マジエク 5巻レビュー
マジエク まとめ
マジエク 7巻レビュー
- 「一人を犠牲にすれば世界は救える」そんな結末を幸助が認めるわけがない
- まず発覚する「幸助人形」
- 幸助、今度は「すけべえダンジョン」へ
- ふざけたダンジョンでも、目的はかなり真面目
- 日常が馬鹿馬鹿しいからこそ、後半が重い
- ついに桜瑠依の正体が明らかになる
- 桜は自分が死ねばいいと思っている
- 自己犠牲を当然のように選ぶ桜が痛々しい
- そこで幸助が「そんな結末は認めない」
- 幸助は「強いから主人公」なのではない
- しかも幸助一人では解決できない
- 伊織もやっぱり主人公なんだよな
- 聖女ステファーニアも覚悟を決める
- 本当の敵「ラジエルの書」へ
- 「一人で最強」ではなく「みんなで最強」
- モニカたちの参戦で一気に流れが変わる
- 仲間が次々と幸助へ道をつなぐ
- 最後は幸助の「瞬」
- ラジエルの書も「ただの悪」ではないのが面白い
- 「守りたい」が暴走すると、支配になる
- 桜は力を失った。でも、生きている
- 桜が幸助を「最強になる男」と認める
- 幸助の「最強」は戦闘力だけではないのかもしれない
- 友人キャラだった男が、ゲームのシナリオを壊していく
- まとめ|「一人くらい犠牲になっても仕方ない」を認めない主人公
物語物語の概要
■ 作品概要
学園生としての平穏な日常のなか、花邑はつみが落とした人形をきっかけに花邑家の女性陣による幸助人形の所持が露見する。
瀧音幸助はルイージャ先生へ「すけべえダンジョン」の紹介依頼と、将来ある人物(桜瑠依)を救うための暗躍の依頼を行い、魔素集めと能力補強を進める。
その裏で、聖伊織らが幸助の紹介したダンジョンで発見した文献を解析した結果、図書館司書・桜瑠依の正体が知の天使ラジエルであることが判明する。
伊織に問いただされた桜瑠依は真の姿を現し、図書館をダンジョン化させる。学園の危機に対し三会を中心に攻略作戦が立てられ、結界で教師陣が入れない中、生徒組が三班に分かれて突入する。
最奥にて、天使の制約で自害できない桜瑠依が、自らを討たせることで暴走した元凶「ラジエルの書」を消滅させようとしていた真意が明かされる。
幸助と伊織らは桜瑠依の救出と「ラジエルの書」本体の討伐を決意する。
激闘の末、事前に幸助から依頼されていたモニカ組による隠し魔本の処分、モニカらの戦線合流、仲間の連携、そして幸助の一撃「瞬」により「ラジエルの書」は破砕・撃破される。
桜瑠依は力を失うもルイージャの根回しにより司書として学園に留まることとなり、世界崩壊の未来を知る幸助の存在によってハッピーエンドへの希望が示される結末に至る。
■ 主要キャラクター
瀧音幸助
- 立場・所属 : ツクヨミ学園の生徒。花邑家に居候している。
- 主人公(瀧音幸助)との関係 : 本作の主人公。
- この巻での主な役割 : 未来の展開(ゲーム知識)を把握しており、裏で事前に手を回しつつ、仲間の協力を得て「ラジエルの書」討伐へ挑む。
- この巻で起きた重要な変化や行動 : 「すけべえダンジョン」へ単独で向かうも追いついた女性陣と攻略し、自身の四つん両ひざをつく姿勢からの「どす黒いハート」攻撃や、ボス戦で自ら攻撃を受け止める行動を見せる。ルイージャへ裏での暗躍を依頼し、桜瑠依の自害を止めて「幸せにする」と約束を交わす。決戦では事前にモニカ組へ予備の隠し魔本の処分を指示し、桜瑠依へ魔力移送の指示を出す戦術的判断を行い、集中状態からの刀による一撃(「瞬」)で「ラジエルの書」を破砕・撃破した。
桜瑠依(知の天使ラジエル)
- 立場・所属 : ツクヨミ学園図書館司書 / 知の大天使ラジエル。
- 主人公(瀧音幸助)との関係 : 幸助が正体と未来を知っていた人物。説得により希望を見出され、絶大な信頼と好意を寄せる関係となる。
- この巻での主な役割 : 自身が作成し暴走した「ラジエルの書」の動力源である自身を殺させようと伊織たちの前に立ちはだかるが、幸助の説得を受けて共闘へ転じる。
- この巻で起きた重要な変化や行動 : 司書の姿から黒い翼を持つ知の天使の姿を現して図書館をダンジョン化させ、伊織へ鍵を渡す。決戦では幸助の指示を受け、自身とラジエルの書の魔力パスを利用して魔力を味方に移送し、敵の魔力出力を抑えた。決戦後は力を失うも司書として残留し、花邑毬乃に対して幸助を「最強になる男」と宣言した。
聖伊織
- 立場・所属 : ツクヨミ学園の生徒。
- 主人公(瀧音幸助)との関係 : 幸助の実力を認め信頼し合う友人であり、共に戦う仲間。
- この巻での主な役割 : 幸助に紹介されたダンジョンで文献を発見し、桜瑠依の真意を尋ねるため直談判を行う。攻撃の迷いから桜の自殺願望を見抜き、桜も世界も救うために「ラジエルの書」討伐を決意する。
- この巻で起きた重要な変化や行動 : 桜瑠依から渡された鍵で扉を開けて決戦空間へ進行。桜瑠依への攻撃をあえて受ける姿勢を見せて真意を引き出し、最奥の決戦では土壇場で限界を超える一撃を発揮して最後の分身を撃破し、幸助へ道を拓いた。
リュディ(リュディヴィーヌ)
- 立場・所属 : ツクヨミ学園の生徒 / エルフの皇女。
- 主人公(瀧音幸助)との関係 : 幸助に強い好意と信頼を寄せ、彼の裏での策動を察しつつも全面的に味方する立場。
- この巻での主な役割 : 特殊ダンジョンおよび図書館ダンジョン攻略における戦闘・前衛要員。
- この巻で起きた重要な変化や行動 : 幸助人形の所持が発覚する。「すけべえダンジョン」でバニー衣装を着て攻略に貢献。風魔法で幸助を決戦場へ射出して合流させ、周囲から幸助の裏工作への疑念が出た際には「幸助が裏で手を引いているとしても自分は幸助の側につく」と断言した。
ななみ
- 立場・所属 : 幸助専属の美少女メイド / 下級天使の枠を超えた存在力を持つ天使。
- 主人公(瀧音幸助)との関係 : 幸助に身も心も捧げる絶対的な従者兼契約相手。
- この巻での主な役割 : 幸助の補佐、分析、交渉(ルイージャとのやり取り)、ダンジョン攻略および決戦での後方支援・攻撃。
- この巻で起きた重要な変化や行動 : 幸助人形の制作を暴露し取引を持ちかける。「すけべえダンジョン」では日常動作に見せかけた自然なポーズで一撃離脱する適応力を発揮。全盛期の桜瑠依を超える潜在存在力(潜在魔力)の存在や枷の存在が示唆され、一部制約の解除に応じる姿勢を示した。
水守雪音
- 立場・所属 : ツクヨミ学園の生徒 / 風紀会副隊長。
- 主人公(瀧音幸助)との関係 : 花邑家での同居仲間。幸助の誠実さと覚悟を信頼している。
- この巻での主な役割 : 薙刀を扱う前衛戦闘員としてダンジョン攻略に参加。
- この巻で起きた重要な変化や行動 : 幸助人形の所持を白状する。「すけべえダンジョン」での苦闘を経て、決戦では傷を負いながらも前線で粘り強く戦い、幸助に「『瞬』なら壁も斬れる」と助言を与え、「九つの剣閃」で分身の一体を撃破した。
カトリナ(加藤里菜)
- 立場・所属 : ツクヨミ学園の生徒 / 盗賊職。
- 主人公(瀧音幸助)との関係 : 幸助の不審な行動に文句を言い言動に呆れつつも、命懸けで人を助ける姿勢と勘を全面的に信用する仲間。
- この巻での主な役割 : 聖女組の盗賊兼前衛として罠解除・警戒および戦闘を担当。
- この巻で起きた重要な変化や行動 : 幸助紹介のダンジョンで「ラジエルの書」に関する文献(紙切れ)を発見・回収した。対ラジエル戦で「本を狙って魔法を物理的に妨害する」策を講じた。桜瑠依の脳内認識により、本人は自覚していないが魔族の血を引く設定が示唆された。
ステファーニア
- 立場・所属 : ツクヨミ学園の生徒 / 風紀会隊長兼聖女。
- 主人公(瀧音幸助)との関係 : 当初は幸助の行動に警戒や冷淡な態度を取っていたが、仲間への思いやりと覚悟を認めて共闘する。
- この巻での主な役割 : 聖女組のリーダー兼回復役。
- この巻で起きた重要な変化や行動 : 桜瑠依の告白を聞き、誰にも罪悪感を残させないため自ら「桜瑠依の殺害」を引き受けようとしたが、幸助の「あほなぐらい優しい」という言葉や伊織たちの決意を受けて改心し、「ラジエルの書」討伐へ同行して回復魔法で行使の限界まで前線を支えた。
モニカ・メルツェーデス・フォン・メビウス
- 立場・所属 : ツクヨミ学園生徒会会長 / 学園屈指の戦闘能力を持つ人物(「三強の魔」)。
- 主人公(瀧音幸助)との関係 : 幸助の実力や裏での策動を認め、対等な協力関係を結ぶ。
- この巻での主な役割 : モニカ組を率い、幸助の依頼に基づき予備の隠し魔本群を処置した後、決戦場へ合流して敵群を倒す。
- この巻で起きた重要な変化や行動 : 図書館ダンジョンで作戦指示を出し、三班の分岐を統括。事前に幸助から頼まれていた隠し書庫の魔本群を処分した後、戦場へ大規模な攻撃魔法と剣技で参戦し、分身の一体を炎を纏った剣で撃破して勝利に寄与した。
書籍情報
マジカル★エクスプローラー エロゲの友人キャラに転生したけど、ゲーム知識使って自由に生きる6
(英語名:Magical Explorer)
著者:#入栖 氏
イラスト:#神奈月昇 氏
出版社/レーベル:KADOKAWA/角川スニーカー文庫
発売日:2022年2月1日
ISBN:9784041114094
(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。
あらすじ・内容
バッドエンド突入ヲ回避セヨ――人類の命運を賭けた大天使討伐戦、開幕! 聖伊織はダンジョンの深層でとある文献を発見する。
そこには万物の理が収められているという伝説のアイテム「ラジエルの書」について記されていた。
この書物が悪用されれば世界大戦にも繋がりかねない、事態を重く見た3会は早急に調査へと踏み切り、司書室の桜瑠衣が大天使ラジエルであるということを突き止める!
学園は総力をあげ掃討作戦を展開するも、その圧倒的な魔力の前に歯が立たず蹂躙されてしまうのだが――
「よお、伊織。待たせたな」
「……遅いよ、幸助君」
絶対絶命の危機に駆けつけた瀧音は再び桜瑠衣と対峙する!
世界崩壊という最悪のバッドエンドを塗り変えられるのか!?
