小説「目覚めたら最強装備と宇宙船持ちだったので 14」感想・ネタバレ

小説「目覚めたら最強装備と宇宙船持ちだったので 14」感想・ネタバレ

どんな本?

『目覚めたら最強装備と宇宙船持ちだったので、一戸建て目指して傭兵として自由に生きたい 14』は、異世界転生とSF要素を融合させたライトノベルである。主人公のヒロとその仲間たちは、医療物資の販売を兼ねてティーナの故郷であるコロニーを訪れる。しかし、謎の感染症が蔓延し、治安が悪化している状況に直面する。ヒロたちは特効薬の開発やコロニーの代官との交渉を通じて、問題解決に挑む。  

主要キャラクター
ヒロ:元FPSゲーマーで、異世界で傭兵として活動する主人公。卓越した戦闘能力とリーダーシップを持つ。
ティーナ:ドワーフ族の少女で、ヒロの仲間。双子の姉妹ウィスカと共に行動し、メカニックとしての才能を発揮する。
ウィスカ:ティーナの双子の妹。おしとやかな性格だが、姉同様に技術者として優れた能力を持つ。
ショーコ:イナガワテクノロジーの研究員で医師。ヒロに命を救われたことをきっかけに、特効薬の開発に協力する。

物語の特徴

本作は、異世界転生とSFを組み合わせた独特の世界観が特徴である。主人公が現代の知識とゲームで培ったスキルを活用し、未知の世界で活躍する姿が描かれる。また、多彩な種族やキャラクターが登場し、彼らとの交流や成長が物語に深みを与えている。シリーズ累計130万部を突破し、アニメ化企画も進行中である。  

出版情報
• 出版社:KADOKAWA
• 発売日:2025年2月10日
• ISBN:9784040758121
• 価格:1,430円(税込)

読んだ本のタイトル

目覚めたら最強装備と宇宙船持ちだったので、一戸建て目指して傭兵として自由に生きたい 14
著者:リュート
イラスト:鍋島テツヒロ

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あらすじ・内容

パンデミック中のティーナの母星を、ヒロが特効薬で救う!?
医療物資の売りさばきを兼ね、ティーナの古巣のコロニーを訪れたヒロ一行だったが、謎の感染症が蔓延中。防護スーツ(ぴっちり)で降り立ったヒロたちが見たのは、星全体で治安が著しく悪化し、ティーナが育った孤児院も、医薬品や食料、水の略奪に遭って、荒廃している様子だった。

孤児院で得たヒントを元にショーコ先生に特効薬の開発を急いでもらいつつ、ヒロはコロニーの代官ハルトムートとの直談判へ向かう!

目覚めたら最強装備と宇宙船持ちだったので、一戸建て目指して傭兵として自由に生きたい 14

感想

ヒロたちは、伝染病が蔓延するリーメイプライムコロニーに到着した。
病原菌の胞子が大気中に広がり、多くの住民が苦しんでいた。
彼らは医療物資を届けると同時に、ティーナの知人が運営する孤児院の救援にも乗り出した。
そこで出会った少女リンダは、この病に対して驚異的な耐性を持っており、彼女の血液が特効薬開発の鍵となることが判明する。

一方で、コロニーの旧代官が宙賊と結託し、自身の罪を隠すために混乱を拡大させようと暗躍する。
ヒロたちはこれを阻止するため、宙賊との戦闘に突入し、戦略的な攻撃で敵勢力を一掃した。
その後、新たに代官となったハルトムートの協力を得て、リンダの血液をもとにした特効薬を量産し、コロニーの感染症問題を収束へと導いた。

さらに、孤児院の防衛を固めるため、ヒロは戦闘ボットを配備し、元ギャングのハインツとジークを雇うことで、安全な生活環境を整えた。
最終的に、ヒロは帝国航宙軍からの特別任務を受け、次なる目的地であるクリーオン星系へ向かうこととなる。

総括

今回の巻では、ヒロたちが一つのコロニーを救うために奮闘する姿が描かれている。
特に、ショーコの科学的な知識と研究力が際立ち、実質的に彼女一人でコロニーの感染症対策を完成させたと言っても過言ではない。
彼女の存在が、戦闘だけでなく医療面でもチームに不可欠であることが改めて示された。

また、新たな貴族キャラクターであるハルトムートが登場し、彼の知的で冷静な判断力がストーリーを大きく動かした。
貴族ながらも現実的な視点を持ち、ヒロとの交渉や協力がスムーズに進んだ点が印象的である。
彼のような男性キャラにスポットが当たるのは、このシリーズでは珍しく、新鮮な要素として機能していた。

一方で、宙賊やマフィアとの戦闘は相変わらず派手でありながらも戦略的に進められ、ヒロの機転の利いた戦術が光っていた。
ブラックロータスの装備や、奇襲戦術を駆使した戦闘シーンは迫力満点であり、まるで宇宙戦闘の一幕を見ているかのようであった。

また、ヒロの周囲に女性ばかりが集まる状況が続く中、彼の人間関係にも微妙な変化が見られた。
リンダの船への乗船を拒否した際のやり取りは、彼の冷静さと責任感が強調されており、単なる女好きの主人公ではないことが改めて示された。
彼女との約束が、今後の展開にどのように影響するのか気になるところである。

最後に、次巻への布石として、帝国航宙軍からの特別任務が提示される展開は、期待を膨らませるものであった。
戦場に送り込まれることになるヒロたちが、今度はどのような戦いを繰り広げるのか、次巻が待ち遠しい。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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備忘録

プロローグ

目覚めた朝と隣の温もり

誰かの寝言と共に目が覚めると、ヒロの両側には赤髪と青髪の二人の女性がいた。赤髪のティーナは眉を寄せて何か夢を見ているようだったが、ヒロが軽く撫でると少し落ち着いた。一方、青髪のウィスカは穏やかに眠っていた。二人とも大人ではあるが、そのままの姿で寄り添う状況は、第三者に見られれば問題視されかねないものであった。ヒロは起きることを決め、まずはしがみついてくる二人を引き剝がすことから始めることになった。

ブラックロータスの食堂での反応

身支度を整え、ヒロが母艦「ブラックロータス」の休憩スペースへ向かうと、クルーたちは驚きと困惑の表情を浮かべた。特に最初のクルーであるミミは、状況に呆れながらヒロを見つめた。彼女は低身長ながらも存在感のある女性で、王族の血筋を持つものの、それを気にしていなかった。続いて、銀髪のエルマがヒロの様子に注目した。彼女は優れたパイロットであり、貴族の令嬢でもある。ヒロの腕にはまだティーナがしがみついており、普段とは異なる幼い言動を見せていた。

仲間たちの反応と助言

ウィスカは姉のティーナの様子を見て困惑しつつも、特に口を挟まなかった。そこへ銀狐の巫女クギが現れ、ティーナの精神状態を診ることを申し出た。しかし、直後に船医であるショーコが、船の医療担当として自分が対応すると割って入った。さらに、メイドロイドのメイも、メンタルケアは自分が行えると名乗り出た。ヒロは皆の申し出を受けつつも、ティーナをそっとしておくよう伝えた。その時点でティーナは周囲の状況に気づき、恥ずかしさからさらにヒロにしがみついていた。

ティーナの精神状態と対話

一時間後、ティーナを引き剝がしたヒロは、彼女と二人で朝食を取ることにした。ウィスカは二人きりで話せるよう気を利かせ、場を外した。ヒロは精神科医ではないため、大した助けにはならないと率直に語ったが、ティーナはその言葉に苦笑した。ヒロはティーナをどこかに追いやるつもりはないと断言し、彼女を守ると伝えた。ティーナは自分の過去を語ることをためらっていたが、ヒロはそれを気にせず、現状を最優先にするつもりだった。

