物語の概要
■ 作品概要
現代日本の平凡なサラリーマンが、異世界の弱小貴族アルス・ローベントとして転生する。
特別な武勇や魔力を持たないアルスだが、他者の能力を数値化して視覚化する「鑑定」スキルを武器に、乱世を生き抜くための人材収集を開始する。
アルスは身分や人種に捉われず、驚異的な潜在能力を持つリーツ、魔法の天才シャーロット、軍師候補のロセルを家臣に登用し、領地の地力を高めていく。
物語中盤、ミーシアン州の総督暗殺を機に継承戦争の影が忍び寄り、外敵サイツ州の侵攻という危機に直面する。この有事に際し、父レイヴンが難病「グライ病」を発症。
アルスは代理として出撃を試みるが、処刑を直視できない未熟さを露呈し、実戦の指揮権を父に譲る結果となる。
父の無理な出撃による戦勝と引き換えにレイヴンの病状は絶望的なまでに悪化し、転生12年目を迎えたアルスは次代の領主として家督を継ぐ覚悟を固める。
■ 主要キャラクター
ステータス: 政治77/100、知略45/73、野心80。おっとりとした外見に反し、極めて高い政治的野心(80)と外交交渉能力を併せ持つ。
アルス・ローベント
主人公。ローベント家の長男。前世のサラリーマン経験から自身を「凡人」と定義し、生存戦略として「鑑定」スキルによる人材収集に特化する。
レイヴン・ローベント
アルスの父。ランベルク領主。農民から成り上がった歴戦の武人。
ステータス: 統率86/86、武勇94/95、知略44/56、政治23/31、野心67。圧倒的な武勇を誇るが、政治力の低さが小規模領主に留まる要因となっている。
リーツ・ミューセス
差別されるマルカ人の少年。アルスの最初の家臣。
ステータス(14歳時): 統率87/99、武勇70/90、知略72/99、政治78/100、野心21。アルスが前世で愛好した歴史シミュレーションゲームの基準に照らし「信長級」と評する万能の天才。
シャーロット・レイス
スラム出身の元奴隷。アルスに魔法の才能を見出され買い上げられた少女。
ステータス(11歳時): 統率65/92、武勇93/116、知略34/45、政治31/40、野心1。適性「魔法兵S」を持ち、戦場で「ランベルクの青い死神」と称される絶大な火力を有する。
ロセル・キーシャ
狩人の三男。臆病な性格だが、知略限界値「109」という帝国屈指の頭脳を持つ。
ステータス(5歳時): 統率35/88、武勇11/32、知略45/109、政治32/95、野心21。適性「計略S」に加え「空軍A」という未知の可能性を秘めた軍師候補。
リシア・プレイド
トルベキスタ領主の娘で、アルスの許嫁。
書籍情報
転生貴族、鑑定スキルで成り上がる ~弱小領地を受け継いだので、優秀な人材を増やしていたら、最強領地になってた~
著者:未来人A 氏
イラスト:JIMMY 氏
出版社:講談社(Kラノベブックス)
発売日:2020年7月2日
ISBN:9784065204221
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あらすじ・内容
優秀な人材を配下にして、この領地の力を強くしよう!
アルス・ローベントは転生者だ。 卓越した身体能力も、圧倒的な魔法の力も持たないアルスだが、 「鑑定」という、人の能力を測るスキルを持っていた!
転生貴族、鑑定スキルで成り上がる ~弱小領地を受け継いだので、優秀な人材を増やしていたら、最強領地になってた~
ゆくゆくはローベント家の長男として家を継がねばならないアルスは、 鑑定スキルを使い、有能な人物を出自に関わらず取りたてていく。
「類い稀なる才能を感じたので、私の家臣になってほしい」 アルスが取りたてた有能な人材が活躍し、 大志は燃え上がる――!?
アニメ化?
感想
主人公アルス・ローベントは、異世界の弱小貴族に転生した元サラリーマンである。
本人に圧倒的な武力や魔法があるわけではない。
その代わり持っているのが、人間の能力を数値で確認できる「鑑定」。
統率。
武勇。
知略。
政治。
さらに兵科適性や野心まで見える。
歴史シミュレーションゲームみたいで分かりやすい。
そして乱世が近づいていると知ったアルスが考えたのが、
「自分が強くないなら、強い人を集めればいい」
という方法だった。
これが実に合理的である。
ところが集める人材が、
万能型のリーツ。
魔法火力がおかしいシャーロット。
知略109のロセル。
政治100のリシア。
……弱小領地の人材じゃないだろw
差別されていたリーツを鑑定したら信長級。そりゃ絶対に逃がせない
最初にアルスが見つける大物が、マルカ人のリーツ・ミューセスである。
この世界ではマルカ人に対する差別が強く、リーツも店から追い出され、仕事にも就けず、ほとんど行き倒れ寸前だった。
アルスも最初は軽い気持ちで鑑定しただけ。
ところが表示された能力が、
統率99。
武勇90。
知略99。
政治100。
ほぼ全部90以上まで育つ。
アルス、
「信長だ!!」
いや、分かる。
こんなの見つけたら絶対に確保するわ。
父レイヴンですらマルカ人を家臣にすることには反対するが、アルスは才能があるから試してほしいと食い下がる。
結果、リーツはレイヴンとの模擬戦で一太刀を入れ、家臣になる。
ここで印象に残ったのは、アルスが身分や人種ではなく能力を見ているところである。
もちろん鑑定という反則技があるからできることではある。
ただ、
「マルカ人だから駄目」
ではなく、
「能力があるなら採用」
と判断できるのは強い。
そして後にリーツは成長し、戦場では「ランベルクの残酷鬼」と呼ばれるほどになる。
本人、
「特別残酷なことをした覚えは……」
となりそうな異名なのが面白い。
名前だけ聞いたら完全に悪役だぞw
魔法兵が欲しいと言われて奴隷市場へ。シャーロット、初魔法でそれはやりすぎ
次に父から、
魔法を使える人材を探してほしい。
と頼まれる。
そこでアルスが見つけたのが、奴隷として売られていたシャーロット・レイスだった。
鑑定すると、
統率92。
武勇116。
魔法兵S。
武勇116?
