物語の概要
■ 作品概要
本作は、「小説家になろう」発の大人気ファンタジー作品の第4弾である。魔神王を倒して10年後の世界に帰還した最強魔導士ラックは、正体を隠しFランク冒険者の「ロック」として、仲間たちと騒がしくも平穏な日々を送っていた。風竜王ケーテの宮殿を昏き者どもから取り戻した後、今度は水竜族の集落が狙われていることが判明する。水竜族は先代王が不慮の事故で亡くなり、幼い王太女リーアしかおらず庇護者がいない状態であった。ラックたちは水竜族を護るべく、結界の防衛戦や敵本拠地への強襲に身を投じる。さらに、同居人のルッチラが実は女であったという秘密も明らかになり、日常とバトルの両面で新たな展開を見せる。
■ 主要キャラクター
・ラック(ロック):元勇者パーティーの最強魔導士。身分を隠して生活しているが、水竜族を救うため、隕石召喚などの圧倒的な魔法で敵を粉砕する。
・ルッチラ:ラックの屋敷の同居人。男と思われていたが、一族の族長会議の掟のために性別を偽っていただけで、実は女であることが判明する。
・ケーテ:風竜王のドラゴン娘。ラックと仲が良く、水竜族の防衛にも協力する。
・ドルゴ:先代の風竜王でケーテの父。転移魔法陣の作成や前線での戦闘など、ラックたちを強力にサポートする。
・リーア:水竜族の幼い王太女。ラックを慕い、堅苦しい儀礼を抜きにして彼と友人になる。
・エリック:メンディリバル王国国王で元勇者。国王でありながら、水竜族の防衛や敵本拠地襲撃の最前線で戦う。
・ゴラン:冒険者ギルドのグランドマスターで元戦士。エリックとともに強力なヴァンパイアと激闘を繰り広げる。
・セルリス:ゴランの娘の新人冒険者。ラックとフィリーが作った精神抵抗の魔道具を得て、激戦に参加する。
・フィリー:天才錬金術士。風竜王の書庫で得た知識をもとに精神抵抗を高める魔道具を製作し、仲間を支援する。 ・ガルヴ:霊獣の子狼。ヴァンパイアの霧化を噛みついて封じるなど、戦闘でも勇敢にラックの背後を守る。
■ 物語の特徴
主人公ラックの規格外の無双劇と、個性豊かなキャラクターたちとの温かい日常の絶妙なバランスが本作の魅力である。第4巻では、幼い水竜の王太女リーアや先代風竜王ドルゴなど新たな竜族との交流が描かれ、人間関係がさらに広がっている。また、ルッチラの秘密が判明してからの女子たちの入浴シーンなど、賑やかな日常パートも充実している。戦闘面では、魔装機械や巨大な昏竜、毒を操るハイロードといった強敵に対し、ラックが隕石召喚や邪神の魔法を利用して圧倒する爽快感と、かつての勇者パーティーの頼もしい連携が読者を引き込むポイントとなっている。
書籍情報
ここは俺に任せて先に行けと言ってから10年がたったら伝説になっていた。4
著者:えぞぎんぎつね 氏
イラスト:DeeCHA 氏
出版社:SBクリエイティブ(GAノベル)
発売日:2020年1月12日
ISBN:978-4-8156-0290-1
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あらすじ・内容
水竜族を昏き者どもから救え!
ルッチラの秘密も明らかに!!
風竜王の宮殿を昏き者どもから取り戻し、平穏な日々を送るラックたち。
「がっはっは! 人族は仕事とかあって大変であるなー! 竜族にはそんなものないのである!
さぼっておけば父ちゃんが適当にやってくれるのだ!」
「ケーテよ。人族とうまくやるのはいいことだ。だが、それと公務をさぼることにどんな関係が?」
すっかりご機嫌なケーテの前に現れたのは、ドルゴ。
早くから風竜王の座を娘に譲ったケーテの父だった。
「……ごめんなさい」
一転しょぼくれて謝罪するケーテ。
他方、ドルゴも娘を叱るためにラックを訪ねたわけではなかった。
ドルゴ曰く、水竜族の集落が昏き者どもに狙われているという。
水竜族は先代の王が不慮の事故で亡くなり、
後継者は幼い娘が一人だけで庇護者がいないらしい。
昏き者どもが関わっている以上、放っておくわけにはいかない。
ラックは仲間と力を合わせると、水竜族を護るべく動き始めるが――!?
「あ、あなたがラックさまですか! お会いできて光栄です!」
幼い姫に憧れられたり、サインを求める長蛇の列に対応したり。
襲い来る昏き者どもを撃退したりと、今回もラックは縦横無尽に無双する!!
「今までずっと隠していましたが、実は、ぼく……」
思わぬところからルッチラの秘密も明らかになる、
元・勇者パーティーの最強魔導士ラックが、愉快で強い仲間たちと、時にのんびり、
時に無双して楽しい毎日を過ごす大人気ストーリー、第4弾!!
ここは俺に任せて先に行けと言ってから10年がたったら伝説になっていた。4
感想
シリーズらしい爽快な無双劇を楽しめる一方で、少し物足りなさも感じた一冊だった。
一番気になったのは、物語の展開である。
相変わらずヴァンパイアたちが次々と現れ、そのたびにラックたちが撃退していく流れが続く。読んでいて安心感はあるものの、似たような展開が続くため、途中で少し単調に感じる場面もあった。
敵の目的がまだはっきり見えてこないこともあり、「この戦いはどこへ向かっているのだろう」と思うことが何度かあった。
また、内容とは関係ないものの、紙の書籍はページ下部の余白がかなり広く、少し気になってしまった。読みやすさを意識したレイアウトなのかもしれないが、もう少し文章量があっても良かったように感じる。
一方で、今回も日常パートは非常に楽しめた。
特に驚いたのは、ずっと男だと思われていたルッチラが実は少女だったという展開である。ラックたちが一斉に驚く場面は思わず笑ってしまい、本作らしい和やかな空気を感じられた。
さらに、先代風竜王ドルゴの来訪をきっかけに、水竜族との交流が描かれるのも印象的だった。
幼い王太女リーアを支えるために力を貸す流れは温かく、狼の獣人族と水竜族という、本来なら接点の少ない種族同士が少しずつ信頼関係を築いていく様子には心が和んだ。
こうした種族を越えた交流は、この作品の好きなところの一つである。
もちろん、戦闘シーンも見応えがあった。
ヴァンパイアの魅了に対抗するため、ラックとフィリーが協力して魔道具を開発する流れは、ただ力押しで戦うだけではない面白さがあった。
そして、敵の本拠地が判明した後、ラックが放った「隕石召喚」は圧巻だった。
結界ごと敵を吹き飛ばす豪快さには思わず笑ってしまうほどで、「やっぱりラックは規格外だ」と改めて実感した場面だった。
さらに、水竜族の集落が巨大昏竜や魔装機械の大群に襲われた際には、転移魔法陣を使って駆けつけ、仲間たちと共闘する展開も熱かった。
かつての仲間たちがそれぞれ活躍する姿は安心感があり、読んでいて素直に楽しめた。
読後に感じたのは、敵の背後にいる「至高の王」の存在がようやく物語を大きく動かし始めそうだということだった。
これまではヴァンパイアとの戦いが中心だったが、その黒幕が少しずつ姿を見せ始めたことで、今後は物語がさらに大きく動いていきそうな予感がする。
今回は少し単調さを感じる部分もあったが、そのぶん次巻では敵の目的や世界の謎が明かされ、さらにスケールの大きな展開になることを期待したい。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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考察・解説
遺跡保護委員会の設立
