絶頂除霊 ! 5巻レビュー
絶頂除霊 ! まとめ
絶頂除霊 ! 7巻レビュー
物語の概要
■ 作品概要
本作は、強力な呪いである絶頂除霊を両手に宿す主人公・古屋晴久たちが、過酷な怪異事件に立ち向かう退魔活劇の第6巻である。 本巻では、サキュバスの角を身に宿し、魔族アンドロマリウスにさらわれた少女・童戸槐(えんじゅ)の救出作戦が描かれる。退魔師協会は最高戦力である十二師天を投入して大規模な作戦を展開するが、槐に憑いた呪いの侵食が進み、彼女は理性を失った恐るべき怪異へと変貌してしまう。槐は「感度3000倍」という呪弾を無差別にばら撒き、退魔師たちを次々と再起不能に陥れていく。事態の悪化を受け、協会は作戦を「救出」から「討伐(殺害)」へと変更する。しかし晴久と宗谷美咲は、絶頂除霊によって呪いを取り除けるという一縷の望みに賭け、槐を救うために味方であるはずの協会に反旗を翻す。晴久たちは、圧倒的な力を持つ十二師天と、暴走する槐の双方を相手にした過酷な三つ巴の激戦へ身を投じていく。
■ 主要キャラクター
古屋晴久:対象を強制的に絶頂させて除霊する能力を持つ主人公。槐を救うため、自身の処罰や命の危険を顧みず、十二師天による討伐作戦を妨害する。
宗谷美咲:他人の性情報が視える淫魔眼を持つチームメイト。晴久と共に討伐隊へ立ち向かい、秘匿呪具「アンチ・マジックミラー号」を駆使して奮戦する。戦闘中に淫魔眼を成長させ、敵の弱点が移動する先を予知する力を得る。
童戸槐:九つ目のサキュバスパーツである「角」に取り憑かれた少女。呪いの進行によって理性を失い、感度3000倍の呪弾を放つ驚異的な怪異へと変貌して街を破壊する。
葛乃葉楓:晴久の幼馴染であり、彼が過去に呪いを受けたことに強い罪悪感を抱いている。当初は晴久の作戦妨害を止めようと立ちはだかるが、最終的には彼を救うために味方となり、高度な変身術や幻術で戦線を支援する。
ミホト:晴久の両手に宿る謎の少女霊。絶頂除霊によって槐の性遺物を除去できると提案し、晴久と共に激戦に挑む。事件解決後には、すべての性遺物を集めて消し去るという自身の真の使命を思い出す。
土御門晴親:十二師天の一人で、精密な術式を操る最高峰の退魔師。都市を滅ぼす危険性を持つ槐を確実に討伐するため、作戦を妨害する晴久たちの前に圧倒的な力で立ち塞がる。
■ 物語の特徴
本作は、過激なエロコメディ要素と緊迫感のある本格バトルが融合した作風が特徴である。 第6巻では「感度3000倍の呪い」という特異な脅威によって現場が大混乱に陥る中、主人公たちが協会最高峰の実力者たちと激突する熱い展開が描かれる。都市を滅ぼすほどの災害と化した少女に対し、殺害ではなく「絶頂除霊」という前代未聞の手段で救済を試みる点が、他の退魔作品とは一線を画している。圧倒的な力を持つ十二師天に対し、学生である晴久たちが機転や特殊能力の連携を駆使して立ち向かう構図が読者を引き込む。また、これまで隠されてきた「サキュバス王の性遺物」に関する絶望的な真実や、幼馴染である楓の秘めた過去と罪悪感が明かされるなど、シリーズ全体の根幹に関わる重要なドラマが大きく動く一冊となっている。
読んだ本のタイトル
出会ってひと突きで絶頂除霊 ! 6
著者:赤城大空 氏
イラスト: 魔太郎 氏
出版社:小学館(ガガガ文庫)
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あらすじ・内容
恐怖の感度3000倍! 槐救出作戦始動!
――サキュバスの腕
それは有るはずのなかった「九つ目」のパーツ。そしてそれに宿るミホトとは。
サキュバスの角を身に宿し、さらには魔族アンドロマリウスにさらわれた童戸槐。
不測の事態が続くなか、退魔師協会は国内の十二師天を召集し、退魔師総勢1400名に及ぶ大規模作戦を展開する。
さらには絶頂除霊の能力により、数々の事件を解決に導いてきた晴久たち学生チームにも召集がかかった。
だが、救出作戦を進めるなか、槐に憑いたサキュバスパーツの侵食が進んでしまう。
そうして顕現した能力は、射抜いた相手の感度を感度を3000倍にする呪い。
風が吹くだけでも人を絶頂させるその能力は、退魔師たちを次々に再起不能にしていく。
かくして、槐救出作戦はサキュバスパーツ討伐作戦へと姿をかえてゆくのだった――。
憑依者を殺害するか封印するかの選択肢しかないサキュバスパーツ。
だが、その希望はサキュバスパーツに取り憑かれても正気を保ち続ける晴久と美咲の存在にあった。
あああああひいいいいいいいっ!?!?!?
解き放たれるは少女の夢かそれとも魔族のたくらみか。
大人気絶頂シリーズ、大絶頂の第6弾!!
出会ってひと突きで絶頂除霊!6
感想
アンドロマリウスに誘拐された上、精神的にいたぶられたことで槐のサキュバスの角が覚醒。
サキュバスに精神を乗っ取られた中学生、槐を助けるために奔走しようとするが、、、
その槐は狂騒して一般人を襲い感度3000倍で苦しむ一般人達。
上層部は槐の抹殺を決める。
それに反対する主人公達。
その周辺には感度3000倍でもがく一般人達、、、
その槐がやらかした感度3000倍の対処に絶頂除霊を撃ちまくる主人公。
助けたいのに苦しむ一般人を放置する訳にはいかない。
それでも、スキを見て救出に行く主人公達、それに立ち塞がる十二師天。
バトルの中にもギャグがいい具合に混ざり、さらにハッピーエンド。
かなりの力作だった。
でも、今回の怪異は恐ろしいぞ。
感度3000倍。
どんな感じなんだ3000倍?
喰らってみたいような・・・
でも死ぬんだよね?
やっぱり良いやww
この本、全ての笑いのポイントが下ネタなので、その辺りは御容赦下さい。
ちなみに
この作品の作者さんの別作品は映画になってます。
二度めの夏、二度と会えない君
嘘じゃありません。
本当の事です。
もう一つはアニメ化にしております。
下ネタという概念が存在しない退屈な世界
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絶頂除霊 ! 5巻レビュー
絶頂除霊 ! まとめ
絶頂除霊 ! 7巻レビュー
考察・解説
サキュバス王の性遺物
『出会ってひと突きで絶頂除霊!』におけるサキュバス王の性遺物は、物語の根幹に関わる極めて危険な呪具であり、第6巻に至ってその絶望的な真実と世界の命運を左右する重要な設定が明かされる。その詳細と作中での展開は以下の通りである。
負の感情による2から3週間の淫魔化進行と魂一体化による除霊不能都市壊滅の災害特性
サキュバス王とは、かつて世界を滅ぼしかけたとされる大魔族であり、その身体のパーツである性遺物は全部で九つ存在する。第6巻において、葛乃葉楓の口からこの呪いの恐ろしい真実が語られる。
・淫魔化と都市壊滅の危機:性遺物は宿主の負の感情を糧にして進行し、通常は2〜3週間ほどで宿主の正気を奪う。やがて宿主は周囲から性エネルギーを奪いながら暴れる淫魔(霊級格7)へと変貌し、過去には対応の遅れによってヨーロッパの都市が壊滅した例もあるほどの災害となる。
・除霊不可能:性遺物は宿主の魂と完全に一体化するため、千年以上にわたり除霊に成功した例がない。パーツだけを破壊しようとすれば宿主も死亡し、消滅したパーツも数年〜数十年後に世界のどこかで再生してしまう。
・協会の対処法:そのため退魔師協会は、憑依前に封印するか、淫魔化した宿主ごと殺害(討伐)して被害の拡大を防ぐという非情な方針を極秘裏に採っている。
・古屋晴久と宗谷美咲は、何年もの間この性遺物(絶頂除霊と淫魔眼)を宿しながら呪いが進行していない、極めて例外的な存在である。
魔族誘拐の絶望に伴う槐の霊級格7怪物化と感度三千倍呪弾による廃人化の脅威
第5巻で関東北部に新たな性遺物である一対の角が出現し、制御不能な不幸体質を持つ少女・童戸槐に取り憑く。
・槐は魔族アンドロマリウスに誘拐され、自身の存在を責める尽きない絶望と自責の念によって、性遺物を急速に進行させてしまう。
・その結果、彼女は理性を失った霊級格7の怪物へと変貌した。
・このサキュバスの角は、五感と性感を三千倍に高める感度三千倍の能力を持っている。
・撃ち出された破片(呪弾)を受けた者は終わりのない強烈な快感と霊障に苛まれ、廃人化や死の危険にさらされる。
協会反旗討伐阻止と美咲の予測眼連携を介した千年ぶりの角除去浄化および晴久への移動
怪物化した槐に対し、退魔師協会は十二師天を投入した討伐(殺害)作戦を決行する。
・しかし、晴久と美咲は槐を救うため、協会に反旗を翻して絶頂除霊による性遺物の除去に挑む。
・槐の自ら絶頂して快楽媚孔を移動させるという未知の能力に苦戦する。
・しかし、成長した美咲の淫魔眼(次の快楽媚孔の位置を予測する能力)や仲間たちの連携によって、晴久は槐の快楽媚孔を突くことに成功した。
・結果として、千年以上誰にも成し得なかった性遺物の除去(浄化)が達成され、槐は命を救われた。
・なお、除去された角は浄化された状態で晴久の頭へと移っている。
ミホトの全パーツ完全消去使命と謎の魔界王による全パーツ探索次期魔王候補指令
この一件を経て、晴久の両手に宿る謎の存在ミホトは失われていた記憶の一部を取り戻す。
・ミホトの真の使命は、この世に存在するすべてのサキュバスパーツを集め、完全に消し去ることであった。
・一方、魔界では謎の王(女性)が出現し、アンドロマリウスを粛清した。
・その上で、自身の完全復活のためにすべてのサキュバスパーツとサキュバスの穴を探し出すよう次期魔王候補に命じている。
まとめ
サキュバス王の性遺物を巡る実態は、宿主の淫魔化と世界崩壊の危機を内包する絶対的な不条理であり、その除去に成功したことで物語の対立構造を新たな局面へと引き上げた歴史的な転換点の記録である。槐の絶望を利用して怪物化させ、感度三千倍の呪弾によって協会を脅かしたプロセスは、遺物が持つ生物災害としての深刻さを示している。最終的に、晴久と美咲が協会の討伐方針を拒絶し、予測眼と絶頂除霊の連携によって千年の禁忌を破る角の分離浄化を完遂し、すべてのパーツ消去を目指すミホトと、復活を狙いパーツ収集を画策する魔界の王との全面戦争の幕を開けさせた顛末は、この事件が単なる一少女の救済にとどまらず、晴久たちが世界の運命を懸けた最終決戦へと足を踏み入れるための絶対的な道標となったことを厳密に証明している。
童戸槐救出作戦
『出会ってひと突きで絶頂除霊!』における「童戸槐救出作戦」は、第6巻における最大のクライマックスであり、魔族にさらわれて怪物化した槐を討伐しようとする退魔師協会に対し、主人公・古屋晴久たちが反旗を翻して強行した、極めて過酷で前代未聞の作戦である。その全貌と結末は以下の通りである。
自責の念に伴う霊級格7怪物化と感度3000倍呪弾散布に対する十二師天投入の討伐方針
魔族アンドロマリウスに誘拐された童戸槐は、自分は周囲に迷惑をかけるだけの存在だという強い自責と絶望の念を抱えていた。
・その負の感情を糧にして、彼女に取り憑いていたサキュバスの角(性遺物)が急速に進行する。
・これにより、槐は理性を失った霊級格7の怪物へと変貌してしまった。
・感度を3000倍にする呪弾を無差別にばら撒き、街に壊滅的な被害をもたらす災害と化す。
・退魔師協会は救出を諦め、土御門晴親や多々羅刃鈴鹿ら十二師天を投入した討伐(殺害)作戦へと方針を切り替えた。
除霊不能の真実に対するミホトの獲得予言と協会への叛逆強行救出の決意
晴久と宗谷美咲は、十二師天から性遺物は宿主の魂と完全に融合するため、千年以上にわたり除霊できた例がなく、殺すか封印するしかないという絶望的な真実を知らされる。
・しかし、同じ呪いを抱える者として槐を見捨てられない二人は、晴久の手に宿る少女霊ミホトが口にした、絶頂除霊ならサキュバスの角を奪える、という言葉に賭けることを決意した。
・味方である十二師天の討伐作戦を妨害してでも槐を救い出すため、協会に対する叛逆とも言える救出作戦を強行する。
十二師天の猛攻回避と暴走個体への接近を巡る仲間たちの処分覚悟の加勢足止め
作戦は、槐を確実に殺そうとする十二師天の猛攻を掻いくぐりながら、暴走する槐本人に接近して絶頂除霊を叩き込むという過酷な三つ巴の戦いとなる。
・当初は孤立無援だった晴久たちであったが、彼らの無謀な覚悟を見た葛乃葉楓、皇樹夏樹、烏丸葵、文鳥桜、南雲睦美らが処分を覚悟で次々と救出作戦側に加勢した。
・圧倒的な力を持つ十二師天たちを足止めする展開へと発展する。
五感3000倍の疑似未来予知と自発的絶頂移動に対する美咲の未来弱点位置予測視認
仲間の支援を受けて槐に肉薄する晴久であったが、絶頂除霊は決まらなかった。
・サキュバスの角は槐の五感を3000倍に高めて疑似未来予知を可能にしていた。
・さらに、槐が触れられる直前に自発的に絶頂し、快楽媚孔(弱点)の位置を移動させるという凶悪な追加能力を獲得していたためである。
・打つ手なしかと思われた絶望の中、状況を打破したのは美咲であった。
・彼女の淫魔眼が成長し、槐が絶頂した後に次に快楽媚孔が現れる未来の位置を点滅する光として視認できるようになる。
・その視覚イメージを晴久たちと共有することに成功した。
地下落とし穴制限と最大出力拘束術および完全複製偽物錯綜による千年ぶりの角除去浄化
未来の弱点位置が分かっても、槐の圧倒的な反応速度を欺く必要があり、仲間たちは総力戦を仕掛けた。
・皇樹夏樹が地下を掘って巨大な落とし穴を作り、槐を空中へ落下させて回避行動を制限する。
・烏丸葵が最大出力の拘束術で槐を縛る。
・美咲が分裂させた無数の式神を、葛乃葉楓の幻術を織り交ぜた変身術によって、見た目から魂の形まで完全に同じ、無数の晴久とミホトの偽物へと変えた。
・五感を極限まで高めた槐でさえ本物と偽物を区別できなくなり、その一瞬の隙を突いて、晴久は美咲から共有された未来の位置へ絶頂除霊を叩き込む。
・この一撃が見事に決まり、槐の頭からサキュバスの角が完全に消滅した。
・千年以上誰にも成し得なかった性遺物の除去(浄化)が達成され、槐は無事に人間の姿と理性を取り戻して命を救われた。
まとめ
童戸槐救出作戦を巡る一連の戦闘は、除霊不能とされた特級の性遺物に対し、退魔師協会の討伐方針を拒絶した晴久たちが仲間との総力戦によって千年の禁忌を打ち破り、少女の生命と理性を完全に取り戻した前代未聞の叛逆劇の記録である。自発的絶頂による弱点移動という槐の凶悪な回避能力に対し、美咲の成長した淫魔眼による未来位置予測と、仲間たちの連携による完全変身錯綜戦術を用いて打突を成功させたプロセスは、チーム全体の戦術的成長と強固な絆を示している。最終的に、絶対不可能なはずの角の分離浄化を成し遂げて晴久への定着へと導き、槐を呪縛から無事生還させた顛末は、この無謀な強行が単なる一学生の救済にとどまらず、サキュバス王のパーツを完全に消し去るというミホトの真の使命を証明し、世界を滅ぼす災厄に立ち向かうための絶対的な奇跡の足がかりとなったことを厳密に証明している。
古屋晴久の絶頂除霊
『出会ってひと突きで絶頂除霊!』における主人公・古屋晴久の両手に宿る能力「絶頂除霊」は、物語の根幹をなす極めて特殊で強力な呪いである。その詳細な設定や物語における役割は以下の通りである。
快楽媚孔の打突による霊級格6から7の強大怪異の一撃無力化規格外威力
絶頂除霊は、戦闘において絶対的な優位性をもたらす基本性質を有している。
・突いた対象の快楽媚孔と呼ばれる弱点を指で突くことで強制的に絶頂させ、一撃で除霊・昇天させる能力である。
・対象が生者や死者、悪霊であるかを問わずに効果を発揮する。
・対象の霊級格に関わらず、快楽媚孔に指さえ届かせることができれば、霊級格6や7の強大な怪異であっても一撃で無力化できるという規格外の威力を誇る。
小学6年時の両手模倣呪物接触に由来する魂完全融合と九つ目の性遺物の疑い
この能力は、晴久の過去の経歴と世界規模の禁忌に深く根ざしている。
・晴久が小学6年生の頃に骨董品屋で両手を模した呪物に触れたことで宿った呪いである。
・十二師天級の退魔師であった養父でも解呪できず、普段は封印のブレスレットで力を抑え込んでいる。
・退魔師協会からは、かつて世界を滅ぼしかけた大魔族であるサキュバス王の九つ目の性遺物ではないかと疑われている。
・しかし、神族・紅葉姫の霊視によれば、この呪いは晴久の魂と完全に融合しており、通常の性遺物とは異なる邪悪で異質な形で宿っているとされる。
両手に宿る銀髪褐色少女霊ミホトの意思無視暴走と全サキュバスパーツ完全消去使命
晴久の両手には、単なる異能の術式にとどまらない自我を持った存在が潜んでいる。
・絶頂除霊の力とともにミホトと名乗る銀髪褐色の少女霊が宿っている。
・彼女は晴久が能力を使うたびに力を得て顕現しようとし、時には晴久の意思を無視して暴走し、周囲から力を奪おうとすることもあった。
・第6巻において、ミホトの真の使命が、この世に存在するすべてのサキュバスパーツを集め、完全に消し去ることであることが判明する。
無機物のツボ刺激による地割れ発生と自身の快楽点ブーストによる思考力身体能力極限化
絶頂除霊は単なる除霊にとどまらず、物語の進行とともに様々な応用を見せる。
