【いせれべ】異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する18感想・ネタバレ

【いせれべ】異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する18感想・ネタバレ

Table of Contents

物語の概要

本作は、異世界と現実世界の双方で無双する少年・天上優夜の活躍を描く、異世界転生×現代ファンタジー作品である。第18巻では、未来世界で人類を虐げていた機神を討伐し、現代へ帰還した優夜が、王星学園の仲間たちとクリスマスパーティーを楽しむ姿が描かれる。しかし、国家機関《特殊変異対策局》が彼の正体に迫り、未曾有の災厄が彼らに襲いかかる。平穏な日常と非日常の脅威が交錯する中、優夜の新たな戦いが始まる。

主要キャラクター

  • 天上優夜:本作の主人公。幼少期からのいじめを乗り越え、異世界でチート能力を手に入れた少年。異世界と現実世界の両方で無双する存在。

物語の特徴

本作は、異世界と現実世界を行き来する主人公が、両世界で無双するというユニークな設定が特徴である。第18巻では、未来世界での戦いを経て現代に戻った優夜が、日常生活と非日常の脅威に直面する様子が描かれる。クリスマスパーティーという平穏なイベントと、国家機関からの接触という緊張感が交錯し、読者を引き込む展開となっている。

書籍情報

異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する 18 ~レベルアップは人生を変えた~
著者美紅 氏
イラスト桑島黎音 氏
レーベルファンタジア文庫
出版社KADOKAWA
発売日:2025年5月20日
ISBN:9784040758886

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あらすじ・内容

未来世界をも無双した少年――次は万民を幸福で満たす《聖徒》となる。
人類滅亡の危機に瀕した未来世界にて、非道なる【機神】を征討した天上優夜。平和な現代へと帰還した優夜を待ち受けていたのは……王星学園の仲間たちとのクリスマスパーティー!
超豪華な饗宴の幕が開く中、突然、優夜に課せられた急務は……サンタクロースになって、街中にケーキを配達すること!?
その裏では……秘密裡に優夜の正体を調査していた国家機関《特殊変異対策局》がついに彼の元へと迫りつつあったが――
「こんな大規模な変異……彼がいたとしても危険すぎるわ!!」
――休暇を満喫する優夜たちに、未曾有の災禍が襲い掛かる!
天上優夜を取り巻く環境は、さらに混沌を極めていく――!!

異世界でチート能力を手にした俺は、現実世界をも無双する18 ~レベルアップは人生を変えた~

感想

今巻の中心は、王星学園でのクリスマスパーティーと温泉旅行であり、全体としては平穏な時間が多く描かれていた。
日常の延長線上にあるイベントであっても、キャラクター同士の関係が丁寧に描かれており、特に異世界出身者たちが現代文化に適応していく姿に自然な微笑ましさがあった。

パーティーではプレゼント交換やコスプレといった要素が盛り込まれており。
その一方で、突如として現れる「雪の精霊」や、未知の変異体の暗躍など、不穏な気配がじわじわと迫る構成は、作品がただの学園ものに収まらないことを改めて印象づけた。

優夜自身は、日常では仲間と気軽に接しながらも、いざ危機が訪れると迷いなく行動し、圧倒的な力を行使する。
そのギャップは毎巻ながらに魅力であるが、今回は特に「すべての能力が封じられた状態」での肉弾戦という制限付きの戦いが印象深い。
圧倒的な力だけでなく、観察眼や対応力によって勝利を導く様子に、主人公としての成長がうかがえた。

一方で、地球側の登場人物や組織──特に特殊変異対策局の存在や仮面の男の活動など、明らかに敵味方の境界が曖昧な存在が動き始めたことも見逃せない。
彼らの動きは、本来なら安心できるはずの現実世界に不穏な陰を落としており、異世界と地球の境界線が今後さらに溶け合っていく兆しを感じさせる。

総じて、本巻は派手な戦争や異世界の謎解きといった展開からやや距離を置き、登場人物たちの関係性を描き直す巻として機能していた。
それと同時に、地球側にも変異や脅威が確実に浸食してきていることが強調され、物語の次なる局面へ向けた静かな助走として成立していた。
穏やかさの中に漂う不気味さと、登場人物たちの無自覚な成長が印象に残る一冊であった。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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登場キャラクター

王星学園関係者

天上優夜

本作の主人公であり、異世界で得た力を現実世界でも活かして活躍している青年である。異世界出身者との関係も深く、周囲から一目置かれる存在となっている。
・王星学園の生徒
・家庭科の授業で肉じゃがを作り、味覚によって他者を圧倒した
・猛吹雪の精霊と単独で交戦し勝利を収めた
・スキー場における異常気象を解決し、政府関係者とも接触した

宝城司

王星学園の理事長であり、優夜たちの動向を把握する立場にある人物である。政府関係者からの要請にも対応する裁量を持つ。
・王星学園理事長
・光明院佑月の転入に際し、政府からの要請により受け入れを決定した

喜多楽

王星学園の生徒会長であり、芸能科創設に向けた広報活動を計画した人物である。優夜たちを巻き込む形で旅行企画を実行した。
・生徒会長
・温泉旅館での取材旅行を主導し、プロモーション用の撮影を仕掛けた

光明院佑月

政府筋の要請により王星学園へ転入してきた生徒であり、光明院家に属する。優夜に対して敵意と関心を抱いていたが、その背景には複雑な事情があった。
・王星学園転入生
・祓力を用いた勝負で優夜に挑み続けたが敗北を重ねた
・家族からの命令で優夜の力を探る立場に置かれていた

安家先生

王星学園の家庭科担当教師であり、生徒の自主性を重んじる姿勢を見せる。料理対決では審査員を務めた。
・王星学園の教員
・優夜の肉じゃがを試食し、涙を流すほど感動した

