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フィクション(Novel)出会ってひと突きで絶頂除霊!

小説「出会ってひと突きで絶頂除霊! 5」感想・ネタバレ

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フィクション(Novel)

絶頂除霊 ! 4巻レビュー
絶頂除霊 ! まとめ
絶頂除霊 ! 6巻レビュー

Table of Contents

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  1. 物語の概要
    1. ■ 作品概要
    2. ■ 主要キャラクター
    3. ■ 物語の特徴
  2. 読んだ本のタイトル
  3. あらすじ・内容
  4. 感想
  5. 考察・解説
    1. サキュバス王の性遺物
    2. 童戸槐の誘拐
    3. 不幸を招く体質
    4. 鏡の魔女・鏡巳
    5. 退魔師協会の疲弊
  6. 登場キャラクター
    1. 都立退魔学園
      1. 古屋晴久
      2. 宗谷美咲
      3. 葛乃葉楓
      4. 小林
      5. 小林たち
      6. 烏丸葵
      7. 南雲睦美
    2. 退魔師協会・監査部・十二師天
      1. 退魔師たち
      2. 文鳥桜
      3. ナギサ
      4. 事務員
      5. 土御門晴親
      6. 協会
      7. 捜索隊と救出隊
    3. 童戸家
      1. 童戸手鞠
      2. 童戸槐
    4. 皇樹家
      1. 皇樹夏樹
      2. 紅葉姫
    5. 相馬家
      1. 相馬家当主
    6. 霊能犯罪組織・魔族・怪異・式神
      1. サキュバス王
      2. 鹿島霊子
      3. 怨霊
      4. 呪具
      5. 浮遊霊
      6. ミホト
      7. 動物霊
      8. 橋姫鏡巳
      9. 霊能犯罪組織の構成員たち
      10. 女ボスたち
      11. 呪詛精霊
      12. ドッペルゲンガー
      13. アンチ・マジックミラー号
      14. 寄生型式神
      15. 美咲の式神
      16. 夏樹の神木
      17. 晴久たちの偽物
      18. 烏丸のドッペルゲンガー
      19. 夏樹のドッペルゲンガー
      20. 桜のドッペルゲンガー
      21. 宗谷のドッペルゲンガー
      22. 黒い塊
      23. 黒い呪詛精霊
      24. 小型式神
      25. アンドロマリウス
    7. 一般人
      1. 小日向静香
  7. 展開まとめ
    1. プロローグ 
    2. 第一章 ラッキースケベの右手、 アンラッキースケベの左手 
    3. 第二章 突撃 無敵の童戸家! 
    4. 第三章 羞恥! アンチ・マジックミラー号 
    5. 第四章 解けない呪い 
    6. エピローグ
    7. エピローグ2 
  8. 同シリーズ
    1. 出会ってひと突きで絶頂除霊! シリーズ
  9. 赤城大空 氏の著作の別シリーズ
  10. 下ネタという概念が存在しない退屈な世界 シリーズ
  11. 淫魔追放
    1. その他フィクション

物語の概要

■ 作品概要

本作は、落ちこぼれ退魔師の主人公・古屋晴久たちが、自身に宿る特殊能力と過酷な怪異事件に立ち向かう退魔活劇の第5巻である。 本巻では、サキュバス王の性遺物が日本に出現するという予言が下る。晴久は、強大な不幸を振りまく体質を持つ童戸家の少女・槐と出会い、彼女の右手に触れたことで日常的に不適切な接触事故を起こす「ラッキースケベ」状態となってしまう。そんな中、他人の不幸を楽しむ第一級霊能犯罪者・橋姫鏡巳が、槐の運勢操作能力を利用するため、対異能特化秘匿呪具「アンチ・マジックミラー号」を用いて彼女を誘拐する。晴久はラッキースケベの呪いに翻弄されながらも、美咲たちと共に槐の救出と暴走する鏡の魔女の討伐へ向かう。

■ 主要キャラクター

古屋晴久:対象を強制的に絶頂させて除霊する「絶頂除霊」の能力を持つ主人公。槐の右手に触れたことでラッキースケベ体質となり、行く先々で女性との接触事故を引き起こす。
宗谷美咲:他人の性情報が視える「淫魔眼」の呪いを抱えるチームメイト。戦闘中に晴久から指への刺激で秘密裏に霊力補充を受けながら、強力な式神を操って戦う。
童戸槐:九の旧家《無敵の童戸》の少女。存在するだけで周囲に制御不能な不幸を振りまく特異体質のため、幼い頃から離れに隔離されて生きてきた。
橋姫鏡巳:鏡を使う第一級霊能犯罪者「鏡の魔女」。他人の不幸を見ることに快楽を覚え、槐の不幸能力を安全な場所から拡散させるために誘拐事件を引き起こす。
文鳥桜:晴久の監視役を務める退魔師協会監査部の構成員。ドッペルゲンガーや呪詛精霊との激しい戦闘において、的確な指揮で晴久たちを支える。
皇樹夏樹:十二師天の一人で、神族を宿す「天人降ろし」の使い手。以前の借りを返すために誘拐犯の追跡戦に駆けつけ、強大な神木で敵を圧倒する。

■ 物語の特徴

本作は、本格的な退魔活劇と過激なエロコメディ要素を融合させた独特の作風が特徴である。 第5巻では、「ラッキースケベ」というコミカルなトラブルと、それに翻弄されるキャラクターたちのドタバタ劇が序盤を牽引する。しかし、中盤以降は全面鏡張りの巨大トラック「アンチ・マジックミラー号」との追走戦や、登場人物の秘めた本音や欲望を暴き立てるドッペルゲンガーとの心理的・物理的な激闘が展開され、一転して緊迫したバトルアクションが楽しめる。また、自分の能力のせいで周囲に迷惑をかけると苦しみ、社会から隔離されてきた槐の悲哀と、同じく呪いに苦しむ晴久が彼女に寄り添い共に抗おうとする姿など、呪いを抱える者同士の共感と絆が深く描かれている点も読者の胸を打つポイントとなっている。

読んだ本のタイトル

出会ってひと突きで絶頂除霊 ! 5
著者:赤城大空
イラスト: 魔太郎
出版社:小学館ガガガ文庫

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あらすじ・内容

ラッキースケベでアンラッキー!?

――サキュバス王の性遺物。

それは、除霊不能呪具。無力化するには宿主ごと封印するか殺害するしかない。

「近いうち、サキュバス王の性遺物がこの国に出現する」

ついに本免許を獲得した晴久たちの元に、そんな衝撃的なニュースが届いた。

その報にやる気を漲らせる晴久と美咲。

そんな最中、晴久は一人の少女と出会う。

その少女の名は童戸槐。

九の旧家がひとつ、運命操作の力をもつ《無敵の童戸》の血族だ。

なぜか、その少女と会ってからラッキースケベが頻発する晴久。

ふと手を伸ばせば胸を揉み、少し転べばパンツを脱がす。

そんな日常生活に支障をきたす呪いが降りかかる最中、槐が霊能犯罪者によって拉致されてしまう。

童戸の力を狙ったその犯罪者は、恐るべき式神を解き放っていた。

その名も対異能特化秘匿呪具「アンチ・マジッ●ミラー号」!!

