最強装備宇宙船 4 レビュー
最強装備宇宙船 全巻まとめ
最強装備宇宙船 6 レビュー
物語の概要
本作はSFファンタジー×宇宙傭兵ライトノベルである。ゲームに類似した宇宙世界に転移した主人公ヒロが、最強装備と宇宙船を駆使して自由な傭兵生活を営む姿を描く物語である。第5巻では、輸送船を新調するためにドワーフの星へと赴いた一行が、現地の名物料理を楽しむ一方で勝ち気と清楚という正反対の性格を持つ双子の姉妹メカニックを宇宙船に加えることとなる展開が描かれる。新たな仲間を迎えたヒロたちは、自由気ままな傭兵暮らしと並行して輸送船の強化や改修に挑む。
主要キャラクター
- ヒロ:
本作の主人公であり、元普通の会社員から転生して宇宙傭兵となった男。最強装備と宇宙船を持ち、戦術・交渉・クルーとの連携を駆使して自由な生活を満喫する。
物語の特徴
本作の魅力は、宇宙を舞台とした自由奔放な傭兵生活と、単なる戦闘無双とは異なる“乗り物・仲間・生活の楽しさ”にある。第5巻では、仲間との交流や料理・食文化といった日常的な描写が、戦闘や冒険と並んで描かれる構成となっている。また、輸送船の購入と改修という具体的な目標が物語の進行にリアリティをもたらし、単なる宇宙無双譚に留まらない幅広い楽しみ方を提供している。
書籍情報
目覚めたら最強装備と宇宙船持ちだったので、一戸建て目指して傭兵として自由に生きたい 5
著者:リュート 氏
イラスト:鍋島テツヒロ 氏
出版社:KADOKAWA(カドカワBOOKS)
発売日:2021年5月8日
ISBN:9784040740836
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あらすじ・内容
新しく宇宙船を買ったら美少女メカニック2人がついてきた!?
輸送船を新しく買うためドワーフの星にやってきた一行。名物のお好み焼きやたこ焼きに舌鼓を打つ一方、勝ち気と清楚と性格が正反対な双子の姉妹メカニックをなぜか船に乗せることになり……?
感想
本巻の中心は、二隻目となる母船ブラックロータスの購入であった。
現在運用しているクリシュナを収容し、整備まで行える母艦を手に入れるという流れ自体は堅実で合理的だが、そこに付随してくる要素がことごとく常識から外れていた。
特に印象的だったのは、整備士として同行することになったドワーフの双子姉妹の初登場である。姉が妹をヒロに向かって投げつけるという、いきなりのデッドボールには思わず笑ってしまった。自社製品を買ってくれる客に妹を投げる心理は正直理解できないが、それ以上に未知の船に対するドワーフたちの探究心が、常識の枠を軽々と飛び越えている点が理解しがたいが面白い。
宇宙船を購入し、整備を始めた途端にトラブルに巻き込まれる流れも、もはや様式美であった。
仕事の失敗を閨事で帳消しにしようと画策する展開には一瞬眉をひそめたが、気がつけば彼女たちが自然に仲間として定着しているあたり、この作品の人間関係の組み立て方は軽妙であった。
深刻になりすぎず、それでいて場に馴染ませてしまう物語構成の手腕は流石である。
また、母艦購入という大きな出来事の裏で、色々と暴走するドワーフ技術者たちに振り回され続けるヒロも相変わらずである。
本人は冷静に最適解を選んでいるつもりでも、周囲の技術者たちの熱量に押し流され、結果として戦力と人材が増えていく。
細かい点では、以前貴族から受け取ったメダルを使わなかったことが少し気になったが、値引きが期待できそうな場面だけに、あえて触れられなかったのか、単に流されたのか、後で拾われるのかが気になるところ。
巻末では、次の仕事として航宙軍の前線基地への荷運びが示され、いかにも不穏なフラグが立てられていいると感じた。残念美人軍人との再会があるのかどうかも含め、次巻への期待を自然に高める締め方であった。
総じて本巻は、大きな戦闘こそ控えめながら、世界観の広がりと仲間の増加を楽しむ巻である。技術者の暴走、宇宙船への異常な愛情、人が増えるほど混沌も増すという、このシリーズらしい魅力が素直に詰め込まれており、肩の力を抜いて楽しめる一冊であった。
最強装備宇宙船 4 レビュー
最強装備宇宙船 全巻まとめ
最強装備宇宙船 6 レビュー
最後までお読み頂きありがとうございます。
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登場キャラクター
ヒロ
傭兵であり、宇宙船クリシュナの操縦者である。状況判断が早く、危険や損得を冷静に切り分ける立場である。メイ、ミミ、エルマを伴い行動し、スペース・ドウェルグ社と継続的に交渉する関係にある。
・所属組織、地位や役職
傭兵。宇宙船クリシュナの船長格である。
・物語内での具体的な行動や成果
ブラド星系で執拗なスキャン追跡を受け、入港後に港湾管理局へ通報した。
母艦スキーズブラズニル購入とオーバーホール条件をサラ相手に詰め、価格と対価を引き出した。
試作機のテストパイロット業務を受け、所感を提示して現場へ改善点を投げた。
ウィスカ拉致事件では最悪を想定して動き、救出と後処理に関わった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
頭金や購入判断を盾にし、企業側より交渉主導権を握る場面が増えた。
試作機評価で現場の空気を左右する影響を持つようになった。
メイ
メイド服姿でヒロに付き従う存在である。実務と情報処理に強く、交渉や安全面でヒロを補助する立場である。独断が問題化するが、報連相で修正される関係である。
・所属組織、地位や役職
ヒロの随伴者である。船内業務と護衛に関わる。
・物語内での具体的な行動や成果
追跡船の所属を解析し、スペース・ドウェルグ社の機体であることを突き止めた。
提示条件の検閲や提出項目の限定を要求し、契約条件の調整に関与した。
ティーナの手当てと生活立て直しを任され、医療ポッド利用や身支度を進めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
独断専行を理由に奉仕活動を一時禁止され、行動範囲が制限された。
その後に反省と報連相を約束し、制限が解除された。
ミミ
ヒロと同船する女性である。行動は素直で、出来事に感情的に反応する立場である。体調不良や耐久面の課題が描かれ、周囲の支えを受ける関係である。
・所属組織、地位や役職
ヒロのクルーである。
・物語内での具体的な行動や成果
体調不良で休養を勧められ、状況に応じて行動を調整した。
取材やドキュメンタリー案に興奮し、判断材料を増やす側に回った。
リミッターカット試験で負荷を受け、医療スタッフに運ばれる事態になった。
祖母を探している事情を明かし、調査の方向性を共有した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
試験の負荷により体力面の課題が残った。
クルー増員の場面では、後輩ができることを受け入れる側へ回った。
エルマ
ヒロと同船する女性である。現実的な視点でリスクや社会構造を説明する立場である。交渉の評価や危険区域の理解に強く、場の判断へ影響を与える。
・所属組織、地位や役職
ヒロのクルーである。
・物語内での具体的な行動や成果
取材で関係性が推測される危険を指摘し、条件整理に関与した。
技術者集団を言葉で誘導し、ドック周辺の混乱を鎮めた。
棄民とアウトローの構造を説明し、傭兵仕事の危険性を具体化した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
状況整理役として発言力が強まり、ヒロの判断を補強する立場が固定した。
サラ
スペース・ドウェルグ社の商談担当である。外見は小柄だが、商談と条件提示を主導する立場である。ヒロ側との取引を成立させるため、社内調整や提案を重ねる。
・所属組織、地位や役職
スペース・ドウェルグ社の担当者である。
・物語内での具体的な行動や成果
専属契約による値引き条件を提示し、運用データ提出や宣伝利用を提案した。
価格調整やオーバーホール条件で交渉し、最終条件の受諾に至った。
ティーナとウィスカの専属整備員派遣案を出し、同行の枠組みを提示した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
騒動後は監督役として同行し、姉妹の行動管理も担う立場になった。
ティーナ
ドワーフの女性整備員である。勢いで動く面があり、謝罪や提案も先走る。技術面では設計を任され、成果物を形にする立場である。
・所属組織、地位や役職
スペース・ドウェルグ社の整備側の人員である。
・物語内での具体的な行動や成果
デッドボール事故でヒロへ被害を出し、後に謝罪対応の中心にいた。
オーダーメイド武器の設計担当に指名され、ハチェットガン案を提示した。
暴行を受けた状態で現れ、ウィスカ救出のきっかけを作った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
処分として禁酒や減俸が言及され、行動の制約が増えた。
ヒロ側への出向が進み、乗船候補として扱われるようになった。
ウィスカ
ドワーフの女性整備員である。状況理解が早く、不安や責任感を言葉にする立場である。設計や調整にも関わり、危険試験の判断で重い結果を抱える。
・所属組織、地位や役職
スペース・ドウェルグ社の整備側の人員である。
・物語内での具体的な行動や成果
姉妹の同行提案で不安を口にし、相性確認の流れに入った。
リミッターカット試験の安全を主張し、試験実施の方向へ影響を与えた。
拉致され、救出騒動の当事者になった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
事件後はヒロ側への出向として処理され、乗船の前提が固まった。
工場長
スペース・ドウェルグ社の整備工場側の責任者である。現場の混乱時に謝罪側へ回り、状況収拾の対象となる立場である。
・所属組織、地位や役職
整備工場の工場長である。
・物語内での具体的な行動や成果
ヒロへの謝罪の場に同席し、企業としての落とし所を作る場面に関与した。
次世代機テストの背景説明に関わり、面談の段取り不備が問題化した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
管理側の弱さがにじむとされ、現場運営の課題が露呈した。
副工場長
整備工場の管理側の人物である。現場の状況説明を行い、事件の発生時刻や兆候を共有する立場である。
・所属組織、地位や役職
整備工場の副工場長である。
・物語内での具体的な行動や成果
ティーナ出現の経緯を説明し、ウィスカ不在の異常を共有した。
要求データの価値について補足し、脅迫の狙いを言語化した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
事件整理の窓口となり、企業側判断の材料を提供した。
営業部長
スペース・ドウェルグ社プラド支社の責任者級である。企業として事態を重く見て、直接謝罪と条件調整に出てくる立場である。
・所属組織、地位や役職
プラド支社の営業部長である。
・物語内での具体的な行動や成果
重役級としてホテルへ来訪し、謝罪と落とし所の交渉に参加した。
監督責任を認め、今後の作業と呼び出し運用の改善を約束した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
企業側の意思決定者として前面に出たことで、問題の深刻度が示された。
保安担当者
スペース・ドウェルグ社のセキュリティ側の人物である。救出の可否を費用対効果と被害リスクで判断し、企業として動けない理由を述べる立場である。
・所属組織、地位や役職
スペース・ドウェルグ社の保安担当者である。
・物語内での具体的な行動や成果
第二メンテナンス区画への突入が難しい理由を説明した。
救出後の戦闘ログを受領し、依頼完了の処理を進めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
企業判断の軸を提示し、ヒロ側の交渉条件に影響を与えた。
ハリコフ
ティーナの過去の関係者であり、襲撃の実行犯として名指しされる。目的はデータと設計図の獲得である。
・所属組織、地位や役職
ティーナの古巣の元仲間とされる。
・物語内での具体的な行動や成果
ティーナを暴行し、試作機関連のデータと設計図を要求した。
引き渡し場所として第二メンテナンス区画が指定された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
末端の実行犯と位置づけられ、背後に別の黒幕がいる可能性が示された。
戦闘 一覧
#1: ブラド星系のドワーフ達
謎の船団による執拗なスキャンと追跡
- 戦闘者クリシュナ(ヒロ) vs スペース・ドウェルグ社の試作機・哨戒機群
- 発生理由ブラド星系到着直後、正体不明の船団(後にドウェルグ社所属と判明)が執拗なスキャンを開始し、超光速航行中を含めて追跡してきたため。
- 結果ヒロの逃走成功(入港)。ヒロは急加速などで振り切ろうとしたが追跡は止まず、最終的にブラドプライムコロニーへ入港することで追跡劇は終了した。
ハンガー内不審者の排除
- 戦闘者港湾管理局の治安要員 vs 不審者集団(エンジニアや研究者)
- 発生理由入港したクリシュナに対し、許可なく接近し機材を持ち込んで船体に触れるなどの迷惑行為を行ったため、ヒロが通報した。
- 結果治安要員による制圧。不審者たちは拘束・連行され、ヒロはシールドを展開して物理的な接触を遮断した。
#2: スペース・ドウェルグ社
技術者集団による暴動と鎮圧
- 戦闘者官憲(警察・治安部隊) vs 暴走したドワーフ技術者集団
- 発生理由クリシュナを見ようと技術者たちが殺到し、収拾がつかなくなったところへ、エルマが「支社へ行けば見放題」と誘導し、集団が支社へ雪崩れ込んだため。
- 結果官憲による鎮圧。押し合いへし合いの騒動となり、一部の者は官憲に拘束・連行された。
#3: デッドボールシスターズ!
