【推しの子】 8巻 レビュー
【推しの子】 まとめ
【推しの子】 10巻 レビュー
どんな本?
『推しの子』は、原作を赤坂アカ 氏が、作画を横槍メンゴ 氏が手掛ける日本の漫画作品。
2020年4月23日から『週刊ヤングジャンプ』(集英社)にて連載が開始され、1週遅れで『少年ジャンプ+』でも連載されている。
本作は赤坂にとって4作目、横槍にとって6作目の連載作品で、赤坂は『かぐや様は告らせたい』の連載中に本作を開始し、異例の2作品同時週刊連載となった。
この作品のジャンルは青年漫画で、主人公は死後に前世の記憶を持ちながら、推していたアイドルの子供として生まれ変わるというファンタジー設定を持つ「転生もの」です。ストーリーは、サスペンス要素や現代社会を投影した展開、芸能界の闇への切り込みなどが特徴。
タイトルの「推しの子」は、「応援している人」を意味する言葉「推し」から来ており、主人公とその妹のことを指している。
本作のタイトルロゴでは、隅付き括弧(〖〗)が使用されており、これは外側が二重線になった独自の記号を用いることが正式表記とされ、演出上の意味がある伏線となっており。
作品は芸能界の華やかな部分とシビアな部分の両方を描いており、斬新な設定と予測不能な展開で多くの反響を呼んでいる。
個性的な作風の作家二人がタッグを組んだことで、独自の世界観が生まれている。
2020年7月1日から9月30日にかけて発売された単行本第1巻は、同期間で日本で最も売れた作品となり、2023年11月時点でシリーズ累計部数は1500万部を突破。
物語は章ごとに区切られており、各章の最後のコマや、単行本各巻冒頭の登場人物紹介、あらすじのページで章ごとのサブタイトルが掲示されている。
プロローグ「幼年期」では、田舎の産婦人科医ゴローが、自分に懐いていた患者で、12歳で亡くなった少女さりなの影響でアイドルオタクになり、活動休止中の推しアイドル・星野アイが双子を妊娠した状態で現れたことから物語が始まる。
アニメについては、2023年4月から放送が開始されている。
第1話は90分の拡大版で、2023年3月17日には『推しの子 Mother and Children』のタイトルで全国の劇場で先行上映された。
読んだ本のタイトル
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あらすじ・内容
「やっぱルビーには……何か特別なものがあるんだろうな……」 MV撮影の為に訪れた神話の街・高千穂で、ルビーはアイを殺した犯人は2人組だった事を知る。その内1人は、今ものうのうと生きてる事が許せず…自らの手で殺めると復讐を誓う。そして、半年が過ぎ、各々の活動が大きく動き出す“第七章 中堅編”始動!! “赤坂アカ×横槍メンゴ”の豪華タッグが全く新しい切り口で“芸能界”を描く衝撃作…第9巻!!
【推しの子】 9
感想
神話の街、高千穂。ここは過去の痛みと未来への期待が交差する場所です。その場所で、ルビーは大切な人・ゴローを失った事実を胸に刻みつけていました。
ゴローを手にかけた犯人に復讐を決意します。さらにアイを殺した者にも復讐を誓います。
ルビーの中の復讐心はますます燃え上がり、その執念は前よりも更に強まります。
一方、彼女の兄であるアクアは、過去の痛みから解放され、テレビの世界での新たな道を歩み始めていました。
しかし、芸能界には予期せぬ困難が待ち受けていることを知ります。
一つの企画をきっかけに、ルビーは番組制作に関わり始めます。
しかし、その道のりは決して順調だとは言えず、特に彼女が関わったコスプレイヤーを取材する企画は、多くの波紋を呼び起こします。
事態は予想を超えて悪化し、ルビーとアクア、そして番組のスタッフたちの間には様々な軋轢が生まれます。
本巻では、ルビーの復讐心と彼女の心の中にある葛藤が描かれています。
一見、天真爛漫に見える彼女の中には復讐という深い闇と情熱が隠れており、それが読者にとって非常に引き込まれる要因となります。
また、芸能界の裏側についても詳しく描かれており、その中にあるリアリティとは裏腹の困難には非常に面白く読ませてもらいました。
特に、テレビの制作の難しさや、公に出ることのプレッシャーについての描写は、とてもリアルで感じ入るものがありました。
MEMちょの人間らしい優しさや、有馬かなのアクアへの純粋な心、そしてルビーとアクアの兄妹の絆。
これらの要素が絶妙に組み合わさって、非常に深みのある物語に仕上がっていると感じました。
総じて、本巻は芸能界の光と影、そして一人の少女の成長と挑戦を描いた傑作だと思います。
【推しの子】 8巻 レビュー
【推しの子】 まとめ
【推しの子】 10巻 レビュー
最後までお読み頂きありがとうございます。
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キャラクター紹介
星野ルビー
新生B小町の中心に立ち、仕事を取りに行く姿勢を強めた人物である。番組側では企画書を持ち込み、炎上後も次の手を用意する立場にいる。
・所属組織、地位や役職
新生B小町のメンバーである。
ネット番組「深掘れ☆ワンチャン!!」の企画関係者として動く。
・物語内での具体的な行動や成果
MVでセンターに立ち、再生数二千万回突破の反響を得た。
番組共演を事前連絡なしで実行し、収録へ参加した。
