とある魔術の禁書目録(6)レビュー
【とある魔術の禁書目録】あらすじ・ネタバレ・まとめ
とある魔術の禁書目録(8)レビュー
物語の概要
■ 作品概要
『とある魔術の禁書目録7』は、科学と魔術が交錯する世界観を舞台にした学園アクションファンタジー小説である。 本作では、二〇世紀最高の魔術師クロウリーが執筆したとされる、誰も解読できない魔道書『法の書』と、その解読法を発見したローマ正教の修道女オルソラ=アクィナスを巡る争奪戦が描かれる。彼女らが日本の魔術勢力「天草式十字凄教」に連れ去られたことを発端に、イギリス清教、ローマ正教、そして科学側の学園都市をも巻き込む大きな事件へと発展していく。超能力開発が行われる学園都市の住人である主人公が、魔術側の陰謀や組織間の対立に巻き込まれながらも、一人の少女を救うために奮闘する姿が物語の核となる。
■ 主要キャラクター
- 上条当麻: 学園都市に住む平凡な高校生。あらゆる異能の力を右手の接触によって打ち消す独自の能力「幻想殺し(イマジンブレイカー)」を持つ。インデックスを救出するためのステイルの狂言誘拐によって学園都市の外へと連れ出され、なし崩し的に『法の書』とオルソラを巡る魔術師たちの激突に巻き込まれることになる。事件の本質よりも「目の前で困っている少女を助ける」という強い信念のもとに行動する。
- インデックス: イギリス清教に所属する純白のシスター。一〇万三〇〇〇冊の魔道書を脳内に完璧に記憶している「魔道書図書館」の役割を担う。ステイルによって学園都市の学生寮から連れ去られ、上条を事件に関与させるための大義名分(囮)として利用されるが、持ち前の膨大な魔術知識を駆使して、天草式の移動魔術の弱点や『法の書』の危険性を看破し、後方から上条たちを的確にサポートする。
- ステイル=マグヌス: イギリス清教『必要悪の教会』に所属するルーンの魔術師。赤い長髪と神父服が特徴の少年で、強力な炎の魔術「魔女狩りの王(イノケンティウス)」を操る。最大主教ローラから下された『法の書』の回収と神裂火織の介入阻止の任務を遂行するため、上条を巻き込む狂言誘拐を仕組んで日本に現れる。インデックスの生活と安全を守ることを何よりも最優先に考えて行動している。
- オルソラ=アクィナス: ローマ正教の修道女。誰にも読めないはずの魔道書『法の書』の解読法を発見したことで、天草式やローマ正教からその身を追われる逃亡の身となる。世界の危機を招きかねない『法の書』の力を悪用するためではなく、その危険な仕組みを解明して破壊(自爆)させるために解読法を研究していた心優しい少女。世間知らずで少々おっとりした性格をしており、偶然出会った上条に救出される。
- アニェーゼ=サンクティス: ローマ正教のシスターであり、オルソラ救出および『法の書』捜索部隊の現場責任者を務める少女。黒い修道服と厚底のサンダルを着用し、銀の杖を武器として扱う。大勢の部下を率いて迅速に包囲網を敷くなど高い指揮能力を持つ反面、本場の日本人である上条を前にすると極度に緊張して不自然な日本語を話してしまう一面がある。ルールを無視して暴力を振るう天草式に対して強い憤りを抱いている。
- 建宮斎字: 神裂火織がかつて女教皇を務めていた日本の十字教勢力「天草式十字凄教」の教皇代理。サイズの合わない大きなTシャツとジーンズを着用し、全長一八〇センチメートルを超える大剣(フランベルジェ)を軽々と片手で扱う魔術師。日常の何気ない仕草や言葉に術式を潜ませる「偽装」の技術に長け、戦闘においても高い実力を誇る。独自の目的と組織の事情のためにオルソラの身柄を狙い、上条やステイルと激突する。
■ あらすじ
イギリス清教のローラは、解読不能な魔道書『法の書』の解読法を知る修道女オルソラが日本の天草式十字凄教に誘拐されたとステイルに告げる。事態収拾のため、ステイルはインデックスを狂言誘拐し、上条当麻を魔術側の争いに巻き込んだ。
学園都市外で逃亡中のオルソラと出会った上条は、ローマ正教のアニェーゼ率いる部隊と合流し、天草式から彼女を奪還すべく行動を開始する。
しかし、天草式の真の目的は『法の書』の悪用ではなく、追われるオルソラを保護することであった。
実は、暗号を解いた彼女を異端として抹殺することこそがローマ正教の真意だったのだ。真実を知った上条は、理不尽な理由で命を奪おうとする巨大組織のやり方に激しい怒りを覚える。
彼はオルソラを救うため、ステイルや建宮斎字ら天草式と共闘し、二五〇人ものシスターが待ち受けるオルソラ教会へ乗り込んでいく。
圧倒的な戦力差の中、仲間が作った好機を活かし、上条はアニェーゼとの一騎打ちを制した。
最終的にオルソラと天草式はイギリス清教の庇護下に入り、事件は無事に幕を閉じる。
本作は、強大な組織に翻弄される少女を救うべく、少年が信念を貫き運命を打ち砕く姿を描いている。
書籍情報
とある魔術の禁書目録 7
(A Certain Magical Index)
著者:鎌池 和馬 氏
イラスト:はいむらきよたか 氏
出版社:株式会社KADOKAWA(電撃文庫)
発売日:2005年11月10日
ISBN:9784048665179
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あらすじ・内容
伝説の魔道書とシスターがさらわれた! 救出作戦の行方やいかに?
『法の書』 は伝説の魔術師が記した、天使を召喚することができるという驚異の魔道書。その魔道書が解読法を知るシスターとともにさらわれた。学園都市でぼけーっと日常を過ごしていた上条当麻には、まったく関係ない出来事だった…… はずなのだが、“不幸” にもその救出作戦に参加させられるはめに!3つの魔術組織が上条当麻と交差するとき、驚くべき事実が……!科学と魔術のハイエンドストーリー第7弾!
感想
科学側の最高峰である学園都市を飛び出し、世界の命運を握る壮大な魔術組織の対立へと飛び込んでいく展開に、終始胸が躍った。これまでのシリーズ以上に世界の広がりと緊迫感を感じさせる、非常に読み応えのある第7弾である。
物語の始まりは、主人公である上条当麻にとって理不尽極まりないものだった。イギリス清教のトップであるローラから『法の書』と修道女オルソラの危機を聞かされたステイルが、こともあろうにインデックスを狂言誘拐するという強硬手段に出る。なし崩し的に魔術側の激しい争いへと巻き込まれていく上条だが、その代償として彼の夏休みの宿題が犠牲になってしまう場面には、思わずクスリとさせられた。どれほど深刻な世界の危機に直面しようとも、高校生としての等身大の「不幸」が付きまとう日常パートのコミカルさが、作品の良いアクセントになっている。
本作における最大の魅力は、二転三転する組織の思惑と、それによって明かされる残酷な真実の重みだ。当初は「オルソラを誘拐した悪の組織」に見えていた天草式十字凄教が、実は彼女を保護しようとする実直な集団であったのに対し、「救出を目的とする正義の味方」のはずだったローマ正教のアニェーゼ部隊こそが、オルソラを異端として抹殺しようとしていたという構図の逆転は見事というほかない。暗号を解読したというだけの理不尽な理由で一人の少女の命を奪おうとする巨大組織のやり方に、上条が激しい怒りを燃やす姿には強く共感した。同時に、かつて天草式の女教皇を務めていた神裂火織の存在感も印象深い。表舞台で直接大暴れするわけではないものの、彼女がかつて背中で語り、示し続けた精神が、今もなお天草式の連中の魂に深く刻み込まれていることが戦闘描写から伝わり、組織の絆の深さに胸が熱くなった。
後半の戦闘シーンは圧巻の一言に尽きる。二五〇人ものシスターが待ち受けるオルソラ教会という圧倒的な戦力差に対して、上条がステイルや教皇代理の建宮斎字ら天草式のメンバーと手を取り合い、共闘していく流れは最高に熱い。それぞれが異なる思惑や過去を抱えながらも、「オルソラを救う」という一つの目的のために手を取り合う姿には王道の少年漫画のような格好良さがあった。仲間たちが命懸けで切り開いてくれた一瞬の好機を活かし、上条がアニェーゼとの一騎打ちを自らの拳で制するクライマックスは、強烈なカタルシスをもたらしてくれる。
最終的にオルソラと天草式がイギリス清教の庇護下に入り、事件が無事に幕を閉じたときには、深い安堵感に包まれた。強大な組織や世界のルールという理不尽な運命に翻弄される少女の手を引き、泥臭くとも自らの信念を貫き通してその運命を打ち砕いてみせた少年の姿は、まさにヒーローそのものである。科学と魔術が複雑に交錯する緻密な世界観の中で、人間の熱い感情が勝利を収める瞬間の素晴らしさを、改めて教えてくれる傑作だ。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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とある魔術の禁書目録(6)レビュー
【とある魔術の禁書目録】あらすじ・ネタバレ・まとめ
とある魔術の禁書目録(8)レビュー
考察・解説
法の書の解読
「法の書」の解読について、その噂と危険性、解読に挑んだオルソラの真意、「法の書」の真実、そして事件の結末という観点から解説する。
1. 「法の書」と解読の噂
『法の書』は、伝説の魔術師エドワード=アレクサンダー(クロウリー)が守護天使エイワスから伝授された内容を記したとされる魔道書の原典である。
- この書には「天使の術式」を操る方法が記されており、ページが開かれた瞬間、十字教が支配する時代が終わるとまで言われている絶大な力を秘めている。
- これまで誰にも解読できないとされてきたが、ローマ正教の修道女オルソラ=アクィナスがその解読法を編み出したという情報が流れ、彼女は各勢力から狙われることになった。
2. オルソラの真の目的
オルソラが「法の書」の解読に挑んだのは、強大な力を手にするためではない。
- 原典クラスの魔道書は、現在の技術では破壊できず封印することしかできない。