佳織

優夜の同級生であり、彼の周囲の人物の中でも特に強い信頼関係を築いている。家庭的な一面を持ち、イベントでは中心的な役割を果たした。
・王星学園の生徒
・クリスマスパーティー会場を自宅で提供し、準備の中心を担った
・スキーでは初心者だったが努力して滑れるようになった

優夜のクラスメイトであり、落ち着いた性格の持ち主である。クリスマスでは手編みのセーターをプレゼントした。
・王星学園の生徒
・異世界出身者とも積極的に交流した
・スキー旅行に参加し、寒さの中で体調を崩しかけた

王星学園の生徒であり、真面目な性格で周囲をたしなめる立場に立つことが多い。ビンゴ大会ではマッチョなカレンダーを贈った。
・王星学園の生徒
・クリスマス会では参加者の調整や進行に貢献した

慎吾

明るく社交的な性格の男子生徒であり、パーティーではクマのぬいぐるみを受け取った。異世界出身者とも打ち解けた様子が描かれた。
・王星学園の生徒
・プレゼント交換では漫画詰め合わせを贈った

学園内での友人関係を築いており、パーティーではユーモラスなアイテムを選択した。
・王星学園の生徒
・プレゼント交換でマーライオン型のティッシュケースを用意した

雪音

控えめな性格の女子生徒であり、魔除けの木彫り人形をプレゼントとして選ぶなど、独自の視点を持つ。
・王星学園の生徒
・ビンゴ大会ではムートン手袋を受け取った
・スキー旅行では体力的に遅れがちだったが、皆に支えられて行動した

異世界出身者

レクシア

異世界アルセリア王国の王女であり、誇り高く奔放な性格の持ち主である。地球文化にも興味を持ち、服装や恋愛感情に関して自由奔放に振る舞う姿勢を見せた。
・アルセリア王国王女
・クリスマスパーティーではドレス調のサンタ衣装を着用
・佳織や楓を恋愛のライバルと見なし、優夜への好意を公言した
・女子風呂では騒動の中心となり、ルナに制止された
・枕投げでは他者を巻き込み、混乱を拡大させた

ルナ

異世界から来た神族の少女であり、冷静かつ理性的な判断力を持つ。優夜との信頼関係が厚く、行動面でも彼を支えていた。
・異世界出身の神族
・優夜と共に猛吹雪の中で魔法封印の影響を受けた
・防寒具の準備や状況分析など、現場での判断を行った
・女子風呂ではレクシアの暴走を制止し、騒動を収めた
・恋愛感情を自覚し、他の女子と共に優夜への好意を示した

ユティ

異世界の武人であり、純粋で無垢な性格が特徴である。感情の定義に疎い一方で、優夜への信頼は強く、他者よりも深い安心感を感じていた。
・異世界出身の戦士
・巨大ぬいぐるみを強く欲しがるなど無邪気な行動を見せた
・恋愛の定義は理解していないが、優夜と共にいることに安心感を抱いていた
・枕投げに参加し、佳織の剛腕に圧倒された

メルル

異星の科学者の娘であり、知識と技術に優れる一方、恋愛感情には疎い。優夜への恋心はまだ曖昧だが、父親からの指示により強く結びつく未来を期待されている。
・異世界出身の高知能者
・クリスマスパーティー用の衣装を自作し、宇宙技術を応用していた
・パーティーでは漫画詰め合わせに興味を持ち、娯楽を楽しんだ
・枕投げにも参加し、騒動を体験した
・恋愛感情を自覚しきれていないが、優夜の子を持つよう言われていることを告白した

オーマ

異世界から地球に来た存在で、知性と威厳を持つが地球文化には疎い。人間界の生活に興味を抱き、旅館料理に強い関心を示した。
・異世界から来た魔物
・旅館の料理を冥子に要求したが、再現できないと知り落胆した
・空夜との対話で人間文化の興味を深めた

空夜

オーマの側近的存在であり、現状を冷静に見極めつつも、柔軟に人間社会へ順応しようとする姿勢を見せた。
・異世界から来た魔物
・オーマと共に生活し、旅館料理を評価した
・冥子に対して「優夜に連れて行ってもらう」という提案を行った

クロ

優夜の中に潜む存在であり、「邪」と呼ばれる力の顕現である。普段は姿を見せないが、必要に応じて思考を共有する存在である。
・異世界的存在で、優夜の内在する力の一部
・長期間眠っていた理由が不明と語られた
・温泉で優夜と会話し、今後の異変の前兆として描写された

特殊変異対策局

隠岐日輪子

政府直属組織【特殊変異対策局】の局長であり、強大な戦闘力と極端な個人主義を併せ持つ人物である。優夜に対して強い関心を抱き、接触機会をうかがっていた。
・特殊変異対策局 局長
・現場対応においてレベル3および4の変異体を短時間で鎮圧した
・優夜の存在を事前に把握し、現地で直接接触を図った
・異世界出身者であるルナの正体を瞬時に見抜いた
・優夜を「そのうちどうにかする予定」と独自に評価していた

光明院家

光明院輝義

祓力を用いて異形と対峙する家系の長であり、佑月の父親である。徹底した実力主義を貫き、娘を感情や人格よりも道具として扱っている。
・光明院家の当主
・優夜の観察を命じ、手段を問わず彼の力を引き出すよう佑月に命令した
・星読みの判断を否定し、佑月に厳しい姿勢で接した
・佑月の性別や意志を無視し、家の使命を最優先した

スタープロダクション関係者

オリヴィア

世界的に有名な女優であり、王星学園芸能科の特別講師として招聘された人物である。過去に優夜と接触したことがあり、彼に特別な興味を持っている。
・スタープロダクション所属の著名女優
・芸能科設立に際し、特別講師として参加を表明した
・優夜と再会するために講師職を引き受けた

