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二度目はタの付く自由業仏ょも

小説「二度目はタの付く自由業 3」感想・ネタバレ

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二度目はタの付く 自由業3の表紙画像(レビュー記事導入用) 二度目はタの付く自由業

タの付く自由業 2巻レビュー
まとめ
タの付く自由業 4巻レビュー

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  1. 物語の概要
    1. ■ 作品概要
    2. ■ 主要キャラクター
  2. 書籍情報
  3. あらすじ・内容
  4. 感想
        1. 上忍失踪から全部が動き出す。アイドル護衛のはずがヤクザとスパイとギルド利権の巣だった
        2. Aランクになりたい龍青会へ、ギルドから面倒な護衛依頼
        3. アイドルの中にヤの付く職業のお嬢様がいる時点で普通ではない
        4. 外交官の娘かと思ったら、本当にスパイだった
        5. 今度は関西の対抗勢力まで襲ってくる。もう全員集合である
        6. でも最後は松尾が力で全部捩じ伏せる
        7. 敵を倒すだけでなく、ギルドの外に人脈と流通網ができ始める
        8. 利権を握るギルドへの反撃が、ようやく形になってきた
  5. 考察・解説
    1. ストーリー・プロット
        1. ギルドの停滞と護衛依頼の発生
        2. 鬼神会との遭遇と交渉
        3. シータの正体と主人公の策
        4. ダンジョン探索と環境の構築
        5. 河内連合の乱入と対立の構図
        6. まとめ
      1. 主要な転換点
        1. アイドルの護衛依頼受諾
        2. 西川司朗の降参
        3. シータの正体発覚と指輪の貸与
        4. 瀬田垣による襲撃の発生
        5. まとめ
      2. 主人公を中心とした人物関係の変化
        1. 奥野せら
        2. 西川司朗
        3. シータ
        4. まとめ
      3. 主人公の認識と周囲の評価
        1. 主人公の認識
        2. 周囲の評価
        3. 乖離が顕著な場面
        4. まとめ
      4. クライマックス
        1. 発生原因
        2. 状況
        3. 瀬田垣の主張
        4. 主人公の対応
        5. 決着
        6. まとめ
      5. 巻末時点の状況
        1. 主人公の現在地
        2. 主人公の立場
        3. 解決した問題
        4. 継続している問題
        5. まとめ
    2. 龍青会の昇格
        1. 昇格を目指した背景:社会的地位の確立と生存戦略
        2. 昇格への障害:条件充足と申請保留の背景
        3. アイドル護衛任務が龍青会へ回された経緯
        4. 20階層での急襲と武力による制圧
        5. 昇格の達成と独自ネットワークの構築
        6. まとめ
    3. アイドル護衛任務
        1. 任務の発生経緯とギルドの思惑
        2. アイドルのダンジョン探索における必然性
        3. キャンプ設営における規格外の牽制
        4. 国家工作員の露見と外交カード化
        5. 20階層の襲撃と電撃的制圧
        6. 縄張り協定と独自サプライチェーンの確立
        7. まとめ
    4. 外国工作員シータ
        1. 真実と日本への派遣目的
        2. アイドル護衛任務への同行経緯
        3. 松尾篤史との邂逅と認識の相違
        4. 国家の後ろ盾と深部攻略要員としての囲い込み
        5. 協力者たちによる監視体制の形成
        6. まとめ
    5. 河内連合の襲撃
        1. 襲撃の背景と利権獲得の企図
        2. 戦闘の推移と電撃的な殲滅
        3. 監視者の生存と治療の戦略的意図
        4. 襲撃の結末とクラン連合の成立
        5. まとめ
    6. 篤史の圧倒的武力
        1. 規格外の身体能力と常識外のステータス
        2. 前世の知識に基づく極大複合魔法の構築
        3. ライトニングアローによる完全制圧
        4. 圧倒的武力がもたらした戦わぬ勝利と社会的防壁
        5. まとめ
  6. 登場キャラクター
    1. 探索者学校
      1. 松尾 篤史
      2. 奥野 せら
      3. 切岸 若葉
    2. 株式会社富士元興業 / クラン龍青会
      1. 但馬 明彦
      2. 美浦
    3. ライブカラー
      1. 山田 伊奈
      2. 霧谷 あや
      3. 天野 加奈
      4. 天雲
    4. 鬼神会
      1. 西川 司朗
    5. ベスティア
      1. シータ・ブラストゥ
      2. スパルナ・リィネ
    6. 河内連合
      1. 瀬田垣 道淳
      2. 筧 史裕
      3. 獅子堂
    7. 登場集団
      1. クラン龍青会
      2. ギルドナイト
      3. ライブカラー
      4. 鬼神会
      5. ベスティア
      6. 瀬田垣組
      7. 河内連合
  7. 展開まとめ
    1. 一章 龍青会のお仕事
    2. 二章 君の名は
    3. 三章 いざダンジョンへ
    4. 四章 見えてきた差異
    5. エピローグ
    6. 特別書き下ろし。二人は仲良し
    7. 電子書籍特典 大人の話し合い
  8. 同シリーズ
    1. 二度目はタの付く自由業
    2. 極東救世主伝説
    3. 偽典・演義~とある策士の三國志~
  9. その他フィクション

物語の概要

■ 作品概要

本巻は、Bランククラン「龍青会」のAランク昇格を巡るギルドの政治的策動と、それに付随する裏社会の衝突を記録した一冊となる。

龍青会支部長の松尾篤史と本部長の但馬は、実力がすでに昇格基準へ達しているにもかかわらず、ギルド上層部に申請を停滞させられていた。

この現状を打開して貢献度を稼ぐため、二人は「配信アイドル3名の20層護衛」という悪意ある依頼を受諾する。

道中、妨害役として姿を現したAランククラン「鬼神会」本部長・西川司朗と接触するも、松尾は圧倒的な実力を示して実質的な主導権を掌握した。

さらに、同行していたインドネシア人留学生シータ・ブラストゥの正体が諜報員だと見抜き、外交上の布石として利用していく。

やがて到達した20層において、ギルドの既得権益を守ろうとする「河内連合」の瀬田垣道淳から急襲を受けるが、松尾が放った殲滅魔法により敵勢力は瞬時に消滅した。

既存のギルド秩序が瓦解し始める予兆を漂わせつつ、一行が護衛任務を完遂した局面までを描き出す。

■ 主要キャラクター

  • 松尾篤史:  龍青会支部長。前世の記憶を保持し、国家レベルの脅威を単独で排除可能な実力を有する。自己認識は「荷物持ち」および「中間管理職」だが、実態は戦略級の魔導行使者である。
  • 但馬:  龍青会本部長。クランの社会的地位向上とAランク昇格を目指す実務家。松尾の異常な実力を組織運営の基盤として信頼し、戦略的判断を仰ぐ。
  • 奥野せら:  松尾の直属の部下。20層を単独で対処可能な「上忍」クラスの実力を持つ。松尾への絶対的な信頼に加え、実力差の認識による依存を深めている。
  • 西川司朗:  Aランククラン「鬼神会」本部長にして霧谷組若頭。護衛対象である「お嬢(霧谷あや)」の守護を最優先とする。松尾との実力差を合理的計算に基づき受容し、協力関係に転じる。
  • シータ・ブラストゥ:  インドネシア諜報部隊「ベスティア」の工作員。留学生として潜入していたが松尾に看破され、将来的な外交上のバッファとして「投資」される対象となる。
  • 瀬田垣道淳:  河内連合組長。「裏社会の論理」と極道の矜持を重んじる。ギルドの既得権益を代行して守るべく、龍青会を物理的に排除しようと20層で襲撃を仕掛ける。

書籍情報

二度目はタの付く自由業 3 ~逆行した社畜は、チートな装備&知識持ち越しで万能のアウトローになる~
著者:仏ょも 氏
イラスト:増田幹生 氏
レーベル/出版社:アース・スターノベル(アース・スター エンターテイメント)

(PR)よろしければ上のサイトから購入して頂けると幸いです。

あらすじ・内容

ダンジョンでアイドル護衛任務!?

逆行転生×現代無双×アウトロー

【「ベスティア」と「河内連合」の後日譚】等の書き下ろしエピソード収録!

