絶頂除霊 ! 1巻レビュー
絶頂除霊 ! まとめ
絶頂除霊 ! 3巻レビュー
どんなラノベ?
■ 作品概要
本作は、特殊な除霊能力を持つ男子学生の主人公・古屋晴久が、退魔師の仲間たちと共に怪異へ立ち向かう学園ファンタジーである。 前作の事件から二週間後、晴久たちの実習班は任務の失敗が続き、学校から「仮免剥奪」の警告を受ける危機に瀕していた。さらに、異能の悪用を監視する「退魔師協会監査部」から目を付けられ、晴久は厳しい監視下に置かれる。そんな中、春ヶ原周辺を中心に、人間の嗜好を強制的に変えてしまう奇妙な少女型の怪異と、それを守るように現れた巨大な甲冑姿の怪異が街を大混乱に陥れる事件が発生し、晴久たちはその渦中へと巻き込まれていく。
■ 主要キャラクター
- 古屋晴久(ふるや はるひさ):本作の主人公。成績最下位で仮免剥奪の危機にあるが、両手に宿る呪いを解放することで、怪異の急所(快楽媚孔)を突いて一撃で退治する特殊な能力を持つ。
- 文鳥桜(ぶんちょう さくら):晴久が養護施設で兄妹同然に育った妹分。高い才能を持ち、退魔師協会監査部の監視役として晴久の前に現れるが、事件の裏で暗躍する魔族によって怪異の宿主に仕立て上げられてしまう。
- 宗谷美咲(そうや みさき):晴久とチームを組む実習班の仲間。「淫魔眼」という能力を持ち、怪異の標的となる人物を察知して囮捜しを計画するなど、班を引っ張る。
- 南雲睦美(なぐも むつみ):晴久たちのクラスへ転入してきた少女。過去の事件による「残留怪異」の影響で凄まじい怪力を有しており、戦闘では鉄骨を武器に大立ち回りを演じる。
- 葛乃葉楓(くずのは かえで):晴久の世話役であり、強力な狐火や結界術を操る実力者。表向きは厳しく晴久を追及するが、裏では彼の身の安全を守るために監査部と交渉を行う。
■ 物語の特徴
本作の最大の魅力は、特殊な「快楽点を突く除霊能力」を巡るサスペンスと、王道の能力バトル、そしてヒロインたちとのコミカルな関係性が融合している点にある。 特に本巻では、単に怪異を倒すだけでなく、「人間の認知や嗜好を強制的に固定・操作する」という精神先鋭的な能力を持つ敵が登場し、主人公が社会的な疑惑(不適切な嗜好の疑い)をかけられ「断頭台裁判」にかけられるという、一風変わった緊迫感のある展開が描かれる。終盤の春ヶ原決戦では、操られた一般人や退魔師によって指揮系統が崩壊する中、主人公が身を挺して捕らわれの妹を救い出す熱いドラマが展開される。また、晴久の能力の正体が「九つ目の性遺物」や「天人降ろし」に関わっているという、世界の根幹に触れる伏線が提示されるのも大きな見どころである。
読んだ本のタイトル
出会ってひと突きで絶頂除霊 ! 2
著者:赤城大空 氏
イラスト: 魔太郎 氏
出版社:小学館(ガガガ文庫)
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あらすじ・内容
くやしい……! でも逝かされちゃう!
――淫魔眼
別名、サキュバス王の魔眼。
その眼は視た対象のあらゆる性情報を得る事ができるという。
乳避け女をしりぞけ、無事に退魔師の仮免許を取得することができた古屋晴久、宗谷美咲、烏丸葵の3人。
晴久の腕と美咲の眼に宿った呪いの情報を集めるため、彼らは進んで変態的な事件を追っていた。
……たとえば下の毛が伸び続ける日本人形の謎とか。
しかし、晴久の卑猥な腕が濫用されぬよう、彼らが通う学園に監査部の人員が送られてくる。
その監査員は晴久と幼少期を共にした少女・文鳥桜。
桜を巻き込んだ、淫らで刺激的な日常。
だがそれは、すぐに脆く崩れ去ることとなる。
ロリコンスレイヤーの登場と共に。
ロリコンを狙い、その存在を滅ぼそうとする怪異。
それだけならばまだしも、ロリコンスレイヤーの発現を境に世間では加速度的にロリコン趣味の人間たちが増え始めていた。
そんななか、晴久にもなぜかロリコン趣味が目覚めてしまい……?
――や、やら、なんかくる……! なんかくるううううっ!(はぁと)
今宵響くは淫魔の喜悦か、それとも愛の産声か。
そして絶頂除霊に、新たなる力が開花する。
果たして今宵は誰がイク? アツくて淫らな退魔活劇第二弾!
出会ってひと突きで絶頂除霊!2
感想
今回の敵は全身甲冑の大男、ロリコンスレイヤー。
その正体は霊障に侵された主人公の義理の妹。
しかも霊能力者としてかなり優秀な義理の妹が霊障に侵される。
その背後に魔族の介入が見えて来た。
主人公逹の呪いについても少し分かった今巻。
そして、今巻も表現の自由への挑戦が凄い。
前巻のあとがきで、絶頂を増加すると書いてあったが。
まさかの100人斬りならぬ、100人絶頂、、
アホかーー!!
最後は自身にまで、絶頂ブースト。
下半身は凄い事になっておいて、顔はキリッとしてる。
予想の斜め下過ぎて笑った。
こういうなんも考えないで読める本はある意味貴重だと思う。
ただ、紙では買えない電子書籍だな。
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考察・解説
退魔師協会監査部
退魔師協会監査部は、退魔師協会内において、異能を悪用する退魔師や、霊的存在および犯罪組織と内通する者を監視し、必要に応じて処分を下す自浄組織である。監査部には日本の退魔師業界における名家である九の旧家の血縁者が多く所属しており、その高い実力と強大な影響力から、一般の退魔師たちからは非常に恐れられている。
主要な所属人物の特性、古屋晴久の一撃除霊実績に伴う監視体制の構築と断頭台裁判の開廷、そして憑依霊視の拒絶による処遇保留と九つ目の性遺物や天人降ろしに関する情報の秘匿命令にいたる全容は以下の通りである。
元十二師天の生き霊ナギサや監視役の文鳥桜ら名家血縁者が集う監査部の構成員
監査部には、その高い実力から一般の退魔師を震撼させる強力な術者が所属している。
・ナギサ(監査部長):監査部を束ねる元十二師天の生き霊であり、対象の意識に侵入する憑依霊視を行う。晴久の能力の不透明さや、それを意図的に隠している疑いのある葛乃葉家を強く警戒している。
・多々羅刃(監査部幹部):監査部幹部の一人である。晴久の倫理的に問題のある能力と、突如現れた異常な嗜好を危険視し、彼を半永久的に封印すべきだと強硬に主張した。
・文鳥桜:晴久と養護施設で兄妹同然に育った少女であるが、実は監査部の正式な構成員である。高い才能を持ち、監査部長の命を受けて晴久の監視役として派遣された。
霊級格6一撃除霊に伴う文鳥桜の派遣と赤い服の少女怪異による断頭台裁判の急遽開廷
監査部は、学生に過ぎない晴久の異常な実績と動向を重く見て、迅速な実力行使に踏み切った。
・監査部は、晴久が霊級格6の強大な怪異を一撃で除霊した実績と、その能力が倫理的に問題のある方法である絶頂除霊だと噂されていることに目をつけた。
・能力の濫用や協会の信用失墜を防ぐため、桜を監視役として送り込む。
・怪異であるロリコンメーカーの末端の赤い服の少女の影響で、晴久に極端な嗜好の異常行動が見られた際、監査部はこれを重く見た。
・本来であれば有罪が確定した特級霊能犯罪者に最終的な処分を言い渡すために開かれる断頭台裁判(監査部幹部会)を、具体的な霊力不正使用が確認されていない段階で急遽開廷し、晴久の幽閉を図った。
憑依霊視の規格外反発に伴うシンゾク会議までの保留と九つ目の性遺物情報の徹底秘匿
裁判の最中、ナギサが晴久へ憑依霊視を試みるが、晴久の内側から働く規格外の力に弾き返されてしまう。
・その後、宗谷美咲の乱入によって怪異の存在が証明されたことで、ナギサは晴久の幽閉を見送り、次のシンゾク会議まで処遇を保留とした。
・現在、監査部(特にナギサ)は晴久の正体についてさらなる疑念を抱いている。
・ナギサは晴久の両手に宿る呪いを、数百年間発見されていなかった九つ目の性遺物であると判断している。
