とある魔術の禁書目録(7)レビュー
【とある魔術の禁書目録】あらすじ・ネタバレ・まとめ
とある魔術の禁書目録(9)レビュー
物語の概要
■ 作品概要
『とある魔術の禁書目録(8)』は、超能力開発が進む「科学」の象徴たる学園都市を舞台とした学園アクションファンタジー小説である。 本作では、学園都市の演算中枢であったスーパーコンピュータ「樹形図の設計者(ツリーダイアグラム)」の残骸(レムナント)を巡る争奪戦が描かれる。かつて多くの犠牲を出した凄惨な実験の再開を阻止するため、そしてそれぞれの譲れない思いのために、科学側の能力者たちが都市の裏舞台で激突する。これまでの魔術勢力との攻防から一転し、学園都市内部の組織や能力者同士の思惑が複雑に交錯する、科学サイドの緊迫したサスペンスアクションが展開される。
■ 主要キャラクター
- 御坂美琴: 学園都市第3位の超能力者(レベル5)で、「超電磁砲(レールガン)」の異名を持つ。かつて自身のDNAマップが軍事利用され、多くのクローン体「妹達(シスターズ)」が命を落とした実験を止めた過去を持つ。その実験の再開に繋がる「樹形図の設計者」の残骸が回収されようとしている事実を知り、妹達の平穏な未来を守るために単身で残骸の破壊工作へと乗り出す。
- 白井黒子: 常盤台中学の1年生で、美琴の後輩兼ルームメイト。空間移動能力(テレポート)を持つレベル4の強能力者であり、学園都市の治安維持組織「風紀委員(ジャッジメント)」に所属している。残骸の強奪事件を追う中で、事件の背後にいる謎の組織と接触する。風紀委員としての使命感と、一人で危険に飛び込もうとする美琴への深い心配の間で葛藤しながらも、果敢に敵へと立ち向かう。
- 結標淡希: 霧ヶ丘女学院の生徒であり、学園都市にわずか数人しかいないとされる、座標を直接指定して物体を移動させる「座標移動(ムーブポイント)」の能力を持つレベル4の少女。かつて自身の能力開発の過程で大怪我を負ったトラウマから、自身の精神に強いブレーキを抱えている。学園都市のやり方に反発する外部組織「残骸(レムナント)」の案内人として、白井黒子たちの前に強敵として立ちはだかる。
- アクセラレータ(一方通行): 学園都市第1位の超能力者(レベル5)。あらゆるベクトルを自在に操る最強の能力者だが、過去の実験やその後の事件による負傷により、現在は脳の機能を補助するチョーカー型の電極デバイスに依存している。現在は病院で療養生活を送っているが、再び「妹達」に危機が迫っていること、そして都市の闇が動き出したことを察知し、最悪の「悪」として再び戦場へと這い出る。
■ あらすじ
学園都市の風紀委員である白井黒子は、不審なキャリーケース強奪事件の捜査に乗り出す。犯人の結標淡希は「座標移動」の能力者であり、ケースの中には破壊されたはずのスーパーコンピュータ「樹形図の設計者」の残骸が隠されていた。結標の狙いは残骸を利用して恐るべき実験を再開させること。白井は空間移動能力で挑むが、結標の圧倒的な力の前に重傷を負って敗北を喫してしまう。
事態を察知した御坂美琴は、後輩の白井を守り悲劇を止めるため、単独で結標へ立ち向かった。満身創痍の白井も再び戦場へ赴き、強靭な精神力で結標を追い詰めるものの、結標は能力を暴走させて逃走を図る。しかし、その行き先には学園都市最強の能力者、一方通行が待ち受けていたのだ。彼は結標を容赦なく叩きのめし、野望の象徴である残骸を完全に粉砕して事件に終止符を打つ。
後日、病院で療養する白井は、美琴の戦う厳しい世界を垣間見た己の未熟さを痛感しつつも、大切な日常を守るべくさらなる成長を心に誓う。
書籍情報
とある魔術の禁書目録 8
(A Certain Magical Index)
著者:鎌池 和馬 氏
イラスト:はいむらきよたか 氏
出版社:株式会社KADOKAWA(電撃文庫)
発売日:2006年1月10日
ISBN:9784048665186
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あらすじ・内容
名門女子中学を舞台に、令嬢だらけの学園アクション開幕ですの!?
常盤台中学は、生徒が全員 “お嬢様” という名門校。学園都市全ての女子生徒が入学を夢見る、憧れの学び舎である。ある日、体育の授業を終えた美琴がシャワーを浴びていると、隣から白井黒子が声をかけてきた。黒子は学園都市の治安を守る “風紀委員<ジャッジメント>” であり、空間移動<テレポート>能力を持つ少女――。2人は放課後、ショッピングへと出かけるが……。
感想
本作は、これまでの魔術勢力との激突から一転し、学園都市の科学サイドに焦点を当てた、非常に緊迫感のあるサスペンスアクションに仕上がっている。都市の裏に潜む恐るべき計画の残滓を巡り、少女たちがそれぞれの譲れない信念を胸に激突する姿は、胸が熱くなると同時に、独特の重みを放っていた。
何よりも、今回のエピソードでは白井黒子の熱い戦いぶりが強く心に残った。風紀委員として不審なキャリーケース強奪事件を追う彼女は、破壊されたはずのスーパーコンピュータ「樹形図の設計者」の残骸(レムナント)を狙う結標淡希と対峙する。結標の「座標移動」という圧倒的な能力の前に敗れ、重傷を負わされてしまう展開には、思わず息を呑んだ。まだ中学一年生という幼い少女が、これほど凄惨なまでにボロボロになりながらも戦わなければならないのかと、学園都市の過酷な現実に胸が締め付けられる。それでも再び立ち上がり、満身創痍の体で強靭な精神力を発揮して結標を追い詰めていく姿には、言葉にできない凄みと感動を覚えた。彼女をそこまで突き動かしたのは、単なる義務感だけでなく、「お姉様」と慕う御坂美琴を、かつての悲劇的な実験の再開から守りたいという一途な想いがあったからに違いない。
また、後輩である白井を守り、さらなる悲劇を食い止めるために単身で結標へ立ち向かう御坂美琴の強さと優しさも、本作の大きな魅力である。しかし、狂気に走る結標が能力を暴走させて逃走を図り、事態が混沌を極めたその刹那、全てを回収していくかのように現れたのが、学園都市最強の能力者・一方通行(アクセラレータ)であった。彼が結標を容赦なく叩きのめし、野望の象徴であった残骸を完全に粉砕するクライマックスは、圧倒的なカタルシスをもたらしてくれる。かつて多くのクローンを傷つけた彼が、今では自分を慕う「ちっこい妹分」の平穏な未来を守るためだけに、最悪の「悪」として再び戦場へ這い出る姿は皮肉でありながらも、最高に格好良い。
事件が解決した後の余韻も素晴らしい。病院のベッドで療養する白井が、美琴の戦う世界のあまりの厳しさを垣間見、己の未熟さを痛感する場面が印象深い。だが、彼女は決して絶望したわけではなかった。自らの足元をしっかりと見つめ直し、大切な日常と愛するお姉様を守り抜くためにさらなる成長を心に誓うラストには、爽やかな読後感がある。強大な力や組織の闇に翻弄されながらも、少年少女たちが確かな絆を武器に運命を打ち砕いていく、科学サイドの最高峰と呼ぶにふさわしい傑作である。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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とある魔術の禁書目録(7)レビュー
【とある魔術の禁書目録】あらすじ・ネタバレ・まとめ
とある魔術の禁書目録(9)レビュー
考察・解説
白井黒子の負傷
『とある魔術の禁書目録8』における白井黒子の負傷について、結標淡希による奇襲と重傷、決死の応急処置と追跡、再戦における執念と結標の自滅、そして負傷を経て得た彼女の覚悟という観点から解説する。
1. 結標淡希による奇襲と重傷
白井黒子はキャリーケース強奪犯を単身で追跡し、空間移動を駆使して犯人グループを制圧した。
- しかしその直後、犯人たちの黒幕である座標移動の能力者・結標淡希の奇襲を受ける。
- 結標は物体に触れることなく離れた場所のものを転移させる強力な能力を持っており、白井の右肩にワインのコルク抜きを転移させて突き刺すという凶行に出る。
- さらに白井は、自身の放った金属矢すらも結標の能力に利用され、背後から脇腹などを貫かれる重傷を負い、圧倒的な実力差の前に一度は敗北してしまった。
2. 決死の応急処置と美琴への思い
深手を負った白井は、血を吐きそうになりながらも自室へ空間移動で帰還する。
- 彼女は自らの能力を使って体内に食い込んだ異物を抜き、非常用のジェル状止血剤で傷口を塞ぐという凄絶な応急処置を一人で行った。
- その後、同室の御坂美琴が自分に心配をかけまいと嘘をつき、たった一人で事態を収束させようとしていることに気づく。
- 白井は、美琴が身勝手ながらも誰も傷つかない結末を望んで一人で苦労を背負い込んでいることを察し、そんな美琴の思いに応えるため、血まみれの体のまま再び戦場へと飛び出した。
3. 結標との再戦と執念の勝利