マジカル★エクスプローラー エロゲの友人キャラに転生したけど、ゲーム知識使って自由に生きる6
感想
「一人を犠牲にすれば世界は救える」そんな結末を幸助が認めるわけがない
読んで最も心に残ったのは、
「誰か一人が犠牲になれば解決する」という結末を、幸助が最後まで認めなかったことだ。
ゲームの知識を持っている幸助は、これまで未来に起こる出来事を知っていることが大きな武器になっていた。
危険なイベントを知っている。
強力なアイテムの場所を知っている。
キャラクターたちの未来も知っている。
だから先回りして準備することができた。
しかし、第6巻で立ちはだかる問題はそんなに簡単ではない。
未来を知っているからこそ、
「このままでは誰かが犠牲になる」
ことまで分かってしまう。
それでも幸助は、
「仕方ない」
とは言わない。
全員を助ける。
誰も犠牲にしない。
みんなが笑って終われる未来を目指す。
無茶苦茶である。
だが、この頑固さこそが幸助という主人公の一番の魅力なのかもしれない。
まず発覚する「幸助人形」
そんな重い話の前に、いきなりとんでもないものが発覚する。
幸助人形である。
はつみが人形を落としたことで、花邑家の女性陣が幸助をモデルにした人形を持っていることがバレてしまう。
……何をやっているんだ。
しかも一人だけではない。
複数人が持っている。
幸助の周囲に仲間が集まり始めたとは前巻でも感じた。
だが、
人形まで量産され始めるとは思わなかった。
幸助派、順調に勢力を拡大している。
方向性が正しいのかは知らない。
幸助、今度は「すけべえダンジョン」へ
幸助はルイージャ先生へ頼み、あるダンジョンを紹介してもらう。
その名も、
「すけべえダンジョン」
である。
もう少し隠す気はなかったのか。
前巻でも、水を浴びると衣装が大変なことになるダンジョンへ行ったばかりである。
そして今回は、
「すけべえダンジョン」。
もはや潔い。
この世界のダンジョン製作者は、攻略者に何をさせたいのだろうか。
ふざけたダンジョンでも、目的はかなり真面目
もちろん幸助も、遊びに来たわけではない。
目的は自分たちの強化である。
これから起きる危機を知っているからこそ、少しでも戦力を上げなければならない。
魔素を集める。
アイテムを手に入れる。
自分自身を鍛える。
やっていることは真面目なのだ。
ただし、
舞台がすけべえダンジョン。
この作品、本当にこういうところがずるい。
真面目に強くなろうとしているだけなのに、絵面がおかしくなる。
日常が馬鹿馬鹿しいからこそ、後半が重い
第6巻を読んでいて感じたのは、この前半と後半の落差がかなり効いていることである。
普段の幸助たちは賑やかだ。
くだらないことで騒ぐ。
変なダンジョンへ行く。
ななみたちも自由に動き回る。
幸助自身もツッコミどころが多い。
だからこそ、
後半で本当に誰かの命が失われそうになった瞬間、一気に空気が変わる。
普段笑っている仲間だから、失ってほしくない。
いつもの日常に戻ってほしい。
そんな気持ちが自然と強くなった。
ついに桜瑠依の正体が明らかになる
物語が大きく動き始めるのは、図書館司書・桜瑠依の正体が明らかになってからである。
彼女の正体は、
知の大天使ラジエル。
前巻の時点でも、とんでもない相手だとは分かっていた。
しかし問題は、
「強い大天使が敵だった」
という単純な話ではなかった。
桜自身が抱えている事情が、あまりにも重い。
桜は自分が死ねばいいと思っている
桜瑠依が作り出した「ラジエルの書」。
それが暴走し、世界を危機へ導こうとしている。
そして桜自身が、その動力源になっている。
ならばどうするのか。
桜が選んだ答えは単純だった。
自分が死ねばいい。
しかし彼女は、自分自身では命を絶つことができない。
だから誰かに倒してもらおうとする。
自分一人が犠牲になれば世界は救われる。
それなら、それでいい。
そんな結論を受け入れている。
読んでいて胸が苦しくなった。
自己犠牲を当然のように選ぶ桜が痛々しい
桜は世界を守ろうとしている。
だから彼女の選択そのものは理解できる。
一人の命と世界全体。
数字だけで考えれば、答えは簡単なのかもしれない。
だが、
犠牲になる本人があまりにも自然に「自分が死ねばいい」と考えている。
そこがつらかった。
誰かに助けてほしい。
死にたくない。
そんな感情よりも先に、
「自分が犠牲になれば解決する」
という答えを選んでしまう。
自己犠牲を美徳として受け入れてしまっているからこそ、余計に痛々しく感じた。
そこで幸助が「そんな結末は認めない」
幸助は桜の未来を知っている。
だから、
「そういうシナリオだから仕方ない」
と受け入れることもできたはずだ。
しかし幸助は認めない。
桜も助ける。
世界も助ける。
両方救う。
これである。
普通なら、
「無理だろ」
と言いたくなる。
実際、簡単な方法ではない。
だが幸助は最初から、
犠牲を前提にしたハッピーエンドをハッピーエンドだと思っていない。
ここが好きだった。
幸助は「強いから主人公」なのではない
読んでいて改めて感じた。
幸助は、
圧倒的な力ですべてを解決する主人公ではない。
本人も、自分をそこまで強いと思っていない。
弱点がある。
一人ではどうにもならないこともある。
だから仲間を頼る。
事前に準備する。
使えるものは全部使う。
ゲーム知識も使う。
人脈も使う。
そして最後まで諦めない。
幸助の一番の強さは、戦闘能力そのものではなく、
「誰かを見捨てれば簡単に解決する状況でも、見捨てない」
という頑固さなのかもしれない。
しかも幸助一人では解決できない
ここも良かった。
幸助が、
「俺が全部やる!」
と一人で無双して終わるわけではない。
桜を助けるためには、伊織たちの力が必要になる。
ステファーニアも必要。
雪音も必要。
ななみも必要。
リュディも必要。
モニカたちも必要。
桜本人の協力すら必要になる。
つまり、
全員を救うために、全員の力を借りる。
この構図が良い。
前巻で「幸助派ができ始めた」と感じたが、第6巻ではその人とのつながりが、そのまま幸助の力になっているように見えた。
伊織もやっぱり主人公なんだよな
そして忘れてはいけないのが、
本来のゲーム主人公・伊織である。
桜との戦いで、伊織は彼女の攻撃に迷いがあることを見抜く。
本気で自分たちを殺したいわけではない。
むしろ、
自分を殺してほしいのではないか。
そこへ辿り着く。
やっぱり伊織も主人公である。
幸助が未来の知識を持って動くタイプなら、伊織は目の前の人間を見て答えに辿り着くタイプなのだと思う。
この二人が同じ結論へ向かうのが熱かった。
聖女ステファーニアも覚悟を決める
桜を救う方法が見つからないなら、誰かが桜を殺さなければならない。
その役目を、
ステファーニアは自分が背負おうとする。
誰かに罪悪感を残させたくない。
だったら自分がやる。
彼女もまた、自己犠牲の方向へ進もうとしている。
しかし幸助たちは、
そもそも桜を殺さない方法を選ぶ。
一人が犠牲になる。
その役目を別の誰かが背負う。
そんな連鎖そのものを止めようとする。
このあたりから一気に熱くなった。
本当の敵「ラジエルの書」へ
桜を殺すのではない。
ならば何を倒すのか。
答えは、
暴走している「ラジエルの書」そのもの。
ここから総力戦が始まる。
しかし相手は強い。
圧倒的な魔力。
次々と現れる敵。
仲間たちは消耗していく。
それでも誰かが戦線を支える。
誰かが敵を倒す。
誰かが回復する。
誰かが幸助へ道をつなぐ。
まさに王道である。
だが、
王道だからこそ熱い。
「一人で最強」ではなく「みんなで最強」
この戦いで特に好きだったのが、
幸助一人の力で勝ったわけではないこと。
幸助自身も、自分が強いのは仲間のフォローがあるからだと理解している。
ここが面白い。
周囲から見れば、
幸助はどんどん強くなっている。
実績も増えている。
人も集まっている。
大天使にまで認められる。
しかし本人は、
「自分一人では弱い」
と思っている。
だから仲間を頼る。
そして仲間も幸助を信じる。
この関係性が、第6巻ではかなり強く出ていた。
モニカたちの参戦で一気に流れが変わる
戦況が苦しくなったところで、モニカたちも合流する。
しかも幸助は、ただその場で戦っていたわけではない。
事前に裏で手を回している。
予備となる魔本への対策。
ルイージャへの依頼。
仲間たちとの連携。
使えるものを全部使って、
「桜を殺さずに勝つ」
ための道を作っている。
ゲーム知識だけではない。
今まで築いてきた人間関係そのものが、攻略のための力になっている。
ここは前巻からの成長を感じた。
仲間が次々と幸助へ道をつなぐ
そしてクライマックス。
仲間たちが、それぞれ限界まで戦う。
雪音。
モニカ。
伊織。
ほかの仲間たちも、自分にできることをやる。
誰か一人が全部倒すのではない。
一人が一体を倒す。
次の人間が道を開く。
さらに次へつなぐ。
そして、
最後に幸助へ託す。
この流れが気持ちいい。
最後は幸助の「瞬」
仲間たちが作った道を通り、
幸助が最後の一撃へ向かう。
使うのは、
「瞬」。
幸助一人の勝利ではない。
伊織たちがいなければ辿り着けなかった。
モニカたちの準備がなければ勝てなかった。
桜の協力も必要だった。
全員の力をつないだ先に、
幸助の最後の一撃がある。
そして、
ラジエルの書を撃破。
ここは素直に熱かった。
「全員を救う」
と言った幸助が、本当にその未来を掴み取った瞬間だった。
ラジエルの書も「ただの悪」ではないのが面白い
一方で興味深かったのが、
ラジエルの書を単純な悪役として終わらせていないことだった。
人間は争う。
間違える。
同じ悲劇を繰り返す。
ならば、
人間を管理してしまえばいい。
その考え方は極端である。
もちろん受け入れられるものでもない。
それでも、
最初から「世界を滅ぼしてやろう」と考えた単純な悪とは少し違う。
善意や使命感が歪んだ結果、
人間の自由を奪うという結論へ向かってしまう。
ここは少し考えさせられた。
「守りたい」が暴走すると、支配になる
ラジエルの書の考え方を見ていて感じたのは、
善意も行き過ぎれば恐ろしいということだった。
誰かを守りたい。
間違いを起こさせたくない。
不幸になってほしくない。
そこまでは理解できる。
しかし、
「だったら自分が全部決めてやる」
となった瞬間、それは救済ではなく支配になってしまう。
一方、幸助は違う。
幸助も全員を救いたいという、ある意味ではかなり身勝手な理想を持っている。
しかし、
仲間たち自身の意思を否定しない。
助けてもらう。
頼る。
一緒に戦う。
だから同じ「救いたい」という気持ちでも、ラジエルの書とは正反対なのだと思う。
桜は力を失った。でも、生きている
戦いが終わり、
桜は大きな力を失う。
それでも、
生きている。
これが何より良かった。
世界を救うために死ぬはずだった人物が生き残った。
しかもルイージャの根回しもあり、司書として学園に残ることができる。
大天使として世界を背負うのではなく、
また図書館で生きていく。
派手な結末ではない。
しかし桜にとっては、