父親より上じゃん。
しかも魔法兵S。
アルスはすぐに彼女を買い、その場で奴隷の首輪を外す。
「奴隷にするためではなく、家臣にするために買った」
ここは素直に格好いい。
そして本当に魔法が使えるのか試したところ、
初めて使ったファイアバレットで木を吹き飛ばし、地面に大穴を作る。
やりすぎだろ。
父レイヴンも最初は、
女を戦場へ出すな。
と反対するのだが、実際の魔法を見た瞬間に考えを変える。
そりゃなるわ。
能力が数字で分かるアルスと、実力を見れば評価を変えるレイヴン。
この親子、何気に相性がいい。
そしてシャーロットも後には、
「ランベルクの青い死神」
という物騒な異名を獲得する。
残酷鬼。
青い死神。
アルスの部下、名前だけなら完全に敵軍団である。
泣き虫ロセルを鑑定したら知略109。許嫁リシアは政治100に野心80
さらに面白かったのがロセルである。
兄二人は体格がよく、父親からも期待されている。
一方のロセルは小柄で泣き虫。
父親からも出来の悪い三男扱い。
ところがアルスが鑑定すると、
知略109。
政治95。
計略S。
待て待て。
また化け物がいた。
しかも最初は文字もほとんど読めなかったのに、リーツから教えられると凄い勢いで習得し、その日のうちに本を何冊も読み始める。
アルスは自分の蔵書を読ませ、将来の軍師候補として育成していく。
強いリーツ。
魔法のシャーロット。
頭脳のロセル。
ちゃんと役割が分かれているのがいい。
そして許嫁のリシアも普通ではなかった。
政治の限界値100。
さらに野心80。
高い。
怖いな。
アルスも鑑定した瞬間から、
「この子、大丈夫か?」
と警戒する。
ところがリシアは他人の表情を読むのが上手く、アルスが自分を警戒していることにも気づいてしまう。
そこで二人とも腹を割って話す。
アルスは鑑定能力を告白。
リシアも、
最初は婚約を破談にするつもりだった。
でもアルスなら出世すると判断したから結婚したい。
と本音を言う。
すごいな。
恋愛というより企業合併の話みたいだw
でも変に取り繕うより、ここまで本音を言ってしまった方が二人には合っている。
アルスが警戒していた「野心」も、何を望んでいるか分かれば怖さが減る。
数字だけでは人間の全部までは分からない。
だから最後は本人と話さないと駄目。
このあたりは鑑定ものとして結構好きだった。
人材集めだけかと思ったら父が病に倒れ、弱小領地が本当に戦乱へ放り込まれる
序盤は、
「次はどんな能力の人が出てくるんだ?」
という人材探しの楽しさが強い。
ところが後半から一気に状況が変わる。
ミーシアン州の総督を巡る争いが本格化。
外からはサイツ州も侵攻してくる。
そして父レイヴンが難病グライ病に倒れる。
アルスは父の代わりに戦場へ行こうとするが、レイヴンから領主として戦争を指揮できるのか試される。
その試験が、
死刑を直視できるか。
重いな。
アルスは前世では普通の日本人だった。
人が殺される光景に耐えられない。
そこでレイヴンは、
まだ戦場へ出すべきではない。
と判断し、病身なのに自分で出陣する。
戦いには勝つ。
でも身体はさらに悪化してしまう。
ここで、それまでの鑑定ゲームみたいな感覚から、
本当に人が死ぬ乱世なんだ。
と一気に現実味が出た。
アルスは優秀な人材を集めている。
でも本人はまだ子供であり、領主として完成しているわけではない。
そこがいい。
父の死後、アルスは12歳で当主となり、今度はリーツたちを連れて本格的な政治と戦争へ入っていく。
ただ、タイトルにある「最強領地」という言葉から想像していたほど、1巻時点のランベルクはまだ大きくない。
人口も兵力も限られた弱小領地である。
リーツやシャーロットはすでに物騒な二つ名まで付けられているが、領地そのものはこれから。
州。
郡。
領地。
と支配単位が重なっているので、最初は規模感がちょっと分かりづらかった。
日本の「県、市」感覚に慣れていると、
ミーシアン州。
カナレ郡。
ランベルク領。
今どのくらい偉いんだ?
となる。
それでも読み進めると、アルスがまだかなり下の立場にいることは分かってくる。
だからこそ、
この小さな領地が本当に「最強領地」になるのか。
リーツ、シャーロット、ロセル、リシアという濃い人材を、アルスがどう使って勢力を広げていくのか。
そこが続巻で一番気になるところである。
本人は凡人だと思っている。
でも人を見る目だけは異常。
自分一人で全部やるのではなく、
できる人を見つけて任せる。
『転生貴族、鑑定スキルで成り上がる』の面白さは、結局そこなのだと感じた。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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考察・解説
ストーリー・プロット
弱小貴族ローベント家に転生したアルスが、特異な鑑定スキルを駆使して優秀な人材を集め、動乱の時代を生き抜くための基盤を固めるまでの経緯について整理する。
転生と鑑定スキルの発見
- 原因:35歳のサラリーマンが急死し、異世界の貴族アルスとして転生したことである。
- 行動:成長過程で他者の能力を数値化する鑑定スキルを自覚した。
- 結果:自身の凡庸さを補うため、スキルを駆使して優秀な人材を収集する生存戦略を確立した。
最強の腹心・リーツの登用
- 原因:村で迫害されていたマルカ人リーツの超人的才能を鑑定で発見したことである。
- 行動:父レイヴンとの模擬戦を経て実力を証明させ、家臣として登用した。
- 結果:ローベント家に武・知・政を兼ね備えた万能な家臣が加わり、教育および軍備体制が強化された。
魔法の天才・シャーロットの救出
- 原因:カナレの町で奴隷として売られていた少女に魔法適性Sを確認したことである。
- 行動:銀貨5枚で買い上げ、実戦演習で圧倒的な魔法威力を実証させた。
- 結果:ローベント家の軍事的な抑止力となる、強力な魔法戦力の確保に成功した。
軍師の原石・ロセルとの出会い
- 原因:狩人の三男ロセルに帝国屈指の知略限界値を発見したことである。
- 行動:効率的なスー(獣)の罠作りを命じ、成功体験を与えた。
- 結果:ロセルが自身の知恵の価値を自覚し、軍師候補としての育成が本格化するとともに、領地の食糧事情も劇的に改善した。
許嫁リシアの来訪
- 原因:許嫁リシアが来訪し、鑑定により野心80と極めて高い政治力を把握したことである。
- 行動:密談を通じ、互いの本音と能力を共有した。
- 結果:表面的な婚約関係を超え、アルスの外交能力を補完する戦略的パートナーシップが構築された。
情勢の激変と父の病
- 原因:ミーシアン州総督暗殺とサイツ州の侵攻が開始され、同時に父レイヴンがグライ病を発症したことである。
- 行動:アルスが代理として出陣準備を進めた。
