物語の概要
■ 作品概要
本作は、「小説家になろう」発のファンタジー作品である。魔神王を退けた後、追撃してくる魔神の大群から仲間を逃がすため、「ここは俺に任せて先に行け!」と一人次元の狭間に残った最強の魔導士ラックが主人公である。彼は過酷な環境で10年間ひたすら戦い抜き、ついには復活した魔神王まで倒して元の世界へ帰還する。しかし、元の世界ではすでに10年の歳月が流れており、共に戦った勇者は国王に、戦士はギルドのグランドマスターに出世し、ラック自身は世界を救った伝説の英雄として祭り上げられていた。特別扱いを嫌う彼は「ロック」という偽名を使い、新人冒険者として平穏な人生を歩もうとするものの、ヴァンパイア討伐や神鶏の保護など、さまざまな騒動に巻き込まれていくという無双&日常ストーリーである。
■ 主要キャラクター
・ラック(ロック):勇者パーティーの元・最強魔導士。次元の狭間で10年間戦い続けた結果、魔素の影響で若返って帰還する。正体を隠し、Fランクの新人冒険者「ロック」として生活を始める。
・エリック:かつての勇者で、ラックの仲間。魔神撃退の功績から前国王より禅譲を受け、現在は国王として国を治めている。
・ゴラン:かつての戦士で、ラックの仲間。現在は冒険者ギルドのグランドマスター。ラックを親友として深く信頼している。
・セルリス:ゴランの娘で、Bランク相当の戦闘力を持つ新人冒険者。思い込みが激しく、若返ったラックを父の隠し子(弟)だと勘違いして世話を焼こうとする。
・シア:狼の獣人の少女。Bランク冒険者でヴァンパイア狩りを生業としており、ラックと協力して強力なヴァンパイア討伐に挑む。
・ルッチラ:魔族の少年。優れた幻術使いで、ヴァンパイアから狙われる神鶏ゲルベルガをかくまい、保護している。
・ゲルベルガさま:世界の境界を引く力を持つ「神鶏」。ヴァンパイアが霧やコウモリに変化しかけた際に鳴き声を聞かせると、相手を灰にする強力な能力を持つ。
■ 物語の特徴
「ここは俺に任せて先に行け」という定番のセリフから始まり、実際に自力で10年間戦い抜いて生還するという設定の奇抜さが最大の魅力である。帰還した主人公が過酷な経験を経たにもかかわらず若返っており、かつての仲間たちが最高権力者となっている浦島太郎状態の世界観も面白い読ませどころである。また、重厚なバトルだけでなく、自分の英雄像が美化されすぎていて困惑する主人公の姿や、思い込みの激しいセルリスとのコミカルなやり取り、神鶏ゲルベルガや狼の霊獣といった動物たちとの交流など、のんびりとした日常パートが多角的に描かれている。最強主人公の無双劇と、個性豊かなキャラクターたちが織りなすにぎやかな日常のギャップが読者を惹きつける作品である。
書籍情報
ここは俺に任せて先に行けと言ってから10年がたったら伝説になっていた。
著者:えぞぎんぎつね 氏
イラスト:DeeCHA 氏
出版社:SBクリエイティブ(GAノベル)
発売日:2019年2月15日
ISBN:978-4-8156-0126-3
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あらすじ・内容
10年間一人で戦い続けた男、気が付けば浦島太郎状態に!?
最強魔導士ラックたちのパーティーは、激戦の末、
魔神王を次元の向こうに追い返すことに成功した。
――だが、魔神の残党たちの追撃は止まない。
「ここは俺に任せて先に行け!!」
このままでは全滅すると危惧したラックは、
仲間二人を先に帰し、一人残って戦い抜くことを決意する。
ひたすら戦い続け、ついには再臨した魔神王まで倒したラック。
帰還した彼を待っていたのは、いつの間にか10年の歳月が過ぎた世界だった。
共に戦った勇者が王に、また、戦士がギルドのグランドマスターになったその世界で、
二人と再会したラックは、今度こそ平和で穏やかな人生を歩もうとする――…が!
命を賭して魔神王を倒した英雄ということで、めちゃくちゃ特別扱いされて称えられたり。
かと思えばゴブリン退治の際に出会った狼少女とヴァンパイアを討伐することになったり。
さらには自分より若い少女に、突然「隠し子」扱いされたりと、
毎日さまざまなイベントがラックを襲う!!
――「小説家になろう」で150,000ポイントオーバー!!
10年の時を経て元の世界に帰ってきた元・勇者パーティーの最強魔導士ラックが、
時にのんびり、時に無双してにぎやかな毎日を過ごす大人気ストーリー、開幕!!
ここは俺に任せて先に行けと言ってから10年がたったら伝説になっていた。
感想
読んで、まず惹かれたのはタイトル通りの設定である。
「ここは俺に任せて先に行け」という王道のセリフを本当に実行し、そのまま10年間も次元の狭間で魔神と戦い続ける主人公・ラック。その時点で十分すぎるほど規格外なのだが、壮絶な戦いを終えて帰還したら、なぜか若返っているという展開には思わず笑ってしまった。普通なら疲れ果てて老け込んでいてもおかしくないだけに、「それは羨ましすぎるだろ」とツッコミを入れたくなる。
印象に残ったのは、ラックを取り巻く人間関係の賑やかさである。
特に面白かったのは、かつての仲間・ゴランの娘であるセルリスだ。ラックを父親の隠し子だと勘違いし、弟として世話を焼こうとする姿は完全な思い込みなのだが、その天然ぶりが微笑ましく、読んでいて何度も笑顔になった。
さらに、新たな仲間が神鶏ゲルベルガや巨大な狼というのも本作らしい。伝説の英雄でありながら、人より動物たちとの縁が深いところに独特の温かさを感じた。強者でありながら気取らず、のんびりと仲間たちと過ごす日常は、本作の魅力の一つだと思う。
一方で、物語全体については少し物足りなさも感じた。
10年後の世界では、勇者は国王となり、戦士はギルドマスターへと出世し、自分だけが「伝説の英雄」として語られる存在になっている。この導入はとても面白く、「ここからどんな物語になるのだろう」と期待が膨らんだ。
さらに、正体を隠して「ロック」と名乗り、新人冒険者としてやり直そうとする展開も好みだった。英雄でありながら目立つことを嫌うラックらしさが伝わってきて、続きを読む手が止まらなかった。
ただ、その後のヴァンパイアロード討伐やルッチラの保護などは、全体的にあっさり進んでいく印象を受けた。テンポが良いとも言えるが、そのぶん戦闘やドラマの余韻は少なく、「もう少し掘り下げてほしかった」と感じる場面も多かった。
また、文章そのものも短めで、一つ一つの場面が軽快に進んでいく。その読みやすさは本作の長所だと思う反面、重厚なファンタジーを期待すると少し物足りなく感じるかもしれない。
それでも、最後にラックが屋敷を与えられ、新たな仲間たちと穏やかな生活へ踏み出す結末は読後感が良かった。
読んでいて感じたのは、本作は壮大な戦争や重苦しいドラマを楽しむ作品というよりも、伝説の英雄が肩の力を抜いて第二の人生を歩んでいく姿を楽しむ作品なのだということだ。コミカルな掛け合いや個性的な仲間たちとの日常を気軽に楽しめる、肩の力を抜いて読めるファンタジーだった。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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考察・解説
次元の狭間の生還
『最強の魔導士であるラックの次元の狭間からの生還』は、仲間を逃がすために一人過酷な空間に残り、常識外れの戦術と適応力によって魔神の軍勢や魔神王を打ち破り、10年の時を経て元の世界へと生還を果たした数奇な記録である。
仲間を逃がすための決死の居残り、ドレインタッチの習得や自動戦闘による過酷なサバイバル、魔神王の防壁の隙を突いた生命力吸収による完全消滅、そして10年後の世界への若返りを伴う生還にいたる全容は以下の通りである。
満身創痍の勇者パーティーを逃がすための殿の決意と数百を超える魔神の追撃
ラックたち勇者パーティーは激戦の末に魔神王を次元の向こうへと追い返したが、直後に数百を超える魔神の大群が追撃してきた。
・満身創痍の状態でまともに戦えば全滅は必至であった。
・ラックは妻子ある仲間である勇者エリックと戦士ゴランを逃がすべく、ここは俺に任せて先に行け、と一人次元の狭間に残ることを決意した。
敵のドレインタッチ習得による生命力回復と傀儡人形で自身を操る自動睡眠戦闘
次元の狭間では食事も取れず、疲労と魔力不足に苦しんだが、敵の高位魔神から受けた魔法「ドレインタッチ」をその場でラーニング(習得)したことで状況が一変する。
・ラックは敵の生命力を吸収して傷と体力を回復しながら無我夢中で戦い続けた。
・眠気に襲われた際は「傀儡人形(マリオネット)」の魔法を利用して寝ている自分の体を操り、食事も睡眠もとらずに戦い続ける。
・魔神将から奪った魔剣を「ドレインソード」と名付けて活用した。
・次元の狭間は魔素が濃いためレベルアップが早く、彼は戦いの中で急速に強くなっていった。
相棒の魔剣粉砕後の火炎弾追撃と自らの皮膚を焦がしながらの生命力直接吸収
果てしない戦いの末、ついに復活した強大な魔神王が現れる。
・魔神王の魔剣との打ち合いによって相棒のドレインソードが砕け散るが、ラックは自分が剣士ではなく魔導士であることを活かして反撃に転じた。
・魔神王の腹に火炎弾を撃ち込み、相手が魔法の防壁のリソースを火炎防御に回した隙を突く。
・炎の中に直接手を突っ込みドレインタッチを発動させた。
