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追放された転生重騎士はゲーム知識で無双する

漫画「追放された転生重騎士は ゲーム知識で無双する(18)」感想・ネタバレ

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転生重騎士18の表紙画像(レビュー記事導入用) 追放された転生重騎士はゲーム知識で無双する

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重騎士 まとめ
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物語の概要

■ 作品概要

本作は、前世のゲーム知識を武器に不遇職とされる「重騎士」で無双するファンタジー漫画である。
第18巻では、特別昇級試験を突破して準A級冒険者となったエルマたちが、次なる「禁断の大森林」の大討伐に備えて「契約獣」の獲得を目指す。
しかし、彼らの前にラコリナの闇を牛耳る裏クラン「幽玄の灯籠」が立ちはだかり、契約獣を巡る争いが発生する。
さらに、当初想定していた魔物ではなく、レベル96の凶悪な契約獣「饕餮」が突如姿を現すことで、事態は想定外の激闘へと発展していく。

■ 主要キャラクター

  • エルマ:本作の主人公である。豊富なゲーム知識を活用し、不遇職とされる「重騎士」を使いこなす。HPを極限まで減らして火力を跳ね上げる戦術を得意とする。
  • ルーチェ:エルマの相棒を務める道化師の少女である。高い幸運値と優れた俊敏性を誇る。分身の幻影や、強力なクリティカル攻撃「竜殺突き」でエルマの戦闘を支援する。
  • ラルフ:裏クラン「幽玄の灯籠」の頭目であり、「羅刹のラルフ」と呼ばれる侍クラスの冒険者である。好戦的な性格であり、カロスを倒したエルマに強い興味を示して一対一の決闘を申し込む。
  • フリーデ:裏クラン「幽玄の灯籠」のメンバーであり、交渉役を務める風魔(忍者)である。筋を通す理知的な性格であり、エルマの実力を認めて引き下がろうとする。
  • ヨルダン:裏クラン「幽玄の灯籠」に所属する女僧侶である。巨大な錫杖を武器に接近戦を行う。ラルフの敗北を認めずに暴走してルーチェを人質に取るが、現れた饕餮に撥ね飛ばされる。

■ 物語の特徴

本作の魅力は、エルマが有する膨大なゲーム知識に基づいた、論理的かつ戦略的な戦闘描写である。
「敵の攻撃パターンは三手前と同じ座標を狙わない」といった法則性の利用や、属性魔石によるカウンターの無効化など、レベル差を覆すための知略が細かく描かれる。
また、重騎士の「死線の暴竜」や「不惜身命」による爆発的な自己強化と、道化師のクリティカル攻撃を組み合わせた超火力の連携戦闘も見どころである。

書籍情報

追放された転生重騎士はゲーム知識で無双する(18)
著者:武六甲理衣 氏
原作:猫子 氏
イラスト:じゃいあん  氏
出版社:講談社
レーベル:ヤンマガKCスペシャル
連載:ヤンマガWeb
発売日:2026年7月6日
ISBN:9784065442395

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あらすじ・内容

新たなる仲間「契約獣」をGETせよ!! 覇権作品堂々漫画化第18巻!!

昇級試験を突破し、準A級冒険者となったエルマたち。
次なる大討伐に向け戦力アップを試みる彼らの前に現れたのは、
力量を示すことで冒険者の仲間になる「契約獣」と呼ばれる魔物だった。
危険度MAXの敵に対し、ルーチェとの共闘で勝利を目指す!

追放された転生重騎士はゲーム知識で無双する(18)

感想

準A級への特別昇級試験を終え、次に待っているのは《禁断の大森林》で行われる大討伐。

当然、エルマたちもその前に少しでも戦力を強化しておきたい。

そこで目を付けたのが、冒険者ギルドに出ていた「冒険者の呼び出した魔物の調査」という妙な依頼だった。

どうやら誰かが高価なアイテムで魔物を召喚したものの、手に負えず逃げ出したらしい。

エルマはそれを聞いて、契約獣ではないかと考える。

倒して力量を認めさせれば仲間として召喚できる。

大討伐前の戦力強化としては、確かに魅力的である。

しかし、この契約獣探しが予想以上に面倒な事件へ発展していく。

あの絵からマーナガルムが分かるのか

最初に笑ってしまったのが、契約獣を目撃した商人が残した絵である。

はっきり言って、かなり酷い。

子供の落書きのような黒い何かが描かれている。

ルーチェからは「五本足」とまで言われる始末で、マルチダも詳しいことが分からず困っていた。

ところがエルマは、その絵を見ながら、

「種族名はマーナガルム」

と予想する。

さらにレベル、特徴、召喚に使う《月蝕の魔水晶》、使用するスキルまで次々と説明していく。

これにはマルチダも、

「こんなのでわかったんですか?? こんなので!」

とドン引き。

うん、そりゃそうなる。

前世でやり込んだゲームとはいえ、転生してからもよくそこまで細かいデータを覚えているものである。

エルマのゲーム知識は毎回便利だが、周囲から見ると「何でそんなことまで知っているんだ」という不気味さがあるのも面白い。

もっとも、今回はその知識への絶対的な自信が、後になって思わぬ落とし穴になる。

契約獣を探していただけなのに、なぜ裏クランと決闘しているのか

エルマとルーチェは契約獣を探して森へ入る。

ところが、そこで待っていたのがラコリナ最大級の裏クラン《幽玄の灯籠》だった。

ギルドを追放された冒険者などが集まり、商人や貴族から表では頼めない仕事を引き受けている集団である。

彼らも契約獣を狙っていた。

最初は交渉役のフリーデと話をつけ、互いに不干渉という形で終わりそうになる。

これで帰ってくれればよかったのだが、クランリーダーのラルフがエルマに興味を持ってしまう。

ラルフがかつて一度戦いたいと考えていた強者が《黒き炎刃》カロスだった。

そのカロスを倒したパーティーの中心人物がエルマ。

それを知ったラルフは、

「オレと決闘しろ」

と言い出す。

いや、エルマは契約獣を探しに来ただけなんだけど。

完全に巻き込まれ事故である。

しかもラルフは推定A級の実力者。

真正面からステータス勝負をすればエルマが不利である。

そこでエルマは、魔石を投げたり、障害物の多い場所へ逃げたりして、とにかくラルフが望むような正面勝負をしない。

ラルフからすれば腹の立つ戦い方だろう。

しかしエルマにとっては、勝つために使えるものを使っているだけである。

そして相手のスキル構成を見切ると、《雷迅影》や《鬼火》《炎輪返し》まで次々と対処。

最後はラルフを殺さず気絶させて勝利する。

「ゲーム知識で無双する」というタイトル通りの戦いだった。

勝ったのに、まだ揉めるの?

これで《幽玄の灯籠》は撤退。

……とはならない。

ラルフ自身が「負けたら手を引く」と約束しており、フリーデもそれを守ろうとする。

ところがヨルダンが納得しない。

裏クランが表の冒険者に負けて逃げれば、組織の名前に傷がつく。

そんな理屈でルーチェを人質にして、再びエルマを脅し始める。

いや、まだ揉めるの?

さらに別のクランメンバーまで暴れ始め、《幽玄の灯籠》内部で仲間割れまで始まる。

かなり滅茶苦茶である。

そんな中で意外と印象に残ったのがフリーデだった。

彼は頭目ラルフの決めたことを守ろうとする。

ヨルダンたちが暴走すると、自分の仲間にまで攻撃して止めようとする。

そして後に強大な魔獣が現れて仲間たちが逃げ出しても、倒れているラルフたちを見捨てない。

裏クランの一員ではある。

だから善人とは言い切れない。

それでも、かなり義理堅い。

こういう人物が混ざっているから、《幽玄の灯籠》も単純な悪党集団だけでは終わらないところが面白かった。

マーナガルムだと思ったら《饕餮》だった

そして騒動の最中、巨大な足音が近付いてくる。

ようやくマーナガルムが来た。

これで状況が変わる。

……と思ったら違った。

現れたのは、胸に巨大な口を持ち、黒い翼と三つの目を備えた異形の魔獣。

《饕餮》。

レベル96。

エルマが予想していたマーナガルムとは比較にならないほどの化け物だった。

ここで最初の下手な絵が伏線になっているのが面白い。

目と口が異常に離れていたのは絵が下手だったからではない。

本当に胸にも口があった。

額に描かれていた妙なものも、マーナガルムのクリスタルではなく第三の目だった。

エルマ自身も、

「自信ありげに予想しておきながら、最悪の読み違いをしてしまった」

と認める。

あれだけマルチダをドン引きさせるほど自信満々に説明していたのに。

今回はエルマのゲーム知識でも外す。

この展開はかなり好きだった。

レベル96相手に二人で戦うの?

