物語の概要
■ 作品概要
かつて「白豚妃」と揶揄されたぽっちゃりな中級妃・珠麗は、懐妊していた下級妃(祥貴人・姜楼蘭)に毒を盛ったという冤罪を被せられ、胸元に罪人の焼き印を押されて後宮から花街へ追放される。
花街や貧民窟での過酷な生活を経て激痩せし絶世の美女に変貌した彼女は、4年後、新皇帝への代替わりに伴う女官強制補充に捕まり、本名と美貌を隠したまま「東珠」として後宮に連れ戻される。
不合格となって城外へ逃亡することを目指す珠麗だったが、花街や貧民窟で培った反社会的スキルや教養、そして周囲の度重なる誤解と偶然が重なり、本人の意思とは裏腹に「甲の最上評価」を得て「下級妃候補・珠珠」へと取り立てられてしまう。
かつて自身を陥れた楼蘭が中級妃「祥嬪」として権勢を振るう中、珠麗は自身の正体を隠しながら脱出の機会を窺うが、かつての側付き女官・夏蓮との再会や、皇太子である正体を隠して武官に扮する郭玄(白城)との関わりを通じ、次第に後宮の激しい陰謀と対立に巻き込まれていく。
最終的に、楼蘭による卑劣な罠から夏蓮の命を救ったことで自身の正体が夏蓮に知られ、かつて裏切られたと誤解していた夏蓮から深い忠誠を誓われ、上級妃への成り上がりを強要される状況に陥る。
■ 主要キャラクター
宝珠麗(ほう じゅれい) / 珠珠(じゅじゅ) / 東珠(とうじゅ)
- 立場・所属:元中級妃(恵嬪、あだ名は「白豚妃」)。現在は下級妃(貴人)候補。
- 主人公との関係:主人公自身。
- この巻での主な役割:後宮からの不合格・逃亡を企てるが、周囲の誤解と偶然によって成り上がってしまう。
- この巻で起きた重要な変化や行動:冤罪追放後、花街「朱櫻楼」で肥桶洗いを務めつつ諸芸(書、化粧、歌、舞、香の調合など)を学び、さらに北の貧民窟で贋作や経書の「裏巻」作りなどの闇稼業に従事した。過酷な生活により激痩せして絶世 of 美女に変貌したが、鏡を4年間見ていなかったため自覚がなく、自身の顔が老女のようになったと勘違いしている。女官狩りで連行された後宮にて、不合格(落札)を目指して泥を塗り、罪人の焼き印を隠すために襟を閉じた着こなしをするが、これが「美貌を隠した貞淑な才媛」と美化されて評価されてしまう。
姜楼蘭(きょう ろうらん)
- 立場・所属:中級妃(祥嬪)。
- 主人公との関係:4年前に珠麗に流産の冤罪を被せ、後宮から追放した張本人。
- この巻での主な役割:後宮の最高権力者を狙い、揺籃の儀で競合する妃嬪たちを裏から陥れようと工作する。
- この巻で起きた重要な変化や行動:4年前、自ら毒を仰いで流産を偽装し、見舞いに訪れた珠麗に罪を擦り付けた。その後、太監長・袁氏と結託して「祥嬪」へと昇格。揺籃の儀において、純貴人の鏡を割らせて賄賂疑惑で追い詰め、明貴人の筆をすり替えさせて画の評価を落とそうとするなど、自身の手を汚さない冷酷な策略を巡らせる。しかし、それらの企みをすべて珠麗に(意図せず)阻まれたことで、新参の「珠珠」に対して強い警戒心と敵意を抱き、彼女と恭貴人を排除するために強い火酒を用いた排除工作を実行する。
礼央(りおう)
- 立場・所属:貧民窟を治める賊徒集団の若頭。
- 主人公との関係:貧民窟での珠麗の保護者であり、闇稼業の雇い主。
- この巻での主な役割:後宮に連行された珠麗を救い出すため、自身も太監に扮して後宮へ潜入する。
- この巻で起きた重要な変化や行動:実は、要人警護や暗殺を担う隠密集団「烏(からす)」の頭領の息子であり、武技や毒の知識に極めて優れている。当初は不慣れな珠麗を放置していたが、諦めずに泥臭く努力する彼女の根性を気に入る。珠麗が女官狩りに遭うと、大烏を飛ばして居場所を突き止め、自身も下級太監に成り済まして後宮に侵入。用心棒代(守料)を5倍に釣り上げつつ、子の刻の脱出を珠麗に持ちかける。
夏蓮(かれん)
- 立場・所属:祥嬪・楼蘭の側付き女官。
- 主人公との関係:かつての珠麗の側付き女官。
- この巻での主な役割:楼蘭の手駒として働くが、珠麗との関わりの中で4年前の真実を知り、再び忠誠を誓う。
- この巻で起きた重要な変化や行動:天華国に滅ぼされた砂漠の遊牧民族「韋(い)族」の出身。
かつて白豚妃時代の珠麗に救われ、髪を切って忠誠を誓ったが、追放時に楼蘭から「珠麗はお前の俸禄をかすめ取って隠し持っていた」という偽りの証拠(金子と自らの髪)を突きつけられ、珠麗に裏切られたと深く誤解。
妹の弔いのために、感情を殺して楼蘭の「犬」として冷酷な工作(筆のすり替えや火酒の強要)に加担していた。
しかし、火酒の強要時に自身の命を救ってくれた珠珠の言葉と介抱の技術から、彼女が白豚妃・珠麗その人であると気づく。
さらに、楼蘭から渡された珠麗の手紙と髪の束から、珠麗が裏切るどころか、自分の結婚と幸せ(花嫁仕度の髢や金子、手紙)を願ってくれていたという真実を知り、激しい後悔と涙とともに、生涯かけて珠麗を守り抜くことを誓う。
郭武官(かくぶかん) / 白城(はくじょう)
- 立場・所属:後宮武官(郭玄)。
- 主人公との関係:4年前に珠麗を処刑から救う形で(侮辱を伴いながら)追放し、現在は選抜で彼女を妃候補へねじ込む。
- この巻での主な役割:正体を隠して後宮の腐敗を暴く調査を行っており、珠珠の動向を注視して選抜に留める。
- この巻で起きた重要な変化や行動:その正体は、天華国の皇太子「白城」。中級貴族郭氏の三男坊「郭玄」と入れ替わって武官に扮し、4年前から太監長を中心とする後宮の腐敗を監視し、「剪定」する機会を窺っていた(本物の郭玄は皇太子の影武者を務める)。
極度の女性不信で女を「雌豚」と見下していたが、揺籃の儀で再会した東珠(珠珠)の圧倒的な美貌と、周囲を意図せず巻き込んでいく博識さや教養に興味を惹かれ、不合格を狙う彼女の目論見をことごとく潰して妃候補へと取り立てる。
蓉蓉(ようよう)
- 立場・所属:女官候補から下級妃候補へ昇格した少女。
- 主人公との関係:後宮内での珠珠の同居人かつ「友人」。
- この巻での主な役割:珠珠の才覚に魅了され、彼女を熱烈に支持して後宮に留めようと奔走する。
- この巻で起きた重要な変化や行動:その正体は、皇太子(白城)の異母妹である公主。兄の後宮潜入調査に協力するため、身分を偽って女官選抜に参加していた。人の真価を見極める「見玉 of 才」を宿しており、珠珠(珠麗)を「磨き抜かれた真っ白な宝玉」と見なして深く崇拝。珠珠が落選を狙って行った行動(泥を塗る、襟を閉じる、不敬な艶画を描くなど)を「貞淑さや気高さ、後宮の腐敗に対する無言の警告」と過大評価し、兄と彼女を結びつけようと熱望する。
静雅(せいが)
- 立場・所属:下級妃(純貴人)。
- 主人公との関係:かつて白豚妃時代の珠麗と交流のあった妃。
- この巻での主な役割:鏡の割れた事件で珠麗に助けられ、選抜二日目には恩返しとして彼女を介抱し、選抜の場へ連れて行く。
- この巻で起きた重要な変化や行動:学者を輩出する家系の出身で、教養が高く生真面目で公正な性格。楼蘭の罠(鏡の破損)により不利益を被りかけたが、珠麗が故事を引用して切り抜けたことで窮地を脱する。これにより「珠珠」に深く感謝し、彼女が明貴人の嫌がらせ(実際は逃亡目的の野宿)で屋外にいたのを介抱し、真新しい妃候補の衣を用意するなどして選抜の継続を助ける。
紅番(こうばん)
- 立場・所属:下級妃(明貴人)。
- 主人公との関係:かつて白豚妃時代の珠麗の妹分。
- この巻での主な役割:画の選抜で珠麗に助けられ、今度は珠麗を不合格から救おうとして彼女の残留を確定させてしまう。
- この巻で起きた重要な変化や行動:18歳。勝気で喧嘩早いが、書画の才能に優れ、恩義に非常に厚い。楼蘭の罠で筆をすり替えられて白紙のまま選抜落ちに追い込まれかけ、さらに容貴人の工作で濡れ衣を着せられかけたが、珠麗に小筆を渡されて助けられる。珠麗が「墨で汚れた画(実際は郭武官への嫌がらせの艶画)」を理由に不合格になろうとした際、その場に跪いて「自分を助けてくれた彼女が落札されるのは理不尽だ、練紙でもいいから審査してほしい」と袁氏に涙ながらに直訴し、珠麗の残留を決定づける原因を作った。
書籍情報
白豚妃再来伝 後宮も二度目なら 一
著者:中村颯希 氏
イラスト:新井テル子 氏
出版社:KADOKAWA(富士見L文庫)
発売日:2021年08月12日
ISBN:9784040741215
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あらすじ・内容
寵妃なんてお断りです!」追放妃は願いと裏腹に後宮で成り上がって…!?
