どんな本?
作家の名前で予備知識無しで買った記憶がある。
「小説家になろう」で「進化の実」を知ったのは作者さんは高校生だったからな・・
文章の書き方が凄く面白くて進化の実を読んでいたが、このタイトルは知らなかった。
進化の実がアニメ化して、、、
そしてこの「#いせれべ」がアニメ化するらしい、、
進化の実と比べると期待出来そう。
モフモフなナイトとアカツキ、ウサギさんが出て来るまで楽しみに待とう。
PVにはしっかり出ている。
ウサギ師匠!!!声が渋い!
動くナイトがカワイイ!!!
アカツキもキュート!
読んだ本のタイトル
著者:#美紅 氏
イラスト:#桑島黎音 氏
あらすじ・内容
大賢者の力を受け継いだ少年――次は“神”に弟子入りする。
最強の身体能力に加え、至高の超魔術まで手に入れた天上優夜。異世界と現実世界で、規格外な活躍を続ける彼が【大魔境】で出会ったのは――『聖』を冠する“神獣”のウサギだった!
異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する3 ~レベルアップは人生を変えた~
「お前を鍛えてやる。そのかわり……俺に『魔法』を教えろ」
無敵の戦闘能力を誇るウサギに弟子入りし、同時に“神獣”の師匠となった優夜――もはや、向かうところ敵なし!!
現実世界では、王星学園の球技大会が開幕! ただ、優夜を狙うマスコミたちが密着取材に来て……。そんな中、優夜の本気の一撃がうっかり炸裂! もちろん、学園中が大騒ぎに!!
圧倒的にチートすぎる少年は、2つの世界に革命を起こす!
前巻からのあらすじ
レクシアから求婚されてしまう優夜。
一国の姫が何処の馬の骨かわからない奴に求婚する暴走に待ったをかける中年騎士のオーウェン。
そんな彼等から王城に案内したいと提案があり優夜はそれを受けるが、1ヵ月後にして欲しいとお願いして受諾される。
彼女達を森の外に送り。
森の奥の方の探査をしていたら、豚の魔物に襲われている仔犬を発見。
豚の魔物を倒して、仔犬を手当して家に連れ帰る。
そして、名前をナイトと名付けて飼う事になるのだが、、
犬ではなくてブラック・フェンリルだった。
更なる森の奥地に行って、洞窟に入ると骸骨が転がっていた。
そのそばにあった本を読むと、、
この骸骨は賢者だったらしい。
しかも、本は賢者の叡智を引き継いでいるらしく優夜が魔法を使いたいと思っていると。
本は賢者の魔法回路を優夜に受け継げさせ、魔法を使えるようにしてくれた。
転入した学園では、野外学習がやっていたら、、
学園の課題が何気に理不尽で学園の生徒達が涙目。
そして最後は番犬ならぬ番熊が爆誕する。
感想
レクシアを暗殺しに来た首切りと呼ばれている暗殺者ルナ。
優夜は暗殺者を撃退してを捕まえたら、、
大魔境の森で共に修行をしたルナだと判明。
姫様のレクシアの勢いに任せた指示で大魔境の中にある優夜の家に転移して、ルナと話をしたら突然姫様がルナを護衛に雇うと言い出す。
同年代の同性の護衛、しかも性格的の2人の相性が非常に良い。
レクシアはもう決めたが、護衛のオーウェンと国王の承認は受けていない。
その件で一悶着あったが、、
被害者本人が気にして無いのでルナがレクシアを襲撃した件は有耶無耶になった。
さらに優夜に家族が増えた。
見た目が赤い子豚のアカツキ。
仔犬のナイトと比べると出来ない子なのだがそれが可愛い。
種族的には魔法特化なので今後の成長が楽しみな存在。
さらにウサギ師匠。
究極超人あ〜るに出てきた格闘するウサギが脳裏に浮かんだ。
アニメでも声は渋いらしい。
それが世界を護る蹴聖、耳聖を持つウサギでかなり長生きしてような事も言っている。
そんな師匠の導きのせいか優夜は種族的に進化をする。
一巻の時のような激痛は共わない進化だったのが、、
残念。
アレはアレで好きなんだけどな。。
そして現代の学園では球技大会が開催される。
優夜を巡って出場する競技のキャプテン達が争奪戦をする。
話し合いでは決着がつかないので、結局はジャンケンで決める事になり優夜は卓球をする事になる。
そんな優夜を芸能事務所の女社長がスカウトするのだが、優夜は全く興味が無い状態。
それなら雑誌の取材をして、自分の事務所が唾を付けていると業界的に外堀を埋めようと暗躍する。
そして球技大会が始まり、卓球で優夜はあまりにも凶悪な球を放つので相手が棄権。
でも、団体戦だったので一回戦で敗退してしまった。
このままじゃ雑誌の取材にならないと思っていたら。
ヒロインの佳織のテニスのペアが佳織のサーブに撃沈。
変わりに優夜が1試合だけ助っ人に入ったりして雑誌の取材でも結果を出す。
そして、異世界でルナの襲撃で有耶無耶になった王都へ訪問をするために、初めて大魔境を出て異世界の街へ赴く。
最後までお読み頂きありがとうございます。
展開まとめ
プロローグ
ルナ襲撃と匿いの決断
ナイトという新たな家族を得て充実し始めた矢先、ユウヤは王城へ向かう途中でルナの襲撃を受けた。レクシアを守るためルナを倒したが、即座に引き渡さず傷が癒えるまで面倒を見ると告げ、自宅へ連れ帰った。レクシアも同行し、ルナの世話を許可した。
転移魔法の発覚
ルナの様子を見守る中、レクシアは一瞬で移動した魔法について問いただした。ユウヤは移動用に創った魔法だと説明するが、それが伝説級の転移魔法であると知らされる。賢者の魔法回路と地球の発想が支えになっていることが示唆された。
ルナの素性と闇ギルド
眠っているふりをしていたルナは観念し、襲撃理由を語り始めた。孤児として生き延び、暗殺者の師匠に拾われ闇ギルドに所属した過去、掟を破った師匠を自ら手にかけた経緯、やがて首狩りと呼ばれる凄腕となった事実を明かした。今回は貴族からの依頼でレクシアを狙ったが失敗し、闇ギルドでは失敗は死を意味すると語った。
ユウヤの想いとレクシアの提案
自らの死を受け入れようとするルナに対し、ユウヤは共に修行した時間を大切な友情だと告げ、ナイトも寄り添った。レクシアは襲撃の事実を他者は知らないと指摘し、ルナを処罰するのではなく自らの護衛として雇うと宣言した。闇ギルドの刺客から守るとも言い切り、王族としての威厳と勢いでルナを圧倒した。戸惑いながらも、ルナはその提案を受け入れることとなった。
オーウェンの追跡と苦戦
レクシアがルナの説得に成功した頃、オーウェンはレクシアの身を案じ、急いで【大魔境】の奥地へ向かおうとしていた。しかし同行する騎士たちは強力な魔物に阻まれ、進軍は困難を極めた。かつて通過できたのはユウヤの力があったからだと痛感し、自分たちだけでは突破できないと悟った。
大魔境からの撤退
ゴブリン・エリートの群れに追い詰められ、騎士団は入口付近まで押し戻された。レクシアの奔放さを陛下の甘やかしのせいだと内心で嘆きつつも、これ以上の進行は不可能と判断する。オーウェンは苦渋の決断として、一時的に【大魔境】から撤退することを選んだのであった。
第一章 ルナとレクシア
護衛就任と入浴騒動
レクシアの勢いに押され、ルナは正式に仕えることとなった。名を呼び捨てにすることまで一方的に決められ、横暴さに呆れつつも従うしかなかった。やがて話題は優夜の持つ特殊な風呂へ移る。魔物のドロップ品であり、疲労回復や魔力活性、美容効果まであると聞いたレクシアは強引に入浴を決定する。結婚発言まで飛び出す中、優夜は辞退し、二人だけで入浴することになった。
恋の自覚と宣戦布告
湯船で語り合う中、レクシアはルナの優夜への想いを指摘した。否定しつつも、結婚の話に強く反応したことで自らの感情を自覚する。レクシアは恋だと断言し、優夜を巡る宣戦布告を行った。ルナも優夜を奪われるのは嫌だと明言し、護衛であり恋のライバルという関係が成立した。こうして二人は襲撃者と標的の関係を越えて歩み寄った。
滞在決定と料理騒動