「死んで世界を救う」より、ずっと難しくて大切な未来なのかもしれない。
桜が幸助を「最強になる男」と認める
そしてラスト。
桜は幸助について、
「最強になる男」
と確信する。
ここがすごく好きだった。
幸助本人は、自分を最強だと思っていない。
むしろ、
「自分は弱い」
と考えている。
自分一人では戦えない。
仲間に助けてもらっている。
ゲーム知識があるから動けているだけ。
自分がやっていることはエゴだ。
そんな認識でいる。
しかし桜から見れば違う。
自分を倒した。
自分を泣かせた。
絶望しかなかった未来に希望を見せた。
そして、
「お前も生きろ」と言ってくれた。
だから桜は、幸助を最強になる男だと思う。
幸助の「最強」は戦闘力だけではないのかもしれない
ここまで読んで、
タイトルにもある「最強」という言葉の意味が少し変わったように感じた。
単純にステータスが高い。
最強の魔法が使える。
最強の武器を持っている。
そういう意味だけではない。
幸助は、
誰かが諦めても諦めない。
本人が自分の命を諦めても、
「勝手に諦めるな」
と手を伸ばす。
そして自分だけでは無理なら、周囲の力を借りる。
ゲームのシナリオに書かれていない未来なら、
自分たちで新しい未来を作る。
そんな主人公になってきた。
友人キャラだった男が、ゲームのシナリオを壊していく
もともと幸助は、
ゲーム世界における主人公ではない。
友人キャラである。
本来なら物語の中心にいるのは伊織。
しかし今では、
ゲーム本来の未来で救われなかった人間まで幸助が救い始めている。
ギャビーの未来が変わった。
結花も変わった。
桜も救われた。
そして伊織自身も、幸助と肩を並べて未来を変えようとしている。
もう完全に、
元のゲームシナリオとは別の物語になり始めている。
そこが面白い。
まとめ|「一人くらい犠牲になっても仕方ない」を認めない主人公
『マジカル★エクスプローラー6』で最も印象に残ったのは、
幸助が「仕方ない犠牲」を認めなかったことだった。
桜一人が死ねば世界は救われる。
普通に考えれば、それが最も簡単な答えなのかもしれない。
桜自身も、それを受け入れていた。
それでも幸助は、
「そんな結末はハッピーエンドではない」
と拒絶する。
桜を助ける。
世界も助ける。
どちらも諦めない。
無茶である。
エゴでもある。
でも、そのエゴを貫くために、
準備して、
仲間を頼って、
戦って、
最後まで諦めない。
そして本当に未来を変えてしまった。
幸助は最初から最強だったわけではない。
むしろ自分では今でも「弱い」と思っている。
それでも、
人との縁を大切にする。
仲間を頼る。
誰かを見捨てない。
そして全員が笑って終われる未来を諦めない。
そんな積み重ねが、
少しずつ周囲から「最強」と認められる理由になっているのだと思う。
前巻では、
「幸助派ができ始めたな」
と感じた。
そして今巻では、
その仲間たちが幸助の理想を実現する力になった。
一人では勝てない。
だからみんなで勝つ。
誰か一人が犠牲になる未来ではなく、
全員で生き残る未来を掴みにいく。
この姿勢こそ、今の幸助の一番の強さなのだろう。
ゲームの知識だけではどうにもならないところまで物語は進んできた。
ここから先、幸助は何を頼りに未来を変えていくのか。
そして桜が言った通り、
本当に「最強の男」になるのか。
ゲーム本来のシナリオを大きく超え始めた物語が、ますます楽しみになった第6巻だった。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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マジエク 5巻レビュー
マジエク まとめ
マジエク 7巻レビュー
考察・解説
幸助人形の騒動
『マジカル★エクスプローラー』第6巻の冒頭で描かれる「幸助人形の騒動」は、緊迫したメインストーリーの前に差し込まれるコミカルな日常エピソードである。
朝食後の団らん中に発覚した人形の存在から、製作の舞台裏、そしてななみから持ちかけられた取引による結末にいたる全容は以下の通りである。
動揺するヒロインたちと隠しきれなかった騒動の発端
朝食後の団らん中、瀧音幸助は最近気になっていることとして、姉の花邑はつみが自分によく似た赤いマフラーを巻いた人形を持っている、と切り出した。
・これを聞いたリュディヴィーヌ、水守雪音、ななみの3人は明らかに動揺した。
・ななみは、幻覚です、あるいは、リュディ様が執筆している小説の主人公・助三郎の人形です、などと必死に誤魔化そうとした。
・しかし、ちょうどその時部屋に入ってきたはつみ本人が、持っていた人形を落としてしまい、ごめん、こうすけ、と名前を呼んで拾ったことで、言い逃れができない状況となった。
明かされた人形の真相とこだわりの製作舞台裏
さらに聖結花が、雪音の部屋でも似たような人形を見た、と発言したことで幸助は事態を察した。
・観念した雪音により、結花を除く花邑家に住む女性陣全員が幸助人形を所持していることが明かされた。
・実はこの人形は、ななみとはつみが計画、設計し、アルバイトを探していたルイージャ先生を雇って製作させたこだわりの品であった。
・リュディは、完成度が高くて可愛いから欲しかったが、幸助が嫌がると思って黙っていた、と白状している。
等身大人形計画の暴露とななみの悪魔の取引による結末
幸助が呆れるなか、ななみはさらに、非公式のクラウドファンディングで目標金額を大きく超えたため、夜のお供が可能な等身大人形の制作も決定している、という衝撃の事実を暴露した。
・出資者のリストを出せと詰め寄る幸助に対し、ななみは彼にこっそりと耳打ちした。
・ルイージャ先生に希望する女性のエッチな人形を作らせる代わりに、ご主人様は今日何も見なかったことにする、という取引を持ちかけた。
・幸助はこの魅力的な誘惑にあっさりと屈し、今日は何もないすばらしい一日だった、と心の中で納得して、この騒動は不問に付されることになった。
まとめ
幸助人形をめぐる一連の騒動は、花邑家に集うヒロインたちの幸助に対する深い愛着と、ななみらの常識外れな行動力が引き起こした極めてコミカルな事件である。隠蔽工作がはつみの天然な行動によって瓦解し、ルイージャ先生を巻き込んだ組織的な製作背景や等身大化計画までが明るみに出る展開は、彼らの賑やかな関係性を象徴している。最終的に、全校生徒のヘイトを背負う式部少輔でありながら、ななみから提示された個人的なリワードの誘惑に即座に屈してすべてを水に流した幸助の俗っぽさと柔軟さは、本作の日常パートならではの魅力的な結末と言える。
特殊ダンジョン攻略
『マジカル★エクスプローラー』第6巻の前半において描かれる「特殊ダンジョン(母乳ダンジョン)攻略」は、エロゲ特有の理不尽でコミカルな要素が詰まったエピソードである。
後半で展開される大天使とのシリアスな死闘とは激しい落差があり、物語の魅力的なアクセントとなっている。正式名称を「スーパーケイオスベネフィットエネミーダンジョン(通称:すけべえダンジョン)」とするこの場所での特異なルールや、攻略メンバーの奮闘、そしてボス戦にいたる全容は以下の通りである。
ステータス無効のポージングバトルと母乳ペナルティの仕様
このダンジョンでは、通常の腕力やレベルといったステータスが一切関係ない仕様となっている。
・戦闘は専用の「エッチなコスチューム」を着用し、「エッチなポーズ」をとることで敵の服にダメージを与える独自のポージングバトルで行われる。
・敵のポーズによる攻撃を受けると、こちらの服が破れて甚大な精神的ダメージを受ける。
・服が限界まで破れた状態で追加攻撃を受けると、一時的に母乳が出るという特殊な体質変化(ペナルティ)が発生する。
・この母乳はシステム上は健康に良く、飲むとHPが回復する仕様であるが、ヒロインたちにとっては計り知れない精神的破滅を意味するため、極度の緊張感と羞恥心との戦いとなる。
攻略メンバーの選定と開放感あふれる草原フロアの選択
瀧音幸助は一人でこっそり攻略してアイテムを回収するつもりであったが、リュディヴィーヌ、水守雪音、ななみに見つかり、彼女たちも同行することとなった。
・一行は複数のシチュエーションから、広く様子がうかがえる、生命の神秘 開放感あふれる草原、というフロアを選択した。
・女性陣はバニー姿に着替えて攻略に挑むこととなる。
・母乳が出る事態を避けるため、なるべく攻撃を受けずに進む、という方針のもとで攻略が開始された。
女型ケンタウロス戦における各々のポーズとななみの最適解
道中に現れた女型ケンタウロスに対し、メンバーはそれぞれの特性を活かしたポーズで応戦した。
・雪音は薙刀を構えた凛々しいポーズで、リュディは恥じらいを残したグラビア風のポーズで敵にダメージを与えていく。
・幸助が四つん這いのポーズをとると、禍々しい黒いハートが現れて敵を精神崩壊させた。
・ここで圧倒的な適応力を見せたのがななみである。彼女はバスケットから物を落として拾うという、日常の動作に見せかけた自然なポーズをとることで、屈んだ際の胸元や太腿を強調した。
・不自然なポーズよりも、あり得るエロ、のほうがシステム上の評価が高くなるという裏を突き、巨大なハートを生み出して敵の衣装を一撃で粉砕した。
最弱にして最大の羞恥を煽るボス「ギョブリン」との決戦
ラストフロアに待ち受けていたのは、全モンスターで最弱でありながら、そのアホな見た目ゆえに対峙する者の羞恥心を極限まで煽るギョブリン2匹であった。
・ギョブリンの厄介な連携攻撃の前に雪音とリュディの衣装は限界に達し、これ以上の被弾は母乳が出るという最悪の事態(アウト)を意味する状況まで追い詰められる。
・ここで幸助が自ら身代わりとなって飛び出し、敵の攻撃を一身に受け止めた。
・幸助の身を挺した行動に応えるべく、雪音とリュディが羞恥をかなぐり捨てた渾身のポーズを決めた。
・二人の恥じらいとエロスが入り混じったポーズの前に、ギョブリンは満足げな笑顔を浮かべて昇天し、一行は無事にダンジョンをクリアした。
まとめ
すけべえダンジョンの攻略エピソードは、ステータスやレベルを完全に無視し、着用したコスチュームとポーズの官能性のみで勝敗を決する、本作のユーモラスな側面を極限まで引き出した一幕である。母乳の噴出という絶対的なペナルティを前に、幸助の身を挺した防御や、システムの盲点を突いて日常の動作から最高得点を叩き出したななみの頭脳プレイ、そして最後に羞恥心を捨て去りギョブリンを昇天させた雪音とリュディの共闘は見事である。この混沌とした理不尽な試練を乗り越えたことで、一行の結束はシリアスな戦いとは全く異なるベクトルでより強固なものとなった。
伊織と瀧音の葛藤
『マジカル★エクスプローラー』第6巻において、本来の主人公である聖伊織と、彼を導こうとする瀧音幸助の間には、直接的な対立こそないものの、過酷な状況下での信頼と疑念の揺らぎや、主人公の成長を促すための内面的な葛藤が描かれている。
幸助の行動に対する伊織の疑念と葛藤、桜瑠依の命を巡る過酷な選択、そして主人公の自己決定を待つ幸助の親心にも似た葛藤の全容は以下の通りである。