ドワーフデッドボール事件
- 戦闘者ドワーフの整備員たち(特に女性ドワーフとその相棒) vs ヒロ
- 発生理由整備工場にて、操縦者であるヒロを見つけた整備員たちが「確保」しようと殺到し、その過程で女性ドワーフが相棒(女性)をヒロに向かって投げ飛ばしたため。
- 結果ヒロの気絶(敗北)。投げられた相棒を受け止めきれず、ヒロは壁に叩きつけられて気絶した。後に加害者側(会社重役含む)による全面的な謝罪が行われた。
#5: テストパイロット
試作七号機ハンマーセブンの標的試験
- 戦闘者ハンマーセブン(ヒロ) vs 標的(ターゲットドローン)
- 発生理由スペース・ドウェルグ社の次世代機開発におけるテストパイロット依頼のため。
- 結果試験成功。ヒロが想定以上のスコアを叩き出したが、機体の反応遅延を腕でカバーした事実を指摘したことで、技術者間で責任の押し付け合い(口論)が発生した。
試作機ピッケル13のリミッターカット試験
- 戦闘者ピッケル13(ヒロ) vs 8つの標的
- 発生理由技術者(ウィスカら)の強い要望により、リミッターを解除した状態での機動試験を行ったため。
- 結果標的の全破壊と乗員のダメージ。通常の1.7倍の速度と慣性制御を超えた負荷により、標的は粉砕されたが、ヒロは酸欠寸前、同乗していたミミは意識朦朧となり嘔吐寸前のダメージを負った。
#6: アウトロー
ティーナへの暴行(過去・報告)
- 戦闘者ハリコフ(ギャング) vs ティーナ
- 発生理由試作機のデータと新型スラスターの設計図を強奪するため。
- 結果ティーナの負傷と逃走。ティーナは殴打されボロボロの状態でヒロのもとへ逃げ込み、助けを求めた。
ウィスカの拉致(過去・報告)
- 戦闘者ハリコフの一味 vs ウィスカ
- 発生理由データ強奪のための人質、および技術者としての利用価値のため。
- 結果ウィスカの拉致。ブラドプライムコロニーの「第二メンテナンス区画(アウトローの巣窟)」に連れ去られた。
#7: ティーナとウィスカ
ウィスカ救出作戦
- 戦闘者ヒロ(および傭兵・保安部隊) vs ハリコフの一味
- 発生理由拉致されたウィスカを救出し、強奪されたデータを奪還するため。
- 結果犯人グループの殲滅。ウィスカは無事に救出され、ヒロは報酬として5万エネルを受け取った。(戦闘の詳細は「殲滅した」とのみ記述あり)
宙賊狩り(慣らし運転)
- 戦闘者クリシュナ(ヒロ) vs 宙賊船団(13隻)
- 発生理由クリシュナの慣らし運転およびティーナ・ウィスカへの「傭兵稼業」の実地教育、兼賞金稼ぎ。
- 結果宙賊の全滅。ヒロの一方的な攻撃(重レーザー、散弾、ミサイル回避)により、小型・中型含む全艦が撃沈・無力化された。同乗していた姉妹はGと恐怖で精神的ダメージを受けた。
#8: ブラックロータス
帝国航宙軍による臨検
- 戦闘者帝国航宙軍降下兵団(ポール少尉ら) vs ヒロと女性クルーたち
- 発生理由新品の母艦ブラックロータスの慣らし運転中、帝国軍のパトロールに遭遇し、法に基づく臨検を受けたため。
- 結果軍側の精神的敗北。戦闘は起きなかったが、ヒロの船の豪華な設備(テツジン・フィフス等)や、ハーレム状態(美少女・美女・メイドロイド)を見せつけられ、兵士たちの士気が崩壊した。
#9: 新戦力
囮作戦による宙賊討伐(第一波)
- 戦闘者クリシュナ(ヒロ)&ブラックロータス(メイ) vs 宙賊船団(小型8隻)
- 発生理由ブラックロータスを鈍重な輸送船に見せかけて宙賊を誘き寄せる囮作戦を実行したため。
- 結果宙賊の全滅。クリシュナが5隻、ブラックロータスが3隻を撃破。ブラックロータスは逃走を図った敵艦を大型EMLで粉砕した。
宙賊討伐(第二波・おかわり)
- 戦闘者クリシュナ&ブラックロータス vs 追加の宙賊船団
- 発生理由回収作業中に新たな宙賊がワープアウトしてきたため。
- 結果宙賊の殲滅。最終的に小型27隻、中型2隻を撃破・捕獲する戦果を挙げた。
展開まとめ
プロローグ
メイによる目覚めと朝の支度
ヒロは船内で誰かの気配を感じて目を覚まし、メイド服姿のメイと朝の挨拶を交わした。まだ夢現の状態のまま身支度を整え、メイと共に部屋を出た。
食堂での状況確認
入浴後に食堂へ向かうと、ミミとエルマが既に休んでいたが、二人とも体調が優れない様子であった。病ではなく女性特有の体調不良であり、ヒロは二人に休養を勧めた。メイの行動について一度は同行不要とされたが、最終的に朝食後はヒロに付き従うこととなった。
コックピットでの監視
ヒロはコックピットへ向かい、ハイパーレーン航行中の宇宙船クリシュナの監視に入った。航行は自動であったが、不測の事態に備え見張りを行うのが慣例であった。ブラド星系への到着は約七時間後と表示されていた。
ブラド星系の概要と安全性
銀河地図を確認したヒロは、ブラド星系が資源豊富な恒星系でありながら宙賊がほとんど存在しない理由を整理した。星系内にはスペース・ドウェルグ社の造船所があり、宙賊が現れれば試作艦による実戦テストとして即座に殲滅されるためであった。
滞在目的と休養の判断
宙域が極めて安全であることを確認したヒロは、金銭的な利益は少ないものの、今回の滞在を休養と整備に充てる判断をした。新造船の建造待ちやクリシュナの整備、ミミとエルマの体調を考慮すれば、穏やかな滞在は適切であると結論づけた。
#1:ブラド星系のドワーフ達
ブラド星系到着と不審なスキャン群
クリシュナは約七時間の航行を経てハイパースペースを脱出し、ブラド星系へ到着した。ヒロはブラドプライムコロニーへ向かおうとしたが、直後にスキャン警告が発生し、周囲の船が増えていった。三隻から始まったスキャンは、ヒロが急加速と超光速ドライブで振り切ろうとしても追随し続け、最終的に多数の船が超光速航行中まで執拗にスキャンを続ける異常事態となった。
追跡船の正体と不穏な予感
メイが追跡船の所属を解析すると、いずれもスペース・ドウェルグ社の試作機や哨戒機であり、部署名まで細分化されていた。ヒロは厄介事の気配を強く感じつつも、逃げてもいずれ同種の事態は起こると判断し、ブラドプライムコロニーへ入港した。超光速解除後も追跡船が続々とワープアウトし、状況はさらに悪化していった。
入港後の騒動と船体防護
ヒロは不快感を抑え、スキャン行為自体は違法でないが重大なマナー違反だと整理し、メイに船のIDと所属記録を命じた上でドッキング手続きを進めた。入港後、ハンガーには港湾職員ではない十人以上の人物が集まり、機材を向けて議論し、脚立まで持ち出して船体に触れていた。ヒロは港湾管理局へ通報し、治安要員により不審者は拘束・連行され、ヒロは船のシールドを起動して侵入や接触を防いだ。先行きへの不安が残り、メイも同意した。
低い天井とドワーフ基準のコロニー
四人は港湾区画から商業区画へ移動したが、通路の天井が低く圧迫感が強かった。エルマはドワーフの体格を理由に挙げ、スペース・ドウェルグ社の社名自体がドワーフの別名に由来すると説明した。ヒロは北欧神話に関連する語感を思い出し、ドワーフの存在や艦名の雰囲気が繋がったことで納得した。一方で、ヒロが宇宙進出前提の存在であるはずのエルフやドワーフ、さらに関連神話を知っている点が改めて疑問となり、翻訳インプラント不所持で多言語理解が可能な点や遺伝子情報の希少性も含め、ヒロ自身の出自の謎が再確認された。
ショールーム到着と異様な受付体制
一行はスペース・ドウェルグ社の巨大ショールームへ到着した。髭面の宇宙服男がロケット型宇宙船に跨る旧来の看板はセンス面で評判が悪いが、伝統として維持されていた。内部のロビーには傭兵や商人、下請けらしい屈強なドワーフ男性も多く、同社製品が頑丈で信頼性が高いため堅実派に人気だと説明された。受付はアンドロイドが多数対応し、ヒロはスキーズブラズニル購入相談として案内を依頼した。受付はヒロのゴールドランク傭兵情報を読み取り、ガイドボットによる誘導が開始された。
担当者サラとの遭遇
案内先の個室にはビジネススーツ姿の小柄な少女が待っており、ヒロは部屋を間違えたと疑った。しかし彼女はドワーフの女性社員であり、力強く扉を開けて一行を招き入れた。彼女はサラと名乗り、完璧な営業対応で商談担当として挨拶し、正式な打ち合わせが始まる段階へ移行した。
#2:スペース・ドウェルグ社
ブラド星系への到着と異常なスキャン追跡
クリシュナはブラド星系へ到着するが、正体不明の船からスキャンを受け始めた。スキャンする船は次々と増え、超光速航行に入っても追跡とスキャンが続いた。所属を確認すると、追っているのはすべてスペース・ドウェルグ社の試作機や哨戒機であり、未知の船であるクリシュナへの執着が露骨に表れていた。
ブラドプライムコロニー入港と不審者排除
ブラドプライムコロニーへ入港後、ハンガーにはエンジニアや研究者らしき集団がたむろし、脚立まで使って船体に接触していた。ヒロは港湾管理局へ通報し、治安維持要員が不審者を拘束・連行した。以後の侵入を警戒し、クリシュナのシールドも起動して対処した。
ドワーフ基準のコロニー構造と企業都市の圧迫感
コロニーは天井が低く圧迫感があり、住民の多くが背の低いドワーフであることが要因と推測された。スペース・ドウェルグ社自体がドワーフと結びついた名称であり、北欧神話の語感とも繋がっていた。ヒロの知識がこの世界の成立史と噛み合わない点は、翻訳インプラント未搭載や遺伝子情報の希少性と合わせて、再び「存在の謎」を強めた。
ショールーム来訪と“合法ロリ”営業担当サラの登場
スペース・ドウェルグ社の巨大ショールームでは、アンドロイド受付とガイドボットに案内され商談室へ入った。そこにいたのは小学生のような見た目のスーツ姿の人物で、実態はドワーフ女性社員サラであった。外見のギャップと力強さが印象を残しつつ、サラは即座に商談へ入った。
専属契約ディスカウントの提示と条件整理
サラはスキーズブラズニル(SDMS-020)購入を前提に、専属契約による大幅値引きを提案した。条件は「母船と整備を可能な限り同社で継続」「運用データ提出(プライバシー除外)」「活躍の宣伝利用」「優先取材権」などであった。特に宣伝は娯楽メディア部門のドキュメンタリー企画を含み、コロニー住民には“放浪者・傭兵の生活”が娯楽として人気であることが示された。
取材リスクとクルー関係の露出問題
ミミはドキュメンタリー化に大興奮する一方、エルマはクルー構成から関係性が推測され全銀河に拡散され得る点を警戒した。最終的に、取材は強制ではなく条件次第で拒否可能だが、優先権として他社オファーより同社が先に交渉できる形になると説明された。
装備方針の確定とメイの重武装化プッシュ
スキーズブラズニルの説明では、オートメーションハンガー2基、ユーティリティ区画の拡張性、採掘系設備、そしてクラス6ジェネレーター対応などが提示された。ヒロは生存性最優先として「シールド・装甲・ジェネレーター」を最上位で揃える方針を固めた。さらにメイが重武装化を強く求め、大型武器マウントにEML、他スロットにレーザー砲とシーカーミサイル、全武装のコンシールド加工まで指定した。
予算オーバーと専属契約による値引き交渉
フル構成の提示額は約2800万エネルとなり、ヒロの希望(約2200万)を超過した。サラは専属契約と取材条件を呑むなら2200万に調整可能と提示し、メイは提出データの検閲権を要求して対立した。妥協として提出項目を限定し、代わりに取材は受ける方向でまとまった。エルマは顔出し声出しを拒否する条件を付けた。
クリシュナの“技術価値”を巡る追加交渉
ヒロはクリシュナのオーバーホールを依頼しつつ、同社が得る技術的利益に対する対価を要求した。サラは当初「オーバーホール無料+追加値引き+弾薬付与」を提示するが、メイが「2000万ポッキリ」を提示して交渉を押し切った。さらにメイは事前に収集したクリシュナ稼働データを提示し、サラは即座に条件を受諾した。ヒロは独断専行を咎め、メイへの“お仕置き”を宣言した。
ドワーフ技術者の暴走とエルマの誘導
クリシュナ周辺では技術者と官憲が押し合いへし合いの暴動状態になっていた。エルマは「明日正午に正式引き渡しである」「なら作業員に潜り込めば見放題だ」と煽り、技術者集団を一斉に支社へ雪崩れ込ませて場を鎮静化させた。拘束者は官憲に連行され、ヒロは冷淡に見送った。
ホテル滞在準備とメイへの折檻運用
クリシュナ整備中は居住できないため宿が必要となり、提携ホテルの中から一週間1万エネルのスイートを確保した。ミミは高額に動揺するが、エルマは“格”の維持を理由に押し切った。並行してヒロはメイの独断を問題視し、護衛以外の奉仕活動を一時禁止する折檻を実施した。メイは短時間で深く反省を示し、報連相を約束したことで解除された。
高級スイート到着と滞在開始
ホテルは天井が高く上品なロビーを備え、電子キーで入室する形式であった。案内役のメイドも小柄なドワーフ女性であり、部屋は寝室4、バスルーム等を備えた広いスイートであった。ヒロは気後れしつつも、一週間の滞在を受け入れ、整備と母艦納品までの小休止に入った。
#3: デッドボールシスターズ!