入浴後、優夜はオーウェンの元へ戻る提案をするが、レクシアは体力が万全でないルナを理由に滞在を主張する。説得に負け、優夜は一泊を認めた。続いてレクシアが料理を申し出るが、経験は皆無で包丁を暴投し危険な状況となる。優夜が説得して料理を引き取り、キング・オークの肉などを用いて体力回復を意識した料理を作り上げた。
食事と甘い攻防
料理は好評を博し、レクシアは喜びのあまり優夜に抱きつく。対抗するようにルナは体力不足を理由に食べさせてもらうことを求め、優夜は応じる。さらにレクシアも王女命令として同様に要求し、優夜は逆らえず従った。こうして和やかで騒がしい食事の時間は、優夜にとってひどく疲れるものとなったのであった。
出発準備と徒歩移動の決定
食後、寝床の扱いで一悶着が起きたが、優夜は精神的な疲労を抱えつつも乗り切り就寝した。翌日、ルナの体調が回復したことを確認し、三人とナイトはオーウェンらと別れた地点へ向かった。転移魔法ではなく、ルナのリハビリを兼ねて徒歩移動を選んだ優夜は、説明不足のまま連れ去った形になったことを悔い、謝罪する覚悟を固めた。
再会とルナの正体告白による混乱
森を抜けると、オーウェンたちはその場で待機しており、レクシアは平然と挨拶した。オーウェンは護衛として叱責し、レクシアも謝罪した。優夜はナイトを家族として紹介し、オーウェンは礼を述べたが、次にルナを紹介しようとした瞬間、レクシアが暗殺者であり新しい護衛だと正直に明かしたため、オーウェンは即座に剣を抜いて距離を取り、周囲も警戒態勢に入った。優夜は必死に危険性はないと訴えるが、護衛としての合理的な疑念を返され、説得に苦しんだ。
信頼の暫定成立と依頼主の情報
ルナは昨夜の状況を根拠に、殺す気なら機会はいくらでもあったと述べ、オーウェンは剣を収めつつも完全な信用は保留した。続いてオーウェンは依頼主について問い、ルナは依頼が王国貴族からで、第一王子のご機嫌取りが目的らしいと語った。第一王子がレクシアを憎むという噂にも触れ、レクシアは動揺し、ナイトに慰められた。さらにルナは、暗殺計画の背景から【大魔境】に第三者がいる可能性が推測され、優夜の存在が曖昧ながら情報として含まれていたと説明した。優夜は暗殺者の死を連想し、動揺しつつも立て直した。
謁見延期と再訪の約束
オーウェンは優夜の存在が早く周囲に知られ始めたと見て、王への謁見を勧めたが、優夜は地球側の予定を理由に延期を願い出た。オーウェンは落胆しながらも受け入れ、優夜の都合の良い時に王都へ来ればよいと伝え、街道の案内も示した。レクシアは渋々ながら引き留めを止め、次の来訪を約束させた。
別れ際の宣戦布告としてのキス
馬車で帰還する直前、ルナは迷惑をかけたことを詫び、優夜とナイトが自分を案じてくれたことを噛みしめた。呼び戻されたルナは馬車へ向かう途中で立ち止まり、優夜の頬にキスをした。それは礼と宣戦布告だと告げ、走り去った。馬車からはレクシアの絶叫が響き、優夜は呆然としながら頬に手を当て、その感触を確かめたのであった。
第二章 アカツキ
湖での邂逅とテイム
ルナとの別れの後も、優夜は宣戦布告の意味を理解できず悶々としていた。気分転換に異世界を散歩していると、美しい湖を見つけ、ナイトとともに風呂を楽しんだ。そこへ見知らぬ子豚が現れ、鑑定の結果【孟槐】という高レベルの魔物であると判明する。直後、鑑定が上位スキル【鑑別】へ進化し、子豚のテイムに成功したと表示された。戸惑いながらも受け入れ、優夜は紅い毛並みからアカツキと名付けた。
新スキルと仲間の力
【鑑別】は対象のスキル構成まで確認できる能力であった。優夜はナイトとアカツキのスキルを確認し、ナイトが強力な戦闘系能力を多数有していることに驚く。アカツキは祓魔や解呪、聖域といった支援系能力を持ち、聖域を発動すると周囲が浄化されたように活性化した。優夜は二体がそれぞれ戦闘と支援で活躍できる存在だと理解した。
現実世界への帰還と球技大会
時間に気付かせたナイトのおかげで優夜は学校に間に合い、気持ちを切り替えることができた。ホームルームで沢田は球技大会の開催と、それが学園祭の予算に直結する重要行事であることを説明する。王星学園の学園祭は外部業者や著名人を招く大規模なものであり、生徒たちは意欲を高めた。
サッカー試合と混乱
体育では球技大会に向けたサッカーが行われ、優夜は亮の勧めでゴールキーパーを務めた。亮は圧倒的な実力で得点を重ね、試合を優位に進める。一方、凜の発案で楓がジャンプしたことで男子たちの集中が乱れ、混乱が生じた隙を突いて亮がさらに得点を重ねた。和やかさと騒動が入り混じる中、球技大会に向けた準備は進んでいった。
晶の奮起と“瞬間移動”級セーブ
楓と凜の一件で男子側の闘志が妙な方向に燃え上がり、全体の動きが向上した。その流れで晶がついに亮からボールを奪い、勢いのまま優夜の守るゴールへ強烈なシュートを放つ。急カーブまで付いた決定機だったが、優夜は一瞬で反応してボールを掴み取り、周囲には瞬間移動のように見える結果となった。優夜は処理の仕方を亮に確認し、遠くへ投げ返す選択をする。
“投擲”が衝撃波になる事故的ゴール
優夜は槍投げの感覚でボールを投げると、空気が揺れるほどの速度となり、ボールの通過で周囲の男子が吹き飛ばされる。最終的に相手キーパーまで巻き込み、そのままゴールネットを揺らしてしまう。優夜が得点扱いか気にした瞬間、全員から総ツッコミが入った。
球技大会の種目決めと“優夜争奪戦”
体育で各競技を体験した後、球技大会の出場種目を決める会議が始まる。学級委員の影野統が進行し、クラスは盛り上がる一方で、優夜だけは力の制御不足による事故を恐れて参加種目を決めかねていた。周囲も「どこに入れても強い」という意味で配置に悩む中、楓が「各種目リーダーのじゃんけんで優夜を獲得する」案を出し、全会一致で採用される。動機が応援目当てで不純だと亮が突っ込むが、優夜は必要とされる状況を嬉しく感じ、どの種目でも頑張ると決める。
慎吾の勝利で卓球チーム入り
じゃんけんは慎吾が勝ち、優夜は卓球チームに入ることが決まった。放課後、亮たちと帰りながら、意外な決定だと話し合う。優夜は卓球経験が乏しく未知数だが、クラスの期待に応えたいと前向きに捉える。
芸能事務所からのスカウト
会話の最中、背後から声をかけられ、黒いスーツの男性・黒沢が名刺を出して芸能事務所所属だと名乗る。黒沢は優夜に対し、芸能界に興味はないかと直球で勧誘を持ちかけ、優夜と亮たちは驚愕する。
第三章 スカウト
黒沢の来訪理由と社長の同席
下校中の優夜に声をかけた黒沢は、事務所に美羽やカメラマンの光が所属しており、彼らの話を聞いた社長が優夜に会いたがったのだと説明した。黒沢の背後にいた腕組みの女性がその社長であり、社長自ら現場に来ていたことが判明する。亮たちは優夜の“芸能界入り”に興奮し、優夜自身も状況の急さに困惑する。
優夜の即答拒否と「普通の高校生活」優先
黒沢に「芸能界に興味はないか」と再度問われ、優夜は礼を述べつつも、突然すぎて決められないとして断る。優夜は、まだ本当にやりたいことを見つけていないこと、友人と普通に高校生活を送れる今の時間が嬉しいこと、芸能界でうまくいく自信がないことを理由として述べた。亮と慎吾は惜しみつつも、優夜の意志を尊重する立場を示す。
黒沢の“あっさり撤退”と社長の焦り
社長は断られたことに焦り、黒沢に食い下がるよう迫るが、黒沢は「コンタクトを取れと言われただけで、説得しろとは言われていない」と淡々と返し、スカウト自体を諦めると宣言する。社長は反発するが、黒沢は無理強いによる炎上リスクや他事務所から叩かれる危険を挙げ、ここで強引に押すべきではないと理屈で止める。
美羽の仲裁と社長の代案「学園特集」
そこへ美羽が現れ、優夜が明確に断った以上、無理をさせるべきではないと社長を諫める。社長は諦めず代案を提示し、優夜個人の所属ではなく、王星学園そのものを雑誌特集にする企画を提案する。近々ある球技大会を「超名門・王星学園の球技大会に大潜入」として大きく扱う構想で、出版社への伝手があるため特集をねじ込めると豪語する。
優夜の条件付き協力と黒沢の理事長交渉