・また、霊視の際に晴久から人智を超えた力である天人降ろし(天界の住人を憑依させる異能)の気配を感じ取ったため、彼が普通の霊災遺児ではないと睨んでいる。
・晴久が危険な爆弾であるという認識は変わっておらず、回復した桜を引き続き表向きの監視役として配置した。
・さらに、余計な知識を与えることで危険性が増すのを防ぐため、性遺物や天人降ろしに関する情報を晴久本人へは徹底して秘匿するよう命じている。
まとめ
退魔師協会監査部による古屋晴久への対応と現在の見解は、協会の秩序維持を掲げる自浄組織が、個人の枠組みを超えた得体の知れない超常の力に対して抱く最大級の警戒と隠蔽工作の記録である。倫理的懸念や怪異による異常行動を契機として断頭台裁判を強行開廷し、幽閉を画策したプロセスは、監査部が持つ絶対的な権限と冷酷な防衛本能を示している。ナギサの憑依霊視を拒絶する規格外の拒絶反応から、その異能の本質を九つ目の性遺物および天人降ろしの複合体と看破し、本人へ真相を隠匿したまま桜による監視を継続させる顛末は、この監査部の動向が単なる一学生への取り締まりにとどまらず、呪術界の根幹を揺るがす特級の機密を封じ込め、来たるべきシンゾク会議に向けて危うい均衡を維持するための絶対的な抑止措置であることを厳密に証明している。
正義の怪異
本作に登場する「正義の怪異(ロリコンスレイヤー)」は、関東各地で特定の嗜好を持つ男性ばかりを執拗に狙って襲撃する、通り魔型の怪異である。巨大な甲冑姿で大剣を振るうこの怪異は、推定霊級格5という強力な存在でありながら、特定の対象のみに制裁を加える性質から、世間の一部より支持を集めていた。そのため、退魔師協会が不用意に討伐すれば世論の反発を招きかねないという、非常に厄介な状況を生み出していた。
嗜好を強制変化させるロリコンメーカーとの連動および古屋晴久を狙った断頭台裁判の発端、背後で暗躍する魔族アンドロマリウスの遠隔操作による状況攪乱の目的、そして監査部監視役の文鳥桜を核とした甲冑化の正体と晴久の単身突入による絶頂除霊救出にいたる全容は以下の通りである。
嗜好を強制変化させるロリコンメーカーの散布とそれに基づく古屋晴久への断頭台裁判発端
正義の怪異の出現と時を同じくして、街には別の怪異がばら撒かれていた。
・赤い服の少女の姿をした怪異である通称ロリコンメーカーが街に散布される。
・この少女に触れた者は認識や嗜好が強制的に変化し、加速度的に特定の嗜好を持つようになってしまう性質を備えていた。
・主人公の古屋晴久や烏丸葵もこの影響を受け、異常行動をとるようになってしまう。
・断頭台裁判は、晴久がこの影響で真性の該当者だと誤認され、正義の怪異から執拗に狙われたことが発端となっている。
監査部の動向を阻害するための魔族アンドロマリウスによる外部からの怪異植え付けと遠隔操作
この怪異は自然発生したものではなく、明確な悪意によってデザインされた存在であった。
・女子高生の姿をしたアンドロマリウスという魔族によって意図的に生み出された。
・魔族は、退魔師協会監査部が動き出したことで自分たちの計画が動きづらくなると考える。
・状況をかき乱すために正義の怪異に適した人間を探し、外部から怪異を植え付けて遠隔操作していた。
交差点で甲冑へ変貌した文鳥桜と操られた一般人の群入および晴久の突入による絶頂除霊救出
甲冑姿の怪異の核にされてしまったのは、晴久の妹分であり、監査部から監視役として派遣されていた文鳥桜であった。
・彼女は春ヶ原の交差点で完全に甲冑姿の怪異へ変貌する。
・周囲にはロリコンメーカーに操られて怪異を庇おうとする一般人や退魔師が群がり、大混乱を引き起こした。
・最終的に、この事態を止めるために晴久が単身で怪異の群れに突入する。
・晴久は宗谷美咲や烏丸葵の援護を受けながら分厚い甲冑の装甲を破壊した。
・内部に囚われていた桜の弱点を突いて絶頂除霊を成功させたことで、桜は無事に救出され、怪異は消滅した。
まとめ
正義の怪異を巡る一連の事件は、大衆の世論や特定の嗜好を人為的に操作し、退魔師協会の中枢である監査部を機能不全に陥れようとした魔族による高度な精神・政治工作の記録である。ロリコンメーカーによる強制的な認識改変と正義の怪異の社会的英雄視を組み合わせ、協会に討伐を躊躇させたプロセスは、敵の策略の狡猾さを示している。最終的に、監視役であった桜が怪異の核に利用されるという絶望的な状況において、晴久が美咲らの支援を得て装甲を粉砕し、固有の絶頂除霊によって桜の肉体を汚染から完全に解放した顛末は、この戦闘が単なる通り魔の調伏にとどまらず、魔族による協会の攪乱計画を現場の圧倒的な武力と絆によって根底から打ち砕くための絶対的な防衛劇であったことを厳密に証明している。
文鳥桜の変貌
『出会ってひと突きで絶頂除霊!』における文鳥桜の怪異化と救出劇について解説する。
主人公・古屋晴久の妹分であり、退魔師協会監査部から監視役として派遣されていた文鳥桜は、正義の怪異(ロリコンスレイヤー)の宿主として利用され、異形の姿へと変貌してしまう。彼女の変貌の経緯から救出劇、そしてその後の心情と関係性の変化にいたる全容は以下の通りである。
赤い服の少女から伸びる霊力の糸の特定と圧倒的な力に呑み込まれた甲冑姿への変貌
葛乃葉楓が、捕らえた赤い服の少女(ロリコンメーカー)から伸びる霊力の糸が桜へ繋がっていることを突き止め、彼女こそが怪異の宿主であると告発した。
・桜は動揺しながらも拘束を受け入れようとするが、突如彼女の中から別人格のような声が響き渡る。
・身体から複数の赤い服の少女と黒い瘴気、そして鎧が溢れ出した。
・桜は怪異の侵食に必死に抵抗し、最後には晴久へお兄ちゃんと助けを求めたが、圧倒的な力に呑み込まれる。
・完全に甲冑姿の怪異へと変貌して姿を消してしまった。
監査部の牽制を目論む魔族アンドロマリウスによる外部からの怪異植え付けと遠隔操作
この変貌は、桜自身が怪異を生み出すほどの心の歪みを抱えていたわけではない。
・監査部の動きを牽制しようと企む魔族(アンドロマリウス)が原因であった。
・外部から意図的に怪異を植え付けられ、遠隔操作されていたことがすべての発端である。
春ヶ原の操られた群衆の巻き込みと美咲の意識呼び戻しを介した晴久の絶頂除霊救出
甲冑姿の怪異となった桜は春ヶ原に出現し、大量のロリコンメーカーに操られた人々を巻き込んで大混乱を引き起こした。
・桜自身は分厚い霊的な装甲の内部に深く囚われており、除霊に必要な急所が隠されている状態であった。
・しかし、晴久が単独で怪異に接近して装甲を破壊する。
・宗谷美咲が晴久との絆を利用して桜の意識を呼び戻すことで怪異の動きを鈍らせた。
・その隙を突き、晴久が残された力を振り絞って桜の弱点に絶頂除霊を成功させたことで、彼女は怪異から解放された。
異常な異能を受け入れた兄妹関係の再構築と家具の新調や手料理による恩返し日常の奪還
除霊は完全に成功し、桜の身体や精神に後遺症は残らなかった。
・解放され晴久に受け止められた桜は、彼の能力がどれほど異常で卑猥なものであっても、自分を救ってくれた晴久を兄として受け入れるようになる。
・退院後、桜は監視役として続投しつつも、監査部の給料を使って晴久の壊れた部屋の家具を買い直す。
・彼に手料理を振る舞うなどして生活の世話を焼くようになる。
・これは、一方的に守られるだけの立場を受け入れたくない、という彼女なりの恩返しである。
・二人はかつてのように言い争える日常を取り戻すこととなった。
まとめ
文鳥桜の怪異化と救出を巡るエピソードは、魔族の遠隔操作によって無差別に怪異の核とされた監査部の構成員を、晴久たちの強固な連携と固有の絶頂除霊によって汚染から完全に奪還した重要な記録である。精神の歪みではなく外部からの強制侵食に苦しむ桜に対し、美咲が意識の覚醒を促し、晴久が肉体的リスクを冒して装甲を粉砕したプロセスは、チームの機能性の高さを示している。救出後に桜が晴久の異能を認めて監視役を続投し、家具の弁済や手料理を介して対等な兄妹関係を再構築した顛末は、この事件が単なる宿主の救済にとどまらず、二人の絆をより強固なものへと昇華させ、監査部の介入をはねのけて日常の平穏を維持するための絶対的な転換点となったことを厳密に証明している。