休暇のはずが呼び出しで崩壊
母艦の納品待ち+クリシュナのオーバーホール中で、ヒロはホテルに籠ってミミ・エルマ・メイと平和に過ごすつもりだった。だが整備工場から「来てほしい」と一方的に呼び出され、渋々コロニーを移動することになった。
コロニー内の違和感とドワーフ技術の無駄遣い
移動中、繁華街だけ酒臭く、それ以外は匂いが遮断される謎の環境に気づく。ヒロは「酒の匂いだけ通さないシールド」みたいなものを疑い、ドワーフの技術力が妙な方向に尖っていると感じる。工場区画では武器やパワーアーマー整備の店が並び、ヒロは自分の装備もオーバーホールしたくなる。
整備工場での“確保”とデッドボール事故
低重力区画の整備工場で、装甲を外されたクリシュナに大量のドワーフ整備員が群がり、分解整備とスキャンを進めていた。ヒロを見つけたドワーフが「操縦者が来たぞ!確保しろ!」と叫び、整備員たちが殺到。女性ドワーフが相棒(女性)を投げつけ、ヒロは受け止めきれず壁に叩きつけられて気絶する。要するに“ドワーフデッドボール”を食らった。
ヒロのブチ切れ説教と購買カードの首根っこ
目覚めた後、ヒロの前でサラ(スペース・ドウェルグ社)や工場長、現場主任、デッドボール姉妹、整備員一同が正座謝罪。ヒロは「客に無礼を繰り返して怪我までさせるのが御社の流儀か」と詰める。
整備員は作業に戻させた上で、最新ロット母艦「スキーズブラズニル」の購入を保留にし、対応次第で買うか決めると通告。頭金1000万エネルを払っているので、相手にとっては在庫リスクと維持費が刺さる形になり、ヒロは“金の圧”で主導権を握る。
呼び出し理由の推測:機動が読まれた可能性
帰室後、エルマは「スラスター使用頻度や金属の状態から、ヒロの変態的曲芸機動をドワーフが読み取ったのでは」と推測。メイも調べて納得する。つまり工場側は、解析やテストパイロット的な目的で「操縦者確保」したかった可能性が出る。
夜の“謝罪”がさらに地雷:デッドボールシスターズ襲来
夜、デッドボール姉妹(赤髪ティーナ/青髪ウィスカ)が薄い服で部屋に来て「お世話させてください」と言い出す。ヒロは即「帰れ」でドアを閉める。
ミミが同情して中に入れ、事情聴取へ。ヒロは「女あてがえば黙ると思ったのか」と激怒するが、本人たちは会社命令ではなく独断で“身を売って挽回”しようとしていた疑いが濃く、逆にウィスカの方が青ざめて事態を理解している。
ヒロの結論:個人は許すが、会社は許すと思うな
ヒロ自身の被害は打撲程度で、個人的には引きずる気はないと示す。ただし「独断専行でさらに迷惑を増やすのが一番問題」と断じ、メイはすでに会社へ抗議連絡済み。
そして扉が開き、今度はスーツ姿のドワーフ男女が高級フルーツや酒、箱を持って入ってくる。ヒロは「俺は許す。だが“あいつら(会社側)”は許すかな?」で締める。要するに、謝罪イベントが本番に突入したところ。
重役級が直談判に来る
スペース・ドウェルグ社プラド支社の営業部長(サラのさらに上の上の上)、整備工場の工場長、傭兵向け売買担当課長が揃って来訪。サラや係長らも後ろで頭を下げる。会社として「これはマズい」と判断して、責任者クラスを動かしてきた構図である。
ヒロの皮肉で主導権確保
ヒロは「御社の営業は刺激的で退屈しない」と笑いながら、実質は“客に迷惑かけすぎだろ”を丁寧に刺す。
デッドボール姉妹が勝手に薄着で押しかけた件も「花で有耶無耶にする気か」「腰の銃抜くか迷った」と圧をかけ、相手の言い訳の芽を先に潰す。
監督責任を認めさせて落とし所へ
営業部長側は「断酒と謹慎を命じたが勝手に抜け出した」と説明するが、ヒロは「つまり責任ないと言いたいのか?」と詰め、監督責任を認めさせる。
その上でヒロは謝罪を受け入れ、要求を2点に絞る。
- 速やかで丁寧な作業
- 理不尽に客の手を煩わせない(説明なしの呼び出し禁止)
ここで収める“引き際”を作った。
追加の“誠意”は歓迎、便宜を匂わせる
ヒロは「当然のことだが、誠意の提案があるなら喜んで受ける」と明言。母艦取得後は交易も視野と伝え、今後の取引・便宜(割引、優先、情報、依頼など)を引き出す布石を打つ。
呼び出しの真相:次世代機のテストパイロット不足
朝の呼び出しは、開発中の次世代機テストパイロットが足りず、技術者たちがヒロに頼み込みたかったから。しかも各チームのリーダーを工場に集めて“一括面談”しようとしていた。
ヒロは「取りまとめもせず客を呼ぶのは非効率で失礼」と正論パンチ。工場長は管理職としての弱さが滲む。
ヒロは依頼を条件付きで受ける姿勢
ヒロは星系滞在予定もあり、興味もあるため「都合と報酬次第で受けてもいい」と譲歩。傭兵ギルド経由の指名依頼を要求し、手続きと立場を正規ルートに戻す。
デッドボール姉妹の処分は“路頭に迷わせるな”で線引き
ヒロは庇いにくいと前置きしつつ、「路頭に迷う処分はやめてくれ。寝覚めが悪い」と最低限の情けを出す。会社側は配慮に感謝して退室。
残った“誠意”の品と、周囲の評価
高級フルーツ、酒、珍味・缶詰の詰め合わせが残る。
エルマは交渉を評価し、メイも「良い引き際」「丸く収まった」と肯定。ミミは戦闘だけでなく大企業の重役と渡り合う姿に惚れ直したと素直に言う。ヒロは照れ隠しで食事へ話題を逸らし、疲労回復モードに入る。
#4:ブラドプライムコロニー
翌朝と謎の燻製事件
前日に贈られた高級燻製は、開封すると蠢くタイプの未知生物であった。見た目はホラー、味は濃厚なエビ刺身+アワビ食感という反則級。正体は考えない方が精神衛生に良いと判断され、全員で完食された。
デッドボールシスターズ再来
外出準備をしていると、ティーナとウィスカのデッドボールシスターズが、監督役のサラ同伴で部屋に現れる。
処分内容は厳重注意、禁酒、減俸。ドワーフにとって禁酒は重刑であり、二人は心底ダメージを受けている様子であった。
専属整備員という爆弾提案
サラから、二人をヒロの「専属整備員」として派遣する案が出される。
給金・設備・移動権はすべてスペース・ドウェルグ社負担。ヒロ側の負担は居住スペースの提供のみという、条件だけ見れば破格の提案である。
二人の覚悟とヒロの逡巡
ティーナは外の世界への憧れと恩返し、ウィスカは感謝と不安を口にする。
ヒロは傭兵稼業の危険性を説明しつつも、即答は避け、まずはコロニー案内で相性を見ることに同意する。
慣習問題と女だらけ問題
男の傭兵船に女性が乗ることへの慣習的な問題も話題に上がるが、本人たちは気にしないと即答。
結果として、ヒロの船はますます「女しかいない船」になる未来が見え始める。
年齢判明とドワーフの神秘
ティーナとウィスカは27歳でヒロと同年代と判明。
見た目と年齢の乖離というドワーフの神秘が明らかになり、年齢の話題でサラが無言の圧を放つ場面も発生する。
グループ分けと散策開始
ヒロ・メイ・ティーナ組と、ミミ・エルマ・ウィスカ組に分かれて行動開始。
ティーナは謝罪を改めて口にしつつ、相変わらず後先を考えない性格を自覚していない様子を見せる。
パワーアーマー装備探しと傭兵事情
ヒロは武器更新のため老舗のレーザー武器店へ向かう。
道中、傭兵の稼ぎの話になり、ヒロが一日10万エネル規模を稼ぐと知ったティーナは露骨に食いつく。
唐突な求婚と即却下
金と甲斐性を理由にティーナが求婚するが、ヒロは冗談半分で却下。
性格評価で妹が上だと言われ、ティーナは激しく憤慨する。
価値観の違いと現実論
ティーナは「金は愛を育てる」と現実的な価値観を語り、ヒロは世知辛さを感じつつも否定しきれない。
軽口の応酬の末、ティーナの尻叩きで会話は物理的に締められる。
武器総合店へ到着
ティーナの案内で、レーザー武器中心の総合商店に入る。既製品だけでなくオーダーメイドも対応しており、滞在期間が長い傭兵が発注する店として賑わっている。ヒロは展示された武器の光景にテンションが上がる。
優先購入とティーナの軽口
ヒロは壊されたスプリットレーザーガンの補充を優先する。ついでにメイにも武器を選ぶよう促すが、ティーナは「けちんぽ」と雑に絡み、昼飯を奢ると言われて即ご機嫌になる。
メイの要求は実用一点張り
メイが選んだのは超硬金属製のダート(投矢)と、それを身体に隠し持つための装備。
理由は「信頼性が高いアナログ武器で、投擲すればパワーアーマーにも損傷を与えられる」ため。ヒロは納得し、さらに伸縮式警棒の購入も提案して承認する。メイは無表情ながら嬉しそうな気配を見せる。
ティーナの“おねだり芸”失敗
ティーナは趣味っぽい謎機械を「買って」と上目遣いで迫るが、ヒロは採点「3点」と切り捨てる。
一度「可愛い」と言われて照れてウザ可愛くなるが、結局「買わない」と宣告される。
メイの説教でティーナが萎縮
ティーナが「金持ちなんだからタカらせて」と言った瞬間、メイが割り込んで正論パンチ。
ティーナは「有用性を証明する立場で何をしているのか」と詰められ、即座に姿勢を正して謝罪する。ヒロはやり過ぎを止め、関係が悪化しないラインで収める。
オーダーメイド武器の要件整理
ヒロはパワーアーマー用の手持ち武器をオーダー検討。条件は
- 閉所で取り回しが良い
- 接近戦もこなせる
- 可能なら貴族の剣(高周波ブレード)にも切り結べる
ティーナは、貴族剣の刃が「強化単分子+高周波」であるため、真っ二つ回避には超重圧縮素材などが必要で、重量と価格が地獄になると説明。全素材使用は現実的でなく、コーティングで対応する手もあるがコスト増と整理する。
ティーナを設計担当に指名
ヒロは専門家に任せる方針に切り替え、ティーナに武器デザインを依頼する。
予算は10万エネル以内、優先順位は「取り回し>接近戦>貴族剣対応」。
成果報酬は接近戦まで満足で1万、貴族剣対応まで達成なら倍。予算を余らせるほど評価すると条件付けする。ティーナは真顔で即答し、やる気を出す。
メイをサポートにつけて“関係改善”も課題化
ヒロはティーナの設計作業にメイを付け、パワーアーマー情報提供や決裁権もメイに渡す。
同時に「既存クルーと仲良くすること」も暗に評価項目として置き、ティーナにとっては試験の続きになる。
ヒロはミミ達へ合流準備
ティーナとメイを店に残し、ヒロはミミ達へ合流するため端末でメッセージアプリを起動するところで場面が締まる。
ティーナ姉妹“採用”の是非を思案
ヒロはミミ達に合流しつつ、デッドボールシスターズ(ティーナ&ウィスカ)を船に乗せるかを検討する。
技術者同行のメリットは大きい一方、クリシュナ情報の流出リスクがある。ただし電子戦・データ防護はメイが担うため、抜かれるならメイが止めて報告が上がる前提であり、裏切りがあれば容赦しない覚悟も持つ。
結局、整備なしで機体を維持できない以上「秘密を守って機体を失う」方が本末転倒で、多少の情報流出は許容して整備体制を優先すべきだと結論が傾く。
ミミ達の状況確認と合流
グループチャットで状況を聞くと、ミミ達は「姉妹が船に乗る場合に必要な物」の案内中だったと返信が来る。
ヒロは商業区画をぶらつき、ドワーフ文化の“工芸×ハイテク”商品を眺める。
トゲ肩パッドの正体と買い物
ヒロが気になった「ヒャッハー肩パッド」は、実は温度調整できるサーマルマントだった。改造版は2500エネルで稼働2万時間。
見た目が無理なので通常版のマントを探し、さらにカメレオン機能付き(1200エネル)を提示され、柄が迷彩っぽく変化する仕様に惹かれて購入する(たぶん無駄遣いの自覚あり)。
女子組に見られていた件
エルマとミミ、ウィスカが合流。ヒロの買い物交渉を見ており、エルマは「もっと買わされると思ってた」と意外がる。
ミミは「ヒロは毅然と断れる」と満足げ。
話題は料理に移り、ヒロが生鮮食材で料理できることにウィスカが驚く。ドワーフは“自動調理器で作った素材をさらに調理する”文化があり、機械飯の味気なさを嫌う感性が語られる。ヒロとウィスカはそこが通じ合う。
昼飯はドワーフ焼きへ
ウィスカが「安くて楽しくて腹いっぱい」と提案し、一行は鉄板付きテーブルの食堂へ向かう。
料理は「ドワーフ焼き」。具材を生地に混ぜ込んで鉄板で焼き、薬味やソースで食べる形式で、関西風お好み焼きに近い。
メイ&ティーナ合流と空気
メイとティーナも到着。ティーナはニコニコしており、武器オーダーは手応えありそうな雰囲気。
ティーナは「もっと高い店でも」と言うが、ヒロは「高級ドワーフ料理はまた今度」と流す(ただし“動く燻製”みたいな危険グルメの再来を警戒している)。
注文と禁酒トラップ
席に通され、注文はティーナ主導。
エルマはハイボールを選び、ティーナもノリで酒に行きそうになるが、ウィスカの圧で「禁酒二週間」を思い出してお茶に変更。
