小説「とんでもスキルで異世界放浪メシ 12巻」感想・ネタバレ・アニメ化

小説「とんでもスキルで異世界放浪メシ 12巻」感想・ネタバレ・アニメ化

11巻 index 13巻

どんな本?

高校生の異世界転移に巻き込まれたムコーダは、戦闘面では全くの無能だったので戦争に巻き込まれ無いように別の国へ行く。

その道中に、ムコーダの料理に魅入られた伝説の魔獣フェンリルが仲間に加わり、さらに生まれたばかりのスライムも仲間になる。

アニメ化?

読んだ本のタイトル

#とんでもスキルで異世界放浪メシ 12 鶏のから揚げ×大いなる古竜
著者:#江口連 氏
イラスト:#雅 氏

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あらすじ・内容

ダンジョンの奥で、でっかい出会い!?

「勇者召喚」に巻き込まれ、現代日本から異世界へとやってきたサラリーマン、ムコーダ。
彼はフェル達に押し切られてブリクストのダンジョンに挑み、前人未到の40階層で一度地上に帰還する。
そして新たなテナント(ドラッグストア)の解放や大量のドロップアイテムの整理、神様達へのお供えや料理の作り置きを終え、再びダンジョンへと突入するのだった。
難関と名高いブリクストのダンジョンを怒涛の勢いで突き進むムコーダ一行。
過酷な環境を乗り越え、強力な魔物の数々を打ち倒し、彼らはついにダンジョンの最下層へと辿り着く。
そこで創造神様が教えてくれたヤバい奴と遭遇するムコーダ一行だが、そいつとフェルの間には浅からぬ因縁があった!
そして強大な力を持つ二つの存在が、ダンジョンの最奥で激突する……!?
「小説家になろう」10億PV超のとんでも異世界冒険譚、最大級の出会いが待つ12巻!

とんでもスキルで異世界放浪メシ12 鶏のから揚げ×大いなる古竜

前巻からのあらすじ

いよいよ難関のダンジョンに突入するムコーダ一行。

ダンジョンの上層では、いままでムコーダは単独で狩をしていたせいで、スイはサーチ&デストロイのクセが付いてしまって。

他の冒険者が戦っているのに横取りするように酸玉を命中させる。

ムコーダはスイにその行為はダメだと説明するが理解してもらえない状態。

セーフティーゾーンでスイに改めてやってはいけないと、スイに説明して何とか理解してもらい。

たまたまセーフティーゾーンにいた冒険者たちに謝るスイ。

さらに下層に行くと、冒険者が少なくなっており、セーフティーゾーンで料理をする。

感想

ダンジョンの下層の攻略を再開して広大な森林、砂漠、雪原と嫌がらせのような広い階層が続く。

フェルの背中に乗って移動しているムコーダでも嫌気がさすほど広い。

上層のダンジョで活躍してる冒険者にはまず無理だとムコーダは思ってしまう。

特に極寒のダンジョンでは、爬虫類であるドラちゃんがダウンしてしまうほど過酷。

そんな中なのに元気なスイって、、

それでも最下層の47階層へと辿り着くと、、

そこには黒竜がいた。

ドラちゃん単体では倒せないと言ってた黒竜だったが、そんな黒竜が吠えたら急に黒竜がボコられて瀕死になってしまう。

そこには、主神が気をつけろと言った存在が居た。

最下層のボスモンスター、ブラックドラゴンを超える存在。

古竜、エンシェントドラゴン。

どうやらフェルと知り合いだったらしくフェルと口喧嘩をする始末。

そこにスイが割って入って、フェルに主が居ると聞いて笑う古竜。

古竜が嘲笑っても、ムコーダの価値を知らないあんな事を言えるんだと可哀想な奴を見る目で古竜を見る3匹。

そんな、古竜が生肉が至上だと言ったらフェルに非常に残念な奴を見る目で見られてしまい。

自身がそんな目で見られてる事に面白く無い古竜。

それなら食わせてみろと言って、ムコーダの料理を食べると即堕ちする。

従魔になると言うのだが、あまりにも目立つのでムコーダはこれ以上は要らないと言う。

古竜は強引にしかも300年限定の従魔になった。

その後はドラゴンが出たと大騒ぎになるのはお約束なんだが、、

あまりにも強大な戦力を得たムコーダは色々と疑われたが、、

ムコーダはあり得ないと言う。

そして、いつもお供物をしている神々の教会に寄付金を配って行って感謝されたのだが、、

翌日、ルバノフ教の者がムコーダの滞在している家に金の無心に来た。

ルバノフ教は神々曰く、ルバノフが金を集めるために作った組織で神々からしても迷惑に思ってる宗教らしい。

そんな宗教の連中は、ムコーダに他の教会より多く払えと言って来たのだが、、

ムコーダはルバノフ教には鐚一文払いたく無いとハッキリと言う。

そしたら激昂して斬りかかって来た。

それを制圧して騎士団に渡して終わり。

これ以上、関わりたく無いのでサッサとカレーリナへ帰ろうとゴン爺の背中に乗ってサッサと去って行く。

これが大騒ぎになるとは知らずに、、

最後までお読み頂きありがとうございます。

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11巻 index 13巻

展開まとめ

第一章 ムコーダ一行、荒野に立つ

再攻略とズラトロクの討伐
ムコーダ、フェル、ドラ、スイはブリクストのダンジョンへ再突入し、転移石で四十階層に移動した後、二日かけて森を突破した。再び遭遇したズラトロクには、未対戦であったドラが先陣を切り、氷・火の連続攻撃で胴体に風穴を開けて瞬時に沈めた。ドロップは毛皮・蹄・魔石であり、希少な毛皮は回収した。

ヴィオレットベリーの採集
一行は再生していたヴィオレットベリーを大量採集した。フェルが警戒を担い、ムコーダとドラ、スイが摘み取りを行い、前回同様に大袋五つ分を確保した。