はたして、晴久はラッキースケベの呪いを抱えながら、槐の救出をすることができるのか!?

~~~っ!! イグウウウウウウッ!!!!

鏡に包まれた世界に写る心は、虚像か、それとも真実か。

にっこりモッコリ、退魔活劇第五弾!!

出会ってひと突きで絶頂除霊!5

感想

親切心から学校見学で迷った中学生を案内してたら、ラッキースケベになる呪いにかかる主人公。

ラッキースケベで胸を揉んだら殴られて、パンツを脱がしたら社会的に殺されそうになる。

生命、立場の危険になるのにラッキーとはコレ如何に??

本人は性欲を取り憑かれてる謎の神らしき者に吸われてるからかなり薄い。

性欲満杯な男子高校からしたらラッキーと喜ぶ事がタダの危険にしか思えない枯れ具合w

普段の行いと、彼の腕に宿る呪いの実績を考えると、、

うん、世間的にはギルティーだな。

何とかラッキースケベの呪いを解いて貰うために童戸に行ったら、彼女の力を狙った犯罪者に拉致されてしまう。

その、犯罪者が使っていた10tダンプのような式神の名前が、、

え??

何だって??


そんな恥ずかしい10tダンプを追い掛けたら、相手が足止めのために主人公達メンバーのコピー、ドッケンベルガーが出てくるのだが、、

本人より力は弱いらしく、それは欲望を抑える理性も弱っているらしく。。。

内容は自主規制。

いや〜笑ったww

腹筋が攣るかと思った。

この本、全ての笑いのポイントが下ネタなので、その辺りは御容赦下さい。

因みにこの作品の作者さんの別作品は映画になってます。

二度めの夏、二度と会えない君

本当の事です。

もう一つはアニメ化にしております。

下ネタという概念が存在しない退屈な世界

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絶頂除霊 ! 4巻レビュー
絶頂除霊 ! まとめ
絶頂除霊 ! 6巻レビュー

考察・解説

サキュバス王の性遺物

『出会ってひと突きで絶頂除霊!』における「サキュバス王の性遺物」は、物語の根幹に関わる極めて危険な呪いであり、主人公たちの抱える能力の正体や魔族の目的と深く結びついている重要な設定である。その詳細と作中での展開は以下の通りである。

世界を滅ぼしかけた大魔族の身体パーツである九つの除霊不能呪具が持つ宿主道連れと自動再生の絶望的特性

サキュバス王の性遺物は、退魔師協会から最大級の警戒を受ける危険な存在である。

・サキュバス王とは、かつて世界を滅ぼしかけたという大魔族である。

・その身体のパーツである性遺物は全部で九つ存在するとされており、魔眼や足、尻、角などが確認されている。

・退魔師協会の記録によれば、これらは除霊不能呪具であり、宿主から安全に除去する方法は存在しない。

・パーツだけを破壊しようとすれば宿主の魂も欠損して死亡してしまい、さらに消滅したパーツも数年から数十年後に世界のどこかで再び再生してしまう。

・そのため、無力化するには誰かに憑依する前に封印するか、憑依されてしまった場合は宿主ごと封印、あるいは殺害するしかないという絶望的な性質を持っている。

美咲のサキュバス王の魔眼と魂完全融合が疑われる晴久の両手および相馬千鶴の生存把握状況

主人公たちが抱える厄介な呪いは、この性遺物に深く関連している。

・宗谷美咲の淫魔眼:他人のあらゆる性情報を強制的に視てしまう彼女の瞳の呪いは、退魔師協会のデータベースでサキュバス王の魔眼と呼ばれる性遺物の一つであることが判明している。

・古屋晴久の絶頂除霊:退魔師協会監査部長のナギサは、晴久の両手に宿る呪いを九つ目の性遺物ではないかと疑っていた。しかし、皇樹家が祀る神族・紅葉姫の霊視によれば、ミホトからはサキュバス王の成れの果てという気配が感じられるものの、その取り憑き方や性質が異質すぎるため、サキュバス王本人である可能性も低いとされ、呪いの核心については謎が残されている。

・予言能力を持つ相馬千鶴は、晴久と美咲がサキュバス王のパーツに憑かれながら生存していることを把握していた。

日本各地の封印地襲撃による遺物所在地絞り込みを狙う魔族アンドロマリウスの暗躍

本作の黒幕である魔族アンドロマリウスは、日本国内に隠されているサキュバス王の遺物を探し出すことを目的の一つとしていた。

・第4巻では、特級霊能犯罪者・鹿島霊子の封印を解いて復活させる。

・彼女に全国の管理された封印地を手当たり次第に襲撃させることで、遺物の所在地を絞り込もうと暗躍した。

相馬家の新規国内出現予言と童戸槐への一対の角憑依隔離および魔族監獄侵入誘拐の悲劇

第4巻の結末から第5巻にかけて、相馬家によって近いうちにサキュバス王の新たな性遺物が日本国内に出現するという予言がもたらされる。

・出現地域である関東北部に住む無敵の童戸一族は、大勢の犠牲を防ぐために儀式を行い、出現した性遺物を憑依前に封印しようと試みた。

・この儀式では、制御不能な不幸を振りまく特異体質を持つ少女・童戸槐が、自らの命を犠牲にする覚悟で臨んでいた。

・しかし、結界の誤作動や槐自身の不運が重なり、足元に出現した一対の角の性遺物は結界をすり抜けて槐に取り憑いてしまう。

・直後に呪いが進行する兆候は見られなかったが、槐は厳重な地下結界監獄へ隔離されることとなる。

・さらにその後、アンドロマリウスが監獄へ侵入し、槐の即死術式を妨害した上で、性遺物を宿した槐を誘拐して行方不明になってしまうという最悪の展開を迎えた。

まとめ

サキュバス王の性遺物を巡る実態は、破壊工作すら宿主の死と未来の自動再生に帰結する不条理な因果律であり、その獲得と奪還を巡って人間社会と魔族が血みどろの争奪戦を繰り広げる特級の災厄の記録である。美咲が魔眼の呪縛に苦しみ、晴久が魂と融合したミホトの謎に直面するなか、相馬家の予言通りに童戸槐へ一対の角が取り憑いたプロセスは、遺物が持つ絶対的な引き寄せの力を示している。最終的に、槐自身の不運によって儀式が失敗し、隔離先の地下監獄をアンドロマリウスに破られて槐ごと遺物が魔族側に強奪された顛末は、この争奪戦が単なる国内の怪異管理にとどまらず、九つのパーツが揃うことによる世界の再崩壊を防ぐため、晴久たちが絶望的な奪還任務へと身を投じざるを得ない絶対的な戦乱の幕開けとなったことを厳密に証明している。

童戸槐の誘拐

『出会ってひと突きで絶頂除霊!』における童戸槐の二度にわたる誘拐事件の経緯と目的について解説する。

本作の第5巻において、特異な運勢操作能力(周囲に不幸を振りまく体質)を持つ少女・童戸槐は、その強大な力を狙われ、二度にわたって誘拐されるという過酷な運命に見舞われる。橋姫鏡巳がアンチ・マジックミラー号を用いた最初の襲撃から、サキュバス王の性遺物憑依による地下監獄隔離、そして魔族アンドロマリウスによる二度目の強奪と緊急招集アラート発令にいたる全容は以下の通りである。

全面鏡張りトラック突入とドッペルゲンガー散布による不幸能力の世界拡散目的誘拐

最初の誘拐は、古屋晴久たちが童戸家の本邸を訪れていた最中に発生した。

・犯人と手段:犯人は、他人の不幸を見ることに強い快楽を覚える鏡の魔女こと第一級霊能犯罪者・橋姫鏡巳である。

・彼女は、対異能特化秘匿呪具である全面鏡張りの巨大トラックであるアンチ・マジックミラー号を用いて、幾重もの結界に守られていた槐の離れへ突入した。

・さらに、霊級格4の呪詛精霊や護衛の姿・霊力を複製したドッペルゲンガーを放ち、童戸家の幸運を無効化して護衛たちを次々と倒す。

・目的:鏡巳の目的は、槐の持つ制御不能な不幸の運勢操作能力を利用することであった。

・彼女はアンチ・マジックミラー号という安全な場所から、槐の不幸能力を世界中にばら撒き、大量の不幸を生み出し続けようと企んでいた。

・結果:槐はトラックに取り込まれて逃走されたが、晴久たちの決死の追跡とトラック内部への突入、そして槐自身の左手の力を合わせた反撃により、鏡巳は倒され、槐は無事に救出された。

一対の角憑依に伴う地下結界監獄隔離と内通者護符を介した魔族の即死術式妨害誘拐

鏡巳の事件から約一週間後、さらなる悲劇が槐を襲う。

・性遺物の憑依と隔離:童戸家は、予言されていたサキュバス王の性遺物が出現する前に槐の両手の力で呼び寄せ、憑依前に封印する儀式を球場で決行した。

・しかし、結界の誤作動や槐の不運が重なり、足元に出現した一対の角の性遺物が槐に取り憑いてしまう。

・槐は、呪いが進行すれば心臓に繋がった即死術式が発動する状態で、退魔師協会最大規模の地下結界監獄へ隔離された。

・犯人と手段:監獄へ収容されて3日目、制服姿の少女に化けた魔族アンドロマリウスが独房へ侵入する。

・鏡巳が解放した呪具が犯罪組織に流れたことで、アンドロマリウスは侵入に必要な内通者や呪殺法師の護符を手に入れていた。

・目的と結果:槐はこれ以上周囲に迷惑をかけないよう、自ら即死術式を発動させて性遺物ごと死のうとした。

・しかし、アンドロマリウスによって術式は妨害されて不発に終わる。

・アンドロマリウスは、槐の不幸能力を中和する結界ごと彼女を異空間へ引き込み、連れ去ってしまった。

・この二度目の誘拐によって槐は完全に行方不明となり、退魔師協会は霊級格6以上の脅威に対して発令される緊急招集アラートを鳴らし、大規模な捜索・救出作戦を余儀なくされることになった。

まとめ

童戸槐を巡る二度の誘拐劇は、彼女が有する不幸の運勢操作能力と、不可抗力で定着したサキュバス王の角という二大特級異能を巡り、凶悪な霊能犯罪者と上位の魔族がそれぞれ独自の戦術を用いて中枢へ侵入した破滅的な争奪戦の記録である。鏡巳が特殊トラックや複製能力を用いて童戸家の守護を崩壊させたプロセス、およびアンドロマリウスが流出呪具や内通者を介して最厳重な地下監獄を破ったプロセスは、敵側の用意周到な作戦能力を示している。一度は晴久らの共闘によって救出を成し遂げながらも、二度目は自死による呪具封印すら妨害され、槐ごと遺物が異空間へ拉致されて協会に緊急招集アラートを鳴らさせた顛末は、この事件が単なる一少女の誘拐にとどまらず、サキュバス王の復活阻止と世界防衛のために、晴久たちが最高レベルの戦乱へと巻き込まれていく絶対的な契機となったことを厳密に証明している。

不幸を招く体質

『出会ってひと突きで絶頂除霊!』における「不幸を招く体質」は、九の旧家の一つである無敵の童戸の血族、童戸槐が持っている特異な能力である。この体質は物語の展開に多大な影響を与え、彼女自身の過酷な運命を決定づけている。その詳細と作中での関わりは以下の通りである。

周囲へ無差別に不運を振りまく魂の特性と左右の両手に宿る運勢操作の副次的効果

童戸家当主である童戸手鞠が強大な幸運を持つのに対し、槐の能力はその真逆である。

・存在するだけで周囲へ無差別に、制御不能な不幸を振りまくという極めて危険な性質を持つ。

・この力は彼女の魂に刻まれているため、解呪や封印は不可能であり、手鞠の幸運や特殊な結界で中和するしか防ぐ方法がない。

・右手(ラッキースケベの右手):触れた者へ、女性との偶発的で刺激的な接触事故を引き起こす幸運を与える。

・左手(アンラッキースケベの左手):右手の反対の力を持ち、触れた者に強烈な不運をもたらす。

分家離れの特殊結界座敷牢における隔離生活と外の世界への憧れを阻む自己否定感

この体質のせいで、槐は過酷な環境での生活を余儀なくされていた。

・幼い頃から童戸家の分家の離れに張られた特殊な結界の中で、隔離生活を送ることを余儀なくされていた。

・手鞠が自身の力を込めて作ったウサギのぬいぐるみ型のお守りを持っている間だけは体質を抑えられ、短時間だけ外を歩くことができる。

・彼女は外の世界や退魔師に強い憧れを抱いている。

・しかし同時に、自分は周囲に迷惑をかけるだけの存在だ、と思い込んでおり、深い罪悪感と自己否定感を抱えている。

晴久のラッキースケベ状態誘発と橋姫鏡巳の誘拐に伴うお守り破壊後の不運連鎖

退魔学園の見学に訪れた際、主人公の古屋晴久が槐の右手に触れてしまったことで、晴久は異常な頻度で女性との接触事故を起こすラッキースケベ状態に陥ってしまう。

・その後、他人の不幸を見ることに快楽を覚える第一級霊能犯罪者である橋姫鏡巳が、槐の運勢操作能力に目をつけた。

・鏡巳は自身の呪具であるアンチ・マジックミラー号と槐の力を掛け合わせ、安全な場所から世界中に不幸をばら撒くために槐を誘拐する。

・晴久たちの救出戦の最中、鏡巳によってウサギのお守りが破壊される。

・これにより、周囲でヘリの墜落、式神の誤作動、味方の急病や転倒といった不運が連鎖的に発生し、晴久たちは絶体絶命の窮地に追い込まれた。

左手素手接触による鏡巳の術式不発化と儀式不運重畳に伴う角の憑依および魔族強奪

不幸の嵐の中で、晴久は仲間たちの決死の援護を受けて鏡巳に肉薄する。

・その意図を察した槐は、自ら左手の手袋を外して鏡巳の太ももに触れ、アンラッキースケベの左手による不運を鏡巳に与えた。

・これによって鏡巳の術式が不発となり、晴久が絶頂除霊を叩き込んで事件は解決する。

・しかし、事件から約一週間後、童戸家がサキュバス王の性遺物を槐の力で呼び寄せて封印する儀式を行った。

・その際、結界の誤作動や槐自身の不運が重なり、出現した角の性遺物が槐に取り憑いてしまう。

・そして、地下結界監獄に隔離された槐は、魔族アンドロマリウスによって結界ごと異空間へ連れ去られ、完全に行方不明になるという悲劇的な結末を迎えた。

まとめ

童戸槐の不幸を招く体質を巡る一連の出来事は、当主の幸運と対をなす絶対的な不運の力が、犯罪者や魔族の標的となり、最終的に世界規模の霊災の引き金へと繋がってしまった悲劇的な記録である。お守りの破壊によってヘリの墜落や味方の機能不全を引き起こしたプロセスは、その能力の破壊的かつ不可避な脅威を示している。最終的に、自らの左手を用いた決死の機転によって鏡巳を打破したものの、遺物封印儀式での不運の重畳によって角が定着し、地下監獄からアンドロマリウスによって異空間へと強奪された顛末は、この体質が単なる個人の不幸にとどまらず、サキュバス王の復活を目論む敵側の絶対的な鍵として利用され、晴久たちがかつてない規模の奪還作戦へ赴く契機となったことを厳密に証明している。