幸助の不可解な行動に対する伊織の疑念と信頼の選択
物語の中盤、伊織は伝説のアイテム、ラジエルの書、に関する情報を集めるなかで、幸助の不可解な行動に疑念を抱いた。
・幸助は誰も知らないダンジョン情報をいち早く提供し、誰よりも早く強くなっていたため、幸助君がラジエルに操られているか、ラジエルの書を利用するために暗躍しているのではないか、という仮説を立てた。
・しかし、義妹の結花から、瀧音さんがそんなことをすると思うか、と問い詰められたことで思い直す。
・伊織は幸助がこれまで命懸けで仲間を救ってきた事実を思い出し、彼への疑念を打ち消して信頼を選択した。
恩人の命か世界の救済かを巡る伊織の激しい絶望と葛藤
図書館司書であり大天使ラジエルである桜瑠依は、暴走したラジエルの書を消滅させるため、自身の命を絶つ(自分を殺してもらう)ことを伊織たちに懇願した。
・伊織にとって桜瑠依は入学前から世話になっていた大切な恩人であった。
・そのため、彼女を殺すか、それとも世界を救うか、というあまりにも理不尽な二者択一を迫られることとなった。
・この過酷な選択を前に、伊織は激しい絶望と葛藤に直面することとなる。
主人公の成長を促すためにあえて答えを伏せる幸助の葛藤
この絶望的な状況に対し、ゲーム知識を持つ幸助は、ラジエルの書を倒して桜を救う、という正解と解決策をすでに持っていた。
・しかし幸助は、ここで自分がすぐに答えを教えてしまっては、今後何度も過酷な決断を迫られる主人公・伊織の成長の機会を奪うと考えた。
・それでは、いずれ訪れる怒濤の展開に伊織の心が耐えられなくなり、バッドエンドを迎えてしまうと危惧した。
・そのため幸助は、あえて自分から解決策を提示せず、聖女ステファーニアが桜を殺そうとするのを止めて、少し考える時間をくれないか、と時間を稼いだ。
・そうして、伊織自身に、どうしたいか、を問いかけ、彼の自己決定をじっと待つという親心のような葛藤を抱えていた。
葛藤の果てに掴み取った覚悟と共闘の約束
自身の心と向き合った伊織は、世界も、桜さんも救いたい。だから、ラジエルの書、を倒しに行く、という最も困難な道を決断した。
・伊織が周囲の環境に流されることなく、主人公としての真の覚悟を示した。
・これを見届けた幸助は、ああ、出来るさ。なんせ、俺がいるからな、とその決断を全力で肯定した。
・こうして二人は固い信頼関係のもと、共にラジエルの書との死闘へ向かうこととなった。
まとめ
第6巻における聖伊織と瀧音幸助の葛藤は、二人が単なる友人やライバルという関係を超え、互いの信頼を試し合いながら未来を切り拓く重要なステップである。幸助への疑念を乗り越えた伊織が、恩人の命を奪う悲劇を拒絶し、世界と桜の双方を救う茨の道を選び取った姿は、彼が真の主人公として覚醒したことを物語っている。また、正解を知りながらも伊織の精神的成長のためにあえて沈黙を守り、時間を稼いで決断を促した幸助の葛藤とサポートは、世界の運命を変え、最高のハッピーエンドへ到達するために必要不可欠な試練であったと言える。
ラジエルの書との決戦
『マジカル★エクスプローラー』第6巻における「桜瑠依(大天使ラジエル)の救済とラジエルの書との決戦」は、世界のために自己犠牲を強いる過酷な運命に対し、主人公の瀧音幸助がゲーム知識、周到な裏工作、そして仲間たちとの強い絆を駆使して最善のハッピーエンドをもたらす物語の大きな山場である。
図書館司書として潜伏していた大天使の秘められた過去から、命をかけた決戦の全容、そして長年の孤独と絶望から魂までも救い上げるにいたる経緯の詳細は以下の通りである。
図書館司書である桜瑠依の真の姿と人類への愛の起源
ツクヨミ魔法学園で学生たちに優しく接していた図書館司書である桜瑠依の真の姿は、知を司り、世界の秘密を知り尽くしていると言われる上級の大天使ラジエルである。
・彼女はかつて地上に降りた当初、人間を利己的で愚かな存在だと見下していた。
・しかし、スラム街で出会った少女(後の初代聖女)から花冠をもらい、幸せ、を教えられたことで初めて心から笑い、世界と人々を深く愛するようになった。
ラジエルの書の創造と善意から始まった人類管理への暴走
世界と人々を守りたいと願ったラジエルは、自身のあらゆる知識を詰め込んだ魔法生命体ラジエルの書を創造した。
・この本は長く世界の繁栄を導いたが、やがて高度な未来予知によって人類の破滅を予測してしまう。
・破滅を回避するため、本は、人類を減らして管理する、という最悪の結論を善意から導き出し、暴走を始めてしまった。
・本が悪魔のような行いに手を染めた影響で、ラジエル自身の誇りであった純白の翼も、堕天使のように黒く染まることとなった。
数百年に及ぶ孤独な封印戦と悪の天使を演じた自己犠牲の真意
ラジエルの書を処分するためには、魔力パスで存在が深く結びついているラジエル自身が死ぬしかなかった。
・しかし天使の制約で自害は許されず、仮に死ねたとしても世界が暗黒に包まれる未来が見えたため、彼女は自身の力の大半を使って本をダンジョンの奥深くに封印する道を選んだ。
・封印を維持するためにはその場から離れることができず、美しい外の景色を見ることも空を飛ぶこともできなくなり、数百年もの間、一人で苦痛に耐えながら世界を救う、可能性の子、を待ち続けていた。
・長い苦しみの末、彼女は正義の心と力を持つ聖伊織を見出し、彼に自分を殺させることでラジエルを消滅させる決意を固める。
・仲間たちに罪悪感を抱かせないよう、あえて、世界征服を企む悪の天使、として振る舞い、彼らをダンジョンの奥へと誘い込んだ。
伊織の拒絶と幸助によるプロポーズを交えた説得
桜の真意を感じ取った伊織は彼女を殺すことを拒絶し、世界も桜も両方救うためにラジエルの書本体を倒しに行くことを決断する。
・幸助はゲームの知識から、桜が伊織たちを先に進ませないためにわざと立ち塞がっていることや、隠し通路の存在を見抜いていた。
・幸助は天使拘束用のアイテムで桜の動きを封じ、伊織たちを本が潜む魔法陣の先へと向かわせる。
・伊織たちが去った後、桜は自害を試みるが、幸助によって止められる。
・幸助はこれまでの彼女の苦しみを理解した上で、桜さんも今後の世界も俺が守る、俺に力を貸してください、と語りかけ、必ず幸せにすると約束した。
・そのプロポーズのような言葉に深く心を揺さぶられた桜は、幸助に未来を賭けることを決意した。
聖堂での激突と圧倒的な物量による絶望的な防衛戦
戦いの舞台は、ダンジョンの奥深くにあるステンドグラスが美しい聖堂のような場所である。
・暴走した魔法生命体ラジエルの書は、創造主である桜瑠依を模した姿をしているが、赤い目と漆黒の翼を持ち、不気味な陽炎をまとっていた。
・光の槍やレーザーなどの強力な魔法と服の飾りを使った近接攻撃に加え、大量の堕天使や蛇頭の天使などを次々と召喚し、圧倒的な物量と魔力で襲いかかる。
・幸助や聖伊織、水守雪音らのパーティは、四方八方からの攻撃に防戦一方となった。
・雪音は傷を負いながらも最前線で攻撃を凌ぎ、聖女ステファーニアは魔力の限界まで回復を続ける。
・幸助の指示で桜瑠依から魔力を供給してもらい、ラジエルの書の力を削ごうとするが、それでも敵の猛攻は止まず、一行は満身創痍の絶望的な状況に陥った。
幸助の先読みの裏工作と生徒会メンバーの劇的な参戦
ラジエルの書はさらに魔力を引き出すため、別の場所に隠していた本を使おうとするが、何も起こらなかった。
・実は幸助は、事前に生徒会長モニカたち(モニカ、ハンゾウ、姫宮紫苑、ギャビー、アネモーヌ)をその書庫へ向かわせ、本をすべて破壊させていた。
・追い詰められたラジエルの書は奥の手として天界の聖獣たちを大量に転移させ、伊織が自らを犠牲にして殿(しんがり)を務めようとする。
・その絶体絶命の瞬間、ついに書庫の破壊を終えたモニカたちが戦場に駆けつけた。
・モニカの圧倒的な炎の魔法や仲間たちの猛攻により、戦況は一気に逆転した。
全員で繋いだ一瞬の隙と幸助の放った引導の一撃
敵の増援が一掃され、ラジエルの書の周囲に浮かぶ本が残り一冊となる。
・雪音は幸助に、幸助の技、瞬、なら敵の防御も斬れると伝え、私たちが隙を作るから引導を渡せ、と促した。
・ラジエルの書は最後の魔力で4体の分身を作り出すが、紫苑、雪音、モニカ、そして主人公としての限界を超える力を発揮した伊織がこれを次々と撃破する。
・仲間たちが作った一瞬の隙を突き、極度の集中状態に入った幸助は、迫り来るすべての魔法を躱し、斬り伏せながら懐に飛び込んだ。
・全力の一撃を放ってラジエルの書を討伐し、桜は命を失うことなく無事に日常を取り戻した。
・討伐の瞬間、幸助が、この世界のことは任せろ。俺が平和に導いてみせる、と告げると、ラジエルの書は笑ったように見えた。
・二人は、ラジエルの書は残酷な結論を出したものの、本当は誰も殺したくなかったのだろうと悟り、その想いを受け止める決意を固めた。
穢れた黒い羽への全肯定と魂の救済
戦いの後、桜はラジエルの書が暴走した影響で純白から黒く染まってしまった自身の羽を、穢れて醜い姿になってしまった、と悲観していた。
・しかし幸助は、農作業で汚れた母親の手が立派で美しいように、その黒い羽は彼女が世界を守るために長く苦しみ戦い抜いてきた証であり、世界で一番美しく見える、と全肯定した。
・この言葉によって、彼女は長年の孤独と自己否定から完全に解き放たれ、涙をこぼして救済された。
・彼女を学園で保護した花邑毬乃は、散ってもまた咲く桜のように、再び咲いてほしい、という願いを込めて、桜瑠依、という名前をつけたと明かす。
・幸助がお気に入りの場所である、夏に咲く桜、を見せたことで、彼女は世界が以前より明るく美しく見えるようになり、文字通り再び咲くことができた。
・この救済を経て、彼女は幸助こそが光をもたらし世界を救う、最強になる男、であると確信し、自身の知識をいつでも彼のために提供する決意を固めた。
まとめ
大天使ラジエルの救出とラジエルの書との決戦は、悲劇的な運命を書き換えるために、幸助が積み重ねてきた実力、知識、そして人間関係のすべてを注ぎ込んだ総力戦の結末である。自らを悪役に見立てて死を望んだ桜の悲壮な決意を、拘束アイテムと真摯な説得によって阻止し、裏工作で敵の魔力源を断った上で仲間たちと共に戦い抜いた展開は、まさに圧巻のひとことに尽きる。物理的な討伐のみならず、世界を守り抜いた証である黒い羽を、世界で一番美しい、と肯定し、その心を深く癒やした幸助の優しさこそが、彼女の永い孤独に終止符を打ち、真の意味での最高のハッピーエンドをたぐり寄せたと言える。
マジエク 5巻レビュー
マジエク まとめ
マジエク 7巻レビュー
登場キャラクター
生徒会
モニカ・メルツェーデス・フォン・メビウス
ツクヨミ魔法学園の生徒会長である。学園内で最高峰の実力とカリスマ性を備えている。炎の魔法を自在に操る。
・所属組織、地位や役職
ツクヨミ魔法学園生徒会・生徒会長。「三強」の一角。
・物語内での具体的な行動や成果
ラジエルの書との決戦に駆けつけ、圧倒的な炎の魔法で敵の軍勢を焼き尽くした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