リーメイ星系への準備と方針

ティーナをウィスカに任せ、ヒロは食堂でクルーたちとリーメイ星系での行動について話し合った。防疫対策についてミミとショーコが問題ないと確認し、メイも補足した。ヒロはティーナが古巣であるリーメイ星系に行くことを負担に感じていると察し、彼女を船に留める案を考えた。また、リーメイ星系の統治貴族に根回しをすることを決め、メイとミミに準備を指示した。その決定にエルマは驚いたが、ヒロは今まで貴族の権利を使う機会がなかっただけで、使えるものは活用するという方針に変わりはないと説明した。

医療物資の販売と安全対策

リーメイ星系のメインコロニーに到着後、情報収集と傭兵ギルドとの接触を図ることが決定された。ギルドを通すことで利益は減るが、面倒を避けるためには必要な手順だった。エルマはヒロが傭兵としての立場を強く意識していることに苦笑したが、クギはその姿勢を称賛した。ヒロは、コロニーでの活動を安全に進めるため、統治貴族との関係も築く必要があると判断し、賄賂として使える資金源についても準備を進めた。最後に、傭兵ギルドを介した物資販売の方針が決定され、リーメイ星系への移動が本格化した。

#1:リーメイプライムコロニー

リーメイ星系への到着と準備

ブラックロータスは亜空間を抜け、リーメイ星系端のハイパーレーン突入口へ到着した。ハビタブルゾーンまではなお二時間の航行が必要であった。ヒロは環境防護服の準備を指示し、クルーたちはカーゴスペースへ向かった。防護服は体に密着するデザインで、病原体や有害ガスから身を守る仕様であった。

エルマは防護服のボディラインを気にしていたが、ヒロはそのシルエットに見惚れていた。一方、ミミは胸部が窮屈そうで、ヒロは彼女にカメレオンサーマルマントを渡した。これは温度調整機能と迷彩機能を備えたマントで、女性陣を不躾な視線から守るための配慮であった。クギは防護服が尻尾に対応しておらず、着用できなかったため、コロニーでは留守番することとなった。

コロニーの危機的状況

移動中、メイが収集したリーメイプライムコロニーの情報を確認すると、事態は深刻であった。伝染病の原因は空気中に漂う胞子であり、キノコの子実体から放出されるものだった。感染すると発熱や咳を発症し、症状が進行すると血痰が出て、最終的には肺組織が壊死し窒息死に至ることが判明した。さらに、死亡後の遺体から急速にキノコが繁殖し、新たな感染源となるため、適切な処置をしなければ感染は拡大する一方であった。

ヒロは、この病原体が意図的に改変された生物兵器ではないかと疑ったが、ショーコは元々ドラッグの原料となるキノコであった可能性を指摘した。粗悪な精製のドラッグが感染源となった可能性も考えられた。メイは艦内の防疫態勢が万全であることを保証し、感染を防ぐために慎重な行動を求めた。

リーメイプライムコロニーへの接近

ブラックロータスがコロニーに近づくと、ヒロはメイと交信し、安全な航行を確認した。リーメイプライムコロニー周辺は船の数が少なく、ドッキングしている船は多いものの、出港できない船が多く見受けられた。

ヒロは傭兵ギルドと連絡を取り、アレイン星系から医薬品を運んできたことを伝えた。ギルド職員はヒロの身元を確認し、医療物資の取引を進めた。ギルドが依頼していた物資の供給が可能であることが判明し、交渉は順調に進んだ。

コロニー内の格差と混乱

傭兵ギルドから提供された情報によると、リーメイプライムコロニーではパンデミックの影響が住民の階層によって異なっていた。人口の90%を占める下層民は感染が広がり、多くの死者を出していたが、残り10%の上層民は高度な医療を受けられるため、ほぼ無傷であった。さらに、感染症の苦しみから逃れるために粗悪なドラッグを服用する者が増え、病の蔓延が加速していた。

ヒロとエルマは、この状況では暴動や密航を試みる者が現れる可能性が高いと判断し、警戒を強めた。コロニーの統治機構は対策を講じていたものの、治療が行き届かず、感染の抑制には限界があった。

ティーナの要望と対策

ヒロが傭兵ギルドの情報を共有すると、ティーナはコロニーに残る知人の安否を確かめたいと訴えた。しかし、ヒロとエルマ、ショーコはティーナの安全を考え、外出を許可しなかった。治安が悪化し、感染症のリスクが高まっている中での行動は危険すぎたからである。

ティーナは説得に応じなかったが、ヒロは彼女がこっそり出て行く可能性を考慮し、代わりに自分が現地へ行くことを決めた。エルマとショーコも同行し、治療の準備を整えることになった。クギとメイは船に残り、ミミは情報収集に専念することとなった。

領主との交渉と行動方針

ヒロはまずコロニーの領主と接触し、その後ティーナの知人の安否を確認する計画を立てた。ティーナには、知人の所在を特定するよう指示を出した。

危険を避けるために迅速な行動が求められる状況だったが、ヒロはティーナの願いを無視することもできなかった。リーメイプライムコロニーでの活動は、さらなる混乱を引き起こす可能性を秘めていた。

環境防護スーツの着用と騒動

エルマが環境防護スーツを再び着用すると、ヒロはその姿に感嘆し、思わず拍手を送った。しかし、エルマはヒロの視線に気づくと、長い耳を赤くしながら怒り、カメレオンサーマルマントを奪い取った。彼女は最初こそ防護スーツの露出について気にしていなかったが、ヒロの反応で恥ずかしくなったようである。

そのやり取りを見ていたミミは、自分も後で再びスーツを着ると宣言し、ヒロはその発言に期待を寄せた。彼はミミの防護スーツ姿を高く評価しており、特に胸部装甲の強調が素晴らしいと考えていた。普段、SFチックな服装が多い世界であっても、ここまでぴっちりとしたスーツを着る者は少なく、ヒロにとっては貴重な光景であった。

メイド服へのこだわり

ショーコも環境防護スーツを着込み、胸部装甲を持ち上げながらその機能性に疑問を抱いていた。ヒロはその光景に改めて魅力を感じ、感服していた。しかし、そこへメイが割って入り、自身のメイド服こそが至高であると主張した。ヒロは彼女の熱意に圧倒されつつも、冷静に対処しようとしたが、メイは即座に姿勢を正し、落ち着いた様子で同じ意見を繰り返した。彼女のメイド服へのこだわりは、変わることがなかった。

出発前の準備と小競り合い

出発の準備が整うと、エルマはヒロを急かしながら蹴りを繰り出した。彼は夢中になりすぎた自分の非を認めつつも、コンバットアーマーの上からでも痛みを感じるエルマの蹴りには抗えなかった。

メイの見送りを受けながら、ヒロはコンバットヘルメットを装着した。すると、それを見たエルマが自身もコンバットアーマーを経費で購入しようかと呟いた。ヒロが渋る素振りを見せると、エルマは彼の両手を抑え込み、許可を強要した。ヒロは関節を極められる前に、すぐに許可を出した。

ティーナの精神状態への懸念

ブラックロータスのエアロックで滅菌処理を受けながら、ショーコはティーナの精神状態を心配した。ヒロは彼女にクギの指導のもとで瞑想をさせており、少しは落ち着くはずだと考えていた。しかし、クギの熱意が逆効果にならないかという一抹の不安も抱いていた。

