フィクション(Novel)無職転生 ~異世界行ったら本気だす~読書感想

小説「無職転生 24 第二十四章 青年期 決戦編上」感想・ネタバレ

無職転生24の表紙画像(レビュー記事導入用) フィクション(Novel)

無職転生 23巻レビュー
無職転生 全巻まとめ
無職転生 25巻レビュー

  1. 物語の概要
    1. ■ 作品概要
    2. ■ 主要キャラクター
    3. ■ 物語の特徴
  2. 書籍情報
  3. あらすじ・内容
  4. 感想
  5. 考察・解説
    1. ビヘイリル王国での作戦
      1. 作戦の目的と優先順位
      2. 転移魔法陣と包囲戦術の構築
      3. 陽動作戦とリスク管理
      4. 部隊編成と役割分担
      5. まとめ
    2. スペルド族と疫病
      1. 疫病の発生と症状
      2. ヒトガミ陣営による陰謀と冥王ビタの憑依
      3. 病の原因究明とクリフの活躍
      4. 治療の成功
      5. まとめ
    3. 冥王ビタの幻術
      1. 幻術の仕組みと恐るべき効果
      2. ルーデウスが見た「都合の良い世界」
      3. 死神ラクサスの骨指輪とパウロの導き
      4. 幻術の打破と現実の選択
      5. まとめ
    4. 転移魔法陣の消失
      1. アスラ王国内の転移魔法陣の全破壊(王位継承編)
      2. シャリーアの事務所襲撃による魔法陣ネットワークの消失(ビヘイリル王国決戦編)
      3. ネットワーク消失の影響と仲間たちの決断
      4. まとめ
    5. ルーデウスの谷底落下
      1. 偽の兵士と奇襲の舞台
      2. 正体露見と両腕の切断
      3. 橋の崩落と谷底への落下
      4. 敵の追撃放棄
      5. まとめ
  6. 登場キャラクター
    1. グレイラット家・オルステッドコーポレーション
      1. ルーデウス・グレイラット
      2. シルフィエット
      3. エリス
      4. ロキシー
      5. ノルン
      6. アイシャ
      7. リーリャ
      8. ゼニス
      9. パウロ
      10. ルーシー
      11. ララ
      12. アルス
      13. ジーク
      14. 龍神 オルステッド
      15. ザノバ
      16. ジュリ
      17. ジンジャー
      18. リニア
      19. プルセナ
      20. クリフ・グリモル
      21. エリナリーゼ・ドラゴンロード
      22. クライブ
      23. レオ
      24. ファリアスティア
      25. ルード傭兵団
    2. アスラ王国
      1. アリエル・アネモイ・アスラ
      2. シャンドル・フォン・グランドール
      3. ドーガ
      4. ギレーヌ
      5. イゾルテ
      6. ルーク
      7. ノトス公
      8. ボレアス公
      9. エウロス公
      10. ゼピュロス公
    3. ヒトガミ陣営
      1. ヒトガミ
      2. ギース
      3. 冥王 ビタ
      4. ガル・ファリオン(ガリクソン)
      5. アレクサンダー・ライバック(北神カールマン三世 / サンドル)
    4. ビヘイリル王国・スペルド族・鬼族
      1. ビヘイリル王国の国王
      2. 鬼神 マルタ
      3. ルイジェルド・スペルディア
    5. 魔法大学・冒険者・その他
      1. ジーナス教頭
      2. サラ
      3. ティモシー
      4. スザンヌ
      5. カウンターアロー
      6. 魔界大帝 キシリカ・キシリス
      7. 死神 ラクサス
      8. 死神 ランドルフ
      9. アトーフェ
      10. バーディガーディ
      11. 魔神 ラプラス
  7. 展開まとめ
    1. 第二十四章 青年期 決戦編上
    2. 第一話「作戦会議」
    3. 第二話「探し求めていた物」
    4. 第三話「探し求めていた者」
    5. 第四話「スペルド族の村」
    6. 第五話「冥王ビタ」
    7. 第六話「疫病」
    8. 第七話「天才」
    9. 間話「誰かにとっての誰か」
    10. 間話「ビタとラクサス」
    11. 第八話「首都」
    12. 第九話「三泊四日 スペルド村見学ツアー」
    13. 第十話「消失」
  8. 無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ シリーズ
    1. 小説版
    2. 漫画版
    3. その他フィクション

物語の概要

■ 作品概要

『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 24』は、34歳の引きこもり無職の男が剣と魔法の異世界に転生し、前世の反省を胸に「今度こそ本気で生きる」姿を描いた人生やり直し型の大河ファンタジー小説、第24巻である。 本巻(決戦編・上)では、ヒトガミの使徒・ギースとの最終決戦に向けた動きが本格化する。ルーデウスは強力な戦力として、かつての仲間であるルイジェルドの協力を得るため、ビヘイリル王国へと向かう。道中の困難を乗り越え十数年ぶりの再会を果たすも、スペルド族の村は謎の疫病に苦しんでおり、ルイジェルドの返事は思いもよらないものであった。ヒトガミ陣営の仕掛ける巧妙な罠が迫る中、緊迫感あふれる物語が展開される。

■ 主要キャラクター

  • ルーデウス・グレイラット: 本作の主人公。家族と仲間を守るため、龍神オルステッドの配下としてヒトガミ陣営との決戦に挑む。かつての恩人であるルイジェルドを味方に引き入れるべくビヘイリル王国へ赴くが、思いがけない事態と精神を揺さぶる巧妙な罠に直面する。
  • ルイジェルド・スペルディア: スペルド族の戦士であり、幼き日のルーデウスと魔大陸で共に旅をした恩人。一族の汚名を雪ぐという悲願を持ち、同胞たちと共にビヘイリル王国の森奥に隠れ住んでいたが、突如蔓延した謎の病に苦しめられている。
  • ギース・ヌーカディア: ルーデウスのかつての冒険仲間にして、ヒトガミの使徒であり最大の切り札。ビヘイリル王国を舞台に、北神カールマン三世や冥王ビタなどの強敵を操り、ルーデウスを確実に葬り去るための周到な罠を張り巡らせる。
  • 冥王ビタ: ヒトガミの使徒の一人であるスライム状の魔族。他者の肉体に取り憑き、過去の後悔や理想の幻影を見せることで精神を支配する厄介な能力を持ち、ルーデウスを極限の幻術へと引きずり込む。

■ 物語の特徴

いよいよシリーズのクライマックスとなる「決戦編」へと突入し、物語の最初期から深い因縁を持つルイジェルドとの再会が描かれる点が本巻の大きな魅力である。 単純な武力によるぶつかり合いにとどまらず、冥王ビタによる過去の後悔に付け込む恐ろしい精神攻撃や、戦いを盤外からコントロールしようとするギースの狡猾な罠など、サスペンスや心理戦の要素が色濃く描かれている。これまでの長い旅路で培ってきた仲間との絆や、主人公自身の精神的な成長が試される過酷な展開は、読者に強い緊張感と深いカタルシスを与える仕上がりとなっている。

書籍情報

無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 24
著者:理不尽な孫の手 氏
イラスト:シロタカ  氏
出版社:KADOKAWAMFブックス
発売日:2020年12月25日
ISBN:9784046800695

(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。

あらすじ・内容

ギースとルイジェルドの新たな情報。またしてもヒトガミの『罠』なのか!?ギースとの決戦に向けて、ルイジェルドの協力を求めるため、ビヘイリル王国第二都市イレルの南にある村へとやってきたルーデウス。
道中、多少の困難に遭いながらも、彼は十数年ぶりにルイジェルドとの再会を果たす。
「将来、ラプラスと戦うと決まってから、ずっと捜していました。俺に力を……いえ、俺と一緒に戦ってください」
しかし、ルイジェルドの返事はルーデウスの思いもよらないもので……!?
人生やり直し型転生ファンタジー、待望の第二十四弾!!

無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 24

感想

あまりにも衝撃的な展開の連続に、しばらくのあいだ言葉を失ってしまった。 なかでも、主人公であるルーデウスが不意打ちを受け、両腕を斬られて奈落の底へと落とされる場面は、これまでの旅路のなかでも最大級の危機であったといえる。
ほんの少しの油断が、これほどまでに残酷な結果を引き起こすのかと思った。

ようやく再会を果たせたルイジェルドと、その同胞たちが住む村が、正体不明の疫病に侵されていたことも非常にショッキングな出来事であった。
粘液タイプの魔族がルイジェルドの体内に入り込み、一見すると病を治しているかのように見せかけていた仕組みには、ヒトガミの狡猾な悪意を感じた。 ルーデウスがその魔族を倒したことで、かえってルイジェルドの症状が悪化し、周囲の仲間たちまでもが重篤な状態に陥っていく流れは、読んでいて辛かった。

大切な人たちが苦しんでいるのに、自分の魔術ではどうすることもできないというルーデウスの無力感は、痛いほど伝わってきた。
しかし、そんな絶望的な状況で村に現れたクリフの存在感は、まさにヒーローそのものであった。 教会関係者としての深い知識を駆使し、魔族の組織を体外へ排泄させるという解決策を導き出したシーンでは、ようやく長いトンネルから抜け出せたような、大きな安心感を覚えた。
クリフの天才は本物だった。

家族や仲間との固い絆、そしてそれぞれの分野で成長した友人たちが力を合わせる姿には、この作品ならではの重厚な魅力を再確認させられた。
この過酷な試練を乗り越えたルーデウスたちが、いよいよ決戦に向けてどのように立ち上がっていくのか、次巻の展開が今から待ち遠しくてならない。

最後までお読み頂きありがとうございます。

(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。

考察・解説

ビヘイリル王国での作戦

本作における「ビヘイリル王国での作戦」は、ヒトガミの使徒として暗躍するギースと、彼が集めた強力な戦力を確実に打倒するために、ルーデウスたちが立案・実行した大規模な包囲・殲滅作戦として描かれている。

作戦の目的と優先順位

作戦の最大の目的は、ギースの発見と撃破である。それに加え、ビヘイリル王国に集結しつつある重要人物たちへの対応も目的に含まれた。優先順位としては、ギースを最優先とし、次いで北神カールマン三世の発見と説得、かつての恩人であるルイジェルドの発見と説得、そして鬼神の説得または撃破という順序で進められることとなった。

転移魔法陣と包囲戦術の構築

敵に逃げられることや、不確実な情報で味方の援軍を無駄に動員することを防ぐため、慎重な包囲戦術が採用された。

  • ビヘイリル王国の三つの主要都市(首都ビヘイリル、第二都市イレル、第三都市ヘイレルル)の周辺に転移魔法陣を設置し、敵の所在が確定した瞬間に即座に援軍を投入できる体制を整える。
  • ルード傭兵団をビヘイリル王国の隣国に派遣し、街道を監視させることでギースの逃走経路を完全に封鎖する。

陽動作戦とリスク管理

ギース(およびヒトガミ)が狙っているのはルーデウス自身であるため、単独で動けば各個撃破される危険があった。そのため、以下の対策が取られた。

  • ルーデウスの秘匿:オルステッドから与えられた腕輪によってヒトガミの監視を逃れつつ、大男の鎧騎士「クレイ」に変装して潜入し、敵からの発見を遅らせる。
  • 陽動作戦:シルフィが剣の聖地(剣王ニナの勧誘など)へと向かい、ルーデウスが家族と共に別の場所で動いていると敵に誤認させ、混乱を誘う。

部隊編成と役割分担

重要人物が集中していることや、ギースの動向が読み切れないことから、戦力を一か所に集めず三都市に分散して行動する形がとられた。

  • 隣国での退路封鎖:アイシャ、リニア、プルセナ、傭兵団。
  • 陽動および戦力確保:シルフィ(後にギレーヌ、イゾルテと合流想定)。
  • 首都ビヘイリル:ザノバ、ジュリ、ジンジャー(情報収集と討伐隊の動向調査)。
  • 第二都市イレル:ルーデウス(シャンドル、ドーガ同行。ルイジェルド関連や情報収集)。
  • 第三都市ヘイレルル:エリス、ロキシー(鬼神の動向調査や対処)。

まとめ

この作戦は、戦力の分散というリスクを伴うものであったが、各々が役割を全うすることで全員が生還するという強い覚悟のもとで実行に移された。

スペルド族と疫病

本作における「スペルド族と疫病」は、ビヘイリル王国の帰らずの森に隠れ住んでいたスペルド族の生き残りを襲った謎の病と、それを巡るヒトガミ陣営の陰謀、そしてルーデウスやクリフたちによる救済の過程として描かれている。

疫病の発生と症状

ルイジェルドが同胞であるスペルド族の村に合流し、安寧を手に入れたのも束の間、村を原因不明の疫病が襲った。
初期症状は風邪に似ているが、次第に以下の症状が進行し、最終的には死に至るというものであった。

  • 体の力が抜ける
  • 激しい震えが起こる
  • 額の第三の眼が曇る

この病には治癒魔術が一切効かず、ルイジェルド自身も罹患しながら治療法を求めて奔走することとなった。

ヒトガミ陣営による陰謀と冥王ビタの憑依

この疫病を悪用したのが、ヒトガミの使徒であるギースと冥王ビタである。
ギースは冥王ビタの入った瓶を村に持ち込み、ビタの分体を村人たちに憑依させることで疫病の進行を抑え込んだ。ギースは村を救う条件として、やがて起こる大きな戦いでの協力を求め、ルイジェルドは同胞を人質に取られたも同然の形でヒトガミ陣営につかざるを得なくなった。
しかし、ルーデウスが死神の骨指輪の効果で冥王ビタを倒すと、分体も死滅し、抑え込まれていた疫病が一気に進行して村は壊滅的な危機に陥った。

