小説「神達に拾われた男 17 呪術獲得」感想・ネタバレ

小説「神達に拾われた男 17 呪術獲得」感想・ネタバレ

物語の概要

ファンタジー×スローライフを基調とする異世界ライトノベル。元日本のサラリーマン・竹林竜馬が異世界転生し、スライムを従えてのんびりと生活していたが、本作第17巻では呪術の修行を兼ね、瘴気漂う山道の整備をジャミール公爵家より任される。その中で、従魔のスライムやゴブリンの活躍による山道改善や、呪術を活用した新たな商材開発が進行する。しかし、怪しげな貴族の乱入により事態は思わぬ方向へと動き出す展開となるである

主要キャラクター

  • 竹林竜馬:本作の主人公で異世界転生者。呪術の全力展開や斬新な商品開発を行い、周囲を驚かせる能力を発揮する存在である 。

物語の特徴

本作の魅力は、異世界スローライフでありながらも、呪術や従魔といった本格ファンタジー要素をしっかり融合している点にある。特に、スライムやゴブリンといった「従魔」を使った実用的な山整備や、呪術によって新たなビジネスを創出するなど、ただの癒しではなく創造・成長が伴う展開が特徴である。また、突如乱入する貴族の謎も含め、物語にスリルと緊張感を加えている点も読者を引きつける要素である  。

書籍情報

神達に拾われた男 17
著者:Roy 氏
イラスト:りりんら 氏
出版社:ホビージャパン(HJ NOVELS
出版日:2025年6月19日
ISBN:9784798638713
メディア展開:アニメはSeason1(2020年10月–12月)、Season2(2023年1月–3月)が放送

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あらすじ・内容

前世の業すら力に変えて――竜馬の全力呪術に一同騒然!?
本格的な呪術の修行も兼ねて、瘴気が漂う山の整備をジャミール公爵家より 任された異世界転生者の少年・竜馬。 従魔のスライムやゴブリンの大活躍で瞬く間に山道の整備が進む中、竜馬は 竜馬で呪術を用いた新たな商材を生み出すなど、予期せぬ収穫に周囲の人々の驚きは増すばかり! さらに新種への進化が期待できるスライムの様子にも胸を躍らせ、修行自体も順調に事を運んでいた竜馬だったが、突如として怪しげな貴族が現場に乱入してきて!? ローゼンベルグも舌を巻くほどの竜馬による全力呪術も炸裂な異世界スローライフファンタジー、第十七幕!

神達に拾われた男 17

感想

読み終えて、まず強く感じたのは、竜馬の相変わらずの頼もしさだった。
山林の整備を通して、スライムやゴブリンといった従魔たちとの連携を上達させ、その活躍ぶりには思わず感心してしまう。
現代でも通用しそうな施行工程だった。
ゴブリン良いな、、
今回の物語では、エレオノーラの実家が抱える問題、つまりマフィアの存在を知った竜馬は、解決に向けて動き出す。
力で解決するのが一番簡単だと言う竜馬の言葉には、彼の強さへの自信が滲み出ている。
ああ、本当に頼りになる! 前世の姿だったらナメられないのに。
しかし、ただ力任せに解決するのではなく、仲間と議論を重ね、最善の方法を探ろうとする姿勢もまた、彼の魅力の一つであると感じた。

特に印象に残ったのは、竜馬が瘴気を使った魔法を使う場面だ。前世の記憶が影響し、強力な魔法「化生の手」を生み出してしまうという展開は、彼の過去と現在が複雑に絡み合っていることを示唆している。
この魔法が今後、物語にどのような影響を与えていくのか、もう、目が離せない!
また、ローゼンベルグが竜馬の呪術に舌を巻くという描写からは、竜馬の才能が並外れたものであることが伝わってくる。
ただ、その原資が前世の理不尽な扱いだったのが何とも言えない。

異世界でのスローライフを送りながらも、着実に力をつけていく竜馬の姿は、読者である私に勇気を与えてくれる。
全体を通して、今作もまた、竜馬の成長と新たな出会いが描かれた、心温まる物語であった。
次巻が待ち遠しい!

最後までお読み頂きありがとうございます。

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登場キャラクター

竹林龍馬

実直で柔軟な思考を持ち、呪術や土木作業において多彩な才能を発揮する青年である。
・ジャミール公爵家の協力者であり、呪術師として瘴気浄化や防護策の中心的役割を担っている
・ゴブリンやスライムを従魔として扱い、土木・農地開発・工芸品製作など多分野にわたり活動
・遺失魔法や呪術の研究・実践を重ね、「化生の手」など独自の術式を開発
・精神的負荷の大きい術にも挑み、瘴気の集中や制御に成功するが、その反動で昏倒する場面もあった
・エレオノーラとの交流を通じて信頼関係を築き、相談相手としても機能している