◆大ボリュームの書き下ろし番外編「二度目の天運」収録◆
濡れ衣で後宮から花街へと追放されてしまった「白豚妃」珠麗。泣き暮らすしかない境遇――をばねに、貧民窟の若頭の礼央の保護のもとで、思いのほか充実した生活を送っていた。
しかし、苦労に磨かれ別人のような絶世の美女になった彼女は後宮に再収容されてしまう!
「バレたら処刑だわ!」珠麗は懸命に後宮からの脱走を図る。だが、脱出行動が裏目に出たり、花街と貧民窟で鍛えた処世術が役立ちすぎて、冷酷なはずの郭武官にうっかり妃候補として取り立てられるほど活躍を重ねてしまい――?
感想
作者の中村颯希さんの名前を見て手に取った『白豚妃再来伝 後宮も二度目なら 一』。
読んでいて一番印象に残ったのは、主人公・珠麗の根性だった。
後宮では冤罪を着せられて罪人となり追放。
その後は妓楼の下女として働き、火事で妓楼がなくなれば今度は貧民窟へ。
かなり酷い目に遭っている。
でも、この子。
根性あるわ……。
何でも最初から上手くできるわけではない。
むしろ一回目はかなり失敗する。
それでも二回目、三回目と繰り返すうちに、少しずつ上達していく。
この「失敗してもまたやる」という珠麗のしぶとさが、読んでいてかなり印象に残った。
後宮を追放されて妓楼の下女へ。それでも腐らないのが強い
珠麗は元々、かなりのお人好しである。
善意は善意で返ってくる。
困っている人を助ければ、自分が困った時にも誰かが助けてくれる。
そんな感じで生きていた。
だが後宮では、その考え方が完全に裏目に出る。
楼蘭を助けようとして見舞いに行ったら、その楼蘭自身に罠を仕掛けられ、流産の罪まで被せられる。
しかも珠麗は楼蘭をかなり信用していたため、
「罪を認めれば死刑ではなく追放で済む」
という言葉まで信じてしまう。
騙されすぎだろ。
結果、罪人の焼き印を押されて花街へ追放される。
そこから始まるのが妓楼・朱櫻楼での生活。
元妃なのに、
肥桶洗い。
落差が酷い。
ところが珠麗は、ここでも投げ出さない。
どうせやるならと肥桶洗いを極め、妓女たちの体調まで排泄物から把握するようになる。
ついには、
「伝説の肥桶番」
みたいな立ち位置になっている。
何だそれ。
でも、この経験が後々かなり効いてくる。
楼主から琴や舞、歌、化粧などを教えてもらい、妓楼の女たちからは人間関係や女同士の駆け引きまで学ぶ。
昔の珠麗なら理解できなかった後宮での会話も、
「あれって、そういう意味だったのか」
と分かるようになる。
追放されたこと自体は最悪なのだが、
皮肉にも後宮にいた頃より遥かに逞しくなっている。
しかも妓楼で医者以上に頼られるようになっていくのも面白い。
置かれた場所に適応する能力が高いんだろうな。
一回目は失敗する。でも二回目、三回目と確実に上達していく
妓楼が火事で焼けた後、珠麗はさらに北の貧民窟へ流れ着く。
そこで彼女を保護するのが礼央。
ただし最初は、
ほぼ放置。
衣食住も自分でどうにかしろ。
という環境。
後宮。
妓楼。
そして貧民窟。
どんどん生活水準が落ちてないか?
それでも珠麗は生きようとする。
ここで彼女の根性がよく分かる場面がある。
周囲の人間が鶏を捌いているのを見て、自分も真似する。
ところが一回目。
ほとんど肉が残らない。
翌日。
拳くらいの肉が取れる。
さらに翌日。
拳二つ分くらいまで残せる。
確実に成長してるな。
結局、
「貴重な鶏をこれ以上惨殺させないでくれ」
と周囲から泣きが入って、礼央から短刀を渡されることになる。
このエピソードが珠麗という主人公をよく表している気がする。
器用そうに見えて、
最初から何でもできるわけではない。
むしろ最初は酷い。
でも諦めない。
馬鹿にされても、失敗しても、またやる。
本人も、
「何事もゆっくりしかできない」
と思っている。
でも、ゆっくりでも積み上げ続けられるのは普通に強い。
刺繍。
筆。
細工。
簿記。
妓楼で覚えた介抱。
貧民窟で覚えた贋作や経書の裏巻作り。
いつの間にか、
何だかんだで出来ることがメチャクチャ増えている。
後宮時代のほわほわした白豚妃とは、かなり別人になっていた。
「白豚妃」だったのに苦労して激痩せ。でも本人は自分が美人になったと知らない
もう一つ面白いのが珠麗の外見。
後宮にいた頃は、
「白豚妃」
と呼ばれるほど太っていた。
ところが追放後。
肥桶を運ぶ。
妓楼で働く。
火事で住む場所を失う。
徒歩で半月移動。
貧民窟で食べ物にも苦労。
そりゃ痩せる。
しかも元々の素材はかなり良かったらしく、四年後には完全に美女になっている。
問題は、
本人が知らない。
四年間、まともに鏡を見ていないからである。
礼央からも、
「そんな顔を晒すな」
と言われて布を巻かされていたため、
珠麗本人は、
苦労しすぎて老女みたいな顔になったのでは?
と勘違いしている。
違う。
美人すぎるから隠されてるんだよ。
この認識のズレが面白い。
そして最悪のタイミングで人攫いに遭う。
珠麗を攫った連中の目的は、
後宮の女官補充。
つまり、
よりによって後宮へ強制送還。
バレたら死ぬ場所へ戻される。
何という不運。
珠麗は偽名「東珠」を使い、
顔に泥を塗り、
馬鹿な田舎娘を演じ、
何とか選抜で不合格になろうとする。
実際、一度は落選まで持っていく。
ところが蓉蓉が、
「この子にももう一度機会を」
と余計な善意を発揮。
顔を隠していた布まで剥がされる。
そこで四年ぶりに鏡を見て、
珠麗本人まで驚く。
誰、この美女?
自分である。
「白豚妃」だった頃を知っている人間もいるのに、痩せすぎて逆に本人だと分からない。
これは幸運なのか不運なのか。
逃げたいだけなのに評価されて後宮へ逆戻り。バレたら終わりなのに目立ちすぎる
珠麗の目的は一貫している。
後宮から逃げたい。
当然である。
昔ここで冤罪を被せられ、
罪人として追放された。
もう一度戻ったことが知られたら、今度こそ処刑されかねない。
だから選抜で不合格になればいい。
ところが珠麗、
逃げようとすればするほど評価される。
昔なら意味の分からなかった後宮の高度な言葉の応酬も、妓楼や貧民窟での経験を積んだ今なら理解できる。
楼蘭に追い詰められていた静雅を助けるため、『本事詩』の故事を持ち出して鏡の件を収める。
本人としては、
早くこの場を通してくれ。
くらいの気持ちなのに、
周囲から見れば博識な女性。
さらに逃亡しようとしたところを郭武官に先回りされ、
下級妃候補へ。
逃げたいのに妃候補へ昇格。
何でだよ。
その後もわざと不敬な画を描いて落選しようとしたり、野宿して体調を崩そうとしたりするのだが、
なぜか全部、
「高潔」
「貞淑」
「博識」
と解釈される。
本人が貧民窟で覚えた技術も、
高尚な教養として評価されてしまう。
昔の後宮では、
何も知らない白豚妃。
今の珠麗は、
妓楼と貧民窟で生き延びた元罪人。
同じ後宮へ戻ってきても、中身が全然違う。
そして何より、
一度失敗したことには強い。
後宮も二度目。
まさにタイトル通りである。
ただし本人は、
二度目なんてやりたくない。
逃げたい。
でも周囲が逃がしてくれない。
さらに昔の側付きだった夏蓮まで珠麗の正体に気付き、
今度こそあなたを上級妃にします。
と忠誠を誓ってしまう。
やめてあげて。
本人の目的と真逆だから。
追放されても妓楼で生き延びる。
妓楼が焼けても貧民窟で生き延びる。
何をやっても最初は失敗するのに、二回目、三回目と少しずつ上手くなる。
そしてようやく居場所ができたと思ったら、
人攫いに遭って一番戻りたくなかった後宮へ逆戻り。
この子も根性あるわ……。
それでも今回ばかりは、
頑張れば頑張るほど後宮で評価されて逃げられなくなっている。
正体がバレたら終わり。
なのに、すでに目立ちまくっている。
二度目なら上手くやれる――というより、
二度目だからこそ有能になりすぎて、余計に逃げられなくなってないか?