《饕餮》の強さを見た《幽玄の灯籠》のメンバーは逃げ始める。

当然だと思う。

レベル90を超える魔獣など、普通なら複数の上級冒険者を集めて大規模依頼として討伐する相手である。

それでもフリーデは逃げない。

倒れているラルフたちを助けようとする。

一方のエルマは、さらにおかしい。

「俺達が倒す」

と言い出す。

ルーチェと二人で。

いやいや。

さっきA級クラスのラルフと戦ったばかりなんだけど。

それでもエルマにとっては、大討伐前のレベル上げにもなり、倒せば希少な契約獣まで手に入る。

ピンチを戦力強化のチャンスとして見ている。

こういうところは相変わらずである。

そして戦闘が始まると、《饕餮》はやはり異常に強い。

《食禍の饗宴》による広範囲攻撃。

吸引する《黒渦》。

そこから連続で放たれる《獄炎弾》。

さらに巨体を生かした高速の突進。

攻撃一発一発の規模がおかしい。

それでもエルマはゲーム時代の行動パターンを思い出し、攻撃される座標や視線を読んで回避していく。

そこへルーチェが《竜殺突き》を叩き込む。

さらにエルマもHPを調整して《死線の暴竜》と《不惜身命》を発動。

二人の超火力によって、ついに《饕餮》のHPを半分まで削る。

……半分。

これだけやって、まだ半分である。

なんかこいつ、理不尽に頑丈じゃない?

読後の感想

『追放された転生重騎士はゲーム知識で無双する18』は、読み始めた時と終盤で話の規模がまるで違う一冊だった。

最初は、

「大討伐前に戦力強化しよう」

という話だった。

そこから、

契約獣を探す。

下手な絵からマーナガルムを予想する。

裏クラン《幽玄の灯籠》に絡まれる。

ラルフと決闘する。

決闘に勝ったのに、また揉める。

そして最後にはレベル96の《饕餮》と戦っている。

どうしてこうなった。

エルマとルーチェからすれば、かなり理不尽な一日である。

ただ、今回はエルマのゲーム知識にも限界があることが描かれたのが興味深かった。

知識そのものは正確でも、与えられた情報を間違って解釈すれば結論も間違う。

マーナガルムだと断言した直後に《饕餮》が現れる展開には思わず笑ってしまった。

それでも、本物を目の前にすれば即座に情報を切り替えて攻略へ移る。

間違えないことではなく、間違えた後に立て直せること。

エルマの強さはそこにもあるのだと思う。

そしてレベル96の《饕餮》を相手に、たった二人でHPを半分まで削ったエルマとルーチェ。

いや、十分おかしい。

ただし相手はまだ半分残っている。

しかも《饕餮》は、どう見ても簡単に倒れてくれるような魔獣ではない。

このまま本当に二人で倒して契約獣にできるのか。

大討伐へ行く前から、とんでもない戦いが始まってしまった。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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重騎士 17巻
重騎士 まとめ
重騎士 19巻

考察・解説

大討伐の募集

禁断の大森林の大討伐募集と各陣営の思惑

禁断の大森林の大討伐募集について、大討伐の背景と緊急募集の理由、募集の現状とエルマたちの動向、および貴族たちの政治的・軍事的思惑の各点から解説する。

大討伐の背景と「緊急募集」の理由

禁断の大森林の大討伐は、危険度の高い地域を対象とした国家規模の作戦である。

・大討伐の本来の目的:対象となる禁断の大森林は、放置された夢の穴が溢れ返る大陸最大の禁足地である。ここから溢れ出た魔物が人里を襲撃しないよう、王国北部の貴族たちが定期的に大掛かりな間引き(大討伐)を行っている。
・異例の早期実施:大討伐は通常10年周期で行われるものであるが、今回は前回実施からわずか3年しか経過していない異例のタイミングで緊急実施される。
・教団との関連性:前倒しされた背景には、禁断の大森林で人為的な魔物災害(夢の穴を用いた実験など)を企む危険な教団「夢神の尖兵」が関与している可能性が高いためである。王国や北方貴族は、今回の大討伐を単なる魔物駆逐に留まらず、教団の正体を暴き出すための戦争と位置づけている。

募集の現状とエルマたちの動向

大討伐に向けた募集と、エルマたちの参加態勢は以下の通りである。

・伏せられた詳細情報:教団のスパイを警戒してか、ギルドに掲示された募集要項には大森林に目を付けた詳細な理由などは伏せられている。より詳しい事情は、正式に大討伐の参加者となってから個別に明かされることになっている。
・4人での再結成:特別昇級試験を破格の成績で突破して準A級冒険者となったエルマとルーチェ、そして特別昇級試験の因縁を終えたケルトとメアベルの4人が、大討伐に向けて再びパーティーを組んで挑むことを決めている。ケルトは、自らの師であったダーレンが教団に手を貸していたその真相を、自分の目で確かめるために大討伐への同行を志願した。

貴族たちの政治的・軍事的思惑

大討伐という国家的な軍事行動の裏では、北方貴族たちの権力争いや思惑が渦巻いている。

・ハウルロッド侯爵(ハーデン)の計略:教団の刺客を二度も返り討ちにしたエルマの実力を極めて高く評価しており、大討伐の場を利用してエルマの器や、実家であるエドヴァン家との関係を見極めようとしている。そのため、戦力不足が懸念されるエドヴァン伯爵家に対し、あえてエルマを戦力として貸し出すという計画を立てている。さらに将来的には、大討伐でのアイザスの働きと父子関係次第で、エルマを再びエドヴァン家の当主候補として擁立し、自らの娘スノウを嫁がせて両家の繋がりを作ることも視野に入れている。
・エドヴァン伯爵(アイザス)の対抗意識:冒険者を戦力として集めるハーデン侯爵のやり方を嫌悪しており、自らの手で魔を討つという貴族の威信を示す機会として、大討伐に自身の戦力を投入しようとしている。そのために、剣聖の加護を得て血染め姫と呼ばれる次期当主候補のマリスを、エドヴァン家の圧倒的な強さを示すお披露目として大討伐に投入することを決断した。アイザスは、神秘性が薄れつつある現代において、家の威信を守るためには誰もが一目で認める剣聖としての華を持つマリスが必要だと考えている。

まとめ

禁断の大森林の大討伐募集と各陣営の思惑を巡る一連の全貌は、人為的な魔物災害を企む教団「夢神の尖兵」への対処という緊急募集の背景から始まり、準A級冒険者となったエルマたち4人の再結成、ハウルロッド侯爵によるエルマの貸し出しと当主擁立の政治的計略、そしてエドヴァン伯爵による血染め姫マリスのお披露目と貴族の威信保持に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
大規模な魔物災害の脅威や領主間の思惑という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確確たる意志によって完璧に確立するに至る、教団との戦いと貴族社会の権力闘争の記録である。
教団の暗躍から、パーティーの再結成、政略の交錯、次期当主の擁立、そして決戦の地への動員へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

契約獣の捜索

契約獣の捜索と「饕餮」との死闘

契約獣の捜索は、エルマたちが大討伐を控えた時期に、さらなる戦力強化を目指して開始された極秘の攻略作戦である。この捜索は、手がかりの誤認から始まり、最終的に想定外の超強敵との死闘へと発展することになった。その詳細な経緯や捜索中に起きた出来事について解説する。

