漫画「黄泉のツガイ 8 ユル、ダウン!」感想・ネタバレ

漫画「黄泉のツガイ 8 ユル、ダウン!」感想・ネタバレ

黄泉のツガイ 8の表紙画像(レビュー記事導入用)

物語の概要

■ 作品概要

本作は、『鋼の錬金術師』で知られる荒川弘が描く、現代日本を舞台とした伝奇ファンタジーバトル漫画である。「ツガイ」と呼ばれる二体一組の異形の存在を使役する「ツガイ使い」たちの抗争を描く。 第8巻では、物語の核心である「両親の失踪」の謎が大きく前進する。主人公・ユルは、長らく生死不明であった母親・ハナとの再会を果たすべく、影森家や東村の思惑が入り乱れる中で決死の行動に出る。血の繋がった家族ゆえの葛藤と、それを許さない過酷な運命が交錯する、物語の大きな転換点となる一冊である。

■ 主要キャラクター

  • ユル: 本作の主人公。山奥の「東村」で育った狩人の少年。並外れた観察眼と合理的な判断力を持ち、強力なツガイ「左右様(さゆうさま)」を従えて戦う。第8巻では、母との再会を前に、一人の息子としての顔と冷徹な狩人としての顔の間で揺れ動く。
  • アサ: ユルの双子の妹。影森家で保護され、「解く(とく)」という特殊な力を宿している。兄を誰よりも案じているが、彼女もまた両親を巡る因縁に深く関わっている。
  • ハナ: ユルとアサの母親。物語開始当初から行方不明となっていたが、第8巻でついにその所在と現状が明らかになる。彼女の存在が、各勢力の均衡を崩す引き金となる。
  • デラ(田寺): 東村の連絡員であり、ユルの後見人的な存在。影森家との橋渡し役を務めつつ、独自のネットワークでユルたちをサポートする。飄々としているが、その実力と知識は底知れない。
  • 左右様(左・右): ユルに従う、東村の守護神。巨大な手のような姿から人の姿まで変化し、圧倒的な武力でユルを守護する。彼ら自身の意思も強く、ユルとの信頼関係は非常に固い。

■ 物語の特徴

本作の魅力は、単なる能力バトルに留まらず、「二体一組(ツガイ)」という対の概念を軸にした戦術的な戦闘描写にある。左右の連携や相性が勝敗を分かつシステムは、読者に高い戦略性を感じさせる。 また、荒川弘作品特有の「家族の絆」というテーマが、今巻では「母親との再会」という形で重厚に描かれている。他作品との差別化要素としては、現代社会の中に隠れ住む異能者たちの「法」や「隠蔽工作」などのリアリティ溢れる世界観設定が挙げられる。

書籍情報

黄泉のツガイ 8
著者:荒川弘 氏
出版社:スクウェア・エニックス
レーベル:月刊少年ガンガン
発売日:2024年9月12日
ISBN:9784757594128

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あらすじ・内容

家族になるのか、家族であるのか。
左右様と共にイワンと交戦したユル。
両親の首を刎ねたと言うイワンの挑発に耐えて戦うも、
善戦むなしくイワンを取り逃がしてしまう。
一方、アスマは新郷に騒動の黒幕を問うが、
そこにイワンが現れ、新郷は殺されてしまった。
陰陽の空間で、偽アサの本当の名と過去を聞いたユルは、
両親と普通に笑って暮らすという夢をアサと共有し――。

家族になるのか、家族であるのか。
問い臨むツガイバトル、第8巻!!

黄泉のツガイ 8

感想

これまでの騒動が落ち着く間もなく、あらたな裏切りと底知れない怨念が渦巻く展開となった 。

まず驚かされたのは、仲間だと思っていたアキオの裏切りである 。
庭師を一人あやめて逃走した彼の冷酷さには、言葉を失う 。
彼をそそのかしたのは実の母親らしき人物だが、その背後には「西ノ村」の影がちらついている 。
ウサギが語った、本尊に寄生して爆発させる粘菌のようなツガイの存在も、正体が分からず非常に恐ろしい 。

かつての西ノ村はダムの底に沈んだとされているが、彼らは東村のような確固たる拠点を持たず、闇に潜んで牙を研いできたのだろう 。
集会に集まった東村の面々を、爆発によって容赦なく排除する様子からは、四百年前から続く根深い復讐心が伝わってくる 。そのすさまじい執念には、ただ圧倒されるばかりだ。

物語の終盤で描かれた、東と西の「始末屋」が鉢合わせる場面も見逃せない 。肉体派のハナと、一見普通の女子高生である峰山 。この異色な二人がどのような対決を繰り広げるのか、今から目が離せない。

また、村の子供であるアザミが、変化の激しい現代に順応できるのかも気になるところだ 。保護者となったハナの影響を受けて、格闘技に目覚める未来もあるかもしれない 。
一方で、下界の細菌にやられて寝込んでいたユルが無事に復活したのは一安心である 。
とはいえ、接着剤で手足をつなぎ合わせた左右様の状態も含め、まだまだ万全とは言えないだろう 。
弱っている時に押し入れに隠れるようなユルの「蛮族思考」が、今後どのように物語に作用していくのか、期待がふくらむ一冊であった 。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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考察

新郷イオリの過去

新郷イオリは影森アスマの母親であり、過去に家族から深い虐げを受け、孤独と絶望の中で生きていた女性である。彼女の過去については、以下の重要な出来事が挙げられる。

幼少期の孤立と家族からの虐待

イオリは幼い頃から頭や要領が悪く、家族の期待に応えることができなかった。
・親が望む学校に進学できなかったり、何をしても失敗ばかりだった。
・兄である新郷ハヤトをはじめとする親戚や両親から「いらない女」「お荷物」としてずっと虐げられていた。
・その結果、自分はこの世に必要のない存在だと思い詰めるようになっていた。

ツガイ「金烏玉兎(夜桜と朝霧)」との出会い

絶望した彼女は山で死に場所を探していた際、「金烏玉兎」の本尊である首も手もない像に出会った。
・彼女にはそれが神仏のように美しく見え、手首を切って自殺しようとした瞬間にツガイ(夜桜と朝霧)が現れた。
・夜桜と朝霧は彼女の悲しみや悩みを受け止めてくれる優しい存在となった。
・しかし、普通の人間にはツガイが見えないため、家族からは幻覚・幻聴の病気や悪霊に取り憑かれていると騒がれた。
・これにより、彼女はますます周囲から孤立してしまった。

影森ゴンゾウとの出会いと救い

居場所を完全に失ったイオリが、夜の橋の上で再び飛び降り自殺を図ろうとしていたところ、偶然車で通りかかった影森家の当主・ゴンゾウと出会った。
・ゴンゾウが彼女のツガイを視認し「立派なツガイだ」と声をかけた。
・イオリは初めて自分を理解してくれる人物に出会い、涙を流した。
・ゴンゾウは、影森家にはツガイ使いや似た境遇の者が多くいることを説明した。
・誰にも気兼ねなく暮らせる場所として、彼女を影森家へと招き入れた。