病の原因究明とクリフの活躍

ルーデウスの要請でアスラ王国から派遣された医師団も匙を投げる中、ミリス神聖国から駆けつけたクリフが魔眼「識別眼」を用いて調査を行った。
クリフは村を徹底的に調べ、病の原因が「この土地の土や水、食物に非常に密度の高い魔力が含まれていること」であると突き止めた。スペルド族が何百年もこの土地の食物を摂取し続けた結果、体内で魔力を排出しきれなくなり発症した、蓄積型の病であった。ルーデウスとクリフは、これがナナホシが患った「ドライン病」に極めて近い病態であると結論づけた。

治療の成功

クリフは、体内の魔力を淀ませる「赤い実」と「ソーカス草(ソーカス茶)」を併用する治療法を提案した。ミリス教への不信から村人たちは投薬を拒んだが、ルイジェルドが率先して薬を飲んだことで村人たちも同意した。結果として、村人たちは水色の便(ビタの分体の死骸)を大量に排出し、急速に快方へと向かった。

まとめ

実はオルステッドも過去のループでこの疫病に直面したものの、当時は治療法がなくスペルド族は既に滅んでいたため、ルーデウスに情報を伏せていた。しかし、スペルド族は魔神ラプラスの弱点を見抜ける唯一の存在であり、ヒトガミがラプラス討伐を困難にしてオルステッドの魔力を消耗させるため、この疫病を利用してスペルド族を根絶やしにしようと企んでいたことが明らかになる。疫病の克服は、ヒトガミの思惑を打ち砕く大きな転換点となった。

冥王ビタの幻術

本作における「冥王ビタの幻術」は、天大陸の迷宮「地獄」に潜む粘族の王・冥王ビタが持つ、対象の精神を支配する恐るべき能力として描かれている。

幻術の仕組みと恐るべき効果

ビタは宿主に憑依し、対象の記憶から「起こりえた未来」と「欲望」を抽出してブレンドすることで、対象にとって抗いがたいほど都合の良い「特上の幻覚」を見せることができる。この幻術に囚われた者は以下の状態に陥る。

  • 昏睡状態となる
  • 事実上の脳死状態となって肉体を支配される

ルーデウスも完全に幻術に掛かっており、本来であれば永遠にその幸福な夢を見続け、自力で破ることはできない状態にあった。

ルーデウスが見た「都合の良い世界」

ビタがルーデウスに見せた幻術は、彼が抱える欲望や理想が具現化した世界であった。そこでは、以下のような平和で満ち足りた日常が描かれていた。

  • シルフィ、ロキシー、エリスといった現実の妻たちが存在しない代わりに、アイシャやサラ、アリエルたちと関係を持つ展開が用意されている
  • 現実では記憶や感情を失っているはずの母・ゼニスが健常な姿で現れ、彼に結婚相手(魔術ギルド職員の貴族の娘)を勧めてくる

死神ラクサスの骨指輪とパウロの導き

この完璧な幻術を破るきっかけとなったのは、ルーデウスが身につけていた「死神ラクサスの骨指輪」であった。この指輪は、死神ラクサスがビタを討つためだけに作った魔道具であり、術者に憑依された際、対象にとって「最も頼れる亡者」の姿をとって幻術内に現れ、術者を追い詰める効果を持っている。

ルーデウスの夢には、迷宮で命を落とした父・パウロが、下半身を欠いた死の直前の姿で現れた。パウロの存在は、その世界が現実ではないことをルーデウスに突きつけ、彼が夢から覚醒するための決定的な違和感として機能したのである。

幻術の打破と現実の選択

夢の世界が偽りであると気づいた後も、ルーデウスは元気なゼニスと暮らす平穏な日々に強い未練を感じ、葛藤する。しかし、彼には現実世界で手に入れた、シルフィやロキシー、エリス、そして子供たちという「一番大切なもの」があった。

現実の過酷さを受け入れ、今の家族を何よりも重んじることを決意したルーデウスは、幻術の核となっていたゼニスの幻影に対して全力の岩砲弾を放ち、自らの手でこの甘美な幻術を打ち破った。

まとめ

冥王ビタの幻術は、対象の心の弱さや後悔、叶わなかった願いに付け込む極めて悪辣な精神攻撃である。ルーデウスがこの幻術を打ち破ったことは、彼が過去の喪失を乗り越え、現実の家族を全力で愛し守り抜くという確固たる覚悟を示す重要な出来事として描かれている。

転移魔法陣の消失

本作における「転移魔法陣の消失(破壊・停止)」は、物語の終盤においてルーデウスたちの強力な移動・連絡手段を封じるために引き起こされた、2つの重大なアクシデントとして描かれている。いずれもヒトガミ陣営の妨害工作や敵対勢力の襲撃によるものであり、ルーデウスたちを窮地に追い込む要因となった。

アスラ王国内の転移魔法陣の全破壊(王位継承編)

アリエルがアスラ王国へ帰還して王位争いに参戦する際、敵の目を欺くためにペルギウスの協力を得て、王国内へ直接転移する計画が立てられた。しかし出発の直前、シルヴァリルから「アスラ王国内の転移魔法陣が全て破壊されている」という衝撃的な報告がもたらされた。
オルステッドの推測によれば、これはヒトガミの使徒となったダリウス上級大臣(または第一王子グラーヴェル)の仕業であった。王族や上級貴族しか立ち入れない場所にある緊急脱出用の転移魔法陣を、広範囲にわたって機能停止・破壊できるのは彼らしかおらず、ヒトガミがアリエルの帰還を妨害するために先手を打った結果であった。
これにより、ルーデウスたちは安全な直接転移を諦め、国境付近の遺跡から危険な陸路を通って王都を目指すことを余儀なくされた。

シャリーアの事務所襲撃による魔法陣ネットワークの消失(ビヘイリル王国決戦編)

ヒトガミの使徒・ギースとの決戦に備え、ルーデウスはビヘイリル王国の各都市やスペルド族の村の周辺に転移魔法陣と通信石版を設置し、魔法都市シャリーアのオルステッド事務所をハブとする独自の移動・連絡ネットワークを構築していた。
しかし、ルーデウスたちがビヘイリル王国に戦力を分散させて情報収集を行っていた最中、シャリーアの事務所が巨大な赤い鬼族によって襲撃された。留守を任されていた受付のファリアスティアは放り出されて無事だったものの、事務所は瓦礫と化し、以下の事態を引き起こした。

  • ルーデウスが設置したすべての転移魔法陣と通信石版が光を失った
  • 構築していた独自の移動・連絡ネットワークが完全に機能を停止(消失)した

ネットワーク消失の影響と仲間たちの決断

このネットワークの消失により、通信手段と即時撤退の手段を絶たれた仲間たちは、それぞれシャリーアの異常事態を察知した。

  • 第三都市近郊にいたロキシーとエリスは、洞窟内の転移魔法陣と通信石版が停止しているのを確認し、事務所が襲撃されたと判断した。残された家族の安否に動揺しつつも、シャリーアの防衛はシルフィやペルギウスたちに任せ、自分たちが今できる最善の行動としてスペルド族の村へ向かうことを決意した
  • 首都にいたザノバも、ルーデウスの帰還が遅いことに焦りを感じていた矢先に魔法陣と石版の停止を確認した。彼は即座に救援用の笛を吹き鳴らすも応答がなく、外部の支援が絶たれたと悟り、敵の拠点がスペルド族の村であると判断して、ジンジャーやジュリと共に村へ強行移動を開始した

まとめ

このように「転移魔法陣の消失」は、ルーデウスたちの連携を物理的に分断し、決戦の地へと彼らを強制的に集結させる決定的な引き金として描かれている。

ルーデウスの谷底落下

本作における「ルーデウスの谷底落下」は、ビヘイリル王国での作戦中、ヒトガミ陣営の罠に落ちたルーデウスが強敵からの奇襲を受け、両腕を失いながら深い谷底へと転落する絶体絶命の危機として描かれている。

偽の兵士と奇襲の舞台

ルーデウスは、スペルド族が人畜無害であることを証明するため、ビヘイリル王国の国王から派遣された2人の兵士(ガリクソンとサンドル)をスペルド族の村へ案内した。村の見学を終え、彼らを首都へ送り届ける帰路の途中、一行は「地竜の谷」と呼ばれる深い谷に架かる橋を渡った。この時、ルーデウスの頼もしい護衛であるドーガは出発時に寝ており、ルーデウスは彼を置いて一人で兵士たちに同行していた。

正体露見と両腕の切断

橋を渡り始めた時、2人の兵士は突如として顔を変える魔道具の指輪を外し、正体を現した。

  • ガリクソンの正体は前剣神ガル・ファリオン、サンドルの正体は北神カールマン三世(アレクサンダー・ライバック)であった
  • 彼らはギースの指示でルーデウスを欺くために兵士に成り代わっていた
  • 橋の上という狭く足場の悪い場所であれば、ルーデウスの切り札である「魔導鎧」の召喚を封じられると見込んでいた

ルーデウスが召喚スクロールを使おうとした瞬間、ガルの神速の斬撃が走り、ルーデウスは右腕を根元から切断され、続いて左腕も切り落とされてしまった。手からしか魔術を出せないルーデウスの反撃を完全に封じるための非情な一撃であった。

橋の崩落と谷底への落下

両腕を失ったルーデウスは、とっさに下に着込んでいた「魔導鎧二式改」へ魔力を流し込み、アレクサンダーの脇をすり抜けてスペルド族の村へ逃げ込もうとした。しかし、背後からガルの斬撃を受けた衝撃と、魔導鎧の力で全力で踏み込んだことによって古い橋そのものが崩壊し、ルーデウスはそのまま谷底へと落下してしまった。

敵の追撃放棄

落下していくルーデウスを橋の上から見下ろしたガルとアレクサンダーは、ガルの剣が根本から折れているのを見て、ルーデウスの鎧の異常な硬度に驚いた。彼らは谷底まで降りてトドメを刺すか検討したが、以下の理由から面倒な追撃は行わずにその場を立ち去った。

  • 両腕を失い魔術が使えないルーデウスが、地竜(アースドラゴン)の群れが潜む谷底で生き延びることは不可能だと判断したため
  • 彼らにとってルーデウスの排除は作戦の一部に過ぎなかったため

まとめ

この出来事は、ルーデウスがヒトガミ側の強力な使徒たちによって完全に裏をかかれ、肉体的にも絶望的な状況に追い込まれる作中屈指の衝撃的な展開となっている。

無職転生 23巻レビュー
無職転生 全巻まとめ
無職転生 25巻レビュー

登場キャラクター

グレイラット家・オルステッドコーポレーション

ルーデウス・グレイラット

主人公であり、オルステッドの配下として行動する。家族や仲間を大切に思い、ヒトガミの企みを阻止するため奔走する。

・所属組織、地位や役職
 グレイラット家・家長。オルステッドコーポレーション・社長の配下。
・物語内での具体的な行動や成果
 ギースを討伐するため、作戦を立案してビヘイリル王国へ向かう。スペルド族の村でルイジェルドと再会し、疫病の解決を図った。冥王ビタの幻術を骨指輪の効果で破っている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 変装して潜入したが、ガル・ファリオンとアレクサンダーの奇襲により両腕を切断され、谷底へ落下する。

シルフィエット

ルーデウスの妻の一人である。ルーデウスの作戦会議に参加し、自ら陽動役を買って出る。

・所属組織、地位や役職
 グレイラット家。
・物語内での具体的な行動や成果
 ギレーヌやイゾルテと共に、剣の聖地へ向かう。ニナを勧誘しつつ敵の目を引く役割を担った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ルーデウス不在時の家を守る役割も自任している。

エリス

ルーデウスの妻の一人である。剣技に優れ、戦闘を好む性格をしている。

・所属組織、地位や役職
 グレイラット家。
・物語内での具体的な行動や成果
 ロキシーと共に第三都市ヘイレルルへ向かい、情報を収集する。魔法都市シャリーアの異常を察知し、スペルド族の村へ移動を開始した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 隠密行動には向かないため、ルーデウスとは別行動をとる。

ロキシー

ルーデウスの妻の一人である。冷静な判断力を持ち、魔法陣の知識に長けている。

・所属組織、地位や役職
 グレイラット家。
・物語内での具体的な行動や成果
 作戦会議の議事録を作成し、転移魔法陣のスクロールを用意する。エリスと共に第三都市へ向かい、魔法陣の停止から事務所の異常に気付いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 経験則から順調な時ほどつまずくという危機感を常に抱いている。

ノルン

ルーデウスの妹である。過去にルイジェルドから受けた恩義を深く感じている。

・所属組織、地位や役職
 グレイラット家。元魔法大学生徒会長。
・物語内での具体的な行動や成果
 魔法大学を卒業後、ルーシーの遊び相手となっていた。ルイジェルドの危機を知り、クリフと共にスペルド族の村へ駆けつける。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ルーシーに背中を押され、恩人であるルイジェルドの看病に専念する。

アイシャ

ルーデウスの妹である。ルード傭兵団を動かす役割を持つ。

・所属組織、地位や役職
 グレイラット家。ルード傭兵団の実質的運営者。
・物語内での具体的な行動や成果
 ギースの逃走経路を塞ぐため、傭兵団の面々を指揮する。オルステッド事務所の受付担当としてファリアスティアを厳選した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 夢の世界ではルーデウスの妻として登場する。

リーリャ

グレイラット家のメイドである。ルーデウスの子供たちの世話をする。

・所属組織、地位や役職
 グレイラット家・メイド。
・物語内での具体的な行動や成果
 ノルンの回想において、ルーシーの様子を気にかける姿が描かれる。夢の世界では書斎の掃除を行っていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項なし。

ゼニス

ルーデウスの母親である。現在は感情や記憶の反応が乏しい状態にある。

・所属組織、地位や役職
 グレイラット家。
・物語内での具体的な行動や成果
 本編ではシャリーアの家に留まっている。夢の世界では健常な姿で現れ、ルーデウスに見合いを勧める。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ルーデウスは夢の中の彼女に別れを告げ、幻術を打ち破る決意を固めた。