- 結果:領主不在の危機を乗り越えるため、アルスが初めて実戦指揮の責任を負う状況となった。
初陣の回避とレイヴンの出撃
- 原因:死刑執行への立ち合いによる耐性テストで動揺し、実戦指揮官としての不適格を露呈したことである。
- 行動:レイヴンが病身を押して出撃を強行した。
- 結果:クメール領での戦いに勝利するも、引き換えにレイヴンの病状は致命的な段階へ悪化した。
鑑定スキルを活用した的確な人材登用により、ローベント家は着実にその総合力を向上させてきた。しかし、州全体の政治的混乱と当主の重病という重大な局面を迎え、家門の存続をかけた試練は次代を担うアルスの双肩へと本格的に委ねられることとなった。
主要な転換点
弱小貴族ローベント家に転生したアルスが、特異な鑑定スキルを駆使して優秀な人材を集め、動乱の時代を生き抜くための基盤を固めるまでの経緯について整理する。
転生と鑑定スキルの発見
- 原因:35歳のサラリーマンが急死し、異世界の貴族アルスとして転生したことである。
- 行動:成長過程で他者の能力を数値化する鑑定スキルを自覚した。
- 結果:自身の凡庸さを補うため、スキルを駆使して優秀な人材を収集する生存戦略を確立した。
最強の腹心・リーツの登用
- 原因:村で迫害されていたマルカ人リーツの超人的才能を鑑定で発見したことである。
- 行動:父レイヴンとの模擬戦を経て実力を証明させ、家臣として登用した。
- 結果:ローベント家に武・知・政を兼ね備えた万能な家臣が加わり、教育および軍備体制が強化された。
魔法の天才・シャーロットの救出
- 原因:カナレの町で奴隷として売られていた少女に魔法適性Sを確認したことである。
- 行動:銀貨5枚で買い上げ、実戦演習で圧倒的な魔法威力を実証させた。
- 結果:ローベント家の軍事的な抑止力となる、強力な魔法戦力の確保に成功した。
軍師の原石・ロセルとの出会い
- 原因:狩人の三男ロセルに帝国屈指の知略限界値を発見したことである。
- 行動:効率的なスー(獣)の罠作りを命じ、成功体験を与えた。
- 結果:ロセルが自身の知恵の価値を自覚し、軍師候補としての育成が本格化するとともに、領地の食糧事情も劇的に改善した。
許嫁リシアの来訪
- 原因:許嫁リシアが来訪し、鑑定により野心80と極めて高い政治力を把握したことである。
- 行動:密談を通じ、互いの本音と能力を共有した。
- 結果:表面的な婚約関係を超え、アルスの外交能力を補完する戦略的パートナーシップが構築された。
情勢の激変と父の病
- 原因:ミーシアン州総督暗殺とサイツ州の侵攻が開始され、同時に父レイヴンがグライ病を発症したことである。
- 行動:アルスが代理として出陣準備を進めた。
- 結果:領主不在の危機を乗り越えるため、アルスが初めて実戦指揮の責任を負う状況となった。
初陣の回避とレイヴンの出撃
- 原因:死刑執行への立ち合いによる耐性テストで動揺し、実戦指揮官としての不適格を露呈したことである。
- 行動:レイヴンが病身を押して出撃を強行した。
- 結果:クメール領での戦いに勝利するも、引き換えにレイヴンの病状は致命的な段階へ悪化した。
鑑定スキルを活用した的確な人材登用により、ローベント家は着実にその総合力を向上させてきた。しかし、州全体の政治的混乱と当主の重病という重大な局面を迎え、家門の存続をかけた試練は次代を担うアルスの双肩へと本格的に委ねられることとなった。
主人公を中心とした人物関係の変化
弱小貴族ローベント家の跡継ぎであるアルスは、他者の潜在能力を看破する鑑定スキルを駆使し、身分や出自にとらわれない人材登用を重ねてきた。激動する情勢と家門の危機を迎える中で、アルスと周囲の主要人物との間で構築された関係性の推移について以下に整理する。
レイヴンとの関係推移
- 開始時:尊敬する偉大な父親と、力量的に頼りない息子という関係であった。
- 出来事:死刑執行への立ち合いを通じて、当主としての覚悟を問う試練が課された。
- 巻末時:正式な後継者としての認知を受け、病床の父との死別を覚悟する関係へと進展した。
リーツとの関係推移
- 開始時:領主の息子と、迫害を受ける浮浪児という身分差のある出会いであった。
- 出来事:周囲の差別的な視線を度外視した登用を行い、武芸や学問の教育係に任命した。
- 巻末時:単なる主従を超えた深い信頼を築き、絶対的な忠誠を誓う右腕としての地位が確立した。
ロセルとの関係推移
- 開始時:才能を見抜いた領主と、自信を持てない臆病な少年という間柄であった。
- 出来事:効率的な罠の開発を命じ、知恵を活かした成功体験を共有させた。
- 巻末時:将来を担う軍師候補としての育成が本格化し、強固な師弟関係が成立した。
リシアとの関係推移
- 開始時:政略結婚の取り決めによる、互いを知らない許嫁同士であった。
- 出来事:密談を通じて互いの真の能力と野心を開示し、利害の一致による協力関係を結んだ。
- 巻末時:互いの才覚と価値を深く認め合い、領地経営を支える戦略的パートナーとなった。
鑑定スキルによって見出された優秀な家臣や盟友との出会いは、アルス自身の人間的成長とローベント家の組織強化に直結した。それぞれの人物と交わした信頼と約束は、目前に迫る戦乱の時代を生き抜くための不可欠な力となる。
主人公の認識と周囲の評価
アルス・ローベントの自己認識と周囲からの評価
戦乱の世を生き抜く弱小貴族の跡取りとして、アルス・ローベントが抱く内面的な認識と、周囲が彼に向ける客観的な評価には大きな隔たりが存在する。この認識のずれが、彼の行動原理や勢力拡大にどのような影響を与えているのかについて整理する。
自己認識
- 前世の平凡なサラリーマン感覚が抜けておらず、常に自分自身を凡人と捉えている。
- 自身の能力に対して慎重かつ消極的な姿勢を崩さない。
- 乱世における死への恐怖が強く、生き残るために有能な人材へ依存する傾向が見られる。
周囲からの評価
- 身分や出自にとらわれず、差別や境遇に埋もれた逸材を的確に見出す姿勢が高く評価されている。
- 家臣や領民からは、英傑を見抜く天才や天賦の鑑定眼を持つ者として深い畏敬の念を抱かれている。
評価の乖離と影響
- 父レイヴンはアルスの人材収集能力と人徳を極めて高く評価し、戦乱の世において大貴族や皇帝にまで成り上がる可能性があると書き残している。
- 自身を凡人と見なす危機感と、周囲から寄せられる非凡な指導者としての期待との極端な落差が、彼を突き動かす要因となっている。
- この内面と外面の乖離こそが、生存を懸けて優れた家臣を求め続ける飽くなき人材収集の最大の原動力となっている。