生徒たちにとって憧れの目標であり続ける。ガブリエッラの生徒会入会を許可した。
フランツィスカ・エッダ・フォン・グナイゼナウ
生徒会の副会長である。真面目で厳格な性格をしている。モニカ生徒会長を補佐し、常に冷静な態度を保つ。
・所属組織、地位や役職
ツクヨミ魔法学園生徒会・副会長。
・物語内での具体的な行動や成果
ラジエルの書との戦いにおいて、土魔法を用いてオレンジの防御や援護を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
姫宮紫苑や水守雪音を目標にしつつも、彼女らを超える決意を口にしている。
ハンゾウ
生徒会に所属する三年生である。忍者という職業に就いている。口数が少なく冷静に状況を判断する。
・所属組織、地位や役職
ツクヨミ魔法学園生徒会・三年生。盗賊系の職。
・物語内での具体的な行動や成果
ラジエルの書との戦いに参戦し、クナイに雷をまとわせた「雷遁」を用いて敵を攻撃した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
物語内で地位に関する特別な変化はない。
ギャビー
本名はガブリエッラ・エヴァンジェリスタである。ベニートの妹にあたる。高飛車な態度をとる。兄を深く尊敬している。
・所属組織、地位や役職
ツクヨミ魔法学園・生徒。生徒会所属。法国の貴族。
・物語内での具体的な行動や成果
瀧音幸助との勝負に敗北した後、自身の道を見つめ直し生徒会へ入会を申し出た。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
兄への依存を断ち切り、独自に成長する決意を固めた。聖結花と親友になり、互いに敵として誓い合った。
風紀会
ステファーニア・スカリオーネ
風紀会の会長であり当代の聖女である。三会の会議では冷淡な態度をとる。ベニートとは幼馴染の関係にある。
・所属組織、地位や役職
ツクヨミ魔法学園風紀会・隊長。
・物語内での具体的な行動や成果
ラジエルの書との戦いにおいて、後方で回復魔法を使い続け仲間を支援した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
過去に何かを抱えていることが示唆されている。
水守雪音
風紀会の副会長である。真面目で正義感が強い。瀧音幸助を深く理解し彼を支える。
・所属組織、地位や役職
ツクヨミ魔法学園風紀会・副隊長。
・物語内での具体的な行動や成果
ラジエルの書との戦いにおいて、傷を負いながらも前線で戦い抜いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
モニカを超えて最強になるという目標を掲げた。
ホルガー
スキンヘッドの男性である。リュディヴィーヌを真面目だと評価している。
・所属組織、地位や役職
ツクヨミ魔法学園風紀会・所属。
・物語内での具体的な行動や成果
月宮殿の風紀会室で瀧音幸助に声をかけた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
風紀会に所属し、学園内の治安維持に関わっている。
エスメラルダ
風紀会の壁役である。つり目の女性である。ベニートを尊敬している。
・所属組織、地位や役職
ツクヨミ魔法学園風紀会・所属。
・物語内での具体的な行動や成果
風紀会室で瀧音幸助とななみに自己紹介を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
本来は式部会志望だったが、自身の性格を考慮して風紀会に所属している。
式部会
ベニート・エヴァンジェリスタ
式部会の会長である。飄々とした態度で憎まれ役を演じる。ギャビーの兄にあたる。
・所属組織、地位や役職
ツクヨミ魔法学園式部会・式部卿。法国の貴族。
・物語内での具体的な行動や成果
ダンジョン「約束の書庫」でタイタンの足止めを引き受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
生徒たちをわざと煽り、式部会への敵意を集めている。妹に自立してほしいと願い、瀧音幸助をけしかけた。
姫宮紫苑
式部会の副会長である。和服を着崩した独特の服装をしている。底知れぬ実力を持つ。
・所属組織、地位や役職
ツクヨミ魔法学園式部会・式部大輔。
・物語内での具体的な行動や成果
ラジエルの書との戦いにおいて、固有闇魔法の曼珠沙華を使用し、魔物を一掃した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
瀧音幸助の実力を評価し、彼を式部会へ勧誘した。
瀧音幸助
ゲーム世界の友人キャラクターに転生した人物である。ゲーム知識を活用して最強を目指している。仲間を思いやり、全員をハッピーエンドへ導くために行動する。
・所属組織、地位や役職
ツクヨミ魔法学園式部会・式部少輔。
・物語内での具体的な行動や成果
学園ダンジョン四十層をソロで一週間以内に攻略した。ラジエルの書との決戦では最後の一撃を放った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
試験を受けずにダンジョン攻略の実績のみで学年一位となった。花邑家の血筋であることが公表された。
アネモーヌ・ド・ラ・セルダ
ダークエルフの女性である。天才発明家として知られている。
・所属組織、地位や役職
ツクヨミ魔法学園式部会・大丞。第一研究室所属。
・物語内での具体的な行動や成果
瀧音幸助から天使と悪魔の捕縛用アイテムの作成を依頼され、それらを準備した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
生徒たちからマッドサイエンティストなどと呼ばれている。
花邑家および使用人
花邑毬乃
ツクヨミ魔法学園の学園長である。瀧音幸助の保護者となり、彼を花邑家に住まわせる。若々しい外見と絶大な権力を握る。
・所属組織、地位や役職
ツクヨミ魔法学園・学園長兼理事長。花邑グループ関係者。
・物語内での具体的な行動や成果
ルイージャの借金問題を解決へ導いた。聖結花の編入手続きを進め、彼女を保護した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
学園と魔法界において絶大な権力を有している。
花邑はつみ
毬乃の娘であり学園の教授である。無表情で口数が少ない。瀧音幸助に対して徐々に心を開いていく。
・所属組織、地位や役職
ツクヨミ魔法学園・教授。
・物語内での具体的な行動や成果
瀧音幸助に気配察知のスキルや魔法を教えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
本気を出せば作中の多くの実力者を凌ぐほどの強さを備えている。
花邑龍炎
花邑グループの会長である。瀧音幸助のひいおじいさんにあたる。
・所属組織、地位や役職
花邑グループ・会長。
・物語内での具体的な行動や成果
直接的な登場はないが、ニュース速報で瀧音幸助が彼のひ孫であることが言及された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
魔法界と政財界の重鎮であり、各国にも大きな影響力を持っている。
ななみ
瀧音幸助に仕えるメイドである。正体は天使であり、彼に対して絶対の忠誠を誓う。常に冷静だが時折冗談を言ってからかう。
・所属組織、地位や役職
瀧音幸助の専属メイド。A&A商会製MKS733。
・物語内での具体的な行動や成果
ダンジョン攻略で罠探知や遠距離攻撃を行い瀧音幸助を援護した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
桜瑠依が上位の天使であることを見抜き、警戒を示した。全盛期の桜瑠依を超える存在力を持つと示唆されている。
ツクヨミ魔法学園 教職員
桜瑠依
学園の図書館司書である。穏やかな笑顔を絶やさない。その正体は堕天しかけた大天使ラジエルである。
・所属組織、地位や役職
ツクヨミ魔法学園・図書館司書。知の大天使。
・物語内での具体的な行動や成果
自らが生み出したラジエルの書を処分するため、聖伊織たちをダンジョンに誘い込んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ラジエルの書討伐後、瀧音幸助がいずれ世界を救う男になると確信した。
ルイージャ
学園の教師である。金銭管理が苦手で多額の借金を抱えている。
・所属組織、地位や役職
ツクヨミ魔法学園・教師。
・物語内での具体的な行動や成果
魔力計測器を用いて瀧音幸助の体質を調べようとした。作業員名簿の不審な点に気づき、瀧音幸助とななみに報告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
借金問題の解決を機に、瀧音幸助が彼女の金銭と生活を管理する状態となった。
ツクヨミ魔法学園 生徒
聖伊織
ゲームの本来の主人公である。過去の事件から強さを渇望している。瀧音幸助の友人でありライバルとなる。
・所属組織、地位や役職
ツクヨミ魔法学園・生徒。生徒会所属。
・物語内での具体的な行動や成果
ツクヨミ学園ダンジョンの三十五層を突破した。ラジエルの書の分身を斬り飛ばした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
瀧音幸助に対して自分が学園で最強になると宣戦布告を行った。
聖結花
聖伊織の義妹である。愛嬌があり世渡り上手な一面を持つ。瀧音幸助に信頼を寄せる。
・所属組織、地位や役職
ツクヨミ魔法学園・生徒。式部会所属。
・物語内での具体的な行動や成果
悪魔に攫われダンジョンに囚われたところを、瀧音幸助に助けられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
生徒会からの勧誘を断り、義兄を超えるために式部会へ入会した。初代聖女の血縁者であることが示唆されている。
リュディヴィーヌ・マリー=アンジュ・ド・ラ・トレーフル
トレーフル皇国皇帝の次女であるエルフである。初めは男性を警戒していたが、瀧音幸助に心を開く。高貴な身分であるが庶民的な食事を好む。
・所属組織、地位や役職
トレーフル皇国皇女。ツクヨミ魔法学園・生徒。風紀会所属。
・物語内での具体的な行動や成果
花邑ホテルで裏切り者に襲われたところを、瀧音幸助に救出された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
水守雪音からの勧誘を受け、風紀会へ入会した。
加藤里菜
瀧音幸助のクラスメイトである。さっぱりとした性格をしている。聖伊織のライバルとなる。
・所属組織、地位や役職
ツクヨミ魔法学園・生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
