【推しの子】 3巻 レビュー
【推しの子】 まとめ
【推しの子】 5巻 レビュー
どんな本?
『推しの子』は、原作を赤坂アカ 氏が、作画を横槍メンゴ 氏が手掛ける日本の漫画作品。
2020年4月23日から『週刊ヤングジャンプ』(集英社)にて連載が開始され、1週遅れで『少年ジャンプ+』でも連載されている。
本作は赤坂にとって4作目、横槍にとって6作目の連載作品で、赤坂は『かぐや様は告らせたい』の連載中に本作を開始し、異例の2作品同時週刊連載となった。
この作品のジャンルは青年漫画で、主人公は死後に前世の記憶を持ちながら、推していたアイドルの子供として生まれ変わるというファンタジー設定を持つ「転生もの」です。ストーリーは、サスペンス要素や現代社会を投影した展開、芸能界の闇への切り込みなどが特徴。
タイトルの「推しの子」は、「応援している人」を意味する言葉「推し」から来ており、主人公とその妹のことを指している。
本作のタイトルロゴでは、隅付き括弧(〖〗)が使用されており、これは外側が二重線になった独自の記号を用いることが正式表記とされ、演出上の意味がある伏線となっており。
作品は芸能界の華やかな部分とシビアな部分の両方を描いており、斬新な設定と予測不能な展開で多くの反響を呼んでいる。
個性的な作風の作家二人がタッグを組んだことで、独自の世界観が生まれている。
2020年7月1日から9月30日にかけて発売された単行本第1巻は、同期間で日本で最も売れた作品となり、2023年11月時点でシリーズ累計部数は1500万部を突破。
物語は章ごとに区切られており、各章の最後のコマや、単行本各巻冒頭の登場人物紹介、あらすじのページで章ごとのサブタイトルが掲示されている。
プロローグ「幼年期」では、田舎の産婦人科医ゴローが、自分に懐いていた患者で、12歳で亡くなった少女さりなの影響でアイドルオタクになり、活動休止中の推しアイドル・星野アイが双子を妊娠した状態で現れたことから物語が始まる。
アニメについては、2023年4月から放送が開始されている。
第1話は90分の拡大版で、2023年3月17日には『推しの子 Mother and Children』のタイトルで全国の劇場で先行上映された。
読んだ本のタイトル
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あらすじ・内容
「この芸能界(せかい)において嘘は武器だ」 芸能活動も本格化してきた双子の兄妹、アクアとルビー。恋愛リアリティショーに出演したアクアは、黒川あかねとカップル成立!! 番組が終わった後、メンバー同士の関係は…!? 一方、ルビーが所属するアイドルグループ新生“B小町”はファーストステージに向けて、正式に活動スタート!! “赤坂アカ×横槍メンゴ”の豪華タッグが全く新しい切り口で“芸能界”を描く衝撃作…第4巻!!