コロニーでの警戒

出発前、エルマはヒロの装備を見て「喧嘩を売る者はいないだろう」と評した。ヒロは剣を携え、コンバットアーマーを着込み、さらにコンバットヘルメットのバイザーを非透過モードに設定していた。これにより、彼の人相は隠れ、威圧感が増した。エルマの言葉にヒロとショーコも同意し、慎重にコロニーへ向かうこととなった。

#2:上層区画と下層区画

コロニーの現状と住民の対応

リーメイプライムコロニーに入ると、ヒロはその閑散とした様子に驚いた。人通りは他の同規模のコロニーに比べて少なく、完全な防護服を着た者はほとんどいなかった。住民の多くはマスクのみで感染を防ごうとしており、完全防護の装備を身につけているのは主に寄港した船のクルーであった。これは防護スーツの費用や運用にかかるコストを考えれば当然のことだとヒロは推測した。

ショーコは、顔全体を覆うマスクなら一定の効果はあるものの、清浄区域への移動時に適切な滅菌が行われなければ感染防止は難しいと指摘した。コロニーの生命維持システムは本来、病原体の拡散を防ぐはずだったが、現在の状況ではオーバーフローを起こしているか、機能していない可能性が高かった。

上層区画への移動と治安の悪化

ヒロたちは領主であるレイディアス準男爵に会うため、下層区画を抜けて上層区画へ向かった。エルマの説明によると、準男爵は本来の領主であるマグネリ子爵の配下であり、代官として統治を委任されている立場だった。ヒロは自分の言葉遣いをどうするべきか悩んだが、エルマは爵位の上下を考えれば、丁寧すぎる必要はないと助言した。

移動の途中、彼らは下層区画と上層区画を隔てるゲートに到着した。そこではコンバットアーマーを装備した兵士たちが厳重な警備を行っており、ゲートの外には抗議する住民が集まっていた。彼らは食料や水の配給、空気税の免除、手厚い医療支援を要求し、統治機構の責任を追及していた。

ヒロたちはゲートの警備兵と対話し、身分証を提示して通過を許可された。兵士はマグネリ子爵の配下であり、領主も事態の収束に向けて動いていることがうかがえた。上層区画へ入る前には念入りな滅菌処理が施され、感染対策が徹底されていることがわかった。

上層区画の清潔さと格差

上層区画に足を踏み入れると、そこは下層区画とは大きく異なり、清潔で秩序が保たれていた。マスクを着用している人もほぼおらず、防護服を着た者も見当たらなかった。これは下層と上層の間で人の行き来がほとんどなく、上層区画がクリーンな状態を維持できているためだと考えられた。

ヒロはこの状況を「割れ窓理論」に例え、小さな秩序の維持が社会全体の治安向上につながるという話をした。エルマは貴族の娘として統治論を学んだ経験があり、この理論に聞き覚えがあると答えた。ヒロは彼女の知識が活かせる場が将来的に必要になるかもしれないと考えたが、エルマはそれを察したのか、疑問を投げかけた。

領主との面会と交渉

目的地に到着すると、そこは他のコロニーの建築とは異なり、赤レンガと鉄柵に囲まれた庭付きの邸宅だった。ヒロはその違和感に戸惑いながらも、案内役の兵士に身分を伝え、邸内へと入った。

迎えたのは、レイディアス準男爵ではなく、マグネリ子爵の嫡子であるハルトムート・マグネリであった。彼によると、レイディアス準男爵は「体調不良」により今朝方解任され、ハルトムートが新たな代官に就任したとのことだった。ヒロは少し驚いたが、予定通り面会を進めることにした。

ヒロは自分たちが下層区画の危険な地域へ足を踏み入れる可能性があることを伝え、何か問題が起こった際の対応について事前に話を通しておきたかったと説明した。しかし、ハルトムートは「自領の民を斬る許可を求めているのか」と警戒を示した。ヒロは誤解を解き、「必要があれば反撃するが、無差別に手を出すつもりはない」と釈明した。

交渉の結果、ハルトムートはヒロたちの行動に対し、兵士や治安維持要員に配慮するよう指示を出すことを約束した。代わりに、ヒロたちは適正価格で医療物資を提供することになった。貴族同士の交渉としては、貸し借りを作らずフェアな取引が成立した形となった。

下層区画への再突入と孤児院

領主との面会を終えたヒロたちは、次なる目的地へ向かうことにした。上層区画は比較的安全であり、港湾区画にも近いため滞在には適していたが、長居する理由はなかった。

彼らはブラックロータスに通信を入れ、メイと状況を確認しながらゲートを通過した。ヒロはエルマとショーコと共に、下層区画にある「孤児院」のような施設へ向かう予定であった。ティーナの話によると、そこは治安の悪い地域に存在しながらも、地域の勢力が互いに干渉しない暗黙の領域になっているとのことだった。

施設では捨てられた子供たちが保護されており、地域の犯罪者たちもこの場所を荒らすことは避けていた。ティーナは過去にこの施設と関わりがあり、現在の状況を心配していた。彼女は他にも知り合いはいたが、自力で生き抜ける大人たちよりも、孤児たちの安否を優先していた。

ヒロたちはミミのナビゲートを受けながら、目的地へ向かうことにした。下層区画の環境は厳しく、状況が不安定なことは明らかだったが、彼らは慎重に行動することを確認し合った。

破壊された施設の調査

ヒロたちはブラックロータスのクルーの誘導に従い、目的地に到着した。しかし、そこにあった施設は無残にも破壊されていた。建物の外壁にはレーザー痕が残り、地面には血痕が飛び散っていた。どうやら、入り口付近で勢力同士の激しい戦闘が起こったようだった。

周囲には人気がなく、近隣の住民は逃げ出すか、関わりを避けるために息を潜めているように思われた。ヒロは警戒しながら扉を開き、施設の中へと足を踏み入れた。

施設内部の生存者

建物に入ると、ヒロは内部に複数の気配を感じ取った。大人が三~四人、子供が七人ほど。そのうち何人かは著しく衰弱しているようだった。エルマは慎重に行動すべきだと進言し、ヒロもそれに同意した。

内部には戦闘の痕跡が見られず、外での戦闘による影響が及んでいないことがわかった。ヒロは慎重に部屋へと近づき、内部の生存者に声を掛けた。しかし、応答はなかった。ティーナからの指示で「赤毛の修理屋の知り合い」だと伝えると、ようやく反応があり、扉のロックが解除された。

生存者との対話

扉を開けたのは、小柄な少年だった。彼は小型のレーザーガンを手にし、警戒した様子でヒロたちを迎えた。部屋の奥には、大人三人と子供数人が横たわっており、明らかに衰弱していた。

ヒロたちは自分たちの身分を明かし、ヘルメットのバイザーを透過モードにして顔を見せた。ショーコが診察を申し出ると、少年は渋々それを受け入れた。ショーコは迅速に診断を行い、大人三人と子供二人の症状が特に深刻であることを伝えた。しかし、適切な治療を施せば回復可能であると断言した。

応急処置と環境改善

ショーコは持参した医療機器を用い、感染者たちに処置を施していった。ヒロは、傭兵が使う救急ナノマシンユニットが有効かどうか尋ねたが、ショーコは「それは外科的治療に特化しており、感染症の治療には向かない」と説明した。

また、ショーコは部屋の気密性を確認し、ナノマシンを散布して空気を清浄化する装置を設置した。これは応急措置に過ぎず、より安全な治療室を確保する必要があった。ショーコは施設内の一室を治療用に改装する計画を立て、資材の調達を検討し始めた。

食糧の提供と今後の対応

ヒロは持参した水や食料をバックパックから取り出し、少年に差し出した。少年は一瞬ためらったが、空腹には抗えなかったようで受け取った。ヒロは「遠慮するな。必要ならいくらでも持ってこられる」と告げ、少年を安心させた。