アルス自身は保身と生存を目的とした消極的な動機から行動しているが、その結果として集まった逸材と築き上げた実績は、周囲に卓越した名君としての印象を与えている。自己評価の低さに起因する徹底した危機管理意識と、他者を正当に評価する姿勢が合致した結果、弱小領主でありながら乱世を覆す強固な家臣団の形成へとつながっている。
クライマックス
サイツ州によるクメール領への侵攻を契機に、アルス・ローベントは次期領主としての覚悟を突きつけられることとなる。病床の父に代わり出陣を試みたアルスが直面した現実と、その結果引き起こされた一連の出来事について整理する。
出陣を巡る試練と未熟さの露呈
- サイツ州が州境のクメール領へ侵攻を開始したことを受け、グライ病を患う父レイヴンの代理としてアルスが部隊の指揮官を務めようとする。
- 父から課された死刑執行への立ち会いにおいて、前世の平和な感覚を捨てきれないアルスは強い動揺を見せる。
- 人の命を奪う覚悟の欠如を見抜かれ、レイヴンから戦場に赴く資格がないと断じられる。
レイヴンの出撃と代償
- アルスの未熟さを受けて指揮官代理を任せられないと判断したレイヴンは、死を覚悟して自ら出撃を決意する。
- 戦場においてレイヴンは圧倒的な武勇を発揮し、敵軍を退けることに成功する。
- 激戦による過度な消耗が重なり、帰還後に病状が急速に悪化して余命いくばくもない状態に陥る。
戦乱の世における人の死と向き合いきれなかったアルスの甘さは、結果として父の命を削る事態を招いた。自身の判断の甘さとその代償の重さを目の当たりにしたアルスは、領主として領民や家臣を守り抜くために不可欠な非情さと責任の重さを痛感することとなった。
巻末時点の状況
当主レイヴンの重病と緊迫する州情勢を受け、ローベント家は世代交代という重大な転換期を迎えた。目前に迫る戦乱と家門の存続をかけ、アルスが下した決断と現状について以下に整理する。
現在の状況と当主の容体
- アルスの居場所:ランベルク屋敷に滞在している。
- 父レイヴンの容体:患っていたグライ病が悪化の一途をたどる。医師から余命1年以内の宣告を受け、意識混濁と極度の衰弱状態に陥っている。
家門継承の決断
- 転生から12年目を迎えた夏、アルスは病床の父に代わり、家臣一同の前でローベント家の家督を継ぐ旨を力強く宣言した。
- 若年ながらも次代の当主として立つ覚悟を示し、家中の結束を固める段階に入った。
直面する課題と外部情勢
- ミーシアン州総督の暗殺事件を契機に、州内における後継者争いが激化している。
- 隣接するサイツ州をはじめとする外部勢力も介入の機会を窺っており、領地を取り巻く情勢は一触即発の危機にある。
偉大な父との別れが現実味を帯びる中、アルスは正式に後継者としての名乗りを上げ、領主としての重責を担う道を選んだ。これまでに登用した優秀な家臣団と連携しつつ、拡大する戦乱の脅威からいかに領地と民を守り抜くかが今後の最大の焦点となる。
登場キャラクター
ローベント家(ランベルク領)
アルス・ローベント
前世は日本の平凡な会社員である。35歳で急死し、異世界の弱小貴族ローベント家の長男として転生する。他者の能力や適性を数値として確認できる鑑定スキルを持つ。自身の能力を凡庸と認識し、乱世を生き抜くために人材収集を行う。父の死に伴い家督を継ぐ覚悟を固める。
・所属組織、地位や役職 ローベント家・長男。後にローベント家当主。
・物語内での具体的な行動や成果 鑑定スキルを活用し、リーツ、シャーロット、ロセルなどの逸材を見出して家臣に登用する。許嫁のリシアと面会して本音を明かし合い、戦略的関係を築く。父の死刑執行立ち合いによる適性テストでは動揺を見せ、初陣の機会を逃す。情報収集のために傭兵団シャドーを雇い、ペレーナ郡の調略に貢献する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 自身を鑑定することはできない仕様である。病状が悪化した父レイヴンから後継者として指名を受け、12歳で新当主となる。ペレーナ郡調略の功績により、郡長ルメイルおよび総督候補のクラン・サレマキアから高く評価される。クランから直接面会を求められ、有力貴族が集う軍議への参加要請を受ける。
レイヴン・ローベント
アルスの父親である。農民の出自から武勇のみで下級貴族に成り上がった経歴を持つ。統率力と武勇に極めて優れる反面、政治力は乏しい。領主として厳格であり、実力主義的な価値観を備える。息子のアルスが秘める才覚を高く評価している。
・所属組織、地位や役職 ランベルク領主。ローベント家当主。
・物語内での具体的な行動や成果 アルスが連れてきたマルカ人のリーツに対し、模擬戦で一太刀入れる条件のテストを課して採用を決める。難病であるグライ病を発症しながらも、サイツ州侵攻に際して病身を押して出撃を強行する。卓越した武勇を発揮して敵軍を退ける。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 鑑定によるステータスは統率86/86、武勇94/95、知略44/56、政治23/31、野心67である。適性は歩兵A、騎兵S、弓兵B、魔法兵D、築城D、兵器D、水軍D、空軍D、計略Dを示す。クメール領での激戦の代償として病状が決定的に悪化する。アルスに家臣や領民の未来を託し、39歳で息を引き取る。
クランツ
ローベント家に古くから仕えている執事である。50代手前ほどの年齢である。アルスの身の回りの世話を担当する。サマフォース帝国の一般的な価値観に従い、被差別民族であるマルカ人に対して強い警戒心を抱く。
・所属組織、地位や役職 ローベント家・執事。
・物語内での具体的な行動や成果 無断で屋敷を抜け出して村へ行っていた幼いアルスを厳しく叱責する。アルスが連れてきた空腹のリーツに対して強い難色を示すが、主人の命に従いパンと水を与える。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 作中においてステータス画面の表示は確認されていない。物語内における地位や役職に大きな変化は見られない。
リーツ・ミューセス
被差別民族であるマルカ人の少年である。統率、武勇、知略、政治のすべてに傑出した潜在能力を秘める。所属していた傭兵団が解散し、放浪して行き倒れかけていたところをアルスに拾われる。誠実かつ謙虚な性格で、自身を重用してくれたアルスに絶対的な忠誠を誓う。
・所属組織、地位や役職 元傭兵。ローベント家・雑兵、後にアルスの教育係および側近。
・物語内での具体的な行動や成果 レイヴンとの模擬戦で足を狙う機転を見せ、一太刀浴びせて合格を勝ち取る。学問を驚異的な速度で修得し、アルスの教育係を務める。戦場でも目覚ましい武功を重ね、他家から「ランベルクの残酷鬼」と恐れられるほどの武名を馳せる。ペレーナ郡の書状の偽造疑惑にいち早く気づく。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 14歳時のステータスは統率87/99、武勇70/90、知略72/99、政治78/100、野心21である。適性は歩兵A、騎兵S、弓兵A、魔法兵C、築城S、兵器A、水軍D、空軍C、計略Sを示す。18歳時には統率95/99、武勇89/90、知略95/99、政治90/100まで成長を遂げる。家中における事実上の筆頭側近兼教育係へと昇格する。
