どんな本?
本作は、異世界転生ファンタジー漫画である。主人公エルマは、剣聖の血筋を持ちながら、十五歳の〈加護の儀〉で「重騎士」という外れクラスを発現し、家族から追放される。しかし、この世界が自身の知るゲームの世界であり、重騎士が最強のクラスであることを知っていたエルマは、その知識を活かして無双していく。
主要キャラクター
- エルマ:剣聖の血筋を持つ主人公。重騎士のクラスを得たことで家族から追放されるが、ゲーム知識を駆使して活躍する。
- ルーチェ:エルマの仲間であり、共に冒険を繰り広げる少女。
物語の特徴
本作は、主人公が前世のゲーム知識を活用して逆境を乗り越える点が魅力である。一見「外れ」とされるクラスの真価を引き出し、成り上がっていく過程が描かれている。また、詳細なゲームシステムの設定や戦闘描写が、他の異世界転生作品との差別化を図っている。
出版情報
読んだ本のタイトル
追放された転生重騎士はゲーム知識で無双する(9)
著者:武六甲理衣 氏
原作:猫子 氏
イラスト:じゃいあん 氏
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あらすじ・内容
累計100万部突破!!(紙+電子) 既刊全巻重版連発!
最凶の〈技能の書〉でクリティカル無双!! これが「今一番来てる」異世界転生第9巻!!
名家ハウルロッド家の次期当主にして天才剣士と呼ばれるスノウ・ハウルロッドと
その従者イザベラと出会い、〈幻獣の塔〉を攻略するエルマとルーチェ!
しかし突如現れた〈夢の主〉ポタルゲにパーティは半減!! 回復役不在で史上最大のピンチを凌げるか‥‥!?
空を駆ける邪悪なる鳥王を撃破せよ! 覇権作品堂々漫画化第9巻!!
主要な出来事
〈幻獣の塔〉での山賊との遭遇
- エルマとルーチェが悲鳴の方向へ向かい、スノウとイザベラが山賊五人に囲まれていた場面に遭遇した。スノウたちが優勢で山賊は既に負傷していた。
- リーダー格の山賊がエルマ達の登場を察知し、逃亡を始めたがスノウとイザベラは追撃しなかった。
- イザベラは山賊を「C級冒険者程度」と評価したが、スノウは誰かが意図的に情報を流し金銭を渡した可能性があると分析した。
〈幻獣の塔〉の〈夢の主〉ポタルゲとの戦闘
- 巨大な人面を持つ〈夢の主〉ポタルゲが出現し、冒険者たちを威圧した。イザベラはスノウを守ろうと戦うも、ポタルゲの強力な魔法に苦戦した。
- ポタルゲは防御力と回復能力に優れ、遠距離攻撃も得意であった。スノウやイザベラは疲弊し、エルマは盾で攻撃を防ぎながら協力を提案した。
- スノウが氷魔法を使いポタルゲの意識を分散させた隙に、ルーチェがナイフでクリティカルヒットを与えるもダメージは不十分であった。
〈死神の凶手〉の取得と反撃
- ポタルゲの自動回復能力に苦しむ中、エルマは〈死神の凶手〉を使えば勝機があると判断した。
- スノウが〈死神の凶手〉の〈技能の書〉をルーチェへ渡し、ルーチェはスキルツリーにポイントを振りスキルを取得した。
- 〈死神の凶手〉によりクリティカル攻撃が強化され、ルーチェはポタルゲに大ダメージを与えることに成功した。
ポタルゲの滞空戦法と撃破
- ポタルゲは致命傷を負った後、天井付近へ飛び上がり回復を試みた。
- スノウが〈アイスピラー〉を展開し、氷の足場を作ってルーチェをポタルゲへ接近させることに成功した。
- ルーチェが〈竜殺突き〉を放ちポタルゲに致命的なダメージを与え、エルマが最後の一撃で討伐した。
戦闘後の対話と決意
- ポタルゲを倒した後、スノウとイザベラはエルマたちに感謝し、戦いの中で見せた勇気を称賛した。
- スノウは次期当主としての自覚を強め、今後も正当な実績で地位を築くと決意を示した。
- エルマは〈死神の凶手〉の危険性を再認識し、今後の戦いへの覚悟を新たにした。
暗殺未遂と今後への不安
- 〈夢の穴〉が崩壊し、冒険者たちは〈幻獣の塔〉の入口へ戻った。
- スノウとイザベラは暗殺計画の首謀者について話し合い、証拠を残さない徹底した手口に警戒心を示した。
- エルマは〈嘆きの墓所〉での事件を思い出し、今回の出来事にも同様の不気味さを感じ取った。