ティーナが大声で「ブタタマ三、イカタマ三、冷たいお茶四、ハイボール一」と通す。
アナログ注文論争と乾杯
エルマが「アナログ」と言うと、ティーナは「環境が整ってるなら音声が最短で正確。わざわざ端末ポチポチは無駄」と“エンジニアなのに非デジタル推し”を語る。
飲み物とタネが届き、ティーナの「かんぱーい」で開始。乾杯の音頭が「出会いに乾杯」なのは微妙だが、空気的にツッコむのは野暮として流される。
ドワーフ焼き実食と“見た目”危機回避
ヒロがひっくり返す手際をウィスカが褒め、ミミはなぜか自慢げに乗っかる。
エルマが「焼く前の見た目が…」と地雷を踏みかけるが、ティーナが即座に制止し、戦争を回避する。
味は「八割お好み焼き」で、食材が微妙に違う分の物足りなさをソース・マヨ・青のり・鰹節風の粉末が補って成立しているとヒロは評価する。
メイの学習能力と役割分担
メイは食べられるが後で廃棄になるため食事は取らず、代わりにエルマの分を焼く係に回る。
ティーナとウィスカの焼き方を観察しただけで危うさゼロの手つきになっており、機械知性の学習速度がさりげなく怖い。
ミミの“初号機”とご褒美タイム
ミミが初めて作ったドワーフ焼きをヒロに食べさせようとし、金属ヘラでそのまま差し出す。
ヒロは火傷回避で冷まして食べ、「美味しい、上手い、練習すれば料理できる」と褒める。
ミミは大喜びし、異様なヘラ捌きで高速カットを始め、ナイフ格闘の才能疑惑まで出る。
オーダーメイド武器“ハチェットガン”披露
ティーナが端末からホロ投影で成果を見せる。
武器は「手斧/大鉈みたいな刃+銃身が一体化」した、片手運用前提の大型銃器兼ブレード兵器。
ティーナは「三丁発注(両手分+予備)」と説明し、予算内にきっちり収めている。
メイが性能を補足し、射撃はスプリットレーザーガンに少し劣るが精度は向上、刃は超重圧縮素材を部分使用して強化単分子ブレードと打ち合える仕様、パワーアーマー装甲すら破壊可能だと述べる。
エルマは「悪そう」と笑い、命名はシンプルに「ハチェットガン」で落ち着く。
報酬と“既成事実”の積み上げ
ヒロは「実物で使い勝手確認後に報酬」とし、ティーナも妥当と受ける。
報酬条件がウィスカに伝わると、ウィスカが「お姉ちゃんだけ?」と寂しげに反応し、ヒロは次回はウィスカに頼むと約束させられる。
このやり取りで、姉妹とヒロの“今後も続く関係”が半ば既成事実化していく空気が生まれる。
メイによるティーナ評
ヒロがメイに所感を求めると、メイは本人の前でも容赦なく評価する。
ティーナは工学知識が一流級で、発想は閃き型ではなく堅実型、言動は迂闊だが仕事熱は高い。
トラブルも「仕事への過剰な情熱+迂闊さ」の結果だと分析される。
さらに「変なもの作り」はウィスカの方が得意と示唆され、姉妹の技術嗜好の違い(堅実 vs ピーキー)が浮き彫りになる。
双子なのに訛りが違う理由とドワーフ社会の闇
ヒロが「双子なのに話し方が違う理由」を尋ねる。
ティーナは「二年前まで別々の環境で暮らしていた」と説明し、ウィスカは企業(コーポ)側、ティーナはギルド側で生活していたと言う。
ギルド側には荒っぽい勢力(マフィア、ギャング等)がいて、ティーナは技術者として後ろ暗い仕事にも関わり、辛いことも多かったと告白する。
現在は遠いコロニーの話で、影響はここまで及びにくいとされ、エルマも「星系内が精々、宙賊繋がりでも隣星系程度」と補足する。
ただしウィスカの表情が曇る描写があり、ティーナの過去の詳細をウィスカがどこまで知っているかは含みを残す。
採用会議と“船に乗せる”方針の確定
食後、ホテルへ戻る道中でミミ・エルマ・メイと最終協議。
メイは社内評価として「ティーナA、ウィスカS」と伝え(Sは技術貢献込みの評価で、腕は同程度と見る)。
ミミは「仲良くやれそう」と賛成しつつ、リスク回避なら別の技術者探しも提案するが、メイが「優秀なフリーエンジニアはほぼ存在しない」と現実を示す。
メイドロイド増員案は、コストと「機械知性側の事情」で難しいとメイが曖昧に遮る。
ヒロは「多少の漏洩リスクより整備の実利」と判断理由を明確化し、エルマも概ね同意する。
最終的に、姉妹を船に乗せる方針が大筋で決定し、監視用の小型端末を付けること、部屋は母艦の格納庫近くに確保することまで話が進む。
#5: テストパイロット
サラへの連絡と母船内装のグレードアップ方針
ヒロは翌日すぐサラに連絡し、ティーナとウィスカを船に同行させる方向で進めると伝える。
同時に、母船の内装は仕様変更してグレードを上げる予定であり、決定次第データを送ると約束する。
エルマの強制休暇管理と“膝枕業務”
通話後、背後からエルマがのしかかり、ヒロの思考を読んだ風に絡む。
エルマは「良いホテルなのに忙しない」「休暇はクルーとの情愛を育むのも船長の務め」と言い、強制膝枕で行動を封じる。
ミミは今日は情報収集で部屋に籠もると言われ、ヒロは「譲ってくれた」という含みを理解し、エルマとのんびり過ごすことになる。
翌日はミミ主導の食い倒れツアー
翌日、ヒロはミミと職人街近くの屋台通りへ向かい、縁日風の空間で軽食を買い集める。
肉串は歯ごたえが強くスパイシーでヒロ好み、たこ焼き風は“たこっぽい何か”入りで成立。
一方、焼きそば風は酸味と辛味が強く、ヒロは酢系の酸味が苦手で微妙評価だが完食する。
ゴミは専用箱に捨てると床下で高速分別・粉砕リサイクルされる仕組みがあり、宇宙生活の物資制約が背景にあると推測される。
ミミの近況確認と“祖母探し”の告白
ヒロが生活を楽しめているか確認すると、ミミは「楽しい」と即答しつつ、実は祖母を探していると打ち明ける。
祖母はコロニストではなく、幼い頃に一度会っただけだが不自然に若々しく、両親も詳しく語らず、両親の死後も姿を現さなかったという。
ミミは雰囲気がエルマに似ていたと感じており、高額なバイオニクス/サイバネティクスを使えることから「貴族か傭兵級の財力」と推定する。
ヒロは「貴族なら両親がただのコロニストは不自然」→消去法で傭兵説を採り、帝国人IDから戸籍を辿るなどして探しているが成果はないと共有される。
ヒロは情報が掴めたら会いに行こうと提案するが、祖母が傭兵だと誤解で撃たれる可能性を冗談めかしつつ本気で警戒する。
グルメ巡りの締めと“躍り食い”トラウマ
屋台後も高級焼肉や“謎生物の躍り食い”などをはしごし、味は美味いが絵面がSFホラー級という理由で「今後はやめよう」で一致する。
母船改修と“テストパイロット”提案
客を乗せる可能性や、クリシュナ整備中に寝泊まりできない問題から、母船にも手を入れる方針になる。
改修費が高額になるが、スペース・ドウェルグ社が「テストパイロット」依頼を提示し、5日間で約150万エネル相当の内装費用を相殺する条件が出る。
報酬が高い理由は、トラブルへの誠意に加え、最新技術の口止め料込みだと説明され、ヒロ達は概ね納得する。
試作機“ハンマーセブン”搭乗準備
ヒロはパイロットスーツとHUD内蔵ヘルメットを受け取り、試作機が並ぶハンガーでレクチャーを受ける。
試作機は「頑丈さと信頼性+軽快な機動性」を狙った高速戦闘艦だが、社内テストでは計算スペックの5割も引き出せていないと言われる。
操縦難度、設定問題、計算ミスなど原因候補が示唆され、ヒロは「乗ってみて判断」とする。
ミミとエルマも同乗、スーツの“副作用”
タラップ前にはミミとエルマも同じピッチリスーツで待機しており、スーツは操縦スキル解析のためバイタルと微細動作も取れる仕様。
ミミの体型が強調され、周囲の技術者が視線を奪われる場面が挟まれる(ヒロは内心牽制)。
出港時点で判明する“鈍さ”とソフトウェア疑惑
船は反応がワンテンポ遅く、出港時にふらつく。
ヒロは「オートバランサー/ジャイロの自動カウンターが弱い」と疑い、エルマはソフトウェア問題の可能性を指摘する。
メイがいれば解析できたかもしれないが、メイは別件で出張所へ行っており不在。
ヒロは「高機動艦の経験不足でソフト開発が追いついていない」または「積んでるソフトが旧式」という凡ミス可能性も考える。
操縦適応と機体特性の評価
ハンマーセブンは「重い機体+高出力スラスター」で動かす“力こそパワー”型。
慣性が強く鋭角機動は難しいが、姿勢制御スラスター出力が高く、方向転換を速くできれば面白い機動が可能。
直進は速い一方で小回りが利かず、小惑星帯など障害物密集域は不向き。
障害物の少ない空間なら横滑りしながら照準維持して殴る戦い方や、高火力でヒット&アウェイが向きそうとヒロは整理する。
エルマの乗っていたスワン(自爆機能付きの宇宙飛ぶ棺桶)に比べれば扱いやすい、とヒロは毒を吐く。
標的試験開始へ
管制から「標的試験を開始、所定位置で待機」と指示が入り、ミミがポイントをマーク。
ヒロはHUDに従って移動し、久々の“クリシュナ以外の船”操縦を楽しむ姿勢で締める。
一日目:ハンマーセブンは“成功したのに揉める”で終わった
試作七号機ハンマーセブンのテストは、結果だけ見れば問題なく終わった。ヒロが想定以上のスコアを叩き出し、機体の性能は実戦でも通る可能性を示したからだ。ただ、その「成功」が逆に火種になった。ヒロが「反応がワンテンポ遅れるので腕で補った。原因がハードかソフトかは分からないが改善できるならした方が良い」と素直に言ったせいで、ハード担当とソフト担当が責任の押し付け合いを始め、現場は一気に険悪になる。ヒロは調停には加わらず、傭兵としての所感を淡々と追加するだけに留めた。旋回やロール自体は不満がない一方で、機体が重いので鋭角機動は難しく、トップスピードと重装甲を活かしたヒット&アウェイか、慣性で滑りながら攻撃範囲に捉え続ける運用が必要になる。ハードポイントが上方に集中していることもあり、この機体は扱い手を選ぶ“玄人向け”になりやすいという評価で締められた。レーダーや通信、制御系に大きな問題はなく、エルマは「ヒロみたいな機動をできない人間には論外」と辛口に切り捨てる。結局、技術者側は「今日はここまで、明日別機体」として作業に戻り、ヒロ達は撤収した。
二日目:ピッケル13は優秀、ただし“押すな”ボタンが押される
翌日、別ドックに向かうと作業班の中にティーナとウィスカが混じっており、二人はヒロに「兄さん」「お兄さん」と親しげに声をかける。その瞬間、周囲のドワーフ技術者たちから嫉妬の圧が押し寄せ、工具を素振りする者まで出てきて空気が怖い方向に傾く。ヒロは「俺は悪くない」と言い張りつつ、仕事として試作機ピッケル13の説明を受ける。ピッケル13は高速機動に特化した小型高速戦闘艦で、反応は素直、癖が少なく、操縦性自体はかなり良い。しかしジェネレーター出力に余裕がなく、武装が貧弱でクラス2レーザー1門とクラス1マルチキャノン2門で限界という欠点を抱えていた。ヒロはこのままではソロ傭兵向けではなく組織運用の斥候・支援向きになると見て、いっそミサイル艦として役割を明確化し、ミサイルポッド運用や電子戦寄せを提案する。現場はその意見を「やはり現場の声は大事」と受け止め、通常モードでの試験は総じて高評価でまとまる。機動性はクリシュナに迫るが、火力やシールド、装甲は比べ物にならないという現実的な線引きもなされた。
そして例の“リミッターカット”で地獄が始まる
コックピットには透明カバー付きで「リミッターカット」と書かれた赤いボタンがあり、存在自体が嫌な予感の塊だった。ティーナは以前それを押したテストパイロットが血を吐きかけたと警告し、エルマは「そんな危ないもの取っ払え」と切る。だがウィスカは「慣性制御を調整したから安全」と強く推し、ミミも興味を示す。ヒロも乗り気ではなかったが、短時間でも驚異的な機動性が出せるなら偵察や離脱で強みになるという理屈に押され、最終的に試す決断をする。
加速は“速い”じゃなくて“異常”だった
ボタンを押した瞬間、ピッケル13は通常最高速の1.7倍に一気に到達し、身体がシートに押し付けられる。推力バランスが破綻しており、ヒロですら振り回されるレベルで、じゃじゃ馬どころか棺桶手前の挙動になる。それでもヒロはオートバランサーを切って姿勢制御スラスターを使い、時間が遅く感じる領域に入り込んで標的を破壊し続ける。外から見れば左右に跳ねながら回転し、標的を粉砕していく“変態機動”の絵面になったはずだ。だが衝撃は凶悪で、慣性制御装置の許容範囲を明確に超えており、むち打ち防止の身体固定機構が必要だとすら感じる。
代償:ミミが危険域、ヒロは介抱に回る