優夜は芸能界入りとは無関係なら協力したいと答えるが、学校の案件なので自分だけで決められないと前置きする。社長はその返答で十分だとして黒沢に理事長へのアポ取りを命じる。黒沢は露骨に面倒そうにしつつも引き受け、学園へ向かう。社長は「建前は学園特集だから素人っぽい写真の方が都合がいい」としつつ、発言の端々に“後でどうにでもできる”含みを匂わせる。
撮影決定と球技大会への取材確定
社長と美羽はその場を離れ、優夜は騒動が大きくなったことを気にするが、亮たちはむしろ撮影を楽しみにする。最終的に、理事長の司が喜んで協力を表明し、球技大会には黒沢たちの事務所が正式に撮影に来ることが決まった。
第四章 ウサギさん
レイス戦での課題と鍛錬継続
優夜とナイトは異世界でレイスと交戦した。レイスは骸骨型の霊体で物理攻撃が通らず、ナイトの爪や噛みつきは無効化されたが、賢者の遺した【全剣】【絶槍】は霊体にも通用し、さらに魔法も有効だったため勝利できた。戦闘後のドロップはSランク魔石のみで落胆する。優夜は魔法と武器を織り交ぜた戦いにまだ慣れておらず、教えを受ける必要性をぼんやり意識しつつ、王都行きや球技大会を見据えて夜遅くまで戦闘経験を積む方針を固めた。
黒堅樹の森への到達と危険域の兆候
成長の頭打ちを感じた優夜は、ナイトとアカツキを連れて森のさらに奥へ踏み込む。周囲は黒い葉と黒炭のような幹を持つ木々に変わり、【鑑別】でそれが【黒堅樹】だと判明する。黒堅樹は並大抵の攻撃では傷一つ付かず、伐採加工にはエルフの精霊魔法やドワーフの秘伝技が必要で、オークションで高額取引されるほど貴重な素材と説明された。優夜はこの区域が一般に知られにくい理由や、戦闘時に叩きつけられた場合の危険を想定し、二匹にこれまで以上の警戒を促した。
ミスリル・ボアの出現と理不尽な性能
【同化】で慎重に進む中、白銀に輝く中型トラック級の猪型魔物を発見する。鑑別結果は【ミスリル・ボア】で、レベル10にもかかわらず攻撃力4万、防御力5万、俊敏力3万という異常な数値を持ち、【突撃】【鉄壁】【魔法反射】【超嗅覚】を備えていた。優夜はステータスの異常さと【魔法反射】の存在に戦慄する。
超嗅覚で発見され、視認不能の突撃で圧倒される
ミスリル・ボアは【超嗅覚】で優夜たちの存在を察知し、助走もなく瞬間的な速度で突撃してきた。優夜は回避できず吹き飛ばされ、黒堅樹に背中を強打する。ナイトとアカツキが駆け寄ろうとするが、優夜は巻き込みを恐れて制止する。続く二度目の突撃も速度が見えず、優夜は防御姿勢で受けたものの鎧越しに甚大な衝撃を受け、【完治草のジュース】で回復しながらも消耗と恐怖を自覚する。
傲慢の自覚と撤退指示、折れかけた心
優夜はS級魔物と戦えていたのが賢者の武器のおかげだったと痛感し、自分のステータスには1万超が一つもない現実を突きつけられる。実力差の見誤りを認め、ナイトとアカツキに「今すぐ逃げろ」と命じるが、二匹は首を振って拒む。優夜は二匹を逃がすため自分が踏みとどまる覚悟を決める。
白いウサギの乱入と一撃粉砕
極限の局面で《助けてやろう》という声が響き、白い何かがミスリル・ボアを真横から吹き飛ばした。その正体は全身真っ白なウサギであり、優夜が「ウサギ?」と呆然とする中、《そうだ、ウサギだ》と返る。怒り狂い血を噴くミスリル・ボアに対し、ウサギは片足でつま先立ちになってもう片方の足を上げ、《うるせえ》と放つ一撃で状況を終わらせた。ミスリル・ボアは血肉だけを残して消し飛び、黒堅樹すら十数メートル先までへし折られ、地面もえぐり取られていた。
圧倒的格差の提示
呆然とする優夜とナイトをよそに、ウサギはつまらなそうに《ザコが》と吐き捨て、何事もなかったかのように立っていた。森の危険度と、自分たちの戦闘領域が一段階どころではなく隔絶している現実が、ウサギの一撃で可視化された場面となった。
白ウサギの正体と副音声の違和感
優夜は白ウサギが自分たちへ視線を向けたことで身構えた。同時に、ウサギの鳴き声に重なる形で渋い声が「副音声」のように聞こえる現象に困惑する。敵であれば勝ち目はないと判断しつつ、情報を得るため【鑑別】を発動した瞬間、【鑑別】がアップグレードされ、スキル【図鑑】を習得した旨のメッセージが表示された。
鑑別の強化で「キック・ラビット」を解析
強化後の鑑別で、白ウサギの正体が【キック・ラビット】だと判明する。レベル4にもかかわらず、攻撃力・俊敏力・知力・運が各50万という異常値で、防御力と魔力だけが低いという極端なステータスだった。さらに種族スキル・固有スキル・武術スキル・通常スキルが高レアかつ「M(マスター)」で揃い、称号に《蹴聖》《耳聖》《二天聖》《流離の兎》《癒しの死神》まで並ぶ。優夜は情報量と規格外の内容に圧倒される。
新スキル「図鑑」の機能把握
優夜はアップグレードの効果を整理する。鑑別が詳細化し、スキルが細分化、レア度が表示され、さらに「M」が“完全に使いこなせる証”であると理解した。新スキル【図鑑】は、所持ドロップや採取物、討伐魔物が登録され、生息域・入手経路・特徴・弱点などが蓄積される仕組みで、知識を増やすほど探索と戦闘が有利になる能力だった。
キック・ラビットの由来と「唯一個体」
図鑑が発動し、キック・ラビットは戦闘種族【ファイター・ラビット】の突然変異で、蹴りを極めて頂点に至った唯一の個体だと示された。耳を用いた戦闘も凄まじいが、相手ができる敵がほぼ存在しないとも記され、優夜は考えることを放棄する形で現実を受け入れた。
蹴りの査定が始まり、アカツキが即落第
キック・ラビットは優夜に「蹴りを見せろ」と要求する。アカツキが前に出て蹴りを披露するが、《論外》と一蹴され、落ち込む。続いてナイトが鋭い蹴りを見せ、《まだまだだが、見どころはある》と評価される。優夜も蹴りを披露し、《今の時点じゃダメダメだが、才能の片鱗はある》と評され、指導の流れが確定する。
異次元の見本蹴りと強制矯正の稽古
キック・ラビットは見本として足を上げ、破裂音とともに黒堅樹を直線上に数十本貫通する“穴あけ”を披露した。優夜には動きが認識できず、参考にならないまま「やれ」と促される。以後、優夜の蹴りはダメ出しされ続けるが、蹴り方が崩れるとウサギが耳で器用に矯正し、極限までゆっくりにした動作も見せて、優夜の蹴りは少しずつ鋭さを増していく。襲来した魔物はウサギが蹴散らし、練習環境が強制的に“安全化”された。ナイトも見よう見まねで練習し、アカツキだけは「もうやめろ。無理だ」と止められて静かに泣いた。
黒堅樹を折る到達点と「実戦」宣告
数時間の稽古の後、ウサギは黒堅樹を蹴れと命じる。優夜は半信半疑のまま全力で蹴り込み、黒堅樹をへし折ることに成功して驚愕する。ウサギは「これくらいできて当然」と言い切り、次は実戦だと告げた。
相手はウサギ本人、蹴りで受けて蹴りで返す特訓戦
実戦相手がウサギ自身だと明かされ、優夜は無理だと訴えるが《無理じゃない。やるんだ》と押し切られる。ウサギは高速で突進し回転蹴りを放ち、優夜は武器なしの状態で咄嗟に蹴りで受け止めることに成功する。ただし衝撃は強烈で足が悲鳴を上げた。ウサギは防御を評価し、攻撃も試せと指示する。優夜は蹴り返し、戦闘中にダメ出しと修正を受けながら蹴り技術を鍛え上げられる。アカツキは呆然と眺め、ナイトは動きを盗もうと注視した。
修行終了と「明日、家で続き」宣言
指導戦が終わると、優夜は疲労困憊で座り込む。異世界でレベルアップして以来初めてのレベルの疲労に新鮮さすら覚える。ウサギは満足し、明日も続けるとして「優夜の家でやる」と一方的に通告した。
空中跳躍で去り、称号獲得で師弟関係が確定
ウサギは軽く跳ぶだけで数十メートル上昇し、空中を足場にして超高速で跳び去った。残った衝撃波は森全体を揺らし、優夜たちは風圧に耐える。直後に「称号【蹴聖の弟子】を獲得しました」と表示され、優夜は白ウサギ――キック・ラビットが師匠になった現実を受け止め、疲れ切った状態で帰還を選ぶ。
師匠の来訪と結界への違和感