四十一階層の荒野と毒禿鷲
階段を下りた先はどこまでも続く荒野であった。上空からはポイズンヴァルチャーが間欠的に襲来したが、遠距離の魔法で落とせるため脅威は限定的であった。夜間は零下相当の寒さとなり、食料と水が得られない環境は精神を摩耗させる設計であるとフェルは分析した。

荒野階層の性質と突破
泉や食用ドロップが存在した森階層と異なり、この荒野では補給が不可能であった。ムコーダはネットスーパーとアイテムボックスの恩恵を自覚しつつ、六日間の進行の末に下層への洞窟入口へ到達した。階層主は不在で、道中の宝箱は毒ガスの罠であり、中身は金貨一枚のみだった。

連続する荒野と強行日程
次の階も荒野であったため、フェルは早期離脱を主張し、ドラとスイも賛同した。ムコーダの反対は通らず、一行は三日で駆け抜けた。ムコーダは激しい移動で体調を崩し、栄養ゼリーで凌ぐ日々となった。

洞窟での休息と卵雑炊
十五階層への洞窟手前で一泊し、フェル、ドラ、スイは作り置きのカツサンドを食した。ムコーダは弱った胃をいたわり、土鍋で卵雑炊を拵えて回復に努めた。

一四六階層の砂漠と連戦
さらに下りた先は一面の砂漠であり、フェルは魔物の豊富さを感知した。襲来したサンドスコーピオンの群れは、フェルの爪撃で群れ長ジャイアントサンドスコーピオンが瞬殺され、残余もドラの氷魔法とスイの酸弾で掃討された。

巨大フンコロガシとの遭遇
黒い殻の魔物タイラントスカラベが糞球を転がして突進したが、ドラの巨大火球で糞球ごと爆散した。ムコーダは汚染を嫌い、魔石の回収を見送って進行を優先した。

砂漠の魔物と山駱駝
道中では砂漠特有の魔物を次々と撃破し、サンドワームもスイの大型酸弾で処理した。遠方に現れた山駱駝は鑑定により温厚ながら巨体ゆえの危険性と有用素材の乏しさが判明し、フェルの進言どおり狩猟を見送って行軍を継続した。

階層主アペプとの遭遇
砂漠を五日進軍した一行は、下層への階段を収めた石造建造物に到達した。建物には漆黒の巨蛇アペプがとぐろを巻いており、鑑定によりSランクかつ超強力な毒を放つ存在であることが判明した。アペプは襟状の皮膚を広げて威嚇し、戦闘は不可避となった。

致死毒への備えとフェルの回想
フェルは過去の遭遇を語り、加護取得前は毒によって周囲のサボテンが砂のように崩れ落ちるほどの破壊性を目撃し、遠距離魔法で辛勝したと述懐した。現在は神々の加護と強化された結界により致命傷は避けられるが、ムコーダの衣服や装備は毒で崩壊し得るため、結界の内側からの戦術を徹底する判断であった。

電撃戦の開始と瞬殺
ドラとスイは先陣を切り、ドラの特大ファイヤーボールとスイの高威力酸弾が直撃した。結果、アペプの頭部は跡形もなく消失し、巨体は砂上に崩れ落ちた。フェルが若き日に苦戦した強敵は、二者の火力と成長により瞬時に制圧された。

戦闘後の応酬と進軍再開
勝利に沸くドラとスイに対し、フェルは若年時の苦戦をからかわれつつも進行を優先した。ムコーダは装備保全の観点から結界支援に感謝し、一行は建造物内部へ進入した。

ドロップ品と危険物の処置
アペプの戦利品は魔石・皮に加え、瓶詰めのどす黒い毒液であった。液は時折泡立ち、容器が溶けない点はダンジョン特有の理不尽として受け入れ、二度と取り出さぬ前提でムコーダはアイテムボックスに封印した。

第二章 砂漠のち銀世界

砂漠の夜と温まる献立
四十五階層も砂漠であり、夜間の冷え込みは苛烈であった。フェルの結界で体調は守られたが、体感の寒さは厳しく、ドラは布団に潜って夕食時まで出てこなかった。ムコーダは作り置きのミノタウロス肉の牛丼を主菜に据え、温を取るためネットスーパー製のパックおでんを副菜として追加した。ソーセージを下茹でして投入し、粒マスタードで風味を整え、自身は白菜の浅漬けと白飯で軽めに整えた。

おでんの思わぬ効果と火消し
異世界産おでんは鑑定の結果、二十分間体力・魔力を約一二%上昇させる効果が判明した。戦闘過多を避けたいムコーダは、フェルらに牛丼のお代わりを促して摂取量を抑制した。フェルは怪しみつつも応じ、ドラとスイも肉中心に切り替えたため、効果の暴発は避けられた。

長期攻略前提の判断
砂漠と荒野が連続する広大な階層構成により、一行は到達まで二週間超を要した。ムコーダは地上の借家を途中解約しており、戻った際は再手配か冒険者ギルド施設の利用を検討すると振り返った。フェルは「通常の冒険者では踏破はほぼ不可能」と分析した。

階層主アメミットの出現
石積みの箱型建造物を巡回する巨大魔物は、頭がワニ、上半身がライオン、下半身が無毛でカバに似た外観であった。鑑定により名はアメミット、砂漠に棲むSランクで「貪り食うもの」と恐れられる凶暴種と判明した。フェルは先陣を譲らぬと宣言し、ドラとスイは観戦に回った。

フェルの一閃と制圧
突進する巨体と交差した瞬間、フェルの爪撃がアメミットの左側面を深く抉り、内臓まで断ち切って即座に沈黙させた。ドラは悔しがりつつ称賛し、スイは素直に歓声を上げた。ムコーダは間近まで迫った巨体に肝を冷やし、フェルから「どんと構えよ」とたしなめられた。

戦利品と不穏な宝
ドロップは黒い皮、巨大な魔石、そして幾何学文様の派手な箱であった。中にはゴルフボール大のブルーダイヤモンドが収められており、鑑定により王妃が国を唆してまで奪わせた逸話を持つ稀少宝と判明した。ムコーダは不吉を覚えて箱を閉じ、アイテムボックスに封印した。

