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物語の概要
本作は異世界転生もの兼ダークファンタジーである。主人公のシドは、現世での事故により命を落とした後、魔法と剣の世界に転生し、「影の実力者」としてあらゆる物事を陰から支配・統制することを理想とした。物語は、平穏な学園生活やテロ事件の解決を経て、王都ミドガルで新たな事件――秘密結社十三の夜剣構成員の殺害――が起こるところから動き出す。第17巻では、その殺人事件をきっかけに、“闇”に潜み暗躍する「影」の存在として、シドが再び暗躍を始める展開が描かれている。
主要キャラクター
- シド:本作の主人公。「影の実力者」を自称し、表舞台には立たず影から世界を動かすことを志す青年。異世界転生後、その理想に燃え、多くの事件で黒子として働く。
物語の特徴
本作の魅力は、主人公が「影」に徹し、あくまで裏方として世界を動かすという通常の英雄譚とは逆の視点を軸にしている点である。剣と魔法、異能、秘密結社、裏社会の暗躍といったダークファンタジー要素に加え、主人公の“実力”ではなく“影としての策謀と工作”による支配・統制がテーマとなっており、「強さ=力の誇示」ではなく「強さ=影の掌握」というサスペンス性・戦略性に優れた構造が他作品との差別化要素である。第17巻においては、殺人事件、組織抗争、正体隠蔽、陰謀といった過激かつ緊張感の高い展開が描かれ、シリーズのダークさと引きの強さが一段と深まっている。
書籍情報
陰の実力者になりたくて! 17
漫画 坂野 杏梨 氏
原作 逢沢 大介 氏
キャラクター原案 東西 氏
発売日:2025年11月26日
ISBN:9784041167434
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あらすじ・内容
いずれ分かるよ 夜が来ればね――…。
異世界に転生し、あらゆる物事に陰から介入し
実力を示す「陰の実力者」設定をエンジョイしているシド。
学園テロ事件終結後のミドガル王国では
秘密結社『十三の夜剣』の一人が殺される事件が起きていた…!
シドは身の安全のために、クリスティーナやカナデと共同生活を送るが…。
悪が悪を断つ、震撼の第17巻!
感想
シドの飄々とした距離感と、クレア昏倒の「軽さ」
本巻を振り返ってまず印象に残るのは、クレアがゼータたちの儀式に巻き込まれて意識不明になったにもかかわらず、シドがほとんど深刻さを感じていない点である。読者視点から見れば一大事のはずの出来事を、彼は「そのうち目覚めると言っていたし」「部屋が静かになった」くらいの感覚で受け止めているようにも見える。この徹底した他人事感覚こそが、シドという人物の異常さであり、同時にシリーズの独特な魅力を支えていると感じた。
白い空間とヴァイオレットの再登場がもたらす不穏さ
シャドウとしての戦闘を終えた直後、シドが再び白い空間に飛ばされ、傷だらけのヴァイオレットと再会する場面も、本巻の流れの早い段階で印象を残す。前巻で渡し損ねた赤い宝石を今度こそ渡した瞬間、彼女が一気に「悪意」そのもののような存在へ変質し、白い空間が黒い闇に侵食されていく描写は、今後の大きな火種として機能している。シドは「渡さないほうがよかったか」と一瞬だけ真面目に振り返るものの、その後は日常に溶けていくため、このギャップもまた物語全体の不安定さを強めていた。
学園日常への回帰とロイヤルミツゴシ高級バー
白い霧のテロ事件から一か月後、物語は学年末テストとポーカーという、いつもの学園日常に戻っていく。ヒョロとジャガが勉強もギャンブルも総崩れなのに対し、シドは淡々と金を巻き上げ、「圧倒的勝利の虚しさ」を気取って楽しむ。この日常パートの締めとして、ロイヤルミツゴシ高級バーに足を運ぶエピソードが置かれているのがうまい。アルファとの会話を通じて、オリアナ王国の改革計画やフェンリル派壊滅の裏事情、「十三の夜剣」という新たな腐敗の象徴が一気に提示され、ここで初めて「今回の敵の輪郭」がはっきりする構成になっている。
「十三の夜剣」とジャック・ザ・リッパーの開幕
ゲーテ・モーノ伯爵の隠蔽工作と、その直後に現れる血塗れのピエロ――ジャック・ザ・リッパーの襲撃は、本巻中盤以降のトーンを一気に変える。ゲーテが暖炉の前でコーヒーを味わいながら自分の出世を夢見ているところから、一転して屋敷中の使用人が全滅し、自身もトランプ一枚で殺される流れは、悪趣味なブラックユーモアすら感じさせる。
ここで面白いのは、「十三の夜剣」という名称自体がどこかユルい響きを持ちながら、実態は極めてえげつない腐敗貴族の集団だという点である。ゲーテ・モーノ、クザヤ、グレハンという名前も、口に出すと微妙に締まらない印象があり、その「名前のゆるさ」と、やっていることの醜悪さとのギャップが強く残った。
クリスティーナ視点から見える無力感と歪み
ゲーテ殺害をきっかけに、物語の視点はクリスティーナ側へ比重を移していく。エライザの暴力事件が「事故」として処理されようとしていることに対する怒りと無力感、父から「十三の夜剣に逆らうな」と釘を刺される理不尽さ、さらにゲーテの死に顔を思い出してふと笑ってしまう自分への戸惑い。
このあたりは、もはや「異世界転生コメディ」の枠を越え、人が腐った社会の中でどのように心を歪められていくか、というかなり生々しいテーマが描かれているように感じた。ジャック・ザ・リッパーによる次々の暗殺を、クリスティーナが「寄生虫が駆除されていく」と感じていく過程は、読んでいてぞくりとする。
ジャック・ザ・リッパーの儀式性と「十三の夜剣」狩り
クザヤ伯爵とグレハン男爵が、隠し部屋で血塗れのピエロに襲われる一連のシーンは、本巻で最もホラー寄りのパートである。斬撃を叩き込んだはずの相手が立ち上がり、とどめを刺したと思った側がいつの間にかトランプで頭を撃ち抜かれている、という「視点のずらし方」が非常に印象的だった。
噴水に吊るされた二人の死体、頭に刺さるスペードのトランプ、「1」「2」「3」と増えていく数字。シドが「スペード=冬・夜・死」「十三枚のスペード=十三の夜剣」と、いかにもそれっぽい解釈を披露してみせる場面は、彼の“それっぽいことを言いたい病”を満たしつつ、物語の流れとしても綺麗につながっている。読者側から見ても、「ああ、これは本当に十三人を順番に狩る儀式なんだな」と納得させられる構図である。
学園へ押し寄せる暴力と、シドの「巻き込まれ方」
ジャック・ザ・リッパーによる連続暗殺で「十三の夜剣」が追い詰められていく一方で、表の学園ではエライザが相変わらず好き勝手に暴れ回っている。血文字で書かれた犯行予告をクリスティーナに突きつけ、廊下では取り巻きにシドを壁ごとぶん殴らせるなど、やっていることはほとんど暴力団である。
ここでのシドは、基本的には「ただの被害者」としてボコられ、周囲から命を心配される役回りに徹しているが、読者はその背後にシャドウ=ジャックの姿を知っているため、「どこまで本気でやられているのか」「どこから狩りモードに入るのか」を考えながら読むことになる。この“表ではか弱いモブ、裏では殺人ピエロ”という二重構造が、シリーズのコンセプトを一番わかりやすく見せている巻だと思った。