ミレー・クリスタル
ランベルク領の兵士である。槍の訓練をしていたが、実際には弓兵としての高い適性を持つ。当初は遠距離攻撃を男らしくないとして敬遠していた。性格は非常に単純である。
・所属組織、地位や役職 ローベント家・兵士。
・物語内での具体的な行動や成果 アルスに命じられて遠距離から弓を射ち、的の中心を正確に射抜く。周囲の兵士たちに勧められ、あっさりと槍から弓兵への転向を受け入れる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 21歳時のステータスは統率21/35、武勇60/62、知略22/32、政治15/31、野心3である。適性は弓兵Bであり、それ以外の歩兵、騎兵、魔法兵、築城、兵器、水軍、空軍、計略はすべてDを示す。アルスが他人の才能を見抜く直感を持っていると周囲に認識させる契機となる。
グラッツ
練兵場に所属するランベルクの兵士である。
・所属組織、地位や役職 ローベント家・兵士。
・物語内での具体的な行動や成果 レイヴンとリーツの模擬戦に際し、倉庫から三分で落ちる砂時計を迅速に持参して計時を担当する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 作中において個別のステータス数値は表示されていない。物語内において地位や役職に目立った変化は生じていない。
シャーロット・レイス
奴隷商人に囚われていた青髪の少女である。他者への関心が薄く、感情表現が乏しい。自身の容姿の美しさを躊躇なく肯定する一面を持つ。常人を遥かに超越した魔力と武勇を誇る。
・所属組織、地位や役職 元スラム街の孤児・奴隷。後にローベント家・魔法兵隊長。
・物語内での具体的な行動や成果 カナレの町で奴隷商人から銀貨5枚でアルスに買い取られる。初めて触れた触媒機による魔法演習で大爆発を引き起こし、絶大な威力を示す。実戦参加後は敵軍を次々と粉砕し、戦場で「ランベルクの青い死神」の異名で恐れられる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 11歳時のステータスは統率65/92、武勇93/116、知略34/45、政治31/40、野心1である。適性は魔法兵Sであり、その他の全適性はDを示す。15歳時には統率78/92、武勇103/116、知略44/45、政治36/40へ上昇する。奴隷の身分から解放され、ローベント家直属の魔法兵部隊を統率する中心人物となる。
クライツ・ローベント
アルスの実弟である。レンとは二卵性の双生児として誕生する。父譲りの金髪を持ち、活発に動き回る。統率と武勇に優れた潜在能力を秘める一方、野心の数値が非常に高い。
・所属組織、地位や役職 ローベント家・次男。
・物語内での具体的な行動や成果 幼少期より妹のレンとともに元気に遊び回り、アルスやリーツに懐く。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 誕生直後のステータスは統率1/82、武勇1/89、知略1/33、政治1/21、野心77である。適性は歩兵S、騎兵B、弓兵A、魔法兵C、その他Dを示す。高い野心値を持つことからアルスに注意深く観察される。
レン・ローベント
アルスの実妹である。クライツの双子の妹にあたる。兄アルスと同じく黒髪を持つ。武勇の数値は極めて低いが、知略と政治に関して類いまれな限界値を有する。
・所属組織、地位や役職 ローベント家・長女。
・物語内での具体的な行動や成果 双子の兄クライツとともに屋敷内を走り回り、シャーロットに面倒を見てもらう。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 誕生直後のステータスは統率1/22、武勇1/21、知略1/91、政治1/85、野心33である。適性は計略A、兵器B、空軍B、築城C、水軍C、その他Dを示す。幼少期のため地位の変動はないが、軍師や内政官としての高い潜在能力を秘めている。
グラー
ローベント家に長年仕える年配の兵士である。
・所属組織、地位や役職 ローベント家・兵士。
・物語内での具体的な行動や成果 死刑囚バラモーダを牢で管理しており、レイヴンの命を受けて彼を練兵場へと連行する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 作中において個別のステータス画面は表示されていない。物語内において目立った昇進や影響力の変化は描かれていない。
キーシャ家
グレッグ・キーシャ
ランベルク村に移住してきた狩人の一家の長である。大柄な体格を持ち、肉体的な力強さを重視する。武勇に優れる長男と次男を誇りに思う一方、身体が小さく臆病な三男ロセルを否定的に捉えていた。
・所属組織、地位や役職 ランベルク村・狩人。キーシャ家当主。
・物語内での具体的な行動や成果 長男と次男を兵士として推挙する。当初はロセルの知略を信じなかったが、大型罠の成果を目の当たりにして彼を素直に褒め称える。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ステータスは武勇が少し高めで、他は平凡とアルスに鑑定される。ロセルの開発した罠により狩りの効率が飛躍的に向上し、村の有力な狩人として生活基盤を強化する。
ガトス・キーシャ
キーシャ家の長男である。12歳ながら筋骨隆々とした体躯を誇る。
・所属組織、地位や役職 キーシャ家・長男。後にランベルク領兵士候補。
・物語内での具体的な行動や成果 歩兵適性Aの素質をアルスに見出され、練兵場での訓練参加を許可される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 12歳時のステータスは武勇67/77、統率限界値40台であり、知略と政治は低い。適性は歩兵Aで、他はCかDを示す。将来の近接戦闘要員としてローベント家の軍事力の一角を担う存在となる。
マルクス・キーシャ
キーシャ家の次男である。11歳でありながら兄ガトス同様に恵まれた体格を持つ。
・所属組織、地位や役職 キーシャ家・次男。後にランベルク領兵士候補。