リック

ハリウッド系の映画監督であり、優夜の存在を知って王星学園芸能科の講師として自ら立候補した。協調性には乏しいが、行動力と影響力を持つ。
・映画監督
・オリヴィアと共に来日し、芸能科に関わる意思を示した
・優夜を「面白い存在」と評し、学園内での接点を求めて動いていた

洋菓子店関係者

洋菓子店でアルバイトをしている少女であり、優夜の友人でもある。クリスマス当日は人手不足により多忙を極めていたが、優夜の協力により業務を乗り切った。
・洋菓子店のスタッフ
・クリスマス当日に優夜の手助けを得てケーキ配達業務を遂行した
・優夜と信頼関係を築いており、仕事面でも彼を推薦した

甘井

洋菓子店の店長であり、優夜を臨時の配達員として採用した人物である。最初は戸惑いを見せたが、結果的に優夜の働きに深く感謝した。
・洋菓子店の責任者
・優夜の業務能力に驚き、後日アルバイトとしての雇用を提案した
・常連客からの信頼が厚く、地域の評判を気にかける性格である

自宅組の魔物

ナイト

優夜の従者的存在であり、家庭内の秩序維持を担っている。仲間同士の騒動が発生した際には冷静に仲裁に入る役割を果たした。
・優夜宅に住む魔物
・アカツキたちの喧嘩を収め、場の混乱を防いだ
・日常生活においても理性的な行動を見せている

アカツキ

活発な性格であり、他者との距離が近く、トラブルの火種となることが多い。ステラとの喧嘩をきっかけに騒動を引き起こした。
・優夜宅に住む魔物
・ステラの尻尾を踏んだことが発端で騒動を引き起こした
・結果としてナイトの介入を受け、静止された

シエル

反応が素早く、感情の起伏が激しい性格である。アカツキとステラの喧嘩に巻き込まれ、騒動の拡大に加担した。
・優夜宅に住む魔物
・喧嘩に介入し、結果として混乱を助長した

ステラ

見た目は猫だが、能力を持った存在である。アカツキに尻尾を踏まれたことに怒り、攻撃的な行動を取った。
・優夜宅に住む魔物
・アカツキに反撃し、騒動の一因となった

ドン

体が大きく力も強いため、状況次第で被害が拡大する要因となる。仲裁されるまで暴走気味であった。
・優夜宅に住む魔物
・騒動の最中に暴れ、ナイトに制止された

冥子

主に家事や雑務を担当する魔物であり、料理や日常管理に従事している。オーマの要求には対応できず、代替案を提示した。
・優夜宅に住む魔物
・オーマに旅館料理の再現を求められたが、対応不可能と判断
・代案として優夜に頼むよう進言した

アルセリア王国

アーノルド

アルセリア王国の国王であり、レクシアの父親である。娘への溺愛ぶりが強く、異世界への介入を本気で考えるほどである。
・アルセリア王国の現国王
・レクシアが帰国しないことを嘆き、異世界渡航を検討した
・宰相の制止を受け、無理難題を語りながらも寂しさを隠せなかった

オーウェン

アーノルドに仕える宰相であり、現実的な判断と諫言を行う人物である。王の暴走を止める役割を担っていた。
・アルセリア王国の宰相
・異世界渡航を主張するアーノルドを諫めた
・理知的な判断で国政の均衡を保っている

展開まとめ

プロローグ

隠岐局長の奇行と執着

特殊変異対策局の局長・隠岐日輪子は、天上優夜との再会に向けて衣装選びに没頭していた。彼女は自身の魅力を最大限に引き出す服装を選ぶことに集中し、現実的な判断力を欠いた格好を試しては悦に入るという異常なまでの執着を見せていた。この行動の裏には、優夜と二人きりになれるという根拠のない期待があり、仕事を忘れて私的欲望に没入する姿が描かれていた。

新たな転校生・光明院佑月の登場

王星学園理事長・宝城司のもとに現れたのは、中性的な容姿を持つ光明院佑月という転校希望者であった。書類上は申し分ない成績を有していたが、理事長はその背景に違和感を覚えた。さらに、政府から佑月に便宜を図るよう要請が入ったことで、彼の素性がただ者ではないと確信される。一方で、明確な問題が見当たらない以上、理事長は転入を受け入れざるを得なかった。

平穏な日常と転校生の噂

優夜はクリスマスパーティーや旅行の計画に心躍らせながら、久々に穏やかな学園生活を過ごしていた。そんな中、クラス内では転校生の噂で賑わっていた。友人たちは転校生が男子であることを興味深く語り、優夜との関係性を冗談交じりに詮索するが、優夜自身には心当たりがなかった。皆の関心が集まる中で、転校生が男子であるという情報が共有され、期待と不安が入り混じった空気が流れていた。

生徒会長・喜多楽の密かな計画

生徒会長・喜多楽は、優夜たちを自らの実家が運営する旅館に招待するという旅行計画を進めていた。その裏には、スクールアイドルの雑誌記事用の撮影や芸能科創設を見越した戦略が含まれていた。撮影計画はスタープロダクション社長と秘密裏に調整され、優夜たちには撮影の事実を伏せたまま進行していた。喜多楽は卒業を控える中、最後の大仕事として一連の計画に力を注いでいた。

佑月との初対面と衝突

昼食の場で、優夜はついに光明院佑月と対面する。佑月は周囲の女子を惹きつける気品ある美貌と態度を持ち、初対面で優夜に冷淡な評価を下した。彼は優夜に対し期待外れだと公言し、冷たく立ち去っていった。突然の否定に困惑する優夜だったが、友人たちの励ましによって気持ちを持ち直し、午後の授業へと向かった。

女子たちのクリスマス計画

一方その頃、レクシアやルナたちは楓や凜と昼食を共にしながら、クリスマスパーティーの企画に参加することを決めていた。日本文化に馴染みの薄い彼女たちは、パーティーやプレゼント交換に興味を示し、自らもプレゼントを準備することにした。これにより、異世界から来た面々も含めた多文化な交流が進むこととなった。

第一章  優夜 VS転校生?