まとめ

イオリが影森家に見初められて地位を得た後、兄のハヤトはその縁故を最大限に利用して財を築き上げたが、イオリに対する感謝や労いの言葉は一切なかった。さらにハヤトは、彼女のツガイの力を都合よく利用しようとさえしていた。

イオリはすでに故人となっているが、彼女の息子であるアスマは、長年母を虐げ、最終的に自殺へと追い込んだ伯父のハヤトを深く憎悪しており、虎視眈々と彼を殺害する機会を狙うことになる。また、イオリが従えていたツガイ「金烏玉兎(夜桜と朝霧)」は、息子のアスマへと受け継がれている。

アキオの裏切り

黒谷アキオは影森家の使用人として育てられた孤児「黒谷四姉弟」の三男ですが、最終的に影森家を裏切り、敵対する「西ノ村」陣営へと寝返ることになります。彼の裏切りの経緯や動機について、以下の重要なポイントが挙げられます。

裏切りの動機と実の親との接触
アキオは生まれつき痛覚が鈍く、自身の痛みだけでなく他人の痛みも理解しにくい体質でした。影森家は彼にとって生きやすい環境であり、姉弟たちという家族のような居場所もありましたが、心の中には常に「埋まらない何か」を抱えていました。その空白を埋めるべくネットで自分の親を探し出し、母親を名乗る人物と接触します。彼女を見つけた際に今まで感じたことのない感情が湧き上がり、結果としてアキオは西ノ村側へと引き入れられることになりました。

罠の発覚と影森家との交戦
アキオは内通者として与謝野イワンらと繋がり、ユルやアサの死を望んでいました。屋敷の情報を外部に流し、さらにアサが一人になった隙を狙って危害を加えようと接近します。しかし、それは影森ジンたちが仕掛けた変身系ツガイによる罠(偽のアサ)であり、アキオはジンのツガイ「愛」によって右腕を食いちぎられてしまいます。

正体が露見したアキオは自身のツガイ「ヤマノカミ」を召喚し、ジンや義兄のハルオ、ガブたちを相手に屋敷の庭で激しい戦闘を繰り広げます。ガブからは「アサの唯一の安息の地である影森屋敷を奪おうとした」として激しい怒りを買いますが、包囲され不利を悟ったアキオはヤマノカミとの契約を自ら解除し、一度は逃亡を図るものの捕縛されます。

屋敷の爆発と逃走、庭師の殺害
その後、屋敷の医務室でナツキによる治療と尋問を受けていた際、アキオの元ツガイである「谷風(ヤマノカミ)」の本尊が、西ノ村の粘菌型ツガイに乗っ取られた状態となって屋敷内に侵入し、大爆発を起こします。アキオはこの混乱に乗じて拘束を解き、再び逃走します。

逃走の際、アキオは自分を止めようとした影森家の庭師・川井サノスケを無残に殺害し、屋敷から完全に脱出しました。

西ノ村への合流
屋敷を抜け出したアキオは、駐車場で待っていた母親と合流し、「ただいま母さん」と応じて西ノ村の陣営へと迎え入れられました。この一連の裏切りに対してガブは、「アキオは影森の仲間よりも自分を捨てた親を選び、結果として仲間を裏切った」と冷徹に結論づけています。

展開まとめ

第29話 影森兄弟と黒谷姉弟

肩の銃創と治療の問題

アサはユルの肩の傷を気にかけ、負傷の状態を確認した。ユルは腕が動くため大丈夫だと答えたが、アサはライフル弾が当たった可能性を指摘し、きちんと治療を受けるべきだと強く主張した。
しかし銃創を普通の病院で診察してもらえば事情を詳しく聞かれ、警察に通報される可能性があるうえ、保険証もないため治療費が高額になる問題があった。ユルもそれがハナに迷惑をかけることを懸念した。

影森家の医務室への提案

そこでアサは、影森家に行けば医務室で桜沢という医者に診てもらえると提案した。桜沢は普通の医者ではないため問題にならないと説明したが、ユルは「普通ではない医者」と聞いて不安を示し、さらに影森家自体を全面的に信用していないため簡単には同行できないと反発した。

影森家への信頼の理由

ユルの疑問に対し、アサは影森家を信頼している理由を説明した。東村の追手から助けてくれたのが御館様とジンであったためである。
ジンは影森家三兄弟の一人であり、影森家を守るために自ら汚れ役を引き受けている人物であった。敵にも部下にも感情移入しないよう自分の感情を抑え、淡々と仕事をこなしている人物だとアサは語った。

影森家の他の人物

さらにアサは、影森家の他の人物についても説明した。
波久礼という人物は、アサが将来普通の生活を送れるよう技術を教えており、「マンガ」と呼ばれる現代の錦絵のような仕事の手伝いをさせているという。これにより、外に出なくても安全な結界の中で生活費を稼ぐことができると述べた。

アスマの危険な思想

続いてアサは、影森家の人物であるアスマの考え方について語った。アスマは、どうせ狙われ続けるなら一度死んで力を得て、自分で身を守れるようになった方が良いという過激な思想を持っていた。また、そのうえで影森のような強い組織が支援すべきだと考えている人物であった。
物騒な考えではあるものの、アサはアスマが自分たちに嘘をつく人物ではないと述べた。

橋の上での出会い

夜、車で移動していた若い頃のゴンゾウは、橋の歩道にツガイの気配を感じ取り車を止めさせた。橋には一人の女性が立っており、彼女の背後には角の生えた髑髏の顔と黒い羽根を持つ異形のツガイが付き従っていた。
ゴンゾウはその姿が見えていることを告げ、「立派なツガイだ」と声を掛けた。女性は自分のツガイが見える人物に初めて出会ったことに驚き、思わず涙を流した。ゴンゾウは自分もツガイ使いであることを示し、互いが同じ側の人間であることを伝えた。

ツガイの名と女性の事情

女性のツガイは「夜桜」と名乗り、相方のツガイは「朝霧」と呼ばれる存在であると説明された。朝霧は夜が苦手なため姿を隠しているという。
ゴンゾウがなぜ夜の橋に立っていたのか尋ねると、女性は飛び降りて自殺しようとしていたと告白した。自分はこの世に必要のない人間だと思い詰めていたためである。

新郷イオリの過去

女性は新郷イオリと名乗り、自分の生い立ちを語り始めた。
幼い頃から頭も要領も悪く、親の望む学校にも進めず、何をしても失敗ばかりで家族の期待に応えられなかったという。兄からも馬鹿にされ、自分はこの世に必要のない存在だと思うようになった。