ホープ家別邸と、腐った貴族社会の描き方
クリスティーナがシドとカナデをホープ家別邸に避難させ、そこで修学旅行のような共同生活が始まる流れは、一見ほのぼのしているが、裏ではダクアイカン派が襲撃準備を進めている、という二重構造になっている。
ホープ家の豪奢な屋敷、ミツゴシの高級料理に驚くカナデ、美術品の値段を当てて遊ぶ小ネタなど、いかにも「ラノベ的なお楽しみシーン」が挟まれつつ、同時に「証拠書類を握っている側が逆に疑われる」「夜剣に知られればホープ家ごと潰されかねない」という、どうしようもない理不尽さが積み重なっていく。ここでも、「異世界転生ものの皮をかぶった腐敗社会劇」という印象が強くなった。
キャラクターの印象と読みづらさ
一方で、個人的には登場する女の子たちの印象がやや似通っており、名前と性格を整理しないと「あれ、この子誰だっけ」となる場面があった。ゼータ、ニーナ、クリスティーナ、エライザなど、役割や立場は明確なのだが、ビジュアルの差だけでは差別化しきれていない印象もある。ただ、シドのスタンスから見れば「だいたい全部ヒロイン枠」くらいの雑な認識で動いていそうなので、その曖昧さも作品全体の雰囲気には合っているのかもしれない。
総評と次巻への期待
本巻は、シドの飄々とした日常・学園生活、高級バーでの“スパイごっこ”、そして裏で進行する「十三の夜剣」狩りと腐敗貴族たちの断罪が、時系列順にきれいにつながっていく巻であった。派手な大規模バトルは少ないものの、ジャック・ザ・リッパーとしての暗殺劇を通じて、シドの圧倒的な実力と異常な感性がより鮮明になっている。
異世界転生という王道設定を持ちながら、腐敗した司法・貴族社会、無力感を抱えるクリスティーナの心情、そしてそれを影からひっくり返していく「陰の実力者」の存在といった要素が、現実の社会の裏側にも通じるテーマとして描かれている点が本作の大きな魅力だと改めて感じた。クレアの昏睡状態やヴァイオレットの変質など、まだ回収されていない火種も多く、次巻でどのように決着していくのか、続きが非常に気になる巻である。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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登場キャラクター
シド・カゲノー(=シャドウ)
普段は冴えない学園生として振る舞う少年である。しかし裏では「シャドウ」を名乗り、圧倒的な実力で暗躍する存在として活動している。日常では一般人ロールに徹し、周囲からは凡庸な生徒に見られている一方、裏では世界規模の事件を操り、敵対勢力を覆滅させる影の支配者でもある。
・所属組織、地位や役職
ミドガル学園の生徒。
シャドウガーデンの創設者かつ頂点の「シャドウ」。
ミツゴシ商会の最重要人物として扱われる存在。
・物語内での具体的な行動や成果
黒い力を得た剣士を瞬殺しアレクシアたちを救出した。
アレクシア達の首輪装置を破壊し、謎めいた言葉と共に姿を消した(シャドウとして)。
白い空間でヴァイオレットに宝石を渡し、結果として異形化を引き起こした。
日常ではヒョロとジャガから大金を巻き上げ「強者ロール」を満喫した。
ロイヤルミツゴシ高級バーにてアルファと合流し、世界情勢と作戦報告を受けた。
ゲーテらを葬った“ジャック・ザ・リッパー”の痕跡を前に、トランプのスートから十三の夜剣を推理した。
デクノの強打を受けながら一般人ロールを維持し、周囲の認識を操作した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
表向きは冴えない学生であるが、裏では「世界を動かす影」としての影響力を持つ。
アルファをはじめとする幹部たちは彼を絶対的存在として崇拝している。
今回の事件では、暗躍によって“ジャック・ザ・リッパー”として三名の夜剣を排除しつつ、誰にも本性を悟らせていない。
アレクシア
冷静な観察眼を持つ王女であり、騎士団とも連携して事件に向き合っている。シャドウへの不信と感謝の間で揺れながらも、真相を追おうとする姿勢を崩さない。クリスティーナと協力関係にあり、互いに警戒と信頼を両立させている。
・所属組織、地位や役職
ミドガル王国の王女である。
騎士団と連携して捜査に関わる立場である。
・物語内での具体的な行動や成果
シャドウに対して正体と目的を問い、「信じてよいのか」と問いかけた。
ゲーテ・モーノ伯爵殺害現場やクザヤ伯爵邸を確認し、犯人像と手口の共通点を整理した。
血濡れのピエロの目撃情報やトランプの手口から、連続殺人の性質を分析した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
連続暗殺事件において、騎士団と並んで状況を整理する中心人物となっている。
シドの同室問題やクリスティーナの身辺についても関心を示し、私的な感情と公的な役目が交差している。
クリスティーナ・ホープ
正義感が強く、王都の腐敗に怒りと無力感を同時に抱く公爵家令嬢である。エライザ事件の真相を追い、十三の夜剣や騎士団のあり方に疑念を深めている。シドとカナデを保護しつつ、自身も標的になり得る立場で葛藤している。
・所属組織、地位や役職
ホープ公爵家の娘である。
ミドガル学園の生徒である。
・物語内での具体的な行動や成果
エライザ事件の資料を精査し、ゲーテ・モーノ伯爵による隠蔽工作を見抜いた。
ゲーテ殺害現場のコーヒーの染みから「失われた書類」の存在に気づいた。
血とコーヒーの染みがついた書類を確認し、エライザ事件の全体像と隠蔽費用の記録であると断定した。
シドとカナデをホープ家別邸に避難させ、護衛の集中配置を決めた。
連続暗殺で「寄生虫が駆除された」と感じる歪んだ感情を自覚した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ゲーテの死と証拠書類の存在により、夜剣から「ピエロの殺人鬼を雇った可能性がある家」と疑われる立場になった。
正義を求めながらも、力のなさと周囲の制止により行動を封じられ、内面に危うい感情が芽生えつつある。
ニーナ
クレアの親友として学園に所属しているが、裏ではシャドウガーデンとも関わりを持つ工作役である。普段は柔らかい態度を見せるが、必要とあれば冷静に裏切りや制圧を実行する立場にある。
・所属組織、地位や役職
ミドガル学園の生徒である。
シャドウガーデンと協力関係にある立場である。
・物語内での具体的な行動や成果
アレクシア達の前に現れ、脱出路の確保を装って合流した。
アレクシア達が背を向けた瞬間に高速の手刀で三人を気絶させた。
ゼータ達に「準備完了」を報告し、儀式への引き渡しを行った。
聖域でスライムの白いローブを形成し、クレアを抱えて最奥の扉まで運んだ。
後にシドをクレアの病室へ案内し、クレアの容体についてミューと共に説明を受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ゼータから「単独で動くからこそ価値がある」と評価され、シャドウガーデン正式加入は見送られた。