鏡の魔女・鏡巳

『出会ってひと突きで絶頂除霊!』における「橋姫鏡巳(はしひめ かがみ)」は、鏡の魔女の異名を持つ第一級霊能犯罪者であり、特異体質を持つ少女・童戸槐を誘拐した事件の主犯である。他人の不幸を見ることに強い快楽を覚えるという極めて悪質な性質を持つ彼女の作中での動向と能力、そして古屋晴久の絶頂除霊による敗北にいたる全容は以下の通りである。

鏡製立方体呪具の奪取に伴う組織壊滅と全面鏡張りトラック呪具の創造

鏡巳は身を寄せていた霊能犯罪組織から、鏡製の立方体の呪具を持ち出した。

・追ってきた構成員たちに対し、本物と同じ姿と呪力を持つ偽物であるドッペルゲンガーや、霊級格4相当の呪詛精霊を展開する。

・彼らの認識を狂わせて仲間割れを引き起こし、組織を容易く壊滅させた。

・その後、持ち出した立方体をトラックと融合させ、対異能特化秘匿呪具である全面鏡張りの車両アンチ・マジックミラー号を作り出した。

童戸家の強固な結界の打破と複製お守りによる安全確保下の世界規模不幸拡散目的誘拐

彼女は、童戸槐が持つ、存在するだけで周囲へ無差別に制御不能な不幸を振りまくという強大な運勢操作能力に目をつけた。

・アンチ・マジックミラー号を用いて童戸家の強固な結界を破り、槐の離れを襲撃して彼女を誘拐する。

・鏡巳の目的は、ドッペルゲンガーを使って個人の人間関係を壊すことでは満足できなくなったため、アンチ・マジックミラー号という安全な場所から槐の能力を利用し、世界中に大量の不幸を生み出し続けることであった。

・なお、彼女自身は槐の不幸を無効化するお守りを大量に複製して身につけ、自分だけ安全を確保していた。

絶対領域合わせ鏡の迷宮の構築と本音暴露複製体による侵入者への精神的揺さぶり

追跡してくる古屋晴久たちに対し、鏡巳はトラックの内部に術者の能力を増幅する絶対領域合わせ鏡の迷宮を構築して迎え撃った。

・迷宮内では、侵入者の姿や霊力だけでなく、本音や隠された願望まで反映したドッペルゲンガーを大量に生み出す。

・晴久たちの偽物に誇張された欲望を暴露させることで、仲間同士の疑念や羞恥心を煽り、連携を崩そうと精神的な揺さぶりをかけた。

ぬいぐるみ破壊による不運連鎖直撃と槐の左手素手接触に伴う反撃術式不発化および絶頂除霊敗北

最奥の広間で晴久たちを待ち受けていた鏡巳は、槐の体質を抑えていたぬいぐるみを破壊し、強烈な不運を晴久たちへ直撃させた。

・味方の急病や術式の誤作動といった不運の連鎖によって晴久たちを窮地に追い詰めたが、晴久とミホトは宗谷美咲たちの援護を受けて決死の突進を続ける。

・最終的に、晴久を救うために決意を固めた槐が自ら左手の手袋を外し、鏡巳の太ももに触れたことでアンラッキースケベの左手による強烈な不運が鏡巳に与えられた。

・不運によって反撃の術式が不発となり転倒したところを晴久とミホトに押さえ込まれる。

・胸元の快楽媚孔へ絶頂除霊を叩き込まれた。

・激しい快感によって戦闘能力と呪力を失った彼女は、事件解決後に監査部へと引き渡された。

まとめ

橋姫鏡巳を巡る一連の事件は、他者の不運を自らの快楽とする精神的異常者が、特異な複製能力と秘匿呪具を駆使して名家の防衛網を破り、世界規模の不運拡散を謀った危険な犯罪の記録である。合わせ鏡の迷宮を用いた心理戦やお守りの破壊による確定不運の連鎖で晴久たちを窮地に陥れたプロセスは、彼女の戦術の凶悪さを示している。最終的に、誘拐した槐の左手による想定外の不運打突によって自らの術式を無力化され、晴久とミホトの絶頂除霊によって呪力を根こそぎ喪失させられて監査部に拘束された顛末は、この戦闘が単なる一少女の救出にとどまらず、槐の能力を悪用して世界を混沌に陥れようとした犯罪者の野望を、被害者自身の機転と圧倒的な除霊能力によって完全に粉砕した絶対的な防衛劇であったことを厳密に証明している。

退魔師協会の疲弊

『出会ってひと突きで絶頂除霊!』における「退魔師協会の疲弊」は、第4巻から第5巻にかけて描かれる重要な背景であり、主人公たちが直面する様々な困難の要因となっている。特級霊能犯罪者・鹿島霊子による封印地襲撃、深刻な人手不足がもたらした退魔学園への影響、そして霊子の捜索難航と二次的混乱にいたる全容は以下の通りである。

特級霊能犯罪者による全国各地の封印地破壊と危険な怨霊呪具の放置に伴う甚大な警備被害

疲弊の直接的な原因は、復活した特級霊能犯罪者・鹿島霊子が、魔族アンドロマリウスの依頼を受けて全国各地の封印地を次々と襲撃し、破壊したことにある。

・鹿島霊子は封印を破った後、自分が気に入らない怨霊や呪具を各地にそのまま放置していった。

・その結果、退魔師協会は全国に散らばった危険な怪異や呪具への対処、および残る封印地の警備に追われることとなる。

・守護を任されていた熟練の退魔師たちも軒並み倒されており、協会は甚大な被害を受けている。

本部職員の連勤連泊常態化と都立退魔学園における学生の実習動員および監督の隙

各地の霊障対応に追われる退魔師協会本部では、職員たちの連勤と連泊が常態化し、疲労が限界に近づいていた。

・この深刻な人手不足は都立退魔学園にも波及する。

・学生までもが霊障対応の実習へ動員される事態となっていた。

・この混乱によって学園の教職員や生徒の余裕も失われ、見学者の監督に隙が生じるといった影響が出ている。

肉体を捨てた鹿島霊子の魂の捜索難航と霊能犯罪組織への人員不足および他呪術師の活発化

紅富士の戦いで肉体を捨てて魂のみで逃亡した鹿島霊子の捜索も難航していた。

・彼女の肉体と魂を結ぶ霊子線は何者かによって妨害されており、監査部部長のナギサを苛立たせていた。

・所在を探るためには関係する霊能犯罪組織などを摘発する必要があったが、人手不足によって十分な人員を割けない状況であった。

・協会の混乱に乗じて他の呪術師たちも活発化し、監査部の負担はさらに増大することとなった。

まとめ

退魔師協会の疲弊を巡る一連の状況は、組織的な防衛網の隙を突いた鹿島霊子の焦土作戦により、中枢職員から退魔学園の学生にいたるまでが限界以上の対応を強いられた構造的危機の記録である。全国規模の怨霊放置や霊子線の妨害工作によって、協会の最高戦力である監査部を機能不全に陥らせたプロセスは、敵側の戦略的狡猾さを示している。最終的に、人手不足の常態化が新たな呪術犯罪の抑止力を低下させ、第5巻における童戸槐の誘拐事件の初動を遅らせる直接的な要因となった顛末は、この組織の疲弊が単なる現場の過労にとどまらず、魔族の次の陰謀を許すための決定的な防衛線の決壊を意味していたことを厳密に証明している。

絶頂除霊 ! 4巻レビュー
絶頂除霊 ! まとめ
絶頂除霊 ! 6巻レビュー

登場キャラクター

都立退魔学園

古屋晴久

両手に強力な呪いである絶頂除霊を宿す少年である。仲間を助けるために自身の危険を顧みず行動する。童戸槐の右手に触れたことでラッキースケベ状態に陥ってしまう。

・所属組織、地位や役職
 都立退魔学園の学生。
・物語内での具体的な行動や成果
 槐を救出するため、アンチ・マジックミラー号へ突入して鏡の魔女・橋姫鏡巳と戦った。槐の不運を自身の幸運で中和しながら絶頂除霊を放ち、鏡巳を無力化して事件を解決に導いている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 本免許を正式に交付された。

宗谷美咲

他人の性情報が視える淫魔眼の呪いを抱える少女である。晴久のチームメイトであり、彼に強い好意を抱きつつも素直になれない。

・所属組織、地位や役職
 都立退魔学園の学生。宗谷家の跡取り娘。
・物語内での具体的な行動や成果
 晴久とともに鏡の魔女を追跡し、車内で霊力補充を受けながら強力な式神を召喚して戦った。自身のドッペルゲンガーに激怒して一斉に撃破している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 本免許を正式に交付された。

葛乃葉楓

晴久の幼馴染みであり、彼を気にかける少女である。晴久の呪いを管理する立場にあり、彼の周囲の女性関係へ嫉妬を抱きやすい。

・所属組織、地位や役職
 都立退魔学園の学生。葛乃葉家の後継者。
・物語内での具体的な行動や成果
 晴久の呪いを美咲と共同で管理すると決めた。晴久と接触事故を起こした際、羞恥から九本の狐尾と狐火で攻撃を放っている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

小林

退魔学園の学生であり、晴久のクラスメイトである。過去の事件で理想を具現化された影響から、現実に満足できなくなっている。

・所属組織、地位や役職
 都立退魔学園・Dクラスの生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
 昇天サポートセンターで晴久が槐を連れているのを見て騒ぎ立てた。槐の強い霊力を見抜き、旧家の関係者ではないかと疑っている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

小林たち

小林と行動を共にする退魔学園の学生たちである。過去の事件の後遺症から、共同で高級人形を購入している。

・所属組織、地位や役職
 都立退魔学園・Dクラスの生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
 槐を連れた晴久を不審に思い、騒ぎを起こした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

烏丸葵

晴久のチームメイトである。問題行動を繰り返すため、実習で強制的に働かされている。

・所属組織、地位や役職
 都立退魔学園・Dクラスの生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
 槐を救出するための追跡隊に同行した。鏡の迷宮で自身のドッペルゲンガーが現れた際、敵と区別がつかなくなり騒ぎを大きくしている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

南雲睦美

残留怪異による怪力を抱える少女である。晴久へ絶頂除霊を求めている。

・所属組織、地位や役職
 都立退魔学園・Dクラスの生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
 桜が不在の間に晴久と二人きりになっていないか監視されていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

退魔師協会・監査部・十二師天

退魔師たち

退魔師協会に所属し、怪異や悪霊の対処に当たる人員である。鹿島霊子が解放した呪具や怨霊への対応で疲弊している。

・所属組織、地位や役職
 退魔師協会。
・物語内での具体的な行動や成果
 全国に散らばった危険な怪異の対応に追われている。槐の誘拐後、緊急招集を受けて捜索隊と救出隊に編成された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

文鳥桜

晴久の妹分であり、監査部から派遣された監視役である。晴久に強い執着を持ち、彼の周囲の女性関係に目を光らせている。

・所属組織、地位や役職
 退魔師協会・監査部の構成員。
・物語内での具体的な行動や成果
 鏡張りのトラックを追跡し、呪詛返しで敵の攻撃を反射した。鏡の迷宮では自身のドッペルゲンガーを撃破し、作戦の指揮を執っている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ナギサ

監査部を束ねる生き霊である。鹿島霊子の捜索が進まないことに苛立ちを覚えている。

・所属組織、地位や役職
 退魔師協会・監査部部長。
・物語内での具体的な行動や成果
 童戸手鞠に協力を要請したが断られた。鹿島霊子の関係組織を摘発するため、捜査方針を練り直している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

事務員

退魔師協会本部で働く職員である。人手不足により、疲労が限界に近づいている。

・所属組織、地位や役職
 退魔師協会。
・物語内での具体的な行動や成果
 本部内で連絡や現場への対応に追われている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

土御門晴親

退魔師協会の最高幹部の一人である。

・所属組織、地位や役職
 退魔師協会・十二師天。
・物語内での具体的な行動や成果
 童戸家の離れへ手鞠とともに強固な封印を築いていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

協会

退魔師を統括する組織である。全国的な霊障対応によって人手不足に陥っている。

・所属組織、地位や役職
 退魔師協会。
・物語内での具体的な行動や成果
 相馬家からの警告を受け、性遺物の回収へ向けた対策を始めた。槐が誘拐された際には緊急招集アラートを発令している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

捜索隊と救出隊

童戸槐を救出するため、退魔師協会によって緊急編成された部隊である。

・所属組織、地位や役職
 退魔師協会。
・物語内での具体的な行動や成果
 行方不明となった槐を捜索するために活動を開始した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

童戸家

童戸手鞠

童戸家の当主であり、強大な幸運を持つ人物である。槐を気遣い、彼女を守るためにお守りを与えている。

・所属組織、地位や役職
 童戸家当主。十二師天。
・物語内での具体的な行動や成果