・自分の皮膚が燃え焦げる激痛に耐えながら生命力を奪い続け、ついに魔神王を炭にして完全消滅させた。
10年の歳月が流れた王都近郊平原への帰還と魔素環境がもたらした肉体若返り
激闘を終えたラックは、服はボロボロでほぼ全裸、お金も冒険者カードも失った一文無しの状態で次元の狭間を脱出し、王都近郊の平原へと生還を果たした。
・王都にたどり着いた彼を待っていたのは、元の世界ではすでに10年の歳月が経過しているという事実であった。
・自身は世界を救った伝説の英雄として石像まで建てられていた。
・さらに、次元の狭間で濃い魔素を浴び続けたことや、ドレインタッチを駆使した影響からか、10年間過酷な戦いを続けていたにもかかわらず、ラックは加齢するどころか逆に若返って生還している。
まとめ
ラックの次元の狭間からの生還は、絶望的な環境下において敵の能力を貪欲に吸収し、魔導士としての機転を最大限に活かしたことで成し遂げられた執念の勝利である。傀儡人形で睡眠中も戦闘を継続し、自らの肉体を焼きながら魔神王の生命力を奪い尽くした一戦は、彼の常識外れの生存能力を物語っている。元の世界で10年が経過し、伝説の英雄として祭り上げられる中で、魔素の影響により肉体的な若返りを経て帰還したプロセスは、時空の歪みを実力でねじ伏せて生還を果たした最強魔導士の規格外な適応力を厳密に証明している。
十年後の王都
次元の狭間での激戦から10年が経過した王都は、魔神の脅威が去り、平和と新たな秩序がもたらされた場所として描かれている。かつての仲間たちが要職に就き、英雄ラックの功績を称える景観や制度が整備される一方で、その平和の裏では吸血鬼による新たな脅威が王宮の中枢にまで忍び寄っている。
平和な街並みの特徴、伝説の英雄として祭り上げられたラックの影響、国王やグランドマスターへと出世した仲間たちの現状、そして王都を護る強力な結界と侵入する吸血鬼たちの暗躍にいたる全容は以下の通りである。
魔神の脅威が去り住人の心に余裕が生まれた穏やかな王都の景観
魔神の脅威が去った王都は、ラックが知っていた頃とは雰囲気が変わり、平和で穏やかな街になっている。
・広場では親子が楽しそうに散歩をしている。
・ボロボロの服を着たラックに対しても通行人や衛兵が親切に接するなど、住人の心にも余裕が生まれている様子が伺える。
中央広場に建つ現実離れした巨大石像と貨幣単位ラックへの変更
世界を救ったラックは伝説の英雄として祭り上げられており、王都の景観や制度に多大な影響を与えている。
・巨大な石像:王都の中央広場には、人の身長の10倍はあろうかという巨大な魔導士の石像が建てられている。しかし、実際のラックを知らない制作者がゴランたちの証言をもとに造ったため、現実離れした美男子に美化されすぎている。
・貨幣単位の変更:国王となったエリックが最初に施行した政策により、従来のゴールドという貨幣単位がラックに変更されている。また、国庫に入ったラックの財産はそのまま保管されているほか、ラックにはエリックから大公の爵位(フランゼン大公)が与えられている。
前国王から禅譲を受けたエリックとギルドのトップになった戦士ゴラン
王都の要職には、ラックの元パーティーメンバーが就いている。
・国王エリック:勇者であったエリックは、魔神撃退の功績から前国王より禅譲を受け、新たな国王として王都を治めている。戦死した騎士の子や孤児などを何千人も王宮で養って徒弟にするなど、教育や福祉政策にも熱心に取り組んでいる。
・グランドマスターのゴラン:戦士ゴランは冒険者ギルドのトップであるグランドマスターに就任しており、王都に門番付きの豪邸を構えている。
神の加護による強力な結界の展開と王宮内へ侵入する吸血鬼の暗躍
王都全体には神の加護と呼ばれる強力な結界が張られている。これにより、強い昏き者(魔物)ほど侵入時に激痛と大きな制約を受けるため、上位のヴァンパイアなどは容易に近づけない。
・しかし、平和に見える王都の裏では新たな脅威が迫っている。
・ヴァンパイアハイロードやその配下のロードたちが暗躍し、王宮内に転移魔法陣を仕込んだ皿を運び込ませたり、上位種であるアークヴァンパイアを侵入させたりしている。
・さらに、多数の人間が魅了されたり眷属にされたりして王宮に入り込んでいることが判明し、安全と思われていた王都の中枢すらも脅かされている状況である。
まとめ
10年が経過した王都は、英雄ラックの功績を不朽のものとするための貨幣単位の変更や巨大石像の建立が進み、かつての仲間たちが政治と冒険者の頂点に立つ理想的な平和を謳歌している。しかし、強力な結界によって守られているはずの安全圏でありながら、吸血鬼たちが転移魔法陣の密輸や精神支配を駆使して王宮の内部へと深く侵食している実態は、外敵を退けた後の社会が直面する新たな防衛の難しさと、平和の裏で進行する中枢崩壊の危機を厳密に証明している。
神鶏ゲルベルガの保護
『最強の魔導士』、あるいは関連する物語における「神鶏ゲルベルガの保護」は、次元の境界を操る聖なる力を持つ神鶏を巡り、世界崩壊を目論む吸血鬼たちとの激しい争奪戦と、主人公ラックたちによる徹底した警護、そして安全な新生活の獲得にいたる過程として描かれている。
次元の狭間を閉じる力と吸血鬼を灰にする能力、扉を開く呪いを得るために神鶏の血を狙うヴァンパイアの思惑、幻術で隠されていた存在の発見と説得による保護、王宮中枢への転移襲撃、そしてハイロード拠点への同行討伐と新居での安全な環境構築にいたる全容は以下の通りである。
世界に境界を引く力による次元の扉封鎖と吸血鬼を灰にする鳴き声
ゲルベルガは、魔族の少年ルッチラの一族が代々祀ってきた神鶏である。
・一見すると白い羽と赤いトサカを持つ立派な雄鶏であるが、世界に境界を引く力、を持っている。
・この力により、次元 of 狭間への入り口を閉じることが可能である。
・ヴァンパイアが霧やコウモリに変化しかけた際に鳴き声を聞かせると、強引に境界を引いて相手を灰にするという強力な対ヴァンパイア能力も備えている。
昏き者の神の降臨を阻止する神鶏の排除と神聖な血の冒涜による呪いの蓄積
ヴァンパイアたちは呪いを溜めて次元の狭間への扉を開き、昏き者どもの神を降臨させようと企んでいる。
・扉を閉じる力を持つ神鶏は彼らにとって極めて邪魔な存在であった。
・さらに、神聖不可侵な神鶏の血をヴァンパイアが吸うと、神聖なものを汚す冒涜、となる。
・扉を開くために必要な呪いが一気に溜まるため、何としても確保しようと血眼になって探していた。
一族全滅から逃げ延びたルッチラの幻術と魔獣狩りでの説得による信用獲得
ルッチラの一族はヴァンパイアに襲われて全滅し、ただ一人逃げ延びたルッチラが、精巧な幻術を使ってゲルベルガを隠し守っていた。
・魔獣狩りのクエストでその真相に気づいたラックたちは、無理やり暴くのではなく説得を試みる。
・信用を得てゲルベルガを保護することに成功した。
王女たちに可愛がられる微笑ましいひと時と転移魔法陣による中枢襲撃の露呈
ラックは当初、ゴランの屋敷でゲルベルガを保護しようと考えたが、より安全な王宮(国王エリックの元)で預かることになった。
・王宮では王女のシャルロットやマリーに可愛がられるなど微笑ましいひと時を過ごす。
・しかし、ヴァンパイア側が転移魔法陣を使って王宮内部を直接襲撃する事件が発生した。
・ラックやゴラン、セルリスの活躍で撃退したものの、王宮内にも多数の眷属や魅了された者が入り込んでいることが判明し、王宮すら安全ではないことが露呈した。
胸当てへの格納同行と霧化逃亡に対する鳴き声による灰化および新生活での環境保護
王宮が安全でないと悟ったラックは、自分が直接守るのが一番安全だ、と判断し、自身の胸当てを改造してゲルベルガを懐に入れたまま、ヴァンパイアハイロードの拠点討伐へと向かう。
・討伐戦の最中、ハイロードが霧になって逃げようとした決定的な瞬間にゲルベルガが鳴き声を上げる。
・強引に境界を引くことでハイロードを灰に変えるという重要な働きを見せた。
・すべての戦いが終わった後、ラックは国王エリックからの褒美として大きな庭付きの屋敷を与えられる。
・ルッチラやゲルベルガ、そして拠点から救出した狼の霊獣とともに、その屋敷で新生活を始めることになり、ゲルベルガはようやく安全で快適な環境で保護されることとなった。
まとめ
神鶏ゲルベルガの保護は、世界の命運を左右する聖なる獣を、吸血鬼の呪略と中枢への侵入から守り抜いた極めて重要な防衛劇である。ルッチラの幻術によって隠されていた神鶏は、ラックらの誠実な説得によって保護され、王宮への転移襲撃という危機を経て、最終的にはラック自身の胸当てに格納されてハイロード討伐の決戦へと同行した。その鳴き声によって霧化したハイロードを灰へと変え、脅威を根本から排除した後に庭付きの屋敷で安全な新生活を確立したプロセスは、強大な魔導の守護と神鶏の固有能力が合致することで世界の境界線が維持されたことを厳密に証明している。
登場キャラクター
元・勇者パーティー
ラック・ロック・フランゼン(ロック)
元勇者パーティーの魔導士であり、次元の狭間に一人残って魔神王を倒した存在である。エリックやゴランの親友として描かれている。
・所属組織、地位や役職
元勇者パーティー・魔導士。フランゼン大公。冒険者ギルドFランク戦士(偽装)。
・物語内での具体的な行動や成果