・物語内での具体的な行動や成果 弓兵適性Aの素質をアルスに評価され、軍事訓練を受けることになる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 11歳時のステータスは武勇65/75、統率限界値40台であり、知略と政治は低い。適性は弓兵Aで、他はCかDを示す。遠距離攻撃を担当する兵士としての育成が進められる。
ロセル・キーシャ
キーシャ家の三男である。身体が小さく極めて内向的かつネガティブな性格である。帝国屈指となる知略限界値109を秘める。父から日常的に叱責されていたため、極度の人間不信と自己否定に陥っていた。
・所属組織、地位や役職 キーシャ家・三男。後にアルスの勉強仲間および軍師候補。
・物語内での具体的な行動や成果 屋敷の蔵書を圧倒的な速読力で読破し、高度な知識を吸収する。習性を利用した大型獣「スー」の捕獲罠を設計し、村の食糧事情を劇的に改善させる。ミーシアン州情勢の軍議に帯同し、情報の重要性をアルスに説く。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 5歳時のステータスは統率35/88、武勇11/32、知略45/109、政治32/95、野心21である。適性は計略S、築城A、兵器A、空軍A、弓兵C、魔法兵C、水軍C、歩兵D、騎兵Dを示す。8歳時には統率48/88、武勇15/32、知略80/109、政治50/95へ成長し、後に知略90に達する。罠開発の功績により領主レイヴンから金貨5枚の報奨金を下賜される。
パイレス家(カナレ郡)
ルメイル・パイレス
カナレ郡を統括する郡長であり、カナレ城の主である。妹をグライ病で亡くした経験を持つ。武人肌で情に厚く、レイヴンとは互いに強い信頼関係で結ばれている。身分や人種にとらわれず、有能な人物の意見に耳を傾ける度量がある。
・所属組織、地位や役職 カナレ郡長。パイレス家当主。
・物語内での具体的な行動や成果 総督暗殺後の情勢においてクラン派への合流を決断する。レイヴンの代理として登城した幼いアルスを温かく迎え入れ、後にペレーナ郡の内情調査をアルスに一任する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ステータスは武勇が高く、他の能力も全体的に高水準と鑑定される。アルスがもたらした盟約状の偽造発覚により、ペレーナ郡の調略に成功する。アルスの手腕を高く評価し、金貨の褒賞を与えるとともにクラン主催の式典へ推薦する。
メナス・レナード
パイレス家に仕える重臣である。軍事、政治、知略のいずれにも高い能力をバランスよく備える。地味な風貌ながら冷静沈着な人物である。
・所属組織、地位や役職 パイレス家・家臣。
・物語内での具体的な行動や成果 城を訪れたアルスたちを出迎え、主君ルメイルとの面会を取り持つ。ペレーナ城から持ち出された盟約状を物差しを用いて精査し、マサ郡長の署名と印が偽造されたものである事実を突き止める。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ステータスは統率71/71、武勇70/70、知略75/77、政治78/78、野心25である。適性は弓兵A、歩兵B、騎兵B、築城B、計略B、魔法兵C、兵器D、水軍D、空軍Dを示す。筆跡や印章の高度な鑑定眼を発揮し、カナレ郡の戦略的危機を回避させる上で不可欠な貢献を果たす。
プレイド家(トルベキスタ領)
リシア・プレイド
トルベキスタ領主ハマンドの長女であり、アルスの許嫁である。穏やかで人当たりの良い淑女を装うが、実際は極めて高い政治力と野心値80を併せ持つ。他人の表情から感情を読み取る特技がある。アルスの鑑定能力を知り、利害の一致から彼への協力を誓う。
・所属組織、地位や役職 トルベキスタ領主プレイド家・令嬢。アルス・ローベントの許嫁。
・物語内での具体的な行動や成果 ランベルク村で生じた商人と家具職人の諍いに対し、双方の損失を軽減する現実的な妥協案を即座に提示する。夜間にアルスの寝室へ忍び込んで本心を打ち明け、正式に婚約関係を継続することに合意する。アルスとの頻繁な文通を続ける。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 10歳時のステータスは統率5/10、武勇5/10、知略45/73、政治77/100、野心80である。適性は計略Bであり、その他はすべてDを示す。当初は婚約破棄を視野に入れていたが、アルスの非凡さを確信して心強い盟友となる。アルスに対して個人的な好意を抱くようになる。
ハマンド・プレイド
トルベキスタの領主であり、リシアの父親である。レイヴンとは長年の親交があり、子供同士を婚姻させる約束を交わしていた。温厚な人柄の貴族である。
・所属組織、地位や役職 トルベキスタ領主。プレイド家当主。
・物語内での具体的な行動や成果 カナレ城での領主会議に出席し、盟主ルメイルの方針に従う。手紙の返信が途絶えて機嫌を損ねていた娘リシアの状態をアルスに伝え、返事を促す。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ステータスは特に優れた数値ではないとアルスに鑑定される。娘とアルスの良好な関係を温かく見守り、両領地の友好的な関係を維持する。
オルスロー家(クメール領)
クラル・オルスロー
カナレ郡内に位置するクメール領の領主である。初老の男性である。
・所属組織、地位や役職 クメール領主。オルスロー家当主。
・物語内での具体的な行動や成果 カナレ城での招集に応じ、円卓会議においてクラン派に付く方針に賛同する。レイヴンの不在を軍事的な痛手として惜しむ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ステータスは特に優れた数値ではないとアルスに鑑定される。サイツ州からの侵攻に際し、自領が最初の防衛拠点となる危機を経験する。
ドーラン家(ペレーナ郡)
ルルーク・ドーラン
ペレーナ郡を統治する郡長である。白髪で小柄な体躯を持つ。農民から武勇で成り上がった歴戦の将である。バサマークに過去の恩義を感じており、当初はバサマーク派に所属していた。
・所属組織、地位や役職 ペレーナ郡長。ドーラン家当主。
・物語内での具体的な行動や成果 バサマークから送られた盟約状を信じ、クラン派からの調略を頑なに拒否し続けていた。偽造の証拠を突きつけられたことで騙されていた事実を悟り、クラン派へと寝返る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ステータスは小柄ながら統率と武勇が高く、政治も高めで知略は低めと鑑定される。クラン派への帰順により、領内で産出される希少資源「爆発の魔力石」の供給元をクラン陣営へと切り替える。
サレマキア家(クラン派)
クラン・サレマキア
