どんな本?
本作は、異世界転生ファンタジー漫画である。主人公エルマは、剣聖の血筋を持ちながら、十五歳の〈加護の儀〉で「重騎士」という外れクラスを発現し、家族から追放される。しかし、この世界が自身の知るゲームの世界であり、重騎士が最強のクラスであることを知っていたエルマは、その知識を活かして無双していく。
主要キャラクター
- エルマ:剣聖の血筋を持つ主人公。重騎士のクラスを得たことで家族から追放されるが、ゲーム知識を駆使して活躍する。
- ルーチェ:エルマの仲間であり、共に冒険を繰り広げる少女。
物語の特徴
本作は、主人公が前世のゲーム知識を活用して逆境を乗り越える点が魅力である。一見「外れ」とされるクラスの真価を引き出し、成り上がっていく過程が描かれている。また、詳細なゲームシステムの設定や戦闘描写が、他の異世界転生作品との差別化を図っている。
出版情報
読んだ本のタイトル
追放された転生重騎士はゲーム知識で無双する(8)
著者:武六甲理衣 氏
原作:猫子 氏
イラスト:じゃいあん 氏
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あらすじ・内容
大規模依頼で〈夢の主〉スカルロードを討伐し、市場価値にして5500万Gの「屍将の盾」をGetしたエルマ!!
装備グレードを上げ、新ステージ攻略を目指す!
一方、ルーチェの攻撃性能を跳ね上げる最強のスキルブック〈死神の凶手〉を手に入れるべく、
ボーナスステージ〈幻獣の塔〉へ死神狩りに向かう!!!
主な出来事
〈夢の穴〉崩壊と陰謀の発覚
- スカルロード討伐直後、〈夢の穴〉の崩壊が始まった。
- エルマは魔石と盾〈屍将の盾〉を回収した。この盾は防御力が高く、市場価値は五千万ゴルドと高価であった。
- 崩壊の後、冒険者たちは〈夢の穴〉から転送されるも、生存者は全員揃っておらず、六人が消息を絶った。
- カロスはエルマたちの活躍を称賛しつつも、〈夢の穴〉の異変が人為的である可能性を指摘した。
〈夢壊〉とハウルロッド侯爵家の陰謀
- カロスとの再会により、〈夢の穴〉の異変や地図の不備が意図的に改竄された可能性が示唆された。
- ギルド職員が行方不明になっており、ハウルロッド侯爵家の関与が疑われた。
- エルマは〈夢壊〉が意図的に引き起こされ、都市を壊滅させる目的で行われている可能性を考えた。
新たな仲間との冒険と絆の強化
- ケルト、メアベルとの再会を果たし、打ち上げを兼ねた食事で和やかなひとときを過ごした。
- ケルトとメアベルの口論を通じて、エルマは仲間たちの成長を感じ取った。
- 新たな冒険に向けての決意を新たにした。
〈幻獣の塔〉への挑戦と困難な探索
- エルマとルーチェは〈幻獣の塔〉へと挑み、キマイラを模した魔物像を避けながら探索を進めた。
- 内部には青空が見える大きな窓が存在し、異様な景観にルーチェは驚いた。
- 二人は〈死神の凶手〉を手に入れるため、グリムリーパーを狙う計画を立てた。
グリムリーパー討伐とアイテムの収集
- エルマとルーチェは〈影踏み〉を活用し、グリムリーパーの撃破に成功した。
- しかし、ドロップアイテムは〈魂刈りの鎌〉であり、目当ての〈技能の書〉は手に入らなかった。
- 二人は探索を続けることを決意した。
新たな敵との遭遇と対立
- 黄金のラーナとの遭遇と戦闘が発生した。
- ラーナの速度と回避能力に圧倒され、攻撃はすべて避けられた。
- その後、ハウルロッド侯爵家の第一子であるスノウ・ハウルロッドと出会い、緊張状態が続いた。
スノウとの対立と和解の兆し
