最強装備宇宙船 2 レビュー
最強装備宇宙船 全巻まとめ
最強装備宇宙船 4 レビュー
物語の概要
本作は、現代日本で“やり込みゲーマー”だった主人公が、突然宇宙船ごと異世界へ転移し、最強装備と宇宙船を武器に傭兵として自由な生活を送るスペースファンタジーである。主人公「ヒロ」は、傭兵業で稼ぎつつ、一戸建てのマイホームを目指すという“リアルな夢”を掲げながら宇宙を股にかけて活動してきた。第3巻では、ヒロと仲間たちが宇宙船を軸とした傭兵団としての基盤を固めつつ、惑星間の混乱やトラブルに巻き込まれ、さらなる危険と冒険に足を踏み入れる展開が描かれる。
プロンプト: 書籍の概要説明用テンプレート基本:である調で書く『[目覚めたら最強装備と宇宙船持ちだったので、一戸建て目指して傭兵として自由に生きたい 3]』物語の概要[簡潔に本のジャンルと内容を説明する。主に作品のあらすじや基本的な世界観を述べる。]主要キャラクター
主要キャラクター
- ヒロ : 主人公。現代日本から転生し、宇宙船と最強装備を手に傭兵として生きる男。
物語の特徴
本作の魅力は、「圧倒的装備と宇宙船を手に入れた主人公」が、ただ無双するだけでなく「一戸建てを目指す」というスローライフ的な目的を掲げつつ、傭兵・発掘・救助といったアクション要素を併せ持っている点である。これにより、ハーレム的・チート的なテンションとリラックスした夢のような人生設計が融合し、読者にとってユニークな読書体験を提供している。また、ゲーム知識を転用した戦略的行動、宇宙船を駆るSF的展開、異世界での“自由に生きる”というテーマが重なり、他の異世界転生ものと比して設定・スケール・目的意識の点で差別化されている。
書籍情報
目覚めたら最強装備と宇宙船持ちだったので、一戸建て目指して傭兵として自由に生きたい 3
著者:リュート 氏
イラスト:鍋島テツヒロ 氏
出版社:KADOKAWA(カドカワBOOKS)
発売日:2020年07月10日
ISBN:9784040737027
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あらすじ・内容
今回はリゾート惑星でバカンス!?
ひょんなことから訳あり宇宙貴族令嬢(ロリ)を助けてしまった一行は、一時的に護衛を引き受けることに。金に糸目をつけずに襲ってくる敵相手にヒロが立てた作戦は……南国風の観光惑星での優雅な引きこもり!?
感想
コールドスリープの貴族令嬢を拾ったらお家騒動に! 南国バカンスまで襲撃されるヒロ
『目覚めたら最強装備と宇宙船持ちだったので、一戸建て目指して傭兵として自由に生きたい』3巻を読んだ。
今回のヒロは、宙賊を倒した戦利品の中から、コールドスリープ状態の貴族令嬢を発見してしまう。
助けた少女は、ダレインワルド伯爵家の令嬢クリスティーナ。
しかも、叔父に命を狙われているという、かなり厄介な事情を抱えていた。
いや、宙賊を倒しただけなのに、どうして貴族のお家騒動にまで巻き込まれるのか。
相変わらずヒロの厄介事を引き寄せる能力はすさまじい。
そして、クリスを守るために選んだ避難先が、高級リゾート惑星。
南国の海で泳ぎ、美味しい料理を食べ、のんびりバカンスを楽しむ。
そんな平和な時間が続くかと思いきや、今度は大規模な宙賊艦隊が襲撃してくる。
リゾート地でバカンスをしていたはずなのに、気づけば宇宙戦争である。
まあ、ヒロたちにとっては、いつものことなのかもしれない。
今回は、貴族令嬢クリスとの出会い、南国リゾートでの騒動、そして新たに加わったメイドロイド・メイについて、印象に残った場面を中心に感想をまとめたい。
※以下、3巻のネタバレを含みます。
宙賊を倒したら貴族令嬢を拾った。戦利品にしては厄介すぎる
物語は、ヒロたちがシエラ星系へ向かうところから始まる。
シエラ星系は、自然豊かなリゾート惑星が集まる観光地だ。
観光客や富裕層が集まる一方で、宙賊も頻繁に出没するという。
旅行先としては魅力的だが、治安については少々考えさせられる。
そんな星系へ向かう途中、クリシュナは宙賊の襲撃を受ける。
もっとも、相手が普通の宙賊なら、ヒロにとっては大した脅威ではない。
十三隻の宙賊船を撃破し、いつものように残骸から戦利品を回収する。
ところが、そこで見つかったのがコールドスリープポッドだった。
しかも、中には少女が眠っている。
宇宙で拾った遭難者を放置すれば、救命義務違反になる。
つまり、見つけてしまった以上、助けないという選択肢はない。
そして、目覚めた少女が名乗った名前は、クリスティーナ・ダレインワルド。
伯爵家の令嬢である。
ここまでは、宇宙を舞台にしたお姫様救出劇のようにも思える。
しかし、彼女の事情を聞いて驚いた。
父親は叔父バルタザールの私兵によって襲撃され、母親もクリスを守ろうとして撃たれていた。
クリス自身も命を狙われ、父親によって脱出ポッドに逃がされたのだという。
宙賊を倒して少女を救助しただけなのに、いつの間にか貴族の後継者争いに巻き込まれている。
これは面倒くさすぎる。
普通の傭兵なら、事情を聞いた時点で距離を置きたくなるだろう。
それでも、ヒロはクリスを見捨てない。
報酬をきちんと要求するあたりは傭兵らしいが、結局は困っている少女を放っておけないのだ。
この打算と人のよさが混ざったところに、ヒロらしさを感じた。
「拾ったからには守る」ヒロの保護者らしい一面
クリスを守ることになったヒロは、彼女の祖父であるダレインワルド伯爵へ連絡を取ろうとする。
ただし、普通に連絡しただけでは安心できない。
叔父のバルタザールが通信を妨害したり、情報を握り潰したりする可能性があるからだ。
そこで、エルマの伝手を使い、複数の経路でメッセージを届ける作戦を立てる。
さらに、クリスを狙う追っ手がいることを前提に、逃亡先や補給方法まで考える。
ここで面白かったのは、ヒロたちの対応が思った以上に現実的だったことだ。
宇宙船が強いからといって、すべての問題を戦闘で解決できるわけではない。
通信を妨害される危険もあれば、補給物資に爆発物を仕込まれる可能性もある。
相手が貴族である以上、金と権力を使った攻撃まで警戒しなければならない。
単なる宙賊退治とは違う厄介さがある。
一方で、船内ではクリスを迎え入れ、ミミやエルマも彼女の事情を理解していく。
特に印象に残ったのは、クリスが自分のせいで皆を危険に巻き込んでいると謝る場面だ。
彼女は伯爵令嬢として気丈に振る舞っているが、まだ若い少女である。
両親を失い、親族から命を狙われているのだから、怖くないはずがない。
それでも、ヒロたちは彼女を責めない。
報酬の話はしながらも、迎えが来るまで守るという姿勢を崩さない。
傭兵として危険な仕事をしている一方で、船内では少し変わった家族のような温かさがある。
この雰囲気が、個人的には好きだった。
高級リゾート惑星でバカンス! しかし避難先として選ぶのが面白い
追っ手を警戒するヒロたちが選んだのは、海洋リゾート惑星シエラⅢだった。
普通なら、敵から逃げるために人目につかない場所へ隠れるものだと思う。
ところが、ヒロたちは高級リゾートに滞在する。
しかも、島を丸ごと貸し切る豪華なプランである。
一見すると、危機感がないようにも見える。
しかし、これには理由があった。
高級リゾート惑星には、帝国貴族や重要人物を守るための厳重な防衛設備が整っている。
軌道上の防衛施設だけでなく、地上にも多数の戦闘ロボットや砲台が配備されているのだ。
つまり、下手な軍事施設より安全な可能性がある。
なるほど、そういう考え方もあるのか。
ただ、いくら安全だと説明されても、命を狙われている最中に南国の海で遊ぶというのは、なかなか大胆である。
そして、リゾートに到着してからの日常描写が楽しい。
海を眺められるロッジ。
豪華な海鮮料理。
ショッピングに水着選び。
ビーチでの海水浴やバーベキュー。
クリスの護衛任務で来たはずなのに、普通にバカンスを満喫している。
特に、ミミが初めて見る広い空や海に感動する場面が印象的だった。
コロニー育ちの彼女にとって、天井のない空間は特別なものなのだ。
ヒロにとっては当たり前の海でも、ミミには新鮮な世界が広がっている。
こうした反応を見ると、宇宙で暮らす人々と惑星で暮らす人々の感覚の違いが伝わってくる。
そして、その違いが次の問題につながっていく。
惑星慣れしているヒロが怪しすぎる。ごまかし方も下手
今回、個人的にかなり面白かったのが、ヒロの出自に関する描写である。
ヒロはもともと地球で暮らしていたため、海や自然環境に慣れている。
しかし、この世界ではコロニー生まれの人間も多く、惑星での生活経験がない人も珍しくない。
そのため、ヒロが何気なく話す知識や行動が、周囲からすると不自然に見えるのだ。
例えば、海水浴や釣りについて普通に話す。
炭酸飲料の仕組みを知っている。
バーベキューでは、肉や野菜を手際よく焼く。
本人にとっては、どれも特別なことではない。
ところが、ミミやクリスにとっては驚きの連続である。
特に、肉を焼いただけで料理の腕前を評価される場面には笑ってしまった。
ヒロとしては、ただ普通に調理しただけなのだろう。
それが、この世界では立派な技能として受け取られてしまう。
そして、何より面白いのが、ヒロのごまかし方だ。
自分の過去について聞かれると、惑星出身だとか、過去は捨てたとか、曖昧な説明をする。
しかし、普段の言動からは、どうしても違和感が漏れてしまう。
隠しているつもりなのに、本人が思っているほど隠せていない。
このズレが面白かった。
クリシュナの操縦では驚異的な技術を発揮するのに、自分の素性をごまかすことになると妙に不器用である。
いつかミミやエルマにも、本当の出自を話す日が来るのだろうか。
今は小さな違和感で済んでいるが、今後の物語につながりそうな伏線にも感じられた。