美琴と結標の戦闘後、逃走した結標を料理店に追い詰めた白井は、互いに満身創痍の状態で再戦する。
- 結標の座標移動に対し、白井は結標が過去のトラウマから自身の体を連続転移させることに恐怖を抱いているという弱点を見抜き、心理戦と能力の応酬を繰り広げる。
- やがて傷のダメージで能力が使えなくなった白井であるが、結標を日常へ帰すという強い理由のもと、気迫だけでフロアランプを握りしめて立ち上がる。
- 能力に頼らず向かってくる白井の根本的な強さに結標は恐怖し、隠し持っていた拳銃で白井の腹部を撃ち抜く。
- しかし、能力ではなく銃で人を傷つけた事実に直面した結標は精神を崩壊させて能力を暴走させ、実質的な白井の勝利となった。
まとめ
結標が逃走間際にビルを倒壊させようとする絶体絶命の危機の中、白井は美琴の超電磁砲によるサポートを受けた上条当麻の介入によって救出される。翌日、病院で療養する白井は、自分が傷ついたのは自身の未熟さが原因であり、美琴に責任はないと気丈に振る舞う。彼女は今回の事件を通じて、美琴が戦っている過酷な世界の一端を知り、今の自分ではそこに立つことができないと痛感した。しかし、そこで諦めるのではなく、自分たちの愛する日常の居場所を守るため、いつかその世界へ手を伸ばせるようにさらなる成長を心に誓ったのである。
樹形図の設計者
『とある魔術の禁書目録8』における「樹形図の設計者(ツリーダイアグラム)」について、その正体と破壊の事実、「残骸」を巡る争奪と結標淡希の目的、御坂美琴と妹達の危機感、そして一方通行による粉砕という観点から解説する。
1. 「樹形図の設計者」の正体と破壊の事実
「樹形図の設計者」とは、地球上の空気分子の動き一つ一つまでも正確に予測演算できる究極のスーパーコンピュータであり、学園都市が打ち上げた三基の人工衛星の内の一基に搭載されていた。
- 日常的には天気予報などにも使用されていたが、物語の時点では何者かによってすでに破壊されており、衛星軌道上には残骸が漂っている状態であった。
- その影響で、完璧だったはずの学園都市の天気予報にも狂いが生じていた。
2. 「残骸」を巡る争奪と結標淡希の目的
破壊されたとはいえ、復元に必要な「核」たる演算中枢(シリコランダム)は学園都市の内部に保管されており、世界各国の機関が宇宙開発にかこつけてその回収を狙っていた。
- 学園都市内の「残骸」を外部組織へ引き渡すために強奪したのが、座標移動能力者の結標淡希である。
- 彼女が「残骸」を利用して「樹形図の設計者」を復元しようとした真の目的は、あらゆる現象を完全に再現できる究極のシミュレートマシンを使って、「人間の代わりに超能力を扱える個体は存在するか否か」という可能性を検証することであった。
3. 御坂美琴と妹達の危機感
「樹形図の設計者」が復元されることは、かつて上条当麻が阻止した凄惨な実験(絶対能力進化実験)が再び立案され、再開される恐れがあることを意味していた。
- 生き残った約一万人の妹達が再び殺戮の対象になる危機を防ぐため、御坂妹たちは治療中の身を押して行動を開始しようと決意する。
- 御坂美琴もたった一人で「残骸」を巡る戦場へと身を投じることになる。
まとめ
白井黒子との激戦を経て、結標淡希は「残骸」の入ったキャリーケースを抱えて逃走するが、その前に学園都市最強の超能力者である一方通行(アクセラレータ)が立ち塞がる。妹達を守るために現れた彼は、脳の損傷により以前のような力を失い、演算を補助の電極に頼っている状態でありながらも結標を圧倒した。彼はロケットのように夜空を突き抜ける跳躍から強烈な拳を叩き込み、キャリーケースごと「残骸」を完全に粉砕する。これにより「樹形図の設計者」の復元は物理的に不可能となり、実験再開という悪夢は完全に断たれることとなったのである。
常盤台中学の派閥
『とある魔術の禁書目録8』における常盤台中学の派閥について、組織の目的と性質、大きな派閥が持つ影響力、能力者が徒党を組むことの危険性、そして婚后光子の野望と御坂美琴のスタンスという観点から解説する。
1. 組織の目的と性質
常盤台中学は「義務教育終了時までに、世界で通用する人材を育てる事」を目標に掲げており、在学中から様々な研究分野などで活躍し、名前を残す学生が少なくない。
- 同じ目的を持つ生徒同士が学校内で集まって作るグループが「派閥」であり、学校の部活にも似た性質を持っている。
- 派閥に所属して書類を作成した方が、学校からの設備借り受けや資金調達の申請がしやすいという利点がある。
2. 大きな派閥が持つ影響力
人数が多く、功績を残した派閥ほど学校内での地位や力が増していく。
- 大きな派閥は独自の人脈や金脈、知識を蓄えており、第一線で活躍する生徒たちの多くはそれらの力を借りて成果を上げている。
- そのため、大きな派閥に所属すること自体が一種のステータスとなり、派閥の創設者ともなれば得られる名声も並のものではない。
3. 能力者が徒党を組むことの危険性
一方で、派閥には危険な側面も存在する。
- 常盤台中学の生徒たちは拳銃を軽く凌駕する強力な能力を持っており、彼女たちが徒党を組んで組織的に力を行使すれば、周囲に甚大なダメージをもたらす可能性がある。
- そのため、無闇に危険な派閥を作ろうとすれば、他の既存の派閥から即座に目をつけられ、あっという間に潰されてしまうという厳しい力関係も働いている。
まとめ
転入生で大能力者の婚后光子は、能力の制御法を学ぶ勉強会を名目に独自の派閥を創設しようと目論み、白井黒子を勧誘した。しかし白井は、家柄と個人の能力だけで正面から立ち向かえるほど派閥の世界は甘くないと忠告する。さらに白井は、どこの派閥にも属さずに誰とでも分け隔てなく接する超能力者・御坂美琴の存在を挙げ、もし婚后が傍若無人に振る舞うために派閥を作れば、御坂美琴が即座に止めにやってくると警告したのである。
結標淡希との死闘
『とある魔術の禁書目録8』における結標淡希との死闘について、結標の能力とトラウマ、御坂美琴の追及と白井黒子の追跡、ピザ店での死闘と心理戦、そして一方通行による完全な決着という観点から解説する。
1. 結標淡希の能力とトラウマ
結標淡希は座標移動という、物体に触れることなく離れた場所へ転移させる強力な能力を持っている。
- しかし彼女は過去の暴走事故が原因で、自身の肉体を連続で転移させることに激しい恐怖と吐き気を伴うトラウマを抱えていた。
- そのため、自ら動くのではなく外部組織の人間を利用して樹形図の設計者の残骸が入ったキャリーケースを強奪しようとしたのである。
2. 御坂美琴の追及と白井黒子の追跡
建設途中のビルで、御坂美琴は単身で数十人の武装集団を壊滅させ、結標を追い詰める。
- 美琴は結標の能力のクセから、自分の体を移動させる際には恐怖からためらいが生じ、数秒のラグが出るという弱点を見抜いた。
- しかし結標は気絶した人々を盾にしてその隙に逃走する。
- その様子を隠れて見ていた白井黒子は、美琴が自分たちを巻き込まないために一人で苦労を背負っていることを知り、彼女の思いに応えるため、重傷の体を押して同じ空間移動系能力者として結標の逃走先を予測し、追跡を開始したのである。
3. ピザ店での死闘と心理戦
逃げ込んだピザ店で白井は結標に追いつき、自身と同じ部位にコルク抜きや金属矢を突き刺して傷を負わせることで条件を五分にし、相手の行動を読みやすくする。
- 結標は、人間以外の機械や動物でも能力が使えるなら、自分が能力を持ち、人を傷つける恐怖に怯える必要はなかったと樹形図の設計者に執着する理由を語り、白井を仲間に誘う。
- しかし白井は能力の有無ではなく、どう使うかが重要であると一蹴し、気迫だけで自分を押し潰す重たい家具の山から立ち上がり迫る。
- 能力以上の精神的な強さに恐怖した結標は、隠し持っていた拳銃で白井を撃つが、その瞬間、能力ではなく自分自身が人を傷つける人間だったという事実に直面して精神を崩壊させ、能力を暴走させて逃亡したのである。
まとめ
逃走した結標は学園都市の外周で外部組織との連絡も絶たれ、孤立する。その前に、妹達を守るために駆けつけた学園都市最強の超能力者である一方通行が立ち塞がる。結標は彼が脳の損傷によりかつての力を失っていると侮るが、一方通行は俺が弱くなった所で、お前が強くなった訳ではないと一蹴する。彼は地面を踏み砕いてガラスの雨を降らせて結標を空中へ逃げさせ、自らも暴風を背負って夜空を跳躍し、結標の目的であったキャリーケースを完全に粉砕する。そして圧倒的な拳を彼女の顔面に叩き込み、死闘に完全な決着をつけたのである。
御坂美琴の覚悟
『とある魔術の禁書目録8』における御坂美琴の覚悟について、「実験」再開阻止への孤軍奮闘、圧倒的な力と不殺のコントロール、後輩を巻き込んだ事への怒りと自責、そして敵も味方も救おうとする愚直な願いという観点から解説する。
1. 「実験」再開阻止への孤軍奮闘
