つ令嬢風の少女。エリーティアの境遇を気にかけ、真摯な言葉を投げかける。

・所属組織、地位や役職
 探索者。

・物語内での具体的な行動や成果
 迷宮前広場でアリヒトたちに接触し、エリーティアが死の剣の異名に縛られず生きることを説いた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 猿侯の討伐において、操られた探索者を殺さずに無力化できるとして協力を申し出ている。

ヴァイオラ

イヴリルの傍に控える従者のような女性。口数は非常に少なく、訥々とした話し方をする。

・所属組織、地位や役職
 探索者。

・物語内での具体的な行動や成果
 イヴリルと行動を共にし、アリヒトたちと一緒に戦うことを楽しみにしていると伝えた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 イヴリルとともにレベル12の実力を持ち、今後の作戦での活躍が期待される。

リーネ

三角帽子を被った小柄な女性。セレスと同じ場所で生まれた旧知の仲である。

・所属組織、地位や役職
 ウィッチドクター(呪術医)。

・物語内での具体的な行動や成果
 アルターガストを封印して転変妖霧のチャームを生成し、五十嵐の霊障を抑制した。呪詛喰らいの作成方法をアリヒトに教えた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 十年もの間アルターガストを探し続けており、それを凍結させたアリヒトたちの実力を認めて協力を約束した。

シュバルツ

髑髏の仮面を被り、案山子のように振る舞う剣士。その正体はリーネが使役する人形である。

・所属組織、地位や役職
 リーネがリビングドールで動かす人形。スケアクロウ。

・物語内での具体的な行動や成果
 夕闇歩きの湖畔でアリヒトたちの実力を試すため交戦し、その後は安全なルートの案内役を務めた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 レベル13相当の強さを持ち、エリーティアの最大攻撃すら受け流すほどの実力を見せつける。

司書の女性

五番区の資料館で働く職員。探索者に対して丁寧で協力的な態度を取る。

・所属組織、地位や役職
 五番区資料館の司書。

・物語内での具体的な行動や成果
 アリヒトたちの要望に応じ、自身の技能を用いて猿侯や呪印に関する資料を素早く検索して提供した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 小書架の本が発光した現象を目の当たりにし、事情を尋ねなかった自身の対応を反省して探索者へのさらなる貢献を誓った。

秘神・パーツ

アリアドネ

アリヒトが契約している秘神。契約者を導き、助言や啓示を与える。

・所属組織、地位や役職
 秘神。

・物語内での具体的な行動や成果
 スズナの託宣を通じて進むべき道を示した。また、黒い箱の転移罠が別の秘神パーツによる呼び声であることを伝えている。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 自身の神性や力についてまだ完全には把握できていないが、信仰値の向上やパーツの収集により本来の力を取り戻しつつある。

ムラクモ

アリヒトが背負う星機剣。冷静で理知的な意思を持つ。

・所属組織、地位や役職
 秘神のパーツ(アーマメント)。

・物語内での具体的な行動や成果
 水蛇の崇拝者との戦いで、アリヒトの支援攻撃を起点にしてエリーティアの手に自らの分身を発現させ、二刀流による攻撃を可能にした。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 魔物の素材を吸収して新たな技能を習得しており、武器としての機能だけでなく戦術的助言も行う。

アルフェッカ

銀の車輪の姿を持つ秘神のパーツ。実体化と非実体化を切り替えて機動する。

・所属組織、地位や役職
 秘神のパーツ(アーマメント)。銀の車輪の化身。

・物語内での具体的な行動や成果
 意志を持つ鎧との戦闘において召喚され、バニシングバーストなどの技能で高速機動を行い、敵の幻影を打ち破った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 実体化の時間を限られているが、仲間を乗せての高速移動など、移動・回避面で圧倒的な優位性をもたらす。

フォギア

黒い石のような材質でできた意志を持つ鎧。試練としてアリヒトたちの前に立ちはだかった。

・所属組織、地位や役職
 秘神のパーツ(機体)。

・物語内での具体的な行動や成果
 スターゲイザーによる瞬間転移やビームウィップを用いてアリヒトたちを翻弄したが、連携攻撃に敗れ、アリヒトを主として認めた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 アリヒトによって巨門晶を装着され、第一銘がフォギアであると判明する。新たな戦力としてパーティに加わった。

世界最強の後衛6レビュー
世界最強の後衛まとめ
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展開まとめ

プロローグ 炎天の撤退、そして雪解け

『猿侯』からの撤退と新たな課題

アリヒトたちは『炎天の紅楼』でエリーティアと『猿侯』に遭遇したが、『猿侯』が探索者を眷属として操る能力を持つことを知り、撤退を余儀なくされた。さらに撤退時、テレジアが『猿侯』の呪詛を受け、隷属の危機に晒されることになった。これにより、ルウリィの救出とテレジアの呪詛解除という二つの目標が生じたのである。

『炎天の紅楼』が見放された理由

セラフィナたちは、『猿侯』に操られた探索者がライセンス上では魔物と判定されていることを明かした。そのため、彼らを倒しても探索者殺しとは扱われず、救出を試みる者たちの戦意を削いでいた。町に直接の脅威を及ぼさないこともあり、『炎天の紅楼』は放置されてきたのである。

エリーティアの孤独と後悔

エリーティアは、仲間が傷つくことを恐れ、ルウリィを救うために一人で進もうとしていた。彼女は自分を『死の剣』と捉え、仲間と共にいる資格がないと思い込んでいた。だがアリヒトは、その距離を放置してきた自分にも責任があると認め、エリーティアに過去と剣の事情を聞かせてほしいと求めたのである。

アリヒトの言葉とエリーティアの涙

アリヒトは、誰一人欠けてはいけないこと、エリーティアに何度も助けられてきたこと、そしてルウリィが生きていることを伝えた。エリーティアはその言葉によって張り詰めていた心を崩し、声を上げて泣いた。五十嵐は彼女を抱きしめ、テレジアはアリヒトの涙に触れた。撤退の中で、仲間たちは改めて共に進む意思を確かめたのである。

第一章 新たな出会い、そして再動

1 共闘再び

クーゼルカとホスロウへの相談

アリヒトたちは『炎天の紅楼』から撤退した後、迷宮前広場で待っていたクーゼルカとホスロウに状況を報告した。ホスロウは、『猿侯』が探索者を従え組織的に動く極めて危険な魔物であると説明し、その狡猾さを警戒していた。彼自身も『炎天の紅楼』について詳しいわけではなく、五番区で旧知の人物から情報を集めていたことを明かした。

ギルドセイバーたちの協力表明

ホスロウとクーゼルカは、スタンピード鎮圧での恩義を返したいとして、アリヒトたちへの協力を申し出た。二人はアリヒトたちの実力を高く評価しており、彼らが立ち止まらず前進することへ期待を寄せていた。特にホスロウは、再びアリヒトと共に戦いたいと語り、『猿侯』を打ち倒す意思を示したのである。

作戦立案と探索者救出の課題

アリヒトたちは、『白夜旅団』の地図を用いながら、『猿侯』の砦攻略について考え始めた。『猿侯』やその配下、眷属化した探索者を分断しなければ勝機は薄く、通常の討伐ではなく攻城戦に近い状況であると認識していた。さらに、操られた探索者を殺さずに無力化しなければならないという難題もあり、アリヒトは有効な手段を探る必要性を強く感じていた。

セラフィナたちとの連携

セラフィナとアデリーヌも協力を継続する意思を示した。アリヒトは、アデリーヌの『使い魔の矢』による上空偵察を重要視しており、作戦決行前に砦の最新状況を確認したいと考えていた。地形変化が命取りになる可能性があるため、慎重な準備を進めようとしていたのである。

謎めいた令嬢イヴリルとの遭遇

迷宮前で、アリヒトたちはイヴリルと名乗る令嬢風の少女と、その従者ヴァイオラに声をかけられた。イヴリルは、アリヒトたちが『炎天の紅楼』へ入る場面から見ていたと明かし、エリーティアにも視線を向けた。洗練された所作と独特の気品を漂わせる彼女の存在に、アリヒトは只者ではない気配を感じ取っていた。

2 立ち入り許可

イヴリルによる『死の剣』への否定

イヴリルは、エリーティアが『死の剣』と呼ばれていることを知っていた。しかし彼女は、その呼び名はエリーティアの本質とは異なるものであり、本人が望んだものではないと断言した。そして、誤った名に縛られてはならないと語り、エリーティアへ顔を上げるよう促したのである。

エリーティアの本心

イヴリルは、エリーティアが一人で迷宮へ向かったことを問い、その結果としてアリヒトたちに救われた事実を突きつけた。するとエリーティアは、自分はもっと強くなりたいのだと本心を吐露した。大切なものを守るために戦い、失うことを恐れて強くなりたいと思うことの何が悪いのかと感情を露わにしたのである。

贖罪ではなく生きるための戦い

イヴリルは涙を流しながら、エリーティアが命を捨てるような行動を取る限り、剣に囚われたままだと告げた。武器は持つ者が生きようとしてこそ意味を持つのであり、まず自分自身が生きたいと思わなければならないと説いたのである。アリヒトもまた、エリーティアが贖罪を優先していることを以前から感じ取っていた。

イヴリルたちの協力申し出

イヴリルは、自分とヴァイオラも『猿侯』討伐に協力したいと申し出た。彼女たちは、操られた探索者を殺さずに無力化できる技能を持っていると説明し、危険な戦いであっても役割を果たすと約束した。アリヒトは警戒を抱きつつも、エリーティアを案じる彼女の真摯な言葉を信じ、協力を受け入れたのである。

エリーティアの決意の変化

イヴリルとの対話を経て、エリーティアは自分一人で何かを変えようとはもう思わないと語った。そして、この剣を皆と共に生きるために使いたいと決意を新たにした。アリヒトや五十嵐たちはその変化を喜び、エリーティアもまた、仲間に見放されなかったことへ感謝を伝えたのである。