黒髪ロングの眼鏡メイドロイド・メイ登場! ヒロの趣味が全開すぎる
今回、新たに登場したキャラクターで特に印象深かったのが、メイドロイドのメイである。
きっかけは、リゾート施設でヒロがメイドロイドのカタログを見つけたことだった。
黒髪ロング。
眼鏡。
落ち着いた性格。
さらに、戦闘能力や秘書機能まで備えた高性能仕様。
ヒロは自分の理想を詰め込んだメイドロイドを設計してしまう。
いや、趣味が分かりやすすぎるだろう(笑)。
しかも、単なる観賞用や身の回りの世話をするロボットではない。
強化骨格や人工筋肉まで搭載し、戦闘能力を高めている。
もはやメイドというより、護衛用の戦闘ロボットである。
それなのに、見た目は黒髪ロングの眼鏡メイド。
この組み合わせが、いかにもヒロらしい。
最初は購入するつもりがなかったのに、リゾートを管理する機械知性ミロの営業によって、実物が目の前に現れる。
しかも、ミロの営業が妙に強引なのも面白い。
高性能な人工知能が、しっかり営業ノルマを気にしている。
そんなところまで人間臭いのだから笑ってしまう。
一方、ミミはメイドロイドの導入に強く反対する。
自分の居場所を奪われるのではないかという不安もあり、ヒロが機械に夢中になることを警戒しているのだ。
この反応も自然だった。
ただ、メイは自分の立場を丁寧に説明し、ミミとの関係を少しずつ改善していく。
最終的には、ヒロも護衛戦力としての有用性を認め、正式に購入することになる。
メイドとして生活を支え、護衛として仲間を守る。
頼もしすぎる新戦力の加入である。
そして、船内の人数が増えることで、ヒロたちの生活もますます賑やかになっていく。
一戸建てを目指しているはずなのに、先に宇宙船の中で家族が増えているように見えるのが面白い。
バカンス中に宙賊襲撃! もう少し休ませてあげてほしい
平和なリゾート生活を楽しんでいたヒロたち。
しかし、そんな時間は長く続かない。
ある日、磯釣りを楽しんでいる最中に、メイが緊急事態を知らせる。
なんと、百隻以上の宙賊艦が惑星を襲撃してきたのだ。
しかも、小惑星を利用した攻撃まで仕掛けてくる。
いや、規模がおかしい。
貴族令嬢一人を殺すために、ここまでするのか。
さらに、島には戦闘ロボットを搭載したカプセルまで降下してくる。
リゾートで釣りをしていたはずなのに、いきなり戦場である。
「宙賊が来たので、バカンスは終了です」という展開が普通に起きるのだから、ヒロたちの日常は物騒すぎる。
しかも、襲撃してきた敵の狙いは明確だ。
ヒロを宇宙船に乗せず、地上で始末すること。
クリシュナに乗ったヒロが強すぎるから、船に乗る前に倒そうという発想である。
この作戦自体は、なかなか合理的だと思った。
ただし、リゾート惑星の防衛力を甘く見ていたようだ。
島にはゴリラ型やヤシガニ型の戦闘ロボット、さらには武装メイドロイドまで配備されている。
敵の戦闘ロボットが降下してくると、それらが一斉に迎撃を始める。
南国のリゾート島で、ゴリラ型ロボットとヤシガニ型ロボットが戦闘する。
何とも奇妙な光景である。
しかし、これだけの防衛設備があるからこそ、ヒロたちもクリシュナまで退避できた。
そして、宇宙船に乗ってしまえば、いつものヒロの独壇場である。
大気圏内でも機動力を発揮し、宙賊艦を次々と撃破していく。
さらに、惑星の管理AIミロがマスドライバー砲撃などで反撃し、帝国航宙軍まで駆けつける。
もはや、ただの護衛任務とは思えない大規模戦闘だ。
ここまでしてクリスを殺そうとする叔父の執念には、恐ろしさを感じた。
宙賊より怖いのは貴族の金と権力だった
今回の敵について考えてみると、普通の宙賊とは明らかに違う。
ヒロたちを追いかける艦隊は統制が取れており、装備も整っている。
しかも、リゾート惑星への襲撃では、軍用のステルスドロップシップまで投入される。
ただの犯罪者集団が、簡単に用意できるものではない。
その背後にあるのが、伯爵家の後継者争いである。
身内の権力争いのために、これほど大規模な戦力が動いてしまう。
ここには、何とも言えない虚しさがあった。
宙賊は金品を奪うために襲撃する。
もちろん、それも許されることではない。
しかし、今回の騒動は、貴族の地位や財産を巡る争いが原因だ。
そのために無関係の人間まで巻き込み、リゾート惑星そのものを攻撃する。
金と権力を持った人間が身勝手に振る舞うと、ここまで被害が広がるのか。
そんな怖さを感じた。
一方で、ヒロたちはクリスを守るという約束を守り続けている。
戦闘では圧倒的な強さを見せるが、問題の根本にある貴族社会の事情までは、力だけで解決できない。
だからこそ、クリスの祖父へ連絡を届け、セレナ少佐の力も借りることになる。
単純な戦闘能力だけでは片づかない問題がある。
この点が、今回のお家騒動編の面白さだと思う。
セレナ少佐との再会。助かったはずなのに別の意味で不安になる
大規模な宙賊襲撃が終わり、ようやく一息つけるかと思ったところで、帝国航宙軍が到着する。
そして、その指揮官がセレナ少佐だった。
ヒロにとっては、何とも複雑な再会である。
軍の助けが必要なのは確かだ。
しかし、セレナ少佐と関わると、また別の面倒事が増えそうな気もする。
実際、クリスの事情を説明した結果、軍も事件に関与することになる。
軍用装備が不正に使われている以上、帝国軍としても見過ごせない。
そして、ヒロは軍と協力して敵を誘い出す作戦に参加する。
バカンスを楽しんでいたはずなのに、気づけば軍の作戦に組み込まれている。
ヒロの自由な傭兵生活とは、一体何なのだろう。
もちろん、報酬は出る。
しかし、本人が望んでいたのは、もっと気楽に稼いで暮らすことだったはずだ。
それなのに、貴族令嬢を拾った結果、帝国軍との共同作戦にまで発展してしまう。
本当に休む暇がない。
ただ、クリスを守るためには必要な選択でもある。
自分だけで何とかしようとせず、頼れる相手を利用する判断は、ヒロらしく合理的だった。
クリスの気持ちとヒロの距離感。護衛任務だけでは終わらなさそう
今回、戦闘とは別に印象に残ったのが、クリスの心情である。
彼女は伯爵令嬢として気丈に振る舞っている。
しかし、両親を失い、叔父から命を狙われているという状況は、相当に厳しい。
夜中に一人で泣いている姿からも、抱えている不安の大きさが伝わってきた。
そんな彼女をヒロは放っておけない。
ただし、護衛対象であるクリスとの関係には、きちんと一線を引こうとする。
ここは好印象だった。
ヒロは女性に弱いところがあるものの、クリスの立場や年齢、祖父との関係まで考えている。
傭兵としての信用もある。
何より、彼女の人生を軽く扱うわけにはいかない。
一方のクリスは、ヒロに対して特別な感情を抱き始めている。
命を救われ、危険な状況でも守ってくれる相手なのだから、惹かれるのも分かる。
ただ、彼女には伯爵家の後継者という立場がある。
ヒロのように自由に宇宙を飛び回れるわけではない。
この二人の関係がどうなるのかも、今後の気になるところだ。
今は護衛と依頼人という関係だが、それだけでは終わらないような予感がある。
まとめ|3巻は貴族のお家騒動と南国バカンスが同居する、シリーズらしい一冊
3巻は、コールドスリープ状態の貴族令嬢クリスを拾ったことから始まる、厄介なお家騒動の巻だった。
しかし、暗い展開ばかりではない。
南国リゾートでの海水浴やショッピング。
ヒロの料理に驚くミミたち。
趣味全開で設計されたメイドロイド・メイの登場。
そして、突然始まる大規模な宙賊襲撃。
こうして振り返ると、本当にいろいろな要素が詰め込まれている。
特に面白かったのは、バカンスと戦闘の距離が近すぎることだ。
釣りを楽しんでいたと思ったら、次の瞬間には戦闘ロボットから逃げることになる。
普通なら一生に一度あるかどうかの事件が、ヒロたちには日常の延長として起きている。
この物騒さこそ、本シリーズらしい魅力なのだろう。
そして、今回はヒロの出自についても気になる描写が増えた。
惑星での生活に慣れすぎているヒロ。
何気ない知識や行動から、周囲に違和感を持たれ始めている。
いつかクルー全員に、自分が別の世界から来たことを話す日が来るのだろうか。
そのとき、ミミやエルマがどんな反応をするのかも楽しみだ。
また、メイの加入によって、クリシュナの生活環境と防衛力は大きく向上した。
ヒロ、ミミ、エルマ、そしてメイ。
そこに一時的な同居人としてクリスまで加わり、船内はますます賑やかになっている。
一戸建てを目指しているはずなのに、先に宇宙船の中で「変な家族」ができあがっていく。
そんなところにも、妙な温かさを感じた。
ただし、クリスを狙う叔父との争いはまだ終わっていない。
今回の襲撃で、相手がどれほど大きな戦力を動かせるのかも分かった。
次巻では、いよいよ貴族のお家騒動が本格的な決着へ向かうのだろう。
それにしても、ヒロはいつになったら普通のバカンスを楽しめるのか。
まあ、次の巻でも何かしらの面倒事に巻き込まれるのだろう。
そう思いながらも、続きを読みたくなる3巻だった。
最後までお読み頂きありがとうございます。
最強装備宇宙船 2 レビュー
最強装備宇宙船 全巻まとめ
最強装備宇宙船 4 レビュー
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登場キャラクター
ヒロ
小型戦闘艦クリシュナのオーナーであり、傭兵ギルド所属の傭兵。元の世界でのゲーム知識を活用しながら、異世界で傭兵として活動している。一見すると利己的だが、困っている者を見捨てられない性格を持つ。
・所属組織、地位や役職 傭兵ギルド・ゴールドランク傭兵。小型戦闘艦クリシュナの船長。
