最強装備宇宙船 9 レビュー
まとめ
最強装備宇宙船 11 レビュー
物語の概要
ヒロたちは救出したエルフの姫ティニアと「御神木の種」を保護した状態でリーフィル星系に滞在していたが、帝国航宙軍のセレナ中佐から大規模宙賊団「レッドフラッグ」の掃討作戦への協力を要請されたことで状況が動き出す。
ヒロは軍用装備の調達と報酬を条件に作戦に参加し、軍の星系封鎖や拠点の攻略戦において前衛として戦果を上げていく。その過程で、御神木の種と自らのサイオニックパワーの影響による愛機クリシュナの出力異常が発生し、さらに宙賊の背後に潜む軍内部の関与やビルギニア星系連合製の船の存在が浮き彫りとなる。宙賊本拠地の空振りによりレッドフラッグは深宇宙へ逃亡し、ヒロはティニアをリーフィルW(シータ)へ送って御神木の種を返却する。
帰路では、直感で敵とみなしたゴールドランカーの傭兵キャプテン・マリー(クリムゾンランス)から「歌う水晶」による結晶生命体の召喚と狙撃の罠を受けるが、傭兵を追加雇用した船団構築と限界運動による連続回避でこれを突破する。証拠不十分のため告発を断念したヒロは、追跡を切って次のエイニョルス星系へ向け離脱するところまで進む。
主要キャラクター
ヒロ
- 立場・所属:プラチナランカーの独立傭兵。小型戦闘艦「クリシュナ」船長。一等星芒十字勲章(ゴールドスター)受勲者。
- 主人公との関係:主人公本人。
- この巻での主な役割:レッドフラッグ掃討作戦での遊撃、ティニアの安全確保と帰還の補佐、マリーの狙撃罠からの脱出。
- この巻で起きた重要な変化や行動:軍用装備の受領と引き換えに掃討作戦へ参加し、御神木の種とサイオニックパワーの影響でクリシュナの出力やシールド挙動に変化が生じる。マリーの危険性を直感して追加の護衛傭兵を雇い入れ、結晶生命体と狙撃の複合攻撃を生き延びた。
セレナ・ホールズ
- 立場・所属:グラッカン帝国航宙軍中佐。対宙賊独立艦隊司令。
- 主人公との関係:ヒロに大規模な作戦や任務を依頼する帝国軍人。
- この巻での主な役割:レッドフラッグ掃討作戦の全般指揮およびヒロへの作戦要請・交渉。
- この巻で起きた重要な変化や行動:対FTLトラップを用いた星系封鎖と同時攻勢で作戦を進めたが、首魁の捕縛には失敗する。クリシュナの異常挙動に探りを入れつつも、軍内部の不穏な動き(内通者)を警戒した。
ティニア
- 立場・所属:エルフのグラード氏族長の次女。巫女。
- 主人公との関係:ヒロに救出され、御神木の種と共にヒロの船に一時同乗していた人物。
- この巻での主な役割:御神木の種とクリシュナの共鳴における実験媒体、実家・氏族への帰還。
- この巻で起きた重要な変化や行動:御神木の種を通じてヒロのサイオニック力を吸い上げて機体出力に影響を与えた。シータ帰還後に御神木の種が芽吹いたことで、ヒロからの後押しを受けて実家に留まる道を選んだ。
エルマ
- 立場・所属:ヒロの船の副操縦士・砲手。ウィルローズ子爵家の元令嬢。
- 主人公との関係:ヒロのクルーでありパートナー。
- この巻での主な役割:クリシュナでの射撃・センサー監視、ヒロの戦術(戦わずに逃げる勝ち筋)のサポート。
- この巻で起きた重要な変化や行動:クリシュナの出力異常やマリーの狙撃兵装「虹」の危険性を正確に分析し、他船を通報リスクとして利用するヒロの傭兵的割り切りを肯定・解説した。
ミミ
- 立場・所属:ヒロの船の通信手・オペレーター兼会計管理。
- 主人公との関係:ヒロのクルーでありパートナー。
- この巻での主な役割:センサー監視、追加傭兵の手配や契約手続き。
- この巻で起きた重要な変化や行動:マリーからのEML狙撃警告を正確に捉えてヒロを補助した。雇用した傭兵を実質的な盾や通報役とするヒロの作戦に対し倫理的な葛藤を覚えつつも、現実の過酷さを学んだ。
キャプテン・マリー
- 立場・所属:ゴールドランカーの傭兵団「クリムゾンランス」のリーダー。「幸運な収奪者」と呼ばれる。
- 主人公との関係:不穏な気気配からヒロに敵認定された人物。
- この巻での主な役割:レッドフラッグ掃討に乗じてヒロを密かに抹殺しようとする裏の仕掛け人。
- この巻で起きた重要な変化や行動:「歌う水晶」で召喚した結晶生命体の中にヒロを閉じ込め、機体「アンダル」の兵装「虹」で遠距離照準狙撃を仕掛けたが、9回連続で回避されて撤退した。後に「援護射撃」を主張するメッセージを送って追及をかわした。
ティーナ&ウィスカ
- 立場・所属:スペース・ドウェルグ社出身のドワーフの双子整備士。
- 主人公との関係:ヒロの船の専属整備士。
- この巻での主な役割:クリシュナおよびブラックロータスの整備・解析、戦利品(赤色の敵艦)の同定。
- この巻で起きた重要な変化や行動:クリシュナのシールド・出力異常が御神木の種とサイオニックによるものであると看破した。捕獲した船体がビルギニア星系連合(ベレベレム連邦の同盟国)製であることを特定した。
書籍情報
目覚めたら最強装備と宇宙船持ちだったので、一戸建て目指して傭兵として自由に生きたい 10
著者:リュート 氏
イラスト:鍋島テツヒロ 氏
出版社:KADOKAWA(カドカワBOOKS)
発売日:2023年5月10日
ISBN:9784040749686
(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。
あらすじ・内容
プラチナランカーのヒロ、アブない女宙賊に目をつけられる!?
御神木の種と氏族の姫ティニアを宇宙船に乗せたまま、討伐作戦に参加することになったヒロ一行。
目標はエルフの母星を襲撃した大規模宙賊団”レッドフラッグ”だ。戦闘中のピンチの場面で、クリシュナが原因不明のバリア機能を発揮。どうやら犯人は御神木のようでヒロは頭を抱えることに。
そして戦闘後、やたらつっかかってくる派手な女傭兵マリーに絡まれる。レッドフラッグとの関係を直感したヒロは、この厄い女から全力で逃げることにするが――?
感想
レッドフラッグ討伐戦! 謎の女傭兵マリーにヒロが大ピンチ
今回のヒロは、結構なピンチに追い込まれた。
これまでも強敵や大規模な宙賊艦隊と戦ってきたが、今回は少し事情が違う。
相手が強いだけではなく、ヒロの戦い方を知っているような、不気味な女傭兵が現れたのだ。
しかも、最後には結晶生命体を利用した罠まで仕掛けられる。
あれだけの戦力を持つヒロが、ここまで追い詰められるとは……。
一方で、セレナ中佐からの無茶振りや、御神木の種が起こす不思議な現象など、いつもの本作らしい騒がしさも健在である。
特に気になったのは、謎の女傭兵マリーの正体だ。
彼女は本当に、ただの傭兵なのだろうか。
セレナ中佐からの依頼は、またしても大規模宙賊団の討伐
今回の中心となるのは、エルフの母星を襲撃した大規模宙賊団「レッドフラッグ」の討伐作戦である。
ヒロたちはセレナ中佐から依頼を受け、帝国軍による大規模な掃討作戦に参加することになる。
相変わらず、セレナ中佐からの依頼は規模が大きい。
ヒロは自由気ままな傭兵生活を送りたいはずなのに、気がつけば軍の重要作戦に組み込まれている。
もはや、セレナ中佐に目をつけられた時点で逃げられない気がする。
それにしても、セレナ中佐の出世スピードには驚かされる。
ヒロたちが関わる事件は、どれも大きな戦果につながっている。中佐自身の能力もあるのだろうが、ヒロの存在が出世に貢献しているのは間違いなさそうだ。
もっとも、ヒロもただ働きするつもりはない。
今回の報酬として要求するのは、軍用兵器やパワーアーマーなどの装備品である。
もう金には困っていないんだな……。羨ましい。
普通なら高額報酬を期待するところだが、ヒロは金で簡単に買えない装備を要求する。
傭兵としての生活が、ずいぶん安定してきたことを感じる場面だった。
ただし、金銭面に余裕があっても、厄介事からは逃れられないらしい。
ティニアの汚名返上と、妙に存在感のある御神木の種
討伐作戦には、エルフの姫であるティニアも同行する。
彼女には、宙賊に誘拐された過去がある。
その汚名を返上するという意味でも、今回の作戦は重要なものなのだろう。
ただ、気になったのはティニア本人以上に、彼女に関係する「御神木の種」である。
以前の襲撃で御神木そのものは失われてしまったが、種は残されていた。
そして、その種が妙に自己主張してくる。
普通、種というのは土に植えて育てるものだと思う。
ところが、この御神木の種はどうも違う。
ヒロに関わろうとしているようにも見えるし、何かしらの意思を持っているようにも感じられる。
宇宙船だけでも十分に不思議なのに、今度は種まで特別な力を持っているのか。
この世界には、まだまだ理解できないものが多い。
そして、その不思議な力が戦闘中に発揮されることになる。
クリシュナの謎のバリア。敵の攻撃をねじ曲げるって何だ?
レッドフラッグとの戦闘では、クリシュナが不可解な防御能力を発揮する。
敵の攻撃が、まるで何かに遮られたように軌道を変えてしまうのだ。
もともとクリシュナは、ヒロの操縦技術と組み合わさることで圧倒的な強さを見せてきた。
しかし、今回の現象は機体本来の性能とは少し違うらしい。
どうやら御神木の種が、ティニアを介して力を貸したようだ。
いや、種の力で宇宙船の防御性能が上がるのか。
なかなか理解が追いつかない。
ただ、ヒロにとっては都合がよかったようで、軍に対する説明にもこの種を利用する。
不可解な能力を発揮しても、御神木の種の影響ということにしておけば説明がつく。
そういうところは、相変わらず抜け目がない。
ヒロは戦闘能力だけでなく、面倒な追及をかわす能力も高いと思う。
もっとも、御神木の種が本当はどこまでの力を持っているのかは、まだ分からない。
今後も何かやらかしそうな気がする。
謎の女傭兵マリー。どう考えても普通の傭兵ではない
今回、最も印象に残ったのは、女傭兵マリーの登場である。
彼女は「ラッキールーター」という異名を持つ傭兵だ。
名前だけ聞けば、運よく戦利品を手に入れるのが得意な人物にも思える。
しかし、実際に登場すると、どうにも怪しい。
ヒロに対する態度も不自然だし、宙賊とのつながりを疑わせる言動まで見せる。
何より、ヒロ自身が彼女を警戒している。
これまで数々の危険を乗り越えてきたヒロの直感だ。
簡単に無視できるものではない。
マリーはヒロの行動を執拗に監視しているようにも見える。
何を目的に近づいてきたのか、はっきりしないところが不気味だった。
普通の傭兵同士なら、実力を認め合って協力する展開もありそうだ。
しかし、マリーにはそうした安心感がまったくない。
この女、絶対に何かあるだろう。
読み進めるほど、その疑いが強くなっていった。
「歌う水晶」で結晶生命体を呼び寄せる。これはかなり危なかった
そして、物語の終盤でヒロたちは大きな危機に陥る。
次の星系へ移動しようとしたところで、マリーが仕掛けたと思われる罠が発動するのだ。
使われたのは「歌う水晶」。
かつてヒロ自身も利用したことがある、結晶生命体を呼び寄せる危険な代物である。
ここで思わず嫌な予感がした。
ヒロは結晶生命体の厄介さをよく知っている。
しかも、今回は敵がその性質を理解したうえで利用している。
ただの宙賊との戦闘なら、クリシュナの高性能とヒロの操縦技術で何とかできるかもしれない。
しかし、今回のように状況そのものを仕組まれると話が違ってくる。
さらに悪質なのが、マリーによる援護射撃だ。
味方を支援するように見せかけながら、実際にはヒロを狙って撃ってくる。
いや、それは援護射撃じゃなくて狙撃だろう。
敵を倒すための戦闘ではなく、ヒロを殺すための罠。
そう感じさせる展開だった。
ヒロは何とか攻撃をかわすものの、今回は本当に危なかった。
普段は強敵を相手にしても、どこか余裕を感じさせるヒロだが、今回はそう簡単にはいかない。
読んでいて、かなり緊張した場面である。
マリーの「チート」発言。もしかして彼女もプレイヤーなのか?
マリーについて、もう一つ気になったのが「チート」という言葉だ。
ヒロが攻撃を回避した際、彼女は思わずそう口にする。
この発言には引っかかった。
ヒロ自身、ゲームで使っていた宇宙船とともに、この世界へやって来た人物である。
そんなヒロに対して「チート」という表現を使うマリー。
単なる偶然なのかもしれない。
しかし、彼女もゲームの知識を持っている人物だとしたらどうだろう。
もしかして、マリーもヒロと同じくプレイヤー側の人間なのか?
