小説「戦国小町苦労譚 1 邂逅の時」【感想・ネタバレ】戦国時代なのに女子高生が主役?

小説「戦国小町苦労譚 1 邂逅の時」【感想・ネタバレ】戦国時代なのに女子高生が主役?

どんな本?

戦国小町苦労譚は、夾竹桃氏によるライトノベル。
農業高校で学ぶ歴史好きな女子高生が戦国の時代へとタイムスリップし、織田信長の元で仕えるという展開が特徴。
元々は「小説家になろう」での連載がスタートし、後にアース・スターノベルから書籍としても登場。

その上、コミックアース・スターでも漫画の連載されている。

このシリーズは発行部数が200万部を突破している。

この作品は、主人公の静子が現代の知識や技術を用いて戦国時代の農業や内政を改革し、信長の天下統一を助けるという物語。
静子は信長の相談役として様々な問題に対処し、信長の家臣や他のタイムスリップ者と共に信長の無茶ブリに応える。

この物語には、歴史の事実や知識が散りばめられており、読者は戦国の時代の世界観を楽しむことができる。

戦国小町苦労譚

2016年に小説家になろうで、パクリ騒動があったらしいが、、、
利用規約違反、引用の問題だったらしい

読んだ本のタイトル

戦国小町苦労譚  1 邂逅の時
著者:#夾竹桃
イラスト:#平沢下戸

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あらすじ・内容

農業高校生(♀)が戦国時代にタイムスリップ!?

「山道を抜けたらそこは戦国時代でした」ばりに唐突に現れたのは、憧れの織田信長。主人公・静子はこの時代で生き抜くために「農業で才を示す」約束を信長にしてしまう。寂れた農村を与えられ、来る日も来る日も農業に明け暮れる静子だったが、やがて本人も気づかないうちに、信長にとってなくてはならない存在=重臣にまで上り詰めてしまってーー

こんなライトノベル今までになかった! 知人に言いたくなる「豆知識」ふんだん系新感覚時代小説が登場。

戦国小町苦労譚 一、邂逅の刻

感想

農業系の話だが、女子高生が戦国時代にタイムスリップする話だと”あらすじ”に書いてあったので、あまり期待しないで読んでみたら、、、

凄く面白い。

この娘、その辺のJKとは違いなかなかの博識だ!

農業高校の高校生とは思えないほど博識だ!

最初、スイートコーンを持ち込んだとあったから「市販されてるスイートコーンって殆どF1だぞ?」と思ってたら本書の中盤で固定種との説明があったのでホッとしたw

侮れん、、

話はタイムスリップした女子高生という、身元不明で珍妙な格好をした女子(15歳)を織田信長が拾って来た。

その女子、静子は織田信長に出会った瞬間「織田信長」と諱を言っていきなり無礼討ち(生命)の危機になる。

静子からしたら織田信長から殺気を出されたらこんな感じになってるだろうな、、

信長は静子を数年連続して米が凶作になった村の長に任命して、村を再建せよと命じる。

静子が村の田畑を調査した結果。

原因は土壌の養分枯渇と雨による表土の流出。

その対策に、近隣の森から腐葉土を採取して漉き込む。

それでもすぐに結果は出ないので、見た目ですぐわかる、サツマイモの苗を増やしてから畑に植える。

最初は若い女子の命令を聞くのに抵抗していた村人達だったが、彼女の言うことを聞かないと織田家の重鎮の森可成の兵に殺される。

そんな状況だから疑いながらも彼女の言う事を聞いていた。

そんな彼等を指導していた静子は、、

結果を出さないと織田信長に殺されると完全にビビっていた。

結果。

サツマイモ、カボチャ、スイートコーン、トマトを収穫。

それを信長に納めたが、、

肝心要の戦略物質の米が無い。

それを信長に指摘され、翌年には結果を出さないといけない。

だが何故にサツマイモなどを生産したのかと聞かれた静子は食糧生産を増産しての「富国強兵」を信長に進言する。

それを聞いて信長は、静子の村を中心にした食糧の増産を静子に命じる。

他の村からも人手を貰い、農地を増やして品種も良い物を使っているせいか翌年も静子の村の収穫は豊作となった。

しかも、信長から命じられた50人分の25俵の米の収穫を大きく上回る100俵を収穫する。

だだ、その100俵、、、60kg=1俵で100俵(6t)