スノウの決意とイザベラの誓い
- スノウはエルマたちに感謝し、自身の未熟さを認めつつ、実力を磨く決意を語った。
- イザベラもスノウを支えることを誓い、今後も共に歩むことを決意した。
- イザベラの警戒心が示される場面もあり、エルマに対して貴族としての礼儀を守るよう念押しを行った。
感想
第九巻では、ピンチに次ぐピンチが続いた展開であった。
特に〈夢の主〉ポタルゲとの戦いは、冒険者たちの連携と新たなスキル取得によって切り抜ける様子が見応えあった。
エルマが状況を見極めて戦略を組み立てる力は、本作の醍醐味である。
彼の柔軟な発想とゲーム知識を活かした戦術が、困難な状況を打破する原動力となっていた。
また、今回登場したスノウとイザベラのペアは興味深い存在であった。
スノウの天才的な剣技と、それを補佐するイザベラの忠誠心は見事であった。
特にスノウが自分の弱点を認識し、それを克服するためにエルマたちと協力する姿勢は成長を感じさせた。
スノウのキャラクターデザインが、これまでの登場人物とは異なる印象を与えた点も良かった。
ルーチェもまた確実に成長していってた。
〈死神の凶手〉という新たなスキルを手に入れたことで、アタッカーとしての役割をより強固にした。
最初は頼りなさを感じさせる部分もあったが、ここまで育った姿を見ると感慨深い。
戦闘における彼女の役割が確立されていく様子は爽快であり、エルマとの連携がさらに強化されたことも嬉しい展開である。
本作の魅力の一つは、戦闘の組み立て方にあると言える。
単純な力押しではなく、スキルの取得や戦術の工夫を重視した戦いが描かれている点が面白い。
また、エルマのゲーム知識がアドバンテージとして機能する一方で、今後その優位性が揺らぐ可能性が示唆されていることにも興味を引かれた。
陰謀や組織の存在を匂わせる描写が、物語にさらなる深みを与えている。
そして、最後のページに登場した侯爵がヴァンパイアである可能性を示唆する場面は、次巻への期待を一層高める要因であった。
ポタルゲ討伐による一時的な安堵が描かれる中で、新たな敵の存在が示されることによって緊張感が途切れることなく続いていた。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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備忘録
73話
〈幻獣の塔〉での山賊との遭遇
山賊との遭遇と撤退
エルマとルーチェが悲鳴の方向へ向かうと、そこにはスノウとイザベラが山賊五人に囲まれていた。状況はスノウ側に有利であり、山賊は既に負傷していた。リーダー格の男が「話が違う」と弱音を漏らし、エルマ達の登場を察すると逃亡を始めた。スノウとイザベラは追撃せず、その場を収めた。
山賊の情報とその背後の不審点
イザベラは山賊の力量を「C級冒険者程度」と評したが、スノウは彼らが貴族の令嬢である自分を狙うに至った経緯に疑念を抱いた。彼女は「誰かが都合の良い情報を吹き込み、金銭を渡した可能性がある」と指摘した。イザベラは刺客を捕えられなかったことを悔やんだが、スノウは冷静に状況を分析していた。
74話
山賊の末路と新たな脅威
その後、山賊の一人が悲鳴を上げながら戻ってきたが、巨大な人面を持つ化け物に追われ、捕食された。その化け物は〈幻獣の塔〉の〈夢の主〉であるポタルゲであり、全長三メートルを超える威圧的な姿をしていた。エルマはその異様な存在を見上げながら、状況の緊迫感を感じ取った。
〈幻獣の塔〉の〈夢の主〉ポタルゲとの戦闘
ポタルゲの襲来と状況の不利
ポタルゲが突如として現れ、圧倒的な存在感で冒険者たちを威圧した。イザベラはスノウを守るため戦闘を試みたが、ポタルゲの強力な魔法〈ウィンドハント〉に翻弄され、苦戦を強いられていた。エルマはその攻撃を盾で防ぎ、仲間全員の生還を目指すため協力することを提案した。
75話
ポタルゲの特徴と戦術の困難