魔神王を倒し、10年後に帰還を果たした。ゴブリンロードやヴァンパイアハイロードを討伐している。ルッチラやゲルベルガの保護を行った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
世界を救った英雄として石像が建てられ、貨幣の単位にもなった。若返って生還し、現在は新人冒険者ロックとして活動している。
エリック・メンディリバル
元勇者パーティーの勇者であり、現在は国王として国を治めている。ラックやゴランに厚い信頼を寄せている。
・所属組織、地位や役職
メンディリバル王家・国王。
・物語内での具体的な行動や成果
ラックの帰還を喜び、フランゼン大公の地位を与えていたことを明かした。ヴァンパイアハイロード討伐に同行し、前線で剣を振るった。ゲルベルガの保護を王宮で引き受けた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
前国王から王位を譲り受けた。孤児や戦死した騎士の子を養うなど、教育や福祉政策に力を入れている。
ゴラン・モートン
元勇者パーティーの戦士であり、現在は冒険者ギルドのグランドマスターを務めている。セルリスの父親である。
・所属組織、地位や役職
冒険者ギルド・グランドマスター。
・物語内での具体的な行動や成果
ラックに偽装した冒険者カードを発行した。ヴァンパイアハイロード討伐に同行し、アークヴァンパイアなどを倒している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
冒険者ギルドの最高責任者として王都の防衛や冒険者の管理を行っている。
レフィ・メンディリバル
元勇者パーティーのヒーラーであり、エリックの妻である。シャルロットとマリーの母親として言及されている。
・所属組織、地位や役職
メンディリバル王家・王妃。元勇者パーティー・ヒーラー。
・物語内での具体的な行動や成果
病み上がりであったため、ラックとの再会は見送られた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
国でも有数の治癒術士であり、戦闘能力も高い。
モートン家
セルリス・モートン
ゴランの娘であり、Bランク相当の戦闘能力を持つ新人冒険者である。思い込みが激しい性格をしている。
・所属組織、地位や役職
冒険者ギルド・Fランク戦士。
・物語内での具体的な行動や成果
ラックを父の隠し子だと誤解した。ラックやルッチラとともに魔獣狩りの依頼をこなし、幻術の竜と戦っている。王宮に現れたレッサーヴァンパイアから王女やゲルベルガを守った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ゴランに反対されながらも冒険者登録を済ませていた。ハイロード討伐には参加せず、王宮で王女たちの護衛を務めた。
執事
モートン家に仕える使用人である。ゴランに対して忠実である。
・所属組織、地位や役職
モートン家・執事。
・物語内での具体的な行動や成果
眠り続けるラックの生存を心配した。セルリスの誤解に対し、ゴランをかばって説明を行っている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
職務上知り得た情報を口外しないという矜持を持っている。
門番
モートン家の警備を担当する人物である。職務に忠実な態度をとる。
・所属組織、地位や役職
モートン家・門番。
・物語内での具体的な行動や成果
みすぼらしい格好のラックを屋敷に通さず追い返した。後にラックの正体を知り、謝罪している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
昼と夜で担当者が入れ替わっている。
メンディリバル王家・王宮関係者
シャルロット・メンディリバル
エリックとレフィの長女であり、メンディリバル王国の王女である。落ち着いた態度を見せる。
・所属組織、地位や役職
メンディリバル王家・王女。
・物語内での具体的な行動や成果
王宮でラックと対面し、丁寧に挨拶をした。ルッチラの許可を得てゲルベルガを撫でている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
魔神王との戦闘時にレフィが妊娠していた子供である。
マリー・メンディリバル
エリックとレフィの次女であり、メンディリバル王国の王女である。天真爛漫な性格をしている。
・所属組織、地位や役職
メンディリバル王家・王女。
・物語内での具体的な行動や成果
ラックに挨拶をし、ゲルベルガを気に入って撫でた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ラックの自己犠牲によって生まれた子供である。
王太弟
エリックの弟であり、王位継承順位第一位の人物である。
・所属組織、地位や役職
メンディリバル王家・王太弟。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に具体的な行動の描写は存在しない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
エリックから、自分よりも良き王になるかもしれないと評価されている。
近衛騎士
王宮を警備する精鋭の騎士たちである。
・所属組織、地位や役職
メンディリバル王国・近衛騎士。
・物語内での具体的な行動や成果
エリックの指示により、王女たちやレフィの護衛についた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ヴァンパイア狩りの経験を持つ者が選ばれている。
侍従
王宮で働く使用人である。
・所属組織、地位や役職
メンディリバル王国・侍従。
・物語内での具体的な行動や成果
ラックたちを王宮の応接室へと案内した。王宮内でヴァンパイアの眷属が灰になったことや気絶した者が出たことを報告している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
侍従の見習い(少年)
王宮で働く若い使用人である。
・所属組織、地位や役職
メンディリバル王国・侍従の見習い。
・物語内での具体的な行動や成果
ラックたちに応接室でお茶を運んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
エリックの教育政策によって王宮で養われている徒弟の一人である。
メイド
王宮で働く使用人である。
・所属組織、地位や役職
メンディリバル王国・メイド。
・物語内での具体的な行動や成果
転移魔法陣が刻まれた皿を部屋に持ち込んだ。その後、シアとセルリスに捕らえられている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ヴァンパイアの眷属にはされていなかったが、魅了されている可能性があった。
宮廷魔導士長
王宮に仕える魔導士の長である。
・所属組織、地位や役職
メンディリバル王国・宮廷魔導士長。
・物語内での具体的な行動や成果
エリックから、ヴァンパイアたちの所持品の精査を命じられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
宮廷錬金術士長
王宮に仕える錬金術士の長である。
・所属組織、地位や役職
メンディリバル王国・宮廷錬金術士長。
・物語内での具体的な行動や成果
エリックから、ヴァンパイアたちの所持品の精査を命じられた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
徒弟たち
エリックの教育・福祉政策により王宮で養われている若者たちである。
・所属組織、地位や役職
メンディリバル王国・徒弟。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に具体的な行動の描写は存在しない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
孤児や貧乏貴族の次男三男など、二千人ほどが王宮で生活している。
冒険者・ギルド関係者
シア
狼の獣人の少女であり、ヴァンパイア狩りを生業としている。礼儀正しい性格である。
・所属組織、地位や役職
冒険者ギルド・Bランク戦士兼スカウト。族長代理。
・物語内での具体的な行動や成果
坑道でゴブリンロードと戦い、ロックとともにヴァンパイアロードを討伐した。ヴァンパイアハイロード討伐にも参加し、連携してハイロードを倒している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ヴァンパイアロードを倒したことで一族の汚名をそそいだ。論功行賞でエリックから騎士の爵位を与えられた。
アリオ
農村出身の若い冒険者であり、ジニーの兄である。明るい性格をしている。
・所属組織、地位や役職
冒険者ギルド・Fランク魔法使い。
・物語内での具体的な行動や成果
ロックをパーティーに誘い、ゴブリン退治の依頼に向かった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ロックの正体を元暗殺教団の幹部だと誤解した。
ジニー
農村出身の若い冒険者であり、アリオの妹である。真面目な性格である。
・所属組織、地位や役職
冒険者ギルド・Fランク弓スカウト。
・物語内での具体的な行動や成果