光明院佑月の報告と不信感

転入直後、光明院佑月は優夜と対面した後に落胆し、父・光明院輝義が注目するほどの人物には見えなかったと断じた。佑月が属する光明院家は怪異を祓う一族であり、妖力や霊力などの修練を積んだ選民としての自負が強かった。佑月は優夜の力の片鱗を感じられなかったことに失望し、一般人同然だと見下した。しかし、輝義の命令により一か月間の観察を続ける必要があり、場合によっては自身の力を見せて優夜の覚醒を促すという方針を固めた。

スタープロダクションによる密着取材と広報戦略

一方、スタープロダクションでは、優夜たちの旅行に密着する形での取材計画が進行していた。取材はスクールアイドルの休日をテーマに雑誌で紹介される予定であり、芸能科創設を控えた王星学園の広報活動の一環でもあった。これにより、一般認知の乏しい芸能科の認知度を高める狙いがあった。さらに、優夜と縁のある人物が特別講師として招聘されることも決定し、プロダクション内では驚きと共に情報公開の方針が協議された。

裏社会の暗躍と不穏な実験の始動

同時期、正体不明の複数の影が集い、危険な実験を行う計画が進められていた。彼らは特殊変異対策局や光明院家の存在を把握しながらも、それらを脅威と見なさず、自らの長年の研究成果に絶対の自信を持っていた。実験場所として、念の宿る山間地や廃墟が選定され、準備が始まっていた。また、特変や光明院家が探る「最重要人物」の存在が囁かれ、その正体を探る動きも進行していた。

プレゼント選びと異文化適応

レクシア、ルナ、ユティ、優夜の四人は、クリスマスパーティーのプレゼント交換のため買い物に出かけた。地球文化にすっかり馴染んだ彼女たちは現代風の服装で街に溶け込み、それぞれ個性的な買い物を楽しんだ。プレゼントに悩む優夜は、最終的にマグカップ、アロマキャンドル、石鹸という実用的かつ気の利いた品を選んだ。

ユティの無邪気な欲望と理性の制止

ユティは巨大なクマのぬいぐるみに強く惹かれ購入を希望したが、高額な価格により断念。彼女の言動からは人間離れした力と純粋さが共存していることが伺えた。優夜は自身の持つ能力「神威」で、気配を察知する力が異常に高いことを再認識し、彼女たちとの関係にも深い結びつきを感じた。

コスプレショップでの騒動と新たな波乱

買い物の途中でレクシアの興味により一行はコスプレショップへと足を踏み入れた。ナース服やバニーガールといった際どい衣装を試す中、レクシアは衣装の購入を決意し、クリスマスパーティー用のコスチュームとして使用する構想を明かした。ルナは困惑しつつも巻き込まれ、ユティは傍観的な姿勢を貫いた。さらに楓たちも優夜に衣装を用意しているという情報が明かされ、事態は思わぬ方向に進んでいった。

レクシアの強引な提案と優夜の受難

レクシアの主導で、パーティー衣装の購入が既定路線となり、ユティやルナ、さらには優夜まで巻き込まれる形となった。彼女の強引な提案に誰も逆らえず、プレゼント交換から派生した衣装騒動は、穏やかな日常に新たな波紋を広げていった。

転校生・佑月の人気と優夜への敵意

転校生・光明院佑月は、授業でも運動でも圧倒的な成績を収め、生徒たちの注目の的となっていた。特に女子生徒からの人気が高く、「佑月様」と呼ばれるなど貴公子としての地位を築いていた。一方で、彼は優夜に対して冷淡な態度を取り続けており、その理由は一切明かされなかった。優夜自身には心当たりがなく、困惑するばかりであった。

ドッジボール対決と謎の力

佑月との合同体育授業で、優夜たちのクラスはドッジボールの対抗戦に臨むことになった。佑月は圧倒的な身体能力で次々と相手を倒し、晶を吹き飛ばすなど異様な力を見せつけた。優夜はその中に妖力や霊力に近い気配を感じ取り、佑月が普通の人間ではないことを察知した。だが、優夜は特殊な力を用いることなく、自身の身体能力だけで佑月の剛速球を受け止め、反撃で佑月をアウトに追い込んだ。この勝利により、優夜たちのクラスが試合に勝利した。

佑月の敗北と探る視線

佑月は自身の『祓力』を用いての戦いに敗れたことに納得がいかず、優夜が何らかの特別な力を持っている可能性を考えた。佑月の中で優夜への関心はさらに強まり、観察と探りの視線が増していった。一方、佳織はクリスマスパーティーに向けて自宅の模様替えを進めており、大理石の彫刻や胸像を集めた結果、美術館のような空間を作り上げてしまった。最終的に彫刻をすべて撤去することで落ち着いたが、その過程は完全に混乱状態であった。

家庭科での新たな対決

再び佑月のクラスとの合同授業が行われ、今度は家庭科であった。優夜は静かに授業を受けようとしていたが、佑月は突然、優夜との料理対決を申し出た。安家先生は佑月の目を見た直後に対決を許可しており、優夜は不可解な展開に巻き込まれる。ルナの観察により、佑月が先生に対して一瞬だけ思考を誘導するような力を使っていたことが明かされた。

力の本質と対抗心

ルナとの会話の中で、佑月が持つ力が思考誘導系である可能性や、佑月の優夜への対抗心がその行動の動機となっていることが示唆された。また、優夜自身も神の力「神威」を持っており、思考操作どころか洗脳すら可能であるにもかかわらず、それを悪用しない性格にルナは不思議さを感じていた。対決の意義は不明瞭であったが、優夜は自らの正しさと実力で、再び佑月に立ち向かう覚悟を固めた。

