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フィクション(Novel)ブチ切れ令嬢は報復を誓いました。読書感想

小説「ブチ切れ令嬢は報復を誓いました。1 」感想・ネタバレ

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ブチ切れ令嬢は報復を誓いました。 1の表紙画像(レビュー記事導入用) フィクション(Novel)

ブチ切れ令嬢2巻レビュー

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  1. 物語の概要
    1. ■ 作品概要
    2. ■ 主要キャラクター
    3. ■ 物語の特徴
  2. 書籍情報
  3. あらすじ・内容
  4. 感想
  5. 考察・解説
    1. 婚約破棄と追放
      1. 完璧な才媛と理不尽な婚約破棄
      2. 地下牢で知る残酷な現実と決別
      3. 王城からの脱出と王国による指名手配
      4. まとめ
    2. エリザベートの亡命
      1. 亡命の動機と決意
      2. 緻密な脱出準備
      3. 帝国大使ルーカスとの交渉
      4. 亡命の実行と再出発
      5. まとめ
    3. トレートル商会の躍進
      1. 廃屋からの起業と的確な商品選び
      2. 巧みなブランド化とマーケティング
      3. ガザル商会騒動の逆利用と吸収合併
      4. 帝都進出と大規模な事業拡大
      5. まとめ
    4. 祖国への報復
      1. 報復の動機と決意
      2. 経済面からの侵食
      3. 武力による直接的な打撃(東部紛争)
      4. 精神と内側からの崩壊(ロベルトへの凄惨な断罪)
      5. まとめ
    5. 神器の真の力
      1. 神器の一般的な性質とエリザベートの偽装
      2. 真の神器【七つの魔導書(グリモア・セブンス)】
      3. まとめ
    6. サージャス王国侵攻
      1. 侵攻の背景と理不尽な動機
      2. ブロッケン砦の陥落と義勇軍の結成
      3. 国際法違反の略奪とエリーの苛烈な制裁
      4. 砦の奪還と逆侵攻
      5. まとめ
  6. 登場キャラクター
    1. トレートル商会
      1. エリー・レイス(エリザベート・レイストン)
      2. ミレイ・カタリア
      3. グランツ・カールトン
      4. ルノア・カールトン
      5. ルリ
      6. スティア
      7. アルノー・ラングレイ
      8. ミーシャ・テイル
    2. ハルドリア王国
      1. ブラート・ハルドリア
      2. フリード・ハルドリア
      3. ジーク・レイストン
      4. シルビア・ロックイート
      5. ロベルト・アーティ
      6. アーネスト・アーティ
      7. ロワリーゼ
      8. アーティ伯爵夫人
      9. ロゼリア・ファドガル
    3. ユーティア帝国
      1. ルーカス・レブリック
      2. ゴドウィン・ユーティア
      3. オーキスト
      4. 皇妃
      5. 皇女
      6. イグル
      7. ドレッグ
      8. セドリック・ルーインス
      9. アルテ・ヒルガディエ
      10. メラニー夫人
      11. アルバート・グイード
      12. ガイエン・ドラファン
      13. ロットン・フライウォーク
      14. ダルク・ホーキンス
      15. ユウカ・クスノキ
      16. ヒルデ・カラード
    4. ガザル商会
      1. ガザル・ジャックマン
    5. イブリス教
      1. ティーダ
      2. ルイス司教
      3. 司祭
    6. 冒険者ギルド・傭兵ギルド(義勇軍)
      1. セルジオ
      2. アイリス
      3. サラサ
      4. エルザ
      5. サリナ
      6. シシリー
      7. リサ
      8. マルティ
      9. トーマス
      10. ブレン
      11. リック
      12. ユリウス
      13. ガンドル
    7. サージャス王国
      1. ザントラ・サージャス
      2. グリント・サージャス
      3. 近衛騎士団長
      4. メルティ
      5. リネッサ
    8. その他・第三勢力
      1. クリス
      2. ブレン会長
      3. グレアム大佐
      4. コナー少尉
      5. 謎の傭兵団の傭兵たち
      6. 野盗たち
      7. 火蜥蜴亭の女将
      8. 火蜥蜴亭の常連客たち
      9. 不動産屋
      10. 行商人たち
      11. フレイド・ロッテ
      12. リアム
      13. アデル学院の生徒たち
  7. 展開まとめ
    1. 序章
    2. 一章《逃走》
    3. 二章《トレートル商会》
    4. 三章《帝都への進出》
    5. 四章《レブリック子爵領東部紛争》
    6. 電子限定特典ショートストーリー ◆《ルノアの選択》◆
  8. ブチ切れ令嬢は報復を誓いました。一覧
  9. その他フィクション

物語の概要

■ 作品概要

本作は、婚約破棄から始まる復讐劇に、商会経営や魔導書による無双要素を組み合わせたファンタジー小説である 。物語は、ハルドリア王国の公爵令嬢エリザベート・レイストンが、身に覚えのない悪行を理由に王太子フリードから婚約破棄と投獄を言い渡される場面から始まる 。自らの献身を裏切った祖国に絶望し、激怒した彼女は、真の力を解放して隣国へと亡命する 。魔導書の力と前世(島国の言葉)を彷彿とさせる知識、そして類まれな商才を武器に、商会を立ち上げて国力そのものを奪い取り、祖国を叩き潰すことを誓う「報復」の物語である 。

■ 主要キャラクター

  • エリザベート・レイストン(エリー・レイス): 公爵家に生まれ、容姿・知性・武芸・魔術のすべてにおいて頂点に立つ才媛 。表向きは情報の記録と解析を行う神器【英知の魔導書】の使い手とされるが、実体は強力な七冊の魔導書【七つの魔導書】を操る 。裏切った祖国への報復のため、帝国で「トレートル商会」を設立し、経済と軍事の両面から反撃を開始する 。
  • ミレイ: エリザベートの侍女であり腹心 。没落した家から救ってくれたエリザベートを心から敬愛しており、彼女の亡命にも迷わず同行する 。光属性魔法の使い手で、潜入や情報収集、商会の実務まで幅広くこなす有能なパートナーである 。
  • フリード・ハルドリア: ハルドリア王国の王太子で、エリザベートの元婚約者 。自らの無能さを棚に上げ、エリザベートの有能さに劣等感を抱いていた 。男爵令嬢シルビアの甘言に乗り、エリザベートを陥れるが、彼女が去った後の国政や軍事の停滞に対処できず、次第に追い詰められていく 。
  • シルビア・ロックイート: ロックイート男爵の庶子で、フリードを誘惑してエリザベートから婚約者の座を奪った少女 。清純を装いながらも、その正体は権力欲の強い小者であり、エリザベート失脚後も自分を甘やかすようフリードを誘導し続ける 。
  • ルーカス・レブリック: ユーティア帝国の若き子爵であり、帝国大使 。エリザベートの亡命を受け入れ、彼女の商売の足掛かりを支援する 。彼女の異常な自信と実力に恐怖を覚えつつも、共に歩むことで得られる栄光を確信する 。
  • ルノア: 商会幹部グランツの娘 。事故で重傷を負っていたところをエリザベートに救われ、彼女の魔力を浴びた影響で固有魔法【物品鑑定】に目覚める 。エリーの弟子として商売と魔法を学び、トレートル商会の見習いとして成長していく 。
  • ティーダ: 旅の途中で出会ったイブリス教のシスター(歩き神官) 。明るく砕けた性格だが、戦闘では容赦なく鉄杖で敵を叩き潰す苛烈な一面を持つ 。ギャンブル好きで、世俗的な逞しさを備えたエリザベートの友人となる 。

■ 物語の特徴

  • 徹底した「報復」の姿勢: 主人公が単に逃げるだけでなく、「祖国を潰す」という明確な目標を掲げ、敵に対して一切の容赦がない点が特徴である 。野盗や敵兵に対しても「殺すのが鉄則」と断じる冷徹さと、味方には慈悲深いという二面性が読者を惹きつける 。
  • 本格的な商会経営要素: 魔力だけでなく「経済」を復讐の手段として用いる 。石鹸の販売から始まり、ブランド化、販路の確保、競合商会の買収など、商売のプロセスが詳細に描かれており、経済的基盤を固めていく過程が興味深い 。
  • 神器【七つの魔導書】の戦略的使用: 多種多様な能力を持つ七冊の魔導書を状況に応じて使い分ける戦術が魅力である 。魔法の記録、空間収納、召喚、契約など、チート級の能力を隠し持ちながら、着実に戦略を進めるカタルシスがある 。

書籍情報

ブチ切れ令嬢は報復を誓いました。1 ~魔導書の力で祖国を叩き潰します~
著者:はぐれメタボ 氏
イラスト:昌未  氏
出版社:ホビージャパン(HJノベルス)
発売日:2022年5月19日
ISBN:9784798628394

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あらすじ・内容

婚約破棄され、祖国に裏切られた天才令嬢は、最強の魔導書を手に報復いたします!!!!
「国を出ましょう。そして、この国に報復します」 物心ついた時から未来の国母として努力してきた公爵令嬢・エリザベートは、他の令嬢に心を移した王太子から、建国記念パーティーで手酷く婚約破棄を告げられる。 そのまま牢屋に幽閉されて一か月が経ち、国からも裏切られたことで我慢も限界に達したエリザベートは、ずっと隠していた本当の力【七つの魔導書】を手に亡命を決意。そして、隣国の子爵ルーカスの手を借りながら、新たな場所で彼女自身を認めてくれる仲間たちとの生活を始める。祖国への復讐を胸に秘めながら―― これまでに築き上げた情報網、商会設立による経済力、そして魔導書による武力を携えて、自由になった天才令嬢による自重無しの成り上がり劇が始まる!!

ブチ切れ令嬢は報復を誓いました。 1
〜魔導書の力で祖国を叩き潰します〜

感想

これほどまでに徹底した「報復」の物語に強いカタルシスを覚えた。
本作は単なる追放劇ではなく、理不尽な仕打ちに対する怒りを原動力に、自らの手で運命を鮮やかに変えていく令嬢の力強さが魅力である。

献身の果ての裏切りと、積もり積もった怒りの爆発 物語の始まりは、あまりにも身勝手な婚約破棄から始まる。王太子フリードは、主人公エリザベートが政務を一身に背負っているのを良いことに、自らは政務を放り出して別の女性にうつつを抜かしていた 。その挙げ句に冤罪を着せて彼女を投獄する姿には、強い憤りを感じざるを得ない 。地下牢ですら国の書類を処理し続けていた彼女が、自らの献身がゴミのように捨てられたと悟った瞬間の絶望は深いものがあった 。長年溜め込んできた我慢が限界を超え、真の力である【七つの魔導書】を解放する場面は、復讐劇の幕開けとして非常に印象的である 。

知略と経済で切り拓く亡命生活
亡命先での事業展開は、本作の大きな見どころの一つだ。エリザベートは「エリー・レイス」と名乗り、わずかな資金から石鹸を足がかりに商会を急成長させていく 。特に興味深かったのは、粗悪なコピー品が出回った騒動である。てっきり商業ギルドなどの役人も敵側かと思いきや、調査官のアルテ・ヒルガディエは非常に公明正大で、プロフェッショナルな対応を見せた点が新鮮であった 。こうした誠実な協力者が現れるのも、主人公の理知的な立ち振る舞いがあってこそだろう。

愚かな王子への鉄槌と容赦なき「報復」
物語のクライマックス、ハルドリア王国のバカ王子(フリード)が他国の戦争に介入し、国際法を無視して略奪を働かせたことには呆れるばかりだった 。これに対し、エリザベートが冒険者や傭兵を雇い、自ら義勇軍を率いて正面から叩き潰す展開は圧巻である 。かつて守ろうとした民衆にすら「無条件で守る義務はない」と言い切る彼女の決意は固い 。敵に対して一切の慈悲を見せず、徹底的に排除する姿勢には、タイトルの通り「ブチ切れ」た者の本気度が感じられ、読んでいて胸がすく思いだった。