ゴブリン退治の依頼で痕跡をたどり、巣穴を突き止めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
元々は故郷で狩人をしていた。
受付嬢
冒険者ギルドの職員である。良心的な人物として描かれている。
・所属組織、地位や役職
冒険者ギルド・受付嬢。
・物語内での具体的な行動や成果
ソロでゴブリン退治に向かおうとするロックを引き留めた。大量の魔石の報告を受け、先輩職員に助けを求めている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
先輩職員
冒険者ギルドの経験豊富な職員である。
・所属組織、地位や役職
冒険者ギルド・先輩職員。
・物語内での具体的な行動や成果
提出された魔石を見て、ゴブリンロードのものだと即座に見抜いた。ロックたちから事情を聴取し、特別報奨金を出す手配を行っている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
魔族・神獣・霊獣
ルッチラ
魔族の少年であり、優れた幻術使いである。ゲルベルガを軽んじられると怒る。
・所属組織、地位や役職
所属組織は特になし。
・物語内での具体的な行動や成果
一族が全滅した後、幻術で身を隠しながらゲルベルガを保護していた。ロックたちにゲルベルガを引き合わせ、王宮で保護されることになった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
論功行賞で騎士の爵位を与えられた。
ゲルベルガ
世界の境界を引く力を持つ神鶏である。ルッチラの一族に祀られている。
・所属組織、地位や役職
神鶏。
・物語内での具体的な行動や成果
鳴き声によって、霧やコウモリに変化しかけたヴァンパイアを灰にした。王女たちやセルリスに懐いている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ヴァンパイアたちから狙われており、王宮で保護された後にロックと同居することになった。
狼(霊獣)
狼の獣人族と深い関係にある霊獣である。
・所属組織、地位や役職
霊獣。
・物語内での具体的な行動や成果
ヴァンパイアハイロードの拠点の檻に捕らえられていた。ロックによって解放され、彼に懐いて同行することになった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ヴァンパイアの魅了や眷属化が効かない。
狼の獣人族
シアの父
狼の獣人族の族長であり、シアの父親である。
・所属組織、地位や役職
狼の獣人族・族長。
・物語内での具体的な行動や成果
ヴァンパイアロードとの戦いで重傷を負っていたが、娘の制止を振り切ってハイロード拠点の周囲の討伐戦に参加し、ロードを二匹倒した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
論功行賞で騎士の爵位を与えられた。
狼の獣人族の族長
狼の獣人族の連合体をまとめる族長たちである。
・所属組織、地位や役職
狼の獣人族・族長。
・物語内での具体的な行動や成果
総力を挙げてヴァンパイアハイロードの拠点を特定した。エリックの作戦に従い、周囲のロードたちの拠点を攻めている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
論功行賞で騎士の爵位を与えられた。
狼の獣人の戦士たち
ヴァンパイア狩りを生業とする戦士たちである。
・所属組織、地位や役職
狼の獣人族・戦士。
・物語内での具体的な行動や成果
ヴァンパイアハイロード討伐戦に加勢し、周辺のロードたちと戦った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ヴァンパイアの吸血や魅了が効かない。論功行賞で褒賞金を与えられ、希望者は王宮警備の職を得た。
王都・村の住人
王都の衛兵たち
王都の門を警備する兵士たちである。よそ者に親切な態度をとる。
・所属組織、地位や役職
王都・衛兵。
・物語内での具体的な行動や成果
帰還したラックを追剥に遭った冒険者だと勘違いし、臨時身分証と古着を与えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
王都の通行人
王都に住む一般市民である。親切な人物として描写される。
・所属組織、地位や役職
王都・住人。
・物語内での具体的な行動や成果
ラックに中央広場の石像が英雄ラックの像であることを教えた。別の通行人は現在の日付を教えている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
広場の親子
王都の中央広場にいた母親と男の子である。
・所属組織、地位や役職
王都・住人。
・物語内での具体的な行動や成果
転んで泣き出した子供を、母親がラックを引き合いに出して慰めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
村長
魔獣被害をギルドに依頼した村の長である。
・所属組織、地位や役職
村・村長。
・物語内での具体的な行動や成果
ロックとセルリスに、村人たちの食い違う目撃証言を伝えた。羊が戻ってきたことを喜んでいる。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
羊飼い
村の住人である。
・所属組織、地位や役職
村・羊飼い。
・物語内での具体的な行動や成果
首が三つある巨大な狼を見たという証言をした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
狩人
村の住人である。
・所属組織、地位や役職
村・狩人。
・物語内での具体的な行動や成果
首が三つある大きな蛇を見たという証言をした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
村人たち
魔獣の噂に怯える村の住人たちである。
・所属組織、地位や役職
村・住人。
・物語内での具体的な行動や成果
巨人や竜を見たなど、バラバラの証言を行っていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
実際にはルッチラの幻術に怯えていただけであった。
魔神・魔物
昏き者どもの神
次元の狭間の向こう側に存在する強大な神である。
・所属組織、地位や役職
神。
・物語内での具体的な行動や成果
文書内に直接の登場は存在しない。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ヴァンパイアたちは呪いを溜めて門を開き、この神を降臨させようと企てている。
魔神王
昏き者どもの神の尖兵として世界に侵攻した強大な魔物である。
・所属組織、地位や役職
魔神王。
・物語内での具体的な行動や成果
次元の狭間でラックと死闘を繰り広げ、火炎魔法とドレインタッチによって倒された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
かつて勇者パーティーによって次元の向こうへ追い返されていた。
魔神将
魔神の大群を率いる高位の魔神である。
・所属組織、地位や役職
魔神将。
・物語内での具体的な行動や成果
次元の狭間でラックと戦い、魔剣を奪われている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
魔神の大群
異次元から侵攻してきた魔神の群れである。
・所属組織、地位や役職
魔神。
・物語内での具体的な行動や成果
勇者たちを追撃しようとしたが、次元の狭間に残ったラックによって阻止された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
数百を超える数が存在していた。
ヴァンパイアハイロード
複数のロードを率いるヴァンパイアの上位種である。銀髪の青年の姿をしている。
・所属組織、地位や役職
ヴァンパイアハイロード。
・物語内での具体的な行動や成果
神鶏を狙って昏き神の加護を発動したが、ラックとシアの連携によって討伐された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
尋問を受ける前に自ら灰となって消滅している。
第六位階
ヴァンパイアロードの一人である。王宮への侵入を指示していた。
・所属組織、地位や役職
ヴァンパイアロード。第六位階。
・物語内での具体的な行動や成果
拠点に乗り込んできたラックと戦ったが、敗北して自ら灰となった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
人間の眷属を多数持っており、王宮にも侵入させていた。
第八位階
ヴァンパイアロードの一人である。
・所属組織、地位や役職
ヴァンパイアロード。第八位階。
・物語内での具体的な行動や成果
ゴブリンの群れを操って冒険者をおびき寄せていたが、ロックとシアによって討伐された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
過去にシアの一族との抗争で重傷を負っていた。
ヴァンパイアロードたち
ヴァンパイアを統率する強力な個体である。