企画書を作成し、番組スタッフへ直接売り込んだ。
斎藤壱護のもとを訪れ、星野アイを殺した男の情報を求めた。
壱護の条件を受け入れ、「売れること」を目的に据えた。
番組で「おバカキャラ」を前面に出し、笑いを取った。
現場でADに飲み物を配り、将来を見越した配慮を行った。
吉住ADへ声をかけ、企画成立の手助けを申し出た。
炎上後に吉住ADの前へ現れ、企画書を持って接近した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
成功の継続と復讐のために、手段を選ばない立ち回りが示された。
炎上の混乱下でも主導権を握ろうとする動きが描かれた。
MEMちょ
B小町の伸長を裏方で支え、対人調整にも踏み込む人物である。メンバーの精神面にも関与し、アクアへの介入を試みた。
・所属組織、地位や役職
新生B小町のメンバーである。
B小町チャンネル運用の中心人物である。
・物語内での具体的な行動や成果
外部YouTuberとのコラボを調整した。
動画投稿のスケジュールを管理した。
個人チャンネルよりB小町チャンネルを優先した。
有馬かなを追い、無理に問い詰めず隣に座った。
有馬かなを自宅まで送り、眠るまで側にいた。
星野アクアへ連絡を取ろうとする姿勢を見せた。
収録後に星野アクアを捕まえ、食事へ誘った。
有馬かなについて切り出し、状況を確認した。
星野アクアの吐露を聞き取り、受け止めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
登録者数三十六万人到達の要因として位置づけられた。
グループ内の問題に介入する調整役として動き始めた。
黒川あかね
仕事面で活動範囲を広げつつ、星野アクアとの交際を選んだ人物である。交際の中で、距離感を受け入れる姿勢が示された。
・所属組織、地位や役職
女優である。
・物語内での具体的な行動や成果
映画の主演に抜擢された。
ドラマ撮影を並行した。
星野アクアと正式に交際する選択をした。
雨の夜に星野アクアと相合傘で歩いた。
星野アクアが有馬かなに特別な感情を持つと察した。
「これ以上は望まない」と自分に言い聞かせた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
交際が公的でなくとも、関係が「正式」として描かれた。
納得の言葉に嘘を混ぜる状態が「空音」として示された。
星野アクア
仕事を広げながら、黒川あかねとの交際を選んだ人物である。有馬かなへの感情を抑えるために距離を取る行動が語られた。
・所属組織、地位や役職
芸能活動の出演者である。
ネット番組「深掘れ☆ワンチャン!!」のレギュラー出演者である。
・物語内での具体的な行動や成果
ネット番組で的確なツッコミが評価された。
ドラマへ進出した。
モデル業へ進出した。
黒川あかねと正式に交際する選択をした。
交際後に有馬かなと距離を取り、顔を合わせなくなった。
MEMちょに捕まえられ、個室居酒屋で話をした。
有馬かなの件で冷静になれないと吐露した。
スキャンダル回避を理由に、有馬かなから離れる判断を語った。
過去のアイの事件を根拠に、失う恐怖を述べた。
ルビーの立ち回りへ違和感を持ち、入れ知恵の有無を疑った。
ルビーにテレビ業界の階級構造を説明した。
雨の夜に黒川あかねを迎えに行き、相合傘で歩いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
交際が「ビジネス上」から外れた状態へ移行した。
有馬かなへの感情が「入れ込み」として自覚された。
有馬かな
B小町の躍進の裏で、星野アクアの交際と距離の変化により心身が揺れた人物である。外形の成功とは別に、内面の崩れが描かれた。
・所属組織、地位や役職
新生B小町のメンバーである。
・物語内での具体的な行動や成果
星野アクアの交際を知り、動揺した。
撮影終了後に個別帰宅する流れの中で、孤立が示された。
街中で涙を流した。
ライブ後に一人で車を降りた。
階段に座り込み、一人で過ごした。
MEMちょの気遣いを受け、感情が決壊した。
星野アクアが交際後に距離を取った点を苦痛として語った。
避けられていると感じる状況が続いた事実を吐露した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ファンから明るさの変化を察知される状態になった。
グループ内の不協和音を象徴する存在として描かれた。
不知火フリル
芸能科でルビーと合流し、実績の伸びを見越した発言をする人物である。
・所属組織、地位や役職
芸能科の生徒である。
・物語内での具体的な行動や成果
星野ルビー、寿みなみと近況を語った。
星野アクアの番組での評価に言及した。
このまま売れれば共演すると述べた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
将来の共演を予告する発言が物語上の示唆になった。
寿みなみ
芸能科でルビーと合流し、番組企画への参加依頼を受けた人物である。コスプレ文化への姿勢が理由となり、温度差が表面化した。
・所属組織、地位や役職
芸能科の生徒である。
グラビアアイドルである。
・物語内での具体的な行動や成果
星野ルビー、不知火フリルと近況を語った。
共演の話題に素直な反応を示した。