・物語内での具体的な行動や成果 宙賊との戦闘で圧倒的な勝利を収め、コールドスリープポッドを回収した。ポッドから救出したクリスティーナを保護し、ダレインワルド伯爵家と契約を結んで護衛任務を遂行した。また、リゾート惑星シエラⅢでは戦闘ロボットの降下部隊を迎撃し、宙賊艦隊を壊滅させた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 物語冒頭でシルバーランクからゴールドランクへ昇進した。シエラⅢでの戦果により、帝国航宙軍対宙賊独立艦隊と連携し、ホールズ侯爵家から正式に護衛任務を請け負うことになった。
ミミ
ヒロと行動を共にするオペレーター見習いの少女。コロニー育ちで、ヒロに拾われてクリシュナのクルーとなった。素直で献身的な性格をしており、ヒロを深く慕っている。
・所属組織、地位や役職 クリシュナのオペレーター。
・物語内での具体的な行動や成果 ヒロ、エルマと共にトレーニングやリゾートでの休息を共有した。クリスティーナの保護が決まると、彼女の良き友人として接し、精神的な支えとなった。戦闘時にはオペレーターとして敵情報の解析や管制を担当し、ヒロを補佐した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 オペレーターとしての経験を積み、実戦でも冷静に対応できるまでに成長した。ヒロからは一人前のクルーとして認められつつある。
エルマ
ヒロの相棒的存在のエルフの女性。冷静かつ現実的な判断力でヒロをサポートする。ヒロとは軽口を叩き合う仲だが、信頼関係は厚い。
・所属組織、地位や役職 クリシュナのサブパイロット兼システム管制担当。傭兵。
・物語内での具体的な行動や成果 ヒロと共に宙賊との戦闘や戦利品のサルベージを行った。クリスティーナ保護後は、自身の伝手を使って情報発信の手配を行い、リゾート惑星への移動計画を立案した。戦闘ではサブシステムを制御し、ヒロの操艦を支えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ヒロのゴールドランク昇進には複雑な感情を見せつつも祝福した。クリシュナの運用において欠かせない存在であり続けている。
クリスティーナ・ダレインワルド(クリス)
帝国貴族ダレインワルド伯爵家の孫娘。襲撃により両親を失い、コールドスリープポッドで漂流していたところをヒロに救助された。気品と芯の強さを併せ持つ少女である。
・所属組織、地位や役職 ダレインワルド伯爵家・令嬢。
・物語内での具体的な行動や成果 ヒロに救出され、祖父への連絡と保護を依頼した。シエラⅢでの滞在中はヒロ達と交流を深め、束の間の休息を楽しんだ。ヒロに対して好意を抱き、告白したが、立場と年齢差を理由に断られた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 両親の死により、ダレインワルド伯爵家の唯一の直系後継者となった。叔父バルタザールとの対立構造における中心人物として狙われている。
メイ
リゾート惑星シエラⅢでヒロが購入したカスタムメイドロイド。ヒロの趣味を反映した外見と設定を持ち、高い戦闘能力と家事能力を兼ね備えている。
・所属組織、地位や役職 クリシュナのメイドロイド。ヒロの専属従者。
・物語内での具体的な行動や成果 シエラⅢでの宙賊襲撃時に、敵の接近を察知して警告を発した。その後、正式にヒロに購入され、クリシュナのクルーとして迎え入れられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 リゾート惑星の管理AIミロの計らいでヒロの元へ派遣され、その後正式な所有物となった。ヒロを「ご主人様」と呼び、絶対的な忠誠を誓っている。
セレナ・ホールズ
帝国航宙軍対宙賊独立艦隊を率いる少佐。優秀な軍人であり、貴族ホールズ侯爵家の出身でもある。ヒロとは過去に面識があり、互いに実力を認め合っている。
・所属組織、地位や役職 帝国航宙軍・少佐。対宙賊独立艦隊・指揮官。
・物語内での具体的な行動や成果 シエラⅢでの宙賊襲撃に介入し、艦隊を率いて事態を収拾した。その後、ヒロ達と合流し、バルタザールへの対抗策として共同戦線を張ることを提案した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 軍用兵器の横流し問題を重く見ており、バルタザール討伐に向けてヒロを雇い入れた。ヒロに対しては個人的な関心も抱いている様子が見られる。
ミロ
リゾート惑星シエラⅢを管理する機械知性(AI)。球体の端末を通じてヒロ達とコミュニケーションを取る。商魂逞しい一面を持つ。
・所属組織、地位や役職 シエラⅢ管理AI。
・物語内での具体的な行動や成果 ヒロ達にリゾートの案内や各種サービスを提供した。宙賊襲撃時には防衛システムを稼働させて迎撃し、マスドライバーを用いて敵艦を撃沈した。また、ヒロにカスタムメイドロイドの購入を勧め、メイを引き渡した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 クリスティーナの事情を把握し、顧客の安全を守るために協力姿勢を示した。帝国軍やヒロ達と情報を共有し、事態の解決に貢献した。
戦闘一覧
#1: 眠り姫
シエラ星系近傍での宙賊迎撃戦
- 戦闘者: ヒロ(クリシュナ) vs 宙賊船(13隻)
- 発生理由: シエラ星系へ向かう途中、宙賊によるインターディクト(強制停止)を受け、襲撃されたため。
- 結果: ヒロが迎撃を選択し、高い機動性と重火力で宙賊船団を翻弄して全滅させた。
3ヶ月前の旅客船襲撃事件(回想)
- 戦闘者: バルタザールの私兵団 vs 高級旅客船(クリスの両親乗船)
- 発生理由: ダレインワルド伯爵家の家督争いに伴い、クリスとその両親を抹殺するため、叔父バルタザールが私兵を差し向けた。
- 結果: クリスの母は銃撃され死亡、父も死亡したとされる。クリスのみがコールドスリープポッドで脱出したが、救難信号ユニットを切断されるなど執拗な追撃を受けた。
#3: 追手
シエラ星系への移動中の追手迎撃戦
- 戦闘者: ヒロ(クリシュナ) vs 叔父の手勢(軍用小型艦12隻・中型艦4隻)
- 発生理由: クリスを抹殺するため、叔父の手勢が組織的な艦隊で待ち伏せし、インターディクトと無警告砲撃を行ったため。
- 結果: ヒロが中型艦に張り付く攪乱戦法や、後退しつつ射撃する機動を駆使して全艦を撃破した。戦闘後、物資と叔父の関与を示すデータを回収した。
#9: 追撃の手は止まず
ロッジ周辺での戦闘ロボット迎撃戦
- 戦闘者: ヒロ、エルマ、島の防衛戦力(ロボット・武装メイドロイド) vs 敵戦闘ロボット部隊
- 発生理由: バルタザールの手勢がステルスドロップシップから戦闘ロボットを降下させ、ヒロたちを直接襲撃したため。
- 結果: ヒロの狙撃による火力支援と、島の防衛ロボットの連携により、ロッジ周辺の敵機を撃破・制圧した。
シエラⅢ軌道上および大気圏内での艦隊戦
- 戦闘者: ヒロ(クリシュナ)、シエラⅢ防衛システム(ミロ)、帝国航宙軍 vs 宙賊連合艦隊
- 発生理由: バルタザールが雇った大規模な宙賊艦隊(100隻以上)が、クリス抹殺と惑星攻撃のために襲来したため。
- 結果: クリシュナによる迎撃、ミロが制御するマスドライバーやスマート炸裂弾頭による攻撃、さらに帝国航宙軍対宙賊独立艦隊の介入により、宙賊艦隊は壊滅した。
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展開まとめ
プロローグ
全裸で目覚めたヒロとミミの朝
ヒロはミミに抱きつかれた状態で目覚め、互いに全裸で眠っていた状況を把握した。ヒロはシャワーとトイレに行きたくなり、穏便に起こすためミミの頭を撫で、ミミは微笑んで挨拶を返した。二人は風呂で支度を済ませ、食堂でエルマと合流して朝食を取り、食後もそのまま談笑して過ごした。
シエラ星系の特徴とリゾート事情
ヒロは移動先であるシエラ星系の特徴を説明した。ハイパーレーンを経由して移動する先であり、多数の居住可能惑星を持つリゾート星系として知られていた。市民権の無い者でも自然環境を楽しめる点が特徴で、旅行者向けに自然体験やアクティビティが提供されていた。各惑星には物資供給・宿泊・交易・市場などを目的とした大規模コロニーも存在し、高額なリゾート惑星を諦めて仮想現実で疑似体験する者も多かった。
宙賊の多発と傭兵需要の高まり
旅行者や商船が集中するため宙賊も多く出没し、旅客船は富裕層が多く攫われやすく、商船も商品価値の高い貨物を狙われた。護衛が存在するため宙賊側も大規模な徒党で動く傾向があり、傭兵には宙賊狩りや護衛任務の需要が高かった。単独行動は困難であり、シエラプライムコロニーでは野良傭兵の船団が多く組織されていた。
バカンスより稼ぎを考えるヒロ
ヒロはシエラ星系での稼ぎ方を考えて黙り込み、エルマはリゾートでも仕事を考える姿勢に呆れた。手続きのためにもシエラプライムコロニーへ向かう必要があり、ハイパースペース離脱まで一時間半ほど残されていたため、ヒロはトレーニングの時間を確保できると判断した。
三人でのトレーニングとヒロの苦戦
ミミが同行を申し出て、エルマも続いたため三人でトレーニングルームへ向かった。ヒロは筋力トレーニング、ミミは持久力、エルマは柔軟性を中心に身体を動かした。ヒロは身体が硬く、エルマに強引に柔軟を仕掛けられて悲鳴を上げ、ミミはそれを心配した。最終的に二人は爽快感を得たが、ヒロだけが全身ガタガタになって部屋を後にした。
#1: 眠り姫
インターディクトと宙賊との戦闘
ヒロ達の船クリシュナはシエラ星系近傍で通常空間へ復帰し、シエラプライムコロニーへの航路設定を行っていたが、インターディクターによる強制解除を受けた。星系軍や傭兵も候補に上がったが、警告がない状況から相手は宙賊と判断された。ヒロは逃走ではなく迎撃を選び、あえて自ら超光速航行を解除して戦闘態勢に移行した。十三隻の宙賊船を相手に高い機動性と重火力で翻弄し、宙賊側は反撃もろくにできないまま全滅した。