パウロ

ルーデウスの父親である。すでに死亡している。

・所属組織、地位や役職
 元冒険者。
・物語内での具体的な行動や成果
 冥王ビタの幻術において、死神ラクサスの骨指輪の効果により夢の中に現れる。下半身がない姿でルーデウスに違和感を指摘した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ルーデウスが幻術の矛盾に気付くきっかけを与える。

ルーシー

ルーデウスの長女である。父親の不在で寂しさを抱えている。

・所属組織、地位や役職
 グレイラット家。
・物語内での具体的な行動や成果
 ノルンと一緒に釣りに通う。ルイジェルドの危機を知って悩むノルンに対し、助けに行くよう背中を押した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ノルンの教えを受けて精神的な成長を見せる。

ララ

ルーデウスの次女である。

・所属組織、地位や役職
 グレイラット家。
・物語内での具体的な行動や成果
 聖獣のレオに面倒を見てもらっていると言及される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項なし。

アルス

ルーデウスの長男である。

・所属組織、地位や役職
 グレイラット家。
・物語内での具体的な行動や成果
 ロキシーの回想でシャリーアに残された子供の一人として言及される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項なし。

ジーク

ルーデウスの次男である。

・所属組織、地位や役職
 グレイラット家。
・物語内での具体的な行動や成果
 ロキシーの回想でシャリーアに残された子供の一人として言及される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項なし。

龍神 オルステッド

七大列強の第二位である。ルーデウスの上司であり、ヒトガミと敵対している。

・所属組織、地位や役職
 オルステッドコーポレーション・社長。
・物語内での具体的な行動や成果
 事務所に残り通信石版の管理を担う。スペルド族の村へ赴き疫病の治療を試みるが、病名の特定には至らなかった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 過去のループの経験から、スペルド族の病は不治だと考えて情報を伏せていた。

ザノバ

ルーデウスの友人である。怪力を持つが火魔術に弱い。

・所属組織、地位や役職
 オルステッドコーポレーション関係者。
・物語内での具体的な行動や成果
 ビヘイリル王国の首都へ向かい情報収集を行う。事務所の魔法陣が停止したことを察知し、急いでスペルド族の村へ向かった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 北神が討伐隊に参加したとの情報を掴む。

ジュリ

ザノバの弟子である。ザノバを慕い、常に同行している。

・所属組織、地位や役職
 特筆すべき所属なし。
・物語内での具体的な行動や成果
 ザノバと共にビヘイリル王国の首都へ向かう。魔法陣の停止を確認した後、ザノバに従ってスペルド族の村へ移動する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項なし。

ジンジャー

ザノバの護衛である。忠誠心が高く、情報収集能力に長ける。

・所属組織、地位や役職
 特筆すべき所属なし。
・物語内での具体的な行動や成果
 ザノバと共にビヘイリル王国へ同行する。七大列強の石碑を探すよう命じられるが見つけられなかった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項なし。

リニア

獣族の女性である。ルード傭兵団に関わっている。

・所属組織、地位や役職
 特筆すべき所属なし。
・物語内での具体的な行動や成果
 アイシャの指示でギースの逃げ道を塞ぐ役目を担う。夢の世界ではルーデウスの妻として登場し、多くの子をもうけている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項なし。

プルセナ

獣族の女性である。リニアと行動を共にしている。

・所属組織、地位や役職
 特筆すべき所属なし。
・物語内での具体的な行動や成果
 アイシャの指示でギースの逃げ道を塞ぐ部隊に参加する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項なし。

クリフ・グリモル

ミリス教の神父であり、自らを天才と称する研究者である。

・所属組織、地位や役職
 ミリス教団関係者。
・物語内での具体的な行動や成果
 スペルド族の村の疫病を知り、現地へ駆けつける。魔眼による調査と仮説をもとに、ソーカス茶と赤い実を用いた治療法を試した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 彼の治療によってスペルド族の病状は回復に向かい、村人からの信頼を得る。

エリナリーゼ・ドラゴンロード

クリフの妻である。クリフの行動を支え、献身的に協力する。

・所属組織、地位や役職
 特筆すべき所属なし。
・物語内での具体的な行動や成果
 クリフと共にスペルド族の村へ訪れる。クリフの指示に従い、診療所で薬箱を用意した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項なし。

クライブ

クリフとエリナリーゼの息子である。

・所属組織、地位や役職
 特筆すべき所属なし。
・物語内での具体的な行動や成果
 ノルンの回想において、ルーシーと遊ぶ姿が言及される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項なし。

レオ

聖獣である。グレイラット家で飼われている。

・所属組織、地位や役職
 特筆すべき所属なし。
・物語内での具体的な行動や成果
 ノルンの回想において、ララに懐き面倒を見ていると言及される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項なし。

ファリアスティア

オルステッドの事務所で働く受付の長耳族である。通称はティア。

・所属組織、地位や役職
 オルステッドコーポレーション・受付。
・物語内での具体的な行動や成果
 アイシャに採用され、各地からの情報を通信石版で転送する役割を担う。事務所に現れた鬼族によって建物の外へ放り投げられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 襲撃を受けて負傷し、事務所の魔法陣はすべて機能を停止する。

ルード傭兵団

アイシャが運営する組織である。情報網と動員力を持つ。

・所属組織、地位や役職
 オルステッドコーポレーション傘下。
・物語内での具体的な行動や成果
 ビヘイリル王国の隣国に人員を派遣し、ギースの逃走経路を封鎖する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項なし。

アスラ王国

アリエル・アネモイ・アスラ

アスラ王国の国王である。ルーデウスの作戦を支援する。

・所属組織、地位や役職
 アスラ王国・国王。
・物語内での具体的な行動や成果
 ルーデウスの要請に応じ、シャンドルやドーガを援軍として派遣する。変装用の魔道具や医師団も手配した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 夢の世界ではルーデウスの妻として描かれる。

シャンドル・フォン・グランドール

黄金騎士団長である。飄々としているが情報収集に長ける。

・所属組織、地位や役職
 アスラ王国・黄金騎士団長。
・物語内での具体的な行動や成果
 アリエルの密命でルーデウスに同行し、情報屋と接触する。スペルド族の村で護衛や看病をこなした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 正体について謎めいた部分を持つ。

ドーガ

黄金騎士団員である。無口で朴訥とした性格の巨漢である。

・所属組織、地位や役職
 アスラ王国・黄金騎士団員。
・物語内での具体的な行動や成果
 ルーデウスの護衛としてビヘイリル王国へ同行する。見えない魔物からの奇襲を受けて倒される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 影が薄く、地竜の谷から戻る際には置いてきぼりにされる。

ギレーヌ

アリエルの配下である。獣族の剣士。

・所属組織、地位や役職
 アスラ王国所属。
・物語内での具体的な行動や成果
 シルフィと共に剣の聖地へ向かう予定であると言及される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項なし。

イゾルテ

アリエルの配下である。水神流の使い手。

・所属組織、地位や役職
 アスラ王国所属。
・物語内での具体的な行動や成果
 シルフィと共に剣の聖地へ向かう予定であると言及される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項なし。

ルーク

アリエルの配下である。

・所属組織、地位や役職
 アスラ王国所属。
・物語内での具体的な行動や成果
 ルーデウスの夢の世界において、アリエルを巡り衝突した同僚として言及される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 夢の中の決戦で死亡したことになっている。

ノトス公

アスラ王国の貴族である。

・所属組織、地位や役職
 アスラ王国・貴族。
・物語内での具体的な行動や成果
 ルーデウスの夢の世界において、王の謁見の間に居合わせる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項なし。

ボレアス公

アスラ王国の貴族である。

・所属組織、地位や役職
 アスラ王国・貴族。
・物語内での具体的な行動や成果
 ルーデウスの夢の世界において、王の謁見の間に居合わせる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項なし。

エウロス公

アスラ王国の貴族である。

・所属組織、地位や役職
 アスラ王国・貴族。
・物語内での具体的な行動や成果
 ルーデウスの夢の世界において、王の謁見の間に居合わせる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項なし。

ゼピュロス公

アスラ王国の貴族である。

・所属組織、地位や役職
 アスラ王国・貴族。
・物語内での具体的な行動や成果
 ルーデウスの夢の世界において、王の謁見の間に居合わせる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項なし。

ヒトガミ陣営

ヒトガミ

人族の神である。未来を視る能力を持ち、使徒を操る。

・所属組織、地位や役職
 特筆すべき所属なし。
・物語内での具体的な行動や成果
 ラプラス復活を見据え、弱点となるスペルド族を滅ぼすために疫病を利用する。冥王ビタに助力を求めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 オルステッドの魔力を消耗させるため、様々な策を講じる。

ギース

ヒトガミの使徒である。魔族であり、情報収集に長ける。

・所属組織、地位や役職
 ヒトガミの使徒。
・物語内での具体的な行動や成果
 ビヘイリル王国で戦力を集める。冥王ビタの入った瓶をルイジェルドに渡し、村を人質にとって協力を強要した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ルーデウスらに存在を警戒され、大規模な捜索を受ける。

冥王 ビタ

粘族の生き残りである。宿主に幻術を見せて支配する能力を持つ。

・所属組織、地位や役職
 ヒトガミの使徒。天大陸の迷宮「地獄」のガーディアン。
・物語内での具体的な行動や成果
 ルイジェルドに憑依して疫病の進行を操作する。ルーデウスの体内に侵入し、理想の生活の幻術を見せた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ルーデウスが持つ死神の骨指輪の効果によって自滅し、青い液体となって吐き出される。

ガル・ファリオン(ガリクソン)

前剣神である。粗野でせっかちな性格を持つ。

・所属組織、地位や役職
 ヒトガミ陣営。
・物語内での具体的な行動や成果
 兵士ガリクソンに変装してルーデウスの視察に同行する。地竜の谷の橋で正体を現し、ルーデウスの右腕を斬り落とした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ルーデウスを谷底へ突き落とした後、首都へ戻る。

アレクサンダー・ライバック(北神カールマン三世 / サンドル)

北神である。英雄になることを目指している。

・所属組織、地位や役職
 ヒトガミ陣営。
・物語内での具体的な行動や成果
 兵士サンドルに変装してルーデウスに同行する。橋の上で正体を現し、ルーデウスを追い詰めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 ルーデウスの落下を見届けた後、オルステッドとの戦いを望んで首都へ戻る。

ビヘイリル王国・スペルド族・鬼族

ビヘイリル王国の国王

ビヘイリル王国を治める老王である。柔軟な判断力を持つ。

・所属組織、地位や役職
 ビヘイリル王国・国王。
・物語内での具体的な行動や成果
 毎日少数の謁見を受け入れている。ルーデウスからスペルド族の真実を聞き、討伐隊の派遣を保留して視察の兵を出した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項なし。

鬼神 マルタ

鬼族の長である。

・所属組織、地位や役職
 鬼族の長。
・物語内での具体的な行動や成果
 ビヘイリル王国の討伐隊に参加するため、鬼ヶ島の男衆に戦闘準備を命じる。自身は第二都市イレルに滞在している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項なし。

ルイジェルド・スペルディア

スペルド族の戦士である。義理堅く、仲間想いの性格。

・所属組織、地位や役職
 スペルド族・村の相談役。
・物語内での具体的な行動や成果
 同胞の村を見つけるが、蔓延する疫病を抑えるためギースと取引する。ビタに憑依され、ルーデウスを幻術にかける原因となる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 クリフの薬によって回復し、ルーデウスと共に戦うことを約束する。

魔法大学・冒険者・その他

ジーナス教頭

魔法大学の教頭である。

・所属組織、地位や役職
 魔法大学・教頭。
・物語内での具体的な行動や成果
 卒業後のノルンに対し、魔術ギルドへの就職を勧める。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項なし。

サラ

冒険者パーティ「カウンターアロー」のメンバーである。

・所属組織、地位や役職
 パーティ「カウンターアロー」。
・物語内での具体的な行動や成果
 ビタが作り出した幻術の世界において、ルーデウスの恋人であり婚約者として登場する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項なし。

ティモシー

冒険者パーティのリーダーである。

・所属組織、地位や役職
 パーティ「カウンターアロー」・リーダー。
・物語内での具体的な行動や成果
 幻術の世界において、自暴自棄だったルーデウスに親切にした人物として言及される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項なし。

スザンヌ

冒険者パーティのメンバーである。

・所属組織、地位や役職
 パーティ「カウンターアロー」。
・物語内での具体的な行動や成果
 幻術の世界において、ティモシーと共にルーデウスに親切にした人物として言及される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項なし。

カウンターアロー

サラらが所属する冒険者パーティである。

・所属組織、地位や役職
 冒険者パーティ。
・物語内での具体的な行動や成果
 幻術の世界において、ルーデウスがかつて所属し、ゼニス救出のために脱退した組織として語られる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項なし。

魔界大帝 キシリカ・キシリス

魔界の皇帝である。

・所属組織、地位や役職
 魔界大帝。
・物語内での具体的な行動や成果
 クリフに識別眼を与えたことや、過去に粘族へ魔眼を与えて魔王にしたことが言及される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項なし。

死神 ラクサス

ラプラス戦役で活躍した戦士である。

・所属組織、地位や役職
 暴虐の魔王の配下。
・物語内での具体的な行動や成果
 冥王ビタの暴虐を止めるため戦いを挑み、逃亡したビタを執念深く追跡した。ビタを殺すための骨指輪を作成する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 すでに故人であるが、その骨指輪がビタを自滅に追い込む結果となる。

死神 ランドルフ

死神の称号を持つ人物である。

・所属組織、地位や役職
 特筆すべき所属なし。
・物語内での具体的な行動や成果
 過去にルーデウスへ死神の骨指輪を渡した人物として言及される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項なし。

アトーフェ

魔王の一人である。

・所属組織、地位や役職
 ネクロス要塞・魔王。
・物語内での具体的な行動や成果
 ルーデウスの連絡を受け、独自のルートでビヘイリル王国へ向かっていると言及される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項なし。