以前にも死のうと考え、山で死に場所を探していたときに出会ったのが「金烏玉兎」の本尊であった。首も手もない像であったが、イオリには美しく見え、神仏のような存在だと感じた。そして手首を切って死のうとした瞬間にツガイが現れたという。

ツガイとの生活と周囲の反応

夜桜と朝霧はイオリの話を聞き、悩みを受け止めてくれる優しい存在であった。しかしツガイの存在は普通の人間には見えないため、家族からは何もない空間に話しかけているように見え、幻覚や幻聴の病気だと思われた。
さらにツガイの姿を見せても、今度は悪魔や悪霊に取り憑かれていると騒がれ、ますます周囲から疎外されることになった。

兄への不信

イオリの兄だけはツガイに興味を示していたが、夜桜はその兄を信用していなかった。ツガイの力を知ればイオリを都合よく利用するだけだと警戒していたためである。夜桜は新郷家との縁を切るべきだと強く主張した。

ゴンゾウの勧誘

居場所がないと語るイオリに対し、ゴンゾウは自分の家に来ないかと提案した。影森家は規模の大きな家であり、事業拡大のため働き手を探しているという。
さらに影森家にはツガイ使いも多く、似た境遇の人間が集まって働いているため、ツガイを連れたままでも誰に気兼ねすることなく暮らせる場所であると説明した。

ゴンゾウは、ツガイ連れの人間を歓迎すると告げ、イオリを影森家へ招き入れようとした。

気絶したアザミの処遇

気絶しているアザミを前に、アスマは東村へ戻すべきかを尋ねた。
しかしゴンゾウは、アザミがすでに下界の様々な事情を見聞きしてしまっているため、そのまま村に戻しても余計なことを話さない保証がないと判断した。そのため、座敷牢に入れる案が検討された。

東村の「双子の秘密」

そこへ座敷童子が口を挟み、アザミはまだ何も知らないため自由にしてやれないのかと訴えた。
東村では、子供たちは双子の秘密を知らされておらず、大人として村の一員に認められて初めてその秘密を教えられる仕組みである。双子が死ぬことで力を得られるという事実も、その時点で初めて伝えられるという。

ゴンゾウは、その秘密を共有することで大人として仲間入りしたという特別感を与え、村の結束を固める仕組みになっていると説明した。アスマも、それは結束を強めるための方法だと理解を示した。

村に従わない者の扱い

さらに、双子の秘密を知って疑問を持った者の扱いについて話が及んだ。
村のやり方に賛成しない者は「出稼ぎ」という名目で下界へ送られ、東村関係者から仕事をもらいながら生活することになるという。
ただし、出て行った者の多くは村へ戻ってこない。戻れば村の秘密をユルに話してしまう可能性があるためであり、場合によっては影森家との争いの中で命を落とすこともあると語られた。これに対しゴンゾウは、影森家側にも犠牲が出ているため互い様だと応じた。

ユルとアサの帰還

そのとき陰陽の術が反応し、ユルとアサがその場に現れた。
二人を迎えた一同に対し、アサは御館様に対して、ユルを影森家へ連れて行き怪我の治療を受けさせたいと申し出た。しかしユル本人はまだ同行するとは言っていないと強く反発した。

裏切り者アキオの発覚

ゴンゾウはアサの申し出を断り、屋敷に戻れば裏切り者であるアキオの処分があるため、ユルにその場面を見せたくないと説明した。
アキオとは、先ほど屋敷で捕らえられた裏切り者であり、ユルに殺気を向けていた人物でもあった。

情報提供者イワンの存在

続いてアスマは、ジンの予想通りだったと述べ、情報の流れについて説明した。
ユルが屋敷に来た夜、「双子が影森家に揃う」という情報を提供したのは伯父であり、その情報は「イワンからの情報提供」として伝えられていた。伯父は急遽集めたバイトを向かわせ、内部協力して双子を捕らえるよう指示していたが、アスマはそのメッセージを無視していた。

ゴンゾウはこの流れを整理し、アキオと繋がっていたのはイワンではないかと推測した。ユルはその名前を聞き、イワンは自分の父と母のことを知っている人物であり、アキオもそれを知っている可能性があるのではないかと考えた。

屋敷へ戻る決断

フユキは状況を受け、御館様に対して一刻も早く屋敷へ戻り、アキオとヤマノカミから情報を引き出すべきだと進言した。
こうして一同は、裏切り者と情報源の真相を確かめるため屋敷へ戻る必要に迫られることとなった。

アザミの扱いを巡る話し合い

気絶しているアザミを見て、アスマは東村に戻すのかと尋ねた。
デラは、アザミがすでに下界の様々なものを見聞きしてしまっているため、村へ戻しても余計なことを話してしまう可能性があると述べた。

その発言を受けて、ゴンゾウは「座敷牢に入れるか」と言った。

東村の子供が知らされていない秘密

この案に対し、ザシキワラシはアザミを自由にしてやれないのかと訴えた。
ザシキワラシは、東村の子供はまだ双子の秘密を知らないと説明する。

東村では、大人として村の一員に認められて初めて、アサとユルの双子の秘密が教えられる。
その内容は、双子が死ぬことで力を得るというものである。

アザミはまだその秘密を知らない子供であるとザシキワラシは主張した。

秘密による結束の仕組み

フユキはそれを「秘密の共有」と表現した。
ゴンゾウは、その秘密を知ることで「晴れて大人の仲間入りになる」という仕組みだと説明した。

アスマは、それは特別感を与えて結束を固めるやり方だと述べた。

村に従わない者の扱い

さらに、双子の秘密を知って村のやり方に賛成しない者について話が及んだ。
デラは、そのような者は「出稼ぎ」と称して下界へ降りると説明した。

下界では東村関係者から仕事を回されて生活することになるという。
しかし、村から出ていった者の多くは戻ってこないと語られた。

ユルとアサの帰還

その場にいたツガイの陰陽がユルとアサを吐き出し、二人が戻ってきた。
周囲の者たちは二人に声をかけて迎えた。

アサは御館様に対し、ユルを影森家に連れて行き怪我の治療を受けさせたいと申し出た。
しかしユルは、自分はまだ影森家へ行くとは言っていないと反発した。

裏切り者アキオの発覚

ゴンゾウは、屋敷に戻ればアキオの処分があるためユルに見せたくないと述べた。
アキオは屋敷で捕まった裏切り者であった。

イワンの情報

アスマは、ジンの予想通りだったと話した。
ユルが屋敷に来た夜、「影森家に双子が揃う」という情報を伯父が伝えてきたという。

その情報は「イワンからの情報提供」であり、伯父は急いで集めたバイトたちを向かわせ、内応して双子を捕まえるよう指示していた。
しかしアスマはそのメッセージを無視していたと語った。

ゴンゾウは話を整理し、アキオと繋がっていたのはイワンではないかと言った。
ユルは、そのイワンが自分の父と母のことを知っている人物であり、アキオもそれを知っている可能性があるのではないかと述べた。