エレオノーラ

才知に富み高い魔法技能を有する元宮廷魔導士であり、過去に政略結婚の犠牲となった経験を持つ。
・報告書作成や自動筆記魔法など、知的労働に優れ、龍馬の秘書的役割を担う場面が多い
・元夫や家族からの裏切りを経て、ジャミール公爵夫妻の庇護下に入った
・公私にわたり龍馬と行動を共にし、愚痴の共有を通して心情を語るなど、精神的な親交を深めている
・酒席では理性を保ちつつも酩酊する描写があり、他者からの気遣いを受けていた
・龍馬の呪術修行に協力し、ミサンガの製作など精神安定にも寄与する活動を担った

ローゼンベルグ

冷静沈着かつ高い専門知識を持つ呪術師であり、龍馬の師として的確な助言と評価を行う人物である。
・遺失魔法や呪術に関する知見を有し、儀式設計や術評価を的確にこなしている
・龍馬の成長を認め、危険性を伴う訓練にも一定の理解を示していた
・「化生の手」の術を分析し、その呪術の本質を「肩代わり」と定義
・過去に家伝の死霊術を修得しており、龍馬に類似の術の継承を提案した
・術の暴走に対して警戒を怠らず、研究の継続を支援する姿勢を示している

セバス

忠義に厚く洞察力に優れたジャミール家の執事であり、龍馬に対して一貫した信頼を寄せている。
・縄の呪術的効果に注目し、防護結界への実用化を提案した
・街での縄調達を迅速に遂行し、公爵家の支援を取り付けるなど実務能力が高い
・龍馬の人格を強く信頼しており、過去や出自に関わらずその姿勢を変えなかった
・酒席ではアイスクリームの品質に高評価を与えるなど、味覚にも敏感な描写がある

ユーダム

交渉力と実務に優れた冒険者であり、龍馬の行動を陰で支える実務的存在である。
・護衛任務後、街での交渉や雇用提案を担当し、奴隷商との折衝も行う立場にあった
・ミサンガの製作先として孤児院を紹介し、経済的支援の道を開いた
・呪術の悪用事例を語るなど、社会的問題にも通じており、真っ当な倫理観を持つ人物として描かれた

ミーヤ

明るく行動的な性格の人物であり、突発的な事態にも即応する力を持っている。
・貴族風の侵入者を発見し、迅速に龍馬へ報告した
・その後の対応に関わることで、警戒感と判断力の高さが窺えた

ペルドル・ベッケンタイン

建築に強い執着を見せる著名な建築家であり、龍馬の築いた構造物に強く惹かれた人物である。
・龍馬の築いた土留め壁に魅せられ、呪術の防護結界を無視して突入した
・過去に龍馬へ材木の調達依頼をした経緯があり、熱意の強さから問題行動に至った
・謝罪後は穏便に退去し、芸術への偏執的探究心が強調された

イーサン・フォスター

ペルドルの護衛であり、忠誠心が強いがやや性急な対応を見せた人物である。
・龍馬らを敵と誤認し、剣を抜きかけるという危機を招いた
・呪いによる影響を受けたことで誤解が生じたが、その後は謝罪と和解を申し出た

ジャスパー

理想と信念に燃える若手新聞記者であり、真実を報じることに使命を見出している。
・王都での貴族の不正報道により地方支部へ異動となり、ジャミール公爵領に派遣された
・上司の陰謀により切り捨てられる形となったが、理念を捨てずに新天地へ向かった

展開まとめ

10章 18話 山道敷設工事

ゴブリンたちによる伐採作業の開始

視察三日目の朝、台地での道路敷設に先立ち、ゴブリンたちに斧やのこぎりを持たせて伐採作業に従事させた。事前に下見と試験伐採を済ませており、作業は円滑に始まった。作業の進行や安全は従魔術によって監視され、問題があれば即座に対応する体制が整えられていた。

人間組による道路敷設の開始

ゴブリンの伐採に並行し、人間組は防火帯を兼ねた道路の敷設に着手した。道は山小屋から麓へと東側の斜面を緩やかに縫う形で計画され、山腹を横断することで斜面全体が上下に分けられる構造となるよう設計された。

スライム魔法による掘削と土木作業

ソイルスライムが地面を操作して掘削し、ヒュージロックスライムが地中の石を取り込み擁壁を形成。1区画の擁壁は縦1メートル・横1.5メートルとし、設置速度は約20秒という迅速さであった。擁壁の裏込めと水抜き対策も並行して実施された。

作業の効率性と課題の認識

魔法やスライムを活用した工事は極めて効率的であったが、エレオノーラは過度な簡略化に懸念を示した。龍馬もその点を認識しており、問題発生時は原因を検証し改修する方針でいた。

カレッパシの木の調査と応用の可能性

伐採地にあるカレッパシの木が水分を多く含む特性を持ち、魔法によって水分を排出できることが確認された。乾燥後は極端に脆くなるこの木を、龍馬は線香の素材として転用することを着想し、後の呪術道具への活用を視野に入れた。

午前の作業の終了と進捗確認

3時間の作業を経て中間地点まで到達し、予定通り午前の工程を完了した。従魔術でゴブリンたちの様子も確認し、彼らが枝落としや幹の運搬など四班に分かれて効率よく作業を進めていることが把握された。