性遺物の呪い
『出会ってひと突きで絶頂除霊!』における「性遺物の呪い」について解説する。
本作における性遺物の呪いとは、サキュバス王という存在に由来する、非常に強力で厄介な呪いの総称である。現在、サキュバス王の足や尻と呼ばれる性遺物の存在が確認されており、主要キャラクターたちが抱える呪いとも深く関わっている。宗谷美咲の淫魔眼、古屋晴久の両手に宿る異能の正体、そしてその危険性ゆえに監査部によって行われている情報秘匿工作にいたる全容は以下の通りである。
相手の秘匿された性情報を強制視覚化するサキュバス王の魔眼と十二師天による解呪失敗
宗谷美咲の瞳に宿るハート形の印は、淫魔眼と呼ばれる呪いである。
・これは退魔師協会のデータベースにおいて、サキュバス王の性遺物(サキュバス王の魔眼)の一つであることが判明している。
・相手の顔を見るだけで、その人が隠したい性的な秘密や情報を強制的に視てしまうという性質がある。
・美咲は家族や他人と顔を合わせることも困難な生活を強いられていた。
・最高位の退魔師である十二師天による解呪も失敗しており、彼女は解呪の方法を探すために退魔師としての出世を目指している。
両手を模した呪物接触による強制絶頂除霊能力とナギサ部長が推測する九つ目の性遺物の可能性
主人公の古屋晴久が持つ、強制的な絶頂を伴って除霊を行う絶頂除霊の能力も、幼い頃に骨董品屋で両手を模した呪物に触れたことで宿った強力な呪いである。
・美咲の淫魔眼と同様に、十二師天級の実力者であった養父でも解呪することはできなかった。
・監査部長のナギサは、晴久の両手に宿る呪いを、数百年間発見されていなかった九つ目の性遺物であると推測している。
・しかし、記録にない異能(快楽媚孔の視認や大地への干渉など)を発現している点から、普通の性遺物とは異なる未知の要素も疑われている。
知識の付与に伴う危険性拡大の特性とナギサ部長らによる晴久本人への徹底した事実隠蔽方針
サキュバス王の性遺物は、余計な知識を与えることで危険性が増すという厄介な性質を持っている。
・そのため、監査部長のナギサや葛乃葉楓は、晴久が抱える呪いが九つ目の性遺物である可能性について、晴久本人には徹底して隠蔽する方針をとっている。
・また、美咲の周囲でも同様に、彼女の呪いに関する詳細な情報へのアクセスが制限されている。
まとめ
性遺物の呪いを巡る実態は、個人の尊厳を侵す凶悪な呪縛でありながら、術者の自覚や知識の獲得によってその危険性が加速度的に増大していくという、極めて統制の困難な超常の力の記録である。美咲が日常生活を破壊されながらも解呪のために出世を志し、晴久が養父すら解けない呪いに縛られながら未知の領域へと能力を拡大させているプロセスは、性遺物が持つ根深い侵食性を示している。監査部がその危険性を未然に封じるため、晴久の両手が九つ目の性遺物であるという核心的情報を本人へ徹底して隠匿し、美咲への情報制限をかけている顛末は、この性遺物の問題が単なる個人の症状にとどまらず、呪術界の秩序と世界の安全を守るために厳重に隔離され、秘匿され続けなければならない特級の爆弾であることを厳密に証明している。
魔族の陰謀
『出会ってひと突きで絶頂除霊!』における魔族アンドロマリウスの陰謀と目的について解説する。
本作において正義の怪異(ロリコンスレイヤー)や人々の嗜好を変えるロリコンメーカーを背後で作り出し操っていたのは、女子高生の姿をした魔族アンドロマリウスである。彼女が今回の一連の陰謀を企てた最大の目的である監査部の牽制から、文鳥桜を核とした怪異の強制植え付け、決戦後の囮を残した撤退、そして古屋晴久を魔族の王に関係する存在と見なした新たな企みにいたる全容は以下の通りである。
パーツ持ちの行動制限打破を狙った退魔師協会監査部への状況攪乱工作
アンドロマリウスが今回の一連の陰謀を企てた最大の目的は、退魔師協会の監査部の牽制である。
・監査部が動き始めたことによって、魔族側に関連すると思われるパーツ持ちと呼ばれる者たちが行動しづらくなった。
・そのため、彼女は自らの怪異を使って状況をかき乱そうと考えた。
街の雑踏からの適性者選定と監視役文鳥桜への外部からの怪異強制植え付けおよび遠隔操作
計画を実行するため、アンドロマリウスは街の雑踏の中から正義の怪異の核とするのに適した人間を探し出した。
・最終的に晴久の監視役であった文鳥桜に目をつけた。
・桜自身には怪異を生み出すほどの心の歪みはなかったため、魔族の力によって外部から強制的に怪異を植え付ける。
・これを遠隔操作し、春ヶ原で大規模な混乱を引き起こした。
高層ビルからの結末俯瞰と協会追跡を回避するための操り人形の囮残置撤退
春ヶ原での決戦が終わった後、アンドロマリウスは離れた高層ビルからその結末を見届けていた。
・彼女は退魔師協会の追跡をかわす戦術をとる。
・これまで操っていた人間たちをそのまま囮として残して現場から姿を消した。
桜を救出した古屋晴久の特異な呪いへの興味と魔族の王に関連する存在としての高評価
さらにこの事件を通じて、アンドロマリウスは桜を救い出した主人公・古屋晴久のことを、単なる退魔師ではなく魔族の王に関係する存在であると高く評価した。
・晴久の両手に宿る特異な呪いの力に強い興味を抱いた。
・彼に対する新たな企みを始めようとしている。
まとめ
魔族アンドロマリウスによる一連の陰謀は、監査部の監視網を無力化してパーツ持ちの自由を確保するために、無実の桜を怪異の核として利用した冷酷な攪乱作戦の記録である。ロリコンメーカーによる社会的混乱の誘発から高層ビルでの結末の監視、そして追跡をかわすための囮の残置にいたるプロセスは、彼女の戦術的狡猾さを示している。最終的に、桜を救出した晴久の絶頂除霊を目の当たりにし、彼を魔族の王に連なる異質な存在として評価して新たな標的に定めた顛末は、この春ヶ原の事件が単なる一過性の怪異騒動の終結にとどまらず、魔族の関心が晴久の秘められた力へと移行し、次なる大規模な陰謀を引き起こすための絶対的な前哨戦となったことを厳密に証明している。
転校生と監視役
『出会ってひと突きで絶頂除霊!』における「転校生」は南雲睦美、「監視役」は文鳥桜を指し、どちらも主人公・古屋晴久の学園生活に大きな影響を与える重要なキャラクターである。それぞれの役割と作中での動向は以下の通りである。
残留怪異の怪力を持つ転校生・南雲睦美の転入と空き教室での能力濫用誤解トラブル
南雲睦美は、怪異「乳裂き女(乳避け女)」の元宿主だった少女である。
・除霊によって怪異から解放されたが、残留怪異の影響で病院のベッドを片手で持ち上げられるほどの怪力が身体に残る。
・日常生活での危険を避け、退魔師としての保護と訓練を受ける目的で都立退魔学園のDクラスへ転入してきた。
・自身を救ってくれた晴久を頼って同じクラスを希望し、真面目に退魔師の知識を学ぼうとする。
・しかし、晴久の除霊を受けたことで自分の胸が少し大きくなった、と思い込んでいる。
・放課後の空き教室に晴久を引きずり込み、怪力任せに再び能力を使うよう強要した。
・この強行の最中、二人を捜しに来た葛乃葉楓に驚いた拍子で偶然晴久の能力(絶頂除霊)が発動してしまう。
・これにより、楓から能力を濫用したと誤解されるトラブルを引き起こした。
監査部構成員・文鳥桜の監視役派遣と学園逃走協力および甲冑化生還後の生活世話焼き
文鳥桜は、晴久と養護施設で兄妹同然に育った幼馴染みであるが、現在は退魔師たちから恐れられる退魔師協会監査部の正式な構成員(監査官)となっている。