バーディガーディ

魔王の一人である。

・所属組織、地位や役職
 魔王。
・物語内での具体的な行動や成果
 ルイジェルドに接触し、帰らずの森の奥にあるスペルド族の村へ案内した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項なし。

魔神 ラプラス

八十年後に復活する予定の魔神である。

・所属組織、地位や役職
 魔神。
・物語内での具体的な行動や成果
 過去にスペルド族を不当に扱った。スペルド族の第三の眼でしか致命傷を与えられない弱点を持つ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 特筆事項なし。

無職転生 23巻レビュー
無職転生 全巻まとめ
無職転生 25巻レビュー

展開まとめ

第二十四章 青年期 決戦編上

第一話「作戦会議」

発見報告とオルステッドの警戒

ルーデウスはオルステッドコーポレーションの会議室で、ギースと北神カールマン三世がビヘイリル王国にいること、さらにルイジェルドの所在も判明したことを報告した。ギースと北神の発見を聞いた時、オルステッドは機嫌の良さを見せていたが、ルイジェルドの名が出た瞬間に表情を曇らせた。そして、鬼神もまたビヘイリル王国の近辺にいること、過去のループでは使徒になったことがあると明かし、今回の情報そのものが罠である可能性を示した。

ビヘイリル王国行きの決定

ルーデウスは、これだけの情報が揃った以上、ビヘイリル王国行きを後回しにする理由はないと判断した。罠である可能性は認めつつも、逃げ続けるギースを捕捉できるまたとない好機でもあるため、今動くべきだと主張した。オルステッドはこれに異論を挟まず、方針は即座に固められた。

作戦目標と基本方針の整理

会議では、まずギースを発見して撃破すること、その後に北神カールマン三世を説得すること、さらにルイジェルドを説得し、最後に鬼神を説得するか必要なら撃破することが目標として整理された。優先順位はギースが最上位とされ、以後は状況に応じて順に対処する方針となった。

転移魔法陣と包囲戦術の構築

ルーデウスは、ビヘイリル王国の三都市周辺に転移魔法陣を設置し、必要な時に即座に援軍を呼び込める体制を整える案を示した。さらに、隣国側の街道を押さえてギースの逃走経路を封じ、敵の所在が確定した段階で戦力を集中投入するつもりであった。これは、無駄な動員で各国の信用を損なうことを避けつつ、確実に敵を囲い込むための策であった。

分散行動への懸念と陽動策の導入

しかし、シルフィはルーデウス自身が狙われている以上、三手に分かれる案は危険だと指摘した。これに対しルーデウスは、オルステッドの腕輪によりヒトガミから感知されにくくなっていること、変装によって足取りを隠せることを説明した。さらにロキシーは、剣の聖地へ別働隊を向かわせ、ルーデウスがビヘイリル王国へ来なかったと思わせる陽動案を提案した。これにより敵の混乱を誘いながら、剣王ニナなど新たな戦力を勧誘する余地も生まれた。

危険の共有と覚悟の確認

ルーデウスは、戦力を分散させることで各個撃破の危険が高まることに強い不安を抱いていた。しかしロキシーは、自分たちも家で待つだけではなく、今できる役割を果たすことで全員の生還率を高めるべきだと説いた。シルフィもまた危険を受け入れる姿勢を示し、エリスもそれに同意した。こうして一同は、危険を承知の上で全員がそれぞれの役目を担う覚悟を共有した。

部隊編成と役割分担の確定

最終的に、逃走経路を封鎖する役目はアイシャ、リニア、プルセナら傭兵団が担当し、剣の聖地へ向かう陽動役はシルフィが引き受けた。首都にはザノバ、ジュリ、ジンジャーが向かい、第二都市へはルーデウスが単独で赴き、第三都市へはエリスとロキシーが向かうことになった。転移魔法陣を設置した後は、それぞれがギース、北神、鬼神、ルイジェルドの捜索を進める形で作戦が動き出すことになった。

出発準備と各人への気遣い

ルーデウスは、首都担当のザノバについて特に気をかけていた。首都は人が最も集まる分、危険も大きいと見ており、火魔術に弱いザノバの身を案じたのである。ザノバは自分の身よりも店のことを心配し、ジュリと共に離れないと語った。一方、エリスはルーデウスと別行動になることに不満を示したが、彼女は目立ちすぎて隠密行動に向かず、ロキシーの護衛役も必要であったため、別動隊として動くことになった。

オルステッドの待機と死神の指輪への忠告

ルーデウスはオルステッドに、通信石板の管理と家族の護衛のため、事務所に残ってほしいと依頼した。目立つオルステッドは情報収集に不向きであり、決戦時の切り札として温存すべき存在でもあったからである。オルステッドはこれを受け入れた上で、ルーデウスに死神の指輪を身につけておくよう忠告した。理由は明かさなかったが、つけているだけで意味があるとだけ告げ、ルーデウスもひとまず従うことにした。

アリエルの援軍と黄金の鎧の来訪

会議の終盤、受付から来客の報せが入り、ルーデウスがロビーへ向かうと、そこには黄金に見える鎧姿の男が立っていた。一瞬、闘神鎧や黄金騎士を連想して敵襲を疑ったが、それはアリエルの命で転移魔法陣を通って来た使者であった。男はシャンドル・フォン・グランドールと名乗り、変装用の魔道具とアスラ王国の記章を届けた。さらに、自分たちも手伝うよう命じられていると告げ、アリエルが本格的に支援を送ってきたことが明らかになった。

ドーガの登場と援軍受け入れ

シャンドルに続いて、ロビーの隅に控えていた巨大な甲冑の男が動き出し、ドーガであることが判明した。ルーデウスは二人の実力を測りかねていたが、そこへ現れたオルステッドが、シャンドルは使徒である可能性が低く、情報収集にも向くと断言した。シャンドル自身も詳細な素性を伏せつつ、今はアリエルの騎士であり、これからはルーデウスのために働く者だと述べたため、ルーデウスは不安を抱えながらも二人を受け入れ、会議室へ案内した。

作戦会議の締めと新戦力の合流

こうしてビヘイリル王国攻略の方針は固まり、役割分担も明確になった。さらにアリエルから派遣されたシャンドルとドーガが新たに加わり、作戦は具体的な実行段階へと移っていった。ルーデウスは不安を抱えつつも、ギースを追い詰めるための布陣を整え、ビヘイリル王国へ向かう準備を終えた。

第二話「探し求めていた物」

ビヘイリル王国の由来と鬼族との盟約

ビヘイリル王国は中央大陸北部東端に位置し、山、海、森に囲まれた広い国土を持ちながら、国力そのものは大きくない国であった。それでも周辺国から侵略を受けずに済んでいたのは、鬼ヶ島に住む鬼族との深い結びつきがあったためである。建国にまつわる伝承では、かつて海魚族の侵略で滅亡寸前にあった鬼族を、人族の冒険者パーティが救ったとされていた。激戦の末に海魚族の族長は討たれたが、人族側は剣士一人を残して全滅した。その剣士が後に新興国の王子であり、国王となった後に鬼族と相互に守り合う誓約を交わしたことで、ビヘイリル王国と鬼族の盟約が築かれたのであった。

第二都市イレルへ向かう三人

ルーデウスは第二都市イレルへ向かうため、シャンドル、ドーガと共に行動していた。シャンドルは黄土色の鎧をまとったアリエルの騎士であり、ドーガはその部下であった。ルーデウス自身は顔を変える魔道具で変装し、魔導鎧二式改の上からさらに甲冑を着込み、ロキシーが開発したスクロール発動用の魔道具も背負っていた。それは十本のスクロールを即座に使える仕組みであり、ルーデウスはこれをスクロールバーニアと呼んでいた。変装後の彼は二メートルを超える鎧騎士に見え、偽名はクレイと定められていた。

シャンドルの素性と黄金騎士団の実態

道中、ルーデウスはシャンドルの経歴を聞いた。彼は元傭兵であり、長く紛争地帯を渡り歩いた後、アリエルの戴冠式を機にアスラ王国へ移り、その声と容姿に惹かれて配下になる道を探った末に取り立てられた人物であった。アリエルからは後ろ暗いところのない信頼できる人物だと保証されていたが、正体の詳細は依然として伏せられたままであった。シャンドルは新設された黄金騎士団の団長でもあり、その騎士団はアリエル直属の私兵的な組織で、必要とあらば転移魔法陣の利用すら辞さぬ部隊であった。彼自身は北神流をかじっていると語り、剣ではなく金属の棒を武器としていたが、ルーデウスはその理屈をこの世界では強者のものではなく弱者の発想だと見ていた。

ドーガの加入と騎士団の考え方

ドーガは元々アスラ王都の門番であり、シャンドルに見出されて黄金騎士団へ引き抜かれた人物であった。シャンドルは理想の騎士団を作ることも団長の仕事だと語り、強く役に立つ人材を今後も集めていくつもりだと明かした。ルーデウスはその言葉を聞きながら、組織においては必ずしも長が最強である必要はなく、指揮能力こそが重要なのだと改めて認識した。また、黄金騎士団という名に反して普段の鎧が目立たない理由についても、王の威光を示すべき場では華やかである必要があるが、普段まで同じ装いでいる必要はないと説明され、王権の演出の一端であることを理解した。

雪の少ない北方と道中の雑談

移動中、シャンドルは北方大地にしては雪が少ないことに触れた。ルーデウスは西側の山が雲をせき止めているのではないかと推測したものの、この世界の天候は前世の常識に当てはまらないとも考えていた。その流れでシャンドルは、雲の流れや人の生死について考え続ける叔父の話を語り、話題は哲学的なものへと広がった。ルーデウスはその話を聞きながら、自身の老後の姿まで思い描いていた。

道中の戦闘で見えた二人の力量

森が街道のすぐ脇まで迫る土地柄のため、道中では何度か魔物に襲われた。その戦いを通じて、ルーデウスはシャンドルとドーガの力量を見定めた。シャンドルは俊敏で技巧に優れ、ドーガは巨大な斧による一撃に長けていた。どちらも見た目通りの戦い方であり、列強級との戦いでは足手まといになるだろうと判断されたものの、少なくとも道中の戦闘で邪魔になるような実力ではなかった。

第二都市イレルの違和感

こうして三人は第二都市イレルへと到着した。街並み自体は壁に囲まれた典型的な都市構造であり、木造建築が多い以外は特に変わったところのない町に見えた。しかしルーデウスは、冒険者の数に比べて露天商が少ないことに気づき、どこか噛み合わない違和感を覚えた。さらに街中では鬼族がごく自然に人族と共存しており、赤褐色の肌と角を持つ鬼族が街を闊歩する様子も、この国では当たり前の光景として受け入れられていた。

変装の徹底と酒場への移動

周囲を観察しすぎていたルーデウスに対し、シャンドルは北神流の武者修行者という設定を崩さないよう厳しい口調で注意した。彼は荒くれ者らしい態度を徹底し、ルーデウスを弟分のクレイとして従える構図を保った。そのまま自然な流れで宿を取り、次いで酒場へ向かうことで、怪しまれないよう立ち回った。

酒場で覚えた懐かしい違和感

酒場に入った瞬間、ルーデウスは言葉にしがたい違和感を覚えた。鬼族の客がいること自体は珍しくないが、それだけでは説明できない何かがその場にはあった。それは嫌な感覚ではなく、むしろ長いあいだ探し求めていたものに近づいたような感覚であり、彼はその正体を確かめたいと強く思った。

事情通から得た町の情報

シャンドルは事情通を呼び寄せ、この町の常識や地理、敵に回してはいけない相手について探らせた。その男は、この国では鬼族が人族と同等に扱われており、鬼族への悪口を口にすれば人族側から反発を受けると教えた。また、南に小さな村があり、南東には迷宮が存在することも語ったうえで、近づくべきでない場所として地竜の谷の名を挙げた。

帰らずの森と悪魔の噂

事情通の話によれば、地竜の谷へ続く森は帰らずの森と呼ばれ、そこには目に見えない悪魔が出るという迷信があった。一年ほど前、その森から悪魔が現れたという噂が広まり、領主が調査隊を送り込んだが、予定の日数を過ぎても帰還しなかった。やがて一人だけ戻ってきたものの、その男は正気を失い、悪魔がいたと呟くだけであったため、調査は打ち切られた。さらに最近になってその話が王の耳に届き、首都では討伐隊の準備が進められていることも判明した。

ルイジェルドとの関係を推測するルーデウス

ルーデウスは、その噂が自分の持つルイジェルドの情報と完全には一致しないものの、無関係とは思えなかった。帰らずの森の近くで悪魔が出たという情報が迷信と混ざって変質した可能性もあれば、実際に森から現れた者がスペルド族であったために噂が歪められた可能性もあった。薬を買っていたという情報の由来は依然不明であったが、いずれにせよ森へ向かう必要があるという結論に至った。

情報屋への追加依頼と今後の段取り

シャンドルは事情通に追加料金を払い、情報収集に長けたシーフを探すよう依頼した。討伐隊の締め切りまではまだ一か月ほど余裕があり、十日後に再び酒場で落ち合う約束も取りつけた。これにより、帰らずの森の調査を進めつつ、ギースの手がかりも同時に追える体制が整った。ルーデウスは翌日に魔法陣と通信石板を設置し、その後に南の村と森を調べ、戻ってから新たな情報を受け取る流れを頭の中で組み立てていた。

醤油との再会

料理と飲み物が運ばれ、三人が乾杯した直後、ドーガが黒い飲み物を吹き出して激しく咳き込んだ。ルーデウスは毒を疑って解毒を試み、シャンドルも店員に詰め寄ったが、鬼族向けの濃い飲み物を人族に誤って出してしまっただけだと判明した。ルーデウスはその匂いと味を確かめ、酒場全体に漂っていた違和感の正体に気づいた。それは懐かしい調味の香りであり、黒い液体の正体は醤油であった。これによって、彼が酒場に入った瞬間から感じていた違和感の理由も明らかになった。