10章 19話 遺失魔法の概要

遺失魔法の理論と構造の説明

昼食後、ローゼンベルグが遺失魔法の資料を読了し、その概要が共有された。現代の魔法が体内魔力を使うのに対し、遺失魔法は自然界に満ちる外部の魔力を利用する点が大きな違いであった。実際には呪術によって自然光を儀式場に取り込み、それを媒介に解呪を行うという構造であった。

儀式の形式と安全性の条件

解呪儀式は満月の夜に行われることが理想とされ、これは月光が太陽光よりも穏やかで安全に儀式を進行できるためであった。一般市民は無料で利用できる場合も多く、儀式は日常的な行事として親しまれていたようである。

実験場の選定と午後の方針転換

遺失魔法の実験場所として、西の瘴地は不適と判断され、ゴブリンたちが整備している木材置き場が候補に挙がった。そのため午後の作業計画が修正され、冒険者チームは西側未調査地域の探索へ、龍馬らは木材置き場の整備へと分担された。

木材置き場の開拓と作業の再開

午後はスライム魔法により木々を一気に倒し、ローゼンベルグにも魔法の効能が披露された。開けた台地は予想以上に広く感じられ、伐採チームの再配置により作業効率が向上した。

井戸掘りとケーソン工法の応用

木材置き場の中心に井戸を設置することとなり、ヒュージロックスライムとソイルスライムを用いた掘削作業が開始された。ケーソン工法に似た方法で土を取り除き、パイプ状の構造物を地下に埋設していった。深度5メートルで水脈に到達し、手漕ぎポンプの設置まで完了した。

井戸の保護構造とスライムの活用

井戸の周囲には事故防止のためドーナツ状の石板と東屋風の構造を施し、機能性と安全性を両立させた。泥水処理や濾過にはスライムを活用し、スライムの進化を見据えた飼育も検討された。

土地の水はけと今後の農地計画への示唆

掘削で得られた土の状態から、土地の水はけが悪い可能性が示唆された。今後は排水工事や水田転用も視野に入れた検討が必要である。こうして日が傾く頃には、儀式のための準備が整い、夜の実験に向けた環境が完成した。

10章 20話 浄化の仕上げ

初の遺失魔法実験と失敗

夜間、快晴の空の下で遺失魔法の実験が行われた。準備された金属製の容器と清水に指輪を置き、月光を利用した解呪儀式が繰り返されたが、期待された効果は現れなかった。解呪対象は難易度「1」の初歩的な呪いであったが、術の効果は限定的で、自然魔力の活用が不十分と推察された。実験は深夜まで続けられたが、成果は得られず、儀式の継続的な観察の必要が示唆された。

瘴地の浄化作業と封じの呪術

翌日、呪術の実践として再び瘴地の浄化が行われ、残る瘴気の再発を防ぐための仕上げ作業が実施された。これは瘴気が再度湧き出すのを抑え、拡散を防ぐ目的であった。術の要である「媒体」として、龍馬は自作のトラロープを用いた。儀式においては術者の意識と媒体の一致が重要とされ、今回は呪いの効果が人除けと獣除けを併せ持つ結果となった。意図しない効果が生じたこともあり、今後の術の精度向上に向けた調整の重要性が確認された。

トラロープの実用性と拡張性の発見

完成したトラロープの呪術的効力がローゼンベルグにより解析され、呪いは安定して持続し、一定の範囲で人や獣を隔てる効果を持つことが確認された。この効能から、執事セバスはロープを開拓地や農地の境界線などに用いる防護手段として高く評価し、量産・導入の必要性を提案した。使用可能性の広さから、今後の大量運用の検討が始まった。

縄の素材調達と生産体制の構想

龍馬は、瘴地周囲の封鎖用として既存の在庫を使用する方針を示す一方、今後の大量生産を見越し、市販の縄への応用や用途別の術の調整にも意欲を見せた。セバスは近隣の街で縄を調達する意向を表明し、その場で空間魔法によって出立した。

10章 21話 儲けの種

縄の内製化と雇用創出の提案

昼食後の情報共有の場にて、龍馬は縄の安定供給のためにスラムの住民や子供たちの雇用を検討した。ゴブリンに作業を任せる案もあったが、研究補助との両立を考慮し、あくまで人間の労働力に委ねる方向とした。

線香の試作と製造可能性の評価

同時に龍馬は、カレッパシの木を粉砕し、放熱樹の樹皮を加えた線香を試作・実演した。香りと煙の効果に対する反応は良好で、防虫・殺菌の効能を持つ可能性も示唆された。材料調達が困難な点から市場流通は慎重に検討されることとなったが、製造自体は容易で、低年齢層でも対応可能な作業として期待された。

縄の販売価格と呪物市場の相場確認

龍馬は自身が呪いをかけた縄の販売価格についてローゼンベルグに相談し、「仕入れ値の10倍」という相場が提示された。呪物の価値と価格帯の慣例に基づいた妥当な評価とされ、今後の商業展開の足がかりが整えられた。