屋敷へ戻る判断

フユキは御館様に対し、屋敷へ戻りアキオとヤマノカミから情報を取るべきだと進言した。

荒らされた作業場

ヒカルが風呂から戻ると、戦闘の影響で作業場が荒れ果てていた。
屋根や室内が壊れ、作業場は大きく破壊されていた。ヒカルは状況を見て呆然とした後、パソコンや原稿データの無事を心配して慌てて確認した。

データの無事とヒカルの価値観

ガブは戦闘でいろいろ壊してしまったがコーヒーメーカーは無事だと軽く話し、ヒカルにコーヒーを勧めた。
ヒカルは怒りながらもパソコンを確認し、原稿データが無事であることを知って安堵した。

ガブは、もしデータが消えても白黒で描けばすぐ描き直せると言った。
しかしヒカルは、人の手による揺れやブレこそが良いのだと語り、それは漫画のキャラクター作りでも同じで、揺れや迷いがある方が人間味が出ると説明した。

ジンとハルオの会話

一方、屋敷の廊下ではジンとハルオが話していた。
ハルオは、裏切り者として捕まったアキオを助けてほしいとジンに頼んだ。

ジンは、御館様が裏切り者を許すはずがないため、アキオは処分されるだろうと答えた。

アキオを救いたいハルオ

ハルオは、アキオとは子供の頃から一緒に育った仲で、血は繋がっていないが兄弟のような存在だと訴えた。
自分が頼んでも御館様は聞いてくれないため、息子であるジンから頼んでほしいと願い出た。

しかしジンは、危険な存在を残せば仲間の命を危険にさらすことになるため、アキオを生かしておくことはできないと断言した。

アキオの処置と疑い

病室ではナツキがアキオの治療を受けさせていた。
医師は切断された腕は治せないため止血だけ行い、助けたいなら外の病院へ連れて行くべきだと説明する。

ナツキは、アキオが裏切り者だったことに触れる。
フユキの「閻魔帳」による情報収集で屋敷の人間を調べた結果、疑いが残ったのはアキオだけだったと語り、なぜ裏切ったのか問い詰めた。

御館様の処分とナツキの怒り

ナツキは、御館様が裏切り者に容赦しないことはアキオも知っているはずだと告げる。
屋敷に戻れば情報を引き出された後に殺されるだろうとも言った。

自分も影森の裏仕事は好きではないが、それでも仲間を売るほどの憎しみはないと語り、裏切った理由を求めた。

痛みを感じない体

アキオは、自分は生まれつき痛覚が鈍く痛みを感じにくい体質だと語る。
そのため子供の頃は怪我を恐れず戦えたが、自分の痛みが分からないのと同じように人の痛みも理解できなかったという。

それでも影森家はそんな自分を育て、雇ってくれたことに感謝していた。
外の世界に出ていたら自分は犯罪者になり、死刑になっていたかもしれないとも語る。

影森での生活

影森には変わった人間やツガイが多く、自分にとっては生きやすい場所だった。
親のいない者同士で姉弟のような関係になり、家族のような居場所もできた。

しかしそれでも埋まらない何かがあり、その感覚は次第に大きくなっていった。

親を探すようになった理由

アキオは、その空白を埋めるためにネットで仲間や情報を探すようになった。
その中で、自分の親ではないかと思われる人物を見つけたという。

その人物を見つけた時、今まで感じたことのない感情が湧き上がったと語った。

ナツキの追及

ナツキは、その人物と連絡を取ったのか、何か吹き込まれたのではないかと問い詰める。
しかしアキオは答えず沈黙した。

ナツキは、捨てた親に今さら会ってどうするのかと怒りをぶつける。

ヤマノカミを逃がしてほしい願い

その中でアキオは突然、ナツキに頼みがあると言う。
それはツガイのヤマノカミを今すぐ逃がしてほしいというものだった。

ナツキは、フユキが情報を取るため逃がすわけがないと拒否する。
しかしアキオは、ヤマノカミは壊されて死んでしまうと必死に訴えた。

ナツキの疑問

ナツキは、誰に壊されるのかと問い返す。
さらに、アキオとの契約はすでに切れているため、屋敷の人間がヤマノカミを傷つけることはないはずだと告げた。

ツガイの本尊の発見

ウサギと「えっさほいさ」は、ヤマノカミと谷風の本尊を見つけた。
ウサギはそれを回収し、フユキの「閻魔帳」で情報を調べてもらうつもりで本尊を運ぼうとする。

本尊の異変

本尊を確認したウサギは、表面に粘液のようなものが付着していることに気付く。
その直後、本尊に異変が起こる。

ヤマノカミの消滅

次の瞬間、ヤマノカミの本尊が突然爆発する。
目の前で起きた出来事に、ウサギは驚愕する。

第30話 情と理

山風の本尊が爆発

ヤマノカミの本尊「山風」が突然爆発する。爆発の衝撃でウサギは地面に倒れ、体のあちこちから煙が上がるほどの重傷を負う。瓦礫の下からえっさほいさが這い出し、周囲の状況を確認する。ウサギは谷風を運んでいたえっさほいさを庇う形で爆発に巻き込まれていた。

ウサギの回復と異変の発覚

えっさほいさが揺さぶって呼びかけると、ウサギは意識を取り戻す。痛みを訴えながらも二人の無事を確認して安心する。しかし自分は歩けないほどの怪我を負っており、さらに周囲を見ると山風の本尊は壊れていることに気付く。そしてもう一つの本尊である谷風が消えていることを知る。

粘液に運ばれる谷風

消えた谷風の本尊は、付着していた粘液によって運ばれ、影森家の屋敷へ侵入していた。粘液が引き戸を動かし、谷風の本尊は廊下を転がりながら屋敷の内部へ入り込む。

屋敷側の状況

同じ頃、ジンとハルオは爆発の報告を受けて現場へ向かっていた。ジンは電話でナツキに状況を確認するが、屋敷ではまだ異常は確認されておらず、ナツキたちは医務室で待機している状態だった。屋敷にはツガイも多く、外から侵入されてもすぐには把握できない状況であると話している。

谷風の本尊の侵入

その直後、屋敷の引き戸が勝手に開き、谷風の本尊が転がり込んでくる。谷風の本尊に付着している粘液が戸を開けて侵入していた。あまりにも予想外の事態に、ナツキたちは本尊が屋敷に現れたことに驚く。

ウサギの警告と爆発

そこへ追いついたウサギとえっさほいさが廊下に現れる。ウサギはえっさほいさに投げられる形で前に出ながら、「みんな伏せて」と叫び、谷風の本尊を突き飛ばす。なもみはぎはナツキを庇い、狸のツガイ・みどりさんはアキオの拘束を解いて主人の立川を守る。