この当時は30kgの米俵だったので、、静子は200俵の米を信長に献上した。

命じられた数の約8倍、、

更に戦略物資の大豆、シイタケ、砂糖、ハチミツを生産して織田家に大貢献する。

さらに、女性だという事でナメられてた静子の周りには大型のオオカミ。

灰色オオカミのビットマン、後にメスのバルティーが常に付いて回っており。

さらに2匹の子供が5匹産まれて、合計7匹のオオカミが静子の周りに纏わりつくようになる。

しかも、群れのボスのビットマンは静子をボスも崇めているので、彼女の言う事を素直に聞く状態。

もそ、彼女を暴力で排除しようとしたら、ビットマン達にカプッと排除されてしまう。

そのせいで、彼女をか弱い女だと言う人もいなくなった。

こうして、戦に出ないで織田家に大貢献した静子は、さらに織田信長に重宝されで行く。

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備忘録

永禄八年
信長公、出逢イノトキ

千五百六十五年三月中旬

少女がタイムスリップし、戦国時代の織田信長に出会う。
彼女は自らの身の丈や奇抜な服装で信長の興味を引き、南蛮人と推測される。
信長は彼女の持つ知識や技術に興味を持つが、少女は信長に無礼討ちされないよう、慎重に言動を選ぶ必要がある。
彼女は農業知識を生かして信長の信頼を得ようと考え、信長は彼女を自分のために利用することを決める。
しかし、少女はこの時代の女性の立場の難しさに直面し、信長に気に入られつつも他の配下からは不興を買わないよう、絶妙なバランスを保つことを目指す。
少女は戦国時代を生き抜く決意を固める。

千五百六十五年三月下旬

静子は織田信長の命令で、年貢の納めが悪い村の村長に任命される。
彼女は農業に関する知識を活かし、村を立て直すことを期待されている。
村には年貢の半分も納められないほどの問題があり、信長はこの状況を改善するために静子を選んだ。
信長と森三左衛門可成によって村を訪れた彼女は、村人たちと共に土壌整備、堆肥作り、農作物の生産改善に取り組む。
静子はその過程で、戦国時代の村人たちに農業技術を教えながら、自身も戦国時代の生活に適応しようと努力する。
土壌改善、堆肥作りの必要性を説明し、村人たちを動かして農地を整備。
村人たちも信長の命令に従い、静子の指導に従う。
静子は日々の重労働に直面しつつも、村の改善と自身の生活の向上に向けて前向きに取り組んでいく。

千五百六十五年四月上旬

静子が村に到着してから四日が経過し、彼女は堆肥作り、腐葉土作り、黒土集め、土壌整備に取り組んでいる。
広葉樹林の黒土を使って薩摩芋の甘さを高める工夫をする。
効率よく作業を進め、苗の育成も順調である。薩摩芋の苗作りには、一本の苗を三本に増やす菅野式若苗萎れ定植法を用いる。
これにより、一つの種芋から数十の苗を採取することができる。
土壌整備班は畑の一部の土壌改善が終わり、静子は畝作りに取りかかる。
畝作りは農作物の育成に重要な工程である。村人たちは静子の指導のもと、農作物の生産に必要な作業を行う。
静子は薩摩芋の苗を畑に植え、その生産量を増やす計画を立てる。
また、サトウキビの苗も増やし、国内での砂糖生産の可能性を探る。
静子は現代に戻る方法を見つけられないまま、戦国時代での生活に適応し、生き抜く決意をする。