『ここは俺に任せて先に行けと言ってから10年がたったら伝説になっていた。』第4巻における「遺跡保護委員会」は、前巻で結成された極秘同盟が具体的な組織体制を確立し、世界を脅かす危機に対して初めての組織的救出任務へと動き出す重要な転換点として描かれている。
希望役職の丸投げから自作された立派な組織表、国同士のパワーバランスを考慮した英雄ロックの委員長就任、各分野の専門性に合わせた局長らの配属、そして先代風竜王からの救援要請に伴う水竜族の保護任務にいたる全容は以下の通りである。
翌朝に提示された委員長を頂点にいくつかの局に分かれた立派な自作の組織表
同盟結成後、ケーテはロック(ラック)たちに役職の希望を尋ねる。
・しかしロックたちは「ケーテの好きにしていい」と丸投げしてしまう。
・その結果、翌朝ケーテは委員長を頂点にいくつかの局に分かれた立派な「遺跡保護委員会の組織表」を自作して持ってくることになる。
国同士の角を立てないための英雄のトップ起用と適材適所の各局長配置
ケーテの決めた役職は、それぞれの特性や実力を考慮した特異な構成となっている。
・委員長:ロック(ラック) エリックもケーテも王であるため、どちらかがトップになると国同士の力関係で角が立ってしまう。そこで、人族の枠に収まらない英雄であり、竜たちも納得する適役としてロックが委員長に据えられた。
・最高顧問:ゲルベルガさま 神鶏さまであるため、最高顧問が適役だと判断された。
・各局の局長:エリック(政治局長)、ケーテ(書記局長)、ゴラン(冒険局長)、フィリー(錬金局長)といった、それぞれの得意分野に合わせた役職が割り当てられた。
・事務局長:ミルカ ケーテが話した結果「天才だとわかった」という理由で、ロックの徒弟であるミルカが抜擢された。
・狼:ガルヴ 謎の役職「狼」として、霊獣のガルヴが任命されている。
先代風竜王ドルゴがもたらした水竜族の危機と委員長としての初の保護決断
組織表ができた直後、先代風竜王のドルゴが訪れ、委員会の結成を祝うとともに「水竜族の集落が昏き者どもに狙われている」という重大な報告をもたらす。
・ドルゴからの救援要請に対し、エリックは「委員長。どうされますか?」「委員長のラックに任せる」と、さっそくロックに判断を委ねる。
・ロックは「委員長って俺か」と戸惑いつつも、水竜が生贄にされて邪神が召喚されれば人族も無事では済まない、と判断した。
・委員長として水竜族の保護を手伝うことを決断した。
・これが、遺跡保護委員会としての最初の大きな任務となる。
まとめ
遺跡保護委員会の組織体制決定と初任務への着手は、個人間の繋がりであった最強戦力が、世界の危機に対抗するための公的な執行機関へと昇華されたプロセスである。王同士の摩擦を避けるためにロックを委員長に据え、神鶏や霊獣までを網羅した適材適所の配陣は、秘匿同盟でありながらも極めて強固な連携を可能にした。組織化直後に先代風竜王よりもたらされた水竜族の危機に対し、ロックが世界の調和を見据えて保護を決断した一歩は、この委員会が単なる遺跡管理に留まらず、昏き者どもの陰謀を阻止するための最高防衛組織として機能し始めたことを厳密に証明している。
ルッチラの正体判明
『ここは俺に任せて先に行けと言ってから10年がたったら伝説になっていた。』第4巻における「ルッチラの正体判明」は、魔族の少年としてラック(ロック)の屋敷に同居していたルッチラが、実は少女であったことが発覚し、その背景にある一族再興の過酷な事情と、それに対する英雄や国王らの強力な支援、そして秘密からの解放にいたる過程として描かれている。
入浴時の違和感から発覚したルッチラの真の性別、女性であることを隠し男として振る舞わざるを得なかった領主制度の障壁、国家中枢の実権者たちによる制度改変への介入と土地直轄地化の迅速な支援、そして女子として迎え入れられた賑やかな入浴風景にいたる全容は以下の通りである。
お風呂への同行固辞と女子の匂いを巡る発言から発覚した本当の性別
風竜王の宮殿奪還後、ロックの屋敷にケーテが宿泊することになり、女性陣が揃って広いお風呂に入ることになった。
・その際、同行を固辞するルッチラに対してケーテが「ルッチラからは女子の匂いしかしない」と発言したことがきっかけとなる。
・ルッチラ本人は焦り、一緒に隠していたゲルベルガも激しく動揺してロックの腕に飛び込む。
・ロックの「もし性別を偽っていたとしても、気にしなくてもいい」という言葉と、ゲルベルガの促しもあり、ルッチラは実は女であったことを告白した。
・実は、嗅覚の鋭いシアやニア、観察眼のあるセルリスはルッチラが女であることに気づいていたが、あえて指摘していなかった。
・一方で、ロック、ゴラン、ミルカ、フィリーは全く気づいておらず、大いに驚くことになる。
一族全滅後の族長会議出席と男限定を定める領主方針の打破を狙った男装
ルッチラが性別を偽っていた理由は、一族の復興のためであった。
・ルッチラの一族は昏き者どもの襲撃でルッチラ一人を残して全滅してしまったが、彼女は成人後に族長会議に出席して一族を再興するつもりであった。
・しかし、彼女の住んでいた地域を治める領主の方針で、族長会議に出席できるのは男だけ、と定められていた。
・族長として認められるために男として振る舞わざるを得なかったのである。
・お風呂に入りたがらなかったのも、服を脱いで女だとバレるのを恐れていたためであった。
すでに得ていた貴族爵位の指摘と国王による土地買い取りおよび直轄地化の断行
事情を知ったロックとゴランは、ルッチラがヴァンパイアハイロード討伐の功績ですでに騎士の爵位を得ており、立派な貴族であることを指摘する。
・平民相手ならともかく、貴族に対して領主が勝手な方針を押し付けることはできない。
・もめた場合は枢密顧問官であるロックや国王のエリックが力になると約束した。
・さらに翌朝、事情を察していたエリックから、元の領主から土地を買い取ってすでに王の直轄地にしたこと、族長会議の制度を変えるように圧力をかけていることが明かされる。
・これにより、ルッチラとゲルベルガは深く感謝した。
初めて打ち明けた裸体への羞恥とケーテによる魔族特有の角のケア
秘密を打ち明けたことで、ルッチラも女子たちと一緒にお風呂に入ることになる。
・これまで誰にも裸を見せたことがなく恥ずかしがるルッチラであったが、ケーテが強引に背中流しを買って出る。
・ケーテはルッチラの髪だけでなく、汚れがたまりやすい角のケア方法を教えながら丁寧に洗ってあげた。
まとめ
ルッチラの正体判明と性別を巡る一件は、昏き者どもの襲撃を生き延びた少女が、古い因習や不条理な領主制度に一人で立ち向かおうとしていた健気な闘いの終結を意味している。彼女が男を偽らざるを得なかった背景に対し、すでに騎士の爵位を持つ貴族であるという事実の提示と、国王エリックによる土地の直轄地化および制度改変への圧力という迅速な政治的解決は、強大な権力が正しく身内を護るために機能した実例である。秘密から解放され、ケーテら女性陣から魔族特有の角のケアを受けるなどして笑顔を取り戻したプロセスは、屋敷に本当の家族のような安息の場が確立されたことを厳密に証明している。
水竜の集落防衛
『ここは俺に任せて先に行けと言ってから10年がたったら伝説になっていた。』第4巻における「水竜の集落防衛」は、先代王を失った水竜族を昏き者どもの陰謀から守るため、遺跡保護委員会が総力を挙げて防衛体制を構築し、魔装機械や巨大な昏竜の大群による大規模な襲撃を撃退した一連の防衛・迎撃戦の記録である。
庇護者を失った水竜族の救援を引き受けた経緯、侵入者探知の魔法と腕輪を連動させた監視体制の構築、強酸や猛毒のブレスを放つ強敵との死闘、そして転移魔法陣を刻んだ盾による急行体制の確立と防衛成功にいたる全容は以下の通りである。