直後、谷風の本尊が屋敷内で爆発し、大きな衝撃が走る。屋敷の別の場所にいたヒカルたちもその爆発に気付き、何が起きたのかと騒然とする。

屋敷爆発後の状況

谷風の本尊が爆発し、屋敷の廊下が崩れる。なもみはぎはナツキと桜沢を抱えて屋根へ避難させ、狸のツガイ・みどりさんは主人の立川を包んで安全な場所へ運ぶ。
屋根に降りたナツキが状況を尋ねると、なもみはぎは「谷風が爆発した」と報告する。さらに確認すると、ウサギから「アキオがいない」と告げられ、爆発の混乱の中で逃げられたことが判明する。

アキオ逃走の原因

爆発時、みどりさんは主人である立川を守るために動き、その際に拘束されていたアキオの縄が解けてしまっていた。
なもみはぎは、ツガイは「主を守ることを最優先する性質」があるため、その性質を利用された可能性を指摘する。立川は自分のツガイの行動が原因だったことに気づくが、ナツキは「主を守ったのだから悪くない」とフォローする。

本尊爆発の正体

ウサギは、爆発した谷風は粘菌のような存在に乗っ取られていたと説明する。
同じ方法で正門前では山風も破壊されていた。寄生した相手を爆弾のように使う「鉄砲玉型」の能力で、しかも本体の気配は感じなかったため、粘菌のようにパーツを分離して行動できるタイプのツガイではないかと推測する。

敵の能力の推測

なもみはぎは、分離して動く性質が金烏玉兎の能力に近いのではないかと考える。
しかし寄生がいつ行われたのかは不明で、ウサギは「動けない本尊を爆弾にするやり方」を強く非難する。ナツキはアキオの捜索を始めるため、なもみはぎに指示を出して屋根から移動する。

現場の後処理

一方その頃、ゴンゾウたちは別の場所で事件の後処理を進めていた。
偵察していたツガイから、近くの倉庫にはパトカーが来ていたが大きな騒ぎにはなっていないと報告が入る。

死体処理屋の存在

デラは、チカン野郎が大量に人を殺しているのに騒ぎになっていないことから、相手側にも死体処理を行う存在がいると推測する。
それを聞き、右様は影森ジンのツガイが「掃除屋」と呼ばれていることを思い出す。ゴンゾウは、どの勢力にも同様の役割の者がいるはずだと述べ、東村には「墓掘り」がいると語る。

アスマの対応

アスマは現場の監視カメラ映像を消去しており、デラに自分の車を貸すと申し出る。
デラは尾行されないか確認するが、今回はしないと笑顔で答えられ、その笑顔に不信感を抱く。

閻魔帳での調査

ゴンゾウは閻魔帳に、デラのツガイから田寺家の情報を読み取れないか尋ねる。しかし閻魔帳は、デラがツガイを連れていないため素性を読むことはできないと答える。

ジンからの連絡

その直後、ゴンゾウのもとにジンから電話が入る。
ゴンゾウは帰るつもりだったが状況が変わったことを伝えられ、影森家の屋敷で起きた爆発事件の報告を受ける。

アキオ逃走の報告

影森の屋敷では爆発後の状況確認が行われていた。
ゴンゾウは「アサマ、アサ、すぐ帰るぞ。アキオが逃げた」と報告する。
それを聞いたユルは「逃げられた? また父様と母様の手掛かりが消えた」と動揺し、その場で倒れてしまう。

ユルの体調悪化

デラがユルに触れると熱が出ていることが判明する。
山を下りた東村の人間によくある「下界の菌やウイルス」による体調不良の可能性があると説明される。
慣れない場所、連続した戦闘、長時間の緊張などが重なり、身体が限界に近い状態だと判断される。

避難の判断

医務室の利用を提案するが、爆発で使えなくなっていた。
そこでデラは「こういうのは慣れている」と言い、自分に任せるよう提案する。
一行は一度「ねぐら」に隠れ、ジンの店を拠点に連絡を取ることを決め、東村と影森はそれぞれ拠点へ戻る。

アサとジンの連絡

移動中、アサのスマートフォンにジンからメッセージが届く。
内容は「アキオに逃げられました。アサさんを狙っている奴を取り逃がしました」という謝罪だった。
アサは「狙われるのは慣れています。おつかれさまでした」と返信するが、内心では「身近な人に裏切られるのはきつい」と感じていた。

ジン側の状況

ジンとハルオは屋敷でアキオの部屋を調べるが、手掛かりは見つからなかった。
ハルオはアキオと兄弟たちの写真を見つけ、複雑な表情を見せる。

屋敷内の警戒

ジンは屋敷の人々に指示を出す。
アキオを見つけても捕まえようとせず、大声で知らせること。
必ず二人以上で行動し、単独行動は絶対に避けること。
アキオは一人では対処できない危険な人物だと警告する。

アキオの行動

その頃アキオは庭で庭師を襲い、殺害していた。
庭師のツガイは主人を守ろうと噛みつくが、主人が死亡したことで契約が切れ、動きを止めてしまう。

野良ツガイの発生

アキオはツガイに対して「ごめんな、野良ツガイにしちゃった」と呟く。
契約主を失ったツガイは野良状態になってしまうが、すぐ誰かに見つけてもらえるだろうと考えていた。

屋敷からの脱出

最後にアキオは、自分のツガイ「山風」の本尊の残骸を確認する。
そしてその場を離れ、影森の屋敷から完全に脱出する。

アキオと母の再会

影森の屋敷から逃げたアキオは駐車場に出る。
そこで一人の女性が車の前で待っており、「待っていたぞ。おかえりアキオ」と声をかける。
女性はアキオの母で、アキオは「ただいま母さん」と答える。
母は怪我を心配するが、アキオは「血が出過ぎて少し休みたい」と言う。
母は「私が助けに行っていればこんな目に遭わせなかった」と謝り、アキオを抱きしめる。
アキオは「ありがとう母さん」と返し、母は「これからはずっと一緒だ」と言う。

西側の拠点の会話

一方、西側の拠点では御陵たちが状況を確認していた。
御陵は「血縁というものは呪いだ。どうあがいても逃れられない」と語り、アキオを回収したことを告げる。
醍醐はアキオが生きていることに驚くが、椥辻は仕留め損ねたことを謝る。
醍醐は「何か使い道があるだろう」と言う。
さらに椥辻は、ジンたちにどれほど情報が漏れたかを気にしつつ、東村同士で争い続けてくれれば都合が良いと話す。
醍醐はイワンが東村の戦士をかなり倒したことも報告する。

影森側の推測

影森の屋敷では、ウサギが粘菌のようなツガイの正体を思い出す。
自分の先祖の故郷である鳥取の話として、
「他のツガイの本尊に種を付けて発芽させるツガイが西にいる」という噂を聞いたことがあると言う。
そのため、今回の粘菌型ツガイは西出身の可能性が高いと推測される。