西側調査の進展と調査対象の異常性

冒険者チームによる山の西側調査では、生物の気配が希薄であり、生態系の変化が観測された。また、「プギポギ」と呼ばれる模様の奇怪な木が確認され、薪としては煤の多さから使用不適とされた。調査は順調に進行していた。

縄の量産体制と市場展開への第一歩

午後、龍馬が山道敷設作業を進めていたところにセバスが帰還し、15km分の縄の調達を完了させたことを報告した。公爵家の資金を用いた購入であり、ラインハルトからの直筆の手紙には、新設の街で縄を試験導入する意向が記されていた。これは増魔期に備えた防衛策の一環であり、縄の持つ防御効果への期待が高まっていることが伺えた。

需要増への対応と今後の方針決定

龍馬はこの期待に応えるべく、道の整備を一旦中断し、宿泊施設に戻って縄への呪い付与を開始した。明日にはローゼンベルグと共に山の外周に縄を展張する予定であり、山道の工事と併行して結界構築作業も本格化していく見通しとなった。

10章 22話 半休と慰労会の準備

山道整備の進捗と暑さの影響

山道工事は順調に進み、倒木の搬出を残して馬車が通行可能な状態に整備された。周囲では呪いを込めた縄の効果を検証しながら張り巡らせる作業が行われていたが、強い日差しと暑さが作業者を悩ませた。遺失魔法の研究は進展がなく、水分補給と健康管理が重要視された。

作業の完了と休暇の検討

休みを取らずに作業が続いていたことに気づいた龍馬は、作業の切り上げや休日の導入を提案。仲間たちは「今日早く終える」案を支持し、翌日以降に持ち越す必要はないとの判断が下された。縄張り作業は必要な場所を優先的に進められ、報告書も提出される予定となった。

報告書作成と魔法による効率化

エレオノーラは作業直後にもかかわらず分厚い報告書を完成させ、その理由として「念力魔法」による書類作成の効率化を説明した。これは並列思考と空間認識能力を活かした高度な応用であり、魔法技術よりも彼女の思考力が大きく影響していた。

夕食の準備と“宮廷料理”としてのカレー

夕食には龍馬が日本式のカレーを用意し、その香りに誘われて仲間たちが次々と訪れた。エレオノーラはそれを「宮廷料理」と位置づけ、過去の王族による贅沢な料理と重ねた。彼女は調理にも興味を示し、調理工程を見学しながら手伝いを申し出た。

宴会の準備と酒の好みの確認

料理の準備が進む中で、参加者たちの飲酒可否が確認された。龍馬はゴブリン製の酒やワインなどを用意し、各人の好みに応じて選定を進めた。特にエレオノーラには無理な飲酒を避けるよう配慮がなされた。

10章 23話 食後酒

カレーとデザートへの高評価

夕食のカレーとデザートには皆が満足し、特にアイスクリームはセバスによって香りと味を高く評価された。豆乳を使った代用品ながらも品質は高く、参加者の舌を楽しませた。

ゆったりとした宴とワインの感動

食後、ワインが振る舞われると、エレオノーラはその味に驚嘆した。かつての実家では水の代わりにワインを飲んでいたことを語りつつ、質の違いに感動を示した。これにより、彼女と冒険者たちとの距離もさらに縮まった。

元夫と過去の結婚生活の回顧

エレオノーラは自らの過去、特に政略結婚の背景と元夫との関係について語り始めた。元夫は典型的な放蕩貴族で、彼女は金鉱山の実家を抑えるための人質として扱われていた。家同士の力関係から、屋敷では冷遇され、最終的には軍の懲罰部隊に送り込まれた経緯が明かされた。

懲罰部隊における自由と収入の獲得

懲罰部隊での生活は過酷であったが、自由な外出や危険手当による収入が得られたことで、束縛からは一定の解放が得られた。食事や本の購入といった娯楽も可能となり、それが精神的な支えとなっていたと語られた。

仲間たちの共感と尊敬

彼女の過去に驚きと共感が寄せられ、冒険者たちとの信頼関係が深まった。また、懲罰部隊に送られたことの理不尽さに対しても仲間たちは怒りと同情を示した。

酔いの兆候と宴の締めくくり

エレオノーラは酔いの自覚が薄く、外見上も普段と大きく変わらなかったが、ワインを五杯飲んだことで明らかな酔いが見られた。最終的にはウェルアンナらが介抱を引き受け、エレオノーラは女性用の部屋へ運ばれていった。宴会は穏やかに終了し、龍馬は今後の酒量管理に注意する必要を再認識した。

10章 24話 秘密の二次会

神々へのお酒の贈呈と礼拝空間での交流

龍馬は飲み残した酒を神々に振る舞うため、礼拝空間へと赴いた。そこでウィリエリスとグリンプに清酒やつまみを提供し、三人で酒を酌み交わした。神々は捧げ物を直接味わえる機会が少ないため、手作りの酒に大いに喜んだ。彼らは物品の受け渡しに制約がある中、龍馬の行為を純粋に喜び、感謝の意を示した。