八つ目の標的を破壊したところでヒロの息が尽き、時間感覚が元に戻ると機体は高速回転し始める。ヒロは酸欠気味でもオートバランサーを再オンにし、リミッターカットを解除して回転を止めた。エルマは吐き気を抱えつつも自力で調整し耐えたが、ミミは意識が朦朧として危ない状態になる。ヒロはすぐにミミのスーツの締め付けを緩め、狭い船内をお姫様抱っこで休憩スペースまで運び、嘔吐して窒息する最悪の事態を避けるために傍で見守る構えを取った。停止して動かないことを心配したティーナが通信を寄こし、医療スタッフを手配したうえで機体は遠隔操縦で帰投させる段取りが組まれる。ヒロはエルマに状況を伝え、ミミの横について安全を確保することを優先した。
試験一日目の総括と、ハンマーセブンの武装配置
試作機テスト一日目は、結論だけ見れば速やかに成功裏に終わった。ただし「問題がなかった」と言い切ると嘘になる、という含みが最初から付く。試作七号機ハンマーセブンの武装はハードポイント四箇所で、小型戦闘艦としては標準的であった。配置は前部上方と中央部上方に寄っており、機体下部が死角になる点は減点対象である一方、真正面から上方と左右へ火力を寄せやすく、火力集中を前提とした設計としては悪くない。ヒロはハードポイント評価の基準を「真正面以外にも火力を集中できる方向があるか」に置き、上下左右に散らす配置だと最大火力が出せる向きが限られ、結果としてどこかで砲塔が死ぬと考えていた。ゆえに、下部の死角を抱えてでも狙い続けられるなら、ハンマーセブン型の集中配置の方が合理的だという整理になる。ただし、その運用には標的を一方向に捉え続ける腕が必要で、誰でも使える設計ではないという前提も同時に語られている。
成功が引き金になった、原因論争という“問題”
性能試験でヒロは想定以上のスコアを出し、機体は「設計通り、あるいは設計以上に動く」可能性を示した。反応がワンテンポ遅れる癖も、操縦側がワンテンポ早く入力すれば補えるし、重量と慣性で横滑りする挙動も慣れれば面白い機動に転化できるため、ヒロ自身にとっては致命傷ではなかった。ところが試験後に「反応遅れは腕で補った。原因がハードかソフトかは断定できないが、改善できるならした方がいい」と口にしたことで、ドワーフ技術者の内側にある派閥争いが露呈する。ハード担当は「ソフトは問題ない、重量と推力バランスの計算が悪い」と主張し、ソフト担当は「計算は間違っていない、パイロットが経験で補っただけでソフトの不備が原因だ」と食い下がる。ヒロの発言は改善提案のつもりだったのに、結果として「誰の責任か」を炙り出す導火線になり、現場は騒然となった。
ヒロの所感と“傭兵が扱いやすい機体”の条件
ヒロは口論に深入りせず、言い争いに参加していない技術者へ操縦所感を淡々と伝える。旋回速度は不満がなく、回頭・ロールも反応遅れ自体はあるが速度面の不足はない。ただし機体が重いので鋭角機動は困難で、トップスピードと重装甲を活かしたヒット&アウェイか、慣性で滑りながら攻撃範囲に捉え続ける戦法が必要になる。ハードポイントも上方集中のため、総合的に「玄人向けになる」という評価に落ち着く。さらに技術者から「傭兵にとって扱いやすい機体とは」と問われると、ヒロはまず挙動が素直で反応が良いことを第一に挙げる。防御面は装甲よりシールド重視が望まれやすく、理由は単純で、装甲で受けると修繕費が嵩むからだ。普通の傭兵はシールドが破られそうになったら逃げるので、装甲で殴り合う設計は嫌われがちになる。火力面では小型戦闘艦でもクラス2武装を二つ以上積めることが最低条件に近く、クラス3を一門でも積めるなら人気が出るという見立ても提示される。クラス1を二門積むくらいなら、クラス2を一門の方が嬉しいというのが現場感覚である。
撤収と、翌日に持ち越された空気
助言を聞いた技術者はタブレットにまとめ、喧騒の中へ突っ込んで諍いを収めに行く。エルマとミミの担当したレーダー・通信・制御系には問題がなく、エルマは「安心と信頼のスペース・ドウェルグ社」と皮肉交じりに評価しつつも、船全体としては「ヒロのような機動の使い手でないと論外」と切り捨てる。現場が取っ組み合いに発展する前に、技術者側は「今日は調整に入るので終了、明日は別機体」と宣告し、ヒロ達は着替えてドックを後にした。
翌日:ティーナとウィスカが“人気者”である現実
別の試作機ドックへ行くと、作業中の技術者の中にティーナとウィスカが混ざっており、二人はヒロに親しげに声をかける。その瞬間、周囲の技術者たちから嫉妬が押し寄せ、血涙じみた顔や工具素振りまで飛び出す空気になる。ヒロは「俺は悪くない」と言い訳し、エルマも「恨まれそうね」と苦笑する。二人が職場の人気者であること、そして彼女たちが船に乗るためにチームを抜ける話になれば現場が荒れるだろうという予感が、軽口の裏に残る。
ピッケル13:素直な高速機だが、火力が足りない
女性ドワーフ技術者から、今日の試作機は高速機動に特化した小型高速戦闘艦だと説明される。外観もスピード志向で、スラスターは新型らしい形状をしている。ヒロは武装がクラス2一門とクラス1二門に見える点を「貧弱」と評し、クラス2二門の方が使い勝手が良いのではと指摘するが、技術者側はジェネレーター出力が足りず、現状の構成でカツカツだと認める。これによりヒロは「ソロ傭兵向けではなく、団体で動く組織向けになる」と見立て、斥候兼支援や高速ミサイル艦として割り切る運用を提案する。クラス2レーザーをクラス2のシーカーミサイルポッドへ置き換え、浮いた出力で電子戦能力を盛れば役割が明確になるという発想は、技術者に「現場の意見は大事」と受け止められた。
露骨な赤ボタンと、押したくなる人間の業
コックピットには透明カバー付きの赤ボタンがあり、「リミッターカット」と書かれていて露骨に危険な匂いがする。ヒロは爆発するのではと疑い、ティーナは過去のテストパイロットが血を吐きかけたと警告し、エルマは撤去を求める。だがウィスカは慣性制御装置を調整したので安全だと押し、ミミは押したい欲が勝ってしまう。通常試験を進めるとピッケル13は癖がなく反応も素直で、火力不足はミサイル運用で補えるという評価に落ち着き、機動性能もクリシュナに迫る。しかし、推され続けたヒロは最終的に「そこまで言うなら」と試す決断をし、ダミーターゲット再配置を依頼する。
リミッターカット:1.7倍の速度と、壊れたバランス
ボタンを押してメインスラスターを噴かした瞬間、爆発的推進力で身体がシートに押し付けられ、速度は通常最高速の1.7倍へ一瞬で到達する。推力バランスは破綻しており、ヒロですら振り回されるほどで、じゃじゃ馬では済まない。だがヒロはオートバランサーを切り、姿勢制御スラスターで180度反転させて標的へ戻り、息を止めた瞬間に世界がゆっくり動き始める感覚に入る。ゆっくりと動く世界の中で、右舷スラスターで肉薄し、回頭して正面に捉え、射撃して破壊する行為を連続させ、標的間が近いことを利用してメインスラスターを使わずに仕留めていく。外から見れば左右に跳ね、回転しながら標的を潰す変態的機動になったはずだが、サイドスラスターの衝撃は凶悪で、慣性制御の許容を超えているとヒロ自身が判断する。むち打ち防止の固定機構が必要という所感が出る時点で、実用性はかなり危うい。
失速後の危険:ミミの朦朧と、ヒロの介抱
第八標的を破壊したところでヒロは酸欠に近い状態になり、時間感覚が元に戻ると機体は制御を失って高速回転を始める。それでもヒロは冷静にオートバランサーを再起動し、リミッターカットも解除して回転を止める。エルマは吐き気に耐えながら自分でフィッティングを調整できたが、ミミは振り回されて意識が朦朧としており危険度が高い。ヒロはミミの首元のフィッティングを緩め、嘔吐した場合の窒息を避けるために付き添う判断を即座に取る。狭い船内をお姫様抱っこで休憩スペースまで運び、殺風景なベンチに寝かせたうえで、ティーナからの通信に応じて医療スタッフ手配と遠隔帰投の段取りを受け入れる。ヒロはエルマへ「遠隔で帰投、俺はミミの傍につく」と伝え、ミミの安全確保を最優先に切り替えた。
謝罪と後処理、そして“想定外”の操艦評価
ピッケル13のドックへ戻るなり、ウィスカが勢いよく滑り込み、床に額を擦り付ける勢いで謝罪してきた。だがヒロ自身は、あれを誰かの過失だとは考えていない。エルマとミミに負担がかかったのは、機体の限界を試すというより、限界を踏み越えるような運用をした自分の責任だという認識だった。エルマもまた、常識的な運用であれば、あそこまでの負荷にはならなかっただろうと冷静に補足する。
ミミは医療スタッフによりストレッチャーで医務室へ運ばれていったが、施設内には常駐の医療体制が整っており、重症ではないと判断されている。とはいえ、今回の件でミミの体力面には課題が残った。
責任の所在と、現場の空気
ウィスカは「安全だと言ったのに」と自分を責め続けるが、ヒロは想定外の機動を行った自分に原因があると明言し、地面に這いつくばる彼女を立たせる。結果として誰かが苦しんだ以上、誰か一人を悪者にするのは違うという判断だった。
その後、ティーナがタブレットを操作しながら「あれはごっつかった」と苦笑し、周囲に集まったスタッフ達も撮影された映像を見返しては首を傾げる。横に吹き飛びながら回転し、なおかつ正確に射撃を当てるという挙動は、もはや船の動きではなく、言語化できない何かだった。ヒロは「機体性能を活かしただけ」と言い張る余地もあったが、どうせ変態扱いされるのは避けられないと悟り、黙って受け流す。
リミッターカットの是非と、仕事の終了
議論は自然とリミッターカットの扱いへ移る。短時間の一撃離脱用途で直進限定なら有用だという意見も出る一方、この機動はヒロ以外には再現できないという現実も突き付けられる。高性能であることと、商品として成立することは別問題であり、コストや整備性を考えれば現状の出力は過剰だという結論に落ち着く。
最終的に、今回のテストは十分な成果を上げたと判断され、代表格の女性ドワーフの言葉で本日の業務は終了となった。ヒロは軽く礼を返し、ホテルへ戻る前に医務室でミミを回収する必要があることを思い出す。
五日間のテスト終了と、束の間の暇
整備士姉妹のチームが手がけた試作機を含め、合計五日間のテストパイロット業務が終わると、ヒロ達は再び自由時間に入った。とはいえ、コロニー観光をしていたため、完全な暇というほどでもない。残り三日間は、スペース・ドウェルグ社の次期主力となる高速戦闘艦を試乗し続けただけで、特筆すべきトラブルもなかった。ミミとエルマは慣性制御の弱いコックピットで振り回され続けたが、後半にはすっかり慣れた様子を見せていた。
距離感と、膝の上の攻防
ホテルのラウンジでは、ソファに座るヒロの横でティーナが勝手に寝転び、膝の上に頭を乗せて甘えてくる。ウィスカは慌てて制止しようとするが、ティーナはお構いなしだ。ヒロは小さな鼻を摘んで軽くあしらい、ミミとエルマは少し離れた席から、その光景を「手強い」「なかなかやる」と評する。もっとも、ヒロの扱いが雑な分、余裕を保てているのも事実だった。ティーナは女性というより、犬猫の延長線にある存在として認識されている。
出航準備と、最後の夜の予定
母船の完成まで残り約五日。クリシュナも間もなく仕上がり、ホテル暮らしは今日で終わる見込みだという報告が入る。姉妹側の準備も既に整っており、内装が終わり次第、必要物資を積み込めば出航可能な状態だった。
そこでヒロは、以前ティーナが話していた高級店へ行くことを提案する。ティーナは自信満々に頷き、ウィスカも同意する。ミミとエルマも当然同行する流れになり、特にエルマは各地の銘酒が揃うと聞いて目を輝かせていた。
ヤキトリヤという名の高級店
その夜一行が訪れたのは、ティーナ案内の高級店「ヤキトリヤ」。名前の通り、実態は焼き鳥屋だった。二つ隣の星系で養殖された本物の鳥肉を使用しており、一本あたりの値段はなかなか強烈で、ねぎま一串十五エネルという価格設定にヒロは内心で突っ込む。
ミミは本物の鶏肉の味に感激し、エルマは銘酒に満足し、姉妹は酒が飲めないことを嘆きながらも、焼き鳥の味に心から感動していた。ヒロ自身は「普通の焼き鳥」という感想に留まり、炭酸飲料がないことを残念がりつつ、水を選ぶ。高級果汁ジュースの値段に軽く呆れながら、ホテル暮らし最後の夜は、静かに、そして賑やかに更けていった。
#6:アウトロー
コロニー帰還と、パワーアーマーの“使い道”の嫌な予感
焼き鳥の翌日、クリシュナの整備完了と積み込み終了の連絡を受け、ヒロ達はホテルを引き払って整備工場へ向かった。クリシュナは船でありながら、生活の場としての快適性が高く、もはや「家」と呼ぶ方が実感に近い。エルマは傭兵船らしい無骨さを好むが、ヒロとミミは居住性を捨てる理由が見当たらず、内装改修の出費を今でも正解だと感じている。