ラジエルの書との戦いに参加し、前線で奮闘した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
聖伊織や瀧音幸助に負けないという対抗心を抱いている。
オレンジ
瀧音幸助のクラスメイトである。明るい性格で、空気に流されずに瀧音幸助に接する。
・所属組織、地位や役職
ツクヨミ魔法学園・生徒。
・物語内での具体的な行動や成果
瀧音幸助が授業をサボっていても普段通りに声をかけた。ラジエルの書との戦いに参加した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
熟女好きを公言している。
委員長
瀧音幸助のクラスメイトである。面倒見が良く、しっかり者だが天然な一面も持つ。本名は日暮楓である。
・所属組織、地位や役職
ツクヨミ魔法学園・生徒。学級委員。
・物語内での具体的な行動や成果
聖伊織や加藤里菜たちとアイスを食べに行くなど友人関係を深めている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
聖伊織から密かに好意を寄せられている。
その他の人物・集団
ラジエルの書
桜瑠依が自身の知識を詰め込んで創造した魔法生命体である。桜瑠依を模した姿をしているが、赤い目と漆黒の翼を持つ。
・所属組織、地位や役職
魔法生命体。
・物語内での具体的な行動や成果
人類を減らして管理することで世界を救おうと暴走し、瀧音幸助たちと戦闘になった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
瀧音幸助たちの総力戦によって討伐された。
初代聖女
千年前に活躍した英雄の一人である。スラム街で桜瑠依に花冠を贈り、彼女に幸せを教えた。
・所属組織、地位や役職
英雄。
・物語内での具体的な行動や成果
桜瑠依が世界と人々を好きになるきっかけを与えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
聖結花がその血縁者であることが示唆されている。
エルフの王女
リュディヴィーヌの先祖にあたる人物である。
・所属組織、地位や役職
エルフの王女。
・物語内での具体的な行動や成果
地上に降りたばかりの桜瑠依に対し、世界を見て聞いて感じるように助言を与えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
物語内で地位に関する特別な変化はない。
ガーゴイル
悪魔を模した石像のモンスターである。
・所属組織、地位や役職
ダンジョン内のモンスター。
・物語内での具体的な行動や成果
図書館ダンジョンに出現し、聖伊織たちに襲いかかった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ベニートたちによって討伐された。
ホーリーウルフ
図書館ダンジョンに出現する獣型のモンスターである。
・所属組織、地位や役職
ダンジョン内のモンスター。
・物語内での具体的な行動や成果
過去の本に描かれており、瀧音幸助たちと戦闘になった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
物語内で地位に関する特別な変化はない。
ゴーレム
土や石などで構成された巨大なモンスターである。
・所属組織、地位や役職
ダンジョン内のモンスター。
・物語内での具体的な行動や成果
聖女組の前に立ちふさがったが、聖伊織たちの連携により討伐された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
物語内で地位に関する特別な変化はない。
女型ケンタウロス
馬の下半身と人間の上半身を併せ持つモンスターである。
・所属組織、地位や役職
ダンジョン内のモンスター。
・物語内での具体的な行動や成果
スケスケベダンジョンに出現し、瀧音幸助たちのポージングによる攻撃を受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
物語内で地位に関する特別な変化はない。
ギョブリン
ゴブリンの体に魚の頭を合体させたようなモンスターである。
・所属組織、地位や役職
ダンジョン内のモンスター。
・物語内での具体的な行動や成果
全モンスターで最弱とされるが、水鉄砲で服を破るため瀧音幸助たちを精神的に追い詰めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
物語内で地位に関する特別な変化はない。
堕天使
漆黒の翼を持つ天使のモンスターである。
・所属組織、地位や役職
ダンジョン内のモンスター。
・物語内での具体的な行動や成果
ラジエルの書によって大量に召喚され、瀧音幸助たちに襲いかかった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
物語内で地位に関する特別な変化はない。
蛇の頭をした天使
蛇の頭を持ち、天使の羽を生やしたモンスターである。
・所属組織、地位や役職
ダンジョン内のモンスター。
・物語内での具体的な行動や成果
ラジエルの書によって召喚され、魔法を詠唱して瀧音幸助たちを攻撃した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
物語内で地位に関する特別な変化はない。
天界の聖獣達
ラジエルの書が別の場所に蓄えていた獣型のモンスター群である。
・所属組織、地位や役職
ダンジョン内のモンスター。
・物語内での具体的な行動や成果
追い詰められたラジエルの書によって転移させられ、瀧音幸助たちを絶望させかけた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
駆けつけたモニカによって一掃された。
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マジエク 5巻レビュー
マジエク まとめ
マジエク 7巻レビュー
展開まとめ
一章 つかの間の平穏
幸助人形とルイージャ先生への依頼
花邑はつみの人形
瀧音幸助は、最近は花邑はつみが自室で寝ていることよりも、自分に似た人形を持っていることが気になっていた。リュディ、水守雪音、ななみは明らかに動揺し、ななみは幻覚だと言い張った。しかし、はつみが赤いマフラーを巻いた人形を落とし、幸助と呼んで拾ったことで、ごまかしは通用しなくなった。
幸助人形の存在
ななみは話をそらそうとしたが、聖結花が水守雪音の部屋でも同じ人形を見たと明かした。雪音やリュディの反応から、幸助は女性陣が人形の存在を知っていると察した。ななみは、はつみと共に人形を計画し、実際の製作はルイージャ先生が行ったと暴露した。
女性陣の所持品
水守雪音は観念し、花邑家に住む女性陣は聖結花を除いて全員が幸助人形を持っていると認めた。リュディは、完成度が高く可愛かったため欲しくなったが、幸助が嫌がると思って黙っていたのだと説明した。ななみは等身大人形の制作計画まで口にし、幸助は出資者の存在に衝撃を受けた。
ななみの取引
ななみは、希望する女性の人形をルイージャ先生に作らせる代わりに、幸助が何も見なかったことにする取引を持ちかけた。幸助はその誘惑に流され、朝の騒動はなかったことにした。
ルイージャ先生への呼び出し
幸助とななみは学園でルイージャ先生を呼び出した。ルイージャ先生はななみを見るなり返済の話をし、ななみの冗談や住居に関する脅しに怯えた。ななみは段ボール、アクリル板、マジックミラー、薄いベニヤ板など極端な住居案を次々と出し、先生は本気で抗議した。
二つのお願い
幸助は、ルイージャ先生を罵倒するために呼んだのではなく、二つのお願いがあると説明した。一つは、攻略に役立つものが得られるダンジョンを紹介してほしいというものだった。もう一つは少し先の話として、とある人物を救うために暗躍してほしいという依頼だった。ルイージャ先生はその内容に戸惑い、幸助は急に不安を覚えていた。
二章 スーパーケイオスベネフィットエネミーダンジョン
すけべえダンジョンと図書館の戦い
封印されたダンジョン
瀧音幸助は、ルイージャ先生から教わった場所にある特殊なダンジョンへ一人で向かった。そこは通常の戦闘力ではなく、専用衣装とポージングによって敵と戦う異質な場所だった。瀧音幸助は誰も誘えないと考えて単独攻略するつもりだったが、リュディ、水守雪音、ななみに見つかった。
危険な仕組み
瀧音幸助は、このダンジョンが以前の恥ずかしいポージング要素をさらに強めた場所だと説明した。さらに、攻撃を受け続けると特殊な体質変化が一時的に起こると明かしたため、リュディは激しく動揺した。ななみは平然と冗談を重ねたが、最終的には攻撃を受けないよう進むしかないという結論になった。
草原の選択
一行は複数の行き先の中から、広く様子を見やすい草原のフロアを選んだ。転移先の宝箱には専用衣装が入っており、リュディ、雪音、ななみはバニー姿に着替えた。瀧音幸助も際どい衣装になり、皆は戦闘で受ける精神的な負担を覚悟しながら先へ進んだ。
女型ケンタウロス
草原に現れたのは女型ケンタウロスだった。雪音は先陣を切り、薙刀を構える美しい姿勢で攻撃した。続いてリュディも恥ずかしさをこらえながらポーズを取り、敵にダメージを与えた。しかし敵も同じ仕組みで反撃し、二人の衣装は少しずつ破れていった。
瀧音幸助の黒い攻撃
瀧音幸助も四つん這いのポーズで攻撃を試みると、どす黒いハートが現れた。それを受けたケンタウロスは強烈な精神的ダメージを受け、衣装を失って倒れた。瀧音幸助は自分の攻撃の異様さに罪悪感を覚え、雪音とリュディも反応に困った。
ななみの理解
次のケンタウロス戦では、ななみが仕組みを理解したとして前に出た。彼女は日常の動作に見せかけた自然なポーズを使い、巨大なハートで敵の攻撃を打ち消したうえで一撃で倒した。雪音は、恥ずかしい格好や動作ほど強くなる仕組みを理解し、悲しそうに納得した。
ギョブリンのボス戦
一行は精神的に消耗しながらラストフロアへ到達した。最後に現れたのは二匹のギョブリンだったが、このダンジョンの仕組みでは極めて厄介な相手だった。二匹の連携攻撃を受ければ限界が近いリュディと雪音が危険だと判断し、瀧音幸助は自ら攻撃を受け止めた。
雪音とリュディの反撃
ななみは一匹を引き離し、残った一匹に対して雪音とリュディが最後の攻撃に出た。二人は限界に近い姿で恥じらいながらもポーズを取り、その攻撃でギョブリンを倒した。瀧音幸助はその光景に圧倒され、戦闘後には自分の状態にも大きな衝撃を受けた。
図書館の隙
場面は図書館の戦いへ移り、桜が本を使って魔法を発動しようとしていた。相手は、桜本人ではなく本を狙うことで魔法を物理的に妨害した。桜は防御手段を失い、聖伊織が斬りかかれる隙が生まれたが、伊織は剣を振り下ろさなかった。
ベニートの参戦
そこへベニートが現れ、戦いへの参加を求めた。彼はすでに守るために前へ出ており、ガーゴイルの攻撃を受け止めた。ベニートは、学園生達を傷つけさせないと告げ、ガーゴイルを斬って魔素へ変えた。