ティーナが気にかけていたこの人々を守るため、ヒロたちは今後も支援を続けることを決意した。コロニー全体を救うことはできないが、少なくともティーナが願った人々を助けることは可能だった。

#3:孤児院のリンダ

略奪の発生と施設の危機

アイリアと名乗る女性は、施設が略奪を受けた経緯を説明した。彼女によれば、流行病によってギャングやマフィアの統率が崩壊し、無秩序なチンピラたちが物資を狙って襲撃してきたという。従来は支援を受けていた組織が守ってくれていたが、現状では頼ることができず、施設は完全に無防備な状態にあった。

ヒロは、この状況に対する解決策を模索したが、簡単には解決できる問題ではなかった。略奪者を排除する、戦闘ボットを配置する、あるいは新たに代官となったハルトムートに介入を求めるといった案が挙がったが、それぞれに課題があった。

ハルトムートとの交渉材料

ヒロたちは、ハルトムートがコロニーの統治を刷新しようとしている可能性に注目した。しかし、彼が孤児院を優遇する理由を作る必要があった。ショーコは、施設にいた少女リンダに流行病に対する特別な免疫がある可能性を指摘した。もし彼女の体質を解明できれば、特効薬の開発につながるかもしれない。

これがハルトムートとの交渉材料になれば、彼の協力を引き出せる可能性が高まる。ヒロはリンダを説得し、検査のために船へ同行するよう提案した。

リンダの船内での適応

ヒロの説得により、リンダはブラックロータスに乗り込んだ。船内ではショーコが彼女の検査を開始し、特効薬の開発に向けた準備が進められた。リンダは最初は警戒していたが、船のクルーたちと交流するうちに、次第に打ち解けていった。

船のクルーは全員女性であり、リンダは彼女たちの関係性に驚きを隠せなかった。特に、ヒロの女性関係については興味を抱いたが、クルーたちは「ヒロは女好きではあるが、手当たり次第ではない」と説明した。

孤児院の防衛体制の整備

ヒロは、アイリアたちの施設を守るための準備を進めた。物資の輸送だけでなく、戦闘ボットを配置し、メイに管理を任せることで、防衛体制を強化する計画である。軍用戦闘ボットは簡単にはクラッキングされないが、それでも長期間の運用には注意が必要だった。

また、ヒロたちは自分たちが感染症のワクチンを接種していたことを再確認した。このワクチンは症状を抑えるものであり、完全な免疫を得られるわけではなかった。感染はするが発症しないため、キャリアとして感染を広めるリスクがある。これを防ぐため、彼らは引き続き環境防護スーツを着用し、慎重に行動する必要があった。

次の行動へ

ヒロは、準備が整い次第、再び孤児院へと向かうことを決めた。リンダの検査結果が出れば、それをもとにハルトムートとの交渉を進めることができる。彼らの計画は順調に進んでいるように見えたが、コロニーの状況は依然として不安定であり、さらなる問題が待ち受けている可能性があった。

孤児院の警備と作業の進行

ヒロたちは問題なく孤児院に到着し、物資の搬入を開始した。メイと戦闘ボットがクリーンルームや救護所の設置作業を進める中、ヒロは周囲の警戒を担当した。しばらくすると、ショーコの治療によって回復したアイリアが施設の外へと出てきた。

アイリアは、ヒロの助力に感謝の意を示しつつ、ティーナの様子を尋ねた。ヒロは、ティーナが元気であることを伝えたが、コロニーに来たことで精神的に不安定になることもあると付け加えた。それを聞いたアイリアは安堵の表情を浮かべた。

施設を守る二人の用心棒

ヒロは、施設にいた二人の男の正体を確認した。彼らはハインツとジークと名乗り、孤児院を守るための用心棒のような存在だった。しかし、彼らの所属する組織は今回の混乱で壊滅してしまい、現在は宙ぶらりんの状態であった。それでも孤児院を守るために残ったのだという。

ヒロは彼らの装備を確認したが、武器は粗末で、防具も満足なものがなかった。そこで、ヒロは彼らに資金を提供し、必要な武器や防具を調達させることにした。ハインツは困惑しながらも、ヒロの意図を理解し、武器の購入へと向かった。

感染症対策の完了

施設内部では、メイがエアロックと滅菌設備を整え、感染症の拡大を防ぐための対策を施していた。アイリアはその設備の高度さに驚いていたが、ヒロは撤去して再利用できるものであることを説明し、気にしないように伝えた。

施設内では、メイが子供たちと交流し、彼女のメイド服や髪の美しさに子供たちは興味を示していた。ヒロは、彼らが剣を持つ人物に対して距離を取る理由を理解しつつ、子供たちが少しでも安心して過ごせる環境を整えられたことを確認した。

ブラックロータスでのリンダの適応

一方、ブラックロータスでは、リンダが船内の広さや豪華さに驚いていた。彼女は船の環境が非常に快適であることに戸惑いつつも、クルーたちとの交流を通じて少しずつ馴染み始めた。

クルーたちは、ヒロがもともと貴族ではなく、傭兵としての実績によって名誉爵位を得たことを説明した。さらに、ヒロが住環境に妥協しないこと、食事にもこだわりがあることなどを話し、リンダは彼の意外な一面を知ることになった。

孤児院の守備体制の強化

ヒロは、孤児院の守備体制を強化するため、ハインツとジークに新しい武器と防具を用意させた。さらに、戦闘ボットを警備に残し、メイが遠隔管理することで安全性を確保した。

一方で、ハッキング対策として、メイは敵が回線の脆弱性を狙った際に逆撃できるよう準備を整えていた。ヒロはその徹底ぶりに感心しつつ、施設の安全が確保されたことを確認した。

リンダの役割と今後の計画

リンダはショーコの指導のもと、感染症に対する免疫の解析を受けることになった。ヒロは施設の安全確保に成功し、今後はハルトムートとの交渉に向けて準備を進めることになった。

また、ヒロはリンダの乗船手続きを進めることにし、正式なクルーではないものの、一時的な滞在者としての処理を行うことに決めた。これにより、不要な疑念を持たれることなく、円滑に物事を進めることができると判断した。

こうして、孤児院の安全と感染症対策が一段落し、次の展開に向けた準備が整った。

ショーコの研究と設備の充実

ショーコは数日でパンデミックの治療法を見つけると宣言したが、ヒロはその実現可能性に疑問を抱いた。そこで、ウィスカに意見を求めると、ショーコがそう言うならば大きく外れることはないと答えた。十分な設備と資材が整っていることが、迅速な研究を可能にしているのだという。

ティーナは、ヒロが船に通常の傭兵船では考えられないほど高度な設備を整えていることに言及し、それに対してヒロは「門外漢の自分が口を出すより、専門家に適切な環境を提供する方が合理的だ」と説明した。さらに、船の整備に関してはメイの厳しい精査を通過した要望のみを許可していると語った。

休憩スペースでの会話とエルマの評価

ヒロはティーナとウィスカと共に休憩スペースで寛いでいたが、そこへエルマが加わった。エルマはシャワーを浴びた後のようで、ヒロの胸に背中を預けながら戦闘訓練の成果を報告した。

彼女の指導のもと、ミミとクギが格闘術の訓練を受けており、エルマは二人の成長を評価した。特にミミは護身の術を持たないため、トレーニングを積むことが重要であった。クギもまた、護身術を身につけるために訓練に参加していた。