- エルマはスノウの部下であるイザベラと戦い、彼女の攻撃を巧妙にかわしながら反撃を試みた。
- 戦闘の末、スノウがイザベラを制止し、探索を続けることを許可した。
- スノウの真意は未だ見えず、エルマは彼女の意図を探ることを決意した。
グリムリーパー狩りの継続と困難
- エルマとルーチェは〈影踏み〉を駆使して、再びグリムリーパーを討伐した。
- しかし、得られるドロップは〈魂刈りの鎌〉のみであり、目当ての〈技能の書〉は依然として手に入らなかった。
- ルーチェは落胆しつつも、エルマと共に探索を続ける意志を新たにした。
今後の展望と冒険の継続
- エルマは裏市場での〈技能の書〉購入も視野に入れつつ、信頼できる仲間に協力を求めることを決意した。
- 探索の途中で聞こえた悲鳴に反応し、命の危険に晒されている冒険者を救うことを優先した。
- さらなる冒険と新たな脅威に備え、エルマとルーチェは行動を続けた。
感想
戦闘と成長の焦点
エルマとルーチェが挑む新たなダンジョン攻略において、戦闘の緊張感と成長が描かれていた。
スカルロード討伐を経て手に入れた「屍将の盾」は、その高い防御力が印象的であったが、さらに次のステップとして「死神の凶手」を求める展開が熱い。
ルーチェの攻撃性能を強化するための冒険が始まるが、そこでの課題が多く、予想通りの困難が待ち受けていた。
特に、ケルトとメアベルというキャラクターの存在が光っていた。
二人の掛け合いや戦闘のやり取りには、独自の味があり、物語のテンポを支えている。
しかし、次のダンジョン探索に移行するため、いったんお別れとなるのが惜しい。
貴族社会の陰謀や権力争いが背景に絡み、物語が新たな局面を迎える中で、黒幕の正体が不透明な点も、次巻への期待を高めている。
ダンジョン攻略のもたつき
ダンジョン制覇後のエピソードでは、エルマたちが「訳あって悪役なお嬢様」と対峙するが、あまりにテンプレート的なキャラ造形が逆に引っかかった。
善悪が明確でないキャラクター配置が魅力の一つであるが、ここではやや典型的すぎるため、かえって弓使いの小悪党が善人に見えるという皮肉な印象が残った。
また、ダンジョン攻略が思ったよりもたついており、テンポがやや鈍化している印象を受けた。
エルマのゲーム知識が必ずしも万能でない点はリアリティがあって良いが、そのせいで話の進行が遅れ、物足りなさを感じたのも事実。
装備が揃えば無双が始まるはずだが、そこまでの過程がやや煩雑であった。
次巻への期待
巻末の次巻予告では、ルーチェがさらに活躍しそうな描写があり、彼女の成長がどのように描かれるかが楽しみである。
これまで頼りなかった部分が多かっただけに、今回の経験がどのように実力へと繋がっていくのかが鍵となるだろう。
重騎士としてのエルマが、ゲーム知識を活かしつつも現実世界の不確実性と向き合う姿が魅力であり、ダンジョン攻略だけでなく、キャラクター同士の関係性がより深まっていく展開を期待したい。
次の冒険で新たな仲間や敵が登場し、物語がどう進展するのか、ますます目が離せない。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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備忘録
64話
〈夢の穴〉崩壊と戦利品の回収
スカルロードを討伐した直後、〈夢の穴〉の崩壊が始まった。エルマは魔石と共に盾〈屍将の盾〉を回収した。この盾は防御力が高く、五千万ゴルドもの市場価値があり、装備としても非常に有用であった。ケルトやルーチェはその価値に驚きながらも戦利品の分配を議論した。