次層への移行
階層主の制圧後、一行は四十五階層の砂漠を後にし、さらに下層へ進んだ。寒暖差と広大な地形で消耗させる構成に対し、結界、補給、迅速な决戦の三点で対処しつつ、攻略を継続したのである。

銀世界への退却と方針確認
四十五階層は一面の雪原であり、想定外の低温にムコーダは即座に撤退した。寒冷環境に耐性のあるフェルとスイも驚き、寒さに弱いドラは気力を失っていた。攻略中止案はフェルにより即否定され、準備を整えたうえでの再突入方針が確認された。

防寒装備の調達と結界運用
ムコーダはネットスーパーで防寒着を大量調達した。上半身は高保温インナー・シャツ・フリース・ダウン、下半身は保温レギンス・ズボン・ナイロンパンツを重ね、ワイバーンのマントを外套とした。足元は厚手ソックスとワイバーンブーツ、手は厚手手袋、頭部はニット帽と耳当てで保護し、貼るカイロを全身に配した。フェルの結界下で体感は約−5℃に緩和されたが、それでも厳寒であった。

ドラの寒さ対策と行軍体制
変温動物に近い体質のドラは貼るカイロを腹背に多数貼付し、ムコーダの背とマントの間に収まる形で移動した。フェルは鼓舞しつつも環境適性の差を認め、速やかな突破を優先する編成に切り替えた。

スイの耐寒性と規格外性
スイは結界下の寒冷を「少し涼しい」程度と評し、耐寒性の高さを示した。ムコーダとフェルは、回復薬生成から鍛冶、強力な攻撃までこなすスイの万能ぶりを再確認し、士気の維持に繋がった。

アイスドラゴン談義と心理の揺れ
フェルは極寒地帯に棲むアイスドラゴンの存在と肉の美味を示唆し、スイは遭遇を期待した。ムコーダは強敵出現を懸念して内心否定的であったが、全員の準備完了をもって進軍を決断した。

極寒階層への再進入
装備と結界の二重防御を整え、ムコーダとスイを背に乗せたフェルが先導して四十五階層を進行開始した。目的は迅速な通過であり、寒冷による消耗を最小化しつつ次の攻略段階へ移る構えであった。

第三章 水炊きで体の芯までポッカポカ

極寒下の野営準備
四十五階層に入って三日目、一行は雪原を強行突破しつつも日没で行軍を停止した。ムコーダはフェルの結界内にブルーシートを敷き、その上へスノージャイアントホーンラビットの毛皮を重ねて断熱床を作成した。毛皮は水気に強く保温性が高く、スイの分身体による清掃で清潔を保っていた。寒さに極端に弱いドラは鞄の中でフリースにくるまり休息を取った。

雪原の常在魔物と資材確保
当該階層は白色の保護色と隠密性を持つスノージャイアントホーンラビットが高頻度で出現し、毛皮・角・肉・魔石を継続的に供給した。並行してスノーコッコ(大型の白色鳥類)の肉も確保し、後続の食事計画(焼き鳥)を見据えた蓄えを進めた。

水炊きの調理と温熱効果
ムコーダは鍋による迅速な温熱補給を選択し、スノーコッコのもも肉を主材とする水炊きを調整した。昆布水に顆粒鶏がらスープでコクを補い、白菜・水菜・長ネギ・豆腐・しめじ・えのきを加えて仕上げた。食味はポン酢を基調とし、柚子胡椒で辛味と柑橘香を付与して可変性を持たせた。スイは熱耐性を活かし先行して摂取、フェルは柚子胡椒を多量に要求して辛味嗜好を示し、ドラは汁気多めの具を優先して深部体温の回復を図った。締めは雑炊とし、肉と野菜のうま味が溶け込んだスープで全員の体温と士気を底上げした。

雪原戦闘の継続と階層主への到達
二日間の進撃で、常在のスノージャイアントホーンラビットとスノーコッコに加え、スノーカリブー(巨体のトナカイ)、スノーパンサー(白豹)、ジャイアントスノータイガー(大型虎)などA〜Sランク個体を逐次撃破し、階層主の居館へ到達した。

階層主イエティの出現と交戦
石造の箱型建造物前に、白毛の二足歩行猿型Sランク魔物イエティが出現した。鑑定では「捕らえた獲物を引き千切る腕力」「強い縄張り意識」を確認した。スイが志願し先行、酸弾で腹部に有効打を与えたが、イエティの渾身の反撃で一時的に掴まれた。スイは即応で顔面へ酸を叩き込み、イエティは絶叫ののち倒れた。ムコーダは直行してスイの無事を確認し、フェルは「仕留めまでの油断禁止」を指導して再発防止とした。

戦利品と寒冷対策の強化
ドロップは特大魔石と白い宝箱であり、内部には「イエティのマント(保温効果大)」が収納されていた。同マントは寒冷地適性を飛躍的に高める装備であり、特にドラの行動維持に資するため即時採用が決定された。

次層への遷移
装備を更新した一行は、四十五階層を離脱して四十六階層へ降下した。極寒環境に対しては、結界・断熱床・高温食といった三点の運用で体力を温存しつつ、攻略を継続する体制であった。

極寒環境への適応
四十六階層は予想通り前階と同じく一面の銀世界であった。ドラは寒さに弱かったが、直前に得たイエティのマントにより保温が確保され、戦闘に参加可能となった。ムコーダはマントの効果を確認し、一行は態勢を整えた。

階層主との遭遇
進軍四日目、雪山前に鎮座するアイスドラゴンが姿を現した。白銀に淡青を帯びた外観は美しかったが、過去にフェルが二度戦ったことがある強敵であった。フェルは勝利経験から自信を示し、スイも肉を求め参戦を志願した。

激闘の展開
戦闘はアイスドラゴンのブレスで開始され、直撃した木々が瞬時に凍結・崩壊した。フェルは噛みつきを回避し爪撃で反撃、スイは酸弾で脚部を狙ったが硬質の鱗に阻まれた。それでも牽制は成功し、二度目のブレス発動前にフェルの爪斬撃が首を落とし、スイの大酸弾が胸を貫いた。巨体は雪原に沈み、戦闘は終結した。