そう考えると、彼女の不自然な行動にも別の意味が生まれてくる。
ヒロの能力を知っているような態度も、クリシュナに対する警戒も、ゲームの知識があるからだとすれば説明がつく部分はある。
もちろん、現時点では推測にすぎない。
それでも、マリーが単なる腕利きの女傭兵ではないことは、強く感じられた。
今後、ヒロと同じような境遇の人物が登場するのだとしたら、物語の見え方も大きく変わりそうだ。
殺しにきておいて「次は仲良くしよう」は無理だろう
何とか危機を脱したヒロのもとには、マリーからメッセージが届く。
その内容が、またひどい。
「次は仲良くしよう」
……いやいや、無理だろう。
あれだけ危険な罠を仕掛けて、結晶生命体まで呼び寄せ、援護射撃に見せかけて狙撃してきた相手である。
そんな人物から仲良くしようと言われても、信用できるはずがない。
まず殺そうとしてきたことを説明してくれ。
ヒロが全力で拒絶するのも当然だと思う。
それにしても、マリーは何を考えているのだろう。
本気でヒロを殺そうとしていたのか。
それとも、ヒロの実力を試すために、あそこまで危険なことをしたのか。
どちらにしても、関わりたくない相手である。
ただ、こういう人物に限って、簡単には退場してくれない気がする。
ヒロの平穏な傭兵生活が、また一歩遠のいたように感じた。
まとめ|今回は本当にピンチだった。マリーの正体が気になる
今回はレッドフラッグの討伐作戦を中心に、御神木の種の不思議な力や、謎の女傭兵マリーとの遭遇が描かれた。
セレナ中佐からの無茶振りや、軍用装備を報酬として要求するヒロの姿には、いつもの本作らしい面白さがある。
戦闘の合間に描かれる仲間たちとの日常も、相変わらず楽しい。
しかし、終盤のマリーによる襲撃は、それまでとは雰囲気が違った。
今回は、ヒロが結構なピンチになった。
単純に敵の数が多いとか、火力が強いという話ではない。
ヒロの知識や経験を逆手に取り、危険な状況へ追い込んでくる相手だったからだ。
特に「歌う水晶」を利用した罠は厄介だった。
そして何より気になるのが、マリーの「チート」という発言である。
彼女はヒロと同じ世界から来た人物なのか。
それとも、別の理由でゲームに似た知識を持っているのか。
今のところは分からないが、ただの敵役で終わる人物には思えない。
あれだけの殺し合いを仕掛けておいて、最後に「次は仲良くしよう」と言ってくるのも不気味だ。
いや、本当に仲良くするつもりがあるなら、まず撃ってこないでほしい。
次にマリーが現れた時、ヒロはどう対応するのだろう。
できれば平穏に過ごしてほしいところだが、どう考えてもまた厄介なことになりそうである。
最強装備宇宙船 9 レビュー
まとめ
最強装備宇宙船 11 レビュー
最後までお読み頂きありがとうございます。
(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。
考察・解説
ストーリー・プロット
掃討作戦への参加とティニアの同行決定
- 状況:ヒロたちはリーフィル星系におり、保護した「御神木の種」を抱えて待機していた。
- 発端:帝国航宙軍のセレナ中佐から、大規模宙賊団「レッドフラッグ」の討伐作戦への協力要請を受ける。
- 行動:ヒロは報酬と母艦ブラックロータスの軍用装備調達を条件に作戦参加を受諾する。また、宙賊に囚われて立場が微妙になったエルフの姫ティニアの処遇について氏族長ゼッシュと交渉し、御神木と氏族の名誉を守るための作戦同行を取り付ける。
- 結果と次の展開:ティニアの同行が確定し、軍・星系軍・傭兵が連携する大規模掃討作戦が動き出した。
星系封鎖と宙賊拠点の攻略
- 状況:宙賊の逃亡を防ぐため、軍の作戦開始時刻よりも早い先行行動が採られる。
- 発端:セレナ中佐が招集完了時刻の欺瞞情報を流しつつ、対FTLトラップ(インターディクター)を用いて星系封鎖を開始する。
- 行動:ヒロはクリシュナで先行出撃し、トラップで足止めされた宙賊艦を次々と撃破・捕獲する。戦力集結後は、宙賊の「拠点ブラボー」への攻撃に参加し、危険な前衛として対空砲台を無力化していく。
- 結果と次の展開:拠点ブラボーは制圧され、海兵隊による情報や物資の回収へと移行した。
クリシュナの異常と裏に潜む疑惑
- 状況:拠点ブラボーでの戦闘中、クリシュナのシールド回復速度とジェネレーター出力が増加する異常が発生していた。
- 発端:整備士姉妹の調査により、レーザー砲火が機体を避けるように曲がっていたことや、戦闘中にティニアが御神木の種を介してヒロのサイオニック力を吸い上げていたことが判明する。
- 行動:ヒロはセレナ中佐との会食で、クリシュナの異常を「御神木の種による一時的なサイオニックの影響」とだけ説明し、ブラックボックスの存在を隠した。また、捕獲した赤い戦闘艦がベレベレム連邦の同盟国ビルギニア星系連合製であることや、星系軍内部に内通者がいたことが発覚する。
- 結果と次の展開:軍内部や他国が絡む不穏な背景が浮き彫りとなり、ヒロは余計な事件へ深入りしない方針を固めた。
レッドフラッグの消失と後始末
- 状況:残る2つの宙賊拠点の攻略へ向かう。
- 発端:追加攻略対象の星系拠点はいずれも「完全にもぬけの殻」であり、データ類も物理破壊されていた。
- 行動:調査により、レッドフラッグは星系封鎖の前に古式の恒星間航行を用いて深宇宙へ逃亡したと推測される。セレナ中佐は宙賊の影響力排除という主目標は達成したものの、首魁の捕縛には失敗する。
- 結果と次の展開:宙賊の脅威は実質的に消滅し、ヒロは報酬を得てティニアと御神木の種を返却するためリーフィルW(シータ)へ戻る決定をした。
リーフィルWへの帰還とティニアとの別れ
- 状況:リーフィルW(シータ)の総合港湾施設に降下し、ローゼ氏族およびウィルローズ本家と交流する。
- 発端:ホテル滞在中、御神木の種がひび割れて芽吹き始める異変が起きる。
- 行動:ヒロはティニアから同行の可能性を問われるが、傭兵としての危険性や帰るべき実家の存在を理由に明確に拒否して線を引く。ティニアは芽生えた御神木と共に故郷へ残る決意を固める。
- 結果と次の展開:ティニアとの同行関係が終了し、ヒロたちは次の目的地へ移動する準備を開始した。
キャプテン・マリーとの接触と防衛策
- 状況:コロニー滞在中、港湾でゴールドランカーの傭兵キャプテン・マリー(クリムゾンランス)と遭遇する。
- 発端:マリーから強い不快感と嗜虐的な気配を感じ取ったヒロは、直感で彼女を敵と断定する。
- 行動:正面衝突では勝算が薄いと判断したヒロは、ギルドを通じて相場以上の高報酬で追加の護衛傭兵9隻を公募する。
- 結果と次の展開:傭兵の数を増やすことで「襲撃された際に誰かが逃げ延びて通報すれば、マリー側が賞金首になる」という通報リスクを作り出し、実質的な抑止態勢を整えた。
結晶生命体の襲撃と狙撃の罠からの突破
- 状況:雇い入れた護衛傭兵船団と共にエイニョルス星系ゲートウェイへ向けて航行する。
- 発端:ワープアウト直後、マリーにより「歌う水晶」で大量の結晶生命体が召喚されて足止めされ、さらに包囲の隙間から機体「アンダル」の極大貫通兵装「虹」による直接照準狙撃が飛んでくる。
- 行動:ヒロはクリシュナを囮にして反応弾頭魚雷で退路を開き、母艦ブラックロータスと護衛船団を先に行かせる。自身は限界を超えた慣性運動で狙撃を9回連続で回避し続ける。
- 結果と次の展開:星系軍の大部隊が到着したことでマリーは撤退し、ヒロは無事に生存した。証拠不十分のため告発を断念したヒロは、マリーからの嫌味なホロメッセージを無視し、エイニョルス星系へ向け離脱した。
主要な転換点
1:セレナ中佐からのレッドフラッグ掃討作戦要請
- それ以前の状況:ヒロたちはリーフィル星系で救出したティニアと「御神木の種」を抱え、待機していた。
- 出来事:セレナ中佐から、軍用装備の提供と高額報酬を条件に大規模宙賊団レッドフラッグの討伐作戦へ協力を要請される。
- 変化:ヒロたちが軍の大規模作戦に組み込まれ、前線での戦闘を開始することになった。
- 次への影響:対FTLトラップを用いた星系封鎖や、宙賊拠点への同時攻撃戦へと展開した。
2:クリシュナの出力異常とサイオニックの影響判明
- それ以前の状況:クリシュナは通常の機動性と火力を持つ小型戦闘艦として運用されていた。
- 出来事:拠点ブラボーでの戦闘中、シールド回復速度や出力が増加。整備士姉妹の調査で敵のレーザーが曲がっていたことや、御神木の種を介してティニアがヒロのサイオニック力を吸っていたことが判明する。
- 変化:機体に未把握の機能(サイオニック連動機能)が存在することが明らかになり、ヒロは軍へ秘匿するための隠蔽工作を行う必要が生じた。
- 次への影響:セレナ中佐への嘘を交えた説明や、自身のサイオニック能力に対する自覚へと繋がった。
3:レッドフラッグの深宇宙逃亡と本拠地の空振り
- それ以前の状況:軍・星系軍・傭兵の連携により、順調に宙賊拠点を無力化していた。
- 出来事:残る2つの宙賊拠点が完全にもぬけの殻であり、データ破壊の上で古式の恒星間航行により深宇宙へ逃亡したことが判明する。
- 変化:首魁の捕縛には失敗したものの、宙賊勢力は星系網から実質的に追放・消滅した。
- 次への影響:作戦が終了し、ヒロたちはティニアと御神木の種を返却するためにリーフィルW(シータ)へ向かうことになった。
4:ティニアの同行拒否と御神木の芽吹き
- それ以前の状況:ティニアは一時的な同行者としてヒロの船に身を置いていた。
- 出来事:御神木の種が芽吹き、ヒロはティニアからの同行打診に対して覚悟の甘さや実家の存在を理由に明確に拒否した。
- 変化:ティニアは芽生えた御神木と共に故郷に残る道を選び、ヒロとの同行関係が終了した。
- 次への影響:ティニアが船を降り、ヒロたちは次の目的地へ出発する準備に入った。
5:キャプテン・マリーとの遭遇と護衛傭兵船団の構築
- それ以前の状況:ヒロたちは通常通り船単体で星系を離脱する予定であった。
- 出来事:ギルドでゴールドランカーの傭兵キャプテン・マリーと遭遇し、ヒロは直感で彼女を敵と断定。正面衝突を避けるため高報酬で傭兵9隻を追加雇用した。
- 変化:単独移動から、通報リスクを生じさせて襲撃を抑止するための臨時船団編成へと移行した。
- 次への影響:ハイパーレーンでの襲撃時に、母艦や他の船を安全に離脱させるための枠組みとして機能した。
6:結晶生命体召喚と狙撃罠の突破
- それ以前の状況:護衛船団と共にゲートウェイへ向けて航行していた。
- 出来事:マリーにより「歌う水晶」で大量の結晶生命体が召喚され、さらに機体「アンダル」の貫通兵装「虹」による直接狙撃を受けるが、ヒロは限界運動で9回連続回避し、星系軍到着まで耐え切った。
- 変化:敵の殺害意図が明確になったが、証拠不十分のため告発を断念し、追跡を切って離脱することを最優先とした。
- 次への影響:マリーからのホロメッセージを蹴り、ヒロたちはエイニョルス星系へ向け離脱した。
ヒロを中心とした人物関係の変化
セレナ中佐
- 開始時:無茶な要請をしてくる軍人として警戒しつつも、ビジネスライクに交渉する関係。
- 主な出来事:レッドフラッグ掃討作戦での報酬交渉、クリシュナの異常挙動に関する探り合いと会食での軽口の応酬。
- 巻末時:軍内部の不穏な動き(内通者)を察しつつも深入りせず、互いに警戒と利用を保つ関係。
ティニア
- 開始時:救出したエルフの姫であり、御神木の種と共に船に一時同乗する関係。
- 主な出来事:作戦への同行、御神木の種を介したサイオニックの実験媒体、御神木の芽吹きとヒロからの同行拒否。
- 巻末時:ヒロから明確に線を引かれて故郷に残ることを選び、感謝と微笑みを交わして見送る関係となった。
キャプテン・マリー
- 開始時:未遭遇(噂や異名のみ)。
- 主な出来事:初遭遇時にヒロが直感で敵と断定。歌う水晶と狙撃兵装「虹」による奇襲を受けるが回避され、星系軍到着後に皮肉交じりのメッセージを受け取る。
- 巻末時:証拠がないため告発はできないが、ヒロ側から明確な強い殺意と復讐心を抱かれる敵対関係。
エルマ
- 開始時:信頼する副操縦士・パートナー。