先代の王を失った幼い王太女リーアの窮地と邪神召喚の生贄阻止に向けた防衛協力
先代風竜王ドルゴから、水竜族の集落が昏き者どもに狙われているという報告がもたらされた。
・水竜族は先代の王が不慮の事故で亡くなり、幼い王太女リーアしかおらず庇護者がいない状態であった。
・遺跡保護委員会の委員長であるロックは、水竜が生贄にされて邪神が召喚される事態を防ぐため、防衛への協力を快諾した。
正面門に限定されるロード級の侵入と結界をすり抜ける下位種を捉える探知魔法
水竜の集落には全体を覆う強固な結界が張られており、魔力の強い魔物は2本の柱が立つ正面の門からしか侵入できない仕組みになっていた。
・しかし、魔力の弱いレッサーヴァンパイアなどは結界をすり抜けてしまう。
・ロックは集落全体に侵入者探知の魔法をかけて自らの腕輪と連動させた。
・さらにロック自身も毎晩集落に泊まり込み、水竜たちと連携して防衛、巡回体制を敷いた。
結界破りの魔道具を用いた襲撃とドレインタッチによるハイロード毒剣負傷の回復
毎日のように続く偵察を兼ねた襲撃の後、ついに大規模な襲撃が発生する。
・敵は結界破りの魔道具を使用したロードたちや、作動前であれば結界に弾かれないことを利用して持ち込んだ魔装機械、そして強酸と猛毒のブレスを吐く巨大な昏竜などを投入してきた。
・ロックはハイロードの毒の剣で負傷しながらも、ドレインタッチで敵から生命力を奪って回復しつつ、仲間や水竜たちと協力して強敵を殲滅した。
転移魔法陣を刻んだ盾による接続と集落を襲った昏竜20頭および魔装機械30機の完全掃討
その後、狼の獣人族の調査によって敵の本拠地が特定されると、敵が防衛の手薄になった集落を陽動として狙う可能性が浮上した。
・防衛班(ケーテ、リーア、ニアなど)と本拠地襲撃班(ロック、エリック、ゴラン、ドルゴなど)に分かれる。
・襲撃班がエリックの持つ「転移魔法陣を刻んだ盾」を持ち込むことで、いざという時に即座に集落の救援に戻れる体制を構築した。
・実際に本拠地襲撃の最中、水竜の集落は昏竜20頭と魔装機械30機という大群に襲われ危機に陥ったが、ロックたちは盾の魔法陣を通じて急行した。
・魔装機械の攻撃属性に応じて障壁を切り替える機能に苦戦しつつも、水竜たちと連携してこれを完全に掃討し、集落の防衛に成功した。
まとめ
水竜の集落防衛は、脆弱な防衛基盤しか持たない水竜族を、ロックの魔導戦術と遺跡保護委員会の高度な連携によって護り抜いた電撃的な防衛戦である。下位種の侵入を許さない独自の探知ネットワークの構築や、敵の猛毒攻撃をドレインタッチで相殺する個人の戦闘能力が、集落の全滅を未然に防いだ。さらに、陽動による裏をかく敵の奇襲に対し、「転移魔法陣を刻んだ盾」を用いた空間移動による迅速な救援体制で昏竜や魔装機械の大群を完全に掃討したプロセスは、組織的な防衛ネットワークと最強戦力の合致が世界の調和を維持する上で不可欠であることを厳密に証明している。
精神抵抗の魔道具
『ここは俺に任せて先に行けと言ってから10年がたったら伝説になっていた。』第4巻における「精神抵抗の魔道具」は、吸血鬼の最大の武器である魅了の能力に対抗するため、主人公ロックと天才錬金術士フィリーが協力して開発し、さらに王国軍や冒険者へ配備するための量産化プロセスにまで至った重要な防衛装備開発の記録である。
魅了による洗脳を未然に防ぐための開発のきっかけ、王宮図書室や風竜王の巨大書庫を駆使した技術調査、賢者の石を組み込んだ腕輪の試作とケーテ同等の耐性実証、そしてミスリルや魔石を用いたコストダウンと国庫資金による大量製造にいたる全容は以下の通りである。
吸血鬼の魅了能力による洗脳リスクの排除と本拠地探索への同行条件
水竜の集落防衛において、ヴァンパイアロードやアークヴァンパイアといった魔装機械の影に隠れて奇襲してくる敵の対応にセルリスたちが活躍した。
・しかし、魔装機械などの強敵が投入される戦場は危険すぎるとして、ロックはセルリスたちに防衛への参加を禁じる。
・代わりに狼の獣人族とともに敵の本拠地を探る任務へ同行したいとセルリスが申し出た。
・ロックはヴァンパイアの魅了を恐れ、精神抵抗を高める魔道具を用意してから出発すべきだと判断した。
検索魔法を用いた竜族書庫の巨大本解読と先王ドルゴによる理論協力
ロックは錬金術士のフィリーとともに、魔道具の作り方を調べるため、エリックの許可を得て王宮の図書室で文献を漁る。
・ある程度の知識は得られたもののさらに情報を深める必要があり、錬金術を得意とする風竜族の先王ドルゴの協力を得ることになる。
・風竜王の宮殿の書庫にある竜族の巨大な本から、ケーテに教わった検索魔法を駆使してロックとフィリーは必要な理論や素材に関する知識を見つけ出した。
オリハルコンと賢者の石を用いた腕輪の試作とハイロードの魅了を弾く耐性テスト
屋敷の研究室に戻った二人は、フィリーが図面を引き、ロックが魔法理論を組み合わせる形で共同製作に入る。
・フィリーがオリハルコン、ミスリル、魔石、少量の賢者の石などを用いて素材を精製し、ロックが的確に魔法陣を刻むことで、腕輪形式の魔道具が完成した。
・この腕輪は、身につけると体内の魔法回路に作用し精神抵抗を向上させる効果がある。
・完成した腕輪をセルリスに装備させ、ロックが幻術をかけてテストしたところ、本来精神抵抗が極めて高い風竜王のケーテと同等レベルにまで耐性が引き上げられていることが確認された。
・これにより、ヴァンパイアハイロードの魅了にも容易には屈しない防具が完成する。
ミスリル代替による構造簡略化と国庫資金を投入した魔石の大量調達手配
魔道具の完成後、フィリーは素材をミスリルや魔石などの安価なものに代え、構造を簡略化すれば量産が可能であることに気が付く。
・性能は落ちるものの、ロード級の魅了に抗える程度であれば、中隊や大隊規模の兵士や冒険者に配ることができる。
・ドルゴからも品質を落とさずに作りやすくする技法の助言を受ける。
・ロックはすぐにエリックとゴランへ連絡し、国庫の資金を使ってミスリルと魔石を大量調達するよう手配した。
・その後、ロックは水竜の集落防衛の合間に王都へ戻り、フィリーが作った量産型の腕輪に魔法をかけて仕上げるという作業を続けることになる。
まとめ
精神抵抗の魔道具の作成と量産化は、吸血鬼の精神支配という非対称な脅威に対し、人族の英知と竜族の古代技術を融合させて対抗した画期的な軍事技術革新である。オリハルコンや賢者の石を用いた試作品によって風竜王並みの絶対的な精神耐性を実証し、そこからミスリルベースへの移行による量産化への道筋を迅速に構築した。国庫資金の投入による大量調達と英雄たちによる製造ラインの確立は、個人の防衛に留まらず、王国全体の対吸血鬼防衛戦力を組織レベルで劇的に底上げしたことを厳密に証明している。
狼獣人族との共闘
『ここは俺に任せて先に行けと言ってから10年がたったら伝説になっていた。』第4巻における「狼獣人族との共闘」は、吸血鬼の精神支配が効かない固有の特性を持つ一族と人類の最高戦力が連携し、隠蔽された敵の本拠地を突き止めて強襲・掃討した一連の電撃作戦の記録である。
魅了への完全な耐性を活かした敵アジトの探索と特定、本拠地周囲に配置された昏竜や魔装機械を含む70匹の敵勢力との掃討戦、隕石召喚魔法を機とした伝説の英雄としての正体開示、水竜の王太女リーアとの間に結ばれた種族を超えた友好関係、そして作戦妨害によって至高の王の標的となった新たな危機の兆候にいたる全容は以下の通りである。