戦利品と食材
ドロップは真白の肉塊、白銀の皮、眼球と肝を収めた白壺、太い牙、超特大魔石であった。フェルは肉を美味と評し執拗に追加戦を望んだが、ムコーダの制止により初戦で撤収となった。

最下層への兆し
雪山の洞窟を抜けた先が最下層とフェルにより示唆された。デミウルゴスの言葉が思い起こされる中、フェルは「彼奴」と呟き険しい視線を階下に向け、ムコーダ、ドラ、スイはその後に従った。

第四章 超巨大ドラゴン現る

最下層の異変
四十七階層に到達した一行は、これまでと異なる巨大なドーム状の洞窟に踏み入った。入室と同時に扉は自動で閉ざされ、退路が断たれる。中央にそびえる黒岩を前にフェルは無言の警戒を続けた。

黒竜との遭遇
黒岩の陰からブラックドラゴンが出現。ドラは黒竜が即死級の呪いを使うという伝承を指摘し、ムコーダは三十階層で得た一度限りの解呪ペンダントの存在を思い出す。強敵出現に一行の緊張は高まった。

古竜の覚醒
突如、黒竜は何者かの一撃で瀕死に追い込まれる。動き出した黒岩の正体は、フェルと因縁を持つエンシェントドラゴンであった。両者は再戦を望み一触即発となるが、スイが仲裁に入り戦闘は回避された。

食をめぐる応酬
古竜はムコーダに料理を所望し、フェルは「飯のために従魔となった」と揶揄される。生肉こそ至高とする古竜に対し、フェルは「されど飯」と反論。両者の言い争いは食の価値観に及び、古竜は「儂にも食わせよ」と要求した。

意趣返しの策
フェルは要求を拒み、「古竜の前で豪華で香り高い料理を食って悔しがらせる」と提案。ムコーダは仕方なく調理に応じる決意を固め、ニンニク香る料理を思案しながら最下層突破の糸口を探った。

最下層の到達と黒竜の出現
四十七階層は広大なドーム状の洞窟であった。扉が閉ざされ退路が断たれる中、中央の黒岩を注視するフェル。やがてその陰からブラックドラゴンが姿を現し、強力な呪いを放つ存在であると判明した。三十階層で得た解呪のペンダントの意味がここで繋がるとムコーダは理解した。

古竜の覚醒と圧倒的存在感
しかし黒竜は突如何者かの一撃で瀕死に追い込まれる。正体は黒岩に擬態していたエンシェントドラゴンであり、フェルと過去に因縁を持つ存在であった。両者は再戦を望んで一触即発となるが、スイが割って入り戦闘は回避された。古竜は人語を操り、ムコーダが従える人間に強い関心を抱いた。

食をめぐる論争
会話はやがて「飯」へと移り、フェルは「美味なる食事のために従魔となった」と語る。古竜は半信半疑ながらも食欲を刺激され、ムコーダの料理を求めた。フェルは拒絶し、代わりに古竜の前で豪華な食事を楽しみ悔しがらせる意趣返しを提案する。

ガーリックステーキの饗宴
ムコーダはギガントミノタウロス肉とダンジョン牛上位種を用いたガーリックステーキを調理。ニンニクの香りが洞窟に広がり、フェル・ドラ・スイは爆食する。香りに耐えきれなくなった古竜は抗議し、遂には体を縮小して摂食量の問題を解消。ステーキを口にした古竜は「うまい」と絶叫し、価値観を覆された。

古竜の従属宣言
フェルが「二度と食わせぬ」と突き放すと、古竜は「従魔となる」と宣言。フェルは気まぐれで従魔に相応しくないと反対したが、古竜は「仮の従魔として三百年」を条件に強引に承諾を取り付けた。ムコーダが曖昧な態度を取ったことで契約は成立し、一行に古竜が新たに加わることとなった。

ガーリックステーキの饗宴
ムコーダはギガントミノタウロスとダンジョン牛の上位種を用いてガーリックステーキを調理した。ニンニクの香りに食欲を刺激されたフェル、ドラ、スイは次々と平らげた。耐え切れなくなった古竜も縮小化して参加し、その美味さに絶叫した。次の料理は全員一致でから揚げと決まり、食を通じて和が広がった。

古竜への命名と新たな従魔契約
食後、古竜はサイダーに感動し、名付けを求めた。ムコーダがうっかり「ゴン爺」と口にしたことでその名が定着し、古竜は大きく不満を示した。しかし、フェルやドラも同様に安易な名を付けられた過去を語り、最終的には「飯の美味さが全て」として折り合いがついた。こうして古竜は仮の従魔として三百年付き従うこととなった。

ブラックドラゴンの最期と戦利品
瀕死のまま放置されていたブラックドラゴンが復活しブレスを放とうとしたが、ゴン爺のドラゴンブレスにより一撃で消滅した。ドロップは超特大の魔石、漆黒の皮、鋭い爪、そして呪骨であった。呪骨は強力な呪術素材とされ、扱いに難があるため保留された。

財宝洞窟の発見と回収
ゴン爺が開けた小洞窟には長年の戦利品が蓄えられており、金銀財宝や複数の魔剣が含まれていた。一行はマジックバッグを駆使して全て回収し、ムコーダは怪しい魔剣を奥深くにしまい込んだ。フェルによれば洞窟の壁を開ける芸当は、ゴン爺の桁外れの魔力による力技であった。

地上への帰還準備
最終階層の中央には転移魔法陣が現れ、一行は地上へ戻る段取りを整えた。ムコーダは、ゴン爺の従魔登録が人間社会で大騒ぎになることを予感しつつも、ひとまず帰還を目指すこととなった。

第五章 お前、この大陸に覇を唱えるつもりなのか?