アリヒトの覚悟

アリヒトは、これからは仲間が心配な時には遠慮せず踏み込むと決めた。大人として一定の距離を保つという建前を捨て、心配ならば心配だと伝えるべきだと考えを改めたのである。その言葉にエリーティアは嬉しそうに応え、パーティには久しぶりに穏やかな空気が戻っていた。

3 解呪の手がかり

宿舎への帰還と仲間たちの再会

アリヒトたちは宿舎へ戻り、待機していたスズナやミサキたちへエリーティアの無事を報告した。スズナはエリーティアを抱きしめ、エリーティアももう仲間の信頼を裏切らないと誓った。仲間たちは再会を喜び合い、重苦しかった空気は少しずつ和らいでいった。

テレジアの異変と医療相談の必要性

一方で、テレジアの隷属印は『呪詛侵蝕』によって侵蝕され続けていた。苦痛は一時的に落ち着いていたものの、完全に安全とは言えず、セラフィナは医療所への相談を提案した。アリヒトもまた、テレジアの状態を深刻に受け止めていた。

セレスによる呪印の分析

宿舎を訪れたセレスは、テレジアの隷属印を確認し、『呪詛侵蝕』によって別種の呪印へ上書きされつつあることを説明した。完全侵蝕まで残り六日程度であり、その期間はアリヒトたちが五番区に滞在できる期限とも一致していた。さらに、解除条件を満たさずに『猿侯』を討伐した場合、呪詛が解除されない可能性まで示されたのである。

技能と解呪への仮説

セレスは、魔物と探索者の技能には類似性が存在すると説明した。そして『猿侯』のような呪詛系統の技能を持つ探索者がいるならば、逆に解呪系統の技能を持つ者も存在する可能性が高いと推測した。アリヒトは、その情報を頼りに解呪方法を探す決意を固めたのである。

資料館と旧知の人物への手がかり

セレスは、旧知の人物が五番区にいるかもしれないと語り、紹介状代わりの手紙をアリヒトへ渡した。その人物は呪詛関連の知識を持つ可能性があり、まずは資料館を調べるべきだと助言した。アリヒトは、その手がかりを頼りに『猿侯』攻略とテレジア救出の道を探ろうとしていた。

束の間の穏やかな時間

深刻な話し合いの後、セレスたちは武具強化やテレジアのスーツ修復に取りかかることになった。その流れの中で、セレスやルイーザの発言に振り回されながらも、宿舎には久しぶりに賑やかで穏やかな空気が戻っていた。過酷な戦いを前にしながらも、仲間たちは確かに心を通わせ始めていたのである。

4 五つ星の条件

混浴での束の間の休息

アリヒトは、女性陣と共に宿舎の風呂へ入ることになり、慣れない状況に緊張していた。セレスは相変わらず大胆で、ルイーザはアリヒトへ指圧を施しながら疲労回復を行った。その施術によってルイーザ自身にも経験が蓄積され、支援者は町で技能を使い続けることでも成長できると判明したのである。

テレジアへの気遣い

アリヒトは、隷属印を他人へ見られたくないであろうテレジアの心情を察し、人目の多い場所は避けたいのだろうと理解した。セレスも自分の配慮不足を認め、テレジアへ謝罪した。テレジアはそれを気にしていない様子を見せ、穏やかな空気が流れたのである。

ルイーザへの施術と親密な時間

今度はアリヒトがルイーザの肩を揉み、彼女の疲労を癒やした。ルイーザは恥ずかしがりながらも施術を受け入れ、アリヒトの回復技能によって身体が軽くなっていくことに驚いていた。セレスやシュタイナーは、その様子を半ば面白がりながら眺めていたのである。

五つ星迷宮への探索条件

ルイーザは、五つ星迷宮へ正式に挑むための条件を説明した。必要なのは、五番区の迷宮二つを三層まで攻略することと、一回の探索で貢献度三千以上を二度記録することであった。さらに累計二万ポイント以上の貢献度も求められるが、アリヒトたちはスタンピード鎮圧による特別貢献度を得ていたため、その条件を大きく緩和できる状況にあった。

『猿侯』討伐への現実的な課題

アリヒトは、貢献度三千を稼ぐだけでも五番区では容易でないことを実感していた。同時に、ルウリィの装備を狙っていた探索者たちも、それだけの実力を持ちながら『猿侯』の縄張りへ踏み込んでいたのだと理解した。魔物に操られた探索者はライセンス上では魔物判定となるため、カルマ上昇なしで攻撃可能であり、その現実が『炎天の紅楼』の歪んだ状況を生み出していたのである。

装備強化への期待

シュタイナーは、『ザ・カラミティ』の素材を見て驚愕していた。アリヒトたちは、氷漬けの巨大蠍の装甲を新たな防具素材として利用できる可能性に期待を寄せていた。これからの戦いへ向け、装備面でも大きな強化が進もうとしていたのである。

第の二章 探索報告とスキルミーティング

1 特任職員

スタンピード討伐による莫大な成果

ルイーザはライセンスを確認し、アリヒトたちが一度の探索で一万三千を超える貢献度を獲得していることへ驚愕した。『ザ・カラミティ』討伐やスタンピード鎮圧、各メンバーのレベル上昇などが大きな加点となっており、通常では不可能に近い成果であった。アリヒトは、街の設備やクーゼルカたちの協力、さらにムラクモやアルフェッカ、アリアドネたち秘神の力があってこその結果だと認識していた。

秘神の扱いとムラクモの強化

ルイーザは、秘神は信仰対象であるため、ギルドはその行動を探索者と同列には評価しないと説明した。アリヒトはその考えを受け入れ、秘神たちへ個人的に感謝を伝えようと考えた。ムラクモは、以前吸収した『鎌刃』の力によって新技『天地刃・斬鉄』を得たことを明かし、『猿侯』の『ヘルテクト鋼』の鎖を再び切断するにはさらなる強化が必要だと警告したのである。

『炎天の紅楼』探索結果と『空星』の謎

『炎天の紅楼』での探索結果は大きな成果にはならなかったが、エリーティア救助によって貢献度の減点は回避されていた。その中でアリヒトは、『赫灼たる猿侯』の名に『空星』が付いていることへ気付く。以前遭遇した『幻翅蝶』も同じ『空星』を冠しており、どちらもカルマや探索者への特殊干渉に関係する能力を持っていたため、アリヒトは『空星』の魔物には共通する特性があるのではないかと考え始めた。

ルイーザの昇格

ルイーザは、上司から『特別選抜探索者』専属職員として『一般職員』から『特任職員』へ昇格すると告げられていた。給料も増額されることになり、彼女自身もアリヒトたちを支え続ける立場が変わっていくことを実感していた。アリヒトは自分のことのように喜び、今回の件を無事に終えたら祝いの席を設けようと約束したのである。

穏やかな共同生活の空気

ルイーザはテレジアとも握手を交わし、今後も共に戦っていく意思を確認した。宿舎では各々が部屋で過ごしており、ミサキやスズナ、エリーティアたちの賑やかな声も聞こえていた。過酷な戦いの最中でありながら、アリヒトたちの共同生活には確かな温かさが生まれていたのである。

2 蠍と蝶の装備

新素材を用いた装備会議

アリヒトたちは、工房組のセレスとシュタイナーを交え、新たに入手した『ザ・カラミティ』や『憐憫の幻翅蝶』の素材について加工方針を話し合った。『名前つき』の素材は特殊であり、適切な処理をしなければ性能を失うことも多い中、今回は非常に貴重な状態で持ち帰れていると判明したのである。

『ザ・カラミティ』素材による兵器構想

氷漬けにしたことで、『ザ・カラミティ』の熱線機関『女王蠍の残光』は機能停止せず保存されていた。セレスは、それを『九尾』と組み合わせることで、『ザ・カラミティ』の能力を再現する大型兵器『クイーンズテイル』を製作可能だと説明した。完成には三日ほど必要だが、アルフェッカで運搬すれば強力な切り札になると見込まれていた。

前衛装備の大幅強化

『ザ・カラミティ』の甲殻は、前衛用装備の強化に使用された。エリーティアの鎧には『全属性軽減1』が追加され、ついに強化限界へ到達した。セラフィナの大盾やキョウカの武器も強化され、対『猿侯』戦を見据えた防御力と攻撃力の底上げが進んだのである。

『憐憫の幻翅蝶』による炎対策

『憐憫の幻翅蝶』の素材は、主に炎属性対策へ用いられた。防具へ『炎属性軽減2』を付与する加工が進められ、スズナの弓は『幻蝕の弓』へ変化した。さらにテレジアの剣には『不可視の斬撃』が追加され、エリーティアのガントレットには『フレアディビジョン』の技能が付与された。アリヒトは、『赫灼たる猿侯』が炎を用いる強敵である可能性を強く警戒していた。

『デスストーカー』素材の活用

『デスストーカー』の素材は、状態異常や拘束性能の強化へ利用された。セラフィナの警棒には『毒攻撃2』が追加され、シオンの爪には『拘束攻撃1』が付与された。特に拘束能力は、『猿侯』に操られた探索者を殺さず止めるための重要な戦力として期待されていたのである。

『真銀の砂』と次なる迷宮探索

セレスは、ルーンスロット付き装備を作るためには希少素材『真銀の砂』が必要だと説明した。市場に出ても即座に売り切れるほど需要が高く、次に探索する迷宮を選ぶ際には、その採掘可能性も考慮する必要があった。アリヒトは、まず黒い宝箱を開封してから方針を決めようと考えていた。