捜索のきっかけと目的

特別昇級試験から一週間ほど経った頃、冒険者ギルドに「冒険者が呼び出した魔物の調査」という依頼が掲示された。

・ある冒険者が近くの森で高価なアイテムを使って魔物を召喚したものの、制御できずに逃げ出し、その魔物が商人の馬車を襲うなどして森に居座っているという内容であった。
・エルマはこれを聞き、力量を示すことで冒険者の仲間(使用できる召喚獣)になってくれる契約獣であると確信し、捜索を決意した。

下手すぎる絵による「マーナガルム」への誤認

ギルドが提示した唯一の手がかりは、襲撃された商人がパニック状態で描いた子供の落書きのような黒い生物の絵であった。

・エルマは前世のゲーム知識を総動員し、この絵の不自然な特徴から、額にクリスタルを持ち、長い尾を持つ大柄な漆黒の狼「マーナガルム(レベル72)」であり、召喚アイテムは月蝕の魔水晶であると特定し、ギルド職員のマルチダを驚かせた。
・しかし、これがエルマの最悪の思い違いであった。
・商人の絵にあった目と口が異常に離れたおかしな輪郭は胸部にある第二の口を示しており、5本足に見えたものは黒翼、額の突起は三つ目の瞳を意味していた。
・実際に召喚されていたのは、マーナガルムなどとは比較にならないほど凶悪なレベル96の契約獣「饕餮(とうてつ)」であった。

裏クラン「幽玄の灯籠」との衝突

エルマとルーチェがラコリナ近隣の竹林で捜索を行っていると、同じく大商人の息子のペット用として契約獣を狙っていた裏クラン「幽玄の灯籠」の待ち伏せを受けた。

・頭目である「羅刹のラルフ」は、カロスを倒したエルマに強い興味を抱き、一対一の決闘を申し込んできた。
・エルマは自身のHPを削って火力を引き上げる死線の暴竜や、アイテム(火属性の魔石)を織り交ぜた合理的な戦術を駆使し、格上のラルフを気絶させて勝利を収め、クランに撤退を約束させた。

饕餮の出現と死闘の幕開け

決闘後、頭目の約束を無視して暴走した女僧侶ヨルダンがルーチェを人質にするなどの内紛が始まったが、その混乱を切り裂くように真の契約獣「饕餮(Lv96)」が姿を現した。

・凄まじい地響きと咆哮をあげる饕餮を前にクランのメンバーが逃げ散る中、エルマとルーチェは大討伐前に最高峰の契約獣を得るチャンスとして戦うことを決意した。
・エルマたちは事前の決闘でHPやMPが著しく消耗していたものの、エルマがマジックガードや不惜身命で敵の猛攻を正面から引き付け、その隙にルーチェが竜殺突きのクリティカルヒットを上空から叩き込むという、命がけの超火力連携で饕餮のHPを削り込む死闘を展開した。

まとめ

契約獣の捜索と「饕餮」との死闘を巡る一連の全貌は、戦力強化を狙った召喚獣捜索の開始から始まり、下手な手掛かり絵の解釈違いによるレべル96「饕餮」の誤認判明、裏クラン「幽玄の灯籠」頭目ラルフとの決闘勝利、そして消耗しきった状態での「饕餮」との命がけの超火力連携戦に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
思い違いによる不測の事態や格上の脅威という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、ゲーム知識の応用と限界突破の連携の記録である。
依頼の受注から、情報の誤解、他パーティーとの衝突、超強敵の出現、そして極限下の決戦へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

裏クランとの対立

裏クラン〈幽玄の灯籠〉との対立と決着の全貌

『追放された転生重騎士はゲーム知識で無双する』において、エルマたちが対峙する裏クラン〈幽玄の灯籠〉との対立について、組織の概要、対立のきっかけ、交渉と乱入、決闘における戦術、統制崩壊と暴走、および饕餮の乱入による結末の各点から解説する。

裏クラン〈幽玄の灯籠〉とは

ラコリナの闇を牛耳る裏クランであり、ギルドを除名された不良冒険者たちが集まり、素行の悪い貴族や商人から暗殺などの汚れ仕事を引き受けている組織である。

・B級上位以上の実力者揃いであり、それぞれ異なる役割と個性を持っている。
・羅刹のラルフ(頭目):刀を獲物とする「侍」クラスであり、己の強さを試すことにしか興味がない戦闘狂である。かつてカロス(黒き炎刃)をライバル視していた。
・フリーデ(交渉役・参謀):烏天狗の面をつけた「風魔(忍者)」クラスである。クランの盾として、ハウルロッド侯爵家などの権力を敵に回すリスクを冷静に判断できる理知的な穏健派である。
・ヨルダン(狂信的な武闘派):巨大な錫杖を振り回す「ぶん殴り型僧侶」である。血の気が多く好戦的な性格で、頭目のラルフに対して絶対的な服従と崇拝を誓っている。

対立のきっかけ:契約獣の奪い合い

エルマとルーチェが、森で契約獣の捜索を行っていたところ、突然フリーデとヨルダンから不意打ちの急襲を受けた。

・彼らの目的は、ラコリナの大商人の息子からペット用の契約獣として捕獲を依頼された仕事であった。
・同じ獲物を狙うエルマたちを武力で排除しようとしたことが対立の始まりであった。

「準A級冒険者」を巡る交渉と、ラルフの乱入

交渉の場において、エルマは自身がハウルロッド侯爵家のお墨付きを得た準A級冒険者であることを明かした。

・実務的な判断ができるフリーデは、侯爵家と繋がりのある冒険者を襲うことの壊滅的なリスクを恐れ、互いに不干渉を貫く形で引き下がろうとした。
・しかし、頭目であるラルフが突如乱入し、フリーデを刀で威圧して黙らせると、カロスを破ったとされるエルマに対し、一対一の決闘を申し込んだ。
・エルマが勝てばクランは手を引くという条件を突きつけられ、五人に囲まれる最悪の事態を避けるため、エルマはこの決闘を受け入れた。

決闘におけるエルマの圧倒的な戦術

決闘が始まると、エルマはラルフの「侍」としての恐るべき近接火力・速度を警戒し、あえて距離を取る持久戦に持ち込んだ。

・ラルフのスキルツリー構成(月の剣客、鬼の血筋、空界行者)をゲーム知識から見抜いたエルマは、敵の焦りを誘いながらディザームで攻撃力を下げた。
・侍の必殺技である居合いスキル「雷迅影」の突進軌道を完璧に読み切って回避した。
・硬直したラルフに対し、エルマは当て身斬りやシールドバッシュ、影踏みによる連続カウンターを叩き込んで気絶させ、完全な戦術的勝利を収めた。

クランの統制崩壊とヨルダンの暴走

ラルフが気絶したことで、交渉役のフリーデは約束通り撤退を宣言した。

・しかし、頭目が敗北して逃げ帰ったとなればクランの名が地に堕ちると激昂したヨルダンが暴走し、ラルフの意志すら無視して人質としてルーチェの首に錫杖を突きつけた。
・さらに、他のメンバーもこの場で二人を殺してしまえばいいと勝手に暴れ出し、暴走を止めようとするフリーデと同士討ちを始めるなど、クランは完全に統制を失って泥沼の状況に陥った。

饕餮の乱入による対立の結末

この理不尽な人質脅迫と内紛を力ずくで強制終了させたのが、想定を遥かに超えるレベル96の真の契約獣「饕餮」の乱入であった。

・饕餮の放った範囲攻撃「食禍の饗宴」の凄まじい衝撃により、人質に取られていたルーチェは間一髪で逃れたものの、ヨルダンは撥ね飛ばされて大ダメージを受けた。
・これを見た身勝手な部下たちは、気絶したラルフやヨルダンを見捨てて真っ先に逃亡した。
・その中で、フリーデだけは動けないヨルダンとラルフを回収して彼らを庇おうとした。
・結果として、幽玄の灯籠との対立は超強敵の乱入によって遮られ、エルマたちは逃げ遅れたラルフたちを助けるため、そして最高峰の契約獣を得るために、レベル差を覆す過酷な饕餮討伐戦へと挑むこととなった。