星野ルビーから企画協力を求められた。
「にわかが番組のためにやるのは失礼」と難色を示した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
ルビーの変化と対比される基準として機能した。
鏑木プロデューサー
番組キャスティングに関与した可能性を疑われる立場の人物である。ルビーの手法に対し、反応が示された。
・所属組織、地位や役職
プロデューサーである。
・物語内での具体的な行動や成果
ルビーのキャスティングに関与したとアクアが推測した。
ルビーの売り込み手法に反応を示した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
業界人としての基準を示す役割を担った。
斎藤壱護
元苺プロ社長であり、ルビーの復讐の手掛かり探索に対する窓口となった人物である。情報提供の条件として「売れろ」を提示した。
・所属組織、地位や役職
元苺プロ社長である。
・物語内での具体的な行動や成果
ルビーに対し、父親の正体は知らないと断言した。
知っていれば殺していると述べた。
当時の関係者への接触は危険だと述べた。
「向こうから会いたいと言われるほど売れろ」と条件を出した。
「キャラが明確であること」を重要事項として説いた。
「おバカキャラ」を方針として示した。
「ADには優しくすること」を助言した。
ルビーが番組レギュラーを得た事実で態度を変えた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
隠居状態でも経営者の勘が残る人物として描かれた。
ルビーの行動原理を「売れるための打算」へ寄せる契機となった。
漆原ディレクター
番組現場を指揮し、強引な手法で現場の負担を増やした人物である。炎上局面では責任を背負う覚悟を示した。
・所属組織、地位や役職
ネット番組「深掘れ☆ワンチャン!!」のディレクターである。
・物語内での具体的な行動や成果
吉住ADへ怒号を飛ばす立場として描かれた。
次回企画として「コスプレイヤーの深掘り」を提示した。
「話題性のある人物を十人集めること」を条件にした。
「東京ブレイド縛り」を条件にした。
炎上後に配信窓口が検討される状況を招いた。
全ての責任を背負う覚悟を決めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
情熱はあるが配慮が欠ける制作姿勢として描かれた。
番組の存続危機を生む要因として位置づけられた。
吉住シュン
番組のADであり、過酷な業務と炎上対応の矢面に立たされた人物である。企画成立のために身内へ頼る選択を取った。
・所属組織、地位や役職
ネット番組「深掘れ☆ワンチャン!!」のADである。
・物語内での具体的な行動や成果
下調べ、連絡調整、雑務を一人で抱えた。
過酷な条件のコスプレ企画でアポ取りを続けた。
ルビーに助けを申し出られ、コスプレ経験を尋ねた。
企画の締め切りで追い詰められた。
妹の吉住未実へ電話し、出演を依頼した。
未実の活動を実質的にマネジメントしていると示された。
未実の発言や投稿を管理下に置いていると語られた。
弱みを材料に交渉し、出演承諾へ持ち込んだ。
炎上対応で謝罪に奔走した。
トカゲの尻尾切りへの不安を抱いた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
現場の矛盾を背負う立場として強調された。
炎上局面で消耗する当事者として描かれた。
吉住未実
個人勢VTuberであり、人気コスプレイヤーでもある人物である。テレビ出演は拒んだが、兄の交渉で承諾に至った。
・所属組織、地位や役職
個人勢VTuberである。人気コスプレイヤーである。
・物語内での具体的な行動や成果
顔出しNGを理由にテレビ出演を拒んだ。
兄の管理と交渉を受け、出演を承諾した。
撮影当日に衣装を整え、撮影体制へ参加した。
衣装の変更混乱の中で準備を進めた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
出演者確保の切り札として企画成立へ影響した。
兄が実質管理する構図が明確になった。
メイヤ
有名コスプレイヤーであり、制作側の要求に不満を募らせた人物である。投稿が炎上の引き金となった。
・所属組織、地位や役職
コスプレイヤーである。
少年誌ジャンルでのグラビア活動者として描かれる。
・物語内での具体的な行動や成果
ルビーの紹介で企画へ参加した。
露出対策を理由に衣装変更を要求された。
制作側の態度に苛立ちを示した。
収録後にテレビ局への不満をSNSへ投稿した。
投稿が拡散し、炎上の発端となった。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
現場の違和感を外部へ可視化する起点となった。
番組の配信見送り検討へ繋がる火種を作った。
鮫島アビ子
「東京ブレイド」の原作者として、許諾の難しさを生む要因として語られた人物である。
・所属組織、地位や役職
「東京ブレイド」の原作者である。
・物語内での具体的な行動や成果
コスプレ許諾が困難であると見込まれた。
許諾未取得が判明し、企画が岐路に立った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