メリッサの母とセラフィナの変化

ライカートンの妻が五番区にいることも判明し、アリヒトはメリッサと母親を会わせたいと考えた。また、セラフィナは正式加入後ということもあり、アリヒトを下の名前で呼ぶようになった。アリヒトはその変化に嬉しさを感じつつも、照れ隠しのように動揺していたのである。

3 技能ミーティング

セラフィナの防御技能相談

アリヒトは、セラフィナのライセンスに表示された膨大な技能一覧を確認し、彼女が防御役として徹底的に鍛え上げられてきたことを実感した。セラフィナは『重装の心得』を後回しにして『薬草の知識』を取得していたが、アリヒトは防御力底上げのため『重装の心得2』まで取得するよう勧めたのである。

『ガーディアンタスク』と役割分担

二人は、『猿侯』戦を想定しながら取得技能を検討した。セラフィナは『ガーディアンタスク』によって仲間へ防壁を付与する案を提案し、アリヒトも防御役と攻撃役の役割分担を重視する方針を確認した。一方で『ブリーチングチャージ』などの攻城向け技能については、現時点では保留とされた。

『ストイック』の秘密

アリヒトが以前から気になっていた『ストイック』について尋ねると、セラフィナは羞恥を見せながら技能内容を開示した。その技能は禁欲的な生活を続けることで能力値が上昇し、一部状態異常への耐性も得られるというものであった。酒を飲まない理由もその技能にあり、アリヒトはその特殊さに驚かされていた。

五十嵐との距離感の変化

続いてミーティングに訪れた五十嵐は、セラフィナがアリヒトを下の名前で呼んでいることを気にしていた。そしてパーティ内の公平さを意識しつつも、自分も呼び方を変えるべきか迷っていたのである。しかし互いに踏み込めず、結局その話題は曖昧なまま流れてしまった。

五十嵐の技能選択

五十嵐の技能には『ウィンドミル』『ブレイブリーソング』『エインヘルヤル』『清眞の構え』など、多彩な能力が並んでいた。アリヒトは特に『清眞の構え』へ注目し、自身の『士気解放』と相乗効果を得られる可能性を説明した。さらに、五十嵐が自分を犠牲にするような戦い方をしがちなことを案じ、防御技能の重要性も説いたのである。

『清眞の構え』の取得

五十嵐は最終的に『清眞の構え』を取得した。実際に槍を構えてみせると、その姿勢は隙がなく美しく、アリヒトは薙刀術との共通性を感じ取った。テレジアもその動きを真似し、五十嵐は彼女へ優しく礼を述べていた。

スズナの巫女技能

次にスズナが技能相談を行った。彼女は『招魂』『依り代』『祝詞』『託宣』など、巫女特有の技能を習得可能になっていた。テレジアの呪詛を解ける技能がないことを残念がっていたが、アリヒトは巫女として別の重要な役割があると励ました。そしてスズナは、アリアドネから神託を得るため『託宣』取得を希望したのである。

ミサキの軽口と穏やかな空気

スズナが席を外した後、ミサキはアリアドネとの対話について勝手な想像を膨らませ、アリヒトをからかった。テレジアまで背中を気にし始めるなど場は妙な盛り上がりを見せたが、アリヒトは二人をなだめつつ、次はミサキ自身の技能相談へ移ろうとしていた。

4 呪詛の痕跡

ミサキの技能と仲間を守る覚悟

ミサキはアリヒトの隣へ移動し、自身の技能について相談を始めた。『ギャンブラー』らしく特殊な技能が多く、『エクストラターン』や『ポットリミット』など、戦況を大きく左右するものが並んでいた。特に『ポットリミット』は仲間の致命傷を肩代わりする危険な技能であり、ミサキはアリヒトが傷ついたとき、その痛みを半分分けてもらいたいと思ったことがあると打ち明けたのである。

『ピックロトリー』の取得

アリヒトは、汎用性の高い技能を優先すべきだと助言した。その中で、希少素材発見率を上げる『ピックロトリー』は、『真銀の砂』探索にも役立つと判断され、ミサキはその技能を取得した。取得後の彼女は、宝探しをするようにふざけながらアリヒトへ鼻を近づけ、場を賑やかにしていた。

テレジアの技能に現れた異常

続いてテレジアのライセンスを確認すると、そこには『呪詛侵蝕』の進行によって自動取得される『イビルドミネイト』という技能が表示されていた。その内容は、所属パーティを外れ、『猿侯』へ従属するという恐ろしいものであった。さらに、一部技能には取得不能を示す『×』表示まで付いており、呪詛が探索者の技能そのものへ干渉している事実が明らかになったのである。

攻撃役として戦う決意

それでもテレジアは、防御系ではなく『リバースグリップ』『リバースエンド』といった攻撃技能を選択した。彼女は『猿侯』の背後を取り、再び強力な奇襲を狙う役割を果たすつもりでいたのである。アリヒトは彼女を守る技能を取ってほしいと願っていたが、テレジア自身は攻撃こそ最大の防御だと考えていた。

アリヒト自身の技能選択

アリヒトは、自分の新技能についても検討した。『隼の眼』『支援回復2』『支援高揚2』『タクティカルリロード』など有用な技能が並ぶ中、回復役不足というパーティの課題を重く見ていた。そして最終的に、『支援回復2』と『タクティカルリロード』を取得し、戦闘中の魔力回復と継戦能力強化を優先したのである。

テレジアの不器用な想い

技能選択後、テレジアはアリヒトへ静かに寄り添った。首筋へ顔を近づけたり、服を掴んだりと、不器用ながらも強い親愛を示していた。アリヒトは彼女へ、謝る必要はないこと、自分が見ているから休んでほしいと伝えた。しかしテレジアは離れようとせず、今度は後ろから肩を揉み始めた。アリヒトはその温もりを受け入れながら、束の間の静かな時間を過ごしていたのである。

5 思慕

貯蔵庫で進む『ザ・カラミティ』解体

アリヒトは、技能確認を終えた後に貯蔵庫を訪れた。そこではライカートンとメリッサが、『ザ・カラミティ』の巨大な死骸を解体していた。極めて硬い甲殻を特殊な工具で切り分けながら、二人は『女王蠍の残光』の取り出しにも成功していたのである。ライカートンは魔道具技術への強い情熱を見せながら、その器官構造について詳しく説明した。

『巨門晶』の発見

解体途中、『ザ・カラミティ』の額部分から特殊な石が発見された。ムラクモはそれを秘神に関わる物だと感じ取り、ライカートンに慎重な摘出を依頼した。取り出された石は『巨門晶』と呼ばれる未知の結晶であり、『破軍晶』や『廉貞晶』と同じ系統の存在である可能性が示されたのである。

メリッサの涙と母への想い

宿舎へ戻る途中、メリッサは突然涙を流した。彼女の母親が五番区にいることをアリヒトが知っていたため、その感情の理由は明白だった。しかしメリッサは、自分たちは探索者であり、今は仲間を優先しなければならないと語り、母親に会いに行くことを拒んだのである。

仲間を思いやるメリッサの本心

メリッサは、テレジアやエリーティアが苦しんでいる今、自分だけが母親へ会いに行くわけにはいかないと考えていた。普段は冷静で解体作業ばかりに没頭しているように見える彼女だったが、その内面には仲間を深く案じる優しさがあった。アリヒトは、彼女が思っていた以上に仲間思いであることを理解したのである。

メリッサの技能選択

宿舎へ戻った後、アリヒトはメリッサの技能確認を行った。『削ぎ落とし』は敵の防御技能や装甲を剥がす極めて重要な技能であり、『猿侯』戦の切り札になる可能性があった。メリッサ自身も攻撃役として戦う意思を示し、必要な場面まで技能ポイントを温存する方針を取ったのである。

疲労と支援

解体作業による消耗は大きく、メリッサは立ちくらみを起こして倒れかけた。テレジアがすぐに支え、アリヒトも休養を優先するよう命じた。アリヒトは『支援回復』とポーションを用いて彼女の体力と魔力を回復させ、メリッサはその魔力に安心感を覚えると静かに微笑んだのである。

テレジアとの静かな夜

夜更け、アリヒトは眠れずにいた。『猿侯』との戦いでテレジアへ呪詛を受けさせてしまったことへの後悔が頭から離れなかったのである。そんな彼の元へテレジアが近づき、静かに寄り添った。アリヒトは彼女へ魔力回復を施し、テレジアは言葉にならないまま優しく彼を寝かしつけた。互いを案じ合いながらも言葉を交わせない距離に、アリヒトはいつか必ず彼女と本当の意味で会話したいと願っていた。

第三章 五番区の迷宮とその住人

1 朝の風景/荷車

早朝のコーヒーと過去の記憶

アリヒトは早朝に目を覚まし、出勤準備を整えたルイーザと顔を合わせた。ルイーザは『特任職員』となった後も通常業務を担当しており、宿舎には『フォレストダイナー』から軽食とコーヒーが届けられていた。久しぶりに飲むコーヒーの香りは、会社員時代の記憶を呼び起こし、五十嵐と共に働いていた頃の出来事を思い出させたのである。

五十嵐との距離感

寝室から出てきた五十嵐は、アリヒトが昔自分を避けていたのではないかと半ば冗談交じりに問いかけた。アリヒトは、社内で噂が立っていたことや、距離を取ろうとしていた事情を思い返していた。そこへルイーザが、なぜアリヒトを名前で呼ばないのかと五十嵐へ追及し、五十嵐は動揺を見せた。三人の間には、以前よりも打ち解けた穏やかな空気が流れていたのである。

資料館へ向かう目的

朝食後、アリヒトたちは資料館へ向かう準備を始めた。目的は、セレスから紹介された呪印に詳しい人物の手がかりを探すことであった。シロネの『呪符使い』という職業や、『色銘の装備』の存在についても話題に上がり、エリーティアは兄ヨハンだけが装備の呪いをある程度制御できているのではないかと語った。しかし彼女は、兄が以前とは別人のように変わってしまったとも感じていた。