多彩な仲間と鮮やかな世界観
戦いだけでなく、日常を彩る人間関係も物語に深みを与えている。忠実な侍女ミレイの献身はもちろんのこと、道中で出会った「歩き神官」ティーダの現実的かつ苛烈な性格は非常に面白かった 。聖職者でありながら、野盗を容赦なく叩き潰し、戦利品を喜々として回収する逞しさは、エリザベートの良き友人として異彩を放っている 。

本作は、かつての献身的な自分を捨て、自らの誇りと仲間のために報復を誓った一人の女性の、自重無しの成り上がり劇である。経済と武力の両面から祖国を追い詰めていく過程は、次の展開への期待を抱かせずにはいられない。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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ブチ切れ令嬢2巻レビュー

考察・解説

婚約破棄と追放

エリザベートの婚約破棄と追放は、彼女が国家への忠誠を捨て、苛烈な復讐者へと変貌する決定的な出来事として描かれている。

完璧な才媛と理不尽な婚約破棄

エリザベートは公爵令嬢として、幼少期から王太子フリードの婚約者として将来の国母となるべく、勉学や魔術、政務に至るまで完璧にこなす才媛であった。しかし、フリードは自らの無能さを棚に上げ、彼女の優秀さに劣等感を抱いていた。建国記念のパーティという他国の要人も集まる公の場で、フリードは突如としてエリザベートを糾弾した。
・男爵令嬢シルビア・ロックイートへの嫉妬から彼女を階段から突き落としたという身に覚えのない冤罪をかけた
・一方的に婚約破棄を宣言した
・そのまま衛兵に地下牢への投獄を命じた

地下牢で知る残酷な現実と決別

地下牢に幽閉されてからの一ヶ月間、彼女はそれでも国のことを思い、山積みの政務書類の処理を続けていた。しかし、腹心の侍女ミレイの調査により、以下の残酷な事実を知ることになる。
・国王や実父である宰相が、フリードの起こした問題の事後処理を被害者であるエリザベート自身に丸投げしようとしていた
・フリード側によってエリザベートを陥れる根も葉もない虚偽の噂が流布されていた
・彼女が貧民救済のために独自に築き上げてきた商会までもが、権力によって乗っ取られようとしていた

これまで国や民、婚約者のために人生を捧げてきた献身がゴミのように捨てられたことを悟ったエリザベートは、自身の中に眠っていた深い絶望と煮えたぎるような怒りを自覚した。そして、自分を裏切った国を捨て、徹底的な報復を行うことを決意したのである。

王城からの脱出と王国による指名手配

国を捨てることを決意した彼女は、すぐさま行動を起こした。
・自身の真の力である神器【七つの魔導書】を駆使し、身代わりとなる【氷人形】を牢に残した
・誰にも気づかれることなく王城から脱出した
・その後、仮想敵国であるユーティア帝国へと亡命した

一方、エリザベートに逃げられたハルドリア王国側は、王太子の失態を揉み消して王家の体裁を守るため、実の父である宰相の主導によって彼女を「国家反逆を企てた罪人」として正式に指名手配した。

まとめ

冤罪による婚約破棄と地下牢への投獄、そして国の中枢を担う家族からの裏切りは、エリザベートから国家への忠誠心を完全に奪い去った。彼女は理不尽な追放を受け入れるのではなく、卓越した魔力と知略を用いて国を脱出し、自らを罪人として追いやった祖国と決別した。こうして彼女は、経済と武力の両面からハルドリア王国を叩き潰すための苛烈な復讐者として、新たな行動を開始することになる。

エリザベートの亡命

エリザベートの亡命は、裏切られた祖国であるハルドリア王国への徹底した報復の第一歩として描かれている。

亡命の動機と決意

公爵令嬢として国や未来の夫、そして民のために人生を捧げてきたエリザベートであるが、以下の理由から国を捨てて報復することを決意した。
・建国記念のパーティで王太子フリードから身に覚えのない罪で糾弾され、婚約破棄と地下牢への投獄を受けた
・国王や実父である宰相が事態を放置し、彼女に事後処理を丸投げしようとした
・王太子側によって自身を陥れる虚偽の噂が流布された
・自身の商会まで乗っ取られようとしている事実を腹心のミレイから知らされた

これまでの献身がゴミのように捨てられたと悟った彼女は、自分の中に眠っていた深い絶望と怒りを自覚したのである。

緻密な脱出準備

亡命を実行するにあたり、彼女は周到な準備を行い、誰にも気づかれることなく王城からの脱出を果たした。
・自身の商会の主要な幹部や有能な技術者を他国へ逃がし、王都には情報収集のための人員を残すよう手配した
・地下牢の破壊跡を神器【七つの魔導書】の力で隠蔽した
・自身の魔力を用いて身代わりとなる【氷人形】を作り出した
・自らが設計段階で無効化の細工を施していた魔封じの枷を人形に付け替えた
・ミレイの光属性魔法【幻影】で姿を隠した

帝国大使ルーカスとの交渉

エリザベートが亡命先に選んだのは、王国と拮抗する国力を持つ仮想敵国、ユーティア帝国であった。彼女は帝国大使であるルーカス・レブリック子爵のもとをブラート国王の姿に変装して訪れ、相手を驚愕させることで巧みに交渉の主導権を握った。
・単なる逃亡ではなく「この国を潰す」という報復が目的であると宣言した
・王国を潰す過程で得られる利益(戦果)をすべて帝国に献上するというギブ&テイクの関係を提案した
・ルーカスから自身の領地での庇護と協力を得る合意を引き出した

亡命の実行と再出発

ルーカスの同意を得たエリザベートとミレイは、帝国大使の権限を利用して馬車に同乗し、王都の北門を堂々と通過した。緩衝地帯の荒野を越えて帝国最南端のレブリック子爵領へ到着した彼女は、経済面から祖国を叩き潰すための反撃の足場を着実に築き始めた。
・監視と行動制限を受け入れつつも「エリー・レイス」と名乗った
・新たな拠点となる「トレートル商会」を設立した
・ルーカスから最高品質の魔法契約書を担保に借り受けた金貨百枚を元手に、石鹸の販売を開始した

まとめ

エリザベートの亡命は、単なる逃避行ではなく、自らを裏切った祖国に対する壮絶な復讐の幕開けであった。卓越した知略と魔法を駆使して王城を脱出した彼女は、仮想敵国である帝国の庇護を勝ち取り、新たな身分で商会を立ち上げた。絶望と怒りを冷徹な計算に変えた彼女は、ここから経済と武力の両面を用いてハルドリア王国を追い詰めていくことになる。

トレートル商会の躍進

トレートル商会の躍進は、エリー(エリザベート)の卓越した商才と戦略、そして危機を好機に変える手腕によってもたらされた。その過程は大きく以下の4つのステップに分けられる。

廃屋からの起業と的確な商品選び

祖国から亡命したエリーは、レブリック子爵領の端にある格安の廃屋を購入し、そこを拠点に「トレートル商会」を立ち上げた。
・設立当初は設備も人員も不足していた
・以前扱っていたような多種多様な高級化粧品ではなく、まずは高品質な「石鹸」のみに商材を絞った
・これらを拠点として販売を開始した

巧みなブランド化とマーケティング

エリーは影響力のある貴族女性や有力者に石鹸をさりげなく配り、口コミで評判を広めた。
・社交界の中心人物であったメラニー夫人を顧客に取り込んだことが、人気に火をつけるきっかけとなった
・あえて生産数を抑え、身辺調査を行った上で販売相手を限定した
・「トレートル商会の石鹸を持つこと」自体をステータス化(ブランド化)させることに成功した
・石鹸で顧客を確保した後は、化粧水や乳液、洗髪薬などの高単価商品を追加し、順調に売上を伸ばしていった

ガザル商会騒動の逆利用と吸収合併

商会の急成長は、競合であるガザル商会の反感を買った。ガザル商会は不完全なレシピを盗み出して粗悪な偽石鹸を販売し、トレートル商会に濡れ衣を着せようと画策した。
・エリーは事前に不完全なレシピを金庫に置いておくという罠を張っていた
・商業ギルドの捜査によってガザル商会の悪事が暴かれた
・名誉毀損の慰謝料として、倒産したガザル商会の経営権や資産、販路、商会員や施設を丸ごと自らの商会に吸収した
・この逆利用により、一気に事業基盤を拡大させた

帝都進出と大規模な事業拡大

ガザル商会の吸収から間もなく、エリーはルーカス子爵から担保付きで借りていた金貨百枚を、わずか半年で倍以上の金額にして返済した。これによって帝国内での自由行動許可を得た彼女は、帝都への進出を決意した。
・神器【怠惰の魔導書】を使って鳥の精霊を召喚し、かつて王国で自身の部下だった優秀な経営メンバーや技術者たちを呼び寄せた
・帝都では社交パーティを利用して貴族女性たちに商品を宣伝し、完全会員制にすることで希少価値と客単価をさらに引き上げた
・貴族からの多額の資金提供を受けることにも成功し、競合する中小商会を次々と買収して傘下に収めた
・集まった資金をもとに、レブリック子爵領東部の村を丸ごと雇い入れ、化粧品の材料栽培から加工までを担う大規模な生産拠点を作り上げた

まとめ

トレートル商会は、エリーの先見の明による的確な商品選定と緻密なブランド化戦略によって初期の基盤を築いた。競合商会による妨害という危機に際しても、それを逆手にとって事業規模を一気に拡大させる手腕を発揮した。さらに帝都進出後は、かつての優秀な部下たちを再結集させ、貴族からの出資を取り付けて大規模な生産拠点を構築した。廃屋からの起業というどん底の状態から、知略と行動力を駆使して圧倒的な規模の商会へと急成長を遂げたのである。

祖国への報復

エリザベートの祖国(ハルドリア王国)への報復は、単なる私怨を超え、国家そのものを経済的・軍事的・精神的に崩壊へと導く冷徹かつ壮大な計画として描かれている。

報復の動機と決意

公爵令嬢として国や民に尽くしてきたエリザベートであるが、以下の理由から国を捨てて徹底的な報復を誓うことになった。
・王太子フリードからの理不尽な婚約破棄と地下牢への投獄を受けた
・国王や実父である宰相さえも彼女を体裁のために切り捨てようとしている事実を知った

自分の人生と献身がゴミのように扱われたことを悟った彼女は、自分の中に眠る深い絶望と怒りを自覚した。かつて守ろうとした民衆にすら「無条件で守る義務はない」と言い切るほど、彼女の「この国を潰す」という決意は固いものであった。

経済面からの侵食

エリザベートは仮想敵国であるユーティア帝国に亡命し、「エリー・レイス」と名乗ってトレートル商会を立ち上げた。
・王国を潰す過程で得られる戦果を帝国に献上し、王国と拮抗する帝国の国力を報復に利用することを目的とした
・卓越した商才と魔法の知識で商会を急成長させた
・帝国内で経済的基盤を強固にすることで、王国を叩き潰すための力を蓄えていった

武力による直接的な打撃(東部紛争)

報復が直接的な武力衝突へと発展したのは、王太子フリードが属国のサージャス王国を利用して帝国へ侵攻してきた東部紛争である。
・自身の商会の生産拠点を脅かされたエリーは、上級冒険者や傭兵を雇い義勇軍を組織して自ら戦地に赴いた
・フリードの指示により略奪や暴行といった国際法違反を犯していた兵士たちを「長く苦しんで死になさい」と容赦なく殲滅した
・最終的にサージャス王国は帝国に無条件降伏して併合されることになり、ハルドリア王国は属国を失うという大きな打撃を受けた

精神と内側からの崩壊(ロベルトへの凄惨な断罪)