魅了を無効化する特性を活かした徒歩15分四方への敵アジト範囲絞り込み
狼の獣人族はヴァンパイアの「魅了」が効かないため、古くからヴァンパイア狩りを生業としている。
・水竜の集落が連日襲撃を受ける中、精神抵抗の魔道具を装備したセルリスや、シア、ニアが狼の獣人族の部隊に合流した。
・彼らはヴァンパイアたちが水竜の集落へ向かってくる方角(西)を突き止め、アジトの範囲を徒歩15分四方まで絞り込む。
・さらに、隠蔽魔法で強固に守られた具体的な拠点の場所を特定し、シアたちが伝令としてロックやエリックたちに情報をもたらした。
隕石召喚による結界破壊の裏で展開された昏竜10頭と吸血鬼70匹の足止め
特定された本拠地を叩く際、襲撃班と掃討班の間で厳密な役割分担が行われた。
・ロック、エリック、ゴラン、ドルゴら襲撃班が隕石召喚で結界を破壊して地下のアジトへ直接突入する。
・一方で、狼の獣人族は周囲に潜む敵の掃討という重要な任務を担った。
・本拠地の周囲には、昏竜10頭、魔装機械2機、そしてヴァンパイアロードに率いられた総勢70匹ものヴァンパイアが配置されていた。
・族長ダントンをはじめとする総勢100名近い狼の獣人族は、これらの敵が本拠地の防衛に向かうのを身を挺して防ぎ、襲撃班の作戦成功に大きく貢献した。
同時に12発の隕石を落とす規格外の大魔法開示と大賢者ラックの告白
作戦終了後、ロックが放った同時に12発の隕石を召喚するという規格外の大魔法を見た族長たちは、彼が単なるFランク冒険者ではないと察知する。
・伝説の英雄「大賢者にして最高魔導士ラック」であることに気づいた。
・ともに戦い抜いた彼らを信頼したロックは、自身の正体を秘密裏に明かした。
・族長たちは、英雄とともに戦えたことを一族の誇りとして深く感動する。
人化した王太女リーアから贈られた清浄なる魔力の短剣と国王からの正式褒賞
戦いの後、水竜族の王太女リーアが人の姿をとって狼の獣人族の前に現れ、防衛に尽力してくれたことへの感謝を直接伝えた。
・本来であれば交わることの少ない両種族であるが、リーアは水竜族と狼の獣人族との友好の証として、水竜の清浄なる魔力を込めた短剣を族長たちに贈る。
・エリック国王からも後日王宮で正式に褒賞が与えられることが宣言され、彼らの功績は高く評価された。
計画を打ち砕かれたヴァンパイアの親玉による激しい憎悪と皆殺し命令
しかし、この見事な共闘の裏で、新たな危機も迫っている。
・計画を打ち砕かれたヴァンパイアの親玉「至高の王」は、魅了が効かずに作戦を邪魔した狼の獣人族を激しく憎悪した。
・配下のハイロードたちに一族を皆殺しにするよう命じる。
・これにより、今後の物語で狼獣人族がさらなる激戦に巻き込まれることが示唆されている。
まとめ
狼獣人族との共闘は、固有の耐性を持つ隠密部隊と人類最高峰の破壊力が噛み合うことで、ヴァンパイアの防衛網を根底から瓦解させた模範的な連携劇である。一族の追跡能力が隠蔽された拠点を暴き出し、本陣突入の裏で展開された身を挺した足止め工作が、邪神召喚を阻止する隕石強襲を完全に成功させた。戦後に結ばれた水竜族との歴史的な友好と国家的な褒賞は彼らの多大な貢献を証明しているが、同時に「至高の王」の逆鱗に触れ、一族皆殺しの標的となった実態は、今後の防衛戦線において彼らがさらに重要な過酷な運命を背負うことを厳密に証明している。
登場キャラクター
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展開まとめ
序
寝過ごしたロック
ケーテの宮殿を取り戻した後、ロックたちは夜明けごろに王都へ戻った。エリックとゴランはそれぞれの仕事へ向かい、ロックはガルヴと昼まで眠るつもりだったが、目を覚ますと夕方になっていた。戦闘と移動の疲れが出ていたようであった。
屋敷でのケーテ
居間には皆がそろっており、ケーテは人族の家に泊まるのは初めてだと楽しそうにしていた。ロックは夕食も食べていくよう勧め、ミルカはケーテの好みを尋ねた。ケーテは肉や甘い菓子が好きだと答え、ミルカたちは食事の準備に向かった。
屋敷の動物たち
ロックはゲルベルガさまやタマを撫でながら、少しずつ太ってきたタマの様子を見た。ケーテはガルヴを抱き、屋敷には犬が多いと話したが、シアはガルヴが霊獣の狼であり、自分たち狼獣人族の遠い親戚のような存在だと説明した。ケーテはタマやゲルベルガさまにも興味を示した。
食堂のエリックとゴラン
夕食の場には、すでにエリックとゴランがいて酒を飲んでいた。二人は夜明けに帰って仕事を済ませてから屋敷へ来ており、ロックはその体力に感心した。セルリスはゴランの飲みすぎを心配し、食事もきちんと取るよう注意した。
獣たちの食事
ゲルベルガさま、タマ、ガルヴにもそれぞれ食事が用意された。ゲルベルガさまが先に食べ始め、それを見てタマ、さらにガルヴが食べ始めた。ロックは、体の小さい順に食べる様子から、彼らの間にも何らかの序列があるのかもしれないと感じた。
ミルカの料理
ケーテはミルカの料理を気に入り、天才料理人だと褒めた。ミルカは戸惑いながらも喜んでいた。普通の料理ではあったが、肉好きのケーテの口に合ったようで、食事の場は和やかな空気になった。
遺跡保護委員会の役職
食事中、ケーテは遺跡保護委員会の役職希望を聞こうとした。ロックとエリックは、役職はケーテに任せればよいと考えた。委員会は竜族とメンディリバル王国の秘密同盟であり、実質的には昏き者対策のための協力体制であった。
侵入者探知の腕輪
ケーテは昼ごろに遺跡を見回っており、異常はなかったと報告した。さらに、侵入者探知の魔法に反応があれば知らせる腕輪型の魔道具を見せた。ロックはその出来のよさに感心し、ケーテが魔法に優れていることを改めて感じた。
ガルヴとタマの遠慮
ガルヴは、痩せているタマを心配して自分の生肉をタマの皿へ入れた。タマはそれをガルヴの皿へ戻し、二頭は互いに遠慮し合った。ロックは足りなければまだあると伝え、ガルヴは安心して自分の肉を食べた。タマはまだ食が細かったが、少しずつ食べられる量は増えていた。
第一章
ケーテの宿泊
夕食後、エリックは王宮へ戻り、ゴランは屋敷に泊まることになった。ケーテも泊まりたそうにしていたため、ロックは声をかけた。ケーテは嬉しそうに反応し、ニアたちに誘われて皆と風呂へ向かおうとした。
ルッチラの秘密
ケーテはルッチラから女の匂いがすると言い、ルッチラが実は女であることが明らかになった。シアとニアは匂いで知っており、セルリスも見た目や声から察していた。ロックとゴラン、ミルカ、フィリーは気づいておらず、ルッチラは隠していたことを謝った。
族長会議の事情
ルッチラは、自分の一族が滅んでも一族を復興させるつもりであり、成人後に族長会議へ出るため男として振る舞っていた。だが、その会議は領主の方針で男しか出席できなかった。ロックとゴランは、ルッチラがすでに騎士の爵位を得ているため、領主も無理に排除できないだろうと説明した。
安心したルッチラ
ロックは、自分が枢密顧問官であるため、必要なら一族復興の手続きを助けられると伝えた。ルッチラは安心して涙をこぼし、ゲルベルガさまもそばに寄り添った。ロックは、まずエリックに頼んでルッチラの故郷の跡地を押さえるべきだと考えた。
女子たちの風呂
ルッチラが風呂を避けていたのは、服を脱いで女だと知られたくなかったからだった。ミルカは風呂嫌いや不潔好きではなかったことに安心し、シアやケーテもルッチラを一緒に風呂へ誘った。女子たちは皆で風呂へ向かい、ロックとゴランだけが残った。