ダンジョンで【ギルドナイト】メンバー・上忍の奇襲を受けるも、世界トップレベルの実力で排除した松尾。

パーティに鍛冶師の切岸を加え、さらに盤石な体制を整える中、ギルドより【アイドル護衛依頼】を引き受けることに。

楽々クリアするはずが、海外の諜報機関や関西の裏社会勢力が登場し……? 上忍の死をきっかけに「未来」が大きく書き換わっていく。 

二度目はタの付く自由業 3 ~逆行した社畜は、チートな装備&知識持ち越しで万能のアウトローになる~

感想

上忍失踪から全部が動き出す。アイドル護衛のはずがヤクザとスパイとギルド利権の巣だった

3巻を読んでいてまず感じたのは、

「上忍一人いなくなっただけで、ここまで色々なところが動くのか」

ということである。

前巻で松尾に返り討ちにされた上忍は、ギルドから見れば依然として行方不明。

死亡したのか。

どこかに潜伏しているのか。

それとも秘密を抱えて国外へ逃亡したのか。

誰にも分からない。

しかも上忍は、ギルドの裏仕事や諜報活動を担っていた人物でもある。

そのためギルドは報復や情報漏洩を恐れ、手元の有力探索者を護衛や警戒に回す。

その影響が巡り巡って、Aランク昇格を目指す龍青会に、

「アイドルを20階層まで護衛してこい」

という仕事として降ってくる。

ただのアイドル護衛かと思ったら、そんなに簡単な話ではなかった。

関西のヤの付く職業のお嬢様。

外国政府の工作員。

ギルド内部の派閥争い。

関西の別勢力。

そして上忍の元部下。

狭いダンジョンの中に事情を抱えた人間が集まりすぎである。

Aランクになりたい龍青会へ、ギルドから面倒な護衛依頼

龍青会はすでにAランク相当の実績を積んでいる。

35階層以降の素材も確保できる。

申請も出している。

それでも昇格させてもらえない。

そこでギルドから言われるのが「貢献度が足りない」。

胡散臭い。

そして条件として押し付けられたのが、ダンジョン配信を行うアイドルたちの護衛だった。

しかも行き先は20階層。

アイドルが歌ったり踊ったりしながら撮影するには、かなり危険な場所である。

本来依頼を受けるはずだったAランククランが断ったのも分かる。

失敗したら責任が重すぎる。

ではなぜギルド自身が護衛を出さないのか。

原因の一つが上忍の失踪である。

上忍が何を知っているのか分からない。

どこから報復してくるのかも分からない。

だから戦力を外へ出せない。

その原因を作った本人である松尾が、

「なるほど」

みたいな顔で依頼を受けるのが何とも言えない。

かなりの部分、お前のせいだぞ。

アイドルの中にヤの付く職業のお嬢様がいる時点で普通ではない

護衛対象となるのは三人組のヴァーチャルアイドル。

しかも全員高校生。

ここまではまだいい。

問題は、その一人である霧谷あや。

実家が関西のヤの付く自由業である。

当然、実家側も娘を20階層へ送り出して放置するわけがない。

そこで登場するのがAランククラン【鬼神会】。

本部長の西川司朗まで直接来ている。

龍青会からすれば、

「なんでAランククランの本部長がアイドル護衛に来てるんだ?」

となる。

しかも鬼神会は、ただ護衛に来ただけではない。

ギルド役員から龍青会の邪魔まで頼まれている。

ギルド内部でも一枚岩ではなく、

龍青会を昇格させたい側。

邪魔したい側。

別の役員を失脚させたい側。

鬼神会と龍青会を敵対させたい側。

それぞれが勝手に動いている。

もう護衛依頼の段階でぐちゃぐちゃである。

ただ、西川は松尾とせらを見て早々に諦める。

戦えば勝てない。

なら敵対しない。

この判断の速さはさすがだと思った。

外交官の娘かと思ったら、本当にスパイだった

さらにややこしいのがシータである。

表向きはインドネシアから来た留学生。

外交官の娘とも言われている。

霧谷あやの後輩として、一緒にダンジョンへ連れていってほしいと頼み込んできた少女だ。

ところが松尾は彼女を見た瞬間に気付く。

インドネシアの対ダンジョン特殊部隊【ベスティア】所属。

つまり工作員である。

この辺りから、

「何の話を読んでいるんだっけ?」

となってくる。

アイドルの撮影を護衛していただけのはずなのに、外交問題や国家間の情報戦まで混ざってくる。

しかもシータの方から見た松尾も相当に怖い。

高校一年生くらいにしか見えない。

なのに見たこともない高級装備を持っている。

明らかに自分の上司より強い。

その男から突然、

「お前、ベスティアだろ?」

と正体を言い当てられる。

そりゃ泣く。

松尾本人は普通に話を聞こうとしただけなのだが、相手からしたら処分直前にしか見えない。

胡散臭い高校一年生が一番怖い。

今度は関西の対抗勢力まで襲ってくる。もう全員集合である

ここまででも十分面倒なのに、20階層ではさらに瀬田垣組が襲撃してくる。

狙いは龍青会と鬼神会。

しかもアイドルたちを人質に取ることで、護衛側の動きを封じようとする。

背後には関西の探索者勢力である河内連合。

彼らもまたギルドの利権構造を嫌っている。

探索者が命懸けで得た資源をギルドが独占する。

なら自分たちがハイポーションを確保し、金を作り、探索者を育て、ギルドに対抗する。

考えていること自体は松尾たちと少し似ている。

しかし手段が違う。

龍青会や鬼神会が邪魔なら潰す。

そこで実際に襲ってくる。

そして襲撃側には、上忍が率いていた諜報部門の関係者まで混ざっている。

ギルド。

関西勢力。

鬼神会。

龍青会。

外国政府。

上忍の残した人脈。

同じダンジョンに全部入ってきた。

もう敵味方を整理するだけでも大変である。

でも最後は松尾が力で全部捩じ伏せる

どれだけ思惑が複雑になっても、最後に松尾がやることは単純である。

敵を倒す。

但馬から、

「短時間で全滅させろ」

と指示を受ける。

そこで松尾はライトニングアローを37本展開。

襲撃者へ一斉に叩き込む。

終わり。

政治。

利権。

派閥。

人質。

作戦。

色々あったはずなのに、圧倒的な戦力差の前では全部吹き飛ぶ。

ここが本作らしい。

ただし松尾は、単純に全員殺して終わりにはしない。

離れた場所で様子を見ていた筧史裕だけは生かす。

筧は上忍の諜報部門で次席にあたる人物。

前世の松尾とも関わりがあった。

そして片腕を失った筧へ、今度はハイポーションを使う。

一本10億円級の代物を使って腕を治す。

普通なら、

「助けてくれてありがとう」

で済みそうな話だが、この世界では違う。

とんでもない貸しを作られた。

筧からすれば、もう無関係ではいられない。

松尾は暴力で敵を消し、高価なアイテムで生き残った相手をこちら側へ引き込んでいく。

力と金の使い方が怖い。

敵を倒すだけでなく、ギルドの外に人脈と流通網ができ始める

3巻で重要だと感じたのは、松尾が強くなったこと以上に、周囲の組織同士が繋がり始めたことである。

龍青会だけではない。

鬼神会の西川。

河内連合側の筧。

インドネシアのシータ。

さらに切岸工房。

松尾を中心に、それまで別々だった人間や組織が少しずつ繋がっていく。

西川には成長率を上げる指輪を渡す。

シータにも同じように希少なアイテムを提示する。

筧にはハイポーションという貸しを作る。

そして彼らが持つ販路、情報、人脈を利用する。

1巻では、

「ギルドに搾取されない」

ために富士元興業へ入った。

2巻では、

「ギルドから殺しに来た相手を返り討ちにする」

ところまで進んだ。

3巻ではさらに、

「ギルドを通さなくても生きていける仕組みを作る」

段階に入ったように感じる。

利権を握るギルドへの反撃が、ようやく形になってきた

護衛任務は成功。

龍青会は念願のAランクへ昇格する。

ただ、それ以上に大きいのは人脈だと思う。

関東の龍青会。

関西の鬼神会。

河内連合の情報網。

国外のインドネシア。

切岸工房による装備生産。

そして松尾が持つ、ギルドですら自由に扱えない高価なアイテム。

これだけ揃ってくると、いよいよギルドに依存する必要が薄くなってくる。

素材を売る。

装備を作る。

人を育てる。

情報を集める。

ポーションやハイポーションを確保する。

それらをギルドの外側で回せる可能性が見えてきた。

ギルドが一番恐れているのは、単純に強い探索者ではなく、

「自分たちの管理から外れて強くなる集団」

なのだと思う。

そして松尾は、まさにそれを作り始めている。

アイドルを護衛するだけの仕事だったはずなのに、終わってみればAランク昇格。

関西勢力との接触。

海外組織との接触。

上忍の部下まで取り込む。

本当にぐちゃぐちゃである。

でも、そのぐちゃぐちゃに入り乱れた人間関係を、胡散臭い高校一年生が暴力と高価アイテムで強引に整理していく。

3巻は、松尾個人が自由になる物語から、

「ギルドが握っている既得権益そのものへ反撃する準備」

へと進んだ巻に感じた。

上忍を一人消したことから始まった歪みが、思っていた以上に大きな波になっている。

ここからギルドがどこまで黙っているのか。

それとも本格的に松尾たちを潰しに来るのか。

いよいよ個人同士ではなく、組織同士の潰し合いが始まりそうである。

最後までお読み頂きありがとうございます。

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タの付く自由業 2巻レビュー
まとめ
タの付く自由業 4巻レビュー

考察・解説

ストーリー・プロット

龍青会を取り巻く環境は、ギルドによる政治的妨害と外部勢力の介入により、緊迫の度合いを増している。Aランク昇格を巡る謀略からダンジョン20層における武力衝突に至るまでの経緯と、その背景にある各勢力の思惑について整理する。

ギルドの停滞と護衛依頼の発生

龍青会はAランク昇格条件を満たしながらも、ギルドを介さないポーション流通を嫌う上層部によって申請を差し止められている。専務の但馬はこの膠着状態を打破すべく、ギルド提示の「ダンジョン配信アイドル3名の20層護衛」を受諾する。

  • 通常10層程度が限界のアイドルを20層へ伴う任務であり、失敗時に龍青会へ責任を転嫁するギルド側の罠として設計されている。
  • 松尾は組織防衛および昇格達成の確実性を高めるため、自ら荷物持ちとして同行を決定する。
  • 背景には、世界最強の探索者集団ギルドナイトの一員である上忍の失踪に伴う組織内の混乱と、防衛戦力の不足が存在する。
鬼神会との遭遇と交渉

ダンジョン入口において、ギルドから妨害を教唆されたAランククラン鬼神会の西川司朗と遭遇する。

  • 西川は当初敵対的な態度を示すものの、松尾と奥野が放つ圧倒的な気配を察知し、即座に降伏を選択する。
  • 自身の誇りよりも、護衛対象である霧谷あやや外交官令嬢シータの安全を優先した合理的な判断に基づく。
  • 松尾は降伏を受け入れ、外交問題に発展しかねないVIP護衛という課題を共有する。
  • 共通の利益に基づく共同戦線を敷くことで、ギルドによる離間工作を無効化する。
シータの正体と主人公の策

松尾は、留学生シータ・ブラストゥがインドネシア諜報部隊ベスティアの工作員である事実を見抜く。

  • 演技を論理的に暴いて正体を突きつけ、心理的優位を確立する。
  • 彼女を排除せず、将来的に日本のギルドや政府から圧力を受けた際の外圧的防壁として利用する方針を固める。
  • 成長率を50%上昇させる希少な指輪を貸与し、国家レベルの後ろ盾を確保するパイプラインを築く。
  • 単なる武力行使にとどまらず、国際政治を視野に入れた長期戦略を推進する。
ダンジョン探索と環境の構築

15層から20層への行軍中、松尾は保管空間の規格外な容量を生かし、生活設備を次々に展開する。

  • 3坪プレハブ3棟、業務用発電機、簡易シャワー、IHキッチンなどを設置し、高い生活水準を維持する。
  • 死亡率が急上昇する階層において、常識外れの補給能力を外部勢力へ見せつける心理戦として機能させる。
  • 西川やシータに対し、敵対が不可能であることを認識させる実力誇示となる。
河内連合の乱入と対立の構図

20層の拠点に、ギルド上層部が龍青会排除のために差し向けた河内連合の瀬田垣道淳らが乱入する。

  • 瀬田垣は、ギルドが虚偽情報を流布し、初回攻略特典の独占を狙って上忍らを用い有望株を処理してきた実態を語る。
  • 既得権益の再編を狙う代行者としてアイドルらを人質に取り、龍青会の抹殺を図る。
  • 松尾は裏社会の論理や独占体制を退け、人質の精神的負担を抑えつつ敵勢力を物理的に排除する方針を選択する。
  • 圧倒的な武力行使により、事態の根本的解決へと踏み出す。
まとめ

ギルドが仕掛けた謀略は、松尾の冷徹な状況判断と圧倒的な地力によってことごとく瓦解する結果となる。外部クランとの連携や国家機関の取り込みを通じて防壁を固めつつ、敵対勢力の排除を推し進める一連の行動は、支配構造の打破に向けた着実な前進を示す。

主要な転換点

クラン龍青会を巡る情勢は、探索者ギルドの政治的妨害と外部勢力の介入により激化の様相を呈する。ギルドによる不当な昇格停止からダンジョン20層での武力衝突に至るまで、状況を左右した各転換点とその背景について整理を行う。

アイドルの護衛依頼受諾

龍青会はギルドから提示された危険な護衛任務をあえて引き受ける道を選ぶ。

  • 転換理由 ギルド側による意図的なAランク昇格妨害に対し、公的な貢献度を稼ぎ出すことで強行突破を図る狙いを持つ。
  • 状況の推移 失敗時の責任転嫁を前提とした罠でありながら、松尾篤史自身が荷物持ちとして同行し、組織防衛と任務達成を確実に果たす体制を整える。
西川司朗の降参

ダンジョン入口で待ち構えていたAランククラン鬼神会の幹部が、開戦直後に戦闘を放棄する。

  • 転換理由 松尾が放つ実力への本能的な恐怖に加え、護衛対象である霧谷あやの安全確保を最優先とした極めて合理的な計算が働く。
  • 状況の推移 無用な衝突を回避したことで、両者は外交問題をはらむVIP護衛という課題を共有し、共通の利害に基づく共同戦線を築くに至る。
シータの正体発覚と指輪の貸与