最も象徴的で残酷な報復は、かつて舞踏会で彼女を不当に組み伏せた因縁の相手である近衛騎士ロベルト・アーティに対して行われた。
・軍を離反して味方になっていたロベルトに対し、彼を許したことなど一度もないと冷酷に告げた
・神器【七つの魔導書】の力を解放し、ロベルトの目の前で彼の部下たちを魔物に捕食させた
・ロベルト自身の神器を両断して彼の騎士としての誇りを徹底的に粉砕した
・【色欲の魔導書】を用いて彼の記憶を改竄し、呪いをかけた

その結果、王都に生還したロベルトは狂乱し、愛する妹や母、そして罪のない市民たちを次々と斬殺する凄惨な事件を引き起こすこととなった。

まとめ

エリザベートによる祖国への報復は、商会を通じた経済的侵食から始まり、義勇軍を率いての直接的な軍事的打撃、そして記憶改竄を用いた内側からの精神的崩壊へと至る、多角的かつ冷酷なものであった。特にロベルトを利用した凄惨な断罪は、ハルドリア王国の中枢に甚大な被害を与えた。近衛騎士団長を輩出する名門アーティ伯爵家を没落・断絶に追い込んだこの惨劇は、のちに後世で「ハルドリア王国滅亡の始まり」として歴史に深く刻まれることになるのである。

神器の真の力

エリザベートの持つ「神器の真の力」は、彼女の商会経営から武力行使、そして祖国への冷徹な報復を支える最強のカードとして描かれている。

神器の一般的な性質とエリザベートの偽装

この世界において「神器」とは、魔力を極めた者が自らの魔力を物質化し、固有の能力を持つ道具として具現化させたものである。一般的には武器や防具の形をとり、戦闘に用いられる。エリザベートはこれまで、自身の神器を以下のように偽っていた。
・「手にした書籍や見聞きした情報を記録し、解析・翻訳する」能力を持つ本の形の神器【英知の魔導書(グリモア・ウィズドム)】であると周囲に説明していた
・真の能力の全容を、父親である宰相はおろか、最も信頼する侍女のミレイにすら隠し通していた

真の神器【七つの魔導書(グリモア・セブンス)】

エリザベートの神器の真の姿は、それぞれが強力で反則的な効果を持つ七冊の魔導書を創り出す【七つの魔導書】である。作中ではそのうちの5つの魔導書が登場し、彼女の目的に応じて使い分けられている。
・【暴食の魔導書(グリモア・ベルゼブブ)】(魔法の記録):他人の魔法を記録し、自身に適性のない魔法を使用可能にする能力である。水属性適性の彼女が、闇属性の【催眠】や地属性の【石壁】を扱えるのはこのためである。王国の大司祭から記録した光属性の【上級治癒(ハイ・ヒール)】でルノアの重傷を瞬時に治したり、複数の属性魔法(風刃、岩棘、炎弾など)を同時に発動して傭兵団を圧倒したりと、極めて高い戦闘力と汎用性を誇る。
・【強欲の魔導書(グリモア・マモン)】(所有物の収納):自らの「所有物」を亜空間に収納する能力である。生物や所有権のないものは収納できないが、百人が数ヶ月生きられるほどの大量の物資や商材を隠し持つことができる。これにより、義勇軍の兵站を彼女一人で担うなど、戦略面で絶大な効果を発揮する。
・【怠惰の魔導書(グリモア・ベルフェゴール)】(契約と召喚):精霊界や魔界などの存在と契約し、金貨や魔石などの対価を支払うことで対象を召喚する能力である。帝都進出の際には鳥の精霊「セイントバード」を召喚して部下たちに手紙を届けさせ、ロベルトへの報復時には魔石を対価にスライムの原種「ウーズ・オリジン」を召喚し、彼の部下たちを生きたまま溶かして捕食させた。
・【傲慢の魔導書(グリモア・ルシフェル)】(知識の記録):かつて王宮の禁書庫にあった古文書を解読して作り出した、従来のものを遥かに凌ぐ高級化粧品のレシピなどが記録されている魔導書である。表向きには【英知の魔導書】の力だと説明されていた。
・【色欲の魔導書(グリモア・アスモデウス)】(記憶改竄と催眠暗示):対象者の記憶を改竄し、強力な催眠暗示を与える恐るべき能力である。同時に一人にしか使えず、対象者が死ぬか直接接触して解除するまで効果が続く。また、効果の強さに比例して、使用者の体にも激痛や右腕に黒い痣が広がるなどの呪い(代償)が及ぶ。彼女はこの力をロベルトに行使し、彼に家族や市民を次々と斬殺させるという凄惨な同士討ちを引き起こさせた。

まとめ

エリザベートは、公爵令嬢として国に尽くしていた頃は、自身の真の力をひたすら隠し続けていた。しかし、国から裏切られ報復を決意して以降は、この【七つの魔導書】を躊躇なく解放している。チート級の能力を駆使することで、経済基盤の構築から義勇軍での無双、そして因縁の相手への残酷な精神的・物理的破壊までを成し遂げており、この神器こそが彼女の「自重無しの成り上がり」と「冷徹な報復」を可能にしている最大の原動力と言えるのである。

サージャス王国侵攻

サージャス王国の侵攻(東部紛争)は、ハルドリア王国の王太子フリードの身勝手な思惑から引き起こされた、本作における中盤の最大の軍事衝突である。その経緯と結末は以下の通りである。

侵攻の背景と理不尽な動機

ハルドリア王国の属国である小国サージャス王国が、突如として大国であるユーティア帝国に宣戦布告し侵攻を開始した。
・表向きの理由は「過去に帝国に奪われた領土を取り戻すため」とされた
・実態は、魔物被害から守れなかった村を帝国が保護した結果編入された領土であり、完全な言いがかりであった
・事の真相は、婚約破棄騒動や政務の停滞で支持を失ったハルドリアの王太子フリードが、武勲を立てて自身の威厳を取り戻すために起こしたものであった
・塩などの支援を盾に属国であるサージャス王国を脅し、無理やり戦争を起こさせたのである

ブロッケン砦の陥落と義勇軍の結成

サージャス王国軍にはハルドリアの徴募兵に加え、謎の高練度な傭兵団が参加しており、帝国国境の堅城「ブロッケン砦」をたった1日で陥落させた。
・侵攻ルートの先には、エリー(エリザベート)が多額の資金を投じたトレートル商会の生産拠点となる村が存在していた
・事態を重く見たエリーは、自身の商会を守り、この不自然な紛争の裏にいるフリードの企みを潰すため行動を起こした
・上級冒険者や傭兵を高額な報酬で雇って「帝国義勇軍」を結成し、自ら戦地へ赴いた

国際法違反の略奪とエリーの苛烈な制裁

戦地に到着したエリーたちは、帝国の村々を占拠した兵士たちが、フリードの指示により略奪や暴行、虐殺といった戦時国際法違反を働いている事実を目の当たりにした。
・これに激怒したエリーと義勇軍は、村人を救出するため隠密行動で村へ潜入した
・非道な行いをした兵士たちに「可能な限り長く、出来る限り苦しんで死になさい」と一切の情けをかけずに苛烈な制裁を下し、殲滅した

砦の奪還と逆侵攻

その後、義勇軍はルーカス率いるレブリック子爵領軍と合流し、神器使いを中心とした少数精鋭の奇襲によってブロッケン砦を奪還した。
・サージャス王国の王子グリントや謎の傭兵団はマジックスクロールの【転移】で逃亡した
・帝国の民を不当に害されたルーカスたちは、外交交渉でハルドリア王国に証拠隠滅の猶予を与えることを防ぐため、そのままサージャス王国への逆侵攻を決断した

まとめ

帝国軍の快進撃を前に、元凶であるフリードは「自分達で解決しろ、ハルドリア王国を巻き込むな」とサージャス王国を見捨てて早々にハルドリアへ逃げ帰ってしまった。主国に見捨てられ万策尽きたサージャス王国の国王ザントラは、自らの命と引き換えに民への慈悲を乞うため自害した。後を継いだグリントが父の首を持ってルーカスに無条件降伏を申し出たことで紛争は終結し、サージャス王国は帝国に併合されてその歴史を終えることとなった。フリードの愚行は、結果的に自国の属国を一つ滅ぼし、ハルドリア王国の国際的な立場を悪化させることになったのである。

ブチ切れ令嬢2巻レビュー

登場キャラクター

トレートル商会

エリー・レイス(エリザベート・レイストン)

ハルドリア王国の元王太子婚約者で公爵令嬢である。類まれな才覚を持ち国に尽くしていたが、王太子に裏切られたことで報復を誓う。ルーカス・レブリックの支援を受け帝国に亡命する。

・所属組織、地位や役職
 トレートル商会・商会長。元ハルドリア王国王太子婚約者。

・物語内での具体的な行動や成果
 神器【七つの魔導書】の力を使いこなし、帝国で商会を設立して経済的基盤を固める。私兵を集めて義勇軍を組織する。サージャス王国軍や敵対勢力を武力と知略で圧倒する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 国家反逆者として追放された身から、帝国で有数の商会長へと成り上がる。王国への報復を冷徹に遂行していく。

ミレイ・カタリア

エリーに付き従う侍女である。かつて没落した実家から自分を救ったエリーに深い忠誠心を抱く。光属性魔法の使い手で幻影などを操る。

・所属組織、地位や役職
 トレートル商会・商会員。エリーの侍女。

・物語内での具体的な行動や成果
 地下牢でエリーと連絡を取り、王国の内情を調査する。亡命後も商会の実務や情報収集を担う。戦闘時にもエリーのサポートを行う。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 商会の重要なメンバーとしてエリーを支え続ける。

グランツ・カールトン

元ガザル商会の経理担当である。娘の治療費のためにエリーと取引をする。

・所属組織、地位や役職
 トレートル商会・商会長代理。元ガザル商会経理。

・物語内での具体的な行動や成果
 ガザル商会を陥れるために不完全な石鹸のレシピを盗ませる。その後、エリーに雇われ、レブリック子爵領での商会運営を任される。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 エリーの助けで娘が回復し、商会の重要な幹部へと昇進する。

ルノア・カールトン

グランツとルリの娘である。馬車事故で重傷を負いポーションで命をつないでいた。

・所属組織、地位や役職
 トレートル商会・見習い。

・物語内での具体的な行動や成果
 エリーの強力な治癒魔法で回復する。その影響で固有魔法【物品鑑定】に目覚める。魔法と商売を学ぶためエリーの弟子となる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 一般の少女から特異な魔法を持つ商会見習いへと立場が変わる。

ルリ

グランツの妻である。怪我をした娘の看病をしている。

・所属組織、地位や役職
 一般の平民。

・物語内での具体的な行動や成果
 家を訪れたエリーから娘の治療を受ける。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 娘の回復によって安堵を得る。

スティア

レブリック子爵領のトレートル商会で働く女性である。

・所属組織、地位や役職
 トレートル商会・秘書。

・物語内での具体的な行動や成果
 グランツの補佐を任される。サージャス王国侵攻の一報をエリーに伝える。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 経験の浅いグランツを支える役割を担う。

アルノー・ラングレイ

ハルドリア王国のある貴族家で家令を務めていた初老の男性である。エリーに引き抜かれて商会に加わる。

・所属組織、地位や役職
 トレートル商会・使用人。

・物語内での具体的な行動や成果
 帝都に先行して拠点の物件を選定する。サージャス王国の侵攻をいち早くエリーに報告する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 帝都での屋敷管理を任される。

ミーシャ・テイル

猫人族の少女である。行商人だった両親を野盗に殺され、借金のために自ら奴隷となる。

・所属組織、地位や役職
 トレートル商会・従者。元奴隷。

・物語内での具体的な行動や成果
 セドリック商会でエリーに購入される。身体強化の魔法と短剣術で自衛手段を持つ。帝都の屋敷でエリーの身の回りの世話を行う。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 奴隷身分であるが、いずれ正式な従者として解放される予定がある。