魔素と魔力の性質の違いの説明

会話は魔法の話題へと移り、龍馬が再現を試みている遺失魔法について議論が始まった。神々は、過去の人類は現代よりも圧倒的に少ない魔力しか保有できず、魔法の仕組みが異なっていたことを説明した。また、魔素は魔力の最小単位であり、古代の人間は神官による儀式を通して神の力を借りて魔法を使っていたと明かされた。

魔族と種族の誕生経緯の開示

神々の力の模倣を試みた人間たちによる事故が相次ぎ、魔力の過剰な影響を受けた結果、動植物や人間が変異した。こうして派生種や魔族、さらにエルフやドワーフ、ゴブリンなどの新種族が誕生したことが語られた。中でもゴブリンは生存特化の進化の果てに成立した種族であり、迫害や争いの歴史を背景に持っていた。

遺失魔法の本質的な課題と魔力の密度問題

龍馬の再現しようとする遺失魔法は、魔素を扱う魔法であり、現代人の魔力とは密度が異なることが指摘された。そのため、発動しても十分な効果を得られない原因が説明された。神々は、この知識を事前に伝えたのは、妖精であるコルミなら容易に理解できるためであり、彼女との協力を推奨した。

エレオノーラへの助言と帰還

会話の終盤、ウィリエリスはエレオノーラが視察中に暇を持て余していると龍馬に伝え、街に戻ったら積極的に仕事を任せるよう助言した。礼拝空間から宿舎に戻った龍馬は、有益な情報と今後の方針を得て、さらなる行動への意欲を高めた。

10章 25話 新たな課題と……

二日酔いのエレオノーラと情報共有

翌朝、エレオノーラが二日酔いのため朝食は軽めに済ませることとなった。龍馬は昨晩の神々との会話を「祖母の昔話」として皆に伝え、遺失魔法における魔素と魔力の密度の違いを説明した。ローゼンベルグは理屈として納得しつつも、魔素の扱いの難しさに課題が残ると指摘した。

魔素制御の困難さと協力者の存在

シリアらは、魔素は極小で人間には感知も困難であるとし、霧散した魔力を利用して魔素に近づく方法の検証が提案された。龍馬はスライムの視界と妖精コルミの協力を活かして研究を続けると述べ、呪術を使った遠隔交信の方法も模索する意向を示した。

呪術修行の次段階と限界への挑戦

ローゼンベルグは、龍馬の呪術の腕が高まったことを認めた上で、「限界への挑戦」という訓練を提案した。負の感情を最大限に引き出す訓練であり、本来ならば子供には勧められない内容だったが、龍馬の精神的成熟を信じて特別に許可された。

午前の作業と進捗報告

その後、龍馬はゴブリン達と共に倒木の撤去作業を担当し、他の仲間たちもそれぞれの任務に従事した。昼食時にはエレオノーラが改めて昨夜の失態を謝罪したが、仲間たちは軽く受け流し、彼女の謝意に理解を示した。進捗報告では、防火林の植樹が順調に進み、道の整備も目標を達成できそうであることが確認された。

今後の整備と仕事の配分の展望

龍馬は今後、舗装や排水、畑の整備、水車の設置など追加整備の構想を語ったが、現時点では必要最低限の整備で十分と判断し、段階的に進める方針を示した。エレオノーラには体調が回復した後、秘書として本格的に業務を任せる予定があることを伝えた。

貴族風の侵入者の出現

食後の片付けが終わる頃、ミーヤが突如現れ、「変態」すなわち貴族風の侵入者が道端で倒れていると報告した。現場ではユーダムが対応中であり、龍馬と関係者は状況確認のため現地へ急行した。縄による結界の突破経路や状況から見ても、不審点の多い事態であったため、事態の収拾に向けて行動が開始された。

10章 26話 侵入者の正体

侵入者の異様な行動と正体の判明

龍馬はミーヤの連絡を受け、空間魔法で現場へ急行した。ジェフらが対面していたのは、貴族然とした服装に丸刈りの男であり、彼は龍馬の築いた土留めの壁に異様な執着を見せていた。名前はペルドル・ベッケンタイン。龍馬が過去に材木調達の依頼を受けたことのある、著名な建築家であった。

護衛フォスターの誤解と一触即発の危機

ペルドルを追って現れた護衛のイーサン・フォスターは、龍馬らを敵と誤認し、剣に手をかける寸前の状態に陥った。龍馬は自身の呪いの影響を自覚し、場を静めるためにその場を離脱した。

呪いの影響と事後対応

30分後、龍馬の呪いを抑える術が完成し、ローゼンベルグの判断により再会の許可が下された。フォスターとペルドルは謝罪の意思を示し、龍馬をはじめとする一行と正式に面会。ペルドルの侵入は建造物への興味に駆られた結果であり、フォスターはその行動を止めきれなかったことを悔いた。

侵入経緯と呪いの検証

ペルドルは道中で龍馬の築いた壁を見つけ、精神的抵抗を無視して縄を突破。フォスターは縄の効果に阻まれ、部下の魔法によって突破したと説明された。龍馬の呪いがフォスターの焦りに反応した可能性が指摘され、龍馬自身も初めてその効果を実感する出来事となった。