西側の思惑

再び西側の場面。
御陵は「四百年待った。この機会を逃すわけにはいかない」と語る。
そして今回の争いについて「今度は西が勝つ」と断言する。

第31話 東村と西ノ村

ユルの治療

段野のマンションで、ユルはデラに手当てを受けている。
傷は消毒され、血も止まっているため、肉が盛り上がって回復するのを待つしかない状態。
破傷風については、東村の人間は祈祷師による処置が済んでいると説明される。
氷枕を当てられ、ユルは横になって休むことになる。

仲間たちの気遣い

ユルは迷惑をかけたと謝るが、ハナやケンは気にするなと励ます。
ケンは「ツガイも人も一人では生きていけない」という黒服のツガイの言葉を思い出して話す。
ユルも感謝を伝え、冗談交じりに「お前が病気になったら猪を獲って鍋を作る」と言うが、ケンに「法に触れない介護を」と止められる。

左右様とのやり取り

左右様もユルを心配していたが、意識がはっきりしていると聞き安心する。
右様は「謝る必要はない、早く治して刀のツガイ使いを捕まえに行くぞ」と励まし、ユルの頭を撫でる。
ユルが手の冷たさを気持ちいいと言うと、熱冷ましとしてイワンに斬られた足と左様の手を乗せられ、ユルは苦笑する。

ハナの説明開始

ユルを休ませた後、ハナは部屋に集まった面々に事情説明を求める。
そこには新しい人物やツガイが増えている。

新メンバーの紹介

アザミは東村から誘拐されていた子供だとデラが説明。
さらに犬の姿の存在はペットではなくツガイ使いであり、宇宙人のツガイたちの主であると明かされる。
ハナは宇宙人に「惑星に帰って」と突き放す一方、家に富をもたらすとされる座敷童子には歓迎するため、宇宙人側が「差別だ」と抗議する。

さらに増えるツガイ

そこへ窓からオシラサマが帰ってくる。
東京観光を楽しんできたらしく、大量の土産を持って現れる。
ツガイが次々と増える状況に、ハナは「また増えた」と驚き、ケンは「ここはツガイの集会所みたいになってきた」とぼやく。

オシラサマの帰宅と土産配り

段野家に戻ってきたオシラサマは、東京観光の土産を配り始める。
神社や寺で知り合った「見える人」たちと仲良くなり、色々もらってきたと説明する。
東京タワーの土産をハナに渡し、さらに新顔の存在にも気づく。

アザミとの対面

オシラサマは東村の子であるアザミに興味を持ち、子ども好きだと言って声をかける。
最初は姿が見えないアザミのために自分の姿を現し、挨拶しながら土産の招き猫を渡す。
アザミは礼を言いながら、村が襲われ母が殺された出来事を語り始める。

村襲撃の証言

アザミの話では、赤い着物で目つきの悪い少女が合図を出した瞬間、大人たちが真っ二つにされたという。
デラはそれが自分の言っていた「入れ歯のようなツガイ」で、ガブちゃんという少女が主だと説明する。
話を聞いたオシラサマはアザミを優しく慰める。

アザミを匿う問題

ザシキワラシは、アザミには仇がいるため影森に預けられないと主張し、この家で匿うよう頼む。
さらに事情を知ってしまった以上、村に戻れば座敷牢に入れられる可能性もあると言う。
子どもを放っておけないハナは渋々了承するが、生活費の問題を心配する。

デラの能天気な対応

ハナが収入の心配をすると、デラは競馬新聞を見ながら次のGIを考えると言い出す。
ハナはギャンブルを止めるよう怒るが、デラは「次は絶対勝つ」と言って取り合わない。
家の中はツガイや新しい住人で騒がしくなっていく。

ユルの行方

騒ぎの中でケンがユルの様子を見に行くと、布団にいないことに気づく。
左右様は「どこにも行っていない」と言い、押し入れを指す。
中にはユルが隠れており、弱っている時は狭く暗い場所が落ち着くと言う。

食事と薬

ハナが塩むすびを差し出すと、ユルは食欲がある様子で食べ始める。
デラは鎮痛解熱剤を渡すが、ユルは怪しい石のように見えて警戒する。
デラはそれが東村でも使われている痛み止めで、市販の薬を粉にしたものだと説明する。

ユルの決意

村では名医が作る特別な薬だと思われていたが、実際は大量生産の薬だったと知りユルは驚く。
そしてイワンの顔を思い出し、復讐心を強めながら薬を飲む。
その様子を見てデラは、食欲があるなら一安心だと判断する。

宇宙人のツガイの帰還と生活の不安

宇宙人のツガイが帰り、それを皆で見送る。
ハナは、デラの収入が減っているのに同居人が増え、しかも戸籍のない者までいる状況に不満を漏らす。
デラは「なんとかなる」と気楽に答え、ハナがいるから安心していられると軽口を言う。

デラの質問とハナの価値観

デラは突然真面目な顔で「ハナはユルに死んでほしい派か」と尋ねる。
ハナは子供自体は好きではないが、子供の人生を踏みにじって利用する大人は死んでほしいと思っていると答える。
その答えを聞き、デラは満足そうに笑う。

それぞれの寝る場所

その後デラは皆に風呂に入って寝るよう指示する。
ユルと同室だと風邪がうつるかもしれないため、ケンはデラの部屋で寝ることになる。
アザミはハナの部屋で寝ることになり、デラはハナが怖くないと安心させる。

奇妙な部屋での就寝

しかしデラの部屋は武器だらけ、ハナの部屋も格闘技や筋トレの器具だらけだった。
ケンとアザミは内心で「この部屋怖い」と感じながら眠ることになる。

翌朝の影森家

場面は翌朝、影森の屋敷に移る。
ヒカルが「アキオ君が裏切り?」と驚くと、ガブはアキオがアサを狙っていたと語る。
アキオの裏切りが明らかになり、新たな不穏な展開が示される。

アキオの裏切りの経緯

ガブは、アキオをそそのかした外部の人間がいる可能性を指摘する。
本来は御館様が戻ってから事情を調べ、その後アキオを処分する予定だったと説明する。
ヒカルは、仲間だったアキオをすぐ殺そうとする父のやり方に強く反発し、生かす道を探るべきだったのではないかと訴える。
しかしガブは、すでに殺されている庭師の遺体を示し、状況的にそれは無理だったと突きつける。

庭師・川井の死

庭師の川井サノスケが、逃走しようとした黒谷アキオを止めようとして殺されたことが明らかになる。
川井のツガイは主を失い、野良状態になっていた。
そこで別の人物が血を使って契約を結び直し、ツガイを再び従えることになる。

ツガイ「ゴッコイタチ」

庭師・川井サノスケのツガイは、主を失って野良になっていた。
そこで別の人物が血を使って契約を結び直し、ツガイは再び主を持つことになる。
フユキは閻魔帳を開き、そのツガイの名が「ゴッコイタチ」であること、前の主が川井サノスケであり、黒谷アキオを止めようとして殺害されたことを読み上げる。