クレアの親友という表の顔を維持したまま、今後も裏の動きを続けるよう指示されている。
ゼータ
シャドウガーデン側の高位メンバーであり、聖域での儀式と作戦の指揮を担う人物である。アルファとは異なる方針を選び、どちらが正しいかを「時に委ねる」と考えている。
・所属組織、地位や役職
シャドウガーデンの幹部である。
・物語内での具体的な行動や成果
ニーナらと合流し、クレアを聖域最奥の台座に固定させた。
クレアの右腕に魔法陣を刻み、ディアボロス復活のための器とする儀式を開始した。
扉を開くための魔力注入と台座の操作を行い、最奥への道を開いた。
フェンリル派の残党殲滅を主導し、アジトや逃走経路を事前に把握して壊滅状態に追い込んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
「右腕と左腕がそろった」と語り、ディアボロス復活計画において重要な節目を迎えた立場になっている。
アルファとは異なる選択をとり、組織内での路線対立の一端を担う存在として描かれている。
ウィクトーリア
シャドウガーデン側で儀式に立ち会う女性であり、新たな世界秩序を語る思想を持つ人物である。ディアボロスとシャドウを神格化し、聖教を不要とみなす過激な観点を有している。
・所属組織、地位や役職
シャドウガーデンに属する立場である。
・物語内での具体的な行動や成果
ニーナの働きを評価し、シャドウガーデン加入案を口にした。
ディアボロス復活とクレアの器としての役割を説明した。
この世界から聖教を排し、シャドウが神となる未来像を語った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
新たな教えを広める側に立つ意思を示し、思想面での旗振り役となっている。
世界観の転換を目指す側の論理を具体的な言葉で示す存在である。
クレア・カゲノー
シドの姉であり、強い魔力を持つ剣士である。現在は聖域での儀式とテロ事件の影響により昏睡状態に置かれている。周囲はその身を案じているが、本人は長く目を覚まさない。
・所属組織、地位や役職
ミドガル学園関係者である。
・物語内での具体的な行動や成果
聖域の儀式において、ディアボロス復活の器として台座に固定された。
右腕に禍々しい魔法陣が浮かび上がり、激しい拒絶反応と痙攣を起こした。
儀式の結果として扉を開くための魔力を供給する役割を果たした。
事件後は学園で昏睡状態となり、ミューの管理下で治療を受けている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ゼータから「いずれ目覚める」と判断されており、今後の展開に影響する可能性を示されている。
肉体が「右腕」の一部として扱われており、ディアボロス計画と深く結びついた存在となっている。
ヴァイオレット
白い空間でシドが出会う幼い少女であり、弱い立場を装いながらも内に異質な力を秘めている。礼儀正しい口調を取りつつ、その内面には別の意図が存在している。
・所属組織、地位や役職
白い空間に存在する存在である。
・物語内での具体的な行動や成果
再び白い空間でシドと遭遇し、傷を負った状態でうずくまっていた。
自分が傷ついている理由を「力が弱いから」と説明した。
シドから赤い宝石を受け取った直後、表情と気配を変え、禍々しい魔力をあふれさせた。
白い空間を黒い闇で侵食し、空間そのものを崩壊させるような変質を起こした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
赤い宝石の受領をきっかけに、無垢な少女から危険な存在へと印象が大きく変化した。
シドにとって「宝石を渡さない方がよかったかもしれない」と後悔を抱かせるきっかけとなった。
ヒョロ
シドの友人であり、ギャンブルと一発逆転を夢見る軽い性格の少年である。努力の方向性がずれており、学業と金銭面で失敗を重ねている。
・所属組織、地位や役職
ミドガル学園の生徒である。
・物語内での具体的な行動や成果
ジャガと共に徹夜でイカサマの練習を行ったが、ポーカーで大敗した。
学年末テストでも散々な結果となり、シドに「将来性を返せ」と詰め寄った。
ミツゴシのリボ払いに頼る生活を送り、金銭感覚の危うさを露呈した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
シドから「将来性はすでに終わっている」と評価される立場になっている。
事件の直接の当事者ではないが、日常パートで学園の雰囲気を示す存在である。
ジャガ
ヒョロの相棒的存在であり、同じくギャンブルと楽観的な発想に振り回される少年である。実力に見合わない期待を抱き、結果として失敗を重ねる。
・所属組織、地位や役職
ミドガル学園の生徒である。
・物語内での具体的な行動や成果
ヒョロと共にイカサマの研究を行ったが、ポーカーで負け続けた。
学年末テストの出来が悪く、シドに金と将来性の返却を求めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
シドにとっては搾取対象となっており、日常パートの被害者役を担っている。
アルファ
シャドウガーデンの幹部であり、組織運営と各地の作戦を統括する立場にある女性である。シドを絶対的な基準として見ており、ビジネスと戦略の両面で報告を欠かさない。
・所属組織、地位や役職
シャドウガーデンの第一席である。
ミツゴシ商会の実質的なトップの一人である。
・物語内での具体的な行動や成果
ロイヤルミツゴシ高級バーでシドと合流し、オリアナ王国の改革状況やミツゴシの事業を報告した。
開発中のウイスキーが高値で取引されている事実をシドに伝えた。
フェンリル派壊滅の経緯を説明し、ゼータの働きを評価した。
十三の夜剣について、いずれシャドウガーデンで処理する方針を語った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
シャドウの隣で世界情勢とビジネスを動かす中核として描かれている。
バーを情報共有の場として用い、シドとの関係を維持している。
ゲーテ・モーノ伯爵
「十三の夜剣」の一員であり、検察のエースとして貴族犯罪のもみ消しを担当してきた貴族である。自らの権力と手腕に慢心しており、出世を当然視していた。
・所属組織、地位や役職
ミドガル王国の伯爵である。
十三の夜剣の末席である。
検察の中心人物である。
・物語内での具体的な行動や成果
エライザ・ダクアイカンの暴行事件を事故として処理するため、多数の証言を操作し隠蔽工作を行った。
自室で隠蔽がほぼ完了したと満足していたが、血濡れのピエロに侵入されて殺害された。
トランプを眉間に突き立てられ、即死する形で処刑された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
連続暗殺事件の最初の犠牲者となり、十三の夜剣を狙う一連の犯行の出発点となった。
死後、隠蔽書類が失われたことで、王都の権力構造に大きな波紋を生んでいる。
エライザ・ダクアイカン