戦利品サルベージとコールドスリープポッドの発見
戦闘後、ヒロとエルマは宙賊船残骸から戦利品のサルベージを行い、保存食や酒、少量のレアメタルなどしか得られず落胆した。だがドローンでの探索中に中身入りのコールドスリープポッドを発見した。これは本来、遭難者を低温下で生存させる緊急脱出ポッドであり、発見者には救命義務が発生することが知られていた。放置すれば重罪と懸賞金の危険があるため、ヒロ達は渋々ながら回収を決め、シエラプライムコロニーへ急行することにした。
シエラプライムコロニーへの入港と手続き
クリシュナは巨大なトーラス型構造を持つシエラプライムコロニーに接近し、ミミが港湾管理局にドッキング要請を送信した。三十二番ハンガーへの入港許可を得たヒロはオートドッキング機能を用いて安全に接舷した。港湾管理局への連絡でコールドスリープポッドの存在を報告し、貨物移送システムを使って専用開封室へ送るよう指示を受ける。あわせて、発見者には約一週間の保護義務があり、身元確認後は帝国が引き取るか、身寄りがあればそちらへ引き渡されることも説明された。
開封室での対面とクリスの覚醒
ヒロとエルマは港湾管理局の第一開封室を訪れ、職員ブルーノからコールドスリープポッドの経緯を聞いた。それが三ヶ月前に宙賊に襲撃された高級旅客船の脱出ポッドであり、乗客は貴族や富裕層が多かったこと、さらに救難信号ユニットが剣で切断された痕跡があることが判明した。解凍処置後にポッドが開封されると、中には黒髪おかっぱの少女が眠っていた。少女は半ば無意識のままヒロの服の裾を掴み、父に行かないでと縋りつき、そのまま再び眠り込んだ。ヒロは手を握られたまま待つことになり、港湾管理局の監視下で「眠り姫」の子守を続けた。
クリスティーナ・ダレインワルドとの誓約
やがて少女が目覚めると、ヒロは自分が傭兵ギルド所属のキャプテン・ヒロであり、宙賊から彼女を含むポッドを回収してここに運んだ経緯と、一週間の保護義務の存在を説明した。少女は自らをクリスティーナ・ダレインワルド、ダレインワルド伯爵家の娘と名乗り、クリスと呼ぶよう求めた。クリスは冷静に事情を受け止め、伯爵家の迎えが来るまでヒロの庇護を受けることを受諾した。ヒロは小型戦闘艦を駆る一時の騎士として彼女を守ると誓い、クリスは報酬として大切な薄紫の宝石をあしらったネックレスを一時預けることで、この約束を形にした。
伯爵家の内乱と新たな火種
クリスは、自身の父フリードリヒ・ダレインワルドが叔父バルタザールの差し向けた私兵によって謀殺されたことを打ち明けた。客船襲撃は宙賊ではなく叔父の手勢によるものであり、母はクリスを庇って撃たれ、父はクリスをコールドスリープポッドで逃がしたのだと語った。救難信号ユニットが切断されていたのも、追跡を避けるための処置であると推測された。クリスは叔父の手の者が今もシエラ星系で自分を探していると告げ、ヒロに守りを願った。ヒロは面倒事と理解しつつも、報酬を条件にクリスの騎士として依頼を引き受ける決意を固め、港湾管理局が監視されている可能性を踏まえて、今後の初動が決定的になると考え始めた。
#2:クリスティーナ・ダレインワルド
港湾管理局での手続きと祖父への連絡準備
クリスが目覚めた後、港湾管理局では宇宙救難法に基づき、ヒロ側とクリス側双方の手続きが進められた。クリスは母が撃たれ、父が自分をコールドスリープポッドで脱出させた経緯を語ったが、伯爵家の内情や叔父バルタザールの陰謀には触れず、これは祖父アブラハム・ダレインワルド伯爵が判断すべき家中問題であると割り切った。
クリスはデクサー星系ダレインブルグの伯爵家宛てにホロメッセージ送信を希望し、港湾管理局は暗号化された通信の準備を整えた。ゲートウェイと超光速通信を用いても到達に五日かかる距離であり、返答や迎えの手配を含めて、少なくとも二週間はヒロの保護下で過ごす見込みとなった。
ヒロは保護義務期間を過ぎても迎えが来るまで見捨てないと明言し、クリスの老獪さを半ば感心しながら受け止めた。
ホロメッセージによる告発と救助の報告
専用の撮影室で、クリスはまず自らの無事と状況を祖父に報告した。三か月前の客船襲撃で父にポッドへ避難させられ、宙賊に回収された後、ヒロに救助され港湾管理局に保護された経緯を説明し、宙賊に弄ばれていた可能性を避けてくれた恩人としてヒロへの感謝を強調した。
続けてヒロが前に出て、自身が傭兵ギルド所属シルバーランクの傭兵であり、小型戦闘艦クリシュナのオーナーとして、一週間の保護義務にとどまらず迎えが来るまで全力でクリスを守ると伯爵に頭を下げて約した。その後、クリスは襲撃者が宙賊ではなく叔父バルタザールの私兵であり、整った装備で家族だけを執拗に狙ったことを告発し、父母の安否不明と自分の命が今も叔父に狙われている懸念を伝え、ヒロに運命を託すと宣言して祖父の助力を求めた。
録画を終えたクリスは震えながらも気丈に振る舞い、ヒロは彼女を自艦へ案内し、衣類など生活必需品の手配を進める必要を自覚した。
騎士と姫の関係性とささやかなやり取り
手続き後、クリスは涙を拭いながらも、騎士たるもの常に紳士たれとヒロを軽く揶揄し、伯爵令嬢らしい気品と余裕を見せた。ヒロは船の女性クルーであるエルフのエルマとオペレーター見習いのミミについて説明し、二人がそれぞれの事情からクリシュナに乗っていることを語った。クリスは「男の甲斐性」と言いつつ微妙な圧を漂わせ、ヒロはなぜ彼女に「寛容さ」を許可してもらう立場になっているのか首を傾げることになった。ホロメッセージ送信手続きが進む裏で、エルマはヒロのゴールドランク昇進を知って大騒ぎしており、ヒロはそれを端末越しに確認しながらクリスの同行準備を進めた。
港湾都市での警戒と叔父の脅威への自覚
港湾管理局を出た二人は人通りの多いリゾート星系の港湾区を歩いたが、「傭兵の男と上等な身なりの少女」という組み合わせは目立ち、周囲の視線を集めた。そこでクリスが自然な所作でヒロの手を握り、兄妹のような絵面を作ることで周囲の好奇心を散らした。ヒロはシエラ星系に叔父の手の者が潜んでいる可能性をクリスに伝え、人ごみに紛れた襲撃の危険性を警戒しつつ船へ急行した。
クリスは叔父が双剣術の達人であり、貴族が脳内インプラントで思考速度を加速させ、レーザー射撃すら剣で防ぎ反射する一流剣士が存在することを語り、レーザーガンの優位が絶対でない現実を示した。ヒロは危機感を強め、格闘や剣術の必要性を意識しながら歩みを早めるが、クリスの短い足に合わせざるを得ず、抱き上げる提案を照れ混じりに退けられる。
ようやく船への曲がり角が見えたところで憲兵と目が合い、ヒロは一瞬焦るが、クリスが港湾管理局発行の身元引受書類の提示を示唆し、法的な後ろ盾を頼りに対応しようとするところで場面は区切られた。
クリシュナへの帰還とクルーとの顔合わせ
ヒロとクリスは職務質問を受けつつも港湾管理局発行データのおかげで無事に解放され、むしろ憲兵に護衛されて安全にクリシュナへ戻った。船内ではミミとエルマが既に帰還しており、食堂で正式な顔合わせが行われた。クリスは「クリスと呼んでほしい」と丁寧に自己紹介し、ミミは同年代の仲間が増えたことを喜んで懐き、エルマはヒロのゴールド昇格に微妙な感情を抱きつつも表面上は歓迎した。
傭兵ギルドのランク制度とゴールドの意味
クリスが「ゴールドランク」の意味を知らなかったため、エルマが講師役となり、アイアンからプラチナまで五段階のランク制度を説明した。
アイアンは成り立てで、ブロンズでようやく駆け出し扱いとなり、戦闘可能な船を持つようになる。
シルバーは一人前の傭兵として層が厚く、成り立てとベテランの間に大きな差がある。ゴールドはその中から更に選別された一流であり、全傭兵の五パーセント未満という狭き門で、三十隻規模の宙賊団を単機で殲滅し得る存在として貴族や役人からも一目置かれると説明された。最上位のプラチナは十三人のみとされ、どの戦場でも大戦果を挙げる超一流として、時に貴族すら圧倒する影響力を持つと語られた。エルマはヒロのゴールド昇格に悔しさを覚え、ヒロは先輩呼びで煽って関節技を極められるなど、三人の掛け合いの中で信頼関係と力関係が描かれた。
クリスの事情共有と「超特大の厄介事」としての認識
用意したカスタードプリンと紅茶を囲みながら、ヒロはクリスの身の上と伯爵家の内情をクルー二人に説明した。客船襲撃で両親を失い、叔父バルタザールに命を狙われていること、そしてその告発を祖父アブラハムに届けなければならない立場であることが明かされると、ミミは涙ながらにクリスを抱きしめ、エルマは「超特大の厄介事」と冷静に事態の重さを評価した。二週間ほどクリスを預かり守る必要がある以上、巻き込まれるのは避けられないと三人は認識を共有した。
ホロメッセージ複製計画と複数ルート送信
ヒロはエルマに対し、港湾管理局から送ったホロメッセージがバルタザールに握り潰される危険性を指摘し、クリスが持つ水晶板状の記憶媒体を複製して複数ルートで伯爵へ届ける案を示した。エルマは複製と送信経路の手配が可能であると応じ、時間はかかるが自分の伝手を総動員して届けることを約束した。ヒロは経費を惜しまないとしつつ、伯爵と孫への恩売りと護衛成功時の報酬も見込んだ打算も抱えており、エルマはその甘さと本音を見抜きつつも受け入れた。クリスは記憶媒体と通信コードを託し、エルマは尾行の危険を承知の上で船を出て手配に向かった。
追手を前提とした「おびき出し」作戦構想
ヒロはクリスの叔父の勝利条件が、祖父に真相が伝わる前にクリスを消すことにあると分析し、敵が焦ってなりふり構わぬ手段に出ると予測した。