『樹形図の設計者(ツリーダイアグラム)』の残骸を巡る争奪戦が起き、かつて上条当麻によって阻止された妹達(シスターズ)の虐殺『絶対能力進化実験』が再開される危機が浮上する。
- 美琴は、誰にも心配をかけず、そして誰も巻き込まないために行動していた。
- 「買いそびれたアクセサリーを探している」と嘘をついてまで、たった一人でこの問題に立ち向かい、事態を収束させようとしていたのである。
2. 圧倒的な力と不殺のコントロール
建設途中のビルにおいて、美琴は数十人規模の武装集団や能力者たちと単身で対峙する。
- 彼女は学園都市に7人しかいない超能力者としての圧倒的な力を見せつけ、鉄骨を貫く超電磁砲や高圧電流で敵を次々と無力化した。
- しかし特筆すべきは、彼女が自分の攻撃と人の動き、破壊された物体がどう動くのかまで完全に計算していた点である。
- これだけの激戦でありながら死者を一人も出さないという離れ業をやってのけていた。
3. 後輩を巻き込んだ事への怒りと自責
自分一人で終わらせるはずだった戦いに、後輩である白井黒子が巻き込まれ、結標淡希によって重傷を負わされた事実を知った時、美琴は激しい怒りを露わにする。
- しかしその怒りの矛先は、黒子を傷つけた結標だけでなく、無茶をしてボロボロになった黒子自身にも向けられていた。
- そして何より、この最悪の状況を作り出してしまった自分自身にも向けられていたのである。
- 美琴は『実験』を巡るすべての責任は自分にあると考え、結標に対して「私の義務と権利を全て使ってアンタを止める」と真っ向から宣言した。
まとめ
白井黒子は、そんな美琴の姿を「争って欲しくない、殺し合いなんかやめて欲しいと本気で真顔で言えるような人」だと評している。美琴は、超電磁砲の力をもってすれば結標たちを一分で粉砕して血の惨劇で幕を下ろすという最短の解決法を選ぶこともできた。しかし、彼女は味方である黒子だけでなく、敵である結標の身すら助けようと考え、あえて自身を危険にさらす困難な道を選んだ。その馬鹿馬鹿しいほど身勝手で愚直な願いこそが、御坂美琴の揺るぎない覚悟であり、黒子が彼女を心から「お姉様」と慕う最大の理由でもあったのである。
一方通行の介入
『とある魔術の禁書目録8』における一方通行の介入について、妹達からの情報による出撃、結標淡希との対峙と実力差、圧倒的な力による残骸の粉砕、そして最強であり続ける決意という観点から解説する。
1. 妹達からの情報による出撃
一方通行は過去の事件で脳にダメージを負い入院中であったが、クローンである妹達のネットワークを通じて、彼女たちの命運に関わる樹形図の設計者の残骸を巡る事態を知る。
- かつて自らが大量に殺戮してしまった妹達を見殺しにはできないという思い、そして打ち止めを守るために行動を起こす。
- 彼は試作品のチョーカー型電極で演算を補助し、杖をつきながら自ら学園都市の外周へと赴いたのである。
2. 結標淡希との対峙と実力差
外部組織との連絡も絶たれて孤立し、逃走していた結標淡希の前に、一方通行は立ち塞がる。
- 結標は、彼が脳に損傷を負いかつての力を失っていることを指摘し、もはや最強の能力者ではないと勝ち誇った。
- しかし一方通行は、俺が弱くなった所で、別にお前が強くなった訳ではないと一蹴する。
- 両者の実力差は、人間がジェット旅客機と綱引きをするようなものであり、圧倒的なスケールの違いが存在していたのである。
3. 圧倒的な力による残骸の粉砕
一方通行が地面を踏みつけただけで周囲の道路に亀裂が走り、建物の窓ガラスが砕け散って雨のように降り注ぐ。
- 結標はたまらず座標移動で空中へ逃れるが、激しい吐き気で思考が乱れてしまう。
- そこへ一方通行は背中に暴風の竜巻を背負い、ロケットのように夜空を跳躍してガラスの雨を突き破り迫った。
- 結標はとっさにキャリーケースを盾にするが、一方通行の強烈な拳はケースごと残骸を完全に粉砕し、結標の顔面を打ち抜いてフェンスへ吹き飛ばしたのである。
まとめ
結標を一撃で粉砕し、実験再開の芽を完全に摘み取った一方通行は、重力に従って地上へ落下しながら静かに呟く。自分の今の状態では学園都市最強は引退かもしれないと認めつつも、それでも、俺はあのガキの前では最強を名乗り続ける事に決めていると宣言する。自らの力が弱体化したことを受け入れながらも、守るべき存在のために決して最強の座を譲らないという、彼の新たな覚悟が示された結末である。
とある魔術の禁書目録(7)レビュー
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登場キャラクター
学園都市
御坂美琴
常盤台中学に通う少女である。学園都市に七人しかいない超能力者の一人として知られる。白井黒子から強い好意を向けられている。
・所属組織、地位や役職
学園都市。常盤台中学の生徒。超能力者。
・物語内での具体的な行動や成果
建設途中のビルで数十人の武装集団を一人で制圧した。結標淡希と対峙し、逃走を許してしまう。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
超電磁砲の異名を持ち、常盤台中学のエースと呼ばれる。自身の後輩を傷つけた結標に対し強い怒りを見せた。
白井黒子
常盤台中学に通う少女である。空間移動能力を持つ大能力者として活動している。御坂美琴を深く慕い、彼女の力になりたいと願う。
・所属組織、地位や役職
学園都市。常盤台中学の生徒。風紀委員第一七七支部所属。
・物語内での具体的な行動や成果
強奪犯からキャリーケースを奪還するため追跡を行った。結標淡希との戦闘で重傷を負いながらも、美琴のために戦い抜く。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
重傷を負って入院するが、病室でも活発に振る舞う。結標の空間移動の特性や弱点を的確に分析した。
婚后光子
常盤台中学に転入してきた少女である。扇子を愛用し、自信に満ちた振る舞いを見せる。白井黒子を自身の派閥に勧誘しようとした。
・所属組織、地位や役職
学園都市。常盤台中学の生徒。大能力者。
・物語内での具体的な行動や成果
能力測定中に白井黒子の結果をからかい、派閥の設立について語った。美琴の能力による爆発音と水しぶきを受けて言葉を失う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
空力使いとして物体を飛ばす能力を持つ。学園都市の派閥の危険性を白井から忠告された。
初春飾利
頭に花を模した飾りをつけている少女である。風紀委員として情報処理を担当し、白井黒子をサポートする。
・所属組織、地位や役職
学園都市。風紀委員第一七七支部所属。
・物語内での具体的な行動や成果
キャリーケースの荷札情報や結標淡希の素性を調査し、白井へ報告した。結標の逃走ルートを予測する手助けを行う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
お嬢様学校である常盤台中学への憧れを抱いている。高度な情報収集能力で事件の背景を明らかにした。
上条当麻
学園都市に住む男子高校生である。右手にあらゆる異能の力を打ち消す幻想殺しの能力を宿す。他者を助けるために危険な状況へ飛び込んでいく。
・所属組織、地位や役職
学園都市。高校生。
・物語内での具体的な行動や成果
結標淡希の空間移動による一撃を右手で打ち消し、白井黒子を救出した。結標との戦闘を終えた後、病院で白井を見舞う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
御坂美琴や白井黒子と協力して事件の解決に貢献した。病院でインデックスや御坂妹の対応に追われ、騒がしい時間を過ごす。
結標淡希
霧ヶ丘女学院に通う少女である。軍用ライトを手にし、キャリーケースに乗って移動する。自身の能力に強い恐怖心を抱いている。
・所属組織、地位や役職
学園都市。霧ヶ丘女学院二年の生徒。案内人。
・物語内での具体的な行動や成果
樹形図の設計者の残骸を外部組織へ渡すため、強奪事件を起こした。白井黒子や御坂美琴と交戦し、最終的に一方通行に倒される。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
座標移動と呼ばれる空間移動系の能力を持つ。過去の暴走事故が原因で、自分自身を連続移動させることにトラウマがある。
一方通行(アクセラレータ)
白い髪と赤い目を持つ少年である。学園都市で最強の超能力者として恐れられている。打ち止めと共に行動している。
・所属組織、地位や役職
学園都市。超能力者。
・物語内での具体的な行動や成果
脳に受けたダメージを補うため、電極を使用してミサカネットワークに演算を任せている。逃走する結標淡希の前に立ち塞がり、圧倒的な力で彼女を撃破した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