- 彼女は魔道書の仕組みを逆手にとり、原典を自爆させて破壊する方法を見つけるために研究を重ねていた。
- 魔道書が争いしか生まない現状を終わらせるため、純粋な善意から解読法を探求していたのである。
3. 「法の書」の真実とダミー解答
しかし、インデックスの口から、オルソラが見つけた解読法は「正解」ではなく、「法の書」が仕掛けた「ダミー解答」の一つであることが明かされる。
- 「法の書」の恐ろしさは「誰にも読めない」ことではなく、「解読法が100通り以上存在し、そのすべてがダミーである」という点にある。
- 表紙にある「汝の欲する所を為せ、それが汝の法とならん」という一文の通り、解読者が正しいと思い込んだ法則に従って、意味の通る無数の「偽りの正解」の文章が浮かび上がるように巧妙に作られている。
- そのため、解読者は自分の間違いに気づくことすらできないのである。
まとめ
ローマ正教は、本当に解読できたかどうかにかかわらず、十字教の脅威となり得るオルソラを異端として抹殺しようとしていた。上条当麻や天草式十字凄教らの奮闘によってオルソラは救出され、イギリス清教の傘下に入る。その後、イギリス清教はオルソラが持っていた偽の解読法を世界中に公開した。それが「誤訳(ダミー)」であることが周知されたため、彼女が「法の書の解読者」として世界中から命を狙われる危険は無事に去ることとなったのである。
必要悪の教会
必要悪の教会(ネセサリウス)について、その役割と目的、組織の成り立ちと現状、そして主な所属メンバーという観点から解説する。
1. 役割と目的
必要悪の教会は、イギリス清教の第零聖堂区に属する、魔女狩りや対魔術師専門の戦闘部署である。
- イギリス清教は対魔術師の技術が突出しており、敵である魔術師を深く知るために自らも「汚れ」である魔術を背負う部署として成立した。
- 主な業務は、イギリス国内に存在する魔術結社や魔術師の徹底的な殲滅および処分である。
2. 成り立ちと権威の逆転
聖職者でありながら魔術を使用するという性質上、設立当初はイギリス清教の中でも鼻つまみ者扱いされていた。
- 総本山であるカンタベリー寺院から左遷される形で、ロンドンにある「聖ジョージ大聖堂」を本拠地として与えられた。
- 窓際の一部署にすぎなかった彼らが黙々と任務をこなし成果を上げ続けた結果、巨大な組織の中で確かな信頼と絶大な権限を積み上げていった。
- 現在では、イギリス清教の実質的な頭脳部としての地位を完全に聖ジョージ大聖堂(必要悪の教会)へと明け渡させるほどの事態を招いている。
3. 主な所属メンバー
この部署には、特殊な力を持つ魔術師たちが所属している。
- 一〇万三〇〇〇冊の魔道書を脳内に記憶し、あらゆる術式の中和法を提示する役目を担うインデックス。
- 強力な炎の魔術を操るステイル=マグヌス。
- 元・天草式十字凄教の女教皇で「聖人」でもある神裂火織。
- 暗号解読専門官のシェリー=クロムウェル。
まとめ
必要悪の教会は設立当初こそ冷遇されていたが、確かな成果を積み上げることで、イギリス清教の実質的な頭脳部としての地位を確立するに至った。これらの曲者揃いの魔術師たちを束ね、イギリス清教の実質的なトップとして指揮を執っているのが、最大主教(アークビショップ)であるローラ=スチュアートである。
オルソラ=アクィナス
オルソラ=アクィナスについて、その人物像と『法の書』解読の真意、逃亡劇と天草式への不信、ローマ正教による拷問と彼女の心情、そして事件の結末という観点から解説する。
1. 人物像と『法の書』解読の真意
ローマ正教の修道女である彼女は、世間知らずで少々おっとりした天然な性格の持ち主である。
- 猛暑の中でも真っ黒な修道服のフル装備で現れ、上条当麻に学園都市への行き方を尋ねておきながら逆に学園都市から遠ざかるバスに乗り込んでしまうなど、マイペースな行動で彼を振り回した。
- 喉が渇かないからと渋柿味のキャンディや熱湯同然の麦茶を差し出すなど、常識から少しずれた面がある。
- 誰にも読めないはずの伝説の魔道書『法の書』の解読法を発見したことで、各勢力から追われる逃亡の身となる。
- 彼女が解読に挑んだのは絶大な力を手にするためではなく、魔道書が争いしか生まない現状を終わらせるためである。現在の技術では破壊できず封印するしかない原典を自爆させて破壊する方法を探るという、純粋な善意から研究を行っていたのである。
2. 逃亡劇と天草式への不信
『法の書』を解読したことで、彼女はローマ正教から異端として命を狙われることになる。
- それに気づいた彼女は、ローマ正教の息がかかっていない日本へ逃亡し、日本の魔術勢力「天草式十字凄教」に助けを求めた。
- 天草式は彼女を保護し逃走を手助けしようとしたが、オルソラは世界最大宗派を敵に回してまで自分を助ける理由はなく、見返りに『法の書』の解読法を求められるはずだと疑い、彼らを信じきれずに逃げ出してしまう。
3. ダミー解答とローマ正教による拷問
上条当麻らと合流後、インデックスの口から、オルソラの見つけた解読法が『法の書』の仕掛けた「ダミー解答」の一つであることが告げられる。
- 命を懸けて得た知識が無意味だったことに絶望する彼女であったが、ローマ正教は真相に関わらず彼女を異端として抹殺するため、アニェーゼ=サンクティス率いる二〇〇人以上のシスターたちで彼女に激しい集団暴行を加える。
- 死の淵に追い詰められたオルソラであったが、アニェーゼの嘲笑を通じて、天草式や上条たちが自分を騙していたのではなく、無償の善意で本気で助けようとしてくれていたことを悟る。
- 彼女は、最後まで自分を味方として信じてくれた彼らを恨むことはなく、むしろ彼らと出会えた幸福に感謝し、人を騙すことでしか行動できないローマ正教のやり方を静かに非難した。
4. 救出とイギリス清教への改宗
絶体絶命の状況の中、彼女を救うために上条当麻が単身で教会に乗り込み、インデックス、ステイル、そして天草式の仲間たちも合流して最後の戦いが始まる。
- 救出後、彼女はイギリス清教の傘下に入ることで事態を収束させる。
- 上条当麻を経由してステイルから渡され、彼女が首にかけていた十字架のネックレスが、イギリス清教の最大主教ローラが用意した「イギリス清教への所属と庇護を示すアイテム」として機能したためである。
まとめ
救出されたオルソラはイギリス清教の傘下に入り、命の危機を脱した。さらに、イギリス清教が彼女の持っていた偽の解読法を誤訳として世界中に公開したことで、彼女が『法の書』の解読者として狙われる危険は薄れることとなったのである。
イギリス清教最大主教
イギリス清教の最大主教(アークビショップ)であるローラ=スチュアートについて、その役割と容姿、冷酷な管理者としての一面、天草式十字凄教を保護した真意、そして善悪が判然としない本質という観点から解説する。
1. 役割と容姿
イギリス清教のトップは本来国王であるが、多忙な国王に代わって実質的な指揮を執り、絶大な命令権を握っているのが最大主教のローラ=スチュアートである。
- 彼女は第零聖堂区『必要悪の教会(ネセサリウス)』の最大主教でもある。
- その容姿は、光り輝くような白い肌と透き通った青い瞳を持つ18歳ぐらいの少女である。
- 身長の2.5倍もある非常に長い黄金の髪をくるぶしと頭の後ろで折り返して銀の髪留めで固定し、さらに腰まで届かせている。
- 土御門元春を日本人の基準にしてしまったため、エセ古語のような奇妙な日本語を話すという特徴がある。
2. 冷酷な管理者としての一面
一見すると能天気な少女に見えるが、彼女は人の感情や理性、損益、倫理といった「価値観の天秤」を掌の上で転がすことに長けた冷酷な管理者である。
- インデックスが1年おきに記憶を失わなければならない「首輪」の仕組みを作り、教会のメンテナンスなしでは生きられない体にした張本人でもある。
- それを教会の善意だと偽ることでインデックスの裏切りを防いでいる。
- さらに記憶を消さなければ彼女が死んでしまうと嘘をつくことでステイルたちの反発すらも封じ込めていた。
3. 天草式保護の真意と神裂火織への足枷
彼女は、ローマ正教から追われていたオルソラ=アクィナスと天草式十字凄教をイギリス清教の傘下に迎え入れた。
- その真の目的は、強大な力と良質な正義感ゆえに独断専行しがちな神裂火織をイギリス清教に繋ぎ止めるための「足枷」にすることであった。
- 「言う事を聞かなければ危害を加える」というマイナスの足枷ではなく、「言う事を聞いているうちは天草式をローマ正教から守る」というプラスの足枷を利用した。
- これにより、神裂が反発せずに従うよう綿密に計算して行動していたのである。
まとめ
彼女は打算的で冷酷な策を巡らせる一方で、オルソラを助けた理由のように、純粋な利益だけでは説明がつかない行動を取ることもある。善と悪のどちらの行いも均等に実行し、天秤の釣り合いを保つように振る舞うため、彼女が善人なのか悪人なのかは誰にも判断できない。ステイルはそんな彼女の手腕を「あの女狐めが」と憎々しげに呼び、強く警戒しているのである。
天草式十字凄教
天草式十字凄教について、組織の特徴と独自の魔術、特殊な移動手段、オルソラ救出の真意、そして元・女教皇である神裂火織への思いという観点から解説する。
1. 組織の特徴と独自の魔術・体術
天草式十字凄教は、神裂火織がかつて女教皇(トップ)を務めていた日本の十字教宗派である。江戸幕府の厳しい弾圧から逃れ続けた隠れキリシタンを母体としているため、隠密性に極めて特化している。
- 十字教の教義を仏教や神道で徹底的にカモフラージュしており、挨拶や食事、歩く方向、本を読む仕草といった何気ない日常動作の組み合わせによって魔術の儀式や術式を構成する。
- そのため、魔術を使用した痕跡が一切残らず、インデックスの強制詠唱(スペルインターセプト)も効きにくいという特徴がある。
- 鎖国時代にも蘭学を通じて諸外国の文化を積極的に取り入れており、洋の東西を問わない様々な剣術を融合させた独自の格闘術も身に付けている。