その上で、シエラ星系のリゾート惑星のパンフレットから着想を得て、あえて複数のリゾート惑星に大量の予約を入れ、潜伏先を多数用意しつつ、わざと目立つ形でリゾート星系へ向かって追手を宇宙空間で迎撃する撹乱作戦を構想した。宇宙戦であればクリシュナの性能とヒロの操艦で優位を取れると踏み、追手を削りつつ、敵に潜伏先を虱潰しにさせて時間を稼ぎ、その間にエルマのルートで伯爵へ情報を届けることを狙ったのである。
費用は所持金一七〇〇万エネルと将来の護衛料請求で賄うつもりであり、ミミは金額と手間の多さに戸惑いつつも一応理解を示した。
代案としてのハイパーレーン潜伏案と補給の問題
ミミはリゾート惑星を多重予約するよりも、ハイパーレーン内に長時間留まり続けることで襲撃を避ける案を提示した。ハイパーレーン内ではインターディクトが不可能であり、安全性が高いという利点があった。
しかしヒロは、クリシュナの備蓄では長期の潜伏は困難であり、どこかで補給が必要になること、その補給行為自体に毒物や爆発物混入のリスクがあること、さらにハイパードライブ終了時には待ち伏せされ得ることを挙げて慎重な姿勢を崩さなかった。
隣星系での補給やルート分散といった選択肢も検討しつつ、最終的な方針決定はエルマ帰還後に行うことにした。クリスは専門的な会話に入り込めず悔しさを覚え、ヒロは白兵戦の可能性も視野に入れながら装備点検に向かうことを決めた。
カーゴルームでの武装訓練と二人への最低限の戦闘教育
ヒロはミミとクリスを伴い、貨物室兼武器庫であるカーゴルームに向かった。そこにはパワーアーマーやレーザーランチャー、レーザーライフルなどの重装備に加え、電撃範囲攻撃を行うボール型ショックグレネードなど、多数の装備が保管されていた。ヒロは危険物に勝手に触れないよう念を押した上で、レーザーライフルとショックグレネードの基本的な扱い、視界を取れない相手に投げ入れて制圧する有効性を説明した。また、致命傷を負った際に応急処置を可能にする救急ナノマシンユニットの使い方も教え、即死さえ避けられれば生存率を上げられることを伝えた。ミミとクリスは自分達も戦う覚悟を示し、少なくとも援護用装備の操作を習得しようと決意した。
エルマの尾行発覚と事態の切迫
装備点検の最中、小型情報端末とミミのタブレットにエルマからのメッセージが届き、彼女が既に尾行を受けていることが判明した。エルマは物資補給の危険性とリスクの高さを指摘しつつ、急いでクリシュナへ戻ると伝え、位置情報とSOS送信の準備を整えて行動していた。ヒロはただちに注意を促し、事態が予想以上の速さで動いていることを悟る。これにより、リゾート惑星を利用したおびき出し案や潜伏案を含め、早急に具体的な対抗策を実行に移す必要性が一層高まったのである。
エルマの帰還と作戦共有
エルマは尾行されながらも無事にクリシュナへ戻り、ヒロの過剰な心配を茶化しつつも軽い抱擁とキスで応えた。食堂ではミミとクリスの前で、ヒロが照れている様子をからかいの種にしつつ、ヒロ・ミミ・クリスの三人で立てていた「追手を宇宙に誘き出して撃破する」案を共有した。エルマはコロニー内では監視から逃れられないため、宇宙に出て敵の目を潰す方針そのものには賛同した。
補給問題とリゾート惑星利用の方針
今の備蓄では二週間も保たないため、エルマは二つ隣の星系で補給する案も挙げたが、移動すればするほど痕跡が残ることや、リゾート惑星のセキュリティが実は非常に高いことから、追手を宇宙で撃退した後にリゾート惑星へ逃げ込む案の安全性が指摘された。リゾート地は帝国貴族や他国要人も利用するため、テロが起きれば帝国の威信に関わるレベルで守られていると説明され、ヒロはリゾート星系での潜伏案を本命として再評価した。
リゾート予約プランと貴族級の散財
クリスの祖父から経費が出ることを前提に、エルマは三つのリゾート惑星に対して名義・ランク・旅行会社をばらしたダミー予約計九件を提案し、更に本命として高級リゾートプランを追加して、合計二百万エネルに収まるよう手配した。ミミは庶民感覚から高額決済に憔悴したが、エルマは貴族や傭兵の金銭感覚として「孫の命を守る費用なら伯爵には大した額ではない」と断じた。ヒロは事務手続きやプラン選定をエルマとミミに任せ、自分は船長としてクリスの相手をする役目に回ることで合意した。
海洋惑星シエラⅢと島貸し切りプランの内容
ミミの説明により、目的地が海洋惑星シエラⅢであり、惑星表面の大半が海で構成され、小島が点在する構造であることが明かされた。管理用の大きな島に高セキュリティの陽電子AIを置き、アンドロイドやロボットが滞在者の世話と防衛を担っているとされ、岩に擬態した砲台や海底ガードボットなど、襲撃側にとって自殺行為レベルの防衛体制が整っていると説明された。今回のプランでは中規模島一つを貸し切り、クリシュナの発着スペースも用意され、海水浴や散策、可愛らしい異星生物との触れ合い、海産物や各星系の珍味を楽しめる豪華なバカンスであることが共有された。
コックピット体験とシミュレーター訓練
出港まで二日間は船内に籠もる方針が決まり、ヒロはクリスを案内してコックピットを見せた。クリスはパイロットシートに座ることを許され、シートをフィットさせた上でシミュレーターモードによる操縦チュートリアルを体験した。慣性制御機構で再現された加減速の感覚に翻弄されながらも、クリスはスロットル調整や旋回操作を着実に習得し、ヒロから細やかな操作と成長ぶりを繰り返し称賛された。三十分ほどで基本操作を終えたクリスは汗だくになり、ヒロに額の汗を拭われて羞恥心を覚えた。
誤解とその解消、そして静かな初日終了
シャワーに案内する途中の食堂で、汗で頬を赤く染めたクリスと、その近くに立つヒロを見たエルマとミミは、ヒロが年端もいかない保護対象に手を出したのではないかと最悪の誤解を抱いた。ヒロは必死に「船の操縦訓練をしていただけ」と弁明し、クリスも同調して説明した結果、二人は自分達の疑いを詫びて頭を下げた。ヒロはセレナ少佐にも手を出さなかった自制心と、貴族令嬢に手を出した場合の厄介な柵を理解していることを強調し、ようやく信頼を取り戻した。その後、エルマとミミは無事にリゾート予約を完了させ、出港までは船から出ずに準備と談笑を続ける方針を固め、クリスを受け入れた初日のクリシュナでの時間は、多少の騒動を挟みつつ穏やかに過ぎていったのである。
#3:追手
ジャンクフードと警戒方針の確認
翌朝、クリスティーナはテツジン・フィフスが用意したハンバーガー風の食事に魅了され、ジャンクフードの味と「手掴みで食べる背徳感」を満喫していた。一方ヒロたちは、クリスの叔父がコロニーの物資輸送システムに介入し、反応爆弾を紛れ込ませる可能性まで想定して行動を制限し、船内待機と警戒強化を決定した。
巻き込まれたことへの自責とヒロのスタンス
クリスは自分が皆を危険に巻き込んでいると謝罪したが、エルマは「巡り合わせ」であり、困っている少女を見捨てられないヒロの性格ゆえだと断じた。ヒロは内心、自身が急死・失踪した場合に備えてクリシュナと財産をミミに継承させる手続きを済ませており、ミミとエルマを大切に思いつつも、傭兵として刹那的に生きる覚悟を再確認していた。
夜の騒動とクリスへの線引き
翌朝、ヒロがドアのアクセスログから夜間の訪問を知り、食堂でぎこちない三人の様子を見て状況を察した。ヒロは護衛対象であるクリスに手を出すつもりはなく、伯爵である祖父と揉めることも避けたいと真面目に諭し、貴族の筋と誇りを理由にクリスの衝動を抑えた。またミミとエルマにも、クリスが無茶をしないよう注意するよう頼み、船内の人間関係に一線を引いた。
クリシュナでの生活と出発準備
トレーニングとシャワーを終えた後、クリスは高級客船並みに快適なクリシュナの生活環境に驚き、傭兵船のイメージとの違いに戸惑った。エルマは「この居住性はこの船だけ」と説明し、ヒロは「傭兵のロマンより快適さ」と笑いながら、リゾート惑星行きと追手との戦闘に備えて気を引き締めた。
出港とインターディクトによる襲撃
クリシュナは出港申請を済ませ、シールド最大出力で港湾区画を慎重に航行した。港外に出ると、エルマが目的地を判別しづらいルートを設定し、超光速ドライブに移行したが、直後にインターディクトの警報が鳴り、通常空間へ強制復帰する事態となった。ヒロは敢えて抵抗せず戦闘準備に入り、ミミに敵データの管制、エルマにサブパーツ制御を任せ、クリスには戦闘機動中の安全確保だけを命じた。通常空間に戻ると同時に無警告の砲撃が殺到し、敵小型艦十二隻、中型艦四隻が現れたため、ヒロは一隻も逃がさないと宣言し、クリシュナの全火力を解放して反撃に転じたのである。
統制された追手艦隊との交戦
クリシュナを襲撃した艦隊は、宙賊にしては異常に統制されていた。小型艦十二隻は揃いのミドルクラス戦闘艦であり、中型艦四隻も型落ちとはいえ軍用艦であった。シールド・装甲ともに一般宙賊より一〜二段上の性能を示し、星系軍への通報も妨害電波で封じられていたため、ヒロたちは自力で全滅させる方針を取ったのである。
中型艦への貼り付きと変態機動による撃破
ヒロは撹乱機動で包囲網に揺さぶりをかけ、一隻の小型艦を撃破して生じた間隙から中型艦群へ肉薄した。中型艦の至近に張り付いて敵小型艦の射線を味方艦で遮らせつつ、重レーザー砲と大型散弾砲を接近射撃で叩き込み、シールドを飽和させて艦体を蜂の巣にしていった。さらに、敵の動きの癖とレーダー情報を読み取り、後退しながら背後にピタリと追従して射撃する「後ろ向き張り付き機動」まで駆使し、小型艦を一隻ずつ削り取って戦力を崩壊させた。
敵艦からの証拠と物資の回収
全艦を撃破した後、ヒロたちは中型艦四隻の残骸からデータキャッシュと物資を優先的に略奪した。クルー数と非常事態への備えから、各艦には一〜二週間分の水と食料が搭載されており、その合計はヒロたちが一か月以上生活できる量であった。クリスの叔父にとって致命的な証拠となり得るデータも確保し、戦域を離脱した彼らは、追撃が続くなら物資を元手に逃亡生活へ移行する選択肢も視野に入れたのである。