権利問題の中心として、制作側の綱渡りを生んだ。
星野アイ
殺害事件が物語の動機として扱われ、アクアとルビーの判断に影響を与える人物である。
・所属組織、地位や役職
被害者として語られる。
・物語内での具体的な行動や成果
事件がアクアの恐怖の根拠として語られた。
ルビーが犯人の情報を求める目的として扱われた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
事件が現在の行動原理を規定する要因として残り続けた。
出来事一覧
第八十一話 躍進
有馬かなの孤立と動揺
- 当事者: 有馬かな vs 星野アクア(間接的要因)
- 発生理由: 星野アクアと黒川あかねがビジネス上の関係を超えて正式に交際することを選択したため。
- 結果: かなは激しく動揺し、街中で感情を抑えきれず涙を流した。グループとしての活動は順調だが、メンバー間の心の距離は埋まらず、不協和音が生じている。
第八十二話 B小町の夜
有馬かなの感情の吐露
- 当事者: 有馬かな vs MEMちょ(聞き手)、星野アクア(原因)
- 発生理由: アクアとあかねの交際そのものに加え、交際後にアクアが距離を取り、業務上でも顔を合わせなくなったことに深く傷ついていたため。
- 結果: MEMちょが寄り添い、かなを自宅まで送り届けた。MEMちょは事態を解決するため、アクアに介入することを決意した。
第八十三話 入れ込み
MEMちょによるアクアへの問い詰め
- 当事者: MEMちょ vs 星野アクア
- 発生理由: アクアが有馬かなを避けていることで、かなが傷ついている現状をMEMちょが憂慮し、理由を問いただしたため。
- 結果: アクアは、かなをスキャンダルや悪意から守るために距離を置いていること、そして過去のアイの事件がトラウマとなり、彼女に深く「入れ込む」ことへの恐怖があることを吐露した。
第八十四話 売り込み
ルビーの独断による番組出演
- 当事者: 星野ルビー vs 星野アクア
- 発生理由: ルビーが自ら企画書を作成し、アクアに事前連絡なく番組スタッフへ直接売り込みを行い、共演を果たしたため。
- 結果: アクアは予期せぬ妹の登場に戸惑い、ルビーが手段を選ばない冷徹な判断力を身につけていることを痛感した。
ルビーによる復讐のための接触
- 当事者: 星野ルビー vs 斎藤壱護
- 発生理由: 星野アイを殺した犯人の情報を引き出し、復讐を実行するため。
- 結果: ルビーは「犯人を見つけ出すまで決して逃がさない」という強い決意を壱護に告げた。
第八十五話 打算
壱護による情報開示拒否と条件提示
- 当事者: 星野ルビー vs 斎藤壱護
- 発生理由: ルビーが父親の情報を求めたが、壱護は無計画に動くことの危険性を説き、情報を教えることを拒否したため。
- 結果: 壱護は「向こうから会いたいと言われるほど売れること」を条件に提示。ルビーはこれを呑み、売れるための徹底的なコーチングを受けることとなった。
第八十六話 AD
制作現場でのADへの叱責と無茶振り
- 当事者: 漆原ディレクター vs 吉住シュン(AD)
- 発生理由: 次回企画として「東京ブレイド縛りのコスプレイヤーを十人集める」という過酷な条件が提示され、現場での怒号や理不尽な指示が常態化していたため。
- 結果: 吉住は精神的に追い詰められたが、ルビーからの提案により、彼女のコスプレ経験を利用するという打開策を見出した。
第八十七話 空音
寿みなみによる出演拒否
- 当事者: 星野ルビー vs 寿みなみ
- 発生理由: ルビーが番組企画のためにみなみへ出演を打診したが、みなみはコスプレ文化へのリスペクトから「にわか」がやるべきではないと判断したため。
- 結果: みなみは出演に難色を示し、手段を選ばないルビーとの間に温度差が生じた。
第八十八話 オファー
兄による妹への出演強要
- 当事者: 吉住シュン(AD) vs 吉住未実
- 発生理由: 番組の企画を成立させるため、兄が管理している妹のサブアカウント(裏垢)での発言や投稿内容を交渉材料にしたため。
- 結果: なかば脅迫に近い形で交渉が進み、未実は出演を承諾させられた。
コスプレ許諾を巡るトラブル
- 当事者: 番組制作側 vs 権利元(原作者側)
- 発生理由: 「東京ブレイド」の原作者が権利関係に厳しく、正式なコスプレ許諾が下りていない状態で企画が進んでいたため。
- 結果: 許諾が得られるか不透明なまま、リスクを抱えて取材当日を迎えることになった。
第八十九話 コスプレ
メイヤの不満とSNS投稿
- 当事者: メイヤ(コスプレイヤー) vs テレビ番組制作側
- 発生理由: 露出対策として直前に衣装変更を要求され、準備の手間や表現へのこだわりを軽視されたと感じたため。
- 結果: 収録後の帰路、メイヤは鬱憤をSNSに投稿し、これが拡散される事態となった。
第九十話 コンプライアンス
番組に対するSNS炎上
- 当事者: ネットユーザー・視聴者 vs 番組制作側(漆原D、吉住AD)
- 発生理由: メイヤの投稿をきっかけに、撮影直前の衣装変更や高圧的な取材姿勢、レイヤーへのリスペクト不足などが批判されたため。
- 結果: 炎上は収拾がつかない規模に拡大し、番組の配信見送りが検討される状況に陥った。
責任の所在を巡る決断