護衛対象に含まれていた留学生シータが、外国の工作員である事実が露見する。

  • 転換理由 将来的に日本国内の権力構造と全面対立した局面を想定し、インドネシアを国家規模の外圧バッファとして利用する道筋をつける。
  • 状況の推移 正体を暴いた上で排除せず、ステータス成長率を向上させる貴重な指輪を貸し与え、国外権力との強固なパイプを構築する。
瀬田垣による襲撃の発生

20層の拠点に対し、ギルド上層部の意を受けた河内連合が実力行使に及ぶ。

  • 転換理由 ギルドが独占を維持してきた35層以降の資源権益を脅かす龍青会を、裏社会の暴力によって物理的に抹殺する目的を持つ。
  • 状況の推移 人質を取って排除を図る敵勢力に対し、松尾は裏社会の論理を拒絶し、圧倒的な個の武力による直接制圧を選択する。
まとめ

一連の転換点は、巨大組織の謀略を逆手に取り、独自の勢力基盤を拡大する決定打として機能する。外部戦力の無力化や国家機関との提携を通じて防衛網を固め、武力衝突を乗り越えていく過程は、既得権益の打破に向けた着実な前進を示す。

主人公を中心とした人物関係の変化

主人公を取り巻く主要人物との関係性は、ダンジョン内外での出来事や圧倒的な実力差の提示を経て、大きな再構築を遂げている。単なる利害の一致を超え、畏怖や実利、国家規模の思惑が絡み合う各関係性の推移について整理する。

奥野せら
  • 信頼関係を基盤に据えつつ、上忍級の戦闘を経験したことで関係性が深まる。
  • 奥野側には逆らえない存在としての畏怖が生じる。
  • 実力差に起因する依存心がより一層深化する。
西川司朗
  • 当初はギルドに扇動された警戒対象として対峙する。
  • 実力差による屈服後、成長の指輪という実利的な貸しを与えられる。
  • 現在は実質的な傘下に近い協力関係を形成するに至る。
シータ
  • 単なる監視対象の留学生という立場から脱却する。
  • 弱みを握られた結果、将来的な外交パイプとしての位置づけへ変化する。
  • 国家レベルの投資対象としての役割が明確化する。
まとめ

主人公が提示する規格外の武力と戦略的な利益供与により、周囲の人物は単なる協力者を超えた強固な関係性へと組み込まれる。敵対や警戒から始まった関係であっても、合理的な計算と恩義を通じて主導権を掌握し、自身の勢力基盤を磐石にする構図が成立する。

主人公の認識と周囲の評価

主人公である松尾篤史が抱く自己規定と、周囲の探索者たちが下す評価との間には決定的な隔たりが存在する。本人が至って平穏な立場を主張する一方、その行動や行使する力は常識を大きく逸脱し、関わる者たちへ深刻な畏怖を与えている。両者の間に生じる認識の相違と、それが顕著に表れた場面について整理する。

主人公の認識
  • 自らを単なる荷物持ちや平穏を望む中間管理職と位置づけ、その枠組みを崩さない。
  • 一般的な基準からかけ離れた大規模破壊魔法を前にしても、単なる普通の魔法と表現して特異性を認めようとしない。
  • あくまで日常的な業務や作業の延長線上で物事を捉え続ける。
周囲の評価
  • 外部クランの西川や敵対した瀬田垣からは、死の権化や理解の及ばない存在として定義される。
  • 危険階層において突如プレハブ一式を設営するなど、従来の探索における常識を根底から覆す能力に対し、強い畏怖の念を抱く。
  • 常軌を逸した実力者として警戒と恐れの対象に据えられる。
乖離が顕著な場面
  • 敵対者である瀬田垣への攻撃手段として、広域殲滅魔法の行使を平然と提案する。
  • 同行する専務の但馬が過剰な武力行使として制止に入るものの、松尾本人はそれを単なる効率的な処理手順と捉え、危険視する感覚を持ち合わせない。
  • 双方の持つ危機感や価値観の相違が明確な形で浮き彫りとなる。
まとめ

本人が主張する凡庸な立場とは裏腹に、周囲は底知れぬ暴力性と異質さを察知し、強い緊張感を強いられる。この著しい認識のずれは、主人公が意図せぬ形で周囲を圧倒し、支配的な立場を確立していく要因を形成している。

クライマックス

ダンジョン20層において発生した河内連合による襲撃事案について、事件の背景から結着に至る経緯を整理する。

発生原因
  • ギルド上層部が、既得権益を脅かす龍青会を確実に処理する目的で情報を外部へ流出。
  • 情報を得た河内連合が20層へと差し向けられる事態へと発展。
状況
  • 瀬田垣らがアイドルおよびスタッフを人質に取り、龍青会と鬼神会の陣営を包囲。
  • 外部からの物理的な救出が困難を極める膠着状態が現出。
瀬田垣の主張
  • ギルドが35層の壁を口実に上位探索者をギルドナイトに狩らせ、利益を独占してきた事実を暴露。
  • 自身らもその巨大な利権構造へ参画する意図を宣言。
主人公の対応
  • 但馬との協議において、人質への精神的負担を考慮し、大災害などの大規模魔法を棄却。
  • 無属性魔法に雷属性を付与し、速度と精度の両面で回避を許さないライトニングアローの行使を選択。
決着
  • 松尾の放ったライトニングアロー37発が瀬田垣組の全人員を正確に捕捉。
  • 回避も防御も許されず、標的となった構成員は影すら残さず即座に蒸発。
  • 圧倒的な武力行使により、襲撃者は一瞬のうちに戦場から排除完了。
まとめ

人質を取ることで優位に立とうとした敵勢力の思惑は、主人公による精密かつ圧倒的な攻撃の前に完全に瓦解。組織の不正を盾に利権を狙った襲撃は、何らの成果も残せないまま迅速に鎮圧される結末を迎える。

巻末時点の状況

ダンジョン20層における武力衝突と護衛任務の完了を経て、主人公を取り巻く環境は新たな局面を迎えている。事態の推移、解決した課題、および今後顕在化する問題点を整理する。

主人公の現在地
  • ダンジョン20層に滞在
主人公の立場
  • 河内連合の襲撃部隊を単独で殲滅
  • Aランククラン鬼神会を実質的な協力体制下に編入
  • 外国諜報員との間に将来的な外交パイプを確立
  • 圧倒的な武力により、他勢力から不可侵の強者として認識を固定化
解決した問題
  • ダンジョン配信アイドル3名の20層到達および護衛任務の無傷完遂
  • ギルドの意を受けた瀬田垣組による直接的な人質脅迫および物理的脅威の完全排除
  • 鬼神会の西川司朗との敵対関係の解消と、利害の一致に基づく共闘関係の構築
継続している問題
  • 世界最強戦力の一角である上忍の失踪に伴う、ギルド中枢部の疑心暗鬼と防衛網の硬直
  • 35層の壁が人為的な粛清であった事実の漏洩に伴う、探索者社会全体の動揺
  • 既得権益の崩壊を見据えた諸勢力による新たな利権抗争の激化
まとめ

20層での電撃的な制圧劇により、龍青会を狙った直接の謀略は水際で瓦解した。外部勢力の取り込みによって足場を固めた一方、ギルド中枢の動揺と制度の欺瞞の発覚により、水面下の暗闘はより広範な権力闘争へと発展を見せる。

龍青会の昇格

『二度目はタの付く自由業 3』において、クラン龍青会がBランクから最高位のAランククランへ昇格を果たすプロセスは、本作における極めて重大な転換点に位置づけられる。この昇格劇は、単なる実力証明によるランクアップに留まらない。ギルド内部の腐敗、世界最強戦力であるギルドナイトの一角・上忍の失踪がもたらした余波、そして関西の裏社会勢力である河内連合との衝突など、多角的な思惑と突発的事態が交錯する中で獲得された戦略的成果である。本稿では、龍青会の昇格について、背景、条件、任務の実態、そして昇格がもたらした新たな勢力図の4つの観点から詳細を整理する。

昇格を目指した背景:社会的地位の確立と生存戦略

龍青会およびその親組織である富士元興業にとって、Aランクへの到達は組織存続に直結する課題となる。

  • Bランクの限界 一般の探索者からは上位クランとして評価される一方、ギルドや国家権力からは都合よく利用され、いつでも解体可能な規模と見なされる危うさを抱える。
  • 企業としての地盤強化 強面の人員が多い龍青会は反社会的勢力のフロント企業と疑われやすい環境にあるため、Aランククランを擁する企業という実績を獲得し、建設業としての信用を高める狙いを持つ。
  • 実利的な優遇措置 昇格により、ギルドから割り振られる資材や情報の質が向上するだけでなく、税制面での優遇措置を受けられる環境が整う。
昇格への障害:条件充足と申請保留の背景

龍青会は昇格に必要な実力をすでに証明済みであった。

  • 裏ルールの充足 昇格の最低条件とされる「35階層以降の採取素材の定期的な提供」を前月時点で満たしており、本来であれば即座に承認される段階に達していた。
  • ギルド上層部の思惑 ハイポーションの裏取引に伴う利益分配など賄賂を期待する役員が存在したため、意図的に手続きが据え置かれる事態に陥る。
  • 難題の押し付け 直接的な金銭要求を行えないギルド側は、貢献度の不足を理由に、専属バーチャルアイドルユニット「ライブカラー」の護衛任務を課す。
アイドル護衛任務が龍青会へ回された経緯

押し付けられた護衛任務は、極めて難易度が高く他クランから忌避される性質を持つ。

  • 危険階層での配信撮影 上層での配信に慣れた視聴者を満足させる名目で、戦闘能力を持たないアイドルを危険な20階層まで同行させる計画が組まれる。
  • 責任問題の回避 負傷発生時の高額な違約金や批判リスクを嫌い、有力なAランククランが一様に受託を拒否する。
  • ギルド直属戦力の拘束 上忍の失踪により国家機密の漏洩や報復を恐れたギルド幹部が、自前の探索者やギルドナイトを身辺警護に回した結果、龍青会へ白羽の矢が立つ。
20階層での急襲と武力による制圧

任務初日、20階層の野営地において、関西の河内連合若頭代行・瀬田垣道淳が率いる武装集団の襲撃が発生する。

  • 襲撃側の意図 40階層の初回討伐報酬であるハイポーションを独占して資金を確保し、ギルドの実権掌握を狙う河内連合は、将来の競合となる龍青会と鬼神会の排除を企てる。
  • 電撃的な制圧 味方への被害防止を命じられた松尾篤史は、雷撃を付与した複合魔法「ライトニングアロー」37本を同時展開して放つ。
  • 圧倒的実力差の提示 敵部隊は防御も回避も叶わず一瞬で消滅し、同行していた他クランや撮影スタッフに対しても逆らうことのできない絶対的な戦力差を示す結果となる。
昇格の達成と独自ネットワークの構築

アイドルを無傷で帰還させたことで正式に任務達成が認定され、龍青会はAランククランへの昇格を果たす。

  • 縄張り協定の締結 上忍の弟子である筧史裕との間で、関西勢力の関東ダンジョン不干渉、および40階層の攻略を巡る不可侵協定を成立させ、将来の報復を封じる。
  • 加工基盤を活用した連携 40階層のボス素材を提供した上で、傘下の切岸工房による格安加工を提案し、他組織を取り込む。
  • 共生関係の成立 工房側の技術蓄積、他クランへの恩義の付与、自陣営の装備強化を同時に満たす循環体制を完成させる。
まとめ