崩壊後の〈夢の穴〉の外での再会
崩壊が進み、パーティーは〈夢の穴〉から外へと転送された。外では生き残った冒険者たちが集まっていたが、全員揃っていないことに気付いた。六人が消息を絶ち、多くの者がスカルロードにより命を落としたことが示唆された。冒険者たちはスカルロードを討伐したエルマのパーティーに驚愕し、特にカロスはその活躍を称賛した。
カロスとの会話と陰謀の兆し
カロスはスカルロード討伐の経緯をエルマに聞き、〈夢の穴〉の異変が人為的であることを示唆した。さらに、ハウルロッド侯爵家やギルドが関与している可能性を匂わせ、都市に戻ってから再度相談する意向を示した。
〈王の彷徨〉を起こした犯人への疑念
エルマは犯人が冒険者の中に紛れ込んでいる可能性を疑ったが、この場で追及するのは危険だと判断した。疲弊した冒険者たちの中で無用な混乱を招くことを避けるため、真相は後日明らかにすることを胸に秘めた。
65話
カロスとの再会と議論
カロスに招かれ、エルマとルーチェは宿で再びカロスと顔を合わせた。カロスは大規模依頼の成果に感謝を述べ、スカルロード討伐が都市ラコリナを救ったことを強調した。一方で、〈夢の穴〉の異変や地図の不備が人為的なものである可能性を示唆し、特に〈哀哭するトラペゾヘドロン〉が意図的に隠されたことについて言及した。
ギルド職員の行方不明と侯爵家の関与の可能性
カロスは、ギルドで地図作成や大規模依頼を担当していた職員が行方不明になったと語った。その背後にはハウルロッド侯爵家の関与が疑われており、彼らが〈夢の穴〉の異変を引き起こした可能性を示唆した。ただし、その動機は不明であり、謎が深まるばかりであった。
協力要請と今後の展望
カロスは今後の事件への対処のためにエルマとルーチェの協力を求めた。エルマはその要請に応じることを約束し、ルーチェも同意した。カロスは二人に期待を寄せ、ラコリナの冒険者としての活躍を激励した。
〈夢壊〉の可能性と新たな脅威
エルマは〈夢の穴〉の事件が〈夢壊〉を引き起こす目的で仕組まれた可能性を推測した。〈夢壊〉は〈夢の主〉が存在進化を繰り返し、周囲の都市を壊滅させる恐るべき現象である。このような災害を意図的に引き起こす組織の存在が脅威となる中、エルマたちは慎重に行動する必要があった。
仲間との再会と和やかなひととき
その後、エルマとルーチェはケルト、メアベルと再会し、打ち上げを兼ねた食事の場に向かった。ケルトとメアベルは口論しながらも互いに馴染んだ様子を見せ、ルーチェは彼らの成長と絆を感じ取った。エルマは、ラコリナでの冒険者たちの複雑な人間関係を再認識しつつ、次なる冒険への決意を新たにした。
66話
存在進化の脅威と謎
冒険者エルマとルーチェは〈嘆きの墓所〉の依頼でスカルロードを討伐したが、その背景には〈夢の穴〉の異常な存在進化があった。〈哀哭するトラペゾヘドロン〉と呼ばれる闇のマナの結晶が原因で、これをばら撒いた何者かの意図が推測された。この異常は〈百足坑道〉でも確認されており、冒険者の都ラコリナ全体が危機に晒されていることが明らかとなった。
冒険者ギルドでの議論と疑念
エルマとルーチェは冒険者ギルドで新たな〈夢の穴〉の探索を計画した。ギルドでは冒険者たちが危機感を共有しておらず、ルーチェはその状況に苦笑していた。一方で、〈夢の穴〉の地図を改竄するスパイの存在が示唆され、敵の目的が依然として不明なままであった。
ケルトからの情報提供