・所属組織、地位や役職
ヴァンパイアロード。
・物語内での具体的な行動や成果
ハイロードの拠点でラックたちと対峙した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
アークヴァンパイアたち
ヴァンパイアの上位種である。
・所属組織、地位や役職
アークヴァンパイア。
・物語内での具体的な行動や成果
ルッチラを上空から襲撃したが、ゲルベルガの鳴き声で灰になった。王宮にも侵入し、セルリスたちと戦っている。第六位階の拠点でもラックと戦った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
霧などに変化する能力を持つ。
レッサーヴァンパイアたち
ヴァンパイアの下位種である。
・所属組織、地位や役職
レッサーヴァンパイア。
・物語内での具体的な行動や成果
王宮に侵入してセルリスと戦ったが、ラックの幻術で尋問された後に毒で灰になった。ハイロードの拠点でも多数倒されている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
霧への変化能力を持たない。
ゴブリンロード
ゴブリンの群れを率いる強力な個体である。
・所属組織、地位や役職
ゴブリンロード。
・物語内での具体的な行動や成果
坑道でシアと戦い、その後ラックによって倒された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ヴァンパイアロードの支配下に置かれていた。
ゴブリンジェネラル
上位種のゴブリンである。
・所属組織、地位や役職
ゴブリンジェネラル。
・物語内での具体的な行動や成果
坑道でシアによって倒された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
ホブゴブリンたち
ゴブリンの上位種である。
・所属組織、地位や役職
ホブゴブリン。
・物語内での具体的な行動や成果
坑道でロックによって倒されている。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
ゴブリンマジシャンたち
魔法を使用するゴブリンである。
・所属組織、地位や役職
ゴブリンマジシャン。
・物語内での具体的な行動や成果
坑道で魔法を詠唱する前にシアによって倒された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
ゴブリンたち
人間の小児ほどの大きさの弱い魔物である。
・所属組織、地位や役職
ゴブリン。
・物語内での具体的な行動や成果
坑道でロックやアリオたちによって多数討伐された。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
特筆事項は記載されていない。
展開まとめ
序
次元の狭間の勝利
勇者エリック、戦士ゴラン、魔導士ラックは、激戦の末に魔神王を次元の向こうへ追い返した。魔神王にとどめは刺せなかったが、深手を負わせたため、当分は動けないはずであった。満身創痍の三人は長い戦いの終わりを感じ、妻子のもとへ帰ることを望んだ。
魔神の大群
帰途についた三人の前に、異次元の方向から数百を超える魔神の大群が迫ってきた。すでに消耗しきった状態でまともに戦えば全滅は避けられなかったため、ラックは勇者エリックとゴランを先に行かせ、自分一人で足止めを引き受けた。ラックは魔神王の復活に備え、勇者を死なせるわけにはいかないと考えていた。
ラックの孤軍奮闘
ラックは魔力の消費を抑えながら魔神を倒し続け、突破しようとする敵も拘束して吹き飛ばした。しかし疲労と魔力の減少で意識は朦朧とし、傷も増えていった。やがて高位の魔神からドレインタッチを受けたラックは、その術理を理解し、逆に自分の魔法として使い始めた。傷と体力を回復できるようになったことで、ラックはさらに戦い続けた。
終わらない戦い
次元の狭間は魔素が濃く、ラックは戦いながら強くなっていった。眠気に襲われると傀儡人形の魔法を自分にかけ、眠っている間も体を動かして戦い続けた。食事も取らず、時間の感覚を失うほど戦い続けたラックは、魔神将から奪った魔剣をドレインソードと名付け、生命力を吸収しながら戦闘を続けた。
復活した魔神王
次元の向こうから強大な魔力が近づき、復活した魔神王が現れた。魔神王は灼熱の炎を放ったが、ラックは障壁で耐えながら間合いを詰め、ドレインソードで斬りつけた。さらにドレインタッチを狙ったが、防壁に阻まれ、魔神王の魔剣との激しい戦いが続いた。やがてドレインソードは砕け散った。
魔導士ラックの一撃
魔神王が隙を見せた瞬間、ラックは自分が剣士ではなく魔導士であることを示し、火炎弾を魔神王の腹に撃ち込んだ。魔神王が火炎を防ぐために防壁を使った隙に、ラックは炎の中へ手を突っ込み、ドレインタッチを通した。自分の皮膚が燃えて焦げながらも、吸収した生命力で回復し続け、ラックは魔神王の生命力を奪い続けた。
魔神王の消滅
激痛に耐えながらドレインを続けた結果、魔神王は動かなくなり、炭となって魔素に変わって消滅した。周囲を警戒したラックは、魔神の出現も収まっていることを確認した。ラックはついに魔神王を完全に倒し、勇者たちと世界を守りきったのであった。
第一章
次元の狭間からの帰還
ラックはどれほど戦っていたのかわからないまま、魔神王の魔剣を拾い、金の代わりに売ろうと考えた。戦いで服も冒険者カードも金も失っていたが、ギルドで再発行すれば預けた金を引き出せるため、心配せず次元の狭間を出た。
王都の門
ラックはほぼ裸のまま魔剣を担いで平原を歩き、明け方に王都へ着いた。門の衛兵たちはラックを追剥に遭った冒険者だと思い込み、臨時身分証を発行したうえで古着まで渡した。ラックは衛兵たちの親切に礼を言い、王都へ入った。
ゴラン邸の門前
王都の雰囲気に違和感を覚えたラックは、冒険者ギルドより先にエリックとゴランへ会いに行こうとした。通行人に尋ねてゴランの豪邸へ向かったが、門番には怪しい男と見なされ、ラックが来たと伝えてほしいという頼みも聞き入れられなかった。
中央広場の石像
冒険者ギルドへ向かう途中、ラックは中央広場に巨大な魔導士の石像を見つけた。通行人に尋ねると、それは十年前に次元の狭間で魔神の大群を一人で食い止めた英雄ラックの像だと知らされた。ラックは自分が十年間戦っていたことに気づき、時間感覚が狂っていた事実に呆然とした。
英雄ラックの名声
ラックは自分の像が実物より美化されすぎていることに困惑した。さらに、母親が子供を励ますためにラックの名を出している光景を見て、自分を教育の手本に使わないでほしいと感じた。それでも、十年前より平和になった王都を見て嬉しさも覚えた。
冒険者ギルドのゴラン
ラックが冒険者ギルドへ入ると、ゴランが待ち構えていた。ゴランは門番からラックを名乗る者の話を聞き、本物ならギルドへ来ると考えていたのである。十年ぶりの再会にゴランは号泣し、ラックの無事を喜んだ。
十年ぶりの食事
ゴランはラックにお茶と菓子を出したが、ラックが十年間何も食べていなかったと知ると慌てて菓子を取り上げ、重湯を用意させた。ラックは次元の狭間でドレインタッチを使って生き延びた経緯を語り、久しぶりの食べ物や飲み物のうまさを実感した。
覆面のエリック
重湯を運んできた覆面の男は、勇者エリックであった。国王となっていたエリックもラックとの再会に涙を流し、ラックが魔神王まで倒して戻ったことを喜んだ。エリックとゴランは、ラックが十年前と変わらず、むしろ若返って見えることにも驚いた。
国王とグランドマスター
エリックは勇者としての功績により前国王から王位を譲られ、ゴランは冒険者ギルドのグランドマスターになっていた。二人は魔神王を倒したラックに褒章を与えようとしたが、ラックは金も名誉も領地も特に望まなかった。
ラック貨幣と英雄像
ゴランが生活費として百万ラックを渡したことで、ラックは貨幣単位が自分の名に変わっていると知った。エリックは国王になって最初に貨幣単位を変更し、次に中央広場へラックの石像を建てていた。ラックは名誉が過剰すぎることに困惑し、美化された像にも抗議した。
大公ラック・フランゼン
ラックは、エリックが八年前に自分へ大公位とフランゼンという家名を与えていたことを知った。死んでいると思われていたため貴族たちの反対はなかったが、生きて戻った今は大公として権力闘争に巻き込まれる危険があった。ラックは面倒を避けるため、自分の生存を広めない方がよいと考えた。
新人冒険者ロック
ラックは別名で新人冒険者として登録してもらうことにした。ゴランは本名をラック・ロック・フランゼンとし、普段はミドルネームのロックだけが表示される冒険者カードを発行した。第一職業やSランクの情報は隠され、第二職業の戦士Fランクだけが表示されるようになった。
ゴランの家の夜
ラックは正式なカードを得て、目立たず冒険者として動けるようになった。その後、ゴランの家でエリックやゴランと夜遅くまで飲んで騒いだ。エリックは未明に王宮へ戻り、ラックは十年ぶりの快適なベッドでゴランの家に泊まった。
第二章
一週間の眠り
ロックは扉を叩く音で目を覚まし、自分がゴランの家で一週間眠っていたことを知った。十年間戦い続けた疲労が出たらしく、ゴランの執事は生存を心配していた。ロックは朝食として重湯を出され、世の中の変化を知るために、一から冒険者をしてみようと考えた。