まとめ

裏クラン〈幽玄の灯籠〉との対立と決着を巡る一連の全貌は、契約獣を巡る利益の衝突から始まり、準A級冒険者の肩書を背景とした交渉、頭目ラルフとのタイマン決闘における戦術的勝利、敗北を受け入れられない一部メンバーの暴走と内紛、そしてレベル96「饕餮」の乱入による強制中断と新たな死闘への突入に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
裏社会の暴力や思わぬ乱入者という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、ゲーム知識に基づく冷静な戦術と予期せぬ局面への対応の記録である。
利害の対立から、決闘の成立、スキルの破綻、内紛の発生、そして超強敵の襲来へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

騎士対侍の決闘

エルマ対羅刹のラルフの決闘の全貌

『追放された転生重騎士はゲーム知識で無双する』第18巻にて描かれた、エルマ(重騎士/騎士)と「羅刹のラルフ」(侍)による一対一の決闘について、決闘に至る背景、両者のクラス特性と戦術的相性、決闘の全容、および決闘の結末と意義の各点から解説する。

決闘に至る背景

エルマとルーチェが森で契約獣の捜索を行っていた際、裏クラン〈幽玄の灯籠〉の待ち伏せに遭った。

・クランの交渉役であるフリーデは、エルマたちがハウルロッド侯爵家お墨付きの準A級冒険者であると知ると、国家権力を敵に回すリスクを避けて撤退しようとした。
・しかし、頭目である羅刹のラルフ(侍)は、かつて自身がライバル視していたカロス(黒き炎刃)を倒したエルマに異常な執着を示し、自らの実力を試すために一対一の決闘を申し込んだ。
・クラン全員に囲まれて戦うか、タイマンで決着をつけるかという理不尽な二択を突きつけられたエルマは、消耗を避けるためにこの決闘を承諾した。

両者のクラス特性と戦術的相性

両者のクラス特性と相性は以下の通りである。

・ラルフ(侍):「月の剣客」「鬼の血筋」「空界行者」を組み合わせた、超攻撃・速度特化の対人最強格クラスである。一気呵成に相手を斬り伏せる居合いなどの強力なカウンターや一撃必殺の刀術を得意とする。
・エルマ(重騎士):防御力は極めて高いものの、重装備ゆえに素早さが極端に低く、真正面からスピード勝負を挑めば侍に圧倒される相性にある。
・しかしエルマには、前世のゲーム知識から侍のスキル構成、弱点、行動パターンを完全に知り尽くしているという圧倒的なアドバンテージがあった。

決闘の全容:知略で制した「重騎士」の勝利

決闘が始まると、エルマはラルフのスピードと攻撃力を殺すため、徹底した遅滞・弱体化戦術を展開した。

・初手の目眩ましと地形利用:エルマは開始早々、火属性の魔石を投げつけて炎の目眩ましを作り、そのままダッシュで障害物の多い岩場や木々の間へと逃げ込んだ。これにはラルフや周囲のクランメンバーから小細工や卑怯と罵られるが、すべては侍の強力な近接スキルを封じ、ラルフを焦らせるための計算された戦術であった。
・デバフの付与:苛立つラルフが強引に放ったスキル〈獄炎斬〉の隙を突いてディザームを叩き込み、短時間ながらラルフの攻撃力を一段階減少させた。これにより、ラルフの恐るべき一撃の威力を大幅に殺すことに成功した。
・必殺技〈雷迅影〉の看破:完全に焦れたラルフは、刀を鞘に戻して侍の必殺居合い突進スキル〈雷迅影〉を発動した。しかし、エルマはこのスキルが超高速だが突進中の軌道変更ができず、動きが単調になるという致命的な欠点を知っていた。エルマはラルフの目線から軌道を完璧に読み切り、紙一重で回避してラルフに大きなスキル硬直を作らせた。
・相殺と完全な制圧:硬直したラルフに当て身斬りとシールドバッシュを叩き込んで吹き飛ばした。ラルフが自傷HPを代償に放った起死回生の追尾火弾〈鬼火〉に対しても、エルマは地形を利用して軌道をズラした上で、安価な水属性の魔石で相殺した。最後は影踏みでラルフの動きを封じて木の幹に叩きつけ、剣の柄で後頭部を打ち抜いて気絶させた。

決闘の結末と意義

決闘は、エルマが死線の暴竜などの切り札スキルを一切使うことなく、純粋なゲーム知識とスキルの仕様、そして徹底した心理・地形戦だけで格上の侍をハメ殺すという完全勝利に終わった。

・敗北したラルフはオレじゃ力不足だったかと負けを認めて意識を失い、フリーデも決闘の約束に従って撤退を宣言した。
・しかし、このラルフの敗北を受け入れられないヨルダンたちの暴走と、その直後の最強の契約獣「饕餮」の乱入によって、事態はさらに混沌とした死闘へと突入していくこととなった。

まとめ

エルマ対羅刹のラルフの決闘の全貌を巡る一連の全貌は、裏クランによる待ち伏せと一対一の決闘受諾から始まり、侍と重騎士のクラス特性やスキルの仕様把握、初手の目眩ましと地形利用による遅滞戦術、必殺技〈雷迅影〉の軌道看破とカウンター、そして切り札を温存したままの完全制圧とクラン内の暴走誘発に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
速度差や攻撃力の隔たりという不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、ゲーム知識に基づく徹底した戦術的勝利の記録である。
タイマンの承諾から、デバフの付与、必殺技の回避、ノーリスクでの昏倒、そして予期せぬ混迷への突入へと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

凶獣饕餮の攻略

レベル96の契約獣「饕餮」の全貌と攻略戦術

ラコリナ近隣の竹林でエルマたちが対峙したレベル96の契約獣「饕餮(とうてつ)」について、饕餮のスキルと個別の対処法、および暴竜と死神の超火力連携コンボの各点から解説する。

饕餮のスキルと個別の対処法(ゲーム知識による完全攻略)

饕餮の攻撃は非常に激しいが、動作は単調で明確なパターンやゲーム的な仕様が存在するため、エルマはこれらを完全に見切って対応した。

・「黒渦(こくわ)」による吸引:胸部にある巨大な第二の口から暴風を吸い込み、相手の体勢を崩して次のブレススキルを強化する技である。吸引への抵抗は【防御力+攻撃力/2】のステータスで競うため、防御力のない道化師ルーチェは強烈な影響を受ける。そのため、ルーチェは無理に動かず木にしがみついて耐え、エルマは重装甲の特性を活かして足を踏ん張ることでこの危機を凌いだ。
・「獄炎弾」の弾幕回避:黒渦の後に放たれる、高速かつ高威力の巨大火球連射ブレスである。饕餮は必ず照準先へ目を向けるという癖があるため、目線と口の向きから射線を先読みする。さらに、連弾スキルには三手前と同じ座標には放たれない(同じ場所へ連射しない)という仕様が存在する。そのため、4発目以降は必ず直撃を避けられる安全なポイントが生まれ、エルマは自身の低い素早さでも完璧に火球を躱し続けた。
・「突進(ぶちかまし)」の逆利用と体勢崩し:黒渦と獄炎弾の後に仕掛けてくる、巨体を活かした物理猛攻である。エルマは右肩が上がった予備動作の瞬間を読んで回避に移り、大盾で「シールドバッシュ」を放った。ステータス差からエルマ自身は激しく弾き飛ばされ手痛いダメージを負うが、その凄まじい推進力を逆に利用して「影踏み」を発動した。饕餮の巨体を引きずり、強制的に体勢を崩すことに成功した。