優夜が師匠と認識した白ウサギは、翌日も当然のように優夜の家へ現れ、庭の中にまで入り込んでいた。賢者の家には魔物が侵入できなかったはずなのに、ウサギ師匠は難なく踏み入れており、優夜は「敵意がないから通れたのか」「そもそも魔物なのか」と疑念を抱く。ナイトは期待で落ち着かず、アカツキは拗ねて荒れていた。
修行の理由は「後継者」選定
優夜が「なぜ蹴りの稽古をつけるのか」と問うと、ウサギ師匠は優夜を自分の後継者に選んだと告げた。さらに「『聖』を冠する存在には後継者を育てる義務がある」と説明し、優夜たちは『聖』という概念自体を知らないと判明する。ウサギ師匠は呆れつつ、『聖』を冠する動物は神獣と呼ばれ、対となる存在として『邪』があると切り出した。
『邪』と『聖』の役割
ウサギ師匠は、『邪』とは生物の負の側面が結晶化して命を得た存在であり、それが害となるため、星の自浄作用として『聖』の称号が与えられると語る。『聖』は分野を極めた者に星が与える称号で、『邪』から他の生物を守る役割を担うという。優夜は話のスケールと概念性に追いつけず、混乱しながら聞き続けた。
継承は拒否可能だが、義務は過酷
優夜が継承を断れるか確認すると、ウサギ師匠は断ることもできると認める。ただし『聖』を得れば『邪』と戦う義務が生じ、熾烈な戦いになるため、生半可な覚悟では死ぬと断言した。ウサギ師匠は優夜の潜在能力が自分でも底が見えないほど高いと見て、対『邪』の戦力になり得るとして後継者候補に選んだと説明する。
『聖』の戦闘補正と制約
『聖』は『邪』との戦闘時のみステータスが倍以上に上がる一方、普段は『邪』以外の相手にはステータスが半減した状態になると明かされる。それでも大抵の敵は相手にならないとウサギ師匠は言い切り、優夜は鑑別で見たステータスが「半減状態」だった可能性に戦慄する。
優夜は継承を辞退し、それでも修行は継続
ウサギ師匠は継承を強制しないが、鍛えることで無用な流血を減らせるし、『聖』が『邪』と戦う間に周囲へ及ぶ被害を、優夜の力でケアできるかもしれないと語る。優夜は責任の重さと自分が地球の人間である事情から継承を辞退する。ウサギ師匠はそれを受け入れつつ、稽古自体は続けると宣言した。
対価問題と「魔法を教えろ」という要求
優夜が「対価なしで教わるのは申し訳ない」と言うと、ウサギ師匠は「ならお前も俺に魔法を教えろ」と要求する。家の結界を見て、ウサギ師匠は「魔聖」以上の魔法が使われていると感じたとし、敵意があれば一瞬で弾き出され、攻撃も通らないと評価する。その結界を作った存在は『邪』級の化物だろうが、優夜から『邪』の気配はしないとも述べ、優夜は賢者の規格外ぶりを再認識する。
相互師弟関係の成立と名乗り
ウサギ師匠は魔法が使えないと断言しつつ、「超魔法」を教えろと迫る。優夜は自分が理論を“受け継いだだけ”で教える立場ではないと迷うが、昨日のミスリル・ボア戦の恐怖から、対抗手段を増やすために承諾する。こうして優夜は「ウサギ師匠の弟子」でありながら「ウサギ師匠の師匠」でもある関係になる。ウサギ師匠は名を持たないと言い、優夜は自分たちの名(ユウヤ、ナイト、アカツキ)を伝え、二匹も前足を上げて挨拶した。
視点転換:ウサギが優夜を選んだ経緯
場面はウサギ側の回想へ移る。普段は近寄らない【大魔境】へ、ウサギは「面倒なのに何故か」足を踏み入れ、縄張り争いの気配から音の方へ向かった。そこでミスリル・ボアと戦う人間(優夜)を目撃する。優夜の攻撃自体は通っていないが、ミスリル・ボアの突進を受けても爆散せず生存したことにウサギは驚愕する。ナイトの潜在能力、アカツキの素質も評価しつつ、最も底が見えないのは優夜だと結論づけた。
後継者の条件と決定打
ウサギは「自分が鍛えたらどうなるか」という好奇心と、後継者として育てたい欲を抱く一方、技術の悪用を防ぐため、後継者には高潔さが必要だという『聖』の制約を思い出す。そこへ、優夜が仲間を逃がすため自分が犠牲になる覚悟を見せたことで、ウサギは「後継者としての最後のピース」を見出し、助けに入って弟子にした。さらに、優夜の家の結界を見て「魔聖を超える才」を体感し、師匠が弟子入りする形の奇妙な師弟関係に至るとは、この時点では予想していなかった。
第五章 進化
相互師弟の修行生活と「賢者の魔法」の格
優夜はウサギ師匠に蹴りを見てもらいながら、代わりに魔法を教える生活を続けていた。ウサギ師匠の話では、魔法を極めた『聖』として【魔聖】が存在するが、賢者の魔法はその域を超えるらしい。優夜は賢者の残した魔力回路と理論の異常さを改めて実感し、ウサギ師匠が魔法を使えなかった背景にも納得していく。
魔法使いが希少である理由
この世界では、魔法は訓練すれば誰でも使えるという優夜の認識が甘かった。魔力制御と理論理解は難しく、住み込みの弟子入りが必要なほどで、魔術理論は魔法使いの財産として秘匿されるのが常識だと判明する。戦闘に自然に魔法を織り交ぜる魔物の凄さも再評価され、優夜は「魔法を戦闘でどう有利に使うか」を課題として意識するようになる。結果として、賢者の理論は分かりやすく、ウサギ師匠は以前より魔法を使えるようになったと喜ぶ。
キング・ミスリル・ボア戦の強制実戦と「守れない現実」
場面は実戦へ移り、優夜がウサギ師匠と口論している間に、キング・ミスリル・ボアがミスリル・ボア以上の速度で突進してくる。優夜は回避するが、牙を当てる横薙ぎを受け、【無限の籠手】で防いでも吹き飛ばされ黒堅樹に叩きつけられる。ナイトは参戦しようとするが、ウサギ師匠に「参加するな」と止められ、優夜単独で切り抜けるよう要求される。ウサギ師匠は「この世界には『邪』がいる。そんな相手の前では今のお前は誰も守れない」と釘を刺し、優夜は仲間を守れない未来を拒絶して立ち上がる。
蹴りで崩し、武器連携で仕留める
優夜は【絶槍】を取り出し、突進の側面に沿って回転して衝撃を逃がしつつ、通過したキング・ミスリル・ボアの尻へ直伝の蹴りを叩き込む。以前は与えられなかったダメージが入り、優夜は速度にも追随できていた。脚力全般が特訓で強化され、踏み込みが別物になっていたためである。
優夜は魔法反射を警戒して魔法を使わず、絶槍を投擲する。キング・ミスリル・ボアは牙で弾き上げるが、優夜は【天鞭】で絶槍の柄に絡めて引き寄せ、跳躍して頭上から絶槍へ踵落としを叩き込む。強化脚力による威力で脳天を貫通させ地面へ縫い付け、風圧だけでクレーターを作る。キング・ミスリル・ボアは光の粒子となって消滅し、優夜は精神的疲労で座り込む。
評価は「及第点」だが、生存は確保
ウサギ師匠は本来なら蹴りだけで倒せと言いたいが「及第点」と評価する。優夜は武器に頼らなければ長引いたと感じ、戦力差の現実を噛みしめる。ナイトとアカツキは駆け寄って無事を確かめ、優夜も生き残れたことに安堵する。
ドロップ品の異常性とランク体系の拡張
優夜はドロップを回収し、【無魔王猪の大牙】【無魔王猪の大皮】【無魔王猪の肉】に加えて【魔石:SS】、さらに掃除用品なのに浄化・除霊・祓い効果まで持つ【破魔の幕】を入手する。魔石のSSランクに驚く優夜に、ウサギ師匠はSSの上にSSS、EX、Lがあると教える。EX以上は稀で争いに興味を示さないため基本無害だが、ちょっかいを出せば塵一つ残らず消し飛ぶと断言される。さらに【大魔境】最深部にはEXやLがいると言われ、優夜は「身近すぎる」と戦慄する。
『邪』はLランク、そして「継承拒否」再確認
優夜がウサギ師匠の対応可能ランクを問うと、ウサギ師匠はEXまで何とか、ただし無事ではないと述べる。加えて『邪』はLランクで、相手にするには『聖』が束になって戦う必要があり、単独討伐は論外だと明言する。優夜は改めて継承を拒否し、賢者の強さに思いを巡らせるが口には出さない。
突然の進化発生と外見の無変化
帰還直前、「一定レベルに達したため、種族の進化を行います」とメッセージが出現し、優夜の全身が発光する。ウサギ師匠は「進化の準備」と説明し、人の身で進化するのは極めて珍しいと付け加える。優夜は角や翼が生えることを恐れるが、発光が収まっても激痛はなく、外見上の変化は見当たらない。ウサギ師匠はステータス確認を促す。