騒動の収束と後処理

謝罪後、ペルドル一行は穏便に退去。ローゼンベルグが公爵家への報告を担当することとなり、転移により同行する形で話はまとまった。龍馬らは今回の一件が悪意によるものではなかったことを確認し、建築家としての偏った熱意に理解を示した。

10章 27話 道具の準備

瘴気集積用の道具作成

龍馬は翌日に行う呪術実験のため、瘴気を溜める杖の素材として闇属性の魔石を選び、ローゼンベルグに確認を依頼。魔石の質は極めて高く、杖の素材として申し分ないと評価された。続けて提示した魔宝石の欠片は城と同等の価値があるとされ、呪術媒体として特に優れていた。

三段構成の呪術構想

龍馬は瘴気除去の術を三段階に分け、自身の保護・瘴気の収集・瘴気の隔離を構成要素とした。また、瘴気の浄化も補助的に取り入れる意図を示した。安全対策として魔宝石やカーススライムを活用する計画であり、ローゼンベルグもこれを支持した。

呪術の習得とローゼンベルグ家の術

術の暴走への警戒や限界の見極めが必要であることが指摘され、呪術は精神力に影響される旨の説明がなされた。ローゼンベルグは龍馬の理解力と適性を認め、自家伝の死霊術に近い術を教えることを提案した。龍馬はこれを快諾し、将来的な術の習得に向けて準備を進めることとなった。

道具完成とエレオノーラとの交流

深夜、龍馬は瘴気をかき集めるための熊手状の道具を完成。エレオノーラと遭遇し、熊手を見せつつ翌日の準備の手伝いを依頼した。彼女は快く応じ、2人はともに行動を開始する流れとなった。

10章 28話 エレオノーラの未練(前編)

愚痴を通じた信頼関係の深化

龍馬はエレオノーラに対し、呪術の負の感情の材料として愚痴を交わす提案をした。エレオノーラは、愚痴の吐露に伴う社会的リスクや人間関係の不安を理解しつつも、龍馬との間では対話が進み、互いの愚痴の共有に安堵を覚えた。会話を通じて、二人は現在の生活への違和感や馴染めなさを共感し、表面上は順調でも内心には微細な居心地の悪さを抱えていることを認め合った。

過去の家族と現在の違和感

エレオノーラは、元夫との離婚後に実家へ戻った際、家族が無気力で堕落していたことに衝撃を受けた。下の兄は失踪、上の兄は酒浸り、父は問題を無視し、犯罪組織が領地に根を張る状況に何も対処しようとしなかった。過去の支配勢力であった四貴族が排除された後も、彼らに従属していた犯罪組織が逃れ、エレオノーラの実家を新たな拠点として利用し始めていた。

犯罪組織の根深い問題と領主の無責任

犯罪組織は領地で再構築され、今後の抗争の可能性が高まっていた。しかし領主である父と兄たちは、公的支援の要請を拒否。ジャミール公爵家に協力を求めることすらせず、エレオノーラが直談判した際も耳を貸さなかった。そのため彼女は公爵夫妻の助力で庇護を受けるに至った。

領主の責務と貴族社会の慣習

エレオノーラは、領主としての責任を放棄する家族に失望しており、領主が解決策を取れないなら退くべきという貴族の一般認識を踏まえ、父の処刑すら一つの正義だったのではと考えていた。

10章 29話 エレオノーラの未練(後編)

理想的だった過去と夢の断絶

エレオノーラは、かつての家族が誠実で理想的な貴族だったことを語った。家族を支えるために宮廷魔導士を目指し、実力を高め続けたが、その努力が逆に四貴族にとっての脅威とみなされ、圧力を受けて政略結婚を強いられた。その結果、彼女は道を絶たれ、家族への信頼が裏切られたと感じていた。

龍馬の選択肢提示と支援の提案

龍馬は彼女の苦悩に対し、三つの選択肢――現状維持、逃避、戦い――を提示した。どれを選んでも支援を惜しまないと述べ、亡命や擬死工作、樹海での隠遁など現実的な逃避案を示した。

戦うという選択と戦術の可能性

龍馬は犯罪組織と戦う場合、戦闘技術に呪術を組み合わせた戦術の可能性を示した。擬態、内部対立の誘発、そして心臓震盪や骨粗鬆症などのイメージ呪術の応用により、穏便ではないが実行可能な手段を提示した。

エレオノーラの理解と穏やかな決意

エレオノーラは龍馬の提案を理解し、最終的には自身の決断に応じて助力を求めることを約束した。顔には安堵の表情が浮かび、愚痴の交換が心を軽くした様子が窺えた。

贈り物としてのミサンガ制作

龍馬はエレオノーラに呪術修行の一環として、飾り紐ミサンガの制作を依頼した。緊急性のない作業として彼女の精神的な安定にも寄与するよう配慮されていた。

夜の終わりと余韻

そのまま二人は宿舎へ戻り、穏やかな夜の余韻の中でその日の会話を締めくくった。エレオノーラの内面にある未練と希望が、静かに整理されていった。

10章 30話 〝リョウマ〟の呪い

実験準備とミサンガの配布

龍馬は瘴気吸引の実験に備え、前夜にエレオノーラが作成した白いミサンガを皆に配布し、自身は熊手状の杖とカーススライムを装備した。魔力で熊手を通じて瘴気を引き出すと、大量の瘴気が噴き出し、即座に魔宝石で吸収を開始した。