新人冒険者ロック
ロックはゴランの家を出て冒険者ギルドへ向かい、一般フロアの掲示板を見て、平和になった王都を実感した。安全で報酬の高い薬草採取は若者に譲るべきだと考え、貧しい村のための危険なゴブリン退治を選んだ。しかし受付嬢にソロは危険だと止められ、Fランク冒険者のアリオとジニーに誘われて三人で向かうことになった。
アリオとジニー
ロックは魔法使いのアリオ、弓スカウトのジニーとともに王都を出た。二人は農村育ちの兄妹であり、ゴブリン退治が村にとって重要だと理解していた。ロックは二人のまじめさに好感を抱き、道中で会話をしながら依頼元の村へ向かった。
ゴブリンの巣穴
村では家畜の盗難が続いており、アリオとジニーは十匹程度の群れだと判断した。だがロックは、被害の規模からそれ以上の大きな群れだと見ていた。ジニーは痕跡を的確に追って巣穴を突き止めたが、ゴブリン以外の存在までは見抜けなかったため、ロックは二人を守る責任を意識した。
坑道の戦い
三人は古い坑道に入り、見張りのゴブリンを倒して奥へ進んだ。ロックは新人たちに経験を積ませるため、すべてを自分で片付けず、アリオとジニーにも戦わせた。やがて倒した数が三十匹を超え、二人は見積もりの甘さに気づき、魔法と矢が尽きかけたため撤退を決めた。
ゴブリンロード
撤退しようとした三人の前にゴブリンロードが現れた。アリオとジニーは側道に隠れ、ロックはその背後に知性ある何者かがいると考えて観察した。そこへ獣人の少女シアが現れ、ゴブリンロードと互角に戦ったが、武器を砕かれて追い詰められた。
シアの救援
ロックはシアの制止を押し切り、魔神王の剣でゴブリンロードを倒した。シアは礼儀正しく名乗り、Bランク冒険者であることを明かした。ロックはFランク冒険者ロックだと名乗ったが、シアはその実力を見て信じなかった。
奥にいる強敵
ロックはシアがゴブリンロードを雑魚と呼んだことから、奥にさらに強い敵がいると見抜いた。アリオとジニーを待機させ、シアとともに奥へ進むことにした。シアはヴァンパイア狩りを生業とする獣人族の族長の娘であり、一族の汚名をそそぐため、逃げたヴァンパイアロードを倒そうとしていた。
ヴァンパイアロード
ロックとシアは坑道の最奥でヴァンパイアロードと対峙した。ヴァンパイアロードは人間であるロックを魅了しようとしたが、ロックには通じなかった。ロックは挑発で相手を怒らせ、シアに攻撃が向かないようにしながら素手で圧倒した。
魔神王の剣
ヴァンパイアロードはコウモリに変化して逃げようとしたが、シアがロックから借りた魔神王の剣で斬り裂いた。剣はヴァンパイアロードの魔力や生命力を奪い、体を灰に変えていった。残ったコウモリもロックが密かに燃やし、ヴァンパイアロードは首だけになった。
呪いのメダル
シアはヴァンパイアロードの体から呪いのメダルを取り出した。そのメダルは血や命を奪うことで呪いを溜め、次元の狭間への扉を開くためのものだった。ヴァンパイアロードは昏き者どもの神の降臨を語ったが、ロックは魔神王の剣でメダルごと斬り裂き、呪いを吸収して破壊した。
ラックの正体
シアはヴァンパイアロードの言葉と魔神王の剣から、ロックが英雄ラック本人だと見抜いた。ロックは隠しきれないと判断して認めたが、事情があって正体を隠していると説明した。シアは秘密を守ると約束し、二人は残ったゴブリンの掃討に向かった。
ゴブリンの掃討
ロックとシアは坑道に残るゴブリンを倒しながら、アリオとジニーのもとへ戻った。アリオたちは待機中に襲ってきたゴブリンを倒しており、ジニーは自分の見積もりの甘さを反省した。ロックは、反省できることは伸びる冒険者の証だと考えた。
討伐証明の回収
一行は坑道内のゴブリンの討伐証明品を回収し、数が五十匹を超えていたことを確認した。シアはヴァンパイアロードの戦利品と借りたブロードソードだけでよいと言い、ゴブリンの戦利品はロックたちに譲った。彼らは死骸を外へ運んで燃やし、疫病や魔獣の発生を防いだ。
王都への帰還
ロックたちは村へ討伐完了を報告し、シアも同行して王都へ戻った。ギルドで大量の魔石を提出すると職員たちは驚き、ホブゴブリンやゴブリンロードの存在を確認した。シアの助けがあったこともあり、ロックたちは特別報奨金を受け取った。
冒険の祝杯
シアはヴァンパイアロード討伐をギルドへ報告し、名前が広まらないように手配した。アリオとジニーは二泊三日の冒険に満足し、ロックも彼らの成長を見守った。その後、四人は食事へ向かい、夜遅くまで飲み食いして過ごした。
第三章
常宿への誤解
飲み会が終わり、ロックはアリオとジニーに人手が足りない時は声をかけるよう伝えた。しかし常宿を聞かれて答えを濁したため、二人はロックが裏社会に狙われる元暗殺教団の関係者だと誤解した。シアはその様子を笑いながら見ていた。
シアの依頼
シアは故郷へ戻って一族の名誉を回復すると告げたうえで、ヴァンパイアロードの件をゴランにも直接伝えてほしいとロックに頼んだ。冒険者ギルドへの報告だけでは対応に時間がかかるためであった。シアは証拠として、呪いのメダルの半分をロックに預けた。
ゴランへの報告
ロックがゴラン邸に戻ると、三日も無断で空けたことでゴランに説教された。ロックは話題を変え、ゴブリンロードとヴァンパイアロードの件を報告した。ゴランはグランドマスターとして事態を重く受け止め、呪いのメダルを専門機関に調べさせることにした。
昏き者どもの神
ゴランは、十年前からエリックとともに次元の狭間について調べており、魔神が昏き者どもの神の尖兵であることを突き止めていた。だが、ヴァンパイアたちが呪いを溜めて扉を開こうとしていることは知らなかった。ロックは対応を任せ、シアに正体が知られていることも伝えた。
ゴランの娘セルリス
食堂を出ようとしたロックは、ゴランの娘セルリスと出会った。セルリスは無言で走り去り、ゴランは彼女が冒険者になりたがっていることを話した。ゴランは娘の戦闘能力を認めつつも、まだ子供だとして冒険者になることを心配し、ロックに見守りを頼んだ。
隠し子の誤解
翌朝、ロックは食堂でセルリスと顔を合わせた。セルリスは、ゴランがロックを心配しすぎることから、ロックをゴランの隠し子だと誤解していた。ロックは否定したが、セルリスは弟や兄として認知させようと暴走し、ロックは説得に苦労した。
冒険者カードの真実
誤解が解けないため、ロックは冒険者カードの隠蔽を解除し、自分が英雄ラック本人であることをセルリスに示した。セルリスは混乱したが、ロックがゴランの子供ではないことをようやく理解した。ロックは執事にも秘密を守るよう頼み、今後もロックと呼ぶよう伝えた。
セルリスの謝罪
セルリスはなお混乱しながらも、ロックの正体を秘密にすると約束した。ロックは、ゴランにあらぬ疑いをかけたことは謝るべきだと諭した。セルリスは父が悲しんでいたと聞いて反省し、親子の問題として向き合うことになった。
次元の狭間の話
セルリスはロックに、次元の狭間でどう生き延びたのかを尋ねた。ロックはドレインタッチで生き延びたことや、魔神王の剣について説明した。セルリスは魔神王の剣を借りて素振りし、その扱いやすさと切れ味に興味を示した。
強さへの助言
セルリスはゴランのように強くなる方法をロックに尋ねた。ロックは、ゴランの強さは才能と研鑽だけでなく、死線を潜り抜けても生き残る並外れた幸運によるものだと説明した。身の丈に合うクエストを選び、少しずつ成長するのがよいと助言した。
セルリスの同行願い
セルリスはロックにパーティーを組んでほしいと頼んだ。ロックはアリオとジニーを優先する約束があると説明したが、二人に人手が足りている時なら同行してもよいと答えた。セルリスは喜び、ロックとともに冒険者ギルドへ向かった。
魔獣狩りの依頼
ギルドでアリオとジニーは魔鼠退治に向かうことになり、ロックはセルリスと組むことになった。セルリスはすでにFランク戦士として登録しており、ロックはゴランの懸念が正しかったと感じた。二人は不人気で情報の少ないEランク相当の魔獣狩りを受注し、受付嬢に見送られて出発した。
第四章
魔獣狩りの村
ロックとセルリスは王都を出て、魔獣被害を訴える村へ向かった。セルリスは初めての冒険に機嫌よく、道中でロックから昔のゴランの話を聞いた。村長の家ではセルリスが丁寧に聞き取りを進め、ロックは必要なところだけ補助した。
食い違う目撃証言
村長は、巨大な狼、三つ首の蛇、巨人、キマイラ、竜など、目撃証言がばらばらであることを話した。だが被害は羊一匹や山菜、魚などにとどまり、恐ろしい魔獣の規模に比べて小さかった。ロックは目撃地点が村の西側に集中していることから、強い魔獣ではなく幻術で人を遠ざけている可能性を見抜いた。
幻の竜
ロックとセルリスが怪しい地点へ向かうと、巨大な竜の幻術が現れた。セルリスは本物の竜のように戦って苦戦し、火炎ブレスを受けたと錯覚して倒れ込んだ。ロックは幻術の核をドレインタッチで消し、術者の技量を評価しながら、セルリスに幻術相手には術者を探すべきだと教えた。
魔族の少年ルッチラ
ロックが話し合いを呼びかけると、姿を隠していた魔族の少年ルッチラが現れた。ロックは、ルッチラが何かを守るために幻術を使っていると見抜き、無理に暴くのではなく移動の手助けを申し出た。ルッチラは、力ずくではなく説得を選んだロックを信用し、隠していたものを見せることにした。
神鶏ゲルベルガ