進化結果:人間(超越種)とスキル・称号の増加
優夜の種族は【人間(超越種)】となり、容姿は変わらないがステータス全般が強化され、病気耐性も得る。スキル面では統合・強化が起き、【心眼・改】(心眼+弱点看破の効果)、【魔法の極致】(属性に縛られず、理論理解とイメージ・魔力に依存して魔法を行使)、【加減】(能力の出力調整)、【隠蔽】(ステータスや事象、魔法の秘匿)が追加される。特に【加減】は地球での生活に支障が出ないよう調整でき、【隠蔽】は異世界人などの称号露見対策になると優夜は判断する。
称号も増え、【賢者の弟子】は賢者の思念に触れて知識を得た者に与えられ、消費魔力軽減の効果があると判明する。さらに魔力回路・究極魔術の後継者系の称号、【蹴聖の弟子】によるスキル解放、そして【蹴聖の師匠】まで獲得し、優夜は賢者との繋がりを感じて喜ぶ。
進化への受け止めと今後への示唆
優夜は進化に戸惑うが、ウサギ師匠は「普通は喜ぶべき」とし、獣人やエルフなら狂喜するだろうと言う。優夜は強くなることを受け入れつつ、「強くなるだけでなく周りと関わる」という賢者の忠告を再確認する。ウサギ師匠は進化で優夜の先がさらに読めなくなったと内心で警戒しつつ、今日は休めと告げ、トラブル時は教えた技術を実践し、対人戦の経験も大切だと助言して去っていく。優夜は自分もいずれ空中を足場に跳ぶような動きができるのかと考えるが、ナイトとアカツキは首を傾げるだけだった。
前日の発覚と「優夜目当て」の撮影計画
球技大会前日、亮が「優夜の写真撮影のために撮影スタッフが球技大会に来る」と思い出して口にする。帰り道に芸能事務所が優夜をスカウトし、断られた代わりに【王星学園】特集として雑誌掲載が決まり、撮影許可も下りたため当日にスタッフが来るという経緯が明かされる。クラスは最初こそ驚くが、雑誌に載る可能性に沸き、歓迎ムードになる。
争奪戦の発生と「卓球固定」という現実
誰かが「優夜をチームに引き込めば写真に入りやすい」と呟いた瞬間、空気が変わり、サッカー・バスケ・ドッジへの勧誘合戦が始まる。しかし優夜は「卓球に出ることが決まっている」と告げ、男子たちは固まって悔しがる。亮は優夜の肩を叩き、卓球を頑張れと背中を押す。
球技大会当日の浮ついた空気と先生の煽り
当日、学園はイベント特有の浮ついた雰囲気に包まれ、生徒は体操服やジャージ姿でソワソワしていた。沢田先生は「先生のボーナスがかかった大事な大会」と言うが、亮に即ツッコまれ、生徒も同意する。注意事項の後、各会場へ移動が始まる。
撮影陣の規模が想定外で、緊張が確定する
移動中、芸能事務所の黒沢と社長に遭遇する。社長は「優夜の勇姿を写真に収める」と宣言し、自然体でいいと言うが、背後には十人規模のカメラマンと、テレビ局のような機材まで揃っていた。優夜は緊張不可避と悟り、社長は勧誘を撤回せず「諦めてない」と言い切る。名目は学園特集で他の生徒や風景も撮るが、優夜の写真は必ず欲しいと念押しされ、優夜は試合に集中しようと気を引き締めて会場へ向かう。
卓球会場の空気と「体育クラス」の存在
卓球会場の体育館には慎吾やクラスメイトが集まっており、優夜が卓球に来たこと自体が意外視される。対戦表が貼り出され、慎吾は初戦が「体育クラス」の相手だと知って表情を曇らせる。慎吾の説明で、一般クラスとは別にスポーツ推薦中心の「体育クラス」が存在し、校舎も違うため普段会わないこと、野外学習に不参加だったことが明かされる。さらに亮は本来体育クラス相当の実力だが、運動以外にも目を向けたいと一般クラスを選んだと語られ、優夜はそちらに驚く。
カメラが張り付き、逃げ場なく試合へ
優夜の番になると、カメラマンがぴったり張り付いて追いかけてくる。離れてほしいと頼んでも拒まれ、優夜は諦めて卓球台へ向かう。
初戦の相手は「狙撃手」
卓球台の前には、190cm近い筋肉質で、高校生とは思えない貫禄の男子が仁王立ちしていた。本人は「繊細な技」と言うが外見は真逆で、優夜は内心ツッコミが止まらない。周囲の声で相手は全国常連の【狙撃手】と呼ばれる有名選手だと判明し、初戦がその相手であることに優夜は不安を強める。
異常回転サーブと、優夜の反射が生んだ事故
試合開始。相手は「サーブだけで十分」と豪語し、凄まじいスピンで角を狙うサーブを放つ。球は銃弾のように回転し、周囲は実況のように騒ぐ。優夜が球に集中した瞬間、周囲の動きがスローモーションに見え、以前の「殴られそうになった時」と同じ現象だと察する。異世界での戦闘速度に身体が慣れ、通常の速さが遅く感じられる状態だった。
優夜は相手の打ち方をそのまま真似て返球するが、威力が異常になり、ボールが卓球台を貫通して体育館の床まで打ち抜く。全員が無言で穴を見つめ、優夜は静かに手を挙げて棄権を申し出る。
卓球台破壊の後悔と棄権の正当化
卓球台と床をピンポン玉で打ち抜いた直後、周囲は「捉えられたのか」「普通じゃない音がした」と騒然となる。優夜は自分の失態を自覚しつつ、撮影の本来目的が「優夜の写真」である以上、棄権はまずかったのではと今さら悩む。ただ、続ければ誰かを怪我させる恐れがあり、結果として棄権は間違いではなかったと結論づける。
社長の叱責と「写真が足りない」要求
芸能事務所の社長が駆け寄り、「一回戦で棄権は困る」と責める。優夜は相手が有名選手だから負けは見えていたと弁明するが、社長は「打ち返せていた」「ボロ負けではない」と食い下がる。さらに「卓球台を打ち抜くのは異常」「秘密があるのでは」と勘を働かせるが、優夜は笑って誤魔化す。社長は「負けたままだと目的が果たせないから何とかして」と一方的に告げて去り、優夜は別競技参加を迫られた形になる。
慎吾の敗退と、優夜の“説明不能”報告
優夜は応援に回り、ダブルスの慎吾を見守るが、相手が体育クラスで慎吾は敗退する。慎吾は落ち込みながらも「運動が苦手なりに頑張った」「ペアに助けられた」と納得し、優夜も安堵する。慎吾が優夜の結果を尋ねると、優夜は「棄権」「卓球台と床を打ち抜いた」と告げ、慎吾は当然のように絶句する。優夜は「写真が撮れなかったので何とかしろと言われた」と説明し、体育館で参加できそうな競技を探す方針を伝え、慎吾とは別行動になる。
楓の緊急勧誘で、バレーの助っ人へ
体育館で楓に呼び止められ、優夜が棄権したと知った楓は残念がる。直後、楓は「バレーに参加してほしい」と手を取って頼む。男女混合の試合で、メンバーが怪我をして人数不足になり、次の相手はバレー部が多いクラスで厳しいという事情があった。登録外参加の可否を優夜が気にするが、楓は大丈夫だと言い、優夜は社長の要求とも合致するため参加を決める。
凜合流と撮影陣の煽りで、空気が過熱する
チームには凜もおり、優夜の助っ人参加が歓迎される。優夜に付いてきたカメラマンたちも「次はバレー」「男女混合で映える」「女子のレベルが高い」と盛り上がり、特に女子側の闘志が燃え上がる。結果としてチーム全体の士気が上がり、試合は優位に進む。
試合中の軽口と、社長の「スパイクを打て」命令
凜のトスから楓が綺麗なスパイクを決め、優夜が褒めると楓は照れて崩れる。凜は場のテンションで楓にちょっかいを出し、優夜は必死に視線を逸らして精神系スキルに頼って耐える。一方で優夜は危険回避のため、スパイクを避けてブロックや拾い中心のサポートに徹していたが、社長が「サポートばかりじゃなくスパイクを決めろ」と要求する。楓と凜も「今度は優夜をサポートする」と善意で背中を押し、優夜は断りづらい状況に追い込まれる。
反射の跳躍スパイクが引き起こした破壊と“棄権連鎖”