瘴気の集中と負の感情の発動

龍馬は瘴気の性質と「類は友を呼ぶ」の観念を重ね合わせ、負の性質を持つ自らの感情を媒介として瘴気を引き寄せた。記憶とともに湧き上がる負の感情は、社会人時代の理不尽、学生時代の冤罪、バイト先での孤立など、多岐にわたる過去の記憶と共に心を満たしていった。

前世の呪いと術の暴走寸前

記憶の奔流が制御を失いかけた瞬間、龍馬は自らの意思とカーススライムの警告で踏みとどまった。鍛錬の記憶を頼りに心を落ち着かせ、魔力を込めて仕上げの工程に入った。

呪術の完成と命名

瘴気を魔力で制御しつつ吸収し、黒い腕のような瘴気の塊が形成された。この術は周囲に瘴気を漏らさず、非常に高効率だった。術に「化生の手」と名付けた瞬間、安定性が増し、完全な制御が達成された。

術後の疲弊と休息処置

実験を終えた龍馬は精神的疲労に襲われ、ローゼンベルグから精神安定と睡眠を促す薬を手渡された。水で流し込んだ直後、深い眠りに落ちた。

10章 31話 大人達の密談

龍馬の異常と皆の反応

倒れ込む龍馬をミゼリアが受け止め、一同は彼の疲労の深さに驚いた。特にスライム観察を後回しにしたことは、彼をよく知る面々にとって異常事態であった。

ローゼンベルグの術的観察と懸念

ローゼンベルグは龍馬の術を分析中に、対象の情報が強く流入し、危険な感覚に陥ったと語った。暗い都市のイメージと、それに渦巻く人々の悪意が明確に感じ取られたことから、龍馬が意図的に負の感情を集める生贄のような環境に置かれていた可能性に言及した。

セバスによる過去の補足と信頼の明言

セバスは龍馬の人格を全面的に信頼しており、過去の事情がどうであれ、今の龍馬が誠実である限り、ジャミール公爵家の支援は変わらないと明言した。また、初対面時から龍馬の住まいや態度に内在する警戒心を察していたと述べた。

周囲の評価と二面性の指摘

ユーダムは龍馬の中に「純粋な子供」と「荒んだ大人」という二面性が同居していると評し、他の冒険者たちもその意見に同意した。エレオノーラは前夜に相談した際、龍馬が犯罪組織に対して積極的な介入を申し出た事実を述べた。

呪術の本質と今後への期待

ローゼンベルグは「化生の手」の本質を「肩代わり」と定義し、悪しき存在を引き受けることで他者を救う呪術と位置付けた。龍馬がその力を正しく使おうとしている限り、自身も師として支援を惜しまないと宣言した。

ジェフの不器用な気遣いと龍馬の搬送

ジェフはぶっきらぼうながらも龍馬の状態を心配し、自らの手で宿舎に運ぶことを買って出た。その姿を見送る中、場の雰囲気は次第に和らぎ、残る面々はローゼンベルグと共に周囲の術的影響の確認作業に移行した。

10章 32話 一週間の成果

エレオノーラの自動筆記術と報告書作成

龍馬が目覚めて食堂へ向かうと、エレオノーラが自動筆記術を用いて報告書を作成していた。報告内容は瘴気制御訓練の準備から結果の記録まで網羅していた。

龍馬の術の評価と注意点

ローゼンベルグの口から、龍馬の術は個人で発動できる水準を超えており、大規模儀式級の効果を有すると評された。また、見た目や威圧感から人前では控えるよう忠告された。

瘴気除去効果と魔宝石の秘密

実験場に残された魔宝石には瘴気を吸収する効果が残留しており、空気清浄機のような働きをしていた。今後も瘴気除去術を繰り返せば短期間で土地を浄化可能と判断されたが、公には伏せられることになった。

一週間の成果の整理と今後の展望

エレオノーラが作成した報告書によって、瘴気制御の基礎習得、呪術道具の作成、宿舎の整備、井戸掘りなどの進捗が確認された。一方で枝打ちや地盤補強は未完で、今後の課題とされた。

スライムの進化と新たな可能性

進化したスライムは「クレイスライム」であり、同化能力によって粘土を扱うことが可能となった。建材への応用や陶芸への展望が語られ、拠点整備と物資生産に新たな可能性を見出した。

10章 33話 街に戻って

ギムルへの帰還とリノの飼育方針

龍馬は空間魔法で仲間たちを連れてギムルへ戻った。同行していたキャノンボールライノスの子リノはディメンションホームで慣れさせる方針が取られていた。適応に時間が必要であることを再確認した。