- 主な出来事:クリシュナの異常出力の解析、マリーへの警戒と傭兵雇用による逃走戦術の共有。
- 巻末時:ヒロの戦わずに逃げる戦術や思考パターンを熟知し、共に船を守る深い信頼関係。
ミミ
- 開始時:信頼するオペレーター・パートナー。
- 主な出来事:戦闘時のオペレーション、追加傭兵の手配と、他船をリスク分散に使う傭兵的割り切りに対する道徳的葛藤。
- 巻末時:ヒロの戦い方や現実の過酷さを学びつつ、オペレーターとして成長した関係。
主人公の認識と周囲の評価
主人公自身の認識
- 自身を英雄ではなく、「自由と金を愛するただの傭兵」と捉えている。
- 危険な戦いや軍の政治闘争からは逃げ出したいと考えており、「戦わないで済む勝ち筋(逃げ切る・通報リスクを作る)」を最優先とする。
- 直感的に危険を察知した相手(マリー)に対しては、根拠が「勘」であっても警戒を徹底し、自己防衛のために他船を通報役に利用するような割り切った手段を取る。
周囲からの評価
- セレナ中佐・軍:プラチナランカーおよびゴールドスター受勲者として、極めて有能で頼りになる重要戦力・危険作業担当(キャプテン・クレイジー)と評価している。
- キャプテン・マリー:当たるはずの狙撃を9回連続で回避する不気味で危険な相手として認識している。
- ティニア・エルフ側:命の恩人および御神木の種に選ばれた者として敬意を払われつつも、ティニア個人からは「ズルくてろくでなしの傭兵」と評される。
認識の差が現れた場面
- 戦艦レスタリアスでの再会・会食場面:セレナ中佐から重要戦力・プラチナランカーとして扱われ軍入りを促されるが、ヒロ本人は「給料が安い」「規則に縛られない自由な今の生き方を選び続ける」と主張して拒否した場面。
- 拠点ブラボー攻略戦:突貫癖のある危険な傭兵と見られがちだが、ヒロ本人は味方の砲撃射線や退路を考慮し、最も手堅く確実に対空砲火を潰す有能な作業担当として動いていた場面。
- マリーとの遭遇および傭兵9隻の雇用:ミミや周囲からは過剰警戒や考えすぎと見られていたが、ヒロ本人は直感を信じて高額な費用を投じて傭兵船団を構築し、結果としてマリーの狙撃と結晶生命体の罠から生還した場面。
登場キャラクター
ヒロ
本作の主人公であり、戦闘艦クリシュナと母艦ブラックロータスを所有するプラチナランクの傭兵である。トラブルに巻き込まれやすい体質を自認しており、今回も成り行きで大規模宙賊団の討伐作戦に参加することになった。
- 所属組織、地位や役職 傭兵(プラチナランク)、名誉子爵、ゴールドスター受勲者。
- 物語内での具体的な行動や成果 セレナ中佐からの依頼を受け、大規模宙賊団「レッドフラッグ」の掃討作戦に参加し、対FTLトラップで捕捉された敵艦を撃破した。 作戦中、所属不明の高速戦闘艦部隊の奇襲を察知し、味方艦隊への被害が出る前に迎撃して撃退した。 傭兵ギルドで遭遇したキャプテン・マリーに対し、直感的に強烈な警戒心を抱き、接触を避ける判断を下した。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 エルフの有力氏族の娘であるティニアを一時的に預かり、彼女の汚名返上に協力する立場となった。 愛機クリシュナが「御神木の種」と共鳴し、性能が向上する現象を確認したが、詳細は不明のままである。
ティニア
エルフの母星リーフィルW(シータ)における有力氏族、グラード氏族長ゼッシュの娘である。とある事情により「御神木の種」の巫女として選ばれ、ヒロたちの船に同乗することになった。
- 所属組織、地位や役職 グラード氏族長次女。御神木の巫女。
- 物語内での具体的な行動や成果 宙賊に誘拐された過去や、異種族の男性(ヒロ)と行動を共にしたことで生じたスキャンダルを払拭するため、ヒロの宙賊討伐に同行した。 戦闘中、抱えていた「御神木の種」を通じてクリシュナのブラックボックスに干渉し、船の性能を底上げする現象を引き起こした。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 故郷の常識とは異なる宇宙での生活や戦闘に戸惑いつつも、自身の役割を果たそうと努めている。
ミミ
ヒロの最初のクルーであり、現在はオペレーターを務める人間の女性である。素直で明るい性格で、ヒロを慕っている。
- 所属組織、地位や役職 ヒロのクルー(オペレーター)。
- 物語内での具体的な行動や成果 クリシュナのセンサーや通信を担当し、宙賊艦の識別や戦闘データの収集を行った。 ティニアの世話を焼き、彼女が船の生活に馴染めるようサポートした。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ヒロの方針により、今後はオペレーターからサブパイロットへのステップアップを目指すことになった。
エルマ
ベテランの傭兵であり、ヒロの相棒的な存在であるエルフの女性である。豊富な知識と経験に基づき、ヒロに的確な助言を行う。
- 所属組織、地位や役職 ヒロのクルー(サブパイロット)。
- 物語内での具体的な行動や成果 ヒロと共に戦闘に参加し、電子戦や火器管制の補佐を行った。 マリー率いる傭兵団「クリムゾンランス」の戦力を分析し、正面衝突の危険性を指摘した。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ヒロから、将来的には独立した船の船長として別の船を任される構想を提案され、それを受け入れた。
メイ
ヒロが所有する高性能なメイドロイドであり、機械知性を搭載している。船の操縦から白兵戦、家事全般まで完璧にこなす。
- 所属組織、地位や役職 ヒロのメイドロイド。
- 物語内での具体的な行動や成果 母艦ブラックロータスの管理と操縦を一手に引き受け、ヒロたちがクリシュナで出撃している間の留守を預かった。 ヒロの指示を受け、キャプテン・マリーに関する情報を迅速に収集・分析し、彼女の異名「幸運な収奪者」の由来を報告した。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ヒロの安全を最優先に行動し、常に周囲の警戒を怠らない。
ティーナ & ウィスカ
ドワーフの整備士姉妹である。見た目は幼い少女だが、高い技術力を持つ成人のドワーフであり、ヒロの船の整備を一手に担っている。
- 所属組織、地位や役職 ヒロのクルー(整備士)。
- 物語内での具体的な行動や成果 戦闘後のクリシュナや鹵獲した宙賊艦の整備、解析を行った。 ビルギニア星系連合製と思われる謎の敵艦の残骸に興味を持ち、復元作業に着手した。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ヒロとの関係が一歩進展し、名実ともにパートナーの一員となった。
帝国航宙軍・関係者
セレナ・ホールズ
帝国航宙軍の中佐であり、対宙賊独立艦隊を率いる指揮官である。ヒロの実力を高く評価しており、彼を自身の作戦に巻き込むことが多い。
- 所属組織、地位や役職 帝国航宙軍中佐。対宙賊独立艦隊司令。
- 物語内での具体的な行動や成果 大規模宙賊団「レッドフラッグ」の撃滅作戦を立案・指揮し、星系封鎖と各個撃破戦術によって組織に壊滅的な打撃を与えた。 ヒロに対し、作戦中に遭遇した「謎の敵艦」に関する情報の口止めと、データの提供を求めた。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 作戦の成功により軍部や世論からの評価を高めたが、首魁を取り逃がしたことには不満を抱いている。
ジェム・ダー
リーフィル星系軍の将軍であり、ヒロに協力的な姿勢を見せるエルフの男性である。
- 所属組織、地位や役職 リーフィル星系軍将軍。
- 物語内での具体的な行動や成果 ヒロの頼みに応じ、ティニアの父ゼッシュとの通信を手配した。 ティニアの複雑な立場を理解し、彼女に便宜を図ることを約束した。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 特になし。
その他
マリー
傭兵団「クリムゾンランス」を率いるゴールドランクの傭兵である。「幸運な収奪者」の異名を持ち、派手な外見と独特な雰囲気を持つ女性である。
- 所属組織、地位や役職 傭兵(ゴールドランク)。クリムゾンランス団長。
- 物語内での具体的な行動や成果 リーフィルプライムコロニーの傭兵ギルドでヒロたちと接触し、意味深な態度で彼を挑発した。 宙賊の隠し物資や拠点を高確率で発見する実績を持つが、その手法には不審な点が多く、ヒロから強く警戒されている。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ヒロの直感により「敵」と認定された存在であり、宙賊との繋がりが疑われている。
御神木の種
ティニアが持ち歩いている発光体であり、エルフの信仰対象である。意思があるかのように明滅し、周囲の状況に反応する。
- 所属組織、地位や役職 エルフの信仰対象(特級厄物)。
- 物語内での具体的な行動や成果 クリシュナのブラックボックスと共鳴し、シールド性能の強化やレーザーの偏向といった現象を引き起こした。 ティニアと精神的なパスを繋ぎ、新たな魔法体系の実験を行っている節がある。
- 地位の変化、昇進、影響力、特筆事項 ヒロからは「特級厄物」と呼ばれ、トラブルの元凶として警戒されている。
最強装備宇宙船 9 レビュー
まとめ
最強装備宇宙船 11 レビュー
戦闘 一覧
プロローグ
過去の戦闘の回想(リーフィルW降下襲撃・大型宙賊艦拿捕)
- 戦闘者:ヒロ(ブラックロータス/クリシュナ)、星系軍 vs 大規模宙賊団「レッドフラッグ」
- 発生理由:レッドフラッグによる惑星リーフィルWへの降下襲撃とエルフの拉致、およびその後の逃走艦の捕捉 。
- 結果:ブラックロータスの活躍により撃退。また、逃走していた大型宙賊艦をヒロたちが発見し、移乗攻撃によって拿捕した 。
第2章
メイとの模擬戦
- 戦闘者:ヒロ vs メイ
- 発生理由:待機期間中のヒロの戦闘訓練のため 。
- 結果:メイの勝利。ヒロは模擬剣をへし折られ、蹴り飛ばされて壁に叩きつけられた末に頭を打たれて敗北した 。
第3章
セクター3Cの掃討戦
- 戦闘者:ヒロ(クリシュナ) vs 宙賊艦(複数)
- 発生理由:対FTLトラップによって超光速航行を阻害され、回転して無防備になった宙賊艦を撃破するため 。
- 結果:ヒロが一方的に攻撃し撃破。ただし一隻だけ異常にシールドが高出力な艦があり、その艦はコックピットブロックを射出して逃走した(船体は鹵獲用にマークされた) 。
セクター7Dの掃討戦
- 戦闘者:ヒロ(クリシュナ) vs 宙賊艦
- 発生理由:指定ポイントでの敵艦発見に伴う撃破命令 。
- 結果:ヒロが撃破した 。
宙賊拠点ブラボー攻略戦(航宙戦)
- 戦闘者:ヒロ(クリシュナ)、対宙賊独立艦隊(大型艦・傭兵艦) vs 宙賊基地(対空砲台)、迎撃宙賊艦
- 発生理由:レッドフラッグの拠点を無力化・制圧するため 。
- 結果:艦隊砲撃で表面を削った後、ヒロが先行して対空砲台を破壊。基地の反撃能力を奪い、迎撃艦も排除した。戦闘中、クリシュナに謎の性能向上(シールド回復速度上昇、レーザー偏向)が発生した 。
第4章
宙賊拠点ブラボー制圧戦(白兵戦)
- 戦闘者:帝国海兵部隊 vs 生物兵器(変異した人間や異種族)
- 発生理由:航宙戦力排除後の拠点内部制圧 。
- 結果:突入した海兵部隊が生物兵器と遭遇し、一時間ほど防戦した後に撤退。拠点は遠距離砲撃により完全に破壊された 。
第6章
ショア星系・機雷原突破と待ち伏せ艦隊の排除
- 戦闘者:対宙賊独立艦隊(戦艦・重巡洋艦) vs 航宙機雷群、待ち伏せしていた宙賊艦隊
- 発生理由:宙賊基地への進行ルート上に散布された機雷の除去、および小惑星帯からの奇襲攻撃への迎撃 。
- 結果:機雷は艦砲射撃で掃討され、奇襲を仕掛けてきた宙賊艦隊も大型艦の副砲等で一方的に迎撃され、接近する前に壊滅した 。
ショア星系・所属不明艦隊との戦闘
- 戦闘者:ヒロ(クリシュナ) vs 所属不明の赤い小型艦(12隻)