楓のトスが高く上がりすぎ、相手にブロックを合わせられる状況になるが、優夜は反射的に跳躍してスパイクを放つ。結果、ボールが破裂し、風圧でネットがなぎ倒され、コートが無残な状態になる。怪我人は出なかったが場は沈黙し、優夜は謝罪する。すると相手側が棄権を宣言し、優夜側が勝利する。その後も「優夜がいる」と知った相手が当たるたび即棄権し、優夜たちは実質戦わず優勝してしまう。優夜は喜べないが、凜たちは「勝ちは勝ち」と慰め、優夜の気持ちは少し軽くなる。別種目でもクラスは好成績で、沢田先生は露骨に喜ぶ。
テニスコートの騒ぎと、佳織のペア崩壊
移動中、テニスコートが騒がしく担架も見え、中心に佳織がいるのを優夜が発見する。佳織はダブルス中にペアが怪我(気絶)し、試合継続が難しくなっていた。優夜は男女混合なら自分が代役で参加できると提案し、相手チームも了承したため、佳織の“限定ペア”として試合に入る。
佳織の危険サーブと、優夜のワンマン防衛
再開直後、佳織のサーブが危険な速度で優夜の頭付近をかすめ、優夜は悪寒で回避する。佳織は謝るが、優夜は「これがペア気絶の原因では」と疑う。試合では相手が佳織を狙い、佳織は空振りを連発して失点する。優夜は厳しい体勢から拾い、脚力でコート内を瞬時に移動してカバーし、ライン際を狙う返球で得点を重ねる。実質「優夜一人 vs 相手ペア」の様相になり、撮影陣もその異常さに驚く。
佳織の失敗と抱き留め、写真の“狙い”が確定する
マッチポイント付近で相手のミス球が上がり、佳織が「今度こそ役に立つ」と振り下ろすが空振りする。直後の描写として、社長は「佳織を抱き留めたシーンを撮った」と満足げに近づき、優夜は“大胆なことをした”と今さら恥ずかしくなる。佳織は落ち込むが、社長は二人の写真撮影を提案し、佳織は一転して大喜びする。
距離を詰める撮影と、笑顔の決定的瞬間
撮影では社長が「もっと近づけ」と指示し、肩が触れる距離まで詰めさせる。佳織と目が合って互いに赤面し、社長は「初々しすぎる」と言いつつ笑顔を要求する。二人は同時に「無理」と言って笑ってしまい、その瞬間をカメラマンが逃さず撮影する。
下校前の誘いと、頬への“秘密”
球技大会後、校門近くで佳織が優夜を呼び止め、今日のお礼も兼ねて「途中まで一緒に帰って寄り道しませんか」と誘う。優夜は受け入れ、友だちができたこと自体を大切に感じる。さらに優夜が「佳織と一緒にいられるだけでも価値がある」と言うと、佳織は赤面して固まり、やがて「目を瞑って」と頼む。優夜が目を閉じると、良い香りがして頬に微かな接触があり、佳織は「秘密です」とだけ告げ、悪戯っぽく魅力的に微笑む。
第六章 異世界の街へ
王都帰還と国王アーノルドの確認
優夜が球技大会をしている同時刻、オーウェン一行は王都へ戻り、国王アーノルドに帰還を報告した。アーノルドはレクシアの無事を喜び、先に休ませるためメイドに命じて部屋へ下がらせる。直後、場に残ったオーウェンへ「大魔境の青年(ユウヤ)がいない理由」を問いただす。
ルナの告白と国王の抜刀
オーウェンが事情を濁す中、アーノルドはルナに注目し、原因が彼女にあるのかと追及する。ルナは「自分がレクシア暗殺を試みた」「日程が遅れ、ユウヤが来られなくなった」と、隠さず断言した。アーノルドは「暗殺者が失敗して生きている理由」を詰め、ルナは「本来は死ぬつもりだったが、レクシアが止めた」と説明する。アーノルドは国宝【斬剣グレイクル】を抜き、ルナへ斬りかかるが、ルナは糸で“剣”ではなく“腕”の動きを止め、即座に制圧する。
実力確認とレクシアの乱入
アーノルドはルナの対応から剣の特性理解を見抜き、実力を認めて糸を解くよう求める。両者が睨み合う最中、レクシアが戻ってきて「ルナに何をしている」と激怒し、「お父様なんか嫌い」と言い放つ。アーノルドは精神的に致命傷を負いかけるが、糸のせいで斬りかかる姿勢のまま固定され、余計に惨状が際立つ。ルナは傲岸な態度のまま糸を回収し、場は収束する。
ルナを護衛として正式承認
レクシアは「実力は十分分かっただろう」と念押しし、アーノルドはオーウェンの意見を求める。オーウェンは、ルナが闇ギルドで名の知れた暗殺者であり、暗殺者対策として護衛に適任だと進言する。アーノルドはルナの名を確認し、レクシアの護衛として認め、娘を守るよう命じる。ルナはこの場で初めて頭を下げ、レクシアと共に退出する。
国王の“父親モード”とユウヤへの敵視
ルナの正体が闇ギルドの【首狩り】であると判明し、アーノルドは驚く。さらに、暗殺阻止に関わったユウヤが、レクシアとルナを“大魔境内の家”へ伴ったという報告が出た瞬間、アーノルドは威厳を失い、父親として暴走する。レクシアが男の家に行った事実に激昂し、「泊まったのでは」と詰め、沈黙を“肯定”と受け取って【斬剣グレイクル】でユウヤを斬ると宣言する。オーウェンは外交問題化や相手の危険性を挙げて必死に止め、最終的に「王城に来られる時に来てもらうよう伝えた」として、アーノルドは渋々待つことにする。こうして優夜は知らぬ間に国王から目の敵にされる。
第一王子レイガーへの密告
同じ頃、王城別室で第一王子レイガーがフードの男から報告を受ける。報告は「大魔境に住む者がいる」「以前レクシアが襲撃された際、その者が助けた」という内容で、レイガーは驚きつつ情報源を確認する。フードの男は、レクシアが迎えのため大魔境へ向かった際、護衛の一般兵の会話から推測したと述べ、レイガーは情報統制下でも漏れ得る構図に納得する。
暗殺失敗と“首狩り護衛化”に対する苛立ち
フードの男はさらに、レイガー支持の貴族が闇ギルドへレクシア暗殺を依頼し、雇われた【首狩り】が“その大魔境の者”に阻止され、結果としてレクシアの護衛になったと報告する。レイガーは激昂し、オーウェンに加え【首狩り】まで護衛についたことで、レクシアに手を出しにくくなったと苛立つ。
国王暗殺計画の前倒しと封魔結界
レイガーは「父上には退いてもらう」と言い、国王アーノルド暗殺を示唆する。護衛や国王本人の強さを理由にフードの男が反対するが、レイガーは直接手を下さないとし、切り札【封魔結界】を提示する。結界内では魔法が使えず外部干渉も遮断できるため、魔法使い中心の護衛は無力化され、脅威はオーウェン、【首狩り】、そして国王に絞られるという算段である。
罪のなすり付け先としての“余所者”=優夜
レイガーは計画が露見した場合の責任は「擦り付ければよい」と断じ、ちょうど王城に招かれる予定の“大魔境に住む者”に罪を被せて殺せば早いと語る。さらにレクシアも共犯に仕立てられるとし、謁見は少人数・非公開になりやすい、ゆえに襲撃の機会が作れると理屈を積み上げる。最終的にフードの男へ「確実に国王を殺す算段をつけろ」と命じ、優夜を踏み台にする意思を露わにする。
王都に伸びる二つの手
王都では、優夜を迎える動きと同時に、優夜へ罪を被せて排除しようとする悪意の計画が並行して動き始めた。
地球側:学園特集号の発売と優夜の拡散
【王星学園】特集の雑誌が発売され、掲載写真が大きな反響を呼んだ。テニスで跳び上がってボールを打つ優夜の写真が、以前の美羽とのツーショットで話題になった人物だと即座に特定され、優夜が王星学園の生徒である情報も拡散した。結果として出待ちが発生し、テレビ・ネットでも再燃する形で注目が拡大し、優夜は自覚のないままファンを増やしていく。
芸能界側では「提携している事務所と既に契約済みでは」と見て出遅れを嘆く勢力がいる一方、より強かな事務所は“より良い条件で引き抜けるか”へ思考を切り替える。女社長は特集号を手に「外堀を埋めれば他社と契約できない」「芸能界入りも時間の問題」「次はメジャーデビュー」と黒い笑みで見通しを固め、優夜の囲い込みを進めていた。
優夜:異世界への渡航準備と修行の中断
球技大会翌日が振替休日で、さらに三連休が続くため、優夜はこの機会に王城へ向かうと決める。ウサギさんに告げると「基礎は教えた。あとは鍛え方次第」として修行は休みになる。優夜はナイトとアカツキを連れ、王城への旅を開始するが、異世界の通貨を持っていない問題に気付く。
金策の発想:地球製品を異世界で売る