前ミーシアン総督の長男である。顔に無数の戦傷を持つ屈強な武人である。統率99、武勇97を誇り、野心値も93と非常に高い。ミーシアンを統一した後にサマフォース帝国から独立し、新たな国家を樹立する野望を抱く。
・所属組織、地位や役職 センプラー領主。サレマキア家次代当主候補(クラン派旗頭)。
・物語内での具体的な行動や成果 弟バサマークに対抗して挙兵し、ペレーナ郡の調略に貢献したアルスとルメイルを式典で公に称賛する。アルスを深夜に人払いの場へ呼び出し、鑑定スキルの真偽を自らのステータス開示によって確認する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 45歳時のステータスは統率99/99、武勇97/97、知略78/79、政治80/81、野心93である。適性は騎兵S、歩兵A、築城A、水軍A、弓兵B、魔法兵B、空軍B、兵器C、計略Cを示す。弟陣営に比べて軍師役の人材が不足している危機感を抱く。アルスに対し、直属の軍議に優秀な家臣を伴って出席するよう特例の要請を行う。
ロビンソン・レンジ
クランが最も深く信頼を寄せる腹心の家臣である。長身で細身の体躯を持つ。知略88、政治91という卓越した知能を有する。
・所属組織、地位や役職 クラン・サレマキア直属家臣。
・物語内での具体的な行動や成果 式典を抜け出したクランの護衛として同行し、アルスと面会する。アルスの鑑定能力のテスト相手となる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ステータスは統率と武勇は平凡であるが、知略88、政治91とアルスに鑑定される。クラン派における中枢の文官として、政治および戦略面で主君を支え続ける。
傭兵団シャドー
ファム(マザーク・ファインド)
情報収集や工作活動を専門とする傭兵団シャドーの現団長である。22歳の成人男性であるが、小柄な体躯と中性的な美貌を活かし、少女給仕として酒場に潜伏する。武勇92、知略87を誇り、高い戦闘能力と隠密技術を備える。
・所属組織、地位や役職 傭兵団シャドー・団長。
・物語内での具体的な行動や成果 正体を見抜いて接触してきたアルスに興味を抱き、ペレーナ郡の内情調査依頼を引き受ける。ペレーナ城へ潜入し、厳重に保管されていた密約状の原本を盗み出す。アルカンテスでの長期的な諜報任務を請け負う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 22歳時のステータスは統率33/44、武勇92/92、知略87/90、政治22/23、野心45である。適性は弓兵S、歩兵A、魔法兵A、兵器A、計略B、騎兵C、築城C、空軍C、水軍Dを示す。アルスの持つ鑑定スキルの特異性を認め、ローベント家専属の情報提供者として協力関係を築く。
ベン(アレクサンドロス・ベルマドルド)
傭兵団シャドーに所属する構成員である。極めて平凡で記憶に残りにくい容貌をしている。統率の限界値が88と高く、武勇や知略にも優れている。
・所属組織、地位や役職 傭兵団シャドー・団員。
・物語内での具体的な行動や成果 アルカンテスでの長期情報収集任務に伴い、アルスとファムを中継する連絡係として引き合わされる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ステータスは統率33/88、武勇78/80、知略77/78、政治45/66、野心3である。適性は歩兵A、弓兵A、騎兵B、魔法兵B、計略B、築城C、兵器C、水軍C、空軍Cを示す。定期的な情報伝達および報酬の受け取り窓口を担当する。
酒場トレンプス
アレックス・トレンプス
カナレの町にある大型酒場トレンプスの店主である。筋肉質で立派な髭を蓄えた中年男性である。かつてリーツが所属していたクライメント傭兵団とも顔なじみである。
・所属組織、地位や役職 酒場トレンプス・店主。
・物語内での具体的な行動や成果 数年ぶりに訪れたリーツと再会し、シャドーの前団長引退と現団長の優秀さを伝える。仲介料を受け取り、夜間にファムとの面談を取り持つ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 作中において個別のステータス数値は表示されていない。裏社会の傭兵団と表の依頼人を結ぶ情報結節点として機能する。
その他(罪人)
バラモーダ
ランベルク領内で逮捕された凶悪な犯罪者である。強姦、殺人、窃盗などの重罪を重ねていた。
・所属組織、地位や役職 死刑囚。
・物語内での具体的な行動や成果 レイヴンの病気により処刑が延期されていたが、アルスの指揮官適性を試すテストの対象として引き出される。斧によって首を切り落とされ、即座に処刑される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 作中において個別のステータス数値は表示されていない。凄惨な処刑現場を通じてアルスに強い吐き気をもたらし、アルスが初陣を断念する直接の原因となる。
登場集団
ランベルク領の兵士たち
ランベルク領の防衛および治安維持を担う集団である。動員可能な兵力は約120名であり、その大半は平時に農業に従事する農民である。
・所属組織、地位や役職 ローベント家・領民兵。
・物語内での具体的な行動や成果 日常的に練兵場で槍や弓の訓練に励む。当初はマルカ人であるリーツを侮っていたが、レイヴンとの模擬戦を見てその実力を受け入れる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ステータスは武勇が最低限ある程度で他は壊滅的とアルスに評される。リーツやシャーロットの指導と実戦参加により、部隊全体の戦闘力と規律が向上する。
ランベルク村の狩人たち
ランベルク領の森で鳥獣の捕獲に従事する住民たちの集団である。
・所属組織、地位や役職 ランベルク村・狩人組合。
・物語内での具体的な行動や成果 ロセルが設計した大型の囲い罠の作製に協力する。罠による「スー」の大量捕獲に成功し、狩りの効率化を喜ぶ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 作中において個別のステータス数値は表示されていない。獲物の乱獲を防ぐために領主家が定めた捕獲制限規則を遵守し、安定した食糧供給を実現する。
トルベキスタ領主家の従者たち(メイド・執事)
リシア・プレイドの身の回りの世話や護衛を担当する従者たちである。
・所属組織、地位や役職 プレイド家・使用人。
・物語内での具体的な行動や成果 ランベルクを訪問したリシアに同行する。アルスがリシアの容姿に見惚れていた際、機転を利かせてその場を取り成す。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 作中において個別のステータス数値は表示されていない。主君であるリシアの意向を汲み、両家の良好な外交関係構築を裏方から支える。