- 発生理由:サーマルステルスを使って艦隊に接近してきた正体不明の部隊(後にビルギニア星系連合系の船と判明)をヒロが発見し、攻撃を仕掛けたため 。
- 結果:ヒロの勝利。4隻を撃破後、敵の連携による対艦魚雷攻撃を回避して返り討ちにした。残る5隻は逃走し、行動不能になった1隻を回収した 。
ショア星系宙賊基地制圧戦(白兵戦)
- 戦闘者:帝国海兵部隊 vs 生物兵器(変異生物)
- 発生理由:拠点内部の制圧 。
- 結果:まともな白兵戦となり制圧に時間はかかったが、最終的に海兵部隊は撤退し、拠点は艦砲射撃で破壊された(第4章と同様の展開) 。
第7章
傭兵ギルドでの遭遇(威嚇)
- 戦闘者:ヒロ vs キャプテン・マリー
- 発生理由:傭兵ギルドの出入り口をマリーたちが塞ぐ形で立ち、ヒロに絡んできたため 。
- 結果:戦闘には発展せず。ヒロがマリーを直感的に「敵」と認定して警戒し、マリーの挑発を受け流して立ち去った 。
第11章
エイニョルス星系ハイパーレーン出口での奇襲
- 戦闘者:ヒロ(クリシュナ) vs 結晶生命体(大群)
- 発生理由:何者か(マリー)が「歌う水晶」を使用し、ヒロたちの退路に大量の結晶生命体を召喚したため 。
- 結果:ヒロが囮となり、ブラックロータスと護衛の傭兵艦を逃がすことに成功した 。
マリーによる狙撃
- 戦闘者:ヒロ(クリシュナ) vs マリー(専用機「アンダル」/長距離砲「虹」)
- 発生理由:結晶生命体との戦闘で動きが制限されたヒロを、マリーが遠距離から狙撃し抹殺しようとしたため 。
- 結果:ヒロが直感と操縦技術で計9発の狙撃を全て回避。星系軍が到着したためマリーは攻撃を諦め、援護射撃を装って撤退した 。
結晶生命体の掃討戦
- 戦闘者:ミラブリーズ星系軍、ヒロ、マリー(クリムゾンランス) vs 結晶生命体
- 発生理由:召喚された結晶生命体の駆除 。
- 結果:星系軍の圧倒的な火力により結晶生命体は殲滅された 。
展開まとめ
プロローグ
眩光による目覚めと混乱
彼は室内に生じた気圧差の音で目を覚まし、直後に強烈な光に晒された。寝起きの状態で視界を失いかける中、倒れかけた女性を反射的に抱き寄せ、ベッドに引き寄せた。やがて視界が回復し、相手がエルフの姫であるティニアだと判別する。彼女は彼の無防備な姿を目にして激しく動揺し、部屋を飛び出していった。
御神木の種の存在
その場に残されたのは、強い光を放つ御神木の種であった。彼は原因をその発光体に押し付け、苛立ちを覚えつつも身支度を整えることにした。特級厄物と認識しながらも、結局はそれを抱えて行動することになる。
食堂での気まずい空気
食堂に向かうと、クルー全員の視線が集まり、ティニアは再び赤面した。彼は誤解を解こうと御神木の種を示すが、エルマから配慮不足を指摘される。ミミや双子のドワーフ姉妹ティーナとウィスカ、メイドロイドのメイも交え、いつもの朝の光景が展開された。
帝国航宙軍との因縁
会話はやがて、帝国航宙軍中佐セレナ・ホールズとの面会予定に移る。彼は過去の経緯から、彼女が無茶な任務を振ってくることを警戒していた。リーフィル星系で起きた大規模宙賊団レッドフラッグとの戦闘と救援要請の流れを振り返り、再び関わることへの不安を強める。
自由へのこだわり
仲間から縁や運命を示唆されるも、彼はそれを強く否定した。美貌と地位を併せ持つセレナとの関係が、自身の自由な傭兵生活を脅かすことを恐れていたからである。彼は改めて、規則に縛られない今の生き方を選び続ける意思を示した。
#1: 宙賊を狩る者達
戦艦レスタリアスでの再会
ヒロはメイと共に帝国航宙軍対宙賊独立艦隊の旗艦レスタリアスを訪れ、セレナ中佐と再会した。軽妙なやり取りの裏で、ヒロは自身がプラチナランカーかつゴールドスター受勲者である事実を改めて突きつけられ、否応なく重要戦力として扱われている現実を自覚する。
レッドフラッグ掃討への要請
セレナ中佐の目的は、大規模宙賊団レッドフラッグの討伐であった。艦隊規模の拡充とこれまでの戦果を示しつつも、単独攻略は困難であり、外部戦力としてヒロの参加を求める。ヒロは渋りながらも、条件次第で協力する姿勢を見せた。
報酬交渉と装備取引
ヒロは自身の格に見合う報酬を主張し、日当・撃破報酬込みの条件を受諾する。その上で、ブラックロータスの強化と軍用装備の提供を追加条件として提示し、セレナ中佐もこれを了承した。
作戦参加の決定
ブラックロータスに戻ったヒロは、クルーに掃討作戦への参加を告げた。軍用装備の調達や報酬面の利点を説明しつつも、セレナ中佐と関わることで事態が拡大しがちな点に不安を滲ませる。
ティニアの立場と選択
作戦準備の最中、ヒロはティニアの今後について向き合った。宙賊に攫われ、さらに傭兵と行動を共にしたことで、彼女の立場は極めて微妙なものとなっていた。ヒロは安全を保証できない前線同行を前提に、船に残る選択肢を提示し、最終的には父親と直接話し合う道を模索することを提案した。
#2: ティニアの処遇
ジェム・ダーとの面会
ヒロはティニアの処遇を巡り、リーフィル星系軍の要職にあるジェム・ダーと面会した。ジェム・ダーはヒロを友として迎えつつ、ティニアに対しては立場の難しさをにじませた態度を見せた。ティニア自身は宇宙での体験を前向きに語り、閉ざされた森の生活とは異なる刺激に満ちた日々を楽しんでいると述べた。
ゼッシュとの通信
用意された通信機を通じ、ヒロとティニアはグラード氏族長ゼッシュと直接対話した。ゼッシュは御神木の種に選ばれた巫女として、ティニアが危険な状況に身を置くことを理解しつつも、宙賊レッドフラッグ討伐への同行を認めた。それは御神木と氏族の名誉を守るための賭けでもあった。
リスクと取引の成立
ヒロは安全を保証できないことを明言した上で同行を受け入れ、ゼッシュは相応の報酬を約束した。氏族間の政治的思惑も絡む中、ティニアの同行は彼女自身の汚名を雪ぐ武功につながる可能性を持つ選択として整理された。
クルーへの報告と受け入れ
ヒロはブラックロータスに戻り、ティニア同行の決定をクルーに伝えた。クルーは概ね好意的に受け止め、生活用品の調達など具体的な準備に動き出した。御神木の種も穏やかに明滅し、この決定を受け入れている様子を見せた。
待機期間と日常
戦力集結までの待機期間、クルーは整備や補給、訓練に励んだ。ヒロは整備士姉妹やメイの作業を見守りつつ、穏やかな時間を過ごす。軽いやり取りやスキンシップを交えた日常の中で、出撃前の緊張を緩和していた。
訓練と作戦説明
セレナ中佐は作戦説明のためブラックロータスを訪れた。メイとの模擬剣訓練でヒロは完敗し、戦力差を再認識する。その後の説明で、レッドフラッグ掃討は星系封鎖と同時多発的な拠点殲滅によって行われることが明かされた。
掃討作戦の方針
作戦では帝国航宙軍と星系軍、傭兵が連携し、ヒロは遊撃、ブラックロータスは後方支援を担う。多数の拠点を問答無用で破壊する苛烈な方針に、ヒロは複雑な思いを抱きつつも、命令を受け入れた。
出撃前夜の心境
戦力招集完了までの時間を確認したヒロは、気分転換を図りつつ艦内を歩き回った。迫る大規模戦闘を前に、彼は再び避けられない流れに身を委ねる覚悟を固めていた。
#3:封鎖、一掃
早期出撃の理由
ヒロは戦力招集完了まで「36時間ある」のに出撃準備を始めた。理由は単純で、宙賊側もその時間を知っていれば逃げるからである。セレナ中佐は招集完了時刻そのものを欺瞞情報にしている可能性もあり、敵の虚を突くために先行行動を選んだ。
ティニアの動揺と同乗継続
ティニアは緊張で固まりつつも、巫女として「御神木の種」と守護者の側にいる義務を理由に同乗を譲らなかった。ヒロたちは彼女の不安を「慣れ」で片付けるが、実際は誰も参考にならない精神論である。なお実務面として、長時間戦闘に備え“例の装備”を確認する流れになる。宇宙戦はトイレ問題が一番シビアなの、ほんと人間(とエルフ)の身体仕様が雑。
封鎖フェーズの実態
星系封鎖が始まると状況は一変し、宙賊が“入れ食い”になった。セレナ中佐は軍用偵察衛星網で宙賊艦の動きを早期捕捉し、ハイパーレーン突入口付近に設置した対FTLトラップ(インターディクター)で超光速航行を強制解除・再起動阻害して足止めする。そこへ傭兵艦やコルベット、駆逐艦を差し向けて拿捕または撃破する流れである。
一方的な撃破と戦利品管理
FTLトラップで多軸回転している宙賊艦は、ほぼ動けない標的になった。クリシュナは重レーザー砲で制圧し、たまに硬い相手もいたが、最終的にベイルアウト(脱出)を確認した場合は脱出ポッドと船体をマーキングして後で鹵獲に回せるようにした。捕虜回収は軍が実施し、情報源として利用される見込みである。
“対FTLトラップ欲しい”問題
ミミは対FTLトラップの有用性に目をつけるが、エルマは「軍用艦で傭兵向きではない」「衛星網など運用が前提」と説明し、現実的ではないと結論づけた。ついでに、元はもっと破壊的な兵器構想もあったという話が出るが、ミミが名前で危険察知して即座に封印する。学習してて偉い。
小休止と“厄ネタ”の兆候
封鎖開始から約6時間で宙賊の動きが止まり、クリシュナは休憩に入る。そこでセレナ中佐から通信が入り、ヒロがタグを付けて放置した「硬かった船」と「脱出したコックピットブロック」を“何も聞かずに譲れ”と要求される。ヒロは即座に察して、見ていない・撃破していない扱いにし、ログ削除まで実施する。
要するに「近寄ると死ぬタイプの話」なので忘れるのが正解である。
作戦への違和感
ヒロとエルマは、予定より早い封鎖、欺瞞情報っぽい招集時間、そして“中身を寄越せ”案件などから、今回の掃討はレッドフラッグ殲滅だけでなく裏目的があると感じる。しかもリーフィル星系は短期間に二度も降下襲撃を許しており、帝国の面子としては洒落にならない。誰かが責任を取らされる匂いが濃い。
本掃討の開始
約30時間後、予定通り戦力が集結し、レッドフラッグ拠点への同時攻撃が始まる。ヒロたちの担当は拠点ブラボー。宙賊拠点が同一星系に二つあるのは、相当前からエルフ狩りを事業化していた証拠であり、大口の買い手の存在も示唆される。ティニアはその“商品扱い”の話に露骨に不快感を示す。
艦隊戦の基本とヒロの“知性派ムーブ”
ワープアウト後、艦隊は大型艦の精密砲撃で防衛モジュールを破壊し、中小型艦が直掩機を排除する正攻法に入る。ヒロは突貫癖のイメージを否定しつつも、今回は味方砲撃の射線と退路を考えて手堅く前進する判断を取る。
それでも前衛として突出し、敵基地の対空砲火を引き付ける役は買って出る。結局やってることは“有能な危険作業担当”である。便利すぎる駒って、こうやってすり減る。
クリシュナの異常出力と御神木の種
前進中、シールド減衰が遅い(リチャージが早い)という異常が発生し、ジェネレーター出力が上がっている兆候が出る。ミミとエルマは御神木の種が何かしている可能性を疑い、サイオニック系の影響やブラックボックス機構の存在まで話が及ぶ。原因不明だが悪化ではないため、戦闘後に整備士姉妹へチェックを回す方針となる。
拠点への肉薄と制圧
砲撃で防衛モジュールが削られた後、クリシュナは基地表面を這うように接近し、散弾砲と重レーザー砲で対空タレットを順に粉砕する。単騎なら対艦反応魚雷で終わらせたいが、味方を巻き込むので封印。地道に反撃能力を奪い、基地を“ただのサンドバッグ”へ落とす手順を取った。
宙賊艦の出撃
追い詰められた宙賊が艦を出してきたため、ヒロは撃墜スコア稼ぎのボーナスタイムとして迎撃に入る。こうして拠点ブラボーの一掃は、封鎖フェーズで削った戦力差もあって優勢に進んでいく。
#4: ブラックボックス
宙賊基地の無力化と“破壊から制圧へ”の方針転換
宙賊基地に配置されていた対空砲台と航宙戦力が排除され、セレナ中佐は帝国海兵を送り込んで基地制圧へ方針を変更した。当初は破壊予定だったが、傭兵とコルベット部隊が想定以上の速度で拠点を無力化したため、基地から追加情報を回収し、救える命や物資を増やす判断に切り替えたとヒロは推測した。欺瞞情報の懸念はあるが、帝国側は尋問や情報抽出で対応できるとも見ている。宙賊が行う“加工”の非人道的実態に触れ、ヒロは宙賊への慈悲が消える理由を内省した。
戦利品回収とシップヤード保管