護衛依頼の報告と今後の動き

冒険者ギルドにて護衛依頼を報告後、ユーダムとエレオノーラが龍馬と合流。呪具作成の協力者を探す目的で市内を巡ることとなった。

情報屋との再会と線香作りの助言

スラムの情報屋ボロネズミから、線香作りには煙突掃除人が適任と提案される。健康への配慮と子供の指導経験がある点が評価され、今後の本格的な雇用に向けた布石となった。

縄製作の方針と奴隷労働者の候補

縄の製作については奴隷の一時雇用を視野に入れ、農村出身者を優先候補とした。モールトン奴隷商会への交渉は、龍馬の次回帰還時に行うこととされた。

ミサンガ製作の依頼と孤児院の支援

ミサンガ製作は教会併設の孤児院に依頼。自立資金作りに協力する形で、孤児たちの教育や支援につながる意義深い取り組みとなった。価格交渉はユーダムが担当し、双方納得の合意に至った。

交渉の裏話と街での昼食

交渉後、交渉の修羅場経験を語るユーダムの一幕があったのち、一行は新しく開店した料理店を目指して街の中心部へと向かった。

10章 34話 井戸端会議

話題の飲食店での昼食とカルム訪問前の立ち寄り

龍馬たちは評判の新店で昼食を楽しんだ後、洗濯屋の本店に向かう途中で、顔なじみの奥様方と再会し井戸端会議に加わった。街での出来事や新たな呪術業務に関する近況を共有し、龍馬が担当した瘴地の管理や呪術の訓練について簡潔に説明した。

呪術とミサンガの効能に関する説明と回想

龍馬は自身の呪いを抑えるために用いているミサンガについて、呪術的な意味と故郷での「おまじない」文化を交えて語った。子供の遊びとしての祈願や昔の流行が話題となり、世代間の文化の違いが和やかに語られた。

学業成就と呪術悪用に関するユーダムの告白

ユーダムは貴族社会における呪術の悪用例を語り、親が子供に呪いをかけて強制的に学業に向かわせる事例や、その結果として精神的に追い詰められる危険性を警告した。また、家庭教師や呪術師による違法行為の実態にも触れ、真っ当な呪術の必要性を訴えた。

木箱製作依頼と木材の質の問題

龍馬は瘴地整備で発生する間伐材を用いて木箱を作成できないかと相談し、木工職人のキアラの家族へ依頼する方向で合意した。製材の手間や材料の質のばらつきが課題とされたが、丁寧な対応と協力体制を確認した。

薪価格の高騰と市場への懸念

奥様方との会話から薪の価格が上昇傾向にあることが判明し、将来的な需給バランスの崩壊とパニック買いによる悪循環が懸念された。龍馬は商業ギルドへの相談を決意し、間伐材の活用も併せて提案する方針を示した。

呪術道具製作と成形薪の可能性の発見

井戸端会議の終了後、線香製作で使った木の粉を用いた成形薪(オガライト)開発の可能性に龍馬は着目した。再生資源としての活用に道が開けることが示唆された。

コルミへの再訪と呪術のヒントの発見

洗濯屋に到着した龍馬は、コルミとの交流呪術のヒントが日常の中にあったことに気づき、ひらめきに導かれて全速力でコルミ村へ向かった。再会の場では、コルミが心から龍馬の帰還を喜び迎え入れた。

10章 35話 特別書き下ろし・とある新聞記者の出立

若手記者ジャスパーの叱責と理念の衝突

王都の新聞社では、若手記者ジャスパーが上司から記事の内容について激しく叱責されていた。貴族の不祥事を詳細に記した彼の記事は社の意向に反し、上層部の利益を脅かす内容であると断じられた。

正義を貫く意志と上司の警告

ジャスパーは新聞記者としての使命感と信念を語り、記事掲載の正当性を主張した。しかし、上司は個人の信念よりも社全体の安全を優先し、記事の掲載を却下したうえで、代替として地方赴任を命じた。

ジャミール公爵領への派遣と希望の提示

室長はジャミール公爵領への赴任を打診し、地方支部での自由な報道活動を認める代わりに、長期滞在と現地での孤立を前提とする任務であることを説明した。ジャスパーはこの提案を即断し、志を胸に旅立った。

社内の陰謀と裏の事情

ジャスパーの退社後、室長と副室長は本音を語り合い、彼の追放は上層部の指示によるものであり、「切り捨て可能な人材」として最初から選ばれていた事実が明かされた。副室長は太鼓持ちとして室長を持ち上げ、室長はジャスパーの情熱を軽蔑しながらも、彼の記事と資料を社の保身のために利用する意向を示した。

ジャスパーの未来と組織の体質の対比

室長は情報提供者のリストを活用し、責任回避と自己保身を図る策を実行に移した。彼は新聞社の現状を「零細」と称し、大義よりも損得を優先する体制が当然であると考えていた。一方で、理想に燃える若者ジャスパーの未来は暗示的に切り捨てられる形で幕を閉じた。

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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