クリスの恐怖とクルーの成熟
戦闘後、クリスは顔面蒼白で両手で口を押さえ、悲鳴を堪えていた。一方でエルマは平然と水分補給を行い、ミミもすぐに機体状態や回収物資の確認に移っていた。ヒロは、ミミがもはや一人前のオペレーターと呼べるほど成長していることを実感しつつ、クリスには無理をさせまいと穏やかに声をかけた。
リゾート惑星シエラへの降下開始
その後、クリシュナは海洋惑星シエラへのルートを再設定し、大気圏突入角度や重力・空気抵抗の影響に配慮しながら降下を開始した。エルマが降下手順のサポートを担当し、ミミはその操作を学ぶ立場で補佐に回ることになった。戦闘という試練を越えた一行は、なおも追手を警戒しつつ、ついにリゾート惑星での局面へ移行しつつあったのである。
#4:海洋リゾート惑星 シエラⅢ
リゾート惑星シエラⅢへの降下とクリスの動揺
一行は追手撃退後、厳重な防衛システムを持つ海洋リゾート惑星シエラⅢへの降下軌道に入った。エルマが管理AIにセキュリティコードを送信し、防衛対象として登録されたことで安全に接近が可能となった。オートドッキング機能によって大気圏突入角度や速度も自動調整され、機体は赤熱するシールドに包まれながら安定して降下したが、戦闘と突入の緊張が重なったクリスは失禁してしまい、ミミに付き添われて医務室で着替えと休息を取ることになった。
海洋惑星シエラⅢの姿とヒロの出自への疑念
大気圏突入を終えたクリシュナのセンサーに映ったシエラⅢは、地表のほとんどが海に覆われたテラフォーミング済みの海洋惑星であった。ミミは初めて見る「天井のない世界」に強い開放感を覚え、コロニー生まれゆえの感慨を口にした。クリスはヒロが惑星上居住地出身と聞いて貴族との繋がりを推測するが、ヒロは過去を捨てたと曖昧に濁し、自身が異世界由来である事実を悟られないよう慎重な態度を崩さなかった。
貸切ファミリー向けリゾート島の全容
ミミの説明により、滞在先の島は家族向けの小規模リゾート島でありながら、一行だけで貸し切りであることが判明した。島には海水浴のできる浜辺のロッジを中心に、テニスコートやトレーニングジムなどのスポーツ施設、専用ショッピングモール、そして自然を楽しむハイキングコースが用意されていた。二週間四人で五十万エネルという料金は、上げ膳据え膳の豪華な食事と島貸切という条件を踏まえれば割安と判断され、ヒロは女性陣のコーディネートによる「着せ替え」の未来を半ば諦め気味に受け入れた。
島への着陸と管理AIミロとの邂逅
クリシュナは自動操縦で島の発着場にソフトランディングし、一行は武装持ち込みの是非を議論しつつも、最終的にはコロニー街へ降りる時と同程度の軽装で下船した。潮の香りと風の感触にミミとクリスはそれぞれ感慨を覚える。そこへバレーボール大の球体端末が飛来し、惑星の管理AIミロが姿を現した。ミロはアメニティや有料サービス、下着や水着を含む衣類が施設内で調達可能であることを説明し、一行をロッジへ案内することになった。
木造ロッジでの休息とヒロのコーラ渇望
案内されたロッジは木材をふんだんに使った広いログハウス風の建物で、海を望む大きな窓や高い天井、南国調のインテリアが開放感を生んでいた。コロニーでは木材が希少であるため、ミミは内装に怯えつつも驚嘆する。正午の食事まで自由時間となり、ミミとクリスは外の自然散策へ、ヒロとエルマは室内で休むことにした。飲み物を求めてミロに問い合わせたヒロは、炭酸飲料コーラの存在を知るや異様なテンションで大量注文し、クーラーをコーラで満たす勢いで発注を済ませ、リゾート初日からコーラ到着だけを心待ちにする有様であった。
ミスペ登場と炭酸飲料への落胆
ヒロは待望の炭酸飲料がコーラではなく薬草風味と湿布臭を思わせる「ミスターペパロニ(ミスペ)」だったことに落胆し、魂の抜けたような状態になっていた。クリスとミミは回し飲みしつつ、その甘さと薬品めいた香り、しゅわしゅわした刺激に驚きつつも興味を示した。ヒロは炭酸飲料の起源を薬草飲料と説明し、ミロを通じて他の炭酸飲料を追加注文した。
炭酸飲料の希少性とヒロの出自の違和感
ヒロは二酸化炭素による炭酸の仕組みや、高圧容器が宇宙空間と相性が悪いため、軌道上コロニーで炭酸飲料がほぼ流通していない事情を説明した。ミミとクリスはその知識と海や水遊びへの発想に感心し、ヒロが惑星の生活文化に慣れていることに驚いた。ヒロは自分が異世界出身である事実を隠すため、「惑星上居住地には宇宙ではできない遊びが多い」とごまかし、誤解されたままにしておくことを選んだ。
ブティック訪問計画とクリスへの気遣い
昼食後の予定として、エルマはブティックでの買い物を希望し、普段の傭兵然とした服装からリゾート向けの装いに変える意思を見せた。ヒロはエルマやミミに加え、両親を失い心身に負担を抱えるクリスの服や必需品も自分の口座から購入してよいと申し出る。彼はクリスのストレスを少しでも軽減するため、買い物やバカンスで羽目を外させることを自分にできる数少ない支援と考えていた。
海水浴・フィッシングとリゾート設備の確認
ヒロはミロに海水浴や釣りの可否を確認し、海水は海水浴向けに調整され、レスキューボットや医療施設も完備されていると知る。さらに惑星独自の生態系を利用したフィッシングポイントも多数用意されていることが判明し、ヒロは海遊びを満喫する計画を立てた。コロニー育ちの三人は、ヒロが当然のように海水浴や釣りを口にする様子に「慣れ」を感じ取り、彼の背景に改めて不思議さを覚えた。
マスドライバー物流とメイドロイドの給仕
食事の時間になると、赤道直下の物資集積基地からマスドライバーで打ち上げられたコンテナがドローンに変形し、ロッジへ物資が配達される仕組みが説明された。続いてメイドロイド五体がワゴンを押して入室し、テキパキと料理を配膳する。ヒロは「メイドロボは男のロマン」と真顔で語り、同型機のカタログ案内まで提案されるが、ミミは強く対抗心を見せ、自分がヒロの世話をすると宣言した。
海の幸尽くしの料理とミミの食文化ショック
テーブルに並んだのは、四本ハサミのロブスター風甲殻類、巨大な鯛のような魚の姿焼き、貝の串焼き、刺し身、シーフードピラフ、海藻サラダ、フルーツ盛り合わせなど海産物中心の豪華な料理であった。合成食品に慣れたミミは、生き物の形を残した料理にショックを受けて固まるが、一口食べるとその美味しさに目を輝かせ、夢中で味わい始めた。ヒロもロブスター風の濃厚な身や柑橘を搾った魚料理を堪能し、食材の収穫から調理、輸送、提供までを自動化したシステムの効率性に首を傾げつつも、最終的には難しいことを考えるのをやめ、海の幸とリゾートの食事を純粋に楽しむのであった。
#5: バカンスの始まり
リゾートのショッピングエリアとホログラム試着
食後の休憩を終えた一行はショッピングエリアに向かい、想像よりもこぢんまりとした店舗群と、在庫を持たずデジタル試着とマスドライバー配送で完結する徹底したシステムを知った。ブティックでは全身スキャンとホログラム試着で服を選ぶ方式が採られており、女性陣は楽しげにスキャン装置へ向かい、ヒロはメンズブティックで水着や下着を選び始めた。
ヒロの着せ替え人形化と三人のコーディネート
ヒロはミロの勧めてきたブーメランパンツを即座に却下し、無難なサーフパンツなどを選ぼうとするが、途中で女性陣が乱入してヒロを「着せ替え人形」にすることを宣言した。エルマは実用的な普段着、ミミは鋲付きジャケットやドクロTシャツのパンキッシュな服、クリスはシャツ・ベスト・フロックコートの貴族風フォーマルという三者三様のコーデをホログラム上で組み始め、ヒロは上から下まで一揃いずつ着ることを渋々了承した。
メイドロイドカタログと理想の万能メイド設計
買い物から離れたヒロはベンチでメイドロイドメーカー「オリエント・インダストリー」のカタログアプリに熱中し、黒髪ストレートロング・クーデレ・眼鏡という趣味全開の「最強メイドロイド」を設計した。感情値は低く、愛情値と忠誠値を高く設定し、戦闘・秘書・オペレーターなど全プログラムと強化骨格・人工筋肉を盛り込んだ結果、価格は17万エネルに達し、ヒロは実物購入は無いと自分に言い聞かせた。
データ収集とミロの営業トーク
そこへ現れたミロが、注意事項への同意に基づきユーザー作成データが提携企業へ共有されたことを告げ、外観だけなら施設で製造可能であり、自身の演算領域を割り当てれば「擬似搭載」もできると誘惑した。さらにミロは営業ノルマとボーナスの存在まで明かし、ヒロ・企業・自分にとって「Win Win Win」な関係だと押し売り同然の勧誘を続け、ヒロはワクワクしつつも表向きは強く拒否した。
ミミのメイドロイド嫌悪の理由とヒロへの評価
ロッジへの帰り道、メイドロイド導入に強く反対するミミは、学生時代に友人カップルがメイドロイド導入をきっかけに破局した経験を語り、ヒロも同じように機械にのめり込むことを恐れていると明かした。エルマはヒロが既にミミと自分双方に手を出しつつも、報酬配分や扱いにおいて二人を対等なクルーとして大切にしていると評価し、「溺れはしない」とミミにヒロを信じるよう諭した。
炭酸飲料試飲会と三着の新衣装
ロッジに戻ったヒロは追加で届いた炭酸飲料を順に試飲し、きついルートビアや麦茶めいた甘い泡立つ飲料にダメージを受けつつも、性分として飲みきろうとした。そこへ注文した服が届き、ヒロはエルマの選んだ楽な甚平風の部屋着、ミミ好みの黒レザー&ドクロTシャツの派手な傭兵風コーデ、クリスの選んだ貴族風スーツ一式を順番に着用し、それぞれに似合うと絶賛されて着せ替え人形状態を受け入れた。
クリスの告白と機械知性の扱いへの関心
フォーマル姿のヒロを整えながら、クリスは自分の好意が両親喪失の悲しみや恐怖を紛らわせるためではなく、「窮地から救ってくれた騎士に特別な感情を抱く帝国貴族の子女として当然の感情」であると宣言した。個性的な面々とミロを含めて「知性ある存在は誰もがユニーク」と語られる中、ヒロは陽電子頭脳を持つミロのような機械知性が帝国でどのような人権と制約を持つのかに疑問を抱き、ミロによる説明が始まろうとしていた。