権力を背景に他者を傷つける行動を取る令嬢であり、自身の加害を正当化しようとする人物である。高慢な態度で、周囲を見下す言動が目立つ。
・所属組織、地位や役職
ダクアイカン侯爵家の娘である。
・物語内での具体的な行動や成果
学園で生徒を重傷に追い込む暴行を行いながら、事件を事故として扱わせようとした。
無罪になるという噂に守られていたが、ゲーテの死と証拠の流出により立場が不安定になった。
血文字の犯行予告状を受け取り、それをクリスティーナの仕業だと決めつけて学園で暴れた。
取り巻きのデクノにシドへの暴行をさせて、力を誇示した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
父ブラッド・ダクアイカンが十三の夜剣の長であるため、王国の腐敗の象徴として語られている。
ゲーテの死後、ダクアイカン家は追い詰められ、報復へ動く危険な存在として認識されている。
クザヤ伯爵
十三の夜剣の一員であり、用心深いが自らの権力を信じ切っている貴族である。裏仕事でホープ家と対立しており、冷徹な判断を下す人物として描かれている。
・所属組織、地位や役職
ミドガル王国の伯爵である。
十三の夜剣の一員である。
・物語内での具体的な行動や成果
グレハン男爵と隠し部屋で会談し、ゲーテ殺害の背景とホープ家への疑念を語り合った。
血濡れのピエロと遭遇し、即座に斬撃を放って一度は致命傷を与えたと判断した。
追い詰められて買収を試みたが、トランプの一撃で喉を貫かれて死亡した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
連続暗殺の二、三件目の標的となり、夜剣内部でも緊張を高める要因となった。
遺体はグレハンと共に噴水に吊るされ、民衆への見せしめとして晒された。
グレハン男爵
十三の夜剣側と関係のある男爵であり、下品な笑いと女性蔑視が目立つ人物である。軽率な発言が多く、クザヤとの会談でも品のない態度を取り続けていた。
・所属組織、地位や役職
ミドガル王国の男爵である。
・物語内での具体的な行動や成果
クザヤと共にゲーテ殺害の意味を議論し、ホープ家襲撃を提案した。
血濡れのピエロへのとどめを確認しようと近づき、後頭部にトランプを突き立てられた。
そのまま死亡し、クザヤと共に大通りの噴水に吊るされた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
夜剣側の腐敗と下品さを象徴する存在として描かれている。
死に様が見せしめとなり、王都の不安と噂話を加速させた。
ジャック・ザ・リッパー(血濡れのピエロ)
血まみれのピエロ姿で現れ、トランプ一枚で貴族を殺害する殺人者である。言葉少なで、目的や正体は明かされていない。異常な魔力制御と演出を好む気配があり、王都に恐怖と混乱を広げている。
・所属組織、地位や役職
表向きの所属は不明である。
・物語内での具体的な行動や成果
ゲーテ・モーノ伯爵の屋敷に侵入し、警備や使用人をすべて無力化した。
ゲーテの眉間にミツゴシ製高級トランプを突き立てて殺害した。
クザヤとグレハンの隠し部屋に現れ、二人を順にトランプで仕留めた。
二人の遺体を噴水に吊るし、頭部のトランプと血文字で「Jack the Ripper」の名を残した。
犯行予告状で「十三匹の豚」を処刑すると宣言した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
「ジャック・ザ・リッパー」という名が民衆の間で一気に広まり、王都全体の恐怖の象徴となった。
トランプのスートと連番を用いて、十三の夜剣全員を標的とする意図を示唆している。
カナデ
明るく騒がしい性格の令嬢であり、金銭感覚に疎い一面と庶民的な感覚を併せ持つ人物である。クリスティーナを慕いながらも、シドとの同室生活を楽しむ姿を見せている。
・所属組織、地位や役職
貴族家出身の学園生である。
・物語内での具体的な行動や成果
ホープ家別邸での共同生活に参加し、高級料理や美術品の値段当てで騒いだ。
寿司を前に生魚の危険性を大げさに訴え、シドの「殺しのマイルール」の思考を引き出した。
事件の危険性をクリスティーナから説明され、別邸での生活に納得した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ダクアイカン家からの報復対象になり得る証人として扱われている。
シリアスな事件の中で、空気を和らげる役割を果たしている。
グレイ(騎士団責任者)
騎士団の現場責任者として捜査を指揮する人物である。形式的な視点が強く、表向きの筋道を重視する傾向がある。
・所属組織、地位や役職
ミドガル王国騎士団の幹部である。
・物語内での具体的な行動や成果
ゲーテ殺害現場の捜査を指揮し、血濡れのピエロの目撃証言をまとめた。
クリスティーナが事件で最も利益を得る人物として疑われていると伝えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
騎士団が必ずしも中立ではない可能性を示す存在として描かれている。
書類の紛失をめぐり、クリスティーナ達の騎士団不信を強めるきっかけとなった。
展開まとめ
Episode.66
シャドウの圧倒的な戦闘とアレクシアの問い
シャドウが黒い力を得た剣士を容易く撃破したことに、アレクシアらは驚愕した。アレクシアはシャドウの正体と目的を問いただし、「私たちはあなたを信じられるのか」と訴えた。しかしシャドウは答えを避け、距離を取った。
目的を語り、首輪を破壊して姿を消すシャドウ
シャドウは「我らは我らの目的のため障害を排除する」とだけ述べ、装置を斬ってアレクシア達の首輪を破壊した。アレクシアが振り返った時には既に姿を消しており、三人は首輪が外れたことに驚きを示した。
ニーナの合流と脱出提案
そこへニーナが現れ、アレクシア達の無事を確認した。ニーナは逃走中に道に迷っていたが出口を確保したと説明し、全員で脱出しようと促した。クレアたちは捕らわれた生徒の救出も考慮しつつ移動を始めた。
ニーナの裏切りとゼータの出現
しかしアレクシアたちが背を向けた瞬間、ニーナが高速の手刀で三人を気絶させた。ニーナは「損な役回り」と独りごち、霧の奥に向けて「準備は整いました」と告げた。続けてゼータをはじめとする二名が姿を現し、合流した。
ニーナの立場確認とゼータの方針
ウィクトーリアはニーナの働きを評価し、シャドウガーデン加入を提案した。しかしゼータは、ニーナは単独で動くからこそ裏で動けるとして加入を否定した。ニーナには従来通りクレアの親友として振る舞うよう指示された。
クレアの運搬と儀式の開始
ニーナはスライムで白いローブを作り、気絶したクレアを抱えて聖域最奥の扉へ向かった。ゼータの指示により、クレアは古代文字の台座に固定され、魔力注入による儀式が開始された。ゼータは始めた以上後戻りできないと告げた。
ゼータ陣営の目的と思想
ゼータは、復活したディアボロスを制御するためにはクレアの肉体が必要であると説明した。この世界には聖教は不要であり、永遠の命を得るシャドウが神となり、自分たちが新たな教えを広めるのだとウィクトーリアは語った。