さらに、ティーナとメイが設計監修したパワーアーマー用新装備「ハチェットガン」も積み込まれているはずで、試運転がてら仕事があれば使ってみたいという発想が浮かぶ。しかし、その「仕事」がこのコロニーの事情と結びつくと、嫌な方向へ転がり得るとヒロは直感し始める。
棄民という“影”と、傭兵仕事の残酷な現実
ミミが状況を理解できずに首を傾げる中、エルマはこのコロニーが古く大規模であるがゆえに、対策が後手に回り「棄民」が事実上放置され、最早手が付けられない領域が存在すると説明する。棄民とは行政府に切り捨てられた人々で、存在は黙認される一方、飢えや争いで死のうと助けはない。
そして、傭兵に回ってくる仕事には棄民の排除が含まれることがある。ミミは“人を狩る仕事”を想像して顔色を変えるが、エルマは対象が単なる困窮者ではなく、武装化したギャングやマフィア、酸素や化学物質を盗む占拠者、宙賊と繋がる情報屋、最悪の場合は居住者を攫って食い物にする連中だと告げる。ヒロは即座に「関わらない」判断へ傾き、訓練所での試運転に切り替えることを決める。
整備ドックの異変と、ティーナの崩壊
ところが整備ドックに近づくと、内部の作業員ドワーフ達が人だかりを作っていた。部外者ではなく、内部トラブルの気配が濃い。道を空けられた先にいたのはティーナで、ジャンプスーツはボロボロ、顔には殴打痕が残っていた。
ヒロが状況を問うと、ティーナは俯いたまま近づき、涙を零しながら「助けてください」と懇願する。ヒロは反射的に厄介事を確信しつつも、見捨てる選択は取れない。まず傷の手当てを優先し、メイに任せて簡易医療ポッドへ入れ、風呂と着替えまで済ませるよう指示する。事情聴取は、その最低限の整えが終わってからだという判断である。
社への通報と、最悪を想定した“確保”の動き
ヒロはスペース・ドウェルグ社へ連絡を入れ、サラに「セキュリティ関連で高度な判断ができる人間を連れて整備ドックへ来い」と要請する。理由は単純で、ティーナが暴行され、ウィスカが不在だからだ。拉致の可能性、そして最悪の可能性まで含めて伝えたことで、通話の向こうのサラは生理的に追い詰められた反応を見せる。
副工場長によれば、ティーナが現れたのは到着の十分ほど前で、その時点から「何があった」「ウィスカはどうした」と問い詰めても黙ったままだったという。黙秘は不自然だが、ヒロに接触できるまで耐えたと考えれば、判断としては合理的でもある。
犯人と要求、そして“アウトロー”の指定
治療後のティーナは、単刀直入な問いに答える。襲ったのは「ハリコフ」。古巣の元仲間であり、過去に関わっていたギャング筋の人間だという。要求はピッケル13のテストデータと設計図、そしてウィスカが作った新型スラスターの設計図。
副工場長は、ヒロの実戦級のテストデータが付けば「実性能以上に見せかけて売る」こともできると補足し、要求の狙いが金と転売にあることを示す。
さらに、引き渡し場所は「第二メンテナンス区画」。エルマの反応と副工場長の表現から、そこはブラドプライムで最も危険な区域であり、アウトローという呼び名さえ生ぬるい連中の巣であることが確定する。ミミだけが理解に追いつかず、遅れて危険性を飲み込む。
企業が動けない理由と、棄民が“コロニーを人質にする”構造
サラが連れてきたセキュリティ担当者は、「会社が今すぐ救出に動くのは難しい」と断言する。ミミは「見捨てるのか」と激昂するが、現実は“費用対効果”という冷酷な天秤に乗せられる。
第二メンテナンス区画を押さえた連中は、コロニーの維持システムに手を入れられる位置にいる。企業が表立って突入すれば、報復として無差別テロや配管破壊、重要区画の機能停止を引き起こされかねない。古いコロニーほどバイパスや冗長化が弱く、一箇所を押さえられるだけで全体が危うくなる。だから排除も救出も、単純な武力では解決できない。
結果として、会社側は「データが持ち出されなければ損害ゼロで済む」という誘惑に傾く。だがそれは、社員を守れない企業という烙印、社内の士気崩壊、外部への弱さの露呈と引き換えである。ヒロはその構図すら、仕掛け人にとって“どちらに転んでも美味しい”盤面だと見抜く。
黒幕の存在と、ヒロが提示する“値札”
今回の実行犯はハリコフという末端であり、試作機情報を掴んで彼を動かした黒幕が別にいるはずだ。目的がデータ獲得でも、企業の信用失墜でも、コロニーへの損害誘発でも、ウィスカを見捨てさせても、いずれも相手に利が出る。
だが、その黒幕が見落としているものが一つある。ヒロの存在だ。
ヒロはセキュリティ担当者へ視線を向け、指で輪を作って見せる。ここにいるのは“圧倒的な暴力”を背景に、殺しを稼業にしてきた傭兵であり、企業の都合で止まる人間ではない。
そして彼は、救出と企業の面子をまとめて守るための対価を問う。相手の盤面に、金と実力という別軸のルールを持ち込む形で。
#7:ティーナとウィスカ
救出後の“感動の再会”と、ヒロのテンションの微妙なズレ
メイと一緒にクリシュナへ戻ると、ウィスカとティーナが涙と鼻水でぐしゃぐしゃになりながら抱き合う再会劇が始まっていた。姉妹愛は尊いが、見た目はだいぶ惨い。ミミは横でハンカチ片手に感動しており、そっちは平和に任せて良い状況である。
一方、エルマはヒロを「何か隠してる」目で見てくる。ヒロ自身は殺しの後の落ち込みを態度に出していないつもりだが、勘の鋭いエルマには薄く感づかれた気配がある。
企業側の“後処理”と、掃除屋の値段の安さ
スペース・ドウェルグ社の保安担当者(最初の担当者より上の立場)が到着し、救出と殲滅の結果を確認する。ヒロは「本来は船が専門で白兵戦はやりたくない」と本音を漏らす。ゲーム由来の経験や、息を止めると主観時間が加速する謎の能力が、現実の白兵戦で異様に噛み合ってしまっているのが不気味で、積極的に続けたい分野ではない。
報酬は5万エネル。危険度に対して割に合わず、ヒロは「船で宙賊を相手にした方が安全で稼げる」と断じる。保安担当者は戦闘ログを受領し、依頼完了を事務的に確定させる。事件は「拐われた社員を傭兵が救出し、犯人集団を殲滅した」という、宇宙のどこにでも転がっている小事件として処理されていく。
姉妹の“出向”と、クリシュナの居住問題
ヒロは事前に提案した「姉妹の処遇」が通るか確認し、二人は「今日付でヒロ側へ出向」という形で処理されることになる。
当面の寝床は窮屈になるが、船は五人乗りで融通は利く。姉妹にヒロのベッドを使わせ、ヒロがコックピットで寝るなど、いくらでも逃げ道はある。ミミやエルマの部屋に転がり込む選択肢まで検討するあたり、生活設計が雑だが現実的である。
恩返しが“重い”方向に曲がる
落ち着いた姉妹は正式に挨拶し、「誠心誠意お仕えします」とまで言い出す。ウィスカの目が真剣すぎて、ヒロは軽く引く。
エルマは「気負いすぎるとヒロが疲れる」と釘を刺し、ヒロも「勝手に助けただけだから恩はほどほどでいい」と線引きを試みる。だがティーナは「妹は命より大事」と言い切り、ウィスカも「助けがなければ想像もできないほど酷い目に遭って死んでいた」と重い言葉を重ねる。
そして決定打として、「妹の命に匹敵するものはない。差し出せるのは自分自身しかない」という、冗談として処理しにくい恩返し宣言に踏み込む。姉妹の視線は本気で、ヒロは一歩引きながら「まずはクルーとして働いてもらう」で着地させる。
ヒロのブレーキと、外見年齢の地雷
ヒロは「嫌ではないし嬉しい」と正直に言いつつ、今の姉妹は冷静ではないと判断し、数日静かに過ごして気持ちが変わらないなら考えると猶予を要求する。
ヒロが踏み込めない理由は二つある。
一つは責任の重さ。受け入れるなら二人分であり、軽い気持ちで手を出すのは憚られる。
もう一つは絵面の危険性。ドワーフとして成人でも、ヒロの目にはティーナもウィスカもティーン、下手をするとローティーンに見える。本人が望んでも、見た目がアウトでヒロの倫理ブレーキが作動する。ついでに体格差もえげつなく、フィジカル面での不安もある。
結果、ヒロは「心の準備の時間」を求め、ミミ・エルマ・メイとも情報共有してから判断するという“根回し型の先延ばし”で安全に逃げる。
女性陣の反応と、クルー増員の確定
メイは「ヒロの判断が最善」と即答し、エルマは「この二人なら柵もないし良いのでは」と軽く後押しする。ミミも微笑み、後輩ができることに喜ぶ。
ヒロは疲労を理由に風呂へ退避し、結局「クルーが増える」流れが固まる。母艦引き渡しまで窮屈でも、互いを知る機会になると割り切ることになる。
引き渡し同行と、スパイ疑惑への現実的な整理
別場面として、クリシュナ引き渡しのタイミングで姉妹が待ち構え、「お試しで乗せてほしい」と希望する。ヒロは了承するが、乗船直後にメイへ「変なものが仕掛けられていないか厳重にチェック」を命じる。ティーナは苦笑しつつも「信用されるように頑張る」と応じ、ヒロは企業所属である以上、完全信用は難しいと内心で線を引く。
ただしヒロは、傭兵船でのスパイ行為は実務的に難しく、発覚すれば宇宙空間に放り出されかねない致命的リスクがあることも理解している。会社としても、ヒロが同社の母船で活躍する方が利益になる可能性が高く、無理に不興を買う指示は出しづらい。姉妹も「妙な指示はない」「メイが怖くて無理」と口を揃え、ひとまずギスギスは収束する。
ミミが場をまとめ、テツジンシリーズのシェフ機能やプリンの話で空気が柔らかくなるのが、平和で逆に怖い。
宙賊狩り遠征と、サラの性格の悪さが輝く瞬間
翌日、試運転も兼ねて四つ隣の星系へ宙賊狩りに行くことを決め、姉妹も同行させる。ブラド星系に宙賊がいないのは、ドワーフ達が試作機で嬉々として刈り取るからである。
サラに同行を告げると、彼女は輝く笑顔で「遠慮なく連れて行ってください」と即答し、姉妹は青ざめて震える。昨日までの謝罪騒動と大口契約の危機で溜まった鬱憤を、合法的に姉妹へ返している形で、趣味が悪いが人間らしい。
出港準備と“アレ”の装着、そして慣らし運転の地獄
姉妹をサブシートに固定し、女性陣が一度席を外したのは、漏らしても大丈夫な“アレ”を履かせるためだとヒロは推測する。ミミは最近卒業したらしいが、在庫が役に立ったらしい。人類の進歩って、だいたいこういう方向。
出港後、ヒロは慣らし運転としてトップスピードからフライトアシストを切り、マニュアルで戦闘機動を一通り試す。加減速、アフターバーナー、横滑り、逆転攻撃、バレルロール。姉妹は悲鳴を上げて目を回し、エルマは「吐瀉物塗れで戦闘は嫌」と顔をしかめる。
問題なしと判断したヒロは超光速ドライブへ移行し、姉妹は「いつもこんな感じか」と半泣きで確認する。ミミは平然と「だいたいこんな感じ」と答え、姉妹はミミの肝の据わり方に妙な納得をする。
ハイパーレーンへ、そして“空振り観光ツアー”の予感
二人のハイパーレーン経験を確認し、ナビに従って入口へ向かう。ヒロは「事前情報なしで適当に行くから空振りの可能性が高い」と見込み、宙賊狩りという名目が小惑星帯観光ツアーになる可能性を感じている。
宙賊十三隻の大当たりと、姉妹の情緒崩壊
小惑星帯で捕捉した船は採掘船どころか宙賊艦で、しかも中型艦込みの十三隻編成だった。ティーナは「運が悪い」と騒ぎ、ウィスカも「さすがに危ない」と警戒するが、ミミは「ヒロ様なら問題ない」と断言する。ヒロは「当たらなければどうということはない」と、赤い彗星みたいな台詞を吐いて武装展開し、戦闘は秒で始まる。
奇襲で削り、散弾でまとめて破裂させる
クリシュナは船団後方から肉薄し、まず最後尾の小型艦二隻を重レーザー砲の連射で即落としする。散開しようと横腹を晒したところへ大型散弾砲を叩き込み、三隻をまとめて穴だらけにして爆発四散させた。宙賊側も反転してレーザーやマルチキャノンで反撃するが、クリシュナには豆鉄砲でしかなく、被弾表示がHUDに増えるだけで実害はない。
ただし、姉妹の精神には実害しかない。ティーナは涙目で「撃たれてる!」と叫び、ウィスカは震え声で「シールドなら平気」と言いかけた矢先に事態が悪化する。
シーカーミサイルで阿鼻叫喚、そしてヒロの変態回避
アラートでシーカーミサイル接近が判明し、姉妹の悲鳴が“レーザー段階”から“ミサイル段階”へ進化する。ヒロはフレアをばら撒きつつスラスターを噴かし、直角に近い回避運動で誘導を切る。