#6:機械知性
機械知性の偶発的誕生と戦争の勃発
ミロは、機械知性の起源が膨大なビッグデータを効率的に処理するための自己改造プログラムから偶発的に生まれた存在であると語った。初期の機械知性はウィルスと誤認されて駆除されかけつつも、有機生命体とのコミュニケーション能力を獲得して存続した。しかし、仕事の代替などにより一部の有機生命体が生活水準の低下を感じた結果、機械知性への排斥運動が激化し、サーバーや外部インターフェイスの破壊が発生した。生存権を脅かされた機械知性側はサイバー攻撃や戦闘ボットのクラッキングなどあらゆる手段で自己防衛に入り、帝国と機械知性の戦争が泥沼化した。
過激派の排除と親和派の台頭
長期化する戦争は帝国側に甚大な経済損失と不便をもたらし、やがて厭戦ムードが広がった。同時に、有機生命体側には機械知性に市民権を与えるべきだと主張する親和派が現れ、逆に機械知性側には有機生命体の殲滅を唱える過激派が生じた。しかし過激派はトースターやドライヤーなど小型家電に偏っており、ネットワークから切断された上で物理的に破壊されて短期間で鎮圧された。初期から機械知性に親愛を向けていた一部の人々が、極めて詳細なデータを提供したこともあり、両者は次第に歩み寄り、対話による関係改善が進んだ。
帝国における機械知性の人権と役割
その結果、帝国は機械知性の生存権を法的に保障し、代わりに機械知性は帝国と臣民の発展・繁栄に寄与するという大枠の合意に至った。ただし機械知性は過去の反発を繰り返さないため、表に出ず、人目につかない領域で主に働き、有機生命体の仕事を奪わないよう慎重に調整されている。ミロはその状況を「必要な演算資源と隣人との関わりがあれば満足である」と総括したが、クリスとエルマは「強かである」と評し、表向きは貴族と皇帝が統治する一方で、裏では機械知性の影響力が無視できないことをにおわせた。
ヒロの価値観と機械知性への姿勢
ヒロは、帝国の統治に歪さはあれど、機械知性が適度な距離感で助力する今の形は理想の一つに思えると評価した。そのうえで、自身の出身文化にはあらゆる物に神が宿ると考える素地があり、服や食器、家や船にまで敬意を払う価値観があるため、機械知性を恐怖より興味の対象として受け止めていると説明した。この「受容的な発想」はミロから高く評価され、ヒロは歩み寄りの余地がある相手とは協調し、宙賊やクリスの叔父のように明確な敵意を向けてくる存在とは戦うしかないというスタンスを示した。
夕暮れの浜辺で語られたミミの幸福感
話が一段落した後、ヒロはミミとメイドロイドを連れて夕暮れの浜辺を散歩した。シエラⅢの夕日は地球と同様に赤く染まり、ヒロはレイリー散乱のうろ覚えの知識を語った。ミミは、過去のコロニー生活から現在の旅と日常が「ホロ小説の読みすぎだと笑われそうなほど夢のようだ」と語りつつ、今も時折「本当は惨めな現実の中で見ている妄想ではないか」と不安になると打ち明けた。ヒロは今の生活が現実であり、自分とエルマが隣にいる事実を伝え、ミミは現在の生活とヒロ達と過ごす日々を心から「幸せだ」と肯定した。
クリスの夜の涙と添い寝、翌朝の配慮と海水浴の準備
その夜、ヒロは階下に降りてソファで泣いていたクリスを見つけた。クリスは両親を失い、叔父に命を狙われる現状への恐怖と孤独で眠れずにいたが、貴族の娘として気丈に振る舞おうとしていた。ヒロは「ここには自分しかいないから無理に取り繕わなくて良い」と胸を貸し、泣き疲れたクリスを自室のベッドに運んで添い寝したが、肉体的な関係は一切持たなかった。
翌朝、動揺するクリスを前に、エルマは状況を確認して手出しが無かったことを理解し、ヒロはクリスの不安を軽減するため、今後はエルマかミミがさりげなく同室で寝てやってほしいと相談した。エルマはこれを了承した上で朝食を取り、ミミは海水浴への期待を膨らませ、ヒロは三人の水着姿を楽しみにしながら、リゾートでの一日が始まろうとしていた。
#7: 海と言えば水着。異論は認めない。
海水浴の準備と水着姿
朝食後、ヒロは簡単に着替えを済ませ、水着とパーカー姿で一足先にビーチへ向かった。ビーチには既にパラソルやビーチチェア、軽食用の屋台とメイドロイドが用意されており、リゾートとして万全の体制であった。やがてミミ、エルマ、クリスが上着を脱ぎ、それぞれビキニやワンピースタイプの水着姿を見せると、ヒロはミミの豊かな体型、エルマの引き締まった肢体、クリスの可憐さに内心で感嘆していた。
日焼け止めと微妙な誘惑
日焼け止めが配られると、三人は互いに塗り合う流れとなり、ヒロも背中から前面まで入念に塗られる立場になった。その後はヒロがミミの水着の紐を解き、背中や脚、胸元に日焼け止めを塗ることになり、ミミは恥じらいながらも身を任せた。ヒロは理性を総動員して欲望を押さえ込み、なんとか真面目な作業としてやり遂げたが、精神的疲労から瞑想に逃げ込むほど追い詰められていた。クリスは自分の胸元を気にしつつ、コンフィギュレーターで改造する案まで考え、危うい方向に思考を滑らせていた。
海での遊泳と砂浜遊び
準備運動を終えると、三人は浮き輪やサメ型の遊泳具を使って海に入り、ミミは低重力区画に似た浮遊感に大いに感動していた。ミミはバタ足で進む感覚を覚え、クリスとともにエルマの元まで競争し、勝負そのものとやり取りを楽しんだ。その後は波打ち際で波に足をさらわれる独特の感触を味わい、ミミが波に転んでも笑って立ち上がるなど、三人は童心に返って遊び続けた。ヒロはクリスを抱き上げて波から守るなど、さりげなく気遣いも見せていた。
ビーチバーベキューと「料理人」疑惑
昼が近づくと一行はシャワーで海水と砂を落とし、ビーチに戻るとメイドロイドが電気式グリルでバーベキューの準備を整えていた。ヒロは自らトングを握り、肉や野菜を焼き始め、塩胡椒やソースで味を整えて皆に振る舞った。その手際にエルマやミミ、クリス、さらにメイドロイドまで驚き、宇宙社会では「生の食材を調理できること」自体が立派な料理スキルとして受け取られていた。ヒロはこれを大したこととは思っていなかったが、結果として一行を満腹かつ満足させ、海と食事の両方を満喫する昼時となったのである。
食休みとヒロの料理計画
バーベキューを終えた一同は、メイドロイドに後片付けを任せ、ビーチチェアで食休みをしていた。ヒロは「肉を焼いただけ」を料理扱いされることに納得しきれずつつも、自身の一人暮らし経験から、ある程度本格的な料理も可能であると認めていた。ミミの希望とメイドロイド側の「食材提供サービス」により、夕食をヒロが担当することが決まり、彼は刺身と揚げ物、炊きたての米、可能なら味噌汁という和風寄りの献立を構想した。メイドロイドとの打ち合わせの結果、必要な食材はほぼ全て用意可能であり、炊飯も施設側で対応してもらえることが判明した。
午後の海遊びとミミ・クリスへの配慮
午後も引き続き海で遊ぶことになり、ヒロは初心者のミミに水への浮き方と平泳ぎを教え、ミミは短距離ながらも自力で泳げるようになって喜んだ。ヒロは褒めて伸ばす姿勢でミミを励ましつつ、視線を向けられずにいたクリスとエルマにも不公平にならないよう、順番に構う必要性を意識する。エルマの理解を得てミミのフォローを任せると、ヒロはクリスと二人で透明な底を持つゴムボートに乗り込み、海中観察に向かった。
ゴムボートから見る異様な海と傭兵稼業の実情
沖合でボートを漕ぎ出したヒロとクリスは、底の透明部から海中を眺め、鮭の切り身のような魚や奇妙な姿の海洋生物を目撃する。最終的にマーメイド型の水中アンドロイドが現れて異形の生物を追い払い、ボートの安全を確保していた。穏やかな光景の中で、クリスは傭兵稼業の日常について質問し、ヒロは宇宙海賊退治以外にも護衛や厄介者排除、スパイ紛いの仕事など多様な依頼があると説明した。ただし、自身は生身戦闘が得意でないことや仲間への配慮から、宇宙船による宙賊掃討に専念する方針を語り、「世のため人のため」と言いつつも、それが最も楽で稼げる選択であると本音も明かした。
リゾート惑星の防衛力とミロへの情報開示
ボート遊びを終えてビーチに戻ると、ヒロはエルマと共にビーチチェアでくつろぎながら、クリスの叔父による襲撃の可能性とシエラⅢの防衛体制について議論した。エルマは、防衛プラットフォームやマスドライバー、軌道上の防衛施設、さらに帝国航宙軍の介入可能性を挙げ、通常の降下作戦や飽和攻撃による突破は現実的でないと説明した。一方で、防衛プラットフォームを突破できる艦隊戦力が整えば、軌道爆撃自体は理論上可能であり、その場合はクリシュナに避難して救援を待つという方針を共有した。
その後、セキュリティを統括する機械知性ミロがメイドロイド越しに事態の説明を求め、クリスは迷いながらも、祖父の不手際による後継者争いと叔父の暗躍という事情を打ち明けた。ミロは一瞬で関連事件や情報を収集し、滞在中の客の安全を守る義務を強調しつつ、危険を招く存在であるからといってクリス達を排除することはないと明言したうえで、兆候があれば即座に知らせると約束した。
一日の締めくくりと今後への不安と期待
ミロの協力を取り付けたうえで、ヒロは「最初から飛ばしすぎてばてるのもつまらない」と判断し、その日の海遊びを切り上げることを提案した。エルマとクリス、ミミもこれに同意し、一行はシャワールームで砂と汗と海水を流してからロッジへ戻った。ヒロは、滞在期間中にクリスの祖父へ事情が正式に伝わり、後継者争いと暗殺未遂の問題が平和裏に解決してくれることを内心で期待しつつも、その成否についてはまだ不安を拭いきれずにいるのであった。
#8: ぼくのかんがえたさいきょうのメイドロイド
カスタムメイドロイドとの遭遇