・大地の快楽媚孔:人間や霊体だけでなく、木々や地面、無機物の快楽媚孔を突くことで、局地的な地震や地割れ、地下水の噴出を起こすことができる。
・快楽点ブースト:晴久自身にある快楽媚孔を突くことで、短時間だけ思考力と身体能力を極限まで高め、人間離れした動きを可能にする。
槐の感度三千倍霊障に対する賢者モード緩和と千年以上未踏の角分離浄化達成
第6巻において、絶頂除霊は世界を救う唯一の希望として機能した。
・サキュバスの角に取り憑かれ怪物化した童戸槐が放つ感度三千倍の霊障に対し、絶頂除霊後の賢者モードを利用することで、その終わりのない苦痛を一時的に緩和できる唯一の手段となった。
・さらに、晴久が槐の快楽媚孔を突くことで、千年以上誰にも成し得なかった性遺物の宿主からの除去(浄化)に成功し、槐の命を救うという奇跡を起こした。
猥褻性質に伴う変質者扱いの学園内悪評と断頭台裁判および処分幽閉検討リスク
強大な威力を持つ反面、この能力を行使することは常に深刻な不利益をもたらす。
・能力の最大の弱点は、その猥褻な性質ゆえに人前で使うと社会的に死ぬ、すなわち変質者扱いされることである。
・晴久は仲間を救うために能力を使い続けるが、その結果、学園内で年少者に不適切な関心を向ける、女性に問題行動をとる、といった悪評が広まった。
・退魔師協会や十二師天からも危険人物として警戒され、断頭台裁判にかけられたり、処分や幽閉が検討される事態にも陥った。
まとめ
古屋晴久の絶頂除霊を巡る一連の実態は、霊級格7の大怪異を打倒し千年の禁忌を破る神話的な浄化の奇跡であると同時に、術者自身を社会的破滅と組織的排除の危機に晒し続ける、表裏一体となった特級の呪縛の記録である。大地の快楽媚孔を突く物理干渉や自身のブーストといった高度な適応を見せつつ、魂と完全に融合したミホトの暴走リスクを抱えてきたプロセスは、この力が持つ異常な危険性を示している。最終的に、槐の感度三千倍の霊障を賢者モードで緩和し、史上初の角の分離浄化を成し遂げて本免許獲得に貢献しながらも、全パーツ消去を狙うミホトの使命に連動して魔界の王との決戦へ赴かざるを得なくなった顛末は、この能力が単なる猥褻な異能にとどまらず、晴久が自らの社会的名誉と世界の存亡を懸けて限界へと挑むための絶対的な運命の核であることを厳密に証明している。
十二師天の討伐判断
『出会ってひと突きで絶頂除霊!』における「十二師天の討伐判断」は、第6巻において魔族に誘拐され、サキュバス王の性遺物(角)によって理性を失い怪物化した少女・童戸槐に対する、退魔師協会の極秘かつ非情な決定を指す。主人公の古屋晴久は槐を救い出そうと奔走するが、協会側は早々に救出を諦め、彼女を討伐(殺害)する方針を固める。その背景と作中での展開は以下の通りである。
千年以上の除霊失敗歴史と都市壊滅リスクおよび一週間という宿主の生存限界
十二師天が槐の殺害を決断した背景には、一部の上層部のみが知る性遺物に関する絶望的な真実が存在した。
・除霊不可能:性遺物は宿主の魂と完全に一体化するため、千年以上にわたって除霊(宿主からの分離)に成功した例がない。パーツだけを破壊しようとすれば、宿主も魂が欠損して死亡してしまう。
・淫魔化と都市壊滅の危機:宿主は負の感情によって呪いを進行させ、やがて周囲から性エネルギーを奪いながら暴れる淫魔(霊級格7)へと変貌する。過去には対応の遅れでヨーロッパの都市が壊滅した例すらあり、槐自身も感度三千倍の呪弾を無差別にばら撒き、数千人規模の被害者を出す災害と化していた。
・宿主の命の限界:淫魔化して魂と身体を無理やり変えられた宿主は、一週間ほどしか命が持たない。延命を試みても周囲の被害が増すだけであるため、協会は被害拡大を防ぐために淫魔化した宿主ごと速やかに討伐(殺害)するという方針を取らざるを得なかった。
土御門晴親による人間性否定とミホトの獲得予言を巡る完全却下
晴久は槐は被害者であり救うべきだと作戦本部へ乗り込むが、上層部はその提案を冷酷に退けた。
・十二師天の土御門晴親は、槐をすでに人間ではなく討滅すべき霊級格であると断じ、討伐方針は覆らないと冷酷に突き放す。
・その後、晴久と美咲はミホトの、絶頂除霊ならサキュバスの角を奪える、という言葉に賭け、討伐前に一度だけ絶頂除霊を試させてほしいと陳情した。
・しかし十二師天たちは、得体の知れない霊体(ミホト)の言葉を信用せず、美咲の淫魔眼などで事前に証明することも不可能だったため、作戦を乱す危険な妄言としてこの提案を完全に却下した。
複数区画の巨大特殊結界展開と5名の十二師天投入による首狙い必殺追尾斬撃
説得の余地をなくした協会は、街の複数区画を覆う巨大な特殊結界を展開して槐を封鎖した。
・土御門晴親、多々羅刃鈴鹿、皇樹夏樹、童戸手鞠、宗谷真由美という5人もの十二師天が関わる大規模な童戸槐討伐作戦を開始する。
・実際の戦闘でも、鈴鹿が槐の首を狙う必殺の斬撃(追尾効果付き)を放つなど、十二師天たちは一切の容赦なく、明確な殺意を持って槐の命を絶つための攻撃を行った。
・この冷酷だが被害を防ぐためには現実的な討伐判断に対し、晴久たちは槐の命を救うため、味方である十二師天や協会に反旗を翻す決意を固める。
・これにより、十二師天、槐、晴久たちという過酷な三つ巴の激戦が繰り広げられることになった。
まとめ
十二師天の討伐判断を巡る一連の決定は、過去の都市壊滅事例や一週間という生存限界を踏まえ、組織の防衛として出された極めて冷徹かつ合理的な殺害指令の記録である。晴久の陳情やミホトの奪還予言を妄言として却下し、土御門晴親らが槐を霊級格の災害と規定して5名の最高戦力を投入したプロセスは、協会が負う社会的責任の重さを示している。最終的に、多々羅刃鈴鹿による必殺の追尾斬撃に象徴される容赦のない殲滅行動が選択され、晴久たちが槐の生命を救うために組織への叛逆を決意せざるを得なくなった顛末は、この討伐判断が単なる現場の戦術変更にとどまらず、千年の禁忌を破るための絶対的な対立構造を生み出す決定的な引き金となったことを厳密に証明している。
葛乃葉楓の罪悪感
『出会ってひと突きで絶頂除霊!』における「葛乃葉楓の罪悪感」は、彼女のキャラクターの根幹をなす要素であり、主人公・古屋晴久に対する複雑な態度や過保護な管理、そして第6巻における劇的な展開の根本的な原因となっている。その詳細な背景と物語における展開は以下の通りである。
養護施設での出会いと骨董品屋呪物の見くびり結界による性遺物憑依自責
楓の抱える深い苦悩は、幼少期の晴久との関係性と自身の油断に端を発している。
・楓は幼少期、祖母に連れられて行った養護施設で晴久と出会い、孤独だった自分に分け隔てなく接してくれる彼に惹かれていった。
・しかしある日、二人で出かけた帰り道に晴久が骨董品屋で何かに呼ばれて立ち止まる。
・楓はそれを低級の呪物だと見くびり、自分の実力を見せようと結界を張って店内へ入ってしまった。
・その結果、店内にあったミイラのような両手の置物が消え、晴久の両手に除霊不能の恐ろしい呪いであるサキュバス王の九つ目の性遺物が取り憑いてしまう。
・自分の油断によって大好きな晴久を絶望的な運命に巻き込んでしまったと悟った楓は、激しい自責の念に駆られることとなった。
好意受領資格の喪失感に伴う意図的冷徹態度と定期検診口実の監視嫉妬自己嫌悪
罪悪感の定着により、楓は自らの恋愛感情を異常な形で屈折させていった。
・楓は、自分には晴久を好きになる資格も、彼から好意を向けられる資格もない、と思い込むようになる。
・そのため、本当の恋心を押し殺し、晴久から嫌われるようにわざと冷たく厳しく接するようになった。
・晴久の呪いが進行しないように定期検診を口実にして彼を監視・管理し続けた。
・しかし、美咲や桜など晴久の周囲の女性に激しい嫉妬を抱いては、そんな感情を持つ自分自身に自己嫌悪を抱くという苦悩を続けていた。
童戸槐怪物化討伐危機の察知と晴久喪失回避を狙う身勝手な救出作戦妨害工作
第6巻において、楓は晴久をさらなる絶望から遠ざけるために組織的な暗躍を開始した。
・第6巻で童戸槐がサキュバス王の性遺物に取り憑かれる事件が発生した際、楓は晴久が救出に関われば、性遺物は最終的に淫魔化し、討伐(殺害)するしかないという絶望的な真実を知ってしまうと察する。
・晴久を絶望から遠ざけ、晴久が討伐妨害で処分されるなどして彼を失うという最悪の事態を防ぐため、楓は晴久を救出作戦から外すための妨害工作を行った。
・これは晴久を守るためであると同時に、彼を失いたくないという楓自身の身勝手な願いでもあり、彼女はさらなる自己嫌悪に苦しんだ。
九尾幻術駆使の単独行動捕縛迎撃と体内即死術式護符暴露に伴う涙の悲痛懇願
槐の討伐作戦を阻止しようと単独行動を起こした晴久の前に、楓は強硬な姿勢で立ちはだかった。
・楓は、晴久が性遺物に取り憑かれた原因は自分にある、恨まれても止める責任がある、として、手足や後遺症を犠牲にしてでも彼を捕縛する覚悟を決める。
・九尾や幻術を駆使した猛攻を浴びせた。
・戦闘の末、楓は晴久の体内に即死術式の護符が埋め込まれていることを明かす。
・晴久が命を懸ける状況に陥ったのはすべて自分のせいだと涙ながらに訴え、自分に晴久を殺させないでほしいと悲痛な懇願をした。
子供の責任否定による長年支えへの感謝と重荷融解後の抑圧恋情解放口づけ
楓の告白を受け、晴久は彼女が長年一人で抱え込んできた精神的呪縛を完全に打ち砕いた。
・ここで晴久は初めて、楓が長年抱えてきた深い罪悪感を知ることになる。
・晴久は、子供だった楓に性遺物を防げるはずがなく、責任はない、と明確に否定した。
・そして、恨むどころか、定期検診や裁判での弁護、幾度もの救援など、長年にわたって自分を支えてくれた楓に対して心から感謝していると伝える。
・この言葉によって楓は長年の重荷から救われた。
・事件解決後、晴久が改めて、楓は長年支えてくれた恩人、と語ったのを耳にした楓は、ついに想いを抑えきれなくなり、晴久に口づけをするという大きな一歩を踏み出すこととなった。
まとめ
葛乃葉楓の罪悪感を巡る一連の顛末は、幼少期の油断から最愛の者に特級の呪いを受領させてしまったという自責が、長年の冷徹な偽装管理と妨害工作を生み出し、最終的に当事者による全肯定の赦しによって恋情の解放へと昇華された劇的な精神救済の記録である。晴久を失う恐怖から九尾の猛攻や即死護符の暴露にまで至ったプロセスは、彼女が背負っていた絶望の深さを示している。最終的に、子供の過ちとしての責任を晴久に完全否定され、これまでの支援に対する純粋な感謝を受け取ったことで長年の重荷を融解させ、事件後に抑えきれない恋情から口づけへと踏み出した顛末は、この精神的解放が単なる学園内の関係修復にとどまらず、楓が自らの宿命的な呪縛を克服し、晴久と共にサキュバス王の全パーツ消去という世界の命運を懸けた次なる決戦へ臨むための絶対的な絆を構築したことを厳密に証明している。
絶頂除霊 ! 5巻レビュー
絶頂除霊 ! まとめ
絶頂除霊 ! 7巻レビュー
登場キャラクター
都立退魔学園
葛乃葉楓
葛乃葉家の次期当主であり、幼少期に晴久と出会い彼へ恋心を抱いた少女である。自身の油断から晴久に呪いをもたらしたという深い罪悪感を抱えている。
・所属組織、地位や役職
都立退魔学園の学生。葛乃葉家の後継者。
・物語内での具体的な行動や成果
晴久を槐救出作戦から遠ざけるために工作を行った。討伐作戦の妨害においては幻術や変身術を駆使し、無数の晴久とミホトの偽物を作り出して槐の感覚を欺いている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
事件後に本免許を一時停止され、夏休みの奉仕活動を課された。晴久から長年の支えに対する感謝を伝えられ、彼へ口づけをした。
古屋晴久
絶頂除霊の呪いを両手に宿す少年である。分け隔てない優しさを持ち、槐を救うために自らの命や処罰の危険を顧みず行動する。
・所属組織、地位や役職
都立退魔学園の学生。
・物語内での具体的な行動や成果
槐を救出するため十二師天による討伐作戦へ叛逆した。美咲との視覚共有によって未来の快楽媚孔の位置を把握し、槐への絶頂除霊を成功させて性遺物を除去している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
槐から除去されたサキュバスの角が浄化された状態で頭へ移った。事件後、本免許を一時停止された。
宗谷美咲
淫魔眼の呪いを抱える少女である。晴久のパートナーとして彼を支え、同じく呪いを持つ槐を見捨てられないという思いから共に作戦へ叛逆する。
・所属組織、地位や役職
都立退魔学園の学生。宗谷家の跡取り娘。
・物語内での具体的な行動や成果
アンチ・マジックミラー号を持ち出して十二師天の攻撃を防ぎ、晴久のために時間を稼いだ。成長した淫魔眼で快楽媚孔の移動を予測し、その視覚情報を晴久と共有している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
本免許を一時停止された。晴久と楓の口づけを知ったことで霊力が急激に失われている。
烏丸葵
問題行動の多い少女である。槐の討伐に対して最初は興奮できず能力を発動できなかったが、救出が目的だと知って戦意を取り戻す。
・所属組織、地位や役職
都立退魔学園の学生。
・物語内での具体的な行動や成果
冥福連の総本部で逃走する呪術師たちを拘束した。槐に対しては光泥自縄地獄を最大出力で発動し、動きを強く制限している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
本免許を一時停止された。
小林たち
晴久の同級生たちである。過去の事件の後遺症から、サオリさんというラブドールを共同購入して愛着を抱いている。
・所属組織、地位や役職
都立退魔学園の生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
彼らが人形へ向けた魂の繋がりが、サオリさんに憑依した鹿島霊子の逃走を妨げる一因となった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
南雲睦美
元霊級格6の怪異が残した身体能力を持つ少女である。晴久に恩義を感じており、彼を助けるためなら危険を冒すこともいとわない。
・所属組織、地位や役職
都立退魔学園の生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
槐の討伐戦に乱入し、多々羅刃鈴鹿の斬撃を木刀で叩き落として晴久を救援した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
作戦妨害の罰として、能力講習とカウンセリングの延長を命じられた。
退魔師協会・監査部・十二師天
葛乃葉菊乃
退魔師協会のトップであり、楓の祖母である。晴久と楓の過去を知り、呪いの事実を隠蔽して晴久の生活を守った。
・所属組織、地位や役職
退魔師協会会長。十二師天。
・物語内での具体的な行動や成果
幽霊船団への対応のため遠方へ派遣されていた。晴久たちが真実を知る必要があると判断し、冥福連総本部への突入部隊へ彼らの参加を許可している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
文鳥桜
晴久の監視役を務める少女である。晴久を守るために行動し、彼の周囲の状況へ常に目を光らせている。
・所属組織、地位や役職
退魔師協会・監査部の構成員。
・物語内での具体的な行動や成果
アンチ・マジックミラー号に乗り込み、術式無効の力を用いて土御門晴親の術を弱めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
事件後に本免許を一時停止された。
ナギサ
監査部を束ねる生き霊である。状況を的確に分析し、大規模な作戦の指揮を執る。
・所属組織、地位や役職
退魔師協会・監査部部長。
・物語内での具体的な行動や成果
槐の捜索を最優先とし、冥福連総本部への突入部隊を編成した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
童戸手鞠
童戸家の当主である。槐を誰よりも気にかけており、彼女の過酷な運命について深く苦悩している。
・所属組織、地位や役職
童戸家当主。十二師天。
・物語内での具体的な行動や成果
冥福連総本部への突入作戦に参加し、幸運能力で敵の逃走を阻止した。槐の討伐作戦では、巨大結界内で不幸能力の中和を完遂している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
事件後、責任と被害への補償を一手に引き受けた。
多々羅刃鈴鹿
妖刀作りに情熱を持つ職人気質の女性である。任務に対して冷徹な判断を下す。
・所属組織、地位や役職
退魔師協会・十二師天。
・物語内での具体的な行動や成果
冥福連総本部で妖刀を振るい、悪霊の大軍や怪異霊を撃破した。怪物化した槐に対して明確な殺意を持ち、必殺の斬撃を放っている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