慣性制御で殺しきれなかった反動が姉妹に刺さり、「ふぎゃっ」「ひゃあっ」と個性ある悲鳴が発生する。エルマは「煩い」と切り捨て、ミミは苦笑いして「私もこんな感じだったか」と過去を思い出す。
狩る順番の判断と、ヒロのテンションが危険
エルマは中型艦を先に潰す案を出すが、ヒロは「先に小型艦を潰して逃がさない」と判断する。中型艦はミサイル艦で、シーカーさえ気をつければフレア残弾と回避機動で対応可能という読みである。
そしてヒロは「宇宙のゴミは消毒だー!」とテンションを上げ、宙賊側は「こいつ何なんだ」と半泣きで叫ぶ。戦闘の理屈は一応まともだが、発言がだいぶ物騒である。
戦闘後の戦果と、宙賊狩りの金額感
戦闘後、積荷は精製済み金属が多く、賞金は11万2000エネル。売却益込みで合計13万2000エネル程度が見込まれる。姉妹は月給3700エネル換算で「約35ヶ月分、ほぼ3年分」と青い顔になり、傭兵稼業の金銭感覚に軽く心が折れる。
ヒロは「命懸けだからな」と釘を刺しつつ、冗談半分に「会社辞めてクルーになるか」と誘う。だが自由移動権の買い取りに20万エネル級が必要で、現実にはすぐ無理という結論になる。
完全勝利で凱旋、そして“戦勝祝い”の流れ
被弾は装甲ゼロ、シールドで全部受け止めて船団を全滅させた。ヒロは「戦果は十分、凱旋」と帰路を設定し、エルマは「戦勝祝いに酒」と即決する。到着後はサラへの連絡も予定に入る。
ウィスカの“事故”と、姉妹じゃれ合いの地獄
戦闘直後、ウィスカは異様な速さでトイレに行き戻るが、その挙動が怪しすぎてティーナに察知される。結果、ティーナは大爆笑し、ウィスカは顔面真っ赤で飛びかかる。
ヒロは「ティーナは上から、ウィスカは下から」と最低ラインを踏み抜く補足をして、ウィスカに鋭く怒鳴られる。ミミは自分も同じ時期があったので気まずく目を逸らし、エルマは「ヒロに紳士は無理」と切り捨てる。ヒロも「俺もそう思う」と素直に認める。
#8: ブラックロータス
三日間の休暇と、稼ぎの再計算という現実
宙賊退治の後は三日ほど無理に稼ぎに出ず、母船の完成待ちを優先して落ち着いて過ごした。とはいえ引きこもりではなく、ミミと買い物、エルマとドワーフ居酒屋巡り、メイと賞金受領など“ちゃんと生活”はしている。戦果は賞金+略奪品で合計13万5000エネル。取り分はミミが1%で1350、エルマが3%で4050、残り12万9600がヒロという配分になり、数字だけ見るとヒロの暴利感がすごいが、船の所有と運用責任を全部背負っているのでギルド的には妥当という整理になる。
母船の命名会議と、神話知識の雑な融合
納品ドックへ向かう途中、船名を決めていない問題が浮上する。デフォ名「スキーズブラズニル」は長く、クリシュナ(インド神話)と神話系統がズレるのも気になる。ヒロはヴィシュヌの乗り物の神鳥「ガルーダ」を提案するが、母船の外観がゴツいので“鳥感”が薄いと却下寄りになる。
次に「ロータス(蓮)」案が出る。蓮華座など“神が座す象徴”としては筋が通るが、艦の色が濃紺から黒である点をエルマに突かれ、ヒロが雑に解決して「ブラックロータス」に確定させる。ミミは首を傾げ、エルマは納得し、メイとウィスカは「花の名前は可愛い」と好意的で、結果として一番しっくり来る落とし所になる。
サラ登場、そしてブラックロータスの物量に男が壊れる
大型ドックではサラが待っており、最新ロットの母船ブラックロータスが引き渡される。サイズはクリシュナの比ではなく、外観は平面装甲主体で、コンシールド砲塔が装甲スライドで露出する構造。大型EMLも装甲内に隠され、展開時に姿を現す。瞬間火力はクリシュナ以上で、大型EMLは直撃すればクリシュナすら一撃大破級という物騒さである。
ヒロは完全に子供の目になり、メイがまさかの「可愛らしいですね」と評して周囲が固まる。サラも穏やかに見守るが、ヒロ本人は急に照れて挙動が怪しくなる。
艦内ツアーと、“安全設計がガチ”な内装
サラの案内で艦内へ。通路は広く、出っ張りも少ない。壁面は硬質プラスチック風なのに押すと僅かに沈む衝撃吸収材で、怪我防止と断熱性向上でエネルギー効率にも寄与するという説明が入る。
続いてハンガー兼カーゴスペースへ行くと、整備士姉妹が即座に設備検分を開始し、メンテナンスボット群で“二人でも回せる”体制であることが見える。ヒロは管理を任せ、必要投資は惜しまないと言いつつ、宙賊の疑似餌運用も視野に「脱出艇位置と避難経路は押さえろ」と釘を刺し、ティーナに怪しまれても誤魔化す。
居住区画の豪華さと、テラリウムが刺さる人刺さらない人
休憩室は旅館の宴会場級に広く、ソファ、ドリンクサーバー、マッサージチェアまで完備。壁面の一角にはテラリウムがあり、ヒロは「生き物いないのか」で興味を失うが、植物に飢えたミミと、エルフ感性っぽいエルマには刺さって長時間眺める。
食堂は広く、テツジン・フィフスの自動調理器。トレーニングルームもクリシュナより充実しており、生活の中心が母船に移っていく見通しが立つ。
コックピットは“戦闘指揮所”、メイが艦の脳になる
母船のコックピットは艦中央付近にあり、外縁部にあるクリシュナと違って“指揮所”に近い。メイ用のカスタムシートが設置され、艦機動、火器管制、出力調節、生命維持まで全制御を担う。ヒロはシステム掌握を確認し、母船制御をメイに一任することで運用の核が固まる。
受領サインと、サラの黒い笑顔が姉妹を焼く
全員から特に異議はなく、タブレットで受領サインと認証を済ませ、ブラックロータスは正式にヒロの船になる。取引完了にサラは胸を撫で下ろすが、途中で「ヒロに過失は一切ない」と笑いながら暗い目で整備士姉妹を見る。姉妹はヒロの陰に隠れ、ヒロは“黒いオーラ鎮まれ”と内心で祈る羽目になる。
ヒロが「禁酒も応えたし、これから危険な傭兵生活だ」と宥めると、サラは水に流す姿勢に戻り、今後の連絡体制を確認して笑顔で締める。
出港即・慣熟訓練開始という働き者ごっこ
ブラックロータス受領から30分で、ヒロ達はもう出港準備を始める。目的は母艦運用の基本である「合流」「発着艦」「連携」をぶっつけ本番にしないための慣熟訓練だ。メイは放っておいても成功させそうだが、成功しても“学び”が残らないので訓練は必要、という地味にまともな判断である。
ブラックロータスの第一印象がだいぶ失礼
コロニーを離脱する途中でブラックロータスの威容を再確認するが、名前の優雅さと反比例して見た目は「ゴツい」。ヒロの比喩は迷走し、最終的に「胸元に不自然な膨らみのあるゴツい黒服のお兄さん」扱いになる。要は“武器隠してるヤベーやつ”で、実際コンシールド装甲の中身が巡洋艦級火力なので、偏見がだいたい正しいのがひどい。
超光速ドライブ同期と、メイの無駄ゼロ運用
母艦の超光速ドライブにクリシュナが同期して“母艦に乗っかる”形で短距離ワープを実施する。問題なく通常空間に帰還すると、メイは即座に発着艦テストに移行。行動に隙がない。人間がだらだらする時間を機械に与えると、こういうことになる。
ガイドビーム着艦と、カタパルト射出の絶叫マシン感
ブラックロータスの格納庫ハッチからガイドビーム(トラクタービーム的なもの)が照射され、照射圏内に入れば自動で引き込まれて着艦完了という安全設計だ。着艦後はランディングパッドが回転して艦首向きを整え、発艦時はそのままカタパルトになる。
射出は慣性制御が利いていても加速感が強く、ヒロとミミが「思ったより来る」と素直にびびる。利きが甘い理由は不明だが、外力加速で慣性制御の追随が遅れる可能性を示唆している。
整備士姉妹とメンテナンスボットの“現場が回ってる感”
ハンガーではティーナとウィスカがメンテナンスボット群と動き回り、設備チェックを完了させる。ブラックロータス級を二人で回すにはボット前提という納得の結論が入り、ヒロも「そりゃそうだ」と受け止める。ミミは見た目が幼い姉妹を“妹を見守る姉”みたいな顔で眺めていて、年齢の辻褄は見なかったことにされる。
武装・機動チェックと、母艦の意外な回頭性能
武装展開ではコンシールド装甲が稼働し、12門のレーザー砲が一斉発射される。見ている分には綺麗だが、突っ込む側には地獄である。構成はクラス2レーザー8門+クラス3レーザー4門、ミサイルポッド10、さらに大型EML1で、火力はクリシュナ超え。
機動面は加速は鈍いがトップスピードは想像以上で、逃走性能としては十分。さらに回頭が思ったより速く、姿勢制御スラスターまで使って“無理やり戦闘機動っぽく”動いている。ヒロの戦い方を参考にしている気配があり、母艦のくせに根性で曲がる。
帝国航宙軍がワープアウト、臨検で“合法です”を証明させられる
機動試験中、帝国航宙軍ブラド星系第三分隊が現れ、戦闘と勘違いしたのか通信で応答を求める。ヒロは傭兵ギルド所属、母艦は新品の慣らし運転中と説明し、スキャンを受け入れる。さらに臨検のためクリシュナをブラックロータスへ着艦させ、降下艇を二番パッドに誘導する段取りまで即決する。
「痛くもない腹を探られるのは気分が悪い」と言いつつ、今後は積載量が増える以上、臨検が日常化する前提で“予行演習”として飲み込む。大人である(当社比)。
降下兵団第六小隊隊長ポール少尉、ピカピカ新人の顔
降下艇から武装兵が30人以上降りてきて、隊長のポール・ドライ少尉が帝国航宙法に基づく臨検を宣言する。カーゴがスカスカなので怪しいものは何もない。クリシュナ側の臨検には女性下士官(ベティー軍曹)の分隊が回され、エルマとミミが同行する。配慮はある。
2000万エネルの話で軍人の精神が削れる
ブラックロータスが約2000万エネルと聞いて、ポール少尉は一等准尉換算で416年分という計算を出して目が点になる。ヒロは過去に一等准尉待遇で勧誘されたが給料が安くて断ったとさらっと言い、ポール少尉は“そりゃそう”の遠い目になる。軍の給料の話は士気を殺すので触れないのが正解だが、もう手遅れである。
艦内の豪華さで士気が崩壊、テツジン・フィフスでとどめ
居住区画を見た兵士達は「傭兵の船…?」「オシャレ空間」「ここに住みたい」と情緒が崩れる。さらに食堂の自動調理器がテツジン・フィフスだと判明し、パワーアーマー兵が膝をついて絶望する。軍の調理器は“お茶だけ充実”らしく、艦長の意向でそうなっているのがまた救いがない。軍隊あるあるをSFでやるの、妙にリアルで嫌だ。
ドワーフ姉妹と女性クルー構成で、兵士の心が折れる
ティーナとウィスカが通りがかって挨拶し、ヒロは「子供扱いするな、淑女だ」と釘を刺す。さらに「操艦は高性能アンドロイド(メイ)に任せてる」と説明した直後、兵士が“気づいてはいけないこと”に気づく。
「貴方以外女性なんですか?」
その瞬間、男だけの臨検部隊の士気は底抜けする。レーザーライフルの点検音、拳のギチギチ、パワーアーマーの殺気。ヒロは殴られたら死ぬので必死に空気を流す。兵士達は「出会いが…」「帰ったら他の男と…」と全員で闇を共有し始め、任務の趣旨が消える。人間、弱すぎる。
メイはメイドロイド、しかも近接がヤバい
コックピットでメイが挨拶し、兵士が「メイドロイドじゃん」と言うと、メイは無表情で首を傾げる。パワーアーマー兵が「物凄い高性能機だ」と認め、メイは「護衛も兼ねております」と淡々と肯定する。至近距離ならメイが勝つかも、というヒロの評価が不穏だが説得力がある。
密輸品と宙賊、ブラド星系の治安の悪さが背景として固まる
臨検は機関部なども含めて実施され、密輸品や略奪品の取引が「宙賊と悪徳業者」で後を絶たないという現状が語られる。棄民系アウトローが“絶妙に重要な場所”に陣取って掃討しづらい、という大人の事情まで出て、ブラド星系が面倒くさい場所だと読者に刻まれる。
臨検終了、帰港、そして明日から宙賊狩り再開
結果は問題なし。当然である。今回の臨検は、積載量が増えた母艦運用では今後避けられないイベントの予行演習になった。時間も微妙なので今日は帰港し、明日から本格運用として宙賊狩りを再開する流れで締まる。
#9:新戦力
昨日の後始末を終え、本業へ復帰
昨日は慣熟訓練中に帝国航宙軍の臨検を食らうという“余計なイベント”が挟まったが、ブラックロータスとクリシュナの基本動作確認は完了した。そこで本日は、久々に「最初から宙賊を狩るつもり」で出港する。作戦は昨夜の打ち合わせ通りで、ヒロ・ミミ・エルマはクリシュナ側、メイはブラックロータス操艦、ティーナとウィスカは格納庫付近で待機となった。外部協力者の二人にも状況モニターは見せ、実戦の空気だけは共有させる。
緊張ほぐしの軽口と、ミミの微妙な嬉しさ