2. 特殊移動法「縮図巡礼」
彼らは本拠地の場所を誰にも知られていないだけでなく、縮図巡礼と呼ばれる特殊な移動手段を持っている。
- これは伊能忠敬が作成した『大日本沿海輿地全図』に偶像の理論を応用したものである。
- 精巧なミニチュアである日本地図に本来存在しない「渦」と呼ばれる移動ポイントを書き込むことで、現実の日本列島にも瞬時に移動できる出入り口を生み出している。
- ただし、この移動法は星の動きに依存するため、日付変更直後の5分間しか使用できないという時間制限がある。
3. オルソラ=アクィナス救出の真意と濡れ衣
ローマ正教からは、魔道書『法の書』とそれを解読できる修道女オルソラを強奪したテロリストとして扱われていたが、それは冤罪であった。
- 真実は、ローマ正教に命を狙われ逃亡したオルソラから助けを求められ、彼女の逃走を手助けしていただけであった。
- しかしオルソラは、世界最大宗派を敵に回してまで自分を見返りなしに助けるはずがなく、『法の書』の解読法を要求してくるのではないかと疑心暗鬼に陥り、天草式からも逃げ出してしまったのである。
まとめ
彼らが世界最大宗派を敵に回してまで、見ず知らずのオルソラを無償で助けようとした理由は、元女教皇である神裂火織への思いにあった。彼らは自分たちの未熟さが原因で神裂が組織を去ってしまったと後悔しており、彼女に誰も傷つかず無償で人を助けられるような居場所を返したいと願って行動していたのである。事件の解決後、天草式は独立した枠組みを残したままイギリス清教の傘下に入ることになるが、それはイギリス清教の最大主教ローラが、神裂火織を組織に縛り付けるためのプラスの足枷として彼らを利用したという裏の思惑も絡んでいたのである。
上条当麻の介入
『とある魔術の禁書目録7』(オルソラ=アクィナス救出戦)における上条当麻の介入について、事件への巻き込まれと真実の理解、組織の論理への反発と単独での決意、オルソラ教会への突入と反撃の起点、そしてアニェーゼとの決着と彼の行動原理という観点から解説する。
1. 事件への巻き込まれと真実の理解
上条当麻は、イギリス清教が彼を穏便に事件へ介入させるために仕組んだ「インデックスの狂言誘拐」をきっかけに、『法の書』とオルソラ=アクィナスを巡る争奪戦に巻き込まれた。
- 当初は状況が分かっていなかったが、逃亡中のオルソラと出会い、彼女が『法の書』を悪用するためではなく、争いの元となる原典を自爆・破壊させる方法を探るという純粋な善意で解読に挑んでいたことを知る。
- その後、天草式の建宮斎字との対峙やローマ正教による非道な攻撃を目の当たりにしたことで、真実に気づく。
- オルソラを異端として抹殺しようとする本当の敵がローマ正教であり、天草式は彼女を無償で助けようとしていたことを理解したのである。
2. 組織の論理への反発と単独での決意
この事件はローマ正教の内部問題として処理されるため、イギリス清教のステイルたちは「介入すれば国際問題になる」として一度は撤退を決断する。
- しかし上条は、人が大切に抱えてきた想いを書類上の手続きのように奪い去るローマ正教のやり方を許せなかった。
- 彼は特定の組織に属さない一般の学生であるため、教会のしがらみにとらわれる必要がない。
- そして何より、見ず知らずの自分を最後の最後まで信頼してくれたオルソラの思いに応えるため、彼はたった一人で敵の本拠地へ向かうことを決意した。
3. オルソラ教会への突入と反撃の起点
上条は、建設中の「オルソラ教会」に集結した200人以上の武装シスターたちの中心へ単身で踏み込む。
- 彼が絶体絶命の状況で司令塔のアニェーゼたちと対峙したのは無謀な特攻ではなく、明確な作戦に基づくものであった。
- 上条が前線で囮となって敵の注意を引きつけている間に、ステイルやインデックス、そして天草式の面々が敷地内にルーンカードを配置していた。
- 教会全体を巨大な魔法陣に作り変えて『魔女狩りの王(イノケンティウス)』を発動させるという、一発逆転の準備を整えていたのである。
4. アニェーゼとの決着
仲間たちの反撃が始まった後、上条はアニェーゼ=サンクティスと一対一で激突する。
- 五大元素の力を操る『蓮の杖』による、空間の先読み設置を利用した見えない攻撃に上条は苦戦を強いられた。
- しかし、攻撃が設置された空間そのものを『幻想殺し』で殴りつけることで打破し、彼女に強烈な拳を叩き込んで勝利を収めた。
まとめ
事件解決後、上条は神裂火織に対し「イギリス清教の味方をしているわけではなく、助けを求められればたとえアニェーゼでも助けに行く」と語った。彼は組織の論理ではなく「人の味方」として行動するという彼自身の揺るがない信念を示したのである。
とある魔術の禁書目録(6)レビュー
【とある魔術の禁書目録】あらすじ・ネタバレ・まとめ
とある魔術の禁書目録(8)レビュー
登場キャラクター
イギリス清教
ステイル=マグヌス
イギリス清教のルーンの魔術師である。赤い長髪で神父服を着ており、常に煙草を咥えている。インデックスを守ることを最優先に行動し、彼女のためなら他者を犠牲にすることも厭わない。
・所属組織、地位や役職
イギリス清教第零聖堂区「必要悪の教会」。魔術師。
・物語内での具体的な行動や成果
ローラからの任務を受け、インデックスを狂言誘拐して上条当麻を魔術側の争いに巻き込んだ。天草式やローマ正教と対峙し、炎剣や炎の怪物「魔女狩りの王」を使って戦う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
神裂火織の介入を阻止し、事件を収束させる役割を担う。戦闘においては拠点を作って守る戦法を得意とする。
ローラ=スチュアート
イギリス清教の実質的な指導者である。光り輝くような白い肌と長い黄金の髪を持つ少女の姿をしている。変な日本語を話し、人の感情や損益を計算して組織を運営する。
・所属組織、地位や役職
イギリス清教第零聖堂区「必要悪の教会」。最大主教。
・物語内での具体的な行動や成果
ステイルにオルソラ=アクィナスの救出と天草式との交渉を命じた。神裂火織を組織に繋ぎ止めるため、オルソラと天草式をイギリス清教の傘下に迎え入れる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
国王に代わってイギリス清教の絶大な命令権を握る。打算的でありながら善悪が判然としない行動をとる。
インデックス
純白の修道服を着た銀髪碧眼の少女である。上条当麻に懐いており、怒ると彼の頭に噛み付く癖がある。魔道書の知識を持つが、魔力を持たないため自身では魔術を使用できない。
・所属組織、地位や役職
イギリス清教第零聖堂区「必要悪の教会」。魔道書図書館。
・物語内での具体的な行動や成果
ステイルに連れ去られ、上条を誘き出すための囮となった。戦闘では魔道書の知識を活かし、「魔滅の声」や「強制詠唱」でローマ正教のシスターやゴーレムに対抗する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
脳内に一〇万三〇〇〇冊の魔道書を記憶している。魔力がないため魔道書の原典に意識を侵されない。
神裂火織
長い黒髪と白い肌を持つ、しなやかな筋肉の女性である。強い正義感を持ち、かつての部下である天草式の仲間たちを大切に思っている。
・所属組織、地位や役職
イギリス清教第零聖堂区「必要悪の教会」。魔術師。元・天草式十字凄教の女教皇。
・物語内での具体的な行動や成果
天草式の真意を見届けるために姿を消し、深夜のビルの屋上からオルソラ教会の戦いを見守った。海辺で英国騎士団の騎士二一人を鞘による打撃のみで無力化する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
世界で二〇人もいない「聖人」の一人である。天草式が独立した組織としてイギリス清教の傘下に入った事実を受け入れた。
学園都市
上条当麻
学園都市に住む男子高校生である。目の前で困っている少女を見捨てられない性格をしている。インデックスと同居しており、彼女や周囲の人物のために危険な戦いへ飛び込んでいく。
・所属組織、地位や役職
学園都市。学生。
・物語内での具体的な行動や成果
インデックスを救出するため、ステイルの狂言誘拐に乗り学園都市の外へ出た。オルソラをローマ正教から救うため、オルソラ教会へ単身で踏み込み、アニェーゼとの一騎打ちに勝利する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
右手に触れた異能の力を打ち消す「幻想殺し」の能力を持つ。特定の組織に属さず、「人の味方」として行動する。
土御門舞夏
メイド服を着た少女である。上条当麻と同じ学生寮に出入りしており、清掃ロボットに乗って移動することがある。
・所属組織、地位や役職
学園都市。家政学校の生徒。メイド見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
学生寮でインデックスと世間話をしている最中、ステイルによるインデックス誘拐の現場に居合わせた。上条に事件の発生を伝え、犯人が残した封筒を渡した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
メイド養成のための実地研修として、学園都市の様々な場所で活動している。
土御門元春
金髪に青いサングラスをかけ、アロハシャツを着た少年である。上条当麻のクラスメイトとして振る舞いながら、裏では複数の組織に関与して暗躍している。
・所属組織、地位や役職
学園都市、イギリス清教など。スパイ。
・物語内での具体的な行動や成果
窓のないビルでアレイスターと協議し、魔術側の動向について報告を行った。海辺で神裂火織と対峙し、戦闘を回避して彼女と情報交換を行う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