換金できそうな魔物素材は持っているが、強力すぎて悪目立ちする懸念がある。そこで優夜は「扉で異世界素材→日本円が可能なら、日本の品を異世界で売ればいい」という方向に発想を転換し、胡椒・石鹸・手鏡などを複数用意する。文明レベルは中世程度と推測し、電子機器を避けて“換金・需要が見込める日用品”を選ぶ判断を固める。
道中:スリーブ・シープ遭遇と狩猟判断
道中でナイトが白いモコモコの羊型魔物を発見する。鑑別の結果は【スリーブ・シープ】でレベル400、睡眠系スキル(睡眠魔法・睡眠治癒など)を持ち、魔力察知で優夜の同化を見破って突進してくる。優夜はキング・ミスリル・ボア等の経験に比べ動きが遅いと判断し、【無弓】と【心眼・改】に従い胴体を避けて額を弱点として射抜き、遠距離一撃で仕留める。
ドロップ:素材の評価と“極楽布団”の正体
ドロップは魔石(B級)、肉・羊毛・角に加えて布団が出現する。肉は燻製が酒のつまみとして人気、羊毛は高級寝具素材として貴族に人気、角は睡眠薬(安楽死用途にも)になり得ると説明され、優夜は使いにくさと怖さを感じる。最大の異物である布団を鑑別するとレアドロップ【極楽布団】で、洗濯不要・季節対応・野外使用可、惰眠モードと快眠モードを備え、睡眠の質向上に加えて微少な体力・魔力上昇効果まである性能だった。突撃したアカツキが即だらけたのも納得し、三人で使う約束をして進む。
追加ドロップと森の出口到達
その後もスリーブ・シープの群れに遭遇し、布団が追加で十セットほど手に入る。転移魔法を使えば回避できた可能性を自覚しつつ、“醍醐味”として自分に言い聞かせ、森の出口へ到達する。目標は近隣の街で異世界通貨を得てから王都へ向かうことに定まる。
異世界の街:検問・視線・獣人の存在
街が見え、巨大な城門前で検問の列に並ぶと、周囲から視線を向けられる。原因はナイトやアカツキではなく優夜本人らしく、優夜は装備(血戦鬼シリーズ)を外し賢者の服装にしているのに不思議がる。並ぶ間に馬車を見て驚き、さらに動物耳と尻尾を持つ人物(獣人系と思しき存在)を目撃してテンションが上がる。
身分証不所持と“水晶検査”で入街許可
順番が来て門番に身分証を求められるが、優夜は持っておらず焦る。門番は「無くても問題ない」とし、来訪理由(観光)と簡単な検査に協力すれば入れると説明する。検査は丸い水晶に触れる方式で、青色に光り「犯罪歴なし」と判定され、滞在許可が下りる。優夜は冤罪防止への応用を連想しつつ、異世界の便利さに感心しながら、街へ入ることに成功する。
金策の方針確定:鑑別が“最適売却手順”まで提示
街に入れた優夜は、まず観光以前に資金が必要だと痛感し、日本のアイテムを買い取ってくれる場所を探す。試しに胡椒を鑑別すると、品質差・価値(瓶1本で金貨5枚相当)だけでなく、「商人ギルドで売る」「交渉は金貨15枚から入り、金貨5〜10枚での売却が望ましい」まで具体的に示される。鑑別が相場と交渉指針まで返す異常な実用性に、優夜は驚きつつも“商人ギルドへ行く”と即決する。
商人ギルド到着:視線の正体不明のまま受付へ
城門の兵から道を聞き、物流の中心らしい小綺麗な木造建物へ向かう。馬車と人が忙しく出入りする施設内でも、優夜は相変わらず周囲から注視され、居心地の悪さを抱えながら受付に相談する。
ギルド登録:身分証の発行と“国に干渉されない組織”の説明
売却には商人ギルドへの登録が必須だと告げられ、優夜は費用や不都合を警戒する。受付は「手数料なし」「所属で身分証が発行され、便宜もある」「素行不良は除名」と説明する。さらにギルドは各国に存在しつつ“国の理不尽な干渉を防ぐ”独立組織で、法遵守と有事協力はするが一定の自治性を持つと語られ、優夜はギルドの影響力を理解して内心で警戒する。
記入用紙はザラついた紙、筆記具は羽ペンで扱いに苦戦する。登録項目は氏名と出身地のみだが、優夜は出身地に「日本」と書き、受付から国名か確認される。東の小さな島国と説明し、登録完了。金属製プレートのギルドカードが発行され、星1つ=旅商人の資格と説明される(売却は可能だが露店・店舗は不可)。星は貢献度で増え、売上の一部納付などで上がり、四つ星以降は信頼・販路・新商品など“実績審査”が必要になる。
異常事態の連鎖:アイテムボックス所持と胡椒の品質でギルドが動く
優夜がアイテムボックスから胡椒を出すと、受付はアイテムボックス持ち自体が希少だと驚き、商人として大きな利点だと評価する。さらに胡椒と“綺麗な瓶”を見て受付が二度目の大仰な驚愕を示し、在庫本数を確認する。優夜が「今10本、時間があれば追加も可能」と答えると、受付はギルドマスターに確認へ走る。
このやり取りは、後に「受付周辺は会話が周囲に認識されない特殊魔法具で秘匿されていた」と明かされる。商人にとって情報秘匿が重要であることが強調され、優夜は異世界の道具の便利さを再認識する。
ギルドマスター・ラインハルト登場:身分の誤認と交渉の即決
白髪と白い髭を整えた紳士風の初老男性が現れ、ギルドマスターのラインハルトと名乗る。優夜の名前と「日本」を聞き、知らない国だと興味を示し、上位階級に見えると評価する。優夜は平民だと否定するが、ラインハルト側は“貴族が身分を隠すのはよくある”と受け取り、疑念は残ったまま進む。
ラインハルトは胡椒を精査し「ここまで高品質は初めて」「同品質がさらに9つ、追加も可能」という供給力も含めて価値を判断し、胡椒10本を金貨100枚で一括買取すると提示する。鑑別が示した目安(1本金貨5〜10)から逸脱した高額提示だが、優夜は価値基準が分からず受諾姿勢になる。
貨幣価値の説明:金貨100枚=生活換算で“約百年分”の衝撃
優夜が金貨100枚の実感を問うと、ラインハルトは通貨体系(銅貨→銀貨→金貨→白金貨、下位100枚で上位1枚)を説明する。さらに「一般的な四人家族が一年不自由なく暮らすのに金貨5枚程度」とし、優夜の金貨100枚は“約二十年分の家計”に相当すると語る。優夜は独り身換算で“約百年働かなくてもいい”と理解して大混乱し、ラインハルトは逆に「君なら扱い慣れているはず」と誤解を深める。
ランク急上昇:登録初日で三つ星、店を持つ資格を獲得
売却金額が貢献度換算され、条件(2つ星=金貨1枚分、3つ星=金貨100枚分)により優夜は一気に三つ星へ昇格する。加えて四つ星の条件には“実績”に加え“取引金額が金貨50枚到達”という規定もあり、金額条件は既に満たしているため、実績次第ですぐ四つ星も狙えると説明される。結果として優夜は、露店どころか店舗を持てる権利まで得てしまう。
王都への準備:地図販売禁止と死罪リスク
我に返った優夜は王都までの地図を求めるが、この国では地図の作成・販売が原則禁止だと告げられる。理由は戦時に敵国へ渡ると軍運用が読まれるためで、軍部が管理するという。隠れて作る者もいるが、発覚すれば最悪死罪と聞き、優夜は法制度の不明さに恐怖を覚え、早期に法律確認が必要だと認識する。例外として「ダンジョン内部の地図」は冒険者の財産・命綱であり売買が許され、地図専門の商人もいると教えられる。
解決策:乗合馬車で王都へ、安全は冒険者同乗で補完
地図が買えず悩む優夜に、受付が「裏門から定期的に出る乗合馬車」を提案する。商人ギルド登録者は割安で利用でき、地図なしでも確実に王都へ行けるうえ、護衛として冒険者が同乗するため安全性も高いとラインハルトも後押しする。優夜はこれを採用し、出発まで約三十分と聞いて、案内された裏門への道順を確認し、挨拶して商人ギルドを後にする。
商人ギルド側の評価:『日本』の真偽と“ガラス瓶”の異常性
優夜が去った後、ラインハルトは「日本」という国名に引っかかる。受付は、世界中を回って販路を築いてきたラインハルトですら知らない国があることに驚く。だがラインハルトは、ギルドカードには嘘を書けない仕組みがあると説明し、記載がある以上、優夜は虚偽を書いていないと断じる。
本来、知られたくない情報は“嘘で埋める”のではなく“未記入にする”のが一般的であり、信用が重い商人ほど隠し事はしない。にもかかわらず、訳ありに見える優夜が空欄にせず「日本」と正直に書いた点を、ラインハルトは異例として捉える。