事件の処理方針

ヒカルの父・ゴンゾウは、この事件を「変死」として扱うと警察が屋敷に入ることになるため、自然に失踪したことにする方針を示す。
川井はゴンゾウが拾ってきた人物で身寄りもいないため、失踪として処理しやすいと説明する。
そのため川井の死は公にせず、失踪として扱うことになる。

ヒカルの反発

ヒカルは、このやり方に強く反発する。
長年働いてきた人間をきちんと葬ることもできないのは悲しいと訴え、父の冷酷さこそがアキオの心を閉ざし、裏切りを招いたのではないかと批判する。
もしもっと寛容さがあれば、裏切った理由を話してくれたかもしれず、川井も死なずに済んだかもしれないと悔やむ。

ガブの現実的な考え

それに対してガブは、ヒカルの描く理想と現実の違いを語る。
ヒカルの漫画の世界は優しいが、現実には信じられないほどひどい人間がいると指摘する。
自分たちの居場所である影森を守るためなら、たとえ相手が親でも容赦しないと断言する。

アキオへの結論

ガブは、アキオは影森の仲間よりも自分を捨てた親を選び、その結果として仲間を裏切ったのだと語る。
改心する可能性に期待して手心を加えても、悪人は簡単には変わらないと考えている。
取り返しのつかない事態になる前に排除する、それが自分のやり方だと冷静に言い切る。

アサの動揺

その話を聞いたアサは「ごめんなさい」とだけ言い残し、その場を去ってしまう。
ジンはアサを一人にしないでほしいと周囲に訴える。
ガブはすぐに追いかけ、「アサ、待て」と声をかけながら後を追う。

ツガイと裏切りの疑問

ウサギはハルオに、人間が仲間を裏切る理由を疑問に思う。
ツガイは相棒を絶対に裏切らないのに、人間は仲間同士でも裏切り合うことがあると不思議がる。

アサの自責とガブの叱責

アサは、アキオに狙われたのは自分なのに、戦闘員でもない庭師の川井が巻き込まれて殺されたことに強い罪悪感を抱く。
普通に生きていただけの人が死んだのは自分のせいだと落ち込むが、ガブはそれを否定し、アサの力を利用しようとした者が勝手にやったことでありアサの責任ではないと怒る。
さらに、何でもすぐ謝るなと叱りつける。

未知のツガイの可能性

一方、屋敷ではツガイの本尊に寄生して爆発させる存在の話が出る。
閻魔帳にもその情報はなく、屋敷の者たちは未知のツガイの可能性を考える。
ハルオは、屋敷の全員が自分のツガイを確認し、寄生されていないか調べるべきだと提案する。

西のツガイという示唆

ウサギの話から、そのツガイは西の方のものではないかという推測が出る。
それを聞いたゴンゾウは、西ノ村がすでに滅びてダム湖の底に沈んだはずだと思い出し、不安を感じる。

ダム湖と沈んだ村

テレビの天気予報では、西日本でダムの水位が下がり水不足が心配されていると報じられる。
水位が下がったダムの底から、「西ノ村」と刻まれた石碑が姿を現していた。

第32話 墓掘りと掃除屋

ユルの悪夢

熱で寝込んでいたユルは、幼い頃の記憶の夢を見る。
山中で山賊を殺した後、死体を一人で処理していた過去だった。
父もおらず、後始末をしてくれる者もいないため、「迷うな」「自分でやるしかない」「山では一人だ」と自分に言い聞かせて行動していた。

目覚めと状況の把握

ユルはその夢から目を覚ます。
最初は自分がどこにいるのか分からなかったが、押し入れの中にいることに気付き、「布団を入れる所で寝たんだった」と思い出す。
襖の隙間から視線を感じて驚くと、そこにいたのは見守っていた左様だった。

見守りと体調確認

左様は、まだ動き回れないがこの姿勢ならユルを見守れると言う。
ユルは驚かされたことに文句を言いつつも礼を言う。
その後ケンが様子を見に来て、体調を確認する。
ユルは体が軽くなったと答え、時間が昼過ぎであることを知る。

リビングでの再会

ユルがリビングへ行くと、デラやハナたちが回復した様子を見て安心する。
子供たちも声をかけ、肩の傷や体調を気遣う。

ツガイの反応と夢の話

その場でツガイ達がユルの足を前足で引っ掻き、ユルは驚く。
ハナに「よく寝られたか」と聞かれたユルは、嫌な夢を見たと答える。
ハナは深く聞かず、「おいしいものを食べて忘れろ」と言う。

昼食の準備

デラは遅い昼食を作ると言い、皆で食事を取ろうと声をかける。
ユルもその輪に加わることになる。

アサの悪夢と過去

アサは夢の中で、東村の者に拘束されていた過去の場面を見る。
その場でアサは一度殺されてしまうが、その結果として能力「解」が発現する。
その直後、ガブが東村の者たちを殺害し、遅れてジンが現場に到着する。
ガブは「遅かったよ、ジンちゃん。掃除よろしく。アサさ、一回殺されちゃった。“解”手に入れたっぽいよ」と状況を説明する。

アサの罪悪感

現場でアサは、自分が人を殺してしまったことと後始末をさせてしまうことに強い罪悪感を抱き、ジンに何度も謝る。
ジンはアサの手を取り、「後片付けは私の仕事です。あなたが謝る必要はありません。あとは任せて心を休ませてください」と落ち着かせる。

目覚め

アサはその夢から目を覚ます。
目を覚ますと、ガブがアサの太腿の上で寝ており、アサが「ガブちゃん重いよ」と声をかけるとガブが起きる。
ガブに「よく寝れた?」と聞かれ、アサは「なんか嫌な夢見た」と答える。
ガブは「ごはん食べて忘れな」と軽く返す。

ナツキの護衛

アサがスマホで時間を確認するとかなり遅い時間になっており、部屋を出る。
外ではナツキが護衛として待機していた。
ナツキは「もう午後だけど」と言い、襲撃後で気が抜けたところを再び狙われる可能性があるため見張っていたと説明する。
アサが礼を言うとナツキは笑顔で応じる。

授業再開

ナツキはシャワーを浴びたあと授業を再開すると言い、この日の授業は数学だと告げる。
アサは嫌がり、ガブも「こんな日くらい休ませろ」と抗議する。
しかしナツキは「今日の数学ノルマを終わらせてから寝る」と言い、二人に問題を解かせる。

数学と能力の冗談

問題を見たアサは「この問題、“解”で解けないかな」と言う。
それを聞いたガブは「伝説クラスのツガイをそんなことに使うな」と突っ込む。

ジンの調査

場面は資料室へ移る。
ジンは寄生型のツガイについて調査しており、粘菌のように宿主を爆発させる性質を持つ可能性を考えていた。
しかし影森のデータベースには該当する記録がなく、地方の郷土史や民俗誌を調べる必要があると考えている。