土御門晴親
純粋な術式運用技術で日本一とされる長老格の退魔師である。感情に流されず、冷静に任務を遂行する。
・所属組織、地位や役職
退魔師協会・十二師天。
・物語内での具体的な行動や成果
冥福連総本部で敵の絶対領域を容易く破壊した。槐討伐作戦を指揮し、巨大な特殊結界を構築して彼女を追い詰めている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
多々羅刃宗源
退魔師協会の関係者である。
・所属組織、地位や役職
退魔師協会。
・物語内での具体的な行動や成果
緊急招集に応じた晴久たちの実習班を、追加戦力として提案した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
宗谷真由美
美咲の母親である。夫の協力で霊力を補充し、長時間の戦闘を遠隔から支える。
・所属組織、地位や役職
宗谷家当主。十二師天。
・物語内での具体的な行動や成果
槐討伐作戦において、囮の式神を使って槐を結界内へ誘導した。遠方から式神千鬼夜行を操り、槐の足止めと避難民の保護を続けている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
手鞠による捜索隊
童戸手鞠が率いる部隊である。
・所属組織、地位や役職
童戸家の捜索隊。
・物語内での具体的な行動や成果
相馬家の精鋭とともに、アンドロマリウスの潜伏先を冥福連の総本部と特定した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
退魔師約八百名
退魔師協会から集められた人員である。
・所属組織、地位や役職
退魔師協会。
・物語内での具体的な行動や成果
警察官とともに、冥福連総本部への大規模な強制捜査に参加した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
男性退魔師
退魔師協会の戦闘要員である。
・所属組織、地位や役職
退魔師協会。
・物語内での具体的な行動や成果
感度三千倍の呪弾を受けて倒れたが、晴久の絶頂除霊によって症状を緩和された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
治療班
負傷者や被害者の救護を行う部隊である。
・所属組織、地位や役職
退魔師協会・治療班。
・物語内での具体的な行動や成果
絶頂除霊で症状が一時的に収まった被害者を安全な場所へ移送し、点滴や水分補給などの処置を始めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
追撃部隊
逃走した目標を追跡する部隊である。
・所属組織、地位や役職
退魔師協会・追撃部隊。
・物語内での具体的な行動や成果
晴親の命令によって編成された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
四百名の精鋭退魔師
協会から選抜された強力な人員である。
・所属組織、地位や役職
退魔師協会。
・物語内での具体的な行動や成果
童戸家の長老たちとともに巨大な特殊結界を維持し、槐の脱出を防いだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
サポート部隊
前衛の十二師天を支援する部隊である。
・所属組織、地位や役職
退魔師協会・サポート部隊。
・物語内での具体的な行動や成果
槐へ拘束符を放って損傷を蓄積させた。烏丸へ拘束術の使用を求めている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
小日向の能力や変身術の護符によって陣形を乱された。
女性退魔師
討伐隊を支援する女性隊員である。
・所属組織、地位や役職
退魔師協会。
・物語内での具体的な行動や成果
胸の大きな者は変身術の護符を投げつけられ、体形を変えられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
協会上層部
退魔師協会の意思決定機関である。
・所属組織、地位や役職
退魔師協会。
・物語内での具体的な行動や成果
槐の捜索を最優先とし、各地から上位の退魔師を強引に集めた。性遺物を除去した晴久たちの功績を高く評価している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
葛乃葉家
金狐
楓の付き人である。
・所属組織、地位や役職
葛乃葉家の関係者。
・物語内での具体的な行動や成果
幼少期の楓の孤独な生活に関連する存在として描かれた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
銀狐
楓の付き人である。
・所属組織、地位や役職
葛乃葉家の関係者。
・物語内での具体的な行動や成果
幼少期の楓に仕えていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
宗谷家
宗谷家の式神使いたち
宗谷家に所属する術者たちである。
・所属組織、地位や役職
宗谷家。
・物語内での具体的な行動や成果
広場に集まり、感度三千倍弾への防御や支援の準備を進めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
宗谷家の者たち
宗谷家の関係者である。
・所属組織、地位や役職
宗谷家。
・物語内での具体的な行動や成果
美咲に対して厳罰を警告し、作戦妨害をやめるよう求めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
童戸家
童戸槐
サキュバスの角に取り憑かれた少女である。自分の不幸能力で周囲に迷惑をかけることを恐れ、誰かの役に立って死ぬことを望んでいる。
・所属組織、地位や役職
童戸家の血族。
・物語内での具体的な行動や成果
理性を失った怪物へ変貌し、感度三千倍の呪弾を無差別に放って街を破壊した。絶頂除霊を自発的な絶頂で回避する能力を獲得している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
晴久たちによって性遺物を除去され、不幸能力もほとんど消滅して学校へ通えるようになった。
緑
槐の付き人である。槐の幸せを誰よりも願っている。
・所属組織、地位や役職
童戸家の関係者。
・物語内での具体的な行動や成果
槐を犠牲にする作戦へ反発し、手鞠へ問いかけ続けた。事件後は病室で槐を見守っている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
童戸家の長老たち
童戸家の重鎮である。
・所属組織、地位や役職
童戸家。
・物語内での具体的な行動や成果
四百名の精鋭退魔師とともに巨大な特殊結界を維持し、槐の脱出を防いだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
相馬家
相馬家の精鋭
相馬家に所属する優秀な術者たちである。
・所属組織、地位や役職
相馬家。
・物語内での具体的な行動や成果
手鞠の捜索隊とともに、アンドロマリウスの潜伏先を特定した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
皇樹家
皇樹夏樹
天人降ろしとして神族を宿す女性である。晴久へ特別な感情を抱き、彼の身を案じている。
・所属組織、地位や役職
皇樹家当主。十二師天。
・物語内での具体的な行動や成果
地下を掘り進んで巨大な空洞を作り、槐を落下させるための落とし穴を用意した。美咲のアンチ・マジックミラー号を神木で破壊している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
作戦妨害の罰として、罰金が科された。
一般人・その他
神父
晴久の養父であり、かつて十二師天級の実力を持っていた退魔師である。晴久の呪いの進行を防ぐため尽力した。
・所属組織、地位や役職
養護施設の運営者。
・物語内での具体的な行動や成果
晴久に取り憑いたものが性遺物であると知った後、従来通りの生活を送らせる方針を決め、事実を隠蔽した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
すでに故人である。
警察官約六百名
治安維持を担う人員である。
・所属組織、地位や役職
警察組織。
・物語内での具体的な行動や成果
退魔師たちとともに、冥福連総本部への大規模な強制捜査に参加した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
太刀川芽依
退魔学園の中等部の生徒を装う情報屋である。
・所属組織、地位や役職
情報屋。
・物語内での具体的な行動や成果
事件後、晴久の本心を確かめるために病室を訪れ、その後に楓の姿へ戻った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
正体は葛乃葉楓の変身した姿である。
被害者たち
感度三千倍の呪弾を受けた人々である。
・所属組織、地位や役職
一般人や退魔師。
・物語内での具体的な行動や成果
終わりのない強烈な快感に苦しみ、救護所や病院へ運ばれた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
晴久の絶頂除霊によって症状を一時的に緩和された。
小日向静香
男性へ激痛を与える残留怪異を抱える少女である。晴久に助けられた恩義を感じている。
・所属組織、地位や役職
一般人。
・物語内での具体的な行動や成果
水着姿の式神に反応して能力を発動し、サポート部隊の男性退魔師たちを戦闘不能にした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
事件後、能力講習とカウンセリングの延長が命じられた。
魔族・怪異・式神・霊能犯罪組織
サキュバス王
かつて世界を滅ぼしかけたとされる大魔族である。
・所属組織、地位や役職
大魔族。
・物語内での具体的な行動や成果
その身体のパーツである性遺物が、宿主を淫魔化させる災害の原因となっている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
霊能犯罪者
協会と敵対する術者たちである。
・所属組織、地位や役職
犯罪組織。
・物語内での具体的な行動や成果
冥福連の総本部に潜伏し、退魔師協会による強制捜査を受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
アンドロマリウス
魔界から派遣された魔族である。人間の負の感情を利用して目的を達成しようとする。
・所属組織、地位や役職
魔族。
・物語内での具体的な行動や成果
槐を誘拐し、退魔師協会を冥福連へ誘い込んで魔界への門を開こうとした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
失敗を重ねた結果、謎の王によって粛清され、魂を消滅させられた。
鹿島霊子
特級霊能犯罪者のネクロマンサーである。
・所属組織、地位や役職
ネクロマンサー。
・物語内での具体的な行動や成果
アンドロマリウスの計画に協力し、冥福連総本部で悪霊や怪異霊を召喚して槐を抑えようとした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
槐によって魂を肉体から追い出され、大監獄の肉体に戻った後も快感に苦しみ続けた。
ミホト
晴久の両手に宿る少女霊である。狡猾な一面を持つが、性遺物を集めて消し去るという真の使命を持つ。
・所属組織、地位や役職
晴久の両手に宿る存在。
・物語内での具体的な行動や成果
槐から性遺物を奪う方法を提案し、晴久とともに討伐部隊や槐と戦った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
記憶の一部を取り戻し、すべてのパーツを消滅させる目的を思い出した。
冥福連の呪術師たち
霊護団体の構成員である。協会を敵だと信じ込んでいる。
・所属組織、地位や役職
冥福連。
・物語内での具体的な行動や成果
突入してきた退魔師部隊を包囲して一斉攻撃を始めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
敗北して負の感情を放出し、魔界の門を開く触媒とされた。
呪殺法師
呪術を扱う犯罪者である。
・所属組織、地位や役職
犯罪組織。
・物語内での具体的な行動や成果
アンドロマリウスの協力者として残存していた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
悪霊の群れ
鹿島霊子に使役される霊体である。
・所属組織、地位や役職
怪異。
・物語内での具体的な行動や成果
冥福連総本部から現れて先制攻撃を行ったが、多々羅刃鈴鹿の攻撃で焼き払われた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
三体の怪異霊
鹿島霊子に操られる強力な霊体である。
・所属組織、地位や役職
怪異霊。
・物語内での具体的な行動や成果
槐を抑えるために召喚されたが、遠距離から一斉に無力化された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
サオリさん
小林たちが購入したラブドールである。
・所属組織、地位や役職
人形。
・物語内での具体的な行動や成果
持ち主のもとへ帰りたいと願う魂が芽生え、鹿島霊子の魂の逃走を妨げた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
冥福連の女呪術師
冥福連の幹部格の術者である。
・所属組織、地位や役職
冥福連。
・物語内での具体的な行動や成果
広大なホールで絶対領域を展開して進路を塞ごうとした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
晴親に領域を破壊され、怪異霊を失ったことで敗走した。
二体の怪異霊
女呪術師を支援するために現れた霊体である。
・所属組織、地位や役職
怪異霊。
・物語内での具体的な行動や成果
多々羅刃鈴鹿の斬撃で切り刻まれ、晴久の絶頂除霊によって消滅した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
青龍
宗谷美咲が使役する高位の式神である。
・所属組織、地位や役職
美咲の式神。
・物語内での具体的な行動や成果
アンチ・マジックミラー号とともに槐を守るために展開された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
朱雀
宗谷美咲が使役する高位の式神である。
・所属組織、地位や役職
美咲の式神。
・物語内での具体的な行動や成果
槐の討伐隊と対峙するために呼び出された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
玄武
宗谷美咲が使役する高位の式神である。
・所属組織、地位や役職
美咲の式神。
・物語内での具体的な行動や成果
他の式神とともに槐を防衛した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
白虎
宗谷美咲が使役する高位の式神である。
・所属組織、地位や役職
美咲の式神。
・物語内での具体的な行動や成果
槐を守る陣形を構成した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
巨大式神
宗谷美咲が召喚した強大な式神である。
・所属組織、地位や役職
美咲の式神。
・物語内での具体的な行動や成果
討伐部隊の陣形を乱し、土御門晴親の追跡術式を妨害した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
サポート部隊の牽制によって排除された。
飛行式神
空中を移動するための式神である。
・所属組織、地位や役職
美咲の式神。
・物語内での具体的な行動や成果
巨大な落とし穴へ落下した槐へ向けて晴久を射出した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
低霊級格式神
霊力を抑えた多数の式神である。
・所属組織、地位や役職
美咲の式神。
・物語内での具体的な行動や成果
分裂して大穴を埋め尽くし、楓の変身術の土台となった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
水着姿の式神たち
小日向静香の能力を誘発させるための式神である。
・所属組織、地位や役職
美咲の式神。
・物語内での具体的な行動や成果
戦場を走り回り、静香に男性を意識させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