そこがこの作品の一番面白いところだと感じた。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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考察・解説
珠麗の後宮復帰と選抜試験における評価の全貌
4年前に冤罪で後宮を追放された珠麗(東珠/珠珠)は、強制的な女官補充によって再び後宮へと連れ戻されることとなった。処刑を回避すべく落選と逃亡を画策するものの、過酷な生活を経て身につけた処世術や教養、そして露呈した美貌により、意図に反して下級妃候補として最上評価を獲得していく。主要な転換点、人物関係の変化、自己認識と周囲の評価の乖離、クライマックスにおける介抱劇、および巻末時点の状況について解説する。
主要な転換点
物語を大きく動かした決定的な転換点は以下の通りである。
・4年前の冤罪と後宮追放:楼蘭の流産に際して毒殺未遂の濡れ衣を着せられ、胸元に豚の焼き印を押されて後宮を追放された。温室育ちの環境から貧民窟へと放り込まれた結果、激痩せして絶世の美女へと変貌しただけでなく、贋作・裏巻作り、袖筒術、吐かせの技術など逞しい処世術と汚れ仕事への耐性を獲得した。
・市での女官狩りと後宮への再連行:北の貧民窟で礼央の保護のもと闇稼業を手伝っていたが、代替わりに伴う強制補充(女官狩り)に捕縛された。再侵入が発覚すれば即刻処刑となるため、東珠と偽名を名乗り無能な田舎娘を装って落選を目指すこととなった。
・一次選抜試験での美貌の露呈:泥を塗り首布を巻いて愚鈍を演じていたが、蓉蓉の善意による懇願をきっかけに素顔を晒された。自覚のない絶世の美貌が周囲や郭武官(皇太子)に露呈し、落選の目論見が崩れて下級妃候補へ抜擢された。
・画の選抜における模写と最上評価の獲得:不敬な艶画を描いて不合格を狙ったが、罠に嵌められた紅番を助けつつ、用心棒代の金策のために国宝級の調度品や扁額の書を練紙へ精密に模写した。紅番の直訴と郭武官の介入により練紙が提出され、逆境に耐える高潔な意志と深い教養として袁氏から大絶賛を受け、甲の最上評価を獲得した。
・夏蓮の救済と正体の発覚:楼蘭の手駒として火酒の強要を命じられた元側付き女官の夏蓮に対し、中毒死の危機を察知して杯を割り、喉に指を入れて吐かせる技術で命を救った。かつてと同じ慈愛の言葉と残された手紙から裏切りが誤解であったと判明し、夏蓮は生涯の忠誠を誓って白泉宮へと復帰した。
主人公を中心とした人物関係の変化
後宮内での選抜と騒動を通じて、周囲の人物との関係性は大きく変容した。
・珠麗と郭武官(皇太子白城):かつて冷酷に焼き印を押して追放した因縁の相手であり、珠麗からは恐れと怒りの対象であった。しかし郭武官側は、女性蔑視を抱きつつも珠麗の放つ教養や周囲を活気づける独特の雰囲気に強い興味を抱き、動向を注視する関係となっている。
・珠麗と蓉蓉:善意から余計な世話を焼く厄介な相手として珠麗から警戒されていたが、公主である蓉蓉は珠麗の行動を深い教養と後宮の腐敗を見抜く慧眼と崇拝し、兄である皇太子との婚姻を熱望する関係へと深化した。
・珠麗と紅番(明貴人):当初は見下され反発を受けていたが、画の選抜で罠から救い庇ったことで紅番は完全に懐き、落選の危機に際して涙ながらに直訴して残留を助ける強固な信頼関係が結ばれた。
・珠麗と夏蓮:裏切られた絶望から楼蘭の冷酷な手駒となっていた夏蓮であったが、命を救われたことと過去の真実を知ったことで激しい懺悔と後悔を抱いた。珠麗を上級妃へと押し上げるため、命を懸けて仕える忠臣として白泉宮へ戻った。
主人公の認識と周囲の評価
珠麗本人の自己評価と、周囲からの客観的な評価の間には決定的な認識のズレが存在している。
・主人公自身の認識:自身を騙されやすい愚鈍な白豚と過小評価しており、4年間鏡を見ていなかったため激痩せによる美貌の変化を認識していない。身につけた技術も後ろ暗い反社会的スキルに過ぎず、後宮に残れば処刑されるため、あらゆる手段で落選して城外へ逃亡することのみを目的としている。
・周囲からの評価:素顔を目撃した者たちからは絶世の美女と称賛され、焼き印を隠す着こなしも貞節を守る淑女の鑑と過大評価されている。不敬画や模写も逆境に咲く高潔な美徳や腐敗を戒める警告と解釈され、人心を動かす稀有な才覚を持つ璞玉として絶大な信望を集めている。
・認識の差が現れた場面:問答での頓珍漢な回答は高慢さを排した謙虚な姿勢と美化され、金策のための精密模写は苦学と高潔な精神を表現した最高峰の芸術として評価された。嫌がらせ目的の艶画すらも後宮の綱紀の乱れを憂う警告として受け止められるなど、意図と評価の乖離が続いている。
クライマックスにおける火酒の対決と夏蓮の救出
選抜三日目の舞の試験を前に、白泉宮を標的とした謀略と救出劇が展開された。
・毒酒による妨害工作:舞の名手である嘉玉と目障りな珠麗を排除するため、楼蘭は夏蓮に強い火酒を白泉宮へ届けさせ、強要して潰すよう命じた。
・袖筒術による応戦:連帯責任を恐れて飲もうとする嘉玉を庇い、珠麗が粗相による追放と金策を兼ねて立候補した。袂の竹筒に酒を流し込む袖筒術を駆使して乾杯に応じた。
・命がけの介抱と正体の露呈:下戸である夏蓮の中毒症状に気づいた珠麗は、杯を叩き割って喉に指を突っ込み強制的に吐き出させて命を救った。その際の言葉から、夏蓮は目の前の人物が白豚妃・珠麗本人であると確信した。
・主従の再誓約と次なる罠:楼蘭から切り捨てられた夏蓮は、残されていた手紙から過去の真実を知り、珠麗を上級妃に押し上げることを誓って白泉宮へ戻った。一方、楼蘭は太監長・袁氏を通じて白泉宮へ豚一頭を送り込む不穏な罠を発注した。
巻末時点の状況と今後の課題
逃亡の目論見が外れ、妃候補としての立場が固定化される中で新たな脅威が迫っている。
・主人公の状況と立場:白泉宮に留まっており、一次および二次の選抜で最上評価を獲得した下級妃候補として、最終選抜である舞の競技へ進まざるを得ない立場にある。
・主要人物の動向:夏蓮は生涯の忠誠を誓い上級妃への擁立に奔走し、礼央は約束の刻限に現れなかった珠麗を門外で待機している。郭武官は関心を深め、楼蘭は白泉宮を陥れるための次なる工作を画策している。
・解決した問題と継続課題:夏蓮との4年越しの誤解が氷解し主従の絆が再構築された。一方で、脱出を望む珠麗と上級妃を目指す夏蓮の間で方針が完全に食い違っており、釣り上げられた用心棒代の金策や、楼蘭による豚を用いた謀略への対処が課題として残されている。
まとめ
珠麗の後宮復帰を巡る一連の全貌は、冤罪による追放と過酷な貧民窟生活で培われた処世術の獲得から始まり、女官狩りによる意図せぬ再連行、落選工作の失敗と美貌・教養の露呈に伴う最上評価の獲得、そして火酒の謀略から夏蓮を救出したことによる主従の絆の復活に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
処刑を恐れて脱出を試みる本人の思惑とは裏腹に、卓越した技術と周囲の過大評価によって後宮の権力闘争の中心へと押し上げられていく波乱の記録である。
宝珠麗の冤罪事件と後宮追放の全貌
4年前に発生した「子流し」の嫌疑による宝珠麗の追放劇は、後宮の権力闘争と楼蘭の周到な自作自演によって仕組まれたものであった。事件の発生から地下牢での謀略、郭武官による判決と焼き印の執行、残された側付き女官・夏蓮への欺瞞工作、そして過酷な追放生活がもたらした珠麗の変化に至るまでの事実関係を時系列に沿って解説する。
冤罪事件の真相と偽装工作
善良な性格と体型から「白豚妃」と揶揄されつつも後宮で気楽に過ごしていた中級妃(恵嬪)の宝珠麗は、楼蘭の策略によって一瞬にして罪人へ仕立て上げられた。
・見舞いと吐血の偽装:つわりに苦しんでいると噂された下級妃の姜楼蘭を案じ、珠麗は調合した果実水と薬湯を持参して見舞いに訪れた。楼蘭はその薬湯を口にして吐血・卒倒し、駆けつけた女官が「白豚妃が毒を盛った」と叫んだことで、珠麗は流産の嫌疑により地下牢へ投獄された。
・自作自演の動機と権力掌握:事件は楼蘭自らが毒を仰いで流産を偽装した罠であった。事前に毒の痕跡を残し女官を買収して虚偽証言をさせ、天子の子を失った悲劇の妃として同情を集めることで、中級妃(祥嬪)への昇格と太監長・袁氏と結託した権力掌握を果たした。
地下牢での精神的誘導と色仕掛けの罠
牢獄で絶望する珠麗に対し、楼蘭はさらなる心理工作を仕掛けて自己保身の道を完全に断ち切った。
・虚偽の宣告と自白の誘導:極秘裏に面会した楼蘭は「斬首刑が決まった」「罪を認めれば追放への減刑を申し出られる」と嘘を告げ、屈辱を堪えて罪を自白するよう精神的に追い詰めた。
・郭武官の性質を利用した罠:情けを期待する珠麗に対し、楼蘭は胸元を晒して縋りつく色仕掛けを勧めた。これは、媚びる女性を最も嫌悪する郭武官の性質を利用し、彼に珠麗を嫌悪させて庇護の可能性を潰すための罠であった。
・夏蓮への思いと形見の委託:珠麗は唯一残った翡翠の簪を楼蘭に託し、宮の飾り棚に隠した手紙と年季明け用の金子を側付き女官・夏蓮に渡して面倒を見てほしいと懇願した。楼蘭は承諾したものの、珠麗が去ると簪を泥の中へ投げ捨てた。
郭武官による判決と豚の焼き印による追放
減刑を信じて実行した行動は裏目に出て、過酷な判決が下される結果となった。