暴竜と死神の「超火力連携コンボ」

饕餮の膨大なHPと自動回復能力を削り切るため、エルマとルーチェはそれぞれのクラス特性を極限まで尖らせた超火力で攻め立てた。

・ルーチェの「竜殺突き」×「奈落の凶刃」:エルマが影踏み等で饕餮のターゲットを引き付け、体勢を崩した絶妙な隙を狙ってルーチェが突入する。「ドッペルイリュージョン」で分身を作って饕餮の視界を狂わせ、無防備になった背後から「竜殺突き」を敢行した。「奈落の凶刃」の効果により、クリティカル威力が2倍となり、饕餮の分厚い甲殻を無視してHPを一気に削り取った。
・エルマの「死線の暴竜」×「不惜身命」の背水コンボ:エルマは「ライフシールド」で意図的に最大HPの2割を消費し、HPを20%以下へ調整することで「死線の暴竜」(攻撃力・素早さ2倍)を強制発動させた。さらに、HP50%以下を条件とする「不惜身命」を発動した。自身の防御力をゼロに落とす代償として、そのすべてを攻撃力へと転化させた。
・この防御を完全に捨て去った極限の攻撃力と速度から、饕餮の胸部大口のすぐ横へ痛烈な剣撃を叩き込み、一撃で巨体を宙に浮かせて頑強な牙を数本叩き折るという凄まじい破壊力を見せ、饕餮のHPを半分まで一気に削り切った。

まとめ

レベル96の契約獣「饕餮」の全貌と攻略戦術を巡る一連の全貌は、黒渦、獄炎弾、突進といった敵スキルのパターン解明と仕様の裏を突いた回避・崩しから始まり、ルーチェの分身からの「竜殺突き」と「奈落の凶刃」の複合特攻、そしてエルマの「ライフシールド」調整による「死線の暴竜」と「不惜身命」の同時発動による極限火力の行使に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
圧倒的なステータス差や消耗状態という不条理な檻を打ち破り、自分たちの尊厳と平穏な生の主権を自らの選択と確固たる意志によって完璧に確立するに至る、ゲーム知識に基づくロジックと背水連携の記録である。
属性・行動パターンの解析から、射線の先読み、リスクを負ったカウンター、極限の背水コンボ、そして圧倒的なHP削りへと繋がったプロセスは、どれほど不条理な事態の混迷や過酷な環境の激変によって状況が脅かされようとも、本質を突いた人間の知性と確固たる意志の果断によって打破され、新しい生き方を切り拓く輝かしい未来の道が厳密に証明されている。

重騎士 17巻
重騎士 まとめ
重騎士 19巻

登場キャラクター

冒険者パーティー

エルマ・エドヴァン

エルマ・エドヴァンは、本作の主人公である。
前世のゲーム知識を豊富に持っている。
物事を冷静かつ合理的に判断する。
重騎士のクラスで最強を目指す。
ルーチェとは深い信頼関係を築く。

・所属組織、地位や役職
 冒険者パーティーに所属している。
 地位は準A級冒険者である。
 元エドヴァン伯爵家次期当主の立場を持つ。

・物語内での具体的な行動や成果
 大討伐に向けた戦力強化として刻印石収集を計画した。
 ギルドで魔物の調査依頼を引き受ける。
 竹林にて裏クランのラルフと決闘を行った。
 ゲーム知識を活かしてラルフに無傷で勝利する。
 特別昇級試験では逃亡犯であるダーレンを撃破した。
 突如出現したレベル96の魔獣である饕餮との戦闘を開始する。
 自身のHPを削って「死線の暴竜」を発動させた。
 ルーチェと連携して饕餮の体力を半分以下まで減少させる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特別昇級試験を破格の成績で突破した。
 その結果として準A級冒険者へと昇級する。
 ハウルロッド侯爵からその知略と実力を高く評価された。
 エドヴァン家の当主候補として擁立される可能性が浮上している。

ルーチェ

ルーチェは、エルマのパーティー仲間である。
職業は道化師を担当する。
極めて高い幸運値と俊敏性を誇る。
エルマに対して全幅の信頼を寄せる。
物事に怖気づくことなく立ち向かう勇気を持つ。

・所属組織、地位や役職
 冒険者パーティーに所属している。
 役職はアタッカーである。
 地位は準A級冒険者を持つ。

・物語内での具体的な行動や成果
 大討伐に向けて戦力を強化する。
 ダーレンとの戦いでは「死神の凶手」や「竜殺突き」で奇襲した。
 ヨルダンに人質として首を押さえられる。
 饕餮の襲撃を察知して拘束から逃れた。
 饕餮戦では分身を作り出して攪乱する。
 「竜殺突き」を用いて饕餮に大ダメージを与えた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特別昇級試験を突破した。
 最年少で準A級冒険者へと昇級する。
 クラン「幽玄の灯籠」のメンバーから実力を認められた。
 戦闘のたびにアタッカーとしての成長を遂げている。

冒険者ギルド

マルチダ

マルチダは、ラコリナ冒険者ギルドの職員である。
エルマたちの実力を正当に評価する。
規律を重んじる真面目な性格を持つ。
エルマの異常な知識量に驚かされる。

・所属組織、地位や役職
 冒険者ギルドに所属している。
 役職は受付嬢である。

・物語内での具体的な行動や成果
 掲示板に「冒険者が呼び出した魔物の調査」を貼り出した。
 エルマに対して依頼の背景を説明する。
 パニック状態の商人が描いた下手な絵を提示した。
 エルマがマーナガルムを完璧に特定したことに強く驚く。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ギルド長ハレインの側近として業務を補佐している。

裏クラン「幽玄の灯籠」

幽玄の灯籠

幽玄の灯籠は、ラコリナの闇を牛耳る組織である。
ギルドを除名された不良冒険者たちで構成される。
汚れ仕事や暗殺を引き受けている。
メンバーの多くは気性が荒い。

・所属組織、地位や役職
 ラコリナの裏クランである。

・物語内での具体的な行動や成果
 大商人の息子から依頼を受けた。
 ペット用の契約獣を捕獲しようと計画する。
 竹林でエルマたちを待ち伏せした。
 ラルフの敗北後に内部での意見が対立する。
 メンバー同士で内紛を始めた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ラコリナの裏社会で最大の影響力を持つ。

フリーデ

フリーデは、烏天狗の面をつけた冒険者である。
クラスは風魔を担当する。
筋を通す理知的な性格を持つ。
不要な衝突や危険を避ける立場を取る。
頭目のラルフに対して忠誠を誓う。

・所属組織、地位や役職
 裏クラン「幽玄の灯籠」に所属している。
 役職は交渉役兼参謀である。

・物語内での具体的な行動や成果
 竹林で気配を消してエルマを急襲した。
 エルマが準A級冒険者だと知ると撤退を提案する。
 ラルフの暴走を必死に止めようとした。
 ヨルダンの人質脅迫を激しく批判する。
 ヨルダンを制するために手裏剣で攻撃した。
 饕餮の襲撃からラルフとヨルダンを庇う。
 負傷しながらも二人を連れて戦場から離脱した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 クラン内では数少ない穏健派として行動する。
 交渉の実務において強い影響力を誇る。

ヨルダン

ヨルダンは、狂信的な性格を持つ冒険者である。
クラスは僧侶を担当する。
非常に好戦的な思想を抱く。
頭目のラルフを絶対的に崇拝している。
フリーデとは意見が対立しやすい。

・所属組織、地位や役職
 裏クラン「幽玄の灯籠」に所属している。
 役職は武闘派のメンバーである。

・物語内での具体的な行動や成果
 竹林にてルーチェへ不意打ちの攻撃を仕掛けた。
 ラルフが敗北したことに強く激昂する。
 クランの名誉を守るためにルーチェを人質に取った。
 武器を捨てるようエルマを脅迫する。
 暴走を止めようとするフリーデと衝突した。
 突如出現した饕餮の体当たりを受ける。
 衝撃により吹き飛ばされて大ダメージを負った。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 クラン内での統制を乱す暴走行為を繰り返した。
 饕餮の攻撃により瀕死の重傷を負う。