第三話「探し求めていた者」

地竜谷の村への到着

ルーデウスは醤油を手に入れた翌日、第二都市イレル郊外に転移魔法陣と通信石版を設置した後、ルイジェルドが目撃されたという地竜谷の村へ向かった。正式名称はマーソン村であったが、一般には地竜谷の村、あるいは帰らずの森の村と呼ばれていた。特産も観光資源もない寒村であり、元からそこに人が住み、その後でビヘイリル王国の傘下に入ったような土地であった。

村に集まる余所者たち

村に着いたルーデウスたちは、寒村とは思えぬほど多くの人影を見た。そこにいたのは村人ではなく、鎧や剣を身につけた余所者たちであり、冒険者というより傭兵や賞金稼ぎに近い剣呑な雰囲気をまとっていた。ルーデウスは、彼らが討伐隊本隊に先んじて下調べを行い、報奨を得るために有利な立場を確保しようとしているのだと考えた。

老婆による排斥と森の民の存在

広場では、杖をついた老婆が余所者たちを怒鳴りつけ、森の民が守っているのだから悪魔など出ないと叫びながら追い払っていた。森を荒らすなと喚き、男たちを杖で叩きつけるほど激しく抵抗していたため、男たちは逆らいきれずに散っていった。やがて老婆はルーデウスたちにも近づき、鎧を叩いて森を荒らすなと訴えたが、ルーデウスはその中に森の民という聞き慣れない言葉を見つけ、話を聞き出そうとした。

老婆の証言と古くからの伝承

老婆は、森の民がいなくなれば悪魔が出るのだと断言し、悪魔と森の民を同一視することを強く否定した。さらに、自分が若い頃に森の奥で森の民に助けられたことや、自分のひいじいさまも同じように助けられたことを語った。森の民の存在は最近の噂などではなく、何十年も前からこの村に語り継がれてきたものだと明らかになった。

森の民に対するルーデウスの推測

この話を聞いたルーデウスは、森の民がルイジェルド本人ではない可能性を考えた。ルイジェルドと別れてからまだ十年ほどしか経っておらず、老婆の語る時代とは合わなかったからである。しかしその一方で、森の中にはルイジェルドが長く探し求めてきたスペルド族の生き残りがいるかもしれないとも考えた。老婆が息切れして座り込んだ後、ルーデウスは穏やかに笑いかけ、自分は森の民と友人かもしれないと伝えた。こうして彼は、森の民の正体を確かめるべき対象として意識するようになった。

森の民の昔話と事件の輪郭

落ち着いた老婆は、帰らずの森には昔から森の民と呼ばれる種族が住んでおり、森で迷った者や魔物に襲われた者を稀に助けてくれる存在なのだと語った。さらに村には、かつて目に見えない悪魔が家畜や子供をさらっていた時代があり、森の民が森に住む代わりに悪魔を退治すると申し出て、それ以降は悪魔が現れなくなったという昔話が伝わっていた。村人は森の民に感謝しながらも、その存在を他所へ漏らしてはならないと教えられてきたのであった。

スペルド族仮説と疑問

ルーデウスは、その伝承を全面的に信じたわけではなかったが、森の民をスペルド族と仮定して考えた。スペルド族の第三の眼であれば、目に見えない魔物にも対処できるはずであり、長く村と共存してきた可能性は十分にあった。さらに、半年から一年前に病や怪我などの事情で森の民が薬を買いに現れ、その情報が歪められて悪魔出現の噂へと変質したのではないかと推測した。一方で、もし昔からスペルド族がこの地にいたならば、なぜ自分もオルステッドもその存在を知らなかったのかという疑問も抱いていた。

静まり返った帰らずの森

森へ入った一行は、異様な静けさに包まれた。普通の森なら頻繁に感じるはずの魔物の気配がほとんどなく、鳥や小動物の気配も進むほどに薄れていった。木々は次第に巨大になり、葉が空を覆って薄暗さが増し、見えない何かに見張られているような不気味さが漂っていた。シャンドルもこの森に違和感を覚えていたが、ドーガは黙したまま歩みを進めた。

七大列強の石碑と野営

道中、ルーデウスは七大列強の石碑を発見した。シャンドルは、この種の石碑は魔力の濃い場所にしか存在しないと自然に説明し、その知識の深さを見せた。やがて日が暮れたため、一行は石碑の近くで土魔術による土砦を築き、その中で野営することにした。

地竜の谷への到達

翌日さらに森の奥へ進むと、シャンドルはこの静けさが赤竜山脈の麓に似ていると語った。強力な生物の縄張りには他の動物が近づかないという理屈から、この森の異様さを地竜の存在で説明したのである。やがて一行は、森の中に唐突に現れた深い谷へとたどり着いた。ルーデウスは千里眼で谷底を覗き、青白く光る苔やキノコの近くを這う地竜たちを確認した。

土魔術による橋の構築

周囲を見回したルーデウスは、谷幅の狭い箇所に古びた吊り橋を見つけた。しかしその橋は魔導鎧を着た自分の体重には耐えられないと判断し、自ら新たな橋を作ることにした。土槍の応用で向こう岸まで届く骨組みを何本も作り、その上に土の板を渡し、補強まで施して石橋を完成させた。慎重に強度を確かめながら自ら渡った後、シャンドルとドーガも無事に渡ることに成功した。

谷の向こうでの透明な襲撃

谷を越えた先の森は、それまでとは異なり明確な魔物の気配を放っていた。そして百メートルも進まぬうちに、一行は見えない魔物の襲撃を受けた。ルーデウスのすぐ近くの木に何かが張り付いたかと思うと、次の瞬間にはドーガが倒されていた。ルーデウスは直感的にドーガの上にいる透明な敵を殴り飛ばし、続けて岩砲弾でとどめを刺した。飛び散った血によって四足獣の輪郭だけが浮かび上がった。

シャンドルの指揮と混戦

見えない敵に囲まれた中で、シャンドルは即座にドーガへ音を頼りに敵を防ぐよう命じ、ルーデウスには範囲魔術で周囲を制圧するよう指示した。ルーデウスは水魔術による一掃を決めたが、その発動直前、ドーガの攻撃は空を切り、透明な何かがルーデウスへと迫った。そこへシャンドルが体当たりでルーデウスを突き飛ばし、危機を回避させた。

スペルド族の槍と誤認

次の瞬間、ルーデウスの脇には白い骨のような槍が突き立ち、透明な敵を地面へ縫い留めていた。やがて槍を回収するように、一人の男が姿を現した。緑の髪、白い肌、民族衣装という姿を見たルーデウスは、思わずルイジェルドの名を叫んだ。しかし振り向いた男はルイジェルドではなく、別人のスペルド族であった。ルーデウスは慌てて謝ったが、その男は逆にルイジェルドを知っているのかと問い返した。

ルイジェルドの所在の確定

ルーデウスがルイジェルドは友人であり恩人でもあると答えると、そのスペルド族の男は、彼の客人であるならついて来いと告げ、ルイジェルドに会わせてやると言った。ルーデウスが驚いて問い返すと、男は当然のようにルイジェルドがいることを認めた。こうしてルーデウスは、長く探し求めていたルイジェルドのもとへ、ついに導かれることになった。

第四話「スペルド族の村」

悪夢の始まりと偽りの未来

ルーデウスは、ルイジェルドに口移しで何かを流し込まれた直後から、現実感のない夢の中へ引きずり込まれた。そこではサラと恋人兼婚約者として迷宮探索を続け、結婚と引退を目前に控えた未来が描かれていた。カウンターアローとの出会いから始まり、ゼニス救出後も冒険者を続け、サラと共に名声を得た人生であったが、その幸福な情景の裏では、死んだはずのパウロが現れ、ルーデウスに何かを忘れていると問いかけたことで、夢の綻びが生まれた。

別の人生への転換と違和感の蓄積

悪夢は一つでは終わらず、ルーデウスは次々と別の人生へと放り込まれた。リニアと結婚して子だくさんの家庭を築き、魔法大学で教師を務める未来では、穏やかな日常の中に幸福があったが、やはりそこにもパウロが現れ、不満はないのか、何かを忘れているのではないかと問い続けた。さらにアリエルと結婚し、自らがアスラ王となった未来でも、華やかな権力と理想の伴侶を得た一方で、パウロが現れて現実との齟齬を突きつけた。どの夢も、ルーデウスがもし別の選択をしていたら到達し得た幸福な人生として構成されていたが、そこには死者であるパウロが必ず現れ、現実ではないことを示す楔となっていた。

アイシャの夢と真相への気づき

続いてルーデウスは、アイシャと結婚したかのような夢まで見せられた。そこでもやはり、下半身を失ったパウロが現れ、すでにルーデウス自身も気づき始めているはずだと告げた。ここに至ってルーデウスは、繰り返される幸福な夢のすべてが現実ではなく、同じ存在によって見せられているのだと理解した。そして、その元凶こそがルイジェルドの口から入り込んだ冥王ビタであると断定し、夢の正体を思い出した。

書斎でのパウロとの対話

気がつくと、ルーデウスは自分の書斎のような場所にいた。そこには椅子に座るパウロがいて、ビタは追い詰められており、この屋敷のどこかにある違和感を壊せばそれがビタの核だと告げた。ルーデウスはこのパウロが何者なのか理解できなかったが、少なくとも敵ではなく、自分を夢から醒まそうとしている存在だと判断した。そして、書斎を出て家の中を探り始めた。

偽りの家庭と見逃せない違和感

家の中にはリーリャやノルン、アイシャがいて、それぞれ自然に振る舞っていたため、最初は違和感を見つけられなかった。だが、食堂で元気なゼニスが結婚話を進めようとしている姿を見た瞬間、ルーデウスは決定的な綻びに気づいた。ゼニスは本来、転移迷宮で救出された後、現在のように笑って会話できる状態ではないはずだった。それにもかかわらず、母として嬉しそうに結婚相手を紹介し、これからの人生を案じてくれる姿は、あまりにも優しく、あまりにもルーデウスの望みに沿ったものだった。

優しい夢との訣別

その後もルーデウスは、ゼニスと妹たちと共に暮らし、見合い相手との結婚準備が進む日々を過ごした。そこでは家族全員が穏やかで、ゼニスも明るく母として振る舞い、ルーデウスを独り立ちさせようとしていた。だからこそ、その世界はあまりにも優しく、終わらせがたい夢であった。しかしルーデウスは、自分がすでに現実で築き上げた家族と幸福を思い出した。シルフィ、ロキシー、エリス、そして子供たちとの生活こそが、自分が本当に守るべき現実なのだと再確認した。さらにゼニスは死んでいないことも思い出し、この夢に留まる理由はないと悟った。

ゼニスの破壊と幻術の終焉

ルーデウスは、感謝を告げながらゼニスへ手を伸ばし、その優しい夢を終わらせる決意を固めた。そして全力の岩砲弾をゼニスへ撃ち込み、幻術の核を破壊した。これは母を手に掛ける行為ではなく、ビタが最後の抵抗として作り出した優しい牢獄を打ち砕くための一撃であった。

ビタとの対面

夢が砕けた後、ルーデウスは見知らぬ部屋で目を覚ました。そこには冠をかぶった骸骨と、青い半透明のスライムがいた。スライムは自らを冥王ビタと名乗り、この勝負は自分の負けだと認めた。ルーデウスは、自分が見せられていたのが記憶から導き出された起こり得た未来と欲望を混ぜた特上の幻覚だったと知った。

死神の指輪の正体

ルーデウスは、自分が妻たちやパウロへの想いで幻術を破ったのだと思ったが、ビタはそれを否定した。ルーデウスが完全に幻術にかかっていたにもかかわらず脱出できたのは、死神ラクサスの骨指輪の効果だったのである。その指輪は、術者に対して最も頼れる亡者の姿を借りて幻術を破り、逃げ場を奪うためのものであり、ルーデウスにとってそれがパウロであった。夢の中で現れ続けたパウロは、ビタの幻術そのものではなく、指輪が生み出した対抗手段だったのであった。

ビタの敗北とヒトガミへの言及

ビタは、自分がルーデウスを見くびりすぎていたと悔やみつつ、最後にはヒトガミへの信仰をにじませた。ヒトガミは悪い神だが、自分のように助けられ、信望する者もいるのだと語ったのである。ルーデウスは、ビタがヒトガミの使徒なのかを問いただしたが、ビタは明確な答えを返す前に急速に縮んでいった。骸骨もまた崩れ落ち、ビタ自身も粘族史上最強の王としての終焉を認めながら消滅していった。

現実への帰還と代償の露見

意識を取り戻したルーデウスは、はっきりと現実に戻っていた。しかし次の瞬間、激しい腹痛と吐き気に襲われ、口から青いスライム状の液体を吐き出した。さらに左手を見ると、死神の指輪は砕けて地面に落ちていた。ビタは自らルーデウスの中へ入り込み、そのまま指輪の効果で自爆したのである。ルーデウスは、偶然ではなく必然に近い形で助けられたのだと理解した。

ルイジェルドへの不安

だが、現実に戻っても安心はできなかった。ルーデウスが周囲を見回すと、そこはルイジェルドの家であり、囲炉裏の向こうには真っ青な顔で苦しみ、体を震わせるルイジェルドが横たわっていた。ビタが死ねば病の進行を抑えていた分体も消えるという話を思い出し、ルーデウスは、冥王ビタの死がそのままスペルド族の疫病再発を意味していたのだと悟った。こうして、夢の牢獄から脱出した代償として、現実の危機が一気に表面化したのであった。

第五話「冥王ビタ」

悪夢の始まり

ルーデウスは野営中の森で目を覚まし、焚き火と夜空を前にしながらも、直前まで見ていた夢の内容を思い出せずにいた。強い不快感だけが残る中、傍らにいたサラと結婚後の生活について語り合い、迷宮探索を最後に冒険者を引退する未来を当然のものとして受け入れていた。