・自白と色仕掛けの破綻:生き延びるために罪を認め不慣れな色仕掛けを試みた珠麗に対し、郭武官(皇太子・白城)は失望と冷笑を向けた。
・胸元への焼き印の執行:郭武官は「祭祀の際、豚の焼き印は前肢の付け根に押すものだ」と言い放ち、額ではなく衣を脱がなければ見えない胸元に豚の焼き印を押して後宮から追放した。
・実家からの絶縁:薄情な父親は即座に娘を絶縁して尋問に協力したため、珠麗は誰の助けも得られず、身一つで花街へと放り出された。
夏蓮に対する欺瞞と裏切りの誤解の植え付け
残された夏蓮は、楼蘭の巧妙な情報操作によって心を閉ざし、手駒として使役される境遇へと堕ちた。
・金子と手紙の回収:夏蓮を引き取った楼蘭は隠し場所から金子と手紙を回収したが、感謝が綴られた手紙は隠し、金子のみを見せて「珠麗が俸禄を私物化していた」と嘘を吹き込んだ。
・髪の束を用いた詐術:珠麗が将来の花嫁姿のために大切に保管していた夏蓮の黒髪の束を差し出し、「病身の妹の遺髪ではないか」と偽ることで、珠麗が妹の弔い金すら奪っていたという決定的な裏切りの証拠として提示した。
・絶望と服従:文化的に命と同等に重い髪と妹の弔いを利用された夏蓮は、敬愛する主人に裏切られたと絶望し、妹の弔いを人質に取られたまま感情を殺して楼蘭に従属した。
4年間の過酷な生活がもたらした珠麗の変貌
貧民窟と花街での生活は、珠麗の容姿と技能に劇的な変化をもたらした。
・激痩せによる絶世の美貌の獲得:朱櫻楼での肥桶洗いや貧民窟での過酷な生存競争を経て肉体が削ぎ落とされ、白肌と優美な容姿を持つ絶世の美女へと変貌した。ただし4年間鏡を見ていなかった本人は、自身が無様に老いたと誤認していた。
・実用的な処世術の習得:贋作作りや裏巻制作で培った精密な書画模写技術をはじめ、袂の竹筒に酒を逃がす袖筒術、喉に指を突っ込んで吐かせる黄金指など、泥臭く実戦的な技術を多数身につけた。
まとめ
宝珠麗の冤罪と追放を巡る一連の全貌は、楼蘭の自作自演による子流し事件の捏造から始まり、地下牢での精神誘導と郭武官による胸元への焼き印追放、夏蓮への情報操作による忠誠の簒奪、そして4年間の過酷な環境が生み出した絶世の美貌と多彩な処世術の獲得に至るまで、その歩みを明瞭に示している。悪意によってすべてを奪われた過去の出来事が、後に意図せず後宮へ連れ戻された彼女の運命を大きく動かす原動力となった記録である。
宝珠麗の美貌の露呈と誤解の連鎖の全貌
4年前に後宮を追放された宝珠麗(東珠/珠珠)は、過酷な貧民窟生活を経て絶世の美女へと変貌していたが、本人はその変化を自覚していなかった。女官狩りによって連行された後宮選抜の場で発生した美貌の露呈劇、周囲による過大評価の構造、そして脱出計画の破綻に至るまでの全容について解説する。
露呈前の状況と珠麗の自己認識の乖離
追放生活による肉体的変化と本人の認識との間には、決定的なズレが生じていた。
・過酷な生活による容姿の劇的変化:かつてぽっちゃりとした体型から白豚妃と揶揄されていた珠麗であったが、花街での下働きや貧民窟での過酷な生存環境を経て余分な脂肪が削ぎ落とされた。真珠のような白肌、引き締まった顎と長い首、濡れた黒瞳を持つ絶世の美女へと変貌を遂げていた。
・本人の極端な過小評価:4年間一度も鏡を見る機会がなく、貧民窟の若頭から顔を隠すよう叱責されたことや周囲の驚愕の反応を蔑視と誤認したため、自身の顔を老女のように無残なものと思い込んでいた。
・変装による不合格工作:再侵入の発覚による処刑を避けるため、顔に泥を塗り首布を鼻先まで巻いて無能な田舎娘を装い、一次審査での不合格(落札)と城外逃亡を画策していた。
選抜一次審査における美貌の露呈の経緯
計画通りの不合格宣告から、他者の介入によって事態が急変した。
・狙い通りの落選判定:問答においてわざと頓珍漢な返答を繰り返し、太監長・袁氏から女官としての資質なしとして落札を言い渡された。
・善意の介入による素顔の開示:首席女官候補の蓉蓉(正体は皇太子の妹・公主)が、珠麗を顔を隠して規律を守る淑女と誤解し、太監長へ再考を懇願した。抵抗する珠麗は押さえつけられ、首布を奪われて泥を拭われたことで素顔が白日の下に晒された。
・周囲の驚愕と自己認識の更新:太監長や正体を隠した郭武官(皇太子・白城)、他の候補者たちが一斉に息を呑んだ。郭武官から手渡された丸鏡を見て、珠麗自身も初めて自身の変貌を知り絶句した。
周囲の過大評価と誤解の連鎖
露呈した美貌と脱出のための偽装行動が結びつき、周囲の解釈は美談へと昇華された。
・貞節を守る淑女としての美化:胸元の罪人の焼き印を隠すために襟元を厳格に閉じた着こなし(引っ詰め襟)を死守した行為が、肌を天子以外に晒さない貞節な淑女の鑑として後宮内で称賛された。
・愚鈍な問答の好意的解釈:不合格を狙った愚鈍な受け答えも、類稀なる美貌と合わさることで、美貌を誇らず高慢さを排した極めて謙虚で奥ゆかしい態度として都合よく解釈された。
物語の展開に与えた決定的影響と立場の変容
美貌の露呈は逃亡計画を完全に粉砕し、後宮の権力闘争へ巻き込まれる契機となった。
・逃亡計画の完全崩壊:脱出を図る珠麗を郭武官が先回りして拘束した。不合格狙いの演技や高い教養を見抜いた郭武官の判断により、落札は覆され「下級妃(貴人)候補・珠珠」へと強制的に引き上げられて後宮へ留め置かれた。
・皇太子による執着の発生:女性蔑視を抱く皇太子(白城)が、珠麗の美貌や教養、周囲の毒気を抜く独特の魅力に強い関心を抱き、彼女を後宮の策謀の中心へと引きずり込む要因となった。
まとめ
宝珠麗の美貌の露呈を巡る一連の全貌は、過酷な追放生活による意図せぬ容姿の変貌と本人の過小評価から始まり、一次審査における首布の強制剥奪に伴う素顔の開示、襟元の着こなしや愚鈍な言動が高潔な美徳として美化された誤解の連鎖、そして皇太子の介入による下級妃候補への抜擢と逃亡計画の破綻に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
本人の脱出願望とは裏腹に、獲得した美貌と隠蔽工作が皮肉にも最大の足枷となり、後宮内での立身を決定づけた出来事の記録である。
宝珠麗における勘違いの成り上がり構造と立身の全貌
本作における最大の特徴である成り上がり劇は、主人公である宝珠麗(東珠/珠珠)が処刑を回避して後宮から脱出するために試みた隠蔽や不合格工作が、周囲の先入観や思惑によって高潔な美徳や卓越した教養へと過大評価されることによって引き起こされる。本人の脱出願望と周囲の崇拝との決定的な乖離、勘違いを加速させた具体的な契機、そして成り上がりを成立させている本質的要因について解説する。
勘違いの成り上がりの基本構造
意図せぬ立身を支える骨組みは、本人の動機と周囲の解釈の完全なすれ違いに基づいている。
・本人の目的と行動:再侵入の発覚による処刑を恐れ、顔を隠す、愚鈍を演じる、不敬な画を描くなど、あらゆる手段を用いて落選(落札)と城外逃亡を画策した。
・周囲の反応と過大評価:本人の意図とは裏腹に、周囲はその行動を世俗の欲を排した謙虚さや深い教養、高潔な意志の表れと解釈した。
・地位の強制的な引き上げ:脱出のための工作がすべて最高峰の評価へと変換された結果、本人の意思を置き去りにしたまま後宮内での地位が強制的に押し上げられる構造が定着した。
勘違いを加速させた具体的な成り上がりの契機
各選抜段階における不合格工作は、ことごとく美談や高徳な行為へと誤解された。
・首布の隠蔽と襟を閉じた着こなし:
- 本人の意図:胸元の罪人の焼き印を隠して処刑を免れるため、襟元を厳格に閉じた引っ詰め襟の着こなしを死守した。
- 周囲の解釈:肌を天子以外に晒さない貞節を守る淑女の鑑と受け止められ、後宮中で美談として称賛された。
・一次審査(教養問答)での愚鈍な言動: - 本人の意図:顔に泥を塗り、問答でわざと愚鈍な返答を繰り返して女官としての適性なしと判定されようとした。
- 周囲の解釈:直後に泥が拭われて素顔が露呈したことで、比類なき美貌を持ちながら高慢にならず落選をも恐れない極めて謙虚な態度と美化された。
・二次審査(画の選抜)での模写と不敬艶画: - 本人の意図:用心棒代の金策のために調度品や扁額の書(蛍窓雪案・歳寒三友)を贋作の手本として精密模写し、審査用には一発不合格を狙って太監長と武官の男色艶画を描いた。
- 周囲の解釈:宣紙が汚れる逆境にあっても雪で明かりを取って勉学に励む高潔な意志を表現した最高峰の芸術と絶賛され、甲の最上評価を獲得した。不敬画も蓉蓉(公主)によって後宮の綱紀の乱れを戒める警告と深読みされ、崇拝を強める結果となった。
・火酒対決と夏蓮の救済: - 本人の意図:粗相による追放と酒をくすねる金策を兼ねて火酒の飲み比べに立候補した。
- 周囲の解釈:下戸である夏蓮の中毒死を防ぐため喉に指を突っ込んで吐かせた行為と慈愛の言葉から、夏蓮は目の前の人物が珠麗本人であると確信した。過去の誤解が解けた夏蓮は生涯の忠誠を誓い、命に代えても珠麗を上級妃に押し上げると決意した。
成り上がりを成立させている本質的要因
単なる誤解にとどまらず、過酷な追放生活で培われた実戦的な技能が説得力を与えている。
・反社会的スキルの美徳への昇華:花街や貧民窟で生き抜くために身につけた贋作用の精密模写、袖筒術、吐かせの技術は、本人にとっては後ろ暗い裏稼業の技術に過ぎない。しかし、格式ある後宮に持ち込まれたことで、一流の書画の才能、高潔な気概、命を救う無私の慈愛として機能した。