・晴久が霊級格6の怪異を一撃で除霊した実績と、その手法が詳細不明かつ倫理的に問題があるという噂から、監査部長ナギサの命を受けて晴久の監視役として学園へ派遣された。
・当初は任務に忠実であり、場合によっては晴久を処分する役割も担う厳しい立場にあった。
・しかし、根底では晴久を慕う気持ちを持っており、宗谷美咲たちが学園内で晴久を強引に追跡した際には、晴久が何かを隠していると察しつつも彼を助け、学園の外へ逃がすための協力を行う。
・桜はこの直後に魔族の陰謀によって正義の怪異(甲冑姿の怪異)の宿主にされてしまう。
・晴久による決死の救出劇の末に無事生還を果たした後は、監査部長の配慮もあり、警戒レベルを一段階下げられた上で引き続き監視役を続投することになった。
・事件後は、監視役という名目を活かして晴久の部屋に上がり込み、監査部の給料を使って壊れた家具を買い直す。
・さらに手料理を振る舞うなどして、彼の生活の世話を焼くようになる。
まとめ
転校生と監視役を巡る動向は、晴久の驚異的な除霊実績が引き金となり、学園生活に新たな騒乱と監査部の監視網をもたらした重要な局面の記録である。怪異から解放されながらも異常な怪力を有する南雲睦美の妄執が、空き教室での偶発的な絶頂除霊発動と葛乃葉楓による能力濫用の誤解を招いたプロセスは、晴久の不条理な苦難を示している。また、兄妹の絆を抱えながらも監査官として派遣された文鳥桜が、魔族の陰謀による甲冑化からの生還を経て警戒レベルの引き下げを勝ち取り、家事や家具の弁済を介して半同居的な世話焼き関係へと着地した顛末は、この二人の存在が晴久の社会的立場を脅かす爆弾でありながらも、不穏な学園生活において奇妙な日常の平穏を再構築するための絶対的な原動力となっていることを厳密に証明している。
絶頂除霊 ! 1巻レビュー
絶頂除霊 ! まとめ
絶頂除霊 ! 3巻レビュー
登場キャラクター
都立退魔学園
古屋晴久
都立退魔学園の学生であり、実技成績最下位である。両手に強力な特殊除霊能力の呪いを抱えている。葛乃葉楓や文鳥桜とは養護施設で兄妹同然に育った幼馴染みだ。
・所属組織、地位や役職
都立退魔学園・Dクラスの学生。
・物語内での具体的な行動や成果
暴走式神や乳裂き女などの強力な怪異を除霊した。春ヶ原では甲冑姿の怪異に取り込まれた文鳥桜を救出している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
乳裂き女の除霊により仮免を取得した。監査部からは能力の危険性や天人降ろしの疑いにより警戒されている。
葛乃葉楓
古屋晴久の幼馴染みであり、彼の足の治療や呪いの定期検診を行っている。太刀川芽依に変身して晴久に接触することもある。
・所属組織、地位や役職
都立退魔学園の学生。
・物語内での具体的な行動や成果
昇天サポートセンターで悪霊化した女性を狐火で消滅させた。春ヶ原での事件後、魔族の痕跡を保存して十二師天や監査部長へ出動を要請している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
監査部からは晴久の情報を隠蔽していると疑われた。
宗谷美咲
相手の性的な秘密を見抜く呪いを抱えている。呪いを解くために退魔師としての出世を目指している。古屋晴久や烏丸葵とチームを組む。
・所属組織、地位や役職
都立退魔学園・Bクラスの学生。
・物語内での具体的な行動や成果
乳裂き女事件では退魔師たちを統率し、拘束結界の準備を行った。春ヶ原の決戦では式神を使って晴久を援護し、桜の意識を呼び戻している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
乳裂き女の討伐に貢献したことで仮免を取得した。
烏丸葵
古屋晴久や宗谷美咲と同じチームのメンバーである。女性に興奮した際に強力な捕縛術を使用できる。
・所属組織、地位や役職
都立退魔学園の学生。
・物語内での具体的な行動や成果
乳避け女事件では変身符で胸を巨大化させ、囮として怪異を誘導した。春ヶ原では異常化した群衆を誘導して道を開いている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
乳裂き女の討伐に貢献したことで仮免を取得した。
南雲睦美
乳避け女の元宿主である。事件後に都立退魔学園へ転入し、古屋晴久を頼る。極端な幽霊嫌いだ。
・所属組織、地位や役職
都立退魔学園・Dクラスの転入生。
・物語内での具体的な行動や成果
残留怪異の力で甲冑姿の怪異と互角に戦った。春ヶ原では晴久を背に乗せて現場へ急行している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
東雲高校から都立退魔学園へ転入した。
太刀川芽依
古屋晴久の後輩である。霊災相談室の仕事を紹介し、変身符を提供する。その正体は葛乃葉楓の変身した姿だ。
・所属組織、地位や役職
都立退魔学園の学生。
・物語内での具体的な行動や成果
霊力を込めるだけで姿を変えられる護符を晴久に渡した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
架空の存在であり、実体は葛乃葉楓である。
小林
古屋晴久の寮の隣室の住人である。
・所属組織、地位や役職
都立退魔学園の学生。
・物語内での具体的な行動や成果
突然別の部屋へ移動させられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
不明。
Dクラスの男子たち
古屋晴久のクラスメイトである。宗谷美咲の霊視を恐れている。
・所属組織、地位や役職
都立退魔学園・Dクラスの学生たち。
・物語内での具体的な行動や成果
宗谷美咲に協力し、学園内で古屋晴久を追跡した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
美咲に秘密を暴かれて沈黙している。
集まった生徒たち
学園に現れた甲冑姿の怪異に対応した生徒たちである。
・所属組織、地位や役職
都立退魔学園の生徒たち。
・物語内での具体的な行動や成果
結界や護符で甲冑姿の怪異に応戦した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
怪異にはほとんど攻撃が通用しなかった。
該当する女子生徒
胸の大きな女子生徒である。
・所属組織、地位や役職
都立退魔学園の生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
南雲睦美が力を失う原因となったため、晴久から離れるよう求められた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
不明。
男子寮の住人たち
古屋晴久と同じ寮に住む生徒たちである。
・所属組織、地位や役職
都立退魔学園・男子寮の住人。
・物語内での具体的な行動や成果
文鳥桜と二人で過ごす晴久へ非難の連絡を送った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
不明。
退魔師協会・監査部
ナギサ
監査部を束ねる元十二師天の生き霊である。古屋晴久の能力や葛乃葉家の動向を強く警戒している。
・所属組織、地位や役職
退魔師協会監査部・監査部長。
・物語内での具体的な行動や成果
断頭台裁判で晴久に憑依霊視を試みた。晴久の処遇を次のシンゾク会議まで保留している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
晴久の呪いを九つ目の性遺物と判断し、天人降ろしの疑いを抱いた。
文鳥桜
古屋晴久と養護施設で兄妹同然に育った幼馴染みである。高い才能を持ち、監査部長の命で晴久の監視役を務める。
・所属組織、地位や役職
退魔師協会監査部の構成員。
・物語内での具体的な行動や成果