サラとの偽りの未来

夢の中でのルーデウスは、ゼニス救出後もサラと共に冒険者を続けており、恋人として穏やかな時間を重ねていた。サラは家庭生活への不安を漏らしたが、ルーデウスは役割に縛られず支え合えばよいと答え、二人は結婚を前提とした未来を語り合った。しかし、その過去と現在は本来の現実とは異なる形で再構成されており、記憶には説明しきれない歪みがあった。

パウロの出現と記憶の揺らぎ

そこへ本来眠っているはずのパウロが現れ、ルーデウスが自暴自棄になった理由を問いただした。ルーデウスは過去を説明しようとしたものの、ルイジェルドとの別れやその後の経緯をうまく思い出せず、自身の記憶に曖昧さがあることに気づき始めた。さらにパウロへ詰め寄った瞬間、彼が下半身を欠いた異様な姿であることが露わになり、目の前の世界が現実ではないと示された。

リニアとの家庭という幻想

次にルーデウスは魔法都市シャリーアの自宅で目覚め、今度はリニアを妻とし、多くの子供たちに囲まれ、魔法大学の教師として働く日常の中にいた。家庭も仕事も満たされた理想的な生活であったが、その経緯はやはり曖昧であり、どこか作られた幸福であった。そこへ再びパウロが現れ、不満はないのか、何かを忘れていないかと問いかけたことで、この世界もまた現実ではないことが浮き彫りになった。

アリエルとの王の人生

さらに夢は変質し、ルーデウスはアリエルと結婚し、アスラ王国の王となった未来へ移った。地位も権力も理想の伴侶も手にした人生であり、一見するとすべてを得たように思えたが、そこでもなおパウロは現れ、現実との齟齬を突きつけた。最終的にパウロが毛布を払い、自身の下半身が存在しないことを示したことで、この世界もまた幻想にすぎないと確定した。

アイシャの夢と真相への到達

続いてルーデウスは、アイシャを妻とした夢の中で目を覚ました。しかしそこにもまた下半身を失ったパウロが現れ、もはやルーデウス自身も、何度も目覚めたと思っていたすべてが夢であったと理解し始めていた。ここに至って彼は、連続する幻覚の正体が冥王ビタによるものだと悟り、夢と現実の境界を見極めた。

書斎での再覚醒

気づけばルーデウスは自室の書斎におり、目の前にはやはり下半身を失ったパウロが座っていた。ルーデウスが冥王ビタなのかと問うと、パウロはそれを否定し、この屋敷のどこかにある違和感こそがビタの核であると告げた。そして、それを破壊しろと助言したため、ルーデウスは屋敷の中を調べ始めた。

違和感の探索とゼニスの存在

屋敷の中ではリーリャや妹たちが自然に振る舞っており、表面的には違和感が見当たらなかった。しかし食堂で元気なゼニスと対面した瞬間、ルーデウスは決定的な異常に気づいた。本来のゼニスはそのように笑い、会話し、結婚話を世話できる状態ではないはずだったからである。ここでルーデウスは、ゼニスこそがこの優しい世界の核であると理解した。

優しい幻との別れ

ゼニスとの生活は、過去の後悔を埋め合わせるような穏やかで幸福なものであった。見合い話が進み、家族が喜び、母が自分を独り立ちさせようとする世界はあまりにも優しかったため、ルーデウスは一時、このまま留まりたいとすら思った。しかし彼は、現実にはすでにシルフィ、ロキシー、エリス、そして子供たちと築いた家庭があることを思い出し、この幻想に留まることはできないと決意した。

ゼニスへの一撃

ルーデウスはゼニスに感謝を告げたうえで、全力の岩砲弾を放った。これは母を手に掛けるためではなく、ビタが作り出した優しい牢獄を打ち砕くための行為であった。この一撃により、長く浸っていたくなるような夢の世界は終わりを迎えた。

冥王ビタとの対面

幻が崩れた後、ルーデウスは見知らぬ閉ざされた部屋で目を覚ました。そこには冠をかぶった骸骨と、青いスライムのような存在がいた。スライムは自らを冥王ビタと名乗り、この戦いは自分の負けだと認めた。ルーデウスが見せられていたのは、彼の記憶をもとに起こり得た未来と欲望を織り交ぜた特上の幻覚であったと、ビタは明かした。

幻術を破ったもの

ルーデウスは、自分が妻たちやパウロへの想いで幻を破ったのではないかと考えたが、ビタはそれを否定した。実際には、死神ラクサスの骨指輪の力によって、ルーデウスにとって最も頼れる亡者であるパウロの姿が呼び出され、幻術の矛盾を突きつけていたのであった。夢の中で繰り返し現れたパウロは、ビタの仕掛けではなく、指輪による対抗手段だったのである。

ビタの敗北とヒトガミへの信仰

ビタは、ルーデウスを見くびりすぎたこと、もっと別の手段を取るべきだったことを悔やみつつ、自分がヒトガミの使徒であることを認めた。そしてヒトガミは悪しき神ではあるが、自分のように助けられた恩義から信奉する者もいるのだと語った。その言葉を残しながら、ビタは急速に縮小し、骸骨もまた崩れ去っていった。

現実への帰還

ルーデウスが意識を取り戻すと、夢の内容も最後の会話もはっきりと記憶に残っていた。しかし直後に激しい腹痛と吐き気に襲われ、青いスライム状の液体を吐き出した。さらに左手の死神ラクサスの骨指輪は砕けており、ビタが自身の体内に入り込んだ結果、この指輪の効果で自滅したことが明らかとなった。

勝利の代償

ビタを倒したこと自体は事実であったが、その代償は大きかった。ルーデウスが周囲を見回すと、そこはルイジェルドの家であり、囲炉裏の向こうには真っ青な顔で苦しみ、体を震わせるルイジェルドが横たわっていた。ビタが病の進行を抑えていた以上、その死によって分体も消え、疫病の進行が再開したのである。ルーデウスは、ビタの死が単なる勝利ではなく、新たな危機の引き金となったことを認識した。

第六話「疫病」

疫病の再発と村の崩壊

ビタの死によって、抑えられていた疫病は一気に進行を再開した。スペルド族の村では次々と住民が倒れ始め、ルーデウスは、ビタが病の進行を遅らせていたのではなく、症状そのものを抑え込んでいただけであった可能性に思い至った。

村内の初動対応

シャンドルは即座に動ける者を使って狩りに出ている者の回収と防衛体制の構築を進め、ドーガは病人を講堂へ集めていた。村は急ごしらえの医療体制へと移行したが、死者こそまだ出ていなかったものの、村人の半数以上が重い症状に陥っていた。

治療手段を求めた転移魔法陣の設置

ルーデウスは解毒魔術が効かない可能性を踏まえ、外部から専門家を呼ぶために転移魔法陣を設置することを決めた。村外に小屋と地下通路を築いて安全を確保し、その上で魔法陣を完成させ、事務所へ転移した。そして各地へ連絡を送り、医療知識を持つ者の招集を急いだ。

オルステッドへの詰問と不信

ルーデウスはオルステッドに対し、スペルド族の疫病を事前に知っていたのではないかと問い詰めた。オルステッドは、過去のループではスペルド族はすでに滅んでおり、治療法も存在しないと判断していたため、情報を伝えなかったと説明した。その理屈は合理的であったが、ルーデウスには恩人を見捨てられたように感じられ、強い怒りと不信が湧き上がった。

スペルド族の役割とヒトガミの狙い

オルステッドは、スペルド族だけがラプラスの弱点を見抜ける存在であることを明かした。これにより、疫病やスペルド族の滅びそのものがヒトガミの策略である可能性が浮上した。ヒトガミはスペルド族を根絶やしにすることでラプラス討伐を困難にし、オルステッドの魔力を消耗させようとしていたのだと推測された。

和解と再びの協力

オルステッドが謝罪すると、ルーデウスは怒りを抑え、対立を解消した。スペルド族を救うこと自体がヒトガミの思惑を崩すことにつながると理解し、治療法を探し続ける決意を新たにした。オルステッドも協力を申し出て、二人は再び共に村へ戻ることとなった。

ビタ討伐の報告と各地への連絡

ルーデウスは、死神の指輪によって冥王ビタが自爆した経緯をオルステッドに報告した。オルステッドはビタが憑依していた事実までは把握しておらず、指輪は本当に保険として持たされていたのだとわかった。その後ルーデウスは通信石版を使って各地へ病状と医者の手配を伝え、予備の転移魔法陣も補充した。

仲間たちの状況確認

各地からはそれぞれ報告が届いていた。アイシャたち傭兵団からは異常なし、ザノバからは首都に討伐隊が集まっているという報告、ロキシーからは鬼神の所在を調べるという報告が入っていた。ルーデウスは、こちらは何とかするから任務を全うするよう伝え、各自の持ち場を維持させた。

外部支援の限界

各国に送った病状説明への返答は比較的前向きで、多くの国が文献調査を約束し、アスラ王国からは翌日に医師団を送る手配が整った。一方、ミリス神聖国からは援軍に関する返答のみで、神殿騎士団の派遣は難しいとの回答であった。支援は集まりつつあったが、決定打には程遠かった。

オルステッドの診察と限界

村へ戻った後、オルステッドは倒れたスペルド族を一人ずつ診察した。しかし彼は医療知識を持っていても医者ではなく、未知の病に対する即応力には限界があった。診察の末、既知の疫病とは症状がやや異なり、これほど急速に悪化する病ではなかったはずだと述べるにとどまった。

病因を探るも手掛かりなし

ルーデウスもまた、村で治療に携わっていた者たちから話を聞いた。薬草や滋養のある野菜を煮込んで与えていたという話は得られたが、決定的な手掛かりは見つからなかった。ヒトガミが発症の時期を操作していた可能性や、単なる疫病ではなく毒や病原体の持ち込みではないかという推測も浮かんだが、どれも確証には至らなかった。

医師団の到着と診断不能

翌日、アスラ王国から医師二人と看護師四人、それに食料と医療品が到着した。彼らはスペルド族を恐れず診察に当たったが、見たことのない症状であり、魔族特有かつ特殊条件下で発症する病であれば手の施しようがないという結論に達した。診察は続けるとしながらも、治療法の発見には期待しないでほしいと告げた。

講堂に広がる絶望

講堂には数十名のスペルド族が寝かされ、呻く者、意識を失った者、食事を介助される者が並び、野戦病院のような有様になっていた。死者はまだ出ていなかったが、重症者は多く、ルイジェルドも昏睡状態に陥っていた。ルーデウスはその姿を前にして救いたいと強く願いながらも、現状では打つ手を見出せずにいた。

ギース捜索と討伐隊対応の両立

そんな中、シャンドルは情報屋との約束が四日後に迫っていることと、国が集めている討伐隊への対応が必要であることを確認した。ルーデウスは、本来の主目的であるギース捜索を優先し、その日には自分がイレルへ向かうと決めた。シャンドルも同行を申し出て、ルーデウスを一人にする危険を避けるべきだと主張した。さらに討伐隊については、情報屋との接触後に王宮へ赴き、悪魔の正体と村の現状を報告する方針が固められた。

ノルンとクリフの来訪

疲弊しきったままルイジェルドの家で眠っていたルーデウスは、ノルンに揺り起こされて目を覚ました。ノルンは、ルイジェルドの窮状を自分に知らせなかったことを涙ながらに怒り、クリフが事情を伝えて連れてきたのだと明かした。そして入口にはクリフが立っており、ミリス教団内の手続きに時間を取られて到着が遅れたと謝罪した。

天才の断言がもたらした希望

クリフは、キシリカから得た識別眼を示しながら、魔眼だけで全てが解決するとは限らないが、それを使うのは自分だと胸を張った。そして自分は天才であり、天才にできないことはないと断言した。その言葉には確実な保証はなかったが、憔悴しきっていたルーデウスには大きな希望として響いた。呪いにすら立ち向かってきたクリフなら、この疫病にも道を開けるかもしれないと、ルーデウスは再び前を向くことができた。

第七話「天才」

クリフによる診察の開始

クリフは到着すると、まず患者たちの容態を一人ずつ確認し始めた。重症者を識別眼で見て、軽症者から症状や発症時の状況を聞き取り、医師団の作成した記録と照合していった。ミリス教の服を見て怯えたり敵意を向けたりするスペルド族も多かったが、クリフは一切意に介さず、必要な質問だけを淡々と重ねた。

医師団の方針の否定

患者の診察を終えた後、クリフはアスラ王国の医師団にも聞き取りを行った。医師団は解毒魔術と薬の併用で様子を見る方針を示したが、クリフはそれでは治らないと断じ、自分で原因を調べると宣言した。医師たちは反発したものの、クリフは相手の感情に構わず調査を続けた。

土地に原因があるという仮説

クリフは、スペルド族がこの土地に来てから初めてこの病にかかったことに着目し、原因は村の外ではなくこの土地そのものにあると考えた。そして畑、解体場、食料庫、各家庭、泉、井戸、倉庫、資材置き場、さらにはゴミ捨て場に至るまで、識別眼を使って徹底的に調べ始めた。村人の怯えや反発にも構わず、生活の実態と食事内容を確認し続けた。

魔力密度の異常の発見

一通り調べ終えたクリフは、村の土、水、野菜、食料のすべてに非常に高い魔力が宿っていることを明かした。識別眼によれば、どの食材も美味しそうではあるが異様なまでに魔力密度が高く、しかもそれが土や水にまで及んでいた。ミリスでも稀に魔力の高い食物は見かけるが、この村のようにすべてが高密度という例はなかった。

病名の推定と治療仮説

クリフは、長年にわたり高密度の魔力を含む食料を摂取し続けた結果、体内で魔力を排出しきれなくなったのではないかと推測した。感染者に大人が多く、子供に無事な者が多い点もその仮説を補強していた。そしてルーデウスは、その特徴がナナホシの患っていたドライン病に似ていると気づいた。完全に同じとは断定できなかったが、クリフは試す価値があると判断した。