ハルドリア王国

ブラート・ハルドリア

ハルドリア王国の国王である。かつて戦場で「雷神」と呼ばれた武人である。息子フリードの行動に手を焼いている。

・所属組織、地位や役職
 ハルドリア王国・国王。

・物語内での具体的な行動や成果
 王国の体裁を守るため、エリーを国家反逆者として指名手配する。ロベルトの暴走による被害の責任を問い、彼を死罪にする。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 有能なエリーを失ったことで国政の停滞に直面する。

フリード・ハルドリア

ハルドリア王国の王太子である。エリーの有能さに劣等感を抱いている。

・所属組織、地位や役職
 ハルドリア王国・王太子。

・物語内での具体的な行動や成果
 エリーを冤罪で糾弾し、シルビアと新たに婚約する。属国であるサージャス王国に帝国侵略を指示する。戦況が悪化すると早々に自国へ逃げ帰る。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 エリーが去ったことで政務が回らなくなり、次第に周囲からの支持を失う。

ジーク・レイストン

ハルドリア王国の宰相である。エリーの父親である。

・所属組織、地位や役職
 ハルドリア王国・宰相。公爵。

・物語内での具体的な行動や成果
 フリードの失態を隠すため、娘であるエリーにすべての罪を着せる。事態収拾のために政治的判断を下す。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 国を守るために実の娘を切り捨てる冷徹さを持つ。

シルビア・ロックイート

ロックイート男爵家の庶子である。フリードの新たな婚約者となる。

・所属組織、地位や役職
 ハルドリア王国・王太子婚約者。男爵令嬢。

・物語内での具体的な行動や成果
 フリードを誘惑して婚約者の座を奪う。王妃教育を嫌がり、フリードを誘導して自身の都合の良い環境を作る。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 事件を起こしたロベルトを拒絶する。

ロベルト・アーティ

アーネストの息子で近衛騎士である。シルビアに好意を寄せている。

・所属組織、地位や役職
 ハルドリア王国・近衛騎士。後に下級兵。

・物語内での具体的な行動や成果
 舞踏会でエリーを組み伏せる。後にエリーに帰順するが、彼女の罠にはまり部隊を全滅させられる。魔法の代償として記憶を改竄され、王都で惨劇を引き起こす。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 騎士としての地位を失い、死刑となる。

アーネスト・アーティ

ハルドリア王国の近衛騎士団長である。ブラート国王の親友である。

・所属組織、地位や役職
 ハルドリア王国・近衛騎士団長。伯爵。後に男爵。

・物語内での具体的な行動や成果
 エリーを辱めた息子ロベルトを叱責する。惨劇を起こした息子を騎士団から除名して一兵卒にする。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ロベルトの事件の責任を問われ、降爵して辺境へ異動となる。後に自害する。

ロワリーゼ

ロベルトの妹である。

・所属組織、地位や役職
 アーティ伯爵家の令嬢。

・物語内での具体的な行動や成果
 帰還したロベルトに駆け寄る。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 狂乱したロベルトによって刺殺される。

アーティ伯爵夫人

ロベルトの母親である。

・所属組織、地位や役職
 アーティ伯爵家の夫人。

・物語内での具体的な行動や成果
 荒野で倒れていたロベルトの帰還を心配する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 錯乱したロベルトによって殺害される。

ロゼリア・ファドガル

ファドガル公爵令嬢である。フリードの元婚約者候補の一人である。

・所属組織、地位や役職
 ハルドリア王国・特例王太子補佐官。

・物語内での具体的な行動や成果
 城内でフリードとシルビアに遭遇し、二人を痛烈に侮辱する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 エリー不在の政務を代行する立場となる。

ユーティア帝国

ルーカス・レブリック

ユーティア帝国の大使である。若くして子爵の地位を持つ。

・所属組織、地位や役職
 ユーティア帝国・レブリック子爵領領主。帝国大使。

・物語内での具体的な行動や成果
 エリーの亡命を受け入れ、商売の許可と資金を提供する。サージャス王国軍の侵攻に対し軍を率いて迎撃する。サージャス王国からの降伏交渉を受け入れる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 エリーの活躍により領地の税収が増加し、皇帝や皇太子からの評価が高まる。

ゴドウィン・ユーティア

ユーティア帝国の皇帝である。小心で繊細な性格を持つ。

・所属組織、地位や役職
 ユーティア帝国・皇帝。

・物語内での具体的な行動や成果
 エリーの存在を静観し、帝国の利益になる限り干渉しない方針をとる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ルーカスの功績を正当に評価するか悩む姿が見られる。

オーキスト

ユーティア帝国の皇太子である。ゴドウィンの息子である。

・所属組織、地位や役職
 ユーティア帝国・皇太子。

・物語内での具体的な行動や成果
 ルーカスの功績を評価し、彼を昇爵させるべきだと父に進言する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ルーカスの立場を擁護する。

皇妃

ゴドウィンの妻である。

・所属組織、地位や役職
 ユーティア帝国・皇妃。

・物語内での具体的な行動や成果
 ルーカスが献上したトレートル商会の化粧品を使用する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 新しい化粧品の品質に喜ぶ。

皇女

ゴドウィンの娘である。

・所属組織、地位や役職
 ユーティア帝国・皇女。

・物語内での具体的な行動や成果
 母とともに新しい化粧品を使用する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 化粧品の効果に感嘆する。

イグル

レブリック子爵領軍の軍政官である。

・所属組織、地位や役職
 レブリック子爵領軍・軍政官。

・物語内での具体的な行動や成果
 義勇軍と接触し、ルーカスからのメッセージをエリーに伝える。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 両軍の連携を円滑に進める。

ドレッグ

レブリック子爵領軍の軍団長である。

・所属組織、地位や役職
 レブリック子爵領軍・軍団長。

・物語内での具体的な行動や成果
 ブロッケン砦奪還作戦に参加し、南側から砦を攻める。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 神器を使える実力者として描かれている。

セドリック・ルーインス

帝国商業ギルド評議会の議員である。奴隷商会を経営している。

・所属組織、地位や役職
 セドリック商会・商会長。帝国商業ギルド評議会議員。

・物語内での具体的な行動や成果
 エリーに奴隷のミーシャを販売する。奴隷に教育を施し付加価値を高める手法をとる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 帝国の財界を支配する大商人の一人として強い権力を持つ。

アルテ・ヒルガディエ

商業ギルド法務部の捜査官である。

・所属組織、地位や役職
 商業ギルド法務部・捜査官。

・物語内での具体的な行動や成果
 毒性石鹸事件でトレートル商会を強制捜査する。後にガザル商会の犯罪を立件し、ガザルを連行する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 公明正大に事件を解決し、エリーから感謝される。

メラニー夫人

レブリック子爵領の男爵夫人である。社交界の中心的な人物である。

・所属組織、地位や役職
 ユーティア帝国・法服貴族の夫人。

・物語内での具体的な行動や成果
 メイドが持ち帰った石鹸を気に入り、トレートル商会の顧客となる。帝都の社交界でエリーを他の貴族に紹介する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 トレートル商会のブランド化に大きく貢献する。

アルバート・グイード

帝国商業ギルドのグランドマスターである。

・所属組織、地位や役職
 帝国商業ギルド・グランドマスター。帝国商業ギルド評議会議長。伯爵。

・物語内での具体的な行動や成果
 帝国の財界を支配する大商人の一人として言及される。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 《先見伯》の異名を持つ。

ガイエン・ドラファン

帝国一の鍛冶師である。

・所属組織、地位や役職
 帝国商業ギルド評議会議員。

・物語内での具体的な行動や成果
 帝国の財界を支配する大商人の一人として言及される。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 《神工》の異名を持つ。

ロットン・フライウォーク

各地に支店を持つ宿屋の元締である。

・所属組織、地位や役職
 帝国商業ギルド評議会議員。

・物語内での具体的な行動や成果
 帝国の財界を支配する大商人の一人として言及される。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 《千里眼》の異名を持つ。

ダルク・ホーキンス

貴族からも恐れられる金融屋である。

・所属組織、地位や役職
 帝国商業ギルド評議会議員。

・物語内での具体的な行動や成果
 帝国の財界を支配する大商人の一人として言及される。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 《頭目》の異名を持つ。

ユウカ・クスノキ

東方から来た天才薬師である。

・所属組織、地位や役職
 帝国商業ギルド評議会議員。

・物語内での具体的な行動や成果
 ゴドウィン皇帝の特製胃薬を調合する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 《漆黒》の異名を持つ。

ヒルデ・カラード

歓楽街の支配者である。

・所属組織、地位や役職
 帝国商業ギルド評議会議員。

・物語内での具体的な行動や成果
 帝国の財界を支配する大商人の一人として言及される。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 《銀蝶》の異名を持つ。

ガザル商会

ガザル・ジャックマン

レブリック子爵領で化粧品を販売する商会長である。

・所属組織、地位や役職
 ガザル商会・商会長。

・物語内での具体的な行動や成果
 部下に指示してトレートル商会のレシピを盗ませる。毒性のある偽石鹸を販売した罪で商業ギルドに拘束される。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 全財産を没収され、犯罪奴隷として売却される。

イブリス教

ティーダ

イブリス教のシスターである。修行の一環で各地を旅している。

・所属組織、地位や役職
 イブリス教・歩き神官。

・物語内での具体的な行動や成果
 エリーたちの馬車に同乗する。野盗に襲われた際には鉄杖で容赦なく敵を殲滅し、戦利品を回収する。帝都でギャンブルの揉め事に巻き込まれる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 エリーの気安い友人となる。

ルイス司教

レブリック子爵領の神殿をまとめる司教である。審問官の資格を持つ。

・所属組織、地位や役職
 イブリス教・司教。審問官。

・物語内での具体的な行動や成果
 エリーからの多額の寄付を受け取る。ガザルの尋問に立ち会い、賠償を命じる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 エリーを敬虔な信徒として擁護する。

司祭

神殿の孤児院などを管理する聖職者である。

・所属組織、地位や役職
 イブリス教・司祭。

・物語内での具体的な行動や成果
 エリーから孤児院への寄付を受け取る。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 エリーの支援に深く感謝する。

冒険者ギルド・傭兵ギルド(義勇軍)

セルジオ

帝都の冒険者ギルドのギルドマスターである。顔に大きな傷跡がある。

・所属組織、地位や役職
 冒険者ギルド・ギルドマスター。

・物語内での具体的な行動や成果
 トレートル商会からの依頼を受け、上級冒険者たちに声をかける。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 義勇軍結成の仲介役を果たす。

アイリス

冒険者ギルドのサブマスターである。情報収集や事務作業が得意である。

・所属組織、地位や役職
 冒険者ギルド・サブマスター。

・物語内での具体的な行動や成果
 トレートル商会からの依頼状を確認し、セルジオに助言する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 的確な判断でギルドの業務を支える。

サラサ

冒険者ギルドの受付嬢である。狐人族の女性である。

・所属組織、地位や役職
 冒険者ギルド・受付嬢。

・物語内での具体的な行動や成果
 トレートル商会からの使いを取り次ぐ。マルティに依頼の内容を伝える。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 マルティを妹のように可愛がっている。

エルザ

Aランクパーティ《鋭き切先》のリーダーである。異名を持つ凄腕の剣士である。

・所属組織、地位や役職
 《鋭き切先》・リーダー。Aランク冒険者。

・物語内での具体的な行動や成果
 エリーの依頼を受けて紛争に参加する。ブロッケン砦の奪還作戦では、神器【不死鳥の剣】を用いて凄腕の傭兵団と渡り合う。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 エリーの圧倒的な実力を認め、ともに作戦を遂行する。