クレアの苦痛と扉の解放
儀式が進行するとクレアは拒絶反応を示し激しく痙攣した。右腕には禍々しい魔法陣が浮かび上がり、苦痛の叫びが続いた。台座から伸びた魔力は扉へと伝わり、鎖を砕き最奥の扉が開いた。扉の向こうには深い闇だけが広がっていた。
魔法陣の完成とゼータの選択
クレアの魔法陣が強く輝き、ウィクトーリアは成功を確認した。ゼータは右腕と左腕が揃ったと述べ、ニーナにクレアの監視継続を命じた。ニーナはゼータの選択に疑念を示したが、ゼータはアルファとの選択のどちらが正しいかはいずれ判明すると述べ、時が来るまで陰に潜ると言い残して立ち去った。
白い空間への再来とヴァイオレットの発見
シドは戦闘後の余韻に浸っている最中に白い空間へと移動していた。周囲を確認すると、以前に出会った幼いヴァイオレットが傷を負った状態でうずくまっていた。シドが声を掛けると、彼女は体の傷を隠すように震えていた。
ヴァイオレットの負傷とシドの対応
シドが彼女の状態を確認すると、ヴァイオレットは負傷の理由を「自分の力が弱いから」と説明した。シドは以前渡しそびれた赤い宝石を取り出し、今度こそ彼女に渡すと述べた。ヴァイオレットは戸惑いつつも宝石を受け取った。
宝石受領後の急激な変質
宝石を手にしたヴァイオレットは、礼を述べながらも表情を一変させた。彼女は宝石を待っていたと語り、直後に禍々しい魔力が全身からあふれ出した。白い空間は黒い闇に染まり始め、彼女の気配は異様なものへと変貌した。
“悪意”の顕現と空間の崩壊
ヴァイオレットは自身の変質を隠さず、黒い魔力を渦巻かせながら宝石を掲げた。魔力の奔流により白い空間は急速に侵食され、シドの視界は闇と歪みに覆われていった。
学園屋上への帰還とシドの独白
闇が広がった後、シドは突然学園の屋上に戻っていた。そこには平穏な学園の風景が広がっていた。シドは宝石を渡した判断が正しかったのかを振り返り、ヴァイオレットの反応から考えて渡さない方が良かったのではないかと疑念を抱いた。
学年末テスト終了とポーカー敗北
ミドガル学園の学年末筆記テストが終わり、ヒョロとジャガは徹夜でイカサマの練習までしたにもかかわらずポーカーでまた大敗したことを嘆いていた。学年末テストの出来も散々で、二人は「俺達の金と将来性を返せ」とシドに食ってかかるが、シドは「将来性はもう充分終わっている」と冷静に突き放し、ミツゴシのリボ払いに頼る二人の金銭感覚を呆れて見ていた。
日常への回帰とシドの“圧勝”
白い霧のテロ事件から一か月が経ち、負傷者は多いものの学園は落ち着きを取り戻していた。姉クレアはショックで意識不明になったままだが、ゼータがいずれ目覚めると語っていたため、シドは深刻に捉えていなかった。放課後、シドは自室でヒョロとジャガからポーカーで大金を巻き上げ、札束の山を前に「圧倒的勝利の虚しさ」を気取って味わいつつも、内心では強者ロールを楽しんでいた。
ロイヤルミツゴシ高級バーへの興味
ポーカーの片付け中、シドは床に落ちていた金色のカード「ロイヤルミツゴシ高級バー会員証(会員番号001シド・カゲノー)」を見つける。ミツゴシが高級会員制バーを始める際にガンマから渡されたものであることを思い出し、スパイ映画のようなシーンへの憧れもあって、一度だけ行ってみる決意を固めた。
高級バーでのスパイごっことアルファとの再会
夜の王都でシドはアルファから贈られたミツゴシ製の高級スーツを着てバーを訪れ、隠れ家的な雰囲気と高級感に満足していた。店員のオメガからは顔パスで迎えられ、カウンター席に案内される。バーテンダーのカイを紹介されると、シドは強者ぶって「ウォッカ・マティーニを、ステアではなくシェイクで」と注文し、震えながらカクテルを作るカイの様子を見守った。そこへドレス姿のアルファが現れ、強い酒が苦手なはずのシドがマティーニを頼んだことや、自分がオーダーしたスーツをようやく着てくれたことをからかいながらも嬉しそうに眺めていた。
ビジネスの進捗と報告の場としてのバー
アルファは自分のカクテルとしてマンハッタンを注文し、ミツゴシではシドの知識をもとにウイスキーを開発中で、まだ非売品ながら高値で取引されていると説明した。シドは内心でまた自分の知識で稼がれていると苦笑しつつ、結局リンゴジュースを追加で頼む。バーには関係者しかおらず盗聴の心配がないと聞かされると、シドはアルファに「例のミッション」の進捗を尋ねる。アルファは、オリアナ王国ではシャドウガーデンの資本と技術を導入した改革が進み、標的を表舞台に引きずり出す準備が整いつつあると報告した。
フェンリル派壊滅と学園事件の後始末
話題は学園で起きた事件に移り、アルファはゼータの働きでフェンリル派の残党が壊滅状態に追い込まれたこと、アジトや逃走経路を事前に把握していたおかげで迅速に殲滅できたことを伝えた。同時に、シャドウガーデン側と騎士団側双方の工作によって、表向きにはテロリストによる襲撃として処理されていることも説明する。クレアの件については報告が遅く詳細が不明な点をアルファが気にするが、シドは「姉さんのことは自分に任せてほしい」とだけ告げ、アルファはそれを受け入れつつ、ミドガルの平和が本当に続くかどうかはまだ分からないと含みを残していた。
エライザ無罪の見通しと王国の腐敗
アルファは、事件の混乱に乗じて生徒を負傷させたエライザ・ダクアイカンが「どうも無罪になりそうだ」と報告した。エライザの父ブラッド・ダクアイカンは、ミドガル王国の腐敗の象徴「十三の夜剣」の長であり、その権力が今回の決定に影響していると説明した。
“十三の夜剣”の実態とゲーテ・モーノ伯爵
アルファは「十三の夜剣」が十三名の権力者で構成される秘密結社で、ディアボロス教団とも繋がりが深いと述べた。今回の事件処理を担当したのは、その末席に位置するゲーテ・モーノ伯爵であり、検察のエースとして貴族犯罪を握りつぶす役割を担っていると説明した。シドは資料を確認し、その影響力の大きさを把握した。
シャドウガーデンの対応方針とシドの発想
アルファは、十三の夜剣について「私たちでいずれ処理するつもりだが、今はオリアナ王国の件で手が回らない」と語った。シドはその話を聞きながらトランプを手に「いいこと思いついたぞ」と呟き、何らかの行動を思案している様子を見せた。
シドの退店と意味深な一言
話を終えたシドは席を立ち、アルファの「もう行くの?」という問いかけに対して「話は分かった。代金はツケといてくれ」と答えた。アルファはシドの企みを楽しむように微笑んだ。シドはカードを舞わせながら「いずれ分かるよ。夜が来ればね……」と言い残し、バーを後にした。
Episode.67
ゲーテ・モーノの隠蔽作業と慢心
ゲーテ・モーノ伯爵は、自室で暖炉の火とコーヒーを楽しみながら、エライザ・ダクアイカンによる犯行の隠蔽処理が完了しつつあることに満足していた。証言が多い案件であったが、自身の手腕で押さえ込んだことを誇りにしていた。彼は「十三の夜剣」の末席にいる立場に飽きており、そろそろ相応の地位に引き上げられるはずだと考えていた。
使用人の不審な反応と静まり返る屋敷