能力者でありながら魔術を使用できる特異な存在である。学園都市と魔術側の両方から情報を収集する。
ローマ正教
オルソラ=アクィナス
黒い修道服をまとった外国人の少女である。世間知らずでマイペースな性格をしており、上条当麻を振り回す。
・所属組織、地位や役職
ローマ正教。修道女。
・物語内での具体的な行動や成果
法の書の解読法を発見したことでローマ正教から命を狙われ、天草式に逃走を助けられた。オルソラ教会でアニェーゼたちから激しい暴行を受けるが、上条当麻や天草式によって救出される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
法の書を悪用するためではなく、原典を自壊させるために研究していた。事件解決後はイギリス清教の傘下に入る。
アニェーゼ=サンクティス
赤毛の三つ編みと極端に短いスカート、厚底サンダルが特徴の少女である。部下には厳しい態度を取るが、本場の日本人を前にすると緊張して不自然な日本語を話す。
・所属組織、地位や役職
ローマ正教。オルソラ救出および法の書捜索部隊の現場責任者。
・物語内での具体的な行動や成果
二五〇人のシスターを率いて天草式とオルソラを包囲した。オルソラ教会で上条当麻と一騎打ちを行い、銀の杖を駆使して戦うが、上条の拳を受けて敗北する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
エーテルの象徴武器である「蓮の杖」を使用する。ルールを逸脱した異端を嫌悪している。
ルチア
背の高い黒い修道服のシスターである。異教徒を嫌悪し、冷静な態度から一転して狂気的な言動を見せることがある。
・所属組織、地位や役職
ローマ正教。シスター。
・物語内での具体的な行動や成果
巨大な馬車の車輪を武器とし、オルソラ教会跡地の周辺で上条当麻と対峙した。車輪を爆発させて破片で上条を攻撃し、彼を負傷させる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
退却の笛の音を聞き、作戦を中断して撤退した。
アンジェレネ
背の低い黒い修道服のシスターである。上官の命令に従順であるが、想定外の事態に直面すると慌てる様子を見せる。
・所属組織、地位や役職
ローマ正教。シスター。
・物語内での具体的な行動や成果
硬貨の詰まった四つの皮袋を使い、インデックスを拘束して攻撃を仕掛けた。インデックスの魔術への干渉によって攻撃を無力化される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ルチアと共に上条たちと戦ったが、撤退の合図を受けて退いた。
ローマ正教のシスターたち
漆黒の修道服を着た女性たちである。アニェーゼの指揮の下、組織のルールに従って行動し、異教徒や異端者に対して容赦なく武器を向ける。
・所属組織、地位や役職
ローマ正教。シスター。
・物語内での具体的な行動や成果
オルソラ教会にてオルソラへ集団暴行を加えた。上条当麻や天草式、ステイルの魔女狩りの王と交戦し、多数が戦闘不能となる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
インデックスの「魔滅の声」に対抗するため、自らの万年筆で鼓膜を突き破る行動を見せた。
天草式十字凄教
建宮斎字
サイズの合わない大きなTシャツとジーンズを着た青年である。かつてのトップである神裂火織を深く敬愛し、彼女の居場所を取り戻すために行動する。
・所属組織、地位や役職
天草式十字凄教。教皇代理。
・物語内での具体的な行動や成果
追われるオルソラを保護するため、ローマ正教の包囲網をかい潜って逃走を支援した。巨大な両手剣フランベルジェを扱い、上条やステイルと激突する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
日常の何気ない動作に魔術の儀式を潜ませる偽装の技術を持つ。事件後は組織ごとイギリス清教の傘下に入る。
天草式の面々
普段着に身を包んだ男女の集団である。神裂火織への後悔と忠誠を共有しており、組織の団結力は強い。
・所属組織、地位や役職
天草式十字凄教。
・物語内での具体的な行動や成果
オルソラをローマ正教から守るため、地下水道などを利用してゲリラ的な戦闘を展開した。オルソラ教会の戦いではステイルたちと協力してローマ正教のシスターたちを圧倒する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
十字教の教義を仏教や神道でカモフラージュする独自の魔術体系を持つ。
英国騎士団
騎士たち
全身を鋼鉄の鎧で覆った男たちである。イギリス清教の権力拡大を快く思っておらず、天草式の殲滅を優先しようとする。
・所属組織、地位や役職
英国騎士団。
・物語内での具体的な行動や成果
海流操作魔術を利用してイギリスから日本の海岸へ上陸した。神裂火織の急襲を受け、二一人の騎士が瞬く間に戦闘不能にされる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
連合王国の治安と国益を守ることを使命としている。
その他
三毛猫
上条当麻の学生寮に居着いている猫である。インデックスに抱えられていることが多いが、時折逃げ出そうと暴れる。
・所属組織、地位や役職
上条当麻のペット。
・物語内での具体的な行動や成果
インデックスが誘拐された際、彼女の携帯電話を咥えて通路に取り残されていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
インデックスによってスフィンクスと名付けられている。
カエル顔
学園都市の病院に勤務する医師である。カエルのような顔立ちをしており、飄々とした態度で患者に接する。
・所属組織、地位や役職
学園都市の病院。医師。
・物語内での具体的な行動や成果
戦闘で負傷した上条当麻の治療を行った。上条の無茶な行動に対し、医学的な観点から警告を与える。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
上条が事件に巻き込まれるたびに彼の治療を担当している。
とある魔術の禁書目録(6)レビュー
【とある魔術の禁書目録】あらすじ・ネタバレ・まとめ
とある魔術の禁書目録(8)レビュー
展開まとめ
序章 行動開始 The_Page_is_Opened.
聖ジョージ大聖堂
聖ジョージ大聖堂の実質的な役割
聖ジョージ大聖堂は、名こそ大聖堂であるものの、ロンドン中心街にある多くの教会の一つにすぎなかった。しかし、元々はイギリス清教内で鼻つまみ者とされた必要悪の教会の本拠地であり、彼らが成果を積み重ねたことで、現在ではイギリス清教の実質的な頭脳部となっていた。
ローラとステイルの同行
ステイル=マグヌスは、聖ジョージ大聖堂へ向かう朝のロンドンを歩きながら困惑していた。隣にはイギリス清教最大主教ローラ=スチュアートがいたが、彼女は本来なら大聖堂で待っているはずであった。ローラは自分にも帰る家があると語り、歩きながら話せばよいと述べた。
ローラの不自然な日本語
ローラは日本語を使っていたが、その言葉遣いは古語と現代語が混ざった不自然なものだった。ステイルがそれを指摘すると、ローラは土御門元春に確認してもらったと明かした。ステイルは土御門を日本人の基準にするべきではないと呆れ、ローラは言葉遣いが癖になって直せないと慌てていた。
通信用護符による密談
周囲に聞かれることを避けるため、ローラは紙に模様を描き、通信用の護符を作った。ステイルはそれを受け取り、声に出さず思考だけで会話できることを確認した。しかし通信後もローラの口調は変わらず、ステイルは変換時に誤訳しているのだろうと判断し、話を進めることにした。
法の書とオルソラの問題
ローラは、ステイルに法の書について尋ねた。法の書はエドワード=アレクサンダー、すなわちクロウリーの著作であり、誰にも解読できない魔道書とされていた。ところがローラは、ローマ正教の修道女オルソラ=アクィナスがその解読法を知っている可能性を告げた。
法の書とオルソラの盗難
ステイルは、ローマ正教が法の書を戦力増強に使おうとしているのではないかと疑った。しかしローラは、法の書とオルソラが一緒に盗まれたと明かした。さらに、相手は日本の天草式十字凄教である可能性が高いと説明した。
天草式と神裂火織への懸念
ローラは、天草式が神裂火織という大黒柱を失ったため、その代わりとなる力として法の書を求めた可能性を示した。さらに、神裂火織と連絡が取れないことを告げた。ステイルは、神裂が天草式を思うあまり独断で動き、ローマ正教と衝突する危険を理解した。
ステイルに与えられた任務
ローラは、神裂が下手を打つ前に事態を収めるようステイルへ命じた。方法は、法の書とオルソラの救出、天草式との交渉、あるいは神裂ごと天草式を排除することまで含まれていた。ステイルは神裂と戦う可能性に驚いたが、ローラは場合によっては必要だと答えた。
学園都市との接触命令
ローラは、ステイルを別働隊として学園都市と接触させるつもりだった。法の書の原典が関わる以上、禁書目録の知識が必要であり、さらに管理人として幻想殺しを同伴させる条件になっていた。ステイルは科学側の人間を魔術師同士の争いに巻き込むことを懸念したが、ローラは交渉上外せない条件だと説明した。
オルソラへの十字架
ローラは、ステイルへ小さな十字架のネックレスを渡した。それはオルソラ=アクィナスへの贈り物であり、出会う機会があれば渡すよう命じた。ステイルは意図をつかめなかったが、ローラは詳しい説明をしなかった。
大聖堂での詳細説明
二人は聖ジョージ大聖堂へ到着した。そこは魔女狩りと宗教裁判の暗い歴史を宿す場所であった。ローラは扉を開け、詳しい説明は中で話そうと告げ、ステイルを大聖堂の中へ招いた。
第一章 学園都市 Science_Worship.