ヨハンへの複雑な感情

アリヒトは、もし『白夜旅団』と対立することになっても無条件でエリーティアを支持すると告げた。エリーティアは感謝しつつも、今は兄と再会しない方が互いのためだと考えていた。シロネがなぜアリヒトたちへ敵対したのか、その背景にはヨハンの存在が関係している可能性もあり、アリヒトは『旅団』への警戒を改めて強めていたのである。

荷車工房とマッケイン

その後、アリヒトたちは荷車工房を訪れ、職人マッケインへ荷車製作を依頼した。マッケインは元自動車整備士の転生者であり、魔石による荷車改造に強い情熱を持っていた。『軽化石』『浮遊石』『収納石』などを組み込むことで、荷車は単なる運搬具ではなく、高性能な魔道具へ変化するのだと説明したのである。

『ヘブンスチル・ホイール』完成計画

アリヒトたちは、大型兵器運搬用として『収納石』『加速石』『軽化石』を搭載した荷車を注文した。車台には高強度素材『ヘブンスチル』が使用され、『ヘブンスチル・ホイール+3』として仕上げられることになった。マドカは荷車を扱うことへ強い憧れを抱いており、セラフィナたちも護衛役として支援を申し出ていた。

新たな準備と決意

マッケインは、短期間での製作依頼に驚きつつも快く引き受け、無事に戻ってきた際には武勇伝を聞かせてほしいと笑った。アリヒトたちは、迫る『猿侯』戦へ向け、限られた時間の中で着実に準備を進めていたのである。

2 資料館

五番区資料館への訪問

アリヒトたちは、中位ギルド近くにある五番区の資料館を訪れた。石造りの巨大な建物は避難所としても機能しており、司書の女性はスタンピード当日に防衛へ参加していたことを語った。彼女は『特別選抜探索者』となったアリヒトたちへ敬意を示し、中央書架へ案内したのである。

中央書架での情報探索

中央書架には三十万冊もの蔵書が並んでおり、司書の技能によって『猿侯』『炎天の紅楼』『呪印』に関連する本が即座に検索された。アリヒトたちは、呪印や呪いに関する本を片端から調べ始めた。しかし『猿侯』に関する資料は古く、現在確認されている『呪詛侵蝕』についての記述は存在しなかった。

『炎天の紅楼』調査記録

『炎天の紅楼』についての資料には、一層の地図しか詳細が記されていなかった。二層以降は調査途中で重大な支障が発生したと書かれており、『猿侯』が三層への進行を妨害するため砦を築いた可能性が示唆された。セラフィナは、深部を守る性質を持つ魔物は存在するが、『猿侯』の探索者への敵意は異常な域に達していると警戒を強めていた。

小書架と呪詛の本

中央書架で十分な成果を得られなかったため、アリヒトとテレジアは司書に案内され、小書架へ向かった。そこには寄贈本が収蔵されており、『呪詛に関わる職業、そして魔物』という黒い革表紙の本が置かれていた。本にはテレジアの首に刻まれたものと酷似した呪印が描かれており、呪詛は魔物を討伐する前に解呪手続きを行わなければ永続化する場合があると記されていたのである。

発光する本と新たな手がかり

本を読み進めていたその時、突然本が緑色に発光した。そして白紙だったページへ古代文字が浮かび上がり、アリアドネによって『夕闇歩きの湖畔』と翻訳された。発光と同時に、テレジアの首の呪印も妖しく輝いていたため、アリヒトは呪詛を受けた者が本へ反応を引き起こしたのだと推測したのである。

司書との信頼関係

司書の女性は、自分が事情を深く考えず対応していたことを悔やみ、資料館職員としてもっと探索者の力になりたいと語った。アリヒトは、今回の件で大いに助けられたことを改めて感謝した。互いに配慮し合う中で、短いながらも確かな信頼関係が築かれていたのである。

『夕闇歩きの湖畔』への到着

アリヒトたちは、新たな手がかりを求めて『夕闇歩きの湖畔』へ向かった。迷宮入口は暗く湿った岩窟となっており、不気味な雰囲気を漂わせていた。五十嵐は恐怖を誤魔化しつつ仲間と会話を交わし、エリーティアも以前のような笑顔を取り戻し始めていた。仲間たちは改めて、誰一人欠けず共に進むことを誓い合っていたのである。

3 夕闇歩きの湖畔一層

黄昏の湖畔と進路選択

洞窟を抜けた先には、夕暮れに染まった草原と湖が広がっていた。『夕闇歩きの湖畔』は常に逢魔が時のような不気味な空気を漂わせており、五十嵐は周囲を警戒していた。事前情報では西側ルートが安全とされていたが、テレジアが東を気にしていたこともあり、アリヒトはスズナへ『託宣』を試すよう提案したのである。

『託宣』による神託

スズナは『盛り塩』で陣を描き、『託宣』を発動した。するとアリアドネの声がパーティ全員へ届き、進むべき道として東を示した。アリアドネ自身も、自らの神性や力の全貌をまだ把握できておらず、記憶を失っていることを語った。アリヒトは、自分たちの成長と共にアリアドネも本来の力を取り戻していければと願っていた。

霊体魔物による奇襲

東へ進み始めた直後、パーティは突如霊体系魔物の襲撃を受けた。『アイスレムナント』と『アルターガスト』は地中や背後から奇襲を仕掛け、『コールドハンド』『ボディスワップ』『スケアリーブリーズ』など危険な技能を連発した。テレジアは『シャドウステップ』で攻撃を回避し続けたが、エリーティアの剣技は『見えざる呪縛』によって封印されてしまったのである。

神聖属性による反撃

アリヒトは、霊体に対して物理攻撃が無効であることを見抜き、スズナへ『言霊』を依頼した。神聖属性を付与された魔力弾は霊体系魔物へ有効打となり、『支援連携』による連携攻撃が開始された。エリーティア、テレジア、ミサキが次々に攻撃を繋ぎ、『アルターガスト』を追い詰めていったのである。

テレジアの『蝶の舞い』

『アルターガスト』は『オルタナティブ』によって分身し、連携を断とうとした。しかしテレジアは怯まず、『蝶の舞い』を発動して二体同時へ『アズールスラッシュ』を叩き込んだ。青い蝶を伴う斬撃は敵へ燃焼を与え、ミサキの『ジョーカーオブアイス』によってさらに弱点を突かれた。パーティの連携は、かつてないほど噛み合っていたのである。

『サルコファガス』阻止

追い詰められた『アルターガスト』は、『サルコファガス』による危険な大技を発動しようとした。アリヒトは全滅する未来を幻視し、即座に『フォースシュート・フリーズ』を放った。神聖属性と氷結石の力を込めた魔力弾は『アルターガスト』を完全凍結させ、『サルコファガス』発動を寸前で阻止したのである。

五十嵐への『霊障』

戦闘後も状況は楽観できなかった。五十嵐は『ラスティレイション』によって『霊障』状態となり、行動不能に陥っていた。アリヒトはスズナへ『邪気払い』を試すよう指示し、回復を急いだのである。

髑髏の剣士の出現

その時、湖畔に髑髏の仮面を被った剣士が現れた。ライセンスには魔物反応が表示されていなかったが、その存在は明らかに敵意を帯びていた。五十嵐が戦えない状況の中、アリヒトたちは新たな脅威へ備えて戦闘態勢を整えたのである。

4 髑髏の案山子

『言霊』が通じない『緋の帝剣』

髑髏の剣士と対峙したエリーティアは、スズナへ『言霊』による神聖属性付与を依頼した。しかし『緋の帝剣』は呪われた武器であるため、『言霊』の効果を受け付けず、白い文字は刃へ定着しないまま消えてしまった。エリーティアは、自身の剣で霊体を攻撃するにはアリヒトの補助が必要だと理解したのである。

『スケアクロウ』の異様な剣技

敵は『?スケアクロウ』と表示され、『ロウアースタンス』によって回避力とクリティカル率を上昇させた。脱力したような構えから繰り出される剣技は極めて特殊であり、セラフィナは見たことのない戦法だと警戒を強めた。エリーティアは『魂を攫う鎌』を連想し、この敵も死神のような危険性を持つと直感していたのである。

ミサキの『ラッキーセブン』

ミサキは『ラッキーセブン』を成功させ、『スケアクロウ』の状態異常耐性を低下させた。アリヒトは即座に『フォースシュート・フリーズ』を命中させたが、敵は『晴耕雨読』によって瞬時に凍結を解除し、状態異常耐性まで回復してしまった。五番区の敵は、もはや状態異常解除を当然のように使いこなしていたのである。

セラフィナとエリーティアの連携

セラフィナは『シールドスラム』で敵を押さえ込もうとしたが、『スケアクロウ』は『ウィローウィンド』によって大盾の突進を受け流した。続けてエリーティアが『ブロッサムブレード』を放つも、『スケアクロウ』は『乱舞剣戟』で十五段に及ぶ連撃をすべて弾き返してしまう。エリーティアの最大火力すら通用しないという事実が、パーティへ重くのしかかったのである。

『巡礼者の双剣』とテレジアの一撃

『スケアクロウ』は『ヴォーパルウェポン』によって『★巡礼者の双剣』の隠された機構を解放した。振動する刃は致命的な威力を秘めていたが、その瞬間、背後を取っていたテレジアが『アサルトヒット』と『蝶の舞い』を重ね、『アズールスラッシュ』を叩き込んだ。ほとんどの斬撃を回避された中、最後の一撃だけが髑髏の仮面へ傷を刻み、『スケアクロウ』は戦闘態勢を解除したのである。