【推しの子】 4
感想
双子の兄妹、アクアとルビーは、芸能界での浮き沈みを繰り返している。アクアは恋愛リアリティショー「今ガチ」で黒川あかねとカップル成立し、一時の幸せを手に入れる。しかし、番組が終わり現実の厳しさが二人に迫る。一方ルビーは、アイドルグループ新生“B小町”の一員としてデビューへの道を進む。そこへ、リアリティショーの元共演者であるMEMちょが加入し、彼女の存在が新たな波風を呼ぶ。
新生B小町の中でも特に注目されるのが、有馬かな。彼女は子役から芸能界にいて、過去には売れなかった時期がある。今、新たなステージでの成功を目指しているが、その背後には数々の黒い感情や過去の経験が影を落としている。
アイドル活動が進む中、かなとあかねのライバル関係が深まり、二人の間には予期せぬ事件が起こる。ストーカーの出現、アイドルを取り巻く闇、そして、ある秘密。すべてが明かされるとき、アクアとルビー、そしてB小町のメンバーたちはどんな選択をするのか。
今回の巻では、芸能界の裏側やアイドルの心の葛藤がリアルに描かれており、非常に心に残る作品となっている。アクアの真摯な心持ちやルビーのアイドルとしての葛藤、そしてかなの過去やMEMちょの存在など、登場人物それぞれの背景や心情が丁寧に描かれており、読む者の心を強く打つ。
特に、かなの過去や彼女が抱える心の闇、そしてそれを乗り越えようとする姿は感動的であり、多くの人々が共感を覚えるだろう。また、アクアとルビーの双子の関係性や、それぞれの芸能活動を通じての絆の深まりも、本作の大きな魅力となっている。
新生B小町の活動や、彼女たちの前に立ちはだかる数々の困難、そしてそれを乗り越えていく姿には、多くの読者が勇気や希望を見いだすことができるだろう。この作品を通じて、芸能界の厳しさやアイドルの生き様、そして人間の心の複雑さを感じることができる。
全体的に、この巻は前巻までの続きとして、より深くキャラクターたちの心の内側を探る作品となっており、非常に読み応えがある。次巻も非常に楽しみで、どんな展開が待っているのか、目が離せない。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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【推しの子】 3巻 レビュー
【推しの子】 まとめ
【推しの子】 5巻 レビュー
展開まとめ
第三十一話 今ガチ
収録終了と打ち上げ
恋愛リアリティーショー「今からガチ恋始めます」の全収録が終了し、出演者たちは打ち上げの場で労をねぎらい合っていた。黒川あかねは、様々な出来事があったが番組は本当に楽しかったと述べ、周囲もそれに同意していた。番組を通じて築かれた関係が、穏やかな雰囲気として描かれていた。
最終回のキスとあかねの判断
最終回での星野アクアとのキスについて話題が及ぶと、あかねは交際について即答を避けた。番組の流れの中で生じた出来事であり、感情だけで決めるものではないと整理していた。仕事への影響も踏まえ、慎重に判断すべきであるという姿勢を示していた。
仕事としての交際成立
その後、アクアとあかねは二人で話し合いを行った。あかねは、交際を続けるのであれば私情ではなく仕事として明確に位置付けるべきだと提案した。アクアはこれを受け入れ、二人は番組終了後もカップルとして振る舞うことを決めた。ただしそれは業務上の延長であり、私的な恋愛とは切り分けられていた。あかねは、アクアが自分を異性として見ていないことも理解した上で判断していた。
ゆきとノブの私的交際
番組最終回で熊野ノブユキに告白を断っていた鷲見ゆきは、番組外でノブと交際を始めていたことが明かされた。公の場では成立させず、世間の注目から距離を置いた形で関係を築く選択をしていた。番組とは切り離された私的な交際であった。