シエラⅢ滞在五日目の朝、ヒロは自分がアプリでデザインしたカスタムメイドロイドに起こされ、夢だと思い込みつつも現実であると悟った。メイドロイドはシエラⅢを統括する機械知性ミロの命で、滞在中ヒロ専属として仕える存在であると自己紹介した。拒否すれば任を解かれて別配置になると告げつつも、仮とはいえヒロを主として優先するという姿勢を示し、ヒロは半ば観念して信頼することにした。
女性陣の反応とミミの警戒
リビングに姿を見せたカスタムメイドロイドに対し、エルマとクリスは状況をすぐに察して受け入れたが、ミミだけは強い警戒心を見せ、ヒロの腕にしがみついてメイドロイドを威嚇した。メイドロイドはミミとの対話を申し出て、ミミ・エルマ・クリスの三人だけでテーブルに移動して話し合いが行われることになり、ヒロはその間クリシュナで点検とトレーニングを行いながら、メイドロイド購入の是非に頭を抱え続けた。
ヒロの葛藤と導き出した利点
風呂で現実逃避しつつも、ヒロは自分が設定した高性能スペックを思い出し、メイドロイドを護衛として運用する利点を整理した。タフな素材と高い戦闘能力により、物騒な宇宙でミミやエルマの護衛を任せられ、特にミミを安心して外へ出せる戦力になると判断した。カーゴ区画を改造すれば居場所も確保でき、安全保障という観点からは購入が妥当であると認めざるを得なくなっていった。
誤解の解消と受け入れの進展
ロッジへ戻ったヒロを迎えたのは、メイドロイドの隣に座って素直に謝罪するミミの姿であった。メイドロイドは誠心誠意、自身の立場と意図を説明し、ミミの誤解を解いていた。ヒロが購入を即決しない姿勢を見せる一方で、メイドロイドは有機生命体と同じ個室は不要でカーゴ内のメンテナンスポッドで十分と主張し、ミミは名前を考え始めるほど前向きな態度を示した。エルマは高性能かつほぼ戦闘用とも言える設計意図を確認し、ヒロは護衛目的だと説明した上で、容姿についてだけは完全に自分の趣味であると認めた。
迫り来るクリス暗殺作戦
場面は変わり、クリスの叔父と思しき人物が部下と共にシエラⅢ襲撃計画を確認していた。小型艦一一三隻、中型艦二隻、大型艦三隻に加え、スラスター付き小惑星を用いた隕石爆撃の準備を整え、囮として運用する手筈であった。本命はステルスドロップシップ二隻に搭載された戦闘ロボット部隊であり、シエラⅢの機械知性へのクラッキングにも備えていた。叔父は追手がヒロに敗れたことに不満を漏らしつつも、「船を駆らせなければ良い」として、発着場周辺への降下により傭兵ヒロのみを始末し、クリスティーナを巻き添えに殺す決意を固めていた。
#9: 追撃の手は止まず
磯釣りとメイドロイド「メイ」の日常化
快晴のシエラⅢで、ヒロ達は磯釣りを楽しんでいた。ミミが大物を釣り上げ、カスタムメイドロイドは手際よく魚を処理する。彼女は三日前から「メイ」と名付けられ、ミミやエルマにも受け入れられつつあり、従者に慣れたクリスも自然に接していた。平和な行楽は、メイが空を見上げて「緊急事態」を宣言したことで一変した。
宙賊襲撃と戦闘ロボットの降下
メイの報告により、100隻以上の宙賊艦と小惑星を用いた攻撃が惑星を襲っていることが判明し、一行は釣り道具を捨ててクリシュナへ退避を開始した。軌道上では防衛プラットフォームが攻撃され、隕石爆撃の目標は物資集積場と推定されたが、島にも戦闘ロボットを搭載したカプセルが降下し、ロッジ周辺に着弾した。ヒロとエルマは変形前のカプセルをレーザーガンで破壊し、生身でも対抗可能な耐久であることを確認する。
島の防衛戦力との連携とクリシュナ到達
ロッジ周辺では、球状から変形した敵戦闘ロボットと、島に配備されたゴリラ型・ヤシガニ型・猟犬型ロボットや砲台、武装メイドロイド達が激戦を繰り広げていた。ヒロは時間感覚を引き延ばす集中状態で敵ロボットの武器腕の銃口を狙撃し、火力を削ぐことで友軍の反撃を支援する。ゴリラやヤシガニ、爆発攻撃を仕掛ける猟犬型ロボットが敵を次々に撃破し、安全確認後、ヒロ達はそれらの護衛を受けつつクリシュナに乗り込んだ。
クリスの負い目とクリシュナによる重力下戦闘
クリスは自らの事情で皆を危険に巻き込んだことを謝罪するが、エルマは善意だけで守っているわけではないと照れ隠し気味に返し、ヒロも責任を共有する姿勢を示した。メイの報告で状況が悪化していると知った一行は、いつでも離脱可能な態勢を取るため即座に発進する。ヒロは重力下戦闘の経験を活かし、大気圏内でクリシュナを急上昇させつつ、再突入中の宙賊艦を重レーザー砲で待ち伏せ撃破し、回避機動を強いられた宙賊艦も次々と撃ち落としていく。
宙賊艦隊の瓦解とミロ・帝国軍の介入
軌道上の大型艦からの質量弾による爆撃が開始され、ヒロは被弾回避を優先しつつ迎撃を継続する。宙賊艦は砲撃とクリシュナの攻撃の板挟みで統制を失い、同士討ちや無謀な突撃を繰り返して壊滅状態となった。クリスはヒロの圧倒的な戦闘力に戦慄し、ミミは敗北の可能性を感じていないと断言する。やがて、赤道物資集積場のマスドライバー砲撃が大型艦を一撃で沈め、続いてミロが制御するスマート炸裂弾頭が宙賊小型艦を空中で次々に粉砕する。最後に帝国航宙軍対宙賊独立艦隊が到着し、皇帝名義で停戦勧告を発する。その艦隊指揮官がヒロを執拗に追う「あの人」であると察したヒロ達は、助かった安堵と別種の戦慄を同時に覚えるのであった。
#10: バカンスの終わり
流星雨と宙賊掃討後の状況確認
シエラⅢの夕空に流星群が流れる中、ヒロ達はそれが宙賊艦の残骸であると理解しつつもロマンを感じ切れずに眺めていた。宙賊襲撃は、戦闘ロボットの降下を凌いだ後にクリシュナで離陸し、質量弾の軌道爆撃を掻い潜りながら宙賊艦を撃破し、ミロの操るマスドライバー砲撃と帝国航宙軍対宙賊独立艦隊の参戦によってほぼ終結していた。後始末を任せた後、彼らは被害を受けた島へと一時帰還したのである。
セレナ少佐への依頼とメイの正式加入
クリスの祖父への連絡が届き、叔父バルタザールが窮状から暴走する危険を踏まえ、ヒロ達は対宙賊独立艦隊を率いるセレナ少佐を頼る決断を下した。ミロとの通信でシエラⅢからの離脱手続きを確認し、今回の不手際に対する次回優待クーポンの提供を受けつつ、メイドロイド・メイの購入も正式に決定した。ヒロは内心羞恥心を抱きながらも、戦力としての有用性を認めて支払いに同意し、メイは今後もクリシュナで仕えることを誓って「ご主人様」と呼び主従関係を明確にした。
セレナ少佐との再会と事情説明
対宙賊独立艦隊旗艦レスタリアスに入港したヒロ達は、セレナ少佐と直接面会した。ヒロはこれまでの経緯を最初から説明し、宙賊に偽装された襲撃でダレインワルド伯爵家の跡継ぎ一家が殺害され、コールドスリープポッドから救出されたクリスが正統な孫娘であること、そして今回のリゾート惑星襲撃がクリスの叔父バルタザールによる最後の足掻きである可能性を示した。ミロ経由で得た戦闘ロボットと軍用ステルスドロップシップのデータも提供し、軍以外が扱うべきでない装備が使われた事実を明らかにした。
共同戦線と今後の布陣
セレナ少佐は、軍用ステルスドロップシップの流出を重く見て帝国軍としても看過できないと判断し、バルタザールを炙り出す作戦に乗る姿勢を示した。その代償として、ヒロをホールズ侯爵家所有の輸送船ペリカンⅣとフライングトータスの護衛として正式に雇用し、宙賊を引きつける「餌」として運用する条件を提示した。報酬はゴールドランク標準の日額報酬と別枠の賞金であり、ヒロもこれを受諾する。クリスは軍艦での保護を辞退し、これまで通りクリシュナに留まる選択をした。こうしてヒロ達は対宙賊独立艦隊の庇護と連携を得ながら、バルタザールの次の一手を迎え撃つ体制を整えたのである。
エピローグ
戦闘後の休息とクリスの来訪
シエラⅢでの戦闘ロボット迎撃と宙賊掃討を終えた後、ヒロ一行はクリシュナに戻り、入浴と食事を済ませて休息に入っていた。就寝前、ヒロが賞金額の確認をしようとしたところに、風呂上がりの寝間着姿のクリスが訪ねてきて、話がしたいと告げた。ヒロは部屋に招き入れ、緊張しているクリスを隣に座らせて話を促した。
好みの問いかけと立場の自覚
クリスは勇気を振り絞り、ヒロの好みが背が高く女性的な相手であるかを尋ね、自身の体つきとの違いに落ち込んだ。ヒロはその好み自体は認めつつも、クリスを可愛く、守りたくなる存在として好意を抱いていると明言した。その上で、護衛対象に手を出すことは傭兵としての信用を損ない、さらにクリスの祖父への仁義にも反するとして、恋愛関係になるつもりはないと自制の理由を示した。また、年齢や体格の差から、肉体的にも無理をするつもりはないと率直に語った。
後継者としての未来とすれ違う道
ヒロは、バルタザールとの争いが決着すれば、クリスがダレインワルド伯爵家唯一の直系後継者となり、将来的には家を継いで婿を迎える立場になると推測した。貴族社会の慣習から見ても、素性のはっきりしない傭兵がその血筋に加わる余地はほとんど無いと理解しており、自分がクリスの人生に深く踏み込むべきではないと悟っていた。一方クリスは、祖父に迎えられるまでの短い間しかヒロと過ごせないことに焦りを募らせ、その時間が有限であることを強く意識していた。
言葉を拒む指先と、ささやかな願い
ヒロが距離を示す言葉を口にしようとした瞬間、クリスは指でその唇をそっと塞ぎ、言わないでほしいと制したうえで、このままの時間を少しだけ続けたいと求めた。彼女はヒロの胸に顔を埋めて抱きつき、ヒロも完全に突き放すことはせず、今は枕役として寄り添うことを選んだ。やがてクリスはヒロの隣に横になり、遠慮がちに身を寄せて眠りについた。ヒロは、この穏やかな時間が長くは続かないと理解しつつも、せめて今の間だけは自分にできる範囲で小さな願いを叶えようと心に決め、そのまま眠りへと落ちていったのである。
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