龍青会のAランク昇格は、単なる組織の格付け変更にとどまらない。松尾篤史の突出した戦力を軸に、関東の龍青会と鬼神会、関西の筧組、そして切岸工房が独自の素材と加工技術で結びつく契機となる。この連携網の成立は、ギルドの統制を完全に介在させない自立したクラン連合の誕生を意味する。

アイドル護衛任務

ダンジョン20階層におけるアイドル護衛任務は、単なるクランの貢献度稼ぎにとどまらない。探索者ギルドの陰湿な思惑、現代ダンジョン社会におけるアイドルの必然性、国家間スパイの暗躍、そして新たなクラン連合の誕生へと繋がる重要エピソードである。発生の背景から襲撃、その後に構築された独自のサプライチェーンに至るまで詳細を整理する。

任務の発生経緯とギルドの思惑

龍青会への護衛依頼には、組織的な嫌がらせと戦力不足という背景が存在する。

  • 昇格条件を満たしながらも、裏での賄賂要求に応じない龍青会に対し、ギルド上層部は申請を意図的に保留。
  • 貢献度不足を名目に、事故時の賠償リスクが高く他クランが拒否したバーチャルアイドルの護衛任務を強要。
  • ギルド直属の戦力である上忍が消息を絶ったため、幹部陣は報復を警戒して自前の戦力を身辺警護に拘束。
  • 直属部隊を動かせない事態に陥った結果、厄介な任務を龍青会へ押し付ける形へ発展。
アイドルのダンジョン探索における必然性

危険階層への進出には、業界の競争激化と身体能力の強化という現実的な理由が絡む。

  • 配信市場の過密化に伴い、視聴者を惹きつけるため未踏の20階層における撮影とレベリングを企画。
  • レベル上昇に伴う体幹や肺活量の強化が、歌唱やダンスの質を底上げするため探索が不可欠。
  • 現場の無法地帯化や熱狂的ファンの暴走を警戒し、アバターによる顔出し無しの運用を徹底。
  • 情報漏洩の防止を優先するあまり、護衛を担当する龍青会に対しても事前の素顔共有を拒否した状態で開始。
キャンプ設営における規格外の牽制

総勢43人におよぶ遠征の初日、篤史は常識外の物資展開を通じて周囲を圧倒する。

  • 固有スキルを活用し、巨大プレハブ3棟や業務用発電機、簡易水回り設備などを現場に設置。
  • 過酷な環境下で生活水準を保ち、精神的消耗を防ぐという前世の経験則を実践。
  • 巨大設備を一人で運搬する圧倒的筋力と積載容量を見せつけ、同行する鬼神会へ強烈な抑止力を誇示。
国家工作員の露見と外交カード化

同行者の中に紛れ込んでいた外国要員を掌握し、将来的な防壁へと転換する。

  • 鬼神会の西川は篤史らの実力を察知して即座に降伏し、留学生シータの同行事情を開示。
  • 篤史はシータがインドネシア特殊部隊ベスティアの工作員である事実を看破。
  • 処罰を避け、成長率を向上させる指輪を貸与することで自陣営へ組み込む方針を決定。
  • 国外勢力との直接パイプを築き、将来的な国内権力からの干渉を防ぐ外交的盾を確立。
20階層の襲撃と電撃的制圧

目的地への到着直後、利権強奪を目論む関西勢力との武力衝突が発生する。

  • 河内連合の瀬田垣率いる37人が、40階層の報酬独占と競合排除を狙って人質を取り急襲。
  • 人質への心理的負担を抑えるため、篤史は雷撃を付与したライトニングアロー37本を同時射出。
  • 敵集団は回避も防御も叶わず一瞬で消滅し、圧倒的な戦力差によって事態を即座に収束。
縄張り協定と独自サプライチェーンの確立

襲撃の事後処理を通じて、ギルドの流通網を介さない新たな協力関係を構築する。

  • 辛うじて生存した河内連合の筧に対し、治療を施して貸しを作った上で不可侵協定を締結。
  • 関東と関西における活動拠点の相互不干渉、および40階層攻略への妨害禁止を確約。
  • 40階層ボスの希少素材を各勢力へ提供し、加工技術を持たない他クランを切岸工房へ誘導。
  • 工房への技術蓄積、外部勢力への恩義、自陣営の戦力強化を同時に成立させる循環構造を完成。
まとめ

アイドル護衛任務は、ギルドによる政治的圧力を退けるだけでなく、主人公の規格外の実力を示す契機となった。他勢力の制圧と国外パイプの獲得、そして工房を中心とした生産網の成立により、既存の支配体制を根本から揺るがす強固な基盤が完成した。

外国工作員シータ

シータ・ブラストゥは、現代ダンジョン社会における国際情勢や、主人公である松尾篤史の長期的な生存戦略を紐解く上で重要な位置を占める。複雑な背景、篤史との接触による計画の進展、そして今後の役割について整理する。

真実と日本への派遣目的

公式書類上はインドネシア大使の娘かつアイドル志望の留学生を装う一方、実態は同国の対ダンジョン特殊部隊ベスティアに所属する現役工作員に該当する。

  • 将来を見据えた人脈形成 ダンジョン探索の先進国である日本へ若い工作員を送り込み、将来的に各機関や有力組織の中枢を担う有望株との関係構築を狙う。
  • 統治システムの調査 軍や警察が主導する自国と異なり、民間組織の自浄作用を活用して治安を維持する日本特有の管理体制を内側から調査する任務を担う。
アイドル護衛任務への同行経緯

霧谷組の令嬢に接近し、20階層の護衛任務へ潜り込んだ背景には、篤史による上忍排除の影響が密接に関係する。

  • 監視網の空白 関東圏の裏工作を担っていた上忍が突如失踪したため、ギルドの対外国人監視網に一時的な隙が生じる。
  • 学園関係を利用した接近 所属組織が情報収集を再開する中、学校や事務所の先輩後輩関係を利用して令嬢の信頼を獲得し、撮影行軍への同行を果たす。
松尾篤史との邂逅と認識の相違

綿密な潜入計画は、初日の対面の瞬間に瓦解を迎える。

  • 過去の記憶による看破 前世の記憶を持つ篤史は、彼女が将来自身へ接触してきた諜報員である事実を把握し、初対面で所属組織を名指しして指摘する。
  • 状況の誤認と恐怖 正体を即座に暴かれた彼女は、上忍の失踪を国外工作員を誘い出す罠と誤解し、死の権化たる篤史に処分される恐怖から激しく動揺する。
国家の後ろ盾と深部攻略要員としての囲い込み

事態を把握した富士元興業側は貿易利権の獲得機会と判断し、篤史も排除ではなく自陣営へ組み込む道を選択する。

  • 外交的防衛線の確立 ステータス成長率を50%向上させる指輪を貸与し、国家レベルの利害関係を結ぶことで、将来的な国内権力からの不当な弾圧を防ぐ盾とする。
  • 構造的に離脱不可能な戦力化 国家の命を背負う立場を利用し、本人の私情に関わらず最深部攻略へ同行し続ける確実な戦力として育成を図る。
協力者たちによる監視体制の形成

任務終了後、篤史の意図を察知した周囲の協力者によって強固な包囲網が敷かれる。

  • 接触方針の共有 篤史が提示した利害関係を理解した奥野せらと切岸若葉は、組織への不利益を未然に防ぐ方針を固める。
  • 過剰な接近による管理 過度な親愛を示す形で至近距離から常時監視を行い、背信行為の余地を完全に封じる体制を整える。
まとめ

国家の思惑を背負って潜入した工作員は、主人公の規格外の実力と計算によって逆に外交カードおよび戦力として掌握される結果を招く。破格の恩恵と引き換えに逃げ場のない包囲下に置かれた存在は、今後の深層攻略と対ギルド戦略において極めて特異な役割を担い続ける。

河内連合の襲撃

『二度目はタの付く自由業 3』において発生した河内連合の襲撃は、関東と関西の裏社会における勢力図を一変させ、主人公である松尾篤史が目指す脱ギルド体制を盤石にした重要な出来事となる。この襲撃の背景、戦闘の推移、そして事後に結ばれた協定がもたらした影響について詳細を整理する。

襲撃の背景と利権獲得の企図

関西を拠点とする巨大組織・河内連合の瀬田垣組が新宿ダンジョン20階層へ進出した背景には、深層がもたらす莫大な権益の独占計画が存在する。

  • 40階層の攻略権と希少素材の独占 40階層のボス初討伐時に確定入手できるハイポーションの独占を目論む。1本10億円以上で取引される秘薬を回収および販売し、莫大な資金力の獲得を目指す。
  • 暴力によるギルド中枢の掌握 獲得した資金力とレベリングによる高い能力値を背景に据え、探索者ギルドの黒幕として君臨する野望を抱く。
  • 有力クランの同時排除 将来的な競合相手となる関東の龍青会および鬼神会の排除を計画する。非戦闘員であるアイドルや撮影陣を抱え、身動きが制限される20階層の野営地を標的に設定する。
戦闘の推移と電撃的な殲滅

護衛任務の3日目、20階層において瀬田垣道淳率いる武装集団37人がキャンプ地を包囲する。

  • 人質確保による優位性の誇示 アイドルやスタッフを人質に取り、交渉を有利に進めようと試みる。相手の実力を把握していないことによる致命的な判断ミスとなる。
  • 複合魔法の同時展開 同行者への被害を防ぐ指示を受けた篤史は、無属性の魔法矢に雷撃を付与した複合魔法ライトニングアロー37本を頭上に展開する。
  • 正確無比な同時狙撃 雷速の光矢が標的全員の頭部を正確に捉え、防御や回避の隙を与えずに直撃する。
  • 痕跡を残さない完全消滅 直撃を受けた襲撃者37人は、オゾンの臭いのみを残して塵一つ残さず即座に消滅する。同行していた鬼神会やスタッフ陣は、規格外の実力差を前に沈黙する。
監視者の生存と治療の戦略的意図

一瞬の制圧劇の中、後方から事態を監視していた河内連合幹部の筧史裕のみが重傷を負いながら生存する。篤史は彼を排除せず、明確な意図をもって救済措置を講じる。

  • 襲撃の証人としての確保 瀬田垣組の壊滅が一方的な虐殺ではなく、人質を取った襲撃側の自滅であった事実を、組織上層部へ正確に報告させる役目を担わせる。
  • 巨額の恩義の付与 1本10億円以上の価値を持つハイポーションを欠損箇所へ投与し、吹き飛んだ右腕を即座に再生させる。命を救われ負傷を完治させられた筧に対し、踏み倒し不可能な重い恩義を負わせる。
襲撃の結末とクラン連合の成立

事件の結末は瀬田垣組の思惑とは正反対となり、龍青会にとって強固な防衛網と利権基盤を築く好機へと転じる。

  • 縄張り協定の成立 命を救われた筧は即座に降伏を選択する。関東と関西の相互不可侵、40階層のボス攻略への妨害禁止、今回の事案に対する報復放棄を取り決めた協定を締結する。
  • 独自製造網の構築 40階層ボスの希少ドロップ素材を鬼神会や筧へ提供する。高レベル素材を扱える職人を抱えていない各組織に対し、傘下の切岸工房による格安加工を提案する。
  • 相互依存関係の確立 切岸工房は最高峰の加工技術と実績を蓄積し、他勢力は武具調達を依存する形となる。龍青会側は優位性を保ちつつ、ギルドを介さない独自の生産網を完成させる。
まとめ

河内連合による襲撃は、松尾篤史の底知れない戦闘力を内外に示す結果を招く。敵対勢力の排除のみにとどまらず、監視者の取り込みと工房を軸とした生産体制を整えたことで、既存の統制から外れた独自の連合勢力を確立する契機となる。