圧巻の調理技術と佑月の挑発

家庭科の調理実習が進む中、優夜は空中で野菜を切るという超人的な技を見せ、注目を集めた。一方で佑月は、和牛のロティに赤ワインソースを添えた高級料理を完成させた。これには周囲も驚嘆し、佑月は料理の技量だけでなく食材選びから勝負が始まっていると勝ち誇った態度を見せた。彼の自信の根拠には、幼少期から高級料理を学び、日常的に一流の食に親しんでいた背景があった。

肉じゃがと審査の逆転劇

優夜が出した料理は、家庭的な「肉じゃが」であった。佑月はその見た目に落胆し、勝負にならないと切り捨てたが、安家先生は試食を希望した。すると、優夜の肉じゃがはその味と温かみによって先生を感動させ、涙を流しながら絶賛された。続いて佑月も口にし、その美味に衝撃を受けた。最終的に審査は優夜の勝利となり、佑月は無言で教室を去った。

肉じゃがを囲む和やかな時間

料理対決後、クラスメイトたちはそれぞれの料理を囲んで食事を始めたが、優夜の肉じゃがに群がる者が続出した。楓やルナを筆頭に多くの生徒がその味に惹かれ、最終的に優夜自身が食べ損なう結果となった。肉じゃがという素朴な料理が、思わぬ形で絶大な評価を受け、優夜は戸惑いつつも皆の笑顔を喜んでいた。

家庭科授業の裏で進む日常の騒動

その頃、優夜の家ではアカツキたち魔物が平和に過ごしていた。アカツキは修行を指導する気分に浸っていたが、シエルの鋭い蹴りやドンの地震のような踏みつけに振り回されていた。さらには猫のステラにも弄ばれ、屋内での追いかけっこが始まる騒ぎとなった。

平和な家族と住居問題

屋敷内ではオーマと空夜が、家に増えすぎた仲間たちの数と住空間の問題について語り合っていた。物置部屋にある大量の収集物の存在が、引っ越しの障害となる可能性を示唆しつつも、空夜は楽観的な姿勢を崩さなかった。最終的に、掃除をしていたメイコにより屋内での騒動は叱責され、アカツキたちは静まることとなった。

授業の余波と佑月の退場

調理実習を終えた優夜は、佑月が無言で教室を後にしたことを思い出し、不思議な力で教員の思考を誘導したのではと推測した。彼の奇妙な行動と能力への疑念は深まりつつあったが、優夜はひとまず今回の騒動を無事に乗り切ることができた。

第二章  クリスマスパーティー

冬休み直前の日常と佑月の執拗な勝負

料理対決以降も佑月は優夜に執着し、次々と意味不明な勝負を挑んでいた。優夜は望まずとも全ての勝負に勝ってしまい、その結果さらに絡まれるという悪循環に陥っていた。しかし、冬休みの開始と共にその煩わしさから一時的に解放されることとなり、優夜は安堵と共に冬休みの始まりを楽しみにした。

特殊変異対策局の出動と異形との戦闘

一方、同時刻に人気のない廃墟では【特殊変異対策局】が出動していた。局長・隠岐日輪子のもとに、レベル3の変異の予兆が観測され、武装した職員たちが現場に集結した。現れたのは異形の巨大マネキンであり、他にもマネキンの叫びによって様々な異形の変異体が召喚された。

隠岐局長の圧倒的戦闘力と変異の殲滅

変異の数は多く、職員たちは苦戦を強いられたが、隠岐は素手で次々に変異を粉砕した。彼女は異形たちを軽視しながらも、手にした片刃のソードで巨大マネキンを瞬時に粉砕し、現場の変異を五分もかけずに殲滅した。彼女の圧倒的な戦闘力は職員たちを驚愕させたが、当人は優夜との再会時に着る服を選ぶことばかりを考えていた。

仮面の男の登場と変異の実験成功

隠岐たちが去った後、廃墟に現れたのは獣の仮面をつけた男であった。彼は今回の変異が思念により人工的に発生させられたものであり、実験としては成功だったと評価した。ただし持続性には欠けることを確認し、今後はより強力な変異の生成に注力する方針を語った。男は次なる変異の地へと移動し、暗躍を続ける意志を見せた。

佳織邸での豪奢なクリスマスパーティー準備

待ちに待ったクリスマスパーティー当日、優夜たちは佳織の大豪邸を訪れた。広大な敷地と美しい内装に圧倒される一同であったが、佳織は皆のために家具を片付け、大型のクリスマスツリーや飾りを用意していた。中には鹿の剥製まで登場し感性の違いに戸惑う場面もあったが、最終的には皆の持ち寄った飾り付けで和やかな準備が進められた。

ケーキの受け取りと優夜の移動

飾り付けを終えた後、注文していたケーキを受け取りに行く話となり、優夜が自ら名乗り出た。彼は転移魔法やアイテムボックスを活用することで、迅速に移動可能であったため、その役を引き受けることとなった。仲間たちはその間に部屋の家具を戻すなど、準備を分担して進めることになった。

佑月の帰省と光明院家の束縛

その頃、佑月は年末の帰省に向けて本家への移動を開始していた。光明院家の一族として育てられた彼は、家のために生きる存在として秘術により束縛されていた。王星学園で優夜たちと過ごす中で、初めて自由や他者との交流を経験した彼は、優夜の異常な才能に触れ、自らとの違いに葛藤していた。車内で彼は静かに物思いに耽りながら、再び家の規律へと戻っていった。

ケーキ受け取りと晶の窮地

優夜は佳織邸でのパーティー用に注文されたケーキを受け取りに、晶が働く洋菓子店を訪れた。店内はクリスマス当日ということもあり混雑しており、晶は一人で店内業務をこなしていた。加えて配達スタッフが不足していたため、晶は深刻な人手不足に悩まされていた。