従魔登録と冒険者ギルドへの方針
ムコーダたちは転移の後、石壁に囲まれた小部屋に現れた。仲間たちはから揚げを楽しみに騒いでいたが、ムコーダはゴン爺の従魔登録や宿探しなどの課題を思い出し、冒険者ギルドへ向かう必要を説いた。フェルは以前の自身の従魔登録の騒動を例に挙げ、今回も混乱を予期した。ゴン爺は巨大な体格と威圧感を持つため、周囲の反応はより大きなものになると推測された。

冒険者との遭遇と混乱
小部屋を出た直後、冒険者五人組と鉢合わせした。彼らはゴン爺の姿に硬直し、汗を流して動けなくなった。ムコーダは冒険者を無視して通路を抜け、ダンジョンの外へ出たが、出入口では兵士に槍を突き付けられた。フェンリルやドラゴンの存在が露見し、周囲の冒険者も警戒して武器に手をかけ、現場は緊張に包まれた。ゴン爺は不用意に声を出し、フェルに注意されるが、両者とも声を発してしまい、さらに状況を悪化させた。

街への入場と冒険者ギルド到着
ムコーダは従魔であることを繰り返し説明し、兵士や市民を説得しながら街へ入った。道中では従魔の存在に市民が混乱しないよう、大声で従魔だと宣言し続け、喉を枯らすほどであった。ようやく冒険者ギルドに到着したが、内部は緊張に包まれ、冒険者たちは得物に手をかけて警戒を解かなかった。ムコーダはギルドマスターを求めて職員に声をかけた。

フェルとゴン爺の言動による緊張
ゴン爺は冒険者の武器を侮る発言をし、フェルもそれに応じて武器の価値や冒険者の矜持を語った。両者は互いの容姿を罵り合い、額をぶつけて睨み合う騒動を繰り返した。ムコーダは声を荒げて制止し、夕食抜きの罰をちらつかせてようやく二人を大人しくさせた。ドラちゃんとスイは落ち着いており、ムコーダは年長の従魔たちに振り回される自分を嘆いた。

トリスタンの登場と失神
ギルド内の緊張が続く中、ムコーダは早くトリスタンの到着を願った。やがてトリスタンが現れ、笑顔で迎えたが、ゴン爺の姿を見た瞬間に白目をむいて倒れてしまった。ムコーダは慌てて抱え、頭を打たぬよう支えながら呼びかけたが、状況は混乱したままであった。

副ギルドマスターの介入と移動
トリスタンが失神して混乱する中、副ギルドマスターのバルトロメオが現れ、職員にトリスタンの搬送を指示したうえで、ムコーダ一行を倉庫へ案内した。広い倉庫での面談となり、周囲の人払いは既に済んでいた。

古竜従属の確認と不信
バルトロメオはゴン爺が古竜であると見抜き、伝説の存在が人の従魔になるはずがないと疑義を呈した。ムコーダは従属が事実であると説明し、ゴン爺も自ら従属を明言した。フェルも人語と従属を示し、冒険者ギルドへの登録済みであると補足した。バルトロメオは、フェンリル従属の報が王国上層部を騒がせ、各国の政治判断にも影響した経緯を語った。

覇権意図の問いと抑止の確約
バルトロメオはムコーダに大陸覇権の意図をただした。ムコーダは家での穏やかな生活と旅、そして美味い食事を望むだけで、覇を唱える意志はないと明確に否定した。フェルとゴン爺は、相手が手出ししなければ干渉しないが、ムコーダに危害が及べば容赦しないと圧を示し、ムコーダはこれを制止した。バルトロメオは扱いの巧みさを認め、信頼を表明した。

従魔登録とダンジョン踏破の実情
ムコーダはギルドカードを提出し、ゴン爺の従魔登録を完了させた。続いてブリクストのダンジョン情報を提供し、最下層のボスがブラックドラゴンであること、ゴン爺は約二百年前から寝床としてダンジョンに入り込んでいたことを説明した。四階層以降の荒野・砂漠・極寒地帯の広大さが補給面で致命的であり、一般的なパーティーの踏破は現実的でないことを示した。バルトロメオは有力冒険者の流出を懸念し、情報公開の時期を上と協議するまで秘匿するよう求め、ムコーダも同意した。ドロップ品の買い取りは復帰後のトリスタンが担当するとして、明後日の再訪が決まった。

商人ギルドでの住居確保
一行は商人ギルドでも従魔の正当性を示して手続きを進め、前回以上に広い一棟の屋敷を一週間金貨百六十枚で賃借した。肝の据わった商人が鱗の取引をほのめかす一幕もあったが、最終的に広い庭と豪奢な内装を備えた屋敷への入居が整った。

塩レモンのから揚げと食卓
ムコーダは大ぶりのコカトリス肉で、醤油ベースと塩ベースに加え塩レモンを用いた変化球のから揚げを大量に調理した。ゴン爺は山盛りの皿を重ねて絶賛し、フェルとスイもおかわりを連発した。ドラちゃんは塩味の違いに気づき、ムコーダは塩レモンの風味で揚げ物がさっぱりする利点を語った。食後は一行が飲み物で寛ぎ、満足の夕餉となった。

入浴の号令とゴン爺の初風呂
食後、ムコーダは入浴を宣言し、ダンジョン帰還を理由にフェルの逃亡を牽制した。さらにゴン爺の体の汚れを確かめて入浴を指名した。風呂を知らないゴン爺には同行を促し、フェルには入浴を拒めば食事抜きと通告して従わせた。こうして一行は新居での夜を整えて締めくくった。

広大な浴場と入浴作法の徹底
ムコーダは豪奢で広大な浴場に感嘆しつつ、ドラちゃんとスイに先湯での洗い流しを指示し、入浴作法を徹底させた。湯を浴びた二体は大浴槽で寛ぎ、ムコーダはフェルへの洗浄準備を進めたのである。

フェルの洗浄と水跳ね騒動
ムコーダは新調した低刺激の犬用シャンプーでフェルを念入りに洗浄した。スイの“シャワー”で泡を流した直後、フェルが身震いして湯と泡を飛散させ、ムコーダは被害を被った。ゴン爺は結界で自衛して難を逃れ、ムコーダは抗議しつつも作業を続行した。