ルッチラが守っていたのは、古い祠にいた神鶏ゲルベルガであった。見た目は白い羽と赤いとさかを持つ立派な雄鶏だったが、ルッチラは世界の境界を引く神の力を持つ存在だと説明した。その力は、次元の狭間への入り口を閉じることができるものだった。
ルッチラの逃亡
ルッチラの一族は代々神鶏を守ってきたが、ヴァンパイアに襲われてルッチラ以外が全滅していた。ルッチラは神鶏を託され、追撃を逃れながらこの古代神殿跡へたどり着いた。しかしロックは、ここにヴァンパイア除けの結界があるのではなく、シアの一族との抗争で追撃側が弱っていただけだと推測した。
王都への移動
ロックは、王都なら昏き者除けの結界があるため、ルッチラとゲルベルガを連れて行くことを提案した。さらに自分で家を用意し、必要なら追加の結界も張るつもりだった。ルッチラは感謝し、ゲルベルガとともにロックたちへ同行することになった。
返された羊
村へ戻る途中、ゲルベルガのいた場所から、最初に被害に遭ったとされる羊が出てきた。実際には羊飼いが驚いて逃げた際に取り残され、ルッチラに懐いてついてきていただけだった。セルリスは羊を連れて村へ戻り、村長に事件解決と羊の返還を報告して喜ばれた。
ヴァンパイアの急襲
王都へ向かう途中、上空からヴァンパイアがルッチラを襲った。ロックは即座に首をつかんで地面に叩きつけ、レッサーヴァンパイアと挑発した。相手がコウモリへ変化して逃げようとした瞬間、ゲルベルガが鳴き、変化しかけた部分を灰に変えた。
神鶏の力
ルッチラは、ゲルベルガの力はヴァンパイアが変化しかけた時に境界を引き、灰にするものだと説明した。変化前や変化後には効かないため万能ではなかったが、逃亡を防ぐ力としては非常に強力であった。セルリスはゲルベルガの力に驚き、ゲルちゃんと呼んで気に入った。
セルリスの反省
ロックは襲撃者がレッサーではなく上位種のアークヴァンパイアだったと説明した。セルリスは襲撃に対応しきれなかったことを悔しがり、どうすればロックのように速く動けるか尋ねた。ロックは経験と慣れが必要だと伝え、セルリスは道中で警戒を強めながら努力した。
シアの待機
一行は日没後に王都へ到着し、冒険者ギルドで任務完了を報告した。その後、ゴラン邸へ戻ると、屋敷の前でシアがロックを待っていた。
第五章
シアの帰還
シアは王都近くの故郷で名誉回復を済ませ、ロックに協力を求めるためゴラン邸を訪ねていた。シアの故郷は王都から徒歩三時間ほどの場所であり、ロックは勝手に遠方だと思い込んでいたことに気づいた。ロックは詳しい話を聞く前から、必要なら力を貸すと約束した。
ヴァンパイアハイロード
シアは、ヴァンパイアハイロードが複数のヴァンパイアロードを率いて動き出したと語った。狼の獣人族は総力を挙げて対抗しようとしていたが、相手が強大すぎるため全滅の危険があった。族長代理として反対したシアの意見は、若さや一族の失態の影響で十分に通らなかった。
探されるニワトリ
シアは、ヴァンパイアたちが次元の門を閉じる力を持つニワトリを探していると説明した。ロックはそれがゲルベルガさまだとすぐに理解し、すでに屋敷の前で会っていたと告げた。シアは、ルッチラが抱えていたニワトリを夕食用だと思っていたため驚いた。
盗み聞きのセルリス
ロックがシアを自室に連れていくと、セルリスは扉の外で話を盗み聞きしていた。ロックが扉を開けるとセルリスは転がり込み、素直に謝罪した。ロックはセルリスとルッチラを部屋に入れ、シア、セルリス、ルッチラ、ゲルベルガさまを互いに紹介した。
神鶏との対面
シアは、ヴァンパイアたちが探す神鶏ゲルベルガさまが目の前にいることを知り、強く驚いた。ロックは、ゲルベルガさまの鳴き声で変化しかけたアークヴァンパイアが灰になったことを説明した。シアは伝説が本当だったと受け止め、ゲルベルガさまに礼を尽くした。
ハイロードの居場所
シアは、ヴァンパイアハイロードが王都から北へ一日ほど進んだ山地のどこかにいると説明した。セルリスが持ってきた地図で場所を確認したが、範囲は広く、詳しい特定にはまだ時間がかかりそうだった。ロックは討伐に向かうつもりだったが、セルリスは危険すぎるため同行させず、ゲルベルガさまの護衛を任せることにした。
ゴランへの相談
ゴランが帰宅すると、セルリスは先日の誤解について謝罪した。ゴランは隠し子などいないと笑い、親子は和解した。だがセルリスの思い込みの激しさを見たゴランは、ロックに娘を見守ってほしいと改めて強く頼んだ。
ゲルベルガさまの保護
セルリスはゴランにニワトリを飼ってよいか尋ねたが、ゴランは即座に反対した。そこでロックは、神鶏ゲルベルガさまがヴァンパイアたちに狙われていること、次元の門を閉じる力を持つことを説明した。ゴランは最初こそ戸惑ったが、ゲルベルガさまの重要性を理解した。
神鶏の血
シアは、ヴァンパイアが神鶏の血を吸えば一気に呪いが溜まり、次元の狭間への扉が開かれる危険があると説明した。神聖な存在を汚す行為そのものが強い呪いを生むためであった。ロックは、ますますゲルベルガさまを敵地へ連れていくべきではないと判断した。
王宮での保護案
ロックは、ヴァンパイアハイロード討伐中だけでもゴラン邸でゲルベルガさまを保護してほしいと頼もうとした。しかしゴランは、王宮で保護してもらう方が安全だと提案した。ロックは国王となったエリックに頼る発想が抜けていたことに気づき、王宮での保護を相談することにした。
ルッチラへの正体開示
王宮に行けばロックの正体が知られるため、ロックはルッチラに自分が英雄ラックであることを明かした。ルッチラとゲルベルガさまは大きく驚き、ゲルベルガさまは英雄ラックの物語が好きだったことも判明した。ロックは、自分を題材にした絵本が国中に配られていたことを知り、気恥ずかしさを覚えた。
王宮への訪問
ゴランが連絡を取ると、すぐにエリックとの面会が許された。ロックたちは馬車で王宮へ向かい、応接室に通された。ゴランは、エリックが教育政策として多くの徒弟を王宮で育てていることを話し、ロックは国王としてのエリックの取り組みに感心した。
エリックの娘たち
エリックはロックに、娘のシャルロットとマリーを紹介した。エリックは、魔神王との戦いでロックが身を挺してくれたからこそ娘たちに会えたのだと感謝した。ロックは照れながらも、エリックがずっと娘たちを紹介したがっていたことを受け止めた。
王女たちとゲルベルガさま
マリーとシャルロットはゲルベルガさまに興味を持ち、撫でて楽しんだ。セルリスは二人を優しく見守り、ゲルベルガさまも一緒に遊ぶようにセルリスの肩へ飛び移った。子供たちとゲルベルガさまが別室へ移動したことで、ロックたちは血なまぐさい本題に入れるようになった。
王宮保護の決定
ロックはエリックに、ヴァンパイアハイロードの動き、ゲルベルガさまの力、神鶏の血を吸われる危険を説明した。エリックは事態を重く受け止め、ゲルベルガさまとルッチラを王宮で責任を持って保護すると約束した。これにより、ロックはシアとともにヴァンパイアハイロード討伐へ向かう準備を整えた。
第六章
ハイロード討伐の作戦
ロックはヴァンパイアハイロード討伐について、シアと正面から突っ込むつもりでいた。しかしエリックとゴランは無策すぎると反対し、シアも狼の獣人族がロードたちを引きつけている間に、ロックがハイロードを討つべきだと主張した。ロックは陽動を引き受けるつもりだったが、自己犠牲ではなく全員の生還を前提にしていると説明した。
魅了と眷属化の危険
ゴランとエリックは、ヴァンパイア相手に冒険者や騎士を出しにくい理由として、魅了と眷属化の危険を挙げた。味方が敵に回れば被害が広がり、眷属化されれば救うことも難しかった。そのため、吸血や魅了が効かない狼の獣人族が主力となり、エリックは必要な武器や物資の援助を約束した。
勇者と戦士の参戦
エリックとゴランは、自分たちも前線に出るつもりだと告げた。ロックは国王とグランドマスターが出ることに難色を示したが、エリックは国王の代わりはいても勇者の代わりはいないと断言した。ゴランもSランク戦士としての自分の代わりはいないと述べ、ロックは二人の同行を受け入れた。
王宮の襲撃
作戦相談中、隣室から物騒な音が響いた。駆けつけると、セルリスが王女二人とゲルベルガさまをかばいながらレッサーヴァンパイアと戦っていた。セルリスは初動で敵の攻撃を防ぎ、ロックとゴランが残る敵を倒したため、けが人は出なかった。
転移魔法陣の皿
セルリスの話から、ヴァンパイアは魔法陣から現れたことがわかった。ロックは部屋にあった大皿の裏に転移魔法陣が刻まれているのを発見した。その皿はメイドがおやつを運ぶために持ち込んだものであり、ロックはシアとセルリスにそのメイドの確保を任せた。
幻術による尋問
ロックは捕らえたレッサーヴァンパイアに、ルッチラから学んだ幻術をかけた。ヴァンパイアロードの幻を見せることで相手を認識阻害状態にし、第六位階のロードの配下であることや、王宮にも多数の眷属が入り込んでいることを聞き出した。だが、レッサーヴァンパイアたちは仕込まれていた毒で灰になった。
第六位階への転移
ロックは転移魔法陣を使い、第六位階の拠点へ単独で乗り込んだ。到着先では幻術で第八位階のロードに見せかけ、アークヴァンパイアに案内させた。第六位階の部屋に着くと、ロックは即座に正体を隠す必要を捨て、アークヴァンパイアたちを斬り伏せた。
第六位階の討伐
第六位階は無詠唱の魔法や剣で応戦したが、ロックは魔神王の剣と体術で追い詰めた。逃げようとコウモリに変化しかけた第六位階を斬り裂き、首だけにして尋問しようとした。しかし第六位階は情報を明かさず、自ら灰となって消えた。