- 当事者: 漆原ディレクター vs 吉住AD・上層部
- 発生理由: 炎上により吉住ADが責任を問われ追い詰められていたが、根本的な原因は強引な番組制作手法にあったため。
- 結果: 漆原Dが全ての責任を背負う覚悟を決めたものの、番組の存続は絶望的となった。
【推しの子】 8巻 レビュー
【推しの子】 まとめ
【推しの子】 10巻 レビュー
展開まとめ
第七章 中堅編
第八十一話 躍進
半年後の現在とB小町の状況
MV撮影から半年が経過した現在。新生「B小町」はこの間に大きな飛躍を遂げていた。活動の軸足をYouTube企画とMV展開に置き、楽曲制作から映像制作、出演調整に至るまで円滑に進められた作品は、高い完成度で世に送り出された。
MVの成功と反響
公開されたMVは瞬く間に拡散され、再生数は二千万回を突破。映像美と楽曲の質に加え、センターに立つ星野ルビーの圧倒的な存在感が視聴者を惹きつけたのだ。この反響は一時的な話題にとどまらず、確かな成果として数字に表れていた。
MEMちょの戦略的な行動
この成功の裏には、MEMちょの尽力があった。彼女は勢いを維持するため、外部YouTuberとのコラボや動画投稿のスケジュールを徹底管理。自身の個人チャンネルよりも「B小町チャンネル」を最優先し、地道な調整を続けた結果、チャンネル登録者数は三十六万人に到達した。
各メンバーの個別の躍進
この半年間で、メンバー個人の活動の幅も広がっている。黒川あかねは映画の主演に抜擢され、ドラマ撮影も並行する多忙ぶりを見せる。一方アクアも、ネット番組のレギュラー出演に加え、ドラマやモデル業へと進出し、マルチな才能を発揮していた。
アクアとあかねの関係変化
特筆すべきは、アクアとあかねの関係だ。かつての「ビジネス上のカップル」という枠組みを超え、二人は正式に交際することを選択していた。関係を曖昧にしない決断を下した二人だが、その会話や表情には、まだどこか距離感が測りきれない空気が漂う。
新生B小町に漂う不協和音
表向きは順調そのものだが、グループ内の空気は決して明るいものではなかった。ルビーは依然として暗い情念を抱え、アクアの交際を知った有馬かなは激しく動揺している。撮影終了後、メンバーがそそくさと個別に帰路につく様子は、埋まらない心の距離を物語っていた。
有馬かなの涙
街中を歩く有馬かなは、溢れ出る感情を抑えきれず涙を流す。アクアの選択が彼女に与えた衝撃はあまりに大きく、その姿は、華々しい躍進を遂げた新生「B小町」が抱える、危うい内情を象徴していた。
躍進の裏にある不安
半年の時を経てキャリアは前進したものの、内部には決定的な亀裂が走ったままである。成功と引き換えに浮き彫りとなった感情の歪みが、今後の展開に暗い影を落とす中、物語は静かに幕を閉じた。
第八十二話 B小町の夜
ライブ成功と高まる評価
新生「B小町」はワンマンライブを開催し、千人規模の会場は即完売となっていた。会場外でも有料配信によって多くの視聴者を集め、グループの知名度と人気は確実に上昇していた。ファンの間では、将来的にドーム公演に立つ可能性まで語られる状況となっていた。
ファンが感じ取る違和感
一方で、熱心なファンの中にはメンバーの変化を敏感に察知する者も現れていた。有馬かなは以前の明るさが影を潜め、星野ルビーもかつての無邪気さとは異なる雰囲気を帯びていると受け取られていた。表向きの成功とは裏腹に、グループ内に生じている歪みが徐々に外部にも伝わり始めていた。
ライブ後の別行動
ライブ終了後、移動中の車内で有馬かなは用事があるとして一人で車を降りていた。その後、彼女は建物の階段に座り込み、特に行動を起こすことなく一人の時間を過ごしていた様子が描かれていた。
MEMちょとの再会
有馬かなの後を追う形で、MEMちょがその場に現れていた。MEMちょは隣に座り、無理に問い詰めることなく、有馬かなの状態を気遣う姿勢を見せていた。その態度が引き金となり、有馬かなは感情を抑えきれなくなっていた。
感情の決壊と告白
有馬かなは涙を流しながら、胸中に溜め込んでいた思いを吐露していた。星野アクアと黒川あかねの交際そのものよりも、交際後にアクアが距離を取り、事務所やライブでも顔を合わせなくなったことが、彼女を深く傷つけていた事実が明らかになっていた。好きな相手から避けられていると感じる状況が、長期間続いていたことが語られていた。
MEMちょの支え
屋外で感情を爆発させた有馬かなに対し、MEMちょは寄り添い続けていた。その後、MEMちょは有馬かなを自宅まで送り、落ち着いて眠るまで側にいたことが示されていた。年長者としての落ち着いた対応が、有馬かなにとって大きな支えとなっていた。
事態への介入を示唆
有馬かなを送り届けた後、MEMちょは真剣な表情で星野アクアに連絡を取ろうとしていた。新生「B小町」の内側で進行する問題に対し、MEMちょが調整役として動き出す可能性が示唆され、物語は次の局面へと向かっていた。
第八十三話 入れ込み
収録後の合流
番組収録が終わったスタジオ。MEMちょは出待ちをする形で星野アクアを捕まえ、疲労困憊で帰ろうとする彼を強引に食事へと誘い出した。
個室での吐露
落ち着ける個室居酒屋に入った二人。アクアは多忙なスケジュールに加え、舞台稽古や受験勉強に追われており、その疲労はピークに達していた。進路の話など表面的な雑談を交わすが、空気は徐々に核心へと近づいていく。