エルマによれば、ミミは訓練で疲れ果てて部屋で休んでおり、クギはミミを寝かしつけた後に合流するとのことだった。

ハルトムートへの接触と宙賊討伐

ヒロは、単に休憩するだけでなく、ハルトムートの心証を上げるための行動を取るべきだと考えた。そして、その方法として宙賊討伐を選んだ。

現在、パンデミックの影響で商船の往来が減り、星系の補給能力が低下している。その結果、治安が悪化し、宙賊の活動が活発化していた。ヒロは、この状況を利用し、宙賊討伐で稼ぎつつハルトムートに恩を売ることを計画した。

パンデミック下で商船の寄港が減少することで、通常なら宙賊の獲物も減るはずだった。しかし、リーメイ星系は三つの星系を繋ぐハブであり、商人たちはここを通らざるを得ない。そのため、星系内の航路は依然として重要であり、宙賊にとっては依然として狩場となっていた。

ハルトムートへの交渉と特権の獲得

ヒロは宙賊討伐を進めるにあたり、ハルトムートに交渉を持ちかけることを考えた。戦利品の売却時に検疫で長期間拘束されることを避けるため、特権を付与してもらうよう交渉するつもりだった。

また、宙賊から奪った戦利品の中には、コロニーで不足しがちな物資も多く含まれている可能性があった。ヒロは、治安向上と物資供給の貢献を申し出ることで、ハルトムートの支持を得ることを狙った。

こうして、ヒロはハルトムートへの連絡を決意し、クルーたちと共に宙賊討伐の準備を進めることになった。

#4:傭兵のお仕事

ハルトムートとの交渉と協力の提案

ヒロはハルトムートに通信を繫ぎ、リーメイプライムコロニーへの出入りを簡略化する許可を得るための提案を持ちかけた。ハルトムートがすることは、すでに存在する仕組みを適用するだけであり、大した手間ではなかった。しかし、ヒロの申し出には特別な対価が設定されていなかったため、ハルトムートはその意図を測りかねていた。ヒロは、クルーの恩人を助けるためであり、また、帝国から賜ったゴールドスターに恥じぬ行動を取るためだと説明した。ハルトムートは一瞬驚いた表情を見せた後、納得し、謝罪の意を表した。

孤児院の支援要請

ヒロは、下層区画にある孤児院が支援を失い、苦境に立たされていることを伝え、その面倒を見てほしいと頼んだ。ハルトムートは、それが貴族としての責務であることを理解しつつも、現在の状況に苦慮していた。さらに、ヒロはドクター・ショーコが伝染病の治療法を研究していることを明かし、可能性に期待するよう促した。ハルトムートはその詳細を尋ね、ヒロはショーコが遺伝子工学の専門家であり、高度なラボを持つことを伝えた。その情報にハルトムートは感嘆し、ヒロの提案を正式に受け入れた。

出入りの簡略化と感染対策

リーメイプライムコロニーの港湾区では、ハルトムートの手配によりヒロたちの出入りが優先通行扱いとなった。しかし、感染防止のための厳格な検査は免除されることなく行われた。リンダは感染者として検査を受けたが、ショーコの管理下にあること、星系外には出ないことが考慮され、大目に見られた。ミミは検査の厳しさに驚きつつも元気であり、一行は準備を整えて次の行動へと移った。

宙賊との交戦と戦利品の確保

ヒロたちは宙賊を狩るため、襲撃が発生しやすい宙域を巡回し、救難信号を受信した商船の援護に向かった。商船は襲撃を受け、護衛艦は壊滅していた。ヒロは迅速に戦闘に介入し、エルマの駆るアントリオンとブラックロータスの支援を受けつつ、宙賊を次々と撃破した。逃げる宙賊を殲滅し、商船の安全を確保すると、交易商人から礼金を受け取り、戦利品を回収した。

戦利品の処理とコロニーへの供給

撃破した宙賊艦から剝ぎ取った装備や物資は、リーメイプライムコロニーに卸された。さらに、コロニー側から航宙艦のパーツの購入依頼が入り、機械系のコンポーネントが不足していることが判明した。ヒロはこれを了承し、適切な価格で売却することで交渉をまとめた。ハルトムートは、流行病の特効薬について進展があるかを尋ね、ヒロはショーコの研究が進展しており、今日中に結果が出る見込みであることを伝えた。

特効薬の製造と拡大計画

ショーコは、特効薬の製造プロセスをハルトムートに説明した。免疫機能を強化し、症状の発生を防ぐ効果があるが、現状ではラボの設備で一日四千八百人分が限界であった。ハルトムートは、これではコロニー全体を救うには不十分だと考え、製造設備を拡充するための手段を模索することとなった。ヒロは、施設の支援と引き換えに、この技術提供の対価を求めた。ハルトムートはその要求を受け入れ、孤児院の支援を約束した。

ハルトムートとの交渉の余韻

ヒロは、ハルトムートの約束を確実なものとするため、会話のログを記録していた。仮に彼が約束を反故にするようなことがあれば、それを有効活用するつもりであった。また、貴族の決闘文化を利用し、逃げられない状況を作ることも考えていた。一方で、ショーコはヒロへの見返りを要求し、彼を試すような笑みを浮かべた。ヒロは、その要求をどう回避するかを考えながら、新たな問題に向き合うこととなった。

ショーコの研究とヒロの能力

ショーコはヒロの特異な出自と体質に興味を抱き、彼が満足するまで研究を続けた。その結果、ヒロは身体的にも精神的にも大変な目に遭った。加えて、クギによるサイオニック能力の修行は厳しく、ヒロの能力は既にアニメやコミックに登場するヒーローに匹敵するほどのレベルに達していた。生身でもパワーアーマーを装備した帝国海兵の部隊を全滅させられるほどの力を持つに至っていたが、その事実はショーコの尋問じみた問診によってすべて暴かれた。

ミミとクギの癒やし

ショーコの研究に付き合ったヒロは、疲れ果てて休憩スペースのソファに横たわっていた。そこへミミが声をかけ、ヒロは彼女の膝枕で休むことになった。クギも加わろうとしたが、この日はミミの豪運がクギのテレパスに勝り、彼女がヒロを独占する形となった。ヒロは精神力の回復を感じつつ、クギとミミの癒やしがどちらも甲乙つけがたいものであることを再認識した。

リンダの動向と装備の処理

ティーナとウィスカはリンダに整備を教えていた。ヒロは短期間で習得するのは難しいが、何かしら役立つスキルを身につけられるよう願っていた。彼はリンダに対する自分の関与を控えめにしつつ、装備のオーバーホールを中止するようティーナとウィスカに伝えるようミミに指示した。先方がスクラップパーツとしての引き取りを希望していたため、適切な処理を求めたのである。

施設への襲撃と状況の確認

その頃、ティーナとウィスカはリンダと共に装備のメンテナンスをしていたが、下層区画の施設が襲撃される事件が発生した。メイが状況を報告し、戦闘ボットと警備員二名によって無事撃退されたことが確認された。負傷者はおらず、襲撃の動機は不明だったが、単なる物資目当ての可能性が高かった。ヒロはこの襲撃について、ギャングやマフィアの残党が関与している可能性を考えながら、現地と連絡を取ることにした。

ハインツとジークの報告

ホロスクリーン越しにハインツとジークがヒロに報告を行った。襲撃は物資を狙ったチンピラによるものだったが、背後には宙賊とつながりのある組織が関与している可能性があった。さらに、精製の甘いドラッグを流通させ、その影響で亡くなった者の遺体を養分として病原菌が繁殖していることも判明した。ヒロはこの組織の危険性を認識し、彼らの拠点や動向についての情報収集を指示した。

組織の排除計画

ヒロは、宙賊と繫がる危険な組織の壊滅が必要であると判断し、ハインツとジークに敵のアジトの情報を探るよう依頼した。報酬を提示しながらも、無理をしないよう念を押した。ハインツたちが情報収集に動く一方で、ヒロは戦闘の準備を進めることにした。