サリナ

《鋭き切先》のメンバーである。大楯と金属鎧を装備する無口な女性である。

・所属組織、地位や役職
 《鋭き切先》・盾士。Aランク冒険者。

・物語内での具体的な行動や成果
 村の制圧作戦ではリサの護衛として待機する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 エリーの素性を詮索しようとする仲間を窘める。

シシリー

《鋭き切先》のメンバーである。

・所属組織、地位や役職
 《鋭き切先》・軽戦士兼弓士。Bランク冒険者。

・物語内での具体的な行動や成果
 エリーとともに村へ潜入し、占拠していた兵士たちを排除する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 エリーの体捌きから彼女の高い実力を見抜く。

リサ

《鋭き切先》のメンバーである。紛争地近くの村の出身である。

・所属組織、地位や役職
 《鋭き切先》・治癒魔導師。Bランク冒険者。

・物語内での具体的な行動や成果
 救出された村人や、エリーに切り落とされた指揮官の手首の治療を行う。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 故郷への危機感から依頼の参加に同意する。

マルティ

《鋭き切先》の見習いである。狐人族の少女である。

・所属組織、地位や役職
 《鋭き切先》・斥候。Cランク冒険者。

・物語内での具体的な行動や成果
 村の偵察を行い、敵兵の数と配置を報告する。村長と娘の保護を担当する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 期待の若手として活躍する。

トーマス

Aランクパーティ《灼熱の鉄拳》のリーダーである。

・所属組織、地位や役職
 《灼熱の鉄拳》・リーダー。Aランク冒険者。

・物語内での具体的な行動や成果
 義勇軍に参加する。エリーの指示で野営地の防衛指揮を任される。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 義勇軍の中核メンバーとして機能する。

ブレン

《灼熱の鉄拳》のメンバーである。

・所属組織、地位や役職
 《灼熱の鉄拳》・メンバー。Aランク冒険者。

・物語内での具体的な行動や成果
 出発前の草原でシシリーたちと情報を交換する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 エリーの実力を高く評価する。

リック

Bランクパーティ《牙竜の鱗》のリーダーである。

・所属組織、地位や役職
 《牙竜の鱗》・リーダー。Bランク冒険者。

・物語内での具体的な行動や成果
 義勇軍の中核メンバーとしてエリーの指示に従う。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 紛争に参加し、軍の戦力となる。

ユリウス

《走竜傭兵団》の団長である。

・所属組織、地位や役職
 《走竜傭兵団》・団長。

・物語内での具体的な行動や成果
 義勇軍に参加する。ブロッケン砦の奪還作戦会議に同席する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 騎兵を率いて軍の機動力を支える。

ガンドル

《ガンドル傭兵団》の団長である。

・所属組織、地位や役職
 《ガンドル傭兵団》・団長。

・物語内での具体的な行動や成果
 義勇軍に参加する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 中核メンバーとしてエリーの指揮下に入る。

サージャス王国

ザントラ・サージャス

サージャス王国の国王である。温厚な性格とされる。

・所属組織、地位や役職
 サージャス王国・国王。

・物語内での具体的な行動や成果
 フリードの指示に従って帝国に侵攻する。敗戦が濃厚になると、民への慈悲を乞うために自害する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 自らの命を絶ち、首を帝国への手土産とする。

グリント・サージャス

サージャス王国の王子である。

・所属組織、地位や役職
 サージャス王国・王子。後に国王。

・物語内での具体的な行動や成果
 ブロッケン砦から逃亡する。父の自害後に王位を継ぎ、ルーカスに降伏を申し出る。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 国を帝国に引き渡し、自身は帝都へ連行されることとなる。

近衛騎士団長

サージャス王国で唯一の神器使いである。国王や王子の側近である。

・所属組織、地位や役職
 サージャス王国・近衛騎士団長。

・物語内での具体的な行動や成果
 グリントとともにルーカスの陣へ赴き、ザントラの首が入った箱を差し出す。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 国の降伏を見届ける。

メルティ

サージャス王国の王妃である。グリントの母親である。

・所属組織、地位や役職
 サージャス王国・王妃。

・物語内での具体的な行動や成果
 帝国軍が王都に迫る中、王都を脱出して避難する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 戦火を逃れて生き延びる。

リネッサ

サージャス王国の王女である。グリントの妹である。

・所属組織、地位や役職
 サージャス王国・王女。

・物語内での具体的な行動や成果
 母とともに王都を脱出して避難する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 安全な場所へと逃れる。

その他・第三勢力

クリス

ロックイート男爵家が紹介した行商人である。

・所属組織、地位や役職
 行商人。

・物語内での具体的な行動や成果
 フリードに武勲を立てて威厳を示すよう助言する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 フリードが属国を利用して戦争を起こすきっかけを作る。

ブレン会長

ブレン商会の商会長である。

・所属組織、地位や役職
 ブレン商会・商会長。

・物語内での具体的な行動や成果
 帝都でトレートル商会と競合し、売り上げを落とす。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 トレートル商会の傘下に加わるものと推測される。

グレアム大佐

謎の傭兵団のリーダーである。顔に大きな傷がある。

・所属組織、地位や役職
 謎の傭兵団・リーダー。大佐。

・物語内での具体的な行動や成果
 ブロッケン砦でエルザと交戦する。マジックスクロールを用いて撤退する。サージャス王城を爆破して証拠を隠滅する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ハルドリア王国の利益のために暗躍し、本国へ帰還する。

コナー少尉

謎の傭兵団のメンバーである。

・所属組織、地位や役職
 謎の傭兵団・メンバー。少尉。

・物語内での具体的な行動や成果
 グレアム大佐の指示に従い、部隊を分けて本国への帰還を開始する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 隠密行動を遂行する。

謎の傭兵団の傭兵たち

グレアム大佐に率いられた高練度の戦闘集団である。

・所属組織、地位や役職
 謎の傭兵団・傭兵。

・物語内での具体的な行動や成果
 ブロッケン砦を一日で陥落させる。エルザを取り囲み連携して戦う。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 事件後、一人残らず姿を消す。

野盗たち

荒れた街道に出没する無法者たちである。

・所属組織、地位や役職
 野盗。

・物語内での具体的な行動や成果
 エリーたちやティーダを襲撃するが、返り討ちに遭い命を落とす。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 エリーの冷徹さやティーダの苛烈さを示す対象として描かれる。

火蜥蜴亭の女将

下町の食堂を切り盛りする女性である。

・所属組織、地位や役職
 火蜥蜴亭・女将。

・物語内での具体的な行動や成果
 エリーやミレイに日替わり定食を提供する。常連客と軽口を叩き合う。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 エリーに平穏な日常の場を提供する。

火蜥蜴亭の常連客たち

食堂に集う冒険者らしき中年男性たちである。

・所属組織、地位や役職
 火蜥蜴亭・常連客。

・物語内での具体的な行動や成果
 女将と冗談を言い合い、賑やかな雰囲気を作る。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 下町の活気を演出する。

不動産屋

帝都で物件を案内する業者である。

・所属組織、地位や役職
 不動産屋。

・物語内での具体的な行動や成果
 エリーに高級住宅地の屋敷や商館候補の物件を紹介する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 エリーの即決に驚きつつも契約をまとめる。

行商人たち

王国の荒野を移動する元冒険者の二人組である。

・所属組織、地位や役職
 行商人。

・物語内での具体的な行動や成果
 荒野で倒れていたロベルトを発見し、王都へ送り届ける。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ロベルトが惨劇を引き起こす契機を作る。

フレイド・ロッテ

国立アデル学院の初老の教師である。

・所属組織、地位や役職
 国立アデル学院・大陸史担当教員。

・物語内での具体的な行動や成果
 後世の授業でロベルトの事件やエリー・レイスの台頭について講義する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 物語の結末を俯瞰する視点を提供する。

リアム

国立アデル学院の生徒である。

・所属組織、地位や役職
 国立アデル学院・生徒。

・物語内での具体的な行動や成果
 フレイドの質問に答え、ロベルトの事件の動機に関する三つの説を挙げる。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 歴史の授業に真面目に取り組む。

アデル学院の生徒たち

フレイドの授業を受ける生徒たちである。

・所属組織、地位や役職
 国立アデル学院・生徒。

・物語内での具体的な行動や成果
 エリザベートの呪い説を笑い飛ばす。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 後世の人々として過去の出来事を学ぶ。

ブチ切れ令嬢2巻レビュー

展開まとめ

序章

完璧な才媛としての自負と覚悟
エリザベート・レイストンは公爵家に生まれ、容姿・知性・武芸・魔術のすべてにおいて優れた才媛であった。幼少期より王太子フリードの婚約者として将来の王妃となることが定められており、貴族として国と民のために尽くす覚悟を持っていた。

舞踏会での突然の糾弾と拘束
建国記念の舞踏会において、フリードは突如エリザベートを悪行の罪で糾弾した。彼女は場を収めようと努めたが、騎士ロベルトにより拘束され、シルビア・ロックイートへの加害を理由に地下牢への投獄が命じられた。エリザベートは混乱を避けるため抵抗せず連行されたが、その場で婚約破棄とシルビアとの新たな婚約が宣言された。

国王と宰相の無責任な対応
国外にいた国王ブラートと宰相ジークは報告を受けたが、事態を重く受け止めながらも、エリザベートなら自力で解決できると判断し、問題の後始末を彼女に任せる姿勢を取った。この無関心な態度は、彼女がこれまで担ってきた役割の歪みを示していた。

地下牢での現状認識と潜伏行動
投獄から一ヶ月後、エリザベートは地下牢でなお政務書類の処理を続けていたが、フリードは一度も姿を見せなかった。彼女は隙を突いて闇属性魔法で衛兵を操り、侍女ミレイと接触することで外部の状況を把握した。

陰謀と名誉失墜の進行
ミレイの報告により、王太子側が流布した虚偽の噂が民衆に広がり、エリザベートの名誉は大きく傷ついていることが明らかとなった。さらに、彼女が築いた商会も国家反逆を理由に強制捜査と乗っ取りの圧力を受けており、計画的な排除が進められていた。

忠臣の慟哭と感情の覚醒
ミレイはこれまでの不当な扱いに対する怒りを爆発させ、国や王太子への強い憤りを訴えた。その言葉を受け、エリザベートは自らの内に抑え込んでいた怒りと絶望を自覚した。国と婚約者、そして民に尽くしてきた努力が裏切られた現実を直視したのである。

決別と復讐の決意
感情を整理したエリザベートは、これまでの価値観を捨て、国を離れる決断を下した。そして、自身を陥れた者たちへの報復を行うことを宣言し、新たな行動へと踏み出した。

一章《逃走》

報復に向けた脱出準備
エリザベートは祖国への報復を決意し、ミレイに商会幹部の退避や王都での情報収集の手配を指示した。フリードによる商会乗っ取りを受け入れるよう見せかけ、主要人材を他国へ逃がし、後に再集結させる方針を立てた。

神器の真の能力と壁の修復
エリザベートは地下牢で壊した壁を隠すため、神器【七つの魔導書】の一つである【暴食の魔導書】を用いた。彼女の神器は表向き【英知の魔導書】とされていたが、実際には七冊の魔導書で構成されるものであり、他属性の魔法を記録して使用できる力を持っていた。彼女は地属性魔法【石壁】で破損を修復し、脱出までの準備を整えた。

国王たちの帰還と氷人形の発覚
国王ブラートと宰相ジークは帰城後、フリードがシルビアと旅行に出ており、エリザベートがまだ地下牢にいると知って驚いた。地下牢へ向かうと、牢内のエリザベートは二日前から動いていないと報告された。ブラートが神器【雷神の剣】で鉄格子を斬り、ジークが触れると、その身体は砕け散り、氷人形であったことが判明した。

王城からの脱出
逃走当日、エリザベートは自分を模した【氷人形】を牢に残し、魔封じの枷を付け替えて偽装した。枷は彼女自身が設計時に細工していたため、彼女には効かなかった。ミレイの光属性魔法【幻影】によって姿を隠した二人は、王城を抜け出した。