ゲーテは書類をダクアイカン侯爵に送るよう使用人へ命じるが、使用人は焦燥した様子を見せ、コーヒーの淹れ直しに反応が遅れた。ゲーテは気にも留めず執務に戻るが、屋敷の静けさに違和感を覚え始める。呼び鈴を鳴らしても誰も来ず、明らかに異常な状況が続いた。
血濡れのピエロの出現と侵入の発覚
振り返ったゲーテは、いつの間にかソファに血濡れのピエロが座っているのを目撃した。ピエロは無言でゲーテを見つめ、動かない。ゲーテは警備を呼ぶが誰一人として現れず、屋敷の動静から「すでに全員殺されている」と察して恐怖に陥った。
逃走を試みるゲーテと無残な発見
ゲーテは恐怖のあまり逃走を図り、ドアへ向かって走った。しかし、開けた先には血まみれの警備兵の死体が倒れ込んできた。魔剣士として優秀だった警備兵すら即死させられている状況により、ゲーテは完全に恐慌状態に陥った。
トランプによる処刑
背後から迫るピエロに追い詰められたゲーテは倒れ込み、ピエロが手にしたトランプを投げつけた。トランプは眉間に突き刺さり、ゲーテはそのまま絶命した。ピエロは血の中に立ち、「まずは一人」と呟き、次なる標的へと向かった。
エライザ無罪の噂と生徒たちの落胆
エライザの暴行事件が、事故として処理され無罪になる可能性が生徒たちに広まった。被害者側の証言が握りつぶされたと知り、生徒たちは落胆し憤りを感じていた。生徒たちは危うく殺されかけた事実を思い返し、法の裁きを望んでいたが、その希望は絶たれようとしていた。
クリスティーナの疑念と資料精査
クリスティーナは別邸で事件資料を読み込み、エライザの行為が事故扱いされることに納得できず、ゲーテ・モーノ伯爵による捏造と隠蔽を疑っていた。提出された資料には無理のある主張が並び、彼女は怒りを抑えられなかった。また、噂に聞いていた「十三の夜剣」が想像以上に腐敗していると痛感した。
無力感とシャドウへの憧憬
クリスティーナは自分が力不足であることに悩み、もし強ければエライザを正しく裁けたはずだと自責した。さらに彼女はシャドウの存在を思い返し、影で悪を断つその力に強い憧れを抱いた。しかし同時に、理想と現実の差に苦しみ、自分が無力であることに涙した。
父との会話と十三の夜剣への警告
そこへ父が訪れ、十三の夜剣を怒らせるような行動は控えるよう忠告した。クリスティーナは反論できず黙って頷いたが、内心では腐敗を見過ごすことへの葛藤を抱えたままであった。
ゲーテ・モーノ死亡の報せ
父は「面倒なことが起きた」と告げ、ゲーテ・モーノ伯爵が昨晩何者かに殺害されたと説明した。王都中の貴族が騒然とし、騎士団が現場検証を進めていた。クリスティーナはすぐに現場へ向かい、アレクシアとも合流した。
ゲーテ・モーノ殺害現場の状況と血痕の不自然さ
アレクシアはクリスティーナと合流し、ゲーテ・モーノ伯爵殺害現場の廊下を確認した。廊下には伯爵と護衛の魔剣士たちの血痕がくっきり残り、犯人の足跡も続いていた。しかし足跡には逃走の焦りがなく、犯人は複数人を殺害したにもかかわらず、ゆっくり歩いて立ち去ったと判断された。アレクシアは、この異様な落ち着きが「まともな神経ではない」犯人像を示すと語った。
トランプによる殺害という異様な手口
室内の検証では、眉間にトランプカードを突き立てられた伯爵の遺体が確認された。凶器はミツゴシ商会の期間限定高級トランプであり、紙製で魔力伝導率が低いにもかかわらず、眉間を貫通させるには高度な魔力制御が必要と推測された。この非効率かつ異常な手口に、アレクシアとクリスティーナは何らかの意図があると考えた。
犯人像と動機に関する推測
クリスティーナは、魔力制御の高度さや不自然な足跡から、犯人が大量の魔力をもつ魔剣士であり、見せしめやメッセージ性の意図がある可能性を指摘した。アレクシアも、ゲーテ伯爵が裁判隠蔽の裏工作を多数行っていたことから、怨恨を買う理由が多いと説明した。
血濡れのピエロという目撃証言
騎士団責任者グレイは、気絶していた使用人たちが目撃した犯人像として「血濡れのピエロ」を報告した。仮面のため素顔は分からず、外部での目撃者も見つかっていなかった。グレイは単純な怨恨殺人と考えていたが、アレクシアとクリスティーナは事件の不可解な点の多さから、単純ではない可能性を感じていた。
クリスティーナへの疑惑と夜剣の動き
グレイは、伯爵の死によって最も利益を得る人物としてクリスティーナを挙げ、騎士団だけでなく夜剣にも疑われていると告げた。アレクシアは彼女の無実を認めつつも、世間の見方として疑われやすい状況であることを警告した。
コーヒーの染みが示す「失われた書類」
クリスティーナは机の上の長方形のコーヒー染みに注目し、その形から「書類のようなものが置かれていて、それがなくなった」と推測した。誰が持ち去ったかは漫画内で明示されておらず、クリスティーナは小声で「犯人か……それとも騎士団か」と可能性を述べるにとどまった。
騎士団不信と今後の警戒
アレクシアは、現場の物を動かしていないはずの状況で書類だけが消えている点から、騎士団への全面的な信頼は危険であると判断し、互いに警戒しながら動くようクリスティーナに促した。二人はその後も現場を詳細に確認し、事件の真相を探る姿勢を共有した。
放課後、クリスティーナがカナデに危険を説明する
ミドガル学園の放課後、クリスティーナはカナデを呼び出し、ゲーテ・モーノ伯爵の殺害によって状況が悪化したと説明した。エライザの無罪主張を支えていた証拠が失われたことで、ダクアイカン家が追い詰められ、カナデやクリスティーナが報復の対象になる可能性が高まったと警告した。
ダクアイカン家の追い詰められた状況
クリスティーナは、ゲーテ伯爵がエライザのために多数の証言や裏工作を行っていた事実を挙げ、証拠が消えた現状ではエライザに有利な主張が成立しなくなると説明した。そのため、ダクアイカン家が証人の排除に動く可能性に言及し、次に狙われるのは自分たちかもしれないと告げた。
教室に残っていたシドが書類を発見する
二人の会話の最中、教室に響いた悲鳴にクリスティーナが振り向くと、シド・カゲノーが血とコーヒーの染みがついた書類を拾っていた。書類はクリスティーナの机の近くに落ちていたもので、彼は忘れ物だと思って拾ったと説明した。
書類の内容が失われた証拠であると判明する
書類を手にしたクリスティーナは、それがエライザ事件の概要や隠蔽費用、利害関係者の記録であることに気づき、殺害現場から持ち去られていたはずの証拠であると断定した。さらに裏面には血で「ジャック・ザ・リッパー」という名が書かれており、誰かが意図的に自分へ届けたと理解した。
書類を見たシドの身の危険をクリスティーナが指摘する
クリスティーナは、シドが書類の中身を見てしまったことで危険に晒されると判断し、帰宅を許さなかった。シドは拒否したが、彼女は「自分で身を守れるはずがない」と強く引き止めた。カナデにも状況を共有し、同じく帰宅を禁じた。
ホープ家別邸への避難提案
クリスティーナは二人の身を守るため、当面はホープ家の別邸で生活するよう提案した。シドは渋ったが、カナデは安心した様子で受け入れた。クリスティーナは責任を持って護衛すると宣言し、三人は共同生活を送ることになった。
Episode.68
ホープ家別邸での状況報告