エリーティアの再確認

戦闘終了後、エリーティアは『ブロッサムブレード』すら完全には通用しなかった現実を受け止めていた。しかし落ち込むのではなく、自分はもっと強くならなければならないと改めて決意を固めていた。アリヒトはそんな彼女の強さを認め、エリーティアは照れ隠しのように応じたのである。

『邪気払い』と五十嵐の容態

スズナの『邪気払い』によって、五十嵐の『霊障』はある程度落ち着いたものの、完全回復には至らなかった。アリヒトは、今後も状態異常対策が重要になると再認識した。五十嵐自身も、次こそ戦闘へ参加すると悔しさを滲ませていたのである。

マドカの『パーマネンス』

隠れていたマドカは、『パーマネンス』のポーションを凍結中の『アルターガスト』へ使用していた。その結果、状態変化延長によって経験値を獲得し、レベル5へ上昇していた。『パーマネンス』は一部状態異常を延長する特殊な薬であり、アリヒトは今後の戦術へ応用できる可能性を感じ取ったのである。

『スケアクロウ』との奇妙な交渉

『スケアクロウ』は凍結した『アルターガスト』を指差し、それを譲ってほしいと意思表示した。敵意は完全に消えており、騙す気配も感じられなかったため、アリヒトたちは氷像を渡すことを決断する。『スケアクロウ』は氷像を軽々と担ぎ上げると、東の林へ向かって歩き始めた。アリヒトたちは警戒を続けながらも、その後を追うことを選んだのである。

5 湖畔の庵

霧の先に現れた庵

『スケアクロウ』の後を追って林へ入ったアリヒトたちは、濃霧に包まれた末、その先で小さな庵を発見した。茅葺き屋根と煙突を備えた木造の庵であり、煙突から流れる霧が周囲を覆っていた。ライセンスには『未踏領域』と表示されていたが、そこには明らかに人の生活の痕跡が存在していたのである。

呪術医リーネとの出会い

庵から現れたのは、三角帽子を被った小柄な女性リーネであった。『翡翠の民』に似た特徴を持ちながらも、民族衣装風の装いと独特の装飾を纏っていた。彼女は自身を『ウィッチドクター』、すなわち呪術医だと名乗り、呪いや霊に関する技能を扱えると説明したのである。

『アルターガスト』への執着

リーネは、凍結された『アルターガスト』を見て強い関心を示した。通常なら霊体を凍結させることは不可能に近く、アリヒトたちがそれを実現したことへ驚いていた。そして『アルターガスト』を護符へ封印できれば、五十嵐の『霊障』も抑えられると提案したのである。

『霊符封印』による霊具生成

リーネは護符を用い、『霊符封印』を発動した。凍結していた『アルターガスト』は霧へ変化し、札へ吸い込まれていった。その結果、『★転変妖霧のチャーム』が生成された。リーネは、この『アルターガスト』を十年もの間探し続けていたことを明かし、自らの手で封印することへ強い執着を抱いていたのである。

『転変妖霧のチャーム』の効果

生成されたチャームは、『熱情3』までの状態異常抑制と最大魔力上昇の効果を持ち、『ラスティレイション』の技能まで使用可能にする特殊装備であった。リーネは、五十嵐の『霊障』を抑えるため、そのチャームを一週間装備し続ける必要があると説明したのである。

庵での治療と仲間たちの反応

チャームは肌身離さず装備する必要があり、リーネは簾の向こうで五十嵐へ直接装着を行った。ミサキはその状況を面白がって騒ぎ立て、セラフィナやスズナも反応に困っていた。アリヒトも真面目に話を聞こうとしていたが、周囲の空気に振り回される形となっていたのである。

リーネの意味深な態度

説明の途中、リーネは突然アリヒトの頭を撫で始めた。周囲が困惑する中、彼女は耳を貸すよう促し、何か重要な話をする素振りを見せる。しかしその態度は悪戯好きにも見え、アリヒトは彼女の真意を掴みきれずにいた。

6 光明

『熱情』の正体

リーネは、『転変妖霧のチャーム』が抑制する『熱情』とは、発情や色欲に近い状態異常であると説明した。アリヒトは反応に困ったが、五十嵐の状態はチャームを一週間身につけることで抑制できると分かり、ひとまず治療の方針は定まったのである。

案内人シュバルツの正体

リーネは、髑髏の案山子が『リビングドール』で動く人形であり、名前はシュバルツだと明かした。シュバルツは呪印を持つ者を連れたパーティを試す案内人であり、レベル13相当の強さを持っていた。エリーティアは彼に自分の剣技を防がれたことを重く受け止め、ただ立ち向かっただけでは意味がないと考えていた。

テレジアの呪詛診断

リーネはテレジアの首に刻まれた呪印を確認し、それが『赫灼たる猿侯』によるものだと判断した。侵蝕完了まで残された時間は、今日を含めて五日から六日程度であり、完了すればテレジアは『猿侯』の眷属になると告げられた。

『呪詛喰らい』という解決策

リーネは、呪詛を解除するには『呪詛喰らい』で呪詛の術者を倒す必要があると説明した。その武器を作るには、呪文を刻める呪術具と『ホーリーストーン』が必要であり、加工はリーネが担当できるということだった。

『ヘブンスティレット』の発見

エリーティアと五十嵐は、シロネが使っていた二本の剣に心当たりを示した。マドカが倉庫から『ブラッドサッカー』と『ヘブンスティレット』を取り出すと、『ヘブンスティレット』には呪文を刻める性質があると判明した。これにより、『呪詛喰らい』を作るための第一条件が満たされたのである。

次の目的地『震える山麓』

残る材料は『ホーリーストーン』であった。リーネは、それが見つかったことのある迷宮として『震える山麓』を挙げ、一層でも発見例があると教えた。アリヒトたちはテレジアを救うための明確な光明を得たが、同時に五つ星迷宮の資格条件を満たすため、さらに貢献度を稼ぐ必要も残されていた。

第四章 晴れた水辺で花は開く

1 夕闇歩きの湖畔二層

二層への進行と救援決断

アリヒトたちはリーネの庵を後にし、『夕闇歩きの湖畔』の探索を再開した。三層到達条件を満たすため、このまま二層へ進むか他迷宮へ向かうかを検討していたが、その最中に湖の向こうから戦闘音が響いた。セラフィナは、別パーティが二層へ追い込まれた可能性を指摘し、アリヒトも救援へ向かう決断を下したのである。

『忍び歩きのポーション』とシュバルツの案内

魔物との遭遇回避を考えたアリヒトへ、マドカは希少品『忍び歩きのポーション』の存在を明かした。それは金貨五十枚相当の高価な品であったが、使用を迷っていた矢先、シュバルツが無言で先導を始めた。アリヒトたちは彼を信頼し、林沿いを進むことで戦闘を回避しながら二層入口へ到達したのである。

戦闘痕と落とされた装備

二層入口付近には激しい戦闘痕が残されていた。矢が刺さった木々や血痕、さらに盾や銛が落ちており、別パーティが苦戦していたことは明白だった。マドカが『中級鑑定の巻物』で確認した結果、銛『ネルゼクス・ハープーン+3』には水中魔物特攻が付与されており、故意ではなく戦闘中に失われたものだと判明した。さらに盾を貫通していた矢には毒が塗られており、この迷宮の危険性が改めて浮き彫りになったのである。

テレジアの怯え

壊れた盾を見つめるテレジアは、かすかに震えていた。五十嵐やキョウカは彼女を気遣い、前衛配置を調整する。アリヒトもまた、テレジアが単に呪詛だけでなく、この迷宮そのものへ恐怖を抱いていることを察していた。

『水蛇の崇拝者』との遭遇

二層へ入ったアリヒトたちは、水辺で巨大な爬虫類型魔物『★水蛇の崇拝者』と遭遇した。レベル12の星付き魔物であり、『飢餓』『水属性無効』『雷倍撃』といった危険な特性を持っていた。食料を漁っていたその魔物へ、遠方から『ナターリャ』による狙撃が放たれる。しかし別の存在が『シャタードアイ』でそれを妨害し、周囲にはさらに別の脅威が潜んでいることが明らかとなった。

レナードの突撃とアリヒトの支援

格闘家レナードは、『ビーストステップ』を発動して単独突撃を開始した。アリヒトは即座に『右へ回れ』と指示し、『アザーアシスト』と『支援攻撃2』による『ダークネスバレット』を発動した。『水蛇の崇拝者』は『バブルスキン』で防御したものの、雷属性を帯びた支援弾は防壁を貫通し、敵へ有効打を与えたのである。

セラフィナの盾突撃と激流反撃

続いてセラフィナが『シールドスラム』で突撃したが、『水蛇の崇拝者』は巨体を揺るがさなかった。そして即座に『怒涛の激流』を放ち、凄まじい水流によってセラフィナ、レナード、ナターリャを吹き飛ばした。アリヒトは『支援防御1』で援護したものの、激流の威力は強大であり、シオンが吹き飛ばされたセラフィナを受け止めることで辛うじて体勢を保ったのである。

2 緋の帝剣

『ブロッサムブレード』封殺

セラフィナを庇うため、エリーティアは前へ出て『ブロッサムブレード』を放った。しかし『★水蛇の崇拝者』は『バブルスキン』と『蛇剣の構え』を同時発動し、泡を纏った剣で斬撃を完全に受け流した。アリヒトの『支援攻撃1』は通ったものの、それだけでは敵を怯ませるには至らなかったのである。

五十嵐の槍撃と雷撃

そこへ五十嵐が新たに手にした銛『ネルゼクス・ハープーン』で突撃した。『サースティスラスト』によって『渇水石』の効果を引き出し、『水蛇の崇拝者』の泡防御を破壊する。さらに『ライトニングレイジ』を叩き込み、敵へ感電を付与した。水場を利用した雷撃は有効であり、『水蛇の崇拝者』を大きく仰け反らせたのである。