・二度目の場所で開花する特異な資質:一度目の失敗や冤罪を経て貪欲に実用的な処世術を身につけ、二度目の舞台でこそ雑草のようなしぶとさで成果を出す性質を有している。この逞しい根性が、周囲の過大評価を結果的に本物の実績として成立させる原動力となった。
まとめ
宝珠麗における勘違いの成り上がりを巡る一連の全貌は、処刑回避のための必死の隠蔽工作から始まり、襟元の着こなしや問答、模写画が高潔な美徳や教養へと脳内変換された周囲の誤解の連鎖、裏稼業で培った泥臭いサバイバル能力が後宮の舞台で一流の才能として結実した本質的要因に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
本人の脱出願望をよそに、実力と過大評価が噛み合うことで後宮の頂点へと押し上げられていく特異な立身構造の記録である。
宝珠麗と夏蓮の主従関係と絆の再構築の全貌
かつて白豚妃と揶揄されていた宝珠麗(東珠/珠珠)と、異民族出身の女官・夏蓮の主従関係は、身分や偏見を超えた深い信頼から始まり、冤罪による追放と欺瞞工作による4年間の断絶を経て、劇的な再会と真実の露呈によって再構築された。過去の出会いと誓約、楼蘭による情報操作と誤解、火酒事件を通じた救出劇、そして思惑がすれ違ったまま結ばれた新たな主従の絆に至るまでの全容について解説する。
白豚妃時代における出会いと偏見なき慈愛
二人の主従関係は、過酷な境遇にあった夏蓮を珠麗が救い出したことから始まった。
・偏見を排した評価と受容:滅亡した砂漠の遊牧民族「韋族」出身である夏蓮は、独特の風貌から後宮内で野蛮な奴婢と蔑まれ、過酷な雑役部署である城房へ追いやられていた。しかし中級妃であった珠麗は、塩蔵肉を薄く切り分ける夏蓮の技術を料理人の手と称賛し、自らを臭うと卑下する腕を躊躇なく掴んで歩み寄った。
・好色な太監からの救出と髪の誓約:好色な太監に襲われかけた夏蓮を救うため、珠麗は城房に乗り込んで強引に自付きの女官へ引き抜いた。一族において婚姻か死の際にしか許されない重い禁忌である「髪を切る行為」を、夏蓮は深い恩義と生涯の忠誠の証として自ら行い、珠麗に捧げた。
・隠された花嫁支度と配慮:故郷に病身の妹がいることを知った珠麗は俸禄を前払いして集落へ届けさせた。さらに、将来の婚姻時に伝統の花嫁姿にふさわしい髢が作れるよう、預かった黒髪を手入れして保管し、感謝と門出を祝う手紙および餞別の金子を飾り棚の天板裏へ隠していた。
冤罪事件と4年間に及ぶ裏切りの誤解
楼蘭の仕組んだ流産偽装事件により、二人の絆は巧妙に引き裂かれることとなった。
・楼蘭による捏造工作:追放直前の珠麗から夏蓮の庇護と金子の存在を託された楼蘭は、手紙を隠匿して金子のみを夏蓮に見せ、「珠麗が俸禄を私物化して隠し持っていた」と虚偽を吹き込んだ。
・髪の束を用いた精神的搾取:保管されていた髪の束を突きつけ、「珠麗が妹の弔い金すら奪っていた証拠であり、これは妹の遺髪ではないか」と偽ることで、珠麗が徹底的に騙していたという偽りの証拠に仕立て上げた。
・絶望と従属:命と同等に重い髪と妹の弔いを利用された夏蓮は、最愛の主人に裏切られたと絶望し、心を殺して楼蘭の冷酷な手駒として妨害工作に従事する日々を送った。
再会と火酒対決における救出劇
4年後の後宮選抜において、敵対する立場として二人は意図せぬ再会を果たした。
・毒酒の強要と異変の察知:選抜三日目の舞の試験を前に、楼蘭は目障りな候補者を潰すため、下戸である夏蓮に強い火酒を持参させて白泉宮へ送り込んだ。粗相による追放を狙って乾杯に応じた珠麗であったが、夏蓮の手の震えや顔色の変化から中毒死の危機を察知した。
・黄金指による救命と過去の重なり:珠麗は杯を叩き割り、花街で培った吐かせの技術(黄金指)で夏蓮の喉に指を突っ込んで内容物を強制的に吐き出させた。吐瀉物で汚れた衣を気にする夏蓮に対し、「洗えばいい」「上等な火酒の匂いしかしない」と言い放って抱きしめた姿に、4年前の言葉が重なり、夏蓮は目の前の人物が珠麗本人であると確信した。
真実の露呈と思惑がねじれた再誓約
過去の真実が明らかになったことで、二人は強固な主従関係を取り戻したものの、目的の食い違いが生じる結果となった。
・隠されていた手紙の開示:楼蘭のもとへ辞意を伝えに戻った夏蓮に対し、楼蘭は嘲笑とともに隠し持っていた珠麗の手紙を突きつけた。手紙を読んだ夏蓮は、主人が自身の幸福を心から願っていた真実を知り、信じきれずに裏切ってしまった自らの愚行に激しい後悔と涙を流した。
・すれ違う主従の決意:生涯の忠誠を誓い直した夏蓮は白泉宮へ戻り、命に代えても珠麗を上級妃の座へ押し上げると宣言した。しかし、不合格となって一刻も早く脱出したい珠麗の思惑とは正反対であり、二人の意志は噛み合わないまま新たな主従関係が再スタートすることとなった。
まとめ
宝珠麗と夏蓮の主従関係を巡る一連の全貌は、偏見を排した慈愛と髪を捧げた忠誠の誓約から始まり、楼蘭の偽装工作による手紙の隠匿と4年間にわたる裏切りの誤解、火酒の危機における命がけの救出劇を通じた正体の発覚、そして過去の真実の露呈に伴う主従の再結束に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
後宮からの脱出を望む主人と、命を賭して上級妃へ成り上がらせようとする女官という、思惑のねじれを孕みながらも強固な絆を取り戻した波乱の記録である。
後宮に渦巻く陰謀構造と権力闘争の全貌
本作における後宮の陰謀は、単なる妃嬪同士の感情的な嫉妬や寵愛争いにとどまらず、頂点を目指す妃の冷酷な排除工作、宦官トップによる汚職と支配欲、そしてそれらを一掃しようとする皇太子の浄化計画が多層的に交錯する構造となっている。姜楼蘭による自作自演の謀略、太監長・袁氏の汚職と影の支配、皇太子・白城による潜入調査と剪定計画に至るまでの実態について解説する。
姜楼蘭による自作自演と排除工作
中級妃「祥嬪」である姜楼蘭は、後宮の頂点である皇后の座を手に入れるため、自身の身を削る自作自演と間接的な妨害工作を徹底している。
・4年前の流産偽装と珠麗の追放:下級妃時代、天子の子を宿しながら自ら毒を仰いで流産を偽装した。見舞いに訪れた珠麗に毒殺未遂の罪を着せて投獄・追放へ追い込む一方、自身は悲劇の妃としての同情を集めて中級妃「祥嬪」へと昇格した。
・初日の純貴人への言いがかり:側付き女官の夏蓮を使い、曲がり角で純貴人(静雅)の女官とわざと衝突させて自身の高価な鏡を割らせた。厳正な儀を妨害したと言いがかりをつけて追い詰めようとしたが、珠麗の故事を引用した仲裁により失敗し、珠麗への警戒と敵意を強めた。
・二日目の明貴人への筆細工と墨汚し:画の選抜において、競合である明貴人(紅番)を落とすため、毛の抜ける不良品の筆を掴ませた上で別の筆へすり替えさせた。さらに息のかかった容貴人に墨をこぼさせ、紅番と珠麗の画を汚して陥れを図った。
・三日目の火酒による昏倒工作:次の選抜科目が舞であることを事前に入手し、舞の名手である嘉玉と目障りな珠麗を排除するため、強い火酒を白泉宮へ届けさせて強引に飲ませようとした。しかし、下戸である夏蓮の異変に気づいた珠麗の救命措置により失敗し、夏蓮の離反を招いた。
・白泉宮への豚一頭の発注:夏蓮を失った楼蘭は、太監長・袁氏へ「白泉宮に豚を一頭」という注文書を送付した。備品発注を装い、胸元に豚の焼き印を持つ珠麗を暴き出して辱めるための次なる罠を仕掛けている。
太監長・袁氏の汚職と後宮の影の支配
清廉潔白を装う太監長・袁氏は、金銭と権力欲にまみれた後宮の腐敗の温床となっている。
・賄賂による選抜判定の操作:選抜における合否(残札・落札)を差配する権限を悪用し、裕福な妃嬪から多額の賄賂を受け取って有利に取り計らう一方、支払えない貧しい候補者を不当に落とす不正を日常化させている。
・楼蘭との共謀と利権の維持:楼蘭を皇后に据えて自らは太監長の実権を握り続けるため、選抜科目を事前に横流しするなど便宜を図り、後宮の利権を共に独占しようと画策している。
・暗躍と専横:皇帝が錬丹術に傾倒して後宮に無関心であることを利用し、自身の地位を脅かす不審な動きを見せる者を裏で排除しながら、実質的に後宮を支配しているという歪んだ優越感を抱いている。
皇太子・白城による潜入調査と「剪定」計画
後宮の腐敗に対し、身分を隠した皇太子・白城(郭武官)による対抗工作が進行している。
・4年間にわたる武官潜入:凡庸な皇太子を装いながら、乳兄弟と入れ替わって後宮武官として潜入し、4年前から袁氏を中心とする汚職や腐敗の証拠を収集し続けている。
・後宮の浄化思想:肥大化し腐敗した後宮を害虫の巣食う庭と見なし、思い上がった太監長や悪徳な妃を切り取る「剪定」の機会を伺っている。
・珠麗の引き留めと囮としての利用:美貌を露呈させた珠麗の並外れた教養や、不敬画に込められた綱紀の乱れへの警告を察知した。彼女の不合格狙いの意図を潰して後宮に留め置いたのは、その魅力への関心に加え、楼蘭や袁氏の陰謀を誘い出して一網打尽にするための囮として利用する政治的意図に基づいている。
まとめ