千五百六十五年四月下旬

静子は農業と大地との戦いを続け、土壌整備や堆肥作りに励む日々を送っていた。
温泉を偶然発見し、村に簡易風呂を作成する。
織田信長に温泉を案内したことから、彼女が何者かを問われるが、南蛮から来たと答える。

信長は静子が持つ才能に興味を持ち、彼女を利用しようとする。静子は、信長に日本地図の本を献上する。
この地図は戦国時代には貴重な資料であり、信長の関心を引く。
彼女の行動が、歴史に小さな波紋を生むことになる。

千五百六十五年五月下旬

静子が村に来て二ヶ月が経過し、害獣対策を考えていた。
特に鹿が多く、戦国時代では農家のモチベーション低下が死活問題となる。
静子は、村人のお空と田吾作に話を聞き、鹿対策を考える。
最終的にテキサスゲートとトラバサミを用いて鹿を捕獲し、成功する。
その後、解体した鹿肉を利用する計画を立てるが、衰弱したオオカミが現れる。
静子は最初は恐怖を感じるが、オオカミが弱っているのを見て肉と水を与え、助ける。戻ってきた村人は、オオカミの存在に驚くが、静子は自然界の厳しさと自分の行動に複雑な感情を抱く。

千五百六十五年六月上旬

季節が春から梅雨へと変わり、薩摩芋やかぼちゃ、トマトなどの農作業は雑草抜きがメインであった。
スイートコーン以外は雨水で水やりが十分であり、サトウキビは害虫駆除もほぼ必要なかった。
大きな作業はなく、水車の製作と害獣対策が主だった。
特に、静子が飼いならしたオオカミによる鹿対策が村人から尊敬を集めることとなる。
鹿の増加の原因は、山の中途半端な開拓による日照の増加と肉食動物の不在にあった。

静子は鹿の増加防止策として、赤子や子供を重点的に狙い、メスを間引く方法を採る。
また、オオカミの臭いが染みついた縄を鹿の餌場に設置するが、これは長期的な効果は期待できないと考えていた。
梅雨の時期になると、静子は暇を持て余すが、森可成から温泉の改造計画を任される。

計画は成功すると信長にも評価される可能性があり、静子はこれを受け入れる。
また、森可成は静子が要求したある材料を集めることができたが、その具体的な使用目的については静子は明かさない。
この材料は将来、信長を含む全国の国人に求められるものである可能性がある。

千五百六十五年七月中旬

梅雨が明け初夏になり、温泉や要塞のような家の建築など、静子の仕事は増え続けていた。

暑さの中で水分補給をしながら、彼女は仕事に勤しむ。
周囲の家も新調し、村の見た目が一新された。静子は狩猟に必要な準備を整え、ヴィットマンとともに鹿狩りに出かける。

クロスボウを選択し、そのメリットとして、静かに射撃が可能で、比較的容易に扱え、低コストでの製造が挙げられる。

狩猟では、鹿の若年層を狙い、鹿の社会の高齢化を促すことで繁殖力を低下させることを目指すが、その数が多いため、静子一人では限界がある。

獲物は無駄にせず、適度な量を村人へ配ることで栄養改善とモチベーションの向上を図る。

しかし、狩りが毎回成功するわけではなく、風上にいると臭いで即座に気付かれてしまう。

夜は早く寝ることにし、静子は深い眠りについた。

千五百六十五年八月上旬

八月上旬、夏が本格化し、薩摩芋とサトウキビ以外の野菜の収穫時期が訪れた。

静子はトマト、かぼちゃ、スイートコーンの収穫を開始し、村人たちに未知の食べ物を提供する。

最初は躊躇していた村人も、味を知った後は積極的に食べ始める。
この収穫物は信長に献上するため、静子は村人たちと共に城下町へ向かい、信長への献上を準備する。

信長は提供された料理に満足し、静子の才能を認め、新たな領地を任せることを告げる。
静子は戦国時代を生き抜くため、信長の配下として働き、農業生産力の強化に取り組む決意を固める。