 晴久を巡って美咲たちと勝負を行った。槐が誘拐された後、十二師天の権限で増援を要請し、晴久へ救出を託している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

童戸槐

無敵の童戸の血族であり、存在するだけで周囲に不幸を振りまく体質を持つ少女である。自身の力に罪悪感を抱き、誰かの役に立ちたいと願っている。

・所属組織、地位や役職
 童戸家の分家に住む少女。
・物語内での具体的な行動や成果
 退魔学園を見学し、動物霊を成仏させた。鏡巳に誘拐された後、自らの左手で鏡巳に不運を与えて事件解決に貢献している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 サキュバス王の角に取り憑かれた後、魔族アンドロマリウスによって連れ去られた。

童戸家に仕え、槐の護衛を担当する女性である。槐の身を深く案じている。

・所属組織、地位や役職
 童戸家の関係者。
・物語内での具体的な行動や成果
 晴久たちを車に乗せ、童戸家の幸運を利用して鏡張りのトラックを追跡した。鏡の迷宮では呪詛精霊とドッペルゲンガーを引き受け、晴久たちを先へ進ませている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

皇樹家

皇樹夏樹

皇樹家の当主であり、天人降ろしとして神族を宿す人物である。晴久に感謝し、協力を惜しまない姿勢を見せる。

・所属組織、地位や役職
 皇樹家当主。十二師天。
・物語内での具体的な行動や成果
 相馬家へ占いを依頼し、晴久たちに性遺物の情報を伝えた。アンチ・マジックミラー号との追走戦に駆けつけ、神木でトラックの暴走を止めている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

紅葉姫

皇樹家が祀る神族である。晴久たちにミホトを制御する神具を授けた。

・所属組織、地位や役職
 皇樹家の神族。
・物語内での具体的な行動や成果
 槐の不幸能力の影響で、夏樹との霊的接続が乱された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

相馬家

相馬家当主

相馬家の当主であり、予言能力を持つ人物である。占いを嫌っているが、重大な未来を視た際には協会へ警告を行う。

・所属組織、地位や役職
 相馬家当主。
・物語内での具体的な行動や成果
 サキュバス王の新たな性遺物が日本国内に出現し、大勢の犠牲を生むという予言を下した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

霊能犯罪組織・魔族・怪異・式神

サキュバス王

かつて世界を滅ぼしかけたとされる大魔族である。その身体のパーツは性遺物として各地に点在している。

・所属組織、地位や役職
 大魔族。
・物語内での具体的な行動や成果
 新たな性遺物である一対の角が日本に出現し、槐に取り憑いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

鹿島霊子

特級霊能犯罪者であり、ネクロマンサーである。全国の封印地を襲撃し、退魔師協会を混乱に陥れている。

・所属組織、地位や役職
 特級霊能犯罪者。
・物語内での具体的な行動や成果
 各地の封印を解き、気に入らない怨霊や呪具を放置して逃亡を続けている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 肉体と魂を結ぶ霊子線を妨害され、追跡を逃れている。

怨霊

鹿島霊子によって封印を解かれた霊的存在である。

・所属組織、地位や役職
 怪異。
・物語内での具体的な行動や成果
 全国各地に放置され、退魔師たちを疲弊させている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

呪具

鹿島霊子によって解放された危険な道具である。

・所属組織、地位や役職
 呪具。
・物語内での具体的な行動や成果
 犯罪組織の手に渡り、橋姫鏡巳によって悪用された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

浮遊霊

未練を残して現世に留まる霊体である。

・所属組織、地位や役職
 怪異。
・物語内での具体的な行動や成果
 昇天サポートセンターでDクラスの生徒たちに相談し、未練を解消して成仏した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ミホト

晴久の両手に宿る銀髪の少女霊である。力を得ることに執着し、狡猾な一面を持つ。

・所属組織、地位や役職
 晴久の両手に宿る存在。
・物語内での具体的な行動や成果
 槐の右手に触れた際、その力が役立つと示唆した。鏡巳との戦闘では弱体化しながらも晴久に協力し、絶頂除霊を放っている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

動物霊

人に甘えたいという未練を残した霊体である。

・所属組織、地位や役職
 怪異。
・物語内での具体的な行動や成果
 槐に優しく撫でられたことで満足し、次々と成仏していった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

橋姫鏡巳

鏡を使う呪術師であり、他人の不幸を見ることに快楽を覚える人物である。槐の能力を利用しようと企む。

・所属組織、地位や役職
 第一級霊能犯罪者。「鏡の魔女」。
・物語内での具体的な行動や成果
 犯罪組織を壊滅させ、アンチ・マジックミラー号を作り出した。槐を誘拐して世界に不幸を広げようとしたが、晴久の絶頂除霊を受けて敗北した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 事件後に監査部へ引き渡された。

霊能犯罪組織の構成員たち

鏡巳が身を寄せていた組織のメンバーである。

・所属組織、地位や役職
 霊能犯罪組織。
・物語内での具体的な行動や成果
 呪具を取り戻そうと鏡巳を追ったが、ドッペルゲンガーに認識を狂わされて仲間割れを起こした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 組織は壊滅した。

女ボスたち

霊能犯罪組織を率いる女性たちである。

・所属組織、地位や役職
 霊能犯罪組織の幹部。
・物語内での具体的な行動や成果
 鏡巳へ呪詛精霊を放って攻撃したが、偽物であったため無効化された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

呪詛精霊

負の感情から生み出された悪霊である。

・所属組織、地位や役職
 怪異。
・物語内での具体的な行動や成果
 鏡巳に操られ、追跡隊や緑たちを攻撃した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

ドッペルゲンガー

鏡巳の術式によって生み出される偽物である。対象者の姿と霊力、隠された願望を模倣する。

・所属組織、地位や役職
 鏡巳の術式。
・物語内での具体的な行動や成果
 童戸家の護衛や晴久たちを襲撃し、本音を暴露して連携を乱そうとした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

アンチ・マジックミラー号

鏡の立方体とトラックが融合した呪具である。強力な術式の無効化と反射を行う。

・所属組織、地位や役職
 寄生型式神。対異能特化秘匿呪具。
・物語内での具体的な行動や成果
 槐の部屋へ突入して彼女をさらい、物理結界や迎撃結界を突破して暴走した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 夏樹の神木に四肢を破壊され、事件後に再封印された。

寄生型式神

車両などを依り代とし、異能力への対抗に特化した危険な式神である。

・所属組織、地位や役職
 秘匿呪具。
・物語内での具体的な行動や成果
 トラックに側面から四本の足を生やさせ、荒縄を跳躍して逃走した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

美咲の式神

美咲が使役する強力な式神である。

・所属組織、地位や役職
 美咲の式神。
・物語内での具体的な行動や成果
 トラックの追跡や呪詛精霊との戦闘で活躍した。鏡の迷宮の扉を破壊している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 槐の不運によって一時的に誤作動を起こした。

夏樹の神木

夏樹が天人降ろしの力で操る神聖な樹木である。

・所属組織、地位や役職
 夏樹の能力。
・物語内での具体的な行動や成果
 丸太を投げつけてトラックの暴走を止め、迷宮内のドッペルゲンガーを一掃した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

晴久たちの偽物

鏡巳によって生み出されたドッペルゲンガーである。

・所属組織、地位や役職
 鏡巳の術式。
・物語内での具体的な行動や成果
 本人たちの願望を誇張した行動を取り、仲間同士の疑念を煽ろうとした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 羞恥と怒りから本人たちに一斉に撃破された。

烏丸のドッペルゲンガー

烏丸の姿と霊力を模した偽物である。

・所属組織、地位や役職
 鏡巳の術式。
・物語内での具体的な行動や成果
 桜、美咲、夏樹を強力な拘束術で捕らえた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 晴久の絶頂除霊を受けて消滅した。

夏樹のドッペルゲンガー

夏樹の姿と隠された願望を模した偽物である。

・所属組織、地位や役職
 鏡巳の術式。
・物語内での具体的な行動や成果
 晴久を拘束し、世継ぎを作りたいという欲望を口にしながら迫った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 夏樹の神木によって一掃された。

桜のドッペルゲンガー

桜の姿と願望を模した偽物である。

・所属組織、地位や役職
 鏡巳の術式。
・物語内での具体的な行動や成果
 晴久に甘えた態度を見せ、過剰に執着して不適切な行動をとった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 夏樹の神木によって一掃された。

宗谷のドッペルゲンガー

美咲の姿と願望を模した偽物である。

・所属組織、地位や役職
 鏡巳の術式。
・物語内での具体的な行動や成果
 普段の霊力補充では満足できないと口にしながら晴久へ迫った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 夏樹の神木によって一掃された。

黒い塊

ドッペルゲンガーが集めた負の感情を吸収して成長する呪詛精霊である。

・所属組織、地位や役職
 怪異。
・物語内での具体的な行動や成果
 童戸家の者たちに襲いかかった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

黒い呪詛精霊

鏡巳が負の感情から生み出した強力な霊体である。

・所属組織、地位や役職
 怪異。
・物語内での具体的な行動や成果
 鏡巳の再起動を支援するため、晴久たちを排除しようと襲いかかった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 晴久に快楽媚孔を突かれて無力化された。

小型式神

美咲が使役する霊力を抑えた式神である。

・所属組織、地位や役職
 美咲の式神。
・物語内での具体的な行動や成果
 晴久によって鏡巳に投げつけられ、仕込まれた護符で槐の拘束を破壊した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

アンドロマリウス

人間の欲望や正義感を煽る魔族である。サキュバス王の遺物を狙っている。

・所属組織、地位や役職
 魔族。
・物語内での具体的な行動や成果
 制服姿の少女に化けて地下結界監獄へ侵入し、即死術式を妨害したうえで槐を異空間へ連れ去った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

一般人

小日向静香

男性に激痛を与える残留怪異を抱える少女である。晴久に好意を寄せており、積極的に接触を図る。

・所属組織、地位や役職
 一般人。
・物語内での具体的な行動や成果
 桜が不在の間に晴久と二人きりになっていないか監視されていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特になし。

絶頂除霊 ! 4巻レビュー
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展開まとめ

プロローグ 

性遺物の情報と座敷牢の少女

本免許による情報開示

宗谷美咲は本免許の正式交付を知り、古屋晴久を病院内で捜し回った。二人は中庭へ移動し、退魔師協会のデータベースからサキュバス王の性遺物に関する情報を確認した。

鹿島霊子の襲撃後も美咲は晴久との距離に戸惑っていたが、呪いの手がかりを前にした興奮から以前のように接していた。

性遺物の対処法

協会の記録では、性遺物を宿主から安全に除去する方法は存在せず、宿主ごと封印するか殺害するしかないとされていた。

パーツだけを破壊すれば宿主の魂も欠損して死亡し、消滅したパーツも数年から数十年後に世界のどこかで再生するため、憑依前に封印することが最善策であった。

九つのパーツ

サキュバス王の性遺物は、晴久の両手と美咲の目を含めて九つ存在していた。