能力が弱体化してもなお強大な戦闘力を誇る。打ち止めの騒がしい態度に呆れつつも、行動を共にしている。
黄泉川愛穂
大人の色気を持つ女性である。常に緑色のジャージを着用し、快活な性格をしている。生徒を可愛がる体育会系の一面を見せる。
・所属組織、地位や役職
学園都市。体育教師。警備員。
・物語内での具体的な行動や成果
病院で一方通行と打ち止めの様子を確認した後、警備員の仕事へ向かった。学園都市の外部へ出て、科学結社という組織を壊滅させる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
冥土帰しと呼ばれる医者から患者の面倒を頼まれている。事件の事後処理を行い、徹夜の疲れを見せた。
カエルに似た顔の医者
カエルのような顔立ちをした男性である。患者を救うためならいかなる労力も惜しまない。
・所属組織、地位や役職
学園都市の病院。医師。
・物語内での具体的な行動や成果
病院で上条当麻の診察を行った。人間の拳が衝撃に弱いことを指摘し、怪我のリスクについて忠告を与えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
冥土帰しという異名を持つ。多くの患者の治療を担当し、上条の回復状況にも関与している。
打ち止め(ラストオーダー)
十歳前後の少女の姿をしたミサカの個体である。明るく騒がしい性格で、一方通行のベッドでくつろいでいる。
・所属組織、地位や役職
学園都市。ミサカネットワークの管理者。検体番号二〇〇〇一号。
・物語内での具体的な行動や成果
黄泉川愛穂が外部組織を壊滅させた情報を一方通行へ報告した。眠ろうとする一方通行を起こそうと足でバタバタと暴れる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
妹達の暴走を防ぐための上位個体として機能する。一方通行と対等に会話を交わし、彼を振り回す。
御坂妹(ミサカ一〇〇三二号)
御坂美琴の遺伝子から作られたクローンである。無表情で淡々とした口調ながら、少年のために自らを奮い立たせる。
・所属組織、地位や役職
学園都市。妹達の一人。
・物語内での具体的な行動や成果
ミサカネットワークを通じて残骸に関する情報を収集した。病院を抜け出し、上条当麻の部屋へ向かって助けを求める。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
一方通行との戦闘によるダメージで入院治療中である。上条との約束を守るため、強い決意を行動で示した。
ミサカ一〇八五四号
御坂妹のネットワークに連なるクローンの一人である。
・所属組織、地位や役職
学園都市。妹達の一人。
・物語内での具体的な行動や成果
セビリアで残骸回収に関連する動きがあることをネットワークで報告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ミサカ一六七七〇号
御坂妹のネットワークに連なるクローンの一人である。
・所属組織、地位や役職
学園都市。妹達の一人。
・物語内での具体的な行動や成果
シュレスウィヒでシャトル打ち上げの予定があることをネットワークで報告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ミサカ一九九九九号
御坂妹のネットワークに連なるクローンの一人である。
・所属組織、地位や役職
学園都市。妹達の一人。
・物語内での具体的な行動や成果
ノボシビルスクで樹形図の設計者の破片の一部が回収された情報を共有した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ミサカ二〇〇〇〇号
御坂妹のネットワークに連なるクローンの一人である。
・所属組織、地位や役職
学園都市。妹達の一人。
・物語内での具体的な行動や成果
ノボシビルスクの調査結果について、破片だけでは樹形図の設計者が完成しないと補足説明を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ミサカ一〇〇四四号
御坂妹のネットワークに連なるクローンの一人である。
・所属組織、地位や役職
学園都市。妹達の一人。
・物語内での具体的な行動や成果
学園都市内にある残骸の対処が最優先であると推測し、意見を述べた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ミサカ一四〇〇二号
御坂妹のネットワークに連なるクローンの一人である。
・所属組織、地位や役職
学園都市。妹達の一人。
・物語内での具体的な行動や成果
他機関に渡った欠片では復元ができないため放置されているのだと推測を立てた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ミサカ一八八二〇号
御坂妹のネットワークに連なるクローンの一人である。
・所属組織、地位や役職
学園都市。妹達の一人。
・物語内での具体的な行動や成果
ケープケネディで学園都市に侵入し残骸を奪取する計画が進行中であると報告した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ミサカ一〇七七四号
御坂妹のネットワークに連なるクローンの一人である。
・所属組織、地位や役職
学園都市。妹達の一人。
・物語内での具体的な行動や成果
ミサカ一〇〇三三号の肉体のダメージを案じ、治療に専念すべきだと懸念を表した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ミサカ一四四五八号
御坂妹のネットワークに連なるクローンの一人である。
・所属組織、地位や役職
学園都市。妹達の一人。
・物語内での具体的な行動や成果
ミサカ一〇〇三二号の行動と決意に対し、了解と一任の意を示した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
ミサカ一九〇〇二号
御坂妹のネットワークに連なるクローンの一人である。
・所属組織、地位や役職
学園都市。妹達の一人。
・物語内での具体的な行動や成果
ミサカ一〇〇三二号の行動方針に賛同し、同意の意思を伝えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特になし。
妹達(シスターズ)
御坂美琴のクローンとして製造された少女たちである。脳波によるネットワークで情報を共有する。
・所属組織、地位や役職
学園都市。量産型能力者。
・物語内での具体的な行動や成果
世界各地の協力機関で治療を受けながら、樹形図の設計者の残骸に関する情報を収集した。得られた情報をミサカ一〇〇三二号へ伝達する。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
個別の意識を持ちながらもネットワークで連携し、一つの巨大な情報収集網として機能している。
イギリス清教
インデックス
純白の修道服を着た少女である。上条当麻の部屋に居候し、常に食事を求めている。不満があると上条の頭に噛み付く。
・所属組織、地位や役職
イギリス清教第零聖堂区「必要悪の教会」。魔道書図書館。
・物語内での具体的な行動や成果
上条と共に病院を訪れ、白井黒子や御坂妹の病室へ向かった。上条の言葉に怒り、御坂妹の病室で彼に噛み付く。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
魔道書を一〇万三〇〇〇冊記憶している。上条への強い信頼と依存を見せている。
その他
スフィンクス(三毛猫)
上条当麻の部屋で飼われている三毛猫である。インデックスから可愛がられている。
・所属組織、地位や役職
上条当麻のペット。
・物語内での具体的な行動や成果
上条が料理している唐揚げの匂いに引き寄せられ、小皿の料理に飛びついた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
インデックスよりも優遇されているとして、彼女の不満の種となることがある。
黒猫
病院のペット用ケージに入れられている猫である。
・所属組織、地位や役職
病院で飼われているペット。
・物語内での具体的な行動や成果
病室でインデックスが上条に噛み付く姿を見て、弱肉強食の本能を呼び起こされて暴れ出した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
インデックスの凶暴さに動物的な恐怖を感じている。
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展開まとめ
序章 五本の指の一本 A_TOKIWA-DAI’s_World.