ゴン爺の初入浴と“デッキブラシ”洗浄
ムコーダはゴン爺にスイの湯掛けを行い、ボディーソープとデッキブラシで全身を洗浄した。ゴン爺はブラシの刺激を心地よいと受け止め、広い浴槽での湯浴みを満喫した。浴槽の湯量が増し、ドラちゃんとスイが流されそうになる一幕もあったが、ムコーダが素早く保護して事なきを得た。

食事談義と称号の可能性
湯に浸かりながら一行は夕餉のから揚げを回想し、塩レモン風味の好評を語り合った。ムコーダは調理がいつもより迅速だった体感を打ち明け、ドラちゃんはレベル上昇を否定、ゴン爺は称号付与の可能性を示唆した。ゴン爺は過去に勇者が称号補正を誇示しつつ挑んで返り討ちに遭った逸話を語り、称号が能力を底上げする事例を示した。

ステータス確認と新称号の判明
ムコーダは自身のステータスを確認し、称号に孤独の料理人が追加されていることを把握した。説明には一人で大量の美味しい料理を作り続けた者に与えられ、単独調理がスムーズかつ高速化される効果と記されていた。調理の効率化という実利はあったが、職業表示の変化にムコーダは複雑な心境を吐露し、風呂場に嘆きが響いたのである。

第六章 金銀財宝ザックザク

朝食と新称号の効能
ムコーダはギガントミノタウロス肉で牛丼を調理し、包丁さばきや段取りが明らかに高速化していることを自覚した。称号「孤独の料理人」による単独調理の効率化が作用し、食いしん坊の四体は朝から満腹となってリビングで寛いでいた。

ドロップ品の整理と方針
ムコーダは四十階層以降の収穫を整理し、希少な毛皮や巨大魔石、毒針や皮袋などを分類した。ブラックドラゴン由来の素材や極寒地特産の毛皮群、階層主の宝箱由来の高級宝石が含まれており、特にアメミット産の大粒ブルーダイヤモンドは目を引いた。ズラトロクの毛皮は三枚となり、献上の活用を視野に入れたが、重複献上の是非は後日に判断することとした。また、ゴン爺が長年ため込んだ金インゴットや大粒宝石、宝飾品、各種魔道具、マジックバッグ、伝承級の魔剣などが大量に存在し、黒竜討伐の積み重ねを想起させた。

冒険者ギルドでの大口取引
一行は倉庫でトリスタンとバルトロメオに応対され、宝石・宝飾・魔石・毛皮・ドラゴン素材などの買い取りが進んだ。トリスタンは寒冷地素材とドラゴン素材を優先して確保し、金インゴットや大粒宝石、マジックバッグも一括購入したが、大粒ブルーダイヤモンドは資金都合で断念した。決済は白金貨五百五十枚、総額金貨五万五千枚に達し、両名は前例のない規模の取引に感嘆した。

献上品の選定と助言
ムコーダはエルマン王国とレオンハルト王国への献上を相談し、同一品の重複は避けるべきとの助言を受けた。トリスタンは王妃が装う場面を想定し、指輪・ネックレス・イヤリングの三点で宝石を統一する構成を提案した。ムコーダはこれを踏まえ、ズラトロク素材の配分と宝飾の組み合わせを再検討する方針を固め、懸案を整理したうえで一行はギルドを後にした。

休養日と見物人の群れ
ムコーダは大口取引の翌日を休養日に充て、フェル、ゴン爺、ドラちゃん、スイと庭で過ごした。三体は芝生で熟睡し、スイは遊び回った末にフェルの毛を布団に爆睡した。庭先の様子が噂となり、終日見物人が張り付く事態となったが、四体は物怖じせず悠々と眠り続けた。ムコーダはスイの相手でやや疲労を覚えたが、静かな一日を過ごしたのである。

教会・孤児院の情報収集とルバノフ教
翌日、一行は冒険者ギルドでトリスタンに会い、社会奉仕に向けた教会と孤児院の状況を確認した。ブリクストは王都に次ぐ規模で諸教会と孤児院が存在し、概して清貧であったが、ルバノフ教のみが本国資金による贅沢と悪評で群を抜いていた。東区での人攫いと奴隷売買の噂も挙がり、トリスタンは一族にドワーフを持つ立場から強く憤っていた。ムコーダはルバノフ教への布施を断念し、奉仕先の選定にその情報を反映させる方針を示した。

土産選びと宝飾店訪問
ムコーダはカレーリナの家に残る面々への土産を求め、トリスタンの勧めた宝飾店を訪れた。店主と予算を擦り合わせ、セリヤとロッテには淡い色調のローズクォーツとプレナイトの髪留めを、アイヤ、テレーザ、タバサにはアメシスト、ペリドット、ガーネットを用いたブローチを選定した。タバサには装いの機会が増えると見立て、実用と趣味を両立させる品を整えた。

屋台巡りと食いしん坊カルテット
市中を移動する一行に対し、人々はゴン爺の存在に驚きつつも動揺は小さく、人垣が自然に割れて道が開いた。フェル、ゴン爺、ドラちゃん、スイは屋台の匂いに引き寄せられ、肉や煮込みに興味津々となった。ムコーダは本来の用件を説いたが、四体は念話で押し切り、日暮れまで屋台巡りに付き合わせた。ムコーダは苦笑しつつ同行し、街歩きと食の探索で章を締めくくった。

第七章 ブリクストの街でお布施&寄付をしましょう

帰還準備と教会巡りの予定
ムコーダは借り屋敷の返却期限が迫る中、明後日にはカレーリナの街へ帰還する計画を立てた。そのため、今日はブリクストの教会と孤児院を巡ってお布施と寄付を行うことにした。翌日は寄付の報告とともに神々へのお供え物を用意し、夜に引き渡す段取りを整えた。

神々への事前連絡と調整
お供え物の準備に際し、ムコーダは前夜に神々へ連絡を入れた。美容に熱心な女神が新たなテナント「ドラッグストア」の登場で要望に時間をかけると予想され、早めの確認が必要と判断したのである。多くの神々は了承したが、甘味を好む女神だけは供物到着が遅れることを拒絶した。しかし、他の神々からの諭しと創造神の存在を引き合いに出され、最終的に渋々承知した。