クリスティーナは父に、カナデたちを裁判結果が明らかになるまで別邸で保護することを説明した。父は書類を確認し、エライザ事件で行われていた隠蔽工作の証拠として価値が高いと判断した。
書類がもたらす危険とホープ家への疑惑
父は書類の存在を喜ぶどころか険しい顔となり、これではホープ家が逆に疑われる可能性が高いと警告した。娘の机から被害者の所持品が発見されたことで、夜剣には「ホープ家がピエロの殺人鬼を雇った」と疑われても仕方がないと語った。
夜剣に知られた場合の危険性
父は、もし夜剣にこの件が伝われば、クザヤ伯爵やグレハン男爵のような武闘派が動き、ホープ家は危険に晒されると説明した。クリスティーナは裁判を有利に進めれば救われる者がいると反論したが、父は下級貴族の事情などどうでもよいと切り捨てた。
父からの一方的な制止と失望
父は最終的に「お前はもう何もするな」と言い放ち、この件を自分の管理下に置くと宣言して立ち去った。クリスティーナはその姿勢に落胆し、自分に力がない現実を痛感した。
書類を届けた者の意図への思案
クリスティーナは、血文字で「ジャック・ザ・リッパー」と書かれた書類が自分の元へ届けられた理由を考え、夜剣の悪行を告発させる意図があるのではと推測した。しかし、力なき自分には何もできず、権力者の腐敗を正すことも不可能だと理解した。
歪んだ感情の芽生え
彼女の脳裏には、死に顔を晒したゲーテ・モーノの姿が蘇った。あの異様で間抜けな死に顔を思い出し、クリスティーナは無意識に微笑んでしまった。自嘲と失望、そして何か説明しがたい感情が入り混じった微笑であった。
シドの「殺しのマイルール」とカナデの寿司騒動
シドは日頃から人を殺す際の独自ルールを設けていると心中で語り、明確な害意を持つ相手のみを排除すると決めていた。その最中、カナデが寿司を差し出して大騒ぎし、生魚は危険ではないかとシドに訴えた。騒ぎを受け、シドはカナデを「可哀想枠」として分類し、害意のない人物と判断した。
共同生活開始の豪勢な夕食
三人はホープ家別邸での共同生活初日の豪勢な料理を囲んだ。ミツゴシ製の高級料理が次々に並び、カナデは値段の高さに驚愕した。クリスティーナは今日から放課後は別邸に直行するよう指示し、護衛と共に過ごすことが安全であると説明した。
別邸の豪邸探索とカナデの美術品値段当て
広大な廊下と高級品の数々を見て回りながら、カナデは展示品の価格を勝手に予想して楽しんでいた。シドとカナデは国宝級の壺に目を留め、値段の高さに驚いた。豪奢な内装を進む中、三人は寝室へ案内された。
三人で同室となりカナデがはしゃぐ
寝室には三つのベッドが配置されており、護衛対象が固まっていたほうが安全であるとクリスティーナが説明した。カナデは修学旅行のようだとはしゃぎ、ベッドに飛び乗って騒いだ。シドはベッドの配置を観察し、自分の位置が最初に狙われる位置だと分析したが、クリスティーナは警備体制を説明して安全を強調した。
ゲーテ伯爵殺害の説明とシドの大げさな反応
カナデの退室後、クリスティーナはシドにゲーテ伯爵殺害事件について説明した。書類は現場から紛失したものであり、犯人は意図を持って行動していると語った。シドは一般人を装って震えながら恐怖を訴え、クリスティーナは彼を慰めた。
夕食後の就寝とクリスティーナの違和感
食事を終え、カナデはすぐに熟睡した。クリスティーナはシドに近づき、どこかで会ったことがあるような既視感を覚えると問いかけたが、シドは教室で毎日会っているとしか返さなかった。彼女は自分でも理由のわからぬ違和感を覚えつつも、微笑んで部屋を後にした。
クザヤ伯爵とグレハン男爵の密談
隠し部屋でクザヤ伯爵とグレハン男爵が、ゲーテ伯爵殺害事件について情報交換していた。犯行は「ピエロの殺人鬼」によるものと推測され、大貴族相手の犯行としては異常であると分析された。二人は事件の背後を疑い、まず怪しいのはホープ家だと結論づけた。
ホープ家への疑念と夜剣情勢の影響
クザヤ伯爵は、ゲーテ伯爵とホープ家が仕事で揉めていたことから、ホープ家を最有力の疑惑として挙げた。しかし、フェンリル派の壊滅によって後ろ盾が弱まり、夜剣の内部情勢が不安定になっているため、迂闊には動けないと語った。グレハン男爵は軽率に襲撃を提案したが、クザヤ伯爵に制止された。
クリスティーナへの下劣な興味と嘲笑
話題はホープ家のクリスティーナに及び、グレハン男爵は彼女を侮辱しながら下卑た笑みを浮かべた。彼の嘲笑は隠し部屋に響き続け、クザヤ伯爵が苛立ちを見せるほど耳障りなものだった。
不気味な笑い声の侵入
突然、二人の会話とは別に、同じ嘲笑が部屋中に響き始めた。グレハン男爵は最初、自分が笑っているのだと思い込んだが、やがて“別の誰か”が笑っていると気づき、血の気を引かせた。クザヤ伯爵は剣を抜き、正体不明の侵入者へ警戒を強めた。
ピエロの殺人鬼の出現
笑い声は四方から響き渡り、二人が声の出所を探る中、天井から血が滴り落ちた。見上げると、そこには血まみれのピエロ姿の人物が張り付き、不気味な笑いを上げていた。二人はその異様な姿に恐怖を覚え、部屋は緊迫した空気に包まれた。
ピエロの殺人鬼との遭遇とクザヤの斬撃
天井から落下したピエロを前に、クザヤは即座に斬撃を放ち攻撃を仕掛けた。グレハンは「例のピエロの殺人鬼だ」と叫び、二人は警戒しながら間合いを取った。クザヤの攻撃は素早く、グレハンはその腕前を称賛した。
クザヤとグレハンの優勢とピエロの被弾
クザヤは油断するなと念押ししつつ再び斬撃を加え、ピエロの身体から血が噴き出した。ピエロは床に崩れ落ち、痙攣して動きを止めた。二人は致命傷を与えたと判断し、余裕の態度を見せた。
ピエロの死亡確認と油断
グレハンはピエロにとどめを刺したと喜び、仮面の下の素顔を確認しようと近づいた。クザヤは違和感を覚えてグレハンに声をかけたが、グレハン自身は落ち着いた様子を見せていた。
グレハンの負傷発覚と異常事態
グレハンが平然と振り向くと、後頭部にトランプが深々と刺さっていることが判明した。流れた血でようやく自分の状態に気づいた彼は混乱し、その直後に倒れ込み動かなくなった。クザヤは突然の事態に動揺した。
復活するピエロとクザヤの恐慌
クザヤの目の前で、倒れていたはずのピエロがゆっくりと立ち上がった。クザヤは「確かに仕留めたはずだ」と恐れを露わにしながら後退した。ピエロは血の滴る足音を響かせながらクザヤに接近した。
クザヤの買収提案と拒絶される恐怖
クザヤは命乞いを始め、「雇い主はいくら払った」「自分なら倍払う」と懸命に交渉を試みた。しかしピエロは無言のまま歩み寄り、クザヤを壁際まで追い詰めた。
クザヤの反撃と回避される斬撃
追い詰められたクザヤは間合いに入ったピエロへ必殺の一撃を振り下ろした。しかし斬撃は空を切り、ピエロは人外の反応速度で半歩だけ後退して回避した。その動きにクザヤは戦慄し、言葉を失った。
クザヤの最期と死体回収
直後、クザヤの喉元にトランプが突き刺さり、彼は血を吐きながら崩れ落ちた。ピエロは残った書類を拾い上げ、二人の死体を抱えてその場から立ち去った。
大通りの騒ぎと二人の死体の噂
王都の大通りは早朝から騒然としていた。通行人たちは「貴族が二人殺された」「ゲーテ・モーノ伯爵の件の続きではないか」などと噂を交わし、不安を口にしながら現場へと集まりつつあった。