次期魔王候補の少年
魔界からアンドロマリウスへ命令を下していた上位存在である。
・所属組織、地位や役職
魔界の住人。次期魔王候補。
・物語内での具体的な行動や成果
人間界での性遺物収集をアンドロマリウスへ任せていたが、彼女の失敗を叱責した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
謎の王
禍々しく異質な気配を持つ女性である。
・所属組織、地位や役職
魔界の王。
・物語内での具体的な行動や成果
アンドロマリウスの魂を消滅させて粛清し、すべての性遺物を探し出すよう次期魔王候補へ命じた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
絶頂除霊 ! 5巻レビュー
絶頂除霊 ! まとめ
絶頂除霊 ! 7巻レビュー
展開まとめ
プロローグ
葛乃葉楓の罪
孤独な跡取り娘
葛乃葉楓は多忙な家族と過ごせない寂しさを押し殺し、一人前になれば共に働けると信じて厳しい修練へ没頭していた。
葛乃葉家の次期当主として隙を見せず、他人へ厳格に接したため、付き人の金狐と銀狐を含めて誰にも心を許せない孤独な少女となっていた。
古屋晴久との出会い
祖母の葛乃葉菊乃は楓の生活を案じ、知人の神父が運営する養護施設へ同行させた。
そこで楓は古屋晴久と出会った。晴久は冷たく拒絶されても構わず遊びに誘い、喧嘩をしても翌日には謝り、楓が落ち込んだ時には話を聞いて励ました。遠慮なく接してくれる晴久との交流によって、楓は次第に彼へ恋心を抱いた。
二人きりの休日
成長した楓は祖母と関係なく施設へ通い、晴久を外へ連れ出して遊ぶようになった。
文鳥桜が二人の間へ入ることを疎ましく感じていた楓は、晴久との時間を独占しようとしていた。しかし晴久は桜も一緒に誘おうと提案し、楓は彼の分け隔てない優しさに不満を抱いた。
骨董品屋の呼び声
帰り道、晴久は小さな骨董品屋から自分を呼ぶ声を聞き、不自然に立ち止まった。
楓は低級の呪物と晴久の波長が合ったのだと考え、自分だけで除霊できると判断した。晴久に実力を見せれば退魔術を教える機会が増えるという期待もあり、結界を張って店内へ入った。
消えた両手の呪物
店内を調べた楓は、ミイラのように干からびた両手の置物を目にした。
一度目を離して振り返ると置物は消え、直後に晴久を守る結界が破壊された。店外へ戻った楓は、女の声や空腹を訴える声が聞こえ、楓の身体に光る点が見えると語る晴久を発見した。
通用しない除霊
楓は憑き物落としを何度も試みたが、晴久に取り憑いた存在を祓えなかった。
低級の呪物だと見誤っていたうえ、状況は悪化し続けた。自分の手には負えないと悟った楓は、菊乃と晴久の養父である神父を頼って施設へ戻った。
九つ目のパーツ
晴久を霊視した菊乃と神父は表情を一変させ、楓を施設から遠ざけた。
不安を抑えきれず忍び込んだ楓は、晴久に取り憑いたものが九つ目のサキュバス王の性遺物であり、正体不明の霊体まで付随していると知った。協会に知られれば晴久は幽閉され、最悪の場合は宿主ごと処分される可能性があった。
楓の懇願
自分の油断によって晴久を危険にさらしたと悟った楓は、菊乃たちの前で取り乱した。
楓は禁術の生贄になってもよいから晴久を助けてほしいと懇願した。その姿を見た神父は、呪いが進行しない限り晴久へ従来通りの生活を送らせる方針を決め、葛乃葉家上層部と神父だけで事実を隠蔽した。
冷たさに隠した罪悪感
菊乃は十二師天でも出し抜かれる呪物であり、楓に責任はないと諭した。
しかし楓は自責の念を捨てられず、晴久を好きになる資格も、彼から好意を向けられる資格もないと考えた。そのため自分の思いを抑え、晴久から嫌われるように以前より冷たく厳しく接した。
変化した状況
晴久の呪いは数年間進行せず、神父の死後に定期検診を引き継いだ楓の罪悪感も少しずつ薄れていた。
しかし晴久が宗谷美咲と出会ったことで、性遺物を巡る状況は再び大きく動き始めた。
槐誘拐の報せ
仕事先のホテルで過去の夢を見ていた楓は、緊急招集の警報で目を覚ました。
通知には、性遺物に取り憑かれた童戸槐が魔族にさらわれたと記されていた。槐が晴久の救った少女だと知る楓は、彼が必ず救出へ動き、隠されてきた性遺物の真実へ辿り着くと察した。
楓の妨害工作
楓は晴久を救出作戦へ参加させず、性遺物の真実から遠ざけるため、直ちに工作を始めた。
それは菊乃の意向に従う行動であると同時に、晴久を失うことを恐れる楓自身の身勝手な願いでもあった。楓はその事実に自己嫌悪を抱きながらも、彼を守るために行動を開始した。
第一章 童戸槐救出作戦
冥福連総本部への突入準備
協会を揺るがす誘拐事件
サキュバス王の性遺物を宿した童戸槐が魔族アンドロマリウスにさらわれた事件は、退魔師協会発足以来でも最大級の危機となった。
槐は自らの不幸能力を利用して性遺物を呼び寄せ、多くの犠牲を防ごうとしていた。しかし性遺物を宿した直後に大監獄から連れ去られ、その行方は分からなくなっていた。
手鞠への後悔
監査部部長のナギサは、童戸手鞠が鹿島霊子の捜索要請を断った際に厳しく非難したことを後悔していた。
手鞠は休暇を取っていたのではなく、槐を犠牲とする秘密の儀式を準備していたのである。槐を誰よりも気にかけていた手鞠の苦悩を知り、ナギサは彼女へ詫びなければならないと考えた。
総力を挙げた捜索
ナギサはアンドロマリウスが現世の協力者のもとへ潜伏していると推測し、捕らえた霊能犯罪者へ憑依霊視を繰り返した。
協会上層部も各地から上位の退魔師を強引に集め、槐の捜索を最優先した。その結果、他の現場では下位の退魔師が危険な時間稼ぎを強いられ、一部の案件は事実上放置されるほど戦力が逼迫した。
冥福連総本部
相馬家の精鋭と手鞠による捜索隊は、アンドロマリウスの潜伏先を冥福連の総本部と特定した。
冥福連は悪霊との対話や供養を唱える国内最大級の霊護団体であったが、一部の構成員は善意の支援を隠れ蓑に霊能犯罪者を援助していた。多くの一般構成員が事情を知らないため、協会は犯罪者だけを摘発できず、長年その暗躍を許していた。
投入可能な十二師天
冥福連総本部への突入には、多々羅刃鈴鹿、土御門晴親、童戸手鞠の三人の十二師天が参加可能であった。
いずれも一つの事件へ投入されるには破格の戦力だったが、ナギサは十分ではないと判断した。総本部には多数の霊能犯罪者に加え、アンドロマリウスや特級霊能犯罪者が潜んでいる可能性があり、さらに槐の不幸能力が手鞠の幸運さえ打ち消す恐れがあった。
仕組まれた潜伏先
ナギサは、手鞠と相馬家の捜索能力を考慮しても潜伏先の判明が早すぎると疑った。
アンドロマリウスが意図的に拠点を知らせ、協会の戦力を誘い込もうとしている可能性があった。しかし慎重に動けば槐の呪いが進行し、戦力を奪われた各地の現場も限界を迎えるため、ナギサは増援を集めて短期決戦を挑む必要があると考えた。
晴久たちの実習班
追加戦力として多々羅刃宗源が挙げたのは、緊急招集へ真っ先に応じた古屋晴久と宗谷美咲の実習班であった。
学生のチームを大規模作戦へ投入するのは異例だったが、彼らは霊級格6の怪異の除霊、鹿島霊子とアンドロマリウスの撃退、橋姫鏡巳の逮捕という実績を持っていた。ナギサは罠であるなら全力で踏み込み、彼らを戦力やアンドロマリウスを誘い出す囮として使う案を真剣に検討した。
冥福連総本部への突入
晴久たちの作戦参加
ナギサは、性遺物を巡る現場へ古屋晴久と宗谷美咲を投入する危険を承知しながらも、現状では彼らの戦力が必要だと判断した。
葛乃葉菊乃と宗谷真由美が強く反対しない限り、土御門晴親、多々羅刃鈴鹿、童戸手鞠と晴久たちの実習班を中心に、冥福連総本部への突入部隊を編成するよう命じた。
楓の抗議
葛乃葉楓は、晴久たちが突入部隊の主力に選ばれ、菊乃まで参加を許可したと知って激しく動揺した。
楓は晴久を童戸槐の捜索から遠ざけるために工作していたため、性遺物の真実を隠すよう命じた菊乃が方針を変えたことを理解できなかった。すぐに菊乃へ電話をかけ、晴久の参加を認めた理由を問いただした。
不足する十二師天
菊乃は、冥福連総本部に魔族と性遺物を宿した槐がいる以上、晴久たちほどの戦力を遊ばせておく余裕はないと説明した。
菊乃自身は沖縄近海へ押し寄せた幽霊船団への対応を国から命じられており、他の十二師天も日本各地の異変へ派遣されていた。宗谷家も連戦による消耗で参戦できるか不透明であり、晴久たちを外すことは困難であった。
菊乃の方針転換
菊乃は、晴久と美咲が既に一人前となり、支え合う仲間も得た以上、今後は性遺物の真実を知る必要があるかもしれないと告げた。
さらに晴久は楓を恨んでいないと諭し、彼が真実を知った際に支えられるよう備えることを命じた。楓は従うしかなかったが、晴久からさらに嫌われる恐怖を拭えず、槐の救出と真実が明かされるまでの猶予を祈った。
大規模な強制捜査
八月初旬の午後十時、冥福連総本部のある東京郊外では、退魔師約八百名と警察官約六百名による大規模作戦が展開された。
冥福連の本拠地は、神殿のような複数の巨大建築が渡り廊下で複雑につながる要塞めいた施設であった。晴久たちの実習班は、それまで捜索から外されていたにもかかわらず、突然第一突入部隊へ抜擢されていた。
槐への焦り
晴久は、アンドロマリウスの過去の行いから槐が無事である可能性を不安視し、今すぐ施設へ突入したい気持ちを抑えていた。
烏丸葵も槐を案じていたが、同時に犯罪者を拘束できる状況へ興奮しており、晴久と文鳥桜から厳しく叱られた。桜は大規模な対人作戦へ初参加する実習班の世話役として、いつも以上に周囲の目を警戒していた。
降臨の儀への疑問
美咲は、なぜ槐が性遺物に取り憑かれる事態になったのか疑問を口にした。
協会の説明では童戸家が性遺物降臨の儀を行い、その結果として槐が性遺物を宿したとされていた。しかし性遺物の危険性と魔族の存在を知る手鞠が、槐をそのような危険へさらすとは晴久たちには思えなかった。
手鞠とは離れた配置にされ、負傷した緑や情報屋の太刀川芽依とも連絡が取れないため、晴久たちは事情を知ることができず、強い疑念を抱えたまま突入の時を待っていた。
冥福連総本部への突入開始
土御門晴親の一喝
突入を待つ古屋晴久たちの前に、十二師天の長老格である土御門晴親が現れた。
晴親は即興の術式で宗谷美咲の淫魔眼を制限し、部隊の士気と連携を守った。さらに槐を案じる晴久へ、焦りや私怨は術と身体の動きを鈍らせるため、救出を望むなら任務へ集中するよう厳しく諭した。
桜の大師匠
文鳥桜は晴親を大師匠と呼び、彼が師匠であるナギサを育てた人物だと説明した。
晴親は桜の鍛錬を評価し、成長を喜んだ。純粋な術式運用技術では日本一とされる晴親の実力を知り、晴久はその場にいる戦力の大きさを実感した。
多々羅刃鈴鹿の激励
続いて、無数の日本刀を背負った十二師天、多々羅刃鈴鹿が姿を現した。
鈴鹿は妖刀作りに強い情熱を持つ職人気質の女性であり、晴久へ過度に気負わないよう助言した。親しげに接する鈴鹿へ美咲と桜が反発したことで、張り詰めていた晴久たちの緊張はわずかに和らいだ。
突入部隊の配置
ナギサはインカムを通じ、正面玄関を晴親、鈴鹿、美咲の実習班が担当し、他部隊も各出入り口から同時に侵入すると確認した。
手鞠を中心とする裏口部隊には、幸運能力による戦場全体の支援と敵の逃走阻止が任された。ナギサは冥福連を魔族と結託して少女をさらった犯罪者集団と断じ、人質を最優先で救出するよう命じた。
冥福連の先制攻撃
ナギサが突撃を命じようとした瞬間、冥福連総本部から膨大な呪力が噴き出した。
建物の窓から爆発性の護符が放たれ、内部から霊級格3相当の呪詛精霊と無数の悪霊が現れた。待ち構えていた冥福連側の先制攻撃に対し、退魔師たちは即座に迎撃態勢へ移った。
鈴鹿の二振り
晴親と鈴鹿は、冥福連に投降の意思がないと判断して即座に動いた。
鈴鹿が二振りの日本刀を振るうと、炎と雷の広範囲攻撃が空を覆った。押し寄せていた悪霊の大軍は、その一撃によって瞬く間に焼き払われた。
冥福連総本部の罠
十二師天の制圧
多々羅刃鈴鹿は大量の霊力を消費する妖刀を何度も振るい、押し寄せる悪霊を次々と撃破した。
土御門晴親も広大な呪詛返しを展開し、呪詛精霊と護符の弾幕を建物内部へ正確に跳ね返した。さらに童戸手鞠の幸運によって施設の一棟が崩壊し、退魔師たちは弱まった敵陣へ一斉に突入した。
ミホトとの突撃
古屋晴久たちも十二師天に続き、冥福連総本部へ踏み込んだ。
晴久は童戸槐を一刻も早く救うため、周囲の目を気にせずミホトを顕現させた。敵対する者を絶頂除霊で排除すると決め、宗谷美咲、文鳥桜、烏丸葵とともに長い戦いへ身を投じた。
隠し部屋のアンドロマリウス
冥福連総本部の奥深くでは、アンドロマリウスが戦闘音を楽しみながら紅茶を飲んでいた。
向かいにはラブドールへ魂を移した鹿島霊子がおり、予想以上に速い退魔師たちの侵攻へ不安を抱いていた。アンドロマリウスは、冥福連の構成員を人柱とした霊的迷路があるため、十二師天でも簡単には到達できないと説明した。
捨て駒となった冥福連
アンドロマリウスは冥福連の呪術師たちへ、退魔師協会こそ悪霊を苦しめる敵だという正義を植え付けていた。
しかし彼女の目的は呪術師たちに勝たせることではなかった。自らを正しいと信じる者たちが敗北し、憎悪や悔しさ、屈辱を放出することで、周辺一帯を濃密な負の感情で満たそうとしていたのである。
捕らわれた槐
隣室の特殊結界には、不幸能力を中和された槐が拘束されていた。
槐は連れ去られた当初こそ激しく泣いていたが、アンドロマリウスによって意識を奪われ、涙の跡を残したまま動かなくなっていた。アンドロマリウスは性遺物を宿す槐を傷つけすぎないよう警告されていたため、それ以上苦しめることを控えていた。
魔界への門
アンドロマリウスは槐と鹿島霊子を連れて逃げるため、魔界へ通じる大規模な転移術を開始した。
古屋晴久との戦いで力を消耗した彼女には、本来なら複数人を運ぶ門を開く余力がなかった。そのため冥福連の呪術師たちが敗北して生み出す負の感情を触媒とし、術式の負担を軽減しようとしていた。
協会を利用した逃走計画
アンドロマリウスが意図的に潜伏先を発見させたのは、退魔師協会に冥福連を攻撃させるためであった。
協会による制圧そのものが魔界への門を完成させる力となり、槐を連れ去る逃走手段へ変えられていた。人間を出し抜いたと確信するアンドロマリウスの傍らで、鹿島霊子は魔界へ渡れば自分の身体を取り戻せると期待していた。
性遺物の進行
アンドロマリウスの後遺症
アンドロマリウスは鹿島霊子と童戸槐を魔界へ連れ帰り、鹿島を再び受肉させる計画を進めていた。
冥福連を失っても鹿島と呪殺法師が残るため、アンドロマリウスにとって損失は小さかった。しかし魔界への門を完成させようとした瞬間、古屋晴久の絶頂除霊による後遺症が悪化し、術式へ集中できなくなった。
中断された転移術
アンドロマリウスは不調を抑えるため、その場を鹿島に任せて隠し部屋から退出した。
鹿島は悪霊や怪異霊を呼び出して周囲の防衛を固めたが、その直後、槐を閉じ込めていた結界が内側から軋み始めた。
槐の絶望
槐はアンドロマリウスにさらわれて以来、自分がもっと早く死ななかったことを責め続けていた。
槐は周囲を不幸にする自分を利用されれば、多くの犠牲が出ると考え、アンドロマリウスへ殺してほしいと懇願した。しかしアンドロマリウスはその力を徹底的に利用すると告げ、古屋晴久の暮らす国を破壊するために使うと宣言した。
断たれた意識
槐は予言された大災害を恐れて激しく抵抗したが、拘束を破ることはできなかった。
アンドロマリウスは槐の精神状態が性遺物へ悪影響を及ぼすことを警戒し、意識を強制的に奪った。その後、退魔師協会を冥福連へ誘い込む準備へ戻った。
消えない自責
意識を失っても、槐の自責の念は無意識の中で膨らみ続けた。
幼い頃に両親や周囲を事故へ巻き込み、橋姫鏡巳の事件でも多くの者を傷つけた記憶が槐を苛んだ。さらに自分が生き延びようとしたため、現在も多くの者が危険にさらされていると思い込み、自らの存在そのものを否定した。
角に集まる負の感情
槐の尽きない負の感情は、頭に宿ったサキュバスの角へ吸収され始めた。
角は怪異の核のように自責や絶望を糧として成長し、槐の内面を侵食した。槐は異変を拒絶したが、その嫌悪や恐怖さえ力へ変えられ、性遺物の進行を止められなかった。
槐の変貌
サキュバスの角は槐の本能や価値観を書き換え、身体と衣服を人間を超えた存在へ変化させた。
槐は理性を失い、異様な笑い声を響かせる怪物へと変貌した。大災害を防ごうとした槐の自責が、皮肉にも性遺物を急速に成長させたのである。
アンドロマリウスの誤算
アンドロマリウスは、槐を奪われた童戸手鞠の怒りによって幸運能力が強まることを見誤っていた。
さらに、意識を奪っても性遺物を進行させるほど深い槐の負の感情も軽視していた。人間の苦しみを弄んできたアンドロマリウスは、その感情が持つ力を理解できていなかった。
性遺物の覚醒と迎撃部隊
槐の結界破壊
童戸槐を拘束していた強力な結界が突然内側から破壊され、変貌した槐が立ち上がった。
褐色の肌と白い髪、人外の瞳を持つ槐の姿に、鹿島霊子は圧倒的な捕食者を前にしたような恐怖を覚えた。