配達支援の申し出と即戦力認定

状況を察した優夜は、自ら配達の手伝いを申し出た。店長の甘井は最初こそ躊躇したが、晶の強い推薦もあり、最終的に任せることとなった。優夜はサンタ衣装を身にまとい、アイテムボックスや魔力による補強を駆使して、多数のケーキを短時間で効率的に配達していった。

配達先での反応と空中移動

優夜は空を駆けて配達を行う中で、空を飛ぶ姿を一部の市民に目撃され、サンタと見間違えられることもあった。各家庭ではケーキを心待ちにしていた子どもたちや主婦たちから歓声を受け、特にその容姿や迅速な対応は好意的に受け止められた。

任務完了とスカウト提案

配達を終えて店に戻ると、予想以上の早さに甘井は驚いた。まもなく常連客からの確認電話が入り、優夜の迅速かつ確実な仕事ぶりが証明された。甘井は感激し、優夜に店舗でのアルバイトを提案するも、本人は辞退した。感謝の言葉とともにバイト代を受け取り、優夜はパーティー会場へと急いだ。

世界的講師陣の参入と学園の変化

一方その頃、スタープロダクションでは、芸能科新設に向けて世界的女優オリヴィアが特別講師として来日していた。さらに、映画監督リックも突如として現れ、優夜の存在を理由に講師参加を表明した。学園側の調整を待たずに事態は進行し、優夜を中心に学園の環境が大きく動き出していた。

パーティー会場でのコスプレ競演

優夜がケーキを持ち帰ると、会場では既に飾り付けが完了し、全員がコスプレ衣装に身を包んでいた。トナカイやクリスマスツリー、雪だるま、そしてソリの衣装まで用意されており、凜や雪音、楓、佳織、レクシアらがそれぞれに個性的な姿を見せていた。

優夜のサンタ姿と皆の反応

優夜も自身で購入していたサンタ衣装に着替えることとなり、レクシアらから期待を受けた。ミニスカートタイプのサンタ衣装に照れる佳織や楓、露出の多い衣装に戸惑う凜など、それぞれの反応が描かれつつ、華やかな雰囲気の中でパーティーは盛り上がりを見せていた。

それぞれの衣装と感性の違い

レクシアたちは高品質な衣装で揃えており、ドレス調のサンタ服やイルミネーション風のコスチュームが存在感を放っていた。一方で佳織らの衣装はやや安価ながらも工夫が感じられ、双方の衣装について褒め合う場面もあった。メルルは独自の宇宙技術で衣装を生成し、雪音は無難ながらも可愛らしい雪だるま衣装を選んでいた。

ソリの衣装と和やかな空気

優夜がサンタ姿に着替えることが決定すると、残念そうにする雪音の様子が描かれ、全員でのコスプレ完成が目前となった。ソリという奇抜な選択肢を回避したことで場が和み、パーティーは本格的に始まる気配を見せていた。全体として、華やかで騒がしくも温かいひとときが描かれていた。

サンタ衣装での登場とパーティー開始

優夜は佳織に案内された部屋でサンタ衣装に着替え、パーティー会場へと戻った。コスチュームはレクシアが選んだもので、ミリタリー風の要素が加えられた特別仕様であった。皆から称賛を受けた後、ビンゴマシーンを使ったプレゼント交換会のルールが説明され、乾杯の合図とともにクリスマスパーティーが始まった。

ビンゴ大会とプレゼント開封

ビンゴマシーンで進行するプレゼント交換では、最初にメルルがビンゴし、順次参加者全員にプレゼントが行き渡った。開封の合図と共に、それぞれが個性豊かな品物を手にすることとなり、喜びや驚きの声が飛び交った。

ユーモアと実用性が交錯する贈り物

亮が用意したのはマーライオン型のティッシュケースで、凜からはマッチョカレンダーと手帳のセットが贈られた。メルルは慎吾が選んだ漫画の詰め合わせに興味を示し、初めて手にした娯楽として満足を見せた。ルナは雪音が用意した魔除けの木彫り人形に戸惑いつつも、表情には興味の色を浮かべた。

想いのこもったギフトと交錯する感情

慎吾はユティの選んだクマのぬいぐるみを受け取り、その可愛らしさと触感に感動した。ユティ自身は楓が用意したセーターを手にして喜び、楓はルナから贈られたムートン手袋を大切に身につけた。雪音が受け取ったプレゼントは、メルルが宇宙から持ち込んだ鉱石で、パワーストーンとしての効能と壮大な伝説が明かされた。

日用品と感謝の贈り物

優夜は佳織から高級日用品の詰め合わせを受け取り、実用性と品質に大きな感動を覚えた。佳織も優夜の喜びに安堵し、微笑を浮かべた。レクシアは優夜が用意したマグカップと雑貨のセットを引き当て、大きく喜びを表した。

最後の開封と皆の満足

佳織が最後にプレゼントを開け、レクシアが選んだハンカチとポーチを受け取ったことで、すべてのプレゼントが開封された。ルナの助言も加わった選定に、佳織は感謝の言葉を伝え、パーティーは穏やかな空気の中で一区切りを迎えた。

王国に残された王の嘆き

一方、アルセリア王国では国王アーノルドが、年末にも帰ってこないレクシアに対し寂しさを募らせていた。宰相オーウェンは慰めようと試みるが、アーノルドは異世界に自ら赴くことを画策するなど、無理難題を口にしていた。異世界渡航の難しさを説かれても、レクシアへの未練を捨てきれない王の姿に、王国は平和であることが強調された。