特効薬の完成と量産計画

ヒロはエルマやメイと共に、ショーコが開発した特効薬をハルトムートに引き渡した。ナノマシン製剤であり、標準的なシリンジで容易に投与できる仕様となっていた。ハルトムートはその効果を検証し、量産体制を整えるために尽力することを約束した。一方で、ヒロはハルトムートに対し、感染対策だけでなく、組織の壊滅にも協力するよう持ちかけた。

ハルトムートの決断

ヒロはハルトムートに、宙賊と繋がる組織の排除が必要であると説得した。ハルトムートは最初、帝国貴族としての立場から慎重な態度を取っていたが、最終的にはヒロの主張を受け入れ、動員可能な兵力を提供することを決めた。彼の私兵も動員され、組織の殲滅作戦が本格的に始動することとなった。

最終準備と作戦開始

ヒロはハインツたちと連携し、組織のアジトを特定し、攻撃の準備を整えた。直接の戦闘に参加する姿勢を示しつつも、情報収集の結果に応じて最適な戦術を選択することを決めた。こうして、宙賊と繋がる組織を排除するための戦いが始まろうとしていた。

#5:お礼参り

ブラディーズのアジト襲撃準備

ヒロはニンジャアーマーを装着し、メイと戦闘ボットを率いてブラディーズのアジト近くの路地に待機していた。ハインツとジークも遅れて到着したが、ヒロの装備の物々しさに驚きを隠せなかった。彼らは戦争をするつもりなのかと尋ねたが、ヒロにとっては当然の準備であった。敵は宙賊とも繫がっており、予想外の事態に備える必要があった。

ヒロはハインツとジークに対し、前線には出ずにアジト内の情報を探るよう指示し、火事場泥棒には目を瞑るが、監獄送りになるような行動は慎むよう警告した。作戦開始の合図とともに、メイと戦闘ボットが一斉に攻撃を開始し、施設の壁にプラズマ砲弾を撃ち込んだ。その威力は絶大で、建物の壁を焼き溶かし、赤熱した穴を開けた。ヒロは動揺するハインツとジークを促し、側面から突入を開始した。

アジト内部への突入と制圧

ヒロは電撃銃を使用し、敵を無力化しながら進んでいった。撃たれたチンピラは即座に倒れ、鼻を突く焦げ臭い匂いが漂った。ハインツとジークは驚きを隠せなかったが、ヒロは問答無用で殺していないだけ有情だと語った。もし殺すつもりなら、より致死性の高い武器を使うと付け加えた。

ハインツとジークはデータキャッシュや金目の物を回収しつつ、ヒロの指示に従った。突入部隊と合流した際、ヒロは無力化した敵の回収を依頼し、自身は上のフロアへと進むことにした。

ヒャッハー野郎との交戦

最上階へ向かう途中、一人の男が突然現れ、紫電を散らす棍棒を振りかざしながらヒロに襲いかかった。男は凄まじい勢いで間合いを詰めたが、ヒロは時間を引き延ばし、電撃銃を放った。通常なら一撃で動けなくなるはずだったが、男は耐え抜き、なおも襲いかかろうとした。

ヒロは追加で電撃を放ち、五発目でようやく動きを止めた。ジークがサイバーチックな手錠で拘束し、生存を確認したが、男は異常な耐久力を持っていた。ハインツによれば、男は幹部格の可能性が高かった。

最上階での決着

ヒロは最上階に到達し、慎重に扉を蹴破って突入した。中ではチンピラたちが何かの作業をしていたが、電撃銃の奇襲により数名を瞬時に無力化した。残った者たちが応戦し、レーザーガンの嵐を浴びせたが、ヒロはデスクの陰に身を隠し、反撃の機会を伺った。

剣を抜き、時間を鈍化させながら敵陣に突進した。驚愕する敵を一人ずつ斬り伏せ、最終的に室内を血塗れにした。さらに、増援として現れたチンピラたちの武器をサイオニック能力で奪い、降伏を促した。ハインツとジークが拘束を担当し、アジトの制圧はほぼ完了した。

データ回収と撤収

ヒロはデータストレージや端末を回収し、突入部隊に引き渡した。さらに、ジークが発見した大量のピンク色の薬包が、コロニーで流通していた違法薬物であることが判明した。ヒロはそれが病原菌の拡散源となる可能性を指摘し、慎重に扱うよう警告した。

最後に、ハルトムートの部下たちが現場の後処理を担当することになり、ヒロは撤収を決定した。彼は拘束されたチンピラたちに対し、情報を素直に吐くよう脅しをかけ、冗談めかしてニンジャアーマーの目を赤く光らせた。その演出に恐れおののいたチンピラたちは次々と気絶し、作戦は成功裏に終わった。

孤児院での食事会

ヒロはブラディーズのアジトを襲撃し、戦闘を終えた後、ハインツとジークを連れて孤児院へ戻った。そこでアイリアと子供達を交えて食事会を開き、ブラックロータスから持ち込んだ料理を振る舞った。子供達はその味に驚き、ジークも感嘆の声を上げた。

食事の手配はメイが担当し、戦闘ボットを用いて食料を運搬させた。ヒロはアイリアに、施設の支援体制について話を進めたことを伝えた。新しい代官であるハルトムートが施設の面倒を見てくれることになっており、ヒロはその交渉をすでに終えていた。アイリアは突然の報告に戸惑いながらも、ヒロの言葉を受け入れるほかない様子だった。

貴族への不信感とヒロの立場

アイリアは貴族に対して強い警戒心を抱いており、ハルトムートが本当に支援を続けるのか疑問を持っていた。ヒロは彼が誠実な人物であり、もし約束を破れば自分が報復すると断言した。さらに、自身がプラチナランクの傭兵であり、貴族が不用意に敵に回したくない存在であることを強調した。

しかし、アイリアはヒロが施設に対して大きな支援をしていることに対し、自分には何も返せるものがないと悩んでいた。ヒロは冗談めかしてティーナに返してもらうと言い、アイリアに誤解を与えた。彼女はヒロの交友関係について興味を持ち、ティーナとの関係に加え、他のクルーとの関係も尋ねた。結果として、ヒロは「女性ばかりの船の主」として見られることになり、アイリアの視線が微妙に変化した。

孤児院を狙う襲撃者

食事会が終わった後、ヒロは孤児院へと近づく複数の集団をニンジャアーマーのセンサーで確認した。彼らは孤児院を包囲しようとしており、ヒロはメイと連携を取りつつ、先制攻撃を仕掛けることに決めた。

ヒロは建物の屋上から静かに接近し、最後尾のチンピラを一撃で仕留めた。さらに、逆手に持ち替えた剣で二人目の首を刎ね、三人目を袈裟斬りにした。残る二人も素早く切り伏せ、集団を一瞬で殲滅した。メイはこれを見届けながら、さらなる援護を行う準備を整えていた。

報復の阻止と除染作業

ヒロは続けて孤児院を包囲しようとしていた他の集団にも奇襲をかけ、次々と殲滅していった。敵は武器を持っていたが、ヒロの速さに対応できず、次々と倒れていった。襲撃者が全滅すると、ヒロはメイを通じてハルトムートに連絡を取り、除染チームの派遣を依頼した。

施設から出てきたハインツは、ヒロが襲撃を予測し、待ち伏せていたことを知り驚愕した。ヒロは、ブラディーズが報復に動く可能性が高いと考え、事前に準備していたと説明した。報復を阻止したことで、孤児院の安全はしばらく確保されたものの、ヒロは敵組織が完全に壊滅したかどうかについて慎重な姿勢を取った。