悪霊軍団の消滅
鹿島は槐を抑えるため、大量の悪霊と三体の怪異霊を召喚した。
しかし槐は悪霊の群れを容易く吹き飛ばし、怪異霊までも遠距離から一斉に無力化した。悪霊たちは強烈な快感によって怨嗟を失ったように消滅し、鹿島は槐が想定を遥かに超える怪物へ変わったと悟った。
サオリさんの抵抗
鹿島は残る悪霊を盾に逃走を試みたが、憑依していたラブドールの動きが突然鈍った。
ラブドールには、元の持ち主である小林たちのもとへ帰りたいと願う魂が芽生えていた。その意志が鹿島へ抵抗したことで逃走が遅れ、槐に追いつかれた鹿島の魂は肉体から強制的に追い出された。
鹿島霊子の異常
大監獄で延命されていた鹿島の肉体へ魂が戻ったが、彼女は止まらない快感に襲われて激しく痙攣し続けた。
薬や術式による鎮静も通用せず、報告を受けたナギサは鹿島を倒した存在が進行した性遺物であると察した。想定より早い覚醒に危機感を強め、全突入部隊へ警戒を呼びかけた。
冥福連内部の制圧
土御門晴親と多々羅刃鈴鹿を中心とする突入部隊は、冥福連総本部を急速に制圧していった。
現れた呪術師たちは次々と倒され、後続部隊によって拘束と霊力封じを施された。途中で童戸手鞠の幸運が槐の不幸によって打ち消されたが、既に優勢だった部隊への影響は小さかった。
広大なホールの迎撃部隊
一行は長い通路を抜け、講演や集会に使われる広大なホールへ到達した。
そこには、それまでの敵とは明らかに格の違う女呪術師を中心とした部隊が待ち構えていた。彼女たちは協会への激しい敵意を露わにし、突入部隊の進行を阻もうとした。
十二師天の進撃と謎の銃撃
晴親の絶対領域破壊
冥福連の女呪術師は、橋姫鏡巳に匹敵する絶対領域を展開し、ホールと通路を歪めて突入部隊の進路を塞いだ。
しかし土御門晴親は杖を床へ打ち付けただけで領域を消滅させ、術者を未熟と評した。これまで絶対領域の攻略に苦戦してきた文鳥桜たちは、その圧倒的な術式運用に言葉を失った。
二体の怪異霊
追い詰められた女呪術師のもとへ、鹿島霊子が操っていた霊級格4相当の怪異霊二体が現れた。
晴親は護符と術式で怪異霊の動きを封じ、多々羅刃鈴鹿が妖刀八岐大蛇を振るって一刀から八つの斬撃を放った。二体は瞬時に切り刻まれ、再生を試みた肉片も晴親の結界と霊力によって封じ込められた。
晴久の絶頂除霊
怪異霊を完全に滅することは難しかったため、晴親は古屋晴久へとどめを任せた。
晴久は肉片に残った快楽媚孔を見つけ、絶頂除霊によって二体を消滅させた。十二師天との連携により、通常なら除霊困難な怪異霊は短時間で排除された。
呪術師たちの敗走
怪異霊まで瞬殺されたことで、女呪術師たちは戦意を失って撤退を始めた。
そこへ烏丸葵と後続部隊が到着し、逃げる呪術師たちを次々と拘束した。鈴鹿は戦闘後も妖刀の改良点を記録し、晴親は速度を優先して前線に立ったと説明して、晴久たちへ力を温存するよう命じた。
順調すぎる進撃
晴久は、晴親と鈴鹿の圧倒的な強さを見て、学生チームまで加えても戦力不足とされた理由に疑問を抱いた。
鹿島霊子やアンドロマリウスが待ち構えていても敗北するとは思えず、槐を確実に救出できると期待した。しかし順調な時ほど危険だと自戒し、油断しないよう気を引き締めた。
四方からの包囲
次の瞬間、絶対領域が破られた場合に備えていた大量の呪術師が四方の通路から流れ込んだ。
敵はその場で呪的陣地を構築し、突入部隊を包囲して一斉攻撃を始めた。晴親の激励を受け、晴久たちは乱戦へ備えて戦闘態勢に入った。
ミホトの異変
晴久が快楽点ブーストを発動すると、敵の出現を喜んでいたミホトが突然遠方を凝視した。
ミホトは何者かの気配が近づいていると察し、これまでにないほど強い警戒を示した。直後、通路の奥から怒号や悲鳴、呪術の炸裂音とともに異様な声が迫ってきた。
敵味方を襲う弾幕
ナギサはインカムを通じて危険を警告しようとしたが、その言葉が届く前に無数の弾丸がホールへ撃ち込まれた。
弾幕は退魔師と呪術師を区別せず飲み込み、壁や柱まで破壊した。乱戦状態だった戦線は、正体不明の襲撃によって一瞬で崩壊した。
サキュバスの角の猛威
終わらない霊障
童戸槐の角から放たれた弾丸を受けた者たちは、直後には痛みを感じなかった。
しかし弾丸が消えると百人近い者が一斉に倒れ、終わりのない強烈な快感に苦しみ始めた。土御門晴親と多々羅刃鈴鹿が治癒や解呪を施しても効果はなく、十二師天でも対処できない異常な霊障に現場は混乱した。
槐の急襲
晴親が全部隊へ防御を命じた直後、変貌した槐が異常な速度でホールへ突入した。
槐は迎撃しようとした晴親と鈴鹿を一撃で殴り飛ばし、二人を瓦礫の中へ沈めた。その姿は褐色の肌と白い髪、金色の瞳と一対の角を備え、ミホトを思わせる人外のものとなっていた。
角からの弾幕
古屋晴久が呼びかけても槐は反応せず、角から無数の破片を撃ち出した。
弾丸は並の結界を貫通し、退魔師と呪術師を無差別に襲った。宗谷美咲たちは式神を盾にして被弾を免れたが、式神も激しく痙攣し、行動を阻害された。
感度三千倍
晴久は槐を止めるためミホトへ協力を求めたが、ミホトは槐を見た途端に激しく怯え、頭を抱えて絶叫した。
その異常が晴久にも伝わり、激しい頭痛と目眩、断片的な情報が流れ込んだ。その中で晴久は、槐に宿った性遺物が特殊感覚器官サキュバスの角であり、その能力が感度三千倍であると知った。
晴久への襲撃
槐はミホトを脅威と認識したように晴久へ突進した。
晴久は快楽点ブーストを使って回避を試みたが、頭痛と目眩のため避けきれず、かすっただけで激しく吹き飛ばされた。槐は動けなくなった晴久へさらに迫った。
桜の防御
文鳥桜は晴久を守るため飛び出し、何重もの結界を展開した。
しかし槐は結界を容易く破壊し、桜を殴り飛ばした。桜は美咲の式神を突き抜け、烏丸葵を巻き込んで壁へ激突し、晴久たちは一瞬で追い詰められた。
槐の処分と感度三千倍の脅威
晴久を襲う死の危機
文鳥桜と烏丸葵が意識を失い、宗谷美咲の式神も童戸槐に次々と破壊された。
古屋晴久は激しい頭痛と目眩で動けず、槐に頭を踏み潰されかけた。周囲の退魔師も混乱しており、晴久を救える者はいなかった。
理性を取り戻した槐
槐は突然苦しみ始め、金色の瞳に理性を取り戻した。
槐は怪物化へ抵抗しながら、今のうちに自分を殺してほしいと涙ながらに懇願した。晴久は助けを求めるのではなく死を望む槐の言葉に衝撃を受け、動きを止めた。
鈴鹿の必殺剣
瓦礫から復帰した多々羅刃鈴鹿は、妖刀八岐大蛇を手に槐の背後へ迫った。
鈴鹿が放とうとした八つの斬撃はすべて槐の首を狙っており、明確に命を奪うための攻撃であった。晴久が警告したことで、再び理性を失った槐は寸前で斬撃を回避した。
十二師天の殺意
晴久が鈴鹿を非難すると、鈴鹿は余計なことをしたと激怒した。
復帰した土御門晴親も破魔札で槐を攻撃し、彼女の衣服まで性遺物に侵食されていることから、進行が想定以上に深刻だと判断した。二人は容赦の必要はないと結論づけ、槐を倒すための激しい戦闘を開始した。
救出作戦への疑念
晴久は、槐を救うはずの十二師天が明確な殺意を向けていることに混乱した。
性遺物を無力化する方法が殺害か封印しかないという情報を思い出し、救出作戦の真意に疑念を抱いた。動けない身体を引きずって槐へ近づこうとしたが、ミホトに止められた。
救護所の被害者
ミホトが示した先では、感度三千倍の弾丸を受けた者たちが救護所へ運ばれていた。
晴親の術式や多々羅刃家の解除札、白丘尼家の回復薬も効果を示さず、被害者たちは長時間にわたって激しい霊障に苦しみ続けていた。
快楽媚孔による緩和
ミホトは晴久へ、被害者たちの快楽媚孔を一刻も早く突くよう求めた。
感度三千倍は絶頂除霊ほど瞬間的に強くない一方、効果が終わらずに続く性質を持っていた。放置すれば神経が耐えられず、被害者が廃人化する危険があった。
サキュバスの角を無力化できない以上、晴久の絶頂除霊によって感度三千倍の作用を一時的に緩和することが、現時点で可能な唯一の対処法であった。
槐の逃走とミホトの記憶
被害者への絶頂除霊
ミホトは、感度三千倍を一時的に緩和できる手段は絶頂除霊後の賢者モードだけだと説明した。
さらに、童戸槐は被弾者が絶頂するたびに性エネルギーを吸収しており、放置すればさらに強大になると警告した。古屋晴久は宗谷美咲の式神に救護所へ運ばれると、被害者の快楽媚孔を突くことを決意した。
霊障の一時緩和
晴久が男性退魔師へ絶頂除霊を施すと、止まらなかった痙攣と霊障が一時的に収まった。
治療班はその間に被害者を安全な場所へ移送し、脱水や体力消耗への処置を始めた。晴久は宗谷の式神に運ばれながら次々と被害者へ絶頂除霊を施し、槐へのエネルギー供給を妨害した。
晴久への敵意
被害者から得られるエネルギーを奪われた槐は、晴久を獲物を横取りする敵と認識したように睨みつけた。
土御門晴親と多々羅刃鈴鹿が槐を食い止めていたため、晴久は治療を続けられた。絶頂除霊を重ねるにつれて頭痛もわずかに軽減し、晴久は戦線へ戻れる可能性を感じた。
ホールの崩落
動きを阻まれた槐は激昂し、全力で床を踏みつけた。
その一撃によってホール全体が崩壊し、救護所にいた者たちは瓦礫とともに落下した。晴親と鈴鹿は仲間の救助より槐の阻止を優先したが、槐は感度三千倍弾を放って包囲を突破した。
夜空への逃走
槐は晴親たちの術を先読みするように回避し、建物の壁を破壊して夜空へ飛び出した。
晴久たちは瓦礫に阻まれ、頭痛と目眩に苦しむ晴久も追跡できなかった。晴親は追撃部隊の編成、手鞠への連絡、周辺住民の避難などを即座に命じたが、槐は既に市街地へ向かっていた。
晴久の憤り
晴久は、槐が街へ放たれれば感度三千倍によって多数の被害者を生み、その力を吸収してさらに強くなると想像した。
助けを求めるのではなく殺してほしいと願った槐の姿を思い出し、自分が何もできなかったことへ怒りを募らせた。宗谷に止められても、槐の暴走や十二師天の殺意、ミホトとの異常な共鳴が起きた理由を理解できなかった。
性遺物の真実
晴久たちは間もなく、槐の身に起きた変化と、晴親や鈴鹿が彼女を殺そうとした理由を知ることになる。
それはサキュバス王の性遺物が世界中で恐れられる、本当の理由に関わるものであった。
蘇るミホトの責務
槐と共鳴して強い頭痛に襲われたミホトは、失われていた記憶の一部を取り戻した。
具体的な内容はまだ欠けていたが、自分には果たさなければならない重大な使命があったと思い出した。ミホトは不安げな晴久を見つめながら、力尽きるように彼の両腕へ戻っていった。
第二章 淫魔討伐作戦
市街地に広がる感度三千倍
本能に支配された槐
童戸槐はサキュバスの角に本能を支配され、目に入る人々へ無差別に角の破片を撃ち込んでいた。
被弾者が苦しむたびに強い快感を得た槐は、自分が人々を幸せにしているという倒錯した喜びに満たされていた。しかし理性を失ってなお涙は流れ続け、心の奥には消えない苦しみが残っていた。
市街地の大混乱
冥福連総本部から約三十キロ離れた街では、霊級格7の接近を受けて大規模な避難が始まっていた。
警察や消防、退魔師が住民を誘導していたが、槐の不幸能力によって車両事故や将棋倒しが連続し、避難経路は瞬く間に崩壊した。
降り注ぐ呪弾
槐は混乱する群衆の前へ現れ、退魔師たちが張った結界を破壊して感度三千倍弾を放った。
被弾した人々は終わりのない霊障に苦しみ、現場は救助も防御も困難な状態に陥った。槐は逃げ残った者まで狙い、さらに弾幕を浴びせようとした。
式神千鬼夜行
その直前、宗谷真由美が遠方から千体を超える式神を送り込んだ。
式神たちは感度三千倍弾を受け止め、負傷者の搬送や事故車両からの救出、避難経路の確保を同時に進めた。現場の退魔師たちは、式神の宗谷当主である真由美の圧倒的な制御力によって立て直された。
式神による防御
感度三千倍弾は生身の人間や霊体には甚大な効果を及ぼしたが、もともと感覚をほとんど持たない式神には効きにくかった。
そのため真由美は、霊力が続く限り式神を盾として住民を守ることができた。しかし槐の攻撃と避難支援を同時に担う必要があり、長く持ちこたえられる状況ではなかった。
手鞠の動揺
真由美とともに槐を追っていた童戸手鞠は、変わり果てた槐へ何度も呼びかけ、激しく動揺していた。
手鞠の精神状態が崩れれば、槐の不幸能力を中和できなくなる恐れがあった。真由美は感情を押し殺し、土御門晴親たちが迎撃態勢を整えるまで槐を抑えるため、手鞠へ気持ちを立て直すよう強く促した。
霊級格7討伐の真相
消耗する式神千鬼夜行
感度三千倍弾を受けた式神は操作性が低下し、やがて姿を維持できなくなった。
宗谷真由美は連日の激務で消耗しながらも、遠方から式神千鬼夜行を操り続けた。夫の協力で霊力を補充し、童戸槐の足止めと避難民の保護を同時に続けていた。
拡大する霊災被害
夜が明ける頃には槐による被害者が数千人規模に達し、二人の十二師天が足止めしても被害は拡大していた。
各地の病院や避難施設には感度三千倍弾を受けた人々があふれた。薬や治療術では症状を抑えられず、脱水や体力消耗によって死者が出る危険が迫っていた。
病院での応急処置
古屋晴久は宗谷美咲と烏丸葵とともに各地の治療施設を巡り、被害者へ絶頂除霊を施した。
絶頂除霊によって症状が一時的に収まると、医療関係者は点滴や水分補給を行えるようになった。美咲は式神で医療物資を運び、烏丸も看護師たちを手伝って患者の処置を進めた。
終わらない救命作業
絶頂除霊の緩和効果は数時間しか続かず、新たな被害者も増え続けていた。
晴久たちは同じ施設を何度も巡回し、夜を徹して応急処置を繰り返した。晴久は文鳥桜の見舞いやミホトへの問いかけもできず、槐を追えないことへの焦りを募らせた。
南雲と小日向との再会
被害者の増加が一時的に落ち着いた病院で、晴久たちは南雲睦美と小日向静香に出会った。
二人は講習施設が避難区域に入ったため、その病院へ避難していた。晴久の様子を心配したが、晴久は事情を説明する余裕がなく、入院中の桜を見守ってほしいと頼んで病院を飛び出した。
討伐指令
協会からの新たな招集には、逃走中の霊級格7を討伐するよう明記されていた。
晴久は、槐の救出ではなく殺害が正式な任務となったことに強い怒りを抱いた。美咲と烏丸も休息を取らず、晴久とともに霊級格対策本部へ向かった。
対策本部への強行突破
対策本部では、学生である晴久たちの立ち入りが拒まれた。
晴久たちは美咲の淫魔眼による情報暴露を盾に通行を迫ったが、退魔師たちも譲らなかった。衝突寸前になったところで土御門晴親が現れ、淫魔眼を再び封じて騒ぎを鎮めた。
晴親の拒絶
晴久は討伐指令を示し、槐は被害者であり救うべきだと訴えた。
しかし晴親は、晴久には指令を送らないよう命じていたと明かし、任務へ私情を持ち込む未熟者は被害者の救済に専念しろと突き放した。槐を既に人間ではなく討滅すべき霊級格として扱い、討伐方針は覆らないと断言した。
作戦本部での対立
晴久は説明を拒む晴親へ激昂し、快楽媚孔を突いて地面を揺らし、力ずくでも話を聞かせようとした。
精鋭退魔師たちとの衝突が避けられなくなったところで、晴親は討伐の理由を知りたければ世話役へ尋ねろと告げた。
葛乃葉楓との対面
晴久が振り返ると、そこには葛乃葉楓が立っていた。
楓は酷く思い詰めた表情で晴久を見つめており、長く隠されてきたサキュバス王の性遺物の真実を伝える役目を担おうとしていた。
サキュバス王の性遺物の真実
休憩室での対話
葛乃葉楓は作戦本部で暴れかけた古屋晴久たちを病院の休憩室へ連れ出した。
晴久は童戸槐が討伐対象になったことを受け入れられず、救うべきだと訴え続けた。楓は、このままでは晴久が討伐作戦を妨害し、自身まで処分されかねないと判断し、長く伏せてきた真実を伝える覚悟を決めた。
淫魔化という末路
楓は、現在の槐の姿こそがサキュバス王の性遺物に取り憑かれた者の本来の末路だと明かした。
宿主は負の感情によって呪いを進行させ、通常は二、三週間ほどで正気を失った。やがて周囲から性エネルギーを奪いながら暴れる淫魔へ変貌するため、性遺物は世界中で危険視されていた。
特別な晴久と美咲
晴久は、自分と宗谷美咲が何年も性遺物を宿したまま生活していることを挙げ、楓の説明へ反論した。
しかし楓は、長期間にわたって進行していない二人のほうが異常なのだと告げた。進行した宿主は霊級格7に達し、十二師天でも単独では対処できず、過去には対応の遅れによってヨーロッパの都市が壊滅した例まであった。
隠されていた脅威
性遺物は都市を壊滅させ得る制御不能の災害であり、その情報は一部の上層部だけに共有されていた。
晴久と美咲にも、真実を知った精神的動揺によって呪いが進行することを防ぐため、詳細が伏せられていた。監視や隔離、処分の検討といった過剰に見えた対応も、この危険性を前提としたものだった。
成功例のない除霊
楓は、性遺物が宿主の魂と完全に一体化するため、千年以上にわたり除霊に成功した例がないと説明した。
対処法は憑依前に封印するか、淫魔化した宿主ごと殺すしかなかった。晴久は封印による救命を考えたが、霊級格7の存在を捕縛すること自体が困難であり、淫魔化した宿主の命も一週間ほどしか保たなかった。
討伐という結論