番組制作側と鏑木の動き
番組ディレクターは、恋愛を流れで決めるべきではないと出演者に助言していた。炎上騒動を経た上での姿勢が描写されていた。また、プロデューサーの鏑木はアクアの働きを評価しており、出演条件であったアイに関する情報提供についても今後話す意向を示していた。
MEMちょへの勧誘と新生B小町
打ち上げ後、アクアとMEMちょは徒歩で帰路についた。その途中でアクアはMEMちょに新生「B小町」への加入を提案した。MEMちょは元々アイドル志望であったことを明かし、現在メンバー募集中である「B小町」への参加を検討する姿勢を見せていた。物語はアイドルグループ再編へと進み始めた。
第三十二話 適正年齢
アクアの本気のスカウト
「今ガチ」打ち上げ後の帰り道、アクアはMEMちょに新生「B小町」への加入を打診する。最初は冗談だと思い笑って受け流そうとするMEMちょだったが、アクアの真剣な態度から本気の勧誘であると理解する。かつてアイドルを志していたMEMちょにとって、その言葉は強く心を揺さぶるものだった。
苺プロへ、そして年齢の告白
MEMちょはアクアと共に苺プロ社長・ミヤコのもとを訪れる。面談の中で、ミヤコはMEMちょの様子から違和感を察する。やがて話題は年齢へと及び、MEMちょが公称18歳で活動していることが明らかになる。
しかし実年齢は25歳。7歳ものサバ読みで女子高生として活動していた事実が発覚する。ミヤコは驚きつつも、芸能界では珍しくないと受け止め、理由を尋ねる。
夢を諦めた過去
MEMちょは自身の過去を語る。母子家庭で弟が二人いる家庭環境の中、アイドルになる夢を抱いていた。母の後押しもあり大手オーディションの最終面接まで進んだが、高校三年時に母が倒れ入院。夢を諦め、オーディションを辞退した。
高校を休学し、アルバイトやガールズバー勤務で家計を支えた。その結果、弟たちは大学へ進学し、母も回復。しかし気付けば自分は23歳になっており、「アイドル適齢期」を過ぎたと感じていた。
行き場を失った情熱を配信活動へ向け、「現役JK」という設定で活動を開始。登録者は増え続け、年齢を訂正できないまま現在に至っていた。
25歳のアイドルは無理なのか
過去を打ち明けたMEMちょは、「やはり25歳でアイドルは無理だ」と再び夢を手放そうとする。しかしそこへルビーと有馬が現れる。
ルビーは「アイドルに年齢は関係ない」と断言し、まっすぐにMEMちょへ手を差し出す。有馬もまた、年齢で評価されてきた過去を持つ立場から彼女の気持ちを理解し、加入を歓迎する。
二人の言葉に背中を押され、MEMちょはその手を取る。
有馬の変化と新生B小町始動
一連の様子を見ていたアクアが有馬に声をかけるが、有馬は冷たくあしらう。「今ガチ」での黒川とのキスを目にして以降、距離を置いている様子がうかがえる。それでも「言われなくてもこのグループは私が何とかする」と宣言し、ルビーとMEMちょを連れて食事へ向かう。
こうして新メンバーMEMちょが正式加入。
第三十三話 モチベーション
「今ガチ」後の学校とアクアの影響
「今ガチ」放送終了後、ルビーはクラスメイトの寿や不知火と番組の話題で盛り上がる。番組は大きな注目を集めており、その影響でアクアは普通科・芸能科を問わず学校内でかなりモテていた。不知火は「視力が良くなった」と評するなど、番組の話題性の高さが描かれる。
同時に、「今ガチ」は新生「B小町」の活動にも追い風となっていた。
B小町チャンネルの成長
MEMちょ加入により動画のクオリティは向上し、「B小町チャンネル」は登録者1万人を突破する。しかし現状は自己紹介動画のみで、本格始動には楽曲が必要だった。楽曲制作はミヤコが外部に依頼中であり、完成待ちの状態である。