帰路とゴン爺の提案
通常は帰路に備えて料理の作り置きを行うところだが、ゴン爺が自らの力を誇り「カレーリナの街までなら一日で帰れる」と断言したため準備は不要となった。移動はゴン爺の背に乗る形になる予定で、ムコーダは落下の危険を念押ししたが、ゴン爺は強い自信を示して約束した。ムコーダはその言葉を信じつつ、残りの滞在日程を進めることとなった。

街での予定と準備
ムコーダはカレーリナの街に戻る前に、ブリクストの街で教会と孤児院へのお布施と寄付を行うことを決めていた。神々への報告と供物の準備は翌日に予定し、今日は巡回と寄付に専念した。同行したのはフェル、ゴン爺、ドラちゃん、スイである。

火の女神アグニの教会
教会は武闘派として知られ、孤児院からは火魔法や槍術の使い手が輩出されていた。指導していたシスターコリンナに事情を説明し、白金貨3枚を寄付した。関係者から厚く感謝されて見送られた。

土の女神キシャールの教会
街で最も信者数の多い大きな教会であった。質素な服装の司祭が感激しながら迎え、白金貨3枚を受け取った。孤児院運営に役立てるよう依頼し、司祭から抱擁を受けるほど感謝された。

水の女神ルサールカの教会
子どもたちが勉強している中庭でフェルたちの存在が注目され、子どもは喜び、従魔たちは相手をさせられて疲弊した。司祭に白金貨3枚を寄付し、特に食費に苦労している現状を聞いた。子どもたちに食事を提供できると司祭は感激していた。

風の女神ニンリルの教会
小規模な教会で、司祭エレウテリオに説明のうえ白金貨3枚を寄付した。孤児院では肉を与えられない現状があり、寄付により子どもたちに肉を食べさせられると感極まって涙した。

戦神ヴァハグンの信者の修練場
教会ではなく集団生活と修練の場であり、元傭兵やその子どもが多かった。初めは緊張が走ったが師範が鎮めた。寄付を申し出ると白金貨3枚を驚きつつ受け取り、感謝された。ここでは対人戦に強みを持つが収入は不安定であり、運営資金は常に不足していた。

薬神の信者の施設
薬師たちの研究とポーション製作の場であり、冒険者ギルドにとって重要な存在だった。寄付を店番の少年に渡すと大喜びし、師匠を呼びに走るほどの反応であった。

鍛冶神ヘファイストスの信者の施設
鍛冶場そのもので、ドワーフたちは寄付を拒み、代わりに武器の購入を勧めた。ムコーダは魔鉄製のウォーハンマーを購入し、代金として白金貨3枚を渡し「見習いに美味いものを食べさせてほしい」と伝えた。鍛冶師は感謝し、ミスリル製の武器を見てさらに精進を誓った。

帰路と食事
すべての寄付を終えた一行は帰宅し、夕食にはハンバーグを用意することとなった。フェル、ゴン爺、ドラちゃん、スイは腹を空かせ、特にスイはチーズ入りを楽しみにしていた。フェルに急かされ街中を爆走したため、多くの市民に目撃される騒動となった。

第八章 恐喝は犯罪です

ルバノフ教一団の来訪
朝食後に休んでいたムコーダの家へ、派手な服装の成金風集団と用心棒が勝手に侵入した。彼らはルバノフ教の司教を伴い、他教会に寄付をしたならば自分たちにも寄付せよと迫った。ムコーダは信条に共感できないとして明確に拒否した。

脅迫と従魔の対応
司教は用心棒に目配せし、剣を抜かせて威嚇した。ムコーダはフェル、ゴン爺、ドラちゃん、スイに「攻撃してきた場合は無力化せよ」と伝える。圧倒的な威圧に用心棒は腰を抜かし、成金たちは這いずって逃げ出した。去り際に「ただでは済まさん」と捨て台詞を残した。

事後の協議
ムコーダはフェルとスイを連れて冒険者ギルドへ赴き、トリスタンに経緯を報告した。トリスタンは王都に向かう際、国王への献上品と合わせて抗議すると述べ、ルバノフ教を牽制する意向を示した。ムコーダは翌日カレーリナに帰る予定であり、街で再び彼らと関わることはないだろうと考えた。

不当な訪問者の来訪
朝食後、ムコーダの家にルバノフ教の一団が押しかけた。成金風の服装をした司教と取り巻きは、勝手に家へ上がり込み、他の教会に寄付したのだから自分たちにも寄付せよと迫った。ムコーダが拒否すると用心棒が剣に手をかけ、完全な恐喝の構図となった。フェルやゴン爺、ドラちゃん、スイが威圧すると、彼らは腰を抜かして逃げ去った。冒険者ギルドのトリスタンに報告すると、王都に抗議を入れると約束された。

鬱憤晴らしの調理
嫌な気分を振り払うため、ムコーダは手間を理由に控えていたミルフィーユカツを調理した。ノーマルとチーズINの二種を揚げ、大量に用意。フェルは素直に言わないながらも尻尾で満足を示し、ゴン爺は唸り、ドラちゃんはソースとの相性を絶賛、スイはチーズ入りを喜んだ。ムコーダ自身も白飯・キャベツ・ビールと共に堪能し、心が和らいだ。

甘味の解禁
食後、デザートを求める声に応じ、甘味を再開することにした。ルールは「今日3個、翌日休み、明後日2個、その後は一日おき」。フェルは苺ショート、ドラちゃんはプリン、スイはチョコケーキを希望。未経験のゴン爺には苺ショート・甘夏タルト・抹茶ケーキを選んだ。試食したゴン爺は抹茶の苦味と甘味の調和を気に入り、次回は抹茶尽くしを望んだ。皆が甘味を楽しむ様子を見て、ムコーダは嫌な出来事を忘れ、平穏な夕食を終えた。