常盤台中学
学舎の園と常盤台中学の環境
常盤台中学は、学園都市の中でも五本の指に入る名門であり、世界有数のお嬢様学校であった。隣接する四つのお嬢様学校と敷地を共有し、強固なセキュリティと独自技術を守るため、学舎の園と呼ばれる特殊な空間を形成していた。
学舎の園の内部は洋風の外観で統一され、道路標識や信号機の意匠まで外部とは異なっていた。能力開発用の施設や機材の製造施設も多く、単なる広大な学校敷地ではなく、独自の街のような構造を持っていた。
白井黒子の能力測定
九月十四日、白井黒子は常盤台中学の校庭で能力測定を受けていた。校庭には光ファイバーによる測定ラインが描かれ、白井は空間移動能力によって一二〇キロの砂袋を指定地点へ飛ばしていた。
記録は七八メートル二三センチ、指定距離との誤差五四センチで、総合評価は五であった。白井は限界近い距離と重さを扱う測定に苦戦し、自分の不調を嘆いていた。
婚后光子との口論
そこへ隣の測定サークルにいた婚后光子が、白井の結果をからかうように声をかけた。婚后は空力使いの大能力者であり、物体に風の噴射点を作って飛ばす能力を持っていた。
婚后は白井の空間把握処理に無駄があると指摘し、自分が作ろうとしている派閥へ参加するよう誘った。白井はその提案に呆れ、常盤台中学で派閥を作ることの危険性を説明した。
派閥の危険性
常盤台中学における派閥は、単なる遊びの集まりではなく、研究設備や資金、人脈、知識を共有し、学校内外へ影響力を持つ組織であった。
白井は、婚后が派閥を作っても他の派閥にすぐ潰されると忠告した。能力と家柄だけで正面から対抗できるほど甘いものではないと告げ、婚后は反発した。
御坂美琴の圧倒的な存在感
その直後、校舎裏のプール付近から大きな爆発音と振動が響いた。校舎を挟んでいるにもかかわらず、水滴が霧のように校庭まで飛んできた。
白井は、それが常盤台中学のエースである御坂美琴の能力測定によるものだと説明した。御坂美琴は常盤台中学に二人しかいない超能力者の一人であり、その破壊力は通常の測定方法では扱えないほどだった。
婚后への忠告
白井は、婚后が派閥を作って傍若無人に振る舞えば、御坂美琴が必ず止めに来ると告げた。
婚后は御坂美琴の一撃を正面から受ける覚悟があるのかと問われ、答えられず顔を青ざめさせた。その言葉に応えるように、再び校舎裏から爆撃音が響いた。
第一章 彼女達の放課後 After_School_of_Angels.
白井黒子と御坂美琴の放課後の誘い
白井黒子は常盤台中学のシャワールームで、御坂美琴へ昼間の出来事を報告していた。その中で御坂美琴が上条当麻を思い出している様子に気づき、白井黒子は複雑な感情を抱いた。
白井黒子はリボンを口実に御坂美琴へ接近しようとしたが、御坂美琴に察知され、空間移動を失敗した。その後、白井黒子は放課後に買い物やケーキへ行きたいと素直に誘ったが、御坂美琴にダイエットの話題を出され、反撃としてドロップキックを仕掛けたのである。
学舎の園での買い物と宇宙開発の話題
白井黒子と御坂美琴は、放課後の学舎の園を歩きながら、シャワールームでの乱闘やダイエットについて言い合っていた。その後、二人は下着専門店へ入り、下着の趣味や胸パッドを巡って騒動を起こした。
店内から見える飛行船のニュースをきっかけに、二人は宇宙開発や新技術について話した。御坂美琴は白井黒子へ、古い資料だけでは現在の宇宙開発事情を正確に把握できないと助言していた。
風紀委員の呼び出しと美琴の曖昧な忠告
夕暮れの学舎の園で、白井黒子は御坂美琴との時間を続けようとしていたが、風紀委員の同僚から呼び出しを受けた。白井黒子は不満を抱きながらも仕事を優先し、第一七七支部へ向かうことにした。
別れ際、御坂美琴は夜に天気が崩れるかもしれないため早く帰るよう忠告した。白井黒子は、学園都市の精密な天気予報に対して曖昧な言い方をした御坂美琴の言葉に違和感を覚えたが、仕事を急ぐうちにその疑問は薄れていった。
上条当麻の部屋での夕食前の騒動
上条当麻の学生寮では、インデックスが天気予報を眺め、等圧線や天候予測について疑問を抱いていた。上条当麻は気圧や雲の説明をしたが、インデックスはそれを学園都市による風水読みのように受け取った。
上条当麻が夕食の唐揚げを作る中、スフィンクスに味見をさせたことで、インデックスは自分だけがつまみ食いを禁じられることに不満を抱いた。さらに天気予報の精度について尋ねられると、上条当麻は演算装置が壊れているため以前のように完全ではないと考え、「樹形図の設計者」が失われたことを思い返していた。
第二章 向き合う乙女達 Space_and_Point.
風紀委員第177支部への呼び出し
白井黒子は学バスで『学舎の園』を離れ、風紀委員活動第一七七支部へ向かった。支部では初春飾利が待っており、学外で発生した奇妙なひったくり事件について説明を受けた。
被害者は十人以上の犯人にキャリーケースを奪われていたが、さらに不可解だったのは荷札に記載された「常盤台中学付属演算補助施設」という聞き覚えのない施設名であった。加えて大型冷却装置の登録情報まで存在し、事件の異常性が浮き彫りとなった。
被害者の不審な行動と事件分析
調査映像を確認した白井黒子は、被害者が無線機を使用していることや、拳銃用ホルスターらしき装備を身につけていることを知った。
一般人とは思えない行動や装備、不自然なキャリーケースの存在から、白井黒子は単なるひったくり事件ではないと判断した。そして、まずはキャリーケースを持つ犯人たちを追跡し、回収を優先する方針を決めた。
地下街からの逃走犯追跡
犯人たちは地下街を利用して逃走していたため、白井黒子は地上から空間移動能力を駆使して追跡した。
地下街での戦闘による一般人への被害を避けるため、地上へ出てくるのを待ち構えた白井黒子は、路地へ向かう犯人たちの前へ先回りし、空間移動でキャリーケースを奪還した。
強奪犯たちの制圧
キャリーケースを取り返した直後、犯人たちは拳銃を抜いて反撃した。
白井黒子は銃撃を回避しながら空間移動を駆使し、相手の位置や向きを狂わせて混乱を誘発した。さらにキャリーケースを利用して攻撃を防ぎつつ反撃し、短時間で全員を無力化した。
その後、拘束した犯人たちの所持品を調べた結果、学園都市外部の人間である可能性が高いことを察した。
宇宙開発施設との関連判明
白井黒子はキャリーケースの荷札や刻印を撮影し、初春飾利へ調査を依頼した。
その結果、キャリーケースは第二十三学区の宇宙開発施設で使用される特殊輸送ケースであることが判明した。高気密構造や宇宙線対策まで施された重要物資であり、宇宙開発計画に関係する品である可能性が浮上した。
御坂美琴からの電話
警備員の到着を待つ間、白井黒子のもとへ御坂美琴から電話が入った。
御坂美琴は寮監による抜き打ち検査の可能性を伝え、自分の私物を隠してほしいと頼もうとしていた。しかし白井黒子が仕事中であると知ると、別の生徒へ頼むと言って通話を終えた。
白井黒子は動揺したものの、仕事へ意識を戻した。
キャリーケース消失と襲撃
通話を終えた直後、白井黒子は確保していたキャリーケースが突然消えたことに気づいた。
次の瞬間、右肩へコルク抜きが突き刺さり、激痛に襲われた。体勢を立て直した白井黒子の前には、消えたキャリーケースを従えた見知らぬ少女が立っていた。
座標移動能力者との戦闘
少女は自身の能力を座標移動と明かした。それは白井黒子の空間移動と同系統でありながら、対象へ触れずに転移できる能力だった。
少女は拘束された犯人たちを自らの回収要員と呼び、失敗したため自分が直接動いたと語った。白井黒子は金属矢による攻撃を試みたが、少女は拘束された男たちを盾として転移させ、攻撃を防いだ。