有馬は「曲がないなら仕方ない」と構えるが、MEMちょは旧「B小町」の楽曲を使ってレッスンを始める提案をする。ルビーとMEMちょは高い熱量で練習に取り組む。
有馬の温度差
ドルオタ二人の情熱に対し、有馬は一歩引いた立場にあった。唯一ドルオタではない有馬は、二人の高いモチベーションについていけず、スタジオ外で一人休憩してしまう。
そこへアクアが差し入れを持って現れる。有馬は礼を言いかけるが、黒川とのキスシーンを思い出し、思わず強く当たってしまう。こうした態度は最近続いており、アクアは「いい加減俺も傷つく」と言い残して去る。
その言葉に有馬は複雑な表情を浮かべるが、呼び止める前にアクアは姿を消していた。
鏑木との再会
夜、アクアは鏑木と寿司屋で会う。かつての約束通り、鏑木はアイの過去について語り始める。
アイは若い頃、「劇団ララライ」に所属していたという。鏑木は、アイがその場所で恋をした可能性があると示唆する。
第三十四話 センター
劇団ララライと鏑木の思惑
寿司屋で鏑木からアイの過去を聞いたアクアは、アイがかつて「劇団ララライ」に所属していたことを知る。ララライに関心を示したアクアに対し、鏑木は主宰者を紹介すると申し出る。
なぜそこまで便宜を図るのかという問いに、鏑木はこの業界は貸し借りの世界であると説明する。将来アクアが売れた際、キャスティングなどで優位に立つための先行投資であった。同様の投資は他の若手にも行っていることが示唆される。
JIF出演の打診
鏑木は「B小町」復活の情報も把握しており、MEMちょに連絡を入れていた。内容は「ジャパンアイドルフェス(JIF)に興味があるならねじ込む」というものだった。
翌日、MEMちょはその話をルビーと有馬に伝える。開催は来月で準備期間は短い。有馬は現実的に難しいと考えるが、ルビーとMEMちょは強い意欲を示し、最終的に出演を目指すことになる。
センター決めの開始
JIF出演を前提に、「B小町」のセンターを誰にするかという話題になる。三者とも明確に名乗り出はしないが、それぞれが意識している様子が描かれる。
MEMちょは経験とメディア慣れを根拠に自分を推す。一方ルビーは、それなら子役時代から音楽番組に出演してきた有馬が最有力になると指摘する。
有馬の自己評価
懐かしさから「ピーマン体操」を歌うよう促されるが、有馬は自分は歌が下手だとして拒否する。歌が重要であるなら、カラオケ採点で決めようという流れになる。
ルビーは有馬を誘うが、有馬は自分がセンターになれば人気が落ちると否定し、参加を断る。芸能界で長年活動しながら演技以外で成果を出せなかった経験や、最近のアクアとの関係も影響し、自信を失っている様子が示される。
カラオケ勝負と現実
ルビーとMEMちょは二人でカラオケに向かう。採点結果はルビー43点、MEMちょ57点と振るわない結果であった。歌唱力不足を自覚し、練習の必要性を感じる。
休憩中、有馬の楽曲を検索すると、子役時代を含め多数の曲が表示される。動画配信サイトで実際に聴いた結果、有馬が高い歌唱力を持っていることを知る。
有馬の本音と実力
その頃、有馬は一人でカラオケにおり、97点という高得点を出していた。自らを過小評価していたが、実力は十分に備えていることが明示される。
第三十五話 責任感
既成事実化の失敗
ルビーはカメラを回し、「JIFでセンターを務めるのは有馬かなである」と宣言することで既成事実を作ろうとした。しかし有馬はその意図を即座に察し、笑顔のまま撮影を止めるよう要求した。二人がカラオケで有馬の曲を聴いたことも見抜かれており、策略は失敗に終わった。
有馬の拒絶と責任の押し付け合い
ルビーは、有馬の歌が確実に上達しており、期待に応えようと努力できる人物だと評価していた。そのためセンターを任せたいと考えていたが、有馬は何度頼まれても引き受けないと断言した。場の空気は重くなり、これ以上の説得は困難な状況となった。