おっさん同士の風呂
女子たちが風呂から上がった後、ロックとゴランも酒とつまみを持って風呂へ向かった。ロックはルッチラの一族復興についてゴランに相談したが、ゴランはエリックに任せればよいと答えた。ロックはその答えに納得し、安心して酒を飲んだ。
遺跡保護委員会の組織表
翌朝、ケーテは遺跡保護委員会の組織表を作っていた。委員長はロックで、最高顧問はゲルベルガさま、ケーテは書記局長、エリックは政治局長、ゴランは冒険局長、フィリーは錬金局長となっていた。ミルカは事務局長に任命されており、本人もよくわからないながら光栄だと喜んだ。
エリックの承認
エリックが屋敷に来ると、ロックはケーテの作った役職表を見せた。エリックは素晴らしいと評価し、ケーテも嬉しそうにした。その後、皆で朝食を取りながら、ロックはルッチラの一族復興についてエリックに相談した。
先回りした支援
エリックは、ルッチラの村と周辺の土地をすでに自分の直轄地にしていた。元の領主が金に困っていたため、税の一部免除と引き換えに土地を得ていたのである。さらに、男しか出席できない族長会議についても、制度を変えるよう圧力をかけていた。
王の気遣い
エリックはルッチラが女であることにも気づいており、ロックやゴランが気づかなかったことに呆れた。ルッチラとゲルベルガさまは、エリックの手配に深く感謝した。エリックは、今後も心配事があれば自分かロックに相談すればよいと優しく伝えた。
第二章
ドルゴの来訪
朝食後、屋敷にケーテの父であるドルゴ・セレスティアが訪れた。ドルゴは先代の風竜王でありながら腰が低く、娘が世話になっていることを丁寧に礼を述べた。食堂で公務をさぼっていたケーテを見つけると、風竜王としての自覚を持つよう厳しく叱った。
竜族のラック崇拝
ドルゴはロックがラック本人だと知ると、握手とサインを求めた。差し出された板は巨大なオリハルコン製で、ロックは魔法で名前を刻んだ。ケーテは自分がもらったサインより大きいと羨ましがり、ドルゴは備えが大切だと語った。
魔装機械製造装置
フィリーは、ケーテの宮殿から回収したごみ箱型の装置についてドルゴに尋ねた。ドルゴは現物を見ながら使い方を説明し、その装置で魔装機械を作るには患者の石か賢者の石が必要だと明かした。これにより、昏き者どもが愚者の石の量産態勢に入っている可能性が高まった。
竜族と昏き者どもの争い
ドルゴは地図を広げ、最近、竜族と昏き者どもの間で二十か所もの戦闘が起きていると報告した。さらに、報復として昏き者どもを狩る中で邪神の像とご禁制のハムを見つけたことを示した。フィリーは邪神像が患者の石で作られており、自分が作らされた像より精巧だと判断した。
水竜族の危機
ドルゴは、昏き者どもが邪神召喚に必要な呪いを得るため、竜族を狙っていると説明した。特に水竜族は王が不在で、幼い後継者しかいないため庇護者がおらず、集落が昏き者どもに狙われていた。風竜王に救援が求められていたが、ケーテは報告を確認しておらず、ドルゴに叱られた。
水竜族への協力
ドルゴは水竜族の防衛への協力を求めた。エリックは遺跡保護委員会の委員長であるロックに判断を委ね、ロックは水竜が生贄にされて邪神召喚につながれば人族も無事では済まないとして協力を了承した。ドルゴは水竜たちへの説明と受け入れ準備が必要だと述べ、出発は後日に調整されることになった。
風竜族の事情
ドルゴは、風竜族には集落がなく、各地にばらばらに暮らしていると説明した。風竜族のテリトリーは空であり、王宮は政治や救援の拠点として存在しているだけだった。風竜族は非常に速いため現状では比較的安全だが、ドルゴはケーテに連絡確認を怠らないよう改めて説教した。
竜族の王位継承
ドルゴは、竜族では後継者がある程度成長した時点で王位を譲るのが普通だと説明した。寿命が長く、加齢で衰えない竜族では、親が王位を譲らなければ子がいつまでも王になれず、親子や兄弟姉妹の争いが起こりかねないためであった。ロックたちは、竜族の王位争いが起きれば地形や気候まで変わりかねないと理解した。
風竜王宮の鍵
ドルゴは、ロックが風竜王の宮殿にかけた鍵に自分が入れなかったため、登録してほしいと頼んだ。ロックはすぐに向かうことにし、ドルゴが竜の姿になって王都から宮殿まで送った。ロックはドルゴを鍵に登録し、ドルゴは水竜の集落へ向かう前にロックを王都まで送り届けた。
第三章
王都への帰還
ドルゴと別れたロックは王都へ戻り、以前世話になった衛兵に挨拶して門を通った。そのまま冒険者ギルドに寄ると、アリオとジニーに会い、二人がネズミ退治や薬草採取を続けていることを確認した。ゴブリン退治の依頼は出ておらず、王都周辺は平穏であるようだった。
ガルヴとタマの散歩
屋敷に戻ると、タマとガルヴが出迎えた。セルリスから、ミルカたちはフィリーの授業中で、シアはギルドへ行ったと聞いたロックは、セルリスと一緒にタマとガルヴを散歩へ連れていった。最初はタマに合わせて屋敷周辺を歩き、その後はタマを置いて王都外でガルヴを思い切り走らせた。
セルリスの向上心
ロックはガルヴと木の棒を取り合う遊びをし、セルリスも後から追いついた。セルリスはガルヴやロックの速さに驚き、自分も鍛えなければならないと考えた。さらに魔素を浴びることや魔石を食べることについて尋ねたが、ロックは魔石は安定しすぎていて食べても強くならないと説明した。
疲れたガルヴ
ガルヴは遊び疲れて伏せたが、帰り道ではセルリスが競争を仕掛けたため、まだ走ることができた。屋敷に戻るとシアとタマが出迎え、シアはギルドに緊急性のある依頼はなかったと報告した。ガルヴは水を飲んだ後、腹を空かせていることをロックに訴えた。
セルリスの昼食作り
ミルカが授業中だったため、ロックは食事を買いに行こうとしたが、セルリスは食材を買って作ることを提案した。ロック、セルリス、シアは食材を買い、屋敷で昼食を作った。ガルヴはすぐ食べられるものを期待してがっかりしたが、完成した食事を勢いよく食べた。
フィリーの授業
授業を終えたミルカたちも合流し、皆でセルリスの作った昼食を食べた。ロックがフィリーに礼を言うと、フィリーはミルカ、ニア、ルッチラの飲み込みが早く、優秀な生徒だと褒めた。ミルカは昼食の準備を忘れたことを謝ったが、ロックは授業を優先すればよいと伝えた。
昼寝のガルヴ
食後、ガルヴは仰向けで腹を出して眠っていた。ロックは疲れて満腹になったのだろうと考え、ゲルベルガさまも抱きかかえて寝かせた。タマもフィリーに撫でられて眠そうにしており、屋敷には穏やかな昼の空気が流れていた。
ケーテの帰宅
そこへケーテが大きな声で帰宅し、ガルヴは驚いて飛び起きた。ケーテはまだ昼食を食べていないと言い、腹を鳴らしたため、ロックは一緒に食べるよう勧めた。食後、ケーテは眠るガルヴを撫で、ガルヴもすっかり警戒を解いていた。
遺跡巡回の意味
ケーテは今日の遺跡巡回が平和だったと報告したが、フィリーはそれを単純によいこととは言い切れないと指摘した。昏き者どもが必要な魔道具や装置を集め終えたため、遺跡を荒らす必要がなくなった可能性があるからである。魔装機械の数を考えると、愚者の石の量産が進んでいる可能性もあった。
フィリーの一人称
話の途中で、ロックはフィリーが自分をフィリーと呼ぶようになったことに気づいた。フィリーは母に我では可愛くないと言われたと赤面し、ロックはその呼び方も可愛いと伝えた。ケーテも我という一人称を気にしたが、ロックはケーテには似合っていると答えた。
ドルゴの転移魔法陣