圧倒的な実力差
戦闘が続く中、少女は転移した金属矢を自在に操り始めた。
白井黒子が接近戦を仕掛けた瞬間、少女は飛行中の矢を背後へ転移させ、そのまま白井黒子の脇腹へ突き刺した。重傷を負った白井黒子は地面へ崩れ落ち、圧倒的な実力差を見せつけられた。
樹形図の設計者の残骸
少女はキャリーケースの中身が『樹形図の設計者』の残骸であると明かした。
それは破壊された人工衛星の演算中枢であり、再利用可能な重要部品だという。さらに破壊された人工衛星の写真を見せ、『樹形図の設計者』がすでに失われている事実を示した。
また御坂美琴に関する意味深な発言を繰り返し、過去の事件との関係を示唆した。
敗北と無力感
白井黒子は理解できない情報に翻弄されながらも、キャリーケースだけは渡してはならないと考え続けた。
しかし実力差は埋められず、最後の抵抗も通じなかった。少女は白いキャリーケースを持ったまま立ち去り、白井黒子は地面へ倒れ伏した。
何も守れなかった悔しさと御坂美琴への申し訳なさを抱えながら、白井黒子は意識を保ち続けていたのであった。
行間 二
病院の浴場
黄泉川愛穂の見守り
黄泉川愛穂は病院の入院患者用浴場の外で待機していた。彼女は入院中の研究者から、特殊な能力者の子供たちの面倒を見るよう頼まれていたが、詳しい事情を聞く前に研究者が意識を失ったため、状況を十分に把握できないまま引き受けていた。
浴場の中からは、預かった二人の子供たちの賑やかな声が聞こえていた。
浴場での騒動
浴場ではミサカが湯船の中でバタ足を繰り返し、一方通行を振り回していた。一方通行は反射能力を使わずに入浴していることを説明しながらも、ミサカの行動に振り回され続けていた。
黄泉川はドア越しに二人へ注意を促したが、二人のやり取りは止まらず、ミサカはさらに一方通行へ水をかけ続けた。
共有された記憶の発覚
会話の中でミサカは、過去にウイルスコードに襲われた際の出来事について口にした。一方通行は記憶を失ったはずのミサカがその件を覚えていることに驚いた。
するとミサカは、妹達同士がネットワークで記憶を共有しているため、個体の記憶が失われても他の個体から復元できると説明した。
さらにミサカは、一方通行がかつて妹達を救おうとして叫んだ言葉まで再現したため、一方通行は激しく動揺した。
黄泉川の出動
二人の様子を聞いていた黄泉川は、問題児だと聞かされていたものの、実際には大きな問題はないと判断した。
そして警備員としての仕事へ向かうため病院を後にすることを伝え、二人へ仲良く待つよう言い残した。ミサカは元気に返事をしたが、一方通行は相変わらず振り回され続けていた。
黄泉川は警備員の装備が入った重いスポーツバッグを肩に掛け、病院を後にした。
停戦後の会話
黄泉川が去った後、二人は湯船のお湯を大量に使い果たし、ようやく騒ぎを収めていた。
一方通行は怪我人であることを忘れているのではないかとミサカに文句を言ったが、ミサカは急速に伸びた髪のおかげで手術痕が分からなくなっていることや、異常な回復力に感心していた。
頭蓋骨の損傷はまだ完全には治っていないと説明する一方通行をよそに、ミサカはお湯を使い続けていた。
黄泉川に関する話題
湯を使い過ぎたことを黄泉川に知られたら怒られるとミサカは話した。しかし同時に、黄泉川はもう病院へ戻らないかもしれないとも口にした。
その言葉に一方通行は反応し、ミサカが何か情報を知っているのかと問いかけたところで話は続いていった。
第三章 残骸が秘める光 “Remnant”
学生寮への帰還
重傷を隠して帰還
白井黒子は結標淡希との戦いで深手を負いながらも、御坂美琴に怪我を知られないよう空間移動で学生寮の自室へ戻った。満身創痍の状態で応急処置の準備を整えると、ユニットバスへ向かった。
八月二十一日の出来事への疑念
傷の痛みに耐えながら、白井黒子は結標淡希から聞かされた八月二十一日について考えた。その日には御坂美琴の帰宅の遅れや謎の少年の来訪、街中での異常現象が起きていたことを思い出した。
さらに、学園都市最強の超能力者が敗北したという噂や操車場で見つけたコインの存在から、御坂美琴がその一連の事件に関わっていた可能性を改めて認識した。
結標淡希の正体と樹形図の設計者の謎
白井黒子は初春飾利へ連絡を取り、調査結果を聞いた。襲撃者は霧ヶ丘女学院二年の結標淡希であり、能力は座標移動であることが判明した。
また、樹形図の設計者が破壊されたという公式記録は存在せず、運搬担当者も詳細を知らなかったことから、第二十三学区の物資を結標たちが奪い、外部組織へ渡そうとしている可能性が浮上した。
御坂美琴との再会
その最中、御坂美琴が部屋へ戻ってきたため、白井黒子は通話を切って平静を装った。
美琴は忘れ物を取りに来ただけで再び外出すると語った。白井黒子は数々の疑問を抱きながらも問い詰めることはせず、何気ない会話を交わした。
御坂美琴を支える決意
白井黒子は、美琴が重大な問題を一人で抱えていることを察した。
しかし事情を聞き出すのではなく、美琴を危険な状況から救い出し、再び笑い合える日を取り戻すことを決意した。そして美琴が去った後、再び初春飾利へ連絡を取り、結標淡希の追跡を開始した。
再び夜の街へ
浴室の痕跡を片付けた白井黒子は、空間移動で女子寮を抜け出し夜の学園都市へ向かった。
移動中、初春飾利から結標淡希は過去の能力暴走事故以来、自身を転移させることに強い恐怖を抱えているとの情報を得た。白井黒子は、それが結標の行動や能力運用に大きく影響していると考えた。
能力の違いの分析
追跡を続けながら、白井黒子は自身の空間移動と結標淡希の座標移動の違いを分析した。
座標移動は離れた場所同士を直接繋ぐ高度な能力である一方、自分自身を自在に連続転移できる点では空間移動にも優位性があると再認識した。
戦闘の発生
その時、夜空に雷鳴のような巨大な轟音が響いた。
続いて初春飾利から、結標淡希の予想逃走経路上で能力者同士による大規模戦闘が発生したとの報告が入った。白井黒子は放電音から、その戦闘に御坂美琴が関わっていることを確信した。
戦場への急行
白井黒子は当初の追跡方針を変更し、連続空間移動で戦闘現場へ向かった。
やがて建設途中のビル付近へ到着すると、死角となる場所へ身を潜めながら現場の様子を確認した。
御坂美琴による制圧
建設途中のビルでは、御坂美琴が単身で数十人規模の武装集団と戦っていた。
銃で武装した者や能力者たちを相手にしながらも、美琴は超電磁砲や雷撃を駆使して次々と無力化した。敵は壊滅状態となったが、死者は出ておらず、白井黒子はその戦いぶりに驚嘆した。
結標淡希との対峙
戦闘後、結標淡希が白いキャリーケースを持って姿を現した。
結標は樹形図の設計者の残骸や実験再開について語り、美琴を挑発した。しかし美琴は動じることなく、実験を再び動かそうとする者たちへの怒りを示した。
御坂美琴の本心
会話の中で、美琴は白井黒子が重傷を負いながらも無理を続けていたことに怒っていると明かした。
応急処置の痕跡などから白井の状態を察していた美琴は、白井が傷ついた原因も結標が白井を傷つけた原因も、この問題にあると考え、自らの手で全てを終わらせる決意を語った。
白井黒子が知った真意
隠れて様子を見ていた白井黒子は、美琴が誰にも頼らず一人で戦っていた理由を理解した。
美琴は白井黒子を危険から遠ざけるために全てを背負おうとしていたのであり、その思いを知った白井は胸を打たれた。
結標淡希の弱点の露見
美琴は結標淡希の能力を分析し、自分自身を転移させる際に恐怖による確認作業が必要であり、その分だけ反応が遅れることを見抜いた。
結標はその指摘を否定できず、美琴の推測が正しいことを示した。