淫魔化によって魂と身体を無理やり変えられた宿主は、短期間で命を失った。
宿主の死後には性遺物も消滅し、封印の中へ残らないため、延命を試みるほど周囲の危険が増すだけであった。そのため協会は、被害の拡大と感度三千倍の霊障を止めるため、淫魔化した者を速やかに討伐する方針を取っていた。
槐の志願
晴久は、なぜ槐が危険な降臨の儀へ選ばれたのかを問い詰めた。
楓は、槐が相馬家の予言を知り、自分の命で多数の犠牲を防げるならと自ら志願したと明かした。槐は周囲へ不幸をもたらしてきたことを償うつもりで、初めから死を覚悟していたのである。
果たせなかった約束
晴久は、槐と再び一緒に退魔師をすると約束したことを思い出し、言葉を失った。
楓は、その言葉をもらえたことは槐にとって救いだったはずだと告げた。しかし討伐を妨げて犠牲者を増やせば、槐が命を差し出してまで守ろうとした願いまで無駄になると諭した。
楓は晴久へ、討伐作戦には関わらず、感度三千倍の被害者を救うことに専念するよう命じ、背を向けた。
絶頂除霊に託された希望
楓と烏丸の離脱
葛乃葉楓は、捕縛術が有効だとして烏丸葵を討伐部隊へ連れていった。
休憩室には古屋晴久と宗谷美咲だけが残され、二人は童戸槐を救えないという現実と、自分たちもいずれ淫魔化する可能性に打ちのめされた。
途絶えた打開策
晴久と美咲は槐を助ける方法を考え続けたが、疲労した状態では何も思いつかなかった。
短い仮眠を取っても状況は変わらず、二人は絶頂除霊による被害者の応急処置を再開しようとした。美咲は本当に槐を助けられないのかと呟いたが、晴久にも答えはなかった。
ミホトの訴え
そのとき、ミホトが封印された両腕から強引に顕現し、槐を救うことは可能だと叫んだ。
ミホトは、槐へ絶頂除霊を施してサキュバスの角を奪えばよいと主張した。さらに、性遺物は本当は除霊不可能ではないと断言した。
晴久の疑念
晴久は、これまで沈黙していたミホトが突然都合のよい話を始めたことを疑った。
ミホトは、感度三千倍の被害者から性エネルギーを得たことで記憶の一部が戻ったものの、自分でも情報を整理できず、話す機会を逃していたと説明した。
失われた記憶
晴久がミホトの正体や根拠を問い詰めても、ミホト自身には明確な記憶がなかった。
ただし、絶頂除霊によって槐からサキュバスの角を奪えることと、それを実行しなければならないという強い焦燥感だけは残っていた。ミホトは理由を説明できないまま、晴久へ槐を止めてほしいと必死に頼んだ。
ミホトへの信頼
晴久は、ミホトが過去に問題を起こしてきたため、無条件には信用できないと考えた。
しかし槐を放置すれば多くの人間から性エネルギーを得られるにもかかわらず、ミホトはそれを止めようとしていた。被害者を救うよう訴えた態度も含め、晴久はその言葉を完全な嘘とは思えなかった。
可能性への賭け
美咲は、槐を助けられる可能性が残っているなら信じたいと晴久へ問いかけた。
晴久は確信できないと答えながらも、絶頂除霊がこれまで十二師天でも対処できなかった怪異や霊障を止めてきたことから、賭ける価値はあると判断した。
作戦本部への再陳情
美咲は、討伐前に槐へ絶頂除霊を試す許可を求めるため、再び作戦本部へ向かうことを決めた。
晴久は被害者への応急処置を続ける必要があり、直前に作戦本部と衝突したこともあって交渉から外れた。美咲は治療施設の巡回順を引き継ぎ、ミホトを再封印して単独で陳情へ向かった。
討伐作戦への叛逆
陳情の失敗
古屋晴久は感度三千倍の被害者へ絶頂除霊を施しながら、宗谷美咲による作戦本部への陳情が成功することを祈った。
美咲は宗谷家の後継者として正式な作戦会議へ参加し、ミホトが示した性遺物の除去方法を伝えた。しかし土御門晴親たちは、得体の知れない霊体の情報を信用できず、槐を救いたい晴久たちが討伐作戦を乱す危険もあるとして提案を退けた。
証明できない解呪法
多々羅刃鈴鹿は、絶頂除霊で性遺物を除去できるなら、美咲の淫魔眼を先に取り除いて証明するよう求めた。
しかし美咲には快楽媚孔が存在せず、晴久から強い快感を受ければ霊力過多で命に関わるため、実証は不可能だった。晴久は協会側の疑念が正当であることを認めざるを得ず、説得する手段を失った。
討伐結界の出現
夕暮れの街に、槐を追い込むための巨大な結界が展開された。
作戦本部は三人の十二師天で槐を討伐する準備を整えており、残された時間はほとんどなかった。晴久は、説得を続けるのではなく、槐が殺される前に自ら快楽媚孔を突くしかないと考えた。
ミホトへの最終確認
晴久は、作戦を妨害すれば自身も処分されると理解したうえで、それでも槐を救えるのかとミホトへ問いかけた。
ミホトは迷わず肯定した。晴久は、都市を壊滅させる霊級格を絶頂させようとした者など過去にはいなかったはずだと考え、誰も試していない方法に命を懸ける覚悟を決めた。
単独行動の看破
晴久はミホトの機動力を利用し、討伐部隊より先に槐へ接近して絶頂除霊を施そうと考えた。
しかし美咲は、晴久が過去にも一人で危険へ飛び込んだ時と同じ様子だと見抜いた。晴久が一人で作戦本部を敵に回そうとしていると指摘し、勝手な行動を許さないと告げた。
美咲の決意
晴久は、これから行うことが霊能犯罪に等しいとして美咲を巻き込まないようにした。
それでも美咲は、槐が自分と同じように他者から受け入れられずに生きてきたことを理由に、見捨てることはできないと答えた。さらにミホトの封印解除と制御には自分の力が必要であり、晴久の単独作戦は最初から成立しないと指摘した。
二人の共犯
美咲は、性遺物を除霊できる可能性がある以上、自分も何もしないまま諦めるつもりはないと宣言した。
晴久は美咲を巻き込むことへの迷いを捨て、共に槐を救う決意を固めた。二人は討伐部隊より先に絶頂除霊を試すため、協会の命令に背く共犯者となった。
第三章 叛逆のテクノブレイカー
童戸槐討伐作戦
霊級格7の封鎖
霊級格7の発生から一日後、退魔師協会は街の複数区画を覆う巨大な特殊結界を完成させた。
結界は童戸家の長老たちと四百名の精鋭退魔師によって維持され、童戸槐の不幸能力を緩和しながら、彼女の脱出だけを強く拒む構造となっていた。土御門晴親は槐の速度や攻撃力を考慮し、強度と戦闘空間を両立できる規模へ細かく調整していた。
槐の誘導成功
宗谷真由美は槐を結界内へ誘導すると、囮の式神を残して戦線を離脱した。
槐は式神や用意された家畜へ感度三千倍弾を放ち、すぐには結界の破壊へ動かなかった。童戸手鞠も不幸能力の中和を完遂し、結界維持の交代要員まで到着したことで、長期戦にも対応できる態勢が整った。
皇樹夏樹の到着
晴親と多々羅刃鈴鹿が出撃準備を整えたところへ、三人目の十二師天である皇樹夏樹が到着した。
夏樹は別の霊災対応を終えて十分な霊力を保っており、討伐作戦へ加わった。広場には晴親が選んだ精鋭退魔師と宗谷家の式神使いたちが集まり、感度三千倍弾への防御や支援の準備を進めていた。
討伐作戦の開始
晴親は、霊級格7を相手に失敗は許されないと部隊へ告げた。
宗谷真由美、童戸手鞠、多々羅刃鈴鹿、皇樹夏樹、土御門晴親という五人の十二師天が関わる大規模作戦として、童戸槐討伐作戦が開始された。
短縮した緩和効果
作戦開始を察知した宗谷美咲は、病院で応急処置を続ける古屋晴久へ急ぐよう告げた。
晴久たちは、討伐開始時に動けるよう感度三千倍の被害者へ早めに絶頂除霊を重ねていた。しかし古い被害者を中心に緩和効果の持続時間が短くなり、予定していた猶予が失われていた。
美咲の先行
美咲は、このままでは槐のもとへ間に合わないと判断し、自分が先に討伐部隊を妨害すると申し出た。
彼女は宗谷家から持ち出した霊級格7相当の切り札を使い、晴久が被害者への処置を終えるまで時間を稼ぐつもりであった。
美咲の霊力補充
三人の十二師天を相手にするため、美咲は晴久から普段以上の霊力を補充する覚悟を決めた。
強い羞恥を抱えながらも、槐を救うために全力を出す必要があると訴え、晴久へ協力を求めた。その直後、美咲の身体から膨大な霊力があふれ出した。
結界上空の侵入者
討伐作戦開始後、巨大結界の上空へ未知の強大な霊力が急接近した。
その気配が美咲のものだと察した手鞠は、槐を救おうとしている可能性に動揺した。援軍を送れば結界防衛が弱まることを理由に、対応を現場へ任せて静観を選んだ。
楓の追跡
同じ気配を察知した葛乃葉楓は、晴久が同行していないことを確認すると、身代わりを残して持ち場を離れた。
楓は晴親が自分を本隊へ加えなかった理由を理解しつつ、美咲の目的を確かめるため、獣の尾を駆使して夜の街を追跡した。
討伐戦への乱入
無人の繁華街
童戸槐を封じ込めた繁華街は住民の避難によって無人となり、感度三千倍弾を受けた大量の家畜だけが倒れていた。
街全体は童戸家と四百名の退魔師が維持する巨大結界に覆われ、土御門晴親たちの討伐部隊は中心部へ向かって特殊霊装車を走らせた。
討伐陣形
槐が自ら近づいていると察した晴親は車列を止め、その場に陣を構えた。
皇樹夏樹は上空で待機し、晴親は多重結界と拘束術を準備した。多々羅刃鈴鹿は複数の妖刀と増設腕を装備し、サポート部隊や宗谷家の式神も感度三千倍弾への防御を固めた。
強大化した槐
槐は自律式神の残骸をまとったまま現れ、晴親や鈴鹿さえ獲物と見なして襲いかかった。
数千人から性エネルギーを吸収した槐の霊圧と身体能力は、冥福連総本部で遭遇した時を遥かに上回っていた。
鈴鹿と晴親の連携
槐が感度三千倍弾を放ちながら突進すると、鈴鹿は防壁型妖刀羅生門で弾幕を防いだ。
晴親は広範囲拘束術で槐の動きを鈍らせ、鈴鹿は八岐大蛇による無数の斬撃と大獄丸の炎雷を浴びせた。しかし槐は攻撃の軌道を事前に察知するように回避し、拘束術さえ力ずくで破った。
決定打のない攻防
槐は至近距離から弾丸を乱射しながら鈴鹿へ殴りかかったが、晴親が仕込んだ護符と鈴鹿の霊具が攻撃を阻んだ。
鈴鹿も斬撃で晴親への接近を妨害し、双方の攻撃によって周囲の道路や建物は急速に破壊された。鈴鹿は槐の力に圧倒されながらも、皇樹夏樹を投入する時まで戦線を維持した。
役に立たない捕縛術
サポート部隊は烏丸葵へ拘束術の使用を求めた。
しかし討伐対象となった槐を前に烏丸は興奮できず、能力を発動できなかった。烏丸は霊力すら十分に生み出せず、戦闘へ加われないまま怯えていた。
追尾する斬撃
長時間の攻防で鈴鹿が消耗した頃、晴親は文庫本を触媒とした追跡術式を完成させた。
術式によって鈴鹿の遠距離攻撃には槐を追い続ける効果が付与された。避けた斬撃は消えずに反転し、鈴鹿が新たに放つ攻撃と重なって槐を包囲した。
槐の負傷
槐は迫る斬撃を腕で叩き落としながら回避したが、無傷では防げなかった。
サポート部隊が放った拘束符も次第に命中し、槐の身体には少しずつ損傷と拘束が蓄積した。晴親の追跡術式によって、戦況は討伐部隊側へ傾き始めた。
槐の文庫本
追跡術式の触媒には、槐が幽閉先で何度も読んでいた娯楽小説が使われていた。
仲間と協力して人々を笑顔にする物語への憧れが本に強く染みつき、槐との呪的な繋がりを生み出していた。晴親もその思いに心を揺らしたが、任務のために私情を切り捨てていた。
鈴鹿の決着
槐が苦しむ姿を長引かせたくないと考えた鈴鹿は、八岐大蛇と大獄丸一式を合成した大蛇丸を放った。
晴親が追尾効果を強化し、炎をまとった回避不能の斬撃が槐へ迫った。この一撃で槐を弱らせ、皇樹夏樹にとどめを任せる狙いであった。
鏡張りの乱入者
斬撃が槐へ命中する直前、宗谷美咲の声とともに全面を鏡で覆われたスポーツカーが戦場へ飛び込んだ。
車体へ触れた追尾斬撃や術式はすべて消滅し、晴親と鈴鹿は攻撃を阻止された。美咲は宗谷家が管理していた秘匿呪具を持ち出し、討伐作戦へ強引に介入した。
討伐戦への介入と楓の追跡
アンチ・マジックミラー号
全面鏡張りのスポーツカーは、宗谷家が管理していた秘匿呪具アンチ・マジックミラー号であった。
宗谷美咲は青龍、朱雀、玄武、白虎の式神を展開し、童戸槐を守るように討伐隊と対峙した。土御門晴親は、美咲がミホトの言葉を信じて討伐を妨害したと悟り、緊急時の迎撃態勢へ切り替えた。
美咲の救出宣言
多々羅刃鈴鹿は、古屋晴久の絶頂除霊で淫魔眼を除去できたのかと美咲へ問いかけた。
美咲は除去には成功していないと認めながらも、絶頂除霊を試すまでは槐を死なせないと宣言した。しかし晴親と鈴鹿は、根拠のない可能性に賭ける主張を退け、討伐作戦を続行した。
晴久の治療完了
晴久は強化された快楽点ブーストを使い、病院に収容された感度三千倍の被害者へ素早く絶頂除霊を施した。
ミホトが大量の性エネルギーを得たことで晴久の思考力と身体能力も向上しており、晴久は短時間で全患者の症状を一時的に鎮めた。
三つ巴の計画
晴久と美咲の目的は、討伐隊が槐を殺す前に快楽媚孔を突くことであった。
十二師天より先に槐へ接近しても、快楽媚孔を探している間に追いつかれる可能性が高かった。そのため二人は、討伐隊と槐の戦闘へ介入し、三つ巴の混乱を利用して絶頂除霊を施す計画を立てていた。
病院からの脱出
美咲の作戦妨害が伝わると、病院では退魔師たちが晴久を捜し始めた。
晴久は快楽点ブーストで追跡をかわし、病院から脱出した。槐に似た姿のミホトを人目のある場所で顕現させれば避難民が混乱するため、人気のない河川敷へ向かった。
楓の拘束術
晴久がミホトを顕現させようとした瞬間、強力な拘束術が足元へ放たれた。
攻撃を避けた晴久の前に現れたのは、結界防衛へ参加していたはずの葛乃葉楓であった。楓は美咲が討伐作戦を妨害し、晴久もミホトの封印を解いたまま病院を抜け出したことを把握していた。
幼馴染との対峙
楓は白銀の九尾を広げ、晴久へ目的を問い詰めた。
晴久は楓の実力を前に、逃走も戦闘も困難だと判断した。長年自分の呪いを支えてきた楓とは戦いたくないと考え、一か八かの説得を試みた。
槐を救う方法
晴久は楓へ、童戸槐を助ける方法が見つかったと告げた。
その言葉を聞いた楓は足を止め、晴久の説明へ意識を向けた。
楓との決裂
救出方法の否定
古屋晴久は、絶頂除霊によって童戸槐から性遺物を取り除ける可能性があると葛乃葉楓へ訴えた。
しかし楓は、本当に除霊できるなら宗谷美咲の淫魔眼で証明すべきだと反論した。証明できない以上、得体の知れない存在に唆された妄言に過ぎないと切り捨てた。
楓の最後通告
晴久は説明を諦め、槐を救うために通してほしいと要求した。
楓は討伐作戦を妨害すれば晴久が確実に処分されると警告し、今なら未遂として収められるため病院へ戻るよう命じた。しかし晴久は美咲を見捨てられず、槐を救う可能性も捨てられないとして、力ずくで突破することを決めた。
多重彼我遮断陣
晴久は小石を蹴り上げて楓の視界を塞ぎ、ミホトを顕現させるため距離を取った。
楓は即座に十層の多重彼我遮断陣を展開し、晴久を内部へ閉じ込めた。結界の快楽媚孔は高所にあり、ミホトなしでは突破できなかった。
九尾の猛攻
楓は九本の尾と狐火を操り、晴久の逃げ道を封じながら攻撃を浴びせた。
強化された快楽点ブーストを使っても、晴久は回避するだけで精一杯だった。楓は晴久が性遺物に取り憑かれた原因は自分にあると語り、恨まれても止める責任があるとして、手足や後遺症を犠牲にしてでも捕縛する覚悟を示した。
大地の絶頂
楓の攻撃で消耗しながらも、晴久は狙っていた大地の快楽媚孔へ辿り着いた。
晴久がそこを突くと局地的な地震と地下水の噴出が起こり、楓の動きと攻撃精度が鈍った。晴久はその隙を利用してミホトへ呼びかけた。
ミホトの顕現
晴久の両腕からミホトが顕現し、その力が晴久の腕と同化した。
ミホトの膂力と快楽点ブーストによって晴久の速度は大幅に上昇し、上方にある結界の快楽媚孔を次々と突いた。多重彼我遮断陣は絶頂によって崩壊し始め、晴久は脱出できると確信した。
消えた結界
しかし楓が逃がさないと宣言した直後、晴久とミホトの認識に一瞬の遅れが生じ、周囲の結界が視界から消えた。
晴久は結界がなくなったと思って上空へ進んだが、何もない空間へ衝突した。見えない結界が依然として存在しており、さらに楓の姿と気配までも完全に消失していた。
楓の幻術
ミホトが異変を察した直後、存在しないはずの方向から複数の攻撃が晴久たちへ叩き込まれた。
晴久は、結界や楓の姿だけでなく、霊気や殺気まで認識できなくなっていることから、自分たちが楓の幻術に捕らえられたと悟った。
楓の幻術と突破
消えた楓の気配
葛乃葉楓の姿と霊気は幻術によって完全に認識できなくなり、古屋晴久は虚空から放たれる九尾や土砂の攻撃を受け続けた。
ミホトは幻術の影響が薄く、攻撃を察知して両腕で防いだが、すべてを防ぎ切ることはできなかった。晴久は、楓が葛乃葉家の絶技を実戦で使えるほど修得していたことに驚愕した。
絶頂除霊による解除法
ミホトは、晴久自身の快楽媚孔を突けば、絶頂除霊と夢へ干渉する自分の力によって幻術を解除できると説明した。
しかし晴久の快楽媚孔は背中にあり、位置を確認するにはミホトとの同化を一度解く必要があった。その間は防御できず、絶頂によって晴久自身も動けなくなるため、楓から大きな隙を作り出す必要があった。
下草の絶頂
晴久は足元に広がる下草へ目をつけ、ミホトに植物の快楽媚孔を次々と突かせた。
防御が薄くなったことで晴久はさらに攻撃を受けたが、致命傷だけは避け続けた。やがて下草が一斉に大量の花粉を放出し、密閉された結界内部を濃い花粉で満たした。