篤史の圧倒的武力

『二度目はタの付く自由業 3』において描かれる松尾篤史の武力は、単なる戦闘能力の高さに留まらず、前世での膨大な経験、規格外のステータス、そして魔術の体系的な理解が結びついた特異な強さとして表現される。彼が保持する絶対的な暴力と、それが周囲の組織や国際情勢に及ぼした影響について整理する。

規格外の身体能力と常識外のステータス

篤史の基礎戦力を支える要素として、レベル32という数値を大きく逸脱した肉体性能と、アイテムボックスの特異な容量が挙げられる。

  • スキル「結合」を応用し、40階層の単独攻略で入手した複数の指輪を統合することで、全能力値を劇的に引き上げる装備品を自作する。
  • 重量約700キログラムに達する3坪タイプの軽量プレハブ小屋を、負荷を感じさせず一人で軽々と持ち上げて設置する筋力を示す。
  • 上級職「過客」への昇華に伴い、空間収納容量は512立方メートルへ拡大し、一般的な商人が持つ最大容量約27立方メートルを遥かに上回る。
  • 規格外の数値を目の当たりにしたAランククラン鬼神会の西川司朗は、生存本能に基づく危機感を察知し、交戦前に無条件降伏を選ぶ。
前世の知識に基づく極大複合魔法の構築

前世で世界最強部隊ギルドナイトに所属していた経歴から、最高峰の魔法使いである大魔導士が用いる極大魔法の構築理論を完全に網羅する。

  • 滅びの爆裂疾風弾 風魔法で極限まで圧縮した球体に火の火種を投入して内部爆発を反復させ、さらに水魔法を投じて水素爆発を誘発する。広範囲を瞬時に蒸発させ、爆発直後に生じる真空空間で生存者を急速に圧縮する二段構えの攻撃を成立させる。
  • 大災害 土と火を結合して生成したマグマを地表へ放ち、水を注ぎ込むことで激しい水蒸気爆発と局地的な大地震を引き起こす。同時に火炎旋風と雷撃を展開し、地震、雷、火災、竜巻を一点に集約させる破滅的な現象を生み出す。
  • 行使の見送り 同行者や保護対象の少女たちを巻き込む危険性、および心理的負荷を考慮した但馬明彦の制止を受け、極大魔法の行使は回避される。裏社会の勢力に対する威圧には、複雑な魔術よりも平易な直接的暴力が有効とする意見を受け入れる。
ライトニングアローによる完全制圧

但馬の要請を踏まえ、外見上は平易な無属性魔法マジックアローを基盤とした殲滅手順を選択する。

  • 仲間のスキル「雷撃」を無属性の魔法矢へ付与し、独自に調整した複合魔法ライトニングアロー37本を頭上へ同時に展開する。
  • 質量と速度を兼ね備えた光弾が、強襲してきた河内連合の襲撃者37人の頭部を正確に捉え、防御や回避の隙を与えず直撃する。
  • 対象となった人員は、魔石や塵一つ残さず存在そのものが一瞬で蒸発し、完全な消滅に至る。
  • 圧倒的な破壊力の行使を目撃した同行者や撮影陣は、恐怖のあまり沈黙を保つ事態となる。
圧倒的武力がもたらした戦わぬ勝利と社会的防壁

電撃的な制圧の過程において、後方から事態を監視していた河内連合幹部の筧史裕のみが重傷を負いながら生存する。

  • 吹き飛んだ右腕に対し、市場価値10億円以上のハイポーションを投与して瞬時に完治させ、重大な貸しを負わせると同時に襲撃の証人として確保する。
  • 河内連合の首領である獅子堂は、部隊が一瞬で消滅し幹部ですら防げなかった報告を受け、組織壊滅を避けるため即座に報復中止を決定する。
  • 40階層ボスの素材である牙や鱗を提示し、討伐実績を通じて世界最強部隊と同格以上の実力を周囲に確信させる。
  • 武力の提示とハイポーションの譲渡を併用し、関東の連合組織、関西の有力勢力、さらには外国の特務機関を巻き込んだ連携体制を確立する。
まとめ

松尾篤史が振るう武力は、眼前にある脅威を排除する手段に留まらない。敵対勢力を痕跡ごと完全に制圧し、圧倒的な実力差と希少資源の供給能力を示すことで、他勢力の報復意志を根本から断ち切る結果を生み出す。この絶対的な力関係の確立こそが、探索者ギルドの搾取体制を回避し、自立した巨大クラン連合を成立させる強固な礎となる。

タの付く自由業 2巻レビュー
まとめ
タの付く自由業 4巻レビュー

登場キャラクター

探索者学校

松尾 篤史

松尾篤史は未来の記憶と装備を持つ。
自身の安全や自由を最も大切に考える。
他者とは適切な距離を維持しようとする。
部下の奥野せらや切岸若葉を引き連れて探索を行う。

・所属組織、地位や役職
 探索者学校の一年生。
 株式会社富士元興業営業部特殊素材調達課の課長を務める。
 クラン龍青会探索班学園支部の支部長も兼任する。

・物語内での具体的な行動や成果
 ギルドから押しつけられたアイドルの護衛任務を承諾した。
 自身の能力を隠すために荷物持ちの【商人】として探索へ同行する。
 シータがインドネシアの工作員ベスティアであると見抜いた。
 彼女に能力の成長率を五割増加させる指輪を貸し出す。
 襲撃してきた瀬田垣組の三十七人を複合魔法で一瞬にして消滅させた。
 生き残った上忍の弟子である筧史裕と交渉を行う。
 関西圏と関東圏のダンジョン不可侵などの縄張り協定をまとめた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 レベル三十二に達している。
 世界最強の【ギルドナイト】と同格以上の実力を有する。
 シータや西川へ希少な指輪を貸し出して強い後ろ盾を構築した。

奥野 せら

奥野せらはレアジョブ【侍】を持つ少女に位置する。
松尾篤史の部下として強い忠誠を誓う。
篤史に依存する傾向を強めている。
アイドルには全く関心を示さない。

・所属組織、地位や役職
 探索者学校の一年生。
 クラン龍青会探索班学園支部に所属する。

・物語内での具体的な行動や成果
 アイドルの護衛を仕事として引き受けた。
 初日の顔合わせでアイドルたちから実力を高く評価される。
 自身の黒い装備や刀がアイドルたちの興味を引いた。
 二十階層の野営地で瀬田垣組に包囲された際、篤史の指示を待った。
 探索後は切岸若葉とともに学校の寮へ戻る。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 篤史のレベリングと指導により周囲を圧倒する戦闘力を得る。
 新たに同行するシータを裏切らないよう見張る決意を固めた。

切岸 若葉

切岸若葉は【鍛冶師】のジョブを持つ女子生徒として描かれる。
不渡り寸前の実家を守るために龍青会へ加わった。
自身の役割を技術者として自覚している。
奥野せらとともに篤史の指示に従う。

・所属組織、地位や役職
 探索者学校の一年生。
 クラン龍青会へ技術者として加わった。
 切岸工房の跡取り娘。

・物語内での具体的な行動や成果
 ポーションの対価として、龍青会へ三年間所属する契約書に署名した。
 父親が富士元興業の傘下入りを拒んだため、交渉が難航する事態となる。
 龍青会側から交渉打ち切りの最後通牒を突きつけられ、父親とともに降伏した。
 月曜日に青ざめた顔で登校し、篤史から父親治療用のポーションを受け取る。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 レベル二の【鍛冶師】。
 将来的にパーティーの装備をアップデートする役割を期待される。
 探索後にせらと話し合い、シータを徹底的に監視することに合意した。

株式会社富士元興業 / クラン龍青会

但馬 明彦

但馬明彦はクラン龍青会の本部長を務める。
ヤクザから足を洗った過去を持つ。
富士元興業の専務として組織の社会的地位を高めたいと願う。
部下の篤史の規格外な行動に常に肝を冷やす。

・所属組織、地位や役職
 株式会社富士元興業の専務。
 クラン龍青会の本部長。

・物語内での具体的な行動や成果
 ギルドからアイドルの護衛任務を押しつけられた。
 Aランクへ昇格するために依頼の受託を決定する。
 二十階層で瀬田垣組に襲撃された際、篤史へ敵の即座の排除を命じた。
 探索後に西川や筧を焼き肉店へ連れていく。
 二人の組織から蛟の素材の加工依頼を格安で引き受けた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 護衛任務を無傷で達成し、クランをAランク昇格へ導いた。
 強すぎる部下たちと老獪な他クランの対応により、胃痛に苦しむ。
 体調維持のために胃薬とポーションを手放せない状態に陥った。

美浦

美浦は富士元興業の幹部社員として働く。
かつての裏社会での経験から筋の通った行動を重んじる。
篤史の規格外な実力を恐れており、敬意を払って接する。
切岸工房の買収交渉を担当し、相手の態度に手を焼く。

・所属組織、地位や役職
 株式会社富士元興業の部長。
 クラン龍青会の幹部。

・物語内での具体的な行動や成果
 但馬とともに直接護衛班のパーティーを率いて二十階層を目指した。
 探索の道中でアイドルの安全な進行を管理する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 龍青会の精鋭として中堅以上の実力を保持する。

ライブカラー

山田 伊奈

山田伊奈は銀髪金瞳の高校生として活動する。
生意気な中二系の性格とされる。
アバターを被せて自身の顔を隠しながら配信を行う。
同じ魔法使いのメンバーとともに二十階層を目指す。

・所属組織、地位や役職
 アイドルユニット「ライブカラー」のメンバー。
 レベル十五前後の【魔法使い】。

・物語内での具体的な行動や成果
 二十階層でのレベリングと撮影を目的としてダンジョンへ入る。
 対面したせらの黒い装備を可愛いらしさがないと評した。
 十五階層で他のメンバーとともにファイヤーボールの魔法を放つ。
 瀬田垣組の襲撃を受けた後、帰還せずにレベリングを続けることを望んだ。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 素顔を一切明かさずにアバターを用いて配信活動を行う。

霧谷 あや

霧谷あやは銀髪赤目の女子高生に位置する。
ほわほわとした鬼っ娘のキャラクターを装う。
関西のクラン鬼神会を擁する霧谷組の令嬢。
少し間の抜けた穏やかな雰囲気を見せる。

・所属組織、地位や役職
 アイドルユニット「ライブカラー」のメンバー。
 レベル十五前後の【魔法使い】。

・物語内での具体的な行動や成果
 学校と事務所の後輩であるシータの同行を安請け合いした。
 せらの刀や装備を格好いいと褒め称える。
 西川から貸し出された成長率五割増加の指輪を装備して戦闘に臨む。
 指輪の効果により、他のメンバーより強い魔法を放てるようになった。
 篤史へお礼としてサイン色紙と自身のぬいぐるみを渡す。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 霧谷組の令嬢としてクラン鬼神会から過保護な護衛を受ける。

天野 加奈

天野加奈は銀髪黒目の女子高生を指す。
力自慢のツッコミ系キャラクターとされる。
他の魔法使いメンバーをリードして戦闘を行う。
冷静に状況を判断して動く。

・所属組織、地位や役職
 アイドルユニット「ライブカラー」のメンバー。
 レベル十五前後の【魔法使い】。

・物語内での具体的な行動や成果
 撮影とレベリングをこなすために二十階層を目指す。
 せらの身のこなしから高い実力を感じ取った。
 道中で魔物と落ち着いて交戦する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 若くしてレベル十五に到達した有望な探索者とされる。