結標淡希の逃走
追い詰められた結標淡希は、気絶した人々を人質に見せかけて美琴を牽制した。
一般人が混じっているかもしれないという言葉に美琴が一瞬ためらった隙を突き、結標はキャリーケースごと座標移動で姿を消した。後に残された人々は全員無事であり、人質の話は逃走のための罠だった。
白井黒子の決意
結標淡希の逃走を見届けた白井黒子は、自分こそが追跡に最適だと判断した。
同じ空間移動系能力者である自分なら逃走経路を予測できると考え、美琴への感謝と決意を胸に抱いた。そして全員を無事に帰還させるため戦い抜くことを誓い、風紀委員の腕章を付け直して再び夜の街へと空間移動していった。
行間 三
妹達の危機と情報共有
御坂妹は病室で目を覚まし、妹達のネットワークを通じて集まった情報を整理していた。
世界各地では複数の国家や組織が宇宙開発を名目にシャトルの打ち上げを進めており、その目的が衛星軌道上に存在する樹形図の設計者の残骸の回収である可能性が高まっていた。さらに各地からの報告によって、復元に必要な中核部分である演算中枢が学園都市内に存在し、その奪取を狙う外部組織が動いていることも判明した。
御坂妹は、それが実験の再開につながる危険な事態であると認識し、事態の深刻さを改めて確認した。
病院を抜け出す決意
御坂妹は微熱を抱え、治療中の身でありながら行動を決意した。
治療によって安静を求められていたが、樹形図の設計者の復元を阻止することを優先した。御坂妹は手術衣を脱いで制服へ着替え、窓から外へ出る準備を整えた。
その過程で、かつて自分を救うために戦った少年や少女のことを思い出し、彼らの努力を無駄にしたくないという思いを強めていた。
妹達への指示と覚悟
御坂妹はネットワークを通じて学園都市内に残る妹達へ行動方針を伝えた。
治療中であることを理由に制止する声も上がったが、御坂妹は自分の体調よりも約束を優先すると宣言した。あの少年との約束を果たすまでは立ち止まらないと告げると、妹達もその決断を受け入れた。
一方で最終信号は独自の行動を示唆したまま通信を切断し、御坂妹は困惑しつつも自らの役目を果たすため行動を開始した。
上条当麻を頼る決断
御坂妹は病院の窓から飛び降り、そのまま病院を脱出した。
治療中の体には大きな負担がかかっていたが、実験再開の危険を考えると立ち止まることはできなかった。妹達の命運が懸かっている以上、自分たちだけでは対処できないと判断していた。
御坂妹は、危機的状況で真っ先に思い浮かぶ人物が上条当麻であることを自覚していた。巻き込みたくはないと思いながらも、実験が再開されれば上条は必ず関わるだろうと確信し、事前に知らせる方が良いと結論づけた。
高圧電流の異変と学生寮への到着
学生寮へ向かう途中、御坂妹はネットワークに強力なノイズが発生したことを察知した。
原因は極めて高出力の電撃による電波障害と推測され、その発生源がおそらく御坂美琴であると考えた。しかし今は確認よりも上条へ情報を届けることが優先だったため、そのまま走り続けた。
やがて学生寮へ到着した御坂妹は、エレベーターで目的の階へ向かい、伝えるべき情報を整理しながら上条の部屋へ急いだ。
上条当麻への救援要請
御坂妹は上条当麻の部屋へ飛び込み、寝間着姿の上条とインデックスの前に現れた。
状況を説明する前に、最も伝えるべき言葉を選んだ御坂妹は、自分自身が変化していることを感じながら上条へ頭を下げた。
そして、自分と妹達の命を助けてほしいと真っ直ぐに頼み込んだ。上条は疑問を挟まず、御坂妹に話の続きを促したのであった。
第四章 決着をつける者 Break_or_Crash?
ピザ店での潜伏と白井黒子の奇襲
結標淡希は御坂美琴から逃れるためピザ店へ身を隠し、美琴が自分を見失ったことを確認して安堵した。しかし、自身を座標移動させた反動によって激しい吐き気と恐怖に襲われた。
その最中、白井黒子による奇襲を受け、肩や脇腹、脚に金属矢やコルク抜きを突き刺された。白井は自分が負った傷と同じ箇所を狙ったことを告げ、止血剤を投げ渡した上で結標へ敵意を向けた。
勝利条件を巡る対話
白井黒子は、自分が負傷していることを隠さず結標淡希と対峙した。
そして御坂美琴が必ずこの場所へ辿り着くことを指摘し、逃げ続けなければならない結標よりも、自分は時間を稼ぐだけで目的を果たせる有利な立場にあると語った。
さらに白井は、同じ空間移動系能力者として結標の思考や行動を予測していたことを明かし、結標を心理的に追い詰めた。
御坂美琴への信頼と決意
結標淡希は、白井黒子が御坂美琴を利用していると非難した。
しかし白井は、美琴は誰も傷つけずに全員を救おうとしている人物であり、自分もその願いを裏切るつもりはないと断言した。そして結標を殺すのではなく、日常へ帰すために戦うと宣言した。
それに対し結標は、美琴の理想を壊せば自分の勝ちだと応じ、両者は再び戦闘を開始した。
白井黒子と結標淡希の激突
戦闘が始まると、白井黒子は皿の破片を利用した攻撃を仕掛け、結標淡希もトレイやテーブルを座標移動で操って応戦した。
両者は互いの能力や癖を読み合いながら激しく攻防を繰り返した。白井は接近に成功したものの、キャリーケースによる反撃を受けて大きなダメージを負った。
それでも白井は背後から反撃を加えたが、その代償として傷口が開き、能力の使用も困難になった。結標は大量のテーブルを転移させて白井を押し潰し、行動不能に追い込んだ。
結標淡希の思想と樹形図の設計者への執着
勝利を確信した結標淡希は、自身の考えを語り始めた。
彼女は能力の本質に疑問を抱いており、人間以外でも能力が発現する可能性があるのではないかと考えていた。そして樹形図の設計者を復元すれば、その真実へ辿り着けるかもしれないと信じていた。
また、自分が能力を持ったことへの恐怖や葛藤を明かし、自分達能力者が本当に力を持つべき存在だったのか知りたいと語った。
白井黒子の反論
しかし白井黒子はその考えを否定した。
能力の有無ではなく、それをどう使うかが重要であると語り、自分なら人助けのために能力を使うと断言した。
さらに御坂美琴を例に挙げ、本気を出せば力で全てを解決できる人物でありながら、それでも誰も傷つけたくないために苦しみ続けていると訴えた。そして自分達の居場所は能力ではなく努力によって築いたものだと強く主張した。
白井黒子の執念と結標淡希の崩壊
押し潰されていたテーブルを押しのけ、白井黒子は立ち上がった。
能力が使えない状態でもフロアランプを手に前進し続けるその姿に、結標淡希は恐怖を覚えた。精神的な強さで圧倒された結標は追い詰められ、ついに隠し持っていた拳銃を発砲した。
銃弾は白井の腹部を貫いた。しかしその瞬間、結標は能力ではなく自らの意思で人を傷つけた事実に直面し、自分自身への嫌悪と絶望に襲われた。
能力暴走と撤退
精神の均衡を失った結標淡希の能力は暴走した。
店内の家具や食器、キャリーケースまでもが無秩序に転移を繰り返し、店内は破壊されていった。それでも結標は白井への憎悪を募らせ、殺意だけに支配されていった。
やがて警備員の接近を察知した結標は撤退を決意したが、巨大な重量物を転移させて白井を押し潰して殺すと宣言した。そして白井の脇腹を蹴り飛ばし、キャリーケースを持って姿を消した。
白井黒子の絶望
重傷を負った白井黒子は、破壊された店内に倒れたまま動けなくなった。
結標淡希が近くに潜伏し、自分を殺そうとしていることを理解しながらも、もはや逃げる手段は残されていなかった。
死を覚悟した白井は、これまで御坂美琴から学んだことや共に過ごした日々を思い返した。そして迫り来る攻撃を感じ取りながらも、美琴だけは巻き込まれてほしくないと願った。