隠れていた『ディープラミアー』

五十嵐は別方向からの気配に反応した。アリヒトは即座に『支援統制1』を発動し、スズナへ射撃指示を送る。スズナは『皆中』と『フォビドゥンアロー』を発動し、障害物を貫通する矢で隠れていた魔物を射抜いた。正体は『ディープラミアー』であり、投射攻撃無効化技能『シャタードアイ』を持っていたが、強化された弓の力によって突破されたのである。

テレジアの恐怖

アリヒトは、テレジアを戦闘へ参加させない判断を下した。『水蛇の崇拝者』の姿が、彼女を亜人化させた存在に酷似していたからである。テレジア自身も恐怖を振り払おうとしていたが、アリヒトは無理をさせず、自分たちへ任せるよう伝えた。

エリーティアの覚悟

『水蛇の崇拝者』の『ストライクフォール』を受け、エリーティアは頬から血を流した。しかし彼女は退かなかった。今まで千体以上の魔物を倒し続けてきた自分が、『猿侯』を倒す前に他の敵へ負けるわけにはいかないと強く思っていたのである。そして、仲間たちが支えてくれる限り、自分はもっと強くなれると宣言した。

『緋の帝剣』の覚醒

エリーティアは『ベルセルク』と『レッドアイ』を発動した。しかし以前のような禍々しさはなく、その剣気は純粋な緋色へ変わっていた。アリアドネの声が響く中、『緋の帝剣』は解放条件を満たし、第一封印が解除された。武器名は『アンタレス』へ変化し、『ベルセルク』は『アルティメイタム』へ、『レッドアイ』は『瞬星眼』へ進化したのである。

アリヒトの決意

エリーティアの変化を目の当たりにしたアリヒトは、彼女がさらに強くなっても、自分は必ず隣で支え続けると決意した。ムラクモもまた、その覚悟へ応えるように力を貸す意思を示した。アリヒトは背負ったムラクモへ手をかけ、『水蛇の崇拝者』へ再び立ち向かおうとしていた。

3 雨上がりの虹

『重雨』による戦場支配

『水蛇の崇拝者』は『クラウドバースト』を発動し、周囲を豪雨に包み込んだ。地形効果『重雨』によって敵は全能力を強化され、『泡の防壁』まで再展開する。降り注ぐ雨は異様な重さを持ち、アリヒトたちの動きを鈍らせていた。しかしムラクモは焦る必要はないと告げ、エリーティアの変化を見届けるよう促したのである。

『アルティメイタム』による覚醒

エリーティアは新たに『コメットレイド』を習得し、『アルティメイタム』を発動した。それは暴走する『ベルセルク』とは異なり、完全に制御された力だった。彼女は『水蛇の崇拝者』の連続攻撃を空中機動で回避し続け、『ソードバリア』によって追加の水刃すら防ぎ返した。赤い光を帯びた軌跡は彗星のように戦場を駆け抜けていたのである。

死角からの反撃

『怒涛の激流』を吐き出した直後に生まれる隙を、エリーティアは見逃さなかった。敵の頭上へ回り込んだ彼女は、アリヒトへ支援を要求する。アリヒトは『支援攻撃2』を発動し、“天地刃”を選択した。その瞬間、抜き放たれたムラクモと同じ剣がエリーティアの左手に出現し、彼女は二刀流状態へ移行したのである。

『スターパレード』と『ルミナスフラウ』

エリーティアは進化した技能『スターパレード』と『ルミナスフラウ』を発動した。『ムラクモ』の効果で『泡の防壁』を解除した上で、四十二連撃を叩き込み、さらに追加攻撃二十八段を浴びせる。赤い斬撃痕『残紅』が敵の全身へ刻み込まれ、『水蛇の崇拝者』は追い詰められて『流血の狂乱』を発動したのである。

七十一段斬撃による決着

『最初の支援』を求めたエリーティアに対し、アリヒトは『支援攻撃1』を発動した。エリーティアは敵の眼前で剣を鞘へ収め、蓄積していた『残紅』を解放する。七十一段もの斬撃が一斉に炸裂し、『水蛇の崇拝者』は青い血飛沫を上げて崩れ落ちた。地形効果『重雨』も同時に消滅し、戦闘は完全決着を迎えたのである。

テレジアの活躍と捕獲判断

一方でテレジアは、自ら『ディープラミアー』を制圧していた。『アサルトヒット』によって昏倒させたその魔物は、人型に近いことや有用技能を持つことから、討伐ではなく捕獲して魔物牧場へ送る方針が決定された。

『フローレスナイト』への転職

戦闘後、エリーティアは自身の職業が『カースブレード』から『フローレスナイト』へ変化していることを確認した。『フローレス』とは傷一つないことを意味し、『緋の帝剣』を真に使いこなしたことで到達した特殊上位職だと推測された。エリーティア自身も、今は剣に振り回されず、信頼して扱えている感覚があると語ったのである。

フェンシング経験の告白

エリーティアは、転生前にフェンシングをしていたことを明かした。その経験から『剣士』を選び、素早さを活かして仲間を守る役目を担っていたのである。現在は迷宮国で独自の剣技へ昇華していたが、かつての競技経験が今の戦い方へ繋がっていたことが判明した。

『アイゼンリート』との交流

救援した探索者二人組は、『アイゼンリート』所属のレナードとナターリャであった。彼らは『水蛇』の本体を追っていた最中に奇襲を受け、仲間とはぐれていたのである。アリヒトたちは帰還の巻物を提供し、互いの無事を喜び合った。ナターリャはアリヒトへ軽口混じりの感謝を告げ、二人は転移で帰還していった。

雨上がりの虹

戦いが終わる頃には雨が止み、空には虹が架かっていた。シオンが元気よく吠える中、アリヒトたちは互いの無事と勝利を喜び合い、束の間の安堵を共有したのである。

4 家族

『ディープラミアー』の捕獲

『ディープラミアー』は『蔓草弾』で拘束された後、体力低下の影響か『服従』状態となった。目覚めた後も抵抗は見せず、シオンが背負って運搬を担当した。アリヒトたちは五番区でも『運び屋』が活動していることを確認し、今後の大型魔物討伐を見据えて貯蔵庫拡張の必要性を考え始めていた。

『支援高揚』と新技能の説明

ミサキとスズナは、戦闘中にドロップした『赤い箱』を探すため、『フォーチュンロール』と『月読』を使いたいと申し出た。アリヒトは『支援高揚1』で士気を高め、その流れで新技能『タクティカルリロード』について説明した。それはアリヒトが消費した魔力を仲間へ再装填するような技能であり、仲間たちはその支援性能へ改めて驚かされていた。

『赤い箱』の発見

スズナの『月読』によって砂浜に青い光が浮かび上がり、シオンがそこを掘り返したことで埋もれていた『赤い箱』が発見された。戦闘中に埋没していたものだったが、士気解放技能の組み合わせによって無事回収に成功したのである。

三層確認と安全帰還

エリーティアとテレジアは三層入口の位置確認へ向かい、その後無事二層へ戻ってきた。帰路ではシュバルツが再び案内役を務め、一行は魔物と遭遇することなく迷宮を脱出した。リーネとの協力関係を築けたことも含め、今回の探索は大きな成果を伴っていた。

テレジアの異変

迷宮を出た後、アリヒトは街灯を背にしたテレジアの姿に違和感を覚えた。一瞬、彼女が知らない誰かに見えたのである。それは呪詛侵蝕が進行している証拠であり、アリヒトは『呪詛喰らい』完成と『猿侯』討伐を急がなければならないと痛感した。テレジアを戦闘から外すべきか葛藤しながらも、彼は彼女を見捨てたくないと強く思っていた。

イヴリルとの再会

その途中、アリヒトたちはイヴリルとヴァイオラに再会した。イヴリルはエリーティアから迷いが消えていることを見抜き、彼女が成長する資格を持っていたと評価した。ヴァイオラもまた、一緒に戦えることを楽しみにしていると静かに告げ、両者は『炎天の紅楼』攻略へ向けて改めて協力関係を確認したのである。

メリッサ一家の再会

魔物牧場へ『ディープラミアー』を預けた後、一行は『フォレストダイナー』へ向かう途中でライカートンと、その妻フェリスに遭遇した。フェリスは猫系亜人であり、言葉は発しなかったが、メリッサの肩へ優しく手を置いていた。メリッサは母と再会できたことを心から喜んでおり、その様子を見たスズナやマドカも感極まっていたのである。

テレジアへの決意

家族の再会を見つめていたテレジアは、歩き出そうとしなかった。しかしアリヒトが隣へ並ぶと、彼女はいつものように袖をつまみながらついてきた。ライセンスには『イビルドミネイト 進行度13』と表示されていたが、アリヒトはテレジアを決して変えさせないと強く決意していたのである。

第五章 契約者の試練

1 賑やかな食卓/新職の技能

賑やかな夕食会

アリヒトたちは『フォレストダイナー』へ向かい、再び個室へ案内された。今回は総勢十六人となり、ライカートン一家やミストラル工房の二人、ルイーザやファルマも加わったことで、いつも以上に賑やかな食卓となった。乾杯の音頭は五十嵐が担当し、皆は重要な戦いを控えながらも束の間の安らぎを楽しんでいた。

酒と節制の話題

店の名物である『森の詩人』のエール酒は香りが良く飲みやすく、仲間たちは酒談義に花を咲かせた。一方でセラフィナは、技能『ストイック』の影響から酒を控えていると説明した。彼女の禁欲的な姿勢に皆は感心し、ミサキは自分も節制すれば『スーパーギャンブラー』になれるのではないかと冗談を口にして場を和ませていた。