戦闘後、ヒロは回収ドローンを操作し、撃破した砲台や宙賊艦から有用パーツをサルベージした。攻撃艦隊は一旦リーフィルプライムコロニーへ帰還し、鹵獲艦はコロニー近傍の臨時シップヤード(実態は宇宙空間)に保管された。盗人対策として星系軍が警備するが、劣化防止のため高価な精密パーツは先に引き抜かれ、整備士姉妹(ティーナ、ウィスカ)が端末操作でメンテナンスボットやドローンを動かし、運搬・スキャン・修理を進めた。装備品質は宙賊としては平均以上だが、正規軍や傭兵レベルには及ばず、良装備はボスや側近に優先配備されるという見立ても共有された。
宙賊が根絶されない構造
ティーナの疑問をきっかけに、ヒロは宙賊の供給源としてスラム層・ドロップアウト層の存在を説明した。生活苦から奪う側に回る者が絶えず、宙賊は少額の金でコロニー内部情報を買い、使えそうな者を引き抜く。密航で消えても誰も気に留めず、騙されて売り飛ばされる例もある。船は拿捕船の改造が中心で元手は小さく、積荷の略奪で循環し、さらに監獄コロニーからの不正釈放の噂まであるため、完全なユートピア(あるいはディストピア)でもない限り宙賊は絶えない、という結論に至った。
クリシュナの“異常”とブラックボックス疑惑
整備士姉妹が戦闘時の挙動を指摘した。宙賊基地からのレーザー砲火が「クリシュナを避けるように曲がっていた」ため、レーザー偏向シールドの存在を疑ったが、ヒロは把握していなかった。さらにエルマも「シールドの持ちが良い」「リチャージが早い」と言っており、ジェネレーター出力の増加が示唆された。
原因候補として挙がったのはティニアと御神木の種で、戦闘中にティニアがヒロから何か(サイオニック的な力)を“吸っていた”らしい点が鍵となった。整備士姉妹は、ブラックボックス化したジェネレーター周りにサイオニック由来の底上げ機能が隠されている可能性を推測し、クリシュナを再調査する方針となった。ただし、出撃の可能性があるため機体をバラさない条件で進めることになった。
御神木の種の干渉とティニアのトランス
ブラックロータス食堂で、ティニアが虹色に発光する御神木の種を前にトランス状態になっていた。エルマとミミは困惑し、ヒロは洗脳や精神干渉を疑い、御神木の種を脅して“次は放り出す”と警告した。種は肯定二回点滅のルールに従い、反省を示した。
ティニアの説明によれば、御神木の種はクリシュナと“共鳴”し、新しい魔力運用(新しい魔法体系)の確立を試みた。そのためにティニアと魔力・精神の経路を繋ぎ、実験的なやり取りを行ったという。種は貯蔵は得意だが繊細な運用が苦手なため、ティニアの身体を“借りた”形になった。ティニア自身に不調はなく、むしろ調子が良い感覚があると述べた。ヒロは身体を明け渡す危険性を警戒しつつ、信仰と務めの問題として強くは止めきれない立場を取った。一方で、御神木の種が過去に“お告げ”で男女をくっつけていた可能性を示唆すると、種の明滅が弱まり、ヒロは「スナック感覚で迷惑をかけるタイプ」と評価を固めた。
セレナ中佐のディナー招待と口裏合わせ
メイからセレナ中佐のディナー招待が伝えられ、ヒロは正装不要の気軽な会食で受諾した。ヒロはエルマ、ミミ、ティニアを同行させ、政治的にもティニアが同席する価値があると判断した。加えて、クリシュナの特別機能をオープンにしたくないため、セレナ中佐に問われた場合の説明を事前に口裏合わせした。
戦艦レスタリアスでの会食と“ひん曲がった”件の説明
会食の場でセレナ中佐は、クリシュナのレーザー砲撃偏向の件を質問した。ヒロはブラックボックスの存在は伏せ、戦闘中に御神木の種が光っていたことからサイオニックパワーの影響ではないかと推測している、と説明した。御神木の種が無二の存在で信仰対象でもあるため、今後も安定運用できる装備とは見なしていないという“限定的な説明”で逃がした。セレナ中佐は饒舌さを指摘して揺さぶるが、ヒロは「推測にすぎない」と流し、完全な嘘ではない線で防御した。
セレナ中佐の距離感と揺さぶりの継続
会食は次第に私的なノリになり、セレナ中佐は「懐かない」「隠している」と踏み込み、ティニアにまで巻き込みながら揺さぶった。ヒロは彼女への感謝と親愛を口にしつつ、立場(中佐・侯爵令嬢)ゆえに距離を取りたいという含みを残す。ヒロの「攫っていってやろうと思うくらいには」という発言がプロポーズ扱いされ、エルマとミミも否定しきれない反応を示した。最終的にセレナ中佐の「部下になれ」には、ヒロは身も蓋もなく「給料安いから」と拒否し、会食は賑やかな応酬で締められた。ヒロは今後しばらく帝国航宙軍と行動する可能性を踏まえ、戦術資料の復習をメイに依頼する考えを持った。
#5: 忙しなくも甘い一時
帰艦後の待機と学習
会食を終えた一行はブラックロータスへ帰還した。帝国航宙軍の再編成には時間がかかる見込みであり、ヒロは今回の掃討レポートや帝国航宙軍の過去事例、戦術教本を収集して学習を始めた。エルマはその真面目さを揶揄しつつ、酒を用意して整備士姉妹を労った。
食堂での合流と気遣い
整備士姉妹、続いてミミとティニアが食堂に合流した。エルマはティニアと「話したいこと」があるとして席を外し、ミミがヒロの隣でレポートを覗き込む流れになった。ヒロはエルマの配慮を察し、感謝を抱いた。
整備士姉妹との距離の変化
シャワー後の整備士姉妹はヒロのTシャツを着て戻り、洗濯の都合で軽装になっていた。姉妹はヒロの反応を試しつつ踏み込み、ミミも受け入れ姿勢を示した。ヒロは逃げずに覚悟を決め、姉妹を気遣いながら行動を選んだ。
翌朝と休息の共有
翌朝、ヒロは姉妹の世話をし、三人で風呂に入るなどして時間を過ごした。食堂ではエルマが姉妹に休みを与えたことを告げ、ミミは次の時間の約束を確認した。ヒロは女性陣の関係を「シェア」する方針を示し、メイに管理を任せる案も出た。
移動命令と再出撃準備
帝国航宙軍の再編成は予想より早く進み、次の目標星系への移動命令が発令された。ヒロは即応態勢を意識しつつ、姉妹と別れの抱擁を交わして任務へ戻った。
シノスキア星系の掃討と白兵戦の回避
艦隊は封鎖部隊と攻撃部隊に分かれて行動し、シノスキア星系の宙賊拠点へ向かった。航宙戦は抵抗が少なく早期に終結したが、海兵の突入後に変異生物兵器と遭遇し、防戦の末に撤退と遠距離砲撃による破壊が選択された。ヒロは危険性から白兵戦を避け、傭兵として「金にならないリスクは背負わない」姿勢を示した。
次星系への警戒
ヒロは「今回が楽なら次が危ない」と捉え、宙賊側が機雷や飽和攻撃などの搦手を使う可能性を検討した。帝国が本格介入する一線を越えない範囲で、宙賊が嫌がらせを仕掛けると警戒し、即死級の罠に備える必要を共有した。
ショア星系へ即日移動
シノスキア星系の掃討後、艦隊は半日程度の休息を挟んでショア星系へ移動することになった。戦闘映像の共有によりミミとティニアの宙賊への認識はさらに厳しくなり、ワープアウト直前まで即応準備を整えた。整備士姉妹は医療ポッドで回復し、艦内体制は再出撃に対応できる状態に戻っていた。
#6: 抵抗
帝国航宙軍の用心と機雷掃討
ヒロは「宙賊も賢いが、帝国航宙軍も賢い」と捉え、セレナ中佐が頭脳派である点を強調した。対宙賊独立艦隊はショア星系の宙賊基地へ最大戦速で突っ込まず、ワープアウト想定宙域に散布された大量の機雷を、戦艦・重巡など大型艦の長射程レーザー砲(速射)で掃討した。宙賊側の罠は見破られ、封鎖で逃走も困難な状況となった。
大型艦の優位と味方の出番の不確実性
大型艦はスキャナー性能と精密射撃に優れ、急造機雷はパワープレイで破壊できると整理された。触雷のリスクはゼロではないが、前衛が戦艦級であるため致命傷になりにくい見立てが示された。ヒロは、宙賊が大型艦攻勢に対抗する飽和攻撃などを仕掛ければ自分たちの出番があると考えつつ、左舷の小惑星帯を警戒した。
小惑星帯からの突撃と迎撃開始
前衛艦の砲門が左舷へ向き、防空戦闘の気配が濃くなった。直後、宙賊艦が小惑星帯から多数出現し、オープン回線で奇声を上げながら突撃した。セレナ中佐はセクター指定で迎撃を命じ、小型・中型艦に大型艦の射線回避を指示した。大型艦の副砲(中型艦主砲級)が宙賊艦を圧倒し、宙賊のチャフ・フレアによる撹乱も決定打にならなかった。
囮を見抜いた索敵とサーマルステルスの発見
ヒロは突撃が「あからさま」だと見て、エルマは大型艦が応戦している逆方向へのアクティブセンサー使用をミミに指示した。結果、接近反応を検出し、囮(機雷原・小惑星帯からの突撃)とは別の本命奇襲を察知した。ヒロはサーマルセンサーで極低温の接近物体を確認し、緊急冷却と機関停止による慣性接近(サーマルステルス)と判断した。
所属不明艦12隻との交戦と先制撃破
火器管制はエルマが担当し、サーマルステルス中の目標をロックした。敵味方識別反応なし、数は12隻。セレナ中佐からは自由迎撃の許可が出た。ヒロはシールド展開前を狙って重レーザー砲で先制し、所属不明艦を撃破して数を減らした。敵はジェネレーター起動で対抗し、装甲が硬く運動性も高い点から「レッドフラッグの実行部隊」級の可能性が示唆された。流線型で赤塗装の見慣れない艦であり、帝国系ではなく連邦製の可能性が話題に上がり、記録を取るよう指示された。
方針の確認と戦闘継続
ヒロは「不明な相手に様子見は悪手」として先手必勝を徹底し、わからん殺しを避けるため主導権を握る方針を示した。エルマは「大型艦を落とす算段がある連中」と警告し、ヒロは味方増援が来る前に片付ける意図を述べ、迎撃を継続した。
敵の撤退判断と追撃不能
ヒロが四隻目を撃破した時点で、所属不明艦の動きが「撤退」へ切り替わった。残り八隻のうち、三隻がヒロ側へ向かい、五隻が離脱方向へ転進した。星系封鎖が永続ではない以上、潜伏で逃げ切る余地があると示された。ヒロは追撃よりも、背後から対艦反応魚雷を撃ち込まれる危険を優先し、離脱組の追撃は困難と判断した。
対艦魚雷連携への急回避と近距離戦への移行
ヒロは向かってくる三隻のうち一隻へ突っ込む「フリ」をして急速回避し、三方向から飛来する対艦魚雷の間をすり抜けた。敵は連携が上手く、集団戦前提の軍隊式機動に見えると評した。ヒロは航行アシストを切って滑走反転し、追撃に入った敵へ散弾砲を叩き込み行動不能にした。急激なGでミミとエルマは呻き、ティニアは悲鳴を上げたが、ヒロは配慮より戦術を優先した。
囮3隻の撃破と離脱5隻のワープ逃走
ヒロは至近距離の散弾砲で囮の三隻を撃破した。一方、離脱していた五隻は超光速ドライブを起動して逃走し、追跡は可能でも「今やるべきではない」と判断された。ヒロはミミに航跡のマーキングを命じ、後でセレナ中佐へ報告する段取りを取った。
戦況整理とセレナ中佐との通信
宙賊の航宙戦力はほぼ掃討されたと把握された。セレナ中佐との通信では、ヒロは「給料分は働く」と述べ、爆発せず残った一隻の存在を伝えた。セレナ中佐は回収を申し出て、ヒロは代金次第で了承する姿勢を示した。戦闘データ提出は契約範囲として同意した。ヒロが「敵の動きが軍隊っぽい」と報告すると、セレナ中佐は沈黙を挟みつつ回収班派遣を告げ、通信を切った。ヒロはこの反応から、レッドフラッグと軍の関係を疑った。
戦利品の持ち帰りと船種の同定
ヒロは引き渡し対象を「行動不能で爆発していない一隻」に限定し、残り四隻分の戦利品は自分たちの取り分として持ち帰る意図を示した。持ち帰った赤い艦の残骸をティーナが確認し、ビルギニア星系連合のシップメーカー(ルテラカンパニー製)と説明した。ビルギニア星系連合はベレベレム連邦の同盟国で、帝国とは国境を接さず関わりが薄いと整理された。ティーナは残骸収集と復元(レストア)を提案し、希少性から功績や売却益の可能性を示した。
きな臭さの共有と戦利品処理の方針
敵国同盟国由来の戦闘艦が宙賊側にある点、軍関与の可能性が重なり「きな臭い」と話題になった。ティニアは不安を示し、ヒロは確証はないとして聞き流すよう伝えた。ウィスカはレストアの安全性を懸念したが、ヒロは「戦利品は傭兵のもの」であり問題なら相手が言ってくると述べた上で、スペース・ドウェルグ社へ流せば闇から闇へ処理される可能性にも触れた。ティーナとウィスカは解析を引き受けた。
基地制圧戦の継続と待機