四章 絶望の戦い
図書館ダンジョン攻略作戦
会議室の作戦会議
瀧音幸助が会議室へ着くと、三会のリーダーやメンバー、花邑はつみ、ルイージャ先生達が集まっていた。モニカは、司書の桜瑠依が偽名であり、正体は知の天使ラジエルを名乗る上級天使だと説明した。ななみも桜が天使であることを認め、上級天使の中でも狡猾な存在は非常に厄介だと補足した。
教師を阻む結界
桜瑠依が図書館からモンスターを出現させている以上、学園側は攻撃と受け止めるしかなかった。教師達が中心となるべきではないかという意見も出たが、図書館には教師が入れない制約がかけられていた。そのため、三会を中心に攻める組と守る組へ分かれる方針になった。
聖伊織の覚悟
聖伊織は、自分が行くと強く主張した。ベニートは、相手が親しい桜瑠依であっても剣を振る覚悟があるのかと問い、迷いがあれば仲間全体を危険にさらすと忠告した。伊織は迷わず頷き、ベニートは彼を止めず、失敗しても仲間が支えるから気負いすぎるなと諭した。
攻略組と居残り組
瀧音幸助は知っている範囲で必要な情報を伝え、自身も攻略に参加すると答えた。モニカとステファーニアは攻略側へ向かい、ベニートは学園に残って図書館入口から出るモンスターへの対応を引き受けた。瀧音幸助は、任せてくれるベニートを良い上司だと感じた。
三つの攻略班
攻略班は、瀧音組、聖女組、モニカ組に分かれた。瀧音組は瀧音幸助、ななみ、リュディ、聖結花、水守雪音、聖女組はステファーニア、聖伊織、フラン、オレンジ、カトリナ、モニカ組はモニカ、アネモーヌ、姫宮紫苑、ハンゾウ、ギャビーで構成された。ベニートは他の三会メンバーと共に居残り組を率いることになった。
図書館ダンジョン
図書館ダンジョンは本棚に囲まれた空間で、古びたインクの匂いが漂っていた。瀧音組は、本から召喚されたホーリーウルフと戦い、瀧音幸助と結花が前衛として対応した。光属性の敵であるため、同じ光属性を扱う結花には少し面倒な相手だったが、一行は問題なく処理した。
三体の天使像
広間には、本を持つ三体の天使像と中央の本が置かれていた。ななみは中央の本を読み、それが過去の本であり、ダンジョンの構想や出現モンスターについて書かれたものだと説明した。天使像が持つ本には獣、ゴーレム、天使のようなものが映し出され、それぞれ別のルートを示していると推測された。
本棚の仕掛け
瀧音幸助は、三体の天使像が背を向けている方向に意味があると気づかせた。結花が視線の先の本棚を調べると、本を差し込める隙間を見つけた。本を差し込むと転移魔法陣が起動し、一冊ごとに別のルートへ進めることが判明した。
三班の分岐
モニカは全班が別々の道へ進むと決めた。瀧音幸助は、瀧音組は防御と速度に優れるため獣のルート、聖女組は回復力と防御役がいるためゴーレムのルートが向くと提案した。聖女組が先に転移した後、瀧音幸助はモニカ組の前に立ちはだかり、話があると切り出した。
聖女組の扉
聖女組はゴーレムを倒した後、転移魔法陣とは別に不思議な扉を見つけた。扉には物理的な鍵穴があり、カトリナには詳細が分からなかった。聖伊織は、桜瑠依から渡された鍵がこの扉のためのものだと考え、罠の可能性も承知で開けたいと願った。
光の先
聖伊織が鍵を差し込むと扉は開き、聖女組は光に吸い込まれて別の空間へ転移した。転移先は図書館とは異なり、城の通路のような場所だった。カトリナは小さな扉を先に調べるべきだと提案したが、そこには魔法の鍵がかかっており、一行は大きな扉へ向かった。
天使ラジエル
大きな扉の先は教会のような空間で、四対の羽を持つ桜瑠依ことラジエルが宙に浮いていた。その姿は神聖でありながら強い圧力を放ち、カトリナ達は本能的に逃げたいと感じた。ラジエルは人間の利己性と愚かさを嘆き、彼女の力に晒された聖女組は苦しみながらも武器を構えた。
勝てない相手
聖女組は軽口を交えながら自我を保とうとし、未来を奪われるわけにはいかないとラジエルへ立ち向かった。しかし、カトリナはその力の差から、自分達だけでは勝てないと理解していた。ラジエルは本を使って多彩な魔法を操り、遠距離魔法と服の飾りによる近接攻撃で隙なく攻めてきた。
カトリナの策
カトリナは、ラジエルが本を切り替えて魔法を使っていることに気づき、本を狙えば隙を作れると考えた。聖女の許可を得て、前線へ加わりながら一度きりの機会を待った。ラジエルの動きが鈍くなったところで最大の好機が訪れたが、伊織は剣を振らずに腕を下ろした。
伊織の問い
伊織は、なぜ桜瑠依が自分を攻撃しないのかと問い、本当に世界を征服しようとしているのではなく、むしろ殺されようとしているのではないかと見抜いた。桜は伊織に光の槍を向けたが、伊織は避けずに受ける覚悟を示した。放たれた攻撃は伊織に届く前に、飛び込んできた瀧音幸助によって防がれた。
瀧音幸助の合流
瀧音幸助は、リュディに飛ばされる形で間に合い、伊織の前に現れた。砂埃を払いながら、遅れてすまないような軽さで声をかけた。伊織は、待たされたと返し、聖女組のもとに瀧音幸助が合流した。
三章 それぞれの思惑
ラジエルの書と桜瑠依の正体
幸助への疑念
カトリナは、瀧音幸助が連絡に応じず、重要な時に姿を見せないことに苛立っていた。聖伊織は、幸助が紹介してきたダンジョンには何らかの意味があるのではないかと考え、リュディと聖結花を呼び出した。二人は、幸助が効率よく魔素を集めていることを話し、カトリナはその規模と無償公開を考える幸助に呆れていた。
ラジエルの書
聖伊織は、リュディと結花にラジエルの書について尋ねた。二人は伝説としての知識を語り、ラジエルが世界の秘密を知る大天使であり、その書には世界の理すら記されていると説明した。伊織は、幸助が紹介したダンジョンでラジエルの書に関する文献を見つけ、封印が解ける時期が近い可能性を伝えた。
封印と堕天
聖伊織は、文献にラジエルが堕天し、ラジエルの書を持って暴れたように書かれていたことを話した。さらに、ラジエルの書とラジエルが一緒に封印されている可能性を示した。もしそれが事実なら、封印が解けた時にラジエルが暴れ出す危険があった。
瀧音幸助への信頼
聖伊織とカトリナは、幸助がラジエルの書を手にした、あるいはラジエルに操られている可能性を口にした。しかし結花は、幸助が自分の命を賭けてまで人を助けてきたことを根拠に、その疑いを強く否定した。リュディも、幸助が何かを知って動いていることは間違いないが、悪い方向へ導くとは思っていなかった。
花邑毬乃への確認
一行は、幸助とななみから情報を得るのが難しいと判断し、花邑毬乃へ確認に向かった。毬乃は、ラジエルの書の存在も場所も知っていると明かしたが、それは最近、幸助から詳しい話を聞いたためだった。伊織達は、幸助がやはり重要な情報を握っていると知った。
図書館の名前
花邑毬乃は、ラジエルの書の場所について、幸助が図書館と言っていたと告げた。伊織は、その候補を予想していたため納得した。リュディだけは毬乃に呼び止められ、伊織、結花、カトリナは部屋を出た。
桜瑠依の違和感
退出後、結花は毬乃が何かを隠していると感じた。伊織は、図書館の司書である桜瑠依について、以前から不思議な言動があったと語った。桜は、伊織がこれから図書館を使うと見抜いたように利用登録を促しており、結花はそれを未来予知のような行動だと理解した。
桜瑠依の絵
アネモーヌ達の解析により、ラジエルの情報が整理された。ラジエルはラジエルの書を使って世界征服を狙い、倒せないため封印された存在とされていた。そして資料に残された天使の姿として映し出されたのは、司書の桜瑠依だった。伊織はその事実を受け入れられず、強い衝撃を受けた。
リュディの覚悟
アネモーヌは、瀧音幸助が裏で動いている可能性も探った。リュディは、もし幸助が裏で手を引いているとしても、自分は幸助の側につくと淡々と答えた。カトリナも、自分の勘は幸助が悪い方向へ導いているわけではないと言っていた。
桜瑠依への詰問
聖伊織は冷静さを失い、桜瑠依のもとへ向かった。彼は、桜がラジエルであり、ラジエルの書を使って世界征服を企む天使なのかと問い詰めた。桜は笑顔のまま応じ、人間は利己的で愚かであり、支配するのも面白いと語った。
知の天使ラジエル
桜瑠依は真の姿を見せ、黒い翼を持つ知の天使ラジエルとして現れた。彼女は伊織が知る優しい司書とは別人のように振る舞い、彼の夢も未来も滑稽なものとして扱った。伊織はそれでも剣を構え、彼女の誘いを拒んだ。
図書館の変貌
ラジエルは伊織に鍵を渡し、止めたいならダンジョンの奥へ来るよう告げた。直後、図書館の本棚が動き出し、魔法陣と悪魔のような石像が現れた。さらに天使の輪をつけた人形のようなモンスター達も出現し、図書館は戦場へ変わった。
カトリナとベニート
カトリナは大量のモンスターに苦戦しつつも、ガーゴイルの攻撃をかわして戦っていた。そこへベニートが現れ、彼女を助けた。カトリナはかつての反発を抱えながらも、今回ばかりは礼を述べた。
瀧音幸助の既知
会議では、図書館からモンスターが現れている状況が共有された。モニカは、瀧音幸助がもともと桜瑠依の正体や天使について知っていたのだろうと問い、幸助はそれを認めた。さらに、ななみ自身が天使であるため、天使については彼女に聞くのが早いと話した。
五 章 桜の真意
ラジエルの書への道
飛ばされた瀧音幸助
瀧音幸助は、リュディの風魔法で戦場へ飛ばされ、聖伊織の前に間に合った。続いて聖結花達も合流したが、場には戦闘直後とは違う不思議な空気が漂っていた。伊織は、桜瑠依が悪人ではないと皆に聞いてほしいと訴えた。
桜瑠依への疑問
聖伊織は、桜瑠依が自分の正体に関わる文献を残し、さらにその文献があるダンジョンを紹介したことに疑問を抱いていた。世界征服を企むなら証拠を処分すればよいはずであり、危険な攻撃もわざと外しているように見えた。伊織は、桜が助けを求めているように見えると訴え、彼女を守るために剣を向けた。
桜瑠依の告白
桜瑠依は、自分が生きていることで世界が崩壊すると語った。しかし天使の制約により自害はできず、誰かに殺してもらうしかないのだと明かした。彼女は知の天使ラジエルとして、自身の知識と魔力を込めた魔法生命体であるラジエルの書を作り出したが、その本は未来予知によって人類の破滅を導き出し、人類を減らして管理することで世界を救おうとしていた。
ラジエルの書の暴走
ラジエルの書は、善意から世界征服を狙う存在になっていた。桜瑠依は本を処分しようとしたが、本は彼女の魔力と存在に強く結びついていたため、処分は自害に等しいものになっていた。そのため彼女は、ラジエルの書の動力源である自分が死ねば本も消えると考え、伊織達に自分を殺してほしいと頼んだ。
ステファーニアの決断
重い沈黙の中、ステファーニアは自分が桜瑠依を手にかけると申し出た。彼女は風紀会の隊長であり聖女でもある自分が、誰もやりたくないことを引き受けるべきだと考えていた。しかし瀧音幸助は、混乱したまま結論を出せば後悔が残るとして、考える時間を求めた。
聖伊織の答え