千五百六十五年八月下旬

八月下旬、静子たちはスイートコーンを除くすべての作物の収穫を終えた。
スイートコーンは種を採るために収穫せずに放置する計画である。

持っていた在来種のとうもろこしは次年度も同じ品種を育てることが可能で、病気に強く多収穫型の特徴を持つ。
静子は耕地の整理と輪作・連作用の土地への改造計画を立て、労働力不足の解消のため森可成に支援を求めた。

一方で、薩摩芋の収穫が始まり、村人たちは収穫に興味津々であった。

収穫後の薩摩芋は天日干しと陰干しを経て、保存と熟成を施し、甘みを増す。

さらに、鶏の飼育と孵化器の設計を行い、未開の養鶏場を作成する計画も進められた。

干し芋の製造も計画され、玉豊品種を中心に甘くて美味しい干し芋が作られた。
収穫の成功を祝って、村全体で焼き芋大会が開催されることになった。

千五百六十五年十月中旬

静子たちは本収穫を終え、薩摩芋を主食にする計画を立てるが、これは非常時の備えであり、常食や主食とするのは米である。

静子は来年の米生産に向けて考えを巡らせていた。
代一との会話で、静子は今までの栽培方法を捨て、自らの方法で豊作を目指すことを語る。

織田信長が突然訪れ、静子の薩摩芋を評価し、彼女に農民50人を使って一大生産拠点を作ることを命じる。

信長は静子に「富国強兵」の実現を求め、彼女の努力と知識を高く評価する。

静子は信長の目標に対して自信を持って応え、来年の豊作を約束する。

信長は彼女の言葉に期待を寄せ、彼女の農業知識と村人たちとの協力によって、戦国時代における前例のない生産量を達成しようとする。

静子は、村人たちとの固い絆と共に、信長の目標に向けて前進する決意を新たにする。

永禄九年 尾張国ノ農業改革
千五百六十六年四月上旬

静子がこの時代に来てから約一年が経ち、元の時代へ帰る目処は立っていない。

彼女は便利な現代の技術品を持ち込んでいるが、代用品がないうちに壊れてしまうことを恐れて、基本的には使っていない。

信長からは、送られてきた50人の農民を使って25俵の米を収穫するという命令が下された。

農民たちは、静子に従って収穫を増やす他に生き残るすべはないと理解している。

静子は農作物用の土地や養蚕場所の整備に取り組み、養蜂やサトウキビの量産体制の整備も行った。

また、大豆とトウモロコシのコンパニオンプランツ栽培を取り入れることで、農薬を使わずに害虫対策を行う計画を立てた。

雑穀などの栽培は村人たちに任せ、自身は米栽培や農業インフラの整備に専念する。

充実した日々を送っているが、信長からはまたも無理難題が申し付けられた。

千五百六十六年六月上旬

静子は巣箱を設置したが、ニホンミツバチが3つしか巣を作らなかった。

オオカミのヴィットマンがお嫁さん探しに出ており、帰ってくるか微妙な状況だ。野盗に襲われた静子を、戻ってきたヴィットマンが救う。

ヴィットマンとその妻バルティは村に大騒ぎを引き起こしたが、静子は彼らについて説明し、入植者たちを落ち着かせた。

播種作業を行い、田植えの準備に取り掛かった。

正条植という方法を取り入れ、稲の成長を促進した。中耕除草作業を効率化するために、回転式田草取り機を村の技術者たちと作り上げた。

稲作の最終段階である害虫対策や除草作業を行い、稲は順調に育った。信長が美濃に侵入したことを受け、静子は収穫の準備を進めた。

彼女は来年のさらなる生産量の増加を予想し、準備を始めた。ヴィットマンとバルティの間に生まれたオオカミの子供たちが、静子の生活に新たな喜びをもたらしたが、同時に彼女はその将来を懸念していた。