羅刹のラルフ

羅刹のラルフは、幽玄の灯籠の頭目である。
クラスは侍を担当する。
強者と戦うことだけを生きがいとする。
かつての強敵カロスの死に驚きを隠さない。
エルマを好敵手として見なす。

・所属組織、地位や役職
 裏クラン「幽玄の灯籠」に所属している。
 地位はクランの頭目である。

・物語内での具体的な行動や成果
 フリーデを刀で威圧して黙らせた。
 カロスを倒したエルマに決闘を申し込む。
 必殺技「雷迅影」などの強力なスキルを繰り出した。
 エルマの徹底した戦術を前に攻撃をいなされる。
 「影踏み」による連続カウンターを受けた。
 剣の柄で後頭部を打ち抜かれて気絶する。
 饕餮の襲撃時は気を失ったまま地面へ打ち付けられた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ラコリナの闇を支配する圧倒的な武力を持つ。
 決闘に敗れたことでクランの撤退を承諾した。

ロンダック

ロンダックは、槍使いの冒険者である。
利己的で臆病な性格を持つ。
強者の意見に流されやすい。
クランの看板よりも自身の保身を優先する。

・所属組織、地位や役職
 裏クラン「幽玄の灯籠」に所属している。
 役職はメンバーである。

・物語内での具体的な行動や成果
 ヨルダンの指示に従い、エルマを押さえようとした。
 レベル96の饕餮が出現すると激しく動揺する。
 倒れたヨルダンや気絶したラルフを放置した。
 自身の安全を最優先してその場から逃走する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 クラン崩壊の引き金となる裏切り行為に及んだ。

重騎士 17巻
重騎士 まとめ
重騎士 19巻

展開まとめ

第154話

大討伐の募集開始

特別昇級試験から一週間が経ち、冒険者ギルドでは「Great Subjugation」と掲げられた大討伐の募集が始まっていた。ルーチェは募集要項を手に、これでケルトの兄貴分を誑かしていた連中の正体をつかめるかもしれないと話し、大討伐への参加を改めて示した。募集要項には詳しい情報まで記されておらず、エルマは正式な参加者になってから知らされる内容だと確認した。

大討伐当日まで時間が残されていたため、エルマとルーチェは戦力強化を考えた。すでにLv87となったエルマは、さらにレベルを上げるには高レベルの魔物を相手にする必要があり、現在の剣や盾も高性能な装備となっていた。そこでエルマは、短期間で装備を強化できる〈刻印石〉を集めることに目を向け、都市周辺の〈夢の穴〉を調べようとルーチェへ持ちかけた。

掲示板に現れた奇妙な依頼

その最中、エルマたちはマルチダが掲示板へ新しい依頼書を貼るところを目にした。依頼書には「冒険者の呼び出した魔物の調査」とあり、エルマが珍しい依頼だと反応すると、マルチダもこのような珍事は聞いたことがないと答えた。マルチダによれば、冒険者が近くの森で高価なアイテムを使って魔物を召喚し、制御できずに逃げたことで、その魔物が森に残って暴れていた。

その話を聞いたエルマは拳を握り、「契約獣だな」と口にした。契約獣とはレアアイテムによって召喚され、試練を乗り越えた冒険者の仲間となる特殊な魔物であった。

手掛かりは奇妙な目撃者の絵

マルチダは、魔物が相手を見て加減しているためスキルや脅威度を把握できていないと説明し、残された手掛かりとして目撃者が描いた絵を差し出した。そこに描かれていたのは、輪郭も各部位も判然としない奇妙な獣の姿であった。ルーチェは絵を見て「5本足なんですね 珍しい」と口にしたが、エルマはその絵だけを材料に「レベルは72だな」と答えた。

さらにエルマは、その魔物を「マーナガルム」という大柄な漆黒の狼だと特定し、召喚に使用されたアイテムまで〈月蝕の魔水晶〉だと言い当てた(。マーナガルムは〈幻日光〉による広範囲の状態異常、〈破滅の光〉による持続ダメージ、高い身体能力を持つ一方、スキル発動の前後には大きな隙があるとエルマは説明した。さらに奇妙な絵の一部を、マーナガルムの額にあるクリスタルだと指摘した。

「こんなのでわかったのですか!?」

目撃者の絵から種族、レベル、召喚アイテム、能力まで次々と特定したエルマを前に、マルチダは絵を掲げて「こんなのでわかったのですか!?」「こんなのでっ!?」と声を上げた。その勢いに対し、エルマは汗を浮かべながらマルチダを見ていた。

第155話

予定変更、契約獣マーナガルムのもとへ

エルマは大討伐へ向けた強化方針を変更し、刻印石探しよりも契約獣マーナガルムの確保を優先した。契約できれば即戦力になると考え、ルーチェとともに準備を整えてラコリナ近隣の竹林へ向かった。

道中、ルーチェから契約獣について尋ねられたエルマは、倒して力を示せば従い、好きな時に呼び出せる魔物だと説明する。中でもマーナガルムは、攪乱、回復、白兵戦までこなすオールラウンダーであり、大討伐でも心強い戦力になる存在であった。

竹林で始まったマーナガルム捜索

二人は商人の馬車が襲われた周辺を中心に竹林を捜索した。地図を確認するエルマと、周囲へ目を配るルーチェ。しかし、探索の最中、エルマは木々の上に不審な黒い影を捉えた。

次の瞬間、黒装束の男が上方から襲いかかる。エルマは小刀をパリィで弾いて反撃し、その奇襲を退けた。男が使ったのは、影から飛び出すように接近する「影歩き」。さらに男自身は、忍者をモチーフとしたクラス「風魔」であった。

男はエルマたちへ、やはり契約獣が狙いかと問いかける。マーナガルムを探しているのは、エルマたちだけではなかった。

ルーチェを狙う二人目の襲撃者

エルマがルーチェへ警告すると、今度は巨大な錫杖を持つ女が襲撃した。

ルーチェは「曲芸歩術」で竹を足場にして跳び、その攻撃を回避する。振り抜かれた錫杖は竹を薙ぎ倒すほどの威力を見せた。

女はルーチェを「しぶとい害虫」と呼び、再び武器を構える。エルマはその戦い方から、支援魔法で自身を強化して接近戦を仕掛ける僧侶型だと見抜いた。

契約獣を狙う正体不明の二人

風魔の男も錫杖を持つ女も、エルマがB級の中でも相当な上澄みと見るほどの実力を備えていた。

それほどの腕を持ちながら、エルマには二人にまったく覚えがなかった。

突然の奇襲、契約獣を狙う二人の実力、そして知られていない存在――それらを前に、エルマは一つの結論へ辿り着く。

つまり、この二人は「表の人間ではない」ということであった。

第156話

裏クラン「幽玄の灯籠」

エルマとルーチェの前へ新たに現れたのは、先ほどの襲撃者たちを率いるラルフであった。彼はラコリナの裏クラン「幽玄の灯籠」の頭目であり、「羅刹のラルフ」と呼ばれる男であった。

エルマたち二人に対して、相手はラルフを含めて五人。さらに巨大な錫杖を持つヨルダンは、エルマたちの手足を潰して森へ捨てようとまで言い出した。

そんなヨルダンを制したのがフリーデであった。彼は先ほどの襲撃を詫びながらも、あれはエルマたちへの警告でもあったと告げる。

幽玄の灯籠が狙っていたのも、やはり契約獣であった。

大商人の依頼と契約獣

フリーデによれば、ラコリナに根を張る大商人の息子がペットとして契約獣を欲しがっていた。そのため幽玄の灯籠は、エルマとルーチェへこの件から手を引くよう要求した。

エルマは、幽玄の灯籠がギルドから見逃されているだけの存在だと指摘し、冒険者を襲えばこれまで通り活動できるとは思うなと警告する。

それに対しヨルダンは、ギルドには恨みがあり、全面戦争でも構わないと言い放った。

フリーデは再びヨルダンを制し、自分たちも表の冒険者と争いたいわけではないと告げた。そして、自分たちには今回の仕事が必要なのだとして、エルマたちに引き下がるよう求めた。