ティーナとの再会と船内案内

翌日、ヒロはアイリア、ハインツ、ジークをブラックロータスに招待した。施設を留守にする間、メイと戦闘ボットを配置し、子供達の世話を任せた。船内に入ったアイリア達は、明るく清潔な内部に驚き、特にテラリウムのある休憩スペースに感嘆していた。

ティーナとアイリアはすぐに再会し、話し込んだ。ヒロは彼女たちをそっとしておき、ハインツとジークを連れて食堂へ向かった。そこで、クギ、ミミ、エルマが自己紹介を行い、ハインツとジークは彼女たちの容姿に驚いた。ジークはヒロの周囲に女性ばかりがいることを指摘し、羨望の眼差しを向けた。

武器庫の案内とジークの嫉妬

ヒロはハインツとジークをハンガーへ案内し、自身の白兵戦装備を見せた。二人は興味津々で武器庫を見回し、パワーアーマーの試着やシューティングレンジでの試射を楽しんだ。

その後、ジークはヒロの人間関係について踏み込んだ質問をし、彼がどのようにしてクルーたちと親しくなったのかを探った。ヒロは「タイミングと甲斐性」と答え、具体的な経験を語った。その内容は、巨額の金を投じたり、命懸けの戦闘を繰り広げたりと常人には到底真似できないものばかりで、ジークは完全に圧倒されてしまった。

ハルトムートからの緊急連絡

武器庫を案内している最中、ヒロの小型情報端末にハルトムートからの緊急通信が入った。彼は単刀直入に「今すぐ緊急発進してくれ」と頼み、コロニー内の対応は自分が行うため、宇宙の方を任せると伝えた。

通信の最中、ブラックロータスがわずかに揺れ、緊急事態が発生していることが明白になった。ヒロは詳細を聞く暇もなく、すぐにクリシュナとアントリオンで発進することを決定した。

ハインツとジークには、ブラックロータスで待機するよう指示し、メイやミミに連絡を入れて準備を進めた。事態は切迫しており、迅速な行動が求められる状況であった。

#6:ガレオン級

緊急発進の準備

ヒロはクリシュナの発進準備を整えながら、エルマのアントリオン搭乗を待っていた。アントリオンはブラックロータスから個別に入港していたため、エルマは急いで船へ向かっていた。ヒロはセルフチェックを終え、ミミに出港手続きを指示した。

ハルトムートの依頼に対し、ヒロは迅速に対応を決めていた。通常は傭兵ギルドを通して正式な契約を結ぶが、今回のように依頼者の身元が確かで、緊急性が高く、さらに放置すれば巻き込まれる可能性が高い場合は即座に動くべきだと判断した。

コロニーの異変とダール星系軍の合流

出港直後、ヒロはメイにブラックロータスを避難拠点として利用するよう指示を出した。必要があれば、子供達を連れてコロニーから離脱することも視野に入れた。直後、ダール星系軍のイーヴォ・ネッツァー大佐から通信が入り、現状の説明が行われた。

ネッツァー大佐によると、ハルトムートが分析した結果、前代官レイディアス準男爵が宙賊と繋がっていたことが判明した。さらに、彼が「プランB」と称する証拠隠滅計画を進めており、その初期段階として星系間通信を遮断していた。現在、コロニー内では生命維持装置や防衛兵器への破壊工作が同時多発的に発生しており、コロニー自体が壊滅の危機に瀕していた。

コロニーを狙う宙賊の襲来

ヒロはレイディアス準男爵の計画が現実的に実行可能なのか疑問を呈した。しかし、ネッツァー大佐はコロニー内部に宙賊が潜伏しており、彼らの協力によって計画が進められていると説明した。ヒロはこれに呆れながらも、コロニーを売り渡す計画が進行中であることを確信した。

さらに、ヒロは宙賊がガレオン級戦艦を投入してくる可能性が高いことを警告した。ガレオン級は宙賊が運用する巨大戦艦で、迎撃兵器を多数搭載し、近接戦闘に特化した構造を持つ。ネッツァー大佐はガレオン級の存在を知らなかったが、ヒロはその戦艦の特性を詳しく説明し、戦闘準備を整えるよう促した。

奇襲の準備

ガレオン級との正面対決は極めて危険であり、通常の戦術では撃破が困難だった。ヒロはブラックロータスをすぐに避難させるべきか悩んだが、時間的猶予がほとんどなかった。そこで、ハルトムートに防衛兵器の復旧を最優先するよう指示しつつ、自ら奇襲作戦を立案した。

時間と敵の進行ルートが判明している状況を利用し、ヒロはガレオン級のワープアウト地点に対艦反応魚雷、シーカーミサイル、航宙機雷を事前に配置した。これにより、宙賊艦隊がワープアウトした瞬間に奇襲攻撃を仕掛ける計画であった。

宙賊艦隊の壊滅

宙賊艦隊が通常空間に戻ると、ヒロの仕掛けた罠が発動した。ワープアウトと同時に対艦反応魚雷が炸裂し、ガレオン級の舷側に大きな損傷を与えた。続けて、熱探知式のシーカーミサイルが起動し、宙賊艦へ向けて一斉に飛び立った。混乱した宙賊艦の一部は回避行動を取るが、そのまま機雷原へ突っ込み、次々と爆発四散した。

通信回線を保護していなかった宙賊の交信は、恐怖と悲鳴に満ちていた。ヒロはこの機を逃さず、クリシュナでガレオン級へ突撃を開始した。

ガレオン級との死闘

ヒロはクリシュナをガレオン級の死角に潜り込ませ、迎撃兵装の隙間から攻撃を加えた。宙賊艦はヒロを排除しようとしたが、近接戦闘に特化したクリシュナの機動力を前に対応が追いつかなかった。

ガレオン級の指揮官はクリシュナを強制的に剥がすため、艦体をぶつけるよう命令した。しかし、ヒロは巧みに回避し、その結果、宙賊艦同士が衝突し、さらにガレオン級にダメージを与える結果となった。

最終的に、ヒロはガレオン級の装甲が剥がれた部分に対艦反応弾頭魚雷を撃ち込み、クリシュナを急速離脱させた。次の瞬間、ガレオン級は内部から爆発を起こし、完全に沈黙した。

戦闘の終結

ガレオン級の沈黙によって宙賊艦隊は混乱し、ダール星系軍とヒロの部隊は残存艦の掃討に移った。数の上では宙賊が優勢であったが、ガレオン級を失ったことで士気が崩壊し、戦局は一方的な展開となった。

ヒロはこの戦いを「消化試合」と評し、敵艦の残骸を見据えながら、確実に勝利を収めることを決意した。

#7:ハルトムートとアイリア

エルマの不満と戦闘の余韻

エルマはリーメイプライムコロニーへ戻った後、戦闘に直接関与できなかったことに不満を漏らしていた。彼女はヒロに抱きつきながら、後方待機の指示に納得がいかないと訴えた。ヒロは役割分担の重要性を説明し、最終的にエルマのアントリオンが大きな活躍を果たしたことを伝えた。グラビティジャマーによる宙賊の脱出阻止が決定打となり、結果的に彼女は戦闘の影のMVPであった。

ハルトムートへの報告

ヒロは食堂の扉を閉め、依頼主であるハルトムートに通信を繋いだ。彼は今回の戦闘結果を報告し、ハルトムートはその派手な戦術に驚きを隠せなかった。リーメイプライムコロニーに備蓄されていた弾薬や航宙機雷を大量に使用したことで、星系軍の総出撃並みのコストがかかったからである。