後宮の陰謀を巡る一連の全貌は、皇后の座を狙う楼蘭による流産偽装や毒酒を用いた冷酷な排除工作から始まり、合否判定の操作と情報横流しによって利権を貪る太監長・袁氏の構造的汚職、そしてそれらの証拠を掴み一掃するために武官として潜入した皇太子・白城の剪定計画に至るまで、その歩みを明瞭に示している。
私利私欲に基づく策謀と国家の浄化を目的とした情報戦が交錯する中、脱出を望む珠麗の行動が意図せず陰謀の構図を揺るがしていく権力闘争の記録である。
登場キャラクター
皇族・宮廷
白城 / 郭武官
極度の女性不信を抱く天華国の皇太子だ。
女性を「雌豚」と見下す冷徹な一面を持つ。
後宮武官である郭玄に扮して潜入調査を行っていた。
教養と美貌を隠そうとする東珠(珠麗)に強い興味を抱く。
・所属組織、地位や役職
天華国の皇太子だ。後宮の警護を務める郭武官に扮している。
・物語内での具体的な行動や成果
4年前に珠麗の無実の訴えを退けて後宮から追放した。
一次審査で不合格を狙ってわざと愚鈍な言動をした東珠を捕まえた。
東珠の落札を覆して下級妃候補へと引き留める。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
郭玄と入れ替わることで、4年以上前から自由に後宮内を調査している。
東珠が提出した墨だらけの宣紙の代わりに、模写が描かれた練紙の審査を提案した。
展蓉 / 蓉蓉
天華国の公主であり、白城の異母妹だ。
優れた才能を見極める「見玉の才」を備えている。
女官候補の蓉蓉として後宮に潜入した。
東珠の美貌と教養を「高潔な美徳」と信奉し、兄の白城に彼女を上級妃に据えるよう賭けを持ちかける。
・所属組織、地位や役職
天華国の公主だ。女官候補の蓉蓉として後宮に潜入している。
・物語内での具体的な行動や成果
一次審査で東珠の汚れた首布を外すよう太監長に進言した。
東珠が描いた不敬な艶画から太監長への政治的警告を深読みする。
東珠のために真新しい衣を工面して手渡した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
一次審査で圧倒的な評価を得て首席で合格を果たす。
その後も、下級妃候補として選抜に残り続ける。
今代皇帝
大陸を統べる天華国の第4代皇帝だ。
近年は不老不死を追い求める錬丹術に没頭している。
後宮の統治や妃嬪たちの争いには一切関心を示さない。
・所属組織、地位や役職
天華国の第4代皇帝だ。
・物語内での具体的な行動や成果
4年前に楼蘭の流産を知り激怒した。
珠麗に罪を認めることを条件に追放の判決を下す。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
高齢であり、近く自城(白城)への禅譲が予定されている。
後宮・妃嬪
宣珠麗 / 珠珠 / 東珠
本作の主人公だ。
4年前に流産の濡れ衣を着せられて後宮を追放された。
花街と貧民窟での過酷な生活を経て、別人のような絶世の美女へと変貌する。
女官狩りで意図せず後宮へ連れ戻され、不合格(落札)となって城外へ逃亡しようと試みる。
・所属組織、地位や役職
元中級妃(恵嬪)だ。現在は下級妃(貴人)候補の東珠として後宮に留め置かれている。
・物語内での具体的な行動や成果
一次審査の問答でわざと頓珍漢な回答をして落札(不合格)を狙った。
夏蓮と純貴人の接触事故による舌戦に割って入り、「楽昌の鏡」の故事を引用して窮地を救う。
二次審査では用心棒代を稼ぐために国宝の書画を練紙に超精密に模写した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
美貌が露呈したことで、落札から一転して「甲評価の最上」を獲得する。
自身の不合格工作がことごとく高潔な美徳と誤解され、強制的に地位を引き上げられていく。
姜楼蘭 / 祥貴人 / 祥嬪
花のように美しく、心根は天女のごとく清らかと評判の妃だ。
その本性は、自身の栄達のために他者を踏み台にする冷酷な野心家である。
4年前に自ら毒を仰いで流産を偽装し、その罪を珠麗に着せた。
・所属組織、地位や役職
中級妃(祥嬪)だ。かつては下級妃(祥貴人)であった。
・物語内での具体的な行動や成果
4年前に珠麗に罪を認めるよう牢獄で唆した。
純貴人の女官(夏蓮)に高価な鏡を割らせ、それを盾に「儀の妨害」として純貴人を脅迫する。
二次審査では容貴人や太監と結託し、明貴人の筆をすり替えさせて彼女を陥れようとした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
4年前の流産自作自演により、同情を引いて「嬪」の階位へ昇格した。
太監長と結託して後宮内で大きな影響力を誇っている。
静雅 / 純貴人
白泉宮に住まう下級妃だ。
学者を輩出する家系の出身であり、非常に教養が高い。
4年前に自身の保身から白豚妃(珠麗)を見捨ててしまったことを深く後悔している。
東珠(珠麗)が自身を庇って野宿を選んだことに心から感謝し、彼女に新しい衣や温かい湯を差し入れる。
・所属組織、地位や役職
下級妃(純貴人)だ。白泉宮を預かる責任者でもある。
・物語内での具体的な行動や成果
楼蘭の女官が自身にぶつかって割れた鏡をめぐり、経典を引用して対抗した。
東珠が提示した「楽昌の鏡」の意図を正確に理解し、感謝の印として簪を贈る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
二次審査を無事に終え、引き続き妃候補として選抜に残る。
紅番 / 明貴人
白泉宮に住まう若き下級妃だ。
負けず嫌いで非常に勝気な性格をしている。
優れた画の才能を持っているが、逆境に弱く萎縮しやすい一面もある。
・所属組織、地位や役職
下級妃(明貴人)だ。
・物語内での具体的な行動や成果
最初は東珠と蓉蓉を「薄汚い奴婢」と見下して白泉宮への入室を拒んだ。
二次審査で毛の抜ける粗悪な筆にすり替えられてしまい、画を描けずに立ち尽くす。
東珠が小筆を貸してくれたことに深く感謝し、東珠の画が台無しになった際は自ら進み出て彼女を救うよう太監長に直訴した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
二次審査で優れた画を完成させ、東珠と同じく「甲の最上評価」を獲得した。
これによって明日以降の妃選抜への進出を決める。
嘉玉 / 恭貴人
白泉宮に住まう、非常に内気で頼りなげな下級妃だ。
貴族に身請けされた妓女の娘という複雑な出自を持つ。
美しい舞の才能に長けている。
・所属組織、地位や役職
下級妃(恭貴人)だ。
・物語内での具体的な行動や成果
紅番が東珠を激しく非難した際、おろおろとしながらも彼女をなだめようとした。
夏蓮が持参した強い火酒を無理やり飲まされそうになった際、怯えて真っ青になる。
東珠が自身の代わりに火酒を飲むと宣言した際、彼女の身を本気で案じて引き留めようとした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
明日の競技科目が自身の得意な「舞」であることを太監長に察知され、楼蘭から排除の標的にされる。
容貴人
楼蘭の配下として立ち回る下級妃だ。
狡猾であり、他者を陥れて自身を引き上げようとする。
・所属組織、地位や役職
下級妃(容貴人)だ。
・物語内での具体的な行動や成果
二次審査において、明貴人の不良品の筆をあらかじめ用意し、彼女に座る席を譲って陥れた。
自身の通路側の席にわざと硯を置き、明貴人の袖に触れたと偽って硯を床に落とす自作自演の濡れ衣工作を行う。
墨が東珠の宣紙にも飛び散ったことを利用し、東珠を未完成による一発落札(不合格)へと追い込もうと画策した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
自作自演の硯落とし工作を郭武官に完全に見破られてしまう。
失敗を重く見た楼蘭から、使い物にならない手駒としてその場で即座に切り捨てられた。
後宮・側仕え
夏蓮
滅ぼされた遊牧民族「韋(い)族」の出身の女官だ。
実直で表情に乏しく、人形のような印象を与える。
4年前は珠麗の側仕えであり、命と同等に重い自身の黒髪を切って彼女に忠誠を誓った。
珠麗が追放された後は、楼蘭の「犬」と呼ばれるほど従順な手駒として酷使されている。
・所属組織、地位や役職
中級妃(祥嬪)付きの女官だ。かつては恵嬪(珠麗)の側仕えであった。
・物語内での具体的な行動や成果
角の往来でわざと純貴人の女官と衝突し、楼蘭の高価な鏡を地面に落として割る工作を行った。
二次審査の入場時、明貴人の筆を粗悪なものにすり替えた。
楼蘭の命令により、強い火酒を大樽で白泉宮へと運び、珠麗と恭貴人に強引に飲むよう迫る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
4年前、楼蘭によって捏造された偽りの証拠を見せられ、珠麗に裏切られたと深く絶望・誤解している。
火酒の対決において中毒症状を起こしたが、珠麗の必死の「黄金指(吐かせの技術)」と「かつての温かい言葉」によって救われ、彼女の正体に気付く。
楼蘭のもとへ戻って辞意を告げた際、かつて珠麗が書き残した「花嫁支度と感謝の手紙」を突きつけられ、4年前の裏切りが完全な誤解であったことを知って激しく慟哭した。
今度こそ命に代えても珠麗を守り抜くことを誓い、彼女の前に跪いて女官にしてほしいと懇願する。
袁氏 / 太監長