宙賊基地は制圧戦に移行し、時間がかかった。ヒロたちは増援に備え緊急発進可能な態勢で待機した。軍の行動が「のんびり」に見える理由として、規模が大きいほど調整が必要で、足並みを揃えないと戦力逐次投入になる点が説明された。
今後の戦力拡充の相談
エルマが乗る小型艦の導入案が出て、ヒロは「オーナーとして取り分は有利だが、より稼げる」と説明した。エルマが離れる可能性にも触れつつ、背中を任せられると述べ、エルマは残留を示唆して笑った。ミミにはサブパイロットへのステップアップを促し、ミミは意欲を示した。機動戦力がクリシュナ一隻では取り逃しが出るため、追加艦の必要性が再確認された。エルマの「スワン」希望は、暴走爆散の欠陥を理由に却下された。将来的にハイテク星系で機体選定を進める方針となった。
ティニアの距離感
会話の終盤、ティニアは眩しいものを見るような、届かないものを見るような眼差しで彼らを見ていた。ヒロはそのティニアにかける言葉を思いつけず、自身の未熟さを自覚して場面が締められた。
空振りの掃討と“消えた”レッドフラッグ
二つの星系を追加で掃討したが、宙賊基地はどちらも完全にもぬけの殻だった。セレナ中佐は反応速度の上昇を見越して、星系軍だけでなく帝国航宙軍も使い、早期に星系封鎖を敷いていた。それでもレッドフラッグは網にかからず消失し、基地のデータ類は消去後に物理破壊され、行方の手掛かりは得られなかった。
ミミの肩透かしと「妥当な結末」
ブラックロータス食堂でミミは「決戦があると思った」と落ち込むが、ヒロは「肩透かしだが妥当」と整理した。宙賊は民間船を襲う連中であり、軍相手に正面から戦えば負けると理解しているため、逃走が合理的だと説明した。
深宇宙逃亡仮説と恒星間航行
ヒロは逃走先を深宇宙(ハイパーレーン突入口のない恒星系外)と推定した。方法は、超光速ドライブとコールドスリープポッドを用いた古式の恒星間航行である。近傍の恒星系を目標にすれば1〜2年で到着する可能性があり、遠ければ10〜20年後に再出現する可能性も示された。ただし恒星間航行は故障リスクが高く、無事に到達できる保証は薄い。結論として、これは事実上のハイパーレーン網からの放逐に近いとされた。
「三方良し」とティーナの引っかかり
メイは、周辺宙域から大規模宙賊団を退かせた事実は十分な実績だと述べた。ヒロは「軍は軍功、商人は安全航路、傭兵は報酬」でハッピーエンド風にまとめるが、ティーナは悪党側にも事情があると複雑な顔をした。一方でヒロとエルマは「宙賊は宙賊」と割り切り、傭兵業にはその割り切りが必要だと語った。
傭兵の危険は“降りた後”
ヒロは、傭兵は宙賊に恨まれやすく、コロニーでギャングやマフィアに拉致される危険があるため、基本的に護衛を付け、まず治安情報を仕入れると説明した。エルマは冗談めかして首を掻き切るジェスチャーまでした。姉妹はヒロの警戒が過保護に見えるが、ヒロは守るための措置だと即答し、話題が微妙になったので強制的に切り上げた。
今後の方針
依頼完了後は報酬を受け取り、まずリーフィル星系へ戻ってティニアと御神木の種を返す。その後はハイテク星系へ向かうが、リーフィルで用事が残っており、しばらく滞在する予定となった。整備士姉妹の会社支社がある場所を行き先候補にする話も出て、ミミが行き先選定を任された。
セレナ中佐サイドの不満と“父”との会話
セレナ中佐は作戦の結果に不満を抱く。主目標(影響力の排除)は概ね成功したが、副目標である首魁・幹部の殺害拘束は未達だった。さらに調査で、ヒロが拿捕した船に**リーフィル星系軍の軍人(エルフ)**が関与していた事実が判明し、背景は「欲望に負けた」というくだらない動機だった。
ビルギニア星系連合の船をコマンド部隊が使っていた件は調査中で、可能性を排除しない姿勢が示される。最後にセレナ中佐は「父(お父様)」からヒロの件を探られ、余計な介入を拒否して通信を切り、「慎重に仕留める」と決意する。
表向き報道と裏のきな臭さ
ヒロ側では、報道はセレナ中佐を英雄として祭り上げる内容で、肝心の裏事情は伏せられていると確認した。帝国航宙軍に腐敗やリークの臭いがあること、奇襲部隊の練度の高さ、レッドフラッグの動きが後半急に早くなったことなどから、軍内部または連邦側の関与の可能性を示しつつ、「余計なことは知りたくない」と線引きした。報酬が高いのは口止め料込みだと整理された。
帰還時の厳戒態勢と“復讐”の懸念
リーフィル星系へ戻る航路でも厳戒態勢を継続した。理由は、奇襲部隊生き残りがヒロ達の情報を上層部へ上げ、レッドフラッグが「帝国軍には勝てないが傭兵なら袋叩きできる」と判断し、見せしめ目的で狙う可能性があるためである。
ハイパーレーン脱出時は周囲反応なしでいったん安堵しつつも、警戒を維持してコロニーへ向かう流れとなった。
#7:ラッキールーター 『幸運な収奪者』
ラッキールーター『幸運な収奪者』
リーフィルプライムコロニーへ入港したヒロは、港湾区画に見慣れない艦が多数停泊していることに気づいた。中央に居座る赤い小型艦は目立ち、探査船団や武装商船団より戦闘寄りに見えたため、ヒロは「灯台下暗し」を警戒し、宙賊残党の関与も視野に入れた。メイの治安分析では大きな問題や欺瞞工作の痕跡はなく治安数値も上向きだったが、ヒロの嫌な予感は消えなかった。
港湾区画での偵察と不穏な反応
ヒロはミミ達を船に残して降下申請を進めさせ、自身はエルマとメイを伴って傭兵ギルドへ向かった。港湾は表面上は平穏だが、停泊艦の乗員は規律があり軍人めいて見え、さらに何者かが短い通信サインを送ったような動きも観測された。ヒロは「相手の反応を見る」ために姿を晒したが、結果として興味を示された可能性が高まり、早期撤収を優先する判断へ傾いた。
傭兵ギルドの閑散と“クリムゾンランス”の正体
掃討作戦後で依頼が枯れ、ギルドは閑散としていた。受付のエルフ職員から、港に泊まっているのは商船待ちの傭兵団「クリムゾンランス」で、リーダーはゴールドランカーだと知らされる。ヒロは「都合が良すぎる」と強く疑い、証拠はないが警戒心を露わにした。
キャプテン・マリーとの遭遇と敵認定
職員の案内直後、屈強な護衛を従えた派手な美女が現れ、ヒロを値踏みする視線を向けた。女は「キャプテン・マリー」と名乗り、「幸運な収奪者マリー」と呼ばれることもあると言った。ヒロは握手を拒み塩対応で距離を取り、接触した瞬間に「こいつは敵だ」と直感で断定した。マリーは不敵に笑いながら受付へ向かい、去り際に甘い匂いを残した。
撤収とブラックロータス防衛の強化
ギルドを出たヒロはメイに、ブラックロータス周辺の監視強化とマリーの身辺調査を命じた。エルマは直感だけで警戒するヒロに戸惑いつつも、ヒロの勘は侮れないと理解し、相手船団の戦闘力を見て正面衝突は危険だと評価した。特にブラックロータスは足が遅く、集中攻撃で沈められれば実質敗北だと整理された。
通報リスクと“抜け道”の想定
正規ID同士の襲撃は通報で賞金首化するため通常はリスキーだが、ヒロは「通報できなくする手段はある」と想定した。強力ジャミング、通信改竄、コロニー側ネットワーク妨害など、システムの穴を突けば犯罪記録の生成自体を回避できる可能性があると考え、結局「出歩くのはやめ、降下申請が下りるまで引きこもる」と決めた。
船内会議とティニアの“魔法体系”仮説
ブラックロータスで全員を集め、マリー遭遇と対応を共有した。危険性は説明しづらいが、嗜虐的で獲物を嬲る気配が不快で、初対面で敵と断定したほど強烈だったとヒロは述べた。ティニアは、その感覚は精神感応などの“魔法体系”の芽生えかもしれないと言い、ヒロは直感を大事にする方針を受け入れた。
降下計画の変更と対処方針の確定
当初はローゼ氏族領の大型空港を使う案だったが、ブラックロータスを置くリスクが高いため、総合港湾施設の利用へ計画を変更した。惑星側(リーフィルW-シータ)へ降りれば相手は追いにくく、仮に降下しても手出しは発覚しやすいという見立てで、当面は艦内待機を続けることになった。
メイの調査結果と疑惑の輪郭
メイは「幸運な収奪者」の由来を報告し、マリーが宙賊の隠匿物資を奪う頻度が高く、クリムゾンランスの略奪量は平均を大きく超えると述べた。傭兵ギルドも癒着を疑って複数回調査したが確証は掴めず、マリー側は宙賊討伐・尋問・ストレージ解析による拠点特定でも高実績を積み、結果として「何らかのコツやノウハウ」と扱われている。ヒロは疑いが晴れないままでも直感を優先し、最悪は「宙賊同士の縄張り整理」や「横流しの合法化」などの筋もあり得ると整理したが、結局は確証なしで議論は打ち切られた。
艦内待機という結末
判断材料は揃わず、最終的にヒロは引きこもり継続を選んだ。シータ降下まで無理に動かず、船内でだらだら過ごす流れとなり、この日は外に出ないまま終わった。
翌日の船内と“密着ホラー鑑賞会”
翌日、船内には気怠い空気が漂い、ヒロは休憩スペースのソファでだらけて過ごした。ミミが背もたれ代わりに寄りかかり、右脇にティニア、左脇に整備士姉妹が密着し、さらにメイが背後から首に抱きついた。エルマは距離を取り、昼間からビールを飲みつつ「暑くないのか」と冷めた目を向けたが、メイが冷却機能でヒロを冷やしているため問題はなかった。
レトロムービー鑑賞と犯人推理
一同はヒロが集めたデータチップのレトロムービー鑑賞会を行い、ホラームービー中心の内容により密着状態が加速した。作品は、ハイパーレーン航行中の民間宇宙船で乗組員が次々殺され、疑心暗鬼の末に“追放投票”で最多得票者をハイパーレーン内へ放逐するサスペンスホラーであった。登場人物は色名のコールサインで呼ばれ、ミミ達は犯人が誰かを巡ってブルー、グリーン、ブラックの線を議論し、メイは推理に参加せず静観した。
結末の二重犯と余韻
映画は、裏切り者を船外へ追放したと思わせておきながら、犯人がもう一人いたことが判明し、最後の生存者へ無表情の犯人が迫る場面で終わった。ヒロは演出を評価しつつも不穏さを感じ、ミミは恐怖を覚え、エルマは酒で推理どころではなかった。
“恐怖!宇宙クモ!”の予想外な内容
次に流した『恐怖!宇宙クモ!』はタイトルの印象に反して、主人公と宇宙クモが種族を超えて関係を築く話だった。主人公が宇宙クモを守る場面は感動的だった一方、主人公以外は全滅し、主人公自身も最後に“愛の結晶”を宿して終わるという後味の悪さが残った。ティニアは夢に見そうだと怯え、エルマは「巻き込まれる側はたまらない」と評し、メイは興味深い内容だと淡々と述べた。
降下申請の承認と計画変更の確定
その最中、メイからリーフィル星系統治機構より降下申請が許可されたと報告が入った。ヒロは承認の早さを意外に思いつつ、即座に降下を決めた。マリーの件を踏まえ、戦力分散を避けるため、当初の案を変更してブラックロータスごと以前利用した総合港湾施設へ降下する方針を採った。エルマは警戒過剰にも見えると言ったが、ヒロは取り越し苦労で済むならそれが最善であり、警戒が相手の断念を誘った可能性もあると捉えた。
残る懸念と“きっと大丈夫”
総合港湾施設を使えば、ミンファ氏族やグラード氏族に再び付きまとわれる懸念はあった。だが今回は御神木の種の返却、ティニアの帰還、ウィルローズ本家への挨拶が目的であり、強く遠慮を求めれば乗り切れるはずだとヒロは自分に言い聞かせ、降下へ向けて動き出した。
#8: 三十六計逃げるに如かず
衛星軌道での監視と不可避の露見
ブラックロータスはリーフィルWの衛星軌道へ進入し、降下目標をミンファ氏族領の総合港湾施設に定めた。ヒロはクリシュナで即応待機しつつ、ブラックロータスのセンサー情報を精査する。衛星軌道上には、星系軍所属ではない傭兵ギルドの小型艦――クリムゾンランスの高速偵察艦が確認された。追加センサー用レドームを多く備えた形状から、電子戦特化の高速偵察機であると判断され、存在を隠す様子もなかった。
手出し不能の判断と“逃げ”の選択
偵察艦は衛星警備の目の届く位置にあり、先制攻撃は不可能であった。星系軍の警備補助任務の可能性も示唆され、いずれにせよこちらからは手を出せない。惑星降下の地点や動線は把握される前提で、ヒロは衝突回避を最優先とし、状況をやり過ごす方針を固めた。
大気圏突入と緊張の緩和
ブラックロータスは突入軌道に入り、大気圏へ進入する。断熱圧縮による発光を前に、ミミは「綺麗」と評し、ティニアは不安を隠せない。突入は無事完了し、減速しながら目標地点へ向かう。ヒロは警戒を続けつつも、計画どおり降下を進めた。