ポタルゲは高い防御力と回復能力を持つ〈夢の主〉であり、遠距離魔法攻撃を得意とする。その強力なスキル〈シルフカッター〉や〈ウィンドハント〉により、冒険者たちは接近戦も遠距離戦も厳しい状況に追い込まれていた。さらに、スノウとイザベラは体力と魔力が限界に近く、パーティー全体が分の悪い戦いを強いられていた。
仲間の奮闘とポタルゲへの一撃
スノウは氷魔法〈アイス〉を用いてポタルゲの意識を分散させた。その隙を突いてルーチェがナイフで〈ダイススラスト〉を放ち、クリティカルヒットを成功させた。ポタルゲに確かなダメージを与えたものの、そのHPは依然として6割以上残っており、ポタルゲの防御力と回復能力の高さが冒険者たちを苦しめた。
76話
今後の戦闘への不安
ルーチェの攻撃によるダメージが思ったより少なかったことにより、パーティーはこの戦いの厳しさを再認識した。ポタルゲは自動回復能力を持ち、時間が経つほど戦況が悪化することが明白であった。エルマたちは、この状況を打破する方法を模索しながら戦闘を続ける決意を固めていた。
ポタルゲの猛攻と追い詰められる冒険者たち
ポタルゲは鉤爪や魔法〈ガスト〉を駆使し、冒険者たちを圧倒していた。イザベラやルーチェは攻撃に翻弄され、スノウも負傷の影響で効果的な戦力になれず、エルマが孤軍奮闘で盾役を務める状況であった。ポタルゲの高い防御力と回復能力がパーティーを苦しめ、戦況は徐々に悪化していった。
〈死神の凶手〉の存在と取得
エルマは戦闘中、もし〈死神の凶手〉があれば勝機を見出せると考えていた。そのときスノウが、自分たちが所持している〈技能の書〉が〈死神の凶手〉であると告げ、迅速にルーチェへ渡した。
77話
ルーチェはエルマの指示に従い、スキルツリーにポイントを振り、〈死神の凶手〉を取得した。これにより、ルーチェは戦闘力を大幅に強化することが可能となった。
戦況を打開する準備
〈死神の凶手〉のスキルツリーはクリティカル攻撃を中心に強化されるもので、ルーチェの持つ〈ダイススラスト〉と高い幸運力との相性が抜群であった。この新たな力を手にしたことで、ポタルゲを撃破する希望が見えてきた。エルマは土壇場でのスキル取得に不安を抱きつつも、ルーチェと共に一気に勝負を決める覚悟を固めていた。
〈死神の凶手〉による反撃開始
ルーチェが〈死神の凶手〉のスキルを発動し、ポタルゲへの一撃を成功させた。クリティカルヒットにより、ポタルゲの傷口が広がり、大量の出血を引き起こした。その威力は驚異的で、ポタルゲのHPを一気に削ることに成功した。この一撃がもたらしたダメージは、戦況を大きく転換させる可能性を示した。
78話
ポタルゲの滞空戦法
致命傷を負ったポタルゲは、天井付近へ飛び上がり、滞空状態に入った。この行動は、近接攻撃が届かない位置で回復を図るための戦術であった。地上から攻撃手段を持たない冒険者たちにとって、状況は非常に不利であった。ポタルゲは自動回復能力を最大限に活用しつつ、冒険者たちを追い詰める意図を露わにしていた。
スノウの機転と氷晶騎士の能力
ポタルゲの遅延戦法に対抗するため、スノウは〈アイスピラー〉を展開した。氷晶騎士としての本質である足場を作り出す能力を活かし、ルーチェをポタルゲに接近させるための支援を行った。スノウの判断により、冒険者たちはポタルゲの優位を崩す可能性を見出しつつあった。
スノウの支援とルーチェの接近
スノウは〈アイスピラー〉と〈フロートリフト〉を用いて氷の足場を作り、ルーチェをポタルゲへ接近させた。
79話
しかしポタルゲは、風魔法〈サンダーストーム〉で氷の柱を破壊しようと試みた。ルーチェは空中へ逃れ、スノウの作り出した次の足場に素早く乗り移った。ポタルゲの魔法を回避したことで、ルーチェはポタルゲの射程内に迫った。
ポタルゲへの致命的な一撃
ルーチェは〈竜殺突き〉を発動し、ポタルゲへと突撃した。ポタルゲは〈シルフカッター〉で撃退を図ったが、エルマの〈影踏み〉により一瞬の隙を作られ、攻撃の軌道がずれた。これを機にルーチェの一撃がポタルゲの首に突き刺さり、〈奈落の凶刃〉による強力なダメージを与えた。首元の傷が大きく広がり、ポタルゲの体勢は大きく崩れた。
エルマの決定打