後宮の全権を握る柔和な顔立ちの宦官だ。
その本性は金銭や権力欲にまみれており、妃嬪から多額の賄賂を受け取って選抜を操作している。
後宮を「自分の花園」とみなし、女たちが怯えて争い合う状況を作ることで、自らの支配権を維持しようとする。
・所属組織、地位や役職
後宮の最高管理職である太監長だ。
・物語内での具体的な行動や成果
一次審査で東珠の頓珍漢な言動に憤慨し、落札を言い渡した。
二次審査では、東珠が模写した練紙の「歳寒三友」と「蛍窓雪案」を「逆境に耐える高潔な意志の表れ」と大絶賛した。
楼蘭に高価な金細工の簪を賄賂として手渡され、彼女に便宜を図る約束をする。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
前帝が錬丹術に没頭しているのをいいことに、後宮の実権を完全に掌握している。
楼蘭からの「白泉宮に豚を一頭」という不穏な注文書を受け取り、工作の実行を部下に指示した。
朝廷・武官
郭玄
皇太子自城の乳兄弟を務める男性だ。
非常に無能で、いつも離宮に引きこもって趣味の詩を書き散らしていると周囲から噂されている。
・所属組織、地位や役職
中級貴族である郭氏の三男だ。
・物語内での具体的な行動や成果
皇太子自城が後宮に潜入している間、離宮に籠もって彼の影武者を務めていた。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
本人は影武者としての役割を楽しんでいる。
彼の書き散らす下手な詩のせいで、朝廷における「皇太子」の評判は著しく下落している。
宣氏
珠麗の薄情な実父だ。
娘の美醜や幸福には一切関心を持っていない。
・所属組織、地位や役職
朝廷に所属する官吏だ。
・物語内での具体的な行動や成果
珠麗が後宮でそれなりの地位を築いたと知ると、他の妃たちへの賄賂用として高級な仕送りを送っていた。
4年前に珠麗に罪が着せられた際、早々に彼女を絶縁して尋問に積極的に協力した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
現在は辺境へと送られている。
隠密組織・賊徒集団
礼央
辺境の貧民窟を取り仕切る賊徒集団の頭領だ。
非常に冷淡で面倒見が悪いが、一度懐に入れた身内に対しては甲斐甲斐しく面倒を見る。
4年前、焼き印を押されて行き倒れていた珠麗を保護し、自身の貧民窟でサバイバル能力を鍛えさせた。
その正体は、皇帝直属の隠密組織「烏」の頭領の息子である。
・所属組織、地位や役職
貧民窟の賊徒集団・頭領だ。隠密集団「烏」の次期跡取りでもある。
・物語内での具体的な行動や成果
珠麗が外を歩く際、美しい顔が目立たぬよう黒布を巻くよう指示した。
珠麗が女官狩りに遭遇してさらわれた際、監視の甘かった弟分の宇航を厳しく追及した。
珠麗から犬笛の合図を受け取ると、太監に扮して後宮へと潜入し、彼女と密会を果たす。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
一族の絶対服従の暗示や、つまらぬ男に膝を折る「烏」の現在のあり方に強い不満を抱いている。
珠麗に「手を貸すなら明日から守料は五倍、利息はトイチ」と意地悪な投げ文を送り、子の刻に門を叩けば安全に逃がすと約束した。
宇航
礼央の弟分である少年だ。
ぱちりとした大きな瞳に柔らかな頬をしており、一見あどけない。
その本性は極めて意地が悪く、他人の嘘を見抜くことに長けている。
・所属組織、地位や役職
貧民窟の賊徒集団に所属している。礼央の従者だ。
・物語内での具体的な行動や成果
珠麗がかつて酔っ払って後宮の思い出話を語った際、元「白豚妃」である事実に激しく驚愕した。
珠麗を早く王都へ戻したいと願う一族の首領の命令に従い、わざとボヤ騒ぎを起こして礼央の目を珠麗から逸らした。
女官狩りによって珠麗が攫われるのを、あえて放置して後宮への連行を促した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
悪事がすべて礼央に露見してしまい、度数の強い酒を顔に浴びせられるお仕置きを受けた。
「次は自身の血を浴びせる」と冷酷に脅され、むくれた様子で舌を出して謝罪する。
小烏 / 大烏
礼央の相棒を務める、一回り大きなカラスだ。
漆黒の羽に闇色の瞳、尾長鶏のように長い尾を持っており、神獣を想起させる風体をしている。
・所属組織、地位や役職
礼央のペット兼、情報の伝達役だ。
・物語内での具体的な行動や成果
珠麗が夜中に鳴らした犬笛を敏感に察知し、礼央にその方角を示した。
選抜二日目の競技会場に乱入し、獰猛に羽ばたいて会場を大混乱に陥れる。
混乱に乗じて、礼央からの投げ文を正確に珠麗の袖に落とした。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
礼央の肩に慣れており、彼の指示に従って迅速に行動する高い知能を持つ。
花街(朱櫻楼)
芳
王都にその名を轟かせる高級妓楼「朱櫻楼」の楼主だ。
美しい化粧を施し、簪や香をまとった、派手な「婆女」の風体をしている。
その実態は、かつて後宮の宦官を務めていた経験を持つ、極めて抜け目のない人物だ。
・所属組織、地位や役職
高級妓楼「朱櫻楼」の楼主だ。元宦官でもある。
・物語内での具体的な行動や成果
4年前、高熱を出して実家に見放された珠麗を引き取り、肥桶洗いの仕事を命じた。
珠麗が肥桶番として完璧な働きを見せるようになると、態度を軟化させ、琴や舞、化粧などの芸事を授けた。
珠麗が自身に投げつけられた嫌がらせをすべて前向きに利用・相殺した様子を見て、彼女の特異な才能を見抜く。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
朱櫻楼が客の失火によって焼け落ちた際、涙をのんで珠麗を北の邑(礼央のもと)へと送り出した。
「あの子は一度目ではうまくいかないが、二度目にたどり着いた場所でこそ花開く」と、彼女の幸福を信じて送り出したことが明かされている。
尽忠
朱櫻楼お抱えの用心棒の一人だ。
いかめしい体躯と頬に大きな傷を持つ。
・所属組織、地位や役職
朱櫻楼の用心棒だ。女の買い付け役も兼ねている。
・物語内での具体的な行動や成果
4年前、罪人の焼き印を刻まれて追放された珠麗を安値で買い付け、楼主の芳のもとへと連れてきた。
珠麗をいじめられ役の「鼠(最下層の妓女)」として使うよう、芳に提案している。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
後宮の役人との間で、珠麗を引き取る見返りとして「官妓としての登録を5年間保証する」という好条件を勝ち取った。
春鈴
朱櫻楼の看板妓女の一人だ。
物憂げな雰囲気と、密やかな声を持つ大変な知性派だ。
楼主である芳の良き補佐役でもある。
・所属組織、地位や役職
朱櫻楼の看板妓女だ。
・物語内での具体的な行動や成果
かつて朱櫻楼に買われた際、一言も泣かずに無言で会話を拒否した過去を持つ。
珠麗をいじめるために、自身の派閥の英英と明明に嫌がらせの指示を出した。
嫌がらせが失敗し、英英たちが大喧嘩を始めた様子を見て、面白そうに声を上げて笑う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
珠麗の持つ不思議な愛嬌や、悪意を撥ねのける天性の才能をとても気に入り、楼主の芳に彼女を直接確かめるよう進言した。
丹丹
朱櫻楼で長年下働きをしている不愛想な老女だ。
元はそれなりの妓楼で自身の室を持っていた。
不愛想で怒りっぽく、下級の妓女をひと睨みで泣かせてしまうほどの迫力を持つ。
・所属組織、地位や役職
朱櫻楼の下女だ。
・物語内での具体的な行動や成果
珠麗が初日に「丹丹師匠、お手本を!」と強引に肥桶洗いの指導を乞うた際、最初は呆気にとられた。
珠麗の合いの手の入ったおかしな掛け合いに思わず笑い出してしまい、彼女の働きぶりを認めて気に入る。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
その後は、珠麗と一緒にきゃっきゃと笑いながら肥桶を洗うようになり、彼女の頼もしい師匠となる。
英英
春鈴の派閥に属する中級の妓女だ。
最初は親切を装って相手に近づき、悩みを見せて同情を引いて利用したのちに、冷酷に裏切るという陰湿な手口を得意とする。
・所属組織、地位や役職
朱櫻楼の中級妓女だ。
・物語内での具体的な行動や成果
春鈴の指示に従い、自分の売られた境遇を涙ながらに語って珠麗の同情を引こうとした。
珠麗が自分の話に号泣し、涙ながらに明明から貰った饅頭を手渡してきたため、焦って一口かじってしまう。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
手渡された饅頭に明明の仕込んだ強力な下剤が入っていたため、半日にわたって盛大に腹を下して客を取れなくなる大惨事に見舞われた。
明明
春鈴の派閥に属する中級の妓女だ。
惚れ薬や下剤を調合して他人に悪戯を仕掛ける、姑息な手段を得意とする。
・所属組織、地位や役職
朱櫻楼の中級妓女だ。
・物語内での具体的な行動や成果