弓使いの冒険者ケルトがエルマたちに接触し、ハウルロッド侯爵家で起きている派閥争いについて話した。この家では血筋よりも実力を重視し、次期当主候補が互いに競争する仕組みがある。第一子スノウ・ハウルロッドは冷酷な天才剣士であり、周辺の〈夢の穴〉を荒らして実績を積んでいるとのことだった。彼女の行動が〈夢の穴〉の異常と関連している可能性が示唆された。
スノウの目的と派閥の影響
スノウは実績を作るために次期当主争いを激化させ、〈夢の穴〉に異常を引き起こした可能性があった。エルマはその危険性を認識しつつも、領地の安全を脅かすような行為を貴族として許容できないと考えた。次に〈夢の穴〉で鉢合わせする可能性に備え、情報を整理した。
新たな〈夢の穴〉の出現
ケルトから、ラコリナ近郊にレアな〈夢の穴〉が出現したとの情報がもたらされた。ギルドはこれを隠しているが、エルマたちは新たな冒険の準備を進めることとなった。今後の展開がさらに混迷を深める予感が漂う状況である。
ケルトからの情報提供
ルーチェがケルトから〈幻夢の穴〉の情報を聞いた。〈幻夢の穴〉は出現率が低く、豊富な経験値や高価なドロップアイテムを得られるが、崩壊が早まるというリスクがあった。ケルトは今回の〈夢の穴〉が「〈幻獣の塔〉」であると告げ、その価値の高さにエルマは驚きを隠せなかった。
67話
〈幻獣の塔〉の特性と目的
〈幻獣の塔〉は稀少な魔物が出現する特殊な〈夢の穴〉であった。中でも「グリムリーパー」は貴重な〈技能の書〉〈死神の凶手〉をドロップする可能性が高く、ルーチェの成長に必要不可欠なスキルであった。エルマはこのチャンスを逃すべきではないと考え、浅い階層でグリムリーパーを狙う計画を立てた。
〈死神の凶手〉と冒険者としての覚悟
〈死神の凶手〉は高い攻撃性能を持つスキルだが、取得には運が必要でありリスクも伴う。それでも、ルーチェの高い幸運力なら成功の可能性があるとエルマは確信した。ルーチェはエルマの提案に賛同し、「冒険者としての踏ん張りどころ」として挑戦を決意した。
同行者の選定と困難
エルマは〈幻獣の塔〉の探索に適した冒険者を探したが、ケルトはリスクを理由に参加を断った。他の冒険者を誘うことも検討したが、固定パーティーを持つ者に依頼すれば競争相手を増やす結果になると判断した。そのため、エルマとルーチェの二人で挑むことを決めた。
次なる冒険への出発
二人は〈幻獣の塔〉での探索を目標に準備を進めた。〈死神の凶手〉を手に入れることでルーチェの実力を飛躍的に高められると期待し、慎重に計画を立てて次の冒険に臨むこととなった。
〈幻獣の塔〉への到着と内部探索
虹色の渦への突入
エルマとルーチェはケルトから聞いた情報をもとに〈幻獣の塔〉を目指し、中継地点の村を経由して森を進んだ。目的地には虹色の渦が広がっており、二人は迅速に〈夢の穴〉内部へと入った。
〈幻獣の塔〉の内部と計画
内部は黄土色の床と壁に囲まれた構造で、道中にはキマイラを模した魔物の像が並んでいた。推奨レベルは【Lv:80】であったが、エルマたちは危険な魔物や〈夢の主〉との対決を避け、目標であるグリムリーパーを狙う方針を立てた。
窓の外の風景と〈幻獣の塔〉の異質さ
〈幻獣の塔〉には外の青空が見える大きな窓が存在していた。この異様な光景にルーチェは驚きを隠せなかったが、エルマは〈夢の穴〉の性質がアルザロスの夢であることを説明した。二人は注意を払いながら探索を続けた。
68話
グリムリーパーとの遭遇と戦闘
魔物の探索と発見
約一時間ほどの探索の末、エルマとルーチェはグリムリーパーを発見した。青い霊体に仮面と鎌を持つ姿で現れたグリムリーパーは、高い攻撃力とクリティカル率を持つ厄介な敵であった。
〈葬礼の舞〉への対応