ポタルゲが体勢を立て直しつつも苦しむ中、エルマは〈不惜身命〉を発動。防御力を犠牲に攻撃力を上昇させ、さらに〈死線の暴竜〉で速度と攻撃力を強化した。ポタルゲの反撃を受けつつも、エルマは致命的な剣撃を叩き込み、ポタルゲを完全に打倒した。最後の一撃で床に亀裂が走るほどの威力で、ポタルゲは絶命した。
80話
戦闘後の安堵
戦いの終結により、全員が安堵の息を漏らした。イザベラは力が抜けて座り込み、ポタルゲの巨体を見て顔を青ざめていた。一方で、エルマはスノウやルーチェの連携によって得られた勝利を認識しつつも、スキルの危険性を再認識していた。「あまり気軽に使えるものではない」とエルマが言ったように、この戦闘は冒険者たちの全力を必要とする激戦であった。
スノウの感謝とイザベラの敬意
無事の確認と感謝の言葉
戦いが終わった後、イザベラは涙ぐみながらスノウの無事を喜んでいた。スノウは、エルマとルーチェに対して感謝を述べ、丁寧に頭を下げた。ルーチェが気軽に口を挟む一幕もあったが、スノウは人見知りながらも何とか言葉を紡ごうとしていた。
〈夢の主〉討伐の経験
イザベラはエルマに、これまでに〈夢の主〉を何度討伐したか尋ねた。エルマが四度目だと答えると、スノウとイザベラはその実績に驚嘆していた。一方、スノウ自身も三度目の討伐経験を持っていたが、イザベラによるとそのうち二度は侯爵家の兵の支援があったという。
ポタルゲのドロップアイテム
ルーチェはポタルゲの遺骸から〈鳥王の槍〉を発見し、皆のもとへ持ち帰った。この槍は市場価値四千万ゴルドの高価なアイテムで、風属性の特殊効果を持つ優れた武器であった。しかしエルマやルーチェが槍を使うことはできず、売却して資金とすることを提案した。
〈死神の凶手〉の価値と槍の交換案
エルマは〈死神の凶手〉の市場価値についてイザベラに尋ねた。イザベラは、槍と交換することで借りを相殺する案を提案したが、スノウがそれを拒否した。スノウは恩人への礼を失する行為を避けるべきだと考え、次期当主としての立場や実力を見直すべきだと語った。
スノウの決意
スノウは、冒険や戦闘が好きではなかったと告白したが、エルマたちの姿を見て自分の考えを改めたと話した。彼女は、自らの実力を磨き、汚い手段ではなく正当な実績で次期当主の地位を勝ち取る覚悟を示した。その姿にイザベラも感動し、彼女を全力で支えると誓った。
槍の売却とユーモアの場面
最終的に、スノウの決意を尊重して〈鳥王の槍〉を四千万ゴルドで買い取る提案がなされたが、イザベラが軽口を叩き、スノウにたしなめられる場面もあった。戦いの緊張感を忘れさせる微笑ましいやり取りであった。
81話
〈夢の穴〉崩壊後の帰還
ポタルゲを討伐したことで〈夢の穴〉が崩壊し、エルマたちは白い光に包まれて、元の〈幻獣の塔〉の入り口へ戻った。周囲を見回したイザベラは、暗殺の犯人が〈夢の穴〉内に残っていなかったことに安堵しつつ、溜息をついた。
暗殺未遂の議論
スノウとイザベラは暗殺計画の首謀者について話し合った。スノウは自身の親族がそこまでの凶行に出たことが信じられない様子であったが、イザベラは「人の本心はわからないもの」と諭した。また、貴族間の争いの苛烈さを改めて感じつつも、今回の犯行が証拠を残さない徹底した手口であることを警戒していた。
エルマの疑念
エルマは今回の事件の手口に既視感を覚えていた。〈嘆きの墓所〉での事件と同様に、周到で目的が不明確な犯行であり、何者かに誘導されているような不気味さを感じていた。また、崖の上に誰も潜んでいないことに疑問を抱き、犯人の徹底した用意周到さを改めて感じていた。
スノウの感謝と決意
スノウはエルマたちの助力に感謝し、ポタルゲ討伐時の勇姿に感銘を受けたことを伝えた。彼女は自身の未熟さを認め、ハウルロッド侯爵家の名に恥じない当主になるために、実力を磨く決意を語った。その姿にイザベラも感動し、彼女を支えることを誓った。
イザベラの警戒心
スノウが感謝を述べた直後、イザベラはエルマに向けて警戒心をあらわにした。彼女はエルマに対し「平民の身でお嬢様に手を出すな」と念押しをしたが、スノウに窘められ、場の雰囲気を和ませる結果となった。
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