また、ハルトムートはコロニー内の破壊工作が概ね収束したことを報告しつつ、内部に潜伏していた敵勢力の完全駆逐には至っていないと語った。ヒロはさらに、施設で子供たちの世話をしているアイリアとの顔合わせを提案し、ハルトムートは快諾した。

アイリアとハルトムートの対面

ヒロはアイリアを呼びに行くが、彼女は突然の対面に緊張し、身だしなみを気にして狼狽した。無理やり連行されたアイリアは、ハルトムートを前にして動揺し、言葉もままならなかった。ハルトムートは彼女を落ち着かせようと努め、「公式の場ではないので気を楽にしてほしい」と優しく声をかけた。

その後、施設に関する話を交わし、連絡先を交換して顔合わせは終了した。しかし、通信を終えた直後、ハルトムートは独り言のように「彼女に交際相手はいるのか?」と考え始めた。ヒロは慌てて通信を切り、エルマと共にその展開に頭を抱えた。

ティーナの騒動と懸念

アイリアが施設へ戻った後、晩飯の席でヒロたちは情報共有を行った。アイリアがハルトムートに見初められたことを知ったティーナは激しく動揺し、「貴族に迫られたら平民の女性は断れない」と危機感を募らせた。彼女はヒロにハルトムートを止めるよう迫り、感情的になった末に食堂のテーブルを叩きつけるほど荒れてしまった。

ヒロは「ハルトムートが本気ならば邪魔するのは違う」と説得し、最終的には「ハルトムートにアイリアの立場をよく考えるよう伝える」と約束した。しかし、それでも納得しきれなかったティーナは感極まって泣き出し、ヒロにしがみついて謝罪した。

ハルトムートとの対話

翌日、ヒロはメイを伴い、ハルトムートの元を訪れた。彼はアイリアに関する懸念を伝え、「平民の彼女にとって、貴族の言葉は重く、意に沿わなくても従わざるを得ない状況になるかもしれない」と指摘した。

ハルトムートは一瞬黙考した後、「最終的に彼女を幸せにすれば問題はない」と主張した。ヒロはそれに同意しつつも、「彼女の意志を尊重してほしい」と念を押した。ハルトムートは「卿の言葉を心に留めておく」と約束し、二人の会話は穏やかに終わった。

パンデミック収束への道筋

ヒロはブラックロータスへ戻り、ティーナにハルトムートの言葉を伝えた。ティーナはようやく納得し、ホッとした様子を見せた。

その後、ヒロはショーコの研究室を訪れると、そこはキノコで埋め尽くされていた。ショーコは病原体となったキノコを無害化する実験を行っており、特効薬と浄化ナノマシンの開発に成功していた。ヒロは驚きつつも、その技術がコロニーのパンデミック収束に大きく貢献することを確信した。

エピローグ

パンデミックの収束とナノマシンの効果

ショーコが開発した浄化ナノマシンの効果は劇的であった。試験的に散布された区画では、空気中の病原菌の胞子量が激減し、ハルトムートは段階的に散布範囲を拡大した。特効薬の併用により、リーメイプライムコロニーのパンデミックは急速に終息へと向かっていた。

ヒロはショーコから託されたコンテナをハルトムートに届け、その後の一週間はコロニーの復興に伴い多忙な日々を送った。孤児院の様子を見に行き、ショーコを伴ってナノマシンの件でハルトムートと協議し、設計データの報酬についての交渉も行った。休憩スペースでショーコの膝枕を受けながら、ナノマシン技術の影響力を改めて実感した。

ナノマシンの兵器利用と制約

ヒロはナノマシンが兵器化された場合の危険性について疑問を投げかけた。ショーコは、生物兵器や化学兵器に比べて無効化が容易であり、コストも見合わないため、軍事利用の可能性は低いと説明した。EMPパルスやシールドによって簡単に無力化され、大量のナノマシンを効率的に散布するには莫大なコストがかかるため、暗殺には使えるかもしれないが、大規模な戦争には不向きだという。

その話を聞いたヒロは、ナノマシンの暴走による滅亡――いわゆる「グレイ・グー」のシナリオが現実的でないことを理解し、安堵と落胆の入り混じった感情を抱いた。その後、ショーコは眠気を訴え、ヒロに運ばれることを要求した。意外にも甘え上手な彼女に、ヒロは素直に応じることにした。

リンダの処遇と決断

コロニーでの任務を終える前に、ヒロはティーナ、ウィスカ、リンダの三人を食堂に呼び出した。リンダの今後について話をするためである。リンダがパンデミックの解決に貢献したことで報酬を得られることを伝えたが、同時に彼女を船に乗せる気はないと明言した。

リンダはヒロについて行きたいと主張したが、彼は「人手は足りているし、このコロニーには頼れる人がいる」と説得を試みた。リンダには十分な資金を与えるつもりであり、それを学習や生活のために使うべきだと諭した。

それでもリンダは「自分は我慢強く、手先も器用で、すぐに役に立てる」と食い下がった。しかし、ヒロは「まだ若すぎる」として拒否した。リンダは十二歳であり、思春期に差し掛かる彼女を船に乗せるのはリスクが高いと判断したのだ。

ヒロは最後の譲歩として、十五歳になった時点でまだ船に乗りたいという意思があれば迎えに来ると約束した。ただし、それは「そういう覚悟が必要なこと」だと強調し、リンダの顔を赤らめさせた。

リンダの保護と環境整備

ヒロはリンダの教育環境を整えるため、ハインツに資金の管理を任せた。ハインツは「責任重大だが、兄貴の頼みならば」と快く引き受けた。さらに、ハルトムートにもリンダの高等教育の手配を依頼し、彼はこれを快諾した。

また、リンダの面倒を見る代わりに、ハインツとジークにも報酬を前払いした。これにより、リンダの生活環境は大幅に改善されることとなった。

ヒロは「三年後のリンダがどうなっているかはわからない」としながらも、彼女が望むならその時に判断すると結論づけた。

新たな依頼と最前線への派遣

リンダの問題を片付けた直後、ヒロは傭兵ギルドからの通信を受けた。ギルドは「最高優先度の指名依頼」が入っていると告げ、ヒロはその依頼主に不安を覚えた。

ギルドの説明によると、依頼主は帝国航宙軍の「さらに上」の存在、つまり皇帝その人であった。依頼内容は、ベレベレム連邦との最前線に近いクリーオン星系で活動する「宙賊」の討伐である。

提示された条件は破格で、弾薬や補給はすべて帝国側の負担、固定報酬は1000万エネルに加えて撃破報酬、鹵獲やサルベージも可能で、拘束日数が30日を超えれば1日30万エネルの追加報酬が支払われるというものだった。

ヒロは「自由気ままな傭兵生活が性に合っている」と言いつつも、この依頼を断ることは不可能と判断し、受諾することを決めた。

ミーティングとクリーオン星系への出発

船内でのミーティングでは、ヒロが「次の目的地はクリーオン星系」と発表した。メンバーたちは「最前線送りではないか」と警戒したが、ヒロは「兵站を狙う宙賊討伐が主目的であり、最前線の戦場に直接突っ込むわけではない」と説明した。

しかし、相手が帝国航宙軍との協力を前提にした宙賊――つまり、実質的にベレベレム連邦の勢力であることを考えれば、戦闘は激化することが予想された。

ヒロは「結局巻き込まれる運命なら、条件の良いほうを選ぶしかない」と達観しつつも、「次は最前線の自称『宙賊』狩りか……泣けるぜ」と嘆き、リーメイプライムコロニーを後にする準備を進めた。

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こも

いつクビになるかビクビクと怯えている会社員(営業)。 自身が無能だと自覚しおり、最近の不安定な情勢でウツ状態になりました。

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