核心への問いかけ
MEMちょは意を決し、避けられていた話題――有馬かなについて切り出した。「最近かなちゃんと話してないでしょ」と、責めるのではなく心配するように問いかける彼女に対し、アクアは表情を曇らせる。
感情の決壊
「あいつの事となると冷静になれない」 アクアは感情を露わにし、苦渋の表情で本音を吐き出し始めた。
「推し」への恐れと距離
有馬かながアイドルとして売れていく中で、自分が近くにいることはリスクでしかないとアクアは考えていた。スキャンダルや悪意ある目から彼女を守るための最善策は、自分が関わらないことだと信じ込み、徹底して距離を置いていたのだ。
トラウマの呪縛
その思考の根底にあるのは、かつてのアイの事件だった。自分のせいで大切な人が傷つき、失われる恐怖。もし有馬かなに何かあれば、自分は生きていけない――そこまで追い詰められた心情を吐露する。
「入れ込み」の自覚
それは単なる友人としての心配を超え、彼自身が有馬かなに深く「入れ込んでいる」ことの証明でもあった。理屈で距離を取っても、それが彼女を傷つけている矛盾にアクア自身も苦しんでいた。
共有された苦悩
全てを聞いたMEMちょは、彼の重すぎる想いを静かに受け止めた。簡単に解決策は見つからないまま、アクアの深い孤独と愛情が明らかになり、物語は静かに幕を下ろす。
第八十四話 売り込み
同級生との再会と番組の話題
芸能科の教室で、星野ルビーは不知火フリル、寿みなみと合流し、近況を語り合っていた。話題は星野アクアが出演するバラエティ番組「深掘れ☆ワンチャン!!」へ。アクアの的確なツッコミが評価されていることや、フリルの「このまま売れれば、いずれ共演することになる」という何気ない予言が語られる。
共演の可能性とルビーの反応
三人が表舞台で共演する日はそう遠くない――フリルは二人の実績を冷静に評価し、みなみも素直に喜びを見せる。だが、ルビーだけは違っていた。彼女はその言葉を受け止めつつも、かつてのように無邪気な感情を表に出すことはなく、ただ静かな反応を返すのみだった。
双子での番組共演
「ルビーとならすぐに共演できる」という話が出た直後、場面は実際の番組収録へと切り替わる。そこには、アクアに事前連絡もせず、突如として共演を果たすルビーの姿があった。予期せぬ妹の登場に、アクアは隠しきれない戸惑いを見せる。
ルビーによるリポート企画
番組内で放送されたのは、ルビーがリポーターとして街に出向き、「光宙(ぴかちゅう)くん」というキラキラネームの人物を探すVTRだった。ルビーは持ち前の愛嬌と驚きのリアクションで取材を成立させ、スタジオ出演者からも好感触を得る。しかしアクアは、その手際の良さを複雑な表情で見つめていた。
企画の真相と売り込み
収録後、アクアはこのキャスティングに鏑木プロデューサーが関んでいると推測するが、真相は違っていた。実はルビー自身が企画書を作成し、番組スタッフへ直接売り込んでいたのだ。「B小町」のライブ現場に企画書を持ち込み、自ら仕事を掴み取る――そのしたたかな手法には、海千山千の業界人である鏑木さえも舌を巻いていた。
変化したルビーの姿
かつて「アイドルとしての王道」にこだわっていたルビーは、もういない。今の彼女は状況を見極め、裏口入学のような手段も辞さない冷徹な判断力を身につけていた。妹が自ら企画書を書き、主体的に動いたという事実に、アクアは彼女の劇的な変化を痛感させられる。
壱護との接触
その頃、ルビーはある人物の元を訪れていた。釣り堀で一人、糸を垂らす疲れ切った男――元苺プロ社長、斎藤壱護である。ルビーが彼に近づいたのは、仕事のためではない。
復讐への決意
ルビーの目的はただ一つ、星野アイを殺した男の情報を引き出すことだった。「犯人を見つけ出すまで決して逃がさない」。壱護にそう告げる彼女の瞳には、暗く強い決意の炎が宿っている。真相に迫るため、ルビーが独自の復讐劇を歩み始めたことを示し、物語は緊張の中に幕を閉じた。
第八十五話 打算
父の手掛かりを求めた接触
ルビーは自身の父親に関する情報を得るため、元「苺プロ」社長・斎藤壱護の元を訪れた。しかし壱護は「父親の正体は知らない」と断言。「もし知っていれば、とっくに俺が殺している」と凄みを利かせる。さらに、アイの当時の関係者についても、無計画に動くことの危険性を説き、教えることを拒否した。
「売れること」が全ての条件
壱護は、当時の関係者の多くが現在では業界の重鎮となっている現実を突きつける。今の無名なルビーでは門前払いされるだけだ、と。その上で彼は一つの条件を提示した。「向こうから会いたいと言われるほど売れろ。そうすれば会わせてやる」。ルビーはその条件を呑み、「売れること」を復讐への手段として位置づけた。
壱護による“売れるための思考”
直後にルビーが「どうやったら売れるか」を問うと、壱護は呆れつつも、彼女がすでにバラエティ番組のレギュラーを勝ち取った事実を知り目の色を変える。隠居した身でありながら、彼の中には今なお経営者としての鋭い勘と情熱が燻っていたのだ。ここから、壱護による徹底的なコーチングが始まった。
戦略としての「キャラ設定」
壱護が説いた最重要事項、それは「キャラが明確であること」だった。尺の短いバラエティ番組において、視聴者や制作陣に重宝されるのは、分かりやすい役割を持った人物だ。その助言を受け、ルビーは自身のルックスとのギャップを狙った「おバカキャラ」を前面に押し出す方針を固める。