しかし残るパーツについて判明しているのは角や足などの名称だけで、能力や所在は不明であった。二人は期待したほどの情報を得られず、ほかの宿主を探すことも現実的ではないと落胆した。

相馬家の占い

美咲はより多くの情報を得るため十二師天を目指すと言い出したが、晴久は現実的ではないと考えた。

晴久には皇樹夏樹が依頼した相馬家の占いという手がかりが残っていたものの、結果が得られる保証はないため、美咲にはまだ伝えなかった。数日後、その占いによって新たな情報がもたらされ、二人を取り巻く状況は大きく動くことになった。

厳重な座敷牢

別の場所には、玩具や本、生活設備が整えられた豪華な一室があった。

しかし壁や窓は強固な素材と結界で覆われ、外部と通じるのは小さな窓だけであった。そこは特殊な体質を持つ少女が自ら入った座敷牢であり、結界によって彼女の力が中和されていた。

手鞠の説得

童戸家当主の童戸手鞠は、相馬家の予言を受けて危険な任務へ参加しようとする少女を思いとどまらせようとした。

少女の両手に宿る能力を知る者は少なく、彼女が性遺物に関わる任務へ命を懸ける必要はなかった。しかし少女は既に決意を固め、説得を受け入れなかった。

白いウサギのお守り

手鞠は少女へ、自身の力を大量に込めた白いウサギのぬいぐるみを渡した。

そのお守りがあれば、少女は短時間だけ体質を抑え、普通の子供として外を歩けた。少女は手鞠の負担を理由に拒んだが、手鞠は少女の願いを聞く代わりに自分の願いも受け入れるよう求めた。

退魔学園への憧れ

少女は、仲間と協力して人々を救う退魔師たちを描いた小説を何度も読んでいた。

自分には届かない世界だと諦めていたが、手鞠の後押しを受け、たった一度だけ退魔師の学校を見学したいという願いを口にした。

第一章 ラッキースケベの右手、 アンラッキースケベの左手 

相馬家の占いと三人の騒動

積み上がった課題

紅富士の園から退院した古屋晴久は退魔学園の学生寮へ戻ったが、長期間休んでいた分の課題を大量に課されていた。

文鳥桜は鹿島霊子の捜索に駆り出され、宗谷美咲や同級生たちも忙しく、晴久は誰にも頼れなかった。全国では鹿島霊子が解放した怨霊や呪具への対応で退魔師が不足し、学園の生徒や教師まで現場へ動員されていた。

夏樹からの連絡

晴久が葛乃葉楓の様子を気にして連絡を送った直後、皇樹夏樹からメールが届いた。

相馬家による占いの結果が出たものの、電話やメールでは伝えられないほど重大な内容であるため、直接会って話したいという連絡であった。晴久はすぐに美咲を誘い、夏樹が指定した場所へ向かった。

占いへの期待

相馬家への依頼を知らされていなかった美咲は晴久へ不満を漏らしたが、呪いに関する重要な情報が得られることへの期待を隠せなかった。

晴久たちは、紅富士の復興支援と系列神社への挨拶で東京を訪れていた夏樹と会うため、繁華街にある喫茶店を探した。

カップル向けの喫茶店

待ち合わせ場所は半個室や二人用メニューが人気の、カップル客が多い喫茶店であった。

美咲は、夏樹が自分の同行を知らず、晴久と二人で会うつもりだったのではないかと疑った。そこへ現れた夏樹は美咲の姿を見た途端に表情を凍らせ、なぜ彼女を連れてきたのかと晴久へ詰め寄った。

夏樹の早とちり

晴久は、呪いに関する話なら当事者である美咲を連れてくるのは当然だと説明した。

夏樹は自分の早とちりを認めたが、わざわざ日程を調整して東京まで来たことを口にし、落胆を隠せなかった。

可愛くなった夏樹

晴久は夏樹を見つめる中で、以前よりも雰囲気が女性らしくなったことに気づいた。

性別を隠している夏樹にとって問題になる可能性があるため、晴久は真剣に可愛くなったと忠告した。しかし夏樹は顔を赤くして動揺し、美咲も不機嫌そうな態度を見せた。

漏れた求婚

晴久が美咲にも同意を求めると、夏樹は怒りのあまり、晴久が自分の求婚を断ったことを口走った。

求婚の事実を初めて知った美咲は、いつ何があって夏樹が晴久へ結婚を申し込んだのかと問い詰めた。さらに晴久を宗谷家の人式神だと主張し、他家へ渡れば呪いや霊力に支障が出ると理由を並べた。

人目を集める三人

夏樹の叫びによって通行人たちは三人の関係へ注目し、痴話喧嘩や男性同士の求婚だと誤解し始めた。

写真を撮ろうとする者まで現れたため、晴久は騒ぎを収めるべく夏樹と美咲の手を引き、ひとまず喫茶店へ入ろうとした。

性遺物出現の予言と新たな準備

求婚を巡る追及

喫茶店に入った古屋晴久は、宗谷美咲から皇樹夏樹の求婚について説明を求められた。

晴久と夏樹は、皇樹家の跡継ぎ問題と夏樹の性別を知る晴久の条件が重なっただけだと説明した。しかし美咲は納得しきれず、式神を使って夏樹の表情を視ようとしたため、二人の間に険悪な空気が流れた。

晴久は争いを止め、サキュバス王の性遺物に関する情報を聞くという本来の目的へ話を戻した。

新たな性遺物の出現

相馬家当主の予言によれば、近いうちにサキュバス王の性遺物が日本国内へ出現する見込みであった。

出現する地域と期間も絞られており、通常は発見困難なパーツの出現に立ち会える可能性があった。晴久と美咲は、新たな宿主や事件から呪いを解く手がかりを得られると期待した。

退魔師協会の先行

しかし相馬家は、大規模な事件が起こる未来も視たため、皇樹家より先に退魔師協会へ警告していた。

協会や旧家も既に対策を始めており、晴久たちより先に性遺物を回収する可能性が高かった。それでも二人は情報を得られただけで十分だと考え、協会に妨げられる可能性も承知のうえで現地へ向かう意思を固めた。

関東北部への備え

予言された出現地域は関東北部の中核都市であり、期間は一週間後から三週間後までであった。

晴久と美咲は、それまでに課題を終わらせ、退魔術や能力を鍛える必要があると確認した。二人は性遺物の出現へ備え、具体的な準備を始めることにした。

ミホトの制御

夏樹は別れ際、紅葉姫から授けられた神具が正常に働いているか晴久へ確認した。

晴久によれば、強い痛みを受けて以来、ミホトは大人しくなっていた。再封印も問題なく機能し、以前のように勝手な行動を起こすことはなくなっていた。

ただしミホトは空腹を訴え、晴久の精気を密かに得ていることを口走っていた。晴久はその発言を不審に思ったものの、それ以降はミホトからの干渉もなく、表面上は平穏が保たれていた。

学校見学と迷子の槐

夏樹との別れ

皇樹夏樹は、古屋晴久たちの呪いを解くため、今後も協力すると約束して帰っていった。

その直後、宗谷美咲は晴久と夏樹の距離の近さを疑い、神具の指輪をちらつかせた。晴久は自分に非があるとは思えないまま、美咲をなだめながら帰路についた。

晴久の鍛錬

翌日、晴久は性遺物の出現に備えて課題を片付けようとしたが、勉強に行き詰まった。

そこで入院生活で衰えた体力を戻し、絶頂除霊を使う際の身体能力を高めるため、日課にしていたランニングへ出た。晴久は自分自身を鍛えることで、ミホトに頼る場面を減らそうとしていた。

退魔学園の学校見学

退魔学園では入学希望者向けの学校見学が始まり、休日ながら多くの人で賑わっていた。

人手不足の影響で教職員や生徒の余裕が減っており、複雑な構造の学園内では見学者への監督にも隙が生じていた。人目を避けて走っていた晴久は、中等部付近で一人の少女を見つけた。

迷子の少女

少女は見学グループからはぐれ、ウサギのぬいぐるみを抱いて泣いていた。

晴久は古屋晴久と名乗り、職員室まで送り届けると申し出た。少女は晴久が学園の生徒だと知って警戒を解き、彼の後について歩き始めた。

槐への学校案内

少女の名は槐であり、幼い頃から退魔師に憧れていた。

晴久が見学できなかった施設も簡単に説明すると申し出ると、槐は強い関心を示した。授業や寮生活、式神、実習チームなどについて次々と質問し、晴久の案内のほうが通常の見学より詳しくて楽しいと喜んだ。

昇天サポートセンターへの関心

案内の途中、槐は昇天サポートセンターの前で足を止めた。

そこは浮遊霊の相談に応じて成仏を助ける施設であり、派手な戦闘とは縁遠いため、主にDクラスの生徒が実習に使っていた。人手不足と悪霊化の危険から今年の見学コースから外されていたが、槐は学園で最もその施設に興味を持っていた。

秘密の見学

槐の強い憧れを知った晴久は、見学終了まで時間があるとして、内緒で昇天サポートセンターを覗いてみようと誘った。

槐は規則を気にして戸惑ったものの、好奇心に負けて承諾した。晴久は彼女を連れ、見学中止となった施設の内部へ向かった。

昇天サポートセンターでの槐の体験

混雑するサポートセンター

古屋晴久が槐を連れて昇天サポートセンターへ入ると、内部は対応を待つ浮遊霊で混雑していた。人手不足を補うため、Dクラスの生徒たちが浮遊霊の監視や窓口業務に追われていた。

Dクラスの騒動

小林たちは晴久が槐を連れている姿を見て騒ぎ立て、彼が中学生を連れ込んだと誤解した。槐が怯えると慌てて弁解したが、晴久の説明を聞いても疑いを解かなかった。

さらに烏丸葵まで槐へ近づいたが、晴久がすぐに引き離した。烏丸は学校見学者へ問題行動を繰り返したため、サポートセンターで強制的に働かされていたのである。職員に叱られた一同は、ようやく持ち場へ戻った。

槐の羨望

槐は騒がしいDクラスの様子を見ても嫌悪せず、仲間同士で支え合う姿を羨ましがった。

その後、浮遊霊の相談に応じ、未練を解消して成仏させる生徒たちの仕事を静かに見つめた。槐の瞳には、退魔師として誰かを助けることへの強い憧れが浮かんでいた。

動物霊との触れ合い

晴久は槐を動物霊の対応へ誘った。

動物霊の多くは最後に人へ甘えたいという未練を持っていたため、晴久は霊力を込めて撫でることで成仏させる方法を教えた。槐が長手袋越しに優しく触れると、動物霊はすぐに満足して消えていった。

槐の喜び

槐は自分にも誰かのためにできることがあると知り、心から喜んだ。

その優しい雰囲気に惹かれた動物霊たちは次々と槐の周囲へ集まり、彼女は一匹ずつ丁寧に触れて成仏を見届けた。晴久や小林たちは、その穏やかな光景に見入った。

秘められた霊力

小林たちは、槐が動物霊に好かれているだけでなく、サポートセンターに収まらないほど強い霊力を持っていると見抜いた。

晴久は霊力探知ができないため気づいていなかったが、槐が旧家の関係者か跡継ぎではないかと疑い始めた。

槐を捜す女性

晴久が槐へ事情を尋ねようとしたとき、一人の女性がサポートセンターへ駆け込んできた。

その女性は焦った様子で槐を様付けで呼び、施設内を必死に捜し回っていた。

槐との別れと右手の異変

童戸家の護衛

槐を捜していた女性は、童戸家の関係者である緑だった。学校見学の終了後も戻らず、連絡も取れなかった槐を心配していたのである。

古屋晴久が事情を説明すると、緑は槐を保護して学校を案内したことへ感謝した。槐は病弱で外出の機会が少なく、本家に匹敵する力を持ちながらも、これまで自由に外を歩けなかったという。

延長された学校見学

槐は晴久へ、生まれてから最も楽しい一日だったと礼を述べた。

その様子を見た緑は、もう少しだけ学校見学に付き合ってほしいと晴久へ頼んだ。晴久も別れを惜しんでいたため快諾し、槐は涙をこらえるような表情で再び感謝した。

学園での一日

晴久と槐は、学生寮をはじめとする学園内の施設を巡った。

槐は学園生活について熱心に質問を続けたが、もともと体力がなかったため、日暮れには疲れて眠ってしまった。晴久は槐を背負い、久しぶりに心から穏やかに過ごせた一日を振り返った。

動物霊の追跡

正門へ戻る途中、昇天サポートセンターから抜け出した動物霊たちが槐のもとへ集まった。

動物霊は眠る槐に構ってもらおうと服や手袋を引っ張った。晴久は槐の右手を握って代わりに動かし、一匹ずつ撫でさせて満足させた。

ミホトの反応

槐の右手に触れた際、ミホトはその力が晴久に役立つ可能性を示唆する言葉を漏らした。

晴久が問いかけてもミホトは答えず、彼は気になりながらも動物霊への対応を優先した。

槐との別れ

正門では緑と童戸家の護衛たちが待っていた。

熟睡した槐は晴久から離れようとせず、彼に強く抱きついた。晴久は槐を起こさないよう緑へ預け、自分も妹ができたようで楽しかったと、目覚めたら伝えてほしいと頼んだ。

緑は晴久へ改めて感謝し、いつか必ず礼をすると約束した。

振り替え実習と連続する事故

退魔師不足による振り替え実習

古屋晴久が槐との一日を終えて学園へ戻った翌朝、Dクラスには急遽、丸一日の振り替え実習が言い渡された。

鹿島霊子が各地の封印を解いた影響で、退魔師協会は怪異霊や呪具への対応に追われ、学生まで実習へ動員されるほど人手不足が深刻化していた。監査部の応援から戻った文鳥桜も、晴久の監視を優先して学園へ帰還していた。

南雲と小日向への約束

桜は不在中に晴久が南雲睦美や小日向静香と二人きりになっていないか問い詰めた。

晴久は鹿島霊子戦で助けられた勢いから、二人へ何でもすると約束したことを後悔していた。二人は絶頂除霊を求めているため、晴久は今後どう対応するべきか困り果てていたが、桜は監視役として不適切な行動を阻止すると請け負った。

桜の嫉妬

桜は美咲との人式神関係や紅富士での長期滞在、晴久の薬指にある指輪状の紋様まで持ち出し、不満を募らせた。

さらに自分も晴久から何でもすると言われたことを思い出し、他の女性より先に願いを叶えてもらうことまで考え始めた。晴久が槐を昔の桜のように大人しくて可愛かったと評すると、桜は槐が誰なのかと激しく追及した。

桜との転倒

晴久がその場から逃げようとしたところ、腕を掴んだ桜が突然大きく体勢を崩した。

二人は机や椅子を巻き込んで転倒し、晴久は偶然、桜の下半身付近へ顔を突っ込む形となった。桜は羞恥で激怒したものの、自分が晴久を引っ張ったこともあり、事故として辛うじて受け入れた。

止まらない接触事故

晴久が立ち上がろうとすると、今度は近づいてきた女子生徒の下半身付近へ手を入れてしまった。