楓のくしゃみ
大量の花粉によって楓はくしゃみを繰り返し、幻術への集中を乱した。
晴久はその隙にミホトとの同化を解き、背中にある快楽媚孔の位置を確認した。しかし楓はすぐに立て直し、花粉を排除するため狐火を放った。
花粉の燃焼
狐火によって空気中の花粉が燃え上がり、晴久と楓の間に煙と衝撃が広がった。
晴久はその混乱を利用して背中の快楽媚孔を突き、強烈な快感に耐えながら再びミホトと同化した。絶頂除霊の作用によって幻術は解除され、見えなくなっていた結界と楓の姿が再び認識できるようになった。
幻術の反動
幻術を破られた楓は、さらに強力な術で晴久の視界を奪おうとした。
しかしその直後、多重彼我遮断陣が砕け、楓は大量の汗を流してその場に崩れ落ちた。修行中の幻術を無理な出力で使用した反動により、術式が暴発したのである。
槐のもとへの出発
ミホトは、楓は休めば回復するものの、当面は戦えない状態だと判断した。
晴久は楓を心配しながらも、童戸槐の命を優先してその場を離れ、サキュバスの角を奪うため討伐戦の現場へ向かった。
楓との和解と討伐戦の停滞
即死術式の護符
葛乃葉楓は、古屋晴久の身体に即死術式を起動する護符が埋め込まれていると明かした。
楓が持つ護符へ霊力を込めれば晴久を殺せる仕組みであり、ミホトも体内に埋め込まれた遠隔操作用の護符を確認した。妨害や解除は困難で、晴久たちは完全に動きを封じられた。
晴久の覚悟
楓は死にたくなければ従うよう命じたが、晴久は槐を見捨てるくらいなら殺されても構わないと告げた。
槐を救わずに後悔を抱えれば、自分も負の感情によって怪異化するか、性遺物に呑まれるかもしれないと考えたためである。晴久は槐との約束を守るため、死を覚悟して楓の脇を通り過ぎようとした。
楓の懇願
楓は晴久を殺すと脅すことをやめ、行かないでほしいと弱々しく懇願した。
幼い頃に晴久が性遺物へ取り憑かれたのは自分の油断が原因だと責め続けており、その結果として即死術式まで埋め込まれた晴久が命を懸ける状況に陥ったと考えていた。楓は、自分に晴久を殺させないでほしいと涙ながらに訴えた。
楓の罪悪感
晴久は、楓が長年にわたって性遺物の憑依を防げなかったことを悔やんでいたと初めて知った。
楓は自分が晴久を遊びへ連れ出し、油断したことに責任があるとして、恨まれて当然だと思い込んでいた。しかし晴久は、子供だった楓に性遺物を防げるはずがなく、彼女に責任などないと否定した。
晴久の感謝
晴久は楓を恨んでおらず、むしろ長年支えてくれたことに感謝していると伝えた。
性遺物へ取り憑かれた後の検診や裁判での弁護、皇樹夏樹との騒動をはじめ、楓が何度も助けてくれたことを挙げた。晴久は、楓が抱えていた重責に気づかなかったことを謝り、呪いは彼女のせいではないと断言した。
楓との別れ
晴久は楓の罪悪感を否定しながらも、槐を救うことだけは譲れないと告げた。
最後まで自分を気遣ってくれた楓へ礼を述べると、ミホトの力で夜空へ飛び出した。ミホトは槐の快楽媚孔を突けば救出でき、晴久も処分されずに済むと励まし、二人は巨大結界へ向かった。
美咲の防衛戦
童戸槐の討伐戦では、宗谷美咲のアンチ・マジックミラー号が多々羅刃鈴鹿と土御門晴親の攻撃を無効化し続けていた。
美咲は十二師天へ直接攻撃せず、槐への攻撃線上へ割り込んでは即座に離脱する戦法を取った。霊的攻撃を消す車体と高い機動力により、鈴鹿の妖刀も晴親の術式も封じられた。
相性の悪い十二師天
鈴鹿の主力は妖刀による霊的斬撃であり、晴親も精密な術式を得意としていたため、アンチ・マジックミラー号との相性は極めて悪かった。
晴親は物理攻撃も試みたが、美咲は四本の腕を備えた車体で回避した。美咲の妨害によって討伐作戦は停滞し、追跡術式から解放された槐は再び自由に感度三千倍弾を放ち始めた。
槐救出作戦の再開
美咲の時間稼ぎ
童戸槐はアンチ・マジックミラー号を盾として利用し、その陰から感度三千倍弾を放って討伐隊を牽制した。
宗谷美咲は巨大式神で陣形を乱し、淫魔眼による情報暴露を装った脅しまで使ってサポート班を動揺させた。宗谷家の者たちから厳罰を警告されても、美咲は槐を守るため時間稼ぎを続けた。
皇樹夏樹の参戦
膠着状態を打開するため、土御門晴親は上空で待機していた皇樹夏樹を投入した。
夏樹は神木を用いた強力な物理攻撃を放ち、術式を無効化するアンチ・マジックミラー号を追い詰めた。美咲は式神を盾にしながら回避を続けたが、三人の十二師天を相手にした負担で限界へ近づいた。
アンチ・マジックミラー号の損傷
多々羅刃鈴鹿は、アンチ・マジックミラー号の特殊な動きを支える四本の脚を狙った。
斬撃によって一本を切断された車体は機動力を失い、夏樹が操る街路樹と瓦礫に進路を塞がれた。美咲は防御用の式神も次々と破壊され、槐と晴久へ謝罪しながら敗北を覚悟した。
晴久の到着
その瞬間、古屋晴久とミホトが空から降下し、アンチ・マジックミラー号へ迫っていた瓦礫を弾き飛ばした。
晴久は傷だらけになりながらも美咲へ合流し、共に槐を助けると宣言した。美咲は待ち望んでいた晴久の到着に安堵した。
夏樹の動揺
夏樹は、晴久が討伐作戦を妨害すれば確実に処分されると警告した。
晴久は槐を救う方法が見つかったと断言し、討伐の中止を求めた。晴久へ特別な感情を抱く夏樹は、その命が失われる可能性に動揺し、攻撃の手を鈍らせた。
烏丸の捕縛術
晴久は烏丸葵へ、槐は討伐ではなく救出する対象であり、好きなだけ縛ってよいと告げた。
槐を殺さずに済むと知った烏丸は戦意を取り戻し、強力な捕縛術を発動した。光の球体は追尾術式なしで槐へまとわりつき、霊級格7の動きを大きく鈍らせた。
十二師天への挑戦
晴親は、即死術式が無効化されたのかと問い、晴久たちが自分の行為を理解しているのか確認した。
晴久は処分の危険を承知したうえで、美咲、烏丸、ミホトを鼓舞し、槐救出作戦を再開すると宣言した。晴久たちは三人の十二師天と霊級格7が争う戦場へ、自ら身を投じた。
楓の新たな決意
晴久を止められなかった葛乃葉楓は、彼が十二師天と槐の双方を相手にして生き残れる可能性は低いと悟った。
このままでは槐の討伐後、晴久も作戦妨害によって処分されると考えた楓は、即死術式の起動符を破り捨てた。そして病院で見かけた後輩を思い出し、晴久を救う唯一の手段を求めて夜の街へ駆け出した。
第四章 サキュバスの角1
十二師天童戸槐救出部隊
槐への突撃
童戸槐は烏丸葵の拘束術を受けながらもビルへ駆け上がり、感度三千倍弾を戦場全体へ乱射した。
古屋晴久とミホトは防御に回らず、弾幕をかいくぐって槐へ突撃した。晴久は槐の身体に快楽媚孔を見つけたが、槐は驚異的な反応速度で攻撃を回避し、至近距離から反撃した。
届かない快楽媚孔
ミホトは鉄骨や外壁を盾として弾幕を防ぎ、晴久と連携して何度も快楽媚孔を狙った。
しかし槐は拘束されているにもかかわらず攻撃を完全に見切り、晴久たちは一度も触れることができなかった。快楽媚孔さえ突けば決着するものの、その一撃を当てること自体が困難であった。
十二師天の遠距離攻撃
体勢を立て直した多々羅刃鈴鹿と土御門晴親は、晴久たちへの攻撃を開始した。
鈴鹿は八岐大蛇と大嶽丸による斬撃や炎雷を放ち、晴親は自律する球体から無数の爆破魔札を浴びせた。晴久とミホトは槐の攻撃に加えて十二師天の猛攻まで避けなければならなくなった。
槐を追う斬撃
宗谷美咲は、鈴鹿の攻撃には追跡術式が付与されており、放置すれば槐が殺されると警告した。
槐は何度避けても戻ってくる斬撃と炎雷に追い詰められ、細い腕で攻撃を叩き落とし続けていた。晴久は槐を守るため攻撃を弾きながら、追尾攻撃で動きを制限すれば快楽媚孔を突ける可能性があると考えた。
盾にされた晴久
槐は接近した晴久の腕を掴み、彼とミホトを武器のように振り回して追尾攻撃を防ごうとした。
晴久は片腕の主導権をミホトから戻して攻撃を防ぎ、隙を見て再び同化させることで槐の拘束を振りほどいた。しかし槐はすぐに感度三千倍弾を放ち、晴久たちを遠ざけた。
晴久への集中攻撃
晴親と鈴鹿は、晴久が槐への攻撃を妨害していると判断し、先に彼を排除する方針へ切り替えた。
追跡術式を槐から外し、すべての攻撃を晴久へ集中させた。槐も晴久とミホトを脅威と見なし、十二師天の攻撃に重ねるように感度三千倍弾と接近攻撃を浴びせた。
最悪の三つ巴
晴久たちは、槐と十二師天を互いに利用しながら救出の隙を作るつもりであった。
しかし実際には、槐と十二師天が同時に晴久たちを狙う最悪の形となった。美咲のアンチ・マジックミラー号は皇樹夏樹に封じられ、巨大式神もサポート部隊の牽制で手いっぱいとなり、晴久とミホトは孤立した。
晴親の拒絶
晴久は一度だけでも絶頂除霊を試させてほしいと叫んだ。
しかし晴親は、ミホトが宿主の命を危険にさらしてまで求める目的には別の企みがある可能性が高いとして拒絶した。十二師天と槐の攻撃はさらに激しさを増し、長期戦に耐えられない晴久たちは追い詰められていった。
楓たちの救援
十二師天の罠
土御門晴親と多々羅刃鈴鹿は護符で霊力を回復し、古屋晴久とミホトへの攻勢を強めた。
鈴鹿は晴久を狙うように見せかけて童戸槐へ必殺の斬撃を放ち、晴久たちを救援へ誘導した。槐を守ることに集中した晴久は、晴親があらかじめ仕込んでいた波状曼荼羅捕縛へ誘い込まれた。
晴久への必殺斬撃
波状曼荼羅捕縛は破壊されるたびに再生し、晴久とミホトをわずかな時間その場へ縫い止めた。
鈴鹿は、槐ではなく晴久を捕らえることが最初から狙いだったと明かし、八岐大蛇の斬撃を無防備な晴久へ放った。晴久は抗う手段を失い、槐を救えないまま倒されることを覚悟した。
南雲睦美の救援
晴久を切り刻むはずだった斬撃は、突如現れた南雲睦美によってすべて叩き落とされた。
元霊級格6の身体能力を持つ南雲は、護符を巻いた木刀を手に晴久を救援した。鈴鹿がその正体と体形へ言及すると、南雲は激怒して鈴鹿へ襲いかかり、妖刀と木刀を激突させた。
桜と小日向の到着
続いて水着姿の式神たちとともに、小日向先輩と文鳥桜が戦場へ降下した。
宗谷美咲は二人をアンチ・マジックミラー号で受け止め、車内へ格納した。周囲では水着姿の式神が走り回り、小日向の能力を誘発させた。
サポート部隊の混乱
小日向が男性を意識したことで能力が発動し、周囲の男性退魔師たちは激痛に襲われて戦闘不能となった。
さらに胸の大きな女性退魔師へ変身術の護符が投げつけられ、体形を変えられた。立て続けに起こる異常事態によって、サポート部隊の陣形は大きく乱れた。
乱入者の首謀者
晴親と鈴鹿は、一般人である南雲たちまで戦場へ連れてきた首謀者の存在に気づいた。
その直後、晴久へ強力な治癒符が投げつけられ、彼とミホトを拘束していた術式も破壊された。
葛乃葉楓の参戦
晴久の前へ現れたのは、目元を赤く腫らした葛乃葉楓であった。
楓は九本の狐尾で晴久を守りながら着地し、無謀なまま傷だらけになった彼を叱責した。そして晴親と鈴鹿へ、十二師天を甘く見すぎていると告げ、槐救出側へ加わった。
十二師天童戸槐救出部隊
烏丸の拘束解除
烏丸葵は、自分の拘束術が古屋晴久か童戸槐の死を招きかけたと気づき、動揺によって術を維持できなくなった。
自由を取り戻した槐は、討伐隊から離れて新たな獲物を求めようと逃走を始めた。
晴親への妨害
土御門晴親は追跡術式で槐を足止めしようとしたが、宗谷美咲の巨大式神が攻撃を妨害した。
さらにアンチ・マジックミラー号に乗った文鳥桜が術式無効の力を使い、晴親の術を弱めた。桜は病み上がりの身でありながら、美咲の式神と協力して槐の逃走を支援した。
救援者たちの覚悟
晴久は、葛乃葉楓、桜、南雲睦美、小日向先輩が自分たちの将来を危険にさらしてまで救援へ来たことを理解した。
晴久が彼女たちまで巻き込むことを拒もうとすると、楓は暴走した晴久の責任だとして九尾で何度も叩いた。
南雲は、以前晴久が何でも望みを聞くと約束したことを挙げ、自分たちの望みは晴久を助けることだと告げた。小日向先輩も、晴久を失いたくないため協力すると伝えた。
槐追跡の役割分担
槐が夜の街へ逃走すると、桜はアンチ・マジックミラー号の操縦を引き受け、美咲を晴久のもとへ向かわせた。
美咲は素早い式神で烏丸を回収し、晴久と楓へ合流した。晴久は南雲、小日向先輩、桜に十二師天の足止めを任せ、美咲たちと槐を追おうとした。
晴親の絶対領域
しかし晴親は一行の前へ立ちふさがり、十層の彼我遮断陣を展開した。
結界内部は迷宮のような異常空間へ変化し、術者に圧倒的な優位を与える絶対領域が完成した。晴親は槐を追う前に、作戦を妨害する晴久たちを一気に制圧するつもりであった。
小日向の能力への耐性
晴久は、水着姿の式神が周囲を走っているにもかかわらず、晴親が小日向先輩の能力を受けないことを疑問に思った。
晴親は、欲情は修練によって制御できると断言し、精神を鍛えた十二師天を侮るなと告げた。
楓の変身術
楓は美咲へ素早い式神を出すよう指示し、晴親の好みに合わせて変身させる作戦を実行した。
美咲は淫魔眼を封じられていたが、楓は祖母の菊乃から晴親の過去を詳しく聞かされていたため、その好みを知っていた。
晴親の弱点
楓は式神を、若い頃の菊乃を思わせる狐耳と尾を持つ美少女たちへ変身させた。
彼女たちに囲まれた晴親は即座に小日向先輩の能力を受け、激痛で集中を失った。さらに菊乃が昔の求愛話を葛乃葉家へ広めていたと楓から明かされ、晴親は激しく動揺した。
その結果、晴親が維持していた絶対領域は消滅した。
童戸槐救出作戦
夏樹の合流
土御門晴親の絶対領域と彼我遮断陣が崩壊すると、古屋晴久たちは童戸槐の追跡を再開しようとした。
そこへ皇樹夏樹が現れ、霊級格7を相手にするなら自分も同行すると宣言した。夏樹は、槐が逃走した以上追跡する義務があり、性遺物の除去に失敗した場合は自ら討伐すると説明した。
全員の覚悟
夏樹は、除霊に失敗すれば晴久が処分されるため、成功の可能性を高めるためにも協力すると告げた。
晴久は、すでに多くの仲間を巻き込んだ以上、性遺物を奪える可能性へすべてを賭けるしかないと覚悟を決めた。葛乃葉楓と宗谷美咲も人生を懸ける意思を示し、晴久は全員へ協力を求めた。
槐への追跡
晴久、ミホト、美咲、烏丸葵、楓、夏樹の一行は、人外の速度で無人の繁華街を駆け抜けた。
移動中、晴久は絶頂除霊によって性遺物を除霊するのではなく、槐から奪うことになるらしいと楓と夏樹へ説明した。
槐の強襲
夏樹は、槐が逃走防止結界へ向かっていると察知し、晴久だけでも先行させようとした。
しかし槐は突然進路を変え、一行へ不意打ちを仕掛けた。感度三千倍弾が道路一帯へ降り注ぎ、美咲たちは事前に展開していた式神の陰へ避難した。
晴久の迎撃
晴久とミホトは、向かってきた槐を迎え撃った。
晴久は看板を盾にしながら感度三千倍弾を避け、快楽媚孔を狙った。しかし拘束を受けていない槐の速度と反応は圧倒的であり、攻撃をかわされながら拳や蹴りによる反撃を受け続けた。
光泥自縄地獄
晴久が槐を引きつけている間に、楓の指示を受けた仲間たちは建物の陰で準備を整えた。
烏丸は安全な位置から光泥自縄地獄を発動し、槐へまとわりつく光の泥によって動きを鈍らせた。
感度三千倍の五感
動きを制限された槐へ晴久とミホトがアスファルトの破片を浴びせたが、槐はすべてを最小限の動きで回避した。
ミホトは、サキュバスの角が他者の感覚を増幅するだけでなく、宿主自身の五感も異常に高めていると説明した。そのため槐は攻撃の軌道を正確に察知し、拘束状態でも回避できていた。
夏樹の地下工作
楓と美咲は、反応できても回避できない状況を作る作戦を進めた。
夏樹は地下の設備を神木で押しのけながら地中を掘り進み、晴久へ時間を稼ぐよう命じた。晴久とミホトは槐との激しい攻防を続け、幅広い道路の中央へ誘導した。
巨大な落とし穴
夏樹の合図を受けた晴久とミホトは、槐ではなく足元の地面を全力で叩き割った。
その下には夏樹が神木で作り上げた巨大な空洞が広がっており、晴久と槐はともに地下へ落下した。空中では、いかに槐の反応速度が優れていても自由に回避することはできなかった。
絶頂除霊の失敗
五感を封じる連携
巨大な落とし穴へ落下した童戸槐へ、宗谷美咲の飛行式神が古屋晴久を射出した。
葛乃葉楓は槐へ弱めた狐火を浴びせ、視覚や聴覚、嗅覚を妨害した。晴久とミホトは感度三千倍弾を防ぎながら、五感を鈍らせた槐の快楽媚孔へ迫った。
届かない一撃
槐は空中で身動きできない状態でも、肌で空気の動きを察知したのか、ミホトの腕を受け止めた。
晴久たちは至近距離で攻防を続けたが、槐は狐火と拘束術を受けながらも攻撃を見切り、晴久たちを地面へ叩き落とした。
反動を利用した再突撃
地面へ激突した晴久とミホトは、その反動を利用して即座に再び跳び上がった。
槐が防御した隙を突き、晴久は右腕の主導権をミホトから取り戻した。ミホトの速度と快楽点ブーストの判断力を合わせ、槐の鳩尾にある快楽媚孔を突くことに成功した。
槐の絶頂
槐は激しく痙攣して地面へ崩れ落ち、全身から大量の体液を噴き出した。
晴久とミホトは性遺物を奪えると確信し、美咲たちも救出成功を期待した。全員が槐の変化を見守ったが、その絶頂はこれまでの絶頂除霊とは異なり、弱く長く続いていた。
変わらない淫魔化