天雲

天雲はライブカラーの先輩アイドルとして活動する。
自身のレベリングも兼ねて二十階層への探索へ加わった。
せらの体幹の良さに気づき、普段の鍛錬方法について尋ねる。
プロ意識が高く、後輩たちを心配して自ら撮影に帯同した。

・所属組織、地位や役職
 アイドル事務所に所属するヴァーチャルアイドル。
 レベル二十の【踊り子】。

・物語内での具体的な行動や成果
 先輩アイドルとして後輩たちの引率役を務める。
 道中で魔物の奇襲が発生した際も冷静に支援魔法で後方支援を行った。
 探索後はアイドルたちとともに安全に地上へ帰還する。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 レベルが上がるとダンスの補正が高まる後衛型の職業。
 中堅以上の探索者として、十分な自衛能力を保持する。

鬼神会

西川 司朗

西川司朗はAランククラン鬼神会の本部長を務める。
霧谷組 of 若頭として高い組織統率力を持つ。
霧谷あやを守るために過保護に動き回る。
ギルドからの妨害依頼を受けて活動していた。

・所属組織、地位や役職
 Aランククラン【鬼神会】の本部長。
 霧谷組の若頭。

・物語内での具体的な行動や成果
 お嬢の護衛と妨害工作のために自ら部隊を率いて同行した。
 篤史たちの圧倒的な強さを察知し、戦わずに無条件降伏を決定する。
 但馬に対してギルド役員の陰謀やシータの同行事情をすべて明かした。
 篤史から能力成長率五割増加の指輪を渡されて協力を誓う。
 お嬢にその指輪を貸し出してレベリングを行わせた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 関西の有力なクランとして裏社会に強い影響力を持つ。
 篤史の蛟のドロップ素材の加工提案を但馬から受けて提携した。

ベスティア

シータ・ブラストゥ

シータ・ブラストゥはインドネシアの留学生を装う工作員を指す。
猫のような大きな目を持つあどけない少女。
国家への忠誠を胸に秘めて任務を遂行する。
霧谷あやの信頼を勝ち取って探索に潜り込んだ。

・所属組織、地位や役職
 インドネシア軍対ダンジョン特殊部隊【ベスティア】の現役工作員。
 アイドル養成学校の留学生。

・物語内での具体的な行動や成果
 お嬢に頼み込んで二十階層の撮影に同行する許可を得た。
 篤史のチート装備から彼が世界最強クラスの強者であると察知する。
 二人きりになった際にベスティアの工作員であることを見抜かれた。
 処分を恐れて泣き出すが、但馬や西川の判断で同行を許される。
 篤史から成長率五割増加の指輪を前払いで貸与された。
 探索後は大使館へ戻り、上司のスパルナ・リィネへ報告を行う。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 篤史から将来の最深部攻略メンバーとして勧誘を受ける。
 せらと若葉から「絶対に裏切らないよう仲良く監視する」とマークされた。

スパルナ・リィネ

スパルナ・リィネはベスティアの極東部門責任者を務める。
誰をも振り返らせる美貌を持つ。
シータの上司として冷静な判断を下す。
日本のギルドやクランとの政治的な距離感を慎重に探る。

・所属組織、地位や役職
 インドネシア軍特殊部隊【ベスティア】の極東部門責任者。

・物語内での具体的な行動や成果
 帰還したシータから護衛任務中の出来事の報告を受けた。
 シータが取り乱している様子から、重大な不祥事を警戒する。
 報告の冒頭で部下が少年に正体を看破された事実を知らされた。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 工作員シータを可愛い後輩として扱い、処分を避けたいと望む。
 報告内容の衝撃に耐えかね、白目を剥いて困惑する事態となった。

河内連合

瀬田垣 道淳

瀬田垣道淳は関西の巨大組織河内連合の瀬田垣組組長を務める。
スキンヘッドに傷だらけの厳つい顔を持つ大男。
自分たちがギルドを支配する側に回るという野望を抱く。
裏社会を引退して堅気となった但馬や西川を誇りを捨てた存在と見下す。

・所属組織、地位や役職
 河内連合若頭代行直参、瀬田垣組組長。

・物語内での具体的な行動や成果
 三十七人の一団を率いて二十階層で龍青会と鬼神会を急襲した。
 ギルド役員から流された情報を利用して先回りを行う。
 別働隊にアイドルたちを押さえさせ、お嬢を人質に取って脅迫を仕掛けた。
 自分たちがハイポーションを独占して権力を奪う計画を熱弁する。
 しかし篤史が放ったライトニングアローにより一瞬で消滅した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 計画の完遂を確信していたが、篤史たちの本当の強さを把握していなかった。
 自身の死後、組員ともども存在が消滅させられ、報復も中止となった。

筧 史裕

筧 史裕は河内連合の筧組組長を務める。
細い目に京都弁を操る極めて胡散臭い男。
上忍の部下として裏の諜報部門を引き継いだ。
前世においては篤史と送迎のサポートを通じて奇妙な友誼を築いた。

・所属組織、地位や役職
 河内連合若頭補佐、筧組組長。
 上忍の諜報部門の次席監督者。

・物語内での具体的な行動や成果
 二十階層で瀬田垣組の襲撃を見届ける役割を担った。
 篤史の魔法の余波に巻き込まれて右腕を失う。
 姿を現し、篤史から与えられたハイポーションで右腕を完治させた。
 上忍から流出したギルドの闇やハイポーションのドロップ仕様を明かす。
 裏社会の報復を止める交渉を確約し、縄張り協定を結んだ。
 東京の焼き肉店で但馬や西川と装備加工の提携を結ぶ。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 上忍がすでに死亡している可能性を察知した。
 上忍という枷が消えたため、獅子堂から許可を得て独自に動く決意を固める。
 篤史の成長指輪を利用し、上忍を超える実力を手に入れることを夢見る。

獅子堂

獅子堂は河内連合の会長として君臨する。
組織の利益と権力の拡大を常に狙う。
部下の筧の判断を高く信頼している。
瀬田垣道淳に襲撃の実行を許していた。

・所属組織、地位や役職
 関西の巨大裏社会組織「河内連合」の会長。

・物語内での具体的な行動や成果
 筧から瀬田垣組の襲撃が完全に失敗した報告を受けた。
 瀬田垣組が跡形もなく消滅した事実に驚愕する。
 筧が右腕を吹き飛ばされたにもかかわらず無事な状態で帰還したと知らされた。
 篤史が差し出したハイポーションの価値を正しく評価する。
 関東への報復を行わないことを決定した。

・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
 篤史がギルドナイトと同格以上のバケモノと認めた。
 勝てない敵とは争わず、提携を結ぶ方が得策と判断する。

登場集団

クラン龍青会

クラン龍青会は株式会社富士元興業が母体となって運営される。
元ヤクザの構成員が多く人相は悪い。
安全第一の探索をモットーに新宿ダンジョンを攻略してきた。
現在はAランクへの昇格を強く望む。

・所属組織、地位や役職
 株式会社富士元興業が母体のBランククラン。

・物語内での具体的な行動や成果
 ギルドからアイドルの護衛任務を押しつけられた。
 但馬をリーダーとし、篤史、せら、若葉を護衛班として派遣する。
 切岸工房を傘下に抱え、独自の装備加工ルートを確立した。
 二十階層で瀬田垣組の襲撃を受けるが無傷で守り抜いた。

・地位の変化、影響力、特筆事項
 任務の無傷達成がギルドに認められ、Aランククランへ昇格した。
 切岸工房を中核とし、ギルドを通さない巨大なサプライチェーンを主導する。

ギルドナイト

ギルドナイトは日本最強 of 探索者パーティーを指す。
個々の能力は世界最高峰を誇る。
しかし互いの仲はビジネスパートナーに過ぎない。
ギルド上層部を信用せず、常に自身の利益を追求する。

・所属組織、地位や役職
 探索者ギルドの最高戦力。

・物語内での具体的な行動や成果
 前世において、四十階層の蛟の初回ドロップ特典を独占していた。
 その特典を他クランに奪われないよう、三五階層の壁となって他探索者を処理する。
 今世においては上忍の失踪事件に直面してパニックに陥った。
 上忍の報復を恐れ、全員が長期間ギルド本部に防衛のために拘束された。

・地位の変化、影響力、特筆事項
 上忍という優秀な中衛を欠いたことで、今後のダンジョン深層攻略速度が低下する。

ライブカラー

ライブカラーはギルドの広報部門と繋がりが深いアイドルグループ。
アバターを被せて素顔を隠した顔出しNGの活動を行う。
若い探索者にダンジョンへの興味を持たせる役割を担う。
高い身体能力を維持するためにダンジョンでのレベリングを続ける。

・所属組織、地位や役職
 アイドルユニット。

・物語内での具体的な行動や成果
 レベリングと撮影のために二十階層への探索を敢行する。
 道中でファイヤーボールなどの魔法を落ち着いて放ち、高い戦闘練度を示した。
 瀬田垣組の襲撃を受けた後も動じず、予定通りの撮影完了を主張する。

・地位の変化、影響力、特筆事項
 Aランククラン鬼神会のお嬢が所属しているため、強固な護衛を得ていた。

鬼神会

鬼神会は関西の霧谷組が運営するクランを指す。
高い組織力と武闘派としての強力な実力を持つ。
ギルドナイトを牽制するほどの大規模な戦闘力を有する。
霧谷組のお嬢を守ることを第一に掲げる。

・所属組織、地位や役職
 関西のAランククラン。

・物語内での具体的な行動や成果
 お嬢の護衛と、龍青会の昇格妨害工作のために二十階層の撮影に同行した。
 本部長の西川が篤史の異常な戦闘力を察知して無条件で降伏した。
 以降は龍青会と協力体制を築き、人質の安全確保に協力する。

・地位の変化、影響力、特筆事項
 篤史から提供された蛟のドロップ素材の加工を龍青会の切岸工房へ委託した。

ベスティア

ベスティアはインドネシアが誇る最高峰の対ダンジョン部隊を指す。
治安維持のために民間探索者を徹底的に管理監督する。
国家から忠誠と能力を認められたエリート集団に該当する。
日本との将来の外交関係や制度の把握を狙う。

・所属組織、地位や役職
 インドネシア軍対ダンジョン特殊部隊。

・物語内での具体的な行動や成果
 シータなどの若き工作員を留学生として日本へ派遣した。
 上忍の失踪によって監視が緩んだ隙を突き、鬼神会へ接触を試みる。
 極東部門責任者のリィネは、シータが少年に正体を明かされた事実を知り動揺を見せた。

・地位の変化、影響力、特筆事項
 篤史のチート指輪を国家の後ろ盾となる条件として受け入れる方向で交渉を行う。

瀬田垣組

瀬田垣組は河内連合の武闘派として名を馳せる一派を指す。
全員が黒蜘蛛の糸で作られた特注の防具を纏う。
実力、統率力ともに高く、裏社会での暗殺や襲撃を得意とする。
ギルドの実権を暴力と財力によって強奪することを目的とする。

・所属組織、地位や役職
 河内連合若頭代行直参。

・物語内での具体的な行動や成果
 三十七人の一団で新宿ダンジョン二十階層へ侵入した。
 お嬢を人質に取り、西川や但馬の動きを封じて全滅を企てる。
 しかし篤史が展開したライトニングアローの一撃により一瞬で蒸発した。