それでも最後に自分たちの曲を聴いてほしいと頼み、ルビーとMEMちょは歌唱を披露した。結果として、自分が立たなければならないという現実を有馬自身が理解するに至り、最終的にセンターを引き受けた。ただし内心では本意ではなく、やりたくないという思いを抱えていた。
ぴえヨンの登場と特訓開始
センター決定後、ミヤコはステージ本番まで日数がないことを踏まえ、サポート役を紹介する。現れたのは覆面姿のぴえヨンであった。元プロダンサーで振付師の経歴を持つ彼は、体力作りとパフォーマンス向上のための厳しいトレーニングを課す。坂道ダッシュの後に休みなくセットリストを通すなど、妥協のない指導が始まった。
ベランダでの対話
夜、有馬は一人でベランダに立っていた。そこへぴえヨンが声をかける。有馬は自虐的な発言を重ねるが、ぴえヨンは彼女の努力や長所を具体的に挙げて評価する。
当初は冷淡に応じていた有馬も、自分をよく見ている言葉に心を動かされる。さらに、彼が自分のファンであり、好物や嗜好まで把握していることを知る。二人は「ピーマン嫌い」という共通点をきっかけに距離を縮め、和やかな会話を交わした。
揺れる心と疑念
対話の中で、有馬は自分を理解してくれる存在に安堵を覚える一方、ぴえヨンの体格や雰囲気がアクアに似ていることに気付く。内心では葛藤を抱えながらも、グループのためにセンターを担う責任を自覚していく様子が描かれた。
第三十六話 前夜
JIF前日の最終調整
ジャパンアイドルフェス前日、「B小町」は最終調整に入っていた。ぴえヨンの指導のもと、歌もダンスも一定の完成度に達していた。休憩中、ぴえヨンが有馬に水を差し出し、有馬は笑顔で礼を述べる。その後、有馬はMEMちょに対しアクアの無神経さを批判する一方、幼少期から彼を意識していたことも口にし、感情の揺れを見せた。
ぴえヨンの正体
ぴえヨンはレッスンを監督しながら電話をしていたが、その相手は本物のぴえヨンであった。つまり、現場で指導していた人物は別人であることが示される。正体はアクアであり、自身が直接助言すると反発されるため、覆面を借りて支えていたのであった。アクアは自らを「割と弱い」と漏らし、有馬との関係に傷ついている様子も描かれた。
眠れぬ夜
深夜、明日を楽しみにするルビーは興奮で眠れず、有馬にたしなめられる。睡眠の重要性を説かれた後、ルビーは憧れについて語り始める。前世で病弱だった自分を救った存在がアイであり、さらに「アイドルになったら推す」と言ってくれた初恋の相手・ゴローの存在が、アイドルを志す原動力になっていたことを明かす。語り終えたルビーは眠りにつく。
有馬の孤独と発見
ルビーの話を聞いた有馬は、自分には無条件に応援してくれる存在がいないと感じ、部屋を出る。階下でぴえヨンのマスクを見つけ、不審に思って部屋を覗くと、そこにはエナジードリンクを飲むアクアの姿があった。ぴえヨンの正体がアクアであると知った有馬は、声をかけることなくその場を離れた。
迎えた当日と不安
翌朝、JIF当日を迎える。ルビーとMEMちょは振り付けのハードさを考え、十分な睡眠の重要性を語る。一方、有馬は前夜の衝撃により一睡もできていなかった。センターとして本番に臨む有馬は、不安を抱えたままステージに向かうこととなった。
第三十七話 プレッシャー
ぴえヨンの正体と眠れぬ夜
JIF当日。有馬は、ぴえヨンの正体がアクアだった事実に動揺し、一睡もできないまま会場入りする。頭では入れ替わりだと理解していても、感情の整理が追いつかない。
過酷な楽屋環境
案内された楽屋は、大勢の出演者で溢れ返る大部屋だった。着替えはパーテーション裏、荷物置き場も十分ではない。人気グループには別室があるという現実が、芸能界の格差を浮き彫りにする。地下や中堅クラスのアイドルにとっては、これが現実だった。