仲間たちとの穏やかな交流

料理が運ばれる中、仲間たちは自然に互いを気遣い合っていた。五十嵐やルイーザはアリヒトの世話をしようと競い合い、ミサキやスズナも会話へ加わる。テレジアもまた、珍しくアリヒトの魚料理を切り分けて食べさせるなど、普段とは違う一面を見せていた。アリヒトは恥ずかしさを感じつつも、その優しさを嬉しく受け止めていた。

ライカートンの感謝

食事後、ライカートンはアリヒトへ感謝を伝えた。アリヒトと出会ってから、自分や家族の人生が変わり続けていると語り、フェリスまでもがアリヒトたちへ協力したいと望んでいることを明かした。さらにライカートンは、アリヒトを「星のような人」と表現し、自分にとって憧れの存在であると真摯に語った。アリヒトもまた、多くの仲間に支えられてここまで来たのだと返し、互いに強い信頼を確かめ合った。

パーティ名への着想

ライカートンとの会話を通じて、アリヒトは自分たちのパーティについて考えを巡らせた。仲間たちはそれぞれ希望の星のような存在であり、その力が集まって一つの車輪を動かしている――そう感じた彼は、『鉄の車輪』という言葉を思い浮かべ、パーティ名の候補として心に留めた。

『料理人』の技能

帰り際、料理人のマリアは『水蛇の崇拝者』の素材を料理へ利用したいと申し出た。さらに能力上昇系の果物についても調理可能であると説明し、『料理人』の技能『レシピクリエイト』によって未知の食材でも調理法を感覚的に理解できることを明かした。アリヒトはその技能に驚きつつ、翌朝に食材を渡す約束を交わした。

テレジアへの気遣い

宿舎へ戻った後、エリーティアはテレジアが風呂でのぼせかけたことをアリヒトへ伝えた。アリヒトはすぐに心配したが、エリーティアはそんな彼を見て笑い、テレジアがアリヒトを慕っているのは、その過保護な優しさゆえだと語った。アリヒトは、テレジアが元の姿へ戻った時には今の距離感も変わるのではないかと考えていたが、エリーティアはそのためにも先の区へ進まなければならないと改めて決意を口にした。

新職による技能相談

その後、エリーティアは職業変化によってスキルポイントが五増加したことをアリヒトへ見せ、新たに取得する技能について相談を持ちかけた。彼女は向かいではなくアリヒトの隣へ座り、二人は今後の戦いを見据えて新たな技能構成を考え始めたのである。

2 前進

新たな技能候補

エリーティアはライセンスをアリヒトへ見せ、新たに取得可能となった技能群を確認した。『リベレイション』『返し刀』『ブレードメイデン』など強力な技能が並び、さらに『水蛇の崇拝者』との戦闘によって相手の技能を会得できる可能性も判明した。『スターパレード』や『瞬星眼』には通常習得不能を示す『U』が付与されており、彼女の剣士としての成長が特別な段階へ達したことが示されていた。

『カースブレード』時代の苦悩

アリヒトは、『ベルセルク』や『レッドアイ』を使い続けていたエリーティアの未来を案じていたことを打ち明けた。するとエリーティアは、過去に複数のパーティへ所属したものの、『ベルセルク』を発動した姿を恐れられ、見捨てられてきた経緯を語り始めた。迷宮から脱出されたあと、一人だけ取り残され、意識を失って医療所で拘束されていたこともあったのである。

『死の剣』という噂

エリーティアは、返り血に染まって迷宮から帰還した姿を見られたことで、『死の剣』という異名を付けられた。そして、その噂を広めた背景には、兄が『緋の帝剣』を完全には手放していなかった事情もあった。エリーティアは孤立しながらも、八番区へ降り、スズナと出会ったことでようやく「生きていていい」と思えるようになったのである。

仲間との出会い

アリヒトは、エリーティアと出会えたことを心から良かったと伝えた。エリーティアもまた、アリヒトたちと出会えたことで、ようやく前へ進めたのだと実感していた。しかし彼女は、自分たちが『猿侯』を倒せた先の未来について語ろうとしたところで、アリヒトに遮られる。アリヒトは「もし」の話をするなら、全員が生き残った未来について話したいと望んでいたのである。

技能選択

二人は相談の末、『リベレイション』『返し刀』『武勲の名乗り』を取得する方針を決めた。『ブレードメイデン』は仲間全体の体力低下を前提とする高リスク技能であり、現状では優先しないと判断されたのである。エリーティアは、新たな『アンタレス』なら自分の意思へ応えてくれると確信していた。

『黒い箱』への期待

その後、ファルマがテレジアを連れてやって来た。翌日に『黒い箱』二つと『赤い箱』を開封する予定だと聞き、彼女は年甲斐もなく胸が高鳴ると語った。アリヒトより年下だったと知って恐縮する場面もありつつ、今後も弟のように接してよいかと尋ね、アリヒトもそれを快く受け入れたのである。

探索成果と五番区順位

続いてルイーザが訪れ、今回の探索結果を確認した。『水蛇の崇拝者』討伐による三千六百ポイントを含め、探索貢献度は五千二百へ到達し、五番区ランキングも三百二位まで上昇した。ルイーザは、五つ星迷宮探索条件達成へ大きく前進したと喜び、『白夜旅団』が現在五番区一位であることも教えた。

ルイーザとの距離感

風呂上がりで片眼鏡を外していたルイーザは、自分は近くなら問題なく見えると微笑んだ。そして別れ際、アリヒトの耳元まで顔を寄せ、「これくらい近づくと、よく見えます」と囁いたのである。アリヒトはその距離感に動揺しつつも、彼女を見送った。

テレジアとの夜

夜更け、アリヒトはテレジアへ皆と同じ寝室で休むよう勧めた。しかしテレジアは無言のまま向かいのソファへ移動し、そこへ横になった。アリヒトは毛布を掛け、自分も誰かが近くにいる方が落ち着くと語りかける。テレジアは何か言おうとしたように唇を動かしたが、声にはならなかった。その後、彼女は身体を丸め、穏やかな寝息を立て始めたのである。

3 呼び声

朝食と新技能の相談

五番区へ来て三日目の朝、宿舎では『フォレストダイナー』のマリアが用意した朝食が振る舞われた。薬膳風のスープは『涼天楼食堂』に劣らぬ味であり、マドカは『幻想の小島』で得た果実を預け、加工を依頼した。

その後、マドカは新たに取得可能となった技能についてアリヒトへ相談した。『荷車の熟練1』『カスタムキャリア』『セーフティライド』など、荷車を活用した戦闘支援技能が多く並んでおり、彼女は自分も『猿侯』討伐で役に立ちたいと考えていた。アリヒトは、無理に前へ出る必要はないとしつつも、荷車には大きな可能性があると認めた。マドカは最終的に『鑑定術2』『荷車の熟練1』『カスタムキャリア』を取得し、戦闘への参加意志を固めたのである。

箱開け前の準備

その日は『黒い箱』と『赤い箱』を開封する予定となっていた。『黒い箱』には『パーツ』との戦闘に発展する危険性があるため、事前に全員で方針確認が行われた。メリッサも同行を希望し、テレジアはアリヒトのスーツの裾を掴みながら静かについていった。

転移施設を利用して箱開け専用の部屋へ移動すると、ファルマが罠解除を担当した。まず開封された『赤い箱』には『転移封じ』の罠が仕掛けられていたが、無事解除され、『トラップキューブ』として回収されたのである。

『赤い箱』の報酬

『赤い箱』からは『水蛇の鱗』や貨幣類、さらに古代王国時代の『白貨』が発見された。『白貨』は古物として高額取引される価値を持ち、ミサキは興味津々でコインを欲しがった。アリアドネもまた、供物として捧げられるなら意味があると語った。

続いてマドカが『鑑定術2』を用いて装備品を鑑定した。一つ目は『★ブリーシンガメン』であり、人型魔物から受ける打撃軽減や素早さ上昇などの効果を持つ、女性剣士専用装備だった。『猿侯』との戦闘で有効な防具になると判断された。

もう一つは『★天の乙女の羽衣』であった。魔力消費による被害軽減や回避力上昇、『飛翔天駆』の使用など極めて高性能な装備だったが、現在は破損しており修復が必要だった。また、透け感の強い装備であったため、ミサキが茶化し、場が騒がしくなる一幕もあった。

『黒い箱』の異変

続いて『ザ・カラミティ』由来の『黒い箱』が開封されることになった。ファルマが解錠を進めると、空中に展開された立体迷路が途中で変形を始めた。迷路はルービックキューブのように組み替わり、通常とは明らかに異なる挙動を見せる。

その時、アリアドネは、これは通常の罠ではなく『遺失迷宮』へ引き込もうとする力であり、新たな『パーツ』を得る資格を満たした者への呼び声だと告げた。ファルマは必死に解錠を続けるが、迷路は次々と行き止まりを生み出し、ついには制御不能となる。

新たな試練への転移

強烈な転移の力が発動し、テレジアは咄嗟にアリヒトへ駆け寄った。白い光に包まれる中、アリアドネは他の『秘神』が近づいていること、そして新たな試練が待ち受けていることを示唆する。

アリヒトは、ムラクモやアルフェッカとの戦いを思い返しながら、これもまた自分たちが乗り越えるべき試練なのだと理解した。そして仲間たちが無事であることを祈りつつ、未知の場所への転移に耐え続けたのである。

4 峡谷

未知の峡谷への転移

転移の光が収まると、アリヒトたちは断崖に囲まれた峡谷へ辿り着いていた。周囲には白く輝く結晶片が散らばり、どこか『落陽の浜辺』を思わせる景観だったが、ライセンスには『登録情報なし』と表示されていた。転移してきたのはパーティ所属の八人のみであり、アリアドネの声から、ここは新たな『パーツ』を得るための試練の場だと判明したのである。