魔族によって甲冑姿の怪異の宿主にされた。救出後は晴久の生活の世話を焼くようになった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
怪異化から回復後、警戒レベルを下げられた上で監視役を続投している。
監査官たち
退魔師協会の自浄組織に所属する構成員である。
・所属組織、地位や役職
退魔師協会監査部。
・物語内での具体的な行動や成果
古屋晴久を断頭台裁判へ護送するため寮へ踏み込んだ。宗谷美咲が持ち込んだ怪異に触れ、異常行動を起こしている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
監査部長のナギサから制裁を受けた。
調査隊
葛乃葉楓の要請で派遣された部隊である。
・所属組織、地位や役職
退魔師協会。
・物語内での具体的な行動や成果
春ヶ原へ調査のために派遣された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
不明。
多々羅刃
監査部の幹部である。古屋晴久を危険視する立場をとる。
・所属組織、地位や役職
退魔師協会監査部の幹部。
・物語内での具体的な行動や成果
断頭台裁判で晴久の半永久的な封印を主張した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
不明。
退魔師たち
退魔師協会に所属する実働部隊である。
・所属組織、地位や役職
退魔師協会。
・物語内での具体的な行動や成果
乳裂き女事件で大規模な拘束術を準備した。春ヶ原の決戦では結界で一般人を守っている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
一部の退魔師は少女型の怪異に触れて異常化した。
十二師天
退魔師協会における最高位の実力者たちである。
・所属組織、地位や役職
退魔師協会。
・物語内での具体的な行動や成果
葛乃葉楓から緊急出動の要請を受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
不明。
宗谷美咲たちの部隊
宗谷美咲が合流した実働部隊である。
・所属組織、地位や役職
退魔師協会の現地部隊。
・物語内での具体的な行動や成果
春ヶ原の交差点で甲冑姿の怪異と対峙した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
指揮官の異常化により指揮系統が崩壊している。
現地部隊の指揮官たち
春ヶ原で部隊を指揮する立場にある。
・所属組織、地位や役職
退魔師協会の現地部隊指揮官。
・物語内での具体的な行動や成果
少女型の怪異に接触して異常化した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
指揮能力を喪失している。
魔族・怪異
アンドロマリウス
女子高生の姿をした魔族である。監査部を牽制するために陰謀を企てる。
・所属組織、地位や役職
魔族。
・物語内での具体的な行動や成果
文鳥桜に怪異を植え付け、遠隔操作して春ヶ原で混乱を引き起こした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
古屋晴久を魔族の王に関係する存在と評価し、新たな企みを始めている。
甲冑姿の怪異
特定の嗜好を持つ男性を狙う通り魔型の怪異である。文鳥桜を核としている。
・所属組織、地位や役職
怪異。
・物語内での具体的な行動や成果
学園で古屋晴久を襲撃した。春ヶ原の交差点で大混乱を引き起こしている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
晴久の絶頂除霊によって消滅した。
赤い服の少女
人の嗜好や認識を強制的に変化させる怪異である。
・所属組織、地位や役職
怪異の末端。
・物語内での具体的な行動や成果
古屋晴久や烏丸葵に触れ、異常行動を引き起こさせた。春ヶ原で大量発生している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
甲冑姿の怪異が除霊されたことで消滅した。
絶頂除霊 ! 1巻レビュー
絶頂除霊 ! まとめ
絶頂除霊 ! 3巻レビュー
展開まとめ
プロローグ
古屋晴久への監視
退魔師協会監査部
退魔師協会監査部は、異能を悪用する退魔師や、霊的存在および犯罪組織と通じる者を監視し、必要に応じて処分する自浄組織であった。《九の旧家》の血縁者も多く所属し、高い実力と強大な影響力を持つため、退魔師たちから恐れられていた。
晴久の監視任務
監査部長は、正式な構成員であるサイドテールの少女に古屋晴久の監視を命じた。晴久は学生でありながら霊級格6の怪異を一撃で除霊しており、その能力は詳細不明のうえ、倫理的に問題のある方法だと噂されていた。
葛乃葉家への疑念
監査部長は、葛乃葉家が晴久の能力を意図的に隠していた可能性を疑っていた。さらに葛乃葉楓が晴久を直接世話していることも不自然だと考え、能力の濫用や協会の信用失墜を防ぐため、監視が必要だと判断していた。
少女の敵意
監視役となった少女は、場合によっては晴久の処分まで担う立場であると確認された。それでも彼女は任務を即座に引き受け、葛乃葉家と晴久の双方を強く嫌っていると吐き捨てた。監査部長はその態度を不安視しながらも、晴久の能力に心当たりがあるような言葉を漏らした。
正義の怪異
同じ頃、別の少女がビルの屋上から街を見下ろしていた。彼女は監査部が動き始めたことで、パーツ持ちが行動しづらくなると考え、自らの怪異で状況をかき乱そうとしていた。そして雑踏の中から、正義の怪異に適した人間を探し始めた。
第一章 仮免剥奪危機
正義の怪異
仮免剥奪の危機
乳避け女事件から二週間後、古屋晴久、宗谷美咲、烏丸葵のチームは任務失敗を重ね、学校から仮免剥奪の警告を受けていた。美咲は淫魔眼に似た性遺物を探すため、変わった事件を優先して引き受けていたが、三人の能力や性格が噛み合わず、ほとんど成果を上げられなかった。
南雲睦美の転入
残留怪異による怪力を抱えた南雲睦美が、都立退魔学園のDクラスへ転入した。南雲は晴久を頼って同じクラスを希望しており、周囲には東雲市の怪異と晴久の関係が再び注目された。南雲は怪力を制御できず備品を壊したものの、退魔師の知識を学ぶ姿勢は真面目であった。
南雲の補習
成績最下位で仮免剥奪寸前だった晴久は、南雲の補習に付き添うよう命じられた。南雲は授業内容を熱心に復習し、晴久も当初の警戒を解きかけた。しかし人気のない校舎に入ると、南雲は晴久を空き教室へ引きずり込み、以前の除霊をもう一度行うよう迫った。
南雲の暴走
南雲は除霊後に胸が大きくなったと思い込み、晴久のブレスレットを無理やり外して能力を使わせようとした。しかし快楽媚孔は以前の場所から肩へ移動していたため、胸を突いても何も起こらなかった。そこへ楓が現れ、驚いた南雲の動きによって晴久の指が肩の快楽媚孔に触れ、絶頂除霊が誤って発動した。
楓の激怒
楓は能力を乱用したと誤解し、晴久を狐火で拘束して厳しく追及した。烏丸たちが近づくと、楓は南雲をぬいぐるみに変えて証拠を隠し、周囲を追い払った。その護符が太刀川芽依から受け取った変身符に似ていると晴久は気づいたが、楓は珍しいものではないと言い切って話を逸らした。
監査部の監視
楓は、霊級格6を倒した晴久の能力に退魔師協会監査部が注目し、監視役を送ると告げた。晴久には能力の濫用を避けるよう命じ、夢や戦闘中に聞こえた少女の声についても、美咲や監視役へ明かさないよう厳命した。さらに楓は、別の厄介な怪異が現れていることを示唆した。
正義を名乗る怪異