その後、ドルゴが屋敷を訪れ、水竜たちと話をつけてきたと報告した。ドルゴは水竜の集落と風竜王の宮殿につながる転移魔法陣の板を用意しており、ロックが長く王都を離れずに済むよう配慮していた。ただし、転移先が敵に落ちれば屋敷への侵入経路にもなるため、設置場所には慎重さが必要だった。
新しい転移魔法陣部屋
ロックは、王宮への秘密通路とは離れた場所に新しい地下室を作り、そこに転移魔法陣を設置することにした。一階の空き部屋の床を魔法で加工し、地下を掘って防御を固めたうえで、ドルゴとケーテも開けられるよう登録した。後からエリックとゴランも訪れ、転移魔法陣の説明を受けて鍵に登録された。
水竜の集落への同行者
ドルゴは、水竜の集落へは翌日向かってほしいと伝えた。ケーテ、シア、ニア、セルリスが同行を希望し、ロックとゴランは危険度から悩んだ。しかしケーテとドルゴが許可したため、三人も同行することになった。ニアはフィリーの授業があるため、初日以外は午後から参加する形となった。
第四章
水竜の集落
翌朝、ロックたちは転移魔法陣で水竜の集落へ向かった。そこでは幼い王太女リーアが待っており、ドルゴがエリックやゴランたちを順に紹介した。最後にロックがラック本人として紹介されると、リーアは感激し、ケーテの提案で堅苦しい儀礼をやめて接することになった。
魔法陣部屋の防御
リーアはロックたちを案内し、転移魔法陣のある建物を出ようとした。ケーテに促され、ロックはまず魔法陣部屋に強固な防御魔法をかけ、扉の鍵にも関係者を登録した。リーアはその魔法を見て感動し、ケーテも自慢げにしていた。
水竜たちの歓迎
建物の外には多くの水竜が整列していた。水竜たちはロックをラック本人だと知ると大きくどよめき、順番に握手を求めた。ケーテが列を整理し、ロックは五十頭ほどの水竜と握手した。ガルヴも水竜たちに囲まれたが、おやつをもらってすぐに打ち解けた。
ロックの部屋
リーアは、ロックが集落に来たときに使う部屋を案内した。そこは竜の王族が人型でも竜の姿でも使えるように作られた広大な部屋だった。リーアは自分の部屋が隣だと喜び、セルリスたちも同じ部屋を使う流れになった。
集落の案内
リーアはガルヴに乗って集落を案内した。水竜たちはリーアが友人としてシアたちに呼び捨てを許すことを受け入れ、竜族と人族の作法の違いが明らかになった。リーアは年の近い女の子の友達ができたことを喜び、ケーテも友達だと確認して安心した。
水竜の結界
集落の入口には二本の大きな柱があり、そこが正式な出入り口だった。集落全体には強固な結界が張られており、強い魔力を持つ敵はこの入口からでなければ入れない仕組みであった。ロックは結界を調べ、ロードやハイロードは入口で迎え撃てばよいと判断した。
湖と集落
水竜の集落は巨大な湖と森に接しており、湖側には魔法の霧と結界が張られていた。水竜は水中でも活動できるが、基本的には地上で暮らしていた。広い集落はガルヴが走り回れるほどで、リーアも楽しそうに案内していた。
通話の腕輪
宮殿の応接室で、ドルゴはリーアや侍従長モーリス用の通話の腕輪を作り、ロックたちの腕輪とつなげた。ロックはドルゴの魔法を見て真似できる可能性を伝えたが、ドルゴは問題ないとして見学を許した。これにより、水竜側とも即時連絡できる体制が整った。
水竜防衛への集中
屋敷に戻った後、ロックは昏き者どもの動きについて考えた。風竜王の宮殿を襲った敵、水竜を狙う敵、王都に入り込んだ敵が至高の王につながっている可能性を考えたが、王都の調査は枢密院に任せるしかないと整理した。今は水竜を守ることに全力を尽くすべきだと考えた。
庭での稽古
その後、セルリスが剣の練習を頼みに来た。ロックは庭でセルリス、ニア、シアの稽古に付き合い、順番に木剣で打ち合った。三人とも筋はよかったが、一時間後には息を切らしており、ロックは持久力が課題だと見た。
第五章
水竜集落の日課
ロックは毎日、水竜の集落へ出向いて様子を確認するようになった。午前中はガルヴ、タマ、ゲルベルガさまを連れて見回り、午後はニアやセルリスへの剣術訓練、ミルカやルッチラへの魔法指導に時間を使った。水竜の集落ではリーアが毎日出迎え、水竜たちもロックたちの巡回についてきた。
侵入者探知の魔法
侍従長モーリスは、レッサーヴァンパイアやアークヴァンパイアが一日に何度か侵入を試みていると説明した。水竜にとって脅威ではないが面倒な存在であり、発見は目や鼻や耳に頼っていた。ロックは集落全体に侵入者探知の魔法を張り、侵入位置がわかる腕輪をモーリスに託した。
一週間後の襲撃
見回り生活が始まって一週間後の夜、ロックの腕輪にモーリスから襲撃の連絡が入った。ロックはすぐに起き、魔神王の剣だけを持って転移魔法陣へ向かった。ガルヴも後を追い、ロックは水竜の集落でリーアから門の方に侵入者が来たと聞いた。
門前の戦場
門ではモーリスたち水竜の精鋭が、昏竜やヴァンパイアたちと戦っていた。敵の数は多く、水竜たちはかなり苦戦していた。ロックは腕輪越しにエリックやゴランたちへ急ぐよう伝えつつ、魔力弾を放って昏竜の注意を引いた。
ガルヴの奮戦
ロックは昏竜やヴァンパイアロードへ魔力弾を撃ち込み、深手を負った敵を水竜たちが仕留めた。隙を突いてヴァンパイアロードが襲いかかったが、ガルヴが首に食らいついて霧化を封じ、そのまま灰にした。ロックはガルヴを褒め、ブレスを避けるため自分から離れすぎないよう注意した。
巨大昏竜の出現
敵の後方にいたヴァンパイアハイロードは、巨大な昏竜を切り札として呼び出した。その昏竜はドルゴよりも大きいほどで、黒い泥のような毒ブレスを吐いた。ロックは水竜たちを守るため魔法障壁を張ったが、毒ブレスは強力で、障壁を砕くほどの威力を持っていた。
ドルゴの参戦
ロックが障壁の維持に集中している隙にヴァンパイアロードが襲ったが、ドルゴが現れてその腹を拳で貫いた。ドルゴは竜形態になり、巨大昏竜と戦い始めた。ただし水竜集落を守るため、風のブレスは使わず、爪や牙、尻尾で戦うことになった。
巨大昏竜との決着
ロックはドルゴの障壁に助けられながら巨大昏竜へ接近し、魔法の槍や重力魔法を使って地面へ落とした。巨大昏竜の爪はロックの攻性防壁で砕け、ロックはその隙に手足を斬り落とした。さらに邪神の頭部から得た暗黒光線を魔法の槍に偽装して撃ち込み、最後は魔神王の剣で首を落として心臓を貫いた。
逃げたハイロード
巨大昏竜を倒したロックは、すぐにヴァンパイアハイロードへ狙いを移した。ハイロードは霧に変化して逃げようとし、ロックは魔神王の剣でその霧を斬った。霧の一部は灰になったが、大半には逃げられてしまった。
第六章
水竜集落の残党処理
巨大昏竜を倒し、ヴァンパイアハイロードが逃げた後、ロックは水竜たちと協力して昏竜やヴァンパイアの残党を狩った。戦闘が終わる頃にケーテとゴランが到着し、ケーテは集落側で昏き者どもと戦っていたため遅れたのだと説明した。ゴランは、集落側にもロードやハイロード、魔装機械が侵入していたと報告した。
結界破りの魔道具
ロックはエリックに案内され、集落側の戦場を調べた。魔装機械は作動前なら結界に弾かれず、結界内へ運び込まれてから起動されたようであった。また、ヴァンパイアの灰の中から愚者の石を使った腕輪状の魔道具が見つかり、ロード以上のヴァンパイアが結界を越えるために使った可能性があった。
水竜宮殿での夜
戦闘後、ロックは結界を点検し、異常がないことを確認してから水竜の宮殿へ戻った。モーリスやリーアに勧められ、ロックはガルヴとともに宮殿へ泊まることにした。エリックとゴラン、ドルゴ、ケーテ、リーア、モーリスも同じ広い部屋で休み、ガルヴはすぐに眠った。
敵戦力への危機感