カナレ城の門番・兵士たち
カナレ郡長ルメイルが居住するカナレ城の警護を担当する兵士たちである。
・所属組織、地位や役職 パイレス家・城郭警備兵。
・物語内での具体的な行動や成果 身分証を持たない幼いアルスを一度制止する。同行していたリーツとシャーロットの風貌からふたりの異名に気づき、慌てて重臣メナスへ取り次ぐ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 作中において個別のステータス数値は表示されていない。名高い強者たちを従えるローベント家の存在感を城内で再認識する。
ペレーナ城の門番・兵士たち
ペレーナ郡の居城であるペレーナ城を取り囲む警護兵たちである。
・所属組織、地位や役職 ドーラン家・城郭警備兵。
・物語内での具体的な行動や成果 総督候補クランの臨席に伴い、厳重な警備態勢を敷く。通行手形を所持していたアルスの入城を速やかに許可する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 作中において個別のステータス数値は表示されていない。戦時下の緊張感の中で要人式典の安全確保に従事する。
展開まとめ
プロローグ
異世界への転生
三十五歳の日本人男性は心臓発作で急死し、異世界の赤子アルス・ローベントとして生まれ変わった。十二歳で父レイヴンを亡くしたアルスは、家臣たちの前でローベント家の当主を継ぐと宣言した。
一章
鑑定能力
幼いアルスは、人間の能力や適性を数値として見る力を持っていた。三歳の頃、兵士ミレの弓の才能を見抜いて実証すると、父レイヴンはその力を認めつつ、才能は見つけるだけでなく適切に用いる必要があると教えた。
リーツとの出会い
人材を求めて村を歩いたアルスは、差別を受けて困窮していたマルカ人の少年リーツ・ミューセスを見つけた。リーツは武勇や知略を含む多くの能力に優れていたため、アルスは家臣に迎えようとした。
レイヴンはリーツに模擬戦を課し、三分以内に一撃を加えるよう命じた。リーツは条件を達成して兵士となり、自分を救ったアルスへ生涯の忠誠を誓った。
閑話 リーツのその後
新たな生活
リーツは周囲の偏見を感じながらも、衣食住が保証された暮らしに感謝していた。アルスが人々の才能を正確に見抜く姿を目にし、将来大きな存在になると確信して支え続けようとした。
二章
帝国の情勢
成長したリーツは戦場と学問の双方で力を発揮し、アルスの教師も務めた。彼はサマフォース帝国の支配が弱まり、ミーシアン州でも老いた総督の後継者を巡る争いが迫っていると説明した。
シャーロットの魔力
レイヴンから魔法の才能を持つ者を探すよう頼まれたアルスは、カナレの市場で奴隷の少女シャーロット・レイスと出会った。彼女には極めて高い魔力と適性があったため、アルスは身柄を買い取り、奴隷ではなく家臣として迎えた。
シャーロットが初めて放った炎の魔法は大木を破壊し、地面に大穴を残した。女性を兵士にすることへ反対していたレイヴンも実力を認め、彼女を魔法兵として採用した。
閑話 シャーロットのその後
魔法兵への道
安定した暮らしを得たシャーロットは、アルスが鑑定能力で自分の才能を見抜いたと知った。指揮官としての素質もあると教えられ、恵まれた境遇に感謝しながら魔法の鍛錬へ励んだ。
三章
双子の才能
一年後、シャーロットは国境の戦いで活躍し、魔法兵を率いる立場となった。六歳のアルスは双子の弟クラマントと妹レンの能力を鑑定し、弟には武勇と統率、妹には知略や政治の才能があると知った。
ロセルの知略
アルスは新たに村へ移住した狩人一家を訪ね、臆病で力も弱い五歳のロセル・キーシャに優れた知略と軍略の才能を見いだした。ロセルは利用されることを恐れたが、アルスに励まされ、リーツから学ぶことになった。
ロセルは黄色とリンゴの匂いを利用し、スーを誘い込む罠を考案した。罠は成功して村の食料事情を改善したが、ロセルは獲りすぎによる減少まで心配した。アルスは、その慎重さも将来の危険を予測する力になると考えた。
閑話 ロセルのその後
書物と約束
屋敷で学ぶロセルは、無断で本を借りていたことをアルスに知られ、心まで読まれたと恐れた。アルスは鑑定で思考は読めないと説明し、断れば自由に借りてよいと許した。ロセルはアルスを慕い、軍師として役立つため勉学に励んだ。
四章
リシアとの婚約
三年後、レイヴンの体調が悪化する一方、ミーシアン州では後継争いによる衝突が増えていた。アルスは隣領の領主の娘リシア・プレイドが婚約者であると初めて知らされ、翌日彼女を迎えた。
リシアは高い政治力と野心を持ち、人の感情を読むことに長けていた。外出中に家具職人と魔力石業者の争いに遭遇すると、双方の損失を分析して仲裁案を示し、アルスの協力で争いを収めた。
二人の本心
リシアはアルスの警戒を見抜き、当初は婚約を解消するつもりだったが、彼の鑑定能力なら高い地位を目指せるため結婚したいと明かした。アルスも婚姻を望み、二人は手紙を交わして交流を深めた。その一年半後、レイヴンが倒れた。
五章
父の最期
十一歳になったアルスは、レイヴンが致死率の高いグライ病に侵されていると知らされた。同じ夜にミーシアン州総督が暗殺され、後継者争いが表面化した。アルスたちは病床のレイヴンへ知らせず、来る争いに備えた。
レイヴンはやがて意識を失い、三日後に死亡した。アルスは悲しみを抱えながら家臣たちの前に立ち、ローベント家の新当主となった。
クランの挙兵
総督の長男クランは、州都を押さえた弟バサマークに対して挙兵した。カナレ郡長ルメイルはクランを支持し、アルスたちは敵方についたペレーナ郡を味方へ引き入れる任務を負った。
傭兵団シャドー
アルスは情報収集のため傭兵団シャドーを雇った。団長ファムは変装に優れていたが、アルスは鑑定によって正体を見抜いた。ファムはペレーナ郡とマサ郡がバサマークへ協力するという契約書を盗み出した。
リーツは、強大なマサ郡との同盟が事実ならバサマークが隠す必要はないと考え、署名と印章を調べた。その結果、マサ郡の契約は偽造と判明し、策略を知ったペレーナ郡はクラン側へ転じた。
独立への野望
年末の宴でクランはミーシアン州を統一し、独立国家を築く意思を表明した。彼は策略を崩したアルスを公の場で称賛し、後には鑑定能力の真偽も確かめた。
有能な軍師を必要としていたクランは、アルスに優れた家臣を軍議へ参加させるよう求めた。勝利に貢献すればカナレ郡を与えると約束され、アルスはローベント家を発展させるため、その申し出を受け入れた。
同シリーズ
小説
その他フィクション

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