翌日、美咲は関東各地で特定の嗜好を持つ者ばかりを襲う怪異の記事を晴久に見せた。被害者への反感から怪異を支持する声まで現れ、協会が対処すれば世論の反発を招きかねない状況であった。推定霊級格は5であり、美咲は性遺物との関係を疑い、仮免剥奪を防ぐためにも調査を決めた。
淫魔眼を使った囮捜し
美咲は淫魔眼で怪異の標的となる人物を見つけ、その人物を密かに護衛して怪異を待ち伏せる作戦を立てた。晴久たちは春ヶ原駅周辺で捜索を開始したが、条件に合う人物は見つからなかった。その途中、美咲は晴久と楓の関係や、施設で兄妹のように育った文鳥桜について執拗に尋ね、不機嫌な様子を見せた。
桜からの連絡
寮へ戻った晴久は、隣室の小林が突然部屋を移される場面に遭遇した。自室で施設時代を思い出していると、長く連絡を取っていなかった妹分の文鳥桜から、翌日に晴久のもとへ行くという短いメールが届いた。
第二章 俺の妹がこんなに厳しいわけがない
仮免剥奪の危機と新たな事件
失敗続きの実習班
乳避け女事件から約二週間後、古屋晴久、宗谷美咲、烏丸葵の班は任務の失敗を重ね、仮免剥奪の警告を受けていた。美咲は呪いに関係しそうな奇妙な依頼を優先していたが、難度の高い事件ばかりを選んだうえ、烏丸の問題行動や晴久の技量不足も重なり、成果をほとんど上げられていなかった。
南雲睦美の転入
翌日、乳避け女の元宿主である南雲睦美がDクラスへ転入してきた。南雲には残留怪異による怪力が残っており、退魔学園で保護と訓練を受けることになっていた。晴久を頼って同じクラスを希望した南雲は親しげに接し、乳避け女事件に関する噂を再燃させた。
南雲の補習
退魔師としての知識がない南雲には、午後の実習時間を使った補習が課された。成績不振で南雲とも面識のある晴久も付き添いを命じられた。南雲は真面目に授業を受け、晴久へ積極的に質問していたため、晴久は当初の警戒を緩めた。
空き教室の暴走
補習後、南雲は人のいない空き教室へ晴久を引き込み、以前の除霊によって胸が大きくなったと思い込み、再び能力を使うよう迫った。晴久が拒んでも、南雲は怪力で封印のブレスレットを外し、無理に晴久の指を自分へ向けた。
しかし南雲の快楽媚孔は以前とは別の場所へ移っていたため、最初は能力が発動しなかった。そこへ待ち合わせに遅れた晴久を捜して葛乃葉楓が現れ、南雲が驚いた拍子に晴久の指が新たな快楽媚孔へ触れたことで、特殊な除霊能力が誤って発動した。
楓の制裁
楓は目の前の状況を見て晴久が能力を濫用したと誤解し、狐火と結界で逃走を封じた。晴久は南雲に強要されたと弁明したが、南雲は説明できる状態ではなかった。烏丸たちが近づいてくると、楓は南雲を護符でぬいぐるみに変え、痕跡を処理して騒ぎを隠した。
監査部の監視
楓は晴久の封印を検査し、呪い自体に異常がないことを確認した。そのうえで、乳避け女事件で能力が注目されたため、退魔師協会監査部が晴久へ監視役を送ると伝えた。晴久は能力の使用をさらに慎むよう命じられ、夢や戦闘中に聞こえた謎の声についても、美咲を含めて誰にも話さないよう念を押された。
正義の怪異
翌日、美咲は関東各地で発生している新たな通り魔型怪異の情報を見つけた。その怪異は特定の嗜好を持つ男性ばかりを襲っており、一部では正義の怪異として支持されていた。推定霊級格は5で、協会は仮免以上の退魔師へ広く協力を求めていた。
美咲は淫魔眼で標的となりそうな人物を見つけ、その人物を密かに護衛して怪異を待ち伏せる作戦を立てた。仮免剥奪を回避でき、性遺物に関する手がかりも得られる可能性があるため、晴久たちは事件を追うことにした。
妹分の桜
怪異の標的を探す途中、晴久は養護施設で兄妹同然に育った文鳥桜について語った。桜は高い才能を持ち、元十二師天に引き取られて修行していたが、晴久とは長く連絡を取っていなかった。
その夜、晴久の隣室では突然住人の移動が行われた。自室へ戻った晴久のもとへ、桜から翌日そちらへ行くという短い連絡が届いた。
第三章 それでも俺はロリコンじゃない
異常な嗜好と断頭台裁判
端末に広がった異変
古屋晴久のスマートフォンとパソコンには、本人に覚えのない不適切な画像や関連アプリが大量に保存されていた。晴久は削除しようとしても身体が動かず、意思に反して特定の画像へ視線を向けてしまったため、何らかの外的な影響を疑った。しかし宗谷美咲の淫魔眼に異常を知られることを恐れ、美咲との接触を避け始めた。
美咲の疑念
晴久に避けられた美咲は、自分が嫌われたのではないかと落ち込んだ。晴久が否定すると、美咲は文鳥桜や葛乃葉楓と特別な関係になったため、自分に会いづらくなったのではないかと疑った。
晴久が対面を拒み続けたことで、美咲はDクラスの男子や烏丸葵を味方につけ、晴久を捕らえて事情を確かめようとした。
学園内の逃走
美咲に協力する男子たちは校内各所で晴久を追跡した。監視役の桜は、晴久が何かを隠していると察しながらも、霊力を乱用した追跡を止めるため彼に協力した。
烏丸も美咲から報酬を約束され、独自の罠や拘束術を使ったが、桜に退けられた。追っ手が増えると、桜は校舎を結界で封鎖し、鳥の式神を使って晴久だけを学園の外へ逃がした。
甲冑姿の怪異
学園を脱出しようとした晴久の前に、特定の嗜好を持つ者を排除すると唱える巨大な甲冑姿の怪異が現れた。怪異は大剣を振るい、晴久だけを執拗に狙った。
晴久は呪われた両手を解放して攻撃を防いだが、霊級格5と推定される怪異の力に圧倒され、学園内まで吹き飛ばされた。集まった生徒たちは結界や護符で応戦したものの、甲冑巨人にはほとんど通用しなかった。
南雲睦美の参戦
南雲睦美は怪力で甲冑巨人を蹴り飛ばし、校舎から抜き取った鉄骨を武器に戦った。剣道で培った技術と残留怪異の力により、南雲は甲冑巨人と互角以上に渡り合った。
しかし胸の大きな女性が近づくと、乳避け女の影響によって南雲の力が急激に失われた。晴久は南雲を守るため、該当する女子生徒へその場から離れるよう求めた。
楓の狐火
葛乃葉楓が現れ、白銀の尾と強力な拘束術で甲冑巨人を制圧した。さらに結界内を狐火で満たし、怪異の姿を消滅させた。
ところが、怪異の核となるはずの人間は残されていなかった。楓は、甲冑巨人が遠隔操作されていた可能性や、通常とは異なる怪異である可能性を疑い、協会へ警戒レベルの引き上げを報告することにした。
晴久への追及
甲冑巨人が他の者を無視して晴久だけを狙っていたため、楓と桜は晴久の嗜好に疑いを向けた。晴久は自室へ連行され、端末に保存された大量の画像やアプリを証拠として追及された。
美咲の淫魔眼でも、晴久の視線が年少者を扱った画像へ不自然に引きつけられていると判定された。楓は変身術を使って反応を確かめ、その異常が極端に限定された条件へ固定されていると判断した。
赤い服の少女
晴久は、春ヶ原で赤い服を着た少女に触れてから異常が始まったと訴えた。自分の意思と行動が食い違っていることから、その少女が人間の嗜好や認識を変化させる怪異か、特殊な呪いを持っていたのではないかと推測した。
美咲も、晴久が対象について妄想しておらず、集めた画像も実際には利用していないことから、意識と行動の不一致を認めた。しかし楓と桜が霊視しても、怪異や呪いの痕跡は見つからなかった。
効果のない矯正
楓たちは晴久の異常を改めるため、特定の対象へ反応した際に罰を与え、通常の女性へ関心を向けた際に報酬を与える矯正を試みた。しかし晴久の反応は固定されたままで、方法を続けても変化は見られなかった。
美咲は、晴久の性情報が何かに固定されているように見えることや、春ヶ原で同じ嗜好を持つ者が急増していたことから、やはり怪異の関与があるのではないかと疑い始めた。
断頭台裁判
矯正の途中、楓は何者かから連絡を受け、方針を変えると言い残して部屋を去った。その後、桜にも監査部から連絡が入り、晴久を被告人とする監査部幹部会が開かれると判明した。
それは本来、有罪が確定した特級霊能犯罪者へ最終的な処分を言い渡すための断頭台裁判であった。晴久には処分相当の霊力不正使用が確認されていないにもかかわらず、異例の裁判が急遽開かれることになっていた。