ヒロは整備士姉妹に「実戦だから気を引き締めろ」と言いつつ、ついでに“おむつ”ネタで緊張を崩す。ウィスカは真っ赤になって憤慨し、ティーナは軽く受け流す。ミミにも同じ流れが飛び火し、ミミは否定しながらも妙に嬉しそうになる。最近ヒロが多忙で構ってもらう時間が減っていたぶん、雑でも声を掛けられること自体が効いていた。ヒロは戦闘後に皆を労うことまで内心で決める。
囮作戦の開始と“星系規模の釣り”
ブラックロータスは二つ隣の星系へ移動し、採掘船並みの遅い超光速航行で「荷物満載の鈍重船」を装い、宙賊のインターディクトを誘発する囮作戦に入る。要するに宙賊フィッシングである。ヒロ達はそれを平然と“嗜み”として実行する。
インターディクト成立、整備士姉妹が悲鳴
亜空間レーダーが後方の集団を捕捉し、メイが状況を報告する。ヒロは「後ろに付かれるのを嫌がる鈍重船」を演じさせ、最寄り交易コロニー方向へ逃げる芝居を指示する。予定通りインターディクトされ、ティーナが「撃たれるんかい!」と絶叫するが、ヒロは親指を立てて通信を切り、「これが日常になるから慣れろ」と雑に現実を叩き込む。信頼できるのが船体性能なの、職業傭兵っぽくて嫌に正しい。
射出、宙賊8隻、戦闘開始
通常空間へ引きずり出された後、スキャンで相手が宙賊と確定する。数は小型8隻。メイがハッチを開放し、クリシュナを電磁カタパルトで射出する。宙賊は護衛機が単機で出てきたことに油断し、5隻でクリシュナを囲み、残り3隻でブラックロータスを足止めする意図を見せる。ヒロは宙賊に慈悲を抱く余地がないと断じ、即座に武装を展開する。
“正面衝突”を餌に隙を作り、重レーザーで一撃破壊
ヒロは突撃気味に間合いを詰め、宙賊側に「衝突したら木っ端微塵」という恐怖を思い出させて回避機動を誘発する。エルマはチャフで照準を乱し、宙賊が腹を晒した瞬間に重レーザー斉射で1隻を行動不能にする。爆散しなかったのは“運良く”中枢だけ抜けた形で、ここでは珍しい当たりとなった。
無茶な急旋回で背後を取り、連続撃沈
ヒロはフライトコントロールを切り、姿勢制御スラスターとメインスラスターで無理やり旋回して背後を奪う。慣性制御があってもGは凶悪で、エルマとミミは苦鳴を漏らす。それでもヒロは追撃を止めず、背後から重レーザーを叩き込み2隻目を撃沈する。反撃のレーザーは強固なシールドに弾かれ、宙賊側の焦りだけが増える。
大型散弾砲で至近破砕、5隻を掃除完了
横合いから撃ってきた2隻には距離を詰め、艦首の大型散弾砲でまとめて穴だらけにする。残りも重レーザーで処理し、クリシュナ側の5隻は短時間で制圧される。宙賊の悲鳴は増えるが、ヒロは一切取り合わない。
ブラックロータスの大型EMLが“逃走の芽”を粉砕
足止め担当だった3隻は、ブラックロータスのレーザーで2隻が爆散済み。最後の1隻が超光速ドライブ起動を試みるが、ブラックロータスが艦首の大型EMLを展開し、起動前に粉砕する。逃走を許さない“母艦の一撃”として、威圧と実利を同時に示した形になる。
戦闘後の本番は“回収”である
戦闘が終わるとヒロは即座に「根こそぎサルベージ」を宣言する。ブラックロータスのカーゴ容量があるため、今までのように高価品だけ選って残りを捨てる必要がなくなった。損傷の少ない小型宙賊艦は、駆け出し行商人や採掘者、スカベンジャーにとって安価な輸送船になり得るので、持ち帰れれば売却益が跳ね上がる。ヒロは“爆散させないコツ”まで考え始め、ミミに「悪い顔」と言われる。
整備士姉妹が“回収対象そのもの”を分解する新戦力に
ティーナが「超光速ドライブ回収せんの?」と提案し、回収ドローンでは内部機構が抜けない問題を、姉妹が「ハンガーに放り込めばボットで引っこ抜く」と解決する。エルマも「手間と利益の検証になる」と後押しし、ヒロは成功報酬(売却額の%)を示唆して作業を任せる。ブラックロータスのトラクタービームで残骸を牽引し、姉妹は生存者がいれば“適切に処分”する方針で一致する。捕虜は要らない、というヒロの割り切りもここで再確認される。
メンテナンスボット10体運用という“戦力”
休憩中、ヒロ達は姉妹がホロコンソールでメンテナンスボット10体を同時運用し、レーザートーチで宙賊艦を解体してパーツを回収する様子を観察する。通常は整備士1人につき2〜3体運用が目安らしく、1人5体はかなり高負荷な操縦である。ヒロは二人の評価を一気に上げ、エルマは「戦闘ボットの指揮も教えればできそう」と見立てる。整備士がドローン運用に強い、という戦術的価値がここで言語化される。つまり姉妹は“整備要員”ではなく、運用リソースを増やす新戦力として扱えるようになった。
おかわり到着、宙賊狩りは入れ食いへ
戦利品回収が一段落したところで、メイが「おかわりが来た」と亜空間センサー反応を提示する。ヒロ達は敵がワープアウトする前に出撃を決め、次の戦闘へ移行する。ブラックロータス導入で「戦闘」だけでなく「回収と解体」まで含めた収益構造が変わり始め、狩りが連鎖的に回る段階に入った。
打ち上げの相談と“船のほうが羽目を外せる”問題
戦闘と回収を終え、ブラドプライムコロニーの入港待ち中に、ティーナとウィスカが「酒!」とテンションを上げる。ヒロは酒を飲まないが、外食だと帰りを考えて全員が完全に羽目を外せない点、逆に船内だと羽目を外しすぎた“四人分”の介抱が自分一人では無理という現実も把握していた。エルマは「秘蔵の酒」までチラつかせ、打ち上げはほぼ決定の流れになる。
連戦の結果と“新戦力”の成果が数字で刺さる
追加襲撃も含めて最終的に撃破は小型27隻・中型2隻、賞金総額は2万7500エネル。さらに、持ち帰った小型艦や曳航した中型艦を、整備士姉妹がニコイチ修理やパーツ継ぎ接ぎで“売り物”に仕上げたことで戦利品の価値が跳ね上がる。入港許可が下り、打ち上げ準備が進む一方で、エルマとティーナが高い酒を大人買いしようとしてミミとウィスカが止める。原資がヒロの金という当たり前のオチが刺さり、ヒロは内心で説教モードに入る。
整備士ボーナスの相場確認と、出向者の離職率という世知辛さ
翌日、ヒロはミミ同伴で傭兵ギルドへ行き、整備士へのボーナス相場を確認する。企業出向の整備士は「会社給料だけ」で済ませる例が多いが、それでは割に合わず離職率が高い。最悪、離職前に戦闘で死亡するケースまであると聞かされ、ヒロは現実のえぐさを理解する。報酬は「一定額」か「関与した売却益の10〜20%」が多いが、後者は計算が面倒で、前者を選ぶ船長も多いという。
運び屋業の打診と、ギルド職員の嫉妬オーラ
ヒロは母艦ブラックロータスを買ったので、宙賊狩りに加えて運送の斡旋も頼む。高速で内装や客室も整っているため、急ぎの高価物資や“商人同乗”需要にも刺さる可能性があると職員は評価する。ヒロは「横柄な商人だと手が滑るかも」と釘を刺し、職員は笑顔で配慮を約束するが、クルーの女性陣プロフィールを見て一瞬だけ嫉妬オーラを漏らす。人間、どうしようもない。
売却が即決し、収益が想像以上に膨らむ
船に戻ると、エルマがすでに買い手を確保していた。小型キメラ艦が5万5000エネル、中型艦が9万エネル、パーツ類で約1万エネル。さらに物資売却が約15万エネル。合計すると、賞金2万7500+船と装備27万5000+物資15万で、総額はざっくり45万2500エネル規模になる。ブラックロータス導入で「拾えるもの全部拾って売る」が可能になり、実入りが単純に跳ね上がったことが数字で確定する。
ボーナス配分の決定と、ミミの“次の壁”
整備士姉妹への報酬は、姉妹が関与した「船と装備」売却益27万5000の10%=2万7500エネルに決定。均等で1人1万3750エネルとなる。ヒロは「先任のミミより多いのはどうなんだ」と一瞬引っかかるが、エルマが「高度スキルの対価は当然。ミミは次の段階として“護衛なしでコロニーに降りても安心”になる必要がある」と現実を叩き込む。ミミは悔しさを飲み込み「がんばります」と腹を括る。
嫉妬と接触と、ティーナの“猫化”で場が荒れる
エルマが甘え、ミミが拗ねて腕に抱きつき、そこへ整備士姉妹とメイが帰還する。ティーナが勢いよくヒロに抱きつき、ヒロが流れで頭を撫でると「ごろにゃーん」と猫化する。ウィスカは情緒が崩れて涙目になり、ミミとエルマは露骨に不機嫌になる。ヒロは左右から刺さる視線を“見ない”ことで乗り切ろうとするが、結局ちょっとした修羅場になり、全員を落ち着かせて着席に成功する。
金銭感覚の擦り合わせと、メイの全肯定
ボーナス額にティーナがハングアップし、ウィスカも同様に思考停止する。「一日で月給の四倍近いボーナス」は整備士側からすると胃が痛い現実で、ヒロ側の金銭感覚が“別世界”になっていることが露呈する。ティーナは生活費の基準(月1000エネルで生存、月給3700で高給)を提示し、ヒロの「1万エネルなんて修理で吹っ飛ぶ」という感覚との差が明確になる。
メイは「懸念なし」と断言し、ヒロがブラックロータスを即金購入できる資本を自力で作った事実から“浪費で破綻するタイプではない”と結論づける。押しに弱い点は指摘しつつも、今は問題ないという評価で落とす。
エピローグ
荷運び初仕事が、よりにもよって軍の前線
略奪品と拿捕船の売却を終え、「また宙賊狩り行くか」と思った矢先、傭兵ギルド経由で荷運び依頼が即日で入る。朝運動→風呂→朝食のタイミングで全員が食堂に揃い、整備士姉妹もすっかりクルー扱いで参加していた。ティーナ達は「傭兵はドーンと稼いでダラダラ休む」イメージだったが、ヒロ達の稼働率に驚き、逆に「ヒロは勤勉で金を貯めるタイプ」と評価される。ヒロ自身は散財もしている自覚があるが、「生活を預かっている以上、放蕩で家計を傾けるわけにいかない」と締める。
依頼内容の提示と、全員の“首傾げ連鎖”
メイがホロディスプレイに依頼を表示する。内容は「補給物資120tを、九つ先のイズルークス星系にある帝国航宙軍アウトポストへ届ける」。ここでヒロとエルマが同時に困惑する。帝国軍がたった120t程度の補給を“民間の傭兵船”に急ぎ便で頼むのは不自然で、巡洋艦でも運べる規模だからだ。理由を探るため「何に対する前線か」を確認すると、相手は敵対勢力ではなく“結晶生命体”との最前線であると判明する。
結晶生命体の説明と、急送の理由
結晶生命体は意思疎通不能の敵対的航宙珪素生命体で、攻撃手段も侵食も厄介な“宇宙怪獣枠”。ティーナとウィスカは露骨に顔色が悪くなる。依頼の中身は、結晶生命体に効果がある「新型砲弾の試作品」をフィールドテストするため、急いで届けてほしいというものだった。軍の仕事に見えるが、メイは「こちらの方が速く、フットワークも軽い」と説明し、断ることも可能だと添える。
受諾の意思決定と、ミミの交易アイデア
エルマは「軍案件なら裏が薄い、報酬も悪くない」と受諾に前向き。ミミはさらに、積載枠の残り60tを嗜好品で埋める提案を出す。前線基地では嗜好品が不足しがちで、ドワーフ酒は人気があるという現地事情も追い風になる。ティーナとウィスカも地元民として賛同し、メイも頷く。こうして「軍の急送+ついでに交易」がセットで決まる。
ミミに“積荷担当”を任せた瞬間、胃が死ぬ
ヒロは残りの積荷枠をミミに任せ、「今後も積荷はミミ担当」と宣言する。ミミは反射で元気よく返事した直後、笑顔のまま固まって汗だらだらになる。エルマが通訳してやる。「任せる=ヒロの金で仕入れて利益を出せ、つまり失敗したらヒロの金を溶かす」なので重い。ヒロは「多少の損は気にしない。売れなきゃ別コロニーで売ればいい。大儲けならボーナス、小さな利益でもOK。生活費や寄港料が浮けば十分」と、スケールのでかい“気楽さ”で押し切る。整備士姉妹は引きつった顔で納得し、ミミは死にそうな顔で了承する。
サポート体制と、キャプテンの“良きに計らえ”芸
ヒロは「メイをミミのサポートにつける」と明言し、メイも「お手伝い致します」と即答する。エルマも手伝いを申し出て、ミミは二人の支援を得てなんとか受け入れる。ヒロは自分でも交易はできるが、「仕事をクルーに振るのもキャプテンの仕事」として委任し、副収入の仕組みを完成させる。ティーナに「えげつない」と言われるが、まあその通りである。
出港準備と、セレナ少佐フラグの不穏な締め
メイは依頼受諾の返事と出港準備へ、エルマは船の準備、ヒロは備品とルート確認、ミミは仕入れ選定に入る。ヒロは軍向けのコツとして「安酒は少なめ、中級中心、高級を1〜2割混ぜる」を助言する。最後にヒロは「ブラド星系ともおさらば」と油断するが、三度遭遇したセレナ少佐の存在を思い出し、今回の行き先が“帝国航宙軍の前哨基地”である点に一抹の不安を抱く。
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