強力な下剤を仕込んだ饅頭を用意し、上級妓女の室を汚させる罰を与えるために珠麗に手渡した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
事情を知らない英英がその饅頭をかじって下痢に苦しんだため、真相が発覚した後に英英から激しい怒りを買い、大喧嘩に発展した。
曹氏
花街において非常に悪名高い、傲慢で好色な役人だ。
官妓の登録権限を握る戸部尚書侍郎の身分を笠に、妓女たちを弄んできた。
・所属組織、地位や役職
朝廷の官吏だ。
・物語内での具体的な行動や成果
店先で珠麗を執拗に口説き、白檀を買ってやると自慢したが、珠麗にただの杉であると指摘されて逆上し、彼女に汚物を浴びせかける。
酒に酔った状態で朱櫻楼を訪れ、用を足したついでに珠麗が落とした曼荼羅華の葉を間違えて煙管に詰め、一服して幻覚に襲われる。
ふらふらと肥桶に近づいて湯桶と勘違いし、珠麗が驚いて突き出した両手によって勢いよく肥桶の中へと頭から転落した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
全身を汚物にまみれさせ、絶叫しながらもがく大恥をさらす。
自身の間違いと自業自得が原因であるため、朱櫻楼を公式に罪に問うこともできず、結果として珠麗の完璧な仕返しが完了した。
集団・勢力
賊徒集団
貧民窟を本拠地とし、冷酷な礼央が頭領として率いている集団だ。
所属する男たちの多くは、一様に筋骨隆々としており、非常にドスの利いた挨拶をする。
一見すると乱暴な荒くれ者たちだが、身内と認めた相手に対しては強い団結力と忠誠を示す。
・所属組織、地位や役職
貧民窟の賊徒集団だ。
・物語内での具体的な行動や成果
最初はよそ者の珠麗を激しく見下し、放置していた。
珠麗が動物の皮を剥ごうとして周囲を血の海に染めたり、薪を割るつもりで敵の賊徒を殺しかけたりするサバイバル活動を行うのを見て、彼女を「お嬢」と認める。
礼央の命令に従い、貧民窟内でこの女には手出し無用という厳格な掟を徹底した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
珠麗が通りかかるたびに、直立不動で「お勤めご苦労さんでェす!」と凄みのある挨拶を寄越すようになり、彼女の頼もしい護衛勢力となる。
白泉宮の妃候補
今回の「揺籃の儀」において、白泉宮に一時的な滞在が許された下級妃たちだ。
純貴人・静雅、明貴人・紅番、恭貴人・嘉玉の三名を指す。
それぞれが優れた才能を備えているが、容姿や家格、皇帝の薄い寵愛が原因で、これまで宮廷内で肩身の狭い思いをして過ごしてきた。
・所属組織、地位や役職
下級妃(貴人)の勢力だ。
・物語内での具体的な行動や成果
当初は東珠(珠麗)を「薄汚い奴婢」と激しく拒絶し、祥嬪(楼蘭)の不興を恐れて宮外に追い出そうとした。
しかし、東珠が彼女たちを庇って進んで野宿を選んだ姿や、二次審査で不当に窮地に陥った明貴人を救った侠気に深く感銘を受ける。
最後には全員が東珠に深く心を開き、白泉宮の東屋へとお茶を用意して押しかけ、和やかに談笑を交わすほどの固い友情を結んだ。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
この団結こそが、二日目の夜に楼蘭が「恭貴人の嘉玉と珠珠」をまとめて排除しようと、火酒の毒殺未遂を仕掛ける決定的な原因となる。
太監たち
後宮内のあらゆる雑務や世話を担当する、去勢された男性たちだ。
柔和な顔立ちの裏で、強い者には尾を振り、弱い者には激しく冷酷に当たる、保身に長けた気質を持つ。
・所属組織、地位や役職
後宮の使用人集団だ。
・物語内での具体的な行動や成果
4年前、流産の嫌疑をかけられた珠麗の無実の主張に一切耳を貸さず、激しく睨みつけ、牢獄へと乱暴に引きずり出した。
今回の選抜の一次審査において、東珠が首布を頑なに外そうと抵抗した際、三人がかりで床に力強く押さえつけ、無理やり布を奪って顔を拭った。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
最高権力者である太監長・袁氏の意向に絶対服従しており、彼の指示に従って選抜の合否や後宮内の動向を操作している。
韋族
天華国の西域に暮らしていた、砂漠の移動を繰り返す遊牧民族だ。
男たちは非常に精悍な体つきをしており、優れた武技を持つ。
女たちは独特の波打つ黒髪に浅黒い肌をしており、高い知性を備えている。
かつて天華国によって滅ぼされた。
・所属組織、地位や役職
西域の滅ぼされた異民族だ。
・物語内での具体的な行動や成果
子どもであっても誕生と同時に短刀を与えられ、獣を巧みに育てる狩猟の技術を持つ。
男女ともに、髪を一生を誓う相手に捧げるか、死ぬ時にしか切らないという、非常に厳格な髪の文化を守り続けている。
死後には、魂がさまよわぬよう緑地に堅牢な墓を建て、5年間にわたって手厚く弔う。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
国を滅ぼされた後は、男たちは苦役を課され、見目の良い女は女官として後宮に押し込まれ、奴婢同然の扱いを受けている。
人買い / 女衒たち
王都の後宮へ売り飛ばすための女官候補を各地から買い付け、または力ずくで誘拐する、残虐な男たちの集団だ。
皇帝の代替わりに伴い、大量の女官の補充が必要となったことを利用して暴利を貪っている。
・所属組織、地位や役職
王都へ人間を供給する闇の業者だ。
・物語内での具体的な行動や成果
北方の寒村を巡り、色白で大人しい女たちを次々と買い付け、または攫った。
市で礼央への贈り物を探していた東珠(珠麗)に「きれいな鏡がある」と騙して近づき、不意を突いて水に溺れさせ、縛り上げて担ぎ去った。
誘拐を怪しまれぬよう、馬車に少女たちを詰め込み、監視の目を光らせながら王都の後宮へと連行した。
・地位の変化、昇進、影響力、特筆事項
東珠を最初に攫った男は、のちに激怒した礼央
展開まとめ(タイムライン)
プロローグ
後宮で無実の罪を着せられた珠麗は、信頼していた楼蘭の甘言に騙されて自白へと追い込まれる。郭武官への命乞いも虚しく罪人の烙印を押され、絶望の中で過酷な追放処分が下される。
- 【白豚妃・珠麗にかけられた毒殺の嫌疑】 / 【牢獄を訪れた楼蘭による偽りの同情】
- 【減刑を信じた珠麗の自白と形勢の暗転】 / 【忠義の女官・夏蓮へ託された最後の金品】
- 【仕組まれた罠と嘲笑う楼蘭の冷酷な本性】
第一章:戻るつもりじゃなかった
追放後の花街や貧民窟で逞しく生き抜いた珠麗は、予期せぬ女官狩りに巻き込まれ再び後宮へと連行される。落選を狙って愚鈍を装うものの、素顔の美貌が露呈してしまい選抜を通過してしまう。
- 【妓楼・朱櫻楼での下働きと処世術の習得】 / 【貧民窟での賊徒頭領・礼央との奇妙な縁】
- 【女官狩りによる拘束と後宮への意図せぬ帰還】 / 【揺籃の儀での落選を狙った愚鈍の演技】
- 【首布の剥奪と暴かれた絶世の美女の素顔】 / 【礼央と宇航による後宮潜入の決意】
第二章:残るつもりじゃなかった
後宮からの脱出を図る珠麗は、かつての宿敵・楼蘭と純貴人の間で起きた鏡の破損騒動に巻き込まれる。機転を利かせた故事の引用で場を収めるものの、郭武官に見咎められて下級妃候補へと引き上げられる。
- 【広間からの脱出と妃嬪たちの小競り合い】 / 【割れた鏡を巡る楼蘭と純貴人の舌戦】
- 【故事「楽昌の鏡」を用いた珠麗の仲裁】 / 【郭武官の介入と下級妃候補への強制選出】
第三章:庇うつもりじゃなかった
下級妃候補として白泉宮へ入った珠麗は、二日目の競画で落選を狙い不敬な画の作成を企てる。しかし妨害を受けた紅番を庇った結果、意図せず提出された練習用の画が最高評価を得てしまう。
- 【白泉宮での貴人たちとの予期せぬ共同生活】 / 【皇太子・白城と妹・蓉蓉の後宮調査の裏側】
- 【選抜二日目の競画と郭武官への当てつけ画】 / 【紅番への筆の譲渡と礼央の烏による急襲】
- 【墨染めの宣紙と提出された練紙の絶賛評価】
第四章:潰すつもりじゃなかった
楼蘭の策謀により白泉宮へ送り込まれた夏蓮に対し、珠麗は危険な火酒の飲み比べを引き受けて命を救う。過去の真実を知った夏蓮は楼蘭と決別して珠麗への忠誠を誓い、太監長の思惑も絡んで選抜は最終局面を迎える。
- 【楼蘭による夏蓮への圧力と火酒贈呈の命令】 / 【礼央との密会と提示された法外な用心棒代】
- 【白泉宮での火酒の対決と夏蓮の昏倒】 / 【「黄金指」の介抱術による夏蓮の救命】
- 【手紙の真実の発覚と楼蘭への決別の宣言】 / 【夏蓮の帰還と太監長・袁氏の冷徹な策略】
書き下ろし番外編:二度目の天運
後宮を追放された直後の珠麗は、高級妓楼「朱雀楼」へ引き取られ、過酷な「鼠」としての扱いを受ける。度重なる失敗と逆境を天性の愛嬌と粘り強さで乗り越え、悪意を無力化しながら妓楼に欠かせぬ存在へと成長していく。
- 【朱雀楼への連行と冷酷な「鼠」待遇の決定】 / 【愛嬌と熱意で丹丹婆さんを懐柔した肥桶番】
- 【下剤入り饅頭の空回りと妓女たちの自滅】 / 【悪辣な官吏・曹氏の肥桶転落と珠麗の躍進】
- 【焼失した妓楼の再建と二度目の天運の予兆】
白豚妃再来伝 後宮も二度目なら シリーズ
その他フィクション

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