第四章 ロリコンに明日はない
断頭台裁判と桜の怪異化
監査部からの護送
古屋晴久に断頭台裁判への出頭命令が下り、監査官たちが寮へ踏み込んだ。文鳥桜は処分の異常さを訴えて抵抗し、宗谷美咲も晴久の異常な嗜好には怪異が関係していると信じ、逃亡を手助けした。
晴久は再び聞こえた謎の声に導かれ、特殊な除霊能力で物理結界の急所を突いた。結界が崩れた隙に、美咲の式神が二人を窓から救出し、晴久と美咲は春ヶ原へ逃亡した。
烏丸葵の異変
晴久たちは、人の嗜好を強制的に変える赤い服の少女を捜す途中、烏丸葵と遭遇した。烏丸もその少女に触れており、晴久以上に極端な異常行動を見せていた。
美咲の淫魔眼でも烏丸の変化が確認されたため、晴久は怪異の存在を確信した。烏丸から少女の居場所を聞き出し、晴久は一人で追跡した。
楓の待ち伏せ
晴久が赤い服の少女を発見して接触すると、その正体は幼い姿へ変身した葛乃葉楓であった。監査官たちが周囲に待機しており、晴久はその場で拘束されて意識を失った。
協会本部へ護送される途中、楓は春ヶ原へ調査隊を派遣したと明かした。晴久の主張を完全には否定していなかったが、怪異が実在しても監査部の処分が軽くなるとは限らないと警告した。
断頭台裁判
監査部幹部会では、晴久の端末に残された不適切な画像や閲覧履歴が証拠として提示された。さらに、特殊な能力と霊級格6を一撃で除霊した実績、甲冑姿の怪異に狙われた事実も問題視された。
多々羅刃は、晴久を危険人物として半永久的に封印すべきだと主張した。これに対し楓は、晴久を甲冑姿の怪異を誘い出す囮として利用し、討伐に役立てるべきだと反論した。
呪いへの疑念
多々羅刃は、晴久の嗜好が急変した原因を、両手に宿る呪いの悪化ではないかと疑った。晴久の能力の正体を監査部でも把握できていないことが、幹部たちの強い警戒につながっていた。
楓は別の怪異による影響を主張したが、多々羅刃は証拠がないとして退けた。両者の議論は、晴久の処分と利用価値を巡って対立した。
術式潰しのナギサ
監査部長であり、元十二師天の生き霊であるナギサが裁判に現れた。ナギサは晴久の呪いを自ら深く霊視すると宣言し、命令に失敗した監査官たちへ苛烈な制裁を加えた。
楓は憑依霊視を止めようとしたが、ナギサは強引に晴久の意識へ侵入した。しかし晴久の内側から何らかの力が働き、ナギサの霊視は弾き返された。ナギサは晴久の気配を天人降ろしに似たものと捉え、彼が本当にただの霊災遺児なのか疑い始めた。
美咲の乱入
その直後、美咲が南雲睦美と烏丸を伴って協会本部へ突入した。美咲は赤い服の少女を捕らえており、それが人間ではなく、人の嗜好を変える怪異の末端であると説明した。
美咲は監査官たちを少女へ触れさせ、急激な異常行動が発生することを実証した。これにより怪異の存在が認められ、晴久の異常も本人本来のものではない可能性が証明された。
裁判の中止
楓は、晴久がナギサの憑依霊視を退け、怪異の影響も軽減していることから、幽閉する理由はないと主張した。ナギサも条件付きで晴久を見逃し、甲冑姿の怪異を討伐した後、楓と改めて話すことを求めた。
晴久は処分を免れたが、自身の能力と謎の声、監査部の過剰な警戒に新たな疑問を抱いた。桜は裁判後、誰にも気づかれないよう涙を流しながら立ち去った。
桜の後悔
翌日、晴久は南雲を相手に甲冑姿の怪異との戦闘訓練を行った。監視役を続ける桜は上の空で、晴久に心配されるとその場を離れた。
晴久が追いかけると、桜は養父の死や晴久の呪いに関して、自分だけが何も知らされず、何もできなかったことを悔やんでいると明かした。桜は弱かった自分を変えるために修行を重ねたのに、晴久が今も子供扱いして頼ってくれないことへ強い不満を抱いていた。
桜への依頼
晴久は安易に慰めるのではなく、自分へ体術を教えてほしいと桜に頼んだ。桜は必要とされることに喜び、武器を持つ相手への立ち回りを早速指導し始めた。
桜は今後も晴久の面倒を見てもよいと言いかけ、二人の関係は少しずつ改善し始めた。
ロリコンメーカーの宿主
訓練場へ戻ると、楓が退魔師たちを率いて待ち構えていた。楓は、捕らえた赤い服の少女から伸びる霊力の糸が桜へ繋がっており、桜こそ怪異の宿主だと告げた。
桜は動揺しながらも、一人前の退魔師として抵抗せず拘束を受け入れようとした。しかし楓の術式が突然弾かれ、桜の中から別人格のような少女の声が響いた。
甲冑姿への変貌
桜の身体から複数の赤い服の少女が現れ、同時に黒い瘴気と鎧が全身を覆い始めた。その姿は晴久を襲った甲冑姿の怪異と同じものであり、楓たちの術式も謎の障壁に阻まれて届かなかった。
桜は怪異の侵食へ必死に抵抗したが、通常の怪異とは異なる圧倒的な力に呑み込まれていった。最後には晴久へ助けを求め、かつてのようにお兄ちゃんと呼んだ。
晴久が手を伸ばした直後、桜は完全に甲冑姿となり、周囲の少女たちとともに姿を消した。
春ヶ原の大量発生
直後、美咲から春ヶ原で赤い服の少女が大量発生し、甲冑姿の怪異も出現したとの連絡が入った。
晴久は、恐怖に怯えて助けを求めた桜の声を胸に、彼女を救うため春ヶ原へ向かった。
第五章 テクノブレイカー
春ヶ原決戦と桜の救出
魔族の痕跡
文鳥桜が甲冑姿の怪異へ変貌して消えた直後、葛乃葉楓はその場に残された瘴気から、霊級格を大きく超える魔族の関与を察した。楓は痕跡を保存して本体を追跡するため現場に残り、十二師天と監査部長ナギサへの緊急出動を要請した。
一方、古屋晴久には一刻も早く桜のもとへ向かうよう命じた。晴久は南雲睦美の背に乗り、人外的な速度で春ヶ原へ急行した。
ロリコンメーカーの大発生
春ヶ原では、人間の嗜好を強制的に変える少女型の怪異が大量発生していた。触れられた一般人や退魔師は怪異を守ろうとする異常な状態に陥り、街は大混乱となっていた。
交差点の中央では、桜を取り込んだ甲冑姿の怪異が一般人へ攻撃を続けていた。退魔師たちは結界で辛うじて被害を防いでいたが、怪異の力が強すぎるため、長くは持ちこたえられない状況であった。
崩壊した指揮系統
晴久と南雲は宗谷美咲たちの部隊へ合流した。しかし南雲は周囲の特定の女性が近づいたことで力を失い、戦闘から離脱した。
美咲によれば、現地部隊の指揮官たちも少女型の怪異に接触して異常化しており、指揮系統は崩壊していた。怪異を一体でも攻撃すると、操られた一般人や退魔師が一斉に反撃するため、中途半端な戦力では敵側に取り込まれるだけであった。
晴久の単独突入
増援を待てば多数の犠牲が出ると考えた晴久は、一人で桜のもとへ向かった。晴久には少女型の怪異による影響が弱く、触れられても行動を完全には支配されなかったためである。
晴久は進路を塞ぐ異常化した人々を特殊な能力で次々に行動不能にし、強引に群衆を突破した。さらに結界まで能力で崩し、妨害していた退魔師たちも退けながら、交差点の中心へ到達した。
甲冑の装甲
晴久は桜を救うため甲冑姿の怪異へ接近したが、除霊に必要な急所を見つけられなかった。やがて、桜本人が分厚い霊的な甲冑の内部に囚われているため、急所が隠されていると気づいた。
晴久は甲冑の各部に存在する弱点を一つずつ突き、装甲を破壊し始めた。しかし怪異の攻撃は激しく、晴久は重傷を負い、体力の限界に達した。
美咲と烏丸の援護
遅れて美咲の式神が現れ、晴久を治療しながら甲冑姿の怪異を撹乱した。美咲は烏丸葵も連れ出しており、烏丸を囮にして異常化した群衆を別方向へ誘導した。
その結果、退魔師たちが遠距離から怪異を援護攻撃できる道が生まれた。晴久と美咲は連携し、式神を足場として高所の装甲も破壊していった。
快楽点ブースト
怪異の反撃によって晴久は再び倒れ、立ち上がれなくなった。そのとき、頭の中の謎の声が晴久自身の弱点を突くよう指示した。
晴久がそれに従うと、短時間だけ思考と身体能力が大幅に高まった。晴久は群衆の動きを読みながら進み、怪異の攻撃をかわして次々に装甲を破壊した。