翌朝、ロックたちは死者が出なかったことを確認しつつ、魔装機械の存在について話し合った。風竜王の宮殿にあったごみ箱型の錬金装置を回収したにもかかわらず魔装機械が投入されたため、昏き者どもが別の装置や愚者の石の生産手段を得ている可能性が高まった。ドルゴは、魔装機械が竜族の魔導機術に関わる技術だと説明した。
本拠地探索の方針
ロックたちは、防衛だけでなく敵の本拠地を探す必要があると判断した。ゴランは大々的に冒険者を動かす危険を指摘し、エリックは狼の獣人族やAランク冒険者への極秘依頼を検討した。ケーテも空から探すと申し出て、ドルゴやエリックたちもそれぞれ配下を動かすことになった。
水竜たちの感謝
ロックが屋敷へ戻る前、水竜たちは昨夜の助力に感謝し、重傷者が出なかったことを報告した。水竜たちはセルリス、シア、ニアの活躍も称えた。特に、魔装機械やヴァンパイアと戦う中で、小さな敵への対応を三人が助けてくれたことを高く評価していた。
シアたちへの制止
屋敷に戻ったロックは、フィリーに結界破りの魔道具を見せ、愚者の石で作られたものだと確認した。その後、シア、セルリス、ニアの働きを褒めたが、魔装機械が出る戦場は危険すぎるとして、今後の水竜集落防衛への参加を禁じた。セルリスは悔しがったが、シアは自分たちが水竜の足手まといになる可能性を理解していた。
狼獣人族との行動
シアは、水竜集落の防衛ではなく、狼の獣人族とともに敵の本拠地を探る側へ回ることを提案した。セルリスも同行を望んだが、ロックはヴァンパイアの魅了を危険視した。そこでロックは、セルリスには精神抵抗を高める魔道具を用意してから行動させるべきだと判断した。
王宮図書室での調査
ロックは精神抵抗を高める魔道具を作るため、フィリーとともに王宮の図書室へ向かった。エリックの許可で閲覧禁止の書物も調べられるようになり、司書の助けを得て魔道具と錬金術の資料を探した。ロックとフィリーは夕方まで集中して調べ、魔道具作成に必要な知識をかなり得た。
王宮で預けた獣たち
調査中、ガルヴ、タマ、ゲルベルガさまはレフィや王女たちに預けられていた。三匹はよい子にしており、王女たちも喜んでいた。フィリーは両親と話すため王宮に泊まることになり、ロックはガルヴとゲルベルガさまを連れて屋敷へ戻った。
風竜族の資料
屋敷に戻ったロックは、ケーテとドルゴに敵の本拠地探索について尋ねた。ドルゴは魔獣の生息数の変化から怪しい場所を絞っていると説明した。その後、ロックが精神抵抗を高める魔道具について話すと、ドルゴは風竜族が錬金術を得意とするため資料があるかもしれないと申し出た。
第七章
風竜王の書庫
フィリーが王宮から戻ると、ロックは彼女とともに風竜王の宮殿へ向かった。ドルゴとケーテは錬金術の資料がある書庫へ案内したが、竜族の本は巨大で、一冊あたりの情報量も非常に多かった。持ち出しや閲覧には制限があったものの、ドルゴは必要そうな本を選んで見せてくれた。
竜族の検索魔法
竜族の書物はあまりに膨大で、そのまま読むには時間がかかりすぎた。そこでケーテは、指定した文字列を本の中から光らせて探す魔法をロックに教えた。ロックはすぐにその魔法を習得し、フィリーもケーテの補助を受けながら必要な情報を調べていった。
風竜王と錬金術士
調査が終わる頃、ケーテは疲れ果てて机に突っ伏した。ロックは魔法による検索と読解を一人でこなし、フィリーも竜族を上回る速さで資料を読み進めたため、ドルゴは二人の能力に驚いた。必要な知識は集まり、精神抵抗を高める魔道具の製作に入れる状態となった。
魔道具製作の見学
ロックとフィリーは屋敷へ戻り、研究室で魔道具製作を始めた。ケーテとドルゴ、ミルカも見学を希望し、ロックとフィリーはそれを許可した。フィリーが図面を起こし、ロックが魔法理論を加えて議論を重ねた結果、精神抵抗を高める腕輪型の魔道具の構成が決まった。
試作品と完成品
フィリーはオリハルコン、ミスリル、魔石、少量の賢者の石を使い、ロックは必要な魔法陣を刻んだ。試作品は風竜族のドルゴやケーテを驚かせるほどの出来であり、さらに改良を加えて本製作に入った。完成した腕輪は、ヴァンパイアハイロードの魅了にも容易には屈しないほど精神抵抗を高める魔道具となった。
量産化の可能性
完成後、フィリーは素材や構造を簡略化すれば量産できる可能性に気づいた。性能は落ちるが、ロード級の魅了に抗える程度なら中隊や大隊に配れる数を作れる見込みがあった。ドルゴも品質を落としすぎず作りやすくする技法を提案し、ロックはエリックとゴランに連絡してミスリルと魔石の調達を頼んだ。
セルリスの腕輪
ロックは完成した腕輪をセルリスに渡した。セルリスは涙ぐむほど喜び、シアとニアも一緒に喜んだ。庭でロックはセルリスとケーテに幻術をかけ、腕輪の効果を試した。セルリスはケーテと同じほど幻術に強くなっており、精神抵抗の強化は成功していた。
ヴァンパイア狩りへの出発
セルリスは腕輪を得たことでヴァンパイア狩りに参加できると考えたが、ロックはゴランの許可を取るよう求めた。セルリスは事情を説明し、渋るゴランから最終的に同意を得た。翌日、シア、ニア、セルリスは狼の獣人族に合流するため出立した。
水竜集落への泊まり込み
ロックは三人を見送った後、ガルヴとともに水竜の集落へ向かった。集落では毎日のようにレッサーヴァンパイア中心の襲撃があり、モーリスは結界の穴を探す偵察ではないかと考えていた。ロックは夜の襲撃に備え、水竜の集落に泊まり込んで防衛と結界の確認を続けることにした。
腕輪の量産と夜の防衛
ロックは朝になると王都へ戻り、フィリーが作った腕輪に魔法をかけて量産型の魔道具へ仕上げた。夜は再び水竜の集落に戻り、レッサーヴァンパイアの襲撃にも加わって敵情を探った。そうした生活はしばらく続き、大きな異変は起こらず平穏に過ぎていった。
第八章
水竜集落での警戒
シア、セルリス、ニアが狼の獣人族と行動を始めて一週間後、ロックは水竜の集落に泊まり込んでいた。毎日のようにレッサーヴァンパイアの襲撃があり、ロックは少数の襲撃でも必ず現場へ向かった。水竜たちは敵をすぐ狩っていたが、ロックは油断を誘うための襲撃や魔装機械の持ち込みを警戒するよう伝えた。
結界の点検
翌朝、ロックはリーアや水竜の若者たちとともに、ガルヴを連れて集落の結界を点検した。ガルヴの嗅覚にも期待しながら外周を確認し、異常がないことを確かめた。その後、ロックは王都の屋敷へ戻り、夜の警戒に備えてガルヴと少し眠った。
三人の帰還
昼ごろ、セルリス、シア、ニアが無事に戻ってきた。セルリスは精神抵抗の腕輪がロードの魅了にも有効だったと報告し、ロックとフィリーはその効果に安心した。三人は激戦をくぐり抜けてきた様子で、特にニアは雰囲気が大きく変わっていた。
敵拠点の方角
セルリスたちは、水竜の集落を襲うヴァンパイアが西の方角から来て、同じ方角へ戻ることを突き止めていた。ロックは敵拠点が王国内にある可能性が高いと考え、エリック、ゴラン、ドルゴ、ケーテ、モーリスを交えた話し合いが必要だと判断した。
水竜宮殿での会議
ロックたちは水竜の宮殿へ向かい、リーアに迎えられた。ガルヴが走りたがったため、ロックはリーアとニアを連れて軽く走らせた後、応接室へ戻った。エリック、ゴラン、ドルゴたちがそろうと、セルリスとシアは地図を使って、狼の獣人族が敵の本拠地をかなり狭い範囲まで絞り込んだことを説明した。
陽動への警戒
エリックは総力を挙げて攻め込む案を出したが、シアは敵が本拠地の発見を逆手に取り、水竜の集落を襲う陽動を仕掛ける可能性を指摘した。ロックもその危険を理解し、水竜を生贄にできれば敵は本拠地を失っても目的を果たせると考えた。そのため、防衛と襲撃を両立させる必要があった。