退屈を募らせるインデックス
学生寮の通路で、土御門舞夏は二学期には多くの行事があり、生徒たちは準備に追われていると説明していた。インデックスは暇を持て余しており、最近の上条当麻が忙しくなったことで話し相手がいなくなったと不満を漏らしていた。
学園都市での孤独な生活
インデックスは自由に外出できたものの、学園都市は昼間になると学生たちが学校へ行くため人通りが少なかった。姫神秋沙や月詠小萌などの知人も日中は不在であり、新しい話し相手を見つけることも難しかった。
そのため、様々な場所で見かける土御門舞夏は、インデックスにとって数少ない話し相手となっていた。
メイドへの憧れ
舞夏が家政学校の実地研修中であると説明すると、インデックスは自分もメイドになれば上条の近くにいられるのではないかと考えた。しかし舞夏に否定されると、今度は上条をメイドにすると言い出したため、舞夏を呆れさせた。
謎の人物の出現
二人が会話を続けていると、突然背後から声が掛かった。その人物はインデックスに、メイドになる時間も上条をメイドにする時間もないと告げた。
舞夏はその人物の姿を見るなり怯えた表情を浮かべた。インデックスが振り返ろうとした瞬間、その人物は彼女の口を押さえた。
大覇星祭を前に疲弊する上条
その頃、上条当麻は大覇星祭の準備作業に振り回されていた。能力者たちによる大規模な運動会として注目される行事だったが、上条自身は準備作業ばかりを担当させられていた。
設置したテントを撤去させられた直後に再設置を命じられるなど無駄な作業が続き、上条は心身ともに疲れ切っていた。
舞夏からの緊急連絡
学生寮へ戻った上条は、慌てた様子の土御門舞夏に呼び止められた。携帯電話の電源が切れていたため気付かなかったが、大量のメールが届いていた。
舞夏の異変に気付いた上条は急いで七階へ向かった。
インデックス誘拐の報告
上条は、インデックスの携帯電話を咥えた三毛猫を見つけた直後、舞夏からインデックスが誘拐されたと聞かされた。
犯人は通報すれば人質を殺すと脅しており、舞夏は何もできなかったことを謝罪した。
犯人の正体判明
舞夏は犯人について、神父服を着た赤い長髪の白人男性であり、大量の銀の指輪や刺青、煙草やピアスが特徴だったと説明した。
その特徴を聞いた上条は、犯人がステイル=マグヌスであると確信した。
脅迫状の内容
残された封筒には、インデックスの命が惜しければ学園都市外の薄明座跡地へ一人で来るよう書かれていた。
しかし上条は、ステイルが本気でインデックスを傷つけるとは思えず、脅迫状の意図を理解できなかった。
周到な準備
封筒には外出許可証や必要書類まで同封されていた。学園都市を出るための手続きが完璧に整えられていることに、上条は呆れながらもステイルの真意を測りかねていた。
薄明座で待つインデックスとステイル
一方、薄明座跡地ではインデックスとステイルが上条の到着を待っていた。
ステイルは、法の書とオルソラ=アクィナスが天草式十字凄教によって奪われたこと、神裂火織と連絡が取れないこと、ローマ正教も動き出していることを説明した。
上条を巻き込む理由
インデックスは一般人である上条を巻き込む理由を問い質した。
ステイルは、学園都市側が魔術の問題へ直接介入したと見なされないために、上条が自主的に行動した形を作る必要があったと説明した。
上条への信頼
インデックスは、頼めば上条はどんな危険な場所へでも助けに来ると語った。
その言葉を聞いたステイルは、小さく笑いながら受け止めていた。
オルソラ行方不明の報告
ステイルは、ローマ正教と天草式の衝突の最中にオルソラが逃走し、現在行方不明になっていると説明した。
オルソラが再び捕まれば危険な状況になるため、本来なら即座に行動すべきだったが、ステイルは上条との合流を優先していた。
ローマ正教の協力者到着
その時、大ホールの出入口に人影が現れた。
ローマ正教から派遣された協力者の到着により、ステイルは行動を開始する必要に迫られた。
学園都市外への移動
上条は指定された薄明座へ向かっていた。場所を探すのにも苦労し、さらに財布を忘れていることに気付いて疲労感を深めていた。
修道女との出会い
途中で上条は黒い修道服を着た外国人の修道女と出会った。
修道女は学園都市への行き方を尋ねたが、説明を受けても理解できず、学園都市へ行けないバスに乗ろうとしていた。
天然な修道女
修道女は何度説明しても同じ失敗を繰り返した。
善意で差し出した飴は渋柿味であり、麦茶は熱湯のように熱かったため、上条は振り回され続けた。
逃亡中の身の上
上条が理由を尋ねると、修道女は自分が追われる身であり、学園都市へ逃げ込もうとしていると明かした。
さらに話を聞いた上条は、追跡者が魔術師であることを察した。
上条の決断
インデックスの件を抱えながらも修道女を放っておけなかった上条は、修道女を連れて薄明座へ向かうことを決めた。
アニェーゼとの情報交換
薄明座では、ステイルとインデックスがローマ正教の修道女アニェーゼ=サンクティスと合流していた。
アニェーゼは、オルソラを巡る争奪戦の結果、オルソラ自身が行方不明になったと説明した。
天草式の脅威
アニェーゼは、日本の地の利を活かした天草式にローマ正教が翻弄されていることを認めた。
そのため、力ずくで解決することは難しい状況になっていた。
天草式の特徴
インデックスは、天草式が十字教の術式を仏教や神道の要素に巧妙に隠して運用する集団であると説明した。
さらに東西の剣術を融合した独自の戦闘技術も持っており、文武両道の危険な相手であることが明らかになった。
学園都市調査の依頼
アニェーゼは、オルソラが学園都市へ逃げ込んだ可能性があるため、イギリス清教へ調査を依頼した。
ステイルが連絡の準備を進めようとした時、建物の外に人影を発見した。
思わぬ再会
その人影は上条当麻だった。
さらにアニェーゼは、上条の隣を歩く修道女こそ行方不明だったオルソラ=アクィナスであると気付いた。
薄明座での再会
上条とオルソラは薄明座へ到着し、インデックスやステイルたちと対面した。
上条は誘拐騒動について抗議したが、ステイルは人探しのためだったと説明した。
捜索対象の正体
ステイルは、上条が連れてきた修道女こそ捜索対象のオルソラ本人であると明かした。
これにより上条は、自分が知らないうちに事件の中心人物を連れてきていたことを知った。
オルソラの警戒
上条はオルソラに安心するよう声を掛けたが、オルソラはステイルたちを強く警戒していた。
そのため状況は解決には至らなかった。
天草式の襲撃
その時、紙風船を通して天草式の男の声が響いた。
男はオルソラへ呼び掛けた直後、地面から三本の剣を出現させた。
オルソラの強奪
剣によって切り取られた地面ごと、オルソラは地下へ落下した。
アニェーゼは救出を試みたが間に合わず、オルソラは地下へ消えていった。
地下に潜む天草式
天草式は地下を利用して待ち伏せしており、ローマ正教の動きを利用してオルソラの居場所を突き止めていた。
上条は状況を完全には理解できなかったが、周到な作戦による強奪であることだけは把握した。
敵の消失
上条が追跡しようとした瞬間、地下には多数の武装した人影が現れた。
ステイルは炎の剣で地下を照らしたが、そこにいたはずの天草式の人間もオルソラも跡形もなく消えていた。
深まる混乱
残された紙風船だけが地下へ落ちていく中、上条は状況説明を求めた。
しかしステイル自身も何が起きたのか把握できておらず、事態はさらに混迷を深めていった。
行間 一
騎士団の来日と英国の事情
英国騎士団の上陸
夜の海岸で、海中から二十一人の騎士たちが姿を現した。彼らは全身を鋼鉄の鎧で覆っており、腕には連合王国を示す文字が刻まれていた。
騎士たちは海流操作魔術によってイギリスから日本まで潜行してきていた。現在の騎士団は特定の役割ごとに分かれていた旧来の組織を統合し、あらゆる技術を習得した精鋭集団となっていた。
英国を支える三派閥の構造
英国は王室派、騎士派、清教派という三つの勢力によって成り立っていた。それぞれが互いを牽制しながら均衡を保つ仕組みになっていた。
さらに英国はイングランド、北部アイルランド、スコットランド、ウェールズという四文化から構成されており、派閥と地域文化が複雑に絡み合うことで国家運営が行われていた。騎士団の使命は、その複雑な連合王国を維持することにあった。
騎士団の不満と今回の任務
騎士たちは、本来政治を補佐するために存在したイギリス清教が大きな発言力を持つようになった現状を快く思っていなかった。
そのため、最大主教から命じられた法の書とオルソラ=アクィナス救出作戦にも積極的ではなかった。彼らは天草式を殲滅してしまえばよいと考え、ローマ正教や天草式の事情には関心を示していなかった。
神裂火織の急襲
しかし騎士たちの計画は一瞬で崩れ去った。
海岸のテトラポッド群が爆発したように吹き飛び、その中心から神裂火織が現れた。神裂は空中へ投げ出された二十一人の騎士へ次々と襲いかかり、日本刀ではなく鞘による打撃だけで全員を吹き飛ばした。
騎士たちは崖や地面、海上へ叩き飛ばされ、わずかな時間で完全に戦闘不能となった。
神裂の警告
神裂は加減したため死者は出ないだろうと告げた。騎士の一人は、自分たちが連合王国そのものを背負う存在であると主張した。
しかし神裂は、自分も同じイギリス清教の一員であり、内部問題であれば上層部が処理するだろうと答えた。その後、騎士は意識を失った。
土御門元春の登場
そこへ土御門元春が現れた。神裂は近距離にいる土御門の気配を感知できなかったことに驚いた。
神裂が刀へ手を伸ばすと、土御門は自分には勝てないと告げた。神裂は人を殺せない一方、自分は能力者であり魔術を使った時点で死にかねないため、この戦いはどちらに転んでも死者が出ると指摘した。
その言葉に神裂は動きを止めた。
それぞれの任務
土御門は神裂個人を止めるためではなく、問題になりそうな事柄を排除するために来たと説明した。
さらに、自身の任務はローマ正教と天草式が争っている隙を利用して法の書の原典を奪取することだと明かした。神裂がそれがイギリス清教と学園都市のどちらの命令か尋ねると、土御門はどちらが魔道書を欲しがるか考えれば分かると答えた。
その言葉を聞いた神裂は黙り込んだ。
神裂の迷い
やがて神裂は立ち去ることを決めた。土御門は倒れた騎士たちを回収すると告げ、神裂は礼を述べた。
その後、土御門は神裂が何のために遠くイギリスから来たのか尋ねた。神裂はしばらく沈黙した後、自分でも何がしたいのか分からないと答えた。
怒りとも悲しみとも取れる無機質な笑みを浮かべながら、神裂は自身の迷いを吐露したのであった。
第二章 ローマ正教 The_Roman_Catholic_Church.