御坂美琴の救援
やがて非常階段を駆け上がる足音と放電音が聞こえた。
白井黒子は来訪者が御坂美琴だと悟り、必死に近づかないよう叫んだ。しかしその声は届かなかった。
その直後、結標淡希の攻撃が発動しようとした瞬間、超電磁砲が建物を貫通した。巨大な風穴が生まれ、脱出経路が作られた。
御坂美琴は、その先へ向けて残りはお前の拳で連れ戻してこいと声を響かせた。
上条当麻の到着
風穴の先から、一人の少年が瓦礫の道を駆け上がってきた。
上条当麻は空間の歪みが限界に達した瞬間、その異常現象へ拳を叩き込んだ。結標淡希が放った四五二〇キログラム級の攻撃は打ち消され、空間は元に戻った。
こうして白井黒子は救われた。
約束の確認と追撃の決意
上条当麻は白井黒子へ駆け寄り、御坂美琴とその周囲の世界を守るという約束を守れているだろうかと問いかけた。
白井は風穴の向こうから駆け寄る御坂美琴の姿を見つめ、その約束は半分守られていると答えた。そして残り半分は、キャリーケースを持って逃走した結標淡希を止めることだと告げた。
その言葉を聞いた上条は頷き、今から残りの半分を果たしに行こうと宣言した。そして結標淡希を追う決意を固めたのであった。
行間 四
結標淡希の逃走と精神崩壊
結標淡希は学園都市の外周付近まで逃れていたが、全身の傷と能力の酷使によって心身ともに限界へ達していた。軍用ライトも失い、能力制御は乱れ始めていた。
彼女は二年前の暴走事故を思い出していた。座標移動の失敗で足を壁へ埋め込み、無理に引き抜いた結果、自身の肉体を傷つけた記憶である。その恐怖と吐き気が蘇り、結標は歩みを止めた。
さらに白井黒子との戦いによって精神的支柱も砕かれており、自分が何をすべきなのか分からなくなっていた。それでも心の空白を埋めようと、キャリーケースを外部組織へ届けるという目的だけに執着していた。
外部組織との連絡失敗
結標は無線機を取り出し、外部組織への連絡を試みた。
しかし返ってきたのは銃声や怒号、悲鳴ばかりだった。通信の向こうでは組織が襲撃されており、女の声が子供を利用していた者たちを追及していた。
やがて通信は完全に途絶えた。結標は無線機を叩きつけて破壊し、頼るべき相手も目的も失ってしまった。
それでも学園都市へ戻る道はなく、彼女はキャリーケースを他組織へ売り渡すことを考えながら、自分に目的があると無理やり思い込んで歩き出した。
一方通行の出現
その時、結標の前に一人の人物が立ち塞がった。
それは学園都市最強の超能力者・一方通行だった。
妹達のネットワーク経由で情報を得て現場へ現れた一方通行は、結標の姿を見るなり失望を露わにした。結標は一方通行の姿に恐怖したものの、彼が過去の事件で能力を失ったことを思い出し、今は最強ではないと叫んだ。
一方通行は脳に損傷を負い、演算補助や電極装置に頼っていることを認めた。しかし、それでも結標に対して、お前が強くなったわけではないと断言した。
圧倒的な力の差
直後、一方通行は地面を踏みつけた。
その一撃だけで道路に亀裂が走り、周囲の建物が軋み、大量の窓ガラスが砕け散った。広範囲に降り注ぐガラスの雨を前に、結標は座標移動で上空へ逃れるしかなかった。
しかし空中へ転移した瞬間、激しい吐き気によって思考が乱れ、次の移動計算ができなくなった。
そこへ一方通行が暴風を背負って跳躍した。ガラスの雨を突き破りながら一直線に迫り、結標へ襲いかかった。
樹形図の設計者の破壊
結標は咄嗟にキャリーケースを盾にした。
だが一方通行の拳はキャリーケースごと粉砕した。外装も緩衝材も内部の部品も砕け散り、『残骸』として回収していた『樹形図の設計者』の部品は空中へ吹き飛ばされた。
結標が守り続けてきた目的そのものが、一撃で破壊されたのである。
一方通行の鉄拳
一方通行は侵入は禁止だと告げ、元いた場所へ無様に引き返せと結標へ言い放った。
そしてキャリーケースを失った結標の顔面へ拳を叩き込んだ。
結標の体は高く吹き飛ばされ、ビル屋上のフェンスへ激突した。フェンスの支柱を何本も引き抜きながらようやく停止し、完全に叩きのめされた。
最強であり続ける決意
攻撃を終えた一方通行は地上へ落下しながら、静かに結標のいる屋上を見上げた。
学園都市最強の座を失ったかもしれないと認めながらも、それでも自分はあの子の前では最強を名乗り続けると呟いた。
その言葉を夜風へ流しながら、一方通行は再び地上へと降りていった。
終章 それぞれの日々 One_Place, One_Scene.
翌日 病院での見舞い
上条当麻の見舞いと不運な出来事
翌日、上条当麻は学校へ遅刻の連絡を入れた後、白井黒子の見舞いのため病院を訪れた。
しかし病室を訪ねた際、白井の着替えに遭遇してしまい、病室から追い出された。その結果、頬には真っ赤な手形が残っていた。
着替えが終わるまでの間、上条はインデックスと共に御坂妹の病室を訪れた。御坂妹は治療のため特殊なカプセル内に収容されていたが、意識はあり、上条へ頭を下げていた。しかし、その姿を見たインデックスは激怒し、上条は再び被害を受けることになった。
収穫のない追跡とインデックスの呆れ
病室を後にした上条とインデックスは談話スペースへ戻った。
インデックスは、上条が白井に対して残りの半分を果たしに行こうと宣言したにもかかわらず、結局何の成果も得られなかったことを指摘した。
上条は白井から聞いた予測ルートを辿ったものの、現場には粉々になったキャリーケースの残骸と倒れた少女が残されていただけだったと説明した。インデックスは上条を役立たずと評し、上条は自分より先に事件を解決した人物への不満を漏らした。
一方通行と打ち止めの日常
一方通行は病室で休養していた。
外で聞こえる騒がしい声に不快感を示しながらも、重傷を負った体を休めていた。そこへ打ち止めが現れ、黄泉川が外部組織を壊滅させ、『樹形図の設計者』に関する問題も収束したことを伝えた。
徹夜で後始末を行った一方通行は疲労困憊だったが、打ち止めは容赦なく話しかけ続けた。眠ろうとする一方通行と、それを邪魔する打ち止めのやり取りは、二人の日常を感じさせるものだった。
白井黒子の暴走と御坂美琴の苦労
隣の病室では、白井黒子が重傷にもかかわらず元気に騒いでいた。
御坂美琴へリンゴを食べさせてもらおうと迫り、絶対安静の身でありながらベッドから抜け出そうとする白井を、美琴は必死に押し戻していた。
さらに白井は、上条当麻と美琴の関係をからかい始め、美琴を動揺させた。美琴は、重傷を負っているにもかかわらず異常なほど元気な白井に呆れながらも、その生命力に驚いていた。
美琴の後悔と白井の理解
やがて二人の会話は真面目なものへと変わった。
美琴は白井が負った深い傷を見て、自分の周囲で起きる事件へ後輩を巻き込んでしまったことを悔いていた。
そんな美琴に対し、白井は自分が立っていた場所こそが美琴の戦う世界だったのだと語った。自分には理解できないことばかりであり、無理について行った結果が今の姿だったと認めたのである。
白井黒子の決意
白井は、自分が傷ついた責任は自分自身にあると断言した。
自分の弱さは自分の問題であり、美琴が背負うべきものではないと告げた。そして美琴には失敗した後輩を笑い飛ばしてほしいと伝えた。その思い出があれば、自分は再び立ち上がれるのだと語った。
さらに白井は心の中で決意を固めていた。今の自分には届かない世界があることを理解したが、それを理由に諦めるつもりはなかった。
自分が守りたい場所を守るために、いつかその世界へ手を伸ばせるよう成長することを誓いながら、静かに新たな覚悟を固めたのであった。
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