MEMちょはファンに見つかり撮影対応に追われ、ルビーは落ち着かず、有馬は騒音の中で仮眠も取れない。
有馬の焦燥と過去の影
ミヤコに「緊張してる?」と問われ、有馬は否定する。しかし内心では、「自分が引っ張らなければ」と強い責任を背負っていた。
その焦りは、子役時代の失敗の記憶を呼び起こす。期待に応えられず、信頼を失った過去。再び同じことを繰り返すのではないかという恐怖が、有馬を追い詰めていく。
ルビーの見抜いた本音
そこへ緊張した様子のルビーが現れる。「先輩は怖くないの?」という問いに、有馬は強がる。しかしルビーはそれが嘘だと見抜く。
「一人じゃないから怖いのよ」
有馬は本音を吐露する。自分が失敗すれば、仲間まで巻き込んでしまう。その責任の重さがプレッシャーになっていた。
“新人アイドル”として立つ決意
ルビーは言う。
「先輩はただの新人アイドルだよ」
「コケて当たり前。楽しく挑もうよ」
勝手に全部を背負わなくていい、と。
その言葉に、有馬は肩の力を抜く。過去の栄光や失敗ではなく、今この瞬間の“新人アイドル”として舞台に立てばいい。
パーテーション裏で衣装に着替えながら、有馬は決意する。
自分はもう“元天才子役”ではない。
新人アイドル 有馬かな
その名で、ステージへ挑む。
第三十八話 箱推し
新生B小町、初ステージへ
ジャパンアイドルフェス(JIF)当日。新生B小町は「スターステージ」で初公演を迎える。
会場には、かつてのB小町を知る古参ファン――通称“店長”の姿もあった。
最初は興味薄だった店長だが、「B小町」という名前に反応し、ステージを見届けることにする。
開幕、そして冷静なセンター
イントロが流れ、3人が登場。
直前まで追い詰められていた有馬だが、ステージに立つと不思議なほど冷静になる。
客席はMEMちょ目当ての黄色いサイリウムが目立つ。
有馬は「やっぱりMEMちょがセンターの方が良かったのでは」と一瞬よぎる。
一方、店長は辛辣に言い放つ。
「こんなん『B小町』じゃねーよ」
伝説のアイがいた頃のB小町と比べれば、今は別物――それが古参の率直な感想だった。
ルビーの覚醒、店長の心を射抜く
その空気を変えたのがルビーだった。
センターの有馬を気にかけ、眩しいほどの笑顔を向ける。
その姿が、かつての“アイ”と重なった瞬間――
店長は覚醒。猛烈な勢いでサイリウムを振り始める。
有馬の孤独
輝くルビー。
安定した人気のMEMちょ。
その隣で有馬は思う。
「この子は眩しいな」
「こういう子が上に行くんだろうな」
自分を見ている人は誰もいないのではないか。
母もマネージャーも、ファンも、“今の自分”ではなく過去を見ている。
「誰か、私はここにいていいって言って」
心が限界に達しかけた、その時。
白いサイリウム
視界に入ったのは、白い光。
掲げていたのはアクアだった。
胸に「B小町」のTシャツ。
右手に白、左手に赤と黄色。
三色を振る“箱推し”仕様で、全力のオタ芸。
あまりにも真顔で本気な姿に、有馬は吹き出しそうになる。
そして決意する。
自分がアイドルをやっている間に、
アクアのサイリウムを“真っ白”に染めてみせると。
「アンタの推しの子になってやる」
その誓いとともに、アクアを指差す有馬。
一瞬、アクアは見惚れる。
吹っ切れた有馬は完全に調子を取り戻し、
ステージの熱量は一気に上昇する。
評価の変化
ライブ後、店長の連れが有馬を評する。
「なんか良くないですか?」
三人とも他グループならエース級。
特にセンターはオタ受け抜群で歌も上手い。
店長は静かに呟く。
「人気出るかもなぁ」
新生B小町は、確実に“何か”を掴み始めていた。
第三十九話 ちょっと楽しいお仕事
鈴城まなというアイドル
今回の主軸は、大手アイドルグループの姉妹ユニットに所属する鈴城まな。
JIF出演4回目の実力派であり、根っからのドルオタでもある。