神々へのお供え
ムコーダは翌日のカレーリナ帰還に備え、一行を休ませたのち神々と交信した。寄付の報告に対し、四女神や武神、鍛冶神から感謝の言葉が寄せられたが、ニンリルのみは予算増額を不満げに呟いた。薬神について問うと、神々は「宮に籠もり研究を続ける変人」と答え、長らく姿を見せていないことが明らかになった。またルバノフ教は「神など存在せず、人間が金集めのために作った邪教」と断じられた。創造神デミウルゴスの教会が存在しない理由は、加護や神託が稀で人間社会に名が伝わらぬためであると説明された。

お供えの実施
最初にニンリルへ、ホールケーキや限定菓子、どら焼きを大量に供えた。彼女は待ちきれずその場で口にした。次にキシャールへ、STIⅢの化粧水・美容液・洗顔フォームとコットンを届け、満足げに受け取られた。アグニには定番の国産ビール各種や地ビール、贈答用の瓶ビールを箱ごと供え、大喜びさせた。ルサールカには限定ケーキと多種のアイスを渡し、即座に持ち帰られた。続いてヘファイストスとヴァハグンには高級ウイスキー六本と評判の普及品多数を贈呈し、二人は興奮気味に持ち去った。最後にデミウルゴスへ、大吟醸や各地の銘酒セット、梅酒五本、缶詰珍味を渡し、感謝の言葉を受けた。

創造神の本音
デミウルゴスは古竜加入の件を「従魔の力を合わせれば勝てた」と評し、さらに「面白くなってきた」と漏らしたのち通信を遮断した。ムコーダは娯楽扱いされていることに苦笑しつつも、全ての供物を終えて眠りについた。

カレーリナへの帰還準備
ムコーダはカレーリナへ戻る日を迎え、朝一番で商人ギルドに立ち寄り借家の鍵を返却した。その足で冒険者ギルドを訪ね、ギルドマスターのトリスタンと副ギルドマスターのバルトロメオに別れの挨拶を行った。ゴン爺の背に乗れば当日中に到着できると告げると、二人は驚愕した。巨大な古竜の飛行は周囲に混乱を招くため、トリスタンは慌てて各所へ緊急連絡を入れ、バルトロメオは「事前に手配を整えるべきだ」と強く諭した。ムコーダは軽率さを反省し、一行は街を後にした。

古竜の飛翔
街外れの平原でゴン爺は本来の巨大な姿へ戻り、皆を背に乗せて飛翔を開始した。フェルは移動手段を譲ったことに不満げであったが、スイとドラちゃんは高い視点に歓声を上げた。ムコーダは必死に背へ登り、飛行中の安全性を問いただした。ゴン爺は「風の影響を減じる結界を張っている」と説明したが、「落下防止の効果はない」と後から付け加えたため、ムコーダは動揺した。上空から眺めるブリクストの街は小さく映り、スイが身を乗り出す姿にムコーダは慌てたが、仲間たちは平然と構えていた。

一路カレーリナへ
進む方角はフェルが正確に指示し、ゴン爺は翼を大きく羽ばたかせて速度を上げた。ムコーダは強い風圧に悲鳴を上げ、「飛ばされないはずだ」との言葉を信じたことを悔やんだが、古竜の飛翔は止まらなかった。一行は大空を駆け抜け、一路カレーリナを目指した。

閑話 かの冒険者の話

献上品と驚愕
ブリクストの冒険者ギルドを通じて届けられたムコーダからの献上品は、王と妃の目を奪った。妃は宝飾品にうっとりとし、王もまた見慣れぬ逸品に感嘆した。ギルドマスターは「今後も良き取り計らいを」との言葉を添えて説明したが、王は「フェンリルを従えた者に誰も手出しできぬ」と冷静に述べた。

古竜の従魔化
さらにムコーダが古竜を従えたと知ると、王は大きく息をついた。ブリクストのダンジョン最下層に200年前から潜んでいた古竜で、大きさを自在に変えられるため侵入も可能だったという。ギルドマスターの証言により、噂は事実と判明した。王は「大陸を手中に収めることも容易」と危惧したが、副ギルドマスターの聞き取りによれば、ムコーダは覇を唱える意志を強く否定し、フェンリルと古竜も「手を出されねば何もしない」と明言したと報告された。

妃の諫言
王はなお不安を抱いたが、妃は「勝てる国など存在しない以上、心配しても無駄」と諫めた。ムコーダは地位や権力に興味を持たず、ただ自由に暮らしたいだけだとギルドマスターも保証した。妃は「自由にさせておけば再び献上品を得られる」と語り、王も納得した。

ルバノフ教追放の決断
ギルドマスターの報告により、ルバノフ教がムコーダに金銭を要求した事実が明らかとなった。フェンリルと古竜を従える相手に恐喝を行う行為は愚の骨頂であり、王は激怒した。妃とギルドマスターの進言を受け、王はルバノフ教を国から追放する決断を下した。

王と妃の満足
妃は献上された大粒サファイアの宝飾品を身につけると楽しげに語り、王も黄金のズラトロクの角を寝室に飾るつもりであった。国政に不安を抱えながらも、献上品の輝きは二人に満足を与えていた。

番外編 気になるお年頃 

体臭への不安
ムコーダはネットスーパーで買い物をしている際に「男性の臭い対策」の広告を目にし、自身の汗臭や加齢臭を自覚した。特に枕の臭いに愕然とし、年齢的にも気を付ける必要を感じた。

商品購入と効果
ムコーダは臭いの原因菌を殺菌する柑橘系ボディソープと、頭皮洗浄に特化した柑橘系リンスインシャンプーを購入し、その夜に使用した。泡立ちや清涼感が良く、洗浄後はさっぱりとした効果を得られた。

仲間たちの反応
入浴中、ドラちゃんとスイに枕の臭いを指摘され、ムコーダは動揺した。ゴン爺は沈黙を守ったが、気付いていた可能性があると疑われた。ムコーダは「人間はいろいろ大変」と誤魔化しつつ洗浄を続けた。

翌朝の確認とフェルの焦り
翌朝、枕の臭いが改善され効果を実感した。ムコーダが「肉を控えよう」と呟くと、フェルが「認めない」と激しく反応した。ムコーダはそれを受け流し、フェルの焦った様子に笑みを漏らした。

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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