第六位階の拠点
ロックは第六位階のメダルを魔神王の剣で斬って呪いを浄化し、魔石と剣を回収した。その後、拠点内のアークヴァンパイアやレッサーヴァンパイアをすべて倒した。外に出ると新しく作られた砦と人のいない村があり、眷属だった村人たちは第六位階の死によって灰になっていた。
王宮の内通者
ロックが王宮へ戻ると、王宮内で五人が灰になり、三十人が気絶したとの報告が入った。灰になった者は第六位階の眷属であり、気絶した者は魅了されていた者だと考えられた。王宮には他のロードの手の者も入り込んでいる可能性が高く、ゲルベルガさまを王宮に置く安全性も揺らいだ。
神鶏同行の決定
ロックは、王宮やゴラン邸にも転移魔法陣を持ち込まれる危険がある以上、ゲルベルガさまは自分と行動した方が安全だと判断した。エリックとゴランも、ゲルベルガさまを守るためロックに同行すると決めた。最終的に、ロック、エリック、ゴラン、シアがゲルベルガさまとともにヴァンパイアハイロード討伐へ向かうことになった。
第七章
セルリスの待機
ヴァンパイアハイロード討伐に向かうことが決まると、セルリスは同行を願い出た。しかしゴランは、今回の相手では力不足で足手まといになるとはっきり告げた。セルリスは悔しがったが、ラックとエリックに励まされ、王女たちやレフィ、ルッチラを守る役目を受け入れた。
ゲルベルガさまとの出立
ラックはルッチラからゲルベルガさまを預かり、短い仮眠の後、胸当てを改造して中に入れた。第六位階の討伐がハイロード側に知られる前に仕掛ける必要があったため、ラックたちは王宮を出立した。道中、エリックは狼獣人族との調整を気にしたが、シアは王家側がすでに襲撃の当事者であるため筋は通ると説明した。
狼獣人族の報告
ラックたちは馬を替えながら北の山地へ向かい、日の出後に到着した。そこで狼獣人族の族長の一人と合流し、部族連合が被害を出しながらもハイロードの本拠地を突き止めたことを知った。エリックは、ラックたちがハイロードを討ち、狼獣人族が周囲のロード拠点を攻める作戦をまとめた。
シアの新しい剣
ハイロードの拠点へ向かう途中、ラックは第六位階が使っていた剣をシアに譲った。その剣は魔神王の剣と打ち合っても折れなかった業物であり、軽く、シアの戦い方にも合っていた。ラックは呪いや悪しき魔法がないことを確認しており、シアは感謝して受け取った。
隠された洞窟
目的地には何もないように見えたが、ラックとシアはヴァンパイア独自の隠蔽魔法を見抜いた。ラックはそれを解除し、洞窟の入り口を出現させたうえで、眠りの雲を中へ流し込んだ。捕らえられた者がいる可能性を考え、大魔法で一掃せず、レッサーヴァンパイアだけを眠らせてから突入した。
ロード五匹の足止め
洞窟内ではゴランが先頭を進み、エリックが取りこぼした敵を倒し、シアが罠を見破りながら進んだ。やがて五匹のヴァンパイアロードが立ちはだかると、エリックとゴランは自分たちが足止めすると言った。ラックとシアは二人を信じ、ハイロードのいる奥へ駆け抜けた。
ハイロードとの対峙
奥の部屋には銀髪の青年の姿をしたヴァンパイアハイロードがいた。ハイロードは攻性防壁を張り、檻の中には大きな狼もいた。ラックは魅了が効かないことを告げつつ隙を探り、シアが横へ回り込んだタイミングで攻撃を仕掛けた。
再生するハイロード
ラックは魔神王の剣でハイロードの攻性防壁を破り、シアとの連携で左腕を斬り飛ばした。しかしハイロードはすぐに腕を再生した。ラックは一撃では魔力を吸いきれないだけだとシアを落ち着かせ、火炎魔法やドレインタッチを交えて攻勢を強めた。
神鶏の鳴き声
追い詰められたハイロードは霧になって逃げようとしたが、ゲルベルガさまが鳴き、霧になりかけた部分を灰に変えた。ハイロードは神鶏の存在に気づき、逆にゲルベルガさまを狙い始めた。ゲルベルガさまはラックの懐で震え、ハイロードは昏き神の加護を発動した。
昏き神の加護
昏き神の加護は、強い人族や聖なる者ほど苦しめる結界であった。ラックは激しい頭痛としびれに襲われ、シアも膝をつき、ゲルベルガさまも苦しんだ。ラックは新たに覚えた攻性防壁でゲルベルガさまを守り、傀儡人形の魔法で自分の体を無理やり動かして結界のコアへ向かった。
結界の破壊
ハイロードはラックの狙いに気づいて追撃したが、シアが剣で足止めした。シアは肩を斬られたものの時間を稼ぎ、ラックは魔神王の剣でコアを破壊した。昏き神の加護が消えると、ラックはハイロードの腕を斬り落とし、顎を殴って動きを止め、首をはねた。
ハイロードの最期
ハイロードはなお霧になって逃げようとしたが、ラックの斬撃とゲルベルガさまの鳴き声で首だけを残して灰になった。そこへエリックとゴランが合流し、尋問を試みたが、ハイロードは何も語らず自ら消滅した。残されたメダルにはほとんど呪いが残っておらず、ラックは昏き神の加護の発動に呪いを使い切ったのだと推測した。
狼の霊獣
ハイロードの部屋の檻には、馬ほど大きな狼が眠っていた。シアはそれを狼の霊獣だと見抜き、狼獣人族にとって遠い親戚のような存在だと説明した。ラックが魔法で檻を開け、眠りの雲の効果を解除すると、狼は怯えて暴れたが、ラックに抱きしめられて落ち着いた。
捕虜の救出
ラックたちは拠点内を調べ、眠っていたレッサーヴァンパイアを倒し、捕らえられていた狼獣人五人と人間二十人を保護した。外では狼獣人の戦士たちが集まっており、エリックはヴァンパイアハイロード討伐が皆の勝利であると宣言した。狼獣人族は勝どきを上げ、シアと解放された狼もそれに加わった。
懐いた狼
後処理を狼獣人族に任せ、ラックたちは王宮へ戻ろうとした。しかし解放された狼はラックたちの後をついてきた。シアは、自由になったからこそラックについてきているのだと言い、狼もそれに応えるように鳴いた。ラックが一緒に来るかと尋ねると、狼は喜び、尻尾を大きく振った。
第八章
王宮への帰還
ラックたちは王都へ戻り、王宮でシャルロットとマリーに出迎えられた。王女たちはセルリスが守ってくれたと話し、エリックは無事を喜んで娘たちを抱き上げた。部屋の端にはセルリスとルッチラがおり、二人の前には倒したヴァンパイアの魔石が集められていた。
王宮に侵入した上位種
セルリスとルッチラは、王宮を襲った十五匹のヴァンパイアを退けていた。ラックが魔石を調べると、レッサーだけでなくアークヴァンパイアの魔石が二つ混じっていた。神の加護がある王宮に上位種が侵入したことは重大であり、エリックは宮廷魔導士長と宮廷錬金術士長に敵の所持品を調べさせることにした。
ラックの望み
エリックは国王としてラックに褒美を与えようとした。ラックは十年前の自分の財産を使えるようにしてほしいと頼んだが、それは褒美にならないと言われ、家を望んだ。ゴランとセルリスは引き留めたが、ラックは自分の家が欲しいと考え、ゲルベルガさまやルッチラ、狼も暮らせる庭付きの家を希望した。
王宮での夜
ラックは王宮に部屋を借り、狼、ゲルベルガさま、ルッチラとともに眠った。翌朝、論功行賞が行われることになり、ラックはルッチラとともに謁見室へ向かった。そこには狼獣人族の族長たち、シア、ゴラン、セルリスが集まっていた。
論功行賞
エリックはヴァンパイアの跳梁を防いだ功績をたたえ、獣人族の族長たち、シア、ルッチラに騎士位と褒賞金を与えた。族長以外の戦士にも褒賞金が与えられ、希望者には王宮警備の職も用意された。ゴラン親子には褒賞金が、ラックには屋敷が与えられた。
シアの父
論功行賞の後、ラックはシアの父と対面した。シアの父は怪我を押して戦闘に参加し、一族でロード二匹を倒していた。シアは無理をした父を叱っていたが、父は娘の心配を嬉しく思っているようであり、ラックに何度も礼を述べた。
新しい屋敷
昼過ぎ、ラックはエリックが用意した家へ向かった。そこは断絶した男爵家の屋敷で、二階建ての大きな家だった。広い庭を見たゲルベルガさまと狼は楽しそうに走り回り、シアも王都に来た時に泊まってよいと言われて喜んだ。狼は名前を期待したが、ラックはもう少し考えることにした。
書き下ろし短編 セルリスの憂鬱
眠り続けるラック
ラックが次元の狭間から帰ってきた直後、疲れ切ったラックはゴランの屋敷で一週間眠り続けた。ゴランは十年間戦い続けたのだから仕方ないと考え、起こさずに寝かせていた。だがセルリスは、国王エリックまで訪ねてきた客人が何者なのかわからず、不審に思っていた。
客人への疑念
セルリスは、ゴランが客人を大切に扱い、昔から知る大切な人物だと語るのを聞いて疑念を深めた。さらに、ゴランのままならないものだという言葉を、ママがいなくてよかったと聞き間違えた。セルリスは混乱し、母の不在中に父が何かを隠しているのではないかと思い始めた。
隠し子の思い込み
セルリスは、若く見えるラックをゴランの隠し子ではないかと考えた。エリックとの談笑も、隠し子を認めてもらうための根回しだと思い込んだ。悪いのはゴランであり、まだ眠っているラックには罪がないと考えたセルリスは、ラックを勝手に弟のように見なし始めた。
膨らむ誤解
セルリスは、ゴランがラックを心配するたびに発覚を恐れているのだと受け取った。母へ手紙で知らせるべきか悩み、家庭の危機だと考えるまでになった。悩んだセルリスはパンを食べる量と大剣の素振りを増やし続け、誤解はラックが目覚めてからさらに三日後まで解けなかった。
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