番組内での実践と成功
本番中、ルビーは教えを忠実に実行した。強烈なバカエピソードを披露し、話を意図的に誇張して爪痕を残す。さらに、兄であるアクアに話を振って冷静なツッコミを引き出し、自身の「ボケ」を際立たせることで、スタジオの笑いをかっさらってみせた。
ADへの配慮という「打算」
壱護の教えはカメラの前だけではない。「ADには優しくすること」。ルビーは現場で下っ端のスタッフに笑顔で接し、飲み物を配るなどの配慮を見せる。これは優しさではない。将来ディレクターやプロデューサーに出世する彼らに恩を売り、将来の仕事に繋げるための純粋な「打算」であった。
アクアの違和感
収録後、あまりに要領良く立ち回るルビーに対し、アクアは違和感を抱く。この急激な変化の背後には、誰か強力な入れ知恵がある――。妹の変貌は今後の波乱を予感させ、物語は静かな緊張の中に幕を閉じた。
第八十六話 AD
AD・吉住シュンの過酷な日常
ネットバラエティ番組「深掘れ☆ワンチャン!!」のAD・吉住シュンは、慢性的な睡眠不足と戦っていた。ロケ先の下調べ、連絡調整、雑務の全てを一人で背負い込む日々。現場では上司である漆原ディレクターの怒号が飛び交い、精神的に休まる暇などどこにもなかった。
番組制作現場のヒエラルキー
自宅にて、アクアはルビーにテレビ業界の厳格な階級構造を説いた。頂点に立つプロデューサー、現場を指揮するディレクター、そして最下層に位置するAD。ADとは、上からの理不尽な指示をすべて引き受け、泥をかぶるための存在――それが、番組制作の裏側にある冷徹な現実だった。
無茶振りされた企画条件
次回企画として、漆原Dが提示したのは「コスプレイヤーの深掘り」。しかし、その条件はあまりに過酷だった。「話題性のある人物を十人集めること」、さらに「『東京ブレイド』縛り」という厳しい制約付き。吉住は必死にアポ取りを行うが、断りの連絡が続くだけで、企画実現の道筋は全く見えなかった。
追い詰められる精神
連日の失敗とプレッシャーにより、吉住の精神は限界に達しつつあった。番組に穴を開ければ自分の責任になるという恐怖と、現実的に打開策がない絶望。ADという立場の孤独と過酷さが、痛々しいほどに浮き彫りになる。
ルビーの介入
そんな吉住の様子を、ルビーは見逃さなかった。「何か手伝いましょうか?」と声をかける彼女に、追い詰められた吉住は藁にもすがる思いで尋ねる。「ルビーちゃん、コスプレしたことない?」。この問いかけが、企画成立への突破口となった。
兄妹の静かな探り合い
ADへの配慮、そしてタイミングの良い介入。あまりに手際の良いルビーの立ち回りに、アクアは「誰かの入れ知恵か?」と疑いの目を向ける。しかしルビーは「プロとして考えただけ」と返し、核心をはぐらかした。兄妹の間に漂う、見えない緊張感を残して物語は幕を閉じる。
第八十七話 空音
雨の中の再会
雨の降る夜。仕事を終えた黒川あかねの前には、傘を差して迎えに来た星野アクアの姿があった。二人は相合傘で並んで歩き、他愛のない会話を交わす。アクアの自然な気遣いと優しさに触れ、あかねは穏やかな時間を噛み締めていた。
あかねの内心
隣を歩きながら、あかねは自問自答を繰り返す。アクアの心奥に有馬かなへの特別な感情があることを、彼女は鋭く察していた。けれど、それを理解した上で、今の関係を受け入れる。「これ以上は望まない」。そう自分に言い聞かせる彼女の心は、幸福と諦念の間で揺れていた。
「空音」としての言葉
「私は今、幸せだよ」。あかねの語る納得や満足は、表面上は穏やかだ。しかしその内側には、自分自身を納得させるための強がり――“空音”が含まれていた。真実の中にほんの少しの嘘を混ぜ、彼女は現在の平穏を守ろうとしていた。
場面転換:ルビーの勧誘
場面は変わり、ルビーの通う学校へ。ルビーは例の番組企画を成立させるため、同級生の寿みなみに声をかけていた。「テレビに出れば次につながるよ」。以前の彼女なら言わなかったであろう、打算を含んだ言葉で協力を求める。
みなみの拒絶とルビーの変化
しかし、みなみの反応は芳しくない。本職のグラビアアイドルである彼女は、コスプレ文化へのリスペクト故に「にわかが番組のためにやるのは失礼」と難色を示す。目的のために手段を選ばず、相手を動かそうとするルビーと、筋を通そうとするみなみ。両者の間には明確な温度差が生まれていた。
AD吉住の行き詰まり
一方、番組制作の現場では吉住ADが追い詰められていた。企画の締め切りが迫る中、アポ取りは全滅。彼はついに、禁断の手を使うことを決意する。それは、身内の人間に頼るという苦肉の策だった。
妹・未実の登場
吉住が電話をかけた相手は、実の妹・吉住未実。彼女はコスプレイヤーであるが、同時にVTuberとしても活動していた。「顔出しNG」を理由にテレビ出演を頑なに拒む妹。兄妹の会話を通じて、企画の行方はさらに混迷を極めていく。
響き合う「空音」
あかねの自分への言い聞かせ、ルビーの戦略的な説得、そして仕事のために交わされる兄妹の会話。本話では、それぞれの本音と建前が“空音”として重なり合う。言葉の真偽と感情のズレを残したまま、物語は静かに次へと続いていった。
第八十八話 オファー
個人勢VTuber・吉住未実の実像