法の書を巡る状況説明
薄明座では、アニェーゼがローマ正教のシスターたちへ指示を出しながらオルソラの捜索を進めていた。一方、上条当麻、インデックス、ステイルは命令系統の違いから捜索に参加できず待機していた。
手持ち無沙汰になった上条へ、インデックスは法の書が誰にも解読できない暗号で記された魔道書であり、その解読法を見つけたのがオルソラ=アクィナスであると説明した。さらに、法の書とオルソラが天草式によって連れ去られ、その後の争奪戦の中でオルソラが行方不明になった経緯を語った。
法の書の危険性と由来
上条が法の書の価値に疑問を抱くと、ステイルは法の書には天使の術式すら扱える可能性があり、世界の均衡を崩しかねない危険な存在であると説明した。
さらにインデックスは、その著者が伝説的な魔術師エドワード=アレクサンダー・クロウリーであると明かした。ステイルも、クロウリーが法の書によって自身の進むべき道を定めていたことを補足し、その重要性を強調した。
原典級魔道書の特性
上条は危険な本なら破壊すればよいと考えたが、インデックスは原典級の魔道書は執筆者の魔力が刻み込まれているため、通常の方法では破壊できないと説明した。
ステイルは、インデックスが写本を書いても同じ現象が起きないのは、彼女自身に魔力を生み出す力がないためだと補足した。
上条の決意
法の書の危険性を理解した上条は、もし原典が本当に脅威となるなら、自らの右手に宿る幻想殺しが対抗手段になり得ると考えた。
そして、この問題を見過ごすことはできないと決意を固めた。
アニェーゼによる現状報告
アニェーゼは捜索の指示を終えて戻り、現在の状況を説明した。
オルソラと法の書は天草式の手中にあり、敵は五十人弱で行動していると推測されていた。ローマ正教は広範囲に包囲網を展開していたものの、隠密行動を得意とする天草式の動きを完全には把握できていなかった。
解読の難しさと上条の疑問
アニェーゼはオルソラへの拷問による解読の可能性を示したが、ステイルは読心系魔術への対策や解読に必要な時間を理由に否定した。
話を聞いた上条は、神裂火織が守ろうとしていた天草式が本当に今回の事件を起こした集団なのか疑問を抱いていた。
縮図巡礼の正体
インデックスは、天草式には包囲網を突破する特殊移動法が存在すると説明した。
それは伊能忠敬の大日本沿海輿地全図を利用した『縮図巡礼』という術式であり、日本地図に存在しない経路を書き込むことで各地に『渦』を生み出し、その間を移動できるというものだった。
偶像の理論と希望
インデックスは偶像の理論について説明し、伊能忠敬が極めて精密な地図を利用することで特殊な移動経路を成立させたと語った。
さらに縮図巡礼は星の配置に影響されるため、次に利用できるのは日付変更後であると説明した。包囲網内で利用可能な渦は一つだけであり、そこを押さえれば天草式を捕捉できる可能性があった。
移動ポイント発見
アニェーゼが指示を出してから十五分後、移動ポイント付近で不審者が発見されたとの報告が入った。
ただし天草式本隊やオルソラの所在は不明のままであり、包囲網を維持したまま作戦準備が進められた。
救出作戦の準備
戦闘準備や加護の付与を行った結果、作戦開始は午後十一時と決定した。
シスターたちは休息と準備に入り、救出部隊は野営しながら戦闘に備えた。
眠れない上条と騒動
上条は夏休みの宿題を思い出しながらも眠れず、夜の野営地を歩き回った。
その途中、天草式が作った穴へ落ちかけたり、ナメクジを恐れて混乱したアニェーゼの入浴現場へ飛び込んでしまったりと騒動に巻き込まれた。さらにインデックスから誤解されて頭を噛まれる結果となった。
ステイルの本音
上条はステイルへ、神裂がかつて所属していた天草式と戦うことに迷いはないのか尋ねた。
ステイルは、全てはインデックスのためであり、彼女を守るためなら誰とでも戦うと断言した。また、今回インデックスを同行させた理由も、彼女の価値を示し学園都市での生活を守るためだと語った。
深夜の誤解
深夜、上条は寝ぼけたアニェーゼが自分の寝床へ入り込んできたことで目を覚ました。
その場面を見たインデックスは状況を誤解し、夢だと思い込んだまま上条へ噛みついた。騒動の中でもステイルはほとんど関心を示さず眠り続けていた。
天草式の集結
同じ頃、建宮斎字率いる天草式本隊は縮図巡礼の移動地点であるパラレルスウィーツパークへ集結していた。
閉園後のテーマパークで世間話や食事など自然な行動を取りながら、移動術式の準備を進めていた。
日常に隠された術式
天草式の術式は、会話や歩行、食事などの日常動作そのものを魔術へ変換する仕組みだった。
そのため魔術を使った痕跡が残らず、長年の弾圧を生き延びる中で培われた隠密性を体現していた。
建宮の決意
建宮は夜空を見上げながら、神裂火織へ現在の天草式の姿を示すことを心の中で誓っていた。
突入前の作戦会議
午後十一時、上条たちはパラレルスウィーツパークへ到着した。
アニェーゼは天草式本隊を確認したものの、法の書とオルソラの所在は不明だと報告した。そのため主力が敵と交戦し、上条たち遊撃隊が法の書とオルソラの捜索を担当する作戦が立てられた。
渦の破壊任務
インデックスは、オルソラ救出だけでなく縮図巡礼の起点である渦の破壊も必要だと説明した。
上条たちは法の書とオルソラの確保に加え、移動術式の無力化という任務も担うことになった。
アニェーゼの信念
アニェーゼは、人々を救うための教えを争いへ利用する者たちを許せないと語った。
また、教義の抜け道を利用して力を得る魔術師たちを批判し、天草式の行動にも強い怒りを抱いていた。
オルソラ教会の存在
アニェーゼは、この地域に建設中のオルソラ教会について語った。
それは三か国で布教活動を行ったオルソラの功績を称えるための施設であり、日本最大級の教会になる予定だった。
園内への侵入
午後十一時二十七分、陽動作戦が開始され、遠方で戦闘が始まった。
その隙を利用して上条、インデックス、ステイルはテーマパーク内部へ侵入した。
天草式との遭遇
侵入直後、四人の天草式の少年少女が襲撃してきた。
ステイルはインデックスを連れて離脱し、上条だけが敵の少女に追われる形となった。
上条の反撃
追い詰められた上条は、工具箱の中にあったグリスを利用して少女の剣を鈍らせた。
その隙を突いて体当たりを浴びせ、少女を戦闘不能にした後、再びオルソラ捜索へ向かった。
オルソラとの再会
その後、上条は拘束されたローマ正教のシスターと遭遇した。
その人物はオルソラであり、上条は幻想殺しによって拘束札を破壊し、彼女を救出した。
追手からの逃走
オルソラは戦闘の混乱に乗じて脱出したと説明したが、その直後に天草式の追手が接近してきた。
上条とオルソラは店の隙間へ身を隠し、追跡をやり過ごした。
身を潜める二人
安全地帯へ身を隠したものの、周囲には天草式の捜索隊が巡回しており、自由に動くことはできなかった。
オルソラは汗だくの上条を気遣い、以前と変わらず世話を焼いていた。
十字架の贈り物
上条はステイルから託されていた十字架をオルソラへ渡そうとした。
オルソラはそれを喜び、自分の首へかけてほしいと頼んだため、上条は戸惑いながらもネックレスをかけた。
オルソラの目的
上条が法の書について尋ねると、オルソラは原典級魔道書を自壊させる方法を研究していたと語った。
それは力を得るためではなく、魔道書を巡る争いそのものを終わらせるためだった。
傷ついたステイルの帰還
その時、大きな音とともに傷だらけのステイルが吹き飛ばされてきた。
続いて建宮斎字が現れ、オルソラへ再び同行を求めたが、オルソラは武力による平和を否定して拒絶した。
建宮との対峙
上条はオルソラを守るため前へ出た。
建宮は戦いたくないと語りながらも、立場の違いから見逃せないとして降伏を勧めた。しかし上条は、オルソラの努力を踏みにじる行為を許せず戦う決意を固めた。
建宮との激戦
建宮は圧倒的な剣技と天草式の術で上条を追い詰めた。
位置や動作を錯覚させる術式により優位を保ち、上条は苦戦を強いられた。
インデックスとステイルの参戦
上条の危機を見たインデックスは危険を承知で駆け出した。
ステイルもまた、インデックスを守るためという信念のもと立ち上がり、建宮との戦いへ加わった。
三人の連携による勝利
上条はステイルへ自分ごと攻撃するよう求めながら建宮へ突撃した。
建宮は炎剣への対処を優先して防御術式を展開したが、それこそが上条とステイルの狙いだった。炎剣も防御術式も幻想殺しによって打ち消され、その隙に上条の拳が建宮へ直撃した。
さらに上条とステイルの体当たりが続き、建宮は吹き飛ばされて意識を失った。こうして三人の連携によって、建宮斎字は敗北したのであった。
第三章 イギリス清教 Anglican_Church.