第三章  慰安旅行

光明院家での報告と圧力

佑月は年末に実家へ帰省し、父・輝義に天上優夜の調査結果を報告した。優夜には「妖力」も他の異能も感じられなかったと述べたが、輝義はその報告に激怒し、星読みの判断を否定した佑月に強い圧力をかけた。輝義は優夜が力を隠していると判断し、佑月に彼と親密になり、その力の真相を探るよう命じた。さらに身体を使っても構わないと示唆し、佑月に対して当主としての期待と共に重圧を与えた。

特殊変異対策局とレベル4変異の予兆

特殊変異対策局の局長・隠岐は、優夜との接触を意識し着飾っていたが、突如、部下から「レベル4変異」の予兆発生を告げられた。レベル4は一国を滅ぼす可能性を持つ強大な存在であり、現場が雪山であることも判明した。そこは長年行方不明者や死者が多発する思念集積地であり、隠岐は自然そのものが変異化する事態を懸念し、緊急対応を指示して本部へと急行した。

スクールアイドルの慰安旅行と取材の罠

一方、優夜たちは喜多楽の計らいで温泉旅館を訪れた。和風の施設や雪景色に感動していたが、到着直後に取材クルーが現れ、プロモーション目的の撮影であると告げられた。喜多楽からの手紙により取材の事実が発覚し、皆が唖然とするも、カメラマンの配慮により大きな混乱は避けられた。

和やかなインタビューと温泉準備

旅館での取材は和やかに進行し、各メンバーがアイドル活動の苦労や想いを語った。未経験からのダンス習得や個々の成長が語られる中、優夜と佳織も補助者として質問を受け、控えめに対応した。インタビュー終了後、皆は夕食までの時間を使い、温泉に向かう準備を整えた。

男湯での語らいとクロの異変

優夜は貸し切りの露天風呂で景色を堪能していた。温泉で心身を癒やす中、内在するクロと久々に会話を交わした。クロは最近よく眠っていたことを明かし、邪の存在として本来必要のない睡眠を経験している理由が不明であると語った。しかし悪い予兆は感じておらず、何かの準備段階だと推測していた。

女子風呂での騒動とレクシアの暴走

同じ頃、女子組も露天風呂を楽しんでいた。だがレクシアの悪ノリにより、楓やメルルの胸に執着する騒ぎが発生し、ルナが制止に入る展開となった。外見を巡る言い合いの中、ユティが「見た目より中身が大切」と語り、場を落ち着かせたかに見えたが、レクシアは再び優夜との混浴を目論み、男湯へ向かおうとした。ルナは必死にこれを阻止し、レクシアを取り押さえて風呂から退出させることに成功した。

観察対象者の接近と特殊変異対策局の出動

隠岐率いる【特殊変異対策局】は、雪山でレベル4変異の予兆を確認し、現場への出動準備を進めていた。だが、変異地点に優夜および異世界人であるレクシアたちが滞在していることが判明し、対応が急がれた。彼らは観察対象者として注視されており、変異の力と異世界の力が接触する危険性が高まったため、局は現場への迅速な対応を決定した。

夕食前の準備と旅館での食事

一同が温泉を堪能した後、撮影スタッフにより浴衣姿の写真撮影が行われた。優夜は撮影を断ったが、他のメンバーは撮影に応じた。その後、旅館の宴会場に案内され、豪華な夕食が用意されていた。すき焼きや刺身、季節の小鉢が並ぶ中、皆が楽しげに食事を始めた。楓やメルル、ユティは料理の美味しさに感動し、レクシアも王族らしく上品に食事を進めた。

食後の余韻と深まる恋心

夕食後、優夜は自身の部屋に戻り、就寝した。その頃、レクシアたちは女子部屋で語らい、自然と話題は優夜への好意へと移った。レクシアは他のメンバーに優夜への恋心を問いかけ、楓や佳織、ルナもそれぞれが好意を抱いていることが明かされた。メルルはまだ自覚が曖昧ながらも、父からの命で優夜の子を求められていると打ち明け、場を騒然とさせた。

恋の自覚とライバル宣言

レクシアは楓や佳織をライバルとして認定し、恋愛競争の宣言を行った。ユティは「好き」という感情の定義を理解していなかったが、優夜と共にいると安心すると語り、他の者たちにとっても強力な存在感を示した。恋心をめぐる会話は盛り上がりを見せ、場の空気は一層和んでいった。

枕投げの勃発と混乱の宴

話の熱が高まる中、ルナがレクシアを制止するために枕を投げたことをきっかけに、枕投げが勃発した。レクシア、ルナ、楓、メルル、ユティ、佳織を巻き込み、戦場さながらの混戦となった。特に佳織は予想外の剛腕を見せ、戦闘経験豊富なルナとユティすら反応が困難な投擲を繰り出したため、脅威対象として狙われることとなった。

騒動の終息と就寝

最後には皆が疲労し、満足したまま眠りに就いた。騒がしくも平和な一夜を過ごした彼女たちは、翌日のスキーを控え、静かな夜を迎えることとなった。

第四章  レベル 4の変異

自宅組の平和な騒動とナイトの仲裁

優夜たちが旅館を訪れている間、自宅ではナイト、アカツキ、シエル、ステラ、ドンたちが思い思いに過ごしていた。平穏な時間が流れる中、アカツキがステラの尻尾を踏んだことをきっかけに喧嘩が勃発し、やがてシエル、ドンも巻き込んだ混乱へと発展した。最終的にはナイトが仲裁に入り、ドンを引き離して一件落着となった。

オーマの誤解と旅館料理への執着

騒動の様子を眺めていたオーマと空夜は、人間の平和な生活ぶりについて語り合った。その中で空夜が「旅館の料理は美味しい」と言及したことで、オーマは強く興味を示し、冥子に旅館料理を作るよう命じた。だが、材料や技術の問題でそれは不可能と判明し、落胆するオーマに冥子が「優夜に連れて行ってもらうよう頼もう」と提案したことで、事態は収束した。