吉住未実は、企業に属さない「個人勢」として活動するVTuberであり、同時に人気コスプレイヤーでもあった。後ろ盾なしで高い登録者数を維持する彼女は、配信界隈でも一目置かれる存在だ。しかしその活動の実態は、兄である吉住ADの助言によって始まり、現在も彼が実質的なマネジメントを担っているというものだった。
兄による管理と強引なオファー
吉住ADは未実の活動を細部まで把握していた。表のアカウントだけでなく、サブアカウント(裏垢)での発言やコスプレ投稿の内容まで完全に管理下に置いているのだ。番組出演に消極的な未実に対し、兄はそれらの「弱み」を材料に交渉を展開。なかば脅迫に近い形で、最終的に出演を承諾させた。
番組成立への道筋と新たな不安
ルビーの説得、みなみの協力、そして未実の参加。かろうじて役者は揃ったかに見えた。しかし、ここで根本的な問題が浮上する。今回のテーマである「東京ブレイド」のコスプレ企画が、果たして権利元から許可されるのかどうかという懸念だ。
権利問題の壁と現場の混乱
収録を目前にして、懸念は現実となる。作品側から正式なコスプレ許諾が下りていない事実が判明したのだ。「東京ブレイド」の原作者(鮫島アビ子)は権利関係に厳しく、許諾取得は極めて困難であることが予想された。見切り発車で進んでいた企画は岐路に立たされ、吉住ADは直前まで各所への対応に追われることになる。
綱渡りの取材当日
未実は衣装面などで協力姿勢を見せるものの、企画の根幹となる許諾は不透明なままだ。許可が取れなければ全てがお蔵入りになる――そんなリスクを抱えたまま、現場は緊張の取材日を迎える。オファーを巡る泥臭い調整と、テレビ制作の綱渡りな実態が強調される回となった。
第八十九話 コスプレ
撮影当日の集合と準備
番組収録当日。出演者一同は、真夏の熱気に包まれた即売会会場に顔を揃えた。権利問題による直前のコスプレ変更という混乱はあったものの、ルビー、みなみ、吉住未実はなんとか衣装を整え、撮影体制を確立する。特に未実は、普段のVTuber像とは異なる「黒髪ロングの和装風」で登場し、新たな魅力を放っていた。
新メンバー・メイヤの不満
今回の企画には、ルビーの紹介で有名コスプレイヤー・メイヤも参加していた。少年誌ジャンルでのグラビア活動も行う彼女に対し、テレビ側は露出対策として直前の衣装変更を要求。準備の手間や表現へのこだわりを軽視するような制作側の態度に、メイヤは隠しきれない苛立ちを滲ませていた。
炎天下での撮影完了
現場には緊張感が漂っていたが、撮影そのものは予定通り開始された。猛暑の中での過酷なロケにも関わらず、大きなトラブルは発生せず、番組収録は一応の完走を見せる。出演者たちはそれぞれの役割を果たし、現場は「表面的には」円滑に収束したかのように見えた。
イベント後の余波
収録後、出演者たちはコスプレ広場を巡り、一般参加者との撮影交流も行う。しかし、本当の問題は解散後に起こった。帰りの電車内、鬱憤が溜まっていたメイヤは、テレビ局への不満をSNSに投稿してしまう。その呟きは瞬く間に拡散され、多数の共感と反応を集めることとなった。
残された火種
現場では丸く収まったはずの収録だったが、メイヤの投稿をきっかけに、事態は急変する。番組制作の強引な在り方や、コスプレ文化への配慮不足が問われる状況へ。第八十九話は、現場で解消されなかった小さな違和感が、SNSという拡声器を通じて「炎上」へと変わる瞬間を描き、幕を閉じた。
第九十話 コンプライアンス
SNS炎上の発端
コスプレ企画の撮影直後、メイヤの投稿をトリガーとして、番組およびテレビ業界全体への批判がSNS上で爆発した。「撮影直前の衣装変更」「高圧的な取材姿勢」「レイヤーへのリスペクト不足」。現場で積もった不満が次々と掘り起こされ、炎上は瞬く間に収拾のつかない規模へと拡大した。
メイヤの怒りとプライド
メイヤが怒った理由は明白だった。彼女はアダルト分野で活動していながらも、コスプレイヤーとしての高い矜持を持っている。友人の協力を得て徹夜で仕上げた衣装を、「露出」という一点のみで否定された屈辱。仕事だからと割り切るには、彼女の創作への愛はあまりに深すぎたのだ。
吉住ADの苦悩
炎上の最前線で、吉住ADはサンドバッグ状態となっていた。謝罪対応に奔走するも、ネットの怒りは収まらない。「このままではトカゲの尻尾切りにされる」。将来への不安と責任の重圧に押し潰され、彼は心身ともに摩耗していく。
漆原Dの論理と時代錯誤
漆原Dは語る。「大コンプライアンス時代」における番組制作の窮屈さを。規制だらけの地上波ではなく、ネットでこそ攻めた「面白い」ものを作りたい――その情熱と、完成した映像の面白さは本物だった。しかし、彼の強引な手法や配慮の欠如は、現代の価値観(コンプライアンス)とは決定的に乖離していた。
責任の所在と番組の行方
事態を重く見た上層部は、番組の配信見送りを検討し始める。最終的に漆原Dは、全ての責任を背負う覚悟を決めた。彼なりの美学と責任感は示されたものの、番組の存続は絶望的な状況となる。
不穏な救世主
混乱と絶望の淵にいる吉住ADの前に、一人の少女が現れる。星野ルビーだ。「お困りですか?」――その手には新たな企画書が握られていた。あまりに良すぎるタイミング、そして迷いのない笑顔。彼女は炎上を鎮める救世主なのか、それとも混乱を利用する捕食者なのか。物語は不気味な余韻を残して幕を閉じた。
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