瀧音幸助は、聖伊織にどうしたいのかを尋ねた。伊織は、世界も桜瑠依も救いたいと答え、ラジエルの書を倒しに行くと決めた。瀧音幸助は、自分がいるから伊織ならできると背中を押した。伊織はステファーニアに頭を下げ、自分が失敗した時の後始末を頼みながらも、ラジエルの書へ挑む意思を曲げなかった。
仲間達の同行
カトリナ、オレンジ、リュディ、聖結花、水守雪音、フランツィスカも、それぞれの形で伊織の決断を受け入れた。ステファーニアも冷めた態度を見せながら、結局は共に行くしかないと理解していた。瀧音幸助は、誰かを助けたいと願う彼らの優しさを愚かだと表現しながらも、その愚かさを肯定した。
ラジエルの書への突入
伊織は桜瑠依を殺すのではなく、ラジエルの書を倒すと宣言した。瀧音幸助は、桜が図書館に残っていた理由を見抜き、彼女がラジエルの書に挑む者を止めるために待機していたのだと告げた。そして天使拘束用のアイテムで桜を足止めし、伊織達へ彼女の後ろにある魔法陣へ進むよう指示した。
桜瑠依の足止め
聖伊織達は瀧音幸助を信じ、次々と魔法陣へ飛び込んだ。リュディ、結花、ななみ、水守雪音も軽口を交わしながら先へ進み、終わった後に皆でラーメンを食べに行く約束をした。全員が消えた後、桜瑠依は自害しようとしたため、瀧音幸助は彼女を止め、説得しなければならないと考えた。
六 章 ラジエルの書
ラジエルの書とモニカの到着
桜瑠依の記憶
桜瑠依は、聖伊織達が転移していく姿を見て、地上へ降りた頃の記憶を思い出していた。かつて彼女は人族を愚かな存在だと見ていたが、エルフの王女から世界を見て聞いて感じるよう勧められた。桜瑠依は各地を巡り、自然の美しさには惹かれたが、人間の心はまだ理解できなかった。
初代聖女との出会い
桜瑠依の考えを変えたのは、スラム街近くで出会った一人の少女だった。少女は、幸せとは花畑で花冠を作り、綺麗と言われることだと教えた。桜瑠依は少女から花冠を受け取り、初めて心から笑った。その少女は後に初代聖女と呼ばれる存在であり、桜瑠依は彼女との出会いを通じて世界と人々を好きになった。
ラジエルの書の誕生
桜瑠依は、好きになった世界と人々を守るため、自分の知識をすべて詰め込んだラジエルの書を作った。本は成長して彼女以上の存在となり、長く世界の繁栄を導いた。しかしやがて人類の破滅を予測し、人類を減らして管理することが最もましな未来だと判断した。
黒くなった翼
ラジエルの書は暴走し、悪魔のような行動にも手を出したため、桜瑠依はその影響で翼が黒ずんでいった。かつて初代聖女に褒められた翼が変わっていくことに、桜瑠依は大きなショックを受けた。それでも彼女は、自分が生み出したラジエルの書を自分で消滅させるべきだと決意した。
長い封印
桜瑠依は、自害しても未来が暗黒に包まれることを知り、未来を見ることができない可能性のある者に託す道を選んだ。ラジエルの書を封印したことで、彼女は封印の場所から離れられなくなり、好きだった景色も見られず、天使らしいこともできなくなった。苦痛と孤独の中で数百年待ち続け、やがて聖伊織を選んだ。
瀧音幸助の説得
桜瑠依は、聖伊織達がラジエルの書へ向かったことで希望が消えると感じ、自害しようとした。しかし瀧音幸助はそれを止め、これまで自分が打ってきた策が無駄になると訴えた。彼は、桜瑠依やこの先の未来を知っていると語り、ラジエルの書を倒して必ず彼女を幸せにすると約束した。
桜瑠依の賭け
桜瑠依は、瀧音幸助の言葉に心を揺さぶられたが、涙を見せまいとして、彼の言葉をプロポーズのようだと茶化した。彼女は、瀧音幸助がこの先まで見据えていると確認し、彼に賭けることを決めた。ただし、どうしようもないと判断した時は自害すると告げた。
ラジエルの書との合流
瀧音幸助と桜瑠依は、ラジエルの書がいる聖堂のような場所へ向かった。そこでは、桜瑠依の姿を模した黒い翼の存在が、聖伊織達と戦っていた。ラジエルの書は強力な魔法と服の飾りを使い、堕天使や蛇頭の天使を次々に召喚して仲間達を追い詰めていた。
桜瑠依の魔力供給
瀧音幸助は桜瑠依に指示し、彼女の魔力を自分達へ移させた。ラジエルの書は桜瑠依と太いパスでつながっているため、桜瑠依が魔力を渡すことでラジエルの書の力をある程度削れるはずだった。しかしラジエルの書は本に蓄えた魔力を使い、大量の堕天使を召喚して抵抗した。
消耗戦
仲間達は堕天使やホーリーウルフの群れに囲まれ、防戦一方になった。水守雪音はラジエルの書へ攻め込み続けたが、傷を負いながらも一人で攻撃をしのいでいた。ステファーニアは回復に魔力を削られ、桜瑠依もラジエルの書から魔力を吸い取って支援した。敵の本は少しずつ減っていったが、味方の限界も近づいていた。
隠された本の処分
ラジエルの書は、まだ別に用意した本があると語り、追加の魔力を引き出そうとした。しかし何も起こらず、瀧音幸助はそれらをすでに処分したと明かした。ラジエルの書は、隠し場所には細工とガーディアンがあったはずだと驚いたが、瀧音幸助はそこに学園最強の人物を向かわせていた。
聖獣の転移
追い詰められたラジエルの書は、別の場所に蓄えていた天界の聖獣達を転移させた。大量の獣が現れ、満身創痍の仲間達は絶望しかけた。聖伊織は自分が時間を稼ぐから皆を逃がすと言ったが、瀧音幸助はそれを許さず、首根っこを掴んで止めた。
モニカの参戦
その直後、灼熱の火球が次々と降り注いだ。現れたのは、生徒会長モニカだった。彼女は嘘つき、決断できない人、自分抜きでパーティを始める人達を許せないと語りながら、圧倒的な魔法と剣技で敵を焼き払い、切り伏せた。瀧音幸助は、学園最強である三強の魔、モニカ・メルツェーデス・フォン・メビウスの到着に安堵した。
七章 決戦、その後
ラジエルの書の終幕と桜瑠依の涙
モニカ達の参戦
モニカ、ハンゾウ、姫宮紫苑、ギャビー、アネモーヌが戦場に加わり、堕天使や獣を次々に討伐した。瀧音幸助は、ラジエルの書が魔力を込めていた本を、事前にモニカ達へ処分してもらっていたことを明かした。ラジエルの書はその妨害に気づき、動揺した。
最後の一冊
戦況が逆転し、ラジエルの書の周囲に残る本は一冊だけになった。水守雪音は、瞬なら壁も斬れると瀧音幸助に伝え、自分達が隙を作るから引導を渡せと促した。瀧音幸助は仲間達の力を受け、最後の攻撃へ向かうことを決めた。
分身との突破
ラジエルの書は残る魔力で四体の分身を作り出した。しかし紫苑が闇魔法で一体を押し潰し、雪音が九つの剣閃で一体を斬り裂き、モニカが炎をまとった剣で一体を貫いた。さらに聖伊織が限界を超える力で最後の分身を斬り飛ばし、瀧音幸助へ道を開いた。
瞬の一撃
瀧音幸助は仲間達が作った一瞬を逃さず、ラジエルの書へ駆けた。彼は攻撃が遅く見える状態に入り、光の槍や光線、巨大な岩、十字の刃をかわし、最後にはレーザーのような攻撃すら斬り裂いた。皆がつないだ機会を胸に、ラジエルの書へ全力の一撃を放った。
戦いの後
ラジエルの書の討伐後、瀧音幸助は桜瑠依とななみを連れて、学園内の桜が咲く場所へ向かった。桜瑠依は力を大きく失ったものの、以前とほとんど変わらない生活を続けられるようになっていた。ルイージャ先生の根回しもあり、彼女は司書として残ることができた。
ラジエルの書の本心
ななみは、ラジエルの書が悪だったのかと尋ねた。瀧音幸助は、ラジエルの書は人間を守るために人間を減らす道を選んだが、本当は人も桜瑠依も殺したくなかったのだろうと語った。桜瑠依も同じ見解を抱いており、ラジエルの書のためにも未来を良くしなければならないと受け止めていた。
夏の桜
瀧音幸助が桜瑠依を連れてきた場所には、夏にもかかわらず一本の桜が咲いていた。そこは瀧音幸助のお気に入りの場所であり、決意を色褪せさせないために訪れていた場所だった。桜瑠依はその美しさに見入り、学園前の並木とは違う魅力があると感じていた。
力を授ける相手
桜瑠依は、上級天使として人に力を授けられるが、今は一人にしか与えられないと話した。候補は聖伊織と瀧音幸助だったが、瀧音幸助は迷わず伊織に与えてほしいと答えた。彼は自分にはななみがいるため、それ以上の力はいらないと語った。
ななみの存在力
桜瑠依は、ななみが普通の天使ではなく、潜在する存在力が全盛期の自分を超える可能性があると告げた。さらに、ななみには何らかの封印や制約があり、それを一部解除できると話した。ななみは冗談を交えながらも、解除を受け入れる姿勢を見せた。
黒い羽の意味
桜瑠依は、黒くなった自分の羽を醜いものだと考えていた。瀧音幸助は、働き者の手を素敵だと感じた昔の記憶を例に挙げ、彼女の羽も世界を守るために長く戦ってきた証だと伝えた。彼は、桜瑠依の羽を世界で一番美しく見えると言い、桜瑠依はその言葉に涙をこぼした。
幸せにする約束
桜瑠依は、瀧音幸助が何のために戦うのかを尋ねた。瀧音幸助は、この世界が好きだからハッピーエンドへ導くために戦うのだと答えた。桜瑠依は彼と自分が似た者同士だと感じ、知識が必要ならいつでも力になると約束した。そして、自分を幸せにすると言ったことを忘れないよう告げ、これまでで一番の笑顔を見せた。
八章 未来
桜瑠依の予言と瀧音幸助への確信
咲き直した桜
桜瑠依は、瀧音幸助に見せられた桜を思い返し、世界が以前より明るく見えるようになったと感じていた。ラジエルの書の封印によって見える世界は狭まっていたが、久しぶりに間近で見た本物の桜は美しく、彼女は桜瑠依という名に込められた意味を思い出した。
桜瑠依という名
桜瑠依は、花邑毬乃からその名を与えられた理由を尋ねた。毬乃は、桜瑠依が後は散るだけだと言っていたため、散ってもまた咲く桜のように、再び咲いてほしいと願って名づけたのだと語った。桜瑠依は、自分が実際にまた咲いたのだと受け止め、毬乃と共に微笑んだ。
未来がぼやける者達
桜瑠依は、自分にもラジエルの書にも未来が見えにくい者がいると話した。リュディ、加藤里菜、モニカ、聖結花は未来が多すぎてぼやけて見える者達だった。特に加藤里菜について、桜瑠依は本人も知らない血筋のことを気にかけたが、あえて毬乃には詳しく語らなかった。
未来が見えない三人
桜瑠依は、未来が見えない者が三人いると明かした。一人はななみであり、下級天使でありながら通常の天使とは隔絶した何かを持っている存在だった。毬乃も、ななみにはこの世界にとどまらない大きな話が関わる可能性があると受け止めた。
聖伊織と瀧音幸助
残る二人は聖伊織と瀧音幸助だった。聖伊織は光り輝いて未来が見えず、多くのことを成し遂げる可能性を持つ存在だった。一方、瀧音幸助は伊織と同じく見えないが、より混沌として真っ暗であり、桜瑠依にも未来を読むことができなかった。
世界崩壊への否定
毬乃は、桜瑠依がラジエルの書の有無にかかわらず世界が崩壊することを皆に伝えたのかと尋ねた。桜瑠依はまだ伝えていないが、言わなくても大丈夫だと答えた。なぜなら、瀧音幸助がその未来を知っていたからだった。
最強になる男
桜瑠依は、力を失って予言はできなくなったものの、世界は崩壊しないと断言した。その理由は、この世界に瀧音幸助がいるからだった。彼は桜瑠依を打ち負かし、泣かせ、希望を見せた人物であり、いずれ最強になる男なのだと、桜瑠依は毬乃へ宣言した。
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