慌てて離れた先でも散乱した机につまずき、別の女子生徒へ倒れ込み、再び不適切な体勢になった。晴久自身にも原因が分からないまま、偶然とは思えない接触事故が続いた。

Dクラスの包囲

一連の光景を目撃した男子生徒たちは、晴久が故意に女子たちへ触れたと判断した。

晴久はすべて事故だと必死に弁明したが、あまりにも都合よく女性との接触が続いたため誰にも信じてもらえなかった。怒りに満ちた男子たちは、晴久を制裁しようと包囲した。

楓との再会と続発する異変

教室からの逃走

古屋晴久の弁明は誰にも信じられず、文鳥桜やDクラスの生徒たちは制裁するために包囲した。

烏丸葵だけは晴久の行動を称賛したが、味方にはならなかった。晴久は一瞬の隙を突いて教室を脱出したものの、対人戦に慣れた桜の指揮によって包囲網は次第に狭められていった。

葛乃葉楓との再会

逃走中の晴久は、連絡を受けて学園を訪れていた葛乃葉楓と遭遇した。

楓は振り替え実習で再び多忙になる前に話を済ませようとし、変身術で晴久を女子生徒の姿へ変えた。晴久はその姿で追っ手の包囲を抜け、楓と人気のない校舎裏へ移動した。

呪いの管理

晴久は宗谷美咲の覚醒やミホトの再封印、紅葉姫から授かった神具について楓へ報告した。

楓は現在の封印が機能していることを認めたが、ミホトは狡猾で霊力操作にも長けているため、美咲だけに任せるのは危険だと考えた。今後も美咲を指導しながら、共同で晴久の呪いを管理すると一方的に決めた。

パーツ出現への懸念

楓はサキュバス王の性遺物が出現するという予言について尋ねた。

晴久が情報を得るため現地へ向かうつもりだと察した楓は、後ろめたさをにじませながら、まるで行ってほしくないかのような態度を見せた。

楓との接触事故

晴久が楓へ近づこうとすると、何もない場所で突然足を取られ、彼女を押し倒してしまった。

その際、晴久は偶然楓の身体へ触れてしまい、すぐに飛び退いて謝罪した。長年冷静だった楓は激しく動揺し、顔を赤らめながら晴久へ責任を取るよう迫った。

楓の追撃

羞恥と混乱で平静を失った楓は、九本の狐尾と狐火を出現させ、晴久へ攻撃を放った。

晴久は必死に逃走し、楓が冷静さを欠いていたため辛うじて直撃を避けた。しかし楓が落ち着けば逃げ切れないと判断し、学園の外を目指した。

美咲の呼び止め

逃走中の晴久は宗谷美咲と出会った。

晴久は自分が追われているため巻き込みたくないと断ろうとしたが、美咲も余裕を失った様子で、人に聞かれない場所へ来るよう求めた。

ラッキースケベの右手と東北行き

美咲との霊力補充

宗谷美咲は霊力制御の訓練で力を使い果たし、古屋晴久へ霊力補充を頼んだ。

人目を避けるため二人は無人の実習室へ入り、晴久は美咲の指へ刺激を与え始めた。しかし晴久は突然体勢を崩し、美咲の衣服を乱す形で倒れ込んでしまった。

美咲の激怒

晴久が慌てて起き上がろうとしたことで状況はさらに悪化し、美咲は悲鳴を上げて晴久を殴り飛ばした。

わずかに回復した霊力で式神を召喚した美咲は晴久を実習室の外まで吹き飛ばし、そのまま泣きながら逃げ去った。

追っ手の集合

騒ぎを聞きつけた文鳥桜やDクラスの生徒たちは、晴久が美咲にも不適切な行動をしたと考え、彼を取り囲んだ。

そこへ葛乃葉楓も現れたが、晴久を処罰するのではなく、一連の出来事があまりにも不自然であることに気づいた。楓は、童戸家の運勢操作による影響ではないかと疑った。

槐の右手

晴久は先日の学校見学で、童戸槐の右手に触れたことを思い出した。

護衛の緑へ連絡すると、槐の右手には触れた者へ偶発的な刺激的事故を引き起こす力があると判明した。霊力の乏しい晴久の場合、自然に効果が消えるまで約二週間かかるとされた。

アンラッキースケベの左手

右手の影響を早く消すには、反対の力を持つ槐の左手に触れて中和する必要があった。

しかし槐は事情により分家の屋敷から離れられず、晴久が東北にある童戸家の本拠地まで向かわなければならなかった。

東北への出発

サキュバス王の性遺物が出現すると予言された時期は一週間後に迫っていた。

この状態では調査や戦闘に支障が出るため、晴久は翌日にでも童戸家を訪ねると決めた。こうして晴久は、予想外に早く槐と再会することになった。

逼迫する退魔師協会

一方、東京の退魔師協会本部では、各地の霊障対応によって退魔師や職員の疲労が限界に近づいていた。

建物内には現場へ急ぐ者や連絡に追われる事務員が行き交い、深刻な人手不足が続いていた。

ナギサの焦燥と鏡の魔女

退魔師協会の疲弊

退魔師協会本部では連勤と連泊が常態化し、職員たちは各地の怪異や呪具への対応に追われていた。

監査部部長のナギサも現場から戻ったが、鹿島霊子の捜索が進まない現状に苛立っていた。鹿島霊子の肉体と魂を結ぶ霊子線は何者かに妨害され、逃走先を特定できなくなっていた。

鹿島霊子の捜索難航

鹿島霊子はアンドロマリウスや腕の立つ呪術師の支援を受けている可能性が高かった。

所在を探るには関係する霊護団体や霊能犯罪者を摘発する必要があったが、全国に放置された怪異霊や呪具への対応で人員が不足していた。さらに混乱に乗じて呪術師たちも活発化し、監査部の負担は増大していた。

童戸手鞠への要請

ナギサは童戸家当主の童戸手鞠へ連絡し、その豪運を利用して鹿島霊子に繋がる組織を探し当ててほしいと頼んだ。

しかし手鞠は能力の調子が悪いとして休暇を申請しており、協力を断った。ナギサは人手不足の最中に十二師天の一人まで不在になることへ強い不安を抱き、捜査方針を練り直した。

不幸を求める女

夜の駐車場では、人の不幸に強い快楽を感じる金髪の女が、繁華街の人々を眺めていた。

女は鏡を使って周囲の幸福な者を探し、誰を陥れるか選ぼうとした。しかしその場には、彼女が身を寄せていた霊能犯罪組織の構成員たちが迫っていた。

犯罪組織との対決

女ボスたちは、女が組織から持ち去った呪具を返すよう要求し、霊級格3の呪詛精霊を放った。

しかし攻撃を受けた女は身代わりであり、本体は構成員たちと同じ姿と呪力を持つ偽物を周囲へ展開していた。さらに霊級格4相当の呪詛精霊を生み出し、組織を圧倒した。

鏡の魔女

女の正体は、鏡を使う呪術師として恐れられる橋姫鏡巳であった。

鏡巳は構成員たちの認識を狂わせ、互いを敵だと思わせて仲間割れさせた。信頼していた組織が崩壊する姿を眺め、鏡巳は欲求不満を一時的に満たした。

鏡の立方体

鏡巳は、犯罪組織へ流れ着いた鏡製の立方体を持ち出していた。

その呪具があれば童戸家に封じられた少女を手に入れ、本物の不幸を生み出せると考えていた。鏡巳が立方体をトラックへ融合させると、車体全体が鏡張りへ変化した。

アンチ・マジックミラー号

真の姿を取り戻した呪具は、アンチ・マジックミラー号と呼ばれる鏡張りの車両であった。

鏡巳は自らの鏡の呪術に適した秘匿呪具を手に入れ、童戸家の少女を狙って行動を開始した。

第二章 突撃 無敵の童戸家! 

東北への到着と金髪の女

童戸家への移動

ラッキースケベ状態を解くため、古屋晴久は宗谷美咲、文鳥桜、烏丸葵とともに東北の地方都市へ向かった。

一般人への被害を防ぐため、美咲と桜は晴久の両側を固めて移動した。しかし道中でも偶発的な接触が何度も起こり、二人は強い羞恥と疲労を抱えていた。

烏丸の暴走

烏丸は晴久たちを助けるという名目で同行していたが、実際には一連の騒動を楽しんでいた。

晴久が近づかないよう忠告した直後、烏丸自身も転倒して晴久へ接触した。その影響でさらに事故が連鎖し、桜と晴久は駅構内で倒れ込んだ。

金髪の女との接触

晴久は倒れた先にいた金髪の女性を押し倒し、服の中へ手を入れる形になってしまった。

桜と美咲はすぐに晴久を引き離し、女性の服装を整えて謝罪した。晴久も深く頭を下げたが、女性は故意ではないと理解して穏やかに許した。

妬ましいという言葉

金髪の女性は、美咲たち三人を連れている晴久を見て、随分と恵まれていて妬ましいと口にした。

その瞬間、晴久は強大な怪異を前にしたような悪寒を覚えた。しかし女性は、晴久を取り巻く険悪な空気に気づくと、むしろ不憫そうだと評した。

鏡巳とのすれ違い

女性は晴久へ好意的な言葉を残し、励ますように頭へ触れて雑踏へ消えた。

晴久は親切な人物だと思って感動したが、美咲と桜は彼が女性へ好意的な態度を見せたことに不満を募らせていた。

童戸家本邸と手鞠との遭遇

童戸家の迎え

駅を出た古屋晴久たちは、迎えに来た緑の車で童戸家へ向かった。

道中でもラッキースケベによる騒動は続いたが、緑の運転する車は市街地を離れ、広大な童戸家本家の敷地へ入った。槐の住む分家は本家に隣接した山間部にあり、そこへ向かうには本邸を経由する必要があった。

広大な童戸家本邸

童戸家本邸は巨大な洋館と庭園を備え、敷地内の移動に馬車を使うほど広大であった。

馬車の導入は当主である童戸手鞠の趣味であり、晴久たちは童戸家の独特な感覚に呆れた。文鳥桜と宗谷美咲は、無敵の童戸と呼ばれる手鞠を決して怒らせないよう晴久へ念を押した。

手鞠への接触事故

その直後、本邸から童戸手鞠が姿を現した。

烏丸葵が転倒して晴久へぶつかったことで、晴久は手鞠へ倒れ込み、不適切な形で身体へ接触してしまった。桜はすぐに晴久を引き離して折檻し、美咲も事情を説明しながら必死に謝罪した。

無敵の童戸

手鞠は強大な幸運によって敵へ不運をもたらし、同じ十二師天からも恐れられる存在であった。

晴久たちは手鞠を怒らせた場合の報復を恐れたが、本人は気分を害さず、晴久が槐の話していた優しい少年であることに気づいた。

晴久への興味

手鞠は、晴久と槐が偶然出会ったことへ意味を感じ、彼の両手に触れて性遺物の存在を確かめた。

さらに晴久について詳しく知りたいとして、二人きりで話そうと屋敷へ連れていこうとした。

美咲と桜の阻止

美咲は晴久が宗谷家の人式神であると主張し、桜も監査対象を目の届かない場所へ行かせられないとして手鞠を止めた。

二人は、年下を好む手鞠が晴久へ関心を示したことを警戒し、先ほどまで恐れていた相手へ揃って対抗する姿勢を見せた。

童戸手鞠との勝負と槐の誘拐

晴久を巡る勝負

童戸手鞠は古屋晴久を一晩借りたいと求めたが、宗谷美咲と文鳥桜は強く拒絶した。

手鞠は自分が勝てば晴久を好きにでき、二人が勝てば諦めるという条件で勝負を提案した。さらに拒否すれば童戸槐へ会わせないと告げたため、晴久たちは申し出を受けざるを得なかった。

だるまさんがころんだ

勝負は手鞠が鬼を務めるだるまさんがころんだに決まった。

美咲と桜は制限時間内に手鞠へ触れれば勝利となり、晴久が審判を担当した。桜は優れた身体能力で一気に距離を詰め、美咲は慎重に前進した。

手鞠の幸運

季節外れの突風が吹き、美咲と桜は衣服の乱れを押さえようとして動けなくなった。

晴久が目を逸らせば審判として不公平になるため、二人は羞恥に耐えながら静止を続けた。晴久は、自身に残る運勢操作の影響と手鞠の幸運が合わさり、彼女に有利な偶然が起きているのではないかと考えた。

子猫たちの乱入

さらに子猫の群れが現れ、美咲と桜の足元へまとわりついた。

子猫たちは二人の衣服へ爪を引っかけ、勝負の続行を困難にした。美咲と桜は晴久へ審判を続けるよう求めながらも、自分たちを見ないよう命じ、晴久は対応に窮した。

山間部の爆発

手鞠が勝利を確信した直後、童戸家の敷地内に大きな爆発音が響いた。

遠くの山間部から黒煙が上がり、緑が血相を変えて本邸へ駆け込んだ。爆発が起きた場所は、槐が暮らす離れの方角であった。

槐の誘拐

緑は、槐が賊にさらわれたと報告した。

退魔師協会の混乱に乗じた何者かが、幾重もの結界に守られた童戸家の離れを襲撃したのである。

初めての来客

事件の少し前、槐は普段の封印された部屋を出て、離れの居間で晴久を迎える準備をしていた。

自由に外へ出られない槐にとって、晴久は初めて自分を訪ねてくれる客であった。槐は手鞠から贈られたウサギのぬいぐるみを抱き、晴久との再会を心待ちにしていた。

槐の誘拐と救出作戦

鏡巳の襲撃

童戸槐は古屋晴久との再会を楽しみにしながら、離れで茶の準備を進めていた。しかし自分の体質によって晴久へ迷惑をかけたことを責め、再会を喜んではいけないとも考えていた。

その最中、離れを守る複数の結界が消滅し、全面鏡張りの巨大なトラックが槐の部屋へ突入した。手鞠と土御門晴親が築いた強固な封印まで一瞬で破られ、護衛たちは驚愕した。

呪詛精霊とドッペルゲンガー

トラックからは霊級格4の呪詛精霊と、護衛たちの姿や霊力を複製したドッペルゲンガーが現れた。

護衛たちは童戸家特有の幸運を封じられ、圧倒的な戦力を前に次々と倒された。槐は自分を守る者たちを助けられず、逃げることさえできないまま追い詰められた。

鏡の魔女の目的

襲撃者は鏡の魔女・橋姫鏡巳であった。

鏡巳は槐の運勢操作能力を利用し、世界へ不幸を広げようとしていた。抵抗する槐をアンチ・マジックミラー号へ取り込み、破壊された離れから逃走した。

護衛の通報

辛うじて意識を保っていた護衛は、最後の力で緑へ誘拐を報告した。

しかしその言葉には槐の安全を案じる気持ちではなく、彼女を外へ出してはならないという恐れが込められていた。

晴久の救出志願

緑から誘拐を知らされた晴久は、事情を詳しく確認する前に追跡隊への参加を申し出た。

文鳥桜も霊能犯罪者の活性化を警戒し、宗谷美咲も槐の救出へ協力すると決めた。一方で、美咲は晴久のラッキースケベ状態が作戦の妨げになる可能性を指摘した。

右手の幸運

緑は、晴久が触れたのは槐のラッキースケベの右手であり、本当に不利となる出来事は起こらず、むしろ救出の助けになる可能性があると説明した。

晴久は半信半疑だったが、槐を救うため、その力を信じて参加することを決めた。

手鞠の怒り

童戸手鞠は槐がさらわれても動かず、自分の幸運が十分に回復していないことを確認していた。

本来なら自分を怒らせた犯人には既に不慮の事故が起きているはずだったが、その兆候はなかった。手鞠は能力回復を優先して休むと告げ、緑もその判断を受け入れた。

手鞠の依頼

手鞠は十二師天の権限で周辺の退魔師や警察へ増援を要請すると決めた。