帝国大使ルーカスへの接触
エリザベートは帝国大使ルーカス・レブリック子爵のもとを訪れ、ブラートに変装した姿で面会した。ミレイが幻影を解くと、ルーカスは幽閉中のはずのエリザベートが現れたことに驚愕した。エリザベートは非礼を謝罪しつつ主導権を取り、帝国への亡命を求めた。

王国を潰すという宣言
エリザベートは、王国に戻って婚約を元通りにされること自体が許せないと語った。彼女は名誉を傷つけられ、国と民に尽くした努力を捨てられたため、もはや民を無条件に守る義務はないと告げた。そして、報復としてハルドリア王国を潰すつもりだと明言した。

帝国との利害一致
ルーカスはエリザベートが帝国の戦力を利用する意図を警戒したが、彼女は王国を潰す過程で得られる戦果を帝国に差し出すと説明した。報復を望むエリザベートと、戦果を得られる帝国の利害が一致する形で、ルーカスは彼女の亡命を受け入れた。

王都脱出とレブリック領への到着
エリザベートとミレイは、帝国大使ルーカスの馬車に同乗して王都を出た。数日かけて緩衝地帯を抜け、帝国南端のレブリック子爵領へ到着した。領都は多種族が暮らす活気ある街であり、エリザベートは王国との文化的な違いと帝国の発展性を感じ取った。

商会設立と危険な契約
到着後、エリザベートはルーカスに商売の許可と金貨百枚の借用を求めた。彼女は一年以内に倍額以上で返済できなければ、自身を奴隷として売却して返済に充てるという最高品質の魔法契約書を差し出した。ルーカスはその異常な自信に恐怖を覚えながらも、同時に彼女が栄光をもたらす存在であると感じていた。

二章《トレートル商会》

廃墟を拠点にした再出発
エリザベートはエリー・レイスと名乗り、レブリック子爵領の端にある格安の廃屋を購入した。ミレイと共に掃除と補修を行い、三日かけて商会として使える最低限の体裁を整え、新たな拠点をトレートル商会とした。

石鹸を足掛かりにした商売の開始
エリーは以前のような高級化粧品ではなく、まず石鹸を商材に選んだ。設備も人員も足りないため、上質な石鹸で顧客を確保し、後に化粧水や乳液などの高単価商品へ広げる計画であった。

有力者への自然な宣伝
ミレイは街の有力者に近い人物へ石鹸をさりげなく渡し、トレートル商会の名を広めた。男爵家のメイドが受け取った石鹸は奥方の目に留まり、その品質の高さから貴族女性たちの関心を集めるきっかけとなった。

神殿への寄付と評判作り
エリーは神殿を訪れ、孤児院への支援として金貨五枚を寄付した。彼女は子供たちを未来の顧客となる財産と捉え、商人として福祉施設を支える意義を語った。この行動により、司祭やシスターとの関係も深まっていった。

限定販売によるブランド化
トレートル商会は石鹸の販売数と相手を絞り、有力者との関係強化とブランド化を狙った。石鹸は美容に敏感な女性たちの間で話題となり、商会は三ヶ月で化粧水、乳液、洗髪薬などへ商品を拡大し、売上を伸ばしていった。

下町で得た平穏な時間
エリーとミレイは仕事の合間に火蜥蜴亭で食事を取るようになった。貴族としての責務に縛られていた頃とは違い、エリーは下町の賑やかな空気や人々との会話を楽しみ、これまでにない穏やかな時間を過ごしていた。

ガザル商会の焦りと盗みの計画
トレートル商会の台頭により、ガザル商会は高級石鹸の売上を大きく落としていた。商会長ガザルは顧客を奪われた怒りを募らせ、経理係グランツからトレートル商会の石鹸レシピが金庫にあると聞くと、非合法な配下を使って盗ませることを企てた。

王国からの指名手配と家族の裏切り
亡命から五ヶ月後、ミレイは王国からの報告として、シルビアが正式に王太子の婚約者と認められ、エリーが国家反逆者として指名手配されたことを伝えた。さらにレイストン公爵家は彼女の罪を追及することで免罪されており、エリーは父が王家を守るために自分を切り捨てたと理解した。

毒石鹸事件による強制捜査
トレートル商会は、毒性のある石鹸を販売した疑いで商業ギルド法務部のアルテ・ヒルガディエから強制捜査を受けた。エリーとミレイは拘束され、商業ギルドで事情聴取を受けたが、製法や販売記録の確認により、商会が事件に関与している可能性は低いと判断された。

偽造品の正体と反撃の布石
被害者の持っていた石鹸は、トレートル商会の金庫にあった不完全なレシピだけをもとに作られた粗悪品であった。エリーはレシピを二つに分け、本来の無毒化工程を別に保管していたため、何者かが盗んだ情報で偽造品を作ったことが明らかとなった。アルテは入手経路と材料の流れを調べるよう部下に命じ、犯人追及が始まった。

ガザルの破滅と商業ギルドの摘発
ガザルは偽石鹸の販売経路から自分の商会に捜査が及ぶことを悟り、追い詰められていた。そこへ商業ギルドの捜査官たちが令状を持って踏み込み、毒性石鹸の件とトレートル商会への不法侵入、窃盗について事情聴取するため、ガザルを連行した。

慰謝料請求と司教の介入
エリーはトレートル商会の名誉を傷つけられたとして、ガザルに慰謝料を請求した。ガザルは商業ギルドに民事的権限はないと開き直ったが、エリーは審問官資格を持つルイス司教を呼んでいた。司教はエリーを敬虔な信徒として擁護し、神の名のもとにガザルへの賠償を命じた。

ガザル商会の吸収
ガザルは犯罪奴隷として売却され、ガザル商会の経営権や個人資産、売却金の一部が賠償としてエリーのものとなった。ガザル商会は不祥事により倒産し、商会員、施設、資材、販路は丸ごとトレートル商会に吸収された。偽石鹸の被害者も治癒魔法で回復し、エリーは本物の石鹸を見舞いとして送り、今後の取引を約束して事態を収めた。

グランツの正体と内部工作
アルテは、ガザルに石鹸の製法を盗むよう唆したグランツの存在をエリーに伝えた。だが、実際にはグランツはエリーが最初に接触させた協力者であり、ガザルを陥れる計画の中心人物であった。彼は不完全なレシピを盗ませ、証拠や脱税記録を見つかりやすい場所に忍ばせることで、ガザル商会を確実に破滅へ導いていた。

約束の報酬とルノアの治療
エリーはグランツに約束の報酬を渡し、将来的にトレートル商会の幹部として重用すると告げた。さらに、もう一つの約束として、グランツの娘ルノアを治療するため彼の家を訪れた。エリーは【暴食の魔導書】に記録された上級治癒魔法を使い、事故で重傷を負っていたルノアの傷を癒やした。

トレートル商会の急成長
ガザル商会の吸収により、エリーは商館、販路、顧客、忠誠心の高い部下を手に入れた。商会の基盤は一気に整い、事業拡大の下地が完成した。半年ほどで彼女はルーカスに借りた金貨百枚を大きく増やし、約束の返済金を山積みにして見せた。

ルーカスからの自由行動許可
ルーカスは、わずか半年で巨額の利益を生み出したエリーに驚きながらも、彼女が王国の策略ではないと判断した。王国で指名手配された事情も踏まえ、彼はエリーに帝国内での自由な行動を許可した。エリーはこれにより、帝都進出への足掛かりを得た。

神殿との関係維持とルノアの成長
エリーは神殿への寄付を続け、影響力の強いイブリス教を味方につける方針を取っていた。一方、治療を受けたルノアはエリーの魔力の影響で固有魔法【物品鑑定】に目覚め、トレートル商会の見習いとして働き始めた。エリーは彼女を手元に置き、直接魔法を教えることにした。

帝都進出への招集
エリーは【怠惰の魔導書】を使い、契約したセイントバードを召喚した。彼女は散り散りになっていた旧商会の有能な人材を集めるため、手紙を託して各地へ飛ばした。準備が整い次第、帝都へ進出する決意を固めたのである。

三章《帝都への進出》

帝都進出の決定
トレートル商会はガザル商会の吸収後、中小商会を次々と傘下に収め、急速に規模を拡大していた。エリーは幹部たちを集め、帝都進出を宣言した。自身が帝都へ向かう間、レブリック子爵領の商会運営はグランツに任せ、スティアを補佐につけた。

少人数での出発準備
エリーはミレイとルノアを連れて帝都へ向かうことにした。荷物の運搬には所有物を収納できる神器【強欲の魔導書】を使うため、小さな馬車で十分であった。エリーは帝都で商館に適した物件や化粧品相場を調査させ、社交シーズンに合わせて出発する方針を固めた。

荒れた街道と領地経営の講義
道中、レブリック子爵領を離れると街道の質が悪化した。エリーはルノアに、街道整備が物流や物価、税収に直結することを教えた。街道を放置すれば物資の輸送費が上がり、生活必需品が高騰し、農民が野盗化する悪循環が生まれると説明した。

野盗の襲撃と撃退
荒れた街道でエリーたちは野盗に襲われた。エリーは水属性魔法【氷棘】や宝剣【翼を持つ者】、歩法【縮地】を使い、野盗たちを瞬く間に倒した。彼女はルノアに、野盗は商人の財産や命を奪う存在であり、見つけ次第確実に殺すのが鉄則であると教えた。

歩き神官ティーダとの出会い
翌日、エリーたちは帝都へ向かう途中で、シスターのティーダを馬車に乗せた。ティーダは歩き神官として村々を回り、治癒魔法を施していた人物であった。砕けた口調の明るい聖職者であり、エリーと同じ年齢だった。

ティーダの苛烈な戦闘姿勢
ティーダを加えた一行は、再び野盗に襲われた。エリーは聖職者の前での殺害を避けようとして野盗を気絶させたが、ティーダは鉄杖で野盗を容赦なく叩き潰した。彼女は野盗を神の慈悲の対象外と断じ、命乞いする相手にも神罰としてとどめを刺した。

戦利品回収とティーダの現実主義
戦闘後、ティーダは野盗の死体から金歯まで回収していた。彼女は野盗の持ち物を換金し、得た金を旅の資金として喜んだ。エリーはその金を布施としてティーダに譲り、彼女の遠慮のなさと逞しさに振り回された。

賑やかな夕食とエリーの変化
街道の整った領地に入った一行は宿屋兼酒場で食事を取った。ティーダは豪快に酒を飲み、エリーと軽口を交わした。ミレイは、かつて張り詰めていたエリーが楽しそうに笑うようになったと感じていた。ルノアやミレイも料理を味わいながら、特産品を化粧品に使える可能性を見出していた。

王国で露呈するフリードの無能
フリードは貧民区への炊き出しを国庫で行おうとし、文官から強く諫められた。エリザベートが私財で施しを行い、仕事の斡旋まで含めて貧困救済をしていたことを理解せず、フリードは炊き出しをやめればよいと投げ出した。

帝都到着とティーダとの別れ
エリーたちは帝都に到着し、身分確認を済ませて入都した。道中で同行していたティーダは広場で別れを告げ、エリーたちは中央区に近い宿へ入った。エリーは帝都での商売を見据え、安宿ではなく上等な宿を選んだ。

アルノーとの合流と物件選定
翌日、エリーは先行していたアルノー・ラングレイと合流した。アルノーは帝都での拠点と商館候補を選定しており、エリーは貴族街に近い屋敷と、高級店が並ぶ通りの商館を即決で購入した。これにより、帝都での事業基盤が整い始めた。

従者確保の必要性
帝都進出に伴い、ミレイはエリー付きの従者を増やす必要があると進言した。商会業務が拡大すれば、ミレイだけでは常時エリーに付き従うことが難しくなるためである。裏切りを避けるため、二人は奴隷商で人材を探すことにした。