千五百六十六年九月中旬

織田信長が美濃国との攻防戦を繰り広げている時期に、静子の村では豊作に恵まれた稲刈りが行われていた。
稲刈りには押刈り式人力刈取機を導入し、作業の負荷を軽減。
しかし、収穫量が多く、乾燥から精米までの後処理作業が待ち受けていた。

美濃攻略後の内政を担うよう静子に依頼するため、森可成が村を訪れる。
静子はその依頼に驚くが、信長は彼女の成果を高く評価し、静子が持つ知識と人柄を内政に活かしたいと考えていた。

森可成は静子からサトウキビと火薬の可能性について聞き、その知識と技術に驚愕する。
信長は静子の才能を高く評価し、彼女に富国強兵のための役割を与えようとしていた。

千五百六十六年九月下旬

米の収穫中に、静子はニホンミツバチの巣箱を確認しに出かけた。
この巣箱は、かつて彼女がヴィットマンと再会し、野盗に襲われた場所に設置されていた。

信長に報告後、その付近の野盗は一掃された。巣箱の確認では、ヒノキの葉を燃やし煙を利用して、ミツバチを巣箱に追い込み、女王バチを見つけて新しい巣箱に移す作業を行った。

この方法により、簡単に蜂蜜が採取できた。
採取した蜂蜜は約10キロで、その殺菌作用を利用し傷口の消毒にも使えるが、主に信長への献上物として考えられていた。

千五百六十六年十月上旬

収穫が終わった静子は、献上品を準備して信長の城へ向かう。
米俵のサイズによる混乱があり、信長は最初怒りを見せるが、静子の説明と計算によって解決策を見出す。

一方で、山間部の村から支援を求められた静子は、その村の水資源と林業の問題に対する具体的な解決策を提案し、実行に移す。

山への移動で静子以外は疲弊するが、静子は以前からの山での活動で鍛えられていたため、問題なく動ける。

静子の指導の下、村の問題に取り組む準備が整う。

二作の村を調査した静子は、川の水が土砂で汚染されていることや、森林が適切な管理を受けていないため土壌が悪化している状況を確認した。

村の周辺の環境が悪化し、動物が近づかないことで、食料や生活資源が不足していることが明らかになった。
静子は、間伐による森林の健全化や川の水をろ過する即席のろ過装置を作成し、さらに井戸を掘る計画を立てる。

作業は順調に進み、村人たちも協力的だったが、井戸の適切な場所を見つけることができずに苦労する。

しかし、カイザーが井戸掘削の適切な場所を見つける手助けをする。静子と村人たちは、カイザーが示した場所で井戸を掘り始めることにした。

静子が利用した井戸掘り道具はハンドオーガーと呼ばれる地質調査のための簡易な掘削機である。

カイザーが示した場所で、3メートル程度掘り進めると地下水が含まれた土が見つかり、更に深く掘ることで清潔な地下水を確保することができた。

地下水が飲用に適しているかの確認は、カイザーが水を実際に飲むことで行われた。
成功して井戸が完成し、清潔な水が確保されることになった。

その後、静子の元に森可成が訪れ、彼には彩という九歳の少女が伴われていた。

彩は静子の小間使として、また森可成への連絡係として仕えることになる。

静子は小間使に対して敬意を表するが、その行為は森可成や彩にとっては非常に珍しいものであった。

森可成はこれが静子の魅力の一つであると述べ、彩に静子に誠心誠意仕えるように命じる。彩はその任を誇りとし、静子への忠誠を誓う。

千五百六十六年十月中旬

静子の村では主要な農作物の収穫が終わり、だらけムードが蔓延していたが、生活に必要なものは十分に確保されていたため、大きな作業はなかった。

秋はきのこの季節であり、静子は彩を連れてキノコ狩りに出かけた。
彼らの目的は様々な種類のキノコを収穫することで、山の持ち主である信長から特定の資源以外は報告せずに利用してよいとの許可を得ていた。