クリスティーナの現場到着
人混みの中を、クリスティーナが急ぎ足で通り抜けた。彼女は周囲に道を開くよう求め、騎士の制止を受けたが、公爵家の名乗りを上げるとすぐに現場への立ち入りを許可された。
噴水に吊るされた二人の遺体
クリスティーナは噴水の支柱に吊された二体の遺体を目にし、その顔がクザヤ伯爵とグレハン男爵であることを確認した。二人の頭部にはトランプが突き刺さっており、遺体の表情には恐怖の痕跡が残されていた。
クリスティーナの歪んだ感情
周囲の民衆が嫌悪や恐怖の声を上げる中、クリスティーナは「気分が悪くなってきた」と口では言いながら、誰にも見えない位置で口元に歪んだ笑みを浮かべた。彼女は心の中で、また二匹の“寄生虫”が駆除されたと感じていた。
Episode.69
クリスティーナとアレクシアによる状況整理
王都の噴水前は騎士団の捜査により封鎖され、二人の貴族が吊るされた異様な光景に民衆が騒いでいた。アレクシアは先にクザヤ伯爵邸を調査しており、犯行現場は邸内の隠し部屋で、護衛は全滅か戦闘不能、死体はわざわざ大通りへ運ばれたと報告した。手口はゲーテ伯爵と同一であり、トランプによる急所への一撃も同じであった。
同一犯である可能性と「十三の夜剣」への示唆
三件連続の暗殺が同じ組織「十三の夜剣」の構成員に集中していることから、アレクシアとクリスティーナは偶然ではないと判断した。さらに、クザヤ邸のメイドが「血濡れのピエロ」を目撃しており、前回と同じ人物像が浮上した。
シドの推理と“スペード”の意味
現場へ現れたシドは、死体に刺さったトランプが「スペードの1 → 2・3」という連番になっていることに注目した。さらにシドは、トランプのスートには意味があり、スペードは冬・夜・剣・死を象徴すると説明した。その象徴性から、「スペードの13枚=十三の夜剣の十三人」と推理し、犯人が組織の全員を順に殺害する意思を示していると示唆した。
噴水の支柱に残された“血の文字”
噴水の支柱には血文字が残されており、「Jack the Ripper」と読めることが判明した。野次馬たちは一斉にその名を叫び、犯人の通称が瞬く間に王都へ広まっていった。
学園での密談と証拠書類の扱い
後に三人は学園の空き教室で合流し、ジャック・ザ・リッパーから既に接触があったこと、そして敵か味方か判断できない状況を確認した。アレクシアは書類の写しを預かり、父へ相談して活用法を探る意向を示したが、クリスティーナは不安を抱えながらその様子を見守っていた。
ダクアイカン派との対立と警備体制の説明
クリスティーナは、シドと同じ部屋で生活している理由をアレクシアに説明した。シドが事件の情報に触れたため、ダクアイカン派からの報復を避ける目的で警護を集中させていたと述べた。アレクシアはその状況に不満を見せつつも、クリスティーナを心配していた。
クリスティーナとアレクシアの状況確認
クリスティーナは、シドと同じ部屋で寝泊まりしている理由をアレクシアに説明した。シドが事件の情報に触れてしまい、ダクアイカン派に知られると危険であるため、警護を一か所にまとめたと述べた。アレクシアは不満を見せつつも、クリスティーナの身を案じていた。
三人の関係とアレクシアの誤解
クリスティーナは何気ない会話の中で、アレクシアが以前シドと“偽装交際”をしていたことに触れた。アレクシアは強く動揺し、シドは無神経な発言をしてさらに場の空気を悪くした。クリスティーナは自らの安全のため、逆にアレクシアも同室に来る案を提案し、アレクシアは戸惑いながらも前向きに検討すると答えた。
エライザの乱入と犯行予告状の出現
廊下でエライザが怒声を上げ、集まっていた生徒たちを追い払っていた。クリスティーナが様子を見に行くと、エライザは血で書かれた手紙を突きつけた。内容は「十三匹の豚」と侮辱しつつ次の殺害を宣告する犯行予告状であり、エライザはこれをクリスティーナの仕業だと決めつけた。
クリスティーナへの暴力とシドへの巻き添え被害
エライザはクリスティーナの頬を叩き、挑発を続けた。すると突然、エライザの取り巻き“デクノ”がシドに強烈な拳を叩き込んだ。シドは一撃で大きく吹き飛ばされ、廊下奥の壁に激突して大きな陥没を作り、その反動で床に叩きつけられた。反撃描写は一切なく、完全に攻撃を受けただけであった。
シドの容体と周囲の動揺
吐血と鼻血を流しながら倒れたシドを、クリスティーナとアレクシアが急いで確認した。シドはギリギリ重傷を免れたと説明し、クリスティーナは強い衝撃に心を痛めた。エライザと取り巻きは暴力を愉快そうに笑い、ジャック・ザ・リッパーにも負けないと豪語しながら立ち去った。
エライザの嘲笑とクリスティーナの静かな怒り
エライザは去り際に「ダクアイカン家に盾突いたことを後悔するわよ」と高笑いし、クリスティーナへ冷たい言葉を残した。クリスティーナは怒りを押し殺し、静かにその背を見送った。
保健室でのシドの手当て
場面は保健室に移り、シドは応急処置を受けた。アレクシアはシドに「喧嘩はほどほどに」と釘を刺し、事件の渦中にいる三人の安全を案じていた。
医務室での応急処置と会話
ミューが診察した結果、シドの負傷は見た目ほど深刻ではなく、受け身の巧さで表面的な傷に収まっていた。シドは血の気が多いと勘違いされつつも治療を受け、医務室で安静にするよう指示を受けた。そこへニーナが現れ、クリスティーナからの依頼を受けて見舞いに訪れた。
ニーナとの会話とクレアの容体確認
ニーナはシドを連れてクレアの病室へ向かった。クレアは依然として昏睡状態にあったが、ミューによれば魔力は安定しており、命に別状はないと説明された。ミューはニーナの紹介で治療を担当しており、丁寧な態度でシドとあいさつを交わした。覚醒には時間がかかる可能性があるが、強制覚醒には後遺症の危険が伴うと説明され、自然に任せる判断が下された。
シドの不用意な発言と二人の誤解
シドが「ずっと寝かせておいていい」と軽い冗談を言ったところ、ニーナとミューは極端に深刻な反応を示し、シドの“意思”に従おうとする姿勢を見せた。シドが冗談であると慌てて否定すると、二人は安堵し表情を和らげた。
学園に広がる誤解とシドの困惑
ミューとニーナはシドに対して過度に敬意を示し続け、シドはその異様な空気に困惑した。二人の反応を見たシドは、最近学園で流行している中二病めいたノリだと解釈した。
ホープ家襲撃の準備
場面は夜のホープ家別邸へ移り、ボウ伯爵家の男たちが覆面をして潜伏していた。デクノとオヤノはシノビ子爵の偵察合図を待ちながら、今回の襲撃計画が確実であると語り合った。ターゲットはクリスティーナとカナデであり、ホープ公爵は証拠の引き渡しと引き換えに命だけは助けられる手筈になっていた。
さらに、シドも「邪魔になる可能性がある」として排除対象に含められ、暗殺者と包囲部隊まで動員された万全の襲撃態勢が整えられていた。
前巻 次巻
同シリーズ
陰の実力者になりたくて! シリーズ
漫画版











小説版






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