転移魔法陣の盾
ドルゴは、持ち運べる転移魔法陣を用意すれば、防衛班と襲撃班をつなげられると提案した。盾に転移魔法陣を刻み、襲撃班が持ち込む案が出た。エリックが盾を持つことになり、最終的にフィリーが以前作ったオリハルコンとミスリルの合金製の盾を利用することになった。
襲撃班と防衛班
襲撃班にはロック、エリック、ゴラン、ドルゴ、シア、ガルヴが入ることになった。ニアは新米であるため留守番となり、セルリスは同行を強く望んだ。ゴランは足手まといになる可能性を認めたうえで、それでも覚悟があるならついてこいと許可した。ケーテはリーアやニアとともに水竜の集落を守るため、防衛に残ることを選んだ。
出撃準備
ロックはリーアやモーリスと集落を見回り、侵入者察知の魔法を強化して腕輪と連動させた。エリックはフィリーの盾に刻まれた転移魔法陣の調子を確認し、集落側の転移魔法陣も小屋に設置された。そこへシアが狼の獣人族からの追加情報を持ち込み、隠蔽魔法で固められた地点が本拠地らしいと示した。ロックたちは、ドルゴの竜形態で一気に向かうことを決めた。
第九章
セルリス同行への不安
ロックは水竜の宮殿を出ながら、ゴランにセルリスの同行を許可した理由を尋ねた。ゴランは親として心配しながらも、熟練してから冒険に出ることはできないと考えていた。ロックはセルリスをできる限り気にかけると約束し、シアから狼獣人族にも通話の腕輪が配られていると聞いた。
隕石による結界破壊
ドルゴは竜の姿でロックたちを乗せ、敵の本拠地と推定される場所へ向かった。そこには強固な隠蔽と魔法防御の結界があり、ロックは上空から結界の核十二か所を見抜いた。ロックは同時に十二発の隕石を落とし、さらに熱爆裂を叩き込んで結界と周辺の敵戦力を一気に破壊した。
地下入口の強敵
ロックたちはドルゴの背から降り、地下への入口を見つけた。ロックが火球を撃ち込むと、炎に包まれた強力なヴァンパイアが飛び出し、エリックとゴランが応戦した。その敵はただのハイロードではなく、二人を相手に互角に渡り合うほどの力を持っていた。
地上の乱戦
周囲から百体近いアークヴァンパイアとロードが現れ、ロック、シア、セルリス、ガルヴは雑魚を抑える役に回った。ドルゴは飛来した昏竜を押さえ、エリックとゴランは強敵と戦い続けた。セルリスとシアは霧で移動してきたロードを連携して倒し、成長した力を示した。
水竜集落の危機
敵の大半を倒した頃、ケーテから救援要請が入った。ロックはエリックの盾に刻まれた転移魔法陣を起動し、ガルヴとともに水竜の集落へ戻った。集落には昏竜二十頭と魔装機械三十機が侵入しており、水竜たちは激しい戦闘を強いられていた。
魔装機械への対応
ロックは氷槍で昏竜を撃ち落とし、暗黒光線で魔装機械を破壊した。しかし魔装機械は攻撃属性に応じて障壁を切り替える機能を持っており、同じ属性の攻撃が通じにくくなっていた。ロックは水竜たちに水魔法を使わせながら、自分は複数の属性を切り替えて魔装機械を倒していった。
ガルヴとニアの活躍
ガルヴはロックの背後を守り、ヴァンパイアロードや昏竜に噛みついて動きを止めた。ケーテ、リーア、モーリスも竜の姿で戦い、ニアはリーアの背に乗って背後から現れたヴァンパイアロードを斬った。ニアは役目を得て嬉しそうにし、リーアもその助けに感謝した。
毒を使うハイロード
ロックはヴァンパイアハイロードの毒剣で腹を斬られた。毒は強力で、意識が揺らぐほどだったが、ロックはドレインタッチで敵の生命力を奪いながら戦い続けた。ガルヴが霧化を封じ、ロックはハイロードを倒し、さらに昏竜を吸収して体力を補いながら戦況を押し返した。
解毒とニアの休息
戦闘が終わると、水竜がロックに解毒魔法をかけた。毒は竜でも動けなくなるほど強力だったが、ロックは回復し、リーアやガルヴを安心させた。その後、ロックは負傷しながら雑用を続けようとするニアを褒め、体力を回復することも大切だと諭した。リーアはニアを背に乗せ、休ませることにした。
再び敵本拠地へ
ロックは転移魔法陣で敵本拠地へ戻ったが、魔法陣の出口がエリックの盾であったため、敵の大剣を受けかけた。エリックとゴランは親玉らしき強敵を倒しており、ロックも残党のヴァンパイアや昏竜を討伐した。セルリスたちも戦い続け、地上の敵は一掃された。
地下拠点の調査
ロックはシアとガルヴを連れて地下へ入り、火球で焼かれたヴァンパイアの灰や魔石、メダルを回収した。地下は蟻の巣のような構造で、複数の出口があり、奥には昏き神の結界発生装置に似た魔道具や、半分溶けた邪神像らしきものが残っていた。ロックはそれらを回収し、昏き者どもが自分の火球の威力を想定していなかったと見た。
第十章
狼獣人族の戦果
ロックたちが地上へ戻ると、百名近い狼の獣人族が集まっていた。彼らは周囲の昏竜、魔装機械、ヴァンパイアを掃討しており、エリックやロックはその働きに感謝した。ダントンも怪我を押して参加しており、シアやニアの成長を聞いて嬉しそうにしていた。
ラックの正体
狼の獣人族の族長たちは、隕石召喚を使ったロックの力を見て、彼が英雄ラック本人ではないかと察した。ロックは彼らを信頼し、自分がラックであることを明かしたうえで、機密として口外しないよう頼んだ。族長たちはともに戦えたことを一族の誇りだと受け止めた。
水竜王太女の礼
ケーテはリーアとニアを連れて転移魔法陣から現れ、狼の獣人族に感謝を伝えた。リーアも水竜族を助けた礼を述べ、公にはできない友好の証として族長たちに水竜の魔力を込めた短剣を渡した。ロックも短剣を受け取り、シア、ニア、セルリスには個人的な礼として指輪が贈られた。
勝利の宣言
エリックは狼の獣人族へ、後日王宮で褒賞を与えると告げた。さらに、今回の勝利は皆の力で勝ち取ったものだと宣言し、昏き者どもの陰謀を打ち砕いたことを誇るよう伝えた。狼の獣人族は一斉に勝どきを上げ、ガルヴも嬉しそうに吠えた。
至高の王の怒り
一方、別の場所ではヴァンパイアが玉座からハイロードたちを見下ろしていた。彼は準備していた計画が失敗したことに怒り、狼の獣人族を邪魔な存在と見なした。言い訳しようとしたハイロードを一瞬で灰にし、残った者たちへ狼の獣人族を皆殺しにする策を授けた。
書き下ろし短編 ルッチラとお風呂
初めての女同士の風呂
ルッチラが女であると明かされた夜、ケーテ、ミルカ、シア、ニア、セルリス、フィリーはルッチラと一緒に風呂へ入ることになった。シアとニアは最初から匂いで知っており、ルッチラはこれまで風呂に入れない代わりに身体を拭いていた事情を話した。
脱衣所の戸惑い
ケーテやフィリーは人前で裸になることを気にしなかったが、ルッチラはこれまで誰にも見せてこなかったため、服を脱ぐことに強い恥ずかしさを覚えた。セルリスやシアたちは気遣いながら視線を外し、ルッチラは意を決して服を脱いだ。
ケーテの世話
浴場に入ると、ケーテはルッチラの髪を洗い始めた。最初は豪快だったが手つきは優しく、髪を洗った後は角まで丁寧に手入れした。ケーテは角の汚れや磨き方について教え、同じく角を持つ者としてルッチラの世話を楽しんでいた。
風呂場の会話
皆は髪や身体を洗いながら、体型や食事の話をした。フィリーやルッチラが細すぎることを心配され、ミルカはもっと食べるべきだと話した。ケーテは、ルッチラが性別を隠すために身体を締めつけていたことを聞き、それはやめるべきだと力強く告げた。
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