さらに胡椒以上に、透明度の高いガラス瓶に注目する。異世界の瓶は歪みや不純物が混ざるのが普通で、優夜の瓶は技術的に“あり得ない”品質である。ラインハルトは「瓶だけでも貴族が競って買う」「珍品の披露で財力を誇示する」と貴族心理を説明し、受付は理解できないと返すが、ラインハルトも「自分も分からない」と苦笑する。
ラインハルトは、もしオークションに回していれば胡椒も買取額の倍は狙えたと見立てる一方、今回は登録直後で即金を欲していた優夜の事情を尊重したと整理する。そして「彼の動向に注意し、支えになって利益に繋げたい」「いずれ世界経済を変えるかもしれない」と、優夜を“市場を揺らす存在”として意識し始める。
街の印象:中世イメージと違う清潔さ、そして精霊の可視
優夜は裏門の乗合馬車へ向かう道中で、獣耳の人々や小柄でがっしりした体格の人物など、地球にはいない種族的特徴に目を奪われる。街路樹や花壇が整い、空気に異臭もなく清潔で、糞尿が垂れ流しという“中世ヨーロッパ像”の偏見が崩れる。排気ガスがない点を踏まえても、上下水道の整備を疑うほど街が綺麗だと感じる。
その途中、赤・青・緑など色付きの小さな光が街路樹や花壇に集まって舞うように飛ぶのを優夜だけが目撃する。ナイトとアカツキには見えておらず、周囲の人々も気にしていない。優夜が鑑別すると「木の精霊」「火の精霊」などと判明するが、通常の鑑別表示が出ない点も含め、精霊が“当たり前で害がない存在”なのか、“優夜だけが見える”のか判断がつかないまま、ひとまず影響はないと自己完結する。
広場の活気:噴水と屋台、憩いの場の存在
道中で大きな広場に出る。噴水とベンチ、屋台が並び、人々が食事をし、子供が遊ぶ様子から、この街の憩いの中心のように映る。時間の都合で立ち寄り観光はできないが、街の“生活の豊かさ”を実感しつつ目的地へ向かう。
乗合馬車へ:再び“貴族扱い”、理由は服と所作
乗合馬車乗り場には馬車と、鎧や剣を帯びた屈強な男たち、一般客が集まっている。御者は優夜を見て反射的に「貴族様」と呼び、優夜は即座に否定する。理由を聞くと、御者は「高そうな服」「立ち振る舞いの気品」から“お忍びの貴族”に見えたと説明する。地球基準の普通の服装・所作が、この世界では上流の記号に見えると優夜は理解する。
同乗許可:ナイトとアカツキも“暴れなければ可”
優夜は空席を確認し、ナイトとアカツキも一緒に乗れるか尋ねる。二匹が前足を挙げて挨拶すると、御者は一瞬驚くが「暴れなければ問題ない」と許可する。優夜は乗せてもらえない可能性を忘れていたことに気づき、安堵する。
王都へ出発:期待のまま移動開始
優夜は馬車内で端の席に座り、馬車が動き出す。王都がどんな場所かを楽しみにしつつ、ナイトとアカツキの返事を聞きながら、三人は王都へ向かう。
エピローグ
王都到着と“馬車の現実”
優夜、ナイト、アカツキは乗合馬車で約三時間かけて王都へ到着した。道中に魔物の襲撃はなく順調だったが、舗装が不十分な道と硬い車輪のせいで振動が強く、優夜とナイトは乗り心地の悪さに疲弊した。優夜は帰りは転移魔法を使うと決め、歩き移動なら夜になっていた可能性も踏まえ、悪目立ちを避けるためにも通常の移動手段を選んだ判断を整理する。
王都の規模と活気、そして白亜の王城への心理的圧
王都は最初の街よりさらに巨大で、門も倍以上に見える規模だった。身分証(商人ギルドのカード)で問題なく入城し、通りの人の多さと活気は東京の混雑を想起させるほどである。高層ビルはない代わりに、怪しげな雑貨店、武器が乱雑に並ぶ店、鎧を飾る店など、異世界ならではの店が連なっていた。
遠くからでも威容を誇る白亜の城を見た瞬間、優夜は場違い感に襲われ、王城に行く決意が揺らぎかける。だが王族を待たせているという意識が焦りを生み、緊張で周囲が見えなくなるまま城へ向かった。
王城門での迎えと、城内の“別世界”
門前で止められた優夜は、自分がオーウェンに招待された天上優夜だと名乗る。門番は優夜の正体に気づくと慌てて走り、オーウェン本人を連れて戻ってきた。オーウェンは予想より早い到着を歓迎し、そのまま優夜を城内へ導く。
門をくぐると、原理不明の噴水や手入れされた庭園、咲き誇る花々が広がり、街で見たのと同種の光の球(精霊らしき存在)も多く漂って幻想的だった。優夜は景観に感動しつつ、緊張しないアカツキの堂々とした態度に感心する。
非公式の謁見と礼儀不安、そして“即位級の緊張”
目的地が謁見の間だと知らされた優夜は、正装も礼儀作法も準備していないことに気づいて動揺する。オーウェンは非公式だから服装は問題ないと笑い、ナイトも同行可だと告げるが、アカツキについては前にいたかと戸惑い、優夜は最近家族になったと説明する。オーウェンは“変わった家族が増える”と頬を引きつらせつつも同行を許し、陛下への無礼だけは避けるよう釘を刺す。
優夜は礼儀作法を確認しようとするが、気づけば豪奢な扉の前に到着しており、兵士の声で入室が宣言される。優夜は精神強化で平静を取り戻し、オーウェンに倣って跪き、ナイトも伏せ、アカツキも慌てて伏せさせる。
国王アーノルドの“父親モード”暴走と、手土産要求
玉座に座る国王は威厳を放ちつつ、優夜に対して「レクシアを救った者か」に続けて「求婚された者か」と詰め、露骨に不機嫌になる。さらに立ち上がり「娘を誑かした」と激昂し、オーウェンが国王に乱暴なツッコミを入れる漫才めいた応酬になる。
国王は自己紹介の後も機嫌が戻らず、手を突き出して「手土産はないのか」と要求する。オーウェンとレクシアが優夜を庇って抗議し、優夜も自分の準備不足を反省する。
最大の失策:極楽布団=求婚・床の誘いの意味
優夜は咄嗟にアイテムボックスから【極楽布団】を取り出し、レクシアへの手土産として差し出す。すると国王はアイテムボックス持ちであることにも驚き、布団という品にも困惑する。兵士が布団をレクシアへ渡すと、レクシアは頬を赤らめ「大胆ね」と反応し、国王は「誘惑だ」と怒り爆発する。
優夜が意味を理解できず混乱する中、オーウェンがこの国の風習として「寝具を異性に贈る=結婚したい/床を共にしたい意思表示」だと説明する。優夜は王の目の前で重大な誤解を生んだと理解し、状況が最悪化する。
王城襲撃:封魔結界で魔法封じ、しかし優夜だけ例外
国王が剣【斬剣グレイクル】を手にして優夜に詰め寄る最中、ナイトが天井を睨んで唸り、異変が発覚する。黒ずくめの集団が現れ、国王とレクシアの暗殺を宣言する。黒ずくめの一人が水晶を使い、天井側からさらに多数が出現、宮廷魔法使いの火の矢は【封魔結界】で消される。結界により侵入も援軍も遮断され、部屋の魔法も封じられたと説明される。
オーウェンとルナが応戦するが、数と腕で押され気味となる。優夜は戦闘参加を決断し、ナイトと共に敵を無力化、アカツキは【聖域】で負傷者回復を担当するよう指示する。
優夜はウサギ師匠直伝の脚力と蹴りで敵を次々と気絶させ、ナイトも数人を制圧する。優夜は“魔法が使えないなら使わなければいい”と割り切りつつ、念のため炎を出そうとして普通に魔法が発動することに気づく。結界下でも優夜だけ魔法が使える異常が発生し、敵は驚愕する。優夜は賢者由来の魔力回路が原因ではないかと推測しつつ、室内破壊を避けるため蹴り主体で最後の一人まで制圧する。
黒幕の影:レイガー殿下の紋章
戦闘後、優夜は処遇を問い、国王は襲撃者の拘束を命令する。オーウェンが持ち物検分の最中に「レイガー殿下の紋章」を発見し、国王は衝撃を受ける。国王は襲撃者を牢に入れて厳戒監視するよう命じ、自身は動揺したまま退出する。
兵が襲撃者を連行した後、オーウェンは真剣な表情で優夜に謝罪し、「王国はこれから荒れる」「王国のために力を貸してほしい」と要請する。優夜は状況を完全に把握できないまま、王国の政争へ巻き込まれていく。
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