ソーカス茶と赤い実

クリフは薬箱からソーカス草と、体内の魔力を淀ませる赤い実を取り出した。識別眼によれば、その実は大昔にソーカス茶と一緒に用いられていたもので、ソーカス茶の働きを高める作用があるらしかった。ただし、今のスペルド族に飲ませた場合に本当に効く保証はなく、逆に悪化させて死に至る可能性もあった。それでもクリフは、考えても仕方がないとして投与を決断した。

ミリス教への不信と沈黙

クリフが診療所内で、この薬を試したい者はいないかと問いかけると、場は静まり返った。ミリス教は信用できないという声が漏れ、医師団までもがわけのわからない薬を飲ませるなと反発した。スペルド族にとってミリス教団は、今なお生々しい迫害の記憶を伴う存在であり、不信は根深かった。

ルイジェルドの一喝

その空気を破ったのは、目を覚ましたルイジェルドであった。彼は自分が飲むと申し出たうえで、クリフはルーデウスが連れてきた者であり、自分はルーデウスを信用していると告げた。そして文句があるなら自分が死んでから言えと一喝し、診療所を静めた。その一言によって、村におけるルイジェルドの存在の大きさが改めて示された。

村人たちの決意

ルイジェルドに続き、かつて彼に助けられた者たちが自分も飲むと名乗り出た。やがて族長までもが手を挙げ、ミリス教は信用できなくても、ルイジェルドが信じる相手なら従うと告げたうえで、村を救ってほしいとクリフに頭を下げた。クリフはその言葉に力強く応じ、治療に踏み切った。

ルイジェルドの家での静かな夜

薬を飲んだ者たちは眠りにつき、急変して死ぬような事態は起こらなかった。結果が出るのは翌日とされ、その夜、ルーデウスとノルンはルイジェルドの家で休むことになった。囲炉裏を挟んで向かい合う中、ノルンはルイジェルドが治るか不安を漏らし、ルーデウスはクリフならやり遂げると励ました。さらに話題はノルンの卒業式や学校で開いた闘技大会へと移り、兄妹は重苦しい空気を和らげるように言葉を交わした。

翌朝の回復

翌朝、講堂の診療所へ向かったルーデウスたちを迎えたのは、前日までとは明らかに異なる空気であった。まだ活気と呼べるほどではなかったが、患者たちの顔色は確かに改善していた。医師の話によれば、薬湯を飲んだ者たちは夜のうちに強い便意を訴え、水色の下痢便を大量に排出した後、急激に容態を回復させ始めたという。重症者はまだ起き上がれないものの、快方に向かっていることは明らかであった。

ビタの分体という可能性

オルステッドはルーデウスに対し、その水色の便は冥王ビタの分体の死骸だと耳打ちした。ルーデウスはその言葉から、疫病そのものはすでにビタによって治されており、分体を村人の体内に残して体調不良を装わせていただけではないかと考えた。確証はなかったが、少なくともビタが完全に倒れ、村は峠を越えたと見てよい状況であった。

ルイジェルドの回復

ルーデウスが講堂の奥へ向かうと、ルイジェルドは上半身を起こし、血色の戻った顔で食事をしていた。ノルンは彼に駆け寄って泣きながら抱きつき、ルーデウスもまた安堵を隠せなかった。ルイジェルド自身は、まだ槍を振れる状態ではないとしながらも、命に別状はないことを告げた。

再び結ばれた約束

そしてルイジェルドは、完治した後はルーデウスの力になると明言した。ルーデウスはその言葉に深い高揚を覚え、こみ上げる感情を抑えながら手を差し出した。ルイジェルドもその手を取り、二人は再び仲間としての約束を交わした。温かく力強いその握手は、長く探し続けた絆がようやく確かな形を持ったことを示していた。

間話「誰かにとっての誰か」

卒業後の宙ぶらりんな日々

ノルンは魔法大学を卒業した後、時間を持て余していた。ジーナス教頭から魔術ギルドへの就職を勧められていたものの返事は保留にしており、進路を決めきれずにいた。魔術ギルドへの関心や、自分の実績を評価される嬉しさはあったが、兄であるルーデウスの立場を思うと、勝手にどこかの派閥へ属するわけにはいかないと考えていた。

ルーシーへの共感と寄り添い

家の中にはルーデウスたちがおらず、下の子供たちもまだ幼かった。その中でルーシーは特に寂しさを抱えており、クライブが帰った後には二階の窓から玄関の方を寂しげに見たり、クローゼットの中で膝を抱えて泣いたりしていた。ノルンは、自分も幼い頃に父の不在を寂しく思った経験があったため、ルーシーの気持ちを強く理解していた。

ルーシーと過ごした日々

ノルンはルーシーを放っておけず、釣りや魔法大学の見学、図書館での読み聞かせ、町への買い物など、できる範囲で一緒に過ごしていた。派手な遊びではなかったが、ルーシーはそれを喜び、次第にノルンによく懐くようになっていった。

釣り道具作りと約束

一緒にルーシー専用の釣り道具を作ったことをきっかけに、ルーシーは毎日のように釣りへ行きたがるようになった。しかし町の外の川まで出るには危険があり、ノルンは自分一人では守り切れる自信がなかったため、大学の後輩である冒険者に護衛を頼む必要があった。そのため町の外での釣りは十日に一度だけと約束していた。

釣りの帰りに知った危機

十日に一度の釣りの日、ルーシーは今までで一番大きな魚を釣り上げ、嬉しそうに護衛の後輩たちへ見せびらかしていた。そんな穏やかな時間の後、帰宅したノルンは家にいたクリフと再会した。クリフは、スペルド族の村に疫病が蔓延し、ルーデウスの要請で助力へ向かう途中だと告げた。その中でルイジェルドの名が出ると、ノルンは彼が危機に瀕していることを知り、大きく動揺した。

残るか向かうかの迷い

クリフはノルンにも同行を勧めたが、ノルンは即答できなかった。ルーシーの不安そうな視線に気づき、その場から逃げるように去る姿を見たことで、彼女を置いていけないという思いが強くなったからである。ノルンは最終的に、自分はここに残ると答えた。クリフはそれ以上問いたださず、翌朝出発することだけを伝えて去っていった。

ルーシーとの静かな時間

ノルンはルーシーを探し、シルフィの部屋で膝を抱えて座る彼女の隣に腰を下ろした。何も言わず、ただ寄り添う時間が続いた後、ルーシーはノルンもいなくなるのかと不安を口にした。ノルンはそばにいると答えたが、自分が何もできない無力さと、それでもここに残るべきだという気持ちの間で揺れていた。

ルイジェルドとの思い出の語り

ルーシーに問われたノルンは、ルイジェルドとの思い出を語った。幼い頃、父と別れて寂しさに泣いていた自分を、ルイジェルドは優しく支え、遊びや話で慰めてくれたのだと伝えた。その思い出を語るうちに、ノルン自身の中でも、彼のもとへ駆けつけたい気持ちが強まっていった。

ルーシーの言葉に背中を押される

話を聞いたルーシーは、自分も誰かを守れるよう強くなりたいと語り、ノルンに対して助けに行くべきだと告げた。自分は大丈夫だと我慢を示し、ノルンの手を引いて立たせようとしたのである。ルーシーにとってノルンは、かつてノルンにとってのルイジェルドであったからこそ、同じように誰かを助けに行かなければならない存在だと考えていた。

出発の決意

ルーシーの言葉を受け、ノルンは迷いを断ち切った。ルーシーはもはや寂しさを見せず、誇りと覚悟を持った表情でノルンを送り出そうとしていた。その姿に背中を押され、ノルンはルイジェルドのもとへ向かう決意を固めた。

クリフとの同行と旅立ち

ノルンは最低限の準備だけを整え、クリフのもとへ向かった。同行を願い出ると、クリフは当然のようにそれを受け入れ、出発の準備を手伝った。二人は朝日と共にシャリーアを出発し、転移魔法陣のあるオルステッドの事務所へと向かった。

受け継がれた優しさへの気づき

事務所に入る直前、ノルンは朝日に照らされるシャリーアの町を振り返った。その光景は、かつてルイジェルドに連れられてこの町へ来た時の記憶と重なっていた。そしてルーシーの言葉を思い出したことで、自分がかつてルイジェルドから受け取った優しさと同じものを、今度はルーシーに渡せていたのだと気づいた。その事実に胸を熱くしながら、ノルンはクリフに促されて事務所の中へ入り、帰ってきたらまたルーシーと釣りに行こうと心に決めていた。

間話「ビタとラクサス」

粘族の起源と知性の獲得

粘族はもともと魔大陸の森に棲む寄生型の魔獣であり、生物や死骸に入り込み共生する存在であった。ある個体が何者かに捕獲され、様々な実験を施された結果、知性を獲得した。その個体は群れに戻り、知性を他の個体へと分け与えたことで、粘族という種が成立した。

ビタという特異な存在

粘族は宿主と共生する種であり、基本的には相手を完全に支配することはできなかった。しかしビタは例外であり、宿主に幻術の夢を見せ続ける能力を持っていた。この力により宿主を昏睡状態に陥らせ、事実上支配することが可能であった。

ヒトガミとの邂逅と力の覚醒

幼少のビタは川に流され死にかけた際、夢の中でヒトガミと出会い助言を受けた。その結果、自らの能力を理解し、魚から鳥、さらに魔王へと寄生を繰り返し、最終的に強力な魔王の肉体を乗っ取った。ビタは自らを全知全能と錯覚し、暴虐の限りを尽くした。

ラクサスとの遭遇と敗北

暴走するビタの前に現れたのが、魔王の配下であった死神ラクサスであった。ビタは自らを冥王と名乗り対峙したが、一瞬で敗北し、宿主を捨てて逃亡した。その後、ラクサスは魔道具を用いて粘族を見抜き、宿主ごと容赦なく殺し続けたため、ビタは常に追われる立場となった。

骨指輪と逃亡の果て

ビタはラクサスを逆に支配しようと試みたが、彼の知人が持っていた骨指輪によって致命的な危機に陥った。骨指輪はラクサスがビタを殺すために作った対抗手段であり、ビタは辛くも逃亡したものの、ラクサスへの恐怖を決定的なものとした。その後ビタは魔大陸を離れ、天大陸の迷宮へと逃げ込んだ。

迷宮での停滞と反省

迷宮のガーディアンに寄生したビタは、外界から隔絶された環境で長い時間を過ごした。その中でヒトガミから粘族の全滅を知らされ、自らの行いを悔いるようになっていった。かつてのような暴虐は影を潜め、静かに過ごすことを選ぶようになった。

再びのヒトガミの介入

やがてヒトガミが再び現れ、助力を求めてきた。ラクサスが既に死んだと聞かされ安心したビタは、その依頼を引き受けた。ギースの案内により迷宮を離れ、スペルド族の村でルーデウスを待ち伏せする計画に加担することとなった。

揺らぐ内面と新たな予兆

作戦の途中、ギースがルイジェルドへの恩義を語るのを聞いたことで、ビタは自らの過去と粘族の滅びを思い出した。状況次第では疫病を治すことも考え始めていたが、その一方でラクサスの執念はなお世界に残り続けており、ビタはその脅威を完全には理解していなかった。

第八話「首都」

卵かけご飯の完成

ルーデウスはルイジェルドと囲炉裏を挟み、炊き上がった白米に溶き卵と醤油をかけて卵かけご飯を完成させた。長く求めていた味をこの世界で再現できたことに深い満足を覚え、夢中でそれを食べた。

ルイジェルドとノルンの反応

ルイジェルドもその料理を口にし、旅の途中で聞いていた食べ物だと理解した上で美味いと評価した。さらにノルンも加わり、初めて味わう美味しさに驚いた。ルーデウスは醤油の優秀さを誇ったが、生卵であるため解毒魔術をかける必要があると指摘されて叱られた。

スペルド族の回復と備え

二日が経過し、スペルド族は順調に回復へ向かっていた。軽症者は日常生活に戻りつつあったが、ルーデウスは再発に備え、村の一角に暗室を作ってソーカス草の栽培を始めた。病の原因が土地かビタかは不明であったが、備えは不可欠であった。

移住案への不安

スペルド族をアスラ王国へ移住させる案もあったが、住み慣れた土地を離れることへの抵抗と、ミリス教への恐怖から反対が強かった。クリフ個人への態度は軟化していたが、教団への不信は根強く残っていた。

首都への出発決定

ルーデウスはスペルド族の受け入れ交渉と討伐隊の解散を目的に、首都ビヘイリルへ向かうことを決めた。実際に村の様子を見せれば、彼らが危険な存在ではないと理解されると考えたためであった。

村に残る者たちの役割

ルーデウス不在の間、クリフは疫病の調査を続け、エリナリーゼが補助に回った。ノルンはルイジェルドの看護を担当し、オルステッドも村に留まることを選んだ。呪いの影響を考慮し、前面に出ない方が有利であると判断したためであった。

オルステッドの意外な一面

村ではオルステッドが子供たちとボール遊びをしていた。外見とは裏腹に正確に打ち返す姿は、周囲に穏やかな空気を生んでおり、ルーデウスはその一面に新たな印象を抱いた。

ルイジェルドとの別れ際の会話

出発前、ルーデウスは回復途上のルイジェルドに首都での交渉について伝え、場合によっては兵士を連れて戻る可能性を話した。その際には敵対せず迎えてほしいと頼み、ルイジェルドはそれを了承した。

首都への出発

ルーデウスはオルステッドに声をかけた後、転移魔法陣のもとへ向かった。シャンドルとドーガと合流し、情報収集と交渉を分担する形で首都へ向かう体制が整えられた。

各地の状況確認と移動

事務所に立ち寄ったルーデウスは通信石版で各地の状況を確認した。大きな異常はなく、ロキシーからは鬼族の動きに関する情報が届いていた。スペルド族の回復も伝達した後、変装して首都へ向かった。