戦いの終結と束の間の安堵
建宮斎字が敗れたことで天草式の統率は崩れ、パラレルスウィーツパークの緊張も解けていった。双方に死者は出ておらず、ローマ正教が天草式の者たちを拘束している状況となっていた。
ステイルはオルソラを連れてアニェーゼたちのもとへ向かい、その場には上条当麻、インデックス、建宮だけが残された。インデックスは上条の無事に安堵する一方、危険な戦い方をしたことに怒りを募らせ、噛みつきながら叱責した。こうして二人は束の間の平穏を取り戻した。
建宮が明かした真相
静けさの中、建宮はオルソラをローマ正教へ渡してはならないと上条へ告げた。ローマ正教の目的は保護ではなく抹殺であり、天草式は法の書を奪ったのではなく、オルソラの逃亡を助けていたのだと説明した。
さらに天草式は独自の防衛手段を持っており、法の書の力を必要としていないと語った。
法の書を巡るローマ正教の思惑
インデックスが法の書について説明すると、建宮はその力が本物なら十字教世界の秩序を揺るがすと指摘した。
そのため世界最大宗派であるローマ正教は法の書を利用するのではなく、その力を引き出せる唯一の存在であるオルソラを排除しようとしていたという。オルソラはそれに気付き、日本へ逃れ、天草式へ助けを求めたのだと建宮は語った。
女教皇への思い
上条がオルソラが天草式からも逃げた理由を問うと、建宮は天草式を最後まで信じ切れなかったからだと答えた。
しかし天草式は見返りを求めていたわけではなく、かつて自分たちを導いた女教皇の理想を受け継ぎ、困っている者へ手を差し伸べたいと考えていた。建宮は、自分たちの未熟さによって居場所を失った女教皇へ、その居場所を取り戻したいと願っていたのであった。
オルソラの悲鳴
その時、遠方から女性の絶叫が響いた。建宮はそれがオルソラである可能性を示し、上条へ問いかけた。
上条はオルソラが最後まで自分を信じていたことを思い出し、自分がもっと早く彼女を守るべきだったと後悔した。建宮はまだ間に合うと語り、オルソラを取り戻すよう訴えた。
ローマ正教の襲撃
そこへ二人のローマ正教のシスターが現れた。上条はオルソラとの面会を求めたが拒否され、悲鳴について問いただした。
するとシスターたちは敵意を露わにし、車輪型の霊装や硬貨袋を使った魔術で上条とインデックスを襲撃した。さらに異教徒である上条たちを殺害し、その罪を天草式へなすりつける意図まで明かした。
インデックスの反撃
インデックスは拘束されながらも術式へ干渉し、硬貨袋の制御を奪取した。
そして魔術の欠陥を突き、術式を崩壊させた。退却命令が出たことでシスターたちは撤退し、建宮はこれこそがローマ正教の裏の姿だと上条へ告げた。
ローマ正教への疑念
その後、上条たちは建宮を交えて情報交換を行った。ステイルはオルソラが最初から軽視されていた可能性を指摘し、上条もローマ正教の不自然な行動へ疑念を抱いていた。
一方でステイルは、オルソラはすぐには殺されないと冷静に分析していた。
神明裁判の存在
建宮とインデックスは、ローマ正教内部には多くの派閥が存在し、オルソラの処遇も複雑な問題になっていると説明した。
さらにステイルは、異端認定された者を裁く神明裁判の存在を語った。結果がどう転んでも有罪にできる理不尽な制度を知り、上条は強い怒りを覚えた。
救出への焦り
上条はオルソラを救おうと考えたが、ステイルは感情だけで動くなと制した。
ローマ正教には大勢の戦力が存在し、さらにイギリス清教には介入する大義名分もなかった。上条は現実の壁を前に言葉を失った。
建宮の作戦
それでも建宮は諦めていなかった。拘束された天草式の仲間たちもオルソラと共に移送される可能性が高いと考えていた。
大集団の移動には必ず隙が生じるため、その移送中を狙って奇襲を仕掛けるつもりであった。
十字架の意味
別れ際、ステイルは上条へ渡した十字架について尋ねた。
上条がオルソラへ渡したと答えると、ステイルはあの十字架には価値がなく、上条が持っていることに意味があったのだと語った。しかし理由は説明せず、それ以上は語らなかった。
上条の後悔
建宮が去った後、上条はオルソラを救えなかったことを悔やんでいた。
学園都市へ連れて行っていれば違う結果になったのではないかと考えながらも、それが別の悲劇を招いた可能性も理解していた。それでも後悔は消えなかった。
インデックスの慰め
落ち込む上条に対し、インデックスは今回の問題は魔術師たちの問題であり、無理に背負う必要はないと語った。
さらに、すべてを上条が解決しなければならないわけではなく、他者へ任せることも間違いではないと諭した。
建宮への期待と日常への回帰
インデックスは建宮も勝算があるから動いているはずだと説明した。上条はその言葉を受け入れ、一度は日常へ戻ることを決めた。
インデックスやステイルと軽口を交わしながら学園都市へ向かったが、それは表向きの行動に過ぎなかった。
密かな決意
二人と別れた上条は携帯電話のGPSを取り出し、オルソラ教会の位置を調べ始めた。
ローマ正教が大人数を収容するなら、その建設中の教会を利用しているはずだと考えたのである。
信頼に応えるための行動
上条は、自分に戦う義務はないと理解していた。
しかし、オルソラが最後まで自分を信じていたことを思い出し、その期待を裏切りたくないと考えた。組織の事情にも縛られない立場だからこそ、自分の意思で行動することを決めた。
こうして上条は、オルソラを救うため単身でオルソラ教会へ向かった。
オルソラ教会の惨状
建設途中の巨大なオルソラ教会には、数百人のシスターたちが集まっていた。
その中心ではオルソラが激しい暴行を受けていた。魔術ではなく、単純な暴力によって傷つけられていたのである。
オルソラの覚悟
アニェーゼは天草式や上条たちを利用してオルソラを捕らえたことを嘲笑した。
しかしオルソラは、上条たちが本気で自分を助けようとしてくれたことを理解し、彼らへの感謝を抱いていた。また、自らも天草式を最後まで信じ切れなかったことを反省していた。
結界の崩壊
その時、教会を覆っていた結界が突然破壊された。
異変に気付いたアニェーゼが命令を飛ばす中、正面の巨大な扉が勢いよく開かれた。
上条の登場
開いた扉の先には上条当麻が立っていた。
二〇〇人を超えるシスターたちの視線を受けながらも怯むことなく、上条はオルソラのもとへ歩き始めた。
オルソラ救出への宣言
アニェーゼは上条を嘲笑し、退くよう促した。
しかし上条は迷うことなくアニェーゼを殴り飛ばし、オルソラを助けると宣言した。その言葉を合図に、周囲のシスターたちが一斉に武器を構えた。
ステイルの介入
その直後、教会の反対側で炎が炸裂した。
ステイルが現れ、オルソラの首に掛かった十字架はイギリス清教による庇護を意味すると説明した。そしてイギリス清教には介入する権利があると宣言し、戦列へ加わった。
天草式の参戦
さらに教会の壁が破壊され、建宮斎字と天草式の仲間たちが現れた。
建宮は上条の無茶な行動に呆れながらも受け入れ、オルソラ救出のため共闘する意思を示した。
インデックスの決意
最後にインデックスも現れた。
彼女は本来なら誰かが解決する問題だったかもしれないと語りながらも、ここまで来た以上は自分たちの手でオルソラを助けようと呼びかけた。上条はその言葉に応えた。
最終決戦の開幕
仲間たちの集結を見たアニェーゼは激怒した。
彼女の命令とともに数百人のシスターたちが一斉に襲いかかり、オルソラ救出を懸けた最後の戦いが始まったのであった。
行間 二
神裂火織の見届けた真意
神裂火織は深夜のビルの屋上から、遠く離れたオルソラ教会を見つめていた。鋭敏な聴覚によって、オルソラのために立ち上がった人々の言葉を聞いていた。
神裂は天草式に加勢するためでも、ローマ正教と戦うためでもなく、天草式の真意を見届けるために姿を消していた。そして、自分が離れた後も天草式が変わらず存在し続けていたことを知り、懐かしさと安堵を覚えながら優しく目を細めた。
土御門との再会
そこへ土御門が現れ、天草式が『法の書』を利用するためにオルソラを誘拐したわけではなかったことが判明して良かったと軽口を叩いた。
神裂が『法の書』奪取作戦の結果を尋ねると、土御門は日本へ持ち込まれた『法の書』は偽書であり、本物の原典は今もバチカン図書館に保管されているため、奪うべきものは最初から存在しなかったと説明した。
天草式への信頼
土御門から満足できたかと問われた神裂は、予想以上の結果だったと答えた。
彼女は、天草式の者たちがいる限り自分がいなくても正しい道を進めると確信していた。彼らは大きく成長しており、もはや自分の力を必要としていないと語った。そして、自分は役目を終えた補助輪のような存在であると、寂しさと誇らしさを滲ませながら認めた。
土御門のからかい
神裂の様子を見た土御門は、上条当麻を巻き込んだことや、過去の出来事への礼を言えていないことを持ち出し、本当は気にしていたのではないかとからかった。
神裂は否定したものの、土御門はさらに彼女が手に持っていた包帯に注目し、戦いが終わった後に仲間たちを手当てしようとしていたのではないかと冗談を重ねた。
そのからかいに神裂は怒りを見せ、土御門は七天七刀を向けられることを恐れて慌てて逃げ回るのであった。
第四章 天草式十字凄教 AMAKUSA_Style_Remix_of_Church.