グリムリーパーはスキル〈葬礼の舞〉を発動したが、エルマは〈シールドバッシュ〉で出始めを潰し、スーパーアーマーを無効化した。ルーチェは〈曲芸連撃〉を駆使して攻撃し、エルマは背後から〈ミスリルの剣〉を叩き込んでグリムリーパーを撃破した。
戦利品の確認と結果
ドロップアイテムの確認
グリムリーパーの亡骸からは〈技能の書〉ではなく、武器〈魂刈りの鎌〉がドロップした。鎌は【攻撃力:+18】で追加効果を持ち、市場価値は千五百万ゴルドであったが、エルマたちの目標ではなかった。
外れドロップへの落胆
ルーチェは目当ての〈技能の書〉が得られなかったことに落胆したが、エルマは市場価値の高さを指摘して彼女を励ました。二人は次のグリムリーパーを求めて探索を続ける決意を新たにした。
69話
〈幻獣の塔〉でのグリムリーパー討伐
グリムリーパーとの戦闘
グリムリーパーはスキル〈竜殺刈り〉を発動し、クリティカルを狙って大鎌を振り下ろした。エルマは攻撃を回避し、反撃を試みたが、グリムリーパーの〈霊体透過〉で攻撃を透かされた。グリムリーパーがルーチェに向かおうとする中、エルマは〈影踏み〉を使い、相手の動きを封じた。これにより、ルーチェは安全に戦うための間合いを確保できた。
とどめの一撃とレベルアップ
ルーチェが隙をついて連撃を加え、グリムリーパーを追い詰めた。最後にエルマが背後から致命的な一撃を与え、グリムリーパーを倒すことに成功した。討伐後、エルマはレベル72に上がりスキルポイントを得たが、目的である〈技能の書〉は手に入らなかった。
累積する外れドロップ
今回もグリムリーパーからドロップしたのは〈魂刈りの鎌〉であった。高価な武器ではあるものの、エルマたちの狙いには届かなかった。ルーチェは落胆しつつも次のチャンスに期待し、討伐を続ける決意を固めた。
70話
黄金のラーナとの遭遇
新たな魔物の発見
探索を続ける中、エルマとルーチェは遠くの通路で巨大な黄金のラーナを発見した。その堂々とした体格と色から、通常の魔物とは異なる豪商ラーナであると判明した。
討伐の決意
エルマは慎重に黄金のラーナに近づき、討伐の機会を伺うようルーチェに指示した。ルーチェはエルマの提案に驚きつつも、狩りを続行する覚悟を見せた。
〈幻獣の塔〉での対峙と新たな脅威
豪商ラーナの追跡失敗
ルーチェは壁を駆けながら〈ダイススラスト〉を放ち、黄金色の豪商ラーナを追った。しかし、豪商ラーナの圧倒的な速度と回避能力により、攻撃はすべて避けられ、ラーナは通路の奥へ逃げ去った。エルマとルーチェは悔しさを抱えながらも、レベル差やラーナの高い素早さに圧倒されたことを認めた。
スノウ・ハウルロッドの登場
豪商ラーナを追い奥地へ進んだ二人は、騎士クラスの金髪の女イザベラと、藍色の髪を持つスノウ・ハウルロッドに遭遇した。スノウはハウルロッド侯爵家の第一子であり、冷酷かつ目的達成のために手段を選ばないと評される人物である。彼女の登場により、〈幻獣の塔〉の秘匿が侯爵家の意向であることが明らかになった。
スノウの意図と対立
スノウは直接言葉を交わさず、イザベラを通してエルマたちを追い出そうとした。イザベラは厳しい口調で、スノウの命令として〈幻獣の塔〉から出るよう警告した。しかし、エルマは侯爵家の正式な命令でないと判断し、応じる気配を見せなかった。これにより、スノウの部下による威圧がさらに強まった。
対立の緊張と疑念
イザベラがエルマたちを脅す中、ルーチェはスノウが自ら発言せず部下を通して行動する点に疑問を抱いた。スノウの本当の意図が見えないまま、状況はさらに緊迫していった。
71話
ハウルロッド侯爵家の騎士との剣戟
イザベラとの剣の交え