ザノバとの合流と情報整理

森の廃村でザノバたちと合流し、討伐隊の編成や北神の参加といった情報を共有した。決定的な情報はなかったが、今後の調査に期待をかける形となった。

首都ビヘイリルの様子

首都ビヘイリルは落ち着いた雰囲気の都市であり、木造建築と自然が調和した景観を持っていた。ルーデウスはここで作戦を整理し、王への直接交渉を決意した。

謁見を求める交渉

ルーデウスは受付で金貨を支払い、アリエルの記章を提示して国王への謁見を取り付けた。対応は形式的であったが、正午に面会の機会を得ることに成功した。

国王との謁見と説明

謁見の場でルーデウスは、帰らずの森にいるのは悪魔ではなくスペルド族であり、彼らが国を守ってきた存在であること、今回の騒動は疫病によるものだと説明した。国王はその話に驚きを見せつつも耳を傾けた。

討伐中止の訴え

ルーデウスは討伐の中止、もしくは対象を透明な魔物に限定するよう求めた。さらに必要であれば移住先を用意する覚悟も示し、スペルド族を守る理由として恩義を挙げた。

国王の判断と兵士派遣

国王は即断せず、まず兵士を派遣して事実確認を行うと決定した。そして虚偽であれば討伐を続行すると宣言した。ルーデウスはその判断に感謝し、討伐を止めるための第一歩を確保した。

第九話「三泊四日 スペルド村見学ツアー」

兵士を伴っての帰路

ルーデウスは国王の命で派遣された兵士二人を伴い、スペルド族の村へ戻ることになった。転移魔法陣は使えず馬車での移動となり、まず第二都市イレルへ向かったが、シャンドルからはギースの情報は得られていなかった。成果のなさに落胆しつつも、ルーデウスは先を急いだ。

地竜谷の村への到着

さらに一日かけて地竜谷の村へ到着した。村には依然として傭兵や探索者が集まっており、老婆も変わらず彼らを追い払っていた。討伐隊が解散していない状況では早計な説明は避けるべきと判断し、一行は村で一泊した。

同行兵士の性格と警戒心

同行したガリクソンは粗野でせっかちな男であり、常に先頭に立とうとする気質を見せた。一方のサンドルは穏やかで観察力に優れ、ルーデウスの魔術にも強い関心を示していたが、その視線には監視の意図も含まれていた。両者ともスペルド族に対する警戒を解いてはいなかった。

スペルド族への説明と説得

道中、ルーデウスはスペルド族の誠実さや友好性を繰り返し説明したが、兵士たちの不信は完全には拭えなかった。それでもルーデウスは、実際の姿を見せることで認識を改めさせる方針を崩さなかった。

地竜の谷の橋を越える

一行は地竜の谷に到達し、ルーデウスが作った橋を渡ることになった。ガリクソンは迷わず先行し、サンドルは恐怖を見せながらも続いた。こうして一行は谷を越え、スペルド族の村へ向かった。

スペルド村見学の開始

ルーデウスはガイドとして兵士たちを村へ案内し、ドーガが補佐した。村の生活を順に見せながら説明を続け、兵士たちに偏見を捨てさせようと試みた。

村の生活と透明狼の説明

村では日常の営みが穏やかに続いており、透明狼の解体を通して、スペルド族が危険な魔物を狩る役割を担っていることが示された。ルーデウスは疫病も人族に感染しないことを説明し、危険性がないことを強調した。

クリフとエリナリーゼの存在

診療所ではクリフとエリナリーゼが調査を続けていた。ルーデウスは彼らを紹介し、ミリス教にも魔族を受け入れる立場の者がいることを伝え、兵士たちの不安を和らげた。

子供たちとオルステッドの影響

村の子供たちの無邪気な姿を見せることで、ルーデウスはスペルド族の平穏さを印象づけた。しかし兵士たちはオルステッドの存在に警戒したため、ルーデウスは彼が無害であると説明した。その結果、相対的にスペルド族がより普通の存在として認識されるようになった。

族長との会談

族長と長老、ルイジェルドが同席する場で、スペルド族は自らの歴史と現状、そして平穏に暮らしたいという願いを率直に語った。会談は穏やかに進み、対話による理解が深まっていった。

兵士たちの認識の変化

会談と村の見学を経て、兵士たちは次第に態度を軟化させた。最終的にサンドルは事実をそのまま国王に報告すると約束し、ルーデウスは手応えを感じた。

見学ツアーの成功

夜、兵士たちは村の印象を率直に語り、想像よりも普通で穏やかな場所であると認めた。透明狼の存在も信憑性を持って受け止められ、見学は成功に終わった。

帰還と今後の思案

翌日、兵士たちは早急な報告のため帰還を選び、ルーデウスはそれに同行した。スペルド族問題の進展を確認しつつ、今後の焦点がギースや北神へ移ることを意識していた。

橋での異変と正体の露見

地竜の谷で、ガリクソンとサンドルは突如指輪を外し正体を現した。ガリクソンは前剣神ガル・ファリオン、サンドルは北神カールマン三世アレクサンダーであり、最初からルーデウスを欺いていたことが明らかとなった。

狭所での奇襲と両腕切断

二人は橋という狭所を利用し、ルーデウスの行動を封じた。ガルの斬撃によりルーデウスは両腕を切断され、魔術による反撃を封じられた。

逃走の失敗と落下

ルーデウスは魔導鎧を起動して逃走を試みたが、追撃と橋の崩壊によって谷底へと落下した。最後に敵の姿を視界に捉えたまま、意識を失った。

敵側の判断と撤退

ガルとアレクサンダーは谷底への追撃を検討したが、生存は困難と判断して放棄した。目的であった最大の障害の排除は達成されたと見なし、次の標的であるオルステッドへ意識を向けた。

作戦継続と不穏な余韻

二人は計画の継続を確認しながらその場を去った。崩れた橋と静寂だけが残り、ルーデウスの生死は不明のまま事態は新たな局面へと移行した。

第十話「消失」

ファリアスティアの業務と責任

魔法都市シャリーア郊外の事務所では、長耳族の少女ファリアスティアが通信石版の内容を書き写し、不在のルーデウスやオルステッドに代わって情報整理を担っていた。彼女には、緊急性が高いと判断した情報を独断で他の通信石版へ転送する権限も与えられており、実務上の責任者として働いていた。

重要情報の転送判断

ファリアはシルフィエットから届いた連絡を確認し、その内容をスペルド村やイレルへ送るべきか思案していた。神や王に関わるような重大情報の重みを測りかねながらも、最終的には転送を決断した。彼女がこの役職に就いていたのは、アイシャが情報処理能力と信頼性を見込んで選んだからであった。

鬼族の襲来と事務所の崩壊

通信作業の最中、ファリアの背後に巨大な鬼族が現れた。鬼族はオルステッドの居場所を尋ねた後、戦う意思の有無を確認し、ファリアが敵ではないと知ると、通信石版を壁ごと破壊した。さらに彼女を事務所の外へ放り投げ、そのまま建物を徹底的に破壊していった。

逃走すらままならぬ恐怖

ファリアは地面に叩きつけられながらも逃げようとしたが、体は思うように動かず、転びながら離れることしかできなかった。背後では轟音とともに事務所が瓦礫へ変わっていき、彼女はやがて逃げることも忘れ、ただその光景を呆然と見つめるしかなかった。

転移魔法陣の消失

鬼族の襲撃が終わった後、ファリアは助けが来るまで祈るようにその場に留まり続けた。この襲撃の結果、ルーデウスが設置していたすべての転移魔法陣は機能を停止し、同時に通信網も断たれることとなった。

第三都市ヘイレルルでの情報収集

その頃、ロキシーとエリスは第三都市ヘイレルル近郊で行動していた。本来この地は鬼ヶ島との海域を支配して漁業で栄えていたが、現在は鬼族の男衆が漁をやめ、戦闘準備を進めていたため、物資不足が起きていた。鬼神マルタが第二都市イレルにいるという情報も掴んでおり、二人はそれをルーデウスへ伝えるため洞窟の転移魔法陣へ向かっていた。

順調さの裏にある不安

スペルド族の回復や交渉成功の報告を受けていたため、全体としては順調に見えていた。しかしロキシーは、物事が順調な時ほど思わぬ破綻が起こるという経験則から、言葉にできない不安を抱えていた。エリスはルーデウスとの合流を望みつつも、まずは情報を届けることを優先していた。

魔法陣と通信石版の停止

洞窟へ到着した二人は、転移魔法陣の光が消えていることに気づいた。魔法陣自体に破損は見られず、外部から侵入された痕跡もなかったが、通信石版もまた反応を失っていた。二つの装置が同時に止まっている状況から、対となる装置側、すなわちシャリーアの事務所で異変が起こった可能性が高いと判断された。

シャリーア襲撃の可能性と動揺

ロキシーは、魔法都市シャリーアの事務所が襲撃されたのではないかと推測した。その瞬間、家に残された子供たちやリーリャ、ゼニスの安否が脳裏をよぎり、強い動揺に襲われた。しかしエリスは、シルフィが家を守ると語っていたことや、ペルギウスの配下、傭兵団、魔法大学関係者など、まだ頼れる戦力が残っていることを挙げて冷静さを保とうとした。

ルーデウスへの合流を優先

二人は今すぐシャリーアへ向かう術がない現実を受け入れ、できることはルーデウスに情報を届けることしかないと結論づけた。不安を抱えたままでも、持っている情報を必要とする者へ渡すことが最優先と判断し、目的地をスペルド族の村へ定めて移動を開始した。

ルーデウス不在に焦るザノバ

一方その頃、ザノバは首都でルーデウスの帰還を待ちながら焦燥を募らせていた。交渉は成功したと報告されていたにもかかわらず、ルーデウス本人が戻らないことに強い違和感を覚えたのである。討伐隊の出発も迫っており、待つべきか動くべきかを短く迷った末、真相を確かめに行く決断を下した。

転移魔法陣停止の確認

ザノバはジンジャーとジュリを連れて転移魔法陣の設置地点へ急行した。そこで魔法陣も通信石版も光を失っていることを確認し、シャリーアの事務所に異変が起きたと即座に判断した。

救援手段の模索と断念

ザノバは龍の文様が刻まれた金色の笛で助力を求めようとしたが反応はなかった。さらに七大列強の石碑を使った連絡手段も模索したが、近くには存在していなかった。そのため外部からの即時支援は期待できないと悟った。

スペルド村への強行移動

援軍を当てにできない以上、自ら動くしかなかった。ザノバは第二都市イレルを経由せず、敵の拠点があるとすればそこだと見て、直接スペルド族の村へ向かう方針を定めた。こうして各地の仲間たちは、それぞれ異変を察知しながら、少しずつスペルド族の村へ収束し始めたのであった。

無職転生 23巻レビュー
無職転生 全巻まとめ
無職転生 25巻レビュー

無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ シリーズ

小説版

無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 1の表紙画像(レビュー記事導入用)
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 1
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 2の表紙画像(レビュー記事導入用)
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 2
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 3の表紙画像(レビュー記事導入用)
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 3
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 4の表紙画像(レビュー記事導入用)
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 4
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 5 巻の表紙画像(レビュー記事導入用)
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 5 巻
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 6 巻の表紙画像(レビュー記事導入用)
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 6 巻
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 7 巻の表紙画像(レビュー記事導入用)
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 7 巻
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 8 巻の表紙画像(レビュー記事導入用)
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 8 巻
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 9 巻の表紙画像(レビュー記事導入用)
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 9 巻
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 10 巻の表紙画像(レビュー記事導入用)
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 10 巻
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 11 巻の表紙画像(レビュー記事導入用)
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 11 巻
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 12 巻の表紙画像(レビュー記事導入用)
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 12 巻
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 13 巻の表紙画像(レビュー記事導入用)
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 13 巻
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 14 巻の表紙画像(レビュー記事導入用)
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 14 巻
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 15 巻の表紙画像(レビュー記事導入用)
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 15 巻
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 16 巻の表紙画像(レビュー記事導入用)
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 16 巻
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 17 巻の表紙画像(レビュー記事導入用)
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 17 巻
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 18 巻の表紙画像(レビュー記事導入用)
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 18 巻
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~19の表紙画像(レビュー記事導入用)
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 19 巻
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~20 (1)の表紙画像(レビュー記事導入用)
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 20 巻
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 21 巻の表紙画像(レビュー記事導入用)
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 21 巻
無職転生22の表紙画像(レビュー記事導入用)
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 22 巻
無職転生23の表紙画像(レビュー記事導入用)
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 23 巻
無職転生24の表紙画像(レビュー記事導入用)
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 24 巻
無職転生25の表紙画像(レビュー記事導入用)
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 25 巻
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 26の表紙画像(レビュー記事導入用)
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 26
無職転生 ~蛇足編~ 1の表紙画像(レビュー記事導入用)
無職転生 ~蛇足編~ 1
無職転生 ~蛇足編~ 2の表紙画像(レビュー記事導入用)
無職転生 ~蛇足編~ 2
無職転生 ~蛇足編~ 3の表紙画像(レビュー記事導入用)

漫画版

無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 11の表紙画像(レビュー記事導入用)
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 11
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 12の表紙画像(レビュー記事導入用)
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 12
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 13の表紙画像(レビュー記事導入用)
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 13
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 14の表紙画像(レビュー記事導入用)
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 14
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 15の表紙画像(レビュー記事導入用)
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 15
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 16の表紙画像(レビュー記事導入用)
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 16
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 17の表紙画像(レビュー記事導入用)
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 17
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 18の表紙画像(レビュー記事導入用)
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 18
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 19の表紙画像(レビュー記事導入用)
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 19
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 20の表紙画像(レビュー記事導入用)
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 20

その他フィクション

フィクション あいうえお順の表紙画像(レビュー記事導入用)
フィクション あいうえお順

Share this content:

コメント

タイトルとURLをコピーしました