やがて甲冑の前面が剥がれ、内部に囚われた桜の弱点が露出した。しかし晴久が最後の一撃を放つ直前、強化の効果が切れ、再び動けなくなった。
桜の意識
美咲は桜の意識を呼び戻すため、晴久との強い結びつきを利用した。桜はわずかに反応し、甲冑姿の怪異の動きが鈍った。
その隙に美咲の式神が晴久を支え、晴久は残された力を振り絞って桜の弱点を突いた。桜は強烈な反応を示した後、甲冑姿の怪異から解放され、落下したところを晴久に受け止められた。
兄への信頼
除霊後、少女型の怪異は消え、異常化していた人々も倒れた。桜は意識が朦朧とする中、晴久に助けられたことを喜び、どれほど異常な能力を持っていても晴久は兄であると受け入れた。
晴久も桜を救えたことに安堵したが、極度の消耗によって意識を失った。事件はひとまず終息したものの、桜を操った魔族の存在は残されたままであった。
アンドロマリウスの観察
春ヶ原から離れた高層ビルでは、女子高生の姿をした魔族アンドロマリウスが一連の戦いを見届けていた。彼女は晴久を魔族の王に関係する存在として評価し、協会の追跡をかわすため、操っていた人間を囮として残した。
アンドロマリウスは晴久の両手に宿る力へ興味を抱き、新たな企みを始めようとしていた。
エピローグ
退院後の再会
四日後の目覚め
古屋晴久は春ヶ原の事件から四日後に意識を取り戻した。全身には深刻な疲労と筋肉痛が残り、回復力も大きく低下していたため、約一週間の入院を余儀なくされた。
晴久は桜を救うためとはいえ、大勢の一般人に特殊能力を使ったことを後悔した。事件の噂は学園や病院にも広がり、周囲から奇異の目を向けられたが、監査部から新たな処分が下ることはなかった。
報道の沈静化
春ヶ原の騒動は、現場にいた者たちの記憶が曖昧だったこともあり、ほとんど報道されなかった。退魔師協会を追及していたマスコミの動きも急に弱まり、晴久はその裏に何らかの介入があったのではないかと疑った。
一方、楓は魔族を追跡する任務に追われ、晴久の定期検診や呪いに関する説明を後回しにしていた。晴久は、自分の能力や監査部の態度に疑問を抱いたまま退院の日を迎えた。
桜の怪異化
入院中、楓は桜の怪異化について晴久へ報告した。桜には怪異を生み出すほどの心の歪みはなく、何者かによって外部から怪異を植え付けられた可能性が高かった。
除霊は完全に成功しており、桜の身体や精神に後遺症は残っていなかった。ただし、監査官としての処遇はまだ決まっていなかった。晴久は、自分の監視役となった直後の桜が魔族に狙われたことに作為を感じたが、楓は考えすぎだと退けた。
仮免剥奪の撤回
甲冑姿の怪異を討伐した功績により、晴久たちの班に出されていた仮免剥奪の警告は撤回された。宗谷美咲は退院する晴久へ連絡し、快気祝いと生活用品の買い直しを兼ねて買い物へ行こうと誘った。
晴久の部屋は監査官から逃亡した際の爆発で壊れており、室内の家具や私物も失われていた。晴久は美咲の誘いを受け、部屋を確認してから校門で合流する約束をした。
エプロン姿の桜
晴久が修復された自室へ戻ると、部屋の中にはエプロン姿の桜がいた。壊れていた家具や日用品は、以前と同じ品でほぼ完全に買い直されていた。
桜は監査部の給料を使って生活用品を揃え、晴久の好物であるコロッケや豚汁、プリンまで用意していた。晴久が料理を褒めると、桜は嬉しそうな表情を浮かべながらも、すぐに素っ気ない態度へ戻った。
桜なりの恩返し
桜は、晴久が掃除や洗濯、自炊を十分にできていなかったと指摘し、しばらく生活の世話をすると告げた。それは晴久に救われた借りを返すためであり、一方的に守られるだけの立場を受け入れたくないという桜なりの決意であった。
さらに桜は、晴久の監視役として続投することが決まり、警戒レベルも一段階下げられたと明かした。以前より自由な立場になったため、晴久の世話をする時間も十分にあると主張した。
美咲の訪問
晴久は桜との再会に気を取られ、美咲との待ち合わせを完全に忘れていた。窓に現れた美咲の式神によって約束を思い出したが、桜は美咲を部屋へ入れず、式神まで消し去った。
美咲は玄関前まで押しかけ、桜だけが晴久と二人で過ごしていることへ抗議した。桜は美咲を無視して晴久の世話を続けようとし、男子寮の住人たちからも晴久へ非難の連絡が相次いだ。
戻ってきた日常
晴久の能力や魔族の目的、監査部の対応には多くの疑問が残されていた。それでも晴久は、桜が無事に戻り、以前のように言い争える日常を取り戻したことにひとまず安堵した。
エピローグ 2
九つ目の性遺物と楓の決意
ナギサの追及
ロリコンスレイヤー討伐から十日以上が過ぎ、魔族の捜索が行き詰まる中、葛乃葉楓は退魔師協会本部で久々の休息を取っていた。そこへ監査部長のナギサが現れ、古屋晴久の両手に宿る呪いについて説明を求めた。
監査部では、葛乃葉が未知の性遺物を隠していたという見方が固まりつつあった。ナギサは晴久の両手を九つ目の性遺物と判断していたが、数百年間も新たな発見がなかったことや、記録にない異能を発現していることを不可解に感じていた。
四年以上続く呪い
晴久が小学六年生から封印用のブレスレットを着けていたため、呪いは四年以上にわたり彼へ取り憑いていたことになる。ナギサは、宗谷美咲よりも長期間にわたって呪いの影響に耐えている晴久を、普通の人間ではない可能性が高いと疑った。
しかし葛乃葉が改めて晴久の出自を調べても、特別な血筋は確認されなかった。楓も、晴久が平凡な霊災遺児であるという事実以上の情報を持っていなかった。
天人降ろしの気配
楓は断頭台裁判でナギサが口にした天人降ろしについて問いただした。ナギサは、憑依霊視の際に晴久から明確な天人降ろしの気配を感じたが、その内側には何者も存在しなかったと説明した。
天人降ろしとは、人間へ天界の住人を憑依させ、人智を超えた力を行使する異能であった。晴久の頭に響く声の存在を隠していた楓は、それがナギサに察知されていないことに安堵したものの、晴久の中にいる存在が神聖なものとは思えず、霊視結果への疑問を深めた。
処遇の保留
ナギサは、晴久が危険な爆弾であることに変わりはないとしながらも、次のシンゾク会議まで処遇を保留すると告げた。目に見える暴走が起きない限り、晴久への処分も、情報を隠していた葛乃葉への責任追及も先送りされることになった。
楓は晴久の安全が当面保障されたことに安堵したが、監視体制が強化される可能性を懸念した。
桜の続投
晴久の監視役には、怪異化から回復した文鳥桜が続投していた。ナギサは、桜に休養だけを命じても自責の念から立ち直れないと考え、負担の軽い任務を与えたままにした方がよいと判断していた。
さらにナギサは、才能ある桜を扱い方の誤りで潰したくないと考えていた。ただし、晴久へこれ以上強い思いを抱くことには懸念を示した。楓は桜が表向きの監視役にすぎず、別の監視者が派遣されている可能性に気づいた。
晴久への秘匿
ナギサは、天人降ろしと九つ目の性遺物に関する情報を晴久本人へ伝えることを禁じた。晴久の存在はあまりにも特殊であり、余計な知識を与えることで危険性が増す可能性があったためである。
楓も、サキュバス王の性遺物が持つ危険な性質を知っていたため、晴久へ詳細を伏せる方針に同意していた。宗谷美咲の周囲でも、同様に本人へ隠されている情報があることが示された。
芽依としての再会
ナギサが去った後、楓は晴久の安全がひとまず確保されたことに安堵した。しかし天人降ろし、魔族の襲撃、次のシンゾク会議までという期限など、解決していない問題は多く残っていた。
疲れ切った楓は、再び芽依の姿で晴久に会うことを考えた。正体が露見する前にやめようと思いながらも、晴久と過ごす時間を手放せずにいた楓は、次は無理をせず、手をつないで公園を歩くことを思い描きながら休息を続けた。
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