エルマはイザベラの挑発を受け、剣を抜いて応じた。イザベラは冒険者を見下しつつも鋭い剣技を見せたが、エルマはそれを防御と巧妙な剣術で捌き切った。イザベラはエルマのレベルと技量に驚き、予想外の相手だと認識した。
スキルを用いた攻防
イザベラは〈剣撃波〉や〈聖光の刃〉といったスキルを発動し、エルマを追い詰めようとしたが、エルマは冷静に回避と反撃を繰り返した。特に〈パリィ〉や〈シールドバッシュ〉を巧みに使い、イザベラの攻撃を受け流しつつ体勢を崩した。
スノウの制止と終息
戦いの趨勢がエルマに傾く中、スノウがイザベラを制止した。スノウはイザベラの敗北を認めつつも、これ以上の争いが自分たちの不利益になると判断した。彼女の冷静な指示により戦闘は終了し、イザベラは渋々剣を収めた。
72話
スノウの意外な一面
スノウはこれまで発言を控えていたが、最後に的確な判断を下したことでエルマたちは彼女の冷静な性格を垣間見た。ルーチェも、スノウの発言に驚きを感じつつ、彼女の真意に興味を抱いていた。
侯爵家との対峙とスノウの本質
探索継続の許可とイザベラの反省
イザベラは戦闘でエルマに後れを取ったことを認め、不本意ながらも探索の継続を許可した。スノウもまた、エルマたちの実力を認めた上で、これ以上の咎めを行わないと決断した。ただし、イザベラは自分の失態に苛立ちを隠せなかった。
スノウの意図と侯爵家の内情
スノウが冒険者を排除しようとするのは、侯爵家内での実績作りや威厳の維持が目的であると推測された。エルマは彼女の露悪的な振る舞いが貴族社会での生存戦略であると考えたが、〈哀哭するトラペゾヘドロン〉を利用したとの疑惑については結論を出せなかった。
エルマの名前を尋ねるスノウの真意
スノウはイザベラを介してエルマの名前を尋ねた。エルマが大規模依頼で活躍した冒険者だと気付いたスノウは一瞬驚きを見せたが、特に深く詮索することはなかった。彼女の行動には、対話よりも権威を保つことを優先する姿勢が窺えた。
スノウの人見知りと本当の姿
別れ際、スノウはエルマたちに感謝の意を述べようとしたが、途中で言葉に詰まり、顔を赤らめながら沈黙してしまった。その様子にイザベラは慌てて彼女を庇ったが、エルマとルーチェは彼女の本質が思った以上に人間味のあるものだと気付き、何も触れずその場を去った。
グリムリーパー狩りの成果と困難
安定した戦法と連続ドロップ
エルマとルーチェは、〈影踏み〉を活用した安定した戦法でグリムリーパーを追い詰めた。グリムリーパーのスキル〈竜殺刈り〉の隙を突き、ルーチェがとどめを刺す形で撃破に成功した。しかし、ドロップしたのは〈魂刈りの大鎌〉であり、四体連続で同じアイテムのドロップに終わった。ルーチェは落胆したが、エルマはその価値を活かすために金策を考えた。
技能の書の入手難と今後の方針
欲しかった〈技能の書〉が手に入らず、探索の時間と体力的な限界が迫っていた。〈幻獣の塔〉が消滅する前にグリムリーパーをさらに狩るのは難しいと判断したエルマは、後日裏市場での購入も検討することにした。ただし、裏市場に出回る可能性が低いことや、取引のリスクもあり、ケルトやメアベルなど信頼できる冒険者への協力依頼も視野に入れた。
悲鳴の聞こえた方向へ
探索を続ける中、遠くから冒険者の悲鳴が聞こえた。エルマは状況を確認するため、ルーチェと共に声の方向へ向かうことを決めた。グリムリーパー狩りの目標を一時中断し、命の危険に晒されている冒険者を助けることを優先した。
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