戦力集中と行程の再整理
総合港湾施設到着後は、ブラックロータスを厳重にロックし、主力はクリシュナに集約する判断が下された。ティニアの先行帰還は見送り、シータで時間を置くことで不穏な存在が離れるのを待つ構えとした。以降はクリシュナでローゼ氏族領へ直行する計画を確認し、手配はミミに一任された。
整備士姉妹の改修と発進準備
ティーナとウィスカは複座サブシートを改良・換装し、居住性と安全性を向上させる。ブラックロータスの着陸後、メイの操艦で状況を安定させ、ヒロはクリシュナの発進準備を整える。離陸申請を済ませ、管制に従って発進。ブラックロータスの管理はメイに委ねられた。
地表飛行と星系事情の整理
地表を巡航しながら、惑星規模とコロニー運用の違い、資源採集と製造の合理性、帝国の版図拡大やテラフォーミング政策が語られる。二時間弱の飛行を経て、クリシュナはローゼ氏族領の中央空港へ到達した。
ローゼ氏族領到着と迎え
都市的で管理の行き届いた景観の中、オートドッキングで着陸。迎えとして現れたのはローゼ氏族のリリウムであった。過去の航空客車墜落事故を巡る氏族間の対立と、その責任の押し付け合いが簡潔に整理され、ローゼ氏族が先進派で帝国志向である点が改めて確認される。
VIP扱いと移動開始
一行はVIP用の自動運転空飛ぶ車に乗り込み、豪華な内装と供される飲食に沸く。移動中、ローゼ氏族が最も付き合いやすい相手であるという評価が共有される一方、御神木の種は必ず返却する方針が再確認された。
結語――逃げ切るための最善
偵察の目に晒されながらも衝突を避け、戦力を集中し、行程を簡潔に保つ。ヒロは「逃げるが勝ち」を徹底し、無用な摩擦を避けたままウィルローズ本家への挨拶へと向かうのであった。
#9: シータ、再訪
氏族会館での“謝罪会談”
リリウムに案内された一行は、ローゼ氏族の氏族会館(高層ビル)の会議室へ通され、氏族長ナザリス・リィ・ローゼ名誉男爵と対面した。会談はウィルローズ家からの報告を受けたナザリスが強引に設定したもので、目的はローゼ側の不手際によってヒロに迷惑を掛けた件の正式な謝罪であった。ヒロは謝罪自体は受け入れるが、エルフ全体への印象が即座に改善するわけではないと釘を刺した。ナザリスは贖罪として滞在費用を負担すると申し出て、観光の希望は引き続きリリウムが取りまとめる形となった。
ウィルローズ家当主ノイシュの合流と主導権争い
氏族会館を出たところで、ウィルローズ家当主ノイシュがヒロに声を掛け、迎えに来たにもかかわらず“来客を掻っ攫われた”形になったことへ不満を見せた。ノイシュは責任の所在をナザリスに置き、リリウムには矛を収めるが、氏族会館へ文句を言いに行く意思は本気であった。結果として、当日の案内はリリウムが締め、翌朝以降はウィルローズ家がヒロ一行を迎える段取りで落ち着く。
移動車両内での再会と“十八歳児”問題
ノイシュが用意した空陸両用車に乗り込むと、車内にはミミらクルーに加え、ウィルローズ家の女性陣とサルマまで同乗していた。サルマはヒロへ強い好意を示し、膝に座るなど距離感が近い。ヒロ側の人間感覚では危うい絵面だが、エルフの長命種感覚では十歳差程度は誤差であり、サルマや女性陣はヒロを“子供寄りの年齢”として扱っていることが示された。
ウィルローズ本家での宴会と男たちの本音
屋上庭園には宴会の用意が整えられており、女性陣は歓談と飲食に流れ、ヒロは男性陣と合流した。彼らは宇宙を飛び回る傭兵稼業への憧れを語る一方、家族や安定を捨てるほどの熱意は持てないとも吐露し、ヒロの成功には敬意を表した。話題が下世話に寄りかけたところでノイシュが割り込み、場は引き締められる。
“婿殿”誤爆と家庭内フォロー
ノイシュは酒も相まってヒロの女性関係に過敏に反応し、“婿殿”などと言い出して誤解を拗らせかける。そこへノイシュの妻が介入し、婿殿発言はエルマに関する話だと訂正しつつ、ヒロをその場から逃がした。ヒロはウィルローズ家ありきの関係ではないとして、過度な枠付けを避ける姿勢を保った。
幼少期エルマの公開処刑と次なる悪だくみ
女性陣は幼少期エルマの画像をヒロに見せ、ヒロは素直に可愛さを認めた。ティーナらはエルマに似合う“お姫様系”の服を提案し、ヒロも乗り気になるが、エルマ本人は拒否を叫ぶ。しかしヒロは押せば折れると見込み、さらにメイにまで着せる構想を口にして場を賑わせた。
翌朝の二日酔いと御神木の異変
翌日、ホテルではミミが二日酔いでダウンし、エルマもぐったりする。ヒロはクリムゾンランス(マリー)への対処を思案し、ゲートウェイに辿り着けば逃げ切れるが、母艦ブラックロータスが遅く追いつかれる危険が高い点、戦闘になれば護衛戦力が不足する点を問題として整理した。解決には時間と戦力補填が必要だと結論する。
ティニアの帰属判断とヒロの非情な線引き
ヒロはティニアの今後を決める必要を口にし、ティニア自身もシータを捨てる気はないと認める。ティニアは同行の可能性を探るが、ヒロは「帰れる家があるなら帰るべきだ」と断言し、覚悟を他人に委ねる時点で同行は成立しないと述べる。さらに、治癒や攻撃魔法は装備で代替でき、サバイバル能力もシータ特化で汎用性が低いとして、クルーとしては力不足だと冷静に切り捨てた。
御神木の芽吹きと“ズルい慰め”
会話の最中、御神木の種が激しく震え、ひび割れて芽が伸び出すという異変が起きる。ヒロは気味悪がって放り投げ、ティニアが信仰対象として抱き上げて宥める。ヒロは「今生の別れではない」「また遊びに来る」と言ってティニアを慰めるが、ティニアはその優しさを“ズルい”と評する。ヒロは自分を「ズルくてろくでなしの傭兵」と認め、ティニアも苦笑しつつ微笑んで気持ちを整えるのだった。
ホテル朝の状況とティニア不在
翌朝、ホテルではミミが二日酔いでダウン、エルマもベッドでぐったり、ティーナとウィスカは寝ており、メイは二日酔い薬の買い出しに出ていた。ティニアは芽吹いた御神木の種を抱えてウィルローズ本家へ向かい、実家連絡や御神木関連の手続きに動いている。ヒロはノイシュに任せてノータッチを選び、前夜ティニアと話した結論(同行させない)をエルマに共有していた。
エルマの反応と“過干渉しない”線引き
起き出したエルマはヒロに密着しつつ、ティニアを「ヒロの毒牙にかかった」と皮肉る。ヒロはそれを否定し、ティニアの件は芽吹きまで含めてゼッシュの思惑通りに進んだ以上、ここから先はシータ側の問題であり自分が踏み込むのは過干渉だと判断した。エルマも「構い続ける余裕はない」と同意し、ヒロは次の手として“戦力補填の案”を提示、エルマは検討の末に実行可能だと認める。
作戦の方向性と動き出すタイミング
ヒロ案は「星系封鎖解除で航路が安全になったと商人が判断すれば、護衛付きの商船が来る。そこが狙い目」というものだった。エルマは情報収集をミミとメイに任せ、帰還後に相談して動く流れを決めた。
シータ滞在2週間の総括と出発前の出来事
滞在中は、リーフィルプライムコロニーの情報収集、ウィルローズ本家との交流、突撃してくるミンファ氏族長ミリアムの相手、ティニア絡みのメディア取材などで多忙ながら充実していた。別れを告げて出発しようとしたところ、傭兵風装備のサルマが「ついていく」と立ちはだかる。
サルマ同行拒否と条件提示
ヒロは即答で拒否し、「身体が出来上がっていない子供は連れていけない」と明確に線を引く。エルマもノイシュの許可がない点を突き、サルマが独断であることが示される。ティーナが「怖いんとちゃう」と茶化すが、ヒロは“実績(整備士姉妹)”がある以上、サルマは本当に危険だと内心認めつつ却下を貫いた。代案として、同行条件を「自衛できる力」「クルーとして有用なスキルを実用レベルで習得」「家族の同意」の三点に設定し、確約は避ける形で締めた。
見送りの場とクルー側の認識
サルマはウィルローズ本家のお姉様達へ引き渡され、見送りとして空港(港湾施設)へ向かう。ヒロ側は、現在トラブル(クリムゾンランス)を抱えているため余計な同乗者を増やせない点でも一致している。
クリムゾンランスの襲撃予測を巡る温度差
襲撃が確定かという問いに、ヒロは根拠は“勘”だがほぼ100%で来ると主張。ミミとメイは懐疑的で、メイは戦力分析として「奇襲しても半数以上損耗し、ブラックロータス撃沈までに大損、しかもクリシュナに逃げられる可能性が高い。リスクとリターンが釣り合わない」と見る。一方、エルマと整備士姉妹はトラブル体質のヒロゆえ消極的に受容している。
港湾施設での合流と別れの挨拶
総合港湾施設でブラックロータスに合流すると、グラード氏族長ゼッシュ、ティニア、ミリアムら関係者が揃っていた。ゼッシュは氏族代表として、またティニアの父として感謝と謝罪を述べ、ヒロには「次はトラブル控えめに」「サイオニック能力の鍛錬を怠るな」と釘を刺す。ヒロは鍛錬法が分からないとしつつ努力を約し、ナザリスとも握手して滞在費負担と案内役派遣に礼を述べる。
ティニアとの距離と不思議な後味
ティニアは少し離れた場所から見送る形を取り、言葉は交わさず手を挙げて笑みを交換した。ティニアが距離を取った理由は政治的か私的か不明だが、ヒロはなぜか残念には感じず、むしろ“特級厄物が関わっている気配”を覚えつつも悪い気分ではないと受け止める。
出航と次の面倒事へ
メイが荷物積み込み完了を報告し、ヒロはシータの親切への感謝と再訪の意志を述べてリーフィルW(シータ)を離脱する。宇宙に出ればまた面倒事が待つと自覚しつつ、一行は次の目的地へ向かう。
#10 : アウトソーシング
追尾の発覚と“勘”の的中
ブラックロータスで亜空間センサーが反応し、超光速航行中にも小型艦が追尾していると判明した。追尾艦は傭兵ギルド所属で、星系軍協力に出ていたクリムゾンランスの偵察艦だと特定される。ヒロは神経質になりすぎかと思っていたが、粘着ぶりから「獲物として見られている」感覚を確信へ寄せる。
ゲートウェイまでの“勝ち筋”再確認
ヒロ側の目標は撃滅ではなく、ゲートウェイで遠方へ抜けて追跡を切ることにある。追跡が続く限りは警戒を維持し、ゲート後はクリムゾンランス艦をセンサーで拾った時にアラートを鳴らす運用で十分だと整理する。
傭兵ギルド制度を使った戦力の外部調達
ヒロは傭兵ギルドの仕組みを利用し、護送依頼の完遂のために傭兵を追加雇用する依頼を出す。条件はシルバー以下を対象、拘束料金は相場の5割増し。宙賊撃破の賞金と戦利品は撃破者総取り、積載しきれない戦利品はブラックロータスの倉庫区画を無償貸与という好条件にした。
“寄せ集めでも勝てる”ロジック
ミミが「寄せ集めで対抗できるのか」と不安を示すが、ヒロとエルマは「勝てなくていい」と明言する。目的は“クリムゾンランスが手を出せない状況”を作ること。数が増えれば、全員を完全封殺して通報を防ぐのは困難になり、誰か一隻でも逃げ延びて通報した時点でクリムゾンランスは立場を失う。ゴールドランク剥奪から賞金首化までつながり、傭兵ギルドも「身内から賞金首」を極端に嫌うため制裁が重い。
依頼内容の“嘘じゃない嘘”
依頼理由は「リーフィルWで要人護送の個人依頼を受けたので戦力を募る」。実際に要人を乗せていない点をミミが突くが、ヒロはエルマが「リーフィルW有力者と血縁」「由緒ある帝国貴族の令嬢」なので“要人が乗っている”は嘘ではないと言い切る。目的のためなら手段を汚す、傭兵らしい割り切りである。
集まった戦力と“盾”の前提
集結はアイアン3・ブロンズ4・シルバー2の計9隻。ヒロはアイアンとブロンズを戦力として過信せず、最悪「逃げて通報する役」や「時間稼ぎの盾」になればいいと割り切る。エルマも護衛依頼の現実として、依頼主を逃がすのが仕事だと説明し、ミミはブラックさに気づく。
高額報酬で釣れる理由と地理的な読み
報酬はアイアン3万/日、ブロンズ5万/日、シルバー8万/日で48時間拘束(早着でも2日分支払い)。リーフィル星系は産物取引で商船が滞在しがちで、護衛傭兵は次の依頼を探している。目的地はゲートウェイのある治安の良い交易星系圏で、傭兵にとっても仕事が見つけやすい。だから「危険度低めに見える短距離の美味い依頼」として人が集まる。
ヒロの腹積もり