セドリック商会との出会い
いくつかの奴隷商会を回った後、エリーたちは《教育者》セドリック・ルーインスが営むセドリック商会を訪れた。そこでは奴隷に教育と訓練を施し、清潔で健康な状態を保つことで価値を高めていた。エリーは、奴隷を単なる労働力ではなく、高付加価値の商品として扱うセドリックの合理性を見抜いた。

セドリックとの探り合い
セドリックは初対面にもかかわらず、エリー、ミレイ、ルノアの名を把握していた。エリーは彼が自分の出自を知っている可能性を感じつつ、互いに本心を隠したまま商談を進めた。久々に貴族社会に近い駆け引きを交わし、警戒を深めた。

猫人族ミーシャの購入
候補者の中で、エリーは猫人族の少女ミーシャ・テイルに目を留めた。ミーシャは行商人の娘で、野盗に父母を奪われ、母の治療費の借金も抱えて自ら奴隷となった少女であった。身体能力が高く、短剣術の経験もあり、自衛できる点を評価され、エリーに買い取られた。

新たな従者の受け入れ
エリーはミーシャの隷属紋を隠し、従者として迎え入れた。ミーシャはセドリックに感謝を示しており、セドリック商会が奴隷たちと一定の信頼関係を築いていることも示された。宿に戻ったエリーは、ミーシャの教育をミレイとアルノーに任せ、将来的には奴隷身分から解放して正式な従者にすることも視野に入れた。

皇帝への献上と静観の判断
エリーはルーカスと再会し、皇帝へ献上した特製化粧品について確認した。ルーカスは皇帝にエリーの事情を直接説明しており、皇帝は当面エリーを静観し、帝国に利益をもたらす限り干渉しない方針を取った。

皇帝ゴドウィンの不安
皇帝ゴドウィンは、王国の要人であるエリザベートが帝国にいる状況に胃を痛めていた。彼は表向き偉大な皇帝と見なされていたが、実際には気が小さく繊細であり、彼女の活躍が帝国の利益になる一方で、ルーカスの力も増すことを気にしていた。

社交界での宣伝活動
エリーはメラニー夫人の紹介で帝都の社交パーティに参加し、貴族女性たちにトレートル商会の化粧品を売り込んだ。販売を会員制にすると告げ、メラニー夫人の紹介者には優先的に会員権を与えることで、希少価値と社交的な価値を高めようとしていた。

夜の帝都での再会
パーティ帰り、エリーとミレイは路地裏で男たちに追われるティーダを見つけた。ティーダはカード勝負を巡る揉め事を神の愛や寄進と言い張ったが、実態はギャンブルであった。エリーたちは彼女を助け、帝都での再会を喜んだ。

ティーダとの一時の別れ
ティーダは善意の寄進で路銀が貯まったため、帝都周辺の村々を巡る旅に出ると告げた。エリーは商館が開店したら来るよう約束し、素行に難はあるが気の合う友人と暫し別れた。

王国政務の停滞
一方、ハルドリア王国ではエリザベート不在により、国王ブラートの執務量が倍増していた。王太子妃候補だったロゼリアを改めて据える案も出たが、既に婚約済みであり、王家の信用低下を避けるため断念された。

フリードの劣等感と不満
フリードは騎士たちがわざと負けていたことを知り、城内の者たちがエリザベートを惜しんでいることに苛立っていた。彼は自分が王太子であるにもかかわらず、誰もがエリザベートと比較する現状に怒りを募らせた。

クリスの甘言と武勲への誘導
シルビアの紹介した行商人クリスは、フリードに王太子としての威厳を示すには武勲が必要だと語った。帝国との戦争は現実的でないため、魔物討伐で功績を積むべきだと助言した。この言葉はフリードの心に残った。

ロゼリアによる痛烈な侮辱
フリードとシルビアは城内でファドガル公爵令嬢ロゼリアと遭遇した。ロゼリアは二人を痛烈に嘲り、エリザベートの代わりに王太子補佐官として働かされている現状を皮肉った。フリードはファドガル公爵家の力を恐れ、言い返すことができなかった。

属国支援を利用する思いつき
執務室に戻ったフリードは、属国支援に関する書類を前にして、自分が支援内容の決定権を持つことに気づいた。彼はクリスの言葉を思い出し、属国への支援を利用して何かを企て始めた。後に残された焼け焦げた文書には、帝国や援助に関する断片が記されていた。

四章《レブリック子爵領東部紛争》

帝都で順調に拡大するトレートル商会
エリーは帝都の私邸兼支部で多忙な業務をこなしていた。トレートル商会は帝都での宣伝効果もあり順調に成長し、貴族からの資金提供も受けて、レブリック子爵領東部に化粧品材料の栽培と加工を行う生産拠点を整えようとしていた。

サージャス王国の侵攻
アルノーは、サージャス王国が帝国に宣戦布告し、レブリック子爵領へ侵攻したと報告した。サージャス王国はハルドリア王国の属国であり、小国に過ぎなかったため、帝国へ攻め込む行為は不可解であった。だが、侵攻経路の先にはトレートル商会の生産拠点予定地があり、エリーにとって看過できない事態となった。

ブロッケン砦とルーカスの迎撃
エリーは地図を広げ、サージャス王国軍がブロッケン渓谷を通るしかないと判断した。渓谷にはブロッケン砦があり、通常なら守り切れるはずであった。さらにルーカスは一八〇〇の兵を率いて迎撃に向かっており、戦力的には十分であると見られたが、エリーは違和感を拭えなかった。

王国側の責任転嫁と歪んだ思惑
ハルドリア王国では、ブラートとジークがエリザベートの行方を探し続けていた。ジークはエリザベートを国家反逆者に仕立てたことを体裁上必要な措置と考え、連れ戻した後は別名を与えて第二妃扱いにし、その子をシルビアの子として育てる構想まで口にした。

サージャス王国侵攻の報告
王国にもサージャス王国が帝国へ攻め込んだ報が届いた。宣戦布告の理由は、過去に帝国へ奪われた領土を取り戻すためとされていた。だが、その領土は魔物被害から守れなかった村を帝国が保護した結果編入されたものであり、ブラートとジークはサージャス王国の行動に疑問を抱いた。

フリード軍の不自然な配置
フリードは軍事訓練を名目に、サージャス王国との国境近くに兵を率いて滞在していた。そこへサージャス王国侵攻の知らせが入り、フリードは落ち着いた様子で属国救援を宣言した。ロベルトはその判断を王太子の冷静な決断と受け止め、初陣への興奮を覚えた。

ブロッケン砦陥落とエリーの出陣判断
翌日、エリーのもとにブロッケン砦が陥落した報が届いた。サージャス王国軍には正規兵ではない高練度の一団がいるらしく、エリーは傭兵団の存在を疑った。このままではレブリック子爵領軍も敗れ、商会の生産拠点が危うくなると判断し、自ら冒険者や傭兵を率いて戦場へ向かうことを決めた。

義勇軍編成への準備
エリーはミレイに物資の調達を命じ、ルノアとミーシャには冒険者ギルドと傭兵ギルドへの手紙を託した。私兵として動くよりも、帝国の許可を得た義勇軍として行動する方が都合がよいと考え、宮廷へ向かう準備を始めた。

冒険者ギルドへの依頼
冒険者ギルドでは、ギルドマスターのセルジオとサブマスターのアイリスが、トレートル商会からの依頼内容を確認していた。依頼は、エリーの指揮下に入りサージャス王国軍を撃退することであり、報酬は相場の倍以上であった。二人は、商会施設を守るための依頼だと見抜きつつも、帝国にとっても有益であるとして、上級冒険者に声をかけることにした。

冒険者たちの参戦決定
Aランクパーティ《鋭き切先》は、東部紛争への指名依頼を受けるか相談した。報酬条件が良かったことに加え、治癒魔導師リサの故郷が紛争地近くにあったため、仲間たちは参加を決めた。

義勇軍の編成と出発
エリーは冒険者と傭兵を合わせた七十四名を集め、帝国義勇軍としてレブリック子爵領へ向かうことを宣言した。彼女は【強欲の魔導書】に大量の物資を収納していることを明かし、少数精鋭で迅速に戦地へ向かった。

野営地の設営と偵察開始
義勇軍はレブリック子爵領に入り、敵勢力圏に近い場所で野営地を設けた。エリーは周辺探索とルーカス軍への連絡を指示し、魔法で石壁を作って防備を整えた。斥候たちは周囲に魔物やサージャス王国軍の斥候がいることを報告した。

占拠された村の発見
東の村へ偵察に出た者たちは、武装集団が村を占拠し、村人の姿がほとんど見えないと報告した。村には血痕らしき跡があり、女性が家に連れ戻される様子も確認された。エリーは敵兵を捕らえて情報を得るため、村人を救出する判断を下した。

救出部隊の選定
エリーは村に囚われている女性たちのことを考え、自身と《鋭き切先》で救出に向かうことにした。陣地設営はミレイ、防衛はトーマスに任せ、少数で隠密行動を取る方針を選んだ。

村を占拠する兵の正体
エリーたちは村を観察し、占拠している兵が正規兵ではなく徴募兵に近い存在だと判断した。村へ潜入する前に一人を捕らえて尋問したところ、彼らはサージャス王国軍ではなく、ハルドリア王国の王子フリードに集められた者たちであると判明した。

紛争の黒幕への気づき
エリーは、サージャス王国が塩などの支援をハルドリア王国に依存していること、支援の窓口が王太子フリードであることから、この紛争にフリードが関与していると見抜いた。支持を失ったフリードが安直に武功を求め、属国を利用したと推測した。

戦時国際法違反の発覚
尋問により、村の男たちは抵抗したため殺され、女子供は家に閉じ込められたうえで被害を受けていることが明らかになった。さらに、それがフリードの命令によるものだと知り、エルザたちは衝撃を受けた。王族の命令で民間人を襲った事実は、全面戦争の引き金になりかねない重大な違反であった。

徴募兵への冷酷な裁き
捕らえた男は償いたいと申し出たが、エリーはその言葉を受け入れなかった。彼女は男の喉を切り、長く苦しんで死ぬことこそ償いだと告げた。そして、苦しむ男を残し、村人の救出へ向かった。

村への潜入と兵士の排除
エリーたちは二組に分かれて村へ侵入した。民家では兵士たちが女性と少女を従わせながらカードに興じており、エリーとシシリーは声を上げさせる前に兵士を処理した。残された親子は、家族を殺した兵士に自ら刃を向け、怒りと憎悪をぶつけた。

暴行被害者の発見と救助
別の家では、兵士が少女を暴行していた。エリーは兵士の腕を斬り落とし、シシリーが喉を突いて始末した。少女は重傷ではあったが即座に命に関わる状態ではなかったため、エリーは村の制圧を優先し、治療はリサに任せる判断をした。

村長宅の制圧と指揮官の捕縛
エリーはエルザたちと合流し、村長宅へ向かった。内部には指揮官と兵士、村長の老女と娘がいた。エリーとエルザは兵士を瞬時に無力化し、エリーは指揮官の手首を斬り落として捕縛した。

指揮官の尋問と村人への引き渡し
エリーは捕らえた指揮官を尋問し、サージャス王国軍とハルドリア王国軍の動きを聞き出した。情報を得た後、エリーは指揮官たちを村人の前へ放り出した。エリー自身は許すと告げたが、村人たちが許すかは別だとして、村人たちによる私刑を黙認した。

レブリック子爵領軍との連絡
村を解放した後、エリーは野営地に戻り、村の警備と周囲の哨戒を指示した。二日目にはレブリック子爵領軍からイグルが到着し、ルーカス軍が村々を解放しながら東へ進んでいることを伝えた。エリーは義勇軍も足並みを揃え、東へ進軍する方針を確認した。