・地位の変化、影響力、特筆事項
 痕跡を一切残さずにこの世から完全に消滅した。

河内連合

河内連合は関西を拠点とする巨大裏社会組織を指す。
関西のダンジョンギルドを裏から実質的にコントロールする。
民間団体としてスパイの排除や治安維持で成果を上げてきた。
その実績から、警察や官僚よりも大きな社会的発言力を持つ。

・所属組織、地位や役職
 関西の巨大裏社会勢力。

・物語内での具体的な行動や成果
 上忍がばら撒いたギルドの不祥事データをいち早く入手した。
 四十階層のハイポーションを独占し、ギルドを乗っ取るクーデターを画策する。
 瀬田垣組を急襲へ派遣するが、消滅した報告を受けて報復を断念した。

・地位の変化、影響力、特筆事項
 筧の交渉により、関東のダンジョン不可侵という縄張り協定に署名した。
 龍青会の切岸工房を通じて、高品質な蛟装備の加工調達ルートを確保する。

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タの付く自由業 2巻レビュー
まとめ
タの付く自由業 4巻レビュー

展開まとめ

一章 龍青会のお仕事

六月の鍛錬

松尾篤史は六月の間、ダンジョン攻略、切岸若葉のレベル上げ、奥野せらへの技術指導を進めていた。七月中旬になると、龍青会本部長の但馬から呼び出され、ギルドが関係する新たな仕事を知らされた。

Aランク昇格の条件

龍青会は三十五階層以降で採取した素材を納め、Aランクへの昇格条件を満たしていた。それでも申請が受理されず、ギルドから貢献度が足りないと告げられていた。実際には、ギルド内部の何者かが昇格を妨げ、見返りを求めていると考えられた。

ギルドは昇格を認める条件として、ダンジョン配信を行う三人組のアイドルユニットの護衛を龍青会へ命じた。アイドルたちは二十階層で歌や踊り、魔物との戦闘を撮影する予定であった。もともと依頼を受けていたAランククランは、護衛対象を無傷で守り切れなかった場合の責任を恐れ、仕事を断っていた。

上忍失踪の余波

ギルドが自前の戦力を動かさない理由には、ギルドナイトの一人である上忍の失踪があった。ギルドは上忍が死亡しただけでなく、秘密を持って国外へ逃亡した可能性まで恐れていた。そのため、所在を確認できるギルドナイトや有力な探索者を身辺警護のため温存し、危険な護衛任務を龍青会へ押しつけたのである。

上忍を倒したのが篤史であることを知らないギルドは、その影に怯えていた。篤史は自らの行動が今回の依頼につながったこともあり、護衛任務への参加を承諾した。

若い護衛役

龍青会は強面の構成員が多く、若い女性である護衛対象から警戒される可能性があった。但馬は対象の近くをせらと若葉に任せ、男性陣が離れた場所から守る配置を考えた。篤史も戦力上の保険として加わり、報酬は龍青会側へ多く回すよう求めた。

せらはアイドルに特別な興味を持たず、仕事として守ると受け入れた。若葉も実家の工房や従業員の方が大切であると考えていた。一方、せらは篤史がアイドルへ興味を持つかを気にしており、興味はないとの返答を聞くと機嫌を直した。篤史はせらの依存が強まっていると理解していたが、裏切りを防ぎやすくなるため、すぐに改めさせる必要はないと考えた。

伏せられた素顔

護衛対象は山田伊奈、霧谷あや、天野加奈という高校生の三人組であり、全員がレベル十五前後の【魔法使い】であった。彼女たちは顔を公開せず、アバターを使って活動するヴァーチャルアイドルであったため、龍青会には素顔の写真が渡されなかった。

顔を隠す背景には、探索者となったファンによる襲撃やストーカー被害があった。ダンジョン内の犯罪は証拠が残りにくく、顔や身元の流出は命に関わった。一方、事務所側から見れば、予定していた護衛が突然、強面の者が集まる龍青会へ変更されたため、情報を伏せるのは当然の対応でもあった。篤史はせらと若葉へ双方の事情を説明し、相手の警戒に悪意はないと理解させた。

同行する撮影班

護衛対象には三人のアイドルだけでなく、マネージャーや撮影スタッフも含まれていた。スタッフはダンジョンへ入れるだけの経験を持ち、アイドルたちより高いレベルに達していた。また、三人の先輩であるレベル二十の【踊り子】も、後輩の監督と自身のレベル上げを兼ねて同行する予定であった。篤史たちは、本人たちとの対面まで素顔を知らない状態で任務へ臨んだ。

二章 君の名は

アイドルたちとの対面

護衛任務の初日、せらと若葉は三人のアイドルと先輩に迎え入れられた。アイドルたちはせらの黒い装備や刀に興味を示し、その体幹と実力も評価した。年下であることを理由に護衛を拒む者はおらず、近距離で守れないという懸念は解消された。

鬼神会の西川司朗

現場には、霧谷組が擁するAランククラン鬼神会も来ていた。その本部長である西川司朗は、アイドルとして参加する霧谷組の令嬢を守るため、自ら部隊を率いていた。しかし西川は護衛だけでなく、ギルド役員から龍青会の任務を妨害するよう依頼されていた。

ギルド役員の狙いは、龍青会を推薦した別の役員の面目を潰し、鬼神会と龍青会を敵対させることにあった。西川は当初、但馬から譲歩を引き出し、龍青会が急速に強くなった理由を探るつもりでいた。しかし篤史とせらの力を察し、鬼神会では対抗できないと悟ると、戦う前に降参した。

二つのクランの手打ち

西川は妨害の企てを認めたものの、成長を支える秘密を握る龍青会へ何を差し出せば償いになるのか決められなかった。但馬も、勝利をもたらした篤史が金、物品、役職のいずれも求めていないため、何を報酬とすべきか悩んだ。両者は具体的な手打ちを後回しにし、まず護衛任務で協力することにした。

特別ゲストの存在

西川は護衛対象の中に、インドネシアから来たシータ・ブラストゥという留学生がいることを明かした。シータは外交官の娘とされ、霧谷組の令嬢へ同行を頼み込んでいた。令嬢は同じ学校と芸能事務所の後輩であるシータを拒み切れず、撮影を妨げないという条件で承諾していた。

外国の重要人物を傷つければ外交問題になりかねなかった。西川は鬼神会の戦力をシータの周囲へ集中させるため、令嬢の護衛を龍青会にも任せ、不自然な配置を黙認してほしいと頼んだ。事情を知った但馬は協力を承諾し、篤史も組織の決定に従った。

シータ・ブラストゥ

シータは小柄で茶髪の少女であり、たどたどしい日本語で篤史に挨拶した。しかし篤史は以前の人生で彼女と接触した経験から、その正体を知っていた。二人きりになると、シータがインドネシアの対ダンジョン特殊部隊【ベスティア】に所属する工作員であると指摘した。

シータが日本へ派遣された目的は、将来有望な若者との人脈作りと、日本が民間の探索者を利用しながら社会秩序を保つ仕組みの調査であった。ギルドは国外の工作員を監視し、有力者への接触を制限していたが、上忍が失踪したことで監視が緩んでいた。シータはその機会を利用し、Aランククランを擁する霧谷組の令嬢へ近づいたのである。

シータの恐怖

シータは篤史の装備が三十五階層より深い場所の素材から作られていると見抜き、彼がインドネシアの精鋭をも上回る強者だと察した。その篤史から正体と目的を問い詰められたため、上忍の失踪は工作員を誘い出す罠であり、自分はここで処分されるのだと誤解して泣き出した。

騒ぎを知った但馬と西川は事情を聞き、篤史が一方的に少女を泣かせたわけではないと理解した。西川は、外交官の関係者が霧谷組へ近づく以上、何らかの思惑があることは当初から承知していた。また、インドネシアとの資材取引につながる可能性も重視し、シータを排除せず同行させることにした。

五割増しの指輪

篤史は協力関係を築くため、西川へレベル上昇時の能力成長を五割増加させる指輪を渡した。西川は龍青会が急速に強くなった理由を理解し、指輪を得る条件として篤史への協力を約束した。篤史は鬼神会の社会的信用と販路を利用し、龍青会だけでは守り切れない家族や関係者の安全を確保しようとしていた。

篤史はシータにも同じ指輪を示した。インドネシアとの関係を築けば、ギルドが篤史や家族を社会的に攻撃しようとしても、国外との問題を扱う組織が介入する可能性が生まれた。篤史は相手が必要とする希少品を継続的に与え、インドネシア側から関係を切れない状態にしようと考えた。

新たな探索要員

篤史はタイムリープの原因を突き止め、再発を防ぐため、推定百階層に及ぶダンジョンの最深部を目指していた。しかし但馬を含む多くの探索者は、利益や組織の安定を得れば命懸けの攻略を続ける理由を失う可能性があった。

シータはレベルが低く、成長率を上げる指輪の恩恵を十分に受けられた。また、国家の任務を背負う立場から、最深部を目指す篤史との関係を簡単には断てなかった。篤史は人柄と能力も知っていたため、せらに続く探索要員としてシータを勧誘した。しかし篤史の説明はシータに伝わり切らず、彼女は意図を理解できずに戸惑った。

三章 いざダンジョンへ

護衛任務の編成

シータは指輪を前払いの貸与という形で受け取り、インドネシア側との正式契約について上司へ確認することになった。探索隊はアイドル候補生四人と奥野、切岸の護衛対象班、但馬と美浦が率いる直接護衛班、撮影スタッフとシータの班、龍青会と鬼神会を中心とする後方・予備班の四つに分けられた。総勢四十三人で、六泊七日かけて二〇階層を目指す計画であった。

アイドル候補生たちは自力でレベル十五まで成長しており、十五階層以降でも落ち着いて魔物を倒した。外部護衛には戦力補強だけでなく、事故時の責任を明確にし、【商人】を増やして物資輸送を分散し、他の探索者を近づけない抑止力としての役割もあった。

【商人】と探索環境

長期探索では食料、水、撮影機材、寝具、衛生用品など大量の物資が必要となるため、アイテムボックスを持つ【商人】は重要であった。しかし【商人】は過去に密輸や着服へ利用されたため社会的信用が低く、戦闘能力も伸びにくいことから、一般的なパーティーでは扱いにくかった。

探索初日、一行は十六階層で野営した。男はプレハブ、発電機、簡易トイレ、シャワー、キッチンなどを大量に取り出し、通常の【商人】を大きく超えるアイテムボックス容量と身体能力を西川たちへ見せた。快適な寝床や衛生環境は探索者の精神的余裕を保ち、生存率を高めるという考えに基づく行動である一方、西川たちへ自分の力を示して裏切りを牽制する意図もあった。

アイドルたちのレベリング

十五階層から二十階層では近接戦闘型の魔物が中心であり、少女たちにとってレベリングに適した環境であった。西川は男から借りた指輪を霧谷の少女へ装備させ、成長効率を高めた。

これまでアイドル候補生が深い階層へ挑まなかった理由は、信頼できる強力な探索者を確保できなかったためであった。今回の遠征は、事務所やギルド、霧谷側の人脈が重なったことで実現した例外的な試みであり、今後の同様の企画を見据えた試験でもあった。

二十階層での襲撃

探索三日目、一行は予定より早く二十階層へ到着した。しかし野営準備中、河内連合の瀬田垣道淳が多数の武装集団を率いて現れた。

瀬田垣は、本来なら鬼神会も龍青会を襲う予定だったと明かした。今回の任務の裏では、龍青会をAランクへ昇格させて利用したい者、潰したい者、依頼を進めた役員を失脚させたい者、鬼神会と龍青会を共倒れさせたい者など、ギルド内部の複数勢力が別々に動いていた。