スキー体験とヘヴンコースの挑戦

翌日、優夜たちは旅館併設のスキー場を訪れ、初心者ながらも各自がスキーやスノーボードに挑戦した。佳織を除く全員が短時間で滑走技術を身につけたが、佳織も努力の末に滑れるようになった。そんな中、優夜は上級者向けの「ヘヴンコース」に挑むこととなり、過酷な障害物と急勾配、ループ状のコースを見事に攻略して滑りきった。

山頂での絶景と突如の猛吹雪

滑走後、全員で山頂まで登って絶景を眺め、佳織はこの思い出が一生の記憶になると語った。しかし、直後に突如として猛吹雪が襲来し、皆は山小屋に避難した。天候の急変に違和感を抱きつつも、暖房が使用不能であることが判明し、全員は深刻な寒さに見舞われた。

魔法とスキルの封印、絶望の中の希望

優夜とルナは魔法や特殊能力での脱出を試みたが、すべての転移能力や神威、異世界扉までもが封じられていた。唯一使用可能なアイテムボックスから防寒具を取り出して寒さをしのいだが、効果は限定的で、佳織と楓は限界に達しつつあった。事態の深刻さに皆が絶望しかけたその時、優夜の耳に不気味な女性の声が届き、新たな展開の予兆が示された。

吹雪の異変と雪の精霊の顕現

優夜は山小屋で猛吹雪に閉じ込められた直後、不気味な女性の声を耳にした。周囲には聞こえておらず、それが自分だけに届く異常な存在であると悟った優夜は、真相を確かめるために猛吹雪の中へと飛び出した。すると、吹雪の中心に雪の羽衣を纏った白髪の女性が現れた。彼女は「自然の化身」と名乗り、自身が何者かも分からぬままこの地に現れたと語った。

力の封印と圧倒的な戦力差

女性は遊戯感覚で優夜に攻撃を仕掛け、氷の礫と猛吹雪による連続攻撃で彼を追い詰めた。優夜は神威や魔力を含むすべての力を封じられた状態で戦わざるを得ず、肉体能力だけで攻撃をかわし続けた。彼は女性に和解を求めるが拒絶され、逆に氷漬けにして収集品とするとの宣言を受けた。

全剣の無力と敗北の一歩手前

優夜はアイテムボックスから全剣を取り出し、吹雪や氷の礫に立ち向かった。だが、自然そのものと化した女性に対して斬撃は無力であり、女性は一切のダメージを受けなかった。吹き飛ばされ、地に倒れた優夜は、女性が発動する力の源が右手に集中していることに気づいた。

力の核の特定と反撃の一閃

女性が繰り出す全ての技が右手を中心としていること、攻撃時にも右腕を庇う様子を見た優夜は、右手に物理的実体があると判断した。彼は巨大な氷柱を斬り抜け、そのまま女性に接近して右腕を狙い、見事に斬り落とすことに成功した。この一撃に女性は狼狽し、吹雪と同化して姿を消したが、優夜はその力の核の位置を感知できるようになった。

無為の一撃と決着

空間全体を俯瞰するように集中した優夜は、ついに力の核を見つけ出し、『無為の一撃』を放った。この一閃により猛吹雪が斬り裂かれ、核もまた真っ二つにされる。女性はなおも吹雪の竜と化して反撃を試みたが、優夜は再び『無為の一撃』を横一文字に放ち、それを霧散させた。女性は人間に敗北したことを受け入れられぬまま力を失い、吹雪と共に消え去った。直後、空は晴れ渡り、異常気象は収束した。

エピローグ

光明院佑月の葛藤と自己否定

父・輝義との面談を終えた佑月は、自室に戻り、鏡の前で己の身体を見つめていた。女であることを父に否定され続けて育った佑月は、自身の存在意義が「優夜を手に入れるための道具」として認識されていることに気づき、深く傷ついた。彼女はその運命を自嘲しながら受け止め、静かにうつむいた。

謎の光の侵入と吹雪消失後の異変

猛吹雪の化身を撃破した優夜は、休息を取っていたが、突如として青白い光が体内に飛び込み、そのまま消えた。異常は感じられなかったが、原因不明の現象に困惑する中、ルナが小屋から駆け寄り、寒さの消失と天候回復を報告した。

特殊変異対策局との邂逅

直後、上空からヘリコプターが到来し、スーツ姿の謎の集団が山頂に降り立った。その中の女性──隠岐日輪子は、政府直属の組織【特殊変異対策局】の局長であると名乗り、優夜の名を事前に把握していた。彼女は優夜が戦ったような変異に対応する専門機関であることを説明し、ルナが異世界人であることまでも見抜いていた。

優夜への執着と撤収の提案

隠岐は優夜に対し強い関心を見せ、「いつか自分がどうにかする予定」と意味深な言葉を残す。だが、その場では敵意はなく、一行を救出しに来たという名目でヘリに案内した。こうして優夜たちは極限環境からの脱出に成功した。

仮面の男の暗躍と変異の観察

優夜たちの撤収後、空間に亀裂が走り、仮面をつけた男が現れた。男はレベル4の変異が倒された事実を確認し、割れた核を回収した。優夜の力が予想を超えていることを認識し、早期の対策が必要であると判断した。

芸能科創設に関する密談と新たな動き

同時期、王星学園では理事長・司が世界的女優オリヴィアと映画監督リックを迎えていた。二人は来年度開設される芸能科の特別講師として参画を申し出ており、その動機には優夜の存在が関わっていた。オリヴィアは彼との再会を望んでおり、着々と新たな布石が打たれていた。

PV

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ウサギ師匠!!!声が渋い!

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動くナイトがカワイイ!!

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アカツキもキュート!

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OP

逆転劇(月詠み)
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ED

ハチミツ(スガ シカオ)

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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