準A級冒険者からの警告

交渉の中で、エルマは自分たちが準A級冒険者であることを明かした。

その言葉にフリーデは反応する。エルマとルーチェは、特別昇級試験を突破した冒険者だったのである。

エルマは幽玄の灯籠へ、自分たちの口を塞ぐことは容易ではなく、失敗すれば彼らの方が終わると警告した。

ただし、契約獣を諦めろと要求したわけではなかった。エルマが提示したのは、互いに不干渉でいることだった。さらに最初の襲撃もなかったことにすると告げる。

侯爵家から認められた準A級冒険者を相手にする危険を理解したフリーデは、なおも戦おうとするヨルダンを制した。ここで争うのは割に合わないと判断し、エルマたちを行かせることにした。

ラルフの一撃

交渉はまとまったかに見えた。

フリーデはラルフへ確認を取る。しかし、そこでラルフが動いた。

突然刀を抜き、エルマたちへ斬りかかったのである。

エルマは即座にルーチェの前へ入り、大盾で刀を受け止めた。その反応を見たラルフは、随分と仲間思いだと笑う。

フリーデは慌ててラルフを止めようとした。準A級冒険者へ手を出せば、侯爵家から追われかねないと訴える。

だがラルフは、今度は刀をフリーデへ向けた。

自分の采配へ口を出すな。

そう威圧されたフリーデは膝をつき、ラルフへ謝罪した。

二対五の包囲

ラルフは部下たちへ、エルマとルーチェを囲み、逃がすなと命じた。

その号令に従い、ヨルダン、フリーデら四人が一斉に散開する。

交渉による決着は消え、竹林の中でエルマとルーチェは五人の幽玄の灯籠に包囲された。

周囲を見渡したエルマは、静かに現状を受け入れる。

「結局こうなったか」

契約獣マーナガルムを巡る争いは、ついに裏クランとの直接対決へ突入した。

第157話

ラルフが望んだ一対一

幽玄の灯籠の頭目ラルフは、エルマが重騎士エルマ本人だと知ると、待ち望んでいた相手を前にしたように喜んだ。

ラルフが以前から意識していたのは「黒き炎刃」であった。その男が倒されたことを知っていたラルフは、今度はその相手となったエルマへ興味を向ける。

そしてラルフは、エルマへ一対一の決闘を申し込んだ。

エルマが勝てば、幽玄の灯籠は契約獣から手を引く。五人をまとめて相手にするか、自分一人と戦うか――ラルフが突きつけたのは、その二択であった。

決闘を受けたエルマ

ルーチェは立会人もいない状況でラルフと戦うことを心配した。

それでもエルマは勝負を受けた。五人を相手にするより一対一の方が戦いやすいとし、ラルフが負けた場合には幽玄の灯籠が手を引くことを条件とした。

さらにエルマは、ルーチェには手を出すなと要求する。

ラルフも部下へルーチェを傷つけるなと命じ、エルマとラルフの一対一が始まった。

幽玄の灯籠頭目・ラルフ

ラルフは決闘前の空気そのものを楽しんでいた。

漫画では、ラルフのクラスは「侍」と示される。剣士以上に攻撃へ特化し、複雑な剣技やカウンターを駆使する戦闘職であった。

ラルフは刀を手にエルマへ斬りかかった。

対するエルマはルーチェへ、必ず勝つと告げて迎え撃った。

逃げるエルマと怒るラルフ

ところがエルマが選んだのは、真正面からの斬り合いではなかった。

火属性の魔石を使って炎を起こすと、その隙にラルフから距離を取って走り出したのである。

初手からアイテムを使われたラルフは苛立ち、エルマを追撃した。

さらに「血刃」を放ち、続いて刀による強力な攻撃を仕掛ける。

エルマはそれらを避けながら機会を窺い、ラルフへ「ディザーム」を命中させた。

ディザームは、斬りつけた相手の攻撃力を短時間一段階減少させるスキルであった。

小細工と罵られる戦い方

ラルフは攻撃を続けたが、エルマは正面から力比べをせず、距離を取り、攻撃をかわし、隙を狙って弱体化を重ねた。

その戦い方を見た幽玄の灯籠の面々は苛立った。

くだらない小細工ばかりだ。

勝てないと思ってふざけているのか。

真面目に戦え。

次々と野次が飛ぶ。

ルーチェもまた、普段より消極的に見えるエルマの戦い方を前に、不安を口にした。

第158話

ラルフの切り札

ラルフは防御と回避を続けるエルマに痺れを切らし、もっとひりつくような勝負をしようと迫った。

やがてラルフは攻勢を強め、「蒼炎斬」をはじめとする強力な攻撃を次々と繰り出した。

幽玄の灯籠の仲間たちも、ラルフの必殺技が出たことで勝負が決まると沸き立つ。

しかしエルマは正面から技を受けず、その攻撃をかわした。

反撃へ転じたエルマ

ラルフの攻撃を見切ったエルマは、一気に反撃へ転じた。

接近して「当て身斬り」を叩き込み、さらに「シールドバッシュ」でラルフを吹き飛ばす。

それまで消極的な戦いを続けていたエルマの反撃に、ラルフは驚きながらも歓喜した。

「テメェ猫被ってやがったな!」

そして笑いながら、エルマを自分の敵として認めた。

ラルフは「鬼火」を放って攻撃を続けるが、エルマは炎をかわし、さらに水属性の魔石を使って炎を消した。

そのまま再び「当て身斬り」を命中させ、「影踏み」と「シールドバッシュ」を重ねてラルフを追い詰めていった。

ラルフの敗北

激しい攻防の末、エルマの攻撃を受けたラルフの手から刀が落ちた。

ラルフは地面へ崩れながら、エルマの表情を見つめた。

「ああ、退屈そうな顔してやがる。鏡で見るオレの目だ」

そして、自分では相手不足だったのかと漏らして倒れた。

駆け寄った幽玄の灯籠の面々が騒然とする中、エルマが確認するとラルフは気を失っていた。

決闘はエルマの勝利で終わった。

約束された撤退

フリーデは倒れたラルフを支え、エルマへ向き直った。

エルマはラルフの命を奪わなかった理由について、無闇に命を奪うつもりはなく、頭目を殺して恨みを買うことを避ける意味もあったと語った。

フリーデは、表舞台で活躍するエルマを眩しすぎる英雄だと評した。

そして決闘前の取り決めに従い、仲間たちへルーチェから離れ、ラルフを連れて撤退するよう命じた。

エルマとの決闘に敗れたことで、幽玄の灯籠は契約獣を巡る争いから退くことになった。

第159話

崩れた撤退とヨルダンの暴走

ラルフが敗れ、幽玄の灯籠が撤退へ動き始めた直後、ヨルダンがそれを拒んだ。

彼女にとって、頭目が一冒険者に敗れて逃げ帰ることは、ラルフだけでなくクランそのものの名を地に落とす行為であった。たとえラルフ本人が決闘の結果を受け入れていても、ヨルダンはエルマを許そうとはしなかった。