そして紅富士での晴久たちの活躍を信じ、震える手で晴久を握りながら、槐を救ってほしいと頼んだ。晴久は力強く頷き、救出へ向かう意思を示した。

第三章 羞恥! アンチ・マジックミラー号 

鏡張りのトラック追跡

市街地を暴走する誘拐車両

童戸槐を連れ去った全面鏡張りのトラックは、山間部から市街地へ現れ、信号や制限速度を無視して暴走した。

車両をはじき飛ばしながら駅前交差点へ突入したトラックは、突如跳躍して駅のホームへ乗り上げ、新幹線を押しのけて東京方面の線路を走り始めた。

追跡隊の出発

古屋晴久たちは、宗谷美咲の式神と童戸家の霊視によってトラックを発見し、緑の運転する車で追跡を開始した。

犯人が目立つ逃走を続ける理由は不明だったが、緑は東京方面の人口密集地を目指していることに気づき、最初から全速力で追うよう判断した。

童戸家の豪運

緑は童戸家の運勢操作を使い、時速二百キロを超える速度で狭い道路を走り抜けた。

進行方向の信号は次々と青へ変わり、前方へ車や歩行者が現れることもなかった。童戸家の追跡車両は一度も停止せず、踏切から線路へ進入して逃走車両との距離を縮めた。

線路上の包囲網

鏡張りのトラックは複数のヘリに追跡され、進行方向には物理結界や迎撃結界、タイヤを捕らえる荒縄によるバリケードが築かれていた。

晴久たちは逃げ道がないと思ったが、美咲と文鳥桜はトラックが霊級格5相当の霊力をまとい、未知の術式で構成されていることを見抜いた。

術式の無効化と反射

トラックが物理結界へ触れると、結界は抵抗することなく消滅した。

さらに迎撃結界から放たれた攻撃は鏡面で反射され、術者である退魔師たちへ返された。桜は、術式の無効化と反射を同時に行う能力がナギサでも困難なものだと戦慄した。

四本足の跳躍

荒縄がタイヤを捕らえようとした瞬間、トラックの側面から四本の巨大な足が生えた。

トラックは高速走行のまま線路を蹴って跳躍し、荒縄を軽々と飛び越えた。その異様な姿から、美咲は車両そのものを依り代とする寄生型式神ではないかと気づいた。

封印されていた秘匿呪具

寄生型式神は一度起動すれば霊力を必要とせず、過去に宗谷家と多々羅刃家が共同で一体だけ生み出したとされていた。

その式神は異能力への対抗に特化し、十二師天の術式さえ跳ね返すうえ、誰でも使役できる危険性から秘匿呪具として封印されていた。

晴久たちは、鹿島霊子が解放した呪具の一つが霊能犯罪者の手へ渡り、今回の誘拐に利用されていると理解した。

呪詛精霊との追走戦

絶頂除霊による突破案

鏡張りのトラックが強力な術式を無効化するため、文鳥桜は物理的に内部へ侵入する必要があると考えた。

古屋晴久の絶頂除霊なら寄生型式神も無力化できる可能性があったが、外側からは弱点を確認できなかった。晴久たちはトラックへ飛び移るため、ミホトの力を使うことにした。

弱体化したミホト

宗谷美咲が封印を緩めると、ミホトは以前より薄く弱々しい姿で現れた。

ミホトは悪霊から得た力では十分に回復できず、生きた人間から力を得なければ本来の能力を発揮できないと説明した。周囲の人々から力を得る案を出したが、晴久は倫理的にも時間的にも不可能だとして拒否した。

呪詛精霊の群れ

アンチ・マジックミラー号は追跡隊を妨害するため、鏡面から多数の霊級格4の呪詛精霊を放った。

桜は呪詛返しで攻撃を反射したが、トラックはそれをさらに跳ね返した。美咲も強力な式神を召喚して対抗したものの、敵の数が多く、追跡隊は次第に苦戦を強いられた。

晴久の迎撃

晴久は自らの能力を強化し、車上へ出て絶頂除霊で呪詛精霊を無力化した。

しかし敵はすぐに攻撃方法を学習し、晴久の手が届かない低い位置から車両を狙うようになった。高速移動中の戦闘では弱点を正確に突くことが難しく、戦況は拮抗したままであった。

美咲の霊力不足

戦いの最中、晴久は美咲の式神の動きが鈍っていることに気づいた。

美咲は訓練と連戦によって霊力を消耗しており、このままでは戦線を維持できなかった。美咲が脱落すれば追跡隊全体が崩れるため、晴久は即座に霊力を補充する必要があると判断した。

車内での霊力補充

晴久は負傷の治療を受けるふりをして車内へ戻り、美咲の手を取った。

宗谷家の能力が知られないよう、烏丸葵へ周囲の注意を逸らす役を頼んだ。美咲は人前で行うことへ強く抵抗したが、晴久は戦況を支えるため、秘密裏に霊力補充を始めた。

追跡隊への反撃と援軍

美咲の霊力補充

古屋晴久は宗谷美咲の消耗した霊力を回復させるため、戦闘中の車内で秘密裏に指への刺激を続けた。

しかし美咲は呪詛精霊との戦闘で霊力を消費し続けており、なかなか回復しなかった。晴久が刺激を強めると、文鳥桜に不審がられたうえ、車体の揺れによって再び接触事故が起きた。

限界まで回復した霊力

偶発的な接触によって、美咲の霊力は身体が耐えられる限界近くまで一気に回復した。

強化された式神は霊級格4の呪詛精霊を押し返し、晴久も投げ渡された敵の快楽媚孔を突いて次々と無力化した。追跡隊はこの好機に乗じて敵の数を減らし、アンチ・マジックミラー号との距離を縮めた。

トラックの跳躍攻撃

晴久たちが接近すると、鏡張りのトラックは四本の足を生やして高く跳躍した。

トラックは追跡車両を上空から押し潰そうとし、美咲の式神や童戸家の多重結界も鏡面に触れた瞬間に消滅した。しかし追跡隊の車両は幸運にも一斉に急停止し、直撃を免れた。

逆転した追走

着地したトラックは再び跳躍し、今度は追跡隊を背後から追い立て始めた。

晴久は底面や前面にも快楽媚孔を発見できず、弱体化したミホトでは激しく跳び回る相手へ乗り移れないと判断した。童戸家の幸運も長くは続かず、追跡隊は次第に逃げ場を失っていった。

神聖な樹木

トラックが再び跳躍しようとした瞬間、高架の両側から神聖な気配をまとった大量の樹木が伸びてきた。

その場に現れた何者かは、以前の借りを返す機会が来たと告げ、追跡隊へ加勢した。

絶対領域への突入

夏樹の援軍

皇樹夏樹が操る神木は、霊力を伴わない丸太を投げつけ、アンチ・マジックミラー号の進路を封じた。

さらにトラックから生えた四肢を神木で破壊し、暴走を完全に停止させた。手鞠の増援要請を受けていた夏樹は、古屋晴久へ以前の借りを返すため参戦したと告げた。

夏樹との接触事故

晴久は夏樹へ感謝を伝えようとしたが、ラッキースケベの影響で転倒し、彼女へ抱きつく形になった。

事情を説明されても夏樹は激しく動揺し、周囲には晴久が男性姿の夏樹へ欲情したという誤解が広がった。晴久は弁明を諦め、槐の救出を優先した。

トラックへの突入

文鳥桜は誘拐犯の反撃や自爆を警戒し、運転席と荷台へ分かれて突入する作戦を立てた。

夏樹が神木で鏡面を破壊し、晴久たちは術式撹乱閃光玉を投げ込んで内部へ侵入した。しかし車内には運転席も荷台もなく、鏡で作られた広大な迷宮が広がっていた。

合わせ鏡の迷宮

桜は、トラック内部の空間が術者の能力を増幅する絶対領域であると見抜いた。

本来は長い時間をかけて構築する術式だが、寄生型式神と誘拐犯の能力が高い相性を持つことで、車内に巨大な呪的迷宮が形成されていた。術者の力も大幅に増幅されているため、攻略には時間がかかる可能性があった。

槐への恐れ

救出が遅れる可能性を知った童戸家の者たちは青ざめ、手鞠の能力がどこまで回復したかを本家へ確認し始めた。

その態度は槐の身を案じるというより、彼女が長時間外にいることを恐れているようであった。緑は槐について隠していた事情を明かそうとした。

鏡像の襲撃

緑が話し始める直前、鏡に映る童戸家の者たちが本体と異なる動きを見せ、鏡面から次々と這い出してきた。

それらは姿だけでなく霊力まで模倣したドッペルゲンガーであり、絶対領域によって大量に生み出されていた。

ドッペルゲンガーとの戦闘

晴久たちは即座に迎撃し、夏樹の神木や美咲の式神、桜の戦闘技術、晴久の絶頂除霊によって偽物を次々と消滅させた。

ドッペルゲンガーは元となった人物より弱かったが、童戸家の幸運まで複製していた。多数の偽物と本物の能力が打ち消し合ったため、童戸家の者たちは他の者より苦戦を強いられていた。

鏡像の本音と広間の異変

本音を映すドッペルゲンガー

童戸家の者たちへ群がったドッペルゲンガーは、本人たちが隠していた不満や欲望を口にし始めた。

宗谷美咲は淫魔眼で内部情報まで本人と酷似していることを見抜き、偽物が元となった人物の本音や願望まで反映していると推測した。そのため童戸家の者たちは互いへの疑念を深め、長年培ってきた連携を崩されていった。

鏡の魔女の術式

文鳥桜は、誘拐犯が第一級霊能犯罪者の橋姫鏡巳である可能性に気づいた。

鏡巳は本物に近いドッペルゲンガーから負の感情を集め、それを呪詛精霊へ転用していた。迷宮の奥から現れた黒い塊は、偽物たちの感情を吸収して急成長し、童戸家の者たちへ襲いかかった。

緑たちの残留

緑は結界を張って呪詛精霊とドッペルゲンガーを引き受け、古屋晴久たちへ先へ進むよう求めた。

晴久たちの偽物がまだ現れていないことから、強い者の複製には時間がかかると考えたのである。緑は槐を救うため、自分たちが敵を食い止める間に鏡巳のもとへ急ぐよう訴えた。

迷宮の中心

晴久たちは緑たちと別れ、桜の探知術式を頼りに鏡の迷宮を進んだ。

移動中は自分たちのドッペルゲンガーに備え、晴久の絶頂除霊や烏丸葵の拘束術への対策を整えた。特に晴久の能力は劣化した偽物でも危険なため、宗谷の式神へ弱点を守る処置が施された。

偽物への警戒

桜と皇樹夏樹は、自分たちの内心を偽物に暴露されることを警戒しながらも、現れ次第すぐに倒すと決意した。

一行は互いの偽物が発する言葉を信じないと確認し、鏡巳の居場所へ近づいていった。

広間から響く声

霊力の中心が目前に迫ったところで、桜と夏樹はドッペルゲンガーの気配を察知し、先行して広間へ飛び込んだ。

しかし戦闘音は聞こえず、代わりに聞き覚えのある声と不自然な物音が響いていた。晴久たちが広間へ入ると、桜と夏樹は入り口で呆然と立ち尽くしていた。

その先には、晴久たちの予想を超える異様な光景が広がっていた。

ドッペルゲンガーの暴走

欲望を映した偽物

広間では古屋晴久、文鳥桜、宗谷美咲、皇樹夏樹の姿をした多数のドッペルゲンガーが、本人たちの願望を誇張したような破廉恥な行動に及んでいた。

あまりに異様な光景を前に晴久たちは思考を止め、烏丸葵だけは興奮のあまり倒れた。やがて我に返った桜、美咲、夏樹は羞恥と怒りを爆発させ、ドッペルゲンガーを一斉に撃破した。

デタラメという結論

ドッペルゲンガーが本人の本音を反映するという仮説から、晴久は三人が自分へ強い欲望を抱いている可能性を考えた。

しかし桜は、橋姫鏡巳が先入観を利用して偽の願望を見せ、仲間同士を動揺させようとしているのだと主張した。美咲と夏樹も即座に同意し、すべて誘拐犯の撹乱であると強引に結論づけた。

烏丸のドッペルゲンガー

混乱の隙を突き、複数の烏丸のドッペルゲンガーが現れた。

偽物たちは強力な拘束術で桜、美咲、夏樹を捕らえた。夏樹の性別が既に知られたため、女性だけを対象とする拘束術が彼女にも通用し、美咲の式神まで無力化された。

夏樹の偽物

晴久も神木に足を取られ、夏樹のドッペルゲンガーに拘束された。

偽物は皇樹家の世継ぎを作るという願望を口にしながら晴久へ迫った。本物の夏樹は自分とは無関係だと必死に否定したが、拘束を解くことができなかった。

烏丸の裏切り

自由に動けるのは本物の烏丸だけであり、晴久たちは彼女へ偽物の排除を求めた。

しかし烏丸は拘束された三人の姿に興奮し、すぐには戦おうとしなかった。桜に処罰を警告されてようやく動き出したものの、偽物たちと一緒に騒ぎ始め、本物との区別までつかなくなった。

桜の偽物

混乱が続く中、桜のドッペルゲンガーも晴久へ近づいた。

普段とは異なる甘えた態度を見せながら、偽物は晴久へ過剰に執着し、不適切な行動を始めた。拘束された本物の桜は激しく動揺し、偽物を止めるよう叫び続けた。

鏡巳との対峙

宗谷の偽物

宗谷美咲のドッペルゲンガーまで現れ、普段の霊力補充では満足できないという欲望を口にしながら古屋晴久へ迫った。

その発言から、文鳥桜は晴久と美咲が隠れて何かしているのではないかと疑い、美咲はすべて橋姫鏡巳による撹乱だと必死に否定した。偽物同士まで晴久を奪い合い始め、一行の混乱はさらに深まった。

夏樹の全力

皇樹夏樹は、自分のドッペルゲンガーが晴久へ迫る姿に耐えきれず、温存していた天人降ろしの力を解放した。

夏樹の神木は拘束を引き千切り、広間にいたドッペルゲンガーを一掃した。さらに合わせ鏡の迷宮まで大規模に破壊し、鏡巳のもとへ続く道を一気に切り開いた。

殿を務める夏樹

鏡巳は戦い方を変え、晴久を狙う女性陣のドッペルゲンガーだけを次々と生み出した。

力を消耗した夏樹は挟み撃ちを防ぐため、自ら殿として残ることを申し出た。烏丸葵の偽物による拘束を避けるため全身を枝葉で覆い、晴久たちへ必ず槐を救出するよう命じた。

最奥の扉

晴久、美咲、桜は夏樹に後方を任せ、鏡の迷宮をさらに進んだ。

最奥にあった巨大な扉には術式による封印が施されていたが、晴久が絶頂除霊で弱点を突き、美咲の式神が扉を破壊した。

槐と鏡の魔女

扉の先には、口を塞がれたまま鏡の間で動きを封じられている童戸槐がいた。

その傍らには、駅で晴久たちと接触した金髪の女性が立っていた。彼女こそ誘拐犯である鏡の魔女・橋姫鏡巳であり、予想より早く到達した晴久たちの結束と実力を妬みながら、不敵な笑みを浮かべていた。

第四章 解けない呪い 

槐の力と不運の連鎖

鏡巳との再会

最奥の広間は巨大な操縦室のような構造で、壁や床には無数の鏡が並んでいた。そこにいた橋姫鏡巳は、駅で古屋晴久と接触した金髪の女性であった。

文鳥桜は監査官として鏡巳へ投降を勧告したが、鏡巳は晴久たちの才能や関係を妬み、ドッペルゲンガーたちの醜態を鏡に映して挑発した。宗谷美咲と桜は激怒し、あれは鏡巳が作り出した偽りだと反論した。

槐への接近