オルソラ教会からの脱出
オルソラ教会は七つの聖堂で構成されており、上条当麻は事前に公開されていた見取り図を把握していた。
ローマ正教と天草式の戦闘によって生じた隙を利用し、上条は傷ついたオルソラを抱えて『婚姻聖堂』の裏口から脱出した。しかし背後からは多数の武装したシスターたちが追撃してきた。
オルソラを守るための逃走
上条は深い傷を負ったオルソラを気遣いながら走り続けた。オルソラは苦しい状態にありながらも、上条の存在に安堵していた。
その様子を見た上条は、自分が戦う理由を改めて認識した。正面から大勢を相手にする力はなくとも、オルソラを守りながら逃げ続けることはできると考えて行動した。
天草式による援護
追手が迫る中、天草式の者たちが屋根から現れ、上条へ向けられた攻撃を防いだ。
上条も空き缶を利用して敵の注意を逸らし、その間に天草式は包囲網を切り崩した。それぞれが別方向へ散開することで、ローマ正教の追撃を分散させることに成功した。
足場を利用した逃走劇
上条はオルソラを抱えたまま『叙品聖堂』の工事用足場へ駆け上がった。
狭い足場では敵の人数的優位が活かせず、シスターたちは遠距離から魔術攻撃を開始した。光の羽による攻撃は足場や建物を破壊し、やがて支柱そのものを崩壊させようとした。
屋根への飛躍
崩れ始めた足場を全力で駆け上がった上条は、オルソラを抱えたまま聖堂の屋根へ飛び移った。
直後に足場は崩落した。上条は改めてオルソラの体に残る暴行の痕を目にし、その惨状に強い怒りを覚えた。
迫る追撃者たち
屋根へ移動した直後、三人のシスターが上がってきた。上条は工具箱を投げて一人を退けたが、残る二人と後続の追手が迫っていた。
逃げ道を探す中で、上条は敷地内を移動するインデックスを発見した。しかし彼女もまた別のシスター集団に接近されており、双方とも危険な状況に置かれていた。
建宮による時間稼ぎ
一方、『婚姻聖堂』と『洗礼聖堂』の間では建宮斎字がシスターたちを相手に戦っていた。
建宮は攻撃と防御の均衡を保ちながら敵を翻弄し、戦況を膠着状態へ持ち込んでいた。しかしその均衡は永続しないことも理解しており、慎重に立ち回り続けていた。
インデックスの窮地
建宮は中庭の奥で、インデックスが多数のシスターたちに包囲されていることに気付いた。
救援へ向かおうとしたが、目の前の敵が進路を塞ぎ、容易には動けなかった。
ステイルの警告
その時、『洗礼聖堂』からステイル=マグヌスの声が響いた。
ステイルは、今のインデックスには不用意に近づくべきではないと語った。状況によっては単独でいる方が強く、周囲の存在がかえって妨げになると説明した。
魔滅の声の発動
直後、インデックスを囲んでいたシスターたちが見えない力によって吹き飛ばされた。
インデックスは一〇万三〇〇〇冊の魔道書知識を利用し、十字教の教義に潜む矛盾を突く『魔滅の声』を発動していた。信仰を揺さぶられたシスターたちは恐慌状態に陥り、次々と戦闘不能になっていった。
魔滅の声の制約
ステイルは建宮へ、『魔滅の声』は同じ思想を持つ集団に対して特に有効であり、異なる思想が混在する状況では効果が低下すると説明した。
そのため、ローマ正教だけで構成された集団に囲まれている今こそ、最大の威力を発揮していたのである。
新たな包囲網
しかしその直後、中庭を挟む両側の聖堂屋根へ何十人ものシスターが現れた。
建宮とステイルは、新たな包囲網の形成を目の当たりにした。
魔滅の声への対抗策
その頃、アニェーゼは戦況を冷静に見守っていた。
シスター・ルチアの指示を受けたシスターたちは、自ら万年筆で鼓膜を破り、『魔滅の声』を聞こえなくすることで精神攻撃を無効化した。
インデックスは衝撃を受けたが、その隙を突いてシスターたちが一斉に襲いかかった。
終油聖堂への退避
危機的状況の中、『終油聖堂』の扉を開いた上条が現れた。
上条はオルソラを連れており、インデックス、ステイル、建宮も急いで聖堂内へ避難した。しかし扉には無数の刃が突き刺さり、防御が長く続かないことは明らかだった。
追い詰められる一同
聖堂内では有効な打開策が見つからなかった。
インデックスは『魔滅の声』が通用しなくなったことを認め、建宮も大軍相手では限界があると語った。外ではシスターたちが侵入を続けており、一同は追い詰められていった。
法の書への希望
その中でオルソラは、『法の書』があれば活路を見出せるかもしれないと語った。
上条とインデックスは、インデックスの完全記憶能力に法の書の内容が保存されていることを思い出した。しかしステイルは、それが新たな危険を呼び込む可能性を指摘した。
それでも他に方法はなく、インデックスは解読を試みることになった。
解読法の真実
オルソラは自身が発見した解読法を説明したが、インデックスはそれを否定した。
法の書には百以上の偽の解読法が仕掛けられており、どれも正しい文章として読めるよう作られていた。オルソラが見つけた方法も、その一つに過ぎなかったのである。
希望の崩壊
オルソラは命懸けで得た解読法が偽物だったことを知り、大きな衝撃を受けた。
その直後、『終油聖堂』の扉が破壊され、何百人ものシスターたちが雪崩れ込んできた。
アニェーゼとの対峙
その後、『婚姻聖堂』にはアニェーゼだけが残っていた。
そこへ傷だらけの上条が現れた。アニェーゼは仲間を利用したのだと嘲笑したが、上条は仲間を信じ、それぞれが役割を果たしているだけだと答えた。
司教杖による猛攻
アニェーゼは『司教杖』の術式を発動した。
離れた場所へ衝撃を転写する魔術によって、見えない打撃や斬撃が上条へ襲いかかった。上条は満身創痍になりながらも攻撃の規則を見極めようとした。
偶像理論の正体
アニェーゼは、自身の術が『偶像の理論』を応用したものであると説明した。
本物と模造品を結びつける理論を利用し、空間そのものへ攻撃を転写していたのである。
幻想殺しによる突破
上条は攻撃が設置された空間そのものを幻想殺しで殴りつけた。
予想外の行動に動揺したアニェーゼの懐へ飛び込み、そのまま拳を叩き込んだ。アニェーゼは柱へ叩きつけられながらも立ち上がり、戦いを続けた。
戦場の静寂
やがてアニェーゼは戦闘音が消えたことに気付き、自分たちの勝利だと語った。
しかし上条は、それはアニェーゼの幻想が終わっただけだと告げた。
仲間たちの帰還
その直後、『婚姻聖堂』の扉が開かれた。
現れたのはインデックス、ステイル、建宮斎字、オルソラ、そして天草式の仲間たちだった。
さらにステイルの傍らには強化された『魔女狩りの王』が立っていた。天草式が敷地全体へルーンカードを配置し、教会そのものを巨大な魔法陣へ変えていたのである。
揺らぐローマ正教
上条は、自分たちが逃げ回っていたのはルーン配置の時間を稼ぐためだったと明かした。
アニェーゼは総攻撃を命じたが、シスターたちは圧倒的な力を前に恐怖を抱き、誰一人動くことができなかった。
最後の一撃
上条は迷うことなくアニェーゼへ突進した。
アニェーゼは杖を振るったが決断しきれず、全てを一撃に懸けた上条との勝負に敗れた。上条の拳はアニェーゼを吹き飛ばし、彼女は意識を失った。
戦いの終結
司令塔であるアニェーゼの敗北を見たシスターたちは、次々と武器を手放した。
武器が床へ落ちる音が聖堂中へ広がり、ローマ正教との戦いは終結した。上条当麻たちは、ついにオルソラ救出を成し遂げたのであった。
終章 行動終了 The_Page_is_Shut.
上条の目覚めと神裂の見舞い
上条当麻は『婚姻聖堂』で倒れた後、救急搬送されて学園都市の病院へ運ばれていた。目を覚ました彼は、いつもの病室にいることを匂いで察した。
傍らには神裂火織がおり、眠る上条の前髪を静かに撫でていた。目覚めた上条と神裂は言葉を交わし、神裂は置いていた書き置きを慌てて回収して読まれないよう隠した。
軽妙なやり取り
上条と神裂は互いの近況を話した。神裂は天草式の術的な回復方法が上条にはうまく作用しないことを説明し、ステイルがすでに街を離れたことも伝えた。
その後、神裂の年齢の話題になり、上条が失礼な発言をしたため神裂に怒られたが、二人は普段通りのやり取りを続けた。
オルソラと天草式の処遇
神裂は本題として、オルソラ=アクィナスと天草式十字凄教の今後について説明した。
オルソラと天草式はイギリス清教の傘下に入り、ローマ正教からの報復や暗殺を防ぐことになった。また、イギリス清教はオルソラが持っていた『法の書』の偽の解読法を公開したため、彼女が解読者として狙われる危険も薄くなった。
さらに天草式も独立した組織としての形を残したままイギリス清教の下に入ることになり、神裂はそれを自然な変化として受け入れていた。
神裂の謝罪
神裂は今回の事件について、上条を危険へ巻き込んでしまったことを謝罪した。
しかし上条は、今回の問題は自分たち全員の問題であり、結果として誰も大きな被害を受けずに済んだのだから気にする必要はないと答えた。
上条はインデックスやステイル、オルソラ、天草式、神裂を含めて全員を自分たちの仲間だと考えていることを語った。
上条の価値観
上条は、自分は組織の味方ではなく人の味方だと語った。
インデックスがイギリス清教に所属しているからイギリス清教側についているだけであり、もし将来アニェーゼが助けを求めるなら、自分は彼女のことも助けるだろうと断言した。
その言葉を聞いた神裂は驚きながらも小さく笑い、上条の揺るがない考え方を改めて理解した。
ロンドンでの報告
場面はロンドンへ移り、ステイル=マグヌスはローラ=スチュアートへ今回の事件の報告を行っていた。
ローマ正教は、この事件をアニェーゼと二五〇名のシスターによる独断行動として処理し、組織全体の責任ではないと主張する方針を取っていた。
ローラの思惑
ステイルは、なぜローラがオルソラと天草式を正式にイギリス清教へ迎え入れたのか疑問を呈した。
ローラは神裂火織の存在を理由に挙げた。神裂は強大な力と強い正義感を持つため独断専行しやすく、その行動を抑えるためには天草式という大切な繋がりを利用する必要があったのである。
ローマ正教から守るという利益を与えることで、神裂を自然にイギリス清教へ繋ぎ止められるとローラは説明した。
ステイルの警戒
ローラの説明を聞いたステイルは、彼女の冷徹な統治者としての一面を改めて実感した。
ローラは人の感情や利益を巧みに利用しながら組織を運営しており、その手腕には善悪だけでは測れない部分があった。
やがてローラは人混みの中へ姿を消した。残されたステイルは、神裂を引き留める理由は理解できても、オルソラを助けた本当の理由だけは分からないままだった。
善人とも悪人とも断定できないローラ=スチュアートの存在に複雑な思いを抱きながら、ステイルは霧雨のロンドンの街へと消えていった。
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