槐は絶頂を続けながら再び立ち上がり、淫魔化した姿と人外の力を保ったまま晴久へ襲いかかった。
槐の拳はミホトの防御を見切って晴久の腹部へ命中し、夏樹が用意した神木の鎧ごと彼を壁へ叩きつけた。絶頂除霊を施したはずにもかかわらず、性遺物は奪われていなかった。
ミホトの混乱
美咲や楓たちは救出失敗に動揺し、皇樹夏樹は性遺物を除去できるという話が誤りだったのではないかと疑った。
ミホトは、自分の記憶では絶頂除霊によって性遺物を奪えるはずだと訴えたが、目の前の槐が変化していないことを説明できなかった。
自発的な絶頂
晴久は、槐の快楽媚孔が絶頂のたびに別の場所へ移動していることに気づいた。
槐はサキュバスの角で自身の性感を三千倍に高め、晴久の指が届く直前に自ら絶頂していた。その結果、快楽媚孔の位置が変化し、晴久の一撃は絶頂除霊として成立していなかった。
追加能力という障壁
サキュバス王の性遺物は、使用と性エネルギーの吸収によって能力を発展させていた。
槐は高められた五感だけでなく、自発的な絶頂によって快楽媚孔を移動させる能力まで獲得していた。そのため、ただでさえ当てることが難しい一撃必頂のツボは、触れる直前に別の場所へ逃げるようになっていた。
再び立ちはだかる槐
救出作戦の切り札を破られ、美咲たちは快楽媚孔をどう突けばよいのか答えを失った。
その間にも槐は絶頂を繰り返しながら攻撃態勢を整え、晴久たちへ再び襲いかかろうとしていた。
快楽媚孔の予兆
絶望の再戦
絶頂除霊を回避した童戸槐は、呆然とする古屋晴久たちを捕食しようと再び襲いかかった。
晴久は諦めず、槐の右手が持つ幸運の力を利用しようと考えた。しかし両手は淫魔化した装具と一体化しており、直接触れることも剥がすこともできなかった。
未来予知に等しい感覚
槐は晴久とミホトの防御や回避を完全に読み、攻撃を次々と命中させた。
サキュバスの角は五感と性感を三千倍に高め、視線や筋肉の動き、呼吸、空気の流れまで捉えていた。その反応は疑似的な未来予知に等しく、晴久たちは攻撃だけでなく防御さえ成立させられなかった。
感度三千倍の侵食
晴久は感度三千倍弾を完全には避けきれず、被弾箇所を少しずつ増やした。
ミホトの力によって即座の戦闘不能は免れていたが、症状が全身へ広がれば戦いを続けられない状態であった。晴久自身の快楽媚孔を突けば緩和できるものの、その隙を作ることも困難だった。
討伐を求める夏樹
皇樹夏樹は、このままでは晴久が処分される前に殺されるとして、槐を討伐するしかないと訴えた。
被害者の症状が再発する時間も迫っており、唯一応急処置を行える晴久が倒れれば犠牲が増える危険があった。それでも晴久は、一度突くだけで槐を救える可能性を捨てられず、無謀な突撃を繰り返した。
楓の焦燥
葛乃葉楓は、晴久を救うには性遺物の除去を成功させ、討伐妨害に正当性を持たせるしかないと考えていた。
しかし快楽媚孔が移動するという予想外の能力によって、絶頂除霊を試すことすらできなくなっていた。楓は幻術や用意していた次善策も通用しないと判断し、晴久を失う恐怖に追い詰められた。
淫魔眼の復活
そのとき、土御門晴親が宗谷美咲へ施していた術が切れ、淫魔眼が再び使えるようになった。
美咲は状況を打開する情報を求め、増幅した霊力を淫魔眼へ注ぎ込んだ。すると晴久や槐だけでなく、地面や瓦礫、衣服に存在する快楽媚孔まで視認できるようになった。
点滅する光点
美咲は、槐の身体に通常の快楽媚孔とは別の点滅する光を発見した。
槐が自ら絶頂すると、それまで光っていた快楽媚孔が消え、点滅していた光点が新たな快楽媚孔へ変化した。同時に別の場所へ次の光点が現れたため、美咲は快楽媚孔が移動する順序を示す予兆だと気づいた。
位置の照合
美咲は晴久へ、槐の快楽媚孔が見えている位置を次々に伝えるよう求めた。
晴久が右耳、腰、左の二の腕、鳩尾と答えると、美咲が淫魔眼で視た点滅の移動と一致した。美咲は、次に快楽媚孔が現れる位置を事前に予測できる可能性を確信した。
未来の快楽媚孔
淫魔眼の成長
宗谷美咲の淫魔眼は、これまで重ねてきた使用と霊力供給によって新たな力を獲得した。
美咲は、童戸槐が絶頂したあとに次の快楽媚孔が現れる位置を、点滅する光として事前に視認できるようになった。
視覚イメージの共有
美咲は皇樹夏樹へ、淫魔眼で見ている映像を古屋晴久と共有する術式を求めた。
夏樹が投げた護符によって、晴久とミホトの意識には美咲の視界が映し出された。二人は槐の身体で点滅する光が、次に出現する快楽媚孔の位置だと理解し、失いかけていた希望を取り戻した。
烏丸の全力拘束
救出の可能性が復活したことで、烏丸葵も再び戦意を高めた。
烏丸は光泥自縄地獄を最大出力で発動し、霊級格7である槐の動きをこれまで以上に強く制限した。
劣化式神千鬼夜行
美咲は全霊力を注ぎ、数体の巨大式神を無数の低霊級格式神へ分裂させた。
数百から千に及ぶ式神の群れが大穴を埋め尽くし、槐の注意と感覚をかき乱すための土台となった。
無数の古屋晴久
葛乃葉楓は千変万化を発動し、美咲の式神すべてを晴久とミホトの姿へ変身させた。
外見だけでなく、傷や動き、声、霊力の質、魂の形まで本物と見分けがつかないほど精巧に再現された。大穴の中は、無数の晴久とミホトで埋め尽くされた。
封じられた逃走路
夏樹は大穴の上部へ多重結界を展開し、槐の逃走経路を塞いだ。
烏丸の拘束術によって動きを鈍らされた槐は、結界を突破するにも複数回の攻撃が必要となり、すぐには脱出できなくなった。
偽物の津波
槐は感度三千倍弾と怪力で偽の晴久たちを次々と破壊した。
しかし美咲と楓が式神を補充し続けたため、いくら倒しても数は減らなかった。槐は低霊級格の偽物の中から、本物の晴久を感覚で見抜こうとした。
楓の完全再現
楓の変身術には幻術も織り込まれており、槐の感覚をも欺いていた。
楓は長年にわたり晴久を見続け、その表情や仕草、声、匂い、霊力、魂の形まで深く理解していた。そのためミホトと同化した晴久さえ、無数の式神へ完全に再現できた。
識別不能の一斉攻撃
槐は三千倍に高めた感覚でも、本物と偽物を区別できなかった。
楓の挑発とともに、無数の晴久とミホトが一斉に槐へ襲いかかった。烏丸も槐が目前で絶頂を続ける姿に興奮し、拘束術の出力をさらに高めた。
サキュバスの角の除去
未来位置への一撃
宗谷美咲の視覚共有によって次の快楽媚孔を把握した古屋晴久は、無数の偽物に紛れて童戸槐へ接近した。
烏丸葵の拘束術がさらに強まり、槐が偽物への迎撃に集中した隙に、晴久はミホトから両腕の主導権を戻された。快楽点ブーストで式神たちと動きを合わせ、槐の背中へ最も穏やかな一撃を届かせた。
南雲たちの敗北
その頃、多々羅刃鈴鹿は対人用に改造した八岐大蛇・裏打ちによって南雲睦美を制圧していた。
土御門晴親もサポート部隊と連携し、宗谷美咲の巨大式神を排除したうえでアンチ・マジックミラー号の脚をすべて破壊した。文鳥桜と小日向静香は身動きを封じられ、晴久たちへの援護を続けられなくなった。
戦場を照らす光
晴親と鈴鹿が晴久たちを追おうとした直後、遠方から特殊結界の光をかき消すほどの強烈な輝きが立ち上った。
二人は異様な気配を察知し、性遺物を巡る状況が決定的に変化したと判断して、光の発生した場所へ急行した。
槐の絶頂除霊
晴久の指が快楽媚孔を突くと、槐はこれまでとは比べものにならないほど激しく全身を震わせた。
晴久は槐へ戻ってきてほしいと願いながら倒れかけた身体を支えた。やがて槐は力を失って崩れ落ち、晴久はその小さな身体を受け止めた。
消えたサキュバスの角
槐の身体は視界を白く染める強烈な光に包まれた。
光が消えると、褐色だった肌や禍々しい装束、脱色された髪は元の姿へ戻っていた。頭部からは捻れた一対の角が完全に消え、槐は晴久の腕の中で穏やかな寝息を立てていた。
救出成功の確認
美咲、皇樹夏樹、葛乃葉楓たちは大穴へ降り、槐の状態を確認した。
夏樹は、槐が激しく衰弱しているものの命に別状はなく、サキュバスの角も完全に除去されていると断言した。美咲は歓喜し、晴久も槐の角のない頭を撫でながら救出成功を実感した。
晴久へ移った角
晴久の頭には、髪に隠れるほど小さな角が新たに生じていた。
夏樹が霊視すると、槐から移ったサキュバスの角は末期の状態ではなく、完全に浄化されていた。晴久に新たな異常も確認されず、性遺物の進行は初期化されていた。
楓の安堵
楓は、性遺物の除去と晴久の無事を確認すると、その場へ崩れ落ちて涙を流した。
晴久に宿る性遺物は増え、ミホトや魔族を巡る問題も残っていた。しかし千年以上誰にも祓えなかった呪いを除去できた事実は、晴久自身の呪いもいつか解けるという希望になっていた。
ミホトの記憶
歓喜の中で沈黙していたミホトの頭に、突如として禍々しい一対の角が現れた。
角はすぐに吸収され、ミホトから神聖な気配が放たれた。同時に晴久の頭へ膨大なイメージが流れ込み、ミホトは失われていた記憶の一部を取り戻した。
すべてのパーツの消滅
ミホトは、自分には性遺物を集める使命があると思い出した。
その目的は、この世に存在するすべてのパーツを集め、完全に消し去ることであった。ミホトの情報の正確さと神聖な気配を前に、誰もその言葉を虚言とは断じられなかった。
力尽きた救出部隊
記憶を語った直後、ミホトは力尽きて晴久の中へ戻った。
限界を超えて戦っていた晴久、美咲、楓も次々と倒れ、駆けつけた晴親と鈴鹿が槐の救出成功に驚く声を聞きながら意識を失った。
エピローグ
魔界の陰謀と事件後の処分
次元の狭間の城
人間界と魔界の狭間にある荒涼とした空間で、次期魔王候補の少年はアンドロマリウスを叱責した。
アンドロマリウスが童戸槐を追い詰めた結果、サキュバスの角が負の感情を吸収して暴走したためである。少年は性遺物を過度に刺激しないよう命じていたが、アンドロマリウスは失敗によって性遺物を奪える事実が証明されたと開き直った。
魔界と天界の盟約
少年は自ら人間界へ赴けない事情を明かした。
天界と魔界の盟約により、霊的上位存在は許可なく人間界へ現れることを禁じられていた。次期魔王候補である少年が盟約を破れば大問題になるため、人間界で活動してきたアンドロマリウスへ性遺物の収集を任せていたのである。
復讐への要求
アンドロマリウスは、晴久への復讐を果たすため、成功報酬として約束されていた負のエネルギーを先に渡すよう求めた。
しかし少年は、失敗を重ねたうえに弱った彼女へ力を与えることを拒み、自然回復するまで大人しくしているよう命じた。
謎の王の出現
その場へ、禍々しく異質な気配を持つ女性が突如現れた。
アンドロマリウスは、その存在が少年を性遺物の収集へ動かした王であると察した。女性はアンドロマリウスの魂がサキュバスの手に侵食され、絶頂除霊の後遺症を抱えていることを即座に見抜いた。
アンドロマリウスの粛清
女性は、失敗を続けるアンドロマリウスには性遺物を集める力が残っていないと告げた。
そして彼女を捕食し、その霊的上位存在としての性エネルギーを吸収した。次期魔王候補の少年は、昔馴染みが一方的に呑み込まれる光景を前に言葉を失った。
完全復活への命令
女性は次期魔王候補へ、すべてのサキュバスパーツとサキュバスの穴を探し出すよう命じた。
その目的は、女性自身の完全復活であった。性遺物を集めて消し去ろうとするミホトとは正反対の目的が、魔界で動き始めていた。
四日後の目覚め
古屋晴久は、事件解決から四日後に病院で意識を取り戻した。
協会が手配した白丘尼家の回復術師による治療を受けても覚醒が遅れたため、先に目覚めていた宗谷美咲、文鳥桜、皇樹夏樹、葛乃葉楓たちを心配させていた。
人的被害のない決着
霊級格7の出現で混乱した世間は、晴久が目覚める頃には平静を取り戻していた。
建物やインフラには甚大な被害が出たものの、死者は一人もいなかった。サキュバスの角が除去されると、感度三千倍弾を受けた者たちの症状も消失し、晴久の応急処置によって後遺症も残らなかった。
事件による成果
事件では鹿島霊子をはじめとする霊能犯罪者もまとめて拘束された。
協会と政府は性遺物の危険性を伏せたものの、人的被害がなく犯罪者も一掃されたため、事件は比較的穏便に収束した。
救出部隊への叱責
晴久たちは、霊級格7討伐作戦を妨害して十二師天と戦ったことを各方面から厳しく叱責された。
特に土御門晴親の言霊を交えた説教は苛烈であり、夏樹も見舞いの際に思い出して涙ぐむほどであった。
軽減された処分
一方で、晴久たちに科された罰は予想以上に軽かった。
皇樹家には罰金が科され、南雲睦美と小日向静香には能力講習とカウンセリングの延長が命じられた。晴久、美咲、烏丸葵、楓、桜は本免許を一時停止され、夏休みを使った無給の奉仕活動を課された。
槐の新たな日常と楓の告白
軽減された処分
晴久たちへの処分が軽くなった最大の理由は、サキュバス王の性遺物を除去した功績が協会上層部から極めて高く評価されたためであった。
さらに宗谷家、葛乃葉家、皇樹家、童戸家が強く働きかけ、童戸手鞠は事件の責任と被害への補償を一手に引き受けた。童戸家の莫大な資産によって被害者や街への補償が進み、協会への批判も抑えられたことで、晴久たちは穏便な処分で済んだ。
槐の目覚め
宗谷美咲、文鳥桜、烏丸葵から童戸槐が目覚めたと聞き、晴久は彼女の病室へ急いだ。
病室では手鞠と付き人の緑が涙を流しながら槐を見守っていた。槐は晴久たちの姿を認めると、長い眠りから覚めたばかりの掠れた声で話し始めた。
消えた不幸能力
槐は、これまで自分を苦しめていた不幸能力がほとんど消えたと知らされていた。
サキュバスの角を魂から引き剥がした際、性遺物が不幸能力まで吸着して持ち去ったためであった。小さなお守りだけで能力を長期間抑えられるようになり、槐は学校へ通えることになった。
失われた力と新たな未来
槐は不幸能力だけでなく、両手に宿っていた運勢操作の力と多くの霊力も失っていた。
一方、ミホトは晴久へ移った運勢能力の分解と性遺物の制御に追われていた。その代わり槐の体質は大きく改善し、退魔学園への編入や昇天サポートセンターでの活動も決まりつつあった。
槐の罪悪感
槐は学校へ通える喜びを感じながらも、事件で多くの者へ迷惑をかけた自分が幸せになってよいのかと苦しんだ。
晴久は、自分も独断で多くの人を巻き込んだと語り、迷惑をかけたと思うなら今後誰かを助けながら少しずつ返していけばよいと伝えた。そして以前交わした、再び一緒に退魔師をするという約束を思い出させた。
晴久への感謝
槐は感情を抑えきれずに泣き出し、晴久へ抱きついた。
自分を助けてくれた晴久や仲間たちへの感謝と好意を何度も口にし、晴久はその頭を撫でながら受け止めた。手鞠も晴久へ改めて礼を述べ、今後槐を悲しませないよう念を押した。
芽依の訪問
槐の見舞いを終えたあと、晴久の病室へ太刀川芽依が現れた。
芽依は葛乃葉楓が討伐作戦の妨害へ加わった経緯を持ち出し、晴久が本当は楓を恨んでいるのではないかと執拗に尋ねた。
楓への感謝
晴久は、楓を恨んでも嫌ってもおらず、むしろ長年支えてくれた恩人だと断言した。
定期検診や今回の救援を挙げ、楓が望むなら何でもしてやりたいほど感謝していると語った。そして今まで十分な礼をしてこなかったことに気づき、芽依へ喜ばれそうな贈り物を相談した。
楓の変身
芽依は熱に浮かされたように晴久へ近づき、礼として喜ばれる行為を示そうとした。
その姿は蜃気楼のように揺らぎ、太刀川芽依ではなく葛乃葉楓へ変わった。楓は芽依に化けて晴久の本心を確かめていたのである。
楓の口づけ
楓はもう我慢できないと告げ、動けない晴久へ口づけた。
晴久が状況を理解する前に楓は逃げるように病室を去った。突然の出来事に処理が追いつかなかった晴久は熱を出して倒れ、その後一日中ベッドから起き上がれなかった。
エピローグ2
楓の口づけと美咲の動揺
病院へ戻る美咲
宗谷美咲は、古屋晴久の病室へ忘れたICカードを取りに戻っていた。
晴久と二人きりになることを意識すると、先日の戦いで胸に触れさせたことまで思い出し、強い羞恥と緊張を覚えた。
様子のおかしい楓
廊下の先から現れた葛乃葉楓は、顔を真っ赤にして唇を押さえながら早足で歩いていた。
楓は、晴久の呪いがまだ解決していないのに舞い上がり、するつもりのなかったことまでしてしまったと呟いていた。普段は美咲を警戒して避けていたにもかかわらず、その存在にも気づかず通り過ぎた。
楓の秘めた想い
異変を感じた美咲は、反射的に淫魔眼で楓を見た。
楓の異性に関する記憶や妄想は、すべて晴久だけで埋め尽くされていた。さらにキスの経験回数が一回と表示され、美咲は嫌な予感を抱いた。
晴久のキス経験
美咲が晴久の病室を覗くと、彼は呆然としたままベッドに横たわっていた。
晴久にもキスの経験回数が一回と表示されていたため、美咲は楓と晴久が口づけを交わした事実を悟った。
霊力の急減
衝撃を受けた美咲の身体から、霊力が急激に失われていった。
美咲の力は、強い信頼を寄せる真の相手から与えられる快楽によって増幅される性質を持っていた。晴久と楓の口づけを知ったことでその信頼が揺らぎ、十二師天に対抗できるほど高まっていた霊力は一気に枯渇した。
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