静子は特に松茸や椎茸の収穫に意欲を見せていた。

静子と彩はキノコ狩りを終え、椎茸の栽培場所を訪れ、多量に育っていた椎茸を収穫した。

静子は椎茸の価値を理解しておらず、彩はそれを乾燥させることによってその価値を最大化する提案をした。

さらに、彩は静子の椎茸に関する見識を尋ね、静子が農林水産省直轄の農業高校に入学した経歴を持つことを明かした。

彩は静子が広範な知識を持っている理由を理解し、彼女の素性について更に興味を持ったが、静子の出自や背景については依然として謎が深まるだけだった。

千五百六十六年十月下旬

静子は近日中に起こる月食について悩んでおり、村人たちが不安を感じないように、月食を童話風に説明することに決めた。

一方で、彩は静子の部屋の掃除をしながら、静子の持っている奇妙な物を発見し、特にクロスボウに興味を持った。

静子が持っているクロスボウは、一般的なものからコンパウンドタイプまで3種類あり、狩猟に適しているが、戦場では使用できないとされていた。

彩はクロスボウを信長に報告することにし、静子から簡単に借りることができた。
信長はクロスボウを戦場では使えないと判断しつつも、南蛮の技術に詳しい静子の存在を高く評価した。

信長はこの技術を改良し、日本でも使えるようにすることを考えていた。

千五百六十六年十一月中旬

数週間前に米の収穫を終えた後、季節外れの台風が日本列島を襲い、静子の住む村も影響を受けた。
村周辺の山は、横からの力に弱い深根性の樹種によって囲まれており、土砂崩れや土石流の危険があった。

彼らの村は以前、木を伐採して金になる楢や檜を植林し、結果として周辺の環境を悪化させてしまった。
台風による長時間の強雨の後、静子は村の様子を確認し、田んぼや畑が大きな被害を受けているのを発見した。

大豆畑だけが収穫前で被害を受けた。村人たちは復旧作業に励むが、土砂崩れが発生し、道が塞がれる事態になった。
そのため、静子は周辺地域の状況を調査し、他村との争いを避けるための措置を講じた。

静子は大量に収穫できる薩摩芋を栽培し、村の食糧問題に取り組む一方で、自然災害の復旧作業や他村との関係を管理し、平和を維持する努力をした。

彼女の村は最終的に信長に花崗岩を売り、その収入で村の復旧と発展に貢献した。
宴会で二作の村と合同で盛大に祝い、二つの村の絆を深めた。

千五百六十六年十二月上旬

十二月に入り、大豆とサトウキビの収穫時期になった。

大豆は軍馬の飼料として貴重であり、豊作だったが塩が不足している。
静子は、流下式塩田の改造や米の人工交配、農地拡張のための人手不足の解決策を考えている。

サトウキビからは黒砂糖を作成し、これは戦国時代では高級品とされていた。
信長は静子の献上品を軍資金や軍馬の飼育に役立つと評価し、任意の報酬を約束する。

静子は農地拡張のための人手として200名を要求した。信長はこの要求を受け入れる。
その後、静子はある少年に「孫子の兵法」などについて語るが、少年の正体は不明のまま彼は去っていく。

千五百六十六年十二月中旬

十二月中旬、静子の家に囲炉裏が完成した。

これは暖房、調理、照明など多機能を提供する伝統的な日本の家屋の設備である。

さらに、静子は座椅子を簡易的な寝所として使用して快適に過ごしていた。

冬の寒さ対策として、村人は普段より活動時間を短縮し、温泉のぬるま湯を使った洗濯や汁物中心の食事に切り替えていた。

静子は寒さによる生理的・心理的負担を軽減するために、湯上がりのストレッチとラジオ体操を提案し、村人に広めた。

これらの活動は村人の間で好評で、朝のラジオ体操と夕方の入浴後のストレッチが日常となった。

これにより、戦国の世とは思えないほど穏やかな時間が村に訪れた。

同シリーズ

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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