ルーカス軍との合流
エリーたちは占領された村々を解放しながら東へ進み、やがてルーカス率いるレブリック子爵領軍と合流した。エリーの投資していた生産拠点の村は人的被害こそ少なかったが、物資を徴発されていた。エリーはその代価を必ず支払わせると静かな怒りを見せた。

ブロッケン砦奪還作戦
合同軍議では、ブロッケン砦を正面から攻めれば被害が大きいと判断され、少数精鋭による制圧作戦が決まった。参加者はエリー、ルーカス、エルザ、軍団長ドレッグの四人であり、他の兵力は外側から包囲する形を取ることになった。

北側攻撃を引き受けたエリー
エリーは、凄腕の傭兵がいる可能性の高い北側を自分とエルザで担当すると提案した。ルーカスとドレッグは南側から攻めることになり、エリーは広範囲魔法とエルザの実力を根拠に危険な役割を引き受けた。ルーカスは無理をせず命を優先するよう念を押した。

エルザたちの警戒と自制
軍議後、《鋭き切先》の仲間たちはエリーの実力や素性に疑問を抱いた。彼女がハルドリア王国の王太子や近衛騎士に詳しく、時折殺気を漏らすことから、ただの商人ではないと感じていた。しかしサリナは不用意な詮索を戒め、エルザたちも余計なことを知れば危険に巻き込まれると理解した。

ブロッケン砦への襲撃準備
エリーは防刃と対魔力を備えたローブ、フリューゲル、短剣やナイフを装備し、殲滅を前提とした戦闘態勢を整えた。ミレイに義勇軍の指揮を任せ、自身はエルザと共にブロッケン砦北側へ向かった。

氷魔法による北側駐屯地の制圧
エリーは城壁を駆け上がり、見張りを斬り捨てて砦内へ侵入した。中庭に集まる傭兵や冒険者に対し、広範囲魔法【氷雨】で混乱を生み、続けて【白銀の息吹】や【凍る大地】を使い、武装した敵を次々に殺していった。

エルザと傭兵団の激戦
一方のエルザは、練度の高い傭兵団と交戦していた。傭兵たちは連携してエルザを削り、リーダーの的確な指示で彼女を追い詰めていった。エルザは窮地で神器【不死鳥の剣】を生成し、傷つくほど強くなる力で反撃に転じた。

エリーの加勢と傭兵団の撤退
エリーはエルザが神器を使った気配を察し、手練れの傭兵団がいると判断して駆けつけた。【暴食の魔導書】で複数属性魔法を同時に放ち、傭兵団を動揺させた。しかし傭兵団のリーダーは高い判断力で撤退を指示し、エリーのフリューゲルの弱点も見抜いて時間を稼いだ。

サージャス王子の逃亡
傭兵団のリーダーは殿を務めつつ、サージャス王国の王子グリントたちを逃がす準備を整えていた。エリーとエルザは追撃したが、リーダーはマジックスクロールの【転移】を発動し、王子や傭兵たちと共に姿を消した。大将首は逃したものの、ブロッケン砦の奪還には成功した。

サージャス王国への逆侵攻決定
砦奪還後、エリーたちは今後の対応を協議した。帝国臣民が不当に害された以上、帝国の面子として報復は避けられなかった。外交交渉では証拠隠滅の時間を与えると判断され、ルーカスはサージャス王国への侵攻を決断した。

サージャス王城での対立
サージャス王国では、フリードがグリントを無能と罵っていた。グリントは主国ハルドリアからの支援を止められれば国民に被害が出るため、反論を飲み込んでいた。ロベルトはその光景を見ながら、自分たちの行動が正しいのか疑念を抱いていた。

ロベルトの後悔と父の叱責
ロベルトは、かつてエリザベートを公衆の面前で組み伏せた後、父アーネストに激しく叱責されたことを思い返した。父は、証拠もなく一方の言い分だけで公爵令嬢を辱めた行為は騎士の所業ではないと断じ、ロベルトの嫉妬や私怨を見抜いていた。

フリードへの疑念と従属
一年以上を経て、ロベルトはエリザベートがシルビアを害した証拠などなかったことを認め始めていた。しかしフリードは反省することなく、逃げ帰ったサージャス軍を罵り、ロベルトに帝国兵を殲滅するよう命じた。ロベルトは言いたいことを飲み込み、御意と答えるしかなかった。

サージャス王国への快進撃
エリーたちはサージャス王国へ進軍し、小砦や街を次々に制圧した。ルーカスが民や恭順した者に無体を働かせなかったため、王都手前の街では抵抗もなく白旗が掲げられた。ロベルトの提供した軍備情報も、被害を抑えた進軍に大きく貢献していた。

ロベルトの離反と謝罪
ロベルトはフリードから離れ、エリーたちに協力していた。彼は一年前にエリザベートを辱めたことを謝罪したが、エリーは穏やかに受け止め、今はエリー・レイスだと告げた。ロベルトは彼女に許されたと思い込み、正義のために戦う決意を新たにした。

サージャス王国の降伏
サージャス王国では、フリードが既に逃げ帰り、ハルドリア王国からも切り捨てられていた。国王ザントラは民を守るため降伏を決意し、自害した。王位を継いだグリントは父の首を携えて帝国軍のもとを訪れ、民への慈悲を願いながら全面降伏を申し出た。

フリード関与の証拠と爆破事件
グリントは、フリードからの書状を保管していると明かした。しかしその直後、サージャス王城と市街地で爆発が発生した。事件は謎の傭兵団による破壊工作であり、フリードの関与を示す証拠の多くが焼失した。エリーは、傭兵団がハルドリア王国以外の第三勢力の工作員である可能性を疑った。

義勇軍の帰還とロベルト隊の別行動
サージャス王国併合の処理が進む中、義勇軍は不要となり帝都へ帰還することになった。エリーは、ハルドリア王国離反軍が被害を受けた村々を通れば危険だとして、ロベルトたちを別ルートへ導いた。ミレイには義勇軍を任せ、エリー自身はロベルトたちに同行した。

ロベルトへの報復の開始
渓谷で休息を取った際、ロベルトは改めて謝罪と感謝を述べた。しかしエリーは、自分は彼を許したことなど一度もないと明かした。彼女は【暴食の魔導書】で渓谷の入口を石壁で塞ぎ、【怠惰の魔導書】でウーズ・オリジンを召喚し、ロベルトの兵士たちを捕食させた。

騎士道の否定と精神的破壊
ロベルトは自分だけを殺せばよいと訴えたが、エリーは兵士たちが死ぬのは彼と共にいたからだと告げた。さらに、主君の暴走を止められず裏切りまでしたロベルトを騎士ごっこに過ぎないと断じ、彼の誇りを徹底的に否定した。

神器の破壊と仕上げの準備
追い詰められたロベルトは神器【騎士の証】を生成したが、錯乱した攻撃はエリーに通じなかった。エリーはフリューゲルでその神器を両断し、ロベルトの心をさらに折った。そして、仕上げとして神器【色欲の魔導書】を生成した。

帝都帰還と色欲の魔導書の代償
エリーは帝都へ戻り、ミレイと再会した。右腕には黒い痣が広がっており、それは神器【色欲の魔導書】を使った代償であった。エリーは残る魔導書の能力をミレイに明かし、ロベルトを王国への報復開始の狼煙にしたと語った。

行商人に拾われたロベルト
ロベルトは荒野で倒れていたところを行商人に発見され、王都へ運ばれた。彼はアーティ伯爵家で目覚めたが、記憶は曖昧で、自分が何を忘れているのか分からなかった。父アーネストは、軍を失って一人生き延びたことを激しく叱責し、ロベルトを騎士団から除名して下級兵に落とした。

ロベルトによる惨劇
療養後、ロベルトは自分の意思に反して剣を取り、妹ロワリーゼを刺し殺した。続いて姉のように慕っていたメイド、母、屋敷の使用人たちを次々に斬り、王都の市場へ出て市民までも殺害した。ロベルトは自分ではないと叫びながらも止まれず、市場は血の海となった。

アーティ家への処分
王城では、ロベルトによる大量殺人の被害が報告された。死者はアーティ家の家族や使用人、市民、兵士、騎士に及び、ロベルトは死罪と決まった。父アーネストは近衛騎士団長を解任され、男爵へ降爵のうえ辺境砦へ異動となったが、その後、自害の恐れから監視を付けられることになった。

シルビアとの決別
処刑前、ロベルトはフリードとシルビアに会った。ロベルトはシルビアのために騎士になったと訴えたが、シルビアは彼を人殺しと拒絶した。フリードもロベルトを極悪人と断じ、失望したと告げて去った。

処刑と届かなかった警告
ロベルトは民衆の罵声と投石を浴びながら処刑台へ連れて行かれた。槍で貫かれた瞬間、彼は渓谷での記憶を取り戻し、エリザベートが王国に報復しようとしていると伝えようとした。しかしその声は民の罵声に掻き消され、誰にも届かなかった。

呪いの解除と報復の成果
ロベルトの死により、エリーの右腕の痣と痛みは消えた。【色欲の魔導書】は、条件を満たした相手の記憶を改竄し、強力な催眠暗示を与える魔導書であった。エリーは、王国で起きた騒ぎの報告を待つことにした。

後世に語られる滅亡の始まり
後世の大陸史の授業では、ロベルト・アーティの事件がハルドリア王国滅亡の始まりとして扱われていた。動機については戦争による精神障害、シルビアへの恋慕、フリードへの私怨などが語られ、エリザベートの呪い説は眉唾物として笑われていた。次回の授業では、《白銀の魔女》エリー・レイスの台頭が扱われることになった。

電子限定特典ショートストーリー ◆《ルノアの選択》◆

事故後の苦しみと治療への限界
ルノアは数ヶ月前の馬車事故で重傷を負い、父が必死に用意したポーションで命を繋いでいた。しかし怪我は重く、ポーションでは時間稼ぎにしかならなかった。ルノアは家族の負担になりたくないと考えたが、両親は彼女を諦めようとはしなかった。

エリーによる治癒と異変の発生
父グランツは、商会での仕事の報酬としてエリー・レイスにルノアの治療を依頼した。エリーは強力な治癒魔法でルノアの傷を完全に癒やしたが、その後ルノアは目に入る物の説明が頭の中に流れ込む異変に悩まされるようになった。

固有魔法の覚醒
グランツの相談を受けたエリーは、ミレイと共にルノアの様子を確認した。魔力計で測定した結果、ルノアはエリーの魔力を受けた影響で眠っていた魔力が目覚めたと判明した。物の説明が流れ込む現象は、固有魔法【物品鑑定】によるものだった。

商人としての道への誘い
エリーは【物品鑑定】が商人にとって大きな武器になると説明し、望むなら魔法と商人としての知識を教えると提案した。ルノアは両親を助けられる可能性を感じ、自分に魔法を教えてほしいと申し出た。

見習いとしての第一歩
二週間後、ルノアは【物品鑑定】を暴走させずに扱えるようになり、トレートル商会の見習いとして働き始めることになった。新しい服を着て緊張しながら待つルノアに、エリーは今日からよろしくと声をかけた。ルノアは彼女を上司であり師匠として受け止め、エリー会長と呼んだ。

ブチ切れ令嬢2巻レビュー

ブチ切れ令嬢は報復を誓いました。一覧

ブチ切れ令嬢は報復を誓いました。 1の表紙画像(レビュー記事導入用)
ブチ切れ令嬢は報復を誓いました。1 ~魔導書の力で祖国を叩き潰します~
ブチ切れ令嬢は報復を誓いました。 2の表紙画像(レビュー記事導入用)
ブチ切れ令嬢は報復を誓いました。2 ~魔導書の力で祖国を叩き潰します~
ブチ切れ令嬢は報復を誓いました。 3の表紙画像(レビュー記事導入用)
ブチ切れ令嬢は報復を誓いました。3 ~魔導書の力で祖国を叩き潰します~

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