フリーデが止めようとする一方、別の仲間までヨルダンに同調した。やがて仲間同士で攻撃を始め、幽玄の灯籠はその場で争い始めた。

人質にされたルーチェ

混乱の中、ヨルダンはルーチェを押さえ、錫杖を突きつけた。

「武器を捨て地に頭を付けろ!」

拒めばルーチェの頭を潰すと脅し、エルマの動きを封じる。さらにロンダックへ、エルマを押さえるよう命じた。

その最中、ルーチェが異変に気づいた。

何か大きなものの足音が、森の中から近づいていたのである。

森を揺らした巨大な魔物

やがて巨大な影が木々の間から飛び出した。

現れたのは、翼を広げ、額に目を持ち、胸にも巨大な口を開いた異形の魔物であった。

ヨルダンは突然現れた怪物へ対応しようとするが、その突進をまともに受ける。ルーチェはその隙にヨルダンから離れた。

エルマもまた、眼前の怪物を見て表情を変えた。

マーナガルムではなかった契約獣

巨大な魔物を目の当たりにしたエルマは、これまでの情報を思い返した。

以前目撃者が描いた奇妙な絵。その特徴は、エルマが想定していたマーナガルムではなく、今まさに目の前へ現れた魔物と重なっていた。

エルマは、自分が最悪の思い違いをしていたことを悟る。

現れた契約獣は「饕餮」。

そのレベルは96

エルマたちが探していた相手は、マーナガルムではなかったのである。

第160話

饕餮

エルマはルーチェへ、自分が勘違いしていたと認め、都市から逃げた冒険者が「とんでもない契約獣」を呼び出したと告げた。
エルマは以前見た目撃者の絵を思い返し、顔から離れた二つ目の口、額の突起に見えた三つ目の瞳などを、目の前の饕餮の姿と重ねた。商人が描いた異様な絵は、饕餮の特徴を示していた。

饕餮の猛攻

饕餮がフリーデたちへ襲いかかり、フリーデは「薄情者共め!」と叫びながら倒れている仲間を抱えて退避した。
饕餮は翼を広げて上空へ舞い上がった。エルマはその動きを見て「地面を伝う範囲攻撃だ!」と叫び、ルーチェたちへ警告した。
フリーデはヨルダンへ防御を求め、ヨルダンは「菩薩の護り」を発動した。

食禍の饗宴

饕餮は上空から地面へ急降下し、凄まじい衝撃を叩き込んだ。
「食禍の饗宴」によって地面は大きく砕け、衝撃が周囲一帯へ広がった。
エルマは盾を構え、ルーチェたちも攻撃を受けた。ヨルダンの「菩薩の護り」も展開されたが、周囲の地形そのものが破壊されるほどの威力であった。

倒れた幽玄の灯籠

攻撃後、フリーデはラルフとヨルダンの状態を確認した。ヨルダンは地面に倒れ、ラルフも意識を失った状態で横たわっていた。
フリーデは「この御方には大恩がある」「お前が連れて帰れ」と仲間へ指示した。

一方、エルマはルーチェと並んで立ち、剣と盾を構えた。

「饕餮は俺達が倒す」

エルマはそう宣言した。

逃げるか、戦うか

フリーデはエルマへ「馬鹿言うな! これはもはや災厄だ」と叫び、二人だけでどうにかできる相手ではないと止めた。さらに、ここで逃げれば誰かが死ぬと訴えた。
エルマは、大討伐までにレベルを上げられ、レアな契約獣を手に入れる機会でもあるとして饕餮と向き合った。

ルーチェへは、饕餮のHPが半分を切ったところで二人で一気に猛攻を仕掛ける作戦を伝えた。

そしてエルマは、目の前の敵を「純粋なパワータイプ」と見定めた。

超火力の重騎士エルマと、超火力の契約獣・饕餮。

第161話

レベル差を知識で埋めるエルマ

Lv96の饕餮に対し、エルマはLv87であり、真正面から能力だけを比べれば大きな差があった。さらに戦闘開始時点でエルマのHPは184/345、MPも87/143まで減っていた。

それでもエルマは、饕餮の攻撃を知識で攻略していった。胸部の第二の口が開けば、周囲すべてを巻き込む「黒渦」が発生する。猛烈な吸引に巻き込まれたルーチェへ、エルマは何かにしがみつくよう指示し、自身も踏みとどまった。

黒渦が収まり、ルーチェが安堵した直後、エルマは「ここからが本番だ!」と告げた。

黒渦から獄炎弾へ

続いて饕餮の第二の口から放たれたのは、巨大な火球を連射する「獄炎弾」であった。次々と地面が爆発し、ルーチェは木々を利用して上下へ飛び回りながら炎弾をかわしていった。

一方のエルマは、饕餮が攻撃地点へ必ず目を向けることに着目した。炎弾そのものではなく目線と口の向きを見て照準を読み、さらに連続攻撃では三手前と同じ座標を狙わないという法則を利用した。

素早さでは不利でも、攻撃の規則を知っていれば先回りできる。エルマは自身の弱点を知識で補い、猛烈な連射を捌き続けた。

饕餮の突進を逆利用

しかし獄炎弾も本命ではなかった。饕餮は巨体をそのまま武器として、エルマへ一直線に突進した。

エルマはこれも想定済みであり、「シールドバッシュ」で迎撃した。だが、純粋な力比べでは饕餮が上だった。エルマは激しく弾き飛ばされ、身体にも大きなダメージを受けた。

それでも、この激突自体がエルマの狙いであった。

饕餮の圧倒的な推進力を受けた状態から、エルマは「影踏み」を発動。その力を逆に利用して饕餮の巨体を引きずり、体勢を崩した。

ルーチェの「竜殺突き」

エルマは饕餮へ、自分ばかりを見ていていいのかと問いかけた。

その直後、木の上からルーチェが飛び込んだ。

エルマが作った一瞬の隙へ、ルーチェは「竜殺突き」を叩き込んだ。強烈な一撃が饕餮を捉え、そのHPは1326から1138まで減少した。

圧倒的なレベルとステータスを持つ饕餮に対し、エルマは攻撃パターンを読み、あえて自ら攻撃を受けて体勢を崩し、ルーチェへ攻撃の機会を作った。二人による饕餮攻略が、ここから本格的に動き始めた。

第162話

「死線の暴竜」発動

ルーチェの「竜殺突き」を受けても、饕餮のHPは1138/1326。ルーチェ自身が「とんでもなくタフ」と口にするほど、その巨体はなお健在であった。

だがエルマにも準備が整った。「ライフシールド」を発動すると、続いて「死線の暴竜」が発動する。

エルマはルーチェへ「地面と空から攻める」と告げた。饕餮が「獄炎弾」を放つ中、エルマは盾を利用してルーチェを上空へ送り出し、自身は地上から饕餮へ向かった。

空から迫るルーチェ

饕餮の爪をエルマが剣で受け流す一方、上空からは複数のルーチェが接近した。

饕餮はその一人へ噛みついたが、捕らえたのは分身であった。

「残念、そっちはハズレです」

本物のルーチェは別方向から飛び込み、「竜殺突き」を饕餮へ叩き込んだ。エルマも「ナイスだルーチェ」と応じ、二人は地上と空から攻撃を重ねていった。

「不惜身命」でさらに加速

ルーチェの一撃に続き、エルマも「不惜身命」を発動した。

エルマの剣撃を受けた饕餮の巨体は吹き飛び、そのHPは675/1326まで減少した。戦闘開始時には1326あったHPを、二人はついに半分近くまで削っていた。

饕餮は翼を広げ、再び空へ上がる。

それを見たエルマは、次の攻撃を察知した。

「さっきの地震攻撃がくるぞ!」

再び「食禍の饗宴」

饕餮は上空から急降下し、「食禍の饗宴」を発動した。

凄まじい衝撃が地面を走り、大地が砕け、瓦礫が周囲へ飛び散った。飛来した瓦礫を受けたエルマを見て、ルーチェが慌てて無事を確認する。

しかしエルマは「問題ない!」と即答した。

そして、饕餮のHPがすでに折り返し地点まで減っていることを確認すると、ルーチェへ告げる。

「このまま削り切るぞ!」

「はいっ!」

Lv96を相手に二人で攻め続ける

離れた場所からその戦いを見ていたフリーデは、Lv96の饕餮を相手にエルマとルーチェが戦い続けている光景に驚いていた。

たった二人で高レベルの契約獣へ食らいつき、そのHPを半分近くまで削ったエルマとルーチェ。

「死線の暴竜」と「不惜身命」を発動したエルマと、分身を利用して「竜殺突き」を叩き込むルーチェは、再び武器を構えた。

対する饕餮も翼を大きく広げ、咆哮を上げる。

戦いは、まだ続いていた。

重騎士 17巻
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重騎士 19巻

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