『機体』の存在

ムラクモは、ここに存在するものは自分たち『星機剣』とは異なり、『機体』にあたる存在だと説明した。秘神は外界へ干渉するための素体を持つが、その上に戦闘用の『機体』を纏うことで真価を発揮するらしい。さらに、アリヒトの持つ『巨門晶』が反応を示していたことから、神器操晶を持っていたことも試練へ招かれた理由の一つと推測された。

探索者たちの石像

峡谷を進んだ先には、百を超える探索者の石像が立ち並んでいた。あらゆる職業の男女が石化したような姿で残されており、セラフィナはそれが試練へ挑み命を落とした探索者たちだと悟る。アリアドネの声は、秘神の契約者は試練によって選別される存在であると告げていた。

『意志を持つ鎧』との遭遇

石像群を抜けた先には、黒い石のような材質でできた鎧が台座に安置されていた。その鎧は青いラインを発光させながら浮上し、夜空を呼び起こす。ライセンスには『?意志を持つ鎧』レベル12と表示され、戦闘が開始された。

『スターゲイザー』による翻弄

アリヒトたちは間接攻撃から戦闘を開始したが、鎧は『不倶戴天』を発動し、『星天幽幻陣』によって地形を『星天図』へ変化させた。さらに『スターゲイザー』で瞬間転移を行い、攻撃を回避しながらミサキへ接近する。テレジアが咄嗟に庇ったことで致命傷は避けられたが、敵の『ビームウィップ』は極めて危険な威力を持っていた。

セラフィナの新技能

セラフィナは『ガーディアンタスク』を即座に取得し、『プロヴォーク』『オーラシールド』を駆使して盾役を務めた。しかし鎧は転移を繰り返しながら連続攻撃を仕掛け、『ガーディアンズ・メイル+4』すら破損させる。さらに『フラッシュパージ』で自身の装甲を弾丸のように射出し、パーティ全体を追い詰めていった。

『アトランダム』と幻影

鎧は『アトランダム』を発動し、『スターゲイザー』による転移先を不確定化した。複数の幻影が出現したことで本体位置の判別が不可能となり、アリヒトたちは防戦を強いられる。しかしアリアドネの助力を受けたアリヒトは、アルフェッカを召喚した。

アルフェッカによる幻影破壊

アルフェッカは『バニシングバースト』『クレセントドリフト』を発動し、実体化解除状態のまま幻影群へ突撃した。その結果、本体への命中に成功し、『アトランダム』の幻影を全て解除する。アルフェッカの高速機動によって、鎧の能力の仕組みが暴かれたのである。

『瞬星眼』による看破

エリーティアは『瞬星眼』を発動し、『スターゲイザー』で転移した本体位置を見抜いた。しかし鎧は『ゼロアヴォイド』で攻撃を無効化し続ける。それでもエリーティアは諦めず、スズナと連携して転移先へ罠を仕掛ける策を実行した。

『転移封じ』による拘束

スズナの矢へ括り付けた『転移封じのトラップキューブ』を、テレジアが『リリーストラップ』で発動させた。これにより鎧の『スターゲイザー』が封じられ、エリーティアは『アルティメイタム』『スターパレード』『ルミナスフラウ』を重ねて猛攻を開始する。鎧は『ゼロアヴォイド』で耐えたものの、魔力切れによって完全防御が破綻し、ついに攻撃が通るようになった。

総攻撃と『アーマーメイデン』

アリヒトたちは『支援連携』『一斉攻撃』を発動し、ミサキの『道化師の鬼札』によって雷属性を弱点化した上で連撃を叩き込んだ。セラフィナ、メリッサ、スズナも追撃し、連携技『鬼札闇雷衝・断蝕』が決定打となって鎧の肩部装甲を破壊する。追い詰められた鎧は最後の力として『アーマーメイデン』を発動し、人型の女騎士形態へ変化したのである。

『フォギア』との契約

しかし鎧は既に戦意を失っていた。アリヒトが力を貸してほしいと呼びかけると、女騎士は膝をつき、ようやく敗北できたと語った。アリヒトは『巨門晶』を鎧へ装着し、その第一銘が『フォギア』であると判明する。『フォギア』は秘神を鎧う存在であり、契約者を守るための機体だった。こうしてアリヒトたちは、新たな仲間と戦力を得たのである。

戦いの後

戦闘後、アリヒトは深手を負ったテレジアの頭を撫でて労った。ムラクモやアルフェッカ、フォギアも互いに言葉を交わし、仲間たちの緊張はようやく解けていく。アリヒトは、アリアドネもまた新たな仲間の加入を喜んでいるのだろうと感じながら、確かな前進を実感していたのである。

書き下ろし番外編 セレスの夢治療

鏡花の悩み

五十嵐鏡花は、迷宮国へ来てから寝付きの悪い夜が増えていた。男子との交際経験がほとんど無かった鏡花は、アリヒトへの感情をどう整理すればいいのか分からず、同じような悩みを抱えるスズナと共感し合っていたのである。

入浴中の恋愛談義

鏡花とスズナが風呂で恋愛の話をしていると、セレスとシュタイナーも会話へ加わった。そこでシュタイナーの正体が、鎧を操る十七歳の少女キアラであることが明かされる。小柄な体格ゆえ探索者たちに子供扱いされることが多く、父が作った鎧へ入って仕事をしているのだと説明した。

鏡花の複雑な想い

鏡花はアリヒトについて、誠実で女性をいやらしい目で見ない人物だと感じていた。しかし同時に、自分は年上であり、ルイーザのような包容力もなく、高校生組の若さにも敵わないのではないかと悩んでいた。迷宮国へ来て健康的にはなったものの、アリヒトから女性として見られていないのではないかという不安を抱え続けていたのである。

護符への違和感

考え込みすぎて長湯していた鏡花に対し、セレスは『転変妖霧のチャーム』を見せるよう求めた。鏡花の胸と腹の間へ貼られていた護符は、水に濡れても剥がれない特殊なものだった。セレスはその字体を見て、作成者であるリーネを懐かしむような反応を見せた。

セレスとリーネの関係

鏡花がリーネとの関係を尋ねると、セレスは同じ場所で生まれた仲だとだけ語った。詳しい事情はまだ話せないとしながらも、キアラにからかわれた際には、リーネと再会できることへの複雑な感情を覗かせていた。

『熱情3』の危険性

セレスは、護符によって『熱情3』は抑制されているものの、まだ完治していないと説明した。もし護符が戦闘中に破損すれば、即座に症状が再発する危険があるという。また、通常治療を行う場合は特殊な方法が必要になるとも明かした。

『熱情3』の正体

セレスは『熱情3』について、それは探索者へ強い発情や色欲を引き起こす霊障だと説明した。状態が悪化すれば、パーティ崩壊の原因にもなり得る危険なものだった。鏡花は、自分の抱える煩悩を指摘されたような気分になり、激しく動揺してしまう。

夢による治療法

セレスは、煩悩は必ずしも現実の行為で解消する必要はなく、人は想像や夢によって精神へ影響を与えられると説明した。そして夢を利用すれば、『熱情』を安全に治療できる可能性があると語る。鏡花は戸惑いながらも、護符破損時の危険を考え、夢による治療を受ける決意を固めたのである。

鏡花が見た夢

鏡花は、会社勤めをしていた頃の夢を見るのかと思っていた。しかし実際に見たのは、探索者を引退した後、アリヒトと夫婦として田舎町で暮らしている夢だった。二人は広い家で穏やかな生活を送り、鏡花は朝食を作ったあと、まだ眠っている夫を起こしに寝室へ向かうのである。

夫婦としての距離感

夢の中のアリヒトは、広いベッドでも端に寄って眠るような控えめな性格のままだった。鏡花は、会社員時代には言えなかった想いを自然に抱けることへ幸せを感じていた。徹夜明けのアリヒトの髪を可愛いと思ったことも、上司として振る舞おうと抑え込んできた感情も、今では素直に受け止められていたのである。

裸エプロンへの羞恥

鏡花は、ミサキから聞いた「新婚夫婦なら一度はするもの」という言葉を真に受け、裸にエプロンという格好をしていた。しかし恥ずかしさは強く、こんな姿を見られたら呆れられるのではないかと不安も抱えていた。それでも、真面目なアリヒトへ気持ちを伝えるには、これくらい積極的にならなければ気づいてもらえないと思っていたのである。

眠るアリヒトへの口づけ

鏡花はベッドへ上がり込み、眠っているアリヒトへそっと口づけをした。頬や額へ何度もキスを重ねるうちに、もっと触れたいという気持ちが募っていく。アリヒトは寝言で鏡花の名前を呼び、その優しさに鏡花はさらに心を揺さぶられていた。

有人という呼び名

やがてアリヒトは目を覚まし、鏡花へ名字ではなく名前で呼ぶように約束したはずだと告げた。鏡花は「有人」という名前で彼を呼び、互いに恋人ではなく夫婦として接していた。鏡花は、スーツ姿の時から惹かれていたアリヒトの首筋や腕時計だけでなく、今では最も近い距離で彼を見つめられることへ幸福を感じていたのである。

抱擁と治療完了

鏡花は有人へ素直に気持ちを伝え、二人は抱き合った。その瞬間、ライセンスには『キョウカ』の『熱情3』状態が回復したと表示された。夢の中で抱いていた想いが、霊障を癒やす役割を果たしたのである。

翌朝の違和感

翌朝、鏡花は非常にすっきりと目覚めていた。夢の内容自体はほとんど覚えていなかったが、アリヒトへ「有人さん」と自然に呼びかけてしまう。アリヒトは驚きを隠せなかったが、鏡花自身は違和感の理由に気づいていなかった。そして、自分が彼を下の名前で呼んだことを意識するのは、もう少し後になってからだったのである。

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