アサとガブの手伝い

そこへアサとガブが現れ、調査を手伝うと言う。
寄生するツガイの正体について尋ねるが、ジンはまだ分かっていないと答える。
現在は西日本のツガイを中心に調べているが決定的な情報は無い。
そのため全国規模で調べる必要があるかもしれないと話し、三人で手分けして資料を調べることになる。

授業から逃げた理由

ジンにナツキの授業はどうしたのかと聞かれると、アサは「古典の勉強をすると言って逃げてきた」と答える。
ガブもこの資料室は古い本ばかりだから同じようなものだと言う。

ナツキへの気遣い

アサは、ナツキがアキオの件で辛いはずなのに、いつも通り生活しようとしているのではないかと話す。

ナツキの休息

一方ナツキのもとにはフユキが酒を持って来る。
ジンから「今日はもうゆっくり休め」と伝えられたと言われ、ナツキはため息をつく。

ナツキの提案とハルオの軽口

フユキがハルオに「皆で飲もう」と声をかける。
ナツキは「飲んでゆっくり寝て、それからアキオの事を考えよう」と言う。

疲れた様子のハルオは軽口で「徹夜に酒とか肌荒れMAXじゃん、ナッキ」と返す。
それを聞いたナツキは酒瓶を振り上げ、「今すぐ寝させてやるよハルオ」と言って脅すような仕草をする。

電子辞書とユルの学習

ユルは電子辞書を使い、ひらがな入力で言葉を調べて意味を表示させることに成功し、喜ぶ。
ハナは「わからない言葉があったら自分で調べろ」と電子辞書を渡したのだと説明する。
ユルは下界に来てから読めても意味が分からない言葉が多く、人に聞かずに調べられるのは便利だと言う。
村での勉強については、デラが下界から持ち帰った本を読んでいたと話し、神田の古書店街で仕入れた本だったことも明かされる。

アザミの戸惑い

アザミは電子辞書を見て仕組みが分からず驚く。
ユルは自分にも仕組みは分からないが「そういうものだ」と答える。
急に下界に来て混乱していないかと聞くと、アザミは「何が何だか分からないまま慣れた」と疲れた様子で答える。
ただし「お米がおいしい」と言い、ユルも強く共感する。

子供たちと左右様

ザシキワラシたちはアザミが少し元気になったことを喜ぶが、村に帰りたいだろうと心配する。
そこへ左右様が現れ、湿っぽい顔をするなと励ます。
左右様の体はまだ完全ではないが、デラが買ってきた石用接着剤のおかげでくっついていると話す。
ユルは「なるべく斬られないでくれ」と突っ込む。

デラの競馬

一方デラは競馬場で賭けに負けて燃え尽きていた。
隣の男も借金をしてまで賭けており、互いに次のレースで取り返そうと盛り上がるなど、ろくでもない会話をしている。

東村からの召集

その頃、デラとハナの携帯に連絡が入り、東村の役職者に召集がかかったことが伝えられる。
ハナは送り主が山賊であることを確認し、フジムラヤマ倉庫の件でデラが責められ、ユルを差し出すよう迫られる可能性を話す。
ユルは自分が行って全員を倒せばいいのかと言うが、左右様たちは止める。
デラも東村の役職者にはツガイ使いが多いのでやめておけと言う。

デラの欠席

デラは「というわけで欠席」と言って会合から逃げる。
ハナは自分まで休むと怪しまれるため、仕方なく出席することになる。

召集の場

召集場所には山賊たちが集まっており、ハナは挨拶する。
山賊はデラのことを尋ね、フジムラヤマ倉庫で「ユルは渡さない、東村には協力しない」と言っていたと伝える。
ハナはそれを聞き、デラを裏切り者のように罵りながら話を合わせる。

社長の登場

そこへ「社長」が到着する。
ワンボックスカーから降りた社長は巨大なツガイを二体従えており、集まった者たちに「皆そろっているか」と確認する。

東村の会合と社長の思惑

東村の集まりでは、田寺が来ていないことが報告され、社長は「やはりか」と反応する。
その頃ハナのツガイ(二狼)は、社長のツガイの様子などをデラたちに連絡し、ハナの部屋ではデラとユルたちが状況を遠隔で把握していた。
デラは社長について、下界の東村関係者をまとめている人物で、自分たちに仕事を回してくれる存在だが、「封」と「解」を手に入れて東村を支配しようとしている派閥の人間だと説明する。

社長の方針

社長は、番小者の田寺リュウがユルを連れて隠れているという情報を確認し、ハナに連絡の有無を尋ねる。
ハナは、ユルを山から下ろしてデラの近くへ送った後は何も聞いていないと答える。
東村が影森に襲われて壊滅状態になり、山賊や祈祷師もほとんどいなくなり、結界の抜け道を知る者も減った状況を踏まえ、社長は今後は下界にいる自分が主導して動くべきだと考える。

ユル捜索の命令

社長はまず田寺を探し出し、ユルの居場所を突き止めるよう命じる。
メンバーからは田寺は強く、素手では勝てないという意見も出るが、ツガイで対抗すればよいと話が進む。

不審物の発見

その場で二狼が袋を見つけて運んでくる。
中身はツガイの本尊らしきもので、不審物として警戒される。

爆発と襲撃

その本尊は仕掛けられたもので、遠くから監視していた人物が起爆させる。
爆発が起き、東村の関係者たちを襲撃する罠だったことが判明する。
仕掛けた側は、役に立たないなら全員潰せと命令し、現場の後処理を部下に任せる。

峰山の登場

後処理を任されたのは女子高生の峰山で、彼女は遅刻しながら現場へ向かう。
受験生で忙しいと文句を言いつつ、爆発で散らばった肉片を回収する作業が面倒だと愚痴をこぼす。

ハナとの遭遇

そこへハナが現れ、耳を押さえながら「学生さん?こんな時間にここで何をしている」と声をかける。
峰山は「塾の帰りに道に迷った」ととぼけて答える。

この場面で、東村の集まりを狙った襲撃の裏に別勢力が動いていることが示され、物語は緊張した状況で区切られる。

黄泉のツガイ 一覧

黄泉のツガイ 1の表紙画像(レビュー記事導入用)
黄泉のツガイ 1巻
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黄泉のツガイ 2巻
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黄泉のツガイ 3
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黄泉のツガイ 4
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黄泉のツガイ 5
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黄泉のツガイ 6
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黄泉のツガイ 7
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黄泉のツガイ 8
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黄泉のツガイ 11
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黄泉のツガイ 12

その他フィクション

e9ca32232aa7c4eb96b8bd1ff309e79e 漫画「黄泉のツガイ 7巻」イワンがメチャクチャ強い 感想・ネタバレ
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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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