ヒロは「これだけ頭数がいれば仕掛けてこないと思う」としつつ、万一襲撃されるならアイアン勢を先に逃がして星系軍や帝国航宙軍を呼ばせる想定を持つ。通信以外でも異常を察知させる手があるので、最終的には“公的戦力を呼び込めば勝ち”という設計である。
船団リーダー初仕事と最低限の統制
ヒロは“臨時の船団長”として、目的地(五星系先のエイニョルス星系ゲートウェイ)とルートデータ共有、航行の同期ルール(ブラックロータス基準で超光速航行とハイパードライブを同期)を通達する。普段のゲームみたいに「勝手に散らばる自由」を許すと死ぬので、緊急時即応も釘を刺す。
傭兵側の疑念とヒロの“それっぽい説明”
傭兵たちは「普通の宙賊以外にもヤバい相手がいるんじゃ?」と嗅ぎ取る。ヒロはクリムゾンランスの名前は出さず、レッドフラッグ掃討作戦の逆恨み(エルフとヒロへのお礼参り)を理由にして警戒を正当化する。
この時点で「信用しきれない数人」がいるのがむしろ健全で、ヒロも想定内。高報酬、戦利品優遇、リスク低そうな見せ方で“釣ってる”のも自覚済み。
ミミの良心がギシギシ言い出す
ミミは「騙してるみたい」と罪悪感を出す。ヒロは「騙してない、確証もないのにクリムゾンランス名指しは危ない」と切る。
さらに価値観の話に踏み込んで、「自分と仲間が生きるためなら他人の命を犠牲にするのも厭わない。ただし雇った傭兵を完全に捨て駒にする気はない。襲撃されたら可能な限り抗う」と現実の傭兵倫理を突きつける。ミミはまだ飲み込みきれない。普通の反応だが、戦場は優しくない。
エルマの“残酷な現実講義”
エルマがミミの認識ズレを矯正する。
今まで勝てたのは、ヒロが攻撃側で、奇襲や機動(※エルマ曰く変態機動)で主導権を握ってきたから。
でも今回は最悪ゴールドランク船団。性能も練度も連携も宙賊とは別物で、正面からやったら勝ち目が薄い。だから「戦わないで済む勝ち筋」を設計している、という腹落ちを作る。
ヒロの本音は“やる前から嫌な予感で満員”
ヒロ自身も「相手の技量も装備も確定情報がないから分からん」「回避不能級レーザーで押されると小型艦は耐え切れない」と冷静に不利を見積もる。
結論は一貫していて、「戦いにならないのが一番」「だから傭兵を雇って少しでも有利な状況を作る」。勇者ムーブはしない。
出港準備と、相手の執念の“嫌な証拠”
ミミに出港申請をさせ、船団をポイント集合へ。
その最中、クリムゾンランスはすでに出港しているのに、偵察艦がリーフィルW衛星軌道に張り付いていた事実が引っかかる。
つまり「本隊が離れても監視は続いてる」。ヒロが「数を見て諦めてくれ」と願うが、エルマも「そうだといいね」と肩をすくめる。願望で現実は曲がらない。
#11:罠
出港直後の読みと警戒線
ヒロたちは「ゲートウェイ周辺は治安ガチガチで、仕掛けるならリーフィル~ホルミーまでのどこか」と見立て、戦闘出力維持で出発する。亜空間センサーに追跡反応が消えているのが逆に不気味で、「見る必要がなくなった=仕掛ける準備が整った」可能性も浮上する。
“一度見た光景”の正体と、最悪の再来
ヒロは嫌な予感の正体を掴み、メイに連絡して備えていたプランへ切り替える。
そしてハイパーレーン帰還と同時に前方で爆発、続いて船内に突き抜ける金切り声。歌う水晶による結晶生命体召喚が再び発動し、しかも大量発生が始まる。攻撃というより「環境そのものを殺意に変える」タイプの外道ムーブ。
プランB発動:クリシュナが囮、ブラックロータスは逃がす
ブラックロータスは質量と同期船のせいで超光速ドライブのチャージが長い。チャージ中に被弾してシールド破損や船体損傷が出るとキャンセルされるため、足止めが必須。
本来のプランA(最速チャージで逃げ切り)を諦め、ヒロはクリシュナだけ同期解除して残り、他の艦はブラックロータス護衛で離脱する。
派手に道を開け、注意を奪う
ヒロは反応弾頭魚雷を4発、船団の退避ルート上で炸裂させて結晶生命体をまとめて吹き飛ばし、逃走経路を強引に確保する。
同時に「全部倒す」ではなく「進路上を掃除しつつ自分にヘイトを集める」戦い方に徹する。エルマは重レーザー砲4門を分散運用して複数目標の注意を引く。
成功と代償:逃がしたが、ヒロが迷路に閉じ込められる
ブラックロータスと護衛艦は超光速ドライブで離脱に成功。ここまでは事前想定どおり。
しかしクリシュナは結晶生命体の“分厚い壁”に囲まれ、群れから抜け出すのに手間取る。敵配置が動的に変わるので、抜け道が勝手に塞がる「生きてる迷路」状態。シールドセルも消耗して残り3。
真の罠:結晶生命体は舞台装置で、狙撃手が外にいる
包囲に穴が空いた瞬間、外から巡洋艦~戦艦級の主砲並みの一撃が飛んできて、クリシュナのシールドセルを切らされる。
ロックオン警報なし=直接照準。証拠が残らず“事故扱い”にされうるやり口。さらに結晶生命体のせいでセンサーが死に、相手位置も距離も掴めない。
マリー登場:援護を装った処刑宣言
通信でマリーが現れ、「援護射撃してやる、避けろ」と嗜虐心丸出しで宣言する。
言い換えると「狙撃で遊ぶから、上手く踊れよ」。結晶生命体の群れで逃走ルートも索敵も縛り、外から大火力で安全圏狙撃。これがこの章タイトル通りの罠。
マリー視点の苛立ちと異常事態
マリーは狙撃を「外した」のではなく「当たる確信があったのに避けられた」と認識していた。結晶生命体で行動を制限し、狙撃に最適なキルゾーンへ追い込んだにもかかわらず、8発、9発と回避され続けたことで、相手が殺気を読んでいるような不気味さを覚えた。自分の遠距離狙撃で道を切り拓いてきたという自負があるだけに、連続回避は「おかしい」と確信に変わった。
兵装『虹』と機体『アンダル』の性質
マリーの機体『アンダル』の兵装『虹』は、威力が極大で、弾速は通常レーザーに劣るが着弾までが速く、対物貫通力が高い特異な兵装であった。通常レーザーが表面蒸発による爆発と衝撃波で破壊するのに対し、『虹』は爆発を起こさず対象を灼き貫くため、機関部やコックピットなど重要区画を抜けば一撃必殺が狙えた。にもかかわらず、その「当たるはずの一撃」が避けられ続けたことが、マリーの判断を鈍らせた。
撤収判断と“善意の協力者”への切り替え
マリーは部下から「そろそろ時間」と促され、仕留め損ねた以上は今回は引くと決めた。9回も回避する相手と本格的に事を構えるのは危険であり、勝てても損害が大きく算盤が合わないと結論づけた。また、初対面から相手が過剰に警戒していた点を思い返し、深入りすれば尻尾を掴まれる恐れがあると警戒を強めた。直後に星系軍の大部隊が到着し、マリーは「今はクリーン」と割り切って、星系軍と協力して結晶生命体を叩く体裁を整えた。
ヒロ側の生存機動と“予告される脅威”
ヒロはサイドスラスターと姿勢制御スラスターを全開にし、紙一重でマリーの狙撃を回避し続けた。クリシュナの慣性制御装置は高性能だが限界があり、連続回避はブラックアウト級の負荷を伴う危険な綱渡りであった。その最中、ミミは「EMLが来る」と予告し、エルマは「弾道を予告してくれるだけ有情」と評したが、当たれば致命的である点は同じであった。ヒロはEMLの着弾痕が作る間隙を利用し、結晶生命体の群れからの脱出機会として活用した。
戦局の反転とクリムゾンランスの“しれっと参戦”
星系軍の砲撃が開始されると結晶生命体は急速に減少し、ヘイトが星系軍へ移ったことでクリシュナに向かう個体数も減った。ミミは、マリーのクリムゾンランスも結晶生命体への攻撃に参加していると報告した。ヒロはマリーが何事もなかったように協力者面をしていることに強い怒りを覚えた。
告発不能という詰みと、復讐の誓い
ヒロは、歌う水晶使用の証拠も、悪意ある狙撃の証拠もなく、交戦記録も残っていないため告発が困難だと理解していた。センサーのログ提出で「援護射撃にしては際どい」と訴える余地はあったが、乱戦では流れ弾が起き得ること、結晶生命体の群れで正確な位置把握が難しかったことを盾に「悪意はなかった」と押し切られれば、厳重注意が限界であると見積もった。星系軍到着後は誤射を装った意趣返しも難しく、ヒロは憤怒を抑えきれず「いつか泣かす」と強く誓っていた。
エピローグ
結晶生命体戦後の“現実”
ミラブリーズ星系軍の圧倒的火力により、召喚された結晶生命体は残らず駆逐された。しかし戦闘が終わっても事態は解散とはならず、クリシュナとブラックロータスのクルー、護衛の傭兵船団は一括で星系軍に拘束され、コロニーへ移送された。抵抗しなかったため手錠などはなく待遇も悪くはなかったが、形式上の取り調べは避けられなかった。
取調室での聴取と“勘”の言い訳
憲兵は、歌う水晶の不法所持や使用を疑う立場から事情聴取を行い、ヒロに確認を迫った。ヒロは、交通量の多いハイパーレーン突入口で歌う水晶を使う合理性の欠如、自艦母艦や雇った傭兵まで危険に晒す矛盾、さらに艦船ログの確認結果を根拠に無関係を主張した。
一方で憲兵は、護衛傭兵の証言として「ワープアウト後の襲撃を予測したかのような通達と行動指針」が出ている点を提示した。ヒロは根拠のない勘、虫の知らせ、そして不運と踊ってきた経験の結果だと言い切り、愚痴話を嫌がる憲兵により追及は打ち切られた。
無罪放免と即時離脱の方針
解放後、ヒロはブラックロータスへ戻り、エルマとミミに出迎えられた。整備士姉妹は戦闘後の整備に忙しく、ブラックロータス側も艦首大型電磁投射砲や各種武装を使用したため整備を張り切っていた。ヒロは足止めを嫌い、整備はゲートウェイ通過後に回す方針を決め、当初の予定内にエイニョルス星系へ到達できる見込みを確認した。
臨時収入と危険手当の算段
無罪放免となったことで、交戦記録データに基づく撃破数換算の褒賞金が支給され、さらに結晶生命体の残骸から得られるレアクリスタルも資源管理課が買い取った。反応弾頭を4発消費しても十分以上に利益が出る規模となり、ヒロは傭兵達に危険手当としてボーナスを上乗せする判断を固めた。護衛傭兵艦も攻撃に参加して褒賞金を得たが、それとは別に自分の裁量で追加支払いを行う構えであった。
出発準備と“置いていく”ルール
ミミは傭兵達へ出発を通達し、集合は30分後と定めた。フットワーク軽くコロニーに降りている者も戻れる時間として設定され、間に合わない者は置き去り、逸れた者には報酬を払わないという線引きも明確にされた。
マリーからのホロメッセージ到着
出発準備中、ヒロの端末にホロメッセージが届いた。送信者はマリーであり、ヒロは渋面を作り、エルマとミミも同様に不快感を示した。アドレス入手経路は不明だが、傭兵ギルド経由または雇った傭兵経由が疑われた。メイにマルウェア付着の有無を確認させたうえでメッセージを開封した。
挑発混じりの挨拶と勧誘
マリーは直接会えば断られるからとメッセージ形式を選び、見事な立ち回りを称賛しつつ「誤射せずに済んだ」と皮肉を交えて挑発した。さらに、今後は水に流して“まっとうに”付き合いたい、腕利きを船団に迎えれば捗る、と勧誘の意図を匂わせた。言質を取られない範囲で関係改善を装う態度であり、ヒロ側は素直に受け取るのは危険だと判断した。
総スカンと“距離を取る”結論
マリーの含みのある誘いに対し、ミミは拒絶し、エルマも殺意混じりの反応を示し、ヒロも取り合わない姿勢を貫いた。ヒロは「広い宇宙でゲートウェイを越えれば二度と会わない」と切り替えを図ったが、エルマはそれを楽観視せず、逃げ切れる保証はないという含みを残した。それでも当面の最優先はゲートウェイ到達と離脱であり、ヒロは自分達を英雄ではなく傭兵と位置づけ、戦うより逃げる合理を選択した。
整備士姉妹との合流と出港直前
格納庫で整備士姉妹は軽口でヒロを迎え、ヒロは収監扱いの冗談を否定しつつじゃれ合った。姉妹は補給を済ませ、いつでも出港可能と報告したが、戦闘後のフルチェックを本音として残した。ヒロは安全な場所での点検を約束し、整備への礼を述べてクリシュナへ向かった。戦場の後始末を終え、ヒロはこの宙域から早々に離脱する決意を固めていた。
最強装備宇宙船 9 レビュー
最強装備宇宙船 全巻まとめ
最強装備宇宙船 11 レビュー
最強装備宇宙船 一覧

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。

あらすじと考察は本文で詳しく解説。
その他フィクション

Share this content:


コメント