美咲と桜が鏡巳へ攻撃を仕掛ける間、晴久は拘束された童戸槐の救出へ向かった。

槐は赤い線が描かれた鏡の間で動きを封じられ、膝には手鞠から贈られたウサギのぬいぐるみが置かれていた。晴久が近づくと、槐は必死に首を振って制止しようとした。

ぬいぐるみの破壊

鏡巳は晴久たちを槐の力を試すための対象と見なし、指を鳴らしてウサギのぬいぐるみを破壊した。

ぬいぐるみは槐の体質を抑える役割を持っていた。効力が失われると、槐は晴久たちへ今すぐ自分から離れるよう叫び、その身体から不気味な気配が広がった。

晴久の負傷

晴久は槐の警告を無視して救出を続けようとしたが、床の物につまずいて激しく転倒した。

さらに足首を負傷し、立ち上がろうとして再び体勢を崩した。橋巳から直接攻撃を受けた様子はなく、偶然の事故によって行動を阻まれていた。

美咲の式神暴走

晴久を助けようとした美咲の式神は、突然操作を受け付けなくなり、鏡の壁へ衝突し始めた。

美咲は術式の設定に問題がないにもかかわらず、四体すべてが同時に誤作動したことに困惑した。

桜の急病

美咲の援護を失った桜が拘束術を発動しようとすると、突如激しい咳と発熱に襲われて倒れた。

美咲が霊視しても呪術の痕跡は見つからず、桜は戦闘中に突然風邪を発症したような状態となった。

槐が招く不運

捻挫、式神の誤作動、急激な体調不良が立て続けに起こる中、鏡巳は戦わずして晴久たちの攻撃を回避した。

鏡巳は運が悪いと嘲笑し、槐の体質が周囲へ強烈な不運をもたらしていることを示した。

槐の体質と鏡巳の企み

広がる不運

槐を抑えていたぬいぐるみが破壊されると、周囲では次々と異常な不運が発生した。

外では退魔師を乗せたヘリが故障して墜落し、迷宮内では皇樹夏樹と紅葉姫の接続が乱れた。緑たちも転倒による将棋倒しや護符の破損に見舞われ、少数の呪詛精霊を相手に戦線を崩された。

槐の謝罪

槐は一連の不幸を目の当たりにし、自分のせいだと泣きながら謝り続けた。

その姿を見た古屋晴久は、槐の隔離された生活や童戸家の者たちが時間を気にしていた理由が、彼女の体質に関係していると悟った。

忌み子の力

橋姫鏡巳は、槐が周囲へ無差別に不幸を振りまく強大な運勢操作能力を持っていると明かした。

槐の右手と左手の力は副次的なものであり、本来の能力は童戸手鞠に匹敵するほど強力であった。しかし手鞠の幸運とは正反対で、槐は存在するだけで制御不能の不幸を発生させてしまう体質であった。

隔離された理由

槐の力は魂に刻まれているため解呪も封印もできず、同等の幸運や特殊な結界で中和するしかなかった。

槐が退魔学園へ通えず、離れの一室からほとんど出られなかったのは病弱だからではなく、周囲へ被害を出さないためであった。外の世界へ強い興味を示したのも、幼い頃から隔離されていたためであった。

複製されたお守り

鏡巳には槐の不幸が及んでいなかった。

彼女は手鞠が作ったウサギのぬいぐるみ型のお守りを大量に複製し、自分だけ槐の能力から守っていた。元のお守りが槐と結びついていたため発動には時間がかかったが、その効力が切れたことで、鏡巳は安全なまま周囲へ不幸を広げられるようになった。

槐の後悔

槐は学校へ行きたいと望んだことや、自分の秘密を晴久へ隠したことを責めた。

嫌われたくないという思いから事情を伏せた結果、晴久たちを危険に巻き込んだと考え、涙を流した。しかし槐はただ、生まれつき制御不能な力を持っていただけであった。

鏡巳の目的

晴久が目的を問いただすと、鏡巳は他人の不幸を見ること自体が快楽なのだと答えた。

鏡巳はこれまでドッペルゲンガーを使って多くの人間関係や幸福を壊してきたが、それでは満足できなくなっていた。槐の力とアンチ・マジックミラー号を利用し、安全な場所から大量の不幸を生み出し続けようとしていたのである。

呪詛精霊の出現

晴久は槐を利用する鏡巳へ怒りを向け、彼女を止めると宣言した。

鏡巳は理解されることを求めず、アンチ・マジックミラー号を再起動させるため晴久たちを排除しようとした。彼女が印を結ぶと、負の感情から生まれた黒い呪詛精霊が頭上に現れた。

不運を越えた突破口

呪詛精霊の猛攻

橋姫鏡巳は、不運に翻弄される古屋晴久たちへ霊級格3相当の呪詛精霊をけしかけた。

本来なら文鳥桜や宗谷美咲だけでも容易に対処できる相手だったが、桜は高熱と転倒で術式を維持できず、美咲も突発的な体調異変によって集中を乱された。晴久も捻挫した足を何度も痛め、その場からほとんど動けなくなった。

晴久の苦戦

晴久は自らの快楽媚孔を突いて冷静さを取り戻し、絶頂除霊で呪詛精霊を倒そうとした。

しかし童戸槐の不運によって攻撃の直前に体勢を崩し、生ゴミや割れた鏡へ倒れ込んで全身を負傷した。美咲の式神も治療用の護符を落とし、状況は悪化する一方であった。

鏡巳の追加攻撃

鏡巳は晴久たちがまだ諦めていないことを不満に思い、烏丸葵のドッペルゲンガーを呼び出した。

偽物たちは強力な拘束術で桜と美咲を捕らえ、呪詛精霊に襲わせようとした。鏡巳は二人の窮地を見て喜び、晴久の前にも敵を配置して救援を阻んだ。

晴久の執念

晴久は仲間と槐を守るため、負傷と不運を無視して烏丸のドッペルゲンガーへ走った。

再び足を取られて転倒しかけたが、今度は空中で体勢を立て直し、迫っていた呪詛精霊の快楽媚孔を同時に突いた。これまで続いていた不運が一瞬だけ途切れ、晴久は敵の包囲を突破した。

拘束術の解除

晴久はその勢いのまま烏丸のドッペルゲンガーへ絶頂除霊を叩き込み、消滅させた。

偽物の消滅とともに拘束術も解除され、桜と美咲は辛うじて呪詛精霊の攻撃を防いだ。槐の力は依然として続いていたが、晴久は不運を突破できた理由に気づき、美咲へ呼びかけた。

不幸を打ち破る反撃策

限定的な不幸の中和

古屋晴久は、女性へ不適切な行動を取ろうとした時に限り、童戸槐の右手から受けた幸運が不幸を弱めていると気づいた。

完全に無効化できるわけではなかったが、その僅かな効果が敵を突破する糸口になった。晴久は宗谷美咲に封印を解かせ、弱体化したミホトを再び両手へ宿した。

鏡巳への突撃

晴久とミホトは橋姫鏡巳を絶頂させることを目的に定め、不運を軽減しながら突進した。

鏡巳は鏡を使った拘束術で動きを止めようとしたが、ミホトは力任せに術式を破壊した。晴久は鏡巳へ降伏を迫り、胸元にある快楽媚孔を狙った。

護符の弾幕

鏡巳は呪力を込めた護符を投げ、周囲の鏡へ無数の像を映して実体化させた。

全方向から押し寄せる護符の爆発によって、晴久とミホトは呪詛と打撃を受けて吹き飛ばされた。守りに入れば幸運の効果が弱まるため、二人は攻撃を優先して突進を続けたが、拘束術と弾幕の組み合わせを突破できなかった。

追い詰められた晴久

鏡巳の護符には限りがあるようだったが、晴久の身体とミホトの力が尽きる方が早い状況であった。

負傷した足や槐の不幸によって回避も困難となり、宗谷と文鳥桜も自身の戦闘で手いっぱいだった。鏡巳は晴久へ止めを刺すため、さらに強力な護符を構えた。

宗谷の式神

その時、宗谷が霊級格を極限まで落とした二体の式神を晴久のもとへ送り込んだ。

式神は桜の護符で包まれ、不幸による操作の乱れを抑えられていた。途切れ途切れに届いた宗谷の言葉から、晴久は彼女が考えた危険な作戦の意図を理解した。

最後の突進

晴久は宗谷の式神を懐へ入れ、ミホトとともに再び鏡巳へ突撃した。

鏡巳は数百枚の護符を実体化させ、拘束術と呪詛の弾幕を浴びせた。晴久たちは激しい攻撃で地面へ叩き落とされたが、宗谷の策へ賭けて前進を続けた。

槐の左手と鏡巳の敗北

宗谷の投擲策

古屋晴久は橋姫鏡巳の護符攻撃を受けながら接近し、宗谷美咲から託された二体の小型式神を投げつけた。

式神は鏡巳を外れたように見えたが、それは狙い通りであった。式神に仕込まれていた文鳥桜の結界破りの護符が槐を拘束する鏡を破壊し、彼女を自由にした。

アンラッキースケベの左手

晴久の意図を察した槐は左手の手袋を外し、鏡巳の太ももへ触れた。

槐の左手の力を受けた鏡巳は強い不運に見舞われ、晴久を守っていた右手の幸運と対照的な状態になった。鏡巳は槐の右手で中和しようとしたが、転倒して晴久に組み伏せられた。

鏡巳への絶頂除霊

鏡巳は護符で反撃しようとしたが、不運によって術式は発動しなかった。

晴久とミホトは鏡巳を押さえ込み、胸元にある快楽媚孔へ絶頂除霊を叩き込んだ。鏡巳は激しい快感によって戦闘能力と呪力を失い、抵抗できなくなった。

不幸を防ぐお守り

晴久は鏡巳が所持していた、槐の体質を中和するウサギ型のお守りを回収した。

お守りを槐の周囲へ並べると、桜の体調や美咲の式神操作などに生じていた異常が解消された。桜は鏡巳を拘束し、美咲は槐の目に入らないよう彼女を式神で覆った。

槐の謝罪

救出された槐は、自分の体質によって晴久たちを危険にさらしたことや、事情を隠していたことを涙ながらに謝った。

槐は外へ出ることも退魔師になることもできず、自分は周囲へ迷惑をかけるだけの存在だと思い込んでいた。

晴久の励まし

晴久は自分と美咲も、十二師天ですら解けないサキュバス王の性遺物に苦しんでいることを槐へ明かした。

それでも呪いを解くことを諦めていないと伝え、鏡巳を倒せたのは槐が勇気を出して左手を使ったおかげだと感謝した。そしていつか互いの力を克服し、一緒に退魔師として活動しようと約束した。

槐の笑顔

自分を責めるのではなく、ともに抗おうと言ってくれる晴久の言葉に、槐は驚きながらも救われた。

槐は晴久へ感謝を伝え、ようやく小さな笑顔を見せた。しかし晴久はこの時点では、槐が自分の力によってどれほど深く苦しんできたのかを理解しきれていなかった。

エピローグ

槐の献身とアンドロマリウスの襲撃

事件の収束

崩壊する鏡の迷宮から脱出した古屋晴久たちは、童戸槐を童戸家へ護送した。

童戸手鞠の力が戻ったことで槐の不幸能力は再び中和され、橋姫鏡巳は監査部へ引き渡された。アンチ・マジックミラー号も再封印され、晴久は重傷のため入院したものの、事件による死者は出なかった。

球場での秘密儀式

事件から約一週間後、童戸家は貸し切った球場でサキュバス王の性遺物を呼び寄せる儀式を準備した。

槐の両手の力で出現場所を特定できない性遺物を引き寄せ、憑依前に封印する計画であった。失敗して槐へ取り憑いた場合には、心臓とつながった即死術式を発動し、槐ごと処分する手筈まで整えられていた。

槐の決意

槐は晴久から共に呪いへ抗おうと言われたことを思い出しながらも、自分が生き続ければ周囲へ迷惑をかけると考えていた。

性遺物を引き寄せて多くの犠牲を防げるなら、人の役に立って死ぬことが最良だと決めていた。晴久にもう一度会いたいという未練を断ち切るため、槐はアンラッキースケベの左手で自分の頬へ触れた。

手鞠の迷い

緑は槐を犠牲にする作戦へ反発し、誰よりも彼女を気にかけてきた手鞠へ、本当にこれでよいのかと問い続けた。

手鞠も槐に生きてほしいと願っていたが、制御不能な不幸能力を抱えて生き続けることが彼女の幸せなのか判断できなかった。晴久の身体を調べれば性遺物の進行を止める方法が見つかった可能性もあったが、その機会は失われていた。

性遺物の出現

儀式開始から一時間も経たないうちに、槐の足元へ一対の角が音も気配もなく現れた。

退魔師たちは即座に結界を展開したが、一部が誤作動を起こした。槐を疎む者たちの感情や左手の不運も重なり、性遺物は結界をすり抜けて槐へ取り憑いた。

角を宿した槐

槐の頭には太くねじれた二本の角が生えたが、直後には呪いが進行する兆候は確認されなかった。

槐は多くの犠牲を防げたと自分へ言い聞かせ、手鞠たちの複雑な表情から目をそらした。その後、協会最大規模の地下結界監獄へ移送され、進行が確認されれば即死術式を発動される状態で隔離された。

地下牢の侵入者

監獄へ入って三日目、槐が目覚めると、独房の外にいたはずの緑から反応がなくなっていた。

そこへ制服姿の少女が現れ、内通者と呪殺法師の護符を利用して監獄へ侵入したと明かした。その正体はアンドロマリウスであり、橋姫鏡巳が解放した呪具を犯罪組織へ流した結果、侵入に必要な人材を確保できたと語った。

無効化された即死術式

槐は自らの命に接続された護符へ霊力を流し込み、性遺物ごと死のうとした。

しかし即死術式はアンドロマリウスによって妨害されており、発動しなかった。槐は逃走を試みたものの拘束され、警報が鳴り響く中で独房ごと異空間へ引き込まれた。

連れ去られた槐

アンドロマリウスは槐の不幸能力を中和する結界も含めて運び去ると告げた。

抵抗できないまま暗闇へ呑み込まれた槐は、自分はもっと早く死ぬべきだったと再び自身を責めた。

エピローグ2 

槐誘拐の緊急招集

関東北部のパトロール

橋姫鏡巳による誘拐事件から約十日後、退院した古屋晴久は宗谷美咲、烏丸葵、文鳥桜とともに、サキュバス王の性遺物が出現すると予言された地方都市を巡回していた。

数日間歩き回っても手掛かりは見つからず、街には他の退魔師の姿もほとんどなかった。性遺物への警戒度を考えれば不自然な状況であり、桜も協会が十分な人員を配置していないことに疑問を抱いた。

ミホトの違和感

晴久の中にいるミホトは、一昨日の夜頃から頭の辺りに落ち着かない感覚があると訴えていた。

ミホト自身にも原因は分からず、晴久たちは釈然としないまま地道に巡回を続けるしかなかった。

緊急招集アラート

突然、四人の携帯電話から退魔師を緊急招集する警報が鳴り響いた。

それは霊級格6以上の脅威が現れた際に発せられる半強制的な招集であり、性遺物の出現が予言された時期に鳴ったことで、一行は強い緊張を覚えた。

性遺物を宿した槐

協会からの通知には、サキュバス王の性遺物に取り憑かれた童戸槐が魔族にさらわれ、行方不明になったと記されていた。

協会は直ちに捜索隊と救出隊を編成し、近隣の退魔師へ参加を要請していた。晴久たちが探し続けていた性遺物は、槐の誘拐という最悪の形で姿を現した。

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