彼らに共通していたのは、下層へ潜れる探索者は増やしたいが、自分たちの管理を離れて独自に動く強力な探索者は不要だという考えであった。ギルドは自ら教育した従順な探索者が育ち始めたことで、独自の販路や人脈を持つ既存の高ランク探索者を将来的に排除しようとしていた。

河内連合の主張

瀬田垣は、裏社会との関係を断ち堅気となった富士元興業や霧谷組を、誇りを捨てて衰退した存在だと嘲った。但馬たちは、国やギルドが今後さらに統制を強めれば、自分たちのような組織はいずれ合法的に排除されると考え、それを避けるため建設業など表の仕事へ移行していた。

一方、関西では民間団体が諜報員や犯罪者を独自に排除して治安維持へ貢献してきた経緯から、関東よりも探索者や民間勢力の影響力が強かった。しかし但馬は、国が十分な戦力を整えれば、その民間勢力もいずれ制度や法律によって締め出されると見ていた。

瀬田垣は、ギルドと自分たちの最大の違いは、法そのものを自分たちに都合よく変えられるだけの後ろ盾を持つかどうかだと主張した。そして河内連合は国に守られるのではなく、自分たちが国の後ろ盾になるのだと言い放った。

その発言は男にも但馬たちにも理解しがたいものであった。二十階層での襲撃は単なる護衛任務への妨害ではなく、探索者ギルド内部の権力争い、既存探索者への締め付け、関西の民間勢力の思惑が絡む事態へ発展していた。

四章 見えてきた差異

河内連合の理想

二十階層での護衛中、関西から来た瀬田垣組の一団が龍青会と鬼神会を包囲した。瀬田垣は河内連合を中心とする関西の探索者たちが、ギルドから権力を奪い、探索者の地位を高めようとしていると語った。

彼らは、権力が財力と暴力によって支えられていると考えていた。探索者が命を懸けて得た資源を役人が独占する現状を変え、自分たちが金と戦力を握ってギルドを支配する側へ回ろうとしていたのである。

ハイポーションによる財力

河内連合はギルド役員を買収する資金として、四十階層の初回攻略報酬であるハイポーションへ目をつけていた。需要に対して供給が極端に少なく、若さと健康を得られるハイポーションを継続的に売れば、莫大な資金を調達できた。さらに利益を使って探索者を育て、装備を整えれば、暴力の面でもギルドへ対抗できると考えていた。

上忍が失踪し、他のギルドナイトも報復を恐れて動けない現在は、勢力を広げる好機であった。河内連合は関西の有力クランをまとめ、力を蓄えながらギルドの実権を奪う準備を進めていた。

龍青会排除の計画

河内連合にとって、四十階層を目指せる龍青会と鬼神会はハイポーション独占の妨げであった。瀬田垣組は二つのクランがアイドルや撮影スタッフを守りながら探索する機会を狙い、両者を一度に潰そうとしていた。

瀬田垣は別働隊にアイドルたちを押さえさせ、西川が戦えば霧谷組の令嬢を殺すと脅した。人質を守りながら同格以上の襲撃者と戦う状況を作り、龍青会と鬼神会の動きを封じる計画であった。しかし瀬田垣たちは、篤史とせらの本当の実力を把握していなかった。

但馬の決定

せらは篤史からの指示を待ち、篤史は組織の責任者である但馬へ判断を委ねた。但馬は護衛対象の安全を優先し、短時間で敵を全滅させるよう命じた。ただし可能なら一人か二人を証人として生け捕りにしたいと考えた。

篤史は大規模な複合魔法で一団を消し去ろうとしたが、但馬は味方や護衛対象を巻き込む危険と、少女たちへ恐怖を与える可能性から却下した。また、他の探索者への威圧には、複雑な魔法より誰にでも理解できる力の方が有効であると説いた。

三十七本の雷光

篤史は一般的な無属性魔法に雷撃を付与し、三十七本のライトニングアローを一斉に放った。瀬田垣組の者たちは回避も防御もできず、影さえ残さず消滅した。篤史の攻撃は敵を瞬時に排除すると同時に、鬼神会と龍青会の者たちへ圧倒的な実力差を示した。

筧史裕の生存

離れた場所で監視していた男だけは急所を外し、右腕を失いながら生き残っていた。その男は筧史裕であり、河内連合若頭補佐、筧組組長であると同時に、上忍が作り上げた諜報部門の次席監督者であった。

篤史は以前の人生で筧と何度も仕事をし、遠征先の店について語り合う関係にあった。現在の筧にその記憶はなかったが、篤史は彼を情報源と証人として利用できると考えた。負傷した右腕を治すためハイポーションを与え、その代わりに貸しを一つ作った。

上忍の遺した情報

上忍は自分に異変が起きた際、秘密が外部へ広まる仕組みを用意していた。筧もその役割を担う一人であり、上忍と連絡が取れなくなった後、三十五階層の壁、ハイポーションの入手方法、ギルドナイトによる探索者殺害などの情報を河内連合へ流していた。

筧は瀬田垣組の襲撃を見届ける一方、上忍へ接触するため東京へ来ていた。しかし上忍がすでに篤史に倒されたことは知らず、彼女が自ら姿を隠したと考えていた。篤史も上忍の死を明かさず、筧が持つ情報だけを聞き出した。

報復阻止の依頼

篤史は筧に、瀬田垣組を失った河内連合が報復へ動かないよう説得してほしいと頼んだ。武力による襲撃なら返り討ちにできたが、政治力や財力を使った嫌がらせ、家族や関係者への攻撃は防ぎにくかったためである。筧は報復を必ず止めると約束したが、関西全体で進んでいる探索者勢力の拡大までは止められないと説明した。

ダンジョンの縄張り

篤史たちは探索者の地位向上そのものには反対しなかった。ただし河内連合によるハイポーションの独占は認めず、自分たちも四十階層を攻略すると明言した。

争いを避けるため、篤史は関東のクランは関西のダンジョンへ進出せず、関西側も関東へ入らない案を示した。互いの探索を妨げず、報酬は先に入手した者の所有とし、個人や国外のダンジョンについても早い者勝ちとした。筧は草案を河内連合会長へ伝えることになった。

続行された撮影

襲撃後、撮影スタッフは帰還を提案したが、アイドルたちはせっかくの機会を無駄にせず、レベル上げを続けることを望んだ。篤史たちはその強かさに驚きながらも、残りの日程を護衛した。篤史は任務後、但馬、西川、筧、せららを連れて四十階層へ行き、本物の蛟と自分たちの実力を見せることにした。

エピローグ

シータの報告

任務を終えたシータは、インドネシア大使館にある【ベスティア】の拠点へ急ぎ、極東部門責任者スパルナ・リィネへ報告した。リィネは冷静なシータが取り乱していることから重大な失敗を恐れたが、報告は護衛の少年に最初から正体を見破られたという衝撃的な内容から始まった。

河内連合の決断

筧は河内連合会長の獅子堂へ、瀬田垣組の襲撃が失敗し、龍青会と鬼神会は全員無傷であったと報告した。獅子堂は、殺すつもりで襲った者が返り討ちに遭った以上、恨むのは筋違いだとして報復を取りやめた。本音では、瀬田垣組を一撃で消した篤史を敵に回せば、戦力がいくらあっても足りないと理解していた。

蛟の素材

篤史は筧や西川へ、四十階層のボスである蛟の鱗や牙を渡していた。現時点で蛟を倒せるのはギルドナイトだけと考えられていたため、筧と獅子堂は篤史が世界最強と同格以上の力を持つと認めた。関東のダンジョンへ手を出さなければ敵対しないという条件もあり、獅子堂は篤史たちと争わない方針を固めた。

上忍からの独立

筧は上忍の実力を知っていたからこそ、篤史の魔法なら彼女を倒せる可能性があると考え始めた。何度連絡を試みても反応がなく、上忍が死亡した可能性も否定できなくなったのである。

筧は上忍が生きていても、意図的に姿を消しているなら邪魔をすべきではないと理由づけ、独自に動くことを決めた。篤史から与えられる成長率上昇の指輪を使えば、いつか上忍を超えられる可能性もあった。筧は東京で情報と人脈を集めながらレベルを上げる許可を獅子堂から得た。上忍という枷が消えたことで、新たな勢力と秩序が生まれようとしていた。

特別書き下ろし。二人は仲良し

任務後の二人

七月末、せらと若葉は報告や報酬の分配を但馬たちへ任せ、学校の寮へ戻った。瀬田垣組の襲撃は篤史が一瞬で片づけたため、二人にとっては命の危険を感じる出来事ではなかった。周囲を敵に囲まれても自分たちで処理できると考えており、実際に手を下す必要さえなかったからである。

シータへの警戒

二人が気にしていたのは、篤史がシータを個別に護衛し、レベル上げに付き合い、能力成長を高める指輪まで貸したことであった。せらと若葉は、シータがインドネシアの政府関係者であり、ギルドに対抗するための協力者として必要だと理解した。

そのうえで二人は、シータと親しくなり、絶対に裏切らないよう見張るという考えで一致した。篤史の厚意につけ込んで不利益をもたらすことは許さないと笑い合い、離れた場所にいたシータは理由の分からない悪寒に襲われた。

電子書籍特典 大人の話し合い

龍青会の昇格

護衛対象と護衛役の全員が無傷で帰還したため、龍青会の任務達成が認められた。これにより、龍青会は念願のAランクへ昇格することになった。しかし但馬には、任務中に生じた問題や新たな関係について整理する仕事が残っていた。

三人の会合

西川と筧はギルドを出た但馬を待ち構え、焼き肉店へ連れていった。二人は当初の妨害や監視という目的から想像もできない展開になったことを楽しげに語り、但馬だけが疲れ切っていた。それでも今後の協力に向けた話し合いを避けることはできなかった。

蛟素材の加工

西川と筧は篤史から蛟の牙や鱗を受け取っていた。素材は極めて貴重であったが、二人の組織には性能を最大限に引き出せる職人がいなかった。質を落としてでも装備へ加工し、職人へ経験を積ませるべきだと分かっていながら、希少性の高さから決断できずにいた。

但馬は切岸工房での加工を提案した。若葉なら高品質な装備を作ることができ、鬼神会や河内連合は優れた装備を得られた。龍青会も加工の仕事を集めることで若葉たちへ経験を積ませ、将来作られる装備によって組織全体を強化できた。西川と筧は提案を受け入れ、龍青会へ加工を依頼した。

但馬の胃痛

西川と筧は、篤史、せら、若葉といった優秀な人材を抱える但馬を羨んだ。しかし但馬にとって、圧倒的な力を持ちながら考えを読み切れない篤史たちは、頼もしいと同時に恐ろしい部下でもあった。二人から腹の内を探られ、強すぎる部下への対応にも追われる但馬は、胃薬とポーションを手放せない状態になっていた。

タの付く自由業 2巻レビュー
まとめ
タの付く自由業 4巻レビュー

同シリーズ

二度目はタの付く自由業

同著者の作品同著者の作品

極東救世主伝説

偽典・演義~とある策士の三國志~

その他フィクション

e9ca32232aa7c4eb96b8bd1ff309e79e 小説「偽典・演義~とある策士の三國志~ 5」第二章 反董卓連合.3 感想・ネタバレ
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