ステージを終えた彼女は、楽屋で見かけた“可愛い子”――ルビーのパフォーマンスを観に行く。
そして、その輝きを目の当たりにした瞬間、ある決断をする。
アイドルを辞めるという選択
鈴城は17歳で大型オーディションに合格し、憧れのアイドルになった。
歌い、踊り、テレビに出て、ファンに応援される。
夢は早い段階で叶った。
だが、200人以上いる大所帯の中で埋もれ、
曲の割り振りも少なく、テレビ映りも一瞬。
やがて憧れは“慣れ”へと変わる。
情熱で壁を越えるには、強い熱量が必要。
しかし彼女は、そこまでの情熱を持ち続けられなかった。
芸能活動は「ちょっと楽しいお仕事」へと変質する。
ルビーの眩しさを見た鈴城は悟る。
自分はもう、あの輝きの側にはいないのだと。
そして決める。
アイドルを辞めることを。
それでも好きだったからこそ
会場を去る際、鈴城はルビーに願う。
「いつまでもそのままでいてほしい」
それが一番難しいと知っているからこそ。
24歳。芸能生活6年。
2週間後、完全引退を発表。
彼女は一般企業へと転職し、芸能界を去る。
夢は叶う。
だが、叶った夢はやがて日常になる――
その現実を描いた一編。
ファーストステージ後のB小町
場面はB小町へ。
ライブを終え、車内で合流したアクア。
有馬は意を決して「どうだった?」と尋ねる。
アクアの評価は淡泊。
「初めてにしてはよくやったんじゃないか」
もっと褒めろと食い下がる有馬。
だがアクアは本気で思っている。
今ここで満点評価を出すのは“もったいない”。
彼女たちはもっと上に行く、と。
その言葉に「あっそ」と返す有馬。
しかし、どこか嬉しさも滲む。
あかねの話題と、有馬の本音
ミヤコがアクアに黒川あかねとの関係を尋ねる。
「ただの仕事相手。あれから会ってない」
それを聞いた有馬は露骨にテンションが上がる。
メムは気づく。
――あ、これ完全に好きだ。
有馬の気持ち、あかねの気持ち。
板挟みにあうメム。
そして、あかね
一方、黒川あかね。
新たな仕事が決まったと告げられ、内容を確認。
そこにはアクアの名。
「また一緒に仕事ができる」
そう微笑むあかね。
第四十話 負けず嫌い
ぴえヨンの理由を問う有馬
JIF後、有馬かなはアクアに「結局レッスンの時のぴえヨンの中身はアクアだったのか」と確認し、なぜそんなことをしたのか理由を迫った。アクアは「お前、俺と話してくれなかったじゃん」とだけ返し、有馬は「それだけ?」と食い下がるが、アクアは多くを語らなかった。有馬はその含意を読み取り、急に機嫌を良くしてアクアをからかい始め、ルビーは二人のやり取りを見て安堵した。
大人側で進む舞台企画の商談
一方で、鏑木雅也のもとにイベント運営会社「マジックフロー」代表の雷田澄彰が持ち込み企画を提示した。内容は超人気漫画『東京ブレイド』の舞台化であり、いわゆる2.5次元舞台として進行する計画であった。雷田は協力先として劇団ララライを取り付けたと述べ、若手の見栄えがする役者が必要になる点を鏑木に相談した。
アクアと黒川の現場、そこへ有馬が割り込む
アクアと黒川あかねは仕事として行動を共にし、SNS投稿の扱いも含めて現場の距離感が描かれた。そこへ有馬が現れ、リアルタイム投稿の危険性を指摘しつつ、舞台の配役に関わる話へ踏み込んだ。
配役決定と因縁の再燃
『東京ブレイド』舞台で、黒川は鞘姫、アクアは刀鬼を演じることが示され、さらに刀鬼の相棒である「つるぎ」を有馬が演じる流れとなった。黒川は有馬の登場と配役に反応し、過去から続く競争心をむき出しにする。有馬もまた強い対抗心を燃やし、「負けない」という姿勢を明確にした。舞台編に向けて、役者としての勝負と感情の火種が整えられた。
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